説明

抗炎症シクロオキシゲナーゼ−2選択的インヒビター

シクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)酵素を強力にかつ選択的に阻害する新規抗炎症医薬組成物が開示される。製剤は、ウイリアム・ハーベイの全血アッセイ(WHMA)で試験して決定されるIC50 COX−2/IC50 COX−1濃度によって定義されるCOX−2選択性を発揮し、その範囲は約0.011〜約0.333であるホップ抽出物を含む。そのような組成物は、場合により高レベルのα酸及び低レベルのβ酸、多少のフラボノイド又はポリフェノール化合物を含んでいてもよく、ほとんど又は全くエッセンシャルオイルを含有しない。そのような組成物は、炎症性疼痛として表され、又はCOX−2酵素によって悪影響を受ける病気の治療に有用である。前記組成物は、変形性関節症及び関節リウマチの治療に特に有益であり、少ない胃の副作用で慢性疼痛に用いることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗炎症組成物及び温血動物の炎症を軽減させる方法に関する。より詳細には、本発明は、炎症を軽減させるための特定の組成物特性を有するホップ抽出物に関する。
【背景技術】
【0002】
炎症性疼痛のメカニズムに関する研究は、炎症に関連する生化学経路の発見をもたらした。そのような慢性炎症性疼痛の1例は、変形性関節症である。この経路の解明は、痛みと炎症を伴う、シクロオキシゲナーゼ酵素によって産生される炎症性サイトカインであるプロスタグランジンの関連を導いた。第1世代の抗炎症鎮痛剤は非ステロイド系抗炎症薬又はNSAIDとして分類された。アスピリン、イブプロフェン、ナプロキセン、及びインドメタシンのような一般のNSAIDは、シクロオキシゲナーゼ酵素を阻害し、それによりプロスタグランジンE−2の産生を低下させることによって炎症を軽減させる。多くの新規NSAIDが過去30年にわたって開発されておいr、その多くは処方薬のみで利用可能である。
【0003】
現在COX−2と呼ばれるシクロオキシゲナーゼ酵素の第2形態の出現まで、作用メカニズム及びその効果に関し、種々のNSAIDのあいだで典型的には区別されていなかった。典型的には、疼痛寛解の規模、又はCOX酵素の阻害効能のみが重要であると考えられていた。しかしながら、慢性炎症性疼痛を患う患者のNSAIDの使用による副作用が出現した。主な副作用は胃腸毒性であり、それは胃粘膜びらん又は胃の保護粘膜層のびらんの形態で現れる。90年代前半まで、変形性関節症及び関節リウマチの発生率が増加したため、この副作用は顕著になり、米国だけで1年に16,500人を越える死者をもたらした。Wolf,Mら、非ステロイド系抗炎症薬の胃腸毒性、The New England Journal of Medicine、Vol.340、No.24、1888−1899(1999)によるこれに関する総説記事は、本明細書にその全体が援用される。この記事によれば、1年で、NSAIDを摂取している関節リウマチ患者1,000人あたり13人が重大な胃腸合併症を有する。国立健康統計センター、並びに関節炎、リウマチ及び加齢の医薬情報システムのデータによれば、関節リウマチ又は変形性関節症を患う患者のNSAID毒性による年間死亡者数(1997)はアメリカにおける死亡原因の第15位である。この数字はAIDSによる死亡率(16,685人)と類似しており、白血病による死亡(20,197人)よりわずかに少ないのみであるが、多発性骨髄腫、喘息、子宮頚癌、又はホジキン病による死亡者数よりも顕著に多い。
【0004】
多くのNSAIDが、よりCOX−1型酵素に選択的であるが、それらはCOX−2型をもさまざまな程度で阻害する。インドメタシンのようなある種のNSAIDは、COX−1及びCOX−2をある程度減少させる。驚くべきことに、NSAIDはCOX−2を誘導し、又はアップレギュレーションすることもできる。
【0005】
NSAIDが胃粘膜びらんを引き起こし、急速にCOX−2を誘導する可能性は、ラットの胃でCOX−2がアスピリン又はインドメタシンの投与後1時間以内に誘導された動物実験の観察データから具体的に示すことができる。NSAIDの短期投与も長期投与も、内視鏡検査で証明されるように、胃粘膜びらんを生ずる。長期研究は、少なくとも3カ月のNSAID摂取として定義されるが、通常は3〜6カ月にわたって行われる。
【0006】
90年代後半に出現した新規クラスの処方薬は、COX−2インヒビターと呼ばれる。このクラスで最初に米国FDAによって認可された2つの化合物はセレコキシブ及びロフェコキシブである。これら薬物はCOX−2を阻害し、COX−1に対してはほとんど又は全く作用せず、他のNSAIDと同等の疼痛寛解を生ずるほど十分強力である。これらの化合物はNSAID鎮痛剤よりも有効ではないが、典型的には胃腸毒性が軽減される。しかしながら、この分野における改善は依然として必要である。
【0007】
COX−2インヒビターの市場への出現により、組成物及び方法の改善に関する継続した研究開発が存在する。これにしたがい、良好な選択的COX−2阻害を発揮するが、心血管又は胃腸の副作用は最低限である化合物の発見が所望される。
【発明の開示】
【0008】
発明の概要
最低限の心血管又は胃腸の副作用で良好な選択的COX−2阻害を発揮する化合物を開発して製造することは有益であると認識されている。そのようなものとして、抗炎症組成物は医薬的有効量のα酸及び0.5重量%〜10重量%のβ酸を含んだホップ抽出物を含むことができる。他の態様では、抗炎症組成物はWHMA IC50COX−2/IC50 COX−1比が約0.011〜約0.333であるホップ抽出物を含むことができる。これらの態様はエッセンシャルオイルを1重量%未満の量で含めることができる。
【0009】
更に、温血動物の炎症を軽減させ、胃粘膜びらんを最小限に抑える種々の方法が提供される。そのような方法の1つは、医薬的に有効量のα酸及び0.5重量%〜10重量%のβ酸を含むホップ抽出物を製剤化する工程;及びホップ抽出物を温血動物に投与する工程を含むことができる。他の方法は、WHMA IC50COX−2対COX−1比が約0.011〜約0.333であるホップ抽出物を製剤化する工程;及びホップ抽出物を温血動物に投与する工程を含むことができる。
【0010】
本発明の更なる特徴及び利点は、実施例により本発明の特徴を具体的に説明する以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
好ましい態様の詳細な説明
本発明の具体的態様を開示して説明する前に、本発明は、ある程度改変可能であるため、本明細書に開示される具体的方法及び材料に限定されるものではないと理解されるべきである。 本発明の範囲は添付の特許請求の範囲及びその等価物によって定義されるため、本明細書で用いる用語は具体的態様を記載するためにのみ用いられ、限定されることを意図するものではないと理解されるべきである。
【0012】
本発明について記載し、権利を主張する上で、以下の用語が使用される。
単数形「1つの」及び「その」には、内容がその他を明確に指示するものでない場合は、複数形の参照も含めるものとする。したがって、例えば「1つの色素」という参照には、1以上のそのような物質への参照が含まれるものとする。
【0013】
本明細書において、「IC50」又は「IC80」という用語は、ウイリアム・ハーベイの改変ヒト全血/細胞アッセイ(WHMA)で記載される、COX−1又はCOX−2の50%又は80%阻害を生ずる化合物又は製剤の濃度をそれぞれ意味するものとする。より詳細には、シクロオキシゲナーゼ−2インヒビターの効能を定量化する用語は、プロスタグランジンE−2を50%軽減させる阻害濃度(IC)、IC50である。もう1つの指標は80%軽減させる阻害濃度である。これはIC80である。本発明の目的のために、IC80という用語は、主要な炎症性サイトカイン又はプロスタグランジン(PGE−2)を80%軽減させる化合物の濃度を意味する。あるいは、COX−2酵素を80%阻害可能な化合物の濃度をIC80と表す。同様に、IC50という用語は、PGE−2を50%軽減させるか又はCOX−2酵素の活性を50%軽減させる化合物の濃度を意味する。
【0014】
本明細書において、COXインヒビターの濃度はマイクログラム/ミリリットル(μg/mlと略す)又はマイクロモル(μMと略す)で表すものとする。
本明細書において、COX比はIC50 COX−2/IC50 COX−1、又はIC80 COX−2/IC80 COX−1として計算されるが、COX−2は常にCOX−1で割られる。
【0015】
「剤形」という用語又は「投与」工程には、経口剤形、坐薬剤形、非経口剤形、舌下剤形、経皮又は経粘膜剤形等を含めた形態での投与を含めるものとする。
本明細書において、「経口剤形」という用語は、経口投与するために設計された医薬製剤を意味するものとし、1種以上のさまざまな医薬担体及び賦形剤を含むことができる。経口剤形は、例えば錠剤、カプセル、又は口腔投与の形態であり得る。経口剤形はヒト又は動物の口腔又は胃腸管で吸収されるであろう。
【0016】
「徐放性」という用語には、活性成分の放出を長期間にわたって設定することができ、又は血流中で化合物がより長い滞留時間を提供するよう設計され、それによって疼痛寛解が長くなる経口剤形のような剤形が含まれる。そのような徐放性組成物は、種々のポリマー、繊維、樹脂、ワックス、オイル、又は医科学分野の当業者に用いられる他の医薬賦形剤を含んで、胃腸管、血流等からの活性成分のより長い放出を生ずることができる。
【0017】
これらの定義を考慮して、本発明は、シクロオキシゲナーゼ酵素のCOX−1アイソフォームに対する効果は最小で、COX−2アイソフォームの選択的阻害を発揮する組成物を提供するものである。定義のため、最小効果とは、少なくとも1%のCOX−1阻害活性を意味するものとする。例えば、COX−1の1%より高い阻害は、IC50 COX−2/IC50 COX−1比が約1:90又は約0.011に対応するであろう。換言すれば、COX−2阻害量よりもCOX−1を50%阻害する化合物のほうが90倍高いであろう。これによれば、1つの態様では、抗炎症組成物は、WHMA IC50 COX−2/IC50 COX−1比が約0.011〜約0.333であるホップ抽出物を含むことができる。他の関連する態様では、本発明の態様による抗炎症組成物は、医薬的に有効量のα酸及び0.5重量%〜10重量%のβ酸を含むホップ抽出物を含むことができる。これらの態様はエッセンシャルオイルを1重量%未満の量で含めることができる。
【0018】
更に、温血動物の炎症を軽減させ、胃粘膜びらんを最小限に抑える種々の方法が提供される。そのような方法の1つは、医薬的に有効量のα酸及び0.5重量%〜10重量%のβ酸を含むホップ抽出物を製剤化する工程;及びホップ抽出物を温血動物に投与する工程を含むことができる。他の方法は、WHMA IC50 COX−2対COX−1比が約0.011〜約0.333であるホップ抽出物を製剤化する工程;及びホップ抽出物を温血動物に投与する工程を含むことができる。
【0019】
本発明の更なる側面は、投与の際、胃腸及び心血管の副作用が少ない製剤を製造することを含むことができる。更に、追加の態様では、COX−2酵素によって悪影響を受ける疾患、特に炎症、又はCOX−2のアップレギュレーション若しくは誘導を表す疾患の治療を含む。そのような疾患の例としては、限定されるものではないが、変形性関節症、関節リウマチ、月経困難症、及び乾癬が挙げられる。より一般的には、本明細書に記載の組成物は、あらゆるタイプの炎症又は炎症に関連する痛みの治療に用いることができる。
【0020】
ホップ中のα酸を主に含み、ほとんど又は全くβ酸及びエッセンシャルオイルを含まない組成物も記載される。更に、イソ−フムロン、イソ−コフムロン、イソ−アドフムロン、トランス−イソ−フムロン、シス−イソ−フムロン、トランス−イソ−コフムロン、シス−イソ−コフムロン、シス−イソ−アドフムロン、トランス−イソ−アドフムロン、ジヒドロ−イソ−フムロン及びそれらの組み合わせのような種々のイソ−α酸を含有する組成物も含まれる。
【0021】
そのような化合物は、幅広い治療利益をもたらし、広範なCOX−2/COX−1比に調節可能であり、少ない副作用で有効な疼痛寛解を提供するであろう。そのような化合物は、顕著な胃粘膜びらんを伴わずに心血管のために最小限のCOX−1阻害を提供し、一方で痛みに対して顕著なCOX−2阻害を提供することもできる。
【0022】
COX−2又はシクロオキシゲナーゼ−2インヒビターは、アスピリンのようなNSAID薬に関連する胃粘膜びらんを生ずることなくシクロオキシゲナーゼを阻害し、プロスタグランジンを減少させる。COX−2インヒビターは、酵素のCOX−2型をCOX−1型よりも選択的に阻害する。良好なCOX−2インヒビターとして分類されるには、化合物はCOX−2をCOX−1の少なくとも3〜5倍阻害する必要がある。良好なCOX−2インヒビターは、COX−2を阻害することによって80〜90%痛みを軽減し、ほとんど又は全くCOX−1型酵素に作用しない血中濃度レベルを提供可能であろう。
【0023】
COX−2インヒビターのin vitro試験又はスクリーニングは、プロスタグランジンE−2、炎症性サイトカインプロスタグランジンのヒト全血における阻害を測定することにより、実施することができる。これにより、IC50値、即ちCOX−2を50%阻害するのに必要とされる化合物の量若しくは濃度、又はIC80値、プロスタグランジンE−2を80%軽減させるのに必要とされる化合物の濃度の計算値を生ずる。この試験モデルは、LPS又は他のCOX−2酵素誘導物質で刺激すると、COX−2酵素関連経路によるプロスタグランジンE2(PGE2)の産生を測定する。COX−1活性は、トロンボキサン(TxB)産生を測定することによって測定することができる。そのようなアッセイは、現在、COX−2/COX−1選択性及び効能のより完全なin−vitro図式を表すと考えられている。
【0024】
より詳細には、COX−2/COX−1阻害活性を測定するために、ウイリアム・ハーベイの改変ヒト全血/細胞アッセイ(WHMA)を用いることができる。これは、T.D.Warnerら、非ステロイド系薬物のシクロオキシゲナーゼ−2よりもシクロオキシゲナーゼ−1への選択性はヒト胃腸毒性に関連する:完全なin vitro解析、Proc.Natl.Sci.USA 96:7563−68(1999)に記載されており、本明細書にその全体が援用される。このアッセイの結果はIC50及び/又はIC80 WHMA COX−2/COX−1比の計算に用いることができる。これは、単にCOX−2 IC50(又はIC80)濃度をCOX−1 IC50(又はIC80)濃度で割った数値比である。加えて、それによりCOX−2を減少させ又は阻害する化合物の効能を決定することができる。 これは、酵素の2つのアイソフォームの阻害を、さまざまなインヒビター濃度で、非常に低濃度から開始し、少なくとも80%阻害が生ずるまでlog様式で増加させて測定することにより行なわれる。これは、濃度対阻害曲線、又は用量反応曲線のlogグラフを生ずる。
【0025】
科学者の国際グループがCOX−2スクリーニングアッセイに関する一致した意見の総説を出版した:Brooksら;シクロオキシゲナーゼ−1とシクロオキシゲナーゼ−2の差別的阻害の臨床的意義に関する解釈、Rheumatology 1999;38:779−788。この一致した意見に関する論文において、委員会は、Patrignaniら(J Pharmacol Exp Ther 1994;271:1705−12)によって開発されたヒト全血アッセイは、COX−1とCOX−2の阻害を評価し、新規COXインヒビターの価値を見極めるために利用可能な最良のアッセイであると主張している。より最近では、元の全血アッセイの延長としてウイリアム・ハーベイの改変ヒト全血アッセイが開発され、この方法を用いて大部分のNSAID薬が新規COX−2インヒビターとともにスクリーニングされた。このアッセイの結果はIC50 WHMA COX−2/COX−1比を計算するために使用される。これは、WHMAを用いて得られるCOX−2 IC50をCOX−1 IC50で割った単なる数値比である。
【0026】
ヒト全血(8濃度、n=4)は静脈穿刺によってヘパリン中に回収することができる。COX−1を測定するには:刺激物質(A23187)を30分間添加して、試験化合物のインキュベーションを1時間行なうことができる。COX−2を測定するには:刺激物質(A23187)を30分間添加して、ヒト全血中で、A549細胞における試験化合物のインキュベーションを1時間行なうことができる。この後、COX−1活性の指標としてRIAでTxBを測定することができ、COX−2活性の指標としてRIAでPGEを測定することができる。結果は%対照として表すことができ、COX−2/COX−1比が計算される。
【0027】
NSAIDによるGI副作用の相対発生率に関連する問題に戻ると、そのような副作用はこれら抗炎症剤の相対的COX−2特異性に関連し得る。COX−1に対してCOX−2への特異性が高いほど、胃腸障害の発生率は低い。したがって、COX−2特異性が増加したシクロオキシゲナーゼ阻害剤は、胃腸損傷又は副作用の発生率がより低い改善された抗炎症組成物を提供するかもしれない。NSAIDによって起こり得る胃損傷はCOX−1への作用に関連しないことが明らかになりつつある。COX−1とCOX−2の2重抑制は障害を引き起こし得る(Wallace,JLら、ラットにおけるNSAID誘導胃損傷:シクロオキシゲナーゼ−1及びシクロオキシゲナーゼ−2を阻害するための要件、Gastroenterology、2000;119:706−14)。更に、プロスタグランジン合成を大きく減少させたCOX−1の選択的阻害は、同じ研究で胃損傷を生じなかった。一方、COX−2の選択的阻害は、胃プロスタグランジン合成に何ら作用をしめさず、胃損傷を生じなかった。興味深いことに、COX−1とCOX−2がともに阻害された場合、胃損傷が常に観察された。本研究及び他の研究は、COX−1、COX−2、及び胃粘膜びらんの間の相関関係の明確な図式を提供している。現在、COX−1とCOX−2の組み合わせ阻害は副作用に寄与するが、COX−1又はCOX−2単独のより高度な選択的阻害は原因にならないことは明らかである。
【0028】
しかしながら、COX−1に対しCOX−2への過度の選択性は、他の理由から望ましくないと認識されている。ある種の副作用は、COX−2に非常に選択的なCOXインヒビターから生じ得る。例えば、主要なCOX−1非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)であるアスピリンの心血管への利益は、その抗血小板凝集薬としての活性によるものであると考えられている。COX−2阻害は抗血小板凝集を生じない。セレコキシブ又はロフェコキシブのような最近の医薬COX−2インヒビターは、高度に特異的なCOX−2インヒビターであり、痛みを軽減させ、COX−2活性を阻害するために用いられる用量で、COX−1阻害活性を有するとは予想されないであろう。したがって、ある種のCOX−2特異的インヒビターの使用で注目されている心臓関連副作用は、COX−2を顕著に阻害する一方で、COX−1阻害の欠如に関連しているかもしれない。
【0029】
更に、高度に特異的なCOX−2インヒビターに関連する更なる問題は、他の非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)との併用投与によって生ずる胃粘膜びらんの増加であると認識されている。例えば、患者が高度に特異的なCOX−2インヒビターを摂取しており、心血管のためにアスピリンも摂取している場合、アスピリンは胃粘膜に更にひどい障害を引き起こすであろう。特定の理論に拘束されるものではないが、この理由は、プロスタグランジンE−2(PGE2)のようなシクロオキシゲナーゼインヒビターによって阻害されるプロスタグランジンは、胃粘膜を保護し、実際に潰瘍の治癒に寄与しているためであり得る。低用量アスピリンは胃に小さなびらんを引き起こし、こうした潰瘍形成部位でCOX−2酵素はアップレギュレーションされる。COX−2が選択的COX−2インヒビターによってブロックされる場合、有益なプロスタグランジンによって提供される保護は、排除され得る。したがって、選択的COX−2インヒビターとアスピリンとの併用投与は禁忌である。この現象は、COX−1とCOX−2の2重阻害に関連した問題の表われである。したがって、胃粘膜びらんは、COX−1とCOX−2を顕著に阻害する単一化合物によって、又はOX−2選択的化合物をCOX−1もかなり阻害する非選択的COXインヒビターと組み合わせることによって、更に悪化し得る。
【0030】
ロフェコキシブ及びセレコキシブのように高度に選択的な単一物であるCOX−2インヒビターは、変形性関節症及び他の疾病に関連した痛みの治療に重要な新規薬物である一方、重篤な潜在的副作用を有する。これらの副作用を2つの主要なグループに分けることができる;1)心血管、及び2)アスピリン、又は他のNSAIDとともに摂取したときの胃粘膜びらんの悪化。これらの副作用はともに、バランスを失ったCOX酵素の全阻害、したがって事実上完全なプロスタグランジン産生の阻害に関連しているかもしれない。プロスタグランジンは体内において肯定的機能も否定的機能も有しているため、それらの全阻害は両刃の剣となる。更に、心血管のためのアスピリンと、痛みのための選択的COX−2インヒビターをともに摂取している患者集団に有意な重複がある。これらの患者の多くは第1に高齢者集団を構成する。NSAID又は選択的COX−2インヒビターの否定的副作用を伴わない抗炎症疼痛寛解に関する顕著な必要性がある。そのような組成物は疼痛寛解を提供し、一方で血小板凝集も阻害し、胃保護機構又は細胞保護機構を通して胃粘膜を保護するであろう。これら第2世代のCOX−2インヒビターは、COX−1に対してCOX−2を阻害するのに十分に選択的であるが、上記の更なる副作用を生ずる程には選択的でないであろう。これらの化合物は他の有益な特性の存在のおかげで、保護活性を発揮し得る。
【0031】
こうした認識にしたがい、全体的な危険への報酬利益に対する鍵は、所定のCOX−2阻害とともに、ちょうどよい量のCOX−1阻害を有することであると本発明の態様にしたがい決定されている。そのようなIC50 COX−2/IC50 COX−1は約1:90〜約1:3、又は数値では約0.011〜約0.333であり得る。他の態様では、IC50 COX−2/IC50 COX−1は約1:50〜約1:20、又は数値では約0.02〜約0.05であり得る。他の態様では、IC50 COX−2/IC50 COX−1の比は少なくとも1:20、又は数値では少なくとも0.05であり得る。更に、1つの特定の態様では、WHMAプロトコールを用いて試験される化合物は、COX−2に対するIC50が1μg/ml、COX−1に対するIC50が20μg/mlであり、IC50 COX−2/IC50 COX−1比は約1:20又は0.05となるであろう。
【0032】
新規抗炎症化合物の探索において、多くの潜在的候補が植物界に由来する。これら植物は通常抽出され、COX阻害に関して種々の細胞株及び方法を用いてin vitro試験される。通常、これらの方法には、COX−2及びCOX−1の阻害に関し、COX−2阻害に対するプロスタグランジンE−2の阻害及びCOX−1阻害に対するTxBの阻害を測定することによって、化合物をスクリーニングすることが含まれる。したがって、本明細書で計算したように、COX−2/COX−1比を計算することによって選択性を決定することができる。COX−1/COX−2比によって比を計算することもでき、異なる数が得られても、相対値を用いて比を有効に特定するであろう。
【0033】
そのような候補の1つは、ホップL.、即ちホップとして一般に知られている植物の特別な抽出物である。ホップはホップ植物のコーンフラワー(cone flower)に由来し、何百年ものあいだビールの製造に使用されている。ホップ自体は代謝活性及び内分泌活性を発揮することができる。ホップから単離することができるものには少なくとも6種類のフラボノイド又はポリフェノール化合物があり、本発明の態様にしたがい存在することができる。これらフラボノイドのいくつかは、抗増殖作用、エストロゲン作用、及び細胞毒性を有する。ホップ中の植物エストロゲンは、ヒト乳癌細胞の増殖を阻害することも示されている。したがって、ホップから単離されたユニークなフラボノイド化合物(プレニル化フラバノイド)は、発がん物質の代謝に影響を及ぼすことによってがん化学予防剤としての可能性を有し得る。ホップに含有されるフラボンには、キサントフモール、イソキサントフモール、デスメチルキサントフモール、8−プレニルナリンゲニン、6−プレニルナリンゲニン、及び種々の他のフラボノイドが含まれる。ホップは抗菌性及び抗真菌性を発揮することもできる。
【0034】
ホップの主要成分には、α酸及びβ酸が含まれる。α酸はフムロン、コフムロン、アドフムロン、ジヒドロフムロン、及びジヒドロアドフムロンとして同定されている。これらのα酸はジヒドロ−α酸として及び種々の異性体としても存在する。イソ−α酸はイソ−フムロン、イソ−コフムロン、イソ−アドフムロン、トランス−イソ−フムロン、シス−イソ−フムロン、トランス−イソ−コフムロン、シス−イソ−コフムロン、シス−イソ−アドフムロン、トランス−イソ−アドフムロン、ジヒドロ−イソ−フムロン、及びジヒドロ−イソ−アドフムロンである。β酸はルプロン、コルプロン、アドルプロン、プレルプロン、及びポストルプロンである。β酸の異性体はない。ホップは、ミルセン、カリオフィレン、フムレン、ウンデカン−2−オン、及び2−メチル−ブト−3−エン−オールのような種々のエッセンシャルオイルも含有する。これらのオイルは主としてテルペン及びセスキテルペンとして分類することができる。少なくとも50%のエッセンシャルオイルはテルペン、ミルセンを含む。
【0035】
ホップから単離されたα酸の1種であるフムロンの局所適用により、マウスのアラキドン酸誘発耳浮腫が阻害され(Yasukawa,Kら、Oncology 1995、Mar;52(2):156−158)、化学投与を伴った開始後、皮膚の腫瘍形成も阻害された。純粋なフムロンはシクロオキシゲナーゼ−2の誘導を遺伝子転写のレベルで抑制することも示されている(Yamamoto Kら、FEBS Lett 2000 Jan 14、465(2−3:103−106)。この同じ研究で、フムロンは骨芽細胞(骨)MC3T3−E1細胞においてCOX−2の触媒活性をIC50 1.6μMで阻害した。更にフムロンは、同一細胞株でTNF−α依存性のシクロオキシゲナーゼ−2の誘導を抑制した。フムロンによるCOX−2酵素の直接阻害は、遺伝子転写の阻害又はCOX−2の発現抑制に要する濃度よりも高濃度を必要とした。フムロンは、COX−2酵素触媒活性の直接阻害によるよりも、遺伝子転写を抑制することによって、COX−2の転写又は活性化を妨げる際に低濃度でより有効であると思われる。COX−2転写の抑制に対するIC50は30nM(10−9)であり、一方、触媒活性の直接阻害に対するIC50は1.6μM(10−6)であった。即ち、2桁低かった。純粋なフムロンのみが本研究に使用される。
【0036】
ホップコーンフラワーの特別な抽出は、好ましくは超臨界2酸化炭素で調製することができる。超臨界CO抽出は、非常に高率のα酸、非常に低率のβ酸を含有し、実質的にエッセンシャルオイルがないホップ抽出物をもたらすことができる。しかしながら、本発明は、抽出技術に限定されるものではない。本発明において好ましいα酸の量は75重量%〜99.5重量%であり得る。α酸はフムロン、コフムロン、アドフムロン、ジヒドロフムロン、又はテトラ−ヒドロフムロンのようなテトラ−ヒドロ−α酸であり得る。β酸は0.5重量%〜10重量%であり得、他の態様では約3重量%〜5重量%であり得る。場合により、組成物は実質的にミルセン又は他のテルペン若しくはセスキテルペンのようなエッセンシャルオイルがなくてもよい。実質的にないとは、微量又は些少を除いてエッセンシャルオイルが存在しないことを意味する。他の態様では、エッセンシャルオイルは1重量%未満の量で存在することができる。更に、組成物はイソ−α酸をさまざまな範囲で含有してもよい。通常、イソ−α酸のレベルは10重量%以下、例えば0.5重量%〜10重量%であろう。イソ−α酸は、イソ−フムロン、イソ−コフムロン、イソ−アドフムロン、ジ−ヒドロ−イソ−フムロン、ジ−ヒドロ−イソ−アドフムロン、又はそれらの組み合わせであり得る。イソ-α酸は、COX−1成分を増やして、COX−2/COX−1比をCOX−2に対する選択性がより低くなるように変化させることによって製剤中でCOX−2に対する選択性を調節するのに有用であり得る。これらタイプの処方の理由は、トロンボキサンを介したCOX−1阻害からの抗血小板凝集活性を提供する心血管問題を扱うことである。この態様では、イソ−α酸でないα酸は約80重量%より多い量で存在することができる。
【0037】
先に述べたように、COX−2対COX−1のIC50比又はIC50 COX−2/IC50 COX−1は、約0.011〜約0.333、又は約1:90〜約1:3であり得る。α酸の割合は、60重量%〜99.5重量%であり得るが、IC50 COX−2/IC50 COX−1比が0.011〜0.333の特定の範囲内にある場合はこの範囲に限定されない。他の態様では、0.13〜0.05の範囲であり得、更に詳細には、0.02〜0.05であり得る。上記のように、イソ−α酸は0.5重量%〜10重量%であり得る。これとは無関係に、β酸は0.5重量%〜10重量%であり得る。更に、キサントフモール、イソキサントフモール、8−プレニルナリンゲニン、6−プレニルナリンゲニンのような種々のポリフェノール又はフラボノイドは、さまざまな量で存在し得る。
【0038】
WHMA比に関連した態様では、本発明による組成物は、α酸及びβ酸の量又は処理方法若しくは抽出方法に限定されない。例えば、WHMA IC50 COX−2対IC50 COX−1比が0.013(1:75)であるホップ抽出物は、処理方法又はα酸、β酸、若しくはエッセンシャルオイルの量にかかわらず本発明の一部である。1つの態様では、上述したように、IC50 COX−2/COX−1比が約1:20、数値では0.05のホップ粉末を作製することができ、慢性の変形性関節症又は関節リウマチからの良好な疼痛寛解を提供する。そのような組成物は月経困難症又は生理痛、乾癬、及びCOX−2によって悪影響を受ける他の疾患の治療にも有用であり得る。
【0039】
実施例
以下の実施例は、現在最もよく知られている本発明の態様を具体的に説明する。しかしながら、以下は単に本発明の原理の適用例又は実例であると理解されるべきである。多くの改変、並びに代替の組成物、方法及びシステムが本発明の精神及び範囲を逸脱することなく当業者によって工夫されることができる。添付の特許請求の範囲は、そのような改変及びアレンジをカバーすることを意図するものである。したがって、本発明は具体的に上述されているが、以下の実施例は、現在何が本発明の最も実践的で好ましい態様であるかに関連して更なる詳細を提供するものである。
【実施例1】
【0040】
ホップのCOX−2阻害活性
ホップの超臨界2酸化炭素抽出により、91重量%のα酸が生じた。その中で、主要なα酸はフムロンであることがHPLCによって証明された。この抽出物中のβ酸の量は3.2重量%であることが証明され、イソ-α酸の量は約3重量%であった。この抽出物には、典型的なホップの粉末又は抽出物中に通常見られるエッセンシャルオイルが実質的になかった。
【0041】
HPLCによるホップ抽出物成分:
α酸 88重量%
β酸 3.2重量%
イソ−α酸 3重量%
全α酸 91重量%(α及びイソ−α)
この抽出物をDMSOに溶解し、上記プロトコールにしたがい試験した。試験物質のCOX−1及びCOX−2活性に対する効果を表1〜3に詳述した。表1〜3の結果は%対照として表し、平均±s.e.m.(n=4)として示した。これからIC50値を計算した(表3)。
【0042】
【表1】

【0043】
【表2】

【0044】
説明のため、logMは試験化合物のモル濃度のlogを意味する。例えば、10−9はナノモル濃度のlogであり、10−6はマイクロモル濃度のlogである、など。ホップ抽出物及びイブプロフェンの値は、%対照(これはそこに何も加えていないDMSO溶媒である)に基づいている。
【0045】
表1及び表2からわかるように、COX−1を50%軽減させるのにやや多量のホップ抽出物が必要である(IC50は10−3〜10−4である)が、COX−2については、50%軽減させるのに必要な濃度は10−6である(IC50は1.4×10−6μMであった)。この91重量%のα酸ホップ抽出物がCOX−1を50%軽減させるにはCOX−2活性を50%軽減させるのに必要な濃度の約100倍必要である。比較のため、イブプロフェンも含まれている。ホップ抽出物は、イブプロフェンよりもCOX−2の阻害に関して強力で選択的であった。
【0046】
【表3】

【0047】
表3は、超臨界2酸化炭素抽出に由来する91重量%のα酸を含有するホップ抽出物と、非選択的COXインヒビターであるアスピリン、イブプロフェン、ナプロキセン及びインドメタシンに加えて、処方薬COX−2選択的インヒビターであるロフェコキシブ及びセレコキシブを含めた他の公知のCOXインヒビターとの比較である。上記データからわかるように、WHMAプロトコールにしたがって試験した場合、ホップ抽出物は選択的で強力なCOX−2インヒビターである。このホップ抽出物のIC50 COX−2濃度は約1.4μMであり、多くの非ステロイド系抗炎症薬の薬理作用の範囲内である。一方、IC50 COX−1濃度は約110μMであった。したがって、比は0.0127、即ち1:90であった。
【0048】
【表4】

【0049】
表4は、特別なホップ抽出物に関するIC80データを、COX−1及びCOX−2を非常に低濃度で低下させる強力な非選択的NSAIDであるインドメタシンと比較して含む。上記表4からわかるように、COX−2に対するIC80は約85μMであり、IC80 COX−2/1比は約0.09μMであり、比は約1:11である。インドメタシンほど強力ではないが、COX−2に対する選択性は非常に高い。
【0050】
上記実験に用いた樹脂はCOX−2酵素を有意に阻害し、COX−1型にはほとんど作用を及ぼさなかったが、このような樹脂は粉末にすることなく医薬剤形に使用するのが困難である。粉末にすると、さまざまな賦形剤を担体として用いることができ、樹脂の効能を希釈する傾向にある。それによってIC50又はIC80が約50%減少し、使用すべきα酸及びイソ-α酸の種々の混合物を可能にする。
【実施例2】
【0051】
粉末にしたホップ樹脂によるCOX−2阻害
マルトデキストリン及びケイ酸カルシウムを用いて、ジャケット付強力ミキサー中でホップ樹脂を粉末にする。得られた粉末をHPLCで解析し、以下の主要成分が生じたことを見出した:
HPLCによるホップ粉末成分:
α酸 20重量%
イソ−α酸 9.4重量%
β酸 8重量%
この粉末を、COX−2をLPS(リポ多糖)で誘導し、COX−2活性のためにPGE−2を測定することによって、全血中の細胞株においてCOX−2及びCOX−1阻害について試験した。COX−1活性はTxB(トロンボキサンB)を測定することによって評価した。COX−2及びCOX−1に対するIC50の結果は以下の通りである:
IC50 COX-2 IC50COX-1 IC50 COX-2/IC50 COX-1
1μg/ml 30μg/ml 0.033(1:30)
【実施例3】
【0052】
ホップ製剤対非選択的COXインヒビターの胃粘膜びらん
本実施例は、ホップ製剤対アスピリンなどの伝統的な非選択的COXインヒビターNSAIDによる胃粘膜びらんの軽減を立証するためのものである。30重量%のα酸(225mgのα酸)を含む750mgのホップ抽出物粉末を含有する錠剤の経口製剤を、1回の盲目、並行群、多用量試験において40人の被験者に投与する。患者をホップ単独か又は1日あたり1,000mgのアスピリンを4日間の治療に無作為に割り当てる。最初の用量後4時間、そして試験第4日の最終投与後3時間行われる胃十二指腸刺激の内視鏡的評価に基づいて評価を行なう。全ての被験者が正常な健常胃十二指腸粘膜をベースラインで有していることを確実にするために、被験者を無作為抽出する前にやはり内視鏡的評価を行なう。
【0053】
胃及び十二指腸の障害の程度及び重篤度を内視鏡検査を用いて評価する。胃及び十二指腸を内視鏡検査するあいだ、粘膜下出血、びらん、及び潰瘍形成の数及び部位を内視鏡検査医によって決定する。この発見に基づき、出血性損傷をスケール0〜4に格付けし、びらん性損傷を別のスケール0〜4に格付けする。胃と十二指腸は別々に格付けする。上記試験条件下で、内視鏡評価はホップ製剤が実質的に胃粘膜びらんを示さないことが予想されるが、アスピリン製剤は顕著な胃粘膜下出血及び全体的な胃粘膜びらんを示した。2群間の差は統計的に有意であることが予想される。アスピリンと比較したホップ製剤による胃粘膜びらんの軽減は、COX−1よりもCOX−2への選択性に関連していると考えられる。
【0054】
本発明を好ましい態様又は具体的な態様に関連して上記しているが、これらの態様は本発明を網羅するもの又は限定するものであることを意図するものではなく、むしろ、本発明は、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲内に含まれる代替物、改変物、又は等価物をカバーすることを意図するものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医薬的に有効量のα酸、0.5重量%〜10重量%のβ酸、及び1重量%未満のエッセンシャルオイルを含んだホップ抽出物を含む、抗炎症組成物。
【請求項2】
α酸及びβ酸がホップコーンフラワーに由来する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
α酸がフムロン、コフムロン、アドフムロン、ジヒドロフムロン、ジヒドロアドフムロン、及びそれらの混合物から成る群より選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
イソ−フムロン、イソ−コフムロン、イソ−アドフムロン、ジヒドロ−イソ−フムロン、ジヒドロ−イソ−アドフムロン、及びそれらの組み合わせから成る群より選択されるイソ−α酸を更に含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
イソ−α酸がトランス−イソ−フムロン、シス−イソ−フムロン、トランス−イソ−コフムロン、シス−イソ−コフムロン、シス−イソ−アドフムロン、トランス−イソ−アドフムロン、及びそれらの組み合わせから成る群より選択されるメンバーを含む、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
α酸が75重量%〜99.5重量%で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
ホップ抽出物に実質的にエッセンシャルオイルがない、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
フラボノイド又はポリフェノール化合物を更に含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
ホップ抽出物が80重量%より多いα酸及び10重量%以下のイソ−α酸を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
医薬担体を更に含み、剤形が栄養送達のための錠剤、カプセル、又は坐剤の形態である、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
徐放性製剤である、請求項11に記載の組成物。
【請求項12】
ホップ抽出物のWHMA IC50 COX−2/IC50 COX−1比が約0.011〜約0.333である、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
ホップ抽出物のWHMA IC50 COX−2/IC50 COX−1比が約0.02〜約0.05である、請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
WHMA IC50 COX−2/IC50 COX−1比が約0.011〜約0.333のホップ抽出物を含み、ホップ抽出物は1重量%未満のエッセンシャルオイルを含む、抗炎症組成物。
【請求項15】
ホップ抽出物が、ホップコーンフラワーに由来するα酸及びβ酸を含む、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
ホップ抽出物に実質的にβ酸がない、請求項14に記載の組成物。
【請求項17】
α酸がフムロン、コフムロン、アドフムロン、ジヒドロフムロン、テトラヒドロ−α酸、及びそれらの混合物から成る群より選択される、請求項14に記載の組成物。
【請求項18】
イソ−フムロン、イソ−コフムロン、イソ−アドフムロン、ジヒドロ−イソ−フムロン、及びそれらの組み合わせから成る群より選択されるイソ−α酸を更に含む、請求項14に記載の組成物。
【請求項19】
イソ−α酸が、トランス−イソ−フムロン、シス−イソ−フムロン、トランス−イソ−コフムロン、シス−イソ−コフムロン、シス−イソ−アドフムロン、トランス−イソ−アドフムロン、及びそれらの組み合わせから成る群より選択されるメンバーを含む、請求項18に記載の組成物。
【請求項20】
ホップ抽出物が、α酸を約60重量%〜99.5重量%の量で含む、請求項14に記載の組成物。
【請求項21】
ホップ抽出物が、β酸を約0.5重量%〜10重量%の量で含む、請求項14に記載の組成物。
【請求項22】
ホップ抽出物に実質的にエッセンシャルオイルがない、請求項14に記載の組成物。
【請求項23】
ホップ抽出物がフラボノイド又はポリフェノール化合物を更に含む、請求項14に記載の組成物。
【請求項24】
ホップ抽出物が、80重量%より多いα酸及び10重量%以下のイソ−α酸を含む、請求項14に記載の組成物。
【請求項25】
医薬担体を含み、剤形が栄養送達のための錠剤、カプセル、又は坐剤の形態である、請求項14に記載の組成物。
【請求項26】
徐放性製剤である、請求項25に記載の組成物。
【請求項27】
ホップ抽出物が医薬的に有効量のα酸及び0.5重量%〜10重量%のβ酸を含む、請求項14に記載の組成物。
【請求項28】
ホップ抽出物のWHMA IC50 COX−2/IC50 COX−1比が約0.02〜0.05である、請求項14に記載の組成物。
【請求項29】
温血動物の炎症を軽減させ、胃粘膜びらんを最小限に抑える方法であって:医薬的に有効量のα酸及び0.5重量%〜10重量%のβ酸を含むホップ抽出物を製剤化すること;及びホップ抽出物を炎症症状が出ている温血動物に投与することを含む、前記方法。
【請求項30】
投与工程が経口送達による、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
投与工程が経粘膜送達による、請求項29に記載の方法。
【請求項32】
投与工程が非経口送達による、請求項29に記載の方法。
【請求項33】
ホップ抽出物のWHMA IC50COX−2/IC50 COX−1比が約0.011〜約0.333である、請求項29に記載の方法。
【請求項34】
ホップ抽出物のWHMA IC50COX−2/IC50 COX−1比が約0.013〜0.05である、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
温血動物の炎症を軽減させ、胃粘膜びらんを最小限に抑える方法であって:WHMA IC50 COX−2対COX−1比が約0.011〜約0.333であるホップ抽出物を製剤化すること;及びホップ抽出物を炎症症状が出ている温血動物に投与することを含む、前記方法。
【請求項36】
投与工程が経口送達による、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
投与工程が経粘膜送達による、請求項35に記載の方法。
【請求項38】
投与工程が非経口送達による、請求項35に記載の方法。
【請求項39】
ホップ抽出物が医薬的に有効量のα酸及び0.5重量%〜10重量%のβ酸を含む、請求項35に記載の方法。

【公表番号】特表2006−515621(P2006−515621A)
【公表日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−500893(P2006−500893)
【出願日】平成16年1月9日(2004.1.9)
【国際出願番号】PCT/US2004/000613
【国際公開番号】WO2004/062611
【国際公開日】平成16年7月29日(2004.7.29)
【出願人】(505261450)リポプロテイン・テクノロジーズ・インコーポレーテッド (1)
【Fターム(参考)】