説明

抗ウイルス薬としての四環式インドール誘導体

本発明は、式(I)


[式中、R、R、R14、R15、A、Ar、Y及びZはここで定義される]の四環式インドール化合物及び医薬的に許容されるこの塩、これらを含有する医薬組成物、及びC型肝炎ウイルスによる感染の治療又は予防のためのこれらの使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、四環式インドール化合物、これらを含有する医薬組成物、C型肝炎感染の予防及び治療におけるこれらの使用及びこのような化合物及び組成物の調製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
C型肝炎(HCV)はウイルス感染の原因である。HCV感染のための適切な治療はまだ存在しないが、哺乳動物、特にヒトにおけるこのRNAポリメラーゼの阻害は有益であると考えられる。
【0003】
国際公開公報第WO93/00334号(Fidia−Georgetown Institute for the Neurosciences)は、以下のインドール誘導体:
【0004】
【化8】

[式中、A、Z、R、R、R、R及びnはこの中で定義されている]を、精神・神経障害を治療するための組成物及び方法において有用であると開示している。しかし、この資料は、ウイルス感染を治療する又は予防する上での四環式インドール誘導体の使用を開示していない。
【0005】
国際公開公報第WO2005/080399号(Japan Tobacco Inc.)は、以下の縮合複素四環式化合物:
【0006】
【化9】

[式中、A、X、Cy、G、G、G、G、G、G、R、R、R、R、R、R及びaはこの中で定義されている]、及びHCVポリメラーゼ阻害剤としてのこれらの使用を開示する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、式(I):
【0008】
【化10】

[式中、
Aは、場合によりハロゲン、ヒドロキシ、C1−4アルキル又はC1−4アルコキシで置換された、C3−8シクロアルキルであり;
Arは、フェニル、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、チエニル、フラニル、ピラゾリル及びイミダゾリルのような、N、O及びSから独立して選択される1、2又は3個のヘテロ原子を場合により含む、少なくとも1個の芳香環を含む部分であり、及び5、6、9又は10個の環原子を有し、前記環は場合により基Q及びQによって置換されており;
は、ハロゲン、ヒドロキシ、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、(CH0―3アリール、ヘテロアリール、CONR、(CH0−3NR、O(CH0−33−8シクロアルキル、O(CH1−3NR、O(CH0−3CONR、O(CH0−3COH、O(CH0−3アリール、O(CH0−3ヘテロアリール、OCHRまたはO(CH0−3S(O)(CH0−3NRであり;
及びRは、水素、C1−6アルキル及びC(O)C1−6アルキルから独立して選択されるか;
又はR及びRは、これらが結合している窒素原子と共に、O及びSから独立して選択される1又は2個以上のヘテロ原子及び/又はNH及びNC1−4アルキルから独立して選択される1又は2個の基を場合により含み、及び場合によりハロゲン、ヒドロキシ、C1−4アルキル又はC1−4アルコキシで置換されている、4から7個の環原子の複素脂肪環を形成し;
及びRは、水素、C1−4アルキル及びC1−4アルコキシから独立して選択されるか;
又はR及びRは、場合によりハロゲン、ヒドロキシ、C1−4アルキル又はC1−4アルコキシで置換されている、4から7個の環原子の複素脂肪環を形成するように、N、O及びSから選択されるヘテロ原子によって連結されており;
及び前記C1−4アルキル、C1−4アルコキシ及びアリール基は、場合によりハロゲン又はヒドロキシで置換されており;
は、ハロゲン、ヒドロキシ、場合によりハロゲン又はヒドロキシで置換されているC1−4アルキル又はC1−4アルコキシであるか;
又はQ及びQは、N、O及びSから独立して選択される1又は2個のヘテロ原子を場合により含み、及び場合によりハロゲン、ヒドロキシ、C1−4アルキル又はC1−4アルコキシで置換されている、4から7個の原子の環を形成するように連結されていてもよく;
及びRの一方は、COH、C(O)NHS(O)NR、C(O)NHS(O)1−6アルキル、C(O)NHS(O)(CH0−3COまたはC(O)NHS(O)(CH0−3アリールであり;
及びR及びRの他方は水素であり;
及びRは、水素及びC1−6アルキルから独立して選択されるか;
又はR及びRは、これらが結合している窒素原子と共に、O及びSから独立して選択される1又は2個以上のヘテロ原子及び/又はS(O)、S(O)、NH及びNC1−4アルキルから独立して選択される1又は2個の基を場合により含んでいてもよい、4から7個の環原子の複素脂肪環を形成し;
Yは、C=Oまたは−CR14a15a−であり;
Zは、結合又はNR10であり;
10は、水素、ヒドロキシ、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、C1−6アルコキシ、C(O)C1−6アルキル、Het、(CH0−3NR1617、C(O)(CH0−3NR1617及びNHC(O)(CH0−3NR1617であり;
14、R14a、R15及びR15aは、C1−6アルキル、ヒドロキシ、ハロゲン、C1−6アルコキシ、SH及びS(C1−6アルキル)から独立して選択される1又は2個の基によって場合により置換された、水素、ヒドロキシ、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、(CH0−33−8シクロアルキル、C1−6アルコキシ、C(O)C1−6アルキル、(CH0−3アリール、(CH0−3Het、C(O)(CH0−3Het;(CH0−3NR1617、(CH0−3OR16、(CH0−3C(O)(CH0−3NR1617、NR18C(O)(CH0−3NR1617、S(O)0−2(CH0−3NR1617、(CH0−3ヘテロアリールまたはC(O)(CH0−3ヘテロアリールから各々独立して選択され;
16及びR17は、場合によりC1−6アルキル、(CH0−3OHまたは(CH0−31−6アルコキシで置換された、水素、C1−6アルキル、(CH0−4NR1819、(CH0−3Het、(CH0−3ヘテロアリール、(CH0−3C(O)(CH0−3NR1819または(CH0−33−8シクロアルキルから独立して選択されるか;
又はR16及びR17は、これらが結合している窒素原子と共に、O及びSから選択される1又は2個以上のヘテロ原子及び/又はS(O)、S(O)、NH、NC1−4アルキル及びN(CH0−31−4アルコキシから独立して選択される1又は2個の基を場合により含んでいてもよく、及び場合によりハロゲン、ヒドロキシ、C1−4アルキル又はC1−4アルコキシで置換されている、4から7個の環原子の複素脂肪環を形成し;
18及びR19は、水素、C1−6アルキル及びヘテロアリールから独立して選択されるか;
又はR18及びR19は、これらが結合している窒素原子と共に、O及びSから選択される1又は2個以上のヘテロ原子及び/又はS(O)、S(O)、NH及びNC1−4アルキルから選択される1又は2個の基を場合により含んでいてもよく、及び場合によりハロゲン、ヒドロキシ、C1−4アルキル又はC1−4アルコキシで置換されている、4から7個の環原子の複素脂肪環を形成する]
の化合物、及び医薬的に許容されるこの塩を提供し、但し、式(I)の化合物は、
メチル13−シクロヘキシル−6,7−ジヒドロ−5H−インドロ[2,1−α][2]ベンズアゼピン−10−カルボキシレート、又は
13−シクロヘキシル−6,7−ジヒドロ−5H−インドロ[2,1−α][2]ベンズアゼピン−10−カルボン酸
ではないことを条件とする。
【0009】
本発明の化合物のもう1つの好ましい群は、式(Ia):
【0010】
【化11】

[式中、
Arは、N,O及びSから独立して選択される1、2又は3個のヘテロ原子を場合により含む5員又は6員芳香環であり;
Yは、C=O又は−CR14a15aであり;
Zは、結合又はNR10であり;
10、R14、R15、R14a及びR15aは、水素、ヒドロキシ、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C1−6アルコキシ、C(O)C1−6アルキル、Het、(CH0−3NR1617、C(O)(CH0−3NR1617及びNHC(O)(CH0−3NR1617から各々独立して選択され;
16及びR17は、水素、C1−6アルキル及び(CH0−4NR1819から独立して選択されるか;
又はR16、R17及びこれらが結合している窒素原子は、O又はSから選択される1又は2個以上のヘテロ原子又はS(O)、S(O)、NH又はNC1−4アルキル基を場合により含んでいてもよく、及び場合によりハロゲン、ヒドロキシ、C1−4アルキル又はC1−4アルコキシで置換されている、4から7個の環原子の複素脂肪環を形成し;
18及びR19は、水素及びC1−6アルキルから独立して選択されるか;
又はR18、R19及びこれらが結合している窒素原子は、O又はSから選択される1又は2個以上のヘテロ原子又はS(O)、S(O)、NH又はNC1−4アルキル基を場合により含んでいてもよく、及び場合によりハロゲン、ヒドロキシ、C1−4アルキル又はC1−4アルコキシで置換されている、4から7個の環原子の複素脂肪環を形成する]
の化合物及び医薬的に許容されるこの塩であり、但し、式(Ia)の化合物は:
メチル13−シクロヘキシル−6,7−ジヒドロ−5H−インドロ[2,1−α][2]ベンズアゼピン−10−カルボキシレート
ではないことを条件とする。
【0011】
1つの実施形態では、Arは、場合によりN、O及びSから独立して選択される1又は2個のヘテロ原子を含む5員又は6員芳香環である。好ましくは、Arは、場合によりN、O及びSから選択される1個のヘテロ原子を含む5員又は6員芳香環である。より好ましくは、Arは、フェニル、ピリジニル、フリル又はチエニルである。最も好ましくは、Arはフェニル又はチエニルである。
【0012】
ZがNR10であるとき、好ましくは、R10は、水素、C1−6アルキル又は(CH0−3NR1617であり、式中、R16及びR17は式(Ia)に関して定義したとおりである。より好ましくは、R10は、C1−6アルキル又は(CH1−3NR1617であり、式中、R16及びR17は水素及びC1−6アルキルから独立して選択される。最も好ましくは、R10は、C1−4アルキル又は(CH1−3NR1617であり、式中、R16及びR17は水素及びC1−4アルキルから独立して選択される。適切なR10基の例は、メチル及び(CHN(CHを含む。
【0013】
もう1つの実施形態では、R14、R15、R14a及びR15aは、水素、C1−6アルキル及び(CH0−3NR1617から各々独立して選択され、式中、R16及びR17は式(Ia)に関して定義したとおりである。好ましくは、R14、R15、R14a及びR15aは、水素及び(CH0−3NR1617から各々独立して選択され、式中、R16及びR17は、水素、C1−4アルキル及び(CH1−3NR1819から独立して選択され、式中、R18及びR19は式(Ia)に関して定義したとおりである。より好ましくは、R14、R15、R14a及びR15aは、水素及びNR1617から各々独立して選択され、式中、R16及びR17は、水素、メチル及び(CH1−3NR1819から独立して選択され、式中、R18及びR19は水素及びC1−4アルキルから独立して選択される。適切なR14、R15、R14a及びR15a基の例は、水素、NH(CHN(CH及びN(CH)(CHN(CHである。
【0014】
もう1つの実施形態では、Yは−CR14a15a−である。好ましくは、Yは−CHR14aである。
【0015】
本発明の化合物のもう1つの好ましい群は、式(Ib):
【0016】
【化12】

【0017】
10は、水素、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル又は(CH1−3NR1617であり;
16及びR17は、水素及びC1−6アルキルから独立して選択され;
14a及びR15aは、水素、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル又はC3−8シクロアルキルから独立して選択されるか;
又はR14aとR15aは一緒になってオキソ基を形成する]
及び医薬的に許容されるこの塩であり、但し、式(Ib)の化合物は:
3−クロロ−14−シクロヘキシル−5−(2−ピペリジン−1−イルエチル)−5,6,7,8−テトラヒドロインドロ[1,2−e][1,5]ベンゾジアゾシン−11−カルボン酸
ではないことを条件とする。
【0018】
1つの実施形態では、R10は、水素、C1−6アルキル又は(CH1−3NR1617であり、式中、R16及びR17は式(Ib)に関して定義したとおりである。好ましくは、R10は、C1−6アルキル又は(CH1−3NR1617であり、式中、R16及びR17は水素及びC1−4アルキルから独立して選択される。より好ましくは、R10は、C1−4アルキル又は(CHN(C1−4アルキル)である。適切なR10基の例は、メチル及び(CH)N(CHを含む。
【0019】
もう1つの実施形態では、R14a及びR15aは、水素又はC1−6アルキルから独立して選択さるか、又はR14aとR15aは一緒になってオキソ基を形成する。好ましくは、R14a及びR15aは、水素又はC1−4アルキルから独立して選択さるか、又はR14aとR15aはひとまとまりとしてオキソ基を形成する。より好ましくは、R14a及びR15aはどちらも水素であるか、又はR14aとR15aはひとまとまりとしてオキソ基を形成する。
【0020】
本発明の化合物のもう1つの好ましい群は、式(Ic):
【0021】
【化13】

[式中、
10は、水素、C1−6アルキル、C2−6アルケニル又はC2−6アルキニルであり;
14及びR15は、水素、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル又は(CH0−3NR1617から独立して選択され;及び
16及びR17は、水素及びC1−6アルキルから独立して選択される]
及び医薬的に許容されるこの塩である。
【0022】
1つの実施形態では、R10は水素又はC1−6アルキルである。好ましくは、R10は水素又はC1−4アルキルである。より好ましくは、R10はメチルである。
【0023】
もう1つの実施形態では、R14及びR15は、水素、C1−6アルキル又は(CH0−3NR1617から独立して選択され、式中、R16及びR17は、水素及びC1−4アルキルから独立して選択される。好ましくは、R14及びR15は、水素、C1−4アルキル又はNR1617から独立して選択され、式中、R16及びR17は、水素及びメチルから独立して選択される。より好ましくは、R14及びR15は、水素又はN(CHである。
【0024】
本発明の化合物のもう1つの好ましい群は、式(Id):
【0025】
【化14】

[式中、
Arは、N、O及びSから独立して選択される1、2又は3個のヘテロ原子を場合により含み、場合によりQ基によって置換されている、5員又は6員芳香環であり;
14、R15、R14a、R15a及びQは、式(I)に関して定義したとおりである]
及び医薬的に許容されるこの塩であり、但し、式(Id)の化合物は、
メチル13−シクロヘキシル−6,7−ジヒドロ−5H−インドロ[2,1−α][2]ベンズアゼピン−10−カルボキシレート、又は
13−シクロヘキシル−6,7−ジヒドロ−5H−ピロロ[2’,1’:3,4][1,4]ジアゼピノ[1,2−a]インドール−10−カルボン酸
ではないことを条件とする。
【0026】
1つの実施形態では、Arは、N、O及びSから独立して選択される1又は2個のヘテロ原子を場合により含み、場合によりハロゲン、ヒドロキシ、C1−6アルキル又はC1−6アルコキシによって置換されている、5員又は6員芳香環である。好ましくは、Arは、N、O及びSから独立して選択される1個のヘテロ原子を場合により含み、場合によりハロゲン、ヒドロキシ又はC1−4アルコキシによって置換されている、5員又は6員芳香環である。より好ましくは、Arは、場合により1個の原子を含み、場合によりC1−4アルコキシによって置換されている、5員又は6員芳香環である。より好ましくは、Arは、場合によりメトキシによって置換された、フェニル又はチエニルである。
【0027】
もう1つの実施形態では、R14、R15、R14a及びR15aは、水素、C1−6アルキル、(CH0−3OR16及び(CH0−3NR1617から独立して選択され、式中、R16及びR17は式(Id)に関して定義したとおりである。好ましくは、R14及びR14aの一方は、水素、C1−6アルキル、(CH0−3OR16または(CH0−3NR1617であり、式中、R16及びR17は式(I)に関して定義したとおりであり、及びR14及びR14aの他方は水素である。より好ましくは、R14及びR14aの一方は、(CH0−3OR16又は(CH0−3NR1617であり、式中、R16及びR17は式(Id)に関して定義したとおりであり、及びR14及びR14aの他方は水素である。最も好ましくは、R14及びR14aの一方は、OR16又はNR1617であり、式中、R16及びR17は式(I)に関して定義したとおりであり、及びR14及びR14aの他方は水素である。
【0028】
14、R15、R14a及びR15aのいずれか1個又はそれ以上が、(CH0−3OR16又は(CH0−3NR1617であるとき、好ましくは、R16及びR17は、水素、C1−6アルキル、(CH0−4NR1819、(CH0−3Het、(CH0−3ヘテロアリール、(CH0−3C(O)(CH0−3NR1819または(CH0−33−8シクロアルキルから独立して選択され、式中、R18及びR19は式(I)に関して定義したとおりである。より好ましくは、R16及びR17は、水素、C1−6アルキル及び(CH1−3NR1819から独立して選択され、式中、R18及びR19は式(I)に関して定義したとおりである。最も好ましくは、R16及びR17は、水素、C1−4アルキル及び(CH1−3NR1819から独立して選択され、式中、R18及びR19は、水素及びC1−6アルキルから独立して選択されるか、又はR18及びR19は、これらが結合している窒素原子と共に、場合により1個以上のO又はS原子及び/又はNH又はNC1−4アルキル基を含んでいてもよい、5又は6個の環原子の複素脂肪環を形成する。特に、R16及びR17は、水素、メチル及び(CHNR1819から独立して選択され、式中、R18及びR19は、メチル及びエチルから独立して選択されるか、又はR18及びR19は、これらが結合している窒素原子と共にピロリジニル環を形成する。適切なR14、R15、R14a及びR15a基の例は、水素、
【0029】
【化15】

を含む。好ましくは、R15及びR15aは、水素及びC1−6アルキルから独立して選択される。より好ましくは、R15及びR15aは、水素及びC1−4アルキルから独立して選択される。最も好ましくは、R15及びR15aは、水素、メチル及びエチルから独立して選択される。特に、R15及びR15aはどちらも水素である。
【0030】
式(I)内又は何らかの置換基内で何らかの可変要素が2回以上発生するとき、各々の発生に関するこの可変要素の定義は、他の全ての発生時におけるこの可変要素の定義とは無関係である。
【0031】
ここで使用する、基として又は基の一部としての「アルキル」又は「アルコキシ」という用語は、この基が直鎖又は分枝であることを意味する。適切なアルキル基の例は、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、s−ブチル及びt−ブチルを含む。適切なアルコキシ基の例は、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、i−プロポキシ、n−ブトキシ、s−ブトキシ及びt−ブトキシを含む。
【0032】
ここで言及するシクロアルキル基は、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル又はシクロヘキシルを表わし得る。適切なシクロアルキルアルキル基は、例えばシクロプロピルメチルであり得る。
【0033】
ここで使用する、基として又は基の一部としての「アルケニル」という用語は、この基が直鎖又は分枝であることを意味する。適切なアルケニル基の例は、ビニル及びアリルを含む。
【0034】
ここで使用する、「ハロゲン」という用語は、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素を意味する。
【0035】
ここで使用する、基として又は基の一部としての「アリール」という用語は、炭素環式芳香環を意味する。適切なアリール基の例は、フェニル及びナフチルを含む。
【0036】
ここで使用する、基として又は基の一部としての「ヘテロアリール」という用語は、N、O及びSから選択される1から4個のヘテロ原子を含む5から10員の複素芳香環系を意味する。このような基の特定例は、ピロリル、フラニル、チエニル、ピリジル、ピラゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、トリアゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、トリアジニル、テトラゾリル、インドリル、ベンゾチエニル、ベンズイミダゾリル及びキノリニルを含む。
【0037】
ここで使用するとき、基として又は基の一部としての「Het」という用語は、N、O及びSから選択される1、2又は3個のヘテロ原子又はS(O)、S(O)、NH又はNC1−4アルキル基を含んでいてもよい、4から7個の原子の複素脂肪環を意味する。
【0038】
化合物又は基を「場合により置換された」と表わす場合は、1個又はそれ以上の置換基が存在し得る。選択的置換基は、直接に又は以下を例とする結合基を通して、様々な方法でこれらが置換する化合物又は基に結合し得る:アミン、アミド、エステル、エーテル、チオエーテル、スルホンアミド、スルファミド、スルホキシド、尿素、チオ尿素及びウレタン。適宜に、選択的置換基はそれ自体もう1つ別の置換基によって置換されていてもよく、後者は、直接に又は上記で例示したような結合基を通して前者に結合する。
【0039】
本発明の範囲内の特定化合物は、以下の実施例及び表の中で名前を挙げるもの及びこれらの医薬的に許容される塩を含む。
【0040】
薬剤における使用のためには、式(I)の化合物の塩は、非毒性の医薬的に許容される塩である。しかしながら、他の塩は、本発明に従った化合物又はこれらの非毒性の医薬的に許容される塩の調製において有用であり得る。本発明の化合物の適切な医薬的に許容される塩は、例えば本発明に従った化合物の溶液を、塩酸、フマル酸、p−トルエンスルホン酸、マレイン酸、コハク酸、酢酸、クエン酸、酒石酸、カルボン酸、リン酸又は硫酸のような医薬的に許容される塩の溶液と混合することによって形成され得る、酸付加塩を含む。アミン基の塩はまた、アミノ窒素原子が、アルキル、アルケニル、アルキニル又はアルアルキル部分のような適切な有機基を担持する、第四級アンモニウム塩を含み得る。さらに、本発明の化合物が酸性部分を担持する場合、この適切な医薬的に許容される塩は、アルカリ金属塩、例えばナトリウム又はカリウム塩、及びアルカリ土類金属塩、例えばカルシウム又はマグネシウム塩のような金属塩を含み得る。
【0041】
塩は、従来の手段によって、例えば、この塩が不溶性である溶媒又は媒質中で、もしくは真空中で又は凍結乾燥によって除去される水のような溶媒中で、遊離塩基形態の生成物を1又はそれ以上の当量の適切な酸と反応させることによって、又は既存の塩の陰イオンを適切なイオン交換樹脂上のもう1つ別の陰イオンに交換することによって形成され得る。
【0042】
本発明は、上記式(I)の化合物のプロドラッグをこの範囲内に含む。一般に、このようなプロドラッグは、インビボで式(I)の必要な化合物に容易に変換し得る、式(I)の化合物の官能性誘導体である。適切なプロドラッグ誘導体の選択及び調製のための慣例的な手順は、例えば「Design of Prodrugs」、H.Bundgaard編集、Elsevier、1985に述べられている。
【0043】
プロドラッグは、活性薬剤を放出するために体内での変換を必要とし、親薬剤分子に比べて改善された送達特性を有する、生物活性物質(「親薬剤」又は「親分子」)の薬理的に不活性な誘導体であり得る。インビボでの変換は、例えばカルボン酸、リン酸又は硫酸エステルの化学的又は酵素的加水分解、もしくは感受性官能基の還元又は酸化のような、何らかの代謝工程の結果としてであり得る。
【0044】
本発明は、式(I)の化合物及びこの塩の溶媒和物、例えば水和物をこの範囲内に含む。
【0045】
本発明はまた、式(I)の化合物のN−オキシドをこの範囲内に含む。
【0046】
本発明はまた、式(I)の化合物の何らかの鏡像異性体、ジアステレオマー、幾何異性体及び互変異性体をこの範囲内に含む。全てのこのような異性体及びこれらの混合物が本発明の範囲内に包含されることは了解されるべきである。
【0047】
本発明はさらに、治療における使用のための式(I)の化合物及び医薬的に許容されるこの塩を提供する。
【0048】
もう1つの態様では、本発明は、ヒト又は動物におけるC型肝炎ウイルスによる感染の治療又は予防のための薬剤の製造のための、上記で定義した式(I)の化合物又は医薬的に許容されるこの塩の使用を提供する。
【0049】
本発明のさらなる態様は、上記で定義した式(I)の化合物又は医薬的に許容されるこの塩を、医薬的に許容される担体と共に含む医薬組成物を提供する。前記組成物は、意図される投与方法に依存して、何らかの適切な形態であり得る。例えば経口投与のための錠剤、カプセル又は液体、もしくは非経口的投与のための溶液又は懸濁液の形態であり得る。
【0050】
医薬組成物はまた、場合により、抗ウイルス薬のようなウイルス感染の治療のための1又はそれ以上の他の作用物質、もしくはα−、β−又はγ−インターフェロンのような免疫調節剤を含む。
【0051】
さらなる態様では、本発明は、上述した医薬組成物又は上記で定義した式(I)の化合物又は医薬的に許容されるこの塩の治療的又は予防的有効量を、C型肝炎に罹患しているヒト又は動物(好ましくは哺乳動物)被験者に投与することを含む、C型肝炎ウイルスポリメラーゼを阻害する及び/又はC型肝炎ウイルスによる疾病を治療する又は予防する方法を提供する。「有効量」は、被験者への利益を生じさせる又は少なくとも被験者の状態の変化を生じさせるのに十分な量を意味する。
【0052】
化合物を投与する用量割合(dosage rate)は、用いる特定化合物の活性、この化合物の代謝安定性及び作用期間の長さ、患者の年齢、体重、全般的健康状態、性別、食事、投与方式及び投与時間、排出速度、薬剤の組合せ、特定状態の重症度及び治療を受ける宿主を含む、様々な因子に依存する。適切な用量レベルは、2から5回又はそれ以上の経口投与で、約0.02から5又は10g/日であり得る。例えば1日1から3回、化合物10から50mg/kg体重の投与が望ましいと考えられる。適切な数値は常套的試験によって選択可能である。化合物は、単独で投与し得るか、もしくは他の治療と組み合わせて同時に又は連続的に投与し得る。例えば当業者に公知の抗ウイルス薬、免疫調節剤、抗感染症薬又はワクチンの有効量と組み合わせて投与し得る。化合物は、経口的、静脈内、経皮的及び皮下的を含む、何らかの適切な経路によって投与し得る。適切な部位に直接又はある種の細胞型のような特定部位を標的するように投与し得る。適切な標的方法は既に公知である。
【0053】
本発明のさらなる態様は、上記で定義した少なくとも1つの式(I)の化合物又は医薬的に許容されるこの塩を、1又はそれ以上の医薬的に許容されるアジュバント、希釈剤又は担体と、及び/又は1又はそれ以上の他の治療的又は予防的に活性な物質と混合することを含む、医薬組成物の調製の方法を提供する。
【0054】
本発明はまた、式(I)の化合物の調製のための方法を提供する。
一般的工程(a)によれば、式(I)の化合物は、式(II):
【0055】
【化16】

[式中、R、R、A及びArは式(I)に関して定義したとおりであり、X’は、環化反応中又は反応後に−CR1415−に変換され、W’は、−CH−であるか又は環化反応中又は反応後に−CH−に変換され、Y’は、環化反応中又は反応後にYに変換され、及びZ’は、Zであるか又は環化反応中又は反応後にZに変換される]
の化合物の分子内閉環によって調製され得る。W’、X’、Y’及びZ’は、付属のスキーム及び実施例で述べる方法又は当業者に公知の方法を用いて、閉環中又は閉環後にそれぞれ−CH−、X、Y及びZに変換することができる、−CH−、X、Y及びZ基の適切な活性化前駆体であり得る。例えばZが結合するとき、W’、X’、Y’及びZ’は、閉環メタセシス反応を得るためにオレフィンであるかオレフィンに変換され得る適切な前駆体である。もしくは、ZがNR10であるとき、X’は、CH−ハロゲン、CH−エステル、CH−アルデヒド、エポキシド又はアジリジン基であり得る。
【0056】
一般的工程(b)によれば、式(I)の化合物は、式(III):
【0057】
【化17】

[式中、R、R、A、Ar、Y及びZは式(I)に関して定義したとおりであり、X’は、−CR1415−であるか又は環化反応中又は反応後に−CR1415−に変換され、及びW’は、環化反応中又は反応後に−CH−に変換される]
の化合物の分子内閉環によって調製され得る。W’及びX’は、付属のスキーム及び実施例で述べる方法又は当業者に公知の方法を用いて閉環中又は閉環後にそれぞれ−CH−及び−CR1415−に変換することができる−CH−及び−CR1415−基の適切な活性化前駆体であり得る。例えばW’はCH−ハロゲンであり得るか又はW’とX’はひとまとまりとしてエポキシド又はアジリジン基であり得る。W’がCH−BrのようなCH−ハロゲンであるとき、反応は、DMFのような適切な溶媒中、水酸化ナトリウムのような塩基の存在下で好都合に実施される。W’とX’がエポキシド基であるとき、反応は、DMFのような適切な溶媒中、水酸化ナトリウムのような塩基の存在下で好都合に実施される。
【0058】
式(II)及び(III)の化合物は、当技術分野で公知であるかもしくは、例えば付属のスキーム及び実施例で述べる方法を用いて当業者に周知の慣例的方法によって又は容易に明白な選択的手順によって調製し得る。
【0059】
適切な手順のさらなる詳細は付属のスキーム及び実施例において述べる。例えば式(I)の化合物は、当技術分野で周知の合成方法を用いて式(I)の他の化合物に変換することができる。
【0060】
一般的合成スキーム
一般に、式(I)の化合物を得るために5つの合成スキームを使用し得る。
【0061】
【化18】

【0062】
2−ブロモインドール中間体(国際公開公報第WO2004/087714号に述べられているように調製した)を、テザーのエレメント−CH−/Xのいずれか又は両方に前駆体官能基W’/X’を導入するためにインドール窒素上で官能基化した。次にPdを介したクロスカップリング法(例えば鈴木、スティル法等)により、前駆体官能基Z’/Y’を担持するC2芳香環をテザーのエレメントZ/Yのいずれか又は両方に導入した。官能基操作とこれに続く閉環により、四環系を得た。続いて、エステルの脱保護により、インドール窒素に結合したC2芳香環を有する、標的インドールカルボン酸を得た。
【0063】
【化19】

【0064】
C2芳香環を、最初に、Pdを介したクロスカップリング法(鈴木、スティル法等)によって導入した。次に、テザーを構築し、最終的に環を閉じるインドール窒素上で環化した。この後、エステルの脱保護により、インドール窒素に結合したC2芳香環を有する、標的インドールカルボン酸を得た。
【0065】
【化20】

【0066】
方法A及びBから生じる縮合四環式中間体に、テザー内の官能基の操作を実施した後、エステルの脱保護によって標的C2結合インドールカルボン酸を得た。
【0067】
【化21】

【0068】
方法A−Cから生じるC2結合インドールカルボン酸を、カルボン酸官能基の操作を通してさらに誘導体化して、カルボン酸置換又はカルボキサミドを担持する化合物を得た。
【0069】
上記の合成連続工程のいずれかの間に、関与する分子のいずれか上の感受性又は反応性基を保護することが必要である及び/又は望ましい場合があり得る。これは、Protective Groups in Organic Chemistry、J.F.W.McOmie編集、Plenum Press、1973;及びT.W.Greene & P.G.M.Wuts、Protective Groups in Organic Synthesis,John Wiley & Sons、第3版、1999に述べられているような、慣例的保護基によって達成し得る。保護基は、当技術分野から公知の方法を用いて好都合なこの後の工程で除去し得る。
【0070】
以下の実施例は本発明を説明するものである。
【0071】
本発明の化合物を、酵素阻害アッセイ(実施例i)及び細胞ベースのサブゲノム複製アッセイ(実施例ii)においてHCV RNA依存性RNAポリメラーゼ(NS5B)に対する阻害活性に関して試験した。化合物は、酵素アッセイでは5μM以下のIC50を有し、いくつかの実施例は、細胞ベースのアッセイにおいて2μM以下のEC50を有する。
【0072】
実施例中の化合物の名称は、ACDLabs(バージョン6.0)からのソフトウエアを用いて作成した。
【0073】
i)インビトロでのHCV NS5B酵素阻害アッセイ
WO96/37619は、前記酵素をコードする組換えバキュロウイルスに感染させた昆虫細胞からの組換えHCV RdRpの生産を述べている。精製酵素は、インビトロでRNAを鋳型として用いるRNAポリメラーゼ活性を有することを示した。この参考文献は、ポリ(A)及びオリゴ(U)をプライマーとして又はヘテロポリマー鋳型として用いる重合アッセイを述べている。トリチウム化UTP又はNTPの取込みは、酸不溶性放射能を測定することによって定量される。このアッセイを、HCV RdRpの阻害剤として上述した様々な化合物をスクリーニングするために使用した。
【0074】
放射性UMPの取込みを以下のように測定した。20mMトリス/HCl pH7.5、5mM MgCl、1mM DTT、50mM NaCl、0.03%N−オクチルグルコシド、1μCi[H]−UTP(40Ci/mmol、NEN)、10μM UTP及び10μg/mlポリ(A)、又は5μM NTP及び5μg/mlへテロポリマー鋳型を含む緩衝液中で標準反応(50μl)を実施した。オリゴ(U)12(1μg/ml、Genset)を、ポリ(A)鋳型に作用する、アッセイにおけるプライマーとして添加した。最終的なNS5B酵素濃度は5nMであった。構築の順序は次の通りであった:1)化合物、2)酵素、3)鋳型/プライマー、4)NTP。22℃で1時間のインキュベーション後、20%TCA 50μlを添加し、試料をDR81フィルターに適用することによって反応を停止させた。フィルターを、1M NaHPO/NaHPOを含む5%TCA、pH7.0で十分に洗い、水、次いでエタノールで洗浄して、空気乾燥し、フィルター結合放射能をシンチレーション計数器で測定した。上述した各々の化合物の様々な濃度の存在下でこの反応を実施し、式:
%残留活性=100/(1+[I]IC50
[式中、[I]は阻害剤濃度であり、及び「s」は阻害曲線の勾配である]
を利用することによってIC50値を決定することができた。
【0075】
ii)細胞ベースのHCV複製アッセイ
サブゲノムHCVレプリコンを安定に維持する細胞クローンを、Lohmannら(1999)によって述べられたI377neo/NS3−3’/wt(EMBL−Genbank番号AJ242652)に同一なRNAレプリコンでHuh−7細胞をトランスフェクトし、次に硫酸ネオマイシン(G418)で選択することによって得た。抗NS3モノクローナル抗体10E5/24を用いて96穴マイクロタイタープレート(CeIl−ELISA)で増殖させた細胞に関して直接実施するELISAアッセイにより、NS3タンパク質の発現を測定することによってウイルス複製を観測した(国際公開公報第WO02/59321号に述べられているように)。細胞を、最終容量0.1mlのDMEM/10%FCS中、10細胞/穴の密度で96穴プレートに接種した。接種の2時間後、3x濃度の阻害剤を含むDMEM/10%FCS 50μlを添加し、細胞を96時間インキュベートして、この後氷冷イソプロパノールで10分間固定した。各々の条件を2回ずつ試験し、平均吸光度値を算定のために使用した。細胞をPBSで2回洗い、PBS+0.1%トリトンX100+0.02%SDS(PBSTS)中5%脱脂粉乳でブロックして、この後乳/PBSTSに希釈した10E5/24mabと共に4℃でo/nインキュベートした。PBSTSで5回洗った後、乳/PBSTSに希釈した、アルカリホスファターゼ(Sigma)に複合したFc特異的抗マウスIgGと共に細胞を室温で3時間インキュベートした。再び上記のように洗浄した後、反応物をp−ニトロフェニルリン酸ニナトリウム基質(Sigma)で展開し、間隔をおいて405/620nmでの吸光度を読み取った。算定のために、我々は、阻害剤なしでインキュベートした試料が1−1.5の間の吸光度値を有する場合のデータセットを使用した。NS3の発現を50%低下させる阻害剤濃度(IC50)を、ヒル方程式:
分画阻害=1−(Ai−b)/(A−b)=[I]/([I]+IC50
[式中、
−Ai=指示されている阻害剤濃度を添加したHBI10細胞の吸光度値
−A=阻害剤なしでインキュベートしたHBI10細胞の吸光度値
−b=同じマイクロタイタープレートに同じ密度でプレートし、阻害剤なしでインキュベートしたHuh−7細胞の吸光度値
−n=ヒル係数]
にデータを適合させることによって算定した。
【0076】
iii)一般的手順
全ての溶媒は、市販のソース(Fluka,puriss.)から入手し、さらなる精製を行わずに使用した。常套的な脱保護及びカップリング工程を除き、反応は、炉で乾燥した(110℃)ガラス器具において窒素雰囲気下で実施した。有機抽出物は硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で操作する回転蒸発器で濃縮した(乾燥剤のろ過後)。フラッシュクロマトグラフィーは、公開されている手順(W.C.Stillら、J.Org.Chem.1978、43、2923)に従ってシリカゲル上で又は前充填カラムを用いる市販のフラッシュクロマトグラフィー系で(Biotage corporation及びJones Flashmaster II)実施した。
【0077】
試薬は、通常は市販の供給者から直接入手した(及び供給された状態で使用した)が、社内コレクションからの限られた数の化合物も利用した。後者の場合、試薬は、学術文献に報告されているか又は当業者に公知の常套的合成工程を用いて容易にアクセスできる。
【0078】
H NMRスペクトルは、300−600MHzの(報告)周波数で操作するBruker AMシリーズの分光計で記録した。非交換プロトン(及び可視である場合は交換プロトン)に対応するシグナルについての化学シフト(δ)をテトラメチルシランに対して百万分の1(ppm)で記録し、残留溶媒ピークを標準として用いて測定する。シグナルを次の順序で表にする:多重度(s、一重項;d、二重項;t、三重項;q、四重項;m、多重項;b、広域、及びこれらの組合せ);ヘルツ(Hz)でのカップリング定数;プロトンの数。質量スペクトル(MS)データは、負(ES)又は陽(ES)イオン化モードで操作する、Perkin Elmer API 100又はWaters MicroMass ZQで得、結果は親イオンだけについての質量電荷比(m/z )として報告する。分取規模のHPLC分離は、Waters 486吸収検出器を備えたWaters Delta Prep 4000分離モジュール又はGilson分取システムで実施した。全ての場合に化合物は、15−40mL/分の流速を用いて、どちらも0.1%TFAを含む水とMeCNの直線勾配で溶出した。
【0079】
以下の略語を実施例、スキーム及び表において使用する:Ac:アセチル;Ar:アリール;cat.:触媒量;ジオキサン:1,4−ジオキサン;dppf:(l,1’−ビスジフェニルホスフィノ)フェロセン;1,2−DCE:1,2−ジクロロエタン;DCM:ジクロロメタン;DIPEA:ジイソプロピルエチルアミン;DMAP:N,N−ジメチルピリジン−4−アミン;DME:ジメトキシエタン;DMF:ジメチルホルムアミド;DMSO:ジメチルスルホキシド;DMP:デス−マーチンペルヨージナン;EDAC.HCl:l−エチル−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩;eq.:当量;EtN:トリエチルアミン;EtOAc:酢酸エチル;EtO:ジエチルエーテル;EtOH:エタノール;h:時;EtSiH:トリエチルシラン;HOAc:酢酸;HATU:O−(7−アザベンゾトリアゾール−l−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロリン酸塩;Me:メチル;MeCN:アセトニトリル;MeOH:メタノール;min:分;MS:質量スペクトル;NBS:N−ブロモスクシンイミド;PE:石油エーテル;Ph:フェニル;quant.:定量的;RP−HPLC:逆相高速液体クロマトグラフィー;RT:室温;sec:秒;SFC:超臨界流体クロマトグラフィー;s.s.:飽和溶液;TBTU:O−ベンゾトリアゾール−1−イル−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムテトラフルオロホウ酸塩;TFA:トリフルオロ酢酸;THF:テトラヒドロフラン;THP:テトラヒドロピラニル;TMS:トリメチルシリル。
【0080】
試薬:Zhan触媒I([1,3−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)−4,5−ジヒドロ−イミダゾール−2−イリデン]−[4−クロロ−1−イソプロポキシ−ベンジリジン]ルテニウム二塩化物:ZannanPharma Ltd.(www.zannanpharma.com)から市販されている);メチル(アミノスルホニル)アセテートは、アミノスルホニル酢酸の関連エステルと同様の方法で調製した:例えばTetrahedron Lett.1989、30(22)、2869;Bull.Soc.Chim.France 1975、3、807。
【実施例1】
【0081】
13−シクロヘキシル−5−(2−ピロリジン−1−イルエトキシ)−6,7−ジヒドロ−5H−インドロ[2,1−α][2]ベンズアゼピン−10−カルボン酸及び13−シクロヘキシル−6−(2−ピロリジン−1−イルエトキシ)−6,7−ジヒドロ−5H−インドロ[2,1−α][2]ベンズアゼピン−10−カルボン酸の調製
工程1:メチル3−シクロヘキシル−2−(2−ビニルフェニル)−1H−インドール−6−カルボキシレート
メチル2−ブロモ−3−シクロヘキシル−1H−インドール−6−カルボキシレート(WO2004/087714に述べられているように調製した)及び(2−ビニルフェニル)ボロン酸(1.5当量)をジオキサンに溶解し(0.07M)、2M NaCO水溶液(6当量)を添加した。アルゴンを通気することによって溶液を脱ガスし、Pd(PPhCl(0.2当量)を添加して、反応混合物を1時間還流した;冷却後、EtOAcを添加し、溶液を水及びブラインで洗って、NaSOで乾燥し、真空中で濃縮した。標題化合物をクロマトグラフィー(PE/EtOAc9:1)によって91%収率で単離した;MS(ES)m/z 360(M+H)
【0082】
工程2:メチル1−アリル−3−シクロヘキシル−2−(2−ビニルフェニル)−1H−インドール−6−カルボキシレート
無水DMF中のメチル3−シクロヘキシル−2−(2−ビニルフェニル)−1H−インドール−6−カルボキシレートの0.3M溶液に、鉱物油中の60%NaH(1.5当量)を0℃で添加し、1時間後に臭化アリル(1.5当量)を添加して、懸濁液を室温で2時間攪拌した。混合物をEtOAcで希釈し、1N HCl、水及びブラインで洗って、NaSOで乾燥し、真空中で濃縮して標題化合物を得た(粗生成物として100%);MS(ES)m/z 400(M+H)
【0083】
工程3:メチル13−シクロヘキシル−7H−インドロ[2,1−α][2]ベンズアゼピン−10−カルボキシレート
粗メチル1−アリル−3−シクロヘキシル−2−(2−ビニルフェニル)−1H−インドール−6−カルボキシレートをDCMに溶解し(0.02M)、35℃で1時間、Zhan触媒I(0.3当量)で処理した。NEt(7当量)を添加し、溶媒を真空中で除去した。残留物をクロマトグラフィー(PE/EtOAc95:5)によって精製して、標題化合物を得た(84%);MS(ES)m/z 372(M+H)
【0084】
工程4:13−シクロヘキシル−5−(2−ピロリジン−1−イルエトキシ)−6,7−ジヒドロ−5H−インドロ[2,1−α][2]ベンズアゼピン−10−カルボン酸及び13−シクロヘキシル−6−(2−ピロリジン−1−イルエトキシ)−6,7−ジヒドロ−5H−インドロ[2,1−α][2]ベンズアゼピン−10−カルボン酸
BH・MeS(1.6当量、THF中2M溶液)を、THF中のメチル13−シクロヘキシル−7H−インドロ[2,1−α][2]ベンズアゼピン−10−カルボキシレートの0.2M溶液に添加し、混合物を室温で2時間攪拌した;NaOHの3M水溶液(3当量)及び35%H(3当量)を0℃で添加し、室温で一晩攪拌を続けた。飽和NaHCO水溶液で希釈した後、水相をEtOAcで抽出し、有機相を水及びブラインで洗って、NaSOで乾燥し、真空中で濃縮して、メチル13−シクロヘキシル−5−ヒドロキシ−6,7−ジヒドロ−5H−インドロ[2,1−α][2]ベンズアゼピン−10−カルボキシレートとメチル13−シクロヘキシル−6−ヒドロキシ−6,7−ジヒドロ−5H−インドロ[2,1−α][2]ベンズアゼピン−10−カルボキシレートの4:1混合物を得た。
【0085】
前記粗生成物をトルエンに溶解し(20ml/mmol)、40%NaOH水溶液(15当量)及び臭化テトラブチルアンモニウム(0.25当量)を添加して、混合物を30分間攪拌した;次に塩酸1−(2−クロロエチル)ピロリジン(3当量)を添加し、生じた混合物を70℃で1日間加熱した;蒸発乾固して残留物を得、RP−HPLCによって2つの位置異性体を単離した(総合全体収率32%)。(条件:カラム:Waters X−TERRA MS C18、10ミクロン、19×150mm;勾配:A:HO+0.1%TFA;B:MeCN+0.1%TFA;3分間75%Aで無勾配、12分間で20%Aへの直線勾配)。
13−シクロヘキシル−5−(2−ピロリジン−1−イルエトキシ)−6,7−ジヒドロ−5H−インドロ[2,1−α][2]ベンズアゼピン−10−カルボン酸(主要):H NMR(400MHz,DMSO,300K)δ1.16−1.51(4H,m),1.58−2.06(12H,m),2.82−2.90(2H,m),3.00−3.21(3H,m),3.45−3.75(5H,m),4.23−4.73(2H,m),7.46−7.64(5H,m),7.83−7.87(1H,m),8.13(1H,s),12.30(1H,bs);MS(ES)m/z 473(M+H)
13−シクロヘキシル−6−(2−ピロリジン−1−イルエトキシ)−6,7−ジヒドロ−5H−インドロ[2,1−α][2]ベンズアゼピン−10−カルボン酸(より少量):H NMR(400MHz,DMSO,330K)δ1.16−1.56(4H,m),1.68−2.26(12H,m),2.80−2.93(1H,m),2.98−3.18(3H,m),3.46−3.68(4H,m),3.78−3.83(1H,m),4.04−4.07(1H,m),4.18−4.37(1H,m),4.75−4.90(1H,m),7.43−7.49(4H,m),7.65(1H,dd,J8.6,1.1),7.88(1H,d,J8.6),8.13−8.22(1H,m),11.44(1H,bs);MS(ES)m/z 473(M+H)
【実施例2】
【0086】
13−シクロヘキシル−5−[[2−(ジメチルアミノ)エチル]−(メチル)アミノ]−6,7−ジヒドロ−5H−インドロ[2,1−α][2]ベンズアゼピン−10−カルボン酸の調製
PBr(0.5当量)を、DCM中の2つの位置異性体、メチル13−シクロヘキシル−5−ヒドロキシ−6,7−ジヒドロ−5H−インドロ[2,1−α][2]ベンズアゼピン−10−カルボキシレートとメチル13−シクロヘキシル−6−ヒドロキシ−6,7−ジヒドロ−5H−インドロ[2,1−α][2]ベンズアゼピン−10−カルボキシレートの混合物(実施例1、工程4で述べたように調製した)の0.2M溶液に0℃で添加し、この混合物を室温で2時間攪拌した。反応混合物をEtOAcで希釈し、水及びブラインで洗って、NaSOで乾燥し、真空中で濃縮して、メチル5−ブロモ−13−シクロヘキシル−6,7−ジヒドロ−5H−インドロ[2,1−α][2]ベンズアゼピン−10−カルボキシレートとメチル6−ブロモ−13−シクロヘキシル−6,7−ジヒドロ−5H−インドロ[2,1−α][2]ベンズアゼピン−10−カルボキシレートの混合物を得、これをMeCNに溶解して、55℃で3時間、N,N,N’−トリメチルエタン−1,2−ジアミン(8当量)で処理した;真空中で蒸発乾固して、粗メチル13−シクロヘキシル−5−[メチル(2−ピロリジン−1−イルエチル)アミノ]−6,7−ジヒドロ−5H−インドロ[2,1−α][2]ベンズアゼピン−10−カルボキシレートを、未反応のメチル6−ブロモ−13−シクロヘキシル−6,7−ジヒドロ−5H−インドロ[2,1−α][2]ベンズアゼピン−10−カルボキシレートと共に得た。メチルエステルの前記混合物の加水分解を、60℃でジオキサン(0.1M)中の1M KOH水溶液(6当量)によって実施した;反応は2時間で完了し、RP−HPLC精製及び凍結乾燥(条件:カラム:Waters X−TERRA MS C18、10ミクロン、19×150mm;流速:20ml/分;勾配:A:HO+0.1%TFA;B:MeCN+0.1%TFA;3分間75%Aで無勾配、12分間で20%Aへの直線勾配)後に標題化合物を49%収率で得た。
【0087】
H NMR(400MHz,DMSO,300K)δ1.15−1.78(6H,m),1.82−2.09(5H,m),2.19−2.30(3H,m),2.55−2.7(2H,m),2.78(6H,s),2.80−2.96(1H,m),3.13−3.40(4H,m),4.60−4.66(1H,m),7.40(1H,d,J7.2),7.47−7.56(2H,m),7.62(1H,d,J8.3),7.75(1H,d,J7.2),7.87(1H,d,J8.3),8.14(1H,s);MS(ES)m/z 460(M+H)
【実施例3】
【0088】
13−シクロヘキシル−5−[(2−ピロリジン−1−イルエチル)アミノ]−6,7−ジヒドロ−5H−インドロ[2,1−α][2]ベンズアゼピン−10−カルボン酸の調製
MeCN中の5−ブロモ−13−シクロヘキシル−6,7−ジヒドロ−5H−インドロ[2,1−α][2]ベンズアゼピン−10−カルボキシレート(実施例2におけるように調製した)の0.03M溶液を、55℃で4時間、(2−ピロリジン−1−イルエチル)アミン(5当量)で処理した;真空中で蒸発乾固して、粗メチル13−シクロヘキシル−5−[(2−ピロリジン−1−イルエチル)アミノ]−6,7−ジヒドロ−5H−インドロ[2,1−α][2]ベンズアゼピン−10−カルボキシレートを得た。前記メチルエステルの加水分解を、60℃でジオキサン(0.1M)中の1M KOH水溶液(6当量)によって実施した;反応は2時間で完了し、RP−HPLC精製及び凍結乾燥(条件:カラム:Waters X−TERRA MS C18、10ミクロン、19×150mm;勾配:A:HO+0.1%TFA;B:MeCN+0.1%TFA;3分間75%Aで無勾配、12分間で20%Aへの直線勾配)後に標題化合物を24%収率で得た。
【0089】
H NMR(400MHz,DMSO,300K)δ1.15−1.77(7H,m),1.90−2.17(10H,m),2.78−2.91(2H,m),3.40−3.59(7H,m),4.11−4.16(1H,m),4.75−4.81(1H,m),7.51−7.66(5H,m),7.92(1H,d,J8.5),8.20(1H,s);MS(ES)m/z 472(M+H)
【実施例4】
【0090】
13−シクロヘキシル−5−[メチル(2−ピロリジン−1−イルエチル)アミノ]−6,7−ジヒドロ−5H−インドロ[2,1−α][2]ベンズアゼピン−10−カルボン酸の調製
メチル13−シクロヘキシル−5−[(2−ピロリジン−1−イルエチル)アミノ]−6,7−ジヒドロ−5H−インドロ[2,1−α][2]ベンズアゼピン−10−カルボキシレート(実施例3におけるように調製した)をDCMに溶解し、AcOHでpHを6に調整した;37%HCHO水溶液及び30分後にNaCNBH(3当量)を添加し、混合物を室温で一晩攪拌した。反応混合物をEtOAcで希釈し、1N NaOH及びブラインで洗って、乾燥し、蒸発させて、メチル13−シクロヘキシル−5−[メチル(2−ピロリジン−1−イルエチル)アミノ]−6,7−ジヒドロ−5H−インドロ[2,1−α][2]ベンズアゼピン−10−カルボキシレートを得た。前記メチルエステルの加水分解を、60℃でジオキサン(0.1M)中の1M KOH水溶液(6当量)によって実施した;反応は2時間で完了し、RP−HPLC精製及び凍結乾燥(条件:カラム:Waters X−TERRA MS C18、10ミクロン、19×150mm;勾配:A:HO+0.1%TFA;B:MeCN+0.1%TFA;3分間75%Aで無勾配、12分間で20%Aへの直線勾配)後に標題化合物を29%収率で得た。
【0091】
H NMR(400MHz,DMSO,300K)δ1.16−1.77(8H,m),1.80−2.11(8H,m),2.19−2.31(2H,m),2.61−2.87(5H,m),2.98−3.41(7H,m),4.54−4.66(1H,m),7.42(1H,d,J8.1),7.47−7.54(2H,m),7.63(1H,d,J8.3),7.69−7.75(1H,m),7.86(1H,d,J8.3),8.12(1H,s);MS(ES)m/z 486(M+H)
【実施例5】
【0092】
13−シクロヘキシル−6−{[2−(ジメチルアミノ)エチル]アミノ}−6,7−ジヒドロ−5H−インドロ[2,1−α][2]ベンズアゼピン−10−カルボン酸の調製
工程1:メチル13−シクロヘキシル−5,6−ジヒドロキシ−6,7−ジヒドロ−5H−インドール[2,1−α][2]ベンズアゼピン−10−カルボキシレート
アセトン/THF/HO(1/1/1)中のメチル13−シクロヘキシル−7H−インドロ[2,1−α][2]ベンズアゼピン−10−カルボキシレート(実施例1、工程3におけるように調製した)の溶液(0.11M)を、N−メチルモルホリン−N−オキシド(1.2当量)、次いでOsO(HO中4重量%)(0.1当量)で処理し、室温で攪拌しながら一晩放置した。この後、透明な溶液を10重量%のNaSOで処理し、30分間攪拌して、HOで希釈し、EtOAcで抽出した。有機相をブラインで洗い、NaSOで乾燥して、真空中で蒸発させ、清浄標題化合物をクリーム状固体として得た;MS(ES)m/z 406(M+H)
【0093】
工程2:メチル10−シクロヘキシル−2−オキソ−3a,14b−ジヒドロ−4H−[1,3]ジオキソロ[4,5−d]インドロ[2,1−α][2]ベンズアゼピン−7−カルボキシレート
DCM中のメチル13−シクロヘキシル−5,6−ジヒドロキシ−6,7−ジヒドロ−5H−インドール[2,1−α][2]ベンズアゼピン−10−カルボキシレートの溶液(0.05M)をEtN(4当量)で処理し、−50℃に冷却した。トリホスゲン(0.4当量)を添加し、溶液を放置して30分間で室温に温めた。室温で2時間後、飽和NaHCO水溶液を添加し、溶液をEtOAcで抽出した。有機相をHO、ブラインで洗い、乾燥して(NaSO)、真空中で蒸発させ、清浄標題化合物を得た;MS(ES)m/z 432.3(M+H)
【0094】
工程3:メチル13−シクロヘキシル−6−ヒドロキシ−6,7−ジヒドロ−5H−インドロ[2,1−α][2]ベンズアゼピン−10−カルボキシレート
アセトン/MeOH(3/1)中のメチル10−シクロヘキシル−2−オキソ−3a,14b−ジヒドロ−4H−[1,3]ジオキソロ[4,5−d]インドロ[2,1−α][2]ベンズアゼピン−7−カルボキシレートの溶液(0.02M)をラネーニッケル(水中のスラリー)で処理し、強く攪拌した反応混合物を1気圧Hで水素化した。48時間後、固体をろ過し、ろ液を真空中で蒸発させて清浄標題化合物を得た;MS(ES)m/z 390.3(M+H)
【0095】
工程4:13−シクロヘキシル−6−{[2−(ジメチルアミノ)エチル]アミノ}−6,7−ジヒドロ−5H−インドロ[2,1−α][2]ベンズアゼピン−10−カルボン酸
DCM中のメチル13−シクロヘキシル−6−ヒドロキシ−6,7−ジヒドロ−5H−インドロ[2,1−α][2]ベンズアゼピン−10−カルボキシレートの溶液(0.05M)を0℃でDMP(1.3当量)によって処理し、放置して室温に温め、この後窒素下で2時間攪拌した。次に溶液をEtOAcで希釈し、飽和NaHCO、水、ブラインで洗って、NaSOで乾燥し、真空中で蒸発させて、メチル13−シクロヘキシル−6−オキソ−6,7−ジヒドロ−5H−インドロ[2,1−α][2]ベンズアゼピン−10−カルボキシレートを得た。粗物質を1,2−DCE(0.05M)中に溶解し、2−ジメチルアミノ−エチルアミンを添加して、AcOHでpHを6に調整し、溶液を30分間攪拌しながら放置した。NaBH(OAc)を添加し、溶液を室温で攪拌しながら一晩放置した。EtOAcで希釈した後、有機相をNaOH(1N)、水、ブラインで洗って、NaSOで乾燥し、真空中で蒸発させて、メチル13−シクロヘキシル−6−{[2−(ジメチルアミノ)エチル]アミノ}−6,7−ジヒドロ−5H−インドロ[2,1−α][2]ベンズアゼピン−10−カルボキシレートを得た。前記メチルエステルの加水分解を、60℃でジオキサン(0.1M)中の1M KOH水溶液(6当量)によって実施した;反応は2時間で完了し、RP−HPLC精製及び凍結乾燥(条件:カラム:Waters X−TERRA MS C18、10ミクロン、19×150mm;勾配:A:HO+0.1%TFA;B:MeCN+0.1%TFA;3分間75%Aで無勾配、12分間で20%Aへの直線勾配)後に標題化合物を31%収率で得た。
【0096】
H NMR(400MHz,DMSO,300K)δ1.16−1.59(4H,m),1.61−2.12(6H,m),2.74−2−98(8H,m),3.12−3.43(7H,m),4.69−4.73(1H,m),7.49−7.58(4H,m),7.67−7.73(1H,m),7.90−7.93(1H,m),8.24(1H,bs);MS(ES)m/z 446.4(M+H)
【実施例6】
【0097】
13−シクロヘキシル−6−{[2−(ジメチルアミノ)エチル][(メチル)アミノ]}−6,7−ジヒドロ−5H−インドロ[2,1−α][2]ベンズアゼピン−10−カルボン酸の調製
メチル13−シクロヘキシル−6−{[2−(ジメチルアミノ)エチル]アミノ}−6,7−ジヒドロ−5H−インドロ[2,1−α][2]ベンズアゼピン−10−カルボキシレート(実施例5、工程4におけるように調製した)をDCMに溶解し(0.07M)、AcOHでpHを6に調整した;37%HCHO水溶液及び30分後にNaCNBH(3当量)を添加し、混合物を室温で一晩攪拌した。反応混合物をEtOAcで希釈し、1N NaOH及びブラインで洗って、乾燥し、蒸発させて、メチル13−シクロヘキシル−6−{[2−(ジメチルアミノ)エチル][(メチル)アミノ]}−6,7−ジヒドロ−5H−インドロ[2,1−α][2]ベンズアゼピン−10−カルボキシレートを得た。前記メチルエステルの加水分解を、60℃でジオキサン(0.1M)中の1M KOH水溶液(6当量)によって実施した;反応は2時間で完了し、RP−HPLC精製及び凍結乾燥(条件:カラム:Waters X−TERRA MS C18、10ミクロン、19×150mm;勾配:A:HO+0.1%TFA;B:MeCN+0.1%TFA;3分間75%Aで無勾配、12分間で20%Aへの直線勾配)後に標題化合物を20%収率で得た。
【0098】
H NMR(400MHz,DMSO,300K)δ1.16−1.59(4H,m),1.61−2.12(6H,m),2.74−2−98(11H,m),3.18−3.30(1H,m),3.50−3.69(4H,m),3.91−3.99(1H,m),4.21−4.30(1H,m),4.89−5.01(1H,m),7.39−7.58(4H,m),7.64−7.71(1H,m),7.92−7.99(1H,m),8.23−8.32(1H,bs);MS(ES)m/z 460.5(M+H)
【実施例7】
【0099】
12−シクロヘキシル−4−(2−ピロリジン−1−イルエトキシ)−5,6−ジヒドロ−4H−チエノ[2’,3’:3,4]アゼピノ[1,2−a]インドール−9−カルボン酸及び12−シクロヘキシル−5−(2−ピロリジン−1−イルエトキシ)−5,6−ジヒドロ−4H−チエノ[2’,3’:3,4]アゼピノ[1,2−a]インドール−9−カルボン酸の調製
工程1:メチル3−シクロヘキシル−2−(3−ホルミル−2−チエニル)−1H−インドール−6−カルボキシレート
メチル2−ブロモ−3−シクロヘキシル−1H−インドール−6−カルボキシレート(国際公開公報第WO2004/087714号に述べられているように調製した)、(3−ホルミル−2−チエニル)ボロン酸(1.2当量)、噴霧乾燥したKF(5当量)及びPd(tBuP)(0.2当量)をジオキサンに溶解した(0.15M);反応混合物をN下に室温で4時間攪拌し、さらなるKF、ボロン酸及び触媒を添加して、一晩攪拌を続けた。全ての揮発性物質を真空中で蒸発させ、フラッシュクロマトグラフィー(PE/EtOAc8:2)によって標題化合物を単離した。収率99%;MS(ES)m/z 368(M+H)
【0100】
工程2:メチル3−シクロヘキシル−2−(3−ビニル−2−チエニル)−1H−インドール−6−カルボキシレート
テッベ試薬(トルエン中0.5M)を、0℃で無水THF中のメチル3−シクロヘキシル−2−(3−ホルミル−2−チエニル)−1H−インドール−6−カルボキシレートの0.2M溶液に滴下した;30分後、混合物をEtOで希釈し、0.1M NaOH水溶液でクエンチングした。5分後、NaSO及びセライト(商標)を添加し、混合物をろ過した;ろ液を真空中で濃縮し、残留物をフラッシュクロマトグラフィー(PE/EtOAc10:1)によって精製した。収率34%;MS(ES)m/z 366(M+H)
【0101】
工程3:メチル1−アリル−3−シクロヘキシル−2−(3−ビニル−2−チエニル)−1H−インドール−6−カルボキシレート
無水DMF中のメチル3−シクロヘキシル−2−(3−ビニル−2−チエニル)−1H−インドール−6−カルボキシレートの0.1M溶液に、鉱物油中の60%NaH(1.2当量)を添加した;ガスの発生が止まったとき、臭化アリル(1.4当量)を添加し、この懸濁液を室温で30分間攪拌した。全ての揮発性物質を蒸発させ、フラッシュクロマトグラフィー(PE/EtOAc10:1)によって標題化合物を単離した。収率77%。
【0102】
H NMR(400MHz,CDCl,300K)δ1.28−1.90(m,10H),2.60−2.69(m,1H),3.97(s,3H),4.52(d,J16.6,1H),4.63(d,J16.6,1H),4.89(d,J17.2,1H),5.08(d,J10.1,1H),5.19(d,J11.1,1H),5.59(d,J17.4,1H),5.76−5.84(m,1H),6.35(dd,J17.4,11.1,1H),7.39−7.46(m,2H),7.80(d,J8.6,1H),7.84(d,J8.6,1H),8.08(s,1H)。
【0103】
工程4:メチル12−シクロヘキシル−6H−チエノ[2’,3’:3,4]アゼピノ[1,2−a]インドール−9−カルボキシレート
メチル1−アリル−3−シクロヘキシル−2−(3−ビニル−2−チエニル)−1H−インドール−6−カルボキシレートをDCMに溶解し(0.03M)、35℃で2時間、Zhan触媒I(基質100m当り5mg)で処理した。溶媒の除去後、残留物をフラッシュクロマトグラフィー(PE/EtOAc12:1)によって精製し、標題化合物を得た(90%);MS(ES)m/z 378(M+H)
【0104】
工程5:12−シクロヘキシル−4−(2−ピロリジン−1−イルエトキシ)−5,6−ジヒドロ−4H−チエノ[2’,3’:3,4]アゼピノ[1,2−a]インドール−9−カルボン酸及び12−シクロヘキシル−5−(2−ピロリジン−1−イルエトキシ)−5,6−ジヒドロ−4H−チエノ[2’,3’:3,4]アゼピノ[1,2−a]インドール−9−カルボン酸
BH・MeS(1.6当量、THF中2M溶液)を、無水THF中のメチル12−シクロヘキシル−6H−チエノ[2’,3’:3,4]アゼピノ[1,2−a]インドール−9−カルボキシレートの0.1M溶液に添加し、混合物を室温で3時間攪拌した;3M NaOH水溶液(3当量)及び35%H(3.5当量)を0℃で添加し、室温で2時間攪拌を続けた。EtOAcで希釈した後、混合物を飽和NaHCO水溶液とブラインで抽出た。有機相をNaSOで乾燥し、真空中で濃縮して、メチル12−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−5,6−ジヒドロ−4H−チエノ[2’,3’:3,4]アゼピノ[1,2−a]インドール−9−カルボキシレートとメチル12−シクロヘキシル−5−ヒドロキシ−5,6−ジヒドロ−4H−チエノ[2’,3’:3,4]アゼピノ[1,2−a]インドール−9−カルボキシレートの4:1混合物を得た。この粗混合物をトルエンに溶解し(0.07M)、臭化テトラブチルアンモニウム(0.25当量)及び40%NaOH水溶液(15当量)を添加して、混合物を70℃に温めた。この温度で30分間攪拌した後、塩酸1−(2−クロロエチル)ピロリジン(3当量)を添加し、加熱を70℃で2日間続けた。全ての揮発性物質を真空中で蒸発させ、生成物をRP−HPLCによって単離した(総合全体収率27%)。(条件:カラム:Waters X−TERRA MS C18、7μm、19×150mm;勾配:A:HO+0.1%TFA;B:MeCN+0.1%TFA;15分間で99%Aから1%A)。
【0105】
12−シクロヘキシル−4−(2−ピロリジン−1−イルエトキシ)−5,6−ジヒドロ−4H−チエノ[2’,3’:3,4]アゼピノ[1,2−a]インドール−9−カルボン酸(主要):H NMR(400MHz,DMSO,300K)δ1.35−1.43(m,3H),1.59−1.85(m,9H),1.97−2.05(m,2H),2.25−2.32(m,1H),2.60−2.68(m,1H),2.79−2.90(m,2H),3.17−3.26(m,4H),3.30−3.36(m,1H),3.51−3.64(m,2H),4.09−4.22(m,2H),4.75(t,J6.14,1H),7.31(d,J5.26,1H),7.60(dd,J8.55,1H),7.77(d,J5.26,1H),7.85(d,J8.55,1H),8.14(s,1H),9.44(s,1H);MS(ES)m/z 479.4(M+H)
12−シクロヘキシル−5−(2−ピロリジン−1−イルエトキシ)−5,6−ジヒドロ−4H−チエノ[2’,3’:3,4]アゼピノ[1,2−a]インドール−9−カルボン酸(より少量):H NMR(400MHz,DMSO,330K)δ1.27−1.38(m,3H),1.69−2.32(m,11H),2.57−2−62(m,1H),3.03−3.18(m,4H),3.38−3.56(m,4H),3.85−3.90(m,1H),3.94−4.00(m,1H),4.03−4.08(m,1H),4.31−4.35(m,2H),7.20(d,J5.04,1H),7.63(dd,J8.55,1H),7.70(d,J5.05,1H),7.86(d,J8.55,1H),8.16(s,1H),9.53(s,1H);MS(ES)m/z 479.4(M+H)
【実施例8】
【0106】
14−シクロヘキシル−5−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−6−オキソ−5,6,7,8−テトラヒドロインドロ[1,2−e][1,5]ベンゾジアゾシン−11−カルボン酸
工程1:3−[2−ブロモ−3−シクロヘキシル−6−(メトキシカルボニル)−1H−インドール−1−イル]プロパン酸
NaH(鉱物油中60%分散)3.5当量を、DMF中のメチル2−ブロモ−3−シクロヘキシル−1H−インドール−6−カルボキシレート(市販のメチルインドール−6−カルボキシレートから、国際公開公報第WO2004/087714号に述べられているように調製した)の溶液(0.2M)に添加し、この溶液を室温で1時間攪拌した。次に3−ブロモプロパン酸1.1当量を添加し、混合物を室温で2時間攪拌した。DMFを真空中で濃縮し、残留物をEtOAc中に取った。有機相を1N HCl、次にブラインで洗った後、NaSOで乾燥し、ろ過して、溶媒を真空中で蒸発させた。標題化合物を粗生成物のまま次の工程で使用した;MS(ES)m/z 408(M+H),m/z 410(M+H)
【0107】
工程2:メチル2−ブロモ−3−シクロヘキシル−1−(3−メトキシ−3−オキソプロピル)−1H−インドール−6−カルボキシレート
(トリメチルシリル)ジアゾメタン(ヘキサン中2M溶液)1.6当量を、トルエン:MeOH混合物(7:3;0.2M)中の3−[2−ブロモ−3−シクロヘキシル−6−(メトキシカルボニル)−1H−インドール−1−イル]プロパン酸の溶液に滴下し、溶液を室温で1時間攪拌した。過剰の(トリメチルシリル)ジアゾメタンを酢酸でクエンチングし、この後溶液を真空中で濃縮した。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(BiotageカートリッジSi40S、1:9EtOAc/PE)によって精製して、標題化合物を63%の収率で得た(2工程で);MS(ES)m/z 422,(M+H),m/z 424(M+H)
【0108】
工程3:メチル2−{2−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]フェニル}−3−シクロヘキシル−1−(3−メトキシ−3−オキソプロピル)−1H−インドール−6−カルボキシレート
ジオキサン中のメチル2−ブロモ−3−シクロヘキシル−1−(3−メトキシ−3−オキソプロピル)−1H−インドール−6−カルボキシレートの溶液(0.15M)に、NaCO(4当量、2M水溶液)、tert−ブチル[2−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル]カルバメート(1.5当量)及びビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)二塩化物(0.2当量)を添加した。混合物を還流で45分間加熱した。反応混合物をろ過し、ろ液をEtOAcで希釈した。有機相をHO、ブラインで洗い、NaSOで乾燥した後、ろ過し、真空中で濃縮した。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(BiotageカートリッジSi65i、1:9EtOAc/PE)によって精製して、標題化合物を白色固体として得た(60%);MS(ES)m/z 535(M+H)
【0109】
工程4:3−[2−{2−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]フェニル}−3−シクロヘキシル−6−(メトキシカルボニル)−1H−インドール−1−イル]プロパン酸
水酸化リチウム一水和物1.1当量を、THF:HO混合物(4:1、0.1M)中のメチル2−{2−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]フェニル}−3−シクロヘキシル−1−(3−メトキシ−3−オキソプロピル)−1H−インドール−6−カルボキシレートの溶液に添加した。混合物を室温で1時間半攪拌した。1N HClで反応を停止し、溶媒を真空中で蒸発させた。残留物を最小量のEtOで洗い、生じた沈殿物をろ過して、標題化合物を白色固体として得た(81%);MS(ES)m/z 521(M+H)
【0110】
工程5: 3−[2−(2−アミノフェニル)−3−シクロヘキシル−6−(メトキシカルボニル)−1H−インドール−1−イル]プロパン酸
DCM中の3−[2−{2−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]フェニル}−3−シクロヘキシル−6−(メトキシカルボニル)−1H−インドール−1−イル]プロパン酸の溶液(0.05M)に大過剰(>100当量)のTFAを添加し、溶液を室温で1時間攪拌した。揮発性物質を真空中で除去して標題化合物を得た(定量的);MS(ES)m/z 421(M+H)
【0111】
工程6:メチル14−シクロヘキシル−6−オキソ−5,6,7,8−テトラヒドロインドロ[1,2−e][1,5]ベンゾジアゾシン−11−カルボキシレート
DCM中の3−[2−(2−アミノフェニル)−3−シクロヘキシル−6−(メトキシカルボニル)−1H−インドール−1−イル]プロパン酸の溶液(0.01M)に、DIPEA3.5当量及びHATU1.2当量を添加し、混合物を室温で15分間攪拌した。DCMを真空空で除去し、残留物をアセトン中に取って、1N HClをpH=2まで添加した。生じた沈殿物をろ過し、乾燥して、生成物を75%収率で得た;MS(ES)m/z 403(M+H)
【0112】
工程7:メチル14−シクロヘキシル−5−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−6−オキソ−5,6,7,8−テトラヒドロインドロ[1,2−e][1,5]ベンゾジアゾシン−11−カルボキシレート
NaH(1.4当量、鉱物油中60%分散)を、DMF中のメチル14−シクロヘキシル−6−オキソ−5,6,7,8−テトラヒドロインドロ[1,2−e][1,5]ベンゾジアゾシン−11−カルボキシレートの溶液(0.1M)に添加し、この溶液を室温で1時間攪拌した。一方で、DMF中の塩酸(2−クロロエチル)ジメチルアミンとNaH(鉱物油中60%分散)の1:1等モル混合物(0.5M)を調製した。30分後、この混合物((2−クロロエチル)ジメチルアミン2.5当量)をインドールアニオンの溶液に緩やかに添加し、混合物を室温で一晩攪拌した。DMFを真空中で除去し、残留物をEtOAc中に取った。有機相をHO(2回)、次いでブラインで洗った後、NaSOで乾燥し、ろ過して、溶媒を真空中で蒸発させた。粗化合物を、さらなる精製を行わずに次の工程で使用した;MS(ES)m/z 474(M+H)
【0113】
工程8:14−シクロヘキシル−5−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−6−オキソ−5,6,7,8−テトラヒドロインドロ[1,2−e][1,5]ベンゾジアゾシン−11−カルボン酸
DCM中のメチル14−シクロヘキシル−5−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−6−オキソ−5,6,7,8−テトラヒドロインドロ[1,2−e][1,5]ベンゾジアゾシン−11−カルボキシレートの溶液(0.1M)に、BBr(DCM中1M溶液)7当量を添加した。溶液を室温で20分間攪拌した。揮発性物質を真空中で蒸発させた。次に粗生成物を分取RP−HPLC(定常相:Waters XTERRA prep.C18カラム、5μm、19×150mm。移動相:0.1%TFAで緩衝したMeCN/HO)によって精製した。純粋な化合物を含む分画を併合し、凍結乾燥して、標題化合物を得た(2工程で40%)。
【0114】
H NMR(400MHz,DMSO−d,300K)δ1.10−1.35(m,3H),1.50−1.60(m,1H),1.60−1.75(m,2H),1.80−2.00(m,4H),2.40−2.45(m,DMSOピークによって部分的に覆い隠された1H),2.70(s,6H),2.72−2.80(m,2H),2.90−3.15(m,2H),3.20−3.40(m,HOピークによって覆い隠された1H),3.61−3.75(m,1H),3.80−3.90(m,1H),4.75−4.85(m,1H),7.53−7.58(m,1H),7.60−7.68(m,3H),7.69−7.75(m,1H),7.86(d,J8.4,1H),8.14(s,1H),9.27(brs,1H);MS(ES)m/z 460(M+H)
【実施例9】
【0115】
14−シクロヘキシル−5−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−5,6,7,8−テトラヒドロインドロ[1,2−e][1,5]ベンゾジアゾシン−11−カルボン酸
THF中のメチル14−シクロヘキシル−5−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−6−オキソ−5,6,7,8−テトラヒドロインドロ[1,2−e][1,5]ベンゾジアゾシン−11−カルボキシレート(実施例8、工程7で述べたように調製した)の溶液(0.1M)に、BH・MeS(20当量、THF中2M溶液)を添加した。溶液を室温で一晩攪拌した。MeOHを混合物に慎重に添加して反応を停止し、次いで過剰の1N NaOH(>10当量)を添加した。混合物を60℃で12時間加熱した。溶媒を真空中で蒸発させた。次に粗生成物を分取RP−HPLC(定常相:Waters XTERRA prep.C18カラム、5μm、19×100mm。移動相:0.1%TFAで緩衝したMeCN/HO)によって精製した。純粋な化合物を含む分画を併合し、凍結乾燥して、標題化合物を得た(3工程で24%)。
【0116】
H NMR(300MHz,DMSO−d+TFA,300K)δ1.15−1.40(m,3H),1.50−1.58(m,1H),1.60−1.75(m,3H),1.80−2.00(m,5H),2.55−2.65(m,1H),2.74(s,3H),2.78(s,3H),2.90−3.10(m,2H),3.10−3.30(m,4H),3.55−3.65(m,1H),4.50−4.65(m,1H),6.95−7.01(m,1H),7.10−7.20(m,2H),7.35−7.45(m,1H),7.64(d,J8.2,1H),7.84(d,J8.2,1H),8.09(s,1H);MS(ES)m/z 446(M+H)
【実施例10】
【0117】
14−シクロヘキシル−5−メチル−5,6,7,8−テトラヒドロインドロ[1,2−e][1,5]ベンゾジアゾシン−11−カルボン酸
工程1:メチル14−シクロヘキシル−5,6,7,8−テトラヒドロインドロ[1,2−e][1,5]ベンゾジアゾシン−11−カルボキシレート
THF中のメチル14−シクロヘキシル−6−オキソ−5,6,7,8−テトラヒドロインドロ[1,2−e][1,5]ベンゾジアゾシン−11−カルボキシレート(実施例8、工程6で述べたように調製した)の溶液(0.15M)に、BH・MeS(THF中2M溶液)20当量を添加し、混合物を室温で6時間攪拌した。泡立ちが静まるまでMeOHを添加することによって溶液を慎重にクエンチングした。次に揮発性物質を真空中で蒸発させた。粗残留物を直接次の工程で使用した;MS(ES)m/z 389(M+H)
【0118】
工程2:メチル14−シクロヘキシル−5−メチル−5,6,7,8−テトラヒドロインドロ[1,2−e][1,5]ベンゾジアゾシン−11−カルボキシレート
DCE中のメチル14−シクロヘキシル−5,6,7,8−テトラヒドロインドロ[1,2−e][1,5]ベンゾジアゾシン−11−カルボキシレートの溶液(0.05M)に、ホルムアルデヒド(HO中37重量%溶液)1当量及びNaBH(OAc)2当量を添加し、溶液を室温で1時間攪拌した。反応混合物をEtOAcで希釈した。有機相をNaHCO(飽和水溶液)及びブラインで洗った。有機相をNaSOで乾燥し、ろ過して、真空中で濃縮した。標題化合物を直接次の工程で使用した;MS(ES)m/z 403(M+H)
【0119】
工程3:14−シクロヘキシル−5−メチル−5,6,7,8−テトラヒドロインドロ[1,2−e][1,5]ベンゾジアゾシン−11−カルボン酸
DCM中のメチル14−シクロヘキシル−5−メチル−5,6,7,8−テトラヒドロインドロ[1,2−e][1,5]ベンゾジアゾシン−11−カルボキシレートの溶液(0.1M)に、BBr(DCM中1M溶液)5当量を添加した。溶液を室温で20分間攪拌した。溶媒を真空中で蒸発させた。次に粗生成物を自動分取RP−HPLC(定常相:Waters XTERRA prep.C18カラム、5μm、19×100mm。移動相:0.1%TFAで緩衝したMeCN/HO)によって精製した。純粋な化合物を含む分画を併合し、凍結乾燥して、標題化合物を得た(2工程で60%)。
【0120】
H NMR(400MHz,DMSO−d+TFA,300K)δ1.10−1.60(m,5H),1.60−1.80(m,2H),1.80−2.10(m,5H),2.65−2.75(m,2H),2.85−2.95(m,1H),2.98(s,3H),3.55−3.68(m,1H),4.55−4.65(m,1H),6.65−6.75(m,1H),6.84(d,J8.4,1H),7.03(d,J7.6,1H),7.27−7.32(m,1H),7.63(d,J8.4,1H),7.81(d,J8.4,1H),8.08(s,1H),MS(ES)m/z 389(M+H)
【実施例11】
【0121】
14−シクロヘキシル−7−(ジメチルアミノ)−5−メチル−5,6,7,8−テトラヒドロインドロ[1,2−e][1,5]ベンゾジアゾシン−11−カルボン酸
工程1:メチル2−[ビス(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]アクリレート
MeCN中のメチルN−(tert−ブトキシカルボニル)セリネートの溶液(0.9M)に、ジ−tert−ブチルジカルボネート2.5当量及びDMAP0.1当量を添加した。溶液を室温で48時間攪拌した後、飽和NaHCO水溶液でクエンチングし、EtOAcで抽出した(2回)。混合有機相を飽和NHCl水溶液及びブラインで洗った後、NaSOで乾燥し、ろ過して、真空中で濃縮し、標題化合物をクリーム状固体として得た(定量的);MS(ES)m/z 324(M+Na)
【0122】
工程2:メチル1−{2−[ビス(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−3−メトキシ−3−オキソプロピル}−2−ブロモ−3−シクロヘキシル−1H−インドール−6−カルボキシレート
MeCN中のメチル2−ブロモ−3−シクロヘキシル−1H−インドール−6−カルボキシレート(市販のメチルインドール−6−カルボキシレートから、WO2004/087714に述べられているように調製した)の溶液(0.08M)に、KCO6当量及びメチル2−[ビス(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]アクリレート1.2等量を添加した。混合物を室温で16時間攪拌した後、ろ過し、真空中で濃縮して、標題化合物を粘性油として得、これを放置して固化した(定量的);MS(ES)m/z 659(M+Na),661(M+Na)
【0123】
工程3:メチル2−ブロモ−1−{2−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−3−メトキシ−3−オキソプロピル}−3−シクロヘキシル−1H−インドール−6−カルボキシレート
CHCl中のメチル1−{2−[ビス(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−3−メトキシ−3−オキソプロピル}−2−ブロモ−3−シクロヘキシル−1H−インドール−6−カルボキシレートの溶液(0.15M)にTFA2当量を添加した。溶液を室温で10分間攪拌した後、真空中で濃縮した。反応混合物のRP−HPLC分析は、Bocアミンの約50%脱保護を示した。残留物をCHClに再溶解し、さらに2当量のTFAを添加した。室温で10分間攪拌した後、揮発性物質を再び真空中で除去した。今回のRP−HPLCは、アミンの完全なモノ脱保護(mono−deprotection)が起こったことを示した(定量的);MS(ES)m/z 559(M+Na),561(M+Na)
【0124】
工程4:3−[2−(2−アミノフェニル)−3−シクロヘキシル−6−(メトキシカルボニル)−1H−インドール−1−イル]−N−(tert−ブトキシカルボニル)アラニン
nBuOH:HO(9:1、0.08M)中のメチル2−ブロモ−1−{2−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−3−メトキシ−3−オキソプロピル}−3−シクロヘキシル−1H−インドール−6−カルボキシレートの溶液に、2−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)アニリン1.5当量、KPO6当量、5mol%のジシクロヘキシル(2’,6’−ジメトキシビフェニル−2−イル)ホスフィン及び2.5mol%の酢酸パラジウムを添加した。混合物を90℃で4時間加熱した。室温に冷却した後、混合物をHCl(1N)で酸性にし、EtOAcで抽出した(2回)。混合有機相をブラインで洗い、NaSOで乾燥した後、ろ過して、真空中で濃縮した。粗生成物混合物をTHF:HO(1:1、0.08M)に再溶解し、LiOH2当量を添加した。1時間攪拌した後、RP−HPLC分析によって実証されたようにエステル脱保護は完全であった。揮発性物質を真空中で除去し、残留物をEtOAcとHOに分配した。有機相をブラインで洗い、NaSOで乾燥した後、ろ過して、真空中で濃縮した。粗残留物を直接次の工程で使用した;MS(ES)m/z 536(M+H),558(M+Na)
【0125】
工程5:メチル7−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−14−シクロヘキシル−6−オキソ−5,6,7,8−テトラヒドロインドロ[1,2−e][1,5]ベンゾジアゾシン−11−カルボキシレート
CHCl中の3−[2−(2−アミノフェニル)−3−シクロヘキシル−6−(メトキシカルボニル)−1H−インドール−1−イル]−N−(tert−ブトキシカルボニル)アラニンの溶液(0.02M)に、iPrNEt3当量及びHATU1.2当量を添加し、混合物を室温で16時間攪拌した。飽和NaHCO水溶液で反応を停止し、EtOAcで抽出した(2回)。混合有機相をHCl(1N)及びブラインで洗った後、NaSOで乾燥し、ろ過して、真空中で濃縮した。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(5−20%EtOAc/1%EtN/PE)によって精製し、標題化合物を12%収率(3工程)で油として得た;MS(ES)m/z 518(M+H),540(M+Na)
【0126】
工程6:メチル7−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−14−シクロヘキシル−5,6,7,8−テトラヒドロインドロ[1,2−e][1,5]ベンゾジアゾシン−11−カルボキシレート
THF中のメチル7−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−14−シクロヘキシル−6−オキソ−5,6,7,8−テトラヒドロインドロ[1,2−e][1,5]ベンゾジアゾシン−11−カルボキシレートの溶液(0.02M)に、BH・THF(THF中2M溶液)10当量を添加し、混合物を室温で4時間攪拌した。全ての揮発性物質を減圧下で除去し、粗残留物を直接次の工程で使用した;MS(ES)m/z 504(M+H),526(M+Na)
【0127】
工程7:メチル7−アミノ−14−シクロヘキシル−5,6,7,8−テトラヒドロインドロ[1,2−e][1,5]ベンゾジアゾシン−11−カルボキシレート
CHCl中のメチル7−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−14−シクロヘキシル−5,6,7,8−テトラヒドロインドロ[1,2−e][1,5]ベンゾジアゾシン−11−カルボキシレートの溶液(0.02M)にTFA100当量を添加した。溶液を室温で45分間攪拌した後、真空中で濃縮して、生成物を粘性油として得た(定量的);MS(ES)m/z 404(M+H)
【0128】
工程8:メチル14−シクロヘキシル−7−(ジメチルアミノ)−5−メチル−5,6,7,8−テトラヒドロインドロ[1,2−e][1,5]ベンゾジアゾシン−11−カルボキシレート
CHCl中のメチル7−アミノ−14−シクロヘキシル−5,6,7,8−テトラヒドロインドロ[1,2−e][1,5]ベンゾジアゾシン−11−カルボキシレートの溶液(0.02M)に、ホルムアルデヒド(HO中37%)5当量を添加し、pHをトリエチルアミンでpH4に調整した。溶液を室温で30分間攪拌した後、NaBHCN3当量を添加し、混合物を室温で16時間攪拌した。飽和NaHCO水溶液で反応を停止し、EtOAcで抽出した(2回)。混合有機相をブラインで洗った後、NaSOで乾燥し、ろ過して、真空中で濃縮し、標題化合物を粘性油として得た(定量的);MS(ES)m/z 446(M+H)
【0129】
工程9:14−シクロヘキシル−7−(ジメチルアミノ)−5−メチル−5,6,7,8−テトラヒドロインドロ[1,2−e][1,5]ベンゾジアゾシン−11−カルボン酸
MeOH中のメチル14−シクロヘキシル−7−(ジメチルアミノ)−5−メチル−5,6,7,8−テトラヒドロインドロ[1,2−e][1,5]ベンゾジアゾシン−11−カルボキシレートの溶液(0.05M)に2N NaOH40当量を添加し、反応物を65℃で3時間攪拌した。反応物をHClでpH2に酸性化し、溶媒を真空中で蒸発させた。次に粗生成物を分取RP−HPLC(定常相:Waters XTERRA prep.C18カラム、5μm、19×150mm。移動相:0.1%TFAで緩衝したアセトニトリル/HO)によって精製した。純粋な化合物を含む分画を併合し、凍結乾燥して、標題化合物を8%収率で(4工程)褐色粉末として得た。
【0130】
H NMR(400MHz,DMSO−d+TFA,300K)δ1.15−1.34(m,3H),1.54−1.94(m,7H),2.62−2.68(m,1H),2.86(s,3H),2.96(s,6H),3.13−3.17(m,1H),3.36−3.41(m,1H),3.59−3.62(m,1H),3.88−3.94(m,1H),4.93−4.98(m,1H),7.00−7.03(m,1H),7.13−7.15(m,2H),7.42−7.46(m,1H),7.72(d,J8.3,1H),7.86(d,J8.3,1H),8.29(s,1H);MS(ES)m/z 432(M+H)
【0131】
以下の表はさらなる実施例を含む:
【0132】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

[式中、
Aは、場合によりハロゲン、ヒドロキシ、C1−4アルキル又はC1−4アルコキシで置換された、C3−8シクロアルキルであり;
Arは、フェニル、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、チエニル、フラニル、ピラゾリル及びイミダゾリルのような、N、O及びSから独立して選択される1、2又は3個のヘテロ原子を場合により含む、少なくとも1個の芳香環を含む部分であり及び5、6、9又は10個の環原子を有し、前記環は場合により基Q及びQによって置換されており;
は、ハロゲン、ヒドロキシ、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、(CH0―3アリール、ヘテロアリール、CONR、(CH0−3NR、O(CH0−33−8シクロアルキル、O(CH1−3NR、O(CH0−3CONR、O(CH0−3COH、O(CH0−3アリール、O(CH0−3ヘテロアリール、OCHRまたはO(CH0−3S(O)(CH0−3NRであり;
及びRは、水素、C1−6アルキル及びC(O)C1−6アルキルから独立して選択されるか;
又はR及びRは、これらが結合している窒素原子と共に、O及びSから独立して選択される1又は2個以上のヘテロ原子及び/又はNH及びNC1−4アルキルから独立して選択される1又は2個の基を場合により含み、及び場合によりハロゲン、ヒドロキシ、C1−4アルキル又はC1−4アルコキシで置換されている、4から7個の環原子の複素脂肪環を形成し;
及びRは、水素、C1−4アルキル及びC1−4アルコキシから独立して選択されるか;
又はR及びRは、場合によりハロゲン、ヒドロキシ、C1−4アルキル又はC1−4アルコキシで置換されている、4から7個の環原子の複素脂肪環を形成するように、N、O及びSから選択されるヘテロ原子によって連結されており;
及び前記C1−4アルキル、C1−4アルコキシ及びアリール基は、場合によりハロゲン又はヒドロキシで置換されており;
は、ハロゲン、ヒドロキシ、場合によりハロゲン又はヒドロキシで置換されているC1−4アルキル又はC1−4アルコキシであるか;
又はQ及びQは、N、O及びSから独立して選択される1又は2個のヘテロ原子を場合により含み、及び場合によりハロゲン、ヒドロキシ、C1−4アルキル又はC1−4アルコキシで置換されている、4から7個の原子の環を形成するように連結されていてもよく;
及びRの一方は、COH、C(O)NHS(O)NR、C(O)NHS(O)1−6アルキル、C(O)NHS(O)(CH0−3COまたはC(O)NHS(O)(CH0−3アリールであり;
及びR及びRの他方は水素であり;
及びRは、水素及びC1−6アルキルから独立して選択されるか;
又はR及びRは、これらが結合している窒素原子と共に、O及びSから独立して選択される1又は2個以上のヘテロ原子及び/又はS(O)、S(O)、NH及びNC1−4アルキルから独立して選択される1又は2個の基を場合により含んでいてもよい、4から7個の環原子の複素脂肪環を形成し;
Yは、C=Oまたは−CR14a15a−であり;
Zは、結合又はNR10であり;
10は、水素、ヒドロキシ、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、C1−6アルコキシ、C(O)C1−6アルキル、Het、(CH0−3NR1617、C(O)(CH0−3NR1617及びNHC(O)(CH0−3NR1617であり;
14、R14a、R15及びR15aは、C1−6アルキル、ヒドロキシ、ハロゲン、C1−6アルコキシ、SH及びS(C1−6アルキル)から独立して選択される1又は2個の基によって場合により置換された、水素、ヒドロキシ、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、(CH0−33−8シクロアルキル、C1−6アルコキシ、C(O)C1−6アルキル、(CH0−3アリール、(CH0−3Het、C(O)(CH0−3Het、(CH0−3NR1617、(CH0−3OR16、(CH0−3C(O)(CH0−3NR1617、NR18C(O)(CH0−3NR1617、S(O)0−2(CH0−3NR1617、(CH0−3ヘテロアリールまたはC(O)(CH0−3ヘテロアリールから各々独立して選択され;
16及びR17は、場合によりC1−6アルキル、(CH0−3OHまたは(CH0−31−6アルコキシで置換された、水素、C1−6アルキル、(CH0−4NR1819、(CH0−3Het、(CH0−3ヘテロアリール、(CH0−3C(O)(CH0−3NR1819または(CH0−33−8シクロアルキルから独立して選択されるか;
又はR16及びR17は、これらが結合している窒素原子と共に、O及びSから選択される1又は2個以上のヘテロ原子及び/又はS(O)、S(O)、NH、NC1−4アルキル及びN(CH0−31−4アルコキシから独立して選択される1又は2個の基を場合により含んでいてもよく、及び場合によりハロゲン、ヒドロキシ、C1−4アルキル又はC1−4アルコキシで置換されている、4から7個の環原子の複素脂肪環を形成し;
18及びR19は、水素、C1−6アルキル及びヘテロアリールから独立して選択されるか;
又はR18及びR19は、これらが結合している窒素原子と共に、O及びSから選択される1又は2個以上のヘテロ原子及び/又はS(O)、S(O)、NH及びNC1−4アルキルから選択される1又は2個の基を場合により含んでいてもよく、及び場合によりハロゲン、ヒドロキシ、C1−4アルキル又はC1−4アルコキシで置換されている、4から7個の環原子の複素脂肪環を形成する]
の化合物及び医薬的に許容されるこの塩、但し、式(I)の化合物は:
メチル13−シクロヘキシル−6,7−ジヒドロ−5H−インドロ[2,1−α][2]ベンズアゼピン−10−カルボキシレート、又は
13−シクロヘキシル−6,7−ジヒドロ−5H−インドロ[2,1−α][2]ベンズアゼピン−10−カルボン酸
ではないことを条件とする。
【請求項2】
式(Ia):
【化2】

[式中、
Arは、N,O及びSから独立して選択される1、2又は3個のヘテロ原子を場合により含む5員又は6員芳香環であり;
Yは、C=O又は−CR14a15aであり;
Zは、結合又はNR10であり;
10、R14、R15、R14a及びR15aは、水素、ヒドロキシ、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C1−6アルコキシ、C(O)C1−6アルキル、Het、(CH0−3NR1617、C(O)(CH0−3NR1617及びNHC(O)(CH0−3NR1617から各々独立して選択され;
16及びR17は、水素、C1−6アルキル及び(CH0−4NR1819から独立して選択されるか;
又はR16、R17及びこれらが結合している窒素原子は、O又はSから選択される1又は2個以上のヘテロ原子又はS(O)、S(O)、NH又はNC1−4アルキル基を場合により含んでいてもよく、及び場合によりハロゲン、ヒドロキシ、C1−4アルキル又はC1−4アルコキシで置換されている、4から7個の環原子の複素脂肪環を形成し;
18及びR19は、水素及びC1−6アルキルから独立して選択されるか;
又はR18、R19及びこれらが結合している窒素原子は、O又はSから選択される1又は2個以上のヘテロ原子又はS(O)、S(O)、NH又はNC1−4アルキル基を場合により含んでいてもよく、及び場合によりハロゲン、ヒドロキシ、C1−4アルキル又はC1−4アルコキシで置換されている、4から7個の環原子の複素脂肪環を形成する]
の、請求項1に記載の化合物及び医薬的に許容されるこの塩、但し、式(Ia)の化合物は:
メチル13−シクロヘキシル−6,7−ジヒドロ−5H−インドロ[2,1−α][2]ベンズアゼピン−10−カルボキシレート
ではないことを条件とする。
【請求項3】
式(Ib):
【化3】

[式中、
10は、水素、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル又は(CH1−3NR1617であり;
16及びR17は、水素及びC1−6アルキルから独立して選択され;
14a及びR15aは、水素、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル又はC3−8シクロアルキルから独立して選択されるか;
又はR14aとR15aは一緒になってオキソ基を形成する]
の、請求項1に記載の化合物及び医薬的に許容されるこの塩、但し、式(Ib)の化合物は、
3−クロロ−14−シクロヘキシル−5−(2−ピペリジン−1−イルエチル)−5,6,7,8−テトラヒドロインドロ[1,2−e][1,5]ベンゾジアゾシン−11−カルボン酸
ではないことを条件とする。
【請求項4】
10が、水素、C1−6アルキル又は(CH1−3NR1617であり、R16及びR17が請求項3で定義したとおりである、請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
14a及びR15aが水素又はC1−6アルキルから独立して選択されるか、又はR14aとR15aが一緒になってオキソ基を形成する、請求項3または4に記載の化合物。
【請求項6】
式(Ic):
【化4】

[式中、
10は、水素、C1−6アルキル、C2−6アルケニル又はC2−6アルキニルであり;
14及びR15は、水素、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル又は(CH0−3NR1617から独立して選択され;及び
16及びR17は、水素及びC1−6アルキルから独立して選択される]
の、請求項1に記載の化合物及び医薬的に許容されるこの塩。
【請求項7】
10が水素又はC1−6アルキルである、請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
14及びR15が、水素、C1−6アルキル又は(CH0−3NR1617から独立して選択され、R16及びR17が、水素及びC1−4アルキルから独立して選択される、請求項6又は請求項7に記載の化合物。
【請求項9】
式(Id):
【化5】

[式中、
Arは、N、O及びSから独立して選択される1、2又は3個のヘテロ原子を場合により含み、場合によりQ基によって置換されている、5員又は6員芳香環であり;
14、R15、R14a、R15a及びQは、式(I)に関して定義したとおりである]
の、請求項1に記載の化合物及び医薬的に許容されるこの塩、但し、式(Id)の化合物は、
メチル13−シクロヘキシル−6,7−ジヒドロ−5H−インドロ[2,1−α][2]ベンズアゼピン−10−カルボキシレート、又は
13−シクロヘキシル−6,7−ジヒドロ−5H−ピロロ[2’,1’:3,4][1,4]ジアゼピノ[1,2−a]インドール−10−カルボン酸
ではないことを条件とする。
【請求項10】
Arが、N、O及びSから独立して選択される1又は2個のヘテロ原子を場合により含み、場合によりハロゲン、ヒドロキシ、C1−6アルキル又はC1−6アルコキシによって置換されている、5員又は6員芳香環である、請求項9に記載の化合物。
【請求項11】
14、R15、R14a及びR15aが、水素、C1−6アルキル、(CH0−3OR16及び(CH0−3NR1617から独立して選択され、R16及びR17が請求項9で定義したとおりである、請求項9又は請求項10に記載の化合物。
【請求項12】
実施例及び表の中で名前を挙げるもの及びこれらの医薬的に許容される塩から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項13】
治療における使用のための、請求項1から12のいずれか一項に記載の化合物又は医薬的に許容されるこの塩。
【請求項14】
ヒト又は動物におけるC型肝炎ウイルスによる感染の治療又は予防のための薬剤の製造のための、請求項1から12のいずれか一項に記載の化合物又は医薬的に許容されるこの塩の使用。
【請求項15】
請求項1から12のいずれか一項に記載の化合物又は医薬的に許容されるこの塩を、医薬的に許容される担体と共に含む医薬組成物。
【請求項16】
抗ウイルス薬のようなウイルス感染の治療のための1又はそれ以上の他の作用物質、もしくはα−、β−又はγ−インターフェロンのような免疫調節剤をさらに含む、請求項15に記載の医薬組成物。
【請求項17】
請求項15又は請求項16に記載の医薬組成物、もしくは請求項1から12のいずれか一項に記載の化合物又は医薬的に許容されるこの塩の治療的又は予防的有効量を、C型肝炎に罹患しているヒト又は動物被験者に投与することを含む、C型肝炎ウイルスポリメラーゼを阻害する及び/又はC型肝炎ウイルスによる疾病を治療する又は予防する方法。
【請求項18】
請求項1から12のいずれか一項に記載の少なくとも1つの化合物又は医薬的に許容されるこの塩を、1又はそれ以上の医薬的に許容されるアジュバント、希釈剤又は担体及び/又は1又はそれ以上の他の治療的又は予防的活性物質と混合することを含む、医薬組成物の調製の方法。
【請求項19】
(a)式(II):
【化6】

[式中、R、R、A及びArは請求項1で定義したとおりであり、X’は、環化反応中又は反応後に−CR1415−に変換され、W’は、−CH−であるか又は環化反応中又は反応後に−CH−に変換され、Y’は、環化反応中又は反応後にYに変換され、及びZ’は、Zであるか又は環化反応中又は反応後にZに変換される]
の化合物の分子内閉環;又は
(b)式(III):
【化7】

[式中、R、R、A、Ar、Y及びZは請求項1で定義したとおりであり、X’は、−CR1415−であるか又は環化反応中又は反応後に−CR1415−に変換され、及びW’は、環化反応中又は反応後に−CH−に変換される]
の化合物の分子内閉環
のいずれかを含む、請求項1から12のいずれか一項に記載の化合物の調製のための方法。

【公表番号】特表2008−517987(P2008−517987A)
【公表日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−538504(P2007−538504)
【出願日】平成17年10月25日(2005.10.25)
【国際出願番号】PCT/GB2005/004144
【国際公開番号】WO2006/046039
【国際公開日】平成18年5月4日(2006.5.4)
【出願人】(501209427)イステイチユート・デイ・リチエルケ・デイ・ビオロジア・モレコラーレ・ピ・アンジエレツテイ・エツセ・ピー・アー (90)
【Fターム(参考)】