手及びエラストマー物品から粒状物及び化学的汚染物質を洗浄する装置
【課題】エラストマー物品の必要な洗浄に付随するコストを減少させる。
【解決手段】エラストマー物品の処理方法は、ハウジングの内部の物品支持場所に配置されたエラストマー物品と接触するようにガス状洗剤のガス流を送るステップより成る。ガス状洗剤は、粒状汚染物質をエラストマー物品から脱離させ、エラストマー物品を通過するガス流中に粒状汚染物質が同伴されるように作動可能である。ガス状洗剤の供給源は、ハウジングの内部に流入する蒸発した洗剤の噴霧源と、ハウジングの内部において物品支持場所に近接配置され、弱イオン化プラズマを物体支持場所に隣接する周囲雰囲気中に発生させる弱イオン化プラズマ源とより成る。
【解決手段】エラストマー物品の処理方法は、ハウジングの内部の物品支持場所に配置されたエラストマー物品と接触するようにガス状洗剤のガス流を送るステップより成る。ガス状洗剤は、粒状汚染物質をエラストマー物品から脱離させ、エラストマー物品を通過するガス流中に粒状汚染物質が同伴されるように作動可能である。ガス状洗剤の供給源は、ハウジングの内部に流入する蒸発した洗剤の噴霧源と、ハウジングの内部において物品支持場所に近接配置され、弱イオン化プラズマを物体支持場所に隣接する周囲雰囲気中に発生させる弱イオン化プラズマ源とより成る。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手袋を着用した、または着用しないで手及びエラストマー物品の洗浄に関し、清潔さの測定に関する。
【背景技術】
【0002】
広範囲の分野において、作業員は、彼らの手がクリーンであるのを確認する必要がある。作業員は、手袋を着用する場合と、着用しない場合とがある。例えば、マイクロエレクトロニクス製品を取り扱うクリーンルームの作業員の手袋を着用した手に付着した汚染物質は、製品の歩留まりに悪い影響を与える場合がある。医療現場または歯科治療分野に携わる人員の手袋を着用した、または着用しない手に付着した汚染物質は、患者間において感染源を運び、また装置を汚染させる可能性がある。食品分野の作業員の手袋を着用した、また着用しない手に付着した汚染物質は、顧客に病気を伝染させる可能性がある。
【0003】
医療、歯科治療及び食品分野の領域における手を洗浄する普通の方法は、石鹸またはそれに匹敵する消毒薬を含んだ水で完全に洗浄した後、完全に乾燥することである。手袋を使用する場合、手袋を取り換える。かかる手順は絶対厳守であることが多い。しかしながら、研究の結果、多くの場合、医学、歯科治療及び食品分野に従事する人は、仕事を中断して、手を洗浄し乾燥したり、手袋を取り換えたりするのが不便で時間のかかることから、規則を守らず、手を洗ったり手袋を交換したりする機会を利用しないことがわかっている。マイクロエレクトロニクスの製造分野では、作業員は定期的に手袋を交換することを義務付けられているが、これは手袋のコスト及び労働中断時間の両点でコストが高くつく。
【0004】
手袋の着用は、上記及び他の状況で、労働者を保護し、取り扱う材料を保護し、また第三者を保護するために、広く普及している。通常はラテックスまたは合成材料より成る手袋は、手袋の製造者または洗浄業者が洗浄し、また包装するが、運搬または貯蔵中に粒子による汚染を受けることがある。エラストマー製の手袋は、表面硬化及び微小亀裂が発生し易い。微小亀裂が生じると、粒状物が生じ、微小亀裂箇所に滞留することがある。粒状物は、その後、微小亀裂箇所及び手袋の表面から脱離することがある。手袋はまた、使用中に生物で汚染されることがある。
【0005】
従って、手袋を着用した、または着用しない手、及び手袋以外のエラストマー物品を完全に洗浄しないことにより、また洗浄を行うコストと、洗浄をしないことによるコストとにより、広い範囲の分野で問題が生じる。利便性を向上させ、クリーンルーム、医療、実験室、食品サービス及び他の分野におけるかかる物品の必要な洗浄に付随するコストを減少させる必要がある。本発明は、この必要性を充足すると共に関連の利点をさらに提供するものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、粒状物及び表面の化学的及び生物的汚染物質を受け入れ可能なレベルまで減少させるために、手袋を着用した、または着用しない手、若しくは他のエラストマー物品を洗浄し、またそれらの物品の表面上の粒状及び/または汚染物質の量を測定する装置及び方法を提供する。この装置は、クリーンルーム、医療、実験室、食品サービス及び他の環境で容易に用いることができる。この装置は、給電のための接続部分を除いて、自立且つ自蔵型ユニットであり、配管または排水のための接続部分が不要である。(この装置は、バッテリー駆動が可能であり、その場合外部電源との接続が不要である。)通常は30秒未満の時間を必要とする、手袋を着用した、または着用しない手のような物の洗浄後、洗浄済みの物を乾燥させて、作業員が洗浄済みの物を必要とする活動に直ちに戻れるようにする。手袋を着用する用途では、本発明の方式により、手袋を定期的に取り換える必要性が減少する。換言すると、手袋を取り換える時間間隔が増加する。この装置はまた、各作業員が洗浄作業を行う回数をモニターして、この情報を製造歩留まり、健康または他の興味あるパラメータと関連付けるために使用することができる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施例において、この装置は、人間の手を受容する大きさの手洗浄空間を有する。この装置は、手洗浄空間へ加圧ガスの流れを差し向けるように配置された加圧ガス適用手段と、加圧ガス適用手段の入口と連通関係にある加圧ガス供給源と、手洗浄空間と連通関係にあるガス通気孔とより成る機械式洗浄装置を有する。加圧ガスは、イオン化ガスまたはプラズマガスより成る活性化ガスであるが、平衡状態にあるイオン化ガスが最も好ましい。活性化ガスの流れにより、手袋を着用した、または着用しない手の表面から粒子が脱離し、脱離した粒子が活性化ガスにより手の表面からはじかれるため、再びその表面に付着することはない。加圧ガス適用手段は,運動するシート状のガスが手の表面を掃引する空気ナイフ、または乱流を発生させる適当に配置されたノズル装置のようなガスナイフであ
る。加圧ガスの流れは、粒子脱離効果を増加させるために脈動させるのが好ましい。機械式洗浄装置は、手袋を着用した、または着用しない手から脱離する粒子をカウントするためにガス通気孔に設けた粒子カウンタを備えてもよい。粒子カウントは、粒子に関する手の清潔さを示す指標と解釈される。加圧ガス適用手段はまた、後続の処理を行った後、手袋を着用した、または着用しない手を乾燥させるように作動することができる。
【0008】
本発明の装置は、化学式洗浄装置も備えている。この化学式洗浄装置は、手袋を着用した、または着用しない手の表面に以前付着した化学的及び/または生物学的汚染物質を除去する。化学式洗浄装置は、手洗浄空間へ洗浄ミストを発射するように作動可能な噴霧吹付け器と、噴霧吹付け器の入口と連通関係にある洗浄溶液供給源と、手洗浄空間の噴霧吹付け器とは反対側にある噴霧吹付け器通気孔とを備えている。洗浄ミストは、プラズマガスまたはイオン化ガスのような活性化状態にある。洗浄ミストは、好ましくは、洗浄溶液をプラズマに送り込み、その内部に、解離し活性化した状態を発生させて形成する。
【0009】
洗浄ミストは、手の表面上の化学的汚染物質と反応して、これらの汚染物質が脱離し、蒸発して、洗浄ミストの流れの中に同伴されるようにして、装置から除去されるようにする。洗浄溶液は、各々の用途において予想される汚染物質の種類に応じて選択すればよい。しかしながら、通常の場合、有機汚染物質が、解離した過酸化水素と、オプションとしての、クエン酸または乳酸のような酸と、nプロピルアルコールの洗浄混合水溶液により除去される。特定の化学的汚染物質を逐次的に除去するために、好ましくは、2またはそれ以上の洗浄溶液が使用される。手袋を着用していない場合、スキンコンディショナーを導入してもよい。
【0010】
生物学的物体を洗浄ミストにより除去することができ、そして/または紫外光源にような別個の生物学的洗浄装置を設けてもよい。
【0011】
この装置は、手袋を着用した、または着用しない手(若しくは両手)を手洗浄空間内に挿入できるような開口を備えたハウジング内に配置するのが好ましい。この装置は、ハウジング内の開口に隣接する所に負圧源を有するため、ハウジング内のガスが開口から逃げず、負圧源の内部に吸引される。負圧源は、ガス通気孔かまたは噴霧吹付け器若しくは別個の通気孔である。
【0012】
本発明の他の特徴及び利点は、好ましい実施例の以下の詳細な説明を、本発明の原理を例示する添付図面を参照しながら読むと、明らかになるであろう。しかしながら、本発明の範囲は、この好ましい実施例に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、本発明による収納された装置の概略的な全面斜視図である。
【図2】図2は、図1の収納装置の概略的な裏面斜視図である。
【図3】図3は、図2と同じ図で見た装置の裏面内部を示す概略的な斜視図であるが、ハウジングは内部の部品を明らかにするため取り外されている。
【図4】図4は、機械的洗浄装置が作動中の手洗浄空間とその関連の装置の内部のレイアウトを示す概略図である。
【図5】図5は、化学的洗浄装置が作動中の、手洗浄空間と関連の装置の内部のレイアウトを示す概略図である。
【図6】図6は、加圧ガスにおいて平衡イオン化ガスを発生させるための櫛型イオン化器の概略図である。
【図7】図7は、噴霧洗浄溶液を活性化するためのグロー放電プラズマ源の該略図である。
【図8】図8は、本発明の第1の実施例を用いる好ましい方法を示すブロック流れ図である。
【図9】図9は、本発明の第2の実施例による第1の装置を示す概略図である。
【図10】図10は、本発明の第2の実施例による第2の装置を示す概略図である。
【図11】図11は、本発明の第3の実施例による第3の装置を示す概略図である。
【図12】図12は、本発明の第2の実施例を用いる方法を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1−8は、本発明の第1の実施例に関する。図1及び2は、手袋を着用した、または着用しない人間の手を洗浄する洗浄装置20を外部から見た図である。手袋を着用しない場合、露出される人間の皮膚が洗浄される。手袋を着用する場合、その手袋は、好ましくは、天然ラテックスまたは合成エラストマーのようなエラストマー材料で作られている。装置20は、開口24を備えたハウジング22を有する。この開口24は、1または、好ましくは2つの人間の手を受容する大きさを有し、手を挿入するに便利な、フロアからの高さに位置している。プロトタイプの装置20において、開口24は、高さが9インチ、幅が12インチであり、フロアからの高さは約43インチである。制御パネル26が、ユーザーがアクセスする装置20の前面に位置している。
【0015】
図3は、図2と同じ図であるが、ハウジング22を取り外して内部の部品が見えるようにしたものである。図4及び5は、動作サイクルの異なる部分における、ハウジングを取り外した装置の内部レイアウト図である。
【0016】
装置20は、開口24を介して、手袋を着用した、または着用しない手30を受容する大きさの手洗浄空間28を有する。この装置20は、手袋を着用した、または着用しない手の表面から粒子を脱離させる機械式洗浄装置32を備えている。機械式洗浄装置32は、手30の表面から粒子を脱離させる任意の作動可能なタイプでよい。粒子の脱離は、手袋を着用するクリーンルーム及び医療現場で特に重要である。手袋のようなエラストマー物品は、通常、貯蔵、運送及び使用時において、外面上に小さな微小亀裂が発生する。かかる微小亀裂は、天然ラテックス及び合成エラストマーの両方に見られる。これらの微小亀裂は、エラストマーの手袋が破損する程大きくも深くもなく、このため、微小亀裂が存在してもこれらの物品は多くの用途において受け入れ可能である。しかしながら、エラストマーの手袋の表面に微小亀裂が生じると、粒状物が発生してそこに滞留し、それが後で物品から脱離し、クリーンルーム製造現場またはある特定の医療現場のような環境において、粒状物による汚染の問題を発生させる可能性がある。エラストマー材料が表面から剥離すると、粒状物が生じる。さらに、外部で発生した粒子が、ユーザーがエラストマーの物品を撓ませる際に微小亀裂箇所に捕捉され、後で、該物品から脱離する粒状物もある。機械式洗浄装置32は、手袋の表面からこれら両タイプの粒子を取り除くものである。
【0017】
好ましい機械式洗浄装置32は、手洗浄空間28に加圧ガスの流れを差し向けるように配置された加圧ガス適用手段34を含む。加圧ガス適用手段34は、任意の作動可能なタイプでよい。好ましい加圧ガス適用手段34としてガスナイフがあるが、空気ナイフ36が好ましい。空気ナイフ36は、手洗浄空間28の頂部であって、手30の上方を横方向に延びるように取り付けられた第1のシリンダ38aと、手洗浄空間の下方であって、手30の下方を横方向に延びるように取り付けられた第2のシリンダ38bとを含む。各シリンダの軸は、図4及び5の平面から延びている。各シリンダ38a及び38bは、ほぼ手袋を着用した手の方に指向されたノズルを有する。ノズルを流れる空気または他のガスは、手袋を着用した、または着用しない手に当たって、手袋の表面から粒子を機械的に脱離させる。シリンダ38a、38bは、モータ39または他のタイプの駆動手段により、それらの軸を中心として回転するように駆動されるため、手袋を着用した、または着用しない手の上面と下面がそれぞれ掃引される。用途によっては、空気ナイフの代わりに、またはそれに加えて、固定ノズル列(図示せず)を用いてもよい。加圧ガス適用手段34としては、ガスナイフの方が、比較的高圧の洗浄が望ましい固定ノズル列ような他のタイプのガス源よりも好ましいが、その理由は、任意の瞬間にユーザーの手にかかる力の合計が一定であるとすると、ガスナイフによる方法は粒子を脱離させるために大きな局部的圧力を使用できるからである。
【0018】
加圧ガス供給源40は、加圧ガス適用手段34の入口42と連通関係にある。加圧ガスは、好ましくは「活性化状態」にあるが、これは、加圧ガスがイオン化電界またはプラズマにより活性化されていることを意味する。加圧ガス供給源40からの加圧ガスがイオン化された状態にあるのが最も好ましい。イオン化された状態にあるとすると、活性化ガスは、ほぼ同数の正及び負のイオンが存在することを意味する、平衡イオン化状態か、または、正と負のイオン数が等しくないことを意味する、高度にイオン化された非平衡状態であろう。平衡イオン化状態の方が好ましい。加圧ガス供給源40、好ましくはイオン化空気の供給源は、加圧ガスボトル、ファンまたは吸排式タンクのような加圧ガス供給源44を含む。加圧ガス供給源44は、ガスを一定圧力で供給する。しかしながら、加圧ガス供給源44は、ガスが脈動するようなガス流を供給するものが好ましい。脈動ガスは、一定圧力で流れるガスよりも手袋の表面から粒子を脱離させる効率が高いことがわかっている。加圧ガス適用手段34へ供給されるガス圧力は、通常、大気圧よりも約30乃至約40psi高く、オプションとして、大気圧よりも約30−40psi高い最大圧力と大気圧の最小圧力との間で脈動する。
【0019】
粒子の機械的脱離は、さらに、2つの手を接触させて洗浄する手洗浄運動により促進される。ユーザーは、通常、石鹸と水で手を洗浄する際よく知られた態様で両手を擦り合わせるが、これにより手袋が撓んで粒子が脱離する。この運動は、加圧ガス適用手段の動作時に行い、所望であればその後化学式洗浄装置が動作する時にも行う。その結果、手袋の表面から粒子がより効果的に除去される。
【0020】
加圧ガス供給源40からのガスは、加圧ガス適用手段34に到達する前に、任意の作動可能なタイプのガス活性化器46により活性化される。しかしながら、この実施例では、その活性化器は平衡ガスイオン化器である。図6は、好ましくは、ガス活性化器46として使用される櫛歯型平衡ガスイオン化器200を示す。通常は空気であるイオン化されるガスは、ガス流れチャンネル202を、(図6の平面から出る方向に)流れる。櫛歯型イオン化器204は、複数の鋭い尖端部206が約半インチの間隔で離隔され、ガス流れチャンネル202の一方の側へ延びるものである。導電性の平面208が、ガス流れチャンネルの反対側を延びる。約5−6キロボルトの交流電圧がこれらの尖端部206に印加して、尖端部206とアース平面20との間にコロラ効果を発生させる。平衡イオン化状態が、ガス流れチャンネル202を流れるガスに与えられる。別法として、ガスをレーザまたは紫外光のような任意の他の適当な方法によりイオン化してもよい。活性化ガスがプラズマである場合、このプラズマは、後で説明する態様でグロー放電により、または他の任意適当な方法により発生可能である。この実施例において、手袋を着用した、または着用しない手は、イオン化電界またはプラズマに露出されず、その代わりに、シリンダ38のノズルから出る活性化ガスに曝される。後述する第2の実施例では、手はプラズマ電界中にある。多くの場合、第2の実施例は手袋を着用しない手ではなくて、着用した手に使用される。
【0021】
ガス通気孔48は、手洗浄空間28と連通している。ガス通気孔48は、手洗浄装置32により導入されたガス流を排出するものである。図4に示すように、通常は排気ファンであるポンプ50は、ガスを通気孔48を介してフィルタ及びスクラバ52の内部に吸引する。フィルタ及びスクラバ52からはクリーンなガスが排出されるが、ガスに捕捉された粒状物は廃棄レセプタクル54に溜まる。廃棄レセプタクル54は、装置20に取り付けられた引き出しのようなものであり、これは廃棄物を処理するために容易に取り出すことができる(図3を参照)。
【0022】
オプションとして、排気ラインの、ガス通気孔48とフィルタ及びスクラバ52との間に、粒子カウンタ/化学的センサー53が設けられている。粒子カウンタ/化学的センサー53は、任意の作動可能なタイプのものでよい。粒子カウンタ/化学的センサー53は、好ましくは、粒子数のカウント、そして/または排気ガス中の化学的成分をリアルタイムで与える。粒子カウンタ/化学的センサー53は、粒子カウンタの場合、レーザ粒子カウンタであるのが好ましい。かかるレーザ粒子カウンタは、当該技術分野で公知であり、例えば、Climet Instruments及び the Met One Division of Pacific Scientificから市販されている。白色光粒子カウンタまたは空気フィルタシステムのような他のタイプの粒子カウンタを使用できるが、それほど好ましくない。検出することが予想される種類の化学的物質にとって好適な任意タイプのリアルタイム化学的センサーを用いればよい。化学的センサーは、2通りの用途に応じて、特定の化学的構成成分または放射性成分を測定するよう選択すればよい。検知すべき化学的成分は、洗浄装置20が使用される業界により異なる。
【0023】
コントローラ58は、機械式洗浄装置32の動作を、動作パラメータのタイミング及び選択の両方につき制御する。コントローラ58は、制御信号を加圧ガス供給源44、ガスイオン化器46、空気ナイフ36の駆動手段及びポンプ50へ送る。また、オプションとしての粒子カウンタ/化学的センサー53から入力を受取り、それらを制御する。コントローラ58は、後でさらに詳説する手順に従って命令信号を送信し、データを受取り、記憶させ、分析するようにプログラムされたマイクロコンピュータであるのが好ましい。
【0024】
装置20はさらに、化学式洗浄装置60を有する。この化学式洗浄装置60は、ユーザーの、手袋を着用した、または着用しない手30の表面に付着した化学的汚染物質を除去する。図5は、化学式洗浄装置60が動作中の装置20を示す。化学式洗浄装置60は、洗浄ミストを手洗浄空間28内に発射するように作動可能な噴霧吹付け器62(即ち、蒸発器)を有する。洗浄ミストは、洗浄溶液が気化した液滴より成る。液滴は、ほぼ均一サイズであり、直径が約1乃至20ミクロンのオーダーであるのが好ましい。噴霧吹付け器62は、Shutz社により製造される市販のModel SCA 2000Xのような低圧小体積の超音波式噴霧吹付け器であるのが好ましい。このタイプの噴霧吹付け器により導入される超音波エネルギーは、蒸発した洗浄物質の分子の解離を助け、分子のイオン化に必要な電磁エネ
ルギーを低下させる。超音波式でない噴霧吹付け器を代わりに用いてもよい。噴霧吹付け器は、蒸発した洗浄物質中に超音波を発生させて解離及びその後のイオン化が高い効率で行われるようにする高圧小体積のスプレーヘッドでよい。その代わりに、噴霧吹付け器として、IVEK Digispense 800 Systemのようなスプレー装置を用いてもよい。噴霧吹付け器62により蒸発されるガスは、噴霧吹付け器62の入口64と連通する加圧ガス源61から供給される。加圧ガス源61は、加圧ボトルまたは圧縮器駆動システムのような任意の作動可能なタイプでよい。
【0025】
多くの場合、洗浄溶液毎に別個の噴霧吹付け器を設けるが、単一の噴霧吹付け器を示す。市販の噴霧吹付け器は通常、蒸発させてミストにする特定の流体に対して調整されており、このためその特定の流体またはそれに良く似た流体についてのみ蒸発が最適に行われるようにしたものである。実質的に異なる特性を有する多数の洗浄溶液を用いる場合、通常、洗浄溶液の各流れについて別個の噴霧吹付け器を設ける必要がある。
【0026】
噴霧吹付け器62が発生させる洗浄ミストは、手洗浄空間28に到達する前に、活性化するのが好ましい。即ち、手袋を着用した、または着用しない手は、直接にプラズマまたはイオン化電界に曝されず、プラズマまたはイオン化電界を通過した後の洗浄ミストの活性化分子にのみ曝される。洗浄ミストは、プラズマまたはイオン化電界により活性化することができる。プラズマ状態またはイオン化状態は、任意の作動可能な方法により発生できるが、図4−5及び7に示すようなプラズマ発生源63により行うのが好ましい。図7に示すように、プラズマ発生源63は、ガス流れチャンネル222内にプラズマ220を発生させるグロー放電プラズマ源である。噴霧ガスは、プラズマ220を通過すると、ガス内の成分が活性化され解離される。発明者にとって最も興味ある例では、洗浄ミストは、プラズマ220に進入すると、過酸化水素H2O2を含むようになる。プラズマを出た後、過酸化水素分子の少なくとも一部は、解離されて、水酸基(OH)及び単原子酸素(O)により活性化された核種が発生する。これらの核種は、数秒の間解離状態に留まり、その間に手30の方へまたその上を流れる。最大の洗浄効率を得るためには、プラズマ発生源63を手洗浄空間28にできるだけ近く、しかしながら、この実施例において、手がプラズマ220内に実際に位置するほど近くないように配置するのが好ましい。解離した核種は、手30上の化学的汚染物質と急速に反応する。グロー放電プラズマ発生源は、核種のこの解離状態に留まる時間が長いため、他の種類のガス活性化装置よりも現在のところ好ましい。
【0027】
プラズマ220は、直流パルス回路により約20−30キロボルトに帯電された電極224とアース226との間を流れる電流により発生する。電極224は疎水性絶縁体228内にあり、開口230を介してガス流れチャンネル220にアクセスできる。開発研究において、発明者等は、ガス流れチャンネル222を流れる噴霧ガス中の水分により電極224が化学的に腐蝕する傾向があることを観察している。電極224を遮蔽してかかる腐蝕を防止するためには、絶縁体228の内部に乾燥したガスを導入して、電極224の周りを流れ、開口230から出るようにする。
【0028】
洗浄溶液の少なくとも1つの供給源は、噴霧吹付け器62の入口64と連通関係にある。少なくとも2つのかかる供給源、即ち第1の洗浄溶液のための第1の供給源66と、第2の洗浄溶液のための第2の供給源68とがあるのが好ましい。これらの供給源は、図3に示すような取り外し可能なタンクとして提供される。この装置22は、化学物質のために別個の供給源フックアップを設ける必要はなく、従ってクリーンルームまたは他の用途では自立型である(バッテリーかもしれない電源を除く)。ポンプ70、72は、それぞれの供給源66、68から洗浄溶液を噴霧吹付け器62の入口64へ圧送する。洗浄溶液は、噴霧吹付け器62に同時に導入されず、代わりに、後述するように順次導入される。
【0029】
特定の洗浄条件に応じて、広範囲の洗浄溶液を使用すればよい。即ち、マイクロエレクトロニクス業界のクリーンルームにおいて手から除去すべき化学物質は、病院の手術室の手から除去すべき化学物質とは全く異なるものであろう。以下の説明は、一般的な洗浄を行うための現在において好ましい方法を示すものであるが、本発明はそれに限定されない。
【0030】
エラストマーの手袋を着用した手の手袋の表面を洗浄するに際して、第1の洗浄溶液は、過酸化水素、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)及びnプロピルアルコールを脱イオン水に溶かした水溶液である。過酸化水素は、前述したように活性化核種の主要な供給源である。EDTAは、カリウムやナトリウムのようなイオンをキレート化するが、これは手袋の殺菌を促進する。nプロピルアルコールは湿潤剤として働き、洗浄ミストが手袋の表面内に浸透するのを促進する。第2の洗浄溶液は、過酸化水素、nプロピルアルコール、クエン酸または乳酸を脱イオン水に溶かした水溶液である。クエン酸または乳酸は、過酸化水素と混合すると微生物の殺菌を行う相乗効果を有する。噴霧される第1の洗浄溶液は、プラズマにより活性化され、噴霧される第2の洗浄溶液もまた、プラズマにより活性化される。粒子のカウントは、通常、手袋または他のエラストマー物品の洗浄の一部として行われ、化学的分析が行われることも多い。
【0031】
手袋を着用しない手の表面の洗浄に際して、第1の洗浄溶液は、脱イオン水に溶かした過酸化水素である。第2の洗浄溶液は、脱イオン水中の乳酸溶液であり、オプションとしてnプロピルアルコールが添加されている。乳酸は、ハロゲン化物を中性化し、微生物を殺菌する働きがある。アロエベラまたはグリセリン系コンディショナーのような手コンディショナーを、第2の洗浄溶液に添加するか、または第2の洗浄溶液に接触させた後の別のステップにおいて、手袋を着用しない手に適用してもよい。この場合、噴霧された第1の洗浄溶液はプラズマにより活性化され、噴霧された第2の洗浄溶液はプラズマにより活性化されない。粒子のカウントは、通常、手袋を着用しない手の洗浄の一部として行うが、化学的分析を行うことが多い。
【0032】
洗浄溶液は、主として、表面から化学物質を除去するために使用するものであるが、それらは粒子の除去にも役立つ。粒子は、極性イオンの吸引、摩擦電気力及びファンデアワールス力の含む種々の機構により表面に付着している。空気ナイフの平衡イオン化空気と、空気ナイフのガス流の物理的力と、化学式洗浄溶液の遊離基によるイオン吸引の中性化とが組み合わさって、これらの結合力の全てを克服し、粒子を手袋を着用した、または着用しない手から取り除く効果がある。
【0033】
噴霧吹付け器62から発射された洗浄ミストは、噴霧吹付け器のファンにより手洗浄空間28を通過する際、手袋を着用した、または着用しない手30の上を流れる。この洗浄ミストは、噴霧吹付け器の通気孔74により生じる空気流により、手洗浄空間28から除去される。そのため、洗浄ミストは手袋を着用した、または着用しない手の表面と接触した後、排出される。空気流はポンプにより生じるが、このポンプは、ガス流適用手段の通気孔48を介してガスを吸引する同じポンプ50でもよい。ポンプ50は、洗浄ミストをフィルタ及びスクラバ52へ圧送するが、この洗浄ミストは手袋から除去した汚染物質を含んでいる。
【0034】
ポンプ50及び開口24の大きさは、ポンプ50が手洗浄空間28を、洗浄装置20の外部の大気圧に比べてわずかに負圧にするように設定されている。従って、大気圧の空気が開口24及びポンプ50を介して吸引されるため、ガス流適用手段34または噴霧吹付け器62からのガスは周囲の空気へ逃げることができない。
【0035】
コントローラ58は、ポンプ70、72、噴霧吹付け器62及び加圧ガス供給源61の動作を制御する。
【0036】
病院、医師のオフィス及び歯科医のオフィスを含む医療施設のような用途では、手袋を着用した、または着用しない手に付着した微生物を殺菌除去する必要がある。図4及び5は、手袋上の粒状物を測定して洗浄し、それと同時に手袋の外面上に存在する微生物を殺菌除去する本発明の実施例を示す。微生物殺菌装置80は、ハウジング22の内部において、手洗浄空間28、従って手袋を着用した、または着用しない手30に近接配置されている。微生物殺菌装置は、図示の紫外線ランプのような粒子測定/洗浄装置とコンパチブルな任意の作動可能なタイプのものでよい。適当な紫外線ランプとして、Aqua Ultraviolet USAから市販されるものがある。微生物殺菌装置としては、オゾン発生源、または噴霧吹付け器62を介して、またはそれとは別個に導入される殺菌ガスのような他の種類のものもある。蒸発された洗浄物質を選択することにより、別の殺菌方法を用いてもよい。過酸化水素を蒸発された殺菌物質として用いる場合、活性化プラズマのイオン化エネルギーにより、分子が解離して活性化核種となるが、これは有機物質を酸化しかつ微生物を破壊するような反応性がある。超音波式噴霧吹付け器を用いると、この解離が容易となる。
【0037】
微生物の殺菌は、粒状物の測定及び洗浄の前か、それと同時か、もしくはその後に行うことができる。図4及び5に示すこの実施例によると、医療及び歯科治療施設の人員は、手袋を適当な態様で再使用できる。通常、手袋は同一の患者と治療に対して多数回再使用されるかもしれないが、異なる患者に対しては再使用されない。それにもかかわらず、本発明の方法によると、汚染を阻止する安全性が向上し、手袋の使い捨てを減少することにより効率が増加する。
【0038】
図8は、2種類の洗浄溶液を用いる場合における、洗浄装置20のユーザーの手袋を着用した手の手袋を洗浄するための好ましい操作手順を示すものである。最初に、手袋を着用した、または着用しない手30を、開口24を介して装置20内に挿入する(100)。制御パネル26または足ペダルによるユーザーの手動制御により、もしくはフォトセル(図示せず)により挿入と同時に自動的に、装置が作動される。機械式洗浄装置32が作動されて(102)、粒子が挿入された手袋の表面から除去される。ステップ102は、所望の機械式洗浄を行うに要する時間の間継続するが、通常は、約3秒乃至約10秒の長さである。ステップ104において、この期間中またはその後で、オプションとしての粒子カウンタ/化学的センサー53が作動されるが、通常は、ステップ102と同時に作動される。機械式洗浄ステップ102が終了し、機械式洗浄装置32が停止する(106)。望ましくは、停止ステップ106で示すように、ステップ102の終了と、ステップ108の開始との間に時間間隔が存在する。しかしながら、ステップ102と、108との間に短いオーバーラップ期間を設けてもよい。ステップ102と、108とは、実質的には時間的オーバーラップはないが、その理由は、加圧ガス適用手段34からの高流量のガスが噴霧状態の洗浄ミストと手袋との間の接触を乱すからである。同じことが、ここで説明するその他の停止ステップにあてはまる。
【0039】
その後、化学式洗浄装置60を、噴霧吹付け器62へ送られる第1の溶液を用いて作動する(108)。ステップ108は、所望の化学式洗浄を行うに要する長さだけ継続するが、通常は約3乃至約10秒であるステ。ステップ108が停止される(110)。
【0040】
再び、機械式洗浄装置が作動される(112)。このステップは、手袋の表面から残留している第1の洗浄溶液を吹き払い、手袋の表面を乾燥させ、化学式洗浄ステップ108の間に自由になった粒子を手袋の表面から脱離させるものである。ステップ112は、所望の化学式洗浄を行うに要する長さの時間の間継続するが、通常は約3乃至10秒である。ステップ112が終了すると、手は乾燥している。粒子カウンタ/化学的センサー53は、ステップ112の間、またはその後に、オプションとして作動させてもよい。ステップ112が停止される(114)。
【0041】
単一の洗浄溶液を使用する場合、洗浄作業は完了する。第2の洗浄溶液も使用する場合、次のステップを行う。
【0042】
再び、化学式洗浄装置60を作動させるが(116)、この際、第2の洗浄溶液を噴霧吹付け器62へ供給する。ステップ166は、所望の化学式洗浄を行うに要する長さの時間の間継続するが、通常は、約3乃至10秒である。ステップ116が停止される(118)。
【0043】
再び、機械式洗浄装置32を作動させる(120)。このステップは、手袋の表面から残留する第2の洗浄溶液を吹き払い、手袋表面を乾燥させ、引き続き、手袋の表面から、化学式洗浄ステップ116で自由になった粒子を脱離させるものである。ステップ116は、所望の化学式洗浄を行うに要する長さの時間の間継続されるが、通常は約3乃至10秒である。ステップ116が終了すると、手は乾燥状態にある。粒子カウンタ/化学的センサー53を、オプションとして、このステップ120の間、またはその後に作動してもよい(122)。この粒子のカウントは粒子の最終的なカウントであり、任意の化学的分析は最終的な化学的分析である。ステップ120と、122とを停止する(124)。
【0044】
前述した2つの洗浄溶液を用いて、手袋を着用しない手を洗浄する場合、ステップ100、108、110、116、118、120及び124だけを実行するのが好ましい。上述したように、ステップ120の後に、スキンコンディショナーを洗浄空間へ導入する別のステップを付加してもよい。
【0045】
図1−7に示すように構成された装置20のプロトタイプは、図8に示す方法を用いるように構成され、作動されている。機械式洗浄装置及び活性化化学式洗浄装置を用いるテストによると、粒子及び化学的汚染物質の有意な減少が可能であることが実証されている。例えば、新しいクリーンルーム用のニトリルの手袋は、洗浄サイクルに曝した後、0.5ミクロンに等しいかそれより大きいサイズの粒子が通常は38%減少することがわかっている。陰イオン及び陽イオン抽出汚染物質では、10乃至30%の有意な減少が見られた。同じ種類のニトリル製手袋は、洗浄サイクルでの処理前に制御された期間使用すると、0.5ミクロンに等しいかそれより大きいサイズの粒子が最大60%減少した。比較のために、噴霧状態の洗浄溶液をプラズマまたはイオンにより活性化せずに化学式洗浄装置を用いて同様な研究を行った。これらの研究によると、新しいニトリル製手袋では、0.5ミクロンに等しいかそれより大きいサイズの粒子が通常12%減少するのがわかった。陰イオン及び陽イオン抽出汚染物質では、これらの減少は、常には検出されなかった。従って、噴霧状態の洗浄ミストを活性化させない装置は、作動可能であるが、その有効性は噴霧状態の洗浄ミストを活性化させたものと比べると格段に低い。
【0046】
図9−12は、本発明の第2の実施例に関する。第1と第2の実施例との間には共通の特徴があるため、その限度で、それぞれの説明を相互に組み込んでいる。例えば、この第2の実施例は、図1−8の実施例に関連して説明した空気ナイフのような機械式洗浄装置がないものとして説明する。しかしながら、図9−12の実施例に機械式洗浄装置を設けてもよい。
【0047】
図9は、エラストマー物品322、この場合は好ましいエラストマー手袋を処理する装置320を示す。手袋の処理が現在のところ好ましいが、本発明は他の種類の物品についても利用可能である。本願において、用語「処理」は物品の特性の測定及び/または物品の洗浄のような物品の変更及び/または測定結果と他の情報との相関を包含するものである。
【0048】
装置320は、壁326を備えたハウジング324を有する。ハウジング324の内部328には、液体ではなくて気体が充填されている。本発明の方法は、物品を液体中に浸漬しないため、物品の測定、洗浄及びその後の使用が容易となる。
【0049】
支持体330は、物品320を、物品支持場所332で支持する。物品支持場所332は、一般的に、吸込みポート334と、排気ポート336との間に位置するが、それらの間の正確な場所に位置させる必要はない。図9の実施例において、支持体330は、プラスチックのような電気的絶縁体で形成した剛性のスケルトン370を含むが、これは物品322、この場合は処理すべき手袋の内部で摺動する。スケルトン330は、その内部と、物品322の隣接内面との間でガスが連通するのを可能にするため、後述するように、物品にかかる圧力が脈動する。スケルトン370は、管状支持アーム370上で支持されるが、ふた374はスケルトン370から離れた端部にある。ふた374は、ハウジング324の壁326のアクセスポート376を閉じて密封する。
【0050】
ガス圧力ライン378は、一端がハウジング374の開口を介して支持アーム372の内部と連通し、他端が約2インチ乃至約15インチの水圧のガス圧を発生させるガス圧源380と連通する。物品322の壁が厚ければ厚いほど、高い圧力が必要である。ガス圧力源380は、静圧を供給するか、または動的に変化する圧力を供給する。発明者等による研究によると、ガス圧力源380、従って物品322内の圧力を、好ましくは約20乃至2000ヘルツの周波数で脈動させると、物品322からの粒状汚染物の脱離が加速または増加することがわかっている。これらの研究によると、脈動は、ガス圧力源380内のガス、従ってスケルトン370上の物品322の内面と連通する市販の低音響レンジ変換器より得られた。この変換器の膜は、正弦波または矩形波の何れかにより、前述の周波数範囲において、一方向の出力全振幅変化が約9.9ミリメートルで駆動された。ハウジング324内のガス空間へ低音響レンジの脈動を加え、それにより物品322を外部から脈動させ、1またはそれ以上の音波源381がハウジング324の内部と連通し、ガス圧力源380の脈動について上述したような態様で作動させると、同じ結果が得られた。この脈動作用により、手袋の機械式洗浄が行われ、その表面から粒状物が脱離除去される。これは、事実上、図1−8の実施例に関連して説明した機械式洗浄作用に匹敵するものである。
【0051】
動作について説明すると、ふた374をポート376から取り外し、支持体330をハウジング324の外側で容易にアクセスできるようにして、手袋322をスケルトン370上に配置した後、支持アーム372に対して密封する。その後、支持体330をハウジング324に挿入して、ふた374をポート276に装着し、密封する。スケルトン370と、支持アーム372とは、物品322が物品支持場所332に配置されるような、寸法に設定されている。ガス圧力源380を作動して、手袋322をわずかに膨らませる。剛性のスケルトン370と、膨脹圧力とにより、手袋322が物品指示場所332で保持される。上述した特定の支持体330は、好ましい実施例において、手袋を処理するようになっているが、他の種類の物品に用いるものとして他の設計の支持体を用いてもよい。
【0052】
ハウジング324の内部328には、物品を化学式洗浄するために、ガス状洗剤の供給源338が設けられている。ガス状洗剤の供給源338は、作動されると、ハウジング324の内部328へガス状洗剤の流れを導入し、この流れは物品支持場所332を通過する際、エラストマー物品322と接触する。
【0053】
化学的洗剤を上述した手順で使用すると、エラストマー物品322から粒状汚染物質を脱離させ、ガス流がエラストマー物品322を流れる際粒状汚染物質を同伴さあせることができる。
【0054】
洗剤は、好ましくは、蒸発した洗剤の噴霧源340を含むが、この噴霧源は供給手段342を介して供給される。噴霧源340は、直径が好ましくは約20乃至50ミクロンの、蒸発した洗剤の細かい粒子を発生させる。この実施例の噴霧源340は、好ましくは、Misonix, Inc.から市販されているModel XL6040のような低圧小体積の超音波式吹付け器である。このタイプの噴霧源により導入される超音波エネルギーは、蒸発した洗剤の分子の脱離を助け、プラズマ中で分子をイオン化するに要する電磁エネルギーを減少させる。代わりの噴霧源340として、蒸発した洗剤中に超音波を発生させる高圧小体積のスプレーヘッド用いることが可能であり、このヘッドによると高い解離及びその後のイオン化作用が得られる。
【0055】
洗剤は、供給手段342を通過して噴霧源340から出る時蒸発する液体であるのが好ましい。好ましい洗剤には、エチレンジアミン四酢酸(EDPAと略記することもある)、イソプロピルアルコール(IPAと略記することもある)、臭酸及び過酸化水素の水溶液が含まれる。図1−8の実施例に関連して説明した洗剤溶液をここで用いてもよく、図9−12の実施例のための洗剤溶液を図1−8の実施例に用いることも可能である。吸込み空気は、吸込みパイプ344及び吸込みポート334を介してハウジング324に流入する。吸込み空気は、最初に、0.5ミクロンの粒子フィルタのようなフィルタ346を通過した後、噴霧源340を通る。噴霧源340より蒸発した洗剤は、吸込み空気の流れに同伴され、その後ハウジング324の内部328に流入する。
【0056】
供給源338はまた、ハウジング324の内部328であって、物品支持場所332に近接配置された弱イオン化プラズマ源348を含むが、このプラズマ源は物品支持場所332、従ってエラストマー物品322に隣接する周囲雰囲気中に弱イオン化プラズマを発生させる。弱イオン化プラズマは、120°Fを超えない温度を有し、イオンは5%を超えず、再結合時間は10秒より短い。弱イオン化プラズマ源は、噴霧源340から流出する蒸発した洗剤と、蒸発した洗剤を励起するイオン化源を含む。好ましいイオン化源は、蒸発した洗剤と接触する一組の電極349である。イオン化電極349は、蒸発した洗剤中で弱イオン化プラズマを発生させるに十分な大きさの交流、直流またはパルス状直流電圧により付勢される。イオン化電極349を、物品322の周りに位置するプレートとして示すが、他の作動可能な形状または場所があるであろう。例えば、イオン化電極は尖端状、棒状、リング状、ストリップ状またはコイル状でもよく、吸込みポート334、蒸発した洗剤が物品322を通過した後の吸込みポート334、またはハウジング324の内周にリング状に配置してもよい。イオン化電極349を介してアースプレートに印加されるイオン化電圧は、好ましくは1000ボルトもしくはそれ以下である。代わりに、イオン化エネルギーを、好ましくは、約365ナノメートル(nm)の長波長範囲、約302nmの中間波長範囲または約254nmの短波長範囲で作動する紫外光により供給してもよい。紫外光の強度は、好ましくは、発生源から3インチ離れた所で測定して、1平方センチメートル当たり720−2250マイクロワットの範囲である。空気流とイオン化機能はまた、ElectroStatics, Inc., Haleysville, PAまたはIon Systems, Berkley, CAから市販されているようなイオン化送風機またはインライン・イオン化装置により提供することができる。図示の装置では、手袋は洗浄作業の間、プラズマの内部にある。図1−8の実施例に関連して説明したように、洗浄中の手袋または他の物品は、物品に接触するガスが活性化された核種を有する限り、プラズマの境界の外部でもよい。
【0057】
蒸発した洗剤、弱イオン化プラズマ、及びエラストマー物品322の周りの物品の圧力脈動の相互作用により、微小亀裂360及びエラストマー物品322の表面362から粒子が脱離する。脱離した粒子は、吸込みポート334から排気ポート336の方へ流れ、排気ポート350から排出されるガス流中に同伴される。排気パイプ350のファン353は、吸込みポート334から排気ポート336へのガス流を発生させる差圧を生ぜしめるが、この差圧は約144平方インチの吸込みポート334の領域につき毎秒20リットル乃至約80リットルである。
【0058】
粒子カウンタ354は、ガス流がエラストマー物品322を通過した後のガス流中の粒子数を測定する。好ましくは、粒子カウンタ354を排気パイプ350の内部に配置して、ガス流中に同伴される全ての粒子が確実にカウントされるようにするが、ガス流が、排気ポート336に流入する前に粒子カウンタを通過するように配置してもよい。粒子カウンタ354は、任意の作動可能なタイプでよい。粒子カウンタ354は、望ましくは、リアルタイムで粒子数のカウントを与える。粒子カウンタ354は、レーザ粒子カウンタであるのが好ましい。かかるレーザ粒子カウンタは当該技術分野において知られており、例えば、Climet Instrumentsまたは the Met one Division of Pacific Scientificから市販されている。白色光粒子カウンタまたは空気フィルタシステムのような他の種類の粒子カウンタを用いることも可能であるが、それほど好ましいものではない。図1−8の実施例に関連して説明したように、化学的センサーを粒子カウンタと組み合わせて、またはそれとは別に設けてもよい。
【0059】
図9の実施例は、手袋をユーザーの手からはずしてテストするためにスケルトン370上に配置するケースを示している。図10は、粒子数の測定及び手袋の洗浄中にユーザーが手袋を着用しているケースを示している。図10に関連して説明する要素の多くは、図9のものと同じである。それらの要素について、同じ参照番号を図10の実施例において使用し、前の説明を引用する。
【0060】
図10の実施例と図9の実施例との間の主要な相違点は、ユーザーがテスト中に手袋を引き続き着用していることである。ユーザーは、手袋を着用した手をアクセスポート376のグランド382を介して挿入し、手袋が物品支持場所332にくるようにする。グランドと、アクセスポート376の周縁部とは、ユーザーの手及び腕と共に支持体330として働く。グランド382は密封または緊密な封止を提供する必要はないが、その理由はハウジング324の外部と、その内部328との間の差圧が小さいからである。
【0061】
図9の実施例は、従来の高エネルギープラズマに代えて、上述の弱イオン化プラズマ源348を用いるという重要な利点を有する。ユーザーは、薄い手袋によってのみ保護された手を、プラズマ源348により発生される弱イオン化プラズマ中に直接入れるが、これは、高エネルギー源を用いる場合では一般的に不可能である。図10において、イオン化電極349を、図9の電極とは異なる幾つかの例として図示してあるが、実際は、ただ1つのタイプのイオン化電極を任意の時点において常用するものである。かかるイオン化電極349は、蒸発した洗剤の導入点334における電極349aと、物品支持場所332に隣接するフィラメント電極349bと、ハウジング324の内周を延びるリング電極349cと、尖端状電極349dとを含む。
【0062】
図9及び10の実施例は、クリーンルームのような用途における重要な関心事である手袋に付着した粒状物を測定し、それを減少させるように使用可能である。病院、医師のオフィス及び歯科医師のオフィスを含む医療現場のような他の幾つかの用途では、手袋は微生物につき殺菌が必要とされる。図11は、手袋から粒状物を除去し、それと同時にその外面に存在する微生物を殺菌する発明の実施例を示す。図5に関連して説明した要素の多くは、図9及び10において同じである。それらの要素については、同一の参照番号を、図11の実施例において使用し、図9及び10の説明を引用する。さらに、図1−8の実施例に関連して説明した同じアプローチを図9−12の実施例に使用し、図9−12の実施例に関連して次に説明するアプローチも、図1−8の実施例に関連して用いることが可能である。
【0063】
この場合、ユーザーは、図10の実施例と同様に手袋を着用している。微生物殺菌装置は、ハウジング324の内部328において、物品支持場所332に隣接して配置されている。微生物殺菌装置は、図示の赤外線ランプ384のような粒子測定/洗浄装置に匹敵する任意の作動可能なタイプでよい。適当な赤外線ランプは、Aqua Ultraviolet USAから市販されている。微生物殺菌装置は、オゾン発生源または噴霧源340を介して導入される殺菌ガスのような他のタイプまたはそれらを別個に用いることができる。別タイプの殺菌方法は、蒸発した洗剤を選択して行える。過酸化水素を蒸発した洗剤として用いる場合、弱イオン化プラズマのイオン化エネルギーにより、分子が水と単原子酸素とに解離されるが、この単原子酸素は有機汚染物質を酸化するような反応性がある。超音波式噴霧吹付
け器を用いると、その解離が容易になる。
【0064】
微生物の殺菌は、粒子測定及び洗浄の前か、それと同時か、もしくはその後に行うことができる。図11のこの実施例によると、医療現場の人員は手袋を適当な態様で再使用することができる。通常、手袋は、同じ患者や治療につき何回も再使用されるが、異なる患者については再使用されない。しかしながら、本発明の方法によると、汚染を阻止するための安全性が増加し、手袋の使い捨てが減ることにより効率が増加する。
【0065】
図12は、本発明を実施する好ましい方法を示す。この図は、本発明の広範囲の可能な用途を想定して一般的な形で提示されている。以上の説明を、図12について引用する。洗浄すべき物品322を用意する(390)。上述した装置320のような洗浄装置を用意する(392)。物品322を装置320内に配置する(394)。装置320を作動して(396)、物品から粒状物を脱離し除去する。医療現場及び実験室におけるように、物品322を、適宜、殺菌する(398)。物品322の粒子カウントを、粒子カウンタ354により測定する(400)。ステップ396/398及び400は通常、同時に実行して、粒子カウントが洗浄の開始時から終了時まで時間の関数として測定されるようにする。粒子カウントは別の量と相関してもよい。例えば、クリーンルームの製造作業では、製造歩留まりを、通常、製品の関数として作動可能な製品の割合を求めることにより測定する(402)。ステップ400からの粒子カウンタに関する情報を、洗浄時間、洗浄頻度、各物品が廃棄前に再使用される回数のような、収集した関連情報と共に、製造歩留まりと相関させる(404)。これらのステップ390−404は通常、物品を洗浄する度に反復されて、回帰ループ406により示すように、データが収集される。ステップ404からの相関を用いて、洗浄頻度及び物品を廃棄が必要となる前に再使用できる回数のような物品洗浄基準を決定するために使用する。
【0066】
図12の一般的なアプローチによると、特定の状況に応じて多数の変形例が存在するであろう。例えば、クリーンルームの製造現場では、ステップ396/398、400及び404の順序を変更しそして/またはステップを種々の構成で繰り返すことができる。特定のクリーンルームの設定における本発明を引き続き実施すると、製造歩留まりと相関関係のある変数を確定する助けとなるが、その理由は、現在のところ、既存の方法はかかる相関を行うために使用できないからである。別の変形例として、本発明のアプローチをテストした後、選択した群の物品をRP−5テストまたはヘルニケテストのような他の手順でテストして、本発明のアプローチにより得られた結果(物品の再使用を可能とする)と、これらの他のテスト方法により得られた結果(物品の再使用を可能としない)との間の相関関係を求めることができる。
【0067】
医療現場、手術室、または実験室で使用される図12のアプローチの別の変形例では、ステップ402、404及び408を省略し、物品の廃棄前に何度も洗浄することもできる。通常、物品は、多数の患者でなくて単一の患者に使用する限り再使用することが可能である。これらの状況では、相関手順を適応することが望ましい場合もある。
【0068】
図12の基本的アプローチには多くの他の変形例がある。本発明は、測定及び洗浄/殺菌の両方の技術として、また、やり方を改善するために情報を収集する道具としてみることも可能である。
【0069】
本発明の特定の実施例を例示の目的で詳細に説明したが、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく多数の変形例及び設計変形が可能である。従って、本発明は頭書の特許請求範囲による場合を別として限定されるべきでない。
【技術分野】
【0001】
本発明は、手袋を着用した、または着用しないで手及びエラストマー物品の洗浄に関し、清潔さの測定に関する。
【背景技術】
【0002】
広範囲の分野において、作業員は、彼らの手がクリーンであるのを確認する必要がある。作業員は、手袋を着用する場合と、着用しない場合とがある。例えば、マイクロエレクトロニクス製品を取り扱うクリーンルームの作業員の手袋を着用した手に付着した汚染物質は、製品の歩留まりに悪い影響を与える場合がある。医療現場または歯科治療分野に携わる人員の手袋を着用した、または着用しない手に付着した汚染物質は、患者間において感染源を運び、また装置を汚染させる可能性がある。食品分野の作業員の手袋を着用した、また着用しない手に付着した汚染物質は、顧客に病気を伝染させる可能性がある。
【0003】
医療、歯科治療及び食品分野の領域における手を洗浄する普通の方法は、石鹸またはそれに匹敵する消毒薬を含んだ水で完全に洗浄した後、完全に乾燥することである。手袋を使用する場合、手袋を取り換える。かかる手順は絶対厳守であることが多い。しかしながら、研究の結果、多くの場合、医学、歯科治療及び食品分野に従事する人は、仕事を中断して、手を洗浄し乾燥したり、手袋を取り換えたりするのが不便で時間のかかることから、規則を守らず、手を洗ったり手袋を交換したりする機会を利用しないことがわかっている。マイクロエレクトロニクスの製造分野では、作業員は定期的に手袋を交換することを義務付けられているが、これは手袋のコスト及び労働中断時間の両点でコストが高くつく。
【0004】
手袋の着用は、上記及び他の状況で、労働者を保護し、取り扱う材料を保護し、また第三者を保護するために、広く普及している。通常はラテックスまたは合成材料より成る手袋は、手袋の製造者または洗浄業者が洗浄し、また包装するが、運搬または貯蔵中に粒子による汚染を受けることがある。エラストマー製の手袋は、表面硬化及び微小亀裂が発生し易い。微小亀裂が生じると、粒状物が生じ、微小亀裂箇所に滞留することがある。粒状物は、その後、微小亀裂箇所及び手袋の表面から脱離することがある。手袋はまた、使用中に生物で汚染されることがある。
【0005】
従って、手袋を着用した、または着用しない手、及び手袋以外のエラストマー物品を完全に洗浄しないことにより、また洗浄を行うコストと、洗浄をしないことによるコストとにより、広い範囲の分野で問題が生じる。利便性を向上させ、クリーンルーム、医療、実験室、食品サービス及び他の分野におけるかかる物品の必要な洗浄に付随するコストを減少させる必要がある。本発明は、この必要性を充足すると共に関連の利点をさらに提供するものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、粒状物及び表面の化学的及び生物的汚染物質を受け入れ可能なレベルまで減少させるために、手袋を着用した、または着用しない手、若しくは他のエラストマー物品を洗浄し、またそれらの物品の表面上の粒状及び/または汚染物質の量を測定する装置及び方法を提供する。この装置は、クリーンルーム、医療、実験室、食品サービス及び他の環境で容易に用いることができる。この装置は、給電のための接続部分を除いて、自立且つ自蔵型ユニットであり、配管または排水のための接続部分が不要である。(この装置は、バッテリー駆動が可能であり、その場合外部電源との接続が不要である。)通常は30秒未満の時間を必要とする、手袋を着用した、または着用しない手のような物の洗浄後、洗浄済みの物を乾燥させて、作業員が洗浄済みの物を必要とする活動に直ちに戻れるようにする。手袋を着用する用途では、本発明の方式により、手袋を定期的に取り換える必要性が減少する。換言すると、手袋を取り換える時間間隔が増加する。この装置はまた、各作業員が洗浄作業を行う回数をモニターして、この情報を製造歩留まり、健康または他の興味あるパラメータと関連付けるために使用することができる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施例において、この装置は、人間の手を受容する大きさの手洗浄空間を有する。この装置は、手洗浄空間へ加圧ガスの流れを差し向けるように配置された加圧ガス適用手段と、加圧ガス適用手段の入口と連通関係にある加圧ガス供給源と、手洗浄空間と連通関係にあるガス通気孔とより成る機械式洗浄装置を有する。加圧ガスは、イオン化ガスまたはプラズマガスより成る活性化ガスであるが、平衡状態にあるイオン化ガスが最も好ましい。活性化ガスの流れにより、手袋を着用した、または着用しない手の表面から粒子が脱離し、脱離した粒子が活性化ガスにより手の表面からはじかれるため、再びその表面に付着することはない。加圧ガス適用手段は,運動するシート状のガスが手の表面を掃引する空気ナイフ、または乱流を発生させる適当に配置されたノズル装置のようなガスナイフであ
る。加圧ガスの流れは、粒子脱離効果を増加させるために脈動させるのが好ましい。機械式洗浄装置は、手袋を着用した、または着用しない手から脱離する粒子をカウントするためにガス通気孔に設けた粒子カウンタを備えてもよい。粒子カウントは、粒子に関する手の清潔さを示す指標と解釈される。加圧ガス適用手段はまた、後続の処理を行った後、手袋を着用した、または着用しない手を乾燥させるように作動することができる。
【0008】
本発明の装置は、化学式洗浄装置も備えている。この化学式洗浄装置は、手袋を着用した、または着用しない手の表面に以前付着した化学的及び/または生物学的汚染物質を除去する。化学式洗浄装置は、手洗浄空間へ洗浄ミストを発射するように作動可能な噴霧吹付け器と、噴霧吹付け器の入口と連通関係にある洗浄溶液供給源と、手洗浄空間の噴霧吹付け器とは反対側にある噴霧吹付け器通気孔とを備えている。洗浄ミストは、プラズマガスまたはイオン化ガスのような活性化状態にある。洗浄ミストは、好ましくは、洗浄溶液をプラズマに送り込み、その内部に、解離し活性化した状態を発生させて形成する。
【0009】
洗浄ミストは、手の表面上の化学的汚染物質と反応して、これらの汚染物質が脱離し、蒸発して、洗浄ミストの流れの中に同伴されるようにして、装置から除去されるようにする。洗浄溶液は、各々の用途において予想される汚染物質の種類に応じて選択すればよい。しかしながら、通常の場合、有機汚染物質が、解離した過酸化水素と、オプションとしての、クエン酸または乳酸のような酸と、nプロピルアルコールの洗浄混合水溶液により除去される。特定の化学的汚染物質を逐次的に除去するために、好ましくは、2またはそれ以上の洗浄溶液が使用される。手袋を着用していない場合、スキンコンディショナーを導入してもよい。
【0010】
生物学的物体を洗浄ミストにより除去することができ、そして/または紫外光源にような別個の生物学的洗浄装置を設けてもよい。
【0011】
この装置は、手袋を着用した、または着用しない手(若しくは両手)を手洗浄空間内に挿入できるような開口を備えたハウジング内に配置するのが好ましい。この装置は、ハウジング内の開口に隣接する所に負圧源を有するため、ハウジング内のガスが開口から逃げず、負圧源の内部に吸引される。負圧源は、ガス通気孔かまたは噴霧吹付け器若しくは別個の通気孔である。
【0012】
本発明の他の特徴及び利点は、好ましい実施例の以下の詳細な説明を、本発明の原理を例示する添付図面を参照しながら読むと、明らかになるであろう。しかしながら、本発明の範囲は、この好ましい実施例に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、本発明による収納された装置の概略的な全面斜視図である。
【図2】図2は、図1の収納装置の概略的な裏面斜視図である。
【図3】図3は、図2と同じ図で見た装置の裏面内部を示す概略的な斜視図であるが、ハウジングは内部の部品を明らかにするため取り外されている。
【図4】図4は、機械的洗浄装置が作動中の手洗浄空間とその関連の装置の内部のレイアウトを示す概略図である。
【図5】図5は、化学的洗浄装置が作動中の、手洗浄空間と関連の装置の内部のレイアウトを示す概略図である。
【図6】図6は、加圧ガスにおいて平衡イオン化ガスを発生させるための櫛型イオン化器の概略図である。
【図7】図7は、噴霧洗浄溶液を活性化するためのグロー放電プラズマ源の該略図である。
【図8】図8は、本発明の第1の実施例を用いる好ましい方法を示すブロック流れ図である。
【図9】図9は、本発明の第2の実施例による第1の装置を示す概略図である。
【図10】図10は、本発明の第2の実施例による第2の装置を示す概略図である。
【図11】図11は、本発明の第3の実施例による第3の装置を示す概略図である。
【図12】図12は、本発明の第2の実施例を用いる方法を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1−8は、本発明の第1の実施例に関する。図1及び2は、手袋を着用した、または着用しない人間の手を洗浄する洗浄装置20を外部から見た図である。手袋を着用しない場合、露出される人間の皮膚が洗浄される。手袋を着用する場合、その手袋は、好ましくは、天然ラテックスまたは合成エラストマーのようなエラストマー材料で作られている。装置20は、開口24を備えたハウジング22を有する。この開口24は、1または、好ましくは2つの人間の手を受容する大きさを有し、手を挿入するに便利な、フロアからの高さに位置している。プロトタイプの装置20において、開口24は、高さが9インチ、幅が12インチであり、フロアからの高さは約43インチである。制御パネル26が、ユーザーがアクセスする装置20の前面に位置している。
【0015】
図3は、図2と同じ図であるが、ハウジング22を取り外して内部の部品が見えるようにしたものである。図4及び5は、動作サイクルの異なる部分における、ハウジングを取り外した装置の内部レイアウト図である。
【0016】
装置20は、開口24を介して、手袋を着用した、または着用しない手30を受容する大きさの手洗浄空間28を有する。この装置20は、手袋を着用した、または着用しない手の表面から粒子を脱離させる機械式洗浄装置32を備えている。機械式洗浄装置32は、手30の表面から粒子を脱離させる任意の作動可能なタイプでよい。粒子の脱離は、手袋を着用するクリーンルーム及び医療現場で特に重要である。手袋のようなエラストマー物品は、通常、貯蔵、運送及び使用時において、外面上に小さな微小亀裂が発生する。かかる微小亀裂は、天然ラテックス及び合成エラストマーの両方に見られる。これらの微小亀裂は、エラストマーの手袋が破損する程大きくも深くもなく、このため、微小亀裂が存在してもこれらの物品は多くの用途において受け入れ可能である。しかしながら、エラストマーの手袋の表面に微小亀裂が生じると、粒状物が発生してそこに滞留し、それが後で物品から脱離し、クリーンルーム製造現場またはある特定の医療現場のような環境において、粒状物による汚染の問題を発生させる可能性がある。エラストマー材料が表面から剥離すると、粒状物が生じる。さらに、外部で発生した粒子が、ユーザーがエラストマーの物品を撓ませる際に微小亀裂箇所に捕捉され、後で、該物品から脱離する粒状物もある。機械式洗浄装置32は、手袋の表面からこれら両タイプの粒子を取り除くものである。
【0017】
好ましい機械式洗浄装置32は、手洗浄空間28に加圧ガスの流れを差し向けるように配置された加圧ガス適用手段34を含む。加圧ガス適用手段34は、任意の作動可能なタイプでよい。好ましい加圧ガス適用手段34としてガスナイフがあるが、空気ナイフ36が好ましい。空気ナイフ36は、手洗浄空間28の頂部であって、手30の上方を横方向に延びるように取り付けられた第1のシリンダ38aと、手洗浄空間の下方であって、手30の下方を横方向に延びるように取り付けられた第2のシリンダ38bとを含む。各シリンダの軸は、図4及び5の平面から延びている。各シリンダ38a及び38bは、ほぼ手袋を着用した手の方に指向されたノズルを有する。ノズルを流れる空気または他のガスは、手袋を着用した、または着用しない手に当たって、手袋の表面から粒子を機械的に脱離させる。シリンダ38a、38bは、モータ39または他のタイプの駆動手段により、それらの軸を中心として回転するように駆動されるため、手袋を着用した、または着用しない手の上面と下面がそれぞれ掃引される。用途によっては、空気ナイフの代わりに、またはそれに加えて、固定ノズル列(図示せず)を用いてもよい。加圧ガス適用手段34としては、ガスナイフの方が、比較的高圧の洗浄が望ましい固定ノズル列ような他のタイプのガス源よりも好ましいが、その理由は、任意の瞬間にユーザーの手にかかる力の合計が一定であるとすると、ガスナイフによる方法は粒子を脱離させるために大きな局部的圧力を使用できるからである。
【0018】
加圧ガス供給源40は、加圧ガス適用手段34の入口42と連通関係にある。加圧ガスは、好ましくは「活性化状態」にあるが、これは、加圧ガスがイオン化電界またはプラズマにより活性化されていることを意味する。加圧ガス供給源40からの加圧ガスがイオン化された状態にあるのが最も好ましい。イオン化された状態にあるとすると、活性化ガスは、ほぼ同数の正及び負のイオンが存在することを意味する、平衡イオン化状態か、または、正と負のイオン数が等しくないことを意味する、高度にイオン化された非平衡状態であろう。平衡イオン化状態の方が好ましい。加圧ガス供給源40、好ましくはイオン化空気の供給源は、加圧ガスボトル、ファンまたは吸排式タンクのような加圧ガス供給源44を含む。加圧ガス供給源44は、ガスを一定圧力で供給する。しかしながら、加圧ガス供給源44は、ガスが脈動するようなガス流を供給するものが好ましい。脈動ガスは、一定圧力で流れるガスよりも手袋の表面から粒子を脱離させる効率が高いことがわかっている。加圧ガス適用手段34へ供給されるガス圧力は、通常、大気圧よりも約30乃至約40psi高く、オプションとして、大気圧よりも約30−40psi高い最大圧力と大気圧の最小圧力との間で脈動する。
【0019】
粒子の機械的脱離は、さらに、2つの手を接触させて洗浄する手洗浄運動により促進される。ユーザーは、通常、石鹸と水で手を洗浄する際よく知られた態様で両手を擦り合わせるが、これにより手袋が撓んで粒子が脱離する。この運動は、加圧ガス適用手段の動作時に行い、所望であればその後化学式洗浄装置が動作する時にも行う。その結果、手袋の表面から粒子がより効果的に除去される。
【0020】
加圧ガス供給源40からのガスは、加圧ガス適用手段34に到達する前に、任意の作動可能なタイプのガス活性化器46により活性化される。しかしながら、この実施例では、その活性化器は平衡ガスイオン化器である。図6は、好ましくは、ガス活性化器46として使用される櫛歯型平衡ガスイオン化器200を示す。通常は空気であるイオン化されるガスは、ガス流れチャンネル202を、(図6の平面から出る方向に)流れる。櫛歯型イオン化器204は、複数の鋭い尖端部206が約半インチの間隔で離隔され、ガス流れチャンネル202の一方の側へ延びるものである。導電性の平面208が、ガス流れチャンネルの反対側を延びる。約5−6キロボルトの交流電圧がこれらの尖端部206に印加して、尖端部206とアース平面20との間にコロラ効果を発生させる。平衡イオン化状態が、ガス流れチャンネル202を流れるガスに与えられる。別法として、ガスをレーザまたは紫外光のような任意の他の適当な方法によりイオン化してもよい。活性化ガスがプラズマである場合、このプラズマは、後で説明する態様でグロー放電により、または他の任意適当な方法により発生可能である。この実施例において、手袋を着用した、または着用しない手は、イオン化電界またはプラズマに露出されず、その代わりに、シリンダ38のノズルから出る活性化ガスに曝される。後述する第2の実施例では、手はプラズマ電界中にある。多くの場合、第2の実施例は手袋を着用しない手ではなくて、着用した手に使用される。
【0021】
ガス通気孔48は、手洗浄空間28と連通している。ガス通気孔48は、手洗浄装置32により導入されたガス流を排出するものである。図4に示すように、通常は排気ファンであるポンプ50は、ガスを通気孔48を介してフィルタ及びスクラバ52の内部に吸引する。フィルタ及びスクラバ52からはクリーンなガスが排出されるが、ガスに捕捉された粒状物は廃棄レセプタクル54に溜まる。廃棄レセプタクル54は、装置20に取り付けられた引き出しのようなものであり、これは廃棄物を処理するために容易に取り出すことができる(図3を参照)。
【0022】
オプションとして、排気ラインの、ガス通気孔48とフィルタ及びスクラバ52との間に、粒子カウンタ/化学的センサー53が設けられている。粒子カウンタ/化学的センサー53は、任意の作動可能なタイプのものでよい。粒子カウンタ/化学的センサー53は、好ましくは、粒子数のカウント、そして/または排気ガス中の化学的成分をリアルタイムで与える。粒子カウンタ/化学的センサー53は、粒子カウンタの場合、レーザ粒子カウンタであるのが好ましい。かかるレーザ粒子カウンタは、当該技術分野で公知であり、例えば、Climet Instruments及び the Met One Division of Pacific Scientificから市販されている。白色光粒子カウンタまたは空気フィルタシステムのような他のタイプの粒子カウンタを使用できるが、それほど好ましくない。検出することが予想される種類の化学的物質にとって好適な任意タイプのリアルタイム化学的センサーを用いればよい。化学的センサーは、2通りの用途に応じて、特定の化学的構成成分または放射性成分を測定するよう選択すればよい。検知すべき化学的成分は、洗浄装置20が使用される業界により異なる。
【0023】
コントローラ58は、機械式洗浄装置32の動作を、動作パラメータのタイミング及び選択の両方につき制御する。コントローラ58は、制御信号を加圧ガス供給源44、ガスイオン化器46、空気ナイフ36の駆動手段及びポンプ50へ送る。また、オプションとしての粒子カウンタ/化学的センサー53から入力を受取り、それらを制御する。コントローラ58は、後でさらに詳説する手順に従って命令信号を送信し、データを受取り、記憶させ、分析するようにプログラムされたマイクロコンピュータであるのが好ましい。
【0024】
装置20はさらに、化学式洗浄装置60を有する。この化学式洗浄装置60は、ユーザーの、手袋を着用した、または着用しない手30の表面に付着した化学的汚染物質を除去する。図5は、化学式洗浄装置60が動作中の装置20を示す。化学式洗浄装置60は、洗浄ミストを手洗浄空間28内に発射するように作動可能な噴霧吹付け器62(即ち、蒸発器)を有する。洗浄ミストは、洗浄溶液が気化した液滴より成る。液滴は、ほぼ均一サイズであり、直径が約1乃至20ミクロンのオーダーであるのが好ましい。噴霧吹付け器62は、Shutz社により製造される市販のModel SCA 2000Xのような低圧小体積の超音波式噴霧吹付け器であるのが好ましい。このタイプの噴霧吹付け器により導入される超音波エネルギーは、蒸発した洗浄物質の分子の解離を助け、分子のイオン化に必要な電磁エネ
ルギーを低下させる。超音波式でない噴霧吹付け器を代わりに用いてもよい。噴霧吹付け器は、蒸発した洗浄物質中に超音波を発生させて解離及びその後のイオン化が高い効率で行われるようにする高圧小体積のスプレーヘッドでよい。その代わりに、噴霧吹付け器として、IVEK Digispense 800 Systemのようなスプレー装置を用いてもよい。噴霧吹付け器62により蒸発されるガスは、噴霧吹付け器62の入口64と連通する加圧ガス源61から供給される。加圧ガス源61は、加圧ボトルまたは圧縮器駆動システムのような任意の作動可能なタイプでよい。
【0025】
多くの場合、洗浄溶液毎に別個の噴霧吹付け器を設けるが、単一の噴霧吹付け器を示す。市販の噴霧吹付け器は通常、蒸発させてミストにする特定の流体に対して調整されており、このためその特定の流体またはそれに良く似た流体についてのみ蒸発が最適に行われるようにしたものである。実質的に異なる特性を有する多数の洗浄溶液を用いる場合、通常、洗浄溶液の各流れについて別個の噴霧吹付け器を設ける必要がある。
【0026】
噴霧吹付け器62が発生させる洗浄ミストは、手洗浄空間28に到達する前に、活性化するのが好ましい。即ち、手袋を着用した、または着用しない手は、直接にプラズマまたはイオン化電界に曝されず、プラズマまたはイオン化電界を通過した後の洗浄ミストの活性化分子にのみ曝される。洗浄ミストは、プラズマまたはイオン化電界により活性化することができる。プラズマ状態またはイオン化状態は、任意の作動可能な方法により発生できるが、図4−5及び7に示すようなプラズマ発生源63により行うのが好ましい。図7に示すように、プラズマ発生源63は、ガス流れチャンネル222内にプラズマ220を発生させるグロー放電プラズマ源である。噴霧ガスは、プラズマ220を通過すると、ガス内の成分が活性化され解離される。発明者にとって最も興味ある例では、洗浄ミストは、プラズマ220に進入すると、過酸化水素H2O2を含むようになる。プラズマを出た後、過酸化水素分子の少なくとも一部は、解離されて、水酸基(OH)及び単原子酸素(O)により活性化された核種が発生する。これらの核種は、数秒の間解離状態に留まり、その間に手30の方へまたその上を流れる。最大の洗浄効率を得るためには、プラズマ発生源63を手洗浄空間28にできるだけ近く、しかしながら、この実施例において、手がプラズマ220内に実際に位置するほど近くないように配置するのが好ましい。解離した核種は、手30上の化学的汚染物質と急速に反応する。グロー放電プラズマ発生源は、核種のこの解離状態に留まる時間が長いため、他の種類のガス活性化装置よりも現在のところ好ましい。
【0027】
プラズマ220は、直流パルス回路により約20−30キロボルトに帯電された電極224とアース226との間を流れる電流により発生する。電極224は疎水性絶縁体228内にあり、開口230を介してガス流れチャンネル220にアクセスできる。開発研究において、発明者等は、ガス流れチャンネル222を流れる噴霧ガス中の水分により電極224が化学的に腐蝕する傾向があることを観察している。電極224を遮蔽してかかる腐蝕を防止するためには、絶縁体228の内部に乾燥したガスを導入して、電極224の周りを流れ、開口230から出るようにする。
【0028】
洗浄溶液の少なくとも1つの供給源は、噴霧吹付け器62の入口64と連通関係にある。少なくとも2つのかかる供給源、即ち第1の洗浄溶液のための第1の供給源66と、第2の洗浄溶液のための第2の供給源68とがあるのが好ましい。これらの供給源は、図3に示すような取り外し可能なタンクとして提供される。この装置22は、化学物質のために別個の供給源フックアップを設ける必要はなく、従ってクリーンルームまたは他の用途では自立型である(バッテリーかもしれない電源を除く)。ポンプ70、72は、それぞれの供給源66、68から洗浄溶液を噴霧吹付け器62の入口64へ圧送する。洗浄溶液は、噴霧吹付け器62に同時に導入されず、代わりに、後述するように順次導入される。
【0029】
特定の洗浄条件に応じて、広範囲の洗浄溶液を使用すればよい。即ち、マイクロエレクトロニクス業界のクリーンルームにおいて手から除去すべき化学物質は、病院の手術室の手から除去すべき化学物質とは全く異なるものであろう。以下の説明は、一般的な洗浄を行うための現在において好ましい方法を示すものであるが、本発明はそれに限定されない。
【0030】
エラストマーの手袋を着用した手の手袋の表面を洗浄するに際して、第1の洗浄溶液は、過酸化水素、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)及びnプロピルアルコールを脱イオン水に溶かした水溶液である。過酸化水素は、前述したように活性化核種の主要な供給源である。EDTAは、カリウムやナトリウムのようなイオンをキレート化するが、これは手袋の殺菌を促進する。nプロピルアルコールは湿潤剤として働き、洗浄ミストが手袋の表面内に浸透するのを促進する。第2の洗浄溶液は、過酸化水素、nプロピルアルコール、クエン酸または乳酸を脱イオン水に溶かした水溶液である。クエン酸または乳酸は、過酸化水素と混合すると微生物の殺菌を行う相乗効果を有する。噴霧される第1の洗浄溶液は、プラズマにより活性化され、噴霧される第2の洗浄溶液もまた、プラズマにより活性化される。粒子のカウントは、通常、手袋または他のエラストマー物品の洗浄の一部として行われ、化学的分析が行われることも多い。
【0031】
手袋を着用しない手の表面の洗浄に際して、第1の洗浄溶液は、脱イオン水に溶かした過酸化水素である。第2の洗浄溶液は、脱イオン水中の乳酸溶液であり、オプションとしてnプロピルアルコールが添加されている。乳酸は、ハロゲン化物を中性化し、微生物を殺菌する働きがある。アロエベラまたはグリセリン系コンディショナーのような手コンディショナーを、第2の洗浄溶液に添加するか、または第2の洗浄溶液に接触させた後の別のステップにおいて、手袋を着用しない手に適用してもよい。この場合、噴霧された第1の洗浄溶液はプラズマにより活性化され、噴霧された第2の洗浄溶液はプラズマにより活性化されない。粒子のカウントは、通常、手袋を着用しない手の洗浄の一部として行うが、化学的分析を行うことが多い。
【0032】
洗浄溶液は、主として、表面から化学物質を除去するために使用するものであるが、それらは粒子の除去にも役立つ。粒子は、極性イオンの吸引、摩擦電気力及びファンデアワールス力の含む種々の機構により表面に付着している。空気ナイフの平衡イオン化空気と、空気ナイフのガス流の物理的力と、化学式洗浄溶液の遊離基によるイオン吸引の中性化とが組み合わさって、これらの結合力の全てを克服し、粒子を手袋を着用した、または着用しない手から取り除く効果がある。
【0033】
噴霧吹付け器62から発射された洗浄ミストは、噴霧吹付け器のファンにより手洗浄空間28を通過する際、手袋を着用した、または着用しない手30の上を流れる。この洗浄ミストは、噴霧吹付け器の通気孔74により生じる空気流により、手洗浄空間28から除去される。そのため、洗浄ミストは手袋を着用した、または着用しない手の表面と接触した後、排出される。空気流はポンプにより生じるが、このポンプは、ガス流適用手段の通気孔48を介してガスを吸引する同じポンプ50でもよい。ポンプ50は、洗浄ミストをフィルタ及びスクラバ52へ圧送するが、この洗浄ミストは手袋から除去した汚染物質を含んでいる。
【0034】
ポンプ50及び開口24の大きさは、ポンプ50が手洗浄空間28を、洗浄装置20の外部の大気圧に比べてわずかに負圧にするように設定されている。従って、大気圧の空気が開口24及びポンプ50を介して吸引されるため、ガス流適用手段34または噴霧吹付け器62からのガスは周囲の空気へ逃げることができない。
【0035】
コントローラ58は、ポンプ70、72、噴霧吹付け器62及び加圧ガス供給源61の動作を制御する。
【0036】
病院、医師のオフィス及び歯科医のオフィスを含む医療施設のような用途では、手袋を着用した、または着用しない手に付着した微生物を殺菌除去する必要がある。図4及び5は、手袋上の粒状物を測定して洗浄し、それと同時に手袋の外面上に存在する微生物を殺菌除去する本発明の実施例を示す。微生物殺菌装置80は、ハウジング22の内部において、手洗浄空間28、従って手袋を着用した、または着用しない手30に近接配置されている。微生物殺菌装置は、図示の紫外線ランプのような粒子測定/洗浄装置とコンパチブルな任意の作動可能なタイプのものでよい。適当な紫外線ランプとして、Aqua Ultraviolet USAから市販されるものがある。微生物殺菌装置としては、オゾン発生源、または噴霧吹付け器62を介して、またはそれとは別個に導入される殺菌ガスのような他の種類のものもある。蒸発された洗浄物質を選択することにより、別の殺菌方法を用いてもよい。過酸化水素を蒸発された殺菌物質として用いる場合、活性化プラズマのイオン化エネルギーにより、分子が解離して活性化核種となるが、これは有機物質を酸化しかつ微生物を破壊するような反応性がある。超音波式噴霧吹付け器を用いると、この解離が容易となる。
【0037】
微生物の殺菌は、粒状物の測定及び洗浄の前か、それと同時か、もしくはその後に行うことができる。図4及び5に示すこの実施例によると、医療及び歯科治療施設の人員は、手袋を適当な態様で再使用できる。通常、手袋は同一の患者と治療に対して多数回再使用されるかもしれないが、異なる患者に対しては再使用されない。それにもかかわらず、本発明の方法によると、汚染を阻止する安全性が向上し、手袋の使い捨てを減少することにより効率が増加する。
【0038】
図8は、2種類の洗浄溶液を用いる場合における、洗浄装置20のユーザーの手袋を着用した手の手袋を洗浄するための好ましい操作手順を示すものである。最初に、手袋を着用した、または着用しない手30を、開口24を介して装置20内に挿入する(100)。制御パネル26または足ペダルによるユーザーの手動制御により、もしくはフォトセル(図示せず)により挿入と同時に自動的に、装置が作動される。機械式洗浄装置32が作動されて(102)、粒子が挿入された手袋の表面から除去される。ステップ102は、所望の機械式洗浄を行うに要する時間の間継続するが、通常は、約3秒乃至約10秒の長さである。ステップ104において、この期間中またはその後で、オプションとしての粒子カウンタ/化学的センサー53が作動されるが、通常は、ステップ102と同時に作動される。機械式洗浄ステップ102が終了し、機械式洗浄装置32が停止する(106)。望ましくは、停止ステップ106で示すように、ステップ102の終了と、ステップ108の開始との間に時間間隔が存在する。しかしながら、ステップ102と、108との間に短いオーバーラップ期間を設けてもよい。ステップ102と、108とは、実質的には時間的オーバーラップはないが、その理由は、加圧ガス適用手段34からの高流量のガスが噴霧状態の洗浄ミストと手袋との間の接触を乱すからである。同じことが、ここで説明するその他の停止ステップにあてはまる。
【0039】
その後、化学式洗浄装置60を、噴霧吹付け器62へ送られる第1の溶液を用いて作動する(108)。ステップ108は、所望の化学式洗浄を行うに要する長さだけ継続するが、通常は約3乃至約10秒であるステ。ステップ108が停止される(110)。
【0040】
再び、機械式洗浄装置が作動される(112)。このステップは、手袋の表面から残留している第1の洗浄溶液を吹き払い、手袋の表面を乾燥させ、化学式洗浄ステップ108の間に自由になった粒子を手袋の表面から脱離させるものである。ステップ112は、所望の化学式洗浄を行うに要する長さの時間の間継続するが、通常は約3乃至10秒である。ステップ112が終了すると、手は乾燥している。粒子カウンタ/化学的センサー53は、ステップ112の間、またはその後に、オプションとして作動させてもよい。ステップ112が停止される(114)。
【0041】
単一の洗浄溶液を使用する場合、洗浄作業は完了する。第2の洗浄溶液も使用する場合、次のステップを行う。
【0042】
再び、化学式洗浄装置60を作動させるが(116)、この際、第2の洗浄溶液を噴霧吹付け器62へ供給する。ステップ166は、所望の化学式洗浄を行うに要する長さの時間の間継続するが、通常は、約3乃至10秒である。ステップ116が停止される(118)。
【0043】
再び、機械式洗浄装置32を作動させる(120)。このステップは、手袋の表面から残留する第2の洗浄溶液を吹き払い、手袋表面を乾燥させ、引き続き、手袋の表面から、化学式洗浄ステップ116で自由になった粒子を脱離させるものである。ステップ116は、所望の化学式洗浄を行うに要する長さの時間の間継続されるが、通常は約3乃至10秒である。ステップ116が終了すると、手は乾燥状態にある。粒子カウンタ/化学的センサー53を、オプションとして、このステップ120の間、またはその後に作動してもよい(122)。この粒子のカウントは粒子の最終的なカウントであり、任意の化学的分析は最終的な化学的分析である。ステップ120と、122とを停止する(124)。
【0044】
前述した2つの洗浄溶液を用いて、手袋を着用しない手を洗浄する場合、ステップ100、108、110、116、118、120及び124だけを実行するのが好ましい。上述したように、ステップ120の後に、スキンコンディショナーを洗浄空間へ導入する別のステップを付加してもよい。
【0045】
図1−7に示すように構成された装置20のプロトタイプは、図8に示す方法を用いるように構成され、作動されている。機械式洗浄装置及び活性化化学式洗浄装置を用いるテストによると、粒子及び化学的汚染物質の有意な減少が可能であることが実証されている。例えば、新しいクリーンルーム用のニトリルの手袋は、洗浄サイクルに曝した後、0.5ミクロンに等しいかそれより大きいサイズの粒子が通常は38%減少することがわかっている。陰イオン及び陽イオン抽出汚染物質では、10乃至30%の有意な減少が見られた。同じ種類のニトリル製手袋は、洗浄サイクルでの処理前に制御された期間使用すると、0.5ミクロンに等しいかそれより大きいサイズの粒子が最大60%減少した。比較のために、噴霧状態の洗浄溶液をプラズマまたはイオンにより活性化せずに化学式洗浄装置を用いて同様な研究を行った。これらの研究によると、新しいニトリル製手袋では、0.5ミクロンに等しいかそれより大きいサイズの粒子が通常12%減少するのがわかった。陰イオン及び陽イオン抽出汚染物質では、これらの減少は、常には検出されなかった。従って、噴霧状態の洗浄ミストを活性化させない装置は、作動可能であるが、その有効性は噴霧状態の洗浄ミストを活性化させたものと比べると格段に低い。
【0046】
図9−12は、本発明の第2の実施例に関する。第1と第2の実施例との間には共通の特徴があるため、その限度で、それぞれの説明を相互に組み込んでいる。例えば、この第2の実施例は、図1−8の実施例に関連して説明した空気ナイフのような機械式洗浄装置がないものとして説明する。しかしながら、図9−12の実施例に機械式洗浄装置を設けてもよい。
【0047】
図9は、エラストマー物品322、この場合は好ましいエラストマー手袋を処理する装置320を示す。手袋の処理が現在のところ好ましいが、本発明は他の種類の物品についても利用可能である。本願において、用語「処理」は物品の特性の測定及び/または物品の洗浄のような物品の変更及び/または測定結果と他の情報との相関を包含するものである。
【0048】
装置320は、壁326を備えたハウジング324を有する。ハウジング324の内部328には、液体ではなくて気体が充填されている。本発明の方法は、物品を液体中に浸漬しないため、物品の測定、洗浄及びその後の使用が容易となる。
【0049】
支持体330は、物品320を、物品支持場所332で支持する。物品支持場所332は、一般的に、吸込みポート334と、排気ポート336との間に位置するが、それらの間の正確な場所に位置させる必要はない。図9の実施例において、支持体330は、プラスチックのような電気的絶縁体で形成した剛性のスケルトン370を含むが、これは物品322、この場合は処理すべき手袋の内部で摺動する。スケルトン330は、その内部と、物品322の隣接内面との間でガスが連通するのを可能にするため、後述するように、物品にかかる圧力が脈動する。スケルトン370は、管状支持アーム370上で支持されるが、ふた374はスケルトン370から離れた端部にある。ふた374は、ハウジング324の壁326のアクセスポート376を閉じて密封する。
【0050】
ガス圧力ライン378は、一端がハウジング374の開口を介して支持アーム372の内部と連通し、他端が約2インチ乃至約15インチの水圧のガス圧を発生させるガス圧源380と連通する。物品322の壁が厚ければ厚いほど、高い圧力が必要である。ガス圧力源380は、静圧を供給するか、または動的に変化する圧力を供給する。発明者等による研究によると、ガス圧力源380、従って物品322内の圧力を、好ましくは約20乃至2000ヘルツの周波数で脈動させると、物品322からの粒状汚染物の脱離が加速または増加することがわかっている。これらの研究によると、脈動は、ガス圧力源380内のガス、従ってスケルトン370上の物品322の内面と連通する市販の低音響レンジ変換器より得られた。この変換器の膜は、正弦波または矩形波の何れかにより、前述の周波数範囲において、一方向の出力全振幅変化が約9.9ミリメートルで駆動された。ハウジング324内のガス空間へ低音響レンジの脈動を加え、それにより物品322を外部から脈動させ、1またはそれ以上の音波源381がハウジング324の内部と連通し、ガス圧力源380の脈動について上述したような態様で作動させると、同じ結果が得られた。この脈動作用により、手袋の機械式洗浄が行われ、その表面から粒状物が脱離除去される。これは、事実上、図1−8の実施例に関連して説明した機械式洗浄作用に匹敵するものである。
【0051】
動作について説明すると、ふた374をポート376から取り外し、支持体330をハウジング324の外側で容易にアクセスできるようにして、手袋322をスケルトン370上に配置した後、支持アーム372に対して密封する。その後、支持体330をハウジング324に挿入して、ふた374をポート276に装着し、密封する。スケルトン370と、支持アーム372とは、物品322が物品支持場所332に配置されるような、寸法に設定されている。ガス圧力源380を作動して、手袋322をわずかに膨らませる。剛性のスケルトン370と、膨脹圧力とにより、手袋322が物品指示場所332で保持される。上述した特定の支持体330は、好ましい実施例において、手袋を処理するようになっているが、他の種類の物品に用いるものとして他の設計の支持体を用いてもよい。
【0052】
ハウジング324の内部328には、物品を化学式洗浄するために、ガス状洗剤の供給源338が設けられている。ガス状洗剤の供給源338は、作動されると、ハウジング324の内部328へガス状洗剤の流れを導入し、この流れは物品支持場所332を通過する際、エラストマー物品322と接触する。
【0053】
化学的洗剤を上述した手順で使用すると、エラストマー物品322から粒状汚染物質を脱離させ、ガス流がエラストマー物品322を流れる際粒状汚染物質を同伴さあせることができる。
【0054】
洗剤は、好ましくは、蒸発した洗剤の噴霧源340を含むが、この噴霧源は供給手段342を介して供給される。噴霧源340は、直径が好ましくは約20乃至50ミクロンの、蒸発した洗剤の細かい粒子を発生させる。この実施例の噴霧源340は、好ましくは、Misonix, Inc.から市販されているModel XL6040のような低圧小体積の超音波式吹付け器である。このタイプの噴霧源により導入される超音波エネルギーは、蒸発した洗剤の分子の脱離を助け、プラズマ中で分子をイオン化するに要する電磁エネルギーを減少させる。代わりの噴霧源340として、蒸発した洗剤中に超音波を発生させる高圧小体積のスプレーヘッド用いることが可能であり、このヘッドによると高い解離及びその後のイオン化作用が得られる。
【0055】
洗剤は、供給手段342を通過して噴霧源340から出る時蒸発する液体であるのが好ましい。好ましい洗剤には、エチレンジアミン四酢酸(EDPAと略記することもある)、イソプロピルアルコール(IPAと略記することもある)、臭酸及び過酸化水素の水溶液が含まれる。図1−8の実施例に関連して説明した洗剤溶液をここで用いてもよく、図9−12の実施例のための洗剤溶液を図1−8の実施例に用いることも可能である。吸込み空気は、吸込みパイプ344及び吸込みポート334を介してハウジング324に流入する。吸込み空気は、最初に、0.5ミクロンの粒子フィルタのようなフィルタ346を通過した後、噴霧源340を通る。噴霧源340より蒸発した洗剤は、吸込み空気の流れに同伴され、その後ハウジング324の内部328に流入する。
【0056】
供給源338はまた、ハウジング324の内部328であって、物品支持場所332に近接配置された弱イオン化プラズマ源348を含むが、このプラズマ源は物品支持場所332、従ってエラストマー物品322に隣接する周囲雰囲気中に弱イオン化プラズマを発生させる。弱イオン化プラズマは、120°Fを超えない温度を有し、イオンは5%を超えず、再結合時間は10秒より短い。弱イオン化プラズマ源は、噴霧源340から流出する蒸発した洗剤と、蒸発した洗剤を励起するイオン化源を含む。好ましいイオン化源は、蒸発した洗剤と接触する一組の電極349である。イオン化電極349は、蒸発した洗剤中で弱イオン化プラズマを発生させるに十分な大きさの交流、直流またはパルス状直流電圧により付勢される。イオン化電極349を、物品322の周りに位置するプレートとして示すが、他の作動可能な形状または場所があるであろう。例えば、イオン化電極は尖端状、棒状、リング状、ストリップ状またはコイル状でもよく、吸込みポート334、蒸発した洗剤が物品322を通過した後の吸込みポート334、またはハウジング324の内周にリング状に配置してもよい。イオン化電極349を介してアースプレートに印加されるイオン化電圧は、好ましくは1000ボルトもしくはそれ以下である。代わりに、イオン化エネルギーを、好ましくは、約365ナノメートル(nm)の長波長範囲、約302nmの中間波長範囲または約254nmの短波長範囲で作動する紫外光により供給してもよい。紫外光の強度は、好ましくは、発生源から3インチ離れた所で測定して、1平方センチメートル当たり720−2250マイクロワットの範囲である。空気流とイオン化機能はまた、ElectroStatics, Inc., Haleysville, PAまたはIon Systems, Berkley, CAから市販されているようなイオン化送風機またはインライン・イオン化装置により提供することができる。図示の装置では、手袋は洗浄作業の間、プラズマの内部にある。図1−8の実施例に関連して説明したように、洗浄中の手袋または他の物品は、物品に接触するガスが活性化された核種を有する限り、プラズマの境界の外部でもよい。
【0057】
蒸発した洗剤、弱イオン化プラズマ、及びエラストマー物品322の周りの物品の圧力脈動の相互作用により、微小亀裂360及びエラストマー物品322の表面362から粒子が脱離する。脱離した粒子は、吸込みポート334から排気ポート336の方へ流れ、排気ポート350から排出されるガス流中に同伴される。排気パイプ350のファン353は、吸込みポート334から排気ポート336へのガス流を発生させる差圧を生ぜしめるが、この差圧は約144平方インチの吸込みポート334の領域につき毎秒20リットル乃至約80リットルである。
【0058】
粒子カウンタ354は、ガス流がエラストマー物品322を通過した後のガス流中の粒子数を測定する。好ましくは、粒子カウンタ354を排気パイプ350の内部に配置して、ガス流中に同伴される全ての粒子が確実にカウントされるようにするが、ガス流が、排気ポート336に流入する前に粒子カウンタを通過するように配置してもよい。粒子カウンタ354は、任意の作動可能なタイプでよい。粒子カウンタ354は、望ましくは、リアルタイムで粒子数のカウントを与える。粒子カウンタ354は、レーザ粒子カウンタであるのが好ましい。かかるレーザ粒子カウンタは当該技術分野において知られており、例えば、Climet Instrumentsまたは the Met one Division of Pacific Scientificから市販されている。白色光粒子カウンタまたは空気フィルタシステムのような他の種類の粒子カウンタを用いることも可能であるが、それほど好ましいものではない。図1−8の実施例に関連して説明したように、化学的センサーを粒子カウンタと組み合わせて、またはそれとは別に設けてもよい。
【0059】
図9の実施例は、手袋をユーザーの手からはずしてテストするためにスケルトン370上に配置するケースを示している。図10は、粒子数の測定及び手袋の洗浄中にユーザーが手袋を着用しているケースを示している。図10に関連して説明する要素の多くは、図9のものと同じである。それらの要素について、同じ参照番号を図10の実施例において使用し、前の説明を引用する。
【0060】
図10の実施例と図9の実施例との間の主要な相違点は、ユーザーがテスト中に手袋を引き続き着用していることである。ユーザーは、手袋を着用した手をアクセスポート376のグランド382を介して挿入し、手袋が物品支持場所332にくるようにする。グランドと、アクセスポート376の周縁部とは、ユーザーの手及び腕と共に支持体330として働く。グランド382は密封または緊密な封止を提供する必要はないが、その理由はハウジング324の外部と、その内部328との間の差圧が小さいからである。
【0061】
図9の実施例は、従来の高エネルギープラズマに代えて、上述の弱イオン化プラズマ源348を用いるという重要な利点を有する。ユーザーは、薄い手袋によってのみ保護された手を、プラズマ源348により発生される弱イオン化プラズマ中に直接入れるが、これは、高エネルギー源を用いる場合では一般的に不可能である。図10において、イオン化電極349を、図9の電極とは異なる幾つかの例として図示してあるが、実際は、ただ1つのタイプのイオン化電極を任意の時点において常用するものである。かかるイオン化電極349は、蒸発した洗剤の導入点334における電極349aと、物品支持場所332に隣接するフィラメント電極349bと、ハウジング324の内周を延びるリング電極349cと、尖端状電極349dとを含む。
【0062】
図9及び10の実施例は、クリーンルームのような用途における重要な関心事である手袋に付着した粒状物を測定し、それを減少させるように使用可能である。病院、医師のオフィス及び歯科医師のオフィスを含む医療現場のような他の幾つかの用途では、手袋は微生物につき殺菌が必要とされる。図11は、手袋から粒状物を除去し、それと同時にその外面に存在する微生物を殺菌する発明の実施例を示す。図5に関連して説明した要素の多くは、図9及び10において同じである。それらの要素については、同一の参照番号を、図11の実施例において使用し、図9及び10の説明を引用する。さらに、図1−8の実施例に関連して説明した同じアプローチを図9−12の実施例に使用し、図9−12の実施例に関連して次に説明するアプローチも、図1−8の実施例に関連して用いることが可能である。
【0063】
この場合、ユーザーは、図10の実施例と同様に手袋を着用している。微生物殺菌装置は、ハウジング324の内部328において、物品支持場所332に隣接して配置されている。微生物殺菌装置は、図示の赤外線ランプ384のような粒子測定/洗浄装置に匹敵する任意の作動可能なタイプでよい。適当な赤外線ランプは、Aqua Ultraviolet USAから市販されている。微生物殺菌装置は、オゾン発生源または噴霧源340を介して導入される殺菌ガスのような他のタイプまたはそれらを別個に用いることができる。別タイプの殺菌方法は、蒸発した洗剤を選択して行える。過酸化水素を蒸発した洗剤として用いる場合、弱イオン化プラズマのイオン化エネルギーにより、分子が水と単原子酸素とに解離されるが、この単原子酸素は有機汚染物質を酸化するような反応性がある。超音波式噴霧吹付
け器を用いると、その解離が容易になる。
【0064】
微生物の殺菌は、粒子測定及び洗浄の前か、それと同時か、もしくはその後に行うことができる。図11のこの実施例によると、医療現場の人員は手袋を適当な態様で再使用することができる。通常、手袋は、同じ患者や治療につき何回も再使用されるが、異なる患者については再使用されない。しかしながら、本発明の方法によると、汚染を阻止するための安全性が増加し、手袋の使い捨てが減ることにより効率が増加する。
【0065】
図12は、本発明を実施する好ましい方法を示す。この図は、本発明の広範囲の可能な用途を想定して一般的な形で提示されている。以上の説明を、図12について引用する。洗浄すべき物品322を用意する(390)。上述した装置320のような洗浄装置を用意する(392)。物品322を装置320内に配置する(394)。装置320を作動して(396)、物品から粒状物を脱離し除去する。医療現場及び実験室におけるように、物品322を、適宜、殺菌する(398)。物品322の粒子カウントを、粒子カウンタ354により測定する(400)。ステップ396/398及び400は通常、同時に実行して、粒子カウントが洗浄の開始時から終了時まで時間の関数として測定されるようにする。粒子カウントは別の量と相関してもよい。例えば、クリーンルームの製造作業では、製造歩留まりを、通常、製品の関数として作動可能な製品の割合を求めることにより測定する(402)。ステップ400からの粒子カウンタに関する情報を、洗浄時間、洗浄頻度、各物品が廃棄前に再使用される回数のような、収集した関連情報と共に、製造歩留まりと相関させる(404)。これらのステップ390−404は通常、物品を洗浄する度に反復されて、回帰ループ406により示すように、データが収集される。ステップ404からの相関を用いて、洗浄頻度及び物品を廃棄が必要となる前に再使用できる回数のような物品洗浄基準を決定するために使用する。
【0066】
図12の一般的なアプローチによると、特定の状況に応じて多数の変形例が存在するであろう。例えば、クリーンルームの製造現場では、ステップ396/398、400及び404の順序を変更しそして/またはステップを種々の構成で繰り返すことができる。特定のクリーンルームの設定における本発明を引き続き実施すると、製造歩留まりと相関関係のある変数を確定する助けとなるが、その理由は、現在のところ、既存の方法はかかる相関を行うために使用できないからである。別の変形例として、本発明のアプローチをテストした後、選択した群の物品をRP−5テストまたはヘルニケテストのような他の手順でテストして、本発明のアプローチにより得られた結果(物品の再使用を可能とする)と、これらの他のテスト方法により得られた結果(物品の再使用を可能としない)との間の相関関係を求めることができる。
【0067】
医療現場、手術室、または実験室で使用される図12のアプローチの別の変形例では、ステップ402、404及び408を省略し、物品の廃棄前に何度も洗浄することもできる。通常、物品は、多数の患者でなくて単一の患者に使用する限り再使用することが可能である。これらの状況では、相関手順を適応することが望ましい場合もある。
【0068】
図12の基本的アプローチには多くの他の変形例がある。本発明は、測定及び洗浄/殺菌の両方の技術として、また、やり方を改善するために情報を収集する道具としてみることも可能である。
【0069】
本発明の特定の実施例を例示の目的で詳細に説明したが、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく多数の変形例及び設計変形が可能である。従って、本発明は頭書の特許請求範囲による場合を別として限定されるべきでない。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングの内部の物品支持場所に配置されたエラストマー物品と接触するようにガス状洗剤のガス流を送るステップより成り、ガス状洗剤は、粒状汚染物質をエラストマー物品から脱離させ、エラストマー物品を通過するガス流中に粒状汚染物質が同伴されるように作動可能であり、
ガス状洗剤の供給源は、
ハウジングの内部に流入する蒸発した洗剤の噴霧源と、
ハウジングの内部において物品支持場所に近接配置され、弱イオン化プラズマを物体支持場所に隣接する周囲雰囲気中に発生させる弱イオン化プラズマ源とより成るエラストマー物品の処理方法。
【請求項1】
ハウジングの内部の物品支持場所に配置されたエラストマー物品と接触するようにガス状洗剤のガス流を送るステップより成り、ガス状洗剤は、粒状汚染物質をエラストマー物品から脱離させ、エラストマー物品を通過するガス流中に粒状汚染物質が同伴されるように作動可能であり、
ガス状洗剤の供給源は、
ハウジングの内部に流入する蒸発した洗剤の噴霧源と、
ハウジングの内部において物品支持場所に近接配置され、弱イオン化プラズマを物体支持場所に隣接する周囲雰囲気中に発生させる弱イオン化プラズマ源とより成るエラストマー物品の処理方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2009−172607(P2009−172607A)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−107471(P2009−107471)
【出願日】平成21年4月27日(2009.4.27)
【分割の表示】特願2000−616830(P2000−616830)の分割
【原出願日】平成12年5月5日(2000.5.5)
【出願人】(501432058)インテコン システムズ インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年4月27日(2009.4.27)
【分割の表示】特願2000−616830(P2000−616830)の分割
【原出願日】平成12年5月5日(2000.5.5)
【出願人】(501432058)インテコン システムズ インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】
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