説明

抗老化剤

【課題】抗老化剤を提供する。
【解決手段】本発明は、甘蔗由来のエキスを有効成分とする抗老化剤を提供する。当該エキスは、甘蔗汁及び/又は甘蔗由来の糖蜜を、合成吸着剤を用いたカラムクロマトグラフィーで処理することにより得られる画分である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗老化剤、特には細胞外マトリックス分解酵素活性阻害剤に関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚の真皮は、I型コラーゲン、エラスチン、ヒアルロン酸等の成分を含む。これらの成分は、細胞外マトリックス成分と呼ばれる。細胞外マトリックス成分は、紫外線の照射、乾燥等により、産生量が減少する。さらに、紫外線の照射、乾燥、加齢等により、細胞外マトリックス成分を分解する酵素活性が増加する。その結果、皮膚の張りや艶が失われ又はシワが形成され、そして皮膚が老化する。
【0003】
下記特許文献1は、檸条及び/又は油茶からの抽出物を有効成分として含有することを特徴とする抗老化剤を記載する。下記特許文献2は、マキ科マキ属植物より選ばれる1種又は2種以上の植物の抽出物を含有する抗老化剤を記載する。下記特許文献3は、イブキジャコウソウの抽出物を有効成分として含有することを特徴とする抗老化剤を記載する。また、下記特許文献4は、ゴレンシの葉部からの抽出物を有効成分として含有することを特徴とするコラーゲン産生抑制剤、コラゲナーゼ阻害剤、及びエラスターゼ阻害剤を記載する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−83786号公報
【特許文献2】特開2010−70501号公報
【特許文献3】特開平11−79971号公報
【特許文献4】特開2002−226323号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
皮膚老化の原因の1つとして、細胞外マトリックス成分の減少又は分解が挙げられる。これらの減少又は分解の原因の1つとして、細胞外マトリックス分解酵素が挙げられる。当該成分のうちエラスチンは、エラスターゼにより分解され、そしてI型コラーゲンは、MMP−1(Matrix metalloproteinase-1、マトリックスメタロプロテアーゼ−1)により分解される。エラスターゼの発現又はMMP−1の発現は、紫外線照射又は加齢により増加する。
エラスチンはコラーゲン線維間を繋ぐバネのような役割をしている。エラスターゼがエラスチンを分解することにより、皮膚の弾力性が失われ、シワやタルミの原因になると考えられている。MMP−1の産生の結果、コラーゲンの減少・変性が起こり、そして皮膚のシワ形成及び皮膚の弾力性の低下等が起こると考えられている。
そこで、皮膚老化を防止及び/又は改善する為に、細胞外マトリックス分解酵素を阻害することが求められている。そして、これら酵素を阻害することにより、皮膚の老化を防ぐことが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、甘蔗を処理して得られるエキスが抗老化効果を有することを見出し、本発明を完成した。当該エキスは、細胞外マトリックス分解酵素を阻害する効果を有する。また、当該エキスは、エラスターゼの活性を阻害する効果、及びMMP−1の活性を阻害する効果を有する。
甘蔗を処理して得られるエキスが、消臭効果(特開2006−231080号公報)、放射線障害抑制効果(特開2005−075750号公報)、免疫機能増強効果(特開2004−075612号公報)、抗ストレス効果(特開2001−335505号公報)を有することは知られている。しかし、甘蔗を処理して得られるエキスが抗老化効果を有することは、本発明者らによって初めて見いだされた。
【0007】
本発明は、甘蔗由来のエキスを有効成分とする抗老化剤を提供する。当該エキスは、甘蔗汁及び/又は甘蔗由来の糖蜜を、合成吸着剤を用いたカラムクロマトグラフィーで処理することにより得られる画分である。また、本発明は、同エキスを有効成分とする細胞外マトリックス分解酵素活性阻害剤、特にはエラスターゼ活性阻害剤及び/又はMMP−1活性阻害剤を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の剤により、エラスターゼ活性阻害及び/又はMMP−1活性阻害がなされる。本発明の剤により、細胞外マトリックス分解酵素が阻害される。本発明の剤により、皮膚の老化を防ぐことができる。
【0009】
甘蔗は本来蔗糖を得るためにその原料植物として栽培されるが、本発明はカラムクロマトグラフィーにより甘蔗汁及び/又は甘蔗由来の糖蜜からエキスを抽出するため、本発明のエキスを抽出しても蔗糖は従来と変わらない収率で甘蔗汁及び/又は甘蔗由来の糖蜜から回収することができ、従来の蔗糖製造を妨げることはない。つまり、本発明のエキスは甘蔗から蔗糖を除いた部分から得ることができるため、低コストで製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】UF膜処理のフローを示す図である。
【図2】製造例4で行ったカラムクロマトグラフィーにおける溶出パターンを示す図である。
【図3】製造例5で行ったカラムクロマトグラフィーにおける溶出パターンを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明において、「抗老化効果」とは、皮膚の老化を防止する効果、特には加齢や光老化等による皮膚の機能低下、具体的には、皮膚のしわ、たるみ、硬化等を防止及び/又は改善する効果をいう。「抗老化剤」とは上記抗老化効果を有する剤である。
【0012】
本発明において、「細胞外マトリックス分解酵素活性阻害剤」とは、細胞外マトリックスを分解する酵素の活性を阻害する剤である。この剤により、加齢や光老化等による皮膚の機能低下を防止及び/又は改善することができる。
【0013】
エラスターゼは、エラスチンに特異的なプロテアーゼ活性を有する。「エラスターゼ活性阻害効果」とは、上記プロテアーゼ活性を阻害する効果である。「エラスターゼ活性阻害剤」は、当該効果を有する剤である。
【0014】
MMP−1は、コラーゲン、特にはI型コラーゲンに特異的なプロテアーゼ活性を有する。「MMP−1活性阻害効果」とは、上記プロテアーゼ活性を阻害する効果である。「MMP−1活性阻害剤」は、当該効果を有する剤である。
【0015】
本発明における「甘蔗汁」は、甘蔗(サトウキビ)を圧搾して得られる圧搾汁、甘蔗を水で浸出して得られる浸出汁、または原糖製造工場における石灰処理をした清浄汁、濃縮汁を包含する。また、甘蔗汁中の糖類は有効成分ではないため、甘蔗汁を脱糖処理したものも同様に用いることができる。甘蔗汁を脱糖処理したものとして、例えば甘蔗汁を原料としてアルコール発酵を行った後に発酵液からアルコールを除いた分離液が挙げられる。
【0016】
本発明における「甘蔗由来の糖蜜」とは、結晶化工程で得られた砂糖結晶と母液の混合物を遠心分離にかけ、砂糖結晶と分離してえられる振蜜を意味し、たとえば、原糖製造工場における1番蜜、2番蜜、原糖廃蜜、及び精製糖製造工場における洗糖蜜、1〜7番蜜、精糖廃蜜等が挙げられる。また、これらの糖蜜を原料としてアルコール発酵を行った分離液のように、糖蜜を脱糖処理したものも同様に用いることができる。
【0017】
本発明において、「甘蔗由来のエキス」とは、甘蔗を原料として得られたエキスである。
【0018】
本発明における甘蔗由来のエキスは、甘蔗汁及び/又は甘蔗由来の糖蜜(以下で、単に原料ということがある)を合成吸着剤を用いたカラムクロマトグラフィーで処理して得られる画分である。本発明における甘蔗由来のエキスは、さらに好ましくは、原料を、合成吸着剤が充填されたカラムに通液し、該合成吸着剤に吸着された成分を、水、メタノール、エタノール及びこれらの混合物から選ばれる溶媒で溶出することによって得られる画分であることが好ましい。
【0019】
合成吸着剤をカラムに充填してカラムクロマトグラフィーを行うと、本発明の効果を有する有効成分の合成吸着剤に対する親和性が非常に高いため、原料をカラムに通液したとき当該有効成分が合成吸着剤に吸着される。その後、溶媒で溶出を行うと、合成吸着剤に吸着された成分が脱着されて溶出される。
【0020】
カラムクロマトグラフィーの結果得られた画分についてさらに、分画分子量1,000〜4,000の限外濾過膜で処理を行なってもよい。当該処理の透過液中に、本発明の効果を有する成分がある。
【0021】
このような甘蔗由来のエキスは、より具体的には例えば次のようにして得ることができる。
【0022】
甘蔗汁及び/又は甘蔗由来の糖蜜(以下、単に原料ということがある)を、合成吸着剤を充填したカラムに通液する。上記原料は、特に当該原料が甘蔗由来の糖蜜である場合、Bx40〜60に希釈し、そして遠心分離にかけて異物を除去した後に、カラムに通液されうる。上記原料は、遠心分離に加えて又は遠心分離すること無く、そのままで又は水で任意の濃度に調整してカラムに通液してもよい。
なお、異物除去のために、カラムで処理する前に、上記原料を濾過することが望ましい。濾過の手法は特に限定されず、食品工業で広く使用されているスクリーン濾過、ケイソウ土濾過、精密濾過、限外濾過等の手段を好ましく使用できる。
【0023】
合成吸着剤としては、好ましくは有機系樹脂を用いることができ、例えば、芳香族系樹脂、アクリル酸系メタクリル樹脂、アクリロニトリル脂肪族系樹脂等が使用できる。さらに好ましくは芳香族系樹脂であり、特に無置換基型の芳香族系樹脂が使用できる。合成吸着剤として、例えばスチレン−ジビニルベンゼン系樹脂の芳香族系樹脂等が使用でき、芳香族系樹脂としては、例えば疎水性置換基を有する芳香属系樹脂、無置換基型の芳香族系樹脂、無置換基型に特殊処理を施した芳香族系樹脂等の多孔性樹脂が使用できる。より好ましくは無置換基型に特殊処理を施した芳香族系樹脂が使用できる。そのような合成吸着剤は市販されており、例えばダイヤイオン(商標)HP-10、HP-20、HP-21、HP-30、HP-40、HP-50(以上、無置換基型の芳香族系樹脂、いずれも商品名、三菱化学株式会社製);SP-825、SP-800、SP-850、SP-875、SP-70、SP-700(以上、無置換基型に特殊処理を施した芳香族系樹脂、いずれも商品名、三菱化学株式会社製);SP-900(芳香族系樹脂、商品名、三菱化学株式会社製);アンバーライト(商標)XAD-2、XAD-4、XAD-16、XAD-2000(以上、芳香族系樹脂、いずれも商品名、株式会社オルガノ製);ダイヤイオン(商標)SP-205、SP-206、SP-207(以上、疎水性置換基を有する芳香族系樹脂、いずれも商品名、三菱化学株式会社製);HP-2MG、EX-0021(以上、疎水性置換基を有する芳香族系樹脂、いずれも商品名、三菱化学株式会社);アンバーライト(商標)XAD-7、XAD-8(以上、アクリル酸系エステル樹脂、いずれも商品名、株式会社オルガノ製);ダイヤイオン(商標)HP1MG、HP2MG(以上、アクリル酸系メタクリル樹脂、いずれも商品名、三菱化学株式会社製);セファデックス(商標)系としてLH20、LH60(以上、架橋デキストランの誘導体、いずれも商品名、アマシャムファルマシア バイオテク株式会社製)などが挙げられる。中でも、SP-850が特に好ましい。
【0024】
合成吸着剤の量は、カラムの大きさ、溶媒の種類、合成吸着剤の種類などによって変化する。原料の固形分に対して、0.01〜5倍湿潤体積量が好ましい。
【0025】
原料を上記カラムに通すことにより、原料中の本発明の効果を有する成分は合成吸着剤に吸着され、蔗糖、グルコース、フラクトース及び無機塩類の大部分がそのまま流出する。
【0026】
合成吸着剤に吸着された成分を、溶媒により溶出する。ここで、本発明の効果を有する成分を効率良く溶出するには、溶出の前に、残留する蔗糖、グルコース、フラクトース及び無機塩類を水洗により充分に洗い流すことが好ましい。これにより、吸着されている目的の効果を有する成分をより効率良く回収することができる。溶出溶媒は、水、メタノール、エタノール及びこれらの混合物から選ばれる。溶出溶媒は水とアルコールの混合溶媒、特にエタノール−水混合溶媒が好ましく、さらに、室温において効率良く目的の効果を有する成分を溶出できるので、50/50〜60/40(体積/体積)エタノール−水混合溶媒が好ましい。さらに、カラム温度を上げることにより、エタノール−水混合溶媒のエタノール混合比を減らすことができ、目的とする本発明の効果を有する成分を溶出することができる。この場合、カラム内は常圧もしくは加圧された状態である。このように、本発明の効果を有する成分は、前記溶媒で溶出される画分に存在する。溶出速度はカラムの大きさ、溶媒の種類、合成吸着剤の種類等によって変化するので特に限定されないが、SV=0.1〜10hr−1が好ましい。なお、SV(Space Velocity、空間速度)は、1時間当たり樹脂容量の何倍量の液体を通液するかという単位である。
【0027】
本発明の効果を有する成分は、好ましくは次のようにして得ることができ、しかし下記に限定されない。すなわち、原料の固形分に対して0.01〜5倍湿潤体積量の無置換基型の芳香族系樹脂を充填したカラムに、カラム温度60〜97℃にて原料を通液した後、カラム内を水洗し、ついでカラムに吸着されている成分を、カラム温度20〜40℃にて50/50〜60/40(体積/体積)エタノール−水混合溶媒で溶出させ、溶出開始時点から集めた溶出液の量が前記樹脂の4倍湿潤体積量以内に溶出する画分を回収する。
【0028】
本発明において、上記カラムクロマトグラフィーの結果得られた画分についてさらに、好ましくは限外濾過処理が行なわれうる。限外濾過処理は、限外濾過膜を用いて行われる。本発明において、「限外濾過膜(Ultrafiltration membrane、UF膜)とは、一般に分子量の大きさに基づいて分離を行う圧力濾過に用いる膜であり、分画分子量により分離レベルが表現される膜である。通常分子量数千から数百万程度の領域で分画し、これは分子の大きさとして数nm〜数百nmの範囲の粒子の大きさに相当する。限外濾過膜は好ましくは、分画分子量1,000〜4,000である限外濾過膜であり、さらに好ましくは分画分子量1,000〜4,000である合成高分子系複合膜である。この処理により、上記カラムクロマトグラフィーにより得られた溶出液中の高分子、特には着色成分、さらに特には420nmに吸収がある着色成分が濃縮液に分画され、本発明の効果を有する成分が透過液に集められる。本発明において、「合成高分子複合膜」とは、膜本体が機能層(緻密層又はスキン層)及び支持層(多孔層)からなり、その両方が合成高分子でできている有機高分子膜を意味する。
【0029】
限外濾過膜として、分画分子量1,000以上4,000以下であり且つ合成高分子系複合膜を用いることができる。合成高分子系複合膜は、膜本体が平膜状であることが好ましい。本発明において平膜状合成高分子系複合膜の「平膜状」とは、管状膜、中空糸膜と区別して用いられる表現であり、モジュールの型を示すものではない。合成高分子膜には、素材によりセルロース系膜、ポリアクリロニトリル系膜、ポリオレフィン系膜、ポリスルホン系膜、ポリエーテルスルホン系膜、ポリアミド系膜、ポリイミド系膜などがあり、各種有機ポリマーが素材として使用される。
【0030】
限外濾過膜は、ポリアミド系膜であることが好ましい。ポリアミド系膜とは、膜の機能層を構成するポリマーが主にポリアミドである膜であり、他の素材を併用していても、ポリアミドを主成分として使用しているものはこの範疇に含まれる。ポリアミド系膜と呼ばれるものの例は、テレフタル酸、m−アミノベンズアミド、及びm−フェニレンジアミドから成る芳香族ポリアミド、イソフタル酸及びm−アミノベンゾヒドラジドから成るポリアミドヒドラジド、フマル酸及びジメチルピペラジンから成るポリピペラジンアミド、並びにm−フェニレンイソフタルアミド−テレフタルアミド共重合体から成る膜がある。本発明におけるポリアミド系膜はこれらの膜及び一般にポリアミド系膜として販売されているものを含む。
【0031】
具体的には、限外濾過膜として、分画分子量1,000のDESAL GE UFエレメント(GEウォーター・テクノロジーズ社製)及び分画分子量2,500のDESAL GH UFエレメント(GEウォーターテクノロジーズ社製)を用いることができる。DESAL GE、DESAL GH膜は平膜状合成高分子系複合膜のポリアミド系膜である。DESAL GE、DESAL GH膜の最高使用温度はいずれも80 ℃であり、耐ファウリング性、耐薬品性を有する。
【0032】
最高使用温度(℃)とは、膜の耐熱温度を示し、膜を使用できる最高の温度である。この温度は、膜をモジュールにしたときに使用できる最高の温度を示す。膜を工業的に使用する場合、広い面積をもつ膜を外装内にコンパクトに納めたモジュールにする必要がある。モジュールはエレメントとも呼ばれ、膜の他に、外装(アウターラップ)、集水管、原液が通るスペーサー、及び透過液が通るスペーサーなどにより構成される。これら構成成分の耐熱性により膜の最高使用温度が規定される。ポリアミド系膜自体の耐熱性は一般に90 ℃といわれている。しかし、通常はモジュールを構成する膜以外の構成成分の耐熱性が膜より低い温度であるため、モジュールとしての膜の耐熱温度はこれより低く示される。特別な場合を除いて、膜の耐熱温度はその膜を有する一般的なモジュールの最高使用温度である。
【0033】
ファウリングが起きると膜の透過性が悪くなり透過すべき物質が透過しないため膜の分離が悪くなる。ファウリングが起きると液の溶媒も通りにくくなるため透過流速が低下する。さらに、頻繁な洗浄を行うため、洗浄液による劣化及び洗浄のための処理の休止が必要とされ、膜の寿命が短くなり、さらにコストがかさむ。
【0034】
限外濾過膜として、分画分子量1,000以上4,000以下の膜を用いることにより、着色成分を濃縮液中に分離でき、本発明の効果を有する成分を透過液に集めることができる。また、合成高分子系複合膜を用いることにより、膜の耐久性が増す上に膜のコストも抑えられる。また、ポリアミド系膜を用いることにより、ファウリング防止、耐熱性、及び耐薬品性を満足することができる。
【0035】
限外濾過膜が、平膜状の膜を用いたスパイラル型モジュールであることが好ましい。それによって広い膜面積でコンパクトな設備にすることができる。
【0036】
上記カラムクロマトグラフィー処理により、好ましくは当該カラムクロマトグラフィー処理及び限外濾過処理により得られたエキスが、本発明の効果を有するエキスである。当該エキスは、慣用の手段(減圧下での溶媒除去、凍結乾燥など)により濃縮されうる。このようにして得られた本発明の効果を有するエキスは、固形分20%以上に濃縮した液状または粉末状で保存することができる。保存は、特に当該エキスが液状である場合、冷蔵保存が好ましい。
【0037】
上記のとおり得られた甘蔗由来のエキスは、後述の実施例1及び2に示すように、エラスターゼ活性阻害効果及びMMP−1活性阻害効果を示した。これらの効果は、当該エキスが抗老化剤として有効であることを示す。また、これらの効果は、当該エキスが、細胞外マトリックス分解酵素活性阻害剤として、並びにエラスターゼ活性阻害剤及びMMP−1活性阻害剤として有効であることを示す。
【0038】
本発明の剤は、当技術分野で通常用いられる賦形剤も含みうる。賦形剤の含有量は、当技術分野の当業者に既知である。
【0039】
本発明の剤は化粧品にも添加されうる。本発明の剤を含む化粧品を皮膚に施与することにより、皮膚の老化を防止することができる。そのような化粧品としては、化粧水、乳液、ローション、クリーム、美容液、ローション、オイル、パック、リップクリームなどの基礎化粧料、ヘアートニック、ヘアーリキッド等の整髪料、育毛・養毛料等の頭髪化粧品、ファンデーション、口紅、頬紅、アイシャドー、アイライナー、マスカラ、アイブロウライナー等のメークアップ化粧料等を挙げることができる。
【0040】
本発明の剤は食品又は飲料品にも添加されうる。本発明の剤を含む食品又は飲料品は、ヒト又は動物がそれを摂取することにより、ヒト又は動物の皮膚老化を防止することができる。このような食品又は飲料品として、おかき、せんべい、おこし、まんじゅう、飴等の和菓子、クッキー、ビスケット、クラッカー、パイ、スポンジケーキ、カステラ、ドーナツ、ワッフル、プリン、バタークリーム、カスタードクリーム、シュークリーム、チョコレート、チョコレート菓子、キャラメル、キャンディー、チューインガム、ゼリー、ホットケーキ、パン等の各種洋菓子、ポテトチップス等のスナック菓子、アイスクリーム、アイスキャンディー、シャーベット等の氷菓、乳酸飲料、乳酸菌飲料、濃厚乳性飲料、果汁飲料、無果汁飲料、果肉飲料、健康飲料、透明炭酸飲料、果汁入り炭酸飲料、果汁着色炭酸飲料等の清涼飲料水、緑茶、紅茶、インスタントコーヒー、ココア、缶コーヒー、業務用コーヒー等の嗜好飲料、発酵乳、加工乳、チーズ等の乳製品、豆乳などの大豆加工食品、マーマレード、ジャム、果実のシロップ漬け等の果実加工食品、フラワーペースト、ピーナツペースト、フルーツペースト等のペースト類、漬物類、ハム、ソーセージ、ベーコン、ドライソーセージ、ビーフジャーキー等の畜肉製品、魚肉ハム、魚肉ソーセージ、蒲鉾、竹輪、はんぺん、てんぷら、ウニやイカの塩辛、魚の干物、魚の燻製品、鰹、鯖、鮪等の節類等の魚介類製品、海苔、小魚、貝類、スルメ、山菜、茸、昆布等で作られる佃煮類、即席カレー、レトルトカレー、缶詰カレー等のカレー類、固形ブイヨン、蛎油、焼肉のたれ、カレールー、シチュールー、スープの素、だしなどの各種調味料類、油脂を有する各種レンジ食品及び冷凍食品などを挙げることができる。
【0041】
本発明の剤は、ヒトの生体内及び生体外において、細胞外マトリックス分解酵素の活性を阻害し、特にはエラスターゼの活性を阻害し又はMMP−1の活性を阻害する。このような用途での本発明の剤の摂取方法としては、機能性食品の形で経口摂取するか、あるいは化粧品の形で皮膚から摂取する。このような機能性食品としては、一般食品に本発明のエキスを添加した機能性食品、及びカプセル状、粉末状、顆粒状、固形状、ゲル状(ゼリー)、ドリンク状等の健康食品が挙げられる。また、皮膚から摂取する場合の化粧品としては、化粧水、乳液、ローション、クリーム、美容液、オイル、パック、リップクリームなどの基礎化粧品、ヘアートニック、ヘアーリキッド等の整髪料、育毛・養毛料等の頭髪化粧品等の、皮膚に直接塗布する化粧品に使用できる。
【0042】
本発明の剤の添加量及び投与量は、甘蔗由来のエキスの精製度、形態等によって異なるので特に限定されない。また、添加する食品、飼料及び化粧品に含まれる成分の種類や量により、当該エキスの添加量は影響される。しかし、製造例1〜5で得た甘蔗由来のエキス粉末を他の抗老化剤と併用しないで添加する場合の、通常の添加量としては0.0002〜2重量%であり、好ましくは0.002〜1重量%である。また、生体内抗老化剤として用いる場合には、製造例1〜5で得た甘蔗由来のエキス粉末を用いる場合には、成人において、通常の投与量としては1日当たり250〜2000mgであり、好ましくは500〜1000mgである。
【0043】
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に解説するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0044】
製造例1
宮古島産糖蜜25kgをBx.50に希釈した。希釈液を、連続型遠心分離にて2,000×gで110秒遠心処理をし、遠心後、上清を回収した。アクリル製カラム(径15mm×1000、約18L容)に合成吸着剤(SP-850、三菱化学株式会社)を1L充填した。上記の上清を当該カラムにSV=5hr-1で通液した(室温)。その後、カラムを水で洗浄して糖液を洗い流し、洗浄水がBx. 0.5以下になるまで水洗した。次に55%エタノールをカラムにSV=2hr-1で1時間通液した(室温)。55%エタノールを通液し始めてから約20分後、着色物質が脱離し始めると同時に溶出液の回収を開始した。エタノール通液後、水をSV=2hr-1で1時間通液し、溶出液が約2.5Lになるまで回収を行った。この操作を5サイクル行い、溶出液12.5Lを回収した。この溶出液のうち2Lについて凍結乾燥処理を行い、15.2gの乾燥粉末(製造例1のエキス)を得た。
【0045】
製造例2
製造例1で得られた溶出液48Lのうち、300mlをとり、UF膜脱色処理に付した。UF膜として、分画分子量2,500のDESAL GHタイプ膜、及び分画分子量1,000のDESAL GEタイプ膜(いずれもGEウォーター&プロセステクノロジー製)を用いた。UF膜脱色処理は、圧力1.0MPaで行われた。GH膜では、透過液150ml及び濃縮液150mlが得られた。また、GE膜では、透過液100ml及び濃縮液200mlが得られた。それぞれの透過液を、エバポレーターにより濃縮後、凍結乾燥した。GH膜処理では1.25gの乾燥粉末(製造例2のエキスGH)、GE膜処理では0.95gの茶褐色乾燥粉末(製造例2のエキスGE)が得られた。
【0046】
製造例3
糖蜜(沖縄製糖株式会社宮古工場)180kgをBx.50に希釈し、当該希釈液をスクリューデカンター型連続遠心分離機(株式会社関西遠心分離機製作所 型番:AD-150)により、回転数6,000rpm(3,200G)、供給流量80L/hで、50℃で遠心分離して、沈殿物を除去した。
得られた清澄液を以下の条件で合成吸着剤に吸着・溶出した。
樹脂通液:SP850樹脂(三菱化学株式会社)25Lを充填したカラム(径250mm×高さ1000mm、50L容SUS304製)に、SV=2h-1(50L/hr)で、当該清澄液を通液した。
水洗:当該清澄液を通液した後、カラムに水道水を通液することにより、内に残存する糖液を水洗した。カラム出液がBx.0.5程度になった時点で水道水の通液を終了した。
次いで、圧縮空気をカラム底部から投入して樹脂をバブリング洗浄し、その後さらにカラム上部から水を通液することで、樹脂内に残存する懸濁物を除去した。
溶出:水洗後、55%(vol%)エタノール水溶液50LをSV=2h-1(50L/hr)でカラムに通液し、吸着した黒色成分を溶出液(約60L)として回収した。
UF膜処理:得られた溶出液について、以下のUF膜処理を行うことにより高分子成分を除去した。UF膜として、GE WaterTechnologies社の4インチ膜モジュールGH4040F1020(膜面積9m2)を用いた。UF膜処理の条件は下記の通りである;原液量:46L(上記溶出液)、入口圧力:5.0MPa、透過流量:18L/h、Feed流量:約180L/h、Flux:2L/m・hr。UF膜処理のフローを図1に示す。膜処理により原液が濃縮されて、原液量が14Lとなったところで、40%エタノール32Lを原液に加えた。エタノール添加後さらに膜処理を継続し、原液量が再度14Lになるまで膜処理を行った。14Lになった原液について、上記エタノール添加及び膜処理を繰り返し、再度原液が14Lになったところで膜処理を終了した。膜処理の結果得られた透過液は96Lであった。このうち1.5Lを、エバポレーターにより濃縮し、そして凍結乾燥して、淡黄色〜褐色の粉末1.7g(製造例3のエキス)を得た。
【0047】
製造例4
原糖製造工場の製造工程にて得られた甘蔗の圧搾汁(固形分18.8%)650リットルを、ジュースヒーターで80℃に加温し、管型限外ろ過(MH−25型、有効膜面積2m×3本、分画分子量10万、ダイセル化学工業株式会社製)でろ過処理して、約600リットルの処理液を得た。
【0048】
合成吸着剤SP−850(商品名、三菱化学株式会社)15リットルを、ウォータージャケット付きのカラム(カラムサイズ:内径17.0cm、高さ100cm)に充填し、これに前記の圧搾汁ろ過処理液を、流速30リットル/時間(SV=2hr−1)の速度で通液した。なお、圧搾汁ろ過処理液通液中は、ウォータージャケットには、65℃の水を常に循環させた。次に、45リットルのイオン交換水を、流速30リットル/時間(SV=2hr−1)でカラムに通液して洗浄した。イオン交換水で洗浄後、カラムから溶出した画分について糖類の検出を行ったところ、ハンドレフブリックス(Bx)計(アタゴ株式会社製、N−1E型)において、Bxが約0になっているのを確認した。その後、溶出溶媒として55%エタノール−水混合溶媒(エタノール/水=55/45(体積/体積))を流速30リットル/時間(SV=2hr−1)にてカラムに通液して、合成吸着剤に吸着した成分を溶出させた。なお、溶出溶媒通過中は、ウォータージャケットには、25℃の水を常に循環させた。カラム溶出液は5リットルずつ分取した。溶出パターンを図2に示す(a:圧搾汁ろ過処理液の通液開始時点、b:イオン交換水での洗浄開始時点、c:55%エタノール−水混合溶媒での溶出開始時点)。図において黒丸は、各画分の420nmの光の吸光度を示し、白角は各画分の糖度を示す。55%エタノール−水混合溶媒でカラムから溶出した画分(図2においてAの部分)を、濃縮機にて約20倍程度に減圧濃縮した後、1晩凍結乾燥して、茶色の粉末(製造例4のエキス)460gを得た。
【0049】
製造例5
原糖製造工場の製造工程にて得られた清浄汁(固形分11.7%)600リットルをそのまま限外ろ過処理せずに使用した以外は製造例1と同様にして、カラム処理を行った。このときの溶出パターンを図3に示す(a:圧搾汁ろ過処理液の通液開始時点、b:イオン交換水での洗浄開始時点、c:55%エタノール−水混合溶媒での溶出開始時点)。図3において、Bの画分を分取し、減圧濃縮した後、1晩凍結乾燥して、225gの茶褐色の粉末(製造例5のエキス)を得た。
【実施例1】
【0050】
(エラスターゼ活性阻害試験)
製造例2のエキスGHのエラスターゼ活性阻害効果を、正常ヒト線維芽細胞由来エラスターゼ活性阻害作用を評価することより調べた。
(1)材料
2×106cells/mlのヒト正常線維芽細胞(倉敷紡績株式会社)に0.5(W/V)% Triton X-100含有トリス緩衝液(1 mM PMSF、100 mM Tris-HCl、pH8.0) を100μl添加して細胞を溶解し、当該溶解液を線維芽細胞由来エラスターゼの粗酵素液として用いた。エラスターゼに対する基質としてスクシニル-L-アラニル-L-アラニル-L-アラニン p-ニトロアニリド (Suc-Ala-Ala-Ala-pNA)(BACHEM AG社製)を用いた。製造例2のエキス(凍結乾燥粉末)を上記トリス緩衝液に溶解し、下記表1に記載の濃度の試験サンプルを調製した。陽性対照としてEDTAを用いた。
(2)方法
試験サンプル又は0.5(w/v)% Triton X-100含有トリス緩衝液を、96 穴マイクロプレートのウェルに50μLずつ添加した。さらに、5 mMのSuc-Ala-Ala-Ala-pNA(BACHEM AG社製)の0.2Mリン酸緩衝溶液を調製し、夫々のウェルに100μLずつ添加した。次に、夫々のウェルにエラスターゼ粗酵素液を50μL添加し、添加直後の405 nmにおける吸光度を蛍光発光吸光測定装置(パワースキャン4、DSファーマバイオメディカル株式会社)で測定した。当該吸光度を、反応前の吸光度とした(ブランク吸光度)。次いで、37 ℃にて2 時間反応後の405 nmにおける吸光度を測定した。反応後の吸光度よりブランク吸光度を差し引いた値(以下、差引吸光度)を、上記試験サンプルを添加した場合及び添加しない場合(上記緩衝液を添加した場合)のそれぞれについて求めた。試験サンプルを添加しない場合における差引吸光度をC’、 試験サンプルを添加した場合における差引吸光度をS’とし、エラスターゼ活性阻害率 (%)を次の式より求めた。
【0051】
エラスターゼ活性阻害率 (%)= (1−(S’/C’)) ×100
【0052】
(3)結果
結果を以下の表1に示す。
【0053】
【表1】

【0054】
表1に示すように、製造例2のエキスは、有意なエラスターゼ活性阻害効果を示した。また、製造例2のエキスの添加量が多ければ多いほど当該阻害効果も大きいので、用量依存性であることが分かった。
また、その他の製造例のエキスについても、同様の効果が認められた。
【実施例2】
【0055】
(MMP−1活性阻害試験)
製造例2のエキスGHのMMP−1活性阻害効果を、正常ヒト線維芽細胞に対するMMP−1活性の阻害作用を評価することより調べた。
(1)材料
正常ヒト線維芽細胞の培地として、5 %仔牛血清含有ダルベッコ変法MEM培地 (5 % FBS-DMEM、倉敷紡績株式会社)を用いた。下記表2記載の濃度で製造例2のエキスを含むDMEM培地(倉敷紡績株式会社)を調製し、試験サンプル含有培地として用いた。陽性対照としてアジ化ナトリウムを用いた。
(2)方法
正常ヒト線維芽細胞(倉敷紡績株式会社)を5 % FBS-DMEM培地と一緒に96 穴マイクロプレートに、2.0×104 cells/wellの密度にて播種した。上記播種後24 時間で、当該マイクロプレート中の上記5 % FBS-DMEM培地を当該試験サンプル含有培地に交換した。培地交換後さらに24 時間培養し、再度、新鮮な試験サンプル含有培地に交換し、そしてさらに24時間培養した。培養後、培養上清中のMMP-1活性を測定した。 培養上清中のMMP-1は酵素活性を有しない不活性型酵素として培養上清中に分泌されるため、トリプシン(シグマ-アルドリッチ ジャパン株式会社)処理により活性部位の修飾ペプチドを切断することにより酵素を活性化した。MMP-1を活性化した後、培養上清100μlに0.5 mg/mLのFITC標識I型コラーゲン(株式会社ヤガイ)を50μl加えた。当該コラーゲン添加後、37 ℃にて2 時間酵素反応をさせた。当該反応後、分解されたコラーゲンの蛍光強度 (Ex=495nm, Em=520 nm) を、蛍光発光吸光測定装置(パワースキャン4、DSファーマ)により、測定した。酵素活性は1 分間に1 μgのコラーゲンを分解する酵素活性を1unitとして定義した。
同時に細胞のタンパク質量をBCA Protein Assay Reagent (PIERCE) を用いて定量した。培養上清中のMMP-1活性をタンパク質量で除することにより、単位タンパク質量あたりのMMP-1活性を算出し、これをMMP-1活性とした。
【0056】
(3)結果
結果を以下の表2に示す。
【0057】
【表2】

【0058】
表2に示すように、製造例2のエキスを添加することによって、MMP−1活性が低下した。従って、製造例2のエキスは、MMP−1活性阻害効果を有する。また、製造例2のエキスの添加量が多ければ多いほど当該阻害効果も大きいので、用量依存性であることが分かった。
また、その他の製造例のエキスについても、同様の効果が認められた。
【実施例3】
【0059】
(美容液)
下記の組成の美容液を定法により製造した。以下実施例3〜5において、%は重量%を意味する。
製造例2のエキスGH 0.5%
塩酸グルコサミン 0.25%
ソルビトール 1.20%
ジプロピレングリコール 8.0%
濃グリセリン(日本薬局方) 5.0%
ジグリセリン 5.0%
ホホバ油 0.50%
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 0.50%
キサンタンガム 0.05%
カルボキシビニルポリマー 0.5%
アルギニン 0.35%
ハイドロプロリン 0.25%
フェノキシエタノール 0.20%
メチルパラベン 0.08%
プロピルパラベン 0.02%
精製水 残部(全量を100%とする)
また、製造例2のエキスの代わりに製造例1及び3〜5のエキスを用いて、同様に美容液を製造した。
【実施例4】
【0060】
(乳液)
下記組成の乳液を定法により製造した。
製造例2のエキスGH 0.5%
ホホバ油 4.0%
オリーブオイル 2.0%
スクワラン 2.0%
セタノール 2.0%
モノステアリン酸グリセリル 2.0%
ポリオキシエチレンセチルエーテル(20E.O.) 2.5%
オレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O.) 2.0%
1,3―ブチレングリコール 3.0%
パラオキシ安息香酸メチル 0.15%
香料 0.05%
精製水 残部(全量を100%とする)
また、製造例2のエキスの代わりに製造例1及び3〜5のエキスを用いて、同様に乳液を製造した。
【実施例5】
【0061】
(化粧水)
下記組成の化粧水を定法により製造した。
製造例2のエキスGH 1.0%
グリセリン 3.0%
1,3―ブチレングリコール 3.0%
オレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O.) 0.5%
パラオキシ安息香酸メチル 0.15%
クエン酸 0.1%
クエン酸ナトリウム 0.1%
香料 0.05%
精製水 残部(全量を100%とする)
また、製造例2のエキスの代わりに製造例1及び3〜5のエキスを用いて、同様に化粧水を製造した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
甘蔗汁及び/又は甘蔗由来の糖蜜を、合成吸着剤を用いたカラムクロマトグラフィーで処理することにより得られた画分である甘蔗由来のエキスを含む、抗老化剤。
【請求項2】
前記剤が細胞外マトリックス分解酵素活性阻害剤である、請求項1に記載の剤。
【請求項3】
前記剤がエラスターゼ活性阻害剤である、請求項2に記載の剤。
【請求項4】
前記剤がMMP−1活性阻害剤である、請求項2に記載の剤。
【請求項5】
甘蔗由来のエキスが、甘蔗汁及び/又は甘蔗由来の糖蜜を合成吸着剤を充填したカラムに通液し、該合成吸着剤に吸着された成分を、水、メタノール、エタノール及びこれらの混合物から選ばれる溶媒で溶出することにより得られる画分である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の剤。
【請求項6】
甘蔗由来のエキスが、前記画分を限外濾過処理して得られた透過液である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の剤。
【請求項7】
前記限外濾過処理において用いる限外濾過膜の分画分子量が1000〜4000である、請求項6に記載の剤。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−231083(P2011−231083A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−105451(P2010−105451)
【出願日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【出願人】(501190941)三井製糖株式会社 (52)
【出願人】(504180882)株式会社りゅうせき (2)
【Fターム(参考)】