説明

戸閉保安装置

【課題】速度計発電部から出力される正弦波の周波数を検出する回路のみで構成された戸閉保安装置は、その検出回路の故障により鉄道用車両の扉開インタロックリレーを駆動させ、停車しているにも関わらず扉が開かなくなるという問題点があった。
【解決手段】鉄道用車両の速度を検出する戸閉保安装置において、速度を検出する回路にフェイルセーフを設けたことを特徴とする戸閉保安装置とする。すなわち、周波数を検出する回路4と、電圧を検出する回路5との重ね合わせにより、扉開インタロックリレー8を駆動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄道用車両の速度を検出する回路に、フェイルセーフを設けた戸閉保安装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
鉄道用機器の中で、戸閉保安装置は、鉄道用車両がある速度以上で走行している間、乗務員が車掌スイッチを誤って操作しても、扉が開くことを防止するものである。
実用の戸閉保安装置は、速度計発電部から出力される正弦波を取り込み、その周波数を検出する回路により、速度計発電部の速度と周波数の特性から、ある速度に相当する周波数を検出すると、扉開インタロックリレーを駆動するものである。周波数を検出する回路は、部品点数が少なく、安価であり実用上十分であった。
【0003】
しかし、速度計発電部から出力される正弦波の周波数が0、すなわち鉄道用車両が停車しているにも関わらず、戸閉保安装置の周波数を検出する回路が、扉開インタロックリレーを駆動する側に故障した場合、扉が開かなくなる欠点があった。
【0004】
鉄道用車両の扉の開閉において、この欠点は鉄道の運行に関して重大な障害である。具体的には、鉄道用車両が駅構内に停車しているにも関わらず、戸閉保安装置の故障により、扉が開かず乗客の乗り降りができない問題があった。
【0005】
この改善策として、周波数を検知する回路の他に、電圧を検出する回路を追加することにより、フェイルセーフを設ける。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−255431
【特許文献2】特開2010−234978
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】「電気鉄道ハンドブック」、コロナ社、2007年、p.266
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
解決しようとする問題点は、周波数を検出する回路が、扉開インタロックリレーを駆動する側に故障した場合、扉が開かず乗客の乗り降りができない点である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、戸閉保安装置において周波数を検出する回路の他に、電圧を検出する回路を追加することにより、周波数を検出する回路が、扉開インタロックリレーを駆動する側に故障しても、追加する電圧を検出する回路により、扉開インタロックリレーを駆動させないよう、フェイルセーフを設けたことを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の戸閉保安装置は、速度計発電部からの入力を2つの検出回路により取り込み、2回路の出力の重ね合わせにより、扉開インタロックリレーを駆動させるため、検出回路の片方が故障しても、扉開インタロックリレーを誤って駆動させない利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施例1に係るフェイルセーフを設けた戸閉保安装置の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
【実施例1】
【0013】
速度計発電部1から出力される正弦波を、絶縁トランス2と絶縁トランス3により絶縁する。絶縁された正弦波を周波数検出回路4、および電圧検出回路5に入力する。
【0014】
周波数検出回路4は、絶縁された正弦波を取り込み、入力周波数と設定周波数を比較する。その結果、後段のトランジスタ6をON、またはOFFする。
【0015】
電圧検出回路5は、絶縁された正弦波を取り込み、整流したのち入力電圧と設定電圧を比較する。その結果、後段のトランジスタ7をON、またはOFFする。
【0016】
周波数検出回路4と、電圧検出回路5の重ね合わせにより、扉開インタロックリレー8の吸引、釈放が行われる。
【産業上の利用可能性】
【0017】
本発明は、鉄道に限らず速度を周波数に変換するシステムにおいて、ある速度で保安機器を動作させる用途に適用できる。
【符号の説明】
【0018】
1 速度計発電部
2 絶縁トランス
3 絶縁トランス
4 周波数検出回路
5 電圧検出回路
6 トランジスタ
7 トランジスタ
8 扉開インタロックリレー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄道用車両の速度を検出する戸閉保安装置において、速度を検出する回路にフェイルセーフを設けたことを特徴とする戸閉保安装置。

【図1】
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【公開番号】特開2013−52777(P2013−52777A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−192826(P2011−192826)
【出願日】平成23年9月5日(2011.9.5)
【出願人】(000003115)東洋電機製造株式会社 (380)
【Fターム(参考)】