説明

投射型画像表示装置

【課題】 光源から発せられた光束を照明光学系により導いて空間光変調素子を照明しこの空間光変調素子により変調された画像を投射光学系により拡大して結像させる投射型画像表示装置において、光源の信頼性や寿命等に悪影響を及ぼすことなく、また、表示画像におけるコントラストや色再現性の劣化を招来することなく、表示画像を見やすい輝度に調節することを可能とする。
【解決手段】 光源3と照明光学系4との間に、光束の光路の外周側部分において少なくとも一定の波長帯域、または、一定の偏光成分の光の透過光量を減衰させる交換可能な減衰光学素子22を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空間光変調素子を照明しこの空間光変調素子が表示する画像を投射光学系により拡大して結像させる投射型画像表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、図5に示すように、複数の空間光変調素子101R,101G,101Bを備え、これら空間光変調素子101R,101G,101Bを照明装置により照明し、各空間光変調素子101R,101G,101Bにより変調された画像を投射光学系102により拡大して結像させて画像表示を行う投射型画像表示装置が提案されている。このような投射型画像表示装置における照明装置は、光源103と、この光源103からの光束を導いて空間光変調素子101R,101G,101Bを照明する照明光学系104とを有して構成されている。
【0003】
照明装置における光源103としては、超高圧水銀ランプ等が使用されている。また、照明光学系104としては、光源103からの光束の輝度を均一化して空間光変調素子に導くため、一対のフライアイレンズアレイ105,106からなるフライアイインテグレータなどのインテグレータを有するものが使用されている。
【0004】
すなわち、このような投射型画像表示装置においては、光源103から発せられた照明光は、一対のフライアイレンズアレイ105,106、コンデンサレンズ107及びリレーレンズ108を経て、第1のダイクロイックミラー109に入射される。第1のダイクロイックミラー109においては、照明光の赤色成分が透過し、緑色成分及び青色成分が反射される。
【0005】
第1のダイクロイックミラー109を透過した照明光の赤色成分は、光路長の調整のためのリレーレンズ110、ミラー111及びリレーレンズ112を経て、第1の偏光ビームスプリッタ113に入射される。第1の偏光ビームスプリッタ113に入射した照明光の赤色成分は、この第1の偏光ビームスプリッタ113の反射膜により反射され、赤色用の空間光変調素子101Rを照明する。
【0006】
照明光の赤色成分は、空間光変調素子101Rにおいて、表示画像の赤色成分に応じて偏光変調されて反射される。この反射光は、第1の偏光ビームスプリッタ113に再入射し、反射膜を透過して、色合成プリズム114にこの色合成プリズム114の側面部より入射する。
【0007】
一方、第1のダイクロイックミラー109において反射された照明光の緑色成分及び青色成分は、第2のダイクロイックミラー115に入射される。この第2のダイクロイックミラー115においては、照明光の青色成分が透過し、緑色成分が反射される。第2のダイクロイックミラー115において反射された照明光の緑色成分は、第2の偏光ビームスプリッタ116に入射される。第2の偏光ビームスプリッタ116に入射した照明光の緑色成分は、この第2の偏光ビームスプリッタ116の反射膜により反射され、緑色用の空間光変調素子101Gを照明する。
【0008】
照明光の緑色成分は、空間光変調素子101Gにおいて、表示画像の緑色成分に応じて偏光変調されて反射される。この反射光は、第2の偏光ビームスプリッタ116に再入射し、反射膜を透過して、色合成プリズム114にこの色合成プリズム114の後面部より入射する。
【0009】
第2のダイクロイックミラー115を透過した照明光の青色成分は、第3の偏光ビームスプリッタ117に入射される。第3の偏光ビームスプリッタ117に入射した照明光の青色成分は、この第3の偏光ビームスプリッタ117の反射膜により反射され、青色用の空間光変調素子101Bを照明する。
【0010】
照明光の青色成分は、空間光変調素子101Bにおいて、表示画像の青色成分に応じて偏光変調されて反射される。この反射光は、第3の偏光ビームスプリッタ117に再入射し、反射膜を透過して、色合成プリズム114にこの色合成プリズム114の側面部より入射する。
【0011】
色合成プリズム114に入射された照明光の赤色成分、緑色成分及び青色成分は、この色合成プリズム114において合成され、この色合成プリズム114の前面部より出射され、投射光学系(投射レンズ)102に入射される。投射光学系102は、入射された照明光を図示しないスクリーン上に結像させ、各空間光変調素子101R,101G,101Bが表示する画像を拡大した画像の表示を行う。
【0012】
なお、光源103は、ランプハウス118に固定されており、外筐体119に設けられた蓋120を外すことにより、外筐体119の外部からの交換が可能となっている。光源103の交換は、この光源103が寿命になったとき等に行われる。
【0013】
このような投射型画像表示装置においては、明るい部屋において表示画像を観賞する場合には、空間光変調素子101R,101G,101Bを照明する照明光を高輝度とし、一方、暗い部屋において表示画像を観賞する場合には、空間光変調素子101R,101G,101Bを照明する照明光の輝度を抑えて、表示画像を見やすい輝度に調節する必要がある。
【0014】
空間光変調素子101R,101G,101Bを照明する照明光の輝度を調整する手段としては、従来、光源103の出力を電源を介して調整することが行われている。すなわち、光源103に供給する電流量を調整することにより、光源103の出力を調整して、照明光の輝度を調整する手段である。
【0015】
また、光源103の出力を調整することなく、照明光の輝度を調整する手段としては、空間光変調素子101R,101G,101Bにおける変調率を調整することが行われている。
【0016】
なお、特許文献1には、フライアイインテグレータをなすフライアイレンズアレイ105,106のうちの一方を光軸に直交する方向に移動調整することにより、光源103からの光束による空間光変調素子101R,101G,101Bに対する照明効率を向上させる構成が記載されている。これは、照明光学系による照明範囲と、空間光変調素子101R,101G,101Bの位置とを一致させることによって、照明効率を向上させ、照明光の輝度を高くしようとするものであって、照明光の輝度を調整する手段を提示するものではない。
【0017】
【特許文献1】特開平10−115803号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
ところで、前述のような投射型画像表示装置において、光源103の出力の調整により照明光の輝度を調整する場合には、光源103の信頼性や寿命等に悪影響を及ぼすという問題があり、20%の調整が限度である。
【0019】
すなわち、光源103として使用される超高圧水銀ランプ等のランプにおいては、安定して発光するための温度条件やバルブ内圧条件等が設定されているが、ランプ電源を介してランプ出力を調整すると、これらの条件から逸脱してしまう虞れがある。ランプは、これら適切な温度条件やバルブ内圧条件等から逸脱した状態での使用を続けると、信頼性や寿命等が損なわれる虞れがある。
【0020】
また、投射型画像表示装置において、空間光変調素子101R,101G,101Bにおける変調率を調整することによって表示画像の輝度を調整する場合には、表示画像におけるコントラストの劣化、色再現性の劣化を招来する虞れがある。
【0021】
すなわち、投射型画像表示装置においては、R(赤色)、G(緑色)及びB(青色)の各色光の色分離及び色合成のために、ダイクロイックミラー109,115及びダイクロイックプリズム114等の分光光学素子を用いている。これらダイクロイックミラー109,115やダイクロイックプリズム114等の特性は各光学素子ごとに固定されてしまってるため、表示画像におけるR、G、B各色の色純度や白の色度は、空間光変調素子101R,101G,101Bの変調率によって調整されている。
【0022】
ここで、各色の色純度や白の色度を維持したままで、表示画像の輝度の調整のために空間光変調素子101R,101G,101Bの変調率を変更してしまうと、空間光変調素子101R,101G,101Bのダイナミックレンジを十分に活用することができなくなり、また、表示画像中の暗部での階調確保が困難となる。
【0023】
また、このような空間光変調素子101R,101G,101Bの変調率の変更により、色純度の再現範囲が狭くなり、色純度が低くなる虞れがある。
【0024】
そこで、本発明は、前述の実情に鑑みて提案されるものであって、光源の信頼性や寿命等に悪影響を及ぼすことなく、また、表示画像におけるコントラストや色再現性の劣化を招来することなく、表示画像を見やすい輝度に調節することが可能となされた投射型画像表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0025】
前述の課題を解決するため、本発明に係る投射型画像表示装置は、以下の構成のいずれか一を有するものである。
【0026】
〔構成1〕
光源から発せられた光束を照明光学系により導いて空間光変調素子を照明しこの空間光変調素子により変調された画像を投射光学系により拡大して結像させる投射型画像表示装置において、光源と照明光学系との間に、光束の光路の外周側部分において少なくとも一定の波長帯域、または、一定の偏光成分の光の透過光量を減衰させる減衰光学素子を備えていることを特徴とするものである。
【0027】
光束の光路の外周側部分において少なくとも一定の波長帯域、または、一定の偏光成分の光の透過光量を減衰させる減衰光学素子としては、中央部分に開口部を有するアパーチャや、透明基板の片面、または、両面に形成された干渉膜や、回転可能に配置された偏光板や、これらの組合わせが考えられる。すなわち、この減衰光学素子としては、アパーチャと干渉膜との組合わせや、アパーチャと偏光板との組合わせや、干渉膜と偏光板との組合わせや、あるいは、アパーチャ、干渉膜及び偏光板の組合わせも考えられる。さらに、アパーチャは、開口部の外周側部分を反射板としてもよい。
【0028】
〔構成2〕
構成1を有する投射型画像表示装置において、減衰光学素子は、交換可能となっていることを特徴とするものである。
【0029】
〔構成3〕
構成1、または、構成2を有する投射型画像表示装置において、減衰光学素子は、一定の偏光成分の光の透過光量を減衰させる偏光板を含むものであって、光軸回りの回転操作が可能となっていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0030】
本発明に係る投射型画像表示装置においては、光源と照明光学系との間に、光束の光路の外周側部分において少なくとも一定の波長帯域、または、一定の偏光成分の光の透過光量を減衰させる減衰光学素子を備えていることにより、暗い部屋において表示画像を観賞する場合に、光源の出力を下げることなく、空間光変調素子を照明する照明光の輝度を抑えて、表示画像を見やすい輝度に調節することができる。
【0031】
また、この投射型画像表示装置において、減衰光学素子を交換可能とすることにより、周囲の状況(明るさ)や鑑賞者の好みに応じて、表示画像の輝度や、表示画像におけるカラーバランスの調整を行うことができる。
【0032】
さらに、この投射型画像表示装置において、減衰光学素子が一定の偏光成分の光の透過光量を減衰させる偏光板を含むものである場合には、この減衰光学素子の光軸回りの回転操作を可能とすることにより、周囲の状況(明るさ)に応じて、表示画像の輝度の調整を容易に行うことができる。
【0033】
すなわち、本発明は、光源の信頼性や寿命等に悪影響を及ぼすことなく、また、表示画像におけるコントラストや色再現性の劣化を招来することなく、表示画像を見やすい輝度に調節することが可能となされた投射型画像表示装置を提供することができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、本発明に係る投射型画像表示装置の構成について詳細に説明する。
【0035】
図1は、本発明に係る投射型画像表示装置の構成を示す平面図である。
【0036】
この投射型画像表示装置は、図1に示すように、複数の空間光変調素子1R,1G,1Bを備え、これら空間光変調素子1R,1G,1Bを照明装置により照明し、各空間光変調素子1R,1G,1Bにより変調された画像を投射光学系2により拡大して結像させて画像表示を行う投射型画像表示装置である。この投射型画像表示装置における照明装置は、光源3と、この光源3からの光束を導いて空間光変調素子1R,1G,1Bを照明する照明光学系4とを有して構成されている。
【0037】
照明装置における光源3としては、超高圧水銀ランプ等を使用することができる。また、照明光学系4としては、光源3からの光束の輝度を均一化して空間光変調素子に導くため、一対のフライアイレンズアレイ5,6からなるフライアイインテグレータなどのインテグレータを有するものを使用することができる。この照明光学系4においては、光源3から出射された光束は、放物面リフレクタ3aによって略平行光となされ、第1のフライアイレンズアレイ5に入射される。第1のフライアイレンズアレイ5を透過した光束は、第2のフライアイレンズアレイ6の相対する各セルに集光される。第2のフライアイレンズアレイ6を透過した光束は、PBSアレイ7に入射される。このPBSアレイ7は、PS合成プリズムであり、第2のフライアイレンズアレイ6を透過した無偏光光をP偏光成分とS偏光成分とに分離し、λ/2板(二分の一波長板)によりS偏光成分をP偏光成分に変換(あるいは、P偏光成分をS偏光成分に変換)することにより、照明光の偏光方向を一定の方向に揃える光学素子である。
【0038】
この照明光学系4においては、フライアイレンズアレイ5,6からなるフライアイインテグレータにより、照明領域となる各空間光変調素子1R,1G,1Bを照明する光束の形状は、第1のフライアイレンズアレイ5の各セルに相似形の結像となり、すべてのセルの像が重ね合わせられたものとなる。
【0039】
PBSアレイ7を透過した光束は、コンデンサーレンズ8及びリレーレンズ9を経て、第1のダイクロイックミラー10に入射される。第1のダイクロイックミラー10においては、照明光の赤色成分が透過し、緑色成分及び青色成分が反射される。
【0040】
第1のダイクロイックミラー10を透過した照明光の赤色成分は、光路長の調整のためのリレーレンズ11、ミラー12及びリレーレンズ13を経て、第1の偏光ビームスプリッタ14に入射される。第1の偏光ビームスプリッタ14に入射した照明光の赤色成分は、この第1の偏光ビームスプリッタ14の反射膜により反射され、赤色用の空間光変調素子1Rを照明する。
【0041】
照明光の赤色成分は、空間光変調素子1Rにおいて、表示画像の赤色成分に応じて偏光変調されて反射される。この反射光は、第1の偏光ビームスプリッタ14に再入射し、反射膜を透過して、色合成プリズム15にこの色合成プリズム15の側面部より入射する。
【0042】
一方、第1のダイクロイックミラー10において反射された照明光の緑色成分及び青色成分は、第2のダイクロイックミラー16に入射される。この第2のダイクロイックミラー16においては、照明光の青色成分が透過し、緑色成分が反射される。第2のダイクロイックミラー16において反射された照明光の緑色成分は、第2の偏光ビームスプリッタ17に入射される。第2の偏光ビームスプリッタ17に入射した照明光の緑色成分は、この第2の偏光ビームスプリッタ17の反射膜により反射され、緑色用の空間光変調素子1Gを照明する。
【0043】
照明光の緑色成分は、空間光変調素子1Gにおいて、表示画像の緑色成分に応じて偏光変調されて反射される。この反射光は、第2の偏光ビームスプリッタ17に再入射し、反射膜を透過して、色合成プリズム15にこの色合成プリズム15の後面部より入射する。
【0044】
第2のダイクロイックミラー16を透過した照明光の青色成分は、第3の偏光ビームスプリッタ18に入射される。第3の偏光ビームスプリッタ18に入射した照明光の青色成分は、この第3の偏光ビームスプリッタ18の反射膜により反射され、青色用の空間光変調素子1Bを照明する。
【0045】
照明光の青色成分は、空間光変調素子1Bにおいて、表示画像の青色成分に応じて偏光変調されて反射される。この反射光は、第3の偏光ビームスプリッタ18に再入射し、反射膜を透過して、色合成プリズム15にこの色合成プリズム15の側面部より入射する。
【0046】
色合成プリズム15に入射された照明光の赤色成分、緑色成分及び青色成分は、この色合成プリズム15において合成され、この色合成プリズム15の前面部より出射され、投射光学系(投射レンズ)2に入射される。投射光学系2は、入射された照明光を図示しないスクリーン上に結像させ、各空間光変調素子1R,1G,1Bが表示する画像を拡大した画像の表示を行う。
【0047】
なお、この投射型画像表示装置を構成する各光学部品は、図示しないオプティカルベースによって位置決めされて保持されている。また、色合成プリズム15及び各偏光ビームスプリッタ14,17,18は、それぞれスペーサーガラスを介し接着され、相対位置がずれないようになされている。そして、各空間光変調素子1R,1G,1Bは、投射光学系2のフォーカス位置となるように位置決めされている。
【0048】
そして、光源3は、ランプハウス19に固定されており、外筐体20に設けられた蓋21を外すことにより、外筐体20の外部からの交換が可能となっている。光源3の交換は、この光源3が寿命になったとき等に行われる。
【0049】
図2は、この投射型画像表示装置におけるランプハウスの構成を示す断面図である。
【0050】
ランプハウス19には、図2に示すように、光源3から出射される光束の光路の少なくとも外周側部分において少なくとも一定の波長帯域、または、一定の偏光成分の光の透過光量を減衰させる減衰光学素子22が取付けられている。
【0051】
図3は、減衰光学素子となるアパーチャの種々の構成を示す正面図である。
【0052】
減衰光学素子22としては、光束の外周側部分において全波長帯域について偏光方向に拘わらず光束を遮断するものとして、図3に示すように、中央部分に開口部22aを有するアパーチャ22bを用いることができる。
【0053】
このアパーチャ22bにおける開口部22aの形状としては、図3中の(a)に示す円形の他に、図3中の(b)に示す正八角形(多角形)や、図3中の(c)に示す角を落とした矩形や、図3中の(d)に示す矩形としてもよい。また、図3中の(e)に示すように、開口部22aは、光軸中心に対して非対象な形状としてもよい。
【0054】
このように開口部22aの大きさや形状の異なる種々のアパーチャ22bを用意しておき、投射型画像表示装置の用途に応じて選択して設置することにより、同一の光源3及びランプハウス19を用いて、表示画像の明るさをユーザの希望に適合させた投射型画像表示装置を構成することが可能となる。
【0055】
また、アパーチャ22bを用いることにより、光源3からの照明光が絞られて照明光学系4のFナンバが大きくなり、各偏光ビームスプリッタ14,17,18に対する照明光の入射角が抑えられ、各偏光ビームスプリッタ14,17,18における偏光分離特性が改善されるため、表示画像のコントラストを向上させることができる。
【0056】
なお、アパーチャ22bは、開口部22aの形状の異なるものを複数枚組み合わせて使用してもよい。
【0057】
また、アパーチャ22bは、開口部22aの外周側部分を反射板としてもよい。この場合には、光源3から発せられ開口部22aの外周側部分によって遮断された光束が、再び光源3側に戻されて再利用されるので、光損失を抑えることができ、表示画像のコントラストの改善を図ることができる。
【0058】
図4は、減衰光学素子となる干渉膜の構成を示す断面図である。
【0059】
さらに、減衰光学素子22は、照明光束の全領域について一定の波長帯域の光を偏光方向に拘わらず減衰させるものとして、図4に示すように、透明基板22cの片面、または、両面に、誘電体からなる干渉膜(ダイクロイック膜)22dを形成したものとしてもよい。干渉膜22dは、透明基板22cの表面に、蒸着等の製法で設けることができる。このような干渉膜22dを有する減衰光学素子22を用いることにより、表示画像の色温度や色純度の調整が可能である。
【0060】
透明基板22cの両面に干渉膜22dを形成する場合においては、各面の干渉膜の特性を互いに異なったものとすることにより、減衰光学素子22全体としての特性を細かく調整することができ、表示画像の細かい色調整が可能である。
【0061】
また、図4に示すように、このような干渉膜22dと、前述したアパーチャ22bとを組合わせて使用するようにしてもよい。この場合には、アパーチャ22bによる照明光の絞り込みの効果と、干渉膜22dによる色温度調整の効果との双方を得ることができる。
【0062】
さらに、減衰光学素子22としては、照明光束の全領域において全波長帯域について一定の偏光成分の光の透過光量を減衰させるものとして、偏光板を用いることができる。この場合には、この減衰光学素子22は、光軸回りに回転可能に配置することが望ましい。なお、この偏光板としては、反射型偏光板であるワイヤーグリッド偏光板を用いることが望ましい。
【0063】
また、減衰光学素子22としては、アパーチャ22bと偏光板とを組合わせたものや、干渉膜22dと偏光板とを組合わせたものを使用することもでき、さらに、アパーチャ22b、干渉膜22d及び偏光板を組合わせたものとしてもよい。
【0064】
そして、この減衰光学素子22は、交換可能とすることができる。減衰光学素子22を交換可能とすることにより、投射型画像表示装置のユーザが、減衰光学素子22を交換することで、使用目的や好みに応じて表示画像の明るさや色温度を調整することできる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明に係る投射型画像表示装置の構成を示す平面図である。
【図2】前記投射型画像表示装置におけるランプハウスの構成を示す断面図である。
【図3】前記投射型画像表示装置における減衰光学素子となるアパーチャの種々の構成を示す正面図である。
【図4】前記投射型画像表示装置における減衰光学素子となる干渉膜の構成を示す断面図である。
【図5】従来の投射型画像表示装置の構成を示す平面図である。
【符号の説明】
【0066】
1R 赤色用空間光変調素子
1G 緑色用空間光変調素子
1B 青色用空間光変調素子
2 投射光学系
3 光源
4 照明光学系
5 第1のフライアイレンズアレイ
6 第2のフライアイレンズアレイ
22 減衰光学素子
22a 開口部
22b アパーチャ
22c 透明基板
22d 干渉膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源から発せられた光束を照明光学系により導いて空間光変調素子を照明し、この空間光変調素子により変調された画像を投射光学系により拡大して結像させる投射型画像表示装置において、
前記光源と前記照明光学系との間に、前記光束の光路の外周側部分において少なくとも一定の波長帯域、または、一定の偏光成分の光の透過光量を減衰させる減衰光学素子を備えている
ことを特徴とする投射型画像表示装置。
【請求項2】
前記減衰光学素子は、交換可能となっている
ことを特徴とする請求項1記載の投射型画像表示装置。
【請求項3】
前記減衰光学素子は、一定の偏光成分の光の透過光量を減衰させる偏光板を含むものであって、光軸回りの回転操作が可能となっている
ことを特徴とする請求項1、または、請求項2記載の投射型画像表示装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2007−72401(P2007−72401A)
【公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−262405(P2005−262405)
【出願日】平成17年9月9日(2005.9.9)
【出願人】(000004329)日本ビクター株式会社 (3,896)
【Fターム(参考)】