抗インターフェロンアルファモノクローナル抗体及び使用方法
本発明は、インターフェロンアルファ(“IFNα”)タンパク質サブタイプA、2、B2、C、F、G、H2、I、J1、K、4a、4b及びWAに対し少なくとも2つのサブタイプの生物活性を選択的に中和するが、IFNαタンパク質サブタイプDの少なくとも1つの生物活性は有意には中和しない抗体、並びにその変種、誘導体及びフラグメントを含む組成物及び使用方法を含む。測定される生物活性の例には、MxAプロモーターの活性化又は抗ウイルス活性が含まれる。本発明はまた、抗体を産生する宿主細胞、ハイブリドーマ、及び形質細胞腫を含む。それらの固有の選択性及び親和性のために、本発明の抗体は、サンプル又は組織中のIFNαサブタイプの検出、及び/又は治療的応用で有用である。前記治療的応用には、IFNα関連疾患(例えばSLE、狼瘡、1型糖尿病、乾癬、エイズ及び対宿主移植片病)の治療及び/又は緩和が含まれるが、ただしこれらに限定されない。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
関連出願の相互引用
本出願は、米国仮特許出願60/836,599(2006年8月9日出願)(前記文献の全内容は参照により本明細書に含まれる)の利益を主張する。
発明の分野
本発明は、対象者における異常なインターフェロン-α(IFNα)発現レベルと相関性を有する症状の診断及び治療に有用な方法及び組成物に関する。
【0002】
背景技術
ヒトインターフェロン(IFN)は、先天性及び適応性免疫応答の両者を調節する機能的に関連するサイトカインである。それらは、主として配列相同性を基準にして2つの群、I型及びII型に分類される。I型IFNは6つのタイプ(IFN-α、IFN-β、IFN-ω、IFN-κ、IFN-ε及びIFN-λ)を含む。IFN-α、β、ω及びκは、同一レセプター、IFNARを介して作用する。IFN-λは別個のレセプター、IFNLRと結合する。IFN-εのレセプターはこれまでのところ不明である。II型IFNはただ1つのタイプ(IFN-γ)から成り、レセプターIFNGRと結合する。I型IFNはウイルス感染時に強力に誘発され、II型IFNは主として免疫応答及び炎症刺激で誘発され、したがってIFN-γはしばしば“免疫IFN”と称される。多数のI型IFNのうち、もっともよく研究されたものにはIFN-α、IFN-β及びIFN-ωが含まれる。これらのうちで、IFN-αはもっとも複雑であり、少なくとも15の別個のタンパク質サブタイプ(75%以上の配列相同性を示す)を含む(Diaz, 1995, Semin Virol, 6:143-149;Weissmann et al. 1986, Prog Nucl Acid Res Mol Biol 33:251;J Interferon Res 1993, 13:443-444;Roberts et al. 1998, J Interferon Cytokine Res 18:805-816)。構造的に類似性を有すること以外にも、IFN-α遺伝子及びそれらの生成物は機能的な類似性を示す。例えば、それらはdsRNA又はウイルスによって誘発され、同じレセプター、IFNα/βレセプターIFNARと相互作用することができる(Mogensen et al. 1999, J Interferons and other Regulatory Cytokines, John Wiley & Sons)。IFNαはまたアポトーシスを抑制し、抗原活性化Tヘルパー細胞の生存及び分化を促進し、機能的に有効な単球由来樹状細胞の成熟を促進する。
【0003】
多くの細胞タイプが、ウイルス及びdsRNAに暴露されたときIFNαを産生する。特殊化された白血球(インターフェロン-α産生細胞(“IPC”)と呼ばれる)は、より広範囲の多様な刺激(例えばウイルス、細菌及び原虫)に応答してIFNαを産生する。いくつかのin vitro実験は、多様なIFN-αサブタイプは、別個のIFN-α分泌細胞株によって様々な程度で、又はヒト抹消血単核細胞(PBMC)の感染後にウイルスタイプ特異的態様で産生されること、及びこれらのパターンは、抗増殖、抗ウイルス及び抗腫瘍活性におけるサブタイプ依存性相違としばしば密接に関係することを示している。しかしながら、個々のサブタイプの生理学的意義及びそれぞれに対するそれらの協調的又はアンタゴニスト的活性は不明のままである。
IFN-αはいくつかの自己免疫疾患で観察される病態の仲介物質として示唆されている。さらにまた、前記は、癌及びウイルス疾患につてIFN-αで治療された患者で自己免疫疾患を発症させえる。IFN-αの発現の増加が、インスリン依存真性糖尿病(IDDM又はI型糖尿病)、乾癬、クローン病及び腹腔疾患をもつ患者の症状局在組織で観察されている。IFN-αの過剰発現は、全身性紅斑性狼瘡(SLE)、IDDM及びエイズで観察された。SLE(大量の自己反応性B及びT細胞を特徴とする)の事例では、IFN-α発現は、組織病巣だけでなく罹患個体の血液循環でも観察される。さらにまた、IFN-αの血清レベルは疾病の活動指標と相関する傾向がある。これは、通常は休止状態の単球の強力な抗原提示樹状細胞(DC)への周期的誘発(形質細胞様DC(pDC)によるINF-αのアップレギュレーションによって始動される)に由来すると考えられる。実際、本発明者らは以前に、SLEは顆粒球産生及びIFN誘発に必要な非統制遺伝子の“シグナチャー”によって識別でき、これらシグナチャーはグルココルチコイドの高用量輸液で正常に復帰することをオリゴヌクレオチドマイクロアレーにより提示した(米国特許出願11/228,586、前記文献の内容は参照により本明細書に含まれる)。
【0004】
全身性紅斑性狼瘡(SLE)は、全身性リウマチ性自己免疫疾患であり、特に小児で激烈であって高発生率の発赤が特徴である。自己免疫疾患、例えばSLEはしばしば再発と緩解の永続的繰返しで作用する。これらの繰り返しは、SLE病期を沈静化させるために施される一般的治療計画による処置相によってしばしば限定される。FDAによって承認されたSLEの治療選択肢には、コルチコステロイド、非ステロイド系免疫抑制剤、抗マラリア薬、及び非ステロイド系抗炎症薬が含まれる。これらの薬剤は、SLEの病変に特異的である免疫エフェクター応答に作用するのではなく、むしろ全ての免疫エフェクター応答の完全性を損なう。これらの治療は、骨萎縮、体重増加、ざ瘡、貧血、生殖不能、激烈な下痢、脱毛及び悪心を含む中等度から重度の副作用を有し有効性は単に部分的であるので、SLEは治療に関する希求が満たされていない代表的なものである。さらにまたSLEの新規な治療薬はここ40年間全く承認されていない。
最近、SLEとIFNαの産生が低下しないこととが密接に連携することが示された(Shi et al. 1987, Br J Dermatol 117(2):155-159)。IFNαはSLE血清中に高レベルで存在し(Crow et al. 2004, Curr Opin Rheumatol 16(5):541-547)、さらに形質細胞様DC(pDC)(IFNαの主要な供給源)はSLEの皮膚に蓄積する(Farkas et al. 2000, Am J Pathol 159(1):237-243)。さらにまた、IFNαで処置された患者のいくらかは狼瘡を発症することが観察され(Okanoue et al. 1996, J Hepatol 25(3):283-291;Tothova et al. 2002, Neoplasma 49(2):91-94;及びRaanani et al. 2002, Acta Haematol 107(3):133-144)、さらにIFNα抗体を有する狼瘡の患者は、この疾患のより穏やかな形態を表出することが示された(Von Wussow et al. 1988, Rheumatol Int 8(5):225-230)。IFNαは、単球の機能的な樹状細胞(DC)(このDCが次々とSLEの進行を仲介する)への分化を介して作用するのかもしれない(V. Pascual et al. 2003, Curr Opin Rheumatol 15(5):548-556)。提唱されているSLEの治療のためのアプローチはIFNαの中和である(PCT/US02/00343(Banchereau et al.)(前記文献の内容は参照により本明細書に含まれる)を参照されたい)。
【0005】
ヒトIFN-αの生物活性を阻止することができるモノクローナル抗体が生成されたが、公知の15サブタイプの全てを中和することができるものは今日まで報告されず、ほとんどが、天然に得られる、IFNαを含む白血球IFNを中和することができない。PBLバイオメディカルラボラトリーズ(Biomedical Laboratories)社は、多数のヒトIFNα遺伝子サブタイプと結合する10種のマウスモノクローナル抗体を提供している(interferonsource.com/relativespecificity.htmlにてワールドワイドウェブを参照されたい)。しかしながら、それぞれのPBL抗体は、ヒトIFNα遺伝子サブタイプ1によってコードされるIFNαタンパク質サブタイプ(IFNαタンパク質サブタイプD)、及び1つから12までの他のIFNαサブタイプと結合する。米国特許公開公報2003/0166228A1は、白血球IFNα(IFNαタンパク質サブタイプの全てを含む)によるマウスの免疫から得られたモノクローナル抗体(9F3と称される)を開示している。9F3 MAbは、7つのヒトIFNα遺伝子サブタイプ1、2、4、5、8、10及び21(それぞれIFNαタンパク質サブタイプD、A、4、G、B2、C及びFをコードする)によってコードされるタンパク質の抗ウイルス活性と結合し、これを中和し、ヒトIFNβの抗ウイルス活性は中和しない。前記公開公報は、9F3抗体が他の8つの遺伝子サブタイプと結合し、それらを不活化するのか否かは開示せず、IFNαタンパク質サブタイプ4a及び4bの一方又は両方と結合するか否かも開示していない。前記PCT公開公報は、IFNαの発現増加を伴う疾患、特に自己免疫疾患(例えばインスリン依存真性糖尿病及びSLE)の治療に前記モノクローナル抗体を使用することを提唱している。しかしながら、9F3抗体がSLE血清中で見出されるIFNαタンパク質サブタイプの生物学的活性を十分に中和することができるか否かは不明である。
IFNαは免疫応答の多機能性仲介物質であり、さらに有益な抗ウイルス活性を有するので、全てのIFNαサブタイプの完全な阻害又は顕著なダウンレギュレーションは最適な治療アプローチではない。したがって、症状と密接に関係するIFNαサブタイプを選択的に中和する薬剤が希求される。本発明はこの希求を満足させ、同様に関連する利点も提供する。
【0006】
発明の要旨
本発明は、特定のIFNαサブタイプを中和するモノクローナル抗体及びその誘導体を提供する。本発明の抗体は、IFNαの発現増加に付随する症状、例えばSLE、乾癬、I型糖尿病、エイズ、対宿主移植片病、及び他の自己免疫疾患の緩和並びに治療に有用である。ある特徴では、本発明は、少なくとも2つのインターフェロンアルファ(“IFNα”)タンパク質サブタイプ、例えばサブタイプA、2、B2、C、F、G、H2、I、J1、K、4a、4b及びWAの生物活性を選択的に中和するが、IFNαタンパク質サブタイプDの少なくとも1つの生物活性は有意には中和しない抗体を含み、ここで、前記生物活性はMxAプロモーターの活性化又は抗ウイルス活性である。前記抗体は、好ましくは、ATCCアクセッション番号PTA-7778を有するハイブリドーマによって産生される抗IFNα抗体と本質的に同じ若しくは同じIFNαエピトープと結合するか、又は本質的に同じ若しくは同じIFNαエピトープと結合する抗体と競合する。好ましくは、前記抗体はモノクローナル抗体である。ある実施態様では、前記抗体は、IFNαタンパク質サブタイプDも1も有意には中和しない。ある実施態様では、前記モノクローナル抗体はACO-2である。好ましくは、本発明の抗体は、全身性紅斑性狼瘡(SLE)患者から単離された血清の、単球の樹状細胞への分化を刺激する能力を不活化する。
別の特徴では、ATCCアクセッション番号PTA-7778を有するハイブリドーマによって産生される、抗インターフェロンアルファ(“IFNα”)モノクローナル抗体が提供される。
本発明の抗体、その誘導体又はフラグメントは、マウス、ラット、ヒト若しくは他の哺乳動物由来であり、又はそのフラグメント、若しくはヒト化若しくはキメラ型でありえる。本発明の抗体には、マウスモノクローナル抗体(例えばACO-2)とともに、そのヒト化型、キメラ型又はフラグメントが含まれる。本発明はさらに、ネズミモノクローナル抗体ACO-2と本質的に同じIFNαエピトープと結合する抗体を提供する。本発明はさらに、本発明の抗体を含む宿主細胞、ハイブリドーマ、組成物、医薬組成物及びキットを提供する。
本発明の抗体、その誘導体又はフラグメントは、IFNαの過剰発現に付随する疾患又は症状(SLE、乾癬、エイズ、I型糖尿病及び自己免疫甲状腺炎を含むが、ただしこれらに限定されない)の治療で、並びにそのような疾患及び症状を治療するための医薬の製造で有用である。本発明の抗体はまた、多様なIFNαサブタイプの識別又は精製に用いることができる。
本発明はまた、上記の特異性を有する抗体、例えば1つ以上のインターフェロンアルファ(“IFNα”)タンパク質サブタイプ(A、2、B2、C、F、G、H2、I、J1、K、4a、4b及びWA)と特異的に結合するが、例えばINFαタンパク質サブタイプDの生物活性は中和しない抗体を産生する宿主細胞及びハイブリドーマ細胞株を含む。前記抗体及びハイブリドーマ細胞株は、診断及び治療的方法での使用のために担体(例えば医薬的に許容できる担体)と組み合わせることができる。前記抗体は、特定のIFNαサブタイプの検出、並びにIFNα関連疾患の症状の診断、予後診断、治療及び/又は緩和に有用である。そのような症状の例には、SLE、乾癬、I型糖尿病、宿主対移植片(GVH)病、エイズ、自己免疫甲状腺炎及び他の自己免疫疾患が含まれるが、ただしこれらに限定されない。本発明の抗体はまた、これらIFNαサブタイプのin vitro又はin vivoでの中和及び/又は単離に有用である。
【0007】
発明の詳細な説明
本発明の様々な実施態様の構成及び使用を以下で詳細に考察するが、本発明は、幅広く多様な個々の状況で具体化することができる多くの応用可能な刷新的概念を提供することは理解されよう。本明細書で考察される個々の実施態様は、本発明を実施及び利用するための個々の方法の単なる例示であり、本発明の範囲を制限するものではない。
本発明の理解を容易にするために、多数の用語が以下で定義される。本明細書で定義される用語は、本発明が関係を有する分野の通常の技術を有する者が一般的に理解する意味を有する。例えば原文の冠詞“a”、“an”及び“the”は単に単数の実体に適用されることを意図せず、当該個々の例が例示のために用いられる包括的クラスを含む。本明細書の用語は本発明の特定の実施態様を記述するために用いられるが、特許請求の範囲に記載されるものを除き、それらの使用によって本発明は制限されない。例えば、“a cell”という用語は複数の細胞(細胞の混合物を含む)を含む。全ての数値の指定(範囲を含む)、例えばpH、温度、時間、濃度、及び分子量は、0.1の増分により(+)又は(-)に変動する概数である。全ての数値の指定には“約”という用語が先行する(ただし常に明示されるとは限らない)ことは理解されよう。本明細書に記載される試薬は単なる例示であり(ただし常に明示されるとは限らない)、当該物の等価物は当分野で公知であることもまた理解されよう。
【0008】
本明細書で用いられる、“抗体”という用語は、全てのクラス及びサブクラスの無傷の免疫グロブリンに適用される。“抗体”という用語はまた、モノクローナル抗体、抗体フラグメント及び抗体フラグメントクローンを含む。“抗体フラグメント”は、無傷の抗体の抗原結合領域又は可変領域が収容された、無傷の抗体の一部を含む。抗体フラグメントの例には、Fab、Fab'、F(ab')2、及びFvフラグメント(一本鎖抗体分子)、抗体フラグメントから形成されるマルチ特異的抗体、Fdフラグメント(VH及びCHドメインを含む)、Fvフラグメント(抗体の単腕のVL及びVHドメインを含む)、dAbフラグメント(Ward et al. 1989, Nature 341:544-546)(VHドメインを含む)、及び単離された相補性決定領域(CDR)が含まれる。“一本鎖Fv”又は“scFv”抗体フラグメントは、抗体のVH及びVLドメインを含み、これらのドメインは一本のポリペプチド鎖内に存在する。一般的には、scFvポリペプチドは、VH及びVLドメインの間にポリペプチドリンカーを含み、前記はscFvが抗原結合のために所望の構造を形成することを可能にする。scFvについての概説には以下を参照されたい:Pluckthun (1994), “The Pharmacology of Monoclonal Antibodies”, Vol 113, Roseburg and Moore eds., Springer-Verlag. New York. pp. 269-315;Dall'Acqua and Carter 1998, Curr Opin Struc Biol 8:443-450;Hudson 1999, Curr Opin Immunol 11:548-557;Bird et al. 1988, Science 242:423-426;及びHudson er al. 1988, Proc Natl Acad Sci USA 85:5879-5883。上記記載の抗体フラグメントのいずれも、当業者に公知の通常の技術を用いて入手することが可能であり、それらフラグメントは、無傷の抗体と同じ態様で結合特異性及び中和活性についてスクリーニングされる。抗体は、任意の適切な生物学的供給源(例えばネズミ、ウサギ、ラット、ヒト、ヒツジ、イヌなど)から単離することができる。“天然に存在する”又は“天然の”抗体はヘテロテトラマーの糖タンパク質であり、典型的には約150−200kDの分子量を有する。ヘテロテトラマーは2つの同一の軽(L)鎖及び2つの同一の重(H)鎖を含む。各軽鎖は、ジスルフィド結合によって重鎖と共有結合される。
【0009】
本明細書で用いられる、“抗体誘導体”という用語は、エピトープと結合し、本発明の天然のモノクローナル抗体の改変又は誘導体である分子を包含するために用いられる。誘導体には、例えば二特異的、マルチ特異的、ヘテロ特異的、三特異的、四特異的、マルチ特異的抗体、キメラ、組換え及びヒト化抗体が含まれるが、ただしこれらに限定されない。
本明細書で用いられる、“抗体変種”は、マウス以外の種で産生される抗体、又はACO-1からACO-6及びACO-8と称される抗体から選択される抗体のアイソタイプに適用される。“抗体変種”にはまた、抗体又はフラグメントの直鎖ポリペプチド配列に対する翻訳後修飾を含む抗体が含まれる。前記はさらに完全にヒトの抗体も包含する。
本明細書で用いられる、“モノクローナル抗体”は、実質的に均質な抗体集団から得られる抗体(抗体フラグメントを含む)に適用される。すなわち、集団内の個々の抗体は、天然に発生する可能性がある(少量で存在しえる)変異を除いて同一であり、それらが所望の生物学的活性を示す限り、前記はまた本発明の部分である。モノクローナル抗体は高度に特異的であり、単一エピトープに対して誘導される。モノクローナル抗体は、ハイブリドーマによって(バイオリアクターで、腹水として)合成するか、又は組換え方法によって(例えばin vitro翻訳で、細菌、酵母、植物、昆虫及び/又は動物細胞で)製造することができる。したがって、 “モノクローナル”という修飾語は、実質的に均質な抗体集団から得られた抗体の特徴を示し、何らかの特定の方法による抗体の製造を必要とすると解釈してはならない。例えば、本発明にしたがって用いられるモノクローナル抗体は、最初にKohlerら(Nature (1975) 256:495)が記載したハイブリドーマの方法によって生成されてもよく、又は組換え方法(例えばUS4,816,567を参照されたい)によって製造されてもよい。“モノクローナル抗体”にはヒトモノクローナル抗体、ヒト化モノクローナル抗体、組換えヒト抗体、ファージ抗体ライブラリーから単離される抗原認識及び結合部位が収容された抗体フラグメントのクローン(Fvクローン)、及びその誘導体が含まれるが、ただしこれらに限定されない(以下を参照されたい:Clackson et al. 1991, Nature 352:624-628;及びMarks et al. 1991, J Mol Biol 222:581-597)。モノクローナル抗体にはまた“キメラ”抗体(免疫グロブリン)が含まれ、前記の場合、例えば重鎖及び/又は軽鎖の一部分は、特定の種に由来する抗体又は特定の抗体クラス若しくはサブクラスに属する抗体中の対応する配列と同一又は相同であるが、一方、残りの鎖又はその部分は、別の種に由来する抗体又は別の抗体クラス若しくはサブクラスに属する抗体、並びにそのような抗体フラグメント中の対応する配列と同一又は相同である(ただしそれらが所望の生物学的活性を示すことを条件とする)(US4,816,567;Morrison et al. 1984, Proc Natl Acad Sci USA 81:6851-6855)。
【0010】
本明細書で用いられる、“ヒトモノクローナル抗体”という用語は、ヒトの生殖細胞系列の免疫グロブリン配列に由来する可変及び定常領域を有する、単一の結合特異性を示す抗体に適用される。
本明細書で用いられる、“ヒト抗体”という用語は、ヒトの生殖細胞系列の免疫グロブリン配列に由来する可変及び定常領域を有する抗体に適用される。本発明のヒト抗体はヒトの生殖細胞系列の免疫グロブリン配列によってコードされないアミノ酸残基(例えば、in vitroのランダム若しくは位置特異的変異導入によって、又はin vivoの体細胞変異によって導入された変異)を含むことができる。しかしながら、本明細書で用いられる“ヒト抗体”という用語は、別の哺乳動物種(例えばマウス)の生殖細胞系列に由来するCDR配列がヒトのフレームワーク配列に移植されている抗体を含むことは意図されない。したがって、本明細書で用いられる、“ヒト抗体”という用語は、タンパク質の実質的に全ての部分(例えばCDR、フレームワーク、CL、CHドメイン(例えばCH1、CH2、CH3)、ヒンジ、VL、VH)がヒトにとって実質的に非免疫原性であり、極めてわずかな配列変化又は変動を有する抗体に適用される。同様に、霊長類(サル、ヒヒ、チンパンジーなど)、げっ歯類(マウス、ラット、ウサギ、モルモット、ハムスターなど)及び他の哺乳動物と特定された抗体は、そのような種、亜属、属、亜科、科に特異的な抗体を指す。上記に記載したように、キメラ抗体はまた上記の任意の組合せを含むことができる。そのような変化又は変動は、場合によって及び好ましくは、非改変抗体に比してヒト又は他の種における免疫原性を維持又は低下させる。したがって、ヒト抗体は、キメラ抗体又はヒト化抗体とは別物である。ヒト抗体は、機能的に再編成されたヒト免疫グロブリン(例えば重鎖及び/又は軽鎖)遺伝子を発現することができる、非ヒト動物又は原核若しくは真核細胞によって製造することができる。さらに、ヒト抗体が一本鎖抗体であるときは、前記はまた、天然のヒト抗体では見いだされないリンカーペプチドを含むことができる。例えば、Fvフラグメントはまた、リンカーペプチド、例えば2から約8つのグリシン又は他のアミノ酸残基を含むことができる(このリンカーペプチドは、重鎖の可変領域と軽鎖の可変領域とを連結する)。そのようなリンカーペプチドはヒト起源であるように配慮される。
【0011】
抗体が、ヒト免疫グロブリン配列を用いる系から得られるならば、例えばヒト免疫グロブリン遺伝子を保持するトランスジェニックマウスを免疫することによって、又はヒト免疫グロブリン遺伝子ライブラリーをスクリーニングすることによって得られるならば、前記ヒト抗体は、特定の生殖細胞系列の配列に“由来する”。ヒト生殖細胞系列の免疫グロブリン配列に“由来する”ヒト抗体は、前記ヒト抗体のアミノ酸配列をヒト生殖細胞系列の免疫グロブリンのアミノ酸配列と比較することによってそうであると確認することができる。選択されるヒト抗体は、ヒト生殖細胞系列の免疫グロブリン遺伝子によってコードされるアミノ酸配列に対して、典型的にはアミノ酸配列が少なくとも90%同一であり、他の種の生殖細胞系列の免疫グロブリンアミノ酸配列(例えばマウス又はラット生殖細胞系列の配列)と比較したとき、前記ヒト抗体をヒトであると認定するアミノ酸残基を含む。ある種の事例では、ヒト抗体は、生殖細胞系列の免疫グロブリン遺伝子によってコードされるアミノ酸配列に対してアミノ酸配列が少なくとも95%、又は少なくとも96%、97%、98%又は99%同一でありえる。典型的には、特定のヒト生殖細胞系列の配列に由来するヒト抗体は、ヒト生殖細胞系列の免疫グロブリン遺伝子によってコードされるアミノ酸配列と10アミノ酸を超えない相違を示すであろう。ある種の事例では、ヒト抗体は、生殖細胞系列の免疫グロブリン遺伝子によってコードされるアミノ酸配列と5アミノ酸を超えない、又は4、3、2又は1アミノ酸すら超えない相違を示しえる。
【0012】
本明細書で用いられる、“ヒト化”という用語は、非ヒト免疫グロブリンに由来する配列を有する、キメラ免疫グロブリン、免疫グロブリン鎖又はそのフラグメント(例えばFv、Fab、Fab'、F(ab')2又は抗体の他の抗原結合配列)を作製するために、ヒト免疫グロブリン骨格で用いられる非ヒト(例えばマウス又はラット)抗体の部分の使用に適用される。一般的には、ヒト化抗体は、レシピエントの1つ以上の相補性決定領域(CDR)の部分又は全ての残基が、所望の特異性、親和性及び能力を有する非ヒトの種(ドナー抗体)(例えばマウス、ラット、又はウサギ)の1つ以上のCDRの残基によって置換されているヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)である。例えば、ヒト免疫グロブリンのFvフレームワーク領域(FR)残基は、対応する非ヒト残基によって置き換えられ(又はその逆)、すなわち、ヒト免疫グロブリン部分は、抗原特異性を決定する非ヒト免疫グロブリン領域に移植される。さらにまた、ヒト化抗体は、レシピエント抗体にも移入されるCDR若しくはフレームワーク配列にも見出されない残基を含むことができる。ドナー又はレシピエント抗体の部分ではない改変は、抗体の性能をさらに高め最適化するために、通常的に及び容易に実施される。一般的には、ヒト化抗体は、少なくとも一方の、典型的に両方の可変ドメイン(軽鎖及び重鎖)の実質的に全てを含むであろう(この場合、CDR領域の全て又は実質的に全てが非ヒト免疫グロブリンのCDR領域に一致し、FR領域の全て又は実質的に全てがヒト免疫グロブリン配列のFR領域である)。ヒト化抗体はまた、免疫グロブリンの定常領域(Fc)、典型的にはヒト免疫グロブリンのFc領域の少なくとも部分を含むことができる。
【0013】
本明細書で用いられる、“組換えヒト抗体”には、組換えによる方法で調製、発現、作成又は単離された全てのヒト抗体、例えばヒト免疫グロブリン遺伝子についてトランスジェニック又はトランスクロモソーム動物から単離された抗体、又は抗体を発現させるために形質転換した宿主細胞(例えば抗体を発現させるためにトランスフェクトした細胞(通常的には形質細胞腫))から単離された抗体、組換えコンビナトリアルヒト抗体ライブラリーから単離された抗体、及びヒト免疫グロブリン遺伝子配列の他のDNA配列へのスプライシングを必要としえる他の任意の方法によって調製、発現、作成又は単離された抗体が含まれる。そのような組換えヒト抗体は、ヒト生殖細胞系列免疫グロブリン配列に由来する可変及び定常領域を有する。ある種の実施態様では、しかしながらそのような組換えヒト抗体はin vitro変異導入(又はヒトIg配列についてトランスジェニックな動物が用いられるときは、in vivo体細胞変異導入)に付すことができ、したがって組換え抗体のVH及びVL領域のアミノ酸配列は、ヒト生殖細胞系列のVH及びVL配列に由来及び関連するといえども、in vivoのヒト抗体生殖細胞系列レパートリーに天然には存在しない可能性がある。
本明細書で用いられる、“抗原結合部位”又は“結合部分”という用語は、抗原結合に参画する免疫グロブリン分子の部分に適用される。抗原結合部位は、N-末端の重(“H”)鎖の3つの可変(“V”)領域及び軽(“L”)鎖の3つの可変領域のアミノ酸残基によって形成される。重鎖及び軽鎖のV領域内の3つの高度に相違するストレッチは、“超可変領域”又は“CDR”と呼ばれ、当該3つは、“フレームワーク領域”(FR)として知られる4つの保存されたフランキングストレッチの間に挟まれている。フレームワーク領域は、天然には免疫グロブリンの超可変領域の間に又は前記に隣接して見出されるアミノ酸配列に該当する。抗体分子では、軽鎖の3つの超可変領域(VL1、VL2及びVL3)及び重鎖の3つの超可変領域(VH1、VH2及びVH3)は、三次元空間では抗原結合表面を形成するように互いに対して配置される。抗原結合表面は、結合される抗原の三次元表面に対して相補的であり、重鎖及び軽鎖のそれぞれの3つの超可変領域は、“相補性決定領域”又は“CDR”と呼ばれる。
【0014】
本明細書で用いられる、“生物活性”という用語は、MxAプロモーター(及びインターフェロン誘発性プロモーター)を活性化する、又は抗ウイルス作用を示す1つ以上のIFNαサブタイプ(又はIFNβ)の能力に適用される。抗体の、IFNα生物活性のEC50及びパーセント中和は、アッセイ条件及び測定しようとするIFNα生物活性のタイプにしたがって変動する。一貫性のために、生物活性の特定のタイプ(すなわちMxAプロモーターの活性化及び抗ウイルス活性)及びアッセイ条件(すなわち“RGアッセイ”及び“CPEアッセイ”)が用いられる。RGアッセイは、本明細書に記載する条件を用いて実施することができる。MxAプロモーターの活性化のパーセント中和は、実施例(実施例3を参照されたい)に記載のように、RGmax IFN量及び2μg/mLの抗体を用いて決定される。抗ウイルス(CPE)アッセイは実施例に記載した方法にしたがって実施することができる。
本明細書で用いられる、“二特異的分子”という用語は、任意の物質、例えばタンパク質、ペプチド、又はタンパク質若しくはペプチド複合体に適用され、前記は2つの異なる結合特異性を有する。“マルチ特異的分子”又は“ヘテロ特異的分子”という用語は、任意の物質、例えばタンパク質、ペプチド、又はタンパク質若しくはペプチド複合体を含むことを意図し、前記は3つ以上の異なる結合特異性を有する。
2つの抗体が同一又は立体的にオーバーラップするエピトープを認識するとき、この1つの抗体は参照抗体と“実質的に同じエピトープ”と結合する。抗体の結合は、標準的な抗体-抗原アッセイ(例えば競合アッセイ、飽和アッセイ)、又は標準的なイムノアッセイ(例えばELISA又はRIA)によって測定又は決定することができる。2つの抗体が同一又は立体的にオーバーラップするエピトープと結合するか否かを決定するもっとも広く用いられかつ迅速な方法は競合アッセイであり、前記は、標識抗原又は標識抗体のどちらかを用いる多数の異なる様式で構成することができる。通常は、抗原が96ウェルプレートに固定され、非標識抗体が標識抗体の結合を阻止する能力が、放射能標識又は酵素標識を用いて測定される。競合ELISAアッセイのある例は米国特許5,512,457号に開示されている。抗体が、ある抗体と同じエピトープ又は実質的若しくは本質的に同じエピトープと結合するか否か、又はある抗体と抗原との結合について効率的に競合するか否かを決定する他のアッセイも当分野では知られている。それらは、例えば米国特許6,342,219号、6,342,221号、6,524,583号、6,416,758号及び米国特許公開公報2007/0065447号に起債されているものである(前記文献はそれぞれ参照により本明細書に含まれる)。
【0015】
本明細書で用いられる、“組成物”という用語は、活性な薬剤及びまた別の担体の組合せに適用される。前記担体は、例えば化合物又は組成物であって、不活性なもの(例えば検出可能な薬剤又は標識)又は活性なもの(例えばアジュバント、希釈剤、結合剤、安定化剤、緩衝剤、塩、凍結乾燥溶媒、保存料、アジュバントなど)である。担体にはまた、医薬賦形剤及び添加タンパク質、ペプチド、アミノ酸、脂質及び炭水化物(例えば糖で、単糖類、二糖類、酸糖類、四糖類及びオリゴ糖;誘導糖、例えばアルジトール、アルドン酸、エステル化糖など;並びに多糖類又は糖ポリマーを含む)が含まれ、前記は担体として又は組み合わされて存在することができ、重量又は体積によって単独又は組合せでは1−99.99%で含まれる。例示的なタンパク質賦形剤には、血清アルブミン、例えばヒト血清アルブミン(HAS)、組換えヒトアルブミン(rHA)、ゼラチン、カゼインなどが含まれる。代表的なアミノ酸/抗体成分(前記はまた緩衝能力として機能しえる)には、例えばアラニン、グリシン、アルギニン、ベタイン、ヒスチジン、グルタミン酸、アスパラギン酸、システイン、リジン、ロイシン、イソロイシン、バリン、メチオニン、フェニルアラニン、アスパルタームなどが含まれる。炭水化物賦形剤もまた本発明の範囲内で意図され、その例には単糖類、例えばフラクトース、マルトース、ガラクトース、グルコース、D-マンノース、ソルボースなど;二糖類、例えばラクトース、シュクロース、トレハロース、セロビオースなど;多糖類、例えばラフィノース、メレジトース、マルトデキストリン、デンプンなど;及びアルジトール、例えばマンニトール、キシリトール、マルチトール、ラクチトール、キシリトールソルビトール(グルシトール)及びミオイノシトールが含まれるが、ただしこれらに限定されない。担体という用語には、さらに緩衝剤又はpH調節剤が含まれる。典型的に緩衝剤は有機酸又は塩基から調製される塩である。代表的な緩衝剤には、有機酸塩、例えばクエン酸、アスコルビン酸、グルコン酸、炭酸、酒石酸、コハク酸、酢酸又はフタル酸の塩;トリス、トロメタミンヒドロクロリド又はリン酸緩衝液が含まれる。また別の担体にはポリマー賦形剤/添加物が含まれ、前記は、例えばポリビニルピロリドン、フィコール(ポリマー糖)、デキストラン(例えばシクロデキストリン、例えば2-ヒドロキシプロピル-.クアドラチャー.-シクロデキストリン)、ポリエチレングリコール、香料、抗菌剤、甘味料、抗酸化剤、制菌剤、界面活性剤(例えばポリソルベート、例えば“TWEEN20”及び“TWEEN80”)、脂質(例えばリン脂質、脂肪酸)、ステロイド(例えばコレステロール)、及びキレート剤(例えばEDTA)である。
【0016】
本明細書で用いられる、“コントロール”という用語は、比較の目的で実験に用いられるまた別の対象者又はサンプルに適用される。
本明細書で用いられる、“有効量”という用語は、有益な結果又は所望の結果を達成するために十分な量である。有効量は、1回以上の実施、適用又は投薬として投与することができる。
本明細書で用いられる、“エピトープ”又は“抗原決定基”という用語は、抗体又は抗原レセプターによって認識される抗原又は抗原フラグメント上の部位に該当する。T細胞エピトープは、適切な主要組織適合(MHC)タンパク質によって提示されるタンパク質抗原に由来する短いペプチドである。B細胞エピトープは、一般的にB細胞によって認識される抗原決定基であり、通常、抗体によって認識される三次元表面の部分である(前記は、当業者には公知のように、配列的又は構造的決定基を含むことができる)。
IFNαの抗原決定領域及び予想されるエピトープは、抗原決定領域を決定する任意の方法(例えば標準的マッピング及び性状決定技術)によって同定することができ、さらにその更なる精製は、任意の適切な技術の適用によって達成することができる(ここでいう“エピトープマッピング”技術、“エピトープ同定”技術などは、エピトープの同定及び/又は精製に応用可能な技術の記述と理解されるべきである)。そのようなマッピング/性状決定方法のある例として、ACO-2抗体のエピトープを、IFNαタンパク質内の露出アミン/カルボキシルの化学的修飾を用いてエピトープ“フットプリンティング”によって決定することができる。そのようなフットプリンティング技術のある具体的な例は、HXMS(質量分析によって検出される水素-デューテリウム交換)の使用である。略記すれば、HXMSでは、レセプター及びリガンドタンパク質のアミドプロトンの水素/デューテリウム交換を実施し、続いてペプチド-抗原結合、及びレセプターとリガンドタンパク質のアミドプロトンの戻し交換を実施する。タンパク質結合に参画する骨格アミド基は、戻し交換から保護され、したがってデューテリウム化されたままである。対応する領域は、この時点でペプチドのタンパク加水分解、急速マイクロボア高速液体クロマトグラフィー分離、及び/又はエレクトロスプレーイオン化質量分析によって同定される(例えば、以下を参照されたい:H. Ehring, Analytical Biochemistry, 1999, 267(2):252-259及び/又はJ.R.Engen & D.L. Smith 2001, Anal Chem 73:256A-265A)。エピトープマッピングのための他の方法には、核磁気共鳴(NMR)エピトープマッピング、質量分析法、プロテアーゼ分解技術及び多様なファージディスプレー技術が含まれるが、ただしこれらに限定されない。そのような技術の例は、例えば米国特許公開公報2007/0065447(前記文献の全体は参照により本明細書に含まれる)に記載されている。他のエピトープマッピングのための多数の方法がまた当分野で公知であり、例えば以下に記載されている方法である:O.M.R. Westwood & F.C. Hay, Epitope Mapping: A Practical Approach (Oxford Univ. Press, 2000)。
【0017】
IgG抗体は、パパイン消化によって3つのフラグメントに切断することができる。これらのフラグメントのうち2つは典型的には同一の抗原結合フラグメントであり、“Fab”フラグメントと呼ばれて各々はただ1つの抗原結合部位を有し、残りは“Fc”フラグメントである。Fabフラグメントは、軽鎖及び重鎖のアミノ末端側の半分を含み、これらは鎖間ジスルフィド結合によって一緒に保持される。Fcフラグメントは、残りのヒンジ領域によって互いにジスルフィド結合した2つの重鎖のカルボキシ末端側の半分から成る。IgG抗体のペプシン消化は、パパインと同じ抗体の本体領域で切断するが、ジスルフィド結合のカルボキシ末端側では切断せず、F(ab')2フラグメントを生じる。F(ab')2フラグメントは、2つの抗原結合部位を有し、抗原をなお架橋することができる。Fab'フラグメントは、抗体のヒンジ領域に由来する1つ以上のシステインを含む数残基が重鎖CH1ドメインのカルボキシ末端に付加されていることによりFabフラグメントと異なる。Fab'-SHは、定常ドメインのシステイン残基が遊離チオール基を保持するFab'の呼称である。
本明細書で用いられる、“Fv”という用語は、完全な抗原認識及び結合部位を含む最小抗体フラグメントに適用される。二本鎖Fv種では、この領域は、非共有結合状態にある1つの重鎖及び1つの軽鎖可変ドメインのダイマーを含む。一本鎖Fv種では、1つの重鎖及び1つの軽鎖可変ドメインは、当該軽鎖及び重鎖が二本鎖Fv種の“ダイマー”構造と類似の構造で結合することができように、可撓性ペプチドリンカーによって共有結合で連結されえる。
本明細書で用いられる、“ヘテロ抗体”という用語は、一緒に連結された、少なくとも2つの異なる抗原特異性を有する、2つ以上の抗体、抗体結合フラグメント(例えばFab)、その誘導体、又は抗原結合領域に適用される。
【0018】
本明細書で用いられる、“インターフェロンアルファ”(“IFNα”)という用語は、先天性免疫の主要なエフェクターのいくつかを含むタンパク質ファミリーに適用される。IFNαには少なくとも15の既知のアイソタイプが存在する。IFNαタンパク質サブタイプ及び対応するコード遺伝子の名称は以下に列挙される。
IFNαタンパク質サブタイプ 対応するIFNα遺伝子
A 2a
2 2b
B2 8
C 10
D(Val114) 1
F 21
G 5
H2 14
I 17
J1 7
K 6
4a 4a
4b 4b
WA 16
1(Ala114) 1
【0019】
以下を参照されたい:Pestka et al. (1997) “Interferon Stansardization and Designations” J Interferon Cytokine Res 17: Supplement 1, S9-S14。INFαB2はときにはまたIFNαBとも呼ばれ、IFNβと混同してはならない。白血球由来の天然のIFNα(白血球IFN)は、これらのヒトIFNα組換えタンパク質サブタイプと同様に、PBLバイオメディカルラブズ社(PBL Biomedical Labs, Piscataway, NJ)(interferonsource.com)から入手できる。天然のIFNαはINFαの複合混合物である。IFNβは、本明細書で用いた天然のIFNα調製物では検出されなかった。これらインターフェロンの検出及び定量のための方法、例えばELISA及びRIAは当分野では公知である(以下を参照されたい:Staehelin et al. (1981) Methods in Enzaymology 79 (S. Pestka ed.) Academic Press, NY 589-595;Kelder et al. (1986) Methods in Enzaymology 119 (S. Pestka ed.) Academic Press, NY 589-595;Stewart (2003)上掲書;Bennett et al. (2003) J Exp Med 197(6):711-723;Baechler et al. (2003) Proc Natl Acad Sci USA 100(5):2610-2615)。
本明細書で用いられる、“IFNα産生細胞”という用語は、IFNα産生に必要な特殊化した白血球に適用される。IFNαは二本鎖RNA(ds(RNA))、ウイルス、細菌、原虫、ある種の細胞株及び非メチル化CpG-DNAによって幅広く誘発される(Romblom & Alm (2004) J Exp Med 194(12):F59-F63)。
本明細書で用いられる、“INFα関連症状又は疾患”という語句は、患者の血清で上昇するIFNαレベルと連鎖した異常で有害な疾患又は前臨床的症状に適用される。そのようなものの例には以下が含まれる(ただしこれらに限定されない):SLE、対宿主移植片病(GVHD)、1型糖尿病、エイズ(ヒト免疫不全ウイルスによって引き起こされる)、自己免疫甲状腺炎、乾癬及び狼瘡。IFNαのレベルを決定する方法は当分野で公知であり、本明細書にも記載される。
【0020】
本明細書で用いられる、“免疫応答”という用語は、外来物質に対するリンパ球の抗原特異的応答に適用される。免疫応答を誘引するいずれの物質も“免疫原性”であると考えられ、“免疫原”と称される。全ての免疫原は抗原であるが、しかしながら全ての抗原が免疫原性であるとは限らない。免疫応答は液性(抗体活性を介する)であっても、細胞仲介性(T細胞活性化を介する)であってもよい。
本明細書で用いられる、“免疫学的結合”及び“免疫学的結合特性”は、免疫グロブリン分子と当該分子が特異性を有する抗原との間で生じる、非共有結合性相互反応タイプに適用される。免疫学的な結合相互作用の強度又は親和性は当該相互作用の解離定数(Kd)によって表現され、この場合、より小さなKdはより強い親和性を表す。選択したポリペプチドの免疫学的結合特性は当分野で周知の方法を用いて定量することができる。そのような方法の1つは、抗原結合部位/抗原複合体の形成及び解離速度の測定を必要とし、この場合、これらの速度は、複合体パートナーの濃度、相互作用の親和性、及び両方向の速度に等しく影響を与える幾何学的パラメーターに左右される。したがって、“オン速度定数”(Kon)及び“オフ速度定数”(Koff)の両方を濃度の計算によって決定することができ、実際の結合及び解離速度は当分野では周知である。Koff/Konの比は親和性に関係しない全てのパラメーターの取消しを可能にし、したがって解離定数Kdと等しい(例えば以下を参照されたい:Coligan et al. Current Protocols in Immunology, Wiley, NY, 1999)。
【0021】
本明細書で用いられる、“単離された”という用語は、同定され、その天然の環境の成分から分離及び/又は回収された抗体に適用される。その天然の環境の夾雑成分は、当該抗体の診断的又は治療的使用に干渉しえる物質であり、前記物質には、酵素、ホルモン及び他のタンパク質性又は非タンパク質性溶質が含まれえる。好ましい実施態様では、抗体は、(1)Lowryの方法で決定したとき、抗体重量で95%を超えて、もっとも好ましくは99重量%を超えて精製されるか、(2)回転カップシークェネーターの使用によってN-末端又は内部アミノ酸配列の少なくとも15残基を得るために十分な程度に精製されるか、又は(3)還元又は非還元条件下のSDS-PAGEによって、クマシーブルー染色、好ましくは銀染色を用いて均質な程度にまで精製される。単離抗体は、組換え細胞内にin situで存在する抗体を含む。なぜならば、抗体の天然の環境の少なくとも1つの成分が存在しないからである。しかしながら、通常は、単離抗体は少なくとも1つの精製工程によって調製されえる。モノクローナル抗体並びにその変種及び誘導体は単離抗体と考えられる。
本明細書で用いられる、“アイソタイプ”という用語は、それらの重鎖の定常ドメインのアミノ酸配列を基準にした抗体クラスに適用される。免疫グロブリンには5つの主要なアイソタイプIgA、IgD、IgE、IgG及びIgMが存在し、これらのいくつかはさらにサブクラス、例えばIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1及びIgA2に分類することができる。
【0022】
“狼瘡”はいくつかの疾患又は障害に適用される。“全身性紅斑性狼瘡”(SLE)は、身体の多くの部分に影響を及ぼしえる当該疾患の一形態である。SLEの症状は軽度であることも重篤であることもあり、本明細書で概説される。“円板状紅斑性狼瘡”は慢性の皮膚障害であり、この場合、赤く隆起した発赤が顔面、頭皮又は他の場所に出現する。隆起領域は肥厚し落屑性となることがあり、さらに瘢痕形成を引き起こしえる。発赤は、数日又は数年持続し、再発することがある。円板状狼瘡を示すわずかな割合の患者が後にSLEを発症する。“亜急性紅斑性皮膚狼瘡”は、太陽に暴露された身体部分に出現する皮膚病層に適用される。“薬剤誘発狼瘡”はある種の医薬によって引き起こされる狼瘡の一形態である。症状はSLEのそれと類似し(関節炎、発赤、発熱及び胸痛)、当該薬剤が中止されると症状は典型的には完全に消失する。腎臓及び脳はほとんど巻き込まれない。“新生児狼瘡”は、SLE、ショーグレン症候群の女性又は完全に疾患をもたない女性の新生児に発生しえる稀な疾患であり、母親の血中の自己抗体(抗Ro(SSA)及び抗La(SSB)と称される)によって引き起こされえる。出生時に、赤子は典型的に皮膚発赤、肝臓障害、及び低血球算定を示す。
本明細書で用いられる、“医薬的に許容できる担体”という用語は、任意の標準的医薬担体、例えばリン酸緩衝食塩水溶液、水、及び乳濁液、例えば油/水又は水/油乳濁液、及び種々のタイプの湿潤剤を含む。組成物はまた、安定化剤及び保存料並びに上記記載の担体のいずれかを追加物とともに、それらがin vivoでの使用に許容されえることを条件に含むことができる。担体、安定化剤及びアジュバントの例については以下を参照されたい:Martin Remington's Pharmaceutical Sci. 18th Ed. Mack Publ Co., Easton, PA, 1995;”Physician's Desk Reference”, 58th ed. Medical Economics, Montvale, NJ, 2004。
【0023】
本明細書で用いられる、“選択的に中和する”及び“選択的中和”という用語は、1つ以上の“IFNα”タンパク質サブタイプの生物活性の少なくとも40%を選択的に中和するが、別のIFNαタンパク質サブタイプの少なくとも1つの生物活性は有意には中和しない、単離及び精製抗体(例えばモノクローナル抗体であるが、ただしこれに限定されない)に適用され、この場合、生物活性はMxAプロモーターの活性化又は抗ウイルス活性である。種々のIFNαサブタイプでは機能が異なるので、IFNαの特定の形態を選択的に中和し、特定の機能を制御することは有利である。本発明の1つ以上の抗体はIFNαに特異的であるが、それらはまた、1つ以上のサブタイプに“選択的”であり他のサブタイプに対してはそうではない。1つ以上のIFNαタンパク質サブタイプ、例えばA、2、B2、C、F、G、H2、I、J1、K、4a、4bを選択的に中和するために、例えばDサブタイプ上の抗原性エピトープと有意には交差反応しないIFNα上の1つ以上の抗原性エピトープが、本明細書に開示するように同定、単離、性状決定及び精製された。
本明細書で用いられる、“有意には中和しない”という語句は、指定のIFNαサブタイプの生物活性(又はIFNβの生物活性)の40%未満を中和する抗体に適用され、この場合、生物活性は、本明細書に記載の条件にしたがいMxAレポーター遺伝子アッセイ(RGアッセイ)又は細胞変性効果アッセイ(CPEアッセイ)によって測定される。いくつかの実施態様では、本発明の抗体は、特定のIFNαサブタイプの生物活性の35%、30%、25%、20%、15%、10%、5%、2%を超えて中和せず、又は1%すら超えることなく有意には中和しない。
本明細書で用いられる、“対象者”という用語は、脊椎動物、好ましくは哺乳動物、より好ましくはヒトに適用される。哺乳動物には、げっ歯類、サル、ヒト、飼育動物、ウマ、イヌ、及びネコが含まれるが、ただしこれらに限定されない。
【0024】
従来のSLEの治療は対症性であり、全身的な免疫抑制を誘発する。これらにはグルココルチコイド、シクロホスファミド、アザチオプリン及びミコフェノレートモフェチルが含まれる。それらの有効性は部分的に過ぎず、望ましくない副作用、例えば易感染性の増加は一般的である。したがって、SLE患者で特にIFNαを中和することは、この疾患の病変を制御するために有望な考え方である。pDCによるIFNαの無秩序な大量産生はこの疾患の永続的な繰り返しで重要な役割を果たしているので、特定のMAb封鎖を用いてIFNαの生物活性を中和することによって、病原体に対する有効な免疫応答を立ち上げる患者の能力を損なわない標的誘導性治療薬が提供される。IFNαに対する望ましい候補MAbには以下を含む特別な性状が要求されよう;(i)SLEの病因に密接に関与するヒトIFNαサブタイプのほとんど又は全てに対して作用する能力;(ii)そのようなIFNαサブタイプの生物学的活性を阻止する能力;(iii)IFNβ又はIFNAR阻止に対しては無能;及び/又は(iv)高い親和性。IFNARではなくIFNαの中和はまた、より安全でより特異的な治療薬を提供しえる。なぜならば、このアプローチは、IFNαと同じレセプターを使用するIFNβシグナリング経路の抗ウイルス作用に影響しないであろう。この目的のために、本発明はまた、ヒトIFNαを中和することができる一連のモノクローナル抗体(MAb)を提供する。例えば、これら抗IFNαMAbの2つは、13の組換えIFNαサブタイプの生物活性を、ウイルス感染時に産生される複合IFN混合物の生物活性とともに中和することができる。ある特徴では、本発明は、様々な程度にヒトIFNαを中和する7つのMAbを提供し、そのうちの3つは、13までの組換えIFNαサブタイプ及び複合IFNα混合物を有意に中和する(ともに市場で入手可能な白血球IFN及びインフルエンザ感染PBMC産生上清)。MAbの2つ、ACO-1及びACO-2はまた、マイクロアッセイによってIFNαシグナチャーを示すSLE患者血清の生物活性を一貫して阻止する。ACO-1及びACO-2は、IFNαタンパク質サブタイプD及び1の生物活性を有意には中和しないが、SLE血清のIFNα生物活性は中和するので、これらのサブタイプがSLEの病因に重要な意義を有する蓋然性はきわめて低い。したがって、例えばACO-1及びACO-2のヒト化又は非抗原性(例えば脱免疫化)変種のような抗体を用いてSLEを治療することが所望される。前記抗体はSLEに付随するIFNαサブタイプの生物活性を阻止するが、SLEには顕著には付随しないIFNαタンパク質サブタイプ(D及び1)の生物活性を阻止しない。
【0025】
本発明はまた、インターフェロンアルファ(“IFNα”)タンパク質サブタイプA、2、B2、C、F、G、H2、I、J1、K、4a、4b及びWAから成る群から選択される少なくとも2つのタンパク質サブタイプの生物活性を選択的に中和するが、IFNαタンパク質サブタイプDの少なくとも1つの生物活性は有意には中和しない抗体を提供し、ここで生物活性は、例えばMxAプロモーターの活性化及び/又は抗ウイルス活性である。別の特徴では、本発明は、インターフェロンアルファ(“IFNα”)タンパク質サブタイプA、2、B2、C、F、G、H2、I、J1、K、4a、4b及びWAから選択される少なくとも1つのタンパク質サブタイプの異常発現に付随する疾患又は症状を、IFNαタンパク質サブタイプDの抗ウイルス活性を中和することなく対象者で治療する方法を提供し、前記方法は、本明細書に記載の抗体の1つ以上の有効量を対象者に投与することを含む。そのような抗体の例にはACO-1、ACO-2、ACO-3、ACO-4、ACO-5、ACO-6と称される抗体、及び、前述の抗体のいずれかと同じ又は本質的に同じIFNαエピトープを認識する抗体、又は前述の抗体のいずれかと本質的に同じ又は同じIFNαエピトープを認識する抗体と競合する抗体が含まれるが、ただしこれらに限定されない。好ましくは、前記抗体はモノクローナル抗体である。これらのモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞株のATCC寄託番号は下記に列挙される。したがって、本発明はさらに、ACO-1、ACO-2、ACO-3、ACO-4、ACO-5、ACO-6及びACO-8抗体を発現するハイブリドーマ細胞株を提供する。ある特徴では、前記抗体は、ATCCアクセッション番号PTA-7778を有するハイブリドーマによって産生される抗IFNα抗体と本質的に同じIFNαエピトープと結合する。別の特徴では、前記抗体は、ATCCアクセッション番号PTA-7778を有するハイブリドーマによって産生される抗IFNα抗体と同じIFNαエピトープと結合する。さらに別の特徴では、前記抗体は、ATCCアクセッション番号PTA-7778を有するハイブリドーマによって産生される抗IFNα抗体と本質的に同じ又は同じIFNαエピトープと結合する抗体と競合する。
【0026】
ある特徴では、本発明は、ACO-1、ACO-2、ACO-3、ACO-4、ACO-5及びACO-6から成る群から選択される抗体と本質的に同じIFNαエピトープと結合する抗体を提供する。別の特徴では、本発明は、ACO-1、ACO-2、ACO-3、ACO-4、ACO-5及びACO-6から成る群から選択される抗体と本質的に同じIFNαエピトープに関して競合する抗体を提供する。さらに別の特徴では、本発明は、ACO-1、ACO-2、ACO-3、ACO-4、ACO-5及びACO-6から成る群から選択される抗体と同じIFNαエピトープと結合する抗体を提供する。別の特徴では、本発明は、ACO-1、ACO-2、ACO-3、ACO-4、ACO-5及びACO-6から成る群から選択される抗体と同じIFNαエピトープと結合する抗体と競合する抗体を提供する。本発明は、そのような抗体を発現する細胞株、例えばハイブリドーマを提供する。
別の実施態様では、本発明は、IFNαタンパク質サブタイプA、2、B2、C、F、G、H2、I、J1、K、4a、4b及びWAから成る群から選択される少なくとも3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、11、12、13又は14のIFNαタンパク質サブタイプの生物活性を中和するが、IFNαタンパク質サブタイプDの少なくとも1つの生物活性は中和しない抗体を提供し、ここで前記生物活性は、MxAプロモーターの活性化又は抗ウイルス活性である。
IFNαタンパク質サブタイプ1の少なくとも1つの生物活性を中和しないモノクローナル抗体が提供され、ここで前記生物活性は、MxAプロモーターの活性化及び/又は抗ウイルス活性である。
別の特徴では、本発明は、IFNαタンパク質サブタイプA、2、B2、C、F、G、H2、I、K、4a、4b及びWAの生物活性を選択的に中和するが、IFNαタンパク質サブタイプD及び1の生物活性は有意には中和しないモノクローナル抗体を提供し、ここで前記生物活性は、MxAプロモーターの活性化及び/又は抗ウイルス活性である。他の実施態様はACO-1及びACO-2を含む。
さらに別の特徴では、本発明は、IFNαタンパク質サブタイプA、2、B2、C、I、K、及び4aの生物活性を選択的に中和するが、IFNαタンパク質サブタイプD、F、G、4b及び1の生物活性は有意には中和しないモノクローナル抗体を提供し、ここで前記生物活性は、MxAプロモーターの活性化及び/又は抗ウイルス活性である。そのような実施態様の1つはACO-3細胞によって生成されるACO-3抗体及びその誘導体である。
【0027】
さらに別の特徴では、本発明は、IFNαタンパク質サブタイプA、2、B2及びCの生物活性を選択的に中和するが、IFNαタンパク質サブタイプD、4b及び1の生物活性は有意には中和しない抗体を提供し、ここで前記生物活性は、MxAプロモーターの活性化及び/又は抗ウイルス活性である。そのような実施態様の1つはACO-4細胞及びその誘導体によって生成されるACO-4抗体及びその誘導体である。
別の特徴では、本発明の抗体は、IFNα4aの生物活性を選択的に中和するが、IFNα4bの生物活性は選択的に中和せず、ここで前記生物活性は、MxAプロモーターの活性化である。これらの抗体の例は、ACO-3及びACO-4と称される抗体並びにその誘導体であり、例えばACO-3及びACO-4細胞並びにその誘導体によってそれぞれ生成される。
さらにまた別の特徴では、本発明は、IFNαタンパク質サブタイプA、2、G、I、K、WA及び1の生物活性を選択的に中和するが、IFNαタンパク質サブタイプB及びDの生物活性は有意には中和しないモノクローナル抗体を提供し、ここで前記生物活性は、MxAプロモーターの活性化及び/又は抗ウイルス活性である。そのような実施態様の1つは、ACO-5抗体及びその誘導体であり、例えばACO-5細胞及びその誘導体によって生成される。
さらに追加される実施態様では、本発明は、IFNαタンパク質サブタイプ2及びCの生物活性を選択的に中和するが、IFNαタンパク質サブタイプA、B2、C、D、F及び1の生物活性は中和しないモノクローナル抗体を提供し、ここで前記生物活性は、MxAプロモーターの活性化である。例は、ACO-6細胞及びその誘導体によって生成されるACO-6抗体及びその誘導体である。
さらにまた別の特徴では、本発明は、IFNαタンパク質サブタイプA、2、B2、D、F、I、4a、4b及び1の生物活性を選択的に中和するが、IFNαタンパク質サブタイプC、H2、K及びWAの生物活性は有意には中和しないモノクローナル抗体を提供し、ここで前記生物活性は、MxAプロモーターの活性化である。例は、ACO-8細胞及びその誘導体によって生成されるACO-8抗体及びその誘導体である。
別の特徴では、本発明は、ATCCアクセッション番号PTA-7778を有するハイブリドーマによって産生される抗インターフェロンアルファ(“IFNα”)モノクローナル抗体を提供する。
【0028】
別の特徴では、本発明は、インターフェロンアルファ(“IFNα”)タンパク質サブタイプA、2、B2、C、F、G、H2、I、J1、K、4a、4b及びWAから成る群から選択されるサブタイプについては約350ng/mL未満、より好ましくは約300ng/mL未満、及び/又はサブタイプKについては約400ng/mL未満、より好ましくは約375ng/mL未満の1/2最大有効濃度(half maximal effective concentration)(EC50)で、少なくとも2つのIFNαタンパク質サブタイプの生物活性を選択的に中和する抗体を提供する。1/2最大有効濃度は、利用可能な任意の方法、好ましくは本明細書に記載のRGバイオアッセイを用いて決定することができる。
本発明の抗体分子は、IFNαタンパク質サブタイプに対して高い結合親和性を有しえる(例えばナノモルでの結合)。親和性は、当分野で公知の適切な方法(本明細書の実施例に記載のビアコア(Biacore)アッセイを含む)を用いて測定することができる。好ましくは、親和性は、本明細書の実施例に記載するように組換えIFNα-Aを用いて測定される。本発明の抗体分子は、IFNα-Aに対して約5x10-9M未満の結合親和性を有することができる。又は、本発明の抗体分子は、IFNα-Aに対して約1.5x10-9M未満の結合親和性を有することができる。したがって、ある実施態様では、本発明の抗体分子は、約9x10-9Mと約4x10-10Mとの間の結合親和性を有する。別の実施態様では、本発明の抗体分子は、約5x10-9Mと約1.5x10-9Mとの間の結合親和性を有することができる。
本発明のモノクローナル抗体にはまた、ヒト化抗体、ヒト抗体、キメラ抗体、抗体フラグメント、例えばFabフラグメント、F(ab')2フラグメント、Fab'フラグメント又は当業者に公知の他の任意のフラグメントが含まれる。
さらに別の実施態様では、本発明は、ハイブリドーマ細胞株を作製する方法を提供する。前記方法は、例えば哺乳動物を組換えIFNαサブタイプA、B2及びFを含む組成物で免疫し、前記哺乳動物由来の脾臓細胞をミエローマ細胞株と融合させてハイブリドーマを作製し、さらに、IFNαタンパク質サブタイプ2、C、G、I、J1、K、4a、4b、 WA及び1から成る群から選択される1つ以上のIFNαタンパク質サブタイプを選択的に中和するが、IFNαタンパク質サブタイプDを選択的に中和しないモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞株を同定することによる。
【0029】
本明細書で用いられる、“中和する”という用語は、本明細書に規定するRG、CPE又は単球分化アッセイによって測定したとき、IFNαタンパク質サブタイプの1つ以上の生物学的活性を少なくとも40%阻害する抗体の能力に適用される。例えば、抗体は、IFNαタンパク質サブタイプの生物学的活性の少なくとも50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%又は100%中和する。IFNαの生物学的活性には、MxAプロモーターの転写活性化(例えば下記の“RG”アッセイを参照されたい)、抗ウイルス活性(例えば細胞変性効果(“CPE”)アッセイ)、及び単球を樹状細胞に分化させるSLE血清の能力が含まれる。RGアッセイ及びCPEアッセイを用いる%中和を決定する方法は本明細書に記載される。
本明細書で用いられる、“中和しない”又は“有意には中和しない”という語句は、抗体がIFNαタンパク質サブタイプの生物学的活性の40%未満を中和することに適用され、この場合、添加抗体の中和効果はRG、CPE又は単球分化アッセイによって測定される。例えば、この抗体は生物学的活性の35%未満、又は30%未満、又は25%未満、又は20%未満、又は15%未満、又は10%未満、又は8%未満、又は5%未満、又は3%未満中和し、又は1%未満すら中和しない。
本発明の抗体は、抗体変種、誘導体又はフラグメントでありえる。ある特徴では、抗体は単離される。別の特徴では、抗体は適切な担体と混合される。抗体は、任意の種(マウス、ラット、サル)から単離されるか、組換えにより製造することもできる。マウスのモノクローナル抗体の例は、ACO-1、ACO-2、ACO-3、ACO-4、ACO-5、ACO-6及びACO-8と称される抗体である。本発明により(単独で、担体と組み合わされ、又は培養で)提供されるものはまた、これらのモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞株である。
本発明により提供されるものはまた、抗体、その変種、誘導体又はフラグメントを含むポリペプチド(免疫グロブリン鎖及びCDRを含むが、ただしこれらに限定されない)である。前記ポリペプチドは、好ましくは、同じ又は類似の親和性及び/又は能力で、上記記載のIFNαと結合し、これを阻害し及び/又は中和する。
本発明はさらに、抗体ACO-1からACO-6又はACO-8のいずれかと反応する抗イディオタイプ抗体を提供する。抗イディオタイプ抗体は、単一抗体の固有の決定基に対して作成される抗体である。抗イディオタイプ抗体は、免疫アッセイ及び他の応用で結合抗体の検出に有用である。本発明の抗イディオタイプ抗体は、任意の哺乳動物(例えばヒト、マウス、ウサギ、ラット、げっ歯類、霊長類などであるが、ただしこれらに限定されない)を含むか、又はこれらから誘導することができる。
【0030】
上記抗体の1つ以上を、さらに担体、医薬的に許容できる担体、又は診断若しくは治療方法で前記抗体若しくは関連組成物を使用するために適した医療装置と組み合わせることができる。前記担体は、液相担体又は固相担体、例えばビーズ、ゲル、又は担体分子(例えばリポソーム)でありえる。前記組成物は、場合によって少なくとも1つの更なる化合物、タンパク質又は組成物をさらに含むことができる。“担体”の追加例には、治療的に活性を有する薬剤、例えば別のペプチド又はタンパク質(例えばFab'フラグメント、J-鎖、別の抗体、毒素など)が含まれる。例えば、本発明の抗IFNα抗体、その変種、誘導体又はフラグメントは、1つ以上の分子的実体、例えば別の抗体(例えば二特異的又はマルチ特異的抗体を生成させるため)、サイトトキシン、細胞リガンド又は抗原と(例えば化学的結合、遺伝的融合、非共有結合又は他の方法によって)機能的に連結させることができる。したがって、本発明は、極めて多様な抗体結合物、二特異的及びマルチ特異的分子、並びに融合タンパク質を、それらが本発明の抗体と同じエピトープを標的とするか否かに関係なく包含する。
追加担体の例は、有機分子(改変薬剤とも称される)又は活性化薬剤であり、前記は、本発明の抗体に共有結合的に直接又は間接的に結合される。前記分子の結合は、薬物動態特性(例えばin vivo血清半減期)を改善することができる。有機分子の例には、親水性ポリマー基、脂肪酸基、又は脂肪酸エステル基が含まれるが、ただしこれらに限定されない。本明細書で用いられる、“脂肪酸”という用語は、例えばモノカルボン酸及びジカルボン酸に適用される。本明細書で用いられる、“親水性ポリマー基”という用語は、例えばオクタン中よりも水で溶解性が高い有機ポリマーに適用される。
【0031】
本発明の抗体の改善に適した親水性ポリマーは直鎖でも分枝していてもよく、例えば、ポリアルカングリコール(例えばポリエチレングリコール(PEG)、モノメトキシ-ポリエチレングリコール(mPEG)、ポリプロピレングリコール(PPG)など)、炭水化物(例えばデキストラン、セルロース、オリゴ糖、多糖類など)、親水性アミノ酸のポリマー(例えばポリリジン、ポリアルギニン、ポリアスパルテートなど)、ポリアルカンオキシド(例えばポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシドなど)及びポリビニルピロリドンが含まれる。本発明の抗体と一緒に使用される適切な親水性ポリマーは、別個の分子実体として例えば約800から約150,000ダルトンの分子量を有することができる。親水性ポリマー基は、1つから約6つのアルキル、脂肪酸、又は脂肪酸エステル基で置換されえる。脂肪酸又は脂肪酸エステル基で置換される親水性ポリマーは、適切な方法を用いることにより調製することができる。例えば、アミノ基を含むポリマーは、脂肪酸又は脂肪酸エステルのカルボキシレートと共役させ、脂肪酸又は脂肪酸エステル上で活性化されたカルボキシレート(例えばN,N-カルボニルジイミダゾールで活性化)は、ポリマーのヒドロキシル基と共役させることができる。
本発明の抗体の改善に適した脂肪酸及び脂肪酸エステルは飽和されてあってもよく、又は1つ以上の不飽和ユニットを含んでいてもよい。そのようなものの例には、n-ドデカノエート、cis-δ-9-オクタデカノエート、全てのcis-δ-5,8,11,14-エイコサテトラノエート、オクタン二酸、テトラデカン二酸、オクタデカン二酸、ドコサン二酸などが含まれるが、ただしこれらに限定されない。適切な脂肪酸エステルには、直鎖又は分子低級アルキル基を含む二カルボン酸のモノエステルが含まれる。低級アルキル基は、1から約12、好ましくは1つから約6つの炭素原子を含むことができる。
【0032】
さらに別の特徴では、本発明は、トランスジェニック非ヒト動物、例えばトランスジェニックマウス(本明細書では“ヒトMAbマウス”とも称される)を提供し、前記マウスは、上記に定義した本発明の抗体と類似する、完全にヒトのモノクローナル抗体を発現し、このモノクローナル抗体は少なくとも1つのIFNαタンパク質サブタイプを中和する。具体的な実施態様では、トランスジェニック非ヒト動物はトランスジェニックマウスであり、前記は、本発明の抗アルファV抗体の全て又は部分をコードするヒト重鎖トランスジーン及びヒト軽鎖トランスジーンを含むゲノムを有する。ヒト抗体を生成するために、トランスジェニック非ヒト動物を、INFαタンパク質サブタイプA、B及びFの精製又は濃縮調製物で免疫することができる。トランスジェニック非ヒト動物の例は、例えば、IFNαに対するヒトモノクローナル抗体の多様なアイソタイプ(例えばIgG、IgA及び/又はIgM)を、V-D-J組換え及びアイソタイプスイッチングを経ることによって生成することができるトランスジェニックマウスでありえる。アイソタイプスイッチングは、例えば古典的又は非古典的アイソタイプスイッチングによって生じえる。
したがって、別の実施態様では、本発明は、上記に記載した、ヒト抗体を発現するトランスジェニック非ヒト動物、例えばトランスジェニックマウスに由来する単離細胞又は前記動物から単離した細胞を提供する。続いて、ヒト抗体の供給源(例えばハイブリドーマ)を提供するために、この単離B細胞を不朽化細胞との融合によって不朽化することができる。これらのハイブリドーマはまた本発明の範囲内に含まれる。
本発明はさらに、当分野で公知の及び/又は本明細書に記載の少なくとも1つのIFNα関連症状を細胞、組織、器官、動物及び/又は患者で、及び/又は関連症状の前、その後、又はその最中に診断するために、少なくとも1つの抗体方法又は組成物を提供する。前記はまた、予後診断のため又は疾患の進行を監視するために用いられる。
【0033】
さらにまた提供されるものは、本発明の少なくとも1つの抗IFNα抗体、その変種、誘導体又はフラグメントを含む組成物であり、前記組成物は、当分野で公知の及び/又は本明細書に記載のIFNα付随症状を、細胞、組織、器官、動物及び/又は患者で、及び/又は関連症状の前、その後、又はその最中に調節若しくは緩和するために、又は少なくとも1つのIFNα関連症状を治療するために有効な量で投与するために適している。組成物には例えば医薬及び診断組成物/キットが含まれ、前記は、例えば医薬的に許容できる担体及び本発明の少なくとも1つの抗IFNα抗体、その変種、誘導体又はフラグメントを含む。上記に言及したように、組成物はさらに、最大の治療利益を提供するために適合させた多様な治療方法を併せて提供する、また別の抗体又は治療薬を含むことができる。
また別には、本発明の組成物は、他の治療薬及び細胞傷害性薬剤とともに、それらに結合させるか又は同じ製剤で投与するか否かにかかわらず一緒に投与することができる。それらはそのような薬剤とともに同時に(例えば1つの組成物で又は別個に)投与してもよいし、又はそのような薬剤の投与の前又は後に投与してもよい。そのような薬剤には、コルチコステロイド、非ステロイド系免疫抑制剤、抗マラリア薬、及び非ステロイド系抗炎症薬が含まれえる。組成物は、また別の治療法、例えばコルチコステロイド、非ステロイド系免疫抑制剤、抗マラリア薬、及び非ステロイド系抗炎症薬の投与と組み合わせることができる。
【0034】
別の特徴では、本発明は、インターフェロンアルファ(“IFNα”)タンパク質サブタイプA、2、B2、C、F、G、H2、I、J1、K、4a、4b及びWAから成る群から選択される、少なくとも2つのIFNαタンパク質サブタイプの生物活性を、IFNαタンパク質サブタイプDの少なくとも1つの生物活性を選択的に中和することなく、選択的に中和する方法を提供し、ここで前記生物活性はMxAプロモーターの活性化又は抗ウイルス活性である。前記方法は、前記サブタイプを含むと思われるサンプルを、前記サブタイプを選択的に中和するモノクローナル抗体と接触させることを必要とする。そのような抗体の例には、ACO-1、ACO-2、ACO-3、ACO-4、ACO-5及びACO-6と称される抗体が含まれるが、ただしこれらに限定されない。
本発明によって多様な治療法が提供される。例えば、本明細書は、インターフェロンアルファ(“IFNα”)タンパク質サブタイプA、2、B2、C、F、G、H2、I、K、4a、4b及びWAから成る群から選択される、少なくとも1つのIFNαタンパク質サブタイプの異常な発現に付随する症状を、IFNαタンパク質サブタイプD及び1と結合することなく対象者で緩和する方法を開示し、前記方法は、前記サブタイプを選択的に中和する抗体の有効量を対象者に投与することによる。そのような抗体の例は上記に提供されている。
本発明は、インターフェロンアルファ(“IFNα”)タンパク質サブタイプA、2、B2、C、F、G、H2、I、K、4a、4b及びWAから成る群から選択される、少なくとも1つのIFNαタンパク質サブタイプの異常な発現から生じる疾患又は症状を、IFNαタンパク質サブタイプD及び1と結合することなく対象者で治療する方法を提供し、前記方法は、前記サブタイプを選択的に中和する抗体の有効量を対象者に投与することによる。そのような抗体の例は上記に提供されている。さらに提供されるものは、組換えIFNαサブタイプA、B2及びFを含む組成物を哺乳動物に投与することによって免疫する方法である。別の実施態様では、免疫方法は、本質的にIFNαサブタイプA、B2及びF、医薬的に許容できる担体、及び場合によって1つ以上のアジュバントから成る組成物を哺乳動物に投与することを含む。また別の特徴では、免疫は、IFNαタンパク質サブタイプA、B2及びFを中和するが、IFNαタンパク質サブタイプD及び1を中和しない抗体を生じる。さらに別の特徴では、本方法及び組成物は、IFNα4aを中和するが、IFNα4bは中和しない(例えばACO-3)。
in vivoで使用するために、本発明の抗体及び組成物は、治療的に有効な用量で患者(例えばヒトの対象)に投与又はデリバーされ、選択したIFNαサブタイプを中和する。さらにまた、本発明の抗体又は組成物の有効量を投与又はデリバリーすることによって、IFNα関連症状、例えばSLE、糖尿病、乾癬又はエイズの症状を、抗体をベースにする臨床生成物に適した投与ルートを用いて対象者で治療又は緩和することができる。多くの臨床生成物が当分野で公知であり、例えば注射又は輸液である。
【0035】
投薬形態
本発明の抗体を使用するための投薬ユニットは、単一化合物又は他の化合物とのその混合物でありえる。前記化合物は一緒に混合してもよく、イオン結合又は共有結合さえ形成させることができる。本発明の1つ以上の抗体は、経口、静脈内(ボーラス又は輸液)、腹腔内、皮下、又は筋肉内様式で投与することができる(いずれも製薬業界の業者に周知の投薬形態を用いる)。デリバリーの具体的な場所又は方法にしたがって、種々の投薬形態、例えば錠剤、カプセル、ピル、散剤、顆粒、エリキシル、チンキ剤、懸濁液、シロップ、及び乳濁液を用いて、本明細書に記載のある種のIFNαサブタイプの中和を含む治療法を必要とする患者に本発明の抗体を提供することができる。抗体は一般的には親水性であるが、それらは公知の塩の形態のいずれかとして投与することができる。
抗体は典型的には、意図される投与形態に基づき、さらに通常の医薬的慣行にしたがって適切な医薬用の塩、緩衝剤、膨張剤、賦形剤及び/又は担体(本明細書では包括的に医薬的に許容できる担体又は担体物質と称される)との混合物として投与される。投与にとって最良の場所にしたがって、抗体は、例えば経口、直腸、局所、静脈内注射又は非経口投与用の個々の形態にとって最大及び/又は定常的投与を提供するために処方することができる。抗体、例えばACO-1、ACO-2、ACO-3、ACO-4、ACO-5、ACO-6及びACO-8のヒト化型は、医薬的に許容できる担体中で単独で投与してもよいが、また組み合わせることもできる。担体は、選択した投与のタイプ及び/又は場所にしたがって固体でも液体でもよい。
【0036】
本発明を用いて有用な投薬形体を製造するための技術及び組成物は以下の参考文献の1つ以上に記載されている:Ansel, Introduction to Pharmaceutical Dosage Forms 2nd Edition (1976);Remington's Pharmaceutical Sciences, 17th ed. (Mack Publishing Company, Easton, PA 1985);Advances in Pharmaceutical Sciences (David Ganderton, Trevor Jones, Eds, 1992);Advances in Pharmaceutical Sciences Vol 7.(David Ganderton, Trevor Jones, James McGinity, Eds, 1995);Aqueous Polymeric Coatings for Pharmaceutical Dosage Forms (Drugs and the Pharmaceutical Sciences, Series 36 (James McGinity, Ed. 1989);Pharmaceutical Particulate Carriers: Therapeutic Applications: Drugs and Pharmaceutical Sciences, Vol 61 (Alain Rolland, Ed. 1993);Drug Delivery to the Gastrointestinal Tract (Ellis Horwood Books in the Biological Sciences. Series in Pharmaceutical Technology; J.G. Hardy, S.S. Davis, Clive G. Wilson, Eds.);Modern Pharmaceutics Drugs and the Pharmaceutical Sciences, Vol 40 (Gilbert S. Banker, Christopher T. Rhodes, Eds)など、前記文献の関連部分は参照により本明細書に含まれる。
本発明の抗体は、リポソームデリバリーシステム、例えば小さな単層薄膜小胞、大きな単層薄膜小胞及び多層小胞(荷電であれ又は非荷電であれ)の形で投与することができる。リポソームは1つ以上のリン脂質(例えばコレステロール)、ステアリルアミン及び/又はホスファチジルコリン、その混合物などを含むことができる。
抗体はまた、薬剤担体として又はプロドラッグとして1つ以上の可溶性、生物分解性、生体許容性ポリマーと結合させることができる。そのようなポリマーには以下が含まれる:ポリビニルピロリドン、ピランコポリマー、ポリヒドロキシルプロピルメタクリルアミド-フェノール、ポリヒドロキシエチルアスパルタート-ミデフェノール、又はパルミトイル残基で置換されたポリエチレンオキシド-ポリリジン、前記の混合物など。さらにまた、抗体は1つ以上の生物分解性ポリマーと結合させて、抗体の制御放出を達成することができる。本発明で使用される生物分解性ポリマーには以下が含まれる:ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ乳酸とポリグリコール酸のコポリマー、ポリエプシロンカプロラクトン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステル、ポリアセタール、ポリジヒドロピラン、ポリシアノアシレート、及びヒドロゲルの架橋又は両親媒性ブロックコポリマー、前記の混合物など。
【0037】
鼻道、洞、口、喉、食道、気管、肺、及び肺胞への直接的デリバリーの場合、抗体はまた、適切な鼻内用ベヒクルを使用することにより鼻内用形態としてデリバーすることができる。皮膚及び経皮デリバリーの場合、抗体は、当業者に周知のように、ローション、クリーム、油、エリキシル、血清、経皮用皮膚パッチなどを用いてデリバーすることができる。非経口及び静脈内用形態はまた、選択した注射又はデリバリーのタイプ(例えば緩衝溶液、等張溶液)にそれらを適合させることができるように、医薬的に許容できる塩及び/又は鉱物及び他の物質を含むことができる。抗体の投与に有用な投薬形態の例には以下の形態が含まれえる。
注射用溶液:注射による投与に適切な非経口組成物は、1.5重量%の活性成分を脱イオン水中で攪拌し、さらに例えば10体積%までのプロピレングリコール及び水と混合することによって調製される。溶液は、塩化ナトリウムで等張にし、さらに例えば限外ろ過を用いて滅菌される。無菌的注射用溶液は、必要な量の活性な化合物を、上記に列挙した他の成分を必要に応じて含む適切な溶媒に取り入れ、続いてろ過滅菌することによって調製される。一般的には、分散液は、多様な無菌的活性成分を、基本的な分散媒体を有する無菌的ベヒクルに取り込むことによって調製される。無菌的な注射用溶液を調製するための無菌的粉末の事例では、乾燥粉末の調製に有用な方法には、真空乾燥、噴霧凍結、加熱下の真空乾燥、及び凍結乾燥技術が含まれ、前記技術によって、活性成分+追加される任意の所望成分が先にろ過滅菌されたその溶液から得られる。本発明の抗体は、注射用形態で又は肺若しくは他のデリバリーにより、ミクロ粒子又はナノ粒子としてデリバーされえる。
懸濁物:ある実施態様では、水性懸濁物は、各5mLが例えば0.001−1,000mgの微細に分割された活性成分、200mgのナトリウムカルボキシメチルセルロース、5mgの安息香酸ナトリウム、1.0gのソルビトール溶液、及び食塩水(0.01、0.1、1、5又は10mL)を含むことができるように、投与のために調製されえる。
抗体の有効用量は、再構成に際して、湿潤/乾燥系の場合、約1.0μg/mLから約1000mg/mLの濃度を生じる量を含むことができる。ただし、前記より低い及び高い濃度も有効であり、意図されるデリバリーベヒクルに左右される。例えば、溶液処方物は、経皮パッチ、肺、経粘膜的方法、又は浸透圧若しくはミクロポンプ方法とは異なるであろう。
【0038】
本発明の抗体を含む処方物が本明細書で提供される。本発明の処方物は、本発明の少なくとも1つの抗体及び以下から成る群から選択される保存料を水性希釈液中で混合することを含むプロセスによって調製することができる:フェノール、m-クレゾール、p-クレゾール、o-クレゾール、クロロクレゾール、ベンジルアルコール、アルキルパラベン(メチル、エチル、プロピル、ブチルなど)、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゾエトニウム、デヒドロ酢酸ナトリウム及びチメロサール又はそれらの混合物。水性希釈液中での抗体と保存料の混合は、通常の溶解及び混合方法を用いて実施される。例えば、緩衝溶液中の少なくとも1つの秤量抗体を、所望の濃度の抗体及び保存料を提供するために十分な量の緩衝溶液中で所望の保存料と混合する。この方法の変型は当業者には知られていよう。例えば、成分を添加する順序、別の添加物を用いるか否か、処方物の調製温度及びpHは、いずれも用いられる濃度及び投与方法について最適化することができる因子である。
処方物は、1つ以上の保存料又は安定化剤、例えばフェノール、m-クレゾール、p-クレゾール、o-クレゾール、クロロクレゾール、ベンジルアルコール、亜硝酸フェニル水銀、フェノキシエタノール、ホルムアルデヒド、クロロブタノール、塩化マグネシウム(例えば6水和物)、アルキルパラベン(メチル、エチル、プロピル、ブチルなど)、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゾエトニウム、デヒドロ酢酸ナトリウム及びチメロサール又はそれらの混合物を水性希釈液中に含むことができる。当分野で公知のような適切ないずれの濃度又は混合物も用いることができ、例えば0.001−5%又はその中の任意の範囲若しくは数値、例えば以下(ただしこれらに限定されない)である:0.001、0.003、0.005、0.009、0.01、0.02、0.03、0.05、0.09、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.3、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、又はその中の任意の範囲若しくは値。非限定的な例には以下が含まれる:保存料無し、又は保存料有り、例えば0.1−2%のm-クレゾール(例えば0.2、0.3、0.4、0.5、0.9、1.0%)、0.1−3%のベンジルアルコール(例えば、0.5、0.9、1.1、1.5、1.9、2.0、2.5%)、0.001−0.5%チメロサール(例えば、0.005、0.01)、0.001−2.0%フェノール(例えば0.05、0.25、0.28、0.5、0.9、1.0%)、0.0005−1.0%のアルキルパラベン(例えば0.00075、0.0009、0.001、0.002、0.005、0.0075、0.009、0.01、0.02、0.05、0.075、0.09、0.1、0.2、0.3、0.5、0.75、0.9、及び1.0%)。
【0039】
組成物及び処方物は、透明溶液として又は2個組みバイアルとして(水性希釈液を含む第二のバイアルで再構成される凍結乾燥抗体のバイアルを含む)患者に提供することができる。単一溶液のバイアル又は再構成を要する2個組みバイアルは何度も再使用することができ、シングルサイクル又はマルチサイクルでの患者の治療に十分であり、したがって従来利用可能な治療方式よりも便利な方式を提供することができる。これらの単一バイアル系を含む承認装置には、溶液デリバリー用のペンインジェクター装置が含まれ、例えば、BD Pens、BD Autojectore、HumaJectTM、NovoPenTM、B-DTMPen、AutoPenTM及びOptiPenTM、GenotropinTM、Genotronorm PenTM、Humatro PenTM、Reco-PenTM、Roferon PenTM、BiojectorTM、IjectTM、J-tip Needle-Free InjectorTM、IntrajectTM、Medi-Jectであり、例えばBecton Dickensen社(Franklin Lakes, NJ(bectondickenson.comで入手できる));Disetronic社(Burgdorf, Switzerland(disetronic.com.で入手できる));Bioject社(Portland, Oregon(bioject.comで入手できる));National Medical Products, Weston Medical社(Peterborough, UK(Weston-medical.comで入手できる))、Medi-Ject Corp社(Mineapolis, Minn(Mediject.comで入手できる))により製造又は開発されている。
本発明は、包装材及び少なくとも1つのバイアルを含む製品を提供し、前記バイアルは、少なくとも本発明の抗体溶液を、場合によって水性希釈液で処方された緩衝剤及び/又は保存料とともに含み、この場合、前記包装材は、そのような溶液が、1、2、3、4、5、6、9、12、18、20、24、30、36、40、48、54、60、72時間又はそれより長い期間にわたって保持することができることを示す付箋を有することができる。本発明はさらに、包装材、第一のバイアル及び第二のバイアルを含む製品を含み、前記第一のバイアルは少なくとも1つの本発明の凍結乾燥抗体を含み、第二のバイアルは処方された緩衝剤又は保存料の水性希釈液を含み、前記包装材は、抗体を水性希釈液で再構成して、24時間又はそれより長い時間にわたって維持することができる溶液を作成することを患者に指示する付箋を含む。
【0040】
キット:本発明はまた、例えば疾患の治療に有用な医薬キットを含み、前記キットは、希釈又は再懸濁させて治療的に有効な量の抗体になるように提供することができる医薬組成物を含む、1つ以上の容器を含むことができる。そのようなキットはさらに、所望の場合は、当業者に明白な種々の一般的な1つ以上のキット成分、例えば、1つ以上の医薬的に許容できる担体、液体を含む容器、追加の容器などを含むことができる。投与されるべき成分の量、投与のガイドライン、及び/又は成分を混合するためのガイドラインを示す、印刷された指示(挿入物として又は付箋として)もまたキットに含まれえる。特定した物質及び条件は本発明の実施に重要であるが、特定されなかった物質及び条件も、それらが本発明の利益の認識を妨げないかぎり排除されないことは理解されよう。
抗体:本発明の抗体はモノクローナル抗体を含む。それらはまた、IFNα中和機能を有するフラグメント、抗体誘導体又は抗体変種でもよい。それらはキメラ、ヒト化又は完全にヒト抗体でもよい。抗体の機能的フラグメントにはFab、Fab'、Fab2、Fab'2及び一本鎖変種領域が含まれるが、ただしこれらに限定されない。抗体は、細胞培養で、例えば細菌、酵母、植物若しくは植物細胞、昆虫若しくは昆虫細胞、親核細胞、又は多様な動物(ウシ、ウサギ、ヤギ、マウス、ラット、ハムスター、モルモット、ヒツジ、イヌ、ネコ、サル、チンパンジー、ヒヒなどを含むが、ただしこれらに限定されない)で製造することができる。フラグメント又は誘導体が本発明の抗体として結合特異性又は中和能力を保持するかぎり、前記を用いることができる。抗体は、ある条件セット下で、適切な抗原との結合を無関係の抗原又は抗原混合物との結合と比較することによって特異性について試験することができる。抗体が、無関係の抗原又は抗原混合物との結合よりも、適切な抗原と少なくとも2、5、7及び10倍すら強く結合するならば、前記は特異的であると考えられる。特異性決定のための特異的アッセイ、例えばELISAは以下に記載される。
抗体はまた、IFNαタンパク質サブタイプの1つ以上の生物学的活性を中和するそれらの能力によって特徴付けられる。前記能力は、例えば、MxAプロモーター又はIFNαによって誘発される別のプロモーターの転写活性化、抗ウイルス活性、単球の樹状細胞への分化を引き起こすSLE血清の能力であるが、ただしこれらに限定されない。
【0041】
本発明のモノクローナル抗体は、当分野で公知であり、文献にも詳しく記載されている通常のハイブリドーマ技術を用いて生成することができる。例えば、ハイブリドーマは、適切な不朽細胞株(例えばミエローマ細胞株(例えば、NSO、NS1、NS2、AE-1、L.5、>243、P3X63Ag8.653、Sp2SA3、Sp2MAI、Sp2SS1、Sp2SA5、U397、MLA144、ACTIV、MOLT4、DA-1、JURKAT、WEHI、K-562、COS、RAJI、NIH3T3、HL-60、MLA144、NAMAIWA、NEURO2A、CHO、PerC.6、YB2/Oなどであるが、ただしこれらに限定されない)、ヘテロミエローマ、その融合生成物、又はそれらに由来する任意の細胞若しくは融合細胞)、又は当分野で公知の任意の他の適切な細胞株(例えばwww.atcc.org, www.lifetech.com.などを参照されたい)を、抗体産生細胞と融合させることによって作成される。前記抗体産生細胞は例えば以下である(ただしこれらに限定されない):単離又はクローニングした脾臓、抹消血、リンパ、扁桃又は他の免疫若しくはB細胞含有細胞、又は重鎖又は軽鎖の定常若しくは可変若しくはフレームワーク若しくはCDR配列を発現する任意の他の細胞(前記配列は、内因性又は異種性核酸として発現されるか、組換え若しくは内因性のウイルス、細菌、藻類、原核細胞、両生類、昆虫、爬虫類、哺乳動物、げっ歯類、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ヒツジ、霊長類、真核細胞のゲノムDNA、cDNA、rDNA、ミトコンドリアDNA若しくはRNA、葉緑体DNA若しくはRNA、hnRNA、mRNA、tRNA、一本鎖、二本鎖、三本鎖、ハイブリダイズ鎖など、又はそれらの任意の組合せとして発現される)。抗体産生細胞はまた、ヒト又は問題の抗原で免疫した他の適切な動物の抹消血、又は好ましくは脾臓若しくはリンパ節から入手できる。任意の他の適切な宿主細胞もまた、本発明の抗体、その特定のフラグメント又は変種をコードする異種又は内因性核酸の発現に用いることができる。融合細胞(ハイブリドーマ)又は組換え細胞を、選択的培養条件または他の適切な公知の方法を用いて単離し、制限希釈又は細胞分類又は他の公知の方法によってクローニングすることができる。
【0042】
必須の特異性をもつ抗体を製造又は単離する他の適切な方法(ペプチド又はタンパク質ライブラリーから組換え抗体を選別することを含む(ただし前記に限定されない))を、当分野で公知の方法(U.S. 4,704,692;5,723,323;5,763,192;5,814,476;5,817,483;5,824,514;5,976,862を参照されたい)を利用して用いることができ、前記ライブラリーは、例えばバクテリオファージ、リボソーム、オリゴヌクレオチド、RNA、cDNAなどのディスプレーライブラリー(ただしこれらに限定されない)で、例えば多様な販売業者(例えばCambridge Antibody Technologies(Cambridgeshire, UK)、MorphoSys(Martinsreid/Planegg, Del.)、Biovation(Aberdeen, Scotland, UK)、BioInvent(Lund, Sweden)、及びAntitope(Canbridge, UK))から入手することができる。また別の方法は、当分野で公知であるか、及び/又は本明細書に記載するように、ヒト抗体レパートリーを産生することができるトランスジェニック動物の免疫による方法であり、前記トランスジェニック動物は、例えばSCIDマウス(Nguyen et al. 1977, Microbiol Immunol 41:901-907;Sandhu et al 1966, Crit Rev Biotechnol 16:95-118;Eren et al. 1998, Immunol 93:154-161)である。そのような技術は以下を含む(ただしこれらに限定されない):リボソームディスプレー(Hanes et al. 1997, Proc Natl Acad Sci USA, 94:4937-4942;Hanes et al. 1998, Proc Natl Acad Sci USA, 95:14130-14135);単一細胞抗体産生技術(例えば選別リンパ球抗体法(“SLAM”)(U.S.5,627,052;Wen et al. 1987, J Immunol 17:887-892;Babcook et al. Proc Natl Acad Sci USA 1996, 93:7843-7848);ゲル微小滴及びフローサイトメトリー(Powell et al. 1990, Biotechnol 8:333-337);One Cell System(Cambridge, Mass)(Gray et. al. 1995, J Imm Meth 182:155-163;Kenny et al. 1995, Bio/Technol 13:787-790);B細胞選別(Steenbakkers et al. 1994, Molec Biol Reports 19:125-134)。
【0043】
本発明の抗体変種はまた、本発明の抗体をコードするポリヌクレオチドを適切な宿主細胞にデリバーすることにより、例えばトランスジェニック動物又はそのような抗体をそれらの乳汁中に産生する哺乳動物(例えばヤギ、ウシ、ウマ、ヒツジなど)を提供することにより製造することができる。これらの方法は当分野で公知であり、さらに、例えばU.S. 5,827,690;5,849,992;4,873,316;5,849,992;5,994,616;5,565,362;及び5,304,489に記載されている。
本明細書で用いられる、“抗体変種”という用語は、抗体又はフラグメントの直鎖ポリペプチド配列に対する翻訳後改変に適用される。例えば、U.S. 6,602,684B1は、Fc仲介細胞傷害性が強化された抗体(完全な抗体、抗体フラグメント、又は免疫グロブリンのFc領域と等価の領域を含む融合タンパク質を含む)の改変糖型の生成方法及びそのようにして生成された糖タンパク質について記載している。
抗体変種はまた、本発明のポリヌクレオチドをデリバーして、そのような抗体、特定部分又は変種を、植物部分又はそれらから培養した細胞で産生するトランスジェニック植物及び培養植物細胞(例えばタバコ、トウモロコシ及びアオウキクサであるが、ただしこれらに限定されない)を提供することによって生産することができる。例えば、Cramerら(Curr Top Microbiol Immunol 1999, 240:95-118)及びその中に引用された文献は、例えば誘導性プロモーターを用いる、大量の組換えタンパク質を発現するトランスジェニックなタバコの葉の生産を記載している。トランスジェニックトウモロコシは、商業的生産レベルでの哺乳動物タンパク質の発現に用いられ、それらは他の組換え系で生産されたもの又は天然の供給源から精製されたものと等価の生物活性を有する(例えば以下の文献及びその中に引用された参考文献を参照されたい:Hood et al. Adv Exp Med Biol 1999, 464:127-147)。抗体変種はまた、抗体フラグメント(例えば一本鎖抗体(scFv))を含むトランスジェニック植物(タバコの種子及びジャガイモの塊茎を含む)から大量に生産されている(例えば以下の文献及びその中に引用された参考文献を参照されたい:Conrad et al. 1998, Plant Mol Biol 38:101-109)。したがって、本発明の抗体はまた、公知の方法にしたがって、トランスジェニック植物を用いて生産することができる。
抗体誘導体は、例えば外因性配列を付加して、免疫原性を改変するか、又は結合、親和性、オンレート、オフレート、アビジティー、半減期若しくは他の任意の適切な性状を低下、強化若しくは改変することによって生成することができる。一般的には、非ヒト若しくはヒトCDR配列の部分又は全部を維持し、一方で可変及び定常領域の非ヒト配列がヒト又は他のアミノ酸で置き換えられる。一般的には、CDR残基が、抗原結合に直接的及びもっとも実質的に影響を与える。
【0044】
マウス(又は他の非ヒト動物)で産生されるモノクローナル抗体は、治療で前記動物のMAbに対する抗体をヒトが産生するというリスクを有する。非ヒト抗体は動物MAbの有効性を低下させ、アレルギー反応もまたもたらしえる。この問題は、外来物として認識されない抗体を構築することによって回避しえる。そのような抗体を構築するための方法は当分野で公知であり、しばしば、動物MAbのCDR領域の標的宿主の免疫グロブリン骨格への移植に基づく。もっとも一般的な方法はヒト化であり、これは、動物抗体のCDRをヒト免疫グロブリンフレームワークへの移植によって達成される。いくつかの事例では、動物抗体のフレームワークの数アミノ酸残基が維持されて、抗原結合部位の一体性が保全される。
本発明の抗体のヒト化又は操作は、公知の任意の方法(例えばU.S. 5,723,323;5,976,862;5,824,514;5,817,483;5,814,476;5,763,192;5,723,323;5,766,886;5,714,352;6,204,023;6,180,370;5,693,762;5,530,101;5,585,089;5,225,539;及び4,816,567に記載された方法が含まれるが、ただしこれらに限定されない)を用いて実施することができる。コンピュータモデリング及び可変領域を基準にする抗体のヒト化の方法は当業者には公知である(例えば以下の文献を参照されたい:Tsurushita et al. 2005, Humanized Antibodies and their Applications 36(1):69-83、前記文献は参照により本明細書に含まれる)。
あるヒト化の方法では、動物の全CDRをヒトのフレームワークに移植するのではなく、特異性決定残基(SDR)(抗体-リガンド結合のためにもっとも重要な残基)のみがヒトフレームワークに移植される(Kashniri et al 2005, Humanized Antibodies and their Applications 36(1):25-34、前記文献の内容は参照により本明細書に含まれる)。ヒト化のまた別のアプローチでは、ヒト生殖系列遺伝子セットからヒトフレームワーク配列が、ヒト化されるべき動物のCDRのフレームワークに対するヒトCDRの構造的類似性を基順に選択される(Hwang et al 2005, Humanized Antibodies and their Applications 36(1):35-42、前記文献の内容は参照により本明細書に含まれる)。
【0045】
フレームワークシャッフリングは、合理的設計又は構造情報を必要とすることなくマウス又は他の動物のCDRの機能的な特色を生かすようなヒトフレームワークの同定を可能にするまた別のアプローチである。この方法では、コンビナトリアルFabライブラリーは、全ての公知のヒト生殖系列重鎖及び軽鎖遺伝子を含む対応するヒトフレームワークプールと動物のMAbのCDRとのインフレーム融合によって作製される。続いて、このFabライブラリーを抗原結合についてスクリーニングすることができる。親Mabの軽鎖及び重鎖は、更なる選別プロセスで上手くヒト化させることができる(Dall'Acqua et al 2005, Humanized Antibodies and their Applications 36(1):43-60、前記文献の内容は参照により本明細書に含まれる)。
また別のアプローチ(このアプローチを用いてヒトに使用される少なくとも1つのFDA承認抗体が上手く作製された)では、誘導選別を用いて、げっ歯類からヒト型へのげっ歯類抗体の連続的変遷が、出発のげっ歯類抗体と類似する特徴を有するヒト抗体パネル及びファージ又はリボソームライブラリーの使用により実現されえる(Osbourn et al 2005, Humanized Antibodies and their Applications 36(1):61-68、前記文献の内容は参照により本明細書に含まれる)。このアプローチでは、ヒト抗体パネル又はV領域は、問題の抗原の結合についてスクリーニングされる。得られた抗体は完全にヒト起源である。
部分的に又は完全にヒトの抗体を作製する技術は当分野で公知であり、そのような技術のいずれも用いることができる。ある実施態様にしたがえば、完全にヒトの抗体配列は、ヒトの重鎖及び軽鎖抗体遺伝子を発現するように操作されてあるトランスジェニックマウスで作製される。そのようなトランスジェニックマウスの多様な系統が作製され、それらは種々のクラスの抗体を産生することができる。所望の抗体の持続的な生産のために、所望の抗体を産生しているトランスジェニックマウスのB細胞を融合させてハイブリドーマ細胞株を作製することができる(例えば以下を参照されたい:Russel et al. 2000 (April), Infection and Immunity 1820-1826;Gallo et al. 2000, European J immune 30:534-540;Green 1999, J immune Methods 231:11-23;Yang et al 1999, J Leukocyte Biolgy 66:401-410;Yang 1999, Cancer Res 59(6):1236-1243;Jakobovits 1998 Advanced Drug Delivery Reviews 31:33-42;L. Green and Jakobovits 1998, J Exp Med 188(3):483-495;Jakobovits 1998, Exp Opin Invest Drugs 7(4):607-614;Tsuda et al. 1997, Genomics 42:413-421;Sherman-Gold 1997, Genetic Engineering News 17(14);Mendez et al. 1997, Nature Genetics 15:146-156;Jakobovits 1996, WEIR'S HANDBOOK OF EXPERIMENTAL IMMUNOLOGY, The England Immunology System Vol.IV, 194.1-194.7;Jakobovits 1995, Current Opinion in Biotechnology 6:561-566;Mendez et al 1995, Genomics 26:294-307;Jakobovits 1993, Nature 362(6417):255-258;Jakobovits et al. 1993, Proc Natl Acad Sci USA 90(6):2551-2555;米国特許6,075,181号)。
【0046】
ヒトモノクローナル抗体はまた、非ヒトトランスジェニック動物、例えばトランスジェニックマウスから入手したB細胞を含むハイブリドーマによって生産することができる(前記ハイブリドーマは、不朽化細胞に融合させたヒト重鎖トランスジーン及び軽鎖トランスジーンを含むゲノムを有する)。本発明の抗体はまた、キメラ抗体を作製するため改変することができる。キメラ抗体は、抗体の重鎖及び軽鎖の多様なドメインが2つ以上の種由来のDNAによってコードされる抗体である(例えば米国特許4,816,567号を参照されたい)。
本発明の組換え抗体又はそのフラグメントのいずれも用いることができるが、ただし、それが、インターフェロンアルファ(“IFNα”)タンパク質サブタイプA、2、B2、C、F、G、H2、I、J1、K、4a、4b及びWAから成る群から選択される少なくとも2つのタンパク質サブタイプと特異的に反応することができるが、IFNαタンパク質サブタイプDの少なくとも1つの生物活性は中和しない場合に限られる。抗体はまた、公知のバイオアッセイで測定したときIFNαを中和することができ、前記バイオアッセイは、例えばMxAプロモーターの活性化又は抗ウイルス活性である。そのような抗体の1つは、1つ以上のIFNαサブタイプA、2、B2、C、F、G、H2、I、J1、K、4a、4b及びWAと特異的に反応するが、サブタイプDとは反応しない抗体であり、さらに前記は以下から選択されるCDR、その誘導体又は部分を含む:
配列番号:4のアミノ酸配列を有するVH1;
配列番号:6のアミノ酸配列を有するVH2;
配列番号:8のアミノ酸配列を有するVH3;
配列番号:12のアミノ酸配列を有するVL1;
配列番号:14のアミノ酸配列を有するVL2;
配列番号:16のアミノ酸配列を有するVL3;その誘導体及び組合せ
【0047】
前記抗体はまた、1つ以上のアミノ酸がこれらのアミノ酸配列において欠失、付加、置換及び/又は挿入されてある、IFNαサブタイプA、2、B2、C、F、G、H2、I、J1、K、4a、4b及びWAと特異的に反応する抗体及び/又は抗体フラグメントを含み、それらもまた本発明の範囲内に含まれる。
本発明では、アミノ酸配列中の1つ以上のアミノ酸の欠失、置換、挿入又は付加は、免疫グロブリン骨格中の1つ以上の場所で欠失、置換、挿入及び/又は付加される1つ以上のアミノ酸の改変及び/又は変異に適用される。1つ以上の欠失、置換、挿入及び/又は付加は、同じアミノ酸配列中で同時に生じえる。さらに、置換、挿入又は付加されるアミノ酸残基は天然のものでも非天然のものでもよい。天然のアミノ酸残基の例には、L-アラニン、L-アスパラギン、L-アスパラギン酸、L-グルタミン、L-グルタミン酸、グリシン、L-ヒスチジン、L-イソロイシン、L-ロイシン、L-リジン、L-メチオニン、L-フェニルアラニン、L-プロリン、L-セリン、L-スレオニン、L-トリプトファン、L-チロシン、L-バリン、L-システインなどが含まれる。
置換されえるアミノ酸残基の例は、例えば以下の1つ以上の群内で見出すことができる:
群A:ロイシン、イソロイシン、ノルロイシン、バリン、ノルバリン、アラニン、2-アミノブタン酸、メチオニン、O-メチルセリン、t-ブチルアラニン、シクロヘキシルアラニン;
群B:アスパラギン酸、グルタミン酸、イソアスパラギン酸、イソグルタミン酸、2-アミノアジピン酸、2-アミノスベリン酸;
群C:アスパラギン、グルタミン;
群D:リジン、アルギニン、オルニチン、2,4-ジアミノブタン酸、2,3-ジアミノプロピオン酸;
群E:プロリン、3-ヒドロキシプロリン、4-ヒドロキシプロリン;
群F:セリン、スレオニン、ホモセリン;及び
群G:フェニルアラニン、チロシン。
【0048】
“抗体誘導体”という用語はさらに“直鎖状抗体”を含む。直鎖状抗体を作成する方法は当分野では公知であり、以下の文献に記載されている:Zapata et al. 1995, Protein Eng 8(10):1057-1062。略記すれば、直鎖状抗体は1対のタンデムFdセグメント(VH-CH1-VH-CH1)を含み、前記は1対の抗原結合領域を形成する。直鎖状抗体は二特異的又は一特異的でありえる。
本発明の抗体は組換え細胞の培養から、以下を含む(ただしこれらに限定されない)公知の方法によって回収及び精製することができる:プロテインA精製、硫安又はエタノール沈殿、酸抽出、陰イオン又は陽イオン交換クロマトグラフィー、ホスホセルロースクロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー及びレクチンクロマトグラフィー。高速液体クロマトグラフィー(“HPLC”)もまた精製に用いることができる。
本発明の抗体には、天然の状態で精製された製品、化学的な合成方法の製品、及び組換え技術により真核細胞宿主(例えば酵母、高等植物、昆虫及び哺乳動物細胞)から、また別には原核細胞から上記の記載のように製造された製品が含まれる。
本発明のいくつかの特徴では、検出のために又は治療のために抗体を標識することは有用であろう。これらの物質に抗体を結合させる方法は当分野では公知である。単なる例示を目的とすれば、抗体は、検出可能な成分(例えば放射性原子、発色団、蛍光団など)で標識することができる。そのような標識抗体は、in vivo又は単離された被検サンプルでの診断技術のために用いることができる。抗体はまた、例えば医薬用物質(例えば化学療法剤又は毒素)と結合させることができる。それらは、サイトカインと、リガンドと、また別の抗体と連結することができる。抗体と結合させて抗腫瘍作用を達成するために適切な薬剤には、サイトカイン、例えばインターロイキン2(IL-2)及び腫瘍壊死因子(TFN);光感作物質(光力学療法に使用される)、アルミニウム(III)フタロシアニンテトラスルホネート、ヘマトポルフィリン及びフタロシアニンを含む;放射性核種、例えばヨウ素-131(131I)、イットリウム-90(90Y)、ビスマス-212(212Bi)、ビスマス-213(213Bi)、テクネチウム-99m(99mTc)、レニウム-186(186Re)及びレニウム-188(188Re);抗生物質、例えばドキソルビシン、アドリアマイシン、ダウノルビシン、メトトレキセート、ダウノマイシン、ネオカルジノスタチン及びカルボプラチン;細菌性、植物性及び他の毒素、例えばジフテリア毒素、シュードモナス外毒素A、スタフィロコッカス腸毒素A、アブリンA毒素、リシンA(脱グリコシル化リシンA及び天然リシンA)、TGF-αトキシン、チャイニーズコブラ(ナジャ・ナジャ・アトラ(naja naja atra))、及びゲロニン(植物毒素);植物、細菌及び菌類由来リボソーム不活化タンパク質、例えばレストリクトシン(アスペルギルス・レストリクツス(Aspergillus restrictus)によって産生されるリボソーム不活化タンパク質)、サポリン(サポナリア・オフィシナリス(Saponaria officinalis)由来のリボソーム不活化タンパク質)及びRNase;チロシンキナーゼ阻害物質;ly207702(二フッ素化プリンヌクレオシド);抗嚢胞性薬剤(例えばアンチセンスオリゴヌクレオチド、毒素をコードするプラスミド、メトトレキセートなど)を含むリポソーム;及び他の抗体又は抗体フラグメント、例えばF(ab)が含まれる。
【0049】
有機分子と共有結合した抗体を含む調製物に関しては、それらは、適切な方法、例えば1つ以上の改変剤との反応によって調製することができる。そのようなものの例には、改変及び活性化基が含まれる。本明細書で用いられる、“改変剤”は、活性化基を含む適切な有機基(例えば親水性ポリマー、脂肪酸、脂肪酸エステル)に適用される。これらの適切な例は上記で提供される。“活性化基”は、適切な条件下で、第二の化学作用を示す基と反応し、それによって改変剤と第二の化学作用基との間に共有結合を形成することができる化学作用を示す成分又は官能基である。そのようなものの例は、親電子基、例えばトシレート、メシレート、ハロ(例えばクロロ、ブロモ、フルオロ、ヨード)、N-ヒドロキシスクシンイミジルエステル(NHS)などである。チオールと反応することができる活性化基には、例えばマレイミド、ヨードアセチル、アクリロリル、ピリジルジスルフィド、5-チール-2-ニトロ安息香酸チオール(TNB-チオール)などが含まれる。アルデヒド官能基は、アミド-又はヒドラジド-含有分子と結合し、アジド基は三価のリン基と反応してホスファアミド又はホスファイミド結合を形成することができる。活性化基を分子内に導入する適切な方法は当分野で公知である(例えば以下を参照されたい:Hermanson, 1996, Bioconjugate Techniques, Academic Press: San Diego, Calif)。活性化基は、有機基と直接結合させるか(例えば親水性ポリマー、脂肪酸、脂肪酸エステル)、又はリンカー成分(例えば二価C1−C12基(1つ以上の炭素原子がヘテロ原子、例えば酸素、窒素又は硫黄によって置換されえる)を介して結合させることができる。適切なリンカー成分には、例えばテトラエチレングリコールが含まれる。リンカー成分を含む改変剤は、例えばモノ-Boc-アルキルジアミン(例えばモノ-Boc-エチレンジアミン、モノ-Boc-ジアミノヘキサン)を脂肪酸と1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)の存在下で反応させ、遊離アミンと脂肪酸カルボキシレートとの間にアミド結合を形成することによって生成することができる。Boc保護基は、記載のように別のカルボキシレートと共役させることができる第一アミンを露出させるためにトリフルオロ酢酸(TFA)で処理することによって前記生成物から除去するか、又は無水マレイン酸と反応させ生じた生成物を環状化させて、脂肪酸の活性化マレイミド誘導体を生成してもよい。
本発明の改変抗体は、ヒト抗体又は抗原結合フラグメントを改変剤と反応させることによって生成することができる。例えば、アミン反応性改変剤、例えばPEGのNHSエステルを利用することによって、有機成分を抗体に位置非特異的態様で結合させることができる。改変ヒト抗体又は抗原結合フラグメントはまた、抗体又は抗原結合フラグメントのジスルフィド結合(例えば鎖内ジスルフィド結合)を還元することによって調製することができる。続いて、還元抗体又は抗原結合フラグメントをチオール反応性改変剤と反応させて、本発明の改変抗体を生成することができる。本発明の抗体の特定の位置に有機成分が結合されている改変ヒト抗体又は抗原結合フラグメントは、適切な方法、例えば逆タンパク質分解を用いて調製することができる(一般的には以下を参照されたい:Hermanson 1996, Bioconjugate Techniques, Academic Press: San Diego, Calif.)。
【0050】
タンパク質及びポリペプチドの調製及び単離:ポリペプチド及びタンパク質は、本発明の多様な方法で必要な成分である。例えば、組換え抗体、その変種、誘導体及びフラグメントは、市場で入手できる自動ペプチド合成装置、例えばPerkin Elmer/Applied Biosystems社によって製造されたもの、モデル430A又は431A(Foster City, CA, USA)を用いて化学合成によって入手することができる。合成したタンパク質又はポリペプチドを沈殿させ、さらに例えば高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって精製することができる。また別には、タンパク質及びポリペプチドは、上記に記載の宿主細胞及びベクター系を用い、本明細書に記載する公知の組換え方法によって入手することができる。それらは天然に存在するタンパク質の酵素消化又は切断によってもまた調製することができる。
タンパク質及びペプチドは、クロマトグラフィー(例えばイオン交換、アフィニティー及びサイジングカラムクロマトグラフィー)、遠心沈殿、弁別的溶解性、又はタンパク質精製のための他の任意の標準的技術を含む標準的方法によって単離又は精製することができる。また別には、アフィニティータグ、例えばhexa-His(Invtrogen)、マルトース結合ドメイン(New England Biolabs)、インフルエンザコート配列(Kolodziej et al. 1991, Methods Enzymol 194:508-509)、及びグルタチオン-S-トランスフェラーゼを本発明のペプチドに結合させ、適切なアフィニティーカラムを通過させることにより容易な精製を可能にすることができる。単離ペプチドはまた、タンパク質分解、核磁気共鳴、及びX-線結晶解析のような技術を用いて物理的に性状を決定することができる。
改変は、特性が変化したペプチドを提供するためにいずれのペプチドに対しても実施できることは周知である。本発明で使用されるペプチドは、非天然のアミノ酸を含むように改変することができる。したがって、本ペプチドは、D-アミノ酸、D-及びL-アミノ酸の組合せ、及び多様な“デザイナー”アミノ酸(例えばβ-メチルアミノ酸、C-β-メチルアミノ酸、及びN-α-メチルアミノ酸など)を含み、特殊な特性をペプチドに伝達することができる。
さらに別の実施態様では、有用な化学的及び構造的特性を伝達するペプチドサブユニットが選択されるであろう。例えば、D-アミノ酸を含むペプチドは、L-アミノ酸特異的プロテアーゼに対してin vivoで耐性を示すことができる。D-アミノ酸を有する改変化合物は、逆向きに並べたアミノ酸を用いて合成し、retro-inversoペプチドとして本発明のペプチドを生成することができる。さらにまた、本発明は、より特定された構造特性を有するペプチドの調製、並びに新規な特性を有するペプチドの調製を目的とするペプチド模倣体及びペプチド模倣結合(例えばエステル結合)の使用を意図する。別の実施態様では、還元ペプチド結合(すなわちR1-CH2NH-R2、式中R1及びR2はアミノ酸残基又は配列である)を含むペプチドを生成することができる。還元ペプチド結合は二ペプチドサブユニットとして導入することができる。そのような分子は、ペプチド結合の加水分解(例えばプロテアーゼ活性)に対して耐性を有しよう。そのような分子は、ペプチドに固有の機能及び活性、例えば代謝性分解又はプロテアーゼ活性に対する耐性によるin vivoでの半減期の延長を提供しよう。さらにまた、ある種の系では拘束されたペプチドは機能的活性の強化を示すことが知られており(Hruby 1982, Life Sciences 31:189-199及びHruby et al. 1990, Biochem J 268:249-262)、本発明は全ての他の位置でランダム配列を含む拘束ペプチドを生成する方法を提供する。
【0051】
IFNα生物学的活性のアッセイ:
単球の分化:活性化T及びBリンパ球の生成は、抗原提示細胞(“APC”)の補充及び成熟を必要とする。これらのAPCにはB細胞、単球/マクロファージ、及び樹状細胞が含まれる。SLE患者の血清はIFNαを含み、前記はDCを活性化し、活性化された活性はポリクローナル又はモノクローナル抗体調製物で阻止することができる。この活性を検出及び定量する方法は学術文献及び特許文献に記載されている(例えば、特許公開公報US2004/0067232A1の[0136]から[0150]までのパラグラフを参照されたい)。
MxAプロモーターの活性化:MxAプロモーターを活性化するIFNαの能力及びこの活性を阻止する本発明の抗IFNαモノクローナル抗体の能力を、レポーター遺伝子アッセイを用いて測定することができる。このアッセイでは、MxAプロモーターは、レポーター遺伝子、例えばクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)又はルシフェラーゼ(luc)、好ましくはルシフェラーゼに融合されている。CAT及びルシフェラーゼのアッセイは当業者には公知である。好ましくは、MxAプロモーターの活性は、MxAプロモーター/レポーター遺伝子融合構築物で安定的に形質転換したA549細胞で測定される。A549細胞は、ATCCから入手可能な肺癌細胞株である(製品番号CC1-185)。MxA(別名Mx1)プロモーターはヒト、マウス又はラット由来でもよい。ヒトMxAプロモーターの配列及び構造はGenbankアクセッション番号X55639で開示されている(Chang et al. 1991, Arch Virol 117:1-15;及びRonni et al 1998, J Interferon Cytokine Res, 18:773-781)。ヒトMxAプロモーター/ルシフェラーゼ融合構築物及びルシフェラーゼアッセイは米国特許出願20040209800及びRosmorducら(J Gen Virol, 1999, 80:1253-1262)に開示されている。ヒトMxAプロモーター/CAT融合構築物及びCATアッセイはFernandezら(J Gen Virol, 2003, 84:2073-2082)及びFrayら(J Immunol Methods, 2001, 249:235-244)に開示されている。マウスMxA(Mx1)プロモーターは、Genbankアクセッション番号M21104で開示されている(Hug et al. 1988, Mol Cell Biol 8:3065-3079;及びLleonart et al. 1990, Biotechnology 8:1263-1267)。マウスMxAプロモーター/ルシフェラーゼ融合構築物及びルシフェラーゼアッセイは、Canosiら(J Immunol Methods 1996, 199:69-67)に開示されている。
【0052】
実施例
材料と方法
ヒトIFNαの供給源:
組換えIFN-αサブタイプタンパク質は、PBLバイオケミカルラボラトリーズ(Biomedical Laboratories)(PBL)から入手した。サブタイプ及び製造業者により決定された比活性は以下を含んでいた:IFNα-A(3.8x108 U/mg);IFNα-2(2.77x108 U/mg);IFNα-B2(4.63x108 U/mg);IFNα-C(2.31x108 U/mg);IFNα-D(7.5x107 U/mg);IFNα-F(3.6x108 U/mg);IFNα-G(2.33x108 U/mg);IFNα-H2(1.05x108 U/mg);IFNα-I(1.4x108 U/mg);IFNα-J1(2.6x108 U/mg);IFNα-K(1.48x108 U/mg);IFNα-1(1.4x108 U/mg);IFNα-4a(2.12x108 U/mg);IFNα-4b(1.8x108 U/mg);IFNα-WA(2.4x108 U/mg);IFNβ(8.23x107 U/mg)。白血球IFN(I-2396, Lot# 111K1603)はシグマ(Sigma)から購入した。
PBMC-flu上清(PBMC-flu)(前記はヒトIFNαサブタイプの複合混合物を含む)は、バッフィーコート由来のヒトPBMCにインフルエンザA/PR/8/34(H1N1)(Charles River Laboratories, Lot# 4XPR011022)を1 HAU/pDCのウイルス力価で感染させることによって当研究室で調製した。具体的には、PBMC(抹消血単球細胞)は、フィコール(Ficoll)上で遠心し、PBMC含有境界面を採取することにより得られた。FACS染色/分析を実施して、形質細胞様DCの存在を確認し、PBMC内のそれらのパーセンテージを決定し、さらにLin、CD3、CD14、CD16、CD19、CD56、CD123、HLA-DR及びCD11cに特異的な蛍光結合抗体(BD Pharmingen)で染色した。pDCの性状は、CD14陰性、CD11c陰性及びCD123陽性と判定された。fluウイルスストック(特定病原体陰性鶏供給;Influenza A/PR/8/34(H1N1)(Cat.# 490710; Lot # 4XPR011022)、0.05mL当たりの最終HA力価:1:16,777,216;Charles River Laboratories, Conneticut, USA)をRPMI培養液(RPMI+10%FCS+L-グルタミン)で1000 HAU/μL(ヘマグルチニン単位/μL)に希釈した。必要な希釈ウイルスの体積は、精製PBMC中のpDCの割合を基準にし、少なくとも1HAU/pDCである(すなわち各ウェルは1x106のPBMCを含むべきで、0.3%のpDCがあるならば、各ウェルは3000pDCを含むであろう。当該事例では、1000HAU/μLのウイルスの4−5μLが各ウェルに添加されるであろう)。
バッフィーコートから調製したPBMCを900rpmで10分遠心し、RPMI+10%FCS+L-グルタミンに5,000細胞/μLで再懸濁した(これは200μLの体積中に1x106細胞/ウェルを提供するであろう)。細胞+fluウイルスを96ウェルのU底プレートに撒き、37℃+5%CO2で24時間インキュベートした。24時間のインキュベーション後に、細胞はウェルの底にペレットを形成し、クラスターを形成した。ウェルの底の細胞ペレットを避けて注意深く上清をピペット操作で採取した。一緒にした上清を50mLの円錐管で900rpmにて10分遠心して、全ての残留細胞及び他の培養屑を沈殿させた。PBMC-flu上清(IFNαの複合混合物を含む)をプールし、0.5mLずつ-80℃で使用まで保存した。
【0053】
細胞変性効果(CPE)阻害アッセイ:
CPEの材料:ダルベッコー改変イーグル培養液(DMEM)“コンプリート”:フェノールレッド含有DMEM+10%FCS+2mMのL-グルタミン+ペニシリン+ストレプトマイシン+β-2-メルカプトエタノール(β-me)、96-ウェル平底組織培養プレート、A549細胞(ATCC CCL-185);これらの細胞はハムF12K培養液+10%FCS+2mMのL-グルタミン+ペニシリン+ストレプトマイシン+500−800μgのG418、1xPBS、1xトリプシン、“イントロン(Intron)A”(IFNα-2b、Schering-Plough)コントロール、試験サンプル(SLE血清、組換えIFNαサブタイプ)+/−ハイブリドーマ上清又は購入ポリクローナル/モノクローナル抗体調製物、EMCウイルスストック(Vero細胞組織培養に順化させたネズミ脳心筋炎ウイルス(EMCV)から調製;このウイルスストックについてのATCC製品番号はVR-129B、Vero細胞についての製品番号はCCL-81)。
クリスタルバイオレットストック溶液:1.25mgのNaCl+3.75mgクリスタルバイオレット+775mLホルムアルデヒド/エタノール溶液(75mLのホルムアルデヒド、750mLの95%エタノール及び1500mLの蒸留水により調製)を20分攪拌し、続いて0.45ミクロンのフィルターでろ過し、3ヶ月を超えない期間保存した。クリスタルバイオレットの作業用溶液は、ストック溶液をホルムアルデヒド/エタノール溶液で1:10に希釈することにより調製した。クリスタルバイオレット溶液は室温で保存した。
CPEの方法:細胞変性効果(CPE)阻害アッセイの模式図は図1に示されている。CPEアッセイは96ウェルの平底プレートで3組ずつのウェルで実施した。各アッセイタイプについて、種々の濃度のイントロンA(Schering-Plough)サンプルを含む陽性コントロールウェル、及び細胞+培養液のみを含む陰性コントロールを取り入れることは有用であった。付着性A549細胞は、培養液を除去し、PBSで1回洗浄し、トリプシン消化することによってフラスコから採取した。トリプシン消化は、フラスコにDMEM“コンプリート”を添加することによって停止させた。トリプシン消化細胞をフラスコから採集し、遠心し、再懸濁して計測した。それらの濃度を600,000細胞/mLにコンプリートDMEMで調整した。アッセイのためのウェルの体積は150μL(ウイルス添加前)及び200μL(ウイルス添加後)であった。体積の50μLは細胞であり、15,000細胞が各ウェルに添加された(300,000細胞/mLの細胞懸濁液の50μL)。
組換えIFNαによるウイルス阻害アッセイ:種々の濃度のIFNα溶液(DMEMコンプリート)の100μLを3組ずつのウェルに添加した。50μLの細胞を添加し、37℃+5%CO2で5時間インキュベートした。前記時間の後で、ストックから50倍希釈した50μLのEMCウイルスを添加し、37℃+5%CO2で48時間インキュベートを継続させた。
SLE血清によるウイルス阻害アッセイ:50μL(例えば無希釈)又は25μL(例えば2x希釈)のSLE血清を3組ずつのウェルに添加した。体積は、FCSを含まないDMEMを添加することによって100μLに調整し(注記:このアッセイを用いウェルにいずれかのタイプの血清サンプルを添加するときはいつでも、FCSを含まないDMEMを用いた)、続いて50μLの細胞を添加し37℃+5%CO2で4時間インキュベートした。前記時間の後で、ストックから50倍希釈した50μLのEMCウイルスを添加し、37℃+5%CO2で48時間インキュベートを継続させた(前記50倍の希釈濃度は、我々の調製物では48時間で全細胞を死滅させることができる最低量のストックと決定された)。
PBMC-flu上清によるウイルス阻害アッセイ:PBMC-flu上清の50μL(例えば無希釈)又は連続希釈を3組ずつのウェルに添加した。各ウェルの体積は、FCSを含むDMEMを添加することによって100μLに調整し、続いて50μLの細胞を添加し37℃+5%CO2で4時間インキュベートした。前記時間の後で、ストックから50倍希釈した50μLのEMCウイルスを添加し、37℃+5%CO2で48時間インキュベートを継続させた。
市販のAb、マウス血清、又は融合上清を用いた、組換えIFNα、SLE血清又はPBMC-flu上清によるウイルス阻害の抗体仲介阻止をアッセイするために、(i)50μLの市販のポリクローナル又はモノクローナルAb調製物を含むDMEM(FCS無し);(ii)50μLのマウス血清;又は(iii)50μLのハイブリドーマ上清のいずれかを添加して、この時点で各ウェルの全体積を100μLにした。このプレートを37℃+5%CO2で1.5から2時間インキュベートした。50μLの細胞を各ウェルに添加し37℃+5%CO2で5時間インキュベートした。前記時間の後で、ストックから50倍希釈した50μLのEMCウイルスを添加し、37℃+5%CO2で48時間インキュベートを継続させた。
上記CPEアッセイで48時間のインキュベーション時間の後で、全ての培養液をウェルからマルチチャネルピペットで注意深く取り出した。50μLのクリスタルバイオレットを添加し、4−6分染色した。クリスタルバイオレットを注意深く取り除き、200μLの蒸留水を添加し、直ちに取り出した。少なくとも30分間プレートを乾燥させ、続いてELISAプレートリーダーにて570nmのODで読み取りを行った。
阻止パーセンテージ(実験に加えたコントロール抗体又はハイブリドーマ上清に含まれる抗体のIFNα仲介抗細胞死を阻害する能力を基準にする)を得るために、 “陰性コントロール”(IFNα組換え体、SLE血清、又はPBMC-flu上清+細胞+ウイルス)を100%生存率(0%細胞死)、及び“陽性コントロール”(細胞+ウイルスのみ)を0%生存率(100%細胞死)として、マッキントッシュ用Prism4.0、ヴァージョン4.0Aソフト(GraphPad Software, Inc., San Diego, CA)及びノーマライズアルゴリズムを用いてデータを標準化し、全ての値をコントロールに対するパーセンテージに調整した。
【0054】
レポーター遺伝子(RG)アッセイ:
RGの材料:ダルベッコー改変イーグル培養液(DMEM)、フェノールレッド又は補充物質無し;ダルベッコー改変イーグル培養液(DMEM)“コンプリート”、フェノールレッド含有DMEM+10%FCS+2mMのL-グルタミン+ペニシリン+ストレプトマイシン+2-me(β-me);FCSを除き上記に列挙した全てを含むように調製したダルベッコー改変イーグル培養液(DMEM);ViewPlate-96、白色、組織培養処理(PerkinElmer Life Sciences);93D7細胞(I型IFN誘導性MxAプロモーターによって駆動されるルシフェラーゼを発現させるためにトランスフェクトしたA549);これらの細胞はハムF12K培養液+10%FCS+2mMのL-グルタミン+ペニシリン+ストレプトマイシン+500−800μgのG418で培養される;1xPBS;1xトリプシン、“イントロンA”(IFNα-2b、Schering-Plough)コントロール;試験サンプル(SLE血清、組換えIFNαサブタイプ)+/−ハイブリドーマ上清又は購入ポリクローナル/モノクローナル抗体調製物;ブライトライト(商標)(BriteliteTM)ルミネセンスレポーター遺伝子アッセイキット(PerkinElmere Life Sciences)。
RGの方法:ルシフェラーゼによるレポーター遺伝子アッセイを、抗IFNαMAbが組換えIFNαサブタイプ、白血球IFN及びPBMC-fluの生物活性を中和する能力を判定するために利用した。RGアッセイの模式図は図1に示されている。93D7細胞(A549細胞株(CLL-185, ATCC)のIFN-誘導性構築物(MxAプロモーター/ルシフェラーゼ融合物)による安定なトランスフェクションによって誘導された)は、Dr. Guenther Adolf(Boehringer-Ingelheim GmbH, Austria)の好意により提供された。MxAプロモーター/luc融合ベクターは、pSP64-Mxp(PstI-PvuII)-rβglo(Lleonart et al. 1990, Biotechnology 8:1263-1267)から切り出され、ルシフェラーゼコード配列の上流に挿入されたネズミMxAプロモーター及びIFN応答エレメントを含む1.6KbのBamHIフラグメントを含んでいる。
RGアッセイは、不透明な96-ウェルの平底プレート(ViewPlatesTM, 白色壁、透明底;PerkinElmer)で3組ずつのウェルで実施した。各アッセイタイプについて、種々の濃度のイントロンA(Schering-Plough)サンプルを含む陽性コントロールウェル及び細胞+培養液のみを含む陰性コントロールウェルを取り入れることが好ましい。
具体的には、付着性93D7細胞は、培養液を除去し、PBSで1回洗浄し、トリプシン消化することによってフラスコから採取した。トリプシン消化は、フラスコにDMEM“コンプリート”を添加することによって停止させた。細胞をフラスコから採集し、遠心し、再懸濁して計測した。それらの濃度を600,000細胞/mLにコンプリートDMEMで調整した。
免疫マウス由来血清、ハイブリドーマ上清、又は精製抗IFNαMAbを、組換えIFNサブタイプ、白血球IFN又はPBMC-fluとともに、100μL/ウェルの体積中にて37℃+5%CO2で1.5時間プレインキュベートし、その後、93D7細胞(600,000細胞/mLの細胞懸濁液の50μL=30,000細胞)を各ウェルに添加し、さらに5時間インキュベーションを続けた。アッセイのためのウェルの最終体積は150μLであった。続いてBriteliteTMルミネセンスレポーター遺伝子系(PerkinElmer)を用いてアッセイをデベロップさせ、ウォラック・マイクロベータトリラックス(商標)(Wallac Microbeta TriluxTM)シンチレーションカウンター及びルミネセンスカウンターで基質添加後15分以内に読み取りを行った。
組換えIFNαによるMxA誘発アッセイ:IFNαの溶液(DMEMコンプリート)中の濃度は、各ウェルに加えられるべき量を100μL中に含むように調整した。100μLのIFNαを3組ずつのウェルに入れ、続いて50μLの細胞を添加し、37℃+5%CO2で5時間インキュベートした。
SLE血清によるMxA誘発アッセイ:50μL(例えば無希釈)又は25μL(例えば2x希釈)のSLE血清を3組ずつウェルに添加した。ウェル当たりの体積は、FCSを含まないDMEMを添加することによって100μLに調整し(注記:このアッセイを用いウェルにいずれかのタイプの血清サンプルが添加されるときはいつでも、FCSを含まないDMEMが用いられるであろう)、続いて50μLの細胞を添加し37℃+5%CO2で5時間インキュベートした。
PBMC-flu上清によるMxA誘発阻止のアッセイ:PBMC-flu上清の50μL(例えば無希釈)又は連続希釈を3組ずつウェルに添加した。各ウェルの体積は、FCSを含むDMEMを添加することによって100μLに調整し、続いて50μLの細胞を添加し37℃+5%CO2で5時間インキュベートした。
市販Ab、マウス血清、又は融合上清を用いた組換えIFNα、SLE血清又はPBMC-flu上清によるMxA誘発の阻止についてのアッセイ:所望の希釈の組換えIFNα、SLE血清又はPBMC-fluの50μLを各ウェルに添加した。(i)50μLの市販のポリクローナル又はモノクローナル抗体調製物を含むDMEM(FCS無し);(ii)50μLのマウス血清;又は(iii)50μLのハイブリドーマ上清のいずれかを各ウェルに添加して、各ウェルの全体積を100μLにした。このプレートを37℃+5%CO2で1.5時間インキュベートした。前記時間の後で、50μLの細胞を添加し、37℃+5%CO2で5時間インキュベートを継続させた。
BriteliteTMキット試薬/デベロッピング試薬(基質バイアル、基質緩衝液、無着色DMEM)をアッセイデベロップメントの40分前に室温にセットした。プレデベロップメント30分で、アッセイプレートを室温に置いた。プレデベロップメント10分で、凍結乾燥基質を緩衝液で再構成した(10mL/バイアル)。
5時間のインキュベーション時間の後で、全ての培養液をウェルからマルチチャネルピペットを用いて注意深く取り出した。次に、接着性白色ブロックをビュープレート(商標)(ViewPlateTM)の底に固定した。90μLのDMEM(フェノールレッドを含まない)を各ウェルに添加した。90μLの再構成BriteliteTM試薬を各ウェルに添加し、吸上げ噴出しのピペット操作を2回繰り返して(ただしウェルの内容物をウェルの側面にはね散らしたり、又は気泡を生じたりすることがないようにする)試薬と培養液との完全な混合を担保した。前記操作は迅速に、ただし可能なかぎり正確に実施した。このプレートを透明な接着性密閉シートで密閉した。1分をはるかに超えるが15分は超えない時間内に、Wallac Microbeta TriluxTMを用いてプレートのルミネセンス強度を読み取った。
阻止パーセンテージを得るために(取り入れたコントロール抗体又はハイブリドーマ上清に含まれる抗体のMxA-ルスフェラーゼ誘発を無効にする能力を基準にする)、“陽性コントロール”(IFNα組換え体、SLE血清、又はPBMC-flu上清+細胞)を100%IFNα活性、及び“陰性コントロール”(培養液に細胞のみ)を0%IFNα活性として、Prismソフトウェア(GraphPad Software, Inc., San Diego, CA)及びノーマライズアルゴリズムを用いてデータを標準化し、全ての値をコントロールに対するパーセンテージに調整した。
【0055】
実施例:1免疫及びモノクローナル抗体細胞株の選別
IFNα MAb作製の作業経路図は図2に示されている。5匹の6−8週齢のBalb/c雌マウス(Harlan)のグループを、MPL(商標)+TDMエマルジョン(Sigma #M6536)中のそれぞれ5−10μgの天然の白血球IFNα(I-2396, Lot#111K1603, Sigma)及び/又は組換えタンパク質カクテル(各々5−10μgの3つの組換えIFNαサブタイプA、B2及びF(PBL Biomedical Labortories(“PBL”)から入手))で、下記表1に示すスケジュールにしたがい2から3週間間隔で免疫した。MPL(商標)+TDMエマルジョンは、2%油(スクワレェン)-トウィーン80-水エマルジョン中のモノホスホリル-脂質A(MPL:S. Minnesota由来の無毒化内毒素)及びトレハロースジコリノミコレート(TDM)から成るRibiアジュバント系である。抗原は、腹腔内(ip)又は皮下(sc)ルートにより投与した。マウスから採取した血清の融合前スクリーニングは、3通りの力価(1:200、1:2000及び1:20,000)で、レポーター遺伝子(RG)アッセイ(I型IFNレセプターの活性化によるMxA-ルシフェラーゼ融合タンパク質を基準にする)を用いて実施し、IFNα生物活性の阻止を検出した。血清は、3回目のブースターの7日後に後眼窩採血によりマウスから採集し、PBMC-flu生物活性の中和について上記のレポーター遺伝子(RG)アッセイを用いてスクリーニングした。50%以上の中和について少なくとも1:2000の力価を示すマウスを4週間休息させ、続いて、ネズミミエローマSp2/0-Ag14(CRL-8287, ATCC)との3日後の脾臓細胞融合の前に2.5μgの白血球IFNの最終ブースターを実施した。融合は、50%のPEG1500(Roche)中で実施し、ハイブリドーマ選別のために1xHAT補充DMEM+15%FCSを用いた。10−14日後に培養上清をPBMC-fluの中和についてスクリーニングした。免疫マウスに対する上記記載のMxA/lucレポーター遺伝子(RG)バイオアッセイに基づいて、17が、1:200の力価でPBMC-flu上清を少なくとも50%中和することができ、これらのうちで、14が1:2000希釈で50%以上中和することができ、さらに3つが1:20000の力価まで中和を持続させた。
【0056】
表1:免疫及びモノクローナル抗体細胞株の選別
注記:プロトコル1、2及び3のマウスを融合物1から6の作製に用いた。融合は、1つのプロトコル内の2−3匹のマウスの細胞をプールして実施した。2匹のマウス(プロトコル6でIFNαで最初に免疫)をプールして融合物8を作製した。プロトコル5では、2匹のマウスをプールして融合物7を作製し、3匹をプールして融合物9を作製した。
【0057】
モノクローナル抗体の産生と精製:上記に記載したように、マウスは、それらの血清がPBMC-fluに存在するIFNαサブタイプの複合混合物を中和する能力を基準に融合候補として認定された。許容可能な血清力価を有するマウスから採取した脾臓細胞を用いて、一連の8融合を実施した。脾臓細胞をSp2/0-Ag14ネズミミエローマ細胞株(ATCC番号CRL-1581、前記は内因性Ig鎖を発現できないので選択した)と融合させ、96-ウェルの平底組織培養プレートに撒き、12−15日インキュベート後にポリクローナル応答を上記に記載したRGアッセイプロトコルを介して検出するために上清をスクリーニングした。具体的には、免疫マウスの血清サンプルをインフルエンザ感染PBMC由来の上清と37℃で1時間プレインキュベートし、その後、93D7細胞を添加しさらに5時間インキュベートした。5時間で、アッセイをデベロップし、ルミネセンスカウンターで読み取った。最初の8融合物の要旨は下記の表2に示されている。8融合物の上清は3911の初代ウェルからスクリーニングされ、8候補(ACO-1からACO-8)、(各々は融合4から単離された)は、PBMC-flu(640倍に希釈)により仲介されるMxA/luc産生活性化の何らかの目に見える低下を、本明細書に記載したRGバイオアッセイで一貫して示すことができる能力を基準にして認定された。ハイブリドーマ細胞株は制限希釈によってサブクローニングした。抗IFNαMAbを産生するハイブリドーマをGibco PFHM-II(Invitrogen)での増殖に順化させ、インテグラセルライン(Integra CELLine)フラスコ(Becton Dickinson)で培養した。上清を細胞区画から5−7日毎に採集し、-80℃で凍結した。続いてMAbを50mLのバッチ上清からプロテインAカラムでのFPLCとそれに続くPBSへの透析により精製した。精製MAbは小分けし、-80℃で保存した。ACO-1、2、3、4、5及び8はELISAにより以下のようにアイソタイプが決定された:IgG2a(ACO-1)、IgG2b(ACO-2)及びIgG1(ACO-3、4、5、6及び8)。これら候補はいずれも、最初に白血球IFN又はIFNαA、B2及びF組換えタンパク質、続いて白血球IFNによる融合前ブースターで免疫したマウスの脾臓細胞の融合物に由来していた。組換えIFNαサブタイプのみを投与したマウスで実施した融合は、PBMC-fluを中和することができる候補を全く生成することができなかった。
【0058】
表2:融合物の要旨
【0059】
実施例2:市販白血球IFNα又はPBMC-flu上清の生物活性のACO-1、ACO-2、ACO-3、ACO-4及びACO-5による中和
少なくとも1つのIFNαサブタイプと強力に結合しこれを中和することが示された抗IFNαMAbを選択して、天然由来のIFNα調製物(広範囲の多様なIFNαサブタイプを含むことが知られている)を中和するそれらの能力を調べた。これらの実験のために、ACO-1から5の力価を、市販の白血球IFN及び上記のように調製したPBMC-flu上清の両方に対してRGバイオアッセイで調べた。ACO-1、2及び3は、試験した3つのMAb量(200、20及び2ng)の全てで白血球IFNのバイオ活性を少なくとも50%阻止し(図3a)、ACO-4は、200ngについて試験したとき、50%をわずかに超える中和を達成した。前記に比べて、ACO-5の白血球IFN対抗能力は貧弱であり、最大でアッセイシグナルの10%未満を阻止した。
規定濃度のモノクローナル抗体による種々の希釈のPBMC-flu上清の比較阻害を上記に記載のRGアッセイを用いて実施した。Flu/PBMC上清中のIFNαの絶対濃度は不明であり、したがってこの実験では相対的中和能力が判定される。しかしながら、PBMC-fluに対する5つのMAb(2000、200、20及び2ng)の力価を測定したとき、ACO-5は、試験したもっとも低い量の抗体を除いて、全てで生物活性を少なくとも50%中和した(図3b)。ACO-1は、PBMC-fluで試験したとき最大の性能を示し、測定した4つのMAb量の全てで少なくとも50%阻止した。ACO-5による白血球IFNとPBMC-fluの中和における変動は、おそらく我々のアッセイで用いた2つの別個のIFN供給源に存在するIFNα及び/又はそれらの相対濃度における相違に帰すことができる。
【0060】
実施例3:ACO-1、ACO-2、ACO-3、ACO-4、ACO-5、ACO-6及びACO-8による組換えIFNαサブタイプの生物活性の阻害
IFNα中和候補ACO-1から6及びACO-8を、RGアッセイとともに伝統的な細胞変性効果(CPE)阻害アッセイによって、15の組換えFNαサブタイプの中和とともにIFNβの中和についてスクリーニングした。組換えIFNαサブタイプタンパク質は、PBLバイオメディカルラボラトリーズ社(Biomedical Laboratories(Piscataway, NJ))(info@interferonsource.com)(以下では“PBL”)から入手した。製造業者が決定した比活性は表3に示されている。
【0061】
表3:抗体の性状決定に用いた組換えヒトIFNα
【0062】
製造業者によって提供される中和単位(U)は、ウシMDBK細胞でウシ水泡性口内炎ウイルスによって生じる細胞変性効果を50%中和する(1U/mLと認定される)、あるサブタイプの能力を測定するアッセイにより割り当てられた。バイオアッセイにおけるIFNαの能力は多くの変数(アッセイタイプ、個々に調製されたバッチ、及びラボラトリー間の小さな技術的変動を含む)によって影響されること、及び各サブタイプについて国際的に認められた標準が利用できないという事実を前提として、これらの実験では単一のロット番号を一貫して用いた。RGアッセイで最大の応答(RGmax)が得られる各組換え体の製造業者規定単位が決定された。続いて、これらのIFNαサブタイプ量の存在下で、RGバイオアッセイにおいて精製ACO-1、2、3、4、5、6及び8の力価を測定した。IFNβ(比活性=8.23x107U/mg)はPBLから入手した。
15のIFNαサブタイプのRGmax値に対するACO-1の力価測定の代表的なRGバイオアッセイは図4aに示されている。図の説明に記載されているように、数値は、各々のサブタイプについて決定されたEC50値に基づいて、表示のサブタイプに対する各ACO-1の力価測定に対して割り振られた。ACO-1は、IFNαDもIFNα1も中和できなかったが、他の13のサブタイプは多様な抗体濃度で中和することができた。全てのACO-1、2、3、4、5及び8 IFNα中和MAbについてng/mLで表されたEC50の結果は表4に提供されている。パーセンテージ中和は表5に示されている。したがって、ACO-1及び2は、300ng/mL未満の抗体の濃度で12のサブタイプ(IFNαA、2、B2、C、F、G、II2、I、J1、4a、4b及びWA)を中和するそれらの能力において類似しているようである。ACO-1はまた前記のような程度でIFNαKもまた中和するが、ACO-2は中和しなかった。ACO-3及びACO-4は、300ng/mL未満で9サブタイプ(IFNαA、2、B2、C、I、J1、K、4a及びWA)及び6サブタイプ(IFNαA、2、B2、C、I、J1及び4a)をそれぞれ中和した。ACO-8は抗体濃度が制約されるという条件で4サブタイプ(IFNα2、1、4a及び4b)を中和し、一方、ACO-5は3サブタイプのみ(IFNαA、2及びWA)を強力に中和した。いずれのMAbもIFNβを中和することはできなかった(図4b)。
【0063】
表4:ACO-1、2、3、4、5及び8による組換えIFNαサブタイプの中和(EC50 ng/mL)
【0064】
表5:2マイクログラム/mLの抗体によるRGmax IFN量のパーセンテージ中和
【0065】
CPEアッセイは、トランスフェクトされていないA549細胞(ATCC# CCL-185、ヒト肺癌細胞株)を用いてRGアッセイと同様に設定した(すなわち、アッセイは、標準的な96-ウェルの平底組織培養プレートで実施される)。抗体とIFNαサブタイプとのプレインキュベーション(37℃で1時間)及び細胞の添加に続いて5時間後に、マウス脳心筋炎ウイルス(EMCV)を添加し細胞を48時間インキュベートした後、残存生細胞の判定のためにクリスタルバイオレットで染色した。RG及びCPEアッセイの両方について、使用されるIFNαサブタイプの量は、アッセイで最大のMxA-ルシフェラーゼ誘発(RGアッセイ)又は細胞死から最大の防御(CPEアッセイ)が得られる組換えIFNαタンパク質の事前の力価測定により決定された。表6に示したデータは、対応するIFNαサブタイプ(サブタイプをコードする対応する遺伝子は括弧内に表示されている)に対して各ACOモノクローナル抗体によって示される、CPEアッセイにおける生物活性の阻止パーセンテージを表す。CPEアッセイについては、使用される各IFNαサブタイプの量は、細胞死から最大の防御(CPE)が得られる組換えIFNαタンパク質の事前の力価測定により決定された。N/D=未決定。表に示されているように、ACO-1及びACO-2は、当該アッセイ条件下でもっとも多くのIFNαサブタイプを90%以上のレベルで阻止することができ、一方、ACO-6はもっとも限定的である、ほとんどの事例で、RGアッセイとCPEアッセイの結果は互いに相関性を示す。
【0066】
表6:CPEアッセイにおけるMAbによるIFNαサブタイプ活性のパーセンテージ中和
【0067】
実施例4:ACO-1、ACO-2、ACO-3、ACO-4、ACO-5及びACO-6の多重複合体分析
多重複合体分析を実施して、空間的に別個の結合ドメインが必要とされるか否かを判定した。IFNαAに同時に結合することができるACO抗体の能力について、LuminexTM 100システムでの多重複合体分析によりACO抗体を順列組合せ的に分析した。未標識ACO抗体(捕捉)と結合させたビーズを表示の濃度の組換えIFNαとインキュベートし、続いてPE-標識ACO抗体(レポーター)に暴露した。この考査によって、ACO-5は、いずれのACO-1、-2、-3及び-4とでも多重複合体を形成することができることが明らかになった(図5の淡影部分参照)。多重複合体形成はさらに、捕捉抗体としてACO-4が、レポーター抗体としてACO-3が用いられたときにも発生する。したがって、ACO-5は、ACO-1、2、3及び4によって結合されるIFNαのドメイン以外の空間的に別個のIFNαのドメインと結合する。同様に、ACO-3及びACO-4は、IFNαAの空間的に別個のドメインと結合する。ACO-6を用いた結果は全ての事例で陰性であった。
【0068】
実施例5:ACO-1、ACO-2、ACO-3、ACO-4、ACO-5及びACO-6に対する親和性決定
CM5センサーチップを搭載し、10mMのHEPES、150mMのNaCl、0.005%のP20、0.1mg/mLのBSA(pH7.4、25℃)で平衡させたビアコア(Biacore)2000及び3000光学バイオセンサーを用いて、ACO抗体のIFNα対抗-動態分析を実施した。ACO-1から6の各々について、先ず初めに、急速脱イオンカラムを用いて、トリス-グリシン緩衝液から10mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH5.0)に抗体の緩衝液を交換し、続いて標準的なアミンカップリング反応を用いて3つのフローセル表面に固定し、一方、4つ目のものは参照として機能するように未改変のままにした。最後のMAb固定密度は500−1100RU(レスポンスユニット)の範囲であった。結合応答は、IFNαAが抗体及び参照のフローセル上に50μL/分の速度で定量量(0、0.31、0.93、2.78、8.33、25.0及び75.0nM)で流されたときにモニターした。Ab/Ag複合体の結合は4分間、解離は12分間モニターした。前記表面は、各結合サイクルの終了時に1/1000 H3PO4(ただしACO-5を除く、前記は1/200 H3PO4を要した)を用いて再生させた。アッセイはトリプリケートで実施した。結果は表7に示されている。5つの抗IFNαMAbのKD値は、各MAbによって中和されるINFαサブタイプの広さとともに白血球IFN及びPBMC-fluの生物活性を阻止するそれらの能力と逆比例する範囲をカバーした。ACO-1はもっとも低い親和性(5.61x10-9M)を示し、一方、ACO-5は14倍高い親和性(4.00x10-10M)を示した。ACO-6はIFNαAとは結合せず、結合速度は得られなかった。
【0069】
表7:IFNαAを用いたACO-1からACO-6のBiacore動態分析
【0070】
実施例6:ACO-1、ACO-2、ACO-3、ACO-4、ACO-5及びACO-6によるIFNαサブタイプの固相結合
MAbの特異性をスクリーニングするために、15のIFNαサブタイプ全ての固相結合をELISAアッセイによって判定した。略記すれば、1μg/mLの組換えIFNαタンパク質サブタイプ(50μL/ウェル)でELISAプレート(NUNC MaxiSorpTM)を一晩、4℃で被覆した。被覆プレートをPBS+1% BSAでブロッキングし、PBS中の25ngのACO候補MAb(50μL)とともに37℃で1時間インキュベートした。HRP結合ヤギ抗マウスIgG(Jackson ImmunoResearch)の50μL/ウェルとともに室温で30分インキュベートし、続いて100μL/ウェルのTMB基質溶液(Zymed)とともに15分インキュベートすることによって、前記アッセイをデベロップさせた。反応を1NのHCl(100μL/ウェル)で停止させELISAプレートリーダーでOD450を読み取った。結合パーセンテージは、バックグラウンドのシグナル値をアッセイ全体で最大のシグナル値(IFNα-4aについて観察された値)を用いて標準化することによって計算した。結果は表8及び図6に示されている。ACO-1及びACO-2はともに、RGバイオアッセイでそれらが効果的に中和する同一の12のIFNαサブタイプと、サブタイプ適合コントロールよりも少なくとも2倍強く結合し、IFNαサブタイプB2、K、4a、及び4bの結合はコントロールよりも20倍高いシグナルを示した。しかしながら、ACO-3、4、5及び8の間では、結合能力と中和能力との間の相違が観察された。ACO-3の場合には、IFNαKの中和の場合のEC50値はIFNαB2の場合のEC50値よりも200倍高く、IFNα4aの場合よりも4倍高いという事実にもかかわらず、サブタイプB2、K及び4aに対するELISAシグナルは最高であった。バイオアッセイで中和されたサブタイプJ1との有意な結合は検出されなかった。ACO-4及び5の結合及び中和プロフィルは、互いに逆の関係を提示した。ACO-4及び5はサブタイプの各々(それぞれIFNα4a及び2)と強力に結合するが、ACO-4は、前記が中和するよりも多くのサブタイプと結合し、ACO-5はそれが結合するよりも多くのサブタイプを中和できなかった(高いEC50値でではあるが)。ありえる説明は、水相(RG)と固相(ELISA)でこれら2つのMAbが認識する特異的エピトープへの接近しやすさに相違が存在しえるということである。ACO-8は、調べたIFNαサブタイプのいずれとも強く結合することはできず、IFNαD、1及び4aに対しては20倍未満の結合を示した。ACO-6はいずれのサブタイプとも結合できなかった。
【0071】
【表1】
【0072】
実施例7:ACO-1、2及び3モノクローナル抗体によるSLE患者血清の生物活性の阻止
活動性症状を示すSLE患者血清における脳心筋炎ウイルス(EMCV)感染時のA540細胞(CCL-185, ATCC)死に対する防御活性を中和する抗IFNαMAbの能力を判定するために、抗ウイルスアッセイを用いた。もっとも広範囲のIFNαサブタイプ、白血球IFN及びPBMC-fluの中和プロフィルを示す抗体(ACO-1、2及び3)を試験した。SLE血清は、当該患者の血中単核球に特徴的なIFN及び顆粒球生成遺伝子発現シグナチャーを基準にして選択された、活動性SLE患者(SLE-43、133,140及びBCと認定)から得られた。SLE血清は、MAb中和試験前にCPEバイオアッセイでウイルス感染に対する防御についてスクリーニングした。RGアッセイはこれらの分析で用いなかったのは、CPEアッセイ(48時間)に対してRGバイオアッセイの比較的短いインキュベーション時間(5時間)におけるViewPlatesTMへの細胞結合の血清因子による阻害のためである。Vero細胞(CCL-81, ATCC)にEMCV(VR-129B, ATCC)を感染させ、上清から作業用ウイルスストックを調製する。アッセイは、組織培養用に処理された平底96ウェルプレートにA549細胞を撒き(各ウェルに50μL、15,000細胞/ウェル)、37℃+CO2で一晩インキュベートし、トリプリケートで実施した。続いて、抗IFNαMAb及びSLE患者血清を前記の播種及びプレインキュベーションしたものに添加し(100μL/ウェル)、4時間後に非防御細胞の100%を48時間で殺すことができる最低濃度に希釈した50μLのEMCVを添加した。インキュベーションを48時間継続し、続いてクリスタルバイオレットで染色しELISAプレートリーダーにてOD570で読み取った。コントロールは血清単独、培養液のみ(−)、及び汎用中和ポリクローナル抗体(pAb、ウサギ抗ヒトIFNα、PBL)であった。図7a−dに示された結果はトリプリケートの平均を示す。当該血清のより低い親和性にもかかわらず、ACO-1及び2は4つの血清を全てある程度中和することができた。ACO-3はSLE-43、140又はBCを阻止することができなかった。いくつかの事例で(SLE-43に対してはIgG2b、SLE-BCに対しては3つのアイソタイプ全て)、対応するアイソタイプのコントロール抗体が血清をブロッキングすることができるのは、おそらく、アッセイに用いた細胞に対して個々の患者で異なる細胞傷害性を示す、他の血清成分における天然の変動から生じたと考えられる。
【0073】
実施例8:霊長類IFNαとのACO-1及びACO-2の交差反応性
前臨床の安全性/毒性試験をヒト臨床試験の準備として実施するために、内因性IFNαがヒト化抗IFNαモノクローナル抗体と反応する動物モデルを認定することは有用である。2つの候補抗体、ネズミ抗ヒトIFNα抗体ACO−1及びACO-2が霊長類IFNαを中和する能力を調べた。具体的には、精製マカクIFNα4b(156pg/ウェル)で刺激したとき、A549細胞でMxA-ルシフェラーゼレポーター遺伝子の誘発を阻止する抗体の能力を試験した。図8に示したように、抗体ACO-1及びACO-2は、レポーター遺伝子の誘発を強力に阻止し、一方、ACO-3は高濃度(C)でさえ阻止することができない。ヒトとマカクIFNα間の相同性は高度に保存されている。さらにまた、市販の抗ヒトIFNα抗体は、リーザスホモローグ及びシノモルガスホモローグと交差反応することが示された。これらのデータは、霊長類は適切な安全性スクリーニングモデルを提供することを示唆している。
【0074】
実施例9:ACO-1重鎖及び軽鎖の配列
縮退プライマープールを用いてRT/PCRを実施して、ACO-1を発現するハイブリドーマからmRNAを増幅させた。重鎖可変領域のmRNAを6つの縮退プライマープールのセット(HAからHG)を用いて増幅させ、軽鎖可変領域のmRNAを8つの縮退プライマープールのセット(LAからLI)を用いて増幅させた。増幅生成物は以下のプライマープールから得られた:HA、HB、HE、HF、LB、LC及びLG。PCR生成物はプールLIでは増幅されず、したがって軽鎖はカッパクラスター由来である。各生成物をクローニングし、各々のいくつかのクローンの配列を決定した。
2つの異なる重鎖配列を同定した。プールHA及びHFは、フレームワーク領域3の末端に終止コドンをもつ切端重鎖をコードするただ1つの配列を増幅させた。したがって、この重鎖が抗原と結合することができる抗体を形成することはないであろう。プールHB及びHEは、HA及びHFの配列と異なる、図9に示すように完全長のマウスVh領域をコードするただ1つの配列を増幅させた。完全長重鎖DNA配列は配列番号:1であり、完全長アミノ酸配列は配列番号:2である。CDRVH1(TACACCTTCACCAACTACTGGATGCAC;配列番号:3)、VH2(GAGATTAATCCTAGCCACGGTCGTACTATCTACAATGAAAACTTCAAGAGC;配列番号:5)、及びVH3(GGGGGACTGGGACCCGCCTGGTTTGCTTAC;配列番号:7)をコードするDNA配列は斜字体で示され、一方、アミノ酸配列VH1(YTFTNYWMH;配列番号:4)、VH2(EINPSHGRTIYNENFKS;配列番号:6)、及びVH3(GGLGPAWFAY;配列番号:8)には下線が付されている。
2つの軽鎖配列を同定した。プールLB及びLCは、いくつかのハイブリドーマで見出される、詳しく記載されている異常な切端カッパ軽鎖とアラインされるただ1つの配列を増幅させた。プールLGは、完全長であってプールLB及びLCで増幅された配列とは異なるただ1つの配列を増幅させた。この軽鎖配列は図10に示されている。完全長軽鎖DNA配列は配列番号:9であり、完全長アミノ酸配列は配列番号:10である。CDRVL1(AGTGCCGGCTCAAGTGTAGATTCCAGCTATTTGTAC;配列番号:11)、VL2(AGCACATCCAACCTGGCTTCT;配列番号:13)、及びVL3(CATCAGTGGAGTAGTTACCCATTCACG;配列番号:15)をコードするDNA配列は斜字体で示され、一方、アミノ酸配列VL1(SAGSSVDSSYLY;配列番号:12)、VL2(STSNLAS;配列番号:14)、及びVL3(HQWSSYPFT;配列番号:16)には下線が付されている。
ハイブリドーマACO-1から得られた配列の分析は表9に要約されている。可変領域は、それらのもっとも近縁のヒト生殖細胞系列の配列と高い相同性(67%から65%)を示し、フレームワークはヒト生殖細胞系列のデータベースで近縁なホモローグを有する。
【0075】
表9:クローンACO-1
aCDRの定義及び配列の番号付与はKabatにしたがう
b生殖細胞系列のIDの表示の後に%相同性が示されている
【0076】
実施例10:モノクローナル抗体のヒト化及びその性状決定
当分野で公知の方法を用いて、ネズミ相補性決定領域をヒト抗体のフレームワークに移植することによって(CDR移植)ヒト化抗体を作製する(以下を参照されたい:Jones et al. 1986 Nature 321:522-525;Reichmann et al. 1988, Nature 332:323-329;Presta 1992, Curr Op Struct Biol 2:593-596;及びClark 2000, Immunol Today 21:397-402)。ヒト化抗体は、上記に記載のネズミモノクローナル抗体と同じ結合及び機能パラメーター示すことができる。
【0077】
実施例11:ヒト化モノクローナル抗体を用いるSLEの治療
マイクロアレー分析を用いて、当分野で公知であり、さらにBennettら(2003、上掲書)及びBaechlerら(2003、上掲書)にも記載されている方法にしたがって、IFNαのシグナチャーがモニターされるであろう。この新規なツールは患者の区分(すなわち陽性INFシグナチャーは治療集団に取り入れるための基準となる)とともに、患者のモニタリングに役立つ。この分析の使用はまた、どの患者が本発明の組成物及び方法によって適切に治療されるかを決定するために役立つ。ある特徴では、本発明の抗体の投与はこのシグナチャーを消失させるであろう。ある特徴では、当業者は、本発明の方法の目的が満たされた時、さらに、有効量の抗体がデリバーされた時を決定することができ、この時とは、IFNαシグナチャーが50%以上有効な期間抑制されるために必要な期間、例えば4週間と定義される。
有効量、例えば約1mg/kg、二番目には2.5mg/kg、三番目には5mg/kg、四番目には(必要ならば)10mg/kgが輸液されるであろう。各患者のために“計算された最適な用量”とは、安全に投与され、少なくとも50%のINFαシグナチャーの抑制を約4週間与えることができる量と定義される。
患者は毎週INFαシグナチャーについてモニターされるであろう。INFαシグナチャーの再出現までの期間によって投与間隔が決定されるであろう。例えば、1mg/kgの用量では50%以上のシグナチャー低下を2週間しか与えない場合、当該患者には2.5mg/kgの2回目の用量が投与されよう。毎週モニターすることによって、50%以上のシグナチャー低下が3週間しか示されなかったならば、当該患者には5mg/kgの3回目の用量が投与されよう。10mg/kgの最大用量は、50%以上のINFαシグナチャーの抑制が少なくとも4週間与えられる用量を認定する目標について試験されるであろう。
有効性は許容可能ないずれの方法によっても測定することができる。許容可能な方法には、PBMCのマイクロアレー分析(有効性はインターフェロンシグナチャーの消失をもとに確立される)、PBMCのフローサイトメトリー(有効性はT/Bリンパ球数の増加によって確立される)、形質細胞症の低下及び未成熟好中球の存在の低下、又はルミネクス分析による血清のサイトカイン多重複合体分析が含まれるが、ただしこれらに限定されない。
生物学的寄託:ACO-1、ACO-3及びACO-6ハイブリドーマ細胞株をアメリカンタイプカルチャーコレクション(10801 University Blvd, Manassas, VA 20110-2209, USA )(ATCC)に寄託し、下記の表10に列挙する寄託番号が与えられた。ACO-2(ACO2.21Rと標識)は2006年8月9日にATCCに寄託された。
【0078】
表10:
【0079】
これらの寄託は、特許手続上の微生物の寄託の国際的承認に関するブダペスト条約(ブダペスト条約)の規定の下に実行された。前記は、寄託の日から30年間、生きた寄託培養の維持を保証する。寄託物はブダペスト条約の条件の下に及びベイラーリサーチインスティチュート(Baylor Research Institute)とATCCとの間の同意にしたがいATCCにより入手できるであろう。ATCCは、関連する米国特許の発行に際して、又は米国若しくは外国の特許出願のいずれかの公開に際して、(どちらか早いもの)、寄託培養物の子孫の公衆への永久的及び無制限の利用可能性を保証し、さらに、35U.S.C.§122及び前記に続く特許委員会規則(特に866OG638に関する37C.F.R.§1.14を含む)にしたがい権利を有すると特許委員会が決定した者に対して当該培養物の子孫の利用可能性を保証する。
本出願の譲受人は、寄託物の培養が、適切な条件下で培養されたとき、死滅するか又は失われるか又は破壊された場合、前記物質を通知に際して直ちに同一のものと置き換えることに同意した。寄託物の利用可能性を、特許法にしたがいいずれかの政府当局により付与された権利に違反して本発明を実施することを認可された者と解してはならない。
本明細書に記載した具体的な実施態様は例示として示され、本発明を制限しようとするものではないことは理解されよう。本発明の基本的な特徴は、本発明の範囲を逸脱することなく多様な実施態様で利用することができる。当業者は、本明細書に記載した固有の方法に対し多数の等価物を認知し、又は日常的な実験を超えない実験により前記を確認することができよう。そのような等価物は本発明の範囲内と考えられ、本特許請求の範囲内に包含される。
本明細書に記載した全ての刊行物及び特許出願は、本発明が関係する分野の通常の技術を有する者の技術レベルを示している。全ての刊行物及び特許出願及び特にその対応する部分は、あたかも個々の刊行物及び特許出願が具体的に及び個々に参照により本明細書に取り込まれることを明示するかのように、参照により本明細書に含まれる。
特許請求の範囲において、全ての推移を示す語句、例えば“comprising”、“including”、“carrying”、“having”、“containing”、“involving”などは、両端が開放されていると理解されるべきで、すなわち限定することなく含まれることを意味すると理解されるべきである。推移を示す語句の“consisting of”及び“consisting essentially of”だけは、それぞれ制限的又は半制限的な語句であろう。
本明細書に開示され及び特許請求された組成物及び/又は方法はいずれも本開示を考慮して、煩わしい実験を行うことなく作製及び実施することができる。本発明の組成物及び方法を好ましい実施態様の関係で記載したが、本発明の組成物及び/又は方法において、及び本明細書に記載した方法の工程において又は一連の工程において、本発明の概念、真髄及び範囲から逸脱することなく変型が適用されることは当業者には理解されよう。より具体的には、化学的にも物理的にも関連するある種の物質は、本明細書に記載した物質の代用とすることが可能であり、一方、同じか又は同様な結果が達成されることは明白であろう。当業者に明白なそのような類似の置換及び改変はいずれも、添付の特許請求の範囲によって規定されるように、本発明の真髄、範囲及び概念内に存在すると考えられる。
【0080】
本発明の特色及び利点のより完全な理解のために、以下の添付の図面と併せて発明の詳細な説明についてこれから言及する。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】レポーター遺伝子(RG)アッセイ及び細胞変性阻害アッセイ(CPE)の模式図を示す。CPEアッセイ模式図の黒い丸は無傷の生細胞を表す。白い丸はウイルス感染によって殺された死細胞を表す。RGアッセイ模式図の黒い丸及び細胞は、“+”と同様にルシフェラーゼ発現を表し、一方、白い丸及び細胞はルシフェラーゼ発現の欠如を表す。
【図2】IFNαMAb開発の作業工程の模式図を示す。
【図3】ACO-1、2、3、4及び5による混成IFN供給源の中和を示す。(a)表示量の各MAbによる600pgの白血球IFN(Sigma)の中和をRGバイオアッセイによって判定した。阻止パーセンテージは、白血球IFNの存在下/非存在下及び任意のMAbの非存在下で得られたLCPSを基準にして計算した。値は3つの値の平均を示す。(b)各MAbによるPBMC-flu(640倍希釈)の中和。阻止パーセンテージは前記に記載したように計算した。値は3つの値の平均を示す。
【図4】ACO-1による15の組換えIFN-αサブタイプの中和を示す。(a)濃度を増加させたACO-1による表示のIFN-αサブタイプの中和をRGバイオアッセイにより判定した。各曲線に割り振られた数値は、ACO-1の非存在下(Y軸上の白丸により表示)で及び被検MAbの最高濃度(2000ng/mL)で得られたLCPS値(ルミネセンスカウント/秒)から計算した中央点(EC50)を示す。N.D.はEC50を割り振ることができないことを示す。データの点は3つの値から得られた。(b)濃度を増加させたACO-1、2、3、4、5及び8によるIFN-βの中和はない。データの点は3つの値から得られた。
【図5】モノクローナル抗体ACO-1、ACO-2、ACO-3、ACO-4、ACO-5及びACO-6の多重複合体分析の結果を示す。
【図6】モノクローナル抗体ACO-1、ACO-2、ACO-3、ACO-4、ACO-5及びACO-6による、IFNαの固相結合アッセイの結果を示す。
【図7】CPEアッセイによって判定した、SLE患者血清SLE-43(a)、SLE-133(b)、SLE-140(c)及びSLE-BD(d)の生物活性の中和を示す。コントロールは、血清のみ、培養液のみ(-)、及び汎中和ポリクローナル抗体(pAb、ウサギ及び抗ヒトIFNα、PBL)を含む。値は3つの値の平均を示す。
【図8】図8A−Cは、ACO-1(A)、ACO-2(B)及びACO-3(C)と156pg/ウェルのマカク(Macaque)IFNとの交差反応性を示す。
【図9】ACO-1の重鎖のcDNA及びアミノ酸配列を示す。VH1、VH2及びVH3のCDRをコードするDNA配列は斜字体で示され、一方、対応するアミノ酸配列には下線が付されている。
【図10】ACO-1の軽鎖のcDNA及びアミノ酸配列を示す。VL1、VL2及びVL3のCDRをコードするDNA配列は斜字体で示され、一方、対応するアミノ酸配列には下線が付されている。
【発明の詳細な説明】
【0001】
関連出願の相互引用
本出願は、米国仮特許出願60/836,599(2006年8月9日出願)(前記文献の全内容は参照により本明細書に含まれる)の利益を主張する。
発明の分野
本発明は、対象者における異常なインターフェロン-α(IFNα)発現レベルと相関性を有する症状の診断及び治療に有用な方法及び組成物に関する。
【0002】
背景技術
ヒトインターフェロン(IFN)は、先天性及び適応性免疫応答の両者を調節する機能的に関連するサイトカインである。それらは、主として配列相同性を基準にして2つの群、I型及びII型に分類される。I型IFNは6つのタイプ(IFN-α、IFN-β、IFN-ω、IFN-κ、IFN-ε及びIFN-λ)を含む。IFN-α、β、ω及びκは、同一レセプター、IFNARを介して作用する。IFN-λは別個のレセプター、IFNLRと結合する。IFN-εのレセプターはこれまでのところ不明である。II型IFNはただ1つのタイプ(IFN-γ)から成り、レセプターIFNGRと結合する。I型IFNはウイルス感染時に強力に誘発され、II型IFNは主として免疫応答及び炎症刺激で誘発され、したがってIFN-γはしばしば“免疫IFN”と称される。多数のI型IFNのうち、もっともよく研究されたものにはIFN-α、IFN-β及びIFN-ωが含まれる。これらのうちで、IFN-αはもっとも複雑であり、少なくとも15の別個のタンパク質サブタイプ(75%以上の配列相同性を示す)を含む(Diaz, 1995, Semin Virol, 6:143-149;Weissmann et al. 1986, Prog Nucl Acid Res Mol Biol 33:251;J Interferon Res 1993, 13:443-444;Roberts et al. 1998, J Interferon Cytokine Res 18:805-816)。構造的に類似性を有すること以外にも、IFN-α遺伝子及びそれらの生成物は機能的な類似性を示す。例えば、それらはdsRNA又はウイルスによって誘発され、同じレセプター、IFNα/βレセプターIFNARと相互作用することができる(Mogensen et al. 1999, J Interferons and other Regulatory Cytokines, John Wiley & Sons)。IFNαはまたアポトーシスを抑制し、抗原活性化Tヘルパー細胞の生存及び分化を促進し、機能的に有効な単球由来樹状細胞の成熟を促進する。
【0003】
多くの細胞タイプが、ウイルス及びdsRNAに暴露されたときIFNαを産生する。特殊化された白血球(インターフェロン-α産生細胞(“IPC”)と呼ばれる)は、より広範囲の多様な刺激(例えばウイルス、細菌及び原虫)に応答してIFNαを産生する。いくつかのin vitro実験は、多様なIFN-αサブタイプは、別個のIFN-α分泌細胞株によって様々な程度で、又はヒト抹消血単核細胞(PBMC)の感染後にウイルスタイプ特異的態様で産生されること、及びこれらのパターンは、抗増殖、抗ウイルス及び抗腫瘍活性におけるサブタイプ依存性相違としばしば密接に関係することを示している。しかしながら、個々のサブタイプの生理学的意義及びそれぞれに対するそれらの協調的又はアンタゴニスト的活性は不明のままである。
IFN-αはいくつかの自己免疫疾患で観察される病態の仲介物質として示唆されている。さらにまた、前記は、癌及びウイルス疾患につてIFN-αで治療された患者で自己免疫疾患を発症させえる。IFN-αの発現の増加が、インスリン依存真性糖尿病(IDDM又はI型糖尿病)、乾癬、クローン病及び腹腔疾患をもつ患者の症状局在組織で観察されている。IFN-αの過剰発現は、全身性紅斑性狼瘡(SLE)、IDDM及びエイズで観察された。SLE(大量の自己反応性B及びT細胞を特徴とする)の事例では、IFN-α発現は、組織病巣だけでなく罹患個体の血液循環でも観察される。さらにまた、IFN-αの血清レベルは疾病の活動指標と相関する傾向がある。これは、通常は休止状態の単球の強力な抗原提示樹状細胞(DC)への周期的誘発(形質細胞様DC(pDC)によるINF-αのアップレギュレーションによって始動される)に由来すると考えられる。実際、本発明者らは以前に、SLEは顆粒球産生及びIFN誘発に必要な非統制遺伝子の“シグナチャー”によって識別でき、これらシグナチャーはグルココルチコイドの高用量輸液で正常に復帰することをオリゴヌクレオチドマイクロアレーにより提示した(米国特許出願11/228,586、前記文献の内容は参照により本明細書に含まれる)。
【0004】
全身性紅斑性狼瘡(SLE)は、全身性リウマチ性自己免疫疾患であり、特に小児で激烈であって高発生率の発赤が特徴である。自己免疫疾患、例えばSLEはしばしば再発と緩解の永続的繰返しで作用する。これらの繰り返しは、SLE病期を沈静化させるために施される一般的治療計画による処置相によってしばしば限定される。FDAによって承認されたSLEの治療選択肢には、コルチコステロイド、非ステロイド系免疫抑制剤、抗マラリア薬、及び非ステロイド系抗炎症薬が含まれる。これらの薬剤は、SLEの病変に特異的である免疫エフェクター応答に作用するのではなく、むしろ全ての免疫エフェクター応答の完全性を損なう。これらの治療は、骨萎縮、体重増加、ざ瘡、貧血、生殖不能、激烈な下痢、脱毛及び悪心を含む中等度から重度の副作用を有し有効性は単に部分的であるので、SLEは治療に関する希求が満たされていない代表的なものである。さらにまたSLEの新規な治療薬はここ40年間全く承認されていない。
最近、SLEとIFNαの産生が低下しないこととが密接に連携することが示された(Shi et al. 1987, Br J Dermatol 117(2):155-159)。IFNαはSLE血清中に高レベルで存在し(Crow et al. 2004, Curr Opin Rheumatol 16(5):541-547)、さらに形質細胞様DC(pDC)(IFNαの主要な供給源)はSLEの皮膚に蓄積する(Farkas et al. 2000, Am J Pathol 159(1):237-243)。さらにまた、IFNαで処置された患者のいくらかは狼瘡を発症することが観察され(Okanoue et al. 1996, J Hepatol 25(3):283-291;Tothova et al. 2002, Neoplasma 49(2):91-94;及びRaanani et al. 2002, Acta Haematol 107(3):133-144)、さらにIFNα抗体を有する狼瘡の患者は、この疾患のより穏やかな形態を表出することが示された(Von Wussow et al. 1988, Rheumatol Int 8(5):225-230)。IFNαは、単球の機能的な樹状細胞(DC)(このDCが次々とSLEの進行を仲介する)への分化を介して作用するのかもしれない(V. Pascual et al. 2003, Curr Opin Rheumatol 15(5):548-556)。提唱されているSLEの治療のためのアプローチはIFNαの中和である(PCT/US02/00343(Banchereau et al.)(前記文献の内容は参照により本明細書に含まれる)を参照されたい)。
【0005】
ヒトIFN-αの生物活性を阻止することができるモノクローナル抗体が生成されたが、公知の15サブタイプの全てを中和することができるものは今日まで報告されず、ほとんどが、天然に得られる、IFNαを含む白血球IFNを中和することができない。PBLバイオメディカルラボラトリーズ(Biomedical Laboratories)社は、多数のヒトIFNα遺伝子サブタイプと結合する10種のマウスモノクローナル抗体を提供している(interferonsource.com/relativespecificity.htmlにてワールドワイドウェブを参照されたい)。しかしながら、それぞれのPBL抗体は、ヒトIFNα遺伝子サブタイプ1によってコードされるIFNαタンパク質サブタイプ(IFNαタンパク質サブタイプD)、及び1つから12までの他のIFNαサブタイプと結合する。米国特許公開公報2003/0166228A1は、白血球IFNα(IFNαタンパク質サブタイプの全てを含む)によるマウスの免疫から得られたモノクローナル抗体(9F3と称される)を開示している。9F3 MAbは、7つのヒトIFNα遺伝子サブタイプ1、2、4、5、8、10及び21(それぞれIFNαタンパク質サブタイプD、A、4、G、B2、C及びFをコードする)によってコードされるタンパク質の抗ウイルス活性と結合し、これを中和し、ヒトIFNβの抗ウイルス活性は中和しない。前記公開公報は、9F3抗体が他の8つの遺伝子サブタイプと結合し、それらを不活化するのか否かは開示せず、IFNαタンパク質サブタイプ4a及び4bの一方又は両方と結合するか否かも開示していない。前記PCT公開公報は、IFNαの発現増加を伴う疾患、特に自己免疫疾患(例えばインスリン依存真性糖尿病及びSLE)の治療に前記モノクローナル抗体を使用することを提唱している。しかしながら、9F3抗体がSLE血清中で見出されるIFNαタンパク質サブタイプの生物学的活性を十分に中和することができるか否かは不明である。
IFNαは免疫応答の多機能性仲介物質であり、さらに有益な抗ウイルス活性を有するので、全てのIFNαサブタイプの完全な阻害又は顕著なダウンレギュレーションは最適な治療アプローチではない。したがって、症状と密接に関係するIFNαサブタイプを選択的に中和する薬剤が希求される。本発明はこの希求を満足させ、同様に関連する利点も提供する。
【0006】
発明の要旨
本発明は、特定のIFNαサブタイプを中和するモノクローナル抗体及びその誘導体を提供する。本発明の抗体は、IFNαの発現増加に付随する症状、例えばSLE、乾癬、I型糖尿病、エイズ、対宿主移植片病、及び他の自己免疫疾患の緩和並びに治療に有用である。ある特徴では、本発明は、少なくとも2つのインターフェロンアルファ(“IFNα”)タンパク質サブタイプ、例えばサブタイプA、2、B2、C、F、G、H2、I、J1、K、4a、4b及びWAの生物活性を選択的に中和するが、IFNαタンパク質サブタイプDの少なくとも1つの生物活性は有意には中和しない抗体を含み、ここで、前記生物活性はMxAプロモーターの活性化又は抗ウイルス活性である。前記抗体は、好ましくは、ATCCアクセッション番号PTA-7778を有するハイブリドーマによって産生される抗IFNα抗体と本質的に同じ若しくは同じIFNαエピトープと結合するか、又は本質的に同じ若しくは同じIFNαエピトープと結合する抗体と競合する。好ましくは、前記抗体はモノクローナル抗体である。ある実施態様では、前記抗体は、IFNαタンパク質サブタイプDも1も有意には中和しない。ある実施態様では、前記モノクローナル抗体はACO-2である。好ましくは、本発明の抗体は、全身性紅斑性狼瘡(SLE)患者から単離された血清の、単球の樹状細胞への分化を刺激する能力を不活化する。
別の特徴では、ATCCアクセッション番号PTA-7778を有するハイブリドーマによって産生される、抗インターフェロンアルファ(“IFNα”)モノクローナル抗体が提供される。
本発明の抗体、その誘導体又はフラグメントは、マウス、ラット、ヒト若しくは他の哺乳動物由来であり、又はそのフラグメント、若しくはヒト化若しくはキメラ型でありえる。本発明の抗体には、マウスモノクローナル抗体(例えばACO-2)とともに、そのヒト化型、キメラ型又はフラグメントが含まれる。本発明はさらに、ネズミモノクローナル抗体ACO-2と本質的に同じIFNαエピトープと結合する抗体を提供する。本発明はさらに、本発明の抗体を含む宿主細胞、ハイブリドーマ、組成物、医薬組成物及びキットを提供する。
本発明の抗体、その誘導体又はフラグメントは、IFNαの過剰発現に付随する疾患又は症状(SLE、乾癬、エイズ、I型糖尿病及び自己免疫甲状腺炎を含むが、ただしこれらに限定されない)の治療で、並びにそのような疾患及び症状を治療するための医薬の製造で有用である。本発明の抗体はまた、多様なIFNαサブタイプの識別又は精製に用いることができる。
本発明はまた、上記の特異性を有する抗体、例えば1つ以上のインターフェロンアルファ(“IFNα”)タンパク質サブタイプ(A、2、B2、C、F、G、H2、I、J1、K、4a、4b及びWA)と特異的に結合するが、例えばINFαタンパク質サブタイプDの生物活性は中和しない抗体を産生する宿主細胞及びハイブリドーマ細胞株を含む。前記抗体及びハイブリドーマ細胞株は、診断及び治療的方法での使用のために担体(例えば医薬的に許容できる担体)と組み合わせることができる。前記抗体は、特定のIFNαサブタイプの検出、並びにIFNα関連疾患の症状の診断、予後診断、治療及び/又は緩和に有用である。そのような症状の例には、SLE、乾癬、I型糖尿病、宿主対移植片(GVH)病、エイズ、自己免疫甲状腺炎及び他の自己免疫疾患が含まれるが、ただしこれらに限定されない。本発明の抗体はまた、これらIFNαサブタイプのin vitro又はin vivoでの中和及び/又は単離に有用である。
【0007】
発明の詳細な説明
本発明の様々な実施態様の構成及び使用を以下で詳細に考察するが、本発明は、幅広く多様な個々の状況で具体化することができる多くの応用可能な刷新的概念を提供することは理解されよう。本明細書で考察される個々の実施態様は、本発明を実施及び利用するための個々の方法の単なる例示であり、本発明の範囲を制限するものではない。
本発明の理解を容易にするために、多数の用語が以下で定義される。本明細書で定義される用語は、本発明が関係を有する分野の通常の技術を有する者が一般的に理解する意味を有する。例えば原文の冠詞“a”、“an”及び“the”は単に単数の実体に適用されることを意図せず、当該個々の例が例示のために用いられる包括的クラスを含む。本明細書の用語は本発明の特定の実施態様を記述するために用いられるが、特許請求の範囲に記載されるものを除き、それらの使用によって本発明は制限されない。例えば、“a cell”という用語は複数の細胞(細胞の混合物を含む)を含む。全ての数値の指定(範囲を含む)、例えばpH、温度、時間、濃度、及び分子量は、0.1の増分により(+)又は(-)に変動する概数である。全ての数値の指定には“約”という用語が先行する(ただし常に明示されるとは限らない)ことは理解されよう。本明細書に記載される試薬は単なる例示であり(ただし常に明示されるとは限らない)、当該物の等価物は当分野で公知であることもまた理解されよう。
【0008】
本明細書で用いられる、“抗体”という用語は、全てのクラス及びサブクラスの無傷の免疫グロブリンに適用される。“抗体”という用語はまた、モノクローナル抗体、抗体フラグメント及び抗体フラグメントクローンを含む。“抗体フラグメント”は、無傷の抗体の抗原結合領域又は可変領域が収容された、無傷の抗体の一部を含む。抗体フラグメントの例には、Fab、Fab'、F(ab')2、及びFvフラグメント(一本鎖抗体分子)、抗体フラグメントから形成されるマルチ特異的抗体、Fdフラグメント(VH及びCHドメインを含む)、Fvフラグメント(抗体の単腕のVL及びVHドメインを含む)、dAbフラグメント(Ward et al. 1989, Nature 341:544-546)(VHドメインを含む)、及び単離された相補性決定領域(CDR)が含まれる。“一本鎖Fv”又は“scFv”抗体フラグメントは、抗体のVH及びVLドメインを含み、これらのドメインは一本のポリペプチド鎖内に存在する。一般的には、scFvポリペプチドは、VH及びVLドメインの間にポリペプチドリンカーを含み、前記はscFvが抗原結合のために所望の構造を形成することを可能にする。scFvについての概説には以下を参照されたい:Pluckthun (1994), “The Pharmacology of Monoclonal Antibodies”, Vol 113, Roseburg and Moore eds., Springer-Verlag. New York. pp. 269-315;Dall'Acqua and Carter 1998, Curr Opin Struc Biol 8:443-450;Hudson 1999, Curr Opin Immunol 11:548-557;Bird et al. 1988, Science 242:423-426;及びHudson er al. 1988, Proc Natl Acad Sci USA 85:5879-5883。上記記載の抗体フラグメントのいずれも、当業者に公知の通常の技術を用いて入手することが可能であり、それらフラグメントは、無傷の抗体と同じ態様で結合特異性及び中和活性についてスクリーニングされる。抗体は、任意の適切な生物学的供給源(例えばネズミ、ウサギ、ラット、ヒト、ヒツジ、イヌなど)から単離することができる。“天然に存在する”又は“天然の”抗体はヘテロテトラマーの糖タンパク質であり、典型的には約150−200kDの分子量を有する。ヘテロテトラマーは2つの同一の軽(L)鎖及び2つの同一の重(H)鎖を含む。各軽鎖は、ジスルフィド結合によって重鎖と共有結合される。
【0009】
本明細書で用いられる、“抗体誘導体”という用語は、エピトープと結合し、本発明の天然のモノクローナル抗体の改変又は誘導体である分子を包含するために用いられる。誘導体には、例えば二特異的、マルチ特異的、ヘテロ特異的、三特異的、四特異的、マルチ特異的抗体、キメラ、組換え及びヒト化抗体が含まれるが、ただしこれらに限定されない。
本明細書で用いられる、“抗体変種”は、マウス以外の種で産生される抗体、又はACO-1からACO-6及びACO-8と称される抗体から選択される抗体のアイソタイプに適用される。“抗体変種”にはまた、抗体又はフラグメントの直鎖ポリペプチド配列に対する翻訳後修飾を含む抗体が含まれる。前記はさらに完全にヒトの抗体も包含する。
本明細書で用いられる、“モノクローナル抗体”は、実質的に均質な抗体集団から得られる抗体(抗体フラグメントを含む)に適用される。すなわち、集団内の個々の抗体は、天然に発生する可能性がある(少量で存在しえる)変異を除いて同一であり、それらが所望の生物学的活性を示す限り、前記はまた本発明の部分である。モノクローナル抗体は高度に特異的であり、単一エピトープに対して誘導される。モノクローナル抗体は、ハイブリドーマによって(バイオリアクターで、腹水として)合成するか、又は組換え方法によって(例えばin vitro翻訳で、細菌、酵母、植物、昆虫及び/又は動物細胞で)製造することができる。したがって、 “モノクローナル”という修飾語は、実質的に均質な抗体集団から得られた抗体の特徴を示し、何らかの特定の方法による抗体の製造を必要とすると解釈してはならない。例えば、本発明にしたがって用いられるモノクローナル抗体は、最初にKohlerら(Nature (1975) 256:495)が記載したハイブリドーマの方法によって生成されてもよく、又は組換え方法(例えばUS4,816,567を参照されたい)によって製造されてもよい。“モノクローナル抗体”にはヒトモノクローナル抗体、ヒト化モノクローナル抗体、組換えヒト抗体、ファージ抗体ライブラリーから単離される抗原認識及び結合部位が収容された抗体フラグメントのクローン(Fvクローン)、及びその誘導体が含まれるが、ただしこれらに限定されない(以下を参照されたい:Clackson et al. 1991, Nature 352:624-628;及びMarks et al. 1991, J Mol Biol 222:581-597)。モノクローナル抗体にはまた“キメラ”抗体(免疫グロブリン)が含まれ、前記の場合、例えば重鎖及び/又は軽鎖の一部分は、特定の種に由来する抗体又は特定の抗体クラス若しくはサブクラスに属する抗体中の対応する配列と同一又は相同であるが、一方、残りの鎖又はその部分は、別の種に由来する抗体又は別の抗体クラス若しくはサブクラスに属する抗体、並びにそのような抗体フラグメント中の対応する配列と同一又は相同である(ただしそれらが所望の生物学的活性を示すことを条件とする)(US4,816,567;Morrison et al. 1984, Proc Natl Acad Sci USA 81:6851-6855)。
【0010】
本明細書で用いられる、“ヒトモノクローナル抗体”という用語は、ヒトの生殖細胞系列の免疫グロブリン配列に由来する可変及び定常領域を有する、単一の結合特異性を示す抗体に適用される。
本明細書で用いられる、“ヒト抗体”という用語は、ヒトの生殖細胞系列の免疫グロブリン配列に由来する可変及び定常領域を有する抗体に適用される。本発明のヒト抗体はヒトの生殖細胞系列の免疫グロブリン配列によってコードされないアミノ酸残基(例えば、in vitroのランダム若しくは位置特異的変異導入によって、又はin vivoの体細胞変異によって導入された変異)を含むことができる。しかしながら、本明細書で用いられる“ヒト抗体”という用語は、別の哺乳動物種(例えばマウス)の生殖細胞系列に由来するCDR配列がヒトのフレームワーク配列に移植されている抗体を含むことは意図されない。したがって、本明細書で用いられる、“ヒト抗体”という用語は、タンパク質の実質的に全ての部分(例えばCDR、フレームワーク、CL、CHドメイン(例えばCH1、CH2、CH3)、ヒンジ、VL、VH)がヒトにとって実質的に非免疫原性であり、極めてわずかな配列変化又は変動を有する抗体に適用される。同様に、霊長類(サル、ヒヒ、チンパンジーなど)、げっ歯類(マウス、ラット、ウサギ、モルモット、ハムスターなど)及び他の哺乳動物と特定された抗体は、そのような種、亜属、属、亜科、科に特異的な抗体を指す。上記に記載したように、キメラ抗体はまた上記の任意の組合せを含むことができる。そのような変化又は変動は、場合によって及び好ましくは、非改変抗体に比してヒト又は他の種における免疫原性を維持又は低下させる。したがって、ヒト抗体は、キメラ抗体又はヒト化抗体とは別物である。ヒト抗体は、機能的に再編成されたヒト免疫グロブリン(例えば重鎖及び/又は軽鎖)遺伝子を発現することができる、非ヒト動物又は原核若しくは真核細胞によって製造することができる。さらに、ヒト抗体が一本鎖抗体であるときは、前記はまた、天然のヒト抗体では見いだされないリンカーペプチドを含むことができる。例えば、Fvフラグメントはまた、リンカーペプチド、例えば2から約8つのグリシン又は他のアミノ酸残基を含むことができる(このリンカーペプチドは、重鎖の可変領域と軽鎖の可変領域とを連結する)。そのようなリンカーペプチドはヒト起源であるように配慮される。
【0011】
抗体が、ヒト免疫グロブリン配列を用いる系から得られるならば、例えばヒト免疫グロブリン遺伝子を保持するトランスジェニックマウスを免疫することによって、又はヒト免疫グロブリン遺伝子ライブラリーをスクリーニングすることによって得られるならば、前記ヒト抗体は、特定の生殖細胞系列の配列に“由来する”。ヒト生殖細胞系列の免疫グロブリン配列に“由来する”ヒト抗体は、前記ヒト抗体のアミノ酸配列をヒト生殖細胞系列の免疫グロブリンのアミノ酸配列と比較することによってそうであると確認することができる。選択されるヒト抗体は、ヒト生殖細胞系列の免疫グロブリン遺伝子によってコードされるアミノ酸配列に対して、典型的にはアミノ酸配列が少なくとも90%同一であり、他の種の生殖細胞系列の免疫グロブリンアミノ酸配列(例えばマウス又はラット生殖細胞系列の配列)と比較したとき、前記ヒト抗体をヒトであると認定するアミノ酸残基を含む。ある種の事例では、ヒト抗体は、生殖細胞系列の免疫グロブリン遺伝子によってコードされるアミノ酸配列に対してアミノ酸配列が少なくとも95%、又は少なくとも96%、97%、98%又は99%同一でありえる。典型的には、特定のヒト生殖細胞系列の配列に由来するヒト抗体は、ヒト生殖細胞系列の免疫グロブリン遺伝子によってコードされるアミノ酸配列と10アミノ酸を超えない相違を示すであろう。ある種の事例では、ヒト抗体は、生殖細胞系列の免疫グロブリン遺伝子によってコードされるアミノ酸配列と5アミノ酸を超えない、又は4、3、2又は1アミノ酸すら超えない相違を示しえる。
【0012】
本明細書で用いられる、“ヒト化”という用語は、非ヒト免疫グロブリンに由来する配列を有する、キメラ免疫グロブリン、免疫グロブリン鎖又はそのフラグメント(例えばFv、Fab、Fab'、F(ab')2又は抗体の他の抗原結合配列)を作製するために、ヒト免疫グロブリン骨格で用いられる非ヒト(例えばマウス又はラット)抗体の部分の使用に適用される。一般的には、ヒト化抗体は、レシピエントの1つ以上の相補性決定領域(CDR)の部分又は全ての残基が、所望の特異性、親和性及び能力を有する非ヒトの種(ドナー抗体)(例えばマウス、ラット、又はウサギ)の1つ以上のCDRの残基によって置換されているヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)である。例えば、ヒト免疫グロブリンのFvフレームワーク領域(FR)残基は、対応する非ヒト残基によって置き換えられ(又はその逆)、すなわち、ヒト免疫グロブリン部分は、抗原特異性を決定する非ヒト免疫グロブリン領域に移植される。さらにまた、ヒト化抗体は、レシピエント抗体にも移入されるCDR若しくはフレームワーク配列にも見出されない残基を含むことができる。ドナー又はレシピエント抗体の部分ではない改変は、抗体の性能をさらに高め最適化するために、通常的に及び容易に実施される。一般的には、ヒト化抗体は、少なくとも一方の、典型的に両方の可変ドメイン(軽鎖及び重鎖)の実質的に全てを含むであろう(この場合、CDR領域の全て又は実質的に全てが非ヒト免疫グロブリンのCDR領域に一致し、FR領域の全て又は実質的に全てがヒト免疫グロブリン配列のFR領域である)。ヒト化抗体はまた、免疫グロブリンの定常領域(Fc)、典型的にはヒト免疫グロブリンのFc領域の少なくとも部分を含むことができる。
【0013】
本明細書で用いられる、“組換えヒト抗体”には、組換えによる方法で調製、発現、作成又は単離された全てのヒト抗体、例えばヒト免疫グロブリン遺伝子についてトランスジェニック又はトランスクロモソーム動物から単離された抗体、又は抗体を発現させるために形質転換した宿主細胞(例えば抗体を発現させるためにトランスフェクトした細胞(通常的には形質細胞腫))から単離された抗体、組換えコンビナトリアルヒト抗体ライブラリーから単離された抗体、及びヒト免疫グロブリン遺伝子配列の他のDNA配列へのスプライシングを必要としえる他の任意の方法によって調製、発現、作成又は単離された抗体が含まれる。そのような組換えヒト抗体は、ヒト生殖細胞系列免疫グロブリン配列に由来する可変及び定常領域を有する。ある種の実施態様では、しかしながらそのような組換えヒト抗体はin vitro変異導入(又はヒトIg配列についてトランスジェニックな動物が用いられるときは、in vivo体細胞変異導入)に付すことができ、したがって組換え抗体のVH及びVL領域のアミノ酸配列は、ヒト生殖細胞系列のVH及びVL配列に由来及び関連するといえども、in vivoのヒト抗体生殖細胞系列レパートリーに天然には存在しない可能性がある。
本明細書で用いられる、“抗原結合部位”又は“結合部分”という用語は、抗原結合に参画する免疫グロブリン分子の部分に適用される。抗原結合部位は、N-末端の重(“H”)鎖の3つの可変(“V”)領域及び軽(“L”)鎖の3つの可変領域のアミノ酸残基によって形成される。重鎖及び軽鎖のV領域内の3つの高度に相違するストレッチは、“超可変領域”又は“CDR”と呼ばれ、当該3つは、“フレームワーク領域”(FR)として知られる4つの保存されたフランキングストレッチの間に挟まれている。フレームワーク領域は、天然には免疫グロブリンの超可変領域の間に又は前記に隣接して見出されるアミノ酸配列に該当する。抗体分子では、軽鎖の3つの超可変領域(VL1、VL2及びVL3)及び重鎖の3つの超可変領域(VH1、VH2及びVH3)は、三次元空間では抗原結合表面を形成するように互いに対して配置される。抗原結合表面は、結合される抗原の三次元表面に対して相補的であり、重鎖及び軽鎖のそれぞれの3つの超可変領域は、“相補性決定領域”又は“CDR”と呼ばれる。
【0014】
本明細書で用いられる、“生物活性”という用語は、MxAプロモーター(及びインターフェロン誘発性プロモーター)を活性化する、又は抗ウイルス作用を示す1つ以上のIFNαサブタイプ(又はIFNβ)の能力に適用される。抗体の、IFNα生物活性のEC50及びパーセント中和は、アッセイ条件及び測定しようとするIFNα生物活性のタイプにしたがって変動する。一貫性のために、生物活性の特定のタイプ(すなわちMxAプロモーターの活性化及び抗ウイルス活性)及びアッセイ条件(すなわち“RGアッセイ”及び“CPEアッセイ”)が用いられる。RGアッセイは、本明細書に記載する条件を用いて実施することができる。MxAプロモーターの活性化のパーセント中和は、実施例(実施例3を参照されたい)に記載のように、RGmax IFN量及び2μg/mLの抗体を用いて決定される。抗ウイルス(CPE)アッセイは実施例に記載した方法にしたがって実施することができる。
本明細書で用いられる、“二特異的分子”という用語は、任意の物質、例えばタンパク質、ペプチド、又はタンパク質若しくはペプチド複合体に適用され、前記は2つの異なる結合特異性を有する。“マルチ特異的分子”又は“ヘテロ特異的分子”という用語は、任意の物質、例えばタンパク質、ペプチド、又はタンパク質若しくはペプチド複合体を含むことを意図し、前記は3つ以上の異なる結合特異性を有する。
2つの抗体が同一又は立体的にオーバーラップするエピトープを認識するとき、この1つの抗体は参照抗体と“実質的に同じエピトープ”と結合する。抗体の結合は、標準的な抗体-抗原アッセイ(例えば競合アッセイ、飽和アッセイ)、又は標準的なイムノアッセイ(例えばELISA又はRIA)によって測定又は決定することができる。2つの抗体が同一又は立体的にオーバーラップするエピトープと結合するか否かを決定するもっとも広く用いられかつ迅速な方法は競合アッセイであり、前記は、標識抗原又は標識抗体のどちらかを用いる多数の異なる様式で構成することができる。通常は、抗原が96ウェルプレートに固定され、非標識抗体が標識抗体の結合を阻止する能力が、放射能標識又は酵素標識を用いて測定される。競合ELISAアッセイのある例は米国特許5,512,457号に開示されている。抗体が、ある抗体と同じエピトープ又は実質的若しくは本質的に同じエピトープと結合するか否か、又はある抗体と抗原との結合について効率的に競合するか否かを決定する他のアッセイも当分野では知られている。それらは、例えば米国特許6,342,219号、6,342,221号、6,524,583号、6,416,758号及び米国特許公開公報2007/0065447号に起債されているものである(前記文献はそれぞれ参照により本明細書に含まれる)。
【0015】
本明細書で用いられる、“組成物”という用語は、活性な薬剤及びまた別の担体の組合せに適用される。前記担体は、例えば化合物又は組成物であって、不活性なもの(例えば検出可能な薬剤又は標識)又は活性なもの(例えばアジュバント、希釈剤、結合剤、安定化剤、緩衝剤、塩、凍結乾燥溶媒、保存料、アジュバントなど)である。担体にはまた、医薬賦形剤及び添加タンパク質、ペプチド、アミノ酸、脂質及び炭水化物(例えば糖で、単糖類、二糖類、酸糖類、四糖類及びオリゴ糖;誘導糖、例えばアルジトール、アルドン酸、エステル化糖など;並びに多糖類又は糖ポリマーを含む)が含まれ、前記は担体として又は組み合わされて存在することができ、重量又は体積によって単独又は組合せでは1−99.99%で含まれる。例示的なタンパク質賦形剤には、血清アルブミン、例えばヒト血清アルブミン(HAS)、組換えヒトアルブミン(rHA)、ゼラチン、カゼインなどが含まれる。代表的なアミノ酸/抗体成分(前記はまた緩衝能力として機能しえる)には、例えばアラニン、グリシン、アルギニン、ベタイン、ヒスチジン、グルタミン酸、アスパラギン酸、システイン、リジン、ロイシン、イソロイシン、バリン、メチオニン、フェニルアラニン、アスパルタームなどが含まれる。炭水化物賦形剤もまた本発明の範囲内で意図され、その例には単糖類、例えばフラクトース、マルトース、ガラクトース、グルコース、D-マンノース、ソルボースなど;二糖類、例えばラクトース、シュクロース、トレハロース、セロビオースなど;多糖類、例えばラフィノース、メレジトース、マルトデキストリン、デンプンなど;及びアルジトール、例えばマンニトール、キシリトール、マルチトール、ラクチトール、キシリトールソルビトール(グルシトール)及びミオイノシトールが含まれるが、ただしこれらに限定されない。担体という用語には、さらに緩衝剤又はpH調節剤が含まれる。典型的に緩衝剤は有機酸又は塩基から調製される塩である。代表的な緩衝剤には、有機酸塩、例えばクエン酸、アスコルビン酸、グルコン酸、炭酸、酒石酸、コハク酸、酢酸又はフタル酸の塩;トリス、トロメタミンヒドロクロリド又はリン酸緩衝液が含まれる。また別の担体にはポリマー賦形剤/添加物が含まれ、前記は、例えばポリビニルピロリドン、フィコール(ポリマー糖)、デキストラン(例えばシクロデキストリン、例えば2-ヒドロキシプロピル-.クアドラチャー.-シクロデキストリン)、ポリエチレングリコール、香料、抗菌剤、甘味料、抗酸化剤、制菌剤、界面活性剤(例えばポリソルベート、例えば“TWEEN20”及び“TWEEN80”)、脂質(例えばリン脂質、脂肪酸)、ステロイド(例えばコレステロール)、及びキレート剤(例えばEDTA)である。
【0016】
本明細書で用いられる、“コントロール”という用語は、比較の目的で実験に用いられるまた別の対象者又はサンプルに適用される。
本明細書で用いられる、“有効量”という用語は、有益な結果又は所望の結果を達成するために十分な量である。有効量は、1回以上の実施、適用又は投薬として投与することができる。
本明細書で用いられる、“エピトープ”又は“抗原決定基”という用語は、抗体又は抗原レセプターによって認識される抗原又は抗原フラグメント上の部位に該当する。T細胞エピトープは、適切な主要組織適合(MHC)タンパク質によって提示されるタンパク質抗原に由来する短いペプチドである。B細胞エピトープは、一般的にB細胞によって認識される抗原決定基であり、通常、抗体によって認識される三次元表面の部分である(前記は、当業者には公知のように、配列的又は構造的決定基を含むことができる)。
IFNαの抗原決定領域及び予想されるエピトープは、抗原決定領域を決定する任意の方法(例えば標準的マッピング及び性状決定技術)によって同定することができ、さらにその更なる精製は、任意の適切な技術の適用によって達成することができる(ここでいう“エピトープマッピング”技術、“エピトープ同定”技術などは、エピトープの同定及び/又は精製に応用可能な技術の記述と理解されるべきである)。そのようなマッピング/性状決定方法のある例として、ACO-2抗体のエピトープを、IFNαタンパク質内の露出アミン/カルボキシルの化学的修飾を用いてエピトープ“フットプリンティング”によって決定することができる。そのようなフットプリンティング技術のある具体的な例は、HXMS(質量分析によって検出される水素-デューテリウム交換)の使用である。略記すれば、HXMSでは、レセプター及びリガンドタンパク質のアミドプロトンの水素/デューテリウム交換を実施し、続いてペプチド-抗原結合、及びレセプターとリガンドタンパク質のアミドプロトンの戻し交換を実施する。タンパク質結合に参画する骨格アミド基は、戻し交換から保護され、したがってデューテリウム化されたままである。対応する領域は、この時点でペプチドのタンパク加水分解、急速マイクロボア高速液体クロマトグラフィー分離、及び/又はエレクトロスプレーイオン化質量分析によって同定される(例えば、以下を参照されたい:H. Ehring, Analytical Biochemistry, 1999, 267(2):252-259及び/又はJ.R.Engen & D.L. Smith 2001, Anal Chem 73:256A-265A)。エピトープマッピングのための他の方法には、核磁気共鳴(NMR)エピトープマッピング、質量分析法、プロテアーゼ分解技術及び多様なファージディスプレー技術が含まれるが、ただしこれらに限定されない。そのような技術の例は、例えば米国特許公開公報2007/0065447(前記文献の全体は参照により本明細書に含まれる)に記載されている。他のエピトープマッピングのための多数の方法がまた当分野で公知であり、例えば以下に記載されている方法である:O.M.R. Westwood & F.C. Hay, Epitope Mapping: A Practical Approach (Oxford Univ. Press, 2000)。
【0017】
IgG抗体は、パパイン消化によって3つのフラグメントに切断することができる。これらのフラグメントのうち2つは典型的には同一の抗原結合フラグメントであり、“Fab”フラグメントと呼ばれて各々はただ1つの抗原結合部位を有し、残りは“Fc”フラグメントである。Fabフラグメントは、軽鎖及び重鎖のアミノ末端側の半分を含み、これらは鎖間ジスルフィド結合によって一緒に保持される。Fcフラグメントは、残りのヒンジ領域によって互いにジスルフィド結合した2つの重鎖のカルボキシ末端側の半分から成る。IgG抗体のペプシン消化は、パパインと同じ抗体の本体領域で切断するが、ジスルフィド結合のカルボキシ末端側では切断せず、F(ab')2フラグメントを生じる。F(ab')2フラグメントは、2つの抗原結合部位を有し、抗原をなお架橋することができる。Fab'フラグメントは、抗体のヒンジ領域に由来する1つ以上のシステインを含む数残基が重鎖CH1ドメインのカルボキシ末端に付加されていることによりFabフラグメントと異なる。Fab'-SHは、定常ドメインのシステイン残基が遊離チオール基を保持するFab'の呼称である。
本明細書で用いられる、“Fv”という用語は、完全な抗原認識及び結合部位を含む最小抗体フラグメントに適用される。二本鎖Fv種では、この領域は、非共有結合状態にある1つの重鎖及び1つの軽鎖可変ドメインのダイマーを含む。一本鎖Fv種では、1つの重鎖及び1つの軽鎖可変ドメインは、当該軽鎖及び重鎖が二本鎖Fv種の“ダイマー”構造と類似の構造で結合することができように、可撓性ペプチドリンカーによって共有結合で連結されえる。
本明細書で用いられる、“ヘテロ抗体”という用語は、一緒に連結された、少なくとも2つの異なる抗原特異性を有する、2つ以上の抗体、抗体結合フラグメント(例えばFab)、その誘導体、又は抗原結合領域に適用される。
【0018】
本明細書で用いられる、“インターフェロンアルファ”(“IFNα”)という用語は、先天性免疫の主要なエフェクターのいくつかを含むタンパク質ファミリーに適用される。IFNαには少なくとも15の既知のアイソタイプが存在する。IFNαタンパク質サブタイプ及び対応するコード遺伝子の名称は以下に列挙される。
IFNαタンパク質サブタイプ 対応するIFNα遺伝子
A 2a
2 2b
B2 8
C 10
D(Val114) 1
F 21
G 5
H2 14
I 17
J1 7
K 6
4a 4a
4b 4b
WA 16
1(Ala114) 1
【0019】
以下を参照されたい:Pestka et al. (1997) “Interferon Stansardization and Designations” J Interferon Cytokine Res 17: Supplement 1, S9-S14。INFαB2はときにはまたIFNαBとも呼ばれ、IFNβと混同してはならない。白血球由来の天然のIFNα(白血球IFN)は、これらのヒトIFNα組換えタンパク質サブタイプと同様に、PBLバイオメディカルラブズ社(PBL Biomedical Labs, Piscataway, NJ)(interferonsource.com)から入手できる。天然のIFNαはINFαの複合混合物である。IFNβは、本明細書で用いた天然のIFNα調製物では検出されなかった。これらインターフェロンの検出及び定量のための方法、例えばELISA及びRIAは当分野では公知である(以下を参照されたい:Staehelin et al. (1981) Methods in Enzaymology 79 (S. Pestka ed.) Academic Press, NY 589-595;Kelder et al. (1986) Methods in Enzaymology 119 (S. Pestka ed.) Academic Press, NY 589-595;Stewart (2003)上掲書;Bennett et al. (2003) J Exp Med 197(6):711-723;Baechler et al. (2003) Proc Natl Acad Sci USA 100(5):2610-2615)。
本明細書で用いられる、“IFNα産生細胞”という用語は、IFNα産生に必要な特殊化した白血球に適用される。IFNαは二本鎖RNA(ds(RNA))、ウイルス、細菌、原虫、ある種の細胞株及び非メチル化CpG-DNAによって幅広く誘発される(Romblom & Alm (2004) J Exp Med 194(12):F59-F63)。
本明細書で用いられる、“INFα関連症状又は疾患”という語句は、患者の血清で上昇するIFNαレベルと連鎖した異常で有害な疾患又は前臨床的症状に適用される。そのようなものの例には以下が含まれる(ただしこれらに限定されない):SLE、対宿主移植片病(GVHD)、1型糖尿病、エイズ(ヒト免疫不全ウイルスによって引き起こされる)、自己免疫甲状腺炎、乾癬及び狼瘡。IFNαのレベルを決定する方法は当分野で公知であり、本明細書にも記載される。
【0020】
本明細書で用いられる、“免疫応答”という用語は、外来物質に対するリンパ球の抗原特異的応答に適用される。免疫応答を誘引するいずれの物質も“免疫原性”であると考えられ、“免疫原”と称される。全ての免疫原は抗原であるが、しかしながら全ての抗原が免疫原性であるとは限らない。免疫応答は液性(抗体活性を介する)であっても、細胞仲介性(T細胞活性化を介する)であってもよい。
本明細書で用いられる、“免疫学的結合”及び“免疫学的結合特性”は、免疫グロブリン分子と当該分子が特異性を有する抗原との間で生じる、非共有結合性相互反応タイプに適用される。免疫学的な結合相互作用の強度又は親和性は当該相互作用の解離定数(Kd)によって表現され、この場合、より小さなKdはより強い親和性を表す。選択したポリペプチドの免疫学的結合特性は当分野で周知の方法を用いて定量することができる。そのような方法の1つは、抗原結合部位/抗原複合体の形成及び解離速度の測定を必要とし、この場合、これらの速度は、複合体パートナーの濃度、相互作用の親和性、及び両方向の速度に等しく影響を与える幾何学的パラメーターに左右される。したがって、“オン速度定数”(Kon)及び“オフ速度定数”(Koff)の両方を濃度の計算によって決定することができ、実際の結合及び解離速度は当分野では周知である。Koff/Konの比は親和性に関係しない全てのパラメーターの取消しを可能にし、したがって解離定数Kdと等しい(例えば以下を参照されたい:Coligan et al. Current Protocols in Immunology, Wiley, NY, 1999)。
【0021】
本明細書で用いられる、“単離された”という用語は、同定され、その天然の環境の成分から分離及び/又は回収された抗体に適用される。その天然の環境の夾雑成分は、当該抗体の診断的又は治療的使用に干渉しえる物質であり、前記物質には、酵素、ホルモン及び他のタンパク質性又は非タンパク質性溶質が含まれえる。好ましい実施態様では、抗体は、(1)Lowryの方法で決定したとき、抗体重量で95%を超えて、もっとも好ましくは99重量%を超えて精製されるか、(2)回転カップシークェネーターの使用によってN-末端又は内部アミノ酸配列の少なくとも15残基を得るために十分な程度に精製されるか、又は(3)還元又は非還元条件下のSDS-PAGEによって、クマシーブルー染色、好ましくは銀染色を用いて均質な程度にまで精製される。単離抗体は、組換え細胞内にin situで存在する抗体を含む。なぜならば、抗体の天然の環境の少なくとも1つの成分が存在しないからである。しかしながら、通常は、単離抗体は少なくとも1つの精製工程によって調製されえる。モノクローナル抗体並びにその変種及び誘導体は単離抗体と考えられる。
本明細書で用いられる、“アイソタイプ”という用語は、それらの重鎖の定常ドメインのアミノ酸配列を基準にした抗体クラスに適用される。免疫グロブリンには5つの主要なアイソタイプIgA、IgD、IgE、IgG及びIgMが存在し、これらのいくつかはさらにサブクラス、例えばIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1及びIgA2に分類することができる。
【0022】
“狼瘡”はいくつかの疾患又は障害に適用される。“全身性紅斑性狼瘡”(SLE)は、身体の多くの部分に影響を及ぼしえる当該疾患の一形態である。SLEの症状は軽度であることも重篤であることもあり、本明細書で概説される。“円板状紅斑性狼瘡”は慢性の皮膚障害であり、この場合、赤く隆起した発赤が顔面、頭皮又は他の場所に出現する。隆起領域は肥厚し落屑性となることがあり、さらに瘢痕形成を引き起こしえる。発赤は、数日又は数年持続し、再発することがある。円板状狼瘡を示すわずかな割合の患者が後にSLEを発症する。“亜急性紅斑性皮膚狼瘡”は、太陽に暴露された身体部分に出現する皮膚病層に適用される。“薬剤誘発狼瘡”はある種の医薬によって引き起こされる狼瘡の一形態である。症状はSLEのそれと類似し(関節炎、発赤、発熱及び胸痛)、当該薬剤が中止されると症状は典型的には完全に消失する。腎臓及び脳はほとんど巻き込まれない。“新生児狼瘡”は、SLE、ショーグレン症候群の女性又は完全に疾患をもたない女性の新生児に発生しえる稀な疾患であり、母親の血中の自己抗体(抗Ro(SSA)及び抗La(SSB)と称される)によって引き起こされえる。出生時に、赤子は典型的に皮膚発赤、肝臓障害、及び低血球算定を示す。
本明細書で用いられる、“医薬的に許容できる担体”という用語は、任意の標準的医薬担体、例えばリン酸緩衝食塩水溶液、水、及び乳濁液、例えば油/水又は水/油乳濁液、及び種々のタイプの湿潤剤を含む。組成物はまた、安定化剤及び保存料並びに上記記載の担体のいずれかを追加物とともに、それらがin vivoでの使用に許容されえることを条件に含むことができる。担体、安定化剤及びアジュバントの例については以下を参照されたい:Martin Remington's Pharmaceutical Sci. 18th Ed. Mack Publ Co., Easton, PA, 1995;”Physician's Desk Reference”, 58th ed. Medical Economics, Montvale, NJ, 2004。
【0023】
本明細書で用いられる、“選択的に中和する”及び“選択的中和”という用語は、1つ以上の“IFNα”タンパク質サブタイプの生物活性の少なくとも40%を選択的に中和するが、別のIFNαタンパク質サブタイプの少なくとも1つの生物活性は有意には中和しない、単離及び精製抗体(例えばモノクローナル抗体であるが、ただしこれに限定されない)に適用され、この場合、生物活性はMxAプロモーターの活性化又は抗ウイルス活性である。種々のIFNαサブタイプでは機能が異なるので、IFNαの特定の形態を選択的に中和し、特定の機能を制御することは有利である。本発明の1つ以上の抗体はIFNαに特異的であるが、それらはまた、1つ以上のサブタイプに“選択的”であり他のサブタイプに対してはそうではない。1つ以上のIFNαタンパク質サブタイプ、例えばA、2、B2、C、F、G、H2、I、J1、K、4a、4bを選択的に中和するために、例えばDサブタイプ上の抗原性エピトープと有意には交差反応しないIFNα上の1つ以上の抗原性エピトープが、本明細書に開示するように同定、単離、性状決定及び精製された。
本明細書で用いられる、“有意には中和しない”という語句は、指定のIFNαサブタイプの生物活性(又はIFNβの生物活性)の40%未満を中和する抗体に適用され、この場合、生物活性は、本明細書に記載の条件にしたがいMxAレポーター遺伝子アッセイ(RGアッセイ)又は細胞変性効果アッセイ(CPEアッセイ)によって測定される。いくつかの実施態様では、本発明の抗体は、特定のIFNαサブタイプの生物活性の35%、30%、25%、20%、15%、10%、5%、2%を超えて中和せず、又は1%すら超えることなく有意には中和しない。
本明細書で用いられる、“対象者”という用語は、脊椎動物、好ましくは哺乳動物、より好ましくはヒトに適用される。哺乳動物には、げっ歯類、サル、ヒト、飼育動物、ウマ、イヌ、及びネコが含まれるが、ただしこれらに限定されない。
【0024】
従来のSLEの治療は対症性であり、全身的な免疫抑制を誘発する。これらにはグルココルチコイド、シクロホスファミド、アザチオプリン及びミコフェノレートモフェチルが含まれる。それらの有効性は部分的に過ぎず、望ましくない副作用、例えば易感染性の増加は一般的である。したがって、SLE患者で特にIFNαを中和することは、この疾患の病変を制御するために有望な考え方である。pDCによるIFNαの無秩序な大量産生はこの疾患の永続的な繰り返しで重要な役割を果たしているので、特定のMAb封鎖を用いてIFNαの生物活性を中和することによって、病原体に対する有効な免疫応答を立ち上げる患者の能力を損なわない標的誘導性治療薬が提供される。IFNαに対する望ましい候補MAbには以下を含む特別な性状が要求されよう;(i)SLEの病因に密接に関与するヒトIFNαサブタイプのほとんど又は全てに対して作用する能力;(ii)そのようなIFNαサブタイプの生物学的活性を阻止する能力;(iii)IFNβ又はIFNAR阻止に対しては無能;及び/又は(iv)高い親和性。IFNARではなくIFNαの中和はまた、より安全でより特異的な治療薬を提供しえる。なぜならば、このアプローチは、IFNαと同じレセプターを使用するIFNβシグナリング経路の抗ウイルス作用に影響しないであろう。この目的のために、本発明はまた、ヒトIFNαを中和することができる一連のモノクローナル抗体(MAb)を提供する。例えば、これら抗IFNαMAbの2つは、13の組換えIFNαサブタイプの生物活性を、ウイルス感染時に産生される複合IFN混合物の生物活性とともに中和することができる。ある特徴では、本発明は、様々な程度にヒトIFNαを中和する7つのMAbを提供し、そのうちの3つは、13までの組換えIFNαサブタイプ及び複合IFNα混合物を有意に中和する(ともに市場で入手可能な白血球IFN及びインフルエンザ感染PBMC産生上清)。MAbの2つ、ACO-1及びACO-2はまた、マイクロアッセイによってIFNαシグナチャーを示すSLE患者血清の生物活性を一貫して阻止する。ACO-1及びACO-2は、IFNαタンパク質サブタイプD及び1の生物活性を有意には中和しないが、SLE血清のIFNα生物活性は中和するので、これらのサブタイプがSLEの病因に重要な意義を有する蓋然性はきわめて低い。したがって、例えばACO-1及びACO-2のヒト化又は非抗原性(例えば脱免疫化)変種のような抗体を用いてSLEを治療することが所望される。前記抗体はSLEに付随するIFNαサブタイプの生物活性を阻止するが、SLEには顕著には付随しないIFNαタンパク質サブタイプ(D及び1)の生物活性を阻止しない。
【0025】
本発明はまた、インターフェロンアルファ(“IFNα”)タンパク質サブタイプA、2、B2、C、F、G、H2、I、J1、K、4a、4b及びWAから成る群から選択される少なくとも2つのタンパク質サブタイプの生物活性を選択的に中和するが、IFNαタンパク質サブタイプDの少なくとも1つの生物活性は有意には中和しない抗体を提供し、ここで生物活性は、例えばMxAプロモーターの活性化及び/又は抗ウイルス活性である。別の特徴では、本発明は、インターフェロンアルファ(“IFNα”)タンパク質サブタイプA、2、B2、C、F、G、H2、I、J1、K、4a、4b及びWAから選択される少なくとも1つのタンパク質サブタイプの異常発現に付随する疾患又は症状を、IFNαタンパク質サブタイプDの抗ウイルス活性を中和することなく対象者で治療する方法を提供し、前記方法は、本明細書に記載の抗体の1つ以上の有効量を対象者に投与することを含む。そのような抗体の例にはACO-1、ACO-2、ACO-3、ACO-4、ACO-5、ACO-6と称される抗体、及び、前述の抗体のいずれかと同じ又は本質的に同じIFNαエピトープを認識する抗体、又は前述の抗体のいずれかと本質的に同じ又は同じIFNαエピトープを認識する抗体と競合する抗体が含まれるが、ただしこれらに限定されない。好ましくは、前記抗体はモノクローナル抗体である。これらのモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞株のATCC寄託番号は下記に列挙される。したがって、本発明はさらに、ACO-1、ACO-2、ACO-3、ACO-4、ACO-5、ACO-6及びACO-8抗体を発現するハイブリドーマ細胞株を提供する。ある特徴では、前記抗体は、ATCCアクセッション番号PTA-7778を有するハイブリドーマによって産生される抗IFNα抗体と本質的に同じIFNαエピトープと結合する。別の特徴では、前記抗体は、ATCCアクセッション番号PTA-7778を有するハイブリドーマによって産生される抗IFNα抗体と同じIFNαエピトープと結合する。さらに別の特徴では、前記抗体は、ATCCアクセッション番号PTA-7778を有するハイブリドーマによって産生される抗IFNα抗体と本質的に同じ又は同じIFNαエピトープと結合する抗体と競合する。
【0026】
ある特徴では、本発明は、ACO-1、ACO-2、ACO-3、ACO-4、ACO-5及びACO-6から成る群から選択される抗体と本質的に同じIFNαエピトープと結合する抗体を提供する。別の特徴では、本発明は、ACO-1、ACO-2、ACO-3、ACO-4、ACO-5及びACO-6から成る群から選択される抗体と本質的に同じIFNαエピトープに関して競合する抗体を提供する。さらに別の特徴では、本発明は、ACO-1、ACO-2、ACO-3、ACO-4、ACO-5及びACO-6から成る群から選択される抗体と同じIFNαエピトープと結合する抗体を提供する。別の特徴では、本発明は、ACO-1、ACO-2、ACO-3、ACO-4、ACO-5及びACO-6から成る群から選択される抗体と同じIFNαエピトープと結合する抗体と競合する抗体を提供する。本発明は、そのような抗体を発現する細胞株、例えばハイブリドーマを提供する。
別の実施態様では、本発明は、IFNαタンパク質サブタイプA、2、B2、C、F、G、H2、I、J1、K、4a、4b及びWAから成る群から選択される少なくとも3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、11、12、13又は14のIFNαタンパク質サブタイプの生物活性を中和するが、IFNαタンパク質サブタイプDの少なくとも1つの生物活性は中和しない抗体を提供し、ここで前記生物活性は、MxAプロモーターの活性化又は抗ウイルス活性である。
IFNαタンパク質サブタイプ1の少なくとも1つの生物活性を中和しないモノクローナル抗体が提供され、ここで前記生物活性は、MxAプロモーターの活性化及び/又は抗ウイルス活性である。
別の特徴では、本発明は、IFNαタンパク質サブタイプA、2、B2、C、F、G、H2、I、K、4a、4b及びWAの生物活性を選択的に中和するが、IFNαタンパク質サブタイプD及び1の生物活性は有意には中和しないモノクローナル抗体を提供し、ここで前記生物活性は、MxAプロモーターの活性化及び/又は抗ウイルス活性である。他の実施態様はACO-1及びACO-2を含む。
さらに別の特徴では、本発明は、IFNαタンパク質サブタイプA、2、B2、C、I、K、及び4aの生物活性を選択的に中和するが、IFNαタンパク質サブタイプD、F、G、4b及び1の生物活性は有意には中和しないモノクローナル抗体を提供し、ここで前記生物活性は、MxAプロモーターの活性化及び/又は抗ウイルス活性である。そのような実施態様の1つはACO-3細胞によって生成されるACO-3抗体及びその誘導体である。
【0027】
さらに別の特徴では、本発明は、IFNαタンパク質サブタイプA、2、B2及びCの生物活性を選択的に中和するが、IFNαタンパク質サブタイプD、4b及び1の生物活性は有意には中和しない抗体を提供し、ここで前記生物活性は、MxAプロモーターの活性化及び/又は抗ウイルス活性である。そのような実施態様の1つはACO-4細胞及びその誘導体によって生成されるACO-4抗体及びその誘導体である。
別の特徴では、本発明の抗体は、IFNα4aの生物活性を選択的に中和するが、IFNα4bの生物活性は選択的に中和せず、ここで前記生物活性は、MxAプロモーターの活性化である。これらの抗体の例は、ACO-3及びACO-4と称される抗体並びにその誘導体であり、例えばACO-3及びACO-4細胞並びにその誘導体によってそれぞれ生成される。
さらにまた別の特徴では、本発明は、IFNαタンパク質サブタイプA、2、G、I、K、WA及び1の生物活性を選択的に中和するが、IFNαタンパク質サブタイプB及びDの生物活性は有意には中和しないモノクローナル抗体を提供し、ここで前記生物活性は、MxAプロモーターの活性化及び/又は抗ウイルス活性である。そのような実施態様の1つは、ACO-5抗体及びその誘導体であり、例えばACO-5細胞及びその誘導体によって生成される。
さらに追加される実施態様では、本発明は、IFNαタンパク質サブタイプ2及びCの生物活性を選択的に中和するが、IFNαタンパク質サブタイプA、B2、C、D、F及び1の生物活性は中和しないモノクローナル抗体を提供し、ここで前記生物活性は、MxAプロモーターの活性化である。例は、ACO-6細胞及びその誘導体によって生成されるACO-6抗体及びその誘導体である。
さらにまた別の特徴では、本発明は、IFNαタンパク質サブタイプA、2、B2、D、F、I、4a、4b及び1の生物活性を選択的に中和するが、IFNαタンパク質サブタイプC、H2、K及びWAの生物活性は有意には中和しないモノクローナル抗体を提供し、ここで前記生物活性は、MxAプロモーターの活性化である。例は、ACO-8細胞及びその誘導体によって生成されるACO-8抗体及びその誘導体である。
別の特徴では、本発明は、ATCCアクセッション番号PTA-7778を有するハイブリドーマによって産生される抗インターフェロンアルファ(“IFNα”)モノクローナル抗体を提供する。
【0028】
別の特徴では、本発明は、インターフェロンアルファ(“IFNα”)タンパク質サブタイプA、2、B2、C、F、G、H2、I、J1、K、4a、4b及びWAから成る群から選択されるサブタイプについては約350ng/mL未満、より好ましくは約300ng/mL未満、及び/又はサブタイプKについては約400ng/mL未満、より好ましくは約375ng/mL未満の1/2最大有効濃度(half maximal effective concentration)(EC50)で、少なくとも2つのIFNαタンパク質サブタイプの生物活性を選択的に中和する抗体を提供する。1/2最大有効濃度は、利用可能な任意の方法、好ましくは本明細書に記載のRGバイオアッセイを用いて決定することができる。
本発明の抗体分子は、IFNαタンパク質サブタイプに対して高い結合親和性を有しえる(例えばナノモルでの結合)。親和性は、当分野で公知の適切な方法(本明細書の実施例に記載のビアコア(Biacore)アッセイを含む)を用いて測定することができる。好ましくは、親和性は、本明細書の実施例に記載するように組換えIFNα-Aを用いて測定される。本発明の抗体分子は、IFNα-Aに対して約5x10-9M未満の結合親和性を有することができる。又は、本発明の抗体分子は、IFNα-Aに対して約1.5x10-9M未満の結合親和性を有することができる。したがって、ある実施態様では、本発明の抗体分子は、約9x10-9Mと約4x10-10Mとの間の結合親和性を有する。別の実施態様では、本発明の抗体分子は、約5x10-9Mと約1.5x10-9Mとの間の結合親和性を有することができる。
本発明のモノクローナル抗体にはまた、ヒト化抗体、ヒト抗体、キメラ抗体、抗体フラグメント、例えばFabフラグメント、F(ab')2フラグメント、Fab'フラグメント又は当業者に公知の他の任意のフラグメントが含まれる。
さらに別の実施態様では、本発明は、ハイブリドーマ細胞株を作製する方法を提供する。前記方法は、例えば哺乳動物を組換えIFNαサブタイプA、B2及びFを含む組成物で免疫し、前記哺乳動物由来の脾臓細胞をミエローマ細胞株と融合させてハイブリドーマを作製し、さらに、IFNαタンパク質サブタイプ2、C、G、I、J1、K、4a、4b、 WA及び1から成る群から選択される1つ以上のIFNαタンパク質サブタイプを選択的に中和するが、IFNαタンパク質サブタイプDを選択的に中和しないモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞株を同定することによる。
【0029】
本明細書で用いられる、“中和する”という用語は、本明細書に規定するRG、CPE又は単球分化アッセイによって測定したとき、IFNαタンパク質サブタイプの1つ以上の生物学的活性を少なくとも40%阻害する抗体の能力に適用される。例えば、抗体は、IFNαタンパク質サブタイプの生物学的活性の少なくとも50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%又は100%中和する。IFNαの生物学的活性には、MxAプロモーターの転写活性化(例えば下記の“RG”アッセイを参照されたい)、抗ウイルス活性(例えば細胞変性効果(“CPE”)アッセイ)、及び単球を樹状細胞に分化させるSLE血清の能力が含まれる。RGアッセイ及びCPEアッセイを用いる%中和を決定する方法は本明細書に記載される。
本明細書で用いられる、“中和しない”又は“有意には中和しない”という語句は、抗体がIFNαタンパク質サブタイプの生物学的活性の40%未満を中和することに適用され、この場合、添加抗体の中和効果はRG、CPE又は単球分化アッセイによって測定される。例えば、この抗体は生物学的活性の35%未満、又は30%未満、又は25%未満、又は20%未満、又は15%未満、又は10%未満、又は8%未満、又は5%未満、又は3%未満中和し、又は1%未満すら中和しない。
本発明の抗体は、抗体変種、誘導体又はフラグメントでありえる。ある特徴では、抗体は単離される。別の特徴では、抗体は適切な担体と混合される。抗体は、任意の種(マウス、ラット、サル)から単離されるか、組換えにより製造することもできる。マウスのモノクローナル抗体の例は、ACO-1、ACO-2、ACO-3、ACO-4、ACO-5、ACO-6及びACO-8と称される抗体である。本発明により(単独で、担体と組み合わされ、又は培養で)提供されるものはまた、これらのモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞株である。
本発明により提供されるものはまた、抗体、その変種、誘導体又はフラグメントを含むポリペプチド(免疫グロブリン鎖及びCDRを含むが、ただしこれらに限定されない)である。前記ポリペプチドは、好ましくは、同じ又は類似の親和性及び/又は能力で、上記記載のIFNαと結合し、これを阻害し及び/又は中和する。
本発明はさらに、抗体ACO-1からACO-6又はACO-8のいずれかと反応する抗イディオタイプ抗体を提供する。抗イディオタイプ抗体は、単一抗体の固有の決定基に対して作成される抗体である。抗イディオタイプ抗体は、免疫アッセイ及び他の応用で結合抗体の検出に有用である。本発明の抗イディオタイプ抗体は、任意の哺乳動物(例えばヒト、マウス、ウサギ、ラット、げっ歯類、霊長類などであるが、ただしこれらに限定されない)を含むか、又はこれらから誘導することができる。
【0030】
上記抗体の1つ以上を、さらに担体、医薬的に許容できる担体、又は診断若しくは治療方法で前記抗体若しくは関連組成物を使用するために適した医療装置と組み合わせることができる。前記担体は、液相担体又は固相担体、例えばビーズ、ゲル、又は担体分子(例えばリポソーム)でありえる。前記組成物は、場合によって少なくとも1つの更なる化合物、タンパク質又は組成物をさらに含むことができる。“担体”の追加例には、治療的に活性を有する薬剤、例えば別のペプチド又はタンパク質(例えばFab'フラグメント、J-鎖、別の抗体、毒素など)が含まれる。例えば、本発明の抗IFNα抗体、その変種、誘導体又はフラグメントは、1つ以上の分子的実体、例えば別の抗体(例えば二特異的又はマルチ特異的抗体を生成させるため)、サイトトキシン、細胞リガンド又は抗原と(例えば化学的結合、遺伝的融合、非共有結合又は他の方法によって)機能的に連結させることができる。したがって、本発明は、極めて多様な抗体結合物、二特異的及びマルチ特異的分子、並びに融合タンパク質を、それらが本発明の抗体と同じエピトープを標的とするか否かに関係なく包含する。
追加担体の例は、有機分子(改変薬剤とも称される)又は活性化薬剤であり、前記は、本発明の抗体に共有結合的に直接又は間接的に結合される。前記分子の結合は、薬物動態特性(例えばin vivo血清半減期)を改善することができる。有機分子の例には、親水性ポリマー基、脂肪酸基、又は脂肪酸エステル基が含まれるが、ただしこれらに限定されない。本明細書で用いられる、“脂肪酸”という用語は、例えばモノカルボン酸及びジカルボン酸に適用される。本明細書で用いられる、“親水性ポリマー基”という用語は、例えばオクタン中よりも水で溶解性が高い有機ポリマーに適用される。
【0031】
本発明の抗体の改善に適した親水性ポリマーは直鎖でも分枝していてもよく、例えば、ポリアルカングリコール(例えばポリエチレングリコール(PEG)、モノメトキシ-ポリエチレングリコール(mPEG)、ポリプロピレングリコール(PPG)など)、炭水化物(例えばデキストラン、セルロース、オリゴ糖、多糖類など)、親水性アミノ酸のポリマー(例えばポリリジン、ポリアルギニン、ポリアスパルテートなど)、ポリアルカンオキシド(例えばポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシドなど)及びポリビニルピロリドンが含まれる。本発明の抗体と一緒に使用される適切な親水性ポリマーは、別個の分子実体として例えば約800から約150,000ダルトンの分子量を有することができる。親水性ポリマー基は、1つから約6つのアルキル、脂肪酸、又は脂肪酸エステル基で置換されえる。脂肪酸又は脂肪酸エステル基で置換される親水性ポリマーは、適切な方法を用いることにより調製することができる。例えば、アミノ基を含むポリマーは、脂肪酸又は脂肪酸エステルのカルボキシレートと共役させ、脂肪酸又は脂肪酸エステル上で活性化されたカルボキシレート(例えばN,N-カルボニルジイミダゾールで活性化)は、ポリマーのヒドロキシル基と共役させることができる。
本発明の抗体の改善に適した脂肪酸及び脂肪酸エステルは飽和されてあってもよく、又は1つ以上の不飽和ユニットを含んでいてもよい。そのようなものの例には、n-ドデカノエート、cis-δ-9-オクタデカノエート、全てのcis-δ-5,8,11,14-エイコサテトラノエート、オクタン二酸、テトラデカン二酸、オクタデカン二酸、ドコサン二酸などが含まれるが、ただしこれらに限定されない。適切な脂肪酸エステルには、直鎖又は分子低級アルキル基を含む二カルボン酸のモノエステルが含まれる。低級アルキル基は、1から約12、好ましくは1つから約6つの炭素原子を含むことができる。
【0032】
さらに別の特徴では、本発明は、トランスジェニック非ヒト動物、例えばトランスジェニックマウス(本明細書では“ヒトMAbマウス”とも称される)を提供し、前記マウスは、上記に定義した本発明の抗体と類似する、完全にヒトのモノクローナル抗体を発現し、このモノクローナル抗体は少なくとも1つのIFNαタンパク質サブタイプを中和する。具体的な実施態様では、トランスジェニック非ヒト動物はトランスジェニックマウスであり、前記は、本発明の抗アルファV抗体の全て又は部分をコードするヒト重鎖トランスジーン及びヒト軽鎖トランスジーンを含むゲノムを有する。ヒト抗体を生成するために、トランスジェニック非ヒト動物を、INFαタンパク質サブタイプA、B及びFの精製又は濃縮調製物で免疫することができる。トランスジェニック非ヒト動物の例は、例えば、IFNαに対するヒトモノクローナル抗体の多様なアイソタイプ(例えばIgG、IgA及び/又はIgM)を、V-D-J組換え及びアイソタイプスイッチングを経ることによって生成することができるトランスジェニックマウスでありえる。アイソタイプスイッチングは、例えば古典的又は非古典的アイソタイプスイッチングによって生じえる。
したがって、別の実施態様では、本発明は、上記に記載した、ヒト抗体を発現するトランスジェニック非ヒト動物、例えばトランスジェニックマウスに由来する単離細胞又は前記動物から単離した細胞を提供する。続いて、ヒト抗体の供給源(例えばハイブリドーマ)を提供するために、この単離B細胞を不朽化細胞との融合によって不朽化することができる。これらのハイブリドーマはまた本発明の範囲内に含まれる。
本発明はさらに、当分野で公知の及び/又は本明細書に記載の少なくとも1つのIFNα関連症状を細胞、組織、器官、動物及び/又は患者で、及び/又は関連症状の前、その後、又はその最中に診断するために、少なくとも1つの抗体方法又は組成物を提供する。前記はまた、予後診断のため又は疾患の進行を監視するために用いられる。
【0033】
さらにまた提供されるものは、本発明の少なくとも1つの抗IFNα抗体、その変種、誘導体又はフラグメントを含む組成物であり、前記組成物は、当分野で公知の及び/又は本明細書に記載のIFNα付随症状を、細胞、組織、器官、動物及び/又は患者で、及び/又は関連症状の前、その後、又はその最中に調節若しくは緩和するために、又は少なくとも1つのIFNα関連症状を治療するために有効な量で投与するために適している。組成物には例えば医薬及び診断組成物/キットが含まれ、前記は、例えば医薬的に許容できる担体及び本発明の少なくとも1つの抗IFNα抗体、その変種、誘導体又はフラグメントを含む。上記に言及したように、組成物はさらに、最大の治療利益を提供するために適合させた多様な治療方法を併せて提供する、また別の抗体又は治療薬を含むことができる。
また別には、本発明の組成物は、他の治療薬及び細胞傷害性薬剤とともに、それらに結合させるか又は同じ製剤で投与するか否かにかかわらず一緒に投与することができる。それらはそのような薬剤とともに同時に(例えば1つの組成物で又は別個に)投与してもよいし、又はそのような薬剤の投与の前又は後に投与してもよい。そのような薬剤には、コルチコステロイド、非ステロイド系免疫抑制剤、抗マラリア薬、及び非ステロイド系抗炎症薬が含まれえる。組成物は、また別の治療法、例えばコルチコステロイド、非ステロイド系免疫抑制剤、抗マラリア薬、及び非ステロイド系抗炎症薬の投与と組み合わせることができる。
【0034】
別の特徴では、本発明は、インターフェロンアルファ(“IFNα”)タンパク質サブタイプA、2、B2、C、F、G、H2、I、J1、K、4a、4b及びWAから成る群から選択される、少なくとも2つのIFNαタンパク質サブタイプの生物活性を、IFNαタンパク質サブタイプDの少なくとも1つの生物活性を選択的に中和することなく、選択的に中和する方法を提供し、ここで前記生物活性はMxAプロモーターの活性化又は抗ウイルス活性である。前記方法は、前記サブタイプを含むと思われるサンプルを、前記サブタイプを選択的に中和するモノクローナル抗体と接触させることを必要とする。そのような抗体の例には、ACO-1、ACO-2、ACO-3、ACO-4、ACO-5及びACO-6と称される抗体が含まれるが、ただしこれらに限定されない。
本発明によって多様な治療法が提供される。例えば、本明細書は、インターフェロンアルファ(“IFNα”)タンパク質サブタイプA、2、B2、C、F、G、H2、I、K、4a、4b及びWAから成る群から選択される、少なくとも1つのIFNαタンパク質サブタイプの異常な発現に付随する症状を、IFNαタンパク質サブタイプD及び1と結合することなく対象者で緩和する方法を開示し、前記方法は、前記サブタイプを選択的に中和する抗体の有効量を対象者に投与することによる。そのような抗体の例は上記に提供されている。
本発明は、インターフェロンアルファ(“IFNα”)タンパク質サブタイプA、2、B2、C、F、G、H2、I、K、4a、4b及びWAから成る群から選択される、少なくとも1つのIFNαタンパク質サブタイプの異常な発現から生じる疾患又は症状を、IFNαタンパク質サブタイプD及び1と結合することなく対象者で治療する方法を提供し、前記方法は、前記サブタイプを選択的に中和する抗体の有効量を対象者に投与することによる。そのような抗体の例は上記に提供されている。さらに提供されるものは、組換えIFNαサブタイプA、B2及びFを含む組成物を哺乳動物に投与することによって免疫する方法である。別の実施態様では、免疫方法は、本質的にIFNαサブタイプA、B2及びF、医薬的に許容できる担体、及び場合によって1つ以上のアジュバントから成る組成物を哺乳動物に投与することを含む。また別の特徴では、免疫は、IFNαタンパク質サブタイプA、B2及びFを中和するが、IFNαタンパク質サブタイプD及び1を中和しない抗体を生じる。さらに別の特徴では、本方法及び組成物は、IFNα4aを中和するが、IFNα4bは中和しない(例えばACO-3)。
in vivoで使用するために、本発明の抗体及び組成物は、治療的に有効な用量で患者(例えばヒトの対象)に投与又はデリバーされ、選択したIFNαサブタイプを中和する。さらにまた、本発明の抗体又は組成物の有効量を投与又はデリバリーすることによって、IFNα関連症状、例えばSLE、糖尿病、乾癬又はエイズの症状を、抗体をベースにする臨床生成物に適した投与ルートを用いて対象者で治療又は緩和することができる。多くの臨床生成物が当分野で公知であり、例えば注射又は輸液である。
【0035】
投薬形態
本発明の抗体を使用するための投薬ユニットは、単一化合物又は他の化合物とのその混合物でありえる。前記化合物は一緒に混合してもよく、イオン結合又は共有結合さえ形成させることができる。本発明の1つ以上の抗体は、経口、静脈内(ボーラス又は輸液)、腹腔内、皮下、又は筋肉内様式で投与することができる(いずれも製薬業界の業者に周知の投薬形態を用いる)。デリバリーの具体的な場所又は方法にしたがって、種々の投薬形態、例えば錠剤、カプセル、ピル、散剤、顆粒、エリキシル、チンキ剤、懸濁液、シロップ、及び乳濁液を用いて、本明細書に記載のある種のIFNαサブタイプの中和を含む治療法を必要とする患者に本発明の抗体を提供することができる。抗体は一般的には親水性であるが、それらは公知の塩の形態のいずれかとして投与することができる。
抗体は典型的には、意図される投与形態に基づき、さらに通常の医薬的慣行にしたがって適切な医薬用の塩、緩衝剤、膨張剤、賦形剤及び/又は担体(本明細書では包括的に医薬的に許容できる担体又は担体物質と称される)との混合物として投与される。投与にとって最良の場所にしたがって、抗体は、例えば経口、直腸、局所、静脈内注射又は非経口投与用の個々の形態にとって最大及び/又は定常的投与を提供するために処方することができる。抗体、例えばACO-1、ACO-2、ACO-3、ACO-4、ACO-5、ACO-6及びACO-8のヒト化型は、医薬的に許容できる担体中で単独で投与してもよいが、また組み合わせることもできる。担体は、選択した投与のタイプ及び/又は場所にしたがって固体でも液体でもよい。
【0036】
本発明を用いて有用な投薬形体を製造するための技術及び組成物は以下の参考文献の1つ以上に記載されている:Ansel, Introduction to Pharmaceutical Dosage Forms 2nd Edition (1976);Remington's Pharmaceutical Sciences, 17th ed. (Mack Publishing Company, Easton, PA 1985);Advances in Pharmaceutical Sciences (David Ganderton, Trevor Jones, Eds, 1992);Advances in Pharmaceutical Sciences Vol 7.(David Ganderton, Trevor Jones, James McGinity, Eds, 1995);Aqueous Polymeric Coatings for Pharmaceutical Dosage Forms (Drugs and the Pharmaceutical Sciences, Series 36 (James McGinity, Ed. 1989);Pharmaceutical Particulate Carriers: Therapeutic Applications: Drugs and Pharmaceutical Sciences, Vol 61 (Alain Rolland, Ed. 1993);Drug Delivery to the Gastrointestinal Tract (Ellis Horwood Books in the Biological Sciences. Series in Pharmaceutical Technology; J.G. Hardy, S.S. Davis, Clive G. Wilson, Eds.);Modern Pharmaceutics Drugs and the Pharmaceutical Sciences, Vol 40 (Gilbert S. Banker, Christopher T. Rhodes, Eds)など、前記文献の関連部分は参照により本明細書に含まれる。
本発明の抗体は、リポソームデリバリーシステム、例えば小さな単層薄膜小胞、大きな単層薄膜小胞及び多層小胞(荷電であれ又は非荷電であれ)の形で投与することができる。リポソームは1つ以上のリン脂質(例えばコレステロール)、ステアリルアミン及び/又はホスファチジルコリン、その混合物などを含むことができる。
抗体はまた、薬剤担体として又はプロドラッグとして1つ以上の可溶性、生物分解性、生体許容性ポリマーと結合させることができる。そのようなポリマーには以下が含まれる:ポリビニルピロリドン、ピランコポリマー、ポリヒドロキシルプロピルメタクリルアミド-フェノール、ポリヒドロキシエチルアスパルタート-ミデフェノール、又はパルミトイル残基で置換されたポリエチレンオキシド-ポリリジン、前記の混合物など。さらにまた、抗体は1つ以上の生物分解性ポリマーと結合させて、抗体の制御放出を達成することができる。本発明で使用される生物分解性ポリマーには以下が含まれる:ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ乳酸とポリグリコール酸のコポリマー、ポリエプシロンカプロラクトン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステル、ポリアセタール、ポリジヒドロピラン、ポリシアノアシレート、及びヒドロゲルの架橋又は両親媒性ブロックコポリマー、前記の混合物など。
【0037】
鼻道、洞、口、喉、食道、気管、肺、及び肺胞への直接的デリバリーの場合、抗体はまた、適切な鼻内用ベヒクルを使用することにより鼻内用形態としてデリバーすることができる。皮膚及び経皮デリバリーの場合、抗体は、当業者に周知のように、ローション、クリーム、油、エリキシル、血清、経皮用皮膚パッチなどを用いてデリバーすることができる。非経口及び静脈内用形態はまた、選択した注射又はデリバリーのタイプ(例えば緩衝溶液、等張溶液)にそれらを適合させることができるように、医薬的に許容できる塩及び/又は鉱物及び他の物質を含むことができる。抗体の投与に有用な投薬形態の例には以下の形態が含まれえる。
注射用溶液:注射による投与に適切な非経口組成物は、1.5重量%の活性成分を脱イオン水中で攪拌し、さらに例えば10体積%までのプロピレングリコール及び水と混合することによって調製される。溶液は、塩化ナトリウムで等張にし、さらに例えば限外ろ過を用いて滅菌される。無菌的注射用溶液は、必要な量の活性な化合物を、上記に列挙した他の成分を必要に応じて含む適切な溶媒に取り入れ、続いてろ過滅菌することによって調製される。一般的には、分散液は、多様な無菌的活性成分を、基本的な分散媒体を有する無菌的ベヒクルに取り込むことによって調製される。無菌的な注射用溶液を調製するための無菌的粉末の事例では、乾燥粉末の調製に有用な方法には、真空乾燥、噴霧凍結、加熱下の真空乾燥、及び凍結乾燥技術が含まれ、前記技術によって、活性成分+追加される任意の所望成分が先にろ過滅菌されたその溶液から得られる。本発明の抗体は、注射用形態で又は肺若しくは他のデリバリーにより、ミクロ粒子又はナノ粒子としてデリバーされえる。
懸濁物:ある実施態様では、水性懸濁物は、各5mLが例えば0.001−1,000mgの微細に分割された活性成分、200mgのナトリウムカルボキシメチルセルロース、5mgの安息香酸ナトリウム、1.0gのソルビトール溶液、及び食塩水(0.01、0.1、1、5又は10mL)を含むことができるように、投与のために調製されえる。
抗体の有効用量は、再構成に際して、湿潤/乾燥系の場合、約1.0μg/mLから約1000mg/mLの濃度を生じる量を含むことができる。ただし、前記より低い及び高い濃度も有効であり、意図されるデリバリーベヒクルに左右される。例えば、溶液処方物は、経皮パッチ、肺、経粘膜的方法、又は浸透圧若しくはミクロポンプ方法とは異なるであろう。
【0038】
本発明の抗体を含む処方物が本明細書で提供される。本発明の処方物は、本発明の少なくとも1つの抗体及び以下から成る群から選択される保存料を水性希釈液中で混合することを含むプロセスによって調製することができる:フェノール、m-クレゾール、p-クレゾール、o-クレゾール、クロロクレゾール、ベンジルアルコール、アルキルパラベン(メチル、エチル、プロピル、ブチルなど)、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゾエトニウム、デヒドロ酢酸ナトリウム及びチメロサール又はそれらの混合物。水性希釈液中での抗体と保存料の混合は、通常の溶解及び混合方法を用いて実施される。例えば、緩衝溶液中の少なくとも1つの秤量抗体を、所望の濃度の抗体及び保存料を提供するために十分な量の緩衝溶液中で所望の保存料と混合する。この方法の変型は当業者には知られていよう。例えば、成分を添加する順序、別の添加物を用いるか否か、処方物の調製温度及びpHは、いずれも用いられる濃度及び投与方法について最適化することができる因子である。
処方物は、1つ以上の保存料又は安定化剤、例えばフェノール、m-クレゾール、p-クレゾール、o-クレゾール、クロロクレゾール、ベンジルアルコール、亜硝酸フェニル水銀、フェノキシエタノール、ホルムアルデヒド、クロロブタノール、塩化マグネシウム(例えば6水和物)、アルキルパラベン(メチル、エチル、プロピル、ブチルなど)、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゾエトニウム、デヒドロ酢酸ナトリウム及びチメロサール又はそれらの混合物を水性希釈液中に含むことができる。当分野で公知のような適切ないずれの濃度又は混合物も用いることができ、例えば0.001−5%又はその中の任意の範囲若しくは数値、例えば以下(ただしこれらに限定されない)である:0.001、0.003、0.005、0.009、0.01、0.02、0.03、0.05、0.09、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.3、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、又はその中の任意の範囲若しくは値。非限定的な例には以下が含まれる:保存料無し、又は保存料有り、例えば0.1−2%のm-クレゾール(例えば0.2、0.3、0.4、0.5、0.9、1.0%)、0.1−3%のベンジルアルコール(例えば、0.5、0.9、1.1、1.5、1.9、2.0、2.5%)、0.001−0.5%チメロサール(例えば、0.005、0.01)、0.001−2.0%フェノール(例えば0.05、0.25、0.28、0.5、0.9、1.0%)、0.0005−1.0%のアルキルパラベン(例えば0.00075、0.0009、0.001、0.002、0.005、0.0075、0.009、0.01、0.02、0.05、0.075、0.09、0.1、0.2、0.3、0.5、0.75、0.9、及び1.0%)。
【0039】
組成物及び処方物は、透明溶液として又は2個組みバイアルとして(水性希釈液を含む第二のバイアルで再構成される凍結乾燥抗体のバイアルを含む)患者に提供することができる。単一溶液のバイアル又は再構成を要する2個組みバイアルは何度も再使用することができ、シングルサイクル又はマルチサイクルでの患者の治療に十分であり、したがって従来利用可能な治療方式よりも便利な方式を提供することができる。これらの単一バイアル系を含む承認装置には、溶液デリバリー用のペンインジェクター装置が含まれ、例えば、BD Pens、BD Autojectore、HumaJectTM、NovoPenTM、B-DTMPen、AutoPenTM及びOptiPenTM、GenotropinTM、Genotronorm PenTM、Humatro PenTM、Reco-PenTM、Roferon PenTM、BiojectorTM、IjectTM、J-tip Needle-Free InjectorTM、IntrajectTM、Medi-Jectであり、例えばBecton Dickensen社(Franklin Lakes, NJ(bectondickenson.comで入手できる));Disetronic社(Burgdorf, Switzerland(disetronic.com.で入手できる));Bioject社(Portland, Oregon(bioject.comで入手できる));National Medical Products, Weston Medical社(Peterborough, UK(Weston-medical.comで入手できる))、Medi-Ject Corp社(Mineapolis, Minn(Mediject.comで入手できる))により製造又は開発されている。
本発明は、包装材及び少なくとも1つのバイアルを含む製品を提供し、前記バイアルは、少なくとも本発明の抗体溶液を、場合によって水性希釈液で処方された緩衝剤及び/又は保存料とともに含み、この場合、前記包装材は、そのような溶液が、1、2、3、4、5、6、9、12、18、20、24、30、36、40、48、54、60、72時間又はそれより長い期間にわたって保持することができることを示す付箋を有することができる。本発明はさらに、包装材、第一のバイアル及び第二のバイアルを含む製品を含み、前記第一のバイアルは少なくとも1つの本発明の凍結乾燥抗体を含み、第二のバイアルは処方された緩衝剤又は保存料の水性希釈液を含み、前記包装材は、抗体を水性希釈液で再構成して、24時間又はそれより長い時間にわたって維持することができる溶液を作成することを患者に指示する付箋を含む。
【0040】
キット:本発明はまた、例えば疾患の治療に有用な医薬キットを含み、前記キットは、希釈又は再懸濁させて治療的に有効な量の抗体になるように提供することができる医薬組成物を含む、1つ以上の容器を含むことができる。そのようなキットはさらに、所望の場合は、当業者に明白な種々の一般的な1つ以上のキット成分、例えば、1つ以上の医薬的に許容できる担体、液体を含む容器、追加の容器などを含むことができる。投与されるべき成分の量、投与のガイドライン、及び/又は成分を混合するためのガイドラインを示す、印刷された指示(挿入物として又は付箋として)もまたキットに含まれえる。特定した物質及び条件は本発明の実施に重要であるが、特定されなかった物質及び条件も、それらが本発明の利益の認識を妨げないかぎり排除されないことは理解されよう。
抗体:本発明の抗体はモノクローナル抗体を含む。それらはまた、IFNα中和機能を有するフラグメント、抗体誘導体又は抗体変種でもよい。それらはキメラ、ヒト化又は完全にヒト抗体でもよい。抗体の機能的フラグメントにはFab、Fab'、Fab2、Fab'2及び一本鎖変種領域が含まれるが、ただしこれらに限定されない。抗体は、細胞培養で、例えば細菌、酵母、植物若しくは植物細胞、昆虫若しくは昆虫細胞、親核細胞、又は多様な動物(ウシ、ウサギ、ヤギ、マウス、ラット、ハムスター、モルモット、ヒツジ、イヌ、ネコ、サル、チンパンジー、ヒヒなどを含むが、ただしこれらに限定されない)で製造することができる。フラグメント又は誘導体が本発明の抗体として結合特異性又は中和能力を保持するかぎり、前記を用いることができる。抗体は、ある条件セット下で、適切な抗原との結合を無関係の抗原又は抗原混合物との結合と比較することによって特異性について試験することができる。抗体が、無関係の抗原又は抗原混合物との結合よりも、適切な抗原と少なくとも2、5、7及び10倍すら強く結合するならば、前記は特異的であると考えられる。特異性決定のための特異的アッセイ、例えばELISAは以下に記載される。
抗体はまた、IFNαタンパク質サブタイプの1つ以上の生物学的活性を中和するそれらの能力によって特徴付けられる。前記能力は、例えば、MxAプロモーター又はIFNαによって誘発される別のプロモーターの転写活性化、抗ウイルス活性、単球の樹状細胞への分化を引き起こすSLE血清の能力であるが、ただしこれらに限定されない。
【0041】
本発明のモノクローナル抗体は、当分野で公知であり、文献にも詳しく記載されている通常のハイブリドーマ技術を用いて生成することができる。例えば、ハイブリドーマは、適切な不朽細胞株(例えばミエローマ細胞株(例えば、NSO、NS1、NS2、AE-1、L.5、>243、P3X63Ag8.653、Sp2SA3、Sp2MAI、Sp2SS1、Sp2SA5、U397、MLA144、ACTIV、MOLT4、DA-1、JURKAT、WEHI、K-562、COS、RAJI、NIH3T3、HL-60、MLA144、NAMAIWA、NEURO2A、CHO、PerC.6、YB2/Oなどであるが、ただしこれらに限定されない)、ヘテロミエローマ、その融合生成物、又はそれらに由来する任意の細胞若しくは融合細胞)、又は当分野で公知の任意の他の適切な細胞株(例えばwww.atcc.org, www.lifetech.com.などを参照されたい)を、抗体産生細胞と融合させることによって作成される。前記抗体産生細胞は例えば以下である(ただしこれらに限定されない):単離又はクローニングした脾臓、抹消血、リンパ、扁桃又は他の免疫若しくはB細胞含有細胞、又は重鎖又は軽鎖の定常若しくは可変若しくはフレームワーク若しくはCDR配列を発現する任意の他の細胞(前記配列は、内因性又は異種性核酸として発現されるか、組換え若しくは内因性のウイルス、細菌、藻類、原核細胞、両生類、昆虫、爬虫類、哺乳動物、げっ歯類、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ヒツジ、霊長類、真核細胞のゲノムDNA、cDNA、rDNA、ミトコンドリアDNA若しくはRNA、葉緑体DNA若しくはRNA、hnRNA、mRNA、tRNA、一本鎖、二本鎖、三本鎖、ハイブリダイズ鎖など、又はそれらの任意の組合せとして発現される)。抗体産生細胞はまた、ヒト又は問題の抗原で免疫した他の適切な動物の抹消血、又は好ましくは脾臓若しくはリンパ節から入手できる。任意の他の適切な宿主細胞もまた、本発明の抗体、その特定のフラグメント又は変種をコードする異種又は内因性核酸の発現に用いることができる。融合細胞(ハイブリドーマ)又は組換え細胞を、選択的培養条件または他の適切な公知の方法を用いて単離し、制限希釈又は細胞分類又は他の公知の方法によってクローニングすることができる。
【0042】
必須の特異性をもつ抗体を製造又は単離する他の適切な方法(ペプチド又はタンパク質ライブラリーから組換え抗体を選別することを含む(ただし前記に限定されない))を、当分野で公知の方法(U.S. 4,704,692;5,723,323;5,763,192;5,814,476;5,817,483;5,824,514;5,976,862を参照されたい)を利用して用いることができ、前記ライブラリーは、例えばバクテリオファージ、リボソーム、オリゴヌクレオチド、RNA、cDNAなどのディスプレーライブラリー(ただしこれらに限定されない)で、例えば多様な販売業者(例えばCambridge Antibody Technologies(Cambridgeshire, UK)、MorphoSys(Martinsreid/Planegg, Del.)、Biovation(Aberdeen, Scotland, UK)、BioInvent(Lund, Sweden)、及びAntitope(Canbridge, UK))から入手することができる。また別の方法は、当分野で公知であるか、及び/又は本明細書に記載するように、ヒト抗体レパートリーを産生することができるトランスジェニック動物の免疫による方法であり、前記トランスジェニック動物は、例えばSCIDマウス(Nguyen et al. 1977, Microbiol Immunol 41:901-907;Sandhu et al 1966, Crit Rev Biotechnol 16:95-118;Eren et al. 1998, Immunol 93:154-161)である。そのような技術は以下を含む(ただしこれらに限定されない):リボソームディスプレー(Hanes et al. 1997, Proc Natl Acad Sci USA, 94:4937-4942;Hanes et al. 1998, Proc Natl Acad Sci USA, 95:14130-14135);単一細胞抗体産生技術(例えば選別リンパ球抗体法(“SLAM”)(U.S.5,627,052;Wen et al. 1987, J Immunol 17:887-892;Babcook et al. Proc Natl Acad Sci USA 1996, 93:7843-7848);ゲル微小滴及びフローサイトメトリー(Powell et al. 1990, Biotechnol 8:333-337);One Cell System(Cambridge, Mass)(Gray et. al. 1995, J Imm Meth 182:155-163;Kenny et al. 1995, Bio/Technol 13:787-790);B細胞選別(Steenbakkers et al. 1994, Molec Biol Reports 19:125-134)。
【0043】
本発明の抗体変種はまた、本発明の抗体をコードするポリヌクレオチドを適切な宿主細胞にデリバーすることにより、例えばトランスジェニック動物又はそのような抗体をそれらの乳汁中に産生する哺乳動物(例えばヤギ、ウシ、ウマ、ヒツジなど)を提供することにより製造することができる。これらの方法は当分野で公知であり、さらに、例えばU.S. 5,827,690;5,849,992;4,873,316;5,849,992;5,994,616;5,565,362;及び5,304,489に記載されている。
本明細書で用いられる、“抗体変種”という用語は、抗体又はフラグメントの直鎖ポリペプチド配列に対する翻訳後改変に適用される。例えば、U.S. 6,602,684B1は、Fc仲介細胞傷害性が強化された抗体(完全な抗体、抗体フラグメント、又は免疫グロブリンのFc領域と等価の領域を含む融合タンパク質を含む)の改変糖型の生成方法及びそのようにして生成された糖タンパク質について記載している。
抗体変種はまた、本発明のポリヌクレオチドをデリバーして、そのような抗体、特定部分又は変種を、植物部分又はそれらから培養した細胞で産生するトランスジェニック植物及び培養植物細胞(例えばタバコ、トウモロコシ及びアオウキクサであるが、ただしこれらに限定されない)を提供することによって生産することができる。例えば、Cramerら(Curr Top Microbiol Immunol 1999, 240:95-118)及びその中に引用された文献は、例えば誘導性プロモーターを用いる、大量の組換えタンパク質を発現するトランスジェニックなタバコの葉の生産を記載している。トランスジェニックトウモロコシは、商業的生産レベルでの哺乳動物タンパク質の発現に用いられ、それらは他の組換え系で生産されたもの又は天然の供給源から精製されたものと等価の生物活性を有する(例えば以下の文献及びその中に引用された参考文献を参照されたい:Hood et al. Adv Exp Med Biol 1999, 464:127-147)。抗体変種はまた、抗体フラグメント(例えば一本鎖抗体(scFv))を含むトランスジェニック植物(タバコの種子及びジャガイモの塊茎を含む)から大量に生産されている(例えば以下の文献及びその中に引用された参考文献を参照されたい:Conrad et al. 1998, Plant Mol Biol 38:101-109)。したがって、本発明の抗体はまた、公知の方法にしたがって、トランスジェニック植物を用いて生産することができる。
抗体誘導体は、例えば外因性配列を付加して、免疫原性を改変するか、又は結合、親和性、オンレート、オフレート、アビジティー、半減期若しくは他の任意の適切な性状を低下、強化若しくは改変することによって生成することができる。一般的には、非ヒト若しくはヒトCDR配列の部分又は全部を維持し、一方で可変及び定常領域の非ヒト配列がヒト又は他のアミノ酸で置き換えられる。一般的には、CDR残基が、抗原結合に直接的及びもっとも実質的に影響を与える。
【0044】
マウス(又は他の非ヒト動物)で産生されるモノクローナル抗体は、治療で前記動物のMAbに対する抗体をヒトが産生するというリスクを有する。非ヒト抗体は動物MAbの有効性を低下させ、アレルギー反応もまたもたらしえる。この問題は、外来物として認識されない抗体を構築することによって回避しえる。そのような抗体を構築するための方法は当分野で公知であり、しばしば、動物MAbのCDR領域の標的宿主の免疫グロブリン骨格への移植に基づく。もっとも一般的な方法はヒト化であり、これは、動物抗体のCDRをヒト免疫グロブリンフレームワークへの移植によって達成される。いくつかの事例では、動物抗体のフレームワークの数アミノ酸残基が維持されて、抗原結合部位の一体性が保全される。
本発明の抗体のヒト化又は操作は、公知の任意の方法(例えばU.S. 5,723,323;5,976,862;5,824,514;5,817,483;5,814,476;5,763,192;5,723,323;5,766,886;5,714,352;6,204,023;6,180,370;5,693,762;5,530,101;5,585,089;5,225,539;及び4,816,567に記載された方法が含まれるが、ただしこれらに限定されない)を用いて実施することができる。コンピュータモデリング及び可変領域を基準にする抗体のヒト化の方法は当業者には公知である(例えば以下の文献を参照されたい:Tsurushita et al. 2005, Humanized Antibodies and their Applications 36(1):69-83、前記文献は参照により本明細書に含まれる)。
あるヒト化の方法では、動物の全CDRをヒトのフレームワークに移植するのではなく、特異性決定残基(SDR)(抗体-リガンド結合のためにもっとも重要な残基)のみがヒトフレームワークに移植される(Kashniri et al 2005, Humanized Antibodies and their Applications 36(1):25-34、前記文献の内容は参照により本明細書に含まれる)。ヒト化のまた別のアプローチでは、ヒト生殖系列遺伝子セットからヒトフレームワーク配列が、ヒト化されるべき動物のCDRのフレームワークに対するヒトCDRの構造的類似性を基順に選択される(Hwang et al 2005, Humanized Antibodies and their Applications 36(1):35-42、前記文献の内容は参照により本明細書に含まれる)。
【0045】
フレームワークシャッフリングは、合理的設計又は構造情報を必要とすることなくマウス又は他の動物のCDRの機能的な特色を生かすようなヒトフレームワークの同定を可能にするまた別のアプローチである。この方法では、コンビナトリアルFabライブラリーは、全ての公知のヒト生殖系列重鎖及び軽鎖遺伝子を含む対応するヒトフレームワークプールと動物のMAbのCDRとのインフレーム融合によって作製される。続いて、このFabライブラリーを抗原結合についてスクリーニングすることができる。親Mabの軽鎖及び重鎖は、更なる選別プロセスで上手くヒト化させることができる(Dall'Acqua et al 2005, Humanized Antibodies and their Applications 36(1):43-60、前記文献の内容は参照により本明細書に含まれる)。
また別のアプローチ(このアプローチを用いてヒトに使用される少なくとも1つのFDA承認抗体が上手く作製された)では、誘導選別を用いて、げっ歯類からヒト型へのげっ歯類抗体の連続的変遷が、出発のげっ歯類抗体と類似する特徴を有するヒト抗体パネル及びファージ又はリボソームライブラリーの使用により実現されえる(Osbourn et al 2005, Humanized Antibodies and their Applications 36(1):61-68、前記文献の内容は参照により本明細書に含まれる)。このアプローチでは、ヒト抗体パネル又はV領域は、問題の抗原の結合についてスクリーニングされる。得られた抗体は完全にヒト起源である。
部分的に又は完全にヒトの抗体を作製する技術は当分野で公知であり、そのような技術のいずれも用いることができる。ある実施態様にしたがえば、完全にヒトの抗体配列は、ヒトの重鎖及び軽鎖抗体遺伝子を発現するように操作されてあるトランスジェニックマウスで作製される。そのようなトランスジェニックマウスの多様な系統が作製され、それらは種々のクラスの抗体を産生することができる。所望の抗体の持続的な生産のために、所望の抗体を産生しているトランスジェニックマウスのB細胞を融合させてハイブリドーマ細胞株を作製することができる(例えば以下を参照されたい:Russel et al. 2000 (April), Infection and Immunity 1820-1826;Gallo et al. 2000, European J immune 30:534-540;Green 1999, J immune Methods 231:11-23;Yang et al 1999, J Leukocyte Biolgy 66:401-410;Yang 1999, Cancer Res 59(6):1236-1243;Jakobovits 1998 Advanced Drug Delivery Reviews 31:33-42;L. Green and Jakobovits 1998, J Exp Med 188(3):483-495;Jakobovits 1998, Exp Opin Invest Drugs 7(4):607-614;Tsuda et al. 1997, Genomics 42:413-421;Sherman-Gold 1997, Genetic Engineering News 17(14);Mendez et al. 1997, Nature Genetics 15:146-156;Jakobovits 1996, WEIR'S HANDBOOK OF EXPERIMENTAL IMMUNOLOGY, The England Immunology System Vol.IV, 194.1-194.7;Jakobovits 1995, Current Opinion in Biotechnology 6:561-566;Mendez et al 1995, Genomics 26:294-307;Jakobovits 1993, Nature 362(6417):255-258;Jakobovits et al. 1993, Proc Natl Acad Sci USA 90(6):2551-2555;米国特許6,075,181号)。
【0046】
ヒトモノクローナル抗体はまた、非ヒトトランスジェニック動物、例えばトランスジェニックマウスから入手したB細胞を含むハイブリドーマによって生産することができる(前記ハイブリドーマは、不朽化細胞に融合させたヒト重鎖トランスジーン及び軽鎖トランスジーンを含むゲノムを有する)。本発明の抗体はまた、キメラ抗体を作製するため改変することができる。キメラ抗体は、抗体の重鎖及び軽鎖の多様なドメインが2つ以上の種由来のDNAによってコードされる抗体である(例えば米国特許4,816,567号を参照されたい)。
本発明の組換え抗体又はそのフラグメントのいずれも用いることができるが、ただし、それが、インターフェロンアルファ(“IFNα”)タンパク質サブタイプA、2、B2、C、F、G、H2、I、J1、K、4a、4b及びWAから成る群から選択される少なくとも2つのタンパク質サブタイプと特異的に反応することができるが、IFNαタンパク質サブタイプDの少なくとも1つの生物活性は中和しない場合に限られる。抗体はまた、公知のバイオアッセイで測定したときIFNαを中和することができ、前記バイオアッセイは、例えばMxAプロモーターの活性化又は抗ウイルス活性である。そのような抗体の1つは、1つ以上のIFNαサブタイプA、2、B2、C、F、G、H2、I、J1、K、4a、4b及びWAと特異的に反応するが、サブタイプDとは反応しない抗体であり、さらに前記は以下から選択されるCDR、その誘導体又は部分を含む:
配列番号:4のアミノ酸配列を有するVH1;
配列番号:6のアミノ酸配列を有するVH2;
配列番号:8のアミノ酸配列を有するVH3;
配列番号:12のアミノ酸配列を有するVL1;
配列番号:14のアミノ酸配列を有するVL2;
配列番号:16のアミノ酸配列を有するVL3;その誘導体及び組合せ
【0047】
前記抗体はまた、1つ以上のアミノ酸がこれらのアミノ酸配列において欠失、付加、置換及び/又は挿入されてある、IFNαサブタイプA、2、B2、C、F、G、H2、I、J1、K、4a、4b及びWAと特異的に反応する抗体及び/又は抗体フラグメントを含み、それらもまた本発明の範囲内に含まれる。
本発明では、アミノ酸配列中の1つ以上のアミノ酸の欠失、置換、挿入又は付加は、免疫グロブリン骨格中の1つ以上の場所で欠失、置換、挿入及び/又は付加される1つ以上のアミノ酸の改変及び/又は変異に適用される。1つ以上の欠失、置換、挿入及び/又は付加は、同じアミノ酸配列中で同時に生じえる。さらに、置換、挿入又は付加されるアミノ酸残基は天然のものでも非天然のものでもよい。天然のアミノ酸残基の例には、L-アラニン、L-アスパラギン、L-アスパラギン酸、L-グルタミン、L-グルタミン酸、グリシン、L-ヒスチジン、L-イソロイシン、L-ロイシン、L-リジン、L-メチオニン、L-フェニルアラニン、L-プロリン、L-セリン、L-スレオニン、L-トリプトファン、L-チロシン、L-バリン、L-システインなどが含まれる。
置換されえるアミノ酸残基の例は、例えば以下の1つ以上の群内で見出すことができる:
群A:ロイシン、イソロイシン、ノルロイシン、バリン、ノルバリン、アラニン、2-アミノブタン酸、メチオニン、O-メチルセリン、t-ブチルアラニン、シクロヘキシルアラニン;
群B:アスパラギン酸、グルタミン酸、イソアスパラギン酸、イソグルタミン酸、2-アミノアジピン酸、2-アミノスベリン酸;
群C:アスパラギン、グルタミン;
群D:リジン、アルギニン、オルニチン、2,4-ジアミノブタン酸、2,3-ジアミノプロピオン酸;
群E:プロリン、3-ヒドロキシプロリン、4-ヒドロキシプロリン;
群F:セリン、スレオニン、ホモセリン;及び
群G:フェニルアラニン、チロシン。
【0048】
“抗体誘導体”という用語はさらに“直鎖状抗体”を含む。直鎖状抗体を作成する方法は当分野では公知であり、以下の文献に記載されている:Zapata et al. 1995, Protein Eng 8(10):1057-1062。略記すれば、直鎖状抗体は1対のタンデムFdセグメント(VH-CH1-VH-CH1)を含み、前記は1対の抗原結合領域を形成する。直鎖状抗体は二特異的又は一特異的でありえる。
本発明の抗体は組換え細胞の培養から、以下を含む(ただしこれらに限定されない)公知の方法によって回収及び精製することができる:プロテインA精製、硫安又はエタノール沈殿、酸抽出、陰イオン又は陽イオン交換クロマトグラフィー、ホスホセルロースクロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー及びレクチンクロマトグラフィー。高速液体クロマトグラフィー(“HPLC”)もまた精製に用いることができる。
本発明の抗体には、天然の状態で精製された製品、化学的な合成方法の製品、及び組換え技術により真核細胞宿主(例えば酵母、高等植物、昆虫及び哺乳動物細胞)から、また別には原核細胞から上記の記載のように製造された製品が含まれる。
本発明のいくつかの特徴では、検出のために又は治療のために抗体を標識することは有用であろう。これらの物質に抗体を結合させる方法は当分野では公知である。単なる例示を目的とすれば、抗体は、検出可能な成分(例えば放射性原子、発色団、蛍光団など)で標識することができる。そのような標識抗体は、in vivo又は単離された被検サンプルでの診断技術のために用いることができる。抗体はまた、例えば医薬用物質(例えば化学療法剤又は毒素)と結合させることができる。それらは、サイトカインと、リガンドと、また別の抗体と連結することができる。抗体と結合させて抗腫瘍作用を達成するために適切な薬剤には、サイトカイン、例えばインターロイキン2(IL-2)及び腫瘍壊死因子(TFN);光感作物質(光力学療法に使用される)、アルミニウム(III)フタロシアニンテトラスルホネート、ヘマトポルフィリン及びフタロシアニンを含む;放射性核種、例えばヨウ素-131(131I)、イットリウム-90(90Y)、ビスマス-212(212Bi)、ビスマス-213(213Bi)、テクネチウム-99m(99mTc)、レニウム-186(186Re)及びレニウム-188(188Re);抗生物質、例えばドキソルビシン、アドリアマイシン、ダウノルビシン、メトトレキセート、ダウノマイシン、ネオカルジノスタチン及びカルボプラチン;細菌性、植物性及び他の毒素、例えばジフテリア毒素、シュードモナス外毒素A、スタフィロコッカス腸毒素A、アブリンA毒素、リシンA(脱グリコシル化リシンA及び天然リシンA)、TGF-αトキシン、チャイニーズコブラ(ナジャ・ナジャ・アトラ(naja naja atra))、及びゲロニン(植物毒素);植物、細菌及び菌類由来リボソーム不活化タンパク質、例えばレストリクトシン(アスペルギルス・レストリクツス(Aspergillus restrictus)によって産生されるリボソーム不活化タンパク質)、サポリン(サポナリア・オフィシナリス(Saponaria officinalis)由来のリボソーム不活化タンパク質)及びRNase;チロシンキナーゼ阻害物質;ly207702(二フッ素化プリンヌクレオシド);抗嚢胞性薬剤(例えばアンチセンスオリゴヌクレオチド、毒素をコードするプラスミド、メトトレキセートなど)を含むリポソーム;及び他の抗体又は抗体フラグメント、例えばF(ab)が含まれる。
【0049】
有機分子と共有結合した抗体を含む調製物に関しては、それらは、適切な方法、例えば1つ以上の改変剤との反応によって調製することができる。そのようなものの例には、改変及び活性化基が含まれる。本明細書で用いられる、“改変剤”は、活性化基を含む適切な有機基(例えば親水性ポリマー、脂肪酸、脂肪酸エステル)に適用される。これらの適切な例は上記で提供される。“活性化基”は、適切な条件下で、第二の化学作用を示す基と反応し、それによって改変剤と第二の化学作用基との間に共有結合を形成することができる化学作用を示す成分又は官能基である。そのようなものの例は、親電子基、例えばトシレート、メシレート、ハロ(例えばクロロ、ブロモ、フルオロ、ヨード)、N-ヒドロキシスクシンイミジルエステル(NHS)などである。チオールと反応することができる活性化基には、例えばマレイミド、ヨードアセチル、アクリロリル、ピリジルジスルフィド、5-チール-2-ニトロ安息香酸チオール(TNB-チオール)などが含まれる。アルデヒド官能基は、アミド-又はヒドラジド-含有分子と結合し、アジド基は三価のリン基と反応してホスファアミド又はホスファイミド結合を形成することができる。活性化基を分子内に導入する適切な方法は当分野で公知である(例えば以下を参照されたい:Hermanson, 1996, Bioconjugate Techniques, Academic Press: San Diego, Calif)。活性化基は、有機基と直接結合させるか(例えば親水性ポリマー、脂肪酸、脂肪酸エステル)、又はリンカー成分(例えば二価C1−C12基(1つ以上の炭素原子がヘテロ原子、例えば酸素、窒素又は硫黄によって置換されえる)を介して結合させることができる。適切なリンカー成分には、例えばテトラエチレングリコールが含まれる。リンカー成分を含む改変剤は、例えばモノ-Boc-アルキルジアミン(例えばモノ-Boc-エチレンジアミン、モノ-Boc-ジアミノヘキサン)を脂肪酸と1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)の存在下で反応させ、遊離アミンと脂肪酸カルボキシレートとの間にアミド結合を形成することによって生成することができる。Boc保護基は、記載のように別のカルボキシレートと共役させることができる第一アミンを露出させるためにトリフルオロ酢酸(TFA)で処理することによって前記生成物から除去するか、又は無水マレイン酸と反応させ生じた生成物を環状化させて、脂肪酸の活性化マレイミド誘導体を生成してもよい。
本発明の改変抗体は、ヒト抗体又は抗原結合フラグメントを改変剤と反応させることによって生成することができる。例えば、アミン反応性改変剤、例えばPEGのNHSエステルを利用することによって、有機成分を抗体に位置非特異的態様で結合させることができる。改変ヒト抗体又は抗原結合フラグメントはまた、抗体又は抗原結合フラグメントのジスルフィド結合(例えば鎖内ジスルフィド結合)を還元することによって調製することができる。続いて、還元抗体又は抗原結合フラグメントをチオール反応性改変剤と反応させて、本発明の改変抗体を生成することができる。本発明の抗体の特定の位置に有機成分が結合されている改変ヒト抗体又は抗原結合フラグメントは、適切な方法、例えば逆タンパク質分解を用いて調製することができる(一般的には以下を参照されたい:Hermanson 1996, Bioconjugate Techniques, Academic Press: San Diego, Calif.)。
【0050】
タンパク質及びポリペプチドの調製及び単離:ポリペプチド及びタンパク質は、本発明の多様な方法で必要な成分である。例えば、組換え抗体、その変種、誘導体及びフラグメントは、市場で入手できる自動ペプチド合成装置、例えばPerkin Elmer/Applied Biosystems社によって製造されたもの、モデル430A又は431A(Foster City, CA, USA)を用いて化学合成によって入手することができる。合成したタンパク質又はポリペプチドを沈殿させ、さらに例えば高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって精製することができる。また別には、タンパク質及びポリペプチドは、上記に記載の宿主細胞及びベクター系を用い、本明細書に記載する公知の組換え方法によって入手することができる。それらは天然に存在するタンパク質の酵素消化又は切断によってもまた調製することができる。
タンパク質及びペプチドは、クロマトグラフィー(例えばイオン交換、アフィニティー及びサイジングカラムクロマトグラフィー)、遠心沈殿、弁別的溶解性、又はタンパク質精製のための他の任意の標準的技術を含む標準的方法によって単離又は精製することができる。また別には、アフィニティータグ、例えばhexa-His(Invtrogen)、マルトース結合ドメイン(New England Biolabs)、インフルエンザコート配列(Kolodziej et al. 1991, Methods Enzymol 194:508-509)、及びグルタチオン-S-トランスフェラーゼを本発明のペプチドに結合させ、適切なアフィニティーカラムを通過させることにより容易な精製を可能にすることができる。単離ペプチドはまた、タンパク質分解、核磁気共鳴、及びX-線結晶解析のような技術を用いて物理的に性状を決定することができる。
改変は、特性が変化したペプチドを提供するためにいずれのペプチドに対しても実施できることは周知である。本発明で使用されるペプチドは、非天然のアミノ酸を含むように改変することができる。したがって、本ペプチドは、D-アミノ酸、D-及びL-アミノ酸の組合せ、及び多様な“デザイナー”アミノ酸(例えばβ-メチルアミノ酸、C-β-メチルアミノ酸、及びN-α-メチルアミノ酸など)を含み、特殊な特性をペプチドに伝達することができる。
さらに別の実施態様では、有用な化学的及び構造的特性を伝達するペプチドサブユニットが選択されるであろう。例えば、D-アミノ酸を含むペプチドは、L-アミノ酸特異的プロテアーゼに対してin vivoで耐性を示すことができる。D-アミノ酸を有する改変化合物は、逆向きに並べたアミノ酸を用いて合成し、retro-inversoペプチドとして本発明のペプチドを生成することができる。さらにまた、本発明は、より特定された構造特性を有するペプチドの調製、並びに新規な特性を有するペプチドの調製を目的とするペプチド模倣体及びペプチド模倣結合(例えばエステル結合)の使用を意図する。別の実施態様では、還元ペプチド結合(すなわちR1-CH2NH-R2、式中R1及びR2はアミノ酸残基又は配列である)を含むペプチドを生成することができる。還元ペプチド結合は二ペプチドサブユニットとして導入することができる。そのような分子は、ペプチド結合の加水分解(例えばプロテアーゼ活性)に対して耐性を有しよう。そのような分子は、ペプチドに固有の機能及び活性、例えば代謝性分解又はプロテアーゼ活性に対する耐性によるin vivoでの半減期の延長を提供しよう。さらにまた、ある種の系では拘束されたペプチドは機能的活性の強化を示すことが知られており(Hruby 1982, Life Sciences 31:189-199及びHruby et al. 1990, Biochem J 268:249-262)、本発明は全ての他の位置でランダム配列を含む拘束ペプチドを生成する方法を提供する。
【0051】
IFNα生物学的活性のアッセイ:
単球の分化:活性化T及びBリンパ球の生成は、抗原提示細胞(“APC”)の補充及び成熟を必要とする。これらのAPCにはB細胞、単球/マクロファージ、及び樹状細胞が含まれる。SLE患者の血清はIFNαを含み、前記はDCを活性化し、活性化された活性はポリクローナル又はモノクローナル抗体調製物で阻止することができる。この活性を検出及び定量する方法は学術文献及び特許文献に記載されている(例えば、特許公開公報US2004/0067232A1の[0136]から[0150]までのパラグラフを参照されたい)。
MxAプロモーターの活性化:MxAプロモーターを活性化するIFNαの能力及びこの活性を阻止する本発明の抗IFNαモノクローナル抗体の能力を、レポーター遺伝子アッセイを用いて測定することができる。このアッセイでは、MxAプロモーターは、レポーター遺伝子、例えばクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)又はルシフェラーゼ(luc)、好ましくはルシフェラーゼに融合されている。CAT及びルシフェラーゼのアッセイは当業者には公知である。好ましくは、MxAプロモーターの活性は、MxAプロモーター/レポーター遺伝子融合構築物で安定的に形質転換したA549細胞で測定される。A549細胞は、ATCCから入手可能な肺癌細胞株である(製品番号CC1-185)。MxA(別名Mx1)プロモーターはヒト、マウス又はラット由来でもよい。ヒトMxAプロモーターの配列及び構造はGenbankアクセッション番号X55639で開示されている(Chang et al. 1991, Arch Virol 117:1-15;及びRonni et al 1998, J Interferon Cytokine Res, 18:773-781)。ヒトMxAプロモーター/ルシフェラーゼ融合構築物及びルシフェラーゼアッセイは米国特許出願20040209800及びRosmorducら(J Gen Virol, 1999, 80:1253-1262)に開示されている。ヒトMxAプロモーター/CAT融合構築物及びCATアッセイはFernandezら(J Gen Virol, 2003, 84:2073-2082)及びFrayら(J Immunol Methods, 2001, 249:235-244)に開示されている。マウスMxA(Mx1)プロモーターは、Genbankアクセッション番号M21104で開示されている(Hug et al. 1988, Mol Cell Biol 8:3065-3079;及びLleonart et al. 1990, Biotechnology 8:1263-1267)。マウスMxAプロモーター/ルシフェラーゼ融合構築物及びルシフェラーゼアッセイは、Canosiら(J Immunol Methods 1996, 199:69-67)に開示されている。
【0052】
実施例
材料と方法
ヒトIFNαの供給源:
組換えIFN-αサブタイプタンパク質は、PBLバイオケミカルラボラトリーズ(Biomedical Laboratories)(PBL)から入手した。サブタイプ及び製造業者により決定された比活性は以下を含んでいた:IFNα-A(3.8x108 U/mg);IFNα-2(2.77x108 U/mg);IFNα-B2(4.63x108 U/mg);IFNα-C(2.31x108 U/mg);IFNα-D(7.5x107 U/mg);IFNα-F(3.6x108 U/mg);IFNα-G(2.33x108 U/mg);IFNα-H2(1.05x108 U/mg);IFNα-I(1.4x108 U/mg);IFNα-J1(2.6x108 U/mg);IFNα-K(1.48x108 U/mg);IFNα-1(1.4x108 U/mg);IFNα-4a(2.12x108 U/mg);IFNα-4b(1.8x108 U/mg);IFNα-WA(2.4x108 U/mg);IFNβ(8.23x107 U/mg)。白血球IFN(I-2396, Lot# 111K1603)はシグマ(Sigma)から購入した。
PBMC-flu上清(PBMC-flu)(前記はヒトIFNαサブタイプの複合混合物を含む)は、バッフィーコート由来のヒトPBMCにインフルエンザA/PR/8/34(H1N1)(Charles River Laboratories, Lot# 4XPR011022)を1 HAU/pDCのウイルス力価で感染させることによって当研究室で調製した。具体的には、PBMC(抹消血単球細胞)は、フィコール(Ficoll)上で遠心し、PBMC含有境界面を採取することにより得られた。FACS染色/分析を実施して、形質細胞様DCの存在を確認し、PBMC内のそれらのパーセンテージを決定し、さらにLin、CD3、CD14、CD16、CD19、CD56、CD123、HLA-DR及びCD11cに特異的な蛍光結合抗体(BD Pharmingen)で染色した。pDCの性状は、CD14陰性、CD11c陰性及びCD123陽性と判定された。fluウイルスストック(特定病原体陰性鶏供給;Influenza A/PR/8/34(H1N1)(Cat.# 490710; Lot # 4XPR011022)、0.05mL当たりの最終HA力価:1:16,777,216;Charles River Laboratories, Conneticut, USA)をRPMI培養液(RPMI+10%FCS+L-グルタミン)で1000 HAU/μL(ヘマグルチニン単位/μL)に希釈した。必要な希釈ウイルスの体積は、精製PBMC中のpDCの割合を基準にし、少なくとも1HAU/pDCである(すなわち各ウェルは1x106のPBMCを含むべきで、0.3%のpDCがあるならば、各ウェルは3000pDCを含むであろう。当該事例では、1000HAU/μLのウイルスの4−5μLが各ウェルに添加されるであろう)。
バッフィーコートから調製したPBMCを900rpmで10分遠心し、RPMI+10%FCS+L-グルタミンに5,000細胞/μLで再懸濁した(これは200μLの体積中に1x106細胞/ウェルを提供するであろう)。細胞+fluウイルスを96ウェルのU底プレートに撒き、37℃+5%CO2で24時間インキュベートした。24時間のインキュベーション後に、細胞はウェルの底にペレットを形成し、クラスターを形成した。ウェルの底の細胞ペレットを避けて注意深く上清をピペット操作で採取した。一緒にした上清を50mLの円錐管で900rpmにて10分遠心して、全ての残留細胞及び他の培養屑を沈殿させた。PBMC-flu上清(IFNαの複合混合物を含む)をプールし、0.5mLずつ-80℃で使用まで保存した。
【0053】
細胞変性効果(CPE)阻害アッセイ:
CPEの材料:ダルベッコー改変イーグル培養液(DMEM)“コンプリート”:フェノールレッド含有DMEM+10%FCS+2mMのL-グルタミン+ペニシリン+ストレプトマイシン+β-2-メルカプトエタノール(β-me)、96-ウェル平底組織培養プレート、A549細胞(ATCC CCL-185);これらの細胞はハムF12K培養液+10%FCS+2mMのL-グルタミン+ペニシリン+ストレプトマイシン+500−800μgのG418、1xPBS、1xトリプシン、“イントロン(Intron)A”(IFNα-2b、Schering-Plough)コントロール、試験サンプル(SLE血清、組換えIFNαサブタイプ)+/−ハイブリドーマ上清又は購入ポリクローナル/モノクローナル抗体調製物、EMCウイルスストック(Vero細胞組織培養に順化させたネズミ脳心筋炎ウイルス(EMCV)から調製;このウイルスストックについてのATCC製品番号はVR-129B、Vero細胞についての製品番号はCCL-81)。
クリスタルバイオレットストック溶液:1.25mgのNaCl+3.75mgクリスタルバイオレット+775mLホルムアルデヒド/エタノール溶液(75mLのホルムアルデヒド、750mLの95%エタノール及び1500mLの蒸留水により調製)を20分攪拌し、続いて0.45ミクロンのフィルターでろ過し、3ヶ月を超えない期間保存した。クリスタルバイオレットの作業用溶液は、ストック溶液をホルムアルデヒド/エタノール溶液で1:10に希釈することにより調製した。クリスタルバイオレット溶液は室温で保存した。
CPEの方法:細胞変性効果(CPE)阻害アッセイの模式図は図1に示されている。CPEアッセイは96ウェルの平底プレートで3組ずつのウェルで実施した。各アッセイタイプについて、種々の濃度のイントロンA(Schering-Plough)サンプルを含む陽性コントロールウェル、及び細胞+培養液のみを含む陰性コントロールを取り入れることは有用であった。付着性A549細胞は、培養液を除去し、PBSで1回洗浄し、トリプシン消化することによってフラスコから採取した。トリプシン消化は、フラスコにDMEM“コンプリート”を添加することによって停止させた。トリプシン消化細胞をフラスコから採集し、遠心し、再懸濁して計測した。それらの濃度を600,000細胞/mLにコンプリートDMEMで調整した。アッセイのためのウェルの体積は150μL(ウイルス添加前)及び200μL(ウイルス添加後)であった。体積の50μLは細胞であり、15,000細胞が各ウェルに添加された(300,000細胞/mLの細胞懸濁液の50μL)。
組換えIFNαによるウイルス阻害アッセイ:種々の濃度のIFNα溶液(DMEMコンプリート)の100μLを3組ずつのウェルに添加した。50μLの細胞を添加し、37℃+5%CO2で5時間インキュベートした。前記時間の後で、ストックから50倍希釈した50μLのEMCウイルスを添加し、37℃+5%CO2で48時間インキュベートを継続させた。
SLE血清によるウイルス阻害アッセイ:50μL(例えば無希釈)又は25μL(例えば2x希釈)のSLE血清を3組ずつのウェルに添加した。体積は、FCSを含まないDMEMを添加することによって100μLに調整し(注記:このアッセイを用いウェルにいずれかのタイプの血清サンプルを添加するときはいつでも、FCSを含まないDMEMを用いた)、続いて50μLの細胞を添加し37℃+5%CO2で4時間インキュベートした。前記時間の後で、ストックから50倍希釈した50μLのEMCウイルスを添加し、37℃+5%CO2で48時間インキュベートを継続させた(前記50倍の希釈濃度は、我々の調製物では48時間で全細胞を死滅させることができる最低量のストックと決定された)。
PBMC-flu上清によるウイルス阻害アッセイ:PBMC-flu上清の50μL(例えば無希釈)又は連続希釈を3組ずつのウェルに添加した。各ウェルの体積は、FCSを含むDMEMを添加することによって100μLに調整し、続いて50μLの細胞を添加し37℃+5%CO2で4時間インキュベートした。前記時間の後で、ストックから50倍希釈した50μLのEMCウイルスを添加し、37℃+5%CO2で48時間インキュベートを継続させた。
市販のAb、マウス血清、又は融合上清を用いた、組換えIFNα、SLE血清又はPBMC-flu上清によるウイルス阻害の抗体仲介阻止をアッセイするために、(i)50μLの市販のポリクローナル又はモノクローナルAb調製物を含むDMEM(FCS無し);(ii)50μLのマウス血清;又は(iii)50μLのハイブリドーマ上清のいずれかを添加して、この時点で各ウェルの全体積を100μLにした。このプレートを37℃+5%CO2で1.5から2時間インキュベートした。50μLの細胞を各ウェルに添加し37℃+5%CO2で5時間インキュベートした。前記時間の後で、ストックから50倍希釈した50μLのEMCウイルスを添加し、37℃+5%CO2で48時間インキュベートを継続させた。
上記CPEアッセイで48時間のインキュベーション時間の後で、全ての培養液をウェルからマルチチャネルピペットで注意深く取り出した。50μLのクリスタルバイオレットを添加し、4−6分染色した。クリスタルバイオレットを注意深く取り除き、200μLの蒸留水を添加し、直ちに取り出した。少なくとも30分間プレートを乾燥させ、続いてELISAプレートリーダーにて570nmのODで読み取りを行った。
阻止パーセンテージ(実験に加えたコントロール抗体又はハイブリドーマ上清に含まれる抗体のIFNα仲介抗細胞死を阻害する能力を基準にする)を得るために、 “陰性コントロール”(IFNα組換え体、SLE血清、又はPBMC-flu上清+細胞+ウイルス)を100%生存率(0%細胞死)、及び“陽性コントロール”(細胞+ウイルスのみ)を0%生存率(100%細胞死)として、マッキントッシュ用Prism4.0、ヴァージョン4.0Aソフト(GraphPad Software, Inc., San Diego, CA)及びノーマライズアルゴリズムを用いてデータを標準化し、全ての値をコントロールに対するパーセンテージに調整した。
【0054】
レポーター遺伝子(RG)アッセイ:
RGの材料:ダルベッコー改変イーグル培養液(DMEM)、フェノールレッド又は補充物質無し;ダルベッコー改変イーグル培養液(DMEM)“コンプリート”、フェノールレッド含有DMEM+10%FCS+2mMのL-グルタミン+ペニシリン+ストレプトマイシン+2-me(β-me);FCSを除き上記に列挙した全てを含むように調製したダルベッコー改変イーグル培養液(DMEM);ViewPlate-96、白色、組織培養処理(PerkinElmer Life Sciences);93D7細胞(I型IFN誘導性MxAプロモーターによって駆動されるルシフェラーゼを発現させるためにトランスフェクトしたA549);これらの細胞はハムF12K培養液+10%FCS+2mMのL-グルタミン+ペニシリン+ストレプトマイシン+500−800μgのG418で培養される;1xPBS;1xトリプシン、“イントロンA”(IFNα-2b、Schering-Plough)コントロール;試験サンプル(SLE血清、組換えIFNαサブタイプ)+/−ハイブリドーマ上清又は購入ポリクローナル/モノクローナル抗体調製物;ブライトライト(商標)(BriteliteTM)ルミネセンスレポーター遺伝子アッセイキット(PerkinElmere Life Sciences)。
RGの方法:ルシフェラーゼによるレポーター遺伝子アッセイを、抗IFNαMAbが組換えIFNαサブタイプ、白血球IFN及びPBMC-fluの生物活性を中和する能力を判定するために利用した。RGアッセイの模式図は図1に示されている。93D7細胞(A549細胞株(CLL-185, ATCC)のIFN-誘導性構築物(MxAプロモーター/ルシフェラーゼ融合物)による安定なトランスフェクションによって誘導された)は、Dr. Guenther Adolf(Boehringer-Ingelheim GmbH, Austria)の好意により提供された。MxAプロモーター/luc融合ベクターは、pSP64-Mxp(PstI-PvuII)-rβglo(Lleonart et al. 1990, Biotechnology 8:1263-1267)から切り出され、ルシフェラーゼコード配列の上流に挿入されたネズミMxAプロモーター及びIFN応答エレメントを含む1.6KbのBamHIフラグメントを含んでいる。
RGアッセイは、不透明な96-ウェルの平底プレート(ViewPlatesTM, 白色壁、透明底;PerkinElmer)で3組ずつのウェルで実施した。各アッセイタイプについて、種々の濃度のイントロンA(Schering-Plough)サンプルを含む陽性コントロールウェル及び細胞+培養液のみを含む陰性コントロールウェルを取り入れることが好ましい。
具体的には、付着性93D7細胞は、培養液を除去し、PBSで1回洗浄し、トリプシン消化することによってフラスコから採取した。トリプシン消化は、フラスコにDMEM“コンプリート”を添加することによって停止させた。細胞をフラスコから採集し、遠心し、再懸濁して計測した。それらの濃度を600,000細胞/mLにコンプリートDMEMで調整した。
免疫マウス由来血清、ハイブリドーマ上清、又は精製抗IFNαMAbを、組換えIFNサブタイプ、白血球IFN又はPBMC-fluとともに、100μL/ウェルの体積中にて37℃+5%CO2で1.5時間プレインキュベートし、その後、93D7細胞(600,000細胞/mLの細胞懸濁液の50μL=30,000細胞)を各ウェルに添加し、さらに5時間インキュベーションを続けた。アッセイのためのウェルの最終体積は150μLであった。続いてBriteliteTMルミネセンスレポーター遺伝子系(PerkinElmer)を用いてアッセイをデベロップさせ、ウォラック・マイクロベータトリラックス(商標)(Wallac Microbeta TriluxTM)シンチレーションカウンター及びルミネセンスカウンターで基質添加後15分以内に読み取りを行った。
組換えIFNαによるMxA誘発アッセイ:IFNαの溶液(DMEMコンプリート)中の濃度は、各ウェルに加えられるべき量を100μL中に含むように調整した。100μLのIFNαを3組ずつのウェルに入れ、続いて50μLの細胞を添加し、37℃+5%CO2で5時間インキュベートした。
SLE血清によるMxA誘発アッセイ:50μL(例えば無希釈)又は25μL(例えば2x希釈)のSLE血清を3組ずつウェルに添加した。ウェル当たりの体積は、FCSを含まないDMEMを添加することによって100μLに調整し(注記:このアッセイを用いウェルにいずれかのタイプの血清サンプルが添加されるときはいつでも、FCSを含まないDMEMが用いられるであろう)、続いて50μLの細胞を添加し37℃+5%CO2で5時間インキュベートした。
PBMC-flu上清によるMxA誘発阻止のアッセイ:PBMC-flu上清の50μL(例えば無希釈)又は連続希釈を3組ずつウェルに添加した。各ウェルの体積は、FCSを含むDMEMを添加することによって100μLに調整し、続いて50μLの細胞を添加し37℃+5%CO2で5時間インキュベートした。
市販Ab、マウス血清、又は融合上清を用いた組換えIFNα、SLE血清又はPBMC-flu上清によるMxA誘発の阻止についてのアッセイ:所望の希釈の組換えIFNα、SLE血清又はPBMC-fluの50μLを各ウェルに添加した。(i)50μLの市販のポリクローナル又はモノクローナル抗体調製物を含むDMEM(FCS無し);(ii)50μLのマウス血清;又は(iii)50μLのハイブリドーマ上清のいずれかを各ウェルに添加して、各ウェルの全体積を100μLにした。このプレートを37℃+5%CO2で1.5時間インキュベートした。前記時間の後で、50μLの細胞を添加し、37℃+5%CO2で5時間インキュベートを継続させた。
BriteliteTMキット試薬/デベロッピング試薬(基質バイアル、基質緩衝液、無着色DMEM)をアッセイデベロップメントの40分前に室温にセットした。プレデベロップメント30分で、アッセイプレートを室温に置いた。プレデベロップメント10分で、凍結乾燥基質を緩衝液で再構成した(10mL/バイアル)。
5時間のインキュベーション時間の後で、全ての培養液をウェルからマルチチャネルピペットを用いて注意深く取り出した。次に、接着性白色ブロックをビュープレート(商標)(ViewPlateTM)の底に固定した。90μLのDMEM(フェノールレッドを含まない)を各ウェルに添加した。90μLの再構成BriteliteTM試薬を各ウェルに添加し、吸上げ噴出しのピペット操作を2回繰り返して(ただしウェルの内容物をウェルの側面にはね散らしたり、又は気泡を生じたりすることがないようにする)試薬と培養液との完全な混合を担保した。前記操作は迅速に、ただし可能なかぎり正確に実施した。このプレートを透明な接着性密閉シートで密閉した。1分をはるかに超えるが15分は超えない時間内に、Wallac Microbeta TriluxTMを用いてプレートのルミネセンス強度を読み取った。
阻止パーセンテージを得るために(取り入れたコントロール抗体又はハイブリドーマ上清に含まれる抗体のMxA-ルスフェラーゼ誘発を無効にする能力を基準にする)、“陽性コントロール”(IFNα組換え体、SLE血清、又はPBMC-flu上清+細胞)を100%IFNα活性、及び“陰性コントロール”(培養液に細胞のみ)を0%IFNα活性として、Prismソフトウェア(GraphPad Software, Inc., San Diego, CA)及びノーマライズアルゴリズムを用いてデータを標準化し、全ての値をコントロールに対するパーセンテージに調整した。
【0055】
実施例:1免疫及びモノクローナル抗体細胞株の選別
IFNα MAb作製の作業経路図は図2に示されている。5匹の6−8週齢のBalb/c雌マウス(Harlan)のグループを、MPL(商標)+TDMエマルジョン(Sigma #M6536)中のそれぞれ5−10μgの天然の白血球IFNα(I-2396, Lot#111K1603, Sigma)及び/又は組換えタンパク質カクテル(各々5−10μgの3つの組換えIFNαサブタイプA、B2及びF(PBL Biomedical Labortories(“PBL”)から入手))で、下記表1に示すスケジュールにしたがい2から3週間間隔で免疫した。MPL(商標)+TDMエマルジョンは、2%油(スクワレェン)-トウィーン80-水エマルジョン中のモノホスホリル-脂質A(MPL:S. Minnesota由来の無毒化内毒素)及びトレハロースジコリノミコレート(TDM)から成るRibiアジュバント系である。抗原は、腹腔内(ip)又は皮下(sc)ルートにより投与した。マウスから採取した血清の融合前スクリーニングは、3通りの力価(1:200、1:2000及び1:20,000)で、レポーター遺伝子(RG)アッセイ(I型IFNレセプターの活性化によるMxA-ルシフェラーゼ融合タンパク質を基準にする)を用いて実施し、IFNα生物活性の阻止を検出した。血清は、3回目のブースターの7日後に後眼窩採血によりマウスから採集し、PBMC-flu生物活性の中和について上記のレポーター遺伝子(RG)アッセイを用いてスクリーニングした。50%以上の中和について少なくとも1:2000の力価を示すマウスを4週間休息させ、続いて、ネズミミエローマSp2/0-Ag14(CRL-8287, ATCC)との3日後の脾臓細胞融合の前に2.5μgの白血球IFNの最終ブースターを実施した。融合は、50%のPEG1500(Roche)中で実施し、ハイブリドーマ選別のために1xHAT補充DMEM+15%FCSを用いた。10−14日後に培養上清をPBMC-fluの中和についてスクリーニングした。免疫マウスに対する上記記載のMxA/lucレポーター遺伝子(RG)バイオアッセイに基づいて、17が、1:200の力価でPBMC-flu上清を少なくとも50%中和することができ、これらのうちで、14が1:2000希釈で50%以上中和することができ、さらに3つが1:20000の力価まで中和を持続させた。
【0056】
表1:免疫及びモノクローナル抗体細胞株の選別
注記:プロトコル1、2及び3のマウスを融合物1から6の作製に用いた。融合は、1つのプロトコル内の2−3匹のマウスの細胞をプールして実施した。2匹のマウス(プロトコル6でIFNαで最初に免疫)をプールして融合物8を作製した。プロトコル5では、2匹のマウスをプールして融合物7を作製し、3匹をプールして融合物9を作製した。
【0057】
モノクローナル抗体の産生と精製:上記に記載したように、マウスは、それらの血清がPBMC-fluに存在するIFNαサブタイプの複合混合物を中和する能力を基準に融合候補として認定された。許容可能な血清力価を有するマウスから採取した脾臓細胞を用いて、一連の8融合を実施した。脾臓細胞をSp2/0-Ag14ネズミミエローマ細胞株(ATCC番号CRL-1581、前記は内因性Ig鎖を発現できないので選択した)と融合させ、96-ウェルの平底組織培養プレートに撒き、12−15日インキュベート後にポリクローナル応答を上記に記載したRGアッセイプロトコルを介して検出するために上清をスクリーニングした。具体的には、免疫マウスの血清サンプルをインフルエンザ感染PBMC由来の上清と37℃で1時間プレインキュベートし、その後、93D7細胞を添加しさらに5時間インキュベートした。5時間で、アッセイをデベロップし、ルミネセンスカウンターで読み取った。最初の8融合物の要旨は下記の表2に示されている。8融合物の上清は3911の初代ウェルからスクリーニングされ、8候補(ACO-1からACO-8)、(各々は融合4から単離された)は、PBMC-flu(640倍に希釈)により仲介されるMxA/luc産生活性化の何らかの目に見える低下を、本明細書に記載したRGバイオアッセイで一貫して示すことができる能力を基準にして認定された。ハイブリドーマ細胞株は制限希釈によってサブクローニングした。抗IFNαMAbを産生するハイブリドーマをGibco PFHM-II(Invitrogen)での増殖に順化させ、インテグラセルライン(Integra CELLine)フラスコ(Becton Dickinson)で培養した。上清を細胞区画から5−7日毎に採集し、-80℃で凍結した。続いてMAbを50mLのバッチ上清からプロテインAカラムでのFPLCとそれに続くPBSへの透析により精製した。精製MAbは小分けし、-80℃で保存した。ACO-1、2、3、4、5及び8はELISAにより以下のようにアイソタイプが決定された:IgG2a(ACO-1)、IgG2b(ACO-2)及びIgG1(ACO-3、4、5、6及び8)。これら候補はいずれも、最初に白血球IFN又はIFNαA、B2及びF組換えタンパク質、続いて白血球IFNによる融合前ブースターで免疫したマウスの脾臓細胞の融合物に由来していた。組換えIFNαサブタイプのみを投与したマウスで実施した融合は、PBMC-fluを中和することができる候補を全く生成することができなかった。
【0058】
表2:融合物の要旨
【0059】
実施例2:市販白血球IFNα又はPBMC-flu上清の生物活性のACO-1、ACO-2、ACO-3、ACO-4及びACO-5による中和
少なくとも1つのIFNαサブタイプと強力に結合しこれを中和することが示された抗IFNαMAbを選択して、天然由来のIFNα調製物(広範囲の多様なIFNαサブタイプを含むことが知られている)を中和するそれらの能力を調べた。これらの実験のために、ACO-1から5の力価を、市販の白血球IFN及び上記のように調製したPBMC-flu上清の両方に対してRGバイオアッセイで調べた。ACO-1、2及び3は、試験した3つのMAb量(200、20及び2ng)の全てで白血球IFNのバイオ活性を少なくとも50%阻止し(図3a)、ACO-4は、200ngについて試験したとき、50%をわずかに超える中和を達成した。前記に比べて、ACO-5の白血球IFN対抗能力は貧弱であり、最大でアッセイシグナルの10%未満を阻止した。
規定濃度のモノクローナル抗体による種々の希釈のPBMC-flu上清の比較阻害を上記に記載のRGアッセイを用いて実施した。Flu/PBMC上清中のIFNαの絶対濃度は不明であり、したがってこの実験では相対的中和能力が判定される。しかしながら、PBMC-fluに対する5つのMAb(2000、200、20及び2ng)の力価を測定したとき、ACO-5は、試験したもっとも低い量の抗体を除いて、全てで生物活性を少なくとも50%中和した(図3b)。ACO-1は、PBMC-fluで試験したとき最大の性能を示し、測定した4つのMAb量の全てで少なくとも50%阻止した。ACO-5による白血球IFNとPBMC-fluの中和における変動は、おそらく我々のアッセイで用いた2つの別個のIFN供給源に存在するIFNα及び/又はそれらの相対濃度における相違に帰すことができる。
【0060】
実施例3:ACO-1、ACO-2、ACO-3、ACO-4、ACO-5、ACO-6及びACO-8による組換えIFNαサブタイプの生物活性の阻害
IFNα中和候補ACO-1から6及びACO-8を、RGアッセイとともに伝統的な細胞変性効果(CPE)阻害アッセイによって、15の組換えFNαサブタイプの中和とともにIFNβの中和についてスクリーニングした。組換えIFNαサブタイプタンパク質は、PBLバイオメディカルラボラトリーズ社(Biomedical Laboratories(Piscataway, NJ))(info@interferonsource.com)(以下では“PBL”)から入手した。製造業者が決定した比活性は表3に示されている。
【0061】
表3:抗体の性状決定に用いた組換えヒトIFNα
【0062】
製造業者によって提供される中和単位(U)は、ウシMDBK細胞でウシ水泡性口内炎ウイルスによって生じる細胞変性効果を50%中和する(1U/mLと認定される)、あるサブタイプの能力を測定するアッセイにより割り当てられた。バイオアッセイにおけるIFNαの能力は多くの変数(アッセイタイプ、個々に調製されたバッチ、及びラボラトリー間の小さな技術的変動を含む)によって影響されること、及び各サブタイプについて国際的に認められた標準が利用できないという事実を前提として、これらの実験では単一のロット番号を一貫して用いた。RGアッセイで最大の応答(RGmax)が得られる各組換え体の製造業者規定単位が決定された。続いて、これらのIFNαサブタイプ量の存在下で、RGバイオアッセイにおいて精製ACO-1、2、3、4、5、6及び8の力価を測定した。IFNβ(比活性=8.23x107U/mg)はPBLから入手した。
15のIFNαサブタイプのRGmax値に対するACO-1の力価測定の代表的なRGバイオアッセイは図4aに示されている。図の説明に記載されているように、数値は、各々のサブタイプについて決定されたEC50値に基づいて、表示のサブタイプに対する各ACO-1の力価測定に対して割り振られた。ACO-1は、IFNαDもIFNα1も中和できなかったが、他の13のサブタイプは多様な抗体濃度で中和することができた。全てのACO-1、2、3、4、5及び8 IFNα中和MAbについてng/mLで表されたEC50の結果は表4に提供されている。パーセンテージ中和は表5に示されている。したがって、ACO-1及び2は、300ng/mL未満の抗体の濃度で12のサブタイプ(IFNαA、2、B2、C、F、G、II2、I、J1、4a、4b及びWA)を中和するそれらの能力において類似しているようである。ACO-1はまた前記のような程度でIFNαKもまた中和するが、ACO-2は中和しなかった。ACO-3及びACO-4は、300ng/mL未満で9サブタイプ(IFNαA、2、B2、C、I、J1、K、4a及びWA)及び6サブタイプ(IFNαA、2、B2、C、I、J1及び4a)をそれぞれ中和した。ACO-8は抗体濃度が制約されるという条件で4サブタイプ(IFNα2、1、4a及び4b)を中和し、一方、ACO-5は3サブタイプのみ(IFNαA、2及びWA)を強力に中和した。いずれのMAbもIFNβを中和することはできなかった(図4b)。
【0063】
表4:ACO-1、2、3、4、5及び8による組換えIFNαサブタイプの中和(EC50 ng/mL)
【0064】
表5:2マイクログラム/mLの抗体によるRGmax IFN量のパーセンテージ中和
【0065】
CPEアッセイは、トランスフェクトされていないA549細胞(ATCC# CCL-185、ヒト肺癌細胞株)を用いてRGアッセイと同様に設定した(すなわち、アッセイは、標準的な96-ウェルの平底組織培養プレートで実施される)。抗体とIFNαサブタイプとのプレインキュベーション(37℃で1時間)及び細胞の添加に続いて5時間後に、マウス脳心筋炎ウイルス(EMCV)を添加し細胞を48時間インキュベートした後、残存生細胞の判定のためにクリスタルバイオレットで染色した。RG及びCPEアッセイの両方について、使用されるIFNαサブタイプの量は、アッセイで最大のMxA-ルシフェラーゼ誘発(RGアッセイ)又は細胞死から最大の防御(CPEアッセイ)が得られる組換えIFNαタンパク質の事前の力価測定により決定された。表6に示したデータは、対応するIFNαサブタイプ(サブタイプをコードする対応する遺伝子は括弧内に表示されている)に対して各ACOモノクローナル抗体によって示される、CPEアッセイにおける生物活性の阻止パーセンテージを表す。CPEアッセイについては、使用される各IFNαサブタイプの量は、細胞死から最大の防御(CPE)が得られる組換えIFNαタンパク質の事前の力価測定により決定された。N/D=未決定。表に示されているように、ACO-1及びACO-2は、当該アッセイ条件下でもっとも多くのIFNαサブタイプを90%以上のレベルで阻止することができ、一方、ACO-6はもっとも限定的である、ほとんどの事例で、RGアッセイとCPEアッセイの結果は互いに相関性を示す。
【0066】
表6:CPEアッセイにおけるMAbによるIFNαサブタイプ活性のパーセンテージ中和
【0067】
実施例4:ACO-1、ACO-2、ACO-3、ACO-4、ACO-5及びACO-6の多重複合体分析
多重複合体分析を実施して、空間的に別個の結合ドメインが必要とされるか否かを判定した。IFNαAに同時に結合することができるACO抗体の能力について、LuminexTM 100システムでの多重複合体分析によりACO抗体を順列組合せ的に分析した。未標識ACO抗体(捕捉)と結合させたビーズを表示の濃度の組換えIFNαとインキュベートし、続いてPE-標識ACO抗体(レポーター)に暴露した。この考査によって、ACO-5は、いずれのACO-1、-2、-3及び-4とでも多重複合体を形成することができることが明らかになった(図5の淡影部分参照)。多重複合体形成はさらに、捕捉抗体としてACO-4が、レポーター抗体としてACO-3が用いられたときにも発生する。したがって、ACO-5は、ACO-1、2、3及び4によって結合されるIFNαのドメイン以外の空間的に別個のIFNαのドメインと結合する。同様に、ACO-3及びACO-4は、IFNαAの空間的に別個のドメインと結合する。ACO-6を用いた結果は全ての事例で陰性であった。
【0068】
実施例5:ACO-1、ACO-2、ACO-3、ACO-4、ACO-5及びACO-6に対する親和性決定
CM5センサーチップを搭載し、10mMのHEPES、150mMのNaCl、0.005%のP20、0.1mg/mLのBSA(pH7.4、25℃)で平衡させたビアコア(Biacore)2000及び3000光学バイオセンサーを用いて、ACO抗体のIFNα対抗-動態分析を実施した。ACO-1から6の各々について、先ず初めに、急速脱イオンカラムを用いて、トリス-グリシン緩衝液から10mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH5.0)に抗体の緩衝液を交換し、続いて標準的なアミンカップリング反応を用いて3つのフローセル表面に固定し、一方、4つ目のものは参照として機能するように未改変のままにした。最後のMAb固定密度は500−1100RU(レスポンスユニット)の範囲であった。結合応答は、IFNαAが抗体及び参照のフローセル上に50μL/分の速度で定量量(0、0.31、0.93、2.78、8.33、25.0及び75.0nM)で流されたときにモニターした。Ab/Ag複合体の結合は4分間、解離は12分間モニターした。前記表面は、各結合サイクルの終了時に1/1000 H3PO4(ただしACO-5を除く、前記は1/200 H3PO4を要した)を用いて再生させた。アッセイはトリプリケートで実施した。結果は表7に示されている。5つの抗IFNαMAbのKD値は、各MAbによって中和されるINFαサブタイプの広さとともに白血球IFN及びPBMC-fluの生物活性を阻止するそれらの能力と逆比例する範囲をカバーした。ACO-1はもっとも低い親和性(5.61x10-9M)を示し、一方、ACO-5は14倍高い親和性(4.00x10-10M)を示した。ACO-6はIFNαAとは結合せず、結合速度は得られなかった。
【0069】
表7:IFNαAを用いたACO-1からACO-6のBiacore動態分析
【0070】
実施例6:ACO-1、ACO-2、ACO-3、ACO-4、ACO-5及びACO-6によるIFNαサブタイプの固相結合
MAbの特異性をスクリーニングするために、15のIFNαサブタイプ全ての固相結合をELISAアッセイによって判定した。略記すれば、1μg/mLの組換えIFNαタンパク質サブタイプ(50μL/ウェル)でELISAプレート(NUNC MaxiSorpTM)を一晩、4℃で被覆した。被覆プレートをPBS+1% BSAでブロッキングし、PBS中の25ngのACO候補MAb(50μL)とともに37℃で1時間インキュベートした。HRP結合ヤギ抗マウスIgG(Jackson ImmunoResearch)の50μL/ウェルとともに室温で30分インキュベートし、続いて100μL/ウェルのTMB基質溶液(Zymed)とともに15分インキュベートすることによって、前記アッセイをデベロップさせた。反応を1NのHCl(100μL/ウェル)で停止させELISAプレートリーダーでOD450を読み取った。結合パーセンテージは、バックグラウンドのシグナル値をアッセイ全体で最大のシグナル値(IFNα-4aについて観察された値)を用いて標準化することによって計算した。結果は表8及び図6に示されている。ACO-1及びACO-2はともに、RGバイオアッセイでそれらが効果的に中和する同一の12のIFNαサブタイプと、サブタイプ適合コントロールよりも少なくとも2倍強く結合し、IFNαサブタイプB2、K、4a、及び4bの結合はコントロールよりも20倍高いシグナルを示した。しかしながら、ACO-3、4、5及び8の間では、結合能力と中和能力との間の相違が観察された。ACO-3の場合には、IFNαKの中和の場合のEC50値はIFNαB2の場合のEC50値よりも200倍高く、IFNα4aの場合よりも4倍高いという事実にもかかわらず、サブタイプB2、K及び4aに対するELISAシグナルは最高であった。バイオアッセイで中和されたサブタイプJ1との有意な結合は検出されなかった。ACO-4及び5の結合及び中和プロフィルは、互いに逆の関係を提示した。ACO-4及び5はサブタイプの各々(それぞれIFNα4a及び2)と強力に結合するが、ACO-4は、前記が中和するよりも多くのサブタイプと結合し、ACO-5はそれが結合するよりも多くのサブタイプを中和できなかった(高いEC50値でではあるが)。ありえる説明は、水相(RG)と固相(ELISA)でこれら2つのMAbが認識する特異的エピトープへの接近しやすさに相違が存在しえるということである。ACO-8は、調べたIFNαサブタイプのいずれとも強く結合することはできず、IFNαD、1及び4aに対しては20倍未満の結合を示した。ACO-6はいずれのサブタイプとも結合できなかった。
【0071】
【表1】
【0072】
実施例7:ACO-1、2及び3モノクローナル抗体によるSLE患者血清の生物活性の阻止
活動性症状を示すSLE患者血清における脳心筋炎ウイルス(EMCV)感染時のA540細胞(CCL-185, ATCC)死に対する防御活性を中和する抗IFNαMAbの能力を判定するために、抗ウイルスアッセイを用いた。もっとも広範囲のIFNαサブタイプ、白血球IFN及びPBMC-fluの中和プロフィルを示す抗体(ACO-1、2及び3)を試験した。SLE血清は、当該患者の血中単核球に特徴的なIFN及び顆粒球生成遺伝子発現シグナチャーを基準にして選択された、活動性SLE患者(SLE-43、133,140及びBCと認定)から得られた。SLE血清は、MAb中和試験前にCPEバイオアッセイでウイルス感染に対する防御についてスクリーニングした。RGアッセイはこれらの分析で用いなかったのは、CPEアッセイ(48時間)に対してRGバイオアッセイの比較的短いインキュベーション時間(5時間)におけるViewPlatesTMへの細胞結合の血清因子による阻害のためである。Vero細胞(CCL-81, ATCC)にEMCV(VR-129B, ATCC)を感染させ、上清から作業用ウイルスストックを調製する。アッセイは、組織培養用に処理された平底96ウェルプレートにA549細胞を撒き(各ウェルに50μL、15,000細胞/ウェル)、37℃+CO2で一晩インキュベートし、トリプリケートで実施した。続いて、抗IFNαMAb及びSLE患者血清を前記の播種及びプレインキュベーションしたものに添加し(100μL/ウェル)、4時間後に非防御細胞の100%を48時間で殺すことができる最低濃度に希釈した50μLのEMCVを添加した。インキュベーションを48時間継続し、続いてクリスタルバイオレットで染色しELISAプレートリーダーにてOD570で読み取った。コントロールは血清単独、培養液のみ(−)、及び汎用中和ポリクローナル抗体(pAb、ウサギ抗ヒトIFNα、PBL)であった。図7a−dに示された結果はトリプリケートの平均を示す。当該血清のより低い親和性にもかかわらず、ACO-1及び2は4つの血清を全てある程度中和することができた。ACO-3はSLE-43、140又はBCを阻止することができなかった。いくつかの事例で(SLE-43に対してはIgG2b、SLE-BCに対しては3つのアイソタイプ全て)、対応するアイソタイプのコントロール抗体が血清をブロッキングすることができるのは、おそらく、アッセイに用いた細胞に対して個々の患者で異なる細胞傷害性を示す、他の血清成分における天然の変動から生じたと考えられる。
【0073】
実施例8:霊長類IFNαとのACO-1及びACO-2の交差反応性
前臨床の安全性/毒性試験をヒト臨床試験の準備として実施するために、内因性IFNαがヒト化抗IFNαモノクローナル抗体と反応する動物モデルを認定することは有用である。2つの候補抗体、ネズミ抗ヒトIFNα抗体ACO−1及びACO-2が霊長類IFNαを中和する能力を調べた。具体的には、精製マカクIFNα4b(156pg/ウェル)で刺激したとき、A549細胞でMxA-ルシフェラーゼレポーター遺伝子の誘発を阻止する抗体の能力を試験した。図8に示したように、抗体ACO-1及びACO-2は、レポーター遺伝子の誘発を強力に阻止し、一方、ACO-3は高濃度(C)でさえ阻止することができない。ヒトとマカクIFNα間の相同性は高度に保存されている。さらにまた、市販の抗ヒトIFNα抗体は、リーザスホモローグ及びシノモルガスホモローグと交差反応することが示された。これらのデータは、霊長類は適切な安全性スクリーニングモデルを提供することを示唆している。
【0074】
実施例9:ACO-1重鎖及び軽鎖の配列
縮退プライマープールを用いてRT/PCRを実施して、ACO-1を発現するハイブリドーマからmRNAを増幅させた。重鎖可変領域のmRNAを6つの縮退プライマープールのセット(HAからHG)を用いて増幅させ、軽鎖可変領域のmRNAを8つの縮退プライマープールのセット(LAからLI)を用いて増幅させた。増幅生成物は以下のプライマープールから得られた:HA、HB、HE、HF、LB、LC及びLG。PCR生成物はプールLIでは増幅されず、したがって軽鎖はカッパクラスター由来である。各生成物をクローニングし、各々のいくつかのクローンの配列を決定した。
2つの異なる重鎖配列を同定した。プールHA及びHFは、フレームワーク領域3の末端に終止コドンをもつ切端重鎖をコードするただ1つの配列を増幅させた。したがって、この重鎖が抗原と結合することができる抗体を形成することはないであろう。プールHB及びHEは、HA及びHFの配列と異なる、図9に示すように完全長のマウスVh領域をコードするただ1つの配列を増幅させた。完全長重鎖DNA配列は配列番号:1であり、完全長アミノ酸配列は配列番号:2である。CDRVH1(TACACCTTCACCAACTACTGGATGCAC;配列番号:3)、VH2(GAGATTAATCCTAGCCACGGTCGTACTATCTACAATGAAAACTTCAAGAGC;配列番号:5)、及びVH3(GGGGGACTGGGACCCGCCTGGTTTGCTTAC;配列番号:7)をコードするDNA配列は斜字体で示され、一方、アミノ酸配列VH1(YTFTNYWMH;配列番号:4)、VH2(EINPSHGRTIYNENFKS;配列番号:6)、及びVH3(GGLGPAWFAY;配列番号:8)には下線が付されている。
2つの軽鎖配列を同定した。プールLB及びLCは、いくつかのハイブリドーマで見出される、詳しく記載されている異常な切端カッパ軽鎖とアラインされるただ1つの配列を増幅させた。プールLGは、完全長であってプールLB及びLCで増幅された配列とは異なるただ1つの配列を増幅させた。この軽鎖配列は図10に示されている。完全長軽鎖DNA配列は配列番号:9であり、完全長アミノ酸配列は配列番号:10である。CDRVL1(AGTGCCGGCTCAAGTGTAGATTCCAGCTATTTGTAC;配列番号:11)、VL2(AGCACATCCAACCTGGCTTCT;配列番号:13)、及びVL3(CATCAGTGGAGTAGTTACCCATTCACG;配列番号:15)をコードするDNA配列は斜字体で示され、一方、アミノ酸配列VL1(SAGSSVDSSYLY;配列番号:12)、VL2(STSNLAS;配列番号:14)、及びVL3(HQWSSYPFT;配列番号:16)には下線が付されている。
ハイブリドーマACO-1から得られた配列の分析は表9に要約されている。可変領域は、それらのもっとも近縁のヒト生殖細胞系列の配列と高い相同性(67%から65%)を示し、フレームワークはヒト生殖細胞系列のデータベースで近縁なホモローグを有する。
【0075】
表9:クローンACO-1
aCDRの定義及び配列の番号付与はKabatにしたがう
b生殖細胞系列のIDの表示の後に%相同性が示されている
【0076】
実施例10:モノクローナル抗体のヒト化及びその性状決定
当分野で公知の方法を用いて、ネズミ相補性決定領域をヒト抗体のフレームワークに移植することによって(CDR移植)ヒト化抗体を作製する(以下を参照されたい:Jones et al. 1986 Nature 321:522-525;Reichmann et al. 1988, Nature 332:323-329;Presta 1992, Curr Op Struct Biol 2:593-596;及びClark 2000, Immunol Today 21:397-402)。ヒト化抗体は、上記に記載のネズミモノクローナル抗体と同じ結合及び機能パラメーター示すことができる。
【0077】
実施例11:ヒト化モノクローナル抗体を用いるSLEの治療
マイクロアレー分析を用いて、当分野で公知であり、さらにBennettら(2003、上掲書)及びBaechlerら(2003、上掲書)にも記載されている方法にしたがって、IFNαのシグナチャーがモニターされるであろう。この新規なツールは患者の区分(すなわち陽性INFシグナチャーは治療集団に取り入れるための基準となる)とともに、患者のモニタリングに役立つ。この分析の使用はまた、どの患者が本発明の組成物及び方法によって適切に治療されるかを決定するために役立つ。ある特徴では、本発明の抗体の投与はこのシグナチャーを消失させるであろう。ある特徴では、当業者は、本発明の方法の目的が満たされた時、さらに、有効量の抗体がデリバーされた時を決定することができ、この時とは、IFNαシグナチャーが50%以上有効な期間抑制されるために必要な期間、例えば4週間と定義される。
有効量、例えば約1mg/kg、二番目には2.5mg/kg、三番目には5mg/kg、四番目には(必要ならば)10mg/kgが輸液されるであろう。各患者のために“計算された最適な用量”とは、安全に投与され、少なくとも50%のINFαシグナチャーの抑制を約4週間与えることができる量と定義される。
患者は毎週INFαシグナチャーについてモニターされるであろう。INFαシグナチャーの再出現までの期間によって投与間隔が決定されるであろう。例えば、1mg/kgの用量では50%以上のシグナチャー低下を2週間しか与えない場合、当該患者には2.5mg/kgの2回目の用量が投与されよう。毎週モニターすることによって、50%以上のシグナチャー低下が3週間しか示されなかったならば、当該患者には5mg/kgの3回目の用量が投与されよう。10mg/kgの最大用量は、50%以上のINFαシグナチャーの抑制が少なくとも4週間与えられる用量を認定する目標について試験されるであろう。
有効性は許容可能ないずれの方法によっても測定することができる。許容可能な方法には、PBMCのマイクロアレー分析(有効性はインターフェロンシグナチャーの消失をもとに確立される)、PBMCのフローサイトメトリー(有効性はT/Bリンパ球数の増加によって確立される)、形質細胞症の低下及び未成熟好中球の存在の低下、又はルミネクス分析による血清のサイトカイン多重複合体分析が含まれるが、ただしこれらに限定されない。
生物学的寄託:ACO-1、ACO-3及びACO-6ハイブリドーマ細胞株をアメリカンタイプカルチャーコレクション(10801 University Blvd, Manassas, VA 20110-2209, USA )(ATCC)に寄託し、下記の表10に列挙する寄託番号が与えられた。ACO-2(ACO2.21Rと標識)は2006年8月9日にATCCに寄託された。
【0078】
表10:
【0079】
これらの寄託は、特許手続上の微生物の寄託の国際的承認に関するブダペスト条約(ブダペスト条約)の規定の下に実行された。前記は、寄託の日から30年間、生きた寄託培養の維持を保証する。寄託物はブダペスト条約の条件の下に及びベイラーリサーチインスティチュート(Baylor Research Institute)とATCCとの間の同意にしたがいATCCにより入手できるであろう。ATCCは、関連する米国特許の発行に際して、又は米国若しくは外国の特許出願のいずれかの公開に際して、(どちらか早いもの)、寄託培養物の子孫の公衆への永久的及び無制限の利用可能性を保証し、さらに、35U.S.C.§122及び前記に続く特許委員会規則(特に866OG638に関する37C.F.R.§1.14を含む)にしたがい権利を有すると特許委員会が決定した者に対して当該培養物の子孫の利用可能性を保証する。
本出願の譲受人は、寄託物の培養が、適切な条件下で培養されたとき、死滅するか又は失われるか又は破壊された場合、前記物質を通知に際して直ちに同一のものと置き換えることに同意した。寄託物の利用可能性を、特許法にしたがいいずれかの政府当局により付与された権利に違反して本発明を実施することを認可された者と解してはならない。
本明細書に記載した具体的な実施態様は例示として示され、本発明を制限しようとするものではないことは理解されよう。本発明の基本的な特徴は、本発明の範囲を逸脱することなく多様な実施態様で利用することができる。当業者は、本明細書に記載した固有の方法に対し多数の等価物を認知し、又は日常的な実験を超えない実験により前記を確認することができよう。そのような等価物は本発明の範囲内と考えられ、本特許請求の範囲内に包含される。
本明細書に記載した全ての刊行物及び特許出願は、本発明が関係する分野の通常の技術を有する者の技術レベルを示している。全ての刊行物及び特許出願及び特にその対応する部分は、あたかも個々の刊行物及び特許出願が具体的に及び個々に参照により本明細書に取り込まれることを明示するかのように、参照により本明細書に含まれる。
特許請求の範囲において、全ての推移を示す語句、例えば“comprising”、“including”、“carrying”、“having”、“containing”、“involving”などは、両端が開放されていると理解されるべきで、すなわち限定することなく含まれることを意味すると理解されるべきである。推移を示す語句の“consisting of”及び“consisting essentially of”だけは、それぞれ制限的又は半制限的な語句であろう。
本明細書に開示され及び特許請求された組成物及び/又は方法はいずれも本開示を考慮して、煩わしい実験を行うことなく作製及び実施することができる。本発明の組成物及び方法を好ましい実施態様の関係で記載したが、本発明の組成物及び/又は方法において、及び本明細書に記載した方法の工程において又は一連の工程において、本発明の概念、真髄及び範囲から逸脱することなく変型が適用されることは当業者には理解されよう。より具体的には、化学的にも物理的にも関連するある種の物質は、本明細書に記載した物質の代用とすることが可能であり、一方、同じか又は同様な結果が達成されることは明白であろう。当業者に明白なそのような類似の置換及び改変はいずれも、添付の特許請求の範囲によって規定されるように、本発明の真髄、範囲及び概念内に存在すると考えられる。
【0080】
本発明の特色及び利点のより完全な理解のために、以下の添付の図面と併せて発明の詳細な説明についてこれから言及する。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】レポーター遺伝子(RG)アッセイ及び細胞変性阻害アッセイ(CPE)の模式図を示す。CPEアッセイ模式図の黒い丸は無傷の生細胞を表す。白い丸はウイルス感染によって殺された死細胞を表す。RGアッセイ模式図の黒い丸及び細胞は、“+”と同様にルシフェラーゼ発現を表し、一方、白い丸及び細胞はルシフェラーゼ発現の欠如を表す。
【図2】IFNαMAb開発の作業工程の模式図を示す。
【図3】ACO-1、2、3、4及び5による混成IFN供給源の中和を示す。(a)表示量の各MAbによる600pgの白血球IFN(Sigma)の中和をRGバイオアッセイによって判定した。阻止パーセンテージは、白血球IFNの存在下/非存在下及び任意のMAbの非存在下で得られたLCPSを基準にして計算した。値は3つの値の平均を示す。(b)各MAbによるPBMC-flu(640倍希釈)の中和。阻止パーセンテージは前記に記載したように計算した。値は3つの値の平均を示す。
【図4】ACO-1による15の組換えIFN-αサブタイプの中和を示す。(a)濃度を増加させたACO-1による表示のIFN-αサブタイプの中和をRGバイオアッセイにより判定した。各曲線に割り振られた数値は、ACO-1の非存在下(Y軸上の白丸により表示)で及び被検MAbの最高濃度(2000ng/mL)で得られたLCPS値(ルミネセンスカウント/秒)から計算した中央点(EC50)を示す。N.D.はEC50を割り振ることができないことを示す。データの点は3つの値から得られた。(b)濃度を増加させたACO-1、2、3、4、5及び8によるIFN-βの中和はない。データの点は3つの値から得られた。
【図5】モノクローナル抗体ACO-1、ACO-2、ACO-3、ACO-4、ACO-5及びACO-6の多重複合体分析の結果を示す。
【図6】モノクローナル抗体ACO-1、ACO-2、ACO-3、ACO-4、ACO-5及びACO-6による、IFNαの固相結合アッセイの結果を示す。
【図7】CPEアッセイによって判定した、SLE患者血清SLE-43(a)、SLE-133(b)、SLE-140(c)及びSLE-BD(d)の生物活性の中和を示す。コントロールは、血清のみ、培養液のみ(-)、及び汎中和ポリクローナル抗体(pAb、ウサギ及び抗ヒトIFNα、PBL)を含む。値は3つの値の平均を示す。
【図8】図8A−Cは、ACO-1(A)、ACO-2(B)及びACO-3(C)と156pg/ウェルのマカク(Macaque)IFNとの交差反応性を示す。
【図9】ACO-1の重鎖のcDNA及びアミノ酸配列を示す。VH1、VH2及びVH3のCDRをコードするDNA配列は斜字体で示され、一方、対応するアミノ酸配列には下線が付されている。
【図10】ACO-1の軽鎖のcDNA及びアミノ酸配列を示す。VL1、VL2及びVL3のCDRをコードするDNA配列は斜字体で示され、一方、対応するアミノ酸配列には下線が付されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ATCCアクセッション番号PTA-7778を有するハイブリドーマによって産生される抗IFNα抗体と本質的に同じIFNαエピトープと結合する抗体。
【請求項2】
抗体が、ATCCアクセッション番号PTA-7778を有するハイブリドーマによって産生される抗IFNα抗体と同じエピトープと結合する、請求項1に記載の抗体。
【請求項3】
抗体が、インターフェロンアルファ(“IFNα”)タンパク質サブタイプA、2、B2、C、F、G、H2、I、J1、K、4a、4b及びWAから成る群から選択される少なくとも2つのタンパク質サブタイプの生物活性を選択的に中和するが、INFαタンパク質サブタイプDの少なくとも1つの生物活性は有意には中和せず、前記生物活性が、MxAプロモーターの活性化又は抗ウイルス活性である、請求項1又は2に記載の抗体。
【請求項4】
抗体が、少なくとも8つのIFNαタンパク質サブタイプを選択的に中和する、請求項1、2又は3に記載の抗体。
【請求項5】
IFNαタンパク質サブタイプA、2、B2、C、F、G、H2、I、J1、K、4a、4b及びWAの生物活性を選択的に中和するが、INFαタンパク質サブタイプD及び1の生物活性は有意には中和しない、請求項1から4のいずれかに記載の抗体。
【請求項6】
抗体が、以下から成る群から選択される1/2最大有効濃度(EC50)でIFNαタンパク質サブタイプの生物活性を選択的に中和する、請求項1から5のいずれかに記載の抗体:
a)約300ng/mL未満のIFNαタンパク質サブタイプA、2、B2、C、F、G、H2、I、J1、4a、4b及びWA;及び
b)約375ng/mL未満のIFNαタンパク質サブタイプK。
【請求項7】
抗体が、前記IFNαサブタイプの生物活性の少なくとも50%を中和し、前記生物活性がMxAプロモーターの活性化である、請求項1から6のいずれかに記載の抗体。
【請求項8】
抗体が前記生物活性の少なくとも60%を中和する、請求項5に記載の抗体。
【請求項9】
抗体が前記生物活性の少なくとも70%を中和する、請求項5に記載の抗体。
【請求項10】
抗体が前記生物活性の少なくとも80%を中和する、請求項5に記載の抗体。
【請求項11】
抗体が前記生物活性の少なくとも90%を中和する、請求項5に記載の抗体。
【請求項12】
抗体が、IFNα-Aに対して少なくとも約1.5x10-9Mの親和性を有する、請求項1から6のいずれかに記載の抗体。
【請求項13】
抗体が、マウス抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体又は抗体フラグメントである、請求項1から12のいずれかに記載の抗体。
【請求項14】
抗体がモノクローナル抗体である、請求項1から13のいずれかに記載の抗体。
【請求項15】
抗体がヒト抗体である、請求項1から14のいずれかに記載の抗体。
【請求項16】
抗体がヒト化抗体である、請求項1から15のいずれかに記載の抗体。
【請求項17】
抗体が、モノクローナル抗体ACO-2のヒト化型又はキメラ型を含む、請求項13または6に記載の抗体。
【請求項18】
抗体がモノクローナル抗体ACO-2である、請求項1から17のいずれかに記載の抗体。
【請求項19】
抗体が、モノクローナル抗体ACO-2のヒト化型である、請求項1から18のいずれかに記載の抗体。
【請求項20】
抗体が抗体フラグメントである、請求項1から19のいずれかに記載の抗体。
【請求項21】
抗体フラグメントが、Fab、Fab'、F(ab')2、Fv又はscFvフラグメントである、請求項20に記載の抗体。
【請求項22】
ATCCアクセッション番号PTA-7778を有するハイブリドーマによって産生される、抗インターフェロンアルファ(“IFNα”)モノクローナル抗体。
【請求項23】
請求項22に記載のモノクローナル抗体のヒト化型。
【請求項24】
請求項22又は23に記載のモノクローナル抗体の抗体フラグメント。
【請求項25】
抗体フラグメントが、Fab、Fab'、F(ab')2、Fv又はscFvフラグメントを含む、請求項24に記載の抗体フラグメント。
【請求項26】
請求項1から25のいずれかに記載の抗体をコードする核酸を含む宿主細胞。
【請求項27】
宿主細胞がハイブリドーマである、請求項26に記載の宿主細胞。
【請求項28】
請求項1−19、22又は23に記載の抗体を産生するハイブリドーマ。
【請求項29】
モノクローナル抗体がACO-2である、請求項28に記載のハイブリドーマ。
【請求項30】
ハイブリドーマが、ATCCアクセッション番号PTA-7778を有するハイブリドーマである、請求項29に記載のハイブリドーマ。
【請求項31】
請求項1−25のいずれかに記載の抗体を含む組成物。
【請求項32】
請求項1−25のいずれかに記載のモノクローナル抗体及び医薬的に許容できる担体を含む医薬組成物。
【請求項33】
モノクローナル抗体が、請求項20又は21に記載のモノクローナル抗体のフラグメントを含む、請求項32に記載の医薬組成物。
【請求項34】
請求項33に記載のモノクローナル抗体のフラグメント及び医薬的に許容できる担体を含む医薬組成物。
【請求項35】
IFNαタンパク質サブタイプA、2、B2、C、F、G、H2、I、J1、K、4a、4b及びWAから成る群から選択される少なくとも1つのIFNαタンパク質サブタイプの異常発現に付随する疾患又は症状を、対象者でIFNαタンパク質サブタイプDの生物活性を中和することなく治療する方法であって、前記方法が、前記疾患又は症状を有する対象者に、請求項1−25のいずれかに記載の抗体の有効量を投与することを含み、前記生物活性がMxAプロモーターの活性化又は抗ウイルス活性である、前記疾患又は症状の治療方法。
【請求項36】
前記生物活性がMxAプロモーター活性である、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
疾患又は症状が、全身性紅斑性狼瘡(SLE)、宿主対移植片病(GVHD)、I型糖尿病、エイズ、狼瘡、乾癬、及び自己免疫甲状腺炎から成る群から選択される、請求項35又は36に記載の方法。
【請求項38】
疾患がSLEである、請求項35、36又は37に記載の方法。
【請求項39】
疾患が乾癬である、請求項35、36又は37に記載の方法。
【請求項1】
ATCCアクセッション番号PTA-7778を有するハイブリドーマによって産生される抗IFNα抗体と本質的に同じIFNαエピトープと結合する抗体。
【請求項2】
抗体が、ATCCアクセッション番号PTA-7778を有するハイブリドーマによって産生される抗IFNα抗体と同じエピトープと結合する、請求項1に記載の抗体。
【請求項3】
抗体が、インターフェロンアルファ(“IFNα”)タンパク質サブタイプA、2、B2、C、F、G、H2、I、J1、K、4a、4b及びWAから成る群から選択される少なくとも2つのタンパク質サブタイプの生物活性を選択的に中和するが、INFαタンパク質サブタイプDの少なくとも1つの生物活性は有意には中和せず、前記生物活性が、MxAプロモーターの活性化又は抗ウイルス活性である、請求項1又は2に記載の抗体。
【請求項4】
抗体が、少なくとも8つのIFNαタンパク質サブタイプを選択的に中和する、請求項1、2又は3に記載の抗体。
【請求項5】
IFNαタンパク質サブタイプA、2、B2、C、F、G、H2、I、J1、K、4a、4b及びWAの生物活性を選択的に中和するが、INFαタンパク質サブタイプD及び1の生物活性は有意には中和しない、請求項1から4のいずれかに記載の抗体。
【請求項6】
抗体が、以下から成る群から選択される1/2最大有効濃度(EC50)でIFNαタンパク質サブタイプの生物活性を選択的に中和する、請求項1から5のいずれかに記載の抗体:
a)約300ng/mL未満のIFNαタンパク質サブタイプA、2、B2、C、F、G、H2、I、J1、4a、4b及びWA;及び
b)約375ng/mL未満のIFNαタンパク質サブタイプK。
【請求項7】
抗体が、前記IFNαサブタイプの生物活性の少なくとも50%を中和し、前記生物活性がMxAプロモーターの活性化である、請求項1から6のいずれかに記載の抗体。
【請求項8】
抗体が前記生物活性の少なくとも60%を中和する、請求項5に記載の抗体。
【請求項9】
抗体が前記生物活性の少なくとも70%を中和する、請求項5に記載の抗体。
【請求項10】
抗体が前記生物活性の少なくとも80%を中和する、請求項5に記載の抗体。
【請求項11】
抗体が前記生物活性の少なくとも90%を中和する、請求項5に記載の抗体。
【請求項12】
抗体が、IFNα-Aに対して少なくとも約1.5x10-9Mの親和性を有する、請求項1から6のいずれかに記載の抗体。
【請求項13】
抗体が、マウス抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体又は抗体フラグメントである、請求項1から12のいずれかに記載の抗体。
【請求項14】
抗体がモノクローナル抗体である、請求項1から13のいずれかに記載の抗体。
【請求項15】
抗体がヒト抗体である、請求項1から14のいずれかに記載の抗体。
【請求項16】
抗体がヒト化抗体である、請求項1から15のいずれかに記載の抗体。
【請求項17】
抗体が、モノクローナル抗体ACO-2のヒト化型又はキメラ型を含む、請求項13または6に記載の抗体。
【請求項18】
抗体がモノクローナル抗体ACO-2である、請求項1から17のいずれかに記載の抗体。
【請求項19】
抗体が、モノクローナル抗体ACO-2のヒト化型である、請求項1から18のいずれかに記載の抗体。
【請求項20】
抗体が抗体フラグメントである、請求項1から19のいずれかに記載の抗体。
【請求項21】
抗体フラグメントが、Fab、Fab'、F(ab')2、Fv又はscFvフラグメントである、請求項20に記載の抗体。
【請求項22】
ATCCアクセッション番号PTA-7778を有するハイブリドーマによって産生される、抗インターフェロンアルファ(“IFNα”)モノクローナル抗体。
【請求項23】
請求項22に記載のモノクローナル抗体のヒト化型。
【請求項24】
請求項22又は23に記載のモノクローナル抗体の抗体フラグメント。
【請求項25】
抗体フラグメントが、Fab、Fab'、F(ab')2、Fv又はscFvフラグメントを含む、請求項24に記載の抗体フラグメント。
【請求項26】
請求項1から25のいずれかに記載の抗体をコードする核酸を含む宿主細胞。
【請求項27】
宿主細胞がハイブリドーマである、請求項26に記載の宿主細胞。
【請求項28】
請求項1−19、22又は23に記載の抗体を産生するハイブリドーマ。
【請求項29】
モノクローナル抗体がACO-2である、請求項28に記載のハイブリドーマ。
【請求項30】
ハイブリドーマが、ATCCアクセッション番号PTA-7778を有するハイブリドーマである、請求項29に記載のハイブリドーマ。
【請求項31】
請求項1−25のいずれかに記載の抗体を含む組成物。
【請求項32】
請求項1−25のいずれかに記載のモノクローナル抗体及び医薬的に許容できる担体を含む医薬組成物。
【請求項33】
モノクローナル抗体が、請求項20又は21に記載のモノクローナル抗体のフラグメントを含む、請求項32に記載の医薬組成物。
【請求項34】
請求項33に記載のモノクローナル抗体のフラグメント及び医薬的に許容できる担体を含む医薬組成物。
【請求項35】
IFNαタンパク質サブタイプA、2、B2、C、F、G、H2、I、J1、K、4a、4b及びWAから成る群から選択される少なくとも1つのIFNαタンパク質サブタイプの異常発現に付随する疾患又は症状を、対象者でIFNαタンパク質サブタイプDの生物活性を中和することなく治療する方法であって、前記方法が、前記疾患又は症状を有する対象者に、請求項1−25のいずれかに記載の抗体の有効量を投与することを含み、前記生物活性がMxAプロモーターの活性化又は抗ウイルス活性である、前記疾患又は症状の治療方法。
【請求項36】
前記生物活性がMxAプロモーター活性である、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
疾患又は症状が、全身性紅斑性狼瘡(SLE)、宿主対移植片病(GVHD)、I型糖尿病、エイズ、狼瘡、乾癬、及び自己免疫甲状腺炎から成る群から選択される、請求項35又は36に記載の方法。
【請求項38】
疾患がSLEである、請求項35、36又は37に記載の方法。
【請求項39】
疾患が乾癬である、請求項35、36又は37に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図9】
【図10】
【公表番号】特表2010−500380(P2010−500380A)
【公表日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−524004(P2009−524004)
【出願日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際出願番号】PCT/US2007/075616
【国際公開番号】WO2008/021976
【国際公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【出願人】(509004712)ベイラー リサーチ インスティテュート (38)
【氏名又は名称原語表記】BAYLOR RESEARCH INSTITUTE
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際出願番号】PCT/US2007/075616
【国際公開番号】WO2008/021976
【国際公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【出願人】(509004712)ベイラー リサーチ インスティテュート (38)
【氏名又は名称原語表記】BAYLOR RESEARCH INSTITUTE
【Fターム(参考)】
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