説明

戸枠に対する入室規制装置の取付構造

【課題】
生体認証装置等の入室規制装置が本来有するセキュリティを損ねることなく、意匠性、作業性を向上させる。
【解決手段】
戸先側縦枠2の室外側見付面20には、ストライク24に対応して凹部6が形成されており、凹部6の後壁62には開口65が形成されている。取付部材は、見込方向に延出する左右の支持アーム70、71を備え、前側に入室規制装置8が固定されており、後側部位は開口65から戸先側縦枠2の内部に挿入可能であり、支持アーム70、71の下縁には、開口65の下縁のスリット654、655にスライド係合するスリット75、76が形成されている。支持アーム70、71を開口65から戸先側縦枠内部に挿入し、スリット75、76をスリット654、655に係合させ、係合状態にある支持アーム70、71のうち見込面22に近い側の支持アーム70を、ストライク24の収容空間S1側から内部壁270に螺子9で固定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体認証装置等の入室規制装置の取付構造に関するものである。本発明に係る入室規制装置には、生体認証装置の他に、暗証番号入力装置、カードリーダー等の施錠解除装置が含まれる。また、入室規制装置は、扉体によって閉鎖された開口部を挟んだ一側から他側への進入を規制するものであり、典型的には、外部から室内への進入を規制するものであるが、通路のある区画から他の区画への進入を規制するものでもよい。
【背景技術】
【0002】
従来の入室規制装置としては、扉体に施錠装置(錠前)を設けることがよく知られている。また、昨今のセキュリティへの関心の高まりから、より高度な入室規制装置も実現されており、生体認証装置による施錠解除、暗証番号入力による施錠解除、カードリーダーを用いた施錠解除等が知られている。そして、これらの多くは配線を用いて電気的に施錠解除するものであることから、可動部材である扉体以外の部位、例えば、戸枠に生体認証装置等の入室規制装置を設ける必要がある。特許文献1には、間仕切り装置における入室管理用のカードリーダー取付け構造が開示されている。
【0003】
生体認証装置(以下の説明は、生体認証装置に基づいて行なう)は、外部からの入室を規制することを目的とするところ、戸枠の室外側の面部に取り付ける必要があるが、室外側に螺子等が露出してしまうと、室外側から見た時の意匠性を損なうのみならず、螺子等を取り外すことで生体認証装置の取り外しが可能となって生体認証装置を設けることの利点が減殺されてしまう。したがって、従来は、戸枠の枠内、すなわち、室外側面部の裏面側に平板ライナーを設け、室内側から生体認証装置を螺子で固定する方法が採用されている。
【0004】
しかしながら、室内側から螺子固定を行なうためには、戸枠の室内側の面部に開口を形成し、また、当該開口を閉塞する塞板を設ける必要があり、室内側からの意匠性を損ねることになる。また、塞板を螺子等で固定する場合には、室内側からいたずらされるおそれもある。
【0005】
また、室内側から螺子で固定を行なうものでは、生体認証装置の取付時に、生体認証装置を戸枠の室外側から保持する一方、戸枠の室内側からこれを螺子で固定する必要があり、作業効率が悪いものとなっており、生体認証装置が配線を伴うものであることを考えると、特に、作業を一人で行う場合には、尚更である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−240491号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、生体認証装置等の入室規制装置が本来有するセキュリティを損ねることなく、意匠性、作業性を向上させることができる入室規制装置の取付構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明が採用した技術手段は、
戸枠の戸先側縦枠の見込面の所定の高さ位置には、見込面の部分を形成する塞ぎ部材が取り外し可能に装着されており、戸先側縦枠内の前記塞ぎ部材の背面空間には見込方向に延出する内部壁が形成されており、
前記戸先側縦枠の室外側見付面には、前記塞ぎ部材に対応する高さ位置に凹部が形成されており、前記凹部の後壁には開口が形成されており、
取付部材は、前側に入室規制装置が固定されており、後側部位は前記開口から戸先側縦枠の内部に挿入可能であり、
前記取付部材は、前記後側部位を前記開口から挿入した時に前記開口の周縁にスライド係合可能な係合溝を備えることで、前記開口に室外側から係合可能に構成されており、
前記開口に対して係合状態にある前記取付部材において、前記開口から戸先側縦枠内部に挿入されている前記後側部位を、前記塞ぎ部材の背面空間から前記内部壁に止着部材(典型的には、螺子である)で固定してなる、
戸枠に対する入室規制装置の取付構造、である。
1つの典型的な態様では、前記塞ぎ部材はストライクであり、前記内部壁は戸先側縦枠内の前記ストライクの収容空間の背面で見込方向に延出する。
【0009】
1つの態様では、
前記取付部材は、見込方向に延出する左右の支持アームを備え、左右の支持アームの前端には入室規制装置が固定されており、左右の支持アームの後側は連結部によって連結されており、
前記左右の支持アームの下縁には、前記左右の支持アームを前記開口から前記戸先側縦枠の内部に挿入した時に前記開口の下縁にスライド係合する係合溝が形成されており、
前記左右の支持アームの係合溝を前記開口の下縁に係合させた状態において、前記左右の支持アーム及び前記連結部が前記開口から前記戸先側縦枠内部に挿入されており、
係合状態にある前記左右の支持アームのうち前記見込面に近い側の支持アームを、前記塞ぎ部材の背面空間から前記内部壁に止着部材で固定してなる。
【0010】
取付部材の係合溝が開口の周縁に係合する態様については、幾つかの態様が考えられる。後述の実施形態では、取付部材の下縁に形成された係合溝を、開口の周縁、具体的には、下縁の両端部に下方に向かって形成したスリット、にスライド係合させているが、取付部材の係合溝を水平状の下縁自体(スリットを設けないで)に係合させてもよい。取付部材が係合する周縁は下縁に限定されるものではなく、開口部の形状及び取付部材の形状に特徴を持たせることで、開口の側縁の部分に取付部材を係合させてもよい。
また、後述の実施形態では、開口に挿入した取付部材を落とし込むことで、すなわち、下方にスライドさせることで係合溝を開口の下縁にスライド係合させているが、開口部の形状及び取付部材の形状に特徴を持たせることで、開口に挿入した取付部材を例えば水平方向(横方向)に移動させることで係合溝を開口の周縁にスライド係合させてもよい。
【0011】
1つの態様では、内部壁は、ストライクカバーの部分である。ストライクカバーは、戸先側縦枠内におけるストライクの収容空間を囲む部材であり、典型的には、見込方向に延出する壁と見付方向に延出する壁を備えている。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る入室規制装置の取付構造は、戸先側縦枠の室外側見付面からの係合と、見込面からの螺子等の止着部材による固定を用いるものであり、螺子等による固定は、生体認証装置が固定された取付部材を凹部の後壁の開口に係合させた状態(仮固定)で行なうことができ、作業性が良い。
室外側から係合手段を用いて取付部材を取り付けるため、室外側に螺子等が露出することはなく、意匠性に優れると共に、螺子等を取り外す等のいたずらも防止できる。
見込面から設ける螺子等は、通常時には、戸先側縦枠の見込面に固定されているストライク等の塞ぎ部材によって隠蔽されているため、外部に露出することはなく、安全性・意匠性に優れる。
戸先側縦枠の室内側見付面には取り付けに関連するいかなる部材も露出せず、意匠性に優れると共に、螺子等を取り外す等のいたずらも防止できる。
ストライクカバーの部分を内部壁として用いる場合には、取付構造の一部に既存の部品を用いることができ、部品点数・コストを削減できると共に、既設の戸枠に生体認証装置等の入室規制装置を後付けすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】建物開口部を扉体が閉鎖した状態を示しており、左図は室外側から見た姿図、右図は室内側から見た姿図である。
【図2】戸先側縦枠の室外側見付面に取り付けられた生体認証装置を示す斜視図である。
【図3】戸先側縦枠の室外側見付面に取り付けられた生体認証装置を示す側面図である。
【図4】戸先側縦枠の室外側見付面に形成された凹部を示し、左図は正面図、右図は側面図である。
【図5】取付部材の斜視図である。
【図6】取付部材の平面図、後面図、一方の側面図である。他方の側面図は対称に表れる。
【図7】戸先側縦枠の室外側見付面に取り付けられた生体認証装置を示す平面図である。
【図8】戸先側縦枠の部分断面図である。
【図9】左図は図8をA方向から見た図であり、右図は図8をB方向から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は、四周状の戸枠で囲まれた建物開口部を扉体1が閉鎖した状態を示す姿図であり、左図は室外側から見た図、右図は室内側から見た図である。戸枠は、戸先側縦枠2、戸尻側縦枠3、上枠4、下枠5から構成されている。
【0015】
扉体1は、室外側面部1A、室内側面部1B、戸先側端面1C(図7参照)を備えており、扉体1の戸尻側部位は丁番1Dによって戸尻側縦枠3に対して回動可能に連結されている。扉体1の室外側面部1A及び室内側面部1Bの戸先側には、人が掴んで操作しやすい所定の高さに位置して取手1Eが設けてある。扉体1の上方部位の戸尻寄りの部位と上枠4の戸尻寄りの部位との間にはドアクローザ1Fが設けてある。
【0016】
戸先側縦枠2は、室外側に面する面部である室外側見付面20と、室内側に面する面部である室内側見付面21と、室外側見付面20と室内側見付面21を連結すると共に建物開口部に面する見込面22(図7、図8参照)と、を備えている。
【0017】
図2に示すように、室外側見付面20には、所定の高さに位置して凹部6が形成されており、凹部6に装着される取付部材7を用いて生体認証装置8が戸先側縦枠2の室外側見付面20に取り付けられる。生体認証装置8は、本体80と、本体80の上面に設けられた生体情報取得部81とを備えており、図示の実施形態では、生体情報は静脈であるが、本発明の生体認証装置8に採用され得る生体情報は、指紋・その他の生体情報でもよい。また、実施形態では入室規制装置として生体認証装置8を例示するが、生体認証装置に代えて暗証番号入力装置やカードリーダ等を用いてもよい。凹部6、取付部材7の詳細については、図3乃至図7に基づいて後述する。
【0018】
図7、図8に示すように、戸先側縦枠2の見込面22は、室外側に位置する第1部分22Aと、第1部分22Aに対して室内側に位置する第2部分22Bとからなり、第1部分22Aと第2部分22Bは段部状に接続されていると共に、段部に位置して形成された溝部22Cには気密部材23が設けてある。開口部全閉時には、扉体1の戸先側端面1Cが第2部分22Bに近接対向し、扉体1の室外側面部1Aの戸先側部位が気密部材23に圧接するようになっている。
【0019】
扉体1の戸先側部位の所定の高さ位置には、図示しないラッチ、デッドボルトが、戸先側端面1C内に待避した姿勢と、戸先側端面1Cから突出した姿勢との間で出没可能に設けてあり、扉体1の戸先側端面1Cに近接対向する戸先側縦枠2の第2部分22Bの所定の高さ位置には、開口部閉鎖時に扉体1の戸先側端面1Cから突出するラッチ、デッドボルトを受け入れるようにストライク24が設けてある。ラッチは取手1Eの回動操作に連動して出没し、デッドボルトは操作手段1Gによる回動操作(典型的には、室外側ではキーによる回動操作、室内側ではつまみによる回動操作)に連動して出没する。開口部閉鎖時には、戸先側端面1Cから突出したラッチが戸先側縦枠2の第2部分22Bに形成されたストライク24に突出して係止することで、扉体1の閉鎖状態が維持される。デッドボルトをストライク24に突出させて係止することで施錠状態となって、扉体1の開放が規制される。
【0020】
ストライク24の取付構造について説明する。ストライク24は全体として箱型の形状を有し、前面はラッチ、デッドボルトが進入するための受孔(図示せず)を備えたプレート240となっており、プレート240の後側には、前記受孔に対応して箱部241が形成されている。戸先側縦枠2の見込面22の第2部分22Bには、ストライク24が取り付けられる位置に対応して方形状の切り欠き部25が形成されている(図8、図9参照)。図9において、切り欠き部25の上縁250、下縁251、側縁252、253が示してある。
【0021】
図8に示すように、戸先側縦枠2において、切り欠き部25の奥側は、ストライク24の収容空間S1となっている。図9に示すように、切り欠き部25の上下に位置して第2部分22Bの裏面には裏板26が取り付けられており、ストライク24の箱部241を収容空間S1に収容した状態で、ストライク24のプレート240を裏板26に対して螺子(図示せず)で固定することで、ストライク24が戸先側縦枠2の見込面22の第2部分22Bに取り外し可能に装着される。戸先側縦枠2にストライク24をどのように取り付けるかは設計事項であり、裏板26を用いた取り付けに限定されるものではないことが当業者に理解される。
【0022】
図8に示すように、ストライク24の収容空間S1は、室内側見付面21を形成する板材と、見込方向に延出する壁270と見付方向に延出する壁271とから断面視(平面視)L形状を有するストライクカバー27と、で囲まれた空間である。見込方向に延出する壁270には、長孔270Aが形成されている。図9に示すように、長孔270Aは、切り欠き部25に対応する位置に形成されており、ストライク24を取り外した状態で、切り欠き部25を通して露出しており、外部から切り欠き部25を通して長孔270Aにアクセス可能である。1つの態様では、ストライクカバー27は、室内側見付面21を形成する板材の裏面、戸先側縦枠2の第2部分22Bの裏面に溶接されている。収容空間S1にストライク24が収容された状態では、ストライク24の箱部241の底面の奥側に見込方向に延出する壁270が位置することになる(図7参照)。
【0023】
図3、図4に示すように、室外側見付面20に形成された凹部6は、傾斜状の上壁60と、水平状の下壁61と、垂直状の後壁62と、垂直状の側壁63、64と、を備えている。図示の態様では、各壁60、61、62、63、64は、室外側見付面20を構成する板材とは別の板材から形成されている。上壁60を形成する板部の上側の垂直片600、下壁61を形成する板部の下側の垂直片610をそれぞれ、室外側見付面20を形成する板材の裏面に溶接、接着等することで、凹部6が形成されている。凹部6を、室外側見付面20を形成する板材を機械的に成型加工することで、室外側見付面20を形成する板材から一体的に形成してもよい。
【0024】
凹部6の後壁62には正面視略方形状の開口65が形成されており、開口65は、上縁650、下縁651、左右の側縁652、653から囲まれている。開口65の下縁651の左右端部には下方に垂直状に延びるスリット654、655が形成されている。
【0025】
図5、図6に示すように、取付部材7は、扉体1、戸先側縦枠2の見込方向に水平状に延出する左右の支持アーム70、71と、見付方向に水平状に延出し、支持アーム70、71の後側端部同士を連結する連結部72と、支持アーム70、71の前側にそれぞれ形成された左右の装着部73、74と、を備え、左右の支持アーム70、71の下縁には、装着部73、74側に位置して、上方に垂直状に延びるスリット75、76が形成されており、取付部材7を開口65に係合させる時にスリット75、76が係合溝として機能する。
【0026】
装着部73、74は、支持アーム70、71に比べて上下方向に延出すると共に、左右方向に互いに離隔するように延出しており、上下に間隔を存して図示しない螺子を受け入れる孔73A、74Aが形成されており、螺子を用いて生体認証装置8の本体80の垂直状の後面800が装着部73、74に固定される。生体認証装置8の本体80の後面800の幅寸法・高さ寸法は取付部材7の前側部位の幅寸法・高さ寸法よりも大きく、生体認証装置8が戸先側縦枠2の室外側見付面20に形成した凹部6に取り付けられた状態で、室外側から取付部材7(装着部73、74)が見えることがない。図示の態様では、左右の2つの装着部73、74を示したが、1つの装着部に生体認証装置8を固定してもよい。また、装着部73、74の形状や寸法は、生体認証装置8の形状や寸法に応じて変わり得ることが当業者に理解される。
【0027】
取付部材7の後側部位の幅寸法、すなわち、左右の支持アーム70、71の外側面間の寸法ないし連結部72の長さ寸法は、開口65の幅寸法、すなわち、左右の側縁652、653間の寸法より僅かに小さい寸法である。また、左右の支持アーム70、71の高さ寸法は、開口65の高さ寸法、すなわち上縁650、下縁651間の寸法よりも小さい。取付部材7の後側部位、すなわち、左右の支持アーム70、71及び連結部72を開口65から戸先側縦枠2内の空間に挿入した時に、支持アーム70、71の下縁のスリット75、76が、それぞれ開口65の下縁のスリット654、655の直上に位置することになり、この状態から支持アーム70、71を下方に移動させて落とし込むことで、スリット75、76がスリット654、655に係合する。取付部材7の左右の支持アーム70、71のスリット75、76を開口65のスリット654、655に係合させることで、前後方向の移動が規制された状態で取付部材7が凹部6に係合され支持される。スリット同士(75と654、76と655)を係合させることでより安定した係合状態を得ることができる。
【0028】
図7に示すように、凹部6の幅方向の寸法は、生体認証装置8の本体80の幅寸法よりもわずかに大きい寸法となっており、生体認証装置8が取り付けられた状態において、本体80の後側半部が凹部6内に位置している。また、凹部6の深さ(室外側見付面20から凹部6の後壁62までの距離)D1は、見込面22の第1部分22Aの見込方向の寸法と略同じであり、後壁62の開口65から戸先側縦枠2内部に進入した取付部材7の後側部位において、一方の支持アーム70は、ストライクカバー27の見込方向に延出する壁270に近接対向するように延出している。
【0029】
支持アーム70には、螺子孔70Aが形成されており、螺子孔70Aと見込方向に延出する壁270の長孔270Aとは互いに一致するような位置に形成されている。ストライク24の収容空間S1から螺子9によって、支持アーム70と見込方向に延出する壁270を連結することで、凹部6に係合された取付部材7の上動を規制する。左右の支持アーム70、71は連結部72によって一体的に連結されているので、一方の支持アーム70の上動を規制することで、他方の支持アーム71の上動も規制される。
【0030】
このように本実施形態の取付構造は、戸先側縦枠2の室外側見付面20の凹部6の後壁62の開口65の下縁651の左右端部のスリット654、655に生体認証装置8が固定された取付部材7の左右の支持アーム70、71の下縁のスリット75、76を落とし込むようにスライド係合させることで仮固定し、係合状態にある左右の支持アーム70、71のうち見込面22(第2部分22B)に近い側の支持アーム70を、ストライク24の収容空間S1からストライクカバー27の見込方向に延出する壁270に螺子9で固定してなるものである。
【0031】
したがって、室外側見付面20からの係合(仮固定)→見込面22(第2部分22B)からの螺子による固定という手順で生体認証装置8を戸先側縦枠2に取り付けることができ、作業性が良い。室外側から係合手段を用いて生体認証装置8が固定されている取付部材7を取り付けるため、室外側に螺子等が露出することはなく、意匠性に優れると共に、螺子等を取り外す等のいたずらも防止できる。戸先側縦枠2の見込面22の第2部分22Bに形成した切り欠き部25から設ける螺子9は、通常時には、切り欠き部25から収容空間S1に取り付けられているストライク24によって隠蔽されているため、外部に露出することはなく、安全性・意匠性に優れる。戸先側縦枠2の室内側見付面21には取り付けに関連するいかなる部材も露出せず、意匠性に優れると共に、螺子等を取り外す等のいたずらも防止できる。また、取付構造の構成要素の1つに既存のストライクカバー27の見込方向に延出する壁270を用いているため、取付構造の部品点数・コストを削減できると共に、既設の戸枠に生体認証装置等の入室規制装置を後付けすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明は、戸枠に対する生体認証装置の取り付けに利用することができる。
【符号の説明】
【0033】
2 戸先側縦枠
20 室外側見付面
21 室内側見付面
22 見込面
22A 第1部分
22B 第2部分
6 凹部
62 後壁
65 開口
7 取付部材
70、71 支持アーム
70A 螺子孔
72 連結部
75、76 スリット(係合溝)
8 生体認証装置
9 螺子
27 ストライクカバー
270 見込方向に延出する壁
270A 長孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
戸枠の戸先側縦枠の見込面の所定の高さ位置には、見込面の部分を形成する塞ぎ部材が取り外し可能に装着されており、戸先側縦枠内の前記塞ぎ部材の背面空間には見込方向に延出する内部壁が形成されており、
前記戸先側縦枠の室外側見付面には、前記塞ぎ部材に対応する高さ位置に凹部が形成されており、前記凹部の後壁には開口が形成されており、
取付部材は、前側に入室規制装置が固定されており、後側部位は前記開口から戸先側縦枠の内部に挿入可能であり、
前記取付部材は、前記後側部位を前記開口から挿入した時に前記開口の周縁にスライド係合可能な係合溝を備えることで、前記開口に室外側から係合可能に構成されており、
前記開口に対して係合状態にある前記取付部材において、前記開口から戸先側縦枠内部に挿入されている前記後側部位を、前記塞ぎ部材の背面空間から前記内部壁に止着部材で固定してなる、
戸枠に対する入室規制装置の取付構造。
【請求項2】
前記塞ぎ部材はストライクであり、前記内部壁は戸先側縦枠内の前記ストライクの収容空間の背面で見込方向に延出する、請求項1に記載の取付構造。
【請求項3】
前記取付部材は、見込方向に延出する左右の支持アームを備え、左右の支持アームの前端には入室規制装置が固定されており、左右の支持アームの後側は連結部によって連結されており、
前記左右の支持アームの下縁には、前記左右の支持アームを前記開口から前記戸先側縦枠の内部に挿入した時に前記開口の下縁にスライド係合する係合溝が形成されており、
前記左右の支持アームの係合溝を前記開口の下縁に係合させた状態において、前記左右の支持アーム及び前記連結部が前記開口から前記戸先側縦枠内部に挿入されており、
係合状態にある前記左右の支持アームのうち前記見込面に近い側の支持アームを、前記塞ぎ部材の背面空間から前記内部壁に止着部材で固定してなる、
請求項1、2いずれかに記載の取付構造。
【請求項4】
前記内部壁は、ストライクカバーの部分である、請求項2に記載の取付構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−255217(P2010−255217A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−103838(P2009−103838)
【出願日】平成21年4月22日(2009.4.22)
【出願人】(307038540)三和シヤッター工業株式会社 (273)
【Fターム(参考)】