説明

手摺り連結金具

【課題】施工性と支持強度並びに装飾効果に優れた手摺り連結金具を提供する。
【解決手段】第1手摺り(G1)への固定座板(A)と第2手摺り(G2)への固定環(D)、固定座板(A)へセンターボルト(B)を介して予じめ組付けられた回動操作環(C)並びに建物の壁面(W)へ固定される支持ブラケット(E)から一体的に張り出すカバー環(23)とを備え、上記センターボルト(B)を固定環(D)側のネジ孔(16)と螺合締結して、回動操作環(C)の回動操作により締め上げた時、その回動操作環(C)と上記カバー環(23)とが面一状態に部分嵌合するように定めた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は連続手摺りとしての施工上有用な手摺り連結金具に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明の出願人はこの種の手摺り連結金具について、既に特許第3293101号を取得しており、これが本発明に最も近似する公知技術であると言える。
【特許文献1】特許第3293101号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、上記公知発明の構成では手摺り用支持ブラケット(E)のリングプレート(25)が、その台座(23)の屈曲アーム(24)に比して著しく薄肉・扁平であるため、これが固定ビス(28)を介して、屈曲アーム(24)へ組み立てられる場合には勿論のこと、たとえ図12のような連続一体品に作成されたとしても、手摺り(G1)(G2)を握り持った荷重が、リングプレート(25)の脚片(26)に集中作用すると、容易にガタツキや変形などを生じ、支持強度と安定性が低下することになる。
【0004】
又、固定環(D)並びに回動操作環(C)の外周面と、上記屈曲アーム(24)の先端面との相互間に確保された一定の空隙(S)へ、手摺り回動防止用の受け座(F)を抜き差し自在に差し込み、その受け座(F)を1本の皿ビス(33)によって、手摺り(G1)へ取り付けるようになっているため、これらの全体的な密着状態を維持し難く、やはりガタツキや変形などを生じやすい。
【0005】
更に、支持ブラケット(E)のリングプレート(25)は著しく薄肉・扁平であり、これを固定環(D)側の受け止めフランジ(15)と、回動操作環(C)側の押えフランジ(16)とによって挟み付けているに過ぎないため、その挟み付け部分に見苦しい遊隙を発生しやすく、外観化粧効果と安全性が低下する問題もある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明はこのような諸問題の更なる改良を目的としており、その目的を達成するために、請求項1では第1手摺りの連結端面へ取り付け一体化される円形の固定座板と、
【0007】
その固定座板の中心部へ抜け止め状態に貫通された回動自在のセンターボルトと、
【0008】
そのセンターボルトを介して上記固定座板への被覆状態に予じめ組み付けられた回動操作環と、
【0009】
上記第1手摺りの連結端面と向かい合う第2手摺りの連結端面へ取り付け一体化される固定環と、
【0010】
その固定環の中心部から上記回動操作環に向かって一体的に張り出す円筒形のボス並びにそのボスに穿設された上記センターボルト受け入れ用のネジ孔と、
【0011】
建物の壁面へ取り付け固定される手摺り用支持ブラケットから一体的に張り出すことにより、上記固定環を被覆できるカバー環並びにそのカバー環の仕切り壁に開口形成された上記ボス逃し入れ孔とを備え、
【0012】
上記固定座板側のセンターボルトを回動操作環の回動操作により、上記固定環側のネジ孔と螺合して締め上げた時、
【0013】
上記支持ブラケットのカバー環が回動操作環の外周面へ面一状態に部分嵌合すると共に、そのカバー環の仕切り壁が上記回動操作環と固定環との相互間に挟み付け固定されるように設定したことを特徴とする。
【0014】
又、請求項2では回動操作環を固定座板に面接触する円形の基板と、その周縁部から固定座板並びに第1手摺りの外周面を被覆する方向へ比較的長く張り出す径大な化粧フランジと、同じく基板の周縁部から逆な第2手摺りの存在方向へ比較的短かく張り出す径小なカバー環受けフランジとを備えた段付き状態の断面ほぼ横向きH字形に造形する一方、
【0015】
手摺り用支持ブラケットを建物の壁面へ取り付け固定される台座と、その台座から張り出すほぼL字形の屈曲アームと、その屈曲アームの張り出し先端部に連続するカバー環とから成る一体品として、
【0016】
そのカバー環における仕切り壁の周縁部から回動操作環の存在方向へ比較的短かく張り出す化粧フランジを、その回動操作環のカバー環受けフランジへ被覆状態に嵌合させると共に、
【0017】
同じく仕切り壁の周縁部から逆な第2手摺りの存在方向へ比較的長く張り出す化粧フランジを、固定環並びに第2手摺りの外周面へ被覆させたことを特徴とする。
【0018】
更に、請求項3では手摺り用支持ブラケットを建物の壁面へ取り付け固定される台座と、その台座から張り出すほぼL字形の屈曲アームと、その屈曲アームの張り出し先端部に連続するカバー環とから成る一体品として、
【0019】
第1手摺りと回動操作環との下面にフイットし得る別個な手摺り回動防止用受け座を上記屈曲アームの張り出し先端部へ、その第1、2手摺りの長手方向から固定ビスにより取り付けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
請求項1の上記構成によれば、冒頭に述べた公知発明と同じく、第1、2手摺りの連結作業を回動操作環の回動締め上げ操作というワンタッチ操作式での能率良く行なえるにも拘らず、その連結状態では第1手摺り並びに固定座板を被覆した回動操作環と、第2手摺り並びに固定環を被覆した支持ブラケットのカバー環とが、その外周面同士の面一に部分嵌合する結果、冒頭に述べた公知発明のような挟み付け遊間が見苦しく発生せず、優美な外観化粧効果を得られるのである。
【0021】
又、手摺り用支持ブラケットから一体的に張り出すカバー環は回動操作環とほぼ同等の一定な外径と帯幅を備えており、そのカバー環の仕切り壁が回動操作環のカバー環受けフランジと、固定環の取付座板によって相反方向から挟み付け固定されるようになっているため、冒頭に述べた公知発明のような3部材からの組立品に比し、ガタツキや変形などを生じ難く、耐久強度と安定性に富む手摺り連結金具として提供できるのである。
【0022】
そして、上記の諸効果は請求項2の構成を採用することにより、ますます昂めることができる。更に、請求項3の構成を採用するならば、その手摺り回動防止用受け座を冒頭の公知発明に示すような空隙へ差し込む方式と異なって、支持ブラケットにおける屈曲アームの張り出し先端部へ取り付け固定することにより、やはりガタツキや変形などのおそれなく、安定・強固に保てる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、図面に基いて本発明の具体的構成を詳述すると、図1は連続手摺りとしての施工に用いる連結金具(J)の分解状態を、図2〜4はその手摺り連結金具(J)の組立使用状態を各々示しており、(G1)(G2)は継ぎ足し連結される向かい合う一対の第1、2手摺りであって、互いにほぼ同じ直径の木質丸棒材から成るが、その直棒形態のみならず曲棒形態を呈することもある。
【0024】
(A)は第1手摺り(G1)の連結端面へ複数(図例では合計2本)の皿ビス(1)によって取り付け一体化される円形の金属製固定座板であり、その中心部には図9〜11のような段付き状態をなす円形のセンターボルト用頭部受け入れ孔(2)が開口されている。
【0025】
つまり、その頭部受け入れ孔(2)は径大な同芯円形の係止切欠(2a)も具備しており、これによって後述するセンターボルト(B)の径大な頭部を受け止め、そのセンターボルト(B)が上記固定座板(A)から第2手摺り(G2)の存在方向へ引き抜けないようになっている。(3)はその固定座板(A)における上記センターボルト用頭部受け入れ孔(2)の周辺部に開口分布された複数の皿ビス受け入れ孔であり、円錐形を呈している。
【0026】
(C)は上記固定座板(A)へ1本のセンターボルト(B)を介して組み付けられた金属製の回動操作環であり、図13、14に示す如く、固定座板(A)に面接触する円形の基板(4)と、その周縁部から固定座板(A)並びに第1手摺り(G1)の外周面を被覆する方向へ比較的に長く張り出す径大な化粧フランジ(5)と、同じく基板(4)の周縁部から逆な第2手摺り(G2)の存在方向へ比較的に短かく張り出す径小なカバー環受けフランジ(6)とを備えた段付き状態の断面ほぼ横向きH字形に鋳造されている。(W1)はその固定座板(A)の全体的な帯幅を示しており、図例では約16.5mmである。
【0027】
又、(7)は上記基板(4)の中心部に開口形成されたセンターボルト受け入れ孔であり、特に楕円形をなすことによって、その回動操作環(C)とセンターボルト(B)とが相対的に空転しないようになっている。
【0028】
(8)は同じく基板(4)における上記センターボルト受け入れ孔(7)の周辺部に開口分布された複数の皿ビス逃し入れ孔であり、上記固定座板(A)側の皿ビス受け入れ孔(3)と合致連通しやすい円形を呈している。
【0029】
先に一言したセンターボルト(B)は図12のように、回動操作環(C)側のセンターボルト受け入れ孔(7)と対応合致する楕円形の首部(9)と、その先端のネジ軸部(10)を備えているほか、上記固定座板(A)側のセンターボルト用頭部受け入れ孔(2)と対応合致する段付き状態の円形な頭部(11)も備えており、そのセンターボルト(B)が固定座板(A)から回動操作環(C)の基板(4)へ差し込み貫通されることによって、その回動操作環(C)と上記固定座板(A)とを予じめの組立状態に保っている。
【0030】
(12)はそのセンターボルト抜け止め用のゴム製Oリングであって、上記センターボルト(B)のネジ軸部(10)へ嵌め付けられているが、これに代る合成樹脂製のスナップリングなどを採用してもさしつかえない。
【0031】
何れにしても、上記組立状態のもとではセンターボルト(B)の首部(9)と、回動操作環(C)側のセンターボルト受け入れ孔(7)とが嵌合しているため、そのセンターボルト(B)と回動操作環(C)とは相対的に空転しない。
【0032】
又、同じくセンターボルト(B)の径大な頭部(11)と、上記固定座板(A)側のセンターボルト用頭部受け入れ孔(2)とは嵌合している関係上、そのセンターボルト(B)と回動操作環(C)とが固定座板(A)に対しては、自由自在に且つ一緒に回動作用し得る。
【0033】
しかも、センターボルト(B)は後述する固定環との螺合締結状態に締め上げ終るまでの間、上記固定座板(A)と回動操作環(C)に対して、その先端部から或る程度振れ動ける融通性も有する。
【0034】
その場合、図1〜4ではセンターボルト(B)の首部(9)と、回動操作環(C)の基板(4)に開口するセンターボルト受け入れ孔(7)とを、互いに対応合致する楕円形に造形しているが、その両者の相対的に空転しない組立状態を保てるならば、上記基板(4)のセンターボルト受け入れ孔(7)と、センターボルト(B)の首部(9)とを対応合致する角形に造形しても勿論良い。
【0035】
他方、(D)は第2手摺り(G2)の連結端面へやはり複数(図例では合計2本)の皿ビス(13)を介して取り付け一体化される金属製の固定環であり、図15〜18から明白なように、上記回動操作環(C)の基板(4)に対応する円形の取付座板(14)と、その中心部から回動操作環(C)に向かって一体的に張り出す円筒形のボス(15)とを備え、その円筒形のボス(15)に後述のリングパッキングを受け入れる。
【0036】
(16)は上記取付座板(14)におけるボス(15)の中心部を貫通するセンターボルト受け入れ用ネジ孔であり、上記センターボルト(B)のネジ軸部(10)と螺合締結されることになる。その螺合締結できる限りでは、ネジ孔(16)を取付座板(14)から開口露呈しない盲形態(非貫通形態)として、そのボス(15)の中心部に穿設してもさしつかえない。
【0037】
又、(17)は同じく取付座板(14)におけるネジ孔(16)の周辺部に開口分布された複数の円錐形をなす皿ビス受け入れ孔であり、その皿ビス受け入れ孔(17)の遮断を防ぐため、上記ボス(15)の周縁部には複数の皿ビス逃し入れ切欠(18)が付与されてもいる。(19)はボス(15)における上記ネジ孔(16)から周縁部への放射状に張り出された補強リブ群である。
【0038】
更に、(E)は手摺り用の金属製支持ブラケットであって、図19〜22から明白なように、建物の壁面(W)へ複数(図例では合計3本)の皿ビス(20)により取り付け固定される台座(21)と、これから張り出すほぼL字形の屈曲アーム(22)と、その屈曲アーム(22)の張り出し先端部(上端部)に連続するカバー環(23)とを備えている。
【0039】
茲に、支持ブラケット(E)のカバー環(23)は上記回動操作環(C)のカバー環受けフランジ(6)と固定環(D)の取付座板(14)によって挟み付けられる仕切り壁(24)を有しており、その仕切り壁(24)の中心部には上記固定環(D)のボス(15)を逃し入れる円形のボス逃し入れ孔(25)が開口形成されている。
【0040】
しかも、カバー環(23)は上記回動操作環(C)の化粧フランジ(5)と同等の外径(図例の場合約37mm)を有し、その仕切り壁(24)から回動操作環(C)の存在方向へ張り出す比較的短かい化粧フランジ(23a)が、その回動操作環(C)におけるカバー環受けフランジ(6)の外周面を被覆する嵌合状態にある一方、同じく仕切り壁(24)から逆な固定環(D)の存在方向へ張り出す比較的長い化粧フランジ(23b)が、その固定環(D)の取付座板(14)並びに第2手摺り(G2)の外周面を被覆するようになっている。(W2)はそのカバー環(23)の全体的な帯幅を示しており、図例では約16mmである。
【0041】
尚、上記支持ブラケット(E)の屈曲アーム(22)は剛性な断面円形や楕円形に造形することが好ましい。(26)はその屈曲アーム(22)の中途高さ位置に穿設されたネジ孔であって、後述する手摺り回動防止用受け座(F)の固定ビス(27)と螺合締結されることになる。
【0042】
(28)は弾力性を有するリングパッキング(リテーナー)であって、上記固定環(D)のボス(15)へ差し込み套嵌されることにより、その固定環(D)の取付座板(14)とカバー環(23)の仕切り壁(24)との相互間隙へ介在することになる。
【0043】
この点、図示の実施形態では上記リングパッキング(28)を図26、27のようなナイロンなどの合成樹脂から成る平板として、しかもその板面から点在分布する複数の円錐凸子(29)を背高く膨出させることにより、これが固定環(D)の取付座板(14)とカバー環(23)の仕切り壁(24)との相互間に挟み付けられて圧縮変形し、これに伴なう復元弾圧力を発揮し得るように定めている。
【0044】
但し、上記カバー環(23)の仕切り壁(24)を挟み付けた螺合締結状態となる回動操作環(C)と固定環(D)が、そのリングパッキング(28)の復元弾圧力により、振れ動きやガタツキなどを生じない縛り状態に固定一体化されるならば、上記リングパッキング(28)として別なバネ座金やクッションゴムなどを採用しても良い。
【0045】
先に一言した手摺り回動防止用の受け座(F)は、図23〜25に示す如く、上記支持ブラケット(E)のカバー環(23)と直交する方向(手摺りの長手方向)から、その屈曲アーム(22)へ取り付け使用されるものであり、上記第1手摺り(G1)と回動操作環(C)との外周面へ、下方からフイットし得る円弧形をなし、しかも一定長さのL字形に張り出している。
【0046】
(30)は上記受け座(F)の張り出し先端部に開口分布された円錐形の皿ビス受け入れ孔であり、ここから上記第1手摺り(G1)へ2本の皿ビス(31)が螺入されることによって、その第1手摺り(G1)を回動不能な安全状態に固定維持する。(32)は同じく受け座(F)の中途部に切り欠かれた係止段差であり、上記回動操作環(C)における化粧フランジ(5)の張り出し縁部へ係止する。又、(33)は上記屈曲アーム(22)のネジ孔(26)と対応合致するビス受け入れ孔であって、受け座(F)の基端部に開口しており、ここから1本の固定ビス(27)が螺入されることにより、受け座(F)を安定良く固定維持する。
【0047】
本発明の手摺り連結金具(J)は上記のような構成を備えており、その使用によって第1、2手摺り(G1)(G2)を継ぎ足し連結するに当っては、予じめセンターボルト(B)を介して組み付けられている固定座板(A)と回動操作環(C)を、図5〜8のように第1手摺り(G1)の連結端面へ当てがって、その固定座板(A)を皿ビス(1)により第1手摺り(G1)へ取り付け一体化させる。
【0048】
その際、皿ビス(1)は回動操作環(C)の基板(4)に開口している皿ビス逃し入れ孔(8)から、固定座板(A)の皿ビス受け入れ孔(3)を通じて、第1手摺り(G1)へ容易に正しく螺入させることができ、その第1手摺り(G1)と固定座板(A)との外周面が、上記回動操作環(C)の化粧フランジ(5)によって被覆化粧されることとなる。
【0049】
又、第1手摺り(G1)へ取り付け一体化された固定座板(A)に対して、上記回動操作環(C)とセンターボルト(B)とは一緒に回動作用する関係状態にあるため、そのセンターボルト(B)を回動操作環(C)によって外部から自由に回動操作することができる。
【0050】
他方、固定環(D)を図5〜8のように第2手摺り(G2)の連結端面へ当てがい、その取付座板(14)を皿ビス(13)により第2手摺り(G2)へ取り付け固定する。
【0051】
その場合、固定環(D)の取付座板(14)から張り出す円筒形のボス(15)には予じめ、又はその固定環(D)を第2手摺り(G2)へ取り付け固定した後に、リングパッキング(28)を差し込み套嵌させておく。そのリングパッキング(28)を図外の接着剤によって、上記固定環(D)の取付座板(14)へ仮り止め状態に貼り付けても良い。
【0052】
次いで、上記固定環(D)の取付座板(14)へ手摺り用支持ブラケット(E)におけるカバー環(23)の化粧フランジ(23b)を、同じく固定環(D)のボス(15)へ上記カバー環(23)の仕切り壁(24)を何れも差し込み套嵌させた上、その支持ブラケット(E)の台座(21)を皿ビス(20)により建物の壁面(W)へ取り付け固定して、第2手摺り(G2)の設置高さを所定に位置決めする。
【0053】
そして、その第2手摺り(G2)に取り付けられている固定環(D)側のセンターボルト受け入れ用ネジ孔(16)へ、上記第1手摺り(G1)に取り付けられている固定座板(A)側のセンターボルト(B)を図8のように螺合締結させて、その回動操作環(C)の回動操作により締め上げてゆく。
【0054】
その螺進過程では、上記センターボルト(B)が未だ先端部から或る程度振れ動ける融通性を有するため、第1、2手摺り(G1)(G2)が万一正確な180度の突き合わせ状態になく、若干交叉する傾斜姿勢状態にあったとしても、上記回動操作環(C)の回動操作を軽快に行なえ、そのセンターボルト(B)のネジ軸部(10)を固定環(D)側のネジ孔(16)へ、自づと調芯作用する如く円滑・確実に螺合締結させることができる。
【0055】
そして、上記センターボルト(B)の締め上げ終了時には、図2〜4から明白な通り、固定環(D)側の取付座板(14)と回動操作環(C)側のカバー環受けフランジ(6)とが、上記支持ブラケット(E)におけるカバー環(23)の仕切り壁(24)を挟み付けると共に、そのカバー環(23)の両化粧フランジ(23a)(23b)内に回動操作環(C)側のカバー環受けフランジ(6)と、固定環(D)側の取付座板(14)並びにボス(15)とが受け入れられるため、第1、2手摺り(G1)(G2)の安定・強固な連結状態を得られるのである。
【0056】
又、同じく締め上げ終了時には、上記固定環(D)のボス(15)へ先に差し込み套嵌されていたリングパッキング(28)が、その固定環(D)の取付座板(14)とカバー環(23)の仕切り壁(24)との相互間に挟み付けられて圧縮変形し、その復元弾圧力を発揮するため、上記仕切り壁(26)を挟み付けた螺合締結状態にある回動操作環(C)と固定環(D)は、相互の振れ動きやガタツキなどを生ずるおそれがなく、これらを吸収した縛り状態に固定一体化されることとなる。
【0057】
尚、上記センターボルト(B)の締め上げ終了するまでの間には、カバー環(23)に差し込み套嵌されている固定環(D)のボス(15)を回動軸線として、上記支持ブラケット(E)を振り動かすことができるため、その支持ブラケット(E)の台座(21)を皿ビス(20)によって、建物の壁面(W)へ正確な面接触状態に安定良く取り付け固定し得ることは、言うまでもない。
【0058】
そこで、最後に上記支持ブラケット(E)の屈曲アーム(22)と回動操作環(C)並びに第1手摺り(G1)の下面に受け座(F)を当てがい、その受け座(F)を複数の皿ビス(31)により屈曲アーム(22)と第1手摺り(G1)へ取り付け固定して、その第1手摺り(G1)が不慮に回動する危険を防止する。
【0059】
図28〜34は上記作業法による連続手摺りの施工例を示しており、本発明の手摺り連結金具(J)を使用して、第1、2手摺り(G1)(G2)を交互に継ぎ足し連結するならば、そのすべてを回動不能な固定状態に維持でき、握り持ち使用上の安全性に役立つ。
【0060】
尚、図28〜34におけるその他の符号(T)は連続手摺りの端部となる曲棒形態の第1手摺り(G1)又は第2手摺り(G2)を、建物の壁面(W)へ取り付け固定するための手摺り取付金具であって、その建物の壁面(W)へ複数の固定ビス(34)により座着される断面ほぼコ字形の金属製ベース板(35)と、上記第1手摺り(G1)又は第2手摺り(G2)の取付端面へやはり複数の皿ビス(36)を介して取り付け固定される断面ほぼコ字形の金属製エンドカバー板(37)と、そのベース板(35)並びにエンドカバー板(37)へ被覆状態に締結される金属製のナット(38)とから成る。
【0061】
上記ナット(38)は手摺り側のエンドカバー板(37)を押える制止フランジ(38a)付きとして、その内周面に刻設された雌ネジ(38b)が、上記ベース板(35)の外周面に対応形成された雄ネジ(35a)と螺合締結されることにより、上記第1手摺り(G1)又は第2手摺り(G2)を建物の壁面(W)へ取り付け固定する。このような建物の壁面(W)に対する取り付け固定作業は、本発明の上記手摺り連結金具(J)を用いた第1、2手摺り(G1)(G2)の継ぎ足し連結作業に先立って行なわれることとなる。尚、(M)は長尺な手摺りの中間部を受け持つ中間支持ブラケットである。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明に係る手摺り連結金具の分解状態を示す断面図である。
【図2】同じく手摺り連結金具の組立使用状態を示す断面図である。
【図3】図2の3−3線断面図である。
【図4】図2の4−4線拡大断面図である。
【図5】図2と対応する分解状態を示す断面図である。
【図6】図5の回動操作環を抽出して示す正面図である。
【図7】図5の固定環を抽出して示す正面図である。
【図8】図5に続く手摺りの連結作業過程を示す断面図である。
【図9】固定座板を抽出して示す正面図である。
【図10】図9の10−10線拡大断面図である。
【図11】図9の11−11線断面図である。
【図12】センターボルトを抽出して示す斜面図である。
【図13】回動操作環を抽出して示す正面図である。
【図14】図13の14−14線断面図である。
【図15】固定環を抽出して示す正面図である。
【図16】図15の背面図である。
【図17】図15の17−17線断面図である。
【図18】図15の18−18線断面図である。
【図19】手摺り用支持ブラケットを抽出して示す正面図である。
【図20】図19の側面図である。
【図21】図19の21−21線断面図である。
【図22】図19の22−22線断面図である。
【図23】手摺り回動防止用受け座を抽出して示す平面図である。
【図24】図23の24−24線断面図である。
【図25】図24の25−25線断面図である。
【図26】リングパッキングを抽出して示す正面図である。
【図27】図26の27−27線断面図である。
【図28】本発明の使用による連続手摺りの施工例を示す正面図である。
【図29】図28の平面図である。
【図30】図28の拡大右側面図である。
【図31】図28の31−31線拡大断面図である。
【図32】図28の32−32線拡大断面図である。
【図33】図28の33−33線拡大断面図である。
【図34】図33の34−34線断面図である。
【符号の説明】
【0063】
(1)(13)(20)(31)(36)・皿ビス
(2)・頭部受け入れ孔
(2a)・係止切欠
(3)(17)(30)・皿ビス受け入れ孔
(4)・基板
(5)・化粧フランジ
(6)・カバー環受けフランジ
(7)・センターボルト受け入れ孔
(8)・皿ビス逃し入れ孔
(9)・首部
(10)・ネジ軸部
(11)・頭部
(12)・Oリング
(14)・取付座板
(15)・ボス
(16)・ネジ孔
(17)・ボス
(18)・皿ビス逃し入れ切欠
(19)・補強リブ群
(21)・台座
(22)・屈曲アーム
(23)・カバー環
(23a)(23b)・化粧フランジ
(24)・仕切り壁
(25)・ボス逃し入れ孔
(26)・・ネジ孔
(27)(34)・固定ビス
(28)・リングパッキング
(29)・円錐凸子
(32)・係止段差
(35)・ベース板
(35a)・雄ネジ
(37)・エンドカバー板
(38)・ナット
(38a)・制止フランジ
(38b)・雌ネジ
(A)・固定座板
(B)・センターボルト
(C)・回動操作環
(D)・固定環
(E)・支持ブラケット
(F)・受け座
(J)・手摺り連結金具
(M)・中間支持ブラケット
(T)・手摺り取付金具
(W)・壁面
(G1)・第1手摺り
(G2)・第2手摺り

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1手摺り(G1)の連結端面へ取り付け一体化される円形の固定座板(A)と、
その固定座板(A)の中心部へ抜け止め状態に貫通された回動自在のセンターボルト(B)と、
そのセンターボルト(B)を介して上記固定座板(A)への被覆状態に予じめ組み付けられた回動操作環(C)と、
上記第1手摺り(G1)の連結端面と向かい合う第2手摺り(G2)の連結端面へ取り付け一体化される固定環(D)と、
その固定環(D)の中心部から上記回動操作環(C)に向かって一体的に張り出す円筒形のボス(15)並びにそのボス(15)に穿設された上記センターボルト受け入れ用のネジ孔(16)と、
建物の壁面(W)へ取り付け固定される手摺り用支持ブラケット(E)から一体的に張り出すことにより、上記固定環(D)を被覆できるカバー環(23)並びにそのカバー環(23)の仕切り壁(24)に開口形成された上記ボス逃し入れ孔(25)とを備え、
上記固定座板(A)側のセンターボルト(B)を回動操作環(C)の回動操作により、上記固定環(D)側のネジ孔(16)と螺合して締め上げた時、
上記支持ブラケット(E)のカバー環(23)が回動操作環(C)の外周面へ面一状態に部分嵌合すると共に、そのカバー環(23)の仕切り壁(24)が上記回動操作環(C)と固定環(D)との相互間に挟み付け固定されるように設定したことを特徴とする手摺り連結金具。
【請求項2】
回動操作環(C)を固定座板(A)に面接触する円形の基板(4)と、その周縁部から固定座板(A)並びに第1手摺り(G1)の外周面を被覆する方向へ比較的長く張り出す径大な化粧フランジ(5)と、同じく基板(4)の周縁部から逆な第2手摺り(G2)の存在方向へ比較的短かく張り出す径小なカバー環受けフランジ(6)とを備えた段付き状態の断面ほぼ横向きH字形に造形する一方、
手摺り用支持ブラケット(E)を建物の壁面(W)へ取り付け固定される台座(21)と、その台座(21)から張り出すほぼL字形の屈曲アーム(22)と、その屈曲アーム(22)の張り出し先端部に連続するカバー環(23)とから成る一体品として、
そのカバー環(23)における仕切り壁(24)の周縁部から回動操作環(C)の存在方向へ比較的短かく張り出す化粧フランジ(23a)を、その回動操作環(C)のカバー環受けフランジ(6)へ被覆状態に嵌合させると共に、
同じく仕切り壁(24)の周縁部から逆な第2手摺り(G2)の存在方向へ比較的長く張り出す化粧フランジ(23b)を、固定環(D)並びに第2手摺り(G2)の外周面へ被覆させたことを特徴とする請求項1記載の手摺り連結金具。
【請求項3】
手摺り用支持ブラケット(E)を建物の壁面(W)へ取り付け固定される台座(21)と、その台座(21)から張り出すほぼL字形の屈曲アーム(22)と、その屈曲アーム(22)の張り出し先端部に連続するカバー環(23)とから成る一体品として、
第1手摺り(G1)と回動操作環(C)との下面にフイットし得る別個な手摺り回動防止用受け座(F)を上記屈曲アーム(22)の張り出し先端部へ、その第1、2手摺り(G1)(G2)の長手方向から固定ビス(27)により取り付けたことを特徴とする請求項1記載の手摺り連結金具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【公開番号】特開2010−106589(P2010−106589A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−280649(P2008−280649)
【出願日】平成20年10月31日(2008.10.31)
【出願人】(593121634)双葉実業株式会社 (12)
【Fターム(参考)】