説明

手摺り用接続具

【課題】 出隅部や入隅部において、壁面に沿って配設される手摺り同士の接続が確実に行えると共に、壁面に対する手摺りの取付も強固に行える手摺り用接続具を提供する。
【解決手段】 平面円弧状に屈曲している接続フレーム部1Aの両端に、手摺り20の端部を挿嵌させてネジにより固定可能に形成した短筒部2Bを有する取付部2、2を一体に設けていると共に、接続フレーム部1Aにカバー体1Bを取付けることによって接続具本体1を形成してあり、この接続具本体1を出隅部等に沿って配設してその両短筒部2B、2Bにそれぞれ手摺りの端部を挿嵌した状態にしてネジにより固定することにより、手摺りを互いに直角に対向させた状態に接続し、壁面に手摺りを取付ける場合には、一方の短筒部2B内に壁面取付用スペーサ部材3を配設して該スペーサ部材3を壁面に固定し、他方の短筒部2Bに手摺りを取付ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廊下などの通路の壁面のコーナ部に沿って手摺り同士を接続したり、壁面に手摺りを取り付けために使用する手摺り用接続具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、この種の手摺り用接続具としては、例えば、特許文献1や特許文献2に記載されているように、短管をエルボ状に直角に屈曲させた形状を有する管状本体の一端に壁面取付座を一体に設けると共に他端に手摺り取付座を一体に設けてなる構造のものがあり、また、特許文献1においては、該手摺り用接続具を使用して、通路の壁面に沿って水平に配設した手摺り同士を出隅部や入隅部において互いに直角に接続する接続具としても適用することができることが記載されている。一方、上記特許文献2においては、出隅部や入隅部において手摺り同士を接続する場合、直角に屈曲している管状本体の両端部に手摺り取付座を設けた接続具を使用することが開示されている。なお、上記管状本体は、凸円円弧状に湾曲している外周面側の半管部と凹円弧状に湾曲している内周面側の半管部とに分割されてあり、外周面側の半管部をカバー体に形成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−76477号公報
【特許文献2】特開2001−32491号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記手摺り用接続具においては、管状本体の他端に設けている手摺り取付座は、円板形状の座部とこの座部に手摺りの端部を挿嵌させる一定長さをの短筒状嵌合凹部を設けた構造を有しているが、管状本体の一端に設けている壁面取付座は、壁面に安定した状態でネジ等により強固な取付けを可能にするために、壁面に全面的に密接させる円板形状に形成されてあり、この円板形状の壁面取付座に複数個のネジ孔を貫設してなる形状を有しているので、この壁面取付座を手摺り取付座に使用して手摺り同士を直角に接続させる場合、手摺りの端面を壁面取付座に当接させても、手摺りが該壁面取付座の座面上で妄動して手摺りの外周面を壁面取付座の外周面に面一状に連続した状態で正確に固定することが困難であると共に、手摺りが壁面取付座に嵌合していないために充分な取付強度を維持し得ないといった問題点がある。
【0005】
このため、上記特許文献2のように、出隅部や入隅部において手摺り同士を接続する場合には、管状本体の両端部に手摺りを嵌合させる嵌合凹部を有する手摺り取付座を設けた手摺り用接続具を別に使用する必要があり、コスト高になる。
【0006】
また、手摺りは通常、丸棒等の断面円形の棒状或いは管状部材からなり、従って、この手摺りを取付ける上記管状本体における手摺り取付座の嵌合凹部も断面円形に形成されているため、この嵌合凹部に手摺りの端部を挿嵌した場合、手摺りが嵌合凹部に対して周方向に摺動可能となり、これを上記ネジによって固定しているが、手摺りを把持した時に該手摺りをその軸心回りに回転させようとする力が生じると、その作用力がネジに剪断力として直接、作用してネジによる取付強度が短期間で低下するといった問題点がある。
【0007】
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、通路における出隅部や入隅部において手摺り同士を接続する場合と、壁面に手摺りを取付ける場合とに共用することができると共に、いずれの場合においても手摺りを強固に取付けておくことができる手摺り用接続具を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本発明の手摺り用接続具は、請求項1に記載したように、直角に屈曲した短管を、その管軸に平行する面から二つの半管部に分割して一方の半管部を接続フレーム部に、他方の半管部をこの接続フレーム部の開口端に開閉自在に装着するカバー体に形成してなる接続具本体と、この接続具本体における上記接続フレーム部の両端に該接続フレーム部の長さ方向に対して直角方向に突設している手摺り取付座とからなる手摺り用接続具において、手摺り取付座は、接続フレームから突出している端面板に数個の手摺取付用ネジ挿通孔を設けてなる取付座部とこの取付座部から接続具本体の長さ延長方向に突設した手摺りの端部嵌合用短筒部とからなり、さらに、いずれか一方の手摺り取付座における上記短筒部内に、この手摺り取付座の上記取付座部に設けているネジ挿通孔にそれぞれ合致する部分に数個のネジ挿通孔を設けている壁面取付用スペーサ部材を着脱自在に嵌合させていることを特徴とする。
【0009】
上記のように構成した手摺り用接続具において、請求項2に係る発明は、接続具本体を異形断面に形成していると共にこの接続具本体の両端に一体に設けている手摺り取付座における短筒部も接続具本体の同一形状の異形断面に形成していることを特徴とする。
【0010】
さらに、請求項3に係る発明は、手摺り取付座における取付座部の外周面をカバー体の内周面と同一形状に形成してこの取付座部の外周面と取付座部から突設している短筒部の垂直な背面とによってカバー体の端部支持周段部を形成していることを特徴とする。
【0011】
また、請求項4に係る発明は、壁面取付用スペーサ部材は、手摺り取付座の取付座部と同大、同形の壁面当接板部の外周縁部に手摺り取付座の短筒部と同一長さを有すると共に外周面を短筒部の内周面と同一形状に形成している突縁部を一体に設けてなり、さらに、壁面当接板部に手摺り取付座の取付座部に設けているネジ挿通孔に向かう筒片を突設してこの筒片内をネジ挿通孔に形成していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の請求項1に係る発明によれば、円弧状に屈曲してなる接続具本体の両端に設けている手摺り取付座は、端面板に数個の手摺取付用ネジ挿通孔を設けてなる取付座部と、この取付座部から接続具本体の長さ延長方向に突設した手摺りの端部嵌合用短筒部とからなるので、通路の壁面の出隅部や入隅部において、互いに、直角に対向する手摺りの端部同士を接続する際には、上記手摺り取付座の短筒部に手摺りの端部を挿嵌したのち、カバー体を取り外している接続具本体側から手摺り取付座の座部に穿設しているネジ挿通孔を通じてネジを手摺りの端部にネジ込むことによって簡単且つ強固に手摺り同士を接続することができるのは勿論、この手摺り用接続具によって壁面に手摺りの端部を固定する場合には、いずれか一方の手摺り取付座における上記短筒部内に、壁面取付用スペーサ部材を挿嵌させれば、この壁面取付用スペーサ部材によって壁面に手摺り用接続具を強固に且つ安定した状態で取付けることができると共に、手摺り用接続部材の他方の手摺り取付座に上記同様に手摺りの端部を強固に取付けることができ、従って、本発明の手摺り用接続具を出隅部や入隅部における手摺り同士の接続と壁面に対する手摺りの固定とに共用し、且つ強固な取付けを可能にすることができる。
【0013】
さらに、壁面に手摺りを固定するに際して、上記壁面取付用スペーサ部材には、上記手摺り取付座の取付座部に設けているネジ挿通孔にそれぞれ合致する部分に数個のネジ挿通孔を設けているので、この壁面取付用スペーサ部材を手摺り取付座の短管部内に挿嵌させれば、そのネジ挿通孔を手摺り取付座の取付座部に設けている上記ネジ挿通孔に簡単且つ自動的に連通させることができ、これらのネジ挿通孔を通じてネジにより壁面に壁面取付用スペーサ部材を介して接続具本体を容易に且つ強固に取付けることができる。
【0014】
その上、接続具本体は直角に屈曲した短管を、その管軸に平行する面から二つの半管部に分割して一方の半管部を接続フレーム部に、他方の半管部をこの接続フレーム部の開口端に開閉自在に装着するカバー体に形成しているので、この接続具本体を出隅部や入隅部に配設してカバー体を取り外した状態においては、接続フレーム部の開口端が出隅部においても入隅部においても常に上方又は下方に向けた状態にすることができ、従って、接続フレーム部内から上記手摺り取付座における取付座部に設けているネジ挿通孔を通じてネジによる手摺りの取付作業が確実且つ能率よく行うことができる。
【0015】
また、請求項2に係る発明によれば、上記接続具本体を異形断面に形成していると共にこの接続具本体の両端に一体に設けている手摺り取付座における短筒部も接続具本体の同一形状の異形断面に形成しているので、この接続具本体における手摺り取付座の短筒部に該短筒部の内周面と同一断面形状に形成している手摺りの端部を挿嵌して取付けた状態において、手摺りを把持した際に該手摺りをその軸心回りに回転させようとする力が付与されても、その回転力を手摺り取付座の短筒部の内周面によって強固に受止して手摺りを短筒部に固定しているネジに伝達するのを抑止することができ、手摺りの取付強度が増大して長期間に亘り、安定した機能を発揮することができる。
【0016】
請求項3に係る発明によれば、上記手摺り取付座における取付座部の外周面をカバー体の内周面と同一形状に形成してこの取付座部の外周面と取付座部から突設している短筒部の垂直な背面とによってカバー体の端部支持周段部を形成しているので、両取付座部の周段部間にカバー体を架設状態に装着した場合、両端に手摺り取付座を一体に設けてなる接続フレームと、このカバー体とによって形成された接続具本体の外周面が手摺り取付座の短筒部の外周面と面一状に連続した体裁のよい外観を呈する手摺り用接続具を提供することができる。
【0017】
請求項4に係る発明によれば、壁面取付用スペーサ部材は、手摺り取付座の取付座部と同大、同形の壁面当接板部の外周縁部に手摺り取付座の短筒部と同一長さを有すると共に外周面を短筒部の内周面と同一形状に形成している突縁部を一体に設けた構造としているので、この壁面取付用スペーサ部材を手摺り取付座の短筒部に挿嵌させれば、その突縁部の突出端面が手摺り取付座の取付座部の座面に当接して壁面取付用スペーサ部材の壁面当接板部を手摺り取付座の短筒部の開口端面と面一状にすることができ、従って、その壁面当接板部を全面的に壁面に当接させた状態でネジにより壁面に安定した状態で強固に取付けることができる。その上、壁面当接板部に手摺り取付座の取付座部に設けているネジ挿通孔に向かう筒片を突設してこの筒片内をネジ挿通孔に形成しているので、接続具本体側からネジを手摺り取付座の取付座部に設けているネジ挿通孔から筒片内のネジ挿通孔を通じて壁面に簡単且つ確実にネジ込むことができると共に、壁面当接板部を壁面に強固に圧着させた状態で固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の手摺り用接続具の分解斜視図。
【図2】横断面図。
【図3】接続具本体の拡大縦断正面図。
【図4】両端に手摺りを接続させた状態の簡略斜視図。
【図5】出隅部に沿って手摺り配設した状態の横断面図。
【図6】入隅部に沿って手摺り配設した状態の横断面図。
【図7】壁面に手摺りを配設した状態の縦断側面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施例を図面について説明すると、図1〜図3において、手摺り接続具は、円弧状に直角に屈曲した硬質合成樹脂製の管体からなる接続具本体1と、この接続具本体1の両端部に設けている手摺り取付座2、2と、いずれか一方の手摺り取付座2に着脱自在に配設している壁面取付用スペーサ部材3とからなり、接続具本体1は、上記直角に屈曲している短管をその軸心に平行する面から二つの半管部に分割して、一方の半管部(図においては上半部)を両端に上記手摺り取付座2、2を一体に設けている接続フレーム部1Aに、他方の半管部をこの接続フレーム部1Aの下方開口端に開閉自在に装着するカバー体1Bに形成している。
【0020】
この接続具本体1を形成している上記管体としては断面円形状であってもよいが、図に示すように、異形断面に形成しておくことが望ましい。異形断面の形状としては、接続フレーム部1Aを平面円弧状に湾曲している平板部1a1 に形成していると共にその両側端縁をカバー体1Bの両側端縁に向かって図においては下方に屈曲させて一定高さの端縁部1a2 、1a2 に形成した形状とする一方、カバー体1Bをその中央部1b1 が断面凸円弧状に湾曲し、さらに、この中央部1b1 の両側端から接続フレーム部1Aに向かっている両側部1b2 、1b2を断面凸円弧状に湾曲してなる形状としているが、その他の異形断面に形成しておいてもよい。
【0021】
さらに、接続具本体1における上記接続フレーム部1Aの両側端縁部1a2 、1a2 の外側部にカバー体1Bの両側端縁部を受止する段部4、4を設けていると共に、この段部4の平坦な面から突出した端縁部の外側面とこの外側面に接合するカバー体1Bの両側端縁部の内側面とに互いに係脱自在に係合する係止突部5、6を形成してあり、これらの係止突部5、6を係合させることによって接続フレーム部1Aにカバー体1Bを取付けるように構成している。
【0022】
この接続具本体1における接続フレーム部1Aの長さ方向の両端部に設けている上記手摺り取付座2、2は、接続フレーム部1Aの長さ方向に対してカバー体1B側に向かって下方に直角に突設している端面板からなる取付座部2Aと、この取付座部2Aの外周端から接続具本体1の長さを延長する方向に向かって突設した手摺りの端部嵌合用短筒部2Bとからなり、取付座部2Aはその外周面を上記カバー体1Bの内周面と同一形状に形成していると共に、この外周面からカバー体1Bの厚みに相当する寸法だけ上記短筒部2Bの外周形状を大きくしてこの短筒部2Bの外周部背面を取付座部2Aの外周面に対して直角に連設した一定幅の垂直面に形成してあり、この垂直面と取付座部2Aの外周面とによってカバー体1Bの端部を受止する周段部7に形成している。
【0023】
さらに、手摺り取付座2における上記両短筒部2Bの外周面は、接続具本体1と同大、同形の異形断面形状に形成されていると共に、その内部を手摺り20の端部を挿嵌させる嵌合凹部8に形成している。また、手摺り取付座2における上記取付座部2Aの両側部に該取付座部2Aを貫通するネジ挿通孔9、9を設けている。
【0024】
一方、接続具本体1の両端部に設けている上記手摺り取付座2、2におけるいずれ一方の手摺り取付座2に着脱自在に嵌合させている上記壁面取付用スペーサ部材3は、手摺り取付座2における取付座部2Aと同大、同形で一定厚みを有する壁面当接板部3Aと、この壁面当接板部3Aの外周縁部から取付座部2Aに向かって直角方向に突設している短筒状の突縁部3Bとからなり、この突縁部3Bの外周面を上記手摺り取付座2の短筒部2Bの内周面と同一形状の異形断面形状に形成していると共にその突出長さを手摺り取付座2における短筒部2Bの嵌合凹部8の深さに略等しくしてこの嵌合凹部8内にこの壁面取付用スペーサ部材3をその突縁部3Bの突出端が手摺り取付座2の取付座部2Aに当接するまで挿嵌した場合、壁面当接板部3Aが短筒部2Bの端面と略面一状になるように形成している。
【0025】
さらに、壁面取付用スペーサ部材3における上記壁面当接板部3Aの両側部に、手摺り取付座2の取付座部2Aに向かって、この取付座2Aの両側部に設けている上記ネジ疎通孔9、9にそれぞれ連通する筒片10、10を突設してあり、この筒片10、10内をネジ挿通孔11、11に形成している。
【0026】
次に、このように構成した手摺り用接続具の使用態様を説明すると、出隅部や入隅部等のコーナー部を介して互いに直角に連続している壁面21に沿って配設した手摺り20、20の対向端部をこのコーナー部において接続するには、壁面取付用スペーサ部材3を使用することなく、図4に示すように、接続具本体1の両端に設けている手摺り取付座2、2に手摺り20、20の端部を取付ける。
【0027】
具体的には、出隅部において手摺り20、20を手摺り接続具によって互いに直角に接続する場合には、図5に示すように、接続具本体1の凹円弧状に湾曲している内側周面を出隅部に沿って配設し、入隅部において手摺り20、20を手摺り接続具によって互いに直角に接続する場合には、図6に示すように、接続具本体1の凸円弧状に湾曲している外側周面を出隅部に沿って配設する。なお、手摺り20は少なくとも接続具本体1の手摺り取付座2における短筒部2Bに挿嵌する端部を短筒部2Bの内周面の形状と同一の異形形状に形成されている。勿論、手摺り20はその全長に亘って同一異形断面形状に形成しておいてもよい。
【0028】
手摺り20の端部を接続具本体1の取付座2に取付けるには、この接続具本体1において両端に取付座2、2を一体に設けている接続フレーム部1Aからこの接続フレーム部1Aをカバーしているカバー体1Bを取り外しておき、この状態にして接続フレーム部1Aの一端に一体に設けている上記取付座2の短筒部2Bに手摺り20の端部を挿嵌してその端面を取付座部2Aに当接、受止させ、カバー体1Bの除去によって下向きに開口している接続フレーム部1Aの開口空間部を通じてこの空間部に露出している上記取付座2の取付座部2Aに設けているネジ挿通孔9にネジ12を挿入して該ネジ12を手摺り20の端面から手摺り20内に螺入させ、ネジ12の頭部をネジ挿通孔周囲の取付座部2Aの座面に係止させるまでねじ込むことによって、手摺り20の端面を取付座部2Aに圧着させた状態にして手摺り20の端部を取付座2に強固に固定する。
【0029】
同様に、接続フレーム部1Aの他端に一体に設けている取付座2の短筒部2Bに、他方の手摺り20の端部を挿嵌し、ネジ12を取付座部2Aに設けているネジ挿通孔9を通じて該手摺り20の端面にねじ込むことによって手摺り20の端部を取付座2に固定する。
【0030】
接続具本体1におけるカバー体1Bは、接続具本体1の軸心線に平行する面から接続具本体1における接続フレーム部1Aに対して分割されているので、接続具本体1を出隅部、入隅部のいずれのコーナー部に沿って配設しても、カバー体1Bを取り外した時の接続フレーム部1Aの開口端が必ず下向きとなり、接続フレーム部1Aの開口した空間部を通じての上記ネジにより手摺り取付け作業が能率よく行うことができる。このように、接続具本体1の両端手摺り取付座2、2に手摺り20、20の端部を取付けたのち、接続フレーム部1Aにカバー体1Bを装着する。
【0031】
次に、本発明の手摺り用接続具によって壁面21に手摺り20を取付けるには、接続具本体1における接続フレーム部1Aの両端部に一体に設けている上記手摺り取付座2、2において、いずれか一方の手摺り取付座2内に、図7に示すように、壁面取付用スペーサ部材3を挿嵌したのち、この壁面取付用スペーサ部材3における外部に露呈している壁面当接板部3Aを壁面21に当接させた状態にしてカバー体1Bを取り外している接続具本体1における接続フレーム部1Aの開口空間部を通じてこの空間部に露出している上記取付座2の取付座部2Aに設けているネジ挿通孔9から壁面取付用スペーサ部材3に設けている筒片10内のネジ挿通孔11にネジ12を挿入して該ネジ12を壁面21に螺入させ、ネジ12の頭部をネジ挿通孔周囲の取付座部2Aの座面に係止させるまでねじ込むことによって、手摺り取付座2を壁面取付用スペーサ部材3と共に壁面21に押し付け、壁面取付用スペーサ部材3を介して接続具本体1を壁面に強固に固定する。
【0032】
次いで、接続具本体1における壁面取付用スペーサ部材3を設けていない他方の手摺り取付座2の短筒部2B内に手摺り20の端部を挿嵌し、接続フレーム部1Aの開口空間部を通じてこの空間部に露出している上記取付座2の取付座部2Aに設けているネジ挿通孔9にネジ12を挿入し、上記同様に該ネジ12を手摺り20の端面にねじ込むことによって手摺り20の端部を取付座2に固定する。しかるのち、接続フレーム部1Aにカバー体1Bを装着する。なお、接続具本体1の他方の取付座2に手摺り20を取付けたのち、この接続具本体1の一方の取付座2を該取付座2の短筒部2B内に挿嵌した壁面取付用スペーサ部材3を介して壁面21に固定してもよい。
【符号の説明】
【0033】
1 接続具本体
1A 接続フレーム部
1B カバー体
2 手摺り取付座
2A 取付座部
2B 短筒部
3 壁面取付用スペーサ部材
3A 壁面当接板部
3B 突縁部
4 段部
8 嵌合凹部
9、11 ネジ挿通孔
20 手摺り

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直角に屈曲した短管を、その管軸に平行する面から二つの半管部に分割して一方の半管部を接続フレーム部に、他方の半管部をこの接続フレーム部の開口端に開閉自在に装着するカバー体に形成してなる接続具本体と、この接続具本体における上記接続フレーム部の両端に該接続フレーム部の長さ方向に対して直角方向に突設している手摺り取付座とからなる手摺り用接続具において、手摺り取付座は、接続フレームから突出している端面板に数個の手摺取付用ネジ挿通孔を設けてなる取付座部とこの取付座部から接続具本体の長さ延長方向に突設した手摺りの端部嵌合用短筒部とからなり、さらに、いずれか一方の手摺り取付座における上記短筒部内に、この手摺り取付座の上記取付座部に設けているネジ挿通孔にそれぞれ合致する部分に数個のネジ挿通孔を設けている壁面取付用スペーサ部材を着脱自在に嵌合させていることを特徴とする手摺り用接続具。
【請求項2】
接続具本体を異形断面に形成していると共にこの接続具本体の両端に一体に設けている手摺り取付座における短筒部も接続具本体の同一形状の異形断面に形成していることを特徴とする請求項1に記載の手摺り用接続具。
【請求項3】
手摺り取付座における取付座部の外周面をカバー体の内周面と同一形状に形成してこの取付座部の外周面と取付座部から突設している短筒部の垂直な背面とによってカバー体の端部支持周段部を形成していることを特徴とする請求項1に記載の手摺り用接続具。
【請求項4】
壁面取付用スペーサ部材は、手摺り取付座の取付座部と同大、同形の壁面当接板部の外周縁部に手摺り取付座の短筒部と同一長さを有すると共に外周面を短筒部の内周面と同一形状に形成している突縁部を一体に設けてなり、さらに、壁面当接板部に手摺り取付座の取付座部に設けているネジ挿通孔に向かう筒片を突設してこの筒片内をネジ挿通孔に形成していることを特徴とする請求項1、請求項2又は請求項3に記載の手摺り用接続具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−74673(P2011−74673A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−227939(P2009−227939)
【出願日】平成21年9月30日(2009.9.30)
【出願人】(000204985)大建工業株式会社 (419)
【Fターム(参考)】