手持ち式内蔵型発光分光(OES)分析器
発光分光(OES)分析器、特に、内蔵型の手持ち式OES分析器を提供する。サンプルの組成を分析するための手持ち式内蔵型バッテリ式試験計器は、サンプルの少なくとも一部分を励起するための励振器、サンプルの励起部分から光信号を受信するための小型の交差分散分光計、及び分光計からの光信号に関するスペクトルデータを処理するためのプロセッサを含む。励振器は、スパーク発生器、及びサンプル部分から光信号を発生させるための対極、レーザ、又は他のデバイスを含むことができる。分光計は、試験計器が一般合金を識別するのに必要な炭素、燐、硫黄、マンガン、シリコン、鉄、及び他の元素の相対量を検出して判断することを可能にするのに十分広い波長範囲を有する。分光計は、小さな熱膨張係数(CTE)を有する軽量材料で作られた構造部材を含む。分光計は、分光計の温度を制御することなく予測周囲温度の範囲にわたって寸法的に安定である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2007年2月23日出願の「手持ち式内蔵型発光分光(OES)分析器」という名称の米国特許仮出願第69/891、408号からの優先権を請求し、この特許は、本明細書においてその全内容が引用により組み込まれている。
【0002】
2008年2月22日出願のDenis Baiko他による「線形センサアレイによる高速かつ正確な時間分解分光法」という名称の本出願人に譲渡された米国特許出願第12/035、477号の内容は、本明細書においてその全内容が引用により組み込まれている。
【0003】
2008年2月22日出願のJohn E.Goulter他による「拡張スペクトル範囲に対する小型交差分散分光計」という名称の本出願人に譲渡された米国特許出願第(供給すれる予定)号の内容は、本明細書においてその全内容が引用により組み込まれている。
【0004】
本発明は、発光分光(OES)分析器に関し、より具体的には、内蔵型の手持ち式OES分析器に関する。
【背景技術】
【0005】
サンプルの化学組成の分析は、屋外の金属再利用施設における金属タイプ(特に、様々なタイプの鉄及び鋼)の識別及び分離と、工場及び法医学的作業における品質管理試験とを含む多くの場合に重要である。いくつかの分析方法が利用可能である。
【0006】
発光分光法(OES)は、材料の元素分析に対して成熟した堅牢な技術である。OESでは、少量のサンプル材料は、気化されて原子の基底状態を超えて励起される。気化されたサンプルの元素の放射特性は、元素組成をもたらすように光からスペクトルを生成して分析する分光計に光を送る導光板によって捕捉される。
【0007】
金属サンプルに対して、放射スペクトルを発生させるための広くいきわたった技術は、電気アーク又はスパーク又はその両方を用いて分析すべき少量のサンプルを気化させる。代替的に、レーザ誘起破壊分光法(LIBS)又はグロー放電(GD)を用いて放射サンプルを気化させて励起することができる。OES分析技術の調査は、本明細書に完全に記載されているかのように引用により組み込まれているスリッカーズ著「自動原子発光分光計」第2版(1993年)に見ることができる。
【0008】
典型的にサンプルの非常に僅かな部分を試験する測定から推定された組成がサンプル全体の組成を代表し、例えば、含有物、母体、及び表面汚染物質からの影響を最小にすることを確信するために、測定の数秒内に100平方ミリメートルほども大きい区域に衝突した数千ものアーク/スパークからのスペクトルを平均することは標準的慣例である。
【0009】
一部のOES分析器は、実験室における用途向きの大きな非携帯ユニットである。他のOES分析器は、それらを移動することができるという点では「携帯用」である。しかし、鉄又は鋼中の炭素又は他の一般成分を識別することができる従来技術の「携帯用」OES分析器は、光ファイバ/電線によって相互接続された2つの別々の構成要素を必要とする。例えば、Spectroportの商品名で「Spectro A.I.、Inc.」から入手可能な分析器は、スーツケースサイズの33ポンド分析ユニットに10フィートケーブルを通じて接続された手持ち式プローブを含む。同じく「Spectro A.I.、Inc.」からの「Spectro iSort」分析器は、10ポンドバックパック中に格納された分析ユニットにケーブルによって接続された手持ち式プローブを含む。
【0010】
鋳鉄及び様々な合金のような一般材料を識別するのに必要な炭素、燐、硫黄、及び他の元素を検出するのに必要なスペクトル範囲を網羅するために、これらの従来技術の分析器は、炭素、燐、硫黄、及び鉄に対する手持ち式プローブの固定波長検出器、並びに他の元素に対する分析ユニットの分光計を含む。この不格好な二部構造は、これらの分析器の使用及び移動を困難にする。
【0011】
「ARC−MET 8000 MobileLab」という商品名で米国ニュージャージー州ユーイング所在のメトロレックスから入手可能な二部分析器は、回転式「主ユニット」に10フィートケーブルによって接続された手持ち式「プローブ」を含む。プローブは、175−370nmの宣伝スペクトル範囲を有する分光計を収容するが、回転式主ユニットは、プローブに電力及び冷却を供給し、かつ分光計からの出力を解析する必要がある。少なくとも一部のユーザは、完全に内蔵型である手持ち式OES分析器を用いることを好むと考えられる。
【0012】
同じく「Spectro A.I.、Inc.」からのSpectrosort分析器は、単体バッテリ駆動手持ち式分析器である。しかし、この分析器中の分光計のスペクトル限界は、炭素、燐、及び硫黄の検出を不可能にし、従って、この分析器の実用性を厳しく制限する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】米国特許仮出願第69/891、408号
【特許文献2】米国特許出願第12/035、477号
【特許文献3】米国特許仮出願第60/889、465号
【特許文献4】米国特許仮出願第60/891、320号
【非特許文献】
【0014】
【非特許文献1】スリッカーズ著「自動原子発光分光計」第2版(1993年)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
内蔵型手持ち式OES分析器のユーザは、炭素及び他の重要な元素を検出することができる分析器を好むと考えられるので、分析器は、広範な一般材料を識別することができる。しかし、様々な障害が、これまでのところそのようなフル装備内蔵型手持ち式分析器の製作を妨げている。これらの障害の中でも、とりわけ、典型的な環境条件下で上述の分析に必要な波長範囲及び温度安定性を示す分光計を手持ち式分析器に適切なサイズ及び重量で構成することができないことがある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の実施形態は、サンプルの一部分の組成を分析するための分析器を提供する。分析器は、手持ち式内蔵型試験計器を含む。試験計器は、サンプルの一部分を励起してその励起が光信号を生成する励振器と、光信号を受信して第1の平面に分散された中間光信号を作成するための手持ち式計器内に配置された第1の分散要素とを含む。手持ち式計器内に配置された第2の分散要素は、第1の分解光学系列を対応する第1の複数の検出要素上に、かつ第2の分解光学系列を対応する第2の複数の検出要素上に配置するように中間光信号を分散させる。プロセッサが、第1及び第2の複数の検出要素から信号を受信するように連結され、かつ信号を処理するようにプログラムされる。バッテリは、励振器及びプロセッサに電力を供給する。
【0017】
対応する複数の検出要素上に置かれた光学系列の少なくとも一方は、約193nmよりも短く、又は約178nmよりも短く、又は少なくとも約170nmほどの短い波長にまで及ぶ場合がある。
【0018】
各複数の検出要素は、複数の検出要素上に置かれた分解光学系列の連続スペクトル範囲を受信するように構成することができる。第1及び第2の複数の検出要素上に置かれたスペクトル範囲は、少なくとも約178nmから約400nmにまで及ぶ場合がある。
【0019】
計器は、中間光信号が通過する開口を形成する構造体を含むことができる。光信号は、構造体上に集束させることができる。
【0020】
励振器は、サンプルの一部分に対して電位を持続するための電極と、サンプルの一部分に対して電極上に電位を確立するための電圧供給源とを含むことができる。励振器は、レーザを含むことができる。
【0021】
第1の分散要素は、交差分散プリズムとすることができる。第2の分散要素は、回折格子とすることができ、これは、第1及び第2の分解光学系列において同程度の効率をもたらすように輝きを放つホログラフィック回折格子とすることができる。
【0022】
第1の複数の検出要素は、第2の複数の検出要素と同一平面上にない場合がある。試験計器は、第2の分散要素と対応する複数の検出要素との間で第1及び第2の分解光学系列の一方の光路にミラーを更に含むことができる。
【0023】
第1及び第2の分散要素、並びに第1及び第2の複数の検出要素は、少なくとも約40%グラファイトを有するようにグラファイトで充填されたポリフェニレン・サルファイド樹脂を含むことができる炭素充填ポリマー構造部材に剛結合することができる。
【0024】
プロセッサは、観測スペクトル特徴に基づいて自動波長較正するようにプログラムすることができる。
【0025】
第2の分散要素は、少なくとも約5、000又は少なくとも約10、000の分解能を提供することができる。
【0026】
計器は、プロセッサに連結された表示画面を更に含むことができる。表示画面は、ヒンジ式表示画面とすることができる。
【0027】
本発明の実施形態は、サンプルの一部分の組成を分析するための分析器を提供する。分析器は、サンプルの一部分を励起するための励振器を含む手持ち式内蔵型試験計器を含むことができる。励起は、光信号を生成する。計器はまた、光信号を受信するために分析器内に配置されて、光信号を分散させて分散光信号から出力信号を生成するように作動する、少なくとも約178nmから約400nmに及ぶスペクトル範囲を有する分光計を含む。計器はまた、分光計に連結されて出力信号を処理するようにプログラムされたプロセッサと、励振器、分光計、及びプロセッサに電力を供給するバッテリとを含む。
【0028】
分光計は、ピクセル化されたセンサを含むことができ、かつ分光計は、約190nmでピクセル当たり少なくとも約0.02nmの分解能を有することができる。
【0029】
分光計は、少なくとも2つの異なる系列において同程度の効率を有するホログラフィック回折格子と、格子から分散光信号の2つの系列を受信するように配列されたセンサとを含むことができる。分光計は、交差分散させることができる。
【0030】
分光計は、分光計の光学要素が取り付けられた炭素充填ポリマーを含む構造部材を含むことができる。
【0031】
プロセッサは、観測スペクトル特徴に基づいて分光計を自動的に波長較正するようにプログラムすることができる。
【0032】
本発明の別の実施形態は、サンプルの一部分の組成を分析する方法を提供する。本方法は、サンプルの一部分を励起し、それによって光信号を生成する段階と、光信号からスペクトルを発生させる段階とを含む。第1の所定のスペクトル特徴は、スペクトルの少なくとも一部分に合わせられる。波長は、ピクセルに関連し、これは、そのピクセルに対する第1の所定のスペクトル特徴の位置に基づいている。スペクトルは、サンプルの一部分の少なくとも1つの成分を判断するために分析される。
【0033】
波長は、1組のピクセルにわたる予測線形スペクトル分散に基づいて他のピクセルに関連する場合がある。
【0034】
第2の所定のスペクトル特徴は、スペクトルの少なくとも一部分に合わせることができ、波長は、第1の所定のスペクトル特徴の位置に対する第2の所定のスペクトル特徴の位置に基づいて、他のピクセルに関連する場合がある。
【0035】
本発明は、図面と共に以下の「発明を実施するための形態」を参照することによってより完全に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の実施形態による手持ち式内蔵型バッテリ式OES試験計器の斜視図である。
【図2】図1の試験計器の切欠き図である。
【図3】本発明の実施形態による図1の計器の分光計の斜視図である。
【図4】図3の分光計の一部分の拡大斜視図である。
【図5】サンプル表面と接触した状態の図1の試験計器の筒先を示す図である。
【図6】本発明の一実施形態による図1の計器によって発生した単一のスパーク/アークに関して時間に対してプロットした代表的な電圧及び電流曲線を示すグラフである。
【図7】本発明の一実施形態による図1の計器によって発生したスパーク/アークに関して時間に対してプロットした代表的な電圧及び電流曲線を示す2つのグラフである。
【図8】図1の試験計器によって生成された分析間隙の拡大概略図である。
【図9】本発明の一実施形態による図3及び4の分光計の切欠き斜視図である。
【図10】本発明の一実施形態によるシステムパラメータの選択に関して図1の計器のセンサアレイ上に投影されたスペクトルの2つの概略図である。
【図11】本発明の一実施形態による2列のセンサの概略図である。
【図12】本発明の一実施形態による図11の2列のセンサ及びそのための対応する取り付けブラケットの斜視図である。
【図13】本発明の一実施形態による回折格子アセンブリの分解組立図である。
【図14】本発明の一実施形態による分光計ハウジング内に取り付けられた図13の回折格子アセンブリの斜視図である。
【図15】本発明の一実施形態による図1の試験計器に対するアラインメント設定の概略図である。
【図16】本発明の一実施形態によるサンプルの組成を分析するための処理を説明する流れ図である。
【図17】本発明の一実施形態による図1の試験計器の主な構成要素のブロック図である。
【図18】本発明の一実施形態によるティルトアップ画面を有する手持ち式内蔵型試験計器の斜視図である。
【図19】センサピクセルによって生成された2つのスペクトルピーク及び対応する信号を示す概略グラフである。
【図20】本発明の実施形態によるセンサアレイのための千鳥配置ピクセル構造の実施形態を示す図である。
【図21】本発明の実施形態によるセンサアレイのための千鳥配置ピクセル構造の実施形態を示す図である。
【図22】本発明の一実施形態によるセンサ及びスペクトル、並びにセンサに衝突するシフトされたスペクトルの斜視概略図である。
【図23】既知のスペクトルを示すグラフである。
【図24】本発明の実施形態による自動波長較正を説明する流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本発明の実施形態により、手持ち式内蔵型バッテリ式試験計器を有するサンプルの組成を分析する方法及び装置を開示する。試験計器中の分光計は、試験計器が、一般合金を識別するのに必要な炭素、燐、硫黄、マンガン、シリコン、鉄、及び他の元素の相対量を検出して判断することができるほど十分に広い波長範囲を有する。試験計器の設計及び構成は、試験計器が、分光計を加熱又は冷却することなく広い周囲温度範囲にわたって正確な結果を発生させることができるようにし、それによって電力を節約して、バッテリを再充電する必要がある前に試験計器を作動させることができる時間量を延ばす。
【0038】
試験計器は、サンプルの少なくとも一部分を励起させ、こうして光信号を生成する。サンプル中の元素の波長特性における発光の結果として、光信号は、サンプル中の元素を識別する情報を含む。分光計は、光信号を1組のセンサ上に波長分散させ、センサの各々は、光信号の狭い範囲の波長を受信する。プロセッサは、センサからの信号を受信して処理し、かつサンプル中の元素を識別して定量化するようにプログラムされる。
【0039】
手持ち式内蔵型バッテリ式試験計器は、小さく、軽量で、電力の消費を小さくすべきである。本発明の開示する実施形態は、これらの特性を示す分光ベース分析試験計器の構成を可能にする。これらの実施形態は、発光分光法(OES)を使用する分析技術及び試験計器との関連で示すが、この応用の技術は、光吸収分光法を使用する試験計器を含むスペクトル分析を使用する他のタイプの分析試験計器に応用することができる。更に、開示する実施形態は、アーク/スパーク励起との関連で示すが、レーザ誘起破壊(LIB)及びグロー放電(GD)を含む励起の他の形式を用いることができる。
【0040】
一実施形態の一般構造
図1は、本発明の一実施形態による手持ち式内蔵型バッテリ式OES試験計器100の斜視図である。計器100は、筒先102を含む。作動中に、筒先102の導電性平坦部分103は、導電性サンプル表面(図示せず)に押し付けられる。対極104からサンプルへのスパークは、サンプルの一部分を励起し、それによって光信号を生成する。対極104は、絶縁ディスク(見えない)によるなどの筒先102の導電性平坦部分103から電気的に分離される。光信号は、上部ポート(見えない)に入って、1つ又はそれよりも多くのミラー(見えない)によって反射されて計器100の内側の分光計204に入る。プロセッサ(見えない)は、分光計中の1組の検出器(見えない)に連結される。プロセッサは、検出器からの信号を処理するようにプログラムされる。プロセッサは、分光計によって生成されたスペクトルの少なくとも一部分を分析し、サンプルの元素組成を識別して定量化する。
【0041】
プロセッサは、分析結果をタッチスクリーン110に表示する。任意的に、プロセッサは、有線又は無線接続(図示せず)を通じてコンピュータ又はディスプレイのような外部デバイスに分析の結果を伝送することができる。タッチスクリーン110、トリガ112、及びオペレータインタフェースボタン114は、ユーザがプロセッサと情報をやり取りすることを可能にする。取外し可能な再充電可能バッテリ116は、プロセッサ、タッチスクリーン110、分光計204、及び対極に連結されたスパーク発生器(見えない)に電力を供給する。
【0042】
図2は、スパーク発生器200、第1のミラー202、及び分光計204を示す試験計器100の切欠き図である。ミラー202は、フッ化マグネシウム被覆及び溶融シリカ基板を有するアルミメッキを付加した前面ミラーとすることができるが、他の適切なミラーを用いることもできる。ミラー202は、平面とすることができるが、凹面(双曲線又は放物線を含む)形状は、より良い画質を提供することができる。
【0043】
導電性インサート206は、対極104(図2には示さず)が配置された内腔208を形成する。インサート206はまた、筒先102の導電性平坦部分103の少なくとも一部を提供する。スパーク発生器200は、対極104に及び筒先102の導電性平坦部分103に電気的に接続され、筒先102の平坦部分103がサンプルと接触状態になった時に、サンプルを有する電気帰還回路上で完了する。筒先102の殆どは、スパークから及びスパーク発生器200からの熱を分散させるように、金属又は別の熱伝導性材料とすることができる。点線210は、対極104の近くから分光計204の入口スリットまで光信号がたどった光路の一部分(大部分は筒先102内に隠れている)を概略的に示している。
【0044】
図3は、分光計204の斜視図である。分光計204ハウジングは、インサート206(図3には示さず)が挿入された開口部302を形成する構造体300を含む。図4は、より詳細に構造体300及びインサート206を示す分光計204の一部分の拡大斜視図である。インサート206は、点線によって示すようにインサート206の壁を通る内腔400を形成する。サンプルによって生成された光信号は、内腔400を通過して構造体300中の第2のミラー402によって反射される。第2のミラー402は、構造体300を通る第2の内腔404を通じて第1のミラー202(図示せず)に向けて光信号を反射する。
【0045】
構造体における第3の内腔406及びインサート206における対応する内腔(見えない)は、少なくとも部分的には、空気が光信号中の関連の一部又は全ての波長を減衰するか又は遮断することができるので、ガスが対極104の近くまで配管されて、空気の対極104の近くでパージすることができる流体連通路を提供する。内腔404中に取り付けられた窓(図示せず)は、ガスが内腔208から分光計208へ逃げないように気密シールを提供する。窓は、好ましくは、光信号の波長で十分に透明であるベータアルミナ(β−Al2O3又は「合成サファイア」)又は別の材料で作られる。
【0046】
環境
図3に示すように、対極104の鋭い先端部分は、サンプル表面500から約2−3mmのところに配置され、それによって分析間隙を作成する。対極104は、直径約1/16−1/4インチとすることができる。対極104は、好ましくは、トリア化タングステンで作られるが、炭素(グラファイト)又は銀のような他の適切な材料を用いることができる。対極104は、励起された場合に、単純スペクトルか、又はサンプル500中の可能な材料によって生成されたスペクトルと容易に区別される少なくとも1つのスペクトルを生成する材料で作るべきである。
【0047】
アルゴンのような不活性ガスは、内腔406を通じて配管されて、ガスで分析間隙を溢れさせる場合がある。計器に直接連結されて場合によっては計器の一部分内に封入されるガスタンクからのものを含む手持ち式試験計器へガスを供給する方法及び装置は、2007年2月12日出願の「小さな点のX線蛍光(XRF)分析器」という名称の米国特許仮出願第60/889、465号に詳細に開示されており、この特許の内容は、本明細書に完全に記載されるかのように引用により組み込まれている。サンプル500中の可能な材料と化学的に反応せず、かつ励起した時に比較的単純放射スペクトル(又はサンプル500中の可能な材料によって生成されたスペクトルと容易に区別される少なくとも1つのスペクトル)を生成するガスを選択すべきである。
【0048】
スパーク発生
対極104とサンプル表面500の間の電位は、ガスを破壊し、電流が、スパーク又はアーク又はその両方の形態で対極104からサンプル表面500まで流れることができるようにする。スパークは、ガスを加熱して、少量のサンプルを気化させる。気化サンプル材料は、高温ガスによって励起されて光学的(しかし、場合によっては目に見えない)放電を生成する。
【0049】
正の一方向電流は、対極104へ供給されて、対極104を腐食させないようにすべきである。スパーク発生器200は、適切な一方向電流を対極104へ供給するようにダイオード508(又は同等回路)を含む。対極104は、ワイヤブラシを用いて又は電流を反転させて犠牲洗浄サンプルに対してスパーク/アークを生成することにより、蓄積されたデブリを取り除くことができる。
【0050】
作動中に、1組のスパーク/アークは、立て続けに発生させることができる。各スパークは、スパークによるサンプル表面500の孔食、欠陥、及びサンプル表面500中の含有物、その他によってサンプル表面500上の僅かに異なる位置に衝突する場合がある。一般的には、高スパーク繰返し数は、スパークが、低スパーク繰返し数が起こるよりも小区域にわたってサンプル表面と衝突するようにする。従って、スパーク繰返し数を制御することにより、サンプル区域を制御することができる。1秒間当たり約50から400スパークにおいて、スパークは、直径約3mmの区域と衝突するのに対して、1秒間当たり約1、000から2、000スパークにおいて、放電区域は、直径約1mmである。少なくとも部分的には、殆どの金属は、そのような小区域のみを試験する時に正確な結果をもたらすほど十分に均一ではないので、直径1mmのような小放電区域を回避することが望ましい場合がある。そのような小区域のサンプリングは、小区域の組成によりバイアスを受けるという結果を生む場合がある。
【0051】
スパーク/アークを生成するように対極104に提供された信号の電圧及び電流(対時間)プロフィール(波形)は、電力消費を制限しながら、スパークの開始、サンプルの気化、及びガスの加熱を最適化するように制御すべきである。図6は、単一のスパーク/アークに対して時間に対してプロットした代表的な電圧及び電流曲線を示すグラフである。グラフに示すように、短期間の高電圧ピーク600は、スパークを開始して、対極104とサンプル表面500の間の分析間隙中のガスを破壊する。スパークは、サンプルの一部分を腐食して分析ガスにする。その後に、電圧は低下する。スパークは、電流グラフの一部分602に示すように低電流スパークである。しかし、その後に、電流は、増加してピーク604に達すると同時に、電圧は、アークを持続するように中程度に高くて、分析間隙中の腐食サンプル材料を励起する。励起材料は、励起材料の元素組成の光信号特性を放出する。その後に、電流及び電圧は低下する。スパーク/アークの処理にわたって分析間隙に導入された電力の様々な量により、分析間隙中の温度は、スパーク/アークの期間にわたって変化する。
【0052】
鉄及びニッケルのような硬質金属を分析するために、図7の上部のグラフ(A)に示すような電圧プロフィールを用いることができる。電圧プロフィールは、高エネルギ予備スパーク700、その後高電流であるが低電圧のアーク702を示している。アルミニウム、マグネシウム、又は銅のような軟質金属を分析するために、図7の下部のグラフ(B)に示すような2相電圧プロフィールを用いることができる。電圧プロフィールは、スパーク部分704、遅延時間706、及び別々のアーク部分708を示している。スパーク部分704を用いて、サンプル中の1次合金を判断することができ、かつアーク部分708を用いて、サンプル中の微量元素を判断することができる。一般的には、下部のグラフ(B)の信号の電圧は、上部のグラフ(A)の信号の電圧よりも低い。
【0053】
一実施形態では、初期破壊電圧は、分析間隙中のアルゴン又は他のガスを破壊するために必要に応じて約6、000−10、000ボルトである。一実施形態では、ピーク電流は、約60−100アンペアである。電圧及び電流の絶対値は、スパーク/アーク毎の電圧及び電流の反復性及び対極104に対する信号の共鳴の回避ほど重要ではない。電圧及び電流の振幅及びプロフィールは、実質的にできるだけ反復可能である必要がある。
【0054】
スパーク発生器200は、プロセッサの制御下で作動する。すなわち、プロセッサは、スパーク発生器200に対して繰返し数、並びに電圧、電流、及び/又はプロフィールを識別することができる。代替的に、電圧、電流、及び/又はプロフィールは、スパーク発生器200において事前設定することができる。スパーク発生器200は、上述のような電圧及び電流を生成するスイッチモード電源(SMPS)のような高電力サイリスタ又はMOSFET回路のようなあらゆる適切な回路とすることができる。
【0055】
スパーク電圧へのユーザの不測の露出を防止するために、筒先102は、スパーク発生器200がスパーク信号を生成する前にサンプル表面によって起動する必要がある1つ又はそれよりも多くの瞬時接触スイッチ、圧力変換器、又は他のセンサを含むことができる。そのような安全保護システムの一実施形態は、図1に示されている。3つの瞬時接触スイッチ120、122、及び124は、筒先102の平坦部分103がサンプルの表面に対して完全に係合する場合にのみスイッチ120−124が起動されるように筒先102内に取り付けられる。
【0056】
光収集
図5に戻って参照すると、光路502は、サンプル表面500と角度504を形成することに注意すべきである。図8は、対極104とサンプル表面500の間に放電領域800を示す分析間隙の拡大図である。サンプル表面500に近い領域800の一部分は、対極104に近い領域800の一部分(約1、500℃)よりも熱い(約30、000℃)。従って、燐、硫黄、及び炭素のような元素からの硬輝線放射802は、領域800のより熱い部分から発する。反対に、アルミニウム及び銅のような元素からの軟輝線放射804は、領域800のより冷たい部分から発する。
【0057】
検体からの放射は、検体がイオン化される大量の分析間隙からサンプリングすべきである。硬輝線放射802は、約1−5°の角度で観測する必要があるのに対して、軟輝線放射804は、約3−15°の角度で観測すべきである。約3°の角度は、良好な妥協案をもたらし、硬輝線放射802及び軟輝線放射804の両方の観測を可能にする。更に図5を参照すると、角度504は、約3°とすることができるが、他の小さな角度を用いることもできる。更に、場合によっては各々が異なる角度にある複数の光路は、分析間隙からもたらされて分光計204の近くに再結合することができる。マスク806を用いて、対極104の熱い先端からの放射又はサンプル表面500からの放射を観測しないようにすべきである。
【0058】
上述のように、高エネルギ及び低エネルギスパーク及び/又はアークの組合せは、一連の励起で用いることができ、異なるスパーク/アーク中にサンプル中の硬質金属及び軟質金属の検出を容易にする。一実施形態では、サンプル中の主な元素は、第1のパルスで分析され、かつサンプル中の微量元素は、第2のパルスで分析される。
【0059】
一部の元素からの放射は、他の元素からの放射よりもスパーク/アーク中に遅れてピークに達する。同様に、サンプル表面500又は対極104の先端などから「バックグラウンド」放射は、サンプル中の元素の一部からの放射よりも早くピークに達することができる。例えば、鉛からの放射は、バックグラウンド放射の多くが低下した後に遅れてピークに達する。光信号の時間分解分析は、特定の元素からの放射に対して、これらの放射がピークに達する時にスペクトルを分析することによってより良好なSN比をもたらすことができる。光信号の時間分解分析は、2007年2月23日出願の「センサアレイによる時間分解分光法」という名称の米国特許仮出願第60/891、320号、及び2008年2月22日出願のDenis Baiko他による「線形センサアレイによる高速かつ正確な時間分解分光法」という名称の米国特許出願第12/035、477号に詳細に示されており、これらの特許の内容は、本明細書に完全に記載されるかのように引用により組み込まれている。
【0060】
分光計
分光計の光学構成要素の中で、距離及び配向のような物理的関係の維持は、分光計の精度を維持するのに必要である。従来の分光計では、入口スリット、回折格子、及び1つ又はそれよりも多くのセンサを形成する構造体のような光学構成要素は、鋳鉄又は「インバール」(FeNi)で作られた構造部材に堅く取り付けられ、かつ分光計は、温度制御されて、構造部材の熱膨張又は収縮を制限する。温度制御は、従来、分光計を均一かつ一定温度まで加熱することによって達成されるが、一部の分光計は、加熱ではなくて冷却される。いずれの場合にも、エネルギは、消費されて、分光計を加熱するか又は冷却する。場合によっては、電気ファンが、分光計内又は分光計の周囲の空気を循環させるのに用いられ、均一温度を維持する。分光計の加熱は、センサ中に熱誘導ノイズを発生させないようにするために、分光計内の温度非感受性センサか又は冷却センサかの選択を必要とする場合がある。
【0061】
手持ち式試験計器中の分光計は、小さくて、軽量で、電力の消費を小さくすべきである。図9は、本発明の一実施形態による分光計204の切欠き斜視概略図(明確にするためにカバーが除去された状態)である。その交差分散設計を含む分光計204の様々な態様は、その小型サイズの軽量及び低電力消費に寄与する。
【0062】
分光計204のケース900及びカバー(明確にするために除去された)のような構造構成要素は、試験計器100を用いることができる場所に関連して予測周囲温度の範囲にわたって小さな熱膨張係数(CTE)を有するグラファイト充填ポリエチレン硫化物(PPS)のような軽量材料で作られる。小さなCTEは、分光計204を温度制御する必要性を低減するか又は排除し、それによって分光計204の精度を維持しながら電力を節約する。更に、PPSは、黒色であり、これは、分光計204内の迷光を吸収するのに役立つ。PPSは、分光計204の構造構成要素を生成するために、機械加工するか又は射出成形することができ、又はその組合せとすることができる。
【0063】
PPSは、「Ryton PPS」の商品名で米国テキサス州ウッドランド所在の「Chevron Phillips」から入手可能である。約40%グラファイトで充填されたポリフェニレン・サルファイド樹脂が好ましい。そのような材料は、米国テキサス州77023ヒューストン所在の「Hoerbiger America Rings & Packing、Inc.」からIPC−1834という名称で、又は米国テキサス州シャイナー所在の「Boedeker Plastics、Inc.」から「Bearing Grade」という名称で入手可能である。予測周囲温度で小さなCTEを示すか又はそれに対して炭素又は別の適切な充填剤で充填するなどによって修正された他のポリマー、高炭素組成、ガラス充填ポリマー、又は液体結晶ポリマーも用いることができる。
【0064】
光信号210は、ミラー202によって入口スリット901上に反射される。入口スリット901は、約5μmとすることができる。プリズム902は、904において示すように入射光を垂直に分散させる。プリズム902は、入口スリット901から約60mm付近に位置する。プリズム902は、好ましくは、関連の波長で十分に透明であるベータアルミナ又は別の材料で作られる。
【0065】
プリズム902は、視野絞り(内部バッフル)906に取り付けられる。視野絞り906及びプリズム902は、図9の挿入図に拡大して別の視点から示されている。プリズム902は、非点収差を最小にするようにその最小偏角で取り付ける必要がある。一実施形態では、プリズム902は、約6.8°の角度で光を屈折し、従って、プリズム902は、その角度の約半分だけ傾斜しているので、プリズム902から(格子910に向って)の出力軸は、分光計ケース900の床905に平行である。視野絞りの背面907は、プリズム902を適切に傾斜させるように角度をなしている。
【0066】
視野絞り906は、垂直分散光が通過する約1/4インチ幅の開口908を形成する。上述のように、サンプル表面500に対するスパーク衝突は、必ずしも表面上の単一点においてではなくて小区域内で起こる。このスパーク「迷走」に対処するために、スパークの画像は、入口スリット901において幾分脱焦され、代わりに、画像は、内部バッフル906に集束させる。
【0067】
プリズム902からの垂直分散光904は、凹面ホログラフィック格子910に衝突する。格子910は、約1/2インチ厚及び直径約50−75mmである。内部バッフル906は、分析間隙中の放電容積の縁部からマスクを外し、従って、対極104の先端から又はサンプル表面500からの光信号が回折910に到達するのを阻止する。回折910は、光を水平に分散させる。水平分散光は、センサ912のアレイに衝突する。回折910は、2つの異なる状態で同程度の効率を有するように構成されるが必ずしも連続的な系列ではない。各系列は、正又は負とすることができる。
【0068】
回折910は、2つの明確なスペクトルを生成し、これらは、センサ912上で1次スペクトル914及び2次スペクトル916と呼ばれることになる。2次スペクトル916の分解能は、1次スペクトル914の分解能よりも大きくすることができる。プリズム902は、入射光900を垂直に分散させるので、垂直分散光の長波長及び短波長は、異なる角度で格子910に衝突する。この角度差は、センサ912上の1次スペクトル914と2次スペクトル916との間で垂直変位918を引き起こす。一実施形態では、垂直変位918は、約2mmである。センサ912は、各スペクトル914及び916に対して1列のセンサとして2列のセンサを含むことができるが、センサ912の代替的な実施形態は、以下に説明する。
【0069】
系列分離
様々なシステムパラメータは、垂直変位918の程度に影響する。不十分な垂直変位量918がもたらされる場合、2つの系列スペクトル914及び916は、部分的に又は完全にセンサ912上で互いに重なる。センサピクセルの高さに応じて、そのような重複は、センサの各組上できれいなスペクトルを達成することを不可能にする場合がある。図10の上部は、センサ912(図9)上に撮像されたように2つの系列スペクトル1000及び1002を概略的に表し、その中で、2つのスペクトル1000及び1002がかなり重なり、場合によってはセンサの各組上にきれいなスペクトルを達成するのを阻止する。
【0070】
図9に戻ると、センサ912上の2つのスペクトル914及び916の間の垂直変位量918は、一部は、プリズム902によって生じた変位量904に依存し、これは、次に、プリズム902の材料の屈折率及びプリズム902の頂角に依存する。しかし、大きい頂角は、特に紫外線領域における光信号を更に減衰する場合があるより厚いプリズムを生じる。
【0071】
垂直変位918はまた、一部は、集束システムの線形倍率に(すなわち、凸面格子910の倍率に)、プリズム902と格子910の間の距離に、並びに格子910とセンサ912の間の距離に依存する。格子910は、集束要素であり、従って、分離920の減少は、変位918を増加させる。一実施形態では、凸面格子910の線形倍率は、約−1である。
【0072】
一実施形態では、プリズム902は、分析的に関連のあるいずれかの系列のスペクトル914又は916のあらゆる部分の格子910とセンサ912の間の光路を塞ぐことなく格子910にできるだけ近く設けられる。この実施形態におけるプリズム902のそのような配置は、約60mmのプリズム902距離に対してスリット901を作成する。図10の下部は、上述のような約8°の頂角を有するベータアルミナプリズムを位置決めすることによって達成されたセンサ912(図9)上に撮像されたような2つの系列スペクトル1004及び1006の概略図である。図10の下部において見ることができるように、2つのスペクトル1004及び1006は、重なることはなく、スペクトル1004と1006の間に約2mmの垂直変位をもたらすが、変位は、波長によって変化する場合がある。一実施形態では、変位は、関連の波長範囲にわたって約0.6mmから約3mmまで変化する。
【0073】
鉄及び他の一般金属を識別するためには、約170nmから約410nmの波長を有する分析間隙からの光学放射が関連のあるものである。一実施形態では、格子910(図9)は、第1の系列における格子の効率が、約247nmから約410nmの波長に対して比較的高くて、この範囲外では比較的低く、かつ第2の系列における格子の効率が、約170nmから約247nmの波長に対して比較的高く、この範囲外では比較的低いように構成されるが、第1及び第2の系列の高効率部分間には、ある程度の重複がある場合がある。格子910設計、プリズム902及び格子910の組合せによって設けられた交差分散、並びに2列のセンサ912は、分光計204が、比較的少量の空間で比較的広い範囲の波長を分析することを可能にする。一部の実施形態では、センサ912上の1次スペクトル914と2次スペクトル916の間にスペクトル間隙又は重複がある場合がある。
【0074】
1次スペクトル914と2次スペクトル916の間の垂直変位918は、センサ912の2つの同一平面上の列に対しては不十分である場合がある。この場合には、2列のセンサのうちの1つは、図9に示すセンサアレイ912に対して垂直な平面に配向することができ、かつミラーを用いて、2つのスペクトルのうちの一方を垂直センサアレイ上に反射させることができる。そのような配列の側面図は、図11に概略的に示され、かつそのような配列の斜視図(僅かに上向き及び側面から見た)は、図12に示されている。図11を参照すると、ミラー1100は、1次光1102をセンサ1104の下向き列に反射させる。2次光1106は、直接、すなわち、最初に反射されることなくセンサ1108の前方の列に衝突する。関連の波長において、ミラーは、短い波長よりも長い波長の光をより効率的に反射させる。例えば、約240nm未満では、光信号の約20%は、ミラーによる信号の反射の結果として失われる。ミラーによってあまり効率的に反射されなかった波長から主として構成された系列は、センサ1108の前方の列に衝突する必要がある。上述のように、一実施形態では、2次光(約170nmから約250nmにまで及ぶ)は、直接前方のセンサ1108に衝突する。図12は、ミラー1100及び2列のセンサ1104及び1108をハウジング900の床905に取り付けるのに用いる取り付けブラケット1200を示している。
【0075】
スペクトル分解能は、一般的には、分光計が分解することができる2つの最も近いピーク間のスペクトル分離と定められる。2つのピークを分解するために1組の隣接ピクセルを含むデジタルセンサに対して、2つのピーク間の少なくとも1つのピクセルは、図19に概略的に示すようにその隣よりも低信号を受信すべきである。最大信号を有するピクセルが隣同士にあるように、ピークがセンサにかかる場合、2つのピークは、分光計/センサ組合せによって分解される可能性はない。
【0076】
分光計帯域通過(BP)は、どれくらいのスペクトル帯域幅が所定の波長位置で見られるかを指定する。帯域通過は、ピークを分離するように分光計の機能を制限するので、BPを分光計のスペクトル分解能と呼ぶのが普通である。BPは、分光計中の分散要素の出力画像幅及び逆線形分散から計算することができる。逆線形分散は、焦点面において1mmの距離にわたって広がっているスペクトルの幅、すなわち、上記説明のセンサ912を示している。波長によって変化する逆線形分散は、nm/mmで示されて、典型的には、主要な計器仕様として挙げられる。回折格子の逆線形分散は、大部分は、格子中の溝のピッチに依存する。
【0077】
分光計204の一実施形態では、回折格子910は、約5nm/mmの逆線形分散を有し、かつ入口スリット901は、約5μmの幅を有する。従って、一実施形態では、回折格子910は、少なくとも約5、000、及び別の実施形態では、少なくとも約10、000の分解能を提供する。分光計204の一実施形態では、各センサ1004及び1008は、約7μmの有効ピクセルピッチを有する。生じた分解能は、2次スペクトル916においてピクセル当たり約0.02nm及び1次スペクトル914においてピクセル当たり約0.04nmである。
【0078】
各センサ1104及び1108は、ピクセルが水平に千鳥配置されたピクセルの2つ又はそれよりも多くの列を組み込むことができ、これは、デバイスの有効な光学的分解能を増大させる。図20及び21は、2つの代替の千鳥配置ピクセル構成を示している。典型的なピクセル2000は、感光性区域2002及び周囲の非感光性区域2004を含む。スパークOESのような典型的な分光応用のでは、光学要素は、高くて狭いスリット画像2006又は2100を検出デバイス上に組み込むように構成される。他の列のピクセルがX/2の距離だけオフセットされた各々がXの水平分解能を有するピクセルの2つ又はそれよりも多くの列でデバイスを製造することにより、システムの有効分解能は、X/2まで改善する。これは、次に、システムの分光分解能を実質的に改善するより狭い入口スリットの使用を可能にする。
【0079】
本発明の一実施形態は、プリズム902に供給された非平行化光信号で作動する。非平行化信号は、センサ1104及び1108上に投影された画像に少量の収差を引き起こす場合があるが、あらゆる画像の「不鮮明化」は、一般的に矩形ピクセルの長尺寸法と同じ方向にある。従って、これらの収差は、分光計の分解能に悪い影響を与えない。更に、格子910からの回折信号の第1及び第2のようなより低い系列を用いることで、一部の収差を最小にすることができる。
【0080】
本明細書に説明する分光計は、手持ち式分析計器以外の用途で用いることができる。例えば、分光計は、卓上分析器、望遠鏡、遠隔通信機器、その他で用いることができる。
【0081】
動的波長較正
一実施形態では、センサ1104及び1108の各列は、約4、096のピクセルを含むが、他の実施形態では、他の数のピクセルを用いることができる。スペクトルを撮像するのに必要であるよりも多くのピクセルを含むセンサは、恩典をもたらすことができる。図22は、センサ2200及びセンサ2200に衝突するスペクトル2202の斜視概略図である。センサ2200は、ピクセル2206、2208、及び2210によって例示されたセンサピクセルの列2204を収容する。ピクセル2204の列が、分析に関連のあるスペクトルを捕捉するのにちょうど十分な広さである場合、センサが分析器に取り付けられる時に、センサ2200(又は格子のような別の構成要素)の位置を注意深く調節する必要がある場合があるので、スペクトル全体が撮像され、すなわち、画像全体がピクセルの列2204に衝突する。
【0082】
しかし、ピクセル2204の列が、スペクトル2202が広い以上に長い場合(図22に示すように)、センサ2200は、スペクトル2202全体がピクセル2204の列上のどこかにかかる限り、より低い位置精度で取り付けることができる。基本的に、付加的ピクセル、すなわち、スペクトル2202全体を撮像するのに必要な数を超えるピクセルの数は、許容誤差をもたらし、その範囲で、センサ2200を取り付けることができる。センサ2200が取り付けられた状態で、センサ2200又はプロセッサ(図示せず)は、どのピクセルをスペクトル2202によって照明するかを判断し、必要に応じて、スペクトル2202の一端のピクセルから始めてピクセル番号又はアドレスを割り当てることができる。スペクトル2202が、スペクトル2212によって示すように、例えば、分光計の構成要素又は計器中の他の場所の熱膨張又は収縮によってセンサ2200上の位置を変える場合、センサ2200又はプロセッサは、スペクトル2212がシフトした位置に応じて、ピクセルの番号を付け直すか又は異なる組のピクセルからデータを読み取るかによって補償することができる。
【0083】
一実施形態では、光学システム及びセンサは、センサが、約246.9nmから約410nmにまで及ぶ1次スペクトルを検出し、かつセンサが、約170nmから約246.9nmにまで及ぶ2次スペクトルを検出するように構成される。例えば、246.9nmにおける2つのスペクトル間には、何らかの重なりがあるべきである。
【0084】
ピクセル2204の列は、波長較正することができ、すなわち、ピクセルは、既知の組成を有するサンプルを試験して、相応に高値の照明を受けるピクセルとスペクトル中の予測ピークとを相関付けることにより、波長に関連する場合がある。一実施形態では、プロセッサは、観測スペクトル特徴を1組の格納された特徴原型の1つと適合させることにより、ピクセル2204の列を自動的に波長較正する。基本的に、プロセッサは、観測特徴のパターンを既知のパターンと適合させる。
【0085】
パターンは、ピーク、谷、又は他のスペクトル特性の間又はこれらの中の相対的間隔と、ピーク、谷、その他の相対的高さとを含むことができる。例えば、図23は、既知のスペクトルを示している。スペクトルは、様々な元素に対して明確なピークを含む。1つ又はそれよりも多くの格納特徴原型は、プロセッサによってアクセス可能なメモリに格納される。特徴原型は、材料のスペクトル全体に関する情報を含む必要はなく、原型は、選択ピクセルのみ、その他に関する情報を含むことができる。
【0086】
原型は、予測されるサンプル中の予測「母体」元素に基づく場合があり、その理由は、これらの元素が、サンプル露出毎に大きな存在感を示しやすいことになるからである。例えば、鉄及び鋼サンプルに対して、元素鉄(Fe)に関する情報を含む原型を用いることができ、かつアルミニウム合金に対して、元素アルミニウム(Al)に関する情報を含む原型を用いることができる。
【0087】
計器が読み込んだ後に、プロセッサは、格納原型の1つ又はそれよりも多くとの適合性に関してセンサによって提供されたデータを検索する。センサからのデータは、試験サンプル中に含まれる付加的材料の標識を含むことができるが、原型では表されない点に注意されたい。原型は、これらのパターンが、サンプル中の他の可能な材料の中から容易に検出されるように選択することができる。初期波長較正に対して、既知の標準をサンプルとして用いることができる。
【0088】
プロセッサが、観測データに適合する原型パターンを識別した状態で、プロセッサは、原型の1つ又はそれよりも多くの特徴が観測される1つ又はそれよりも多くのピクセルを原型データと共に格納された対応する波長と関連付ける。一実施形態では、プロセッサは、観測及び適合特徴により波長又は波長範囲を1つのピクセルに関連付け、かつ他の波長又は範囲を分光計の幾何学形状に基づいて予測線形スペクトル分散に基づく他のピクセルに割り当てる。
【0089】
別の実施形態では、プロセッサは、上述のように波長又は範囲をピクセルに関連付けて、観測及び適合特徴の間又はこれらの中の相対的間隔に基づいてセンサで観測された実際の線形スペクトル分散を計算し、かつ波長又は範囲を計算線形スペクトル分散に基づいて他のピクセルと関連付ける。
【0090】
波長較正は、ピクセル数と波長の間にマッピングを作成することができる。分散は、必ずしも検出器の長さにわたって一定ではない。従って、多くのピークを識別すればするほど、用いるべき高次のマッピング機能を可能にする。例えば、1つのピークを識別することで、0次「シフト」補正を可能にし、2つのピークを識別することで、1次線形補正及びその他を可能にする。
【0091】
図24は、自動波長較正を説明する流れ図である。2400において、読み取りが行われ、すなわち、サンプルからのスペクトルがセンサに衝突して、プロセッサが、センサの少なくとも一部を読み取る。2402において、検索は、観測スペクトルの少なくとも一部分に適合するパターンに対して観測スペクトル及び格納スペクトル特徴について行われる。2404において、波長又は波長の範囲(以下、この場合は集合的に波長と呼ぶ)は、第1の観測スペクトル特徴(適合原型における特徴のような)の重心に位置する第2のピクセルと、スペクトル特徴パターンに関する情報(波長のような)との間の対応に基づいて、ピクセル(センサアレイ中の第1のピクセルのような)に関連している。この情報は、メモリに格納することができる。
【0092】
一実施形態では、他の波長は、分光計の幾何学形状に基づく予測線形スペクトル分散に基づいて他のピクセルに割り当てられる。
【0093】
別の実施形態では、2406において、センサ上の線形スペクトル分散は、第2の観測スペクトル特徴の重心にある別のピクセルと第2のスペクトル特徴に関する情報(波長のような)との間の対応、並びに観測特徴の重心にある2つのピクセル間のピクセルの数(又は距離)に基づいて計算される。2408において、波長は、2404におけるピクセルに関連する波長及び計算線形スペクトル分散に基づいて他のピクセルに関連している。
【0094】
2404及び2406における作動は、集合的に、波長をセンサ中の全てのピクセルと関連付けることができる。他方、これらの作動は、波長をピクセルの一部分のみと関連付けることができる。その場合には、2410において示すように、必要な作動は、ピクセルの他の群に対して繰り返すことができる。
【0095】
従って、開示する計器は、センサに対して高精度位置調節を必要とせずに、より容易に組み立てるか又は後で調節することができる。更に、計器は、観測スペクトル特徴に基づいて動的にそれ自体を波長較正することにより、長期にわたって、かつ温度誘導寸法変化、移動スパーク光源の不完全画像化、機械的振動、物理的衝撃などにも関わらず、その精度を維持することができる。この波長自己較正は、各サンプル実行の最初に又は所定回数の実行後に、他の自動決定時間に(スパーク間又は加速度計による物理的衝撃又は計器内のサーミスタによる温度変化の検出後のような)、又はユーザ入力指令に応答して、自動的に実施することができる。
【0096】
回折格子取り付けアセンブリ
図13は、回折格子アセンブリ1300の分解組立図を示している。回折格子アセンブリ1300では、回折格子910は、圧縮リング1301と回折格子マウント1302の間に保持される。格子910のすぐ後は、コルク又は別の適切な材料とすることができる薄い(約1/32インチ厚)弾性パッドである。格子圧縮板1306は、弾性パッド1304と回折格子マウント1302の間に配置される。圧縮リング1301、圧縮板1306、及び回折格子マウント1302は、好ましくは、分光計204のケース900と同じ材料から作られる。圧縮リング1301は、圧縮リング1301中の孔1308及び1310を通過して、回折格子マウント1302中の対応する孔(1つは、1312において見える)に螺入する2つのネジ(そのうちの1つは、1307に示されている)によって回折格子マウント1302に取り付けられる。圧縮リング1301は、回折格子910の周囲に沿って均等な圧力を印加し、かつ弾性パッド1304は、回折格子910が、回折格子910を変形させることなく温度変化で膨張又は収縮することを可能にする。
【0097】
回折格子アセンブリ1300は、図14に示すように回折格子ハウジング900内に取り付けられる。調節ネジ1400及び1402を用いて、回折格子アセンブリ1300を傾けることができる。ハウジング900の床の井戸1404は、圧縮リング1301の底部にクリアランスを提供する。好ましくは、回折格子910は、ハウジング900の床に対して垂直から約4°後方に傾けられる。プリズム902からの光は、上向き角度で回折格子910に衝突する。回折格子910を後方に傾けることで、分散光が、ハウジング900の床に対してほぼ平行であるセンサ912への経路を辿るようにする。
【0098】
試験計器アラインメント
試験計器100の光学器械を整列させることが必要な場合がある。ミラー202は、図15に示す設定を用いて整列させることができる。対極104は、試験計器100から除去され、充填剤ブロック1500を筒先102の後部から挿入して、一時的に対極アセンブリと置換することができる。図15の挿入図の前面及び上面図によって示すような管状マスク1502は、筒先102の前部の開口部に挿入される。紫外線(UV)光源1504は、筒先102の前部の開口部に及びマスク1502に挿入され、筒先102の前部の開口部内に露出された約4mmのUV光源1504を誘導する。管状マスク1502は、UV光源1504の外径及び筒先102の前部の開口部の内径を収容するような大きさにされる。付加的遮蔽1506を用いて、UV漏れを最小にすることができる。次に、ミラー202を調節して、分光計204(図示せず)に到達する信号1508の振幅を最大にする。
【0099】
それに代えて又は加えて、可視又は不可視のレーザビームは、センサ912の近くの分光計204に導入され、スパーク間隙に対して分光計204を通って後方に投影することができる。ポート(図示せず)は、レーザビームの導入を容易にするように分光計204のハウジング900内に設けることができる。分光計204及びミラー202中の光学構成要素は、検体放射が生成されると予測される筒先102の前部の開口部で、レーザビームが検出されるまで調節することができる。分光計を通るレーザビームの予測経路は、レーザビームの波長に基づいて計算することができる。回折格子910に向ってレーザビームがたどった経路は、レーザビームの波長及び回折格子910がその波長で光を反射する角度により、検出器912に向って回折格子910によって分散された光信号の一部の波長がたどった経路と一致しない場合がある。従って、センサ912には、レーザビームが分光計204に導入されるポートがない場合がある。
【0100】
更なるアラインメントは、筒先102の前部の開口部において光路に沿って戻ってレーザビームを分光計に反射することによって実施することができる。それに代えて又は加えて、レーザビームは、筒先102の前部の開口部に導入して光路に沿って分光計へ向けることができる。
【0101】
図16は、サンプルの組成を分析するための処理を説明する流れ図である。1600において、サンプルの一部分を分析することができる環境が作成される。この環境を作成する段階は、分析すべきサンプルの一部分から空気をパージする段階を含むことができる。アルゴンのような不活性ガスを用いて、空気をパージすることができる。
【0102】
1602において、サンプルの一部分が励起される。サンプルは、電気スパーク/アーク、レーザ、グロー放電、又は別の適切な機構で励起することができる。電気スパーク/アークを用いる場合、スパーク間隙が、対極とサンプルの間に作成される。対極及びサンプルは、適切な波形を有する適切な電位を生成するスパーク光源に電気的に接続される。対極とサンプルの間の電位差は、分析間隙中のガスを破壊し、サンプルの一部分を腐食させて分析間隙に入れる。電位は低下し、かつ電流は増加して、分析間隙中のサンプル材料をイオン化することができる。イオン化サンプル材料は、光信号を放出する。
【0103】
1604において、光信号が収集される。光信号は、光路を通じて分光計に送られる。1606において、光信号は、波長分散される。光信号は、交差分散させることができる。1608において、分散光信号の強度は、関連の波長で測定される。センサの1つ又はそれよりも多くのアレイを用いて、分散光信号の強度を測定することができる。光信号が交差分散される場合、センサの一方の組は、交差分散の量によりセンサの他方の組から離れた距離に配置することができる。1610において、強度測定結果は、サンプルの組成を判断するために処理される。処理は、メモリに格納された命令を実行するプロセッサによって実施することができる。処理は、1組の測定に対して1612に示すように繰り返すことができる。1組の測定結果からのデータは、平均することができ、及び/又は励起(1602)のパラメータは、繰返しの各々に対して変化する場合がある。
【0104】
図17は、試験計器100の主な構成要素のブロック図である。プロセッサ1700に対する命令、並びにスペクトル特徴原型は、メモリ1702に格納することができる。サンプルからの分析結果もメモリ1702に格納され、タッチスクリーン110に表示され、及び/又は有線又は無線データポート1704を通じて外部デバイスに提供することができる。更に、メモリ1702は、試験サンプルの組成と比較するための既知の材料(合金のような)の組成の表を格納することができ、かつこの比較の結果は、画面110に表示し、及び/又はポート1704を通じて提供することができる。
【0105】
図1を参照すると、タッチスクリーン110は、試験計器100が殆どの向きにある間に可読である。しかし、場合によっては、タッチスクリーンは、読み取るのが困難な場合がある。ヒンジ(ティルトアップ)画面は、何らかのOES、X線蛍光(XRF)、又は他の手持ち式内蔵型試験計器に用いることができる。そのようなティルトアップ画面の一実施形態は、図18に示されている。可撓性リボンケーブル又は他の適切な可撓線を用いて、画面1800を試験計器100内のプロセッサ又は他の回路に接続する。
【0106】
約170nmから約410nmの波長範囲を有する分光計を説明してきたが、本発明による分光計は、他の波長範囲を有することができる。
【0107】
手持ち式内蔵型バッテリ式試験計器は、メモリに格納された命令によって制御されるプロセッサを含むように説明した。メモリは、制御ソフトウエア又は他の命令及びデータを格納するのに適切なランダムアクセスメモリ(RAM)、読取専用メモリ(ROM)、フラッシュメモリ、又はあらゆる他のメモリ、又はこれらの組合せとすることができる。試験計器によって実施される機能の一部は、流れ図を参照して説明した。流れ図の各ブロックの全て又は一部分又はブロックの組合せの機能、作動、判断などは、コンピュータプログラム命令、ソフトウエア、ハードウエア、ファームウエア、又はその組合せとして実施することができることを当業者は容易に認めるはずである。本発明の機能を判断する命令又はプログラムは、以下に限定されるものではないが、書込不能ストレージ媒体(例えば、ROMのようなコンピュータ内の読み出し専用メモリデバイス、又はCD−ROM又はDVDディスクのようなコンピュータI/Oアタッチメントによる可読デバイス)に永久に格納される情報、書込可能ストレージ媒体(例えば、フロッピーディスク、着脱式フラッシュメモリ、及びハードドライブ)に変更可能に格納される情報、又は有線又は無線コンピュータネットワークを含む通信媒体を通してコンピュータに伝送される情報を含む多くの形式でプロセッサに供給することができることも当業者は容易に認めるはずである。更に、本発明は、ソフトウエアにおいて実施することができるが、本発明を実施するのに必要な機能は、代替的に、組合せ論理、「特定用途向け集積回路(ASIC)」、「フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)」、又は他のハードウエア、又はハードウエア、ソフトウエア、及び/又はファームウエア構成要素の何らかの組合せのようなファームウエア及び/又はハードウエア構成要素を使用して部分的又は全体的に具現化することができる。
【0108】
本発明は、上述の例示的な実施形態を通して説明したが、本明細書に開示された本発明の概念から逸脱することなく図示の実施形態に対する修正及びその変更を行うことができることは、当業者によって理解されるであろう。更に、開示した態様、又はこれらの態様の一部分は、上に挙げていない方法で組み合わせることができる。例えば、上述の分光計は、望遠鏡及び衛星の組合せ又はこれらの範囲内を含む地球又は地球外天文学のような他の状況で用いることができる。従って、本発明は、限定的に見るべきではない。
【符号の説明】
【0109】
100 試験計器
200 スパーク発生器
202 第1のミラー
204 分光計
【技術分野】
【0001】
本出願は、2007年2月23日出願の「手持ち式内蔵型発光分光(OES)分析器」という名称の米国特許仮出願第69/891、408号からの優先権を請求し、この特許は、本明細書においてその全内容が引用により組み込まれている。
【0002】
2008年2月22日出願のDenis Baiko他による「線形センサアレイによる高速かつ正確な時間分解分光法」という名称の本出願人に譲渡された米国特許出願第12/035、477号の内容は、本明細書においてその全内容が引用により組み込まれている。
【0003】
2008年2月22日出願のJohn E.Goulter他による「拡張スペクトル範囲に対する小型交差分散分光計」という名称の本出願人に譲渡された米国特許出願第(供給すれる予定)号の内容は、本明細書においてその全内容が引用により組み込まれている。
【0004】
本発明は、発光分光(OES)分析器に関し、より具体的には、内蔵型の手持ち式OES分析器に関する。
【背景技術】
【0005】
サンプルの化学組成の分析は、屋外の金属再利用施設における金属タイプ(特に、様々なタイプの鉄及び鋼)の識別及び分離と、工場及び法医学的作業における品質管理試験とを含む多くの場合に重要である。いくつかの分析方法が利用可能である。
【0006】
発光分光法(OES)は、材料の元素分析に対して成熟した堅牢な技術である。OESでは、少量のサンプル材料は、気化されて原子の基底状態を超えて励起される。気化されたサンプルの元素の放射特性は、元素組成をもたらすように光からスペクトルを生成して分析する分光計に光を送る導光板によって捕捉される。
【0007】
金属サンプルに対して、放射スペクトルを発生させるための広くいきわたった技術は、電気アーク又はスパーク又はその両方を用いて分析すべき少量のサンプルを気化させる。代替的に、レーザ誘起破壊分光法(LIBS)又はグロー放電(GD)を用いて放射サンプルを気化させて励起することができる。OES分析技術の調査は、本明細書に完全に記載されているかのように引用により組み込まれているスリッカーズ著「自動原子発光分光計」第2版(1993年)に見ることができる。
【0008】
典型的にサンプルの非常に僅かな部分を試験する測定から推定された組成がサンプル全体の組成を代表し、例えば、含有物、母体、及び表面汚染物質からの影響を最小にすることを確信するために、測定の数秒内に100平方ミリメートルほども大きい区域に衝突した数千ものアーク/スパークからのスペクトルを平均することは標準的慣例である。
【0009】
一部のOES分析器は、実験室における用途向きの大きな非携帯ユニットである。他のOES分析器は、それらを移動することができるという点では「携帯用」である。しかし、鉄又は鋼中の炭素又は他の一般成分を識別することができる従来技術の「携帯用」OES分析器は、光ファイバ/電線によって相互接続された2つの別々の構成要素を必要とする。例えば、Spectroportの商品名で「Spectro A.I.、Inc.」から入手可能な分析器は、スーツケースサイズの33ポンド分析ユニットに10フィートケーブルを通じて接続された手持ち式プローブを含む。同じく「Spectro A.I.、Inc.」からの「Spectro iSort」分析器は、10ポンドバックパック中に格納された分析ユニットにケーブルによって接続された手持ち式プローブを含む。
【0010】
鋳鉄及び様々な合金のような一般材料を識別するのに必要な炭素、燐、硫黄、及び他の元素を検出するのに必要なスペクトル範囲を網羅するために、これらの従来技術の分析器は、炭素、燐、硫黄、及び鉄に対する手持ち式プローブの固定波長検出器、並びに他の元素に対する分析ユニットの分光計を含む。この不格好な二部構造は、これらの分析器の使用及び移動を困難にする。
【0011】
「ARC−MET 8000 MobileLab」という商品名で米国ニュージャージー州ユーイング所在のメトロレックスから入手可能な二部分析器は、回転式「主ユニット」に10フィートケーブルによって接続された手持ち式「プローブ」を含む。プローブは、175−370nmの宣伝スペクトル範囲を有する分光計を収容するが、回転式主ユニットは、プローブに電力及び冷却を供給し、かつ分光計からの出力を解析する必要がある。少なくとも一部のユーザは、完全に内蔵型である手持ち式OES分析器を用いることを好むと考えられる。
【0012】
同じく「Spectro A.I.、Inc.」からのSpectrosort分析器は、単体バッテリ駆動手持ち式分析器である。しかし、この分析器中の分光計のスペクトル限界は、炭素、燐、及び硫黄の検出を不可能にし、従って、この分析器の実用性を厳しく制限する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】米国特許仮出願第69/891、408号
【特許文献2】米国特許出願第12/035、477号
【特許文献3】米国特許仮出願第60/889、465号
【特許文献4】米国特許仮出願第60/891、320号
【非特許文献】
【0014】
【非特許文献1】スリッカーズ著「自動原子発光分光計」第2版(1993年)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
内蔵型手持ち式OES分析器のユーザは、炭素及び他の重要な元素を検出することができる分析器を好むと考えられるので、分析器は、広範な一般材料を識別することができる。しかし、様々な障害が、これまでのところそのようなフル装備内蔵型手持ち式分析器の製作を妨げている。これらの障害の中でも、とりわけ、典型的な環境条件下で上述の分析に必要な波長範囲及び温度安定性を示す分光計を手持ち式分析器に適切なサイズ及び重量で構成することができないことがある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の実施形態は、サンプルの一部分の組成を分析するための分析器を提供する。分析器は、手持ち式内蔵型試験計器を含む。試験計器は、サンプルの一部分を励起してその励起が光信号を生成する励振器と、光信号を受信して第1の平面に分散された中間光信号を作成するための手持ち式計器内に配置された第1の分散要素とを含む。手持ち式計器内に配置された第2の分散要素は、第1の分解光学系列を対応する第1の複数の検出要素上に、かつ第2の分解光学系列を対応する第2の複数の検出要素上に配置するように中間光信号を分散させる。プロセッサが、第1及び第2の複数の検出要素から信号を受信するように連結され、かつ信号を処理するようにプログラムされる。バッテリは、励振器及びプロセッサに電力を供給する。
【0017】
対応する複数の検出要素上に置かれた光学系列の少なくとも一方は、約193nmよりも短く、又は約178nmよりも短く、又は少なくとも約170nmほどの短い波長にまで及ぶ場合がある。
【0018】
各複数の検出要素は、複数の検出要素上に置かれた分解光学系列の連続スペクトル範囲を受信するように構成することができる。第1及び第2の複数の検出要素上に置かれたスペクトル範囲は、少なくとも約178nmから約400nmにまで及ぶ場合がある。
【0019】
計器は、中間光信号が通過する開口を形成する構造体を含むことができる。光信号は、構造体上に集束させることができる。
【0020】
励振器は、サンプルの一部分に対して電位を持続するための電極と、サンプルの一部分に対して電極上に電位を確立するための電圧供給源とを含むことができる。励振器は、レーザを含むことができる。
【0021】
第1の分散要素は、交差分散プリズムとすることができる。第2の分散要素は、回折格子とすることができ、これは、第1及び第2の分解光学系列において同程度の効率をもたらすように輝きを放つホログラフィック回折格子とすることができる。
【0022】
第1の複数の検出要素は、第2の複数の検出要素と同一平面上にない場合がある。試験計器は、第2の分散要素と対応する複数の検出要素との間で第1及び第2の分解光学系列の一方の光路にミラーを更に含むことができる。
【0023】
第1及び第2の分散要素、並びに第1及び第2の複数の検出要素は、少なくとも約40%グラファイトを有するようにグラファイトで充填されたポリフェニレン・サルファイド樹脂を含むことができる炭素充填ポリマー構造部材に剛結合することができる。
【0024】
プロセッサは、観測スペクトル特徴に基づいて自動波長較正するようにプログラムすることができる。
【0025】
第2の分散要素は、少なくとも約5、000又は少なくとも約10、000の分解能を提供することができる。
【0026】
計器は、プロセッサに連結された表示画面を更に含むことができる。表示画面は、ヒンジ式表示画面とすることができる。
【0027】
本発明の実施形態は、サンプルの一部分の組成を分析するための分析器を提供する。分析器は、サンプルの一部分を励起するための励振器を含む手持ち式内蔵型試験計器を含むことができる。励起は、光信号を生成する。計器はまた、光信号を受信するために分析器内に配置されて、光信号を分散させて分散光信号から出力信号を生成するように作動する、少なくとも約178nmから約400nmに及ぶスペクトル範囲を有する分光計を含む。計器はまた、分光計に連結されて出力信号を処理するようにプログラムされたプロセッサと、励振器、分光計、及びプロセッサに電力を供給するバッテリとを含む。
【0028】
分光計は、ピクセル化されたセンサを含むことができ、かつ分光計は、約190nmでピクセル当たり少なくとも約0.02nmの分解能を有することができる。
【0029】
分光計は、少なくとも2つの異なる系列において同程度の効率を有するホログラフィック回折格子と、格子から分散光信号の2つの系列を受信するように配列されたセンサとを含むことができる。分光計は、交差分散させることができる。
【0030】
分光計は、分光計の光学要素が取り付けられた炭素充填ポリマーを含む構造部材を含むことができる。
【0031】
プロセッサは、観測スペクトル特徴に基づいて分光計を自動的に波長較正するようにプログラムすることができる。
【0032】
本発明の別の実施形態は、サンプルの一部分の組成を分析する方法を提供する。本方法は、サンプルの一部分を励起し、それによって光信号を生成する段階と、光信号からスペクトルを発生させる段階とを含む。第1の所定のスペクトル特徴は、スペクトルの少なくとも一部分に合わせられる。波長は、ピクセルに関連し、これは、そのピクセルに対する第1の所定のスペクトル特徴の位置に基づいている。スペクトルは、サンプルの一部分の少なくとも1つの成分を判断するために分析される。
【0033】
波長は、1組のピクセルにわたる予測線形スペクトル分散に基づいて他のピクセルに関連する場合がある。
【0034】
第2の所定のスペクトル特徴は、スペクトルの少なくとも一部分に合わせることができ、波長は、第1の所定のスペクトル特徴の位置に対する第2の所定のスペクトル特徴の位置に基づいて、他のピクセルに関連する場合がある。
【0035】
本発明は、図面と共に以下の「発明を実施するための形態」を参照することによってより完全に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の実施形態による手持ち式内蔵型バッテリ式OES試験計器の斜視図である。
【図2】図1の試験計器の切欠き図である。
【図3】本発明の実施形態による図1の計器の分光計の斜視図である。
【図4】図3の分光計の一部分の拡大斜視図である。
【図5】サンプル表面と接触した状態の図1の試験計器の筒先を示す図である。
【図6】本発明の一実施形態による図1の計器によって発生した単一のスパーク/アークに関して時間に対してプロットした代表的な電圧及び電流曲線を示すグラフである。
【図7】本発明の一実施形態による図1の計器によって発生したスパーク/アークに関して時間に対してプロットした代表的な電圧及び電流曲線を示す2つのグラフである。
【図8】図1の試験計器によって生成された分析間隙の拡大概略図である。
【図9】本発明の一実施形態による図3及び4の分光計の切欠き斜視図である。
【図10】本発明の一実施形態によるシステムパラメータの選択に関して図1の計器のセンサアレイ上に投影されたスペクトルの2つの概略図である。
【図11】本発明の一実施形態による2列のセンサの概略図である。
【図12】本発明の一実施形態による図11の2列のセンサ及びそのための対応する取り付けブラケットの斜視図である。
【図13】本発明の一実施形態による回折格子アセンブリの分解組立図である。
【図14】本発明の一実施形態による分光計ハウジング内に取り付けられた図13の回折格子アセンブリの斜視図である。
【図15】本発明の一実施形態による図1の試験計器に対するアラインメント設定の概略図である。
【図16】本発明の一実施形態によるサンプルの組成を分析するための処理を説明する流れ図である。
【図17】本発明の一実施形態による図1の試験計器の主な構成要素のブロック図である。
【図18】本発明の一実施形態によるティルトアップ画面を有する手持ち式内蔵型試験計器の斜視図である。
【図19】センサピクセルによって生成された2つのスペクトルピーク及び対応する信号を示す概略グラフである。
【図20】本発明の実施形態によるセンサアレイのための千鳥配置ピクセル構造の実施形態を示す図である。
【図21】本発明の実施形態によるセンサアレイのための千鳥配置ピクセル構造の実施形態を示す図である。
【図22】本発明の一実施形態によるセンサ及びスペクトル、並びにセンサに衝突するシフトされたスペクトルの斜視概略図である。
【図23】既知のスペクトルを示すグラフである。
【図24】本発明の実施形態による自動波長較正を説明する流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本発明の実施形態により、手持ち式内蔵型バッテリ式試験計器を有するサンプルの組成を分析する方法及び装置を開示する。試験計器中の分光計は、試験計器が、一般合金を識別するのに必要な炭素、燐、硫黄、マンガン、シリコン、鉄、及び他の元素の相対量を検出して判断することができるほど十分に広い波長範囲を有する。試験計器の設計及び構成は、試験計器が、分光計を加熱又は冷却することなく広い周囲温度範囲にわたって正確な結果を発生させることができるようにし、それによって電力を節約して、バッテリを再充電する必要がある前に試験計器を作動させることができる時間量を延ばす。
【0038】
試験計器は、サンプルの少なくとも一部分を励起させ、こうして光信号を生成する。サンプル中の元素の波長特性における発光の結果として、光信号は、サンプル中の元素を識別する情報を含む。分光計は、光信号を1組のセンサ上に波長分散させ、センサの各々は、光信号の狭い範囲の波長を受信する。プロセッサは、センサからの信号を受信して処理し、かつサンプル中の元素を識別して定量化するようにプログラムされる。
【0039】
手持ち式内蔵型バッテリ式試験計器は、小さく、軽量で、電力の消費を小さくすべきである。本発明の開示する実施形態は、これらの特性を示す分光ベース分析試験計器の構成を可能にする。これらの実施形態は、発光分光法(OES)を使用する分析技術及び試験計器との関連で示すが、この応用の技術は、光吸収分光法を使用する試験計器を含むスペクトル分析を使用する他のタイプの分析試験計器に応用することができる。更に、開示する実施形態は、アーク/スパーク励起との関連で示すが、レーザ誘起破壊(LIB)及びグロー放電(GD)を含む励起の他の形式を用いることができる。
【0040】
一実施形態の一般構造
図1は、本発明の一実施形態による手持ち式内蔵型バッテリ式OES試験計器100の斜視図である。計器100は、筒先102を含む。作動中に、筒先102の導電性平坦部分103は、導電性サンプル表面(図示せず)に押し付けられる。対極104からサンプルへのスパークは、サンプルの一部分を励起し、それによって光信号を生成する。対極104は、絶縁ディスク(見えない)によるなどの筒先102の導電性平坦部分103から電気的に分離される。光信号は、上部ポート(見えない)に入って、1つ又はそれよりも多くのミラー(見えない)によって反射されて計器100の内側の分光計204に入る。プロセッサ(見えない)は、分光計中の1組の検出器(見えない)に連結される。プロセッサは、検出器からの信号を処理するようにプログラムされる。プロセッサは、分光計によって生成されたスペクトルの少なくとも一部分を分析し、サンプルの元素組成を識別して定量化する。
【0041】
プロセッサは、分析結果をタッチスクリーン110に表示する。任意的に、プロセッサは、有線又は無線接続(図示せず)を通じてコンピュータ又はディスプレイのような外部デバイスに分析の結果を伝送することができる。タッチスクリーン110、トリガ112、及びオペレータインタフェースボタン114は、ユーザがプロセッサと情報をやり取りすることを可能にする。取外し可能な再充電可能バッテリ116は、プロセッサ、タッチスクリーン110、分光計204、及び対極に連結されたスパーク発生器(見えない)に電力を供給する。
【0042】
図2は、スパーク発生器200、第1のミラー202、及び分光計204を示す試験計器100の切欠き図である。ミラー202は、フッ化マグネシウム被覆及び溶融シリカ基板を有するアルミメッキを付加した前面ミラーとすることができるが、他の適切なミラーを用いることもできる。ミラー202は、平面とすることができるが、凹面(双曲線又は放物線を含む)形状は、より良い画質を提供することができる。
【0043】
導電性インサート206は、対極104(図2には示さず)が配置された内腔208を形成する。インサート206はまた、筒先102の導電性平坦部分103の少なくとも一部を提供する。スパーク発生器200は、対極104に及び筒先102の導電性平坦部分103に電気的に接続され、筒先102の平坦部分103がサンプルと接触状態になった時に、サンプルを有する電気帰還回路上で完了する。筒先102の殆どは、スパークから及びスパーク発生器200からの熱を分散させるように、金属又は別の熱伝導性材料とすることができる。点線210は、対極104の近くから分光計204の入口スリットまで光信号がたどった光路の一部分(大部分は筒先102内に隠れている)を概略的に示している。
【0044】
図3は、分光計204の斜視図である。分光計204ハウジングは、インサート206(図3には示さず)が挿入された開口部302を形成する構造体300を含む。図4は、より詳細に構造体300及びインサート206を示す分光計204の一部分の拡大斜視図である。インサート206は、点線によって示すようにインサート206の壁を通る内腔400を形成する。サンプルによって生成された光信号は、内腔400を通過して構造体300中の第2のミラー402によって反射される。第2のミラー402は、構造体300を通る第2の内腔404を通じて第1のミラー202(図示せず)に向けて光信号を反射する。
【0045】
構造体における第3の内腔406及びインサート206における対応する内腔(見えない)は、少なくとも部分的には、空気が光信号中の関連の一部又は全ての波長を減衰するか又は遮断することができるので、ガスが対極104の近くまで配管されて、空気の対極104の近くでパージすることができる流体連通路を提供する。内腔404中に取り付けられた窓(図示せず)は、ガスが内腔208から分光計208へ逃げないように気密シールを提供する。窓は、好ましくは、光信号の波長で十分に透明であるベータアルミナ(β−Al2O3又は「合成サファイア」)又は別の材料で作られる。
【0046】
環境
図3に示すように、対極104の鋭い先端部分は、サンプル表面500から約2−3mmのところに配置され、それによって分析間隙を作成する。対極104は、直径約1/16−1/4インチとすることができる。対極104は、好ましくは、トリア化タングステンで作られるが、炭素(グラファイト)又は銀のような他の適切な材料を用いることができる。対極104は、励起された場合に、単純スペクトルか、又はサンプル500中の可能な材料によって生成されたスペクトルと容易に区別される少なくとも1つのスペクトルを生成する材料で作るべきである。
【0047】
アルゴンのような不活性ガスは、内腔406を通じて配管されて、ガスで分析間隙を溢れさせる場合がある。計器に直接連結されて場合によっては計器の一部分内に封入されるガスタンクからのものを含む手持ち式試験計器へガスを供給する方法及び装置は、2007年2月12日出願の「小さな点のX線蛍光(XRF)分析器」という名称の米国特許仮出願第60/889、465号に詳細に開示されており、この特許の内容は、本明細書に完全に記載されるかのように引用により組み込まれている。サンプル500中の可能な材料と化学的に反応せず、かつ励起した時に比較的単純放射スペクトル(又はサンプル500中の可能な材料によって生成されたスペクトルと容易に区別される少なくとも1つのスペクトル)を生成するガスを選択すべきである。
【0048】
スパーク発生
対極104とサンプル表面500の間の電位は、ガスを破壊し、電流が、スパーク又はアーク又はその両方の形態で対極104からサンプル表面500まで流れることができるようにする。スパークは、ガスを加熱して、少量のサンプルを気化させる。気化サンプル材料は、高温ガスによって励起されて光学的(しかし、場合によっては目に見えない)放電を生成する。
【0049】
正の一方向電流は、対極104へ供給されて、対極104を腐食させないようにすべきである。スパーク発生器200は、適切な一方向電流を対極104へ供給するようにダイオード508(又は同等回路)を含む。対極104は、ワイヤブラシを用いて又は電流を反転させて犠牲洗浄サンプルに対してスパーク/アークを生成することにより、蓄積されたデブリを取り除くことができる。
【0050】
作動中に、1組のスパーク/アークは、立て続けに発生させることができる。各スパークは、スパークによるサンプル表面500の孔食、欠陥、及びサンプル表面500中の含有物、その他によってサンプル表面500上の僅かに異なる位置に衝突する場合がある。一般的には、高スパーク繰返し数は、スパークが、低スパーク繰返し数が起こるよりも小区域にわたってサンプル表面と衝突するようにする。従って、スパーク繰返し数を制御することにより、サンプル区域を制御することができる。1秒間当たり約50から400スパークにおいて、スパークは、直径約3mmの区域と衝突するのに対して、1秒間当たり約1、000から2、000スパークにおいて、放電区域は、直径約1mmである。少なくとも部分的には、殆どの金属は、そのような小区域のみを試験する時に正確な結果をもたらすほど十分に均一ではないので、直径1mmのような小放電区域を回避することが望ましい場合がある。そのような小区域のサンプリングは、小区域の組成によりバイアスを受けるという結果を生む場合がある。
【0051】
スパーク/アークを生成するように対極104に提供された信号の電圧及び電流(対時間)プロフィール(波形)は、電力消費を制限しながら、スパークの開始、サンプルの気化、及びガスの加熱を最適化するように制御すべきである。図6は、単一のスパーク/アークに対して時間に対してプロットした代表的な電圧及び電流曲線を示すグラフである。グラフに示すように、短期間の高電圧ピーク600は、スパークを開始して、対極104とサンプル表面500の間の分析間隙中のガスを破壊する。スパークは、サンプルの一部分を腐食して分析ガスにする。その後に、電圧は低下する。スパークは、電流グラフの一部分602に示すように低電流スパークである。しかし、その後に、電流は、増加してピーク604に達すると同時に、電圧は、アークを持続するように中程度に高くて、分析間隙中の腐食サンプル材料を励起する。励起材料は、励起材料の元素組成の光信号特性を放出する。その後に、電流及び電圧は低下する。スパーク/アークの処理にわたって分析間隙に導入された電力の様々な量により、分析間隙中の温度は、スパーク/アークの期間にわたって変化する。
【0052】
鉄及びニッケルのような硬質金属を分析するために、図7の上部のグラフ(A)に示すような電圧プロフィールを用いることができる。電圧プロフィールは、高エネルギ予備スパーク700、その後高電流であるが低電圧のアーク702を示している。アルミニウム、マグネシウム、又は銅のような軟質金属を分析するために、図7の下部のグラフ(B)に示すような2相電圧プロフィールを用いることができる。電圧プロフィールは、スパーク部分704、遅延時間706、及び別々のアーク部分708を示している。スパーク部分704を用いて、サンプル中の1次合金を判断することができ、かつアーク部分708を用いて、サンプル中の微量元素を判断することができる。一般的には、下部のグラフ(B)の信号の電圧は、上部のグラフ(A)の信号の電圧よりも低い。
【0053】
一実施形態では、初期破壊電圧は、分析間隙中のアルゴン又は他のガスを破壊するために必要に応じて約6、000−10、000ボルトである。一実施形態では、ピーク電流は、約60−100アンペアである。電圧及び電流の絶対値は、スパーク/アーク毎の電圧及び電流の反復性及び対極104に対する信号の共鳴の回避ほど重要ではない。電圧及び電流の振幅及びプロフィールは、実質的にできるだけ反復可能である必要がある。
【0054】
スパーク発生器200は、プロセッサの制御下で作動する。すなわち、プロセッサは、スパーク発生器200に対して繰返し数、並びに電圧、電流、及び/又はプロフィールを識別することができる。代替的に、電圧、電流、及び/又はプロフィールは、スパーク発生器200において事前設定することができる。スパーク発生器200は、上述のような電圧及び電流を生成するスイッチモード電源(SMPS)のような高電力サイリスタ又はMOSFET回路のようなあらゆる適切な回路とすることができる。
【0055】
スパーク電圧へのユーザの不測の露出を防止するために、筒先102は、スパーク発生器200がスパーク信号を生成する前にサンプル表面によって起動する必要がある1つ又はそれよりも多くの瞬時接触スイッチ、圧力変換器、又は他のセンサを含むことができる。そのような安全保護システムの一実施形態は、図1に示されている。3つの瞬時接触スイッチ120、122、及び124は、筒先102の平坦部分103がサンプルの表面に対して完全に係合する場合にのみスイッチ120−124が起動されるように筒先102内に取り付けられる。
【0056】
光収集
図5に戻って参照すると、光路502は、サンプル表面500と角度504を形成することに注意すべきである。図8は、対極104とサンプル表面500の間に放電領域800を示す分析間隙の拡大図である。サンプル表面500に近い領域800の一部分は、対極104に近い領域800の一部分(約1、500℃)よりも熱い(約30、000℃)。従って、燐、硫黄、及び炭素のような元素からの硬輝線放射802は、領域800のより熱い部分から発する。反対に、アルミニウム及び銅のような元素からの軟輝線放射804は、領域800のより冷たい部分から発する。
【0057】
検体からの放射は、検体がイオン化される大量の分析間隙からサンプリングすべきである。硬輝線放射802は、約1−5°の角度で観測する必要があるのに対して、軟輝線放射804は、約3−15°の角度で観測すべきである。約3°の角度は、良好な妥協案をもたらし、硬輝線放射802及び軟輝線放射804の両方の観測を可能にする。更に図5を参照すると、角度504は、約3°とすることができるが、他の小さな角度を用いることもできる。更に、場合によっては各々が異なる角度にある複数の光路は、分析間隙からもたらされて分光計204の近くに再結合することができる。マスク806を用いて、対極104の熱い先端からの放射又はサンプル表面500からの放射を観測しないようにすべきである。
【0058】
上述のように、高エネルギ及び低エネルギスパーク及び/又はアークの組合せは、一連の励起で用いることができ、異なるスパーク/アーク中にサンプル中の硬質金属及び軟質金属の検出を容易にする。一実施形態では、サンプル中の主な元素は、第1のパルスで分析され、かつサンプル中の微量元素は、第2のパルスで分析される。
【0059】
一部の元素からの放射は、他の元素からの放射よりもスパーク/アーク中に遅れてピークに達する。同様に、サンプル表面500又は対極104の先端などから「バックグラウンド」放射は、サンプル中の元素の一部からの放射よりも早くピークに達することができる。例えば、鉛からの放射は、バックグラウンド放射の多くが低下した後に遅れてピークに達する。光信号の時間分解分析は、特定の元素からの放射に対して、これらの放射がピークに達する時にスペクトルを分析することによってより良好なSN比をもたらすことができる。光信号の時間分解分析は、2007年2月23日出願の「センサアレイによる時間分解分光法」という名称の米国特許仮出願第60/891、320号、及び2008年2月22日出願のDenis Baiko他による「線形センサアレイによる高速かつ正確な時間分解分光法」という名称の米国特許出願第12/035、477号に詳細に示されており、これらの特許の内容は、本明細書に完全に記載されるかのように引用により組み込まれている。
【0060】
分光計
分光計の光学構成要素の中で、距離及び配向のような物理的関係の維持は、分光計の精度を維持するのに必要である。従来の分光計では、入口スリット、回折格子、及び1つ又はそれよりも多くのセンサを形成する構造体のような光学構成要素は、鋳鉄又は「インバール」(FeNi)で作られた構造部材に堅く取り付けられ、かつ分光計は、温度制御されて、構造部材の熱膨張又は収縮を制限する。温度制御は、従来、分光計を均一かつ一定温度まで加熱することによって達成されるが、一部の分光計は、加熱ではなくて冷却される。いずれの場合にも、エネルギは、消費されて、分光計を加熱するか又は冷却する。場合によっては、電気ファンが、分光計内又は分光計の周囲の空気を循環させるのに用いられ、均一温度を維持する。分光計の加熱は、センサ中に熱誘導ノイズを発生させないようにするために、分光計内の温度非感受性センサか又は冷却センサかの選択を必要とする場合がある。
【0061】
手持ち式試験計器中の分光計は、小さくて、軽量で、電力の消費を小さくすべきである。図9は、本発明の一実施形態による分光計204の切欠き斜視概略図(明確にするためにカバーが除去された状態)である。その交差分散設計を含む分光計204の様々な態様は、その小型サイズの軽量及び低電力消費に寄与する。
【0062】
分光計204のケース900及びカバー(明確にするために除去された)のような構造構成要素は、試験計器100を用いることができる場所に関連して予測周囲温度の範囲にわたって小さな熱膨張係数(CTE)を有するグラファイト充填ポリエチレン硫化物(PPS)のような軽量材料で作られる。小さなCTEは、分光計204を温度制御する必要性を低減するか又は排除し、それによって分光計204の精度を維持しながら電力を節約する。更に、PPSは、黒色であり、これは、分光計204内の迷光を吸収するのに役立つ。PPSは、分光計204の構造構成要素を生成するために、機械加工するか又は射出成形することができ、又はその組合せとすることができる。
【0063】
PPSは、「Ryton PPS」の商品名で米国テキサス州ウッドランド所在の「Chevron Phillips」から入手可能である。約40%グラファイトで充填されたポリフェニレン・サルファイド樹脂が好ましい。そのような材料は、米国テキサス州77023ヒューストン所在の「Hoerbiger America Rings & Packing、Inc.」からIPC−1834という名称で、又は米国テキサス州シャイナー所在の「Boedeker Plastics、Inc.」から「Bearing Grade」という名称で入手可能である。予測周囲温度で小さなCTEを示すか又はそれに対して炭素又は別の適切な充填剤で充填するなどによって修正された他のポリマー、高炭素組成、ガラス充填ポリマー、又は液体結晶ポリマーも用いることができる。
【0064】
光信号210は、ミラー202によって入口スリット901上に反射される。入口スリット901は、約5μmとすることができる。プリズム902は、904において示すように入射光を垂直に分散させる。プリズム902は、入口スリット901から約60mm付近に位置する。プリズム902は、好ましくは、関連の波長で十分に透明であるベータアルミナ又は別の材料で作られる。
【0065】
プリズム902は、視野絞り(内部バッフル)906に取り付けられる。視野絞り906及びプリズム902は、図9の挿入図に拡大して別の視点から示されている。プリズム902は、非点収差を最小にするようにその最小偏角で取り付ける必要がある。一実施形態では、プリズム902は、約6.8°の角度で光を屈折し、従って、プリズム902は、その角度の約半分だけ傾斜しているので、プリズム902から(格子910に向って)の出力軸は、分光計ケース900の床905に平行である。視野絞りの背面907は、プリズム902を適切に傾斜させるように角度をなしている。
【0066】
視野絞り906は、垂直分散光が通過する約1/4インチ幅の開口908を形成する。上述のように、サンプル表面500に対するスパーク衝突は、必ずしも表面上の単一点においてではなくて小区域内で起こる。このスパーク「迷走」に対処するために、スパークの画像は、入口スリット901において幾分脱焦され、代わりに、画像は、内部バッフル906に集束させる。
【0067】
プリズム902からの垂直分散光904は、凹面ホログラフィック格子910に衝突する。格子910は、約1/2インチ厚及び直径約50−75mmである。内部バッフル906は、分析間隙中の放電容積の縁部からマスクを外し、従って、対極104の先端から又はサンプル表面500からの光信号が回折910に到達するのを阻止する。回折910は、光を水平に分散させる。水平分散光は、センサ912のアレイに衝突する。回折910は、2つの異なる状態で同程度の効率を有するように構成されるが必ずしも連続的な系列ではない。各系列は、正又は負とすることができる。
【0068】
回折910は、2つの明確なスペクトルを生成し、これらは、センサ912上で1次スペクトル914及び2次スペクトル916と呼ばれることになる。2次スペクトル916の分解能は、1次スペクトル914の分解能よりも大きくすることができる。プリズム902は、入射光900を垂直に分散させるので、垂直分散光の長波長及び短波長は、異なる角度で格子910に衝突する。この角度差は、センサ912上の1次スペクトル914と2次スペクトル916との間で垂直変位918を引き起こす。一実施形態では、垂直変位918は、約2mmである。センサ912は、各スペクトル914及び916に対して1列のセンサとして2列のセンサを含むことができるが、センサ912の代替的な実施形態は、以下に説明する。
【0069】
系列分離
様々なシステムパラメータは、垂直変位918の程度に影響する。不十分な垂直変位量918がもたらされる場合、2つの系列スペクトル914及び916は、部分的に又は完全にセンサ912上で互いに重なる。センサピクセルの高さに応じて、そのような重複は、センサの各組上できれいなスペクトルを達成することを不可能にする場合がある。図10の上部は、センサ912(図9)上に撮像されたように2つの系列スペクトル1000及び1002を概略的に表し、その中で、2つのスペクトル1000及び1002がかなり重なり、場合によってはセンサの各組上にきれいなスペクトルを達成するのを阻止する。
【0070】
図9に戻ると、センサ912上の2つのスペクトル914及び916の間の垂直変位量918は、一部は、プリズム902によって生じた変位量904に依存し、これは、次に、プリズム902の材料の屈折率及びプリズム902の頂角に依存する。しかし、大きい頂角は、特に紫外線領域における光信号を更に減衰する場合があるより厚いプリズムを生じる。
【0071】
垂直変位918はまた、一部は、集束システムの線形倍率に(すなわち、凸面格子910の倍率に)、プリズム902と格子910の間の距離に、並びに格子910とセンサ912の間の距離に依存する。格子910は、集束要素であり、従って、分離920の減少は、変位918を増加させる。一実施形態では、凸面格子910の線形倍率は、約−1である。
【0072】
一実施形態では、プリズム902は、分析的に関連のあるいずれかの系列のスペクトル914又は916のあらゆる部分の格子910とセンサ912の間の光路を塞ぐことなく格子910にできるだけ近く設けられる。この実施形態におけるプリズム902のそのような配置は、約60mmのプリズム902距離に対してスリット901を作成する。図10の下部は、上述のような約8°の頂角を有するベータアルミナプリズムを位置決めすることによって達成されたセンサ912(図9)上に撮像されたような2つの系列スペクトル1004及び1006の概略図である。図10の下部において見ることができるように、2つのスペクトル1004及び1006は、重なることはなく、スペクトル1004と1006の間に約2mmの垂直変位をもたらすが、変位は、波長によって変化する場合がある。一実施形態では、変位は、関連の波長範囲にわたって約0.6mmから約3mmまで変化する。
【0073】
鉄及び他の一般金属を識別するためには、約170nmから約410nmの波長を有する分析間隙からの光学放射が関連のあるものである。一実施形態では、格子910(図9)は、第1の系列における格子の効率が、約247nmから約410nmの波長に対して比較的高くて、この範囲外では比較的低く、かつ第2の系列における格子の効率が、約170nmから約247nmの波長に対して比較的高く、この範囲外では比較的低いように構成されるが、第1及び第2の系列の高効率部分間には、ある程度の重複がある場合がある。格子910設計、プリズム902及び格子910の組合せによって設けられた交差分散、並びに2列のセンサ912は、分光計204が、比較的少量の空間で比較的広い範囲の波長を分析することを可能にする。一部の実施形態では、センサ912上の1次スペクトル914と2次スペクトル916の間にスペクトル間隙又は重複がある場合がある。
【0074】
1次スペクトル914と2次スペクトル916の間の垂直変位918は、センサ912の2つの同一平面上の列に対しては不十分である場合がある。この場合には、2列のセンサのうちの1つは、図9に示すセンサアレイ912に対して垂直な平面に配向することができ、かつミラーを用いて、2つのスペクトルのうちの一方を垂直センサアレイ上に反射させることができる。そのような配列の側面図は、図11に概略的に示され、かつそのような配列の斜視図(僅かに上向き及び側面から見た)は、図12に示されている。図11を参照すると、ミラー1100は、1次光1102をセンサ1104の下向き列に反射させる。2次光1106は、直接、すなわち、最初に反射されることなくセンサ1108の前方の列に衝突する。関連の波長において、ミラーは、短い波長よりも長い波長の光をより効率的に反射させる。例えば、約240nm未満では、光信号の約20%は、ミラーによる信号の反射の結果として失われる。ミラーによってあまり効率的に反射されなかった波長から主として構成された系列は、センサ1108の前方の列に衝突する必要がある。上述のように、一実施形態では、2次光(約170nmから約250nmにまで及ぶ)は、直接前方のセンサ1108に衝突する。図12は、ミラー1100及び2列のセンサ1104及び1108をハウジング900の床905に取り付けるのに用いる取り付けブラケット1200を示している。
【0075】
スペクトル分解能は、一般的には、分光計が分解することができる2つの最も近いピーク間のスペクトル分離と定められる。2つのピークを分解するために1組の隣接ピクセルを含むデジタルセンサに対して、2つのピーク間の少なくとも1つのピクセルは、図19に概略的に示すようにその隣よりも低信号を受信すべきである。最大信号を有するピクセルが隣同士にあるように、ピークがセンサにかかる場合、2つのピークは、分光計/センサ組合せによって分解される可能性はない。
【0076】
分光計帯域通過(BP)は、どれくらいのスペクトル帯域幅が所定の波長位置で見られるかを指定する。帯域通過は、ピークを分離するように分光計の機能を制限するので、BPを分光計のスペクトル分解能と呼ぶのが普通である。BPは、分光計中の分散要素の出力画像幅及び逆線形分散から計算することができる。逆線形分散は、焦点面において1mmの距離にわたって広がっているスペクトルの幅、すなわち、上記説明のセンサ912を示している。波長によって変化する逆線形分散は、nm/mmで示されて、典型的には、主要な計器仕様として挙げられる。回折格子の逆線形分散は、大部分は、格子中の溝のピッチに依存する。
【0077】
分光計204の一実施形態では、回折格子910は、約5nm/mmの逆線形分散を有し、かつ入口スリット901は、約5μmの幅を有する。従って、一実施形態では、回折格子910は、少なくとも約5、000、及び別の実施形態では、少なくとも約10、000の分解能を提供する。分光計204の一実施形態では、各センサ1004及び1008は、約7μmの有効ピクセルピッチを有する。生じた分解能は、2次スペクトル916においてピクセル当たり約0.02nm及び1次スペクトル914においてピクセル当たり約0.04nmである。
【0078】
各センサ1104及び1108は、ピクセルが水平に千鳥配置されたピクセルの2つ又はそれよりも多くの列を組み込むことができ、これは、デバイスの有効な光学的分解能を増大させる。図20及び21は、2つの代替の千鳥配置ピクセル構成を示している。典型的なピクセル2000は、感光性区域2002及び周囲の非感光性区域2004を含む。スパークOESのような典型的な分光応用のでは、光学要素は、高くて狭いスリット画像2006又は2100を検出デバイス上に組み込むように構成される。他の列のピクセルがX/2の距離だけオフセットされた各々がXの水平分解能を有するピクセルの2つ又はそれよりも多くの列でデバイスを製造することにより、システムの有効分解能は、X/2まで改善する。これは、次に、システムの分光分解能を実質的に改善するより狭い入口スリットの使用を可能にする。
【0079】
本発明の一実施形態は、プリズム902に供給された非平行化光信号で作動する。非平行化信号は、センサ1104及び1108上に投影された画像に少量の収差を引き起こす場合があるが、あらゆる画像の「不鮮明化」は、一般的に矩形ピクセルの長尺寸法と同じ方向にある。従って、これらの収差は、分光計の分解能に悪い影響を与えない。更に、格子910からの回折信号の第1及び第2のようなより低い系列を用いることで、一部の収差を最小にすることができる。
【0080】
本明細書に説明する分光計は、手持ち式分析計器以外の用途で用いることができる。例えば、分光計は、卓上分析器、望遠鏡、遠隔通信機器、その他で用いることができる。
【0081】
動的波長較正
一実施形態では、センサ1104及び1108の各列は、約4、096のピクセルを含むが、他の実施形態では、他の数のピクセルを用いることができる。スペクトルを撮像するのに必要であるよりも多くのピクセルを含むセンサは、恩典をもたらすことができる。図22は、センサ2200及びセンサ2200に衝突するスペクトル2202の斜視概略図である。センサ2200は、ピクセル2206、2208、及び2210によって例示されたセンサピクセルの列2204を収容する。ピクセル2204の列が、分析に関連のあるスペクトルを捕捉するのにちょうど十分な広さである場合、センサが分析器に取り付けられる時に、センサ2200(又は格子のような別の構成要素)の位置を注意深く調節する必要がある場合があるので、スペクトル全体が撮像され、すなわち、画像全体がピクセルの列2204に衝突する。
【0082】
しかし、ピクセル2204の列が、スペクトル2202が広い以上に長い場合(図22に示すように)、センサ2200は、スペクトル2202全体がピクセル2204の列上のどこかにかかる限り、より低い位置精度で取り付けることができる。基本的に、付加的ピクセル、すなわち、スペクトル2202全体を撮像するのに必要な数を超えるピクセルの数は、許容誤差をもたらし、その範囲で、センサ2200を取り付けることができる。センサ2200が取り付けられた状態で、センサ2200又はプロセッサ(図示せず)は、どのピクセルをスペクトル2202によって照明するかを判断し、必要に応じて、スペクトル2202の一端のピクセルから始めてピクセル番号又はアドレスを割り当てることができる。スペクトル2202が、スペクトル2212によって示すように、例えば、分光計の構成要素又は計器中の他の場所の熱膨張又は収縮によってセンサ2200上の位置を変える場合、センサ2200又はプロセッサは、スペクトル2212がシフトした位置に応じて、ピクセルの番号を付け直すか又は異なる組のピクセルからデータを読み取るかによって補償することができる。
【0083】
一実施形態では、光学システム及びセンサは、センサが、約246.9nmから約410nmにまで及ぶ1次スペクトルを検出し、かつセンサが、約170nmから約246.9nmにまで及ぶ2次スペクトルを検出するように構成される。例えば、246.9nmにおける2つのスペクトル間には、何らかの重なりがあるべきである。
【0084】
ピクセル2204の列は、波長較正することができ、すなわち、ピクセルは、既知の組成を有するサンプルを試験して、相応に高値の照明を受けるピクセルとスペクトル中の予測ピークとを相関付けることにより、波長に関連する場合がある。一実施形態では、プロセッサは、観測スペクトル特徴を1組の格納された特徴原型の1つと適合させることにより、ピクセル2204の列を自動的に波長較正する。基本的に、プロセッサは、観測特徴のパターンを既知のパターンと適合させる。
【0085】
パターンは、ピーク、谷、又は他のスペクトル特性の間又はこれらの中の相対的間隔と、ピーク、谷、その他の相対的高さとを含むことができる。例えば、図23は、既知のスペクトルを示している。スペクトルは、様々な元素に対して明確なピークを含む。1つ又はそれよりも多くの格納特徴原型は、プロセッサによってアクセス可能なメモリに格納される。特徴原型は、材料のスペクトル全体に関する情報を含む必要はなく、原型は、選択ピクセルのみ、その他に関する情報を含むことができる。
【0086】
原型は、予測されるサンプル中の予測「母体」元素に基づく場合があり、その理由は、これらの元素が、サンプル露出毎に大きな存在感を示しやすいことになるからである。例えば、鉄及び鋼サンプルに対して、元素鉄(Fe)に関する情報を含む原型を用いることができ、かつアルミニウム合金に対して、元素アルミニウム(Al)に関する情報を含む原型を用いることができる。
【0087】
計器が読み込んだ後に、プロセッサは、格納原型の1つ又はそれよりも多くとの適合性に関してセンサによって提供されたデータを検索する。センサからのデータは、試験サンプル中に含まれる付加的材料の標識を含むことができるが、原型では表されない点に注意されたい。原型は、これらのパターンが、サンプル中の他の可能な材料の中から容易に検出されるように選択することができる。初期波長較正に対して、既知の標準をサンプルとして用いることができる。
【0088】
プロセッサが、観測データに適合する原型パターンを識別した状態で、プロセッサは、原型の1つ又はそれよりも多くの特徴が観測される1つ又はそれよりも多くのピクセルを原型データと共に格納された対応する波長と関連付ける。一実施形態では、プロセッサは、観測及び適合特徴により波長又は波長範囲を1つのピクセルに関連付け、かつ他の波長又は範囲を分光計の幾何学形状に基づいて予測線形スペクトル分散に基づく他のピクセルに割り当てる。
【0089】
別の実施形態では、プロセッサは、上述のように波長又は範囲をピクセルに関連付けて、観測及び適合特徴の間又はこれらの中の相対的間隔に基づいてセンサで観測された実際の線形スペクトル分散を計算し、かつ波長又は範囲を計算線形スペクトル分散に基づいて他のピクセルと関連付ける。
【0090】
波長較正は、ピクセル数と波長の間にマッピングを作成することができる。分散は、必ずしも検出器の長さにわたって一定ではない。従って、多くのピークを識別すればするほど、用いるべき高次のマッピング機能を可能にする。例えば、1つのピークを識別することで、0次「シフト」補正を可能にし、2つのピークを識別することで、1次線形補正及びその他を可能にする。
【0091】
図24は、自動波長較正を説明する流れ図である。2400において、読み取りが行われ、すなわち、サンプルからのスペクトルがセンサに衝突して、プロセッサが、センサの少なくとも一部を読み取る。2402において、検索は、観測スペクトルの少なくとも一部分に適合するパターンに対して観測スペクトル及び格納スペクトル特徴について行われる。2404において、波長又は波長の範囲(以下、この場合は集合的に波長と呼ぶ)は、第1の観測スペクトル特徴(適合原型における特徴のような)の重心に位置する第2のピクセルと、スペクトル特徴パターンに関する情報(波長のような)との間の対応に基づいて、ピクセル(センサアレイ中の第1のピクセルのような)に関連している。この情報は、メモリに格納することができる。
【0092】
一実施形態では、他の波長は、分光計の幾何学形状に基づく予測線形スペクトル分散に基づいて他のピクセルに割り当てられる。
【0093】
別の実施形態では、2406において、センサ上の線形スペクトル分散は、第2の観測スペクトル特徴の重心にある別のピクセルと第2のスペクトル特徴に関する情報(波長のような)との間の対応、並びに観測特徴の重心にある2つのピクセル間のピクセルの数(又は距離)に基づいて計算される。2408において、波長は、2404におけるピクセルに関連する波長及び計算線形スペクトル分散に基づいて他のピクセルに関連している。
【0094】
2404及び2406における作動は、集合的に、波長をセンサ中の全てのピクセルと関連付けることができる。他方、これらの作動は、波長をピクセルの一部分のみと関連付けることができる。その場合には、2410において示すように、必要な作動は、ピクセルの他の群に対して繰り返すことができる。
【0095】
従って、開示する計器は、センサに対して高精度位置調節を必要とせずに、より容易に組み立てるか又は後で調節することができる。更に、計器は、観測スペクトル特徴に基づいて動的にそれ自体を波長較正することにより、長期にわたって、かつ温度誘導寸法変化、移動スパーク光源の不完全画像化、機械的振動、物理的衝撃などにも関わらず、その精度を維持することができる。この波長自己較正は、各サンプル実行の最初に又は所定回数の実行後に、他の自動決定時間に(スパーク間又は加速度計による物理的衝撃又は計器内のサーミスタによる温度変化の検出後のような)、又はユーザ入力指令に応答して、自動的に実施することができる。
【0096】
回折格子取り付けアセンブリ
図13は、回折格子アセンブリ1300の分解組立図を示している。回折格子アセンブリ1300では、回折格子910は、圧縮リング1301と回折格子マウント1302の間に保持される。格子910のすぐ後は、コルク又は別の適切な材料とすることができる薄い(約1/32インチ厚)弾性パッドである。格子圧縮板1306は、弾性パッド1304と回折格子マウント1302の間に配置される。圧縮リング1301、圧縮板1306、及び回折格子マウント1302は、好ましくは、分光計204のケース900と同じ材料から作られる。圧縮リング1301は、圧縮リング1301中の孔1308及び1310を通過して、回折格子マウント1302中の対応する孔(1つは、1312において見える)に螺入する2つのネジ(そのうちの1つは、1307に示されている)によって回折格子マウント1302に取り付けられる。圧縮リング1301は、回折格子910の周囲に沿って均等な圧力を印加し、かつ弾性パッド1304は、回折格子910が、回折格子910を変形させることなく温度変化で膨張又は収縮することを可能にする。
【0097】
回折格子アセンブリ1300は、図14に示すように回折格子ハウジング900内に取り付けられる。調節ネジ1400及び1402を用いて、回折格子アセンブリ1300を傾けることができる。ハウジング900の床の井戸1404は、圧縮リング1301の底部にクリアランスを提供する。好ましくは、回折格子910は、ハウジング900の床に対して垂直から約4°後方に傾けられる。プリズム902からの光は、上向き角度で回折格子910に衝突する。回折格子910を後方に傾けることで、分散光が、ハウジング900の床に対してほぼ平行であるセンサ912への経路を辿るようにする。
【0098】
試験計器アラインメント
試験計器100の光学器械を整列させることが必要な場合がある。ミラー202は、図15に示す設定を用いて整列させることができる。対極104は、試験計器100から除去され、充填剤ブロック1500を筒先102の後部から挿入して、一時的に対極アセンブリと置換することができる。図15の挿入図の前面及び上面図によって示すような管状マスク1502は、筒先102の前部の開口部に挿入される。紫外線(UV)光源1504は、筒先102の前部の開口部に及びマスク1502に挿入され、筒先102の前部の開口部内に露出された約4mmのUV光源1504を誘導する。管状マスク1502は、UV光源1504の外径及び筒先102の前部の開口部の内径を収容するような大きさにされる。付加的遮蔽1506を用いて、UV漏れを最小にすることができる。次に、ミラー202を調節して、分光計204(図示せず)に到達する信号1508の振幅を最大にする。
【0099】
それに代えて又は加えて、可視又は不可視のレーザビームは、センサ912の近くの分光計204に導入され、スパーク間隙に対して分光計204を通って後方に投影することができる。ポート(図示せず)は、レーザビームの導入を容易にするように分光計204のハウジング900内に設けることができる。分光計204及びミラー202中の光学構成要素は、検体放射が生成されると予測される筒先102の前部の開口部で、レーザビームが検出されるまで調節することができる。分光計を通るレーザビームの予測経路は、レーザビームの波長に基づいて計算することができる。回折格子910に向ってレーザビームがたどった経路は、レーザビームの波長及び回折格子910がその波長で光を反射する角度により、検出器912に向って回折格子910によって分散された光信号の一部の波長がたどった経路と一致しない場合がある。従って、センサ912には、レーザビームが分光計204に導入されるポートがない場合がある。
【0100】
更なるアラインメントは、筒先102の前部の開口部において光路に沿って戻ってレーザビームを分光計に反射することによって実施することができる。それに代えて又は加えて、レーザビームは、筒先102の前部の開口部に導入して光路に沿って分光計へ向けることができる。
【0101】
図16は、サンプルの組成を分析するための処理を説明する流れ図である。1600において、サンプルの一部分を分析することができる環境が作成される。この環境を作成する段階は、分析すべきサンプルの一部分から空気をパージする段階を含むことができる。アルゴンのような不活性ガスを用いて、空気をパージすることができる。
【0102】
1602において、サンプルの一部分が励起される。サンプルは、電気スパーク/アーク、レーザ、グロー放電、又は別の適切な機構で励起することができる。電気スパーク/アークを用いる場合、スパーク間隙が、対極とサンプルの間に作成される。対極及びサンプルは、適切な波形を有する適切な電位を生成するスパーク光源に電気的に接続される。対極とサンプルの間の電位差は、分析間隙中のガスを破壊し、サンプルの一部分を腐食させて分析間隙に入れる。電位は低下し、かつ電流は増加して、分析間隙中のサンプル材料をイオン化することができる。イオン化サンプル材料は、光信号を放出する。
【0103】
1604において、光信号が収集される。光信号は、光路を通じて分光計に送られる。1606において、光信号は、波長分散される。光信号は、交差分散させることができる。1608において、分散光信号の強度は、関連の波長で測定される。センサの1つ又はそれよりも多くのアレイを用いて、分散光信号の強度を測定することができる。光信号が交差分散される場合、センサの一方の組は、交差分散の量によりセンサの他方の組から離れた距離に配置することができる。1610において、強度測定結果は、サンプルの組成を判断するために処理される。処理は、メモリに格納された命令を実行するプロセッサによって実施することができる。処理は、1組の測定に対して1612に示すように繰り返すことができる。1組の測定結果からのデータは、平均することができ、及び/又は励起(1602)のパラメータは、繰返しの各々に対して変化する場合がある。
【0104】
図17は、試験計器100の主な構成要素のブロック図である。プロセッサ1700に対する命令、並びにスペクトル特徴原型は、メモリ1702に格納することができる。サンプルからの分析結果もメモリ1702に格納され、タッチスクリーン110に表示され、及び/又は有線又は無線データポート1704を通じて外部デバイスに提供することができる。更に、メモリ1702は、試験サンプルの組成と比較するための既知の材料(合金のような)の組成の表を格納することができ、かつこの比較の結果は、画面110に表示し、及び/又はポート1704を通じて提供することができる。
【0105】
図1を参照すると、タッチスクリーン110は、試験計器100が殆どの向きにある間に可読である。しかし、場合によっては、タッチスクリーンは、読み取るのが困難な場合がある。ヒンジ(ティルトアップ)画面は、何らかのOES、X線蛍光(XRF)、又は他の手持ち式内蔵型試験計器に用いることができる。そのようなティルトアップ画面の一実施形態は、図18に示されている。可撓性リボンケーブル又は他の適切な可撓線を用いて、画面1800を試験計器100内のプロセッサ又は他の回路に接続する。
【0106】
約170nmから約410nmの波長範囲を有する分光計を説明してきたが、本発明による分光計は、他の波長範囲を有することができる。
【0107】
手持ち式内蔵型バッテリ式試験計器は、メモリに格納された命令によって制御されるプロセッサを含むように説明した。メモリは、制御ソフトウエア又は他の命令及びデータを格納するのに適切なランダムアクセスメモリ(RAM)、読取専用メモリ(ROM)、フラッシュメモリ、又はあらゆる他のメモリ、又はこれらの組合せとすることができる。試験計器によって実施される機能の一部は、流れ図を参照して説明した。流れ図の各ブロックの全て又は一部分又はブロックの組合せの機能、作動、判断などは、コンピュータプログラム命令、ソフトウエア、ハードウエア、ファームウエア、又はその組合せとして実施することができることを当業者は容易に認めるはずである。本発明の機能を判断する命令又はプログラムは、以下に限定されるものではないが、書込不能ストレージ媒体(例えば、ROMのようなコンピュータ内の読み出し専用メモリデバイス、又はCD−ROM又はDVDディスクのようなコンピュータI/Oアタッチメントによる可読デバイス)に永久に格納される情報、書込可能ストレージ媒体(例えば、フロッピーディスク、着脱式フラッシュメモリ、及びハードドライブ)に変更可能に格納される情報、又は有線又は無線コンピュータネットワークを含む通信媒体を通してコンピュータに伝送される情報を含む多くの形式でプロセッサに供給することができることも当業者は容易に認めるはずである。更に、本発明は、ソフトウエアにおいて実施することができるが、本発明を実施するのに必要な機能は、代替的に、組合せ論理、「特定用途向け集積回路(ASIC)」、「フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)」、又は他のハードウエア、又はハードウエア、ソフトウエア、及び/又はファームウエア構成要素の何らかの組合せのようなファームウエア及び/又はハードウエア構成要素を使用して部分的又は全体的に具現化することができる。
【0108】
本発明は、上述の例示的な実施形態を通して説明したが、本明細書に開示された本発明の概念から逸脱することなく図示の実施形態に対する修正及びその変更を行うことができることは、当業者によって理解されるであろう。更に、開示した態様、又はこれらの態様の一部分は、上に挙げていない方法で組み合わせることができる。例えば、上述の分光計は、望遠鏡及び衛星の組合せ又はこれらの範囲内を含む地球又は地球外天文学のような他の状況で用いることができる。従って、本発明は、限定的に見るべきではない。
【符号の説明】
【0109】
100 試験計器
200 スパーク発生器
202 第1のミラー
204 分光計
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプルの一部分の組成を分析するための分析器であって、
手持ち式内蔵型試験計器、
を含み、
前記手持ち式内蔵型試験計器は、
サンプルの一部分を励起し、該励起が光信号を生成する励振器と、
前記光信号を受信して第1の平面に分散された中間光信号を作成するために前記手持ち式計器内に配置された第1の分散要素と、
対応する第1の複数の検出要素上に第1の分解光学系列、及び対応する第2の複数の検出要素上に第2の分解光学系列を配置するように前記中間光信号を分散させるために前記手持ち式計器内に配置された第2の分散要素と、
前記第1及び第2の複数の検出要素から信号を受信するように連結され、かつ該信号を処理するようにプログラムされたプロセッサと、
前記励振器及び前記プロセッサに電力を供給するバッテリと、
を有する、
ことを特徴とする分析器。
【請求項2】
前記対応する複数の検出要素上に置かれた前記光学系列の少なくとも一方は、約193nmよりも短い波長に及ぶことを特徴とする請求項1に記載の分析器。
【請求項3】
前記対応する複数の検出要素上に置かれた前記光学系列の少なくとも一方は、約178nmよりも短い波長に及ぶことを特徴とする請求項1に記載の分析器。
【請求項4】
前記対応する複数の検出要素上に置かれた前記光学系列の少なくとも一方は、少なくとも約170nmほどの短い波長に及ぶことを特徴とする請求項1に記載の分析器。
【請求項5】
各複数の検出要素は、該複数の検出要素上に置かれた前記分解光学系列の連続スペクトル範囲を受信するように構成されることを特徴とする請求項1に記載の分析器。
【請求項6】
集合的に、前記第1及び第2の複数の検出要素上に置かれた前記スペクトル範囲は、少なくとも約178nmから約400nmに及ぶことを特徴とする請求項5に記載の分析器。
【請求項7】
前記中間光信号が通過する開口を形成する構造体を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の分析器。
【請求項8】
前記光信号は、前記構造体上に集束されることを特徴とする請求項7に記載の分析器。
【請求項9】
前記励振器は、
前記サンプルの前記部分に対して電位を持続するための電極と、
前記サンプルの前記部分に対する前記電極上の前記電位を確立するための電圧供給源と、
を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の分析器。
【請求項10】
前記励振器は、レーザを含むことを特徴とする請求項1に記載の分析器。
【請求項11】
前記第1の分散要素は、交差分散プリズムを含むことを特徴とする請求項1に記載の分析器。
【請求項12】
前記第2の分散要素は、回折格子を含むことを特徴とする請求項1に記載の分析器。
【請求項13】
前記第2の分散要素は、前記第1及び第2の分解光学系列において同程度の効率をもたらすように輝きを放つホログラフィック回折格子を含むことを特徴とする請求項1に記載の分析器。
【請求項14】
前記第1の複数の検出要素は、前記第2の複数の検出要素とは同一平面上になく、
前記試験計器は、更に、前記第2の分散要素と前記対応する複数の検出要素との間で、前記第1及び第2の分解光学系列の一方の光路にミラーを含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の分析器。
【請求項15】
前記第1及び第2の分散要素、並びに前記第1及び第2の複数の検出要素は、炭素充填ポリマー構造部材に剛結合されることを特徴とする請求項1に記載の分析器。
【請求項16】
前記炭素充填ポリマーは、グラファイトで充填されたポリフェニレン・サルファイド樹脂を含むことを特徴とする請求項15に記載の分析器。
【請求項17】
前記炭素充填ポリマーは、少なくとも約40%グラファイトで充填されたポリフェニレン・サルファイド樹脂を含むことを特徴とする請求項15に記載の分析器。
【請求項18】
前記プロセッサは、観測スペクトル特徴に基づいて自動波長較正するようにプログラムされることを特徴とする請求項1に記載の分析器。
【請求項19】
前記第2の分散要素は、少なくとも約5、000の分解能を提供することを特徴とする請求項1に記載の分析器。
【請求項20】
前記第2の分散要素は、少なくとも約10、000の分解能を提供することを特徴とする請求項1に記載の分析器。
【請求項21】
前記プロセッサに連結された表示画面を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の分析器。
【請求項22】
前記プロセッサに連結されたヒンジ式表示画面を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の分析器。
【請求項23】
サンプルの一部分の組成を分析するための分析器であって、
手持ち式内蔵型試験計器、
を含み、
前記手持ち式内蔵型試験計器は、
サンプルの一部分を励起し、該励起が光信号を生成する励振器と、
前記光信号を受信し、かつ該光信号を分散させて該分散光信号から出力信号を生成するように作動するように分析器に配置された少なくとも約178nmから約400nmに及ぶスペクトル範囲を有する分光計と、
前記分光計に連結されて前記出力信号を処理するようにプログラムされたプロセッサと、
前記励振器、前記分光計、及び前記プロセッサに電力を供給するバッテリと、
を有する、
ことを特徴とする分析器。
【請求項24】
前記分光計は、ピクセル化されたセンサを含み、
前記分光計は、約190nmでピクセル当たり少なくとも約0.02nmの分解能を有する、
ことを特徴とする請求項23に記載の分析器。
【請求項25】
前記分光計は、
少なくとも2つの異なる系列において同程度の効率を有するホログラフィック回折格子と、
前記格子から前記分散光信号の2つの系列を受信するように配列されたセンサと、
含む、
ことを特徴とする請求項23に記載の分析器。
【請求項26】
前記分光計は、交差分散されることを特徴とする請求項25に記載の分析器。
【請求項27】
前記分光計は、該分光計の光学要素が取り付けられた炭素充填ポリマーを含む構造部材を含むことを特徴とする請求項23に記載の分析器。
【請求項28】
前記プロセッサは、観測スペクトル特徴に基づいて前記分光計を自動的に波長較正するようにプログラムされることを特徴とする請求項23に記載の分析器。
【請求項29】
サンプルの一部分の組成を分析する方法であって、
サンプルの一部分を励起し、それによって光信号を生成する段階と、
前記光信号からスペクトルを発生させる段階と、
第1の所定のスペクトル特徴を前記スペクトルの少なくとも一部分に合わせる段階と、
ピクセルに対する前記第1の所定のスペクトル特徴の位置に基づいて、波長を該ピクセルに関連付ける段階と、
前記スペクトルを分析して、前記サンプルの前記部分の少なくとも1つの成分を判断する段階と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項30】
1組のピクセルにわたる予測線形スペクトル分散に基づいて波長を他のピクセルに関連付ける段階を更に含むことを特徴とする請求項29に記載の方法。
【請求項31】
第2の所定のスペクトル特徴を前記スペクトルの少なくとも一部分に合わせる段階と、
前記第1の所定のスペクトル特徴の前記位置に対する前記第2の所定のスペクトル特徴の位置に基づいて波長を他のピクセルに関連付ける段階と、
を更に含むことを特徴とする請求項29に記載の方法。
【請求項32】
光学要素を取り付ける方法であって、
炭素充填ポリマーを含む光学マウントを準備する段階と、
前記光学マウントに光学要素を取り付ける段階と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項33】
前記炭素充填ポリマーは、グラファイト充填ポリフェニレン・サルファイド樹脂を含むことを特徴とする請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記炭素充填ポリマーは、少なくとも約40%炭素で充填されたポリフェニレン・サルファイド樹脂を含むことを特徴とする請求項32に記載の方法。
【請求項35】
前記光学要素は、レンズを含むことを特徴とする請求項32に記載の方法。
【請求項36】
前記光学要素は、光学選別器を含むことを特徴とする請求項32に記載の方法。
【請求項37】
前記光学要素は、回折格子を含むことを特徴とする請求項32に記載の方法。
【請求項38】
前記光学要素は、プリズムを含むことを特徴とする請求項32に記載の方法。
【請求項39】
前記光学要素は、ミラーを含むことを特徴とする請求項32に記載の方法。
【請求項40】
前記光学要素は、マスクを含むことを特徴とする請求項32に記載の方法。
【請求項41】
炭素充填ポリマー構造部材と、
前記構造部材に取り付けられた光分散要素と、
前記構造部材に取り付けられ、かつ前記光分散要素から分散光を受け取るように配向されたセンサと、
を含むことを特徴とする分光計。
【請求項42】
前記炭素充填ポリマーは、少なくとも約40%炭素で充填されたポリフェニレン・サルファイド樹脂を含むことを特徴とする請求項41に記載の分光計。
【請求項43】
入力部と、
前記入力部と前記光分散要素の間に配置された系列選別器と、
を更に含むことを特徴とする請求項41に記載の分光計。
【請求項44】
前記系列選別器と前記光分散要素の間に配置された開口を形成する構造体を更に含むことを特徴とする請求項43に記載の分光計。
【請求項1】
サンプルの一部分の組成を分析するための分析器であって、
手持ち式内蔵型試験計器、
を含み、
前記手持ち式内蔵型試験計器は、
サンプルの一部分を励起し、該励起が光信号を生成する励振器と、
前記光信号を受信して第1の平面に分散された中間光信号を作成するために前記手持ち式計器内に配置された第1の分散要素と、
対応する第1の複数の検出要素上に第1の分解光学系列、及び対応する第2の複数の検出要素上に第2の分解光学系列を配置するように前記中間光信号を分散させるために前記手持ち式計器内に配置された第2の分散要素と、
前記第1及び第2の複数の検出要素から信号を受信するように連結され、かつ該信号を処理するようにプログラムされたプロセッサと、
前記励振器及び前記プロセッサに電力を供給するバッテリと、
を有する、
ことを特徴とする分析器。
【請求項2】
前記対応する複数の検出要素上に置かれた前記光学系列の少なくとも一方は、約193nmよりも短い波長に及ぶことを特徴とする請求項1に記載の分析器。
【請求項3】
前記対応する複数の検出要素上に置かれた前記光学系列の少なくとも一方は、約178nmよりも短い波長に及ぶことを特徴とする請求項1に記載の分析器。
【請求項4】
前記対応する複数の検出要素上に置かれた前記光学系列の少なくとも一方は、少なくとも約170nmほどの短い波長に及ぶことを特徴とする請求項1に記載の分析器。
【請求項5】
各複数の検出要素は、該複数の検出要素上に置かれた前記分解光学系列の連続スペクトル範囲を受信するように構成されることを特徴とする請求項1に記載の分析器。
【請求項6】
集合的に、前記第1及び第2の複数の検出要素上に置かれた前記スペクトル範囲は、少なくとも約178nmから約400nmに及ぶことを特徴とする請求項5に記載の分析器。
【請求項7】
前記中間光信号が通過する開口を形成する構造体を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の分析器。
【請求項8】
前記光信号は、前記構造体上に集束されることを特徴とする請求項7に記載の分析器。
【請求項9】
前記励振器は、
前記サンプルの前記部分に対して電位を持続するための電極と、
前記サンプルの前記部分に対する前記電極上の前記電位を確立するための電圧供給源と、
を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の分析器。
【請求項10】
前記励振器は、レーザを含むことを特徴とする請求項1に記載の分析器。
【請求項11】
前記第1の分散要素は、交差分散プリズムを含むことを特徴とする請求項1に記載の分析器。
【請求項12】
前記第2の分散要素は、回折格子を含むことを特徴とする請求項1に記載の分析器。
【請求項13】
前記第2の分散要素は、前記第1及び第2の分解光学系列において同程度の効率をもたらすように輝きを放つホログラフィック回折格子を含むことを特徴とする請求項1に記載の分析器。
【請求項14】
前記第1の複数の検出要素は、前記第2の複数の検出要素とは同一平面上になく、
前記試験計器は、更に、前記第2の分散要素と前記対応する複数の検出要素との間で、前記第1及び第2の分解光学系列の一方の光路にミラーを含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の分析器。
【請求項15】
前記第1及び第2の分散要素、並びに前記第1及び第2の複数の検出要素は、炭素充填ポリマー構造部材に剛結合されることを特徴とする請求項1に記載の分析器。
【請求項16】
前記炭素充填ポリマーは、グラファイトで充填されたポリフェニレン・サルファイド樹脂を含むことを特徴とする請求項15に記載の分析器。
【請求項17】
前記炭素充填ポリマーは、少なくとも約40%グラファイトで充填されたポリフェニレン・サルファイド樹脂を含むことを特徴とする請求項15に記載の分析器。
【請求項18】
前記プロセッサは、観測スペクトル特徴に基づいて自動波長較正するようにプログラムされることを特徴とする請求項1に記載の分析器。
【請求項19】
前記第2の分散要素は、少なくとも約5、000の分解能を提供することを特徴とする請求項1に記載の分析器。
【請求項20】
前記第2の分散要素は、少なくとも約10、000の分解能を提供することを特徴とする請求項1に記載の分析器。
【請求項21】
前記プロセッサに連結された表示画面を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の分析器。
【請求項22】
前記プロセッサに連結されたヒンジ式表示画面を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の分析器。
【請求項23】
サンプルの一部分の組成を分析するための分析器であって、
手持ち式内蔵型試験計器、
を含み、
前記手持ち式内蔵型試験計器は、
サンプルの一部分を励起し、該励起が光信号を生成する励振器と、
前記光信号を受信し、かつ該光信号を分散させて該分散光信号から出力信号を生成するように作動するように分析器に配置された少なくとも約178nmから約400nmに及ぶスペクトル範囲を有する分光計と、
前記分光計に連結されて前記出力信号を処理するようにプログラムされたプロセッサと、
前記励振器、前記分光計、及び前記プロセッサに電力を供給するバッテリと、
を有する、
ことを特徴とする分析器。
【請求項24】
前記分光計は、ピクセル化されたセンサを含み、
前記分光計は、約190nmでピクセル当たり少なくとも約0.02nmの分解能を有する、
ことを特徴とする請求項23に記載の分析器。
【請求項25】
前記分光計は、
少なくとも2つの異なる系列において同程度の効率を有するホログラフィック回折格子と、
前記格子から前記分散光信号の2つの系列を受信するように配列されたセンサと、
含む、
ことを特徴とする請求項23に記載の分析器。
【請求項26】
前記分光計は、交差分散されることを特徴とする請求項25に記載の分析器。
【請求項27】
前記分光計は、該分光計の光学要素が取り付けられた炭素充填ポリマーを含む構造部材を含むことを特徴とする請求項23に記載の分析器。
【請求項28】
前記プロセッサは、観測スペクトル特徴に基づいて前記分光計を自動的に波長較正するようにプログラムされることを特徴とする請求項23に記載の分析器。
【請求項29】
サンプルの一部分の組成を分析する方法であって、
サンプルの一部分を励起し、それによって光信号を生成する段階と、
前記光信号からスペクトルを発生させる段階と、
第1の所定のスペクトル特徴を前記スペクトルの少なくとも一部分に合わせる段階と、
ピクセルに対する前記第1の所定のスペクトル特徴の位置に基づいて、波長を該ピクセルに関連付ける段階と、
前記スペクトルを分析して、前記サンプルの前記部分の少なくとも1つの成分を判断する段階と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項30】
1組のピクセルにわたる予測線形スペクトル分散に基づいて波長を他のピクセルに関連付ける段階を更に含むことを特徴とする請求項29に記載の方法。
【請求項31】
第2の所定のスペクトル特徴を前記スペクトルの少なくとも一部分に合わせる段階と、
前記第1の所定のスペクトル特徴の前記位置に対する前記第2の所定のスペクトル特徴の位置に基づいて波長を他のピクセルに関連付ける段階と、
を更に含むことを特徴とする請求項29に記載の方法。
【請求項32】
光学要素を取り付ける方法であって、
炭素充填ポリマーを含む光学マウントを準備する段階と、
前記光学マウントに光学要素を取り付ける段階と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項33】
前記炭素充填ポリマーは、グラファイト充填ポリフェニレン・サルファイド樹脂を含むことを特徴とする請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記炭素充填ポリマーは、少なくとも約40%炭素で充填されたポリフェニレン・サルファイド樹脂を含むことを特徴とする請求項32に記載の方法。
【請求項35】
前記光学要素は、レンズを含むことを特徴とする請求項32に記載の方法。
【請求項36】
前記光学要素は、光学選別器を含むことを特徴とする請求項32に記載の方法。
【請求項37】
前記光学要素は、回折格子を含むことを特徴とする請求項32に記載の方法。
【請求項38】
前記光学要素は、プリズムを含むことを特徴とする請求項32に記載の方法。
【請求項39】
前記光学要素は、ミラーを含むことを特徴とする請求項32に記載の方法。
【請求項40】
前記光学要素は、マスクを含むことを特徴とする請求項32に記載の方法。
【請求項41】
炭素充填ポリマー構造部材と、
前記構造部材に取り付けられた光分散要素と、
前記構造部材に取り付けられ、かつ前記光分散要素から分散光を受け取るように配向されたセンサと、
を含むことを特徴とする分光計。
【請求項42】
前記炭素充填ポリマーは、少なくとも約40%炭素で充填されたポリフェニレン・サルファイド樹脂を含むことを特徴とする請求項41に記載の分光計。
【請求項43】
入力部と、
前記入力部と前記光分散要素の間に配置された系列選別器と、
を更に含むことを特徴とする請求項41に記載の分光計。
【請求項44】
前記系列選別器と前記光分散要素の間に配置された開口を形成する構造体を更に含むことを特徴とする請求項43に記載の分光計。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【公表番号】特表2010−519554(P2010−519554A)
【公表日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−551039(P2009−551039)
【出願日】平成20年2月22日(2008.2.22)
【国際出願番号】PCT/US2008/054771
【国際公開番号】WO2008/103937
【国際公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.フロッピー
【出願人】(508019894)サーモ ニトン アナライザーズ リミテッド ライアビリティ カンパニー (12)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年2月22日(2008.2.22)
【国際出願番号】PCT/US2008/054771
【国際公開番号】WO2008/103937
【国際公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.フロッピー
【出願人】(508019894)サーモ ニトン アナライザーズ リミテッド ライアビリティ カンパニー (12)
【Fターム(参考)】
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