説明

抗うつ剤または抗うつ用飲食品

本発明の課題は、抗うつ剤または抗うつ用飲食品を提供することにある。
該課題を解決するために、本発明は、式(I)


(式中、R、R、R及びRは、同一または異なって水素原子、置換もしくは非置換の低級アルキル等を表し、Rは水素原子、ヒドロキシ等を表し、Rは水素原子等を表し、Rは水素原子または置換もしくは非置換の低級アルキルを表し、R、R、R10及びR11は、同一または異なって、水素原子または置換もしくは非置換の低級アルキルを表す)で表される化合物またはその塩を有効成分として含有する抗うつ剤または抗うつ用飲食品を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、抗うつ剤または抗うつ用飲食品に関する。
【背景技術】
抗うつ薬としては、従来からモノアミン酸化酵素(MAO)阻害薬、アミトリプチリン、イミプラミン等の三環系抗うつ薬、ミアンセリン、マプロチリン等の四環系抗うつ薬等が用いられてきたが、MAO阻害薬では肝障害、過度の興奮作用、中毒性精神異常、不眠、起立性低血圧、めまい、耳鳴り、便秘等の副作用を、三環系抗うつ薬では眠気、全身倦怠感、抗コリン作用(口褐、便秘、排尿障害、頻脈、緑内障増悪等)、起立性低血圧、肝障害、発疹、せん妄、めまい、痙攣等の副作用を、四環系抗うつ薬では痙攣、薬疹、眠気、顆粒球減少症等の副作用を示すことが問題になっている。一方、セロトニン(5−HT)が抗うつ作用に関与していることが報告され(新脳のレセプター、小川紀雄編著、世界保健通信社、1991年等)、5−HT再取り込み阻害または5−HT受容体と、抗うつ作用との関連についての研究がなされており、フルオキセチン、サートラリン、パロキセチン等の選択的セロトニン再取り込み阻害剤(selective serotonin reuptake inhibitor、以下SSRIと記述)が抗うつ薬として開発されている。しかし、これらSSRIでも低血圧、動悸、めまい、ふらつき、眠気、発疹、肝障害、倦怠感、嘔吐、悪心等といった副作用が知られている。
一方、2−アミノ−3−[2−(α−マンノピラノシル)インドール−3−イル]プロピオン酸誘導体を用いた生体機能の検査方法が報告されている(国際公開第99/09411号)。また、2−アミノ−3−[2−(α−マンノピラノシル)インドール−3−イル]プロピオン酸誘導体を含有する向精神薬が報告されている(特許第3394280号)。
【発明の開示】
本発明の課題は、抗うつ剤または抗うつ用飲食品を提供することにある。
本発明は、以下の(1)〜(19)に関する。
(1)式(I)

(式中、R、R、R及びRは、同一または異なって水素原子、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換のアルケニルまたは置換もしくは非置換のアリールを表し、Rは水素原子、ヒドロキシまたは置換もしくは非置換の低級アルコキシを表し、Rは水素原子、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換のスルファモイル、置換もしくは非置換のアリールスルホニル、置換もしくは非置換の低級アルコキシカルボニルまたは置換もしくは非置換のアラルキルオキシカルボニルを表し、Rは水素原子または置換もしくは非置換の低級アルキルを表し、R、R、R10及びR11は、同一または異なって水素原子または置換もしくは非置換の低級アルキルを表す)で表される化合物またはその塩を有効成分として含有する抗うつ剤。
(2)式(I)

(式中、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10及びR11はそれぞれ前記と同義である)で表される化合物またはその塩を有効成分として含有する抗うつ用飲食品。
(3)Rが水素原子またはヒドロキシであり、R、R、R10及びR11が、それぞれ水素原子である上記(1)記載の抗うつ剤。
(4)R、R、R、R10及びR11がそれぞれ水素原子である上記(1)記載の抗うつ剤。
(5)Rが水素原子またはヒドロキシであり、R、R、R10及びR11が、それぞれ水素原子である上記(2)記載の抗うつ用飲食品。
(6)R、R、R、R10及びR11がそれぞれ水素原子である上記(2)記載の抗うつ用飲食品。
(7)式(Ia)または(Ib)

(式中、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10及びR11は、それぞれ前記と同義である)で表される化合物またはその塩を有効成分として含有する抗うつ剤。
(8)式(Ia)または(Ib)

(式中、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10及びR11は、それぞれ前記と同義である)で表される化合物またはその塩を有効成分として含有する抗うつ用飲食品。
(9)式(II)

で表される2−アミノ−3−[2−(α−D−マンノピラノシル)インドール−3−イル]プロピオン酸またはその塩を有効成分として含有する抗うつ剤。
(10)式(III)

で表される2−アミノ−3−[2−(α−L−マンノピラノシル)インドール−3−イル]プロピオン酸またはその塩を有効成分として含有する抗うつ剤。
(11)式(II)

で表される2−アミノ−3−[2−(α−D−マンノピラノシル)インドール−3−イル]プロピオン酸またはその塩を有効成分として含有する抗うつ用飲食品。
(12)式(III)

で表される2−アミノ−3−[2−(α−L−マンノピラノシル)インドール−3−イル]プロピオン酸またはその塩を有効成分として含有する抗うつ用飲食品。
(13)式(IV)

(式中、Rは前記と同義であり、R12、R13、R14及びR15は、同一または異なって置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換のアルケニルまたは置換もしくは非置換のアリールを表す)で表される化合物またはその塩を有効成分として含有する抗うつ剤。
(14)式(V)

(式中、R、R12、R13、R14及びR15は、それぞれ前記と同義である)で表される化合物またはその塩を有効成分として含有する抗うつ剤。
(15)式(IV)

(式中、R、R12、R13、R14及びR15は、それぞれ前記と同義である)で表される化合物またはその塩を有効成分として含有する抗うつ用飲食品。
(16)式(V)

(式中、R、R12、R13、R14及びR15は、それぞれ前記と同義である)で表される化合物またはその塩を有効成分として含有する抗うつ用飲食品。
(17)上記(1)記載の式(I)、(7)記載の式(Ia)もしくは(Ib)、(9)記載の式(II)、(10)記載の式(III)、(13)記載の式(IV)または(14)記載の式(V)で表される化合物あるいはその塩を有効量投与することを特徴とする、うつの予防または治療方法。
(18)上記(1)、(3)、(4)、(7)、(9)、(10)、(13)および(14)のいずれか1項に記載の抗うつ剤の製造のための、式(I)、(Ia)、(Ib)、(II)、(III)、(IV)もしくは(V)で表される化合物またはその塩の使用。
(19)上記(2)、(5)、(6)、(8)、(11)、(12)、(15)および(16)のいずれか1項に記載の抗うつ用飲食品の製造のための、式(I)、(Ia)、(Ib)、(II)、(III)、(IV)もしくは(V)で表される化合物またはその塩の使用。
以下、式(I)、(Ia)、(Ib)、(II)、(III)、(IV)および(V)で表される化合物をそれぞれ化合物(I)、(Ia)、(Ib)、(II)、(III)、(IV)および(V)という。
式(I)、(Ia)、(Ib)、(IV)および(V)の各基の定義において、以下の例示が挙げられる。
低級アルキル、及び低級アルコキシ、低級アルコキシカルボニルの低級アルキル部分としては、例えば直鎖または分岐状の炭素数1〜6のアルキルが挙げられ、より具体的にはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル等が挙げられる。
アルケニルとしては、例えば直鎖または分岐状の炭素数2〜6のアルケニルが挙げられ、より具体的にはビニル、アリル、1−プロペニル、メタクリル、クロチル、1−ブテニル、3−ブテニル、2−ペンテニル、4−ペンテニル、2−ヘキセニル、5−ヘキセニル等が挙げられる。
アリール、及びアリールスルホニル、アラルキルオキシカルボニルのアリール部分としては、例えば炭素数6〜14のアリールが挙げられ、より具体的にはフェニル、ナフチル、アントリル等が挙げられる。
アラルキルオキシカルボニルにおけるアルキレン部分は、前記低級アルキルから水素原子を一つ除いたものと同義である。
置換低級アルキル、置換低級アルコキシ、置換低級アルコキシカルボニル、及び置換アルケニルにおける置換基としては、同一または異なって、例えば置換数1〜3のハロゲン、アミノ、ニトロ、ヒドロキシ、カルボキシ、カルバモイル、スルホ、トリ低級アルキルシリル、低級アルコキシ、アリール、置換もしくは非置換のモノまたはジ低級アルキルアミノ、置換もしくは非置換のモノまたはビス
(アラルキルオキシカルボニル)アミノ、置換もしくは非置換の低級アルコキシカルボニル等が挙げられる。ここでハロゲンはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素の各原子を表し、低級アルコキシ、トリ低級アルキルシリル、モノまたはジ低級アルキルアミノ及び低級アルコキシカルボニルの低級アルキル部分は、前記低級アルキルと同義であり、トリ低級アルキルシリルの3つの低級アルキル部分及びジ低級アルキルアミノの2つの低級アルキル部分はそれぞれ、同一であっても異なっていてもよく、アリール及びモノまたはビス(アラルキルオキシカルボニル)アミノにおけるアリール部分は前記アリールと同義であり、モノまたはビス(アラルキルオキシカルボニル)アミノにおけるアルキレン部分は前記低級アルキルから水素原子を一つ除いたものと同義であり、ビス(アラルキルオキシカルボニル)アミノにおける2つのアラルキルオキシカルボニル部分はそれぞれ、同一であっても異なっていてもよい。また置換モノまたはジ低級アルキルアミノ、置換モノまたはビス(アラルキルオキシカルボニル)アミノ及び置換低級アルコキシカルボニルにおける置換基としては、同一または異なって、例えば置換数1〜3のハロゲン、アミノ、ニトロ、ヒドロキシ、カルボキシ、カルバモイル、スルホ等が挙げられる。ここでハロゲンは前記と同義である。
置換アリール、置換アリールスルホニル及び置換アラルキルオキシカルボニルにおける置換基としては、同一または異なって、例えば置換数1〜3のハロゲン、アミノ、ニトロ、ヒドロキシ、カルボキシ、カルバモイル、スルホ、低級アルキル、低級アルコキシ等が挙げられる。ここでハロゲンは前記と同義であり、低級アルキル及び低級アルコキシの低級アルキル部分は前記低級アルキルと同義である。
置換スルファモイルにおける置換基としては、同一または異なって、例えば置換数1または2の、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換のアリール等が挙げられる。ここで低級アルキル及びアリールは、それぞれ前記と同義であり、置換低級アルキルにおける置換基及び置換アリールにおける置換基は、それぞれ前記と同義である。
化合物(I)、(Ia)、(Ib)、(II)、(III)、(IV)または(V)の塩としては、薬理学的に許容される塩が好ましく、例えば酢酸塩、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、クエン酸塩、メタンスルホン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩等の酸付加塩、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、マグネシウム塩、カルシウム塩等のアルカリ土類金属塩、アルミニウム塩、亜鉛塩等の金属塩、アンモニウム塩、テトラメチルアンモニウム塩等のアンモニウム塩、トリエチルアミン塩、モルホリン塩、ピペラジン塩等の有機アミン付加塩等が挙げられる。
化合物(I)、(Ia)、(Ib)、(II)、(III)、(IV)および(V)、ならびにこれらの塩は、例えばWO99/09411に記載の方法等により得ることができる。
次に、化合物(I)、(Ia)、(Ib)、(II)、(III)、(IV)または(V)の薬理作用について試験例により具体的に説明する。なお試験化合物としては、2−アミノ−3−[2−(α−L−マンノピラノシル)インドール−3−イル]プロピオン酸を用いた。本化合物を本明細書中では化合物1と記載する。
試験例1.レセルピン誘発うつ行動に対する作用
1)体温に対する作用
4週令の雄性ddYマウスにレセルピン[第一製薬(株)製、アポプロン注1mg、2mg/kg]を皮下投与した。このマウスに化合物1(100mg/kg)を1日1回、2日間腹腔内投与した群と(レセルピン+化合物1投与群)、溶媒のみ投与した群とを設けた(レセルピン+溶媒投与群)。なおレセルピンおよび化合物1は生理食塩水に溶解して投与した。最終投与の0.5、1、3および6時間後に体温を測定した。
別途、レセルピンを投与しない溶媒投与群を設けた。結果を表1に示す。レセルピン投与により有意な体温低下が認められたが、化合物1はレセルピン投与マウスの体温を有意に上昇させた。

2)眼瞼下垂に対する作用
4週令の雄性ddYマウスにレセルピン[第一製薬(株)製、アポプロン注1mg、2mg/kg]を皮下投与した。このマウスに化合物1(100mg/kg)を1日1回、2日間腹腔内投与した群と(レセルピン+化合物1投与群)、溶媒のみ投与した群とを設けた(レセルピン+溶媒投与群)。なおレセルピンおよび化合物1は生理食塩水に溶解して投与した。最終投与の0.5、1、3および6時間後に眼瞼下垂をスコア化した(スコア1:完全に開眼、スコア2:1/4閉眼、スコア3:1/2閉眼、スコア4:3/4閉眼、スコア5:完全に閉眼)。別途、レセルピンを投与しない溶媒投与群を設けた。結果を表2に示す。レセルピン投与により、ほとんどのマウスは完全に閉眼した状態を呈したが、化合物1は、それを改善する作用を示した。

3)自発運動量に対する作用
4週令の雄性ddYマウスにレセルピン[第一製薬(株)製、アポプロン注1mg、2mg/kg]を皮下投与した。このマウスに化合物1(100mg/kg)を1日1回、4日間腹腔内投与した群と(レセルピン+化合物1投与群)、溶媒のみ投与した群とを設けた(レセルピン+溶媒投与群)。なおレセルピンおよび化合物1は生理食塩水に溶解して投与した。最終投与後、マウスを直ちに赤外ビーム式センサー(NS−AS01、株式会社ニューロサイエンス)を装着した飼育ケージに移した。最終投与後、30分毎の自発運動量を360分後まで赤外ビーム式センサー型自発運動量測定装置(ABシステム、株式会社ニューロサイエンス)で測定し、その30分毎の自発運動量をインターフェース(B060CT8H06、株式会社ニューロサイエンス)を介して専用コンピューターで集計した。また別途、レセルピン非投与群を設けた。結果を表3に示す。レセルピン処置により、自発運動量は著しく低下したが、化合物1は自発運動量増加作用を示した。

試験例2.ビタミンB欠乏食誘発うつ行動に対する作用
3週令の雄性ddYマウスにビタミンB1、B12、葉酸無添加飼料を8日間与えた後、化合物1(100mg/kg)を1日1回、11日間腹腔内投与した群と(ビタミン欠乏食+化合物1投与群)、溶媒のみ投与した群とを設けた(ビタミン欠乏食+溶媒投与群)。なお化合物1は生理食塩水に溶解して投与した。最終投与2時間後に、マウスをプラスチック製円筒型水槽(直径18cm、高さ40cm、水深15cm、水温約23℃)に入れ、10分間のStruggle(もがき)、swimming(水泳)及びimmobility(無動)時間を測定した。別途、正常食群を設けた。結果を表4に示す。ビタミンB欠乏食により、もがき時間及び水泳時間の短縮、ならびに無動時間の増加が認められたが、化合物1は、これらの作用を改善した。

試験例3.脳内アミン量に対する作用
4週令の雄性ddYマウスに化合物1(100mg/kg)を腹腔内投与し(化合物1投与群)、投与30および60分後に脳を摘出し、視床下部のセロトニン(5−HT)およびその代謝物である5−ヒドロキシインドール−3−酢酸(5−HIAA)量を測定した。化合物1は生理食塩水に溶解して投与した。なお別途溶媒のみを投与した群を設け(溶媒投与群)、それらに関しても同様に5−HTおよび5−HIAA量を測定した。結果を表5に示す。化合物1は、マウス視床下部中の5−HTおよび5−HIAA含量を増加させた。

本発明に係る医薬は、化合物(I)、(Ia)、(Ib)、(II)、(III)、(IV)および(V)ならびにそれらの塩からなる群から選ばれる物質を有効成分として含むことを特徴とする。本発明に係る医薬としては、有効成分である上記物質をそのまま投与してもよいが、一般的には、有効成分である上記物質と1または2以上の製剤用添加物とを含む医薬組成物の形態で投与することが望ましい。このような医薬組成物は、それ自体製剤学の分野で周知または慣用の方法に従って製造することが可能である。また、医薬組成物の形態である本発明に係る医薬には、他の医薬の有効成分が1または2以上含まれていてもよい。
本発明の医薬の投与経路は特に限定されず、経口投与または静脈内投与等の非経口投与のいずれかから予防または治療のために最も効果的な投与経路を適宜選択することができる。経口投与に適する製剤の例としては、例えば、錠剤等を挙げることができ、非経口投与に適する製剤の例としては、例えば、注射剤等を挙げることができる。
錠剤等の固形製剤の製造には、例えば、乳糖、マンニット等の賦形剤、デンプン等の崩壊剤、ステアリン酸マグネシウム等の滑沢剤、ヒドロキシプロピルセルロース等の結合剤、脂肪酸エステル等の界面活性剤、グリセリン等の可塑剤等を用いることができる。
非経口投与に適する製剤のうち注射剤等の血管内投与用製剤は、好ましくはヒト血液と等張の水性媒体を用いて調製することができる。例えば、注射剤は、塩溶液、ブドウ糖溶液、塩水とブドウ糖溶液の混合物等から選ばれる水性媒体を用い、常法に従って適当な助剤とともに溶液、懸濁液、または分散液として調製することができる。非経口用の製剤の製造には、例えば、希釈剤、香料、防腐剤、賦形剤、崩壊剤、滑沢剤、結合剤、界面活性剤、可塑剤等から選択される1または2以上の製剤用添加物を用いることもできる。
本発明の医薬の投与量及び投与頻度は特に限定されず、有効成分である上記物質の種類、投与経路、治療または予防の目的、患者の年齢および体重、症状の性質および重篤度等の種々の条件に応じて適宜選択することが可能である。例えば、成人1日当り0.1〜100mg/kgを3〜4回に分けて投与するのが好ましい。
しかしながら、これら投与量および投与回数は前述の種々の条件等により変動する。
本発明の飲食品は、飲食品中に、化合物(I)、(Ia)、(Ib)、(II)、(III)、(IV)および(V)ならびにそれらの塩からなる群から選ばれる物質を含有する以外は、一般的な飲食品の製造方法を用いることにより、加工製造することができる。
また、本発明の飲食品は、例えば流動層造粒、撹拌造粒、押し出し造粒、転動造粒、圧縮成形造粒、解砕造粒、噴霧造粒、噴射造粒等の造粒方法、パンコーティング、流動層コーティング、ドライコーティング等のコーティング方法、パフドライ、過剰水蒸気法、フォームマット方法、マイクロ波加熱方法等の膨化方法、押し出し造粒機やエキストルーダー等による押し出し方法等を用いて製造することもできる。
また、本発明の飲食品は、例えば粉末食品、シート状食品、瓶詰め食品、缶詰食品、レトルト食品、カプセル食品、タブレット状食品、流動食品、ドリンク剤等の形態のいずれのものであってもよい。
本発明の飲食品は、抗うつ活性を有する健康食品または機能性食品として用いることができる。
本発明の飲食品には、一般的に飲食品に用いられる食品添加物、例えば甘味料、着色料、保存料、増粘安定剤、酸化防止剤、発色料、漂白料、防かび剤、ガムベース、苦味料、酵素、光沢剤、酸味料、調味料、乳化剤、強化剤、製造用剤、香料、香辛料抽出物等が添加されていてもよい。
本発明の飲食品中への、化合物(I)、(Ia)、(Ib)、(II)、(III)、(IV)および(V)ならびにそれらの塩からなる群から選ばれる物質の添加量は、飲食品の種類、当該飲食品の摂取により期待される効果等に応じて適宜選択されるが、化合物(I)、(Ia)、(Ib)、(II)、(III)、(IV)および(V)ならびにそれらの塩からなる群から選ばれる物質として、通常は1%〜100%、好ましくは10%〜100%、さらに好ましくは20%〜100%含有するように添加される。
本発明の飲食品の摂取量は、摂取形態、摂取者の年齢、体重等に応じて異なるが、通常成人に対し1日あたり化合物(I)、(Ia)、(Ib)、(II)、(III)、(IV)および(V)ならびにそれらの塩からなる群から選ばれる物質として、0.1〜100mg/kgを1回から数回に分けて投与、すなわち摂取するのが好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
実施例1:錠剤
常法により、次の組成からなる錠剤を調製する。
処方 化合物1 20 mg
乳糖 143.4 mg
馬鈴薯デンプン 30 mg
ヒドロキシプロピルセルロース 6 mg
ステアリン酸マグネシウム 0.6 mg
200 mg
実施例2:注射剤
常法により、次の組成からなる注射剤を調製する。
処方 化合物1 2 mg
精製ダイズ油 200 mg
精製卵黄レシチン 24 mg
注射用グリセリン 50 mg
注射用蒸留水 1.72 mL
2.00 mL
実施例3:清涼飲料水
常法により、次の組成からなる清涼飲料水(10本分)を調製する。
処方 化合物1 200 mg
ビタミンC 1 g
ビタミンB1 5 mg
ビタミンB2 10 mg
ビタミンB6 25 mg
液糖 150 g
クエン酸 3 g
香料 1 g
水にて1000mLとする。
【産業上の利用可能性】
本発明により、抗うつ剤または抗うつ用飲食品を提供することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)

(式中、R、R、R及びRは、同一または異なって水素原子、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換のアルケニルまたは置換もしくは非置換のアリールを表し、Rは水素原子、ヒドロキシまたは置換もしくは非置換の低級アルコキシを表し、Rは水素原子、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換のスルファモイル、置換もしくは非置換のアリールスルホニル、置換もしくは非置換の低級アルコキシカルボニルまたは置換もしくは非置換のアラルキルオキシカルボニルを表し、Rは水素原子または置換もしくは非置換の低級アルキルを表し、R、R、R10及びR11は、同一または異なって水素原子または置換もしくは非置換の低級アルキルを表す)で表される化合物またはその塩を有効成分として含有する抗うつ剤。
【請求項2】
式(I)

(式中、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10及びR11はそれぞれ前記と同義である)で表される化合物またはその塩を有効成分として含有する抗うつ用飲食品。
【請求項3】
が水素原子またはヒドロキシであり、R、R、R10及びR11が、それぞれ水素原子である請求項1記載の抗うつ剤。
【請求項4】
、R、R、R10及びR11がそれぞれ水素原子である請求項1記載の抗うつ剤。
【請求項5】
が水素原子またはヒドロキシであり、R、R、R10及びR11が、それぞれ水素原子である請求項2記載の抗うつ用飲食品。
【請求項6】
、R、R、R10及びR11がそれぞれ水素原子である請求項2記載の抗うつ用飲食品。
【請求項7】
式(Ia)または(Ib)

(式中、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10及びR11は、それぞれ前記と同義である)で表される化合物またはその塩を有効成分として含有する抗うつ剤。
【請求項8】
式(Ia)または(Ib)

(式中、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10及びR11は、それぞれ前記と同義である)で表される化合物またはその塩を有効成分として含有する抗うつ用飲食品。
【請求項9】
式(II)

で表される2−アミノ−3−[2−(α−D−マンノピラノシル)インドール−3−イル]プロピオン酸またはその塩を有効成分として含有する抗うつ剤。
【請求項10】
式(III)

で表される2−アミノ−3−[2−(α−L−マンノピラノシル)インドール−3−イル]プロピオン酸またはその塩を有効成分として含有する抗うつ剤。
【請求項11】
式(II)

で表される2−アミノ−3−[2−(α−D−マンノピラノシル)インドール−3−イル]プロピオン酸またはその塩を有効成分として含有する抗うつ用飲食品。
【請求項12】
式(III)

で表される2−アミノ−3−[2−(α−L−マンノピラノシル)インドール−3−イル]プロピオン酸またはその塩を有効成分として含有する抗うつ用飲食品。
【請求項13】
式(IV)

(式中、Rは前記と同義であり、R12、R13、R14及びR15は、同一または異なって置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換のアルケニルまたは置換もしくは非置換のアリールを表す)で表される化合物またはその塩を有効成分として含有する抗うつ剤。
【請求項14】
式(V)

(式中、R、R12、R13、R14及びR15は、それぞれ前記と同義である)で表される化合物またはその塩を有効成分として含有する抗うつ剤。
【請求項15】
式(IV)

(式中、R、R12、R13、R14及びR15は、それぞれ前記と同義である)で表される化合物またはその塩を有効成分として含有する抗うつ用飲食品。
【請求項16】
式(V)

(式中、R、R12、R13、R14及びR15は、それぞれ前記と同義である)で表される化合物またはその塩を有効成分として含有する抗うつ用飲食品。
【請求項17】
請求項1記載の式(I)、請求項7記載の式(Ia)もしくは(Ib)、請求項9記載の式(II)、請求項10記載の式(III)、請求項13記載の式(IV)または請求項14記載の式(V)で表される化合物あるいはその塩を有効量投与することを特徴とする、うつの予防または治療方法。
【請求項18】
請求項1、3、4、7、9、10、13および14のいずれか1項に記載の抗うつ剤の製造のための、式(I)、(Ia)、(Ib)、(II)、(III)、(IV)もしくは(V)で表される化合物またはその塩の使用。
【請求項19】
請求項2、5、6、8、11、12、15および16のいずれか1項に記載の抗うつ用飲食品の製造のための、式(I)、(Ia)、(Ib)、(II)、(III)、(IV)もしくは(V)で表される化合物またはその塩の使用。

【国際公開番号】WO2004/105753
【国際公開日】平成16年12月9日(2004.12.9)
【発行日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−506577(P2005−506577)
【国際出願番号】PCT/JP2004/007768
【国際出願日】平成16年5月28日(2004.5.28)
【出願人】(000162478)協和メデックス株式会社 (42)
【出願人】(000001029)協和醗酵工業株式会社 (276)
【Fターム(参考)】