説明

抗微生物性エアフィルター

個人用濾過マスク、家庭用エアフィルター、換気装置フィルター及び呼吸空気圧縮機の吸気フィルターとして有用な濾過装置。濾材は0.001〜100%の少なくとも1種の予防化合物を含む。本発明の濾過装置を用いて流体流中の細菌の量を減少させる方法が記載される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は空気流中の微生物の数を減少させるのに有用なフィルターに関する。更に詳しくは、本発明は微生物の数の低減において有用な少なくとも1種の予防化合物(prophylactic)を組み込むエアフィルターに関する。
【背景技術】
【0002】
人は一生の間に大量の空気を肺に吸い込む。空気と共に、種々の空中浮遊汚染物質、例えば花粉、ダスト、鱗屑、煙、細菌及びウィルスが入る。通例、肺、気管支及び鼻道は、空気と共に肺に吸い込まれる良性の空中浮遊物質を炉過又は処理するための保護手段を有する。しかし、ウィルス及び細菌のような感染性微生物は典型的には粘膜を貫通し、身体に入る。その後、細菌及びウィルスは、専門の薬物治療及び/又は入院を必要とする病気又は毒作用を引き起こすおそれがある。
【0003】
呼吸できる空気を低品質にする別の問題は、家庭及び職場のような建物の構造である。暖房及び換気のためのコストが増え続けるにつれて、建物をますますエネルギー効率を良いものとする動きが見られている。これによって、新鮮な外気と交換される屋内の空気の量は減少する。このため、屋内の空気の品質が低下し、空中浮遊汚染物質の濃度が増加し、建造物内部に含まれる空中浮遊感染性ウィルス及び細菌個体群は増加する。このような増加した汚染物質は、シックハウス症候群として知られるようになったものを引き起こすおそれがある。
【0004】
個人、特に免疫欠陥を持つ個人、例えば、早産児、重度の熱傷を負った人、細胞性免疫を有する人、免疫抑制療法を受ける人、後天性免疫不全症候群(AIDS)にかかっている患者などのウィルス及び細菌感染は常に問題である。一般に、個人は、個人責任を負い且つ簡単な予防策を取ることによって、例えば、感染面との接触後、食品の取り扱い前又は開放創への接触前に手洗いをすることによって、ウィルス及び細菌感染の危険を減らすことができることが知られている。しかし、このような感染性微生物が空中浮遊している場合には、このような予防策の成功は限られる。典型的には、人は、呼吸によって感染性微生物と接触し、感染性微生物は鼻道又は気道の粘膜に浸入する。
【0005】
現在のところ、微生物又はその生物毒素によって引き起こされる病気に関する患者の治療は、感染性微生物の蔓延を防ぐことを目的とする適当な吸収性抗生物質を患者が摂取し、吸い込み、注射し又は局所に適用する、暴露後の予防的措置に限られている。しかし、このような暴露後の措置に関連する問題は、多くの病気に現在のところ、周知の有効な薬物治療がないか、又は微生物が好ましい薬物治療又は抗生物質に対して耐性になっていることである。本明細書中で使用する用語「予防(prophylactic)」とは、不顕性感染又は感染性微生物のカウントが臨床的に認識できる感染になるのを防ぐ感染性微生物の治療を意味する。用語「予防化合物(prophylactic compound)」は、a)臨床的に認識可能な感染の全身治療又は特異的治療において有用な薬物若しくは他の化合物、或いはb)感染原因物質若しくは感染性微生物の増殖を効果的に抑制すると現在も将来も認められるか又は感染原因物質若しくは感染性微生物を効果的に中和し、且つ特殊な又は一般的なウィルス及び/又は細菌の空中浮遊個体群を減少させるか又は撲滅するのに充分な濃度において人との接触に安全である化合物を意味する。従って、このような空中浮遊感染性微生物を、これらが吸入される前に、空気中において除去し、減少させ又は中和させることができれば、有益であろう。用語「中和させる」又は「中和」は、感染原因物質が、a)物理的に結合又は固定化されるか;或いはb)例えば、感染原因物質を死滅させ、感染原因物質を生物学的に若しくは化学的に変化させ、又は感染原因物質の少なくとも一部に、人の細胞若しくは細胞膜と結合できるか若しくはそれに浸入できる、1つ若しくはそれ以上の部位を不活性化する化合物を被覆することによって、不活性又は非感染性にされることを意味するためにここでは同義で用いられる。
【0006】
このような感染性微生物の空気からの除去は、もともと考えられたよりも難しい。家庭、病院、職場、飛行機などのための換気装置は、効率的に作動し、空気を濾過し続け、且つ屋内環境を所定の温度、湿度又は品質に保持するように設計されている。典型的には、換気装置は、適当なサイズのモーターに取り付けられたかご形送風機を含む。屋内の空気は、冷気戻り導管のような特定の位置において濾過及び回収され、送風機に吸い込まれる。送風機は、空気を暖房用又は冷房用の交換機に強制的に通して、空気の温度を上昇又は低下させる。次いで、処理された空気は、導管又はダクトのシステムによって、建物全体に分配される。屋内のより低温の空気が再び回収され、プロセスが繰り返される。新鮮な空気は、人々、ペットなどが建造物に出入りする際に、窓及びドアの周囲のすきまを通して、また、このような空気の熱交換操作の目的で作られた特殊装置を通して取り入れられる。
【0007】
その一方で、エアフィルターは、約5〜約100ミクロンの粒度を有する空中浮遊ダスト及び鱗屑を除去する目的で作られている。より優れたエアフィルターは、ダスト及び鱗屑の他に、花粉のような汚染物質並びに限られているがカビ胞子及び菌類を除去する目的で作られている。空気濾過媒体は一般に、濾材との接触による粒子の捕捉に依拠する。これは、濾材上における粒子の直接遮断によって又は濾材に粒子を引きつけることによって行うことができる。
【0008】
ウィルス及び細菌は一般に、約0.001ミクロン〜約5ミクロンの大きさを有する。エアフィルターの濾材気孔が、感染性微生物を除去するのに充分に小さい、即ち、微小孔である場合には、フィルター表面積は、暖房又は冷房のために、充分な空気流を送風機にするには法外に大きくしなければならないであろう。別の欠点は、より高い捕捉率が典型的には、濾材の流れ抵抗によって作り出される高い圧力降下を犠牲にして実現されることである。ダスト、鱗屑、かび及び花粉の粒子は濾材微小孔を直ちにふさぐので、微小孔濾材は急速に目詰まりしやすいであろう。送風機のモーターは所定の量の空気を換気するためにより長く動作する必要があるので、これはフィルターの有効寿命を短縮し、エネルギーコストを増大させるであろう。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って、1)フィルターの有効寿命を実質的に短縮せずに;2)空気の換気に付随するエネルギーコストを増加させずに;又は3)濾材を通る空気の流れを実質的に制限せずに、空気流中の微生物の数を減少させる空気濾過装置が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
簡潔には、本発明は、殺生物性濾材層を有する濾過装置に関する。一実施態様において、濾材層は、少なくとも1種の殺生物性予防化合物を含んでなる。別の実施態様において、予防化合物は濾材に隣接するか又は濾材と織り交ぜられ、それによって、濾過装置を通過する空気の一部が予防化合物と接触する。
【0011】
本発明の一実施態様において、空気濾過装置は、濾材層を強化するか又は濾材層の輪郭を成す枠部材を更に含む。
【0012】
本発明の1つの目的は、感染原因物質の増殖を効果的に阻害するのに有用な予防化合物を含むか又は感染原因物質を効果的に中和する空気濾過装置を提供することにある。
【0013】
本発明の別の目的は、ウィルス又は細菌性感染原因物質の増殖を効果的に阻害するのに有用な予防化合物を含むか又は感染原因物質を効果的に中和する空気濾過装置を提供することにある。
【0014】
本発明のこれら及び他の目的並びに利点は、以下の説明及び添付図面を考慮すれば当業者にはより明白になるであろう。添付図面において、いくつかの図中の類似した部品及び対象は同様な参照数字を有する。本発明の概念は本明細書中に開示した構造に限定するのではなく、添付した「特許請求の範囲」によって限定すると考えられることを理解されたい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図面を参照すると、図1は、固定手段14内に含まれる多孔質濾材12を有する、プリーツ付きフィルターエレメント10を示す。本発明の一態様において、濾材12は、実質的に平面の表面である。望ましくは、濾材12は、濾材12中に山及び谷を生じる複数のピーク又はプリーツ18を規定する角度関係で配置された複数の隣接する対向パネル16を含む。濾材12は、環境に向けて配置された正面又は表に向いた領域20と、エンドユーザーに向けて配置された裏面又は内側に向いた領域22を有する。フィルターエレメント10を通って流れる空気は正面20に入り、濾材12を通過し、裏面22から出る。
【0016】
多孔質濾材12は、濾過技術に熟練した者に知られた任意の濾過媒体、例えば繊維材料、連続気泡フォーム(open−celled foam)若しくは多孔質膜、織スクリム(woven scrim)、不織繊維マット、有孔フィルム又はそれらの組合せであることができる。エアフィルターの濾材12は、天然材料、合成材料又はそれらの組合せから構成することができる。濾材12は、混合物及びブレンドを含む種々の有機ポリマー材料から作ることができる。適当な濾材としては、市販の種々の材料、例えばポリプロピレン、線状低密度ポリエチレン、ポリ−1−ブテン、ポリ(4−メチル−1−ペンテン)、ポリテトラフルオロエチレン、ポリトリフルオロクロロエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエステル及びそれらの組合せ(ブレンド又はコポリマーを含む)が挙げられる。好ましい材料としては、分岐鎖アルキル基を含まないポリオレフィン及びそれらのコポリマーが挙げられる。特に好ましい材料としては、熱可塑性繊維、例えばポリエチレン、ポリプロピレン及びそれらのコポリマーが挙げられる。他の適当な材料としては、セルロース、レーヨン、アクリル樹脂及び改質アクリル樹脂、ポリアミド、ポリイミド繊維及び種々のポリマーの繊維ブレンドが挙げられる。
【0017】
望ましくは、濾材12は、直径約500ミクロン未満の、好ましくは約100ミクロン未満の繊維サイズを有するランダムに配向された繊維材料のマットである。好ましい一実施態様において、濾材12は、当業者に知られた常法によって、例えばメルトブロー、スパンボンド、カ−ディング、エアレイ(air laying)及び湿式堆積によってウェブの形で形成された不織材料である。不織ウェブは、水流交絡処理、熱処理又は熱機械的結合のような方法によってそれほど圧密化されないのが好ましい。濾材12は、約5グラム/平方メートル(g/m2)〜約1000g/m2、より好ましくは約20g/m2〜約200g/m2の範囲の種々の基本重量(basis weight)を有することができる、濾材12は、約0.005インチ〜約5インチの厚さを有することができる。好ましくは、濾材12は約0.1インチ〜約3インチ、より好ましくは約0.25インチ〜約1.5インチの厚さを有する。
【0018】
濾材12は、予定の最終製品用途及び所定の用途のための濾過要件に応じて、種々の形状を有することができる。例えば、濾材は、離散流路、開放流路、V字形流路、積み重なった構造を有することができ、結合されていてもいなくてもよい。図示されているように、濾材12は、複数の流路によって規定される規則正しい流体通路を有する。流路は、1組の対向する側壁16によって規定され、側壁16はまた、濾材12のピーク又はプリーツ18を規定する。ピーク18は、平面の床面によって又は副流路を形成するサブピークによって分離されることができる。ピークの集合体が共同でプリーツ付き繊維マットを形成する。任意のプリーツ付き繊維濾材を用いることができるが、好ましい濾材は、ウェブをエレクトレット(electret)に変換する、静電気的に帯電したウェブである。エレクトレットは一般に、長期間持続する電荷を示す1つの誘電体である。帯電可能なエレクトレット材料としては、無極性ポリマー、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)及びポリプロピレンが挙げられる。一般に、エレクトレット上の正味電荷は0であるか又は0に近く、その場は電荷分離の結果であって、正味電荷によってもたらされるものではない。材料及び処理の適切な選択によって、外部静電場を生じるエレクトレットを作ることができる。コロナ放電、帯電した場の存在下における材料の加熱及び冷却、接触帯電、ウェブへの荷電粒子の噴霧並びに噴射水又は水滴流による表面の湿潤又はそれらの表面への衝突を含む誘電材料を帯電させるのには一般的に使用されているいくつかの方法、が用いられる。そのいずれかを用いて、本発明において使用する濾材層に帯電させることができる。利用できる別の型の処理は、油及び水をはじくフィルター層の能力を向上させると同時に油状エアロゲルを濾過する能力を増大することができる材料の添加又材料の被覆の形でのフルオロケミカル添加剤の使用である。このような添加剤の例は、2002年6月4日にJonesらに対して発行された米国特許第6,398,847号に記載されている。
【0019】
濾材12は、比較的堅く且つ自立性のウェブであるか又は比較的軟質で且つ非自立性であることができる。「自立性」とは、濾材が、支持構造の有無にかかわらす、空気流に暴露された場合に一般にその形状を維持することを意味する。従って、濾材が自立性であるか否かは、濾材自体の物理的性質、濾材の形状寸法若しくは構造及び濾材が個々の最終用途において暴露される条件によって決まる。一般に、堅い自立性濾材は、好ましくは幅2インチ及び長さ1.5インチを有するサンプルサイズに関して50mg超のガーレイ剛性(Gurlay stiffness)を有し、軟質の非自立性濾材は好ましくは、幅2インチ及び長さ1.5インチを有するサンプルサイズに関して30mgのガーレイ剛性を有する。これらの値の間の剛性値を有する濾材にの場合は、濾材が自立性であるか否かは、濾材の構造及び最終用途によって決まる。望ましくは、濾過装置10の補剛手段14は支持部材23、例えば濾材12の周辺端部24の周囲に広がり且つ濾材の12の周辺端部24を規定する枠を含む。使用する濾材12の型によっては、補剛手段14が枠内における濾材12の固定を助けるためのメッシュ型バッキングワイヤ又はグリッド25を更に含むことが必要か又は都合良い場合がある。
【0020】
濾過装置は、空気濾過装置10に組み入れられた殺生物性予防化合物26を、濾過装置を通過する空気の一部が予防化合物26と接触する形で含む。図2を参照すると、一実施態様において、濾材12は、予防化合物26の繊維及び/又は粒子を含む。或いは、濾材12は、予防化合物26を濾材12の外面28上に組み入れることによって予防化合物26の基材として使用することができる。図1に示すように、当業者ならば、予防化合物は別の層として濾過装置に組み入れることもできること、及び気流の方向に対して、濾材12の前方又は後方のいずれにも配置できることがわかるであろう。予防化合物のための別個の基材として使用する材料は、最終製品の使用目的に適した任意の材料、例えば織ウェブ又は不織ウェブ、有孔フィルム、フォーム又は多孔質膜であることができる。
【0021】
別の層26として(図1に示す)又は濾材12の一部として(図2に示す)フィルター10中に組み入れることができる予防化合物は、1)臨床的に認識可能な感染の全身治療又は特異的治療において有用であり、且つ/又は2)感染原因物質の増殖を効果的に抑制するか又は感染原因物質を効果的に中和すると現在も将来も認められ且つ特殊な又は一般的なウィルス及び/又は細菌の空中浮遊個体群を効果的に減少させるか又は撲滅するのに充分な濃度において人との接触に安全である任意の薬物又は他の殺微生物性化合物であることができる。このような化合物は、天然であっても、合成由来であっても、又はそれらの組合せであってもよい。このような物質の非限定的例としては、水溶性補酵素;油溶性補酵素;アミノ酸型界面活性剤;タマネギ(Alium cepa)から得られる植物抽出物;抗生物質;殺生物性金属及び金属含有化合物;有機珪素第四級アンモニウム;硫酸化多糖類;炭素数6〜20の脂肪族及び芳香族脂肪酸;セルロース又はセルロース誘導体;及びそれらの混合物が挙げられる。本明細書中で使用する用語「セルロース」又は「セルロース誘導体」は、好ましくは式−OYRから選ばれた部分による遊離ヒドロキシ官能基の部分置換又は全置換を有するセルロース又はセルロース誘導体を意味する。前記式−OYRにおいて、Rは、a)鎖中に1個若しくはそれ以上の芳香族基及び/又はO、N、P、S若しくはSiから選ばれた1個若しくはそれ以上のヘテロ原子を場合によっては含むことができる、直鎖若しくは分岐鎖、飽和若しくは不飽和部分又は飽和若しくは不飽和環状部分を有する、炭素数1〜50の炭化水素基;或いはb)−(C=O)OR2、−SO22、−CO−N(R22、−OR2、−N(R22、−SR2[式中、R2は、水素又は炭素数1〜50の直鎖、分岐鎖若しくは環状炭化水素基からなる群から選ばれる]で場合によっては置換されることができる、炭素数6〜14の環状芳香族化合物から選ばれ;Yは、単結合又は二価結合基である。本明細書中で使用する用語「二価結合基」は、酸素原子とR基との間に橋を形成する有機スペーサー基を意味し、好ましくは、−(C=O)、−(C=O)O−、−SO2−、−CO−NH−又は−CO−NR’−[式中、R’は炭素数1〜4のアルキル基である]から選ばれる。望ましくは、セルロース又はセルロース誘導体は、セルロースのアセテート、プロピオネート、ブチレート、イソブチレート、アセトブチレート、アセトプロピオネート及びそれらの混合物から選ばれる。より好ましくは、セルロース誘導体は、セルロースアセテート、セルロースアセテートフタレート(CAP)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(HPMCP)及びそれらの混合物から選ばれる。
【0022】
図3を参照するに、予防化合物26は、単独で又は医薬として許容され得る担体若しくは希釈剤30と組合せて空気濾過装置10中に組み入れることができる。予防化合物26がセルロースアセテート、セルロースアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート又はそれらの混合物から選ばれる場合には、CA、CAP及び/又はHPMCPは超微粉粒子の懸濁液として製造でき、更に水混和性非溶剤、例えばグリコールを含むことができる。望ましくは、超微粉砕CA、CAP又はHPMCPは、基材との接触前に適当な溶剤又は水性媒体中に予防化合物を分散させることによってスラリーとして製造する。超微粉砕(micronized)CA、CAP又はHPMCPの少なくとも一部が多孔質基材の一部に固着されるように、基材と超微粉砕CA、CAP又はHPMCPとは、接触して配置される。CA、CAP又はHPMCPは、当業者に知られた方法を用いて超微粉砕することができ、一般に、CAPはFMC Corporationから商品名AQUATERICとして市販されている。望ましくは、超微粉砕CA、CAP又はHPCMPは約35ミクロン未満、好ましくは約20ミクロン未満、より好ましくは約10ミクロン未満、最も好ましくは約5ミクロン未満の平均粒径を有する。
【0023】
或いは、CA、CAP又はHPCMPは、約0.001ミクロン〜約1000ミクロン、好ましくは約0.0025ミクロン〜約100ミクロンの厚さを有する繊維32の形にすることができ、それは次に、繊維状濾材12のウェブ中に組み入れるか又は前述のような別個の層の形にすることができる。CA、CAP又はHPMCPは、約20g/m2〜約200g/m2の基本重量を有することができ、好ましくは約5g/m2〜約50g/m2、より好ましくは約5g/m2〜約15g/m2である。
【0024】
更に、可塑剤を用いて、CAPの耐水性を向上させることができる。適当な可塑剤としては、アセイル化モノグリセリド、ブチルフタリルブチルグリコレート、酒石酸ジブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジメチル、エチルフタリエチルグリコレート、グリセリン、プロピレングリコール、トリアセチン、トリアセチンシトレート、トリプロピオニン及びそれらの混合物が挙げられる。
【0025】
当業者ならば、濾過装置に組み入れる予防化合物の量が、濾過装置の望ましい有効性によって決まることがわかるであろう。屋内の空気はフィルターの寿命の間ずっと、濾過装置を通って多数回循環されるので、予防化合物の殺生物作用は1パスで100%効果的である必要はないことがわかる。望ましくは、組み入れられる予防化合物の量は、濾材12及び予防化合物26の総重量に基づき約0.001〜約100重量%である。好ましくは、取り入れられる予防化合物26の量は、濾材12及び予防化合物26の総重量に基づき、約0.01重量%〜約20重量%、より好ましくは約0.1重量%〜約10重量%である。
【0026】
セルロースアセテートフタレート及びヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレートは共に、経口医薬用として広く用いられており、一般に毒性及び副作用がないとされている。セルロースアセテートフタレートは一般に、セルロースの部分エステルを有機酸、例えば酢酸の存在下で無水フタル酸と反応させることによって製造する。ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレートは一般に、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを無水フタル酸でエステル化することによって製造する。CAPはEastman Chemical Company(Kingsport,Tennessee)から入手でき、HPMCPはShasun(India)から入手できる。
【0027】
当業者ならば、本発明の濾過装置が、濾材の寿命が大幅に向上されるように濾材12よりかなり大きい平均直径を有する空中浮遊粒子を捕捉するように作られた気孔サイズを有する、洗浄可能な多孔質プレフィルター層のような他の材料を含むことができることがわかるであろう。場合によっては、濾過装置はまた、空気が予防化合物に接触する前に空気から化学蒸気又は悪臭蒸気を吸収する活性炭の層を含むことができる。
【0028】
使用においては、本発明の空気濾過装置10は、例えば個人用の濾過マスク;家庭及び/又は職場用の炉フィルター;病院、養護ホームにおける換気装置用のフィルター;呼吸空気圧縮機の吸気フィルターのような用途、並びに2、3例を挙げると飛行機の呼吸空気フィルター及び潜水艦の呼吸空気フィルターのような閉鎖された場所への適用のために使用できる。
【0029】
本発明の別の実施態様は、流体流中の細菌の量を減少させる方法である。この方法は、前述の少なくとも1種の予防化合物を含む濾材を有する濾過装置を用意し、そして流体流の少なくとも一部が予防化合物と接触するように流体流を濾過装置に通すことを含む。好ましい一実施態様において、流体流の少なくとも一部は濾過装置を通して再循還させる。望ましくは、再循還された流体流中に存在する細菌の量は、濾過装置からの予防化合物がない場合の再循還流体流中に存在する細菌の量よりも少ないであろう。
【実施例】
【0030】
本発明を、以下の示す具体例によってより詳細に説明する。これらの例は、実施例となる実施態様であって、本発明を制限することを目的とせず、むしろ、添付した「特許請求の範囲」の範囲及び内容の中で広範囲解釈すべきであることを理解されたい。特に断らない限り、例中の全ての部及び%は重量基準である。
【0031】
以下の例において、指定された試験材料を、試験微生物の接種後に抗微生物効果について評価し、次いで指定された暴露期間後に試験微生物の減少%を求めるために評価した。本発明の抗微生物効果は、Technical Manual of the American Association of Textile Chemists and Colorists(AATCC),vol.78,2003によって明記されている試験法100−2004(本発明においては一部変更した)を用いて評価した。
【0032】
実施例1〜22に関するサンプルフィルター材料は以下に明記する通りである。セルロースアセテート及びセルロースアセテートフタレートの製造のための方法及び操作は当業者にはよく知られている。実施例11及び22以外の全ての例に関しては、繊維形成用ドープ中の水の量は紡糸時に1重量%であった。実施例11及び22に関しては、繊維形成用ドープ中の水の量は紡糸時に3重量%であった。しかし、以下に示したデータから、これはフィルターの殺生物効率に影響を与えないようであった。
【0033】
セルロースアセテートフタレート(CAP)繊維は、粉末セルロースアセテートフタレートNF[Eastman Chemical Company(Kingsport,Tennessee)から入手可能]から生成した。乾燥粉末をアセトン又はアセトン/水中に溶解させ、米国特許第3,077,633号に記載されたような装置上で4.3、5.1及び6.1デニールを有する繊維に紡糸した。本明細書中で使用する用語「デニール」は長さ9000メーター当たり1gに等しい重量測定単位である。
【0034】
繊維は、手動カッティングボードを用いて手で1/8〜1/4の長さに切断し、ワーナー・ブレンダー(Warner Blender)中で非切刃を用いて混合することによって個々の繊維に分離させた。
【0035】
繊維をフィルターに製造するに当り、指定された繊維2.4gを容器中に量り入れ、脱イオン水で希釈した。次いで、TAPPI法T205 om−88(1988)(この開示全体を引用することによって本明細書中に組み入れる)に記載されているようにして、操作7.2「シート形成(sheetmaking)」から始めて、フィルターを製造した。次に、フィルターを、セクション7.6に記載されたようにして200℃において乾燥した。得られたフィルターは直径が約6インチ(15.2cm)、厚さが約0.45〜0.50mmであった。フィルターはまた、洗浄して、紡糸プロセスからの残りの残留アセトンの全てを除去した。
【0036】
材料を22ミクロン未満の平均直径まで低温粉砕することによって、指定された超微粉末を生成した。この超微粉末を水湿潤フィルターに加えてから乾燥することによって、超微粉末を含むフィルターを製造した。0.45g〜約0.50gの超微粉末を、超微粉末を含む各フィルターに加えた。Emerson Speed Dryer,Model 135[Emerson Apparatus(Portland、Maine)から入手可能]を用いて180℃〜200℃で30分間、フィルターを熱圧することによって、超微粉末を繊維に熱融合させた。
【0037】
実施例1、6、12及び17は、4.3デニールを有し且つ長さが約1/8インチ(0.32cm)〜1/4インチ(0.64cm)のセルロースアセテートフタレート(CAP)繊維から成るものであった。これらの繊維は、Eastman Chemical Company(Kingsport,Tennessee,United States of America)から入手できる。
【0038】
実施例2及び13は、4.3デニールを有し且つ長さが約1/8インチ(0.32cm)〜1/4インチ(0.64cm)のセルロースアセテート(CA)から成るものであった。これらの繊維は、Eastman Chemical Company(Kingsport,Tennessee,United States of America)から入手できる。
【0039】
実施例3、9、14及び20は、5.1デニールを有し且つ長さが約1/8インチ(0.32cm)〜1/4インチ(0.64cm)のCAP繊維から成るものであった。CAP繊維には、平均直径22ミクロン未満のCAP粉末1/2gを混合した。これらのCAP粉末及び繊維は、Eastman Chemical Company(Kingsport,Tennessee,United States of America)から入手できる。
【0040】
実施例4及び15は、5.1デニールを有し且つ長さが約1/8インチ(0.32cm)〜1/4インチ(0.64cm)のセルロースアセテート繊維から成るものであった。セルロースアセテート繊維には、平均直径22ミクロン未満のCAP粉末1/2gを混合した。これらのCAP粉末及び繊維は、Eastman Chemical Company(Kingsport,Tennessee,United States of America)から入手できる。
【0041】
実施例5及び16は、5.1デニールを有し且つ長さが約1/8インチ(0.32cm)〜1/4インチ(0.64cm)のセルロースアセテート繊維から成るものであった。セルロースアセテート繊維には、平均直径22ミクロン未満のCA粉末1/2gを混合した。これらのCA粉末及び繊維は、Eastman Chemical Company(Kingsport,Tennessee,United States of America)から入手できる。
【0042】
実施例7及び18は、5.1デニールを有し且つ長さが約1/8インチ(0.32cm)〜1/4インチ(0.64cm)のセルロースアセテートフタレート繊維から成るものであった。これらの繊維は、Eastman Chemical Company(Kingsport,Tennessee,United States of America)から入手できる。
【0043】
実施例8及び19は、5.1デニールを有し且つ長さが約1/8インチ(0.32cm)〜1/4インチ(0.64cm)のセルロースアセテート繊維から成るものであった。これらの繊維は、Eastman Chemical Company(Kingsport,Tennessee,United States of America)から入手できる。
【0044】
実施例10及び21は、5.1デニールを有し且つ長さが約1/8インチ(0.32cm)〜1/4インチ(0.64cm)のCAP繊維から成るものであった。CAP繊維には、平均直径22ミクロン未満のCA粉末1/2gを混合した。これらのCAP粉末及び繊維は、Eastman Chemical Company(Kingsport,Tennessee,United States of America)から入手できる。
【0045】
実施例11及び22は、5.1デニールを有し且つ長さが約1/8インチ(0.32cm)〜1/4インチ(0.64cm)のセルロースアセテートフタレート繊維から成るものであった。これらの繊維は、Eastman Chemical Company(Kingsport,Tennessee,United States of America)から入手できる。
【0046】
実施例1〜11
以下の表1において指定した材料を、黄色ブドウ球菌(スタフィロコッカス・アウレウス,Staphylococcus aureus)(ATCC#6538)のエアロゾル負荷に暴露された材料の3インチ(7.6cm)のスワッチを用いて試験した。黄色ブドウ球菌のエアロゾル負荷は、2分間にわたって各試験材料に繰り返し加えた。この手法は、コロニー形成単位(CFU)1×106超/被験物質の負荷レベルを与えるように、NLI標準BFE試験から一部変更した。被験物質を通る流量は30L/分(1.1立方フィート/分(CFM))に保持した。流量÷表面積によって求められる面速度は、特に断らない限り、22フィート/分(6.7m/分)に保持した。
【0047】
黄色ブドウ球菌のエアロゾル負荷の製造においては、大豆カゼイン100mlに細菌を接種し、穏やかに浸透しながら、37℃(±2℃)で24時間(±4時間)インキュベートした。接種された大豆カゼインの一定量をペプトン水で希釈して、1×106CFU超のエアロゾル負荷濃度を得た。負荷操作は以下のようにして実施した。チューブをネブライザーに接続し、ペリスタポンプを通して負荷を含む容器に至らせた。次いで、ネブライザーへのラインをパージした。2分間の試験期間の間中、一定の負荷容量を供給するようにペリスタポンプを較正した。次に、2〜3個のブランク又は未使用の対照サンプルを流すことによって試験系を平衡化させた。ペプトン水のアリコート(30mL)を、負荷力価を送るために全ガラスインピンジャー(AGI)中に入れた。負荷力価を、被験物質に供給される負荷エアロゾル液滴の濃度を測定するために標準試験条件下に導いた。負荷エアロゾルの流量は30L/分に保持した。ペリスタポンプを通るネブライザーの流れを用いて、接種材料の30mlのアリコートを1分間試験容器に送り、次いで止めた。真空及び圧力を更に1分間加えて、ネブライザー及びガラスエアロゾルチャンバーから過剰のアエロゾル粒子を取り除き、その後止めた。標準平板計数法を用いて対照の力価を求め、6段階Andersenサンプラーを用いてエアロゾルの平均粒度を求めた。各試験サンプルに接種を行うために、試験サンプルをサンプルホルダーに入れ、AGIを用いない以外は負荷の操作を繰り返した。AGIアッセイ流体の力価は、標準プラークアッセイ法を用いて求めた。
【0048】
2分の負荷後直ちに被験物質を装置から取り出し、指定された期間の間、37℃(±2℃)の温度に保持された密閉汚染物質容器中に入れた。各サンプリング間隔において、接種されたスワッチを、約100mLのLetheenブロス又は他の中和剤を含む(必要に応じて)フラスコ中に入れた。次いで、フラスコを約1分間、手で振盪した。中和剤を必要に応じて連続的に希釈し、滅菌曲げガラス棒を用いて大豆カゼイン消化寒天(SCDA)平板上に均一に広げた。次いで、平板を37℃(±2℃)で48〜72時間又はコロニーが数えられるようになるまでインキュベートした。
【0049】
各型の未接種処理サンプルを100mLのアリコートで用いて、中和対照とした。約100〜10,000CFU/mLの黄色ブドウ球菌を抽出物流体に加えた。次いで、アリコートをSCDA上に載せた。希釈された黄色ブドウ球菌の力価は、Letheenブロス又は他の中和剤の100mLのボトルに同量の接種材料を加えることによって確認した。次に、平板のアリコートを37℃(±2℃)で48〜72時間又はコロニーが数えられるようになるまでインキュベートした。
【0050】
微生物のカウントを、CFU/検体サンプル、即ち試験スワッチとして以下に明記した。次いで、減少%を求めた。
【0051】
試験微生物に関する正及び負の対照も継続した。正の対照は、負荷微生物が混入された中和剤の100mLボトルから構成された。負の対照は、中和剤の滅菌100mLボトルから構成された。
【0052】
試験結果を以下の表Iに示す。サンプル1〜4に関しては、時間0における平均対照力価は1.4×106CFUであり、サンプル5〜11については、時間0における平均対照力価は3.3×106CFUであった。概算(〜)として示したカウントは、データが25〜250CFUの範囲外に見られる結果から取られた。「<」又は「>」として示されるカウントは、回収が1CFU未満の少なくとも1つの例を含んだ計算値による。負(−)の減少%は、出発力価より大きい最終力価を示す。
【0053】
【表1】

【0054】
実施例12〜22
実施例12〜22においては、以下を除いて、実施例1〜11に関して前述した一般的操作に従った。負荷微生物は、ウィルスの宿主としての大腸菌型、エシェリキア・コリ(Escherichia coli;E.coli C,ATCC#13706)に組み入れられたバクテリオファージphi−X174(ATCC#13706−B1)であった。
【0055】
phi−X174バクテリオファージを製造するために、約100mLの普通ブロスにE.coli Cを接種し、約200〜250rpmで撹拌ながら37℃(±2℃)において約6〜18時間インキュベートした。E.coli C培養物の1:100希釈物を製造し、約200〜250rpmで撹拌ながら37℃(±2℃)においてインキュベートして、2〜4×108CFU/mLの密度を有する培養物を増殖させた。この密度は、分光光度計で640ナノメーターにおいて0.3〜0.5の光学濃度に相当した。
【0056】
次に、E.coli C細菌培養物に、バクテリオファージ対細菌細胞の比が0.1〜2.0となるように、5〜10mLのバクテリオファージphi−X174を接種した。混合物を、約100〜250rpmで撹拌しながら、37℃(±2℃)で約1〜5時間インキュベートした。次いで、混合物を10,000×Gで約20〜40分間遠心分離した。次に、上清を滅菌0.2mフィルターを通して濾過して、宿主細胞残屑を除去し、ファージ株を回収した。次に、試験培養物を普通ブロス中で37℃(±2℃)で18〜24時間増殖させた。
【0057】
前記実施例1〜11に関する負荷操作に従って、種々のサンプルを2分間の負荷に供した。2分間の負荷後直ちに、被験物質を装置から取り出し、指定された期間の間、20〜25℃の温度に保持された密閉汚染物質容器中に入れた。各サンプリング間隔において、接種されたスワッチを、約100mLのLetheenブロス又は他の中和剤(必要に応じて)を含むフラスコ中に入れた。次いで、フラスコを約1分間、手で振盪した。
【0058】
プラークアッセイ操作は、以下のようにして実施した。2.5ミリリットルの溶融トップ寒天を滅菌試験管中に分取し、水浴中で45℃(±2℃)に保持した。適当な希釈物の0.5mLのアリコートをトップ寒天試験管に加えた。E.coli C細菌培養物1〜2滴を各試験管に加えた。内容物をよく混合し、ボトム寒天平板の表面上に注いだ。寒天を固まらせ、次いで37℃(±2℃)で6〜18時間インキュベートした。この時間の長さは、プラークが充分に大きいが融合しないことによって決まった。
【0059】
中和対照は、各型の未接種処理サンプルを10mLのアリコートで用いて実施した。約100〜10,000PFU/mLのE.coli C細菌培養物を抽出物流体に加えた。希釈されたE.coli C細菌培養物の力価を、同容量の接種材料をLetheenブロス又は他の中和剤の100mLボトルに加えることによって確認した。
【0060】
微生物のカウントを、PFU/検体サンプル、即ち、試験スワッチとして以下に明記する。次いで、減少%を求めた。試験結果を以下の表IIに示す。時間0における平均対照力価は、特に断らない限り、サンプル12〜15に関しては8.4×105PFUであり、サンプル16〜22に関しては1.1×106であった。概算(〜)として示したカウントは、データが25〜250PFUの範囲外に見られる結果から取られた。負(−)の減少%は、出発力価より大きい最終力価を示す。
【0061】
【表2】

【0062】
本発明を詳述したが、当業者ならば、本明細書中に開示及び記載した範囲及び精神から逸脱しなければ、本発明の種々の態様に変更を加えることができることがわかるであろう。従って、本発明の範囲は、示され且つ記載された具体的な実施態様に限定するのではなく、むしろ、本発明の範囲は、添付した「特許請求の範囲」及びその相当物によって決定するものとする。更に、本明細書中で示した全ての特許、特許出願、刊行物及び文献を、参照することによって本発明の実施に関連する開示のためにその全文を引用する。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の濾過装置の拡大断面図である。
【図2】エアフィルターの濾材中に組み入れられる予防化合物を示す、本発明の一実施態様の拡大斜視図である。
【図3】予防化合物がエアフィルターの濾材上の医薬として許容され得る物質中に密封された、本発明の別の実施態様の拡大斜視図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a.濾材の層;及び
b.前記濾材に隣接した少なくとも1種の予防化合物
を含んでなる空気濾過装置。
【請求項2】
前記濾材が繊維材料、連続気泡フォーム又は多孔質膜からなる群から選ばれる請求項1に記載の空気濾過装置。
【請求項3】
個人用の濾過マスク、炉フィルター、換気装置フィルター及び呼吸空気圧縮機の吸気フィルターからなる群から選ばれる請求項1に記載に記載の空気濾過装置。
【請求項4】
前記濾材が約5g/m2〜約1000g/m2の基本重量を有する不織布材料である請求項1に記載の空気濾過装置。
【請求項5】
前記濾材が約20g/m2〜約200g/m2の基本重量を有する不織布材料である請求項1に記載の空気濾過装置。
【請求項6】
前記濾材が不織布材料の静電気的に帯電したウェブである請求項1に記載の空気濾過装置。
【請求項7】
前記予防化合物が水溶性補酵素;油溶性補酵素;アミノ酸型界面活性剤;タマネギ(Alium cepa)から得られた植物抽出物;抗生物質;殺生物性金属及び金属含有化合物;有機珪素第四級アンモニウム塩;硫酸化多糖類;炭素数6〜20の脂肪族及び芳香族脂肪酸;セルロース又はセルロース誘導体からなる群から選ばれる請求項1に記載の空気濾過装置。
【請求項8】
前記セルロース誘導体が式−OYR[式中、Rはa)直鎖若しくは分岐鎖、飽和若しくは不飽和部分又は飽和若しくは不飽和環状部分を有する、炭素数1〜50の炭化水素基;又はb)−(C=O)OR2、−SO22、−CO−N(R22、−OR2、−N(R22、−SR2(式中、R2は水素又は炭素数1〜50の直鎖、分岐鎖若しくは環状炭化水素基からなる群から選ばれる)で置換されることができる、炭素数6〜14の環状芳香族化合物から選ばれ;Yは、単結合又は二価結合基であり、前記二価結合基は、−(C=O)、−(C=O)O−、−SO2−、−CO−NH−又は−CO−NR’−(式中、R’は炭素数1〜4のアルキル基である)から選ばれる]から選ばれた部分による遊離ヒドロキシル官能基の少なくとも部分置換を有するセルロースからなる群から選ばれる請求項7に記載の空気濾過装置。
【請求項9】
Rが1個若しくはそれ以上の芳香族基及び/又はO、N、P又はSからなる群から選ばれた1個若しくはそれ以上のヘテロ原子を更に含む請求項8に記載の空気濾過装置。
【請求項10】
前記セルロース誘導体がセルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースイソブチレート、セルロースアセトブチレート及びセルロースアセトプロピオネートからなる群から選ばれる請求項7に記載の空気濾過装置。
【請求項11】
前記セルロース誘導体がセルロースアセテート、セルロースアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート及びそれらの混合物からなる群から選ばれる請求項7に記載の空気濾過装置。
【請求項12】
濾過装置中に組み入れる予防化合物の量が、濾材及び予防化合物の総重量に基づき、約0.001〜約100重量%である請求項7に記載の空気濾過装置。
【請求項13】
濾過装置中に組み入れられる予防化合物の量が濾材及び予防化合物の総重量に基づき、約0.01〜約20重量%である請求項7に記載の空気濾過装置。
【請求項14】
濾過装置中に組み入れられる予防化合物の量が濾材及び予防化合物の総重量に基づき、約0.1〜約10重量%である請求項7に記載の空気濾過装置。
【請求項15】
前記予防化合物が空気流の方向に対して、濾材の前方に配置された別個の層である請求項1に記載の空気濾過装置。
【請求項16】
前記予防化合物が空気流の方向に対して、濾材の後方に配置された別個の層である請求項1に記載の空気濾過装置。
【請求項17】
前記予防化合物が濾材の外面上に沈着されている請求項1に記載の空気濾過装置。
【請求項18】
前記セルロースアセテートフタレート及びヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート化合物が超微粉砕されている請求項10に記載の空気濾過装置。
【請求項19】
濾材に取り付けられた補剛手段を更に含む請求項1に記載の空気濾過装置。
【請求項20】
濾材の外面に前記予防化合物が沈着される前に前記予防化合物が適当な溶剤又は水性媒体中に分散させる請求項16に記載の空気濾過装置。
【請求項21】
a.濾材の層;及び
b.前記濾材に隣接した、水溶性補酵素;油溶性補酵素;アミノ酸型界面活性剤;タマネギ(Alium cepa)から得られた植物抽出物;抗生物質;殺生物性金属及び金属含有化合物;有機珪素第四級アンモニウム塩;硫酸化多糖類;炭素数6〜20の脂肪族及び芳香族脂肪酸;セルロースアセテート;セルロースアセテートフタレート;ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート;並びにそれらの混合物からなる群から選ばれた少なくとも1種の予防化合物
を含んでなる空気濾過装置。
【請求項22】
前記濾材が約20g/m2〜約200g/m2の基本重量を有する不織布材料である請求項21に記載の空気濾過装置。
【請求項23】
前記濾材が不織布材料の静電気的に帯電したウェブである請求項21に記載の空気濾過装置。
【請求項24】
濾過装置中に組み入れられる予防化合物の量が、濾材及び予防化合物の総重量に基づき、約0.001〜約100重量%である請求項21に記載の空気濾過装置。
【請求項25】
濾過装置中に組み入れられる予防化合物の量が、濾材及び予防化合物の総重量に基づき、約0.1〜約10重量%である請求項21に記載の空気濾過装置。
【請求項26】
前記予防化合物が、空気流の方向に対して、濾材の前方に配置された別個の層である請求項21に記載の空気濾過装置。
【請求項27】
前記予防化合物が濾材の外面上に沈着されている請求項21に記載の空気濾過装置。
【請求項28】
前記セルロースアセテートフタレート及びヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート化合物が超微粉砕されている請求項21に記載の空気濾過装置。
【請求項29】
a.濾材の層;及び
b.前記濾材に隣接した、セルロースアセテート;セルロースアセテートフタレート;ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート;及びそれらの混合物からなる群から選ばれた少なくとも1種の予防化合物
を含んでなる空気濾過装置。
【請求項30】
前記濾材が約20g/m2〜約200g/m2の基本重量を有する不織布材料である請求項29に記載の空気濾過装置。
【請求項31】
前記濾材が不織布材料の静電気的に帯電したウェブである請求項29に記載の空気濾過装置。
【請求項32】
濾過装置中に組み入れられる予防化合物の量が、濾材及び予防化合物の総重量に基づき、約0.001〜約100重量%である請求項29に記載の空気濾過装置。
【請求項33】
濾過装置中に組み入れられる予防化合物の量が、濾材及び予防化合物の総重量に基づき、約0.1〜約10重量%である請求項29に記載の空気濾過装置。
【請求項34】
前記予防化合物が別個の層である請求項29に記載の空気濾過装置。
【請求項35】
前記の別個の層が約5〜約50g/m2の基本重量を有し且つ、空気流の方向に対して、濾材の後方に配置される請求項34に記載の空気濾過装置。
【請求項36】
前記予防化合物が濾材の外面に沈着されている請求項31に記載の空気濾過装置。
【請求項37】
前記予防化合物がセルロースアセテートフタレートであり且つ更に、アセイル化モノグリセリド、ブチルフタリルブチルグリコレート、酒石酸ジブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジメチル、エチルフタリエチルグリコレート、グリセリン、プロピレングリコール、トリアセチン、トリアセチンシトレート、トリプロピオニン及びそれらの混合物からなる群から選ばれた可塑剤を含む請求項34に記載の空気濾過装置。
【請求項38】
予防化合物を含んでなる空気濾過装置。
【請求項39】
前記予防化合物が繊維である請求項38に記載の空気濾過装置。
【請求項40】
前記予防繊維が濾材の0.001〜100%を構成する請求項39に記載の空気濾過装置。
【請求項41】
前記予防化合物が粒子である請求項38に記載の空気濾過装置。
【請求項42】
前記予防繊維がセルロースアセテート;セルロースアセテートフタレート;ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート;及びそれらの混合物からなる群から選ばれた繊維を含む請求項39に記載の空気濾過装置。
【請求項43】
a.予防化合物を含む濾過装置を用意し;そして
b.前記濾過装置に流体流を通す
ことを含んでなる流体流中の細菌の量を減少させる方法。
【請求項44】
流体流の少なくとも一部を前記濾過装置を通して再循環させることを更に含む請求項43に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2008−508060(P2008−508060A)
【公表日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−523886(P2007−523886)
【出願日】平成17年7月29日(2005.7.29)
【国際出願番号】PCT/US2005/027303
【国際公開番号】WO2006/015329
【国際公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【出願人】(594055158)イーストマン ケミカル カンパニー (391)
【Fターム(参考)】