説明

所望の程度の隠蔽性を有する膜を形成するための組成物、並びにそれを製造及び使用する方法

化粧品(例えばスキンクリーム)として用いるのに好適な組成物を開示する。化粧品として用いるのに好適な組成物を製造及び使用する方法も開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本発明は、化粧品(例えばスキンクリーム)として用いるのに好適な組成物に関する。本発明は更に、化粧品として用いるのに好適な組成物を製造及び使用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]シワや他の皮膚の欠陥を隠蔽する能力を有する化粧クリームが広く用いられている。幾つかのクリームは、皮膚の凹みを物理的に充填して滑らかな皮膚の外観を与えることによってこの課題を達成している。シワ及び他の皮膚の欠陥を隠蔽する他の方法は、光拡散によって欠陥を隠蔽することができる膜を皮膚表面上に形成することである。この方法によれば、膜内に存在する粒子が光を散乱させて、下側の皮膚の拡散性の外観を生起させる。この拡散性の外観のために、滑らかな皮膚の知覚が生起し、望まれない皮膚の欠陥が隠蔽される。
【0003】
[0003]化粧用途のために光拡散性顔料を用いることが、Quantification of the Soft Focus Effect, Cosmetics & Toiletries, (Ralf Emmert), vol.111, pp.57-61 (1996)(以下、「Emmert論文」)に記載されている。Emmert論文においては、シリカの屈折率(RI=1.46)の化粧油のもの(RI=1.45〜1.60)との類似性のために、光拡散性化粧品中にシリカを用いることは行われていない。Emmert論文は、所望の光学効果(即ち最大の光散乱)を生成させるためにはビヒクルと粒子との間の屈折率の大きな差が必要であるという従来の考えと合致している。
【0004】
[0004]更に、光拡散性顔料の使用に関する従来の考え方は、膜内の光散乱を最大にするために光拡散性顔料を組成物に装填するというものである。図1にこの原理を示す。図1に示すように、代表的な膜10は、ビヒクルマトリクス11を、その中に分散している光拡散性顔料/粒子12と共に含む。光13が上表面14を通して膜10に入ると、矢印15によって示されるように光拡散性顔料/粒子によって光13が散乱する。上表面14の表面の滑らかさを考えると、上表面14においては、代表的な膜10内で起こる膜内光散乱の量と比べて非常に小さい光散乱しか起こらない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Quantification of the Soft Focus Effect, Cosmetics & Toiletries, (Ralf Emmert), vol.111, pp.57-61 (1996)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
[0005]シワ及び他の皮膚の欠陥を隠蔽する新しいアプローチを開発する努力が継続されている。膜又は被覆の厚さに依存しない所望の隠蔽性を有する膜及び被覆を製造するように容易に配合される隠蔽組成物を開発する努力が継続されている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[0006]本発明は、シワ及び他の皮膚の欠陥を隠蔽する能力を有する化粧品として用いるのに好適な組成物を見出すことに関する。本組成物は種々の用途において用いることができるが、シワ及び他の欠陥を隠蔽することができる化粧品(即ち皮膚及びケラチン基質上に適用される組成物)として特に有用である。
【0008】
[0007]開示される組成物は、少なくとも1種類の非揮発性成分及び少なくとも1種類の揮発性成分を含む流体相内の粒子状材料(例えばシリカ粒子)を含む。皮膚又はケラチン基質(例えば顔面皮膚)上に適用すると、開示されている組成物は、望ましくは、基質の自然な調子(例えば自然の皮膚の調子)を膜を通して見ることを可能にしながら、基質内のシワ及び他の欠陥を隠蔽することができる連続的な透明膜を形成する。更に、粗い最外側の表面を有することにより、連続的な透明膜は膜表面における光の散乱が可能であり、膜内の光散乱に頼らない。
【0009】
[0008]0より大きい粒子の全有効流体吸収能力(TAFACP)の値を有する粒子状材料;並びに、非揮発性成分及び揮発性成分を含み、非揮発性成分が少なくとも粒子状材料の細孔及び粒子間空隙を満たす量で組成物中に存在する流体相;を用いると、基質(例えば皮膚)上に膜として適用した際に、優れた隠蔽性及び所望の程度の最外側表面の粗さ及び透明性を有する組成物が製造されることが見出された。
【0010】
[0009]0より大きい粒子の全有効流体吸収能力(TAFACP)の値を有する粒子状材料を、非揮発性成分及び揮発性成分を含む流体相と共に用い、組成物が0より大きく約8.0未満のTAFACPに対する全非揮発分含量(NVC)の重量比Rを有すると、基質(例えば皮膚)上に膜として適用した際に、優れた隠蔽性及び所望の程度の最外側表面の粗さ及び透明性を有する組成物が製造されることが更に見出された。所望の範囲の非揮発分(NVC)含量及び粒子濃度(与えられた粒子に関して)を利用することによって、最適の隠蔽結果を得ることができる。
【0011】
[0010]不十分な量の非揮発分含量(NVC)を有する組成物は、処置する皮膚領域上に膜又は被覆の形態で適用すると不快なほど不透明な外観を与えることが更に見出された。更に、過剰量の非揮発分(NVC)を含む組成物は、処置する皮膚領域上に膜又は被覆の形態で適用すると光沢のある外観(これも化粧品として望ましくない)を与える。
【0012】
種々の粒子状材料を用いて本発明の隠蔽組成物及び膜を形成することができるが、幾つかの態様においては、組成物/膜中に存在する非揮発性成分のものと同等の屈折率を有する粒子を使用することによって、得られる膜において向上した隠蔽性が得られることが見出された。これらの態様においては、膜内の粒子は光散乱物質としては実質的に効果がないが、適当量の1種類又は複数の非揮発性物質と共に膜中に含ませると、得られる膜は、膜の平坦でない(即ち粗い)最外側の表面の結果としての透過光の散乱によって所望の隠蔽性を有する。光散乱を膜の最外側表面に制限することにより、膜の隠蔽性は膜厚さに依存しない。したがって、皮膚上に適用した膜は、望ましくは、膜厚さがさほど均一でない場合であっても、隠蔽性及び反射率の両方において非常に均一な外観を皮膚に与える。
【0013】
[0011]膜内の光散乱に対して膜の最外側表面における光散乱から得られる他の利益は、粗い膜の隠蔽性が、膜内光散乱が主要な機構である膜と比べた際に、膜組成物中の粒子濃度にあまり依存しないことである。したがって、本発明によれば、組成物/膜配合物質に対して、(1)与えられた組成物内で粒子状材料の量を変化させ、及び(2)他の成分(例えば、軟化剤、香料、可溶性ポリマー等)を与えられた組成物中に含ませるより大きな自由度が可能になる。
【0014】
[0012]1つの代表的な態様においては、本発明の組成物は、0より大きい粒子の全有効流体吸収能力(TAFACP)の値を有する粒子状材料;並びに、非揮発性成分及び揮発性成分を含む流体相;を含み、組成物は、0より大きく約8.0未満の範囲のTAFACPに対する全非揮発分含量(NVC)の重量比Rを有する。本発明の組成物には、脱イオン水、保湿剤、軟化剤、香料、可溶性ポリマー、又はこれらの任意の組合せなど(しかしながらこれらに限定されない)の1種類以上の更なる成分を含ませることができる。
[0013]他の代表的な態様においては、本発明の組成物は、0より大きい粒子の全有効流体吸収能力(TAFACP)の値を有する粒子状材料;並びに、非揮発性成分及び揮発性成分を含む流体相;を含み、粒子状材料及び非揮発性成分は実質的に同等の屈折率を有する。
【0015】
[0014]本発明はまた、表面の欠陥を隠蔽することができる組成物を製造する方法にも関する。1つの代表的な態様においては、組成物の製造方法は、0より大きい粒子の全有効流体吸収能力(TAFACP)の値を有する粒子状材料;並びに、非揮発性成分及び揮発性成分を含む流体相;を含む混合物を形成することを含み、組成物は、0より大きく約8.0未満の範囲のTAFACPに対する全非揮発分含量(NVC)の重量比Rを有する。組成物の製造方法には、脱イオン水、保湿剤、軟化剤、香料、可溶性ポリマー、又はこれらの任意の組合せなど(しかしながらこれらに限定されない)の1種類以上の更なる成分を混合物中に含ませることを更に含ませることができる。
【0016】
[0015]他の代表的な態様においては、組成物の製造方法は、粒子状材料の粒子の全有効流体吸収能力(TAFACP)の値に対する全非揮発分含量(NVC)の重量比Rの値を選択し;混合物の得られるRが選択されたRの値と等しくなるように、(i)粒子状材料、及び(ii)非揮発性成分及び揮発性成分を含む流体相の混合物を形成する;ことを含む。幾つかの所望の態様においては、組成物の製造方法は、0より大きく約8.0未満の範囲のRの値を選択することを含む。組成物の製造方法には、脱イオン水、保湿剤、軟化剤、香料、可溶性ポリマー、又はこれらの任意の組合せなど(しかしながらこれらに限定されない)の1種類以上の更なる成分を混合物中に含ませることを更に含ませることができ、1種類以上の更なる成分を含ませることは得られる選択されたRの値に悪影響を与えない。
【0017】
[0016]本発明はまた隠蔽用の膜にも関する。1つの代表的な態様においては、本発明は、0より大きい粒子の全有効流体吸収能力(TAFACP)の値を有する粒子状材料;並びに、非揮発性成分及び揮発性成分を含む流体相;を含み;膜は、(i)0より大きく約8.0未満の範囲のTAFACPに対する全非揮発分含量(NVC)の重量比Rを有し、そして(ii)最外側の粗い表面を有する実質的に透明の連続膜を含み、最外側の粗い表面は、最外側の粗い表面に沿った1以上のより低い表面の点、及び最外側の粗い表面に沿った1以上のより高い表面の点を有し、1以上のより低い表面の点は約0.05〜約20.0μmの距離だけz方向において1以上のより高い表面の点から離隔している。
【0018】
[0017]更なる代表的な態様においては、本発明は、0より大きい粒子の全有効流体吸収能力(TAFACP)の値を有する粒子状材料;並びに、非揮発性成分及び揮発性成分を含む流体相;を含み、透明被覆を通る光の全透過率及び拡散透過率が、被覆の厚さが増加しても実質的に一定に維持される透明被覆に関する。
【0019】
[0018]他の代表的な態様においては、本発明は、0より大きい粒子の全有効流体吸収能力(TAFACP)の値を有する粒子状材料;並びに、非揮発性成分及び揮発性成分を含む流体相;を含み、粒子状材料は被覆内において測定可能な膜内光散乱を与えないが、表面散乱を与えて、これによって皮膚及びケラチンの欠陥を隠蔽する、皮膚の欠陥を隠蔽するための透明被覆に関する。
【0020】
[0019]本発明は更に、本発明の組成物を使用する方法に関する。1つの代表的な態様においては、本発明の組成物を使用する方法は、0より大きい粒子の全有効流体吸収能力(TAFACP)の値を有する粒子状材料;並びに、非揮発性成分及び揮発性成分を含む流体相;を含み、0より大きく約8.0未満のTAFACPに対する全非揮発分含量(NVC)の重量比Rを有する組成物で基質の少なくとも一部を被覆することを含む、基質上に被覆を形成する方法を含む。基質には、皮膚、毛髪、爪等のような皮膚及びケラチン基質などの種々の基質を含ませることができる。
【0021】
[0020]本発明の組成物を使用する他の代表的な方法は、(i)0より大きい粒子の全有効流体吸収能力(TAFACP)の値を有する粒子状材料;並びに(ii)非揮発性成分及び揮発性成分を含む流体相;を含み;組成物が、(i)0より大きく約8.0未満の範囲のTAFACPに対する全非揮発分含量(NVC)の重量比Rを有し、そして(ii)最外側の粗い表面を有する実質的に透明の連続膜を形成し、最外側の粗い表面は、最外側の粗い表面に沿った1以上のより低い表面の点、及び最外側の粗い表面に沿った1以上のより高い表面の点を有し、1以上のより低い表面の点は約0.05〜約20.0μmの距離だけz方向において1以上のより高い表面の点から離隔している組成物を外側の皮膚表面上に適用することを含む、皮膚の欠陥を隠蔽する方法を含む。
【0022】
[0021]本発明は更に、基質、及び基質の外表面上の発明の組成物を含む多層物品に関する。1つの代表的な態様においては、多層物品は、外側皮膚表面;及び外側皮膚表面上のここに開示する隠蔽組成物を有する皮膚を含む。
【0023】
[0022]本発明のこれらの及び他の特徴及び有利性は、開示されている態様の以下の詳細な記載及び特許請求の範囲を検討した後には明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】[0023]図1は、膜内光散乱を最大にするための代表的な従来の光拡散性顔料/粒子装填膜を示す。
【図2】[0024]図2は、本発明の代表的な粒子装填膜を示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
[0025]本発明の原理の理解を促進するために、以下において本発明の特定の態様を説明し、特定の用語を用いて特定の態様を説明する。しかしながら、特定の用語を用いることによって本発明の範囲を限定する意図はないことが理解されるであろう。議論される本発明の原理の変更、更なる修正、及びかかる更なる適用は、本発明が属する技術の当業者が通常的に想到するものであると考えられる。
【0026】
[0026]本明細書及び特許請求の範囲において用いる単数形「a」、「and」、及び「the」は、記載が他に明確に示さない限り複数の指示物を包含することに注意すべきである。而して、例えば「酸化物」という記載は複数のかかる酸化物を包含し、「酸化物」という記載は1種類以上の酸化物及び当業者に公知のその均等物などの記載を包含する。
【0027】
[0027]例えば本発明の幾つかの態様の説明において用いる組成物中の成分の量、濃度、体積、プロセス温度、プロセス時間、回収率又は収率、流速、及び同様の値、並びにそれらの範囲を修飾する「約」は、例えば通常の測定及び取り扱い手順を通して;これらの手順における偶然のエラーを通して;方法を実施するために用いる成分における差;並びに同様の近似考慮事項;を通して起こる可能性のある数量の変動を指す。「約」という用語はまた、特定の初期濃度を有する配合物又は混合物の経時変化によって相違する量、並びに特定の初期濃度を有する配合物又は混合物の混合又は処理によって相違する量も包含する。「約」という用語によって修飾されているかどうかにかかわらず、特許請求の範囲はこれらの量の均等範囲を包含する。
【0028】
[0028]「粒子」という用語は、例えばコロイド粒子を形成するための溶液重合法、例えば溶融粒子を形成するための連続火炎加水分解法、例えばゲル化粒子を形成するためのゲル法、及び例えば沈殿粒子を形成するための沈殿法など(しかしながらこれらに限定されない)の任意の公知の方法によって形成される多孔質又は非多孔質の粒子を指す。粒子は、有機及び/又は無機材料及びこれらの組合せから構成することができる。1つの代表的な態様においては、粒子は、金属酸化物、硫化物、水酸化物、炭酸塩、窒化物、リン酸塩等のような無機材料から構成されるが、好ましくは金属酸化物である。粒子は、鎖状、棒状、又はラス形状などの種々の異なる対称、非対称、又は不規則形状であってよい。粒子はアモルファス又は結晶質等をはじめとする異なる構造を有していてよい。粒子は、異なる組成、寸法、形状、又は物理的構造を含むか、或いは異なる表面処理の他は同じであってよい粒子の混合物を含んでいてよい。
【0029】
[0029]本明細書において用いる「金属酸化物」とは、金属がカチオンであり酸化物がアニオンである二元酸素化合物として定義される。金属にはメタロイドも包含することができる。金属としては、周期律表上のホウ素からポロニウムへ引かれる対角線の左側の元素が挙げられる。メタロイド又は半金属としては、この線の右側にある元素が挙げられる。金属酸化物の例としては、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、ケイ酸塩、アルミノケイ酸塩等、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0030】
[0030]本明細書において用いる「有機」材料は、炭素内容物を含み、天然又は合成であってよい化合物又は材料を包含する。これらの材料は、ホモポリマー又はコポリマーであってよい天然及び/又は合成ポリマーであってよく、バイオポリマー、フルオロポリマー、ポリテルペン、フェノール樹脂、ポリ酸無水物、ポリエステル、ポリオレフィン、ラバー、シリコーン、高吸水性ポリマー、ビニルポリマー、及びこれらの組合せなどが挙げられるが、これらに限定されない。有機材料の例としては、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリアミド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリメチルメタクリレート、シリコーン等、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0031】
[0031]本明細書において用いる「多孔質」粒子という用語は、窒素ポロシメトリーによって測定して大きな内部多孔度、即ち約0.05cc/gより大きい多孔度を有し、「非多孔質」という用語は、内部多孔度が小さいか又は有しない、即ち約0.05cc/g未満の内部多孔度を有する粒子を意味する。多孔質粒子の例としては、シリカゲル、沈降シリカ、ヒュームドシリカ、ベーマイトアルミナ等が挙げられ、非多孔質粒子の例としては、コロイダルシリカ、アルミナ、チタニア等が挙げられる。
【0032】
[0032]本明細書において用いる「実質的」という用語は、妥当な量の範囲内であるが、絶対値の約0%〜約50%、約0%〜約40%、約0%〜約30%、約0%〜約20%、又は約0%〜約10%変動する量を包含する。
【0033】
[0033]本明細書において用いる「流体」という用語は、揮発性及び非揮発性で天然及び合成の流体を包含する気体、液体、及び超臨界流体を意味する。例としては、油、溶媒、水、ポリマー、ワックス、グリセリン、他の液体、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0034】
[0034]本明細書において用いる「光散乱」という用語又は他の電磁放射は、伝搬媒体又は表面若しくは2つの媒体の間の界面における不規則性によるランダム方向の光線の偏向である。表面又は界面からの散乱はまた、拡散反射とも呼ぶことができる。
【0035】
[0035]1つの代表的な態様においては、本発明の組成物は、0より大きい粒子の全有効流体吸収能力(TAFACP)の値を有する粒子状材料;並びに、非揮発性成分及び揮発性成分を含む流体相;を含み;非揮発性成分は、少なくとも粒子状材料の細孔及び粒子間空隙を満たす量で組成物中に存在する。粒子状材料が多孔質でない態様においては、配合物中に存在する非揮発性成分の量には、粒子間空隙のみを満たすのに必要なものが含まれる。したがって、粒子状材料の多孔度によって、配合物中の非揮発性成分の量が大きく変化する可能性がある。
【0036】
[0036]本発明は、(i)0より大きい粒子の全有効流体吸収能力(TAFACP)の値を有する粒子状材料;並びに(ii)非揮発性成分及び揮発性成分を含む流体相;を含む組成物に関する。この組成物は、望ましくは0より大きく約8.0未満の範囲のTAFACPに対する全非揮発分含量(NVC)の重量比Rを有する。本発明は更に、(i)0より大きい粒子の全有効流体吸収能力(TAFACP)の値を有する粒子状材料;並びに(ii)非揮発性成分及び揮発性成分を含む流体相;を含む組成物の製造方法であって、得られる組成物が0より大きく約8.0未満の範囲のTAFACPに対する全非揮発分含量(NVC)の重量比Rを有する上記方法に関する。本発明は更に、(i)0より大きい粒子の全有効流体吸収能力(TAFACP)の値を有する粒子状材料;並びに(ii)非揮発性成分及び揮発性成分を含む流体相;を含む被覆又は膜を基質上に形成する方法に関する。本発明は更に、皮膚のような基質上の開示されている組成物を含む、被覆又は膜、被覆基質、及び多層物品に関する。
【0037】
[0037]本発明の組成物は、それから形成される組成物及び被覆の技術においてこれまで取り組まれていなかった1以上の利益及び/又は技術的有利性を与える。例えば、開示されている組成物及び得られる被覆は、(1)表面光散乱を優勢にする所望の程度の外表面粗さ、(2)所望の程度の透明性、及び(3)所望の程度の隠蔽性を有する被覆及び膜の形成を可能にする量の、(i)0より大きい粒子の全有効流体吸収能力(TAFACP)の値を有する粒子状材料;並びに(ii)非揮発性成分及び揮発性成分を含む流体相;を用いる。
【0038】
[0038]代表的な組成物及び組成物の成分の記載を以下に与える。
I.組成物:
[0039]本発明の組成物には数多くの個々の成分を含ませることができる。個々の成分及び個々の成分の組合せの記載を以下に与える。更に、本発明の組成物は種々の形態で存在させることができる。組成物のタイプの記載も以下に与える。
【0039】
A.組成物の成分:
[0040]本発明の組成物には以下の成分の1以上を含ませることができる。
1.粒子状材料:
[0041]本発明の組成物は、0より大きい粒子の全有効流体吸収能力(TAFACP)の値を有する粒子状材料を含む。0より大きいTAFACP値を有する好適な粒子状材料としては、アルミナ、窒化ホウ素、ナイロン、シリカ、シリカ/チタニア複合体、及びこれらの任意の組合せが挙げられるが、これらに限定されない。例えば、粒子状材料は多孔質又は非多孔質であってよく、粉末又は水性及び非水性流体を含むスラリーの形態であってよい。TAFACPは、粒子状材料の油吸着量に配合物中の粒子状材料の重量を乗じることによって求められる。
【0040】
[0042]本発明において用いるのに好適な粒子状材料は、例えば粒子の組成及び粒子の多孔度並びに配合物中に存在する量によって定まる0より大きいTAFACP値を有する。
[0043]一態様においては、金属酸化物粒子は、沈殿金属酸化物(例えばシリカ、アルミナ等)、又は金属酸化物ゲルのような多孔質材料を含む。当該技術において周知なように、沈降シリカの形成は、まずより大きな粒子に成長させることができる一次粒子の種を形成し、次に凝集させ、次にこれらの凝集体を凝塊させることによる水ガラスと酸との間の反応中に起こる。反応条件によって、凝塊物を所謂強化によって更により融合させることができる。特定の凝塊体の寸法及び濃度において、含水シリカは反応スラリーから沈殿物として沈降し始める。スラリーから含水シリカを単離し、粗シリカから反応電解液を除去するために、沈殿物をスラリーから濾過し、洗浄する。得られるフィルターケーキを次に、当該技術において公知の乾燥装置を用いて乾燥する。乾燥の方法及び程度によって、乾燥工程中にシリカ構造の強化が起こり、最初のシラノール基から不可逆性のSi−O−Si結合が形成される。沈殿金属酸化物を製造する方法としては、米国特許7,037,475−B1;5,030,286;及び4,157,920(これらの全ての主題は参照として本明細書中に包含する)に示されているものが挙げられる。本発明の更なる態様においては、コロイド状金属酸化物粒子は、上記に記載した一般的な金属酸化物沈殿プロセスの一次粒子、成長粒子、凝集粒子、凝塊粒子、又はフィルターケーキに由来する。
【0041】
[0044]無機酸化物ゲルの製造方法は当該技術において周知であり、米国特許6,380,265(その全ての主題は参照として本明細書中に包含する)に示されているものが挙げられる。例えば、シリカゲルは、アルカリ金属ケイ酸塩(例えばケイ酸ナトリウム)の水溶液を、硝酸又は硫酸のような強酸と混合することによって製造され、混合は、好適な撹拌条件下で行って、約0.5時間未満でヒドロゲル、即ちマクロゲルになる明澄なシリカゾルを形成する。次に得られるゲルを洗浄する。ヒドロゲル中で形成される無機酸化物、即ちSiOの濃度は通常は約10〜約50重量%の範囲であり、このゲルのpHは約1〜約9、好ましくは1〜約4である。広範囲の混合温度を用いることができ、この範囲は通常は約20〜約50℃である。新しく形成されるヒドロゲルは、水の連続移動流中に単純に浸漬することによって洗浄し、これによって望ましくない塩を除去し、約99.5重量%以上の純度の無機酸化物をその後に残留させる。洗浄水のpH、温度、及び時間は、表面積(SA)及び細孔容積(PV)のようなシリカの物理特性に影響を与える。65〜90℃において8〜9のpHで15〜36時間洗浄したシリカゲルは、通常は250〜400のSAを有し、1.4〜1.7cc/gのPVを有するエアロゲルを形成する。50〜65℃において3〜5のpHで15〜25時間洗浄したシリカゲルは、700〜850のSAを有し、0.6〜1.3のPVを有するエアロゲルを形成する。これらの測定値はN多孔度分析によって得られる。アルミナのような無機酸化物ゲル、及びシリカ/アルミナコゲルのような混合無機酸化物ゲルの製造方法も当該技術において周知である。かかるゲルを製造する方法は、米国特許4,226,743(その内容は参照として本明細書中に包含する)に開示されている。一般に、アルミナゲルは、アルカリ金属アルミン酸塩と硫酸アルミニウムを混合することによって製造される。コゲルは、2種類の金属酸化物を共ゲル化してゲルが一緒に合成されるようにすることによって製造される。例えば、シリカアルミナコゲルは、アルカリ金属ケイ酸塩を酸又は酸塩と一緒にゲル化し、次にアルカリ金属アルミン酸塩を加え、混合物を熟成し、次に硫酸アルミニウムを加えることによって製造することができる。次に、通常の方法を用いてゲルを洗浄する。
【0042】
[0045]本発明の多孔質粒子状材料は、粒子を望ましい配合物成分にする細孔容積を有していてよい。通常は、多孔質粒子は、窒素ポロシメトリーによって測定して少なくとも約0.20cc/g、より通常的には0.30cc/gの細孔容積を有する。本発明の1つの代表的な態様においては、多孔質粒子は、窒素ポロシメトリーによって測定して少なくとも約0.30cc/gの細孔容積を有する。望ましくは、多孔質粒子は、窒素ポロシメトリーによって測定して約0.30〜約0.85cc/gの細孔容積を有する。
【0043】
[0046]本発明の多孔質粒子状材料はまた、BET法(即ちブルナウアー・エメット・テラー法)によって測定して少なくとも約1m/gの表面積を有する。本発明の1つの代表的な態様においては、多孔質粒子は、約1m/g〜約1000m/gのBET表面積を有する。本発明の更なる代表的な態様においては、多孔質粒子は少なくとも約10m/gのBET表面積を有する。
【0044】
[0047]細孔容積及び表面積は、例えばQuantachrome Instruments (Boynton Beach, FL)から商業的に入手できるAutosorb 6-Bユニットを用いて測定することができる。通常は、多孔質粉末の細孔容積及び表面積は、約150℃で乾燥し、真空下(例えば50ミリトル)、400℃において約3時間脱気した後に測定する。
【0045】
[0048]粒子状材料は、通常は約0.1〜約35ミクロン(μm)の範囲の平均粒径を有する。本明細書において用いる「平均粒径」という用語は、一組の粒子内のそれぞれの粒子の最大寸法の平均値を指す。幾つかの代表的な態様においては、粒子状材料は約1〜約20μmの範囲の平均粒径を有する。より望ましい態様においては、粒子状材料は約2〜約10μmの範囲(例えば、約10、9、8、7、6、5、4、3、2、1ミクロン以下、及び900、800、700、600、500、400、300、200、又は100nm、更には約100nm未満などの1ミクロンより小さい任意の寸法)の平均粒径を有する。
【0046】
[0049]粒子状材料は、通常は組成物の全重量を基準として0重量%より多く約80重量%以下の量で本発明の組成物中に存在する。幾つかの代表的な態様においては、組成物は、組成物の全重量を基準として約1重量%〜約50重量%、より通常的には約1重量%〜約20重量%、更により通常的には約1重量%〜約10重量%の範囲の量の1種類以上の粒子状材料を含む。クリーム配合物の幾つかの代表的な態様に関しては、配合物中に通常存在する粒子状材料の量は、組成物の全重量を基準として0重量%より多く約20重量%以下、より通常的には約1重量%〜約10重量%、更により通常的には約2重量%〜約8重量%であってよい。
【0047】
[0050]幾つかの代表的な態様においては、流体相(下記で議論する)において用いる1種類以上の成分の屈折率に合致するか又はこれに比較的近い屈折率(RI)を有する1種類又は複数の材料を選択することが有益である可能性がある。通常は、1種類又は複数の粒子状材料は、約1.2〜約1.8の範囲の屈折率(RI)を有する。幾つかの代表的な態様においては、粒子状材料は、約1.4〜約1.6の屈折率を有するシリカ粒子を含む。
[0051]代表的な態様においては、粒子状材料は、表面処理して材料の表面特性を変化させることができる。例えば、種々の有機材料(例えばシラン、シロキサン等)で処理することによって、粒子状材料の表面を処理してそれらを疎水性にすることができる。幾つかの金属酸化物の表面は非常に親水性であるので(例えばシリカ)、粒子はより大きな粒子に凝集又は凝塊する傾向がある。金属酸化物粒子の表面を疎水性材料で処理すると、粒子は凝集せず、それによって別個の安定な粒子が維持される。かかる疎水性材料としては、シラン、エステル、アルコール等のような種々の有機化合物が挙げられ、親水性の金属酸化物を疎水性にする例は、米国特許2,786,042及び2,801,185(その全ての主題は参照として本明細書中に包含する)において見ることができる。米国特許6,344,240;6,197,384;3,924,032;及び3,657,680;並びにEP−0658523においては、本発明のこの態様において用いることができる種々の粒子表面処理が記載されており、これらの全ての主題は参照として本明細書中に包含する。
【0048】
[0052]他の代表的な態様においては、粒子状材料に、異なる寸法、形状、多孔度、組成、屈折率等の粒子のような種々のタイプの粒子状材料の組合せを含ませることができる。
2.流体相材料:
[0053]本発明の組成物はまた、非揮発性成分及び揮発性成分を含む流体相も含む。流体相には、互いに混和性の非揮発性成分及び揮発性成分の両方を有する単一の流体生成物、或いは組み合わせて非揮発性成分及び揮発性成分をもたらす2以上の流体生成物(即ち別々の相)を含ませることができる。
【0049】
[0054]流体相は、通常は組成物の全重量を基準として0重量%より多く約99.0重量%以下の量で本発明の組成物中に存在する。幾つかの代表的な態様においては、組成物は、組成物の全重量を基準として約10.0重量%〜約98.0重量%、より通常的には約25.0重量%〜約80.0重量%、更により通常的には約35.0重量%〜約65.0重量%の範囲の量の流体相を含む。
【0050】
[0055]与えられた組成物中の非揮発性成分の量は、望ましくは0より大きく約8.0未満の範囲のTAFACPに対する全非揮発分含量(NVC)の重量比Rを有する得られる組成物を与えるのに十分なものである。幾つかの代表的な態様においては、Rは約0.5〜約7.4の範囲である。他の代表的な態様においては、Rは約3.0〜約6.0の範囲である。与えられた組成物に関して選択される成分によって、Rは、得られる組成物が膜/被覆として基質上に(例えば皮膚上に)適用した際に粗い上表面、所望の程度の透明性、及び所望の程度の隠蔽性を有する膜を生成する限りにおいて、約0.5〜約7.4の間の任意の値(例えば、0.5、0.6、0.7・・・7.1、7.2、7.3、及び7.4)であってよい。
【0051】
[0056]通常は、非揮発性成分及び揮発性成分は、Rに関する所望の値がその組合せから得られる限りにおいて、互いに対して任意の量で存在させることができる。幾つかの代表的な態様においては、流体相は、流体相の全重量を基準として約1.0〜約60.0重量%の非揮発性成分、及び約99.0〜約40.0重量%の揮発性成分を含む。更なる代表的な態様においては、流体相は、流体相の全重量を基準として約1.0〜約40.0重量%の非揮発性成分、及び約99.0〜約60.0重量%の揮発性成分を含む。他の代表的な態様においては、流体相は、流体相の全重量を基準として約1.6〜約16.0重量%の非揮発性成分、及び約98.4〜約84.0重量%の揮発性成分を含む。
【0052】
[0057]幾つかの代表的な態様においては、1種類以上の粒子状材料の屈折率に合致するか又はこれに比較的近い屈折率(RI)を有する1種類以上の流体を選択することが有益である可能性がある。通常は、好適な流体は、約1.2〜約1.8の範囲の屈折率(RI)を有する。幾つかの代表的な態様においては、1種類以上の流体は約1.4〜約1.6の屈折率を有する。
【0053】
[0058]好適な非揮発性成分としては、オリーブ油、ヒマワリ油などのような油;ポリエチレンワックスなどのようなワックス;グリセリン;可溶性ポリマー;及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。DOW CORNING(登録商標) 1501、DOW CORNING(登録商標) 5329、及びDOW CORNING(登録商標) 5200(これらは全てDow Corning, Corporation (Midland, MI)から商業的に入手できる);Crodamol CP、Crodamol DIBA、Crodamol MM、Crodamol GTCC、Crodamol ICS(これらは全て、Croda Inc.から入手できる);Cetiol J-600、Cetiol A、Cetiol 868、Cetiol CC、Cetiol LDO(これらは全てCognis Corporationから入手できる);の商品名で商業的に入手できる流体など(しかしながらこれらに限定されない)の非揮発性成分をもたらす数多くの商業的に入手できる生成物を、本発明において用いることができる。
【0054】
[0059]好適な揮発性成分としては、DOW CORNING(登録商標) 245流体のような揮発性シリコーン;水、エタノールのような溶媒;揮発性香料;など;及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0055】
3.更なる成分:
[0060]本発明の組成物には、1以上の更なる成分を更に含ませることができる。本発明の組成物において用いるのに好適な更なる成分としては、脱イオン(DI)水、保湿剤、界面活性剤、軟化剤、香料、ポリマー(二次粒子を形成することができる不溶ポリマー、又は可溶ポリマーなど)、又はこれらの任意の組合せが挙げられるが、これらに限定されない。
【0056】
[0061]通常は、本発明の組成物は脱イオン(DI)水を含む。存在する場合には、脱イオン(DI)水は、与えられた組成物の全重量を基準として約50〜約90重量%の範囲の量で存在する。幾つかの代表的な態様においては、脱イオン(DI)水は、組成物の全重量を基準として約60重量%〜約80重量%、より通常的には約70重量%〜約76重量%、更により通常的には約72重量%〜約74重量%の範囲の量で与えられた組成物中に存在する。しかしながら、存在する場合には、脱イオン(DI)水の量は所望のように変動させることができる。
【0057】
[0062]脱イオン(DI)水以外のそれぞれの更なる成分(例えば、保湿剤、軟化剤、又は香料)は、与えられた組成物の全重量を基準として0より多く約30重量%までの範囲の量で存在させることができる。
【0058】
B.組成物の形態:
[0063]本発明の組成物は以下の形態の1以上を有することができる。
1.懸濁液:
[0064]本発明の組成物は、通常は、粘稠な液体マトリクス(例えば流体相)、及び粘稠な液体マトリクス内に懸濁している粒子状材料を有する懸濁液として配合される。
【0059】
2.膜又は被覆:
[0065]本発明の組成物はまた、皮膚のような基質上の膜又は被覆として存在させることもできる。通常は、本発明の与えられた組成物を膜の形態で基質(例えば皮膚)上に適用した後、揮発性成分の少なくとも一部を組成物から蒸発させて、図2に示す構造を有する膜を残留させる。
【0060】
[0066]図2に示すように、代表的な膜20は、ビヒクルマトリクス21(例えば流体相)を、その中に分散している粒子状材料22と共に含む。代表的な膜20はまた粗い上表面24を有し、これによって上表面24において相当量の光散乱を与える。通常は、代表的な膜20は、上表面24の表面形状を考えると、存在していても非常に僅かな膜内光散乱しか示さない。
【0061】
[0067]図2に示すように、上表面24は、最外側の粗い表面(即ち上表面24)に沿って1以上のより低い表面の点26、及び最外側の粗い表面(即ち上表面24)に沿って1以上のより高い表面の点27を有し、ここで1以上のより低い表面の点26は、少なくとも約0.1μm、通常は約0.1〜約70μmの距離dだけz方向(即ち、代表的な膜20がその上に配置される基質に対して垂直の方向)において1以上のより高い表面の点27から離隔している。更に、2以上のより低い表面の点の間に広がる上表面24の部分は、約45°より大きく(又は約90°より大きく、又は約135°より大きく)、約180°以上の大きさである円弧角を有する円弧形状を示していてよい。より低い表面の点26aとより低い表面の点26bとの間に示される上表面28の部分のようなかかるより高い表面の部分は、距離l内で180°以上の大きさの円弧角を示し、より低い表面の点26aとより低い表面の点26bとの間でx方向に広がっている。通常は、距離lは約20μm未満、通常は約20〜約1μmである。
【0062】
[0068]他の代表的な態様においては、本発明の組成物は、0より大きい粒子の全有効流体吸収能力(TAFACP)の値を有する粒子状材料;並びに、非揮発性成分及び揮発性成分を含む流体相;を含み;粒子状材料及び非揮発性成分は実質的に同等の屈折率を有する。例えば、粒子状材料の屈折率と非揮発性成分の屈折率とは、約50%、40%、30%、20%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%の範囲内であってよく、或いは更には同一であってよい。粒子状材料が約1.46の屈折率を有するシリカである代表的な態様においては、非揮発性成分は、約1〜約2、約1.25〜約1.85、約1.30〜約1.80、約1.35〜約1.75、及び更には1.40〜約1.60の範囲の屈折率を有していてよい。
【0063】
[0069]更なる代表的な態様においては、本発明は、0より大きい粒子の全有効流体吸収能力(TAFACP)の値を有する粒子状材料;並びに、非揮発性成分及び揮発性成分を含む流体相;を含み;透明被覆を通る光の全透過率に対する光の拡散透過率の割合が、被覆の厚さが増加しても実質的に一定に維持される透明被覆に関する。この態様においては、被覆を通って透過する際に散乱にかけられる光の量が制限され、これによって、被覆の厚さがどのようなものであっても被覆を有効に機能させることができる。これにより、更なる配合の変更の必要なしに数多くの用途において用いることができる化粧品が提供される。
【0064】
[0070]他の代表的な態様においては、本発明は、0より大きい粒子の全有効流体吸収能力(TAFACP)の値を有する粒子状材料;並びに、非揮発性成分及び揮発性成分を含む流体相;を含み;粒子状材料が被覆内に測定可能な膜内光散乱を与えないが、表面散乱を与えて、これによって皮膚及びケラチンの欠陥を隠蔽する、皮膚の欠陥を隠蔽するための透明被覆に関する。この態様においては、光散乱は被覆内ではなく被覆の表面上で起こり、これによって望ましいソフトフォーカス性が与えられる。この効果は、この態様の被覆を、被覆のものと同一又は同様の屈折率を有するポリマーでオーバーコートした際に測定しうる光散乱が観察されないことによって更に示される。
【0065】
[0071]上表面24の上記記載の表面形態のために、代表的な膜20は、通常は、表面光散乱と比べて非常に小さい膜内光散乱を示す。幾つかの代表的な態様においては、代表的な膜20は、代表的な膜20の光散乱の全量を基準として、約50%未満の膜内光散乱、及び約50%より多い表面光散乱を示す。他の代表的な態様においては、代表的な膜20は、代表的な膜20の光散乱の全量を基準として、約30%未満(又は約25%未満、又は約20%未満、又は約15%未満、又は約10%未満、又は約5%未満、又は約4%未満、又は約3%未満、又は約2%未満、又は更には約1%未満)の膜内光散乱、及び約70%より大きい(又は約75%より大きく、又は約80%より大きく、又は約85%より大きく、又は約90%より大きく、又は約95%より大きく、又は約99%より大きい)表面光散乱を示す。
【0066】
[0072]上記記載の表面粗さを有することに加えて、代表的な膜20は所望の程度の透明性を有する。望ましくは、代表的な膜20は、代表的な膜20が約200μm以下の膜厚さを有する場合であっても、代表的な膜20の下に配置される基質表面(例えば皮膚表面)の色及び調子を目視観察することを可能にする所望の程度の透明性を有する。例えば、代表的な膜20を約100μm以下の膜厚さで皮膚上に被覆した場合、代表的な膜20の透明性によって、代表的な膜20を通して皮膚の色及び調子を目視観察することが可能である。更に、代表的な膜20の透明性及び組成は、代表的な膜20を通して皮膚の外観を変化させない(即ち、代表的な膜20で被覆又は処置した皮膚は処置していない皮膚と実質的に同じように見える)。
【0067】
[0073]上記記載の表面粗さのために、代表的な膜20はまた、代表的な膜20が約1μm程度の薄い膜厚さを有する場合であっても、代表的な膜20の下に配置される基質表面(例えば皮膚表面)における表面の欠陥を隠蔽する所望の程度の隠蔽能力を有する。開示されている膜の優れた隠蔽性は、少なくとも部分的に、膜内光散乱に代わる代表的な膜20の大きな表面光散乱の結果であると考えられる。
【0068】
II.組成物、被覆、及び被覆基質の製造方法:
[0074]本発明は更に、表面の欠陥を隠蔽することができる組成物のような化粧品として用いるのに好適な組成物の製造方法に関する。1つの代表的な態様においては、組成物の製造方法は、(i)0より大きいTAFACP値を有する上記記載の粒子状材料、及び(ii)上記記載の流体相;を含む混合物を形成することを含み、得られる組成物は、0より大きく約8.0未満のTAFACPに対する全非揮発分含量(NVC)の重量比Rを有する。
【0069】
[0075]組成物の製造方法には更に、1以上の上記記載の更なる成分を混合物中に含ませる工程;粒子状材料、流体相、及び任意の場合によって用いる更なる成分を室温において混合する工程;1以上の成分を流体相に加えながら流体相を(例えば約100℃未満の温度に)加熱する工程;及び、得られる組成物を密封可能な容器(例えば密封可能なビン、プラスチックボトル、又は再密封可能な袋)内に収納する工程;など(しかしながらこれらに限定されない)の1以上の更なる工程を含ませることができる。
【0070】
[0076]他の代表的な態様においては、組成物の製造方法は、粒子状材料のTAFACP値に対する全非揮発分含量(NVC)の重量比Rの特定の値を選択し;混合物の得られるR値が選択されたRの値と等しくなるように、(i)上記記載の粒子状材料、及び(ii)上記記載の流体相の混合物を形成する;ことを含む。
【0071】
[0077]1つの望ましい態様においては、組成物の製造方法は、人間の皮膚の上に適用するように特に配合されている化粧組成物を形成することを含む。この代表的な態様においては、この方法は、通常は、(i)0より大きいTAFACP値を有する上記記載の粒子状材料、(ii)上記記載の流体相(得られる組成物は、0より大きく約8.0未満の範囲のTAFACPに対する全非揮発分含量(NVC)の重量比Rを有する)、(iii)脱イオン水、及び(iv)場合によっては、他の化粧配合添加剤(例えば、保湿剤、軟化剤、香料、可溶性ポリマー、固化ポリマー、又はこれらの任意の組合せ)を含む混合物を形成することを含む。
【0072】
[0078]本発明はまた、被覆を形成する方法、並びに被覆基質及び多層物品を形成する方法にも関する。1つの代表的な態様においては、上記記載の組成物を基質上に適用することを含む被覆を形成する方法を開示する。得られる被覆基質は、上記記載の懸濁液又は膜で少なくとも部分的に被覆されている基質を含む。被覆を形成する方法には、組成物を適用する前に基質を予備処置(例えば洗浄)することなど(しかしながらこれらに限定されない)の1以上の工程を更に含ませることができる。
【0073】
[0079]被覆基質又は多層物品を形成する方法には、1以上の更なるプロセス工程を更に含ませることができる。好適な更なるプロセス工程としては、容器から展開可能/被覆可能な組成物を取り出すこと、約200μm未満の所望の膜厚さを有する組成物の膜が形成されるように組成物を基質上に展開すること、及び上記に記載の工程のいずれかを繰り返すことが挙げられるが、これらに限定されない。
【0074】
III.用途/使用:
[0080]上記で議論したように、本発明の組成物を用いて基質上に被覆を形成することができる。好適な基質としては、基質表面の欠陥又は欠点は望ましく隠されるが、基質表面の色及び調子が観察されることがなお必要であるものが挙げられる。かかる基質としては、皮膚基質(例えば皮膚)、ケラチン基質(例えば毛髪、爪等)、及び更には非生物基質が挙げられるが、これらに限定されない。1つの代表的な態様においては、本発明の組成物は、得られる化粧処置を通して自然な皮膚の色及び調子を示しながら、皮膚の欠陥を隠蔽するように人間の皮膚の上に化粧処置を形成するために用いる。本組成物は、毎日の皮膚の処置のために用いることができる。
【実施例】
【0075】
[0081]以下の実施例によって本発明を更に示すが、これらはいかなるようにも本発明の範囲に対して限定を与えるように解釈すべきではない。むしろ、本解決手段は種々の他の態様、変更、及びその均等物を有することができ、これらは本明細書中の記載を読んだ後は、本発明の精神及び/又は特許請求の範囲から逸脱することなくそれ自体当業者が示唆することができることが明確に理解される。
【0076】
試験法:
下記の実施例においては以下の試験法を用いた。
非揮発分含量の測定:
[0082]与えられた流体に関し、流体を秤量し、次に60℃において1時間加熱した。非揮発分含量のパーセント(%NVC)は、式:
%NVC=[(W−W)×100]/W
(式中、Wは流体の元々の重量を表し、Wは加熱工程後の流体の最終重量を表す)
を用いて計算した。
【0077】
被覆の光沢性の測定:
[0083]与えられた被覆を、被覆の上表面に対して垂直の角度から約60°において視認観察した。本明細書において用いる「粗い」という用語は低い反射率と同義であり、一方、「光沢」という用語は高い反射率(即ち輝き)を同義である。
【0078】
被覆の不透明性の測定:
[0084]与えられた被覆を、被覆の上表面に対して垂直の角度から約0°において視認観察した。本明細書において用いる「不透明」という用語は皮膚を実質的に隠すことと同義であり、一方、「透明」は皮膚の色/調子が被覆によって実質的に影響を受けずに見られることと同義である。
【0079】
被覆の隠蔽性の測定:
[0085]与えられた被覆を、被覆の上表面に対して垂直の角度から約0°において視認観察した。本明細書において用いる「隠蔽(obscuration)」という用語は、下側の皮膚の特徴(例えば小じわ、ダークスポット、そばかす等)の解像が、被覆していない皮膚と比べて劣っていることと同義である。
【0080】
粒子状材料の油吸着性の測定:
[0086]以下の手順によって顔料の油吸着性を測定し、顔料1gあたりのジブチルフタレート(DBP)のグラム数として表す。一定量の試料をトルク流量計(Brabender Instruments, NJ)の混合室中に充填する。試料を混合しながら、DBPを一定の速度で混合室中に滴加する。トルク流量計は、混合室ブレードを一定のRPMに維持するのに必要なトルクを測定する。積分器によってトルクvs時間をプロットする。試料が飽和点に近付いて融着するにつれてトルクの鋭い増加が起こり、次に飽和点に達して過剰の油が混合ヘッド内に蓄積した後に鋭く減少する。終点は最大トルクの点である。積分器のプリントアウトから、用いたDBPの量を求める。
【0081】
実施例1:種々の流体に関する非揮発分含量の測定
[0087]上記に記載の方法を用いて、幾つかの流体に関して非揮発分含量の重量%(%NVC)を計算した。結果を下表1に示す。
【0082】
【表1】

【0083】
実施例2:種々の濃度の非揮発性成分を含む被覆配合物の性能
[0088]少量の与えられた被覆配合物を皮膚上に適用し、被覆配合物を15分間の乾燥時間乾燥し、次に得られる被覆を評価することによって、下表2に示す試料配合物の性能を評価した。処置された皮膚領域の外観を、上記記載の試験法を用いて、(i)光沢性、(ii)不透明性、及び(iii)隠蔽性に関して評価した。
【0084】
[0089]米国特許6,380,265に開示されている方法にしたがって、アルカリ金属ケイ酸塩(例えばケイ酸ナトリウム)の水溶液を、硝酸又は硫酸のような強酸と混合し、混合を好適な撹拌条件下で行って、約0.5時間未満でヒドロゲル、即ちマクロゲルになる明澄なシリカゾルを形成することによってシリカゲルを製造する。次に、得られるゲルを洗浄する。ヒドロゲル中で形成される無機酸化物、即ちSiOの濃度は通常は約10〜約50重量%の範囲であり、このゲルのpHは約1〜約9、好ましくは1〜約4である。広範囲の混合温度を用いることができ、この範囲は通常は約20〜約50℃である。新しく形成されるヒドロゲルは、水の連続移動流中に単純に浸漬することによって洗浄し、これによって望ましくない塩を除去し、約99.5重量%以上の純度の無機酸化物をその後に残留させる。洗浄水のpH、温度、及び時間は、表面積(SA)及び細孔容積(PV)のようなシリカの物理特性に影響を与える。65〜90℃において8〜9のpHで15〜36時間洗浄したシリカゲルは、通常は250〜400のSAを有し、1.4〜1.7cc/gのPVを有するエアロゲルを形成する。50〜65℃において3〜5のpHで15〜25時間洗浄したシリカゲルは、700〜850のSAを有し、0.6〜1.3のPVを有するエアロゲルを形成する。1.0gのシリカあたり0.8gの油の油吸着容量を有するシリカゲルを、揮発性成分(DOW CORNING(登録商標) 245流体)及び揮発性成分(Mallinckrodt Chemicalsから入手できるWhite Heavyの商品名の鉱油)の混合物中に分散させる。混合物中のシリカの全濃度は同等に維持した。性能に対するNVCの影響を求めるために、非揮発性成分の濃度(NVC)を変化させた。
【0085】
[0090]用いたシリカの量及びその油吸収容量から粒子の全有効流体吸収能力(TAFACP)を計算した。また、それぞれの試料配合物に関してNVC/TAFACPの比も求めた。
【0086】
【表2】

【0087】
[0091]表2に示すように、試料1は添加NVCを含んでいなかった。試料1中にNVCが存在しないことによって、粗いが望ましくなく不透明の膜が得られた。
[0092]試料2〜6は、0.5〜5の範囲の値を有するNVC/粒子の全有効流体吸収能力(TAFACP)の増加した比の値を与える増加する量のNVCを用いて試料配合物を与えた。この範囲のNVC/TAFACPの比の値を有する場合、得られる膜は15分後に化粧クリームの所望の特性の全て、即ち、下側の皮膚の特徴を隠蔽する粗く透明な外観を示した。
【0088】
[0093]試料7〜9は、6〜8の範囲の値を有するNVC/粒子の全有効流体吸収能力(TAFACP)の増加した比の値を与える増加する量のNVCを用いて与えられた試料配合物を記載する。この範囲のNVC/TAFACPの比の値を有する場合、得られる膜は15分後に望ましくない光沢性を示した。
【0089】
実施例3:種々の濃度の非揮発性成分を含む被覆配合物の性能
[0094]少量の与えられた被覆配合物を皮膚上に適用し、被覆配合物を15分間の乾燥時間乾燥し、次に得られる被覆を評価することによって、下表3に示す試料配合物の性能を評価した。処置された皮膚領域の外観を、上記記載の試験法を用いて、(i)光沢性、(ii)不透明性、及び(iii)隠蔽性に関して評価した。
【0090】
[0095]1.0gのシリカあたり0.8gの油の油吸収容量を有する実施例1からのシリカを、ホモジナイザーを用いて72.5gの脱イオン(DI)水中に分散する。次に、流体相をDI水/シリカ混合物に加え、2〜3分間ホモジナイズし、次にSEPIGEL(商標) 305(Southern Soapers (Hampton, VA)から商業的に入手できる)を加えた。
【0091】
[0096]DOW CORNING(登録商標) 245流体、鉱油(White Heavy)、DOW CORNING(登録商標) 5329、及びDOW CORNING(登録商標) 5200の1以上を混合することによってそれぞれの流体相を形成した。それぞれの混合物のシリカの全濃度は同等に維持した。流体相の重量を一定に維持したが、非揮発性成分の濃度(NVC)は、性能に対するNVCの効果を求めるために変化させた。
【0092】
[0097]それぞれの試料中のNVCの含量を下表3に示す。それぞれの試料に関して、用いたシリカの量及びその油吸収容量から粒子の全有効流体吸収能力(TAFACP)を計算した。また、それぞれの試料に関してNVC/粒子の全有効流体吸収能力(TAFACP)の比も求め、下表3に示す。
【0093】
【表3】

【0094】
[0098]試料10〜11は、1.5〜2.5の範囲の値を有するNVC/粒子の全有効流体吸収能力(TAFACP)の増加した比の値を与える増加する量のNVCを用いて試料配合物を与えた。この範囲のNVC/TAFACPの比の値を有する場合、得られる膜は粗く且つ望ましくなく不透明であった。
【0095】
[0099]試料12〜15は、3.5〜6.5の範囲の値を有するNVC/粒子の全有効流体吸収能力(TAFACP)の増加した比の値を与える増加する量のNVCを用いて試料配合物を与えた。この範囲のNVC/TAFACPの比の値を有する場合、得られる膜は15分後に化粧クリームの所望の特性の全て、即ち、下側の皮膚の特徴を隠蔽する粗く透明な外観を示した。
【0096】
[0100]試料16〜17は、8.5〜11.5の範囲の値を有するNVC/粒子の全有効流体吸収能力(TAFACP)の増加した比の値を与える増加する量のNVCを用いて試料配合物を与えた。この範囲のNVC/TAFACPの比の値を有する場合、得られる膜は15分後に望ましくない光沢性を示した。
【0097】
実施例4:膜厚さを増加させた際の得られる膜の光学特性:
[0101]2つの膜(即ちシリカ及びチタニア)の光学特性を評価して、2つの膜の光学特性に対する膜厚さの影響を求めた。(i)23重量%の粒子(即ち、Sigma-AldrichからのTiO粒子又はシリカゲル粒子)、及び(ii)約1.49〜1.53の屈折率(RI)を有する77重量%のポリビニルアルコール(PVOH)バインダー材料を含む組成物を形成することによって膜を製造した。得られる組成物は15重量%の固形分含量を有していた。12〜100μmの範囲の湿潤膜厚さを有するように組成物をガラススライド上に展開し、次に加温空気流中で乾燥した。積分球を備えたShimazu UV-2401PC紫外−可視分光光度計を用いて、得られた膜を550nmにおいて評価した。式:100×(拡散透過率/全透過率)を用いることによって、全透過率に対する拡散透過率(%)を計算する。
【0098】
[0102]下表4に示すように、TiO粒子(アナターゼ、RI=2.5)を含む膜は、粒子の屈折率(RI)とPVOHバインダー材料の屈折率(RI)との間の比較的大きな差に起因する相当な膜内散乱を示した。膜厚さが増加すると、膜組成物は全透過率の大きな減少(及び関連する不透明性の増加)を示した。
【0099】
[0103]対比的に、シリカゲル粒子(RI=1.46)を含む膜は、(i)粒子の屈折率(RI)とPVOHバインダー材料の屈折率(RI)との間の比較的小さい差に起因する最小の膜内散乱、及び(ii)最外側膜表面の粗さによる全透過率に対する拡散透過率の値(%)によって示される膜表面における大きな散乱を示した。シリカゲルを含む膜は、全透過率、及び全透過率に対する拡散透過率の値(%)の両方に関して、膜厚さに伴う変動が最小である望ましい特性を有していた。かかる生成物は、望ましくは、膜の塗布厚さが特に均一でない場合においても、皮膚に対する隠蔽性及び反射性の両方で非常に均一な外観を与える。
【0100】
【表4】

【0101】
[0104]本発明を限られた数の態様によって説明したが、これらの特定の態様は本明細書において他に記載され特許請求されている発明の範囲を限定することを意図するものではない。更なる修正、均等物、及び変更が可能であることは、本明細書中の代表的な態様を検討することにより当業者に明らかである。実施例及び明細書の残りの部分における全ての部及びパーセントは、他に特定しない限り重量基準である。更に、明細書又は特許請求の範囲において示す全ての数値範囲、例えば特性の特定の組、測定値の単位、条件、物理的状態、又は割合を示すものは、明らかに、言及するか又は他の方法で示すかかる範囲内に含まれる全ての数、並びにそのように示されている任意の範囲内の数の任意の部分集合を文字通り含むものであると意図される。例えば、下限R及び上限Rを有する数値範囲が開示されている場合には常に、この範囲内に含まれる任意の数Rが具体的に開示されている。特に、この範囲内の次の数R:R=R+k(R−R)(式中、kは1%の増分で1%〜100%の範囲の変数であり、例えばkは、1%、2%、3%、4%、5%、・・・50%、51%、52%、・・・95%、96%、97%、98%、99%、又は100%である)が具体的に開示されている。更に、上記で算出されるRの任意の二つの値によって表される任意の数値範囲も、具体的に開示されている。本明細書において示し記載したものに加えて、本発明の任意の修正は、上記の記載及び添付の図面から当業者に明らかとなるであろう。かかる修正は、特許請求の範囲内に包含されると意図される。本明細書において引用した全ての公報はその全部を参照として本明細書中に包含する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
0より大きい粒子の全有効流体吸収能力(TAFACP)の値を有する粒子状材料;並びに
非揮発性成分;及び
揮発性成分;
を含む流体相;
を含み、
0より大きく約8.0未満のTAFACPに対する全非揮発分含量(NVC)の重量比Rを有する組成物。
【請求項2】
粒子状材料が約0.1〜約35ミクロンの範囲の平均粒径を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
流体相が2以上の別個の相を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
流体相が、流体相の全重量を基準として約1.0〜約60.0重量%の非揮発性成分及び約99.0〜約40.0重量%の揮発性成分を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
流体相が、流体相の全重量を基準として約1.0〜約40.0重量%の非揮発性成分及び約99.0〜約60.0重量%の揮発性成分を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
Rが約0.5〜約7.4の範囲である、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
Rが約2.0〜約6.0の範囲である、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
組成物が、脱イオン水、保湿剤、軟化剤、香料、可溶性ポリマー、又はこれらの任意の組合せから選択される1種類以上の更なる成分を更に含む、請求項6に記載の組成物。
【請求項9】
組成物が、組成物の全重量を基準として約1.0〜約50.0重量%の粒子状材料及び約99.0〜約50.0重量%の流体相を含む、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
請求項1に記載の組成物を含む膜。
【請求項11】
膜が最外側の粗い表面を有する実質的に透明な連続膜を含む、請求項10に記載の膜。
【請求項12】
最外側の粗い表面が少なくともおよそ光の波長の表面粗さを有する、請求項11に記載の膜。
【請求項13】
最外側の粗い表面が、最外側の粗い表面に沿った1以上のより低い表面の点、及び最外側の粗い表面に沿った1以上のより高い表面の点を有し、1以上のより低い表面の点が約0.05〜約20.0μmの距離だけz方向において1以上のより高い表面の点から離隔している、請求項11に記載の膜。
【請求項14】
外側皮膚表面を有する皮膚;及び
外側皮膚表面上の請求項1に記載の組成物;
を含む多層物品。
【請求項15】
0より大きい粒子の全有効流体吸収能力(TAFACP)の値を有する粒子状材料;並びに
非揮発性成分;及び
揮発性成分;
を含む流体相;
を含み、
(i)0より大きく約8.0未満のTAFACPに対する全非揮発分含量(NVC)の重量比Rを有する膜。
【請求項16】
流体相が、流体相の全重量を基準として約1.0〜約60.0重量%の非揮発性成分及び約99.0〜約40.0重量%の揮発性成分を含む、請求項15に記載の膜。
【請求項17】
流体相が、流体相の全重量を基準として約1.0〜約40.0重量%の非揮発性成分及び約99.0〜約60.0重量%の揮発性成分を含む、請求項15に記載の膜。
【請求項18】
Rが約0.5〜約7.4の範囲である、請求項15に記載の膜。
【請求項19】
Rが約2.0〜約6.0の範囲である、請求項15に記載の膜。
【請求項20】
外側皮膚表面を有する皮膚;及び
外側皮膚表面上の請求項15に記載の膜;
を含む多層物品。
【請求項21】
0より大きい粒子の全有効流体吸収能力(TAFACP)の値を有する粒子状材料;並びに
非揮発性成分;及び
揮発性成分;
を含む流体相;
を含み、
(i)0より大きく約8.0未満のTAFACPに対する全非揮発分含量(NVC)の重量比Rを有する組成物を外側皮膚表面上に適用することを含む、皮膚の欠陥を隠蔽する方法。
【請求項22】
流体相が、流体相の全重量を基準として約1.0〜約60.0重量%の非揮発性成分及び約99.0〜約40.0重量%の揮発性成分を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
流体相が、流体相の全重量を基準として約1.0〜約40.0重量%の非揮発性成分及び約99.0〜約60.0重量%の揮発性成分を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
Rが約0.5〜約7.4の範囲である、請求項21に記載の方法。
【請求項25】
Rが約2.0〜約6.0の範囲である、請求項21に記載の方法。
【請求項26】
0より大きい粒子の全有効流体吸収能力(TAFACP)の値を有する粒子状材料;並びに
非揮発性成分;及び
揮発性成分;
を含む流体相;
を含み、
非揮発性成分が、少なくとも粒子状材料の細孔及び粒子間空隙を満たす量で組成物中に存在する組成物。
【請求項27】
流体相が、流体相の全重量を基準として約1.0〜約60.0重量%の非揮発性成分及び約99.0〜約40.0重量%の揮発性成分を含む、請求項26に記載の組成物。
【請求項28】
流体相が、流体相の全重量を基準として約1.0〜約40.0重量%の非揮発性成分及び約99.0〜約60.0重量%の揮発性成分を含む、請求項26に記載の組成物。
【請求項29】
0より大きい粒子の全有効流体吸収能力(TAFACP)の値を有する粒子状材料;並びに
非揮発性成分;及び
揮発性成分;
を含む流体相;
を含み、透明被覆を通る光の全透過率及び拡散透過率が、被覆の厚さが増加しても実質的に一定に維持される透明被覆。
【請求項30】
流体相が、流体相の全重量を基準として約1.0〜約60.0重量%の非揮発性成分及び約99.0〜約40.0重量%の揮発性成分を含む、請求項29に記載の被覆。
【請求項31】
流体相が、流体相の全重量を基準として約1.0〜約40.0重量%の非揮発性成分及び約99.0〜約60.0重量%の揮発性成分を含む、請求項29に記載の被覆。
【請求項32】
0より大きい粒子の全有効流体吸収能力(TAFACP)の値を有する粒子状材料;並びに
非揮発性成分;及び
揮発性成分;
を含む流体相;
を含み、
粒子状材料が被覆内において実質的な膜内の光散乱を与えないが、表面散乱を与えて、これによって皮膚及びケラチンの欠陥を隠蔽する、皮膚の欠陥を隠蔽するための透明被覆。
【請求項33】
流体相が、流体相の全重量を基準として約1.0〜約60.0重量%の非揮発性成分及び約99.0〜約40.0重量%の揮発性成分を含む、請求項32に記載の被覆。
【請求項34】
流体相が、流体相の全重量を基準として約1.0〜約40.0重量%の非揮発性成分及び約99.0〜約60.0重量%の揮発性成分を含む、請求項32に記載の被覆。
【請求項35】
0より大きい粒子の全有効流体吸収能力(TAFACP)の値を有する粒子状材料;並びに
非揮発性成分;及び
揮発性成分;
を含む流体相;
を含み、
粒子状材料及び非揮発性成分が実質的に同等の屈折率を有する透明被覆。
【請求項36】
流体相が、流体相の全重量を基準として約1.0〜約60.0重量%の非揮発性成分及び約99.0〜約40.0重量%の揮発性成分を含む、請求項35に記載の被覆。
【請求項37】
流体相が、流体相の全重量を基準として約1.0〜約40.0重量%の非揮発性成分及び約99.0〜約60.0重量%の揮発性成分を含む、請求項35に記載の被覆。
【請求項38】
粒子状材料及び非揮発性成分が互いに10%以内の屈折率を有する、請求項35に記載の被覆。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2013−515773(P2013−515773A)
【公表日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−547105(P2012−547105)
【出願日】平成22年12月14日(2010.12.14)
【国際出願番号】PCT/US2010/060202
【国際公開番号】WO2011/081902
【国際公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【出願人】(590001706)ダブリュー・アール・グレース・アンド・カンパニー−コーン (13)
【氏名又は名称原語表記】W R GRACE & CO−CONN
【Fターム(参考)】