説明

抗菌活性を強化したランチビオティック型カルボキシアミド誘導体

【課題】優れた抗菌活性を有するランチビオティック型カルボキシアミド誘導体、その製造方法、及びそれを用いた医薬組成物を提供する。
【解決手段】下記一般式(II)で表され、抗菌性を有するランチビオティック97518の新規なアミド誘導体、その製造方法、及びそれを用いた医薬組成物。
【化1】



【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、優れた抗菌活性を有するランチビオティック型カルボキシアミド誘導体、その製造方法、及びそれを用いた医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ランチビオティックと呼ばれる化合物は、アミノ酸であるランチオニン及び/又は3-メチルランチオニンを有することを特徴とするペプチドである(H.G. Sahl and G.Bierbaum. Lantibiotics: biosynthesis and biological activities of uniquely modified peptides from gram-positive bacteria- Ann. Rev. Microbiol. 52(1998)41-79)。このように、用語「ランチビオティック」は、これらの化合物の構造的特徴を定義するものであり、必ずしも慣用的に使用されているものではない。事実、抗菌活性を有するランチビオティックもあれば、全く有しないものもある。抗菌活性を有するランチビオティックの中で、特に関係があるのは、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)に対して活性を有するものであり、それは医薬として非常に興味深いものである。上記の抗菌活性を有する全てのランチビオティックは、ペプチドグリカンの形成における重要な中間物の隔離を通して、細胞壁の生合成に干渉することにより、その作用を発揮する。
【0003】
抗菌性ランチビオティックは、その構造により、大きく2つのグループに分けることができる。A型ランチビオティックは、典型的には長く、両親媒性のペプチドであり、一方B型ランチビオティックは、コンパクトでかつ球状である(McAuliffe, R.P. Ross and C. Hill. Lantibiotics: structure, biosynthesis and mode of action- FEMS Microb. Rev. 25(2001)285-308)。ナイシンは、A型ランチビオティックの典型的な例であり、一方アクタガルジン及びメルサシジンは、B型ランチビオティックのサブクラスに属する。驚くべきことに、形状及び主要な構造の違いに関わらず、ナイシン型及びメルサシジン型の両ランチビオティックは、膜結合ペプチドグリカン前駆体脂質IIと相互作用する。さらに、一般的に抗菌活性の範囲はグラム陽性菌に限定されるが、サブクラスA及びBの個々の抗菌性ランチビオティックの効力はそれぞれ大きく異なっている。総じて、ランチビオティックにおける、増加する標的結合に応答性を有する構造的要素及び/又は強化された抗菌活性についての理解は不十分である。
【0004】
従来、ランチビオティックは、ほとんどファーミキューテス類(低GC含量のグラム陽性菌)から単離されており、非常に多様な他の抗菌剤を製造する能力を有することで最もよく知られている放線菌目からのものに関する記述は比較的少数である。アクタガルジン及び最近記述されている107891(ヨーロッパ特許公開第03016306.7号; Chemistry and Biology 2008, 15, 22-31)及び97518(特許文献1及び非特許文献1)は、放線菌目から製造される代表的なランチビオティックである。特に新規なランチビオティック97518は、プラノモノスポラ属 DSM 14920から製造され、それは細菌の細胞壁生合成を抑制することが発見された(特許文献1及び非特許文献1)。その球状構造により、ランチビオティック97518は、B型ランチビオティックのサブグループであるメルサシジンに帰属する(非特許文献1)。97518は、MRSA、連鎖状球菌及び腸球菌に対して生体外活性を有する。黄色ブドウ球菌は、生命に関わる感染を引き起こす。MRSAは、全てのペニシリン、セファロスポリン及び複数の他の抗菌剤に耐性を有し、さらに医療施設に重大な影響を及ぼす感染爆発を引き起こしながら、患者から患者へ簡単に広まるので、特に臨床的意義を有する。バンコマイシン耐性腸球菌(VRE)は、治療課題の増加を提起し、敏感な人への感染症(心内膜炎、髄膜炎及び敗血症等)の要因であり、重大な院内病原体であることが明らかになりつつある(Y. Cetinkaya, P. Falk and C.G. Mayhall. Vancomycin-resistant enterococci-Clin. Microbiol Rev.13(2000)686-707; L.B. Rice. Emergence of vancomycin-resistant enterococci. Emerg. Infec. Dis. 7(2001)183-7)。肺炎連鎖球菌及びカタラリス菌は、人への病原体として主要なものである。それらは、気道感染症の一般的な原因であり、特に子供の中耳炎及び大人の下気道感染の原因である。カタル球菌及び肺炎球菌は、最も一般的な気道の病原体として最近認められている(M. C. Enright and H. McKenzy. Moraxella(Branhamella)catarrhalis- Clinical and molecular aspect of a rediscovered pathogen. J. Med. Microbiol. 46(1997)360-71)。しかし、その興味深い抗菌範囲にも関わらず、ランチビオティック97518は、最小発育阻止濃度(MIC)が0.25μg/mL〜128μg/mL超であり、人や動物に関係する病原体に対して弱い活性しか有していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】ヨーロッパ特許公開第1481986号明細書
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】バイオケミストリー(Biochemistry)、2007年、第46巻、5884〜5895頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
天然の抗菌剤の多様体及び/又は誘導体は、長い間捜し求められており、医薬において有益である。それらは、化学合成又は天然生成物の変性により製造することができるが、天然の抗菌剤の大抵の構造的多様体は廃止される傾向にあるか、抗菌活性がシビアに損なわれる傾向にある。構造と活性の関係(SAR)の明確化が不十分であるランチビオティックの分野において、抗菌剤とターゲットの相互作用に関わる分子の詳細が不明であるのは事実である。さらに、抗菌力に寄与しそうな他のファクターは、厚いペプチドグリカン層に交差した後の本発明の化合物のターゲットへの拡散速度、並びに細菌細胞の保護性外表面に存在する極性部分、帯電した部分、及び疎水性部分との可能な相互作用である。ランチビオティック変性物の結果を予測不可能にする他の要素は、1つのサブタイプについてのSARの研究から導かれた結果を他に適用することを妨げる、類似の作用機構を有する無関係化合物の存在である。
【0008】
ランチビオティック97518の構造は、式(I)に示すように報告されており(Castiglione et al. 2007)、ランチビオティックのサブクラスBに属すると主張されている。
【化1】

【0009】
ランチビオティック97518の主要構造についての検証によれば、ナイシン型ランチビオティックに類似していることが示唆されており、これはチオエーテル結合の存在により裏付けられる。本発明は、強化された抗菌活性を有し、一般式(II)を有するランチビオティック97518の新規な誘導体に関するものである。また97518について報告されたオリジナルの構造的特徴のうち、不正確に帰属されたものがあることについても説明する。この新規な誘導体は、97518より実質的に優れた抗菌活性を有する。このように、本発明は、抗菌治療が要求される状況において、新規な抗菌性化合物、その化合物の製造方法、及び人又は動物の治療におけるその使用を提供するものである。以下、本発明の詳細について説明する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、一般式(II):
【化2】

で示され、置換基R1及びR2のうち一方が-NR3R4基を表し、他方が-OH基又は-NR3R4基を表し、R3及びR4がそれぞれ独立に以下の群から選択される新規な抗菌性化合物に関する。
・ 水素基;
・ 炭素数1〜20のアルキル基;
・ 炭素数2〜20のアルケニル基;
・ 炭素数2〜20のアルキニル基;
・ 炭素数3〜8のシクロアルキル基[ただし以下の群から1つ選択されるか、それぞれ独立に2つ選択された置換基を有してもよい:ハロゲン基、シアノ基、1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜4の低級アルキル基、1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜4の低級アルコキシ基、フェニル基、炭素数1〜4の低級アルキル基を有するフェニル基、フェノキシ基、及び炭素数1〜4の低級アルキル基を有するフェノキシ基(ただしフェニル基、並びに低級アルキル基含有フェニル基、フェノキシ基及び低級アルキル基含有フェノキシ基のフェニル基部分が、以下の群から1つ又は2つ選択された置換基を有してもよい:ハロゲン基、シアノ基、1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜4の低級アルキル基、及び1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜4の低級アルコキシ基)];
・ フェニル基[ただし以下の群から1つ選択されるか、それぞれ独立に2つ選択された置換基を有してもよい:ハロゲン基、シアノ基、1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜4の低級アルキル基、1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜4の低級アルコキシ基、フェニル基、炭素数1〜4の低級アルキル基を有するフェニル基、フェノキシ基、及び炭素数1〜4の低級アルキル基を有するフェノキシ基(ただしフェニル基、並びに低級アルキル基含有フェニル基、フェノキシ基及び低級アルキル基含有フェノキシ基のフェニル基部分が、以下の群から1つ又は2つ選択された置換基を有してもよい:ハロゲン基、シアノ基、1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜4の低級アルキル基、及び1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜4の低級アルコキシ基)];
・ ベンジル基[ただしそのフェニル環が、以下の群から1つ選択されるか、それぞれ独立に2つ選択された置換基を有してもよい:ハロゲン基、シアノ基、1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜4の低級アルキル基、1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜4の低級アルコキシ基、フェニル基、炭素数1〜4の低級アルキル基を有するフェニル基、フェノキシ基、及び炭素数1〜4の低級アルキル基を有するフェノキシ基(ただしフェニル基、並びに低級アルキル基含有フェニル基、フェノキシ基及び低級アルキル基含有フェノキシ基のフェニル基部分が、以下の群から1つ又は2つ選択された置換基を有してもよい:ハロゲン基、シアノ基、1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜4の低級アルキル基、及び1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜4の低級アルコキシ基)];
・ ナフチル基(ただし、以下の群から1つ又は2つ選択された置換基を有してもよい:ハロゲン基、1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜4の低級アルキル基、及び1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜4の低級アルコキシ基);
・ 式:-(CH2)nOR5で示される基であって、nは2〜8の整数を表し、R5は以下の群から選択された基を表す:
o 水素基;
o 炭素数1〜4のアルキル基;
o 炭素数3〜8のシクロアルキル基[ただし以下の群から1つ選択されるか、それぞれ独立に2つ選択された置換基を有してもよい:ハロゲン基、シアノ基、1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜4の低級アルキル基、1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜4の低級アルコキシ基、フェニル基、炭素数1〜4の低級アルキル基を有するフェニル基、フェノキシ基、及び炭素数1〜4の低級アルキル基を有するフェノキシ基(ただしフェニル基、並びに低級アルキル基含有フェニル基、フェノキシ基及び低級アルキル基含有フェノキシ基のフェニル基部分が、以下の群から1つ又は2つ選択された置換基を有してもよい:ハロゲン基、シアノ基、1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜4の低級アルキル基、及び1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜4の低級アルコキシ基)];もしくは
o フェニル基[ただし以下の群から1つ選択されるか、それぞれ独立に2つ選択された置換基を有してもよい:ハロゲン基、シアノ基、1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜4の低級アルキル基、1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜4の低級アルコキシ基、フェニル基、炭素数1〜4の低級アルキル基を有するフェニル基、フェノキシ基、及び炭素数1〜4の低級アルキル基を有するフェノキシ基(ただしフェニル基、並びに低級アルキル基含有フェニル基、フェノキシ基及び低級アルキル基含有フェノキシ基のフェニル基部分が、以下の群から1つ又は2つ選択された置換基を有してもよい:ハロゲン基、シアノ基、1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜4の低級アルキル基、及び1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜4の低級アルコキシ基)]
又は
・ 式:-(CH2)nNR6R7で示される基であって、nは2〜8の整数を表し、R6及びR7はそれぞれ個別に以下の群から選択された基を表す:
・ 水素基;
・ 炭素数1〜4のアルキル基;
・ 炭素数3〜8のシクロアルキル基[ただし以下の群から1つ選択されるか、それぞれ独立に2つ選択された置換基を有してもよい:ハロゲン基、シアノ基、1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜4の低級アルキル基、1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜4の低級アルコキシ基、フェニル基、炭素数1〜4の低級アルキル基を有するフェニル基、フェノキシ基、及び炭素数1〜4の低級アルキル基を有するフェノキシ基(ただしフェニル基、並びに低級アルキル基含有フェニル基、フェノキシ基及び低級アルキル基含有フェノキシ基のフェニル基部分が、以下の群から1つ又は2つ選択された置換基を有してもよい:ハロゲン基、シアノ基、1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜4の低級アルキル基、及び1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜4の低級アルコキシ基)];もしくは
・ フェニル基[ただし以下の群から1つ選択されるか、それぞれ独立に2つ選択された置換基を有してもよい:ハロゲン基、シアノ基、1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜4の低級アルキル基、1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜4の低級アルコキシ基、フェニル基、炭素数1〜4の低級アルキル基を有するフェニル基、フェノキシ基、及び炭素数1〜4の低級アルキル基を有するフェノキシ基(ただしフェニル基、並びに低級アルキル基含有フェニル基、フェノキシ基及び低級アルキル基含有フェノキシ基のフェニル基部分が、以下の群から1つ又は2つ選択された置換基を有してもよい:ハロゲン基、シアノ基、1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜4の低級アルキル基、及び1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜4の低級アルコキシ基)];
・ ベンジル基[ただしそのフェニル環が、以下の群から1つ選択されるか、それぞれ独立に2つ選択された置換基を有してもよい:ハロゲン基、シアノ基、1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜4の低級アルキル基、1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜4の低級アルコキシ基、フェニル基、炭素数1〜4の低級アルキル基を有するフェニル基、フェノキシ基、及び炭素数1〜4の低級アルキル基を有するフェノキシ基(ただしフェニル基、並びに低級アルキル基含有フェニル基、フェノキシ基及び低級アルキル基含有フェノキシ基のフェニル基部分が、以下の群から1つ又は2つ選択された置換基を有してもよい:ハロゲン基、シアノ基、1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜4の低級アルキル基、及び1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜4の低級アルコキシ基)];
・ R6及びR7を合一した形の以下の基:-(CH2)3、-(CH2)4-、-(CH2)2-O-(CH2)2、及び-(CH2)2-S-(CH2)2;もしくは
・ R6及びR7を合一し、かつ隣接窒素原子を含めた形のピペラジン骨格[ただしその4位が以下の群から選択された基で置換されていてもよい:炭素数1〜4のアルキル基、炭素数3〜8のシクロアルキル基、ピリジン基、ベンジル基及び置換ベンジル基(ただしそのフェニル環が、塩素基、臭素基、ニトロ基、炭素数1〜4のアルキル基、及び炭素数1〜4のアルコキシ基から選択された1つ又は2つの置換基を含む)]
【0011】
用語「炭素数1〜4のアルキル基」は、メチル、エチル、プロピル、1-メチルエチル、ブチル、1-メチルプロピル又は1, 1-ジメチルエチル等の炭素数1〜4の直鎖状又は分岐状のアルキル鎖を意味する。用語「炭素数3〜8のシクロアルキル基」は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル及びシクロオクチルの中から選択されたシクロアルキル基を意味する。用語「炭素数1〜4のアルコキシ基」は、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、1-メチルエトキシ、ブトキシ、1-メチルプロポキシ及び1, 1-ジメチルエトキシ等の炭素数1〜4の直鎖状又は分岐状のアルコキシ鎖を意味する。
【0012】
好ましい態様によれば、本発明は、一般式(II)において、置換基R1又はR2の一方が-NR3R4基を表し、他方が-OH基を表し、R3及びR4がそれぞれ独立に以下の群から選択される新規な抗菌性化合物に関する。
・ 炭素数1〜12のアルキル基;
・ 炭素数3〜10のアルケニル基;
・ 炭素数5又は6のシクロアルキル基[ただし以下の群から1つ選択されるか、それぞれ独立に2つ選択された置換基を有してもよい:炭素数1〜4の低級アルキル基、炭素数1〜4の低級アルコキシ基、フェニル基、炭素数1〜4の低級アルキル基を有するフェニル基、フェノキシ基、及び炭素数1〜4の低級アルキル基を有するフェノキシ基(ただしフェニル基、並びに低級アルキル基含有フェニル基、フェノキシ基及び低級アルキル基含有フェノキシ基のフェニル基部分が、以下の群から1つ又は2つ選択された置換基を有してもよい:ハロゲン基、炭素数1〜4の低級アルキル基、及び炭素数1〜4の低級アルコキシ基)];
・ フェニル基(ただし以下の群から1つ選択されるか、それぞれ独立に2つ選択された置換基を有してもよい:ハロゲン基、炭素数1〜4の低級アルキル基、炭素数1〜4の低級アルコキシ基、フェニル基、炭素数1〜4の低級アルキル基を有するフェニル基、フェノキシ基、及び炭素数1〜4の低級アルキル基を有するフェノキシ基);
・ ベンジル基(ただしそのフェニル環が、以下の群から1つ選択されるか、それぞれ独立に2つ選択された置換基を有してもよい:ハロゲン基、シアノ基、炭素数1〜4の低級アルキル基、炭素数1〜4の低級アルコキシ基、フェニル基、炭素数1〜4の低級アルキル基を有するフェニル基、フェノキシ基、及び炭素数1〜4の低級アルキル基を有するフェノキシ基);
・ ナフチル基(ただし、以下の群から1つ又は2つ選択された置換基を有してもよい:ハロゲン基、炭素数1〜4の低級アルキル基及び炭素数1〜4の低級アルコキシ基)
・ 式:-(CH2)nOR5で示される基であって、nは2〜5の整数を表し、R5は以下の群から選択された基を表す:
o 水素基;
o 炭素数1〜4のアルキル基;
o 炭素数5又は6のシクロアルキル基(ただし以下の群から1つ選択されるか、それぞれ独立に2つ選択された置換基を有してもよい:ハロゲン基、シアノ基、炭素数1〜4の低級アルキル基、炭素数1〜4の低級アルコキシ基、フェニル基、炭素数1〜4の低級アルキル基を有するフェニル基、フェノキシ基、及び炭素数1〜4の低級アルキル基を有するフェノキシ基);
o フェニル基(ただし以下の群から1つ選択されるか、それぞれ独立に2つ選択された置換基を有してもよい:ハロゲン基、シアノ基、炭素数1〜4の低級アルキル基、炭素数1〜4の低級アルコキシ基、フェニル基、炭素数1〜4の低級アルキル基を有するフェニル基、フェノキシ基、及び炭素数1〜4の低級アルキル基を有するフェノキシ基);
又は
・ 式:-(CH2)nNR6R7で示される基であって、nは2〜8の整数を表し、R6及びR7はそれぞれ独立に以下の群から選択された基を表す:
・ 水素基;
・ 炭素数1〜4のアルキル基;
・ 炭素数3〜6のシクロアルキル基[ただし以下の群から1つ選択されるか、それぞれ独立に2つ選択された置換基を有してもよい:ハロゲン基、シアノ基、炭素数1〜4の低級アルキル基、炭素数1〜4の低級アルコキシ基、フェニル基、炭素数1〜4の低級アルキル基を有するフェニル基、フェノキシ基、及び炭素数1〜4の低級アルキル基を有するフェノキシ基(ただしフェニル基、並びに低級アルキル基含有フェニル基、フェノキシ基及び低級アルキル基含有フェノキシ基のフェニル基部分が、以下の群から1つ又は2つ選択された置換基を有してもよい:ハロゲン基、シアノ基、炭素数1〜4の低級アルキル基、及び炭素数1〜4の低級アルコキシ基)];
・ フェニル基(ただし以下の群から1つ選択されるか、それぞれ独立に2つ選択された置換基を有してもよい:ハロゲン基、 炭素数1〜4の低級アルキル基、炭素数1〜4の低級アルコキシ基、フェニル基、炭素数1〜4の低級アルキル基を有するフェニル基、フェノキシ基、及び炭素数1〜4の低級アルキル基を有するフェノキシ基);
・ ベンジル基(ただしそのフェニル環が、以下の群から1つ選択されるか、それぞれ独立に2つ選択された置換基を有してもよい:ハロゲン基、シアノ基、炭素数1〜4の低級アルキル基、炭素数1〜4の低級アルコキシ基、フェニル基、炭素数1〜4の低級アルキル基を有するフェニル基、フェノキシ基、及び炭素数1〜4の低級アルキル基を有するフェノキシ基);
・ R6及びR7を合一した形の以下の基:-(CH2)3、-(CH2)4-、-(CH2)2-O-(CH2)2、及び-(CH2)2-S-(CH2)2;もしくは
・ R6及びR7を合一し、かつ隣接窒素原子を含めた形のピペラジン骨格[ただしその4位が以下の群から選択された基で置換されていてもよい:炭素数1〜4のアルキル基、炭素数3〜8のシクロアルキル基、ピリジン基、ベンジル基及び置換ベンジル基(ただしそのフェニル環が、塩素基、臭素基、ニトロ基、炭素数1〜4のアルキル基、及び炭素数1〜4のアルコキシ基から選択された1つ又は2つの置換基を含む)]
【0013】
用語「炭素数1〜4のアルキル基」は、メチル、エチル、プロピル、1-メチルエチル、ブチル、1-メチルプロピル又は1, 1-ジメチルエチル等の炭素数1〜4の直鎖状又は分岐状のアルキル鎖を意味する。用語「炭素数3〜8のシクロアルキル基」は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル及びシクロオクチルの中から選択されたシクロアルキル基を意味する。用語「炭素数1〜4のアルコキシ基」は、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、1-メチルエトキシ、ブトキシ、1-メチルプロポキシ及び1, 1-ジメチルエトキシ等の炭素数1〜4の直鎖状又は分岐状のアルコキシ鎖を意味する。
【0014】
別の好ましい態様によれば、本発明は、一般式(II)において、置換基R1又はR2の一方が-NR3R4基を表し、他方が-OH基を表し、R3及びR4がそれぞれ独立に以下の群から選択される新規な抗菌性化合物に関する。
・ 式:-(CH2)nNR6R7で示される基であって、nは2〜8の整数を表し、R6及びR7はそれぞれ独立に以下の群から選択された基を表す:
・ 水素基;
・ 炭素数1〜4のアルキル基;
・ 炭素数3〜6のシクロアルキル基[ただし以下の群から1つ選択されるか、それぞれ独立に2つ選択された置換基を有してもよい:ハロゲン基、シアノ基、炭素数1〜4の低級アルキル基、炭素数1〜4の低級アルコキシ基、フェニル基、炭素数1〜4の低級アルキル基を有するフェニル基、フェノキシ基、及び炭素数1〜4の低級アルキル基を有するフェノキシ基(ただしフェニル基、並びに低級アルキル基含有フェニル基、フェノキシ基及び低級アルキル基含有フェノキシ基のフェニル基部分が、以下の群から1つ又は2つ選択された置換基を有してもよい:ハロゲン基、シアノ基、炭素数1〜4の低級アルキル基、及び炭素数1〜4の低級アルコキシ基)];
・ フェニル基(ただし以下の群から1つ選択されるか、それぞれ独立に2つ選択された置換基を有してもよい:ハロゲン基、炭素数1〜4の低級アルキル基、炭素数1〜4の低級アルコキシ基、フェニル基、炭素数1〜4の低級アルキル基を有するフェニル基、フェノキシ基、及び炭素数1〜4の低級アルキル基を有するフェノキシ基);
・ ベンジル基(ただしそのフェニル環が、以下の群から1つ選択されるか、それぞれ独立に2つ選択された置換基を有してもよい:ハロゲン基、シアノ基、炭素数1〜4の低級アルキル基、炭素数1〜4の低級アルコキシ基、フェニル基、炭素数1〜4の低級アルキル基を有するフェニル基、フェノキシ基、及び炭素数1〜4の低級アルキル基を有するフェノキシ基);
・ R6及びR7を合一した形の以下の基:-(CH2)3、-(CH2)4-、-(CH2)2-O-(CH2)2、及び-(CH2)2-S-(CH2)2;もしくは
・ R6及びR7を合一し、かつ隣接窒素原子を含めた形のピペラジン骨格[ただしその4位が以下の群から選択された基で置換されていてもよい:炭素数1〜4のアルキル基、炭素数3〜8のシクロアルキル基、ピリジン基、ベンジル基及び置換ベンジル基(ただしそのフェニル環が、塩素基、臭素基、ニトロ基、炭素数1〜4のアルキル基、及び炭素数1〜4のアルコキシ基から選択された1つ又は2つの置換基を含む)]
【0015】
用語「炭素数1〜4のアルキル基」は、メチル、エチル、プロピル、1-メチルエチル、ブチル、1-メチルプロピル又は1, 1-ジメチルエチル等の炭素数1〜4の直鎖状又は分岐状のアルキル鎖を意味する。用語「炭素数3〜8のシクロアルキル基」は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル及びシクロオクチルの中から選択されたシクロアルキル基を意味する。用語「炭素数1〜4のアルコキシ基」は、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、1-メチルエトキシ、ブトキシ、1-メチルプロポキシ及び1, 1-ジメチルエトキシ等の炭素数1〜4の直鎖状又は分岐状のアルコキシ鎖を意味する。
【0016】
さらに別の好ましい態様によれば、本発明は、一般式(II)において、置換基R1及びR2のうちの一方が-NR3R4基を表し、他方が-OH基又は-NR3R4基を表し、R3及びR4がそれぞれ独立に、式:-(CH2)nNR6R7で示される基(nは2〜4の整数を表し、R6及びR7はそれぞれ独立に水素基又は炭素数1〜4のアルキル基を表す)から選択される新規な抗菌性化合物に関する。
【0017】
本発明はまた、一般式(II)において、置換基R1及びR2の両方が-NR3R4基を表し、R3及びR4がそれぞれ独立に以下の群から選択される新規な抗菌性化合物に関する。
・ 水素基;
・ 炭素数1〜20のアルキル基;
・ 炭素数2〜20のアルケニル基;
・ 炭素数2〜20のアルキニル基;
・ 炭素数3〜8のシクロアルキル基[ただし以下の群から1つ選択されるか、それぞれ独立に2つ選択された置換基を有してもよい:ハロゲン基、シアノ基、1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜4の低級アルキル基、1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜4の低級アルコキシ基、フェニル基、炭素数1〜4の低級アルキル基を有するフェニル基、フェノキシ基、及び炭素数1〜4の低級アルキル基を有するフェノキシ基(ただしフェニル基、並びに低級アルキル基含有フェニル基、フェノキシ基及び低級アルキル基含有フェノキシ基のフェニル基部分が、以下の群から1つ又は2つ選択された置換基を有してもよい:ハロゲン基、シアノ基、1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜4の低級アルキル基、及び1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜4の低級アルコキシ基)];
・ フェニル基[ただし以下の群から1つ選択されるか、それぞれ独立に2つ選択された置換基を有してもよい:ハロゲン基、シアノ基、1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜4の低級アルキル基、1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜4の低級アルコキシ基、フェニル基、炭素数1〜4の低級アルキル基を有するフェニル基、フェノキシ基、及び炭素数1〜4の低級アルキル基を有するフェノキシ基(ただしフェニル基、並びに低級アルキル基含有フェニル基、フェノキシ基及び低級アルキル基含有フェノキシ基のフェニル基部分が、以下の群から1つ又は2つ選択された置換基を有してもよい:ハロゲン基、シアノ基、1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜4の低級アルキル基、及び1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜4の低級アルコキシ基)];
・ ベンジル基[ただしそのフェニル環が、以下の群から1つ選択されるか、それぞれ独立に2つ選択された置換基を有してもよい:ハロゲン基、シアノ基、1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜4の低級アルキル基、1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜4の低級アルコキシ基、フェニル基、炭素数1〜4の低級アルキル基を有するフェニル基、フェノキシ基、及び炭素数1〜4の低級アルキル基を有するフェノキシ基(ただしフェニル基、並びに低級アルキル基含有フェニル基、フェノキシ基及び低級アルキル基含有フェノキシ基のフェニル基部分が、以下の群から1つ又は2つ選択された置換基を有してもよい:ハロゲン基、シアノ基、1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜4の低級アルキル基、及び1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜4の低級アルコキシ基)];
・ ナフチル基(ただし、以下の群から1つ又は2つ選択された置換基を有してもよい:ハロゲン基、1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜4の低級アルキル基、及び1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜4の低級アルコキシ基);
・ 式:-(CH2)nOR5で示される基であって、nは2〜8の整数を表し、R5は以下の群から選択された基を表す:
o 水素基;
o 炭素数1〜4のアルキル基;
o 炭素数3〜8のシクロアルキル基[ただし以下の群から1つ選択されるか、それぞれ独立に2つ選択された置換基を有してもよい:ハロゲン基、シアノ基、1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜4の低級アルキル基、1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜4の低級アルコキシ基、フェニル基、炭素数1〜4の低級アルキル基を有するフェニル基、フェノキシ基、及び炭素数1〜4の低級アルキル基を有するフェノキシ基(ただしフェニル基、並びに低級アルキル基含有フェニル基、フェノキシ基及び低級アルキル基含有フェノキシ基のフェニル基部分が、以下の群から1つ又は2つ選択された置換基を有してもよい:ハロゲン基、シアノ基、1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜4の低級アルキル基、及び1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜4の低級アルコキシ基)];もしくは
o フェニル基[ただし以下の群から1つ選択されるか、それぞれ独立に2つ選択された置換基を有してもよい:ハロゲン基、シアノ基、1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜4の低級アルキル基、1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜4の低級アルコキシ基、フェニル基、炭素数1〜4の低級アルキル基を有するフェニル基、フェノキシ基、及び炭素数1〜4の低級アルキル基を有するフェノキシ基(ただしフェニル基、並びに低級アルキル基含有フェニル基、フェノキシ基及び低級アルキル基含有フェノキシ基のフェニル基部分が、以下の群から1つ又は2つ選択された置換基を有してもよい:ハロゲン基、シアノ基、1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜4の低級アルキル基、及び1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜4の低級アルコキシ基)]
、又は
・ 式:-(CH2)nNR6R7で示される基であって、nは2〜8の整数を表し、R6及びR7はそれぞれ独立に以下の群から選択された基を表す:
・ 水素基;
・ 炭素数1〜4のアルキル基;
・ 炭素数3〜8のシクロアルキル基[ただし以下の群から1つ選択されるか、それぞれ独立に2つ選択された置換基を有してもよい:ハロゲン基、シアノ基、1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜4の低級アルキル基、1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜4の低級アルコキシ基、フェニル基、炭素数1〜4の低級アルキル基を有するフェニル基、フェノキシ基、及び炭素数1〜4の低級アルキル基を有するフェノキシ基(ただしフェニル基、並びに低級アルキル基含有フェニル基、フェノキシ基及び低級アルキル基含有フェノキシ基のフェニル基部分が、以下の群から1つ又は2つ選択された置換基を有してもよい:ハロゲン基、シアノ基、1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜4の低級アルキル基、及び1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜4の低級アルコキシ基)];もしくは
・ フェニル基[ただし以下の群から1つ選択されるか、それぞれ独立に2つ選択された置換基を有してもよい:ハロゲン基、シアノ基、1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜4の低級アルキル基、1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜4の低級アルコキシ基、フェニル基、炭素数1〜4の低級アルキル基を有するフェニル基、フェノキシ基、及び炭素数1〜4の低級アルキル基を有するフェノキシ基(ただしフェニル基、並びに低級アルキル基含有フェニル基、フェノキシ基及び低級アルキル基含有フェノキシ基のフェニル基部分が、以下の群から1つ又は2つ選択された置換基を有してもよい:ハロゲン基、シアノ基、1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜4の低級アルキル基、及び1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜4の低級アルコキシ基)];
・ ベンジル基[ただしそのフェニル環が、以下の群から1つ選択されるか、それぞれ独立に2つ選択された置換基を有してもよい:ハロゲン基、シアノ基、1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜4の低級アルキル基、1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜4の低級アルコキシ基、フェニル基、炭素数1〜4の低級アルキル基を有するフェニル基、フェノキシ基、及び炭素数1〜4の低級アルキル基を有するフェノキシ基(ただしフェニル基、並びに低級アルキル基含有フェニル基、フェノキシ基及び低級アルキル基含有フェノキシ基のフェニル基部分が、以下の群から1つ又は2つ選択された置換基を有してもよい:ハロゲン基、シアノ基、1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜4の低級アルキル基、及び1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜4の低級アルコキシ基)];
・ R6及びR7を合一した形の以下の基:-(CH2)3、-(CH2)4-、-(CH2)2-O-(CH2)2、及び-(CH2)2-S-(CH2)2;もしくは
・ R6及びR7を合一し、かつ隣接窒素原子を含めた形のピペラジン骨格[ただしその4位が以下の群から選択された基で置換されていてもよい:炭素数1〜4のアルキル基、炭素数3〜8のシクロアルキル基、ピリジン基、ベンジル基及び置換ベンジル基(ただしそのフェニル環が、塩素基、臭素基、ニトロ基、炭素数1〜4のアルキル基、及び炭素数1〜4のアルコキシ基から選択された1つ又は2つの置換基を含む)]
【0018】
用語「炭素数1〜4のアルキル基」は、メチル、エチル、プロピル、1-メチルエチル、ブチル、1-メチルプロピル又は1, 1-ジメチルエチル等の炭素数1〜4の直鎖状又は分岐状のアルキル鎖を意味する。用語「炭素数3〜8のシクロアルキル基」は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル及びシクロオクチルの中から選択されたシクロアルキル基を意味する。用語「炭素数1〜4のアルコキシ基」は、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、1-メチルエトキシ、ブトキシ、1-メチルプロポキシ及び1, 1-ジメチルエトキシ等の炭素数1〜4の直鎖状又は分岐状のアルコキシ鎖を意味する。
【0019】
さらに別の好ましい態様によれば、本発明は、一般式(II)において、置換基R1及びR2の両方が-NR3R4基を表し、R3及びR4がそれぞれ独立に以下の群から選択される新規な抗菌性化合物に関する。
・ 炭素数1〜12のアルキル基;
・ 炭素数3〜10のアルケニル基;
・ 炭素数5又は6のシクロアルキル基[ただし以下の群から1つ選択されるか、それぞれ独立に2つ選択された置換基を有してもよい:炭素数1〜4の低級アルキル基、炭素数1〜4の低級アルコキシ基、フェニル基、炭素数1〜4の低級アルキル基を有するフェニル基、フェノキシ基、及び炭素数1〜4の低級アルキル基を有するフェノキシ基(ただしフェニル基、並びに低級アルキル基含有フェニル基、フェノキシ基及び低級アルキル基含有フェノキシ基のフェニル基部分が、以下の群から1つ又は2つ選択された置換基を有してもよい:ハロゲン基、炭素数1〜4の低級アルキル基、及び炭素数1〜4の低級アルコキシ基)];
・ フェニル基(ただし以下の群から1つ選択されるか、それぞれ独立に2つ選択された置換基を有してもよい:ハロゲン基、炭素数1〜4の低級アルキル基、炭素数1〜4の低級アルコキシ基、フェニル基、炭素数1〜4の低級アルキル基を有するフェニル基、フェノキシ基、及び炭素数1〜4の低級アルキル基を有するフェノキシ基);
・ ベンジル基(ただしそのフェニル環が、以下の群から1つ選択されるか、それぞれ独立に2つ選択された置換基を有してもよい:ハロゲン基、シアノ基、炭素数1〜4の低級アルキル基、炭素数1〜4の低級アルコキシ基、フェニル基、炭素数1〜4の低級アルキル基を有するフェニル基、フェノキシ基、及び炭素数1〜4の低級アルキル基を有するフェノキシ基);
・ ナフチル基(ただし、以下の群から1つ又は2つ選択された置換基を有してもよい:ハロゲン基、炭素数1〜4の低級アルキル基、及び炭素数1〜4の低級アルコキシ基)
・ 式:-(CH2)nOR5で示される基であって、nは2〜5の整数を表し、R5は以下の群から選択された基を表す:
o 水素基;
o 炭素数1〜4のアルキル基;
o 炭素数5又は6のシクロアルキル基(ただし以下の群から1つ選択されるか、それぞれ独立に2つ選択された置換基を有してもよい:ハロゲン基、シアノ基、炭素数1〜4の低級アルキル基、炭素数1〜4の低級アルコキシ基、フェニル基、炭素数1〜4の低級アルキル基を有するフェニル基、フェノキシ基、及び炭素数1〜4の低級アルキル基を有するフェノキシ基);
o フェニル基(ただし以下の群から1つ選択されるか、それぞれ独立に2つ選択された置換基を有してもよい:ハロゲン基、シアノ基、炭素数1〜4の低級アルキル基、炭素数1〜4の低級アルコキシ基、フェニル基、炭素数1〜4の低級アルキル基を有するフェニル基、フェノキシ基、及び炭素数1〜4の低級アルキル基を有するフェノキシ基);
又は
・ 式:-(CH2)nNR6R7で示される基であって、nは2〜8の整数を表し、R6及びR7はそれぞれ独立に以下の群から選択された基を表す:
・ 水素基;
・ 炭素数1〜4のアルキル基;
・ 炭素数3〜6のシクロアルキル基[ただし以下の群から1つ選択されるか、それぞれ独立に2つ選択された置換基を有してもよい:ハロゲン基、シアノ基、炭素数1〜4の低級アルキル基、炭素数1〜4の低級アルコキシ基、フェニル基、炭素数1〜4の低級アルキル基を有するフェニル基、フェノキシ基、及び炭素数1〜4の低級アルキル基を有するフェノキシ基(ただしフェニル基、並びに低級アルキル基含有フェニル基、フェノキシ基及び低級アルキル基含有フェノキシ基のフェニル基部分が、以下の群から1つ又は2つ選択された置換基を有してもよい:ハロゲン基、シアノ基、炭素数1〜4の低級アルキル基、及び炭素数1〜4の低級アルコキシ基)];
・ フェニル基(ただし以下の群から1つ選択されるか、それぞれ独立に2つ選択された置換基を有してもよい:ハロゲン基、炭素数1〜4の低級アルキル基、炭素数1〜4の低級アルコキシ基、フェニル基、炭素数1〜4の低級アルキル基を有するフェニル基、フェノキシ基、及び炭素数1〜4の低級アルキル基を有するフェノキシ基);
・ ベンジル基(ただしそのフェニル環が、以下の群から1つ選択されるか、それぞれ独立に2つ選択された置換基を有してもよい:ハロゲン基、シアノ基、炭素数1〜4の低級アルキル基、炭素数1〜4の低級アルコキシ基、フェニル基、炭素数1〜4の低級アルキル基を有するフェニル基、フェノキシ基、及び炭素数1〜4の低級アルキル基を有するフェノキシ基);
・ R6及びR7を合一した形の以下の基:-(CH2)3、-(CH2)4-、-(CH2)2-O-(CH2)2、及び-(CH2)2-S-(CH2)2;もしくは
・ R6及びR7を合一し、かつ隣接窒素原子を含めた形のピペラジン骨格[ただしその4位が以下の群から選択された基で置換されていてもよい:炭素数1〜4のアルキル基、炭素数3〜8のシクロアルキル基、ピリジン基、ベンジル基及び置換ベンジル基(ただしそのフェニル環が、塩素基、臭素基、ニトロ基、炭素数1〜4のアルキル基、及び炭素数1〜4のアルコキシ基から選択された1つ又は2つの置換基を含む)]
【0020】
用語「炭素数1〜4のアルキル基」は、メチル、エチル、プロピル、1-メチルエチル、ブチル、1-メチルプロピル又は1, 1-ジメチルエチル等の炭素数1〜4の直鎖状又は分岐状のアルキル鎖を意味する。用語「炭素数3〜8のシクロアルキル基」は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル及びシクロオクチルの中から選択されたシクロアルキル基を意味する。用語「炭素数1〜4のアルコキシ基」は、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、1-メチルエトキシ、ブトキシ、1-メチルプロポキシ及び1, 1-ジメチルエトキシ等の炭素数1〜4の直鎖状又は分岐状のアルコキシ鎖を意味する。
【0021】
さらに別の好ましい態様によれば、本発明は、一般式(II)において、置換基R1及びR2の両方が-NR3R4基を表し、R3及びR4がそれぞれ独立に以下の群から選択される新規な抗菌性化合物に関する。
・ 式:-(CH2)nNR6R7で示される基であって、nは2〜8の整数を表し、R6及びR7はそれぞれ独立に以下の群から選択された基を表す:
・ 水素基;
・ 炭素数1〜4のアルキル基;
・ 炭素数3〜6のシクロアルキル基[ただし以下の群から1つ選択されるか、それぞれ独立に2つ選択された置換基を有してもよい:ハロゲン基、シアノ基、炭素数1〜4の低級アルキル基、炭素数1〜4の低級アルコキシ基、フェニル基、炭素数1〜4の低級アルキル基を有するフェニル基、フェノキシ基、及び炭素数1〜4の低級アルキル基を有するフェノキシ基(ただしフェニル基、並びに低級アルキル基含有フェニル基、フェノキシ基及び低級アルキル基含有フェノキシ基のフェニル基部分が、以下の群から1つ又は2つ選択された置換基を有してもよい:ハロゲン基、シアノ基、炭素数1〜4の低級アルキル基、及び炭素数1〜4の低級アルコキシ基)];
・ フェニル基(ただし以下の群から1つ選択されるか、それぞれ独立に2つ選択された置換基を有してもよい:ハロゲン基、 炭素数1〜4の低級アルキル基、炭素数1〜4の低級アルコキシ基、フェニル基、炭素数1〜4の低級アルキル基を有するフェニル基、フェノキシ基、及び炭素数1〜4の低級アルキル基を有するフェノキシ基);
・ ベンジル基(ただしそのフェニル環が、以下の群から1つ選択されるか、それぞれ独立に2つ選択された置換基を有してもよい:ハロゲン基、シアノ基、炭素数1〜4の低級アルキル基、炭素数1〜4の低級アルコキシ基、フェニル基、炭素数1〜4の低級アルキル基を有するフェニル基、フェノキシ基、及び炭素数1〜4の低級アルキル基を有するフェノキシ基);
・ R6及びR7を合一した形の以下の基:-(CH2)3、-(CH2)4-、-(CH2)2-O-(CH2)2、及び-(CH2)2-S-(CH2)2;もしくは
・ R6及びR7を合一し、かつ隣接窒素原子を含めた形のピペラジン骨格[ただしその4位が以下の群から選択された基で置換されていてもよい:炭素数1〜4のアルキル基、炭素数3〜8のシクロアルキル基、ピリジン基、ベンジル基及び置換ベンジル基(ただしそのフェニル環が、塩素基、臭素基、ニトロ基、炭素数1〜4のアルキル基、及び炭素数1〜4のアルコキシ基から選択された1つ又は2つの置換基を含む)]
【0022】
用語「炭素数1〜4のアルキル基」は、メチル、エチル、プロピル、1-メチルエチル、ブチル、1-メチルプロピル又は1, 1-ジメチルエチル等の炭素数1〜4の直鎖状又は分岐状のアルキル鎖を意味する。用語「炭素数3〜8のシクロアルキル基」は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル及びシクロオクチルの中から選択されたシクロアルキル基を意味する。用語「炭素数1〜4のアルコキシ基」は、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、1-メチルエトキシ、ブトキシ、1-メチルプロポキシ及び1, 1-ジメチルエトキシ等の炭素数1〜4の直鎖状又は分岐状のアルコキシ鎖を意味する。
【0023】
さらに別の好ましい態様によれば、本発明は、一般式(II)において、置換基R1及びR2の両方が-NR3R4基を表し、R3及びR4がそれぞれ独立に、式:-(CH2)nNR6R7で示される基(nは2〜4の整数を表し、R6及びR7はそれぞれ独立に水素基又は炭素数1〜4のアルキル基を表す)から選択される。
【0024】
置換基R1及びR2の両方が-OH基である場合、一般式(II)は、ランチビオティック97518を改良した構造であって、2個のカルボキシル基(14-Gluにおける側鎖及び24-Alaにおけるカルボキシル末端)と、一級アミノ基(1-Ileにおける末端窒素)とを有する構造を規定することに留意されたい。
【発明を実施するための形態】
【0025】
97518を改良した構造の実験的証拠は、97518のタンデム質量分析計(MS/MS)を用いた解析により明らかであり(表3)、ジアミド誘導体13のNMR分析により裏付けられる(表5)。これらのデータは、以前に報告されたNMRの帰属[バイオケミストリー(Biochemistry)、2007年、第46巻、pp.5884-5895]について、新しい解釈を提供するものである。新しいNMRの帰属を表2に示す。
【0026】
97518の改良した構造は、式III:
【化3】

により表される。
【0027】
本発明のこの化合物は、97518のモノ又はジアミド誘導体である。
【0028】
より具体的には、これらは式(II)で概略的に表され、97518の1又は2塩基のアミド誘導体である。本発明の式(II)の新規な化合物は、一般的に97518より改善された抗菌活性を示す。
【0029】
本発明の式(II)の新規な化合物の中でも好ましいものは、アミド部分-NR3R4の少なくとも1つが下記式を有する化合物である。
【化4】

【0030】
本発明の化合物は、イオン化可能な官能基を有し、そのため塩を形成可能である。本発明の化合物の好ましい付加塩は、「薬理的に許容される酸付加塩」であって、生物学上、製造上及び製剤上の観点から、動物における使用と同様に薬務においても適合する酸を用いて、それらの塩とされたものである。式(II)の化合物の代表的で好ましい酸付加塩は、有機及び無機の酸[例えば塩化水素、臭化水素、硫酸、燐酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、トリクロロ酢酸、コハク酸、クエン酸、アスコルビン酸、乳酸、マレイン酸、フマル酸、パルミチン酸、コール酸、パモン酸、粘液酸、グルタミン酸、ショウノウ酸、グルタル酸、グリコール酸、フタル酸、酒石酸、ラウリン酸、ステアリン酸、サリチル酸、メタンスルホン酸、ドデシルスルホン酸(エストリック酸)、ベンゼンスルホン酸、ソルビン酸、ピクリン酸、安息香酸、桂皮酸、及びこれらの類似化合物]を用いた標準的な反応により形成された塩を含む。本発明における遊離アミノ基を有するか、塩ではない化合物の、相当する付加塩への変性、及びその逆、すなわち、本発明における付加塩化合物の、塩ではないか、遊離アミノ基を有する型への変性はいずれも、通常の技術範囲内で可能であり、本発明に含まれるものである。例えば、式(II)における遊離アミノ基を有する化合物は、水性溶媒に非塩を溶解し、僅かにモル過剰の選択した酸を添加することにより、相当する付加塩に変性することができる。得られた溶液又は懸濁液を凍結乾燥して所望の塩を回収する。凍結乾燥の代わりに、場合によっては、水とは混和しないが塩は溶解する有機溶媒を用いて、分離した少量の有機相に濃縮し、貧溶媒の添加により沈殿させ、もって水溶液から抽出することにより、最終的な塩を回収することができる。最終的な塩が、非塩が溶解する有機溶媒に不溶である場合、化学量論量又は僅かに過剰の適当な酸を添加した後、非塩の有機溶液から濾過することにより、回収することができる。
【0031】
非塩は、水性溶媒に溶解した相当する酸塩から調製することができ、酸塩は非塩を分離するために中和する。得られた非塩は、例えば、水と混和しない有機溶媒で抽出するか、適当な酸を添加することにより上記と同様にして別の酸付加塩に変性する。中和の後、脱塩化が必要な場合、一般的な脱塩化手順を用いることができる。
【0032】
例えば、制御された細孔を有するポリデキストラン(例えばSephadex LH 20)、又はシラン化シリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィーを用いるのが好ましい。水溶液で望まない塩を溶出した後、水と極性又は非極性の有機溶媒との混合物を用いて、直線勾配溶出法又はステップ勾配溶出法により、所望の生成物を溶出する。当技術分野において知られているように、薬理的に許容される酸又は許容されない酸のいずれを用いた塩に対しても、簡便な精製方法を用いることができる。塩の形成及び分離の後、式(II)の化合物の塩は、相当する非塩又は薬理的に許容される塩に変性することができる。場合によって、式(II)の化合物の酸付加塩は、水及び親水性溶媒に一層溶解し易く、一層高い化学的安定性を有する。高活性化合物の水及び親水性溶媒に対する良好な溶解性及び安定性は、医薬投与のための医薬組成物の調製において、当技術分野では一般的に高く評価される。しかし、式(II)の化合物及びその塩の特性の類似性を考慮すると、非塩型の式(II)の化合物の生理活性について本明細書で記載することは、薬理的に許容されるその塩にも当てはまり、その逆もまた同じである。
【0033】
本発明の化合物は、経口的、局所的又は非経口的に投与することができるが、好ましい投与ルートは実施する治療に依存する。投与ルートにより、これらの化合物は、種々の剤形に成形することができる。経口投与用製剤としては、カプセル、錠剤、溶液又は懸濁液の形態が挙げられる。当技術分野で知られているように、カプセル及び錠剤は、有効成分に加えて、乳糖、リン酸カルシウム、ソルビトール等の希釈剤;ステアリン酸マグネシウム、タルク、ポリエチレングリコール等の潤滑剤;ポリビニルピロリドン、ゼラチン、ソルビトール、トラガカント、アカシア等の結合剤;着香料;及び許容可能な崩壊剤及び湿潤剤等の慣用の添加剤を含んでもよい。一般的に水性又は油性の溶液又は懸濁液の形態の液状製剤は、懸濁剤のような慣用の添加物を含むことができる。局所的使用のために、式(II)の本発明の化合物は、鼻及びのど又は気管支組織の粘膜を通して吸収されるのに適した形態に製剤してもよく、液体噴霧、吸入剤、トローチ剤又はのど用塗布剤等の形態にするのが便利である。目の治療のためには、液状又は半液状の製剤形態が挙げられる。局所的使用のために、軟膏、クリーム、ローション、塗料又は粉末用の疎水性又は親水性のベースの形態にしてもよい。直腸への投与のために、本発明の式(II)の化合物は、カカオバター、ワックス、鯨ろう又はポリエチレングリコール及びその誘導体等の慣用のビヒクルを混合した坐薬の形態で投与する。注射用組成物は、油性又は水性のビヒクルを用いた懸濁液、溶液又は乳濁液の形態とすることができ、懸濁化剤、安定剤及び/又は分散剤等の製剤化剤を含んでもよい。有効成分は、滅菌水のような適当なビヒクルで供給する場合、粉末状に再調製したものであってもよい。投与される有効成分の量は、治療される対象のサイズや状態、投与のルート及び頻度、並びに対象となる病原体等の様々な要因に依存する。
【0034】
本発明の化合物は、1回の投与量において、体重1kg当り約1〜約40mgの有効成分量とするのが、一般的に効果的である。具体的な化合物、感染及び患者の特徴により、有効な量は、1日当たり1回又は2〜4回に分けて投与することができる。特に望ましい組成物は、約30〜約500 mg含有する1回投与量単位の形態で調製されているものである。
【0035】
本発明の化合物は、別の抗菌剤又は第二の症状もしくは異なった状態の原因を治療する薬等の他の承認薬と組合せて使用することができる。例えば、本発明の化合物と一緒に使用できる抗菌剤として、キノロン、テトラサイクリン、グリコペプチド、アミノグリコシド、β-ラクタム、リファマイシン、クメルマイシン、マクロライド、ケトライド、アザライド、オキサゾリジノン、リポペプチド及びクロラムフェニコールが挙げられるが、これらに限定されるものではない。このように、本発明の化合物と他の承認薬との組成物もまた、本発明の範囲内である。
【0036】
塩、製剤形態及びその組成物を含む式(II)に示す本発明の新規の化合物は、人間又は動物の治療に用いる抗菌調剤薬の有効成分として、病原菌により引き起こされ、前記有効成分に弱い伝染病の予防及び治療のために、特に腸球菌、連鎖状球菌及びブドウ球菌により引き起こされる感染の治療のために、効果的に使用することができる。
【0037】
本発明はまた、人間又は動物の体の治療又は予防のための特定の方法に用いる医薬の製造のための化合物又はこれを含む組成物の使用を提供するものである。この特定の方法は、次に述べるものを含んでいる。
【0038】
従って本発明の化合物又はこれを含む組成物は、クロストリジウム−ディフィシレ菌、ブドウ球菌属、連鎖状球菌属、腸球菌属、アクネ菌及びモラクセラ属を含む細菌により引き起こされる全身的な細菌感染を含む細菌感染の治療に使用することができる。
【0039】
本発明の化合物の多様体及び組成物は、菌血症(菌血症に関わるカテーテルを含む)、肺炎、皮膚及び皮膚組織の感染症(手術部位の感染を含む)、心内膜炎及び骨髄炎等の全身的な治療に用いることができる。多様体又は組成物は、膿痂疹及びにきびを含む皮膚感染症の局部的治療に使用することができる。多様体又は組成物は、結膜炎のような眼感染症の治療、及びクロストリジウム−ディフィシレ菌により引き起こされるような腸の重複感染の経口的治療にも使用することができる。
【0040】
本発明の化合物は、皮膚の損傷又は火傷による感染の治療又は予防にも用いることができる。さらに、この多様体及び組成物は、MRSAの伝染を防ぐための鼻孔の洗浄のような予防的方法にも使用することができる。これは、感染の危険がある対象者(例えば病院に入っている患者)、医療従事者、又はそのような伝染病を媒介する危険がある者に行うことができる。腹部手術の前の腸管内菌叢の予防的洗浄への使用も考えられる。
【0041】
本発明はまた、式IIの新規な化合物の調製にも関する。そのアミド化の手順は、溶媒中、縮合剤の存在下、選択した一般式HNR3R4(ここでR3及びR4は上記の通り)のアミンを用いた前記97518[例えば式(III)のもの]の縮合化を含んでいる。
【0042】
縮合反応に適した不活性な非プロトン性有機溶媒は、反応に不都合な干渉をせず、出発物質(例えば式(III)の抗菌剤)を少なくとも部分的に溶解するものである。前記溶媒として、有機アミド、グリコール及びポリオールのエーテル、ホスホルアミド誘導体、スルホキシド等が挙げられる。好ましい溶媒は、ジメチルホルムアミド、ジメトキシエタン、ヘキサメチルホスホロアミド、ジメチルスルホキシド、ジオキサン、N-メチルピロリドン及びこれらの混合物である。より好ましくは、ジメチルホルムアミド(DMF)である。
【0043】
本発明における縮合剤は、特にペプチド合成において、有機化合物中にアミド結合を形成するのに適するものである。縮合剤の代表例として、ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)、ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBT)の存在下又は非存在下におけるジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、N, N, N', N'-テトラメチル-O-(ベンゾトリアゾール-1-イル)ウロニウムテトラフルオロホウ酸(TBTU)、N, N, N', N'-テトラメチル-O-(7-オキサベンゾトリアゾール-1-イル)ウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HATU)、ベンゾトリアゾリロキシ-トリス-(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(HBTU)、ベンゾトリアゾリロキシ-トリス-(ピロリジノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(PyBOP)、並びにジフェニルリン酸アジド及びジモルホリル-リン酸アジド等の炭素数1〜4のアルキル基、フェニル基又は複素環を有するリン酸アジドが挙げられる。好ましい縮合剤はPyBOPである。縮合剤は、例えば2.2〜5倍の範囲で、一般的に僅かにモル過剰の量で使用する。好ましい縮合剤のモル過剰量は、式(III)の抗菌性出発化合物のモル量の約2.5倍である。本方法によれば、アミンは通常、式(III)の本発明の化合物に対して僅かにモル過剰の量で使用する。一般的に2〜40倍モル過剰の選択されたアミンを使用し、15〜30倍モル過剰が好ましい。
【0044】
相当する塩、例えば塩酸塩に、アミンR3R4NHを反応させる場合、97518と反応するアミンR3R4NHの遊離塩基を確保するために、少なくとも等モル比の適当な塩基を添加する必要がある。この場合、過剰の塩基が一般的に好ましい。塩を形成させる塩基を、反応混合物に少なくとも等モル量添加するのが好ましく、アミンR3R4NHに対して約1.2倍モル過剰がより好ましい。塩を形成させる塩基の例として、トリメチルアミン、トリエチルアミン(TEA)、N-メチルピロリジン等の第三級有機脂肪族もしくは脂環式のアミン、ピコリン及びその類似化合物等の複素環式塩基、又はアルカリ金属(例えばナトリウム及びカリウム)の炭酸水素塩及び炭酸塩が挙げられる。
【0045】
反応温度は、具体的な出発物質及び他の反応条件により顕著に変化する。一般的に、アミド化反応は0℃〜50℃で行うのが好ましく、室温で行うのがより好ましい。
【0046】
反応時間もまた、他の反応パラメータにより顕著に変化する。一般的に、縮合化は約2〜4時間で完了する。
【0047】
アミンR3R4NHが、さらに第1級アミノ基を含む場合、所望の製品を得るために、当技術分野で知られているように、必要に応じて、それを保護する。アミノ残基を保護する典型的な保護基としては、本発明のプロセス中の条件に耐え、かつコア部である97518の安定性に影響しない条件で容易に除去できるものであれば利用することができる。適したアミノ基の保護基は、例えば、T. W. Greene, "Protective Groups in Organic Synthesis能och, J. Wiley, N. Y., 1981に記載の官能基から選択することができる。特にこの場合、それらの保護基は、アミノ部分をアシル化することにより形成されるのが好ましい。ここで述べているプロセスで利用される保護基は、一般的にペプチド合成で利用されている。勿論、所望の最終製品を得るために、脱保護工程が必要である。
【0048】
一般的に、反応工程は、当該技術分野で知られている方法に従ったHPLCによりモニターされる。この分析物の結果に基づき、反応工程を調べることができ、かつ反応停止及び反応物処理の開始の時期を決定することができる。反応物の処理方法として、例えば、貧溶媒添加による析出法、溶媒抽出法、これらとカラムクロマトグラフィー等による慣用の分離操作と精製とを組合せる方法等を含む従来知られているテクニックが挙げられる。
【0049】
モノアミド化は、準化学量論的な量のアミンNHR3R4を用いることにより可能である。アミンは通常、式(III)の本発明の化合物に対して、0.5〜1倍のモル量を使用する。2つのモノアミド誘導体を、例えばカラムクロマトグラフィー等の従来知られているテクニックに従って精製することができる。
【0050】
本発明の方法によれば、上記の例と同様にして、表1に纏めて示すように、一連の化合物を調製することができる。
【表1】


【0051】
実施例
実施例1_ランチビオティック 97518の構造
NMR スペクトル
1.5μLのDClを添加した0.5 mLのH2O/D2O 9:1(v/v)に溶解し、抗菌剤を安定化するために20μLのアセトニトリルを追加した6.1 mgの97518のサンプルについて、NMRスペクトル分析を行った。Bruker Avance 600 MHz スペクトロメータを用い、Hの1Dスペクトル(励起スカルプティングにより水の信号を抑制)を、2次元DQF-COSY、TOCSY及びNOESYの各方法により、283 K、298 K及び313 Kで測定した。TOCSY実験では、20、60及び100ミリ秒の混合時間とし、一方NOESYスペクトルでは300及び700ミリ秒の混合時間とした。天然存在比の低い異種核による13C-1H HSQC(J=145)、HMBC(J1H-13C =8Hz)、1H-15N HSQC(J=90Hz)及び1H-15N HSQC-TOCSYの各方法による測定も行った。97518の全ての帰属を表2に示す。
【0052】
【表2】

【0053】
マススペクトル
マススペクトルは、イオントラップを具備するBruker Esquire 3000プラスを用い、直接注入によるポジティブモードでのエレクトロスプレーイオン化法により測定した。97518に相当する二重荷電イオンは、1097.7 m/zの二重荷電イオンのマスピークを示した。二重荷電イオンのMS/MS分析を、0.7、1.2及び2Vで行った。観測した全てのフラグネーションの帰属を表3に示す。
【0054】
【表3】

【0055】
実施例2_化合物1及び6の合成
350μLのDMFに溶解した14.3 mgの97518(6.5μmol)の攪拌溶液に、15μLのシクロヘキシルアミン又は3-メトキシ-ベンジルアミン(化合物1及び6のそれぞれの合成において)及び9mgのPyBOP(17μmol)を添加し、得られた反応混合物を室温で攪拌した。その後HPLCモニタに結果が示された(表4参照)。中性pHになるまで2N HCl(100μL)を添加して反応を停止し、450μLの水で薄めた。濾過した固体を、MeCN/H2O TFA 0.1% = 1/1の混合溶媒に再溶解し、凍結乾燥した。最終的な化合物を、液体クロマトグラフ_マススペクトル法で分析した(表4)。
【0056】
実施例3_化合物2の合成
350μLのDMFに溶解した14.3 mgの97518(6.5μmol)の攪拌溶液に、ジメチルアミンの33%エタノール溶液30μL及び9mgのPyBOP(17μmol)を添加し、得られた反応混合物を、室温で攪拌した。その後HPLCモニタに結果が示された(表4参照)。中性pHになるまで2N HCl(100μL)を添加して反応を停止し、450μLの水で薄めた。濾過した固体を、MeCN/H2O TFA 0.1% = 1/1の混合溶媒に再溶解し、凍結乾燥した。最終的な化合物を、LC-MS法で分析した(表4)。
【0057】
実施例4_化合物3、4、5、7、10、11、12の合成
350μLのDMFに溶解した14.3 mgの97518(6.5μmol)の攪拌溶液に、10μLの適当なアミン及び9mgのPyBOP(17μmol)を添加し、得られた反応混合物を室温で攪拌した。その後HPLCモニタに結果が示された(表4参照)。中性pHになるまで2N HCl(100μL)を添加して反応を停止し、450μLの水で薄めた。濾過した固体を、MeCN/H2O TFA 0.1% = 1/1の混合溶媒に再溶解し、凍結乾燥した。最終的な化合物を、MS法で分析した(表4)。
【0058】
実施例5_化合物8、9の合成
350μLのDMFに溶解した14.3 mgの97518(6.5μmol)及び15 mgのドデシルアミン又は1-ナフチルアミン(化合物8及び9のそれぞれの合成において)の攪拌溶液に、9mgのPyBOP(17μmol)を添加し、得られた反応混合物を室温で攪拌した。その後HPLCモニタに結果が示された(表4参照)。中性pHになるまで2N HCl(100μL)を添加して反応を停止し、450μLの水で薄めた。濾過した固体を、MeCN/H2O TFA 0.1% = 1/1の混合溶媒に再溶解し、凍結乾燥した。最終的な化合物を、MS法で分析した(表4)。
【0059】
実施例6_化合物13の合成
300μLのDMFに溶解した30 mgの97518(13μmol)及び20μLのベンジルアミンの攪拌溶液に、14.2 mgのPyBOP(27μmol)を添加し、得られた反応混合物を室温で1時間攪拌した。2時間後、HPLCモニタに結果が示された(表4参照)。反応生成物を水で薄め、20μLの蟻酸を添加してpHを3〜4にした。濾過した固体を、MeCN/H2O TFA 0.1% = 1/1の混合溶媒1mLに再溶解し、凍結乾燥した。最終的な化合物を、MS法(表4)及びNMR法(表5)で分析した。
【0060】
【表4】

【0061】
【表5】

【0062】
実施例7_抗菌活性
実施例2〜6で調製した化合物の抗菌活性を、メチシリン感受性、メチシリン耐性及びバンコマイシン耐性の各黄色ブドウ球菌、Van-S型及びVan-A型の腸球菌フェシウム及びフェカリス、化膿連鎖球菌、大腸菌及びカンジダアルビカンスの臨床分離株のパネルについて測定した。最小発育阻止濃度は、約5×105 cfu/mLの接種材料を含む0.02%アルブミンウシ血清の存在下、NCCLS手順(NCCLS Document M7-A4 Vol.17 No.2 January 1997)に従う微量液体希釈法により、測定した。媒体としては、30%(v/v)のウシ血清を追加するか、追加していない、陽イオンを調整したMueller-Hinton(MH)培養液(Difco Laboratories, Detroit, MI, USA)を含むものを使用した。各試験は、24時間25〜37℃で培養した後、解析した。97518及びその誘導体1-13の抗菌活性を表6に示す。
【0063】
【表6】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式II:
【化1】

で示されるカルボキシアミド誘導体であって、置換基R1及びR2のうち一方は-NR3R4基を表し、他方は-OH基又は-NR3R4基を表し、R3及びR4は、別々に以下の群から選択されることを特徴とするカルボキシアミド誘導体。
・ 水素基;
・ 炭素数1〜20のアルキル基;
・ 炭素数2〜20のアルケニル基;
・ 炭素数2〜20のアルキニル基;
・ 炭素数3〜8のシクロアルキル基[ただし以下の群から1つ選択されるか、別々に選択された2つの置換基を有してもよい:ハロゲン基、シアノ基、1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜4の低級アルキル基、1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜4の低級アルコキシ基、フェニル基、炭素数1〜4の低級アルキル基を有するフェニル基、フェノキシ基、及び炭素数1〜4の低級アルキル基を有するフェノキシ基(ただしフェニル基、並びに低級アルキル基含有フェニル基、フェノキシ基及び低級アルキル基含有フェノキシ基のフェニル基部分が、以下の群から選択された1つ又は2つの置換基を有していてもよい:ハロゲン基、シアノ基、1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜4の低級アルキル基、及び1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜4の低級アルコキシ基)];
・ フェニル基[ただし以下の群から1つ選択されるか、それぞれ別々に選択された2つの置換基を有してもよい:ハロゲン基、シアノ基、1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜4の低級アルキル基、1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜4の低級アルコキシ基、フェニル基、炭素数1〜4の低級アルキル基を有するフェニル基、フェノキシ基、及び炭素数1〜4の低級アルキル基を有するフェノキシ基(ただしフェニル基、並びに低級アルキル基含有フェニル基、フェノキシ基及び低級アルキル基含有フェノキシ基のフェニル基部分が、以下の群から選択された1つ又は2つの置換基を有してもよい:ハロゲン基、シアノ基、1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜4の低級アルキル基、及び1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜4の低級アルコキシ基)];
・ ベンジル基[ただしそのフェニル環が、以下の群から1つ選択されるか、別々に2つ選択された2つの置換基を有してもよい:ハロゲン基、シアノ基、1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜4の低級アルキル基、1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜4の低級アルコキシ基、フェニル基、炭素数1〜4の低級アルキル基を有するフェニル基、フェノキシ基、及び炭素数1〜4の低級アルキル基を有するフェノキシ基(ただしフェニル基、並びに低級アルキル基含有フェニル基、フェノキシ基及び低級アルキル基含有フェノキシ基のフェニル基部分が、以下の群から選択された1つ又は2つの置換基を有していてもよい:ハロゲン基、シアノ基、1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜4の低級アルキル基、及び1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜4の低級アルコキシ基)];
・ ナフチル基(ただし、以下の群から選択された1つ又は2つの置換基を有していてもよい:ハロゲン基、1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜4の低級アルキル基、及び1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜4の低級アルコキシ基);
・ 式:-(CH2)nOR5で示される基であって、nは2〜8の整数を表し、R5は以下の群から選択された基を表す:
o 水素基;
o 炭素数1〜4のアルキル基;
o 炭素数3〜8のシクロアルキル基[ただし以下の群から1つ選択されるか、別々に2つ選択された2つの置換基を有していてもよい:ハロゲン基、シアノ基、1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜4の低級アルキル基、1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜4の低級アルコキシ基、フェニル基、炭素数1〜4の低級アルキル基を有するフェニル基、フェノキシ基、及び炭素数1〜4の低級アルキル基を有するフェノキシ基(ただしフェニル基、並びに低級アルキル基含有フェニル基、フェノキシ基及び低級アルキル基含有フェノキシ基のフェニル基部分が、以下の群から選択された1つ又は2つの置換基を有してもよい:ハロゲン基、シアノ基、1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜4の低級アルキル基、及び1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜4の低級アルコキシ基)];もしくは
o フェニル基[ただし以下の群から1つ選択されるか、それぞれ別々に選択された2つの置換基を有してもよい:ハロゲン基、シアノ基、1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜4の低級アルキル基、1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜4の低級アルコキシ基、フェニル基、炭素数1〜4の低級アルキル基を有するフェニル基、フェノキシ基、及び炭素数1〜4の低級アルキル基を有するフェノキシ基(ただしフェニル基、並びに低級アルキル基含有フェニル基、フェノキシ基及び低級アルキル基含有フェノキシ基のフェニル基部分が、以下の群から選択された1つ又は2つの置換基を有してもよい:ハロゲン基、シアノ基、1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜4の低級アルキル基、及び1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜4の低級アルコキシ基)]
又は
・ 式:-(CH2)nNR6R7で示される基であって、nは2〜8の整数を表し、R6及びR7は、いずれも独立に以下の群から選択される:
・ 水素基;
・ 炭素数1〜4のアルキル基;
・ 炭素数3〜8のシクロアルキル基[ただし以下の群から1つ選択されるか、別々に選択された2つの置換基を有してもよい:ハロゲン基、シアノ基、1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜4の低級アルキル基、1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜4の低級アルコキシ基、フェニル基、炭素数1〜4の低級アルキル基を有するフェニル基、フェノキシ基、及び炭素数1〜4の低級アルキル基を有するフェノキシ基(ただしフェニル基、並びに低級アルキル基含有フェニル基、フェノキシ基及び低級アルキル基含有フェノキシ基のフェニル基部分が、以下の群から選択された1つ又は2つの置換基を有していてもよい:ハロゲン基、シアノ基、1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜4の低級アルキル基、及び1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜4の低級アルコキシ基)];
・ フェニル基[ただし以下の群から1つ選択されるか、それぞれ別々に選択された2つの置換基を有してもよい:ハロゲン基、シアノ基、1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜4の低級アルキル基、1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜4の低級アルコキシ基、フェニル基、炭素数1〜4の低級アルキル基を有するフェニル基、フェノキシ基、及び炭素数1〜4の低級アルキル基を有するフェノキシ基(ただしフェニル基、並びに低級アルキル基含有フェニル基、フェノキシ基及び低級アルキル基含有フェノキシ基のフェニル基部分が、以下の群から選択された1つ又は2つの置換基を有してもよい:ハロゲン基、シアノ基、1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜4の低級アルキル基、及び1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜4の低級アルコキシ基)];
・ ベンジル基[ただしそのフェニル環が、以下の群から1つ選択されるか、それぞれ別々に選択された2つの置換基を有してもよい:ハロゲン基、シアノ基、1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜4の低級アルキル基、1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜4の低級アルコキシ基、フェニル基、炭素数1〜4の低級アルキル基を有するフェニル基、フェノキシ基、及び炭素数1〜4の低級アルキル基を有するフェノキシ基(ただしフェニル基、並びに低級アルキル基含有フェニル基、フェノキシ基及び低級アルキル基含有フェノキシ基のフェニル基部分が、以下の群から選択された1つ又は2つの置換基を有していてもよい:ハロゲン基、シアノ基、1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜4の低級アルキル基、及び1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜4の低級アルコキシ基)];
・ R6及びR7を合一した形の以下の基:-(CH2)3、-(CH2)4-、-(CH2)2-O-(CH2)2、及び-(CH2)2-S-(CH2)2;もしくは
・ R6及びR7を合一し、かつ隣接窒素原子を含めた形のピペラジン骨格[ただしその4位が以下の群から選択された基で置換されていてもよい:炭素数1〜4のアルキル基、炭素数3〜8のシクロアルキル基、ピリジン基、ベンジル基及び置換ベンジル基(ただしそのフェニル環が、塩素基、臭素基、ニトロ基、炭素数1〜4のアルキル基、及び炭素数1〜4のアルコキシ基から選択された1つ又は2つの置換基を含む)]
【請求項2】
請求項1に記載のカルボキシアミド誘導体において、置換基R1及びR2のうち一方は-NR3R4基を表し、他方は-OH基又は-NR3R4基を表し、R3及びR4はそれぞれ独立に以下の群から選択されることを特徴とするカルボキシアミド誘導体。
・ 炭素数1〜12のアルキル基;
・ 炭素数3〜10のアルケニル基;
・ 炭素数5又は6のシクロアルキル基[ただし以下の群から1つ選択されるか、別々に選択された2つの置換基を有してもよい:炭素数1〜4の低級アルキル基、炭素数1〜4の低級アルコキシ基、フェニル基、炭素数1〜4の低級アルキル基を有するフェニル基、フェノキシ基、及び炭素数1〜4の低級アルキル基を有するフェノキシ基(ただしフェニル基、並びに低級アルキル基含有フェニル基、フェノキシ基及び低級アルキル基含有フェノキシ基のフェニル基部分が、以下の群から選択された1つ又は2つの置換基を有していてもよい:ハロゲン基、炭素数1〜4の低級アルキル基、及び炭素数1〜4の低級アルコキシ基)];
・ フェニル基(ただし以下の群から1つ選択されるか、別々に選択された2つの置換基を有してもよい:ハロゲン基、炭素数1〜4の低級アルキル基、炭素数1〜4の低級アルコキシ基、フェニル基、炭素数1〜4の低級アルキル基を有するフェニル基、フェノキシ基、及び炭素数1〜4の低級アルキル基を有するフェノキシ基);
・ ベンジル基(ただしそのフェニル環が、以下の群から1つ選択されるか、別々に選択された2つの置換基を有してもよい:ハロゲン基、シアノ基、炭素数1〜4の低級アルキル基、炭素数1〜4の低級アルコキシ基、フェニル基、炭素数1〜4の低級アルキル基を有するフェニル基、フェノキシ基、及び炭素数1〜4の低級アルキル基を有するフェノキシ基);
・ ナフチル基(ただし、以下の群から選択された1つ又は2つの置換基を有していてもよい:ハロゲン基、炭素数1〜4の低級アルキル基、及び炭素数1〜4の低級アルコキシ基);
・ 式:-(CH2)nOR5で示される基であって、nは2〜5の整数を表し、R5は以下の群から選択された基を表す:
o 水素基;
o 炭素数1〜4のアルキル基;
o 炭素数5又は6のシクロアルキル基[ただし以下の群から1つ選択されるか、それぞれ別々に選択された2つの置換基を有していてもよい:ハロゲン基、シアノ基、炭素数1〜4の低級アルキル基、炭素数1〜4の低級アルコキシ基、フェニル基、炭素数1〜4の低級アルキル基を有するフェニル基、フェノキシ基、及び炭素数1〜4の低級アルキル基を有するフェノキシ基];もしくは
o フェニル基[ただし以下の群から1つ選択されるか、それぞれ別々に選択された2つの置換基を有してもよい:ハロゲン基、シアノ基、炭素数1〜4の低級アルキル基、炭素数1〜4の低級アルコキシ基、フェニル基、炭素数1〜4の低級アルキル基を有するフェニル基、フェノキシ基、及び炭素数1〜4の低級アルキル基を有するフェノキシ基];
、又は
・ 式:-(CH2)nNR6R7で示される基であって、nは2〜8の整数を表し、R6及びR7は、それぞれ別個に次の群から選択される:
・ 水素基;
・ 炭素数1〜4のアルキル基;
・ 炭素数3〜6のシクロアルキル基[ただし以下の群から1つ選択されるか、それぞれ別個に2つ選択された2つの置換基を有してもよい:ハロゲン基、シアノ基、炭素数1〜4の低級アルキル基、炭素数1〜4の低級アルコキシ基、フェニル基、炭素数1〜4の低級アルキル基を有するフェニル基、フェノキシ基、及び炭素数1〜4の低級アルキル基を有するフェノキシ基(ただしフェニル基、並びに低級アルキル基含有フェニル基、フェノキシ基及び低級アルキル基含有フェノキシ基のフェニル基部分が、以下の群から選択された1つ又は2つの置換基を有してもよい:ハロゲン基、シアノ基、炭素数1〜4の低級アルキル基、及び炭素数1〜4の低級アルコキシ基)];
・ フェニル基(ただし以下の群から1つ選択されるか、それぞれ別々に選択された2つの置換基を有してもよい:ハロゲン基、炭素数1〜4の低級アルキル基、炭素数1〜4の低級アルコキシ基、フェニル基、炭素数1〜4の低級アルキル基を有するフェニル基、フェノキシ基、及び炭素数1〜4の低級アルキル基を有するフェノキシ基);
・ ベンジル基(ただしそのフェニル環が、以下の群から1つ選択されるか、それぞれ別々に選択された2つの置換基を有してもよい:ハロゲン基、シアノ基、炭素数1〜4の低級アルキル基、炭素数1〜4の低級アルコキシ基、フェニル基、炭素数1〜4の低級アルキル基を有するフェニル基、フェノキシ基、及び炭素数1〜4の低級アルキル基を有するフェノキシ基);
・ R6及びR7を合一した形の以下の基:-(CH2)3、-(CH2)4-、-(CH2)2-O-(CH2)2、-(CH2)2-S-(CH2)2;もしくは
・ R6及びR7を合一し、かつ隣接窒素原子を含めた形のピペラジン骨格[ただし、その4位が以下の群から選択された基で置換されていてもよい。炭素数1〜4のアルキル基、炭素数3〜8のシクロアルキル基、ピリジン基、ベンジル基及び置換ベンジル基(ただしそのフェニル環が、塩素基、臭素基、ニトロ基、炭素数1〜4のアルキル基、及び炭素数1〜4のアルコキシ基から選択された1つ又は2つの置換基を含む)]
【請求項3】
請求項1に記載のカルボキシアミド誘導体において、置換基R1及びR2のうち一方は-NR3R4基を表し、他方は-OH基又は-NR3R4基を表し、R3及びR4は、それぞれ別々に、式:-(CH2)nNR6R7で示される基(nは2〜8の整数を表し、R6及びR7は、それぞれ別々に以下の群から選択される)から選択されることを特徴とするカルボキシアミド誘導体。
・ 水素基;
・ 炭素数1〜4のアルキル基;
・ 炭素数3〜6のシクロアルキル基[ただし以下の群から1つ選択されるか、それぞれ別々に選択された2つの置換基を有していてもよい:ハロゲン基、シアノ基、炭素数1〜4の低級アルキル基、炭素数1〜4の低級アルコキシ基、フェニル基、炭素数1〜4の低級アルキル基を有するフェニル基、フェノキシ基、及び炭素数1〜4の低級アルキル基を有するフェノキシ基(ただしフェニル基、並びに低級アルキル基含有フェニル基、フェノキシ基及び低級アルキル基含有フェノキシ基のフェニル基部分が、以下の群から1つ又は2つ選択された置換基を有してもよい:ハロゲン基、シアノ基、炭素数1〜4の低級アルキル基、及び炭素数1〜4の低級アルコキシ基)];
・ フェニル基(ただし以下の群から1つ選択されるか、それぞれ別個に選択された2つの置換基を有してもよい:ハロゲン基、炭素数1〜4の低級アルキル基、炭素数1〜4の低級アルコキシ基、フェニル基、炭素数1〜4の低級アルキル基を有するフェニル基、フェノキシ基、及び炭素数1〜4の低級アルキル基を有するフェノキシ基);
・ ベンジル基(ただしそのフェニル環が、以下の群から1つ選択されるか、それぞれ別個に2つ選択された2つの置換基を有してもよい:ハロゲン基、シアノ基、炭素数1〜4の低級アルキル基、炭素数1〜4の低級アルコキシ基、フェニル基、炭素数1〜4の低級アルキル基を有するフェニル基、フェノキシ基、及び炭素数1〜4の低級アルキル基を有するフェノキシ基);
・ R6及びR7を合一した形の以下の基:-(CH2)3、-(CH2)4-、-(CH2)2-O-(CH2)2、-(CH2)2-S-(CH2)2
又は
・ R6及びR7を合一し、かつ隣接窒素原子を含めた形のピペラジン骨格[ただしその4位が以下の群から選択された基で置換されていてもよい:炭素数1〜4のアルキル基、炭素数3〜8のシクロアルキル基、ピリジン基、ベンジル基及び置換ベンジル基(ただしそのフェニル環が、塩素基、臭素基、ニトロ基、炭素数1〜4のアルキル基、及び炭素数1〜4のアルコキシ基から選択された1つ又は2つの置換基を含む)]
【請求項4】
請求項1に記載のカルボキシアミド誘導体において、置換基R1及びR2のうち一方は-NR3R4基を表し、他方は-OH基又は-NR3R4基を表し、R3及びR4は、それぞれ別個に、式:-(CH2)nNR6R7で示される基(nは2〜4の整数を表し、R6及びR7は、それぞれ別個に水素基又は炭素数1〜4のアルキル基を表す)から選択されていることを特徴とするカルボキシアミド誘導体。
【請求項5】
請求項1に記載のカルボキシアミド誘導体において、前記-NR3R4基のうちの少なくとも1つは、下記の式で示される群から選択されていることを特徴とするカルボキシアミド誘導体。
【化2】

【請求項6】
請求項1に記載のカルボキシアミド誘導体において、前記R1及びR2は、下記の組合せから選択されていることを特徴とするカルボキシアミド誘導体。
【化3】


【請求項7】
請求項6に記載のカルボキシアミド誘導体において、前記R1及びR2は、下記の組合せから選択されていることを特徴とするカルボキシアミド誘導体。
【化4】

【請求項8】
請求項1に記載のカルボキシアミド誘導体の製造方法であって、式(I):
【化5】

、又は式(III):
【化6】

で示される少なくとも一種の出発化合物と、一般式:HNR3R4(ただしR3及びR4は請求項1において定義した通りである)で示される少なくとも1種のアミンとの間での、縮合剤の存在下における縮合反応工程を含むことを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項8に記載のカルボキシアミド誘導体の製造方法において、前記R3及びR4は、それぞれ下記式で示される群から別々に選択されることを特徴とする方法。
【化7】

【請求項10】
請求項8又は9に記載のカルボキシアミド誘導体の製造方法において、前記縮合反応は、少なくとも1種の縮合剤、並びに有機アミド、グリコール及びポリオールのエーテル、ホスホルアミド誘導体、スルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメトキシエタン、ヘキサメチルホスホルアミド、ジメチルスルホキシド、ジオキサン、N-メチルピロリドン、及びこれらの混合物からなる群から選ばれた少なくとも1種の溶媒の存在下で行われることを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項8〜10のいずれか1項に記載のカルボキシアミド誘導体の製造方法において、前記縮合反応は0℃〜50℃の温度範囲で行われることを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項1に記載のカルボキシアミド誘導体又は薬理的に許容されるその塩を含むことを特徴とする医薬組成物。
【請求項13】
請求項12に記載の医薬組成物において、薬理的に許容される担体を含むことを特徴とする医薬組成物。
【請求項14】
請求項12又は13に記載の医薬組成物において、経口的、局所的又は非経口的に投与されることを特徴とする医薬組成物。
【請求項15】
請求項12〜14のいずれか1項に記載の医薬組成物において、カプセル、錠剤、溶液、水性懸濁液、油性の溶液又は懸濁液、あるいは軟膏、クリーム、ローション、塗料又は粉末用の疎水性又は親水性のベースの形態であることを特徴とする医薬組成物。
【請求項16】
細菌感染の治療用のための請求項1に記載のカルボキシアミド誘導体及び薬理的に許容されるその塩。
【請求項17】
細菌感染の予防又は治療用医薬の製造のための請求項1に記載のカルボキシアミド誘導体、その塩、製剤又は組成物の有効成分としての使用。
【請求項18】
請求項16又は17に記載のカルボキシアミド誘導体において、前記細菌感染は、腸球菌、連鎖状球菌又はブドウ球菌によるものであることを特徴とするカルボキシアミド誘導体。
【請求項19】
請求項16〜18のいずれか1項に記載のカルボキシアミド誘導体において、前記細菌感染は、クロストリジウム−ディフィシレ菌、ブドウ球菌属、連鎖状球菌属、腸球菌属、アクネ菌又はモラクセラ属によるものであることを特徴とするカルボキシアミド誘導体。
【請求項20】
請求項16〜19のいずれか1項に記載のカルボキシアミド誘導体において、有効成分の投与量は、体重1kg当り1〜40 mgの範囲であることを特徴とするカルボキシアミド誘導体。

【公表番号】特表2012−509866(P2012−509866A)
【公表日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−536959(P2011−536959)
【出願日】平成20年11月24日(2008.11.24)
【国際出願番号】PCT/IB2008/003184
【国際公開番号】WO2010/058238
【国際公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【出願人】(510031040)センティネラ ファーマスティカル インコーポレイテッド (2)
【Fターム(参考)】