抗CD19抗体
本発明は、ヒト化、キメラおよびヒト抗CD19抗体、抗CD19抗体融合タンパク質、およびヒトB細胞マーカーに結合するそれらのフラグメントを提供する。上記抗体、融合タンパク質およびそれらのフラグメントは、B細胞悪性疾患および自己免疫疾患など様々なB細胞疾患の治療および診断に有用である。
【発明の詳細な説明】
【発明の背景】
【0001】
本出願は、2003年7月31日出願の米国仮出願出願番号第60/491,282号に基づき優先権を主張するものであり、上記出願明細書の全内容は、引用することにより本明細書の一部とされる。
【0002】
発明の分野
本発明は、抗CD19抗体、特にヒト化、キメラおよびヒト抗CD19抗体、特に裸であるかまたは少なくとも1つの治療および/または診断薬に接合したモノクローナル抗体(MAb)およびそのフラグメント、およびそれらの使用方法に関する。特に、本発明による抗CD19抗体は、例えば、悪性疾患および/または自己免疫疾患などの炎症性疾患または障害のようなB細胞疾患の治療に用いることができる。本発明の方法および組成物は、非ホジキンリンパ腫、慢性リンパ性白血病および急性リンパ芽球性白血病などのリンパ腫や白血病の治療に用いることもできる。好ましい態様では、腫瘍性疾患は、進行の遅い形態のB細胞リンパ腫、急速進行性形態のB細胞リンパ腫(非ホジキンリンパ腫)、慢性リンパ性白血病または急性リンパ性白血病のようなB細胞悪性疾患、または多発性骨髄腫である。
【0003】
本発明はまた、抗体融合タンパク質であって、少なくとも2つの抗CD19 MAbもしくはそれらのフラグメント、または少なくとも1つの抗CD19 MAbもしくはそのフラグメントと少なくとも1つの抗CD19 MAbまたはそのフラグメント以外の第二のMAbもしくはそのフラグメントとを含んでなる抗体融合タンパク質に関する。本発明の多重特異性および/または融合タンパク質は、裸であるかまたは少なくとも1つの治療および/または診断薬に接合していることができる。
【0004】
ヒト化、キメラおよびヒト抗CD19 MAbおよびそのフラグメント、および抗体融合タンパク質およびそのフラグメントは、裸であるかまたは治療または診断薬に接合して単独で、または別の裸の抗体と組み合わせて投与することができる。また、裸のまたは接合した抗CD19抗体およびそのフラグメント、および抗体融合タンパク質およびそのフラグメントは、CD19抗体またはそのフラグメント、または融合タンパク質またはそのフラグメントに接合していない少なくとも1つの治療薬または診断薬と組み合わせて投与することができる。
【0005】
更に、本発明は、ヒト化、キメラまたはヒト抗CD19抗体およびそのフラグメント、および抗体融合タンパク質およびそのフラグメントをコードするDNA配列に関する。同様に、このDNA配列を含むベクターおよび宿主細胞も意図される。最後に、本発明は、ヒト化、キメラおよびヒト抗CD19抗体およびそのフラグメント、および融合タンパク質およびそれらのフラグメントの製造方法を開示する。
【0006】
背景技術
脊椎動物の免疫系は、外来抗原を正確に認識し、これらの外来抗原に特異的に結合して除去/破壊する目的で進化してきた多数の種類の臓器および細胞からなっている。リンパ球は、他の細胞型の中、免疫系にとって重要である。リンパ球は、2つの主要な下位個体群のT細胞とB細胞に分割される。それらは相互依存性であるが、T細胞は主として細胞性免疫に関与しており、B細胞は主として抗体産生(体液性免疫)に関与する。
【0007】
ヒトでは、それぞれのB細胞が莫大な数の抗体分子を産生することができる。このような抗体産生は、外来抗原が中和されてしまったときには、典型的には停止(または実質的に減少)する。しかしながら、場合によっては、特定のB細胞の増殖は衰えることなく継続し、B細胞リンパ腫として知られる癌を生じることがある。非ホジキンリンパ腫のB細胞サブタイプのようなB細胞リンパ腫は、癌死亡率の重要な一因である。B細胞悪性疾患の様々な種類の治療に対する応答は雑多である。例えば、非ホジキンリンパ腫の適切な臨床的病期分類が可能な場合には、屋外の放射線療法が満足な治療を提供することができる。更に、患者の約半数は、この疾患で死亡する。Devesa et al., J. Nat'l Cancer Inst. 79:701 (1987)。
【0008】
慢性リンパ性白血病の大半は、B細胞系統のものである。Freedman, Hematol. Oncol. Clin. North Am. 4:405 (1990)。この種のB細胞悪性疾患は、西欧世界で最も一般に見られる白血病である。Goodman et al., Leukemia and Lymplaoma 22:1 (1996)。慢性リンパ性白血病の自然な展開は、幾つかの時期に分類される。初期では、慢性リンパ性白血病は、寿命が延びた小さな成熟した機能不全(functionally-imcompetent)の悪性B細胞の蓄積を特徴とする進行の遅い疾患である。結局、悪性B細胞の倍加時間は減少して、患者にはますます徴候が現れる。治療は徴候を軽減することができるが、患者の全般的な生存は極めて僅かしか影響されない。慢性リンパ性白血病の後期段階は、著しい貧血および/または血小板減少を特徴とする。この時点での中央生存期間は2年未満である。Foon et al., Annals Int. Medicine 113:525 (1990)。細胞増殖の速度が極めて低いため、慢性リンパ性白血病は細胞傷害剤治療に抵抗性である。
【0009】
化学療法および放射線療法などB細胞悪性疾患の在来の治療方法は、毒性副作用のため有用性は限られている。本発明は、接合したモノクローナル抗体や抗体フラグメントを用いて放射性核種、毒素、RNAi分子、または他の治療または診断薬を腫瘍部位へ選択的に向けることによって正常組織の薬剤毒性をできるだけ少なくする。更に、抗CD19、−CD20、−CD21、−CD23、−CD80および−CD22抗体のような非接合B細胞抗体を用いて、B細胞悪性疾患上のある種の標識を標的とすることができる。また、HLA−DRのような他の抗原は、他の細胞型上でも発現するが、正常および悪性B細胞について標的として働くことがある。
【0010】
B細胞は、分化および同定のマーカーとして用いることができる細胞表面タンパク質を含んでなる。このようなヒトB細胞マーカーはCD19抗原であり、成熟B細胞には見られるが血漿細胞には見られない。CD19は初期のプレB細胞発生の際に発現し、血漿細胞分化までそのままである。CD19は、正常なB細胞、および異常増殖がB細胞リンパ腫をもたらす可能性がある悪性B細胞のいずれでも発現する。例えば、CD19は、非ホジキンリンパ腫、慢性リンパ性白血病、および急性リンパ芽球性白血病などのB細胞系統の悪性疾患で発現するが、これらに限定されない。
【0011】
非ヒトモノクローナル抗体(例えば、ネズミモノクローナル抗体)を用いる場合の潜在的問題点は、典型的にはヒトエフェクター機能性を欠いていることである。換言すれば、このような抗体は、補体依存性リーシスを伝達しまたは抗体依存性細胞傷害性またはFc受容体によって伝達される貪食作用を介してヒト標的細胞をリーシスすることができないことがある。 更に、非ヒトモノクローナル抗体は異種タンパク質としてのヒト宿主によって認識することができ、従ってこのような異種抗体を反復投与することによって、免疫応答を誘導して有害な過敏反応を生じる可能性がある。ネズミを基としたモノクローナル抗体については、これはヒト抗マウス抗体(HAMA)応答と表されることが多い。
【0012】
キメラ抗体の使用は一層好ましく、これらはネズミ抗体ほど強いHAMA応答を誘導しないからである。キメラ抗体は、2種類以上の異なる種由来の部分を含んでなる抗体である。例えば、Liu, A. Y. et al,「強力なFc依存性生物活性を有するCD20に対するマウス−ヒトキメラモノクローナル抗体の産生」J. Immun. 139/10:3521-3526 (1987)には、CD20抗原に対して指定されたマウス/ヒトキメラ抗体が記載されている。PCT国際公開第WO 88/04936号明細書も参照されたい。しかしながら、文献には、B細胞疾患の治療にこのようなキメラ抗体を用いることの能力、効力または実用性について何の情報も提供されていない。イン・ビトロでの機能性分析(例えば、補体依存性リーシス (CDC)、抗体依存性細胞傷害(ADCC)など)は、特異抗原を発現する標的細胞を破壊しまたは涸渇させるキメラ抗体のイン・ビボ能力を本質的に予測することができないことが注目される。例えば、Robinson, R. D. et al.,「異なる抗腫瘍細胞の生物活性を伝達するキメラマウス−ヒト抗癌抗体」Hum. Antibod. Hybridomas 2:84-93 (1991) (検出不能なADCC活性を有するキメラマウス−ヒト抗体)を参照されたい。従って、キメラ抗体の潜在的な治療効力は、イン・ビボ実験、好ましくは特定の療法についての目的とする種における実験によってのみ真に評価することができる。
【0013】
ネズミモノクローナル抗体の能力を改良してB細胞疾患の治療に有効とする1つの方法は、放射性標識または化学療法剤を抗体に接合させて、標識または薬剤が腫瘍部位に局在化するようにすることであった。例えば、研究は、90Yを標識した抗CD19抗体を用いて、マウスのリンパ腫を減少させることができ(McDevitt et al., Leukemia 16:60(2002))、イダルビシンに接合した抗CD19抗体は、実験モデルでの腫瘍退縮を生じ(Rowland et al., Cancer Immunol. Immunother., 37:195 (1993))、125Iおよび111Inで放射性標識したCD19は、腫瘍のある臓器に特異的に吸収される(Mitchell et al., J. Nucl. Med., 44:1105 (2003))ことを示している。抗CD19抗体を用いる併用療法も、Ek et al., Leuk. Lymphoma 31:143 (1998)およびUckum et al., Blood, 79:3116 (1992)に記載されている。抗CD19抗体やCD3 x CD19ダイアボディーを用いるヒトB細胞リンパ腫の治療は、それぞれHekman et al., Cancer Immunol. Immunother., 32:364 (1991)およびCochlovius et al., J. Immunol., 165:888 (2000)に記載されている。
【0014】
しかしながら、これらの方法は、以前に集中的細胞傷害性化学療法を受けたことがあるリンパ腫の多くの患者は免疫が抑制されており、激しい予備治療を受けたことがないリンパ腫の患者よりHAMA率が低いという事実にもかかわらず、これらの方法ではネズミ抗体の使用に関連した障害は除かれなかった。
【0015】
自己免疫疾患などの炎症性疾患も、B細胞障害と関連した疾患のクラスである。自己免疫疾患の例としては、急性特発性血小板減少性紫斑病、慢性特発性血小板減少性紫斑病、シデナム舞踏病、重症筋無力症、全身性エリテマトーデス、ループス腎炎、リウマチ熱、多腺性症候群、水疱性類天疱瘡、糖尿病、ヘノッホ−シェーンライン紫斑病、ポストストレプトコッカス腎炎(post-streptococcalnephritis)、結節性紅斑、高安動脈炎、アジソン病、関節リウマチ、多発性硬化症、サルコイドーシス、潰瘍性大腸炎、多形紅斑、IgAネフロパシー、結節性多発動脈炎、強直性脊椎炎、グッドパスチャー症候群、閉塞性血栓血管炎(thromboangitisubiterans)、シェーグレン症候群、原発性胆汁性肝硬変症、橋本甲状腺炎、甲状腺中毒症、強皮症、慢性活動性肝炎、多発性筋炎/皮膚筋炎、多発性軟骨炎、尋常性天疱瘡(parnphigus vulgaris)、ヴェーゲナー肉芽腫症、膜性腎症、筋萎縮性側索硬化症、脊髄ロウ、巨細胞性動脈炎/多発筋痛、悪性貧血、急速進行性糸球体腎炎、乾癬、および繊維化性肺胞炎が挙げられるが、これらに限定されない。最も良く用いられる治療は副腎皮質ステロイドおよび細胞傷害剤であり、これらは極めて毒性が高いことがある。これらの薬剤は免疫系全体をも抑制し、重篤な感染症を生じる可能性があり、骨髄、肝臓および腎臓に悪影響を及ぼす。クラスIIIの自己免疫疾患の治療に今日まで用いられてきた他の治療薬は、T細胞およびマクロファージに向けられたものであった。自己免疫疾患、特にクラスIIIの自己免疫疾患の治療のための更に有効な方法が求められている。
【0016】
B細胞疾患およびそれらの治療に関する多くの問題点を検討するため、本発明は、ヒト化、キメラおよびヒト抗CD19モノクローナル抗体およびそのフラグメント、および抗体融合タンパク質およびそのフラグメントを、ネズミ抗体の使用に関連した有害応答なしでヒトおよび他の哺乳類におけるB細胞リンパ腫および白血病および自己免疫疾患の治療の目的で提供する。本発明の抗体、融合タンパク質およびそのフラグメントは、単独で、少なくとも1種類の診断および/または治療薬に接合して、または他の治療様式と組み合わせて用いることができる。
【発明の概要】
【0017】
従って、本発明は、CD19と呼ばれ、B細胞悪性疾患および自己免疫疾患のようなB細胞疾患の治療および診断に有用なヒトB細胞マーカーに結合するヒト化、キメラおよびヒト抗CD19抗体を提供する。
【0018】
本発明は、ヒトまたは家畜のような哺乳類患者を1種類以上のヒト化、キメラまたはヒトCD19抗体を単独で、抗体融合タンパク質として、治療接合体単独または抗体融合タンパク質の部分として組み合わせて、または他の抗体、他の治療薬または免疫調節剤を用いる多様療法(multimodal therapy)として、または少なくとも1種類の治療薬、治療用放射性核種または免疫調節剤に結合した免疫接合体として用いる治療方法を提供する。これらのヒト化、キメラおよびヒトCD19抗体は、診断用画像化剤として単独で、他の診断用画像化剤と組み合わせて、および/または治療用途と共に用いることもできる。
【0019】
本発明は、更に特異的ネズミCDRまたはCD19に特異性を有する2つ以上のネズミまたはキメラ抗CD19 MAb由来のネズミCDRの組合せを含む抗CD19 MAbまたはそのフラグメントに関する。これらのMAbは、ヒト化、キメラまたはヒト抗CD19 MAbであることができる。
【0020】
本発明は、少なくとも2つの抗CD19 MAbまたはそのフラグメント、または抗CD19 MAbまたはそのフラグメントを含んでなる第一のMAbと第二のMAbを含んでなる抗体融合タンパク質にも関する。
【0021】
本発明は、更に抗CD19 NUbsまたはそのフラグメントと、少なくとも1種類の治療薬および/または少なくとも1種類の診断薬に結合した抗CD19 MAbまたは他のMAbまたはそのフラグメントとの治療または診断接合体にも関する。同一または異なる種類の複数の治療薬との抗体融合タンパク質も、本発明で考えられる。
【0022】
本発明は、更に、抗CD19 MAbまたはそのフラグメントまたはその抗体融合タンパク質またはそのフラグメントを治療に単独で、互いに組み合わせて、裸の、1種類以上の治療薬に接合して、またはそれぞれ1種類以上の治療薬と組み合わせて投与する使用方法にも関する。
【0023】
本発明は、更に、抗CD19 MAbまたはそのフラグメントまたはその抗体融合タンパク質またはそのフラグメントを1つ以上の診断薬に結合させたものを診断薬に使用する方法にも関する。
【発明の具体的説明】
【0024】
特に断らない限り、本明細書で用いられる単数への言及は「1以上」を意味する。
1.大要
上記のように、治療用放射性核種と未接合であるかまたはで標識されている抗CD19抗体は、中または急速進行性B細胞リンパ腫の患者において客観的且つ継続的応答を高比率で提供することができなかった。本発明は、ヒトおよび家畜である哺乳類患者の治療に有用な、単独で、接合体として、または他の裸の抗体および抗体治療接合体などの他の治療薬と組み合わせて投与される、ヒト化、キメラおよびヒト抗CD19抗体、およびその抗体融合タンパク質を提供する。
【0025】
本発明の抗CD19 MAbは、特異的ネズミCDRまたはCD19抗原に特異性を有する2種類以上のネズミまたはキメラ抗CD19 MAb由来のネズミCDRの組合せを含む。本発明の抗CD19 MAbは、ヒト化、キメラまたはヒト MAbであり、それらはネズミ抗CD19 MAbのCDRとヒト抗体の軽および重鎖定常領域のアミノ酸を含むが、ネズミ抗CD19 MAbのB細胞およびB細胞リンパ腫および白血病細胞へのターゲッティングを実質的に保持する。抗CD19 MAbの軽鎖可変領域のCDRは、アミノ酸KASQSVDYDGDSYLNを含むCDR1、アミノ酸DASNLVSを含むCDR2、およびアミノ酸QQSTEDPWTを含むCDR3を含んでなり、抗CD19 MAbの重鎖可変領域のCDRは、アミノ酸SYWMNを含むCDR1、アミノ酸QIWPGDGDTNYNGKFKGを含むCDR2、およびアミノ酸RETTTVGRYYYAMDYを含むCDR3を含んでなる。
【0026】
好ましい態様では、本発明のヒト化抗CD19 MAbまたはそのフラグメントは、ネズミ抗CD19 MAbのCDRと、ヒト抗体の軽および重鎖可変領域およびヒト抗体の軽および重鎖定常領域のフレームワーク(FR)領域を含んでなるが、親のネズミ抗CD19 MAbのB細胞、およびB細胞リンパ腫および白血病細胞ターゲッティングを実質的に保持し、抗CD19 MAbの軽鎖可変領域のCDRは、アミノ酸KASQSVDYDGDSYLNを含んでなるCDR1、アミノ酸DASNLVSを含んでなるCDR2、およびアミノ酸QQSTEDPWTを含んでなるCDR3を含んでなり、抗CD19 MAbの重鎖可変領域のCDRは、アミノ酸SYWMNを含んでなるCDR1、アミノ酸QIWPGDGDTNYNGKFKGを含んでなるCDR2、およびアミノ酸sRETTTVGRYYYAMDYを含んでなるCDR3を含んでなる。しかしヒト化抗CD19 MAbまたはそのフラグメントは、更に抗体の軽および重鎖可変領域のFRにネズミMAbの相当するFR由来のの少なくとも1つのアミノ酸を含むことがある。具体的には、ヒト化抗CD19 MAbまたはそのフラグメントは、hA19VHと称される図4Aのネズミ重鎖可変領域の少なくとも1つのアミノ酸残基5、27、28、40、48、91、94、107、および108と、hA19Vkと称される図4Bのネズミ軽鎖可変領域の少なくとも1つのアミノ酸残基4、39、58、60、87、100、および107を含む。ネズミアミノ酸配列の1以上は、必要ならば、軽および重可変鎖のヒトFR領域に保持して、適正な結合を保持しまたはCD19抗原に対する結合を増強することができる。更に好ましくは、本発明のヒト化抗CD19 MAbまたはそのフラグメントは、図3AのhAl9Vkおよび図3BのhA19VHを含んでなる。
【0027】
本発明の好ましいキメラ抗CD19(cA19)MAbまたはそのフラグメントは、ネズミ抗CD19 MAbのCDRと、ネズミ抗CD19 MAbの軽および重鎖可変領域、すなわち親ネズミMAbのFvおよびヒト抗体の軽および重鎖定常領域のFR領域を含んでなり、キメラ抗CD19 MAbまたはそのフラグメントはネズミ抗CD19 MAbのB細胞およびB細胞リンパ腫および白血病細胞へのターゲッティングを実質的に保持し、抗CD19 MAbの軽鎖可変領域のCDRは、アミノ酸KASQSVDYDGDSYLNを含むCDR1、アミノ酸DASNLVSを含むCDR2、およびアミノ酸QQSTEDPWTを含むCDR3を含んでなり、抗CD19 MAbの重鎖可変領域のCDRは、アミノ酸SYWMNを含むCDR1、アミノ酸QIWPGDGDTNYNGKFKGを含むCDR2、およびアミノ酸RETTTVGRYYYAMDYを含むCDR3を含んでなる。
【0028】
更に好ましくは、キメラ抗CD19 MAbまたはそのフラグメントは、ネズミ抗CD19 MAbの相補性決定領域(CDR)と、ネズミ抗CD19 MAbの軽および重鎖可変領域およびヒト抗体の軽および重鎖定常領域のフレームワーク(FR)領域を含んでなり、キメラ抗CD19 MAbまたはそのフラグメントは、ネズミ抗CD19 MAbのB細胞およびB細胞リンパ腫および白血病細胞へのターゲッティングを実質的に保持し、キメラ抗CD19 MAbの軽鎖可変領域のCDRは、それぞれcA19VkおよびcA19VHと称される図2Aおよび2Bに示されるCDRを含んでなる。
【0029】
本発明は、ヒト抗体の軽および重鎖可変および定常領域を含んでなるヒト抗CD19 MAbまたはそのフラグメントであって、上記ヒト抗CD19 MAbがネズミ抗CD19 MAbのB細胞およびB細胞リンパ腫および白血病細胞ターゲッティングおよび細胞結合特性を実質的に保持するものであり、ヒト抗CD19 MAbの軽鎖可変領域のCDRがキメラおよびヒト化抗CD19 MAbについて上記したものおよび図2Aおよび2Bおよび3Aおよび3Bにそれぞれ示したものと同じCDRを含んでなる。
【0030】
本発明はまた、上記のように少なくとも2つの抗CD19 MAbまたはそのフラグメントを含んでなる抗体融合タンパク質またはそのフラグメントを包含することを目的としている。本発明の抗体融合タンパク質またはそのフラグメントは、少なくとも1つの第一の抗CD19 MAbまたはそのフラグメントと、上記の抗CD19 MAbまたはフラグメントを除く少なくとも1つの第二のMAbまたはそのフラグメントとを含んでなる抗体融合タンパク質またはそのフラグメントを包含することを意図している。更に好ましくは、この第二のMAbは、CD4、CD5、CD8、CD14、CD15、CD19、CD20、CD21、CD22、CD23、CD25、CD33、CD37、CD38、CD40、CD40L、CD46、CD52、CD54、CD74、CD80、CD126、CD138、B7、MUC−1、Ia、HM1.24、HLA−DR、テネイシン、血管新生因子、VEGF、PIGF、ED−Bフィブロネクチン、癌遺伝子、癌遺伝子産物、NCA 66a−d、壊死抗原、Ii、IL−2、T101、TAC、IL−6、TRAIL−R1(DR4)およびTRAIL−R2(DR5)、またはそれらの組合せと反応性のMAbであり、本明細書に記載の抗CD19 MAbとは異なるエピトープに指定されている抗CD19 MAbでもある。本発明の抗体融合タンパク質は、1つのCD19 MAbと異なる抗原に対する特異性を提供する1つ以上の第二のMAbとから構成され、以下に更に詳細に説明する。
【0031】
ヒト化、キメラおよびヒト抗CD19抗体は、B細胞リンパ腫および白血病などのB細胞疾患、および自己免疫疾患の治療のための優れた治療薬を得るためのCDR突然変異、およびCDRおよび可変領域における他の配列の操作の結果として、エピトープと結合するアフィニティーが増加し、抗腫瘍および抗B細胞活性を有することがある。抗体の結合特異性、アフィニティーまたはアビディティーに対する修飾は知られており、親和性成熟としてWO 98/44001号明細書に記載されており、この出願明細書は修飾の方法を要約しており、その全内容は引用することにより本明細書の一部とされる。
【0032】
本発明の抗体を修飾してエフェクター機能を改良し、例えば、拮抗薬の抗原依存性細胞性細胞傷害(ADCC)および/または補体依存性細胞傷害(CDC)を高めるようにするのが望ましいこともある。Fc領域における1以上のアミノ酸置換またはシステインの導入を行い、インターナリゼーション能の改良および/または補体性細胞殺害およびADCCの増加を行うことができる。Caron et al., J. Ex. Med. 176:1191-1195 (1991)、およびShopes, Brit. J. Immunol. 148:2918-2022 (1992)を参照されたい。上記文献の全内容は、引用することにより本明細書の一部とされる。補体リーシスおよびADCC能をいずれも高めた二重Fc領域を有する抗体融合タンパク質を調製することができる。
【0033】
本発明は、
(a)本明細書に記載の抗CD19 MAbまたはそのフラグメント、
(b)少なくとも2種類の抗CD19 MAbまたはそのフラグメントを含んでなる抗体融合タンパク質またはそのフラグメント、
(c)本明細書に記載の抗CD19 MAbまたはそのフラグメントを含んでなる少なくとも1つの第一のMAbまたはそのフラグメントと、抗CD19 MAbまたはそのフラグメント以外の少なくとも1つの第二のMAbまたはそのフラグメントとを含んでなる抗体融合タンパク質またはそのフラグメント、および
(d)抗CD19 MAbまたはそのフラグメントを含んでなる少なくとも1つの第一のMAbまたはそのフラグメントと、少なくとも1つの第二のMAbまたはそのフラグメントとを含んでなる抗体融合タンパク質またはそのフラグメントであって、第二のMAbが、CD4、CD5、CD8、CD14、CD15、CD19、CD20、CD21、CD22、CD23、CD25、CD33、CD37、CD38、CD40、CD40L、CD46、CD52、CD54、CD74、CD80、CD126、CD138、B7、MUC−1、Ia、HM1.24、HLA−DR、テネイシン、ED−Bフィブロネクチン、IL−6、VEGF、PIGF、TRAIL−R1(DR4)およびTRAIL−R2(DR5)、またはそれらの組合せと反応性のMAbであるもの
からなる群から選択されるMAbまたはそのフラグメントをコードする核酸を含んでなるDNA配列にも関する。
【0034】
本発明は、これらのDNA配列を含んでなる発現ベクターをも包含する。これらのベクターは、ヒト化、キメラおよびヒト抗CD19 MAbまたはその抗体融合タンパク質、またはそれらのフラグメントの調製に用いるベクターの場合には、ヒト免疫グロブリンの軽および重鎖定常領域とヒンジ領域を含む。これらのベクターは、更に、必要な場合には、選択された宿主細胞でMAbを発現するプロモーター、免疫グロブリンエンハンサー、およびシグナルまたはリーダー配列を含む。本発明で特に有用なベクターは、特にIgGのようなキメラ、ヒト化またはヒト抗体を発現するのに用いられるときには、pdHL2またはGSであり、このベクターはIgG1の重および軽鎖定常領域およびヒンジ領域をコードする。更に好ましくは、軽および重鎖定常領域およびヒンジ領域はヒトEU骨髄腫免疫グロブリンに由来し、場合によっては、アロタイプ位の少なくとも1つのアミノ酸は異なるIgG1アロタイプに見られるものに変化し、且つ場合によっては、EUナンバーシステムに基づいたEUの重鎖のアミノ酸253がアラニンに置換されることがある。Edelman et al., Proc. Natl. Acad. Sci USA 63:78-85 (1969)を参照されたい。上記文献の全内容は、引用することにより本明細書の一部とされる。
【0035】
本発明の抗CD19 MAbまたはそのフラグメント、または抗体融合タンパク質またはそのフラグメントをコードするDNA配列を含む宿主細胞、またはこれらのDNA配列を含むベクターを含む宿主細胞は、本発明に包含される。特に有用な宿主細胞は、哺乳類細胞であり、更に具体的には、以下に更に詳細に説明する骨髄腫細胞のようなリンパ性細胞である。
【0036】
本発明は、抗CD19 MAbまたはそのフラグメント、または抗体融合タンパク質またはそのフラグメントの発現方法であって、(a)哺乳類細胞に抗CD19 MAbまたはそのフラグメント、または抗体融合タンパク質またはそのフラグメントをコードするDNA配列をトランスフェクションし、(b)抗CD19またはそのフラグメントまたは抗体融合タンパク質またはそのフラグメントを分泌するDNA配列をトランスフェクションした細胞を培養することを含んでなる、方法も包含する。ベクター上に選択マーカーを含む既知の手法を用いて、MAbとマーカーを容易に選択できるようにすることができる。
【0037】
本発明は、Bリンパ腫細胞および白血病細胞ターゲッティング診断または治療接合体であって、特に少なくとも1つの診断または少なくとも1つの治療薬に結合し、かつBリンパ腫または白血病細胞に結合する、本発明の抗CD19 MAbまたはそのフラグメント、または抗体融合タンパク質またはそのフラグメントを含む抗体成分を含んでなる、診断または治療接合体を包含する。
【0038】
診断接合体は、抗CD19 MAbまたはそのフラグメントまたは抗体融合タンパク質またはそのフラグメントを含んでなる抗体成分を含んでなり、この診断薬は少なくとも1つの光活性診断薬を含んでなり、更に好ましくは、標識はエネルギーが60 − 4,000keVの放射性標識または非放射性標識である。放射性標識は、好ましくはガンマ線−、ベータ線−、および陽電子−放射性同位体であり、125I、131I、123I、124I、86Y、186Re、188Re、62Cu、64Cu、111In、67Ga、68Ga、99mTc、94mTc、18F、11C、13N、15O、76Br、およびそれらの組合せからなる群から選択される。
【0039】
本発明の診断接合体は、例えば、マンガン、鉄またはガドリニウムのようなコントラスト剤、および超音波増強剤などの診断薬も利用する。一態様では、超音波増強剤は、キメラ化またはヒト化抗CD19抗体またはそのフラグメントを含んでなるリポソームである。超音波増強剤が気体が満たされているリポソームであるものも好ましい。同様に、二重特異性抗体をコントラスト剤に接合することができる。例えば、二重特異性抗体は、超音波画像化で使用する2種類以上の画像増強剤を含んでなることがある。超音波増強剤はリポソームであることができ、好ましくは、リポソームはリポソームの外表面に共有結合した二価のDTPA−ペプチドを含んでなる。リポソームに気体が満たされているのも好ましい。
【0040】
本発明の治療接合体は抗体融合タンパク質またはそのフラグメントを含んでなる抗体成分を含んでなり、上記MAbまたはそのフラグメントのそれぞれは少なくとも1つの治療薬に結合している。治療接合体は、好ましくは、放射性標識、免疫調節剤、ホルモン、酵素、オリゴヌクレオチド、光活性治療薬、薬剤または毒素でもよい細胞傷害剤、およびそれらの組合せからなる群から選択される。本発明に有用な薬剤は、抗有糸分裂薬、アルキル化剤、代謝拮抗薬、抗生物質、アルカロイド、抗血管新生薬、アポトーシス薬、およびそれらの組合せからなる群から選択される薬学特性を有する薬剤、並びにRNA干渉経路を活性化する短い二本鎖RNA分子のようなアンチセンスオリゴヌクレオチドおよびRNA分子である。更に具体的には、これらの薬剤は、ナイトロジェンマスタード、エチレンイミン誘導体、アルキルスルホン酸塩、ニトロソ尿素、トリアゼン、葉酸類似体、COX−2阻害薬、ピリミジン類似体、プリン類似体、抗生物質、酵素、エピポドフィロトキシン、白金配位錯体、ビンカアルカロイド、置換尿素、メチルヒドラジン誘導体、副腎皮質ホルモン抑制剤、サリドマイドおよびその誘導体、拮抗薬、エンドスタチン、タキソール、カンプトテシン、アントラサイクリン、タキサン、およびそれらの類似体、およびそれらの組合せからなる群から選択される。本発明に包含される毒素は、リシン、アブリン、アルファ毒素、サポリン、オンコナーゼ、すなわちリボヌクレアーゼ(RNアーゼ)、DNアーゼI、ブドウ球菌エンテロトキシンA、アメリカヤマゴボウ抗ウイルスタンパク質、ゲロニン、ジフテリア毒素、シュードモナス外毒素、およびシュードモナス内毒素からなる群から選択される。
【0041】
本発明に用いるのに適する他の治療薬としては、抗血管新生薬(または血管新生阻害薬)が挙げられる。これらの薬剤は、併用療法での使用、または例えば、アンギオスタチン、エンドスタチン、バスキュロスタチン、カンスタチンおよびマスピンへの抗体の接合、並びに血管内皮増殖因子(VEGF)、胎盤増殖因子(P1GF)、ED−Bフィブロネクチンのような血管新生因子や他の血管増殖因子に対する抗体の使用に適している。一本鎖および二本鎖オリゴヌクレオチドは新しいクラスの治療薬であり、例えば、アンチセンスbcl−2のようなアンチセンスオリゴヌクレオチド、およびRNA干渉経路を活性化し且つbcl−2の阻害のような遺伝子発現の高度に特異的な阻害を引き起こす二本鎖RNA分子のような分子が挙げられる。細胞におけるbcl−2(および関連したbclファミリー分子)の阻害はbcl−2の抗アポトーシス活性を阻害し、細胞のアポトーシスを促進する。Zangemeister-Wittke, Ann N Y Acad Sci. 1002:90-4 (2003)を参照されたい。
【0042】
本発明の有用な治療接合体は、サイトカイン、幹細胞増殖因子、リンホトキシン、造血因子、コロニー刺激因子(CSF)、インターフェロン(IFN)、エリトロポエチン、トロンボポエチンおよびそれらの組合せからなる群から選択される免疫調節剤である。特に有用なものは、腫瘍壊死因子(TNF)のようなリンホトキシン、インターロイキン(IL)のような造血因子、顆粒球−コロニー刺激因子(G−CSF)または顆粒球マクロファージ−コロニー刺激因子(GM−CSF)のようなコロニー刺激因子、インターフェロンアルファ、ベータまたはガンマのようなインターフェロン、または「S1因子」と称される幹細胞増殖因子である。更に具体的には、IL−1、IL−2、IL−3、IL−6、IL−10、IL−12、IL−18、IL−21、インターフェロン、TNFまたはそれらの組合せのような免疫調節剤が本発明で用いられる。
【0043】
特に有用な治療接合体は、エネルギーが60−700keVである1種類以上の放射性標識である。このような放射性標識は、225Ac、67Ga、90Y、111In、131I、125I、186Re、188Re、177Lu、32P、64Cu、67Cu、212Bi、213Bi、211At、およびそれらの組合せからなる群から選択される。他の有用な治療接合体は、クロモゲンchromogen)または色素のような光活性治療薬である。
【0044】
本発明は、特にヒト、イヌおよびネコのような家庭内または伴侶としての愛玩動物などの哺乳類のような患者のB細胞疾患の治療方法を包含する。本発明の方法によって治療することができるB細胞疾患としては、好ましくないまたは望ましくないB細胞増殖または活性を伴う任意の疾患が挙げられ、リンパ腫または白血病細胞疾患のような悪性疾患または自己免疫疾患が挙げられる。この方法は、薬学上許容可能なビヒクル中に処方された、本発明の抗CD19 MAbまたはそのフラグメントの治療上有効量を患者に投与することを含んでなる。この療法は、治療薬が結合していない「裸の抗体」を用いる。「裸の抗CD19抗体」の投与は、標的細胞の表面上の別の抗原に結合するまたはと反応性であるもう一つの「裸の抗体」、または治療効果があり且つ本明細書に記載のMAbのFc部分におけるエフェクター機能のような他の機能を有するもう一つの「裸の抗体」の治療上有効量を患者に同時にまたは逐次的に投与することによって補足することができる。好ましい追加のMAbは、CD4、CD5、CD8、CD14、CD15、CD19、CD20、CD21、CD22、CD23、CD25、CD30、CD33、CD37、CD38、CD40、CD40L、CD45、CD46、CD52、CD54、CD74、CD80、CD126、CD138、B7、HM1.24、HLA−DR、血管新生因子、テネイシン、VEGF、PIGF、ED−Bフィブロネクチン、癌遺伝子、癌遺伝子産物、NCA66a−d、壊死抗原、Ii、IL−2、MUC−1、T101、TAC、IL−6、TRAIL−R1(DR4)およびTRAIL−R2(DR5)と反応性のMAbからなる群から選択され、薬学上許容可能なビヒクル中に処方された、少なくとも1つのヒト化、キメラ、ヒトまたはネズミ(非ヒト動物の場合)MAbである。
【0045】
裸の抗CD19療法を単独でまたは上記の他の裸のMAbと組み合わせた療法はいずれも、薬学上許容可能なビヒクル中に処方された、少なくとも1つの治療薬の治療上有効量をを同時または逐次投与により更に補足することができる。本明細書に記載のように、治療薬は、細胞傷害剤、放射性標識、免疫調節剤、ホルモン、オリゴヌクレオチド(例えば、アンチセンスまたはRNAiオリゴヌクレオチド)、酵素、光活性治療薬またはそれらの組合せを薬学上許容可能なビヒクル中に処方したものを含んでなることがある。
【0046】
もう一つの治療方法では、上記のように、裸の抗CD19療法を単独でまたは上記の他の裸のMAbと組み合わせた療法はいずれも、本明細書に記載され且つ薬学上許容可能なビヒクル中で処方した少なくとも1つの治療接合体の治療上有効量を同時または逐次投与により更に補足することができる。治療接合体の抗体成分は、CD4、CD5、CD8、CD14、CD15、CD19、CD20、CD21、CD22、CD23、CD25、CD33、CD37、CD38、CD40、CD40L、CD46、CD52、CD54、CD74、CD80、CD126、CD138、B7、HM1.24、HLA−DR、血管新生因子、テネイシン、VEGF、PIGF、ED−Bフィブロネクチン、癌遺伝子、癌遺伝子産物、NCA66a−d、壊死抗原、Ii、IL−2、T101、TAC、IL−6、MUC−1、TRAIL−R1(DR4)およびTRAIL−R2(DR5)と反応性のMAbからなる群から選択され、薬学上許容可能なビヒクル中に処方された、少なくとも1つのヒト化、キメラ、ヒトまたはネズミ(非ヒト患者について)MAbを含んでなる。本明細書に記載のように、治療薬は、細胞傷害剤、放射性標識、免疫調節剤、ホルモン、光活性治療薬またはそれらの組合せを薬学上許容可能なビヒクル中で処方したものを含んでなることがある。
【0047】
本明細書に記載のように、本発明は、特に、患者のB細胞リンパ腫または白血病または自己免疫疾患の治療方法であって、薬学上許容可能なビヒクル中に処方された、抗体融合タンパク質またはそのフラグメントであって、本発明の少なくとも2種類の抗CD19 MAbまたはそのフラグメントを含んでなるか、または本発明の少なくとも1つの抗CD19 MAbまたはそのフラグメントと、好ましくはCD4、CD5、CD8、CD14、CD15、CD19、CD20、CD21、CD22、CD23、CD25、CD33、CD37、CD38、CD40、CD40L、CD46、CD52、CD54、CD74、CD80、CD126、CD138、B7、HM1.24、HLA−DR、テネイシン、VEGF、PIGF、ED−Bフィブロネクチン、MUC−1、癌遺伝子、癌遺伝子産物、NCA66a−d、壊死抗原、Ii、IL−2、T101、TAC、IL−6、TRAIL−R1(DR4)およびTRAIL−R2(DR5)と反応性のMAbからなる群から選択される少なくとも1つの追加のMAbとを含んでなる抗体融合タンパク質またはそのフラグメントの治療上有効量を患者に投与することを含んでなる、方法を包含する。
【0048】
この治療方法は、少なくとも1つの治療薬の治療上有効量を薬学上許容可能なビヒクル中で処方したものを患者に同時または逐次投与により更に補足することができ、治療薬は、好ましくは、薬学上許容可能なビヒクル中に処方された、細胞傷害剤、放射性標識、免疫調節剤、ホルモン、光活性治療薬またはそれらの組合せである。
【0049】
更に、抗体融合タンパク質は、少なくとも1つの治療薬に結合した少なくとも1つのMAbを含んでなる治療接合体の治療上有効量と共に患者に同時または逐次投与することができ、接合体の上記MAb成分は、好ましくはCD4、CD5、CD8、CD14、CD15、CD19、CD20、CD21、CD22、CD23、CD25、CD33、CD37、CD38、CD40、CD40L、CD46、CD52、CD54、CD74、CD80、CD126、CD138、B7、MUC1、Ia、HM1.24、HLA−DR、テネイシン、VEGF、PIGF、ED−Bフィブロネクチン、癌遺伝子、癌遺伝子産物、NCA66a−d、壊死抗原、Ii、IL−2、IL−6、T101、TAC、IL−6、TRAIL−R1(DR4)およびTRAIL−R2(DR5)と反応性のMAbからなる群から選択され、薬学上許容可能なビヒクル中に処方された、少なくとも1つのヒト化、キメラ、ヒトまたはネズミ(非ヒト患者について)MAbを含んでなる。抗体融合タンパク質自身は、治療薬に接合させることができ、従って2種類以上の治療薬を抗体成分に結合するビヒクルを提供し、これらの治療薬は、異なる列挙された薬剤の組合せまたは同一薬剤の組合せ、例えば、2種類の異なる治療放射性標識であることができる。
【0050】
本発明は、患者のB細胞リンパ腫または白血病を診断する方法であって、ヒト、およびイヌ、ネコ、ウサギ、モルモットのような家庭内または伴侶としての愛玩動物などの哺乳類のような患者に、リンパ腫または白血病細胞に結合する、本発明の抗CD19 MAbもしくはそのフラグメント、または抗体融合タンパク質もしくはそのフラグメントを含んでなる診断接合体を投与してなり、抗CD19 MAbもしくはそのフラグメントまたは抗体融合タンパク質まもしくはそのフラグメントは、少なくとも1つの診断薬に結合され、薬学上許容可能なビヒクル中に処方されたものである方法も包含する。有用な診断薬本明細書に記載されている。
【0051】
2.定義
下記の記載において、本発明の理解を容易にするために、多数の用語が用いられ、下記の定義が提供される。
【0052】
本明細書に記載の抗体は完全長(すなわち、天然に存在するか、または通常の免疫グロブリン遺伝子フラグメント組換え法によって形成される)免疫グロブリン分子 (例えば、IgG抗体)または抗体フラグメントのような免疫グロブリン分子の免疫学的に活性な(すなわち、特異的に結合する)部分を表す。
【0053】
抗体フラグメントは、F(ab)2、F(ab)2、Fab、Fab、Fv、sFvなどの抗体の部分である。構造とは関わりなく、抗体フラグメントは完全な抗体によって認識される同一抗原と結合する。例えば、抗CD19モノクローナル抗体フラグメントはCD19のエピトープと結合する。「抗体フラグメント」という用語は、特異的抗原に結合して複合体を形成することによって抗体のように作用する任意の合成または遺伝子工学処理を行ったタンパク質も包含する。例えば、抗体フラグメントは、重および軽鎖の可変領域からなる群から選択される「Fv」フラグメントのような可変領域、軽および重可変領域がペプチドリンカー(「scFvタンパク質」)によって連結されている組換え一本鎖ポリペプチド、および超可変領域に似ているアミノ酸残基からなる最小認識単位からなる単離フラグメントを包含する。
【0054】
裸の抗体は、一般的には治療薬に接合していない全抗体である。これは、抗体分子のFc部分が補体固定およびADCC(抗体依存性細胞性細胞傷害)のような機構を作用させて細胞リーシスを生じることができるエフェクター機能を提供するからである。しかしながら、Fc部分を治療機能に必要とせず、アポトーシスのような他の機構が効果を発揮することが可能である。裸の抗体としては、ポリクローナルおよびモノクローナル抗体、並びにキメラ、ヒト化またはヒト抗体のようなある種の組換え抗体が挙げられる。
【0055】
キメラ抗体は、1つの種、好ましくは齧歯類の抗体由来の相補性決定領域(CDR)などの可変ドメインを含む組換えタンパク質であり、抗体分子の定常ドメインはヒト抗体の定常ドメインから誘導される。家畜での応用には、キメラ抗体の定常ドメインは、ネコまたはイヌのような他の種から誘導することができる。
【0056】
ヒト化抗体は、1つの種、例えば、齧歯類抗体由来のCDRを齧歯類抗体の重および軽可変鎖からヒト重および軽可変ドメインに導入した組換えタンパク質である。抗体分子の定常ドメインは、ヒト抗体の定常ドメインから誘導される。
【0057】
ヒト抗体は、抗原投与に応答して特異的ヒト抗体を産生するように「遺伝子工学処理」されたトランスジェニックマウスから得られる抗体である。この手法において、ヒト重および軽鎖座は、内因性の重鎖および軽鎖鎖のターゲッティング崩壊を含む胎児性幹細胞系から誘導されるマウスの株に導入される。トランスジェニックマウスは、ヒト抗原に特異的なヒト抗体を合成することができ、このマウスを用いてヒト抗体を分泌するハイブリドーマを産生することができる。トランスジェニックマウスからヒト抗体を得る方法は、Green et al., Nature Genet. 7:13 (1994)、Lonberg et al., Nature 368:856 (1994)、およびTaylor et al., Int. Immun. 6:579 (1994)に記載されている。完全なヒト抗体も、遺伝子または染色体トランスフェクション法、並びにファージディスプレー法によって構築することができ、これらの方法は総て当該技術分野で知られている。例えば、免役されていないドナー由来の免疫グロブリン可変ドメイン遺伝子レパートリーからのヒト抗体およびそのフラグメントのイン・ビトロでの産生については、McCafferty et al., Nature 348:552-553 (1990)を参照されたい。この手法では、抗体可変ドメイン遺伝子を線状バクテリオファージのメジャーまたはマイナーコートタンパク質にクローニングし、ファージ粒子の表面上で機能性抗体フラグメントとして表示する。線状粒子はファージゲノムの一本鎖DNAコピーを含むので、抗体の機能特性に基づく選択によりこれらの特性を示す抗体をコードする遺伝子も選択される。この方法では、ファージはB細胞の特性の幾つかがよく似ている。ファージディスプレーは、様々なフォーマットで行うことができ、それらの総説については、例えば、Johnson and Chiswell, CurrentOpiniion in Structural Biology 3: 5564-571 (1993)を参照されたい。
【0058】
ヒト抗体は、イン・ビトロで活性化したB細胞によっても生成されることがある。米国特許第5,567,610号明細書および第5,229,275号明細書を参照されたい。上記特許明細書の全内容は、引用することにより本明細書の一部とされる。
【0059】
治療薬は、抗体残基と別個に、同時にまたは逐次的に投与される、または抗体残基、すなわち抗体または抗体フラグメント、または副フラグメントに接合している分子または原子であり、疾患の治療に有用である。治療薬の例としては、抗体、抗体フラグメント、薬剤、毒素、酵素、オリゴヌクレオチド、アンチセンスおよびRNAiオリゴヌクレオチド、ヌクレアーゼ、ホルモン、免疫調節剤、キレート剤、ホウ素化合物、光活性剤または色素、および放射性同位体が挙げられる。
【0060】
診断薬は、抗体残基、すなわち抗体または抗体フラグメント、または副フラグメントに接合して投与される分子または原子であり、抗原を含む細胞の位置を特定することによる疾患の診断に有用である。有用な診断薬としては、放射性同位体、色素(ビオチン−ストレプトアビジン複合体を有するものなど)、コントラスト剤、超音波増強剤、光増強剤、蛍光化合物または分子、および磁気共鳴映像法(MRI)の増強剤(例えば、常磁性イオン)が挙げられるが、これらに限定されない。米国特許第6,331,175号明細書にはMRI法およびMRI増強剤に接合した抗体の調製が記載されており、上記特許明細書の全内容は、引用することにより本明細書の一部とされる。好ましくは、診断薬は、放射性同位体、磁気共鳴映像法に用いる増強剤、超音波、および蛍光化合物からなる群から選択される。抗体成分に放射性金属または常磁性イオンを付加するには、イオンを結合するための多数のキレート基が結合している長い尾を有する試薬と反応させる必要があることがある。このような尾は、ポリリシン、多糖類、または例えば、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、ポルフィリン、ポリアミン、クラウンエーテル、ビス−チオセミカルバゾン、ポリオキシムなどこの目的に有用であることが知られているキレート基が結合することができる側基を有する他の誘導体形成したまたは誘導体形成可能な鎖のようなポリマーであることができる。キレートを、標準的化学的方法を用いてペプチド抗原にカップリングさせる。キレートは、通常は免疫反応性の損失をできるだけ抑え且つ凝集および/または内部架橋を最小限にして分子への結合を形成することができる基によって抗体に連結している。キレートを抗体に接合するための他の一層変わった方法および試薬は、1989年4月25日発行の「抗体接合体」という標題のHawthorneに対する米国特許第4,824,659号明細書に開示されており、その全内容は、引用することにより本明細書の一部とされる。特に有用な金属−キレート組合せとしては、一般的エネルギー範囲が60 − 4,000 keVの125I、131I、123I、124I、62Cu、64Cu、18F、111In、67Ga、68Ga、99mTc、94mTc、11C、13N、15O、76Brのような放射性映像法の診断用同位体と共に用いられる2−ベンジル−DTPAおよびそのモノメチルおよびシクロヘキシル類似体が挙げられる。同じキレートは、マンガン、鉄およびガドリニウムのような非放射性金属と複合体形成するときには、本発明の抗体と共に用いるときにMRIに有用である。NOTA、DOTAおよびのような多環キレートは、様々な金属および放射性金属、特にガリウム、イットリウムおよび銅と共に用いられる。このような金属−キレート複合体は、環の大きさを目的とする金属に合わせることによって極めて安定にすることができる。RAITについての223Raのような核種を安定に結合するのに重要な多環ポリエーテルのような他の環の種類のキレートは、本発明に包含される。
【0061】
免疫接合体は、抗体成分と治療または診断薬との接合体である。診断薬は放射性非放射性標識、コントラスト剤(例えば、磁気共鳴映像法、コンピュータートモグラフイーまたは超音波用の)を含んでなることができ、放射性標識はガンマ線−、ベータ線−、アルファ線−、オージェ電子−、または陽電子−放射性同位体であることができる。
【0062】
発現ベクターは、宿主細胞で発現する遺伝子を含んでなるDNA分子である。典型的には、遺伝子発現は、構成的または誘導的プロモーター、組織特異的調節要素、およびエンハンサーなどのある種の調節要素の制御下にある。このような遺伝子は、調節要素に「操作可能連結」しているといわれる。
【0063】
組換え宿主は、クローニングベクターまたは発現ベクターを含む任意の原核または真核細胞であることができる。この用語は、原核または真核細胞、並びに遺伝子工学処理を行って宿主細胞または宿主細胞の細胞の染色体またはゲノムに(複数の)クローニングした遺伝子を含むトランスジェニック動物も包含する。適当な方法に宿主細胞としては、SP2/0細胞およびNSO細胞のような骨髄腫細胞、並びにチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、ハイブリドーマ細胞系、および抗体発現に有用な他の哺乳類宿主細胞が挙げられる。WO 0063403 A2号明細書に開示されているヒト細胞系PER.C6であって、CHO、COS、Vero、Hela、BHKおよびSP2細胞系のような通常の哺乳類細胞系と比較して、2−200倍の組換えタンパク質を産生するものも、MAbおよび他の融合タンパク質の発現に特に有用である。修飾された免疫系を有する特殊なトランスジェニック動物は、完全なヒト抗体の作製に特に有用である。
【0064】
本明細書で用いられる抗体融合タンパク質という用語は、同一または異なる特異性を有する2つ以上の同一または異なる一本鎖抗体または抗体フラグメントセグメントが結合している組換えによって産生した抗原結合分子である。融合タンパク質の結合価は、単一の抗原またはエピトープに対していくつの結合アームまたは部位を有するか、すなわち、一価、二価、三価または多価であるかを示している。抗体融合タンパク質が多価であることは、抗原に対する結合に多重相互作用を利用することにより、抗原に対する結合のアビディティーを増加することができることを意味する。特異性は、抗体融合タンパク質がいくつの抗原またはエピトープを結合することができるか、すなわち単一特異性、二重特異性、三重特異性、多重特異性であるかを示している。これらの定義を用いると、天然抗体、例えば、IgGは2本の結合アームを有するので二価であるが、これは1つのエピトープに結合するので単一特異性である。単一特異性の多価融合タンパク質は1つのエピトープに対して2つ以上の結合部位を有するが、1つのエピトープ、例えば、同一抗原と反応する2つの結合部位を有するダイアボディーとのみ結合する。融合タンパク質は、単一の抗体成分、多価または多重特異性の組合せの異なる抗体成分、または同一抗体成分の多数のコピーを含んでなることがある。融合タンパク質は、更に抗体または抗体フラグメントと治療薬を含んでなることがある。このような融合タンパク質に適する治療薬の例としては、免疫モジュレーター(「抗体−免疫モジュレーター融合タンパク質」)および毒素(「抗体−毒素融合タンパク質」)が挙げられる。好ましい毒素は、リボヌクレアーゼ((RNアーゼ)であり、好ましくは組換えRNアーゼである。
【0065】
多重特異性抗体は、構造が異なる少なくとも2種類の標的、例えば、2種類の異なる抗原、同一抗原上の2種類の異なるエピトープ、またはハプテンおよび/または抗原またはエピトープに同時に結合することができる抗体である。一つの特異性は、B細胞、T細胞、骨髄性、血漿、およびマスト細胞抗原またはエピトープに対するものであろう。もう一つの特異性は、B細胞上のCD20、CD19、CD20、CD21、CD23、CD46、CD80、HLA−DR、CD74、CD22のような同一細胞型上の異なる抗原に対するものである可能性がある。多重特異性の多価抗体は、2つ以上の結合部位を有する構築物であり、これらの結合部位は異なる特異性のものである。例えば、ダイアボディーであり、一方の結合部位は1つの抗原と反応し、他の結合部位はもう一つの抗原と反応する。
【0066】
二重特異性抗体は、構造が異なる2種類の標的に同時に結合することができる抗体である。二重特異性抗体(bsAb)および二重特異性抗体フラグメント(bsFab)は、例えば、B細胞、T細胞、骨髄性、血漿、およびマスト細胞抗原またはエピトープに特異的に結合する少なくとも1つのアームと、治療または診断薬を有するターゲッティング可能な接合体に特異的に結合する少なくとも1つの他のアームを有する。様々な二重特異性融合タンパク質は、分子の工学処理を用いて産生することができる。1つの形態では、二重特異性融合タンパク質は一価であり、例えば、1つの抗原に対して単一結合部位を有するscFvと第二の抗原に対して単一結合部位を有するFabフラグメントからなっている。もう一つの形態では、二重特異性融合タンパク質は二価であり、例えば、1つの抗原に対して結合部位を有するIgGと、第二の抗原に対して2つの結合部位を有する2つのscFvからなっている。
【0067】
イヌ化またはネコ化抗体は、モノクローナル抗体の齧歯類(または別の種)の相補性決定領域が齧歯類(または別の種)の免疫グロブリンの重および軽可変鎖からそれぞれイヌまたはネコの免疫グロブリン可変ドメインに導入されている組換えタンパク質である。
【0068】
家畜としては、ウマ、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ラマ、アルパカ、およびブタのような大型動物、並びに伴侶としての動物が挙げられる。好ましい態様では、家畜はウマである。
【0069】
伴侶としての動物としては、愛玩動物として飼われている動物が挙げられる。これらは主としてイヌとネコであるが、モルモット、ハムスター、ラットおよびフェレットのような小型齧歯類も、サルのようなヒトより下等な霊長類と同様に挙げられる。好ましい態様では、伴侶としての動物は、イヌまたはネコである。
【0070】
3.キメラ、ヒト化およびヒト抗体などのモノクローナル抗体の調製
モノクローナル抗体(MAb)は、特定の抗原に対する抗体の均質な個体群であり、この抗体は1種類のみの抗原結合部位を含んでなり、抗原決定基上の1つのエピトープのみに結合する。特異抗原に対する齧歯類のモノクローナル抗体は、当業者に知られている方法によって得ることができる。例えば、Kohler and Milstein, Nature 256:495 (1975)、およびColigan et al.(監修),「免疫学の最新のプロトコール 第1巻」,2.5.1−2.6.7頁(John Wiley & Sons 1991)[以下、「Coligan」と表す]を参照されたい。簡単に説明すれば、モノクローナル抗体は、マウスに抗原を含んでなる組成物を投与し、血清試料を採取することによって抗体産生の存在を明らかにし、脾臓を取り出してBリンパ球を得て、Bリンパ球を骨髄腫細胞と融合してハイブリドーマを産生し、抗原に対する抗体を産生する陽性クローンを選択し、抗原に対する抗体を産生するクローンを培養し、ハイブリドーマ培養物から抗体を単離することによって得ることができる。
【0071】
MAbは、様々な完全に確立された手法によってハイブリドーマ培養物から単離して、精製することができる。このような単離法としては、プロテインAセファロースを用いるアフィニティークロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、およびイオン交換クロマトグラフィーが挙げられる。例えば、Coliganの2.7.1−2.7.12頁および2.9.1−2.9.3頁を参照されたい。また、Baines et al.,「分子生物学の方法 第10巻」の「免疫グロブリンG(IgG)の精製」,79−104頁(The Humana Press, Inc. 1992)も参照されたい。
【0072】
免疫源に対する抗体を最初に生じさせた後、抗体を配列決定し、次いで組換え法によって調製することができる。ネズミ抗体および抗体フラグメントのヒト化およびキメラ化は、当業者に周知である。例えば、ヒト化モノクローナル抗体は、マウス免疫グロブリンの重および軽可変鎖由来のマウス相補性決定領域をヒト可変ドメインに導入した後、ネズミ対応部の枠組構造領域におけるヒト残基を置換することによって産生される。ヒト化モノクローナル抗体由来の抗体成分を用いることによって、ネズミ定常領域の免疫原性に関する潜在的な問題が回避される。
【0073】
ネズミ免疫グロブリン可変ドメインをクローニングするための一般的手法は、例えば、Orlandi et al., Proc. Nat'l Acad. Sci. USA 86:3833 (1989)の公表文献に記載されており、その全内容は、引用することにより本明細書の一部とされる。キメラ抗体を構築する手法は、当業者には周知である。一例として、Leung et al., Hybridoma 13:469 (1994)には、アンチ−CD22抗体であるLL2モノクローナル抗体のVおよびVHドメインをコードするDNA配列をそれぞれのヒトおよびIgG1定常領域ドメインと組み合わせることによるLL2キメラの産生方法が記載されている。この公表文献は、LL2軽および重鎖可変領域、それぞれVおよびVHのヌクレオチド配列も提供する。ヒト化MAbを産生する手法は、例えば、Jones et al., Nature 321:522 (1986)、Riechmann et al., Nature 332:323 (1988)、Verhoeyen et al., Science 239:1534 (1988)、Carter et al., Proc. Nat'l Acad. Sci. USA 89:4285 (1992)、Sandhu, Crit. Rev. Biotech. 12:437 (1992)、およびSinger et al., J. Immun. 150:2844 (1993)に記載されており、それらの文献のそれぞれの全内容は、引用することにより本明細書の一部とされる。
【0074】
キメラ抗体は、齧歯類抗体のような動物の1種由来のCDRを包含する可変ドメインを含むが、抗体分子の残りの部分、すなわち定常ドメインはヒト抗体由来である組換えタンパク質である。従って、キメラモノクローナル抗体は、キメラMAbの可変ドメインにおけるネズミFRの配列を1つ以上の異なるヒトFRで置換することによってヒト化することもできる。具体的には、マウスCDRを、マウス免疫グロブリンの重および軽可変鎖からヒト抗体の相当する可変ドメインに導入する。マウスCDRのヒトFRへの単なる導入は抗体アフィニティーの減少または喪失さえ生じることが多いので、ネズミ抗体の元のアフィニティーを回復するために追加の修飾が必要なことがある。これは、FR領域における1つ以上のどれかのヒト残基をネズミの相対物に換えて、そのエピトープに対する良好な結合アフィニティーを有する抗体を得ることによって行うことができる。例えば、Tempest et al., Biotechnology 9:266 (1991)、およびVerhoeyen et al., Science 239:1534 (1988)を参照されたい。更に、特異的エピトープに対するヒト化、キメラおよびヒトMAbのアフィニティーをCDRの突然変異誘発によって増加させ、低用量の抗体が突然変異誘発前の低アフィニティーMAbの高用量と同じく有効にすることができる。例えば、WO 0029584A1号明細書を参照されたい。
【0075】
本発明の抗体を産生させるもう一つの方法は、トランスジェニック家畜の乳における産生による方法である。例えば、Colman, A., Biochem. Soc. Symp., 63:141-147, 1998、米国特許第5,827,690号明細書を参照されたい。両文献の全内容は、引用することにより本明細書の一部とされる。対になった免疫グロブリンの重および軽鎖をコードするDNAセグメントをそれぞれ含む2種類のDNA構築物を調製する。DNAセグメントを、哺乳類上皮細胞で優先的に発現するプロモーター配列を含む発現ベクター中にクローニングする。例としては、ウサギ、ウシおよびヒツジカゼイン遺伝子、ウシラクトグロブリン遺伝子、ヒツジラクトグロブリン遺伝子、およびマウスホエー酸タンパク質遺伝子由来のプロモーターが挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは、挿入されるフラグメントは、哺乳類に特異的遺伝子由来のコグネイトゲノム配列によってフランキングさせる。これにより、ポリアデニル化部位および転写安定化配列が提供される。発現カセットを哺乳類受精卵の前核に同時投与した後、被移植雌の子宮に移植し、妊娠させる。誕生後、子孫をサザンブロット分析法によって両トランスジーンの存在についてスクリーニングする。抗体が存在するためには、重および軽鎖遺伝子はいずれも同一細胞で同時に発現しなければならない。トランスジェニック雌由来の乳を、当該技術分野で知られている抗体または抗体フラグメントの存在および機能性について分析する。抗体は、当該技術分野で知られている標準的方法を用いて乳から精製することができる。
【0076】
本発明の完全なヒト抗体、すなわちヒト抗CD19 MAbまたは他のヒト抗体、例えば、ヒト化、キメラまたはヒト抗CD19抗体との併用療法のための抗CD22、抗CD19、抗CD23、抗CD20または抗CD21 MAbは、非ヒトトランスジェニック動物から得ることができる。例えば、Mendez et al., Nature Genetics, 15:146-156 (1997)、米国特許第5,633,425号明細書を参照されたい。これらの文献の全内容は、引用することにより本明細書の一部とされる。例えば、ヒト抗体は、ヒト免疫グロブリン座を有するトランスジェニックマウスから回収することができる。マウス体液性免疫系は、内在性免疫グロブリン遺伝子を不活性化し、ヒト免疫グロブリン座を導入することによってヒト化される。ヒト免疫グロブリン座は過度に複雑であり、ヒトゲノムのほぼ0.2%を互いに占める多数の別個なセグメントを含んでなる。トランスジェニックマウスが抗体の適当なレパートリーを産生することができるようにするには、ヒト重および軽鎖座の大きな部分をマウスゲノムに導入しなければならない。これは、青色細胞系配置にヒト重または軽鎖免疫グロブリン座を含む酵母の人工染色体(YAC)の形成から始めて、段階的に行う。それぞれのインサートはサイズが約1 Mbであるので、YACの構築には免疫グロブリン座の重複しているフラグメントの相同組換えが必要である。1つが重鎖座を含み且つ1つが軽鎖座を含む2つのYACを、YACを含む酵母スフェロブラスト(spheroblasts)をマウス胎児性幹細胞と融合することによってマウスに別個に導入する。次に、胎児性幹細胞クローンを、マウス胚盤胞に微量投与する。生成するキメラ雄動物をそれらの生殖細胞系を介してYACを伝達する能力についてスクリーニングし、ネズミ抗体産生に欠陥のあるマウスと共に飼育する。1つがヒト重鎖座を含み且つ他方がヒト軽鎖座を含む2つのトランスジェニック株を飼育して、免疫化に応答してヒト抗体を産生する子孫を作る。
【0077】
二重特異性MAbを産生する更に最近の方法としては、追加のシステイン残基を有し、より普通に見られる免疫グロブリンアイソタイプより一層強力に架橋している遺伝子工学処理を行った組換えMAbが挙げられる。例えば、FitzGerald et al., Protein Eng. 10(10):1221-1225, 1997を参照されたい。もう一つの方法は、必要とされる二重特異性を有する2つ以上の異なる一本鎖抗体または抗体フラグメントセグメントを連結する組換え融合タンパク質を工学処理することである。例えば、Coloma et al., Nature Biotech. 15:159-163, 1997を参照されたい。様々な二重特異性融合タンパク質を、分子工学処理を用いて産生することができる。例えば、Alt et al., FEBS Lett. 454:90-4 (1999)を参照されたい。この文献の全内容は、引用することにより本明細書の一部とされる。一つの形態では、二重特異性融合タンパク質は一価であり、例えば、1つの抗原に対して単一結合部位を有するscFvと、第二の抗原に対して単一結合部位を有するFabフラグメントからなっている。もう一つの形態では、二重特異性融合タンパク質は二価であり、例えば、1つの抗原に対して2つの結合部位を有するIgGと、第二の抗原に対して2つの結合部位を有する2つのscFvからなっている。
【0078】
2つ以上の異なる一本鎖抗体または抗体フラグメントを連結する二重特異性融合タンパク質も、同様の方法で産生される。組換え法を用いて、様々な融合タンパク質を産生することができる。例えば、ヒト化モノクローナル抗CD19抗体由来のFabフラグメントとネズミ抗ジDTPA由来のscFvを含んでなる融合タンパク質を産生することができる。GGGSのような柔軟リンカーが、scFvを抗CD19抗体の重鎖の定常領域に結合する。あるいは、scFvを、別のヒト化抗体の軽鎖の定常領域に結合させることができる。重鎖FdをscFvにインフレーム接続するのに必要な適当なリンカー配列を、PCR反応によってVLおよびVkドメインに導入する。次に、scFvをコードするDNAフラグメントを、CH1ドメインをコードするDNA配列を含むステージングベクター(stagingベクター)に連結する。生成するscFv−CH1構築物を取り出して、抗CD19抗体のVH領域をコードするDNA配列を含むベクターに連結する。生成するベクターを用いて、二重特異性融合タンパク質を発現させる目的で哺乳類細胞のような適当な宿主細胞をトランスフェクションすることができる。
【0079】
4.抗体フラグメントの産生
特異的エピトープを認識する抗体フラグメントは、既知の手法によって生成させることができる。抗体フラグメントは、F(ab’)2、Fab’、Fab、Fv、sFvなどの抗体の抗原結合部分である。他の抗体フラグメントとしては、抗体分子のペプシン消化によって産生させることができるF(ab)’2フラグメント、およびF(ab)’2フラグメントのジスルフィド橋を換言することによって生成させることができるFab’フラグメントが挙げられるが、これらに限定されない。あるいは、Fab’発現ライブラリーを構築して(Huse et al., 1989, Science, 246:1274-1281)、所望な特異性を有するモノクローナルFab’フラグメントを迅速且つ容易に同定することができる。本発明は、抗体および抗体フラグメントを包含する。
【0080】
一本鎖Fv分子(scFv)は、VLドメインとVHドメインを含んでなる。VLおよびVHドメインは会合して、標的結合部位を形成している。これらの2つのドメインは、更にペプチドリンカー(L)によって共有結合している。scFv分子は、VLドメインがscFv分子のN末端部分である場合にはVL−L−VHと表され、またはVHドメインがscFv分子のN末端部分である場合にはVH−L−VLと表される。scFv分子を作製し、適当なペプチドリンカーをデザインする方法は、米国特許第4,704,692号明細書、米国特許第4,946,778号明細書、R. Raag and M. Whitlow,「一本鎖Fv」FASEB Vol 9:73-80 (1995)、およびR. E. Bird and B. W. Walker,「一本鎖抗体可変領域」,TIBTECH, Vol 9:132-137 (1991)に記載されている。これらの文献の全内容は、引用することにより本明細書の一部とされる。
【0081】
抗体フラグメントは、完全長の抗体のタンパク質分解性加水分解によって、またはE. coliまたはフラグメントをコードするDNAの別の宿主における発現によって調製することができる。抗体フラグメントは、常法により完全長抗体のペプシンまたはパパイン消化によって得ることができる。例えば、抗体フラグメントは、抗体をペプシンによる酵素開裂によって産生させ、F(ab)2と表される5Sフラグメントを提供することができる。このフラグメントを、チオール還元剤と、場合によってはジスルフィド結合の開裂から生じるスルフヒドリル基の保護基を用いて開裂して、3.5S Fab一価フラグメントを産生することができる。あるいは、パパインを用いる酵素開裂により、2種類の一価Fabフラグメントと1つのFcフラグメントを直接産生する。これらの方法は、例えば、Goldenberg、米国特許第4,036,945号明細書および第4,331,647号明細書、およびそこに含まれている文献に記載されており、これらの文献の全内容は、引用することにより本明細書の一部とされる。また、Nisonoff et al., Arch Biochem. Biophys. 89:230 (1960)、Porter, Biochem. J. 73:119 (1959)、Edelman et al.,「酵素学の方法 第1巻」,422頁(Academic Press 1967)、およびColigan,2.8.1−2.8.10頁および2.10.−2.10.4頁も参照されたい。
【0082】
もう一つの形態の抗体フラグメントは単一の相補性決定領域(CDR)をコードするペプチドである。CDRは、抗体が結合し且つ可変領域の残りより一層可変性であるエピトープに構造が相補性である抗体の可変領域のセグメントである。従って、CDRは、超可変領域と表されることがある。可変領域は3つのCDRを含んでなる。CDRペプチドは、目的の抗体のCDRをコードする遺伝子を構築することによって得ることができる。このような遺伝子は、例えば、ポリメラーゼ連鎖反応を用いて抗体産生細胞のRNA由来の可変領域を合成することによって調製される。例えば、Larrick et al., Methods: A Companion to Methods in Erazymology 2:106 (1991)、Courtenay-Luck,「モノクローナル抗体の遺伝子操作」/『モノクローナル抗体: 産生、遺伝子工学技術および臨床応用』Ritter et al. (監修),166−179頁(Cambridge University Press 1995)、およびWard et al.,「抗体の遺伝子操作および発現」/『モノクローナル抗体: 原理と応用』,Birch et al. (監修),137−185頁(Wiley-Liss, Inc. 1995)を参照されたい。
【0083】
一価の軽−重鎖フラグメントを形成するための重鎖の分離、フラグメントの更なる開裂、または他の酵素的、化学的または遺伝子技術のような抗体を開裂する他の方法を、完全な抗体によって認識される抗原にフラグメントが結合する限り用いることもできる。
【0084】
5.多重特異性の多価抗体
抗CD19抗体、並びに本明細書に記載の併用療法に使用する異なる特異性を有する他の抗体を、多重特異性抗体(CD19エピトープまたは抗原に対して少なくとも1つの結合部位とCD19上の別のエピトープまたは別の抗原に対して少なくとも1つの結合部位を含んでなる)および多価抗体(同一のエピトープまたは抗原に対して複数の結合部位を含んでなる)とすることもできる。
【0085】
本発明は、ターゲッティングした細胞マーカーに特異的に結合する少なくとも1つの結合領域とターゲッティング可能な接合体に特異的に結合する少なくとも1つの他の結合領域とを有する二重特異性抗体または抗体フラグメントを提供する。ターゲッティング可能な接合体は、二重特異性抗体または抗体フラグメントの少なくとも1つの結合領域によって認識される少なくとも1つのエピトープを含んでなるまたは有するキャリヤー部分を含んでなる。
様々な組換え法を用いて、上記のような二重特異性抗体および抗体フラグメントを産生することができる。
【0086】
抗CD19多価抗体も、本発明において意図される。この多価の標的結合タンパク質は、第一および第二のポリペプチドの会合によって構築される。第一のポリペプチドは、好ましくは免疫グロブリン軽鎖可変領域ドメインである第一の免疫グロブリン様ドメインに共有結合した第一の一本鎖Fv分子を含んでなる。第二のポリペプチドは、好ましくは免疫グロブリン重鎖可変領域ドメインである第二の免疫グロブリン様ドメインに共有結合した第二の一本鎖Fv分子を含んでなる。第一および第二の一本鎖Fv分子は標的結合部位を形成し、第一および第二の免疫グロブリン様ドメインは会合して、第三の標的結合部位を形成する。
【0087】
VL−L−VH配置(但し、Lはリンカーである)を有する一本鎖Fv分子は、VH−L−VL配置を有する別の一本鎖Fv分子と会合して、二価二量体を形成することがある。この場合には、第一のscFvのVLドメインと第二のscFv分子のVHドメインは会合して一つの標的結合部位を形成し、第一のscFvのVHドメインと第二のscFvのVLドメインが会合して他の標的結合部位を形成する。
【0088】
本発明のもう一つの態様は、非共有的に会合して3つの結合部位を形成する2本の非相同ポリペプチド鎖を含んでなるCD19二重特異性の三価ターゲッティングタンパク質であり、結合部位の2つは1つの標的にアフィニティーを有し、第三のものは作製して診断および/または治療薬のキャリヤーに結合させることができるハプテンにアフィニティーを有する。好ましくは、結合タンパク質は、2つのCD19結合部位と1つのCD22結合部位を有する。二重特異性の三価ターゲッティング剤は2つの異なるscFvを有し、1つのscFvは一方の抗体のVLドメインに短いリンカーによって連結された別の抗体由来の2つのVHドメインを含み、第二のscFvは第一の抗体のVHドメインに短いリンカーによって連結された他の抗体由来のVLドメインを含む。VHおよびVLドメインから多価の多重特異性薬剤を生成する方法は、宿主生物でDNAプラスミドから合成された個々の鎖がVHドメイン(VH鎖)だけまたはVLドメイン(VL鎖)だけから構成され、多価および多重特異性の任意の薬剤を1本のVH鎖と1本のVL鎖の非共有的会合によって生成させることができることを提供する。例えば、三価の三重特異性薬剤を形成すると、VH鎖は3つのVHドメインであって、それぞれが特異性が異なる抗体に由来し、可変長のペプチドリンカーによって連結されたもののアミノ酸配列からなり、VL鎖は、VH鎖に用いたのと同様なペプチドリンカーによって連結された相補性VLドメインからなる。抗体のVHおよびVLドメインは逆平行的会合しているので、本発明の好ましい方法は、VH鎖のVHドメインと逆の順で配置されたVL鎖のVLドメインを有する。
【0089】
6.ダイアボディー、トリアボディーおよびテトラボディー
本発明の抗CD19抗体を用いて、ダイアボディーとも称される機能性の二重特異性一本鎖抗体(bscAb)を調製することもでき、組換え法を用いて哺乳類細胞で産生させることができる。例えば、Mack et al., Proc. Natl. Acad. Sci., 92:7021-7025, 1995を参照されたい。上記文献の全内容は、引用することにより本明細書の一部とされる。例えば、bscAbは、組換え法を用いるグリシン−セリンリンカーを介して2つの一本鎖Fvフラグメントを結合することによって産生される。目的とする2つの抗体のV軽鎖(VL)とV重鎖(VH)ドメインを、標準的PCR法を用いて単離する。次に、それぞれのハイブリドーマから得られたVLおよびVH cDNAを結合させて、二段階式PCRで一本鎖フラグメントを形成する。第一のPCR段階では、(Gly4−Ser1)3リンカーを導入し、第二の段階ではVLとVHアンプリコンを結合する。次に、それぞれの一本鎖分子を、細菌発現ベクター中でクローニングする。増幅の後、一本鎖分子の1つを切り出し、目的とする第二の一本鎖分子を含む他のベクター中にサブクローニングする。生成するbscAbフラグメントを、真核生物発現ベクター中にサブクローニングする。機能性タンパク質発現は、ベクターをチャイニーズハムスター卵巣細胞にトランスフェクションすることによって得ることができる。二重特異性融合タンパク質は、同様の方法で調製される。二重特異性一本鎖抗体および二重特異性融合タンパク質は、本発明の範囲内に含まれる。
【0090】
例えば、ヒト化、キメラまたはヒト抗CD19モノクローナル抗体を用いて、抗原特異的ダイアボディー、トリアボディー、およびテトラボディーを産生することができる。単一特異性ダイアボディー、トリアボディー、およびテトラボディーターゲッティングした抗原に選択的に結合し、分子上の結合部位の数が増加すると、標的細胞に対するアフィニティーが増加し、所望の位置における滞留時間が長くなる。ダイアボディーについては、5つのアミノ酸残基リンカーによってヒト化CD19 MAbのVkポリペプチドに連結したヒト化CD19 MAbのVHポリペプチドを含んでなる2本の鎖を用いる。それぞれの鎖は、ヒト化CD19ダイアボディーの半分を形成している。トリアボディーの場合には、リンカーを用いずにヒト化CD19 MAbのVkポリペプチドに連結したヒト化CD19 MAbのVHポリペプチドを含んでなる3本の鎖を用いる。それぞれの鎖は、hCDl9トリアボディーの3分の1を形成している。
【0091】
本明細書に記載の二重特異性ダイアボディーの究極的使用は、CD19陽性腫瘍のプレターゲッティングの後、診断または治療薬を特異的に伝達することである。これらのダイアボディーはターゲッティングした抗原に選択的に結合し、アフィニティーを増加し、所望の位置における滞留時間を長くする。更に、非抗原に結合したダイアボディーは体内から速やかに除かれ、正常組織の暴露は最小限になる。クリアランス速度を高めるための二重特異性抗体の点突然変異は、Qu et al.の米国仮出願出願番号第60/361,037号明細書(Atty Docket No. 1873311037)に見出すことができ、上記明細書の全内容は、引用することにより本明細書の一部とされる。アフィニティー増加についての二重特異性ダイアボディーは、米国特許出願第10/270,071号明細書(Rossi et al.)、第10/270,073号明細書(Rossi et al.)、および第10/328,190号明細書(Rossi et al.)に開示されており、上記明細書の全内容は、引用することにより本明細書の一部とされる。診断および治療薬としては、同位体、薬剤、毒素、サイトカイン、ホルモン、酵素、オリゴヌクレオチド、増殖因子、接合体、放射性核種、および金属が挙げられる。例えば、ガドリニウム金属は、磁気共鳴映像法(MRI)に用いられる。放射性核種の例は、225Ac、18F、68Ga、67Ga、90Y、86Y、111In、131I、125I、123I、99mTc、186Re、188Re、177Lu、62Cu、64Cu、67Cu、212Bi、213Bi、32P、11C、13N、15O、76Brおよび211Atである。他の放射性核種、特に60−4,000keVのエネルギー範囲のものを、診断および治療薬として用いることもできる。
【0092】
更に最近では、二重特異性を有する四価のタンデムダイアボディー(タンダブと呼ばれる)も、報告されている(Cochlovius et al., Cancer Research (2000) 60:4336-4341)。二重特異性タンダブは2個の同一ポリペプチドの二量体であって、自己会合時に2種類の異なる特異性のそれぞれについて2つの潜在的結合部位の形成を促進する配向で結合した2つの異なる抗体の4つの可変ドメイン(VH1、VL1、VH2、VL2)を含む。
【0093】
7.多価および多重特異性抗CD19抗体の接合体
本発明のもう一つの態様は、多価抗CD19抗体の接合体である。多価多重特異性薬剤の組成および方法は、Rossi et al.の2002年12月24日出願の米国特許出願出願番号第60/436,359号明細書、および2003年4月23日出願の米国特許出願出願番号第60/464,532号明細書に記載されており、上記特許明細書の全内容は、引用することにより本明細書の一部とされる。
【0094】
追加のアミノ酸残基は、第一または第二のポリペプチドのNまたはC末端に付加することができる。追加のアミノ酸残基は、ペプチドタグ、シグナルペプチド、サイトカイン、酵素(例えば、プロドラッグ活性化酵素)、ホルモン、シュードモナス外毒素のようなペプチド毒素、ペプチド薬、細胞傷害性タンパク質、または他の機能性タンパク質を含んでなることがある。本明細書で用いられる機能性タンパク質は、生物学的機能を有するタンパク質である。
【0095】
一態様では、薬剤、毒素、放射性化合物、酵素、ホルモン、オリゴヌクレオチド、細胞傷害性タンパク質、キレート、サイトカイン、および他の機能性薬剤を、好ましくは多価標的結合タンパク質のアミノ酸残基の側鎖、例えば、アミン、カルボキシル、フェニル、チオール、またはヒドロキシル基に、共有結合を介して、多価標的結合タンパク質に接合することができる。様々な通常のリンカー、例えば、ジイソシアネート、ジイソチオシアネート、ビス(ヒドロキシスクシンイミド)エステル、カルボジイミド、マレイミド−ヒドロキシスクシンイミドエステル、グルタルアルデヒドなどを、この目的に用いることができる。多価タンパク質に対する薬剤の接合は、タンパク質の結合特異性またはその標的に対するアフィニティーに余り影響しないことが好ましい。本明細書で用いられる機能性薬剤は、生物学的機能を有する薬剤である。好ましい機能性薬剤は細胞傷害剤である。
【0096】
上記のように、酵素も有用な治療薬である。例えば、リン酸含有プロドラッグと組み合わせて用いるアルカリホスファターゼ(米国特許第4,975,278号明細書)、硫酸含有プロドラッグと組み合わせて用いるアリールスルファターゼ(米国特許第5,270,196号明細書)、セラチアプロテアーゼ、サーモリシン、ズブチリシン、カルボキシペプチダーゼのようなペプチダーゼおよびプロテアーゼ(米国特許第5,660,829号明細書、第5,587,161号明細書、第5,405,990号明細書)、およびペプチドを基としたプロドラッグと組み合わせて用いるカテプシン(カテプシンBおよびLを包含する)、D−アミノ酸修飾プロドラッグと組み合わせて用いるD−アラニルカルボキシペプチダーゼ、グリコシル化プロドラッグと組み合わせて用いるβ−ガラクトシダーゼおよびノイラミニダーゼのような炭水化物開裂酵素(米国特許第5,561,119号明細書、第5,646,298号明細書)、βラクタム含有プロドラッグと組み合わせて用いるβ−ラクタマーゼ、フェノキシアセタミドまたはフェニルアセタミド基でアミノ窒素を誘導体形成した薬剤と組み合わせて用いるペニシリン−V−アミダーゼ(米国特許第4,975,278号明細書)またはペニシリン−G−アミダーゼのようなペニシリンアミダーゼ、および5−フルオロシトシンを基とするプロドラッグ(米国特許第4,975,278号明細書)と組み合わせて用いるシトシンデアミナーゼが、本発明に適当な治療薬である。
【0097】
更に他の態様では、治療薬またはプロドラッグポリマーの二重特異性抗体によって指定されるイン・ビボ標的への伝達を、放射性核種の二重特異性抗体伝達と組み合わせて、化学療法と放射免疫療法を併用することができる。それぞれの療法をターゲッティング可能な接合体に接合させ、同時に投与することができ、または核種を第一のターゲッティング可能な接合体の部分として投与し、薬剤を後の段階で第二のターゲッティング可能な接合体の部分として投与することができる。
【0098】
もう一つの態様では、細胞傷害剤をポリマー性キャリヤーに接合させることができ、ポリマー性キャリヤーを続いて多価標的結合タンパク質に接合させることができる。この方法については、Ryser et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 75:3867-3870, 1978、米国特許第4,699,784号明細書および米国特許第4,046,722号明細書を参照されたい。上記文献の全内容は、引用することにより本明細書の一部とされる。接合は、多価結合タンパク質の結合特異性またはアフィニティーに余り影響しないことが好ましい。
【0099】
8.治療および診断へのヒト化、キメラおよびヒト抗体の使用
本発明によるヒト化、キメラおよびヒトモノクローナル抗体、すなわち本明細書に記載の抗CD19 MAbおよび他のMAbは、治療方法および診断方法に用いるのに適している。従って、本発明では、単独で裸の抗体として投与されるかまたは多様療法として一時的に投薬法に準じて投与されるが、治療薬に接合していない本発明のヒト化、キメラおよびヒト抗体を意図する。裸の抗CD19 MAbの効力は、裸の抗体を1種類以上の他の裸の抗体と共にし、すなわち、CD4、CD5、CD8、CD14、CD15、CD19、CD20、CD21、CD22、CD23、CD25、CD33、CD37、CD38、CD40、CD40L、CD46、CD52、CD54、CD74、CD80、CD126、CD138、B7、MUC−1、Ia、HM1.24、HLA−DR、テネイシン、VEGF、PIGF、ED−Bフィブロネクチン、癌遺伝子、癌遺伝子産物、NCA 66a−d、壊死抗原、Ii、IL−2、T101、TAC、IL−6、TRAIL−R1(DR4)およびTRAIL−R2(DR5)のような特異抗原に対するMAbを1種類以上の抗CD19 MAbの免疫接合体と共にし、または薬剤、毒素、免疫調節剤、ホルモン、酵素、オリゴヌクレオチド、治療用放射性核種などの治療薬を接合した上記抗原に対する抗体をMAbと同時にまたは逐次的にまたは指定投薬法に準じて投与される薬剤、毒素、酵素、オリゴヌクレオチド、免疫調節剤、ホルモン、治療用放射性核種などの1種類以上の治療薬と共に補足することによって高めることができる。好ましいB細胞抗原としては、ヒトCD19、CD20、CD21、CD22、CD23、CD46、CD52、CD74、CD80およびCD5抗原と同等のものが挙げられる。好ましいT細胞抗原としては、ヒトCD4、CD8およびCD25(IL−2受容体)抗原と同等のものが挙げられる。HLA−DR抗原に同等のものを、B細胞およびT細胞疾患の治療に用いることができる。特に好ましいB細胞抗原は、ヒトCD19、CD20、CD22、CD21、CD23、CD74、CD80およびHLA−DR抗原に同等のものである。特に好ましいT細胞は、ヒトCD4、CD8およびCD25抗原に同等のものである。CD46は、補体依存性リーシス(CDC)をブロックする癌細胞の表面上の抗原である。
【0100】
更に、本発明は、B細胞リンパ腫および他の疾患または障害での診断および治療使用のための免疫接合体の投与を意図する。本明細書に記載の免疫接合体は、抗体成分と、診断または治療薬を有することがあるペプチドなどの治療または診断薬を含んでなる分子である。免疫接合体は抗体成分の免疫反応性を保持しており、すなわち、抗体残基は、接合前と同様に接合後にコグネイト抗原を結合する能力がほぼ同じであるかまたは若干減少している。
【0101】
多種多様な診断および治療試薬を、本発明の抗体に好都合に接合させることができる。本明細書に記載の治療薬は、上記の裸の抗体と別個に投与するのにも有用な薬剤である。治療薬としては、例えば、ビンカアルカロイド、アントラサイクリン、エピドフィロトキシン、タキサン、代謝拮抗薬、アルカリ化剤、抗生物質、COX−2阻害薬、抗有糸分裂薬、抗血管新生薬およびアポトーシス薬、特にドキソルビシン、メトトレキセート、タキソール、CPT−11、カンプトテカン、プロテオソーム阻害薬、およびこれら以外のものおよび他のクラスの抗癌薬、サリドマイドおよび誘導体、オリゴヌクレオチド、特にアンチセンスおよびRNAiオリゴヌクレオチド(例えば、bcl−2に対する)などのような化学療法薬が挙げられる。免疫接合体および抗体融合タンパク質の調製のための他の有用な癌化学療法薬としては、ナイトロジェンマスタード、アルキルスルホン酸塩、ニトロソ尿素、トリアゼン、葉酸類似体、COX−2阻害薬、ピリミジン類似体、プリン類似体、白金配位錯体、酵素、ホルモン、などが挙げられる。適当な化学療法薬は、「レミントンの薬科学」第19版(Mack Publishing Co. 1995)、および「グッドマンとギルマンの治療薬の薬理学的基礎」第7版(MacMillan Publishing Co. 1985)、並びにこれらの刊行物の改訂版に記載されている。実験薬剤のような他の適当な化学療法薬は、当業者に知られている。
【0102】
更に、DTPA、DOTA、TETAまたはNOTAのようなキレート剤、または蛍光分子のような検出可能な標識または重金属または放射性核種のような細胞傷害剤を接合させることができる適当なペプチドが挙げられる。例えば、治療上有用な免疫接合体は、光活性薬剤または色素を抗体複合体に接合することによって得ることができる。蛍光色素のような蛍光組成物、および可視光線に感受性のポルフィリンのような他の色原体または色素を用いて、適当な光線を病変に向けることによって病変部を検出し、治療が行われてきた。療法では、これは、光放射線、光線療法または光力学療法と呼ばれてきた(Jori et al.(監修),「腫瘍および他の疾患の光力学療法」(Libreria Progetto1985)、 van den Bergh, Chem. Britain 22:430 (1986))。更に、光線療法を行うために、モノクローナル抗体を光活性化色素とカップリングしてきた。Mew et al., J. Immunol. 130:1473 (1983)、同上,Cancer Res. 45:4380 (1985)、Oseroff et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 83:8744 (1986)、同上,Photochem. Photobiol. 46:83 (1987)、Hasan et al., Prog. Clin. Biol. Res. 288:471 (1989)、Tatsuta et al., Lasers Surg. Med. 9:422 (1989)、Pelegrin et al., Cancer 67:2529 (1991)。しかしながら、これらの初期の研究は、内視鏡療法の使用、特に抗体フラグメントまたは下位フラグメントの使用は包含しなかった。従って、本発明は、光活性剤または色素を含んでなる免疫接合体の治療における使用を意図する。
【0103】
本発明は、放射性および非放射性薬剤の診断薬としての使用も意図する。適当な非放射性診断薬は、磁気共鳴映像法、コンピュータートモグラフイーまたは超音波に適するコントラスト剤である。磁気映像化剤としては、本発明の抗体と共に用いるときには、2−ベンジル−DTPAおよびそのモノメチルおよびシクロヘキシル類似体などの金属−キレート結合体と複合体形成した、例えば、マンガン、鉄およびガドリニウムのような非放射性金属が挙げられる。2001年10月10日出願の米国特許出願番号第09/921,290号明細書を参照されたい。上記特許明細書の全内容は、引用することにより本明細書の一部とされる。
【0104】
更に、放射能標識抗体または免疫接合体は、診断用画像化に有用なガンマ線−放射性の放射性同位体または陽電子エミッターを含んでなることがある。適当な放射性同位体であって、特にエネルギー範囲が60 − 4,000keVであるものとしては、131I、123I、124I、86Y、62Cu、64Cu、111In、67Ga、68Ga、99mTc、94mTc、18F、11C、13N、15O、75Brなどが挙げられる。例えば、「ガリウム−68を用いる標識ターゲッティング剤」という標題の米国特許出願明細書、発明者G. L. Griffiths and W. J. McBride (米国仮出願第60/342,104号明細書)を参照されたい。この明細書には、画像化の目的での18F、68Ga、94mTcなどのような陽電子エミッターが開示されており、その全内容は、引用することにより本明細書の一部とされる。
【0105】
シュードモナス外毒素のような毒素も、本発明の抗CD19抗体の抗体融合タンパク質の治療薬部分に複合体形成しまたはこの部分を形成することができる。このような接合体または他の融合タンパク質の調製に好都合に用いられる他の毒素としては、リシン、アブリン、リボヌクレアーゼ(RNアーゼ)、DNアーゼI、ブドウ球菌エンテロトキシン−A、アメリカヤマゴボウ抗ウイルスタンパク質、ゲロニン、ジフテリア毒素、シュードモナス外毒素、およびシュードモナス内毒素が挙げられる。例えば、Pastan et al., Cell 47:641 (1986)、およびGoldenberg, CA-A Cancer Journal for Clinicians 44:43 (1994)を参照されたい。本発明での使用に適する追加の毒素は当業者に知られており、米国特許第6,077,499号明細書に開示されており、上記特許明細書の全内容は、引用することにより本明細書の一部とされる。
【0106】
サイトカインのような免疫調節剤は、抗体融合タンパク質の治療薬部分に接合させまたは治療薬部分を形成し、または本発明のヒト化抗CD19抗体と共に投与することもできる。本発明に適するサイトカインとしては、以下に説明するようなインターフェロンおよびインターロイキンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0107】
9.免疫接合体の調製
本発明の抗体または抗体融合タンパク質のいずれを、1種類以上の治療または診断薬と接合させることもできる。一般に、1種類の治療または診断薬はそれぞれの抗体または抗体フラグメントに結合するが、2種類以上の治療薬または診断薬が同一の抗体または抗体フラグメントに結合することができる。本発明の抗体融合タンパク質は、2種類以上の抗体またはそのフラグメントを含んでなり、この融合タンパク質を含んでなる抗体のそれぞれが治療薬または診断薬を含むことができる。更に、抗体融合タンパク質の1つ以上の抗体は、2種類以上の治療または診断薬させることができる。更に、治療薬は同一である必要はなく、異なる治療薬であることができる。例えば、薬剤と放射性同位体を同一の融合タンパク質に結合することができる。特に、IgGを131Iで放射能標識して、薬剤に結合させることができる。131IはIgGのチロシンに取り込まれ、薬剤をIgGリシンのε−アミノ基に結合させることができる。治療および診断薬を両方とも、還元されたSH基および炭水化物側鎖に結合させることもできる。
【0108】
本発明の二重特異性抗体プレターゲッティング法に有用であり、2種類の治療薬または2種類の診断薬を患者に送達する好ましい方法を提供する。米国特許出願出願番号第09/382,186号明細書には、二重特異性抗体を用いるプレターゲッティングの方法であって、二重特異性抗体125Iで標識し、患者に届けた後、99mTcで標識した二価ペプチドを届ける方法が開示されている。米国特許出願出願番号第09/382,186号明細書および第09/337,756号明細書には、二重特異性抗体を用いるプレターゲッティングの方法であって、二重特異性抗体125Iで標識し、患者に送達した後、99mTcで標識した二価ペプチドを届ける方法が開示されており、上記特許出願明細書の全内容は、引用することにより本明細書の一部とされる。プレターゲッティング法は、米国特許出願出願番号第09/823,746号明細書(Hansen et al.)および第10/150,654号明細書(Goldenberg etal.)、および2003年1月31日出願の「治療および診断薬の投与の方法および組成物」という標題の米国仮出願明細書(Atty Docket No. 018733/1103 (McBride et al.))にも記載されており、上記特許出願明細書の全内容は、引用することにより本明細書の一部とされる。この送達により、125Iおよび99mTcについて優れた腫瘍/正常組織比が得られ、2種類の診断用放射性同位体の有用性が示される。既知の治療薬または診断薬の任意の組合せを用いて、抗体および抗体融合タンパク質を標識することができる。MAb接合体の抗体成分の結合特異性、治療薬または診断薬の効力、および抗体のFc部分のエフェクター活性は、接合体の標準的試験によって決定することができる。
【0109】
治療または診断薬は、ジスルフィド結合の形成により還元抗体成分のヒンジ領域に結合させることができる。あるいは、これらのペプチドを、N−スクシニル3−(2−ピリジルジチオ)プロプリオネート(SPDP)のようなヘテロ二重特異性架橋剤を用いて抗体成分に結合することができる。Yu et al., Int. J. Cancer 56:244 (1994)。このような接合の一般的手法は、当該技術分野で周知である。例えば、Wong,「タンパク質接合および架橋の化学」(CRC Press 1991)、「モノクローナル抗体:原理と応用」Birch et al. (監修)のUpeslacis et al.,「化学的方法による抗体の修飾」187−230頁(Wiley-Liss, Inc. 1995)、「モノクローナル抗体:産生、遺伝子工学処理および臨床応用」Ritter et al. (監修)のPrice,「合成ペプチド由来の抗体の産生および特性決定」,60−84頁(Cambridge University Press 1995)を参照されたい。あるいは、治療または診断薬を、抗体のFc領域における炭水化物残基を介して接合させることができる。炭水化物基を用いて、チオール基に結合している同じペプチドの装填量を増加させることができ、または炭水化物残基を用いて異なるペプチドを結合することができる。
【0110】
ペプチドを抗体炭水化物残基を介して抗体成分に接合する方法は、当業者には周知である。例えば、Shih et al., Int. J. Cancer 41:832 (1988)、Shih et al., Int. J. Cancer 46:1101 (1990)、およびShih et al.,米国特許第5,057,313号明細書を参照されたい。上記文献の全内容は、引用することにより本明細書の一部とされる。一般的方法は、酸化された炭水化物部分を有する抗体成分を少なくとも1つの遊離アミン官能基を有し且つ複数のペプチドが装填されているキャリヤーポリマーと反応させることを含む。この反応により、最初のシッフ塩基(イミン)結合が生じ、これを第二アミンに還元することによって安定化し、最終的接合体を形成することができる。
【0111】
免疫接合体の抗体成分として用いられる抗体が抗体フラグメントであるときには、Fc領域は存在しない。しかしながら、炭水化物残基を完全長の抗体または抗体フラグメントの軽鎖可変領域に導入することができる。例えば、Leung et al., J. Immunol. 154:5919 (1995)、Hansen et al.,米国特許第5,443,953号明細書(1995)、Leung et al.,米国特許第6,254,868号明細書を参照されたい。上記文献の全内容は、引用することにより本明細書の一部とされる。遺伝子工学処理を行った炭水化物残基を用いて、治療または診断薬を結合させる。
【0112】
10.薬学上許容可能な賦形剤
患者に送達されるヒト化、キメラおよびヒト抗CD19 MAbは、MAb単独、免疫接合体、融合タンパク質からなることができ、または1種類以上の薬学上適当な賦形剤、1種類以上の追加成分、またはこれらのある種の組合せを含んでなることができる。
【0113】
本発明の免疫接合体または裸の抗体を既知の方法によって処方して、薬学上有用な組成物を調製することによって、免疫接合体または裸の抗体を薬学上適当な賦形剤と混合して組み合わせることができる。滅菌したリン酸緩衝食塩水は、薬学上適当な賦形剤の一例である。他の適当な賦形剤は、当業者には周知である。例えば、Ansel et al.,「医薬投与形態および薬剤送達系」,第5版(Lea & Febiger 1990)、およびGennaro (監修),「レミントンの薬科学」第18版(Mack Publishing Co. 1990)およびこれらの刊行物の改訂版を参照されたい。
【0114】
本発明の免疫接合体または裸の抗体は、例えば、ボーラス注射または連続輸液による静脈内投与用に処方することができる。注射用処方物は、例えば、アンプルまたは複数回投与容器のような単位投薬形態で防腐剤を加えて提示することができる。組成物は、油性または水性ビヒクルの懸濁液、溶液またはエマルションのような形態をとることができ、懸濁、安定および/または分散剤のような処方剤を含むことができる。あるいは、活性成分を粉末形態にして、使用前に、滅菌した発熱物質不含水のような適当なビヒクルで構成することができる。
【0115】
追加の薬学的方法を用いて、治療または診断薬接合体または裸の抗体の作用の期間を制御することができる。制御放出製剤は、免疫接合体または裸の抗体と複合体形成しまたは吸着するポリマーを用いて調製することができる。例えば、生体適合性ポリマーとしては、ポリ(エチレン−コ−酢酸ビニル)のマトリックス、およびステアリン酸二量体とセバシン酸のポリ無水物コポリマーのマトリックスが挙げられる。Sherwood et al., Bio/Technology 10:1446 (1992)。これらのマトリックスから免疫接合体の放出速度は、免疫接合体または抗体の分子量、マトリックス中の免疫接合体、抗体の量、および分散粒子の粒度によって変化する。Saltzman et al., Biophys. J. 55:163 (1989)、Sherwood et al., 上記引用。他の固形投薬形態は、Ansel et al.,「医薬投与形態および薬剤送達系」,第5版(Lea & Febiger 1990)、およびGennaro (監修),「レミントンの薬科学」第18版(Mack Publishing Co. 1990)およびこれらの刊行物の改訂版に記載されている。
【0116】
免疫接合体、抗体融合タンパク質、または裸の抗体は、哺乳類に皮下または他の非経口経路によって投与することもできる。更に、投与は、連続輸液によって、または単回または複数回ボーラス投与によって行ってもよい。一般に、ヒトに投与される免疫接合体、融合タンパク質または裸の抗体の用量は、患者の年齢、体重、身長、性別、一般的医学的条件、および以前の医学的履歴のような要因によって変化する。典型的には、単回静脈内輸液として約1mg/kg−20mg/kgの範囲の免疫接合体抗体融合タンパク質または裸の抗体の投薬量と共に賦形剤を提供するのが望ましいが、これより低いまたは高い用量を場合によって投与してもよい。この投薬は、必要に応じて、例えば、週1回4−10週間、好ましくは週1回8週間、更に好ましくは週1回4週間反復することができる。これは、2週毎に数ヶ月間など、少ない頻度で投与することもできる。投薬は、様々な非経口経路を介して用量および計画を適宜調整しながら行うことができる。
【0117】
治療の目的で、免疫接合体、融合タンパク質または裸の抗体を、治療上有効量で投与する。本発明にとって適当な患者は通常はヒトであるが、ヒト以外の動物患者も考えられる。抗体製剤は、投与量が生理学的に有意であるときには、「治療上有効量」で投与されるといわれる。薬剤の存在によってこれを投与する哺乳類の生理学に検出可能な変化を生じるときには、薬剤は生理学的に有意である。特に、本発明の抗体製剤の存在によって抗腫瘍応答を誘発しまたは自己免疫疾患状態の徴候または症状が緩和されるときには、本発明の抗体製剤は生理学的に有意である。生理学的に有意な効果は、被投与哺乳類における体液性および/または細胞性免疫応答の喚起作用である可能性もある。
【0118】
11.治療方法
本発明は、本発明の裸の抗CD19抗体のB細胞疾患および他の疾患の治療用の主要な組成物としての使用を意図する。特に、本明細書に記載の組成物は、様々な自己免疫、並びに進行の遅い形態のB細胞リンパ腫、急速進行性形態のB細胞リンパ腫、慢性リンパ性白血病、急性リンパ性白血病、およびヴァルデンストレームマクログロブリン血症の治療に特に有用である。例えば、ヒト化抗CD19抗体成分および免疫接合体を用いて、進行の遅いおよび急速進行性形態の非ホジキンリンパ腫を治療することができる。
【0119】
上記のように、本発明の抗体は、様々な自己免疫疾患の診断および治療にも好適である。このような疾患としては、急性特発性血小板減少性紫斑病、慢性特発性血小板減少性紫斑病、皮膚筋炎、シデナム舞踏病、重症筋無力症、全身性エリテマトーデス、ループス腎炎、リウマチ熱、多腺性症候群、水疱性類天疱瘡、糖尿病、ヘノッホ−シェーンライン紫斑病、ポストストレプトコッカス腎炎(post-streptococcalnephritis)、結節性紅斑、高安動脈炎、アジソン病、関節リウマチ、多発性硬化症、サルコイドーシス、潰瘍性大腸炎、多形紅斑、IgAネフロパシー、結節性多発動脈炎、強直性脊椎炎、グッドパスチャー症候群、閉塞性血栓血管炎(thromboangitisubiterans)、シェーグレン症候群、原発性胆汁性肝硬変症、橋本甲状腺炎、甲状腺中毒症、強皮症、慢性活動性肝炎、多発性筋炎/皮膚筋炎、多発性軟骨炎、尋常性天疱瘡(parnphigus vulgaris)、ヴェーゲナー肉芽腫症、膜性腎症、筋萎縮性側索硬化症、脊髄ロウ、巨細胞性動脈炎/多発筋痛、悪性貧血、急速進行性糸球体腎炎、乾癬、および繊維化性肺胞炎が挙げられる。最も良く用いられる治療は副腎皮質ステロイドおよび細胞傷害剤であり、これらは極めて毒性が高い可能性がある。これらの薬剤は免疫系全体をも抑制し、重篤な感染症を生じる可能性があり、骨髄、肝臓および腎臓に悪影響を及ぼす。クラスIIIの自己免疫疾患の治療に今日まで用いられてきた他の治療薬は、T細胞およびマクロファージに向けられたものであった。自己免疫疾患、特にクラスIIIの自己免疫疾患の治療のための更に有効な方法が求められている。
【0120】
治療用組成物は、少なくとも1つのヒト化、キメラまたはヒトモノクローナル抗CD19抗体を単独で、または他のヒト化、キメラまたはヒト抗体のような他の抗体、治療薬、または免疫調節剤と組み合わせて含む。特に、完全なヒト抗体との併用療法も考えられ、上記のような方法によって産生される。
【0121】
同一または異なるエピトープまたは抗原に対する裸のまたは接合抗体を、1つ以上の本発明の抗体と組み合わせることもできる。例えば、ヒト化、キメラまたはヒト裸の抗CD19抗体を別の裸のヒト化、裸のキメラまたは裸のヒト抗CD19(または裸のCD20、CD22または他のB細胞系統の抗体)と組み合わせることができ、ヒト化、キメラまたはヒト裸の抗CD19抗体を抗CD19免疫接合体と組み合わせることができ、裸の抗CD19抗体を抗CD22放射性接合体と組み合わせることができ、または抗CD22裸の抗体を同位体、または1種類以上の化学療法薬、サイトカイン、毒素またはそれらの組合せに接合したヒト化、キメラまたはヒト抗CD19抗体と組み合わせることができる。ヒト化、キメラまたはヒトCD19抗体と毒素または免疫調節剤との融合タンパク質、または少なくとも2種類の異なるB細胞抗体(例えば、CD19とCD22 MAb、またはCD19とCD20 Mab)の融合タンパク質を、本発明で用いることもできる。既に上記したB細胞疾患に関連した少なくとも2種類の異なる抗原をターゲッティングする多数の異なる抗原の組合せを、裸の抗体として、または部分的に裸で且つ部分的に治療薬または免疫調節剤と接合したものとして、または細胞傷害薬のような別の治療薬または放射線療法と単に組み合わせたものとして構築することができる。
【0122】
本明細書で用いられる「免疫調節剤」という用語としては、サイトカイン、幹細胞増殖因子、腫瘍壊死因子(TNF)のようなリンホトキシン、腫瘍壊死因子(TNF)のようなリンホトキシン、およびインターロイキン(インターロイキン−1(IL−1)、IL−2、IL−3、IL−6、IL−10、IL−12、IL−21およびIL−18)、コロニー刺激因子(例えば、顆粒球−コロニー刺激因子(G−CSF)または顆粒球マクロファージ−コロニー刺激因子(GM−CSF))、インターフェロン(例えば、インターフェロンアルファ、ベータまたはガンマ)、「S1因子」と称される幹細胞増殖因子、エリトロポエチンおよびトロンボポエチンのような造血因子が挙げられる。適当な免疫調節剤残基の例としては、IL−2、IL−6、IL−10、IL−12、IL−18、IL−21、インターフェロン、TNFなどが挙げられる。あるいは、患者には、裸の抗CD19抗体と、別個に投与されるサイトカインを投与することができ、このサイトカインは裸の抗CD19抗体の投与の前に、と同時にまたはの後に投与することができる。上記のように、抗CD19抗体を、免疫調節剤に接合させることもできる。免疫調節剤は、異なる抗原に結合する1種類以上の抗体からなるハイブリッド抗体に接合させることもできる。
【0123】
本発明の多様療法としては、CD4、CD5、CD8、CD14、CD15、CD19、CD20、CD21、CD22、CD23、CD25、CD33、CD37、CD38、CD40、CD40L、CD46、CD52、CD54、CD74、CD80、CD126、CD138、B7、MUC1、Ia、HM1.24、HLA−DR (インバリアント鎖を含む)、テネイシン、VEGF、PIGF、ED−Bフィブロネクチン、癌遺伝子、癌遺伝子産物、NCA 66a−d、壊死抗原、Ii、IL−2、T101、TAC、IL−6、TRAIL−R1 (DR4)、およびTRAIL−R2(DR5)抗体を裸の抗体、融合タンパク質、の形態で、または免疫接合体として結合する抗体の投与を補足した裸の抗CD19抗体を用いる免疫療法が挙げられる。これらの抗体としては、これらの抗原決定基上の少なくとも1つのエピトープを認識するポリクローナル、モノクローナル、キメラ、ヒトまたはヒト化抗体が挙げられる。抗CD19および抗CD22抗体は、当業者に知られている。例えば、Ghetie et al., Cancer Res. 48:2610 (1988)、Hekman et al., Cancer Immunol. Immunother. 32:364 (1991)、Longo, Curr. Opin. Oncol. 8:353 (1996)、および米国特許第5,798,554号明細書および第6,187,287号明細書をを参照されたい。上記文献の全内容は、引用することにより本明細書の一部とされる。自己免疫疾患のB細胞抗体を用いる免疫療法は、当該技術分野で報告されている。例えば、WO 0074718A1号明細書をを参照されたい。この特許明細書の全内容は、引用することにより本明細書の一部とされる。
【0124】
もう一つの形態の多様療法では、患者に標準的癌化学療法と共に、裸の抗CD19抗体、および/または免疫接合体を投与する。例えば、「CVB」(1.5g/m2シクロホスファミド、200−400mg/m2エトポシド、および150−200mg/m2カルムスチン)は、非ホジキンリンパ腫の治療に用いられる処方計画である。Patti et al., Eur. J Haematol. 51:18 (1993)。他の適当な組合せ化学療法薬投薬計画は、当業者に周知である。例えば、癌医学、第2巻、第3版、Holland et al.(監修)のFreedman et al.,「非ホジキンリンパ腫」2028−2068頁(Lea & Febiger 1993)を参照されたい。一例としては、中間級非ホジキンリンパ腫(NHL)の第一世代化学療法薬投薬計画としては、C−MOPP(シクロホスファミド、ビンクリスチン、プロカルバジンおよびプレドニソン)、およびCHOP(シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、およびプレドニソン)が挙げられる。有用な第二世代化学療法薬投薬計画は、m−BACOD(メトトレキセート、ブレオマイシン、ドキソルビシン、シクロホスファミド、ビンクリスチン、デキサメタゾンおよびロイコボリン)であるが、好ましい第三世代投薬計画はMACOP−B(メトトレキセート、ドキソルビシン、シクロホスファミド、ビンクリスチン、プレドニソン、ブレオマイシンおよびロイコボリン)である。追加の有用な薬剤としては、フェニルブチレートおよびブリオスタチン−1が挙げられる。アンチセンスbcl−2オリゴヌクレオチドも、B細胞腫瘍などある種の悪性疾患の治療薬として臨床試験が行われている。好ましい多様療法では、化学療法薬とサイトカインを、本発明による抗体、免疫接合体または融合タンパク質と同時投与する。サイトカイン、化学療法薬および抗体または免疫接合体は、任意の順序でまたは一緒に投与することができる。
【0125】
好ましい態様では、NHLは、ヒト化抗CD19抗体を200−400mg/m2の用量で4週間連続して週1回ずつ4回の輸液(静脈内、2−8時間)により治療し、必要に応じて次月/年にわたって反復する。NHLは、上記のように週1回ずつ4回の輸液を、同日に360mg/m2の用量で1時間の静脈内輸液で投与するエプラツヅマブ(epratuzumab、抗CD22ヒト化抗体)と合わせて、抗CD19モノクローナル抗体輸液の前、中または後に治療するのも好ましい。更に好ましくは、NHLは、イットリウム−90のような治療用同位体(Y−90を5−35mCi/m2の用量で数週または月間にわたって1回以上投与)で放射能標識したCD22 MAbの1回以上の投与と合わせて上記と同様に抗CD19抗体の週1回ずつ4回の輸液で治療する。CD19 MAbは、同様な投薬計画でhA20ヒト化MAb(米国特許出願出願番号第10/366,709号明細書、2003年2月14日出願)のような抗CD20 Mabと組み合わせて、それぞれの抗体の週1回投与x4週間/サイクル(場合によっては、サイクルを反復)が組合せにおいて250 mg/m2i.v.の個々の用量が投与されるようにすることもできる。抗体のいずれかまたは両方ともを皮下注射によって投与し、特に自己免疫疾患の患者の治療については、同様な用量を1週おきに投与することもできる。
【0126】
更に、本発明の治療組成物は、異なる非ブロック用CD19エピトープに向けられた裸の抗CD19モノクローナル抗体の混合物またはハイブリッド分子を含むこともできる。従って、本発明は、少なくとも2つのCD19エピトープを結合するモノクローナル抗CD19抗体の混合物を含んでなる治療組成物を意図する。更に、本明細書に記載の治療組成物は、様々なCDR配列を有する抗CD19抗体の混合物を含むことがある。
【0127】
裸の抗CD19抗体はB細胞リンパ腫および自己免疫疾患の治療のための主要な治療組成物であるか、このような抗体療法の効力は、裸の抗体にIFNアルファ、IFNベータおよびIFNガンマなどのインターフェロン、IL−1、IL−2、IL−6、IL−12、IL−15、IL−18、IL−21などのインターロイキン、およびG−CSFおよびGM−CSFなどのサイトカインのような補足薬剤を補足することによって高めることができる。従って、CD19抗体は、抗体およびサイトカインと混合物(個別にまたは何らかの所定の投薬計画で投与される)としてまたは抗CD19抗体に対する接合体または融合タンパク質として組み合わせることができるだけでなく、薬剤との併用物として投与することもできる。例えば、抗CD19抗体は、4薬剤化学療法投薬計画としてCHOPと組み合わせることができる。更に、裸の抗CD19抗体を裸の抗CD22抗体および/または裸の抗CD20抗体およびCHOPまたはフルダラビンとNHL療法の薬剤併用物として組み合わせることができる。補足治療薬組成物は、抗CD19抗体の投与の前、中または後に投与することができる。
【0128】
上記のように、本発明の抗体は、B細胞リンパ腫および白血病、および他のB細胞疾患または障害の治療に用いることができる。この抗体は、好ましくないまたは望ましくないB細胞活性または増殖を伴う任意の疾患または症候群の治療に用いることができる。例えば、抗CD19抗体を用いて、B細胞に関連した自己免疫疾患、例えば、クラスIII自己免疫疾患、例えば、急性特発性血小板減少性紫斑病および慢性特発性血小板減少性紫斑病のような免疫性血小板減少症、皮膚筋炎、シェーグレン症候群、多発性硬化症、シデナム舞踏病、重症筋無力症、全身性エリテマトーデス、ループス腎炎、リウマチ熱、多腺性症候群、水疱性類天疱瘡、糖尿病、ヘノッホ−シェーンライン紫斑病、ポストストレプトコッカス腎炎(post-streptococcal nephritis)、結節性紅斑、高安動脈炎、アジソン病、関節リウマチ、サルコイドーシス、潰瘍性大腸炎、多形性紅斑、IgAネフロパシー、結節性多発性動脈炎、強直性脊椎炎、グッドパスチャー症候群、閉塞性血栓血管炎(thromboangitisubiterans)、シェーグレン症候群、原発性胆汁性肝硬変症、橋本甲状腺炎、甲状腺中毒症、強皮症、慢性活性肝炎、多発性筋炎/皮膚筋炎、多発性軟骨炎、尋常性天疱瘡、ヴェーゲナー肉芽腫症、膜性ネフロパシー、筋萎縮性側索硬化症、脊髄ロウ、巨細胞性動脈炎/多発筋痛、悪性貧血、急速進行性糸球体腎炎、および繊維化性肺胞炎を治療することができる。この抗体は、対宿主性移植片病のようなB細胞疾患の治療または移植組織免疫抑制療法に用いることもできる。
【0129】
抗CD19抗体は、CD19抗原を発現する細胞にアポトーシスを誘発することもある。この誘発の証拠は、文献で支持されている。例えば、アポトーシスは、架橋したCD19 MAbのIgG1−Fcと反応性のFc受容体を有するリンパ系細胞を用いて誘発することができることが示された。Shan et at., Cancer Immunol. Immunother. 48 (12):673-683 (2000)を参照されたい。更に、キメラCD19 MAbの凝集体、すなわちホモポリマーがアポトーシスを誘導したことが報告された。Ghetie et al., Blood 97(5):1392-1398 (2000)、およびGhetie et al., Proc. Natl. Acad. Sci USA 94(14):7509-7514 (1997)を参照されたい。抗体のプロアポトーシス活性は、抗アポトーシス遺伝子ファミリーbcl−2の1つ以上の成員の活性を阻害する薬剤のようなプロアポトーシス薬を同時に用いることによって高めることができる。アンチセンスおよびRNAi薬は、これに関して特に有用であり、本明細書に記載されているようにCD19抗体と接合することによってB細胞に向けることができる。
【0130】
B細胞のCD19表面抗原に特異的な抗体を哺乳類患者に投与した後、これを正常および悪性B細胞の両方のCD19細胞表面抗原に結合することができる。哺乳類患者としては、ヒト、およびイヌおよびネコのような愛玩動物を含む家畜が挙げられる。CD19抗原について種交差反応性があるときには、本発明の抗CD19 MAb、すなわちヒト化、キメラ、ヒト、イヌ化およびネコ化、更にはネズミ抗CD19 MAbを用いて、非ヒト哺乳類患者を治療することができる。下記の実施例10および11をを参照されたい。ヒトでは免疫原性であるネズミMAbは、通常は非ヒト哺乳類患者では免疫原性が少ない。CD19表面抗原に結合した抗CD19抗体は、腫瘍性B細胞を破壊して、涸渇させる。正常および悪性B細胞はいずれもCD19抗原を発現するので、抗CD19抗体はB細胞死を生じる。しかしながら、正常なB細胞のみが再度増殖し、悪性B細胞は根絶されまたはかなり減少する。更に、腫瘍を破壊する潜在能力を有する化学薬剤または放射性標識を抗CD19抗体に接合させて、薬剤を腫瘍性B細胞に特異的にターゲッティングさせることができる。
【0131】
12.発現ベクター
ヒト化、キメラまたはヒト抗CD19 MAbをコードするDNA配列を、核酸の複製を提供する様々な既知の宿主ベクター中で組換え処理を行うことができる。これらのベクターは、送達される細胞の核酸の転写、翻訳または両方を指定するのに必要な要素を含むように、既知の方法を用いてデザインすることができる。既知の方法を用いて、適当な転写/翻訳制御シグナルと操作可能に連結したタンパク質コード配列を有する発現構築物を生成することができる。これらの方法としては、イン・ビトロ組換えDNA法、および合成法が挙げられる。例えば、Sambrook et al.,1989,「分子クローニング: 実験室マニュアル」, Cold Spring Harbor Laboratory (ニューヨーク)、Ausubel et al., 1997,「分子生物学の最新の方法」,John Wiley & Sons (ニューヨーク)をを参照されたい。本発明では、ベクターと会合していないポリヌクレオチドの送達も提供する。
【0132】
本発明での使用に適するベクターは、ウイルスまたは非ウイルス性であることができる。ウイルスベクターの具体例としては、アデノウイルス、AAV、単純ヘルペスウイルス、レンチウイルス、およびレトロウイルスベクターが挙げられる。非ウイルスベクターの一例はプラスミドである。好ましい態様では、ベクターはプラスミドである。
【0133】
本明細書に記載の発現ベクターは、宿主細胞で発現する遺伝子を含んでなるポリヌクレオチドである。典型的には、遺伝子発現は、構成的または誘導的プロモーター、組織特異的調節要素、およびエンハンサーなどのある種の調節要素の制御下で起こる。このような遺伝子は、調節要素に「操作可能に連結」しているといわれる。
【0134】
好ましくは、本発明の発現ベクターは、重および軽鎖可変および定常領域をいずれも含むヒト化、キメラまたはヒト抗CD19 MAbをコードするDNA配列を含んでなる。しかしながら、1つは重鎖可変および定常領域を含んでなり、他方は軽鎖可変および定常領域を含んでなる2種類の発現ベクターを用いてもよい。更に好ましくは、発現ベクターは、更にプロモーター、分泌シグナルペプチドをコードするDNA配列、ヒトIgG1重鎖定常領域をコードするゲノム配列、Igエンハンサー要素、および選択マーカーをコードする少なくとも1つのDNA配列を含んでなる。
【0135】
本発明では、ヒト化抗CD19 MAbを発現する方法であって、(i)ヒト化、キメラまたはヒト抗CD19 MAbをコードするDNA配列を含んでなる少なくとも1つの発現ベクターを線状化し、(ii)哺乳類細胞を少なくとも1つの上記線状化したベクターでトランスフェクションし、(iii)マーカー遺伝子を発現するトランスフェクション細胞を選択し、(iv)トランスフェクション細胞からヒト化抗CD19 MAbを分泌する細胞を同定することを含んでなる、方法も意図する。
【0136】
13.抗CD19抗体の作製方法
一般に、抗CD19 MAbについてのVk(可変軽鎖)およびVH(可変重鎖)配列は、RT−PCR、5’−RACE、およびcDNAライブラリースクリーニングのような様々な分子クローニング法によって得ることができる。具体的には、抗CD19 MAbのV遺伝子は、配列決定したネズミまたはキメラ抗CD19 MAbを発現する細胞からPCR増幅によってクローニングすることができる。それが正しいことを確認するため、クローニングしたVLおよびVH遺伝子を、Orlandi et al.によって報告されたキメラAbと同様に細胞培養物中で発現させることができ(Proc. Natl. Acad. Sci., USA, 86:3833 (1989))、この文献の全内容は、引用することにより本明細書の一部とされる。V遺伝子配列に基づいて、ヒト化抗CD19 MAbをLeung et al.によって報告された方法でデザインして構築することができ(Mol. Immunol., 32:1413 (1995))この文献の全内容は、引用することにより本明細書の一部とされる。cDNAは、一般的分子クローニングの手法によりネズミまたはキメラ抗CD19 MAbを産生する任意の既知ハイブリドーマ系またはトランスフェクション細胞系から調整することができる(Sambrook et al.,「分子クローニング、実験室マニュアル」第2版(1989))。MAbについてのVK配列はプライマーVK1BACKおよびVK1FOR(Orlandi et al., 1989)またはLeung et al.によって報告された伸長したプライマーセット(BioTechniques, 15:286 (1993))を用いて増幅することができ、上記文献の内容はその開示の一部として本明細書に引用され、一方、VH配列はプライマー対VH1BACK/VH1FOR(Orlandi et al., 1989 上記)、またはLeung et al.によって報告されたネズミIgGの定常領域にアニーリングするプライマーを用いて増幅することができ(Hybridoma, 13: 469(1994))、上記文献の全内容は、引用することにより本明細書の一部とされる。第一の鎖のcDNA産物10X1、PCR緩衝液[500mM KCI、100mM トリス−HCl(pH8.3)、15mM MgCl2および0.01%(w/v)ゼラチン](Perkin Elmer Cetus, ノーウォーク,コネティカット)10μl、それぞれのdNTP 250μM、プライマー200nM、およびTaq DNAポリメラーゼ(Perkin Elmer Cetus)5単位を含むPCR反応混合物に、PCRを30サイクル行うことができる。それぞれのPCRサイクルは、好ましくは、94℃で1分間の変性、50℃で1.5分間のアニーリング、および72℃で1.5分間の重合からなる。増幅したVkおよびVHフラグメントは、2%アガロース(BioRad,リッチモンド,カリフォルニア)上で精製することができる。同様に、ヒト化V遺伝子は、Leung et al.によって報告された長いオリゴヌクレオチド鋳型合成とPCR増幅との組合せによって構築することができる(Mol. Immunol., 32: 1413(1995))。ヒト化V遺伝子の構築に用いる自動RNA/DNA合成装置(Applied Biosystems, フォスターシティー,カリフォルニア)上でのオリゴAおよびオリゴBの製造方法については、実施例3をを参照されたい。
【0137】
VkについてのPCR産物は、Igプロモーター、シグナルペプチド配列およびVkPCR産物のインフレーム連結を促進するのに好都合な制限部位を含むpBR327を基としたステージングベクター(staging vector) VKpBRなどのステージングベクターにサブクローニングすることができる。VHについてのPCR産物は、pBluescriptを基としたVHpBSのような同様なステージングベクターにサブクローニングすることができる。それぞれのPCR産物を含む個々のクローンは、Sanger et al.の方法などによって配列決定することができ(Proc. Natl. Acad. Sci., USA, 74:5463 (1977))、上記文献の全内容は、引用することにより本明細書の一部とされる。
【0138】
本明細書に記載のDNA配列は、天然に存在するまたは誘導されたものに関わらず、総ての対立遺伝子、突然変異体および変異体を含むものと見なされる。
【0139】
VkおよびVHをプロモーターおよびシグナルペプチド配列と共に含む発現カセットは、それぞれVKpBRおよびVHpBSから二重制限消化によってHindIII−BamHIフラグメントとして取り出すことができる。次に、VkおよびVH発現カセットを、それぞれpKhおよびpGlgのような適当な発現ベクターに連結することができる(Leung et al., Hybridoma, 13:469 (1994))。発現ベクターを適当な細胞、例えば、骨髄腫Sp2/0−Ag14(ATCC,VA)に同時トランスフェクションし、ハイグロマイシン耐性についてコロニーを選択し、上清液を、下記のように例えばELISA分析法によってキメラまたはヒト化抗CD19 MAbの産生について観察することができる。あるいは、VkおよびVH発現カセットを、修飾したステージングベクターVKpBR2およびVHpBS2で組み立て、それぞれXbaI/BamHIおよびXhoI/BamHIフラグメントとして切出し、Gilles et al. (J. Immunol. Methods 125:191 (1989)、またLosman et al., Cancer, 80:2660 (1997)にも示される)によって報告されるようにpdHL2のような単一発現ベクターにサブクローニングし、Sp2/0−Agl4細胞で発現させることができる。本発明で有用なもう一つのベクターは、Barries et al., Cytotechnology 32:109-123 (2000)に記載のGSベクターであり、これは好ましくはNS0細胞系およびCHO細胞で発現される。他の適当な哺乳類発現系は、Werner et al., Arzneim. -Forsch./Drug Res. 48(11), Nr. 8, 870-880 (1998)に記載されている。
【0140】
抗体分泌クローンの同時トランスフェクションおよびELISAによる分析法は、下記の通りに行うことができる。VKpKh(軽鎖発現ベクター)約10μgとVHpGIg(重鎖発現ベクター)20μgを用いて、Co et al., J. Immunol., 148:1149 (1992)の方法に準じて電気穿孔(BioRad,リッチモンド,カリフォルニア)により5x106個のSP2/0骨髄腫細胞のトランスフェクションを行うことができ、上記文献の全内容は、引用することにより本明細書の一部とされる。トランスフェクションの後、細胞を96穴マイクロタイタープレート中、完全HSFM培地(Life Technologies, Inc., グランドアイランド,ニューヨーク)で37℃、5%CO2にて増殖させることができる。選択工程は、2日後にハイグロマイシン500単位/mlの最終濃度のハイグロマイシン選択培地(Calbiochem,サンディエゴ,カリフォルニア)を添加することによって開始することができる。コロニーは、典型的には、電気穿孔の2−3週間後に現れる。次に、培養物を拡張して、更に分析を行うことができる。
【0141】
キメラまたはヒト化重鎖の分泌に陽性のトランスフェクトーマ(transfectoma)クローンは、ELISA分析法によって同定することができる。簡単に説明すれば、トランスフェクトーマ培養物からの上清試料(約100μl)を、ヤギ抗ヒト(GAH)−IgGであるF(ab’)2フラグメント特異的抗体(Jackson ImmunoResearch, ウェストグローブ,ペンシルバニア)を予備コーティングしたELISAマイクロタイタープレートに3回添加する。プレートを、室温で1時間インキュベーションする。未結合タンパク質を、洗浄緩衝液(0.05%ポリソルベート20を含むPBS)で3回洗浄することによって除去する。西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)と接合したGAH−IgGであるFcフラグメント特異抗体(Jackson ImmunoResearch)を、ウェルに加える(未接合抗体を1.0μg/mlの最終濃度まで補足した抗体ストックを104倍に希釈したもの100μl)。1時間インキュベーションの後、プレートを典型的には3回洗浄する。反応溶液[100μl、PBS中にオルトフェニレンジアミン(OPD)(Sigma,セントルイス,ミズーリー)167μg、0.025%過酸化水素を含む]をウェルに加える。色を暗所で30分間展開させる。4N HCl溶液50μlをそれぞれのウェルに加えて反応を停止した後、自動ELISAリーダー(Bio-Tek instruments, ウィノースキー,ヴァーモント)で490nmの吸光度を測定する。次に、結合キメラ抗体を、関連性のないキメラ抗体標準物(Scotgen, Ltd., エディンバーグ,スコットランドから入手可能)に対して測定する。
【0142】
抗体は、下記のようにして細胞培地から単離することができる。トランスフェクトーマ培養物は無血清培地に適している。キメラ抗体の産生のため、細胞を、HSFMを用いてローラーボトル中500ml培養物として増殖させる。培養物を遠心分離し、上清を0.2μm膜を介して濾過する。濾過した培地を、プロテインAカラム(1x3cm)を1ml/分の流速で通過させる。次に、樹脂を約10容のPBSで洗浄し、プロテインAに結合した抗体を10mM EDTAを含む0.1Mグリシン緩衝液(pH3.5)でカラムから溶出させる。1.0ml画分を3Mトリス(pH8.6)10μlを含む試験管に集め、タンパク質濃度を280/260nmの吸光度から決定する。ピーク画分をプールして、PBSに対して透析し、抗体を例えばCentricon 30(Amicon,ベヴァリー,マサチューセッツ)で濃縮する。抗体濃度は上記と同様にELISAによって決定し、その濃度をPBSを用いて約1mg/mlに調整する。0.01%(w/v)アジ化ナトリウムを、防腐剤として試料に加えるのが好都合である。
【0143】
下記のものは、抗CD19抗体の調製に用いるプライマーのヌクレオチド配列である。
hA19VKA
5'-ATCACTTGTA AGGCCAGCCA AAGTGTTGAT TATGATGGTG ATAGTTATTT GAACTGGTAC CAGCAGATTC CAGGGAAAGC ACCTAAATTG TTGATCTACG ATGCTTCGAA TCTAGTTTCT GGTATC-3'
hA19VKB
5'-TGCTGACAGT GATATGTTGC AATGTCTTCT GGTTGAAGAG AGCTGATGGT GAAAGTGTAA TCTGTCCCAG ATCCGCTGCC AGAGAATCGA GGAGGGATAC CAGAAACTAG ATTCGAAGCA TCGTA-3'
hA19VKBack
5'-TCCGACATCC AGCTGACCCA GTCTCCATCA TCTCTGAGCG CATCTGTTGG AGATAGGGTC ACTATCACTT GTAAGGCCAG CCAAAG-3'
hA19VKFor
5'-GCTCCTTGAG ATCTGTAGCT TGGTCCCTCC ACCGAACGTC CACGGATCTT CAGTACTTTG CTGACAGTGA TATGTTGCAA T-3'
hA19VHA
5'-CTGGCTACGC TTTCAGTAGC TACTGGATGA ACTGGGTGAG GCAGAGGCCT GGACAGGGTC TTGAGTGGAT TGGACAGATT TGGCCTGGAG ATGGTGATAC TAACTACAAT GGAAAGTTCA AGGGGCGCGC CACTATT-3'
hAl9VHB
5'-CGTAGTCTCC CGTCTTGCAC AAGAATAGAA CGCTGTGTCC TCAGATCGTA GGCTGCTGAG TTCCATGTAG GCTGTATTAG TGGATTCGTC GGCAGTAATA GTGGCGCGCC CCTTGAACTT TCCATTGTA-3'
hA19VHBack
5'-CAGGTCCAAC TGCAGCAATC AGGGGCTGAA GTCAAGAAAC CTGGGTCATCG GTGAAGGTCTC CTGCAAGGCT TCTGGCTACG CTTTCAGTAG C-3'
hA19VHFor
5'-TGAGGAGACG GTGACCGTGG TCCCTTGGCC CCAGTAGTCC ATAGCATAGT AATAACGGCC TACCGTCGTA GTCTCCCGTCTTGCACAAG- 3'
【実施例】
【0144】
本発明を、下記の実施例を参照することによって更に説明するが、これらの実施例は例示のためにのみ提供される。本発明はこれらの実施例に限定されず、本明細書で提供される教示から明らかな総ての変更を包含する。
【0145】
実施例1.ヒト化抗CD19抗体の構築
キメラAl 9(cAl 9)抗体を構築して、Sp2/0細胞で発現させた。cA19のVkおよびVH配列を、図1に示す。cA19抗体は、ラージ、ダウディ、およびラモスのようなCD19+ヒトリンパ腫細胞系に結合されていることが示された。精製したcA19のAg結合特異性を、他の抗CD19抗体、例えばB4(Culter)およびBU12(Chembiochem)に対する細胞表面競合的結合測定法によって評価した。簡単に説明すれば、様々な濃度のcAl9を、ラージ細胞と共に一定量のI−125で放射能標識した抗CD19抗体の存在下にて1時間インキュベーションした。洗浄によって未結合抗体を除去した後、細胞表面に結合した放射能標識抗体をガンマーカウンターで細胞ペレットを計数することによって定量した。図2に示されるように、cAl9は細胞表面結合についてBU12(Chembiochem)と競合し、これらの抗体はCD19分子の同様なまたは重複エピトープを共有し手いることを示唆している。
【0146】
ヒト化抗hCDl9抗体(hAl9)をコードする軽鎖および重鎖可変領域配列をデザインして、構築した。cA19の可変(V)領域枠組構造(FR)配列(図1Aおよび1B)をKabatデーターベースの登録ヒト抗体と比較したところ、cAl9 VkのFRはヒト抗体REI(Vk)の配列に対して高度の配列相同性を示し、VH配列はEUのそれ(VH)と極めて近接に関連していた。しかしながら、ヒト抗体のVHFR4配列NEWMはcA19の配列と一層緊密に整列され、A19重鎖のヒト化についてEU FR4配列を置換するのに用いた(図3B)。従って、ヒトREI枠組構造配列をVKに用い(図3A)、EUとNEWM枠組構造配列の組合せをVHに用いた(図3B)。CDR領域の外側のそれぞれの鎖には、出発ヒト抗体枠組構造と比較して、多数のアミノ酸変化がある。hA19の重鎖hA19VHは、ヒトEUおよびNEWM枠組構造から9個の変化を含んでいる(図3B)。hAl9の軽鎖hA19VKは、REI枠組構造から9個のアミノ酸変化を含む(図2A)。これらの残基は、Vkの4L、39I、58I、60P、87H、100G、および107Kであり、VHの5Q、27Y、28A、40R、91S、94R、107T、および108Tである。hAl9 VkおよびVHのDNAおよびアミノ酸配列を、それぞれ図4Aおよび4Bに示す。
【0147】
実施例2.hA19抗体の構築方法
CDR接合hA19VHおよびVk遺伝子を遺伝子工学処理するため、Leung et al.3によって記載された方法の変法を用いて、長いオリゴヌクレオチド合成とPCRの組合せを用いてhA19についてデザインされたVkおよびVH遺伝子を構築した。簡単に説明すれば、V配列の5’−(センス鎖、Aと称される)および3’−ハーフ(アンチセンス鎖、Bと称される)を表す2本の長い合成オリゴヌクレオチド(長さが約130マー)を、PCR反応の鋳型として用いる。長いオリゴヌクレオチドAおよびBの3’末端配列を、互いに重複し且つ相補性になるようにデザインする。PCRをAおよびBの3’末端をアニーリングして、長いオリゴヌクレオチドの残り(一本鎖)が隣接した短い二本鎖DNAを形成する。それぞれのアニーリング末端は一本鎖DNAの複製のプライマーとして働き、AおよびBを伸長して、二本鎖DNAを形成する。2本の短いオリゴヌクレオチドプライマーの存在下では、V遺伝子セグメントが二本鎖DNAのPCR増幅によって生成する。
【0148】
重鎖
hAl9 VHドメインを構築するため、長いオリゴヌクレオチドhAl9VHA(126マー)およびhA19VHB(128マー)を自動DNA合成装置(Applied Biosystem)上で合成した。hA19VHAはhA19 VHドメインのnt 74−126を表し、hA19VHBはnt 178−306に相補性のhA19VHドメインのマイナス鎖を表す。hA19VHAおよびVHBの3’末端配列(33nt残基)は、互いに相補性である。最小量のhA19VHAおよびVHB(経験的に決定)を、10xPCR緩衝液(500mM KCl,100mMトリス−HCl緩衝液,pH8.3、15mM MgCl2)、2μMのhA19VHBack(5'-CAGGTCCAAC TGCAGCAATC AGGGGCTGAA GTCAAGAAAC CTGGGTCATCG GTGAAGGTCTC CTGCAAGGCT TCTGGCTACG CTTTCAGTAG C-3')およびhA19VHFor (5'-TGAGGAGACG GTGACCGTGG TCCCTTGGCC CCAGTAGTCC ATAGCATAGT AATAACGGCC TACCGTCGTA GTCTCCCGTC TTGCACAAG-3')、および2.5単位のTaq DNAポリメラーゼ(Perkin Elmer Cetus, ノーウォーク,コネチカット)の存在下で増幅した。下線部分は、図4Bに示されるように、サブクローニングの制限部位である。この反応混合物に、94℃で1分間の変性、45℃で1分間のアニーリング、および72℃で1.5分間の重合からなるポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を3サイクル行った。この処置に続いて、94℃で1分間の変性、55℃で1分間のアニーリング、および72℃で1分間の重合からなるPCR反応27サイクル行った。生成するDNAフラグメントは、アガロースゲル電気泳動で約350の予想した分子サイズを示した。hA19VHについての二本鎖PCR増幅産物をゲル精製し、PstIおよびBstEII制限酵素で制限消化し、重鎖ステージングベクターVHpBS2の相補性PstI/BstElI制限部位にクローニングし、VH配列は、翻訳開始コドンをコードするDNA配列と完全に組み立てられ、ぶんぴシグナルペプチドは5’末端でインフレーム連結し、イントロン配列は3’末端で連結した。VHpBS2はVHpBSの修飾したステージングベクターであり(Leung et al., Hybridoma, 13:469 (1994))、これの翻訳開始コドンの16塩基上流にXhoI制限部位を導入して、次のサブクローニング段階を促進した。組み立てられたVH遺伝子は、XhoI−BamHI制限フラグメントとして、IgHエンハンサーおよびMT1プロモーター、並びに選択および増幅のマーカーとしてのマウスdhfr遺伝子の制御下でヒトIgG重および軽鎖の両方についての発現カセットを含む発現ベクターpdHL2にサブクローニングした(図4B)。pdHL2の重鎖領域はBamHI制限部位を欠くので、この連結には、リンカーを用いて可変鎖のBamHI部位とpdHL2ベクターに存在するHindIII部位の間に橋を提供する必要がある。生成する発現ベクターは、hA19VHpdHL2と命名した。
【0149】
ヒト化VK配列の完全長DNAを構築するため、hA19VKA(126マー、hA19 VKドメインのnt 61−186を表す)およびhA19VKB(124マー、nt 157−281に相補性のhA19 VKドメインのマイナス鎖を表す)を上記と同様にして合成した。hA19VKAとVKBを、上記と同様にして2本の短いオリゴヌクレオチドhA19VKBack (5'-CAGGTCCAAC TGCAGCAATC AGGGGCTGAA GTCAAGAAAC CTGGGTCATCG GTGAAGGTCTC CTGCAAGGCT TCTGGCTACG CTTTCAGTAG C-3')およびhA19VKFor (5'-TGAGGAGACG GTGACCGTGG TCCCTTGGCC CCAGTAGTCC ATAGCATAGT AATAACGGCC TACCGTCGTA GTCTCCCGTC TTGCACAAG-3')によって増幅した。下線部は、下記のようにサブクローニングの制限部位である。hA19Vkについてのゲル精製したPCR産物をPvuIIおよびBglIIで制限消化し、軽鎖ステージングベクターVKpBR2の相補性PvuII/BclI部位にクローニングした。VKpBR2はVKpBRの修飾ステージングベクターであり(Leung et al., Hybridoma, 13:469 (1994))、これの翻訳開始コドンの16塩基上流にXhoI制限部位を導入した。組み立てられたVk遺伝子は、VH配列を含む発現ベクターhA19VHpdHL2にXhoI−BamHI制限フラグメントとしてサブクローニングした。生成する発現ベクターは、hA19pdHL2と命名した。
【0150】
実施例3.hA19抗体のトランスフェクションおよび発現
hAl9についての発現ベクター約30gをSalIで消化することによって線形化し、電気穿孔(450Vおよび25μF)によってSp2/0−Agl4細胞にトランスフェクションした。トランスフェクション細胞を96穴プレートで2日間培養した後、MTX培地に0.075μMの最終濃度で添加することによって薬剤耐性について選択した。MTX耐性コロニーは、2−3週間でウェルに現れた。選択の後に残っているコロニーの上清を、ヒトAb分泌についてELISA分析法によってスクリーニングした。簡単に説明すれば、100μlの上清をF(ab’)2フラグメント特異AbであるGAH−IgGを予備コーティングしたマイクロタイタープレートのウェルに加え、室温で1時間インキュベーションした。未結合タンパク質を、洗浄緩衝液(0.05%ポリソルベート20を含むPBS)で3回洗浄することによって除去した。HRPと接合したGAH−IgGであるFcフラグメント特異Abを、ウェルに加えた。1時間インキュベーションの後、プレートを洗浄した。結合したHRP接合Abは、4mM OPDと0.04% H2O2を含む基質溶液を添加した後に、A490nmを読むことによって明らかになった。陽性細胞クローンを膨張させ、hB43をプロテインAカラム上でのアフィニティークロマトグラフィーによって細胞培養物上清から精製した。
【0151】
実施例4.抗CD19抗体の抗原結合特異性およびアフィニティーの決定
プロテインAカラム上でのアフィニティークロマトグラフィーによって精製したcAl9およびhAl90のAg結合特異性を、細胞表面競合的結合測定法によって評価し、比較した。簡単に説明すれば、一定量(100,000cpm,約10μCi/μg)の125Iで標識したcA19またはhA19を、様々な濃度(0.2−700nM)のcAl9またはhAl9の存在下にてラージ細胞と共に4℃で1−2時間インキュベーションした。未結合Abは、細胞をPBSで洗浄することによって除去した。細胞に関する放射能を、洗浄後に測定した。図2に示されるように、精製したhA19は細胞表面結合について125I標識cAl9と競合し、その逆も成り立つことから、見かけの結合アビディティーはこれらの2種類のAbの間で類似していることを示している。
【0152】
hA19の抗原結合アフィニティー(アビディティー)定数を、放射能標識したAbの直接細胞表面結合分析法と、cA19と比較したスキャッチャードプロット解析によって決定した。簡単に説明すれば、hA19およびcAl9をクロラミンT法によって125Iで標識した。様々な量の125I−hAl9または125I−cAl9を、2x105個のラージ細胞と共に4℃で2時間インキュベーションし、未結合抗体を洗浄によって除去した。細胞に関連した放射能を計数し、スキャッチャードプロット解析を行い、細胞当たりのhAl9およびcA19結合部位の最大数、および平衡結合の見かけの解離定数を測定した。図3に示されるように、hA19は、cAl9と実質的に同一の結合アフィニティーを示した。これらの2種類の抗体についての見かけの解離定数は、それぞれ1.1および1.2nMと計算された。
【0153】
実施例5:非ホジキンリンパ腫の治療
進行の遅い小胞細胞NHLの患者はデキサメタゾンを含む化学療法の後に再発し、胸部(大動脈傍リンパ節)、鬱血して入り組んだ脾臓、および鬱血した頸部リンパ節に疾病を有する。患者に、本発明のヒト化CD19 MAbに続いて同日にヒト化CD20 MAb (hA20)を組み合わせて静脈内輸液によりそれぞれ300mg/m2のコースを1週毎に4週間投与し、それぞれの投与時に、輸液に関連した反応を抑制するためにチレノール(Tylenol)(登録商標)とベナドリル(Benadryl)(登録商標)を標準的な公表された用量に従って前投与した。4週間後、患者に最初の追跡調査試験を行い、触診可能なリンパ節の幾つかが柔らかくなっている点のみを観察する。最初の治療サイクルに続いて3ヶ月後の再来時に、患者の胸部疾患はCTスキャン上では40%減少しており、脾臓は治療前の大きさのほぼ半分であり、頸部リンパ節はほとんどなくなっている。患者に、次に再治療サイクルを行い、更に3ヶ月後には、脾臓は正常な大きさとなっており、頸部リンパ節は蝕知不能かまたはCTスキャン上で測定不能であり、胸部の病巣は小さく1.5cmしかなかった。患者は更に4ヶ月間通院を続けたが、疾患はほぼなくなっていた。
【0154】
上記のものは特定の好ましい態様に関するものであるが、本発明はこれらに限定されないことが理解されるであろう。当業者であれば、開示された態様に対して様々な修飾を行うことができ、これらの修飾は特許請求の範囲に定義されている本発明の範囲内にあると解釈される。
【0155】
本明細書に引用されている総ての公表文献、および特許出願明細書および特許明細書の全内容は、引用することにより本明細書の一部とされる。
【図面の簡単な説明】
【0156】
【図1A】cAl9(キメラ抗CD19抗体)のVk(可変軽鎖)およびVH(可変重鎖)配列。CDR領域配列は、太字と下線を施して示す。ヌクレオチドには、順次番号を付している。カバットIg分子ナンバリングを、アミノ酸残基上のナンバリングによって示されるようにアミノ酸残基について用いている。文字によってナンバリングされたアミノ酸残基は、カバットナンバリング配列によって定義された挿入残基である。この挿入残基は、前の残基と同じ先行する数字を有する。軽鎖可変領域は図1Aに示される。
【図1B】cAl9(キメラ抗CD19抗体)のVk(可変軽鎖)およびVH(可変重鎖)配列。CDR領域配列は、太字と下線を施して示す。ヌクレオチドには、順次番号を付している。カバットIg分子ナンバリングを、アミノ酸残基上のナンバリングによって示されるようにアミノ酸残基について用いている。文字によってナンバリングされたアミノ酸残基は、カバットナンバリング配列によって定義された挿入残基である。この挿入残基は、前の残基と同じ先行する数字を有する。例えば、図1Bにおける残基82、82A、82Bおよび82Cは、それぞれ82、A、BおよびCと表される。重鎖可変領域は図1Bに示される。
【図2】cAl9抗体の結合特異性を他の抗CD19抗体であるBU12およびB4の結合特異性と比較するための細胞表面での競合的結合測定法の結果。cAl9の濃度増加により、未標識BU12およびB4と同様に放射性標識BU12のラジ細胞への結合がブロックされ、これらの抗体はCD19分子の同様なまたはオーバーラップエピトープを認識することを示している。
【図3A】ヒト抗体、キメラおよびヒト化抗CD19抗体の可変軽鎖(Vk)および可変重鎖(VH)のアミノ酸配列の比較。図3Aは、ヒト抗体の可変軽鎖(Vk)(REIVk)、キメラ抗体の可変軽鎖(cA19Vk)およびヒト化抗体の可変軽鎖(hA19Vk)のアミノ酸配列の比較である。
【図3B】ヒト抗体、キメラおよびヒト化抗CD19抗体の可変軽鎖(Vk)および可変重鎖(VH)のアミノ酸配列の比較。図3Bは、ヒト抗体の可変重鎖(VH)(EUおよびNEWM(FR4のみ)、キメラ抗体の可変重鎖(cA19VH)およびヒト化抗体の可変重鎖(hA19VH)のアミノ酸配列の比較である。
【図4A】ヒト化抗CD19抗体(hA19)軽鎖V遺伝子(hAl9Vk)のアミノ酸配列(図4A)。ヌクレオチド配列は、小文字で示す。VKおよびVHアミノ酸残基のナンバリングは図1のナンバリングと同一である。
【図4B】ヒト化抗CD19抗体(hA19)重鎖V遺伝子(hA19VH)のアミノ酸配列(図4B)。ヌクレオチド配列は、小文字で示す。VKおよびVHアミノ酸残基のナンバリングは図1のナンバリングと同一である。
【図5A】ヒト化A19抗体(hA19)の結合特異性および活性をcAl9の結合特異性および活性と比較するための細胞表面競合的結合測定法の結果。図5Aは、非接合hA19 (黒塗り三角形)およびcA19(黒塗り丸)がいずれも125I−hAl9のラジ細胞への結合をブロックすることを示している。
【図5B】ヒト化A19抗体(hA19)の結合特異性および活性をcAl9の結合特異性および活性と比較するための細胞表面競合的結合測定法の結果。図5Bは、hA19(黒塗り丸)およびcl9 (黒塗り四角形)が同様に125I−cAl9のラジ細胞への結合にかなり競合することを示している。cA19またはhA19の濃度増加により、放射能標識したhA19またはcA19のそれぞれラジ細胞への結合がブロックされた。
【図6】直接的細胞表面結合およびスキャッチャードプロット解析による抗CD19 AbのAg結合アフィニティー(アビディティー)の測定。様々な濃度の125I−hA19 (菱形)または125I−cA19 (四角形)を、ラジ細胞と4℃で1時間インキュベーションした。総および結合放射能を計測して、挿入図に示されるようにスキャッチャードプロットによって解析した。hA19は、cA19と実質的に同じ結合アフィニティーを示した。図に示されるように、見かけの解離定数値はhA19およびcA19についてそれぞれ1.1および1.2nMと計算された。
【発明の背景】
【0001】
本出願は、2003年7月31日出願の米国仮出願出願番号第60/491,282号に基づき優先権を主張するものであり、上記出願明細書の全内容は、引用することにより本明細書の一部とされる。
【0002】
発明の分野
本発明は、抗CD19抗体、特にヒト化、キメラおよびヒト抗CD19抗体、特に裸であるかまたは少なくとも1つの治療および/または診断薬に接合したモノクローナル抗体(MAb)およびそのフラグメント、およびそれらの使用方法に関する。特に、本発明による抗CD19抗体は、例えば、悪性疾患および/または自己免疫疾患などの炎症性疾患または障害のようなB細胞疾患の治療に用いることができる。本発明の方法および組成物は、非ホジキンリンパ腫、慢性リンパ性白血病および急性リンパ芽球性白血病などのリンパ腫や白血病の治療に用いることもできる。好ましい態様では、腫瘍性疾患は、進行の遅い形態のB細胞リンパ腫、急速進行性形態のB細胞リンパ腫(非ホジキンリンパ腫)、慢性リンパ性白血病または急性リンパ性白血病のようなB細胞悪性疾患、または多発性骨髄腫である。
【0003】
本発明はまた、抗体融合タンパク質であって、少なくとも2つの抗CD19 MAbもしくはそれらのフラグメント、または少なくとも1つの抗CD19 MAbもしくはそのフラグメントと少なくとも1つの抗CD19 MAbまたはそのフラグメント以外の第二のMAbもしくはそのフラグメントとを含んでなる抗体融合タンパク質に関する。本発明の多重特異性および/または融合タンパク質は、裸であるかまたは少なくとも1つの治療および/または診断薬に接合していることができる。
【0004】
ヒト化、キメラおよびヒト抗CD19 MAbおよびそのフラグメント、および抗体融合タンパク質およびそのフラグメントは、裸であるかまたは治療または診断薬に接合して単独で、または別の裸の抗体と組み合わせて投与することができる。また、裸のまたは接合した抗CD19抗体およびそのフラグメント、および抗体融合タンパク質およびそのフラグメントは、CD19抗体またはそのフラグメント、または融合タンパク質またはそのフラグメントに接合していない少なくとも1つの治療薬または診断薬と組み合わせて投与することができる。
【0005】
更に、本発明は、ヒト化、キメラまたはヒト抗CD19抗体およびそのフラグメント、および抗体融合タンパク質およびそのフラグメントをコードするDNA配列に関する。同様に、このDNA配列を含むベクターおよび宿主細胞も意図される。最後に、本発明は、ヒト化、キメラおよびヒト抗CD19抗体およびそのフラグメント、および融合タンパク質およびそれらのフラグメントの製造方法を開示する。
【0006】
背景技術
脊椎動物の免疫系は、外来抗原を正確に認識し、これらの外来抗原に特異的に結合して除去/破壊する目的で進化してきた多数の種類の臓器および細胞からなっている。リンパ球は、他の細胞型の中、免疫系にとって重要である。リンパ球は、2つの主要な下位個体群のT細胞とB細胞に分割される。それらは相互依存性であるが、T細胞は主として細胞性免疫に関与しており、B細胞は主として抗体産生(体液性免疫)に関与する。
【0007】
ヒトでは、それぞれのB細胞が莫大な数の抗体分子を産生することができる。このような抗体産生は、外来抗原が中和されてしまったときには、典型的には停止(または実質的に減少)する。しかしながら、場合によっては、特定のB細胞の増殖は衰えることなく継続し、B細胞リンパ腫として知られる癌を生じることがある。非ホジキンリンパ腫のB細胞サブタイプのようなB細胞リンパ腫は、癌死亡率の重要な一因である。B細胞悪性疾患の様々な種類の治療に対する応答は雑多である。例えば、非ホジキンリンパ腫の適切な臨床的病期分類が可能な場合には、屋外の放射線療法が満足な治療を提供することができる。更に、患者の約半数は、この疾患で死亡する。Devesa et al., J. Nat'l Cancer Inst. 79:701 (1987)。
【0008】
慢性リンパ性白血病の大半は、B細胞系統のものである。Freedman, Hematol. Oncol. Clin. North Am. 4:405 (1990)。この種のB細胞悪性疾患は、西欧世界で最も一般に見られる白血病である。Goodman et al., Leukemia and Lymplaoma 22:1 (1996)。慢性リンパ性白血病の自然な展開は、幾つかの時期に分類される。初期では、慢性リンパ性白血病は、寿命が延びた小さな成熟した機能不全(functionally-imcompetent)の悪性B細胞の蓄積を特徴とする進行の遅い疾患である。結局、悪性B細胞の倍加時間は減少して、患者にはますます徴候が現れる。治療は徴候を軽減することができるが、患者の全般的な生存は極めて僅かしか影響されない。慢性リンパ性白血病の後期段階は、著しい貧血および/または血小板減少を特徴とする。この時点での中央生存期間は2年未満である。Foon et al., Annals Int. Medicine 113:525 (1990)。細胞増殖の速度が極めて低いため、慢性リンパ性白血病は細胞傷害剤治療に抵抗性である。
【0009】
化学療法および放射線療法などB細胞悪性疾患の在来の治療方法は、毒性副作用のため有用性は限られている。本発明は、接合したモノクローナル抗体や抗体フラグメントを用いて放射性核種、毒素、RNAi分子、または他の治療または診断薬を腫瘍部位へ選択的に向けることによって正常組織の薬剤毒性をできるだけ少なくする。更に、抗CD19、−CD20、−CD21、−CD23、−CD80および−CD22抗体のような非接合B細胞抗体を用いて、B細胞悪性疾患上のある種の標識を標的とすることができる。また、HLA−DRのような他の抗原は、他の細胞型上でも発現するが、正常および悪性B細胞について標的として働くことがある。
【0010】
B細胞は、分化および同定のマーカーとして用いることができる細胞表面タンパク質を含んでなる。このようなヒトB細胞マーカーはCD19抗原であり、成熟B細胞には見られるが血漿細胞には見られない。CD19は初期のプレB細胞発生の際に発現し、血漿細胞分化までそのままである。CD19は、正常なB細胞、および異常増殖がB細胞リンパ腫をもたらす可能性がある悪性B細胞のいずれでも発現する。例えば、CD19は、非ホジキンリンパ腫、慢性リンパ性白血病、および急性リンパ芽球性白血病などのB細胞系統の悪性疾患で発現するが、これらに限定されない。
【0011】
非ヒトモノクローナル抗体(例えば、ネズミモノクローナル抗体)を用いる場合の潜在的問題点は、典型的にはヒトエフェクター機能性を欠いていることである。換言すれば、このような抗体は、補体依存性リーシスを伝達しまたは抗体依存性細胞傷害性またはFc受容体によって伝達される貪食作用を介してヒト標的細胞をリーシスすることができないことがある。 更に、非ヒトモノクローナル抗体は異種タンパク質としてのヒト宿主によって認識することができ、従ってこのような異種抗体を反復投与することによって、免疫応答を誘導して有害な過敏反応を生じる可能性がある。ネズミを基としたモノクローナル抗体については、これはヒト抗マウス抗体(HAMA)応答と表されることが多い。
【0012】
キメラ抗体の使用は一層好ましく、これらはネズミ抗体ほど強いHAMA応答を誘導しないからである。キメラ抗体は、2種類以上の異なる種由来の部分を含んでなる抗体である。例えば、Liu, A. Y. et al,「強力なFc依存性生物活性を有するCD20に対するマウス−ヒトキメラモノクローナル抗体の産生」J. Immun. 139/10:3521-3526 (1987)には、CD20抗原に対して指定されたマウス/ヒトキメラ抗体が記載されている。PCT国際公開第WO 88/04936号明細書も参照されたい。しかしながら、文献には、B細胞疾患の治療にこのようなキメラ抗体を用いることの能力、効力または実用性について何の情報も提供されていない。イン・ビトロでの機能性分析(例えば、補体依存性リーシス (CDC)、抗体依存性細胞傷害(ADCC)など)は、特異抗原を発現する標的細胞を破壊しまたは涸渇させるキメラ抗体のイン・ビボ能力を本質的に予測することができないことが注目される。例えば、Robinson, R. D. et al.,「異なる抗腫瘍細胞の生物活性を伝達するキメラマウス−ヒト抗癌抗体」Hum. Antibod. Hybridomas 2:84-93 (1991) (検出不能なADCC活性を有するキメラマウス−ヒト抗体)を参照されたい。従って、キメラ抗体の潜在的な治療効力は、イン・ビボ実験、好ましくは特定の療法についての目的とする種における実験によってのみ真に評価することができる。
【0013】
ネズミモノクローナル抗体の能力を改良してB細胞疾患の治療に有効とする1つの方法は、放射性標識または化学療法剤を抗体に接合させて、標識または薬剤が腫瘍部位に局在化するようにすることであった。例えば、研究は、90Yを標識した抗CD19抗体を用いて、マウスのリンパ腫を減少させることができ(McDevitt et al., Leukemia 16:60(2002))、イダルビシンに接合した抗CD19抗体は、実験モデルでの腫瘍退縮を生じ(Rowland et al., Cancer Immunol. Immunother., 37:195 (1993))、125Iおよび111Inで放射性標識したCD19は、腫瘍のある臓器に特異的に吸収される(Mitchell et al., J. Nucl. Med., 44:1105 (2003))ことを示している。抗CD19抗体を用いる併用療法も、Ek et al., Leuk. Lymphoma 31:143 (1998)およびUckum et al., Blood, 79:3116 (1992)に記載されている。抗CD19抗体やCD3 x CD19ダイアボディーを用いるヒトB細胞リンパ腫の治療は、それぞれHekman et al., Cancer Immunol. Immunother., 32:364 (1991)およびCochlovius et al., J. Immunol., 165:888 (2000)に記載されている。
【0014】
しかしながら、これらの方法は、以前に集中的細胞傷害性化学療法を受けたことがあるリンパ腫の多くの患者は免疫が抑制されており、激しい予備治療を受けたことがないリンパ腫の患者よりHAMA率が低いという事実にもかかわらず、これらの方法ではネズミ抗体の使用に関連した障害は除かれなかった。
【0015】
自己免疫疾患などの炎症性疾患も、B細胞障害と関連した疾患のクラスである。自己免疫疾患の例としては、急性特発性血小板減少性紫斑病、慢性特発性血小板減少性紫斑病、シデナム舞踏病、重症筋無力症、全身性エリテマトーデス、ループス腎炎、リウマチ熱、多腺性症候群、水疱性類天疱瘡、糖尿病、ヘノッホ−シェーンライン紫斑病、ポストストレプトコッカス腎炎(post-streptococcalnephritis)、結節性紅斑、高安動脈炎、アジソン病、関節リウマチ、多発性硬化症、サルコイドーシス、潰瘍性大腸炎、多形紅斑、IgAネフロパシー、結節性多発動脈炎、強直性脊椎炎、グッドパスチャー症候群、閉塞性血栓血管炎(thromboangitisubiterans)、シェーグレン症候群、原発性胆汁性肝硬変症、橋本甲状腺炎、甲状腺中毒症、強皮症、慢性活動性肝炎、多発性筋炎/皮膚筋炎、多発性軟骨炎、尋常性天疱瘡(parnphigus vulgaris)、ヴェーゲナー肉芽腫症、膜性腎症、筋萎縮性側索硬化症、脊髄ロウ、巨細胞性動脈炎/多発筋痛、悪性貧血、急速進行性糸球体腎炎、乾癬、および繊維化性肺胞炎が挙げられるが、これらに限定されない。最も良く用いられる治療は副腎皮質ステロイドおよび細胞傷害剤であり、これらは極めて毒性が高いことがある。これらの薬剤は免疫系全体をも抑制し、重篤な感染症を生じる可能性があり、骨髄、肝臓および腎臓に悪影響を及ぼす。クラスIIIの自己免疫疾患の治療に今日まで用いられてきた他の治療薬は、T細胞およびマクロファージに向けられたものであった。自己免疫疾患、特にクラスIIIの自己免疫疾患の治療のための更に有効な方法が求められている。
【0016】
B細胞疾患およびそれらの治療に関する多くの問題点を検討するため、本発明は、ヒト化、キメラおよびヒト抗CD19モノクローナル抗体およびそのフラグメント、および抗体融合タンパク質およびそのフラグメントを、ネズミ抗体の使用に関連した有害応答なしでヒトおよび他の哺乳類におけるB細胞リンパ腫および白血病および自己免疫疾患の治療の目的で提供する。本発明の抗体、融合タンパク質およびそのフラグメントは、単独で、少なくとも1種類の診断および/または治療薬に接合して、または他の治療様式と組み合わせて用いることができる。
【発明の概要】
【0017】
従って、本発明は、CD19と呼ばれ、B細胞悪性疾患および自己免疫疾患のようなB細胞疾患の治療および診断に有用なヒトB細胞マーカーに結合するヒト化、キメラおよびヒト抗CD19抗体を提供する。
【0018】
本発明は、ヒトまたは家畜のような哺乳類患者を1種類以上のヒト化、キメラまたはヒトCD19抗体を単独で、抗体融合タンパク質として、治療接合体単独または抗体融合タンパク質の部分として組み合わせて、または他の抗体、他の治療薬または免疫調節剤を用いる多様療法(multimodal therapy)として、または少なくとも1種類の治療薬、治療用放射性核種または免疫調節剤に結合した免疫接合体として用いる治療方法を提供する。これらのヒト化、キメラおよびヒトCD19抗体は、診断用画像化剤として単独で、他の診断用画像化剤と組み合わせて、および/または治療用途と共に用いることもできる。
【0019】
本発明は、更に特異的ネズミCDRまたはCD19に特異性を有する2つ以上のネズミまたはキメラ抗CD19 MAb由来のネズミCDRの組合せを含む抗CD19 MAbまたはそのフラグメントに関する。これらのMAbは、ヒト化、キメラまたはヒト抗CD19 MAbであることができる。
【0020】
本発明は、少なくとも2つの抗CD19 MAbまたはそのフラグメント、または抗CD19 MAbまたはそのフラグメントを含んでなる第一のMAbと第二のMAbを含んでなる抗体融合タンパク質にも関する。
【0021】
本発明は、更に抗CD19 NUbsまたはそのフラグメントと、少なくとも1種類の治療薬および/または少なくとも1種類の診断薬に結合した抗CD19 MAbまたは他のMAbまたはそのフラグメントとの治療または診断接合体にも関する。同一または異なる種類の複数の治療薬との抗体融合タンパク質も、本発明で考えられる。
【0022】
本発明は、更に、抗CD19 MAbまたはそのフラグメントまたはその抗体融合タンパク質またはそのフラグメントを治療に単独で、互いに組み合わせて、裸の、1種類以上の治療薬に接合して、またはそれぞれ1種類以上の治療薬と組み合わせて投与する使用方法にも関する。
【0023】
本発明は、更に、抗CD19 MAbまたはそのフラグメントまたはその抗体融合タンパク質またはそのフラグメントを1つ以上の診断薬に結合させたものを診断薬に使用する方法にも関する。
【発明の具体的説明】
【0024】
特に断らない限り、本明細書で用いられる単数への言及は「1以上」を意味する。
1.大要
上記のように、治療用放射性核種と未接合であるかまたはで標識されている抗CD19抗体は、中または急速進行性B細胞リンパ腫の患者において客観的且つ継続的応答を高比率で提供することができなかった。本発明は、ヒトおよび家畜である哺乳類患者の治療に有用な、単独で、接合体として、または他の裸の抗体および抗体治療接合体などの他の治療薬と組み合わせて投与される、ヒト化、キメラおよびヒト抗CD19抗体、およびその抗体融合タンパク質を提供する。
【0025】
本発明の抗CD19 MAbは、特異的ネズミCDRまたはCD19抗原に特異性を有する2種類以上のネズミまたはキメラ抗CD19 MAb由来のネズミCDRの組合せを含む。本発明の抗CD19 MAbは、ヒト化、キメラまたはヒト MAbであり、それらはネズミ抗CD19 MAbのCDRとヒト抗体の軽および重鎖定常領域のアミノ酸を含むが、ネズミ抗CD19 MAbのB細胞およびB細胞リンパ腫および白血病細胞へのターゲッティングを実質的に保持する。抗CD19 MAbの軽鎖可変領域のCDRは、アミノ酸KASQSVDYDGDSYLNを含むCDR1、アミノ酸DASNLVSを含むCDR2、およびアミノ酸QQSTEDPWTを含むCDR3を含んでなり、抗CD19 MAbの重鎖可変領域のCDRは、アミノ酸SYWMNを含むCDR1、アミノ酸QIWPGDGDTNYNGKFKGを含むCDR2、およびアミノ酸RETTTVGRYYYAMDYを含むCDR3を含んでなる。
【0026】
好ましい態様では、本発明のヒト化抗CD19 MAbまたはそのフラグメントは、ネズミ抗CD19 MAbのCDRと、ヒト抗体の軽および重鎖可変領域およびヒト抗体の軽および重鎖定常領域のフレームワーク(FR)領域を含んでなるが、親のネズミ抗CD19 MAbのB細胞、およびB細胞リンパ腫および白血病細胞ターゲッティングを実質的に保持し、抗CD19 MAbの軽鎖可変領域のCDRは、アミノ酸KASQSVDYDGDSYLNを含んでなるCDR1、アミノ酸DASNLVSを含んでなるCDR2、およびアミノ酸QQSTEDPWTを含んでなるCDR3を含んでなり、抗CD19 MAbの重鎖可変領域のCDRは、アミノ酸SYWMNを含んでなるCDR1、アミノ酸QIWPGDGDTNYNGKFKGを含んでなるCDR2、およびアミノ酸sRETTTVGRYYYAMDYを含んでなるCDR3を含んでなる。しかしヒト化抗CD19 MAbまたはそのフラグメントは、更に抗体の軽および重鎖可変領域のFRにネズミMAbの相当するFR由来のの少なくとも1つのアミノ酸を含むことがある。具体的には、ヒト化抗CD19 MAbまたはそのフラグメントは、hA19VHと称される図4Aのネズミ重鎖可変領域の少なくとも1つのアミノ酸残基5、27、28、40、48、91、94、107、および108と、hA19Vkと称される図4Bのネズミ軽鎖可変領域の少なくとも1つのアミノ酸残基4、39、58、60、87、100、および107を含む。ネズミアミノ酸配列の1以上は、必要ならば、軽および重可変鎖のヒトFR領域に保持して、適正な結合を保持しまたはCD19抗原に対する結合を増強することができる。更に好ましくは、本発明のヒト化抗CD19 MAbまたはそのフラグメントは、図3AのhAl9Vkおよび図3BのhA19VHを含んでなる。
【0027】
本発明の好ましいキメラ抗CD19(cA19)MAbまたはそのフラグメントは、ネズミ抗CD19 MAbのCDRと、ネズミ抗CD19 MAbの軽および重鎖可変領域、すなわち親ネズミMAbのFvおよびヒト抗体の軽および重鎖定常領域のFR領域を含んでなり、キメラ抗CD19 MAbまたはそのフラグメントはネズミ抗CD19 MAbのB細胞およびB細胞リンパ腫および白血病細胞へのターゲッティングを実質的に保持し、抗CD19 MAbの軽鎖可変領域のCDRは、アミノ酸KASQSVDYDGDSYLNを含むCDR1、アミノ酸DASNLVSを含むCDR2、およびアミノ酸QQSTEDPWTを含むCDR3を含んでなり、抗CD19 MAbの重鎖可変領域のCDRは、アミノ酸SYWMNを含むCDR1、アミノ酸QIWPGDGDTNYNGKFKGを含むCDR2、およびアミノ酸RETTTVGRYYYAMDYを含むCDR3を含んでなる。
【0028】
更に好ましくは、キメラ抗CD19 MAbまたはそのフラグメントは、ネズミ抗CD19 MAbの相補性決定領域(CDR)と、ネズミ抗CD19 MAbの軽および重鎖可変領域およびヒト抗体の軽および重鎖定常領域のフレームワーク(FR)領域を含んでなり、キメラ抗CD19 MAbまたはそのフラグメントは、ネズミ抗CD19 MAbのB細胞およびB細胞リンパ腫および白血病細胞へのターゲッティングを実質的に保持し、キメラ抗CD19 MAbの軽鎖可変領域のCDRは、それぞれcA19VkおよびcA19VHと称される図2Aおよび2Bに示されるCDRを含んでなる。
【0029】
本発明は、ヒト抗体の軽および重鎖可変および定常領域を含んでなるヒト抗CD19 MAbまたはそのフラグメントであって、上記ヒト抗CD19 MAbがネズミ抗CD19 MAbのB細胞およびB細胞リンパ腫および白血病細胞ターゲッティングおよび細胞結合特性を実質的に保持するものであり、ヒト抗CD19 MAbの軽鎖可変領域のCDRがキメラおよびヒト化抗CD19 MAbについて上記したものおよび図2Aおよび2Bおよび3Aおよび3Bにそれぞれ示したものと同じCDRを含んでなる。
【0030】
本発明はまた、上記のように少なくとも2つの抗CD19 MAbまたはそのフラグメントを含んでなる抗体融合タンパク質またはそのフラグメントを包含することを目的としている。本発明の抗体融合タンパク質またはそのフラグメントは、少なくとも1つの第一の抗CD19 MAbまたはそのフラグメントと、上記の抗CD19 MAbまたはフラグメントを除く少なくとも1つの第二のMAbまたはそのフラグメントとを含んでなる抗体融合タンパク質またはそのフラグメントを包含することを意図している。更に好ましくは、この第二のMAbは、CD4、CD5、CD8、CD14、CD15、CD19、CD20、CD21、CD22、CD23、CD25、CD33、CD37、CD38、CD40、CD40L、CD46、CD52、CD54、CD74、CD80、CD126、CD138、B7、MUC−1、Ia、HM1.24、HLA−DR、テネイシン、血管新生因子、VEGF、PIGF、ED−Bフィブロネクチン、癌遺伝子、癌遺伝子産物、NCA 66a−d、壊死抗原、Ii、IL−2、T101、TAC、IL−6、TRAIL−R1(DR4)およびTRAIL−R2(DR5)、またはそれらの組合せと反応性のMAbであり、本明細書に記載の抗CD19 MAbとは異なるエピトープに指定されている抗CD19 MAbでもある。本発明の抗体融合タンパク質は、1つのCD19 MAbと異なる抗原に対する特異性を提供する1つ以上の第二のMAbとから構成され、以下に更に詳細に説明する。
【0031】
ヒト化、キメラおよびヒト抗CD19抗体は、B細胞リンパ腫および白血病などのB細胞疾患、および自己免疫疾患の治療のための優れた治療薬を得るためのCDR突然変異、およびCDRおよび可変領域における他の配列の操作の結果として、エピトープと結合するアフィニティーが増加し、抗腫瘍および抗B細胞活性を有することがある。抗体の結合特異性、アフィニティーまたはアビディティーに対する修飾は知られており、親和性成熟としてWO 98/44001号明細書に記載されており、この出願明細書は修飾の方法を要約しており、その全内容は引用することにより本明細書の一部とされる。
【0032】
本発明の抗体を修飾してエフェクター機能を改良し、例えば、拮抗薬の抗原依存性細胞性細胞傷害(ADCC)および/または補体依存性細胞傷害(CDC)を高めるようにするのが望ましいこともある。Fc領域における1以上のアミノ酸置換またはシステインの導入を行い、インターナリゼーション能の改良および/または補体性細胞殺害およびADCCの増加を行うことができる。Caron et al., J. Ex. Med. 176:1191-1195 (1991)、およびShopes, Brit. J. Immunol. 148:2918-2022 (1992)を参照されたい。上記文献の全内容は、引用することにより本明細書の一部とされる。補体リーシスおよびADCC能をいずれも高めた二重Fc領域を有する抗体融合タンパク質を調製することができる。
【0033】
本発明は、
(a)本明細書に記載の抗CD19 MAbまたはそのフラグメント、
(b)少なくとも2種類の抗CD19 MAbまたはそのフラグメントを含んでなる抗体融合タンパク質またはそのフラグメント、
(c)本明細書に記載の抗CD19 MAbまたはそのフラグメントを含んでなる少なくとも1つの第一のMAbまたはそのフラグメントと、抗CD19 MAbまたはそのフラグメント以外の少なくとも1つの第二のMAbまたはそのフラグメントとを含んでなる抗体融合タンパク質またはそのフラグメント、および
(d)抗CD19 MAbまたはそのフラグメントを含んでなる少なくとも1つの第一のMAbまたはそのフラグメントと、少なくとも1つの第二のMAbまたはそのフラグメントとを含んでなる抗体融合タンパク質またはそのフラグメントであって、第二のMAbが、CD4、CD5、CD8、CD14、CD15、CD19、CD20、CD21、CD22、CD23、CD25、CD33、CD37、CD38、CD40、CD40L、CD46、CD52、CD54、CD74、CD80、CD126、CD138、B7、MUC−1、Ia、HM1.24、HLA−DR、テネイシン、ED−Bフィブロネクチン、IL−6、VEGF、PIGF、TRAIL−R1(DR4)およびTRAIL−R2(DR5)、またはそれらの組合せと反応性のMAbであるもの
からなる群から選択されるMAbまたはそのフラグメントをコードする核酸を含んでなるDNA配列にも関する。
【0034】
本発明は、これらのDNA配列を含んでなる発現ベクターをも包含する。これらのベクターは、ヒト化、キメラおよびヒト抗CD19 MAbまたはその抗体融合タンパク質、またはそれらのフラグメントの調製に用いるベクターの場合には、ヒト免疫グロブリンの軽および重鎖定常領域とヒンジ領域を含む。これらのベクターは、更に、必要な場合には、選択された宿主細胞でMAbを発現するプロモーター、免疫グロブリンエンハンサー、およびシグナルまたはリーダー配列を含む。本発明で特に有用なベクターは、特にIgGのようなキメラ、ヒト化またはヒト抗体を発現するのに用いられるときには、pdHL2またはGSであり、このベクターはIgG1の重および軽鎖定常領域およびヒンジ領域をコードする。更に好ましくは、軽および重鎖定常領域およびヒンジ領域はヒトEU骨髄腫免疫グロブリンに由来し、場合によっては、アロタイプ位の少なくとも1つのアミノ酸は異なるIgG1アロタイプに見られるものに変化し、且つ場合によっては、EUナンバーシステムに基づいたEUの重鎖のアミノ酸253がアラニンに置換されることがある。Edelman et al., Proc. Natl. Acad. Sci USA 63:78-85 (1969)を参照されたい。上記文献の全内容は、引用することにより本明細書の一部とされる。
【0035】
本発明の抗CD19 MAbまたはそのフラグメント、または抗体融合タンパク質またはそのフラグメントをコードするDNA配列を含む宿主細胞、またはこれらのDNA配列を含むベクターを含む宿主細胞は、本発明に包含される。特に有用な宿主細胞は、哺乳類細胞であり、更に具体的には、以下に更に詳細に説明する骨髄腫細胞のようなリンパ性細胞である。
【0036】
本発明は、抗CD19 MAbまたはそのフラグメント、または抗体融合タンパク質またはそのフラグメントの発現方法であって、(a)哺乳類細胞に抗CD19 MAbまたはそのフラグメント、または抗体融合タンパク質またはそのフラグメントをコードするDNA配列をトランスフェクションし、(b)抗CD19またはそのフラグメントまたは抗体融合タンパク質またはそのフラグメントを分泌するDNA配列をトランスフェクションした細胞を培養することを含んでなる、方法も包含する。ベクター上に選択マーカーを含む既知の手法を用いて、MAbとマーカーを容易に選択できるようにすることができる。
【0037】
本発明は、Bリンパ腫細胞および白血病細胞ターゲッティング診断または治療接合体であって、特に少なくとも1つの診断または少なくとも1つの治療薬に結合し、かつBリンパ腫または白血病細胞に結合する、本発明の抗CD19 MAbまたはそのフラグメント、または抗体融合タンパク質またはそのフラグメントを含む抗体成分を含んでなる、診断または治療接合体を包含する。
【0038】
診断接合体は、抗CD19 MAbまたはそのフラグメントまたは抗体融合タンパク質またはそのフラグメントを含んでなる抗体成分を含んでなり、この診断薬は少なくとも1つの光活性診断薬を含んでなり、更に好ましくは、標識はエネルギーが60 − 4,000keVの放射性標識または非放射性標識である。放射性標識は、好ましくはガンマ線−、ベータ線−、および陽電子−放射性同位体であり、125I、131I、123I、124I、86Y、186Re、188Re、62Cu、64Cu、111In、67Ga、68Ga、99mTc、94mTc、18F、11C、13N、15O、76Br、およびそれらの組合せからなる群から選択される。
【0039】
本発明の診断接合体は、例えば、マンガン、鉄またはガドリニウムのようなコントラスト剤、および超音波増強剤などの診断薬も利用する。一態様では、超音波増強剤は、キメラ化またはヒト化抗CD19抗体またはそのフラグメントを含んでなるリポソームである。超音波増強剤が気体が満たされているリポソームであるものも好ましい。同様に、二重特異性抗体をコントラスト剤に接合することができる。例えば、二重特異性抗体は、超音波画像化で使用する2種類以上の画像増強剤を含んでなることがある。超音波増強剤はリポソームであることができ、好ましくは、リポソームはリポソームの外表面に共有結合した二価のDTPA−ペプチドを含んでなる。リポソームに気体が満たされているのも好ましい。
【0040】
本発明の治療接合体は抗体融合タンパク質またはそのフラグメントを含んでなる抗体成分を含んでなり、上記MAbまたはそのフラグメントのそれぞれは少なくとも1つの治療薬に結合している。治療接合体は、好ましくは、放射性標識、免疫調節剤、ホルモン、酵素、オリゴヌクレオチド、光活性治療薬、薬剤または毒素でもよい細胞傷害剤、およびそれらの組合せからなる群から選択される。本発明に有用な薬剤は、抗有糸分裂薬、アルキル化剤、代謝拮抗薬、抗生物質、アルカロイド、抗血管新生薬、アポトーシス薬、およびそれらの組合せからなる群から選択される薬学特性を有する薬剤、並びにRNA干渉経路を活性化する短い二本鎖RNA分子のようなアンチセンスオリゴヌクレオチドおよびRNA分子である。更に具体的には、これらの薬剤は、ナイトロジェンマスタード、エチレンイミン誘導体、アルキルスルホン酸塩、ニトロソ尿素、トリアゼン、葉酸類似体、COX−2阻害薬、ピリミジン類似体、プリン類似体、抗生物質、酵素、エピポドフィロトキシン、白金配位錯体、ビンカアルカロイド、置換尿素、メチルヒドラジン誘導体、副腎皮質ホルモン抑制剤、サリドマイドおよびその誘導体、拮抗薬、エンドスタチン、タキソール、カンプトテシン、アントラサイクリン、タキサン、およびそれらの類似体、およびそれらの組合せからなる群から選択される。本発明に包含される毒素は、リシン、アブリン、アルファ毒素、サポリン、オンコナーゼ、すなわちリボヌクレアーゼ(RNアーゼ)、DNアーゼI、ブドウ球菌エンテロトキシンA、アメリカヤマゴボウ抗ウイルスタンパク質、ゲロニン、ジフテリア毒素、シュードモナス外毒素、およびシュードモナス内毒素からなる群から選択される。
【0041】
本発明に用いるのに適する他の治療薬としては、抗血管新生薬(または血管新生阻害薬)が挙げられる。これらの薬剤は、併用療法での使用、または例えば、アンギオスタチン、エンドスタチン、バスキュロスタチン、カンスタチンおよびマスピンへの抗体の接合、並びに血管内皮増殖因子(VEGF)、胎盤増殖因子(P1GF)、ED−Bフィブロネクチンのような血管新生因子や他の血管増殖因子に対する抗体の使用に適している。一本鎖および二本鎖オリゴヌクレオチドは新しいクラスの治療薬であり、例えば、アンチセンスbcl−2のようなアンチセンスオリゴヌクレオチド、およびRNA干渉経路を活性化し且つbcl−2の阻害のような遺伝子発現の高度に特異的な阻害を引き起こす二本鎖RNA分子のような分子が挙げられる。細胞におけるbcl−2(および関連したbclファミリー分子)の阻害はbcl−2の抗アポトーシス活性を阻害し、細胞のアポトーシスを促進する。Zangemeister-Wittke, Ann N Y Acad Sci. 1002:90-4 (2003)を参照されたい。
【0042】
本発明の有用な治療接合体は、サイトカイン、幹細胞増殖因子、リンホトキシン、造血因子、コロニー刺激因子(CSF)、インターフェロン(IFN)、エリトロポエチン、トロンボポエチンおよびそれらの組合せからなる群から選択される免疫調節剤である。特に有用なものは、腫瘍壊死因子(TNF)のようなリンホトキシン、インターロイキン(IL)のような造血因子、顆粒球−コロニー刺激因子(G−CSF)または顆粒球マクロファージ−コロニー刺激因子(GM−CSF)のようなコロニー刺激因子、インターフェロンアルファ、ベータまたはガンマのようなインターフェロン、または「S1因子」と称される幹細胞増殖因子である。更に具体的には、IL−1、IL−2、IL−3、IL−6、IL−10、IL−12、IL−18、IL−21、インターフェロン、TNFまたはそれらの組合せのような免疫調節剤が本発明で用いられる。
【0043】
特に有用な治療接合体は、エネルギーが60−700keVである1種類以上の放射性標識である。このような放射性標識は、225Ac、67Ga、90Y、111In、131I、125I、186Re、188Re、177Lu、32P、64Cu、67Cu、212Bi、213Bi、211At、およびそれらの組合せからなる群から選択される。他の有用な治療接合体は、クロモゲンchromogen)または色素のような光活性治療薬である。
【0044】
本発明は、特にヒト、イヌおよびネコのような家庭内または伴侶としての愛玩動物などの哺乳類のような患者のB細胞疾患の治療方法を包含する。本発明の方法によって治療することができるB細胞疾患としては、好ましくないまたは望ましくないB細胞増殖または活性を伴う任意の疾患が挙げられ、リンパ腫または白血病細胞疾患のような悪性疾患または自己免疫疾患が挙げられる。この方法は、薬学上許容可能なビヒクル中に処方された、本発明の抗CD19 MAbまたはそのフラグメントの治療上有効量を患者に投与することを含んでなる。この療法は、治療薬が結合していない「裸の抗体」を用いる。「裸の抗CD19抗体」の投与は、標的細胞の表面上の別の抗原に結合するまたはと反応性であるもう一つの「裸の抗体」、または治療効果があり且つ本明細書に記載のMAbのFc部分におけるエフェクター機能のような他の機能を有するもう一つの「裸の抗体」の治療上有効量を患者に同時にまたは逐次的に投与することによって補足することができる。好ましい追加のMAbは、CD4、CD5、CD8、CD14、CD15、CD19、CD20、CD21、CD22、CD23、CD25、CD30、CD33、CD37、CD38、CD40、CD40L、CD45、CD46、CD52、CD54、CD74、CD80、CD126、CD138、B7、HM1.24、HLA−DR、血管新生因子、テネイシン、VEGF、PIGF、ED−Bフィブロネクチン、癌遺伝子、癌遺伝子産物、NCA66a−d、壊死抗原、Ii、IL−2、MUC−1、T101、TAC、IL−6、TRAIL−R1(DR4)およびTRAIL−R2(DR5)と反応性のMAbからなる群から選択され、薬学上許容可能なビヒクル中に処方された、少なくとも1つのヒト化、キメラ、ヒトまたはネズミ(非ヒト動物の場合)MAbである。
【0045】
裸の抗CD19療法を単独でまたは上記の他の裸のMAbと組み合わせた療法はいずれも、薬学上許容可能なビヒクル中に処方された、少なくとも1つの治療薬の治療上有効量をを同時または逐次投与により更に補足することができる。本明細書に記載のように、治療薬は、細胞傷害剤、放射性標識、免疫調節剤、ホルモン、オリゴヌクレオチド(例えば、アンチセンスまたはRNAiオリゴヌクレオチド)、酵素、光活性治療薬またはそれらの組合せを薬学上許容可能なビヒクル中に処方したものを含んでなることがある。
【0046】
もう一つの治療方法では、上記のように、裸の抗CD19療法を単独でまたは上記の他の裸のMAbと組み合わせた療法はいずれも、本明細書に記載され且つ薬学上許容可能なビヒクル中で処方した少なくとも1つの治療接合体の治療上有効量を同時または逐次投与により更に補足することができる。治療接合体の抗体成分は、CD4、CD5、CD8、CD14、CD15、CD19、CD20、CD21、CD22、CD23、CD25、CD33、CD37、CD38、CD40、CD40L、CD46、CD52、CD54、CD74、CD80、CD126、CD138、B7、HM1.24、HLA−DR、血管新生因子、テネイシン、VEGF、PIGF、ED−Bフィブロネクチン、癌遺伝子、癌遺伝子産物、NCA66a−d、壊死抗原、Ii、IL−2、T101、TAC、IL−6、MUC−1、TRAIL−R1(DR4)およびTRAIL−R2(DR5)と反応性のMAbからなる群から選択され、薬学上許容可能なビヒクル中に処方された、少なくとも1つのヒト化、キメラ、ヒトまたはネズミ(非ヒト患者について)MAbを含んでなる。本明細書に記載のように、治療薬は、細胞傷害剤、放射性標識、免疫調節剤、ホルモン、光活性治療薬またはそれらの組合せを薬学上許容可能なビヒクル中で処方したものを含んでなることがある。
【0047】
本明細書に記載のように、本発明は、特に、患者のB細胞リンパ腫または白血病または自己免疫疾患の治療方法であって、薬学上許容可能なビヒクル中に処方された、抗体融合タンパク質またはそのフラグメントであって、本発明の少なくとも2種類の抗CD19 MAbまたはそのフラグメントを含んでなるか、または本発明の少なくとも1つの抗CD19 MAbまたはそのフラグメントと、好ましくはCD4、CD5、CD8、CD14、CD15、CD19、CD20、CD21、CD22、CD23、CD25、CD33、CD37、CD38、CD40、CD40L、CD46、CD52、CD54、CD74、CD80、CD126、CD138、B7、HM1.24、HLA−DR、テネイシン、VEGF、PIGF、ED−Bフィブロネクチン、MUC−1、癌遺伝子、癌遺伝子産物、NCA66a−d、壊死抗原、Ii、IL−2、T101、TAC、IL−6、TRAIL−R1(DR4)およびTRAIL−R2(DR5)と反応性のMAbからなる群から選択される少なくとも1つの追加のMAbとを含んでなる抗体融合タンパク質またはそのフラグメントの治療上有効量を患者に投与することを含んでなる、方法を包含する。
【0048】
この治療方法は、少なくとも1つの治療薬の治療上有効量を薬学上許容可能なビヒクル中で処方したものを患者に同時または逐次投与により更に補足することができ、治療薬は、好ましくは、薬学上許容可能なビヒクル中に処方された、細胞傷害剤、放射性標識、免疫調節剤、ホルモン、光活性治療薬またはそれらの組合せである。
【0049】
更に、抗体融合タンパク質は、少なくとも1つの治療薬に結合した少なくとも1つのMAbを含んでなる治療接合体の治療上有効量と共に患者に同時または逐次投与することができ、接合体の上記MAb成分は、好ましくはCD4、CD5、CD8、CD14、CD15、CD19、CD20、CD21、CD22、CD23、CD25、CD33、CD37、CD38、CD40、CD40L、CD46、CD52、CD54、CD74、CD80、CD126、CD138、B7、MUC1、Ia、HM1.24、HLA−DR、テネイシン、VEGF、PIGF、ED−Bフィブロネクチン、癌遺伝子、癌遺伝子産物、NCA66a−d、壊死抗原、Ii、IL−2、IL−6、T101、TAC、IL−6、TRAIL−R1(DR4)およびTRAIL−R2(DR5)と反応性のMAbからなる群から選択され、薬学上許容可能なビヒクル中に処方された、少なくとも1つのヒト化、キメラ、ヒトまたはネズミ(非ヒト患者について)MAbを含んでなる。抗体融合タンパク質自身は、治療薬に接合させることができ、従って2種類以上の治療薬を抗体成分に結合するビヒクルを提供し、これらの治療薬は、異なる列挙された薬剤の組合せまたは同一薬剤の組合せ、例えば、2種類の異なる治療放射性標識であることができる。
【0050】
本発明は、患者のB細胞リンパ腫または白血病を診断する方法であって、ヒト、およびイヌ、ネコ、ウサギ、モルモットのような家庭内または伴侶としての愛玩動物などの哺乳類のような患者に、リンパ腫または白血病細胞に結合する、本発明の抗CD19 MAbもしくはそのフラグメント、または抗体融合タンパク質もしくはそのフラグメントを含んでなる診断接合体を投与してなり、抗CD19 MAbもしくはそのフラグメントまたは抗体融合タンパク質まもしくはそのフラグメントは、少なくとも1つの診断薬に結合され、薬学上許容可能なビヒクル中に処方されたものである方法も包含する。有用な診断薬本明細書に記載されている。
【0051】
2.定義
下記の記載において、本発明の理解を容易にするために、多数の用語が用いられ、下記の定義が提供される。
【0052】
本明細書に記載の抗体は完全長(すなわち、天然に存在するか、または通常の免疫グロブリン遺伝子フラグメント組換え法によって形成される)免疫グロブリン分子 (例えば、IgG抗体)または抗体フラグメントのような免疫グロブリン分子の免疫学的に活性な(すなわち、特異的に結合する)部分を表す。
【0053】
抗体フラグメントは、F(ab)2、F(ab)2、Fab、Fab、Fv、sFvなどの抗体の部分である。構造とは関わりなく、抗体フラグメントは完全な抗体によって認識される同一抗原と結合する。例えば、抗CD19モノクローナル抗体フラグメントはCD19のエピトープと結合する。「抗体フラグメント」という用語は、特異的抗原に結合して複合体を形成することによって抗体のように作用する任意の合成または遺伝子工学処理を行ったタンパク質も包含する。例えば、抗体フラグメントは、重および軽鎖の可変領域からなる群から選択される「Fv」フラグメントのような可変領域、軽および重可変領域がペプチドリンカー(「scFvタンパク質」)によって連結されている組換え一本鎖ポリペプチド、および超可変領域に似ているアミノ酸残基からなる最小認識単位からなる単離フラグメントを包含する。
【0054】
裸の抗体は、一般的には治療薬に接合していない全抗体である。これは、抗体分子のFc部分が補体固定およびADCC(抗体依存性細胞性細胞傷害)のような機構を作用させて細胞リーシスを生じることができるエフェクター機能を提供するからである。しかしながら、Fc部分を治療機能に必要とせず、アポトーシスのような他の機構が効果を発揮することが可能である。裸の抗体としては、ポリクローナルおよびモノクローナル抗体、並びにキメラ、ヒト化またはヒト抗体のようなある種の組換え抗体が挙げられる。
【0055】
キメラ抗体は、1つの種、好ましくは齧歯類の抗体由来の相補性決定領域(CDR)などの可変ドメインを含む組換えタンパク質であり、抗体分子の定常ドメインはヒト抗体の定常ドメインから誘導される。家畜での応用には、キメラ抗体の定常ドメインは、ネコまたはイヌのような他の種から誘導することができる。
【0056】
ヒト化抗体は、1つの種、例えば、齧歯類抗体由来のCDRを齧歯類抗体の重および軽可変鎖からヒト重および軽可変ドメインに導入した組換えタンパク質である。抗体分子の定常ドメインは、ヒト抗体の定常ドメインから誘導される。
【0057】
ヒト抗体は、抗原投与に応答して特異的ヒト抗体を産生するように「遺伝子工学処理」されたトランスジェニックマウスから得られる抗体である。この手法において、ヒト重および軽鎖座は、内因性の重鎖および軽鎖鎖のターゲッティング崩壊を含む胎児性幹細胞系から誘導されるマウスの株に導入される。トランスジェニックマウスは、ヒト抗原に特異的なヒト抗体を合成することができ、このマウスを用いてヒト抗体を分泌するハイブリドーマを産生することができる。トランスジェニックマウスからヒト抗体を得る方法は、Green et al., Nature Genet. 7:13 (1994)、Lonberg et al., Nature 368:856 (1994)、およびTaylor et al., Int. Immun. 6:579 (1994)に記載されている。完全なヒト抗体も、遺伝子または染色体トランスフェクション法、並びにファージディスプレー法によって構築することができ、これらの方法は総て当該技術分野で知られている。例えば、免役されていないドナー由来の免疫グロブリン可変ドメイン遺伝子レパートリーからのヒト抗体およびそのフラグメントのイン・ビトロでの産生については、McCafferty et al., Nature 348:552-553 (1990)を参照されたい。この手法では、抗体可変ドメイン遺伝子を線状バクテリオファージのメジャーまたはマイナーコートタンパク質にクローニングし、ファージ粒子の表面上で機能性抗体フラグメントとして表示する。線状粒子はファージゲノムの一本鎖DNAコピーを含むので、抗体の機能特性に基づく選択によりこれらの特性を示す抗体をコードする遺伝子も選択される。この方法では、ファージはB細胞の特性の幾つかがよく似ている。ファージディスプレーは、様々なフォーマットで行うことができ、それらの総説については、例えば、Johnson and Chiswell, CurrentOpiniion in Structural Biology 3: 5564-571 (1993)を参照されたい。
【0058】
ヒト抗体は、イン・ビトロで活性化したB細胞によっても生成されることがある。米国特許第5,567,610号明細書および第5,229,275号明細書を参照されたい。上記特許明細書の全内容は、引用することにより本明細書の一部とされる。
【0059】
治療薬は、抗体残基と別個に、同時にまたは逐次的に投与される、または抗体残基、すなわち抗体または抗体フラグメント、または副フラグメントに接合している分子または原子であり、疾患の治療に有用である。治療薬の例としては、抗体、抗体フラグメント、薬剤、毒素、酵素、オリゴヌクレオチド、アンチセンスおよびRNAiオリゴヌクレオチド、ヌクレアーゼ、ホルモン、免疫調節剤、キレート剤、ホウ素化合物、光活性剤または色素、および放射性同位体が挙げられる。
【0060】
診断薬は、抗体残基、すなわち抗体または抗体フラグメント、または副フラグメントに接合して投与される分子または原子であり、抗原を含む細胞の位置を特定することによる疾患の診断に有用である。有用な診断薬としては、放射性同位体、色素(ビオチン−ストレプトアビジン複合体を有するものなど)、コントラスト剤、超音波増強剤、光増強剤、蛍光化合物または分子、および磁気共鳴映像法(MRI)の増強剤(例えば、常磁性イオン)が挙げられるが、これらに限定されない。米国特許第6,331,175号明細書にはMRI法およびMRI増強剤に接合した抗体の調製が記載されており、上記特許明細書の全内容は、引用することにより本明細書の一部とされる。好ましくは、診断薬は、放射性同位体、磁気共鳴映像法に用いる増強剤、超音波、および蛍光化合物からなる群から選択される。抗体成分に放射性金属または常磁性イオンを付加するには、イオンを結合するための多数のキレート基が結合している長い尾を有する試薬と反応させる必要があることがある。このような尾は、ポリリシン、多糖類、または例えば、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、ポルフィリン、ポリアミン、クラウンエーテル、ビス−チオセミカルバゾン、ポリオキシムなどこの目的に有用であることが知られているキレート基が結合することができる側基を有する他の誘導体形成したまたは誘導体形成可能な鎖のようなポリマーであることができる。キレートを、標準的化学的方法を用いてペプチド抗原にカップリングさせる。キレートは、通常は免疫反応性の損失をできるだけ抑え且つ凝集および/または内部架橋を最小限にして分子への結合を形成することができる基によって抗体に連結している。キレートを抗体に接合するための他の一層変わった方法および試薬は、1989年4月25日発行の「抗体接合体」という標題のHawthorneに対する米国特許第4,824,659号明細書に開示されており、その全内容は、引用することにより本明細書の一部とされる。特に有用な金属−キレート組合せとしては、一般的エネルギー範囲が60 − 4,000 keVの125I、131I、123I、124I、62Cu、64Cu、18F、111In、67Ga、68Ga、99mTc、94mTc、11C、13N、15O、76Brのような放射性映像法の診断用同位体と共に用いられる2−ベンジル−DTPAおよびそのモノメチルおよびシクロヘキシル類似体が挙げられる。同じキレートは、マンガン、鉄およびガドリニウムのような非放射性金属と複合体形成するときには、本発明の抗体と共に用いるときにMRIに有用である。NOTA、DOTAおよびのような多環キレートは、様々な金属および放射性金属、特にガリウム、イットリウムおよび銅と共に用いられる。このような金属−キレート複合体は、環の大きさを目的とする金属に合わせることによって極めて安定にすることができる。RAITについての223Raのような核種を安定に結合するのに重要な多環ポリエーテルのような他の環の種類のキレートは、本発明に包含される。
【0061】
免疫接合体は、抗体成分と治療または診断薬との接合体である。診断薬は放射性非放射性標識、コントラスト剤(例えば、磁気共鳴映像法、コンピュータートモグラフイーまたは超音波用の)を含んでなることができ、放射性標識はガンマ線−、ベータ線−、アルファ線−、オージェ電子−、または陽電子−放射性同位体であることができる。
【0062】
発現ベクターは、宿主細胞で発現する遺伝子を含んでなるDNA分子である。典型的には、遺伝子発現は、構成的または誘導的プロモーター、組織特異的調節要素、およびエンハンサーなどのある種の調節要素の制御下にある。このような遺伝子は、調節要素に「操作可能連結」しているといわれる。
【0063】
組換え宿主は、クローニングベクターまたは発現ベクターを含む任意の原核または真核細胞であることができる。この用語は、原核または真核細胞、並びに遺伝子工学処理を行って宿主細胞または宿主細胞の細胞の染色体またはゲノムに(複数の)クローニングした遺伝子を含むトランスジェニック動物も包含する。適当な方法に宿主細胞としては、SP2/0細胞およびNSO細胞のような骨髄腫細胞、並びにチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、ハイブリドーマ細胞系、および抗体発現に有用な他の哺乳類宿主細胞が挙げられる。WO 0063403 A2号明細書に開示されているヒト細胞系PER.C6であって、CHO、COS、Vero、Hela、BHKおよびSP2細胞系のような通常の哺乳類細胞系と比較して、2−200倍の組換えタンパク質を産生するものも、MAbおよび他の融合タンパク質の発現に特に有用である。修飾された免疫系を有する特殊なトランスジェニック動物は、完全なヒト抗体の作製に特に有用である。
【0064】
本明細書で用いられる抗体融合タンパク質という用語は、同一または異なる特異性を有する2つ以上の同一または異なる一本鎖抗体または抗体フラグメントセグメントが結合している組換えによって産生した抗原結合分子である。融合タンパク質の結合価は、単一の抗原またはエピトープに対していくつの結合アームまたは部位を有するか、すなわち、一価、二価、三価または多価であるかを示している。抗体融合タンパク質が多価であることは、抗原に対する結合に多重相互作用を利用することにより、抗原に対する結合のアビディティーを増加することができることを意味する。特異性は、抗体融合タンパク質がいくつの抗原またはエピトープを結合することができるか、すなわち単一特異性、二重特異性、三重特異性、多重特異性であるかを示している。これらの定義を用いると、天然抗体、例えば、IgGは2本の結合アームを有するので二価であるが、これは1つのエピトープに結合するので単一特異性である。単一特異性の多価融合タンパク質は1つのエピトープに対して2つ以上の結合部位を有するが、1つのエピトープ、例えば、同一抗原と反応する2つの結合部位を有するダイアボディーとのみ結合する。融合タンパク質は、単一の抗体成分、多価または多重特異性の組合せの異なる抗体成分、または同一抗体成分の多数のコピーを含んでなることがある。融合タンパク質は、更に抗体または抗体フラグメントと治療薬を含んでなることがある。このような融合タンパク質に適する治療薬の例としては、免疫モジュレーター(「抗体−免疫モジュレーター融合タンパク質」)および毒素(「抗体−毒素融合タンパク質」)が挙げられる。好ましい毒素は、リボヌクレアーゼ((RNアーゼ)であり、好ましくは組換えRNアーゼである。
【0065】
多重特異性抗体は、構造が異なる少なくとも2種類の標的、例えば、2種類の異なる抗原、同一抗原上の2種類の異なるエピトープ、またはハプテンおよび/または抗原またはエピトープに同時に結合することができる抗体である。一つの特異性は、B細胞、T細胞、骨髄性、血漿、およびマスト細胞抗原またはエピトープに対するものであろう。もう一つの特異性は、B細胞上のCD20、CD19、CD20、CD21、CD23、CD46、CD80、HLA−DR、CD74、CD22のような同一細胞型上の異なる抗原に対するものである可能性がある。多重特異性の多価抗体は、2つ以上の結合部位を有する構築物であり、これらの結合部位は異なる特異性のものである。例えば、ダイアボディーであり、一方の結合部位は1つの抗原と反応し、他の結合部位はもう一つの抗原と反応する。
【0066】
二重特異性抗体は、構造が異なる2種類の標的に同時に結合することができる抗体である。二重特異性抗体(bsAb)および二重特異性抗体フラグメント(bsFab)は、例えば、B細胞、T細胞、骨髄性、血漿、およびマスト細胞抗原またはエピトープに特異的に結合する少なくとも1つのアームと、治療または診断薬を有するターゲッティング可能な接合体に特異的に結合する少なくとも1つの他のアームを有する。様々な二重特異性融合タンパク質は、分子の工学処理を用いて産生することができる。1つの形態では、二重特異性融合タンパク質は一価であり、例えば、1つの抗原に対して単一結合部位を有するscFvと第二の抗原に対して単一結合部位を有するFabフラグメントからなっている。もう一つの形態では、二重特異性融合タンパク質は二価であり、例えば、1つの抗原に対して結合部位を有するIgGと、第二の抗原に対して2つの結合部位を有する2つのscFvからなっている。
【0067】
イヌ化またはネコ化抗体は、モノクローナル抗体の齧歯類(または別の種)の相補性決定領域が齧歯類(または別の種)の免疫グロブリンの重および軽可変鎖からそれぞれイヌまたはネコの免疫グロブリン可変ドメインに導入されている組換えタンパク質である。
【0068】
家畜としては、ウマ、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ラマ、アルパカ、およびブタのような大型動物、並びに伴侶としての動物が挙げられる。好ましい態様では、家畜はウマである。
【0069】
伴侶としての動物としては、愛玩動物として飼われている動物が挙げられる。これらは主としてイヌとネコであるが、モルモット、ハムスター、ラットおよびフェレットのような小型齧歯類も、サルのようなヒトより下等な霊長類と同様に挙げられる。好ましい態様では、伴侶としての動物は、イヌまたはネコである。
【0070】
3.キメラ、ヒト化およびヒト抗体などのモノクローナル抗体の調製
モノクローナル抗体(MAb)は、特定の抗原に対する抗体の均質な個体群であり、この抗体は1種類のみの抗原結合部位を含んでなり、抗原決定基上の1つのエピトープのみに結合する。特異抗原に対する齧歯類のモノクローナル抗体は、当業者に知られている方法によって得ることができる。例えば、Kohler and Milstein, Nature 256:495 (1975)、およびColigan et al.(監修),「免疫学の最新のプロトコール 第1巻」,2.5.1−2.6.7頁(John Wiley & Sons 1991)[以下、「Coligan」と表す]を参照されたい。簡単に説明すれば、モノクローナル抗体は、マウスに抗原を含んでなる組成物を投与し、血清試料を採取することによって抗体産生の存在を明らかにし、脾臓を取り出してBリンパ球を得て、Bリンパ球を骨髄腫細胞と融合してハイブリドーマを産生し、抗原に対する抗体を産生する陽性クローンを選択し、抗原に対する抗体を産生するクローンを培養し、ハイブリドーマ培養物から抗体を単離することによって得ることができる。
【0071】
MAbは、様々な完全に確立された手法によってハイブリドーマ培養物から単離して、精製することができる。このような単離法としては、プロテインAセファロースを用いるアフィニティークロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、およびイオン交換クロマトグラフィーが挙げられる。例えば、Coliganの2.7.1−2.7.12頁および2.9.1−2.9.3頁を参照されたい。また、Baines et al.,「分子生物学の方法 第10巻」の「免疫グロブリンG(IgG)の精製」,79−104頁(The Humana Press, Inc. 1992)も参照されたい。
【0072】
免疫源に対する抗体を最初に生じさせた後、抗体を配列決定し、次いで組換え法によって調製することができる。ネズミ抗体および抗体フラグメントのヒト化およびキメラ化は、当業者に周知である。例えば、ヒト化モノクローナル抗体は、マウス免疫グロブリンの重および軽可変鎖由来のマウス相補性決定領域をヒト可変ドメインに導入した後、ネズミ対応部の枠組構造領域におけるヒト残基を置換することによって産生される。ヒト化モノクローナル抗体由来の抗体成分を用いることによって、ネズミ定常領域の免疫原性に関する潜在的な問題が回避される。
【0073】
ネズミ免疫グロブリン可変ドメインをクローニングするための一般的手法は、例えば、Orlandi et al., Proc. Nat'l Acad. Sci. USA 86:3833 (1989)の公表文献に記載されており、その全内容は、引用することにより本明細書の一部とされる。キメラ抗体を構築する手法は、当業者には周知である。一例として、Leung et al., Hybridoma 13:469 (1994)には、アンチ−CD22抗体であるLL2モノクローナル抗体のVおよびVHドメインをコードするDNA配列をそれぞれのヒトおよびIgG1定常領域ドメインと組み合わせることによるLL2キメラの産生方法が記載されている。この公表文献は、LL2軽および重鎖可変領域、それぞれVおよびVHのヌクレオチド配列も提供する。ヒト化MAbを産生する手法は、例えば、Jones et al., Nature 321:522 (1986)、Riechmann et al., Nature 332:323 (1988)、Verhoeyen et al., Science 239:1534 (1988)、Carter et al., Proc. Nat'l Acad. Sci. USA 89:4285 (1992)、Sandhu, Crit. Rev. Biotech. 12:437 (1992)、およびSinger et al., J. Immun. 150:2844 (1993)に記載されており、それらの文献のそれぞれの全内容は、引用することにより本明細書の一部とされる。
【0074】
キメラ抗体は、齧歯類抗体のような動物の1種由来のCDRを包含する可変ドメインを含むが、抗体分子の残りの部分、すなわち定常ドメインはヒト抗体由来である組換えタンパク質である。従って、キメラモノクローナル抗体は、キメラMAbの可変ドメインにおけるネズミFRの配列を1つ以上の異なるヒトFRで置換することによってヒト化することもできる。具体的には、マウスCDRを、マウス免疫グロブリンの重および軽可変鎖からヒト抗体の相当する可変ドメインに導入する。マウスCDRのヒトFRへの単なる導入は抗体アフィニティーの減少または喪失さえ生じることが多いので、ネズミ抗体の元のアフィニティーを回復するために追加の修飾が必要なことがある。これは、FR領域における1つ以上のどれかのヒト残基をネズミの相対物に換えて、そのエピトープに対する良好な結合アフィニティーを有する抗体を得ることによって行うことができる。例えば、Tempest et al., Biotechnology 9:266 (1991)、およびVerhoeyen et al., Science 239:1534 (1988)を参照されたい。更に、特異的エピトープに対するヒト化、キメラおよびヒトMAbのアフィニティーをCDRの突然変異誘発によって増加させ、低用量の抗体が突然変異誘発前の低アフィニティーMAbの高用量と同じく有効にすることができる。例えば、WO 0029584A1号明細書を参照されたい。
【0075】
本発明の抗体を産生させるもう一つの方法は、トランスジェニック家畜の乳における産生による方法である。例えば、Colman, A., Biochem. Soc. Symp., 63:141-147, 1998、米国特許第5,827,690号明細書を参照されたい。両文献の全内容は、引用することにより本明細書の一部とされる。対になった免疫グロブリンの重および軽鎖をコードするDNAセグメントをそれぞれ含む2種類のDNA構築物を調製する。DNAセグメントを、哺乳類上皮細胞で優先的に発現するプロモーター配列を含む発現ベクター中にクローニングする。例としては、ウサギ、ウシおよびヒツジカゼイン遺伝子、ウシラクトグロブリン遺伝子、ヒツジラクトグロブリン遺伝子、およびマウスホエー酸タンパク質遺伝子由来のプロモーターが挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは、挿入されるフラグメントは、哺乳類に特異的遺伝子由来のコグネイトゲノム配列によってフランキングさせる。これにより、ポリアデニル化部位および転写安定化配列が提供される。発現カセットを哺乳類受精卵の前核に同時投与した後、被移植雌の子宮に移植し、妊娠させる。誕生後、子孫をサザンブロット分析法によって両トランスジーンの存在についてスクリーニングする。抗体が存在するためには、重および軽鎖遺伝子はいずれも同一細胞で同時に発現しなければならない。トランスジェニック雌由来の乳を、当該技術分野で知られている抗体または抗体フラグメントの存在および機能性について分析する。抗体は、当該技術分野で知られている標準的方法を用いて乳から精製することができる。
【0076】
本発明の完全なヒト抗体、すなわちヒト抗CD19 MAbまたは他のヒト抗体、例えば、ヒト化、キメラまたはヒト抗CD19抗体との併用療法のための抗CD22、抗CD19、抗CD23、抗CD20または抗CD21 MAbは、非ヒトトランスジェニック動物から得ることができる。例えば、Mendez et al., Nature Genetics, 15:146-156 (1997)、米国特許第5,633,425号明細書を参照されたい。これらの文献の全内容は、引用することにより本明細書の一部とされる。例えば、ヒト抗体は、ヒト免疫グロブリン座を有するトランスジェニックマウスから回収することができる。マウス体液性免疫系は、内在性免疫グロブリン遺伝子を不活性化し、ヒト免疫グロブリン座を導入することによってヒト化される。ヒト免疫グロブリン座は過度に複雑であり、ヒトゲノムのほぼ0.2%を互いに占める多数の別個なセグメントを含んでなる。トランスジェニックマウスが抗体の適当なレパートリーを産生することができるようにするには、ヒト重および軽鎖座の大きな部分をマウスゲノムに導入しなければならない。これは、青色細胞系配置にヒト重または軽鎖免疫グロブリン座を含む酵母の人工染色体(YAC)の形成から始めて、段階的に行う。それぞれのインサートはサイズが約1 Mbであるので、YACの構築には免疫グロブリン座の重複しているフラグメントの相同組換えが必要である。1つが重鎖座を含み且つ1つが軽鎖座を含む2つのYACを、YACを含む酵母スフェロブラスト(spheroblasts)をマウス胎児性幹細胞と融合することによってマウスに別個に導入する。次に、胎児性幹細胞クローンを、マウス胚盤胞に微量投与する。生成するキメラ雄動物をそれらの生殖細胞系を介してYACを伝達する能力についてスクリーニングし、ネズミ抗体産生に欠陥のあるマウスと共に飼育する。1つがヒト重鎖座を含み且つ他方がヒト軽鎖座を含む2つのトランスジェニック株を飼育して、免疫化に応答してヒト抗体を産生する子孫を作る。
【0077】
二重特異性MAbを産生する更に最近の方法としては、追加のシステイン残基を有し、より普通に見られる免疫グロブリンアイソタイプより一層強力に架橋している遺伝子工学処理を行った組換えMAbが挙げられる。例えば、FitzGerald et al., Protein Eng. 10(10):1221-1225, 1997を参照されたい。もう一つの方法は、必要とされる二重特異性を有する2つ以上の異なる一本鎖抗体または抗体フラグメントセグメントを連結する組換え融合タンパク質を工学処理することである。例えば、Coloma et al., Nature Biotech. 15:159-163, 1997を参照されたい。様々な二重特異性融合タンパク質を、分子工学処理を用いて産生することができる。例えば、Alt et al., FEBS Lett. 454:90-4 (1999)を参照されたい。この文献の全内容は、引用することにより本明細書の一部とされる。一つの形態では、二重特異性融合タンパク質は一価であり、例えば、1つの抗原に対して単一結合部位を有するscFvと、第二の抗原に対して単一結合部位を有するFabフラグメントからなっている。もう一つの形態では、二重特異性融合タンパク質は二価であり、例えば、1つの抗原に対して2つの結合部位を有するIgGと、第二の抗原に対して2つの結合部位を有する2つのscFvからなっている。
【0078】
2つ以上の異なる一本鎖抗体または抗体フラグメントを連結する二重特異性融合タンパク質も、同様の方法で産生される。組換え法を用いて、様々な融合タンパク質を産生することができる。例えば、ヒト化モノクローナル抗CD19抗体由来のFabフラグメントとネズミ抗ジDTPA由来のscFvを含んでなる融合タンパク質を産生することができる。GGGSのような柔軟リンカーが、scFvを抗CD19抗体の重鎖の定常領域に結合する。あるいは、scFvを、別のヒト化抗体の軽鎖の定常領域に結合させることができる。重鎖FdをscFvにインフレーム接続するのに必要な適当なリンカー配列を、PCR反応によってVLおよびVkドメインに導入する。次に、scFvをコードするDNAフラグメントを、CH1ドメインをコードするDNA配列を含むステージングベクター(stagingベクター)に連結する。生成するscFv−CH1構築物を取り出して、抗CD19抗体のVH領域をコードするDNA配列を含むベクターに連結する。生成するベクターを用いて、二重特異性融合タンパク質を発現させる目的で哺乳類細胞のような適当な宿主細胞をトランスフェクションすることができる。
【0079】
4.抗体フラグメントの産生
特異的エピトープを認識する抗体フラグメントは、既知の手法によって生成させることができる。抗体フラグメントは、F(ab’)2、Fab’、Fab、Fv、sFvなどの抗体の抗原結合部分である。他の抗体フラグメントとしては、抗体分子のペプシン消化によって産生させることができるF(ab)’2フラグメント、およびF(ab)’2フラグメントのジスルフィド橋を換言することによって生成させることができるFab’フラグメントが挙げられるが、これらに限定されない。あるいは、Fab’発現ライブラリーを構築して(Huse et al., 1989, Science, 246:1274-1281)、所望な特異性を有するモノクローナルFab’フラグメントを迅速且つ容易に同定することができる。本発明は、抗体および抗体フラグメントを包含する。
【0080】
一本鎖Fv分子(scFv)は、VLドメインとVHドメインを含んでなる。VLおよびVHドメインは会合して、標的結合部位を形成している。これらの2つのドメインは、更にペプチドリンカー(L)によって共有結合している。scFv分子は、VLドメインがscFv分子のN末端部分である場合にはVL−L−VHと表され、またはVHドメインがscFv分子のN末端部分である場合にはVH−L−VLと表される。scFv分子を作製し、適当なペプチドリンカーをデザインする方法は、米国特許第4,704,692号明細書、米国特許第4,946,778号明細書、R. Raag and M. Whitlow,「一本鎖Fv」FASEB Vol 9:73-80 (1995)、およびR. E. Bird and B. W. Walker,「一本鎖抗体可変領域」,TIBTECH, Vol 9:132-137 (1991)に記載されている。これらの文献の全内容は、引用することにより本明細書の一部とされる。
【0081】
抗体フラグメントは、完全長の抗体のタンパク質分解性加水分解によって、またはE. coliまたはフラグメントをコードするDNAの別の宿主における発現によって調製することができる。抗体フラグメントは、常法により完全長抗体のペプシンまたはパパイン消化によって得ることができる。例えば、抗体フラグメントは、抗体をペプシンによる酵素開裂によって産生させ、F(ab)2と表される5Sフラグメントを提供することができる。このフラグメントを、チオール還元剤と、場合によってはジスルフィド結合の開裂から生じるスルフヒドリル基の保護基を用いて開裂して、3.5S Fab一価フラグメントを産生することができる。あるいは、パパインを用いる酵素開裂により、2種類の一価Fabフラグメントと1つのFcフラグメントを直接産生する。これらの方法は、例えば、Goldenberg、米国特許第4,036,945号明細書および第4,331,647号明細書、およびそこに含まれている文献に記載されており、これらの文献の全内容は、引用することにより本明細書の一部とされる。また、Nisonoff et al., Arch Biochem. Biophys. 89:230 (1960)、Porter, Biochem. J. 73:119 (1959)、Edelman et al.,「酵素学の方法 第1巻」,422頁(Academic Press 1967)、およびColigan,2.8.1−2.8.10頁および2.10.−2.10.4頁も参照されたい。
【0082】
もう一つの形態の抗体フラグメントは単一の相補性決定領域(CDR)をコードするペプチドである。CDRは、抗体が結合し且つ可変領域の残りより一層可変性であるエピトープに構造が相補性である抗体の可変領域のセグメントである。従って、CDRは、超可変領域と表されることがある。可変領域は3つのCDRを含んでなる。CDRペプチドは、目的の抗体のCDRをコードする遺伝子を構築することによって得ることができる。このような遺伝子は、例えば、ポリメラーゼ連鎖反応を用いて抗体産生細胞のRNA由来の可変領域を合成することによって調製される。例えば、Larrick et al., Methods: A Companion to Methods in Erazymology 2:106 (1991)、Courtenay-Luck,「モノクローナル抗体の遺伝子操作」/『モノクローナル抗体: 産生、遺伝子工学技術および臨床応用』Ritter et al. (監修),166−179頁(Cambridge University Press 1995)、およびWard et al.,「抗体の遺伝子操作および発現」/『モノクローナル抗体: 原理と応用』,Birch et al. (監修),137−185頁(Wiley-Liss, Inc. 1995)を参照されたい。
【0083】
一価の軽−重鎖フラグメントを形成するための重鎖の分離、フラグメントの更なる開裂、または他の酵素的、化学的または遺伝子技術のような抗体を開裂する他の方法を、完全な抗体によって認識される抗原にフラグメントが結合する限り用いることもできる。
【0084】
5.多重特異性の多価抗体
抗CD19抗体、並びに本明細書に記載の併用療法に使用する異なる特異性を有する他の抗体を、多重特異性抗体(CD19エピトープまたは抗原に対して少なくとも1つの結合部位とCD19上の別のエピトープまたは別の抗原に対して少なくとも1つの結合部位を含んでなる)および多価抗体(同一のエピトープまたは抗原に対して複数の結合部位を含んでなる)とすることもできる。
【0085】
本発明は、ターゲッティングした細胞マーカーに特異的に結合する少なくとも1つの結合領域とターゲッティング可能な接合体に特異的に結合する少なくとも1つの他の結合領域とを有する二重特異性抗体または抗体フラグメントを提供する。ターゲッティング可能な接合体は、二重特異性抗体または抗体フラグメントの少なくとも1つの結合領域によって認識される少なくとも1つのエピトープを含んでなるまたは有するキャリヤー部分を含んでなる。
様々な組換え法を用いて、上記のような二重特異性抗体および抗体フラグメントを産生することができる。
【0086】
抗CD19多価抗体も、本発明において意図される。この多価の標的結合タンパク質は、第一および第二のポリペプチドの会合によって構築される。第一のポリペプチドは、好ましくは免疫グロブリン軽鎖可変領域ドメインである第一の免疫グロブリン様ドメインに共有結合した第一の一本鎖Fv分子を含んでなる。第二のポリペプチドは、好ましくは免疫グロブリン重鎖可変領域ドメインである第二の免疫グロブリン様ドメインに共有結合した第二の一本鎖Fv分子を含んでなる。第一および第二の一本鎖Fv分子は標的結合部位を形成し、第一および第二の免疫グロブリン様ドメインは会合して、第三の標的結合部位を形成する。
【0087】
VL−L−VH配置(但し、Lはリンカーである)を有する一本鎖Fv分子は、VH−L−VL配置を有する別の一本鎖Fv分子と会合して、二価二量体を形成することがある。この場合には、第一のscFvのVLドメインと第二のscFv分子のVHドメインは会合して一つの標的結合部位を形成し、第一のscFvのVHドメインと第二のscFvのVLドメインが会合して他の標的結合部位を形成する。
【0088】
本発明のもう一つの態様は、非共有的に会合して3つの結合部位を形成する2本の非相同ポリペプチド鎖を含んでなるCD19二重特異性の三価ターゲッティングタンパク質であり、結合部位の2つは1つの標的にアフィニティーを有し、第三のものは作製して診断および/または治療薬のキャリヤーに結合させることができるハプテンにアフィニティーを有する。好ましくは、結合タンパク質は、2つのCD19結合部位と1つのCD22結合部位を有する。二重特異性の三価ターゲッティング剤は2つの異なるscFvを有し、1つのscFvは一方の抗体のVLドメインに短いリンカーによって連結された別の抗体由来の2つのVHドメインを含み、第二のscFvは第一の抗体のVHドメインに短いリンカーによって連結された他の抗体由来のVLドメインを含む。VHおよびVLドメインから多価の多重特異性薬剤を生成する方法は、宿主生物でDNAプラスミドから合成された個々の鎖がVHドメイン(VH鎖)だけまたはVLドメイン(VL鎖)だけから構成され、多価および多重特異性の任意の薬剤を1本のVH鎖と1本のVL鎖の非共有的会合によって生成させることができることを提供する。例えば、三価の三重特異性薬剤を形成すると、VH鎖は3つのVHドメインであって、それぞれが特異性が異なる抗体に由来し、可変長のペプチドリンカーによって連結されたもののアミノ酸配列からなり、VL鎖は、VH鎖に用いたのと同様なペプチドリンカーによって連結された相補性VLドメインからなる。抗体のVHおよびVLドメインは逆平行的会合しているので、本発明の好ましい方法は、VH鎖のVHドメインと逆の順で配置されたVL鎖のVLドメインを有する。
【0089】
6.ダイアボディー、トリアボディーおよびテトラボディー
本発明の抗CD19抗体を用いて、ダイアボディーとも称される機能性の二重特異性一本鎖抗体(bscAb)を調製することもでき、組換え法を用いて哺乳類細胞で産生させることができる。例えば、Mack et al., Proc. Natl. Acad. Sci., 92:7021-7025, 1995を参照されたい。上記文献の全内容は、引用することにより本明細書の一部とされる。例えば、bscAbは、組換え法を用いるグリシン−セリンリンカーを介して2つの一本鎖Fvフラグメントを結合することによって産生される。目的とする2つの抗体のV軽鎖(VL)とV重鎖(VH)ドメインを、標準的PCR法を用いて単離する。次に、それぞれのハイブリドーマから得られたVLおよびVH cDNAを結合させて、二段階式PCRで一本鎖フラグメントを形成する。第一のPCR段階では、(Gly4−Ser1)3リンカーを導入し、第二の段階ではVLとVHアンプリコンを結合する。次に、それぞれの一本鎖分子を、細菌発現ベクター中でクローニングする。増幅の後、一本鎖分子の1つを切り出し、目的とする第二の一本鎖分子を含む他のベクター中にサブクローニングする。生成するbscAbフラグメントを、真核生物発現ベクター中にサブクローニングする。機能性タンパク質発現は、ベクターをチャイニーズハムスター卵巣細胞にトランスフェクションすることによって得ることができる。二重特異性融合タンパク質は、同様の方法で調製される。二重特異性一本鎖抗体および二重特異性融合タンパク質は、本発明の範囲内に含まれる。
【0090】
例えば、ヒト化、キメラまたはヒト抗CD19モノクローナル抗体を用いて、抗原特異的ダイアボディー、トリアボディー、およびテトラボディーを産生することができる。単一特異性ダイアボディー、トリアボディー、およびテトラボディーターゲッティングした抗原に選択的に結合し、分子上の結合部位の数が増加すると、標的細胞に対するアフィニティーが増加し、所望の位置における滞留時間が長くなる。ダイアボディーについては、5つのアミノ酸残基リンカーによってヒト化CD19 MAbのVkポリペプチドに連結したヒト化CD19 MAbのVHポリペプチドを含んでなる2本の鎖を用いる。それぞれの鎖は、ヒト化CD19ダイアボディーの半分を形成している。トリアボディーの場合には、リンカーを用いずにヒト化CD19 MAbのVkポリペプチドに連結したヒト化CD19 MAbのVHポリペプチドを含んでなる3本の鎖を用いる。それぞれの鎖は、hCDl9トリアボディーの3分の1を形成している。
【0091】
本明細書に記載の二重特異性ダイアボディーの究極的使用は、CD19陽性腫瘍のプレターゲッティングの後、診断または治療薬を特異的に伝達することである。これらのダイアボディーはターゲッティングした抗原に選択的に結合し、アフィニティーを増加し、所望の位置における滞留時間を長くする。更に、非抗原に結合したダイアボディーは体内から速やかに除かれ、正常組織の暴露は最小限になる。クリアランス速度を高めるための二重特異性抗体の点突然変異は、Qu et al.の米国仮出願出願番号第60/361,037号明細書(Atty Docket No. 1873311037)に見出すことができ、上記明細書の全内容は、引用することにより本明細書の一部とされる。アフィニティー増加についての二重特異性ダイアボディーは、米国特許出願第10/270,071号明細書(Rossi et al.)、第10/270,073号明細書(Rossi et al.)、および第10/328,190号明細書(Rossi et al.)に開示されており、上記明細書の全内容は、引用することにより本明細書の一部とされる。診断および治療薬としては、同位体、薬剤、毒素、サイトカイン、ホルモン、酵素、オリゴヌクレオチド、増殖因子、接合体、放射性核種、および金属が挙げられる。例えば、ガドリニウム金属は、磁気共鳴映像法(MRI)に用いられる。放射性核種の例は、225Ac、18F、68Ga、67Ga、90Y、86Y、111In、131I、125I、123I、99mTc、186Re、188Re、177Lu、62Cu、64Cu、67Cu、212Bi、213Bi、32P、11C、13N、15O、76Brおよび211Atである。他の放射性核種、特に60−4,000keVのエネルギー範囲のものを、診断および治療薬として用いることもできる。
【0092】
更に最近では、二重特異性を有する四価のタンデムダイアボディー(タンダブと呼ばれる)も、報告されている(Cochlovius et al., Cancer Research (2000) 60:4336-4341)。二重特異性タンダブは2個の同一ポリペプチドの二量体であって、自己会合時に2種類の異なる特異性のそれぞれについて2つの潜在的結合部位の形成を促進する配向で結合した2つの異なる抗体の4つの可変ドメイン(VH1、VL1、VH2、VL2)を含む。
【0093】
7.多価および多重特異性抗CD19抗体の接合体
本発明のもう一つの態様は、多価抗CD19抗体の接合体である。多価多重特異性薬剤の組成および方法は、Rossi et al.の2002年12月24日出願の米国特許出願出願番号第60/436,359号明細書、および2003年4月23日出願の米国特許出願出願番号第60/464,532号明細書に記載されており、上記特許明細書の全内容は、引用することにより本明細書の一部とされる。
【0094】
追加のアミノ酸残基は、第一または第二のポリペプチドのNまたはC末端に付加することができる。追加のアミノ酸残基は、ペプチドタグ、シグナルペプチド、サイトカイン、酵素(例えば、プロドラッグ活性化酵素)、ホルモン、シュードモナス外毒素のようなペプチド毒素、ペプチド薬、細胞傷害性タンパク質、または他の機能性タンパク質を含んでなることがある。本明細書で用いられる機能性タンパク質は、生物学的機能を有するタンパク質である。
【0095】
一態様では、薬剤、毒素、放射性化合物、酵素、ホルモン、オリゴヌクレオチド、細胞傷害性タンパク質、キレート、サイトカイン、および他の機能性薬剤を、好ましくは多価標的結合タンパク質のアミノ酸残基の側鎖、例えば、アミン、カルボキシル、フェニル、チオール、またはヒドロキシル基に、共有結合を介して、多価標的結合タンパク質に接合することができる。様々な通常のリンカー、例えば、ジイソシアネート、ジイソチオシアネート、ビス(ヒドロキシスクシンイミド)エステル、カルボジイミド、マレイミド−ヒドロキシスクシンイミドエステル、グルタルアルデヒドなどを、この目的に用いることができる。多価タンパク質に対する薬剤の接合は、タンパク質の結合特異性またはその標的に対するアフィニティーに余り影響しないことが好ましい。本明細書で用いられる機能性薬剤は、生物学的機能を有する薬剤である。好ましい機能性薬剤は細胞傷害剤である。
【0096】
上記のように、酵素も有用な治療薬である。例えば、リン酸含有プロドラッグと組み合わせて用いるアルカリホスファターゼ(米国特許第4,975,278号明細書)、硫酸含有プロドラッグと組み合わせて用いるアリールスルファターゼ(米国特許第5,270,196号明細書)、セラチアプロテアーゼ、サーモリシン、ズブチリシン、カルボキシペプチダーゼのようなペプチダーゼおよびプロテアーゼ(米国特許第5,660,829号明細書、第5,587,161号明細書、第5,405,990号明細書)、およびペプチドを基としたプロドラッグと組み合わせて用いるカテプシン(カテプシンBおよびLを包含する)、D−アミノ酸修飾プロドラッグと組み合わせて用いるD−アラニルカルボキシペプチダーゼ、グリコシル化プロドラッグと組み合わせて用いるβ−ガラクトシダーゼおよびノイラミニダーゼのような炭水化物開裂酵素(米国特許第5,561,119号明細書、第5,646,298号明細書)、βラクタム含有プロドラッグと組み合わせて用いるβ−ラクタマーゼ、フェノキシアセタミドまたはフェニルアセタミド基でアミノ窒素を誘導体形成した薬剤と組み合わせて用いるペニシリン−V−アミダーゼ(米国特許第4,975,278号明細書)またはペニシリン−G−アミダーゼのようなペニシリンアミダーゼ、および5−フルオロシトシンを基とするプロドラッグ(米国特許第4,975,278号明細書)と組み合わせて用いるシトシンデアミナーゼが、本発明に適当な治療薬である。
【0097】
更に他の態様では、治療薬またはプロドラッグポリマーの二重特異性抗体によって指定されるイン・ビボ標的への伝達を、放射性核種の二重特異性抗体伝達と組み合わせて、化学療法と放射免疫療法を併用することができる。それぞれの療法をターゲッティング可能な接合体に接合させ、同時に投与することができ、または核種を第一のターゲッティング可能な接合体の部分として投与し、薬剤を後の段階で第二のターゲッティング可能な接合体の部分として投与することができる。
【0098】
もう一つの態様では、細胞傷害剤をポリマー性キャリヤーに接合させることができ、ポリマー性キャリヤーを続いて多価標的結合タンパク質に接合させることができる。この方法については、Ryser et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 75:3867-3870, 1978、米国特許第4,699,784号明細書および米国特許第4,046,722号明細書を参照されたい。上記文献の全内容は、引用することにより本明細書の一部とされる。接合は、多価結合タンパク質の結合特異性またはアフィニティーに余り影響しないことが好ましい。
【0099】
8.治療および診断へのヒト化、キメラおよびヒト抗体の使用
本発明によるヒト化、キメラおよびヒトモノクローナル抗体、すなわち本明細書に記載の抗CD19 MAbおよび他のMAbは、治療方法および診断方法に用いるのに適している。従って、本発明では、単独で裸の抗体として投与されるかまたは多様療法として一時的に投薬法に準じて投与されるが、治療薬に接合していない本発明のヒト化、キメラおよびヒト抗体を意図する。裸の抗CD19 MAbの効力は、裸の抗体を1種類以上の他の裸の抗体と共にし、すなわち、CD4、CD5、CD8、CD14、CD15、CD19、CD20、CD21、CD22、CD23、CD25、CD33、CD37、CD38、CD40、CD40L、CD46、CD52、CD54、CD74、CD80、CD126、CD138、B7、MUC−1、Ia、HM1.24、HLA−DR、テネイシン、VEGF、PIGF、ED−Bフィブロネクチン、癌遺伝子、癌遺伝子産物、NCA 66a−d、壊死抗原、Ii、IL−2、T101、TAC、IL−6、TRAIL−R1(DR4)およびTRAIL−R2(DR5)のような特異抗原に対するMAbを1種類以上の抗CD19 MAbの免疫接合体と共にし、または薬剤、毒素、免疫調節剤、ホルモン、酵素、オリゴヌクレオチド、治療用放射性核種などの治療薬を接合した上記抗原に対する抗体をMAbと同時にまたは逐次的にまたは指定投薬法に準じて投与される薬剤、毒素、酵素、オリゴヌクレオチド、免疫調節剤、ホルモン、治療用放射性核種などの1種類以上の治療薬と共に補足することによって高めることができる。好ましいB細胞抗原としては、ヒトCD19、CD20、CD21、CD22、CD23、CD46、CD52、CD74、CD80およびCD5抗原と同等のものが挙げられる。好ましいT細胞抗原としては、ヒトCD4、CD8およびCD25(IL−2受容体)抗原と同等のものが挙げられる。HLA−DR抗原に同等のものを、B細胞およびT細胞疾患の治療に用いることができる。特に好ましいB細胞抗原は、ヒトCD19、CD20、CD22、CD21、CD23、CD74、CD80およびHLA−DR抗原に同等のものである。特に好ましいT細胞は、ヒトCD4、CD8およびCD25抗原に同等のものである。CD46は、補体依存性リーシス(CDC)をブロックする癌細胞の表面上の抗原である。
【0100】
更に、本発明は、B細胞リンパ腫および他の疾患または障害での診断および治療使用のための免疫接合体の投与を意図する。本明細書に記載の免疫接合体は、抗体成分と、診断または治療薬を有することがあるペプチドなどの治療または診断薬を含んでなる分子である。免疫接合体は抗体成分の免疫反応性を保持しており、すなわち、抗体残基は、接合前と同様に接合後にコグネイト抗原を結合する能力がほぼ同じであるかまたは若干減少している。
【0101】
多種多様な診断および治療試薬を、本発明の抗体に好都合に接合させることができる。本明細書に記載の治療薬は、上記の裸の抗体と別個に投与するのにも有用な薬剤である。治療薬としては、例えば、ビンカアルカロイド、アントラサイクリン、エピドフィロトキシン、タキサン、代謝拮抗薬、アルカリ化剤、抗生物質、COX−2阻害薬、抗有糸分裂薬、抗血管新生薬およびアポトーシス薬、特にドキソルビシン、メトトレキセート、タキソール、CPT−11、カンプトテカン、プロテオソーム阻害薬、およびこれら以外のものおよび他のクラスの抗癌薬、サリドマイドおよび誘導体、オリゴヌクレオチド、特にアンチセンスおよびRNAiオリゴヌクレオチド(例えば、bcl−2に対する)などのような化学療法薬が挙げられる。免疫接合体および抗体融合タンパク質の調製のための他の有用な癌化学療法薬としては、ナイトロジェンマスタード、アルキルスルホン酸塩、ニトロソ尿素、トリアゼン、葉酸類似体、COX−2阻害薬、ピリミジン類似体、プリン類似体、白金配位錯体、酵素、ホルモン、などが挙げられる。適当な化学療法薬は、「レミントンの薬科学」第19版(Mack Publishing Co. 1995)、および「グッドマンとギルマンの治療薬の薬理学的基礎」第7版(MacMillan Publishing Co. 1985)、並びにこれらの刊行物の改訂版に記載されている。実験薬剤のような他の適当な化学療法薬は、当業者に知られている。
【0102】
更に、DTPA、DOTA、TETAまたはNOTAのようなキレート剤、または蛍光分子のような検出可能な標識または重金属または放射性核種のような細胞傷害剤を接合させることができる適当なペプチドが挙げられる。例えば、治療上有用な免疫接合体は、光活性薬剤または色素を抗体複合体に接合することによって得ることができる。蛍光色素のような蛍光組成物、および可視光線に感受性のポルフィリンのような他の色原体または色素を用いて、適当な光線を病変に向けることによって病変部を検出し、治療が行われてきた。療法では、これは、光放射線、光線療法または光力学療法と呼ばれてきた(Jori et al.(監修),「腫瘍および他の疾患の光力学療法」(Libreria Progetto1985)、 van den Bergh, Chem. Britain 22:430 (1986))。更に、光線療法を行うために、モノクローナル抗体を光活性化色素とカップリングしてきた。Mew et al., J. Immunol. 130:1473 (1983)、同上,Cancer Res. 45:4380 (1985)、Oseroff et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 83:8744 (1986)、同上,Photochem. Photobiol. 46:83 (1987)、Hasan et al., Prog. Clin. Biol. Res. 288:471 (1989)、Tatsuta et al., Lasers Surg. Med. 9:422 (1989)、Pelegrin et al., Cancer 67:2529 (1991)。しかしながら、これらの初期の研究は、内視鏡療法の使用、特に抗体フラグメントまたは下位フラグメントの使用は包含しなかった。従って、本発明は、光活性剤または色素を含んでなる免疫接合体の治療における使用を意図する。
【0103】
本発明は、放射性および非放射性薬剤の診断薬としての使用も意図する。適当な非放射性診断薬は、磁気共鳴映像法、コンピュータートモグラフイーまたは超音波に適するコントラスト剤である。磁気映像化剤としては、本発明の抗体と共に用いるときには、2−ベンジル−DTPAおよびそのモノメチルおよびシクロヘキシル類似体などの金属−キレート結合体と複合体形成した、例えば、マンガン、鉄およびガドリニウムのような非放射性金属が挙げられる。2001年10月10日出願の米国特許出願番号第09/921,290号明細書を参照されたい。上記特許明細書の全内容は、引用することにより本明細書の一部とされる。
【0104】
更に、放射能標識抗体または免疫接合体は、診断用画像化に有用なガンマ線−放射性の放射性同位体または陽電子エミッターを含んでなることがある。適当な放射性同位体であって、特にエネルギー範囲が60 − 4,000keVであるものとしては、131I、123I、124I、86Y、62Cu、64Cu、111In、67Ga、68Ga、99mTc、94mTc、18F、11C、13N、15O、75Brなどが挙げられる。例えば、「ガリウム−68を用いる標識ターゲッティング剤」という標題の米国特許出願明細書、発明者G. L. Griffiths and W. J. McBride (米国仮出願第60/342,104号明細書)を参照されたい。この明細書には、画像化の目的での18F、68Ga、94mTcなどのような陽電子エミッターが開示されており、その全内容は、引用することにより本明細書の一部とされる。
【0105】
シュードモナス外毒素のような毒素も、本発明の抗CD19抗体の抗体融合タンパク質の治療薬部分に複合体形成しまたはこの部分を形成することができる。このような接合体または他の融合タンパク質の調製に好都合に用いられる他の毒素としては、リシン、アブリン、リボヌクレアーゼ(RNアーゼ)、DNアーゼI、ブドウ球菌エンテロトキシン−A、アメリカヤマゴボウ抗ウイルスタンパク質、ゲロニン、ジフテリア毒素、シュードモナス外毒素、およびシュードモナス内毒素が挙げられる。例えば、Pastan et al., Cell 47:641 (1986)、およびGoldenberg, CA-A Cancer Journal for Clinicians 44:43 (1994)を参照されたい。本発明での使用に適する追加の毒素は当業者に知られており、米国特許第6,077,499号明細書に開示されており、上記特許明細書の全内容は、引用することにより本明細書の一部とされる。
【0106】
サイトカインのような免疫調節剤は、抗体融合タンパク質の治療薬部分に接合させまたは治療薬部分を形成し、または本発明のヒト化抗CD19抗体と共に投与することもできる。本発明に適するサイトカインとしては、以下に説明するようなインターフェロンおよびインターロイキンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0107】
9.免疫接合体の調製
本発明の抗体または抗体融合タンパク質のいずれを、1種類以上の治療または診断薬と接合させることもできる。一般に、1種類の治療または診断薬はそれぞれの抗体または抗体フラグメントに結合するが、2種類以上の治療薬または診断薬が同一の抗体または抗体フラグメントに結合することができる。本発明の抗体融合タンパク質は、2種類以上の抗体またはそのフラグメントを含んでなり、この融合タンパク質を含んでなる抗体のそれぞれが治療薬または診断薬を含むことができる。更に、抗体融合タンパク質の1つ以上の抗体は、2種類以上の治療または診断薬させることができる。更に、治療薬は同一である必要はなく、異なる治療薬であることができる。例えば、薬剤と放射性同位体を同一の融合タンパク質に結合することができる。特に、IgGを131Iで放射能標識して、薬剤に結合させることができる。131IはIgGのチロシンに取り込まれ、薬剤をIgGリシンのε−アミノ基に結合させることができる。治療および診断薬を両方とも、還元されたSH基および炭水化物側鎖に結合させることもできる。
【0108】
本発明の二重特異性抗体プレターゲッティング法に有用であり、2種類の治療薬または2種類の診断薬を患者に送達する好ましい方法を提供する。米国特許出願出願番号第09/382,186号明細書には、二重特異性抗体を用いるプレターゲッティングの方法であって、二重特異性抗体125Iで標識し、患者に届けた後、99mTcで標識した二価ペプチドを届ける方法が開示されている。米国特許出願出願番号第09/382,186号明細書および第09/337,756号明細書には、二重特異性抗体を用いるプレターゲッティングの方法であって、二重特異性抗体125Iで標識し、患者に送達した後、99mTcで標識した二価ペプチドを届ける方法が開示されており、上記特許出願明細書の全内容は、引用することにより本明細書の一部とされる。プレターゲッティング法は、米国特許出願出願番号第09/823,746号明細書(Hansen et al.)および第10/150,654号明細書(Goldenberg etal.)、および2003年1月31日出願の「治療および診断薬の投与の方法および組成物」という標題の米国仮出願明細書(Atty Docket No. 018733/1103 (McBride et al.))にも記載されており、上記特許出願明細書の全内容は、引用することにより本明細書の一部とされる。この送達により、125Iおよび99mTcについて優れた腫瘍/正常組織比が得られ、2種類の診断用放射性同位体の有用性が示される。既知の治療薬または診断薬の任意の組合せを用いて、抗体および抗体融合タンパク質を標識することができる。MAb接合体の抗体成分の結合特異性、治療薬または診断薬の効力、および抗体のFc部分のエフェクター活性は、接合体の標準的試験によって決定することができる。
【0109】
治療または診断薬は、ジスルフィド結合の形成により還元抗体成分のヒンジ領域に結合させることができる。あるいは、これらのペプチドを、N−スクシニル3−(2−ピリジルジチオ)プロプリオネート(SPDP)のようなヘテロ二重特異性架橋剤を用いて抗体成分に結合することができる。Yu et al., Int. J. Cancer 56:244 (1994)。このような接合の一般的手法は、当該技術分野で周知である。例えば、Wong,「タンパク質接合および架橋の化学」(CRC Press 1991)、「モノクローナル抗体:原理と応用」Birch et al. (監修)のUpeslacis et al.,「化学的方法による抗体の修飾」187−230頁(Wiley-Liss, Inc. 1995)、「モノクローナル抗体:産生、遺伝子工学処理および臨床応用」Ritter et al. (監修)のPrice,「合成ペプチド由来の抗体の産生および特性決定」,60−84頁(Cambridge University Press 1995)を参照されたい。あるいは、治療または診断薬を、抗体のFc領域における炭水化物残基を介して接合させることができる。炭水化物基を用いて、チオール基に結合している同じペプチドの装填量を増加させることができ、または炭水化物残基を用いて異なるペプチドを結合することができる。
【0110】
ペプチドを抗体炭水化物残基を介して抗体成分に接合する方法は、当業者には周知である。例えば、Shih et al., Int. J. Cancer 41:832 (1988)、Shih et al., Int. J. Cancer 46:1101 (1990)、およびShih et al.,米国特許第5,057,313号明細書を参照されたい。上記文献の全内容は、引用することにより本明細書の一部とされる。一般的方法は、酸化された炭水化物部分を有する抗体成分を少なくとも1つの遊離アミン官能基を有し且つ複数のペプチドが装填されているキャリヤーポリマーと反応させることを含む。この反応により、最初のシッフ塩基(イミン)結合が生じ、これを第二アミンに還元することによって安定化し、最終的接合体を形成することができる。
【0111】
免疫接合体の抗体成分として用いられる抗体が抗体フラグメントであるときには、Fc領域は存在しない。しかしながら、炭水化物残基を完全長の抗体または抗体フラグメントの軽鎖可変領域に導入することができる。例えば、Leung et al., J. Immunol. 154:5919 (1995)、Hansen et al.,米国特許第5,443,953号明細書(1995)、Leung et al.,米国特許第6,254,868号明細書を参照されたい。上記文献の全内容は、引用することにより本明細書の一部とされる。遺伝子工学処理を行った炭水化物残基を用いて、治療または診断薬を結合させる。
【0112】
10.薬学上許容可能な賦形剤
患者に送達されるヒト化、キメラおよびヒト抗CD19 MAbは、MAb単独、免疫接合体、融合タンパク質からなることができ、または1種類以上の薬学上適当な賦形剤、1種類以上の追加成分、またはこれらのある種の組合せを含んでなることができる。
【0113】
本発明の免疫接合体または裸の抗体を既知の方法によって処方して、薬学上有用な組成物を調製することによって、免疫接合体または裸の抗体を薬学上適当な賦形剤と混合して組み合わせることができる。滅菌したリン酸緩衝食塩水は、薬学上適当な賦形剤の一例である。他の適当な賦形剤は、当業者には周知である。例えば、Ansel et al.,「医薬投与形態および薬剤送達系」,第5版(Lea & Febiger 1990)、およびGennaro (監修),「レミントンの薬科学」第18版(Mack Publishing Co. 1990)およびこれらの刊行物の改訂版を参照されたい。
【0114】
本発明の免疫接合体または裸の抗体は、例えば、ボーラス注射または連続輸液による静脈内投与用に処方することができる。注射用処方物は、例えば、アンプルまたは複数回投与容器のような単位投薬形態で防腐剤を加えて提示することができる。組成物は、油性または水性ビヒクルの懸濁液、溶液またはエマルションのような形態をとることができ、懸濁、安定および/または分散剤のような処方剤を含むことができる。あるいは、活性成分を粉末形態にして、使用前に、滅菌した発熱物質不含水のような適当なビヒクルで構成することができる。
【0115】
追加の薬学的方法を用いて、治療または診断薬接合体または裸の抗体の作用の期間を制御することができる。制御放出製剤は、免疫接合体または裸の抗体と複合体形成しまたは吸着するポリマーを用いて調製することができる。例えば、生体適合性ポリマーとしては、ポリ(エチレン−コ−酢酸ビニル)のマトリックス、およびステアリン酸二量体とセバシン酸のポリ無水物コポリマーのマトリックスが挙げられる。Sherwood et al., Bio/Technology 10:1446 (1992)。これらのマトリックスから免疫接合体の放出速度は、免疫接合体または抗体の分子量、マトリックス中の免疫接合体、抗体の量、および分散粒子の粒度によって変化する。Saltzman et al., Biophys. J. 55:163 (1989)、Sherwood et al., 上記引用。他の固形投薬形態は、Ansel et al.,「医薬投与形態および薬剤送達系」,第5版(Lea & Febiger 1990)、およびGennaro (監修),「レミントンの薬科学」第18版(Mack Publishing Co. 1990)およびこれらの刊行物の改訂版に記載されている。
【0116】
免疫接合体、抗体融合タンパク質、または裸の抗体は、哺乳類に皮下または他の非経口経路によって投与することもできる。更に、投与は、連続輸液によって、または単回または複数回ボーラス投与によって行ってもよい。一般に、ヒトに投与される免疫接合体、融合タンパク質または裸の抗体の用量は、患者の年齢、体重、身長、性別、一般的医学的条件、および以前の医学的履歴のような要因によって変化する。典型的には、単回静脈内輸液として約1mg/kg−20mg/kgの範囲の免疫接合体抗体融合タンパク質または裸の抗体の投薬量と共に賦形剤を提供するのが望ましいが、これより低いまたは高い用量を場合によって投与してもよい。この投薬は、必要に応じて、例えば、週1回4−10週間、好ましくは週1回8週間、更に好ましくは週1回4週間反復することができる。これは、2週毎に数ヶ月間など、少ない頻度で投与することもできる。投薬は、様々な非経口経路を介して用量および計画を適宜調整しながら行うことができる。
【0117】
治療の目的で、免疫接合体、融合タンパク質または裸の抗体を、治療上有効量で投与する。本発明にとって適当な患者は通常はヒトであるが、ヒト以外の動物患者も考えられる。抗体製剤は、投与量が生理学的に有意であるときには、「治療上有効量」で投与されるといわれる。薬剤の存在によってこれを投与する哺乳類の生理学に検出可能な変化を生じるときには、薬剤は生理学的に有意である。特に、本発明の抗体製剤の存在によって抗腫瘍応答を誘発しまたは自己免疫疾患状態の徴候または症状が緩和されるときには、本発明の抗体製剤は生理学的に有意である。生理学的に有意な効果は、被投与哺乳類における体液性および/または細胞性免疫応答の喚起作用である可能性もある。
【0118】
11.治療方法
本発明は、本発明の裸の抗CD19抗体のB細胞疾患および他の疾患の治療用の主要な組成物としての使用を意図する。特に、本明細書に記載の組成物は、様々な自己免疫、並びに進行の遅い形態のB細胞リンパ腫、急速進行性形態のB細胞リンパ腫、慢性リンパ性白血病、急性リンパ性白血病、およびヴァルデンストレームマクログロブリン血症の治療に特に有用である。例えば、ヒト化抗CD19抗体成分および免疫接合体を用いて、進行の遅いおよび急速進行性形態の非ホジキンリンパ腫を治療することができる。
【0119】
上記のように、本発明の抗体は、様々な自己免疫疾患の診断および治療にも好適である。このような疾患としては、急性特発性血小板減少性紫斑病、慢性特発性血小板減少性紫斑病、皮膚筋炎、シデナム舞踏病、重症筋無力症、全身性エリテマトーデス、ループス腎炎、リウマチ熱、多腺性症候群、水疱性類天疱瘡、糖尿病、ヘノッホ−シェーンライン紫斑病、ポストストレプトコッカス腎炎(post-streptococcalnephritis)、結節性紅斑、高安動脈炎、アジソン病、関節リウマチ、多発性硬化症、サルコイドーシス、潰瘍性大腸炎、多形紅斑、IgAネフロパシー、結節性多発動脈炎、強直性脊椎炎、グッドパスチャー症候群、閉塞性血栓血管炎(thromboangitisubiterans)、シェーグレン症候群、原発性胆汁性肝硬変症、橋本甲状腺炎、甲状腺中毒症、強皮症、慢性活動性肝炎、多発性筋炎/皮膚筋炎、多発性軟骨炎、尋常性天疱瘡(parnphigus vulgaris)、ヴェーゲナー肉芽腫症、膜性腎症、筋萎縮性側索硬化症、脊髄ロウ、巨細胞性動脈炎/多発筋痛、悪性貧血、急速進行性糸球体腎炎、乾癬、および繊維化性肺胞炎が挙げられる。最も良く用いられる治療は副腎皮質ステロイドおよび細胞傷害剤であり、これらは極めて毒性が高い可能性がある。これらの薬剤は免疫系全体をも抑制し、重篤な感染症を生じる可能性があり、骨髄、肝臓および腎臓に悪影響を及ぼす。クラスIIIの自己免疫疾患の治療に今日まで用いられてきた他の治療薬は、T細胞およびマクロファージに向けられたものであった。自己免疫疾患、特にクラスIIIの自己免疫疾患の治療のための更に有効な方法が求められている。
【0120】
治療用組成物は、少なくとも1つのヒト化、キメラまたはヒトモノクローナル抗CD19抗体を単独で、または他のヒト化、キメラまたはヒト抗体のような他の抗体、治療薬、または免疫調節剤と組み合わせて含む。特に、完全なヒト抗体との併用療法も考えられ、上記のような方法によって産生される。
【0121】
同一または異なるエピトープまたは抗原に対する裸のまたは接合抗体を、1つ以上の本発明の抗体と組み合わせることもできる。例えば、ヒト化、キメラまたはヒト裸の抗CD19抗体を別の裸のヒト化、裸のキメラまたは裸のヒト抗CD19(または裸のCD20、CD22または他のB細胞系統の抗体)と組み合わせることができ、ヒト化、キメラまたはヒト裸の抗CD19抗体を抗CD19免疫接合体と組み合わせることができ、裸の抗CD19抗体を抗CD22放射性接合体と組み合わせることができ、または抗CD22裸の抗体を同位体、または1種類以上の化学療法薬、サイトカイン、毒素またはそれらの組合せに接合したヒト化、キメラまたはヒト抗CD19抗体と組み合わせることができる。ヒト化、キメラまたはヒトCD19抗体と毒素または免疫調節剤との融合タンパク質、または少なくとも2種類の異なるB細胞抗体(例えば、CD19とCD22 MAb、またはCD19とCD20 Mab)の融合タンパク質を、本発明で用いることもできる。既に上記したB細胞疾患に関連した少なくとも2種類の異なる抗原をターゲッティングする多数の異なる抗原の組合せを、裸の抗体として、または部分的に裸で且つ部分的に治療薬または免疫調節剤と接合したものとして、または細胞傷害薬のような別の治療薬または放射線療法と単に組み合わせたものとして構築することができる。
【0122】
本明細書で用いられる「免疫調節剤」という用語としては、サイトカイン、幹細胞増殖因子、腫瘍壊死因子(TNF)のようなリンホトキシン、腫瘍壊死因子(TNF)のようなリンホトキシン、およびインターロイキン(インターロイキン−1(IL−1)、IL−2、IL−3、IL−6、IL−10、IL−12、IL−21およびIL−18)、コロニー刺激因子(例えば、顆粒球−コロニー刺激因子(G−CSF)または顆粒球マクロファージ−コロニー刺激因子(GM−CSF))、インターフェロン(例えば、インターフェロンアルファ、ベータまたはガンマ)、「S1因子」と称される幹細胞増殖因子、エリトロポエチンおよびトロンボポエチンのような造血因子が挙げられる。適当な免疫調節剤残基の例としては、IL−2、IL−6、IL−10、IL−12、IL−18、IL−21、インターフェロン、TNFなどが挙げられる。あるいは、患者には、裸の抗CD19抗体と、別個に投与されるサイトカインを投与することができ、このサイトカインは裸の抗CD19抗体の投与の前に、と同時にまたはの後に投与することができる。上記のように、抗CD19抗体を、免疫調節剤に接合させることもできる。免疫調節剤は、異なる抗原に結合する1種類以上の抗体からなるハイブリッド抗体に接合させることもできる。
【0123】
本発明の多様療法としては、CD4、CD5、CD8、CD14、CD15、CD19、CD20、CD21、CD22、CD23、CD25、CD33、CD37、CD38、CD40、CD40L、CD46、CD52、CD54、CD74、CD80、CD126、CD138、B7、MUC1、Ia、HM1.24、HLA−DR (インバリアント鎖を含む)、テネイシン、VEGF、PIGF、ED−Bフィブロネクチン、癌遺伝子、癌遺伝子産物、NCA 66a−d、壊死抗原、Ii、IL−2、T101、TAC、IL−6、TRAIL−R1 (DR4)、およびTRAIL−R2(DR5)抗体を裸の抗体、融合タンパク質、の形態で、または免疫接合体として結合する抗体の投与を補足した裸の抗CD19抗体を用いる免疫療法が挙げられる。これらの抗体としては、これらの抗原決定基上の少なくとも1つのエピトープを認識するポリクローナル、モノクローナル、キメラ、ヒトまたはヒト化抗体が挙げられる。抗CD19および抗CD22抗体は、当業者に知られている。例えば、Ghetie et al., Cancer Res. 48:2610 (1988)、Hekman et al., Cancer Immunol. Immunother. 32:364 (1991)、Longo, Curr. Opin. Oncol. 8:353 (1996)、および米国特許第5,798,554号明細書および第6,187,287号明細書をを参照されたい。上記文献の全内容は、引用することにより本明細書の一部とされる。自己免疫疾患のB細胞抗体を用いる免疫療法は、当該技術分野で報告されている。例えば、WO 0074718A1号明細書をを参照されたい。この特許明細書の全内容は、引用することにより本明細書の一部とされる。
【0124】
もう一つの形態の多様療法では、患者に標準的癌化学療法と共に、裸の抗CD19抗体、および/または免疫接合体を投与する。例えば、「CVB」(1.5g/m2シクロホスファミド、200−400mg/m2エトポシド、および150−200mg/m2カルムスチン)は、非ホジキンリンパ腫の治療に用いられる処方計画である。Patti et al., Eur. J Haematol. 51:18 (1993)。他の適当な組合せ化学療法薬投薬計画は、当業者に周知である。例えば、癌医学、第2巻、第3版、Holland et al.(監修)のFreedman et al.,「非ホジキンリンパ腫」2028−2068頁(Lea & Febiger 1993)を参照されたい。一例としては、中間級非ホジキンリンパ腫(NHL)の第一世代化学療法薬投薬計画としては、C−MOPP(シクロホスファミド、ビンクリスチン、プロカルバジンおよびプレドニソン)、およびCHOP(シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、およびプレドニソン)が挙げられる。有用な第二世代化学療法薬投薬計画は、m−BACOD(メトトレキセート、ブレオマイシン、ドキソルビシン、シクロホスファミド、ビンクリスチン、デキサメタゾンおよびロイコボリン)であるが、好ましい第三世代投薬計画はMACOP−B(メトトレキセート、ドキソルビシン、シクロホスファミド、ビンクリスチン、プレドニソン、ブレオマイシンおよびロイコボリン)である。追加の有用な薬剤としては、フェニルブチレートおよびブリオスタチン−1が挙げられる。アンチセンスbcl−2オリゴヌクレオチドも、B細胞腫瘍などある種の悪性疾患の治療薬として臨床試験が行われている。好ましい多様療法では、化学療法薬とサイトカインを、本発明による抗体、免疫接合体または融合タンパク質と同時投与する。サイトカイン、化学療法薬および抗体または免疫接合体は、任意の順序でまたは一緒に投与することができる。
【0125】
好ましい態様では、NHLは、ヒト化抗CD19抗体を200−400mg/m2の用量で4週間連続して週1回ずつ4回の輸液(静脈内、2−8時間)により治療し、必要に応じて次月/年にわたって反復する。NHLは、上記のように週1回ずつ4回の輸液を、同日に360mg/m2の用量で1時間の静脈内輸液で投与するエプラツヅマブ(epratuzumab、抗CD22ヒト化抗体)と合わせて、抗CD19モノクローナル抗体輸液の前、中または後に治療するのも好ましい。更に好ましくは、NHLは、イットリウム−90のような治療用同位体(Y−90を5−35mCi/m2の用量で数週または月間にわたって1回以上投与)で放射能標識したCD22 MAbの1回以上の投与と合わせて上記と同様に抗CD19抗体の週1回ずつ4回の輸液で治療する。CD19 MAbは、同様な投薬計画でhA20ヒト化MAb(米国特許出願出願番号第10/366,709号明細書、2003年2月14日出願)のような抗CD20 Mabと組み合わせて、それぞれの抗体の週1回投与x4週間/サイクル(場合によっては、サイクルを反復)が組合せにおいて250 mg/m2i.v.の個々の用量が投与されるようにすることもできる。抗体のいずれかまたは両方ともを皮下注射によって投与し、特に自己免疫疾患の患者の治療については、同様な用量を1週おきに投与することもできる。
【0126】
更に、本発明の治療組成物は、異なる非ブロック用CD19エピトープに向けられた裸の抗CD19モノクローナル抗体の混合物またはハイブリッド分子を含むこともできる。従って、本発明は、少なくとも2つのCD19エピトープを結合するモノクローナル抗CD19抗体の混合物を含んでなる治療組成物を意図する。更に、本明細書に記載の治療組成物は、様々なCDR配列を有する抗CD19抗体の混合物を含むことがある。
【0127】
裸の抗CD19抗体はB細胞リンパ腫および自己免疫疾患の治療のための主要な治療組成物であるか、このような抗体療法の効力は、裸の抗体にIFNアルファ、IFNベータおよびIFNガンマなどのインターフェロン、IL−1、IL−2、IL−6、IL−12、IL−15、IL−18、IL−21などのインターロイキン、およびG−CSFおよびGM−CSFなどのサイトカインのような補足薬剤を補足することによって高めることができる。従って、CD19抗体は、抗体およびサイトカインと混合物(個別にまたは何らかの所定の投薬計画で投与される)としてまたは抗CD19抗体に対する接合体または融合タンパク質として組み合わせることができるだけでなく、薬剤との併用物として投与することもできる。例えば、抗CD19抗体は、4薬剤化学療法投薬計画としてCHOPと組み合わせることができる。更に、裸の抗CD19抗体を裸の抗CD22抗体および/または裸の抗CD20抗体およびCHOPまたはフルダラビンとNHL療法の薬剤併用物として組み合わせることができる。補足治療薬組成物は、抗CD19抗体の投与の前、中または後に投与することができる。
【0128】
上記のように、本発明の抗体は、B細胞リンパ腫および白血病、および他のB細胞疾患または障害の治療に用いることができる。この抗体は、好ましくないまたは望ましくないB細胞活性または増殖を伴う任意の疾患または症候群の治療に用いることができる。例えば、抗CD19抗体を用いて、B細胞に関連した自己免疫疾患、例えば、クラスIII自己免疫疾患、例えば、急性特発性血小板減少性紫斑病および慢性特発性血小板減少性紫斑病のような免疫性血小板減少症、皮膚筋炎、シェーグレン症候群、多発性硬化症、シデナム舞踏病、重症筋無力症、全身性エリテマトーデス、ループス腎炎、リウマチ熱、多腺性症候群、水疱性類天疱瘡、糖尿病、ヘノッホ−シェーンライン紫斑病、ポストストレプトコッカス腎炎(post-streptococcal nephritis)、結節性紅斑、高安動脈炎、アジソン病、関節リウマチ、サルコイドーシス、潰瘍性大腸炎、多形性紅斑、IgAネフロパシー、結節性多発性動脈炎、強直性脊椎炎、グッドパスチャー症候群、閉塞性血栓血管炎(thromboangitisubiterans)、シェーグレン症候群、原発性胆汁性肝硬変症、橋本甲状腺炎、甲状腺中毒症、強皮症、慢性活性肝炎、多発性筋炎/皮膚筋炎、多発性軟骨炎、尋常性天疱瘡、ヴェーゲナー肉芽腫症、膜性ネフロパシー、筋萎縮性側索硬化症、脊髄ロウ、巨細胞性動脈炎/多発筋痛、悪性貧血、急速進行性糸球体腎炎、および繊維化性肺胞炎を治療することができる。この抗体は、対宿主性移植片病のようなB細胞疾患の治療または移植組織免疫抑制療法に用いることもできる。
【0129】
抗CD19抗体は、CD19抗原を発現する細胞にアポトーシスを誘発することもある。この誘発の証拠は、文献で支持されている。例えば、アポトーシスは、架橋したCD19 MAbのIgG1−Fcと反応性のFc受容体を有するリンパ系細胞を用いて誘発することができることが示された。Shan et at., Cancer Immunol. Immunother. 48 (12):673-683 (2000)を参照されたい。更に、キメラCD19 MAbの凝集体、すなわちホモポリマーがアポトーシスを誘導したことが報告された。Ghetie et al., Blood 97(5):1392-1398 (2000)、およびGhetie et al., Proc. Natl. Acad. Sci USA 94(14):7509-7514 (1997)を参照されたい。抗体のプロアポトーシス活性は、抗アポトーシス遺伝子ファミリーbcl−2の1つ以上の成員の活性を阻害する薬剤のようなプロアポトーシス薬を同時に用いることによって高めることができる。アンチセンスおよびRNAi薬は、これに関して特に有用であり、本明細書に記載されているようにCD19抗体と接合することによってB細胞に向けることができる。
【0130】
B細胞のCD19表面抗原に特異的な抗体を哺乳類患者に投与した後、これを正常および悪性B細胞の両方のCD19細胞表面抗原に結合することができる。哺乳類患者としては、ヒト、およびイヌおよびネコのような愛玩動物を含む家畜が挙げられる。CD19抗原について種交差反応性があるときには、本発明の抗CD19 MAb、すなわちヒト化、キメラ、ヒト、イヌ化およびネコ化、更にはネズミ抗CD19 MAbを用いて、非ヒト哺乳類患者を治療することができる。下記の実施例10および11をを参照されたい。ヒトでは免疫原性であるネズミMAbは、通常は非ヒト哺乳類患者では免疫原性が少ない。CD19表面抗原に結合した抗CD19抗体は、腫瘍性B細胞を破壊して、涸渇させる。正常および悪性B細胞はいずれもCD19抗原を発現するので、抗CD19抗体はB細胞死を生じる。しかしながら、正常なB細胞のみが再度増殖し、悪性B細胞は根絶されまたはかなり減少する。更に、腫瘍を破壊する潜在能力を有する化学薬剤または放射性標識を抗CD19抗体に接合させて、薬剤を腫瘍性B細胞に特異的にターゲッティングさせることができる。
【0131】
12.発現ベクター
ヒト化、キメラまたはヒト抗CD19 MAbをコードするDNA配列を、核酸の複製を提供する様々な既知の宿主ベクター中で組換え処理を行うことができる。これらのベクターは、送達される細胞の核酸の転写、翻訳または両方を指定するのに必要な要素を含むように、既知の方法を用いてデザインすることができる。既知の方法を用いて、適当な転写/翻訳制御シグナルと操作可能に連結したタンパク質コード配列を有する発現構築物を生成することができる。これらの方法としては、イン・ビトロ組換えDNA法、および合成法が挙げられる。例えば、Sambrook et al.,1989,「分子クローニング: 実験室マニュアル」, Cold Spring Harbor Laboratory (ニューヨーク)、Ausubel et al., 1997,「分子生物学の最新の方法」,John Wiley & Sons (ニューヨーク)をを参照されたい。本発明では、ベクターと会合していないポリヌクレオチドの送達も提供する。
【0132】
本発明での使用に適するベクターは、ウイルスまたは非ウイルス性であることができる。ウイルスベクターの具体例としては、アデノウイルス、AAV、単純ヘルペスウイルス、レンチウイルス、およびレトロウイルスベクターが挙げられる。非ウイルスベクターの一例はプラスミドである。好ましい態様では、ベクターはプラスミドである。
【0133】
本明細書に記載の発現ベクターは、宿主細胞で発現する遺伝子を含んでなるポリヌクレオチドである。典型的には、遺伝子発現は、構成的または誘導的プロモーター、組織特異的調節要素、およびエンハンサーなどのある種の調節要素の制御下で起こる。このような遺伝子は、調節要素に「操作可能に連結」しているといわれる。
【0134】
好ましくは、本発明の発現ベクターは、重および軽鎖可変および定常領域をいずれも含むヒト化、キメラまたはヒト抗CD19 MAbをコードするDNA配列を含んでなる。しかしながら、1つは重鎖可変および定常領域を含んでなり、他方は軽鎖可変および定常領域を含んでなる2種類の発現ベクターを用いてもよい。更に好ましくは、発現ベクターは、更にプロモーター、分泌シグナルペプチドをコードするDNA配列、ヒトIgG1重鎖定常領域をコードするゲノム配列、Igエンハンサー要素、および選択マーカーをコードする少なくとも1つのDNA配列を含んでなる。
【0135】
本発明では、ヒト化抗CD19 MAbを発現する方法であって、(i)ヒト化、キメラまたはヒト抗CD19 MAbをコードするDNA配列を含んでなる少なくとも1つの発現ベクターを線状化し、(ii)哺乳類細胞を少なくとも1つの上記線状化したベクターでトランスフェクションし、(iii)マーカー遺伝子を発現するトランスフェクション細胞を選択し、(iv)トランスフェクション細胞からヒト化抗CD19 MAbを分泌する細胞を同定することを含んでなる、方法も意図する。
【0136】
13.抗CD19抗体の作製方法
一般に、抗CD19 MAbについてのVk(可変軽鎖)およびVH(可変重鎖)配列は、RT−PCR、5’−RACE、およびcDNAライブラリースクリーニングのような様々な分子クローニング法によって得ることができる。具体的には、抗CD19 MAbのV遺伝子は、配列決定したネズミまたはキメラ抗CD19 MAbを発現する細胞からPCR増幅によってクローニングすることができる。それが正しいことを確認するため、クローニングしたVLおよびVH遺伝子を、Orlandi et al.によって報告されたキメラAbと同様に細胞培養物中で発現させることができ(Proc. Natl. Acad. Sci., USA, 86:3833 (1989))、この文献の全内容は、引用することにより本明細書の一部とされる。V遺伝子配列に基づいて、ヒト化抗CD19 MAbをLeung et al.によって報告された方法でデザインして構築することができ(Mol. Immunol., 32:1413 (1995))この文献の全内容は、引用することにより本明細書の一部とされる。cDNAは、一般的分子クローニングの手法によりネズミまたはキメラ抗CD19 MAbを産生する任意の既知ハイブリドーマ系またはトランスフェクション細胞系から調整することができる(Sambrook et al.,「分子クローニング、実験室マニュアル」第2版(1989))。MAbについてのVK配列はプライマーVK1BACKおよびVK1FOR(Orlandi et al., 1989)またはLeung et al.によって報告された伸長したプライマーセット(BioTechniques, 15:286 (1993))を用いて増幅することができ、上記文献の内容はその開示の一部として本明細書に引用され、一方、VH配列はプライマー対VH1BACK/VH1FOR(Orlandi et al., 1989 上記)、またはLeung et al.によって報告されたネズミIgGの定常領域にアニーリングするプライマーを用いて増幅することができ(Hybridoma, 13: 469(1994))、上記文献の全内容は、引用することにより本明細書の一部とされる。第一の鎖のcDNA産物10X1、PCR緩衝液[500mM KCI、100mM トリス−HCl(pH8.3)、15mM MgCl2および0.01%(w/v)ゼラチン](Perkin Elmer Cetus, ノーウォーク,コネティカット)10μl、それぞれのdNTP 250μM、プライマー200nM、およびTaq DNAポリメラーゼ(Perkin Elmer Cetus)5単位を含むPCR反応混合物に、PCRを30サイクル行うことができる。それぞれのPCRサイクルは、好ましくは、94℃で1分間の変性、50℃で1.5分間のアニーリング、および72℃で1.5分間の重合からなる。増幅したVkおよびVHフラグメントは、2%アガロース(BioRad,リッチモンド,カリフォルニア)上で精製することができる。同様に、ヒト化V遺伝子は、Leung et al.によって報告された長いオリゴヌクレオチド鋳型合成とPCR増幅との組合せによって構築することができる(Mol. Immunol., 32: 1413(1995))。ヒト化V遺伝子の構築に用いる自動RNA/DNA合成装置(Applied Biosystems, フォスターシティー,カリフォルニア)上でのオリゴAおよびオリゴBの製造方法については、実施例3をを参照されたい。
【0137】
VkについてのPCR産物は、Igプロモーター、シグナルペプチド配列およびVkPCR産物のインフレーム連結を促進するのに好都合な制限部位を含むpBR327を基としたステージングベクター(staging vector) VKpBRなどのステージングベクターにサブクローニングすることができる。VHについてのPCR産物は、pBluescriptを基としたVHpBSのような同様なステージングベクターにサブクローニングすることができる。それぞれのPCR産物を含む個々のクローンは、Sanger et al.の方法などによって配列決定することができ(Proc. Natl. Acad. Sci., USA, 74:5463 (1977))、上記文献の全内容は、引用することにより本明細書の一部とされる。
【0138】
本明細書に記載のDNA配列は、天然に存在するまたは誘導されたものに関わらず、総ての対立遺伝子、突然変異体および変異体を含むものと見なされる。
【0139】
VkおよびVHをプロモーターおよびシグナルペプチド配列と共に含む発現カセットは、それぞれVKpBRおよびVHpBSから二重制限消化によってHindIII−BamHIフラグメントとして取り出すことができる。次に、VkおよびVH発現カセットを、それぞれpKhおよびpGlgのような適当な発現ベクターに連結することができる(Leung et al., Hybridoma, 13:469 (1994))。発現ベクターを適当な細胞、例えば、骨髄腫Sp2/0−Ag14(ATCC,VA)に同時トランスフェクションし、ハイグロマイシン耐性についてコロニーを選択し、上清液を、下記のように例えばELISA分析法によってキメラまたはヒト化抗CD19 MAbの産生について観察することができる。あるいは、VkおよびVH発現カセットを、修飾したステージングベクターVKpBR2およびVHpBS2で組み立て、それぞれXbaI/BamHIおよびXhoI/BamHIフラグメントとして切出し、Gilles et al. (J. Immunol. Methods 125:191 (1989)、またLosman et al., Cancer, 80:2660 (1997)にも示される)によって報告されるようにpdHL2のような単一発現ベクターにサブクローニングし、Sp2/0−Agl4細胞で発現させることができる。本発明で有用なもう一つのベクターは、Barries et al., Cytotechnology 32:109-123 (2000)に記載のGSベクターであり、これは好ましくはNS0細胞系およびCHO細胞で発現される。他の適当な哺乳類発現系は、Werner et al., Arzneim. -Forsch./Drug Res. 48(11), Nr. 8, 870-880 (1998)に記載されている。
【0140】
抗体分泌クローンの同時トランスフェクションおよびELISAによる分析法は、下記の通りに行うことができる。VKpKh(軽鎖発現ベクター)約10μgとVHpGIg(重鎖発現ベクター)20μgを用いて、Co et al., J. Immunol., 148:1149 (1992)の方法に準じて電気穿孔(BioRad,リッチモンド,カリフォルニア)により5x106個のSP2/0骨髄腫細胞のトランスフェクションを行うことができ、上記文献の全内容は、引用することにより本明細書の一部とされる。トランスフェクションの後、細胞を96穴マイクロタイタープレート中、完全HSFM培地(Life Technologies, Inc., グランドアイランド,ニューヨーク)で37℃、5%CO2にて増殖させることができる。選択工程は、2日後にハイグロマイシン500単位/mlの最終濃度のハイグロマイシン選択培地(Calbiochem,サンディエゴ,カリフォルニア)を添加することによって開始することができる。コロニーは、典型的には、電気穿孔の2−3週間後に現れる。次に、培養物を拡張して、更に分析を行うことができる。
【0141】
キメラまたはヒト化重鎖の分泌に陽性のトランスフェクトーマ(transfectoma)クローンは、ELISA分析法によって同定することができる。簡単に説明すれば、トランスフェクトーマ培養物からの上清試料(約100μl)を、ヤギ抗ヒト(GAH)−IgGであるF(ab’)2フラグメント特異的抗体(Jackson ImmunoResearch, ウェストグローブ,ペンシルバニア)を予備コーティングしたELISAマイクロタイタープレートに3回添加する。プレートを、室温で1時間インキュベーションする。未結合タンパク質を、洗浄緩衝液(0.05%ポリソルベート20を含むPBS)で3回洗浄することによって除去する。西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)と接合したGAH−IgGであるFcフラグメント特異抗体(Jackson ImmunoResearch)を、ウェルに加える(未接合抗体を1.0μg/mlの最終濃度まで補足した抗体ストックを104倍に希釈したもの100μl)。1時間インキュベーションの後、プレートを典型的には3回洗浄する。反応溶液[100μl、PBS中にオルトフェニレンジアミン(OPD)(Sigma,セントルイス,ミズーリー)167μg、0.025%過酸化水素を含む]をウェルに加える。色を暗所で30分間展開させる。4N HCl溶液50μlをそれぞれのウェルに加えて反応を停止した後、自動ELISAリーダー(Bio-Tek instruments, ウィノースキー,ヴァーモント)で490nmの吸光度を測定する。次に、結合キメラ抗体を、関連性のないキメラ抗体標準物(Scotgen, Ltd., エディンバーグ,スコットランドから入手可能)に対して測定する。
【0142】
抗体は、下記のようにして細胞培地から単離することができる。トランスフェクトーマ培養物は無血清培地に適している。キメラ抗体の産生のため、細胞を、HSFMを用いてローラーボトル中500ml培養物として増殖させる。培養物を遠心分離し、上清を0.2μm膜を介して濾過する。濾過した培地を、プロテインAカラム(1x3cm)を1ml/分の流速で通過させる。次に、樹脂を約10容のPBSで洗浄し、プロテインAに結合した抗体を10mM EDTAを含む0.1Mグリシン緩衝液(pH3.5)でカラムから溶出させる。1.0ml画分を3Mトリス(pH8.6)10μlを含む試験管に集め、タンパク質濃度を280/260nmの吸光度から決定する。ピーク画分をプールして、PBSに対して透析し、抗体を例えばCentricon 30(Amicon,ベヴァリー,マサチューセッツ)で濃縮する。抗体濃度は上記と同様にELISAによって決定し、その濃度をPBSを用いて約1mg/mlに調整する。0.01%(w/v)アジ化ナトリウムを、防腐剤として試料に加えるのが好都合である。
【0143】
下記のものは、抗CD19抗体の調製に用いるプライマーのヌクレオチド配列である。
hA19VKA
5'-ATCACTTGTA AGGCCAGCCA AAGTGTTGAT TATGATGGTG ATAGTTATTT GAACTGGTAC CAGCAGATTC CAGGGAAAGC ACCTAAATTG TTGATCTACG ATGCTTCGAA TCTAGTTTCT GGTATC-3'
hA19VKB
5'-TGCTGACAGT GATATGTTGC AATGTCTTCT GGTTGAAGAG AGCTGATGGT GAAAGTGTAA TCTGTCCCAG ATCCGCTGCC AGAGAATCGA GGAGGGATAC CAGAAACTAG ATTCGAAGCA TCGTA-3'
hA19VKBack
5'-TCCGACATCC AGCTGACCCA GTCTCCATCA TCTCTGAGCG CATCTGTTGG AGATAGGGTC ACTATCACTT GTAAGGCCAG CCAAAG-3'
hA19VKFor
5'-GCTCCTTGAG ATCTGTAGCT TGGTCCCTCC ACCGAACGTC CACGGATCTT CAGTACTTTG CTGACAGTGA TATGTTGCAA T-3'
hA19VHA
5'-CTGGCTACGC TTTCAGTAGC TACTGGATGA ACTGGGTGAG GCAGAGGCCT GGACAGGGTC TTGAGTGGAT TGGACAGATT TGGCCTGGAG ATGGTGATAC TAACTACAAT GGAAAGTTCA AGGGGCGCGC CACTATT-3'
hAl9VHB
5'-CGTAGTCTCC CGTCTTGCAC AAGAATAGAA CGCTGTGTCC TCAGATCGTA GGCTGCTGAG TTCCATGTAG GCTGTATTAG TGGATTCGTC GGCAGTAATA GTGGCGCGCC CCTTGAACTT TCCATTGTA-3'
hA19VHBack
5'-CAGGTCCAAC TGCAGCAATC AGGGGCTGAA GTCAAGAAAC CTGGGTCATCG GTGAAGGTCTC CTGCAAGGCT TCTGGCTACG CTTTCAGTAG C-3'
hA19VHFor
5'-TGAGGAGACG GTGACCGTGG TCCCTTGGCC CCAGTAGTCC ATAGCATAGT AATAACGGCC TACCGTCGTA GTCTCCCGTCTTGCACAAG- 3'
【実施例】
【0144】
本発明を、下記の実施例を参照することによって更に説明するが、これらの実施例は例示のためにのみ提供される。本発明はこれらの実施例に限定されず、本明細書で提供される教示から明らかな総ての変更を包含する。
【0145】
実施例1.ヒト化抗CD19抗体の構築
キメラAl 9(cAl 9)抗体を構築して、Sp2/0細胞で発現させた。cA19のVkおよびVH配列を、図1に示す。cA19抗体は、ラージ、ダウディ、およびラモスのようなCD19+ヒトリンパ腫細胞系に結合されていることが示された。精製したcA19のAg結合特異性を、他の抗CD19抗体、例えばB4(Culter)およびBU12(Chembiochem)に対する細胞表面競合的結合測定法によって評価した。簡単に説明すれば、様々な濃度のcAl9を、ラージ細胞と共に一定量のI−125で放射能標識した抗CD19抗体の存在下にて1時間インキュベーションした。洗浄によって未結合抗体を除去した後、細胞表面に結合した放射能標識抗体をガンマーカウンターで細胞ペレットを計数することによって定量した。図2に示されるように、cAl9は細胞表面結合についてBU12(Chembiochem)と競合し、これらの抗体はCD19分子の同様なまたは重複エピトープを共有し手いることを示唆している。
【0146】
ヒト化抗hCDl9抗体(hAl9)をコードする軽鎖および重鎖可変領域配列をデザインして、構築した。cA19の可変(V)領域枠組構造(FR)配列(図1Aおよび1B)をKabatデーターベースの登録ヒト抗体と比較したところ、cAl9 VkのFRはヒト抗体REI(Vk)の配列に対して高度の配列相同性を示し、VH配列はEUのそれ(VH)と極めて近接に関連していた。しかしながら、ヒト抗体のVHFR4配列NEWMはcA19の配列と一層緊密に整列され、A19重鎖のヒト化についてEU FR4配列を置換するのに用いた(図3B)。従って、ヒトREI枠組構造配列をVKに用い(図3A)、EUとNEWM枠組構造配列の組合せをVHに用いた(図3B)。CDR領域の外側のそれぞれの鎖には、出発ヒト抗体枠組構造と比較して、多数のアミノ酸変化がある。hA19の重鎖hA19VHは、ヒトEUおよびNEWM枠組構造から9個の変化を含んでいる(図3B)。hAl9の軽鎖hA19VKは、REI枠組構造から9個のアミノ酸変化を含む(図2A)。これらの残基は、Vkの4L、39I、58I、60P、87H、100G、および107Kであり、VHの5Q、27Y、28A、40R、91S、94R、107T、および108Tである。hAl9 VkおよびVHのDNAおよびアミノ酸配列を、それぞれ図4Aおよび4Bに示す。
【0147】
実施例2.hA19抗体の構築方法
CDR接合hA19VHおよびVk遺伝子を遺伝子工学処理するため、Leung et al.3によって記載された方法の変法を用いて、長いオリゴヌクレオチド合成とPCRの組合せを用いてhA19についてデザインされたVkおよびVH遺伝子を構築した。簡単に説明すれば、V配列の5’−(センス鎖、Aと称される)および3’−ハーフ(アンチセンス鎖、Bと称される)を表す2本の長い合成オリゴヌクレオチド(長さが約130マー)を、PCR反応の鋳型として用いる。長いオリゴヌクレオチドAおよびBの3’末端配列を、互いに重複し且つ相補性になるようにデザインする。PCRをAおよびBの3’末端をアニーリングして、長いオリゴヌクレオチドの残り(一本鎖)が隣接した短い二本鎖DNAを形成する。それぞれのアニーリング末端は一本鎖DNAの複製のプライマーとして働き、AおよびBを伸長して、二本鎖DNAを形成する。2本の短いオリゴヌクレオチドプライマーの存在下では、V遺伝子セグメントが二本鎖DNAのPCR増幅によって生成する。
【0148】
重鎖
hAl9 VHドメインを構築するため、長いオリゴヌクレオチドhAl9VHA(126マー)およびhA19VHB(128マー)を自動DNA合成装置(Applied Biosystem)上で合成した。hA19VHAはhA19 VHドメインのnt 74−126を表し、hA19VHBはnt 178−306に相補性のhA19VHドメインのマイナス鎖を表す。hA19VHAおよびVHBの3’末端配列(33nt残基)は、互いに相補性である。最小量のhA19VHAおよびVHB(経験的に決定)を、10xPCR緩衝液(500mM KCl,100mMトリス−HCl緩衝液,pH8.3、15mM MgCl2)、2μMのhA19VHBack(5'-CAGGTCCAAC TGCAGCAATC AGGGGCTGAA GTCAAGAAAC CTGGGTCATCG GTGAAGGTCTC CTGCAAGGCT TCTGGCTACG CTTTCAGTAG C-3')およびhA19VHFor (5'-TGAGGAGACG GTGACCGTGG TCCCTTGGCC CCAGTAGTCC ATAGCATAGT AATAACGGCC TACCGTCGTA GTCTCCCGTC TTGCACAAG-3')、および2.5単位のTaq DNAポリメラーゼ(Perkin Elmer Cetus, ノーウォーク,コネチカット)の存在下で増幅した。下線部分は、図4Bに示されるように、サブクローニングの制限部位である。この反応混合物に、94℃で1分間の変性、45℃で1分間のアニーリング、および72℃で1.5分間の重合からなるポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を3サイクル行った。この処置に続いて、94℃で1分間の変性、55℃で1分間のアニーリング、および72℃で1分間の重合からなるPCR反応27サイクル行った。生成するDNAフラグメントは、アガロースゲル電気泳動で約350の予想した分子サイズを示した。hA19VHについての二本鎖PCR増幅産物をゲル精製し、PstIおよびBstEII制限酵素で制限消化し、重鎖ステージングベクターVHpBS2の相補性PstI/BstElI制限部位にクローニングし、VH配列は、翻訳開始コドンをコードするDNA配列と完全に組み立てられ、ぶんぴシグナルペプチドは5’末端でインフレーム連結し、イントロン配列は3’末端で連結した。VHpBS2はVHpBSの修飾したステージングベクターであり(Leung et al., Hybridoma, 13:469 (1994))、これの翻訳開始コドンの16塩基上流にXhoI制限部位を導入して、次のサブクローニング段階を促進した。組み立てられたVH遺伝子は、XhoI−BamHI制限フラグメントとして、IgHエンハンサーおよびMT1プロモーター、並びに選択および増幅のマーカーとしてのマウスdhfr遺伝子の制御下でヒトIgG重および軽鎖の両方についての発現カセットを含む発現ベクターpdHL2にサブクローニングした(図4B)。pdHL2の重鎖領域はBamHI制限部位を欠くので、この連結には、リンカーを用いて可変鎖のBamHI部位とpdHL2ベクターに存在するHindIII部位の間に橋を提供する必要がある。生成する発現ベクターは、hA19VHpdHL2と命名した。
【0149】
ヒト化VK配列の完全長DNAを構築するため、hA19VKA(126マー、hA19 VKドメインのnt 61−186を表す)およびhA19VKB(124マー、nt 157−281に相補性のhA19 VKドメインのマイナス鎖を表す)を上記と同様にして合成した。hA19VKAとVKBを、上記と同様にして2本の短いオリゴヌクレオチドhA19VKBack (5'-CAGGTCCAAC TGCAGCAATC AGGGGCTGAA GTCAAGAAAC CTGGGTCATCG GTGAAGGTCTC CTGCAAGGCT TCTGGCTACG CTTTCAGTAG C-3')およびhA19VKFor (5'-TGAGGAGACG GTGACCGTGG TCCCTTGGCC CCAGTAGTCC ATAGCATAGT AATAACGGCC TACCGTCGTA GTCTCCCGTC TTGCACAAG-3')によって増幅した。下線部は、下記のようにサブクローニングの制限部位である。hA19Vkについてのゲル精製したPCR産物をPvuIIおよびBglIIで制限消化し、軽鎖ステージングベクターVKpBR2の相補性PvuII/BclI部位にクローニングした。VKpBR2はVKpBRの修飾ステージングベクターであり(Leung et al., Hybridoma, 13:469 (1994))、これの翻訳開始コドンの16塩基上流にXhoI制限部位を導入した。組み立てられたVk遺伝子は、VH配列を含む発現ベクターhA19VHpdHL2にXhoI−BamHI制限フラグメントとしてサブクローニングした。生成する発現ベクターは、hA19pdHL2と命名した。
【0150】
実施例3.hA19抗体のトランスフェクションおよび発現
hAl9についての発現ベクター約30gをSalIで消化することによって線形化し、電気穿孔(450Vおよび25μF)によってSp2/0−Agl4細胞にトランスフェクションした。トランスフェクション細胞を96穴プレートで2日間培養した後、MTX培地に0.075μMの最終濃度で添加することによって薬剤耐性について選択した。MTX耐性コロニーは、2−3週間でウェルに現れた。選択の後に残っているコロニーの上清を、ヒトAb分泌についてELISA分析法によってスクリーニングした。簡単に説明すれば、100μlの上清をF(ab’)2フラグメント特異AbであるGAH−IgGを予備コーティングしたマイクロタイタープレートのウェルに加え、室温で1時間インキュベーションした。未結合タンパク質を、洗浄緩衝液(0.05%ポリソルベート20を含むPBS)で3回洗浄することによって除去した。HRPと接合したGAH−IgGであるFcフラグメント特異Abを、ウェルに加えた。1時間インキュベーションの後、プレートを洗浄した。結合したHRP接合Abは、4mM OPDと0.04% H2O2を含む基質溶液を添加した後に、A490nmを読むことによって明らかになった。陽性細胞クローンを膨張させ、hB43をプロテインAカラム上でのアフィニティークロマトグラフィーによって細胞培養物上清から精製した。
【0151】
実施例4.抗CD19抗体の抗原結合特異性およびアフィニティーの決定
プロテインAカラム上でのアフィニティークロマトグラフィーによって精製したcAl9およびhAl90のAg結合特異性を、細胞表面競合的結合測定法によって評価し、比較した。簡単に説明すれば、一定量(100,000cpm,約10μCi/μg)の125Iで標識したcA19またはhA19を、様々な濃度(0.2−700nM)のcAl9またはhAl9の存在下にてラージ細胞と共に4℃で1−2時間インキュベーションした。未結合Abは、細胞をPBSで洗浄することによって除去した。細胞に関する放射能を、洗浄後に測定した。図2に示されるように、精製したhA19は細胞表面結合について125I標識cAl9と競合し、その逆も成り立つことから、見かけの結合アビディティーはこれらの2種類のAbの間で類似していることを示している。
【0152】
hA19の抗原結合アフィニティー(アビディティー)定数を、放射能標識したAbの直接細胞表面結合分析法と、cA19と比較したスキャッチャードプロット解析によって決定した。簡単に説明すれば、hA19およびcAl9をクロラミンT法によって125Iで標識した。様々な量の125I−hAl9または125I−cAl9を、2x105個のラージ細胞と共に4℃で2時間インキュベーションし、未結合抗体を洗浄によって除去した。細胞に関連した放射能を計数し、スキャッチャードプロット解析を行い、細胞当たりのhAl9およびcA19結合部位の最大数、および平衡結合の見かけの解離定数を測定した。図3に示されるように、hA19は、cAl9と実質的に同一の結合アフィニティーを示した。これらの2種類の抗体についての見かけの解離定数は、それぞれ1.1および1.2nMと計算された。
【0153】
実施例5:非ホジキンリンパ腫の治療
進行の遅い小胞細胞NHLの患者はデキサメタゾンを含む化学療法の後に再発し、胸部(大動脈傍リンパ節)、鬱血して入り組んだ脾臓、および鬱血した頸部リンパ節に疾病を有する。患者に、本発明のヒト化CD19 MAbに続いて同日にヒト化CD20 MAb (hA20)を組み合わせて静脈内輸液によりそれぞれ300mg/m2のコースを1週毎に4週間投与し、それぞれの投与時に、輸液に関連した反応を抑制するためにチレノール(Tylenol)(登録商標)とベナドリル(Benadryl)(登録商標)を標準的な公表された用量に従って前投与した。4週間後、患者に最初の追跡調査試験を行い、触診可能なリンパ節の幾つかが柔らかくなっている点のみを観察する。最初の治療サイクルに続いて3ヶ月後の再来時に、患者の胸部疾患はCTスキャン上では40%減少しており、脾臓は治療前の大きさのほぼ半分であり、頸部リンパ節はほとんどなくなっている。患者に、次に再治療サイクルを行い、更に3ヶ月後には、脾臓は正常な大きさとなっており、頸部リンパ節は蝕知不能かまたはCTスキャン上で測定不能であり、胸部の病巣は小さく1.5cmしかなかった。患者は更に4ヶ月間通院を続けたが、疾患はほぼなくなっていた。
【0154】
上記のものは特定の好ましい態様に関するものであるが、本発明はこれらに限定されないことが理解されるであろう。当業者であれば、開示された態様に対して様々な修飾を行うことができ、これらの修飾は特許請求の範囲に定義されている本発明の範囲内にあると解釈される。
【0155】
本明細書に引用されている総ての公表文献、および特許出願明細書および特許明細書の全内容は、引用することにより本明細書の一部とされる。
【図面の簡単な説明】
【0156】
【図1A】cAl9(キメラ抗CD19抗体)のVk(可変軽鎖)およびVH(可変重鎖)配列。CDR領域配列は、太字と下線を施して示す。ヌクレオチドには、順次番号を付している。カバットIg分子ナンバリングを、アミノ酸残基上のナンバリングによって示されるようにアミノ酸残基について用いている。文字によってナンバリングされたアミノ酸残基は、カバットナンバリング配列によって定義された挿入残基である。この挿入残基は、前の残基と同じ先行する数字を有する。軽鎖可変領域は図1Aに示される。
【図1B】cAl9(キメラ抗CD19抗体)のVk(可変軽鎖)およびVH(可変重鎖)配列。CDR領域配列は、太字と下線を施して示す。ヌクレオチドには、順次番号を付している。カバットIg分子ナンバリングを、アミノ酸残基上のナンバリングによって示されるようにアミノ酸残基について用いている。文字によってナンバリングされたアミノ酸残基は、カバットナンバリング配列によって定義された挿入残基である。この挿入残基は、前の残基と同じ先行する数字を有する。例えば、図1Bにおける残基82、82A、82Bおよび82Cは、それぞれ82、A、BおよびCと表される。重鎖可変領域は図1Bに示される。
【図2】cAl9抗体の結合特異性を他の抗CD19抗体であるBU12およびB4の結合特異性と比較するための細胞表面での競合的結合測定法の結果。cAl9の濃度増加により、未標識BU12およびB4と同様に放射性標識BU12のラジ細胞への結合がブロックされ、これらの抗体はCD19分子の同様なまたはオーバーラップエピトープを認識することを示している。
【図3A】ヒト抗体、キメラおよびヒト化抗CD19抗体の可変軽鎖(Vk)および可変重鎖(VH)のアミノ酸配列の比較。図3Aは、ヒト抗体の可変軽鎖(Vk)(REIVk)、キメラ抗体の可変軽鎖(cA19Vk)およびヒト化抗体の可変軽鎖(hA19Vk)のアミノ酸配列の比較である。
【図3B】ヒト抗体、キメラおよびヒト化抗CD19抗体の可変軽鎖(Vk)および可変重鎖(VH)のアミノ酸配列の比較。図3Bは、ヒト抗体の可変重鎖(VH)(EUおよびNEWM(FR4のみ)、キメラ抗体の可変重鎖(cA19VH)およびヒト化抗体の可変重鎖(hA19VH)のアミノ酸配列の比較である。
【図4A】ヒト化抗CD19抗体(hA19)軽鎖V遺伝子(hAl9Vk)のアミノ酸配列(図4A)。ヌクレオチド配列は、小文字で示す。VKおよびVHアミノ酸残基のナンバリングは図1のナンバリングと同一である。
【図4B】ヒト化抗CD19抗体(hA19)重鎖V遺伝子(hA19VH)のアミノ酸配列(図4B)。ヌクレオチド配列は、小文字で示す。VKおよびVHアミノ酸残基のナンバリングは図1のナンバリングと同一である。
【図5A】ヒト化A19抗体(hA19)の結合特異性および活性をcAl9の結合特異性および活性と比較するための細胞表面競合的結合測定法の結果。図5Aは、非接合hA19 (黒塗り三角形)およびcA19(黒塗り丸)がいずれも125I−hAl9のラジ細胞への結合をブロックすることを示している。
【図5B】ヒト化A19抗体(hA19)の結合特異性および活性をcAl9の結合特異性および活性と比較するための細胞表面競合的結合測定法の結果。図5Bは、hA19(黒塗り丸)およびcl9 (黒塗り四角形)が同様に125I−cAl9のラジ細胞への結合にかなり競合することを示している。cA19またはhA19の濃度増加により、放射能標識したhA19またはcA19のそれぞれラジ細胞への結合がブロックされた。
【図6】直接的細胞表面結合およびスキャッチャードプロット解析による抗CD19 AbのAg結合アフィニティー(アビディティー)の測定。様々な濃度の125I−hA19 (菱形)または125I−cA19 (四角形)を、ラジ細胞と4℃で1時間インキュベーションした。総および結合放射能を計測して、挿入図に示されるようにスキャッチャードプロットによって解析した。hA19は、cA19と実質的に同じ結合アフィニティーを示した。図に示されるように、見かけの解離定数値はhA19およびcA19についてそれぞれ1.1および1.2nMと計算された。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
CD19抗原に結合するモノクローナル抗体またはそのフラグメントであって、該抗体またはそのフラグメントが、キメラ、ヒト化または完全にヒトのものである、モノクローナル抗体またはそのフラグメント。
【請求項2】
前記抗体または抗体フラグメントがヒト化したものである、請求項1に記載のモノクローナル抗体またはそのフラグメント。
【請求項3】
前記抗体または抗体フラグメントが完全にヒトのものである、請求項1に記載のモノクローナル抗体またはそのフラグメント。
【請求項4】
少なくとも1つのネズミ抗CD19 MAbの相補性決定領域(CDR)と、ヒト抗体のフレームワーク領域(FR)とを含んでなり、前記ヒト化抗CD19 MAbまたはそのフラグメントが、前記ネズミ抗CD19 MAbの、B細胞およびB細胞リンパ腫細胞および白血病細胞へのターゲッティングを実質的に保持するものである、請求項2に記載のモノクローナル抗体またはフラグメント。
【請求項5】
抗CD19 MAbの軽鎖可変領域のCDRが、アミノ酸KASQSVDYDGDSYLNを含むCDR1、アミノ酸DASNLVSを含むCDR2およびアミノ酸QQSTEDPWTを含むCDR3を含んでなる、請求項4に記載のモノクローナル抗体またはフラグメント。
【請求項6】
抗CD19 MAbの重鎖可変領域のCDRが、アミノ酸SYWMNを含むCDR1、アミノ酸QIWPGDGDTNYNGKFKGを含むCDR2およびアミノ酸RETTTVGRYYYAMDYを含んでなるCDR3を含む、請求項4に記載のモノクローナル抗体またはフラグメント。
【請求項7】
ヒト抗体の軽および重鎖定常領域を含んでなる、請求項4に記載のモノクローナル抗体またはフラグメント。
【請求項8】
ネズミ抗CD19 MAbの相補性決定領域(CDR)およびヒト抗体の軽および重鎖可変領域のフレームワーク(FR)、およびヒト抗体の軽および重鎖定常領域を含んでなり、前記ヒト化抗CD19 MAbまたはそのフラグメントが、前記ネズミ抗CD19 MAbの、B細胞およびB細胞リンパ腫細胞および白血病細胞へのターゲッティングを実質的に保持し、前記ネズミ抗CD19 MAbの軽鎖可変領域CDRが、アミノ酸SYWMNを含むCDR1、アミノ酸QIWPGDGDTNYNGKFKGを含むCDR2およびアミノ酸RETTTVGRYYYAMDYを含むCDR3を含んでなる抗CD19 MAbの軽鎖可変領域CDRを含んでなる、請求項7に記載のモノクローナル抗体またはフラグメント。
【請求項9】
前記ヒト化抗体の軽および重鎖可変領域の少なくとも1つのFRが、前記ネズミMAbの相当するFRから改変された、少なくとも1つのアミノ酸を含んでなる、請求項2に記載のヒト化抗CD19モノクローナル抗体(MAb)またはそのフラグメント。
【請求項10】
前記ネズミMAbから改変されたアミノ酸が、図1Bの重鎖可変領域のアミノ酸残基5、27、28、40、48、91、94、107および108からなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸である、請求項9に記載のヒト化抗CD19モノクローナル抗体(MAb)またはそのフラグメント。
【請求項11】
前記改変されたネズミアミノ酸が、図1Aの軽鎖可変領域のアミノ酸残基4、39、58、60、87、100および107からなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸である、請求項9に記載のヒト化抗CD19モノクローナル抗体(MAb)またはそのフラグメント。
【請求項12】
図4AのhA19Vkおよび図4BのhA19VHを含んでなる、請求項2に記載のヒト化抗CD19モノクローナル抗体(MAb)またはそのフラグメント。
【請求項13】
前記フラグメントが、F(ab’)2、Fab’、Fab、FvおよびsFvからなる群から選択されるものである、請求項2に記載のヒト化抗CD19 MAbおよびそのフラグメント。
【請求項14】
ネズミ抗CD19 MAbの相補性決定領域(CDR)および前記ネズミ抗CD19 MAbの軽および重鎖可変領域のフレームワーク(FR)、およびヒト抗体の軽および重鎖定常領域を含んでなり、前記キメラ抗CD19 MAbまたはそのフラグメントが、前記ネズミ抗CD19 MAbの、B細胞およびB細胞リンパ腫細胞および白血病細胞へのターゲッティングを実質的に保持し、キメラ抗CD19 MAbの軽鎖可変領域のCDRが、アミノ酸KASQSVDYDGDSYLNをむCDR1、アミノ酸DASNLVSを含むCDR2およびアミノ酸QQSTEDPWTを含むCDR3を含んでなる抗CD19 MAbの軽鎖可変領域のCDRを含んでなり、前記抗19 MAbの重鎖可変領域のCDRが、アミノ酸SYWMNを含むCDR1、アミノ酸QIWPGDGDTNYNGKFKGを含むCDR2、およびアミノ酸RETTTVGRYYYAMDYを含むCDR3を含んでなる、請求項1に記載のキメラ抗CD19(cA19)モノクローナル抗体(MAb)またはそのフラグメント。
【請求項15】
ネズミ抗CD19 MAbの軽および重鎖可変領域およびヒト抗体の軽および重鎖定常領域を含んでなる、請求項1に記載のキメラ抗CD19(cA19)モノクローナル抗体またはそのフラグメントであって、前記cA19 MAbが、前記ネズミ抗CD19 MAbの、B細胞、およびB細胞リンパ腫および白血病細胞へのターゲッティングおよび細胞結合特性を実質的に保持し、前記cA19がcA19Vkと称される図1Aに示される軽鎖可変領域とcA19VHと称される図1Bに示される重鎖可変領域とを含んでなる、キメラ抗CD19(cA19)モノクローナル抗体(MAb)またはそのフラグメント。
【請求項16】
ヒト抗体の軽および重鎖可変および定常領域を含んでなる、請求項3記載のヒト抗CD19(huA19)モノクローナル抗体(MAb)またはそのフラグメントであって、前記huA19 MAbがネズミ抗CD19 MAbの、B細胞、およびB細胞リンパ腫および白血病細胞へのターゲッティングと細胞結合特性とを実質的に保持し、前記ヒト抗CD19 MAbの軽鎖可変領域のCDRが、アミノ酸KASQSVDYDGDSYLNを含むCDR1、アミノ酸DASNLVSを含むCDR2、およびアミノ酸QQSTEDPWTを含むCDR3を含んでなり、前記抗CD19 MAbの重鎖可変領域のCDRが、アミノ酸SYWMNを含むCDR1、アミノ酸QIWPGDGDTNYNGKFKGを含むCDR2、およびアミノ酸RETTTVGRYYYAMDYを含むCDR3を含んでなる、ヒト抗CD19(huA19)モノクローナル抗体(MAb)またはそのフラグメント。
【請求項17】
少なくとも2つのMAbまたはそのフラグメントを含んでなる抗体融合タンパク質であって、前記MAbのそれぞれが独立して請求項1〜16のいずれか一項に記載の抗CD19 MAbである、抗体融合タンパク質。
【請求項18】
(a)請求項1〜16のいずれか一項に記載の少なくとも1つの第一の抗CD19 MAbまたはそのフラグメントと、(b)少なくとも1つの第二のMAbまたはそのフラグメントとを含んでなり、前記第二のMAbまたはそのフラグメントが抗CD19 MAbまたはそのフラグメント以外のものである、抗体融合タンパク質またはそのフラグメント。
【請求項19】
少なくとも1つのMabがターゲッティング可能な接合体と反応性であり、前記ターゲッティング可能な接合体が診断または治療薬を有するものである、請求項18に記載の抗体融合タンパク質またはフラグメント。
【請求項20】
前記第二のMAbまたはそのフラグメントが、CD4、CD5、CD8、CD14、CD15、CD19、CD20、CD21、CD22、CD23、CD25、CD33、CD37、CD38、CD40、CD40L、CD46、CD52、CD54、CD74、CD80、CD126、CD138、B7、MUC−1、Ia、HM1.24、HLA−DR、テネイシン、VEGF、PIGF、ED−Bフィブロネクチン、癌遺伝子、癌遺伝子産物、NCA 66a−d、壊死抗原、Ii、IL−2、T101、TAC、IL−6、TRAIL−R1(DR4)およびTRAIL−R2(DR5)、およびそれらの組合せからなる群から選択される抗原と反応性のMAbからなる群から選択されるものである、請求項19に記載の抗体融合タンパク質またはそのフラグメント。
【請求項21】
請求項1〜20のいずれか一項に記載のMAbまたはそのフラグメントをコードする配列を含んでなる、核酸。
【請求項22】
請求項21に記載のDNA配列を含んでなる、発現ベクター。
【請求項23】
前記ベクターがpdHL2である、請求項22に記載の発現ベクター。
【請求項24】
前記ベクターが、IgG1における重および軽鎖定常領域およびヒンジ領域をコードする核酸配列を含んでなる、請求項23に記載の発現ベクター。
【請求項25】
請求項21〜24のいずれか一項に記載のDNA配列を含んでなる、宿主細胞。
【請求項26】
前記細胞が哺乳類細胞である、請求項25に記載の宿主細胞。
【請求項27】
前記哺乳類細胞がリンパ球細胞である、請求項26に記載の宿主細胞。
【請求項28】
前記リンパ球細胞が骨髄腫細胞である、請求項27に記載の宿主細胞。
【請求項29】
抗CD19 MAbまたはそのフラグメントまたは抗体融合タンパク質またはそのフラグメントの発現方法であって、
(a)請求項22〜24のいずれか一項に記載の発現ベクターで哺乳類細胞をトランスフェクションし、
(b)前記トランスフェクションされた細胞を培養すること
を含んでなる、方法。
【請求項30】
少なくとも1つの診断薬または少なくとも1つの治療薬に結合した抗体成分を含んでなり、前記抗体成分が、請求項1〜20のいずれか一項に記載の、抗CD19 MAbまたはそのフラグメントまたは抗体融合タンパク質またはそのフラグメントを含んでなる、B細胞ターゲッティング診断または治療接合体。
【請求項31】
前記診断薬が少なくとも1つの光活性診断薬を含んでなる、請求項30に記載のB細胞ターゲッティング診断または治療接合体。
【請求項32】
前記診断薬が少なくとも1つの超音波増強剤をさらに含んでなる、請求項30に記載のB細胞ターゲッティング診断または治療接合体。
【請求項33】
前記超音波増強剤がリポソームである、請求項32に記載のB細胞ターゲッティング診断または治療接合体。
【請求項34】
前記リポソームが気体で満たされているものである、請求項33に記載のB細胞ターゲッティング診断または治療接合体。
【請求項35】
前記診断薬が、60 − 4,000keVのエネルギーを有する放射性標識である、請求項30に記載の診断接合体。
【請求項36】
前記放射性標識が、ガンマ線−、ベータ線−または陽電子−放射性同位体である、請求項35に記載の診断接合体。
【請求項37】
前記放射性標識が、125I、131I、123I、124I、86Y、186Re、188Re、62Cu、64Cu、111In、67Ga、68Ga、99mTc、94mTc、18F、11C、13N、15O、および76Brからなる群から選択されるものである、請求項36に記載の診断接合体。
【請求項38】
前記診断薬がコントラスト剤である、請求項30に記載の診断接合体。
【請求項39】
前記コントラスト剤が、マンガン、鉄またはガドリニウムを含んでなる金属である、請求項38に記載の診断接合体。
【請求項40】
前記抗体成分が、抗体融合タンパク質またはそのフラグメントであり、前記MAbまたはそのフラグメントのそれぞれが、少なくとも1つの治療薬に結合してなる、請求項30に記載の治療接合体。
【請求項41】
前記治療薬が、放射性標識、免疫調節剤、酵素、ホルモン、オリゴヌクレオチド、光活性治療薬、細胞傷害剤およびそれらの組合せからなる群から選択されるものである、請求項30または40に記載の治療接合体。
【請求項42】
前記細胞傷害剤が薬剤または毒素である、請求項41に記載の治療接合体。
【請求項43】
前記細胞傷害剤が、抗有糸分裂薬、アルキル化剤、代謝拮抗薬、抗血管新生薬、アポトーシス薬、アルカロイド、プロテオソーム阻害剤および抗生物質薬、およびそれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1つの薬学特性を有する薬剤である、請求項42に記載の治療接合体。
【請求項44】
前記薬剤が、ナイトロジェンマスタード、エチレンイミン誘導体、アルキルスルホネート、ニトロソ尿素、トリアゼン、葉酸類似体、アントラサイクリン、タキサン、COX−2阻害薬、ピリミジン類似体、プリン類似体、抗生物質、酵素、サリドマイドおよび誘導体、エピポドフィロトキシン、白金配位錯体、プロテオソーム阻害薬、ビンカアルカロイド、置換尿素、メチルヒドラジン誘導体、副腎皮質ホルモン抑制剤、拮抗薬、エンドスタチン、タキソール、カンプトテシン、ドキソルビシンおよびそれらの類似体、およびそれらの組合せからなる群から選択されるものである、請求項43に記載の治療接合体。
【請求項45】
前記薬剤が、アルカリホスファターゼ、アリールスルファターゼ、およびセラチアプロテアーゼ、サーモリシン、ズブチリシン、カルボキシペプチダーゼ、カテプシン、D−アラニルカルボキシペプチダーゼのようなペプチダーゼおよびプロテアーゼ、炭水化物開裂酵素、β−ラクタマーゼ、ペニシリン−G−アミダーゼおよびシトシンデアミナーゼからなる群から選択される酵素である、請求項44に記載の治療接合体。
【請求項46】
前記細胞傷害剤が、リシン、アブリン、アルファ毒素、サポリン、リボヌクレアーゼ(RNアーゼ),DNアーゼI、ブドウ球菌エンテロトキシン−A、アメリカヤマゴボウ抗ウイルスタンパク質、ゲロニン、ジフテリア毒素、シュードモナス外毒素、およびシュードモナス内毒素からなる群から選択される毒素である、請求項42に記載の治療接合体。
【請求項47】
前記治療薬が、サイトカイン、幹細胞増殖因子、リンホトキシン、造血因子、コロニー刺激因子(CSF)、インターフェロン(IFN)、幹細胞増殖因子、エリトロポエチン、トロンボポエチンおよびそれらの組合せからなる群から選択される免疫調節剤である、請求項41に記載の治療接合体。
【請求項48】
前記リンホトキシンが、腫瘍壊死因子(TNF)であり、前記造血因子が、インターロイキン(IL)であり、前記コロニー刺激因子が、顆粒球−コロニー刺激因子(G−CSF)または顆粒球マクロファージ−コロニー刺激因子(GM−CSF)であり、前記インターフェロンが、インターフェロンアルファ、ベータまたはガンマであり、前記幹細胞増殖因子が「S1因子」と称されるものである、請求項47に記載の治療接合体。
【請求項49】
前記免疫調節剤が、IL−1、IL−2、IL−3、IL−6、IL−10、IL−12、IL−18、IL−21、インターフェロン−、TNF−またはそれらの組合せを含んでなる、請求項47に記載の治療接合体。
【請求項50】
前記治療薬が、エネルギーが60−700keVの放射性標識である、請求項41に記載の治療接合体。
【請求項51】
前記放射性標識が、225Ac、67Ga、90Y、111In、131I、125I、186Re、188Re、177Lu、64Cu、67Cu、212Bi、213Bi、211At、32P、およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項50に記載の治療接合体。
【請求項52】
前記治療薬が、クロモゲンまたは色素である光活性治療薬である、請求項41に記載の治療接合体。
【請求項53】
患者のB細胞疾患の治療方法であって、
薬学上許容可能なビヒクル中に処方された、請求項1〜20のいずれか一項に記載の治療上有効量の抗CD19 MAbまたはそのフラグメントを患者に投与すること
を含んでなる、方法。
【請求項54】
前記B細胞疾患が患者のリンパ腫または白血病または自己免疫疾患である、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記疾患が、急性特発性血小板減少性紫斑病、慢性特発性血小板減少性紫斑病、皮膚筋炎、シデナム舞踏病、重症筋無力症、全身性エリテマトーデス、ループス腎炎、リウマチ熱、多腺性症候群、水疱性類天疱瘡、糖尿病、ヘノッホ−シェーンライン紫斑病、ポストストレプトコッカス腎炎(post-streptococcalnephritis)、結節性紅斑、高安動脈炎、アジソン病、関節リウマチ、多発性硬化症、サルコイドーシス、潰瘍性大腸炎、多形性紅斑、IgAネフロパシー、結節性多発性動脈炎、強直性脊椎炎、グッドパスチャー症候群、閉塞性血栓血管炎(thromboangitisubiterans)、シェーグレン症候群、原発性胆汁性肝硬変症、橋本甲状腺炎、甲状腺中毒症、強皮症、慢性動性肝炎、多発性筋炎/皮膚筋炎、多発性軟骨炎、尋常性天疱瘡、ヴェーゲナー肉芽腫症、膜性腎症、筋萎縮性側索硬化症、脊髄ロウ、巨細胞性動脈炎/多発筋痛、悪性貧血、急速進行性糸球体腎炎、乾癬、および繊維化性肺胞炎からなる群から選択される自己免疫疾患である、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
CD4、CD5、CD8、CD14、CD15、CD19、CD20、CD21、CD22、CD23、CD25、CD33、CD37、CD38、CD40、CD40L、CD46、CD52、CD54、CD74、CD80、CD126、CD138、B7、MUC−1、Ia、HM1.24、HLA−DR、テネイシン、VEGF、PIGF、ED−Bフィブロネクチン、癌遺伝子、癌遺伝子産物、NCA 66a−d、壊死抗原、Ii、IL−2、T101、TAC、IL−6、TRAIL−R1(DR4)およびTRAIL−R2(DR5)と反応性のMAbからなる群から選択され、かつ薬学上許容可能なビヒクル中に処方された、少なくとも1つのヒト化、キメラ、ヒトまたはネズミMAbの治療上有効量を前記患者に同時または逐次的に投与することをさらに含んでなる、請求項53に記載の方法。
【請求項57】
薬学上許容可能なビヒクル中に処方された、少なくとも1つの治療薬の治療上有効量を前記患者に同時または逐次的に投与することをも含んでなる、請求項53〜56のいずれか一項に記載の方法。
【請求項58】
前記治療薬が、薬学上許容可能なビヒクル中に処方された、細胞傷害剤、放射性標識、免疫調節剤、ホルモン、酵素、オリゴヌクレオチド、光活性治療薬またはそれらの組合せを含んでなる、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
患者のB細胞疾患または症候群の治療方法であって、
少なくとも2つのMAbまたはそのフラグメントを含んでなる抗体融合タンパク質またはそのフラグメントの治療上有効量を患者に投与し、前記MAbが請求項1〜16のいずれか一項に記載の前記MAbから選択され、または請求項1〜16のいずれか一項に記載の少なくとも1つのMAbまたはそのフラグメントと、CD4、CD5、CD8、CD14、CD15、CD19、CD20、CD21、CD22、CD23、CD25、CD33、CD37、CD38、CD40、CD40L、CD46、CD52、CD54、CD74、CD80、CD126、CD138、B7、MUC−1、Ia、HM1.24、HLA−DR、テネイシン、VEGF、PIGF、ED−Bフィブロネクチン、癌遺伝子、癌遺伝子産物、NCA 66a−d、壊死抗原、Ii、IL−2、T101、TAC、IL−6、TRAIL−R1(DR4)およびTRAIL−R2(DR5)と反応性のMAbからなる群から選択され、薬学上許容可能なビヒクル中に処方された、少なくとも1つのMAbとを含んでなる、方法。
【請求項60】
薬学上許容可能なビヒクル中に処方された、少なくとも1つの治療薬の治療上有効量を前記患者に投与することをさらに含んでなる、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
前記治療薬が、細胞傷害剤、放射性標識、免疫調節剤、ホルモン、酵素、オリゴヌクレオチド、光活性治療薬またはそれらの組合せである、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
少なくとも1つの治療薬に結合した少なくとも1つのMAbを含んでなる治療接合体の治療上有効量を同時または逐次的に前記患者に投与することをさらに含んでなり、前記MAbが、CD4、CD5、CD8、CD14、CD15、CD19、CD20、CD21、CD22、CD23、CD25、CD33、CD37、CD38、CD40、CD40L、CD46、CD52、CD54、CD74、CD80、CD126、CD138、B7、MUC1、Ia、HM1.24、HLA−DR、テネイシン、VEGF、PIGF、ED−Bフィブロネクチン、癌遺伝子、癌遺伝子産物、NCA 66a−d、壊死抗原、Ii、IL−2、T101、TAC、IL−6、TRAIL−R1(DR4)およびTRAIL−R2(DR5)と反応性のMAbからなる群から選択され、かつ薬学上許容可能なビヒクル中に処方された、少なくとも1つのヒト化、キメラ、ヒトまたはネズミ MAbを含んでなる、請求項57に記載の方法。
【請求項63】
前記治療薬が、薬学上許容可能なビヒクル中に処方された、細胞傷害剤、放射性標識、免疫調節剤、ホルモン、酵素、オリゴヌクレオチド、光活性治療薬またはそれらの組合せを含んでなる、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
患者のB細胞疾患の治療方法であって、
前記細胞に結合する、請求項1〜20のいずれか一項に記載の抗CD19 MAbもしくはそのフラグメントまたは抗体融合タンパク質もしくはそのフラグメントを含んでなる治療接合体の治療上有効量を前記患者に投与することを含んでなり、前記抗CD19 MAbもしくはそのフラグメントまたは抗体融合タンパク質もしくはそのフラグメントが少なくとも1つの治療薬に結合し、薬学上許容可能なビヒクル中に処方されている、方法。
【請求項65】
前記疾患がリンパ腫または白血病または自己免疫疾患である、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
前記疾患が、急性特発性血小板減少性紫斑病、慢性特発性血小板減少性紫斑病、皮膚筋炎、シデナム舞踏病、重症筋無力症、全身性エリテマトーデス、ループス腎炎、リウマチ熱、多腺性症候群、水疱性類天疱瘡、糖尿病、ヘノッホ−シェーンライン紫斑病、ポストストレプトコッカス腎炎(post-streptococcalnephritis)、結節性紅斑、高安動脈炎、アジソン病、関節リウマチ、多発性硬化症、サルコイドーシス、潰瘍性大腸炎、多形性紅斑、IgAネフロパシー、結節性多発性動脈炎、強直性脊椎炎、グッドパスチャー症候群、閉塞性血栓血管炎、シェーグレン症候群、原発性胆汁性肝硬変症、橋本甲状腺炎、甲状腺中毒症、強皮症、慢性活動性肝炎、多発性筋炎/皮膚筋炎、多発性軟骨炎、尋常性天疱瘡、ヴェーゲナー肉芽腫症、膜性腎症、筋萎縮性側索硬化症、脊髄ロウ、巨細胞性動脈炎/多発筋痛、悪性貧血、急速進行性糸球体腎炎、乾癬および繊維化性肺胞炎からなる群から選択される自己免疫疾患である、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
前記治療薬が、薬学上許容可能なビヒクル中に処方された、細胞傷害剤、放射性標識、免疫調節剤、ホルモン、酵素、およびオリゴヌクレオチド、光活性治療薬またはそれらの組合せを含んでなる、請求項64に記載の方法。
【請求項68】
前記細胞傷害剤が薬剤または毒素である、請求項58、61、63または67のいずれか一項に記載の方法。
【請求項69】
前記薬剤が、抗有糸分裂薬、アルキル化剤、抗生物質、代謝拮抗薬、抗血管新生薬、アポトーシス薬、アルカロイド剤、タキサン、およびそれらの組合せからなる群から選択される医薬特性を有する、請求項68に記載の方法。
【請求項70】
前記薬剤が、ナイトロジェンマスタード、エチレンイミン誘導体、アルキルスルホン酸塩、ニトロソ尿素、トリアゼン、葉酸類似体、COX−2阻害薬、ピリミジン類似体、プリン類似体、抗生物質、サリドマイドおよび誘導体、プロテオソーム阻害薬、酵素、エピポドフィロトキシン、白金配位錯体、ビンカアルカロイド、置換尿素、メチルヒドラジン誘導体、副腎皮質ホルモン抑制剤、拮抗薬、エンドスタチン、タキソール、カンプトテシン、アントラサイクリン、およびそれらの類似体、およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項68に記載の方法。
【請求項71】
前記毒素が、リシン、アブリン、アルファ毒素、サポリン、リボヌクレアーゼ(RNアーゼ),DNアーゼI、ブドウ球菌エンテロトキシンA、アメリカヤマゴボウ抗ウイルスタンパク質、ゲロニン、ジフテリア毒素、シュードモナス外毒素およびシュードモナス内毒素からなる群から選択される、請求項68に記載の方法。
【請求項72】
前記免疫調節剤が、サイトカイン、幹細胞増殖因子、リンホトキシン、造血因子、コロニー刺激因子(CSF)、インターフェロン(IFN)、幹細胞増殖因子、エリトロポエチン、トロンボポエチンおよびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項58、61、63または67のいずれか一項に記載の方法。
【請求項73】
前記リンホトキシンが、腫瘍壊死因子(TNF)であり、前記造血因子が、インターロイキン(IL)であり、前記コロニー刺激因子が、顆粒球−コロニー刺激因子(G−CSF)または顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)であり、前記インターフェロンが、インターフェロンアルファ、ベータまたはガンマであり、前記幹細胞増殖因子が「S1因子」と称されるものである、請求項72に記載の方法。
【請求項74】
前記免疫調節剤が、IL−1、IL−2、IL−3、IL−6、IL−10、IL−12、IL−18、IL−21、インターフェロン−、TNF−、またはそれらの組合せを含んでなる、請求項72に記載の方法。
【請求項75】
前記放射性標識のエネルギーが60−4,000keVである、請求項58、61、63または67のいずれか一項に記載の方法。
【請求項76】
前記放射性標識が、225Ac、67Ga、90Y、111In、131I、125I、186Re、188Re、177Lu、64Cu、67Cu、212Bi、213Bi、211At、32P、およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項75に記載の方法。
【請求項77】
前記治療薬がクロモゲンまたは色素である、請求項58、61、63または67のいずれか一項に記載の方法。
【請求項78】
前記患者が哺乳類である、請求項54〜77のいずれか一項に記載の方法。
【請求項79】
前記哺乳類がヒト、イヌまたはネコである、請求項78に記載の方法。
【請求項80】
患者のB細胞疾患の診断方法であって、
B細胞に結合する、請求項1〜19のいずれか一項に記載の抗CD19 MAbもしくはそのフラグメントまたは抗体融合タンパク質もしくはそのフラグメントを含んでなる診断接合体を前記患者に投与することを含んでなり、前記抗CD19 MAbもしくはそのフラグメントまたは抗体融合タンパク質もしくはそのフラグメントが少なくとも1つの診断薬に結合し、薬学上許容可能なビヒクル中に処方されたものである、方法。
【請求項81】
前記疾患がリンパ腫または白血病または自己免疫疾患である、請求項80に記載の方法。
【請求項82】
前記疾患が、急性特発性血小板減少性紫斑病、慢性特発性血小板減少性紫斑病、皮膚筋炎、シデナム舞踏病、重症筋無力症、全身性エリテマトーデス、ループス腎炎、リウマチ熱、多腺性症候群、水疱性類天疱瘡、糖尿病、ヘノッホ−シェーンライン紫斑病、ポストストレプトコッカス腎炎(post-streptococcalnephritis)、結節性紅斑、高安動脈炎、アジソン病、関節リウマチ、多発性硬化症、サルコイドーシス、潰瘍性大腸炎、多形性紅斑、IgA ネフロパシー、結節性多発性動脈炎、強直性脊椎炎、グッドパスチャー症候群、閉塞性血栓血管炎、シェーグレン症候群、原発性胆汁性肝硬変症、橋本甲状腺炎、甲状腺中毒症、強皮症、慢性活動性肝炎、多発性筋炎/皮膚筋炎、多発性軟骨炎、尋常性天疱瘡、ヴェーゲナー肉芽腫症、膜性腎症、筋萎縮性側索硬化症、脊髄ロウ、巨細胞性動脈炎/多発筋痛、悪性貧血、急速進行性糸球体腎炎、乾癬、および繊維化性肺胞炎からなる群から選択される自己免疫疾患である、請求項81に記載の方法。
【請求項83】
前記診断薬が、放射性標識、光活性診断薬、超音波増強剤または非放射性標識の少なくとも1個を含んでなる、請求項82に記載の方法。
【請求項84】
前記薬剤がガンマ線−、ベータ線−、または陽電子−放射性同位体からなる群から選択される放射性標識である、請求項83に記載の方法。
【請求項85】
前記放射性標識が60−700keVのエネルギーを有するものである、請求項84に記載の方法。
【請求項86】
前記放射性標識が、125I、131I、123I、124I、86Y、186Re、188Re、62Cu、64Cu、111In、67Ga、68Ga、99mTc、94mTc、18F、11C、13N、15O、および76Brからなる群から選択される、請求項85に記載の方法。
【請求項87】
前記薬剤がコントラスト剤または非放射性金属である、請求項83に記載の方法。
【請求項88】
前記非放射性標識が常磁性イオンである、請求項87に記載の方法。
【請求項89】
前記非放射性標識がガドリニウム、マンガンまたは鉄である、請求項88に記載の方法。
【請求項90】
前記薬剤がリポソーム化超音波増強剤である、請求項83に記載の方法。
【請求項91】
前記リポソームが気体で満たされている、請求項90に記載の方法。
【請求項92】
患者のB細胞疾患を診断または治療する方法であって、
(a)薬学上許容可能なビヒクル中に処方された、請求項19または20に記載の抗体融合タンパク質またはそのフラグメントの有効量、
(b)所望により、清浄化剤、および
(c)前記融合タンパク質と反応性のターゲッティング可能な接合体
を前記患者に投与することを含んでなる、方法。
【請求項1】
CD19抗原に結合するモノクローナル抗体またはそのフラグメントであって、該抗体またはそのフラグメントが、キメラ、ヒト化または完全にヒトのものである、モノクローナル抗体またはそのフラグメント。
【請求項2】
前記抗体または抗体フラグメントがヒト化したものである、請求項1に記載のモノクローナル抗体またはそのフラグメント。
【請求項3】
前記抗体または抗体フラグメントが完全にヒトのものである、請求項1に記載のモノクローナル抗体またはそのフラグメント。
【請求項4】
少なくとも1つのネズミ抗CD19 MAbの相補性決定領域(CDR)と、ヒト抗体のフレームワーク領域(FR)とを含んでなり、前記ヒト化抗CD19 MAbまたはそのフラグメントが、前記ネズミ抗CD19 MAbの、B細胞およびB細胞リンパ腫細胞および白血病細胞へのターゲッティングを実質的に保持するものである、請求項2に記載のモノクローナル抗体またはフラグメント。
【請求項5】
抗CD19 MAbの軽鎖可変領域のCDRが、アミノ酸KASQSVDYDGDSYLNを含むCDR1、アミノ酸DASNLVSを含むCDR2およびアミノ酸QQSTEDPWTを含むCDR3を含んでなる、請求項4に記載のモノクローナル抗体またはフラグメント。
【請求項6】
抗CD19 MAbの重鎖可変領域のCDRが、アミノ酸SYWMNを含むCDR1、アミノ酸QIWPGDGDTNYNGKFKGを含むCDR2およびアミノ酸RETTTVGRYYYAMDYを含んでなるCDR3を含む、請求項4に記載のモノクローナル抗体またはフラグメント。
【請求項7】
ヒト抗体の軽および重鎖定常領域を含んでなる、請求項4に記載のモノクローナル抗体またはフラグメント。
【請求項8】
ネズミ抗CD19 MAbの相補性決定領域(CDR)およびヒト抗体の軽および重鎖可変領域のフレームワーク(FR)、およびヒト抗体の軽および重鎖定常領域を含んでなり、前記ヒト化抗CD19 MAbまたはそのフラグメントが、前記ネズミ抗CD19 MAbの、B細胞およびB細胞リンパ腫細胞および白血病細胞へのターゲッティングを実質的に保持し、前記ネズミ抗CD19 MAbの軽鎖可変領域CDRが、アミノ酸SYWMNを含むCDR1、アミノ酸QIWPGDGDTNYNGKFKGを含むCDR2およびアミノ酸RETTTVGRYYYAMDYを含むCDR3を含んでなる抗CD19 MAbの軽鎖可変領域CDRを含んでなる、請求項7に記載のモノクローナル抗体またはフラグメント。
【請求項9】
前記ヒト化抗体の軽および重鎖可変領域の少なくとも1つのFRが、前記ネズミMAbの相当するFRから改変された、少なくとも1つのアミノ酸を含んでなる、請求項2に記載のヒト化抗CD19モノクローナル抗体(MAb)またはそのフラグメント。
【請求項10】
前記ネズミMAbから改変されたアミノ酸が、図1Bの重鎖可変領域のアミノ酸残基5、27、28、40、48、91、94、107および108からなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸である、請求項9に記載のヒト化抗CD19モノクローナル抗体(MAb)またはそのフラグメント。
【請求項11】
前記改変されたネズミアミノ酸が、図1Aの軽鎖可変領域のアミノ酸残基4、39、58、60、87、100および107からなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸である、請求項9に記載のヒト化抗CD19モノクローナル抗体(MAb)またはそのフラグメント。
【請求項12】
図4AのhA19Vkおよび図4BのhA19VHを含んでなる、請求項2に記載のヒト化抗CD19モノクローナル抗体(MAb)またはそのフラグメント。
【請求項13】
前記フラグメントが、F(ab’)2、Fab’、Fab、FvおよびsFvからなる群から選択されるものである、請求項2に記載のヒト化抗CD19 MAbおよびそのフラグメント。
【請求項14】
ネズミ抗CD19 MAbの相補性決定領域(CDR)および前記ネズミ抗CD19 MAbの軽および重鎖可変領域のフレームワーク(FR)、およびヒト抗体の軽および重鎖定常領域を含んでなり、前記キメラ抗CD19 MAbまたはそのフラグメントが、前記ネズミ抗CD19 MAbの、B細胞およびB細胞リンパ腫細胞および白血病細胞へのターゲッティングを実質的に保持し、キメラ抗CD19 MAbの軽鎖可変領域のCDRが、アミノ酸KASQSVDYDGDSYLNをむCDR1、アミノ酸DASNLVSを含むCDR2およびアミノ酸QQSTEDPWTを含むCDR3を含んでなる抗CD19 MAbの軽鎖可変領域のCDRを含んでなり、前記抗19 MAbの重鎖可変領域のCDRが、アミノ酸SYWMNを含むCDR1、アミノ酸QIWPGDGDTNYNGKFKGを含むCDR2、およびアミノ酸RETTTVGRYYYAMDYを含むCDR3を含んでなる、請求項1に記載のキメラ抗CD19(cA19)モノクローナル抗体(MAb)またはそのフラグメント。
【請求項15】
ネズミ抗CD19 MAbの軽および重鎖可変領域およびヒト抗体の軽および重鎖定常領域を含んでなる、請求項1に記載のキメラ抗CD19(cA19)モノクローナル抗体またはそのフラグメントであって、前記cA19 MAbが、前記ネズミ抗CD19 MAbの、B細胞、およびB細胞リンパ腫および白血病細胞へのターゲッティングおよび細胞結合特性を実質的に保持し、前記cA19がcA19Vkと称される図1Aに示される軽鎖可変領域とcA19VHと称される図1Bに示される重鎖可変領域とを含んでなる、キメラ抗CD19(cA19)モノクローナル抗体(MAb)またはそのフラグメント。
【請求項16】
ヒト抗体の軽および重鎖可変および定常領域を含んでなる、請求項3記載のヒト抗CD19(huA19)モノクローナル抗体(MAb)またはそのフラグメントであって、前記huA19 MAbがネズミ抗CD19 MAbの、B細胞、およびB細胞リンパ腫および白血病細胞へのターゲッティングと細胞結合特性とを実質的に保持し、前記ヒト抗CD19 MAbの軽鎖可変領域のCDRが、アミノ酸KASQSVDYDGDSYLNを含むCDR1、アミノ酸DASNLVSを含むCDR2、およびアミノ酸QQSTEDPWTを含むCDR3を含んでなり、前記抗CD19 MAbの重鎖可変領域のCDRが、アミノ酸SYWMNを含むCDR1、アミノ酸QIWPGDGDTNYNGKFKGを含むCDR2、およびアミノ酸RETTTVGRYYYAMDYを含むCDR3を含んでなる、ヒト抗CD19(huA19)モノクローナル抗体(MAb)またはそのフラグメント。
【請求項17】
少なくとも2つのMAbまたはそのフラグメントを含んでなる抗体融合タンパク質であって、前記MAbのそれぞれが独立して請求項1〜16のいずれか一項に記載の抗CD19 MAbである、抗体融合タンパク質。
【請求項18】
(a)請求項1〜16のいずれか一項に記載の少なくとも1つの第一の抗CD19 MAbまたはそのフラグメントと、(b)少なくとも1つの第二のMAbまたはそのフラグメントとを含んでなり、前記第二のMAbまたはそのフラグメントが抗CD19 MAbまたはそのフラグメント以外のものである、抗体融合タンパク質またはそのフラグメント。
【請求項19】
少なくとも1つのMabがターゲッティング可能な接合体と反応性であり、前記ターゲッティング可能な接合体が診断または治療薬を有するものである、請求項18に記載の抗体融合タンパク質またはフラグメント。
【請求項20】
前記第二のMAbまたはそのフラグメントが、CD4、CD5、CD8、CD14、CD15、CD19、CD20、CD21、CD22、CD23、CD25、CD33、CD37、CD38、CD40、CD40L、CD46、CD52、CD54、CD74、CD80、CD126、CD138、B7、MUC−1、Ia、HM1.24、HLA−DR、テネイシン、VEGF、PIGF、ED−Bフィブロネクチン、癌遺伝子、癌遺伝子産物、NCA 66a−d、壊死抗原、Ii、IL−2、T101、TAC、IL−6、TRAIL−R1(DR4)およびTRAIL−R2(DR5)、およびそれらの組合せからなる群から選択される抗原と反応性のMAbからなる群から選択されるものである、請求項19に記載の抗体融合タンパク質またはそのフラグメント。
【請求項21】
請求項1〜20のいずれか一項に記載のMAbまたはそのフラグメントをコードする配列を含んでなる、核酸。
【請求項22】
請求項21に記載のDNA配列を含んでなる、発現ベクター。
【請求項23】
前記ベクターがpdHL2である、請求項22に記載の発現ベクター。
【請求項24】
前記ベクターが、IgG1における重および軽鎖定常領域およびヒンジ領域をコードする核酸配列を含んでなる、請求項23に記載の発現ベクター。
【請求項25】
請求項21〜24のいずれか一項に記載のDNA配列を含んでなる、宿主細胞。
【請求項26】
前記細胞が哺乳類細胞である、請求項25に記載の宿主細胞。
【請求項27】
前記哺乳類細胞がリンパ球細胞である、請求項26に記載の宿主細胞。
【請求項28】
前記リンパ球細胞が骨髄腫細胞である、請求項27に記載の宿主細胞。
【請求項29】
抗CD19 MAbまたはそのフラグメントまたは抗体融合タンパク質またはそのフラグメントの発現方法であって、
(a)請求項22〜24のいずれか一項に記載の発現ベクターで哺乳類細胞をトランスフェクションし、
(b)前記トランスフェクションされた細胞を培養すること
を含んでなる、方法。
【請求項30】
少なくとも1つの診断薬または少なくとも1つの治療薬に結合した抗体成分を含んでなり、前記抗体成分が、請求項1〜20のいずれか一項に記載の、抗CD19 MAbまたはそのフラグメントまたは抗体融合タンパク質またはそのフラグメントを含んでなる、B細胞ターゲッティング診断または治療接合体。
【請求項31】
前記診断薬が少なくとも1つの光活性診断薬を含んでなる、請求項30に記載のB細胞ターゲッティング診断または治療接合体。
【請求項32】
前記診断薬が少なくとも1つの超音波増強剤をさらに含んでなる、請求項30に記載のB細胞ターゲッティング診断または治療接合体。
【請求項33】
前記超音波増強剤がリポソームである、請求項32に記載のB細胞ターゲッティング診断または治療接合体。
【請求項34】
前記リポソームが気体で満たされているものである、請求項33に記載のB細胞ターゲッティング診断または治療接合体。
【請求項35】
前記診断薬が、60 − 4,000keVのエネルギーを有する放射性標識である、請求項30に記載の診断接合体。
【請求項36】
前記放射性標識が、ガンマ線−、ベータ線−または陽電子−放射性同位体である、請求項35に記載の診断接合体。
【請求項37】
前記放射性標識が、125I、131I、123I、124I、86Y、186Re、188Re、62Cu、64Cu、111In、67Ga、68Ga、99mTc、94mTc、18F、11C、13N、15O、および76Brからなる群から選択されるものである、請求項36に記載の診断接合体。
【請求項38】
前記診断薬がコントラスト剤である、請求項30に記載の診断接合体。
【請求項39】
前記コントラスト剤が、マンガン、鉄またはガドリニウムを含んでなる金属である、請求項38に記載の診断接合体。
【請求項40】
前記抗体成分が、抗体融合タンパク質またはそのフラグメントであり、前記MAbまたはそのフラグメントのそれぞれが、少なくとも1つの治療薬に結合してなる、請求項30に記載の治療接合体。
【請求項41】
前記治療薬が、放射性標識、免疫調節剤、酵素、ホルモン、オリゴヌクレオチド、光活性治療薬、細胞傷害剤およびそれらの組合せからなる群から選択されるものである、請求項30または40に記載の治療接合体。
【請求項42】
前記細胞傷害剤が薬剤または毒素である、請求項41に記載の治療接合体。
【請求項43】
前記細胞傷害剤が、抗有糸分裂薬、アルキル化剤、代謝拮抗薬、抗血管新生薬、アポトーシス薬、アルカロイド、プロテオソーム阻害剤および抗生物質薬、およびそれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1つの薬学特性を有する薬剤である、請求項42に記載の治療接合体。
【請求項44】
前記薬剤が、ナイトロジェンマスタード、エチレンイミン誘導体、アルキルスルホネート、ニトロソ尿素、トリアゼン、葉酸類似体、アントラサイクリン、タキサン、COX−2阻害薬、ピリミジン類似体、プリン類似体、抗生物質、酵素、サリドマイドおよび誘導体、エピポドフィロトキシン、白金配位錯体、プロテオソーム阻害薬、ビンカアルカロイド、置換尿素、メチルヒドラジン誘導体、副腎皮質ホルモン抑制剤、拮抗薬、エンドスタチン、タキソール、カンプトテシン、ドキソルビシンおよびそれらの類似体、およびそれらの組合せからなる群から選択されるものである、請求項43に記載の治療接合体。
【請求項45】
前記薬剤が、アルカリホスファターゼ、アリールスルファターゼ、およびセラチアプロテアーゼ、サーモリシン、ズブチリシン、カルボキシペプチダーゼ、カテプシン、D−アラニルカルボキシペプチダーゼのようなペプチダーゼおよびプロテアーゼ、炭水化物開裂酵素、β−ラクタマーゼ、ペニシリン−G−アミダーゼおよびシトシンデアミナーゼからなる群から選択される酵素である、請求項44に記載の治療接合体。
【請求項46】
前記細胞傷害剤が、リシン、アブリン、アルファ毒素、サポリン、リボヌクレアーゼ(RNアーゼ),DNアーゼI、ブドウ球菌エンテロトキシン−A、アメリカヤマゴボウ抗ウイルスタンパク質、ゲロニン、ジフテリア毒素、シュードモナス外毒素、およびシュードモナス内毒素からなる群から選択される毒素である、請求項42に記載の治療接合体。
【請求項47】
前記治療薬が、サイトカイン、幹細胞増殖因子、リンホトキシン、造血因子、コロニー刺激因子(CSF)、インターフェロン(IFN)、幹細胞増殖因子、エリトロポエチン、トロンボポエチンおよびそれらの組合せからなる群から選択される免疫調節剤である、請求項41に記載の治療接合体。
【請求項48】
前記リンホトキシンが、腫瘍壊死因子(TNF)であり、前記造血因子が、インターロイキン(IL)であり、前記コロニー刺激因子が、顆粒球−コロニー刺激因子(G−CSF)または顆粒球マクロファージ−コロニー刺激因子(GM−CSF)であり、前記インターフェロンが、インターフェロンアルファ、ベータまたはガンマであり、前記幹細胞増殖因子が「S1因子」と称されるものである、請求項47に記載の治療接合体。
【請求項49】
前記免疫調節剤が、IL−1、IL−2、IL−3、IL−6、IL−10、IL−12、IL−18、IL−21、インターフェロン−、TNF−またはそれらの組合せを含んでなる、請求項47に記載の治療接合体。
【請求項50】
前記治療薬が、エネルギーが60−700keVの放射性標識である、請求項41に記載の治療接合体。
【請求項51】
前記放射性標識が、225Ac、67Ga、90Y、111In、131I、125I、186Re、188Re、177Lu、64Cu、67Cu、212Bi、213Bi、211At、32P、およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項50に記載の治療接合体。
【請求項52】
前記治療薬が、クロモゲンまたは色素である光活性治療薬である、請求項41に記載の治療接合体。
【請求項53】
患者のB細胞疾患の治療方法であって、
薬学上許容可能なビヒクル中に処方された、請求項1〜20のいずれか一項に記載の治療上有効量の抗CD19 MAbまたはそのフラグメントを患者に投与すること
を含んでなる、方法。
【請求項54】
前記B細胞疾患が患者のリンパ腫または白血病または自己免疫疾患である、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記疾患が、急性特発性血小板減少性紫斑病、慢性特発性血小板減少性紫斑病、皮膚筋炎、シデナム舞踏病、重症筋無力症、全身性エリテマトーデス、ループス腎炎、リウマチ熱、多腺性症候群、水疱性類天疱瘡、糖尿病、ヘノッホ−シェーンライン紫斑病、ポストストレプトコッカス腎炎(post-streptococcalnephritis)、結節性紅斑、高安動脈炎、アジソン病、関節リウマチ、多発性硬化症、サルコイドーシス、潰瘍性大腸炎、多形性紅斑、IgAネフロパシー、結節性多発性動脈炎、強直性脊椎炎、グッドパスチャー症候群、閉塞性血栓血管炎(thromboangitisubiterans)、シェーグレン症候群、原発性胆汁性肝硬変症、橋本甲状腺炎、甲状腺中毒症、強皮症、慢性動性肝炎、多発性筋炎/皮膚筋炎、多発性軟骨炎、尋常性天疱瘡、ヴェーゲナー肉芽腫症、膜性腎症、筋萎縮性側索硬化症、脊髄ロウ、巨細胞性動脈炎/多発筋痛、悪性貧血、急速進行性糸球体腎炎、乾癬、および繊維化性肺胞炎からなる群から選択される自己免疫疾患である、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
CD4、CD5、CD8、CD14、CD15、CD19、CD20、CD21、CD22、CD23、CD25、CD33、CD37、CD38、CD40、CD40L、CD46、CD52、CD54、CD74、CD80、CD126、CD138、B7、MUC−1、Ia、HM1.24、HLA−DR、テネイシン、VEGF、PIGF、ED−Bフィブロネクチン、癌遺伝子、癌遺伝子産物、NCA 66a−d、壊死抗原、Ii、IL−2、T101、TAC、IL−6、TRAIL−R1(DR4)およびTRAIL−R2(DR5)と反応性のMAbからなる群から選択され、かつ薬学上許容可能なビヒクル中に処方された、少なくとも1つのヒト化、キメラ、ヒトまたはネズミMAbの治療上有効量を前記患者に同時または逐次的に投与することをさらに含んでなる、請求項53に記載の方法。
【請求項57】
薬学上許容可能なビヒクル中に処方された、少なくとも1つの治療薬の治療上有効量を前記患者に同時または逐次的に投与することをも含んでなる、請求項53〜56のいずれか一項に記載の方法。
【請求項58】
前記治療薬が、薬学上許容可能なビヒクル中に処方された、細胞傷害剤、放射性標識、免疫調節剤、ホルモン、酵素、オリゴヌクレオチド、光活性治療薬またはそれらの組合せを含んでなる、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
患者のB細胞疾患または症候群の治療方法であって、
少なくとも2つのMAbまたはそのフラグメントを含んでなる抗体融合タンパク質またはそのフラグメントの治療上有効量を患者に投与し、前記MAbが請求項1〜16のいずれか一項に記載の前記MAbから選択され、または請求項1〜16のいずれか一項に記載の少なくとも1つのMAbまたはそのフラグメントと、CD4、CD5、CD8、CD14、CD15、CD19、CD20、CD21、CD22、CD23、CD25、CD33、CD37、CD38、CD40、CD40L、CD46、CD52、CD54、CD74、CD80、CD126、CD138、B7、MUC−1、Ia、HM1.24、HLA−DR、テネイシン、VEGF、PIGF、ED−Bフィブロネクチン、癌遺伝子、癌遺伝子産物、NCA 66a−d、壊死抗原、Ii、IL−2、T101、TAC、IL−6、TRAIL−R1(DR4)およびTRAIL−R2(DR5)と反応性のMAbからなる群から選択され、薬学上許容可能なビヒクル中に処方された、少なくとも1つのMAbとを含んでなる、方法。
【請求項60】
薬学上許容可能なビヒクル中に処方された、少なくとも1つの治療薬の治療上有効量を前記患者に投与することをさらに含んでなる、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
前記治療薬が、細胞傷害剤、放射性標識、免疫調節剤、ホルモン、酵素、オリゴヌクレオチド、光活性治療薬またはそれらの組合せである、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
少なくとも1つの治療薬に結合した少なくとも1つのMAbを含んでなる治療接合体の治療上有効量を同時または逐次的に前記患者に投与することをさらに含んでなり、前記MAbが、CD4、CD5、CD8、CD14、CD15、CD19、CD20、CD21、CD22、CD23、CD25、CD33、CD37、CD38、CD40、CD40L、CD46、CD52、CD54、CD74、CD80、CD126、CD138、B7、MUC1、Ia、HM1.24、HLA−DR、テネイシン、VEGF、PIGF、ED−Bフィブロネクチン、癌遺伝子、癌遺伝子産物、NCA 66a−d、壊死抗原、Ii、IL−2、T101、TAC、IL−6、TRAIL−R1(DR4)およびTRAIL−R2(DR5)と反応性のMAbからなる群から選択され、かつ薬学上許容可能なビヒクル中に処方された、少なくとも1つのヒト化、キメラ、ヒトまたはネズミ MAbを含んでなる、請求項57に記載の方法。
【請求項63】
前記治療薬が、薬学上許容可能なビヒクル中に処方された、細胞傷害剤、放射性標識、免疫調節剤、ホルモン、酵素、オリゴヌクレオチド、光活性治療薬またはそれらの組合せを含んでなる、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
患者のB細胞疾患の治療方法であって、
前記細胞に結合する、請求項1〜20のいずれか一項に記載の抗CD19 MAbもしくはそのフラグメントまたは抗体融合タンパク質もしくはそのフラグメントを含んでなる治療接合体の治療上有効量を前記患者に投与することを含んでなり、前記抗CD19 MAbもしくはそのフラグメントまたは抗体融合タンパク質もしくはそのフラグメントが少なくとも1つの治療薬に結合し、薬学上許容可能なビヒクル中に処方されている、方法。
【請求項65】
前記疾患がリンパ腫または白血病または自己免疫疾患である、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
前記疾患が、急性特発性血小板減少性紫斑病、慢性特発性血小板減少性紫斑病、皮膚筋炎、シデナム舞踏病、重症筋無力症、全身性エリテマトーデス、ループス腎炎、リウマチ熱、多腺性症候群、水疱性類天疱瘡、糖尿病、ヘノッホ−シェーンライン紫斑病、ポストストレプトコッカス腎炎(post-streptococcalnephritis)、結節性紅斑、高安動脈炎、アジソン病、関節リウマチ、多発性硬化症、サルコイドーシス、潰瘍性大腸炎、多形性紅斑、IgAネフロパシー、結節性多発性動脈炎、強直性脊椎炎、グッドパスチャー症候群、閉塞性血栓血管炎、シェーグレン症候群、原発性胆汁性肝硬変症、橋本甲状腺炎、甲状腺中毒症、強皮症、慢性活動性肝炎、多発性筋炎/皮膚筋炎、多発性軟骨炎、尋常性天疱瘡、ヴェーゲナー肉芽腫症、膜性腎症、筋萎縮性側索硬化症、脊髄ロウ、巨細胞性動脈炎/多発筋痛、悪性貧血、急速進行性糸球体腎炎、乾癬および繊維化性肺胞炎からなる群から選択される自己免疫疾患である、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
前記治療薬が、薬学上許容可能なビヒクル中に処方された、細胞傷害剤、放射性標識、免疫調節剤、ホルモン、酵素、およびオリゴヌクレオチド、光活性治療薬またはそれらの組合せを含んでなる、請求項64に記載の方法。
【請求項68】
前記細胞傷害剤が薬剤または毒素である、請求項58、61、63または67のいずれか一項に記載の方法。
【請求項69】
前記薬剤が、抗有糸分裂薬、アルキル化剤、抗生物質、代謝拮抗薬、抗血管新生薬、アポトーシス薬、アルカロイド剤、タキサン、およびそれらの組合せからなる群から選択される医薬特性を有する、請求項68に記載の方法。
【請求項70】
前記薬剤が、ナイトロジェンマスタード、エチレンイミン誘導体、アルキルスルホン酸塩、ニトロソ尿素、トリアゼン、葉酸類似体、COX−2阻害薬、ピリミジン類似体、プリン類似体、抗生物質、サリドマイドおよび誘導体、プロテオソーム阻害薬、酵素、エピポドフィロトキシン、白金配位錯体、ビンカアルカロイド、置換尿素、メチルヒドラジン誘導体、副腎皮質ホルモン抑制剤、拮抗薬、エンドスタチン、タキソール、カンプトテシン、アントラサイクリン、およびそれらの類似体、およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項68に記載の方法。
【請求項71】
前記毒素が、リシン、アブリン、アルファ毒素、サポリン、リボヌクレアーゼ(RNアーゼ),DNアーゼI、ブドウ球菌エンテロトキシンA、アメリカヤマゴボウ抗ウイルスタンパク質、ゲロニン、ジフテリア毒素、シュードモナス外毒素およびシュードモナス内毒素からなる群から選択される、請求項68に記載の方法。
【請求項72】
前記免疫調節剤が、サイトカイン、幹細胞増殖因子、リンホトキシン、造血因子、コロニー刺激因子(CSF)、インターフェロン(IFN)、幹細胞増殖因子、エリトロポエチン、トロンボポエチンおよびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項58、61、63または67のいずれか一項に記載の方法。
【請求項73】
前記リンホトキシンが、腫瘍壊死因子(TNF)であり、前記造血因子が、インターロイキン(IL)であり、前記コロニー刺激因子が、顆粒球−コロニー刺激因子(G−CSF)または顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)であり、前記インターフェロンが、インターフェロンアルファ、ベータまたはガンマであり、前記幹細胞増殖因子が「S1因子」と称されるものである、請求項72に記載の方法。
【請求項74】
前記免疫調節剤が、IL−1、IL−2、IL−3、IL−6、IL−10、IL−12、IL−18、IL−21、インターフェロン−、TNF−、またはそれらの組合せを含んでなる、請求項72に記載の方法。
【請求項75】
前記放射性標識のエネルギーが60−4,000keVである、請求項58、61、63または67のいずれか一項に記載の方法。
【請求項76】
前記放射性標識が、225Ac、67Ga、90Y、111In、131I、125I、186Re、188Re、177Lu、64Cu、67Cu、212Bi、213Bi、211At、32P、およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項75に記載の方法。
【請求項77】
前記治療薬がクロモゲンまたは色素である、請求項58、61、63または67のいずれか一項に記載の方法。
【請求項78】
前記患者が哺乳類である、請求項54〜77のいずれか一項に記載の方法。
【請求項79】
前記哺乳類がヒト、イヌまたはネコである、請求項78に記載の方法。
【請求項80】
患者のB細胞疾患の診断方法であって、
B細胞に結合する、請求項1〜19のいずれか一項に記載の抗CD19 MAbもしくはそのフラグメントまたは抗体融合タンパク質もしくはそのフラグメントを含んでなる診断接合体を前記患者に投与することを含んでなり、前記抗CD19 MAbもしくはそのフラグメントまたは抗体融合タンパク質もしくはそのフラグメントが少なくとも1つの診断薬に結合し、薬学上許容可能なビヒクル中に処方されたものである、方法。
【請求項81】
前記疾患がリンパ腫または白血病または自己免疫疾患である、請求項80に記載の方法。
【請求項82】
前記疾患が、急性特発性血小板減少性紫斑病、慢性特発性血小板減少性紫斑病、皮膚筋炎、シデナム舞踏病、重症筋無力症、全身性エリテマトーデス、ループス腎炎、リウマチ熱、多腺性症候群、水疱性類天疱瘡、糖尿病、ヘノッホ−シェーンライン紫斑病、ポストストレプトコッカス腎炎(post-streptococcalnephritis)、結節性紅斑、高安動脈炎、アジソン病、関節リウマチ、多発性硬化症、サルコイドーシス、潰瘍性大腸炎、多形性紅斑、IgA ネフロパシー、結節性多発性動脈炎、強直性脊椎炎、グッドパスチャー症候群、閉塞性血栓血管炎、シェーグレン症候群、原発性胆汁性肝硬変症、橋本甲状腺炎、甲状腺中毒症、強皮症、慢性活動性肝炎、多発性筋炎/皮膚筋炎、多発性軟骨炎、尋常性天疱瘡、ヴェーゲナー肉芽腫症、膜性腎症、筋萎縮性側索硬化症、脊髄ロウ、巨細胞性動脈炎/多発筋痛、悪性貧血、急速進行性糸球体腎炎、乾癬、および繊維化性肺胞炎からなる群から選択される自己免疫疾患である、請求項81に記載の方法。
【請求項83】
前記診断薬が、放射性標識、光活性診断薬、超音波増強剤または非放射性標識の少なくとも1個を含んでなる、請求項82に記載の方法。
【請求項84】
前記薬剤がガンマ線−、ベータ線−、または陽電子−放射性同位体からなる群から選択される放射性標識である、請求項83に記載の方法。
【請求項85】
前記放射性標識が60−700keVのエネルギーを有するものである、請求項84に記載の方法。
【請求項86】
前記放射性標識が、125I、131I、123I、124I、86Y、186Re、188Re、62Cu、64Cu、111In、67Ga、68Ga、99mTc、94mTc、18F、11C、13N、15O、および76Brからなる群から選択される、請求項85に記載の方法。
【請求項87】
前記薬剤がコントラスト剤または非放射性金属である、請求項83に記載の方法。
【請求項88】
前記非放射性標識が常磁性イオンである、請求項87に記載の方法。
【請求項89】
前記非放射性標識がガドリニウム、マンガンまたは鉄である、請求項88に記載の方法。
【請求項90】
前記薬剤がリポソーム化超音波増強剤である、請求項83に記載の方法。
【請求項91】
前記リポソームが気体で満たされている、請求項90に記載の方法。
【請求項92】
患者のB細胞疾患を診断または治療する方法であって、
(a)薬学上許容可能なビヒクル中に処方された、請求項19または20に記載の抗体融合タンパク質またはそのフラグメントの有効量、
(b)所望により、清浄化剤、および
(c)前記融合タンパク質と反応性のターゲッティング可能な接合体
を前記患者に投与することを含んでなる、方法。
【図1A】
【図1B】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6】
【図1B】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6】
【公表番号】特表2007−528209(P2007−528209A)
【公表日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−522093(P2006−522093)
【出願日】平成16年8月2日(2004.8.2)
【国際出願番号】PCT/US2004/024636
【国際公開番号】WO2005/012493
【国際公開日】平成17年2月10日(2005.2.10)
【出願人】(504149971)イミューノメディクス、インコーポレイテッド (48)
【氏名又は名称原語表記】IMMUNOMEDICS, INC.
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年8月2日(2004.8.2)
【国際出願番号】PCT/US2004/024636
【国際公開番号】WO2005/012493
【国際公開日】平成17年2月10日(2005.2.10)
【出願人】(504149971)イミューノメディクス、インコーポレイテッド (48)
【氏名又は名称原語表記】IMMUNOMEDICS, INC.
【Fターム(参考)】
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