説明

抗ウイルス薬、アジュバント、およびワクチン促進剤を製造および送達するための改良組換え細胞(ARC)

本発明は、活性のあるサイトカインおよび/またはケモカイン組成物、ならびに産生のための安価な手段、活性のあるサイトカインおよび/またはケモカイン組成物の改良細胞封入、活性のあるサイトカインおよび/またはケモカイン組成物の加工および送達を提供する。本発明はまた、サイトカインおよび/またはケモカイン組成物を含む改良組換え細胞(ARC)を動物またはヒトに投与する段階を含む、治療法および免疫応答を促進する方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は2002年10月8日に出願した米国仮出願第60/417,124号の利益を主張し、この出願は、すべての図、表、配列、および式を含むその全体が参照として本明細書により組み入れられる。
【0002】
発明の背景
サイトカインおよびケモカインは、機能的な免疫系の重要な要素である。例えば、インターフェロンはバイオテクノロジーの最初の組換え薬物の1つであり、動物衛生において抗ウイルス薬およびワクチンの免疫増強剤として使用されている(2;24)。γインターフェロン(IFN-γ)は、動物において強力な抗ウイルス反応および免疫増強反応を誘発するサイトカインである(1〜3;6;8;13;17;18;20;22;23;25)。IFN-γ促進性ワクチン(13;18)は、例えばウシの輸送熱および乳腺炎等の疾患の治療に有用である。しかし、現在の技術下では、IFN-γは不安定であり製造コストが極めて高いことがわかっている。ミリグラム当たり何百ドルものコストを要し、用量当たり何ミリグラムもの治療レベルが必要であり、動物衛生抗ウイルス薬としてまたはワクチンアジュバントとしてのIFN-γの使用は、実現不可能であると考えられる。疾患を治癒する特効薬としてのインターフェロンおよび他のサイトカイン(表1に記載)の当初の期待は、まだ十分に認識されていない(1)。
【0003】
ウシ、ならびに他の哺乳動物、鳥類、魚類、および爬虫類等の他の動物において、IFN-γは、自然免疫系および適応免疫系のほぼすべての成分に直接的または間接的に作用する(1)。さらに、IFN-γは、抗原処理および抗原提示、リンパ球遊走の阻害、マクロファージの活性化、Bリンパ球の抗体産生(21)、ナチュラルキラー(NK)細胞活性、ならびに輸送および免疫認識のための白血球細胞表面分子の上方制御に大いに影響を及ぼす、最もとは言わないまでも、最も多面的なサイトカインの1つである。IFN-γの強力な受容体は、TおよびBリンパ球、NK細胞、単球、マクロファージ、線維芽細胞、好中球、内皮細胞、および平滑筋細胞上に存在する。また、抗ウイルス因子としてのその中心的役割のために、IFN-γはウイルスの破壊活性の主要な標的である。例えば、ウイルスは、IFN-γを不活性化し得る、IFN-γ誘導性抗ウイルス経路を妨げ得る、および細胞内IFN-γシグナル伝達を妨害し得るタンパク質をコードする。
【0004】
生物活性のあるウシIFN-γは、1986年に初めてクローニングされ大腸菌で合成された(5)。ウマIFN-γのヌクレオチド配列は1994年に報告され、これは、ヒトIFN-γと67%およびウシIFN-γと78%の配列同一性を示す。組換えニワトリIFN-γの構造は1999年に報告され、活性のある切断型(lys 133において切断)が大腸菌で発現された。全体的なアミノ酸同一性は32%のみであるにもかかわらず、3-D構造はウシおよびヒトIFN-γと類似していることが示された(14)。
【発明の開示】
【0005】
発明の概要
本発明は、活性のあるサイトカインおよび/またはケモカイン組成物、ならびに産生のための安価な手段、活性のあるサイトカインおよび/またはケモカイン組成物の改良細胞封入、活性のあるサイトカインおよび/またはケモカイン組成物の加工および送達を提供する。本発明はまた、活性のあるγインターフェロンならびに他のサイトカインおよび/またはケモカイン組成物を動物またはヒトに投与する段階を含む、治療法および免疫応答を促進する方法を提供する。
【0006】
本発明の1つの局面において、IFN-γおよび他のサイトカインは、当技術分野において周知の遺伝子工学技法を用いて、細菌蛍光菌を含む様々な微生物細胞で発現させることができる。サイトカイン遺伝子を適切に再構築し、宿主プラスミドベクターの強力な制御プロモーターと転写/翻訳ターミネーターとの間に正確に位置させることにより、特定の外来宿主でのIFN-γの発現が日常的に達成される。任意のそのような宿主の適切性もまた、過度の実験を行うことなく、当業者によって通常の手段により日常的に試験される。形質転換した微生物細胞がIFN-γまたは他のサイトカインを高レベルで発現したならば、熱および化学薬品を含む作用因子で細胞を改良することができ、この作用因子により細胞が死滅し(殺菌され)、発現された活性のあるサイトカインが安定化し、細胞壁が改良されて細胞に封入されたサイトカインが最適に放出される。例えば、IFN-γを発現している蛍光菌の細胞に関して本記載に用いた殺菌/改良手順は、市販のバイオ農薬、MVPの生産に関して最初に用いられた過程を修正したものである(4;9;19)。この方法に従って、pH 約4.3のルゴールヨウ素で蛍光菌の細胞を処理する。このpHにより、培養物はインサイチューで完全に殺菌され、細胞壁が物理的耐久性に関して改良され、細菌細胞壁がタンパク質分解の影響を受けやすくなる(9)。この手順により細胞凝集も排除され、シュードモナス細胞壁の内毒素特性が減少するようである。
【0007】
IFN-γを含む改良組換え細胞(amended recombinant cell)(IFN-γ/ARC)は、経口、経鼻、眼、または非経口注射手段により送達し得る。IFN-γ/ARCのそのような接種法を用いて、ヒトおよび動物の疾患を治療することができる;例えば、ウシにおいて、ウシIFN-γを含むARCを予防薬として使用し輸送熱から保護すること、またはそのようなARCを種雌のウシに使用し、新生仔をウイルス性疾患および/または細菌性胃腸炎から防御することができる。さらに、ヒト、ならびにウマ、ブタ、ニワトリ、および家庭のペット類等のウシ以外の動物に、そのような処置をすることもできる。この方法は、所望の生物学的効果を誘導するのに十分な量でのIFN-γ含有ARCの投与を介して、動物およびヒトの様々なストレス関連疾患を軽減するため、および免疫応答のアジュバントおよび促進剤として、多経路のヒトワクチン接種を増強するためにも適用できる。
【0008】
発明の詳細な説明
本発明は、本明細書において改良組換え細胞またはARCと命名した、加工した(改良した)微生物系で発現される、活性のあるサイトカインおよび/またはケモカイン組成物を提供する。ARCとは発現した異種タンパク質を含む組換え微生物細胞であり、その細胞は微生物細胞の細胞壁を改良する特定の化学的殺菌過程により死滅している。改良過程により、微生物の細胞壁の特性が2つの異なる方法で同時に変化する:A.) 細胞壁の物理的強化が起こり、微生物細胞がi.) 剪断、ii.) 超音波振動、またはiii.) 圧力細胞破壊により破壊されにくくなる、およびB.) 細胞壁のタンパク質の化学的変性が起こり、細胞がタンパク質分解性加水分解により破壊されやすくなる。
【0009】
様々な態様において、本発明は、以下をコードする少なくとも1つの異種遺伝子を含むベクターで形質転換した微生物ARCを提供する:IL-1、IL-2、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-9、IL-10、IL-11、IL-15、IL-16、IL-18、IL-23、IL-24、エリスロポエチン、G-CSF、M-CSF、血小板由来増殖因子(PDGF)、MSF、FLT-3リガンド、EGF、線維芽細胞増殖因子(FGF;例えば、aFGF(FGF-1)、bFGF(FGF-2)、FGF-3、FGF-4、FGF-5、FGF-6、またはFGF-7)、インスリン様増殖因子(例えば、IGF-1、IGF-2);血管内皮増殖因子(VEGF);インターフェロン(例えば、IFN-γ、IFN-α、IFN-β);白血病抑制因子(LIF);毛様体神経栄養因子(CNTF);オンコスタチンM;幹細胞因子(SCF);トランスフォーミング増殖因子(例えば、TGF-α、TGF-β1、TGF-β1、TGF-β1)、もしくはケモカイン(BCA-1/BLC-1、BRAK/Kec、CXCL16、CXCR3、ENA-78/LIX、エオタキシン-1、エオタキシン-2/MPIF-2、エキソダス-2/SLC、フラクタルカイン/ニューロタクチン、GROα/MGSA、HCC-1、I-TAC、リンホタクチン/ATAC/SCM、MCP-1/MCAF、MCP-3、MCP-4、MDC/STCP-1、ABCD-1、MIP-1α、MIP-1β、MIP-2α/GROβ、MIP-3α/エキソダス/LARC、MIP-3β/エキソダス-3/ELC、MIP-4/PARC/DC-CK1、PF-4、RANTES、SDF1α、TARC、またはTECK等であるが、これらに限定されない)、または表1、8、および9に提供するサイトカインおよび/もしくはケモカイン。好ましい態様において、ARCはIFN-γ(例えば、ウシ、トリ(例えばニワトリ)、魚、またはヒトIFN-γ)を含む。別の好ましい態様において、ARCは、IFN-γおよびIFN-α(例えば、ウシ、トリ(例えばニワトリ)、魚、またはヒトのIFN-γおよびIFN-α)を含む。本明細書で用いる「ARC」という用語は、1つまたは複数の異種遺伝子を含む改良組換え細胞を示す。異種性インターフェロン遺伝子またはインターフェロンタンパク質を含まない改良組換え細胞は、「対照ARC」または「ARC対照」と称す。
【0010】
いくつかの態様において、微生物細胞は、抗原および/または抗原性タンパク質をコードする1つまたは複数の他の異種遺伝子を同時発現する。抗原または抗原性タンパク質の限定されない例には、これらに限定されないが、自己抗原、腫瘍抗原、MMRワクチン、ポリオワクチン、破傷風ワクチン、通常個体が環境において遭遇する病原体(例えば、クレブシエラ種、サルモネラ種、エシェリキア種等の食品媒介病原体、肝炎ウイルス、インフルエンザウイルス等)、および生物毒素(例えば、トリコテシンマイコトキシン(T-2) 等のマイコトキシン、ブドウ球菌エンテロトキシンB、リシン、またはボツリヌス神経毒素)等の特に個体の環境に導入される病原性物質、兵器化した微生物細胞(例えば、毒素DNAもしくは毒素RNA挿入物を含むウイルス、または毒素[例えば、トリコテシンマイコトキシン(T-2) 等のマイコトキシン、ブドウ球菌エンテロトキシンB、リシン、またはボツリヌス神経毒素]で形質転換した細菌もしくは真菌細胞)、ウイルス性病原体、菌類病原体、もしくは細菌性病原体(例えば、天然痘、炭疽菌、エボラウイルス、ペスト菌)、またはスーパー抗原、血清アルブミン、もしくはタンパク質安定剤等の免疫調節タンパク質が含まれる。様々な態様により、単一の異種遺伝子(例えば、単一のサイトカイン、ケモカイン、またはタンパク質)を発現する個々のARC組成物を提供する。特定の態様において、血清アルブミン等の同時に発現させるタンパク質または抗原は、所望の種の動物に由来するDNAによりコードされる。いくつかの態様により、微生物系で発現させるすべてのタンパク質が単一ベクターに含まれることを提供する。他の態様により、所望のタンパク質をコードする複数ベクターでの微生物細胞の形質転換を提供する。さらなる他の態様では、染色体外での維持または宿主ゲノムへの組み込みを提供する任意の簡便な手段で、異種遺伝子を宿主内に導入し得る。(異種性により、遺伝子が、それが導入される宿主内に存在せず、またそのような宿主内にその遺伝子が通常見出されないことを意味する。すなわち、たとえ宿主生物と異種遺伝子の起源が情報交換するとしても、異種遺伝子は自然界において通常は野生型宿主内に見出されない。通常、異種性という用語には、宿主と遺伝子源のように異なる属の種が関与することになる。)
【0011】
様々な構築物を使用することができ、これにはプラスミド、ウイルス、または安定な維持のための自己複製部位(ars)と組み合わせた動原体に由来する複製系が含まれる。組み込みのみを所望する場合には、複製を提供し得り、かつトランスポゾンであるかもしくはトランスポゾン様挿入活性を有する、または宿主ゲノムとの相同性を提供し得る構築物を使用することができる。宿主の染色体またはプラスミドゲノム内の配列と相同である配列間に異種遺伝子を有するDNA配列を使用する場合が多い。望ましくは、異種遺伝子は複数コピー存在する。例えば、米国特許第4,399,216号を参照されたい。したがって、異種遺伝子を導入するために、接合、形質導入、トランスフェクション、および形質転換を利用することができる。
【0012】
染色体外エレメントを使用する態様では、DNA構築物は、構築物を含む宿主細胞の選択を可能にするマーカーを含むことが好ましい。マーカーは通常、例えば抗生物質耐性または重金属耐性といった殺生物剤耐性、栄養要求性宿主に原栄養性を提供する相補性等を提供するマーカーである。複製系により、cos細胞が関わり得る制御が効かなくなった複製(runaway replication)のような特別な性質、または他の特徴が提供され得る。
【0013】
異種遺伝子に関連して、宿主細胞に認識される転写および翻訳の開始および終結制御シグナルを有する異種遺伝子を使用することができる。しかし、完全な遺伝子が前駆体をコードする場合に、異種遺伝子が、例えばリーダー配列を除去するまたはサイトカインおよび/もしくはケモカインの成熟型をコードする配列を提供するように修飾される状況では、天然のものとは異なる転写開始制御配列が提供され得るようにDNA配列を操作する必要がある場合が多い。
【0014】
様々な宿主に対して、様々な転写開始配列が存在する。この配列により、サイトカインおよび/もしくはケモカインの構成的発現、または例えば代謝産物等の化学物質、温度、もしくは制御可能なリプレッサーにより誘導可能となり得る制御発現が提供され得る。例えば、その全体が参照として本明細書により組み入れられる米国特許第4,374,927号を参照されたい。プロモーターの詳細な選択は、多くの要因、プロモーターの強さ、細胞生存度に対するプロモーターの干渉、細胞に内因性の制御機構がプロモーターに及ぼす影響等に依存することになる。数多くのプロモーターが、市販の供給源を含む様々な供給源から入手できる。
【0015】
表1、8、および9に記載のサイトカインの発現に適したベクターは、当業者に周知である。同様に、表1、8、および9に記載のサイトカインおよびケモカインをコードする異種遺伝子も当業者に公知であり、コード配列は、様々な特許データベース、上記のサイトカイン、ケモカイン、または他のタンパク質をコードする核酸またはポリペプチド配列を含む公的に利用可能なデータベース(National Library of MedicineまたはEuropean Molecular Biology Laboratoryに見出される核酸およびタンパク質データベース等)、科学文献、またはGenzyme, Inc.、R&D Systems, Inc.、またはInvivoGen, Inc.等の企業により作成されたカタログ[例えば、その中で引用されたすべての参考文献も含めてそれぞれその全体が参照として組み入れられる、the 1995 Cytokine Research Products catalog, Genzyme Diagnostics, Genzyme Corporation, マサチューセッツ州、ケンブリッジ;2002 or 1995 Catalog of R&D Systems, Inc(ミネソタ州、ミネアポリス
);または2002 Catalog of InvivoGen, Inc(カリフォルニア州、サンディエゴ)を参照のこと]に引用される科学文献を含む様々な供給源から得ることができる。あるいは、サイトカインおよび/またはケモカインをコードする核酸、ならびにサイトカインおよび/またはケモカインをコードする核酸を含むベクターを、R&D Systems, Inc.(ミネソタ州、ミネアポリス 55413)、またはInvivoGen, Inc.(カリフォルニア州、サンディエゴ 92121)等の市販の供給元から入手することができる。本発明のいくつかの局面においては、様々な組み合わせのサイトカインおよび/またはケモカインを発現するように、微生物細胞を操作する。
【0016】
本発明での使用に適した微生物細胞には、原核生物(グラム陽性およびグラム陰性生物)および菌類等の下等真核生物が含まれる。本発明での使用に適した細菌細胞の種には、以下の属のものが含まれる:1) エシェリキア属、エルビニア属、赤痢菌属、サルモネラ属、およびプロテウス属の種を含む腸内細菌科;2) バチルス科;3) 根粒菌属等のリゾビウム科;4) フォトバクテリウム属、ザイモモナス属、セラチア属、アエロモナス属、ビブリオ属、デスルフォビブリオ属、スピリルム属等のらせん菌科;6) 乳酸桿菌科;7) シュードモナス属およびアセトバクター属等のシュードモナス科;8) アゾトバクター科およびニトロバクター科。下等真核生物には、藻菌類、およびサッカロミセス属およびシゾサッカロミセス属等の酵母を含む子嚢菌類、ロドトルラ属、オーレオバシディウム属、スポロボロミセス属等の担子菌酵母等の菌類が含まれる。形質転換した微生物細胞がサイトカインタンパク質を高レベルで発現したならば、従来の手段により細胞を回収し、固定化試薬で処理して、細胞を死滅させ活性のあるサイトカインを安定化し得る。特定の態様において、サイトカインおよび/またはケモカインは蛍光菌で発現させる;細胞を固定し、回収して洗浄するか、または任意で洗浄してから固定する。
【0017】
DNA構築物が選択的利点(例えば、抗生物質を含む選択的培地中での増殖)を提供する場合、実質的にすべてまたはすべての細胞が異種遺伝子を保持するような選択培地を提供し、1つまたは複数の異種遺伝子を含む細胞宿主を任意の簡便な栄養培地で増殖させることができる。次いで、従来の方法に従ってこれらの細胞を回収し、上記の様々な方法で修飾することができる。あるいは、細胞を固定してから回収することもできる。
【0018】
本明細書においておよび本発明を通して、ARCは以下の試験により定義される:A.) ARCは死滅している。ARCは、その生存形態の増殖に適した栄養培地上でコロニーを形成することができない。B.) ARCは、増強された物理的耐久性を有する。ARCは、未改良の生存形態よりも、超音波振動による破壊またはFrench圧力セル(Pressure Cell)の通過による破壊に耐性である。C.) ARCは、タンパク質分解により破壊されやすい。顕微鏡的に、光学的に、または他の手段により、ARCは未改良の生存形態よりも、トリプシン(または様々な他のプロテアーゼ)によるタンパク質分解への感受性が高いことが示され得る。D.) ARCは組換え異種遺伝子を含み、異種タンパク質を発現し、異種タンパク質の所望の機能特性が部分的にまたは完全に維持される。
【0019】
宿主細胞を不活性化および改良するための様々な技法には、ヨウ素等のハロゲン化剤の添加を伴うまたは伴わない、酢酸等の酸による酸性化、UV照射;凍結乾燥;例えば抗生物質等の毒素;フェノール;例えばカルバニリドおよびサリチルアニリド等のアニリド;ヒドロキシ尿素;四級アルコール;抗菌色素;EDTAおよびアミジン;例えば塩素化剤、臭素化剤、またはヨウ素化剤といった上記のハロゲン化剤等の非特異性有機および無機化学物質;例えばグルタルアルデヒドまたはホルムアルデヒドといったアルデヒド;オゾンおよびエチレンオキシドペルオキシド等の有毒ガス;ソラレン;乾燥剤等が含まれ、これらを個々にまたは組み合わせて使用することができる。薬剤の選択は、特定のサイトカインまたはケモカイン、宿主細胞の性質、細胞の死滅、サイトカイン活性の保存、細胞壁の物理的強化、および細胞をタンパク質分解に対してより感受性にする細胞壁のタンパク質の化学的変性という所望の効果を生じるために必要な、細胞構造の修飾の性質に依存することになる。
【0020】
ARCを産生するための不活性化および改良に適した薬剤には、ハロゲン化剤、詳細には原子番号17〜80のハロゲンが含まれる。より詳細には、所望の結果を達成するために十分な時間、温和な条件下でヨウ素を使用し得る。他の適切な技法には、ホルムアルデヒドおよびグルタルアルデヒド等のアルデヒド、塩化ゼフィラン(zephiran)および塩化セチルピリジニウム等の抗感染症薬、イソプロピルおよびエタノール等のアルコール、ブアン固定液およびヘリー(Helly)固定剤等の様々な組織固定剤(Humason, Gretchen L., Animal Tissue Techniques, W. H. Freeman and Company, 1967を参照のこと);またはサイトカインおよび/またはケモカインの活性を持続させる物理的因子(熱)および化学薬品の組み合わせによる処理が含まれる。
【0021】
ヨウ素によるハロゲン化では、温度は一般に約0℃〜50℃に及ぶことになるが、反応は室温で行い得る。それぞれのARCが発現するサイトカインに対して、その活性または不足に基づき、これらの変数の最適な範囲を決定することは当業者には日常的問題である。当業者により、過度の実験を行うことなく、他のそのような変数もまた試験され得る。例えば簡便に、酸性の水性媒体中で、詳細には約0.5〜5 Mであってよい水性カルボン酸溶液中で、トリヨードまたはヨウ素を0.5〜5%で使用してヨウ素化を試験することができる。酢酸を使用することができ、一般に約1〜4個の炭素原子の他のカルボン酸を使用することもできる。反応時間は、一般に1分未満〜約24時間、通常は約1〜6時間の範囲であり;典型的に、ハロゲン化(例えばヨウ素化)溶液のpHは約4.0〜7.0に維持される。特定の態様において、pHは約4.0〜約6.0、約4.0〜約5.0、約4.1〜4.7、約4.2〜4.6、約4.3〜4.4の範囲、または約4.3である。他の態様において、pHは約3.0〜約6.0、約3.5〜約5.0、約3.7〜4.7、約3.8〜4.6、3.9〜4.4の範囲、または約4.3である。必要に応じて、亜ジオチン酸、チオ硫酸ナトリウム、または他の還元剤等の還元剤を用いた反応により、残存したヨウ素を除去し得る。さらに、修飾した細胞を、反応媒体をすべて除去するための徹底的な洗浄、乾燥形態での単離、および当業者により一般的に利用される典型的な展着剤、スプレッダー、およびアジュバントとの製剤化等のさらなる処理に供してもよい。特定の態様において、当技術分野において公知の架橋剤を用いて処理することにより、ARCを調製することができる。
【0022】
1つのそのような改良過程の手順、ルゴール固定化は、(9)および米国特許第4,695,455号(その全体が参照として本明細書により組み入れられる)に記載されている。ひとたび改良されると、細胞は水中で洗浄され、様々な治療適用での使用のために適切に製剤化される。本発明のこの局面では、改良生物を含む組成物を調製し、所望の生物学的効果を誘導するのに十分な量で個体に投与することができる。組成物は、例えばE.W. Martin's Remington's Pharmaceutical Science, Mack Publishing Company, ペンシルバニア州、イーストンに記載されている担体を含む任意の担体中で製剤化し得る。
【0023】
本発明は、個体(鳥類、両生類、爬虫類、甲殻類、魚類、または哺乳動物個体等)に、サイトカイン/ケモカインを発現する改良組換え細胞(ARC)、関心対象の抗原または抗原群、および任意で免疫応答を生じるのに有効な量のリポ多糖(LPS)またはCpGジヌクレオチド等のさらなるアジュバント分子を含む組成物を投与する段階を含む、免疫応答を誘導および/または促進する方法を提供する。特定の好ましい態様において、ARCは、:a) 1つまたは複数の関心対象の抗原、およびb) IFN-γまたは表1、8、および9に記載の他のサイトカイン/ケモカイン等の1つまたは複数のサイトカイン/ケモカインを同時発現する。他の態様においては、1つまたは複数の抗原および1つまたは複数のサイトカイン/ケモカイン発現するARCの混合物を含む組成物を個体に与える。混合組成物のために、抗原を:1) 精製した形態で、2) 粗製抽出物として、および/または3)関心対象の抗原をコードするDNAで細胞を形質転換した別のARC組成物で提供する。任意の態様において、当業者に周知であるアジュバントを任意に与え得る。特定の好ましい態様において、ARCは少なくともIFN-γおよびIFN-αの両方を同時発現する。
【0024】
本発明の別の局面では、個体の免疫応答を促進するのに有効な量で、1つまたは複数のサイトカインおよび/またはケモカインを含む改良組換え細胞(ARC)またはその組成物を個体に投与する段階を含む、個体の免疫応答を促進する方法を提供する。本発明の1つの局面において、個体の体液性免疫応答のピーク(例えば、抗原誘発後に観察されるIgMおよび/またはIgG抗体の最大値)の発生は1〜14日またはそれ以上までに促進され得る。本発明のこの局面においては、個体は以前に抗原に対して曝露されたことがあるか、または抗原を個体に同時投与し得る。
【0025】
したがって、本発明は、1つまたは複数のサイトカインおよび/またはケモカインを含むARCを含む組成物を投与する段階を含む、個体において抗体アイソタイプ(例えば、IgG1およびIgG2)または様々なクラスの抗体(例えば、IgM、IgG、IgA、IgE、および/またはIgY)の産生を促進する方法を提供する。この方法はさらに、ARC組成物の投与前に、投与と同時に、または投与後に、抗原または免疫原を投与する段階を含む。いくつかの態様において、ARC組成物はIFN-γ/ARCである。他の態様では、IFN-αおよびIFN-γの両方を含むARCを提供する。様々な態様において、インターフェロン遺伝子は、ヒト、トリ(例えばニワトリ)、ウシ、哺乳動物、または魚起源のものである。
【0026】
本発明の特定の態様では、関心対象の抗原に曝露してから2〜168時間以内に、1つまたは複数のサイトカインおよび/またはケモカインを発現するARCを個体に投与する。「関心対象の抗原」には、これらに限定されないが、自己抗原、腫瘍抗原、MMRワクチン、ポリオワクチン、破傷風ワクチン、通常個体が環境において遭遇する病原体(例えば、クレブシエラ種、サルモネラ種、エシェリキア種等の食品媒介病原体、肝炎ウイルス、インフルエンザウイルス等)、および生物毒素(例えば、トリコテシンマイコトキシン(T-2) 等のマイコトキシン、ブドウ球菌エンテロトキシンB、リシン、またはボツリヌス神経毒素)等の特に個体の環境に導入される病原性物質、兵器化した微生物細胞(例えば、毒素DNAもしくは毒素RNA挿入物を含むウイルス、または毒素[例えば、トリコテシンマイコトキシン(T-2) 等のマイコトキシン、ブドウ球菌エンテロトキシンB、リシン、またはボツリヌス神経毒素]で形質転換した細菌もしくは真菌細胞)、ウイルス性病原体、菌類病原体、もしくは細菌性病原体(例えば、天然痘、炭疽菌、エボラウイルス、ペスト菌)、またはスーパー抗原、血清アルブミン、もしくはタンパク質安定剤等の免疫調節タンパク質が含まれる。したがって、本発明は:a) バイオテロ行為の遂行において用いられる生物学的薬剤に曝露された個体の治療;およびb) 環境において通常遭遇する病原体に曝露された個体の治療に適用できる。本発明のこの局面の好ましい態様において、ARCは、IFN-γおよび/またはIFN-α、ならびに任意にLPSを同時発現する。任意で、ARCはIFN-γおよびIFN-αに加えて、他のタンパク質、サイトカイン、および/またはケモカインを同時発現する。
【0027】
本発明はまた、個体において治療効果をもたらすのに有効な量で、1つまたは複数のサイトカインおよび/もしくはケモカインを含む改良組換え細胞(ARC)、またはその組成物を個体に投与する段階を含む、腫瘍、癌、または悪性腫瘍を治療する方法を提供する。いくつかの態様において、「治療」および/または「治療効果」という用語は、個体の状態、生活の質、または予後を改善するために個体を医療扶助に供する任意の過程、行為、適用、治療等を指す。他の態様において、「治療」および/または「治療効果」という用語はまた、腫瘤の大きさの縮小、癌性細胞数の減少をもたらす治療を個体に提供する段階、または個体において治療した腫瘍、癌、もしくは悪性腫瘍の寛解をもたらす段階を含む。
【0028】
本発明は、本発明の説明に従って発現されるサイトカインおよび/またはケモカイン(例えば、表1、8、および9に記載のもの)を含む改良微生物細胞(ARC)を含む組成物を投与する段階を含む、個体の免疫系を促進、抑制、または調節する方法を提供する。1つの具体的な態様において、本発明は、個体のマクロファージを活性化または刺激するのに十分な量で、1つまたは複数の異種遺伝子を含むARCを投与する段階を含む、個体におけるマクロファージの活性化または刺激を提供する。具体的な態様において、ARCはIFN-γおよび任意でIFN-αをコードする異種遺伝子を含む。
【0029】
本発明はまた、本発明の説明に従って発現されるサイトカインおよび/またはケモカインを含む改良組換え微生物細胞(ARC)を含む組成物を投与する段階を含む、個体においてウイルス抵抗性を増す方法を提供する。いくつかの態様において、改良微生物細胞はIFN-γ等のサイトカインを含む。他の態様において、組成物は、所望の生物学的効果を調節するサイトカインおよび/またはケモカインを含む。そのような組成物は、所望の生物学的効果(例えば、表1、8、または9に記載の抗ウイルス活性または他の活性)を促進、抑制、調節する、またはもたらすのに有効な量で投与される。したがって、本発明はまた、所望の生物学的効果を誘導するのに十分な量でARC組成物(例えば所望の生物学的効果を誘導するサイトカインおよび/またはケモカインをコードする異種遺伝子を含むARC)を投与する段階を含む、表1、8、および9に記載するような所望の生物学的効果を誘導する方法を提供する。
【0030】
本発明はまた、所望の生物学的効果を誘導するのに有効な量で、1つまたは複数の異種遺伝子を含むARC、またはARCの組成物を投与する段階を含む、個体において少なくとも1つの所望の生物学的効果を誘導する方法を提供する。例示的なサイトカインおよび/またはケモカインの生物学的効果は当業者に公知であり、様々なサイトカインおよび/またはケモカインに関連した生物学的機能の限定されない例を表8〜9に記載する。
【0031】
本発明はまた、ヒトおよび獣医学での有用性の両方を有する方法を提供する。「個体」という用語には、魚類、鳥類、哺乳動物、および/または爬虫類が含まれる。開示した方法から恩恵を受ける哺乳動物種には、これらに限定されないが、類人猿、チンパンジー、オランウータン、ヒト、サル;イヌ、ネコ、モルモット、ハムスター、ベトナムポットベリーブタ、ウサギ、およびフェレット等の家庭動物(ペット)、ウシ、バッファロー、バイソン、ウマ、ロバ、ブタ、ヒツジ、およびヤギ等の家畜;クマ、ライオン、トラ、ヒョウ、ゾウ、カバ、サイ、キリン、アンテロープ、ナマケモノ、ガゼル、シマウマ、ウィルドビースト、プレーリードッグ、コアラ、カンガルー、フクロネズミ、アライグマ、パンダ、ジャイアントパンダ、ハイエナ、アザラシ、アシカ、およびゾウアザラシ等の、典型的に動物園で見られる外来動物が含まれる。爬虫類には、これらに限定されないが、アリゲーター、クロコダイル、水生ガメ、陸生ガメ、ヘビ、オオトカゲ、および/または他のトカゲが含まれる。鳥類には、これらに限定されないが、ニワトリ、シチメンチョウ、ハト(pigeon)、ウズラ、オウム、コンゴウインコ、ハト(dove)、ホロホロチョウ、ボタンインコ、インコ、フラミンゴ、ワシ、タカ、ハヤブサ、コンドル、ダチョウ、クジャク、アヒル、およびハクチョウが含まれる。魚類には、これらに限定されないが、イカ(squid)、イカ(calamari)、ウナギ、タコ、タラ、マグロ、サケ、メルルーサ、エイ、マス、コダラ、オヒョウ、ツノガレイ、シラス、フグ(blowfish)、フグ(pufferfish)、カワカマス、ハタ科の魚、ターボット、コイ科の魚、バス、カワカマス、マンボウ、テラピア、コイ、ナマズ、キンギョ、ミノウ、ニシキゴイ、パーチ、サバ、雄ザケ、ピラニア、エンゼルフィッシュ、カクレクマノミ、アンコウ、クロウオ、リング、トビウオ、メカジキ、コバンザメ(suckerfish)、ヤツメウナギ、イトマキエイ(manta ray)、アカエイ、サケ、ガンギエイ、ニシン、グッピー、コクチマス、トゲウオ、ニベ、バス、チャブ、ハチミシマ、イトヒキイワシ、スメルト、イソギンポ、スプラット、ハイギョ、トビハゼ、シーラカンス、コガレイ、ドーバーソール、キーオー(keogh)、レモンガレイ、ヨーロッパ産ヒラメ、ローカー(roker)、バラフエダイ、ホウボウ、ポラック、エンゼルフィッシュ、ブダイ、モンガラカワハギ、ネオンテトラ、バラクーダ、オニダルマオコゼ、オニカサゴ、ベラ、テンチ、ローチ、マカジキ、ノコギリエイ、バショウカジキ、クロマグロ、アンチョビー、チョウザメ、フクドジョウ、コバンザメ(remora)、バーベル、カワヒメマス、ヒラメ、バラマンディ、シュブンキン、ベタ、ダツ、ヨウジウオ、ミノカサゴ、アナゴ、ウツボ、マンボウ、ラスボラ、ザンダー、ゼブラフィッシュ、ボラ、サーディン、ブリモドキ、シロマス、ハゼ、ウバウオ、イトマキエイ(devilfish)、マトウダイが含まれる。アオザメ、ホオジロザメ、シュモクザメ(hammerhead)、ヨシキリザメ、オナガザメ、オオセ、レモンザメ、ネムリブカ(whitetip)、ネムリブカ(whitetip reef)、オグロメジロザメ、オオメジロザメ(bull)、スナザメ、コモリザメ、ジンベイザメ、ウバザメ、トラフザメ、イタチザメ、ネズミザメ、メガマウスザメ、イコクエイラクブカ、カスザメ、オンデンザメ、カラスザメ、ナヌカザメ、ツノザメ、ミツクリザメ(elfin)、シロワニ(sand tiger)、ヒラガシラ、ツマグロ、ハナグロザメ、ネコザメ、カマストガリザメ、ウチワシュモクザメ、シロワニ(brown)、テンジクザメ、ドタブカ、ラブカ、ガラパゴスザメ、ダルマザメ、ミズワニ、ミツクリザメ(goblin)、スムーズハウンド、マーブルキャットシャーク、オオメジロザメ(roundnosed)、ノコギリザメ、エビスザメ、シュモクザメ(shovelhead)、クロトガリザメ、スモールテイル(smalltail)ザメ、アブラツノザメ、オオメジロザメ(zambesi)、トラザメ、ポートジャクソンネコザメ、メジロザメを含むがこれらに限定されないサメもまた含まれる。本発明での使用に適した爬虫類の限定されない例には、これらに限定されないが、クロコダイル、アリゲーター、ヘビ、カエル、およびカメ(スッポンおよびウミガメ等)が含まれる。
【0032】
さらなる爬虫類および/または魚類には、Regulatory Fish Encyclopedia, U.S. Food & Drug Administration, Seafood Products Research Center, Center for Food Safety & Applied Nutrition;The 2001 Seafood List, U.S.Food & Drug Administration, Center for Food Safety & Applied Nutrition;Catalog of Fishes, William N. Eschmeyer, Ed., California Academy of Sciences, San Francisco, 1998;およびthe Encyclopedia Of Reptiles & Amphibians, Second edition, Harold G. Cogger and Richard G. Zweifel (Editors), 1998, Academic Press, カリフォルニア州、サンディエゴに記載されているものが含まれる。爬虫類および魚類のこれら記載事項のそれぞれは、その全体が参照として本明細書に組み入れられる。
【0033】
様々な態様において、本発明による組成物は、経口的、非経口的、スプレーとして(吸入スプレーを含む)、局所的、経直腸的、経鼻的、頬側に、経腟的に、または埋め込み式容器を介して投与することができる。本明細書で用いる非経口という用語には、皮下、皮内、静脈内、線条体内、筋肉内、腹腔内、くも膜下腔内、脳室内、胸骨内、または頭蓋内への注射および注入技法が含まれる。
【0034】
したがって、動物(ウシ等)の輸送熱を治療するため、または新生仔ウシをウイルス性疾患および/または細菌性胃腸炎から防御するための手段として、本発明を使用することができる。この方法は、様々なストレス関連疾患を軽減するため、およびアジュバントとして経口およびIM/SQヒトワクチン接種を促進するためにも使用可能である。どちらの態様においても、疾患または疾患症状の重症度を軽減する、および/または疾患または疾患症状の発症を予防するのに有効な量で、1つまたは複数のサイトカインおよび/またはケモカインを含む単離されたARCまたはARC組成物を投与する。特定の態様において、ARCはIFN-γを含む。
【0035】
したがって、本発明は以下を含む多くの限定されない態様および局面を提供する:
A) ケモカインおよび/またはサイトカインをコードする1つまたは複数の異種遺伝子を含む改良組換え細胞(ARC);
B) 異種遺伝子が、IL-1、IL-2、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-9、IL-10、IL-11、IL-15、IL-16、IL-18、IL-23、IL-24、エリスロポエチン、G-CSF、M-CSF、血小板由来増殖因子(PDGF)、MSF、FLT-3リガンド、EGF、線維芽細胞増殖因子(FGF;例えば、aFGF(FGF-1)、bFGF(FGF-2)、FGF-3、FGF-4、FGF-5、FGF-6、またはFGF-7)、インスリン様増殖因子(例えば、IGF-1、IGF-2);血管内皮増殖因子(VEGF);インターフェロン(例えば、IFN-γ、IFN-α、IFN-β);白血病抑制因子(LIF);毛様体神経栄養因子(CNTF);オンコスタチンM;幹細胞因子(SCF);トランスフォーミング増殖因子(例えば、TGF-α、TGF-β1、TGF-β1、TGF-β1)、もしくはケモカイン(BCA-1/BLC-1、BRAK/Kec、CXCL16、CXCR3、ENA-78/LIX、エオタキシン-1、エオタキシン-2/MPIF-2、エキソダス-2/SLC、フラクタルカイン/ニューロタクチン、GROα/MGSA、HCC-1、I-TAC、リンホタクチン/ATAC/SCM、MCP-1/MCAF、MCP-3、MCP-4、MDC/STCP-1、ABCD-1、MIP-1α、MIP-1β、MIP-2α/GROβ、MIP-3α/エキソダス/LARC、MIP-3β/エキソダス-3/ELC、MIP-4/PARC/DC-CK1、PF-4、RANTES、SDF1α、TARC、またはTECK等であるが、これらに限定されない)、または表1、8、および9に提供するサイトカインおよび/もしくはケモカインをコードする、態様Aに記載のARC;
C) 異種遺伝子がIFN-γ(例えば、ウシ、トリ(例えばニワトリ)、魚、またはヒトIFN-γ)をコードする、前記態様のいずれかに記載のARC;
D) ARCがさらにIFN-α(例えば、ウシ、トリ(例えばニワトリ)、魚、またはヒトIFN-α)をコードする異種遺伝子を含む、前記態様のいずれかに記載のARC;
E) 自己抗原、腫瘍抗原、MMRワクチン、ポリオワクチン、破傷風ワクチン、通常個体が環境において遭遇する病原体(例えば、クレブシエラ種、サルモネラ種、エシェリキア種等の食品媒介病原体、肝炎ウイルス、インフルエンザウイルス等)に関連する抗原、生物毒素(例えば、トリコテシンマイコトキシン(T-2) 等のマイコトキシン、ブドウ球菌エンテロトキシンB、リシン、またはボツリヌス神経毒素)等の特に個体の環境に導入され得る病原性物質または抗原、兵器化した微生物細胞(例えば、毒素DNAもしくは毒素RNA挿入物を含むウイルス、または毒素[例えば、トリコテシンマイコトキシン(T-2) 等のマイコトキシン、ブドウ球菌エンテロトキシンB、リシン、またはボツリヌス神経毒素]で形質転換した細菌もしくは真菌細胞)に関連する抗原、ウイルス性病原体もしくはその抗原、菌類病原体もしくはその抗原、または細菌性病原体もしくはその抗原(例えば、天然痘、炭疽菌、エボラウイルス、ペスト菌)、あるいはスーパー抗原、血清アルブミン、もしくはタンパク質安定剤等の免疫調節タンパク質をコードする1つまたは複数の異種遺伝子をさらに含む、前記態様のいずれかに記載のARC;
F) 単一の異種遺伝子(例えば、単一のサイトカイン、ケモカイン、またはタンパク質)を含む、前記態様のいずれかに記載のARC;
G) 異種遺伝子が単一のベクターに含まれる、前記態様のいずれかに記載のARC;
H) 異種遺伝子が複数のベクターに含まれる、態様A〜Fのいずれかに記載のARC;
I) 微生物細胞がグラム陽性、グラム陰性生物、または菌類等の下等真核生物である、前記態様のいずれかに記載のARC;
J) 改良組換え細胞が;a) 以下の属である細菌:1) エシェリキア属、エルビニア属、シゲラ属、サルモネラ属、およびプロテウス属の種を含む腸内細菌科;2) バチルス科;3) 根粒菌属等のリゾビウム科;4) フォトバクテリウム属、ザイモモナス属、セラチア属、アエロモナス属、ビブリオ属、デスルフォビブリオ属、スピリルム属等のらせん菌科;6) 乳酸桿菌科;7) シュードモナス属およびアセトバクター属等のシュードモナス科;8) アゾトバクター科およびニトロバクター科、またはb) 藻菌類、およびサッカロミセス属およびシゾサッカロミセス属等の酵母を含む子嚢菌類、ロドトルラ属、オーレオバシディウム属、スポロボロミセス属等の担子菌酵母等の下等真核生物もしくは菌類である、前記態様のいずれかに記載のARC;
K) 微生物細胞が蛍光菌である、態様A〜Jのいずれかに記載のARC;
L) 前記態様のいずれかに記載のケモカインおよび/またはサイトカインをコードする1つまたは複数の異種遺伝子ならびに担体を含むARCの組成物;
M) 個体(鳥類、両生類、爬虫類、甲殻類、魚類、哺乳類個体等)に以下を投与する段階を含む、個体において抗原または免疫原に対する免疫応答を誘導および/または促進する方法:
a) ケモカインおよび/またはサイトカインをコードする1つまたは複数の異種遺伝子を含む改良組換え細胞(ARC);
b) ケモカインおよび/またはサイトカインをコードする1つまたは複数の異種遺伝子を含む改良組換え細胞(ARC)を含む組成物
c) 態様A〜Lのいずれかに記載のARC;
d) 任意で、関心対象の抗原;および
e) 任意で、免疫応答を生じるのに有効な量のリポ多糖(LPS);
N) ARCが、a) 1つまたは複数の関心対象の抗原、またはb) IFN-γまたは表1、8、および9に記載の他のサイトカイン/ケモカイン等の、1つまたは複数のサイトカイン/ケモカインを同時発現する、態様Mに記載の方法;
O) 個体の免疫応答を促進するのに有効な量で、以下を個体に投与する段階を含む、抗原または免疫原に対する個体の免疫応答を促進する方法:
a) ケモカインおよび/またはサイトカインをコードする1つまたは複数の異種遺伝子を含む改良組換え細胞(ARC);
b) ケモカインおよび/またはサイトカインをコードする1つまたは複数の異種遺伝子を含む改良組換え細胞(ARC)を含む組成物;または
c) 態様A〜Lのいずれかに記載のARC;
P) 個体において抗体クラスの発生を促進するのに有効な量で以下を個体に投与する段階を含む、個体において抗原または免疫原に対する様々なクラスおよびサブクラスの抗体(例えば、IgM、IgG、IgA、および/またはIgE)の発生を促進する方法;
a) ケモカインおよび/またはサイトカインをコードする1つまたは複数の異種遺伝子を含む改良組換え細胞(ARC);
b) ケモカインおよび/またはサイトカインをコードする1つまたは複数の異種遺伝子を含む改良組換え細胞(ARC)を含む組成物;または
c) 態様A〜Lのいずれかに記載のARC;
Q) ARC組成物の投与前に、投与と同時に、または投与後に、抗原または免疫原を投与する段階をさらに含む、態様M〜Pのいずれかに記載の方法;
R) ARCまたはARC組成物がIFN-γを含む、態様M〜Qのいずれかに記載の方法;
S) ARCまたはARC組成物がIFN-αおよびIFN-γを含む、態様M〜Qのいずれかに記載の方法;
T) IFN-γがヒト、トリ(例えばニワトリ)、ウシ、または魚起源のものである、態様R〜Sのいずれかに記載の方法;
U) IFN-αおよびIFN-γがヒト、トリ(例えばニワトリ)、ウシ、または魚起源のものである、態様R〜Sのいずれかに記載の方法;
V) 抗原または免疫原に曝露してから2〜168時間以内に、1つまたは複数のサイトカインおよび/またはケモカインを発現するARCまたはARC組成物を個体に投与する、態様M〜Uのいずれかに記載の方法;
W) 抗原または免疫原が、通常個体が環境において遭遇する病原体または特に個体の環境に導入される病原性物質である、M〜Vの態様のいずれかに記載の方法;
X) 抗原または免疫原が、自己抗原、腫瘍抗原、MMRワクチン、ポリオワクチン、破傷風ワクチン、通常個体が環境において遭遇する病原体(例えば、クレブシエラ種、サルモネラ種、エシェリキア種等の食品媒介病原体、肝炎ウイルス、インフルエンザウイルス等)もしくはその抗原、生物毒素(例えば、トリコテシンマイコトキシン(T-2) 等のマイコトキシン、ブドウ球菌エンテロトキシンB、リシン、またはボツリヌス神経毒素)等の特に個体の環境に導入され得る病原性物質もしくはその抗原、兵器化した微生物細胞(例えば、毒素DNAもしくは毒素RNA挿入物を含むウイルス、または毒素[例えば、トリコテシンマイコトキシン(T-2) 等のマイコトキシン、ブドウ球菌エンテロトキシンB、リシン、またはボツリヌス神経毒素]で形質転換した細菌もしくは真菌細胞)もしくはその抗原、ウイルス性病原体もしくはその抗原、菌類病原体もしくはその抗原、または細菌性病原体もしくはその抗原(例えば、天然痘、炭疽菌、エボラウイルス、ペスト菌)、あるいはスーパー抗原、血清アルブミン、もしくはタンパク質安定剤等の免疫調節タンパク質からなる群より選択される、態様M〜Wのいずれかに記載の方法;
Y) ARCまたはARC組成物が、IFN-γ、および任意でIFN-α、および任意でLPSを含む、態様M〜Xのいずれかに記載の方法;
Z) ARCまたはARC組成物が、IFN-γに加えてさらに他のタンパク質、サイトカイン、および/またはケモカインを含む、態様M〜Yのいずれかに記載の方法;
AA) 他のタンパク質、サイトカイン、および/またはケモカインがIFN-γと同時発現される、態様M〜Zのいずれかに記載の方法;
BB) 他のタンパク質、サイトカイン、および/またはケモカインが、IFN-γを含むARCまたはARC組成物に添加される、態様M〜AAのいずれかに記載の方法;
CC) 別の態様では、腫瘍、癌、または悪性病変の治療に有効な量で以下を個体に投与する段階を含む、腫瘍、癌、または悪性病変を治療する方法を提供する:
a) ケモカインおよび/またはサイトカインをコードする1つまたは複数の異種遺伝子を含む改良組換え細胞(ARC);
b) ケモカインおよび/またはサイトカインをコードする1つまたは複数の異種遺伝子を含む改良組換え細胞(ARC)を含む組成物;または
c) 態様A〜Lのいずれかに記載のARC;
DD) 化学療法薬、および任意で腫瘍/癌抗原を投与する段階をさらに含む、態様CCに記載の方法;
EE) 本発明はまた、以下を個体に投与する段階を含む、個体において所望の生物学的効果を誘導する方法を提供する:
a) ケモカインおよび/またはサイトカインをコードする1つまたは複数の異種遺伝子を含む改良組換え細胞(ARC);
b) ケモカインおよび/またはサイトカインをコードする1つまたは複数の異種遺伝子を含む改良組換え細胞(ARC)を含む組成物;または
c) 態様A〜Lのいずれかに記載のARC;
FF) 態様EEの1つの局面では、所望の生物学的効果が以下からなる群より選択される:1) 個体におけるマクロファージの活性化または刺激;2) 個体の免疫系の刺激、抑制、または調節;3) 個体におけるウイルス抵抗性の増加;および4) 表1、8、または9に記載の所望の生物学的効果の生成;
GG) さらに別の態様においては、動物(ウシ等)の輸送熱を治療するため、または新生仔ウシをウイルス性疾患および/または細菌性胃腸炎から防御するための手段として、本発明を使用することができる。この方法は、様々なストレス関連疾患を軽減するため、および個体(ヒト等)においてアジュバントとして経口およびIM/SQワクチン接種を促進するためにも使用可能である。どちらの態様においても、疾患または疾患症状の重症度を軽減する、および/または疾患または疾患症状の発症を予防するのに有効な量で、単離されたARCまたはARC組成物を投与する。いくつかの態様において、ARCはIFN-γ等のサイトカインを含む;
HH) 態様M〜GGの方法の様々な実行において、本発明による組成物は、経口的、非経口的、スプレーとして(吸入スプレーを含む)、局所的、経直腸的、経鼻的、頬側に、経腟的に、または埋め込み式容器を介して投与することができる。本明細書で用いる非経口という用語には、皮下、皮内、静脈内、線条体内、筋肉内、腹腔内、くも膜下腔内、脳室内、胸骨内、または頭蓋内への注射および注入技法が含まれる;
II) 本発明はまた、1つまたは複数の異種遺伝子を細胞に導入する段階を含む、a) ケモカインおよび/またはサイトカインをコードする1つまたは複数の異種遺伝子を含む改良組換え細胞(ARC)、またはb)態様A〜Lに記載のARCを作製する方法を提供する。DNA構築物が選択的利点(例えば、抗生物質を含む選択的培地中での増殖)を提供する場合、実質的にすべてまたはすべての細胞が異種遺伝子を保持するような選択培地を提供し、細胞を任意の簡便な栄養培地で増殖させることができる。次いで、従来の方法に従ってこれらの細胞を回収し、上記の様々な手段で修飾することができる。あるいは、細胞を固定してから回収することもできる;ならびに
JJ) 態様IIの1つの局面では、ヨウ素等のハロゲンの添加を伴うまたは伴わない、酢酸等の酸による酸性化;UV照射;凍結乾燥;例えば抗生物質等の毒素;フェノール;例えばカルバニリドおよびサリチルアニリド等のアニリド;ヒドロキシ尿素;四級アルコール;抗菌色素;EDTAおよびアミジン;例えば塩素化剤、臭素化剤、またはヨウ素化剤といったハロゲン化剤等の非特異性有機および無機化学物質;例えばグルタルアルデヒドまたはホルムアルデヒドといったアルデヒド;オゾンおよびエチレンオキシドペルオキシド等の有毒ガス;ソラレン;乾燥剤等を含む宿主細胞を不活性化および改良する様々な技法を用いることができ、これらは個々にまたは組み合わせて使用することができる。または、前記段落31、32、33、および/または34に記載の方法を用いてもよい。組成物は、例えば、E.W. Martin's Remington's Pharmaceutical Science, Mack Publishing Company, ペンシルバニア州、イーストンに記載されている担体を含む任意の担体中で製剤化することもできる。
【0036】
「〜を含む」、「〜からなる」、および「本質的に〜からなる」という用語は、それらの標準的な意味に従って定義される。各用語に用いられる特定の意味を付加するため、これらの用語は本出願を通して互いに置換され得る。同様に、本出願を通して、「約」という用語は「少なくとも約」という語句と置換することができ、「〜を包含する」という用語は「〜を含む」という用語と置換することができる。
【0037】
以下は、本発明を実施するための手順を説明する例である。これらの例は、限定的であると解釈されるべきではなく、本発明の明らかな変形を含むと解釈されるべきである。特記しない限り、溶媒混合液の比率は容量により、割合は重量による。
【0038】
実施例1 - 蛍光菌宿主細胞および発現系
形質転換実験には産生株MB324を使用し、サブクローニング実験にはプラスミドpMYC1803(図1)を使用した。ベクターのバチルス・スリンギエンシスBuiBui挿入物を制限酵素SpeIおよびXhoIで切り出してから、ウシIFN-γ(BGI)遺伝子またはニワトリIFN-γ(CGI)遺伝子を挿入した。BGI(図2)およびCGIの公表されたヌクレオチド配列は、SeqWebソフトウェアを用いてGenBankから入手した。合成すべき配列は修飾して、シグナル配列を除去し、リボソーム結合、SpeIおよびXhoI制限部位を含めた。遺伝子合成のため、得られた配列情報をOperon Technologiesに送った。クローニングされた遺伝子の配列決定はP.E.377シーケンサーで行い、FacturaおよびAutoAssemblerソフトウェアにより解析した。配列決定に用いたフォワードプライマーおよびリバースプライマーは、Genosysが作製した。
【0039】
実施例2 - インターフェロン遺伝子のサブクローニング
Lブロス(LB) 5-mLを含むコニカルチューブ(50 mL)に、蛍光菌MB324の凍結グリセロール保存培養液の氷片を接種した。回転式振盪培養器で、培養物を300 rpmおよび30℃で一晩インキュベートした。各培養物の0.75 mLを用いて、250-mLバッフル付フラスコ中のLB 50 mLに接種した。培養物を300 rpmおよび30℃で2時間振盪し、A600(600 nMにおける吸光度)が0.2〜0.3になるまで培養した。次いで、培養物を氷上で冷却し、3000 rpmで遠心分離してペレット化した。ペレット化した物質を冷滅菌蒸留水で3回洗浄し、ペレットを水で再懸濁した。
【0040】
細胞懸濁液(それぞれ約100μL)をエレクトロポレーションキュベットに添加し、インターフェロン遺伝子または対照ライゲーション混合物10μLと混合し、再懸濁した細胞を0.2 cmキュベット中、BioRad GenePulserにより、200オーム、25μF、および2.25 kVで、4.6〜4.8の時定数で「パルス」して、エレクトロポレーションした。
【0041】
各試料にLB 1-mLを添加し、その液体を氷冷した2059 Falconチューブに移した。チューブにゆるくキャップをかぶせ、280 rpmおよび30℃で2時間振盪した。100μL〜200μL分割量をLブロス-テトラサイクリン(LB-テトラサイクリン)(30μg/mL)アガーにプレーティングし、30℃で一晩インキュベートした。100μLをプレーティングした2枚からそれぞれコロニー1個、および200μLをプレーティングした1枚からコロニー2個を無作為に選択し、これを用いて上記のようにLB-テトラサイクリンブロスを含む50 mLコニカルチューブに接種した。得られた培養物の試料を滅菌グリセロールと混合し(培養物1.0 mLおよび75%グリセロール0.25 mL)、-70℃で保存した。残りの培養物(1.8 mL)を、2 mLエッペンドルフチューブ中で10分間遠心分離した。ペレットをQiagen P1溶液0.5 mLに再懸濁し、次にP2溶液0.5 mLを添加して穏やかに6回反転した。
【0042】
約5分以内に、N3溶液を添加して試料を再度6回反転し、氷冷した。冷却した試料を10分間遠心分離し、ペレットおよび表面の浮渣から注意深く分離し、得られた上清液(約1.5 mL)を新しいエッペンドルフチューブに移した。Qiagenスピンカラムおよびコレクションチューブを用いて、約0.7〜0.8 mL分割量を30秒間14000 RPM (14 K)で2回遠心し、全試料1.5 mLをスピンカラムに添加して、試料をさらに精製した。スピンカラムをQiagen PB 0.62 mLおよびPE 0.85 mLで洗浄し、最後に90秒間遠心した。カラムを新しいエッペンドルフチューブに移し、Tris-EDTA 50μLを用いて14Kで1分間遠心して溶出した。溶出液を新しいエッペンドルフチューブに移し、-20℃で保存した。得られたミニプレップをXhoIおよびSpeIで消化し、アガロースゲル電気泳動により解析した。
【0043】
実施例3 - インターフェロンタンパク質の発現および定量化
ミニプレップの結果に基づき、発現解析のためにIFN-γ挿入物を有するMR324の1つのクローンを選択した。蛍光菌株MR843およびMR837をインターフェロン陰性対照として使用した。LB-テトラサイクリン播種フラスコをA600が0.15〜0.5になるまで培養し、0.15に標準化して、テトラサイクリン産生培地200-mLを含む1リットル振盪フラスコに2%希釈した。蛍光菌細胞を、回転振盪しながら30℃で24時間、A600が約0.4になるまで培養した。細胞を、100 mM IPTG 0.6 mL + 40% MSG 5 mLを用いてさらに48時間誘導した。全体的な外観および封入体形成に関して、細胞を顕微鏡で観察した。
【0044】
ドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS PAGE)による発現解析のため、試料50-mLを採取してコニカルチューブ中で4℃で保存した。合計で100μLを14 Kで5分間遠心分離し、細胞をペレット化した。ペレットを1X Laemmli緩衝液100μLに再懸濁して3分間煮沸し、上清試料をLaemmli緩衝液と1:1希釈してから煮沸した。煮沸した試料10μLを新しいLaemmli緩衝液30μLと混合し、さらに3分間煮沸した。調製品を一晩凍結し、翌日に融解して70℃で5分間加熱し、12レーン、15% BioRadゲルのウェルに添加し(それぞれ10μL)、BioRad泳動緩衝液で電気泳動した。電気泳動は、50ボルトで20分間行った後に、75ボルトで1時間20分行った。泳動後、ゲルを蒸留水で各5分間の3回洗浄し、BioRadのBioSafe染色液で1.5時間染色した。染色したゲルを蒸留水中で、1時間後に1度交換して脱染した。MDデンシトメーターを用いて、インターフェロン陰性対照の試料およびBSAタンパク質標準物質のクマシーブルー強度と比較することにより、定量化を行った。
【0045】
pMYC1803のSpeIおよびXhoI部位におけるBuiBui毒素遺伝子のBGI遺伝子による置換は、円滑に行われた(図1)。CGI遺伝子のサブクローニングに関しても同様の結果が得られた。最初にアガロースゲル電気泳動により、次に挿入したDNA(図2)の配列決定により確認されるように、選択した形質転換体はすべて所望のインターフェロン挿入物を有していた。さらなる研究には、蛍光菌のDnak、シャペロニン含有株、MB324の1つのクローンを選択した。
【0046】
タンパク質の主要なバンドは、BGIおよびCGIに関して予測される分子量の位置に観察され(例えば、図3を参照のこと)、シュードモナスにおけるBGIおよびCGIの発現はどちらも全細胞タンパク質の約40%であった。主要なバンドと標準BGIまたはCGIとの同一性は、主要なバンドに含まれるタンパク質の精製と、精製産物のバイオアッセイとを併用して確認した。シュードモナスで達成可能な発現および高密度発酵の最適化により、1度の発酵産生の実行において1000 Kgを超えるインターフェロン産生が達成され得る。
【0047】
実施例4 - 溶解度アッセイ
0.975 mL量の蛍光菌培養物を、微量遠心管中で14,000 RPMで5分間遠心分離した。上清液を除去し、細胞を溶解緩衝液で開始量になるように再懸濁した。[溶解緩衝液:Tris HCl、50 mM、pH 7.5最終;NaCl、200 mM;グリセロール、5% v/v;EDTA、20 mM;Triton X-100、5% v/v;および最後にDTT、1 mMを添加]スクリューキャップ微量遠心管(2 mL)の約3/4を0.1 mmガラスビーズで満たし、細胞懸濁液を添加した。チューブを素早く振ってビーズを混合し気泡を除き、さらに細胞懸濁液でいっぱいになるまで満たした。チューブに蓋をして密封し、BioSpec mini bead-beaterに5000 rpmで60秒間挿入した。破砕と破砕の間は試料を氷上で保持し、約90%の細胞が溶解するまで3〜5回破砕した。細胞の溶解は、顕微鏡により観察した。0.025 mL量の溶解細胞調製品を、ビーズを含めずに各チューブから新しい微量遠心管にピペットで移し、5分間遠心分離した。LSB 0.075 mLを含む別のチューブに上清画分を慎重に移し、ペレット画分にLSB 0.100 mLを添加した。上清およびペレット画分をボルテックス撹拌機で再懸濁し、チューブに蓋をし、煮沸水浴中に5分間置き、0.005 mL〜0.010 mL分割量の画分をSDS PAGEで解析した。シュードモナスにおいて発現したBGIまたはCGIタンパク質の溶解度の評価は、フレンチプレスまたはBioSpec Mini Bead-Beaterを用いて同等の結果が得られた。
【0048】
図4に示すように、シュードモナス細胞におけるBGIの溶解度を試験したが、すべてとは言えないにしてもほとんどのBGIが可溶型で存在することが示された。CGIについても同様の結果が得られた。これらの溶解度試験を行うため、未改良の生存シュードモナス細胞をフレンチプレス(またはmini-bead beater)で破壊し、遠心分離して可溶性タンパク質から細胞残屑および封入体を分離した。これらの2つの画分のSDSゲルから、BGIが可溶性部分に保持されるものの、別の実験のためにクローニングして発現させた本実施例でのマーカーであるBAI(ウシαインターフェロン)は主に不溶性画分に存在することが示された。さらに、BGI(またはCGI)とは異なり、BAIはシュードモナスにおいて大きな封入体を形成し、これは位相差顕微鏡下でよく見えた。
【0049】
BAIおよびBGIの両方を含む、フレンチプレスした蛍光菌培養物のSDS-PAGE解析を図4に示す。シュードモナス細胞をフレンチプレスで破壊し、16000 gで5分間遠心分離した。レーン1〜4は上清試料であり、可溶性BGIの単一の主要なバンド(約17 kDa)が示されるが、BAIは見えない。レーン5〜8はペレット試料であり、不溶性BAIの主要なバンド(約18 kDa)と共に少量の混入した可溶性BGI(下のバンド、約17 kDa)が示される。混入は、上清画分からの溢出および未溶解細胞に起因すると考えられる。
【0050】
実施例5 - シュードモナス改良組換え細胞(ARC)改良手順
この手順で使用する材料はすべて、完全に滅菌した。完了した蛍光菌発酵培養物を、滅菌したマグネチックスターラーバーを含む滅菌ビーカーに注いだ。培養物をゆっくりと撹拌し、その間、アルコールで滅菌したpH電極によりpHをモニターした。pHが約4.3に到達するまで、氷酢酸を約10分間かけて1滴ずつ添加した。培養物を約pH 4.3に滴定した後、濃縮ルゴールヨウ素を1% v/vになるように添加した。[ルゴールヨウ素:滅菌蒸留水、90 mL;KI、10 g/100 mL;ヨウ素、5 g/100 mL;氷酢酸、10 mL]。溶液を十分に混合し、滅菌スターラーバーを含む新しい滅菌ビーカーに無菌的に移した。溶液にカバーをかけ、室温で1時間撹拌した。細胞をより長い時間(例えば最長で2時間まで)処理しても、同様の結果が得られる。ルゴール/細胞混合液を滅菌500 mLキャップボトルに移し、7500 rpmで15分間遠心分離した。上清液を除去して廃棄した。室温の滅菌蒸留水を元の容量になるように添加し、滅菌スパーテルを用いてペレットを解離し、オートクレーブ滅菌したIKA、Ultra-Turrax、T25ホモジナイザーを用いて#2の設定で約10秒間、細胞を再懸濁した。再懸濁および遠心分離を上記のように3回繰り返し、ルゴール溶液が除去されるように細胞を洗浄した。最後の洗浄では、元の容量の1/10になるようにARC細胞を再懸濁し、長期保存のために滅菌スクリューキャップチューブ中で-80℃で凍結した。試料0.1〜1.0 mLをLブロスおよびLB-テトラサイクリンにプレーティングして、生存細胞が存在しないことを確認した。
【0051】
実施例6 - インターフェロン生物活性の定量化
インビトロバイオアッセイのため、ウシ腎臓(MDBK)細胞をコンフルエントになるまで培養し、対照シュードモナス試料、およびBGI/ARC試料の種々の希釈物と24時間インキュベートした。次いで、すべてのプレートを水疱性口内炎ウイルス(VSV)に曝露し、さらに24時間インキュベートした(10および29〜32)。
【0052】
ウシ腎臓(MDBK)細胞でマイクロタイタープレートをコンフルエントにした。上清液を除去し、MEMおよび5% FBS 100μLを各ウェルに添加した。試料各100μLを、2つのカラムの1番上の列に添加した。インターフェロン陽性対照に関しては、初期濃度100 U/mLを用いた。標準BGIの比活性は3 X 106 U/mgであった。1列目から1 : 2での段階希釈を開始し、プレートの1番下の列まで続けた。マイクロタイタープレートを37℃で一晩インキュベートし、試料中のインターフェロンがMDBK細胞において抗ウイルス状態を誘導するのを可能にした。翌日、VSVの保存液をMEMで希釈して、100μL当たり約50プラーク形成単位(PFU)とした。プレートからすべての液体を除去した後、希釈したウイルス100μLを各ウェルに添加した。プレートを37℃で1時間インキュベートして、VSVをMDBK細胞に感染させた。次いで、プレートから接種材料を除去した。10 mLピペットにより、メチルセルロース1滴を各ウェルに添加した。プレートを再度37℃で一晩インキュベートした後、メチルセルロースを除去し、プレートをクリスタルバイオレットで約5分間染色した。
【0053】
BGI/ARC細胞の顕著な抗ウイルス効果に関して、最初の実験は驚くべきものであった。(BGI/ARC)を含む固定した無傷の細胞は、107〜108.5の力価で最も優れた結果を提供した。VSV感染による死滅から腎臓細胞の50%を保護するのに必要な高レベルの希釈では、たった数十ピコグラムのBGI/ARCが活性に必要であるのみであった。一方、組換え改良細胞中のウシIFN-α(BAI)は、かなり活性が低かった(表2)。
【0054】
表3に示すように、次の同様のインビトロ実験により、VSVからウシ腎臓細胞を保護する能力に関して、BGI/ARCの有効性が確認された。
【0055】
ARCにおいてBGIと同時発現させたBAIの活性の低さは(注記:たとえ活性が低いとしても、BAIはBGIとの相乗作用を与え、BGIの活性を10倍まで促進する、表2を参照のこと)、シュードモナスにおいて観察されるBAIタンパク質の多くの不溶性封入体としての凝集に起因すると考えられる。大腸菌または他の発現系でのgroEL/groESシャペロニンおよび封入体を可溶化するための融合タンパク質を用いた最近の結果から、これらまたは他のシャペロニンがBAIを細胞内で可溶性の活性型で維持するのに有用であることが示唆される。しかし、本研究に使用したdnaKシャペロニン株、MB324は、この点でBAIに対してわずかに有効なだけのようであった。
【0056】
実施例7 - BGI/ARC安定性
BGI/ARCの試料(滅菌水中)を-80℃における保存から取り出し、-20℃、4℃、室温(RT)、および37℃で6ヶ月間にわたって維持し、長期保存安定性を試験した。試料には何も操作を行わず、また試料にはさらなる物質を何も添加しなかった。様々なインキュベーション時間の後、試料を-80℃に戻し、6ヶ月の実験期間が完了するまで保存した。ウシ腎臓細胞-VSV曝露アッセイを利用したBGI/ARC試料のバイオアッセイにより、-20℃および4℃では6ヶ月にわたり活性の損失がないことが示された。さらに、BGI/ARC試料は室温で8〜17日間安定なままであり、BGI/ARCは37℃で最長で4日間安定なまま残存し得た(図5を参照のこと)。
【0057】
固定したシュードモナス細胞におけるBGIの量および活性はどちらも極めて高かった。上記の実施例で説明したように:1.) シュードモナスは、インターフェロンを全細胞タンパク質の最大で40%またはそれ以上まで産生し得る、IFN-γの優れた生物工場である;2.) ARCの安定化および改良過程はIFN-γに認め得るほどの損傷を与えず、また発現したIFN-γ内容物に対する障壁を産生することもない;3.) BGI/ARCはピコグラムの範囲で活性がある;5.) BGI/ARCは、優れた微粒子流動、シリンジ操作、および懸濁特性を有する:6.) 固定化ARCの調製品は、反復した操作、凍結、または他の潜在的に損害を与える操作による変性から、BGIおよび他の発現したタンパク質産物を保護する。
【0058】
哺乳動物では、活性化T細胞およびナチュラルキラー細胞は、同種抗原、腫瘍、またはマイトジェンにより刺激されて、γインターフェロンを産生し得る。γインターフェロンは抗ウイルス活性に加えて、腫瘍を阻害すること(10〜12)およびB細胞の免疫グロブリン産生細胞への最終分化を促進すること(15;16)が示されている。また、特異的な細胞表面受容体を介して(17)、マクロファージを活性化し得る、ナチュラルキラー細胞の細胞障害性を増強し得る、T細胞の細胞障害性を促進し得る、およびαインターフェロンとの相乗作用を与え得る(7)。したがって、BGI/ARCのγインターフェロン活性の増強は、非常に有用な独立型の治療または予防生成物に役立ち、IFN-γが他のサイトカインと同時発現される場合にはさらに有用となり得る。
【0059】
以下の実施例で証明されるように、BGI/ARCはインビトロよりもインビボでさらによく機能する。他の研究所(13:18;26)が、IFN-γおよび他の種特異的γインターフェロンが極めて有効なアジュバントであることを示しているが、IFN-γ/ARCの活性の増強および前述したその安定性の利点、低価格、産生の簡便性、持続放出、非凝集、および微粒子流動特性により、IFN-γ/ARCが極めて魅力的なアジュバント代替物となる。さらに、ウシIFN-γ/ARCを用いた結果から、これが免疫促進剤および強力な免疫増強剤として作用する驚くべき能力を有することが示される。蛍光菌から抽出したIFN-γは非常に活性があり、驚いたことに腎臓組織培養アッセイで試験した場合にも活性があった。以下の実施例で示すように、ARC封入形態でのIFN-γは、可溶性形態よりもさらに活性があり、ワクチン免疫増強剤として作用するさらに驚くべき特性を有する。
【0060】
実施例8 - 主要組織適合性(MHC)クラスII誘導アッセイ
BGIの活性を評価する別の方法は、腎臓細胞または樹状細胞がMHCクラスII抗原の産生を誘導する能力に及ぼすBGIの効果の測定であった。MDBK細胞または樹状細胞を、5 X 106細胞/mLでMEMおよび10%リン酸緩衝食塩水に懸濁した。6ウェルプレートに4-mLずつ分注し、37℃で一晩インキュベートした。プレートから培地をすべて除去し、各ウェルをHBSSでリンスした。半数のウェルにMEMおよび100 ng/mL BGI 5 mLを添加した。残りの半数にはBGIを含むMEMを添加した。プレートを37℃で一晩インキュベートした。再度、培地を除去し、ウェルをHBSSでリンスした。各ウェルに以下の混合液1 mLを添加した:17.5 mLリドカイン;32.2-mL HBSS、1N NaOHでpHを7.4に調整。セルスクレーパーで細胞を回収し、リドカインを含まないように洗浄し、FACS染色し、Becton Dickenson Facscanで解析した(2;3;5;7;14;15;18;19;26;および27)。
【0061】
以下のアッセイでは、市販のウシ腎臓細胞(MDBK)またはウシから単離した樹状細胞を使用した。「MHC %」という値は、MHC抗原の発現が測定された細胞の割合を指す。図6Aおよび6Bから導き出して表4に示すように、BGI/ARC、ARC対照、およびBGIの2つの異なる精製試料の並行比較を行った。
【0062】
図6Aは、大腸菌に由来する純粋な組換えウシIFN-γ(RecBoIFNγ)のMHC発現カーブのグラフである。図6Bは、1.) 非形質転換蛍光菌宿主細胞対照(MB324)、2.) pMYC1803(ベクターのみを形質転換)ARC対照(MR1241)、3.) BGI/ARC(BGI遺伝子を形質転換)(MR1605)、および4.) 蛍光菌に由来する精製BGI (DOWIFN)の比較を示す。MB324およびMR1241は、実質的に同一の発現である。
【0063】
血液から回収した樹状細胞もまた、MHC発現に関してアッセイした。図7Aは、大腸菌に由来する精製RecBoIFNγの効果を示す。図7Bは、1.) 非形質転換蛍光菌宿主細胞対照(MB324)、2.) pMYC1803(ベクターのみを形質転換)ARC対照(MR1241)、3.) BGI/ARC(BGI遺伝子を形質転換)(MR1605)、および4.) 蛍光菌に由来する精製BGI (DOWIFN)の比較を示す。
【0064】
実施例9 - ウシにおけるBGI活性の用量漸増(dose titration)(2;3;5;7;14;15;18;19;26;および27)
4群のウシを試験して、検出可能な生物活性を示すウシIFN-γ/ARC(BGI/ARC)の最小用量を決定した。それぞれがウシ5頭からなる4群、A、B、C、およびDに、それぞれ4800、480、48、および0μg用量のBGI/ARCを皮下注射した。0μg ARC対照は、対照シュードモナス細胞がウシIFN-γ遺伝子を欠くことを除いては実験試料と同一であった。
【0065】
本実験に使用した手順は以下の通りである:
1. BGI高濃度群およびARC対照群それぞれを表すウシ5頭のそれぞれに5つの等価な1-mL用量を提供するのに十分である最終量6 mLとなるように、BGI/ARC 3 mLおよびARC対照3 mLをリン酸緩衝食塩水(PBS)で希釈した。さらに、BGI/ARC保存溶液または保存液の1/10希釈物0.4 mLをPBSで最終量4.0 mLとなるように希釈して、BGI/ARC保存調製品の2つの段階的な10倍希釈物を調製した。次いで、1/10および1/100希釈したBGI/ARC試料それぞれを表す2群のウシのそれぞれに5つの1-mL用量を提供するのに十分である最終量6-mLとなるように、各BGI/ARC段階希釈物(1/10および1/100)3 mLを希釈した。
2. BGI/ARCおよびARC対照試料を滅菌密封ガラスバイアルに分注し、適切な群名(表5)、日付、および投与指示を標示した。
3. 動物飼育スタッフが投与するまで、試料を4℃に保存した。
【0066】
臨床獣医に、動物番号およびそれらの群の指定のリストを提供した。乱数リストを作成することにより(Excelプログラム)、ウシを無作為に実験群に指定した。乱数を並べ、順次にA、B、C、およびD群に指定した。
【0067】
生物活性を検出するために用いた判定基準は、体温および体重の変化であった。約4800μg BGI/ARCの単回皮下投与により、処置の48時間後に体温の顕著な上昇が誘導され(図8)、かつその投与は体重の長期にわたる(>4日)減少と関連する(図9)。約480μg BGI/ARCの単回皮下投与により、処置の48時間後に体温の穏やかな上昇(<1℃)が誘導され、かつその投与は体重の長期にわたる(>4日)減少と関連する。約48μg BGI/ARCの単回皮下投与では検出可能な体温の上昇は誘導されないが、その投与は処置の24時間後における体重のわずかな(<5 kg)減少と関連する。ARC対照試料約0.5 mLの単回皮下投与では、検出可能な体温変化も体重変化も誘導されない。
【0068】
4800μg BGI/ARC用量のA群のウシ1頭が、処置の1日後に死亡した。剖検結果から、鼓腸(第一胃うっ滞)の診断と一致する病変が明らかになった。他の肉眼的または組織学的病変は報告されなかった。この群の他のウシは生存したが、重度の体重減少および体温上昇を含む典型的なインターフェロン過量症状を示した。跛行、嗜眠、摂食障害、下痢、および注射部位の膨張を含む様々な臨床徴候に関して、毎日ウシを評価した。A群のウシ(4800μg BGI)の多くは、処置の2、3、および4日後にこれらの臨床徴候の1つまたは複数を示した。B群(480μg BGI)のウシもまた高頻度で臨床徴候を示したが、処置の1日後のみであった(図10)。用量漸増研究から、アジュバント研究に選択したBGI/ARCにおけるBGIの用量は50μgまたはそれ以下の範囲であるべきであることが示される。この用量のBGIで処置したウシは、臨床的に検出可能な副作用を示さないはずである。ウシにおけるBGI/ARCによって生じる強力な特有のインターフェロン反応は、ARC由来BGIが精製した可溶性ウシIFN-γの約1000倍を超える比活性を有することと一致する。
【0069】
注射の0、2、および4日後に、各ウシにおいて血清ハプトグロビンレベルを試験した(表6)。C群のウシは、BGI/ARC 48μgの用量においてハプトグロビン243,011 ng/mLという平均値を生じた。この結果を、未処置のウシで生じたハプトグロビン38,807 ng/mLという平均値と比較することにより、48μgという低い用量でハプトグロビン産生の著しい上昇が誘導され得ることが示される。
【0070】
注射の0、2、および4日後に、各ウシにおいて血清2'5'A合成酵素レベルも試験したが、これを表7に記載する。
【0071】
実施例10 - 二次免疫応答に及ぼすBGI/ARCの効果
以下の処置と同時に、ブタ血清アルブミン(PSA) 50μgをウシに免疫した:A群、250μg BGI/ARC;B群、25.0μg BGI/ARC;C群、2.5μg BGI/ARC;D群、細胞量がA群と同等である対照を提供するのに十分なARCを含むARC対照(BGI挿入物を欠くARC)。ウシに、0日目(矢印)に一次免疫を、28日目(矢印)に二次免疫をした。各群は、雌または去勢した雄である6〜8ヶ月齢のAngus-Herefold交雑ウシ6頭からなった。示したデータは平均±SEMであり、図11に記す。
【0072】
二次免疫応答のデータは、一次免疫のデータと一致する。最も低い用量のBGI/ARC(2.5μg BGI)で最も強い抗体力価の増強が起こったが、BGIを含まないARC対照は、仮にあったとしても免疫応答をごくわずかに増強するのみであった。対照と最大力価の相違は、一次免疫での27倍から二次免疫での150を超える倍率に増加した。図12に示すように、BGI/ARCはリンパ球に対する増殖効果を有する(3Hチミジンの取り込みにより測定)。
【0073】
本実施例では、ARCが、安定したIFN-γの安価な産生、調製、および送達のための有益な手段であることを説明する。IFN-γ/ARCは、驚いたことに、免疫増強剤および免疫応答の促進剤としても有用である。本明細書に記載するように:1.) 蛍光菌発現系を用いて、市販の殺虫剤、MVP(登録商標)(9)、タンパク質に関して得られた発現レベルと同等のレベルを有する、大量の活性IFN-γを安価に産生することができる(本明細書に記載した過程により、1度の100,000リットル発酵から1トンを超えるIFN-γが得られ得る);2.) 化学的殺菌過程によりシュードモナス細胞が改良され、ARCのIFN-γ内容物が安定化し、マクロファージまたは他のIFN-γ反応細胞の内部または表面上へのIFN-γの効果的な放出が提供される;3.) 改良および安定化したBGI/ARCはその無傷の形態で活性があり、ピコグラムレベルのIFN-γがウイルスによる感染から細胞を防御する(例えば、ウシ腎臓細胞のVSV感染を参照のこと);4.) 多くの他の組換えタンパク質と異なり、IFN-γは可溶性であり、蛍光菌において可溶型で過剰発現することができ、全細胞タンパク質の40%を超えるレベルで発現される場合にも細胞内で封入体を形成しない;5.) BGI/ARCは優れた長期保存特性を有し、37℃では数週間後も安定した活性を有するままであり、凍結した場合には活性の損失なく6ヶ月を超える期間活性を有し続ける;6.) BGI/ARCは優れた物理的特性を有する;BGI/ARCは、懸濁液で残存し得てシリンジを容易に通過し得る、機械的に耐久性のある非凝集性微細粒子である;7.) BGI/ARCは所望の持続放出特性を有する;8.) BGI/ARC中のマイクログラム量のIFN-γで、ウシにおいて予想以上の強力な応答が生じ、予想以上に強力な免疫アジュバント反応および免疫促進を促進する、および9.) BGI/ARCは、筋肉内、皮下に与えることができ、または粘膜を介して身体に導入することができ、非侵襲的送達が可能である。トリINF-γ/ARC (CGI/ARC)を用いた以下の実施例により、本発明の有用性をさらに説明する。
【0074】
実施例11 - トリマクロファージに及ぼすIFN-γの効果
トリ(ニワトリ)マクロファージ細胞株(MQ-NCSUおよびHD11)を入手して拡大し、インビトロ試験用に保存物を調製した。どちらの株も24ウェルプレートで培養し、様々な濃度の組換えニワトリIFN-γ(CGI)で刺激した。2つの別の実験を行った。1つめの実験では、プレーティングしてから1日後に細胞をCGIで処理した。2つめの実験では、プレーティングしてから5日後に細胞をCGIで処理した。
【0075】
1つめの実験(すなわち、プレーティングしてから1日後にCGIでマクロファージを処理する)では、(CGI処理の)1、2、3、5、6、9、13、および16日後に一酸化窒素(NO)生成に関して細胞をアッセイした。プレーティングしてから5日後にCGIで処理した細胞は、CGI処理の1、2、3、6、9、および15日後にNO生成に関して試験した。個々のウェルから培養上清試料を採取し、4,000 RPMで少なくとも5分間遠心分離して上清を清澄化した。NO濃度の測定は、Greiss試薬を用いて二連で行った。CGIで刺激していない細胞による対照もまた、各NOアッセイのブランクとしてアッセイした。NO生成はCGIにより活性化されるため、本明細書ではNO生成を用いてCGI活性を実証する。表10に、観察された最大NO濃度、最大NO濃度が観察された(CGI添加後の)日、および細胞株による最大NO生成に関連する組換えCGIの濃度を記載する。
【0076】
2つめの実験は、プレーティングしてから2日後の細胞を用いて実施した。細胞を、精製した組換えCGI(RCGI)、BGI/ARC、CGI/ARC(バッチ1)、およびCGI/ARC(バッチ2)で刺激した。細胞株を10 ngまたは100 ngのIFN-γで刺激してから3日後または4日後に、NO生成についてアッセイした。これらの結果を表11および12、ならびに図13に記載する。驚いたことに、CGIよりも活性が低いものの、ウシγインターフェロン(BGI)がトリマクロファージを刺激することが認められた。
【0077】
実施例12 - ニワトリIFN-γを含むARCのトリ投与
CGI/ARCは上記のように調製し、HN植物由来抗原は当技術分野において公知の方法(例えば、その全体が参照として本明細書により組み入れられる米国特許第5,310,678号、および2003年5月5日に出願された米国仮出願第60/467,998号を参照のこと)に従い以下の変更を加えて調製した。継代してから6〜12日後に、植物由来抗原NT1細胞を回収した。ブフナー漏斗内にSpectramesh 30フィルターを置き、わずかな減圧により細胞および培地をフィルターに流し込み、細胞培養物から直接回収した湿NT1細胞全体を濾過して過剰の培地を除去した。
【0078】
アッセイ検出のためのHNワクチン材料を調製するため、細胞0.5グラムを2 mLの抽出緩衝液(ダルベッコリン酸緩衝食塩水(DPBS)、1 mM EDTA、pH 7.2)に入れ、氷上で約2分間超音波処理した。交換式マイクロチップを備えたBranson 450 sonifierを出力制御8、負荷サイクル60で用いて、超音波処理を2分間行った(大量の調製物の場合(>5グラム)、超音波処理を氷上で5〜10分間行った)。超音波処理物は、使用するまで氷上に置いた。不活化NDV La Sota株は、不活化前の鶏卵力価が≧1010.6EID50/mLである尿膜腔液(Lohnam Animal Health)に由来した。尿膜腔液は、使用するまで凍結調製品(-80℃)として保存した。
【0079】
ワクチン接種のため、SPAFAS(コネチカット州、ノースフランクリン)から1日齢のSPFヒヨコを入手し、ケージ内に入れ、7日齢になるまで順化させた。処置当たりのヒヨコの数は、繰り返し測定を用いる完全無作為化法に基づいた。個々のケージに過剰数のヒヨコを無作為に入れ、輸送または配置ストレスによって死亡したヒヨコの置き換えに使用した。頚項部に0.1〜0.25 mLを注射して、皮下接種を行った。
【0080】
抗原およびCGI/ARCの用量および投与は、以下の通りに行った。凍結乾燥したCHN抽出物をCGI/ARC物質25μgを含むDPBS中に水和して、植物由来試料を調製した。不活化尿膜腔液を融解し、試料にCGI/ARC 25μgを直接添加して混合した。油/水エマルジョン試料を含む植物由来試料には、凍結乾燥物質を、0.165% Span 80と共に0.5% Tweenおよび2.5% Drakeol Oilを含むDPBS中に直接再懸濁した。 2回の抗原接種を行い(0日目(7日齢)および14日目(21日齢)での二次追加免疫)、次いで35日目(42日齢)に不活化NDV感染尿膜腔液(上記)を与え、42日目(49日齢)に試験を終了した。研究の14、21、35、および42日目に、頚静脈または末梢翅脈の静脈穿刺により、各トリから血液試料1〜2 mLを採取した。
【0081】
免疫応答を測定するため、Alsever溶液中のニワトリ赤血球細胞(CRBC)をColorado Serum (L#8152)から入手した。CRBCの1%溶液を調製するため、5 mLを15 mLコニカルチューブに移し、250 x gで10分間遠心分離した。RBCペレットから上清および軟膜をピペットで除去した;1 x DPBS(ダルベッコリン酸緩衝食塩水)(L# 003435E JRH)に再懸濁して、250 x gで10分間遠心分離することにより、ペレットを2回洗浄した。1% (v/v)になるように、ペレットをDPBSで再懸濁した。懸濁液の濃度を確認するため、400μlを脱イオン水1.6 mLに移し、激しく混合して細胞を溶解した。OD540は0.4〜0.5とした。1%溶液は、使用するまで2〜7℃で保存した。
【0082】
赤血球凝集を試験するため、最初に96ウェルU底ディッシュ(Falcon)にStatic Guard(登録商標)をスプレーし、ペーパータオルの上で吸い取らせた。ウイルス試料をDPBSで1:2に予め希釈し、DPBS 50μlを96ウェルディッシュの各ウェルに分注した。希釈したウイルスを1列目に添加し、ウイルス試料当たり所望の数の希釈物が得られるまで、2倍の段階希釈を行った。1% CRBC 50μlを各ウェルに添加し、プレートを600 rpmで20秒間混合した。プレートを湿ったペーパータオルの上に置き、対照ウェル中のCRBC(DPBSおよびCRBCが1:1比)がプレートの底にペレット化するまで、または2〜7℃で少なくとも1時間インキュベートした。100%の凝集を提供するシリーズ中の最終ウェルの希釈倍率を終点とした。
【0083】
50μl当たり4〜8HA単位を提供するように(上記のウイルス力価測定に基づく)、ウイルスをDPBSで予め希釈した。カラム1および3〜12のウェル当たりDPBS 25μlを用いて、別のプレートを準備した;血清25μlをカラム1および3のウェルに添加した;カラム3の血清を10ウェルにわたって2倍希釈した。予め力価測定したウイルス(25μl)をカラム3〜12のすべてのウェルに添加し、600 rpmで20秒間混合した;プレートを室温で1時間+/-15分間インキュベートした。次にウェル当たり50μlの1% CRBCを添加し、600 rpmで20秒間混合し、加湿チャンバー内で、AIVに関しては2〜7℃で一晩、NDVに関しては2〜7℃で1〜2時間インキュベートした。凝集を100%阻害するシリーズ中の最終ウェルの希釈倍率を、血清の力価とする。
【0084】
Microsoft Excel 2000バージョン9.0.3821 SR-1を用いて、各処置群について血清幾何平均力価(GMT)を決定した。<10であるバックグラウンドELISA力価を、これらの計算の値1とした。最小二乗解析により、処置したトリと対照の最小二乗平均の相違を決定した。処置群と非ワクチン接種誘発対照群とに有意な相違がある場合に、処置は有効であると見なした。
【0085】
各採血日におけるHI力価を表13に示す。21日目(二次投与から7日後)において、IFN-γと共に投与した場合に、20μg用量の植物由来HNタンパク質を用いて4倍高いHI力価が見られ、油/水エマルジョンと組み合わせた場合には2倍の増加が見られた。結果から、IFN-γ(CGI/ARC)と同時に投与した抗原により、CGI/ARCなしで投与した抗原と比較して、標的抗原に対する血清応答の増強が誘導され得ることが示された(表13を参照のこと)。
【0086】
参考文献リスト



【0087】
(表1)免疫応答に関与する因子

【0088】
(表2)ウイルス曝露アッセイ

【0089】
(表3)ウイルス曝露アッセイ

【0090】
(表4)ウシ腎臓細胞を用いたMHCクラスII誘導アッセイ

【0091】
(表5)群の指定および処置

【0092】
(表6)血清ハプトグロビン(ng/mL)

【0093】
(表7)血清2'5'A合成酵素レベル(pMol/dL)

【0094】
(表8)ケモカイン


【0095】
(表9)サイトカイン

【0096】
(表10)精製組換えCGIで刺激したトリマクロファージにおけるNO生成

【0097】
(表11)100 ng IFN-γで処理したトリマクロファージにおける、3日後のNO生成

【0098】
(表12)10 ng IFN-γで処理したトリマクロファージにおける、4日後のNO生成

【0099】
(表13)ニワトリIFN-γ(CGI/ARC)の存在下における、植物由来HNに対するトリ免疫応答

【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】pMYC1803のプラスミドマップである。
【図2】シグナルペプチドを含まない合成ウシγインターフェロンのコード配列、相補的配列、およびアミノ酸配列である。
【図3】それぞれ約18および17 kDaの位置にαおよびγウシインターフェロンの主要なバンドを示す、SDS-PAGEの写真である。培養試料を1 : 5に希釈してからゲルに添加した。ウェル当たり10μLを添加した。
【図4】大部分のBAIがペレット画分に存在することを示す、BAIおよびBGIの両方を含むフレンチプレス破壊した蛍光菌培養物のドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)実験の写真である。
【図5】BGI/ARC安定性アッセイ結果の図表である。
【図6】図6Aは、組換え大腸菌から精製された均一なウシIFN-γ(BGI)に応答して、インビトロのウシ腎臓細胞から産生されたMHC IIタンパク質のグラフ表示である。図6Bは、1.) 非形質転換蛍光菌、MB324(ARC-ベクター、-BGI)、2.) 形質転換蛍光菌、MR1241(ARC+ベクター、-BGI)、3.) 形質転換蛍光菌、MR1605(BGI/ARC、ARC+ベクター、+BGI)、および5.) 組換え蛍光菌から精製されたBGIに応答して、インビトロのウシ腎臓細胞から産生されたMHC IIタンパク質のグラフ比較である。
【図7】図7Aは、樹状細胞によるMHC IIタンパク質の産生に及ぼす、大腸菌由来の精製組換えBGI(RecBoIFNγ)の効果を示す。図7Bは、1.) 非形質転換蛍光菌宿主細胞対照(MB324)、2.) pMYC1803(ベクターのみを形質転換)ARC対照(MR1241)、3.) BGI/ARC(BGI遺伝子を形質転換)(MR1605)、および4.) 蛍光菌に由来する精製BGI (DOWIFN) に応答して、樹状細胞により産生されるMHC IIの比較である。
【図8】試験したウシの体温に及ぼすBGI/ARCの影響を示す。
【図9】試験したウシの体重に及ぼすBGI/ARCの影響を示す。
【図10】ウシの臨床徴候に及ぼすBGI/ARCの影響を示す
【図11】BGI/ARCの免疫増強活性、および抗原(例えば、ブタ血清アルブミン)に対するウシの免疫応答を促進するBGI-ARCの能力を示す。
【図12】リンパ球に及ぼすBGI/ARCの増殖効果(3Hチミジンの取り込みにより測定)を示す。
【図13】ニワトリマクロファージの一酸化窒素(NO)生成に対するトリIFN-γ/ARC(CGI/ARC)の活性を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケモカインまたはサイトカインをコードする少なくとも1つの異種遺伝子を含む改良組換え細胞(amended recombinant cell; ARC)。
【請求項2】
異種遺伝子が、IL-1、IL-2、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-9、IL-10、IL-11、IL-15、IL-16、IL-18、IL-23、IL-24、エリスロポエチン、G-CSF、M-CSF、血小板由来増殖因子(PDGF)、MSF、FLT-3リガンド、EGF、線維芽細胞増殖因子(FGF);aFGF(FGF-1);bFGF(FGF-2);FGF-3;FGF-4;FGF-5;FGF-6;FGF-7;インスリン様増殖因子1(IGF-1);IGF-2;血管内皮増殖因子(VEGF);IFN-γ;IFN-α;IFN-β;白血病抑制因子(LIF);毛様体神経栄養因子(CNTF);オンコスタチンM;幹細胞因子(SCF);TGF-α;TGF-β1;TGF-β2;BCA-1/BLC-1、BRAK/Kec、CXCL16、CXCR3、ENA-78/LIX、エオタキシン-1、エオタキシン-2/MPIF-2、エキソダス-2/SLC、フラクタルカイン/ニューロタクチン、GROα/MGSA、HCC-1、I-TAC、リンホタクチン/ATAC/SCM、MCP-1/MCAF、MCP-3、MCP-4、MDC/STCP-1、ABCD-1、MIP-1α、MIP-1β、MIP-2α/GROβ、MIP-3α/エキソダス/LARC、MIP-3β/エキソダス-3/ELC、MIP-4/PARC/DC-CK1、PF-4、RANTES、SDF1α、TARC、およびTECKからなる群より選択されるケモカイン;または表1、8、および9に提供するサイトカインもしくはケモカインをコードする、請求項1記載のARC。
【請求項3】
異種遺伝子がIFN-γをコードする、請求項2記載のARC。
【請求項4】
IFN-γがウシ、トリ、魚、またはヒトのものである、請求項3記載のARC。
【請求項5】
IFN-γがウシのものである、請求項4記載のARC。
【請求項6】
トリIFN-γがニワトリIFN-γである、請求項4記載のARC。
【請求項7】
IFN-αをコードする異種遺伝子をさらに含む、請求項2記載のARC。
【請求項8】
細胞が、グラム陽性生物、グラム陰性生物、酵母、および菌類からなる群より選択される微生物細胞である、請求項1記載のARC。
【請求項9】
微生物細胞が蛍光菌である、請求項8記載のARC。
【請求項10】
担体をさらに含む、請求項1記載のARC。
【請求項11】
以下を個体に投与する段階を含む、個体において抗原または免疫原に対する免疫応答を誘導または促進する方法:
ケモカインもしくはサイトカインをコードする少なくとも1つの異種遺伝子を含む改良組換え細胞(ARC);または
ケモカインもしくはサイトカインをコードする少なくとも1つの異種遺伝子を含む改良組換え細胞(ARC)を含む組成物。
【請求項12】
関心対象の抗原を投与する段階をさらに含む、請求項11記載の方法。
【請求項13】
リポ多糖(LPS)を投与する段階をさらに含む、請求項12記載の方法。
【請求項14】
異種遺伝子がIFN-γをコードする、請求項11記載の方法。
【請求項15】
IFN-γがウシ、トリ、魚、またはヒトのものである、請求項14記載の方法。
【請求項16】
IFN-γがウシのものである、請求項15記載の方法。
【請求項17】
トリIFN-γがニワトリIFN-γである、請求項15記載の方法。
【請求項18】
ARCが少なくとも1つの関心対象の抗原を同時発現する、請求項11記載の方法。
【請求項19】
個体の免疫応答を促進するのに有効な量で、以下を個体に投与する段階を含む、抗原または免疫原に対する個体の免疫応答を促進する方法:
a) ケモカインもしくはサイトカインをコードする少なくとも1つの異種遺伝子を含む改良組換え細胞(ARC);または
b) ケモカインもしくはサイトカインをコードする少なくとも1つの異種遺伝子を含む改良組換え細胞(ARC)を含む組成物。
【請求項20】
IgM、IgG、IgA、IgE、またはIgY抗体の発生を促進する、請求項19記載の方法。
【請求項21】
ARC組成物の投与前に、投与と同時に、または投与後に、抗原または免疫原を投与する段階をさらに含む、請求項19記載の方法。
【請求項22】
ARCまたはARC組成物がIFN-γを含む、請求項19記載の方法。
【請求項23】
ARCまたはARC組成物がIFN-αおよびIFN-γを含む、請求項19記載の方法。
【請求項24】
IFN-γがヒト、トリ、ウシ、または魚のものである、請求項22記載の方法。
【請求項25】
IFN-αおよびIFN-γがヒト、トリ、ウシ、または魚起源のものである、請求項23記載の方法。
【請求項26】
抗原または免疫原が、通常個体が環境において遭遇する病原体、または特に個体の環境に導入される病原性物質である、請求項19記載の方法。
【請求項27】
抗原または免疫原が、1) マイコトキシン、トリコテシンマイコトキシン(T-2)、ブドウ球菌エンテロトキシンB、リシン、およびボツリヌス菌神経毒素からなる郡より選択される生物毒素;2) 天然痘、炭疽菌、エボラウイルス、ペスト菌、および兵器化した微生物細胞からなる群より選択されるウイルス性もしくは細菌性病原体;または3) 菌類病原体である、請求項26記載の方法。
【請求項28】
腫瘍、癌、または悪性病変の治療に有効な量で以下を個体に投与する段階を含む、腫瘍、癌、または悪性病変を治療する方法:
a) ケモカインもしくはサイトカインをコードする少なくとも1つの異種遺伝子を含む改良組換え細胞(ARC);または
b) ケモカインもしくはサイトカインをコードする少なくとも1つの異種遺伝子を含む改良組換え細胞(ARC)を含む組成物。
【請求項29】
化学療法薬、および任意で腫瘍または癌抗原を投与する段階をさらに含む、請求項28記載の方法。
【請求項30】
以下を個体に投与する段階を含む、個体において所望の生物学的効果を誘導する方法:
a) ケモカインもしくはサイトカインをコードする少なくとも1つの異種遺伝子を含む改良組換え細胞(ARC);または
b) ケモカインもしくはサイトカインをコードする少なくとも1つのの異種遺伝子を含む改良組換え細胞(ARC)を含む組成物。
【請求項31】
所望の生物学的効果が以下からなる群より選択される、請求項30記載の方法:1) 個体におけるマクロファージの活性化または刺激;2) 個体の免疫系の刺激、抑制、または調節;3) 個体におけるウイルス抵抗性の増加;4) 表1、8、または9に記載の所望の生物学的効果の成就;5) 動物の輸送熱の治療;6) 新生仔動物のウイルス性疾患または細菌性胃腸炎からの防御;および7) 疾患または疾患症状の重症度の軽減。
【請求項32】
以下の段階を含む、改良組換え細胞(ARC)を作製する方法:
a) サイトカイン、および任意でケモカインをコードする少なくとも1つの異種遺伝子を細胞に導入する段階;
b) 栄養培地中で該細胞を培養する段階;
c) 該細胞を回収する段階;ならびに
d) 該細胞を不活性化または固定する段階。
【請求項33】
異種遺伝子が、IL-1、IL-2、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-9、IL-10、IL-11、IL-15、IL-16、IL-18、IL-23、IL-24、エリスロポエチン、G-CSF、M-CSF、血小板由来増殖因子(PDGF)、MSF、FLT-3リガンド、EGF、線維芽細胞増殖因子(FGF);aFGF(FGF-1);bFGF(FGF-2);FGF-3;FGF-4;FGF-5;FGF-6;FGF-7;インスリン様増殖因子1(IGF-1);IGF-2;血管内皮増殖因子(VEGF);IFN-γ;IFN-α;IFN-β;白血病抑制因子(LIF);毛様体神経栄養因子(CNTF);オンコスタチンM;幹細胞因子(SCF);TGF-α;TGF-β1;TGF-β2;BCA-1/BLC-1、BRAK/Kec、CXCL16、CXCR3、ENA-78/LIX、エオタキシン-1、エオタキシン-2/MPIF-2、エキソダス-2/SLC、フラクタルカイン/ニューロタクチン、GROα/MGSA、HCC-1、I-TAC、リンホタクチン/ATAC/SCM、MCP-1/MCAF、MCP-3、MCP-4、MDC/STCP-1、ABCD-1、MIP-1α、MIP-1β、MIP-2α/GROβ、MIP-3α/エキソダス/LARC、MIP-3β/エキソダス-3/ELC、MIP-4/PARC/DC-CK1、PF-4、RANTES、SDF1α、TARC、およびTECKからなる群より選択されるケモカイン;または表1、8、および9に提供するサイトカインもしくはケモカインをコードする、請求項32記載の方法。
【請求項34】
異種遺伝子がIFN-γをコードする、請求項33記載の方法。
【請求項35】
IFN-γがウシ、トリ、魚、またはヒトのものである、請求項34記載の方法。
【請求項36】
IFN-γがウシのものである、請求項35記載の方法。
【請求項37】
トリIFN-γがニワトリIFN-γである、請求項35記載の方法。
【請求項38】
ARCがIFN-αをコードする異種遺伝子をさらに含む、請求項33記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公表番号】特表2006−510388(P2006−510388A)
【公表日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−570237(P2004−570237)
【出願日】平成15年10月7日(2003.10.7)
【国際出願番号】PCT/US2003/031815
【国際公開番号】WO2004/087864
【国際公開日】平成16年10月14日(2004.10.14)
【出願人】(305060235)ダウ アグロサイエンス リミテッド ライアビリティ− カンパニ− (3)
【Fターム(参考)】