説明

手書き記入データの集計システム

【課題】 従来開発された、特に解答用紙に対して、直接的に手書きで採点記号を付し、添削やコメントを付けるシステムは、その精度の信頼性に欠け、手間がかかり、時間的、費用的に大きな負担を強いることとなってしまう点である。
【解決手段】 上記した問題点を解決するために、本発明に係る手書き記入データの集計システムは電磁誘導式入力装置である電子ペンを使用して、その電子ペンが目的対象の表面に接することで派生する電磁波によって、筆記点の座標位置を連続的に捉え、その筆記点の軌跡から、筆記された文字、数字、記号、図形を認識させ、その認識データを集計ソフト及び画像出力を介してデータベースに送り、集計データを出力させることとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は手書き記入データの集計システムに関し、主として各種のペーパーテストの採点、添削結果を手書き入力したものを自動的に集計し、画像としても表示することができる手書き記入データの集計システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、答案用紙もしくは解答用紙の採点、添削、そして集計の作業は、採点者が使用する各種筆記具によって手書きによって行なわれ、その結果内容を多数の人力によってコンピュータに入力し、設問単位、合計点を集計し、場合によっては複数個所で実行された試験結果をまとめ、総合的な順位付けまでなされている。
【0003】
この方式はデータ入力の作業が必要となるため、採点結果をリアルタイムで集計することは不可能となり、採点結果を知るためにはかなりのタイムラグが生じることとなる。また、人力によるデータ入力作業にはその入力のミスを完全に防止することはできず、入力に関して、人の目による再チェックを要するもので、膨大な費用と時間を費やしてきた。
【0004】
係る点に鑑みて、データ入力の手間を省き、データ入力ミスを避けて、採点作業の費用削減の点から、マークシートを用いて、このマークシートに記入された解答をマークシートリーダーで読み取って採点し、集計する方式や、赤外線あるいは超音波、またはその両者を発射する器具を解答用紙の特定の位置に配置し、これと対応する特殊なペンで発射される赤外線あるいは超音波又はその両者を利用して自動的に採点集計を行なう装置も用いられている。また、近年は問題(設問)ごとに切り出して採点する方式も開発されている。
【0005】
しかしながら、上記したマークシート方式によれば、マークされたマークシートの読み取りの精度、即ち正答の変換精度の信頼性に関し、マークの仕方や濃淡等で問題が残り、加えて、記述式解答には対応することが不可能であるという問題がある。
【0006】
また、赤外線や超音波等を用いて検知していく方式は、ストローク精度に関して問題が残り、加えて、大量の解答用紙を重ねた状態での採点作業ができ得ないという問題がある。
【0007】
さらに、切り出し採点方式では、切り出し作業の手間がかかり、入力作業が改善されないという現状の問題があり、設問単位の集計は容易となるも、採点入力によるデータ入力ミスに関して問題がある。
【特許文献1】特開2005−326795号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明が解決しようとする問題点は、従来開発された、特に解答用紙に対して、直接的に手書きで採点記号を付し、添削やコメントを付けるシステムは、その精度の信頼性に欠け、手間がかかり、時間的、費用的に大きな負担を強いることとなってしまう点である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記した問題点を解決するために、本発明に係る手書き記入データの集計システムは電磁誘導式入力装置である電子ペンを使用して、その電子ペンが目的対象の表面に接することで派生する電磁波によって、筆記点の座標位置を連続的に捉え、その筆記点の軌跡から、筆記された文字、数字、記号、図形を認識させ、その認識データを集計ソフト及び画像出力を介してデータベースに送り、集計データを出力させることを特徴とし、前記した画像出力によってデータベースに入力されたデータは画像データとして変換され、インターネット上に公開されることを特徴としている。
【0010】
また、本発明に係る手書き記入データの集計システムは前記した目的対象は各種の試験の答案用紙とし、採点、評価に利用することを特徴とし、遠隔地に所在する受験者からの解答データをファクシミリサーバもしくはPDF及び管理用パソコンを介して添削採点者にデータ送信し、その結果を前記受験者に返送することを特徴としている。
【0011】
さらに、本発明に係る手書き記入データの集計システムは前記した目的対象は帳票類とし、集計結果を表示画面に表示することを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る手書き記入データの集計システムは上記のように構成されている。そのため、本発明によると、多量の解答用紙(答案用紙)を重ねて、手書きで採点記入を順次行なうことができ、その採点結果をコンピュータで取り扱うことができる数値データとして生成し、採点者のコメント、添削等も自動的に画像データとして変換して、リアルタイムな集計ができることとなる。加えて、入力や検証の時間短縮と省力化が図れ、ミスを防止し、採点業務の信頼性が増すこととなる。
【0013】
かかる構成としたことで、従前、用紙を送付しなければならない遠隔地(試験会場以外の自宅等も含む)での試験でもリアルタイムの迅速な対応ができ、インターネットを介しての採点方式にも活用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図面として示し、実施例で説明したように構成したことで実現した。
【実施例1】
【0015】
次に、本発明の第一実施例を図1乃至図3を参照して説明する。図1は本発明による採点システムを示す概略ブロック図、図2は同じく遠隔地に対応させた場合の概略ブロック図、図3は同じく採点処理を示すフローチャート図である。
【0016】
これらの図にあって1は電磁誘導式入力装置であり、この電磁誘導式入力装置1はパソコン2に接続される。ここで電磁誘導式入力装置1から答案回答用紙3のイメージをパソコン2に入力する。
【0017】
次いで、各設問に採点の配分をして、これを入力し、採点記号、例えば、マル、バツ、サンカクに対応した詳細配分を決め、これを入力する。
【0018】
実際の採点は多量の答案解答用紙3が重ねられた状態にあって、順次、答案解答用紙3ごとに実行され、この作業は電子ペンによってなされる。電子ペンによって連続的に捕捉された筆記点の座標位置を、その軌跡により検出し、筆記された文字、記号、図形を判断して、点数の評価を認識して、採点データとしてコンピュータにおいて取り扱われる。
【0019】
こうして得られた採点データは集計ソフト4で集計され、その集計データはリアルタイムでデータベース5に格納される。そして、このデータベース5に格納された集計データは個人的な得点、成績表等の個人情報として即座に利用することができる。
【0020】
また、前記した採点作業にはマル、バツや得点表記のほか、採点者のコメントや添削も行なわれ、これらは画像出力データ6とデータベース5に格納され、インターネット上での公開も可能としている。
【0021】
この採点作業を受験者が自宅等の遠隔地に居る状態で行なう場合、図2として示す構成となる。この場合、受験者は自宅等の遠隔地で答案解答用紙3に解答を記入し、この用紙をファクシミリ7あるいはPDFデータとして採点者宛に送信する。
【0022】
この送信された答案解答用紙3は管理用パソコン8に入力され、各採点者が順次この管理用パソコン8に蓄積された解答に対し、前記したと同様の手順で採点を実行することとなり、この結果を即座に受験者に返信する。
【0023】
この方式によれば、従来、遠隔地での受験(受講)に関しては、ファクシミリのほか、郵便、宅配等の手段が用いられたため、時間がかかるほか、膨大な経費が必要となり、これは受験者の増大によってさらに加算されていた。この点で本発明を実施することによって経費の削減と時間の短縮、そして綺麗な状態での採点、添削結果を受験者に戻すことができることとなる。
【実施例2】
【0024】
次に、本発明の第二実施例を図4を参照して説明する。図4は本発明の第二実施例を示す概略ブロック図である。尚、第一実施例と共通する部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0025】
この図4にあって9は帳票を示しており、この帳票9に対し、前記したシステムを用いて、電子ペンにより手書き記入する。この手書き記入した内容をパソコン2に入力、デジタル変換する。これを集計ソフトで集計し、その結果をコンピュータの画面で表示することができることとなる。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本実施例に係る手書き記入データの集計システムは、上記のように構成されている。この実施例では、主に採点のシステムを中心として帳票の集計を例として述べたが、この他にも手書き処理する作業であって、その集計を要するものに関しては広く本発明を応用実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明による採点システムを示す概略ブロック図である。
【図2】遠隔地に対応させた場合の概略ブロック図である。
【図3】採点処理を示すフローチャート図である。
【図4】本発明の第二実施例を示す概略ブロック図である。
【符号の説明】
【0028】
1 電磁誘導式入力装置
2 パソコン
3 答案解答用紙
4 集計ソフト
5 データベース
6 画像出力データ
7 ファクシミリ
8 管理用パソコン
9 帳票

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁誘導式入力装置である電子ペンを使用して、その電子ペンが目的対象の表面に接することで派生する電磁波によって、筆記点の座標位置を連続的に捉え、その筆記点の軌跡から、筆記された文字、数字、記号、図形を認識させ、その認識データを集計ソフト及び画像出力を介してデータベースに送り、集計データを出力させることを特徴とする手書き記入データの集計システム。
【請求項2】
前記した画像出力によってデータベースに入力されたデータは画像データとして変換され、インターネット上に公開されることを特徴とする請求項1に記載の手書き記入データの集計システム。
【請求項3】
前記した目的対象は各種の試験の答案用紙とし、採点、評価に利用することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の手書き記入データの集計システム。
【請求項4】
遠隔地に所在する受験者からの解答データをファクシミリサーバもしくはPDF及び管理用パソコンを介して添削採点者にデータ送信し、その結果を前記受験者に返送することを特徴とする請求項3に記載の手書き記入データの集計システム。
【請求項5】
前記した目的対象は帳票類とし、集計結果を表示画面に表示することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の手書き記入データの集計システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−97546(P2010−97546A)
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−269716(P2008−269716)
【出願日】平成20年10月20日(2008.10.20)
【出願人】(504222056)チャームアンドマーク株式会社 (2)
【Fターム(参考)】