説明

抗菌砂、およびそれを利用した砂場施工方法、ならびに砂リサイクル方法

【課題】 金属アレルギーや土壌汚染を確実に回避し、人体や環境に優しく、砂の触感や造形性を改良する上、長期的に滅菌効果を得て、経済的にメンテナンスできる新たな砂場用の抗菌砂技術を提供する。
【解決手段】 天然砂10または人工砂10を砂組織が破壊しない100ないし400℃で加熱殺菌処理Bし、酸性基と、該酸性基にイオン結合している第四アンモニウム塩基、ビグアニド、ピリジニウム塩基、ホスホニウム塩およびスルホニウム塩の少なくとも1つの抗菌成分含有の水溶性ポリマーが適量の水で希釈された抗菌ポリマーで、各砂粒表面全体をコーティング処理Cした上、乾燥してなる各不溶性抗菌ポリマー層2を当該砂粒表面全体に形成、皮膜してなる抗菌砂1である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、屋外用の樹脂成型品、繊維製品、フィルム製品、木材製品、鉱物類などの抗菌技術に関するものであり、特に砂場や園芸その他の用途に用いられる砂を抗菌する分野は勿論のこと、砂の回収、選別、洗浄、抗菌処理、輸送およびその利用に必要となる設備、器具類を提供、販売する分野から、それら資材や機械装置、部品類に必要となる素材、例えば、木材、石材、セラミックス、各種繊維類、プラスチック、各種金属材料等を提供する分野、それらに組み込まれる電子部品やそれらを集積した制御関連機器の分野、各種計測器の分野、当該設備、器具を動かす動力機械の分野、そのエネルギーとなる電力やエネルギー源である電気、オイルの分野といった一般的に産業機械と総称されている分野、更には、それら設備、器具類を試験、研究したり、それらの展示、販売、輸出入に係わる分野、将又、それらの使用の結果やそれを造るための設備、器具類の運転に伴って発生するゴミ屑の回収、運搬等に係わる分野、それらゴミ屑を効率的に再利用するリサイクル分野などの外、現時点で想定できない新たな分野までと、関連しない技術分野はない程である。
【背景技術】
【0002】
(着目点)
砂場遊びは、子供達の掌や指に砂粒の感触や重さ、湿り具合や冷たさ、太陽熱の暖かさなど様々な刺激を与え、体全体の感覚神経の発達に有効であり、砂をボール状に固めたり、山を造ってトンネルを掘ったり、バケツやスコップなどの道具を使ったりして創造力を高め、子供同士のコミュニケーション能力や社会性の発達にも有効であり、次世代を担う子供達の情操教育に大いに役立てられているが、近年では、特に生活環境の衛生的な発展に伴い、砂場に生息して増殖する雑菌類が社会問題としてクローズアップされるようになってきていて、近隣の犬や猫などのペットの糞や、その雑菌、回虫および回虫卵などが子供達に感染や寄生することが懸念されている。
【0003】
本願発明者は、永年に亘り山砂および各種良質土採取販売業を主として事業を展開してきた経験から、土壌改善用の熱処理装置を保有しており、砂場の砂を加熱して雑菌の死滅処理を施せば雑菌類の問題が解決するのではないかと考えたが、加熱殺菌処理を行った砂をそのまま砂場に戻すと、時間の経過と共に再び雑菌が付いて増殖を初め、元の不衛生な状態に戻ってしまうという状況となり、こうした加熱処理による滅菌は、一時的には有効であっても恒久的な対処策とはなり得ず、全く経済的でないという致命的な欠陥を残すものであった。
【0004】
(従来の技術)
こうした状況を憂慮し、例えば、下記の特許文献1(1)ないし(10)に提案されているものに代表されるように、砂場に直接か、または砂場から回収した砂に、自然蒸発可能な溶媒に過酸化水素や二酸化塩素を溶解した消毒液を散布、混合したり、熱殺菌、紫外線殺菌、煮沸殺菌、蒸気殺菌、その他の殺菌処理を施したり、または、ほう酸、次亜塩素酸、銀銅コーティングセラミック、酸化第一鉄、消石灰と生分解性樹脂および/または生分解性ワックス、珪砂を焼結し粉砕したセラミック粉、銀含有溶解性ガラス、その他の金属または、金属イオンなど様々な抗菌成分、もしくは、それらの抗菌成分を含む抗菌剤の散布、混合、あるいは、それら抗菌剤含有の人工砂などが既に数多く開発済みとなっており、さらに、同特許文献1(11)に見られるような、銀または銅を含有する抗菌剤をバインダーで砂表面に被覆してなる抗菌砂、および、特許文献1(12)および(13)のように、砂場上に動物の進入を防ぐカバーや保護網を装着可能としたものなどが散見される。
【0005】
しかし、前者特許文献1(1)ないし(10)に示されているような砂場や、砂場用砂の加熱や紫外線処理などによる既存の殺菌処理技術では、一過性の効果しか得られないという欠点があり、金属および金属イオンによるものは、金属アレルギー発症のリスクが有る上、雨水に流され易くて滅菌効果の有効期間も短く、金属成分の浸透による砂場周辺土壌の汚染が懸念されることとなり、メンテナンスの頻度を高めなければならず、不経済であるという致命的な欠点があり、特許文献1(11)に見られる抗菌剤をバインダーでコーティングした抗菌砂は、金属を含有する抗菌剤を長期に渡り砂表面に留めることが可能であるものの、金属アレルギーの発生を確実に防止できないという欠点を残すものであり、さらに、特許文献1(12)および(13)に示されている砂場用のカバーや保護網などは、犬猫などの小動物の進入は阻止できるものの、人々の出入りなどに伴って砂場に進入してしまう雑菌やウイルスの増殖および感染を防止できるものとはなっていないという欠点があった。
【特許文献1】(1)特開2008−237472号公報 (2)特開平9−611号公報 (3)特開平7−236682号公報 (4)特開2005−120040号公報 (5)特開2003−160419号公報 (6)特開2002−161010号公報 (7)特開2001−199804号公報 (8)特開平9−322927号公報 (9)特開平8−12512号公報 (10)特開2001−198196号公報 (11)特開平7−165521号公報 (12)特開平9−28926号公報 (13)登録実用新案第3011575号公報 (14)特許第3174971号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
(問題意識)
上述したとおり、従前までに提案のある砂場または砂場用砂の各種殺菌処理は、長期的効果を達成しようとすると金属や金属イオンからなる抗菌成分を使用せざるを得ないことになり、子供達に金属アレルギーが発症するリスクがあったり、抗菌成分の雨水などによる流失および土壌汚染も懸念されるなどといった従前からの課題が未だに放置されたままになっている現状を目の当たりにするにつけ、砂場が幼児教育に欠くことのできない屋外施設の1つであるだけに、児童を持つ家庭は固よりのこと、児童を預かる各種児童施設や公園、小学校などにとって、砂場の衛生および安全性の確保は勿論のこと、砂の触感や造形性の改良、および経済的なメンテナンス性の確保などついても、更なる改善の必要性があるものと云える。
【0007】
(発明の目的)
そこで、この発明は、金属アレルギーや土壌汚染を確実に回避し、人体や環境に優しくて砂の触感や造形性を改良する上、長期的に滅菌効果を得て、経済的にメンテナンスできる新たな抗菌砂技術の開発はできないものかとの判断から、逸速くその開発、研究に着手し、山形大学大学院理工学研究科、金澤昭彦教授、協力の下、特許文献1(14)に関連する抗菌技術に基づき、長期に渡る試行錯誤と幾多の試作、実験とを繰り返してきた結果、今回、遂に新規な構造の抗菌砂、およびそれを利用した新規な砂場施工方法、ならびに新規な砂リサイクル方法を実現化することに成功したものであり、以下では、図面に示すこの発明を代表する実施例と共に、その構成を詳述することとする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(発明の構成)
図面に示すこの発明を代表する実施例からも明確に理解されるように、この発明の抗菌砂は、基本的に次のような構成から成り立っている。
即ち、滅菌した天然砂または人工砂の各砂粒表面全体に、金属、金属イオン、または無機抗菌剤以外の抗菌成分を含有する高分子物質の何れかが主要成分の不溶性抗菌ポリマー層を形成、皮膜してなるものとした構成を要旨とする抗菌砂である。
【0009】
より具体的なものとして示すと、天然砂または人工砂を砂組織が破壊しない100ないし400℃で加熱殺菌処理し、酸性基と、該酸性基にイオン結合している第四アンモニウム塩基、ビグアニド、ピリジニウム塩基、ホスホニウム塩およびスルホニウム塩の少なくとも1つの抗菌成分含有の水溶性ポリマーが適量の水で希釈された抗菌ポリマーで、各砂粒表面全体をコーティング処理した上、乾燥してなる各不溶性抗菌ポリマー層を当該砂粒表面全体に形成、皮膜してなるものとした構成からなる抗菌砂となる。
【0010】
(関連する発明1)
上記した抗菌砂に関連し、この発明には、それを利用した砂場施工方法も包含している。
即ち、数名以上の児童が同時に遊べる平面広さで深さ35ないし45cmに掘り下げた底部に排水ネットまたは透水管などの排水施設を配し、開口周囲に縁石を敷設すると共に、周囲に小動物の進入を阻止可能な高さで、適所に出入り口用開閉扉を配したフェンスを張り巡らせた砂場スペースに、金属、金属イオン、または無機抗菌剤以外の抗菌成分の散布か、または加熱処理かの少なくとも何れか一方で滅菌処理した上、この発明の基本をなす前記抗菌砂を適切な深さに敷き詰めてなるものとした、この発明の基本をなす前記抗菌砂を利用する砂場施工方法である。
【0011】
(関連する発明2)
上記した抗菌砂に関連し、この発明には、それを利用した砂リサイクル方法も包含している。
即ち、使用済みの砂を回収し空にした砂場スペースを金属、金属イオン、または無機抗菌剤以外の抗菌成分の散布か、または加熱処理かの少なくとも何れか一方で滅菌処理した上、当該回収済み砂を異物除去、洗浄してから滅菌処理した上、不溶性抗菌ポリマー層をコーティング処理してなる、この発明の基本をなす前記抗菌砂を砂場スペースに戻し、適切な深さに敷き詰めてなるものとした、この発明の基本をなす前記抗菌砂を利用する砂リサイクル方法である。
【発明の効果】
【0012】
以上のとおり、この発明の抗菌砂によれば、従前までのものとは違い、上記したとおりの固有の特徴ある構成から、各砂粒表面全体に形成、皮膜した不溶性抗菌ポリマー層の主成分として高分子物質の何れかに、金属、金属イオン、または無機抗菌剤以外の抗菌成分を含有するものを使用してあり、従前までの金属または金属イオンを抗菌成分に利用したもののような金属アレルギーの発症を確実に防止することができる上、該抗菌成分を不溶性抗菌ポリマー層に含有するものとしたから、抗菌成分が雨水などによって簡単に流失してしまったり、土壌汚染を発生したりすることが無く、不溶性抗菌ポリマー層が継続的に殺菌力を維持すると共に、経時的に表層がわから次第に劣化して行く過程にあっても一定の滅菌力を充分に発生することができ、長期に渡って高い抗菌効果を得ることが可能になってメンテナンス性に秀れることから高い経済性を達成可能となり、しかも不溶性抗菌ポリマー層の高分子物質が無色、無臭で人体や環境に優しく、しかも保水性を維持し続けて衛生的且つサラサラした触感を持っており、更に型抜きが綺麗にできる上、篩で細かな砂だけに選別してしまうと、より一層繊細な造形が可能となるという秀れた効果を発揮するものとなる。
【0013】
加えて、予め100ないし400℃で加熱殺菌処理した天然砂または人工砂に、酸性基と、該酸性基にイオン結合している第四アンモニウム塩基、ビグアニド、ピリジニウム塩基、ホスホニウム塩およびスルホニウム塩の少なくとも1つの抗菌成分含有の水溶性ポリマーが適量の水で希釈された抗菌ポリマーで、各砂粒表面全体をコーティング処理した上、乾燥してなる各不溶性抗菌ポリマー層を当該砂粒表面全体に形成、皮膜してなるものは、加熱殺菌処理によって天然砂または人工砂の砂組織が破壊せずに、そのままの色、形状などの外観を維持することができる上、水溶性ポリマーが、有機溶媒を不要として複雑な凹凸の砂粒表面にも良く馴染んで強固に密着し、乾燥後の不溶性抗菌ポリマー層が、雨水や散水によって流失するのを確実に防止するものとなり、該不溶性抗菌ポリマー層が完全に剥がれ落ちるまで長期に渡って抗菌性を持続することができるという大きな効果を奏するものである。
【0014】
水溶性ポリマー基材が、ポリスチレン系、ポリオレフィン系、ポリアクリレート系、ポリエステル系の少なくとも1つからなるものは、乾燥後に水に不溶となり、無毒、無臭、無色で、砂粒表面の凸凹やザラつきを滑らかにして、児童の手足などの皮膚を守り、既存の天然砂に比較して保水性に秀れていて、一段と細かな造形や成型を可能にするという効果が得られる。
【0015】
酸性基が、カルボキシル基、スルホン基、ホスホン基、ホスフイン基またはフェノール性水酸基の少なくとも1つを含むモノマーであるものは、人体に安全で自然環境にも優しく、高い滅菌作用を発揮するものである。
【0016】
滅菌した天然砂または人工砂に対する不溶性抗菌ポリマー層の重量含有率を0.05%ないし0.15%に設定してなるものは、砂場スペースに敷き詰めて使用開始から24時間以内に、当該重量含有率に応じて98%ないし100%の殺菌率を達成することが可能であり、しかも抗菌ポリマーの使用量を最小限に留められ、人体や環境に優しく各段に経済的な抗菌処理を実現化できるものとなる上、その殺菌効果は、不溶性抗菌ポリマー層が剥離、流失してしまうまでの間の長期に渡って持続可能であるという秀れた効果を奏する。
【0017】
この発明の抗菌砂利用の砂場施工方法によると、適切な滅菌処理を施した砂場スペースに、当該抗菌砂を敷き詰めて外部からの細菌やウィルスの進入を確実に防止可能なものとした上、該砂場開口縁石の周囲に、小動物の進入を阻止可能なフェンスを張り巡らせてあるから、施工後に小動物が進入して抗菌砂を汚染してしまうのを確実に防止し、当該抗菌砂が本来有している抗菌性能をより確実に発揮し、長期に渡る衛生的な使用を実現化することができる。
【0018】
この発明の抗菌砂利用の砂リサイクル方法によれば、当該抗菌砂を利用した砂場を長期に渡って利用し、抗菌力が低下してしまったときに、該使用済みの抗菌砂を回収し、異物除去、洗浄してから滅菌処理した上、不溶性抗菌ポリマー層を当該砂粒表面全体に形成、皮膜して再生し、これを、再び滅菌処理した砂場スペースに戻すよう処理し得るようにすることから、使用済み抗菌砂の廃棄処分や、新たな天然砂または人工砂の購入を不要として経済的にメンテナンスできるという大きな効果を発揮する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
上記したとおりの構成からなるこの発明の実施に際し、その最良もしくは望ましい形態について説明を加えることにする。
天然砂は、河砂や海砂、山砂など直径2mm前後のもので、より具体的には、石英、斜長石、カリ長石、斜方輝石、単斜輝石、各閃石、ガクロ石、白雲母、黒雲母、カンラン石、緑レン石、磁鉄鉱、黄鉄鉱、火山ガラス、岩片、自然金、その他、ガラス粒、陶器粒などの混入人工物などということができ、また、人工砂は、天然砂以外の砂であって、金属以外の石粉末、土粉末、セラミックス粉末、樹脂などを造粒後、焼結したものや、ガラス粒、陶器粒などとすることが可能である。
【0020】
抗菌成分は、天然砂または人工砂の各砂粒表面全体に形成、皮膜した不溶性抗菌ポリマー層に含まれて長期に渡って、サルモネラ菌、大腸菌、黄色ブドウ球菌などの雑菌やウィルス、回虫、回虫卵などを消毒可能とするものであり、特に、人体に無害で無色、無臭のものとしなければならず、金属、金属イオン、または無機抗菌剤以外のものであって後述する実施例に示すように、酸性基と、該酸性基にイオン結合している第四アンモニウム塩基、ビグアニド、ピリジニウム塩基、ホスホニウム塩およびスルホニウム塩の少なくとも1つとすることができ、酸性基が、カルボキシル基、スルホン基、ホスホン基、ホスフイン基またはフェノール性水酸基、もしくはそれらのナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩などの少なくとも1つを含むモノマーであるものとするのが望ましい。
【0021】
カルボキシル基を有するモノマーは、例えばアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、3−ブテン−1,2,3−トリカルボン酸、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸、4−ペンテノイック酸等があり、スルホン基を有するモノマーは、例えばスチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、スルホプロピルアクリレート、スルホプロピルメタアクリレート、3−クロロ−4−ビニルベンジンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−アクリロイルオキシベンゼンスルホン酸、2−アクリロイルオキシナフタレン−2−スルホン酸、2−メタクリロイルオキシナフタレン−2−スルホン酸、スルホイソフタル酸、スルホテレフタール酸、スルホフタール酸又は4−スルホナフタレン−2,7−ジカルボン酸塩等がある。
【0022】
ホスホン基を有するモノマーは、例えばアリルホスホン酸、アシッドホスフォキシエチルエチルメタクリレート、3−クロロ−2−アシッドホスフォキシプロピルメタクリレート、1−メチルビニルホスホン酸、1−フェニルビニルホスホン酸、2−フェニルビニルホスホン酸、2−メチル−2−フェニルビニルホスホン酸、2−(3−クロロフェニル)ビニルホスホン酸、2−ジフェニルビニルホスホン酸等があり、ホスフィン基を有するモノマーは、例えばアリルホスフィン酸等を挙げることができ、フェノール性水酸基を有するモノマーとしては、例えばオルト−オキシスチレン、オルト−ビニルアニソール等がある。
【0023】
高分子物質は、不溶性抗菌ポリマー層の主要成分となるものであり、人体に無害で、抗菌成分を分離せずに均質に混合可能で、長期に渡って抗菌成分を抗菌効果が持続可能な状態に保護するものであって、後述する実施例に示すように、天然砂または人工砂の各砂粒表面全体に万遍なく行き渡り、密着可能とするよう水溶性ポリマーからなるものとし、乾燥後に硬化して不溶性抗菌ポリマー層を形成可能なものとするのが望ましく、水溶性ポリマー基材が、ポリスチレン系、ポリオレフィン系、ポリアクリレート系、ポリエステル系の少なくとも1つからなるものとすることができる。
【0024】
換言すれば、前記の酸性基含有モノマーと共重合可能な他のモノマーは、最終生成物である抗菌性材料の用途に応じて広い範囲から選択することができるが、その具体例として例えばエチレン、プロピレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、クロトン酸ビニル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、アクリロニトリル、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシメタアクリレート、スチレンおよびその誘導体、ブタジエン、アクリルアミドおよびその誘導体、アクリルプロピルエステルなどのアリル化物、ビニルエーテル、テレフタル酸、イソフタル酸、マレイン酸、ビニルピリジン、N−ビニル−2−ピロリドン、イソブチレン、ジイソブチレン等があり、それらは一種又は二種以上であってもよい。
【0025】
重合方法は、エマルジョン重合方法、溶液重合方法、塊状重合方法などの通常の重合方法のいずれも採用可能であるが、なかでもエマルジョン重合方法は、得られるポリマー粒子表面に酸性基が多く分布する傾向があるという理由から特に望ましいものである。
【0026】
ホスホニウム塩基を有する抗菌剤は、例えばテトラエチルホスホニウムブロマイド、トリエチルベンジルホスホニウムクロライド、テトラ−n−ブチルホスホニウムブロマイド、テトラ−n−ブチルホスホニウムクロライド、トリ−n−ブチルメチルホスホニウムヨーダイド、トリ−n−ブチルオクチルホスホニウムブロマイド、トリ−n−ブチルオクチルホスホニウムブロマイド、トリ−n−ブチルヘキサデシルホスホニウムブロマイド、トリ−n−ブチルオクタデシルホスホニウムブロマイド、トリ−n−ブチルアリルホスホニウムブロマイド、トリ−n−ブチルベンジルホスホニウムブロマイド、トリ−n−オクチルエチルホスホニウムブロマイド、トリス(3−ヒドロキシプロピル)オクチルホスホニウムブロマイド、トリス(3−ヒドロキシプロピル)オクタデシルホスホニウムブロマイド、トリス(3−ヒドロキシプロピル)ヘキサデシルホスホニウムブロマイド等があり、上記ホスホニウム塩において、抗菌活性はリンに結合しているアルキル基の長さに影響を受け、例えばエチル、ブチル、オクチルと抗菌活性が高くなり、また、そのアルキル基の一つが長い、例えばトリ−n−エチルオクタデシルホスホニウムブロマイドやトリ−n−ブチルオクタデシルホスホニウムブロマイドなどは非常に高い抗菌活性を示し、上記ホスホニウム塩を抗菌成分として抗菌性材料に使用した場合、従来使用されている第四アンモニウム塩等と比べると秀れた抗菌効果を示す。
【0027】
砂場スペースは、数名以上の児童が同時に遊べる広さを確保可能であって、しかも、所定の深さに掘り下げた底部に排水ネットまたは透水管などの排水施設か、または、それに相当する排水機能を備えたものとしなければならず、深さ35ないし45cmに掘り下げた砂場穴の開口周囲に縁石を敷設すると共に、その周囲に小動物の進入を阻止可能な高さのフェンスを張り巡らせた上、金属、金属イオン、または無機抗菌剤以外の抗菌成分の散布か、または加熱処理かの少なくとも何れか一方で滅菌処理したものとしなければならず、砂場穴は45cmより深過ぎると、児童や大人が踏み込んだときに、沈み込みが大きくなりすぎる虞があり、35cmより浅過ぎると、掘り下げる手指を傷付けてしまう虞がある。
【0028】
抗菌砂利用の砂場施工方法は、対象となる砂場、および砂を加熱滅菌処理する場合に、100ないし400℃まで加熱しなければならず、100℃未満では、雑菌やウィルス、回虫、回虫卵などを充分に死滅できない虞があり、また、400℃を超えて加熱すると大きな熱エネルギーを要して経済的負担を増大させてしまう上、砂粒を崩壊させてしまう虞も生じるから、概ね200℃前後100℃の範囲で加熱するのが適切である。
【0029】
当該抗菌砂利用の砂リサイクル方法は、対象となる砂場から回収した使用済みの砂をリサイクル工場まで輸送し、リサイクル処理を終えた抗菌砂を同一の対象砂場であって、滅菌処理済みの砂場に搬入するようにすることができる外、複数の砂場から回収した砂を一括管理して、リサイクル処理を終えた抗菌砂の必要量を対象となる砂場に搬入するようにしたものとすることが可能であり、さらに、車載型のリサイクル処理装置を対象となる砂場に移動し、砂場から回収した砂をその場でリサイクル処理して滅菌処理済みとした砂場に敷き詰めるようにしたものとすることができる。
以下では、図面に示すこの発明を代表する実施例と共に、その構造について詳述することとする。
【実施例1】
【0030】
図1の抗菌砂の断面図、図2の砂の抗菌処理工程のフローチャートに示す事例は、滅菌した天然砂または人工砂の各砂粒10表面全体に、金属、金属イオン、または無機抗菌剤以外の抗菌成分を含有する高分子物質の何れかが主要成分の不溶性抗菌ポリマー層2を形成、皮膜してなるものとした、この発明の抗菌砂における代表的な一実施例を示すものである。
【0031】
それら各図から明確に把握できるとおり、この発明の抗菌砂1は、河砂、海砂、山砂などの天然砂か、または、セラミックス粉を造粒、焼成して製造してなる人工砂か、あるいは、それらの混合砂、もしくは、砂場から回収した砂などの何れかであって、しかも直径が2mm前後に揃い、安全性を確認した砂10を篩、濾過器、遠心分離器などの何れかに掛けて異物を選別、除去すると共に、水を供給、攪拌して充分に洗浄処理Aした後、砂10の組織が破壊せず、雑菌や回虫、回虫卵を死滅可能な200℃で加熱殺菌処理Bした上、自然冷却か、または、送風・攪拌などによる強制冷却かの何れかにて常温まで冷却した後か、あるいは、冷却過程中に100℃以下の適温まで冷却した時点かの何れかの段階に、抗菌成分を含有する高分子物質の何れかが主要成分の水溶性ポリマーが適量の水で希釈された抗菌ポリマーを散布しながら、混練状に攪拌操作するか、あるいは、該抗菌ポリマー槽に投入・浸漬および回収するなどして各砂粒10表面全体に層をなすようコーティング処理Cした上、乾燥・皮膜処理Dにて、砂10同士を攪拌、流動させるなどして互いが付着せず、1個々々が独立した状態に自然乾燥または強制乾燥して砂粒10表面全体に不溶性抗菌ポリマー層2を形成、皮膜してなるものである。
【0032】
抗菌成分は、下記(化1および化2)、第四アンモニウム塩、ホスホニウム塩、スルホニウム塩、ビグアニド、ピリジニウム塩の中の少なくとも何れか1つであって例えば、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンザルコニウム、セトリミド、クロルヘキシジン、セチルピリジニウムクロリド、トリフェニルドデシルホスホニウムの何れか1つか、または、それら何れか同士の混合物とすることができる。
【化1】


【化2】

【0033】
水溶性ポリマー基材は、下記(化3)ポリスチレン系、ポリオレフィン系、ポリアクリレート系、ポリエステル系の何れか1つか、または、それら何れか同士の混合物とすることができる 。
【化3】

【0034】
コーティング処理Cおよび乾燥・皮膜処理Dによる抗菌ポリマー処理は、有機溶媒を用いることなく、水のみで砂粒10表面全体に、不溶性抗菌ポリマー層2を形成、被覆するものであり、以下(化4)に、ポリスチレン系の水溶性ポリマー基材に塩化セチルピリジニウムを二段階に亘って反応させて水溶性ポリマーから不溶性ポリマーへと変化させた一例を示す。
【化4】


当該砂10に対する不溶性抗菌ポリマー層2の重量含有率は、例えば0.01%、0.05%または0.1%の何れか1つの条件に設定したものとする。
【実施例2】
【0035】
図3の砂場スペースの断面図、図4の砂場スペースの平面図、図5の砂を回収した砂場スペースの断面図、および、図6の抗菌砂を敷き詰めた砂場スペースの断面図に示す事例は、この発明の抗菌砂1利用の砂リサイクル方法を示すものであり、当該砂場スペース3は、数名以上の児童が同時に遊べる平面広さで深さ35ないし45cmに掘り下げた砂場穴30底部31に透水管32,32,……からなる排水施設を埋設し、同砂場穴30開口33周囲に縁石34,34,……を敷設すると共に、周囲に小動物の進入を阻止可能な高さで、適所に出入り口用開閉扉36を配したフェンス35を張り巡らせた砂場スペース3から、同図3ないし図6中に示すように、既存の砂10を回収して空にした後、当該砂場穴30を含む砂場スペース3の全体に、前記実施例1の抗菌砂1を抗菌ポリマーコーティングするのに用いたものと同一のものであって、金属、金属イオン、または無機抗菌剤以外の抗菌成分である、酸性基と、該酸性基にイオン結合している第四アンモニウム塩基、ビグアニド、ピリジニウム塩基、ホスホニウム塩およびスルホニウム塩の少なくとも1つの適量を万遍なく散布して滅菌処理する一方、当該回収砂10は、処理工場に輸送するか、車載型の処理装置を用いるかして、図1および図2に示したように、前記実施例1の抗菌処理工程に従い、1粒々々の各砂粒10表面全体に不溶性抗菌ポリマー層2を形成、皮膜してから、図6中に示すように、砂場スペース3の砂場穴30内に適切な深さに敷き詰めたものとする。
【0036】
この発明の抗菌砂1利用の砂場施工方法は、当該砂場スペース3を新たに施工し、滅菌処理を施した上、その砂場穴30内に、天然砂10かまたは人工砂10に、前記実施例1に示した、抗菌ポリマーコーティング処理を施してなる抗菌砂1を敷き詰めて新しい砂場スペース3を設置するものである。
【0037】
(実施例1の作用)
以上のとおりの構成からなるこの発明の抗菌砂1は、図1ないし図6に示すように、金属アレルギーの原因物質となり得る金属や金属イオン、および様々な身体障害の原因物質となり得る有機溶媒などを含まず、各砂粒10表面全体に形成、被覆した不溶性抗菌ポリマー層2が、長期に渡って高い滅菌作用を発揮するから、砂場スペース3全体を安全で秀れた衛生状態に維持するものとなり、しかも下記表1に示すように、滅菌した砂10に対する不溶性抗菌ポリマー層2の重量含有率が、0.01%の抗菌砂1を保育園の砂場スペース3に敷き詰めて使用した場合の使用開始当初(24時間後)の殺菌率が96%であり、同重量含有率が0.05%の抗菌砂1の場合は98%、同重量含有率が0.1%の場合は100%の殺菌率を得ることが抗菌性試験の実施によって明かになっており、その初期抗菌力は、各砂粒10表面に被覆している不溶性抗菌ポリマー層2の全てが完全に剥離、流失してしまうまで持続するものである。
【表1】

【0038】
各砂粒10表面全体に形成、被覆した不溶性抗菌ポリマー層2は、雨水や散水にも溶出せず、長期に渡って各砂粒10表面に強固に付着し続け、持続性のある抗菌作用を発揮すると共に、保水性を維持し続けて砂の造形性を高めるものとなり、しかも保水による雑菌の増殖を阻止し、雑菌臭の発生を確実に防止して砂10を無臭状態に保持することができる上、児童の手指にも滑らかな触感を与えて肌荒れを防止することにより、地肌を保護するものとなり、不溶性抗菌ポリマー層2が完全に剥離、流失してしまうまで凡そ2ないし5年間に渡り、砂場スペース3全体を衛生的な環境に維持することが可能である。
【0039】
(実施例2の作用)
この発明の抗菌砂1利用の砂リサイクル方法は、図1ないし図6中に示すように、使用済みの砂の廃棄処分や新たな砂の購入などが殆ど不要となり、砂場スペース3の砂全てを回収して埋もれていた異物や遊具類などを分別、除去する過程で、危険なガラス片や金属片、プラスチック片、石や木片などを分離、除去可能であり、さらに、攪拌を伴う流水洗浄Aで砂に混在して雑菌や回虫などの発生原因となる小動物の糞や尿などを確実に洗浄可能とし、加熱殺菌処理Bで砂に付着している雑菌やウィルス、回虫、回虫卵などを確実に滅菌、除去した上、コーティング処理Cするから、雑菌やウィルス、回虫などによる汚染のない、極めて衛生的な抗菌砂1を製造可能であり、フェンス35に囲まれて小動物の進入を防止可能とした滅菌処理済みの砂場スペース3に、当該抗菌砂1を敷き詰めるようにしたから、リサイクル処理完了後の砂場スペース3に小動物が進入して排尿や排便するのを確実に防止し、長期に渡って衛生的に管理可能となる。
【0040】
この発明の抗菌砂1利用の砂場施工方法は、抗菌砂1の製造および砂場スペース3の設置に初期費用を要するものとなるが、施工後は、小動物の進入を防止して衛生的に維持管理するだけで、長期に渡る経済的利用が可能となり、抗菌砂1の不溶性抗菌ポリマー層2の剥離が進んだときに、はじめて当該発明の抗菌砂1利用の砂リサイクル方法を実施するだけで、効率的且つ経済的に衛生管理可能となる。
【0041】
(実施例1の効果)
以上のような構成からなる実施例1の抗菌砂1は、前記この発明の効果の項で記載の特徴に加え、前記表1に示したとおり、抗菌性試験を行った結果、滅菌処理済み砂10に対する不溶性抗菌ポリマー層2の重量含有率が、0.01%の場合に初期殺菌率96%、0.05%の場合に初期殺菌率98%、0.1%の場合に初期殺菌率100%を夫々達成可能であり、不溶性抗菌ポリマー層2の重量含有率を0.05ないし0.15%に設定すれば、98%以上の殺菌率を必ず達成できるものとなる上、抗菌ポリマーの過剰使用を防いで自然環境に優しく、各段に経済的なものとすることができ、しかも従来からの滅菌処理のみを行った砂場スペース3に比較して、一段と経済的且つ長期的な抗菌作用を得ることができるものになるという秀れた効果を発揮できる。
【0042】
(実施例2の効果)
実施例2の抗菌砂1利用の砂リサイクル方法は、前記この発明の効果の項で記載の特徴に加え、図3ないし図6中に示すように、砂場穴30を含む砂場スペース3の全体に、前記実施例1の抗菌砂1を抗菌ポリマーコーティングするのに用いたものと同一の酸性基と、該酸性基にイオン結合している第四アンモニウム塩基、ビグアニド、ピリジニウム塩基、ホスホニウム塩およびスルホニウム塩の少なくとも1つの適量を万遍なく散布して滅菌処理してから、リサイクル処理済みの抗菌砂1を砂場穴30内に敷き詰めたものとするから、該砂場穴30を含む砂場スペース3全体が、不溶性抗菌ポリマー層2で皮膜したものとなり、一過性の抗菌作用ではなく、当該抗菌砂1と同等に長期的な滅菌効果を得ることができるという秀れた効果を奏するものとなり、従って抗菌砂1利用の砂場施工方法でも同様の作業を行うことで、砂場スペース3全体が長期的に滅菌されるものとなる。
【0043】
(結 び)
叙述の如く、この発明の抗菌砂、およびそれを利用した砂場施工方法、ならびに砂リサイクル方法は、その新規な構成によって所期の目的を遍く達成可能とするものであり、しかも滅菌処理やリサイクル処理も容易で、従前からの砂場洗浄技術に比較して各段に長期に渡って効果的な滅菌を可能とし、児童の健康的で衛生的な砂場遊びに大いに貢献できるものとなる上、メンテナンス効率を大幅に改善し、衛生管理の合理化と経済的負担の軽減とを達成可能として、これまで不衛生な砂場で遊ぶ子供達の健康に不安を抱いていた父兄は元より、公園を管理する自治体や各種団体、児童を預かる各種児童施設や小学校などにとって朗報となり、砂場を施工、メンテナンスする建築、土木業界においても高く評価されることとなり、広範に利用、普及が図られていくことになるものと予想される。
【図面の簡単な説明】
【0044】
図面は、この発明の抗菌砂、およびそれを利用した砂場施工方法、ならびに砂リサイクル方法の技術的思想を具現化した代表的な幾つかの実施例を示すものである。
【図1】抗菌砂を示す断面図である。
【図2】抗菌砂製造処理工程を示すフローチャートである。
【図3】既存の砂場スペースを示す断面図である。
【図4】既存の砂場スペースを示す平面図である。
【図5】使用済みの砂を回収した砂場スペースを示す断面図である。
【図6】抗菌砂を敷き詰めた砂場スペースを示す断面図である。
【符号の説明】
【0045】
1 抗菌砂
10 同 天然砂(または人工砂)
2 不溶性抗菌ポリマー層
3 砂場スペース
30 同 砂場穴
31 同 底部
32 同 透水管(排水施設)
33 同 開口
34 同 縁石
35 同 フェンス
36 同 開閉扉
A 異物除去、洗浄処理
B 加熱殺菌処理(滅菌処理)
C コーティング処理
D 乾燥・皮膜処理

【特許請求の範囲】
【請求項1】
滅菌した天然砂または人工砂の各砂粒表面全体に、金属、金属イオン、または無機抗菌剤以外の抗菌成分を含有する高分子物質の何れかが主要成分の不溶性抗菌ポリマー層を形成、皮膜してなるものとしたことを特徴とする抗菌砂。
【請求項2】
天然砂または人工砂を砂組織が破壊しない100ないし400℃で加熱殺菌処理し、酸性基と、該酸性基にイオン結合している第四アンモニウム塩基、ビグアニド、ピリジニウム塩基、ホスホニウム塩およびスルホニウム塩の少なくとも1つの抗菌成分含有の水溶性ポリマーが適量の水で希釈された抗菌ポリマーで、各砂粒表面全体をコーティング処理した上、乾燥してなる各不溶性抗菌ポリマー層を当該砂粒表面全体に形成、皮膜してなるものとしたことを特徴とする抗菌砂。
【請求項3】
水溶性ポリマー基材が、ポリスチレン系、ポリオレフィン系、ポリアクリレート系、ポリエステル系の少なくとも1つからなるものとした、請求項1または2何れか一方記載の抗菌砂。
【請求項4】
酸性基が、カルボキシル基、スルホン基、ホスホン基、ホスフイン基またはフェノール性水酸基の少なくとも1つを含むモノマーである、請求項1ないし3何れか一項記載の抗菌砂。
【請求項5】
滅菌した天然砂または人工砂に対する不溶性抗菌ポリマー層の重量含有率を0.05%ないし0.15%に設定してなるものとした、請求項1ないし4何れか一項記載の抗菌砂。
【請求項6】
数名以上の児童が同時に遊べる平面広さで深さ35ないし45cmに掘り下げた底部に排水ネットまたは透水管などの排水施設を配し、開口周囲に縁石を敷設すると共に、周囲に小動物の進入を阻止可能な高さで、適所に出入り口用開閉扉を配したフェンスを張り巡らせた砂場スペースに、金属、金属イオン、または無機抗菌剤以外の抗菌成分の散布か、または加熱処理かの少なくとも何れか一方で滅菌処理した上、請求項1ないし5何れか一項記載の抗菌砂を適切な深さに敷き詰めてなるものとした、請求項1ないし5何れ一項記載の抗菌砂利用の砂場施工方法。
【請求項7】
使用済みの砂を回収し空にした砂場スペースを金属、金属イオン、または無機抗菌剤以外の抗菌成分の散布か、または加熱処理かの少なくとも何れか一方で滅菌処理した上、当該回収済み砂を異物除去、洗浄してから滅菌処理した上、不溶性抗菌ポリマー層をコーティング処理してなる、請求項1ないし5何れか一項記載の抗菌砂を砂場スペースに戻し、適切な深さに敷き詰めてなるものとした、請求項1ないし5何れ一項記載の抗菌砂利用の砂リサイクル方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2011−116668(P2011−116668A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−272924(P2009−272924)
【出願日】平成21年11月30日(2009.11.30)
【出願人】(509330334)株式会社 イ ト ウ (1)
【Fターム(参考)】