説明

投影装置

【課題】精度よく電池残量を検出することができる投影装置を提供する。
【解決手段】CPU10は画像表示ドライバ17から出力されるLED光源21a,21b,21cの点灯又は消灯を制御する点灯タイミング信号17a,17b,17cに基づいて電池電圧検出回路11に電池18の電圧レベルの検出を行わせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は投影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、少なくとも3種の異なる波長毎に分割された映像信号を時分割で表示する表示素子と、異なる波長毎に設けられた光源を、表示素子の時分割の表示期間に合わせかつその表示期間にある表示素子毎に発光させることにより各表示素子を照明する照明手段と、波長毎に分割された1つの映像信号に対応して複数の光源を発光させる表示制御回路とを備えるカラー映像表示装置が知られている(下記公報参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−280607号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記フィールドシーケンシャル方式のカラー映像表示装置では、光源が点滅を繰り返すため、電池電圧が安定しない。例えば、電池の内部抵抗や接点等の接触抵抗を0.4Ω、光源の電流を500mAとした場合、電圧変動は0.2Vとなり、精度よく電池電圧を検出できない。また、電池電圧のチェックは一般的に一定時間毎に行われるが、光源の点滅に応じて電池電圧が変動するため、一定時間毎に電池電圧をチェックした場合、同様に精度よく電池電圧を検出できない。
【0005】
この発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、その課題は精度よく電池残量を検出することができる投影装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため請求項1記載の発明は、複数の異なる波長毎に分割された映像信号を時分割で表示する表示素子と、前記異なる波長毎に採用された光源を、前記表示素子の時分割の表示期間に合わせかつ前記表示期間にある表示素子毎に駆動させることにより前記各表示素子を照明する照明手段と、前記光源を駆動させる電池の残量を検出する電池残量検出手段と、前記光源を点灯又は消灯させるタイミング信号を出力するタイミング信号出力手段と、前記タイミング信号出力手段の出力に基づいて前記電池残量検出手段に前記電池の残量の検出を行なわせる制御手段とを備えていることを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1記載の投影装置において、前記電池残容量検出手段は、前記電池の電池電圧を検出することを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2記載の投影装置において、前記制御手段は、前記異なる波長のうちの特定の波長の光を発する光源が点灯しているときだけ前記電池残量検出手段に前記電池の残量の検出を行なわせることを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項1又は2記載の投影装置において、前記制御手段は、前記異なる波長毎に採用された光源がそれぞれ点灯しているときに前記電池残量検出手段に前記電池の残量の検出を行なわせることを特徴とする。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか1項記載の投影装置において、前記制御手段は、前記光源の点灯開始タイミングより遅れたタイミングで前記電池残量検出手段による前記電池の残量の検出を行なわせることを特徴とする。
【0011】
請求項6に記載の発明は、請求項1又は2記載の投影装置において、前記制御手段は、前記異なる波長毎に採用された全ての光源が消灯しているとき前記電池残量検出手段に前記電池の残量の検出を行なわせることを特徴とする。
【0012】
請求項7に記載の発明は、請求項6記載の投影装置において、前記制御手段は、前記光源の消灯開始タイミングより遅れたタイミングで前記電池残量検出手段による前記電池の残量の検出を行なわせることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
この発明によれば、精度よく電池残量を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1はこの発明の第1実施形態に係る投影装置のブロック図である。
【図2】図2(a)は電池電圧を検出するタイミングの一例を示す図、図2(b)はLED光源の点灯タイミングの一例を説明する図である。
【図3】図3(a)は電池電圧を検出するタイミングの他の例を示す図、図3(b)はLED光源の点灯タイミングの他の例を説明する図である。
【図4】図4はこの発明の第2実施形態に係る投影装置のブロック図である。
【図5】図5(a)は電池電圧を検出するタイミングの一例を示す図、図5(b)はLED光源の点灯タイミングの一例を説明する図である。
【図6】図6は投影装置の投影光学系を説明する概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0016】
図1はこの発明の第1実施形態に係る投影装置1のブロック図である。
【0017】
投影装置1は主制御部であるCPU(制御手段)10を備えている。CPU10には、電池18の電圧を検出する電池電圧検出回路(電池残容量検出手段)11と、LED光源(投影用高輝度LED)21a,21b,21cを有し、後述する液晶表示素子(表示素子)30(図6参照)を照明する照明部(照明手段)21と、CPU10からのLED点灯制御信号10c、電流値指示信号10g及び点灯タイミング信号17a,17b,17cに基づいてLED光源21a,21b,21cへの電力供給を制御して、LED光源21a,21b,21cの点灯及び消灯を行う投影用光源駆動回路15と、LED光源21a,21b,21cの点灯又は消灯を制御する点灯タイミング信号17a,17b,17cを出力する画像表示ドライバ(タイミング信号出力手段)17とがそれぞれ接続されている。
【0018】
電池電圧検出回路11は、図示しないが例えばトランジスタ、抵抗で構成される。CPU10は後述する割り込み信号17d(画像表示ドライバ17の出力)に基づいて電池電圧検出回路11に電池18の電圧の検出を行わせる。
【0019】
CPU10は所定のホワイトバランスが得られるようLED光源21a,21b,21cの輝度を変化させる電流値指示信号10gを出力する。LED光源21a,21b,21cから発せられる光の波長はそれぞれ異なる。LED光源21aは赤色LEDであり、LED光源21bは緑色LEDであり、LED光源21cは青色LEDである。
【0020】
また、CPU10はLED光源21a,21b,21cの点灯を制御する電流値指示信号10cを出力する。
【0021】
表示用画像データ処理回路(図示せず)でA/D変換された画像信号16bが画像表示ドライバ17に入力される。画像表示ドライバ17は画像信号16bに基づいて投影用光源駆動回路15を駆動する。
【0022】
画像表示ドライバ17がタイミング信号17a,17b,17cを出力するとき、緑色LED21bを駆動するタイミング信号17bが分岐される。タイミング信号17bはインバータ12によって信号レベルを反転され、割り込み信号17dとしてCPU10の割込み端子INTに入力される。LED21a〜21cは、タイミング信号17a〜17cがLのとき消灯し、Hのとき点灯する。割り込み信号17dはタイミング信号17bがLからHに立ち上がるタイミングでHからLに立ち下がる。すなわち、タイミング信号17bがLからHに立ち上がるタイミングでLレベルの信号が割込み端子INTに入力される。CPU10はLレベルの信号が割込み端子INTに入力されたとき、電池電圧検出回路11に電池18の電圧を検出させる。このとき、CPU10は、電池18の電圧が安定するまで点灯開始タイミングより遅れたタイミングで電池電圧検出回路11に電池18の電圧を検出させる。
【0023】
次に、図1の投影装置の投影機能を図6に基づいて説明する。
【0024】
図6は投影装置の投影光学系を説明する概念図であり、図1と共通する部分には同一符号を付してその説明を省略する。なお、図6ではLED光源21a〜21cを簡略化して記載した。また、割り込み信号17dの図示を省略した。
【0025】
液晶表示素子30、LED光源21a〜21c、PBS(偏光ビームスプリッタ)ブロック31及び投影レンズ32で投影光学系が構成される。液晶表示素子30は反射型液晶パネルであり、赤(R)、緑(G)、青(B)のLEDを、それぞれの色に対応した液晶表示素子30の表示パターンと同期するよう点灯することによってカラー画像を生成する。
【0026】
LED光源21a〜21cに投影用光源駆動回路15から駆動電流が供給されると、LED光源21a〜21cの光がPBSブロック31に入射する。PBSブロック31に入射した光束は、PBSブロック31で反射され液晶表示素子30に入射する。液晶層を透過した光束は液晶パネルの反射面で反射された後、PBSブロック31へ再度入射する。PBSブロック31に再度入射した光束はPBSブロック31を透過し、投影光として投影レンズ32へ向かって進む。投影レンズ32に入射した光束は投影レンズ32を透過して前方へ放射される。
【0027】
次に、電池18の電圧を検出するタイミングの一例を説明する。
【0028】
図2(a)は電池電圧を検出するタイミングの一例を示す図、図2(b)はLED光源21a,21b,21cの点灯タイミングの一例を説明する図である。
【0029】
この例では、緑色(G)のLED21bを点灯させる駆動信号の立ち上がり(点灯開始タイミング)よりやや遅れたタイミングで電池18の電圧が検出される。
【0030】
図3(a)は電池電圧を検出するタイミングの他の例を示す図、図3(b)はLED光源21a,21b,21cの点灯タイミングの他の例を説明する図である。
【0031】
この例は、緑色(G)のLED21bの点灯時に電池18の電圧が複数回(4回)に亘って検出されるようにした点で図2の例と相違する。なお、複数回検出された電池電圧はCPU10で平均されて出力される。
【0032】
この実施形態によれば、常に緑色(G)のLED21bが点灯している状態で電池電圧が検出されるので、精度よく電池18の電圧を検出することができる。なお、フィールドシーケンシャル方式では、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の各色の光量(単位時間当たりの明るさと点灯時間の積)がおよそ3:6:1:といわれ、緑色(G)の点灯している状態が電池18にとって最も負荷が大きいので、緑色(G)の点灯している状態で電池18の電圧を検出するのが電池寿命を判断するのに都合がよい。また、上記実施形態では、LED21a〜21cを点灯させるHレベルのタイミング信号17a,17b,17cののうちの反転信号(Lレベルの割り込み信号17d)を割込み端子INTに入力させたが、LED21a〜21cを消灯させるLレベルのタイミング信号17a,17b,17cのうちの反転信号(Hレベルの割り込み信号17d)を割込み端子INTに入力させ、投影用光源駆動回路15を制御するようにしてもよい。
【0033】
また、図2及び図3の説明では緑色(G)のLED21bの点灯タイミング毎に電池18の電圧の検出を行っているが、CPU10の負荷を減らす目的で、上記LED21bの点灯を2回に1回とか、4回に1回というように電圧の検出回数を間引いてもよい。この場合、画像表示ドライバ17とCPU10の間の回路を工夫することや、CPU10での割り込み処理で、4回のうち無効となる3回は電圧検出を行わないようにするといったプログラム上の工夫で可能となる。
【0034】
図4はこの発明の第2実施形態に係る投影装置1のブロック図であり、第1実施形態と共通する部分には同一符号を付してその説明を省略する。
【0035】
この実施形態は、インバータ12に代えてNOR回路22を用いた点で第1実施形態と相違する。
【0036】
NOR回路22の3つの入力端子にはタイミング信号17a,17b,17cがそれぞれ入力される。タイミング信号17a,17b,17cが入力端子に入力されたとき、タイミング信号17a,17b,17cの少なくとも1つがHレベルであれば、NOR回路22の出力端子からLレベルの信号17dが出力される。そのため、LED21a〜21cをそれぞれ点灯させる駆動信号の立ち上がりに同期して電池18の電圧を検出させることができる(図5参照)。
【0037】
図5(a)は電池電圧を検出するタイミングの一例を示す図、図5(b)はLED光源21a,21b,21cの点灯タイミングの一例を説明する図である。
【0038】
この例では、赤色(R)のLED21a、緑色(G)のLED21b及び青色(B)のLED21cのそれぞれを点灯させる駆動信号の立ち上がりに同期して電池18の電圧が検出される。
【0039】
この実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果を奏する。なお、この実施形態では3色全てのLED光源21a,21b,21cの点灯タイミングに基づいて電池18の電圧を検出するようにしたが、任意の色(例えば赤色と緑色)LEDに基づいて電池電圧を検出するようにしてもよい。
【0040】
また、図2の上記実施形態ではLED21a〜21cのうちの特定の色のLEDが点灯しているときに電池電圧を検出するようにしたが、全てのLED21a〜21cが消灯しているとき(例えば図2(b)の期間t1)に電池18の電圧を検出するようにしてもよい。このとき、電池18の電圧の検出を消灯開始タイミングよりやや遅れたタイミングで行うのが望ましい。
【符号の説明】
【0041】
1:投影装置、10:CPU(制御手段)、11:電池電圧検出回路(電池残量検出手段)、17:画像表示ドライバ(タイミング信号出力手段)、21:照明部(照明手段)、21a,21b,21c:LED光源(光源)、30:液晶表示素子(表示素子)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の異なる波長毎に分割された映像信号を時分割で表示する表示素子と、
前記異なる波長毎に採用された光源を、前記表示素子の時分割の表示期間に合わせかつ前記表示期間にある表示素子毎に駆動させることにより前記各表示素子を照明する照明手段と、
前記光源を駆動させる電池の残量を検出する電池残量検出手段と、
前記光源を点灯又は消灯させるタイミング信号を出力するタイミング信号出力手段と、
前記タイミング信号出力手段の出力に基づいて前記電池残量検出手段に前記電池の残量の検出を行なわせる制御手段と
を備えていることを特徴とする投影装置。
【請求項2】
前記電池残容量検出手段は、前記電池の電池電圧を検出することを特徴とする請求項1記載の投影装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記異なる波長のうちの特定の波長の光を発する光源が点灯しているときだけ前記電池残量検出手段に前記電池の残量の検出を行なわせることを特徴とする請求項1又は2記載の投影装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記異なる波長毎に採用された光源がそれぞれ点灯しているときに前記電池残量検出手段に前記電池の残量の検出を行なわせることを特徴とする請求項1又は2記載の投影装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記光源の点灯開始タイミングより遅れたタイミングで前記電池残量検出手段による前記電池の残量の検出を行なわせることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の投影装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記異なる波長毎に採用された全ての光源が消灯しているとき前記電池残量検出手段に前記電池の残量の検出を行なわせることを特徴とする請求項1又は2記載の投影装置。
【請求項7】
前記制御手段は、前記光源の消灯開始タイミングより遅れたタイミングで前記電池残量検出手段による前記電池の残量の検出を行なわせることを特徴とする請求項6記載の投影装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−102941(P2011−102941A)
【公開日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−258488(P2009−258488)
【出願日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】