説明

手摺りの接続構造

【課題】設置場所に適した形状の手摺りを設置できるようにする。
【解決手段】断面が互いに異なる形状である2つの手摺り1a,1bを各々の端部でジョイントにそれぞれ接続し、互いに連結する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つの手摺りを連結する手摺りの接続構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えば、特許文献1に示すように、歩行時の安全性や美観の確保等の観点から、建築物の屋内外の壁面に沿って複数の手摺りを直列に連結して取り付ける場合に、同じ断面形状の2つの手摺りの端部同士を連結するジョイントは知られている。
【特許文献1】特開平09−125749号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、手摺りには、例えば、歩行時に手を滑らせるようにして使うものや、しっかりと握って身体を支持させるものなど、求められる機能に応じた形状の手摺りが考えられる。また、歩行時に手を滑らせるようにして使う手摺りであっても、階段や廊下など、設置場所によって好ましい手摺りの形状は異なる。
【0004】
しかし、上記特許文献1のようなジョイントは、同じ断面形状の手摺りを連結するものであるため、求められる機能の異なる設置場所の境界にジョイントを設ける場合には、一方の設置場所に適した形状の手摺りを接続するジョイントを用いると、他方の設置場所には適さない形状の手摺りが接続されてしまう。
【0005】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、設置場所に適した形状の手摺りを設置できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、第1の発明に係る手摺りの接続構造は、断面が互いに異なる形状である2つの手摺りが各々の端部でジョイントにそれぞれ接続されて互いに連結されている。
【0007】
上記の構成によると、ジョイントに断面が互いに異なる形状の2つの手摺りを接続するので、ジョイントを求められる機能の異なる設置場所の境界に設けて、それぞれの設置場所に適した形状の手摺りを連結する。
【0008】
第2の発明に係る手摺りの接続構造は、第1の発明に係る手摺りの接続構造において、少なくとも一方の上記手摺りは断面が円形と異なっていて、該手摺りとジョイントとの間に手摺り接続用部材が設けられ、上記手摺り接続用部材は、軸方向の一端側に、上記ジョイントに嵌入される円筒状のジョイント側嵌合部を、また軸方向の他端側に、上記手摺りに嵌合される筒状の手摺り側嵌合部をそれぞれ備え、上記ジョイント側嵌合部と手摺り側嵌合部との断面形状が互いに異なる。
【0009】
上記の構成によると、円形と異なる異形断面の手摺りであっても、この形状に合わせて手摺り用接続部材の手摺り側嵌合部を形成することにより、手摺り用接続部材の円筒状のジョイント側嵌合部には一般的なジョイントが嵌合され、手摺り側嵌合部には異形断面の手摺りが嵌合されて、断面形状の異なる手摺りとジョイントとが接続される。したがって、それぞれの手摺りの形状に合わせて手摺り側嵌合部を形成することで、一般的なジョイントで互いに異なる断面形状の2つの手摺りが連結される。
【0010】
第3の発明に係る手摺りの接続構造は、第1の発明に係る手摺りの接続構造において、上記ジョイントは断面円形状の取付部を有し、少なくとも一方の上記手摺りは、断面が円形と異なっていて、上記ジョイントの取付部内に端部が嵌入されたときに該取付部の内周面との間に隙間が形成される隙間形成面を外周面に有し、上記ジョイントの取付部と上記隙間形成面を有する手摺りとの間にスペーサーが設けられ、上記スペーサーは、上記手摺りの端面に当接した状態で上記取付部内に嵌入される基部と、上記基部に、上記手摺りの長さ方向に沿うようにかつ手摺りの取付部への嵌入深さと同じ長さで突設され、上記手摺り外周の隙間形成面と取付部内周面との間の隙間を埋める隙間埋め部とを備えている。
【0011】
上記の構成によると、例えば手摺りをスペーサーに、その先端側(基部と反対側)から、手摺りの端面がスペーサーの基部に当接する位置まで挿入すると、スペーサーの隙間埋め部の内面が手摺りの隙間形成面に当接する。そして、このスペーサーが取り付けられた手摺りの端部をジョイントの取付部内に嵌入すると、手摺りの取付部への嵌入深さと同じ長さで突設された隙間埋め部が、手摺り外周の隙間形成面と取付部内周面との間の隙間を埋める。このように、手摺りの形状に合わせてスペーサーを形成することにより、断面が円形と異なる異形断面の手摺りを一般的なジョイントの断面円形状の取付部内に嵌入しても、手摺りと取付部との間に隙間が生じないようになっている。したがって、それぞれの手摺りの形状に合わせてスペーサーを形成することで、一般的なジョイントで互いに異なる断面形状の2つの手摺りが連結される。
【0012】
第4の発明に係る手摺りの接続構造は、第1から第3のいずれか1つの発明に係る手摺りの接続構造において、上記2つの手摺りのうち一方の手摺りは階段に設けられている一方、他方の手摺りは該階段に連続する廊下に設けられている。
【0013】
上記の構成によると、廊下に設置される手摺りは、歩行時に手を滑らせるようにして使うことができる機能が求められるが、階段に設置される手摺りは、手を滑らせるように使用しつつ、ある程度身体を支持できるようにしっかり握ることができる形状であることが求められる。このように2つの手摺りは求められる機能が異なるが、それぞれに適した形状の手摺りを設置しつつ、これらが階段と廊下の境界に設置したジョイントで連結される。
【発明の効果】
【0014】
上記第1の発明によれば、ジョイントに断面が互いに異なる形状の2つの手摺りを接続するので、それぞれの設置場所に適した形状の手摺りを設置しつつ、これらをジョイントで連結して歩行時の安全性や美観を確保することができる。
【0015】
上記第2の発明によれば、手摺りの断面形状に合わせて形成された手摺り用接続部材を介して手摺りとジョイントとを接続することができるので、手摺りの断面形状に拘わらず、一般的な円形断面の手摺り用のジョイントを用いて、互いに異なる形状の2つの手摺りを連結することができる。
【0016】
上記第3の発明によれば、手摺りの断面形状に合わせて隙間埋め部が形成されたスペーサーを介して、手摺りの端部がジョイントの取付部内に嵌入されることで、一般的な円形断面の手摺り用のジョイントを用いても、互いに異なる形状の2つの手摺りを連結することができる。また、手摺りの断面形状に拘わらず、手摺りと取付部との間に隙間が生じないので、見映えが向上するとともに、がたつきも抑制することができる。
【0017】
上記第4の発明によれば、求められる機能の異なる階段及び廊下に設置される手摺りを、それぞれに適した形状の手摺りとして、これをジョイントで連結するので、歩行時の安全性や美観を確保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0019】
(使用状態1)
図1は、本発明の実施形態に係る手摺りの接続構造を示し、1は手摺り、3は、2つの手摺り1を連結する連結ジョイント3である。連結ジョイント3は、階段と廊下との境界部分で手摺り1を連結しており、各手摺り1はブラケット2によって下側から支持されて壁面9に取り付けられている。
【0020】
(連結ジョイント)
上記連結ジョイント3は、図2及び図3に示すように、断面円形状の手摺りを連結する場合に用いられる一般的で公知のものであり、例えば、亜鉛合金、アルミニウム合金などの金属製である。この連結ジョイント3は、略円筒状の連結部5と、この連結部5の軸方向両端部に揺動可能に取り付けられる可動部6とを備えている。これら可動部6は連結部5内に挿入されて取り付けられる略半球状の基部6aと、この基部6aに連続して形成され、軸方向の外側に向かって開放された有底円筒状の手摺り取付部6bとからなっている。各可動部6は、その中心軸Ax1が連結部5の中心軸Ax2と一致する位置と、中心軸Ax2に対して略45度傾いた位置との間を同じ平面上で、図2のA方向に動くように構成されている。そして、各可動部6の手摺り取付部6bには、直径方向に互いに対向する位置に第1のネジ7が挿入される一対のネジ挿入孔8,8が貫通して形成されている。これらのネジ挿入孔8は、その中心を結ぶ直線が、可動部6が上記A方向に可動する平面に対して垂直となる位置に設けられている。
【0021】
(手摺り)
上記手摺り1は、例えば図4に示すように、廊下に設けられる廊下側手摺り1aと、階段に設けられる階段側手摺り1bとで異なる断面形状に形成されている。廊下側手摺り1aは、上側の水平な平面状の上面部20aと、この上面部20aの左右両側で複数の溝が設けられた側面部20bと、下側の円弧部20cとからなり、身体を移動させるときに手が滑りやすいようになっている。
【0022】
一方、階段側手摺り1bは、断面円形状の本体部21aと、この本体部21aの壁面9側上部に複数の溝が設けられた滑り止め部21bとからなり、身体を移動させるときにしっかりと握って身体を支持させることができるようになっている。また、この階段側手摺り1bの本体部21aの直径は、上記連結ジョイント3の取付部6b内径とほぼ同じとなっていて、滑り止め部21bの外周面は、連結ジョイント3の取付部6b内に廊下側手摺り1aの端部が嵌入されたときに、この取付部6bの内周面との間に隙間が形成される隙間形成面を構成している。
【0023】
上記のように、本発明の実施形態における手摺り1は円形断面とは異なる異形断面に形成され、上下の向きと壁面9に対する向きとが決められている。手摺り1の材質は、集成材、合板、木質繊維板(IB、MDF等)、木削片板(パーティクルボード、ストランドボード、OSB等)、無垢材、その他の木質材料、プラスチック等の合成樹脂、アルミニウム等の金属、あるいはこれらの複合材等で形成することができる。
【0024】
(手摺り用接続部材)
そして、上記連結ジョイント3と廊下側手摺り1aとの間には、手摺り用接続部材4がそれぞれに嵌合するように設けられ、断面円形状の手摺りを連結するように成形された一般的な連結ジョイント3と、異形断面の廊下側手摺り1aとを接続することができるようになっている。
【0025】
すなわち、上記手摺り用接続部材4は、図3、図5及び図6に示すように、軸方向の一端側(図6の右側)に上記連結ジョイント3に嵌入される円筒状のジョイント側嵌合部10[図5(b)に示す]を、また軸方向の他端側(図6の左側)にジョイント側嵌合部10と連続して形成され、上記廊下側手摺り1aに嵌合される筒状の手摺り側嵌合部11[図5(a)に示す]をそれぞれ備えている。
【0026】
具体的には、ジョイント側嵌合部10は、連結ジョイント3の可動部6の手摺り取付部6b内に嵌入されるように、断面円形状に形成されている。一方、手摺り側嵌合部11は、上記廊下側手摺り1aの端部に外嵌合するように形成され、廊下側手摺り1aの円弧部20cに沿うように円筒状に形成された外枠部11aと、この外枠部11aの内側に設けられて廊下側手摺り1aの上面部20aに沿うように形成された上面対応部11bと、外枠部11aの内側に設けられて側面部20bに沿うように形成された側面対応部11cとで構成されている。
【0027】
そして、上記ジョイント側嵌合部10には、図7にも示すように、直径方向に互いに対向する位置に位置し、その中心を結ぶ直線L1が水平となるように配置される一対の第1ネジ挿入部13,13が設けられている。さらに、ジョイント側嵌合部10には、軸方向に見て、上記直線L1と直交する直線L2上の位置を中央として角度θずつ周方向両側に広がる一対の第2ネジ挿入部14,14が設けられている。この第2ネジ挿入部14の角度θは、56.9°≦θ≦90°、すなわち、tanθ≧230/150(0<θ≦π/2)の範囲にある。これらの第1及び第2ネジ挿入部13,14は、ジョイント側嵌合部10に貫通して形成されていてもよいし、ネジ等で貫通可能となるように薄膜状に形成されていてもよい。
【0028】
上記ジョイント側嵌合部10と手摺り側嵌合部11との間の内側には、図5に示すように、板状の境界部15が一体に成形されている。この境界部15には、直径方向に互いに対向する位置に位置する第4ネジ挿入部16,16が設けられている。これらの第4ネジ挿入部16は、図3に示すように、手摺り用接続部材4を廊下側手摺り1aの端面に固定するための第2のネジ17が、手摺り用接続部材4の軸方向に挿入されるものである。上記境界部15は、これらの第4ネジ挿入部16を連結する部分と、この連結部分に直交するように延びる部分とで略十字状に形成され、この境界部15と第4ネジ挿入部16とを除く部分に4つの第3ネジ挿入部18が設けられている。第3ネジ挿入部18は、手摺り1を壁面9に接続するエンドブラケット(図示せず)を手摺り1に固定するための第3のネジが軸方向に挿入されるものである。これらの第3及び第4ネジ挿入部16,18は、上記第1及び第2ネジ挿入部13,14と同様に、境界部15に貫通して形成されていてもよいし、薄膜状に形成されていてもよい。
【0029】
上記手摺り用接続部材4は、手摺り側嵌合部11を手摺りの形状に合わせて形成することにより、連結ジョイント3の取付部6bの断面形状よりも大きな断面形状の手摺りを連結ジョイント3に接続することができる。
【0030】
上記手摺り用接続部材は、例えば、亜鉛合金、アルミニウム合金等の金属や、ポリプロピレン(PP)樹脂、ポリエチレン(PE)樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)樹脂、塩化ビニル樹脂等の各種合成樹脂等で成形することができる。
【0031】
(固定補助部材)
そして、図3に示すように、ジョイント側嵌合部10の内部には、円柱状の固定補助部材19が設けられている。この固定補助部材19は、上記第1のネジ7がねじ込まれた際に、この第1のネジ7が抜け落ちないように保持するものであり、木質繊維板(IB、MDF等)、木削片板(パーティクルボード、ストランドボード、OSB等)、無垢材、集成材、合板、その他の木質材料や合成樹脂等の中から選択することができる。
【0032】
(スペーサー)
そして、上記階段側手摺り1bと連結ジョイント3の取付部6bとの間には、図8及び図9に示すように、スペーサー22が設けられている。このスペーサー22は階段側手摺り1bの端部の外側に嵌められ、連結ジョイント3の取付部6b内に嵌入され、これらの取付部6bと階段手摺り1bとの間の隙間を埋めるように取り付けられる。このスペーサー22を介して、断面円形状の手摺りを連結するように成形された一般的な連結ジョイント3に、異形断面の階段手摺り1bを嵌入して接続する。
【0033】
すなわち、上記スペーサー22は、連結ジョイント3の取付部6b内底部側に配置されるリング状の基部23を有している。この基部23は、円環状の基部本体23aと、この基部本体23aの壁面9側上部に、滑り止め部21bの外周面(隙間形成面)に沿うように折曲して設けられた滑り止め対応部23bとからなっている。この基部本体23aは、外周縁が連結ジョイント3の取付部6b内周面に沿うような円環状に形成されている。
【0034】
上記滑り止め対応部23bの外周縁から板状の隙間埋め部24が、手摺り1の長さ方向(基部23の中心軸方向)に沿うように突設されている。この隙間埋め部24は、手摺り1の取付部6bへの嵌入深さと同じ長さとなるように形成されている。また、この隙間埋め部24は、その内側面が、上記手摺りの滑り止め部21bの外周面(隙間形成面)に沿うように形成され、かつ上記第1のネジ7をねじ込んで貫通させることができる程度の薄肉部に設けられている。そして、この隙間埋め部24の先端部外側面には、外周面が取付部6b内周面に沿うように円弧面とされた隙間埋め部本体25が一体に形成されている。
【0035】
ここで、隙間埋め部本体25は、手摺り1の滑り止め部21bの外周面(隙間形成面)と取付部6b内周面との間の隙間を、取付部6bの開口側端部において埋めるように形成されている。また、側方の隙間埋め部24の外側面には、隙間埋め部本体25から滑り止め対応部23bに向かって平行に延びる2つのリブ26が間隔をあけて設けられている。これらのリブ26は、その外側面が取付部6b内周面に沿うように形成され、滑り止め部21bの外周面(隙間形成面)と取付部6b内周面との間の隙間を埋める隙間埋め部を構成している。
【0036】
そして、図10に示すように、上記スペーサー22において、隙間埋め部24を含むスペーサー22の周方向全体の領域には、直径方向に互いに対向する位置に位置する一対の第5ネジ挿入部27,28と、軸方向に見て、第5ネジ挿入部27,28の中心を結ぶ直線L1上の位置を中央として角度θずつ周方向両側に広がる薄肉部または空間部からなる一対の第6ネジ挿入部29,30とが設けられている。
【0037】
具体的には、隙間埋め部24の2つのリブ26間は、第5ネジ挿入部27として構成される一方、この第5ネジ挿入部27に対して基部本体23aの直径方向に対向する位置の周方向領域の空間が、第5ネジ挿入部27と対となる第5ネジ挿入部28として構成されている。これらの第5ネジ挿入部27,28の中心を結ぶ直線L1が水平となるようにスペーサー22が配置されている。
【0038】
また、軸方向に見て、上記直線L1と直交する直線L2上の位置を中央として角度θずつ周方向両側に広がる一対の第6ネジ挿入部29,30が設けられている。この第6ネジ挿入部29,30の角度θは、上記手摺り用接続部材4と同様に、tanθ≧230/150(0<θ≦π/2)の範囲にある。具体的には、上側の第6ネジ挿入部29は、直線L2から壁面9側は、隙間埋め部24が、直線L2から壁面9と反対側は、周方向領域の空間部がそれぞれ第6ネジ挿入部29として構成されている。一方、下側の第6ネジ挿入部30は周方向領域の空間部で構成されている。
【0039】
上記スペーサー22は、例えば、亜鉛合金、アルミニウム合金等の金属や、ポリプロピレン(PP)樹脂、ポリエチレン(PE)樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)樹脂、塩化ビニル樹脂等の各種合成樹脂等で成形することができる。
【0040】
(組み付け方法)
次に、上記廊下側手摺り1aを連結ジョイント3に取り付ける方法を図3に基づいて説明する。
【0041】
まず、廊下側手摺り1aの端部に手摺り用接続部材4を取り付ける。廊下側手摺り1aを上面部20aが上側に位置するように配置する一方、手摺り用接続部材4の手摺り側嵌合部11を廊下側手摺り1a側に向けて廊下側手摺り1aの配置と合わせた向きにし、手摺り側嵌合部11を廊下側手摺り1a端部に外嵌合する。
【0042】
そして、手摺り用接続部材4のジョイント側嵌合部10側から、各第2のネジ17を第4ネジ挿入部16に手摺り用接続部材4の軸方向に挿入して廊下側手摺り1aにねじ込み、手摺り用接続部材4を廊下側手摺り1aに固定一体化する。
【0043】
そして、固定補助部材19を手摺り用接続部材4のジョイント側嵌合部10内に嵌合し、さらに、この固定補助部材19を取り付けたジョイント側嵌合部10を連結ジョイント3の手摺り取付部6bに嵌入する。
【0044】
最後に、手摺り取付部6bの各ネジ挿入孔8に第1のネジ7を挿入する。そして、可動部6の一対のネジ挿入孔8が図3のように左右に位置している場合、この第1のネジ7はジョイント側嵌合部10の左右の第1ネジ挿入部13に挿入され、固定補助部材19にねじ込まれる。このようにして、連結ジョイント3と手摺り用接続部材4とが固定されて、この手摺り用接続部材4を介して廊下側手摺り1aと連結ジョイント3とが接続される。
【0045】
次に、上記階段側手摺り1bを連結ジョイント3に取り付ける方法を図8に基づいて説明する。
【0046】
まず、階段側手摺り1bの端部にスペーサー22を取り付ける。具体的には、階段側手摺り1bを滑り止め部21bが壁面9上側に向くように配置する一方、スペーサー22の先端側(基部23の反対側)を階段側手摺り1b側に向けて、階段側手摺り1bの配置と合わせた向きにし、階段側手摺り1bの端部にスペーサー22を外嵌合する。このとき、階段側手摺り1bの端面がスペーサー22の基部23に当接する位置までスペーサー22を階段側手摺り1bに嵌め込む。
【0047】
そして、スペーサー22を取り付けた手摺り1の端部を連結ジョイント3の取付部6b内に嵌入する。
【0048】
最後に、取付部6bの各ネジ挿入孔8に第1のネジ7を挿入し、階段側手摺り1bにねじ込む。各第1のネジ7は、可動部6の一対のネジ挿入孔8が図8のように左右に位置している場合、スペーサー22の左右の第5ネジ挿入部27,28の周方向中央部に挿入され、階段側手摺り1bにねじ込まれる。
【0049】
このようにして、スペーサー22を介して連結ジョイント3の取付部6b内に階段側手摺り1bが嵌入される。このとき、スペーサー22の隙間埋め部本体25は、その内側面が階段側手摺り1bの滑り止め部21bの外周面に当接するとともに、その外側面が取付部6b内周面に当接して、階段側手摺り1bと取付部6bとの間の隙間を埋める。そして、隙間埋め部本体25の端面が取付部6bの開口端縁に位置している。
【0050】
上記のようにして階段側手摺り1bの両端をスペーサー22を介して連結ジョイント3の取付部6b内にそれぞれ嵌入し、各連結ジョイント3の反対側の取付部6bに手摺り用接続部材4を介して廊下側手摺り1aをそれぞれ接続し、2つの連結ジョイント3によって3つの手摺り1を連結する。そして、階段側手摺り1b側の連結ジョイント3の可動部6を階段の傾斜に合わせて回動し、連結ジョイント3を廊下と階段の境界部に配置して、手摺り1をブラケット2を介して壁面9に取り付ける。
【0051】
(使用状態2)
次に、本発明の実施形態の手摺りの接続構造において、図11に示すように、上りの階段の壁面9が廊下側の壁面9に対して直角に連続して設けられている場合について説明する。
【0052】
具体的には、階段側手摺り1bは、階段の傾斜角度θ’と同じ角度の傾斜で壁面9に取り付けられている。すなわち、連結ジョイント3の階段側の可動部6の中心軸Ax1が水平線Hに対して角度θ’傾いている。
【0053】
そして、連結ジョイント3の可動部6は互いの中心軸Ax1が直角に交わるような向きにあり、階段側手摺り1bのネジ挿入孔8は上下に位置している。一方、廊下側手摺り1aのネジ挿入孔8は、その中心を通る直線L3が鉛直線Vに対して、階段の傾斜と同じ角度θ’傾く位置に位置している。
【0054】
この場合、階段側の可動部6の各ネジ挿入孔8に挿入される各第1のネジ7は、ジョイント側嵌合部10の各第2ネジ挿入部14の中央部に挿入されている。一方、廊下側の可動部6の各ネジ挿入孔8に挿入される各第1のネジ7は、各第2ネジ挿入部14の中心部と通る直線L2に対して角度θ’傾いた位置に挿入されている。ここで、各第2ネジ挿入部14は直線L2に対して角度θずつ両側に広がるように設けられており、この角度θは建築基準法施工令第23条における「住宅の階段の蹴上げは230mm以下、踏面は150mm以上とすることができる。」との規定に基づいた階段の最大傾斜以上となっているため、階段の傾斜θ’に拘わらず、第1のネジ7を第2ネジ挿入部14に挿入することができる。
【0055】
(実施形態の効果)
したがって、本実施形態の手摺りの接続構造においては、廊下側手摺り1aの断面形状に合わせて手摺り用接続部材4の手摺り側嵌合部11を形成することにより、この手摺り側嵌合部11に廊下側手摺り1aの端部が嵌合される一方、円筒状のジョイント側嵌合部10が一般的な連結ジョイント3の手摺り取付部6bに嵌入される。このように、手摺り用接続部材4を介して廊下側手摺り1aと連結ジョイント3とを接続することができるので、廊下側手摺り1aの断面形状の如何に拘わらず、一般的な円形断面の手摺り用の連結ジョイント3を用いることができる。したがって、廊下側手摺り1の形状に合わせて多種類のジョイントを用意しなくてもよいので、コストアップを防ぎかつ製造効率を向上させることができる。
【0056】
また、階段側手摺り1bの断面形状に合わせて隙間埋め部本体25が形成されたスペーサー22を介して、階段側手摺り1bの端部を連結ジョイント3の取付部6b内に嵌入する。このことで、一般的な円形断面の手摺り用の連結ジョイント3を用いても、少なくとも外側(取付部6bの開口側)は階段側手摺り1bと取付部6bとの間の隙間が埋められるので、見映えが向上するとともに、がたつきも抑制することができる。そして、スペーサー22を階段側手摺り1bの断面形状に合わせて形成することで、階段側手摺り1bの形状に合わせて多種類のジョイントを用意しなくても、一般的な円形断面の手摺り用の連結ジョイント3を用いることができる
そして、上記手摺り用接続部材4及びスペーサー22を用いることで、連結ジョイント3に互いに異なる断面形状の2つの手摺り1a,1bを接続して連結することができ、廊下及び階段にそれぞれ適した形状の手摺り1a,1bを設置しつつ、歩行時の安全性及び美観を確保することができる。
【0057】
また、手摺り用接続部材4において、ジョイント側嵌合部10に、その中心を結ぶ直線L1が水平となる位置に第1ネジ挿入部13を設け、さらに、第1ネジ挿入部13の直線L1と直交する直線L2上の位置を中央として第2ネジ挿入部14を設けている。このため、上下の向きが決まっている廊下側手摺り1aを接続する場合でも、鉛直及び水平のいずれの方向からでも第1のネジ7を挿入することができる。
【0058】
また、手摺り用接続部材4において、各第2ネジ挿入部14を直線L2上の位置を中央として角度θずつ周方向に広がるように設け、この角度θが階段の最大傾斜角度以上に設定されているため、使用状態2のような廊下側手摺り1aと階段側の手摺り1bとを連結ジョイント3により連結する場合に、第1のネジ7が、この階段の傾斜角度θ’だけ傾いた方向から挿入されても第2ネジ挿入部14に挿入することができるので、連結ジョイント3と手摺り用接続部材4とを固定することができる。
【0059】
また、ジョイント側嵌合部10の内部に固定補助部材19を設けているので、ネジを連結ジョイント3と手摺り用接続部材4とに螺合することが困難である場合でも、がたつきを抑制してこれらを堅固に固定することができる。
【0060】
また、スペーサー22に、その中心を結ぶ直線L1が水平となる位置に第5ネジ挿入部27,28を設け、さらに、第5ネジ挿入部27,28の直線L1と直交する直線L2上の位置を中央として第6ネジ挿入部29,30を設けている。このため、上下の向きが決まっている階段側手摺り1bを接続する場合でも、鉛直及び水平のいずれの方向からでも第1のネジ7を挿入することができる。
【0061】
また、スペーサー22において、各第6ネジ挿入部29,30を直線L2上の位置を中央として角度θずつ周方向に広がるように設け、この角度θが階段の最大傾斜角度以上に設定されているため、使用状態2のような廊下側手摺り1aと階段側手摺り1bとを連結ジョイント3により連結し、廊下側手摺り1aをスペーサー22で連結ジョイント3に接続する場合に、第1のネジ7が、この階段の傾斜角度θ’だけ傾いた方向から挿入されても第2ネジ挿入部に挿入することができるので、廊下側手摺り1aと連結ジョイント3とを固定することができる。
【0062】
(その他の実施形態)
なお、上述の実施形態は、本発明の例示であって、本発明はこの例に限定されるものではない。例えば、以下のような構成としてもよい。
【0063】
すなわち、上記実施形態では、廊下側手摺り1aと連結ジョイント3の取付部6bとを手摺り用接続部材4によって接続する一方、階段側手摺り1bと連結ジョイント3の取付部6bとをスペーサー22によって接続したが、手摺り1の形状によって手摺り用接続部材4とスペーサー22とのいずれを用いるかを任意に設定することができる。
【0064】
また、手摺り1の形状は上記実施形態の形状には限定されず、設置場所、用途等に合わせて任意に設定することができ、例えば図12に示すように、しっかりと握りやすい形状や、手を滑らせやすい形状にすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0065】
以上説明したように、本発明は、2つの手摺りを連結する手摺りの接続構造について有用である。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の実施形態に係る手摺りの接続構造の使用状態1を示す斜視図である。
【図2】使用状態1の手摺りの接続構造における階段上側の連結ジョイント近傍を拡大して示す側面図である。
【図3】廊下側手摺りの接続構造の分解斜視図である。
【図4】(a)は、図1のIV(a)−IV(a)線断面図、(b)は図1のIV(b)−IV(b)線断面図である。
【図5】図3の手摺り用接続部材を示し、(a)は手摺り側嵌合部を見た側面図であり、(b)はジョイント側嵌合部を見た側面図である。
【図6】手摺り用接続部材を示し、(a)は上方から見た図、(b)は壁面と反対側の側方から見た図であり、(c)は下方から見た図である。
【図7】図6(b)のVII−VII線断面図である。
【図8】階段側手摺りの接続構造の分解斜視図である。
【図9】スペーサーを示す斜視図である。
【図10】スペーサーを隙間埋め部本体側から見た側面図である。
【図11】使用状態2を示し、(a)は廊下側から見た側面図であり、(b)は階段側から見た側面図である。
【図12】その他の実施形態を示す、手摺りの端部の側面図である。
【符号の説明】
【0067】
1 手摺り
1a 廊下側手摺り
1b 階段側手摺り
3 連結ジョイント(ジョイント)
4 手摺り用接続部材
6b 取付部
10 ジョイント側嵌合部
11 手摺り側嵌合部
21b 滑り止め部(隙間形成面)
22 スペーサー
23 基部
24 隙間埋め部
25 隙間埋め部本体(隙間埋め部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
断面が互いに異なる形状である2つの手摺りが各々の端部でジョイントにそれぞれ接続されて互いに連結されていることを特徴とする手摺りの接続構造。
【請求項2】
請求項1の手摺りの接続構造において、
少なくとも一方の上記手摺りは断面が円形と異なっていて、該手摺りとジョイントとの間に手摺り接続用部材が設けられ、
上記手摺り接続用部材は、軸方向の一端側に、上記ジョイントに嵌入される円筒状のジョイント側嵌合部を、また軸方向の他端側に、上記手摺りに嵌合される筒状の手摺り側嵌合部をそれぞれ備え、
上記ジョイント側嵌合部と手摺り側嵌合部との断面形状が互いに異なることを特徴とする手摺りの接続構造。
【請求項3】
請求項1の手摺りの接続構造において、
上記ジョイントは断面円形状の取付部を有し、
少なくとも一方の上記手摺りは、断面が円形と異なっていて、上記ジョイントの取付部内に端部が嵌入されたときに該取付部の内周面との間に隙間が形成される隙間形成面を外周面に有し、
上記ジョイントの取付部と上記隙間形成面を有する手摺りとの間にスペーサーが設けられ、
上記スペーサーは、
上記手摺りの端面に当接した状態で上記取付部内に嵌入される基部と、
上記基部に、上記手摺りの長さ方向に沿うようにかつ手摺りの取付部への嵌入深さと同じ長さで突設され、上記手摺り外周の隙間形成面と取付部内周面との間の隙間を埋める隙間埋め部とを備えていることを特徴とする手摺りの接続構造。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1つの手摺りの接続構造において、
上記2つの手摺りのうち一方の手摺りは階段に設けられている一方、他方の手摺りは該階段に連続する廊下に設けられていることを特徴とする手摺りの接続構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2008−303607(P2008−303607A)
【公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−151517(P2007−151517)
【出願日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【出願人】(000204985)大建工業株式会社 (419)
【Fターム(参考)】