説明

抗悪性腫瘍剤の腫瘍組織への局所送達増強剤

【課題】抗悪性腫瘍剤の腫瘍組織への送達増強剤を提供する。
【解決手段】ニトログリセリン、硝酸イソソルビドなどの一酸化窒素(NO)ドナーを有効成分として、抗悪性腫瘍剤と併用し、抗悪性腫瘍剤の効果を腫瘍組織への送達性を増強させ、更に詳しくは、特に一酸化窒素ドナーを軟膏などの外用剤として、悪性腫瘍の部位に塗布し投与することによって、腫瘍血管内腔より腫瘍組織内への漏出性を高めることにより抗悪性腫瘍剤等の薬物の局所送達性、即ち、腫瘍組織への薬剤の集積性を増強する

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一酸化窒素(NO)ドナーを有効成分として含有する腫瘍組織への局所送達増強剤に関する。更に詳しくは、本発明は、抗悪性腫瘍剤の局所送達性、即ち、腫瘍組織への薬剤の集積性を増強することにより、抗悪性腫瘍剤の腫瘍組織への局所送達増強をする薬剤に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明者らは、これまでに生体親和性の高い高分子薬剤、ミセル化製剤、リポゾーム製剤を含む物質や油質が、正常組織と比較して腫瘍組織に高く集積し、かつ長時間にわたり高濃度を維持することを発見した(Enhanced Permeability and Retention effect, EPR効果)(非特許文献1)。即ち、腫瘍組織においては、(1)旺盛な血管新生による腫瘍内血管密度の亢進、(2)様々な血管作動因子による血管透過性の亢進、(3)高分子物質の腫瘍血管を介する逆行性の回収の不全、(4)リンパ系回収の機能不全による高分子物などの回収不全などの結果として、血中へ投与した生体親和性のある高分子物質 (上述した薬剤等) や油性超微粒子は、腫瘍組織へ高く集積するようになる。この原理を利用するためには、薬剤を高分子化することにより、血中半減期を大幅に延長することが可能となり、その結果非常に効率よく腫瘍局所に選択的に薬剤が集積する。これに対し、一般の正常組織への集積は極めて低レベルである。これによって副作用の大幅な軽減と同時に、より強い抗悪性腫瘍作用を発揮できるようになることを明らかにしている(非特許文献2)。
【0003】
一方で、血圧を制御する内因性の物質のひとつである一酸化窒素(NO)、即ち内皮由来血管弛緩因子(endothelial-derived relaxing factor、降圧物質)(EDRF)は血管平滑筋のグアニル酸シクラーゼを活性化することにより血管を弛緩させることが知られている(非特許文献3)。
【0004】
本発明者らは、NOとスーパーオキサイド (O) が直ちに反応し、NOを消費することから、血中のNOレベルが低下し、正常な血圧維持が困難となり、高血圧を招来することも明らかにしている。
【0005】
また、これまで固型腫瘍において、NO合成酵素 (NOS) により合成されるNOが腫瘍の血管透過性 (漏出性亢進) を誘導していることを見出している(非特許文献4)。また、EPR効果は、NOSの阻害剤であるL−Nω−ニトロ−L−アルギニンメチルエステル(L−NAME)およびNOのスカベンジャーである2−フェニル−4,4,5,5−テトラメチルイミダゾリン−1−オキシル 3−オキシド(PTIO)の投与により、抑制されることも見出している(非特許文献5、6)。
【0006】
一方、腫瘍は、血管内皮細胞増殖因子や線維芽細胞増殖因子などの血管新生因子を産出し、腫瘍血管を新生し、同時にこれら因子(EDRF)はNO産生を高め、そして血管透過性を高め、それにより血液を介して栄養や酸素などを獲得するため旺盛な血管造成能を有している(非特許文献7)。
【0007】
この考え方を進めることによりNO(およびそのドナー) であるGTNを腫瘍の表層より塗布で投与することで、過剰に存在する腫瘍血管を弛緩させ、多くの薬物を腫瘍局所に集積させることができると考えた。
【非特許文献1】Matsumura, Y. and Maeda, H.: Cancer Res. 46: 6387-92, 1989
【非特許文献2】Maeda H. J Controlled Release, 19, 315-324, 1992
【非特許文献3】Moncada S et al. Pharm Rev, 43, 109-142, 1991
【非特許文献4】Doi K et al. Cancer 77, 1598-604, 1996、Br J Cancer, 80, 1945-54, 1999
【非特許文献5】Maeda H et al. Jpn J Cancer Res 85, 331334, 1994、Wu J et al. Cancer Res 58, 159-65, 1998
【非特許文献6】Iyer AK et al. Drug Discov Today, 11, 812-818, 2006
【非特許文献7】Folkman J, Nat Med 1: 27, 1995
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
悪性腫瘍は、現在ヒトの疾病の中で、処置・治療が最も困難な疾患のひとつであり、薬剤としては様々な抗悪性腫瘍剤が開発されているが、決定的なものはないのが実情である。また、抗悪性腫瘍剤の副作用も常に問題となっている。このような状況下において、有力な抗悪性腫瘍剤の腫瘍組織への送達性を増強することは、悪性腫瘍の処置・治療においてひとつの有効な手段であるのみならず、抗悪性腫瘍剤の量を減らすことにつながり、抗悪性腫瘍剤の有する副作用の軽減になる。従って、優れた抗悪性腫瘍剤の腫瘍組織への送達性の増強剤が求められている。
【0009】
このような知見・状況を背景に、本発明者らは、ニトログリセリンなどの一酸化窒素(NO)ドナーを抗悪性腫瘍剤と一緒に適用すると、驚くべきことに、抗悪性腫瘍剤の悪性腫瘍組織への送達が増強されることを見出した。更に詳しくは、本発明は、一酸化窒素(NO)ドナーを、抗悪性腫瘍剤と一緒に適用することにより、抗悪性腫瘍剤の局所送達性、すなわち、腫瘍組織への薬剤の集積性を増強することができる。このような、悪性腫瘍剤の腫瘍部位への送達増強効果は、本発明者らがはじめて見出したものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
従って、本発明の目的は、一酸化窒素(NO)ドナーを有効成分とする抗悪性腫瘍剤の悪性腫瘍組織への局所送達増強剤を提供することにある。
【0011】
以下、本発明をより詳細に説明する。
【0012】
本明細書において、「一酸化窒素(NO)ドナー(供与剤)」とは、生体内で一酸化窒素(NO)を持続的に放出できる薬剤の総称であり、そのうちニトロ基の離脱が生じ、つづいて生体内の酵素によってNOに還元されるものも含む。特に制限はされないが、代表的なものとしては、ニトログリセリン(GTN)、グリセリルモノニトレート、グリセリルジニトレート、一硝酸イソソルビド(ISMN)、二硝酸イソソルビド(ISDN)のような硝酸エステル類がある。その他のものとしては、たとえば、ニトロプルシドナトリウム、モルシドミンなどがある。本発明において、最も好ましいものは、ニトログリセリン製剤である。
【0013】
本発明を実施する際は、一酸化窒素(NO)ドナーは、通常、軟膏、ゲル軟膏、クリーム、液剤、貼付剤、座剤、スプレー、鼻腔内など外用剤としての形態で適用するが、悪性腫瘍の部位によって適用できる外用剤であれば、いかなる剤形でもよい。好ましい適用形態は、軟膏として患部に塗布するか、あるいはスプレーすることが挙げられる。
【0014】
軟膏剤として塗布する場合は、通常の方法によって軟膏剤を調製する。軟膏剤・皮膚外用剤は、半固形の製剤であり、有効成分と基剤によって構成されており、基剤の中に有効成分が存在する形であり、有効成分が基剤に溶解しているか、分散している。基剤には、油脂性基剤である疎水性基剤と、乳剤性基剤、水溶性基剤、懸濁性基剤などの親水性基剤がある。疎水性基剤には、ワセリン、パラフィン、プラスチベース、シリコ−ン、植物油、ロウ類などがあり、乳剤性基剤には、ポリエチレングリコールのエステル類、ラノリン、親水ワセリンがあり、水溶性基剤には、マグロゴールなどがあり、懸濁性基剤には、セルロースなどを基剤としたゲル、ゼリー、ジェルなどがある。
【0015】
本発明で用いる一酸化窒素(NO)ドナーの代表例である、ニトログリセリンの場合は、ワセリン、ラノリンを基剤とした軟膏が容易に入手できる。すなわち、急性心不全、狭心症、心筋梗塞発作の処置・予防薬であるニトログリセリン軟膏、たとえば、バソレーター(三和化学)がある。
【0016】
更に、上述したごとく本発明で用いる一酸化窒素(NO)ドナーを含有する外用剤は、処置・治療する悪性腫瘍の部位によって異なる剤形を用いることができ、上記の軟膏・クリームなどのほかに、噴霧剤(スプレー)、パッチ、座剤、液剤なども用いることができる。これらは、市販の種々のパッチ剤(たとえば、ニトロダーム、ミリス、シドレン、バソレーター、メディトランス、ミニトロなど)を使用することが可能である。
【0017】
本発明で用いる一酸化窒素(NO)ドナーを含有する外用剤が適用できる悪性腫瘍であれば、特に制限はないが、通常適用されるのは、たとえば、乳がん、食道がん、結腸、直腸がんを含む大腸がんなどの消化管のがん、膀胱がんなどの泌尿器のがん、気管支肺がん、気道のがん、子宮がん、膣がんなどの生殖器のがん、皮膚がん、眼、腹・胸壁上のがんなどの表層性腫瘍を挙げることができる。
【0018】
乳がんの例には、浸潤性腺管がん、浸潤性小葉がん、乳管内がん(ductal carcinoma in situ)、および乳腺小葉非浸潤上皮内がんが含まれるが、これらに限定されない。
【0019】
気道のがんの例には、小細胞肺がん、非小細胞肺がん、ならびに気管支腺腫および胸膜肺芽細胞腫が含まれるが、これらに限定されない。
【0020】
雄性生殖器官の腫瘍には、前立腺および睾丸がんが含まれるが、これらには限定されない。雌性生殖器官の腫瘍には、子宮内膜、子宮頚部、卵巣、膣、および外陰部がん、および子宮肉腫が含まれるが、これらに限定されない。
【0021】
消化管の腫瘍には、肛門、大腸、結腸直腸、食道、胆嚢、胃、すい臓、直腸、小腸、および唾液腺がんが含まれるが、これらには限定されない。
【0022】
泌尿器管の腫瘍には、膀胱、陰茎、腎臓、腎盤、尿管、尿道およびヒト乳頭状腎臓がんが含まれるが、これらには限定されない。
【0023】
眼のがんには、眼球内メラノーマおよび網膜芽腫が含まれるが、これらには限定されない。
【0024】
肝臓がんの例には、肝細胞がん(線維層板変異体をもつかあるいはもたない肝細胞がん)、胆管がん(肝内胆管がん)、および肝細胞がん、胆管がんの混合型が含まれるが、これらに限定されない。
【0025】
皮膚がんには、扁平上皮細胞がん、カポジ肉腫、悪性黒色腫、メルケル細胞皮膚がん(Merkel cell skin cancer)、および非メラノーマ皮膚がんが含まれるが、これらには限定されない。
【0026】
頭頚がんには、咽頭部、下咽頭、鼻咽頭、口咽頭がん、唇および口腔がん並びに扁平上皮細胞が含まれるが、それらには限定されない。血液がんには、各種白血病のほか、リンパ腫、たとえば、AIDS関連リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、皮膚T細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫、ホジキン病、および中枢神経系リンパ腫が含まれるが、これらには限定されない。
【0027】
これらの疾患は、ヒトでは特徴づけがなされてきているが、他の哺乳類でも同様な病因が存在し、本発明の抗悪性腫瘍剤の局所送達増強剤を投与することによって処置でき、本発明の抗悪性腫瘍剤の局所送達増強剤は、ヒトのみならず哺乳類の適用も包含するものである。
【0028】
本発明の抗悪性腫瘍剤の悪性腫瘍の組織への局所送達増強剤を使用する場合、悪性腫瘍を処置・治療する抗悪性腫瘍剤は、本発明のメカニズムからして、特に限定はされない。現在使用されている抗悪性腫瘍剤のみならず、開発中の薬剤または将来開発される薬剤をも包含する。本発明を実施する際の抗悪性腫瘍剤は、一つであってよいし、ふたつ以上であってもよい。
【0029】
本発明を実施する際の抗悪性腫瘍剤は、上述のごとくいかなる薬剤でもよく、特に限定されないが、抗悪性腫瘍作用を有する薬剤の中で、高分子の薬剤の場合に抗悪性腫瘍剤の腫瘍部位への送達増強効果を示す。たとえば、下記の実験例5で用いられているPEG−ZnPPのような薬剤の場合に効果を示す。PEG−ZnPP(ポリエチレングリコール結合亜鉛プロトポルフィン)は、グリベック耐性の慢性骨髄性白血病(CML)、肥満細胞白血病(MCL)、乳がん、大腸がんなどに効果が期待される薬剤であり、更に他の抗悪性腫瘍剤との併用により抗悪性腫瘍剤の抗悪性腫瘍効果を増強する作用もある薬剤である。更に、こうした高分子の薬剤には、PEG化インターフェロン、ミセル化製剤、リポソーム製剤があるが、その他高分子化抗悪性腫瘍剤であれば、いかなるものでもよい。
【0030】
高分子薬剤の例としては、たとえば、スマンクス(登録商標)、ドキソルビシン(ドキソル)、カンプトラシンの活性部(SN38)を含むPEG−poly(asp)ブロックコポリマーミセルであるNK012(日本化薬)、カプリタキセル結合型ポリグルタミン酸[Xyoptax,略号PG−TXL CODE CT−2103](セル・セラピュティック)などを挙げることができるが、それらには、限定はされない、開発中、あるいは将来世に出る高分子の抗悪性腫瘍剤であってもよい。
【0031】
現在使用されている抗悪性腫瘍剤の例として、代表的なものを挙げれば、イホスファミド、シクロホスファミド、ダカルバジン、テモゾロミド、メルファラン、ブスルファン、ニムスチンなどのアルキル化剤、エノシタビン、カペシタビン、カルモフール、ゲムシタビン、シタラビン、テガフール・ウラシル、テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム、フルオロウラシルメトトレキサートなどの代謝拮抗剤、イリノテカン、エトポシド、ソブゾキサン、ドセキタキセル、ノギテカン、パクリタキセル、ビノレルビン、ビンスルスチン、ビンデシン、ビンブラスチンなどの植物アルカロイド、アクチノマイシンD、アクラルビシン、イダルビシン、エピルビシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、ピラルビシン、ブレオマイシン、ペプロマイシン、マイトマイシンC,ミトキサントロンなど抗悪性腫瘍性抗生物質、オキサリブラスチン、カルボプラスチン、シスプラスチン、ネダプラスチンなどのプラチナ製剤、アナストロゾール、エキセメスタン、イチニルエラストラジオール、タモキシフェン、レトロゾールなどのホルモン剤、インターフェロンα、インターフェロンβ、インターフェロンγ、インターロイキン2、乾燥BCG、レンチナンなどの生物学的応答調節剤、イマチニブ、ゲフィチニブ、テミバロテン、トラスツズマブ、トレチノイン、ゲムツズマブオゾガマイシン、ポルテゾミブ、リツキシマブなどの分子標的薬、スマンクス、PEG化インターフェロンなどの高分子化製剤、ドキシルなどのリポソーム製剤やNK012(カンプトラシンの活性部(SN38)を含むPEG−poly(asp)ブロックコポリマーミセル)などのミセル化製剤、OPAXIO(カプリタキセル結合型ポリグルタミン酸)などの高分子制がん剤などを挙げることができる。
【0032】
これらの抗悪性腫瘍剤は、悪性腫瘍の種類、部位、患者の重症度、体力、年齢などによって適宜選択して使用されている。たとえば、肺がんには、シスプラチンや、カルボプラチンなどのプラチナ製剤に別の抗悪性腫瘍剤を加えた併用療法が、食道がんには、シスプラチンとオロウラシルの組み合わせなどが、胃がんには、シスプラスチン、イリノテカンが、大腸がんには、フルオロウラシル、イリノテカン、オキサプラチン、テガフール・ウラシルなどが、すい臓がんには、ゲムシタビンなどが、乳がんにはシクロホスファミド、メトレキダート、フルオロウラシル、ドキソルビシンなどからの組み合わせが、子宮頸がんには、シスプラスチンを基本とした組み合わせが、子宮体がんには、シスプラスチン、ドキソルビシン、シクロホスファミドなどからの組み合わせが使用されている。
【0033】
上記抗悪性腫瘍剤のいずれでも抗悪性腫瘍剤の腫瘍組織への送達増強効果を示すが、たとえば、抗悪性腫瘍剤として抗悪性腫瘍性抗生物質、分子量848.33であるアクラビシンなどの薬剤の場合である。
【0034】
アクラルビシンは、悪性腫瘍細胞のDNAに結合して、核酸合成、特にRNA合成を強く阻害すると言われており、乳がん、胃がん、肺がん、卵巣がんなどの処置・治療に有用な抗悪性腫瘍剤である。
【0035】
これらの抗悪性腫瘍剤の投与量は、悪性腫瘍の重症度、副作用の出現度、患者の体力、年齢などを考慮するが、通常、体表面積あたりの投与量が決まっている。たとえば、CPT−P療法の場合は、一日あたりイリノテカリン60mg/m(体表面積)、シスプラスチン60mg/mとなっており、CAP療法においては、シクロホスファミド500mg/m、ドキソルビシン30〜50mg/mとなっており、CP療法の場合は、シクロホスファミド800〜900mg/m、シスプラスチン60〜75mg/mとなっている。
【0036】
本発明の、「一酸化窒素(NO)ドナー」の投与量には、特に限定はない。悪性腫瘍の重症度、副作用の出現度、患者の体力、年齢などによって適宜変化しうる。ニトログリセリンを用いる場合は、商業上入手しうるニトログリセリン含有軟膏を、悪性腫瘍の発生部位に直接塗布する。この場合、乳がん、皮膚がん、結腸・直腸がん、子宮がん、膀胱がんなど表層性がんでは、こうした軟膏、クリームを直接塗布することにより、目的を達成することができる。食道がん、大腸がんなど直接塗布できない場合は、内視鏡などの器具を用いて直接患部に塗布するか、あるいは、スプレーによってこうした薬剤を投与することができる。ニトログリセリンは、低血圧の可能性のある患者に使用する場合は、その投与量については細心の注意が必要である。本発明の、一酸化窒素(NO)ドナーの使用する抗がん剤との使用比率は関係なく、一概に言えないが、たとえば、0.01〜1.0mg/cm腫瘍表面あたりで塗布することである。
【0037】
ニトログリセリン含有軟膏は、たとえば、バソレーター軟膏であり、これは、黄白色の軟膏であり、添加物として、乳糖水和物、加水ラノリン、白色ワセリンを含有し、1g中に20mgのニトログリセリンを有効成分として含有している。
【0038】
こうした軟膏を調製する場合は、通常の軟膏の製造方法で行うことができ、たとえば、ニトログリセリンを20g、局方白色ワセリン、ラノリンを適量加え、1000gとしてニトログリセリンを有効成分として含有する軟膏を調製することができる。
【0039】
また、軟膏以外の外用剤、液剤、ローション、ゲル、噴霧剤(スプレー)、パッチ剤、クリームなども、本技術分野で通常行われている方法で、容易に調製することができる。
【0040】
本発明の外用剤を投与する場合は、様々な適切な抗悪性腫瘍剤と同時に投与してもよいし、抗癌剤の投与の前、あるいは後に時間的間隔を少しずらして投与するいずれの形をとってもよい。
【0041】
更に、本発明による抗悪性腫瘍剤と一酸化窒素(NO)ドナーとの組み合わせは、必要に応じて、本発明による軟膏などの外用剤を、抗悪性腫瘍剤と薬剤パック、キット、患者パックの形で提供されてもよい。
【発明の効果】
【0042】
本発明は、ニトログリセリンなどの一酸化窒素(NO)ドナーを抗悪性腫瘍剤と併用することにより、各種抗悪性腫瘍薬剤特にミセル、リポソーム、高分子薬結合型、たん白結合型の抗がん剤の腫瘍局所への送達を増強させ、その腫瘍組織内への集積性増強をもたらす。こういった効果により、悪性腫瘍の処置・治療に極めて有益であり、かつ各種抗悪性腫瘍剤の投与量を軽減することができ、抗悪性腫瘍剤特有の副作用を著しく軽減することができる。従って、本発明の価値は高い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0043】
更に、特に、本発明は、抗悪性腫瘍効果のある高分子薬剤と併用することにより、より高い効果を有する。抗悪性腫瘍剤の局所への送達効果を増強することを見出したことは、GTNなどの一酸化窒素ドナーの表層性腫瘍に対するドラックデリバリーを高め、悪性腫瘍の治療効果を高めることは、極めて価値が高い。
【0044】
上記効果を証明するために、本発明者らが行った動物実験での結果を以下に示す。
【実施例】
【0045】
以下に、本発明の実施例および実験例を挙げて本発明を具体的に説明する。ただし、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
【0046】
実施例1:GTNのザルコーマ180(Sarcoma180)腫瘍への塗布群と非塗布群のエバンスブルー−アルブミンの腫瘍組織内集積性の差
6週齢の雄性ddYマウスの背部皮下に、2×10個のマウス肉腫Sarcoma180(S−180)腫瘍細胞を移植し、固型腫瘍を作成した。約2週間後に8〜15mmの腫瘍径になったマウスを選択し、腫瘍部を剃毛して2%GTN軟膏(バソレーター軟膏(登録商標)、三和化学、名古屋)を50mg(GTNとして塗布投与量1.0mg)ずつ腫瘍径と同じ径の穴をあけた湾曲したプラスチックにより腫瘍部のみに塗布した後、直ちに10mg/kgとなるようにエバンスブルー(EB)の生理食塩水溶液0.1mlを尾静脈内に注射した。EBを投与後、30分、1、4、6および24時間後にマウスを麻酔下で屠殺し、腫瘍部を切除し、その重量を測定した後EBの抽出を行った。EBの蓄積量は、試験管内で約4mlのホルムアミドを加え、60℃で48時間溶出抽出した後、620nmの吸光度により定量した。また、GTNの塗布投与量と腫瘍組織集積量の濃度相関を検討するため、2%GTN軟膏をGTN塗布投与量が0.1、0.01および0.001mgとなるように白色ワセリンで希釈したGTN軟膏を作製した。これらの軟膏を50mgずつ上述のように腫瘍部のみに塗布した後、10mg/kgEBで投与し、4時間後に屠殺し、EBの抽出を行い、比較を行った。血管透過性の増大効果は腫瘍組織におけるEB−アルブミン複合体の組織内蓄積量をGTNの塗布群と非塗布群とを比較することで評価した。図1は、GTNのエバンスブルーのS−180腫瘍組織における集積性増大効果を示す。図1に示すとおり、GTN塗布群は、非塗布群と比較して30分から6時間にわたり、薬剤EBは約2.8倍の腫瘍組織集積性が増大した(p<0.05)。その中で、EBを投与して4時間後に最も腫瘍組織内に蓄積していた。このため、今後の検討は、EBを投与して4時間目の腫瘍内組織集積量の比較を行った。
上記の結果を踏まえ、GTN塗布投与量とEBの腫瘍組織内集積量の濃度相関関係の検討を、EBを投与後、4時間目で行った。図2は、GTN濃度依存的な腫瘍組織集積性増大効果を示す。図2において、は、P<0.05、**は、P<0.01(非塗布群(コントロール群)に対するGTN塗布群)を示す。図2から明らかなごとく、GTNの濃度依存的にEBの腫瘍組織集積性の増大を示した。GTN塗布投与量が1.0μgでも約1.6倍と有意に腫瘍組織集積性の増大を示していた(p<0.05)。
【0047】
実施例2:GTNのMeth−A腫瘍への塗布群と非塗布群のエバンスブルー−アルブミンの腫瘍組織内集積性の差
6週齢の雌性BALB/cマウスの背部皮下に、2×10個のマウス線維肉腫Meth−A腫瘍細胞を移植し、固型腫瘍を作成した。移植後約10日目に5〜13mmの腫瘍径になったマウスを選択し、2%GTN軟膏を50mg(GTN塗布投与量局所当り1.0mg)および実施例1に準じて作製した白色ワセリンを用いて希釈したGTN軟膏を50mg(GTN塗布投与量局所当り0.001mg)ずつ腫瘍部のみに、実施例1に準じて塗布した後、EBを10mg/kgとなるように生理食塩水溶液0.1mlを尾静脈内に注射した。4時間後に屠殺し、評価は実施例1と同様にして行った。図3は、GTNのエバンスブルーのMeth−A腫瘍組織における集積性増大効果を示す。は、P<0.05、**は、P<0.01(非塗布群(コントロール群)に対するGTN塗布群)を示す。図3から明らかなごとく、GTN塗布投与量1.0および0.001mgのGTN軟膏塗布群は、非塗布群と比較して約2.0倍の腫瘍組織集積性の増大が認められた(p<0.05)。
【0048】
実施例3:GTNのColon38腫瘍への塗布群と非塗布群のエバンスブルー−アルブミンの腫瘍組織内集積性の差
6週齢の雄性C57/BL6マウスの背部皮下に、約50mgのマウス結腸がんColon38(C38)腫瘍片を、トローカー針を用いて移植し、固型腫瘍を作成した。移植後約12日目に6〜15mmの腫瘍径になったマウスを選択し、実施例1に準じてGTNを塗布し、EBを10mg/kg尾静脈より投与して、評価は実施例1に準じて行った。図4は、GTNのエバンスブルーのColon 38腫瘍組織における集積性増大効果を示す。図4において、は、P<0.05、**は、P<0.01(非塗布群(コントロール群)に対するGTN塗布群)を示す。図4から明らかなごとく、S−180およびMeth−Aと同様にGTN塗布群は、非塗布群と比較して約1.6倍の腫瘍組織集積性の増大が認められた(p<0.05)。
【0049】
実施例4:GTNの化学発がん剤7,12−ジメチルベンズアントラセン(DMBA)投与により生じたラット乳がんに対し、塗布群と非塗布群の高分子薬剤エバンスブルー−アルブミンの腫瘍組織内集積性の差
7週齢雌性SDラットにDMBAをコーン油に10mg/mlとしたものをゾンデにより強制経口投与を行い、約15週間で固型腫瘍を発生させた。6〜15mmの腫瘍径を持ったラットを選択し、2%GTN軟膏を100mg(GTN塗布投与量局所当り2.0mg)および実施例1に準じて作製した白色ワセリンを用いて希釈したGTN軟膏を100mg(GTN塗布投与量局所当り0.2および0.02mg)ずつ腫瘍部のみに実施例1に準じて塗布した後、EBを10mg/kgとなるように生理食塩水溶液0.5mlを尾静脈内に注射した。評価は実施例1に準じて行った。図5は、GTNのエバンスブルーのDMBA誘発ラット乳がん腫瘍組織における集積性増大効果を示す。は、P<0.05**は、P<0.01(非塗布群(コントロール群)に対するGTN塗布群)を示す。図5から明らかなごとく、S−180などの移植した腫瘍と同様に、GTN塗布投与量0.02、0.2および2.0mgのGTN軟膏塗布群は、非塗布群と比較して、約1.9、2.5および2.4倍の腫瘍組織集積性の増大が認められた(p<0.05)。
【0050】
実施例5:GTNと高分子薬剤のS−180腫瘍への併用効果
6週齢の雄性ddYマウスの背部皮下に、2×10個のS−180腫瘍細胞を移植し、7日間飼育後、5〜7mmの固型腫瘍が形成されたマウスを選び出し、実験に用いた。実験に用いた高分子薬はポリエチレングリコール(PEG)結合亜鉛型プロトポルフィリンIX(PEG−ZnPP)で、見かけ上分子量は13万付近であり、グリベックに耐性の慢性骨髄性白血病(CML)細胞と肥満細胞白血病(MCL)に強力な細胞増殖抑制作用を示す(Sahoo SK et al. Bioconj Chem 13, 1031-1038, 2002、 Fang J et al. Cancer Res 63, 3567-3574, 2003)。試験群として、(a)コントロール群(無治療)、(b)GTNコントロール群(GTN塗布のみ)、(c)1mg/kgPEG−ZnPP群(PEG−ZnPP投与)、(d)5mg/kgPEG−ZnPP群(PEG−ZnPP投与)、(e)1mg/kgPEG−ZnPPとGTN併用、および(f)5mg/kgPEG−ZnPPとGTN併用群の6群を設けた。2%GTN軟膏50mg(GTN濃度局所当り1mg)を実施例1に準じて腫瘍部のみに塗布した後、高分子薬剤であるPEG−ZnPPを尾静脈より3日間連日で投与した。腫瘍の大きさは、ノギスを用いて測定し、常法により腫瘍サイズが測定された。すなわち、腫瘍容積(V)は長径(L)×対巾(W)とすると、V=L×W2/2である。上述のごとく、対照群として、無治療群および非GTN塗布群による治療群を設けた。図6は、GTNの高分子薬剤PEG−ZnPPとのS−180腫瘍に対する併用効果を示し、上記に説明した6群の場合の、腫瘍接種後の腫瘍容積を示す。図6において、×は、(a)コントロール群(無治療)、○は、(b)GTNコントロール群(GTN塗布のみ)、■は、(c)1mg/kgPEG−ZnPP群(PEG−ZnPP投与)、△(黒で塗りつぶした三角)は、(d)5mg/kgPEG−ZnPP群(PEG−ZnPP投与)、□は、(e)1mg/kgPEG−ZnPPとGTN併用、△は、(f)5mg/kgPEG−ZnPPとGTN併用群をそれぞれ示す。↓は、PEG−ZnPP投与、▽(黒く塗りつぶした逆三角)はGTN塗布を示す。データは平均±SE(エラーバー)で表した。は、P<0.05、**は、P<0.01(コントロール群に対するPEG−ZnPPあるいはPEG−ZnPPとGTN併用投与群)を示す。図6から、PEG−ZnPPの単独投与で有意な抗腫瘍活性を発揮するが、GTNと併用投与することにより、更により強い抗腫瘍活性が発揮されていることが明らかである。
【0051】
実施例6:GTNと塩酸アクラルビシンのC38腫瘍への併用効果
6週齢の雄性C57BL/6マウスの背部皮下に、トローカー針を用い50mgのC38腫瘍片を移植し、7日間飼育後、5〜7mmの固型腫瘍が形成されたマウスを選び出し、実験に用いた。試験群として、(a)コントロール群(無治療)、(b)GTNコントロール群(GTN塗布のみ)、(c)5mg/kg塩酸アクラルビシン群(メルシャン(株)製の塩酸アクラルビシン投与)および(d)5mg/kg塩酸アクラルビシンとGTN併用群の4群を設けた。上記のごとく、対照として、無治療群および非GTN塗布群による治療群を設けた。2%GTN軟膏50mg(GTN塗布投与量局所当り1mg)を腫瘍部のみに塗布した後、生理食塩水に溶かした塩酸アクラルビシンを尾静脈より3日間連続で投与した。ノギスを用いて腫瘍の大きさを測定し、常法により腫瘍サイズを測定した。すなわち、腫瘍容積(V)は長径(L)×対巾(W)とすると、V=L×W2/2である。図7は、GTNの低分子薬剤塩酸アクラルビシンとのC38腫瘍に対する併用効果を示す。図7において、×は、(a)コントロール群(無治療)、○は、(b)GTNコントロール群(GTN塗布のみ)、■は、5mg/kg塩酸アクラルビシン治療群、□は、(d)5mg/kg塩酸アクラルビシンとGTN併用治療群を示す。↓は塩酸アクラルビシン投与、▽(黒く塗りつぶした逆三角)はGTN塗布を示す。データは平均±SE(エラーバー)で表した。**は、P<0.01(コントロール群に対するGTNと塩酸アクラルビシンの併用投与群)を示す。図7から、GTNと塩酸アクラルビシンの併用治療群は、塩酸アクラルビシン単独および無治療群と比較して有意な腫瘍増殖抑制を示すことが明らかである。
【0052】
上記の動物実験においては、抗悪性腫瘍剤との併用、特に高分子薬剤との併用によって腫瘍局所への送達を増強することが証明されている。従って、一酸化窒素ドナー、特にGTNを表層性腫瘍に対するドラックデリバリーを高め、治療に益することができる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】GTNのエバンスブルーのS−180腫瘍組織における集積性増大効果を示す図である。
【図2】GTN濃度依存的な腫瘍組織集積性増大効果を示す図である。
【図3】GTNのエバンスブルーのMeth−A腫瘍組織における集積性増大効果を示す図である。
【図4】GTNのエバンスブルーのColon 38腫瘍組織における集積性増大効果を示す図である。
【図5】GTNのエバンスブルーのDMBA誘発ラット乳がん腫瘍組織における集積性増大効果を示す図である。
【図6】GTNの高分子薬剤PEG−ZnPPとのS−180腫瘍に対する併用効果を示す図である。
【図7】GTNの低分子薬剤塩酸アクラルビシンとのC38腫瘍に対する併用効果を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一酸化窒素(NO)ドナーを有効成分として含有する抗悪性腫瘍剤の腫瘍組織への局所送達増強剤。
【請求項2】
腫瘍組織への薬剤の集積性を増強することによる請求項1に記載の抗悪性腫瘍剤の腫瘍組織への局所送達増強剤。
【請求項3】
一酸化窒素(NO)ドナーが、ニトログリセリン、グリセリルモノニトレート、グリセリルジニトレート、一硝酸イソソルビドおよび二硝酸イソソルビドから成る群より選択される請求項1〜2項に記載の抗悪性腫瘍剤の腫瘍組織への局所送達増強剤。
【請求項4】
一酸化窒素(NO)ドナーがニトログリセリンである請求項1〜2項に記載の抗悪性腫瘍剤の腫瘍組織への局所送達増強剤。
【請求項5】
一酸化窒素(NO)ドナーを有効成分として含有する薬剤が、外用剤である請求項1〜2に記載の抗悪性腫瘍剤の腫瘍組織への局所送達増強剤。
【請求項6】
外用剤が、軟膏剤、ゲル軟膏、クリーム、液剤、貼付剤、座剤、スプレー、鼻腔内外用剤である請求項5に記載の抗悪性腫瘍剤の腫瘍組織への局所送達増強剤。
【請求項7】
外用剤が、軟膏剤である請求項5に記載の抗悪性腫瘍剤の腫瘍組織への局所送達増強剤。
【請求項8】
外用剤が、スプレーである請求項5に記載の抗悪性腫瘍剤の腫瘍組織への局所送達増強剤。
【請求項9】
悪性腫瘍が、表層性腫瘍である請求項1〜9項に記載の抗悪性腫瘍剤の腫瘍組織への局所送達増強剤。
【請求項10】
表層性腫瘍が、乳がん、食道がん、胃がん、大腸がん、泌尿器がん、気管支肺がん、気道がん、生殖器がん、皮膚がん、頭頸がん、眼のがん、および腹・胸壁がんから成る群より選択される表層性腫瘍である請求項9項に記載の抗悪性腫瘍剤の腫瘍組織への局所送達増強剤。
【請求項11】
抗悪性腫瘍剤がアクラルビシンである請求項1〜10に記載の抗悪性腫瘍剤の腫瘍組織への局所送達増強剤。
【請求項12】
抗悪性腫瘍剤が高分子薬剤である請求項1〜11に記載の抗悪性腫瘍剤の腫瘍組織への局所送達増強剤。
【請求項13】
高分子薬剤が、PEG−ZnPP、PEG化インターフェロン、ミセル化製剤、リポソーム製剤またはその他高分子化抗悪性腫瘍剤である請求項12に記載の抗悪性腫瘍剤の腫瘍組織への局所送達増強剤。
【請求項14】
抗悪性腫瘍剤と請求項1〜13に記載の抗悪性腫瘍剤の腫瘍組織への局所送達増強剤を含んでなる薬剤キット、薬剤パックまたは患者パック。
【請求項15】
抗悪性腫瘍剤の腫瘍組織への局所送達増強剤が、軟膏剤である請求項14に記載の薬剤キット、薬剤パックまたは患者パック。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−24170(P2010−24170A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−186139(P2008−186139)
【出願日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【出願人】(000201320)
【Fターム(参考)】