説明

抗フェロポーチン1モノクローナル抗体およびその使用

ヒトFPN1に結合し、その活性を阻害するモノクローナル抗体およびその抗原結合フラグメントを提供し、当該モノクローナル抗体およびその抗原結合フラグメントは、哺乳動物細胞からの鉄輸送を維持もしくは増加させるか、ならびに/あるいはインビボにて被験体における血清鉄濃度、網状赤血球数、赤血球数、ヘモグロビン、および/またはヘマトクリットを維持もしくは増加させるのに有効である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フェロポーチン1(FPN1)に結合する抗体、および、貧血の治療におけるその抗体の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄は、多くの細胞機能に必要な必須微量元素である。哺乳動物において、身体への鉄の供給は、十二指腸細胞による鉄吸収レベルにて身体の鉄必要量と一致するよう調節される。腸細胞の側底膜を横断する鉄輸送は、フェロポーチン1(鉄調節輸送体1(IREG−1)、金属輸送タンパク質1(MTP1)およびSLC40A1しても知られる)(以後、本願明細書においてFPN1と称する)により媒介されると考えられている。
【0003】
現在、FPN1は、鉄貯蔵および炎症に応答して肝臓により生成されるポリペプチドホルモンである、ヘプシジンについての受容体として知られている。成熟ヘプシジンのFPN1への結合は、FPN1の内在化および分解を導き、細胞の鉄輸送を防ぎ、そして、全身の鉄恒常性の主要な制御因子となる。
【0004】
特許文献1は、とりわけ、ヒトFPN1タンパク質をコードするヌクレオチド配列、鉄輸送機能を有するヒトFPN1タンパク質、および、ヒトFPN1のC末端19アミノ酸からなるペプチドに対して生成されるウサギポリクローナル抗血清について開示している。特許文献2は、フェロポーチンMabとこれらを用いて鉄恒常性の疾患を治療する方法について記載している。より具体的には、特許文献2は、ヒトFPN1タンパク質の種々のエピトープに対する、齧歯類および完全にヒトのモノクローナル抗体について記載している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第7,166,448号明細書
【特許文献2】国際公開第2009/094551号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
鉄輸送におけるFPN1の関与、および、鉄恒常性の疾患とFPN1変異との関連を考慮すると、治療に有用なFPN1アンタゴニストが必要とされており、当該アンタゴニストは、FPN1の細胞外エピトープに対して高親和性にて結合し、結合すると、成熟ヘプシジンにより媒介されるFPN1内在化を阻害して、これにより、細胞内貯蔵からの鉄輸送を維持または促進する。加えて、FPN1の細胞外エピトープへの成熟ヘプシジンの結合を阻害することを目的に、Mabまたはその抗原結合フラグメントを用いて治療的にFPN1を標的とすることは、その標的と結合することで、抗体が細胞鉄の流出を著しく乱さないおよび/または内在化を誘導しないよう十分に正確に行わなければならない。加えて、ヒトの薬物治療において使用することを意図した抗FPN抗体は、それらを治療的に使用できるようにするためにインビボでの安定性および/または排出半減期を含む十分な薬物動態的特徴および薬力学的特徴を示さなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願明細書において開示される抗ヒトFPN1抗体のうちの1つ以上は、
(a)403SPFEDIRSRFIQGESITPTK422(配列番号12);
(b)406EDIRSRFIQGESIT419(配列番号13);
(c)409RSRFIQGESITPTK422(配列番号14);
(d)403SPFEDIRSRFIQG415(配列番号15);
(e)409RSRFIQGESIT419(配列番号16);および
(f)409RSRFIQG415(配列番号95)
からなる群より選択されるヒトFPN1の少なくとも一つのペプチドフラグメントを含む、ヒトFPN1に特異的に結合し、フェロポーチンへのヘプシジンの結合をブロックし、インビトロにおけるヘプシジン活性を潜在的に阻害し、インビボにおいて用量依存的に血清鉄濃度を上昇させ、そして、受容可能な溶解性、インビボでの安定性、および、排出半減期の特性を有し、これら抗ヒトFPN1抗体を、静脈内注入を介して(または、おそらく皮下注射を介してであっても)投与することにより、それらは、貧血の治療を必要とする被験体において貧血を治療および/または予防するのに有用な薬剤となる。
【0008】
したがって、その種々の態様の間で、本発明は、
(a)403SPFEDIRSRFIQGESITPTK422(配列番号12);
(b)406EDIRSRFIQGESIT419(配列番号13);
(c)409RSRFIQGESITPTK422(配列番号14);
(d)403SPFEDIRSRFIQG415(配列番号15);
(e)409RSRFIQGESIT419(配列番号16);および
(f)409RSRFIQG415(配列番号95)
からなる群より選択される1つ以上のアミノ酸配列に局在するアミノ酸を含むエピトープにて、配列番号1に示されるアミノ酸配列からなるヒトフェロポーチン1に特異的に結合する、モノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントを提供する。
【0009】
いくつかの実施形態において、本発明は、配列番号37、129、22、107、118および120にそれぞれ示されるアミノ酸配列を含む、LCDR1、LCDR2、LCDR3、HCDR1、HCDR2およびHCDR3を含むMabまたはその抗原結合フラグメントを提供し、当該Mabまたはその抗原結合フラグメントは、配列番号12に示されるアミノ酸または配列番号12に示されるアミノ酸配列に局在するアミノ酸を含むエピトープにて、好ましくはMabについて25℃およびFabについて37℃にて表面プラズモン共鳴により測定される場合、約100nM以下のKで、配列番号1に示されるアミノ酸配列からなるヒトFPN1と結合する。
【0010】
いくつかの実施形態において、本発明のMabまたはその抗原結合フラグメントは、
(i)配列番号20、32、33、30、31、および19にそれぞれ示されるアミノ酸配列を含む、LCDR1、LCDR2、LCDR3、HCDR1、HCDR2およびHCDR3;
(ii)配列番号42、32、33、30、43、および19にそれぞれ示されるアミノ酸配列を含む、LCDR1、LCDR2、LCDR3、HCDR1、HCDR2およびHCDR3;
(iii)配列番号42、27、22、23、41、および19にそれぞれ示されるアミノ酸配列を含む、LCDR1、LCDR2、LCDR3、HCDR1、HCDR2およびHCDR3;
(iv)配列番号42、32、33、23、41、および19にそれぞれ示されるアミノ酸配列を含む、LCDR1、LCDR2、LCDR3、HCDR1、HCDR2およびHCDR3;
(v)配列番号20、21、22、17、18、および19にそれぞれ示されるアミノ酸配列を含む、LCDR1、LCDR2、LCDR3、HCDR1、HCDR2およびHCDR3;
(vi)配列番号20、27、29、23、24、および19にそれぞれ示されるアミノ酸配列を含む、LCDR1、LCDR2、LCDR3、HCDR1、HCDR2およびHCDR3;
(vii)配列番号37、27、22、23、41、および19にそれぞれ示されるアミノ酸配列を含む、LCDR1、LCDR2、LCDR3、HCDR1、HCDR2およびHCDR3;
(viii)配列番号170、171、172、182、173、および19にそれぞれ示されるアミノ酸配列を含む、LCDR1、LCDR2、LCDR3、HCDR1、HCDR2およびHCDR3;
(ix)配列番号37、127、22、23、116、および19にそれぞれ示されるアミノ酸配列を含む、LCDR1、LCDR2、LCDR3、HCDR1、HCDR2およびHCDR3;
(x)配列番号37、125、22、23、110、および19にそれぞれ示されるアミノ酸配列を含む、LCDR1、LCDR2、LCDR3、HCDR1、HCDR2およびHCDR3;
(xi)配列番号37、122、22、23、110、および19にそれぞれ示されるアミノ酸配列を含む、LCDR1、LCDR2、LCDR3、HCDR1、HCDR2およびHCDR3;
(xii)配列番号37、129、22、107、118、および120にそれぞれ示されるアミノ酸配列を含む、LCDR1、LCDR2、LCDR3、HCDR1、HCDR2およびHCDR3;
(xiii)配列番号37、128、22、105、41、および119にそれぞれ示されるアミノ酸配列を含む、LCDR1、LCDR2、LCDR3、HCDR1、HCDR2およびHCDR3;
(xiv)配列番号37、174、22、175、176、および120にそれぞれ示されるアミノ酸配列を含む、LCDR1、LCDR2、LCDR3、HCDR1、HCDR2およびHCDR3;
(xvi)配列番号37、128、22、105、117、および19にそれぞれ示されるアミノ酸配列を含む、LCDR1、LCDR2、LCDR3、HCDR1、HCDR2およびHCDR3;ならびに
(xvii)配列番号37、177、22、23、112、および19にそれぞれ示されるアミノ酸配列を含む、LCDR1、LCDR2、LCDR3、HCDR1、HCDR2およびHCDR3
からなる群より選択される6個のCDRを含み、また、本発明のMabまたはその抗原結合フラグメントは、
(a)403SPFEDIRSRFIQGESITPTK422(配列番号12);
(b)406EDIRSRFIQGESIT419(配列番号13);
(c)409RSRFIQGESITPTK422(配列番号14);
(d)403SPFEDIRSRFIQG415(配列番号15);
(e)409RSRFIQGESIT419(配列番号16);および
(f)409RSRFIQG415(配列番号95)
からなる群より選択されるアミノ酸配列に局在する1つのアミノ酸または複数のアミノ酸からなるか、またはそれらから実質的になるエピトープにて、好ましくはMabについて25℃およびFabについて37℃にてSPRにより測定される場合、約100nM未満のKで、配列番号1に示されるアミノ酸配列からなるヒトFPN1に結合する。
【0011】
特定の実施形態において、本発明のMabまたはその抗原結合フラグメントは、ヘプシジンにより誘導されるヒトFPN1の内在化および/または分解を阻害し、これにより、被験体(好ましくは、ヒト被験体)において、(1)細胞からの鉄輸送、(2)血清鉄濃度、(3)網状赤血球数、(4)赤血球数、(5)ヘモグロビン、および/または(6)ヘマトクリットを維持するか、あるいは当該Mabまたはその抗原結合フラグメントの非存在下での当該被験体におけるそれらのものと比べて少なくとも約10%増加させる。
【0012】
別の態様において、本発明の抗ヒトFPN1Mabまたはその抗原結合フラグメントをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドが提供される。
【0013】
別の態様において、本願明細書に開示されるMabまたはその抗原結合フラグメントのいずれかおよび薬学的に受容可能な担体、希釈剤、または賦形剤を含む薬学的組成物が提供される。また、(1)治療(好ましくは、貧血の治療または予防のための治療)における本願明細書に開示されるMabまたはその抗原結合フラグメントの使用、(2)併用療法(好ましくは、貧血の治療または予防のための併用療法)における本願明細書に開示されるMabまたはその抗原結合フラグメントの使用、(3)被験体(好ましくは、ヒト)において血清鉄濃度、網状赤血球数、赤血球数、ヘモグロビン、および/またはヘマトクリットを維持または増加させる、貧血の治療または予防のための本願明細書に開示されるMabまたはその抗原結合フラグメントの使用、(4)被験体(好ましくは、ヒト)において血清鉄濃度、網状赤血球数、赤血球数、ヘモグロビン、および/またはヘマトクリットを維持または増加させる、貧血の治療または予防のための医薬に製造のための、本願明細書に開示されるMabまたはその抗原結合フラグメントの使用、ならびに、(5)ヒトにおいて血清鉄濃度、網状赤血球数、赤血球数、ヘモグロビン、および/またはヘマトクリットを増加させる、貧血の治療または予防のための併用療法に用いられる医薬の製造のおける本願明細書に開示されるMabまたはその抗原結合フラグメントの使用も提供される。ここで、当該医薬は、貧血の治療に従来から用いられている1つ以上のESAまたは他の治療剤または治療的処置と組み合わせて投与され、ヒトにおける血清鉄濃度、網状赤血球数、赤血球数、ヘモグロビン、および/またはヘマトクリットを維持または増加させる。
【0014】
さらに別の態様において、(1)本願明細書において開示される有効量のMabまたはその抗原結合フラグメントを、それを必要とする被験体に対して投与することを含む、被験体(好ましくはヒト)において血清鉄濃度、網状赤血球数、赤血球数、ヘモグロビン、および/またはヘマトクリットを維持または増加させる方法、(2)本願明細書において開示される有効量のMabまたはその抗原結合フラグメントを、それを必要とする被験体(好ましくはヒト)に対して投与することを含む、限定されないが、慢性疾患による貧血、癌による貧血、および、炎症による貧血を含む貧血を治療または予防する方法、(3)本願明細書において開示されるMabまたはその抗原結合フラグメントの組み合わせ、または、本願明細書において開示される少なくとも1つのMabおよび少なくとも1つの抗原結合フラグメントの混合物の有効量を、それを必要とする被験体(好ましくはヒト患者)に対して投与することを含む、限定されないが、慢性疾患による貧血、癌による貧血、および、炎症による貧血を含む貧血を治療または予防する方法、ならびに、(4)ヒトにおいて血清鉄濃度、網状赤血球数、赤血球数、ヘモグロビン、および/またはヘマトクリットを維持または増加させるために投与される、ESAもしくは他の治療剤または治療的処置を、当該ヒト患者に対して投与することをさらに含む、上述の方法(1)から(3)のうちのいずれかの方法が提供される。
【0015】
さらに別の態様において、FPN1と、本願明細書に開示される有効量の少なくとも1つのMabまたはその抗原結合フラグメントを接触させることを含む、成熟ヘプシジンにより誘導される当該FPN1の内在化および分解を阻害するための方法が提供される。
【0016】
また、ヒトFPN1と、本願明細書に開示される有効量の少なくとも1つのMabおよび/またはその抗原結合フラグメントを接触させることを含む、当該ヒトFPN1への成熟ヒトヘプシジンの結合を減少させる方法が提供される。
【0017】
また、本願明細書に開示される有効量の少なくとも1つのMabおよび/またはその抗原結合フラグメントを、それを必要とするヒト患者に対して投与することを含む、FPN1タンパク質を発現する細胞により内在化されるFPN1タンパク質の量を減少させる方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、抗FPN1抗体の生成に使用される免疫原のフラグメントを含む種々のペプチドの配列、および、抗FPN1 Mab 34A9のエピトープを規定するためにペプチドを用いるペプチド−抗体結合実験の結果を示す。下線のアミノ酸は、実際のフェロポーチン配列を示す。Mab 34A9は、ペプチドFpnE3a、060719Z、0708L4C、および0708L4D(これらはすべて共通アミノ酸配列であるRSRFIQG(配列番号95)を含む)に対して結合する。
【図2】図2Aは、散在CDRを有する完全ヒト軽鎖フレームワークO2のアミノ酸配列を示す。4つのフレームワーク領域は、FRL1、FRL2、FRL3、およびFRL4として表記される(それぞれ配列番号74、75、76、および77)。図2Bは、散在CDRを有するヒト重鎖フレームワークVH1−69のアミノ酸配列を示す。4つのフレームワーク領域は、FRH1〜4として表記される(それぞれ配列番号78〜81)。
【図3】図3Aは、散在CDRを有するヒト軽鎖フレームワークO18のアミノ酸配列を示す。4つのフレームワーク領域は、FRL1、FRL2、FRL3、およびFRL4として表記される(それぞれ配列番号74、75、82、および77)。O2残基と異なる残基は、太字下線にて示される。図3Bは、散在CDRを有するヒト重鎖フレームワークVH1−18のアミノ酸配列を示す。4つのフレームワーク領域は、FRH1、FRH2、FRH3、およびFRH4として表記される(それぞれ配列番号83、79、84、および81)。VH1−69残基と異なる残基は、太字下線にて示される。
【図4】図4Aは、散在CDRを有するヒト軽鎖フレームワークL12のアミノ酸配列を示す。4つのフレームワーク領域は、FRL1、FRL2、FRL3、およびFRL4として表記される(それぞれ配列番号85、75、86、および77)。O2残基と異なる残基は、太字下線にて示される。図4Bは、散在CDRを有するヒト重鎖フレームワークVH1−46のアミノ酸配列を示す。4つのフレームワーク領域は、FRH1、FRH2、FRH3、およびFRH4として表記される(それぞれ配列番号83、79、87、および81)。VH1−69残基と異なる残基は、太字下線にて示される。
【図5】図5は、散在CDRを有するヒト軽鎖フレームワークL1のアミノ酸配列を示す。4つのフレームワーク領域は、FRL1、FRL2、FRL3、およびFRL4として表記される(それぞれ配列番号74、168、76、および169)。O2残基と異なる残基は、太字下線にて示される。ヒト軽鎖フレームワークL12のFR1の生殖細胞系列の配列は、配列番号85に示され、ここで、ヒト軽鎖フレームワークL1のFR1領域のアミノ酸配列の変形は、配列番号74に示され、本発明の特定の実施形態として企図される。
【図6】図6は、投与量30mg/kgの単回I.V.として投与された対照マウスIgG1またはマウスMab1G9投与後の雄性カニクイザルにおける血清ヘプシジン濃度のグラフを示す。データは、個々の動物からのものである。
【図7】図7は、投与量30mg/kgの単回I.V.として投与された対照マウスIgG1またはマウスMab1G9投与後の雄性カニクイザルにおける血清鉄濃度のグラフを示す。データは、個々の動物からのものである。
【図8】図8は、本発明の抗体およびその抗原結合フラグメントについての好ましい重鎖可変領域のアミノ酸配列およびコンセンサスアミノ酸配列を示す。ピリオド(.)は、その位置におけるアミノ酸が配列番号1の対応するアミノ酸と同一であることを示す。CDRは配列番号1について太線下線にて示される。
【図9】図9は、本発明の抗体およびその抗原結合フラグメントについての好ましい軽鎖可変領域のアミノ酸配列およびコンセンサスアミノ酸配列を示す。ピリオド(.)は、その位置におけるアミノ酸が配列番号1の対応するアミノ酸と同一であることを示す。CDRは配列番号1について太線下線にて示される。
【図10】図10は、0.3、1.0、または3.0mg/kgの単回i.v.ボーラス投与の後の、カニクイザルにおけるMab 4A10−3およびMab Combi11の血清濃度を示す。0.3mg/kg投与におけるMab Combi11の血清濃度は、アッセイの検出限界以下(<20 ng/mL)であった。データは、平均±SDで示される。
【図11】図11は、3.0mg/kgの単回i.v.ボーラス投与の後の、スプラーグドーリー(Sprague Dawley)ラットにおけるMab 4A10−3およびMab Combi11の血清濃度を示す。データは、平均±SDで示される。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下の略語が本願明細書において使用される。BCA:ビシンコニン酸、BSA:ウシ血清アルブミン、CDR:相補性決定領域、DTT:ジチオスレイトール、DMEM:ダルベッコ変法イーグル培地、D−PBS:ダルベッコリン酸緩衝生理食塩水、EDTA:エチレンジアミン四酢酸、ELISA:酵素免疫測定法、ESA:赤血球生成促進剤、FAC:クエン酸第二鉄アンモニウム、FBS:ウシ胎仔血清、Fe:NTA:鉄ニトリロ三酢酸、FLU:蛍光単位、GFP:緑色蛍光タンパク質、I.V.:静脈内、IPTG:イソプロピルβ−D−1−チオガラクトピラノシド、IMAC:固定化金属イオン親和性クロマトグラフィー、Mab:モノクローナル抗体、Mabs:モノクローナル抗体(複数)、OPD:o−フェニレンジアミン二塩酸塩、PBS:リン酸緩衝生理食塩水、PBST:リン酸緩衝生理食塩水Tween−20、SDS:ドデシル硫酸ナトリウム、TBS:トリス緩衝生理食塩水、Tris:トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、Triton−X:4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェニル−ポリエチレングリコールt−オクチルフェノキシポリエトキシエタノールポリエチレングリコールtert−オクチルフェニルエーテル、Tween−20:ポリソフベート20。
【0020】
本発明のMabまたはその抗原結合フラグメントは、配列番号1に示されるアミノ酸配列を有するヒトFPN1ポリペプチドのアミノ酸403〜422(配列番号12)に局在する1つのアミノ酸または複数のアミノ酸を含むか、またはそれらから実質的になるか、またはそれらからなるエピトープに結合する。好ましい実施形態において、これらの抗体またはその抗原結合フラグメントは、成熟ヒトヘプシジンにより誘導されるヒトFPN1の内在化および/または分解を阻害し、これにより、インビトロおよびインビボにおける細胞からの鉄輸送を増加させ、また、インビボにおける血清鉄濃度を上昇させる。例えば、好ましい実施形態において、本発明の抗体は、Caco−2細胞(インビトロにおいてFPN1を内在的に発現するヒト腸細胞株(実施例5を参照))内のフェリチンの成熟ヘプシジンにより誘導される蓄積を顕著に減少させる。
【0021】
天然に存在する完全長抗体は、ジスフィルド結合により相互接続された2本の重鎖および2本の軽鎖を含む免疫グロブリン分子である。各鎖のアミノ末端部分は、その中に含有されるCDRによる抗原認識に主に関連する約100〜110以上のアミノ酸の可変領域を含む。各鎖のカルボキシ末端部分は、エフェクター機能に主に関連する定常領域を規定する。
【0022】
本願明細書において使用される用語「CDR」は、重鎖および軽鎖の両方のポリペプチドの可変領域内に見出される非隣接抗原結合部位を意味することを意図する。これらの特定の領域は、Kabatら,J.Biol.Chem.252,6609−6616(1977)、Kabatら,Sequences of protein of immunological interest,(1991)、Chothiaら,J.Mol.Biol.196:901−917(1987)、および、MacCallumら,J.Mol.Biol.,262:732−745(1996)に記載され、その定義は、互いに比較した場合、アミノ酸残基の重複またはサブセットを含む。
【0023】
CDRは、フレームワーク領域(「FR」)と称されるより保存的な領域が散在している。各軽鎖可変領域(LCVR)および重鎖可変領域(HCVR)は、3つのCDRおよび4つのFRから構成され、以下の順序:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4においてアミノ末端からカルボキシ末端まで配列される。軽鎖の3つのCDRは、「LCDR1、LCDR2、およびLCDR3」と称され、また、重鎖の3つのCDRは、「HCDR1、HCDR2、およびHCDR3」と称される。CDRは、抗原と特異的に相互作用する形態である多くの残基を含む。LCVRおよびHCVR領域内のCDRアミノ酸残基の番号付けおよび位置付けは、周知の従来法(例えば、Kabat,(1991)および/またはChothia (1987))にしたがっている。
【0024】
本願明細書において使用される語句「Kabat番号付け」は、当該技術分野において理解され、また、抗体の重鎖および軽鎖領域内の他のアミノ酸残基よりもより可変(すなわち、超可変)であるアミノ酸残基の番号付けシステムを意味する(Kabatら,Ann.NY Acad.Sci.,190:382−93(1971);Kabatら,Sequences of Proteins of Immunological Interest,第5版,U.S.Department of Health and Human Services,NIH Publication No.91−3242(1991))。
【0025】
本願明細書において使用される、用語「モノクローナル抗体」(Mab)は、単一のコピーまたはクローン(例えば、任意の真核生物、原核生物、または、ファージクローンを含む)に由来する抗体を意味し、その方法によって産生される抗体を意味するのではない。本発明のMabは、好ましくは、均質または実質的に均質な集団において存在する。完全なMabは、2本の重鎖および2本の軽鎖を含む。本発明のモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントは、例えば、組み換え技術、ファージディスプレイ技術、合成技術(例えば、CDRグラフティング)またはこれら技術の組み合わせ、あるいは、当該技術分野において公知な他の技術により産生され得る。
【0026】
本願明細書において使用される、Mabの「抗原結合フラグメント」という語句は、例えば、Fabフラグメント、Fab’フラグメント、F(ab’)フラグメント、および単鎖Fvフラグメントを含む。
【0027】
用語「抗体」またはその文法的に変形した型は、他に指定されない限り、Mab、その抗原結合フラグメント、および、その組み合わせ(例えば、Fabの組み合わせ、および、MabとFabの組み合わせを含む)を意味する。本発明による抗体と類似の機能的特性を示すさらなる抗体は、従来の方法によって産生され得る。例えば、マウスは、例えば、FPN1発現細胞、FPN1またはそのフラグメントで免疫性を与えられ得、得られた抗体は回収および精製され得、そして、それらが本願明細書に開示される抗体と類似するかたまたは同様の結合特性、薬物動態特性、および、機能的特性を有するかどうかの決定が、本願明細書において以下に示す実施例3〜14において開示される方法により評価され得る。抗原結合フラグメントはまた、当該技術分野において周知の従来の方法によって調製され得る。抗体および抗原結合フラグメントの生成および精製方法はまた、当該技術分野において周知である。
【0028】
本願明細書において使用される、語句「特異的に結合する」とは、特定のポリペプチドもしくはペプチド、好ましくは、配列番号1に示されるアミノ酸配列からなるヒトフェロポーチン1またはその特定のペプチドフラグメントに対して、本願明細書において記載される親和性ELISAまたはSPRアッセイ(または例えば当該技術分野において公知の類似のアッセイ)により測定される場合、約1000nM未満、約100nM未満、約10nM未満、約1nM未満、約100pM未満、または、約10pM未満のKで結合する本発明の抗体の能力を意味する。
【0029】
加えてまたはその代わりに、本発明の抗体に関する語句「特異的に結合する」とは、配列番号1に示されるアミノ酸配列またはそのペプチドフラグメントからなるヒトフェロポーチン1に結合するかまたはそれを検出する抗体の能力を示し、この能力は、別のポリペプチド(例えば、ヘパリン)または任意選択としてヒトフェロポーチン1の別の特定のペプチドフラグメントに結合するかまたはそれを検出する能力よりも、少なくとも約5倍、少なくとも約10倍、少なくとも約20倍、少なくとも約50倍、少なくとも約100倍、少なくとも約200倍、少なくとも約500倍、または、少なくとも約1000倍よりも大きい。
【0030】
本発明はまた、Mabまたはその抗原結合フラグメントをコードするヌクレオチド配列を含む単離されたポリヌクレオチドを提供する。特定の実施形態において、本発明はまた、(i)配列番号50、51、52、150、152、156、160、および164に示されるアミノ酸配列を有する重鎖ポリペプチド、および/または、(ii)配列番号53、54、55、151、154、158、162、および166に示されるアミノ酸配列を有する軽鎖ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む単離されたポリヌクレオチドを提供する。
【0031】
別の実施形態において、本発明は、Mabまたはその抗原結合フラグメントをコードするポリヌクレオチドを含む組み換え発現ベクターを提供する。特定の実施形態において、本発明はまた、(i)配列番号50、51、52、150、152、156、160、および164に示されるアミノ酸配列を有する重鎖ポリペプチド、および/または、(ii)配列番号53、54、55、151、154、158、162、および166に示されるアミノ酸配列を有する軽鎖ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列を含む組み換え発現ベクターを提供する。
【0032】
本願明細書において使用される場合、用語「ヘプシジン」は、哺乳動物に存在するものとして公知のヘプシジンタンパク質の任意の形態を意味する。本願明細書において使用される場合、用語「成熟ヘプシジン」は、哺乳動物において発現されるヘプシジンタンパク質の任意の成熟した生物活性形態を意味する。本願明細書において使用される場合、語句「ヒトヘプシジン」は、ヒトに存在するヘプシジンタンパク質の任意の形態を意味する。本願明細書において使用される場合、語句「成熟ヒトヘプシジン」は、ヒトに存在するものとして公知のヘプシジンタンパク質の任意の成熟した生物活性形態を意味する。好ましくは、「成熟ヒトヘプシジン」は、配列番号91に示されるアミノ酸配列を有するヒトヘプシジンの成熟形態である、「ヒトヘプシジン−25」と称される。
【0033】
用語「生物活性」は、成熟ヘプシジンポリペプチド(例えば、ヘプシジン−25)に関し、限定されないが、その受容体FPN1に対する成熟ヘプシジンの特異的結合、成熟ヘプシジンの1つ以上のFPN1により媒介される機能、例えば、(a)成熟ヘプシジンにより誘導されるFPN1の内在化および/または分解(例えば、Nemeth,E.ら,Science,306:2090−2093,(2004))を参照)、(b)FPN1により媒介される(i)鉄流出、(ii)血清鉄濃度、(iii)網状赤血球数、(iv)赤血球数、(v)ヘモグロビン濃度、(vi)ヘマトクリット、(vii)ヘプシジンポリペプチドの発現レベル、および/または、(viii)ヘプシジンポリペプチドの組織分布の成熟ヘプシジン調節を含む。
【0034】
語句「ヒト改変抗体」は、本願明細書に開示される特定の抗体、ならびに、本願明細書に開示される抗体と類似する本発明による結合特性および機能的特性を有し、かつ、本願明細書に開示される非ヒト抗体またはその抗原結合フラグメント由来のCDR周囲の実質的にヒトまたは完全にヒトであるフレームワーク領域を有する抗体を意味する。「フレームワーク領域」または「フレームワーク配列」は、フレームワーク領域1〜4のうちいずれか一つを意味する。本発明により包含されるヒト改変抗体およびその抗原結合フラグメントは、分子を含み、ここで、フレーム領域1〜4のうち任意の1つ以上は、実質的にまたは完全にヒトである(すなわち、ここで、個々の実質的にまたは完全にヒトフレームワーク領域1〜4の任意の可能な組み合わせが存在する)。例えば、これは、実質的にまたは完全にヒトである、フレームワーク領域1およびフレームワーク領域2、フレームワーク領域1およびフレームワーク領域3、フレームワーク領域1、2、および3等の分子を含む。実質的にヒトフレームワークは、既知のヒト生殖細胞系列フレームワーク配列に対して少なくとも約80%の配列同一性を有するものである。好ましくは、実質的にヒトフレームワークは、既知のヒト生殖細胞系列フレームワーク配列に対して少なくとも約85%、約90%、または、約95%の配列同一性を有するものである。
【0035】
完全ヒトフレームワークは、既知のヒト生殖細胞系列フレームワーク配列と同一のものである。ヒトフレームワーク生殖細胞系列配列は、ImMunoGeneTics(IMGT)からそのウェブサイト(http://imgt.cines.fr)により、またはThe Immunoglobulin Facts Book by Marie−Paule Lefranc and Gerard Lefranc,Academic Press,2001,ISBN 012441351から取得され得る。例えば、生殖細胞系列軽鎖フレームワークは、Al1、A17、A18、A19、A20、A27、A30、L1、L11、L12、L2、L5、L15、L6、L8、O12、O2、およびO8からなる群より選択され得、また、生殖細胞系列重鎖フレームワーク領域は、VH2−5、VH2−26、VH2−70、VH3−20、VH3−72、VH1−46、VH3−9、VH3−66、VH3−74、VH4−31、VH1−18、VH1−69、VI−13−7、VH3−11、VH3−15、VH3−21、VH3−23、VH3−30、VH3−48、VH4−39、VH4−59、およびVH5−51からなる群より選択され得る。好ましくは、生殖細胞系列軽鎖フレームワークは、O2、O18、およびL12、L1からなる群より選択され、また、生殖細胞系列重鎖フレームワーク領域は、VH1−69、VH1−18、またはVH1−46からなる群より選択される。より好ましくは、生殖細胞系列軽鎖フレームワークは、O2およびL1からなる群より選択され、また、生殖細胞系列重鎖フレームワークは、VH1−69およびVH1−18からなる群より選択される。最も好ましくは、生殖細胞系列軽鎖フレームワークは、O2であり、また、生殖細胞系列重鎖フレームワーク領域は、VH1−69である。
【0036】
本願明細書に開示されるヒト改変抗体に加えて、本発明による抗体と類似の機能的特性を示すヒト改変抗体は、いくつかの異なる方法を用いて生成され得る。本願明細書に具体的に開示される抗体は、さらなる抗体を調製するための鋳型または親抗体として使用され得る。1つのアプローチでは、親抗体のCDRは、親抗体フレームワークに対する高い配列同一性を有するヒトフレームワークへとグラフトされる。新規フレームワークの配列同一性は、親抗体中の対応するフレームワークの配列に対して、一般的に、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約99%同一でなる。このグラフティングは、親抗体の結合親和性と比較して結合親和性の減少を引き起こし得る。この場合、フレームワークは、Queenら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA.,88:2869(1991)に開示された、特定の基準に基づいて、特定の位置にて親フレームワークへと復帰突然変異され得る。マウス抗体のヒト化に有用な方法を記載したさらなる参考文献としては、米国特許第4,816,397号、同第5,225,539号、および、同第5,693,761号;Levitt,J.,Mol.Biol.168:595−620(1983)に記載されたコンピュータプログラムABMODおよびENCAD;ならびに、Winteとその共同研究者の方法(Jonesら,Nature 321:522−525(1986);Riechmannら,Nature,332:323−327(1988);およびVerhoeyenら,Science,239:1534−1536(1988))。
【0037】
復帰突然変異について考慮するための残基の同定は、以下に示すように行われ得る。
アミノ酸が以下のカテゴリー下にある場合、使用されているヒト生殖細胞系列配列(「アセプターフレームワーク」)のフレームワークアミノ酸は、親抗体のフレームワーク(「ドナーフレームワーク」)からのフレームワークアミノ酸により置換される。
(a)アセプターフレームワークのヒトフレームワーク領域内のアミノ酸は、その位置におけるヒトフレームワークには稀であるが、ドナー免疫グロブリン内の対応するアミノ酸は、その位置におけるヒトフレームワークに典型的である;
(b)アミノ酸の位置は、CDRのうち一つと直接隣接している;または、
(c)フレームワークアミノ酸の任意の側鎖原子は、3次元免疫グロブリンモデル内のCDRアミノ酸の任意の原子の約5〜6オングストローム(中心間)以内である。
【0038】
アセプターフレームワークのヒトフレームワーク領域内のアミノ酸の各々、および、ドナーフレームワーク内の対応するアミノ酸が、一般的にその位置におけるヒトフレームワークに稀である場合、このようなアミノ酸は、その位置におけるヒトフレームワークに典型的なアミノ酸により置換され得る。この復帰突然変異基準は、親抗体の活性を復帰させることができる。
【0039】
本願明細書に開示される抗体に類似する機能的特性を示すヒト改変抗体を生成する別のアプローチは、グラフトされたCDR内でフレームワークを変更することなくランダムにアミノ酸を変異させること、および、親抗体と同じ程度に良好または親抗体よりも良好な結合親和性および他の機能的特性について、得られた分子をスクリーニングすることに関する。単一突然変異はまた、各CDR内の各アミノ酸位置にて導入され得、その後、結合親和性および他の機能的特性についてこのような変異の効果が評価され得る。改善された特性を生み出す単一突然変異は、互いに組み合わせてそれらの効果を評価するために組み合わされ得る。
【0040】
さらに、上述の両方のアプローチの組み合わせが可能である。CDRグラフティングの後、1つは、CDR内のアミノ酸変化を導入することに加えて、特定のフレームワーク領域に復帰突然変異し得る。この手法は、Wuら,J.Mol.Biol.294:151−162(1999)に記載される。好ましくは、フレームワーク内のアミノ酸置換は、本願明細書に開示される軽鎖フレームワーク領域および/または重鎖フレームワーク領域(図2〜5に示されるフレームワーク領域)のうちの任意の1つ以上内にて1つ、2つ、または3つの位置に限定される。好ましくは、CDR内のアミノ酸置換は、3つの軽鎖および/または重鎖CDRのうち任意の1つ以上内にて1つ、2つ、または3つの位置に限定される。フレームワーク領域およびCDR内の記載された種々の変更の組み合わせもまた、本願明細書において企図される。本発明のこの態様の特定の実施形態において、このようなヒト改変Mabまたはその抗原結合フラグメントのすべての軽鎖可変領域フレームワーク領域および重鎖可変領域フレームワーク領域は、完全にヒトである。
【0041】
以下の表1Aおよび1Bは、本発明の好ましい抗体またはその抗原結合フラグメントのCDRアミノ酸配列およびコンセンサスアミノ酸配列を示す。以下の表2Aおよび2Bは、本発明のより好ましい抗体またはその抗原結合フラグメントのCDRアミノ酸配列およびコンセンサスアミノ酸配列を示す。
【0042】
【表1−1】

【表1−2】

【0043】
【表2−1】

【表2−2】

表1Aおよび1B:コンセンサス配列1〜5(C1〜C5)において、XはNまたはSであり、XはE、KまたはRであり、XはEまたはAであり、XはSまたはIであり、XはNまたはKであり、XはT、KまたはRであり、XはF、H、Qであり、XはL、T、SまたはAである。
【0044】
【表3−1】

【表3−2】

【0045】
【表4−1】

【表4−2】

表2Aおよび2B:コンセンサス配列6において、XはY、RまたはKであり、XはAまたはRであり、XはTまたはRであり、XはGまたはRであり、XはGまたはRであり、XはTまたはRであり、XはE、T、SまたはWであり、XはKまたはVであり、XはGまたはRであり、X10はDまたはVであり、X11はLまたはRであり、X12はH、R、VまたはYであり、X13はS、WまたはYである。
【0046】
本発明のさらにより好ましい抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号170、171、172、23、173、および19、または配列番号170、171、172、182、173、および19にそれぞれ示されるアミノ酸配列含む、LCDR1、LCDR2、LCDR3、HCDR1、HCDR2、およびHCDR3を含む。本発明のさらにより好ましい抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号37、174、22、175、176、および120にそれぞれ示されるアミノ酸配列含む、LCDR1、LCDR2、LCDR3、HCDR1、HCDR2、およびHCDR3を含む。薬物動態学的特性(例えば、実施例11を参照)および薬力学的特性(例えば、実施例10および12を参照)、ならびに、例示的な抗FPN1 Mab、またはその抗原結合フラグメントの機能的特性(例えば、実施例3(エピトープマッピング)、実施例4(親和性)、実施例5(インビトロにおける細胞内のフェリチン濃度の影響)、実施例6(インビトロにてFPN1−GFP融合を発現するよう遺伝子操作された細胞による成熟ヘプシジンの結合の影響)、実施例7および9(インビトロにおけるヘプシジンにより誘導されるFPN1の内在化および分解の影響)、ならびに実施例8(インビボにおける血清鉄濃度の影響)を参照)に基づくと、本発明の最も好ましいMabまたはその抗原結合フラグメントは、Mab 4A10−3、L2.2−4、およびCom11GY、またはその抗原結合フラグメントである。Mab 34A9、1G9、3D8、Combi11、4A10−3、L2.2−4、1B7、1F8、およびCom11GYに関する重鎖、軽鎖、重鎖可変領域、軽鎖可変領域、および、CDRをコードするアミノ酸配列を、配列番号を参照して以下の表3(a)および表3(b)に示す。
【0047】
【表5】

【0048】
【表6】

【0049】
一部の実施形態において、本願明細書に開示される抗FPN1 Mab、またはその抗原結合フラグメントは、ESA治療剤単独の投与と比べた場合の貧血患者の血清鉄濃度の増加、ヘマトクリットの増加、ヘモグロビン濃度の増加、輸血の必要性の減少、ならびに/または機能状態、生産性、および生活の質の改善に関するさらなる利点を提供するために、1つ以上のESAと組み合わせて使用されてもよい。用語「併用療法」または「と組み合わせて」とは、本発明の抗FPN1 Mab、またはその抗原結合フラグメントが、抗FPN1 Mab、またはその抗原結合フラグメント単独の投与と比べた場合の貧血患者の血清鉄濃度の増加、ヘマトクリットの増加、ヘモグロビン濃度の増加、輸血の必要性の減少、ならびに/または機能状態、生産性、および生活の質の改善を意図する別の薬剤と別個に、同時に、または連続して投与されることを意味する。
【0050】
一部の実施形態において、本願明細書に開示される抗FPN1 Mab、またはその抗原結合フラグメントは、ESA治療を許容できないか、またはESA治療に反応しない患者においてESA治療の代わりに投与されてもよい。
【0051】
用語「赤血球生成促進剤」または「赤血球生成促進因子」とは、例えば、受容体に結合し、その受容体の二量化を生じることによって、または内因性エリスロポエチン発現を促進することによってエリスロポエチン受容体の直接的または間接的な活性化を引き起こす化合物を意味する。ESAとしては、エリスロポエチン受容体に結合し、活性化するエリスロポエチンおよびその変異体、類似体、または誘導体;エリスロポエチン受容体に結合し、その受容体を活性化する抗体;あるいはエリスロポエチン受容体に結合し、活性化するペプチド;あるいはエリスロポエチン受容体に結合し、活性化する、必要に応じて分子量が約1000ダルトン未満の有機化学小化合物が挙げられる。ESAとしては、限定されないが、エポエチンアルファ、エポエチンベータ、エポエチンデルタ、エポエチンオメガ、エポエチンイオタ、エポエチンゼータ、およびそれらの類似体、ペグ化エリスロポエチン、カルバミル化エリスロポエチン、模倣ペプチド(EMPl/ヘマタイド(hematide)を含む)、模倣抗体およびHIF阻害剤(米国特許出願公開第2005/0020487号明細書を参照のこと)が挙げられる。例示的なESAとしては、エリスロポエチン、ダルベポエチン、エリスロポエチンアゴニスト変異体、ならびに米国特許出願公開第2003/0215444号および2006/0040858号に報告されている化合物を含むエリスロポエチン受容体に結合し、活性化するペプチドまたは抗体、ならびに当該技術分野においても公知であるエリスロポエチン分子またはその変異体もしくは類似体が挙げられる。エリスロポエチンとしては、限定されないが、配列番号88に記載されるアミノ酸配列を含むポリペプチドが挙げられる。用語「エポエチン」には、限定されないが、エポエチンアルファ、エポエチンベータ、エポエチンデルタ、エポエチンオメガ、エポエチンイオタ、エポエチンガンマ、エポエチンゼルタなどが含まれる。さらに、エポエチンはまた、例えば1つ以上の水溶性ポリマー、例えばポリエチレングリコール(PEG−EPO−ベータを含む)などの化学的に修飾されている上述のエポエチンのいずれかを含む。組み換えヒトエリスロポエチンの例示的な配列、製造、精製および使用は、限定されないが、米国特許第4,703,008号および同第4,667,016号を含む、多くの特許文献に記載されている。ダーベポエチンおよび他のエリスロポエチン類似体の例示的な配列、製造、精製および使用は、Stricklandら、91/05867号、ならびに国際公開第95/05465号、国際公開第00/24893号、および国際公開第01/81405号を含む、多くの特許文献に記載されている。天然または類似体ポリペプチドの誘導体には、例えば、水溶性ポリマー(例えばペグ化)、放射性核種、あるいは他の診断的または標的または治療的部分を結合するために、化学的に修飾されているものが含まれる。
【0052】
用語「赤血球生成活性」とは、インビボアッセイ、例えば赤血球増加性過低酸素症マウスアッセイ(exhypoxic,polycythemic mouse assay)(例えば、CotesおよびBangham,Nature,191:1065(1961)を参照のこと)に実証されるような赤血球生成を促進する活性を意味する。
【0053】
用語「エピトープ」とは、1つ以上の抗体の抗原結合領域において抗体により認識され、結合され得る任意の分子の部分を指す。エピトープは、しばしば、アミノ酸または糖側鎖などの分子の化学的に活性な表面基からなり、特定の三次元構造特性および特定の電荷特性を有する。本願明細書に開示されるヒトFPN1エピトープは、FPN1の一次アミノ酸構造(配列番号1)の状態で提示される。しかしながら、エピトープの一部は、アミノ酸残基と連続するというよりむしろ、不連続であってもよく、連続ペプチド結合においてというよりむしろ、FPN1の三次または四次構造およびこの分子の表面上でそれらの結果として生じる形態の結果として互いに空間的に近接して存在してもよい。好ましくは、本発明の抗FPN1 Mab、またはその抗原結合フラグメントは、配列番号9に示されるアミノ酸配列に局在する1つのアミノ酸または複数のアミノ酸を含むか、またはそれらから実質的になるか、またはそれらからなるエピトープにて、配列番号1に示されるアミノ酸配列からなるヒトFPN1に結合する。より好ましくは、本発明の抗FPN1 Mab、またはその抗原結合フラグメントは、配列番号12、13、14、15、16、および95からなる群より選択されるアミノ酸配列に局在する1つのアミノ酸または複数のアミノ酸を含むか、またはそれらから実質的になるか、またはそれらからなるエピトープにて、配列番号1に示されるアミノ酸配列からなるヒトFPN1に結合する。さらにより好ましくは、本発明の抗FPN1 Mab、またはその抗原結合フラグメントは、配列番号12、13、14、15、16、および95からなる群より選択されるアミノ酸配列に局在する1つのアミノ酸または複数のアミノ酸を含むか、またはそれらから実質的になるか、またはそれらからなるエピトープにて、配列番号1に示されるアミノ酸配列からなるヒトFPN1に結合するが、配列番号98、183〜214からなる群より選択される1つ以上のペプチドに結合しない。
【0054】
本発明の抗体はまた、カニクイザルFPN1(配列番号3)に結合し、義務的な前臨床の安全性および1種以上の主要なモデルにおける効果的な治療薬開発研究を促進する。
【0055】
用語「ヒトフェロポーチン1」または、代替的に、「ヒトFPN1」とは、配列番号1に示されるアミノ酸配列を有する、ヒトにおいて発現される鉄輸送タンパク質を指し、また、成熟ヒトヘプシジンとの相互作用に応答して細胞内の鉄を排出する能力を保持する変異体を指す。
【0056】
好ましくは、本発明の抗FPN1 Mab、またはその抗原結合フラグメントは、
1)配列番号136および配列番号134にそれぞれ示される軽鎖可変領域および重鎖可変領域;
2)配列番号180および配列番号178にそれぞれ示される軽鎖可変領域および重鎖可変領域;または
3)配列番号140および配列番号138にそれぞれ示される軽鎖可変領域および重鎖可変領域、
を含む。さらにより好ましくは、本発明の抗FPN1 Mab、またはその抗原結合フラグメントは、
1)配列番号154および配列番号152にそれぞれ示される軽鎖および重鎖;
2)配列番号181および配列番号179にそれぞれ示される軽鎖および重鎖;または
3)配列番号158および配列番号156にそれぞれ示される軽鎖および重鎖、
を含む。さらにより好ましくは、本発明のモノクローナル抗体または抗原結合フラグメントは、
1)2本の軽鎖ポリペプチドおよび2本の重鎖ポリペプチドであって、その軽鎖ポリペプチドの各々は配列番号154に示されるアミノ酸配列を有し、その重鎖ポリペプチドの各々は配列番号152に示されるアミノ酸配列を有する、2本の軽鎖ポリペプチドおよび2本の重鎖ポリペプチド;
2)2本の軽鎖ポリペプチドおよび2本の重鎖ポリペプチドであって、その軽鎖ポリペプチドの各々は配列番号181に示されるアミノ酸配列を有し、その重鎖ポリペプチドの各々は配列番号179に示されるアミノ酸配列を有する、2本の軽鎖ポリペプチドおよび2本の重鎖ポリペプチド;または
3)2本の軽鎖ポリペプチドおよび2本の重鎖ポリペプチドであって、その軽鎖ポリペプチドの各々は配列番号158に示されるアミノ酸配列を有し、その重鎖ポリペプチドの各々は配列番号156に示されるアミノ酸配列を有する、2本の軽鎖ポリペプチドおよび2本の重鎖ポリペプチドを含む。さらにより好ましくは、本発明のモノクローナル抗体または抗原結合フラグメントは、25℃にて表面プラズモン共鳴によって測定される場合、約10nM未満のKでヒトフェロポーチン1に結合する。さらにより好ましくは、本発明のモノクローナル抗体または抗原結合フラグメントはFabを含み、そのFabは、37℃にて表面プラズモン共鳴によって測定される場合、約100nM未満のKでヒトフェロポーチン1に結合する。さらにより好ましくは、Fabは、37℃にてSPRによって測定される場合、ヒトフェロポーチン1に対して約7.5×10−3−1〜約9×10−4−1の解離速度(koff)を有する。さらにより好ましくは、Fabは、約100nM〜約1nMのKでヒトフェロポーチン1に結合する。さらにより好ましくは、Fabは、約10nM〜約0.5nMのKでヒトフェロポーチン1に結合する。さらにより好ましくは、モノクローナル抗体または抗原結合フラグメントは、ヘプシジン−25生物活性のインビトロアッセイにおいて約100nM〜約1nMのIC50を有する。さらにより好ましくは、モノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントは、ヘプシジン−25生物活性のインビトロアッセイにおいて約100nM〜約10nMのIC50を有する。さらにより好ましくは、ヘプシジン−25生物活性は、フェロポーチン1の内在化および/または分解である。さらにより好ましくは、モノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントは、ヘプシジン−25生物活性のインビボアッセイにおいて約100nM〜約1nMのIC50を有する。さらにより好ましくは、ヘプシジン−25生物活性のインビボアッセイは、霊長類における血清鉄濃度のIL−6により誘導される減少を測定する。最も好ましくは、抗FPN1 Mab、またはその抗原結合フラグメントは、配列番号98、183〜214からなる群より選択される1つ以上のペプチドに結合しない。
【0057】
特定の実施形態において、本発明の抗FPN1 Mab、またはその抗原結合フラグメントは、好ましくはMabについて25℃、およびFabについて37℃にてSPRによって測定される場合、約100nM未満、約75nM未満、約50nM未満、約25nM未満、または約10nM未満のKで、配列番号12、13、14、15、16、および95からなる群より選択されるアミノ酸配列に局在する1つのアミノ酸または複数のアミノ酸を含むか、またはそれらから実質的になるか、またはそれらからなるエピトープにて、配列番号1に示されるアミノ酸配列からなるヒトFPN1に結合することにより特徴付けられる。好ましくは、抗FPN Mab、またはその抗原結合フラグメントは、配列番号98、183〜214からなる群より選択される1つ以上のペプチドに結合しない。
【0058】
特定の実施形態において、本発明の抗FPN1 Mab、またはその抗原結合フラグメントは、好ましくはMabについて25℃、およびFabについて37℃にてSPRによって測定される場合、約100nM〜約0.5nM、好ましくは約100nM〜約0.5nM、より好ましくは約75nM〜約5nM、さらにより好ましくは約50nM〜約10nM、さらにより好ましくは約15nM〜約10nM、さらにより好ましくは約10nM〜約0.5nM、さらにより好ましくは約5nM〜約0.5nM、さらにより好ましくは約5nm〜約0.7nM、さらにより好ましくは約3nM〜約0.7nM、または最も好ましくは約3nM〜約1nMのKで、配列番号12、13、14、15、16、および95からなる群より選択されるアミノ酸または配列番号12、13、14、15、16、および95からなる群より選択されるアミノ酸配列に局在する1つのアミノ酸または複数のアミノ酸を含むか、またはそれらから実質的になるか、またはそれらからなるエピトープにて、配列番号1に示されるアミノ酸配列からなるヒトFPN1に結合することにより特徴付けられる。好ましくは、抗FPN1 Mab、またはその抗原結合フラグメントは、配列番号98、183〜214からなる群より選択される1つ以上のペプチドに結合しない。
【0059】
特定の実施形態において、本発明の抗FPN1 Mab、またはその抗原結合フラグメントは、好ましくはMabについて25℃、およびFabについて37℃にてSPRによって測定される場合、約7.5×10−3−1〜約1×10−4−1、好ましくは約2.5×10−3−1〜約1×10−4−1、より好ましくは約1×10−3−1〜約1×10−4−1、さらにより好ましくは約5×10−4−1〜約1×10−4−1の、ヒトフェロポーチン1に対する解離速度(koff)で、配列番号12、13、14、15、16、および95からなる群より選択されるアミノ酸配列に局在する1つのアミノ酸または複数のアミノ酸を含むか、またはそれらから実質的になるか、またはそれらからなるエピトープにて、配列番号1に示されるアミノ酸配列からなるヒトFPN1に結合することにより特徴付けられる。好ましくは、抗FPN1 Mab、またはその抗原結合フラグメントは、配列番号98、183〜214からなる群より選択される1つ以上のペプチドに結合しない。
【0060】
特定の実施形態において、本発明の抗FPN1 Mab、またはその抗原結合フラグメントは、好ましくはMabについて25℃、およびFabについて37℃にてSPRによって測定される場合、約100nM未満、約75nM未満、約50nM未満、約25nM未満、または約10nM未満のK、かつ、約7.5×10−3−1〜約1×10−4−1、好ましくは約2.5×10−3−1〜約1×10−4−1、より好ましくは約1×10−3−1〜約1×10−4−1、さらにより好ましくは約5×10−4−1〜約1×10−4−1の、ヒトフェロポーチン1に対する解離速度(koff)で、配列番号12、13、14、15、16、および95からなる群より選択されるアミノ酸配列に局在する1つのアミノ酸または複数のアミノ酸を含むか、またはそれらから実質的になるか、またはそれらからなるエピトープにて、配列番号1に示されるアミノ酸配列からなるヒトFPN1に結合することにより特徴付けられる。好ましくは、抗FPN1 Mab、またはその抗原結合フラグメントは、配列番号98、183〜214からなる群より選択される1つ以上のペプチドに結合しない。
【0061】
特定の実施形態において、本発明の抗FPN1 Mab、またはその抗原結合フラグメントは、好ましくはMabについて25℃、およびFabについて37℃にてSPRによって測定される場合、約100nM〜約0.5nM、好ましくは約100nM〜約1nM、より好ましくは約75nM〜約5nM、さらにより好ましくは約50nM〜約10nM、さらにより好ましくは約15nM〜約10nM、さらにより好ましくは約10nM〜約0.5nM、さらにより好ましくは約5nM〜約0.5nM、さらにより好ましくは約5nM〜約0.7nM、さらにより好ましくは約3nM〜約0.7nM、または最も好ましくは約3nM〜約1nMのK、かつ、約7.5×10−3−1〜約1×10−4−1、好ましくは約2.5×10−3−1〜約1×10−4−1、より好ましくは約1×10−3−1〜約1×10−4−1、さらにより好ましくは約5×10−4−1〜約1×10−4−1の、ヒトフェロポーチン1に対する解離速度(koff)で、配列番号12、13、14、15、16、および95からなる群より選択されるアミノ酸または配列番号12、13、14、15、16、および95からなる群より選択されるアミノ酸配列に局在する1つのアミノ酸または複数のアミノ酸を含むか、またはそれらから実質的になるか、またはそれらからなるエピトープにて、配列番号1に示されるアミノ酸配列からなるヒトFPN1に結合することにより特徴付けられる。好ましくは、抗FPN1 Mab、またはその抗原結合フラグメントは、配列番号98、183〜214からなる群より選択される1つ以上のペプチドに結合しない。
【0062】
特定の実施形態において、本発明の抗FPN1 Mab、またはその抗原結合フラグメントは、配列番号37、129、22、107、118、および120にそれぞれ示されるアミノ酸配列を含むLCDR1、LCDR2、LCDR3、HCDR1、HCDR2、およびHCDR3を含み、好ましくはMabについて25℃、およびFabについて37℃にてSPRによって測定される場合、約100nM未満、約75nM未満、約50nM未満、約25nM未満、または約10nM未満のKで、配列番号12、13、14、15、16、および95からなる群より選択されるアミノ酸配列に局在する1つのアミノ酸または複数のアミノ酸を含むか、またはそれらから実質的になるか、またはそれらからなるエピトープにて、配列番号1に示されるアミノ酸配列からなるヒトFPN1に結合する。好ましくは、抗FPN1 Mab、またはその抗原結合フラグメントは、配列番号98、183〜214からなる群より選択される1つ以上のペプチドに結合しない。
【0063】
一部の実施形態において、本発明の抗FPN1 Mab、またはその抗原結合フラグメントは、配列番号37、129、22、107、118、および120にそれぞれ示されるアミノ酸配列を含むLCDR1、LCDR2、LCDR3、HCDR1、HCDR2、およびHCDR3を含み、好ましくはMabについて25℃、およびFabについて37℃にてSPRによって測定される場合、約100nM〜約0.5nM、好ましくは約100nM〜約1nM、より好ましくは約75nM〜約5nM、さらにより好ましくは約50nM〜約10nM、さらにより好ましくは約15nM〜約10nM、さらにより好ましくは約10nM〜約0.5nM、さらにより好ましくは約5nM〜約0.5nM、さらにより好ましくは約5nM〜約0.7nM、さらにより好ましくは約3nM〜約0.7nM、または最も好ましくは約3nM〜約1nMのKで、配列番号12、13、14、15、16、および95からなる群より選択されるアミノ酸配列に局在する1つのアミノ酸または複数のアミノ酸を含むか、またはそれらから実質的になるか、またはそれらからなるエピトープにて、配列番号1に示されるアミノ酸配列からなるヒトFPN1に結合する。好ましくは、抗FPN1 Mab、またはその抗原結合フラグメントは、配列番号98、183〜214からなる群より選択される1つ以上のペプチドに結合しない。
【0064】
他の実施形態において、本発明は、配列番号37、129、22、107、118、および120にそれぞれ示されるアミノ酸配列を含むLCDR1、LCDR2、LCDR3、HCDR1、HCDR2、およびHCDR3を含み、好ましくはMabについて25℃、およびFabについて37℃にてSPRによって測定される場合、約7.5×10−3−1〜約1×10−4−1、好ましくは約2.5×10−3−1〜約1×10−4−1、より好ましくは約1×10−3−1〜約1×10−4−1、さらにより好ましくは約5×10−4−1〜約1×10−4−1の、ヒトフェロポーチン1に対する解離速度(koff)で、配列番号12、13、14、15、16、および95からなる群より選択されるアミノ酸配列に局在する1つのアミノ酸または複数のアミノ酸を含むか、またはそれらから実質的になるか、またはそれらからなるエピトープにて、配列番号1に示されるアミノ酸配列からなるヒトFPN1に結合する、Mabまたはその抗原結合フラグメントを提供する。好ましくは、抗FPN1 Mab、またはその抗原結合フラグメントは、配列番号98、183〜214からなる群より選択される1つ以上のペプチドに結合しない。
【0065】
特定の実施形態において、本発明の抗FPN1 Mab、またはその抗原結合フラグメントは、配列番号37、129、22、107、118、および120にそれぞれ示されるアミノ酸配列を含むLCDR1、LCDR2、LCDR3、HCDR1、HCDR2、およびHCDR3を含み、好ましくはMabについて25℃、およびFabについて37℃にてSPRによって測定される場合、約100nM未満、約75nM未満、約50nM未満、約25nM未満、または約10nM未満のK、かつ、約7.5×10−3−1〜約1×10−4−1、好ましくは約2.5×10−3−1〜約1×10−4−1、より好ましくは約1×10−3−1〜約1×10−4−1、さらにより好ましくは約5×10−4−1〜約1×10−4−1の、ヒトフェロポーチン1に対する解離速度(koff)で、配列番号12、13、14、15、16、および95からなる群より選択されるアミノ酸または配列番号12、13、14、15、16、および95からなる群より選択されるアミノ酸配列に局在する1つのアミノ酸または複数のアミノ酸を含むか、またはそれらから実質的になるか、またはそれらからなるエピトープにて、配列番号1に示されるアミノ酸配列からなるヒトFPN1に結合する。好ましくは、抗FPN Mab、またはその抗原結合フラグメントは、配列番号98、183〜214からなる群より選択される1つ以上のペプチドに結合しない。
【0066】
一部の実施形態において、本発明の抗FPN1 Mab、またはその抗原結合フラグメントは、配列番号37、129、22、107、118、および120にそれぞれ示されるアミノ酸配列を含むLCDR1、LCDR2、LCDR3、HCDR1、HCDR2、およびHCDR3を含み、好ましくはMabについて25℃、およびFabについて37℃にてSPRによって測定される場合、約100nM〜約0.5nM、好ましくは約100nM〜約1nM、より好ましくは約75nM〜約5nM、さらにより好ましくは約50nM〜約10nM、さらにより好ましくは約15nM〜約10nM、さらにより好ましくは約10nM〜約0.5nM、さらにより好ましくは約5nM〜約0.5nM、さらにより好ましくは約5nM〜約0.7nM、さらにより好ましくは約3nM〜約0.7nM、または最も好ましくは約3nM〜約1nMのK、かつ、約7.5×10−3−1〜約1×10−4−1、好ましくは約2.5×10−3−1〜約1×10−4−1、より好ましくは約1×10−3−1〜約1×10−4−1、さらにより好ましくは約5×10−4−1〜約1×10−4−1の、ヒトフェロポーチン1に対する解離速度(koff)で、配列番号12、13、14、15、16、および95からなる群より選択されるアミノ酸配列に局在する1つのアミノ酸または複数のアミノ酸を含むか、またはそれらから実質的になるか、またはそれらからなるエピトープにて、配列番号1に示されるアミノ酸配列からなるヒトFPN1に結合する。好ましくは、抗FPN1 Mab、またはその抗原結合フラグメントは、配列番号98、183〜214からなる群より選択される1つ以上のペプチドに結合しない。
【0067】
用語「阻害する」とは、FPN1の生物学的作用および/または限定されないが、例えば本願明細書の実施例5〜11、13もしくは14において測定される成熟ヒトヘプシジン生物活性を含む、成熟ヘプシジンの生物活性を拮抗、妨げ、防止、抑制、遅延、破壊、除去、停止、減少、または反転する能力を意味する。
【0068】
特定の実施形態において、本発明の抗FPN1 Mab、またはその抗原結合フラグメントは、ヘプシジン−25生物活性のインビボアッセイにおいて約250nM〜約25nM、好ましくは100nM〜約25nM、またはより好ましくは50nM〜約25nMのIC50を有することにより特徴付けられる。好ましくは、インビボアッセイは、血清鉄濃度のIL−6により誘導される減少を測定する。
【0069】
さらに、または代替として、本発明の抗FPN1 Mab、またはその抗原結合フラグメントは、ヘプシジン−25生物活性のインビトロアッセイにおいて、約100nM〜約1nM、好ましくは約75nM〜約1nM、より好ましくは約50nM〜約1nM、さらにより好ましくは約25nM〜約1nMのIC50を有することにより特徴付けられる。好ましくは、ヘプシジン−25生物活性アッセイのインビトロアッセイは、ヘプシジンにより誘導されるフェロポーチン1の内在化および/または分解を測定する。さらにより好ましくは、抗FPN1 Mab、またはその抗原結合フラグメントは、配列番号98、183〜214からなる群より選択される1つ以上のペプチドに結合しない。
【0070】
特定の実施形態において、本発明の抗FPN1 Mab、またはその抗原結合フラグメントは、好ましくはMabについて25℃、およびFabについて37℃にてSPRによって測定される場合、約100nM未満、約75nM未満、約50nM未満、約25nM未満、または約10nM未満のK、かつ、ヘプシジン−25生物活性のインビボアッセイにおいて約250nM〜約25nM、好ましくは100nM〜約25nM、またはより好ましくは50nM〜約25nMのIC50で、配列番号12、13、14、15、16、および95からなる群より選択されるアミノ酸配列に局在する1つのアミノ酸または複数のアミノ酸を含むか、またはそれらから実質的になるか、またはそれらからなるエピトープにて、配列番号1に示されるアミノ酸配列からなるヒトFPN1に結合することにより特徴付けられる。好ましくは、インビボアッセイは、血清鉄濃度のIL−6により誘導される減少を測定する。さらにより好ましくは、抗FPN1 Mab、またはその抗原結合フラグメントは、配列番号98、183〜214からなる群より選択される1つ以上のペプチドに結合しない。
【0071】
特定の実施形態において、本発明の抗FPN1 Mab、またはその抗原結合フラグメントは、好ましくはMabについて25℃、およびFabについて37℃にてSPRによって測定される場合、約100nM〜約0.5nM、好ましくは約100nM〜約1nM、より好ましくは約75nM〜約5nM、さらにより好ましくは約50nM〜約10nM、さらにより好ましくは約15nM〜約10nM、さらにより好ましくは約10nM〜約0.5nM、さらにより好ましくは約5nM〜約0.5nM、さらにより好ましくは約5nM〜約0.7nM、さらにより好ましくは約3nM〜約0.7nM、または最も好ましくは約3nM〜約1nMのKで、配列番号12、13、14、15、16、および95からなる群より選択されるアミノ酸配列に局在する1つのアミノ酸または複数のアミノ酸を含むか、またはそれらから実質的になるか、またはそれらからなるエピトープにて、配列番号1に示されるアミノ酸配列からなるヒトFPN1に結合することにより特徴付けられ、ヘプシジン−25生物活性のインビボアッセイにおいて約250nM〜約25nM、好ましくは100nM〜約25nM、またはより好ましくは50nM〜約25nMのIC50を有することによりさらに特徴付けられる。好ましくは、インビボアッセイは、血清鉄濃度のIL−6により誘導される減少を測定する。さらにより好ましくは、抗FPN1 Mab、または抗原結合フラグメントは、配列番号98、183〜214からなる群より選択される1つ以上のペプチドに結合しない。
【0072】
特定の実施形態において、本発明の抗FPN1 Mab、またはその抗原結合フラグメントは、好ましくはMabについて25℃、およびFabについて37℃にてSPRによって測定される場合、約100nM〜約0.5nM、好ましくは約100nM〜約1nM、より好ましくは約75nM〜約5nM、さらにより好ましくは約50nM〜約10nM、さらにより好ましくは約15nM〜約10nM、さらにより好ましくは約10nM〜約0.5nM、さらにより好ましくは約5nM〜約0.5nM、さらにより好ましくは約5nM〜約0.7nM、さらにより好ましくは約3nM〜約0.7nM、または最も好ましくは約3nM〜約1nMのKで、配列番号12、13、14、15、16、および95からなる群より選択されるアミノ酸配列に局在する1つのアミノ酸または複数のアミノ酸を含むか、またはそれらから実質的になるか、またはそれらからなるエピトープにて、配列番号1に示されるアミノ酸配列からなるヒトFPN1に結合し、好ましくはMabについて25℃、およびFabについて37℃にてSPRによって測定される場合、約7.5×10−3−1〜約1×10−4−1、好ましくは約2.5×10−3−1〜約1×10−4−1、より好ましくは約1×10−3−1〜約1×10−4−1、さらにより好ましくは約5×10−4−1〜約1×10−4−1の、ヒトフェロポーチン1に対する解離速度(koff)を有することにより特徴付けられ、さらに、ヘプシジン−25生物活性のインビボアッセイにおいて約250nM〜約25nM、好ましくは100nM〜約25nM、またはより好ましくは50nM〜約25nMのIC50を有することにより特徴付けられる。好ましくは、インビボアッセイは、血清鉄濃度のIL−6により誘導される減少を測定する。さらにより好ましくは、抗FPN1 Mab、またはその抗原結合フラグメントは、配列番号98、183〜214からなる群より選択される1つ以上のペプチドに結合しない。
【0073】
特定の実施形態において、本発明の抗FPN1 Mab、またはその抗原結合フラグメントは、配列番号37、129、22、107、118、および120にそれぞれ示されるアミノ酸配列を含むLCDR1、LCDR2、LCDR3、HCDR1、HCDR2、およびHCDR3を含み、好ましくはMabについて25℃、およびFabについて37℃にてSPRによって測定される場合、約100nM未満、約75nM未満、約50nM未満、約25nM未満、または約10nM未満のK、かつ、好ましくはMabについて25℃、およびFabについて37℃にてSPRによって測定される場合、約7.5×10−3−1〜約1×10−4−1、好ましくは約2.5×10−3−1〜約1×10−4−1、より好ましくは約1×10−3−1〜約1×10−4−1、さらにより好ましくは約5×10−4−1〜約1×10−4−1の、ヒトフェロポーチン1に対する解離速度(koff)で、配列番号12、13、14、15、16、および95からなる群より選択されるアミノ酸配列に局在する1つのアミノ酸または複数のアミノ酸を含むか、またはそれらから実質的になるか、またはそれらからなるエピトープにて、配列番号1に示されるアミノ酸配列からなるヒトFPN1に結合し、さらに、ヘプシジン−25生物活性のインビボアッセイにおいて約250nM〜約25nM、好ましくは100nM〜約25nM、またはより好ましくは50nM〜約25nMのIC50を有することにより特徴付けられる。好ましくは、インビボアッセイは、血清鉄濃度のIL−6により誘導される減少を測定する。さらにより好ましくは、抗FPN Mab、またはその抗原結合フラグメントは、配列番号98、183〜214からなる群より選択される1つ以上のペプチドに結合しない。
【0074】
一部の実施形態において、本発明の抗FPN1 Mab、またはその抗原結合フラグメントは、配列番号37、129、22、107、118、および120にそれぞれ示されるアミノ酸配列を含むLCDR1、LCDR2、LCDR3、HCDR1、HCDR2、およびHCDR3を含み、好ましくはMabについて25℃、およびFabについて37℃にてSPRによって測定される場合、約100nM〜約0.5nM、好ましくは約100nM〜約1nM、より好ましくは約75nM〜約5nM、さらにより好ましくは約50nM〜約10nM、さらにより好ましくは約15nM〜約10nM、さらにより好ましくは約10nM〜約0.5nM、さらにより好ましくは約5nM〜約0.5nM、さらにより好ましくは約5nM〜約0.7nM、さらにより好ましくは約3nM〜約0.7nM、または最も好ましくは約3nM〜約1nMのK、かつ、好ましくはMabについて25℃、およびFabについて37℃にてSPRによって測定される場合、約7.5×10−3−1〜約1×10−4−1、好ましくは約2.5×10−3−1〜約1×10−4−1、より好ましくは約1×10−3−1〜約1×10−4−1、さらにより好ましくは約5×10−4−1〜約1×10−4−1の、ヒトフェロポーチン1に対する解離速度(koff)で、配列番号12、13、14、15、16、および95からなる群より選択されるアミノ酸配列に局在する1つのアミノ酸または複数のアミノ酸を含むか、またはそれらから実質的になるか、またはそれらからなるエピトープにて、配列番号1に示されるアミノ酸配列からなるヒトFPN1に結合し、さらに、ヘプシジン−25生物活性のインビボアッセイにおいて、約250nM〜約25nM、好ましくは100nM〜約25nM、またはより好ましくは50nM〜約25nMのIC50を有することにより特徴付けられる。好ましくは、インビボアッセイは、血清鉄濃度のIL−6により誘導される減少を測定する。さらにより好ましくは、抗FPN1 Mab、またはその抗原結合フラグメントは、配列番号98、183〜214からなる群より選択される1つ以上のペプチドに結合しない。
【0075】
本発明の一部の実施形態において、抗FPN1 Mab、またはその抗原結合フラグメントは、好ましくはMabについて25℃、およびFabについて37℃にてSPRによって測定される場合、約75nM未満、約50nM未満、約25nM未満、または約10nM未満のKで、配列番号12、13、14、15、16、および95からなる群より選択されるアミノ酸配列に局在する1つのアミノ酸または複数のアミノ酸を含むか、またはそれらから実質的になるか、またはそれらからなるエピトープにて、配列番号1に示されるアミノ酸配列からなるヒトFPN1に結合し、ヘプシジン−25生物活性のインビボアッセイにおいて約250nM〜約25nM、好ましくは100nM〜約25nM、またはより好ましくは50nM〜約25nMのIC50を有することにより特徴付けられ、さらに、ヘプシジン−25生物活性のインビトロアッセイにおいて約100nM〜約1nM、好ましくは約75nM〜約1nM、より好ましくは約50nM〜約1nM、さらにより好ましくは約25nM〜約1nMのIC50を有することにより特徴付けられる。好ましくは、インビボアッセイは、血清鉄濃度のIL−6により誘導される減少を測定する。好ましくは、ヘプシジン−25生物活性アッセイのインビトロアッセイは、フェロポーチン1のヘプシジンにより誘導される内在化および/または分解を測定する。さらにより好ましくは、抗FPN1 Mab、またはその抗原結合フラグメントは、配列番号98、183〜214からなる群より選択される1つ以上のペプチドに結合しない。
【0076】
特定の実施形態において、本発明の抗FPN1 Mab、またはその抗原結合フラグメントは、好ましくはMabについて25℃、およびFabについて37℃にてSPRによって測定される場合、約100nM〜約0.5nM、好ましくは約100nM〜約1nM、より好ましくは約75nM〜約5nM、さらにより好ましくは約50nM〜約10nM、さらにより好ましくは約15nM〜約10nM、さらにより好ましくは約10nM〜約0.5nM、さらにより好ましくは約5nM〜約0.5nM、さらにより好ましくは約5nM〜約0.7nM、さらにより好ましくは約3nM〜約0.7nM、または最も好ましくは約3nM〜約1nMのKで、配列番号12、13、14、15、16、および95からなる群より選択されるアミノ酸配列に局在する1つのアミノ酸または複数のアミノ酸を含むか、またはそれらから実質的になるか、またはそれらからなるエピトープにて、配列番号1に示されるアミノ酸配列からなるヒトFPN1に結合し、ヘプシジン−25生物活性のインビボアッセイにおいて、約250nM〜約25nM、好ましくは100nM〜約25nM、またはより好ましくは50nM〜約25nMのIC50を有することにより特徴付けられ、さらに、ヘプシジン−25生物活性のインビトロアッセイにおいて、約100nM〜約1nM、好ましくは約75nM〜約1nM、より好ましくは約50nM〜約1nM、さらにより好ましくは約25nM〜約1nMのIC50を有することにより特徴付けられる。好ましくは、インビボアッセイは、血清鉄濃度のIL−6により誘導される減少を測定する。好ましくは、ヘプシジン−25生物活性のインビトロアッセイは、フェロポーチン1のヘプシジンにより誘導される内在化および/または分解を測定する。さらにより好ましくは、抗FPN1 Mab、またはその抗原結合フラグメントは、配列番号98、183〜214からなる群より選択される1つ以上のペプチドに結合しない。
【0077】
一部の実施形態において、本発明は、配列番号12、13、14、15、16、および95からなる群より選択されるアミノ酸配列に局在する1つのアミノ酸または複数のアミノ酸を含むか、またはそれらから実質的になるか、またはそれらからなるエピトープにて、配列番号1に示されるアミノ酸配列からなるヒトFPN1に結合する、Mab、またはその抗原結合フラグメント、および1)好ましくはMabについて25℃、およびFabについて37℃にてSPRによって測定される場合、約100nM〜約0.5nM、好ましくは約100nM〜約1nM、より好ましくは約75nM〜約5nM、さらにより好ましくは約50nM〜約10nM、さらにより好ましくは約15nM〜約10nM、さらにより好ましくは約10nM〜約0.5nM、さらにより好ましくは約5nM〜約0.5nM、さらにより好ましくは約5nM〜約0.7nM、さらにより好ましくは約3nM〜約0.7nM、または最も好ましくは約3nM〜約1nMのK、2)ヘプシジン−25生物活性のインビボアッセイにおいて、約250nM〜約25nM、好ましくは100nM〜約25nM、またはより好ましくは50nM〜約25nMのIC50、3)ヘプシジン−25生物活性のインビトロアッセイにおいて、約100nM〜約1nM、好ましくは約75nM〜約1nM、より好ましくは約50nM〜約1nM、さらにより好ましくは約25nM〜約1nMのIC50、および4)好ましくはMabについて25℃、およびFabについて37℃にてSPRによって測定される場合、約7.5×10−3−1〜約1×10−4−1、好ましくは約2.5×10−3−1〜約1×10−4−1、より好ましくは約1×10−3−1〜約1×10−4−1、さらにより好ましくは約5×10−4−1〜約1×10−4−1の、ヒトフェロポーチン1に対する解離速度(koff)を提供する。好ましくは、インビボアッセイは、血清鉄濃度のIL−6により誘導される減少を測定する。好ましくは、ヘプシジン−25生物活性アッセイのインビトロアッセイは、フェロポーチン1のヘプシジンにより誘導される内在化および/または分解を測定する。さらにより好ましくは、抗FPN1 Mab、またはその抗原結合フラグメントは、配列番号98、183〜214からなる群より選択される1つ以上のペプチドに結合しない。
【0078】
特定の実施形態において、本発明の抗FPN1 Mab、またはその抗原結合フラグメントは、配列番号37、129、22、107、118、および120にそれぞれ示されるアミノ酸配列を含むLCDR1、LCDR2、LCDR3、HCDR1、HCDR2、およびHCDR3を含み、ヘプシジン−25生物活性のインビボアッセイにおいて約250nM〜約25nM、好ましくは約100nM〜約25nM、またはより好ましくは50nM〜約25nMのIC50を有することにより特徴付けられる。好ましくは、インビボアッセイは、血清鉄濃度のIL−6により誘導される減少を測定する。さらにより好ましくは、抗FPN1 Mab、またはその抗原結合フラグメントは、配列番号98、183〜214からなる群より選択される1つ以上のペプチドに結合しない。
【0079】
特定の実施形態において、本発明の抗FPN1 Mab、またはその抗原結合フラグメントは、配列番号37、129、22、107、118、および120にそれぞれ示されるアミノ酸配列を含むLCDR1、LCDR2、LCDR3、HCDR1、HCDR2、およびHCDR3を含み、ヘプシジン−25生物活性のインビボアッセイにおいて、約250nM〜約25nM、好ましくは100nM〜約25nM、またはより好ましくは50nm〜約25nMのIC50およびヘプシジン−25生物活性のインビトロアッセイにおいて約100nM〜約1nM、好ましくは約75nM〜約1nM、より好ましくは約50nM〜約1nM、さらにより好ましくは約25nM〜約1nMのIC50を有することにより特徴付けられる。好ましくは、インビボアッセイは、血清鉄濃度のIL−6により誘導される減少を測定する。好ましくは、ヘプシジン−25生物活性のインビトロアッセイは、フェロポーチン1のヘプシジンにより誘導される内在化および/または分解を測定する。さらにより好ましくは、抗FPN1 Mab、またはその抗原結合フラグメントは、配列番号98、183〜214からなる群より選択される1つ以上のペプチドに結合しない。
【0080】
特定の実施形態において、本発明の抗FPN1 Mab、またはその抗原結合フラグメントは、配列番号37、129、22、107、118、および120にそれぞれ示されるアミノ酸配列を含むLCDR1、LCDR2、LCDR3、HCDR1、HCDR2、およびHCDR3を含み、好ましくはMabについて25℃、およびFabについて37℃にてSPRによって測定される場合、約100nM未満、約75nM未満、約50nM未満、約25nM未満、または約10nM未満のK、かつ、ヘプシジン−25生物活性のインビボアッセイにおいて、約250nM〜約25nM、好ましくは100nM〜約25nM、またはより好ましくは50nM〜約25nMのIC50で、配列番号12、13、14、15、16、および95からなる群より選択されるアミノ酸配列に局在する1つのアミノ酸または複数のアミノ酸を含むか、またはそれらから実質的になるか、またはそれらからなるエピトープにて、配列番号1に示されるアミノ酸配列からなるヒトFPN1に結合する。好ましくは、インビボアッセイは、血清鉄濃度のIL−6により誘導される減少を測定する。さらにより好ましくは、抗FPN1 Mab、またはその抗原結合フラグメントは、配列番号98、183〜214からなる群より選択される1つ以上のペプチドに結合しない。
【0081】
特定の実施形態において、本発明の抗FPN1 Mab、またはその抗原結合フラグメントは、配列番号37、129、22、107、118、および120にそれぞれ示されるアミノ酸配列を含むLCDR1、LCDR2、LCDR3、HCDR1、HCDR2、およびHCDR3を含み、好ましくはMabについて25℃、およびFabについて37℃にてSPRによって測定される場合、約100nM〜約0.5nM、好ましくは約100nM〜約1nM、より好ましくは約75nM〜約5nM、さらにより好ましくは約50nM〜約10nM、さらにより好ましくは約15nM〜約10nM、さらにより好ましくは約10nM〜約0.5nM、さらにより好ましくは約5nM〜約0.5nM、さらにより好ましくは約5nM〜約0.7nM、さらにより好ましくは約3nM〜約0.7nM、または最も好ましくは約3nM〜約1nMのKで、配列番号12、13、14、15、16、および95からなる群より選択されるアミノ酸配列に局在する1つのアミノ酸または複数のアミノ酸を含むか、またはそれらから実質的になるか、またはそれらからなるエピトープにて、配列番号1に示されるアミノ酸配列からなるヒトFPN1に結合し、さらに、ヘプシジン−25生物活性のインビボアッセイにおいて、約250nM〜約25nM、好ましくは100nM〜約25nM、またはより好ましくは50nM〜約25nMのIC50を有することにより特徴付けられる。好ましくは、インビボアッセイは、血清鉄濃度のIL−6により誘導される減少を測定する。さらにより好ましくは、抗FPN1 Mab、またはその抗原結合フラグメントは、配列番号98、183〜214からなる群より選択される1つ以上のペプチドに結合しない。
【0082】
特定の実施形態において、本発明の抗FPN1 Mab、またはその抗原結合フラグメントは、配列番号37、129、22、107、118、および120にそれぞれ示されるアミノ酸配列を含むLCDR1、LCDR2、LCDR3、HCDR1、HCDR2、およびHCDR3を含み、好ましくはMabについて25℃、およびFabについて37℃にてSPRによって測定される場合、約100nM〜約0.5nM、好ましくは約100nM〜約1nM、より好ましくは約75nM〜約5nM、さらにより好ましくは約50nM〜約10nM、さらにより好ましくは約15nM〜約10nM、さらにより好ましくは約10nM〜約0.5nM、さらにより好ましくは約5nM〜約0.5nM、さらにより好ましくは約5nM〜約0.7nM、さらにより好ましくは約3nM〜約0.7nM、または最も好ましくは約3nM〜約1nMのKで、配列番号12、13、14、15、16、および95からなる群より選択されるアミノ酸配列に局在する1つのアミノ酸または複数のアミノ酸を含むか、またはそれらから実質的になるか、またはそれらからなるエピトープにて、配列番号1に示されるアミノ酸配列からなるヒトFPN1に結合し、好ましくはMabについて25℃、およびFabについて37℃にてSPRによって測定される場合、約7.5×10−3−1〜約1×10−4−1、好ましくは約2.5×10−3−1〜約1×10−4−1、より好ましくは約1×10−3−1〜約1×10−4−1、さらにより好ましくは約5×10−4−1〜約1×10−4−1の、ヒトフェロポーチン1に対する解離速度(koff)を有し、さらに、ヘプシジン−25生物活性のインビボアッセイにおいて、約250nM〜約25nM、好ましくは100nM〜約25nM、またはより好ましくは50nM〜約25nMのIC50を有することにより特徴付けられる。好ましくは、インビボアッセイは、血清鉄濃度のIL−6により誘導される減少を測定する。さらにより好ましくは、抗FPN1 Mab、またはその抗原結合フラグメントは、配列番号98、183〜214からなる群より選択される1つ以上のペプチドに結合しない。
【0083】
特定の実施形態において、本発明の抗FPN1 Mab、またはその抗原結合フラグメントは、配列番号37、129、22、107、118、および120にそれぞれ示されるアミノ酸配列を含むLCDR1、LCDR2、LCDR3、HCDR1、HCDR2、およびHCDR3を含み、好ましくはMabについて25℃、およびFabについて37℃にてSPRによって測定される場合、約100nM未満、約75nM未満、約50nM未満、約25nM未満、または約10nM未満のK、かつ、好ましくはMabについて25℃、およびFabについて37℃にてSPRによって測定される場合、約7.5×10−3−1〜約1×10−4−1、好ましくは約2.5×10−3−1〜約1×10−4−1、より好ましくは約1×10−3−1〜約1×10−4−1、さらにより好ましくは約5×10−4−1〜約1×10−4−1の、ヒトフェロポーチン1に対する解離速度(koff)で、配列番号12、13、14、15、16、および95からなる群より選択されるアミノ酸配列に局在する1つのアミノ酸または複数のアミノ酸を含むか、またはそれらから実質的になるか、またはそれらからなるエピトープにて、配列番号1に示されるアミノ酸配列からなるヒトFPN1に結合し、さらに、ヘプシジン−25生物活性のインビボアッセイにおいて、約250nM〜約25nM、好ましくは100nM〜約25nM、またはより好ましくは50nM〜約25nMのIC50を有することにより特徴付けられる。好ましくは、インビボアッセイは、血清鉄濃度のIL6により誘導される減少を測定する。さらにより好ましくは、抗FPN1 Mab、またはその抗原結合フラグメントは、配列番号98、183〜214からなる群より選択される1つ以上のペプチドに結合しない。
【0084】
本発明の一部の実施形態において、抗FPN1 Mab、またはその抗原結合フラグメントは、配列番号37、129、22、107、118、および120にそれぞれ示されるアミノ酸配列を含むLCDR1、LCDR2、LCDR3、HCDR1、HCDR2、およびHCDR3を含み、好ましくはMabについて25℃、およびFabについて37℃にてSPRによって測定される場合、約75nM未満、約50nM未満、約25nM未満、または約10nM未満のKで、配列番号12、13、14、15、16、および95からなる群より選択されるアミノ酸または配列番号12、13、14、15、16、および95からなる群より選択されるアミノ酸配列に局在する1つのアミノ酸または複数のアミノ酸を含むか、またはそれらから実質的になるか、またはそれらからなるエピトープにて、配列番号1に示されるアミノ酸配列からなるヒトFPN1に結合し、ヘプシジン−25生物活性のインビボアッセイにおいて、約250nM〜約25nM、好ましくは100nM〜約25nM、またはより好ましくは50nM〜約25nMのIC50を有し、さらに、ヘプシジン−25生物活性のインビトロアッセイにおいて、約100nM〜約1nM、好ましくは約75nM〜約1nM、より好ましくは約50nM〜約1nM、さらにより好ましくは約25nM〜約1nMのIC50を有することにより特徴付けられる。好ましくは、インビボアッセイは、血清鉄濃度のIL6により誘導される減少を測定する。好ましくは、ヘプシジン−25生物活性アッセイのインビトロアッセイは、フェロポーチン1のヘプシジンにより誘導される内在化および/または分解を測定する。さらにより好ましくは、抗FPN1 Mab、またはその抗原結合フラグメントは、配列番号98、183〜214からなる群より選択される1つ以上のペプチドに結合しない。
【0085】
特定の実施形態において、本発明の抗FPN1 Mab、またはその抗原結合フラグメントは、配列番号37、129、22、107、118、および120にそれぞれ示されるアミノ酸配列を含むLCDR1、LCDR2、LCDR3、HCDR1、HCDR2、およびHCDR3を含み、好ましくはMabについて25℃、およびFabについて37℃にてSPRによって測定される場合、約100nM〜約0.5nM、好ましくは約100nM〜約1nM、より好ましくは約75nM〜約5nM、さらにより好ましくは約50nM〜約10nM、さらにより好ましくは約15nM〜約10nM、さらにより好ましくは約10nM〜約0.5nM、さらにより好ましくは約5nM〜約0.5nM、さらにより好ましくは約5nM〜約0.7nM、さらにより好ましくは約3nM〜約0.7nM、または最も好ましくは約3nM〜約1nMのKで、配列番号12、13、14、15、16、および95からなる群より選択されるアミノ酸配列に局在する1つのアミノ酸または複数のアミノ酸を含むか、またはそれらから実質的になるか、またはそれらからなるエピトープにて、配列番号1に示されるアミノ酸配列からなるヒトFPN1に結合し、ヘプシジン−25生物活性のインビボアッセイにおいて、約250nM〜約25nM、好ましくは100nM〜約25nM、またはより好ましくは50nM〜約25nMのIC50を有し、さらに、ヘプシジン−25生物活性のインビトロアッセイにおいて、約100nM〜約1nM、好ましくは約75nM〜約1nM、より好ましくは約50nM〜約1nM、さらにより好ましくは約25nM〜約1nMのIC50を有することにより特徴付けられる。好ましくは、インビボアッセイは、血清鉄濃度のIL−6により誘導される減少を測定する。好ましくは、ヘプシジン−25生物活性アッセイのインビトロアッセイは、フェロポーチン1のヘプシジンにより誘導される内在化および/または分解を測定する。さらにより好ましくは、抗FPN1 Mab、またはその抗原結合フラグメントは、配列番号98、183〜214からなる群より選択される1つ以上のペプチドに結合しない。
【0086】
特定の実施形態において、本発明の抗FPN1 Mab、またはその抗原結合フラグメントは、配列番号37、129、22、107、118、および120にそれぞれ示されるアミノ酸配列を含むLCDR1、LCDR2、LCDR3、HCDR1、HCDR2、およびHCDR3を含み、配列番号12、13、14、15、16、および95からなる群より選択されるアミノ酸配列に局在する1つのアミノ酸または複数のアミノ酸を含むか、またはそれらから実質的になるか、またはそれらからなるエピトープにて、配列番号1に示されるアミノ酸配列からなるヒトFPN1に結合し、1)好ましくはMabについて25℃、およびFabについて37℃にてSPRによって測定される場合、約100nM〜約0.5nM、好ましくは約100nM〜約1nM、より好ましくは約75nM〜約5nM、さらにより好ましくは約50nM〜約10nM、さらにより好ましくは約15nM〜約10nM、さらにより好ましくは約10nM〜約0.5nM、さらにより好ましくは約5nM〜約0.5nM、さらにより好ましくは約5nM〜約0.7nM、さらにより好ましくは約3nM〜約0.7nM、または最も好ましくは約3nM〜約1nMのK、2)ヘプシジン−25生物活性のインビボアッセイにおいて、約250nM〜約25nM、好ましくは100nM〜約25nM、またはより好ましくは50nM〜約25nMのIC50、3)ヘプシジン−25生物活性のインビトロアッセイにおいて、約100nM〜約1nM、好ましくは約75nM〜約1nM、より好ましくは約50nM〜約1nM、さらにより好ましくは約25nM〜約1nMのIC50、および4)好ましくはMabについて25℃、およびFabについて37℃にてSPRによって測定される場合、約7.5×10−3−1〜約1×10−4−1、好ましくは約2.5×10−3−1〜約1×10−4−1、より好ましくは約1×10−3−1〜約1×10−4−1、さらにより好ましくは約5×10−4−1〜約1×10−4−1の、ヒトフェロポーチン1に対する解離速度(koff)を有する。好ましくは、インビボアッセイは、血清鉄濃度のIL−6により誘導される減少を測定する。好ましくは、ヘプシジン−25生物活性アッセイのインビトロアッセイは、フェロポーチン1のヘプシジンにより誘導される内在化および/または分解を測定する。さらにより好ましくは、抗FPN1 Mab、またはその抗原結合フラグメントは、配列番号98、183〜214からなる群より選択される1つ以上のペプチドに結合しない。
【0087】
特定の実施形態において、本発明の抗FPN1 Mab、またはその抗原結合フラグメントは、配列番号37、125、22、23、110、および19にそれぞれ示されるアミノ酸配列を含むLCDR1、LCDR2、LCDR3、HCDR1、HCDR2、およびHCDR3を含み、配列番号12、13、14、15、16、および95からなる群より選択されるアミノ酸配列に局在する1つのアミノ酸または複数のアミノ酸を含むか、またはそれらから実質的になるか、またはそれらからなるエピトープにて、配列番号1に示されるアミノ酸配列からなるヒトFPN1に結合し、好ましくはMabについて25℃、およびFabについて37℃にてSPRによって測定される場合、約100nM〜約0.5nM、好ましくは約100nM〜約1nM、より好ましくは約75nM〜約5nM、さらにより好ましくは約50nM〜約10nM、さらにより好ましくは約15nM〜約10nM、さらにより好ましくは約10nM〜約0.5nM、さらにより好ましくは約5nM〜約0.5nM、さらにより好ましくは約5nM〜約0.7nM、さらにより好ましくは約3nM〜約0.7nM、または最も好ましくは約3nM〜約1nMのK、2)ヘプシジン−25生物活性のインビボアッセイにおいて、約250nM〜約25nM、好ましくは100nM〜約25nM、またはより好ましくは50nM〜約25nMのIC50、3)ヘプシジン−25生物活性のインビトロアッセイにおいて、約100nM〜約1nM、好ましくは約75nM〜約1nM、より好ましくは約50nM〜約1nM、さらにより好ましくは約25nM〜約1nMのIC50、および4)好ましくはMabについて25℃、およびFabについて37℃にてSPRによって測定される場合、約7.5×10−3−1〜約1×10−4−1、好ましくは約2.5×10−3−1〜約1×10−4−1、より好ましくは約1×10−3−1〜約1×10−4−1、さらにより好ましくは約5×10−4−1〜約1×10−4−1の、ヒトフェロポーチン1に対する解離速度(koff)を有することにより特徴付けられる。好ましくは、インビボアッセイは、血清鉄濃度のIL−6により誘導される減少を測定する。好ましくは、ヘプシジン−25生物活性アッセイのインビトロアッセイは、フェロポーチン1のヘプシジンにより誘導される内在化および/または分解を測定する。さらにより好ましくは、抗FPN1 Mab、またはその抗原結合フラグメントは、配列番号98、183〜214からなる群より選択される1つ以上のペプチドに結合しない。さらにより好ましくは、抗FPN1 Mab、またはその抗原結合フラグメントは、配列番号98、183〜214からなる群より選択される1つ以上のペプチドに結合しない。
【0088】
特定の実施形態において、本発明の抗FPN1 Mab、またはその抗原結合フラグメントは、配列番号37、177、22、23、112、および19にそれぞれ示されるアミノ酸配列を含むLCDR1、LCDR2、LCDR3、HCDR1、HCDR2、およびHCDR3を含み、配列番号12、13、14、15、16、および95からなる群より選択されるアミノ酸配列に局在する1つのアミノ酸または複数のアミノ酸を含むか、またはそれらから実質的になるか、またはそれらからなるエピトープにて、配列番号1に示されるアミノ酸配列からなるヒトFPN1に結合し、1)好ましくはMabについて25℃、およびFabについて37℃にてSPRによって測定される場合、約100nM〜約0.5nM、好ましくは約100nM〜約1nM、より好ましくは約75nM〜約5nM、さらにより好ましくは約50nM〜約10nM、さらにより好ましくは約15nM〜約10nM、さらにより好ましくは約10nM〜約0.5nM、さらにより好ましくは約5nM〜約0.5nM、さらにより好ましくは約5nM〜約0.7nM、さらにより好ましくは約3nM〜約0.7nM、または最も好ましくは約3nM〜約1nMのK、2)ヘプシジン−25生物活性のインビボアッセイにおいて、約250nM〜約25nM、好ましくは100nM〜約25nM、またはより好ましくは50nM〜約25nMのIC50、3)ヘプシジン−25生物活性のインビトロアッセイにおいて、約100nM〜約1nM、好ましくは約75nM〜約1nM、より好ましくは約50nM〜約1nM、さらにより好ましくは約25nM〜約1nMのIC50、および4)好ましくはMabについて25℃、およびFabについて37℃にてSPRによって測定される場合、約7.5×10−3−1〜約1×10−4−1、好ましくは約2.5×10−3−1〜約1×10−4−1、より好ましくは約1×10−3−1〜約1×10−4−1、さらにより好ましくは約5×10−4−1〜約1×10−4−1の、ヒトフェロポーチン1に対する解離速度(koff)を有することにより特徴付けられる。好ましくは、インビボアッセイは、血清鉄濃度のIL−6により誘導される減少を測定する。好ましくは、ヘプシジン−25生物活性アッセイのインビトロアッセイは、フェロポーチン1のヘプシジンにより誘導される内在化および/または分解を測定する。さらにより好ましくは、抗FPN1 Mab、またはその抗原結合フラグメントは、配列番号98、183〜214からなる群より選択される1つ以上のペプチドに結合しない。
【0089】
特定の実施形態において、本発明の抗FPN1 Mab、またはその抗原結合フラグメントは、配列番号37、122、22、23、110、および19にそれぞれ示されるアミノ酸配列を含むLCDR1、LCDR2、LCDR3、HCDR1、HCDR2、およびHCDR3を含み、配列番号12、13、14、15、16、および95からなる群より選択されるアミノ酸配列に局在する1つのアミノ酸または複数のアミノ酸を含むか、またはそれらから実質的になるか、またはそれらからなるエピトープにて、配列番号1に示されるアミノ酸配列からなるヒトFPN1に結合し、1)好ましくはMabについて25℃、およびFabについて37℃にてSPRによって測定される場合、約100nM〜約0.5nM、好ましくは約100nM〜約1nM、より好ましくは約75nM〜約5nM、さらにより好ましくは約50nM〜約10nM、さらにより好ましくは約15nM〜約10nM、さらにより好ましくは約10nM〜約0.5nM、さらにより好ましくは約5nM〜約0.5nM、さらにより好ましくは約5nM〜約0.7nM、さらにより好ましくは約3nM〜約0.7nM、または最も好ましくは約3nM〜約1nMのK、2)ヘプシジン−25生物活性のインビボアッセイにおいて、約250nM〜約25nM、好ましくは100nM〜約25nM、またはより好ましくは50nM〜約25nMのIC50、3)ヘプシジン−25生物活性のインビトロアッセイにおいて、約100nM〜約1nM、好ましくは約75nM〜約1nM、より好ましくは約50nM〜約1nM、さらにより好ましくは約25nM〜約1nMのIC50、および4)好ましくはMabについて25℃、およびFabについて37℃にてSPRによって測定される場合、約7.5×10−3−1〜約1×10−4−1、好ましくは約2.5×10−3−1〜約1×10−4−1、より好ましくは約1×10−3−1〜約1×10−4−1、さらにより好ましくは約5×10−4−1〜約1×10−4−1の、ヒトフェロポーチン1に対する解離速度(koff)を有することにより特徴付けられる。好ましくは、インビボアッセイは、血清鉄濃度のIL−6により誘導される減少を測定する。好ましくは、ヘプシジン−25生物活性アッセイのインビトロアッセイは、フェロポーチン1のヘプシジンにより誘導される内在化および/または分解を測定する。さらにより好ましくは、抗FPN1 Mab、またはその抗原結合フラグメントは、配列番号98、183〜214からなる群より選択される1つ以上のペプチドに結合しない。
【0090】
特定の実施形態において、本発明の抗FPN1 Mab、またはその抗原結合性フラグメントは、
(a)配列番号154および配列番号152にそれぞれ示される軽鎖および重鎖;
(b)配列番号181および配列番号179にそれぞれ示される軽鎖および重鎖;または、
(c)配列番号158および配列番号156にそれぞれ示される軽鎖および重鎖、
を含み、配列番号12、13、14、15、16、および95からなる群より選択されるアミノ酸配列に局在する1つのアミノ酸または複数のアミノ酸を含むか、またはそれらから実質的になるか、またはそれらからなるエピトープにて、配列番号1に示されるアミノ酸配列からなるヒトFPN1に結合し、1)好ましくはMabについて25℃、およびFabについて37℃にてSPRによって測定される場合、約100nM〜約0.5nM、好ましくは約100nM〜約1nM、より好ましくは約75nM〜約5nM、さらにより好ましくは約50nM〜約10nM、さらにより好ましくは約15nM〜約10nM、さらにより好ましくは約10nM〜約0.5nM、さらにより好ましくは約5nM〜約0.5nM、さらにより好ましくは約5nM〜約0.7nM、さらにより好ましくは約3nM〜約0.7nM、または最も好ましくは約3nM〜約1nMのK、2)ヘプシジン−25生物活性のインビボアッセイにおいて、約250nM〜約25nM、好ましくは100nM〜約25nM、またはより好ましくは50nM〜約25nMのIC50、3)ヘプシジン−25生物活性のインビトロアッセイにおいて、約100nM〜約1nM、好ましくは約75nM〜約1nM、より好ましくは約50nM〜約1nM、さらにより好ましくは約25nM〜約1nMのIC50、および4)好ましくはMabについて25℃、およびFabについて37℃にてSPRによって測定される場合、約7.5×10−3−1〜約1×10−4−1、好ましくは約2.5×10−3−1〜約1×10−4−1、より好ましくは約1×10−3−1〜約1×10−4−1、さらにより好ましくは約5×10−4−1〜約1×10−4−1の、ヒトフェロポーチン1に対する解離速度(koff)を有することにより特徴付けられる。好ましくは、インビボアッセイは、血清鉄濃度のIL−6により誘導される減少を測定する。好ましくは、ヘプシジン−25生物活性アッセイのインビトロアッセイは、フェロポーチン1のヘプシジンにより誘導される内在化および/または分解を測定する。
【0091】
用語「治療している」(あるいは「治療する」または「治療」)とは、症状、障害、状態、または疾患の進行または重症度を遅延すること、妨げること、抑止すること、制御すること、停止すること、減少させること、または反転することを意味するが、必ずしも、あらゆる疾患に関連する症状、状態、または障害の完全な除去を含まなくてもよい。
【0092】
用語「予防している」(あるいは「予防する」または「予防」)とは、症状、障害、状態、または疾患の発病または発生を予防すること、抑制すること、または阻害することを意味する。急性事象および慢性疾患が治療および予防され得る。急性事象において、抗体またはその抗原結合フラグメントを、症状、障害、状態、または疾患が生じたときに投与し、その急性事象が終わったときには中断する。これに対して、慢性的な症状、障害、状態、または疾患は、より長期的な期間にわたって治療される。
【0093】
「障害」とは、本発明による治療が有益であるいずれかの状態である。用語「障害」、「状態」、および「疾患」は、本願明細書においては同じ意味で用い、限定されないが、慢性疾患による貧血を含む、限定されないが、貧血を含む、慢性および急性の成熟ヘプシジンにより促進される障害を含む。
【0094】
用語「慢性疾患による貧血」とは、例えば、幅広い感染、炎症、および腫瘍性疾患の結果として発症するいずれかの貧血のことをいう。発症した貧血は、多くの場合、赤血球の寿命を短くし、マクロファージにおいて鉄を隔離することによって特徴付けられ、その結果、新たな赤血球を生成するのに利用可能な鉄の量を減少させる。慢性疾患による貧血に付随する状態としては、限定されないが、慢性の細菌性心内膜炎、骨髄炎、リウマチ熱、潰瘍性大腸炎、および腫瘍性疾患が挙げられる。さらなる状態としては、例えば、炎症性感染(例えば肺膿瘍、結核)、非感染性炎症性疾患(例えばリウマチ性関節炎、全身性エリテマトーデス、クローン病、肝炎、炎症性腸疾患)、ならびに種々の癌、腫瘍、および悪性腫瘍(例えば癌腫、肉腫、リンパ腫)を含む、感染症、炎症、および腫瘍に付随する他の疾患および障害が挙げられる。慢性疾患による貧血は、低鉄血症および細網内皮細胞の鉄隔離に関連する。
【0095】
炎症性サイトカインは、ヘプシジン発現の強力な誘導因子であり、ヘプシジン過剰は、これらの被験体における貧血の発病において重要な役割を果たし得る(Weissら,N.Engl.J.Med.,352:1011−1023(2005);Pigeon.ら,J.Biol.Chem.276:7811−7819(2001);Nicolasら,J.Clin.Invest.110:1037−1044(2002);Nemethら,J.Clin.Invest.113:1271−1276(2004);Nemethら,Blood,101:2461−2463(2003);Leeら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA.,102:1906−1910(2005))。IL−6等の炎症性メディエータは、STAT3によるヘプシジン発現を調節し得る(Wrightingら,Blood,108:3204−3209(2006);Verga Falzacappaら,Blood,109:353−358(2007);Pietrangeloら,Gastroenterology,132:294−300(2007))。本願明細書において提示されるデータは、本発明の抗FPN1 Mabが血清鉄濃度を上昇させるという、インビボでの証拠を提供する。
【0096】
本発明の抗FPN1 Mab、またはその抗原結合性フラグメントの投与を含む貧血を治療する方法もまた本発明によって提供される。一部の実施形態において、貧血を治療する方法は、抗FPN1 Mabまたはその抗原結合性フラグメントを含む薬学的組成物を、本願明細書において記載される病状、例えば、貧血疾患の危険性がある、またはその病状を発症している被験体に、標準的な投与技術を用いて投与する工程を含む。
【0097】
本願明細書において用いられる用語「有効量」は、所望の治療結果を達成するのに必要な量(投与量、期間、および投与手段)のことをいう。抗体の有効量は、例えば、個体の疾患段階、年齢、性別、および体重、ならびに、個体において所望の反応を生じさせるための抗体または抗体の一部の能力などの要因に従って変化し得る。有効量はまた、抗体の毒性または有害作用に対して治療に有益な効果が勝るものである。
【0098】
有効量は、被験体に治療的有効性を与えるのに必要な活性剤の少なくとも最小量であるが、毒性量未満である。別の言い方をすれば、本発明の抗体の有効量または治療的に有効な量は、哺乳動物、好ましくはヒトにおいて、(i)血清鉄濃度、網状赤血球数、赤血球数、ヘモグロビンおよび/またはヘマトクリットを上昇させ、または(ii)成熟ヘプシジンの存在が、望ましくない病理学的作用を生じるか、またはその一因となる障害を治療するか、または(iii)成熟ヘプシジンの生物活性を減少させ、その結果、哺乳動物、好ましくはヒトにおいて、限定されないが、感染、炎症、および/または癌に起因する貧血を含む、限定されないが、慢性疾患による貧血を含む、限定されないが、貧血を含む、治療に有益な効果を生じる、量である。本発明の抗体の有効量は、単回投与または複数回投与で投与され得る。さらに、本発明の抗体の有効量は、一度のみ投与される場合、有効量未満である量の複数回投与で投与され得る。
【0099】
医学分野において周知であるように、いずれか一人の被験体に対する投与量は、患者の体格、体表面積、年齢、投与される特定の化合物、性別、投与の時間および経路、一般的な健康状態、および同時に投与される他の薬剤を含む多くの要因に依存する。投与量は、さらに、疾患の種類および重症度に依存して変化し得る。典型的な用量は、例えば、約1mg〜約100mg、好ましくは、約2mg〜約100mg、より好ましくは、約5mg〜約100mg、さらにより好ましくは、約5mg〜約50mg、さらにより好ましくは、約5mg〜約25mg、さらにより好ましくは、約5mg〜約20mg、さらにより好ましくは、約5mg〜約15mgの範囲であってよいが、特に、前述の要因を考慮して、この例示的な範囲未満またはそれより多い用量が想定される。一日の非経口投与計画は、約10μg/kg〜約100mg/kg、好ましくは約100μg/kg〜約100mg/kg、さらに好ましくは約1mg/kg〜約100mg/kg、さらにより好ましくは、約1mg/kg〜約30mg/kg、さらにより好ましくは約3mg/kg〜約30mg/kg、あるいは最も好ましくは約3mg/kg〜約30mg/kgであってもよい。進行は定期的な評価によって監視されてもよく、それに従って用量が調整されてよい。
【0100】
抗FPN1抗体のこれらの示唆された量は、治療上の裁量に多大に依存する。適切な投与およびスケジューリングを選択することにおける主な要因は、得られた結果である。これに関連して想定される要因は、治療される特定の障害、個々の患者の病態、障害の原因、抗体の送達部位、抗体の特定の種類、投与方法、投与のスケジューリング、および医師に既知の他の要因を含む。
【0101】
本発明の抗体は、様々な経路によって投与される、ヒトの医療における医薬として使用されてもよい。最も好ましくは、このような組成物は、非経口投与用である。このような薬学的組成物は、当該技術分野において周知である方法によって調製可能である。例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy,第19版,(1995),Gennaro,A.ら,Mack Publishing Co.を参照のこと。従って、本発明はまた、1つ以上の薬学的に受容可能な担体、希釈剤、または賦形剤と組み合わせた、本発明の1つ以上の抗体を含む薬学的組成物を提供する。特定の実施形態において、薬学的組成物はさらに、1つ以上の他の治療薬を含む。
【0102】
本願明細書において用いられる用語、非経口とは、静脈、筋肉内、皮下、直腸、膣、または腹腔内投与を含む。静脈内注入、あるいは静脈内、腹腔内、または皮下注射による非経口の送達が好ましい。皮下注射が最も好ましい。そのような注射のために適切なビヒクルは当該技術分野において周知である。
【0103】
薬学的組成物は、典型的に、滅菌されている必要があり、提供される容器、例えば、密封バイアル、シリンジ、または他の送達装置、例えばペン等を含む容器内での製造および保存の条件下で安定している必要がある。それゆえ、薬学的組成物は、製剤作製後、濾過滅菌され得るか、またはそうでなければ微生物学的に許容可能に作製され得る。
【0104】
本発明の抗体は、ヒトの被験体に投与するのに適切な薬学的組成物に組み込むことができる。本発明の抗体は、単独で、あるいは、薬学的に受容可能な担体および/または希釈剤と組み合わせて単回投与または複数回投与でヒト被験体に投与されてもよい。このような薬学的組成物は、選択される投与方法に適するように設計され、薬学的に受容可能な希釈剤、担体、および/または賦形剤、例えば、分散剤、緩衝剤、界面活性剤、防腐剤、可溶化剤、限定されないが塩化ナトリウムを含む等張剤、安定剤などが適切な場合、使用される。前記組成物は、例えば、Remington,The Science and Practice of Pharmacy,第19版,Gennaro,Ed.,Mack Publishing Co.,Easton,PA(1995)に開示されている従来技術に従って設計可能であり、この文献は、医師には一般的に公知であるような製剤技術の概要を提供している。薬学的組成物に適切な担体は、本発明の抗体と組み合わされる場合、分子の活性を保持し、被験体の免疫系に反応しない任意の物質を含む。
【0105】
本願明細書において置き換え可能に用いられる用語「被験体」および「患者」は、哺乳動物、好ましくはヒトのことをいう。特定の実施形態において、患者は、低い成熟ヘプシジン濃度、成熟ヘプシジンの生物活性の減少、および/または血清鉄濃度、網状赤血球数、赤血球数、ヘモグロビン、および/またはヘマトクリットの増加が有益である障害を有する。
【0106】
FPN1抗体化合物を単独で投与することは、例えば、望ましくない副作用のために、任意の用量または高い用量のみのいずれかにおいて、1つ以上のESAを許容できない患者に有益であり得る。単独で投与されるか、またはESAと組み合わされた本発明のFPN1 Mab、またはその抗原結合フラグメントはまた、従来の用量または高用量のいずれかにおいて、ESAのみを用いて患者のヘマトクリットの目標値に到達することができないESA抵抗性を有する患者に有用であり得る。
【0107】
本発明のFPN1 Mab、またはその抗原結合フラグメントはまた、ESAの使用を含む、併用薬物療法が患者のヘマトクリットの目標値に到達させるのに不十分である場合に投与されてもよい。
【0108】
別の実施形態において、本発明は、ヒトにおける血清鉄濃度、網状赤血球数、赤血球数、ヘモグロビンおよび/またはヘマトクリットを増加させるための医薬を製造するための、本発明のモノクローナル抗体およびその抗原結合フラグメントの使用を提供する。
【0109】
別の実施形態において、本発明は、ヒトにおける血清鉄濃度、網状赤血球数、赤血球数、ヘモグロビンおよび/またはヘマトクリットを増加させるための併用療法において使用するための医薬の製造における、モノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントの使用を提供し、前記医薬は、エポエチンアルファ、エポエチンベータ、ダーベポエチンアルファ、ヘマタイド(hematide)、メトキシポリエチレングリコール−エポエチンベータ、あるいはヒトにおける血清鉄濃度、網状赤血球数、赤血球数、ヘモグロビンおよび/またはヘマトクリットを増加させるために従来利用されている他の治療的薬剤、もしくは治療的処置からなる群より選択される1つ以上のESAと組み合わせて投与される
【0110】
以下の非限定的な例は、本願明細書において開示される抗FPN1抗体の様々な特性を示す。
【実施例】
【0111】
実施例1:ヒトヘプシジン−25の生成
ヒトヘプシジン−25は、商業的供給源(例えば、Peptide International(Louisville、Kentucky))から入手され得るか、または当該技術分野で公知の様々な合成または組換え技術によって生成され得る。あるいは、ヒトヘプシジン−25配列の25のアミノ酸を含みかつ配列番号91に示されるアミノ酸配列を有する融合タンパク質は、大腸菌の中で発現される。封入体を、3リットルのヒトヘプシジン融合タンパク質を発現する大腸菌から、37℃での1mM IPTGを用いた3〜6時間の誘導後に単離する。この封入体を、緩衝剤A(50mM Trisおよび8M 尿素(pH 8.0))の中で可溶化する。上清をIMACカラム(20mL 樹脂)に通す。吸光度がベースラインまで戻るまでこのカラムを緩衝剤Aで洗浄し、結合したポリペプチドを、緩衝剤A中の0.5M イミダゾールによってこのカラムからバッチ溶出する。このヒトヘプシジン−25融合タンパク質をプールし、50mM DTTを用いて還元する。次いでこの融合タンパク質を、プールした物質を50μg/mL未満の最終タンパク質濃度まで2M 尿素、3mM システイン、50mM Tris(pH 8.0)の中へ希釈することによりリフォールディングする(refolded)。この物質を室温で撹拌し、48時間空気酸化する。酸化したポリペプチドを、5mL/分の流量でIMACカラム(20mL)に通し、このヒトヘプシジン−25融合タンパク質を、緩衝剤A中の0.5M イミダゾールによってこのカラムからバッチ溶出する。このヒトヘプシジン−25融合タンパク質を含有するプールした画分を濃縮し、50mM Tris、4M 尿素、pH 8.0で平衡にしたSuperdex 75(GE Healthcare、XK26/60)サイズ分け(sizing)カラムに3mL/分の流量で通した。このモノマーの融合タンパク質をプールし、次いで50mM Tris、2M 尿素、5mM CaCl、pH 8.0に希釈し、次いでエンテロキナーゼを用いて切断し、配列番号1のヒトヘプシジン−25を生成した。切断されないヒトヘプシジン−25融合タンパク質をパッシブ(passive)IMACクロマトグラフィ(上に概略を示したとおり)によって除去した。このIMACカラムから通り抜けた流れは、次いで4.0mL/分間の流量でC−18逆相カラムに通す。吸光度がベースラインまで戻るまでこのカラムを水中の0.1% TFAで洗浄し、0.5%/分の速度の0.1% TFAを用いた20%から40%へのアセトニトリルの線形勾配を用いて、結合したポリペプチドをカラムから溶出した。このヒトヘプシジン−25ポリペプチドを含有する画分をプールし、N末端アミノ酸配列決定およびマトリックス支援レーザー脱離/イオン化質量分析(MALDI−MS)によって分析した。ラット、マウス、およびカニクイザルヘプシジン−25および種々のN末端で短縮された形態のヒトヘプシジン−25をコードするポリペプチド(ヘプシジン−22およびヘプシジン−20を含む)を、市販品として入手した(例えば、Peptide International)。
【0112】
実施例2:34A9 Fabの生成
抗FPN1抗体は、マウスを配列番号11に示されるアミノ酸配列を有する免疫原性のペプチドで免役することにより得てもよい。より特定すれば、ペプチドリンカーによって配列番号12に示されるアミノ酸配列(ヒトFPN1の細胞外のループの少なくとも一部分で考えられる)に連結したOVAエピトープを含む免疫原性のペプチドを使用して、マウスを免役してもよい。免疫化後、マウス脾臓を回収し、脾臓細胞を、配列番号12に示されるアミノ酸配列を有するビオチン化されたペプチドおよびストレプトアビジンビーズを使用するMagnetic Activated Cell Sortingによって細胞分離する(sorted)。RNAを抗原結合細胞から単離し、oligo dTを使用してcDNAへと転化する。抗体の重鎖および軽鎖可変領域を、抗体フレームワークプライマーを使用するPCRによって得て、ファージベクターにクローン化してFab抗体ライブラリーを作製する。このファージ抗体ライブラリーを、配列番号12に示されるアミノ酸配列を有するビオチン化されたペプチド、例えば、100nMでスクリーニングする。次いで陽性に結合するクローンを、DNA配列決定、Fab発現ならびにヒトフェロポーチンを発現する免疫性(immunizing)ペプチドおよび/または細胞への結合によって特徴づける。Fab 34A9を、基本的に上記のとおりの手順に従って同定した。
【0113】
実施例3:抗FPN1 Mabのエピトープマッピング
FPN1関連免疫原の部分配列を含有するペプチドをドットブロット(dot blot)ハイブリダイゼーション実験で使用して、マウスMab 34A9のエピトープを決定し得る。以下のペプチドが合成されて水に溶解され得る(下線を引いたアミノ酸は実際のFPN1アミノ酸配列を表す):
【0114】
FpnE3a (配列番号 96): GGSPFEDIRSRFIQGESITPTKGC
060719Z (配列番号 97): GGSPFEDIRSRFIQGC
060719Y (配列番号 98): GGIQGESITPTKIPEITTEGC
0708L4A (配列番号 99): GGMPGSPLDLSVSPFEDGC
0708L4B (配列番号 100): GGSPLDLSVSPFEDIRSGC
0708L4C (配列番号 101): GGEDIRSRFIQGESITGC
0708L4D (配列番号 102): GGRSRFIQGESITPTKGC
【0115】
各ペプチドについて、3μlの1〜5μg/mLのペプチドを一片のニトロセルロース膜の上へとスポッティングし(spotted)、風乾する。ブロッキング緩衝剤(例えば、1% BSAを含有するPBS)を用いてこの膜をブロッキングし、次いでブロッキング緩衝剤中の3〜5μg/mL FPN1抗体とともに室温で1時間インキュベーションする。この膜を1×PBST(10mM リン酸ナトリウム、150mM NaCl、0.1% Tween−20、pH 7.4)で3回(各5分)洗浄し、その後これを、製造業者のプロトコル(LiCor,Inc;Lincoln、NE)に従ってIR700標識−ヤギ−抗マウス抗体とともにインキュベーションする。この膜を1×PBSTで3回(各5分)洗浄し、Odyssey撮像システムおよびOdysseyソフトウェア(LiCor,Inc)で撮像する。
【0116】
図1は、Mab 34A9がペプチドFpnE3a、060719Z、0708L4C、および0708L4D(これらはすべて配列番号1のアミノ酸409〜415を含有する)に結合するということを示す。Mab 34A9は、ペプチド0708L4Dへの結合によって示されるとおり、EDIのアミノ酸配列を必要とはしない。Mab 34A9はペプチド060719Zに対して0708L4Cよりも弱く結合する。後者のペプチドはFPN1(配列番号1)のアミノ酸416〜419を含有する。
【0117】
実施例4:SPRによって測定される場合の抗FPN1 FabおよびMabの親和性
FPN1に結合するFabおよびMabの親和性は、Biacore T100で、およびBiacore T100評価ソフトウェア(BIAcore(登録商標) AB、Upsala、Sweden)での1:1結合モデルを使用して決定され得る。手短に言うと、ウイルス性トランス活性化因子を含まない市販のテトラサイクリンで制御された発現系であるT−RExシステム(Invitrogen、Carlsbad、CA)を、T−Rex HEK 293細胞における安定な細胞株生成のために使用する。すべての増殖条件はInvitrogenによって提供されるT−RExマニュアルに記載されている。FPN1は、GFPとC末端で融合している。FPN1−GFPの発現を、1〜10ng/mLのドキシサイクリンによって1〜24時間誘導する。誘導した細胞をフラスコからこそげ取ることにより回収し、次いで1×PBSで洗浄する。細胞ペレットは、使用するまで−80℃で保存し得る。約5×10の誘導した細胞を、0.2% Tween−20およびプロテアーゼ阻害剤、例えば、Complete(商標)プロテアーゼ阻害剤カクテル錠剤(Roche Diagnostics Corp.、Indianapolis、IN)を含む10mM リン酸緩衝剤に再懸濁する。3サイクルの凍結/解凍/超音波処理を使用して細胞を溶解する。この可溶化物をBiacoreランニング緩衝剤で2倍に希釈し、遠心して細胞片(debris)を除去する。
【0118】
Biacore T100上で、ウサギ抗GFP抗体またはヤギ抗GFP抗体を、5000〜15000 RusでCM5チップのフローセル1〜4上に固定化する。FPN1−GFPを、誘導した細胞の可溶化物からフローセル2、3、または4上に捕捉する。フローセル1は、基準として使用する。次いですべてのフローセルを異なる濃度の抗体とともに注入し、結合および動力学を評価する。親和性効果を最小にするために、Fabなどの一価の抗原結合フラグメントを使用する表面プラズモン共鳴に基づく測定が、このアッセイフォーマットで多価の抗体を使用する測定よりも一般に好ましい。表4aおよび4bは、それぞれウサギ抗GFP抗体(Invitrogen、Carlsbad、CA(カタログ番号A11122))およびヤギ抗GFP抗体(R&D Systems、Minneapolis、MN(カタログ番号AF4240))を使用した抗ヒトFPN1に結合するFabについての結合特性を示す。
【0119】
表4(a):FPN1抗体からヒトFPN1へのFabの結合動力学(37℃でBiacore T100によって測定)
【0120】
【表7】

【0121】
表4(a)に示すように、マウスFab 34A9のヒトFPN1についてのKは、このアッセイフォーマットにおいて37℃でSPRによって測定すると、およそ41nMである。マウスFab 34A9の親和性成熟体であるマウス Fab 1G9のヒトFPN1についてのKは、37℃でSPRによって測定すると、約7.7nMであり、およそ5倍の結合親和性の改善がある。ヒト重鎖フレームワークVH1−69および軽鎖フレームワークO2を有するマウスFab 1G9のヒト化形態であるFab 3D8は、このアッセイフォーマットにおいて37℃でSPRによって測定すると、約10nMのヒトFPN1についてのKを示した。
【0122】
表4(b):FPN1抗体からヒトFPN1へのFabの結合動力学(37℃でBiacore T100によって測定)
【0123】
【表8】

【0124】
表4(b)に示すように、マウスFab 34A9の親和性成熟体であるマウスFab 1G9のヒトFPN1についてのKは、このアッセイフォーマットにおいて37℃でSPRによって測定すると、約2.9nMである。ヒト重鎖フレームワークVH1−69および軽鎖フレームワークO2を有するマウスFab 1G9のヒト化形態であるFab 3D8は、このアッセイフォーマットにおいて37℃でSPRによって測定すると、約6.3nMのヒトFPN1についてのKを示した。親和性が成熟したFab 4A10−3、Combi11、およびL2.2−4は、このアッセイフォーマットにおいて37℃でSPRによって測定すると、約2.4nM〜約1.8nMの間のヒトFPN1についてのKを示した。
【0125】
表5は、ウサギ抗GFP抗体(Invitrogen、Carlsbad、CA(カタログ番号A11122))を使用する、抗ヒトFPN1に結合するMabについての結合特性を示す。
【0126】
表5:ヒトFPN1に対するMabの結合動力学
(25℃または37℃でBiacore T100によって測定)
【0127】
【表9】

【0128】
マウス34A9 MabのヒトFPN1についてのKは、25℃でSPRによって測定すると、およそ1.1nMである。マウス34A9 Mabの親和性成熟体であるマウス1G9 MabのヒトFPN1についてのKは、25℃でSPRによって測定すると、約0.73nMである。ヒト重鎖および軽鎖フレームワーク(それぞれVH1−69およびO2)を有するマウス1G9 Mabのヒト化形態、3D8 Mabは、37℃でSPRによって測定すると、約3.4nMのヒトFPN1についてのKを示した。
【0129】
この実施例で記載したようにして測定されるヒトFPN1についてのKは、高親和性でヒトFPN1に結合し、そして、より具体的には、ヒトFPN1が細胞によって発現され細胞膜に局在化されるときでさえ存在するFPN1のエピトープに結合するヒトFPN1に対する抗体の生成を例証する。
【0130】
実施例5:細胞のフェリチンレベルに対するFPN1 Mabの効果のインビトロアッセイ
FPN1を内因的に発現するCaco−2細胞(ヒト腸細胞細胞株)はフェリチンの変化についてモニターされ得る。Caco−2細胞中のフェリチン濃度は、外因性の鉄源を添加することにより増加する可能性があり、この濃度は鉄排出を防止するヘプシジンを添加するとさらに増大され得る。従って、Caco−2細胞における成熟ヘプシジンによって調節される鉄制御に対する抗ヒトFPN1抗体の効果は、以下のようにして測定され得る。
【0131】
トリプシン(Invitrogen、Carlsbad、CA)を使用してCaco−2細胞を細胞培養液容器から取り出す。この細胞を集め、増殖培地(例えば、DMEM+10% FBS+1% 非必須アミノ酸+1% 抗生物質/抗真菌薬)の中で洗浄し、緩やかな遠心分離によって集める。細胞を培地の中に再懸濁し、数える。細胞濃度を増殖培地中の1×10細胞/mLに調整し、2.5μM Fe:NTA(1:4モル比で調製する)をこの細胞に加える。100μlの細胞を96平穴プレートのウェルに加え,次いで37℃、5% COで24時間インキュベーションする。マウスIgG(陰性対照)、およびヒトFPN1に対する異なる親和性を有する2つの抗体を、6×の最終濃度にて増殖培地中で調製する。抗体希釈物(25μL)または培地を三重にウェルに加える。このプレートを室温で15分間インキュベーションし、このとき600nM ヘプシジン(100nM 最終濃度)を含むかまたは含まない25μLの5μM Fe:NTAを適切なウェルに加える。この細胞を37℃、5% COで24時間インキュベーションし、次いで200μlのDulbecco’s PBSで3回洗浄し、プロテアーゼ阻害剤、例えば、Complete(商標)プロテアーゼ阻害剤カクテル錠剤(Roche Diagnostics Corp.、Indianapolis、IN)を添加した50μLの放射性免疫沈降法アッセイ緩衝剤(50mM Tris、pH 7.5、150mM NaCl、0.1% SDS、1% Triton−X100(登録商標)、および0.5% デオキシコール酸ナトリウム)に溶解し、混合し、ELISAを使用してフェリチンについてアッセイするまで−70℃で凍結する。
【0132】
手短に言うと、マイクロタイタープレートを110μL/ウェルの1μg/mL 抗ヒトフェリチン(Leinco Technologies、St.Louis、MO)でコーティングし、4℃で一晩インキュベーションする。このプレートを洗浄緩衝剤(0.02M Tris、0.15M NaCl、0.1% Tween 20、pH 7.4)で2回洗浄し、PBS中の150μlの1% カゼイン(Thermo Fisher Scientific、Rockford、IL)でブロックする。このプレートを、室温で1時間インキュベーションする。100マイクロリットル(μL)の可溶化物および標品(ヒト肝臓フェリチン、Calbiochem/EMD Biosciences、La Jolla、CA)を適切なウェルに加え、室温で1時間インキュベーションする。このプレートを3回洗浄し、結合したフェリチンを、1:2000希釈の1ウェルあたり100μLの抗フェリチン−HRP接合体(Leinco Technologies)および室温で1時間のインキュベーションを使用して検出した。このプレートを4回洗浄し、および100μLのOPD基質(5μlの30% Hを含む5mg 基質錠剤、12.5mLの0.1M NaHPO、0.05M クエン酸、pH 5.0に溶解する)をすべてのウェルに分配する。この反応を、10分後に100μL 1N HClを用いて停止する。490nmでの吸光度(A490)を適切なELISAプレートリーダーを使用して読み取る。また、各サンプル中のタンパク質濃度は、BCAタンパク質アッセイキット(Thermo Fisher Scientific)を使用して測定する。起こり得るウェルごとの細胞数の差を説明するために、フェリチン濃度データをタンパク質濃度に対して正規化し、加えた抗体の効果を、阻害(%)として表す。
【0133】
この実施例に記載したようにして行う実験から、この細胞中のフェリチン濃度に対するヒトヘプシジン−25の効果はMab 34A9および1G9によって阻害されるということが示される(表6)。さらには、これらの結果は、抗FPN1 Mabの親和性はその機能性に対して直接に関係するということを示す。より具体的には、より低い親和性のMab 34A9は、最高濃度(200μg/mL)であってさえも成熟したヘプシジンによって誘導される効果をわずかに阻害しただけであったのに対し(25%阻害±0.5%)、より高い親和性のMab 1G9は用量依存的に顕著な阻害を呈した。
【0134】
【表10】

【0135】
このデータは、Mab 1G9および34A9はヒトヘプシジン−25の、フェロポーチンの内在化および分解を誘導し、従ってこの細胞から排出される鉄を減少させるという能力をブロックするということを例証する。
【0136】
実施例6:FPN1に結合するヒトヘプシジン−25の阻害についてのアッセイ
安定にトランスフェクトされたFPN−GFP/293細胞を、80μlのアッセイ培地(DMEM 11965、10% 透析したFBS、20μM FAC、ペニシリン−ストレプトマイシン)中に1ウェルあたり60,000細胞でポリ−D−リジンコーティングしたプレートの中にプレーティングし、37℃、10% COで4時間インキュベーションする。FPN1発現を誘導するために、ドキシサイクリンを11.2nMの最終濃度まで加える。ドキシサイクリンで誘導した細胞および誘導していない対照細胞を37℃で一晩インキュベーションする。次に、この増殖培地を捨て、30μlのアッセイ培地中の試験抗体もしくはアイソタイプの対照抗体、または30μlのアッセイ培地のみの対照で置き換え、37℃で1時間インキュベーションする。次に、20μlのビオチン化された成熟したヒトヘプシジンを30nMの最終濃度までウェルに加える。このサンプルを37℃で1時間保管しておき、その後で200μL 2% FBS、D−PBS(Invitrogen、Carlsbad、CA)で4回洗浄する。次に、65μlの溶解緩衝剤(0.5% Triton X−100、10mM EDTA)を加え、このプレートを10分間振盪する。次に、各ウェルの溶液50μLをストレプトアビジンでコーティングしたプレート(PBS中の60μlの2μg/mL ストレプトアビジン、4℃で一晩インキュベーションし、2回洗浄し(0.1% Tween 20、TBS)、カゼイン/PBSでブロックする)の個々のウェルに移し、次いで室温で1時間インキュベーションする。次に、このプレートのウェルを3回洗浄し(0.1% Tween 20、TBS)、50μLの0.5μg/mLの抗ヒトヘプシジン−25 Mab 3.23を加え、このサンプルを室温で1時間インキュベーションする。この抗ヒトヘプシジン−25 Mab 3.23はPCT国際特許出願公開公報WO2009/058797に記載されている。次に、このプレートを3回洗浄し、50μLの抗ヒトIgG−西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)を1:2000希釈で加える。室温で1時間インキュベーションした後、50μlのOPD基質を加える。4分後に、この反応を100μL 1N HClで停止する。490nmでの吸光度(A490)を適切なELISAプレートリーダーを使用して読み取る。
【0137】
【表11】

【0138】
基本的に実施例6に記載したようにして行った実験で生成したデータは、Mab 1G9および34A9がヒトヘプシジン−25の、ヒトFPN1に結合する能力を阻害するということを実証する。
【0139】
実施例7:ヘプシジン−25によって誘導される内在化および分解の抗FPN1抗体阻害についての細胞ベースのアッセイ
インビトロでの細胞ベースのアッセイを使用して、ヒトFPN1に対して向けられるMab、またはその抗原−結合断片フラグメントの成熟したヘプシジン中和活性を測定し得る。このようなアッセイは、成熟したヘプシジンの受容体、FPN1の成熟したヘプシジンによって誘導される内在化および分解に基づき得る。例えば、FPN1の誘導可能な発現を許容するHEK 293安定細胞株が調製される。追跡目的のために、FPN1は、C末端でGFPと融合する。このFPN1−GFP分子の誘導可能な発現を、T−REx system(Invitrogen、Carlsbad、CA)を使用して制御する。このFPN1−GFPコード配列を、誘導可能なプロモーターおよびゼオシン耐性マーカーを含むpCDNA4/TOベクターにクローン化する。得られたコンストラクトを、ドキシサイクリンにより誘導可能な発現のために必要とされる調節タンパク質を発現するT−REx−293細胞にトランスフェクトする。ゼオシン耐性クローンをFPN−GFPの誘導可能な発現について試験する。細胞増殖条件は、基本的にT−REx System(Invitrogen)についての製造業者の使用説明書に記載されているとおりである。手短に言うと、細胞をDMEM、10% 透析したFBS、20μM FAC、さらに5μg/mL ペニシリン−ストレプトマイシンの中で増殖させる。100μg/mL ゼオシンおよび5μg/mLブラストサイジンを用いて選択を維持する。細胞をポリ−D−リジンでコーティングされた96穴の黒/透明プレート上にプレーティングする。Acumen Explorer HTS、高分解能蛍光プレートリーダーを、1ウェルあたりの全蛍光を読み取るために使用する。
【0140】
トリプシン処理後、FPN1−GFP/TREx 293安定細胞株を使用して、96穴アッセイプレートに9,000細胞/ウェルで播種する。1ウェルあたりの播種量は80μLである。細胞を一晩付着させる。翌日の早朝に、9μlの30ng/mL ドキシサイクリンを各ウェルに加えてFPN1−GFP発現を誘導する。37℃での8時間の誘導後、培地を吸引し、これらのウェルを、150μL/ウェルのPBSで慎重に洗浄する。
【0141】
洗浄後にアッセイプレートに素早く添加するために、所望の処置(例えば、ヒトヘプシジン−25および/または試験抗体)を96穴フォーマットの中で設定する。1ウェルあたりの最終のアッセイ体積は45μLである。上記処置を加えた直後に、Acumen Explorer(チャネル1で550ボルトに設定する)を使用してアッセイプレートを読み取る。この読み取りは一般に0時間読み取りであり、1ウェルあたりの細胞数(1ウェルあたりの全蛍光単位(FLU)と相関する)について正規化するために使用される。FPN1の成熟したヒトヘプシジンによって誘導される内在化および分解について、最大効果は0.5μM 成熟したヒトヘプシジンで見られる。成熟したヒトヘプシジンのIC50はおよそ10nMである。抗FPN1抗体中和アッセイについて、ヒトヘプシジン−25濃度を120nMに保ち、抗FPN1 Mabを600nM、200nM、67nM、22nM、および7.4nMで試験した。このプレートを24時間インキュベーションし、その後、プレートを再度読み取り、データが、24時間での1ウェルあたりの全FLUを0時間での1ウェルあたりの全FLUで割った比として生成される。すべてのデータ点を四重に行う。阻害パーセント(%)を、120nMの成熟したヒトヘプシジン処置についての値を差し引き、次いでFPN1抗体処置の値をヒトヘプシジン−25処置なしの値で割ることにより、測定する。
【0142】
基本的に上記のとおりにして行ったインビトロアッセイにおいて、ヒトヘプシジン−25生物活性は、下記の表8に示すようにして測定した阻害パーセントでもって種々の抗FPN1 Mabで中和された。
【0143】
表8:インビトロでの成熟したヒトヘプシジンによって誘導される内在化および分解の抗FPN1 Mab阻害パーセント(%)
【0144】
【表12】

【0145】
基本的に実施例7に記載したようにして行った実験で生成したデータは、Mab 1G9、34A9、および3D8はヒトヘプシジン−25の、インビトロでヒトFPN1の内在化および分解を引き起こす能力を大きく阻害するという結論を支持する。
【0146】
実施例8:カニクイザルへの単回静脈内用量後の対照マウスのIgG1に対するMab 1G9の生物活性
血清ヘプシジンおよび血清鉄濃度に対する抗ヒトFPN1マウスのMab 1G9の生理学的効果を、Mabを単回静脈内用量として雄性カニクイザル(Macaca fascicularis;3〜4kg)に投与して、その効果をマウスのIgG1の対照投与と比較することにより検討した。投与後、血清鉄および血清ヘプシジンの分析のために血液サンプルを集めた。用量(30mg/kg)を、伏在静脈を介して注射として投与した。用量投与の直後であるが、その動物から針が取り出される前に、この用量装置におよそ2mLの生理食塩水を流した。
【0147】
【表13】

【0148】
血清ヘプシジンについてのサンプリング:
用量前および用量後0.5、1、3、6、10、24、48、72、96、および168時間後に血液を集めた。血液(およそ0.5mL)、大腿静脈を介して抗凝固薬を含有しないチューブの中へと集めた。血清を得るために、遠心分離の前に血液を周囲条件下で凝固させた。およそ−70℃で保存する前に血清サンプルをドライアイス上に置いた。
【0149】
血清鉄についてのサンプリング:
用量前および用量後1、3、6、24、48、72、96、および168時間後に血液を集めた。医学界内で許容できると考えられる方法に従ってすべての血液サンプルを集め、取り扱い、処理し、保存し、そして分析した。血清鉄濃度は、医学界内で、全血清鉄(Fe)を測定する許容できる方法であると一般に考えられる当該技術分野で公知の任意の方法によって測定され得る。ヘプシジンの血清濃度は、基本的にMurphyら、Blood、110:1048−54(2007)に記載されているようにして、液体クロマトグラフィ−質量分析によって測定した。血清鉄を測定するためのアッセイは当該技術分野で周知である(例えば、Goodwin,J.F.ら,Clinical Chemistry 12:47−57(1966)、およびJ.Clin.Path.,24:334−335(1971)を参照のこと)。
【0150】
血清ヘプシジン濃度は、対照マウスのIgG1の投与によって影響を受けず、研究した時間的経過にわたって1.5〜31ng/mLの範囲であった。対照動物における平均ヘプシジン濃度は、11.5±8.8ng/mL(平均±SD)であった。マウスのMab 1G9の投与後、血清ヘプシジン濃度はそれぞれ7.6および14.7ng/mLというベースラインから49.7および79.1ng/mLというピークへと上昇した。血清ヘプシジンのピークは、マウスのMab 1G9の投与のおよそ10時間後に生じた(図6)。血清ヘプシジンの上昇は、マウスのMab 1G9と、その標的のFPN1(これは、FPN1に結合するとFPN1とヘプシジンとの相互作用をブロックし、これによりFPN1クリアランスおよび/または内在化を緩慢化する)との相互作用に起因する可能性が高い。
【0151】
血清鉄は、対照マウスのIgGで処置した動物においては上昇せず、研究した時間枠にわたっては64〜97μg/dLの範囲であった。マウスのMab 1G9の投与後、血清鉄濃度は、それぞれ136および144μg/dLのベースラインから306および292μg/dLのピークへと上昇した。血清鉄のピークは、マウスのMab 1G9の投与のおよそ48時間後に生じた(図7)。血清鉄濃度は、投与後96時間までに徐々にベースラインまで戻り、これは血清鉄濃度の上昇が不可逆的であるということを示す。
【0152】
実施例9:ヘプシジン−25によって誘導される内在化および分解の抗FPN1抗体阻害についての細胞ベースのアッセイ
基本的に上記の実施例7に記載したようにして行った実験は、Mab Combi−11、4A10−3、およびL2.2−4は、Mab 34A9、3D8、および1G9と比べて、インビトロでより効果的にヒトFPN1のヒトヘプシジン−25によって誘導される内在化および分解を阻害する(表10を参照のこと)ことを実証する。より具体的には、抗FPN1 Mabを、900nMから始まり3倍の段階希釈を実施する9点濃度曲線で試験した。阻害パーセント(%)を、120nM ヒトヘプシジン処置についての値を差し引き、次いでMab処置の値をヘプシジン処置なしの値で割ることにより、測定した。相対的IC50をシグマプロットで測定した。最高阻害パーセント(%)ならびに相対的および絶対的IC50を表10に示す。
【0153】
【表14】

【0154】
実施例10:カニクイザルにおけるヒト化抗フェロポーチンモノクローナル抗体4A10−3の薬力学的効果
抗フェロポーチンMabの薬力学は、当業者に公知の方法に従って、静脈内用量を雌性カニクイザルに投与した後に研究され得る。例えば、5つの独立の研究で、Mab 4A10−3を、カニクイザルに単回静脈内ボーラス(n=4/群)として0.3、1.0、3.0、10および30mg/kgの用量で投与した。血液サンプル(複数の鉄パラメータについておよそ0.5mL)を、最初の用量の前および用量後1、6、12、24、48、72、96、168および264時間に採取した。より高い用量レベルでは、さらなる血液サンプルを、用量後360、456、552、および648時間に採取した。投薬時には、これらの動物の体重は2〜3kgの間であった。血液サンプルを、各動物から、大腿静脈を介して抗凝固薬を含まないチューブの中へと集めた。
【0155】
0.3、1.0、3.0、10および30mg/kg Mab 4A10−3を雄性カニクイザルへと静脈内投与した後の血清鉄濃度−時間特性は、投薬後24時間でピークとなる用量依存的な血清鉄の増加と関連した。ピーク鉄反応(およそ2倍の増加)および10mg/kg〜30mg/kg用量の間の反応の継続期間は類似していた。0.3、1.0、および3.0mg/kg用量が投与された動物では、投与後約48時間で、血清鉄はベースライン値まで戻った。10mg/kgおよび30mg/kg用量が投与された動物では、投与後約72時間で、血清鉄はベースラインまで戻った。
【0156】
さらには、1回の研究では、10mg/kgの用量のMab 4A10−3の単回皮下注射の投与は、強度および継続期間の両方において、血清鉄において、等価な静脈内用量(n=4;平均±SD)の後に観察されたものと同一の反応(n=2;平均±SD)をもたらした。
【0157】
実施例11:ラットおよびカニクイザルにおけるヒト化抗フェロポーチンモノクローナル抗体の薬物動態
抗フェロポーチンMabの薬物動態は、当業者に周知の方法に従ってインビボで研究され得る。抗FPN1 Mab 4A10−3およびCombi 11の薬物動態を、例えば雄性カニクイザルおよびスプラーグドーリー(Sprague Dawley)ラットへの単回静脈内用量の後に検討した。投薬時には、使用したカニクイザルの体重は2.2〜5.5kgの間であり、スプラーグドーリー(Sprague Dawley)ラットの体重は240〜265gの間であった。
【0158】
カニクイザルで行った薬物動態研究は3つの段階で実施し、1.0mg/kg、3.0mg/kg、および0.3mg/kgの用量をおよそ2週間の間隔で投与した。各段階で、Mab 4A10−3またはMab Combi11のいずれかを単回静脈内ボーラスとして投与した(1群あたりn=4)。最初の用量前および用量後1、6、12、24、48、72、96、168、および264時間で血液サンプルを採取した。
【0159】
ラットでは、Mab 4A10−3またはMab Combi 11を3mg/kgの単回静脈内ボーラス用量として投与した(1群あたりn=3)。連続的な血液サンプルを、用量前および用量後0.08、1、4、8、24、48、72、120および168時間で採取した。
【0160】
Mab 4A10−3およびCombi 11の血清濃度を、ヒトIgGサンドイッチELISAフォーマットを使用して測定した。標準曲線範囲は5〜400ng/mLであり、作業用の定量下限(LLOQ)は10ng/mLと定まった。WinNonlinバージョン5.2での非区画分析(non−compartmental analysis)を使用して薬物動態パラメータを測定した。
【0161】
雄性カニクイザルへの静脈内投与後の血清濃度−時間特性を図10にプロットする。Mab 4A10−3は、研究したすべての用量でMab Combi11よりもはるかにゆっくりと(およそ5倍)浄化された。検討したMab Combi11の血清濃度がMab 4A10−3について観察された血清濃度のおよそ50%であった最初の時間(1時間)で、差は明らかであった。用量後24時間で、Mab 4A10−3の血清濃度は、Combi11についてのわずか6〜9%と比べて、Cmaxの20〜33%であった。Mab Combi11の末梢濃度は0.3mg/kg用量後は明白ではなかった。Mab 4A10−3のクリアランスは3mg/kg用量と比べてより2つの低い用量ではいくらか速かった。Mab 4A10−3についてのT1/2は2〜3日の範囲であった。しかしながら、Mab Combi11についてのT1/2は約12〜約27時間の範囲であった。
【0162】
Mab 4A10−3よりも高められたMab Combi11のクリアランスは、Mab 4A10−3については起こらない、Mab Combi11と細胞表面タンパク質との非特異的な相互作用の増加に由来すると仮定した。この仮定を評価するために、Mab 4A10−3およびMab Combi11の薬物動態をラットで研究した。これは、Mabはラットのフェロポーチンに効果的には結合しないからである。
【0163】
雄性ラットへの静脈内投与後の血清濃度−時間特性を図11にプロットする。霊長類での観察と同様に、ラットにおいてMab 4A10−3はMab Combi11よりもゆっくりと(およそ5倍)浄化された(データは示さず)。ここでも、検討したMab Combi11の血清濃度がMab 4A10−3について観察された血清濃度のおよそ50%であった最初の時間点(0.08時間)で、差は明らかであった。Mab 4A10−3およびMab Combi11についてのT1/2は、ラットではそれぞれおよそ4.5日および3日であった(データは示さず)。
【0164】
これらのデータは、Mab Combi11について観察されたより迅速なクリアランスは、標的受容体によって媒介されるクリアランスが原因であったということを強く示唆する。なぜなら、Mab 4A10−3もMab Combi11もラットフェロポーチンに結合しないからである。
【0165】
実施例12:遅延したクリアランスおよび/または低非特異的(ヘパリン)結合を有する抗ヒトFPN1 Mab
実施例11で上記されたMab Combi11の薬物動態研究は、Mab Combi11がMab 4A10−3と比べてより迅速に血清から浄化されるということを示唆した。このデータはまた、Mab 4A10−3と比べたMab Combi11のより迅速なクリアランスはMab 4A10−3よりもMab Combi11の、標的受容体によって媒介されるクリアランスの増加が原因ではないということを示唆した。
【0166】
複数のアルギニン残基がMab Combi11の遺伝子操作の間に導入されたため、Mab 4A10−3と比べて得られたMab Combi11の正電荷の増加が、例えば、負に帯電した膜表面へのおよびヘパリンへの望ましくない非特異的結合の増加をもたらしたということが疑われた。実際、Mab Combi11の構造のモデリングから、Mab 4A10−3およびMab L2.2−4を含めた他のヒトの遺伝子操作された抗FPN1 MabのいくつかよりもMab Combi11においてはっきりとした、Mab Combi11の表面上の強い正に帯電したパッチ(patch)が示された。
【0167】
Mab Combi11、4A10−3、およびL2.2−4を、当業者に公知の方法に従ってヘパリンELISAを使用して非特異的ヘパリン結合について試験した。Mab Combi11、4A10−3、3D8、およびL2.2−4を、HEK 293細胞を発現するヒトFPN1への結合、および細胞表面で発現されるヒトFPN1を欠く対照のHEK 293細胞への結合についても試験した。
【0168】
Mab Combi−11を使用したヘパリンELISAは、Mab Combi11はヘパリンに強く結合するが、Mab 4A10−3およびL2.2−4はそうではないということを示した。さらには、Mab Combi−11はHEK 293細胞を発現するヒトFPN1および細胞表面で発現されるヒトFPN1を欠く対照のHEK 293細胞の両方にも強く結合した。他方、Mab 4A10−3、3D8、およびL2.2−4は、HEK 293細胞を発現するヒトFPN1には顕著に結合したが、対照のHEK 293細胞に対してはそうではなかった。
【0169】
それゆえ、HCDR2の中のアルギニンアミノ酸残基をグリシンアミノ酸残基で置き換えることによって、Mab Combi11に関して観察される非特異的結合を減少させるためにMab Com11GYを生成した。加えて、Mab Combi11で見出された別の潜在的に問題があるアミノ酸残基、LCDR2中のトリプトファンアミノ酸残基を、Mab Com11GYの中ではチロシンアミノ酸残基で置き換えた。Mab Com11GYを発現する細胞由来の上清を使用した予備段階の結合データは、対照のHEK 293細胞、すなわちヒトFPN1を発現しない細胞への非特異的結合の欠如を実証したが、Mab 1B7および1F8はともに同じ対照細胞に対する著しくより非特異的な結合を実証した。
【0170】
実施例13:FPN1に結合するヒトヘプシジン−25の阻害についてのアッセイ
ヒトの遺伝子操作された、親和性が成熟した抗ヒトFPN1抗体は、HEK 293細胞の中で発現されるヒトFPN1に結合するヒトヘプシジン−25を阻害する能力についてアッセイされ得る。手短に言うと、トランスフェクトされたFPN/293細胞を、96穴プレート上でポリ−D−リジンコーティングしたプレート(BD Biosciences、San Jose、CA;BD Biocoat プレート番号35 4640)の中で、80μlのアッセイ培地(DMEM 11965、10% 透析したFBS、20μM FAC、ペニシリン−ストレプトマイシン)中に1ウェルあたり40,000細胞でプレーティングし、毎分1000回転で1分間遠心分離し、次いで37℃、10% COで4時間インキュベーションする。FPN1発現を、10nMのドキシサイクリン20μlをこのプレーティングした細胞に加える(2nMの、ドキシサイクリンの最終濃度)ことによって誘導する。ドキシサイクリンで誘導される細胞および誘導されない対照細胞を37℃、10% COで5時間インキュベーションする。次に、このプレートをDMEMで2回洗浄することによりこの誘導剤を除去する。この細胞を、100μlのアッセイ培地の中で一晩インキュベーションする。次に、このアッセイ培地を除去し、40μLの試験抗体またはアイソタイプの対照抗体溶液で三重に置き換え、37℃、10% COで20分間インキュベーションする。次に、20μlのビオチン化された成熟したヒトヘプシジンをこのウェルに、1ウェルあたり30nMの最終濃度で加える。このサンプルを37℃、10% COで1時間インキュベーションし、その後、200μL 2% FBS、D−PBS(Gibco、カタログ番号14040)で4回洗浄する。次に、65μlの溶解緩衝剤(0.5% Triton X−100、10mM EDTA)をすべてのウェルに加え、このプレートを10分間振盪する。次に、各ウェルの中の溶液50μLを、ストレプトアビジンでコーティングしたGreinerマイクロタイタープレート(PBS中の60μlの2μg/mL ストレプトアビジン(Sigma、St.Louis、MO;カタログ番号 S4762)、4℃で一晩インキュベーションし、2回(0.1% Tween 20、TBS)洗浄し、カゼイン/PBSでブロックする)の個々のウェルに移し、次いで室温で1時間インキュベーションした。次に、このプレートのウェルを3回洗浄し(0.1% Tween 20、TBS)、0.5μg/mLの50μLの抗ヒトヘプシジン−25 Mab 3.23を加え、このサンプルを室温で1時間インキュベーションする。この抗ヒトヘプシジン−25 Mab 3.23は、PCT国際特許出願公開公報WO2009/058797号に記載されている。次に、このプレートを3回洗浄し、50μlのヤギ抗ヒトIgG−西洋ワサビペルオキシダーゼ(Southern Biotechカタログ番号2060−05)を1:2000希釈で加える。室温で1時間のインキュベーション後、このプレートを4回洗浄し、50μlのOPD基質(Sigma;カタログ番号P6912)を加える。この反応を、4分後に100μL 1N HClで停止する。490nmでの吸光度(A490)を、適切なELISAプレートリーダーを使用して読み取る。アッセイ範囲は、対照抗体を受け取った誘導されたウェルから誘導されないウェルのA490を差し引くことにより測定される。
【0171】
表11に示すデータは、ヒト化Mab 3D8およびその親和性が成熟した変異体は、ヒトヘプシジン−25の、ヒトFPN1に結合する能力を有意に阻害することを実証する。より具体的には、ヒト重鎖フレームワークVH1−69および軽鎖フレームワークO2を有するMab 3D8、マウスMab 1G9のヒト化体は、このアッセイフォーマットにおいて測定すると、約400nM のIC50を実証した。親和性が成熟したMab 4A10−3、Combi11、およびL2.2−4は、このアッセイフォーマットにおいて測定すると、結合の有意に改善された阻害を実証した。
【0172】
【表15】

【0173】
実施例14:細胞のフェリチンレベルに対するFPN1 Mabの効果のインビトロアッセイ
実施例5に記載したように、FPN1を内因的に発現するCaco−2細胞、ヒト腸細胞細胞株は、フェリチンの変化についてモニターされ得る。基本的に実施例5に記載したようにして行った実験では、Caco−2細胞における成熟したヘプシジンによって調節される鉄制御に対する抗ヒトFPN1抗体の効果を測定し、いくつかの独立の実験にわたって平均した阻害パーセントとして下記の表12に表す。
【0174】
このデータは、この細胞におけるフェリチン濃度に対するヘプシジンの効果は抗ヒトFPN1 Mabによって用量依存的に阻害され得るということを示す。EC50値によって示されるように、いくつかの抗ヒトMabは、他のものよりも、ヘプシジンの効果を阻害することにおいて強力である、例えば、Combi11において、およそ4A10−3>L2−2−4>3D8である。
【0175】
表12:インビトロでのCaco−2細胞における細胞のフェリチンレベルの成熟したヘプシジンによって誘導された増加に対する、抗ヒトFPN1 Mabによる阻害率(±SEM)
【0176】
【表16】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)403SPFEDIRSRFIQGESITPTK422(配列番号12);
(b)406EDIRSRFIQGESIT419(配列番号13);
(c)409RSRFIQGESITPTK422(配列番号14);
(d)403SPFEDIRSRFIQG415(配列番号15);
(e)409RSRFIQGESIT419(配列番号16);および
(f)409RSRFIQG415(配列番号95)
からなる群から選択される1つ以上のアミノ酸配列に局在するアミノ酸を含むエピトープにて、配列番号1に示されるアミノ酸配列からなるヒトフェロポーチン1に結合する、モノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメント。
【請求項2】
(a)403SPFEDIRSRFIQGESITPTK422(配列番号12);
(b)406EDIRSRFIQGESIT419(配列番号13);
(c)409RSRFIQGESITPTK422(配列番号14);
(d)403SPFEDIRSRFIQG415(配列番号15);
(e)409RSRFIQGESIT419(配列番号16);および
(f)409RSRFIQG415(配列番号95)
からなる群から選択される1つ以上のアミノ酸配列に局在するアミノ酸から実質的になるエピトープにて、配列番号1に示されるアミノ酸配列からなるヒトフェロポーチン1に結合する、請求項1に記載のモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメント。
【請求項3】
配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、および配列番号95からなる群から選択される1つ以上のペプチドに結合する、請求項1または2に記載のモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメント。
【請求項4】
配列番号98、183〜214からなる群から選択される1つ以上のペプチドに結合しない、請求項1から3のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメント。
【請求項5】
配列番号37、129、22、107、118および120にそれぞれ示されるアミノ酸配列を含む、LCDR1、LCDR2、LCDR3、HCDR1、HCDR2およびHCDR3を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメント。
【請求項6】
配列番号37、174、22、175、176および120にそれぞれ示されるアミノ酸配列を含む、LCDR1、LCDR2、LCDR3、HCDR1、HCDR2およびHCDR3を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメント。
【請求項7】
配列番号37、125、22、23、110および19にそれぞれ示されるアミノ酸配列を含む、LCDR1、LCDR2、LCDR3、HCDR1、HCDR2およびHCDR3を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメント。
【請求項8】
配列番号37、177、22、23、112および19にそれぞれ示されるアミノ酸配列を含む、LCDR1、LCDR2、LCDR3、HCDR1、HCDR2およびHCDR3を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメント。
【請求項9】
配列番号37、122、22、23、110および19にそれぞれ示されるアミノ酸配列を含む、LCDR1、LCDR2、LCDR3、HCDR1、HCDR2およびHCDR3を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメント。
【請求項10】
配列番号136および配列番号134にそれぞれ示される軽鎖可変領域および重鎖可変領域を含む、請求項5に記載のモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメント。
【請求項11】
配列番号180および配列番号178にそれぞれ示される軽鎖可変領域および重鎖可変領域を含む、請求項6に記載のモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメント。
【請求項12】
配列番号140および配列番号138にそれぞれ示される軽鎖可変領域および重鎖可変領域を含む、請求項7に記載のモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメント。
【請求項13】
(a)配列番号154および配列番号152にそれぞれ示される軽鎖および重鎖;
(b)配列番号181および配列番号179にそれぞれ示される軽鎖および重鎖;または
(c)配列番号158および配列番号156にそれぞれ示される軽鎖および重鎖
を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメント。
【請求項14】
2つの軽鎖ポリペプチドおよび2つの重鎖ポリペプチドを含み、前記軽鎖ポリペプチドの各々は配列番号154に示されるアミノ酸配列を有し、前記重鎖ポリペプチドの各々は配列番号152に示されるアミノ酸配列を有する、請求項13に記載のモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメント。
【請求項15】
2つの軽鎖ポリペプチドおよび2つの重鎖ポリペプチドを含み、前記軽鎖ポリペプチドの各々は配列番号181に示されるアミノ酸配列を有し、前記重鎖ポリペプチドの各々は配列番号179に示されるアミノ酸配列を有する、請求項13に記載のモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメント。
【請求項16】
2つの軽鎖ポリペプチドおよび2つの重鎖ポリペプチドを含み、前記軽鎖ポリペプチドの各々は配列番号158に示されるアミノ酸配列を有し、前記重鎖ポリペプチドの各々は配列番号156に示されるアミノ酸配列を有する、請求項13に記載のモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメント。
【請求項17】
25℃にて表面プラズモン共鳴により測定される場合、約10nM未満のKでヒトフェロポーチン1に結合する、請求項1から16のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体。
【請求項18】
37℃にて表面プラズモン共鳴により測定される場合、約100nM未満のKでヒトフェロポーチン1に結合するFabを含む、請求項1から12のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメント。
【請求項19】
前記Fabは、ヒトフェロポーチン1について37℃にてSPRにより測定される場合、約7.5×10−3−1〜約9×10−4−1の解離速度(koff)を有する、請求項18に記載のモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメント。
【請求項20】
前記Fabは、約100nM〜約1nMのKでヒトフェロポーチン1に結合する、請求項18または19に記載のモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメント。
【請求項21】
前記Fabは、約10nM〜約0.5nMのKでヒトフェロポーチン1に結合する、請求項18から20のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメント。
【請求項22】
ヘプシジン−25生物活性のインビトロアッセイにおいて約100nM〜約1nMのIC50を有する、請求項1から21のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメント。
【請求項23】
前記IC50は、約100nM〜約10nMである、請求項22に記載のモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメント。
【請求項24】
前記ヘプシジン−25生物活性は、フェロポーチン1の内在化および/または分解である、請求項23に記載のモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメント。
【請求項25】
ヘプシジン−25生物活性のインビボアッセイにおいて約100nM〜約1nMのIC50を有する、請求項1から24のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメント。
【請求項26】
前記アッセイは、霊長類における血清鉄濃度のIL−6により誘導される減少を測定する、請求項25に記載のモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメント。
【請求項27】
請求項1から26のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントをコードする核酸配列を含む、ポリヌクレオチド。
【請求項28】
請求項27に記載のポリヌクレオチドを含む、組み換え発現ベクター。
【請求項29】
請求項28に記載の発現ベクターにより形質転換された、宿主細胞。
【請求項30】
前記宿主細胞は、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、NS0骨髄腫細胞、COS細胞、または、SP2/0細胞である、請求項29に記載の宿主細胞。
【請求項31】
治療に使用するための請求項1から26のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメント。
【請求項32】
医薬として使用するための請求項1から26のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメント。
【請求項33】
貧血、癌による貧血、または、ヘプシジンの向上した濃度と関連する癌による貧血を治療するための、請求項1から26のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメント。
【請求項34】
被験体において、貧血、癌による貧血、または、ヘプシジンの向上した濃度と関連する癌による貧血を治療または予防するための医薬を調製するための、請求項1から26のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントの使用。
【請求項35】
ヒトにおいて血清鉄濃度、網状赤血球数、赤血球数、ヘモグロビン、および/またはヘマトクリットを増加させるのに使用するための、請求項1から26のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメント。
【請求項36】
請求項1から26のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントの有効量を被験体に投与する工程を含む、血清鉄濃度、網状赤血球数、赤血球数、ヘモグロビン、および/またはヘマトクリットを増加させる方法。
【請求項37】
請求項1から26のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントの有効量を被験体に投与する工程を含む、被験体において貧血または癌による貧血を治療する方法。
【請求項38】
ESA、あるいはヒトにおいて血清鉄濃度、網状赤血球数、赤血球数、ヘモグロビン、および/またはヘマトクリットを増加させるために通常利用される他の治療剤または治療的処置を、前記ヒト患者に施す工程をさらに含む、請求項36または37に記載の方法。
【請求項39】
請求項1から26のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメント、および薬学的に受容可能な担体、希釈剤、または賦形剤を含む、薬学的組成物。
【請求項40】
1つ以上の他の治療剤をさらに含む、請求項39に記載の薬学的組成物。
【請求項41】
(i)モノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントを発現させるのに適切な条件下にて請求項29または30に記載の宿主細胞を培養する工程、および、
(ii)前記発現させたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントを回収する工程、
を含む、モノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントを生成する方法。
【請求項42】
請求項41に記載の方法により取得可能なモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメント。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2012−510814(P2012−510814A)
【公表日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−539625(P2011−539625)
【出願日】平成21年12月1日(2009.12.1)
【国際出願番号】PCT/US2009/066187
【国際公開番号】WO2010/065496
【国際公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【出願人】(594197872)イーライ リリー アンド カンパニー (301)
【Fターム(参考)】