説明

抗癌剤ならびに悪性黒色腫および他の癌に関連する使用

セレノフェノトリアゼン類似体、その組成物、互変異性形態、立体異性体、多形、水和物、溶媒和物および医薬的に許容され得る塩ならびにその混合物は、転移性悪性黒色腫および他の癌の治療に有用である。セレノフェノトリアゼン類似体は一般式(I)または(II)を有し、式中、置換基R1、R2、R3、R6およびR7は、本明細書に記載のとおりである。この化合物で治療され得る他の癌としては、限定されないが、悪性黒色腫、白血病、リンパ腫(ホジキンおよび非ホジキン)、肉腫(ユーイング肉腫)、脳腫瘍、中枢神経系(CNS)転移、神経膠腫、癌腫、例えば、乳癌、前立腺癌、肺癌(小細胞および非小細胞)、結腸癌、膵臓癌、頭頚部癌ならびに口腔咽頭扁平上皮癌が挙げられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、セレノフェン化合物およびセレノフェントリアゼン化合物、その幾何異性形態、立体異性体、立体配置異性体、多形、水和物、溶媒和物ならびにその医薬的に許容され得る塩に関する。
【0002】
さらに、本発明は、上記の該セレノフェン化合物およびセレノフェントリアゼン化合物ならびにその医薬的に許容され得る組成物の調製方法に関する。
【0003】
本発明の目的は、癌および他の血管系疾患の予防または治療のための、単独または他の医薬的に許容され得る薬剤との併用のいずれかで活性成分(1種類もしくは複数種)となるセレノフェノトリアゼン化合物を提供することである。
【0004】
また、本発明の化合物は、強力な血管新生阻害物質であり、血管新生関連疾患、例えば、癌および他の血管系疾患を予防する医薬組成物に有効に使用され得る。
【0005】
この新規な化合物および組成物は、転移性悪性黒色腫、ならびに固形腫瘍である癌腫および他のあらゆる癌(例えば、限定されないが、リンパ腫、肉腫および神経膠腫)の予防、コントロールおよび治療に、単独、または他の医薬的に許容され得る薬剤もしくは賦形剤との組み合わせのいずれかで有用である。
【背景技術】
【0006】
(発明の背景)
悪性新生物である黒色腫は、メラニン形成能を有する細胞に由来し、最も一般的には、任意の身体の一部の皮膚および目において生じるが、稀に、生殖器、肛門、口腔もしくは他の部位の粘膜において生じる。これは、多くの場合は成人において発生し、新規に、または色素性母斑もしくは悪性黒子から生じたものであり得る。初期では、皮膚の形態は、真皮と上皮の接合部における細胞の増殖を特徴とし、これは、これは、すぐに隣接組織に浸潤する。細胞は、細胞質の量および色素沈着において異なり、核は、比較的大きく、多くの場合、変形しており、顕著な好酸性の核小体を伴い、有糸核分裂像は無数である傾向にある。黒色腫は、多くの場合、広く転移し、局所リンパ節、皮膚、肝臓、肺および脳が関与し易い。
【0007】
1985年1月、米国環境保護庁(EPA)は、宇宙空間からの紫外(UV)線を防御する地球のオゾン層の枯渇(人間の活動によって、およそ10%減少したと推定されている)により、世界的に黒色腫などの皮膚癌の症例数の増大が引き起こされるであろうと予測した(2050年までに、年間推定200万例の増加)。また、高レベルの紫外線への曝露によっても、白内障および免疫機構の機能不全が促進され得る。
【0008】
公衆衛生の取り組みは、人々に対する日焼け止め剤の使用の推奨、日照時間のピーク時での野外活動の回避、皮膚の頻繁なセルフチェックの実施、および異常が認められた場合は、皮膚科に行くことが中心となっている。
【0009】
紫外線放射線は、特に、曝露の発生が特定の原因遺伝形質(赤毛および色白肌など)と組み合わされた場合、皮膚癌の確定的なリスクファクターを提示する。皮膚の色素沈着は、色素生成細胞であるメラノサイトでのメラニンの合成、その後の色素顆粒の隣接ケラチノサイトへの分布および輸送によって生じる。一般に、メラニンは、紫外線によって細胞質内に生成したフリーラジカルの吸収に重要であり、紫外線および可視光放射線を直接遮蔽する機能を果たすと考えられている。
【0010】
紫外線誘導性色素沈着(日焼け)には、ケラチノサイトによるα−メラノサイト刺激ホルモン(α−MSH)の分泌の誘導が必要とされる。α−MSHおよび他の生体活性ペプチドは、プロオピオメラノコルチン(POMC)の分解産物である。p53腫瘍抑制遺伝子は、癌における最も多くの場合で改変される遺伝子標的の1つである。p53は、POMC遺伝子の転写調節因子であり、これは、タンパク質に翻訳されるとメラノサイトにメラニンを生成させ、紫外線放射線の吸収による皮膚癌を回避する。全ヒト腫瘍のほぼ半数近くで、p53の変異による直接的な不活化が観察されている。悪性黒色腫は、今日、治療が最も困難な癌の一つである皮膚癌である。
【0011】
ダカルバジン(DTIC)は、転移性悪性黒色腫を治療するために使用される唯一の薬剤である。また、ダカルバジンは、ホジキンリンパ腫に対しても、他の有効な薬剤と併用して用いる場合、セカンドライン治療として指示される。化学的には、DTICは、下記の構造式:
【化1】

を有する5−(3,3−ジメチル−1−トリゼノ)−イミダゾール−4−カルボキサミドである。
【0012】
しかしながら、ダカルバジンは、肝臓によるインビボでの生体内活性化が必要とされる。ジメチルトリアゼノ官能性のメチル基のうちの1つは、肝臓ミクロソーム内の酵素によって、特に、シトクロムP450によって活性化されて酸化され、ヒドロキシメチル基が生成する。したがって、ジメチルトリアゼノ官能性の酸化的モノ脱メチル化により、モノ−メチルトリアゼンが得られる。モノメチルトリアゼン代謝産物である3−メチル−(トリアゼン−1−イル)−イミダゾール−4−カルボキサミド(MTIC)をさらに加水分解すると、プリンおよび核酸の生合成の中間体である5−アミノ−イミダゾール−4−カルボキサミド(AIC)と、活性アルキル化種であると考えられているメチルヒドラジンになることが知られている。シトクロムP450酵素は、MTICの代謝において、わずかな役割を果たしているにすぎない。
【0013】
また、テモゾロミドも、DNAの求核部位をメチル化する類似のイミダゾテトラジンアルキル化剤である。二環式化合物であるテモゾロミドは経口で生物学的利用能を有し、より親油性であり、自然にMTICに変換され、また、悪心の発生が少ないようである。O−メチルグアニン付加体は、DNA複製中にミスマッチを引き起こし、新たに形成されたDNA鎖にシトシンではなくチミジンを付加させる。優れたCNS生体内分布のため、テモゾロミドは、原発性脳腫瘍とCNS転移の両方において放射線増感剤として有用である。テモゾロミドを放射線とともに使用した場合、脳転移を有する患者において生活の質が改善される。ダカルバジンとは異なり、テモゾロミドは肉腫に対して活性を有する。したがって、セレンを有する類似の二環式テモゾロミド誘導体は、肉腫での放射線増感作用において、原発巣制御ならびに転移の治療のため有用であり得る。テモゾロミドは、忍容性は良好で、副作用が軽度の放射線増感剤である。テモゾロミドとイリノテカンは併用すると、一部の癌に対して相加的作用がより大きくなる。Patel,V.J.ら、Clin.Cancer Res.,2000,6,4154−4157の著者(ら)によって、彼らの経験により、再発ユーイング肉腫およびDSRCTにおいて速い応答速度(これは、おそらく、文献に報告されているものよりさらに速い)が確認されていることが報告されている。テモゾロミド+イリノテカンの併用は、標準的なシクロホスファミドを含むレジメンよりも免疫抑制性が低い。このことはユーイング肉腫に特に重要であり得る。それは、De Angulo,G.ら、J.Pediatr.Hematol.Oncol.,2007,29,48−52の著者(ら)によって、リンパ球の回復(すなわち、化学療法の最初のサイクル後、15日目の絶対リンパ球数>500)が、ユーイング肉腫における有意に高い生存率と関連していることが示されているからである。また、テモゾロミドまたはダカルバジンは、他の薬剤(例えば、ゲムシタビンおよびドキソルビシンリポソーム)とも併用されている。血漿からのDTICの消失は、19分間の初期半減期と5時間の最終排泄相半減期の二相性である。腎機能不全および肝機能不全を有する患者では、半減期は、それぞれ、55分間および7.2時間と長時間になった。尿中の未変化DTICの平均累積排出は、6時間で注射用量の40%である。DTICは、糸球体濾過ではなく腎尿細管分泌に供される。治療濃度では、DTICは、ヒト血漿タンパク質に感知可能に結合されない。
【0014】
ヒトでは、DTICは広範に分解される。未変化DTICに加え、AICは、尿中に排出されるDTICの主要代謝産物である。DTICの厳密な作用機序は不明であるが、3つの仮説が提示されている:
1.プリン類似体として作用することによるDNA合成の阻害
2.アルキル化剤としての作用
3.スルフヒドリル(SH)基との相互作用
【0015】
したがって、細胞傷害性がインビボでのメチルカルボニウムイオンの生成に関与している生成MTIC反応性種の生化学的作用機序は、主に、DNAのアルキル化によるものと考えられている。アルキル化(メチル化)は、主に、グアニンのO位およびN位で起こる。
【0016】
あるいはまた、DTICは、モノメチルトリアゼンに代謝される前に、最初にモノヒドロキシメチルに、最後にアルデヒドに酸化される。モノメチルトリアゼンは、酸化的モノ脱メチル化前のアルデヒド形態において、環化されて環状化合物になり(スキーム1に示すとおり)、これが二重らせんDNA構造に干渉し、癌細胞の複製をブロックする。
【化2】

スキーム1:ダカルバジンの生化学的作用機序
【0017】
ダカルバジンのイミダゾール環系は、本質的に親水性である。したがって、当該技術分野において、細胞傷害機能性が100%有効となるようなメラニンに対して有効な結合性を有する可能性がある分子の必要性が存在している。したがって、本発明者らは、増大した親油性を有し、それにより、より大きな標的特異性がもたらされる新規な化合物を提供することを目的とした。したがって、5員芳香族複素環式の環系を有するセレノフェンは、該環内のセレンが本質的に親油性であり、メラニンに対する増大したアビディティにより有効な結合性を有するものであり得る。その結果、有意に低い用量で同じ治療有効性が得られ得、したがって毒性が最小限になる。このことにより、さらに、より大きな治療指数(TI)範囲で高い特異性がもたらされ得る。一般に、癌患者の治療では、大きい治療指数ほど好ましい。これは、癌細胞が最初の化学療法自体で撃退され得るように、治療レジメンを非常に高い許容投与量(MTD)から開始することが希望されるためである。そうしない場合、生存癌細胞はDNA損傷を修復し、その後、他の器官に転移することがあり得る。また、最初の治療の後に生き残った癌細胞は、再度の第2の化学療法(必要な場合)に対して耐性となり得る。さらに、最初の化学療法による免疫機構の弱体化のため、第2の治療において最適以下の用量を投与しても、毒性の一因となることがあり得る。
【0018】
スキーム−1に示すように、DTICとは異なり、セレノフェン環系と腫瘍抗原表面上のSH基との相互作用により、有効性が増大する。これは、セレン(Se)が大きな原子であり、したがって、5員複素環式芳香族セレノフェン環系が空間的にフェニル環に類似していることが、孤立電子対が環の残部に対して、腫瘍部位でのスルフヒドリルとのより良好な相互作用に寄与するためである。また、その電子配置のため、複素環式芳香族セレノフェン環系は、プリン類似体として作用するとともに、アルキル化剤として作用することにより、DNA合成を阻害することで、DTICよりも優れたものであり得る。また、DTICとは異なり、アミノイミダゾールカルボキサミド(AIC)は、それ自体は不活性であるが、対応するアミノセレノフェンカルボキサミド(ASC)は、環内セレンの電子の非局在化によってインビボで非常に充分に活性となり得、有効性が増大し得る。AICおよびASCは、いずれもDNAに組み込まれる。したがって、この新規なトリアゼノセレノフェン類似体は、ダカルバジンと比べて、構造に内在的に組み込まれた活性増大のためのいくつかのさらなる利点を有する。
【0019】
したがって、用量レジメンを有効にするため、メラニンへの結合性が高い可能性のある部分(セレノフェン系など)によって、3つのすべての生化学的作用機序を有し、DTIC(ダカルバジン)より優れ、かつ完全応答をもたらすプラスの成果の可能性を有する治療的処置が提示され得る。したがって、本発明の目的は、標的黒色腫細胞に選択的に結合するが正常細胞には結合せず、それにより、非標的細胞に対する標的細胞比が増大し、さらに、本明細書に記載の他の関連する利点がもたらされるという、満たされていないこの医学的必要性を満たすことである。
【0020】
血管新生または新生血管形成は、既に存在している脈管構造からの伸長部として派生する新たな血管が生成するプロセスである。血管新生は、癌の増殖および拡延に重要な役割を果たす。新たな血管は、癌細胞に酸素と栄養分を「供給」し、癌細胞が増殖し、近隣組織に浸潤し、他の身体部分に拡延し、新たな癌細胞コロニーを形成するのを可能にする。したがって、抗血管新生または血管新生の阻害は、腫瘍の増殖および癌細胞の転移性拡延を防御するための潜在的治療ストラテジーと考えられている。
【0021】
本発明の発明者らは、新規な化合物(1種類もしくは複数種)の発明に対する取り組みの進行中において、驚くべきことに、一般式(I)および(II)のセレノフェノトリアゼン化合物が強力な抗黒色腫剤、血管新生阻害物質であり、黒色腫、癌および他の血管系疾患の予防、コントロールおよび治療に有効であることを見出した。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0022】
【非特許文献1】Patel,V.J.ら、Clin.Cancer Res.,2000,6,4154−4157
【非特許文献2】De Angulo,G.ら、J.Pediatr.Hematol.Oncol.,2007,29,48−52
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0023】
(発明の概要)
本発明は、それぞれ一般式(I)および(II)の新規なセレノフェンおよびセレノフェノトリアゼン化合物を提供する。
【0024】
また、好ましい態様において、本発明は、一般式(I):
【化3】

(式中、
Rは、H、CHおよびCHOHから選択され、
、RおよびRは、独立して、H、N=N−N(CH、N=N−NHCH、N=NN(CH)CHOH、CONH、CONHR、CONR、CONHNH、CONHNHR、CONHNR、COOCH、COOCHCH、COOH、COSH、CN、C≡CH、SONH、SONHR、SONR、NO、CF、Cl、Br、F、CCl、CH、OH、OCH、SH、SCH、NH、NHCH、N(CH、アルキル、アルケニルなど、電子求引性官能基および電子供与性官能基から選択される(ここで、RおよびRは、独立して、H、CH、C〜C10アルキル、アルケニル、アルキロール、アルコキシ、アルキルアミンなどから選択される)か、あるいはまた、R、RおよびRのうち、いずれか2つが結合して、シクロヘキシル、シクロペンチル、フェニルおよびピリジルを含む脂環式、芳香族、複素環式系を形成していてもよい)
のセレノフェノトリアゼン化合物を提供する。
【0025】
別の態様では、本発明は、一般式(II)
【化4】

(式中、
X、YおよびZは、独立して、得られる二環式系含有5員芳香族複素環式部分が非置換型および置換型セレノフェンとなるように、二重結合がXとYの間またはYとZの間のいずれかに存在するように、CおよびSeから選択され、
およびRは、独立して、H、N=N−N(CH、N=N−NHCH、N=N−N(CH)CHOH、CONH、CONHR、CONR、CONHNH、CONHNHR、CONHNR、COOCH、COOCHCH、COOH、COSH、CN、C≡CH、SONH、SONHR、SONR、NO、CF、Cl、Br、F、CCl、CH、OH、OCH、SH、SCH、NH、NHCH、N(CH、アルキル、アルケニル、電子求引性官能基、電子供与性官能基などから選択され、
およびRは、独立して、H、CH、C〜C10アルキル、アルケニル、アルキロール、アルコキシ、アルキルアミンなどから選択される、あるいはまたRとRが結合して、シクロヘキシル、シクロペンチル、フェニルおよびピリジルを含む脂環式、芳香族、複素環式系を形成していてもよい)
のセレノフェノトリアゼン化合物を提供する。
【0026】
別の態様では、本発明は、一般式(I)および(II)の化合物の医薬的に許容され得る塩、例えば、有機塩または無機塩を提供する。
【0027】
別の態様では、本発明は、一般式(I)および(II)の光学活性化合物の光学的エナンチオマーまたはジアステレオマーを提供する。
【0028】
別の態様では、本発明は、
a)上記の一般式(I)から選択される少なくとも1種類のセレノフェノトリアゼン化合物およびその誘導体、
b)上記の一般式(II)から選択される少なくとも1種類のセレノフェノトリアゼン化合物およびその誘導体、または
c)上記の一般式(I)から選択される少なくとも1種類のセレノフェノトリアゼン化合物と、上記の一般式(II)から選択される少なくとも1種類のセレノフェノトリアゼン化合物の混合物
を含む医薬組成物を提供する。
【0029】
上記の一般式(I)から選択される化合物および/または上記の一般式(II)から選択される化合物を含む医薬組成物は、任意選択で、さらに、少なくとも1種類の医薬的に許容され得る賦形剤、担体または希釈剤を含む。医薬組成物は、任意選択で、上記の一般式(I)から選択される化合物および/または上記の一般式(II)から選択される化合物に加えて、1種類以上の医薬用薬剤を含んでいてもよい。
【0030】
別の態様では、本発明は、治療目的で、セレノフェノトリアゼン化合物(1種類もしくは複数種)をメラニンに結合させる方法、または癌細胞を死滅させる方法を提供する。該方法は、治療有効量の一般式(I)もしくは(II)の該化合物(1種類もしくは複数種)またはその医薬組成物(1種類もしくは複数種)を、それを必要とする被検体に投与する工程を含む。
【0031】
別の態様では、本発明の化合物(1種類もしくは複数種)は、転移性悪性黒色腫、ならびに固形腫瘍である癌腫および他のあらゆる癌のマネージメントにおいて有用である。
【0032】
別の態様では、本発明は、さらに、血管新生の阻害、ならびに血管新生調節因子(限定されないが、VEGF、PDGF、TGF−βおよびFGFが挙げられる)の改善を必要とする温血動物における該阻害方法ならびに該改善のための方法であって、それぞれ一般式(I)および(II)のセレノフェンおよび/またはセレノフェノトリアゼン化合物またはその医薬組成物(1種類もしくは複数種)の治療有効量を投与することを含む方法を提供する。
【0033】
別の態様では、本発明は、内皮細胞および血管平滑筋細胞の増殖、遊走、浸潤を修飾することによる脈管構造のリモデリングを必要とする温血動物における、該リモデリングのための方法を提供する。
【0034】
さらに、本発明は、転移性腫瘍の増殖およびその拡延の阻害を必要とする温血動物における、該阻害のための方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】図1:棒グラフは、グラフに表示した種々の濃度のDTICおよび化合物1で処理したB16 F0マウス黒色腫細胞(A)、およびA375ヒト黒色腫細胞(B)での漏出乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)の増加パーセントを示す。各バーは、4連のウェルの平均から(form)計算した、ビヒクル対照培養(0.5%DMSO)を基準とした漏出LDHの増加パーセントを示す。
【図2】図2:棒グラフは、25μg/mlおよび50μg/mlでの、化合物1およびDTICによるHs.531.sk正常ヒト皮膚細胞の増殖阻害割合を示す。
【図3】図3:パネルAは、化合物1およびDTICの存在下におけるインビトロでの、B16F0コロニー形成の阻害を示す画像を示す。B16F0細胞は、0.1%DMSO(1)、または1、5、10、20μg/mlの化合物1(それぞれ、2〜5)もしくは100μg/mlのDTIC(6)で処理した。平均コロニー数および平均コロニーサイズを、それぞれ、パネルBおよびCに示す。
【図4】図4:顕微鏡写真は、ビヒクル対照(A)、100μg/mlのDTIC(B)、および20μg/mlの化合物1(C)で処理した培養物中の浸潤B16F0細胞を示す。棒グラフは、20倍対物レンズで観察した20個の独立した視野で計数した、それぞれの培養物中の浸潤細胞数の平均±SDを示す。は、ビヒクル対照に対する有意性(p<0.05)を示す(スチューデントT−検定)。
【図5】図5:図は、ヒト内皮細胞の遊走に対する化合物1の阻害作用を示す。顕微鏡写真は、それぞれ、100μg/mlのDTIC(B)または5μg/mlの化合物1(C)または10μg/mlの化合物1(D)のいずれかの存在下でのHUVECの遊走を示す。パネルAは、0.1%DMSO処理ビヒクル対照ウェルでの細胞遊走を示す。棒グラフは、各バーの下に表示した異なる培養条件下での平均遊走細胞数を示す。各バーは、20倍対物レンズ下の少なくとも20個の視野で計算した平均遊走細胞数を示す。
【図6】図6:図は、化合物1による毛細管様血管の形成の阻害を示す。ヒト臍静脈内皮細胞(HUVEC)を、DTIC(100μg/ml)または化合物1(5μg/mlおよび10μg/ml)(C,D)のいずれかの存在下のCultrexコートプレート上に置き、37℃で16時間、内皮毛細血管を形成させた。パネル図A〜Dは、それぞれ、0.1%DMSO処理ビヒクル対照ウェル、DTICで処理した培養物、ならびに5μg/mlおよび10μg/mlの化合物1で処理した培養物における毛細管様血管の形成を示す。棒グラフのバー(A〜D)は、パネル図に表示したそれぞれの異なる培養条件下での分岐点の数の平均を示す。
【図7】図7:棒グラフは、C57B6Jマウスでの、B16F0腫瘍の増殖に対する化合物1とDTICの有効性の比較を示す。各バーは、腫瘍の平均重量(単位:グラム)±SDを示す(n=8)。バーAは10%DMSO処理ビヒクル対照群を示し、バーBは25mg/kgの化合物1投与群を示し、バーCは75mg/kgのDTIC投与群を示す。は、対照に対する統計学的有意性(p<0.05)を示す(スチューデントt−検定)。
【図8】図8:棒グラフは、nu/nu BALB/cヌードマウスのA375ヒト黒色腫異種移植片モデルにおける化合物1の抗黒色腫作用を示す。各バーは、腫瘍体積(単位:立方ミリメートル)の平均±SDを示す(n=5)。バーは、それぞれ、10%DMSO処理ビヒクル対照群および25mg/kgの化合物1投与群の平均腫瘍体積を示す。は、対照に対する統計学的有意性(p<0.05)を示す(スチューデントt−検定)。
【発明を実施するための形態】
【0036】
(発明の詳細な説明)
本発明の解釈上、以下の語句または単語を用いて一般式(I)および(II)の化合物に言及する。
【0037】
表現「セレノフェノトリアゼン化合物」、「セレノフェノトリアゼン類似体(1種類もしくは複数種)」、「トリアゼン類似体(1種類もしくは複数種)」、「トリアゼンセレノフェン類似体(1種類もしくは複数種)」、「セレノフェン類似体(1種類もしくは複数種)」、「セレノフェノ類似体(1種類もしくは複数種)」、「本発明の類似体(1種類もしくは複数種)」、「標的化類似体(1種類もしくは複数種)または「その誘導体(1種類もしくは複数種)」は、以下の本文中において互換的に用いる。
【0038】
表現「類似体(1種類または複数種)」および「誘導体(1種類または複数種)」は、以下の本文中において互換的に用いる。
【0039】
語句「本発明の組成物」は、少なくとも1種類の医薬用担体/賦形剤を伴う式(I)または(II)の化合物を意味し、該化合物を含む。
【0040】
表現「医薬的に許容され得る」は、賦形剤(1種類または複数種)、担体(1種類もしくは複数種)、希釈剤(1種類または複数種)、および/または塩(1種類もしくは複数種)が、製剤のその他の成分と適合性であり、そのレシピエントに有害でないことを意図する。
【0041】
次に、本発明を、その種々の態様がより充分に理解され、認識され得るように、一部の特定の好ましい任意選択の実施形態に関して詳細に説明する。
【0042】
黒色腫の発生率および死亡率は、米国を含む全世界中で、いずれの他の癌よりも速く上昇し続けている(Howe,H.L.ら、J.Natl.Cancer Inst.(Bethesda)、93:824−842,2001)。該して、黒色腫は全悪性腫瘍の1〜3%を占め、発生率は、毎年6〜7%増加している。進行疾患を有する患者では、5年生存率は10%未満であり、生存期間中央値は6〜8.5ヶ月である。転移黒色腫は、皮膚、リンパ節、肺、肝臓、脳、骨、および場合によっては、他の器官(膵臓など)を侵す。転移性黒色腫に対する種々の治療アプローチ、例えば、化学療法および生物学的療法が、単剤治療として、および併用においての両方で評価されている。しかしながら、悪性黒色腫の治療には、ダカルバジン(DTIC)が、化学療法の主な選択肢として広く使用されており、この目的に関して米国食品医薬品局によって承認されている(Chapman,P.B.ら、J.Clin.Oncol.,17:2745−2751,1999)。しかしながら、DTIC単剤での応答速度は期待はずれ(わずか10〜25%の範囲)であり、完全応答が見られるのは患者の5%未満である(Middleton,M.R.ら、J.Clin.Oncol.,18:158−166,2000、Middleton,M.R.ら、Br.J.Cancer,82:1158−1162,2000)。以前の試験で、ダカルバジンは、インターロイキン−8(IL−8)および血管内皮増殖因子(VEGF)などの血管新生因子の過剰発現をもたらすことがあり得ることが示された(Lev DCら、Mol Cancer Ther、2:753−763,2003、Lev DCら、J.Clin.Oncol.22:2092−2100,2004)。したがって、このダカルバジンの血管新生促進特性は、黒色腫に対するダカルバジンの化学療法的有効性が低いことの根拠を示すものであり得る。
【0043】
したがって、このような問題に対処する新たな治療薬を開発する、満たされていない医学的必要性が存在している。
【0044】
本発明は、早期診断で治癒する可能性に対する活性を有意に増大させるため、および末期の悪性腫瘍の治療における有効性を有意に増大させるために、DTICの主鎖として、イミダゾールの代わりにセレノフェンを使用する。
【0045】
新規な抗腫瘍化合物の開発の一部として、一般式(I)および(II)の一部のセレノフェン類似体を調製し、一部の腫瘍細胞株に対するその有効性について試験した。非常に驚くべきことに、一般式(I)のトリアゼンセレノフェン類似体(化合物1)は、A375ヒト黒色腫細胞株の阻害において、DTICと比べてインビトロで9倍高い効能を示すことがわかった。セレノフェン類似体(化合物1)では9.81μg/mlのIC50値が示されたのに対し、DTICでは70.1μg/mlが示された。その有効性を、インビボ実験によってさらに確認した[図7および8]。C57B6Jマウスのマウス黒色腫異種移植片モデルにおいて、セレノフェン類似体(化合物1)では、腫瘍の増殖の31.2%阻害が示されたのに対し、DTICでは17%阻害が示された(図7)。また、DTICとの比較において、化合物1で示されたヒト正常皮膚上皮細胞における細胞傷害作用は有意に小さかった(図2)。この観察結果は、化合物1が、ヒト正常細胞に影響を及ぼすことなく、または影響を最小限に抑えて、黒色腫腫瘍細胞の増殖を効率的に阻害し得ることを示す。したがって、この新規な類似体(化合物1)は、市販薬のDTICよりも有効性および安全性の点で有意に良好である。
【0046】
化合物1では、インビトロでの内皮毛細血管形成アッセイにおいて抗血管新生特性が示されたが、DTICでは内皮毛細血管形成は阻害され得なかった(図6)。また、化合物1では内皮細胞遊走が示され、これは、この新規な類似体によって、腫瘍の増殖に必要とされる血管新生プロセス中、組織リモデリングの阻害が補助され得ることを示す。さらに、化合物1では悪性黒色腫腫瘍細胞の浸潤も有意に阻害された(図4)が、DTICでは腫瘍細胞の浸潤は阻害されなかった。総合すると、これらの所見は、悪性黒色腫の治療において、市販薬のDTICよりも化合物1が優れていることをさらに示す。
【0047】
また、他の類似体(化合物2〜16)でも、表1にまとめたように、B16F0マウス黒色腫細胞株において、DTICと比べて有意に高い有効性が示された。
【0048】
選択した化合物を用いて本発明を実証したが、本発明は、一般式(I)および(II)のあらゆる化合物ならびにその誘導体を包含する。
【0049】
好ましい一実施形態において、本発明は、下記の一般式(I)および(II):
【化5】

(式中、
Rは、H、CHおよびCHOHから選択され、
、RおよびRは、独立して、H、N=N−N(CH、N=N−NHCH、N=N−N(CH)CHOH、CONH、CONHR、CONHR、CONHNH、CONHNHR、CONHNR、COOCH、COOCHCH、COOH、COSH、CN、C=CH、SONH、SONHR、SONR、NO、CF、Cl、Br、F、CCl、CH、OH、OCH、SH、SCH、NH、NHCH、N(CH、アルキル、アルケニル基など、電子求引性官能基および電子供与性官能基から選択され、ここで、RおよびRは、独立して、H、CH、C〜C10アルキル、アルケニル、アルキロール、アルコキシ、アルキルアミンなどから選択される)
【化6】

(式中、
X、YおよびZは、独立して、得られる二環式系が非置換型および置換型セレノフェンの5員芳香族複素環式部分を伴うものとなるように、二重結合がXとYの間またはYとZの間のいずれかに存在するように、CおよびSeから選択され、
およびRは、
a)独立して、H、N=N−N(CH、N=N−NHCH、N=N−N(CH)CHOH、CONH、CONHR、CONR、CONHNH、CONHNHR、CONHNR、COOCH、COOCHCH、COOH、COSH、CN、C≡CH、SONH、SONHR、SONR、NO、CF、Cl、Br、F、CCl、CH、OH、OCH、SH、SCH、NH、NHCH、N(CH、アルキル、アルケニル、電子求引性官能基、および電子供与性官能基から選択されるか、または
b)結合して、脂環式、芳香族、複素環式の環系(ring heterocyclic system)を形成しているか
のいずれかであり、
およびRは、独立して、H、CH、C〜C10アルキル、アルケニル、アルキロール、アルコキシ、アルキルアミンから選択される)
で表されるセレノフェノトリアゼン化合物を提供する。
【0050】
一般式(I)および(II)におけるアルキル基には、限定されないが、メチル、エチル、プロピル、ブチル、イソプロピル、イソブチル、ターシャリーブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチルおよび他のC〜C30アルキル基が包含され、アルケニル基は、一般に、エテン、プロペン、ブテン、ペンテンおよび高級アルケニル基(例えば、1つ以上の二重結合を有するC〜C30アルケニル基)をいい、アルキロール基は、一般に、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピルおよび他のヒドロキシアルキル基をいい、アルコキシ基は、一般に、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペントキシおよび他の高級アルコキシ基(例えば(include)、C〜C30炭素原子)をいい、アルキルアミン基は、アミノメチル、アミノエチル、アミノプロピルおよびC〜C30の炭素原子を有する他の高級アルキルアミンをいう。
【0051】
あるいはまた、一般式(I)のR、RおよびRのうち、いずれか2つが結合して、脂環式、芳香族、複素環式系、例えば限定されないが、シクロペンチル、シクロヘキシル、フェニルおよびピリジルを形成していてもよい。
【0052】
あるいはまた、一般式(II)のRとRが結合して、脂環式、芳香族または複素環式系、例えば限定されないが、シクロペンチル、シクロヘキシル、フェニルおよびピリジルを形成していてもよい。
【0053】
本発明は、新規な一般式(I)および(II)のセレノフェノトリアゼン化合物に関する。一般式(I)および(II)の化合物は、その代謝面での関連性のため、一緒に開示する。例えば、一般式(I)の化合物は、肝臓のミクロソーム内酵素(シトクロムP450)によってインビボで活性化された後、酸化的脱メチル化されると、そのモノメチルトリアゼン誘導体がもたらされる。同様に一般式(II)の類似化合物は、インビボで加水分解されると、類似したモノメチルトリアゼン誘導体がもたらされる。したがって、インビボでの代謝面での関連性のため、一般式(I)および(II)の化合物は単一の発明を構成する。しかしながら、一般式(I)および(II)の化合物を、便宜上、別々に開示する。
【0054】
別の実施形態では、本発明は、一般式(I)および(II)の幾何異性形態、立体異性体、立体配置異性体、多形、水和物、溶媒和物ならびにその医薬的に許容され得る塩に関する。
【0055】
別の好ましい実施形態では、本発明は、一般式(I)または(II)の以下のセレノフェノトリアゼン化合物の合成を提供し、その調製を実施例1〜16に記載する。
【0056】
1.4−[(ジメチルアミノ)ジアゼニル]−5−メチルセレノフェン−2−カルボキサミド(化合物1)
2.3−[(ジメチルアミノ)ジアゼニル]セレノフェン−2,5−ジカルボキサミド(化合物2)
3.3−[(ジメチルアミノ)ジアゼニル]−5−フェニルセレノフェン−2−カルボキサミド(化合物3)
4.3−[(ジメチルアミノ)ジアゼニル]−5−(tert−ブチル)セレノフェン−2−カルボキサミド(化合物4)
5.3−[(ジメチルアミノ)ジアゼニル]−4,5,6,7−テトラヒドロベンゾ[1,2−b]セレノフェン−2−カルボキサミド(化合物5)
6.3−[(ジメチルアミノ)ジアゼニル]セレノフェノ[2,3−b]ピリジン−2−カルボキサミド(化合物6)
7.3−[(ジメチルアミノ)ジアゼニル]−5−フェニルセレノフェン−2−カルボン酸(化合物7)
8.3−[(ジメチルアミノ)ジアゼニル]−5−(tert−ブチル)セレノフェン−2−カルボン酸(化合物8)
9.3−[(ジメチルアミノ)ジアゼニル]−4,5,6,7−テトラヒドロベンゾ[1,2−b]セレノフェン−2−カルボン酸(化合物9)
10.3−[(ジメチルアミノ)ジアゼニル]セレノフェノ[2,3−b]ピリジン−2−カルボン酸(化合物10)
11.3−[(ジメチルアミノ)ジアゼニル]−5−(tert−ブチル)セレノフェン−2−カルボニトリル(化合物11)
12.3−メチル−6−フェニルセレノフェノ[3,2−d]1,2,3−トリアジン−4−オン(化合物12)
13.6−(tert−ブチル)−3−メチルセレノフェノ[3,2−d]1,2,3−トリアジン−4−オン(化合物13)
14.3−メチル−6,7,8,9−テトラヒドロベンゾ[1,2−b]1,2,3−トリアジノ[4,5−d]セレノフェン−4−オン(化合物14)
15.3−メチル−1,2,3−トリアジノ[4’,5’−5,4]セレノフェノ[2,3−b]ピリジン−4−オン(化合物15)
16.3−メチルベンゾ[b]1,2,3−トリアジノ[4,5−d]セレノフェン−4−オン(化合物16)
【0057】
別の態様では、本発明は、好ましい化合物の合成、ならびに実施例1〜16に記載した該合成プロセス中に得られるその中間体を提供する。
【0058】
別の態様では、一般式(I)および(II)の化合物の医薬的に許容され得る酸(1種類または複数種)および塩基付加塩は、多種多様な有機系および無機系の酸および塩基を含むものであり、限定されないが、製薬業界で多くの場合で使用される生理学的に許容され得る塩が挙げられる。このような塩もまた、本発明の一部である。このような塩を形成するために使用される典型的な無機酸としては、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸、次亜リン酸などが挙げられる。また、脂肪族モノおよびジカルボン酸、フェニル置換アルカン酸、ヒドロキシアルカン酸およびヒドロキシアルカンジオン(alandioic)酸、芳香族の酸、脂肪族および芳香族スルホン酸などの有機酸から誘導される塩も使用され得る。したがって、このような医薬的に許容され得る塩としては、酢酸塩、フェニル酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、アクリル酸塩、アスコルビン酸塩、安息香酸塩、クロロ安息香酸塩、ジニトロ安息香酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩、メトキシ安息香酸塩、メチル安息香酸塩、桂皮酸塩、クエン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グリコール酸塩、ヘプタン酸塩、馬尿酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、ヒドロキシマレイン酸塩、マロン酸塩、マンデル酸塩、メシル酸塩、ニコチン酸塩、イソニコチン酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、フタル酸塩、テレフタル酸塩、リン酸塩、リン酸一水素塩、リン酸二水素塩、メタリン酸塩、ピロリン酸塩、プロピオール酸塩、プロピオン酸塩、フェニルプロピオン酸塩、サリチル酸塩、セバシン酸塩、コハク酸塩、スベリン酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、ピロ硫酸塩、亜硫酸塩、重硫酸塩、スルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、クロロベンゼンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩、メタンスルホン酸塩、ナフタレン−1−スルホン酸塩、ナフタレン−2−スルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、酒石酸塩などが挙げられる。
【0059】
医薬的に許容され得る塩は、一般的に、該塩が誘導される化合物の天然形態と比べて水への溶解特性が向上しており、したがって、多くの場合、液体または乳剤としてより製剤化され易く、生態学的利用能が向上したものであり得る。
【0060】
別の態様では、本発明は、さらに、一般式(I)および(II)の上記の該セレノフェン化合物および類似体ならびにその医薬的に許容され得る組成物の調製方法を提供する。
【0061】
式(I)のセレノフェノトリアゼン類似体の合成、具体的には、4−[(ジメチルアミノ)ジアゼニル]−5−メチルセレノフェン−2−カルボキサミド(化合物1)の合成は、スキームAに示す工程によってなされる。
【化7】

スキーム−A
【0062】
試薬および条件:(i)HNO、AcO、室温(rt)(ii)Fe、HCl、MeOH、還流、1時間(iii)HCl、NaNO、KCO/ジメチルアミン、0℃(iv)NH水、室温、40時間
【0063】
5−メチルセレノフェン−1−カルボン酸メチルのニトロ化によって、5−メチル−4−ニトロセレノフェン−2−カルボン酸メチルを得た。ニトロ官能性は、適当な還元剤、例えば、鉄粉末または任意の他のニトロ還元剤を用いて良好な収率でアミンに還元される。亜硝酸ナトリウムでの4−アミノ−5−メチルセレノフェン−2−カルボン酸メチルのジアゾ化後、炭酸カリウム/ジメチルアミンで処理し、4−[(ジメチルアミノ)ジアゼニル]−5−メチルセレノフェン−2−カルボン酸メチルを得る。このエステルをアンモニアで処理し、所要の4−[(ジメチルアミノ)ジアゼニル]−5−メチルセレノフェン−2−カルボキサミド(化合物1)を得た。
【0064】
式(1)のセレノフェノトリアゼン類似体の合成、具体的には、3−[(ジメチルアミノ)ジアゼニル]セレノフェン−2,5−ジカルボキサミド(化合物2)の合成は、スキームBに示す工程によってなされる。
【化8】

スキーム−B
【0065】
試薬および条件:(i)SeO、AcOH、還流、8時間(ii)AgNO、NaOH、室温、1時間(iii)HNO、HSO、0℃〜室温、2時間(iv)MeOH、SOCl、還流、2時間(v)Fe、HCl、MeOH、還流、3時間(vi)HCl、NaNO、KCO/ジメチルアミン、0℃、2時間(vii)NH水、室温、24時間
【0066】
二酸化セレンでの5−メチルセレノフェン−2−カルボン酸メチルの酸化により、5−ホルミルセレノフェン−2−カルボン酸メチルを得、これを硝酸銀でさらに酸化し、セレノフェン−2,5−ジカルボン酸を得た。セレノフェン−2,5−ジカルボン酸のニトロ化およびエステル化により、5−(メトキシカルボニル)−3−ニトロセレノフェン−2−カルボン酸メチルを良好な収率で得た。ニトロ官能性は、適当な還元剤、例えば、鉄粉末または任意の他のニトロ還元剤を用いて良好な収率でアミンに還元される。亜硝酸ナトリウムでの3−アミノ−5−(メトキシカルボニル)セレノフェン−2−カルボン酸メチルのジアゾ化後、炭酸カリウム/ジメチルアミンで処理し、3−[(ジメチルアミノ)ジアゼニル]−5−(メトキシカルボニル)セレノフェン−2−カルボン酸メチルを得る。このエステルをアンモニアで処理し、所要の3−[(ジメチルアミノ)ジアゼニル]セレノフェン−2,5−ジカルボキサミド(化合物2)を得た。
【0067】
式(I)のセレノフェノトリアゼン類似体の合成は、具体的には、化合物3と化合物4では、スキームCに示す工程によってなされる。
【化9】

スキーム−C
【0068】
試薬および条件:(i)POCl、DMF、0℃、NHOH.HCl、145〜155℃、30分間(ii)NaSe、DMF、ClCHCOOEt、NaOMe、MeOH、60〜70℃、5時間(iii)HCl、NaNO、KCO/ジメチルアミン、0℃、2時間(iv)NH水、PEG−400、室温、48時間
【0069】
3−クロロ−3−置換プロプ−2−エンニトリルを、対応するケトンを出発物質として、DMF−オキシ塩化リンを用い、続いて塩酸ヒドロキシルアミンを用いて調製する。得られた生成物をセレン化ナトリウム、クロロ酢酸エチルと、塩基の存在下で反応させると、3−アミノ−セレノフェン−2−カルボン酸3−置換エチルが良好な収率で得られる。このアミノ化合物の亜硝酸ナトリウムでのジアゾ化後、炭酸カリウム/ジメチルアミンで処理し、トリアジン化合物を得る。このエステルを、PEG−400の存在下にてアンモニアで処理し、所要の3−[(ジメチルアミノ)ジアゼニル]−5−フェニルセレノフェン−2−カルボキサミド(化合物3)と、3−[(ジメチルアミノ)ジアゼニル]−5−(tert−ブチル)セレノフェン−2−カルボキサミド(化合物4)を得た。
【0070】
式(I)のセレノフェノトリアゼン類似体の合成、具体的には、3−[(ジメチルアミノ)−ジアゼニル]−4,5,6,7−テトラヒドロベンゾ[1,2−b]セレノフェン−2−カルボキサミド(化合物5)の合成は、スキームDに示す工程によってなされる。
【化10】

スキーム−D
【0071】
試薬および条件:(i)POCl、DMF、0℃、NHOH.HC1、145〜155℃、30分間(ii)NaSe、DMF、ClCHCOOEt、NaOMe、MeOH、60〜70℃、5時間(iii)HCl、NaNO、KCO/ジメチルアミン、0℃、1時間(iv)NH水、PEG−400、室温、66時間
【0072】
シクロヘキサンを出発物質とし、DMF−オキシ塩化リンと塩酸ヒドロキシルアミンを用いて3−クロロシクロヘキソ−1−エンカルボニトリルを調製し、これをセレン化ナトリウムと反応させると、3−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロベンゾ[2,1−d]セレノフェン−2−カルボン酸エチルが良好な収率で得られる。亜硝酸ナトリウムでの3−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロベンゾ[2,1−d]セレノフェン−2−カルボン酸エチルのジアゾ化後、炭酸カリウム/ジメチルアミンで処理し、3−[(ジメチルアミノ)ジアゼニル]−4,5,67−テトラヒドロベンゾ[2,1−d]セレノフェン−2−カルボン酸メチルを得る。このエステルをアンモニアで処理し、所要の3−[(ジメチルアミノ)ジアゼニル]−4,5,6,7−テトラヒドロベンゾ[1,2−b]セレノフェン−2−カルボキサミド(化合物5)を得た。
【0073】
式(I)のセレノフェノトリアゼン類似体の合成、具体的には、3−[(ジメチルアミノ)−ジアゼニル]セレノフェノ[2,3−b]ピリジン−2−カルボキサミド(化合物6)の合成は、スキームEに示す工程によってなされる。
【化11】

スキーム−E
【0074】
試薬および条件:(i)NaSe、DMF、NaOMe、MeOH、60〜70℃、5時間(ii)HCl、NaNO、KCO/ジメチルアミン、0℃、1時間(iii)NH水、室温、16時間
【0075】
2−クロロピリジン、セレン化ナトリウムおよびクロロ酢酸エチルを出発物質として3−アミノセレノフェノ[2,3−b]ピリジン−2−カルボン酸エチルを調製し、これを亜硝酸ナトリウムでジアゾ化後、ジメチルアミンで処理すると、3−[(ジメチルアミノ)ジアゼニル]セレノフェノ[2,3−b]ピリジン−2−カルボン酸エチルが得られる。このエステルをアンモニアで処理し、所要の3−[(ジメチルアミノ)ジアゼニル]セレノフェノ[2,3−b]ピリジン−2−カルボキサミド(化合物6)を得た。
【0076】
式(I)のセレノフェノトリアゼン類似体の合成、具体的には、化合物7と化合物8の合成は、スキームFに示す工程によってなされる。
【化12】

スキーム−F
【0077】
試薬および条件:(i)MeOH、NaOH、室温、16時間
【0078】
対応する(ジメチルアミノ)ジアゼニル]セレノフェンエステルを水酸化ナトリウムで加水分解し、所要の3−[(ジメチルアミノ)ジアゼニル]−5−フェニルセレノフェン−2−カルボン酸(化合物7)と、3−[(ジメチルアミノ)ジアゼニル]−5−(tert−ブチル)セレノフェン−2−カルボン酸(化合物8)を得た。
【0079】
式(I)のセレノフェノトリアゼン類似体の合成、具体的には、3−[(ジメチルアミノ)−ジアゼニル]−4,5,6,7−テトラヒドロベンゾ[1,2−b]セレノフェン−2−カルボン酸(化合物9)の合成は、スキームGに示す工程によってなされる。
【化13】

スキーム−G
【0080】
試薬および条件:(i)MeOH、NaOH、室温、5時間
【0081】
3−[(ジメチルアミノ)ジアゼニル]−4,5,6,7−テトラヒドロベンゾ[2,1−d]セレノフェン−2−カルボン酸メチルを水酸化ナトリウムで加水分解し、所要の3−[(ジメチルアミノ)ジアゼニル]−4,5,6,7−テトラヒドロベンゾ[1,2−b]セレノフェン−2−カルボン酸(化合物9)を得た。
【0082】
式(I)のセレノフェノトリアゼン類似体の合成、具体的には、3−[(ジメチルアミノ)−ジアゼニル]セレノフェノ[2,3−b]ピリジン−2−カルボン酸(化合物10)の合成は、スキームHに示す工程によってなされる。
【化14】

スキーム−H
【0083】
試薬および条件:(i)MeOH、NaOH、室温、2時間
【0084】
3−[(ジメチルアミノ)ジアゼニル]セレノフェノ[2,3−b]ピリジン−2−カルボン酸エチルを水酸化ナトリウムで加水分解し、所要の3−[(ジメチルアミノ)ジアゼニル]セレノフェノ[2,3−b]ピリジン−2−カルボン酸(化合物10)を得た。
【0085】
式(I)のセレノフェノトリアゼン類似体の合成、具体的には、化合物11の合成はスキームIに示す工程によってなされる。
【化15】

スキーム−I
【0086】
試薬および条件:(i)NaSe、DMF、ClCHCN、NaOMe、MeOH、60〜70℃、5時間(ii)HBF、NaNO、KC0/ジメチルアミン、0℃、2時間
【0087】
3−クロロ−4,4−ジメチルペント−2−エンニトリル、セレン化ナトリウムおよびクロロアセトニトリルを出発物質として、3−アミノ−5−(tert−ブチル)セレノフェン−2−カルボニトリルを調製し、これを亜硝酸ナトリウムでジアゾ化後、ジメチルアミンで処理し、所要の3−[(ジメチルアミノ)ジアゼニル]−5−(tert−ブチル)セレノフェン−2−カルボニトリル(化合物11)を得た。
【0088】
式(II)のセレノフェノトリアゼン類似体の合成、具体的には、化合物12と化合物13の合成は、スキームJに示す工程によってなされる。
【化16】

スキーム−J
【0089】
試薬および条件:(i)NaSe、DMF、ClCHCN、NaOMe、MeOH、60〜70℃、5時間(ii)NaOH水溶液、EtOH、還流、45分間(iii)NaNO、HSO、0℃、1時間、室温、1時間(iv)CHI、KCO、アセトン、室温、16時間
【0090】
対応する3−置換3−クロロ−プロプ−2−エンニトリル、セレン化ナトリウムおよびクロロアセトニトリルを出発物質として、対応する5−置換3−アミノ−セレノフェン−2−カルボニトリルを調製し、これを水酸化ナトリウム水溶液で処理すると、対応するアミドが良好な収率で得られる。このアミンを亜硝酸ナトリウムでジアゾ化後、塩基の存在下にてヨードメタンで処理し、所要の3−メチル−6−フェニルセレノフェノ[3,2−d]1,2,3−トリアジン−4−オン(化合物12)と、6−(tert−ブチル)−3−メチルセレノフェノ[3,2−d]1,2,3−トリアジン−4−オン(化合物13)を得た。
【0091】
式(II)のセレノフェノトリアゼン類似体の合成、具体的には、化合物14の合成は、スキームKに示す工程によってなされる。
【化17】

スキーム−K
【0092】
試薬および条件:(i)NaSe、DMF、ClCHCN、NaOMe、MeOH、60℃、3時間(ii)NaOH水溶液、EtOH、還流、1時間(iii)NaNO、HSO、0℃、2時間(iv)CHI、KCO、アセトン、PEG−400、室温、16時間
【0093】
2−クロロシクロヘキソ−1−エンカルボニトリル、セレン化ナトリウムおよびクロロアセトニトリルを出発物質として、3−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロベンゾ[1,2−b]セレノフェン−2−カルボニトリルを調製し、これを水酸化ナトリウム水溶液で処理すると、対応するアミドが良好な収率で得られた。このアミンを亜硝酸ナトリウムでジアゾ化後、塩基の存在下にてヨードメタンで処理し、所要の3−メチル−6,7,8,9−テトラヒドロベンゾ[1,2−b]1,2,3−トリアジノ−[4,5−d]−セレノフェン−4−オン(化合物14)を得た。
【0094】
式(II)のセレノフェノトリアゼン類似体の合成、具体的には、化合物15と化合物16の合成は、スキームLに示す工程によってなされる。
【化18】

スキーム−L
【0095】
試薬および条件:(i)NaSe、DMF、NaOMe、MeOH、60〜70℃、3時間(ii)NaOH水溶液、EtOH、還流、45分間(iii)NaNO、HSO、0℃、2時間(iv)CHI、KCO、アセトン、PEG−400、室温、16時間
【0096】
2−クロロピリジン−3−カルボニトリルまたは2−クロロベンゾニトリル、セレン化ナトリウムおよびクロロアセトニトリルを出発物質として、対応する3−アミノ−セレノフェノカルボニトリルを調製し、これを水酸化ナトリウム水溶液で処理すると、対応するアミドが良好な収率で得られた。このアミンを亜硝酸ナトリウムでジアゾ化後、塩基の存在下にてヨードメタンで処理し、所要の3−メチル−1,2,3−トリアジノ[4’,5’−5,4]セレノフェノ[2,3−b]ピリジン−4−オン(化合物15)と、3−メチルベンゾ[b]1,2,3−トリアジノ[4,5−d]セレノフェン−4−オン(化合物16)を得た。
【0097】
別の態様では、本発明は、セレノフェノトリアゼン類似体を、医薬的に許容され得る賦形剤(1種類または複数種)または担体(1種類もしくは複数種)または希釈剤(1種類または複数種)との組み合わせにより含む医薬用または獣医用組成物(以下、本明細書において医薬組成物と称する)を提供する。
【0098】
別の態様では、本発明は、セレノフェノトリアゼン類似体を、医薬的に許容され得る賦形剤(1種類または複数種)/担体(1種類もしくは複数種)/希釈剤(1種類または複数種)との組み合わせにより含み、任意選択で、さらに、1種類以上の医薬的に許容され得る抗癌剤を含む医薬用または獣医用組成物を提供する。
【0099】
別の態様では、本発明は、セレノフェノトリアゼン類似体を、医薬的に許容され得る賦形剤(1種類または複数種)/担体(1種類もしくは複数種)/希釈剤(1種類または複数種)との組み合わせにより含み、任意選択で、さらに、1種類以上の医薬的に許容され得る抗血管新生薬を含む医薬用または獣医用組成物を提供する。
【0100】
別の態様では、本発明は、上記のメラニン標的化類似体を含むセレノフェノトリアゼン類似体を、医薬的に許容され得る賦形剤(1種類または複数種)/担体(1種類もしくは複数種)/希釈剤(1種類または複数種)との組み合わせにより含む医薬用または獣医用組成物(以下、本明細書において医薬組成物と称する)を提供する。
【0101】
別の態様では、本発明は、セレノフェノトリアゼン類似体を、医薬的に許容され得る賦形剤(1種類または複数種)/担体(1種類もしくは複数種)/希釈剤(1種類または複数種)との組み合わせにより含み、任意選択で、さらに、1種類以上の医薬的に許容され得る薬剤を含む、医薬用または獣医用組成物としての使用のための新規な組成物を提供する。
【0102】
別の態様では、医薬的に許容され得る薬剤は、抗癌剤、抗黒色腫薬、抗転移性黒色腫薬、抗血管新生薬、抗炎症薬、抗肥満薬、抗糖尿病薬、抗代謝病薬、生物学的応答修飾剤および他の化学療法薬を含むリストから選択される1種類以上の薬剤であり得る。
【0103】
別の態様では、本明細書に記載の方法の組成物は、補助剤または抗腫瘍剤などのさらなる薬剤を含んでいてもよい。抗腫瘍剤としては、限定されないが、RNAi試薬、腫瘍細胞および抗体が挙げられる。種々の実施形態において、抗腫瘍剤は、限定されないが:
5−フルオロウラシルまたは5−フルオロウラシルの医薬的に許容され得る組成物、例えば限定されないが、Adrucil(登録商標)、Carac(登録商標)、Efudex(登録商標)およびFluoroplex(登録商標)、
6−メルカプトプリンまたは医薬的に許容され得る6−メルカプトプリン組成物、例えば限定されないが、Purinethol(登録商標)、
アクチノマイシン、
アミノグルテチミドまたは医薬的に許容され得るアミノグルテチミド組成物、例えば限定されないが、Cytadren(登録商標)、
アナストロゾールまたは医薬的に許容され得るアナストロゾール組成物、例えば限定されないが、Arimidex(登録商標)、
ベバシズマブまたは医薬的に許容され得るベバシズマブ組成物、例えば限定されないが、Avastin(登録商標)、
ブレオマイシン、
カルボプラチン、
カクチノマイシン、
カペシタビンまたは医薬的に許容され得るカペシタビン組成物、例えば限定されないが、Xeloda(登録商標)、
シスプラチンまたは医薬的に許容され得るシスプラチン組成物、例えば限定されないが、Platinol(登録商標)、
クロドロン酸またはクロドロン酸の医薬的に許容され得る塩または医薬的に許容され得るクロドロン酸組成物、例えば限定されないが、Bonefos(登録商標)またはOstac(登録商標)、
シクロホスファミドまたは医薬的に許容され得るシクロホスファミド組成物、例えば限定されないが、Endoxan、Cytoxan(登録商標)、Neosar(登録商標)、Procytox(登録商標)、およびRevimmune(登録商標)、
アクチノマイシンD、
ドセタキセルまたは医薬的に許容され得るドセタキセル組成物、例えば限定されないが、Taxotere(登録商標)、
ドキソルビシンまたは医薬的に許容され得るドキソルビシン組成物、例えば限定されないが、Adriamycin(登録商標)、
エピルビシンまたは医薬的に許容され得るエピルビシン組成物、例えば限定されないが、Ellence(登録商標)およびPharmorubicin(登録商標))、
エトポシドまたは医薬的に許容され得るエトポシド組成物、例えば限定されないが、Eposin(登録商標)、Etopophos(登録商標)、Vepesid(登録商標)、およびVP−16(登録商標)、
エキセメスタンまたは医薬的に許容され得るエキセメスタン組成物、例えば限定されないが、Aromasin(登録商標)、
フルオキシメステロンまたは医薬的に許容され得るフルオキシメステロン組成物、例えば限定されないが、Halotestin(登録商標)、
レトロゾールまたは医薬的に許容され得るレトロゾール組成物、例えば限定されないが、Femara(登録商標)、
ロイコボリンカルシウム、
メゲストロールまたは酢酸メゲストロールまたは医薬的に許容され得る酢酸メゲストロール組成物、例えば限定されないが、Megace(登録商標)、
メトトレキサート、
マイトマイシンまたは医薬的に許容され得るマイトマイシン組成物、例えば限定されないが、Mutamycin(登録商標)、
ミトキサントロンまたは医薬的に許容され得るミトキサントロン組成物、例えば限定されないが、Novantrone(登録商標)、
パクリタキセルまたは医薬的に許容され得るパクリタキセル組成物、例えば限定されないが、Taxol(登録商標)、
パミドロネートまたは医薬的に許容され得るパミドロネート組成物、例えば限定されないが、Aredia(登録商標)、
プレドニゾン、
タモキシフェンまたは医薬的に許容され得るタモキシフェン組成物、例えば限定されないが、Nolvadex(登録商標)、Istubal(登録商標)、Tamofen(登録商標)、Tamone(登録商標)、Tamoplex(登録商標)、およびValodex(登録商標)、
トラスツズマブまたは医薬的に許容され得るトラスツズマブ組成物、例えば限定されないが、Herceptin(登録商標)、
チオテパ、
ビンブラスチンまたは医薬的に許容され得るビンブラスチン組成物、例えば限定されないが、Velbe(登録商標)、
ビンクリスチンまたは医薬的に許容され得るビンクリスチン組成物、例えば限定されないが、Oncovin(登録商標)、あるいは
ビノレルビンまたは医薬的に許容され得るビノレルビン組成物、例えば限定されないが、Navelbine(登録商標)
から選択される。
【0104】
別の態様では、本発明の組成物の調製に使用され得る医薬的に許容され得る、または植物系の血管新生抑制薬としては、限定されないが、アンギオスタチン、エンドスタチン、サリドマイド、オステオポンチン、マスピン、カンスタチン(canstatin)、プロリフェリン関連タンパク質、レスチン(restin)および他の関連分子から選択される1種類以上の医薬用薬剤が挙げられる。
【0105】
別の態様では、該組成物(1種類もしくは複数種)は、サイトカインなどの免疫調節因子を含むものである。サイトカインとしては、限定されないが、IFN−α、インターロイキン(IL−1、IL−2、IL−4、IL−9、IL−11、IL−12)、モノクローナル抗体、インターフェロン(インターフェロン−γ)、種々の型のコロニー刺激因子(CSF、GM−CSF、G−CSF)、TNF−α受容体遮断薬などが挙げられる。別の実施形態では、該組成物(1種類もしくは複数種)は、さらに、シクロホスファミドなどの免疫調節薬を含むものである。他の実施形態において、該組成物(1種類もしくは複数種)は、補助剤を含むものである。
【0106】
別の態様では、本発明の化合物(1種類もしくは複数種)または組成物(1種類もしくは複数種)は、1種類以上の治療法、例えば限定されないが、抗血管形成療法、化学療法、サイトカイン療法、放射線療法、遺伝子療法、ホルモン療法、外科治療、生物学的療法またはその組み合わせによりの癌の治療に有用である。
【0107】
別の態様では、本発明の化合物(1種類もしくは複数種)または組成物(1種類もしくは複数種)は、癌細胞の起源が任意の身体の一部、および限定されないが、脳、肺、副腎、下垂体、乳房、前立腺、膵臓、卵巣、胃腸管、腎臓、肝臓、脾臓、精巣、頚部、食道上部、下部または中部などのヒトの身体の任意の器官であり得、原発性、続発性または第三次(tertiary)腫瘍のいずれかであるあらゆる型の癌の治療に有用である。
【0108】
別の態様では、本発明の化合物(1種類もしくは複数種)または組成物(1種類もしくは複数種)は、潜在的に有用なアポトーシスマーカー、例えば限定されないが、切断サイトケラチン−18(c−CK18)、切断カスパーゼ−3(c−cas−3)、切断ラミンA(c−lam−A)、リン酸化ヒストンH2AX(TH2AX)、切断ポリ(ADPリボース)ポリメラーゼ(c−PARP)の改善、ならびにアポトーシス誘導因子(AIF)、Bcl−2会合Xタンパク質(Bax)、Claudin−18(CLD−18)、サイトケラチン−18(CK 18)、Apo 2.7およびApo−2リガンド/(TNF)関連アポトーシス誘導リガンドのトランスロケーションに有用である。
【0109】
別の態様では、本発明の新規な化合物および組成物はまた、強力な血管新生阻害物質であり、単独または医薬組成物(1種類もしくは複数種)として、疾患、例えば限定されないが、癌、癌関連、癌随伴、血管新生関連および他の血管系疾患の予防、治療および治癒に有効に使用され得る。
【0110】
別の態様では、本発明は、転移性悪性黒色腫ならびに固形腫瘍である癌腫および他のあらゆる癌、例えば限定されないが、リンパ腫、肉腫、白血病および神経膠腫に対する、単独、または他の承認された化学療法薬との組み合わせのいずれかでの、一般式(I)および(II)の新規なセレノフェノトリアゼン類似体、その幾何異性形態、立体異性体、立体配置異性体、多形、水和物、溶媒和物ならびにその医薬的に許容され得る塩の使用に関する。
【0111】
別の態様では、本発明は、さらに、血管新生の阻害、ならびに血管新生調節因子(限定されないが、VEGF、PDGF、TGF−βおよびFGFが挙げられる)の改善を必要とする温血動物における該阻害方法ならびに該改善のための方法であって、治療有効量の一般式(I)もしくは式(II)のセレノフェノトリアゼン類似体またはその医薬組成物(1種類もしくは複数種)を投与することを含む方法を提供する。
【0112】
別の態様では、本発明は、内皮細胞および血管平滑筋細胞の増殖、遊走、浸潤を修飾することによる脈管構造のリモデリングを必要とする温血動物における、
該リモデリングのための方法を提供する。
【0113】
本発明は、TGF−β欠損と関連している血管適応症を有する、または該血管適応症のリスクのある哺乳動物の治療方法を提供する。別の好ましい実施形態は、TGF−β受容体に対する結合能を有するTGF−βのレベルを増大させる薬剤である。
【0114】
別の態様では、本発明の医薬組成物は、該組成物が被検体に投与されることを可能にする任意の形態であり得る。例えば、該組成物は、固体、液体または気体(エーロゾル)の形態であり得る。典型的な投与経路としては、限定されないが、局所、非経口、舌下、腹腔内(IP)、静脈内(IV)、経口(PO)、筋肉内(IM)、皮内(IC)、真皮内(ID)、子宮内および直腸内が挙げられる。非経口という用語は、本明細書で用いる場合、皮下注射、静脈内、筋肉内、胸骨内注射または注入手法が挙げられる。本発明の医薬組成物は、該組成物を被検体に投与すると、内包された活性成分が生物学的利用能を有し得るように製剤化される。投与される組成物には1種類以上の単位投与形態が採用され、ここで、例えば、錠剤は単独の用量単位であり得、局所形態のトリアゼン類似体の容器は複数の用量単位を保持したものであり得、乳剤状態の異なる大きさのナノ粒子が、それを必要とする温血動物に対して使用される。
【0115】
別の態様では、本発明の医薬組成物は、任意の形態の薬剤送達系で、例えば限定されないが、リポソーム系、ポリマー界面活性剤系、生分解性ブロックコポリマー、マイクロカプセル封入およびナノ粒子で送達され得る。さらに、ナノ粒子薬剤送達には、ポリマー−脂質ハイブリッドナノ粒子系、カーボンナノチューブ、液体充填ナノ粒子、キトサンナノ粒子封入リポソーム、有機修飾シリカナノ粒子、フルオロカーボンナノ粒子およびデンドリマーナノテクノロジーが包含され得る。
【0116】
別の態様では、本発明の医薬組成物は、医薬を必要とする温血動物における使用のための該医薬の調製に有用であり得る。
【0117】
医薬組成物(1種類もしくは複数種)中の活性成分(1種類または複数種)の至適用量がさまざまな要素に依存することは、当業者には明らかであろう。関連する要素としては、限定されないが、被検体の型(例えば、ヒト)、活性成分の具体的な形態、投与様式および使用される組成物(1種類もしくは複数種)が挙げられる。
【0118】
別の態様では、本発明の医薬組成物(1種類もしくは複数種)は、本明細書に記載の一般式(I)または(II)の化合物を、1種類以上の担体と混合された状態で含むものであり得る。担体(1種類もしくは複数種)は、該組成物が、例えば、錠剤または散剤の形態となるように粒状であり得る。担体(1種類もしくは複数種)は液体であってもよく、該組成物は、例えば、経口シロップ剤または注射用液体となる。また、担体(1種類もしくは複数種)は、例えば、吸入による投与に有用なエーロゾル組成物が得られるように気体であってもよい。
【0119】
別の態様では、本発明は、本発明の化合物の任意の適当な形態での投与を提供する。経口投与が意図される場合、該組成物は、好ましくは、固形形態または液状形態のいずれかであり、ここで、半固体、半液体、懸濁液およびゲルの形態は、本明細書において固体または液体のいずれかとみなされる形態に包含される。
【0120】
別の態様では、経口投与のための固形組成物は、散剤、顆粒剤、圧縮錠剤、丸剤、カプセル剤、チューインガム、カシェ剤などの形態に製剤化され得る。このような固形組成物には、典型的に、1種類以上の不活性な希釈剤または食用担体が含まれる。また、以下の補助剤:結合剤(カルボキシメチルセルロース、エチルセルロース、微晶質セルロース、またはゼラチンなど)、賦形剤(デンプン、ラクトースまたはデキストリンなど)、崩壊剤(アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、プリモゲル、コーンスターチなど)など、滑沢剤(ステアリン酸マグネシウムまたはステロテックスなど)、流動促進剤(コロイド状二酸化ケイ素など)、甘味剤(スクロースまたはサッカリンなど)、香味剤(ペパーミント、サリチル酸メチルまたはオレンジフレーバーなど)、および着色剤のうちの1種類以上を存在させてもよい。
【0121】
別の態様では、該組成物は、カプセル剤、例えば、ゼラチンカプセル剤として製剤化され得、これには、上記の型の物質に加えて、ポリエチレングリコールまたは脂肪油などの液状担体が含有され得る。該組成物は、液体の形態、例えば、エリキシル剤、シロップ剤、液剤、乳剤または懸濁剤であり得る。該液体は、2つの例として、経口投与用、または注射による送達用のものであり得る。経口投与が意図される場合、好ましい組成物は、本発明の化合物に加えて、甘味剤、保存料、色素/着色料および風味相乗剤のうちの1種類以上を含むものである。注射による投与が意図される組成物では、界面活性剤、保存料、湿潤剤、分散化剤、懸濁化剤、バッファー、安定剤および等張剤のうちの1種類以上が含まれ得る。
【0122】
別の態様では、本発明の液状医薬組成物(液剤、懸濁剤などのいずれか形態であってもよい)には、以下の補助剤:滅菌希釈剤、例えば、注射用水、食塩水、好ましくは生理食塩水、リンゲル液、等張性塩化ナトリウム、溶媒もしくは懸濁媒体としての機能を果たし得る固定油(合成モノもしくはグリセリドなど)、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコールまたは他の溶媒、抗菌剤(ベンジルアルコールまたはメチルパラベンなど)、酸化防止剤(アスコルビン酸または重硫酸ナトリウムなど)、キレート剤(エチレンジアミン四酢酸など)、バッファー(酢酸塩、クエン酸塩またはリン酸塩など)および張度の調整のための薬剤(塩化ナトリウムまたはデキストロースなど)のうちの1種類以上が含まれ得る。非経口調製物は、ガラス製またはプラスチック製のアンプル、使い捨てシリンジまたは複数回投与バイアル内に封入され得る。生理食塩水は好ましい補助剤である。一般式(I)または(II)の本発明の化合物を含む注射用医薬組成物は、好ましくは滅菌されている。
【0123】
別の態様では、該組成物には、固体または液体の用量単位の物理的形態を修飾する種々の物質が含有され得る。例えば、該組成物には、固体または液体の用量単位の物理的形態を修飾する種々の物質が含有され得る。例えば、該組成物には、活性成分の周囲にコーティングシェルを形成する物質が含有され得る。コーティングシェルを形成する物質は、典型的には不活性であり、例えば、糖、シェラックおよび他の腸溶コーティング剤から選択され得る。あるいはまた、活性成分をゼラチンカプセル内に封入してもよい。
【0124】
別の態様では、固体または液体の形態の該組成物には、活性メラニン標的化類似体成分(1種類もしくは複数種)またはその誘導体に結合し、それにより活性成分の送達を補助する薬剤が含有され得る。この能力において奏効し得る好適な薬剤は、主鎖部分として単環式、二環式、三環式、多環式芳香族、複素環式の疎水性環系を含むものである。
【0125】
別の態様では、本発明の医薬組成物は、気体の用量単位からなるものであってもよく、例えば、エーロゾルの形態であり得る。エーロゾルという用語は、コロイド状の性質のものから加圧パッケージからなる系に及ぶ、さまざまな系を表すために用いている。送達は、液化ガスもしくは圧縮ガスによるもの、または活性成分を施薬する適当なポンプ系によるものであり得る。本発明の化合物のエーロゾルは、活性成分(1種類または複数種)を送達するための任意の適当な形態(単相系、二相系または三相系など)で送達され得る。エーロゾルの送達は、ともにキットを構成し得る必要な容器、賦活体、弁、補助容器、スペーサーなどを含む。好ましいエーロゾルは、必要以上に実験を行うことなく当業者によって決定され得る。
【0126】
別の態様では、本発明は、有効量の本発明の化合物または組成物(1種類または複数種)を用いて黒色腫および他の癌を有する細胞疾患を治療する治療方法に関する。このような細胞は、典型的には哺乳動物細胞である。有効量の該類似体または誘導体を投与する方法は当該技術分野でよく知られており、吸入、経口または非経口形態での投与が挙げられる。このような投与形態としては、限定されないが、非経口液剤、錠剤、カプセル剤、徐放性埋入物および経皮送達系、または乾燥粉末吸入器または加圧式複数回投与吸入デバイスが使用される吸入投薬系が挙げられる。投薬の量および頻度は、有害作用を伴わずに薬剤の有効レベルがもたらされるように選択される。一般的に、有効性を示す用量範囲は、約0.1〜500mg/kg/日、典型的には、経口または静脈内投与される場合は約2〜100mg/kg/日、鼻腔内または吸入によって投与される場合は約0.1〜4mg/kg/日である。
【0127】
別の態様では、非経口投与または経口投与のいずれかが意図される液状組成物は、治療有効量の一般式(I)または(II)の本発明の化合物を含むものであるのがよい。典型的には、この量は該組成物の少なくとも0.01%である。経口投与が意図される場合、この量は、該組成物の重量の0.01〜70%の間で異なり得る。好ましい経口組成物は、4%〜約50%の活性トリアゼン化合物を含むものである。本発明による好ましい組成物および調製物は、非経口用量単位に0.01重量%〜1重量%の本発明の化合物が含まれるように調製される。
【0128】
別の態様では、本発明の医薬組成物は、局所投与(この場合、担体は、液剤、乳剤、軟膏またはゲル基剤を適当に構成するものであり得る)などの任意の適当な投与が意図され得る。基剤は、例えば、以下:ワセリン、ラノリン、ポリエチレングリコール、蜜蝋、鉱物油、希釈剤(水およびアルコールなど)、ならびに乳化剤および安定剤の1種類以上を含むものであり得る。局所投与のための医薬組成物には、増粘剤を存在させてもよい。経皮投与が意図される場合、該組成物としては、経皮パッチまたはイオン導入デバイスが挙げられ得る。局所用製剤には、約0.1〜約10%w/v(単位容積あたりの重量)の濃度の本発明の化合物が含有され得る。
【0129】
別の態様では、本発明の組成物は、例えば、坐剤(これは、直腸内で融解し、薬剤を放出する)の形態での経直腸投与が意図されるものであり得る。経直腸投与のための組成物には、適当な非刺激性賦形剤として油性基剤が含有され得る。このような基剤としては、限定されないが、ラノリン、ココアバターおよびポリエチレングリコールが挙げられる。
【0130】
別の態様において、本発明では、注射による投与が意図される組成物が、セレノフェノトリアゼン類似体またはその誘導体を水と、溶液を形成するように合わせることにより調製され得る投与方法を使用する。界面活性剤は、均一な溶液または懸濁液の形成を助長するために添加され得る。界面活性剤は、水性送達系中でのトリアゼン類似体または誘導体の溶解または均一な懸濁が助長されるように、該トリアゼン類似体または誘導体と非共有結合的に相互作用する化合物である。
【0131】
別の態様では、一般式(I)および(II)の本発明のセレノフェノトリアゼン類似体は、治療を必要とする温血動物における黒色腫、ホジキンリンパ腫、癌腫、肉腫、神経膠腫および他の癌の治療に使用される。
【0132】
別の実施形態では、本発明は、転移性悪性黒色腫ならびに固形腫瘍である癌腫および固形物質、血液系(liquid)またはリンパ系起源の他のあらゆる癌(例えば、限定されないが、リンパ腫、肉腫および神経膠腫)の治療方法であって、該治療を必要とする温血動物に、一般式(I)および(II)の新規なセレノフェン化合物、その幾何異性形態、立体異性体、立体配置異性体、多形、水和物、溶媒和物ならびにその医薬的に許容され得る塩から選択される少なくとも1種類の化合物の治療有効用量を投与することを含む方法に関する。
【0133】
別の態様では、本発明は、転移性悪性黒色腫ならびに固形腫瘍である癌腫および他のあらゆる癌(例えば、限定されないが、リンパ腫、肉腫および神経膠腫)の治療方法であって、該治療を必要とする温血動物に、一般式(I)および(II)の新規なセレノフェン化合物、その幾何異性形態、立体異性体、立体配置異性体、多形、水和物、溶媒和物ならびにその医薬的に許容され得る塩をから選択される少なくとも1種類の化合物を、医薬的に許容され得る賦形剤(1種類または複数種)/希釈剤(1種類または複数種)/担体(1種類または複数種)との組み合わせにより含み、さらに、任意選択で1種類以上の薬剤を含む組成物の治療有効用量を投与することを含む方法に関する。
【0134】
本発明を、以下に示す実施例によって示す。実施例は、一例として示しているにすぎず、本発明の範囲を限定するものとみなされるべきでない。当業者に自明の変形および変更は、添付の特許請求の範囲に規定される本発明の範囲および性質に含まれることを意図する。
【実施例】
【0135】
【実施例1】
【0136】
4−[(ジメチルアミノ)ジアゼニル]−5−メチルセレノフェン−2−カルボキサミド(化合物1)の合成:
【化19】

工程a:
5−メチル−4−ニトロセレノフェン−2−カルボン酸メチル:5−メチルセレノフェン−2−カルボン酸メチル(5.4g,26.6mmol)の無水酢酸(15mL)氷冷(0〜10℃)溶液に、硝酸(5.5mL,61.1mmol,70%)と無水酢酸(10mL)の氷冷混合物を10分間添加した。反応混合物を1時間、ゆっくりと室温まで冷却し、室温(rt)で16時間攪拌した。混合物を氷冷水に注入し、10分間攪拌した。この溶液をクロロホルム(3×100mL)で抽出し、合わせた有機層を水、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させた。この溶液を濾過し、溶媒を蒸発させた。残渣をシリカゲルカラムでクロマトグラフィー処理し(ヘキサン−酢酸エチル(90:10)を溶離液として使用)、生成物を薄黄色固形物として得た(2.3g,35%)、mp 90〜92℃.H NMR(400MHz,CDCl):δ 8.54(1H,s,H−3)、3.90(3H,s,−COOCH)、2.90(3H,s,−CH)。
【0137】
工程b:
4−アミノ−5−メチルセレノフェン−2−カルボン酸メチル:5−メチル−4−ニトロセレノフェン−2−カルボン酸メチル(2.3g,9.28mmol)の水(5mL)/メタノール(40mL)混合物溶液に、濃塩酸(1.0mL)を添加した。上記の溶液に、鉄粉末(2.6g,46.4mmol)を添加した後、塩化アンモニウム(2.5g,46.4mmol)を室温で添加した。反応混合物を1時間還流し、次いで室温まで放冷した。この溶液を濾過し、飽和重炭酸ナトリウム溶液で塩基性化した。この溶液を酢酸エチル(4×100mL)で抽出し、合わせた有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過した。溶媒を蒸発させ、残渣をシリカゲルカラムでクロマトグラフィー処理し(ヘキサン−酢酸エチル(80:20)を溶離液として使用)、4−アミノ−5−メチルセレノフェン−2−カルボン酸メチルを得た(1.6g,79%)、mp 66〜68℃.H NMR(400MHz,DMSO−d):δ 7.57(1H,s,H−3)、4.72(2H,br s,−NH)、3.73(3H,s,−COOCH)、2.24(3H,s,−CH)。
【0138】
工程c:
4−[(ジメチルアミノ)ジアゼニル]−5−メチルセレノフェン−2−カルボン酸メチル:4−アミノ−5−メチルセレノフェン−2−カルボン酸メチル(1.2g,5.5mmol)と濃HCl(2.2mL,0.803g,22mmol)の水(12.5mL)溶液に、亜硝酸ナトリウム(0.42g,6.05mmol)を分割して、0℃で5分間添加した。0〜5℃で0.5時間攪拌後、反応混合物を、炭酸カリウム(2.9g,20.9mmol)とジメチルアミン(2.23mL,40%,19.8mmol)の水(15.6mL)溶液に0℃で添加した。混合物を0〜10℃で1時間攪拌し、氷冷水に注入した。この溶液をクロロホルム(3×100mL)で抽出し、合わせたクロロホルム層を水、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させた。この溶液を濾過し、溶媒を蒸発させた。残渣をシリカゲルカラムでクロマトグラフィー処理し(ヘキサン−EtOAc(95:5)を溶離液として使用)、生成物を緑色固形物として得た(550mg,36%)、mp 80〜82℃.IR(未希釈)νmax 2949、1708、1242、1175、1150、1071、1054、920、876cm−1H NMR(400MHz,CDCl):δ 8.21(1H,s,H−3)、3.84(3H,s,−COOCH)、3.27(6H,br s,−N(CH)、2.62(3H,s,Ar−CH)、LC−MS(ポジティブイオンモード):m/z 276(M+H)+。
【0139】
工程d:
4−[(ジメチルアミノ)ジアゼニル]−5−メチルセレノフェン−2−カルボキサミド:水酸化アンモニウム(40mL)の氷冷(0〜5℃)溶液に、4−[(ジメチルアミノ)ジアゼニル]−5−メチルセレノフェン−2−カルボン酸メチル(550mg)のTHF(10mL)溶液を5分間添加し、室温で40時間攪拌した。この溶液を氷冷水に注入し、クロロホルム(3×100mL)で抽出した。合わせた有機層を水、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させた。この溶液を濾過し、溶媒を蒸発させた。残渣をシリカゲルカラムでクロマトグラフィー処理し(クロロホルム−メタノール(96:4)を溶離液として使用)、生成物をオフホワイト色固形物として得た(220mg,42%)、mp 170〜172℃.IR(未希釈)νmax 3385、3188、2914、1644、1604、1326、1120、1066cm−1H NMR(400MHz,CDCl):δ 7.87(1H,s,H−3)、5.67(2H,br s,−CONH)、3.28(6H,br s,N(CH)、2.63(3H,s,Ar−CH)、LC−MS(ポジティブイオンモード):m/z 261,259(M+H)
【実施例2】
【0140】
3−[(ジメチルアミノ)ジアゼニル]セレノフェン−2,5−ジカルボキサミド(化合物2)の合成:
【化20】

工程a:
5−ホルミルセレノフェン−2−カルボン酸メチル:5−メチルセレノフェン−2−カルボン酸メチル(5.0g,24.6mmol)の酢酸(30mL)溶液に、二酸化セレン(10.84g,98.4mmol)を室温で添加し、混合物を8時間還流した。冷却した反応混合物を氷冷水に注入し、15分間攪拌した。この溶液をクロロホルム(3×100mL)で抽出し、合わせた有機層を水、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させた。この溶液を濾過し、溶媒を蒸発させた。残渣をシリカゲルカラムでクロマトグラフィー処理し(ヘキサン−EtOAc(9:1)を溶離液として使用)、生成物を薄黄色固形物として得た(4.0g,75%)、mp 63〜65℃、H NMR(400MHz,CDCl):δ 9.84(1H,s,−CHO)、8.11(1H,d,J=4.0Hz,H−3)、7.99(1H,d,J=4.0Hz,H−4)、3.92(3H,s,−COOCH)。
【0141】
工程b:
セレノフェン−2,5−ジカルボン酸:硝酸銀(6.26g,36.86mmol)の水(10mL)溶液を、5−ホルミルセレノフェン−2−カルボン酸メチル(4.0g,18.43mmol)に0℃で5分間添加した。次いで、この反応混合物に、水酸化ナトリウム(3.05g,76.34mmol)の水(10mL)溶液を同じ温度で5分間添加し、混合物を室温(rt)で1時間攪拌した。冷却した反応混合物を氷冷水に注入し、希HClで酸性化した。この溶液を酢酸エチル(3×100mL)で抽出し、合わせた有機層を水、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させた。この溶液を濾過し、溶媒を蒸発させ、生成物をオフホワイト色固形物として得た(3.2g,80%)、mp 293〜295℃.H NMR(400MHz,DMSO−d):δ 13.48(2H,br s,2×−COOH)、7.82(2H,s,H−3,4)、LC−MS(ネガティブイオンモード):m/z 219,217(M−H)
【0142】
工程c:
3−ニトロセレノフェン−2,5−ジカルボン酸:硝酸(5.65mL,125.55mmol,70%)を、セレノフェン−2,5−ジカルボン酸(11g,50.2mmol)と硫酸(21.87mL,401.77mmol)の混合物に、0〜5℃で15分間ゆっくり添加した。混合物をゆっくり攪拌しながら2時間で室温まで冷却し、氷冷水に注入し、30分間攪拌した。この溶液を酢酸エチル(3×200mL)で抽出し、合わせた有機層を水、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させた。この溶液を濾過し、溶媒を蒸発させ、生成物を薄黄色固形物として得た(10g,76%,これは2種類の化合物の混合物である)。
【0143】
工程d:
5−(メトキシカルボニル)−3−ニトロセレノフェン−2−カルボン酸メチル:3−ニトロセレノフェン−2,5−ジカルボン酸(10g,37.73mmol、2種類の化合物の混合物)のメタノール(100mL)溶液に、塩化チオニル(10.9mL,150.92mmol)を、攪拌下、氷冷温度で滴下した。反応混合物を2時間還流し、室温まで冷却した。混合物を氷冷水に注入し、15分間攪拌した。この溶液をクロロホルム(3×200mL)で抽出し、合わせた有機層を水、希重炭酸ナトリウム溶液、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過した。溶媒を蒸発させ、残渣をシリカゲルカラムでクロマトグラフィー処理し(ヘキサン−酢酸エチル(95:5)を溶離液として使用)、生成物を薄黄色油状物として得た(8.5g,2種類の化合物の密な混合物)。この油状生成物をヘキサン(10mL)とともに攪拌し、ヘキサン層をデカンテーションした。このプロセスをさらに3回繰り返し、生成物を黄色固形物として得た(7.85g、71%)。同定のため、少量の試料をヘキサン−クロロホルムから再結晶させた、IR(未希釈)νmax 3426、1729、1537、1248、1079、1020cm−1H NMR(400MHz,CDCl):δ 8.33(1H,s,H−4)、3.95(3H,s,−COOCH)、3.94(3H,s,−COOCH)、13C NMR(100MHz,CDCl):δ 161.5、160.7、148.6、141.3、141.2、130.0、53.7、53.2。
【0144】
工程e:
3−アミノ−5−(メトキシカルボニル)セレノフェン−2−カルボン酸メチル:5−(メトキシカルボニル)−3−ニトロセレノフェン−2−カルボン酸メチル(8.0g,27.3mmol)の水(20mL)/メタノール(150mL)混合物溶液に、濃塩酸(2.75mL,27.3mmol)を添加した。上記の溶液に、鉄粉末(7.64g,136.5mmol)を添加した後、塩化アンモニウム(7.3g,136.5mmol)を室温で添加した。反応混合物を3時間還流し、次いで室温まで放冷した。この溶液を濾過し、飽和重炭酸ナトリウム溶液で塩基性化した。この溶液を酢酸エチル(4×200mL)で抽出し、合わせた有機層をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過した。溶媒を蒸発させ、残渣をシリカゲルカラムでクロマトグラフィー処理し(ヘキサン−酢酸エチル(95:5)を溶離液として使用)、生成物を薄黄色固形物として得た(5.8g,41%)、mp 144〜146℃.IR(未希釈)νmax 3449、3339、1673、1604、1556、1285、1217、1125、1023cm−1H NMR(400MHz,CDCl):δ 7.55(1H,s,H−4)、5.57(2H,s,−NH)、3.86(3H,s,−COOCH)、3.82(3H,s,−COOCH)、LC−MS(ネガティブイオンモード):m/z 264、262(M−H)
【0145】
工程f:
3−[(ジメチルアミノ)ジアゼニル]−5−(メトキシカルボニル)セレノフェン−2−カルボン酸メチル:3−アミノ−5−(メトキシカルボニル)セレノフェン−2−カルボン酸メチル(0.6g,2.28mmol)と濃HCl(1.0mL,9.12mmol)の水(5.7mL)溶液に、亜硝酸ナトリウム(173mg,2.51mmol)を分割して、0℃で5分間添加した。0〜5℃で0.5時間攪拌後、反応混合物を、炭酸カリウム(1.1g,8.66mmol)とジメチルアミン(1.0mL,40%,8.21mmol)の水(6.8mL)溶液に0℃で添加した。混合物を0〜5℃で2時間攪拌し、氷冷水に注入した。この溶液をクロロホルム(3×100mL)で抽出し、合わせたクロロホルム層を水、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させた。この溶液を濾過し、溶媒を蒸発させた。残渣をシリカゲルカラムでクロマトグラフィー処理し(ヘキサン−EtOAc(90:10)を溶離液として使用)、生成物を橙色固形物として得た(250g,34%)、mp 122〜124℃.H NMR(400MHz,CDCl):δ 8.29(1H,s,H−4)、3.88(3H,s,−COOCH)、3.87(3H,s,−COOCH)、3.52(3H,s,−N−CH)、3.28(3H,s,−N−CH)、LC−MS(ポジティブイオンモード):m/z 320、318(M+H)+。
【0146】
工程g:
3−[(ジメチルアミノ)ジアゼニル]−セレノフェン−2,5−ジカルボキサミド:水酸化アンモニウム(36mL)の氷冷(0〜5℃)溶液に、3−[(ジメチルアミノ)ジアゼニル]−5−(メトキシカルボニル)セレノフェン−2−カルボン酸メチル(650mg)のTHF(15mL)溶液を5分間添加し、室温で24時間攪拌した。この溶液を氷冷水に注入し、クロロホルム(3×100mL)で抽出した。合わせた有機層を水、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させた。この溶液を濾過し、溶媒を蒸発させた。残渣をシリカゲルカラムでクロマトグラフィー処理し(クロロホルム−メタノール(92:8)を溶離液として使用)、生成物をオフホワイト色固形物として得、これを、クロロホルム−メタノールから再結晶させた(180mg,30%)、mp 266〜268℃.IR(KBr)νmax 3436、3347、3173、2920、1645、1609、1336、1198、1108、879、801cm−1H NMR(400MHz,DMSO−d):δ 8.28(1H,s,H−4)、8.13(1H,br s,−CONH)、7.90(1H,br s,−CONH)、7.80(1H,br s,−CONH)、7.50(1H,br s,−CONH)、3.57(3H,s,−N−CH)、3.19(3H,s,−N−CH)、13C NMR(100MHz,DMSO−d):δ 163.9、163.7、150.7、147.0、135.1、123.3、43.5、36.7、LC−MS(ポジティブイオンモード):m/z 288、290(M+H)
【実施例3】
【0147】
3−[(ジメチルアミノ)ジアゼニル]−5−フェニルセレノフェン−2−カルボキサミド(化合物3)の合成:
【化21】

工程a:
3−クロロ−3−フェニルプロプ−2−エンニトリル:氷冷(0〜5℃)ジメチルホルムアミド(2.56mL,33.32mmol)にオキシ塩化リン(1.56mL,16.66mmol)を、攪拌しながら15分間滴下した。この冷混合物に、反応混合物の温度を45〜55℃に維持しながら、アセトフェノン(1.0g,8.3mmol)を10分間滴下した。反応混合物をゆっくり室温まで冷却し、30分間放置した。この反応混合物に、総量0.5mLの塩酸ヒドロキシルアミン(2.31g,33.32mmol)の乾燥DMF(3.3mL)溶液を添加し、混合物を70〜80℃で5分間攪拌した。次いで、残りの塩酸ヒドロキシルアミンのDMF溶液を、その後に、反応混合物の温度が145〜155℃より上に上昇するような速度で添加した。添加終了後、反応混合物を30分間で室温まで冷却し、冷水(100mL)で希釈した。この溶液をクロロホルム(3×100mL)で抽出し、クロロホルム層を水、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させた。この溶液を濾過し、溶媒を蒸発させた。残渣をシリカゲルでクロマトグラフィー処理し(ヘキサン−酢酸エチル(98:2)を溶離液として使用)、生成物を油状物として得た(0.72g,53%)。H NMR(400MHz,CDCl):δ 7.64−7.67(2H,m,Ar−H)、7.43−7.53(3H,m,Ar−H)、6.02(1H,s,=CH)。
【0148】
工程b:
セレン化ナトリウムの調製:セレン(0.83g)を、水酸化ナトリウム(2.32g)とホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウム(3.84g)の水(11mL)溶液に添加した。50℃で1時間攪拌後、白色の析出物を窒素雰囲気下で濾過し、速やかに次の工程で使用した。
【0149】
3−アミノ−5−フェニルセレノフェン−2−カルボン酸エチル:セレン化ナトリウム(1.31g,10.4mmol)のDMF(10.5mL)懸濁液に、3−クロロ−3−フェニルプロプ−2−エンニトリル(1.7g,10.4mmol)のDMF(4mL)溶液を室温(rt)で5分間添加し、混合物を60〜70℃で2時間攪拌した。次いで、クロロ酢酸エチル(1.1mL,10.4mmol)を反応混合物に滴下し、再度、60〜70℃で2時間攪拌した。次いで、ナトリウムメトキシド(0.56g,10.4mmol)のメタノール(6.5mL)溶液を滴下し、攪拌を同じ温度で1時間継続した。混合物を室温まで冷却し、冷水に注入し、15分間攪拌した。この溶液をクロロホルム(3×100mL)で抽出し、合わせたクロロホルム層を水、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させた。この溶液を濾過し、溶媒を蒸発させた。残渣をシリカゲルでクロマトグラフィー処理し(ヘキサン−酢酸エチル(90:10)を溶離液として使用)、生成物を薄黄色固形物として得た(1.2g,40%)、mp 88〜90℃.IR(未希釈)νmax 3439、3360、3337、2923、1656、1602、1295、1219、1168、1128、1072、771cm−1H NMR(400MHz,CDCl):δ 7.51−7.54(2H,m,Ar−H)、7.34−7.40(3H,m,Ar−H)、7.04(1H,s,H−4)、5.60(2H,br s,−NH)、4.28(2H,q,J=7.0Hz,−COOCH−)、1.35(3H,t,J=7.0Hz,−COOCHCH)、LC−MS(ポジティブイオンモード):m/z 318,316(M+Na)
【0150】
工程c:
3−[(ジメチルアミノ)ジアゼニル]−5−フェニルセレノフェン−2−カルボン酸エチル:3−アミノ−5−フェニルセレノフェン−2−カルボン酸エチル(0.6g,2.03mmol)と濃HCl(0.79mL,8.12mmol)の水(4.7mL)溶液に、亜硝酸ナトリウム(150mg,2.23mmol)を分割して、0℃で5分間添加した。0〜5℃で1時間攪拌後、反応混合物を、炭酸カリウム(1.06g,7.7mmol)とジメチルアミン(0.82mL,40%,7.3mmol)の水(5.7mL)溶液に0℃で添加した。混合物を0〜5℃で2時間攪拌し、氷冷水に注入した。この溶液をクロロホルム(3×100mL)で抽出し、合わせた層を水、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させた。この溶液を濾過し、溶媒を蒸発させた。残渣をシリカゲルカラムでクロマトグラフィー処理し(ヘキサン−EtOAc(90:10)を溶離液として使用)、生成物を暗赤色固形物として得た(310g,44%)、mp 82〜84℃.H NMR(400MHz,CDCl):δ 7.80(1H,s,H−4)、7.58−7.60(2H,m,Ar−H)、7.31−7.40(3H,m,Ar−H)、4.33(2H,q,J=7.0Hz,−COOCH−)、3.53(3H,s,−N−CH)、3.29(3H,s,−N−CH)、1.37(3H,t,J=7.0Hz,−COOCHCH)、LC−MS(ポジティブイオンモード):m/z 372、374(M+Na)
【0151】
工程d:
3−[(ジメチルアミノ)ジアゼニル]−5−フェニルセレノフェン−2−カルボキサミド:水酸化アンモニウム(160mL)の氷冷(0〜5℃)溶液に、3−[(ジメチルアミノ)ジアゼニル]−5−フェニルセレノフェン−2−カルボン酸エチル(1.2g)のTHF(25mL)溶液を5分間添加し、触媒量のPEG−400を添加し、室温で48時間攪拌した。この溶液を氷冷水に注入し、クロロホルム(3×100mL)で抽出した。合わせた有機層を水、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させた。この溶液を濾過し、溶媒を蒸発させた。残渣をシリカゲルカラムでクロマトグラフィー処理し(クロロホルム−メタノール(94:6)を溶離液として使用)、生成物をオフホワイト色固形物として得、これを、クロロホルム−ヘキサンから再結晶させた(270mg,31%)、mp 222〜224℃.IR(未希釈)νmax 3346、2927、2850、1645、1594、1221、1113、1019、875、850cm−1H NMR(400MHz,CDCl):δ 8.25(1H,s,−CONH)、7.87(1H,s,H−4)、7.57−7.60(2H,m,Ar−H)、7.30−7.40(3H,m,Ar−H)、6.18(1H,br s,−CONH)、3.58(3H,s,−N−CH)、3.19(3H,s,−N−CH)、13C NMR(100MHz,DMSO−d):δ 165.6、152.1、151.9、136.1、131.1、128.9、128.5、126.2、118.1、43.7、36.6、LC−MS(ポジティブイオンモード):m/z 343、345(M+Na)
【実施例4】
【0152】
3−[(ジメチルアミノ)ジアゼニル]−5−(tert−ブチル)セレノフェン−2−カルボキサミド(化合物4)の合成:
【化22】

工程a:
3−クロロ−4,4−ジメチルペント−2−エンニトリル:氷冷(0〜5℃)ジメチルホルムアミド(6.2mL,80mmol)にオキシ塩化リン(3.75mL,40mmol)を、攪拌しながら15分間滴下した。この冷混合物に、反応混合物の温度を45〜55℃に維持しながら、tert−ブチル メチルケトン(2.0g,20mmol)を10分間滴下した。反応混合物をゆっくり室温(rt)にし、30分間放置した。この反応混合物に、総量1mLの塩酸ヒドロキシルアミン(5.56g,80mmol)の乾燥DMF(8mL)溶液を添加し、混合物を70〜80℃で5分間攪拌した。次いで、残りの塩酸ヒドロキシルアミンのDMF溶液を、その後に、反応混合物の温度が145〜155℃より上に上昇するような速度で添加した。添加終了後、反応混合物を30分間で室温まで冷却し、冷水(200mL)で希釈した。この溶液をクロロホルム(3×100mL)で抽出し、合わせたクロロホルム層を水、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させた。この溶液を濾過し、溶媒を蒸発させた。残渣をシリカゲルでクロマトグラフィー処理し(ヘキサン−酢酸エチル(98:2)を溶離液として使用)、生成物を淡緑色油状物として得た(1.0g,35%)。H NMR(400MHz,CDCl):δ 5.56(1H,s,=CH)、1.24(9H,s,tert−ブチル)。
【0153】
工程b:
3−アミノ−5−(tert−ブチル)セレノフェン−2−カルボン酸エチル:セレン化ナトリウム(4.4g,34.84mmol,2.78gのセレンから上記のようにして調製)のDMF(35mL)懸濁液に、3−クロロ−4,4−ジメチルペント−2−エンニトリル(5g,34.84mmol)のDMF(10mL)溶液を室温で5分間添加し、混合物を60〜70℃で2時間攪拌した。次いで、クロロ酢酸エチル(3.71mL,34.84mmol)を反応混合物に滴下し、再度、60〜70℃で2時間攪拌した。次いで、ナトリウムメトキシド(1.88g,34.84mmol)のメタノール(25mL)溶液を滴下し、攪拌を同じ温度で1時間継続した。混合物を室温まで冷却し、氷冷水に注入し、15分間攪拌した。析出した固形物を濾過し、水で洗浄し、乾燥させ、生成物を黄色固形物として得た(6.2g,65%)、mp 66〜68℃.H NMR(400MHz,CDCl):δ 6.59(1H,s,H−4)、5.52(2H,br s,−NH)、4.24(2H,q,J=7.1Hz,−COOCHCH)、1.33(9H,s,tert−ブチル)、1.31(3H,t,J=7.1Hz,−COOCHCH)。
【0154】
工程c:
3−[(ジメチルアミノ)ジアゼニル]−5−(tert−ブチル)セレノフェン−2−カルボン酸エチル:3−アミノ−5−(tert−ブチル)セレノフェン−2−カルボン酸エチル(6g,21.8mmol)と濃HCl(8.38mL,87.2mmol)の水(50mL)溶液に、亜硝酸ナトリウム(1.65g,23.9mmol)を分割して、0℃で5分間添加した。0〜5℃で1時間攪拌後、反応混合物を、炭酸カリウム(11.43g,82.8mmol)とジメチルアミン(9mL,40%,78.48mmol)の水(62mL)溶液に0℃で添加した。混合物を0〜5℃で2時間攪拌し、氷冷水に注入した。この溶液をクロロホルム(3×200mL)で抽出し、合わせた有機層を水、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させた。この溶液を濾過し、溶媒を蒸発させた。残渣をシリカゲルカラムでクロマトグラフィー処理し(ヘキサン−EtOAc(90:10)を溶離液として使用)、生成物を得、これをエタノール−水から暗赤色固形物として再結晶させた(2.4g,35%)、mp 58〜60℃.H NMR(400MHz,CDCl):δ 7.31(1H,s,H−4)、4.28(2H,q,J=7.2Hz,−COOCHCH)、3.48(3H,br s,−NCH)、3.25(3H,br s,−NCH)、1.37(9H,s,tert−ブチル)、1.34(3H,t,J=7.2Hz,−COOCHCH)、LC−MS(ポジティブイオンモード):m/z 352、354(M+Na)
【0155】
工程d:
3−[(ジメチルアミノ)ジアゼニル]−5−(tert−ブチル)セレノフェン−2−カルボキサミド:水酸化アンモニウム(200mL)の氷冷(0〜5℃)溶液に、3−[(ジメチルアミノ)ジアゼニル]−5−(tert−ブチル)セレノフェン−2−カルボン酸エチル(1.2g)のTHF(30mL)溶液を5分間添加し、触媒量のPEG−400を添加し、室温で48時間攪拌した。この溶液を氷冷水に注入し、クロロホルム(3×100mL)で抽出した。合わせた有機層を水、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させた。この溶液を濾過し、溶媒を蒸発させた。残渣をシリカゲルカラムでクロマトグラフィー処理し(クロロホルム−メタノール(94:6)を溶離液として使用)、生成物を薄褐色固形物として得、これをクロロホルム−ヘキサンから再結晶させた(300mg,28%)、mp 218〜220℃.IR(未希釈)νmax 3337、3156、2958、1631、1602、1326、1250、1219、1177、1113、1006cm−1H NMR(400MHz,CDCl):δ 8.20(1H,s,−CONH)、7.41(1H,s,H−4)、6.01(1H,br s,−CONH)、3.56(3H,s,−NCH)、3.16(3H,s,−NCH)、1.37(9H,s,t−ブチル)、13C NMR(100MHz,DMSO−Cl):δ 168.0、166.1、151.1、129.0、116.9、36.8、32.4、LC−MS(ポジティブイオンモード):m/z 323、325(M+Na)
【実施例5】
【0156】
3−[(ジメチルアミノ)ジアゼニル]−4,5,6,7−テトラヒドロベンゾ[1,2−b]セレノフェン−2−カルボキサミド(化合物5)の合成:
【化23】

工程a:
2−クロロシクロヘキソ−1−エンカルボニトリル:乾燥ジメチルホルムアミド(6.67mL,86.5mmol)の氷冷(0〜5℃)溶液にオキシ塩化リン(7.66mL,81.6mmol)を、攪拌しながら15分間滴下した。この冷混合物に、反応混合物の温度を40℃より低温に維持しながら、シクロヘキサン(5g,51mmol)を1時間滴下した。塩酸ヒドロキシルアミン(20g,288mmol)を分割して20分間添加した。塩酸ヒドロキシルアミンの添加は、反応混合物の温度が145〜155℃より上に上昇するような速度で維持した。添加終了後、反応混合物を30分間で室温(rt)にし、冷水(0.5L)で希釈し、30分間攪拌した。析出した固形物を濾過し、冷水で洗浄し、乾燥させ、生成物を褐色固形物として得た(2.8g,39%)、mp 38〜40℃.H NMR(400MHz,CDCl):δ 2.45−2.50(2H,m,H−6)、2.33−2.37(2H,m,H−3)、1.75−1.81(2H,m,H−5)、1.66−1.72(2H,m,H−4)。
【0157】
工程b:
3−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロベンゾ[2,1−d]セレノフェン−2−カルボン酸エチル:セレン化ナトリウム(4.7g,37.3mmol,3.0gのセレンから上記のようにして調製)のDMF(37mL)懸濁液に、2−クロロシクロヘキソ−1−エンカルボニトリル(5.24g,37.3mmol)のDMF(18mL)溶液を室温で5分間添加し、混合物を60℃で45分間攪拌した。反応混合物を室温まで冷却し、クロロ酢酸エチル(3.16mL,37.3mmol)を5分間滴下した。反応混合物を60℃で3時間攪拌した。次いで、ナトリウムメトキシド(2.0g,37.3mmol)のメタノール(37mL)溶液を滴下し、攪拌を同じ温度で2時間継続した。混合物を室温まで冷却し、氷冷水に注入し、15分間攪拌した。この溶液をクロロホルム(3×200mL)で抽出し、合わせたクロロホルム層を水、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させた。この溶液を濾過し、溶媒を蒸発させた。残渣をシリカゲルカラムでクロマトグラフィー処理し(ヘキサン−EtOAc(90:10)を溶離液として使用)、生成物を、エチルエステルとメチルエステルの混合物の黄色油状物として得た(2.4g,25%)。H NMR(400MHz,CDCl):δ 5.54(2H,s,−NH)、4.24(2H,q,J=7.1Hz,−COOCHCH)、2.74−2.75(2H,m,H−7)、2.27−2.28(2H,m,H−4)、1.81−1.84(4H,m,H−5,6)、1.31(3H,t,J=7.1Hz,−COOCHCH)、LC−MS(ポジティブイオンモード):m/z 294,296(M+Na)
【0158】
工程c:
3−[(ジメチルアミノ)ジアゼニル]−4,5,6,7−テトラヒドロベンゾ[2,1−d]セレノフェン−2−カルボン酸メチル:3−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロベンゾ[2,1−d]セレノフェン−2−カルボン酸のエチルエステルとメチルエステル(400mg,1.54mmol)、濃HCl(0.6mL,6.17mmol)の水(3.5mL)/アセトン(3mL)溶液に、亜硝酸ナトリウム(120mg,1.69mmol)を分割して、0℃で5分間添加した。0〜5℃で1時間攪拌後、反応混合物を、炭酸カリウム(800mg,5.85mmol)とジメチルアミン(0.62mL,40%,5.54mmol)の水(4.3mL)溶液に0℃で添加した。混合物を0〜5℃で1時間攪拌し、氷冷水に注入した。この溶液をクロロホルム(3×200mL)で抽出し、合わせた有機層を水、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させた。この溶液を濾過し、溶媒を蒸発させた。残渣をシリカゲルカラムでクロマトグラフィー処理し(ヘキサン−EtOAc(95:5)を溶離液として使用)、生成物を褐色油状物として得た(200mg,50%)。これは、エチル混合物とメチル混合物の混合物である。H NMR(400MHz,CDCl):δ 3.74(3H,s,−COOCH)、3.34(6H,br s,−N(CH)、2.79(2H,br s,H−4)、2.41(2H,br s,H−7)、1.74−1.82(4H,m,H−5,6)、LC−MS(ポジティブイオンモード):m/z 336、338(M+Na)
【0159】
工程d:
3−[(ジメチルアミノ)ジアゼニル]−4,5,6,7−テトラヒドロベンゾ[2,1−d]セレノフェン−2−カルボキサミド:水酸化アンモニウム(60mL)の氷冷(0〜5℃)溶液に、3−[(ジメチルアミノ)ジアゼニル]−4,5,6,7−テトラヒドロベンゾ[1,2−d]セレノフェン−2−カルボン酸のエチルエステルおよびメチルエステル(600mg)とTHF(6mL)の混合物を5分間添加した。触媒量のPEG−400を添加し、室温で66時間攪拌した。この溶液を氷冷水に注入し、クロロホルム(3×150mL)で抽出した。合わせた有機層を水、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させた。この溶液を濾過し、溶媒を蒸発させた。残渣をシリカゲルカラムでクロマトグラフィー処理し(クロロホルム−メタノール(98:2)を溶離液として使用)、生成物を薄褐色固形物として得(100mg,18%)、これをクロロホルム−ヘキサンから再結晶させた(70mg)、mp 198〜202℃.IR(未希釈)νmax 3347、3163、2932、2860、1631、1342、1313、1220、1103、1020、878cm−1H NMR(400MHz,CDCl):δ 8.21(1H,s,−CONH)、6.07(1H,s,−CONH)、3.51(3H,br s,−NCH)、3.14(3H,br s,−NCH)、2.80−2.82(2H,m,H−4)、2.64−2.65(2H,m,H−7)、1.72−1.80(4H,m,H−5,6)、13C NMR(100MHz,CDCl):δ 165.9、149.5、145.9、132.6、129.5、29.0、28.6、23.1、22.7、LC−MS(ポジティブイオンモード):m/z 321、323(M+Na)
【実施例6】
【0160】
3−[(ジメチルアミノ)ジアゼニル]セレノフェノ[2,3−b]ピリジン−2−カルボキサミド(化合物6)の合成:
【化24】

工程a:
3−アミノセレノフェノ[2,3−b]ピリジン−2−カルボン酸エチル:セレン化ナトリウム(0.9g,7.2mmol,0.75gのセレンから上記のようにして調製)のDMF(7mL)懸濁液に、2−クロロピリジン−3−カルボニトリル(1g,7.2mmol)のDMF(3mL)溶液を室温で5分間添加し、混合物を60〜70℃で2時間攪拌した。次いで、クロロ酢酸エチル(0.78mL,7.22mmol)を反応混合物に滴下し、再度、60〜70℃で2時間攪拌した。次いで、ナトリウムメトキシド(0.39g,7.2mmol)のメタノール(7mL)溶液を滴下し、攪拌を同じ温度で1時間継続した。混合物を室温(rt)にし、冷水に注入し、15分間攪拌した。析出した固形物を濾過し、水で洗浄し、乾燥させ、生成物を黄色固形物として得た(1.5g,77%)、mp 194〜196℃.H NMR(400MHz,CDCl):δ 8.65(1H,dd,J=4.6,1.4Hz,H−6)、7.86(1H,dd,J=8.2,1.4Hz,H−4)、7.33(1H,dd,J=8.2,4.6Hz,H−5)、6.04(2H,br s,−NH)、4.34(2H,q,J=7.1Hz,−COOCHCH)、1.38(3H,t,J=7.1Hz,−COOCHCH)、LC−MS(ポジティブイオンモード):m/z 269、271(M+H)
【0161】
工程b:
3−[(ジメチルアミノ)ジアゼニル]セレノフェノ[2,3−b]ピリジン−2−カルボン酸エチル:3−アミノセレノフェノ[2,3−b]ピリジン−2−カルボン酸エチル(1g,3.7mmol)とフルオロホウ酸水溶液(5.8mL,29.6mmol,45%)の水(40mL)懸濁液を加熱し、この化合物を溶解させた。混合物を再度0℃まで冷却し、亜硝酸ナトリウム(300mg,4.4mmol)を分割して、0℃で5分間添加した。0〜5℃で30分攪拌後、反応混合物を、炭酸カリウム(3.8g,28mmol)とジメチルアミン(3mL,40%,26.8mmol)の水(60mL)溶液に0℃で添加した。混合物を0〜5℃で1時間攪拌し、氷冷水に注入した。この溶液をクロロホルム(3×200mL)で抽出し、合わせた有機層を水、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させた。この溶液を濾過し、溶媒を蒸発させた。残渣をシリカゲルカラムでクロマトグラフィー処理し(ヘキサン−EtOAc(90:10)を溶離液として使用)、生成物を橙色油状物として得た(170g,14%)。H NMR(400MHz,CDCl):δ 8.61(1H,d,J=3.2Hz,H−4)、8.30(1H,d,J=8.0,H−6)、7.31(1H,dd,J=8.2,4.6Hz,H−5)、4.33(2H,q,J=7.0Hz,−COOCHCH)、3.58(3H,s,−NCH)、3.33(3H,s,−NCH)、1.37(3H,t,J=7.0Hz,−COOCHCH)、LC−MS(ポジティブイオンモード):m/z 325、327(M+H)
【0162】
工程c:
3−[(ジメチルアミノ)ジアゼニル]セレノフェノ[2,3−b]ピリジン−2−カルボキサミド:水酸化アンモニウム(15mL)の氷冷(0〜5℃)溶液に、3−[(ジメチルアミノ)ジアゼニル]セレノフェノ[2,3−b]ピリジン−2−カルボン酸エチル(150mg)のTHF(5mL)溶液を5分間添加し、室温で16時間攪拌した。この溶液を氷冷水に注入し、酢酸エチル(3×100mL)で抽出した。合わせたEtOAc層を水、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させた。この溶液を濾過し、溶媒を蒸発させた。残渣をシリカゲルカラムでクロマトグラフィー処理し(クロロホルム−メタノール(95:5)を溶離液として使用)、生成物を淡緑色固形物として得、これをクロロホルム−メタノール−ヘキサンから再結晶させた(25mg,20%)、mp 230〜232℃.IR(未希釈)νmax 3327、3152、2913、1701、1634、1360、1330、1104、1058、1016、878、802cm−1H NMR(400MHz,DMSO−d):δ 8.80(1H,d,J=8.4Hz,H−4)、8.59(1H,d,J=3.2Hz,H−6)、8.18(1H,s,−CONH)、7.99(1H,s,−CONH)、7.46(1H,dd,J=8.2,4.6Hz,H−5)、3.66(3H,s,−NCH)、3.26(3H,s,−NCH)、13C NMR(100MHz,DMSO−d):δ 164.4、161.1、148.3、142.5、136.2、131.5、130.4、120.6、43.6、36.5、LC−MS(ポジティブイオンモード):m/z 318、320(M+Na)
【実施例7】
【0163】
3−[(ジメチルアミノ)ジアゼニル]−5−フェニルセレノフェン−2−カルボン酸(化合物7)の合成:
【化25】

3−[(ジメチルアミノ)ジアゼニル]−5−フェニルセレノフェン−2−カルボン酸エチル(200mg,0.56mmol)(調製は実施例3の工程c)に記載)のメタノール(5mL)溶液に、水酸化ナトリウム(113mg,2.84mmol)の水(3mL)溶液を添加し、室温で16時間攪拌した。混合物を氷冷水で希釈し、希HClで酸性化した。混合物を30分間攪拌し、析出した固形物を濾過し、水で洗浄し、乾燥させた。生成物をヘキサン−クロロホルムから再結晶させ、生成物を褐色固形物として得た(100mg,54%)、mp 212〜214℃.IR(未希釈)νmax 3566、2924、1700、1253、1180、1113、1070、1011、838、766cm−1H NMR(400MHz,CDCl):δ 12.27(1H,s,−COOH)、7.79(1H,s,H−4)、7.55−7.57(2H,m,Ar−H)、7.34−7.39(3H,m,Ar−H)、3.65(3H,s,−N−CH)、3.25(3H,s,−N−CH)、13C NMR(100MHz,CDCl):δ 163.9、155.2、154.6、135.5、129.2、129.1、126.3、124.9、116.6、44.4、37.1、LC−MS(ポジティブイオンモード):m/z 346、344(M+Na)
【実施例8】
【0164】
3−[(ジメチルアミノ)ジアゼニル]−5−(tert−ブチル)セレノフェン−2−カルボン酸(化合物8)の合成:
【化26】

3−[(ジメチルアミノ)ジアゼニル]−5−(tert−ブチル)セレノフェン−2−カルボン酸エチル(400mg,1.2mmol)(調製は実施例4の工程c)に記載)のメタノール(10mL)溶液に、水酸化ナトリウム(240mg,6.04mmol)の水(5mL)溶液を添加し、室温(rt)で16時間攪拌した。混合物を氷冷水で希釈し、希HClで酸性化した。混合物を30分間攪拌し、析出した固形物を濾過し、水で洗浄し、乾燥させた。生成物をヘキサン−クロロホルムから再結晶させ、生成物を薄褐色固形物として得た(160mg,45%)、mp 120〜122℃.IR(未希釈)νmax 2960、2927、1713、1248、1180、1110、1069、1010、844、767cm−1H NMR(400MHz,CDCl):δ 12.23(1H,s,−COOH)、7.38(1H,s,H−4)、3.63(3H,s,−NCH)、3.23(3H,s,−NCH)、1.39(9H,s,3 x−CH)、13C NMR(100MHz,CDCl):δ 171.7、164.1、153.7、123.2、115.6、44.2、37.2、36.9、32.4、LC−MS(ポジティブイオンモード):m/z 324、326(M+Na)
【実施例9】
【0165】
3−[(ジメチルアミノ)ジアゼニル]−4,5,6,7−テトラヒドロベンゾ[1,2−d]セレノフェン−2−カルボン酸(化合物9)の合成:
【化27】

3−[(ジメチルアミノ)ジアゼニル]−4,5,6,7−テトラヒドロベンゾ[2,1−d]セレノフェン−2−カルボン酸のエチルエステルとメチルエステル(1.0g,3.1mmol)(調製は実施例5の工程c)に記載)のメタノール(10mL)溶液に、水酸化ナトリウム(500mg,12.6mmol)の水(2mL)溶液を添加し、室温で5時間攪拌した。混合物を氷冷水で希釈し、クロロホルム(2×50mL)で抽出し、不純物を除去した。水層を希HClで酸性化し、30分間攪拌した。この溶液をクロロホルム(3×100mL)で抽出し、合わせた有機層を水、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させた。この溶液を濾過し、溶媒(550mg,57%)を蒸発させた。粗製生成物をクロロホルム−ジエチルエーテルから再結晶させ、生成物を暗褐色固形物として得た(330mg)、mp 100〜102℃.IR(未希釈)νmax 3429、2927、2855、1701、1350、1110、1050、1023、880cm−1H NMR(400MHz,CDCl):δ 12.71(1H,br s,−COOH)、3.59(3H,s、−NCH)、3.20(3H,s,−NCH)、2.83(2H,t,J=5.4Hz,H−4)、2.73(2H,t,J=5.6Hz,H−7)、1.75−1.81(4H,m,H−5,6)、13C NMR(100MHz,CDCl):δ 164.5、151.3、148.9、131.5、124.0、44.1、36.5、28.8(2C)、22.8、22.4、LC−MS(ポジティブイオンモード):m/z 300、302(M+H)
【実施例10】
【0166】
3−[(ジメチルアミノ)ジアゼニル]セレノフェノ[2,3−b]ピリジン−2−カルボン酸(化合物10)の合成:
【化28】

3−[(ジメチルアミノ)ジアゼニル]セレノフェノ[2,3−b]ピリジン−2−カルボン酸エチル(170mg,0.52mmol)(調製は実施例6の工程b)に記載)のメタノール(10mL)溶液に、水酸化ナトリウム(83mg,2.08mmol)の水(2mL)溶液を添加し、室温(rt)で2時間攪拌した。混合物を氷冷水で希釈し、希HClで酸性化した。混合物を30分間攪拌し、酢酸エチル(3×100mL)で抽出した。合わせた有機層を水、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させた。この溶液を濾過し、溶媒を蒸発させた。残渣をシリカゲルカラムでクロマトグラフィー処理し(クロロホルム−メタノール(95:5)を溶離液として使用)、生成物を得、これをクロロホルム−メタノール−ヘキサンから淡褐色固形物として再結晶させた(30mg,20%)、mp 172〜174℃.IR(KBr)νmax 3427、3025、2919、1707、1265、1218、1013、863cm−1H NMR(400MHz,DMSO−d):δ 13.09(1H,br s,−COOH)、8.65−8.69(2H,m,H−4,6)、7.53(1H,dd,J=8.2,4.6Hz,H−5)、3.67(3H,s,−NCH)、3.29(3H,s,−NCH)、LC−MS(ポジティブイオンモード):m/z 319、321(M+Na)
【実施例11】
【0167】
3−[(ジメチルアミノ)ジアゼニル]−5−(tert−ブチル)セレノフェン−2−カルボニトリル(化合物11)の合成:
【化29】

3−アミノ−5−(tert−ブチル)セレノフェン−2−カルボニトリル(1g,4.3mmol)(調製は実施例13の工程a)に記載)、フルオロホウ酸(2.7mL,45%水溶液、17.5mmol)、水(10mL)およびアセトン(25mL)の溶液に、亜硝酸ナトリウム(0.33g,4.8mmol)を分割して、0℃で5分間添加した。0〜5℃で2.5時間攪拌後、反応混合物を、炭酸カリウム(2.3g,16.64mmol)とジメチルアミン(3.5mL,40%,15.76mmol)の水(20mL)溶液に0℃で添加した。混合物を0〜5℃で2時間攪拌し、氷冷水に注入した。この溶液をクロロホルム(3×200mL)で抽出し、合わせた有機層を水、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させた。この溶液を濾過し、溶媒を蒸発させた。残渣をシリカゲルカラムでクロマトグラフィー処理し(ヘキサン−EtOAc(95:5)を溶離液として使用)、生成物を得、これをヘキサン−クロロホルムから赤色固形物として再結晶させた(15mg,12%)、mp 58〜60℃.IR(未希釈)νmax 3437、2200、1633、1339、1219、1178、1094cm−1H NMR(400MHz,CDCl):δ 7.26(1H,s,H−4)、3.52(3H,s,−NCH)、3.22(3H,s,−NCH)、1.38(9H,s,tert−ブチル)、13C NMR(100MHz,CDCl):δ 171.0、161.5、117.3、116.4、95.2、43.3、37.3、36.2、32.4、LC−MS(ポジティブイオンモード):m/z 283、285(M+H)
【実施例12】
【0168】
3−メチル−6−フェニルセレノフェノ[3.2−d]1,2,3−トリアジン−4−オン(化合物12)の合成:
【化30】

工程a:
3−アミノ−5−フェニルセレノフェン−Σ−カルボニトリル:セレン化ナトリウム(4.62g,36.7mmol,2.9gのセレンから上記のようにして調製)のDMF(37mL)懸濁液に、3−クロロ−3−フェニルプロプ−2−エンニトリル(6.0g,36.7mmol)のDMF(14mL)溶液を室温で5分間添加し、混合物を60〜70℃で2時間攪拌した。次いで、クロロアセトニトリル(2.32mL,36.7mmol)を反応混合物に滴下し、再度、60〜70℃で2時間攪拌した。次いで、ナトリウムメトキシド(2.0g,36.7mmol)の乾燥メタノール(23mL)溶液を滴下し、攪拌を同じ温度で1時間継続した。混合物を室温(rt)にし、冷水に注入し、15分間攪拌した。析出した固形物を濾過し、水で洗浄した。この固形物をクロロホルム−ヘキサンから再結晶させ、生成物を褐色固形物として得た(4.8g,53%)、mp 162〜164℃(分解)。H NMR(400MHz,CDCl):δ 7.46−7.49(2H,m,Ar−H)、7.37−7.39(3H,m,Ar−H)、7.01(1H,s,H−4)、4.55(2H,br s,−NH)。
【0169】
工程b:
3−アミノ−5−フェニルセレノフェン−2−カルボキサミド:3−アミノ−5−フェニルセレノフェン−2−カルボニトリル(4.0g)の水酸化ナトリウム水溶液(120mL,10%)中の懸濁液に、エタノール(50mL)を添加し、混合物を45分間還流した。混合物を室温まで冷却し、分離した結晶を濾別し、冷水で洗浄し、乾燥させ、生成物を鮮黄色固形物として得た(2.8g,67%)、mp 184〜186℃.H NMR(400MHz,CDCl):δ 7.50−7.53(2H,m,Ar−H)、7.36−7.38(3H,m,Ar−H)、7.04(1H,s,H−4)、5.84(2H,br s,−CONH)、5.12(2H,br s,−NH)。
【0170】
工程c:
6−フェニル−3H−セレノフェノ[3,2−c]1,2,3−トリアジン−4−オン:3−アミノ−5−フェニルセレノフェン−2−カルボキサミド(0.27g,1.01mmol)の濃硫酸(7mL)氷冷溶液(0℃)に、亜硝酸ナトリウム(77mg,1.11mmol)の濃硫酸(2.5mL)冷(0℃)溶液を10分間添加した(添加中、温度は−5〜0℃に維持すべきである)。添加後、混合物を0℃で1時間および室温で1時間攪拌した。反応混合物を冷却し、粉砕氷中に、攪拌しながら15分間ゆっくり注入し、同じ温度で15分間攪拌した。この溶液を酢酸エチル(3×50mL)で抽出し、合わせた層を水、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させた。この溶液を濾過し、溶媒を蒸発させた。残渣をクロロホルム−メタノールから再結晶させ、生成物を白色固形物として得た(150mg,53%)、mp 182〜184℃(分解)。H NMR(400MHz,DMSO−d):δ 15.19(1H,s,−NH)、8.44(1H,s,H−7)、7.89−7.91(2H,m,Ar−H)、7.52−7.54(3H,m,Ar−H)、LC−MS(ポジティブイオンモード):m/z 276、278(M+H)
【0171】
工程d:
3−メチル−6−フェニルセレノフェノ[3,2−d]1,2,3−トリアジン−4−オン:6−フェニル−3H−セレノフェノ[3,2−c]1,2,3−トリアジン−4−オン(0.6g,2.16mmol)のアセトン(25mL)溶液に、逐次、炭酸カリウム(0.59g,4.33mmol)、ヨードメタン(0.16mL,2.6mmol)およびヨウ化カリウム(触媒量)を室温で添加し、混合物を室温で16時間攪拌した。この溶液を濾過し、固形物をアセトンで洗浄した。アセトンを減圧下で蒸発させ、氷冷水で希釈し、10分間攪拌した。この溶液をクロロホルム(4×75mL)で抽出し、合わせた層を水、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させた。この溶液を濾過し、溶媒を蒸発させた。残渣をシリカゲルカラムでクロマトグラフィー処理し(クロロホルム−メタノール(95:05)を溶離液として使用)、生成物をオフホワイト色固形物として得(400mg,64%)、これをクロロホルム−メタノールから再結晶させた(180mg)、mp 232〜234℃.IR(未希釈)νmax 2923、2857、1672、1220、1019、972cm−1H NMR(400MHz,CDCl):δ 7.98(1H,s,H−7)、7.63−7.66(2H,m,Ar−H)、7.45−7.50(3H,m,Ar−H)、4.06(3H,s,−NCH)、13C NMR(100MHz,CDCl):δ 159.4、158.0、154.6、134.3、130.1、129.7、129.4、126.9、122.2、37.5、LC−MS(ポジティブイオンモード):m/z 312、314(M+Na)
【実施例13】
【0172】
6−(tert−ブチル)−3−メチルセレノフェノ[3,2−d]1,2,3−トリアジン−4−オン(化合物13)の合成:
【化31】

工程a:
3−アミノ−5−(tert−ブチル)セレノフェン−2−カルボニトリル:セレン化ナトリウム(4.39g,34.84mmol,2.78gのセレンから上記のようにして調製)のDMF(35mL)懸濁液に、3−クロロ−4,4−ジメチルペント−2−エンニトリル(5.0g,34.84mmol)のDMF(13mL)溶液を室温で5分間添加し、混合物を60〜70℃で2時間攪拌した。次いで、クロロアセトニトリル(2.2mL,34.84mmol)を反応混合物に滴下し、再度、60〜70℃で2時間攪拌した。次いで、ナトリウムメトキシド(1.88g,34.84mmol)の乾燥メタノール(22mL)溶液を滴下し、攪拌を同じ温度で1時間継続した。混合物を室温(rt)にし、冷水に注入し、30分間攪拌した。析出した固形物を濾過し、水で洗浄した。この固形物をクロロホルム−ヘキサンから再結晶させ、生成物を褐色固形物として得た(5.2g,65%)、mp 110〜112℃.H NMR(400MHz,CDCl):δ 6.59(1H,s,H−4)、4.46(2H,br s,−NH)、1.33(9H,s,tert−ブチル)、LC−MS(ネガティブイオンモード):m/z 225、227(M−H)
【0173】
工程b:
3−アミノ−5−(tert−ブチル)セレノフェン−2−カルボキサミド:3−アミノ−5−(tert−ブチル)セレノフェン−2−カルボニトリル(5.0g)の水酸化ナトリウム水溶液(80mL,10%)中の懸濁液に、エタノール(50mL)を添加し、混合物を1時間還流した。エタノールを真空下で留去し(約25mL)、混合物を5〜10℃まで冷却した。分離した結晶を濾別し、冷水で洗浄し、乾燥させ、生成物をオフホワイト色固形物として得た(4.5g,84%)、mp 160〜162℃.H NMR(400MHz,CDCl):δ 6.58(1H,s,H−4)、5.75(2H,br s,−CONH)、5.13(2H,br s,−NH)、1.34(9H,s,tert−ブチル)。
【0174】
工程c:
6−(tert−ブチル)−3H−セレノフェノ[3,2−d]1,2,3−トリアジン−4−オン:3−アミノ−5−(tert−ブチル)セレノフェン−2−カルボキサミド(3.0g,12.2mmol)の濃硫酸(50mL)氷冷溶液(0℃)に、亜硝酸ナトリウム(0.92g,13.4mmol)の濃硫酸(10mL)冷(0℃)溶液を10分間添加した(添加中、温度は−5〜0℃に維持すべきである)。添加後、混合物を0℃で1時間および室温で1時間攪拌した。反応混合物を冷却し、粉砕氷中に、攪拌しながら15分間ゆっくり注入し、同じ温度で15分間攪拌した。固形物を濾過し、氷冷水で洗浄し、乾燥させ、生成物をオフホワイト色固形物として得た(2.4g,77%)、mp 158〜160℃.H NMR(400MHz,CDCl):δ 7.67(1H,s,H−7)、1.50(9H,s,tert−ブチル)、LC−MS(ネガティブイオンモード):m/z 254、256(M−H)
【0175】
工程d:
6−(tert−ブチル)−3−メチルセレノフェノ[3,2−d]1,2,3−トリアジン−4−オン:6−(tert−ブチル)−3H−セレノフェノ[3,2−d]1,2,3−トリアジン−4−オン(2.0g,7.78mmol)のアセトン(70mL)溶液に、逐次、炭酸カリウム(2.14g,15.56mmol)、ヨードメタン(0.58mL、9.3mmol)およびヨウ化カリウム(触媒量)を室温で添加し、混合物を室温で16時間攪拌した。この溶液を濾過し、固形物をアセトンで洗浄した。アセトンを減圧下で蒸発させ、残渣をシリカゲルカラムでクロマトグラフィー処理し(クロロホルム−メタノール(95:05)を溶離液として使用)、生成物をオフホワイト色固形物として得(1.0g,47%)、これをクロロホルム−メタノールから再結晶させた(700mg,34%)、mp 98〜100℃.IR(未希釈)νmax 2961、1679、1242、1220、1001、969cm−1H NMR(400MHz,CDCl):δ 7.58(1H,s,H−7)、4.04(3H,s,−NCH)、1.48(9H,s,tert−ブチル)、13C NMR(100MHz,CDCl):δ 176.0、157.5、154.7、128.8、121.5、37.5、37.3、32.5、LC−MS(ポジティブイオンモード):m/z 292、294(M+Na)
【実施例14】
【0176】
3−メチル−6,7,8,9−テトラヒドロベンゾ[1,2−b]1,2,3−トリアジノ[4,5−d]セレノフェン−4−オン(化合物14)の合成:
【化32】

工程a:
3−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロベンゾ[1,2−b]セレノフェン−2−カルボニトリル:セレン化ナトリウム(2.35g,18.65mmol,1.5gのセレンから上記のようにして調製)のDMF(18mL)懸濁液に、2−クロロシクロヘキソ−1−エンカルボニトリル(2.63g,18.65mmol)のDMF(9mL)溶液を室温で5分間添加し、混合物を60℃で45分間攪拌した。次いで、クロロアセトニトリル(1.18mL,18.65mmol)を反応混合物に滴下し、再度60℃で3時間攪拌した。次いで、ナトリウムメトキシド(1.0g,18.65mmol)の乾燥メタノール(18mL)溶液を滴下し、攪拌を同じ温度で2時間継続した。混合物を室温(rt)にし、冷水に注入し、30分間攪拌した。析出した固形物を濾過し、水で洗浄し、生成物を暗褐色固形物として得た(2.4g,57%)、mp 86〜88℃.H NMR(400MHz,CDCl):δ 4.39(2H,br s,−NH)、2.73−2.74(2H,m,H−7)、2.28−2.29(2H,m,H−4)、1.83−1.84(4H,m,H−5,6)。
【0177】
工程b:
3−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロベンゾ[1,2−b]セレノフェン−2−カルボキサミド:3−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロベンゾ[1,2−b]セレノフェン−2−カルボニトリル(2.4g)のエタノール(50mL)懸濁液に、水酸化ナトリウム水溶液(50mL,10%)を室温で添加し、混合物を1時間還流した。冷却した反応混合物を氷冷水に注入し、15分間攪拌した。析出した固形物を濾過し、冷水で洗浄し、乾燥させ、生成物を薄褐色固形物として得た(1.4g,54%)、mp 152〜154℃.H NMR(400MHz,DMSO−d):δ 6.58(1H,s,−CONH)、6.45(1H,s,−CONH)、2.66(2H,s,H−7)、2.24(2H,s,H−4)、1.73(4H,s,H−5,6)、LC−MS(ポジティブイオンモード):m/z 265、267(M+Na)
【0178】
工程c:
6,7,8,9−テトラヒドロ−3H−ベンゾ[1,2−b]1,2,3−トリアジノ[4.5−d]セレノフェン−4−オン:3−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロベンゾ[1,2−b]セレノフェン−2−カルボキサミド(1.4g,5.73mmol)の濃硫酸(10mL)氷冷(0℃)溶液に、亜硝酸ナトリウム(0.43g,6.31mmol)の濃硫酸(3mL)冷(0℃)溶液を10分間添加した(添加中、温度は−5〜0℃に維持すべきである)。添加後、混合物を0℃で2時間攪拌した。反応混合物を粉砕氷中に、攪拌しながら15分間ゆっくり注入し、同じ温度で15分間攪拌した。この溶液を酢酸エチル(3×100mL)で抽出し、合わせたEtOAc層を水、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させた。この溶液を濾過し、溶媒を蒸発させ、生成物を薄褐色固形物として得た(450mg,31%)、mp 150〜152℃.H NMR(400MHz,DMSO−d):δ 15.13(1H,br s,−NH)、3.01−3.04(2H,m,H−9)、2.90−2.92(2H,m,H−6)、1.89−1.96(4H,m,H−7,8)、LC−MS(ネガティブイオンモード):m/z 252、254(M−H)
【0179】
工程d:
3−メチル−6,7,8,9−テトラヒドロベンゾ[1,2−b]1,2,3−トリアジノ[4,5−d]セレノフェン−4−オン:6,7,8,9−テトラヒドロ−3H−ベンゾ[1,2−b]1,2,3−トリアジノ[4,5−d]セレノフェン−4−オン(450mg,1.76mmol)のアセトン(50mL)溶液に、炭酸カリウム(480mg,3.52mmol)、ヨードメタン(0.13mL,2.11mmol)および触媒量のPEG−400を逐次添加し、室温で攪拌し、混合物を室温で16時間攪拌した。この溶液を濾過し、固形物をアセトンで洗浄した。アセトンを減圧下で蒸発させ、残渣をシリカゲルカラムでクロマトグラフィー処理し(ヘキサン−酢酸エチル(90:10)を溶離液として使用)、生成物を薄黄色固形物として得(340mg,72%)、これをクロロホルム−ヘキサンから再結晶させた(170mg)、mp 110〜112℃.IR(未希釈)νmax 3438、1668、1220、1018cm−1H NMR(400MHz,CDCl):δ 4.05(3H,s,−NCH)、2.94−2.96(4H,m,H−6,9)、1.91−1.97(4H,m,H−7,8)、13C NMR(100MHz,CDCl):δ 156.1、155.1、152.5、133.9、128.5、37.4、28.4、24.8、23.6、21.4、LC−MS(ポジティブイオンモード):m/z 268、270(M+H)
【実施例15】
【0180】
3−メチル−1,2,3−トリアジノ[4’,5’−5,4]セレノフェノ[2,3−b]ピリジン−4−オン(化合物15)の合成:
【化33】

工程a:
3−アミノセレノフェノ[2,3−b]ピリジン−2−カルボニトリル:セレン化ナトリウム(0.9g,7.2mmol,0.75gのセレンから上記のようにして調製)のDMF(7mL)懸濁液に、2−クロロピリジン−3−カルボニトリル(1g,7.2mmol)のDMF(3mL)溶液を室温で5分間添加し、混合物を60〜70℃で2時間攪拌した。次いで、クロロアセトニトリル(0.46mL,7.22mmol)を反応混合物に滴下し、再度、60〜70℃で2時間攪拌した。次いで、ナトリウムメトキシド(0.39g,7.2mmol)のメタノール(7mL)溶液を滴下し、攪拌を同じ温度で1時間継続した。混合物を室温(rt)にし、冷水に注入し、15分間攪拌した。析出した固形物を濾過し、水で洗浄し、乾燥させ、生成物を黄色固形物として得た(1.3g,81%)、mp 208〜210℃.H NMR(400MHz,DMSO−d):δ 8.68(1H,d,J=4.4Hz,H−6)、8.47(1H,d,J=8.4Hz,H−4)、7.55(1H,dd,J=8.0,4.8Hz,H−5)、7.24(2H,s,−NH)。
【0181】
工程b:
3−アミノセレノフェノ[2.3−b]ピリジン−2−カルボキサミド:3−アミノセレノフェノ[2,3−b]ピリジン−2−カルボニトリル(1.0g)の水酸化ナトリウム水溶液(20mL,10%)中の懸濁液に、エタノール(20mL)を添加し、混合物を45分間還流した。エタノールを真空下で留去し(約25mL)、混合物を5〜10℃まで冷却した。分離した結晶と溶液を氷冷水に注入し、15分間攪拌した。固形物を濾別し、冷水で洗浄し、乾燥させ、生成物を薄黄色固形物として得た(0.53g,50%)、mp 256〜260℃.H NMR(400MHz,DMSO−d):δ.8.60(1H,d,J=3.6Hz,H−6)、8.37(1H,d,J=7.6Hz,H−4)、7.47(1H,dd,J=8.0,4.8Hz,H−5)、7.32(2H,s,−CONH)、7.09(2H,s,−NH)、LC−MS(ネガティブイオンモード):m/z 238,241(M−H)
【0182】
工程c:
3H−1,2,3−トリアジノ[4’,5’−5,4]セレノフェノ[2.3−b]ピリジン−4−オン:3−アミノセレノフェノ[2,3−b]ピリジン−2−カルボキサミド(0.5g,2.07mmol)の濃硫酸(5mL)氷冷(0℃)溶液に、亜硝酸ナトリウム(157mg,2.28mmol)の濃硫酸(2mL)冷(0℃)溶液を10分間添加した(添加中、温度は−5〜0℃に維持すべきである)。添加後、混合物を0℃で2時間攪拌した。反応混合物を粉砕氷中に、攪拌しながら15分間ゆっくり注入し、同じ温度で15分間攪拌した。この溶液を酢酸エチル(3×100mL)で抽出し、合わせた有機層を水、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させた。この溶液を濾過し、溶媒を蒸発させ、生成物を赤みがかった褐色固形物として得た(350mg,67%)、mp 184〜186℃(分解)。H NMR(400MHz,DMSO−d):δ 15.61(1H,s,−NH)、8.90(1H,dd,J=4.6,1.8Hz,H−9)、8.83(1H,dd,J=8.0,1.6Hz,H−7)、7.81(1H,dd,J=8.0,4.8Hz,H−8)、LC−MS(ネガティブイオンモード):m/z 249、251(M−H)
【0183】
工程d:
3−メチル−1,2,3−トリアジノ[4’,5’−5,4]セレノフェノ[2,3−b]ピリジン−4−オン:3H−1,2,3−トリアジノ[4’,5’−5,4]セレノフェノ[2,3−b]ピリジン−4−オン(300mg,1.19mmol)のアセトン(40mL)溶液に、逐次、炭酸カリウム(328mg,2.38mmol)、ヨードメタン(0.09mL,1.42mmol)および触媒量のPEG−400を添加し、室温で攪拌し、混合物を室温で16時間攪拌した。この溶液を濾過し、固形物をアセトンで洗浄した。アセトンを減圧下で蒸発させ、残渣をシリカゲルカラムでクロマトグラフィー処理し(ヘキサン−酢酸エチル(80:20)を溶離液として使用)、生成物を得、これをクロロホルム−ヘキサンからオフホワイト色固形物として再結晶させた(216mg,68%)、mp 202〜204℃.IR(未希釈)νmax 3406、1665、1241、1105、1054、965、852、813、757cm−1H NMR(400MHz,CDCl):δ 8.80(1H,dd,J=4.6,1.8Hz,H−9)、8.76(1H,dd,J=8.0,2.0Hz,H−7)、7.60(1H,dd,J=8.0,4.8Hz,H−8)、4.15(3H,s,−NCH)、13C NMR(100MHz,CDCl):δ 165.4、154.9、151.3、150.2、133.5、131.1、130.1、121.4、38.0、LC−MS(ポジティブイオンモード):m/z 265、267(M+H)
【実施例16】
【0184】
3−メチルベンゾ[b]1,2,3−トリアジノ[4,5−d]セレノフェン−4−オン(化合物16)の合成:
【化34】

工程a:
3−アミノベンゾ[b]セレノフェン−2−カルボニトリル:セレン化ナトリウム(9.14g,72.6mmol,5.8gのセレンから上記のようにして調製)のDMF(72mL)懸濁液に、2−クロロベンゾニトリル(10g,72.6mmol)のDMF(25mL)溶液を室温で5分間添加し、混合物を100〜110℃で24時間攪拌した。次いで、クロロアセトニトリル(5.48mL,72.6mmol)を反応混合物に滴下し、再度、60〜70℃で2時間攪拌した。次いで、ナトリウムメトキシド(3.9g,72.6mmol)の乾燥メタノール(24mL)溶液を滴下し、攪拌を同じ温度で2時間継続した。混合物を室温(rt)にし、冷水に注入し、30分間攪拌した。析出した固形物を濾過し、水で洗浄し、乾燥させ、生成物をオフホワイト色固形物として得た(7g,44%)、mp 158〜160℃.H NMR(400MHz,CDCl):δ 7.76−7.79(1H,m,H−7)、7.60−7.63(1H,m,H−4)、7.41−7.52(2H,m,H−5,6)、4.90(2H,br s,−NH)。
【0185】
工程b:
3−アミノベンゾ[b]セレノフェン−2−カルボキサミド:3−アミノベンゾ[b]セレノフェン−2−カルボニトリル(5.0g)の水酸化ナトリウム水溶液(100mL,10%)中の懸濁液に、エタノール(60mL)を添加し、混合物を1時間還流した。エタノールを真空下で留去し(約25mL)、混合物を5〜10℃まで冷却した。分離した結晶を濾別し、冷水で洗浄し、乾燥させ、生成物をオフホワイト色固形物として得た(3g,60%)、mp 180〜182℃.H NMR(400MHz,DMSO−d):δ 7.99−8.01(1H,m,H−7)、7.92−7.94(1H,m,H−4)、7.40−7.42(2H,m,H−5,6)、7.21(2H,s,−CONH)、6.97(2H,s,−NH)、LC−MS(ポジティブイオンモード):m/z 261、263(M+Na)
【0186】
工程c:
3H−ベンゾ[b]1,2,3−トリアジノ[4,5−d]セレノフェン−4−オン:3−アミノベンゾ[b]セレノフェン−2−カルボキサミド(1.0g,4.16mmol)の濃硫酸(25mL)氷冷(0℃)溶液に、亜硝酸ナトリウム(0.316g,4.58mmol)の濃硫酸(10mL)冷(0℃)溶液を10分間添加した(添加中、温度は−5〜0℃に維持すべきである)。添加後、混合物を0℃で1時間および室温で2時間攪拌した。反応混合物を冷却し、粉砕氷中に、攪拌しながら15分間ゆっくり注入し、同じ温度で15分間攪拌した。この溶液を酢酸エチル(3×200mL)で抽出し、合わせたEtOAc層を水、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させた。この溶液を濾過し、溶媒を蒸発させ、生成物を黄色固形物として得た(200mg,19%)、mp 176〜178℃.H NMR(400MHz,DMSO−d):δ 15.48(1H,s,−NH)、8.53−8.58(1H,m,H−9)、8.41−8.46(1H,m,H−6)、7.74−7.80(2H,m,H−7,8)。
【0187】
工程d:
3−メチルベンゾ[b]1,2,3−トリアジノ[4,5−d]セレノフェン−4−オン:3H−ベンゾ[b]1,2,3−トリアジノ[4,5−d]セレノフェン−4−オン(200mg,0.8mmol)のアセトン(50mL)溶液に、逐次、炭酸カリウム(400mg,1.6mmol)、ヨードメタン(0.1mL,0.9mmol)および触媒量のPEG−400を室温で添加し、混合物を室温で16時間攪拌した。この溶液を濾過し、固形物をアセトンで洗浄した。アセトンを減圧下で蒸発させ、残渣をシリカゲルカラムでクロマトグラフィー処理し(ヘキサン−クロロホルム(70:30)を溶離液として使用)、生成物をオフホワイト色固形物として得た(120mg,47%)、mp 190〜192℃.IR(未希釈)νmax 3431、1673、1220、1021cm−1H NMR(400MHz,CDCl):δ 8.56−8.58(1H,m,H−9)、7.98−8.01(1H,m,H−6)、7.58−7.66(2H,m,H−7,8)、4.13(3H,s,−NCH)、13C NMR(100MHz,CDCl):δ 155.5、152.8、142.3、135.3、130.4、129.8、126.4、126.2、126.0、37.8、LC−MS(ポジティブイオンモード):m/z 286、288(M+Na)
【実施例17】
【0188】
MTT系細胞増殖アッセイによる一般式(I)および(II)のセレノフェノトリアゼン化合物の抗黒色腫活性の評価:
MTT[3−(4,5−ジメチルチアゾル−2−イル)−2,5−ジフェニルテトラゾリウムブロミド]組込み系細胞増殖アッセイは、標準的な手順を用いて行なった。種々のセレノフェノトリアゼン化合物(化合物1〜16)の細胞傷害作用を、ヒト悪性黒色腫A375細胞とマウス悪性黒色腫B16 F0細胞の両方において、MTT細胞増殖アッセイキット(Roche Applied Sciences,Germany)により評価した。アッセイは、販売元より提供された使用説明書に従って行なった。簡単には、同数の細胞を96ウェル平底プレート内にプレーティングし、種々の濃度のDTICおよび試験化合物(化合物1〜16)の両方とともに、3日間インキュベートした。ビヒクル対照培養ウェルには、最高0.5%のDMSOのみを与えた。その後、0.5mg/mlのMTT試薬を各ウェルに添加し、マイクロプレートを、5%COの存在下、37℃で4時間さらにインキュベートした。最後に、可溶化液を添加することにより細胞を可溶化させ、37℃で一晩インキュベートした。ホルマザン結晶が完全に可溶化した後、吸光度をマイクロプレートリーダー(BioRad,USA)にて540nmで読み取った。4連のウェルで得られた結果(平均OD±SD)を、試験化合物(化合物1〜16)の細胞増殖阻害(50%阻害濃度、IC50)を測定するための計算に使用した(表1)。
【0189】
このMTT系細胞増殖アッセイは、試験化合物(化合物1〜16)の中でも、4−[(ジメチルアミノ)ジアゼニル]−5−メチルセレノフェン−2−カルボキサミド(化合物1)が、インビトロでの黒色腫腫瘍細胞の増殖の阻害において最も良好な作用を示したことを示す(表1)。市販の標準的な薬剤であるダカルバジンと比較すると、化合物1では、マウス黒色腫B16細胞およびヒト黒色腫A375細胞において、それぞれ、5倍および8倍強力な阻害が示された。
【表1】

表1:一般式(I)および(II)の化合物の抗黒色腫増殖能
【実施例18】
【0190】
異なる組織起源の他の一部の腫瘍細胞における化合物1の増殖阻害能:
化合物1およびDTICの抗腫瘍増殖能を、A549肺腫瘍細胞、DU145前立腺腫瘍細胞、HT29結腸癌細胞およびMCF−7(ER)乳房腫瘍細胞などの種々のヒト腫瘍細胞においてインビトロで、前述(実施例17)のMTT系細胞増殖アッセイを用いて評価した。4連のウェルで得られた結果(平均OD±SD)を、試験化合物の細胞増殖阻害(50%阻害濃度、IC50)を測定するための計算に使用した(表2)。
【表2】

表2:異なる組織起源の他の一部のヒト癌細胞における化合物1の抗腫瘍増殖能の比較
【実施例19】
【0191】
化合物1の細胞傷害能:
DTICおよび化合物1の細胞傷害能を、腫瘍細胞培養上清中への漏出乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)を測定することにより評価した(LDH Cytotoxicity Detection Kitplus,Roche Applied Sciences,Germany)。漏出LDHは、細胞傷害性化合物によって受ける細胞損傷に正比例する。簡単には、同数のヒト悪性黒色腫A375細胞またはマウス黒色腫細胞B16 F0を、種々の濃度の試験化合物で処理し、48時間インキュベートした。ビヒクル対照培養ウェルには、最高0.5%のDMSOのみを与えた。無細胞の培養上清を触媒および色素溶液と混合し、室温で15分間インキュベートした。最後に、反応を停止させ、光学密度をマイクロプレートリーダー(BioRad,USA)にて492nmで測定した。4連のウェルで得られた結果(平均OD±SD)を、試験化合物の細胞傷害能(50%阻害濃度、IC50)を測定するための計算に使用した。それぞれ、図1Aおよび1Bに示した棒グラフは、薬剤濃度に対するDTIC処理および化合物1処理での漏出LDHの増加パーセントで表示した、B16 F0細胞およびA375細胞の細胞バイアビリティの低下を示す。
【実施例20】
【0192】
腫瘍選択性:
次に、
化合物1が、正常細胞に影響を及ぼすことなく、または影響を最小限に抑えて黒色腫細胞を選択的に死滅させることができるかどうかを確認するため、本発明者らは、HS.531.skヒト正常皮膚上皮細胞の細胞増殖阻害に対する化合物1とDTICの有効性の比較を評価した。試験化合物およびDTICの増殖阻害作用は、前述(実施例17)のMTT増殖アッセイによって評価した。正常皮膚上皮細胞の増殖の阻害における化合物1とDTICの有効性の比較を図2に示す。化合物1およびDTICは、それぞれ、25μg/mlの濃度で、HS.531.skヒト正常皮膚上皮細胞の2.33%および34.58%の増殖阻害を示し、50μg/mlの濃度では、これらの2つの抗黒色腫薬は、該正常皮膚上皮細胞において23.83%および43.46%の増殖阻害を示した。これらのデータは、総合すると、化合物1が、市販の抗黒色腫薬DTICと比べて、正常細胞の増殖への影響を最小限に抑えて、より選択的にヒト黒色腫腫瘍細胞の増殖を阻害することを明白に示す。
【実施例21】
【0193】
B16 F0マウス黒色腫細胞コロニー形成アッセイ:
クローン形成における化合物1およびDTICの阻害作用を、一部修正を加えた前述の手順に従うことによって試験した。簡単には、B16F0細胞を収穫し、6ウェルプレート内に播種した(100細胞/ml)。細胞を4日間増殖させ、その後、細胞を、0.1%DMSOまたは100μg/mlのDTICまたは異なる濃度(1、5、10もしくは20μg/ml)の化合物1のいずれかを含有するDMEMとともに、さらに8日間インキュベートした。24時間毎に、試験薬剤を含有する新鮮培地と交換した。最後に、ウェルをPBSで3回洗浄し、メタノール中に15分間固定した。細胞をギムザ染色液で染色し、顕微鏡下で観察した。染色ウェルの画像をデジタル化して読み取り(Kodak Image Station 4000MM,Carestream Health Inc.,New Haven,CT)、コロニー数を計数し、NIH Image Jソフトウェアを用いて解析した。図3は、DTICおよび化合物1で処理したウェルにおけるB16コロニー増殖の阻害を示す。化合物1は、DTICと比べ、B16腫瘍細胞コロニー増殖において有意な阻害を示した。DTICでは、100μg/mlの濃度でも35.8%阻害しか示されなかったが、対照的に、1、5、10または20μg/mlの化合物1では、それぞれ、11%、35%、54%および94%のコロニー数の減少が達成された。
【実施例22】
【0194】
化合物1は、B16F0マウス黒色腫細胞の浸潤を阻害する:
B16F0の浸潤能に対するDTICおよび化合物1の阻害作用を細胞浸潤アッセイにおいて試験し、該細胞浸潤アッセイは、Matrigel(BME−Cultrex(登録商標)、R&D Systems,USA)でコートされ、8μm穿孔膜を有する細胞培養インサート(Becton Dickinson,USA)を用いて行なった。同数(5万個)のB16F0細胞を各インサートウェルに適用し、5%COの存在下、37℃で2時間付着させた。その後、試験化合物の存在下または非存在下で、マトリゲル層中への細胞浸潤を行なわせた。100μg/mlのDTICまたは20μg/mlの化合物1のいずれかを、浸潤アセンブリの下側チャンバに適用した。ビヒクル対照培養チャンバには0.1%のDMSOを適用した。24時間の処理後、細胞を含むマトリゲル層を綿栓を用いて取り出し、膜の反対側の浸潤細胞をメタノールで5分間固定し、次いでギムザで染色した。染色された膜をガラススライド上にマウントし、光学顕微鏡(Nikon Eclipse TS 100)下で無作為に20個の視野(20倍対物レンズ)で浸潤細胞数を計数した。ビヒクル処理対照と比較すると、インビトロにおいて、化合物1では、B16 F0悪性黒色腫腫瘍細胞の浸潤が有意に低減された(p=0.0017)が、DTICでは、B16黒色腫細胞の浸潤は有意には阻害され得なかった(図4)。
【実施例23】
【0195】
化合物1はヒト内皮細胞の遊走を阻害する:
内皮細胞遊走アッセイの方法論は、一部修正を加えて、既報のものと本質的に同じとした(Sengupta,Kら、Mol.Cancer Res.2004、2:150−158)。8μm細孔を有するPET膜を備えたFALCONTM Cell Cultureインサート(Becton Dickinson,USA)を、0.1mg/mlのコラーゲンでコートした。この細胞培養インサート(Becton Dickinson)に、ヒト臍静脈内皮細胞(HUVEC)を5×10細胞/インサートの密度で添加した。インサート内で、異なる濃度のDTICまたは化合物1のいずれかの存在下、細胞を18時間遊走させた。対照培養物を含む遊走アセンブリには0.1%のDMSOのみを与えた。遊走しなかった細胞を綿栓で擦り取って除去し、遊走細胞をメタノールで5分間固定し、次いでギムザで染色した。次いで、インサートの膜をガラススライド上にマウントした。膜の細孔を通って遊走した細胞を、20倍対物レンズでのNikon Eclipse TS 100顕微鏡下、無作為に20個の視野で計数した。図5は、化合物1を投与した内皮細胞の遊走の有意な阻害を示す。
【実施例24】
【0196】
化合物1はインビトロで内皮毛細血管形成を阻害する:
インビトロ毛細血管形成アッセイを、10mg/mlの基底膜抽出物(BME−Cultrex(登録商標)、R&D Systems,USA)床で培養したヒト臍静脈内皮細胞(HUVEC)を用いて行なった。インビトロ内皮血管形成アッセイのプロトコルは、一部修正を加えて既報のものと同じとした(Diana Gら、J Cell Biol.1995、Volume 130:207−215)。簡単には、400マイクロリットルのCultrexを24ウェル培養プレートの各ウェルに4℃でコートし、37℃で1時間ゲル化させた。10%ウシ胎仔血清および4.5g/lのD−グルコースを補給した400μlのDMEMを入れたウェル1つあたり7.5×10細胞の密度でHUVECをプレーティングした。次いで、所望の濃度のDTICまたは化合物1のいずれかで、細胞を16時間処理した。ビヒクル対照培養物には0.1%のDMSOのみを与えた。Nikon Coolpixカメラを取り付けたNikon Eclipse TS 100顕微鏡下で写真を撮影した。インビトロ培養条件において、化合物1では、用量依存的な毛細血管形成阻害が示されたが、対照的に、DTICでは、ヒト内皮細胞で毛細血管形成が促進された(図6)。
【実施例25】
【0197】
C57B6JマウスのB16 F0黒色腫異種移植片モデルにおける化合物1の抗腫瘍増殖能:
黒色腫増殖に対する化合物1のインビボでの有効性を、C57B6JマウスのB16 F0黒色腫異種移植片モデルにおいて評価した。6週齢のC57B6Jマウス(体重18〜22g)を国立栄養研究所(NIN)、ハイデラバード(インド)から購入した。動物試験プロトコルは機関内倫理委員会(IAEC)によって承認されたものであった。試験はすべて、動物実験の管理および監視の目的のための委員会(Committee for the Purpose of Control and Supervision of Experiments on Animals)(CPCSEA)ガイドラインおよびOECDガイドラインに準じて行なった。動物は、標準的な飼料に自由にアクセス可能にし、活性炭濾過した紫外線曝露水を随意に摂取させた。動物は、制御された温度(24〜26℃)/湿度(45〜70%)および12時間/12時間の明/暗サイクル下に維持した。
【0198】
黒色腫腫瘍の形成を誘導するため、サブコンフルエントのB16F0細胞を短時間のトリプシン処理によって収穫し、1×10個の細胞(0.2mlのリン酸緩衝生理食塩水)を皮下注射した。薬剤での治療は、触知可能な腫瘍の発生後(細胞移植の3〜5日後)に開始した。薬剤はリン酸緩衝生理食塩水(10%DMSO,v/v)中で調製し、75mg/kgのDTICまたは25mg/kgの化合物1のいずれかを、腹腔内経路によって毎日投与した。ビヒクル投与対照動物には、10%DMSO含有リン酸緩衝生理食塩水のみを与えた。14日間の投与の後、動物をCO吸入によって致死させ、腫瘍を切除し、重量計測した。図7は、C57B6JマウスのB16 F0黒色腫異種移植片モデルにおける種々の濃度のDTICおよび化合物1による腫瘍の増殖阻害作用の比較を示す。
【実施例26】
【0199】
nu/nu BALB/cヌードマウスのA375ヒト黒色腫異種移植片モデルにおける化合物1の抗黒色腫作用:
化合物1の抗黒色腫作用をさらに実証するため、この化合物を、その抗黒色腫作用について、nu/nu BALB/cヌードマウスのA375ヒト黒色腫異種移植片モデルにおいて試験した。この試験では、6〜8週齢の動物(体重18〜22g)を使用した。動物試験プロトコルは、機関内倫理委員会(LAEC)によって承認されたものであった。試験はすべて、動物実験の管理および監視の目的のための委員会(CPCSEA)ガイドラインおよびOECDガイドラインに準じて行なった。動物は、滅菌した標準的な齧歯類用飼料に自由にアクセス可能にし、活性炭濾過した紫外線曝露水を随意に摂取させた。動物を滅菌室に収容し、個別に換気ケージに入れた。室内は、制御された温度(24〜26℃)/湿度(45〜70%)および12時間/12時間の明/暗サイクルに維持した。
黒色腫腫瘍を誘導するため、サブコンフルエントのA375ヒト黒色腫細胞を短時間のトリプシン処理によって収穫し、1×10個の細胞(0.2mlのリン酸緩衝生理食塩水)を皮下注射した。薬剤での治療は、触知可能な腫瘍の発生後(細胞移植の6〜7日後)に開始した。この時点の腫瘍生着率は100%であった。化合物1は、10%のDMSO(v/v)を含有するリン酸緩衝生理食塩水中で調製し、25mg/kgの化合物1を腹腔内経路によって毎日投与した。ビヒクル投与対照動物には10%DMSO含有リン酸緩衝生理食塩水のみを与えた。21日間の投与後、動物をCO吸入によって致死させ、腫瘍の増殖を下記の式によって測定した(Friedman HSら、Mol Cancer Ther 2002、1:943−948)。
[(長さ)×(幅)]/2
【0200】
化合物1は、ビヒクル投与群と比べて有意に黒色腫腫瘍の増殖を阻害する(p=0.04322)(図8)。化合物1は、ヌードマウスのヒト黒色腫異種移植片モデルにおいて、黒色腫腫瘍の増殖を46.52%阻害し得る。この観察結果は、該化合物の抗黒色腫作用を実証し、化合物1がヒト悪性黒色腫を治療するための潜在的治療用薬剤として使用され得るという本発明者らの所見を強く裏付けている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I):
【化1】

(式中、
Rは、H、CHおよびCHOHから選択され、
は、H、N=N−N(CH、N=N−NHCH、N=N−N(CH)CHOH、CONH、CONHR、CONR、CONHNH、CONHNHR、CONHNR、COOCH、COOCHCH、COOH、COSH、CN、C≡CH、SONH、SONHR、SONR、NO、CF、Cl、Br、F、CCl、CH、OH、OCH、SH、SCH、NH、NHCH、N(CH、アルキル、アルケニル、電子求引性官能基、および電子供与性官能基からなる群より選択され、
ここで、RおよびRは、独立して、H、CH、C〜C10アルキル、アルケニル、アルキロール、アルコキシおよびアルキルアミンから選択され、
およびRは、
a)独立して、H、アルキル、アルケニル、N=N−N(CH、N=N−NHCH、N=N−N(CH)CHOH、CONH、CONHR、CONR、CONHNH、SONR、SONHNHR、SONH、CONHNR、COOCH、COOCHCH、COOH、COSH、CN、C≡CH、NO、CF、Cl、Br、F、CCl、CH、OH、OCH、SH、SCH、NH、NHCH、N(CH、電子求引性官能基、および電子供与性官能基からなる群より選択される、
ここで、RおよびRは、独立して、H、CH、C〜C10アルキル、アルケニル、アルキロール、アルコキシおよびアルキルアミンから選択される、あるいは
b)結合して、脂環式、芳香族または複素環式の環系を形成している、あるいは
、RおよびRのうち、いずれか2つが結合して、シクロペンチル、シクロヘキシル、フェニルおよびピリジルを含む脂環式、芳香族、複素環式系を形成していてもよい)
の化合物またはその医薬的に許容され得る塩。
【請求項2】
前記化合物が、
a) 4−[(ジメチルアミノ)ジアゼニル]−5−メチルセレノフェン−2−カルボキサミド、
b) 3−[(ジメチルアミノ)ジアゼニル]セレノフェン−2,5−ジカルボキサミド、
c) 3−[(ジメチルアミノ)ジアゼニル]−5−フェニルセレノフェン−2−カルボキサミド、
d) 3−[(ジメチルアミノ)ジアゼニル]−5−(tert−ブチル)セレノフェン−2−カルボキサミド、
e) 3−[(ジメチルアミノ)ジアゼニル]−4,5,6,7−テトラヒドロベンゾ[1,2−b]セレノフェン−2−カルボキサミド、
f) 3−[(ジメチルアミノ)ジアゼニル]セレノフェノ[2,3−b]ピリジン−2−カルボキサミド、
g) 3−[(ジメチルアミノ)ジアゼニル]−5−フェニルセレノフェン−2−カルボン酸、
h) 3−[(ジメチルアミノ)ジアゼニル]−5−(tert−ブチル)セレノフェン−2−カルボン酸、
i) 3−[(ジメチルアミノ)ジアゼニル]−4,5,6,7−テトラヒドロベンゾ[1,2−b]セレノフェン−2−カルボン酸、
j) 3−[(ジメチルアミノ)ジアゼニル]セレノフェノ[2,3−b]ピリジン−2−カルボン酸、および
k) 3−[(ジメチルアミノ)ジアゼニル]−5−(tert−ブチル)セレノフェン−2−カルボニトリル
からなる群より選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
一般式(II):
【化2】

(式中、X、YおよびZは、独立して、得られる二環式系が非置換型および置換型セレノフェンの5員芳香族複素環式部分を伴うものとなるように、二重結合がXとYの間またはYとZの間のいずれかに存在するように、CおよびSeから選択され、
およびRは、
a)独立して、H、N=N−N(CH、N=N−NHCH、N=N−N(CH)CHOH、CONH、CONHR、CONR、CONHNH、CONHNHR、CONHNR、COOCH、COOCHCH、COOH、COSH、CN、C≡CH、SONH、SONHR、SONR、NO、CF、Cl、Br、F、CCl、CH、OH、OCH、SH、SCH、NH、NHCH、N(CH、アルキル、アルケニル、電子求引性官能基、および電子供与性官能基から選択されるか、または
b)結合して、脂環式、芳香族もしくは複素環式の環系を形成しているか
のいずれかであり、
およびRは、独立して、H、CH、C〜C10アルキル、アルケニル、アルキロール、アルコキシ、およびアルキルアミンから選択される)
の化合物またはその医薬的に許容され得る塩。
【請求項4】
前記化合物が、
a)3−メチル−6−フェニルセレノフェノ[3,2−d]1,2,3−トリアジン−4−オン、
b)6−(tert−ブチル)−3−メチルセレノフェノ[3,2−d]1,2,3−トリアジン−4−オン、
c)3−メチル−6,7,8,9−テトラヒドロベンゾ[1,2−b]1,2,3−トリアジノ[4,5−d]セレノフェン−4−オン、
d)3−メチル−1,2,3−トリアジノ[4’,5’−5,4]セレノフェノ[2,3−b]ピリジン−4−オン、および
e)3−メチルベンゾ[b]1,2,3−トリアジノ[4,5−d]セレノフェン−4−オン
からなる群より選択される、請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
少なくとも1種類の請求項1に記載の化合物またはその医薬的に許容され得る塩を、医薬的に許容され得る賦形剤、医薬的に許容され得る希釈剤、および医薬的に許容され得る担体から選択される少なくとも1種類との組み合わせにより含む医薬組成物。
【請求項6】
少なくとも1種類の請求項3に記載の化合物またはその医薬的に許容され得る塩、医薬的に許容され得る賦形剤、医薬的に許容され得る希釈剤、および医薬的に許容され得る担体から選択される少なくとも1種類との組み合わせにより含む医薬組成物。
【請求項7】
さらに、一般式(II):
【化3】

(式中、X、YおよびZは、独立して、得られる二環式系が非置換型および置換型セレノフェンの5員芳香族複素環式部分を伴うものとなるように、二重結合がXとYの間またはYとZの間のいずれかに存在するように、CおよびSeから選択され、
およびRは、
a)独立して、H、N=N−N(CH、N=N−NHCH、N=N−N(CH)CHOH、CONH、CONHR、CONR、CONHNH、CONHNHR、CONHNR、COOCH、COOCHCH、COOH、COSH、CN、C≡CH、SONH、SONHR、SONR、NO、CF、Cl、Br、F、CCl、CH、OH、OCH、SH、SCH、NH、NHCH、N(CH、アルキル、アルケニル、電子求引性官能基、および電子供与性官能基から選択されるか、または
b)結合して、脂環式、芳香族、複素環式の環系(ring heterocyclic system)を形成しているか
のいずれかであり、
およびRは、独立して、H、CH、C〜C10アルキル、アルケニル、アルキロール、アルコキシ、アルキルアミンから選択される)
の少なくとも1種類の化合物またはその医薬的に許容され得る塩を含む、請求項5に記載の医薬組成物。
【請求項8】
さらに、少なくとも1種類の化学療法剤を、医薬的に許容され得る賦形剤、医薬的に許容され得る希釈剤、および医薬的に許容され得る担体から選択される少なくとも1種類との組み合わせにより含む、少なくとも1種類の請求項1に記載の化合物またはその医薬的に許容され得る塩を含む医薬組成物。
【請求項9】
任意選択で、さらに、少なくとも1種類の化学療法剤を含む、請求項6に記載の医薬組成物。
【請求項10】
任意選択で、さらに、少なくとも1種類の化学療法剤を含む、請求項7に記載の医薬組成物。
【請求項11】
前記化学療法剤が、5−フルオロウラシル、6−メルカプトプリン、アクチノマイシン、ドキソルビシン、アミノグルテチミド、アナストロゾール、ベバシズマブ、ブレオマイシン、カルボプラチン、カクチノマイシン、カペシタビン、シスプラチン、クロドロン酸、シクロホスファミド、ダクチノマイシン、ドセタキセル、ドキソルビシン、エピルビシン、エトポシド、エキセメスタン、フルオロウラシル、フルオキシメステロン、レトロゾール、ロイコボリンカルシウム、メゲストロール、酢酸メゲストロール、メトトレキサート、マイトマイシン、ミトキサントロン、パクリタキセル、パミドロネート、プレドニゾン、タモキシフェン、トラスツズマブ、チオテパ、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビノレルビン、その医薬的に許容され得る塩、およびその混合物からなる群より選択される、請求項8に記載の組成物。
【請求項12】
前記化学療法剤が、5−フルオロウラシル、6−メルカプトプリン、アクチノマイシン、ドキソルビシン、アミノグルテチミド、アナストロゾール、ベバシズマブ、ブレオマイシン、カルボプラチン、カクチノマイシン、カペシタビン、シスプラチン、クロドロン酸、シクロホスファミド、ダクチノマイシン、ドセタキセル、ドキソルビシン、エピルビシン、エトポシド、エキセメスタン、フルオロウラシル、フルオキシメステロン、レトロゾール、ロイコボリンカルシウム、メゲストロール、酢酸メゲストロール、メトトレキサート、マイトマイシン、ミトキサントロン、パクリタキセル、パミドロネート、プレドニゾン、タモキシフェン、トラスツズマブ、チオテパ、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビノレルビン、その医薬的に許容され得る塩、およびその混合物からなる群より選択される、請求項9に記載の組成物。
【請求項13】
前記化学療法剤が、5−フルオロウラシル、6−メルカプトプリン、アクチノマイシン、ドキソルビシン、アミノグルテチミド、アナストロゾール、ベバシズマブ、ブレオマイシン、カルボプラチン、カクチノマイシン、カペシタビン、シスプラチン、クロドロン酸、シクロホスファミド、ダクチノマイシン、ドセタキセル、ドキソルビシン、エピルビシン、エトポシド、エキセメスタン、フルオロウラシル、フルオキシメステロン、レトロゾール、ロイコボリンカルシウム、メゲストロール、酢酸メゲストロール、メトトレキサート、マイトマイシン、ミトキサントロン、パクリタキセル、パミドロネート、プレドニゾン、タモキシフェン、トラスツズマブ、チオテパ、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビノレルビン、その医薬的に許容され得る塩、およびその混合物からなる群より選択される、請求項10に記載の組成物。
【請求項14】
さらに、少なくとも1種類の生物学的応答修飾剤を、医薬的に許容され得る賦形剤、医薬的に許容され得る希釈剤、および医薬的に許容され得る担体から選択される少なくとも1種類との組み合わせにより含む、少なくとも1種類の請求項1に記載の化合物またはその医薬的に許容され得る塩を含む医薬組成物。
【請求項15】
さらに、任意選択で、少なくとも1種類の生物学的応答修飾剤を含む、請求項9に記載の医薬組成物。
【請求項16】
さらに、任意選択で、少なくとも1種類の生物学的応答修飾剤を含む、請求項10に記載の医薬組成物。
【請求項17】
前記生物学的応答修飾剤が、モノクローナル抗体、インターフェロン、インターロイキン、コロニー刺激因子、およびTNF−α受容体遮断薬からなる群より選択される、請求項14に記載の組成物。
【請求項18】
前記生物学的応答修飾剤が、モノクローナル抗体、インターフェロン、インターロイキン、コロニー刺激因子、およびTNF−α受容体遮断薬からなる群より選択される、請求項15に記載の組成物。
【請求項19】
前記生物学的応答修飾剤が、モノクローナル抗体、インターフェロン、インターロイキン、コロニー刺激因子、およびTNF−α受容体遮断薬からなる群より選択される、請求項16に記載の組成物。
【請求項20】
治療有効量の少なくとも1種類の請求項1に記載の化合物を温血動物に投与することを含む、癌、癌関連および他の血管系疾患の治療を必要とする前記温血動物における治療方法。
【請求項21】
治療有効量の少なくとも1種類の請求項3に記載の化合物を、単独で、または式(I):
【化4】

(式中、
Rは、H、CHおよびCHOHから選択され、
が、H、アルキル、アルケニル、N=N−N(CH、N=N−NHCH、N=N−N(CH)CHOH、CONH、CONHR、CONR、CONHNH、SONR、SONHNHR、SONH、CONHNR、COOCH、COOCHCH、COOH、COSH、CN、C≡CH,NO、CF、Cl、Br、F、CCl、CH、OH、OCH、SH、SCH、NH、NHCH、N(CH、電子求引性官能基、および電子供与性官能基からなる群より選択され、
ここで、RおよびRは、独立して、H、CH、C〜C10アルキル、アルケニル、アルキロール、アルコキシおよびアルキルアミンから選択され、
およびRは、
a)独立して、H、アルキル、アルケニル、N=N−N(CH、N=N−NHCH、N=N−N(CH)CHOH、CONH、CONHR、CONR、CONHNH、SONR、SONHNHR、SONH、CONHNR、COOCH、COOCHCH、COOH、COSH、CN、C≡CH、NO、CF、Cl、Br、F、CCl、CH、OH、OCH、SH、SCH、NH、NHCH、N(CH、電子求引性官能基、および電子供与性官能基からなる群より選択され、
ここで、RおよびRは、独立して、H、CH、C〜C10アルキル、アルケニル、アルキロール、アルコキシおよびアルキルアミンから選択される、あるいは
b)結合して、脂環式、芳香族または複素環式の環系を形成している、あるいは
、RおよびRのうち、いずれか2つが結合して、シクロペンチル、シクロヘキシル、フェニルおよびピリジルを含む脂環式、芳香族、複素環式系を形成していてもよい)
の化合物と併用して温血動物に投与することを含む、癌、癌関連および他の血管系疾患の治療を必要とする前記温血動物における治療方法。
【請求項22】
少なくとも1種類の一般式(I):
【化5】

(式中、
Rは、H、CHおよびCHOHから選択され、
が、H、アルキル、アルケニル、N=N−N(CH、N=N−NHCH、N=N−N(CH)CHOH、CONH、CONHR、CONR、CONHNH、SONR、SONHNHR、SONH、CONHNR、COOCH、COOCHCH、COOH、COSH、CN、C≡CH、NO、CF、Cl、Br、F、CCl、CH、OH、OCH、SH、SCH、NH、NHCH、N(CH、電子求引性官能基、および電子供与性官能基からなる群より選択され、
ここで、RおよびRは、独立して、H、CH、C〜C10アルキル、アルケニル、アルキロール、アルコキシおよびアルキルアミンから選択され、
およびRは、
a)独立して、H、アルキル、アルケニル、N=N−N(CH、N=N−NHCH、N=N−N(CH)CHOH、CONH、CONHR、CONR、CONHNH、SONR、SONHNHR、SONH、CONHNR、COOCH、COOCHCH、COOH、COSH、CN、C≡CH、NO、CF、Cl、Br、F、CCl、CH、OH、OCH、SH、SCH、NH、NHCH、N(CH、電子求引性官能基、および電子供与性官能基からなる群より選択され、
ここで、RおよびRは、独立して、H、CH、C〜C10アルキル、アルケニル、アルキロール、アルコキシおよびアルキルアミンから選択されている、あるいは
b)結合して、脂環式、芳香族または複素環式の環系を形成している、あるいは
、RおよびRのうち、いずれか2つが結合して、シクロペンチル、シクロヘキシル、フェニルおよびピリジルを含む脂環式、芳香族、複素環式系を形成していてもよい)
の化合物またはその医薬的に許容され得る塩を、医薬的に許容され得る賦形剤、医薬的に許容され得る希釈剤、および医薬的に許容され得る担体から選択される少なくとも1種類との組み合わせにより含み、任意選択で、少なくとも1種類の化学療法剤を含み、さらに、任意選択で、少なくとも1種類の生物学的応答修飾剤を含む組成物を投与することを含む、温血動物における癌、癌関連および他の血管系疾患の治療方法。
【請求項23】
少なくとも1種類の一般式(II):
【化6】

(式中、X、YおよびZは、独立して、得られる二環式系が非置換型および置換型セレノフェンの5員芳香族複素環式部分を伴うものとなるように、二重結合がXとYの間またはYとZの間のいずれかに存在するように、CおよびSeから選択され、
およびRは、
a)独立して、H、N=N−N(CH、N=N−NHCH、N=N−N(CH)CHOH、CONH、CONHR、CONR、CONHNH、CONHNHR、CONHNR、COOCH、COOCHCH、COOH、COSH、CN、C≡CH、SONH、SONHR、SONR、NO、CF、Cl、Br、F、CCl、CH、OH、OCH、SH、SCH、NH、NHCH、N(CH、アルキル、アルケニル、電子求引性官能基、および電子供与性官能基から選択されるか、または
b)結合して、脂環式、芳香族、複素環式の環系を形成しているか
のいずれかであり、
およびRは、独立して、H、CH、C〜C10アルキル、アルケニル、アルキロール、アルコキシ、アルキルアミンから選択される)
の化合物またはその医薬的に許容され得る塩を、医薬的に許容され得る賦形剤、医薬的に許容され得る希釈剤、および医薬的に許容され得る担体から選択される少なくとも1種類との組み合わせにより含み、任意選択で、請求項22に記載の一般式(I)の化合物、その医薬的に許容され得る塩および化学療法剤から選択される少なくとも1種類を含み、さらに、任意選択で、少なくとも1種類の生物学的応答修飾剤を含む組成物を投与することを含む、温血動物における癌、癌関連および他の血管系疾患の治療方法。
【請求項24】
抗血管形成療法、化学療法、サイトカイン療法、放射線療法、遺伝子療法、ホルモン療法、外科治療、生物学的療法およびその組み合わせからなる群より選択される治療の手段として、請求項1に記載の少なくとも1種類の化合物またはその医薬的に許容され得る塩を投与することを含む、温血動物における癌の治療方法。
【請求項25】
抗血管形成療法、化学療法、サイトカイン療法、放射線療法、遺伝子療法、ホルモン療法、外科治療、生物学的療法およびその組み合わせからなる群より選択される治療の手段として、請求項3に記載の少なくとも1種類の化合物またはその医薬的に許容され得る塩を投与することを含む、温血動物における癌の治療方法。
【請求項26】
抗血管形成療法、化学療法、サイトカイン療法、放射線療法、遺伝子療法、ホルモン療法、外科治療、生物学的療法およびその組み合わせからなる群より選択される治療の手段として、請求項22に記載の組成物を投与することを含む、温血動物における癌の治療方法。
【請求項27】
抗血管形成療法、化学療法、サイトカイン療法、放射線療法、遺伝子療法、ホルモン療法、外科治療、生物学的療法およびその組み合わせからなる群より選択される治療の手段として、請求項23に記載の組成物を投与することを含む、温血動物における癌の治療方法。
【請求項28】
転移性悪性黒色腫、リンパ腫(ホジキンおよび非ホジキン)、肉腫、脳腫瘍、中枢神経系(CNS)転移、神経膠腫、癌腫、乳癌、前立腺癌、肺癌(小細胞および非小細胞)、結腸癌、膵臓癌、頭頚部癌および口腔咽頭扁平上皮癌からなる群より選択される癌疾患を有する温血動物における、請求項20に記載の治療方法。
【請求項29】
転移性悪性黒色腫、リンパ腫(ホジキンおよび非ホジキン)、肉腫、脳腫瘍、中枢神経系(CNS)転移、神経膠腫、癌腫、乳癌、前立腺癌、肺癌(小細胞および非小細胞)、結腸癌、膵臓癌、頭頚部癌および口腔咽頭扁平上皮癌からなる群より選択される癌疾患を有する温血動物における、請求項21に記載の治療方法。
【請求項30】
転移性悪性黒色腫、リンパ腫(ホジキンおよび非ホジキン)、肉腫、脳腫瘍、中枢神経系(CNS)転移、神経膠腫、癌腫、乳癌、前立腺癌、肺癌(小細胞および非小細胞)、結腸癌、膵臓癌、頭頚部癌および口腔咽頭扁平上皮癌からなる群より選択される癌疾患を有する温血動物における、請求項22に記載の治療方法。
【請求項31】
転移性悪性黒色腫、リンパ腫(ホジキンおよび非ホジキン)、肉腫、脳腫瘍、中枢神経系(CNS)転移、神経膠腫、癌腫、乳癌、前立腺癌、肺癌(小細胞および非小細胞)、結腸癌、膵臓癌、頭頚部癌および口腔咽頭扁平上皮癌からなる群より選択される癌疾患を有する温血動物における、請求項23に記載の治療方法。
【請求項32】
癌細胞が、脳、肺、副腎、下垂体、乳房、前立腺、膵臓、卵巣、胃腸管、腎臓、肝臓、脾臓、精巣、頚部、および食道上部、下部もしくは中部からなる群より選択される組織または身体の一部が起源である、請求項20に記載の癌の治療方法。
【請求項33】
癌細胞が、脳、肺、副腎、下垂体、乳房、前立腺、膵臓、卵巣、胃腸管、腎臓、肝臓、脾臓、精巣、頚部、および食道上部、下部もしくは中部からなる群より選択される組織または身体の一部が起源である、請求項21に記載の癌の治療方法。
【請求項34】
癌細胞が、脳、肺、副腎、下垂体、乳房、前立腺、膵臓、卵巣、胃腸管、腎臓、肝臓、脾臓、精巣、頚部、および食道上部、下部もしくは中部からなる群より選択される組織または身体の一部が起源である、請求項22に記載の癌の治療方法。
【請求項35】
癌細胞が、脳、肺、副腎、下垂体、乳房、前立腺、膵臓、卵巣、胃腸管、腎臓、肝臓、脾臓、精巣、頚部、および食道上部、下部もしくは中部からなる群より選択される組織または身体の一部が起源である、請求項23に記載の癌の治療方法。
【請求項36】
前記投与が、腹腔内(IP)、静脈内(IV)、経口(PO)、筋肉内(IM)、皮内(IC)、真皮内(ID)、子宮内または直腸内から選択される経路を含む、請求項20に記載の癌の治療方法。
【請求項37】
前記投与が、腹腔内(IP)、静脈内(IV)、経口(PO)、筋肉内(IM)、皮内(IC)、真皮内(ID)、子宮内または直腸内から選択される経路を含む、請求項21に記載の癌の治療方法。
【請求項38】
前記投与が、腹腔内(IP)、静脈内(IV)、経口(PO)、筋肉内(IM)、皮内(IC)、真皮内(ID)、子宮内または直腸内から選択される経路を含む、請求項22に記載の癌の治療方法。
【請求項39】
前記投与が、腹腔内(IP)、静脈内(IV)、経口(PO)、筋肉内(IM)、皮内(IC)、真皮内(ID)、子宮内または直腸内から選択される経路を含む、請求項23に記載の癌の治療方法。
【請求項40】
前記温血動物に、リポソーム系、ポリマー界面活性剤系、生分解性ブロックコポリマー、マイクロカプセル封入およびナノ粒子から選択される送達系によって請求項20に記載の化合物を投与することを含む、癌の治療方法。
【請求項41】
前記温血動物に、リポソーム系、ポリマー界面活性剤系、生分解性ブロックコポリマー、マイクロカプセル封入およびナノ粒子から選択される送達系によって請求項20に記載の化合物を投与することを含む、請求項21に記載の癌の治療方法。
【請求項42】
前記温血動物に、リポソーム系、ポリマー界面活性剤系、生分解性ブロックコポリマー、マイクロカプセル封入およびナノ粒子から選択される送達系によって請求項20に記載の化合物を投与することを含む、請求項22に記載の癌の治療方法。
【請求項43】
前記温血動物に、リポソーム系、ポリマー界面活性剤系、生分解性ブロックコポリマー、マイクロカプセル封入およびナノ粒子から選択される送達系によって請求項20に記載の化合物を投与することを含む、請求項23に記載の癌の治療方法。
【請求項44】
前記方法が、温血動物に、
a)4−[(ジメチルアミノ)ジアゼニル]−5−メチルセレノフェン−2−カルボキサミド、
b)3−[(ジメチルアミノ)ジアゼニル]セレノフェン−2,5−ジカルボキサミド、
c)3−[(ジメチルアミノ)ジアゼニル]−5−フェニルセレノフェン−2−カルボキサミド、
d)3−[(ジメチルアミノ)ジアゼニル]−5−(tert−ブチル)セレノフェン−2−カルボキサミド、
e)3−[(ジメチルアミノ)ジアゼニル]−4,5,6,7−テトラヒドロベンゾ[1,2−b]セレノフェン−2−カルボキサミド、
f)3−[(ジメチルアミノ)ジアゼニル]セレノフェノ[2,3−b]ピリジン−2−カルボキサミド、
g)3−[(ジメチルアミノ)ジアゼニル]−5−フェニルセレノフェン−2−カルボン酸、
h)3−[(ジメチルアミノ)ジアゼニル]−5−(tert−ブチル)セレノフェン−2−カルボン酸、
i)3−[(ジメチルアミノ)ジアゼニル]−4,5,6,7−テトラヒドロベンゾ[1,2−b]セレノフェン−2−カルボン酸、
j)3−[(ジメチルアミノ)ジアゼニル]セレノフェノ[2,3−b]ピリジン−2−カルボン酸、
k)3−[(ジメチルアミノ)ジアゼニル]−5−(tert−ブチル)セレノフェン−2−カルボニトリル、
1)3−メチル−6−フェニルセレノフェノ[3,2−d]1,2,3−トリアジン−4−オン、
m)6−(tert−ブチル)−3−メチルセレノフェノ[3,2−d]1,2,3−トリアジン−4−オン、
n)3−メチル−6,7,8,9−テトラヒドロベンゾ[1,2−b]1,2,3−トリアジノ[4,5−d]セレノフェン−4−オン、
o)3−メチル−1,2,3−トリアジノ[4’,5’−5,4]セレノフェノ[2,3−b]ピリジン−4−オン、および
p)3−メチルベンゾ[b]1,2,3−トリアジノ[4,5−d]セレノフェン−4−オン
からなる群より選択される少なくとも1種類の化合物の治療有効量を投与することを含む、癌および他の血管系疾患の治療を必要とする温血動物における治療方法。
【請求項45】
治療有効量の請求項44に記載の少なくとも1種類の化合物またはその医薬的に許容され得る塩を、医薬的に許容され得る賦形剤、医薬的に許容され得る希釈剤、および医薬的に許容され得る担体から選択される少なくとも1種類との組み合わせにより含み、任意選択で、少なくとも1種類の化学療法剤を含み、さらに、任意選択で、少なくとも1種類の生物学的応答修飾剤を含む組成物を、温血動物に投与することを含む、癌および他の血管系疾患の治療を必要とする前記温血動物における治療方法。
【請求項46】
医薬品を必要とする温血動物における使用のための医薬品の調製のための、請求項20に記載の化合物(1種類もしくは複数種)の使用方法。
【請求項47】
医薬品を必要とする温血動物における使用のための医薬品の調製のための、請求項21に記載の化合物(1種類もしくは複数種)の使用方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2012−525329(P2012−525329A)
【公表日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−506649(P2012−506649)
【出願日】平成22年4月26日(2010.4.26)
【国際出願番号】PCT/IN2010/000262
【国際公開番号】WO2010/125575
【国際公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【出願人】(511047103)カシナ ライラ イノバ ファーマシューティカルズ プライベート リミテッド (2)
【Fターム(参考)】