説明

成膜装置およびこれに用いられる樹脂塗布装置

【課題】ダイ金型の加工面および肩部に容易に被膜を形成し、ワーク表面の傷の発生を防止する。
【解決手段】耐摩耗性を有する光硬化型の樹脂Rをダイ金型Kの加工面上に吐出する樹脂吐出部2と、ダイ金型Kの加工面上に吐出された樹脂Rを所要膜厚となるようにならすスクレーパ32を備えたスクレーパ部3と、樹脂Rを硬化させる光を照射する光照射部4とがダイ金型Kの長さ方向にこの順序に一列に組み合わせたものである。樹脂吐出部2は、樹脂Rを貯めるタンク11と、タンク11の吐出口12を開閉する弁13と、吐出口12よりも前方に位置する一対のガイドローラ22とを備え、光照射部3にガイドローラ44を備える。一対のガイドローラ22およびガイドローラ44により、スクレーパ32をダイ金型Kの加工面に対して間隔をおいて支持し、各部をダイ金型K上の長さ方向に沿って移動可能に案内する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ワークの折り曲げ加工に使用するダイ金型の加工面に樹脂を塗布する樹脂塗布部と、加工面に塗布された樹脂を所要厚みにならすスクレーパ部と、樹脂を硬化させる光照射部を備える成膜装置および、この成膜装置に用いられる樹脂塗布装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ワークとしての金属板を折り曲げるには、所定の開き角度の凹溝を備えたダイ金型と、その凹溝に対応する凸部を備えた金型(パンチ)とで構成された1組の金型が用いられ、その凹凸部分に金属板等を挟持して押圧し、金属板を所望の角度に折り曲げて加工を行う。
【0003】
この加工の際、金属板が接触するダイ金型の凹溝の溝内面(加工面)と凹溝両側に形成される肩部との摩擦による傷が発生する。この傷の発生を抑制する目的で、ダイ金型の加工面および肩部に被膜を形成する技術が種々検討されている。
【0004】
その技術としては、フレーム溶射(Flame spraying)の1種である高速フレーム溶射(HVOF:High Velocity Oxygen Fuel)を用いて、炭化タングステン系(WC、WC、WC−Co)等の膜厚が60μm以下の硬質溶射膜をダイ金型の加工面に形成するものが提案されている。(特許文献1参照)。
【0005】
ダイ金型の加工面および肩部に硬質溶射膜が形成されることにより、加工時において、金属板は、ダイ金型の加工面および肩部との摩擦による傷の発生を抑制する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−69605号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
また、この特許文献1に記載のダイ金型は、高速フレーム溶射により、その加工面および肩部に硬質溶射膜を形成することが可能であるが、硬質溶射膜の形成には、高速フレーム溶射を行う処理設備が必要となる。このため、折り曲げ加工を行う現場において、ダイ金型の加工面および肩部に対して容易に硬質溶射膜を形成し、金属板の傷の発生を抑制することが難しい。
【0008】
さらに、前記硬質溶射膜は、比較的硬度の大きい金属被膜であり、折り曲げ加工される金属板との間で金属接触する。このため、加工時に金属板の傷の発生を効果的に抑制することができない。
【0009】
また、ワークとしての幅広の金属板に対して折り曲げ加工を行う際には、その折り曲げ長さに応じて、同一形状の凹部を備えた複数のダイ金型を加工面が揃う状態に並べて行う必要がある。通常、複数のダイ金型は折り曲げ加工の回数がそれぞれ異なるため、加工面の摩耗度合いも異なり、複数並べたダイ金型のうちの隣り合うダイ金型の加工面の間にすき間や段差が生じる。この状態で、折り曲げ加工が行われると、折り曲げられた金属板の表面に傷が付く恐れがあった。
【0010】
特許文献1に記載のダイ金型は、その加工面の硬質溶射膜の膜厚が60μm以下である。このため、高速フレーム溶射を行い、複数並べたダイ金型の加工面に硬質溶射膜を形成した場合、隣り合うダイ金型の加工面の間に生じるすき間や段差を解消することが難しい。よって、折り曲げ加工したワークの表面に傷が付くことを防止することができない。
【0011】
そこで、この発明の課題は、ダイ金型の加工面および肩部に容易に被膜を形成し、ワーク表面の傷の発生を防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記の課題を解決するために、この発明に係る成膜装置は、曲げ加工用のダイ金型の加工面に樹脂被膜を形成する成膜装置であって、耐摩耗性を有する光硬化型の樹脂を前記ダイ金型の加工面上に吐出する樹脂吐出部と、前記ダイ金型の加工面上に吐出された樹脂を所要膜厚となるようにならすスクレーパを備えたスクレーパ部と、前記樹脂を硬化させる光を照射する光照射部とを前記ダイ金型の長さ方向にこの順序で組み合わせ、前記スクレーパを前記ダイ金型の加工面に対して前記膜厚分の間隔をおいて支持する状態で、前記各部を前記ダイ金型上の長さ方向に沿って移動可能に案内する前後ガイド体を備え、前記樹脂吐出部は、前記樹脂を貯めるタンクと、そのタンクの吐出口を開閉する弁と、前記吐出口よりも前方に位置する前記前ガイド体とを備え、前記光照射部に前記後ガイド体を備えた構成を採用したのである。
【0013】
この構成によると、ダイ金型上をその長さ方向に沿って移動させながら、樹脂吐出部からダイ金型上に樹脂を吐出して、スクレーパ部のスクレーパがその加工面上の樹脂を所要膜厚にならし、所要膜厚となった樹脂を光照射部による光の照射により硬化させ、ダイ金型の加工面上に樹脂被膜が形成される。このようにダイ金型の長さ方向に沿って移動させることにより、ダイ金型の加工面に樹脂被膜を容易に成形することができる。この樹脂被膜は耐摩耗性を有し、ワークである金属板とダイ金型の加工面とが、金属接触とならず、樹脂被膜を介して接触するため、金属板の表面の傷付きを防止できる。
【0014】
また、加工面を上向きに同一の断面形状のダイ金型を長さ方向にすき間なく複数並べて、これらダイ金型の加工面上に成膜すると、隣り合うダイ金型の加工面の間に生じるすき間や段差を埋めるように樹脂被膜が形成される。このため、折り曲げ加工による、金属板の表面に傷付きが防止される。
【0015】
前記の構成において、前記樹脂吐出部の前記前ガイド体が、前記ダイ金型を両側から挟む一対のガイドローラから形成され、その両ガイドローラが前記ダイ金型の上面と側面に当接して位置決めするものである構成を採用することができる。
【0016】
このようにすると、一対のガイドローラは、ダイ金型に対する厚み方向の位置決めと、ダイ金型上の長さ方向の移動の案内とを兼ねるものとなる。また、一対のガイドローラによって、成膜装置をダイ金型に対して厚み方向に位置決めできるため、ダイ金型の長さ方向に沿って移動させる際、その移動が安定する。
【0017】
前記前ガイド体が前記一対のガイドローラを形成した構成を採用した場合、前記一対のガイドローラは、前記スクレーパ部との間に前記ダイ金型の長さ方向の添え板をそれぞれ備え、その両添え板が前記ダイ金型の側面の上縁部よりも上方に突き出し、かつ、そのダイ金型の両側面に接触した状態で、前記一対のガイドローラが前記ダイ金型の両側面に当接するようにした構成を採用することができる。
【0018】
このようにすると、ダイ金型の加工面上に吐出された樹脂が、ダイ金型の側面の上縁部から溢れない。このため、成膜装置の使用時において、ダイ金型の側面に樹脂が付着して、ダイ金型を汚すことが防止される。
【0019】
前記一対のガイドローラにおいては、前記ダイ金型の厚さ方向の間隔が調節可能となるように設けられると、一対のガイドローラにより、ダイ金型の厚みに応じて、その両側から挟んで左右方向に位置決めできる。
【0020】
前記構成において、前記タンクの弁が前記吐出口に接離し閉弁方向に付勢される弁体を備え、その弁体に前記ダイ金型の加工面を押し付けるローラを有する位置決め手段が設けられ、前記ローラを前記ダイ金型の加工面上を長さ方向に沿って回転するようにした構成を採用することができる。
【0021】
通常、折り曲げ加工に使用されるダイ金型は、上面に溝(例えば、断面V字状の溝)が形成され、その溝内面が加工面となっている。このため、前記構成によると、ローラが前記ダイ金型の加工面上を長さ方向に沿って回転するとともに、ダイ金型の加工面(溝底面)に位置する状態で押し付ける。これにより、前記一対のガイドローラのみならず、弁体の位置決め手段によっても、成膜装置をダイ金型の厚み方向に対して位置決めがなされ、位置精度が向上する。
【0022】
前記タンクの弁が弁体を備える構成を採用した場合、その弁体が前記吐出口に対して上下方向の位置を調節可能に設けられた構成を採用することができる。この構成によると、タンクの吐出口に対する弁体の位置を上下することにより、タンク内の樹脂の粘度、成膜する膜厚等に応じて樹脂の吐出量を調整することができ、ダイ金型上に必要以上に樹脂が吐出されることを防止することができる。
【0023】
前記弁体に位置決め手段が設けられた構成を採用した場合、その位置決め手段は前記弁体から下方に延びる軸体と、その軸体の先端に回転可能に設けられた前記ローラとから形成され、前記弁体に対して一体に上下動するように設けられた構成を採用することができる。
【0024】
この構成によると、成膜装置の移動に伴って、ダイ金型の端部から加工面に位置決め手段のローラが乗り上げたときに、位置決め手段と一体の弁体が上昇して、樹脂吐出部の弁が開弁して、樹脂がダイ金型の加工面上に吐出される。
【0025】
また、樹脂の膜厚を調整する目的で、前記スクレーパを上下方向の位置を調整可能に設けた構成を採用することもできる。
【0026】
また、この発明に係る樹脂塗布装置としては、曲げ加工用のダイ金型の加工面に樹脂被膜を形成する成膜装置に用いられる樹脂塗布装置であって、耐摩耗性を有する光硬化型の樹脂を前記ダイ金型の加工面上に吐出する樹脂吐出部と、前記ダイ金型の加工面上に吐出された樹脂を所要膜厚となるようにならすスクレーパを備えたスクレーパ部とからなり、前記スクレーパを前記ダイ金型の加工面に対して前記膜厚分の間隔をおいて支持する状態で、前記各部を前記ダイ金型上の長さ方向に沿って移動可能に案内する前後ガイド体を備え、前記樹脂吐出部は、前記樹脂を貯めるタンクと、そのタンクの吐出口を開閉する弁と、前記吐出口よりも前方に位置する前記前ガイド体とを備え、前記スクレーパ部に前記後ガイド体を備えた構成を採用することができる。
【発明の効果】
【0027】
以上のように、この発明の成膜装置は、折り曲げ加工を行う現場において、ダイ金型の加工面に耐摩耗性を有する樹脂被膜を容易に形成することができ、その樹脂被膜を介してワークである金属板はダイ金型の加工面に接触するので、表面の傷付きを防止できる。
【0028】
また、幅広の金属板を折り曲げる際に使用される複数並べたダイ金型のうち、隣り合うダイ金型の加工面の間に生じるすき間や段差を埋めるように樹脂被膜が形成される。このため、折り曲げ加工による、ワーク表面の傷が生じに難くなる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】この発明の実施例1としての成膜装置を示す側面図
【図2】図1のA−A線での断面図
【図3】実施例1の樹脂吐出部の弁体を示す分解斜視図
【図4】同上の樹脂吐出部を示す斜視図
【図5】図1のB−B線での断面図
【図6】図5のE−E線での断面図
【図7】図1のC−C線での断面図
【図8】実施例1のスクレーパ部のスクレーパを示す拡大図
【図9】図1のD−D線での断面図
【図10】図9のF−F線での断面図
【図11】実施例1の使用開始状態を示す概略図
【図12】図11のG−G線での断面図
【図13】実施例1の使用途中状態を示す概略図
【図14】図13のH−H線での断面図
【図15】実施例1の樹脂吐出部の閉弁状態を示す断面図
【図16】同上の樹脂吐出部の開弁状態を示す断面図
【図17】同上のスクレーパ部とダイ金型との位置関係を示す断面図
【図18】同上のスクレーパによるダイ金型上の樹脂の掻き取り状態を示す断面図
【図19】加工面に成膜されたダイ金型を示す断面図
【図20】図19のI−I線での断面図
【図21】実施例2としての成膜装置の樹脂吐出部の閉弁状態を示す断面図
【図22】同上の樹脂吐出部の開弁状態を示す断面図
【図23】実施例3としての樹脂塗布装置を示す側面図
【図24】図23のJ−J線での断面図
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、この発明に係る成膜装置の実施例1を図1〜図21に基づいて説明する。
【実施例1】
【0031】
この実施例1での成膜装置1は、曲げ加工用のダイ金型Kの加工面に被膜を形成する際に使用され、図1に示すように、耐摩耗性を有する光硬化型の樹脂Rをダイ金型Kの加工面上に吐出する樹脂吐出部2と、ダイ金型Kの加工面上に吐出された樹脂Rを所要膜厚となるようにならすスクレーパ32を備えたスクレーパ部3と、樹脂Rを硬化させる光を照射する光照射部4とがダイ金型Kの長さ方向にこの順序に一列に組み合わせたものである。
【0032】
ここで、折り曲げ加工に使用される一般的なダイ金型Kは、上面に溝(例えば、図4に示すように、断面V字状の溝)が形成され、その溝内面が加工面K1となり、溝の両側に肩部K2が形成されている。
【0033】
樹脂吐出部2は、図2に示すように、上部が開放した有底の箱状をなし、下端部両側に下方への突出部2aが形成されている。樹脂吐出部2の内部には、樹脂Rを貯めるタンク11が形成され、タンク11の底部の吐出口12を開閉する弁13を備えている。
【0034】
タンク11に貯める樹脂Rは、耐摩耗性を有する光硬化型樹脂であり、光の波長に対して透明なアクリル系、ウレタン系、ウレタンアクリレート系又はエポキシ系の樹脂が用いられ、例えば、紫外線硬化型樹脂が用いられる。
【0035】
タンク11の底部の弁13は、吐出口12の内周縁部に接離する弁体14と、タンク11の中央で弁体14を上下方向に案内するガイド筒15と、弁体14を下方に付勢するコイルばね16とから形成されている(図3参照)。
【0036】
弁13の弁体14は、円柱体14aと角柱体14bとが中心軸を一致させる状態で一体化されている。円柱体14aは中央に雌ねじ孔が設けられ、角柱体14bは、中央に角孔14dが形成され、下端部がタンク11の吐出口12の内周縁部に接離可能となっている(図2参照)。
【0037】
ガイド筒15内において、円柱体14aの外周部がガイド筒15の内周部に摺接し、角柱体14bの外周部がガイド筒15の底部15aに形成された角孔15bの内周部に摺接することで弁体14が上下方向に案内される。また、弁体14は、円柱体14aの下端部がガイド筒15の底部15aに突き当たり、ガイド筒15の下端から突き出す角柱体14bの脱落が防止される。
【0038】
ガイド筒15は、タンク11の上部を塞ぐ蓋板17と一体化されている。この蓋板17を貫通し、コイルばね16の装着された調整ボルト18が弁体14の円柱体14aとねじ結合している。コイルばね16により、弁体14が下方に付勢され、角柱体14bの下端部が吐出口12の内周縁部に接して閉弁状態となる。蓋板17には、キャップ17aにより開閉する補充孔17bが形成され、この補充孔17bからタンク11内に樹脂Rを補充することができる。
【0039】
調整ボルト18の頭部を一方向(例えば、左回り)に回転させると、弁体14の円柱体14aが上昇し、これと一体の角柱体14bの下端部が吐出口12の内周縁部から離れて開弁状態となる。一方、開弁状態において、調整ボルト18を他方向(例えば、右回り)に回転させると、弁体14の円柱体14aが降下し、これと一体の角柱体14bの下端部が吐出口12の内周縁部に接し、閉弁状態となる。
【0040】
調整ボルト18の回転により弁13が開閉し、その回転量に伴って、弁体14の上下方向の移動量が決まるので、吐出口12からの樹脂Rの吐出量を調節することが可能となる。
【0041】
また、弁体14はこれに対して上下方向に出入りする位置決めローラ19を備えている。この位置決めローラ19は、角柱状の頭部を備えた軸体19aの下端にローラ19bが回転可能に取り付けられる。(図3参照)。
【0042】
位置決めローラ19の軸体19aは、その頭部が弁体14の角柱体14bの角孔内を摺動可能に挿入されている。その軸体19aの頭部は、角柱体14bの下端部に固定された座金14cに係合し、位置決めローラ19の脱落を防止している(図2参照)。
【0043】
軸体19aの頭部は、角柱体14bの角孔内に装着されたコイルばね20により、下方に押し付けるように付勢されている。この付勢によって、位置決めローラ19のローラ19bは、ダイ金型Kの加工面K1での溝底部分を押し付ける。このため、ダイ金型Kの加工面の溝の幅、深さに応じて成膜装置1を左右方向(ダイ金型Kの厚み方向)に位置決め可能となる。
【0044】
位置決めローラ19のローラ19bは、その回転中心軸がダイ金型Kの厚み方向と平行状態となるように軸体19aに取り付けられている。この取り付けにより、成膜装置1をダイ金型Kの長さ方向に移動させる際、ローラ19bはダイ金型Kの加工面K1上を円滑に回転する。
【0045】
成膜装置1の使用時においては、下方に付勢される位置決めローラ19のローラ19bが加工面K1の溝底に位置する(図15参照)。この結果、位置決めローラ19により、ダイ金型Kに対する成膜装置1の左右方向(ダイ金型Kの厚み方向)の位置決めがなされるため、位置決めローラ19が位置決め手段とされる。
【0046】
また、樹脂吐出部2は、図4、5に示すように、位置決めローラ19に対してスクレーパ部3側と反対側(前方側)に、前ガイド体となる一対のガイド体21、21を備えている。両ガイド体21は樹脂吐出部2の両突出部2aの間にダイ金型Kの厚み方向一直線上に互いに対向する状態で配置されている。
【0047】
両ガイド体21は、ガイドローラ22と、これを回転可能に保持する保持片23と、保持片23にねじ結合する支持ボルト24とを備えている。ガイドローラ22は、大径部22aの下方に小径部22bが同軸状に一体に形成されたものであり、保持片23は、上下一対の対向板23aを基板23bにより連結した断面コの字状に形成される。保持片23の両対向板23aの間に、上下方向の回転軸を配置したガイドローラ22が回転可能に保持されている(図5参照)。
【0048】
保持片23の基板23bにねじ孔が形成され、樹脂吐出部2の突出部2aを内向きに貫通する支持ボルト24が、コイルばね25を装着した状態で基板23bとねじ結合している。コイルばね25は、突出部2aと基板23bとの間に圧縮状態で支持ボルト24に装着されている。
【0049】
コイルばね25により、両保持片23が互いに接近する方向に付勢される。また、支持ボルト24とねじ結合した保持片23とともに一対のガイドローラ22は、ダイ金型Kの厚み方向に移動可能である。このため、一対のガイドローラ22は、その間隔をダイ金型Kの厚みに応じて自動的に調整し、ダイ金型Kを両側から押し付けて、樹脂吐出部2の位置を安定させることができる。
【0050】
一対のガイド体21は、図6に示すように、その保持片23に添え板26がそれぞれ固定されている。両添え板26は、位置決めローラ19の両側(ダイ金型Kの厚み方向両側)において、ダイ金型Kの長さ方向に、かつ平行に設けられている。
【0051】
各添え板26は、その対向内面を含む平面上にガイドローラ22の小径部22bの外周部のうち最も内側(ダイ金型Kの厚み方向内側)の部分が位置する状態となっている。このため、ガイドローラ22の小径部22bの外周部がダイ金型Kの側面に接する状態においては、添え板26の対向面がそのダイ金型Kの側面に接する状態となる(図14参照)。
【0052】
また、各添え板26は、図2に示すように、その上縁部が樹脂吐出部2の下面に沿い、かつダイ金型Kの側面の上縁部よりも上方に位置している。この添え板26により、ダイ金型Kの加工面K1上に吐出された樹脂Rが、ダイ金型Kの肩部K2から溢れることを防止することができる(図16参照)。
【0053】
また、一対のガイド体21の両添え板26の間には遮蔽板27が配置されている。遮蔽板27は、下方の先端部がダイ金型Kの加工面K1に沿う形状であり、樹脂吐出部2のタンク11下部に固定される。遮蔽板27の固定位置としては、図6に示すように、位置決めローラ19と、一対のガイド体21の間に位置している。遮蔽板27により、吐出口12からダイ金型Kの加工面K1上に吐出される樹脂Rが、一対のガイド体21側へ移動することを防止する。
【0054】
スクレーパ部3は、樹脂吐出部2に対して、一対のガイド体21と反対側に設けられ、図7に示すように、スクレーパ保持体31と、その下端部で保持されるスクレーパ32とを備えている。スクレーパ保持体31は、樹脂吐出部2の幅(ダイ金型Kの厚み方向の幅)と同じ幅の矩形の金属体から形成され、下端部の中央部分に突条31aを有し、その突条31aにスクレーパ32のベース34の嵌る溝31bがダイ金型Kの長さ方向に形成されている。
【0055】
溝31bにより分けられる突条31aのそれぞれに一対のボールプランジャ33が溝31bの溝側面に向かって内向きに、かつ同一直線上に嵌められている。ボールプランジャ33は、そのボールの一部が溝31bの溝側面から突出している。
【0056】
スクレーパ32は、図8に示すように、スクレーパ保持体31の溝31b内に嵌るベース34と、これに保持されるヘッド35を備えている。ベース34は、スクレーパ保持体31におけるダイ金型Kの長さ方向の寸法と、同じ寸法の直方体に形成されている(図1参照)。
【0057】
また、ベース34の両側面にボールプランジャ33のボールが係合または離脱する係合溝34aが設けられる。ベース34の下面中央には、ヘッド35の上面に形成された突条35aが嵌る嵌合溝34bがダイ金型Kの長さ方向に形成されている。ベース34の上部から下向きに貫通する連結ボルト36が、嵌合溝34b内に突き出している。
【0058】
ヘッド35は、ダイ金型Kに対して同じ厚みに形成され、下端部がそのダイ金型Kの加工面K1に沿う断面山形の山部35bと、この山部35bの両側に形成されたダイ金型Kの肩部K2に沿う平坦部35cと有している。ヘッド35の上面にねじ孔が設けられ、ベース34を貫通する連結ボルト36がねじ結合し、ベース34に対して連結保持される。
【0059】
このように、スクレーパ32は、ベース34とヘッド35が連結ボルト36で連結されるものであり、ベース34のボールプランジャ33の係脱により、スクレーパ保持体31に対して着脱可能となる。
【0060】
また、連結ボルト36を回転することにより、スクレーパ32のベース34とヘッド35との間隔が調整可能となる。このため、成膜装置1の使用時、ダイ金型Kの加工面K1とヘッド35の山部35bとの間隔を調整することができる。その結果、ダイ金型Kの加工面K1上の樹脂被膜の膜厚を調整することができる。
【0061】
この実施例では、スクレーパ32はベース34とヘッド35とが別部材であり、相互に連結したものであるが、これらの部材を一体に形成したもの、すなわち、1つの部材で形成してもよい。
【0062】
スクレーパ部3のスクレーパ保持体31に対して、光照射部4が樹脂吐出部2の反対側に設けられる。光照射部4は、図9、10に示すように、樹脂Rを硬化可能な波長の光を照射する光源41と、光源41からの照射光に対する遮光カバー42と、照射光を下方に集める集光ミラー43と、遮光カバー42の後端部に設けられる後ガイド体としてのガイドローラ44とを備えている。
【0063】
光源41としては、例えば、高圧水銀ランプを適用することができる。この場合、光源41は、図10に示すように、両端が封止された例えば石英ガラスからなる円筒状に形成され、両端部に一対の電極がそれぞれ配置される。また、光源41の電極に接続する電線(図示周略)は、外部へ配線され図示しない公知の電源装置に接続される。
【0064】
なお、光照射部4に用いられる光源41としては、前述の高圧水銀ランプに限られず、ダイ金型Kの加工面K1上に塗布された樹脂Rを硬化させることができるものであれば、種々の光源を用いることが可能である。例えば、メタルハライドランプ、冷陰極管、発光ダイオード(LED)等の紫外線を発生させるものを適用可能である。
【0065】
遮光カバー42は、図10に示すように、下方が開放する箱型に形成され、その内部に光源41がダイ金型Kの長さ方向に沿って配置されている。遮光カバー42内の光源41は、その両端部が遮光カバー42に固定された一対の保持具45によりそれぞれ保持されている。
【0066】
遮光カバー42の両端面板のうち、スクレーパ部3側の端面板42aがスクレーパ保持体31に対して固定されている。端面板42aの上部と、遮光カバー42の上部との間に取手46が掛け渡された状態で設けられている。この取手46を持って成膜装置1を持ち上げて、移動させることができる。
【0067】
また、遮光カバー42内の上部に湾曲する板状の集光ミラー43が、光源41の発光領域(発光長さ)にわたって固定されている。集光ミラー43は、断面がだ円の一部となる反射面を有し、これが下方を向く状態に固定される。このため、光源41からの照射光を反射面により効率良くダイ金型Kの加工面K1に集めることができる。
【0068】
ガイドローラ44は、回転軸がダイ金型Kの厚み方向に配置される状態で、端面板42aと反対側の端部下方に、遮光カバー42の両側板間にわたって回転可能に設けられる(図9参照)。ガイドローラ44および一対のガイドローラ22の大径部22aをダイ金型Kの肩部K2上に配置したとき、スクレーパ32のヘッド35の下面とダイ金型Kの加工面K1との間に、所要間隔(樹脂被膜の膜厚分の間隔)が形成される。
【0069】
以上のように、実施例1の成膜装置1は構成され、以下にその使用方法を図11から図20に基づいて説明する。
【0070】
使用における前準備として、加工面K1を上向きに同一の断面形状のダイ金型Kを長さ方向にすき間なく複数並べて固定台座50に固定する(図24参照)。並べるダイ金型Kの数は折り曲げ加工を施すワークの加工長さに応じて設定する。
【0071】
そして、予め、ダイ金型Kの加工面K1に沿うヘッド35を有するスクレーパ32を選択し、ベース34とヘッド35の間隔を調整して、ヘッド35とダイ金型Kの加工面K1との間隔を所望の間隔(樹脂被膜の膜厚分の間隔)となるように調整する。このように調整したスクレーパ32をスクレーパ保持体31に取り付ける。
【0072】
さらに、樹脂吐出部2のタンク11内に耐摩耗性を有する光硬化型の樹脂Rを注入し、光照射部4の光源41を点灯する。
【0073】
上述した前準備の後、成膜装置1を使用する。
まず、成膜装置1を光照射部4の取手46を手で持ち、図11に示すように、樹脂吐出部2の一対のガイド体21のガイドローラ22の間に、複数のダイ金型Kの端面上部を位置させる。このとき、両ガイドローラ22の大径部22aの下端面をダイ金型Kの上面である肩部K2に、小径部22bの外周面をダイ金型Kの側面に接触させた状態となる。
【0074】
この状態で、成膜装置1をダイ金型Kの長さ方向に沿って前方に(図11中の矢印の方向に)移動させる。移動した成膜装置1は、一対のガイドローラ22が保持片23とともにダイ金型Kを挟みながら外向きにそれぞれ移動し、ガイドローラ22の大径部22aがダイ金型Kの肩部K2に係合して、樹脂吐出部2がダイ金型K上に載る状態となる(図12参照)。
【0075】
樹脂吐出部2がダイ金型K上に載る状態で、さらに、図13に示すように、成膜装置1を前方に移動させる。このとき、ダイ金型Kの端面に位置決めローラ19のローラ19bが突き当たり、加工面K1の溝底に乗り上げる(図15参照)。また、一対のガイド体21の保持片23に固定された両添え板26がダイ金型Kの両側面に沿うように接触する状態となる(図14参照)。
【0076】
この状態において、樹脂吐出部2の調整ボルト18を回転させ、タンク11の弁13の弁体14を上昇させる。これにより、タンク11の吐出口12から樹脂Rをダイ金型Kの加工面K1上に吐出させる。吐出された樹脂Rは、遮蔽板27により一対のガイド体21側への移動が防止されるので、その一対のガイド体21に樹脂Rが付着して汚れない。
【0077】
続いて、ダイ金型Kの加工面K1上に樹脂Rを吐出させながら、成膜装置1をさらに移動させ、スクレーパ部3のスクレーパ32をダイ金型K上に移動させる(図17参照)。この移動に伴い、スクレーパのヘッド35は、その山部35bがダイ金型Kの加工面K1に、平坦部35cがダイ金型Kの肩部K2に沿って移動し、ダイ金型Kの加工面K1および肩部K2上の樹脂Rを掻き取る(図18参照)。
【0078】
ヘッド35により掻き取られた樹脂Rは、その一部がヘッド35とダイ金型Kとの間に入り込み、ヘッド35の山部35bおよび平坦部35cによって、樹脂Rをダイ金型Kの加工面K1および肩部K2上に所要膜厚(例えば、0.3mm〜0.5mm程度)にならす。
【0079】
さらに、成膜装置1を光照射部4の光源41がダイ金型K上に位置するまで移動させ、光照射部4のガイドローラ44をダイ金型K上で転動させる(図9参照)。転動させるガイドローラ44と、ダイ金型Kの上面に係合した一対のガイドローラ22、22とにより、スクレーパ32のヘッド35は、ダイ金型Kの加工面K1に対して所要膜厚分の間隔をおいて支持される。
【0080】
この支持状態において、樹脂吐出部2とスクレーパ部3とがダイ金型K上の長さ方向に沿って移動可能に案内され、さらに、成膜装置1の移動によって、光照射部4からの照射光が、ダイ金型Kの加工面K1上において所要膜厚にならした樹脂Rを硬化させて、その加工面K1上に所要厚みの樹脂Rの被膜を成形する。
【0081】
ダイ金型Kは、図19に示すように、その上面、すなわち加工面K1および肩部K2に樹脂Rの被膜が成形される。その被膜を介して金属板は、ダイ金型Kの加工面K1および肩部K2に接触するので、表面の傷付きを防止できる。
【0082】
また、樹脂Rの被膜は、図20に示すように、幅広の金属板を折り曲げる際に使用される複数並べたダイ金型のうち、隣り合うダイ金型K1、K2の加工面K1の間に生じるすき間や段差を埋めるように樹脂被膜が形成される。このため、折り曲げ加工時、すき間や段差によるワーク表面の傷付きが防止される。
【0083】
上記位置決めローラ19と弁体14との構造は、ダイ金型Kに対する成膜装置1の左右方向(ダイ金型Kの厚み方向)の位置決めすることが可能な限り、適宜に変更することができる。一例として、この発明の実施例2を図21、22に示す。なお、以下においては、上記実施例1との相違点を中心に述べ、同一に考えられる構成に同符号を用いる。
【実施例2】
【0084】
この実施例2において、位置決めローラ19と弁体14との構造は、図21に示すように、弁体14の角柱体14bの下端部に位置決めローラ19の軸体19aが固定されたものである。また、調整ボルト18は備えておらず、蓋板17と弁体14の円柱体14aとの間にコイルばね16が介在している。このコイルばね16は弁体14を下方に付勢し、弁13を閉弁状態に維持する。
【0085】
この実施例では、使用時においては、成膜装置1の移動に伴って、ダイ金型Kの端部から加工面K1の溝底にローラ19bが乗り上げたときに、弁体14を形成する角柱体14bが上昇する(図22参照)。弁体14の上昇により、樹脂吐出部2の弁13が開弁して、樹脂Rがダイ金型Kの加工面K1上に吐出される。
【0086】
このように、成膜装置1の移動に伴って、ダイ金型Kの加工面K1上に樹脂Rが吐出されるので、前述の実施例1のように、調整ボルト18を回転させて、樹脂Rを吐出させる必要がない。
【0087】
前述した実施例1での成膜装置1に用いられる樹脂塗布装置10を、この発明の実施例3として図23、24に基づいて説明する。
【実施例3】
【0088】
樹脂塗布装置10は、図23に示すように、前述した実施例1における成膜装置1の樹脂吐出部2とスクレーパ部3とからなり、樹脂吐出部2に前ガイド体としての一対のガイド体21、21を備え、スクレーパ部3に後ガイド体としてのガイドローラ44を備えたものである。その他の構成は、実施例1と同一に考えられる構成に同符号を用いて、その説明を省略する。
【0089】
樹脂吐出部2は、前述した実施例1の場合と同様の一対のガイド体21、21を備えているが、スクレーパ部3に備えるガイドローラ44が、実施例1のものとその構造が相違する。
【0090】
すなわち、スクレーパ部3のガイドローラ44は、図24に示すように、下方に延びるアーム44aの下端部に回転可能に設けられたものであり、アーム44aの上端部がスクレーパ保持体31の突条31aの両側にそれぞれ固定されている。また、取手46が樹脂吐出部2の蓋板17に固定されている。
【0091】
このように構成された樹脂塗布装置10は、前述した樹脂Rをダイ金型Kの加工面K1に対して所要膜厚(例えば、0.3mm〜0.5mm程度)で塗布するものである。この樹脂Rの塗布時、予め、固定台座50にダイ金型Kを長さ方向にすき間なく複数並べて固定する。そして、樹脂吐出部2の一対のガイドローラ22、22の大径部22aをダイ金型Kの肩部K2に係合させ、固定台座50の上面にガイドローラ44を載せる。
【0092】
このとき、図24に示すように、スクレーパ部3のスクレーパ32がダイ金型Kの加工面K1に対して所要膜厚分(例えば、0.3mm〜0.5mm程度)の間隔をおいて支持される。この支持状態では、一対のガイドローラ22、22およびガイドローラ44により、樹脂吐出部2とスクレーパ部3とがダイ金型K上の長さ方向に沿って移動可能に案内される。
【0093】
また、この支持状態において、樹脂吐出部2の調整ボルト18を回転させ、タンク11の吐出口12から樹脂Rをダイ金型Kの加工面K1上に吐出させる。吐出された樹脂Rは、遮蔽板27により一対のガイド体21側への移動が防止されるので、その一対のガイド体21が樹脂Rで汚損しない。
【0094】
続いて、ダイ金型Kの加工面K1上に樹脂Rを吐出させながら、成膜装置1をさらに移動させ、スクレーパ部3のスクレーパ32をダイ金型K上に移動させる。この移動に伴い、スクレーパのヘッド35がダイ金型Kの加工面K1および肩部K2に沿って移動して、そのヘッド35がダイ金型Kの加工面K1および肩部K2上の樹脂Rを掻き取る。このとき、スクレーパ32のヘッド35は、実施例1の場合と同様にして、これとダイ金型Kとの間に入り込んだ樹脂Rをダイ金型Kの加工面K1および肩部K2上に所要膜厚にならして、塗布する。
【0095】
このように、樹脂塗布装置10によりダイ金型Kの加工面K1上に樹脂Rが塗布され、その後、公知の光源により、ダイ金型Kの加工面K1上に塗布された樹脂Rを硬化させる。この光源としては、樹脂Rを硬化させることができるものであれば、特に限定しない。
【0096】
また、この実施例3での樹脂吐出部2は、必要に応じて、上述した実施例2における樹脂吐出部2を適用することが可能である。
【符号の説明】
【0097】
1 成膜装置
2 樹脂吐出部
2a 突出部
3 スクレーパ部
4 光照射部
10 樹脂塗布装置
11 タンク
12 吐出口
13 弁
14 弁体
14a 円柱体
14b 角柱体
14c 座金
14d 角孔
15 ガイド筒
15a 底部
15b 角孔
16 コイルばね
17 蓋板
17a キャップ
17b 補充孔
18 調整ボルト
19 位置決めローラ
19a 軸体
19b ローラ
20 コイルばね
21 ガイド体
22 ガイドローラ
22a 大径部
22b 小径部
23 保持片
23a 対向板
23b 基板
24 支持ボルト
25 コイルばね
26 添え板
27 遮蔽板
31 スクレーパ保持体
31a 突条
31b 溝
32 スクレーパ
33 ボールプランジャ
34 ベース
34a 係合溝
34b 嵌合溝
35 ヘッド
35a 突条
35b 山部
35c 平坦部
36 連結ボルト
41 光源
42 遮光カバー
42a 端面板
43 集光ミラー
44 ガイドローラ
45 保持具
46 取手
50 固定台座
K ダイ金型
K1 加工面
K2 肩部
R 樹脂

【特許請求の範囲】
【請求項1】
曲げ加工用のダイ金型の加工面に樹脂被膜を形成する成膜装置であって、
耐摩耗性を有する光硬化型の樹脂を前記ダイ金型の加工面上に吐出する樹脂吐出部と、前記ダイ金型の加工面上に吐出された樹脂を所要膜厚となるようにならすスクレーパを備えたスクレーパ部と、前記樹脂を硬化させる光を照射する光照射部とを前記ダイ金型の長さ方向にこの順序で組み合わせ、前記スクレーパを前記ダイ金型の加工面に対して前記膜厚分の間隔をおいて支持する状態で、前記各部を前記ダイ金型上の長さ方向に沿って移動可能に案内する前後ガイド体を備え、前記樹脂吐出部は、前記樹脂を貯めるタンクと、そのタンクの吐出口を開閉する弁と、前記吐出口よりも前方に位置する前記前ガイド体とを備え、前記光照射部に前記後ガイド体を備えた成膜装置。
【請求項2】
前記樹脂吐出部の前記前ガイド体が、前記ダイ金型を両側から挟む一対のガイドローラから形成され、その両ガイドローラが前記ダイ金型の上面と両側面に当接して位置決めするものである請求項1に記載の成膜装置。
【請求項3】
前記一対のガイドローラは、前記スクレーパ部との間に前記ダイ金型の長さ方向の添え板をそれぞれ備え、その両添え板が前記ダイ金型の側面の上縁部よりも上方に突き出し、かつ、そのダイ金型の両側面に接触した状態で、前記一対のガイドローラが前記ダイ金型の両側面に当接するようにした請求項2に記載の成膜装置。
【請求項4】
前記一対のガイドローラは前記ダイ金型の厚さ方向に移動可能に設けられ、互いに接近する方向に付勢された請求項2または3に記載の成膜装置。
【請求項5】
前記タンクの弁が前記吐出口に接離し閉弁方向に付勢される弁体を備え、その弁体に前記ダイ金型の加工面を押し付けるローラを有する位置決め手段が設けられ、前記ローラを前記ダイ金型の加工面上を長さ方向に沿って回転するようにした請求項1から4のいずれか1つに記載の成膜装置。
【請求項6】
前記弁体が、前記吐出口に対して上下方向の位置を調節可能に設けられた請求項5に記載の成膜装置。
【請求項7】
前記位置決め手段は、前記弁体から下方に延びる軸体と、その軸体の先端に回転可能に設けられた前記ローラとから形成され、前記弁体に対して一体に上下動するように設けられた請求項5に記載の成膜装置。
【請求項8】
前記スクレーパが上下方向の位置を調整可能に設けられた請求項1から7のいずれか1つに記載の成膜装置。
【請求項9】
曲げ加工用のダイ金型の加工面に樹脂被膜を形成する成膜装置に用いられる樹脂塗布装置であって、
耐摩耗性を有する光硬化型の樹脂を前記ダイ金型の加工面上に吐出する樹脂吐出部と、前記ダイ金型の加工面上に吐出された樹脂を所要膜厚となるようにならすスクレーパを備えたスクレーパ部とからなり、前記スクレーパを前記ダイ金型の加工面に対して前記膜厚分の間隔をおいて支持する状態で、前記各部を前記ダイ金型上の長さ方向に沿って移動可能に案内する前後ガイド体を備え、前記樹脂吐出部は、前記樹脂を貯めるタンクと、そのタンクの吐出口を開閉する弁と、前記吐出口よりも前方に位置する前記前ガイド体とを備え、前記スクレーパ部に前記後ガイド体を備えた樹脂塗布装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2011−120964(P2011−120964A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−278241(P2009−278241)
【出願日】平成21年12月8日(2009.12.8)
【出願人】(509338204)株式会社永田製作所 (1)
【Fターム(参考)】