説明

扁平形電池

【課題】セパレータが正極材と負極缶の内面との間に強く挟まれることに起因するセパレータの破損を防止できるようにする。
【解決手段】正極缶3と負極缶5とからなる電池缶1と、正極材7の上側にセパレータ10を介して負極材9を配する発電要素2と、正極缶3と負極缶5との周縁間に配されるガスケット6とを有する。電池缶1内に発電要素2を収容した状態で、ガスケット6によって正極缶3と負極缶5との間を封止する。負極缶5の収容部21に負極材9を収容している。正極缶3の底壁12の中央側を下向きに膨出して正極缶3の内面側に凹部13を段落ち状に形成してあり、この凹部13で正極材7を受け止めている。ガスケット6は、正極材7の周側面に対して直接に臨む規制面32を正極材7の周側面の周方向に形成していて、規制面32で正極材7の横方向の移動を規制している。規制面32の内法寸法D2は、収容部21の内法寸法D1よりも小さくなっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボタン型電池やコイン型電池などの扁平形電池に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1〜3には、上向きに開口する正極缶と下向きに開口する負極缶とからなる電池缶と、正極材の上側にセパレータを介して負極材を配する発電要素と、正極缶と負極缶との周縁間に配されて正極缶と負極缶とを絶縁するガスケットとを有していて、電池缶の内部に発電要素を収容した状態で、ガスケットによって正極缶と負極缶との間を封止する扁平形電池が開示されている。
【0003】
【特許文献1】特開2003−151511号公報(図1)
【特許文献2】特開2005−203170号公報(図5)
【特許文献3】特開2005−243338号公報(図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1〜3の電池では、製造誤差による位置ずれや使用時の衝撃などで正極材が、正極缶の底壁の中心部から横方向にずれることがある。この場合、セパレータが、正極材と電池缶の内面との間に強く挟まれて破れるおそれがある。このセパレータの破損によって、負極材や負極缶の内面と正極材とが短絡して電池の破損などを招くおそれがある。
【0005】
また、前記電池では、使用時の放電に伴って負極材の体積が徐々に減るとともに正極材の体積が徐々に増加する。この正極材の体積増加に応じてセパレータが負極缶側に徐々に上昇し、これによってセパレータが正極材と電池缶の内面との間に強く挟まれて破れるおそれがある。この場合も、負極材や負極缶の内面と正極材とが短絡するおそれがある。
【0006】
そこで本発明の目的は、衝撃や放電に伴う正極材の体積増加などによって、セパレータが正極材と電池缶の内面との間に強く挟まれて破損することを防止できる扁平形電池を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明が対象とする扁平形電池は、図1に示すごとく、上向きに開口する正極缶3と下向きに開口する負極缶5とからなる電池缶1と、正極材7の上側にセパレータ10を介して負極材9を配する発電要素2と、正極缶3と負極缶5との周縁間に配されて正極缶3と負極缶5とを絶縁するガスケット6とを有していて、電池缶1の内部に発電要素2を収容した状態で、ガスケット6によって正極缶3と負極缶5との間を封止するようになっている。ここでの扁平形電池は、ボタン型電池やコイン型電池などの他、扁平四角形状の電池なども含まれる。
【0008】
本発明は、負極缶5の上壁側に設けた収容部21に負極材9を収容しており、正極缶3の底壁12の中央側を下向きに膨出させて、正極缶3の内面側に凹部13を段落ち状に形成してあって、凹部13で正極材7を受け止めており、ガスケット6は、正極材7の周側面に対して直接に臨む規制面32を正極材7の周側面の周方向に形成して、規制面32で正極材7の横方向の移動を規制しており、規制面32の内法寸法D2が、収容部21の内法寸法D1よりも小さくなるよう設定してあることを特徴とする。
【0009】
ガスケット6の規制面32が正極材7の周側面に対して直接に臨む場合としては、ガスケット6の規制面32と正極材7の周側面とが互いに密着している場合や、規制面32と正極材7の周側面とが、セパレータ10の周縁部が入り込まない程度の隙間を介して臨んでいる場合などが含まれている。
【0010】
収容部21の内法寸法D1としては、ボタン型電池の場合には、円柱状の収容部21の内径寸法が該当し、規制面32の内法寸法D2としては、円環状のガスケット6の規制面32の内径寸法が該当する。扁平四角形状の電池の場合には、規制面32の前後および左右の内法寸法D2が、収容部21の前後および左右の内法寸法D1よりもそれぞれ小さくなるよう設定することになる。
【0011】
ガスケット6の規制面32は、図5に示すごとく、正極材7の周方向に対して分散した状態で形成されているものとすることができる。ここでの規制面32の内法寸法D2は、ガスケット6において各規制面32よりも内側であって、正極材7が嵌まり込むことができる領域(図5の二点鎖線のほぼ内側)の内法寸法が該当する。規制面32は、正極材7の横方向の移動を規制できる程度に分散されているものであればよく、その規制面32の分散数は、任意の個数(例えば3個)に設定できる。また、各規制面32は、一定間隔で形成してもよく、間隔を異ならせて形成してもよい。
【0012】
具体的には、ガスケット6の規制面32の内法寸法D2が、負極缶5の収容部21の内法寸法D1よりも少なくともセパレータ10の厚さ寸法の2倍分だけ小さくなるよう設定してある。言い換えると、規制面32の内法寸法D2と、収容部21の内法寸法D1との比(D2/D1)が、0.80〜0.98になるよう設定してある。
【0013】
正極材7の外法寸法は、規制面32の内法寸法D2の0.7〜0.9倍に設定されていることが好ましい。正極材7は、その外周面に装着される正極リング11を含んでいるものとすることができる。正極材7は、正極活物質として二酸化マンガンを含有するものとすることができる。正極リング11は、平面視で円形状の場合や四角形状の場合などが含まれる。正極リング11は、導電性を有する金属などからなる場合と、絶縁性のプラスチックなどからなる場合とが含まれる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、正極缶3の底壁12に凹部13を設けることで、電池内圧が異常上昇したときの正極缶3の下向きの膨張変形を凹部13のみで受け止めて、正極缶3の底壁12の周縁側である封止壁部15などの過度の変形を抑え、負極缶5と正極缶3との間での密封性の低下を抑えることができる。
【0015】
そのうえで、ガスケット6の規制面32で正極材7の横方向の移動を規制して、正極材7が凹部13内で位置ずれしないようにし、かつ規制面32の内法寸法D2を負極缶5の収容部21の内法寸法D1よりも小さくしたので、製造誤差や衝撃などで正極材7が正極缶3の底壁12の周縁側にずれてセパレータ10が正極材7と電池缶1の内面との間に強く挟まれてしまうことがなく、また放電に伴う正極材7の体積増加でセパレータ10が負極缶5側に徐々に上昇しても、セパレータ10が正極材7と電池缶1の内面との間に強く挟まれてしまうことがない。これによって、セパレータ10が破断することを確実に防止でき、セパレータ10の破断で負極材9や負極缶5の内面と、正極材7とが短絡して電池が破損することなどを確実に防止できる。
【0016】
しかも、規制面32が正極材7の周側面に対して直接に臨むので、セパレータ10によるガスケット6の過度の変形を防止できる。つまり、ガスケット6の規制面32と正極材7の周側面との間に、例えば特許文献2のようにセパレータ10の周縁部が入り込むと、そのセパレータ10は、薄手の不織布などからなって周縁部に皺などが生じ易いために、その皺によってセパレータ10の周縁部の一部が重なり合って厚くなる。
【0017】
その厚くなったセパレータ10の周縁部の一部でガスケット6が過度に変形して、ガスケット6による正極材7の横方向の移動の規制が不十分になったり、負極缶5と正極缶3との間での密封性の低下を招いたりするおそれがある。本発明は、規制面32が正極材7の周側面に対して直接に臨むことで、ガスケット6の変形を抑えて、前記正極材7の横方向の移動を確実に規制できるとともに、負極缶5と正極缶3との間での密封性を確実に担保できる。
【0018】
ガスケット6の規制面32が正極材7の周方向に対して分散していると、電池缶1内の容量の低下をできる限り抑えることができながら、セパレータ10が破断することを確実に防止できる。
【0019】
正極材7が正極リング11を含んでいると、セパレータ10が正極リング11と電池缶1の内面との間に挟まれたときには、正極リング11が比較的硬いためにセパレータ10が破断し易くなるが、この場合にも、本発明によってセパレータ10の破断を確実に防ぐことができる。
【0020】
特に、正極材7は、正極活物質として二酸化マンガンを含有すると脆くなるために正極リング11を含むことが好ましく、この場合でもセパレータ10の破断を確実に防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
(実施例1) 図1および図2は、本発明が対象とする扁平形電池の実施例1を示している。電池缶1は、図1に示すごとく、上向きに開口する正極缶3と下向きに開口する負極缶5とからなって、全体が扁平なコイン形状に形成される。電池缶1の内部には、発電要素2が収容されており、正極缶3と負極缶5との周縁間には、円環状のガスケット6が配されている。
【0022】
そして、電池缶1の内部に発電要素2を収容した状態で、負極缶5がガスケット6と共に正極缶3の開口内縁にかしめ固定されることで、ガスケット6によって正極缶3と負極缶5との間が密封(封止)される。また、ガスケット6によって正極缶3と負極缶5とが絶縁される。電池缶1の外径寸法は24.5mm、全厚寸法は5.0mmである。
【0023】
発電要素2は、正極活物質などを円盤形状に固めた正極材7と、負極活物質の金属リチウムまたはリチウム合金を円盤形状に形成した負極材9と、不織布製のセパレータ10と、非水電解質とを含み、正極材7の上側にセパレータ10を介して負極材9が配される。正極材7は、その外周面に装着される正極リング11を含んでいる。正極リング11は、導電性を有するステンレス鋼で形成される。
【0024】
電池組み立て前のブランク状態の正極缶3は、図2に示すごとく、丸皿形状のプレス成形品からなる。正極缶3は、その底壁12の中央側を下向きに膨出させて、正極材7を受け止めるための凹部13を正極缶3の内面側に段落ち状に形成してある。正極缶3の底壁12の周縁側には、ガスケット6の下面に密着する封止壁部15が形成されており、封止壁部15の外周縁に連続して円筒状の周壁16が立ち上げ形成されている。
【0025】
前記凹部13を設けることによって、電池内圧が異常上昇したときの正極缶3の下向きの膨張変形を凹部13のみで受け止めて、封止壁部15が過度に変形して、ガスケット6の下面と封止壁部15との間での密着性が低下することを抑えている。
【0026】
正極リング11は、上下が開口していて正極材7の周側面を形成する円筒部19と、円筒部19の下端から内方へ水平状に延びる円環形状のフランジ部20とを有する。円筒部19の上下高さ寸法は、正極材7全体の上下高さ寸法よりも僅かに小さい。円筒部19の上下高さ寸法と、正極材7全体の上下高さ寸法とは等しくてもよい。円筒部19の上面が開口しているので、正極材7は放電時に上方へ自由に膨張できる。
【0027】
負極缶5は、丸皿形状のプレス成形品からなり、その上壁側に設けられる負極材収容用の収容部21と、収容部21の下端の肩部から外向きに張り出されるフランジ壁22と、フランジ壁22に連続して下向きに突出する封止部23とを一体に有している。封止部23は、はぜ折りされた内外二重の壁で形成してある。
【0028】
ガスケット6は、ポリプロピレン樹脂やポリフェニレンサルファイド樹脂やテトラフルオロエチレン−パーフルオロアルコキシエチレン共重合体などの弾性と絶縁性とに優れたプラスチック材を素材とする射出成形品からなる。
【0029】
ガスケット6は、リング形状のベース部26と、ベース部26の外周縁から上向きに張り出して正極缶3の周壁16と負極缶5の封止部23との間に挟持される外筒壁27と、ベース部26の内周縁から上向きに張り出す内筒壁29と、ベース部26の内周縁から内方へ延びる規制壁31とを有する。
【0030】
規制壁31は、その内周面(規制面)32が正極リング11を含む正極材7の周側面に臨んでいる。つまり、規制壁31の規制面32は、正極リング11を含む正極材7の周側面を周方向に囲むように円環状に形成してあり、かつ凹部13の周縁よりも内方(正極缶3の中心側)に位置している。前記規制面32によって正極材7の横方向の移動が規制される。規制壁31の上下厚さ寸法は、0.25〜1.5mm程度に設定される。
【0031】
正極材7は、正極活物質として二酸化マンガンを含有しており、この二酸化マンガンに、黒鉛、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体およびヒドロキシプロピルセルロースを混合して正極合剤を調整し、所定の金型内に正極リング11をセットしたのちに、前記正極合剤を充填して加圧成形し、この成形体を加熱して円盤状に形成する。
【0032】
セパレータ10は、ポリブチレンテレフタレート繊維を素材とする不織布を使用しており、非水電解質を含浸させている。非水電解質としては、プロピレンカーボネイトと1,2−ジメトキシエタンとを混合した溶媒にLiClO4 を溶解した溶液を用いた。セパレータ10の厚さ寸法は0.3〜0.4mm程度である。
【0033】
負極材9は、図1に示すごとく、その直径寸法(外法寸法)が負極缶5の収容部21の内径寸法(内法寸法)D1よりも小さく設定される。正極リング11を含む正極材7は、直径寸法(外法寸法)が負極材9の直径寸法よりも小さく、かつガスケット6の規制面32の内径寸法(内法寸法)D2よりも僅かに小さく設定される。つまり、正極リング11を含む正極材7の直径寸法は、規制面32の内径寸法D2に対して0.7〜0.9倍程度に設定される。
【0034】
規制面32の内径寸法D2は、負極缶5の収容部21の内径寸法D1よりも少なくともセパレータ10の厚さ寸法(0.3〜0.4mm)の2倍分だけ小さくなるよう設定してある。すなわち、規制面32の内径寸法D2は、収容部21の内径寸法D1よりも0.6〜0.8mm程度だけ小さくなる。具体的には、規制面32の内径寸法D2と、収容部21の内径寸法D1との比(D2/D1)は0.80〜0.98に設定される。
【0035】
扁平形電池の組み立てに際しては、図1とは天地を逆姿勢にした状態で組み立てる。正極材7は、前述のごとく正極リング11内に装填しておく。そして、負極缶5の開口端部にガスケット6を装着し、負極缶5の収容部21の内面に負極材9を導電性接着剤などで固定したのちに、セパレータ10および正極材7を負極材9の上側に重ねるように組み付ける。
【0036】
次に、負極缶5内に非水電解液を注入したうえで、正極缶3を上方より被せて負極缶5とガスケット6とを正極缶3内に嵌め込み、正極缶3の周壁16の開口端部を内方に向けてかしめ加工する。これによって電池の組み立てが完了する。この状態で、正極リング11を含む正極材7の下端が凹部13内に嵌まり込んでいる(図1の状態)。
【0037】
正極缶3と負極缶5との周縁間にガスケット6が圧縮状態で挟み込まれることで、電池缶1内が密封される。正極材7および正極リング11の下面は、正極缶5の凹部13の内面に接していて、正極材7が正極缶3に導通している。
【0038】
ガスケット6の規制面32によって正極材7が正極缶3の底壁12のほぼ中央に位置決めされ、かつD2/D1が0.80〜0.98の範囲内に設定されるので、正極リング11を含む正極材7と、電池缶1の内面との間にセパレータ10が挟み込まれることがない。
【0039】
(実施例2) 図3は、実施例2に係る扁平形電池を示している。実施例2では、ガスケット6の内筒壁29が、ベース部26の内周縁から内方へ延びる規制壁31の内周縁から上向きに張り出しており、その内筒壁29の内周面で前記規制面32を形成してある。その他の点は、実施例1と同じであるので説明を省略する。
【0040】
実施例2でも、規制面32によって正極材7が正極缶3の底壁12のほぼ中央に位置決めされ、規制面32の内径寸法D2と、収容部21の内径寸法D1との比(D2/D1)が0.80〜0.98に設定されている。
【0041】
(実施例3) 図4は、実施例3に係る扁平形電池を示している。実施例3では、ガスケット6の内筒壁29が、ベース部26の内周縁から内方へ延びる規制壁31の内周縁から下向きに張り出しており、その内筒壁29の内周面で前記規制面32を形成してある。その他の点は、実施例1と同じであるので説明を省略する。
【0042】
実施例3でも、規制面32によって正極材7が正極缶3の底壁12のほぼ中央に位置決めされ、規制面32の内径寸法D2と、収容部21の内径寸法D1との比(D2/D1)が0.80〜0.98に設定されている。
【0043】
(実施例4) 図5は、実施例4の扁平形電池に係るガスケット6を示している。実施例4では、ガスケット6の規制壁31が、正極材7の周側面の周方向に対して分散した状態で形成されている。つまり、前記規制壁31は3個の小壁部33からなり、各小壁部33は、正極材7の周側面の周方向に対して所定間隔で設けられている。そして、各小壁部33の内周側の先端部分に形成された規制面32で、正極材7の横方向の移動が規制されるようになっている。その他の点は、実施例1と同じであるので説明を省略する。なお、図5では、小壁部33は3個だけ形成されているが、4個以上形成してもよい。
【0044】
実施例4において、各小壁部33の形成位置におけるガスケット6の縦断面は図1と同様の断面形状であってもよく、図3と同様の断面形状であってもよく、図4と同様の断面形状であってもよく、あるいはそれ以外の断面形状であってもよい。
【0045】
実施例1において、ガスケット6の規制壁31の上下厚さ寸法を内筒壁29の上下厚さ寸法とほぼ等しくしてもよい。前記各実施例において、正極リング11を省略した状態で、正極材7を電池缶1内に収容してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】実施例1の扁平形電池の縦断面図
【図2】実施例1の扁平形電池の分解断面図
【図3】実施例2の扁平形電池の縦断面図
【図4】実施例3の扁平形電池の縦断面図
【図5】実施例4の扁平形電池に係るガスケットの平面図
【符号の説明】
【0047】
1 電池缶
2 発電要素
3 正極缶
5 負極缶
7 正極材
9 負極材
10 セパレータ
11 正極リング
12 底壁
13 凹部
21 収容部
31 規制壁
32 規制面
33 小壁部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上向きに開口する正極缶と下向きに開口する負極缶とからなる電池缶と、正極材の上側にセパレータを介して負極材を配する発電要素と、前記正極缶と前記負極缶との周縁間に配されて前記正極缶と前記負極缶とを絶縁するガスケットとを有していて、前記電池缶の内部に前記発電要素を収容した状態で、前記ガスケットによって前記正極缶と前記負極缶との間を封止する扁平形電池において、
前記負極缶の上壁側に設けた収容部に前記負極材を収容しており、
前記正極缶の底壁の中央側を下向きに膨出させて、前記正極缶の内面側に凹部を段落ち状に形成してあって、前記凹部で前記正極材を受け止めており、
前記ガスケットは、前記正極材の周側面に対して直接に臨む規制面を前記正極材の周側面の周方向に形成して、前記規制面で前記正極材の横方向の移動を規制しており、
前記規制面の内法寸法(D2)が、前記収容部の内法寸法(D1)よりも小さくなるよう設定してあることを特徴とする扁平形電池。
【請求項2】
前記規制面は、前記正極材の周方向に対して分散した状態で形成されている請求項1記載の扁平形電池。
【請求項3】
前記規制面の内法寸法(D2)が、前記収容部の内法寸法(D1)よりも少なくとも前記セパレータの厚さ寸法の2倍分だけ小さくなるよう設定してある請求項1又は2記載の扁平形電池。
【請求項4】
前記規制面の内法寸法(D2)と、前記収容部の内法寸法(D1)との比(D2/D1)が、0.80〜0.98になるよう設定してある請求項1又は2記載の扁平形電池。
【請求項5】
前記正極材の外法寸法が、前記規制面の内法寸法(D2)の0.7〜0.9倍に設定されている請求項1又は2又は3又は4記載の扁平形電池。
【請求項6】
前記正極材は、その外周面に装着される正極リングを含んでいる請求項項1又は2又は3又は4又は5記載の扁平形電池。
【請求項7】
前記正極材は、正極活物質として二酸化マンガンを含有する請求項6記載の扁平形電池。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−273110(P2007−273110A)
【公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−93719(P2006−93719)
【出願日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【出願人】(000005810)日立マクセル株式会社 (2,366)
【Fターム(参考)】