説明

抗癌性及び抗微生物性オキサゾリジノン並びに類似体

種々の新規のオキサゾリジノン、イミダゾリジノン及びチアソリジノン類似体、並びにこれらの類似体を用いた癌及び/又は微生物感染の治療方法が本明細書中で開示される。特定の4−オキサゾリジノン化合物は、抗癌性及び抗微生物活性を有することが示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[背景]
本発明は、化学及び医学の分野に関する。さらに特定的には、本発明は、或る種のオキサゾリジノン、イミダゾリジノン及びチアゾリジノン類似体、並びに抗癌及び抗微生物薬中のそれらの類似体の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
[関連技術の記載]
癌は、米国において主な死亡原因である。癌を治療するための新たなアプローチを見出すための多大な努力にもかかわらず、主要な治療法の選択肢は依然として、単独で、或いは併用して、手術、化学療法及び放射線療法である。しかしながら、手術及び放射線療法は一般的に、極めて特定のタイプの癌に対してのみ有用であり、播種性疾患を伴う患者を治療するのに使用が限られている。化学療法は、転移性癌又はびまん性癌(例えば、白血病)を伴う患者を治療するのに一般的に有用な方法である。化学療法は、治療的有益性を提供することができるが、化学療法剤に耐性となっている患者の癌細胞に起因して、疾患の治癒をもたらすことができないことが多い。癌細胞が化学療法剤に耐性となってくる可能性を一因として、このような化学療法剤は一般的に、患者を治療するのに併用して使用される。
【0003】
同様に、例えば細菌により引き起こされる感染性疾患は、治療及び治癒するのがますます難しくなってきている。例えば細菌等の微生物は、一般的な抗生物質及び化学療法剤に対する耐性をますます発現しつつある。このような細菌の例としては、グラム陽性及びグラム陰性細菌の両方、例えばブドウ球菌属、連鎖球菌属、マイコバクテリウム属、腸球菌属、コリネバクテリウム属、ボレリア属、バシラス属、クラミジア属、マイコプラズマ属等が挙げられる。真菌の例としては、アスペルギルス属、カンジダ属、トリコデルマ属等が挙げられる。原生動物の例としては、プラスモディウム属及びアカントアメーバ属が挙げられる。
【0004】
したがって、癌及び感染性疾患を治療するための付加的化学療法剤及び抗微生物剤に対する必要性が存在する。新規の潜在的に有用な化学療法剤及び抗微生物剤を同定するために個々の研究者、大学及び会社により、継続的努力が為されている。
【0005】
海洋由来の天然産物は、潜在的な新たな抗癌剤及び抗微生物剤の豊富な供給源である。海洋は、非常に複雑であり、圧力、塩分、及び温度が極端に変動する環境で生じる、微生物の多様な集団を収容している。したがって、海洋微生物は、特有の代謝能力及び生理学的能力を発達させてきた。それらの能力は、極端且つ変化に富む生息環境における生存を確実にするだけでなく、地上の微生物からは観察されないであろう代謝産物を生産する潜在能力も付与する(Okami, Y. 1993 J Mar Biotechnol 1:59)。このような代謝産物の代表的な構造的種類としては、テルペン、ペプチド、ポリケチド、及び混合された生合成起源を有する化合物が挙げられる。これらの分子の多くは、明らかな抗腫瘍活性、抗細菌活性、抗真菌活性、抗炎症活性又は免疫抑制活性を有し(Bull, A.T.他、2000 Microbiol Mol Biol Rev 64:573、 Cragg, G.M. 及び D.J. Newman 2002 Trends Pharmacol Sci 23:404、 Kerr, R.G. 及び S.S. Kerr 1999 Exp Opin Ther Patents 9:1207、Frenz,J.L., Kohl,A.C. 及び R.G.Kerr 2004 Exp Opin Ther Patents 14:17、 Moore, B.S 1999 Nat Prod Rep 16:653、 Faulkner, D.J. 2001 Nat Prod Rep 18:1、 Mayer, A.M. 及び V.K. Lehmann 2001 Anticancer Res 21:2489)、非常に貴重な治療剤を単離するためのこの供給源の有用性を確証する。さらに、現在市場に出回っているものに対して代替メカニズム的種類
を表す新規の抗癌剤及び抗微生物剤の単離は、バイオテロリズム目的で病原体に操作(engineered:導入)され得る任意のメカニズムベースの耐性を含む、耐性問題に対処するのを助長するであろう。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0006】
[特定の実施形態の概要]
本発明の一態様は、式I又はIaの構造を有する化合物、並びにその薬学的に許容可能な塩又はプロドラッグである。
【0007】
【化1】

【0008】
【化2】

【0009】
(式中、R1及びR2は個別に選択され、この場合、R1及びR2のうちの1つは式(II)の構造を有する分子断片であり、
【0010】
【化3】

【0011】
(式中、ZはO、S及びNR5から成る群から選択され、
6及びR7は、水素、ハロゲン、又は以下の残基の一置換、多置換もしくは非置換の直鎖もしくは分枝鎖の誘導体:C1〜C24アルキル、C2〜C24アルケニル又はC2〜C24アルキニル、アシル、アシルオキシ、アルキルオキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル、アルコキシ、シクロアルコキシ、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、エステル、アリールアルコキシカルボニル、アルコキシカルボニルアシル、アミノ、アミノカルボニル、アミド、アミノカルボニルオキシ、ニトロ、アジド、フェニル、ヒドロキシ、アルキルチオ、アリールチオ、オキシスルホニル、カルボキシ、シアノ、及び多ハロゲン化アルキルを含むハロゲン化アルキルから成る群から個別に選択され、
8、R9、R10及びR11は、個別に水素、ハロゲン、又は以下の残基の一置換、多置換もしくは非置換の直鎖もしくは分枝鎖の誘導体:C1〜C24アルキル、C2〜C24アルケニル又はC2〜C24アルキニル、アシル、アシルオキシ、アルキルオキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル、アルコキシ、シクロアルコキシ、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、エステル、アリールアルコキシカルボニル、アルコキシカルボニルアシル、アミノ、アミノカルボニル、アミド、アミノカルボニルオキシ、ニトロ、アジド、フェニル、ヒドロキシ、アルキルチオ、アリールチオ、オキシスルホニル、カルボキシ、シアノ、及び多ハロゲン化アルキルを含むハロゲン化アルキルから成る群から選択されるか、或いは存在しない)
そしてR1及びR2の残りの置換基は、水素、ハロゲン、又は以下の残基の一置換、多置換もしくは非置換の直鎖もしくは分枝鎖の誘導体:C1〜C24アルキル、C2〜C24アルケニル又はC2〜C24アルキニル、アシル、アシルオキシ、アルキルオキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル、アルコキシ、シクロアルコキシ、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、エステル、アリールアルコキシカルボニル、アルコキシカルボニルアシル、アミノ、アミノカルボニル、アミド、アミノカルボニルオキシ、ニトロ、アジド、フェニル、ヒドロキシ、アルキルチオ、アリールチオ、オキシスルホニル、カルボキシ、シアノ、及び多ハロゲン化アルキルを含むハロゲン化アルキルから成る群から選択され、
3は、=Oであり、
1'及びR2'は、個別に水素、ハロゲン、又は以下の残基の一置換、多置換もしくは非置換の直鎖もしくは分枝鎖の誘導体:C1〜C24アルキル、C2〜C24アルケニル又はC2〜C24アルキニル、アシル、アシルオキシ、アルキルオキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル、アルコキシ、シクロアルコキシ、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、エステル、アリールアルコキシカルボニル、アルコキシカルボニルアシル、アミノ、アミノカルボニル、アミド、アミノカルボニルオキシ、ニトロ、アジド、フェニル、ヒドロキシ、アルキルチオ、アリ
ールチオ、オキシスルホニル、カルボキシ、シアノ、及び多ハロゲン化アルキルを含むハロゲン化アルキルから成る群から選択されるか、或いは存在せず、
Yは、O、S及びNR5から成る群から個別に選択され、
4及び各R5は、個別に水素、又は以下の残基の一置換、多置換もしくは非置換の直鎖もしくは分枝鎖の誘導体:C16アルキル、C26アルケニル、C26アルキニル、C26へテロアルキル、C26アミノアルキル、C26ハロアルキル、C16アルコキシカルボニル及びC26ヒドロキシアルキル、C38シクロアルキル、C13アルキル又はハロで置換される−C(O)−C56アリール、C56アリール、C56へテロアリール、C56シクロアルキル、及びC56へテロシクロアルキルから成る群から選択されるか、或いは存在せず、但し、R4は式Iaの化合物中に存在しないということはなく、
破線及び実線により表わされる任意の結合は単結合及び二重結合から成る群から選択される結合を表わし、
単一破線により表わされる任意の結合は単結合であるか又は存在せず、且つ
任意の炭素−炭素二重結合は、シス及びトランスから成る群から選択される立体配置を有する)
【0012】
本発明の別の態様は、式III又はIIIaの構造を有する化合物、並びにその薬学的に許容可能な塩又はプロドラッグである。
【0013】
【化4】

【0014】
【化5】

【0015】
(式中、Yは、O、S及びNR5から成る群から個別に選択され、
2、R6及びR7は、水素、ハロゲン、又は以下の残基の一置換、多置換もしくは非置換の直鎖もしくは分枝鎖の誘導体:C1〜C24アルキル、C2〜C24アルケニル又はC2〜C24アルキニル、アシル、アシルオキシ、アルキルオキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル、アルコキシ、シクロアルコキシ、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、エステル、アリールアルコキシカルボニル、アルコキシカルボニルアシル、アミノ、アミノカルボニル、アミド、アミノカルボニルオキシ、ニトロ、アジド、フェニル、ヒドロキシ、アルキルチオ、アリールチオ、オキシスルホニル、カルボキシ、シアノ、及びハロゲン化アルキル、例えば多ハロゲン化アルキルから成る群から個別に選択され、
2'は、水素、ハロゲン、又は以下の残基の一置換、多置換もしくは非置換の直鎖もしくは分枝鎖の誘導体:C1〜C24アルキル、C2〜C24アルケニル又はC2〜C24アルキニル、アシル、アシルオキシ、アルキルオキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル、アルコキシ、シクロアルコキシ、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、エステル、アリールアルコキシカルボニル、アルコキシカルボニルアシル、アミノ、アミノカルボニル、アミド、アミノカルボニルオキシ、ニトロ、アジド、フェニル、ヒドロキシ、アルキルチオ、アリールチオ、オキシスルホニル、カルボキシ、シアノ、及び多ハロゲン化アルキルを含むハロゲン化アルキルから成る群から選択されるか、或いは存在せず、
4及びR5は、個別に水素、又は以下の残基の一置換、多置換もしくは非置換の直鎖もしくは分枝鎖の誘導体:C16アルキル、C26アルケニル、C26アルキニル、C26へテロアルキル、C26アミノアルキル、C26ハロアルキル、C16アルコキシカルボニル及びC26ヒドロキシアルキル、C38シクロアルキル、C13アルキル又はハロで置換される−C(O)−C56アリール、C56アリール、C56へテロアリール、C56シクロアルキル、及びC56へテロシクロアルキルから成る群から選択されるか、或いは存在せず、但し、R4は式IIIaの化合物中に存在しないということはなく、
8、R9、R10及びR11は、個別に水素、ハロゲン、又は以下の残基の一置換、多置換もしくは非置換の直鎖もしくは分枝鎖の誘導体:C1〜C24アルキル、C2〜C24アルケニル又はC2〜C24アルキニル、アシル、アシルオキシ、アルキルオキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル、アルコキシ、シクロアルコキシ、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、エステル、アリールアルコキシカルボニル、アルコキシカルボニルアシル、アミノ、アミノカルボニル、アミド、アミノカルボニルオキシ、ニトロ、アジド、フェニル、ヒドロキシ、アルキルチオ、アリールチオ、オキシスルホニル、カルボキシ、シアノ、及び多ハロゲン化アルキルを含むハロゲン化アルキルから成る群から選択されるか、或いは存在せず、
破線及び実線により表わされる任意の結合は単結合及び二重結合から成る群から選択される結合を表わし、
単一破線により表わされる任意の結合は単結合であるか又は存在せず、且つ
任意の炭素−炭素二重結合は、シス及びトランスから成る群から選択される立体配置を有する)
【0016】
本発明の別の態様は、IV又はIVaの構造を有する化合物、並びにその薬学的に許容可能な塩又はプロドラッグである。
【0017】
【化6】

【0018】
【化7】

【0019】
(式中、R2、R6及びR7は、以下の残基の一置換、多置換もしくは非置換の直鎖もしくは分枝鎖誘導体:C1〜C24アルキル、C2〜C24アルケニル又はC2〜C24アルキニルから成る群から個別に選択され、
2'は、水素、及び、以下の残基の一置換、多置換もしくは非置換の直鎖もしくは分枝鎖の誘導体:C1〜C24アルキル、C2〜C24アルケニル又はC2〜C24アルキニルから成る群から個別に選択され、
4は、水素、直鎖又は分枝鎖のC16アルキル、直鎖又は分枝鎖のC26アルケニル、及び直鎖又は分枝鎖のC26アルキニルから成る群から選択されるか、或いは存在しないが、但し、R4は式IVaの化合物中に存在しないということはなく、
破線及び実線により表わされる任意の結合は単結合及び二重結合から成る群から選択される結合を表わすが、但し、式IV中の化合物のこのような結合はともに二重結合でなくてもよく、
任意の炭素−炭素二重結合は、シス及びトランスから成る群から選択される立体配置を有する)
【0020】
本発明の別の態様は、式V又はVaの構造を有する化合物、並びにその薬学的に許容可能な塩又はプロドラッグである。
【0021】
【化8】

【0022】
【化9】

【0023】
(式中、Yは、O及びNR5から成る群から選択され、
Zは、O、S及びNR5から成る群から選択され、
2、R6及びR7は、水素、ハロゲン、又は以下の残基の一置換、多置換もしくは非置換の直鎖もしくは分枝鎖の誘導体:C1〜C24アルキル、C2〜C24アルケニル又はC2〜C24アルキニル、アシル、アシルオキシ、アルキルオキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル、アルコキシ、シクロアルコキシ、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、エステル、アリールアルコキシカルボニル、アミノ、アミノカルボニル、アミド、アミノカルボニルオキシ、ニトロ、アジド、フェニル、ヒドロキシ、アルキルチオ、アリールチオ、オキシスルホニル、カルボキシ、シアノ、及び多ハロゲン化アルキルを含むハロゲン化アルキルから成る群から個別に選択され、
2'は、水素、ハロゲン、又は以下の残基の一置換、多置換もしくは非置換の直鎖もしくは分枝鎖の誘導体:C1〜C24アルキル、C2〜C24アルケニル又はC2〜C24アルキニル、アシル、アシルオキシ、アルキルオキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル、アルコキシ、シクロアルコキシ、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、エステル、アリールアルコキシカルボニル、アミノ、アミノカルボニル、アミド、アミノカルボニルオキシ、ニトロ、アジド、フェニル、ヒドロキシ、アルキルチオ、アリールチオ、オキシスルホニル、カルボキシ、
シアノ、及び多ハロゲン化アルキルを含むハロゲン化アルキルから成る群から選択されるか、或いは存在せず、
4及び各R5は、個別に水素、又は以下の残基の一置換、多置換もしくは非置換の直鎖もしくは分枝鎖の誘導体:C16アルキル、C26アルケニル、C26アルキニル、C26へテロアルキル、C26アミノアルキル、C26ハロアルキル、C16アルコキシカルボニル及びC26ヒドロキシアルキル、C38シクロアルキル、C13アルキル又はハロで置換される−C(O)−C56アリール、C56アリール、C56へテロアリール、C56シクロアルキル、及びC56へテロシクロアルキルから成る群から選択されるか、或いは存在せず、但し、R4は式Vaの化合物中に存在しないということはなく、
8、R9、R10及びR11は、個別に水素、ハロゲン、又は以下の残基の一置換、多置換もしくは非置換の直鎖もしくは分枝鎖の誘導体:C1〜C24アルキル、C2〜C24アルケニル又はC2〜C24アルキニル、アシル、アシルオキシ、アルキルオキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル、アルコキシ、シクロアルコキシ、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、エステル、アリールアルコキシカルボニル、アミノ、アミノカルボニル、アミド、アミノカルボニルオキシ、ニトロ、アジド、フェニル、ヒドロキシ、アルキルチオ、アリールチオ、オキシスルホニル、カルボキシ、シアノ、及びハロゲン化アルキル、例えば多ハロゲン化アルキルから成る群から選択されるか、或いは存在せず、
6及びR8は、結合して、任意置換環を形成してもよく、
破線及び実線により表わされる任意の結合は単結合及び二重結合から成る群から選択される結合を表わし、
単一破線により表わされる任意の結合は単結合であるか又は存在せず、且つ
任意の炭素−炭素二重結合は、シス及びトランスから成る群から選択される立体配置を有する)
【0024】
本発明の別の態様は、式V又はVaの構造を有する化合物、並びにその薬学的に許容可能な塩又はプロドラッグである。
【0025】
【化10】

【0026】
【化11】

【0027】
(式中、Yは、O、S及びNR5から成る群から選択され、
Zは、O、S及びNR5から成る群から選択され、
2、R6及びR7は、水素、ハロゲン、又は以下の残基の一置換、多置換もしくは非置換の直鎖もしくは分枝鎖の誘導体:C1〜C24アルキル、C2〜C24アルケニル又はC2〜C24アルキニル、アシル、アシルオキシ、アルキルオキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル、アルコキシ、シクロアルコキシ、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、エステル、アリールアルコキシカルボニル、アミノ、アミノカルボニル、アミド、アミノカルボニルオキシ、ニトロ、アジド、フェニル、ヒドロキシ、アルキルチオ、アリールチオ、オキシスルホニル、カルボキシ、シアノ、及び多ハロゲン化アルキルを含むハロゲン化アルキルから成る群から個別に選択され、
2'は、水素、ハロゲン、又は以下の残基の一置換、多置換もしくは非置換の直鎖もしくは分枝鎖の誘導体:C1〜C24アルキル、C2〜C24アルケニル又はC2〜C24アルキニル、アシル、アシルオキシ、アルキルオキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル、アルコキシ、シクロアルコキシ、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、エステル、アリールアルコキシカルボニル、アミノ、アミノカルボニル、アミド、アミノカルボニルオキシ、ニトロ、アジド、フェニル、ヒドロキシ、アルキルチオ、アリールチオ、オキシスルホニル、カルボキシ、シアノ、及び多ハロゲン化アルキルを含むハロゲン化アルキルから成る群から選択されるか、或いは存在せず、
4及び各R5は、個別に水素、又は以下の残基の一置換、多置換もしくは非置換の直鎖もしくは分枝鎖の誘導体:C16アルキル、C26アルケニル、C26アルキニル、C26へテロアルキル、C26アミノアルキル、C26ハロアルキル、C16アルコキシカルボニル及びC26ヒドロキシアルキル、C38シクロアルキル、C13アルキル又はハロで置換される−C(O)−C56アリール、C56アリール、C56へテロアリール、C56シクロアルキル、及びC56へテロシクロアルキルから成る群から選択されるか、或いは存在せず、但し、R4は式Vaの化合物中に存在しないということはなく、
8、R9、R10及びR11は、個別に水素、ハロゲン、又は以下の残基の一置換、多置換もしくは非置換の直鎖もしくは分枝鎖誘導体:C1〜C24アルキル、C2〜C24アルケニル又はC2〜C24アルキニル、アシル、アシルオキシ、アルキルオキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル、アルコキシ、シクロアルコキシ、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、エステル、アリールアルコキシカルボニル、アミノ、アミノカルボニル、アミド、アミノカルボニルオキシ、ニトロ、アジド、フェニル、ヒドロキシ、アルキルチオ、アリールチオ、オキシスルホニル、カルボキシ、シアノ、及び多ハロゲン化アルキルを含むハロゲン化アルキルか
ら成る群から選択されるか、或いは存在せず、
6及びR8は、結合して、任意置換環を形成してもよいが、但し、R6及びR8が一緒にアリールを形成する場合には、R2、R4及びR11のうちの少なくとも1つは水素でなく、
破線及び実線により表わされる任意の結合は単結合及び二重結合から成る群から選択される結合を表わし、
単一破線により表わされる任意の結合は単結合であるか又は存在せず、且つ
任意の炭素−炭素二重結合は、シス及びトランスから成る群から選択される立体配置を有する)
【0028】
本発明の別の態様は、細菌に感染した個体の治療方法であって、式I、Ia、III、IIIa、IV、IVa、V及びVaの化合物から成る群から選択される化合物を個体に投与することを含む方法である。
【0029】
本発明の別の態様は、癌を有する個体の治療方法であって、式I、Ia、III、IIIa、IV、IVa、V及びVaの化合物から成る群から選択される化合物を個体に投与することを含む方法である。
【0030】
本発明の別の態様は、癌の治療方法であって、式I、Ia、III、IIIa、IV、IVa、V及びVaの化合物から成る群から選択される化合物を癌細胞と接触させるステップを含む方法である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
[特定の実施形態の詳細な説明]
一実施形態では、式Iの構造を有する化合物が提供される。
【0032】
【化12】

【0033】
(式中、R1及びR2は別個に選択され、この場合、R1及びR2のうちの1つは式(II)の構造を有する分子断片であり、
【0034】
【化13】

【0035】
(式中、ZはO、S及びNR5から成る群から選択され、
6及びR7は、水素、ハロゲン、又は以下の残基の一置換、多置換もしくは非置換の直鎖もしくは分枝鎖の誘導体:C1〜C24アルキル、C2〜C24アルケニル又はC2〜C24アルキニル、アシル、アシルオキシ、アルキルオキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル、アルコキシ、シクロアルコキシ、アリール、ヘテロアリール、アリールアルコキシカルボニル、アルコキシカルボニルアシル、エステル、アミノ、アミノカルボニル、アミド、アミノカルボニルオキシ、ニトロ、アジド、フェニル、ヒドロキシ、アルキルチオ、アリールチオ、オキシスルホニル、カルボキシ、シアノ、及び多ハロゲン化アルキルを含むハロゲン化アルキルから成る群から個別に選択され、
8、R9、R10及びR11は、個別に水素、ハロゲン、又は以下の残基の一置換、多置換もしくは非置換の直鎖もしくは分枝鎖の誘導体:C1〜C24アルキル、C2〜C24アルケニル又はC2〜C24アルキニル、アシル、アシルオキシ、アルキルオキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル、アルコキシ、シクロアルコキシ、アリール、ヘテロアリール、アリールアルコキシカルボニル、アルコキシカルボニルアシル、エステル、アミノ、アミノカルボニル、アミド、アミノカルボニルオキシ、ニトロ、アジド、フェニル、ヒドロキシ、アルキルチオ、アリールチオ、オキシスルホニル、カルボキシ、シアノ、及び多ハロゲン化アルキルを含むハロゲン化アルキルから成る群から選択されるか、或いは存在せず、破線及び実線により表わされる任意の結合は単結合及び二重結合から成る群から選択される結合を表わし、)
そしてR1及びR2の残りの置換基は、水素、ハロゲン、又は以下の残基の一置換、多置換もしくは非置換の直鎖もしくは分枝鎖の誘導体:C1〜C24アルキル、C2〜C24アルケニル又はC2〜C24アルキニル、アシル、アシルオキシ、アルキルオキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル、アルコキシ、シクロアルコキシ、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、エステル、アリールアルコキシカルボニル、アルコキシカルボニルアシル、アミノ、アミノカルボニル、アミド、アミノカルボニルオキシ、ニトロ、アジド、フェニル、ヒドロキシ、アルキルチオ、アリールチオ、オキシスルホニル、カルボキシ、シアノ、及び多ハロゲン化アルキルを含むハロゲン化アルキルから成る群から個別に選択され、
3は、=Oであり、
1'及びR2'は、個別に水素、ハロゲン、又は以下の残基の一置換、多置換もしくは非置換の直鎖もしくは分枝鎖の誘導体:C1〜C24アルキル、C2〜C24アルケニル又はC2〜C24アルキニル、アシル、アシルオキシ、アルキルオキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル、アルコキシ、シクロアルコキシ、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、エステル、アリールアルコキシカルボニル、アルコキシカルボニルアシル、アミノ、アミノカルボニル、アミド、
アミノカルボニルオキシ、ニトロ、アジド、フェニル、ヒドロキシ、アルキルチオ、アリールチオ、オキシスルホニル、カルボキシ、シアノ、及び多ハロゲン化アルキルを含むハロゲン化アルキルから成る群から選択されるか、或いは存在せず、
Yは、O、S及びNR5から成る群から個別に選択され、
4及び各R5は、個別に水素、又は以下の残基の一置換、多置換もしくは非置換の直鎖もしくは分枝鎖の誘導体:C16アルキル、C26アルケニル、直鎖C26アルキニル、へテロアルキル、C26アミノアルキル、C26ハロアルキル、C16アルコキシカルボニル及びC26ヒドロキシアルキル、C38シクロアルキル、C13アルキル又はハロで置換される−C(O)−C56アリール、C56アリール、C56へテロアリール、C56シクロアルキル、及びC56へテロシクロアルキルから成る群から選択されるか、或いは存在せず、
単一破線により表わされる任意の結合は単結合及び二重結合から成る群から選択される結合を表わし、
単一破線により表わされる任意の結合は単結合であるか又は存在せず、且つ
任意の炭素−炭素二重結合は、シス及びトランスから成る群から選択される立体配置を有する)
【0036】
式Iの化合物中で破線及び実線により表わされる結合が二重結合である場合、原子の適正な原子価が乱されないよう、二重結合に関与する原子上のいくつかの置換基は存在しないか、及び/又は原子に連結される他の結合は単結合である、と理解される。したがって、例えばR1に連結される破線及び実線が二重結合である場合、R1'は、存在せず、そしてR1との二重結合に関与する窒素原子及び炭素原子間の結合は単結合である。
【0037】
一実施形態では、式Iの化合物中のY及び/又はZはOである。一実施形態では、式Iの化合物中のR4はHである。別の実施形態では、式Iの化合物中のR4は、窒素原子との二重結合を受け入れるために存在しない。いくつかの実施形態では、R8、R9、R10及びR11は個別に水素であるか、或いは二重結合を受け入れるために必要な場合には存在しない。いくつかの実施形態では、R2は、C1〜C24アルキルの一置換、多置換又は非置換誘導体である。いくつかの実施形態では、R6及びR7は個別に、C1〜C24アルキルの一置換、多置換又は非置換誘導体である。
【0038】
一実施形態では、式Iの化合物は、開環反応に付されて、式Iaの化合物を生じ得るが、この場合、置換基は式Iに関して上記されたものと同様であるが、但し、R4は存在しないことはない。
【0039】
【化14】

【0040】
別の実施形態では、式IIIの構造を有する化合物が提供される。
【0041】
【化15】

【0042】
(式中、Yは、O、S及びNR5から成る群から別個に選択され、
2、R6及びR7は、水素、ハロゲン、又は以下の残基の一置換、多置換又は非置換の直鎖又は分枝鎖の誘導体:C1〜C24アルキル、C2〜C24アルケニル又はC2〜C24アルキニル、アシル、アシルオキシ、アルキルオキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル、アルコキシ、シクロアルコキシ、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、アリールアルコキシカルボニル、アルコキシカルボニルアシル、エステル、アミノ、アミノカルボニル、アミド、アミノカルボニルオキシ、ニトロ、アジド、フェニル、ヒドロキシ、アルキルチオ、アリールチオ、オキシスルホニル、カルボキシ、シアノ、及び多ハロゲン化アルキルを含むハロゲン化アルキルから成る群から個別に選択され、
2'は、水素、ハロゲン、又は以下の残基の一置換、多置換もしくは非置換の直鎖もしくは分枝鎖の誘導体:C1〜C24アルキル、C2〜C24アルケニル又はC2〜C24アルキニル、アシル、アシルオキシ、アルキルオキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル、アルコキシ、シクロアルコキシ、アリール、ヘテロアリール、アリールアルコキシカルボニル、アルコキシカルボニルアシル、エステル、アミノ、アミノカルボニル、アミド、アミノカルボニルオキシ、ニトロ、アジド、フェニル、ヒドロキシ、アルキルチオ、アリールチオ、オキシスルホニル、カルボキシ、シアノ、及び多ハロゲン化アルキルを含むハロゲン化アルキルから成る群から選択されるか、或いは存在せず、
4及びR5は、個別に水素、又は以下の残基の一置換、多置換もしくは非置換の直鎖もしくは分枝鎖の誘導体:C16アルキル、C26アルケニル、C26アルキニル、C26へテロアルキル、C26アミノアルキル、C26ハロアルキル、C16アルコキシカルボニル及びC26ヒドロキシアルキル、C38シクロアルキル、C13アルキル又はハロで置換される−C(O)−C56アリール、C56アリール、C56へテロアリール、C56シクロアルキル、及びC56へテロシクロアルキルから成る群から選択されるか、或いは存在せず、
8、R9、R10及びR11は、個別に水素、ハロゲン、又は以下の残基の一置換、多置換もしくは非置換の直鎖もしくは分枝鎖の誘導体:C1〜C24アルキル、C2〜C24アルケニル又はC2〜C24アルキニル、アシル、アシルオキシ、アルキルオキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル、アルコキシ、シクロアルコキシ、アリール、ヘテロアリール、アリールアルコキシカルボニル、アルコキシカルボニルアシル、エステル、アミノ、アミノカルボニル、アミド、アミノカルボニルオキシ、ニトロ、アジド、フェニル、ヒドロキシ、アルキルチオ、アリールチオ、オキシスルホニル、カルボキシ、シアノ、及び多ハロゲン化アルキルを含むハロゲン化アルキルから成る群から選択されるか、或いは存在せず、
破線及び実線により表わされる任意の結合は単結合及び二重結合から成る群から選択される結合を表わし、単一破線により表わされる任意の結合は単結合であるか又は存在せず、且つ
任意の炭素−炭素二重結合は、シス及びトランスから成る群から選択される立体配置を有する)
【0043】
式IIIの化合物中で破線及び実線により表わされる結合が二重結合である場合、原子の適正な原子価が乱されないよう、二重結合に関与する原子上のいくつかの置換基は存在しないか、及び/又は原子に連結される他の結合は単結合である、と理解される。したがって、例えばR2に連結される破線及び実線が二重結合である場合、R2'は存在しない。
【0044】
一実施形態では、式IIIの化合物中のYはOである。一実施形態では、式IIIの化合物中のR2はC1〜C24アルキルの一置換、多置換又は非置換誘導体である。一実施形態では、式IIIの化合物中のR6及びR7は個別に、直鎖C1〜C24アルキルの一置換、多置換又は非置換誘導体である。一実施形態では、式IIIの化合物中のR4はHである。別の実施形態では、式IIIの化合物中のR4は、窒素原子との二重結合を受け入れるために存在しない。一実施形態では、式IIIの化合物中のR2'はHである。別の実施形態では、式IIIの化合物中のR2'は、二重結合を受け入れるために存在しない。いくつかの実施形態では、R8、R9、R10及びR11は個別に水素であるか、或いは二重結合を受け入れるために必要な場合には個別に存在しない。
【0045】
一実施形態では、式IIIの化合物は、開環反応に付されて、式IIIa:
【0046】
【化16】

【0047】
の化合物を生じ得るが、この場合、置換基は式IIIに関して上記されたものと同様であるが、但し、R4は存在しないことはない。
【0048】
別の実施形態では、式IV:
【0049】
【化17】

【0050】
(式中、R2、R6及びR7は、以下の残基の一置換、多置換もしくは非置換の直鎖もしくは分枝鎖の誘導体:C1〜C24アルキル、C2〜C24アルケニル又はC2〜C24アルキニルから成る群から個別に選択され、
2'は、水素、並びに、以下の残基の一置換、多置換もしくは非置換の直鎖もしくは分枝鎖の誘導体:C1〜C24アルキル、C2〜C24アルケニル又はC2〜C24アルキニルから成る群から個別に選択され、
4は、水素、直鎖又は分枝鎖のC16アルキル、直鎖又は分枝鎖のC26アルケニル、及び直鎖又は分枝鎖のC26アルキニルから成る群から選択されるか、或いは存在せず、
破線及び実線により表わされる任意の結合は単結合及び二重結合から成る群から選択される結合を表わすが、但し、式IVの化合物中のこのような結合はともに二重結合でなく、
任意の炭素−炭素二重結合は、シス及びトランスから成る群から選択される立体配置を有する)
の構造を有する4−オキサゾリジノン化合物が提供される。
【0051】
式IVの化合物中で破線及び実線により表わされる結合が二重結合である場合、原子の適正な原子価が乱されないよう、二重結合に関与する原子上のいくつかの置換基は存在しないか、及び/又は原子に連結される他の結合は単結合である、と理解される。
【0052】
一実施形態では、式IVの化合物は開環反応に付されて、式IVaの化合物を生じ得るが、
【0053】
【化18】

【0054】
この場合、置換基は式IVに関して上記されたものと同様であるが、但し、R4は存在し
ないことはない。一実施形態では、式IVの化合物中のR2はC1〜C24アルキルの一置換、多置換又は非置換誘導体である。一実施形態では、式IVの化合物中のR6及びR7は個別に、直鎖C1〜C24アルキルの一置換、多置換又は非置換誘導体である。一実施形態では、式IVの化合物中のR4はHである。別の実施形態では、式IVの化合物中のR4は、窒素原子との二重結合を受け入れる程度に存在しない。一実施形態では、式IVの化合物中のR2'はHである。別の実施形態では、式IVの化合物中のR2'は、二重結合を受け入れるために存在しない。
【0055】
別の実施形態では、式Vの構造を有する化合物が提供される。
【0056】
【化19】

【0057】
(式中、Yは、O、S及びNR5から成る群から選択され、
Zは、O、S及びNR5から成る群から選択され、
2、R6及びR7は、水素、ハロゲン、又は以下の残基の一置換、多置換もしくは非置換の直鎖もしくは分枝鎖の誘導体:C1〜C24アルキル、C2〜C24アルケニル又はC2〜C24アルキニル、アシル、アシルオキシ、アルキルオキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル、アルコキシ、シクロアルコキシ、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、エステル、アリールアルコキシカルボニル、アミノ、アミノカルボニル、アミド、アミノカルボニルオキシ、ニトロ、アジド、フェニル、ヒドロキシ、アルキルチオ、アリールチオ、オキシスルホニル、カルボキシ、シアノ、及び多ハロゲン化アルキルを含むハロゲン化アルキルから成る群から個別に選択され、
2'は、水素、ハロゲン、又は以下の残基の一置換、多置換もしくは非置換の直鎖もしくは分枝鎖の誘導体:C1〜C24アルキル、C2〜C24アルケニル又はC2〜C24アルキニル、アシル、アシルオキシ、アルキルオキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル、アルコキシ、シクロアルコキシ、アリール、ヘテロアリール、エステル、アリールアルコキシカルボニル、アミノ、アミノカルボニル、アミド、アミノカルボニルオキシ、ニトロ、アジド、フェニル、ヒドロキシ、アルキルチオ、アリールチオ、オキシスルホニル、カルボキシ、シアノ、及び多ハロゲン化アルキルを含むハロゲン化アルキルから成る群から選択されるか、或いは存在せず、
4及び各R5は、個別に水素、又は以下の残基の一置換、多置換もしくは非置換の直鎖もしくは分枝鎖の誘導体:C16アルキル、C26アルケニル、C26アルキニル、C26へテロアルキル、C26アミノアルキル、C26ハロアルキル、C16アルコキシカルボニル及びC26ヒドロキシアルキル、C38シクロアルキル、C13アルキル又はハロで置換される−C(O)−C56アリール、C56アリール、C56へテロアリール、C56シクロアルキル、及びC56へテロシクロアルキルから成る群から選択されるか
、或いは存在せず、
8、R9、R10及びR11は、個別に水素、ハロゲン、又は以下の残基の一置換、多置換もしくは非置換の直鎖もしくは分枝鎖の誘導体:C1〜C24アルキル、C2〜C24アルケニル又はC2〜C24アルキニル、アシル、アシルオキシ、アルキルオキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル、アルコキシ、シクロアルコキシ、アリール、ヘテロアリール、エステル、アリールアルコキシカルボニル、アミノ、アミノカルボニル、アミド、アミノカルボニルオキシ、ニトロ、アジド、フェニル、ヒドロキシ、アルキルチオ、アリールチオ、オキシスルホニル、カルボキシ、シアノ、及びハロゲン化アルキル、例えば多ハロゲン化アルキルから成る群から選択されるか、或いは存在せず、
6及びR8は、結合して、任意置換環を形成してもよく、
破線及び実線により表わされる任意の結合は単結合及び二重結合から成る群から選択される結合を表わし、
単一破線により表わされる任意の結合は単結合であるか又は存在せず、且つ
任意の炭素−炭素二重結合は、シス及びトランスから成る群から選択される立体配置を有する)
【0058】
式Vの化合物の一実施形態では、YはSでない。式Vの化合物の他の実施形態では、R6及びR8が一緒になってアリールを形成する場合、R2、R4及びR11のうちの少なくとも1つは水素でない。
【0059】
式Vの化合物中で破線及び実線により表わされる結合が二重結合である場合、原子の適正な原子価が乱されないよう、二重結合に関与する原子上のいくつかの置換基は存在しないか、及び/又は原子に連結される他の結合は単結合である、と理解される。したがって、例えばR2に連結される破線及び実線が二重結合である場合、R2'は存在しない。
【0060】
一実施形態では、式Vの化合物中のYはOである。一実施形態では、式Vの化合物中のZはOである。一実施形態では、式Vの化合物中のR2はC1〜C24アルキルの一置換、多置換又は非置換誘導体である。一実施形態では、式Vの化合物中のR6及びR7は個別に、直鎖C1〜C24アルキルの一置換、多置換又は非置換誘導体である。一実施形態では、式Vの化合物中のR4はHである。別の実施形態では、式Vの化合物中のR4は、窒素原子との二重結合を受け入れる程度に存在しない。一実施形態では、式Vの化合物中のR2’はHである。別の実施形態では、式Vの化合物中のR2'は、二重結合を受け入れる程度に存在しない。いくつかの実施形態では、R8、R9、R10及びR11は個別に水素であるか、或いは二重結合を受け入れるために必要な場合には存在しない。
【0061】
一実施形態では、式Vの化合物中のR6及びR8は一緒になって任意置換アリールを形成する。このような一実施形態では、式Vの化合物は、以下の構造を有する:
【0062】
【化20】

【0063】
(式中、R2、R2'、R4、R7、R10及びR11は上記と同様である)。
【0064】
一実施形態では、式Vの化合物は開環反応に付されて、式Vaの化合物を生じ得るが、
【0065】
【化21】

【0066】
この場合、置換基は式Vに関して上記されたものと同様であるが、但し、R4は存在しないことはない。一実施形態では、式I、III、IV又はVの化合物は、式VIの構造を有する:
【0067】
【化22】

【0068】
この場合、交差二重結合は、二重結合がトランス又はシス幾何学的配置を有し得ることを示す。
【0069】
別の実施形態では、式I、III、IV又はVの化合物は、式VIIの構造を有する:
【0070】
【化23】

【0071】
この場合、交差二重結合は、二重結合がトランス又はシス幾何学的配置を有し得ることを示す。
【0072】
別の実施形態では、式I、III、IV又はVの化合物は、式VIIIの構造を有する:
【0073】
【化24】

【0074】
この場合、交差二重結合は、二重結合がトランス又はシス幾何学的配置を有し得ることを示す。
【0075】
いくつかの実施形態では、式VI、VII又はVIIIの化合物の互変異性体が提供される。例えば、以下の構造:
【0076】
【化25】

【0077】
を有する式VIの化合物の互変異性体が提供される。
【0078】
一実施形態では、式Ia、IIIa、IVa又はVaの化合物は、式IXの構造を有する:
【0079】
【化26】

【0080】
いくつかの実施形態では、本明細書中に開示される化合物のプロドラッグ、代謝産物、立体異性体及び薬学的に許容可能な塩が提供される。
【0081】
「プロドラッグ」とは、in vivoで親薬剤に転化される作用物質を指す。いくつかの場合には、プロドラッグが親薬剤より投与するのが容易であり得るため、プロドラッグはしばしば有用である。例えばプロドラッグは経口投与により生物学的利用可能であるが、一方、親薬剤はそうではない。プロドラッグは、親薬剤を上回る薬学的組成物中での溶解度も改善していることがある。プロドラッグの一例は、水溶性であることが移動の妨げとなる細胞膜の通過を促進するためにエステル(「プロドラッグ」)として投与されるが、次に、水溶性であることが好ましい細胞内に一旦入ると、活性実体(active entity:アクティブエンティティ)であるカルボン酸に代謝的に加水分解される化合物であるが、これに限定されない。プロドラッグのさらなる例は酸基に結合される短いペプチド(ポリアミノ酸)であり得るが、このペプチドは代謝されて、活性部分を示す。適切なプロドラッグ誘導体の選択及び調製のための従来の手法は、例えば「Design of Prodrugs」(H. Bundgaard編, Elsevier, 1985)(これは、参照によりその全体が本明細書中で援用される)に記載されている。
【0082】
「プロドラッグエステル」という用語は、生理学的条件下で加水分解される任意のいくつかのエステル形成基の付加により形成される本明細書中に開示される化合物の誘導体を指す。プロドラッグエステル基の例としては、ピボイルオキシメチル、アセトキシメチル、フタリジル、インダニル及びメトキシメチル、並びに当該技術分野で既知の他のこのような基、例えば(5−R−2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イル)メチル基が挙げられる。プロドラッグエステル基の他の例は、例えばT. Higuchi及びV. Stella著「Pro-drugs as Novel Delivery Systems」, Vol. 14, A.C.S. Symposium Series, American Chemical Society (1975)、及び「Bioreversible Carriers in Drug Design: Theory and Application」, E.B. Roche編, Pergamon Press: New York, 14-21 (1987)(カルボキシル基を含有する化合物のためのプロドラッグとして有用なエステルの例を提示)に見出され得る(上記の参考文献は各々、参照によりその全体が本明細書中で援用される)。
【0083】
本明細書中に開示される化合物の代謝産物としては、生物学的環境中への化合物の導入時に生成される活性種が挙げられる。
【0084】
本明細書中に開示される化合物が少なくとも1つのキラル中心を有する場合、それらはラセミ化合物として、又はエナンチオマーとして存在し得る。このような異性体及びその混合物はすべて、本発明の範囲内に含まれるということに留意すべきである。さらに本明細書中に開示される化合物の結晶形態のいくつかは、多形体として存在し得る。このような多形体は、本発明の一実施形態に含まれる。さらに、本発明の化合物のいくつかは、水(即ち水和物)又は一般的な有機溶媒と溶媒和物を形成し得る。このような溶媒和物は、本発明の一実施形態に含まれる。
【0085】
「薬学的に許容可能な塩」という用語は、それが投与される生物体に対して重大な刺激
を生じず、化合物の生物学的活性及び特性を阻害しない化合物の塩を指す。いくつかの実施形態では、この塩は化合物の酸付加塩である。薬学的な塩は、化合物を無機酸、例えばハロゲン化水素酸(例えば塩酸又は臭化水素酸)、硫酸、硝酸、リン酸等と反応させることにより得ることができる。薬学的な塩は、化合物を有機酸、例えば脂肪族又は芳香族のカルボン酸又はスルホン酸(例えば酢酸、コハク酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、ニコチン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、サリチル酸又はナフタレンスルホン酸)と反応させることによっても得ることができる。薬学的な塩は、化合物を塩基と反応させて、アンモニウム塩、アルカリ金属塩、例えばナトリウム塩又はカリウム塩、アルカリ土類金属塩、例えばカルシウム塩又はマグネシウム塩、有機塩基、例えばジシクロヘキシルアミン、N−メチル−D−グルカミン、トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミン、C1〜C7アルキルアミン、シクロヘキシルアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミンの塩、並びにアミノ酸、例えばアルギニン、リシン等との塩等の塩を形成することによっても得ることができる。
【0086】
薬学的処方物の製造が薬学的賦形剤と塩の形態での活性成分とを密接に混合することを包含する場合には、それは非塩基性、即ち酸性又は中性の賦形剤である薬学的賦形剤を用いるのが望ましい場合がある。
【0087】
種々の実施形態において、本明細書中に開示される化合物は、単独で、又は本明細書中に開示される他の化合物と組合せて、或いは本明細書中に記載される治療領域で使用可能な1つ又は複数の他の薬剤と組合せて用いることができる。
【0088】
「ハロゲン原子」という用語は、本明細書中で用いる場合、元素の周期表の第7列の放射性安定原子のうちのいずれか1つ、例えばフッ素、塩素、臭素又はヨウ素を意味し、フッ素及び塩素が好ましい。
【0089】
「エステル」という用語は、式−(R)n−COOR’(式中、R及びR’は、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール(炭素環を介して結合される)及びヘテロ脂環式(炭素環を介して結合される)から成る群から独立して選択され、nは0又は1である)を有する化学的部分を指す。
【0090】
「アミド」とは、式−(R)n−C(O)NHR’、−(R)n−NHC(O)R’、−(R)n−C(O)NR’R’’、又は−(R)n−R’NC(0)R’’(式中、R、R’、及びR’’は、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール(炭素環を介して結合される)及びヘテロ脂環式(炭素環を介して結合される)から成る群から独立して選択され、nは0又は1である)を有する化学的部分である。アミドは、本発明の分子と結合し、それによりプロドラッグを形成するアミノ酸又はペプチド分子であり得る。
【0091】
本発明の化合物上の任意のアミン、ヒドロキシ又はカルボキシル側鎖は、エステル化又はアミド化することができる。この目的を達成するために用いられるべき手法及び具体的な基は当業者に既知であり、Greene及びWuts著「Protective Groups in Organic Synthesis」,第3版, John Wiley 及び Sons, New York, NY, 1999(参照によりその全体が本明細書中で援用される)のような参考文献出典に容易に見出され得る。
【0092】
「芳香族」という用語は、共役π電子系を有する少なくとも1つの環を有し、そして炭素環式アリール基(例えばフェニル)及び複素環式アリール基(例えばピリジン)の両方を含む芳香族基を指す。当該用語は、単環式又は縮合環多環式(即ち、炭素原子の隣接対を共有する環)基を含む。「炭素環式」という用語は、1つ又は複数の共有的閉環構造を含有し、そして環の骨格を形成する原子がすべて炭素原子である化合物を指す。したがって当該用語は、炭素環式環と、環骨格が炭素と異なる少なくとも1個の原子を含有する複
素環式環とを区別する。「ヘテロ芳香族」という用語は、少なくとも1つの複素環式環を含有する芳香族基を指す。
【0093】
「アルキル」という用語は、本明細書中で用いる場合、任意の非分枝鎖又は分枝鎖、置換又は非置換飽和炭化水素を意味する。アルキル部分は、分枝鎖、直鎖又は環状であり得る。アルキル基は、1〜20個の炭素原子を有し得る(これが本明細書中に現れる場合はいつも、「1〜20」のような数範囲は、所定の範囲の各整数を指す、例えば「1〜20個の炭素原子」は、アルキル基が1個の炭素原子、2個の炭素原子、3個の炭素原子等、20個まで(20個を含む)の炭素原子から成り得るが、しかし本発明の定義は、数範囲が指示されない「アルキル」という用語の出現も網羅する、ということを意味する)。アルキル基は、1〜10個の炭素原子を有する中サイズのアルキルでもあり得る。アルキル基は、1〜5個の炭素原子を有する低級アルキルでもあり得る。アルキル基は、「C1〜C4アルキル」又は類似の表示として表示され得る。例としてのみ、「C1〜C4アルキル」は、アルキル鎖中に1〜4個の炭素原子が存在する、ということを示し、即ちアルキル鎖は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル及びt−ブチルから成る群から選択される。
【0094】
アルキル基は置換されていても、又は置換されていなくてもよい。置換される場合、置換基(複数可)は、置換又は非置換シクロアルキル、置換又は非置換シクロアルケニル、置換又は非置換アリール、置換又は非置換へテロアリール、置換又は非置換へテロアリールオキシ、ヘテロシクリル、ヘテロシクロオキシ、ヘテロアリシクリル、ヒドロキシ、置換又は非置換アルコキシ、置換又は非置換アリールオキシ、アシル、チオール、置換又は非置換チオアルコキシ、アルキルチオ、アリールチオ、シアノ、ハロ、カルボニル、チオカルボニル、アシルアルキル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノアシル、アミノアシルオキシ、オキシアシルアミノ、ケト、チオケト、O−カルバミル、N−カルバミル、O−チオカルバミル、N−チオカルバミル、C−アミド、N−アミド、S−スルホンアミド、N−スルホンアミド、C−カルボキシ、O−カルボキシ、イソシアナート、チオシアナート、イソチオシアナート、ニトロ、シリル、トリハロメタンスルホニル、及び一置換アミノ基及び二置換アミノ基を含む置換又は非置換アミノ、及びそれらの保護誘導体、ヒドロキシアミノ、アルコキシアミノ、ニトロ、−−SO−アルキル、−−SO−置換アルキル、−−SO−アリール、−−SO−ヘテロアリール、−−SO2−アルキル、−−SO2−置換アルキル、−−SO2−アリール及び−−SO2−ヘテロアリールから個別に独立して選択される1つ又は複数の基(複数可)である。一般的なアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、第3ブチル、ペンチル、ヘキシル、エテニル、プロペニル、ブテニル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル等が挙げられるが、これらに限定されない。置換基が「任意に置換された」と記載される場合は必ず、置換基を上記の置換基のうちの1つで置換することができる。
【0095】
本発明の文脈において、「シクロアルキル」という用語は炭素原子のみを含む、3員環、4員環、5員環、6員環、7員環及び8員環以上を含むものと意図される。しかし、シクロアルキルは、芳香族π電子系を生じさせないような方法で位置付けられる1つ又は複数の不飽和結合を任意に含むことができる。「シクロアルキル」の幾つかの例は、炭素環であるシクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロペンテン、シクロペンタジエン、シクロヘキサン、シクロヘキセン、1,3−シクロヘキサジエン、1,4−シクロヘキサジエン、シクロヘプタン、又はシクロヘプテンである。
【0096】
「アルケニル」部分は、少なくとも2個の炭素原子並びに少なくとも1つの炭素−炭素二重結合から成る基を指す。アルケニルは、多価不飽和炭化水素を含む非分枝鎖又は分枝鎖、置換又は非置換不飽和炭化水素であり得る。いくつかの実施形態では、アルケニルは
、C1〜C6非分枝鎖、一不飽和又は二不飽和、非置換炭化水素である。「シクロアルケニル」という用語は、好ましくは5〜12個の原子からなる環をもつ任意の非芳香族炭化水素環を指す。
【0097】
「アルキン」部分は、少なくとも2個の炭素原子及び少なくとも1つの炭素−炭素三重結合から成る基を指す。
【0098】
それ自体出現し、そして数指示を伴わない置換基「R」、「R’」又は「R’’」は、水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール(環炭素を介して結合される)及びヘテロ脂環式(環炭素を介して結合される)から成る群から選択される置換基を指す。
【0099】
「アルコキシ」という用語は、任意の非分枝鎖又は分枝鎖、置換又は非置換、飽和又は不飽和のエーテルを意味し、C1〜C6の非分枝鎖、飽和、非置換の飽和エーテルが好ましく、メトキシが好ましく、ジメチル、ジエチル、メチル−イソブチル、及びメチル−tert−ブチルエーテルも好ましい。「シクロアルコキシ」という用語は、環を含む好ましくは5〜12個の原子からなる環をもつを有する任意の非芳香族炭化水素環を指す。
【0100】
「O−カルボキシ」基は、RC(=O)O−(式中、Rは本明細書中で定義される)基を指す。
【0101】
「C−カルボキシ」基は、−C(=O)OR(式中、Rは本明細書中で定義される)基を指す。
【0102】
「アセチル」基は、−C(=O)CH3基を指す。
【0103】
「トリハロメタンスルホニル」基は、X3CS(=O)2−(式中、Xはハロゲンである)基を指す。
【0104】
「シアノ」基は、−CN基を指す。
【0105】
「イソシアナート」基は、−NCO基を指す。
【0106】
「チオシアナート」基は、−SCN基を指す。
【0107】
「イソチオシアナート」基は、−NCS基を指す。
【0108】
「スルフィニル」基は、−S(=O)−R基を示し、Rは本明細書中で定義される。
【0109】
「S−スルホンアミド」基は、−S(=O)2NR基を示し、Rは本明細書中で定義される。
【0110】
「N−スルホンアミド」基は、RS(=O)2NH−基を示し、Rは本明細書中で定義される。
【0111】
「トリハロメタンスルホンアミド」基は、X3CS(=O)2NR−基を示し、X及びRは
本明細書中で定義される。
【0112】
「O−カルバミル」基は、−OC(=O)−NR基を示し、Rは本明細書中で定義され
る。
【0113】
「N−カルバミル」基は、ROC(=O)NH−基を示し、Rは本明細書中で定義される。
【0114】
「O−チオカルバミル」基は、−OC(=S)−NR基を示し、Rは本明細書中で定義される。
【0115】
「N−チオカルバミル」基は、ROC(=S)NH−基を示し、Rは本明細書中で定義される。
【0116】
「C−アミド」基は、−C(=O)−NR2基を示し、Rは本明細書中で定義される。
【0117】
「N−アミド」基は、RC(=O)NR’−基を示し、R及びR’は本明細書中で定義される。
【0118】
「ペルハロアルキル」という用語はアルキル基を示し、全ての水素原子がハロゲン原子に置き換えられる。
【0119】
「アシルアルキル」という用語は、RC(=O)R’−基を示し、Rは本明細書中で定義され、R’はジラジカルアルキレン基である。アシルアルキルの例としては、CH3C(=O)CH2−、CH3C(=O)CH2CH2−、CH3CH2C(=O)CH2CH2−、及びCH3C(=O)CH2CH2CH2−等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0120】
「アシルオキシ」という用語は、RC(=O)O−基を示し、Rは本明細書中で定義される。
【0121】
「アルキルオキシカルボニルオキシ」という用語は、アルキル−O−C(=O)O−基を指す。
【0122】
「アリールオキシカルボニルオキシ」という用語は、アリール−OC(=O)O−基を指す。
【0123】
「アリールアルコキシカルボニル」という用語は、アリール−アルコキシ(C=O)−基を指す。
【0124】
「アミノカルボニル」という用語は、アミノ(C=O)−基を指す。
【0125】
「アミノカルボニルオキシ」という用語は、アミノ(C=O)O−基を指す。
【0126】
別記しない限り、置換基が「任意に置換される」と思われる場合、置換基が、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロ脂環式、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、メルカプト、アルキルチオ、アリールチオ、シアノ、ハロ、カルボニル、チオカルボニル、O−カルバミル、N−カルバミル、O−チオカルバミル、N−チオカルバミル、C−アミド、N−アミド、S−スルホンアミド、N−スルホンアミド、C−カルボキシ、O−カルボキシ、イソシアナト、チオシアナト、イソチオシアナト、ニトロ、シリル、トリハロメタンスルホニル、並びに一置換アミノ基及び二置換アミノ基を含むアミノ、並びにその保護化誘導体から個別に独立して置換され得る1つ又は複数の基と置換され得る基である、ということを意味する。上記の置換基の保護誘導体を形成し得る保護基は当業者に既知であり、そして上記のGreene and Wutsのような参考文献中に見出され得る。
【0127】
「ヘテロシクリル」という用語は、炭素原子が1〜3個の異種原子と一緒に上記の環を構成する3員環、4員環、5員環、6員環、7員環及び8員環以上を意味するよう意図される。しかしながらヘテロシクリルは、芳香族π電子系が生じないような様式で位置付けられる1つ又は複数の不飽和結合を任意に含有し得る。異種原子は、酸素、イオウ及び窒素から独立して選択される。
【0128】
ヘテロシクリルはさらに、1つ又は複数のカルボニル又はチオカルボニル官能基を含有することができ、定義を下すために、オキソ系及びチオ系、例えばラクタム、ラクトン、環状イミド、環状チオイミド、環状カルバメート等を含む。
【0129】
ヘテロシクリル環はまた、定義が二環式構造を含むよう、任意にアリール環に縮合され得る。典型的には、このような縮合へテロシクリル基は、任意置換ベンゼン環を有する一結合を共有する。ベンゾ縮合へテロシクリル基の例としては、ベンズイミダゾリジノン、テトラヒドロキノリン及びメチレンジオキシベンゼン環構造が挙げられるが、これらに限定されない。
【0130】
「ヘテロシクリル」の幾つかの例としては、テトラヒドロチオピラン、4H−ピラン、テトラヒドロピラン、ピペリジン、1,3−ジオキシン、1,3−ジオキサン、1,4−ジオキシン、1,4−ジオキサン、ピペラジン、1,3−オキサチアン、1,4−オキサチン、1,4−オキサチアン、テトラヒドロ−1,4−チアジン、2H−1,2−オキサジン、マレイミド、スクシンイミド、バルビツール酸、チオバルビツール酸、ジオキソピペラジン、ヒダントイン、ジヒドロウラシル、モルホリン、トリオキサン、ヘキサヒドロ−1,3,5−トリアジン、テロラヒドロチオフェン、テトラヒドロフラン、ピロリン、ピロリジン、ピロリドン、ピロリジオン、ピラゾリン、ピラゾリジン、イミダゾリン、イミダゾリジン、1,3−ジオキソール、1,3−ジオキソラン、1,3−ジチオール、1,3−ジチオラン、イソキサゾリン、イソキサゾリジン、オキサゾリン、オキサゾリジン、オキサゾリジノン、チアゾリン、チアゾリジン及び1,3−オキサチオランが挙げられるが、これらに限定されない。複素環への結合は、異種原子の位置において、又は複素環の炭素原子を介してなされ得るか、或いはベンゾ縮合誘導体の場合、ベンゼノイド環の炭素を介してなされ得る。
【0131】
本発明の文脈において、「アリール」という用語は、炭素環式の芳香環、又は芳香環系を意味するものとして意図される。さらに、「アリール」という用語は、少なくとも2つのアリール環又は少なくとも1つのアリールと少なくとも1つのC38シクロアルキルとが、少なくとも1つの化学結合を共有する縮合環系を包含する。「アリール」環の幾つかの例としては、任意選択で置換されたフェニル、ナフタレニル、フェナントレニル、アントラセニル、テトラリニル、フルオレニル、インデニル及びインダニルが挙げられる。「アリール」という用語は、例えば環を構成する炭素原子の1個を介して結合し、ヘテロシクリル、へテロアリール、ハロ、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、ニトロ、アルキルアミド、アシル、C16アルコキシ、C16アルキル、C16ヒドロキシアルキル、C16アミノアルキル、C16アルキルアミノ、アルキルスルフェニル、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、スルファモイル、又はトリフルオロメチルから選択される1つ又は複数の置換基を任意選択で有するベンゼノイド基を包含する芳香族基に関連する。アリール基は、パラ位及び/又はメタ位で置換することができる。他の実施形態では、アリール基はオルト位で置換することができる。アリール基の代表例としては、フェニル、3−ハロフェニル、4−ハロフェニル、3−ヒドロキシフェニル、4−ヒドロキシフェニル、3−アミノフェニル、4−アミノフェニル、3−メチルフェニル、4−メチルフェニル、3−メトキシフェニル、4−メトキシフェニル、4−トリフルオロメトキシフェニル、3−シアノフェニル、4−シアノフェニル、ジメチルフェニル、ナフチル、ヒドロキシナフチル
、ヒドロキシメチルフェニル、トリフルオロメチルフェニル、アルコキシフェニル、4−モルホリン−4−イルフェニル、4−ピロリジン−1−イルフェニル、4−ピラゾリルフェニル、4−トリアゾリルフェニル、及び4−(2−オキソピロリジン−1−イル)フェニルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0132】
本発明の文脈では、「ヘテロアリール」という用語は、芳香族環中の1つ又は複数の炭素原子が窒素、イオウ、リン及び酸素から成る群から選択される1つ又は複数の異種原子と取り替えられた複素環式芳香族基を意味するよう意図される。
【0133】
さらに、本発明の文脈では、「ヘテロアリール」という用語は、少なくとも1つのアリール環及び少なくとも1つのヘテロアリール環、少なくとも2つのヘテロアリール環、少なくとも1つのヘテロアリール環及び少なくとも1つのヘテロシクリル環、或いは少なくとも1つのヘテロアリール環及び少なくとも1つのシクロアルキル環が少なくとも1つの化学結合を共有する縮合環系を含む。
【0134】
「ヘテロアリール」という用語は、1個の酸素原子、1個の硫黄原子、若しくは最大4個までの窒素原子、又は1個の酸素原子若しくは1個の硫黄原子と最大2個までの窒素原子との組み合わせをさらに含む芳香族のC38環状基、及び置換誘導体並びに例えば環を構成する1個の炭素原子を介して結合するベンゾ縮合誘導体及びピリド縮合誘導体に関連すると理解される。ヘテロアリール基は、ハロ、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、ニトロ、アルキルアミド、アシル、C16アルコキシ、C16アルキル、C16ヒドロキシアルキル、C16アミノアルキル、C16アルキルアミノ、アルキルスルフェニル、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、スルファモイル、又はトリフルオロメチルから選択される1つ又は複数の置換基を有し得る。幾つかの実施形態では、ヘテロアリール基は0、1又は2個の置換基を有する5員環及び6員環の芳香族複素環系であり、これらのヘテロアリール基は同じであるか、又は互いに異なり、上記のリストから選択することができる。ヘテロアリール基の代表例としては、フラン、ベンゾフラン、チオフェン、ベンゾチオフェン、ピロール、ピリジン、インドール、オキサゾール、ベンズオキサゾール、イソキサゾール、ベンズイソキサゾール、チアゾール、ベンゾチアゾール、イソチアゾール、イミダゾール、ベンズイミダゾール、ピラゾール、インダゾール、テトラゾール、キノリン、イソキノリン、ピリダジン、ピリミジン、プリン及びピラジン、フラザン、1,2,3−オキサジアゾール、1,2,3−チアジアゾール、1,2,4−チアジアゾール、トリアゾール、ベンゾトリアゾール、プテリジン、フェノキサゾール、オキサジアゾール、ベンゾピラゾール、キノリジン、シンノリン、フタラジン、キナゾリン及びキノキサリンの非置換誘導体及び一置換誘導体又は二置換誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。幾つかの実施形態では、置換基はハロ、ヒドロキシ、シアノ、O−C16−アルキル、C16−アルキル、ヒドロキシ−C16−アルキル、及びアミノ−C16−アルキルである。
【0135】
「精製された」、「実質的に精製された」及び「単離された」という用語は、本明細書中で用いる場合、本発明の化合物が所定の試料の質量(重量)の少なくとも0.5%、1%、5%、10%又は20%、最も好ましくは少なくとも50%又は75%を含むよう、本発明の化合物が普通はそれらの天然状態で会合される他の異なる化合物を有さない本明細書中に開示される化合物を指す。
【0136】
調製方法
本明細書中に開示される化合物は、グアムのココス・ラグーンで収集された海洋性堆積物試料から単離された菌株である海洋性放線菌属の菌株の発酵により獲得することができ、その培養液(「NPS008920」としても同定)は、2005年1月19日に、メリーランド州ロックビルのアメリカンタイプカルチャーコレクション(ATCC)に寄託
され、ATCC特許寄託番号PTA−6527を割り当てられた。ATCC寄託は、ブダペスト条約の要件のすべてを満たす。培養物はまた、カリフォルニア州サンディエゴ(10480 Wateridge Circle, San Diego, CA 92121)のNereus Pharmaceutical Culture Collectionで保持され、そこから入手可能である。本明細書中に記載される特定の微生物のほかに、突然変異体、例えばX線等を含めた化学的又は物理的突然変異原の使用により産生される突然変異体、並びにその遺伝子構成が分子生物学技法により修飾された生物体も、培養されて本明細書中に記載される化合物を産生し得る、と理解されるべきである。次に、この菌株により産生される化合物は精製され得る。
【0137】
本明細書中に開示される化合物の産生は、十分量の化合物が発酵で検出されるまで、本明細書中に記載される条件下で、好ましくは水中好気性条件下で、適切な栄養培地中で上記の菌株を培養し、適切な溶媒で菌糸体成長から活性構成成分を抽出することにより収穫し、所望の構成成分を含有する溶液を濃縮し、次に濃縮物質をクロマトグラフィー分離に付して、培地中にも存在する他の代謝物質から当該化合物を単離することにより、実行され得る。
【0138】
化合物の生産は、生産生物体を十分な生育へと導く温度、例えば16℃〜40℃で達成することができるが、22℃〜32℃で発酵を行うことが好ましい。水性培地は、例えば、高速液体クロマトグラフィ(HPLC)によりモニタリングされる場合に化合物の生産を完了させるのに必要な期間、好ましくは約2〜10日間、約50rpm〜300rpmで、好ましくは150rpm〜250rpmで作動する回転振とう機でインキュベートすることができる。
【0139】
微生物の成長は、適切な培地を使用することで当業者により達成され得る。概して、炭素の供給源としては、グルコース、フルクトース、マンノース、マルトース、ガラクトース、マンニトール及びグリセロール、他の糖及び糖アルコール、デンプン及び他の炭水化物、又は炭水化物誘導体(例えば、デキストラン、セレローズ)並びにエンバク粉、コーンミール、アワ、トウモロコシ等の複合栄養素が挙げられる。培地中で利用される炭素供給源の正確な量は、一部培地中の他の成分に依存するが、例えば、培地の0.5〜25重量パーセントの量の炭水化物を満たすように使用され得る。これらの炭素供給源は、例えば、独立して使用され得るか、又は幾つかのかかる炭素供給源が、同じ培地中で併用され得る。以下に記述するように、或る特定の炭素供給源が好ましい。
【0140】
窒素の供給源としては、グリシン、アルギニン、スレオニン、メチオニン等のアミノ酸、アンモニウム塩、及び酵母抽出物、コーンスティープリカー、蒸留可溶物、ダイズミール、綿実ミール、フィッシュミール、ペプトン等の複合供給源が挙げられる。窒素の各種供給源は、例えば、単独で、又は併用して、培地の0.5〜25重量パーセントの範囲の量で使用することができる。
【0141】
培地中に組み込むことができる栄養素無機塩には、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、ホスフェート、スルフェート、クロリド、カーボネート等のイオンを生じることが可能な通例の塩が存在する。また、コバルト、マンガン、鉄、モリブデン、亜鉛、カドミウム等のような微量金属も包含される。
【0142】
本明細書中に開示される化合物の産生に用いるための発酵及び精製の多数の適切な技法を、当業者は認識するであろう。この方法で得られる化合物はさらに修飾されて、半合成経路により本明細書中に開示される化合物を生じ得る。例えば、いくつかの実施形態では、式Ia、式IIIa、式IVa又は式Vaの化合物は、式I、式III、式IV又は式Vの化合物を適切な開環反応に付すことにより、例えば適切なレベル(例えば約7.4)にpHを調整することにより、生成される。
【0143】
本明細書中に開示される化合物は、下記の方法によっても、或いはこれらの方法の修正によっても合成され得る。方法の修正方法としては、特に、温度、溶媒、試薬等が挙げられるが、当業者には明らかであろう。概して、本明細書中に開示される化合物の調製のための任意のプロセス中、関与する任意の分子上の感受性基又は反応性基を保護することが必要であり且つ/又は望ましい。これは、従来の保護基、例えばProtective Groups in Organic Chemistry(ed. J.F.W. McOmie, Plenum Press, 1973)、及びGreene & Wuts, Protective Groups in Organic Synthesis, John Wiley & Sons, 1991(これらの記載内容はともに、参照によりその全体が本明細書中で援用される)に記載されているものにより達成され得る。保護基は、当該技術分野で既知の方法を用いて、その後の便利な段階で除去され得る。適用可能な化合物を合成するのに有用な合成化学変換は当該技術分野で既知であり、そして例としては、例えばR. Larock, Comprehensive Organic Transformations, VCH Publishers, 1989又はL. Paquette, ed., Encyclopedia of Reagents for Organic
Synthesis, John Wiley and Sons, 1995(これらの記載内容はともに、参照によりその全体が本明細書中で援用される)に記載されている。
【0144】
本明細書中に記載される化合物は、合成スキームAにより合成され得る:
【0145】
【化27】

(スキームA)
【0146】
スキームAにおいて、R2、R2'、R6、R7、Y及びZは、式I、III及びIVに関して上記されたものと同様である。Rは、水素、又は直鎖若しくは分枝鎖C16アルキルであり得る。
【0147】
本明細書中に開示される化合物の調整方法が立体異性体の混合物を生じる場合、このような異性体は、従来の技法、例えば分取キラルクロマトグラフィーにより分離され得る。化合物はラセミ形態で調製され得るか、又は個々のエナンチオマーが立体選択的合成により、若しくは分割により調製され得る。化合物は、標準技法により、例えば(−)−ジ−p−トルオイル−d−酒石酸及び/又は(+)−ジ−p−トルオイル−l−酒石酸のような光学活性酸を用いた塩形成と、その後の遊離塩基の分別的結晶化及び再生によるジアステレオマー対の形成により、それらの構成成分エナンチオマーに分解され得る。化合物は、エステル、アミド又はケタールのようなジアステレオマー誘導体の形成によりキラル助剤を用いて分解され、その後、キラル助剤がクロマトグラフィーによって分離及び除去され得る。
【0148】
使用方法
いくつかの実施形態では、本明細書中に記載される化合物は、癌及び/又は微生物感染の治療のために用いられ得る。したがって、例えば本明細書中に記載される化合物は、癌細胞の形成を治療し、防止し、その増殖を遅らせ、又は殺すために用いられ得る。いくつかの実施形態では、本明細書中に記載される化合物は、癌に罹患している対象に投与される。一実施形態では、対象はヒトである。いくつかの実施形態では、癌細胞は、本明細書中に記載される化合物のうちの1つ又は複数と接触する。一実施形態では、癌は黒色腫である。
【0149】
いくつかの実施形態では、本明細書中に記載される化合物は、細菌感染を治療するために用いられ得る。いくつかの実施形態では、化合物は、細菌の形成を防止し、その増殖を遅らせ、又はそれを殺す。いくつかの実施形態では、本明細書中に記載される化合物は、細菌感染に罹患している対象に投与される。一実施形態では、被験者はヒトである。いくつかの実施形態では、細菌は、本明細書中に記載される1つ又は複数の化合物と接触する。いくつかの実施形態では、細菌は、グラム陽性細菌である。一実施形態では、細菌は、黄色ブドウ球菌(メチシリン感受性)、黄色ブドウ球菌(メチシリン耐性)、肺炎連鎖球菌(ペニシリン感受性)、肺炎連鎖球菌(ペニシリン耐性)、表皮ブドウ球菌(多薬剤耐性)、腸球菌のエンテロコッカス・フェカリス(バンコマイシン感受性)又はエンテロコッカス・フェシウム(バンコマイシン耐性)である。いくつかの実施形態では、グラム陰性細菌はインフルエンザ菌である。
【0150】
薬学的組成物
別の態様では、本発明の開示は、生理学的に許容可能な界面活性剤、担体、希釈剤、賦形剤、平滑化剤、懸濁剤、皮膜形成物質及びコーティング助剤又はそれらの組合せ、並びに本明細書中に開示される化合物を含む薬学的組成物に関する。治療的使用のための許容可能な担体又は希釈剤は製薬業界で既知であり、例えば「Remington's Pharmaceutical Sciences」,第18版, Mack Publishing Co., Easton, PA (1990)(これは参照によりその全体が本明細書中で援用される)に記載されている。防腐剤、安定剤、染料、甘味剤、芳香剤、風味剤等が、薬学的組成物中に提供される。例えば安息香酸ナトリウム、アスコルビン酸、並びにp−ヒドロキシ安息香酸のエステルは、防腐剤として付加され得る。さらに、酸化防止剤及び懸濁化剤が用いられ得る。種々の実施形態では、アルコール、エステル、硫酸化脂肪族アルコール等は界面活性剤として用いられ得る、スクロース、グルコース、ラクトース、デンプン、結晶化セルロース、マンニトール、軽質無水ケイ酸塩、アルミン酸マグネシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、合成ケイ酸アルミニウム、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、リン酸水素カルシウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム等は賦形剤として用いられ得る、ステアリン酸マグネシウム、タルク、硬化油等は平滑化剤として用いられ得る、ヤシ油、オリーブ油、ゴマ油、落花生油、ダイズ油は、懸濁化剤又は滑剤として用いられ得る、セルロース又は糖のような炭水化物の誘導体としての酢酸フタル酸セルロース、若しくはポリビニルの誘導体としてのメチルアセテート・
メタクリレートコポリマーは、懸濁化剤として用いられ得る、可塑剤、例えばフタル酸エステル等は沈殿防止剤として用いられ得る。
【0151】
「薬学的組成物」という用語は、他の化学的構成成分、例えば希釈剤又は担体と本明細書中に開示される化合物との混合物を指す。薬学的組成物は、生物体への化合物の投与を容易にする。化合物を投与する複数の技法、例えば経口、注射、エアロゾル、非経口及び局所的投与が当該技術分野に存在するが、これらに限定されない。薬学的組成物は、化合物を無機酸又は有機酸、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、サリチル酸等と反応させることによっても得られる。
【0152】
「担体」という用語は、細胞又は組織中への化合物の組み込みを促す化合物を定義する。例えばジメチルスルホキシド(DMSO)は、生物体の細胞又は組織中への多数の有機化合物の取り込みを促すので、一般に利用される担体である。
【0153】
「希釈剤」という用語は、水中で希釈される化合物であって、対象の化合物を溶解し、化合物の生物学的に活性な形態を安定化するものと定義する。緩衝溶液中に溶解される塩は、当該技術分野で希釈剤として利用される。一般に用いられる緩衝溶液の1つはヒト血液の塩状態を模倣するため、リン酸塩緩衝生理食塩水である。緩衝塩は低濃度で溶液のpHを制御し得るため、緩衝希釈剤は化合物の生物活性をめったに改質しない。
【0154】
「生理学的に許容可能な」という用語は、化合物の生物活性及び特性を阻害しない担体又は希釈剤を定義する。
【0155】
本明細書中に記載される薬学的組成物は、それ自体、或いは併用療法等における他の活性成分との混合、又は適切な担体や賦形剤との混合である薬学的組成物中で、ヒト患者に投与され得る。本出願の化合物の処方及び投与のための技法は、「Remington's Pharmaceutical Sciences」(Mack Publishing Co., Easton, PA,第18版, 1990)に見出され得る。
【0156】
適切な投与経路としては、例えば経口、直腸、経粘膜、局所又は腸投与、非経口的送達、例えば筋肉内、皮下、静脈内、髄内注射、並びにくも膜下腔内、直接心室内、腹腔内、鼻内又は眼内注射が挙げられる。化合物は、予定速度での長期投与及び/又は時限パルス投与のための、持続放出形態又は制御放出形態、例えばデポー注射(depot injection:蓄積注射)、浸透圧ポンプ、ピル、経皮(電気輸送を含めた)パッチ等でも投与され得る。
【0157】
本発明の薬学的組成物は、それ自体既知である形態、例えば従来の混合、溶解、造粒、糖衣錠製造、水簸、乳化、封入、閉じ込め又は錠剤成形法で製造され得る。
【0158】
したがって、本発明に従って用いるための薬学的組成物は、薬学的に用いられ得る製剤への活性化合物の加工処理を促す賦形剤及び助剤を含む1つ又は複数の生理学的に許容可能な担体を用いて、従来の形態で処方され得る。適正処方物は、選択される投与経路によって決定する。任意の既知の技法、担体及び賦形剤は、当該技術分野で、例えば上記のRemington's Pharmaceutical Sciencesにおいて適切であるとして、且つ理解されるように用いられ得る。
【0159】
注射物質は従来の形態で、液体溶液、懸濁液、注射前に液体の中に溶解し、又は懸濁するのに適した固体形態、又は乳濁液として調製され得る。適切な賦形剤は、例えば水、生理食塩水、デキストロース、マンニトール、ラクトース、レシチン、アルブミン、グルタミン酸ナトリウム、塩酸システイン等である。さらに、所望により、注射可能な薬学的組
成物は、少量の非毒性補助物質、例えば湿潤剤、pH緩衝剤等を含有し得る。生理学的に適した緩衝液としては、ハンクス溶液、リンガー溶液又は生理食塩緩衝液が挙げられるが、これらに限定されない。所望により、吸収増強調製物(例えばリポソーム)が利用され得る。
【0160】
経粘膜投与のためには、浸透されるバリアに適した浸透剤が処方物中に用いられ得る。
【0161】
例えばボーラス注射又は連続注入による非経口投与のための薬学的処方物としては、水溶性形態の活性化合物の水溶液が挙げられる。さらに活性化合物の懸濁液は、適切な油状注射懸濁液として調製され得る。適切な親油性溶媒又はビヒクルとしては、脂肪油、例えばゴマ油、又は他の有機油、例えばダイズ油、グレープフルーツ油若しくはアーモンド油、又は合成脂肪酸エステル、例えばエチルオレエート又はトリグリセリド、又はリポソームが挙げられる。水性注射懸濁液は、懸濁液の粘度を増大する物質、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトール又はデキストランを含有し得る。懸濁液は、適切な安定剤、又は高濃度溶液の調製を可能にするために化合物の溶解度を増大する作用物質も適宜含有し得る。注射用の処方物は、単位剤形で、例えばアンプル中で、又は多用量容器中で、付加的防腐剤と共に存在し得る。組成物は、油状ビヒクル又は水性ビヒクル中の懸濁液、溶液又は乳濁液のような形態を取り得て、処方剤、例えば懸濁化剤、安定剤及び/又は分散剤を含有し得る。代替的には活性成分は、使用前に適切なビヒクル、例えば滅菌発熱物質無含有水を有する構成のために粉末形態であり得る。
【0162】
経口投与のためには、活性化合物を当該技術分野で既知の薬学的に許容可能な担体と組合せることにより、化合物は容易に処方され得る。このような担体は、治療されるべき患者による経口摂取のために、本発明の化合物を錠剤、ピル、糖衣錠、カプセル、液体、ゲル、シロップ、スラリー、懸濁液等として処方させることができる。経口使用のための薬学的調製物は、活性化合物を固体賦形剤と組合せ、任意にその結果生じる混合物を粉砕し、そして顆粒の混合物を加工処理し、必要に応じて適切な助剤を付加した後、錠剤又は糖衣錠コアを得ることにより生成され得る。適切な賦形剤は、特に、充填剤、例えば糖、例えばラクトース、スクロース、マンニトール又はソルビトール、セルロース調製物、例えばトウモロコシデンプン、コムギデンプン、コメデンプン、ジャガイモデンプン、ゼラチン、トラガカントゴム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム及び/又はポリビニルピロリドン(PVP)である。必要に応じて、崩壊剤、例えば架橋ポリビニルピロリドン、寒天又はアルギン酸又はその塩、例えばアルギン酸ナトリウムが付加され得る。糖衣錠コアは、適切なコーティングを備えている。この目的のために、濃縮糖溶液を用いることができ、これは任意にアラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、カルボポールゲル、ポリエチレングリコール及び/又は二酸化チタン、ラッカー溶液、並びに適切な有機溶媒又は溶媒混合物を含有し得る。染料又は顔料は、同定のために、又は活性化合物用量の異なる組合せを特性化するために、錠剤又は糖衣錠コーティングに付加され得る。この目的のために、濃縮糖溶液を用いることができ、これは、任意にアラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、カルボポールゲル、ポリエチレングリコール及び/又は二酸化チタン、ラッカー溶液、並びに適切な有機溶媒又は溶媒混合物を含有し得る。染料又は顔料は、同定のために、又は活性化合物用量の異なる組合せを特性化するために、錠剤又は糖衣錠コーティングに付加され得る。
【0163】
経口的に用いられ得る薬学的調製物としては、ゼラチン製のプッシュ・フィットカプセル、並びにゼラチン及び可塑剤、例えばグリセロール又はソルビトールから製造される軟質密閉カプセルが挙げられる。プッシュ・フィットカプセルは、ラクトースのような充填剤、デンプンのような結合剤及び/又はタルク又はステアリン酸マグネシウムのような滑剤、及び任意に安定剤との混合物中に活性成分を含有し得る。軟質カプセル中では、活性
化合物は、適切な液体、例えば脂肪油、液体パラフィン又は液体ポリエチレングリコール中に溶解されるか、又は懸濁され得る。さらに、安定剤が付加され得る。経口投与のための処方物はすべて、このような投与に適した投与量であるべきである。
【0164】
口腔投与のためには、組成物は、従来の形態で処方される錠剤又はトローチ剤の形態を取り得る。
【0165】
吸入による投与のために、本発明に従って用いる化合物は、適切な噴射剤、例えばジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素又は他の適切な気体を用いて、加圧パック又はネブライザーからのエーロゾル噴霧供給(presentation)の形態で便利に送達される。加圧エアロゾルの場合、投与量単位は、計測量を送達するための弁を提供することにより確定され得る。吸入器又は散布器に用いるために、例えばゼラチンのカプセル及びカートリッジを処方することができ、これには化合物と、ラクトース又はデンプンのような適切な粉末基剤との混合粉末が含有される。
【0166】
眼内、鼻内及び耳内送達を含む使用のための製薬業界で既知の種々の薬学的組成物が、さらに本明細書中に開示される。これらの使用のための適切な浸透剤は、当該技術分野で一般的に既知である。眼内送達のための薬学的組成物としては、水溶性形態での、例えば点眼薬としての、又はジェランガム(Shedden他, Clin. Ther., 23(3): 440-50 (2001))又はヒドロゲル(Mayer他, Ophthalmologica, 210(2): 101-3 (1996))での活性化合物の水性眼用溶液、眼用軟膏、眼用懸濁液、例えばマイクロ粒子、液体担体媒質中に懸濁される薬剤含有小高分子粒子(Joshi, A., J. Ocul. Pharmacol., 10(1): 29-45 (1994))、脂質溶解性処方物(Alm他, Prog. Clin. Biol. Res., 312: 447-58 (1989))、及びマイクロスフェア(Mordenti, Toxicol. Sci., 52(1): 101-6 (1999))、並びに眼用挿入物が挙げられる(上記の参考文献はすべて、参照によりその全体が本明細書中に援用される)。このような適切な薬学的処方物は、最も頻繁には、且つ好ましくは安定性及び快適性のために滅菌性で、等張性であり、且つ緩衝されるように処方される。鼻内送達のための薬学的組成物は、正常繊毛作用の維持を確実にするために多くの点で鼻分泌物を模倣するようにしばしば調製される点鼻剤及び噴霧剤も含み得る。Remington's Pharmaceutical Sciences, 第18版, Mack Publishing Co., Easton, PA (1990)(これは参照によりその全体が本明細書中に援用される)に開示されているように、且つ当業者に既知であるように、適切な処方物は最も頻繁には、且つ好ましくは等張性で、5.5〜6.5のpHを維持するためにわずかに緩衝され、最も頻繁には、且つ好ましくは、抗微生物性防腐剤及び適切な薬剤安定剤を含む。耳内送達のための薬学的処方物としては、耳における局所的適用のための懸濁液及び軟膏が挙げられる。このような耳用処方物に一般的な溶媒としては、グリセリン及び水が挙げられる。
【0167】
化合物は、例えば従来の座薬基剤(例えばココアバター又は他のグリセリド)を含有する座薬又は停留浣腸等の直腸用組成物中にも処方され得る。
【0168】
上記の処方物に加えて、化合物は、デポー剤としても処方され得る。このような長期作用処方物は、埋込み(例えば皮下又は筋肉内)により、又は筋肉内注射により投与され得る。したがって、例えば化合物は、適切な高分子物質若しくは疎水性物質(例えば許容可能な油中の乳濁液として)、又はイオン交換樹脂を用いて、又は難溶性誘導体として、例えば難溶性塩として、処方され得る。
【0169】
疎水性化合物に関しては、適切な薬学的担体は、ベンジルアルコール、非極性界面活性剤、水混和性有機ポリマー及び水性相を含む共溶媒系であり得る。用いられる一般的な共溶媒系はVPD補助溶媒系であって、これは、無水エタノール中の量に取り入れられる3
%w/vのベンジルアルコール、8%w/vの非極性界面活性剤ポリソルベート80(商標)及び65%w/vのポリエチレングリコール300の溶液である。当然ながら、共溶媒系の割合は、その溶解度及び毒性特質を破壊することなくかなり変化し得る。さらに、共溶媒構成成分の同一性は変更し得る:例えば他の低毒性の非極性界面活性剤が、ポリソルベート80(商標)の代わりに用いられ得る、ポリエチレングリコールの分画サイズは変化し得る、他の生体適合性ポリマー、例えばポリビニルピロリドンが、ポリエチレングリコールに取って代わり得る、他の糖又は多糖がデキストロースの代わりになり得る。
【0170】
代替的には、疎水性薬学的化合物のための他の送達系が用いられ得る。リポソーム及び乳濁液は、疎水性薬剤のための送達ビヒクル又は担体の既知の例である。或る特定の有機溶媒、例えばジメチルスルホキシドも用いられ得るが、通常はより大きな毒性という犠牲を払う。さらに、化合物は、持続放出系、例えば治療薬を含有する固体疎水性ポリマーの半透性マトリックスを用いて送達され得る。種々の持続放出性物質が確立されており、これは当業者に既知である。持続放出性カプセルは、それらの化学的性質によって、数週間から100日を超えるまでの間、化合物を放出し得る。治療用試薬の化学的性質及び生物学的安定性によって、タンパク質安定化のためのさらなる戦略が用いられ得る。
【0171】
細胞内に投与されるように意図される作用物質は、当業者に既知の技法を用いて投与され得る。例えばこのような作用物質は、リポソーム中に封入され得る。リポソーム形成の時点で水溶液中に存在する分子はすべて、水溶液内部に組み入れられる。リポソーム内容物は、外部ミクロ環境から保護され、リポソームが細胞膜と融合するため、細胞質中に効率的に送達される。リポソームは、組織特異的抗体で被覆され得る。リポソームは、所望の器官により選択的に標的化され、且つ獲得される。代替的には小疎水性有機分子は、細胞内に直接投与され得る。
【0172】
付加的治療薬又は診断薬が、薬学的組成物中に組み込まれる。代替的に又は付加的に、薬学的組成物は、他の治療薬又は診断薬を含有する他の組成物と組み合され得る。
【0173】
投与方法
化合物又は薬学的組成物は、任意の適切な手段により患者に投与され得る。投与方法の非限定的な例としては、中でも、(a)経口経路による投与、この投与としてはカプセル、錠剤、顆粒、スプレー、シロップ又は他のこのような形態での投与が挙げられる;(b)非経口経路、例えば直腸、膣、尿道内、眼内、鼻内又は耳内による投与、この投与としては水性懸濁液、油状調製物等として、又はドリップ、スプレー、座薬、膏薬、軟膏等としての投与が挙げられる;(c)注射による皮下、腹腔内、静脈内、筋肉内、皮内、眼窩内、包内、脊髄内、胸骨内等、例えば注入ポンプ送達による投与;(d)局在的、例えば腎臓又は心臓域での直接的注射による、例えばデポー剤埋込みによる投与;及び(e)局所的投与、当業者によって、本発明の化合物を生存組織と接触させるのに適していると判断されるようなもの、が挙げられる。
【0174】
投与に適した薬学的組成物としては、その意図される目的を達成するのに有効な量で活性成分が含有される組成物が挙げられる。用量として必要とされる本明細書中に開示される化合物の治療的に有効な量は、投与経路、ヒトを含む治療中の動物の種類、及び考慮中の特定の動物の身体的特質によって決まる。用量は所望の作用を達成するよう適合され得るが、体重、食餌、併用薬のような因子、及び医薬業界の当業者が認識するその他の因子によって決まる。さらに具体的には、治療的に有効な量は、疾患の症候を予防、軽減、若しくは改善するのに、又は治療中の対象を延命させるのに有効な化合物の量を意味する。治療的有効量の確定は、特に本明細書中に提示される詳細な開示の点から見て、十分に当業者の能力内である。
【0175】
当業者に容易に明らかであるように、投与されるべき有用なin vivo投与量及び特定の投与方式は、治療される哺乳類の年齢、体重及び種類、用いられる特定の化合物、並びにこれらの化合物が用いられる特定の用途によって変わる。有効投与量レベル、即ち所望の結果を達成するのに必要な投与量レベルの確定は、決められた薬理学的方法を用いて、当業者により成し遂げられ得る。一般的には、製品のヒト臨床適用は低投与量レベルで開始され、投与量レベルは所望の作用が達成されるまで増大される。代替的には、確立された薬理学的方法を用いて、本発明の方法により同定される組成物の有用な用量及び投与経路を確立するために、許容可能なin vitro試験が用いられ得る。
【0176】
非ヒト動物試験では、考え得る製品の適用は、より高い投与量レベルで開始され、投与量は所望の作用がもはや達成されないか、又は副作用が消失するまで低減される。投与量は、所望の影響及び治療指標によって、広範に変動し得る。一般的には、投与量は、約10μg/体重1kg〜100mg/体重1kg、好ましくは約100μg/体重1kg〜10mg/体重1kgであり得る。代替的には投与量は、当業者に理解されるように、患者の体表面積に基づいて算定され得る。
【0177】
本発明の薬学的組成物の正確な処方、投与経路及び投与量は、患者の症状を考慮して、医者個人により選択され得る(例えばFingl他(1975)著「The Pharmacological Basis of Therapeutics」を参照されたい)(これは、参照によりその全体が、特に第1章1ページを参照することにより、本明細書中で援用される)。一般的には、患者に投与される組成物の用量範囲は、約0.5〜1000mg/患者の体重1kgであり得る。投与は、患者の必要に応じて、単一回であるか、又は1日若しくはそれ以上の日数の間に投与される一続きの2回以上の投与であり得る。化合物のヒト投与量が少なくともいくつかの症状に関して確立されている場合、本発明は、確立されたヒト投与量と同じ投与量、又はその約0.1%〜500%、さらに好ましくは約25%〜250%である投与量を用いる。新たに発見された薬学的化合物の場合のように、ヒト投与量が確立されていない場合、適切なヒト投与量はED50値若しくはID50値、又は動物における毒性試験及び有効性試験により限定されるように、in vitro又はin vivo試験から得られる他の適切な値から推測され得る。
【0178】
担当医は、毒性又は器官機能不全のために投与を終結、中断又は調整する方法及び時機を知っていることに留意すべきである。逆に言えば、臨床応答が適切でなかった場合、より高いレベルに治療を調整する(毒性を取り除く)ことも、担当医は知っている。対象の疾病の管理において投与される用量の大きさは、治療されるべき症状の重症度によって、及び投与経路に合わせて変わる。例えば症状の重症度は、一部は、標準的な予後評価法により評価され得る。さらに、用量、そしておそらくは投与頻度も、患者個人の年齢、体重及び応答によって変わる。上記のものに相当するプログラムが、獣医学で用いられ得る。
【0179】
正確な投与量は薬剤毎に確定されるが、多くの場合投与量に関する多少の普遍化がなされ得る。成人患者に関する1日の投与量レジメンは、例えば0.1mg〜2000mg、好ましくは1mg〜500mg、例えば5〜200mgの各活性成分の経口用量であり得る。他の実施形態では、0.01mg〜100mg、好ましくは0.1mg〜60mg、例えば1〜40mgの各活性成分の静脈内、皮下又は筋肉内用量が用いられる。薬学的に許容可能な塩の投与の場合、投与量は遊離塩基として算定され得る。いくつかの実施形態では、組成物は1〜4回/日投与される。代替的には本発明の組成物は、好ましくは1000mg/日までの各活性成分の用量で、連続静脈内注入により投与され得る。当業者により理解されるように、特定の状況では、特に侵攻性の疾患又は感染を効果的に且つ積極的に治療するために、上記の好ましい投与量範囲を超えるか、又ははるかに超える量で、本明細書中に開示される化合物を投与する必要があり得る。いくつかの実施形態では、化合物は、連続治療期間、例えば1週間以上、又は数ヶ月若しくは数年間、投与される。
【0180】
投与量及び投与間隔は、独立して調整されて、調節作用又は最小有効濃度(MEC)を維持するのに十分な血漿レベルの活性部分を提供し得る。MECは各化合物で変わるが、in vitroデータから概算され得る。MECを達成するために必要な投与量は、個体の特質及び投与経路によって変わる。しかしながらHPLC検定又はバイオアッセイを用いて、血漿濃度を確定し得る。
【0181】
投与間隔は、MEC値を用いても確定され得る。組成物は、投与間隔の時間の10〜90%、好ましくは30〜90%、最も好ましくは50〜90%の間、MECを上回る血漿レベルを維持するレジメンを用いて投与されるべきである。
【0182】
局在投与又は選択的取込みの場合、薬剤の有効局在濃度は、血漿濃度と関連しなくてもよい。
【0183】
投与される組成物の濃度は、もちろん、治療中の対象、対象の体重、罹患重症度、投与形態並びに処方医の判断によって決まる。
【0184】
本明細書中に開示される化合物は、既知の方法を用いて、有効性及び毒性に関して評価され得る。例えば特定の化合物、又は或る特定の化学的部分を共有するその化合物の一部の毒物学は、細胞株、例えば哺乳類、好ましくはヒト細胞株に対するin vitro毒性を確定することにより確立され得る。このような試験の結果は、動物、例えば哺乳類、さらに具体的にはヒトにおける毒性をしばしば予測する。代替的には動物モデル、例えばマウス、ラット、ウサギ又はサルにおける特定の化合物の毒性は、既知の方法を用いて確定され得る。特定の化合物の有効性は、いくつかの認識されている方法、例えばin vitro方法、動物モデル又はヒト臨床試験を用いて確立され得る。認識されたin vitroモデルは、ほとんどすべてのクラスの症状、例えば癌、心臓血管性疾患及び種々の免疫不全(これらに限定されない)に存在する。同様に、許容可能な動物モデルは、このような症状を治療するための化学物質の有効性を確立するために用いられ得る。有効性を確定するためにモデルを選択する場合、適切なモデル、投与量及び投与経路、並びにレジメンを選択するように、最先端の技術により当業者は指導され得る。もちろん、ヒト臨床試験も、ヒトにおける化合物の有効性を確定するために用いられ得る。
【0185】
組成物は、所望により、活性成分を含有する1つ又は複数の単位剤形を含有し得るパック又はディスペンサー装置中に提供され得る。このパックは、例えば金属又はプラスチック箔(例えばブリスター包装)を含み得る。パック又はディスペンサー装置は、投与のための取扱説明書を添付され得る。パック又はディスペンサー装置は、薬剤の製造、使用又は販売を規制する政府機関により規定される形態で容器にも表示され得るが、この表示は、ヒト投与又は獣医学的投与のための薬剤の形態についての政府機関による承認を反映する。例えばこのような表示は、処方薬剤に関して米国食品医薬品局により認可された標識付け、又は認可された製品挿入物であり得る。適合性の薬学的担体で処方した本発明の化合物を含む組成物も調製し、適切な容器に入れて、指示症状の治療のために標識付けし得る。
【実施例1】
【0186】
NPS−008920の発酵
海水1リットル当たりの以下のものから成る種培地10mlを含有する40ml試験管中で、菌株NPS008920を増殖させた:デンプン 10g;酵母抽出物 4g;及びペプトン 2g。250rpmで動作する回転振盪機上で28℃で3日間、培養液をインキュベートさせた。栄養(Vegetative)培養液を、脱イオン水1リットル当たりグリセロール500gから成る凍結保護溶液2mlと混合した。この混合物の1.5
ml部分を滅菌極低温試験管(容量1.8ml)に移した。そのようにして得た栄養(Vegetative)培養液を凍結し、−80℃で保存した。
【0187】
上記と同じ組成を有する滅菌種培地100mlを含有する100mlフラスコに凍結保護培養1.5ml種培養2つを移すことにより、種培養液を調製した。250rpmで動作する回転振盪機上で28℃で4日間、種培養液をインキュベートした。種培地100mlを各々含有する9つの500mlフラスコに、この種培養5mlを接種した。二次種培養を、250rpmで動作する回転振盪機上で28℃で2日間、インキュベートした。各々5〜6mlの二次種培養を、種培地と同じ組成を有する産生培地中に接種した。産生培養液を、250rpmで動作する回転振盪機上で28℃で5日間、インキュベートした。培養ブロス(5L)を酢酸エチル5リットルで抽出した。抽出物を真空乾燥した。
【実施例2】
【0188】
式VI及び式VIIの化合物を得るための精製
実施例1に記載したようにして得たNPS008920の粗抽出物(0.38g)をMeOH(19ml)中に溶解し、以下の条件を用いて、分取逆相HPLC上に950μlアリコート(各々19mg)中で注入した:
カラム: Ace 5umC18−HL
寸法: 15cm × 内径21mm
流量: 14.5ml/分
検出: UV DAD
溶媒: 20%ACN/H2O〜80%ACN/H2Oを12分で;80%〜100%ACN/H2Oを1分で;次に100%ACNで9分。
【0189】
上記の条件を用いて、2つの化合物を良好に分離した。一化合物(式VIの化合物として同定)は、21分で溶離した。第2の化合物(式VIIの化合物として同定)は、23分で溶離した。これらの化合物をさらに、以下の条件を用いて、逆相半分取HPLCにより精製した:
カラム: Hamilton 10umPRP−1(高分子逆相)
寸法: 25cm × 内径10mm
流量: 3ml/分
検出: UV DAD
溶媒: 40%ACN/H2O〜80%ACN/H2Oを8分で;80%〜100%ACNを1分で;次に100%ACNで15分の勾配。
【実施例3】
【0190】
NPS−008920の発酵
海水1リットル当たりの以下のものから成る種培地100mlを含有する100mlフラスコ中で、菌株NPS008920を増殖させた:デンプン 10g;酵母抽出物 4g;及びペプトン 2g。250rpmで動作する回転振盪機上で28℃で6日間、培養液をインキュベートさせた。栄養(Vegetative)培養液を、脱イオン水1リットル当たりグリセロール500gから成る凍結保護溶液と混合し、10%の最終グリセロール濃度を得た。この混合物の1.5ml部分を滅菌極低温試験管(容量1.8ml)に移した。そのようにして得た栄養(Vegetative)培養液を凍結し、−80℃で保存した。
【0191】
上記と同じ組成を有する滅菌種培地100mlを含有する100mlフラスコに凍結保護培養1.5ml種培養2つを移すことにより、種培養を調製した。250rpmで動作する回転振盪機上で28℃で3日間、種培養をインキュベートした。種培地100mlを各々含有する9つの500mlフラスコに、この種培養5mlを接種した。二次種培養液
を、250rpmで動作する回転振盪機上で28℃で2日間、インキュベートした。各々5〜6mlの二次種培養液を、種培地と同じ組成を有する産生培地中に接種した。産生培養液を、250rpmで動作する回転振盪機上で28℃で5日間、インキュベートした。培養ブロス(10L)を酢酸エチル10リットルで抽出した。抽出物を真空乾燥した。
【実施例4】
【0192】
式VIIIの化合物を得るための精製
実施例3に記載したようにして得たNPS008920の粗抽出物(1.2g)を水(100mL)中に溶解し、ヘキサン(3×100mL)で抽出した。併合有機層を濃縮して、約570mgの式VI濃化物質を得て、これを、以下の条件を用いて、分取スケール逆相HPLCにより精製した(〜50mg/注入)。
カラム: Ace 5umC18−HL
寸法: 15cm × 内径21mm
流量: 14.5ml/分
検出: UV DAD
溶媒: 50%ACN/H2O〜100%ACNを12分で;次に100%ACNで13分。
【0193】
式VIIIの化合物は、約18分で、マイナー化合物として溶出した。この化合物をさらに、異なる溶媒系で、以下の条件を用いて、逆相半分取HPLCにより精製した:
カラム: Ace 5umC18−HL
寸法: 15cm × 内径21mm
流量: 14.5ml/分
検出: UV DAD
溶媒: 20%MeOH/H2O〜80%MeOH/H2Oを12分で;80%〜100%MeOH/H2Oを1分で;次に100%MeOHで9分。
式VIIIの純粋な化合物を約18.5分で溶離した。
【実施例5】
【0194】
式IXの化合物の調製
アセトニトリル中の式XIIIの化合物(4.2mg)の溶液にpH7.4緩衝液(2mL)を付加し、そしてそれを室温で約4日間放置することにより、式IXの化合物を得た。アセトニトリルを回転蒸発により除去し、そして残りの水性層を塩化メチレン(3×20mL)で抽出した。併合有機層を濃縮して、式IXの化合物(3.2mg)を得た。
【実施例6】
【0195】
構造的特徴
式VI、式VII、式VIII及び式IXの化合物は、以下のように特徴付けられる。
【0196】
式VI:[α]21.2D−30.99(c0.0002、MeOH);UV(MeOH)λmax310(ε22700)、253(9100)nm;UV(アセトニトリル/H2O)λmax310、255nm。HRESIMS m/z 322.2372[M+H]Δcalc1932NO3(322.2382)=3.3ppm。
【0197】
式VII:UV(アセトニトリル/H2O)λmax310、255nm。HRESIMS
m/z 336.2527[M+H]Δcalc2034NO3(336.2539)=3.5ppm。
【0198】
式VIII:UV(アセトニトリル/H2O)λmax310、255nm。HRESIMS m/z 308.2234[M+H]Δcalc1830NO3(308.2226)=
2.8ppm。
【0199】
式IX:UV(アセトニトリル/H2O)λmax245nm。LRESIMS m/z 340[M+H]。
【0200】
4つの化合物の構造を解明するために、1H−NMR及び13C−NMRを実行した。結果を表1〜4に示し、そして以下の構造で例証されるように割り当てを行なった:
【0201】
【化28】

【0202】
C−1’〜C−2の二重結合幾何学配列は、式VI、VII及びVIIIに関しては確立されなかった。
【0203】
【表1】

【0204】
【表2】

【0205】
【表3】

【0206】
【表4】

【実施例7】
【0207】
ネズミ黒色腫B16−F10細胞の増殖抑制
B16−F10(ATCC;CRL−6475)ネズミ黒色腫細胞株を、イーグル培地の完全ダルベッコ変法培地(DMEM)(10%(v/v)ウシ胎仔血清、2mMグルタミン、10mM HEPES及びそれぞれ100 IU/ml及び100 μg/mlのペニシリン/ストレプトマイシンが添加されたDMEM)中に保持した。5%CO2及び95%保湿空気中で37℃で、インキュベーター中で細胞を培養した。
【0208】
細胞増殖抑制検定のために、B16−F10細胞を、90μl完全培地中で1.25×103細胞/ウエルで、コーニング3904黒壁透明底組織培養プレート中に播種し、プレートを一晩インキュベートして、細胞を確立させて、対数期増殖に入らせた。式VIの20mMストック溶液を、100%DMSO中で調製した。式VIの10倍希釈系列の溶液を、完全培地中で調製した。10μl容積の連続希釈液を三重反復実験で試験ウエルに付加して、最終濃度を20μM〜6.32nMの範囲にした。プレートを、インキュベーターに48時間戻した。DMSOの最終濃度は、すべての試料中で0.25%であった。
【0209】
48時間薬剤曝露後、Mg2+、Ca2+不含リン酸塩緩衝生理食塩水中の0.2mg/mlレザズリン(Sigma-Aldrich Chemical Co.から入手)10μlを各ウエルに付加し、プレートをインキュベーターに3〜6時間戻した。生細胞はレザズリンを代謝するため、λex=535nmフィルター及びλem=590nmフィルターを有する融合マイクロプレート蛍光計(Packard Bioscience)を用いて、レザズリンの還元産物の蛍光を測定した。細胞を含有しない培地中のレザズリン染料を用いて、バックグラウンドを確定し、これを全実験ウエルに関するデータから差し引いた。データを、培地+0.25%DMSOで処理した細胞の平均蛍光に正規化し(100%細胞増殖)、そして標準S字状用量応答曲線適
合アルゴリズム(XLfit3.0、ID Business Solutions Ltd.)を用いて、EC50値(最大観察増殖抑制の50%が確立される薬剤濃度)を求めた。
【0210】
表5中のデータは、ネズミ黒色腫B16−F10細胞株に対する式VIの化合物の平均増殖抑制作用を要約する。
【0211】
【表5】

【0212】
EC50値は、式VIの化合物がB16−F10腫瘍細胞の増殖を抑制することを示す。
【実施例8】
【0213】
抗微生物検定
米国臨床検査標準化委員会(NCCLS)感受性試験指針M7−A5に従って、最小抑制濃度(MIC)を求めた(Ferraro, M. 2001 Methods for Dilution Antimicrobial Susceptibility Tests for Bacteria that Grow Aerobically; Approved Standard(NCCLS). National Committee for Clinical Laboratory Standards(NCCLS), Villanova(参照によりその全体が本明細書中に援用される))。式VIの化合物をDMSO中で試験し、一方、式VIIの化合物は水性MeOH中で試験した。式VI及び式VIIの化合物に関する抗微生物データを、表6に示す。式VIII及び式IXの化合物を、DMSO中で試験した。式VIII及び式IXの化合物に関する抗微生物データを、表7に示す。
【0214】
【表6】

【0215】
【表7】

【0216】
式VI、式VII及び式VIIIの化合物は、試験したグラム陽性微生物に対して抗細菌活性を保有することが示され、そしてグラム陰性微生物であるインフルエンザ菌に対しても弱いながら活性であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I又はIaの構造を有する化合物、並びにその薬学的に許容可能な塩又はプロドラッグ。
【化1】

【化2】

(式中、R1及びR2は個別に選択され、この場合、R1及びR2のうちの1つは式(II)の構造を有する分子断片であり、
【化3】

(式中、ZはO、S及びNR5から成る群から選択され、
6及びR7は、水素、ハロゲン、又は以下の残基の一置換、多置換もしくは非置換の直鎖もしくは分枝鎖の誘導体:C1〜C24アルキル、C2〜C24アルケニル又はC2〜C24アルキニル、アシル、アシルオキシ、アルキルオキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル、アルコキシ、シクロアルコキシ、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、エステル、アリールアルコキシ
カルボニル、アルコキシカルボニルアシル、アミノ、アミノカルボニル、アミド、アミノカルボニルオキシ、ニトロ、アジド、フェニル、ヒドロキシ、アルキルチオ、アリールチオ、オキシスルホニル、カルボキシ、シアノ、及び多ハロゲン化アルキルを含むハロゲン化アルキルから成る群から個別に選択され、
8、R9、R10及びR11は、個別に水素、ハロゲン又は以下の残基の一置換、多置換もしくは非置換の直鎖もしくは分枝鎖の誘導体:C1〜C24アルキル、C2〜C24アルケニル又はC2〜C24アルキニル、アシル、アシルオキシ、アルキルオキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル、アルコキシ、シクロアルコキシ、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、エステル、アリールアルコキシカルボニル、アルコキシカルボニルアシル、アミノ、アミノカルボニル、アミド、アミノカルボニルオキシ、ニトロ、アジド、フェニル、ヒドロキシ、アルキルチオ、アリールチオ、オキシスルホニル、カルボキシ、シアノ、及び多ハロゲン化アルキルを含むハロゲン化アルキルから成る群から選択されるか、或いは存在しない)
そしてR1及びR2の残りの置換基は、水素、ハロゲン、以下の残基の一置換、多置換又は非置換、直鎖又は分枝鎖誘導体:C1〜C24アルキル、C2〜C24アルケニル又はC2〜C24アルキニル、アシル、アシルオキシ、アルキルオキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル、アルコキシ、シクロアルコキシ、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、エステル、アリールアルコキシカルボニル、アルコキシカルボニルアシル、アミノ、アミノカルボニル、アミド、アミノカルボニルオキシ、ニトロ、アジド、フェニル、ヒドロキシ、アルキルチオ、アリールチオ、オキシスルホニル、カルボキシ、シアノ、及び多ハロゲン化アルキルを含むハロゲン化アルキルから成る群から選択され、
3は、=Oであり、
1'及びR2'は、個別に水素、ハロゲン、又は以下の残基の一置換、多置換もしくは非置換の直鎖もしくは分枝鎖の誘導体:C1〜C24アルキル、C2〜C24アルケニル又はC2〜C24アルキニル、アシル、アシルオキシ、アルキルオキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル、アルコキシ、シクロアルコキシ、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、エステル、アリールアルコキシカルボニル、アルコキシカルボニルアシル、アミノ、アミノカルボニル、アミド、アミノカルボニルオキシ、ニトロ、アジド、フェニル、ヒドロキシ、アルキルチオ、アリールチオ、オキシスルホニル、カルボキシ、シアノ、及び多ハロゲン化アルキルを含むハロゲン化アルキルから成る群から選択されるか、或いは存在せず、
Yは、O、S及びNR5から成る群から個別に選択され、
4及び各R5は、個別に水素、又は以下の残基の一置換、多置換もしくは非置換の直鎖もしくは分枝鎖の誘導体:C16アルキル、C26アルケニル、C26アルキニル、C26へテロアルキル、C26アミノアルキル、C26ハロアルキル、C16アルコキシカルボニル及びC26ヒドロキシアルキル、C38シクロアルキル、C13アルキル又はハロで置換される−C(O)−C56アリール、C56アリール、C56へテロアリール、C56シクロアルキル、及びC56へテロシクロアルキルから成る群から選択されるか、或いは存在せず、但し、R4は式Iaの化合物中に存在しないということはなく、
破線及び実線により表わされる任意の結合は単結合及び二重結合から成る群から選択される結合を表わし、
単一破線により表わされる任意の結合は単結合であるか又は存在せず、そして
任意の炭素−炭素二重結合は、シス及びトランスから成る群から選択される立体配置を有する)
【請求項2】
式III又はIIIaの構造を有する化合物、並びにその薬学的に許容可能な塩又はプロドラッグ。
【化4】

【化5】

(式中、Yは、O、S及びNR5から成る群から選択され、
2、R6及びR7は、水素、ハロゲン、又は以下の残基の一置換、多置換もしくは非置換の直鎖もしくは分枝鎖の誘導体:C1〜C24アルキル、C2〜C24アルケニル又はC2〜C24アルキニル、アシル、アシルオキシ、アルキルオキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル、アルコキシ、シクロアルコキシ、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、エステル、アリールアルコキシカルボニル、アルコキシカルボニルアシル、アミノ、アミノカルボニル、アミド、アミノカルボニルオキシ、ニトロ、アジド、フェニル、ヒドロキシ、アルキルチオ、アリールチオ、オキシスルホニル、カルボキシ、シアノ、及び多ハロゲン化アルキルを含むハロゲン化アルキルから成る群から個別に選択され、
2'は、水素、ハロゲン、又は以下の残基の一置換、多置換もしくは非置換の直鎖もしくは分枝鎖の誘導体:C1〜C24アルキル、C2〜C24アルケニル又はC2〜C24アルキニル、アシル、アシルオキシ、アルキルオキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル、アルコキシ、シクロアルコキシ、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、エステル、アリールアルコキシカルボニル、アルコキシカルボニルアシル、アミノ、アミノカルボニル、アミド、アミノカルボニルオキシ、ニトロ、アジド、フェニル、ヒドロキシ、アルキルチオ、アリールチオ、オキシスルホニル、カルボキシ、シアノ、及び多ハロゲン化アルキルを含むハロゲン化アルキルから成る群から選択されるか、或いは存在せず、
4及びR5は、個別に水素、又は以下の残基の一置換、多置換もしくは非置換の直鎖もしくは分枝鎖の誘導体:C16アルキル、C26アルケニル、C26アルキニル、C26へテロアルキル、C26アミノアルキル、C26ハロアルキル、C16アルコキシカ
ルボニル及びC26ヒドロキシアルキル、C38シクロアルキル、C13アルキル又はハロで置換される−C(O)−C56アリール、C56アリール、C56へテロアリール、C56シクロアルキル、及びC56へテロシクロアルキルから成る群から選択されるか、或いは存在せず、但し、R4は式IIIaの化合物中に存在しないということはなく、
8、R9、R10及びR11は、個別に水素、ハロゲン、又は以下の残基の一置換、多置換もしくは非置換の直鎖もしくは分枝鎖の誘導体:C1〜C24アルキル、C2〜C24アルケニル又はC2〜C24アルキニル、アシル、アシルオキシ、アルキルオキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル、アルコキシ、シクロアルコキシ、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、エステル、アリールアルコキシカルボニル、アルコキシカルボニルアシル、アミノ、アミノカルボニル、アミド、アミノカルボニルオキシ、ニトロ、アジド、フェニル、ヒドロキシ、アルキルチオ、アリールチオ、オキシスルホニル、カルボキシ、シアノ、及び多ハロゲン化アルキルを含むハロゲン化アルキルから成る群から選択されるか、或いは存在せず、
破線及び実線により表わされる任意の結合は単結合及び二重結合から成る群から選択される結合を表わし、
単一破線により表わされる任意の結合は単結合であるか又は存在せず、且つ
任意の炭素−炭素二重結合は、シス及びトランスから成る群から選択される立体配置を有する)
【請求項3】
YがOである、請求項1又は2記載の化合物。
【請求項4】
ZがOである、請求項1又は2記載の化合物。
【請求項5】
4がHである、請求項1又は2記載の化合物。
【請求項6】
4が存在しない、請求項1又は2記載の化合物。
【請求項7】
8、R9、R10及びR11が個別に水素であるか又は存在しない、請求項1又は2記載の化合物。
【請求項8】
2がC1〜C24アルキルの一置換、多置換又は非置換誘導体である、請求項1又は2記載の化合物。
【請求項9】
6及びR7が個別にC1〜C24アルキルの一置換、多置換又は非置換誘導体である、請求項1又は2記載の化合物。
【請求項10】
式IV又はIVaの構造を有する化合物、並びにその薬学的に許容可能な塩又はプロドラッグ。
【化6】

【化7】

(式中、R2、R6及びR7は、以下の残基の一置換、多置換もしくは非置換の直鎖もしくは分枝鎖の誘導体:C1〜C24アルキル、C2〜C24アルケニル又はC2〜C24アルキニルから成る群から個別に選択され、
2'は、水素、並びに、以下の残基の一置換、多置換もしくは非置換の直鎖もしくは分枝鎖の誘導体:C1〜C24アルキル、C2〜C24アルケニル又はC2〜C24アルキニルから成る群から選択され、
4は、水素、直鎖又は分枝鎖のC16アルキル、直鎖又は分枝鎖のC26アルケニル、及び直鎖又は分枝鎖のC26アルキニルから成る群から選択されるか、或いは存在せず、但し、R4は式IVaの化合物中に存在しないということはなく、
破線及び実線により表わされる任意の結合は単結合及び二重結合から成る群から選択される結合を表わすが、但し、式IVの化合物中のこのような結合はともに二重結合でなくてもよく、
任意の炭素−炭素二重結合は、シス及びトランスから成る群から選択される立体配置を有する)
【請求項11】
式V又はVaの構造を有する化合物、並びにその薬学的に許容可能な塩又はプロドラッグ。
【化8】

【化9】

(式中、Yは、O及びNR5から成る群から選択され、
Zは、O、S及びNR5から成る群から選択され、
2、R6及びR7は、水素、ハロゲン、又は以下の残基の一置換、多置換もしくは非置換の直鎖もしくは分枝鎖の誘導体:C1〜C24アルキル、C2〜C24アルケニル又はC2〜C24アルキニル、アシル、アシルオキシ、アルキルオキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル、アルコキシ、シクロアルコキシ、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、エステル、アリールアルコキシカルボニル、アミノ、アミノカルボニル、アミド、アミノカルボニルオキシ、ニトロ、アジド、フェニル、ヒドロキシ、アルキルチオ、アリールチオ、オキシスルホニル、カルボキシ、シアノ、及び多ハロゲン化アルキルを含むハロゲン化アルキルから成る群から個別に選択され、
2'は、水素、ハロゲン、又は以下の残基の一置換、多置換もしくは非置換の直鎖もしくは分枝鎖の誘導体:C1〜C24アルキル、C2〜C24アルケニル又はC2〜C24アルキニル、アシル、アシルオキシ、アルキルオキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル、アルコキシ、シクロアルコキシ、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、エステル、アリールアルコキシカルボニル、アミノ、アミノカルボニル、アミド、アミノカルボニルオキシ、ニトロ、アジド、フェニル、ヒドロキシ、アルキルチオ、アリールチオ、オキシスルホニル、カルボキシ、シアノ、及び多ハロゲン化アルキルを含むハロゲン化アルキルから成る群から選択されるか、或いは存在せず、
4及び各R5は、個別に水素、又は以下の残基の一置換、多置換もしくは非置換の直鎖もしくは分枝鎖の誘導体:C16アルキル、C26アルケニル、C26アルキニル、C26へテロアルキル、C26アミノアルキル、C26ハロアルキル、C16アルコキシカルボニル及びC26ヒドロキシアルキル、C38シクロアルキル、C13アルキル又はハロで置換される−C(O)−C56アリール、C56アリール、C56へテロアリール、C56シクロアルキル、及びC56へテロシクロアルキルから成る群から選択されるか、或いは存在せず、但し、R4は式Vaの化合物中に存在しないということはなく、
8、R9、R10及びR11は、個別に水素、ハロゲン、又は以下の残基の一置換、多置換もしくは非置換の直鎖もしくは分枝鎖の誘導体:C1〜C24アルキル、C2〜C24アルケニル又はC2〜C24アルキニル、アシル、アシルオキシ、アルキルオキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル、アルコキシ、シクロアルコキシ、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、エステル、アリールアルコキシカルボニル、アミノ、アミノカルボニル、アミド、アミノカルボニルオキシ、ニトロ、アジド、フェニル、ヒドロキシ、アルキルチオ、アリールチオ、オキシスルホニル、カルボキシ、シアノ、及び多ハロゲン化アルキルを含むハロゲン化アルキルから成る群から選択されるか、或いは存在せず、
6及びR8は、一緒に結合して、任意置換環を形成してもよく、
破線及び実線により表わされる任意の結合は単結合及び二重結合から成る群から選択される結合を表わし、
単一破線により表わされる任意の結合は単結合であるか又は存在せず、且つ
任意の炭素−炭素二重結合は、シス及びトランスから成る群から選択される立体配置を有する)
【請求項12】
式V又はVaの構造を有する化合物、並びにその薬学的に許容可能な塩又はプロドラッグ。
【化10】

【化11】

(式中、Yは、O、S及びNR5から成る群から選択され、
Zは、O、S及びNR5から成る群から選択され、
2、R6及びR7は、水素、ハロゲン、又は以下の残基の一置換、多置換もしくは非置換の直鎖もしくは分枝鎖の誘導体:C1〜C24アルキル、C2〜C24アルケニル又はC2〜C24アルキニル、アシル、アシルオキシ、アルキルオキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル、アルコキシ、シクロアルコキシ、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、エステル、アリールアルコキシカルボニル、アミノ、アミノカルボニル、アミド、アミノカルボニルオキシ、ニトロ、アジド、フェニル、ヒドロキシ、アルキルチオ、アリールチオ、オキシスルホニル、カルボキシ、シアノ、及び多ハロゲン化アルキルを含むハロゲン化アルキルから成る群から個別に選択され、
2'は、水素、ハロゲン、又は以下の残基の一置換、多置換もしくは非置換の直鎖もしくは分枝鎖の誘導体:C1〜C24アルキル、C2〜C24アルケニル又はC2〜C24アルキニル、アシル、アシルオキシ、アルキルオキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル、アルコキシ、シクロアルコキシ、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、エステル、アリールアルコキシカルボニル、アミノ、アミノカルボニル、アミド、アミノカルボニルオキシ、ニトロ、アジド、フェニル、ヒドロキシ、アルキルチオ、アリールチオ、オキシスルホニル、カルボキシ、シアノ、及び多ハロゲン化アルキルを含むハロゲン化アルキルから成る群から選択されるか、或いは存在せず、
4及び各R5は、個別に水素、又は以下の残基の一置換、多置換もしくは非置換の直鎖もしくは分枝鎖の誘導体:C16アルキル、C26アルケニル、C26アルキニル、C26へテロアルキル、C26アミノアルキル、C26ハロアルキル、C16アルコキシカルボニル及びC26ヒドロキシアルキル、C38シクロアルキル、C13アルキル又はハロで置換される−C(O)−C56アリール、C56アリール、C56へテロアリール、C56シクロアルキル、及びC56へテロシクロアルキルから成る群から選択されるか、或いは存在せず、但し、R4は式Iaの化合物中に存在しないということはなく、
8、R9、R10及びR11は、個別に水素、ハロゲン、又は以下の残基の一置換、多置換もしくは非置換の直鎖もしくは分枝鎖の誘導体:C1〜C24アルキル、C2〜C24アルケニル又はC2〜C24アルキニル、アシル、アシルオキシ、アルキルオキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル、アルコキシ、シクロアルコキシ、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、エステル、アリールアルコキシカルボニル、アミノ、アミノカルボニル、アミド、アミノカルボニルオキシ、ニトロ、アジド、フェニル、ヒドロキシ、アルキルチオ、アリールチオ、オキシスルホニル、カルボキシ、シアノ、及び多ハロゲン化アルキルを含むハロゲン化アルキルから成る群から選択されるか、或いは存在せず、
6及びR8は、結合して、任意置換環を形成してもよいが、但し、R6及びR8が一緒にアリールを形成する場合には、R2、R4及びR11のうちの少なくとも1つは水素でなく、
破線及び実線により表わされる任意の結合は単結合及び二重結合から成る群から選択される結合を表わし、
単一破線により表わされる任意の結合は単結合であるか又は存在せず、且つ
任意の炭素−炭素二重結合は、シス及びトランスから成る群から選択される立体配置を有する)
【請求項13】
以下の構造を有する、請求項11又は12記載の化合物。
【化12】

【請求項14】
式VIの構造を有する、請求項1、2、10、11又は12のいずれか一項記載の化合物。
【化13】

(式中、交差二重結合は、前記二重結合がトランス又はシス幾何学的配置を有し得るということを示す)
【請求項15】
式VIIの構造を有する、請求項1、2、10、11又は12のいずれか一項記載の化合物。
【化14】

(式中、交差二重結合は、前記二重結合がトランス又はシス幾何学的配置を有し得るということを示す)
【請求項16】
式VIIIの構造を有する、請求項1、2、10、11又は12のいずれか一項記載の化合物。
【化15】

(式中、交差二重結合は、前記二重結合がトランス又はシス幾何学的配置を有し得るということを示す)
【請求項17】
式IXの構造を有する、請求項1、2、10、11又は12のいずれか一項記載の化合物。
【化16】

【請求項18】
請求項1、2、10、11及び12のいずれか一項記載の化合物から成る群から選択される化合物を前記個体に投与することを含む、細菌に感染した個体の治療方法。
【請求項19】
前記細菌がグラム陽性細菌である、請求項18記載の方法。
【請求項20】
前記細菌が、黄色ブドウ球菌(メチシリン感受性)、黄色ブドウ球菌(メチシリン耐性)、肺炎連鎖球菌(ペニシリン感受性)、肺炎連鎖球菌(ペニシリン耐性)、表皮ブドウ球菌(多剤耐性)、エンテロコッカス・フェカリス(バンコマイシン感受性)、エンテロコッカス・フェシウム(バンコマイシン耐性)及びインフルエンザ菌のうちの1つ又は複数から選択される、請求項18記載の方法。
【請求項21】
請求項1、2、10、11及び12のいずれか一項記載の化合物から成る群から選択される化合物を前記個体に投与することを含む、癌を有する個体の治療方法。
【請求項22】
請求項1、2、10、11及び12のいずれか一項記載の化合物から成る群から選択される化合物を癌細胞と接触させるステップを含む、癌の治療方法。
【請求項23】
前記癌が黒色腫である、請求項21又は22記載の方法。
【請求項24】
細菌に感染した個体を治療するのに用いるための、請求項1、2、10、11及び12のいずれか一項記載の化合物。
【請求項25】
前記細菌がグラム陽性細菌である、請求項24記載の化合物。
【請求項26】
前記細菌が、黄色ブドウ球菌(メチシリン感受性)、黄色ブドウ球菌(メチシリン耐性)、肺炎連鎖球菌(ペニシリン感受性)、肺炎連鎖球菌(ペニシリン耐性)、表皮ブドウ球菌(多薬剤耐性)、エンテロコッカス・フェカリス(バンコマイシン感受性)、エンテロコッカス・フェシウム(バンコマイシン耐性)及びインフルエンザ菌のうちの1つ又は複数から選択される、請求項24記載の化合物。
【請求項27】
癌を有する個体を治療するのに用いるための、請求項1、2、10、11及び12のいずれか一項記載の化合物。
【請求項28】
前記癌が黒色腫である、請求項27記載の化合物。

【公表番号】特表2008−531573(P2008−531573A)
【公表日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−557124(P2007−557124)
【出願日】平成18年2月22日(2006.2.22)
【国際出願番号】PCT/US2006/006278
【国際公開番号】WO2006/091669
【国際公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【出願人】(505041656)ネレアス ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド (11)
【Fターム(参考)】