抗IL−13抗体、抗IL−13抗体の結晶および該抗体を含有する複合体
抗IL−13抗体、抗IL−13抗体の結晶、IL−13ポリペプチド/抗IL−13抗体複合体、IL−13ポリペプチド/抗IL−13抗体複合体の結晶、IL−13Rα1ポリペプチド/IL−13ポリペプチド/抗IL−13抗体複合体、IL−13Rα1ポリペプチド/IL−13ポリペプチド/抗IL−13抗体複合体の結晶、ならびに関連する方法およびソフトウェアシステムを開示した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2004年6月9日に出願された米国特許仮出願第60/578,736号、2004年6月9日に出願された米国特許仮出願第60/578,473号、2004年6月22日に出願された米国特許仮出願第60/581,375号の利益を請求する。参照としてこれら出願それぞれの内容の全体を本明細書に組み込む。
【0002】
本発明は、抗IL−13抗体、抗IL−13抗体の結晶、IL−13ポリペプチド/抗IL−13抗体複合体、IL−13ポリペプチド/抗IL−13抗体複合体の結晶、IL−13Rα1ポリペプチド/IL−13ポリペプチド/抗IL−13抗体複合体、IL−13Rα1ポリペプチド/IL−13ポリペプチド/抗IL−13抗体複合体の結晶、ならびに関連する方法およびソフトウェアシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
インターロイキン13(IL−13)は、アトピー、喘息、アレルギー、および炎症反応などの免疫応答状態に関わる多面的サイトカインである。免疫応答におけるIL−13の役割は、細胞内シグナル伝達経路へのその効果によって助長される。例えば、IL−13は、B細胞増殖を促進し、B細胞にIgEを産生させ、炎症誘発性サイトカインの産生を下方に制御することができる。IL−13は、内皮細胞のVCAM−1の発現を増加させ、クラスIIMHC抗原および様々な単球の接着分子の発現を亢進させることもできる。
【0004】
IL−13の機能は、造血細胞他の細胞型の受容体との相互作用を介して伝達される。ヒトIL−13受容体(IL−13R)は、インターロイキン4受容体α鎖、IL−4Rα、およびIL−13結合鎖、IL−13Rα1、を含むヘテロ二量体である。IL−13とその受容体との結合は、IL−4Rα鎖との結合相互作用を介してSTAT6(シグナルトランスデューサーおよび転写アクチベーター6)およびJAK1(ヤヌスファミリーのキナーゼ)の活性化を誘発する。IL−13Rα2は細胞表面上または可溶性の形で血液循環中に見出され、高い親和力でIL−13に結合するが細胞応答をIL−13に伝達しない。これは囮受容体として機能するものと考えられる。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0005】
一態様では、本発明は結晶性抗体を特徴とする。この結晶性抗体は、抗IL−13抗体または抗IL−13抗体のFabフラグメントである。
【0006】
別の態様では、本発明は、抗体を含む結晶性組成物を特徴とする。この抗体は、抗IL−13抗体または抗IL−13抗体のFabフラグメントである。
【0007】
さらに別の態様では、IL−13ポリペプチドおよび抗体を含む結晶性複合体を特徴とする。この抗体は、抗IL−13抗体または抗IL−13抗体のFabフラグメントである。
【0008】
別の態様では、本発明は、IL−13Rα1ポリペプチドおよびIL−13ポリペプチドを含む結晶性複合体を特徴とする。
【0009】
さらに別の態様では、本発明は、抗体の3次元モデルを用いて、IL−13ポリペプチドと相互作用する作用薬を設計する工程を含む方法を特徴とする。この抗体は、抗IL−13抗体または抗IL−13抗体のFabフラグメントである。
【0010】
別の態様では、本発明は、IL−13ポリペプチドの3次元モデルを用いて、IL−13ポリペプチドと相互作用する作用薬を設計する工程を含む方法を特徴とする。
【0011】
別の態様では、本発明は、IL−13Rα1ポリペプチドに結合したIL−13ポリペプチドの3次元モデルを用いて、このIL−13ポリペプチドと相互作用する作用薬を設計する工程を含む方法を特徴とする。
【0012】
別の態様では、本発明は、IL−13ポリペプチドを含む結晶性複合体の3次元構造を用いて合理的な薬剤設計を行うことにより作用薬を選択する工程と、この作用薬をIL−13ポリペプチドと接触させる工程と、この作用薬がIL−13ポリペプチドに結合する能力を検出する工程とを含む方法を特徴とする。
【0013】
さらに別の態様では、本発明は、IL−13ポリペプチドを抗体と接触させて組成物を形成する工程と、この組成物を結晶化させて抗体がIL−13ポリペプチドに結合した結晶性複合体を形成する工程とを含む方法を特徴とする。この抗体は抗IL−13抗体または抗IL−13抗体のFabフラグメントであり、この結晶性複合体は少なくとも約3.5Åの分解能までX線を回折することができる。
【0014】
別の態様では、本発明は、IL−13ポリペプチドを抗体およびIL−13Rα1ポリペプチドと接触させて組成物を形成する工程と、この組成物を結晶化させて抗体およびIL−13Rα1ポリペプチドがそれぞれIL−13ポリペプチドに結合した結晶性複合体を形成する工程とを含む方法を特徴とする。この抗体は抗IL−13抗体または抗IL−13抗体のFabフラグメントであり、この結晶性複合体は少なくとも約3.5Åの分解能までX線を回折することができる。
【0015】
別の態様では、本発明は、コンピュータシステムに、抗体に結合したIL−13ポリペプチドの構造に関する情報を受け入れさせる命令を含むソフトウェアシステムを特徴とする。この抗体には抗IL−13抗体または抗IL−13抗体のFabフラグメントが含まれる。この命令はまた、コンピュータシステムに、候補薬に関する情報を受け入れさせ、IL−13ポリペプチドに対するこの候補薬の結合特性を決定させる。結合特性の決定は、IL−13ポリペプチドの構造に関する情報と候補薬に関する情報に基づいて行われる。
【0016】
別の態様では、本発明は、コンピュータ可読媒体にあるコンピュータプログラムを特徴とする。複数の命令がコンピュータ可読媒体に格納されている。これらの命令が1つまたは複数のプロセッサで実行されると、この1つまたは複数のプロセッサは、抗体(この抗体は抗IL−13抗体または抗IL−13抗体のFabフラグメントである)に結合したIL−13ポリペプチドの構造に関する情報を受け入れ、候補薬に関する情報を受け入れ、IL−13ポリペプチドに対する候補薬の結合特性を決定する。結合特性の決定は、IL−13ポリペプチドの構造に関する情報と候補薬に関する情報に基づいて行われる。
【0017】
別の態様では、本発明は、抗体に結合したIL−13ポリペプチドの構造に関する情報を受け入れる工程と、このIL−13ポリペプチドと候補薬との結合特性をモデリングする工程とを含む方法を特徴とする。この抗体は抗IL−13抗体または抗IL−13抗体のFabフラグメントである。情報を受け入れ、結合特性をシミュレーションするこの方法はソフトウェアシステムによって実行される。
【0018】
別の態様では、本発明は、複数の命令を含むコンピュータ可読媒体にあるコンピュータプログラムを特徴とする。これらの命令が1つまたは複数のプロセッサで実行されると、この1つまたは複数のプロセッサは、抗体(この抗体は抗IL−13抗体または抗IL−13抗体のFabフラグメントである)に結合したIL−13ポリペプチドの構造に関する情報を受け入れ、このIL−13ポリペプチドと候補薬との結合特性をモデリングする。
【0019】
別の態様では、本発明は、コンピュータシステムに、抗体に結合したIL−13ポリペプチドの構造に関する情報を受け入れさせ、このIL−13ポリペプチドと候補薬との結合特性をシミュレーションさせる命令を含むソフトウェアシステムを特徴とする。この抗体は抗IL−13抗体または抗IL−13抗体のFabフラグメントである。
【0020】
別の態様では、本発明は結晶性抗体を特徴とする。この抗体は、in vivoでIL−4Rポリペプチドが結合するIL−13ポリペプチドの部位に結合する能力がある。
【0021】
さらに別の態様では、本発明は、in vivoでIL−4Rポリペプチドが結合するIL−13ポリペプチドの部位に結合する能力がある抗体を含む結晶性組成物を特徴とする。
【0022】
別の態様では、本発明は、IL−13ポリペプチドおよび抗体を含む結晶性複合体を特徴とする。この抗体は、in vivoでIL−4Rポリペプチドが結合するIL−13ポリペプチドの部位に結合する能力がある。
【0023】
さらに別の態様では、本発明は、IL−13ポリペプチド、IL−13Rα1ポリペプチド、および抗体を含む結晶性複合体を特徴とする。この抗体は、in vivoでIL−4Rポリペプチドが結合するIL−13ポリペプチドの部位に結合する能力がある。
【0024】
さらに別の態様では、本発明は、抗体の3次元モデルを用いてIL−13ポリペプチドと相互作用する作用薬を設計する工程を含む方法を特徴とする。この抗体は、in vivoでIL−4Rポリペプチドが結合するIL−13ポリペプチドの部位に結合する能力がある。
【0025】
別の態様では、本発明は、IL−13ポリペプチドを抗体と接触させて組成物を形成する工程と、この組成物を結晶化させて、抗体がIL−13ポリペプチドに結合した結晶性複合体を形成する工程とを含む方法を特徴とする。この抗体は、in vivoでIL−4Rポリペプチドが結合するIL−13ポリペプチドの部位に結合する能力があり、この結晶性複合体は少なくとも約3.5Åの分解能までX線を回折することができる。
【0026】
さらに別の態様では、本発明は、IL−13ポリペプチドを抗体およびIL−13Rα1ポリペプチドと接触させて組成物を形成する工程と、この組成物を結晶化させて抗体およびIL−13Rα1ポリペプチドがそれぞれIL−13ポリペプチドに結合した結晶性複合体を形成する工程とを含む方法を特徴とする。この抗体は、in vivoでIL−4Rポリペプチドが結合するIL−13ポリペプチドの部位に結合する能力があり、この結晶性複合体は少なくとも約3.5Åの分解能までX線を回折することができる。
【0027】
別の態様では、本発明は、コンピュータシステムに、抗体に結合したIL−13ポリペプチドの構造に関する情報を受け入れさせ、候補薬に関する情報を受け入れさせ、IL−13ポリペプチドに対するこの候補薬の結合特性を決定させる命令を含むソフトウェアシステムを特徴とする。この抗体は、in vivoでIL−4Rポリペプチドが結合するIL−13ポリペプチドの部位に結合する能力がある。候補薬の結合特性の決定は、IL−13ポリペプチドの構造に関する情報と候補薬に関する情報に基づいて行われる。
【0028】
別の態様では、本発明は、複数の命令を含むコンピュータ可読媒体にあるコンピュータプログラムを特徴とする。これらの命令が1つまたは複数のプロセッサで実行されると、この1つまたは複数のプロセッサは、抗体に結合したIL−13ポリペプチドの構造に関する情報を受け入れ、候補薬に関する情報を受け入れ、IL−13ポリペプチドに対する候補薬の結合特性を決定する。この抗体は、in vivoでIL−4Rポリペプチドが結合するIL−13ポリペプチドの部位に結合する能力がある。候補薬の結合特性の決定は、IL−13ポリペプチドの構造に関する情報と候補薬に関する情報に基づいて行われる。
【0029】
別の態様では、本発明は、抗体に結合したIL−13ポリペプチドの構造に関する情報を受け入れる工程と、このIL−13ポリペプチドと候補薬との結合特性をモデリングする工程とを含む方法を特徴とする。この抗体は、in vivoでIL−4Rポリペプチドが結合する、IL−13ポリペプチドの部位に結合する能力がある。情報を受け入れ、結合特性をモデリングするこの方法はソフトウェアシステムによって実行される。
【0030】
別の態様では、本発明は、複数の命令を含むコンピュータ可読媒体にあるコンピュータプログラムを特徴とする。これらの命令が1つまたは複数のプロセッサで実行されると、この1つまたは複数のプロセッサは、抗体に結合したIL−13ポリペプチドの構造に関する情報を受け入れ、このIL−13ポリペプチドと候補薬との結合特性をモデリングする。この抗体は、in vivoでIL−4Rポリペプチドが結合するIL−13ポリペプチドの部位に結合する能力がある。
【0031】
別の態様では、本発明は、コンピュータシステムに、抗体に結合したIL−13ポリペプチドの構造に関する情報を受け入れさせ、このIL−13ポリペプチドと候補薬との結合特性をモデリングさせる命令を含むソフトウェアシステムを特徴とする。この抗体は、in vivoでIL−4Rポリペプチドが結合するIL−13ポリペプチドの部位に結合する能力がある。
【0032】
別の態様では、本発明は、被検者のIL−13活性を調節する方法を特徴とする。この方法は、合理的な薬剤設計を用いてIL−13活性を調節する能力がある作用薬を選択する工程と、治療有効量の作用薬をこの被検者に投与する工程とを含む。
【0033】
さらに別の態様では、本発明は、IL−13活性に関連した症状を持つ被検者を治療する方法を特徴とする。この方法は、合理的な薬剤設計を用いてIL−13活性に影響を及ぼす能力がある作用薬を選択する工程と、治療有効量の作用薬をこの被検者に投与する工程とを含む。
【0034】
別の態様では、本発明は、IL−13活性に関連した症状になりやすい被検者を予防的に治療する方法を特徴とする。この方法は、被検者がIL−13活性に関連した症状になりやすいことを判定する工程と、合理的な薬剤設計を用いてIL−13活性に影響を及ぼす能力がある作用薬を選択する工程と、治療有効量の作用薬をこの被検者に投与する工程とを含む。
【0035】
ポリペプチドまたは対応するリガンドの構造上の情報があると、in vivoでポリペプチドがいかに機能しているかをより良く理解することができる。例えば、あるタンパク質または対応するリガンドの構造の知識があると、このタンパク質と、他のタンパク質、抗体、エフェクター分子(例えば、ホルモン)、および核酸を含めたそのリガンドとの相互作用を促進する特性を明らかにすることができる。シミュレーションに基づく構造を用いてIL−13ポリペプチドと相互作用する能力があるリガンドを確認することにより、高価で時間のかかる恐れのあるスクリーニングアッセイの必要性を除くことができる。構造上の情報を用いることにより、IL−13と相互作用することが知られているリガンドを修飾して、より強い結合またはより高い特異性などのより望ましい特性を有する代替リガンドを産生することもできる。
【0036】
抗IL−13抗体とIL−13ポリペプチドとの相互作用ならびにIL−13ポリペプチドとその受容体との相互作用の研究により、in vivoでIL−13の活性を調節するリガンド(例えば、薬物)の設計または選択を促進することができる。したがって、こうした研究は治療薬の設計に有用であり得る。活性アッセイによれば、mAb13.2は、抗体を用いてタンパク質の正常機能を妨害する能力があるIL−13結合薬を認識することを含めて、in vitroおよびin vivoでのIL−13の機能をブロックすることが分かった(下記の実施例1および2参照)。したがって、mAb13.2Fabフラグメント、ヒトIL−13/mAb13.2Fabフラグメント複合体、およびヒトIL−13Rα1ポリペプチド/ヒトIL−13/mAb13.2Fabフラグメント複合体の結晶構造(下記の表10〜12参照)は、IL−13とIL−13受容体のポリペプチド、IL−13Rα1と相互作用することができる作用薬を設計または認識するために有用であり得ると思われる。こうした作用薬は、例えば、喘息(例えば、非アレルギー性喘息、またはアレルギー性喘息、これは慢性アレルギー性気道疾患と呼ばれることもある)、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、気道炎、好酸球増加症、線維症および過剰な粘液産生(例えば、嚢胞性線維症、肺線維症、およびアレルギー性鼻炎)、皮膚の炎症性および/または自己免疫性症状(例えば、アトピー性皮膚炎)、消化管の炎症性および/または自己免疫性症状(例えば、炎症性腸疾患(IBD)および/またはクローン病)、肝臓(例えば、肝硬変)、血管または結合組織の炎症性および/または自己免疫性症状(例えば、強皮症)、ならびにホジキンリンパ腫、神経膠芽腫、およびリンパ腫などの腫瘍または癌(例えば、軟部組織または固形腫瘍)などの免疫応答状態におけるIL−13の活性を調節するのに有用であり得る。
【0037】
本発明のその他の特徴および利点は、添付した図面と説明、ならびに特許請求の範囲から明らかとなろう。本出願全体にわたって引用されたすべての文献、出願中の特許および公表された特許は、参照により本明細書に明確に組み込まれる。矛盾がある場合は定義を含めて本出願を基準とする。
【0038】
(図面の簡単な記載)
図1Aは、mAb13.2Fab(fragment antigen binding、抗原結合フラグメント)フラグメントの軽鎖のアミノ酸配列である(配列番号1)。
【0039】
図1Bは、mAb13.2Fabフラグメントの重鎖のアミノ酸配列である(配列番号2)。
【0040】
図2Aは、完全長ヒトIL−13のアミノ酸配列である(スイスプロットアクセッション番号P35225)(配列番号3)。シグナルペプチド切断部位をスラッシュで示す。α−ヘリックスA、B、C、およびDには下線を付した。ヘリックスAはアミノ酸25〜42で定義され、ヘリックスBはアミノ酸62〜71で定義され、ヘリックスCはアミノ酸78〜89で定義され、ヘリックスDはアミノ酸112〜127で定義される。
【0041】
図2Bは、シグナルペプチド切断後のヒトIL−13のアミノ酸配列である(配列番号4)。α−ヘリックスA、B、C、およびDには下線を付した。ヘリックスAはアミノ酸6〜23で定義され、ヘリックスBはアミノ酸43〜52で定義され、ヘリックスCはアミノ酸59〜70で定義され、ヘリックスDはアミノ酸93〜108で定義される。
【0042】
図3は、mAb13.2Fabフラグメント(左)と処理された形のヒトIL−13(右)(図2B参照)の結晶構造を示すリボン図である。mAb13.2Fabフラグメントの軽鎖は濃い陰影で示され、重鎖は薄い陰影で示されている。IL−13構造のヘリックスA、B、C、およびDが示されている。
【0043】
図4は、Biacore分析で求めた、ヒトIL−13に結合した3つの異なる抗IL−13抗体(mAb13.2、mAb13.4、およびmAb13.9)の動力学的パラメータを示すグラフである。mAb13.2の動力学定数も示した。
【0044】
図5は、組換え型および天然型ヒトIL−13に対するビオチン化mAb13.2の結合を示すグラフである。ELISAプレートには抗FLAG M2抗体を塗布した。FLAG−ヒトIL−13の結合はビオチン化mAb13.2とストレプトアビジン−ペルオキシダーゼを用いて検出した。この結合は、マイトジェン活性化、Th2ねじれ形、臍帯血単核細胞から単離された天然型ヒトIL−13(三角形)、および組換え型ヒトIL−13(菱形)との競合の可能性がある。mAb13.2に対する組換え型マウスIL−13(円形)の検出可能な結合はなかった。
【0045】
図6は、ヒトIL−13の生物活性に対するmAb13.2および公知の阻害剤rhuIL−13Rα2の効果を示すグラフである。「cpm」は、IL−13と様々な濃度のmAb13.2またはrhuIL−13Rα2(x軸)の存在下で成長したTF1細胞に取り込まれた3H−チミジンの程度である。
【0046】
図7Aは、CD11b+単球上でのCD23の発現に対する組換え型ヒトIL−13およびIL−4の効果を示すグラフである。この単球は、健康なドナーから摘出した正常な末梢血単核細胞(PBMC)であった。細胞は、1ng/mLの組換え型ヒトIL−13またはIL−4で一晩処理した後、フローサイトメトリーによってCD23の発現を測定した。
【0047】
図7Bは、CD11b+単球上でのIL−13誘導CD23の発現に対するmAb13.2の効果を示すグラフである。
【0048】
図7Cは、CD11b+単球上でのIL−4誘導CD23の発現に対するmAb13.2の効果を示すグラフである。
【0049】
図8は、ヒトB細胞によるIL−13依存性IgEの産生に対するmAb13.2の効果を示すグラフである。健康なドナーからのPBMCをPHAとIL−13で刺激した。3週間後、ELISAにより各ウェルのIgE濃度を測定した。PHA+IL−13により、IgE産生B細胞クローンの頻度が増加した。この効果は、mAb13.2によって阻害されたが、IL−13に特異的な非中和抗体(mAb13.8)または対照のマウスIgG(msIgG)では阻害されなかった。
【0050】
図9Aは、図中に示した濃度のIL−13を用いて37℃で30分間処理したHT−29ヒト上皮細胞からのリン酸化STAT6タンパク質を検出するウェスタンブロットである。
【0051】
図9Bは、IL−13処理後の細胞のリン酸化STAT6タンパク質の濃度を測定したフローサイトメトリー実験からのヒストグラムである。IL−13処理後のホスホSTAT6染色濃度のずれを薄い陰影図で示す。
【0052】
図9Cは、最適以下の濃度のヒトIL−13と図に示した抗体で処理した後の、細胞のリン酸化STAT6タンパク質の濃度を測定したフローサイトメトリー実験からのヒストグラムのパネルである。IL−13と抗体で処理した細胞は太線の図で示す。陰影を付けたヒストグラムは未処理の細胞を示す。mAb13.2に加えて、IL−13に特異的な非中和抗体(mAb13.8)および対照のマウスIgG1も試験した。
【0053】
図10は、回虫抗原を肺の一部に接種した後、ブタ回虫に感作したカニクイザルからのBAL中に検出された好酸球の割合を実証するグラフである。接種する24時間前に、動物にはmAb13.2i.v.が投与された(菱形)、または未投与(円形)であった。三角形は、Ab投与後3カ月での、mAb13.2を投与したもの、および再度回虫を接種したものを示す。好酸球は、偏光解消側方散乱光分析を用いたフローサイトメトリーによって検出された。
【0054】
図11Aは、ELISAアッセイにおいて、非標識mAb13.2(菱形)またはmAb13.2Fabフラグメント(円形)が、ビオチン化mAb13.2と結合性を競合することができたことを示すグラフである。「関係のない抗体」(IL−13に結合するがその活性を無力化しない、モノクローナル抗体mAb13.8)(星印)は結合性を競合することができなかった。競合物の濃度は、抗体またはFabのピコモル(pM)として表されている。
【0055】
図11Bは、非標識mAb13.2(菱形)またはmAb13.2Fabフラグメント(円形)が、ELISAアッセイにおけるビオチン化mAb13.2との結合性を競合することができたことを示すグラフである。「関係のない抗体」(モノクローナル抗体mAb13.8)(星印)は結合について競合することができなかった。競合物の濃度は、無処置IgG1個当り結合部位2個およびFabフラグメント1個当り結合部位1個と考えて、結合部位のピコモル(pM)として表されている。
【0056】
図12Aは、mAb13.2(菱形)およびmAb13.2Fabフラグメント(円形)が、IL−13に依存したTF1細胞の分裂を阻害したことを示すグラフである。「競合物の濃度」はmAb13.2およびmAb13.2Fabフラグメントの濃度であり、濃度は無処置IgG1個当り結合部位2個およびFabフラグメント1個当り結合部位1個と考えて、競合物結合部位のpMとして表されている。
【0057】
図12Bは、mAb13.2(菱形)およびmAb13.2Fabフラグメント(円形)が、ヒトPBMC上でのIL−13によるCD23の発現を阻害したことを示すグラフである。競合物の濃度はmAb13.2およびmAb13.2Fabフラグメントの濃度であり、この濃度は無処置IgG1個当り結合部位2個およびFabフラグメント1個当り結合部位1個と考えて、競合物結合部位のpMとして表されている。
【0058】
図13は、ヒトIL−13cDNAインサート(hIL13coli)を含む発現ベクターpAL−981のDNA配列(配列番号5)である。IL−13を符号化したcDNA配列に下線を付した。制限部位Ndel(ヌクレオチド位置2722)およびXbal(ヌクレオチド位置3070)がこのcDNA配列に隣接している。
【0059】
図14は、ヒトIL−13Rα1のアミノ酸配列(スイスプロットアクセッション番号P78552)(配列番号12)である。
【0060】
図15は、mAb13.2Fab/IL−13/IL−13Rα1三量複合体の構造を示すリボン図である。
【0061】
図16は、IL−13とIL−13Rα1のIg領域1との相互作用を示すリボン図である。
【0062】
図17は、IL−13とIL−13Rα1のIg領域3との相互作用を示すリボン図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0063】
マウスのモノクローナル抗IL−13抗体の抗原結合フラグメント(Fab)、mAb13.2、の構造がX線結晶学によって見出されている(下記の表10参照)。このmAb13.2Fabフラグメントと複合体を形成しているヒトIL−13の結晶構造、ならびにこのmAb13.2FabフラグメントおよびIL−13Rα1ポリペプチドフラグメントの両方と複合体を形成しているヒトIL−13の結晶構造もX線結晶学によって見出された(それぞれ下記の表11および12参照)。
【0064】
図1Aおよび1Bは、mAb13.2Fabフラグメントの軽鎖および重鎖ポリペプチドのアミノ酸配列情報を与える。図2Aおよび2Bは、ヒトIL−13のアミノ酸配列情報を与える。図3は、ヒトIL−13/mAb13.2Fabフラグメント複合体の結晶の構造情報を与える。mAb13.2Fabフラグメントは、ヒトIL−13のIL−4R(IL−4Rα)結合領域に結合している。これには、配列番号4で定義されたアミノ酸Ser7、Thr8、Ala9、Glu12、Leu48、Glu49、Ile52、Asn53、Arg65、Met66、Ser68、Gly69、Phe70、Cys71、Pro72、His73、Lys74、およびArg86が含まれる。
【0065】
図14は、ヒトIL−13受容体ポリペプチド、ヒトIL−13Rα1のアミノ酸配列情報を与える。図15、16、および17は、ヒトIL−13Rα1ポリペプチド/ヒトIL−13/mAb13.2Fabフラグメント複合体の結晶の構造情報を与える。ヒトIL−13とmAb13.2Fabフラグメントとの上記の相互作用に加えて、ヒトIL−13は、ヒトIL−13Rα1ポリペプチドと2つの接触を形成する。1つはヒトIL−13Rα1ポリペプチドのIg領域1とであり、第2はヒトIL−13Rα1ポリペプチドのIg領域3とである。Ig領域1との相互作用には、配列番号4で定義されたヒトIL−13の残基Thr88、Lys89、Ile90、およびGlu91が含まれ、配列番号12で定義されたヒトIL−13Rα1ポリペプチドの残基Lys76、Lys77、Ile78、およびAla79が含まれる(図16参照)。Ig領域3との相互作用には、配列番号4で定義されたヒトIL−13の残基Arg11、Glu12、Leu13、Ile14、Glu15、Lys104、Lys105、Leu106、Phe107、およびArg108が含まれ、配列番号12で定義されたヒトIL−13Rα1ポリペプチドの残基Ile254、Ser255、Arg256、Lys318、Cys320、およびTyr321が含まれる(図17参照)。
【0066】
一般に、mAb13.2Fabフラグメントの結晶を自由に作成することができる。典型的には、この方法は、初めにmAb13.2Fabフラグメントを単離する工程と、次いでmAb13.2Fabフラグメントを含む結晶を形成する工程とを含む。ある実施形態においては、mAb13.2Fabフラグメントを含む結晶を以下のように作成することができる。無処置の抗体を適切なタンパク質分解酵素(例えば、パパイン)で切断し、Fc(結晶可能フラグメント)フラグメントからmAb13.2Fabフラグメントを単離する。単離されたmAb13.2Fabフラグメントを適当な溶液中に置き、この溶液を結晶化させる。この溶液は、例えば、1種または複数のポリマー(例えば、ポリエチレングリコール(PEG))、1種または複数の塩(例えば、硫酸カリウム)、および所望により1種または複数の有機溶媒を含有することができる。結晶は、様々な方法、例えばシッティングドロップまたはハンギングドロップ蒸気拡散法などによって成長させることができる。一般に、結晶化は、約4℃から60℃(例えば、約4℃、約15℃、約18℃、約20℃、約25℃、約30℃、約32℃、約35℃、約37℃など、約4℃から約45℃)の温度で行うことができる。mAb13.2Fabフラグメントの結晶を記述した構造データは、例えばX線回折によって得ることができる。X線回折データを様々な手段によって集めて、構造座標を得ることができる。適切なX線源としては、回転陽極およびシンクロトロン源(例えば、Advanced Light Source(ALS),Berkeley,California;またはAdvanced Photon Source(APS),Argonne,Illinois)が挙げられる。ある実施形態においては、回折データを得るためのX線は、約0.5Åから約1.6Å(例えば、約0.7Å、約0.9Å、約1.0Å、約1.1Å、約1.3Å、約1.4Å、約1.5Å、約1.6Å、)の波長を有することができる。適切なX線検出器としては、エリア検出器および/または電荷結合素子(CCD)を含み、それらを検出器として使用することができる。
【0067】
一般に、mAb13.2Fabフラグメントの結晶は、約3.5Å以下(例えば、約3.2Å以下、約3.0Å以下、約2.8Å以下、約2.5Å以下、約2.4Å以下、約2.3Å以下、約2.2Å以下、約2.1Å以下、約2.0Å以下、約1.9Å以下、約1.8Å以下、約1.7Å以下、約1.6Å以下、約1.5Å以下、約1.4Å以下)の分解能までX線を回折することができる。ある実施形態においては、mAb13.2Fabフラグメントの結晶は、約1.6Åから約2.5Å(例えば、約1.8Åから約2.2Å)の分解能までX線を回折することができる。
【0068】
ある実施形態においては、mAb13.2Fabフラグメントの結晶は、空間群P212121、ならびに単位格子寸法a=54.4、b=98.0、c=108.5、およびα=β=γ=90°を有する斜方晶であり得る。
【0069】
一般に、ヒトIL−13とmAb13.2Fabフラグメントを含む複合体を自由に作成し、かつ結晶化することができる。ある実施形態においては、この方法は以下のように行われる。ヒトIL−13をDNAプラスミドから発現させる。発現は、誘導性プロモーターなどのプロモーターによって推進することができる。ヒトIL−13を、(例えば、細胞からのヒトIL−13の単離を促進するために、)グルタチオン−S−転移酵素(GST)、myc、HA、ヘキサヒスチジン、またはFLAGタグなどの適切なタグとの融合タンパク質として発現させることができる。融合タンパク質は、この融合タンパク質に組み込まれたプロテアーゼ部位、例えばポリペプチドとタグの間の融合部位またはその近傍で切断することができる。ヒトIL−13を、精製前(例えば、ポリペプチドタグの切断前)にmAb13.2Fabフラグメントと混ぜることができる。あるいは、ヒトIL−13を精製後にmAb13.2Fabフラグメントと混ぜることもできる。ある実施形態においては、mAb13.2Fabフラグメントを精製前にヒトIL−13と混ぜ、精製後に再度混ぜることができる。ある実施形態においては、複合体のスペクトルデータ、複合体のNMRデータの採取を行うために、または複合体の結晶を成長させるために、ヒトIL−13ポリペプチドとmAb13.2Fabフラグメントを溶液中で混合する。この溶液は、例えば、1種または複数の塩(例えば、カリウム塩)、1種または複数のポリマー(例えば、ポリエチレングリコール(PEG))、および/または1種または複数の有機溶媒を含有することができる。結晶は、様々な方法、例えばシッティングドロップまたはハンギングドロップ蒸気拡散法などによって成長させることができる。一般に、結晶化は、約16℃から24℃(例えば、約17℃から23℃、または18℃から21℃)で行うことができる。
【0070】
ヒトIL−13/mAb13.2Fabフラグメント複合体の結晶の構造情報はX線回折によって得られる。一般に、ヒトIL−13/mAb13.2Fabフラグメント複合体の結晶は、約3.5Å以下(例えば、約3.2Å以下、約3.0Å以下、約2.8Å以下、約2.5Å以下、約2.4Å以下、約2.3Å以下、約2.2Å以下、約2.1Å以下、約2.0Å以下、約1.9Å以下、約1.8Å以下、約1.7Å以下、約1.6Å以下、約1.5Å以下、約1.4Å以下)の分解能までX線を回折することができる。ある実施形態においては、ヒトIL−13/mAb13.2Fabフラグメント複合体の結晶は、約1.6Åから約2.5Å(例えば、約1.8Åから約2.2Å)の分解能までX線を回折することができる。
【0071】
ある実施形態においては、ヒトIL−13/mAb13.2Fabフラグメント複合体の結晶は、空間群P213、ならびに単位格子寸法a=b=c=125.3、およびα=β=γ=90°を有する立方晶であり得る。複合体の構造は分解能1.8Åまで解像することができる。
【0072】
一般に、ヒトIL−13、mAb13.2Fabフラグメント、およびヒトIL−13Rα1ポリペプチドを含む複合体を自由に作成し、かつ結晶化することができる。ある実施形態においては、この方法は以下のように行われる。ヒトIL−13Rα1ポリペプチドを、酵母菌株Pichia pastorisのDNAプラスミドから、発現ポリペプチドがグリコシル化されているように発現させる。DNAプラスミドからの発現は、誘導性プロモーターなどのプロモーターによって推進することができる。ヒトIL−13Rα1ポリペプチドを、(例えば、細胞からのヒトIL−13Rα1ポリペプチドの単離を促進するために、)グルタチオン−S−転移酵素(GST)、myc、HA、ヘキサヒスチジン、またはFLAGタグなどの適切なタグとの融合タンパク質として発現させることができる。融合タンパク質は、この融合タンパク質に組み込まれたプロテアーゼ部位、例えばポリペプチドとタグの間の融合部位またはその近傍で切断することができる。ヒトIL−13Rα1ポリペプチドをヒトIL−13と混ぜて複合体を形成し、次いでエンドグリコシダーゼHなどの酵素で処理することによって複合体のポリペプチドを脱グリコシル化することができる。mAb13.2Fabフラグメントを脱グリコシル化複合体に加えて、ヒトIL−13Rα1ポリペプチド/ヒトIL−13/mAb13.2Fabフラグメント複合体を形成することができる。
【0073】
ある実施形態においては、複合体のスペクトルデータ、複合体のNMRデータの採取を行うために、または複合体の結晶を成長させるために、ヒトIL−13Rα1、ヒトIL−13、およびmAb13.2Fabフラグメントを溶液中で混合する。この溶液は、例えば、1種または複数の塩(例えば、カリウム塩)、1種または複数のポリマー(例えば、ポリエチレングリコール(PEG))、および/または1種または複数の有機溶媒を含有することができる。結晶は、様々な方法、例えばシッティングドロップまたはハンギングドロップ蒸気拡散法などによって成長させることができる。一般に、結晶化は、約16℃から24℃(例えば、約17℃から23℃、または18℃から21℃)で行うことができる。
【0074】
ヒトIL−13Rα1ポリペプチド/ヒトIL−13/mAb13.2Fabフラグメント複合体の結晶の構造情報はX線回折によって得られる。一般に、ヒトIL−13Rα1ポリペプチド/ヒトIL−13/mAb13.2Fabフラグメント複合体の結晶は、約3.5Å以下(例えば、約3.2Å以下、約3.0Å以下、約2.8Å以下、約2.5Å以下、約2.4Å以下、約2.3Å以下、約2.2Å以下、約2.1Å以下、約2.0Å以下、約1.9Å以下、約1.8Å以下、約1.7Å以下、約1.6Å以下、約1.5Å以下、約1.4Å以下)の分解能までX線を回折することができる。ある実施形態においては、ヒトIL−13/mAb13.2Fabフラグメント複合体の結晶は、約1.6Åから約2.5Å(例えば、約1.8Åから約2.2Å)の分解能までX線を回折することができる。
【0075】
ある実施形態においては、ヒトIL−13Rα1ポリペプチド/ヒトIL−13/mAb13.2Fabフラグメント複合体の結晶は、空間群I4、ならびに単位格子寸法a=b=164.9Å、c=74.8Å、およびα=β=γ=90°を有する立方晶であり得る。複合体の構造は分解能2.2Åまで解像することができる。
【0076】
mAb13.2Fabフラグメント、ヒトIL−13/mAb13.2Fabフラグメント複合体、またはヒトIL−13Rα1ポリペプチド/ヒトIL−13/mAb13.2Fabフラグメント複合体の結晶のX線回折データを用いて、これらの抗体または複合体中の原子の構造座標を得ることができる。構造座標は、3次元空間における原子の位置を複合体の他の原子との関係で記述するデカルト座標である。一例として、表10に記載の構造座標は、mAb13.2Fabフラグメントの結晶の構造座標である。これらの構造座標は、mAb13.2Fabフラグメントの原子の位置の相互関係を記述している。別の例として、表11に記載の構造座標は、ヒトIL−13/mAb13.2Fabフラグメント複合体の結晶の構造座標である。これらの構造座標は、ヒトIL−13の原子の位置の相互関係、mAb13.2Fabフラグメントの原子に対するヒトIL−13の原子の位置、およびmAb13.2Fabフラグメントの原子の位置の相互関係を記述している。さらに別の例として、表12に記載の構造座標は、ヒトIL−13Rα1ポリペプチド/ヒトIL−13/mAb13.2Fabフラグメント複合体の結晶の構造座標である。これらの構造座標は、ヒトIL−13Rα1ポリペプチドの原子の位置の相互関係、ヒトIL−13の原子に対するヒトIL−13Rα1ポリペプチドの原子の位置、ヒトIL−13の原子の位置の相互関係、mAb13.2Fabフラグメントの原子に対するヒトIL−13の原子の位置、およびmAb13.2Fabフラグメントの原子の位置の相互関係を記述している。
【0077】
結晶の構造座標は、反転または整数の加算もしくは減算などの数学的操作によって変更することができる。したがって、構造座標は相対的な座標である。一例として、mAb13.2Fabフラグメントの原子の位置を記述した構造座標は、表10の実際のx、y、およびz座標によって特定の制約を受けない。別の例として、mAb13.2Fabフラグメントに結合したヒトIL−13の原子の位置を記述した構造座標は、表11の実際のx、y、およびz座標による特定の制約を受けない。さらに別の例として、mAb13.2FabフラグメントとヒトIL−13Rα1ポリペプチドの両方に結合したヒトIL−13の原子の位置を記述した構造座標は、表12の実際のx、y、およびz座標による特定の制約を受けない。
【0078】
mAb13.2Fabフラグメント、またはヒトIL−13/mAb13.2Fabフラグメント複合体、またはヒトIL−Rα1ポリペプチド/ヒトIL−13/mAb13.2Fabフラグメント複合体の構造座標を用いて、mAb13.2Fabフラグメント、mAb13.2Fabフラグメントのフラグメント、ヒトIL−13、ヒトIL−13のフラグメント、ヒトIL−13Rα1ポリペプチド、ヒトIL−13Rα1ポリペプチドのフラグメント、ヒトIL−13/mAb13.2Fabフラグメント複合体、またはヒトIL−Rα1ポリペプチド/ヒトIL−13/mAb13.2Fabフラグメント複合体、またはこれらの複合体のフラグメントの表示(例えば、2次元表示または3次元表示)を導き出すことができる。こうした表示は、例えば、ポリペプチドの活性部位の可視化、識別、およびキャラクタリゼーションを含めた多くの用途で有用であり得る。ある実施形態においては、3次元表示は、表10によるmAb13.2フラグメントの構造座標±約1.5Å以下(例えば、約1.0Å以下、または約0.5Å以下)のアミノ酸のα炭素原子からの根平均二乗偏位を含むことができる。別の実施形態においては、3次元表示は、表11によるヒトIL−13/mAb13.2Fabフラグメント複合体の構造座標±約1.5Å以下(例えば、約1.0Å以下、約0.5Å以下)のアミノ酸のα炭素原子からの根平均二乗偏位を含むことができる。さらに別の実施形態においては、3次元表示は、表12によるヒトIL−13Rα1ポリペプチド/ヒトIL−13/mAb13.2Fabフラグメント複合体の構造座標±約1.5Å以下(例えば、約1.0Å以下、約0.5Å以下)のアミノ酸のα炭素原子からの根平均二乗偏位を含むことができる。根平均二乗偏位(rms偏位、またはrmsd)は、平均からの偏位の平方の算術平均の平方根であり、構造座標からの偏位または変異を表現する1つの方法である。アミノ酸を同類置換すると、上記の根平均二乗偏位内の構造座標を有する分子表示が得られる。例えば、同類アミノ酸置換によって相互に異なるポリペプチドの2つの分子モデルは、骨格原子の座標が上記のrms偏位内、例えば約1.5Å未満(例えば、約1.0Å未満、約0.5Å未満)であり得る。ポリペプチドの骨格原子は、α炭素(CαまたはCA)原子、カルボニル炭素(C)原子、およびアミド窒素(N)原子を含む。
【0079】
様々なソフトウェアプログラムでは、mAb13.2Fabフラグメント、またはヒトIL−13/mAb13.2Fabフラグメント複合体、またはヒトIL−13Rα1ポリペプチド/ヒトIL−13/mAb13.2Fabフラグメント複合体などの分子または分子複合体を表示するために、1組の構造座標の図による表示が可能である。一般に、こうした表示は、構造座標またはフィーチャ間の距離もしくは角度など構造座標から得られる情報を(相対的におよび/または絶対的に)正確に反映するはずである。表示は、立体的二次元図、または対話型二次元ディスプレイ(例えば、分子もしくは分子複合体の異なる面を表示できるコンピュータディスプレイ)、または対話型立体的二次元ディスプレイなどの二次元の図とすることができる。対話型二次元ディスプレイは、例えば、これを回転させて、ポリペプチド、ポリペプチドのフラグメント、複合体、および/または複合体のフラグメントの異なる面を表示することができるコンピュータディスプレイとすることができる。ある実施形態においては、表示は3次元表示である。一例として、3次元モデルは分子構造の物理的モデル(例えば、玉棒模型)とすることができる。別の例として、3次元表示は分子構造の図形表示(例えば、コンピュータディスプレイ上のドローイングまたは図形)とすることができる。2次元図形表示(例えば、ドローイング)は、例えば、遠近法や陰影を用いること、または視聴者から遠いフィーチャを視聴者に近いフィーチャで遮る方法などにより、2次元表示が3次元情報を反映している場合は、3次元表示に相当し得る。ある実施形態においては、表示を2レベル以上にモデル化することができる。一例として、3次元表示がmAb13.2Fabフラグメントに結合したヒトIL−13などのポリペプチドを含む場合、このポリペプチドは、一次構造(アミノ酸配列)、二次構造(例えば、α−ヘリックスおよびβ−シート)、三次構造(全体的折りたたみ)、および四次構造(オリゴマー形成状態)などの1つまたは複数の異なるレベルの構造で表示することができる。mAb13.2Fabフラグメントの重鎖および軽鎖ポリペプチドも1つまたは複数の異なるレベルの構造で表示することができる。表示は異なるレベルの詳細を含むことができる。例えば、この表示は、原子の位置を特定することなしに、タンパク質の二次構造フィーチャの相対的位置を含むことができる。より詳細な表示は、例えば、原子の位置を含むことができる。
【0080】
ある実施形態においては、表示は、mAb13.2Fabフラグメント、ヒトIL−13/mAb13.2Fabフラグメント複合体、およびヒトIL−13Rα1ポリペプチド/ヒトIL−13/mAb13.2Fabフラグメント複合体の原子の構造座標以外の情報を含むことができる。例えば、表示は、溶媒が近づける表面の形状、モデルの原子のファンデルワールス半径、および溶媒(例えば、水)のファンデルワールス半径に関する情報を提供することができる。表示から得られる他の特徴としては、例えば、静電ポテンシャル、高分子構造内の空隙またはポケットの位置、および水素結合および塩橋の位置が挙げられる。
【0081】
mAb13.2Fabフラグメント、ヒトIL−13、またはヒトIL−13Rα1ポリペプチドと相互作用する作用薬は、mAb13.2Fabフラグメント、ヒトIL−13、ヒトIL−13Rα1ポリペプチド、ヒトIL−13/mAb13.2Fabフラグメント複合体、またはヒトIL−13Rα1ポリペプチド/ヒトIL−13/mAb13.2Fabフラグメント複合体の表示を用いる工程を含む方法によって確認または設計することができる。代表的な表示のタイプとしては上述の表示が挙げられる。ある実施形態においては、この表示は、ポリペプチド類似体、ポリペプチドフラグメント、複合体、または複合体のフラグメントのものとすることができる。この表示と相互作用することができる候補薬は、この候補薬と表示とのコンピュータによるフィッティング解析を行うことによって、設計または確認することができる。一般に、作用薬は分子である。作用薬の例としては、ポリペプチド、(DNAまたはRNAを含めた)核酸、または小さな分子(例えば、小さな有機分子)が挙げられる。作用薬はリガンドとすることができ、例えば、アゴニストまたはアンタゴニストとして働くことができる。ポリペプチド(例えば、ヒトIL−13、ヒトIL−13Rα1ポリペプチド)と相互作用する作用薬は、これらのポリペプチドと過渡的または安定的に相互作用することができる。この相互作用は、例えば、水素結合、静電力、疎水性相互作用、およびファンデルワールス相互作用を含めた、本明細書に記載のいずれかの力により仲介することができる。
【0082】
上述のように、X線結晶学を用いて、mAb13.2Fabフラグメント、ヒトIL−13/mAb13.2Fabフラグメント複合体、またはヒトIL−13Rα1ポリペプチド/ヒトIL−13/mAb13.2Fabフラグメント複合体の構造座標を得ることができる。しかし、こうした構造座標は、NMR技術を含めた他の技術を用いて得ることができる。さらなる構造情報は、スペクトル技術(例えば、光回転散乱(ORD)、円偏光二色性(CD))、ホモロジーモデリング、および分子力学からのデータまたは動力学アッセイからのデータを含む方法などの計算方法から得ることができる。
【0083】
ある実施形態においては、X線回折データを用いて、mAb13.2Fabフラグメント、ヒトIL−13/mAb13.2Fabフラグメント複合体、またはヒトIL−13Rα1ポリペプチド/ヒトIL−13/mAb13.2Fabフラグメント複合体の電子密度マップを構築することができる。この電子密度マップを用いて、mAb13.2Fabフラグメント、mAb13.2Fabフラグメントのフラグメント、ヒトIL−13またはヒトIL−13のフラグメント、ヒトIL−13Rα1ポリペプチドまたはヒトIL−13Rα1ポリペプチドのフラグメント、ヒトIL−13/mAb13.2Fabフラグメント複合体、ヒトIL−13Rα1ポリペプチド/ヒトIL−13/mAb13.2Fabフラグメント複合体、またはこれらの複合体のフラグメントの表示(例えば、2次元表示または3次元表示)を導き出すことができる。通常、電子密度マップの作成には、X線散乱の位相に関する情報を用いることが必要である。位相情報は、例えば、これらの回折データから、あるいは電子密度マップの構築を完成させるための追加の回折実験から得ることができる。X線回折データから位相を計算する方法としては、それだけに限らないが、多波長異常分散位相法(MAD)、多重同形置換法(MIR)、異常分散効果を利用した多重原子同形置換法(MIRAS)、異常分散効果を利用した単一重原子同形置換法(SIRAS)、逆格子空間溶媒平滑化法、分子置換法、またはこれらの組み合わせが挙げられる。これらの方法では、天然型タンパク質に対して同形の構造修正を行うことによって、例えば、重原子を入れた後または既存の重原子の散乱強度を変化させた後、天然型タンパク質およびそれぞれの修正されたケースの回折振幅を測定することにより位相情報が生成される。追加の重原子の位置または散乱強度の変化が分かると、1組の位相連立方程式を解くことによって各散乱X線の位相を求めることができる。重原子部位の位置は、SHELXS(Sheldrick,Institut Anorg.Chemie,Gottingen,Germany)などのコンピュータプログラムを用いて確認することができ、回折データは、MOSFLM、SCALA、SOLOMON、およびSHARP(“The CCP4 Suite:Programs for Protein Crystallography,”Acta Crystallogr.Sect.D,54:905−921,1997;deLa Fortelle and Brigogne,Meth.Enzym.276:472−494,1997)などのコンピュータプログラムを用いて処理することができる。位相が決定すると、複合体の電子密度マップを構築することができる。
【0084】
この電子密度マップを用いて、ポリペプチドまたは複合体(例えば、抗体に結合したポリペプチドを含む複合体)の3次元モデルを電子密度マップと整合させることにより、ポリペプチド、複合体、またはポリペプチドもしくは複合体のフラグメントの表示を導き出すことができる。この整合プロセスにより、計算された電子密度マップと以前から知られているポリペプチドまたは以前から知られている複合体のモデルとの相違の程度を示す比較モデルが得られる。次いで、この比較モデルを1回または複数回(例えば、2回、3回、4回、5回、6回、7回、8回、9回、10回)にわたって改良することにより、この電子密度マップとのより良い適合度が生じる。CNS(Brunger et al.,Acta Crystallogr.D54:905−921,1998)などのソフトウェアプログラムを用いてモデルを改良することができる。適合度の善し悪しは、例えば、RworkまたはRfree値で測定することができる。一般に、より小さいRworkまたはRfree値はより良い適合度を示す。比較モデルの整合のずれを調整して、修正比較モデルおよびより小さいRworkまたはRfree値を得ることができる。この調整は、ヒトIL−13、ヒトIL−13Rα1、mAb13.2Fabフラグメント、公知のポリペプチド、および/または公知の複合体に関する情報に基づくことができる。こうした情報としては、例えば、ヘリカルまたはβシートの推定含有量、疎水性または親水性領域、およびタンパク質折りたたみパターンが挙げられる。これらは、例えば、アミノ酸配列、ホモロジーモデリング、およびスペクトルデータから導き出すことができる。一例として、あるリガンドに結合したポリペプチドの公知の複合体のモデルを用いた実施形態においては、調整は、この公知の複合体のリガンドをmAb13.2Fabフラグメントと置換する工程を含むことができる。別の例として、ある実施形態においては、調整は、この以前から知られているポリペプチドのアミノ酸をヒトIL−13の対応する部位のアミノ酸と置換する工程を含むことができる。修正比較モデルに対する調整が電子密度マップに対する最良の適合度を満足する場合、得られるモデルは、X線データが得られた抗体またはポリペプチドまたは複合体(例えば、ヒトIL−13/mAb13.2Fabフラグメント複合体)を表していることが判明したモデルである。こうしたプロセスの方法は、例えば、Carter and Sweet,eds.,“Macromolecular Crystallography”in Methods in Enzymology,Vol.277,Part B,New York:Academic Press,1997、およびその中の文献、例えば、Jones and Kjeldgaard,“Electron−Density Map Interpretation,”p.173、ならびにKleywegt and Jones,“Model Building and Refinement Practice,”p.208に開示されている。
【0085】
ある実施形態においては、mAb13.2Fabフラグメントの表示は、異なる(しかし似ている)抗体Fabフラグメント(例えば、2E8FAb抗体フラグメント、Protein Databank識別番号12E8)の以前決定した構造モデルを、X線回折データから得られたmAb13.2Fabフラグメントの電子密度マップと整合することによって導き出すことができる。引き続き、このmAb13.2Fabフラグメントの以前決定した構造モデルをヒトIL13/mAb13.2Fabフラグメント複合体の電子密度マップと整合することによって、この複合体の表示を導き出すことができる。引き続き、このヒトIL−13/mAb13.2Fabフラグメント複合体の以前決定した構造モデルをヒトIL−13Rα1ポリペプチド/ヒトIL−13/mAb13.2Fabフラグメント複合体の電子密度マップと整合することによって、ヒトIL−13Rα1ポリペプチド/ヒトIL−13/mAb13.2Fabフラグメント複合体の表示を導き出すことができる。
【0086】
コンピュータなどの機械のメモリに、mAb13.2Fabフラグメント、ヒトIL−13/mAb13.2Fabフラグメント複合体、またはヒトIL−13Rα1ポリペプチド/ヒトIL−13/mAb13.2Fabフラグメント複合体の構造座標を、これらの構造座標の3次元図形表示をこの機械に接続されたディスプレイ上に生成することができるプログラムと共に、書き込むことができる。別法としてまたは付加的に、ソフトウェアシステムを設計および/または利用してこれらの構造座標を受け入れ、これを格納することができる。このソフトウェアシステムは構造座標の図形表示を生成することができる。このソフトウェアシステムは、外部データベースにアクセスして、類似の構造特徴を有する化合物(例えば、ポリペプチド)をヒトIL−13またはヒトIL−13Rα1と確認することもでき、かつ/あるいは、候補薬をヒトIL−13またはヒトIL−13Rα1と相互作用しやすくしている特徴を有する1種または複数種の候補薬を確認することもできる。このソフトウェアシステムは、外部データベースにアクセスして、ヒトIL−13またはヒトIL−13Rα1と相互作用する化合物を、mAb13.2FabフラグメントまたはヒトIL−13Rα1ポリペプチド構造の知識、およびヒトIL−13とのその相互作用の知識によって確認することもできる。
【0087】
構造データを含むメモリを有する機械またはこうしたデータを含むソフトウェアシステムは、アゴニストまたはアンタゴニストなどのIL−13リガンドの合理的な設計または選択を支援することができる。例えば、こうした機械またはソフトウェアシステムは、ヒトIL−13と結合する作用薬の能力の評価を支援することができ、構造または配列相同性でヒトIL−13と関連した化合物またはタンパク質のモデリングを支援することができ、あるいはヒトIL−13の生物活性を妨害する作用薬の能力の評価を支援することができる。ヒトIL−13の生物活性は、in vivoまたはin vitroの細胞もしくは組織の上またはこれらの内部にあって、このポリペプチドが引き出す効果なら、どんな効果であってもよい。ヒトIL−13の代表的な生物活性は、本明細書の例えば実施例1および2に記載されている。
【0088】
構造データを含むメモリを有する機械またはこうしたデータを含むソフトウェアシステムは、アゴニストまたはアンタゴニストなどのIL−13Rα1リガンドの合理的な設計または選択を支援することができる。例えば、こうした機械またはソフトウェアシステムは、ヒトIL−13Rα1ポリペプチドと結合する作用薬の能力の評価を支援することができ、構造または配列相同性でヒトIL−13Rα1ポリペプチドと関連した化合物またはタンパク質のモデリングを支援することができ、あるいはヒトIL−13Rα1ポリペプチドの生物活性を妨害する作用薬の能力の評価を支援することができる。ヒトIL−13Rα1ポリペプチドの生物活性は、in vivoまたはin vitroの細胞もしくは組織の上またはこれらの内部にあって、このポリペプチドが引き出す効果なら、どんな効果であってもよい。ヒトIL−13Rα1の代表的な生物活性は、本明細書の例えば実施例3に記載されている。
【0089】
この機械は、mAb13.2FabフラグメントまたはmAb13.2Fabフラグメントのフラグメント、ヒトIL−13またはヒトIL−13のフラグメント、ヒトIL−13Rα1ポリペプチドまたはヒトIL−13Rα1ポリペプチドのフラグメント、ヒトIL−13/mAb13.2Fabフラグメント複合体、ヒトIL−13Rα1ポリペプチド/ヒトIL−13/mAb13.2Fabフラグメント複合体、またはこれらの複合体のフラグメントの表示(例えば、2次元表示または3次元表示)を生成することができる。例えば、ソフトウェアシステムは、この機械にこうした情報を生成させることができる。この機械は、機械可読データをコードしたデータ記憶材料を含む機械可読データ記憶媒体を含むことができる。この機械可読データは、mAb13.2Fabフラグメントの原子またはmAb13.2Fabフラグメントのフラグメントの原子、ヒトIL−13の原子またはヒトIL−13のフラグメントの原子、ヒトIL−13/mAb13.2Fabフラグメント複合体の原子、ヒトIL−13Rα1ポリペプチド/ヒトIL−13/mAb13.2Fabフラグメント複合体の原子、またはこれらの複合体の原子の構造座標を含むことができる。データ記憶材料を含む機械可読記憶媒体としては、通常のコンピュータハードディスク、フロッピーディスク、DATテープ、CD−ROM、DVD、およびコンピュータに使用するように適合させることができるその他の磁気、光磁気、光媒体およびその他の媒体などを挙げることができる。この機械は、この機械可読データを処理するための命令を格納するワーキングメモリ、ならびに、この機械可読データを所望の3次元表示に処理する目的で、このワーキングメモリおよび機械可読データ記憶媒体に結合した中央処理装置(CPU)を有することもできる。最後に、ユーザが3次元表示を見ることができるように、このCPUにディスプレイを接続することができる。したがって、このデータを用いるための命令プログラムを書き込んだ機械(例えば、本明細書に記載されたような1つまたは複数のプログラムをロードしたコンピュータ)と共に使用すると、この機械は、本明細書に記載のポリペプチド、ポリペプチドのフラグメント、複合体、または複合体のフラグメントの図形表示(例えば、2次元図形表示、3次元図形表示)を表示することができる。
【0090】
ディスプレイ(例えば、コンピュータディスプレイ)は、mAb13.2FabフラグメントまたはmAb13.2Fabフラグメントのフラグメント、ヒトIL−13またはヒトIL−13のフラグメント、ヒトIL−13Rα1ポリペプチドまたはヒトIL−13Rα1ポリペプチドのフラグメント、ヒトIL−13/mAb13.2Fabフラグメント複合体、ヒトIL−13Rα1ポリペプチド/ヒトIL−13/mAb13.2Fabフラグメント複合体、またはこれらの複合体のフラグメントの表示を見せることができる。これらの表示は、ヒトIL−13またはヒトIL−13Rα1ポリペプチドに結合した作用薬を含めることもできる。あるいは、ユーザが、ヒトIL−13またはヒトIL−13Rα1ポリペプチドの表示上に作用薬の3次元モデルを重ね合わせることもできる。この作用薬は、ヒトIL−13またはヒトIL−13Rα1のアゴニスト(例えば、アゴニスト候補)、あるいはヒトIL−13またはヒトIL−13Rα1のアンタゴニスト(例えば、アンタゴニスト候補)とすることができる。ある実施形態においては、この作用薬は、既知の化合物または化合物のフラグメントとすることができる。ある実施形態においては、この作用薬は、従来未知の化合物、または従来未知の化合物のフラグメントとすることができる。
【0091】
ユーザは得られた表示を詳細に調べることができる。mAb13.2FabフラグメントまたはmAb13.2Fabフラグメントのフラグメント、ヒトIL−13またはヒトIL−13のフラグメント、ヒトIL−13Rα1ポリペプチドまたはヒトIL−13Rα1ポリペプチドのフラグメント、ヒトIL−13/mAb13.2Fabフラグメント複合体、ヒトIL−13Rα1ポリペプチド/ヒトIL−13/mAb13.2Fabフラグメント複合体、またはこれらの複合体のフラグメントの表示を、例えば、こうしたポリペプチドおよびポリペプチド複合体の既存の表示を部分的に変更することによって生成することができる。例えば、複合体または複合体のフラグメントの新しい表示を考える場合、抗体の原子とヒトIL−13の原子の間には、好ましい距離または距離の範囲があり得る。別の例では、複合体または複合体のフラグメントの新しい表示を考える場合、ヒトIL−13の原子とヒトIL−13Rα1ポリペプチドの原子の間には、好ましい距離または距離の範囲があり得る。好ましい距離より長い距離は、作用薬と活性部位(例えば、IL−13ポリペプチド上の(IL−13Rα1受容体ポリペプチドまたはIL−4受容体ポリペプチドなどに)結合するIL−13受容体の部位)との間の弱い相互作用に伴うものである可能性がある。好ましい距離より短い距離は、作用薬とポリペプチドとの相互作用を弱くする恐れのある反発力を伴う可能性がある。原子間距離が短すぎると立体障害が起る恐れがある。2つの原子の位置が著しく接近すると、例えば2つの原子の距離がこれらのファンデルワールス半径の和より小さいと、立体障害が起る。立体障害が存在する場合は、ユーザは、この立体障害が解除されるまで、ヒトIL−13に対する作用薬の位置の調整(例えば、作用薬の剛体並進または回転)を行うことができる。ユーザは、立体障害を解除するために、作用薬のコンフォメーションまたは作用薬の付近のヒトIL−13のコンフォメーションを調整することができる。立体障害は、作用薬の構造を部分的に変更することによっても解除することができる。例えば、芳香環などの「バルキーな基」をメチル基もしくは水酸基などの小さな基に変えること、または剛性な基を、立体障害を生じないコンフォメーションに適応することができる柔軟な基に変えることなどによって解除することができる。静電力が、作用薬とポリペプチド(受容体ポリペプチド、例えばヒトIL−13Rα1ポリペプチドまたはヒトIL−4Rα1ポリペプチドと相互作用するポリペプチドの部分など)の間の相互作用に影響を及ぼす可能性もある。例えば、静電特性は、作用薬とIL−13ポリペプチドとの相互作用を弱める反発力を伴う可能性がある。作用薬の電荷を変えることにより、例えば正に帯電した基を中性基と置換することにより、静電的反発力を軽減することができる。ヒトIL−13Rα1ポリペプチドとヒトIL−13の相互作用の近くなどにおいて同様なプロセスを行って、ヒトIL−13Rα1ポリペプチドと相互作用する作用薬を設計することができる。
【0092】
mAb13.2FabフラグメントとヒトIL−13の間の結合力に影響を及ぼす力は、ポリペプチド/作用薬モデルで評価することができる。同様に、ヒトIL−13とヒトIL−13Rα1ポリペプチドの間の結合力に影響を及ぼす力も、ポリペプチド/作用薬モデルで評価することができる。これらの力には、例えば、水素結合、静電力、疎水性相互作用、ファンデルワールス相互作用、双極子−双極子相互作用、π−スタッキング力、およびアニオン−π相互作用を挙げることができる。ユーザは、これらの力を、目視で、例えば水素結合に適切な距離と角度で配置された水素結合ドナー/アクセプター対に注目することによって評価することができる。ユーザはこの評価に基づいてモデルを部分的に変更し、ヒトIL−13またはヒトIL−13Rα1ポリペプチドと作用薬との間のより有利な相互作用を見出すことができる。モデルを部分的に変更することには、例えばアミノ酸側鎖または主鎖の二面角のコンフォメーションを部分的に変更することによって、その化学構造を変更することなくポリペプチドの3次元構造を変えることが含まれる。モデルを部分的に変更することには、上記のように、作用薬の位置またはコンフォメーションを部分的に変更することが含まれる。モデルを部分的に変更することには、例えば基を置換、付加、または除去することによって作用薬の化学構造を部分的に変更することも含まれる。例えば、ヒトIL−13上の水素結合ドナーが作用薬上の水素結合ドナーの近くに位置する場合、ユーザは、作用薬上の水素結合ドナーを水素結合アクセプターと置き換えることができる。
【0093】
作用薬とヒトIL−13の相対的位置、またはこれらのコンフォメーションを調整して、ヒトIL−13ポリペプチドに対する特定の作用薬の最適化された結合の幾何形状を見出すことができる。同様に、作用薬とヒトIL−13Rα1ポリペプチドの相対的位置を調整して、ヒトIL−13Rα1ポリペプチドに対する特定の作用薬の最適化された結合の幾何形状を見出すことができる。最適化された結合の幾何形状は、例えば、有利な水素結合距離および角度、最大の静電引力、最小の静電反発力、疎水性部分を水性環境から遠ざけること、および立体障害がないことを特徴とする。最適化された幾何形状について計算したエネルギーは、ヒトIL−13/抗体複合体またはヒトIL−13/受容体複合体に可能な一群の幾何形状のうち最も低いものであり得る。最適化された幾何形状は、例えば、分子力学または分子動力学の計算で求めることができる。
【0094】
様々な作用薬に結合したヒトIL−13の一連の表示を作成することができる。同様に、様々な作用薬に結合したヒトIL−13Rα1ポリペプチドの一連の表示を作成することができる。それぞれの表示についてスコアを計算することができる。スコアは、例えば、ヒトIL−13と作用薬との間の推定される相互作用の強度を記述するものである。スコアは、結合強度に影響を及ぼす上記の要因の1つを反映することができる。スコアは、2つ以上の要因を反映した集合スコアとすることができる。様々な作用薬をそのスコアに従って分類することができる。
【0095】
作用薬を設計する工程は、機械(例えば、コンピュータ)によって自動的に行うことができる。例えば、ヒトIL−13またはヒトIL−13Rα1ポリペプチドの表示は、候補薬の表示と共に機械にプログラムを書き込むことができる。機械は、受容体結合部位に対する各々の候補薬について最適化された結合の幾何形状を見出し、スコアを計算して一連の候補薬のうちどれが最も強くヒトIL−13またはヒトIL−13Rα1ポリペプチドと相互作用しやすいか判定することができる。
【0096】
ソフトウェアシステムを設計および/または実装してこれらの工程を容易にすることができる。表示の生成に用いられる、または必要なフィッティング解析を行うソフトウェアシステム(例えば、コンピュータプログラム)としては、それだけに限らないが、以下のものが挙げられる:Accelrys、Inc.(San Diego、CA)のMCSS、Ludi、QUANTA、Insight II、Cerius2、CHARMm、およびModeler;TRIPOS、Inc.(St.Louis、MO)のSYBYL、Unity、FleXX、およびLEAPFROG;AUTODOCK(Scripps Research Institute、La Jolla、CA)、GRID(Oxford University、Oxford、UK);DOCK(University of California、San Francisco、CA);ならびにFlo+およびFlo99(Thistlesoft、Morris Township、NJ)。その他の有用なプログラムとしては、Openeye Scientific Software(Santa Fe、NM)のROCS、ZAP、FRED、Vida、およびSzybki;Schrodinger、LLC(Portland、OR)のMaestro、Macromodel、およびGlide;MOE(Chemical Computing Group、Montreal、Quebec)、Allegrow(Boston De Novo、Boston、MA),CNS(Brunger,et al.,Acta Crystall.Sect.D 54:905−921,1997)ならびにGOLD(Jones et al.,J.Mol.Biol.245:43−53,1995)が挙げられる。MOLSCRIPT、RASTER3D、またはPYMOL(Kraulis,J.Appl.Crystallogr.24:946−950,1991;Bacon and Anderson,J.Mol.Graph.6:219−220,1998;DeLano,The PYMOL Molecular Graphics System(2002)DeLano Scientific,San Carlos,CA)を用いて、構造座標を使用してヒトIL−13の3次元構造を可視化することもできる。
【0097】
例えば、適当なデータベースを選別することによって作用薬を選択することができ、適当なソフトウェアシステムを併用して、結合していないヒトIL−13または結合していないヒトIL−13Rα1ポリペプチドの立体構造および電荷ポテンシャルを解析することによって作用薬を新規に設計することができ、かつ/または既知のサイトカインリガンドの特徴を用いて作用薬を設計することができる。IL−4RαなどのIL−4Rポリペプチド、またはIL−Rα1ポリペプチドに対するIL−13の結合をブロックする作用薬の能力を試験することができる。ヒトIL−13に対して結合するように、またはヒトIL−13Rα1ポリペプチドに対して結合するように作用薬を設計することができる。この方法を用いてヒトIL−13またはヒトIL−Rα1ポリペプチドのアゴニストまたはアンタゴニストを設計または選択することができる。ソフトウェアシステムを設計および/または実装してデータベースの探索、ならびに/または作用薬の選択および設計を容易にすることができる。
【0098】
一旦作用薬が設計または確認されると、これを得てまたは合成して、ヒトIL−13の活性またはヒトIL−13Rα1の活性に対するその影響をさらに評価することができる。作用薬は、これをヒトIL−13と接触させてIL−13の生物活性をアッセイすることにより、あるいはこれをヒトIL−13Rα1ポリペプチドと接触させてIL−13Rα1の生物活性をアッセイすることにより評価することができる。作用薬を評価する方法としてはin vitroまたはin vivoで行われる活性アッセイがある。活性アッセイは、例えば細胞ベースアッセイとすることができる。作用薬の、ヒトIL−13またはヒトIL−13Rα1ポリペプチドに対する作用によっては、作用薬は、ヒトIL−13またはIL−13RαL活性のアゴニストとして作用する可能性もあり、アンタゴニストとして作用する可能性もある。アゴニストはヒトIL−13またはヒトIL−13Rα1ポリペプチドに同一または類似の活性を与え、アンタゴニストはヒトIL−13またはヒトIL−13Rα1ポリペプチドの正常な機能を阻害する。作用薬を、抗IL−13抗体(例えば、mAb13.2もしくはmAb13.2Fab)またはヒトIL−13受容体(例えば、ヒトIL−4RαポリペプチドなどのIL−4Rポリペプチド、もしくはヒトIL−13Rα1ポリペプチドなどのIL−13Rポリペプチド)の存在下でヒトIL−13と接触させて、この作用薬がヒトIL−13ポリペプチドに対する抗体または受容体の結合を阻害するかどうか判定することができる。ある実施形態においては、ある作用薬は、ヒトIL−13に対するある種の受容体の結合を阻害するが、別の種類の受容体の結合は阻害しない。例えば、ある作用薬は、ヒトIL−4Rポリペプチド(例えば、IL−4Rα鎖)に対するヒトIL−13ポリペプチドの結合を阻害する可能性があるが、ヒトIL−13Rα1ポリペプチドは阻害しない。同様に、別の作用薬はIL−13Rα1ポリペプチドに対するヒトIL−13の結合を阻害する可能性があるが、ヒトIL−4Rポリペプチドに対しては阻害しない。別の実施形態においては、この作用薬は、ヒトIL−4Rポリペプチド(例えば、IL−4Rα鎖)およびヒトIL−13Rα1ポリペプチドに対するIL−13ポリペプチドの結合を阻害する。このように確認された作用薬と結合したヒトIL−13を含む結晶を成長させて、その構造をX線結晶学で決定することができる。第1の作用薬とヒトIL−13との相互作用に基づいて、第2の作用薬を設計または確認することができる。種々の分子解析および合理的な薬剤設計手法が、例えば、米国特許第5834228号、第5939528号、および第5856116号、ならびにPCT出願PCT/US98/16879号(WO 99/09148として公開)に開示されている。
【0099】
いくつかの実施形態について説明してきたが、その他の実施形態も考えられる。
【0100】
一例として、ヒトIL−13、mAb13.2Fabフラグメント、およびヒトIL−13Rα1ポリペプチドを含む実施形態について説明してきたが、より一般に、任意のIL−13ポリペプチド、任意のIL−13Rα1ポリペプチド、および/または任意の抗IL−13抗体を用いることができる。
【0101】
一例として、ヒトIL−13およびヒトIL−13Rα1ポリペプチドを含む実施形態について説明してきたが、より一般に、任意のIL−13ポリペプチドおよび任意のIL−13Rα1ポリペプチドを用いることができる。例えば、IL−13ポリペプチドまたはIL−13Rα1ポリペプチドは、非哺乳類からのものも、哺乳類からのものもあり得る。代表的なヒト以外の哺乳動物としては、非ヒト霊長類(サルまたは類人猿など)、マウス、ラット、ヤギ、雌ウシ、雄ウシ、ブタ、ウマ、ヒツジ、イノシシ、ラッコ、ネコ、またはイヌが挙げられる。代表的な非哺乳類としては、ニワトリ、シチメンチョウ、エビ、ワニ、または魚が挙げられる。
【0102】
さらに、IL−13ポリペプチドまたはIL−13Rα1ポリペプチドは、一般に、IL−13ポリペプチドまたはIL−13Rα1ポリペプチドの任意のアイソフォームまたは処理された形の完全長アミノ酸配列を含めて、完全長の成熟ポリペプチドとすることができる。アイソフォームは、その一次構造が異なるタンパク質のいくつかのマルチフォームのいずれかである。完全長IL−13は、タンパク質の前駆体形態と呼ぶことができる。完全長IL−13はシグナルペプチド切断部位を有する。IL−13ポリペプチドは、シグナルペプチドの切断後などの処理されたポリペプチドとすることができる。
【0103】
通常、ヒトIL−13ポリペプチドは、受容体ポリペプチド(例えば、IL−4Rポリペプチド、IL−13α1ポリペプチド)と相互作用するための少なくとも1個の活性部位を有する。IL−13ポリペプチドは、2個の異なる受容体ポリペプチドと相互作用するための3個の活性部位を含むことができる。抗IL−13抗体は、これらの活性部位の少なくとも1個と結合することができる。一般に、活性部位には、受容体ポリペプチド結合の部位、またはリン酸化、グリコシル化、アルキル化、アシル化、またはその他の共有結合性修飾の部位が含まれる。活性部位には、実際の結合部位に隣接または近接して、リガンドとの相互作用に際して活性に影響を及ぼす可能性がある補助的な結合部位が含まれる。ヒトIL−13ポリペプチドの活性部位は、配列番号4のアミノ酸を含むことができる。例えば、ヒトIL−13ポリペプチドの活性部位は、配列番号4のアミノ酸配列(図2B)で定義されるアミノ酸Ser7、Thr8、Ala9、Glu12、Leu48、Glu49、Ile52、Asn53、Arg65、Ser68、Gly69、Phe70、Cys71、Pro72、His73、Lys74、およびArg86の1個または複数を含むことができる。ある実施形態においては、作用薬は、配列番号4のアミノ酸配列で定義されるIL−13の1個または複数のアミノ酸Glu49、Asn53、Gly69、Pro72、His73、Lys74、およびArg86の約2.0Å以内(例えば、約1.5Å以下、約1.0Å以下)まで相互作用することができる。ある代替形態においては、ヒトIL−13ポリペプチドの活性部位は、配列番号4のアミノ酸配列で定義されるアミノ酸Arg11、Glu12、Leu13、Ile14、Glu15、Lys104、Lys105、Leu106、Phe107、およびArg108の1個または複数を含むことができる。別の代替形態においては、ヒトIL−13ポリペプチドの活性部位は、配列番号4のアミノ酸配列で定義されるアミノ酸Thr88、Lys89、Lle90、およびGlu91の1個または複数を含むことができる。ヒトIL−13ポリペプチドは、上記の活性部位の1個、2個、または3個すべてを含むことができる。
【0104】
通常、ヒトIL−13Rα1ポリペプチドは、ポリペプチドリガンド(例えば、ヒトIL−13ポリペプチド)と相互作用するための少なくとも1個の活性部位を有する。抗IL−13Rα1抗体は、これらの活性部位の少なくとも1個と結合することができる。一般に、活性部位には、ポリペプチドリガンド結合の部位、またはリン酸化、グリコシル化、アルキル化、アシル化、またはその他の共有結合性修飾の部位が含まれる。活性部位には、実際の結合部位に隣接または近接して、リガンドとの相互作用に際して活性に影響を及ぼす可能性がある補助的な結合部位が含まれる。ヒトIL−13Rα1ポリペプチドの活性部位は、配列番号12のアミノ酸を含むことができる。例えば、ヒトIL−13Rα1ポリペプチドの活性部位は、配列番号12のアミノ酸配列で定義されるアミノ酸残基Ile254、Ser255、Arg256、Lys318、Cys320、およびTyr321の1個または複数を含むことができる。ある代替形態においては、ヒトIL−13Rα1ポリペプチドの活性部位は、配列番号12のアミノ酸配列で定義されるアミノ酸残基Lys76、Lys77、Ile78、およびAla79の1個または複数を含むことができる。ヒトIL−13Rα1ポリペプチドは、これらの活性部位の一方または両方を含むことができる。
【0105】
ヒトIL−13ポリペプチド、ヒトIL−13Rα1ポリペプチド、ならびにmAb13.2Fabなどの抗IL−13抗体の重鎖および軽鎖のアミノ酸の番号付けは、本明細書に記載のものと異なる可能性があり、表10で定義されたものと同じ3次元構造±1.5Å未満の骨格原子のrmsd、または表11のもの±1.5Å未満の骨格原子のrmsd、または表12のもの±1.5Å未満の骨格原子のrmsdの構造を生じる何らかの同類アミノ酸置換、付加、または欠失を含む可能性がある。例えば、ヒトIL−13処理ポリペプチドの番号付けは、図2Bに記載のものと異なる可能性があり、IL−13の配列は、同類アミノ酸置換を含む可能性があるが、表11の座標で定義され図3に示したものと同じ構造、あるいは表12の座標で定義され図15、16、および17に示したものと同じ構造を生じる可能性がある。その他のアイソフォームまたは類似体の対応するアミノ酸および同類置換は、該当するアミノ酸配列の目視検査によって、または市販のホモロジーソフトウェアプログラム(例えば、MODELLAR、MSI、San Diego、CA)を用いて容易に確認される。
【0106】
類似体は、同類アミノ酸置換を有するポリペプチドである。同類置換は、置換されるアミノ酸と機能的または構造的に等価なアミノ酸置換である。同類置換は、あるアミノ酸を類似の極性または立体配置を有する別のアミノ酸、あるいは置換されるアミノ酸と同じクラス(例えば、疎水性、酸性または塩基性)に属する別のアミノ酸に変えることを含むことができる。同類置換には、ポリペプチド(例えば、IL−13ポリペプチド、IL−13Rα1ポリペプチド)と相互作用する作用薬の確認および設計に関して、ならびに分子置換解析および/またはホモロジーモデリングのために、抗IL−13抗体またはヒトIL−13ポリペプチド/抗IL−13抗体複合体またはヒトIL−13Rα1ポリペプチド/ヒトIL−13Rポリペプチド/抗IL−13抗体複合体の3次元構造には重要でない効果を有する置換が含まれる。
【0107】
抗IL−13抗体がマウスに由来する例を説明してきたが、より一般的には、どんな抗IL−13抗体も用いることができる。例えば、抗IL−13抗体は、ヒト、マウス、ラット、ハムスター、ウサギ、ヤギ、ウマ、またはニワトリ由来のものでもよい。
【0108】
別の例として、抗IL−13抗体を所定の方法で産生する実施形態を説明してきたが、他の方法も使用することができる。例えば、雌BALB/cマウスを組換え型または天然型ヒトIL−13で免疫化することにより、初めにポリクローナル抗血清を調製することによって抗IL−13抗体を産生することができる。ヒトIL−13に対する血清の結合性を、ELISAなどのアッセイによってスクリーニングすることができる。高い血清抗体力価を示したマウスからの脾細胞を、P3X63_AG8.653ミエローマ細胞株(ATCC、Manassas、VA)などのミエローマ細胞株と融合し、選択培地に播種することができる。限界希釈法による複数回のサブクローニングの後、融合体を単離することができる。そして、この融合体を、ヒトIL−13に対する結合親和力を有する抗体の産生についてスクリーニングすることができる。抗IL−13抗体はポリクローナルでもモノクローナルでもよい。IL−13と結合する抗体は、Fabフラグメントなどの抗体のフラグメントでもよい。
【0109】
一般に、免疫グロブリンとしても知られている無処置の抗体は、それぞれ約25kDaの2つの軽(L)鎖およびそれぞれ約50kDaの2つの重(H)鎖からなるグリコシル化タンパク質四量体である。各軽鎖は、N末端可変(V)領域(VL)および定常(C)領域(CL)からなる。各重鎖はN末端V領域(VH)、3つまたは4つのC領域(CH)、およびヒンジ部からなる。VHに最も近いCH領域はCH1と呼ばれる。VHおよびVL領域は、フレームワーク領域と呼ばれる比較的保存された配列の4つの領域からなる。フレームワーク領域は、超可変配列(相補性決定領域、CDR)の3つの領域の骨格を形成している。CDRは、抗原との特定の相互作用を担当する残基の大部分を含んでいる。CDRは、CDR1、CDR2、およびCDR3と呼ばれる。したがって、重鎖上のCDR成分はH1、H2、およびH3と呼ばれ、一方、軽鎖上のCDR成分はL1、L2、およびL3と呼ばれる(例えば、表4参照)。様々なクラスの免疫グロブリンのサブユニット構造および3次元配置は当技術分野において周知である。抗体構造の再調査については、Antibodies:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory,eds.Harlow et al.(1988)を参照されたい。最小の抗原結合フラグメントはFv(可変フラグメント)であり、VHおよびVL領域からなる。Fab(fragment antigen binding、抗原結合フラグメント)フラグメントは、VH−CH1およびVL−CL領域からなり、定常領域の間がジスルフィド結合によって共有結合されている。
【0110】
したがって、一態様においては、本出願は、IL−13に結合する、および/またはこれを中和する、抗体またはその抗原結合フラグメントを特徴とする。抗体またはそのフラグメントは、ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、またはin vitro産生抗体であってもよい。一実施形態においては、抗IL−13抗体またはそのフラグメントはヒト化抗体である。この抗体は、表10に記載のCDRの骨格コンフォメーション±1.5、1.2、1.1、または1.0オングストローム以下の根平均二乗偏位(RMSD)、表11±1.5、1.2、1.1、または1.0オングストローム以下のRMSD、あるいは表12±1.5、1.2、1.1、または1.0オングストローム以下のRMSDを有する1つまたは複数のCDRを含む。例えば、軽鎖可変領域のCDRの1つ、2つ、または3つ(例えば、特にCDR1、または少なくとも2つのCDR、例えばCDR1とCDR3、CDR1とCDR2、または3つのCDRすべて)は、その構造に対して、1.5、1.2、1.1、または1.0オングストローム以下のRMSDを有する。一実施形態においては、抗体またはその抗体結合フラグメントは、全体として、表10に記載のCDRの骨格コンフォメーション±1.5、1.2、1.1、または1.0オングストローム以下の根平均二乗偏位(RMSD)、表11±1.5、1.2、1.1、または1.0オングストローム以下のRMSD、あるいは表12±1.5、1.2、1.1、または1.0オングストローム以下のRMSDを有する可変領域を含む。可変領域は、例えばCDR領域および/またはフレームワーク領域において、本明細書記載の抗体に対して、少なくとも70%、80%、85%、87%、90%、92%、93%、95%、96%、97%、98%、または99%同一であってもよい。この抗体は、例えば本明細書記載の処理方法において使用することができる。
【0111】
抗IL−13抗体は、例えば、2004年6月9日出願の米国仮特許出願第60/578473号、2004年6月22日出願の米国仮特許出願第60/581375号、および本明細書と同一日に出願の米国特許出願第_号[整理番号:AM101493](Kasaian他)において開示されており、これらのそれぞれを参照として本明細書に組み込む。
【0112】
以下の実施例は例示のためのものであり、限定するためのものではない。
実施例
【実施例1】
【0113】
mAb13.2の産生および機能解析
IL−13を認識する抗体を産生するために、雌BALB/cマウスを組換え型ヒトIL−13(R&D Systems、Minneapolis、MN)で免疫化することによりポリクローナル抗血清を調製した。ヒトIL−13に対する血清の結合性をELISAによってスクリーニングした。高い血清抗体力価を示したマウスからの脾細胞を、P3X63_AG8.653ミエローマ細胞株(ATCC、Manassas、VA)と融合し、選択培地に播種した。限界希釈法による3回のサブクローニングで融合体を単離し、これをヒトIL−13に対する結合親和力を有する抗体の産生についてスクリーニングした。3種のモノクローナル抗体がIL−13と結合することができ、その生物活性を中和および/または阻害することができた。モノクローナル抗体mAb13.2(IgG1κ)を更なる解析の対象とした。
【0114】
いくつかのアッセイを行って、マウスのモノクローナル抗体mAb13.2がヒトIL−13に高い親和性と特異性で結合することを確認した。初めに、Biacore分析により、ヒトIL−13への結合に対して、mAb13.2が速いon−rate、遅いoff−rate、および高い親和性を持つことを確認した(図4)。
【0115】
ELISAアッセイにより、mAb13.2は、臍帯血T細胞に由来する天然型IL−13を含めて、試験したすべての形のヒトIL−13と結合することが分かった。このアッセイを組換え型ヒトIL−13で行うために、ELISAプレートに抗FLAG M2抗体を塗布した。組換え型FLAGタグ付きヒトIL−13の結合は、ビオチン化mAb13.2およびストレプトアビジン−ペルオキシダーゼを用いて検出した。この結合は、マイトジェン活性化、TH2ねじれ形、臍帯血単核細胞から単離された天然型ヒトIL−13、および組換え型ヒトIL−13と競合していると思われる(図5)。組換え型マウスIL−13は、mAb13.2との結合について競合することができなかった。非標識mAb13.2およびmAb13.2Fabも、FLAGタグ付きIL−13に対する結合についてビオチン化mAb13.2と競合することができた(図11A)。IL−13特異性非中和性モノクローナル抗体mAb13.8は、ビオチン化mAb13.2の結合性と競合することができなかった。
【0116】
TF1バイオアッセイ、ヒト末梢血単球、およびヒト末梢血B細胞を用いて、in vitroでmAb13.2がIL−13の生物活性を中和できるかどうかを確認した。最適以下の濃度のIL−13の存在下、ヒト赤白血病TF1細胞株の細胞の増殖をIL−13依存性とすることができた。TF1細胞株をサイトカイン不足にし、次いで様々な濃度の精製マウスmAb13.2または可溶性阻害剤rhuIL−13Rα2の存在下、最適以下の濃度(3ng/mL)の組換え型ヒトIL−13に露出した。細胞を3日間インキュベートし、液体シンチレーションの計数によって最後の4時間における3H−チミジンの取り込みを測定した。最適以下のIL−13濃度(3ng/mL)で、mAb13.2はTF1増殖の用量依存性阻害を引き起こした(図6および図12A)。この効果に対するIC50、250pM、はrhuIL−13Rα2のIC50に匹敵する。mAb13.2FabもCD23発現ヒトPBMCを阻害した。
【0117】
ヒトPBMCは、低親和性IgE受容体(CD23)の細胞表面の発現を用量依存で増加させることによってIL−13またはIL−4に反応する(図7A参照)。したがって、単球(CD11b+)を用いてmAb13.2がIL−13の生物活性を中和する能力を確認した。図中に示した濃度の精製マウスmAb13.2の存在下、CD11b+単球を1ng/mLの組換え型ヒトIL−13(図7B)またはIL−4(図7C)で12時間処理した。次いで、細胞を収穫し、これをCyChrome標識抗CD11b抗体およびPE標識抗CD23抗体で染色した。標識はフローサイトメトリーで検出した。mAb13.2は、IL−13誘導CD23発現を阻害した(図7B;図12Bも参照のこと)が、IL−4誘導CD23発現を阻害しなかった(図7C)。
【0118】
mAb13.2の効果を、ヒト末梢血B細胞によるIL−13誘導IgE産生のモデルにおいても試験した。IL−13およびT細胞マイトジェン、フィトヘマグルチニン(PHA)、に反応して、ヒトB細胞は、IgEへのIgアイソタイプスイッチ組換えを起こし、培養物のIgE濃度が上昇する。この効果は、IgE産生B細胞の頻度増加として認められる。mAb13.2がB細胞におけるIL−13依存性IgE産生に及ぼす効果を調べるために、フィーダーとしての照射自己PBMCの存在下、マイクロタイターウェルにおいて健康なドナーからのPBMCを培養し、PHAおよびIL−13で刺激した。3週間後、ELISAにより各ウェルのIgEを測定した。PHA+IL−13により、IgE産生B細胞クローンの頻度が増加した。この効果は、mAb13.2によって阻害されたが、mAb13.8では阻害されず(IL−13に結合するが中和しなかった)、または関係ないマウスIgGでは阻害されなかった。mAb13.2は、IL−13が培養B細胞に及ぼすこの効果を効率的にブロックした(図8)。
【0119】
最後に、シグナルトランスデューサーおよび転写アクチベーター6(STAT)6のリン酸化に及ぼす効果を調べることにより、mAb13.2がIL−13に対する早期細胞応答をブロックする能力を試験した。その細胞表面受容体とIL−13の相互作用により、STAT6は二量体化し、リン酸化され、細胞質から核へ移動し、そこで、サイトカイン応答遺伝子の転写を活性化する(Murata et al.,J.Biol.Chem.270:30829−36,1995)。IL−13露出後30分以内にウェスタンブロットまたはフローサイトメトリーを行うことによって、リン酸化STAT6に対する特定の抗体により、この活性化を検出することができる。IL−13依存性STAT6のリン酸化に及ぼすmAb13.2の効果を試験するために、図中に示した濃度のIL−13を用いて37℃で30分間、HT−29ヒト上皮細胞株の細胞を処理した。ウェスタンブロット(図9A)またはフローサイトメトリー(図9Bおよび9C)により、リン酸化STAT6が細胞ライセート中に検出された。図9Bに示した実験においては、細胞を飽和濃度のIL−13を用いて37℃で30分間処理し、次いでこれを固化し、透過化処理し、リン酸化STAT6に対するAlexa−Fluor488標識mAbで染色した。図9Cに示した実験においては抗体の存在下または不存在下、細胞を最適以下の濃度のIL−13で処理し、固化し、上記のように染色した。フローサイトメトリーの結果によれば、mAb13.2はSTAT6のリン酸化をブロックするが、mAb13.8および対照マウスIgG1は効果がないことが分かった。
【実施例2】
【0120】
マウスのモノクローナル抗体mAb13.2はin vivoでのIL−13生物活性を中和する。
生まれつきブタ回虫にアレルギー性のカニクイザルの抗原誘発気道炎モデルを用いて、マウスmAb13.2がin vivo IL−13活性を中和する能力を試験した。このモデルにおいては、アレルギー性サルにブタ回虫を接種すると、気道への炎症性細胞、特に好酸球の流入が起る。mAb13.2がこの細胞の流入を防止できるかどうかを試験するために、ブタ回虫抗原を接種する24時間前に抗体を投与した。病原体接種の日に、左肺から基線洗浄試料を採取した。次いで、抗原を気管内に滴下して右肺に入れた。24時間後、右肺を洗浄し、8mg/kgの腹水精製mAb13.2を静脈に投与した動物からの気管支肺胞洗浄(BAL)液を、未投与動物からのBAL液と比較した。病原菌接種後、5匹の未投与動物の内4匹で好酸球の数が増加した。一方、mAb13.2を投与した動物6匹の内1匹で好酸球の数が増加した(図10)。未投与群については、BAL好酸球の割合は有意に増加した(p<0.02)が、抗体投与群では増加しなかった。これらの結果により、mAb13.2が、アレルゲンを接種したアレルギー性動物の気道好酸球増加症を効果的に防止することが確認された。
【0121】
マウスmAb13.2の平均血清半減期はサルで1週間未満である。mAb13.2のすべての痕跡が血清から失われたと思われる3カ月の時点で、mAb13.2を投与した動物に再度ブタ回虫を接種し、これらの個体の回虫応答性を確認した。投与された群のサル6匹の内2匹は非応答動物であることが分かった。
【実施例3】
【0122】
マウスのモノクローナル抗体mAb13.2は、正常ならIL−4Rαに対して結合するIL−13の領域に結合する。
IL−13の生物活性は、IL−13Rα1およびIL−4Rα1鎖からなる受容体複合体が仲介する。このサイトカインは、初めに細胞の表面上でIL−13Rα1との比較的低い親和性の相互作用を起こす。この複合体は次にIL−4Rα1を補充して高い親和性の受容体を形成する(Zurawski et al.,EMBO J.12:2663,1993;Zurawski et al.,J.Biol.Chem.270:23869,1995)。IL−4Rα鎖を介したシグナル伝達はSTAT6のリン酸化を伴うが、これをIL−13に対する最も早い細胞応答の1つとしてモニターすることができる(Murata et al.,J.Biol.Chem.270:30829−36,1995)。エピトープマッピング、X線結晶学、さらにはBiacore分析など、いくつかのアプローチを用いて、マウスのmAb13.2抗体とヒトIL−13との相互作用を明らかにし、さらにこの抗体のIL−13中和効果の基本を決定した。
【0123】
エピトープマッピングおよびX線結晶学は、mAb13.2が、IL−13ヘリックスCのC末端領域、即ちIL−4R結合領域(下記参照)に結合することを示した。この分析を確認するために、mAb13.2とIL−13の相互作用を、Biacoreチップを用いて分析した。この分析はいくつかのフォーマットで行われた。第1に、IL−4RをBiacoreチップに結合させ、IL−13Rα1に事前結合させたIL−13の複合体をこのチップの上に流した。mAb13.2の不存在下において、3分子複合体の形成を実証することができた。しかしながら、IL−13Rα1に事前結合させたIL−13の混合物にmAb13.2を添加すると、チップ上のIL−4Rに対する結合が妨げられた。第2に、mAb13.2をチップ上に固定化し、結合したIL−13を溶液相に添加した。IL−13Rα1がこの結合IL−13と相互作用することが分かったが、IL−4Rと結合IL−13との相互作用は認められなかった。第3に、mAb13.2は、チップ上に固定化されたIL−13Rα1−FcまたはIL−13Rα1モノマーに結合したIL−13に結合することができることが実証された。これらの観察により、mAb13.2は、IL−13とIL−13Rα1との相互作用を阻害しないが、IL−13Rα1とIL−4Rαとの相互作用を阻害することが分かる。この阻害は、IL−13シグナル伝達複合体の形成を妨げると思われる。これらの観察は、この抗体の中和活性についてのモデルを提供した。
【0124】
IL−13およびIL−13Rα1とのmAb13.2の複合体のin vitroでの実証は、mAb13.2は、細胞表面で、受容体が関連したIL−13に潜在的に結合することができることを示す。細胞に結合したmAb13.2を、受容体に結合したIL−13を飽和させた条件下で検出することができるかどうかを判定するために、4℃でHT−29ヒト上皮細胞株にIL−13を装入し、抗体結合性を試験した。フローサイトメトリーによって、細胞に結合したmAb13.2を検出することができなかった。この観察、ならびにmAb13.2がIL−13生物活性の有効な中和剤であるという実証により、IL−13受容体の正常な機能がmAb13.2によって阻害されることが分かった。
【実施例4】
【0125】
抗IL−13抗体mAb13.2Fabフラグメントの結晶構造
マウス腹水からのモノクローナル抗体mAb13.2を、プロテインAアフィニティーカラムを用いて精製した。マウス腹水をプロテインA結合緩衝液(50mM Tris−HCl、500mM NaCl、pH8.0)で2倍に希釈し、0.2mmのフィルターユニットを通して濾過した。濾過した溶液を、4℃で、結合緩衝液で平衡にしたPorosプロテインAカラム(Applied Biosystems、Framingham、MA)にかけた。カラムを結合緩衝液で洗浄し、100mMグリシン(pH3.0)を用いてIgGを溶出した。pH8.0の1M Tris−HClを用いて溶出したIgGを直ちに中和した。
【0126】
IL−13モノクローナルIgGを活性化パパイン(Sigma、St.Louis、MO)で分解することによってFabフラグメントを調製した。パパインは、この酵素の原液を消化緩衝液(50mM Tris−HCl、50mM NaCl、20mM EDTAおよび20mMシステイン、pH7.5)を用いて氷上で希釈することによって活性化し、パパインの最終濃度を1mg/mLとした。IgGの切断は、37℃で7〜8時間、パパイン消化緩衝液中で100:1の重量比で活性化パパインを用いたインキュベーションによって行った。反応は、4℃で一晩、50mM Tris−HCl(pH7.5)中での透析によって停止させた。透析した溶液を、4℃で、50mM Tris−HCl(pH7.5)で平衡にしたタンデム型Poros HS/プロテインAカラムに装入し、パパインおよびFcフラグメントを除去した。次いで、Fabフラグメントを含有するタンデムカラムの流液を、1mMリン酸ナトリウムと20mM Tris−HCl、pH7.5で平衡にしたヒドロキシルアパタイトカラム(Bio−Rad、Hercules、CA)に装入し、1mMから125mMのリン酸ナトリウムグラジエントを用いて25℃で溶離した。溶離したFabフラグメント溶液を、4℃で一晩、50mM Tris−HCl(pH8.0)中で透析した。透析の後、この溶液を、50mM Tris−HCl(pH8.0)で平衡にしたPoros HQカラムに装入した。流液を採取し、硫酸アンモニウムで、ポリプロピルアスパルトアミドカラム(Nest Group、Southborough、MA)へ装入する前の最終濃度を1.5Mに調整した。Fabフラグメントを、25℃で1.5〜0Mの硫酸アンモニウムグラジエントを用いてカラムから溶離した。このタンパク質を、4℃で50mM Tris−HCl(pH8.0)中で透析した。
【0127】
単離したmAb13.2抗体およびmAb13.2Fabフラグメントについて、これらがIL−13の生物活性を阻害する能力を試験した。あるアッセイにおいては、精製したmAb13.2およびmAb13.2Fabフラグメントについて、ELISAアッセイにおいて、これらがビオチン化mAb13.2と結合性を競合する能力を試験した。ELISAプレートに抗FLAG M2抗体を塗布した。FLAG−ヒトIL−13の結合は、ビオチン化mAb13.2とストレプトアビジン−ペルオキシダーゼを用いて検出した。この無処置抗体とFabフラグメントは両方とも結合性を競合することができたが、IL−13に特異的な非中和抗体mAb13.8は結合性を競合することができなかった(図11Aおよび11B)。
【0128】
別のアッセイにおいては、精製したmAb13.2およびmAb13.2Fabフラグメントについて、これらがIL−13に依存したTF1細胞の増殖およびPBMC上でのIL−13に依存したCD23の発現を阻害する能力を試験した。実施例1に記載の組換え型ヒトIL−13を3ng/mL用いて、TF1細胞をインキュベートした。精製mAb13.2またはmAb13.2Fabの濃度を上げながらこの細胞を処理し、細胞の増殖を上記のようにモニターした。無処置抗体およびFabフラグメントの両方ともIL−13に依存したTF1細胞の増殖を阻害した(図12A)。単離されたタンパク質がCD23の発現に及ぼす影響を試験するために、実施例1に記載の組換え型ヒトIL−13を1ng/mL用いて、PBMCをインキュベートした。mAb13.2またはmAb13.2Fabの濃度を上げながらこの単球を処理し、CD23の発現を上記のようにフローサイトメトリーでモニターした。精製した無処置抗体および精製したFabフラグメントはそれぞれ、IL−13に依存したCD23の発現を阻害した(図12B)。
【0129】
結晶化のために、50mM Tris(pH8.0)と50mM NaClの溶液中に12.6mg/mLの濃度で精製mAb13.2Fabを調製した。1マイクロリットルのタンパク質溶液を、1μlの結晶化溶液(20%のPEG3350、200mMのK2SO4)(Hampton Research、Aliso Viejo、CA)と混ぜた。結晶は、ハンギングドロップ蒸気拡散法によって約18℃で形成した。
【0130】
mAb13.2Fabフラグメントの結晶からのデータは、ADSC Quantum−4 CCD検出器を用いて、Advanced Light Source(ALS)(Berkley、CA)のbeamline 5.0.2に集めた。それぞれのデータセットには、−180℃でガラス化した単結晶を用いた。これらのデータは、DENSOおよびScalepack(Otwinowski and Minor,Methods Enzymol.276:307−326,1997)を用いて処理した。データ収集およびデータ精密化からの統計量を、それぞれ以下の表1および2に示す。
【0131】
【表1】
aRmerge=Σ|Ih-<Ih>|/ΣIh、但し、<Ih>は対称等価物の平均強度である。括弧内の数字は最終シェルについての統計量を示す。
【0132】
【表2】
aRwork=Σ||Fobs|-|Fcalc||/Σ|Fobs|、RfreeはRworkと同じであるが、精密化プロセスからオミットした任意に選んだ5%の反射についての計算である。
bMoy et al.,J. Mol. Biol. 310:219-230,2001.
【0133】
プログラムAMORE(Navaza,Acta Crystallogr.A50:157−163,1994)を用いて、分子置換によってmAb13.2Fabの構造を解明した。モノクローナル2E8Fab抗体フラグメント(PDBコード12E8)の構造をプローブとして用いた。精密化の前に、精密化の経過をモニターするために、データの5%を任意に選んでRfree試験セットと命名した。次いで、一連のオミットマップを用いて、mAb13.2Fabの構造をQUANTA(Accelrys、San Diego、CA)内に再構築した。CNS(Brunger et al.,Acta Crystallogr.D54:905−921,1998)を用いた6サイクルの精密化およびQUANTAを用いた再構築の後、この精密化は、Rcryst25.9%およびRfree30.7%で、mAb13.2Fabと水分子41個を含んだモデルに収斂した。構造精密化の統計量を表2に示す。結晶の構造座標を表10に示す。
【実施例5】
【0134】
mAb13.2Fab/IL−13複合体の結晶構造
組換え型IL−13(スイスプロットアクセッション番号P35225)およびmAb13.2Fabを、結晶化のために精製した。組換え型IL−13は以下のようにして精製した。ヒトIL−13の発現に大腸菌K12株GI934を用いた。GI934は、2種の大腸菌プロテアーゼompTおよびompPにおいて特定の欠失を含むGI724(LaVallie et al.,Bio/Technology 11:187−193,1993)のilvG誘導体である。具体的には、この株は、染色体のampC座に安定的に組み込まれたバクテリオファージ1リプレッサー(cI)遺伝子を含む。cI遺伝子は、合成ネズミチフス菌trpプロモーターによって制御される。pAL−781(Collins−Racie,et al.,Bio/Technology 13:982−987,1995)の誘導体である、大腸菌発現ベクターpAL−981を、ヒトIL−13発現ベクターを構築するための基剤として用いた。
【0135】
大腸菌コドン使用頻度を最適化し、遺伝子の5’末端におけるAT含量を増やしたヒトIL−13cDNA(アクセッション番号NM_002188)からの沈黙変化を持つように設計された合成オリゴヌクレオチド二本鎖から、ヒトIL−13遺伝子のcDNAを産生した。ヒトIL−13のアミノ酸(配列番号3)(図2A)のアミノ酸Gly21〜Asn132に対応する合成オリゴヌクレオチドの相補的二本鎖3セットを用いて、ヒトIL−13の成熟領域を構築した。これは処理されたIL−13のアミノ酸配列(配列番号4)である。二本鎖1の大腸菌最適化相補的オリゴヌクレオチドは、5’−TATGGGTCCAGTTCCACCATCTACTGCTCTGCGTGAACTGATTGAAGAACTGGTTAACATCACCCAGAACCAGAAAGCTCCGCTGTGTAACGGTTCCATGGTTTGGTCCATCAACCTG−3’(配列番号6)および相補体
5’−CAGCGGTCAGGTTGATGGACCAAACCATGGAACCGTTACACAGCGGAGCTTTCTGGTTCTGGGTGATGTTAACCAGTTCTTCAATCAGTTCACGCAGAGCAGTAGATGGTGGAACTGGACCCA−3’(配列番号7)であった。二本鎖2は、
5’−ACCGCTGGTATGTACTGTGCAGCTCTGGAATCCCTGATCAACGTTTCTGGTTGCTCTGCTATCGAAAAAACCCAGCGTATGCTGTCTGGTTTCTGCCCGCACAAAGTTTCCGCTGGTCAG−3’(配列番号8)および相補体
5’−GAGGAGAACTGACCAGCGGAAACTTTGTGCGGGCAGAAACCAGACAGCATACGCTGGGTTTTTTCGATAGCAGAGCAACCAGAAACGTTGATCAGGGATTCCAGAGCTGCACAGTACATAC−3’(配列番号9)であった。二本鎖3は、
5’−TTCTCCTCTCTGCACGTTCGTGACACCAAAATCGAAGTTGCTCAGTTCGTAAAAGACCTGCTGCTGCACCTGAAAAAACTGTTCCGTGAAGGTCGTTTCAACTAATAAT−3’(配列番号10)および相補体
5’−CTAGATTATTAGTTGAAACGACCTTCACGGAACAGTTTTTTCAGGTGCAGCAGCAGGTCTTTTACGAACTGAGCAACTTCGATTTTGGTGTCACGAACGTGCAGA−3’(配列番号11)であった。
【0136】
第1および第2の二本鎖の相補的(ボトム)ストランド、ならびに第2および第3の二本鎖のトップストランドを独立にリン酸化した。これらの相補的ストランドを結合し、それぞれの二本鎖混合物を90℃に加熱し、次いで徐々に冷却してこれらの二本鎖のアニーリングを可能にした。第1および最後の二本鎖は、それぞれ制限エンドヌクレアーゼNdelおよびXbalをコードしており、Ndel、Xbalで消化されゲル精製された発現ベクターpAL−981へのクローニングを可能にした。すべての制限消化、オリゴヌクレオチドの酵素的リン酸化、DNAフラグメントの分離およびライゲーションは、Sambrook et al.,1989.“Molecular Cloning,a Laboratory Manual,second edition,”Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,New Yorkに記載のように行った。連結混合物を、記載(LaVallie et al.,Methods Mol Biol.205:119−140,2003)のようにして、エレクトロコンピテントGI934に形質転換した。3セットのオリゴヌクレオチド二本鎖のpAL−0981へのライゲーションにより、プラスミドpALHIL13−981を作成した。この発現ベクターへのクローニングの後、すべての合成オリゴヌクレオチドを配列確認した。
【0137】
得られたプラスミドpALHIL13−981をGI934に形質転換した。プラスミドpALHIL13−981からヒトIL−13を産生するための培養に最適な成長温度は経験的に決めた。培養培地は、1%カザミノ酸、1.75%(w/v)グルコース、50mM KH2PO4、15mM(NH4)2SO4、30mM Na3クエン酸2H2O、20mM MgSO4、100μg/ml アンピシリン、DM微量金属(300μM FeCl3、29μM ZnCl3、36μM CoCl2、25μM Na2MoO4、20μM CaCl2、22μM CuCl2、24μM H3BO3)からなり、NH4OHでpH7に調整した。培地10Lに、培養媒体中30℃で成長させたpALHIL13−981を含むGI934の新鮮な培養物をA5500.00005まで接種した。この培養物を30℃でA5501.2まで成長させ、次いで温度を37℃に調整し、培養物をA5507.5まで成長させた。この培養物に500μg/mlまでトリプトファンを添加することにより、pLプロモーターからのタンパク質合成の誘発を開始させた。37℃で4.25時間培養物を成長させた後、遠心分離により細胞を収穫した。発現ベクターの配列を図13に示す(配列番号5)。
【0138】
このタンパク質は事実上完全に不溶性であった。マイクロフルイダイザーを用いて細胞を破壊し、不溶性のIL−13を集め、50mM Ches(pH9)、6M グアニジン−HCl、1mM EDTA、20mM DTT中に約2mg/mLで溶解した。この溶液を、50mM Ches(pH9)、3M グアニジン−HCl、100mM NaCl、1mM 酸化型グルタチオンに20倍希釈し、10倍量の20mM Mes(pH6)に対して2回透析した。遠心分離による清澄化の後、IL−13をSP−セファロースに吸着させ、Mes緩衝液のNaClのグラジエントを用いて溶離した。最終的な精製は、Superdex75上で40mM リン酸ナトリウム、40mM NaCl中でのサイズ排除クロマトグラフィーによって行った。
【0139】
実施例4に記載した方法でmAb13.2Fabを精製した。
【0140】
FabとIL−13をモル比約1:1で結合させることによってFab:IL−13複合体を調製した。IL−13(40mM MESおよび40mM NaCl中50μM、pH6.0)とmAb13.2Fab(50mM Tris.HCl中50μM、pH8.0)を混合して、最終の複合体濃度を50μMとした。50mM Tris−HClおよび300mM NaCl、pH8.0で平衡にしたSuperdex75サイズ排除カラム(Amersham Biosciences、Piscataway、NJ)によって、25℃で、この複合体をさらに精製した。結晶化開始前に、精製した複合体を50mM Tris−HClおよび50mM NaCl、pH8.0で透析した。
【0141】
結晶化のために、50mM Tris(pH8.0)および50mM NaClの溶液中に11.3mg/mLの濃度で精製mAb13.2Fab/IL−13複合体を調製した。1マイクロリットルのタンパク質溶液を、1μlの結晶化溶液(20% PEG3350、50mM ZnOAc)(Hampton Research、Aliso Viejo、CA)と混ぜた。結晶は、ハンギングドロップ法による蒸気拡散によって18℃で形成した。
【0142】
mAb13.2Fab/IL−13複合体の結晶からのデータは、ADSC Quantum−4 CCD検出器を用いて、ALS(Berkley、CA)のbeamline5.0.2に集めた。このデータセットには、−180℃でガラス化した単結晶を用いた。これらのデータは、DENSOおよびScalepack(Otwinowski and Minor,Methods Enzymol.276:307−326,1997)を用いて処理した。データ精密化からの統計量を表2に示す。結晶構造座標は表11に示す。
【0143】
mAb13.2Fab/IL−13二成分複合体の結晶は、シンクロトロン放射を用いて1.8Åまで回折した。プログラムAMOREを用い、mAb13.2Fabの結晶構造(実施例4に記載)をプローブとして用いて、分子置換によって複合体の構造を解明した。精密化の前に、精密化の経過をモニターするために、データの5%を任意に選んでRfree試験セットと命名した。次いで、一連のオミットマップを用いて、mAb13.2Fabの構造をQUANTA内に再構築した。この処理中に、超可変領域の近くに余分な電子密度が観察された。これらの領域はそれぞれの再構築サイクルの後ではっきりした。Fabフラグメントを再構築した後、IL−13のNMR構造(Moy et al.,J.Mol.Biol.310:219−230,2001)を回転させて超可変領域に隣接する電子密度にした。CNS(Accelrys、San Diego、CA)を用いた3サイクルの精密化およびQUANTA内での再構築の後、この精密化は、Rcryst20.3%およびRfree23.5%で、1分子のmAb13.2Fab、1分子のIL−13、1分子のアセテート、3個の亜鉛イオン、および465個の水分子を含んだモデルに収斂した。構造精密化の統計量を表2に示す。
【0144】
mAb13.2/IL−13複合体結晶において、Fab軽鎖の残基1−211は可視であったが、残基212、213、および214は電子密度内に観察されなかった。重鎖については、残基1−127および133〜210は電子密度にモデリングされ、残基128〜132については、電子密度は観察されなかった。IL−13については、残基7〜21、26〜78、および81〜109は可視であり、残基1〜6、22〜25、および80は乱れていた。いくつかの残基は、不適当な電子密度のX線実験のために、より小さな残基としてモデリングされた(表5参照)。
【0145】
結晶化緩衝液からの3個の亜鉛分子がこの構造に結合しているのが分かった。これらはいずれもIL−13とFab分子の相互作用には関与していなかった。亜鉛分子の内2個は、非対称ユニットにおける分子間の接触およびタンパク質の対称関連コピーに関与していた。したがって、これらはこの複合体の結晶化にとって重要であった。亜鉛1は、Fab軽鎖Glu27およびGlu97、ならびに軽鎖の対称関連コピーの残基Glu189およびHis193に配位していた(アミノ酸の番号付けは配列番号1(図1A)による)。亜鉛2は、IL−13残基His84およびAsp87、ならびにIL−13の対称関連コピーの残基Asp98およびHis102に配位していた。亜鉛3は、他のリガンドとして水分子と共にIL−13残基Glu12およびGlu15に配位していた(アミノ酸の番号付けは配列番号4(図2B)による)。
【0146】
mAb13.2Fabフラグメントと相互作用するIL−13の残基は、ヘリックスCのC末端に位置していた(残基68〜74)。図3は、IL−13のCαヘリックスと抗体のCDRループとの相互作用を示す。FabとIL−13残基Glu49、Asn53、Gly69、Pro72、His73、Lys74、およびArg86の間に水素結合相互作用の存在が観察された。ヘリックスAのN末端の先端は、Fabフラグメントのファンデルワールス距離内であった。これらの相互作用を表3および4に要約して示す。
【0147】
【表3】
aアミノ酸残基は、Il-13の処理された形(配列番号4)に従って番号が付けられている。「I」はIL-13のアミノ酸を示す。
bアミノ酸残基は、配列番号1(軽鎖残基についてのもの、「L」)または配列番号2(重鎖残基についてのもの、「H」)に対応し、Chothia番号付け方式に従って番号が付けられている(Al-Lazikani et al.,Jour. Mol. Biol. 273:927-948,1997)。
cアミノ酸残基は、配列番号1(軽鎖残基についてのもの、「L」)または配列番号2(重鎖残基についてのもの、「H」)の番号付けに従って番号が付けられている。
【0148】
【表4−1】
【表4−2】
aアミノ酸残基は、Il-13の処理された形(配列番号4)に従って番号が付けられている。「I」はIL-13のアミノ酸を示す。
bアミノ酸残基は、配列番号1(軽鎖残基についてのもの、「L」)または配列番号2(重鎖残基についてのもの、「H」)に対応し、Chothia番号付け方式に従って番号が付けられている(Al-Lazikani et al.,Jour. Mol. Biol. 273:927-948,1997)。表6および7を参照のこと。
cアミノ酸残基は、配列番号1(軽鎖残基についてのもの、「L」)または配列番号2(重鎖残基についてのもの、「H」)の番号付けに従って番号が付けられている。
【0149】
【表5】
a「HC」は重鎖(配列番号2)であり;「LC」は軽鎖(配列番号1)であり;「I」は処理されたIL-13(配列番号4)である。
bアミノ酸残基は、配列番号1(軽鎖残基についてのもの、「LC」)または配列番号2(重鎖残基についてのもの、「HC」)に対応し、Chothia番号付け方式に従って番号が付けられている(Al-Lazikani et al.,Jour. Mol. Biol. 273:927-948,1997)。表6および7を参照のこと。
cアミノ酸残基は、配列番号1(軽鎖残基についてのもの、「LC」)、配列番号2(重鎖残基についてのもの、「HC」)、または配列番号4(処理されたIL-13ポリペプチドの残基についてのもの、「I」)の番号付けに従って番号が付けられ、識別される。
【0150】
図3は、mAb13.2FabとヒトIL−13の共結晶構造を示すリボンダイアグラムである。mAb13.2Fabの軽鎖は濃い陰影で示され、重鎖は薄い陰影で示されている。IL−13構造は右に示されている。この図は、IL−13のCαヘリックスと抗体のCDRループとの相互作用を示す。IL−13と水素結合接触を行うmAb13.2重鎖の主残基は、SER50(CDR2)、SER53(CDR2)、TYR101(CDR3)、およびTYR102(CDR3)である。IL−13とファンデルワールス接触を行うmAb13.2重鎖の主残基は、ILE30(CDR1)、SER31(CDR1)、ALA33(CDR1)、TRP47、SER50(CDR2)、SER52(CDR2)、SER53(CDR2)、TYR58(CDR2)、LEU98(CDR3)、ASP99(CDR3)、GLY100(CDR3)、TYR101(CDR3)、TYR102(CDR3)、およびPHE103(CDR3)である(表4参照;アミノ酸は配列番号2(図1B)の番号付けに従って番号を付けた)。
【0151】
配列番号1(図1A)のアミノ酸番号付けによれば、IL−13と水素結合接触を行うmAb13.2軽鎖の主残基は、ASN31(CDR1)、TYR32(CDR1)、LYS34(CDR1)、ASN96(CDR3)、およびASP98(CDR3)である。IL−13とファンデルワールス接触を行うmAb13.2軽鎖の主残基は、ASN31(CDR1)、TYR32(CDR1)、LYS34(CDR1)、ARG54(CDR2)、ASN96(CDR3)、ASP98(CDR3)、およびTRP100(CDR3)である(表4参照)。
【0152】
抗体の重鎖および軽鎖ポリペプチドのアミノ酸残基を記述するために、様々な番号付けスキームが発展した。KabatとChothiaのスキームでは、挿入が認められた、ポリペプチドの特定のCDR領域に線形で受け入れられたアミノ酸残基に番号を付ける。Kabat方式(Kabat et al.,NIH Publ.No.91−3242,5th ed.,vols.1−3,Dept.of Health and Human Services,1991)では、配列変異によって重鎖および軽鎖CDRの位置を定義する。一方、Chothia方式(Al−Lazikani et al.,Jour.Mol.Biol.273:927−948,1997)では、ループ領域によってその位置を構造的に定義する。CDR挿入の配置が異なるために、この2つの方式の間で、重鎖および軽鎖のアミノ酸の番号付けが異なる可能性がある。アミノ酸挿入の表示法により、これらの各番号付け方式は線形番号付けから逸脱する。表6および7は、これら3つの異なる番号付けスキーム(Kabat、Chothia、および線形番号付け)によるmAb13.2Fabの、それぞれ、軽鎖および重鎖のアミノ酸配列を一列に並べている。
【0153】
【表6−1】
【0154】
【表6−2】
【0155】
【表6−3】
【0156】
【表6−4】
【0157】
【表6−5】
【0158】
【表6−6】
a太字フォントは、ChothiaまたはKabat番号付け方式による線形配列への挿入を示す。太字と下線で表した残基はX線データによって決定された挿入を示す。
【0159】
【表7−1】
【0160】
【表7−2】
【0161】
【表7−3】
【0162】
【表7−4】
【0163】
【表7−5】
【0164】
【表7−6】
a太字フォントは、ChothiaまたはKabat番号付け方式による線形配列への挿入を示す。太字と下線で表した残基はX線データによって決定された挿入を示す。
【実施例6】
【0165】
インターロイキン−13、IL−13受容体α1、および抑制抗体mAb13.2Fab結合領域の三量複合体の結晶構造
IL−13Rα1の細胞外領域(残基27〜342;図14参照)を、C−末端に6xHisタグを融合して発現させた(Aman et al.,J.Biol.Chem.271:29265−29270,1996)。発現は酵母Pichia pastoris中で行われた。組換え型タンパク質は、NiNTA−アガロース(Qiagen)のアフィニティークロマトグラフィーの後、HiTrap Q Sepharose HP(Pharmacia、Amersham Pharmacia Biotech、UK)の陰イオン交換クロマトフラフィー、およびSuperdex−75(Pharmacia)のゲル濾過クロマトフラフィーにより均一に精製した。
【0166】
ヒトIL−13(アミノ酸残基1〜113)(配列番号4)を実施例5に記載の方法で発現させ、精製した。
【0167】
受容体にIL−13をわずかに過剰に混ぜることにより、IL−13とIL−13Rα1を含む複合体を形成した。サイズ排除クロマトフラフィー分析によって複合体の形成を確認した後、この複合体を、エンドグリコシダーゼHf(endoHf)(25,000ユニット/mL)を用いて37℃で90分間処理した。脱グリコシル化複合体をコンカナバリンA(conA)−Sepharoseカラムに通して非切断オリゴ糖を有するタンパク質を除去し、残った複合体をNiNTAカラムに通してEndoHfを除去した。精製されたこの複合体を、Superdex−200(GE Healthcare、以前はAmersham Biosciences、Piscatway、NJ)のゲル濾過クロマトフラフィーにより均一に精製した。IL−13とIL−13Rα1の1:1複合体の形成は、結晶スクリーニングの前に、未変性ポリアクリルアミドゲル電気泳動およびサイズ排除クロマトフラフィーによって確認された。
【0168】
mAb13.2Fabは、実施例4に記載の方法で精製した。
【0169】
18℃で、10mg/mlタンパク質複合体、13%PEG−MME2000、および100mM HEPES(pH7.0)を含むハンギングドロップの蒸気拡散により、IL−13、IL−13Rα1、およびmAb13.2Fab複合体の結晶を成長させた。結晶は数週間で現れたが、数カ月間は最大のサイズには到達しなかった。この結晶は、空間群I4と、単位格子寸法a=164.9Å、b=164.9Å、およびc=74.8Åの対称を持っていた。データ収集前に、結晶を、10%エチレングリコールを加えた母液にわずかの間移し、液体窒素中で瞬間冷却した。データ収集中、結晶は100Kに保持した。データは、Advanced Light Source、Berkeley、Californiaの5.0.1 beam lineに集めた。強度は、DENZO(Otwinowski and Minor,Methods Enzymol.276:307−326,1997)およびSCALA(「CCP4」、Acta Cryst D50:760−763,1994)を用いて積算し、スケーリングした。
【0170】
mAb13.2Fab/IL−13複合体の座標(表11)を用いた分子置換によって構造を解明した。最初の位相は、CCP4(「CCP4」、Acta Cryst D50:760−763,1994)に実装されたSolomonを用いた溶媒平滑化によって改良した。CCP4内の剛体精密化を用いて最初のモデルを得た。連続的な電子密度を有する実験マップを得、QUANTA(Accelrys,Inc.、San Diego、CA)を用いて最初のモデルを構築し、CNS(Brunger et al.,Acta Cryst.D54:905−921,1998)を用いて30〜2.2Åからのデータに対して精密化した。IL−13Rα1(残基6〜314)、mAb13.2Fab(軽鎖残基1〜213および重鎖残基1〜213)、およびIL−13(残基6〜112)のポリペプチド鎖、ならびに123個の水分子を含む最終精密化モデルは、使用R値が24.4%でありフリーR値が27.2%である。データ収集およびデータ精密化の統計量を、表8および9に示す。ラマチャンドランプロットの許可領域外の骨格ねじれ角はなかった。PYMOL(DeLano,“The PYMOL Molecular Graphics System”(2002)DeLano Scientific,San Carlos,CA)およびRibbons(Carson,J.Appl.Cryst.24:958−961,1991)を用いて構造図を作成した。表12に構造座標を示す。IL−13Rα1の以下の残基は、Cβ原子を超える電子密度を有しておらず、以下のそれぞれの座標は、この不明瞭性を表すべく打ち切られた:81E、93R、104T、105N、111S、112I、122E、124D、150R、151T、157N、165R、168E、169K、174E、195S、196S、197F、305D、306T、339K、110P、200Q、203Q、204I、209N、212K、213I、214K、240N、279E、284N、および293N。
【0171】
【表8】
aRmerge=Σ|Ih-<Ih>|/ΣIh、但し、<Ih>は対称等価物の平均強度である。括弧内の数字は最終分解能シェル(2.8Å〜2.7Å)についての統計量を示す。
【0172】
【表9】
aRwork=Σ||Fobs|-|Fcalc||/Σ|Fobs|、RfreeはRworkと同じであるが、精密化プロセスからオミットした任意に選んだ6.4%の反射についての計算である。
【0173】
IL−13とIL−13Rα1の間には2つの実質的な相互作用がある。1つの相互作用は、Ig領域1と、このサイトカインのヘリックスCおよびDに接続するループの一部の間であり、もう1つの相互作用は、この受容体のIg領域3とIL−13のヘリックスAおよびDの間である(図15参照)。
【0174】
IL−13Rα1のIg領域1とIL−13の間の相互作用により、これら2つの分子に及ぶ拡張βシートが形成される。IL−13の残基Thr88、Lys89、Ile90、およびGlu91(配列番号4)は、受容体の残基Lys76、Lys77、Ile78、およびAla79(配列番号12)と相互作用するβストランドを形成する(図16参照)。さらに、IL−13のMet33の側鎖は、これらの隣接するストランドの側鎖によって形成される疎水性ポケットに延在している。
【0175】
Ig領域3との相互作用の主な特徴は、受容体IL−13Rα1のIg領域3にある疎水性ポケット内へのIL−13の疎水性残基(Phe107)の挿入である。IL−13Rα1の疎水性ポケットは、Leu319、Cys257、Arg256、およびCys320の側鎖によって形成される(図17)。IL−13のPhe107との相互作用により、IL−13Rα1のアミノ酸残基Ile254、Ser255、Arg256、Lys318、Cys320、およびTyr321(配列番号12)と、IL−13のアミノ酸残基Arg11、Glu12、Leu13、Ile14、Glu15、Lys104、Lys105、Leu106、Phe107、およびArg108(配列番号4)の間に、1組の拡張されたファンデルワールス相互作用が得られる(図17参照)。
【0176】
【表10−1】
【0177】
【表10−2】
【0178】
【表10−3】
【0179】
【表10−4】
【0180】
【表10−5】
【0181】
【表10−6】
【0182】
【表10−7】
【0183】
【表10−8】
【0184】
【表10−9】
【0185】
【表10−10】
【0186】
【表10−11】
【0187】
【表10−12】
【0188】
【表10−13】
【0189】
【表10−14】
【0190】
【表10−15】
【0191】
【表10−16】
【0192】
【表10−17】
【0193】
【表10−18】
【0194】
【表10−19】
【0195】
【表10−20】
【0196】
【表10−21】
【0197】
【表10−22】
【0198】
【表10−23】
【0199】
【表10−24】
【0200】
【表10−25】
【0201】
【表10−26】
【0202】
【表10−27】
【0203】
【表10−28】
【0204】
【表10−29】
【0205】
【表10−30】
【0206】
【表10−31】
【0207】
【表10−32】
【0208】
【表10−33】
【0209】
【表10−34】
【0210】
【表10−35】
【0211】
【表10−36】
【0212】
【表10−37】
【0213】
【表10−38】
【0214】
【表10−39】
【0215】
【表10−40】
【0216】
【表10−41】
【0217】
【表10−42】
【0218】
【表10−43】
【0219】
【表10−44】
【0220】
【表10−45】
【0221】
【表10−46】
【0222】
【表10−47】
【0223】
【表10−48】
【0224】
【表10−49】
a:表6および7に示されるChothia番号付けシステムに従って、軽鎖(L)および重鎖(H)のアミノ酸残基を、各々、番号付ける。
b:カラムをプロテインデータバンクフォーマット、バージョン2.2に従って標識化する。
【0225】
【表11−1】
【0226】
【表11−2】
【0227】
【表11−3】
【0228】
【表11−4】
【0229】
【表11−5】
【0230】
【表11−6】
【0231】
【表11−7】
【0232】
【表11−8】
【0233】
【表11−9】
【0234】
【表11−10】
【0235】
【表11−11】
【0236】
【表11−12】
【0237】
【表11−13】
【0238】
【表11−14】
【0239】
【表11−15】
【0240】
【表11−16】
【0241】
【表11−17】
【0242】
【表11−18】
【0243】
【表11−19】
【0244】
【表11−20】
【0245】
【表11−21】
【0246】
【表11−22】
【0247】
【表11−23】
【0248】
【表11−24】
【0249】
【表11−25】
【0250】
【表11−26】
【0251】
【表11−27】
【0252】
【表11−28】
【0253】
【表11−29】
【0254】
【表11−30】
【0255】
【表11−31】
【0256】
【表11−32】
【0257】
【表11−33】
【0258】
【表11−34】
【0259】
【表11−35】
【0260】
【表11−36】
【0261】
【表11−37】
【0262】
【表11−38】
【0263】
【表11−39】
【0264】
【表11−40】
【0265】
【表11−41】
【0266】
【表11−42】
【0267】
【表11−43】
【0268】
【表11−44】
【0269】
【表11−45】
【0270】
【表11−46】
【0271】
【表11−47】
【0272】
【表11−48】
【0273】
【表11−49】
【0274】
【表11−50】
【0275】
【表11−51】
【0276】
【表11−52】
【0277】
【表11−53】
【0278】
【表11−54】
【0279】
【表11−55】
【0280】
【表11−56】
【0281】
【表11−57】
【0282】
【表11−58】
【0283】
【表11−59】
【0284】
【表11−60】
【0285】
【表11−61】
【0286】
【表11−62】
【0287】
【表11−63】
【0288】
【表11−64】
【0289】
【表11−65】
a:表6および7に示されるChothia番号付けシステムに従って、軽鎖(L)および重鎖(H)のアミノ酸残基を、各々、番号付ける(Al-Lazikaniら、Jour. Mol. Biol. 273:927-948,1997)。IL−13(I)のアミノ酸残基を配列番号4(図2B)に示すように番号付ける。
b:カラムをプロテインデータバンクフォーマット、バージョン2.2に従って標識化する。
【0290】
【表12−1】
【0291】
【表12−2】
【0292】
【表12−3】
【0293】
【表12−4】
【0294】
【表12−5】
【0295】
【表12−6】
【0296】
【表12−7】
【0297】
【表12−8】
【0298】
【表12−9】
【0299】
【表12−10】
【0300】
【表12−11】
【0301】
【表12−12】
【0302】
【表12−13】
【0303】
【表12−14】
【0304】
【表12−15】
【0305】
【表12−16】
【0306】
【表12−17】
【0307】
【表12−18】
【0308】
【表12−19】
【0309】
【表12−20】
【0310】
【表12−21】
【0311】
【表12−22】
【0312】
【表12−23】
【0313】
【表12−24】
【0314】
【表12−25】
【0315】
【表12−26】
【0316】
【表12−27】
【0317】
【表12−28】
【0318】
【表12−29】
【0319】
【表12−30】
【0320】
【表12−31】
【0321】
【表12−32】
【0322】
【表12−33】
【0323】
【表12−34】
【0324】
【表12−35】
【0325】
【表12−36】
【0326】
【表12−37】
【0327】
【表12−38】
【0328】
【表12−39】
【0329】
【表12−40】
【0330】
【表12−41】
【0331】
【表12−42】
【0332】
【表12−43】
【0333】
【表12−44】
【0334】
【表12−45】
【0335】
【表12−46】
【0336】
【表12−47】
【0337】
【表12−48】
【0338】
【表12−49】
【0339】
【表12−50】
【0340】
【表12−51】
【0341】
【表12−52】
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【0348】
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【0349】
【表12−60】
【0350】
【表12−61】
【0351】
【表12−62】
【0352】
【表12−63】
【0353】
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【表12−65】
【0355】
【表12−66】
【0356】
【表12−67】
【0357】
【表12−68】
【0358】
【表12−69】
【0359】
【表12−70】
【0360】
【表12−71】
【0361】
【表12−72】
【0362】
【表12−73】
【0363】
【表12−74】
【0364】
【表12−75】
【0365】
【表12−76】
【0366】
【表12−77】
【0367】
【表12−78】
【0368】
【表12−79】
【0369】
【表12−80】
【0370】
【表12−81】
【0371】
【表12−82】
【0372】
【表12−83】
【0373】
【表12−84】
【0374】
【表12−85】
【0375】
【表12−86】
【0376】
【表12−87】
【0377】
【表12−88】
【0378】
【表12−89】
【0379】
【表12−90】
【0380】
【表12−91】
【0381】
【表12−92】
【0382】
【表12−93】
【0383】
【表12−94】
【0384】
【表12−95】
a:表6および7に示されるChothia番号付けシステムに従って、軽鎖(L)および重鎖(H)のアミノ酸残基を、各々、番号付ける(Al-Lazikaniら、Jour. Mol. Biol. 273:927-948,1997)。IL−13(I)のアミノ酸残基を配列番号4(図2B)に示すように番号付ける。IL−13Rα1のアミノ酸残基を配列番号12(図14)に示すように番号付ける。
b:カラムをプロテインデータバンクフォーマット、バージョン2.2に従って標識化する。
【0385】
他の実施形態は特許請求の範囲において示す。
【図面の簡単な説明】
【0386】
【図1A】mAb13.2Fab(fragment antigen binding、抗原結合フラグメント)フラグメントの軽鎖のアミノ酸配列である(配列番号1)。
【図1B】mAb13.2Fabフラグメントの重鎖のアミノ酸配列である(配列番号2)。
【図2A】完全長ヒトIL−13のアミノ酸配列である(スイスプロットアクセッション番号P35225)(配列番号3)。
【図2B】シグナルペプチド切断後のヒトIL−13のアミノ酸配列である(配列番号4)。
【図3】mAb13.2Fabフラグメント(左)と処理された形のヒトIL−13(右)(図2B参照)の結晶構造を示すリボン図である。
【図4】Biacore分析で求めた、ヒトIL−13に結合した3つの異なる抗IL−13抗体(mAb13.2、mAb13.4、およびmAb13.9)の動力学的パラメータを示すグラフである。
【図5】組換え型および天然型ヒトIL−13に対するビオチン化mAb13.2の結合を示すグラフである。
【図6】ヒトIL−13の生物活性に対するmAb13.2および公知の阻害剤rhuIL−13Rα2の効果を示すグラフである。
【図7A】CD11b+単球上でのCD23の発現に対する組換え型ヒトIL−13およびIL−4の効果を示すグラフである。
【図7B】CD11b+単球上でのIL−13誘導CD23の発現に対するmAb13.2の効果を示すグラフである。
【図7C】CD11b+単球上でのIL−4誘導CD23の発現に対するmAb13.2の効果を示すグラフである。
【図8】ヒトB細胞によるIL−13依存性IgEの産生に対するmAb13.2の効果を示すグラフである。
【図9A】図中に示した濃度のIL−13を用いて37℃で30分間処理したHT−29ヒト上皮細胞からのリン酸化STAT6タンパク質を検出するウェスタンブロットである。
【図9B】IL−13処理後の細胞のリン酸化STAT6タンパク質濃度を測定したフローサイトメトリー実験からのヒストグラムである。
【図9C】最適以下の濃度のヒトIL−13と図に示した抗体で処理した後の、細胞のリン酸化STAT6タンパク質の濃度を測定したフローサイトメトリー実験からのヒストグラムのパネルである。
【図10】回虫抗原を肺の一部に接種した後、ブタ回虫に感作したカニクイザルからのBAL中に検出された好酸球の割合を実証するグラフである。
【図11A】ELISAアッセイにおいて、非標識mAb13.2(菱形)またはmAb13.2Fabフラグメント(円形)が、ビオチン化mAb13.2と結合性を競合することができたことを示すグラフである。
【図11B】非標識mAb13.2(菱形)またはmAb13.2Fabフラグメント(円形)が、ELISAアッセイにおけるビオチン化mAb13.2との結合性を競合することができたことを示すグラフである。
【図12A】mAb13.2(菱形)およびmAb13.2Fabフラグメント(円形)が、IL−13に依存したTF1細胞の分裂を阻害したことを示すグラフである。
【図12B】mAb13.2(菱形)およびmAb13.2Fabフラグメント(円形)が、ヒトPBMC上でのIL−13によるCD23の発現を阻害したことを示すグラフである。
【図13】ヒトIL−13cDNAインサート(hIL13coli)を含む発現ベクターpAL−981のDNA配列(配列番号5)である。
【図14】ヒトIL−13Rα1のアミノ酸配列(スイスプロットアクセッション番号P78552)(配列番号12)である。
【図15】mAb13.2Fab/IL−13/IL−13Rα1三量複合体の構造を示すリボン図である。
【図16】IL−13とIL−13Rα1のIg領域1との相互作用を示すリボン図である。
【図17】IL−13とIL−13Rα1のIg領域3との相互作用を示すリボン図である。
【図1】
【図2】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2004年6月9日に出願された米国特許仮出願第60/578,736号、2004年6月9日に出願された米国特許仮出願第60/578,473号、2004年6月22日に出願された米国特許仮出願第60/581,375号の利益を請求する。参照としてこれら出願それぞれの内容の全体を本明細書に組み込む。
【0002】
本発明は、抗IL−13抗体、抗IL−13抗体の結晶、IL−13ポリペプチド/抗IL−13抗体複合体、IL−13ポリペプチド/抗IL−13抗体複合体の結晶、IL−13Rα1ポリペプチド/IL−13ポリペプチド/抗IL−13抗体複合体、IL−13Rα1ポリペプチド/IL−13ポリペプチド/抗IL−13抗体複合体の結晶、ならびに関連する方法およびソフトウェアシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
インターロイキン13(IL−13)は、アトピー、喘息、アレルギー、および炎症反応などの免疫応答状態に関わる多面的サイトカインである。免疫応答におけるIL−13の役割は、細胞内シグナル伝達経路へのその効果によって助長される。例えば、IL−13は、B細胞増殖を促進し、B細胞にIgEを産生させ、炎症誘発性サイトカインの産生を下方に制御することができる。IL−13は、内皮細胞のVCAM−1の発現を増加させ、クラスIIMHC抗原および様々な単球の接着分子の発現を亢進させることもできる。
【0004】
IL−13の機能は、造血細胞他の細胞型の受容体との相互作用を介して伝達される。ヒトIL−13受容体(IL−13R)は、インターロイキン4受容体α鎖、IL−4Rα、およびIL−13結合鎖、IL−13Rα1、を含むヘテロ二量体である。IL−13とその受容体との結合は、IL−4Rα鎖との結合相互作用を介してSTAT6(シグナルトランスデューサーおよび転写アクチベーター6)およびJAK1(ヤヌスファミリーのキナーゼ)の活性化を誘発する。IL−13Rα2は細胞表面上または可溶性の形で血液循環中に見出され、高い親和力でIL−13に結合するが細胞応答をIL−13に伝達しない。これは囮受容体として機能するものと考えられる。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0005】
一態様では、本発明は結晶性抗体を特徴とする。この結晶性抗体は、抗IL−13抗体または抗IL−13抗体のFabフラグメントである。
【0006】
別の態様では、本発明は、抗体を含む結晶性組成物を特徴とする。この抗体は、抗IL−13抗体または抗IL−13抗体のFabフラグメントである。
【0007】
さらに別の態様では、IL−13ポリペプチドおよび抗体を含む結晶性複合体を特徴とする。この抗体は、抗IL−13抗体または抗IL−13抗体のFabフラグメントである。
【0008】
別の態様では、本発明は、IL−13Rα1ポリペプチドおよびIL−13ポリペプチドを含む結晶性複合体を特徴とする。
【0009】
さらに別の態様では、本発明は、抗体の3次元モデルを用いて、IL−13ポリペプチドと相互作用する作用薬を設計する工程を含む方法を特徴とする。この抗体は、抗IL−13抗体または抗IL−13抗体のFabフラグメントである。
【0010】
別の態様では、本発明は、IL−13ポリペプチドの3次元モデルを用いて、IL−13ポリペプチドと相互作用する作用薬を設計する工程を含む方法を特徴とする。
【0011】
別の態様では、本発明は、IL−13Rα1ポリペプチドに結合したIL−13ポリペプチドの3次元モデルを用いて、このIL−13ポリペプチドと相互作用する作用薬を設計する工程を含む方法を特徴とする。
【0012】
別の態様では、本発明は、IL−13ポリペプチドを含む結晶性複合体の3次元構造を用いて合理的な薬剤設計を行うことにより作用薬を選択する工程と、この作用薬をIL−13ポリペプチドと接触させる工程と、この作用薬がIL−13ポリペプチドに結合する能力を検出する工程とを含む方法を特徴とする。
【0013】
さらに別の態様では、本発明は、IL−13ポリペプチドを抗体と接触させて組成物を形成する工程と、この組成物を結晶化させて抗体がIL−13ポリペプチドに結合した結晶性複合体を形成する工程とを含む方法を特徴とする。この抗体は抗IL−13抗体または抗IL−13抗体のFabフラグメントであり、この結晶性複合体は少なくとも約3.5Åの分解能までX線を回折することができる。
【0014】
別の態様では、本発明は、IL−13ポリペプチドを抗体およびIL−13Rα1ポリペプチドと接触させて組成物を形成する工程と、この組成物を結晶化させて抗体およびIL−13Rα1ポリペプチドがそれぞれIL−13ポリペプチドに結合した結晶性複合体を形成する工程とを含む方法を特徴とする。この抗体は抗IL−13抗体または抗IL−13抗体のFabフラグメントであり、この結晶性複合体は少なくとも約3.5Åの分解能までX線を回折することができる。
【0015】
別の態様では、本発明は、コンピュータシステムに、抗体に結合したIL−13ポリペプチドの構造に関する情報を受け入れさせる命令を含むソフトウェアシステムを特徴とする。この抗体には抗IL−13抗体または抗IL−13抗体のFabフラグメントが含まれる。この命令はまた、コンピュータシステムに、候補薬に関する情報を受け入れさせ、IL−13ポリペプチドに対するこの候補薬の結合特性を決定させる。結合特性の決定は、IL−13ポリペプチドの構造に関する情報と候補薬に関する情報に基づいて行われる。
【0016】
別の態様では、本発明は、コンピュータ可読媒体にあるコンピュータプログラムを特徴とする。複数の命令がコンピュータ可読媒体に格納されている。これらの命令が1つまたは複数のプロセッサで実行されると、この1つまたは複数のプロセッサは、抗体(この抗体は抗IL−13抗体または抗IL−13抗体のFabフラグメントである)に結合したIL−13ポリペプチドの構造に関する情報を受け入れ、候補薬に関する情報を受け入れ、IL−13ポリペプチドに対する候補薬の結合特性を決定する。結合特性の決定は、IL−13ポリペプチドの構造に関する情報と候補薬に関する情報に基づいて行われる。
【0017】
別の態様では、本発明は、抗体に結合したIL−13ポリペプチドの構造に関する情報を受け入れる工程と、このIL−13ポリペプチドと候補薬との結合特性をモデリングする工程とを含む方法を特徴とする。この抗体は抗IL−13抗体または抗IL−13抗体のFabフラグメントである。情報を受け入れ、結合特性をシミュレーションするこの方法はソフトウェアシステムによって実行される。
【0018】
別の態様では、本発明は、複数の命令を含むコンピュータ可読媒体にあるコンピュータプログラムを特徴とする。これらの命令が1つまたは複数のプロセッサで実行されると、この1つまたは複数のプロセッサは、抗体(この抗体は抗IL−13抗体または抗IL−13抗体のFabフラグメントである)に結合したIL−13ポリペプチドの構造に関する情報を受け入れ、このIL−13ポリペプチドと候補薬との結合特性をモデリングする。
【0019】
別の態様では、本発明は、コンピュータシステムに、抗体に結合したIL−13ポリペプチドの構造に関する情報を受け入れさせ、このIL−13ポリペプチドと候補薬との結合特性をシミュレーションさせる命令を含むソフトウェアシステムを特徴とする。この抗体は抗IL−13抗体または抗IL−13抗体のFabフラグメントである。
【0020】
別の態様では、本発明は結晶性抗体を特徴とする。この抗体は、in vivoでIL−4Rポリペプチドが結合するIL−13ポリペプチドの部位に結合する能力がある。
【0021】
さらに別の態様では、本発明は、in vivoでIL−4Rポリペプチドが結合するIL−13ポリペプチドの部位に結合する能力がある抗体を含む結晶性組成物を特徴とする。
【0022】
別の態様では、本発明は、IL−13ポリペプチドおよび抗体を含む結晶性複合体を特徴とする。この抗体は、in vivoでIL−4Rポリペプチドが結合するIL−13ポリペプチドの部位に結合する能力がある。
【0023】
さらに別の態様では、本発明は、IL−13ポリペプチド、IL−13Rα1ポリペプチド、および抗体を含む結晶性複合体を特徴とする。この抗体は、in vivoでIL−4Rポリペプチドが結合するIL−13ポリペプチドの部位に結合する能力がある。
【0024】
さらに別の態様では、本発明は、抗体の3次元モデルを用いてIL−13ポリペプチドと相互作用する作用薬を設計する工程を含む方法を特徴とする。この抗体は、in vivoでIL−4Rポリペプチドが結合するIL−13ポリペプチドの部位に結合する能力がある。
【0025】
別の態様では、本発明は、IL−13ポリペプチドを抗体と接触させて組成物を形成する工程と、この組成物を結晶化させて、抗体がIL−13ポリペプチドに結合した結晶性複合体を形成する工程とを含む方法を特徴とする。この抗体は、in vivoでIL−4Rポリペプチドが結合するIL−13ポリペプチドの部位に結合する能力があり、この結晶性複合体は少なくとも約3.5Åの分解能までX線を回折することができる。
【0026】
さらに別の態様では、本発明は、IL−13ポリペプチドを抗体およびIL−13Rα1ポリペプチドと接触させて組成物を形成する工程と、この組成物を結晶化させて抗体およびIL−13Rα1ポリペプチドがそれぞれIL−13ポリペプチドに結合した結晶性複合体を形成する工程とを含む方法を特徴とする。この抗体は、in vivoでIL−4Rポリペプチドが結合するIL−13ポリペプチドの部位に結合する能力があり、この結晶性複合体は少なくとも約3.5Åの分解能までX線を回折することができる。
【0027】
別の態様では、本発明は、コンピュータシステムに、抗体に結合したIL−13ポリペプチドの構造に関する情報を受け入れさせ、候補薬に関する情報を受け入れさせ、IL−13ポリペプチドに対するこの候補薬の結合特性を決定させる命令を含むソフトウェアシステムを特徴とする。この抗体は、in vivoでIL−4Rポリペプチドが結合するIL−13ポリペプチドの部位に結合する能力がある。候補薬の結合特性の決定は、IL−13ポリペプチドの構造に関する情報と候補薬に関する情報に基づいて行われる。
【0028】
別の態様では、本発明は、複数の命令を含むコンピュータ可読媒体にあるコンピュータプログラムを特徴とする。これらの命令が1つまたは複数のプロセッサで実行されると、この1つまたは複数のプロセッサは、抗体に結合したIL−13ポリペプチドの構造に関する情報を受け入れ、候補薬に関する情報を受け入れ、IL−13ポリペプチドに対する候補薬の結合特性を決定する。この抗体は、in vivoでIL−4Rポリペプチドが結合するIL−13ポリペプチドの部位に結合する能力がある。候補薬の結合特性の決定は、IL−13ポリペプチドの構造に関する情報と候補薬に関する情報に基づいて行われる。
【0029】
別の態様では、本発明は、抗体に結合したIL−13ポリペプチドの構造に関する情報を受け入れる工程と、このIL−13ポリペプチドと候補薬との結合特性をモデリングする工程とを含む方法を特徴とする。この抗体は、in vivoでIL−4Rポリペプチドが結合する、IL−13ポリペプチドの部位に結合する能力がある。情報を受け入れ、結合特性をモデリングするこの方法はソフトウェアシステムによって実行される。
【0030】
別の態様では、本発明は、複数の命令を含むコンピュータ可読媒体にあるコンピュータプログラムを特徴とする。これらの命令が1つまたは複数のプロセッサで実行されると、この1つまたは複数のプロセッサは、抗体に結合したIL−13ポリペプチドの構造に関する情報を受け入れ、このIL−13ポリペプチドと候補薬との結合特性をモデリングする。この抗体は、in vivoでIL−4Rポリペプチドが結合するIL−13ポリペプチドの部位に結合する能力がある。
【0031】
別の態様では、本発明は、コンピュータシステムに、抗体に結合したIL−13ポリペプチドの構造に関する情報を受け入れさせ、このIL−13ポリペプチドと候補薬との結合特性をモデリングさせる命令を含むソフトウェアシステムを特徴とする。この抗体は、in vivoでIL−4Rポリペプチドが結合するIL−13ポリペプチドの部位に結合する能力がある。
【0032】
別の態様では、本発明は、被検者のIL−13活性を調節する方法を特徴とする。この方法は、合理的な薬剤設計を用いてIL−13活性を調節する能力がある作用薬を選択する工程と、治療有効量の作用薬をこの被検者に投与する工程とを含む。
【0033】
さらに別の態様では、本発明は、IL−13活性に関連した症状を持つ被検者を治療する方法を特徴とする。この方法は、合理的な薬剤設計を用いてIL−13活性に影響を及ぼす能力がある作用薬を選択する工程と、治療有効量の作用薬をこの被検者に投与する工程とを含む。
【0034】
別の態様では、本発明は、IL−13活性に関連した症状になりやすい被検者を予防的に治療する方法を特徴とする。この方法は、被検者がIL−13活性に関連した症状になりやすいことを判定する工程と、合理的な薬剤設計を用いてIL−13活性に影響を及ぼす能力がある作用薬を選択する工程と、治療有効量の作用薬をこの被検者に投与する工程とを含む。
【0035】
ポリペプチドまたは対応するリガンドの構造上の情報があると、in vivoでポリペプチドがいかに機能しているかをより良く理解することができる。例えば、あるタンパク質または対応するリガンドの構造の知識があると、このタンパク質と、他のタンパク質、抗体、エフェクター分子(例えば、ホルモン)、および核酸を含めたそのリガンドとの相互作用を促進する特性を明らかにすることができる。シミュレーションに基づく構造を用いてIL−13ポリペプチドと相互作用する能力があるリガンドを確認することにより、高価で時間のかかる恐れのあるスクリーニングアッセイの必要性を除くことができる。構造上の情報を用いることにより、IL−13と相互作用することが知られているリガンドを修飾して、より強い結合またはより高い特異性などのより望ましい特性を有する代替リガンドを産生することもできる。
【0036】
抗IL−13抗体とIL−13ポリペプチドとの相互作用ならびにIL−13ポリペプチドとその受容体との相互作用の研究により、in vivoでIL−13の活性を調節するリガンド(例えば、薬物)の設計または選択を促進することができる。したがって、こうした研究は治療薬の設計に有用であり得る。活性アッセイによれば、mAb13.2は、抗体を用いてタンパク質の正常機能を妨害する能力があるIL−13結合薬を認識することを含めて、in vitroおよびin vivoでのIL−13の機能をブロックすることが分かった(下記の実施例1および2参照)。したがって、mAb13.2Fabフラグメント、ヒトIL−13/mAb13.2Fabフラグメント複合体、およびヒトIL−13Rα1ポリペプチド/ヒトIL−13/mAb13.2Fabフラグメント複合体の結晶構造(下記の表10〜12参照)は、IL−13とIL−13受容体のポリペプチド、IL−13Rα1と相互作用することができる作用薬を設計または認識するために有用であり得ると思われる。こうした作用薬は、例えば、喘息(例えば、非アレルギー性喘息、またはアレルギー性喘息、これは慢性アレルギー性気道疾患と呼ばれることもある)、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、気道炎、好酸球増加症、線維症および過剰な粘液産生(例えば、嚢胞性線維症、肺線維症、およびアレルギー性鼻炎)、皮膚の炎症性および/または自己免疫性症状(例えば、アトピー性皮膚炎)、消化管の炎症性および/または自己免疫性症状(例えば、炎症性腸疾患(IBD)および/またはクローン病)、肝臓(例えば、肝硬変)、血管または結合組織の炎症性および/または自己免疫性症状(例えば、強皮症)、ならびにホジキンリンパ腫、神経膠芽腫、およびリンパ腫などの腫瘍または癌(例えば、軟部組織または固形腫瘍)などの免疫応答状態におけるIL−13の活性を調節するのに有用であり得る。
【0037】
本発明のその他の特徴および利点は、添付した図面と説明、ならびに特許請求の範囲から明らかとなろう。本出願全体にわたって引用されたすべての文献、出願中の特許および公表された特許は、参照により本明細書に明確に組み込まれる。矛盾がある場合は定義を含めて本出願を基準とする。
【0038】
(図面の簡単な記載)
図1Aは、mAb13.2Fab(fragment antigen binding、抗原結合フラグメント)フラグメントの軽鎖のアミノ酸配列である(配列番号1)。
【0039】
図1Bは、mAb13.2Fabフラグメントの重鎖のアミノ酸配列である(配列番号2)。
【0040】
図2Aは、完全長ヒトIL−13のアミノ酸配列である(スイスプロットアクセッション番号P35225)(配列番号3)。シグナルペプチド切断部位をスラッシュで示す。α−ヘリックスA、B、C、およびDには下線を付した。ヘリックスAはアミノ酸25〜42で定義され、ヘリックスBはアミノ酸62〜71で定義され、ヘリックスCはアミノ酸78〜89で定義され、ヘリックスDはアミノ酸112〜127で定義される。
【0041】
図2Bは、シグナルペプチド切断後のヒトIL−13のアミノ酸配列である(配列番号4)。α−ヘリックスA、B、C、およびDには下線を付した。ヘリックスAはアミノ酸6〜23で定義され、ヘリックスBはアミノ酸43〜52で定義され、ヘリックスCはアミノ酸59〜70で定義され、ヘリックスDはアミノ酸93〜108で定義される。
【0042】
図3は、mAb13.2Fabフラグメント(左)と処理された形のヒトIL−13(右)(図2B参照)の結晶構造を示すリボン図である。mAb13.2Fabフラグメントの軽鎖は濃い陰影で示され、重鎖は薄い陰影で示されている。IL−13構造のヘリックスA、B、C、およびDが示されている。
【0043】
図4は、Biacore分析で求めた、ヒトIL−13に結合した3つの異なる抗IL−13抗体(mAb13.2、mAb13.4、およびmAb13.9)の動力学的パラメータを示すグラフである。mAb13.2の動力学定数も示した。
【0044】
図5は、組換え型および天然型ヒトIL−13に対するビオチン化mAb13.2の結合を示すグラフである。ELISAプレートには抗FLAG M2抗体を塗布した。FLAG−ヒトIL−13の結合はビオチン化mAb13.2とストレプトアビジン−ペルオキシダーゼを用いて検出した。この結合は、マイトジェン活性化、Th2ねじれ形、臍帯血単核細胞から単離された天然型ヒトIL−13(三角形)、および組換え型ヒトIL−13(菱形)との競合の可能性がある。mAb13.2に対する組換え型マウスIL−13(円形)の検出可能な結合はなかった。
【0045】
図6は、ヒトIL−13の生物活性に対するmAb13.2および公知の阻害剤rhuIL−13Rα2の効果を示すグラフである。「cpm」は、IL−13と様々な濃度のmAb13.2またはrhuIL−13Rα2(x軸)の存在下で成長したTF1細胞に取り込まれた3H−チミジンの程度である。
【0046】
図7Aは、CD11b+単球上でのCD23の発現に対する組換え型ヒトIL−13およびIL−4の効果を示すグラフである。この単球は、健康なドナーから摘出した正常な末梢血単核細胞(PBMC)であった。細胞は、1ng/mLの組換え型ヒトIL−13またはIL−4で一晩処理した後、フローサイトメトリーによってCD23の発現を測定した。
【0047】
図7Bは、CD11b+単球上でのIL−13誘導CD23の発現に対するmAb13.2の効果を示すグラフである。
【0048】
図7Cは、CD11b+単球上でのIL−4誘導CD23の発現に対するmAb13.2の効果を示すグラフである。
【0049】
図8は、ヒトB細胞によるIL−13依存性IgEの産生に対するmAb13.2の効果を示すグラフである。健康なドナーからのPBMCをPHAとIL−13で刺激した。3週間後、ELISAにより各ウェルのIgE濃度を測定した。PHA+IL−13により、IgE産生B細胞クローンの頻度が増加した。この効果は、mAb13.2によって阻害されたが、IL−13に特異的な非中和抗体(mAb13.8)または対照のマウスIgG(msIgG)では阻害されなかった。
【0050】
図9Aは、図中に示した濃度のIL−13を用いて37℃で30分間処理したHT−29ヒト上皮細胞からのリン酸化STAT6タンパク質を検出するウェスタンブロットである。
【0051】
図9Bは、IL−13処理後の細胞のリン酸化STAT6タンパク質の濃度を測定したフローサイトメトリー実験からのヒストグラムである。IL−13処理後のホスホSTAT6染色濃度のずれを薄い陰影図で示す。
【0052】
図9Cは、最適以下の濃度のヒトIL−13と図に示した抗体で処理した後の、細胞のリン酸化STAT6タンパク質の濃度を測定したフローサイトメトリー実験からのヒストグラムのパネルである。IL−13と抗体で処理した細胞は太線の図で示す。陰影を付けたヒストグラムは未処理の細胞を示す。mAb13.2に加えて、IL−13に特異的な非中和抗体(mAb13.8)および対照のマウスIgG1も試験した。
【0053】
図10は、回虫抗原を肺の一部に接種した後、ブタ回虫に感作したカニクイザルからのBAL中に検出された好酸球の割合を実証するグラフである。接種する24時間前に、動物にはmAb13.2i.v.が投与された(菱形)、または未投与(円形)であった。三角形は、Ab投与後3カ月での、mAb13.2を投与したもの、および再度回虫を接種したものを示す。好酸球は、偏光解消側方散乱光分析を用いたフローサイトメトリーによって検出された。
【0054】
図11Aは、ELISAアッセイにおいて、非標識mAb13.2(菱形)またはmAb13.2Fabフラグメント(円形)が、ビオチン化mAb13.2と結合性を競合することができたことを示すグラフである。「関係のない抗体」(IL−13に結合するがその活性を無力化しない、モノクローナル抗体mAb13.8)(星印)は結合性を競合することができなかった。競合物の濃度は、抗体またはFabのピコモル(pM)として表されている。
【0055】
図11Bは、非標識mAb13.2(菱形)またはmAb13.2Fabフラグメント(円形)が、ELISAアッセイにおけるビオチン化mAb13.2との結合性を競合することができたことを示すグラフである。「関係のない抗体」(モノクローナル抗体mAb13.8)(星印)は結合について競合することができなかった。競合物の濃度は、無処置IgG1個当り結合部位2個およびFabフラグメント1個当り結合部位1個と考えて、結合部位のピコモル(pM)として表されている。
【0056】
図12Aは、mAb13.2(菱形)およびmAb13.2Fabフラグメント(円形)が、IL−13に依存したTF1細胞の分裂を阻害したことを示すグラフである。「競合物の濃度」はmAb13.2およびmAb13.2Fabフラグメントの濃度であり、濃度は無処置IgG1個当り結合部位2個およびFabフラグメント1個当り結合部位1個と考えて、競合物結合部位のpMとして表されている。
【0057】
図12Bは、mAb13.2(菱形)およびmAb13.2Fabフラグメント(円形)が、ヒトPBMC上でのIL−13によるCD23の発現を阻害したことを示すグラフである。競合物の濃度はmAb13.2およびmAb13.2Fabフラグメントの濃度であり、この濃度は無処置IgG1個当り結合部位2個およびFabフラグメント1個当り結合部位1個と考えて、競合物結合部位のpMとして表されている。
【0058】
図13は、ヒトIL−13cDNAインサート(hIL13coli)を含む発現ベクターpAL−981のDNA配列(配列番号5)である。IL−13を符号化したcDNA配列に下線を付した。制限部位Ndel(ヌクレオチド位置2722)およびXbal(ヌクレオチド位置3070)がこのcDNA配列に隣接している。
【0059】
図14は、ヒトIL−13Rα1のアミノ酸配列(スイスプロットアクセッション番号P78552)(配列番号12)である。
【0060】
図15は、mAb13.2Fab/IL−13/IL−13Rα1三量複合体の構造を示すリボン図である。
【0061】
図16は、IL−13とIL−13Rα1のIg領域1との相互作用を示すリボン図である。
【0062】
図17は、IL−13とIL−13Rα1のIg領域3との相互作用を示すリボン図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0063】
マウスのモノクローナル抗IL−13抗体の抗原結合フラグメント(Fab)、mAb13.2、の構造がX線結晶学によって見出されている(下記の表10参照)。このmAb13.2Fabフラグメントと複合体を形成しているヒトIL−13の結晶構造、ならびにこのmAb13.2FabフラグメントおよびIL−13Rα1ポリペプチドフラグメントの両方と複合体を形成しているヒトIL−13の結晶構造もX線結晶学によって見出された(それぞれ下記の表11および12参照)。
【0064】
図1Aおよび1Bは、mAb13.2Fabフラグメントの軽鎖および重鎖ポリペプチドのアミノ酸配列情報を与える。図2Aおよび2Bは、ヒトIL−13のアミノ酸配列情報を与える。図3は、ヒトIL−13/mAb13.2Fabフラグメント複合体の結晶の構造情報を与える。mAb13.2Fabフラグメントは、ヒトIL−13のIL−4R(IL−4Rα)結合領域に結合している。これには、配列番号4で定義されたアミノ酸Ser7、Thr8、Ala9、Glu12、Leu48、Glu49、Ile52、Asn53、Arg65、Met66、Ser68、Gly69、Phe70、Cys71、Pro72、His73、Lys74、およびArg86が含まれる。
【0065】
図14は、ヒトIL−13受容体ポリペプチド、ヒトIL−13Rα1のアミノ酸配列情報を与える。図15、16、および17は、ヒトIL−13Rα1ポリペプチド/ヒトIL−13/mAb13.2Fabフラグメント複合体の結晶の構造情報を与える。ヒトIL−13とmAb13.2Fabフラグメントとの上記の相互作用に加えて、ヒトIL−13は、ヒトIL−13Rα1ポリペプチドと2つの接触を形成する。1つはヒトIL−13Rα1ポリペプチドのIg領域1とであり、第2はヒトIL−13Rα1ポリペプチドのIg領域3とである。Ig領域1との相互作用には、配列番号4で定義されたヒトIL−13の残基Thr88、Lys89、Ile90、およびGlu91が含まれ、配列番号12で定義されたヒトIL−13Rα1ポリペプチドの残基Lys76、Lys77、Ile78、およびAla79が含まれる(図16参照)。Ig領域3との相互作用には、配列番号4で定義されたヒトIL−13の残基Arg11、Glu12、Leu13、Ile14、Glu15、Lys104、Lys105、Leu106、Phe107、およびArg108が含まれ、配列番号12で定義されたヒトIL−13Rα1ポリペプチドの残基Ile254、Ser255、Arg256、Lys318、Cys320、およびTyr321が含まれる(図17参照)。
【0066】
一般に、mAb13.2Fabフラグメントの結晶を自由に作成することができる。典型的には、この方法は、初めにmAb13.2Fabフラグメントを単離する工程と、次いでmAb13.2Fabフラグメントを含む結晶を形成する工程とを含む。ある実施形態においては、mAb13.2Fabフラグメントを含む結晶を以下のように作成することができる。無処置の抗体を適切なタンパク質分解酵素(例えば、パパイン)で切断し、Fc(結晶可能フラグメント)フラグメントからmAb13.2Fabフラグメントを単離する。単離されたmAb13.2Fabフラグメントを適当な溶液中に置き、この溶液を結晶化させる。この溶液は、例えば、1種または複数のポリマー(例えば、ポリエチレングリコール(PEG))、1種または複数の塩(例えば、硫酸カリウム)、および所望により1種または複数の有機溶媒を含有することができる。結晶は、様々な方法、例えばシッティングドロップまたはハンギングドロップ蒸気拡散法などによって成長させることができる。一般に、結晶化は、約4℃から60℃(例えば、約4℃、約15℃、約18℃、約20℃、約25℃、約30℃、約32℃、約35℃、約37℃など、約4℃から約45℃)の温度で行うことができる。mAb13.2Fabフラグメントの結晶を記述した構造データは、例えばX線回折によって得ることができる。X線回折データを様々な手段によって集めて、構造座標を得ることができる。適切なX線源としては、回転陽極およびシンクロトロン源(例えば、Advanced Light Source(ALS),Berkeley,California;またはAdvanced Photon Source(APS),Argonne,Illinois)が挙げられる。ある実施形態においては、回折データを得るためのX線は、約0.5Åから約1.6Å(例えば、約0.7Å、約0.9Å、約1.0Å、約1.1Å、約1.3Å、約1.4Å、約1.5Å、約1.6Å、)の波長を有することができる。適切なX線検出器としては、エリア検出器および/または電荷結合素子(CCD)を含み、それらを検出器として使用することができる。
【0067】
一般に、mAb13.2Fabフラグメントの結晶は、約3.5Å以下(例えば、約3.2Å以下、約3.0Å以下、約2.8Å以下、約2.5Å以下、約2.4Å以下、約2.3Å以下、約2.2Å以下、約2.1Å以下、約2.0Å以下、約1.9Å以下、約1.8Å以下、約1.7Å以下、約1.6Å以下、約1.5Å以下、約1.4Å以下)の分解能までX線を回折することができる。ある実施形態においては、mAb13.2Fabフラグメントの結晶は、約1.6Åから約2.5Å(例えば、約1.8Åから約2.2Å)の分解能までX線を回折することができる。
【0068】
ある実施形態においては、mAb13.2Fabフラグメントの結晶は、空間群P212121、ならびに単位格子寸法a=54.4、b=98.0、c=108.5、およびα=β=γ=90°を有する斜方晶であり得る。
【0069】
一般に、ヒトIL−13とmAb13.2Fabフラグメントを含む複合体を自由に作成し、かつ結晶化することができる。ある実施形態においては、この方法は以下のように行われる。ヒトIL−13をDNAプラスミドから発現させる。発現は、誘導性プロモーターなどのプロモーターによって推進することができる。ヒトIL−13を、(例えば、細胞からのヒトIL−13の単離を促進するために、)グルタチオン−S−転移酵素(GST)、myc、HA、ヘキサヒスチジン、またはFLAGタグなどの適切なタグとの融合タンパク質として発現させることができる。融合タンパク質は、この融合タンパク質に組み込まれたプロテアーゼ部位、例えばポリペプチドとタグの間の融合部位またはその近傍で切断することができる。ヒトIL−13を、精製前(例えば、ポリペプチドタグの切断前)にmAb13.2Fabフラグメントと混ぜることができる。あるいは、ヒトIL−13を精製後にmAb13.2Fabフラグメントと混ぜることもできる。ある実施形態においては、mAb13.2Fabフラグメントを精製前にヒトIL−13と混ぜ、精製後に再度混ぜることができる。ある実施形態においては、複合体のスペクトルデータ、複合体のNMRデータの採取を行うために、または複合体の結晶を成長させるために、ヒトIL−13ポリペプチドとmAb13.2Fabフラグメントを溶液中で混合する。この溶液は、例えば、1種または複数の塩(例えば、カリウム塩)、1種または複数のポリマー(例えば、ポリエチレングリコール(PEG))、および/または1種または複数の有機溶媒を含有することができる。結晶は、様々な方法、例えばシッティングドロップまたはハンギングドロップ蒸気拡散法などによって成長させることができる。一般に、結晶化は、約16℃から24℃(例えば、約17℃から23℃、または18℃から21℃)で行うことができる。
【0070】
ヒトIL−13/mAb13.2Fabフラグメント複合体の結晶の構造情報はX線回折によって得られる。一般に、ヒトIL−13/mAb13.2Fabフラグメント複合体の結晶は、約3.5Å以下(例えば、約3.2Å以下、約3.0Å以下、約2.8Å以下、約2.5Å以下、約2.4Å以下、約2.3Å以下、約2.2Å以下、約2.1Å以下、約2.0Å以下、約1.9Å以下、約1.8Å以下、約1.7Å以下、約1.6Å以下、約1.5Å以下、約1.4Å以下)の分解能までX線を回折することができる。ある実施形態においては、ヒトIL−13/mAb13.2Fabフラグメント複合体の結晶は、約1.6Åから約2.5Å(例えば、約1.8Åから約2.2Å)の分解能までX線を回折することができる。
【0071】
ある実施形態においては、ヒトIL−13/mAb13.2Fabフラグメント複合体の結晶は、空間群P213、ならびに単位格子寸法a=b=c=125.3、およびα=β=γ=90°を有する立方晶であり得る。複合体の構造は分解能1.8Åまで解像することができる。
【0072】
一般に、ヒトIL−13、mAb13.2Fabフラグメント、およびヒトIL−13Rα1ポリペプチドを含む複合体を自由に作成し、かつ結晶化することができる。ある実施形態においては、この方法は以下のように行われる。ヒトIL−13Rα1ポリペプチドを、酵母菌株Pichia pastorisのDNAプラスミドから、発現ポリペプチドがグリコシル化されているように発現させる。DNAプラスミドからの発現は、誘導性プロモーターなどのプロモーターによって推進することができる。ヒトIL−13Rα1ポリペプチドを、(例えば、細胞からのヒトIL−13Rα1ポリペプチドの単離を促進するために、)グルタチオン−S−転移酵素(GST)、myc、HA、ヘキサヒスチジン、またはFLAGタグなどの適切なタグとの融合タンパク質として発現させることができる。融合タンパク質は、この融合タンパク質に組み込まれたプロテアーゼ部位、例えばポリペプチドとタグの間の融合部位またはその近傍で切断することができる。ヒトIL−13Rα1ポリペプチドをヒトIL−13と混ぜて複合体を形成し、次いでエンドグリコシダーゼHなどの酵素で処理することによって複合体のポリペプチドを脱グリコシル化することができる。mAb13.2Fabフラグメントを脱グリコシル化複合体に加えて、ヒトIL−13Rα1ポリペプチド/ヒトIL−13/mAb13.2Fabフラグメント複合体を形成することができる。
【0073】
ある実施形態においては、複合体のスペクトルデータ、複合体のNMRデータの採取を行うために、または複合体の結晶を成長させるために、ヒトIL−13Rα1、ヒトIL−13、およびmAb13.2Fabフラグメントを溶液中で混合する。この溶液は、例えば、1種または複数の塩(例えば、カリウム塩)、1種または複数のポリマー(例えば、ポリエチレングリコール(PEG))、および/または1種または複数の有機溶媒を含有することができる。結晶は、様々な方法、例えばシッティングドロップまたはハンギングドロップ蒸気拡散法などによって成長させることができる。一般に、結晶化は、約16℃から24℃(例えば、約17℃から23℃、または18℃から21℃)で行うことができる。
【0074】
ヒトIL−13Rα1ポリペプチド/ヒトIL−13/mAb13.2Fabフラグメント複合体の結晶の構造情報はX線回折によって得られる。一般に、ヒトIL−13Rα1ポリペプチド/ヒトIL−13/mAb13.2Fabフラグメント複合体の結晶は、約3.5Å以下(例えば、約3.2Å以下、約3.0Å以下、約2.8Å以下、約2.5Å以下、約2.4Å以下、約2.3Å以下、約2.2Å以下、約2.1Å以下、約2.0Å以下、約1.9Å以下、約1.8Å以下、約1.7Å以下、約1.6Å以下、約1.5Å以下、約1.4Å以下)の分解能までX線を回折することができる。ある実施形態においては、ヒトIL−13/mAb13.2Fabフラグメント複合体の結晶は、約1.6Åから約2.5Å(例えば、約1.8Åから約2.2Å)の分解能までX線を回折することができる。
【0075】
ある実施形態においては、ヒトIL−13Rα1ポリペプチド/ヒトIL−13/mAb13.2Fabフラグメント複合体の結晶は、空間群I4、ならびに単位格子寸法a=b=164.9Å、c=74.8Å、およびα=β=γ=90°を有する立方晶であり得る。複合体の構造は分解能2.2Åまで解像することができる。
【0076】
mAb13.2Fabフラグメント、ヒトIL−13/mAb13.2Fabフラグメント複合体、またはヒトIL−13Rα1ポリペプチド/ヒトIL−13/mAb13.2Fabフラグメント複合体の結晶のX線回折データを用いて、これらの抗体または複合体中の原子の構造座標を得ることができる。構造座標は、3次元空間における原子の位置を複合体の他の原子との関係で記述するデカルト座標である。一例として、表10に記載の構造座標は、mAb13.2Fabフラグメントの結晶の構造座標である。これらの構造座標は、mAb13.2Fabフラグメントの原子の位置の相互関係を記述している。別の例として、表11に記載の構造座標は、ヒトIL−13/mAb13.2Fabフラグメント複合体の結晶の構造座標である。これらの構造座標は、ヒトIL−13の原子の位置の相互関係、mAb13.2Fabフラグメントの原子に対するヒトIL−13の原子の位置、およびmAb13.2Fabフラグメントの原子の位置の相互関係を記述している。さらに別の例として、表12に記載の構造座標は、ヒトIL−13Rα1ポリペプチド/ヒトIL−13/mAb13.2Fabフラグメント複合体の結晶の構造座標である。これらの構造座標は、ヒトIL−13Rα1ポリペプチドの原子の位置の相互関係、ヒトIL−13の原子に対するヒトIL−13Rα1ポリペプチドの原子の位置、ヒトIL−13の原子の位置の相互関係、mAb13.2Fabフラグメントの原子に対するヒトIL−13の原子の位置、およびmAb13.2Fabフラグメントの原子の位置の相互関係を記述している。
【0077】
結晶の構造座標は、反転または整数の加算もしくは減算などの数学的操作によって変更することができる。したがって、構造座標は相対的な座標である。一例として、mAb13.2Fabフラグメントの原子の位置を記述した構造座標は、表10の実際のx、y、およびz座標によって特定の制約を受けない。別の例として、mAb13.2Fabフラグメントに結合したヒトIL−13の原子の位置を記述した構造座標は、表11の実際のx、y、およびz座標による特定の制約を受けない。さらに別の例として、mAb13.2FabフラグメントとヒトIL−13Rα1ポリペプチドの両方に結合したヒトIL−13の原子の位置を記述した構造座標は、表12の実際のx、y、およびz座標による特定の制約を受けない。
【0078】
mAb13.2Fabフラグメント、またはヒトIL−13/mAb13.2Fabフラグメント複合体、またはヒトIL−Rα1ポリペプチド/ヒトIL−13/mAb13.2Fabフラグメント複合体の構造座標を用いて、mAb13.2Fabフラグメント、mAb13.2Fabフラグメントのフラグメント、ヒトIL−13、ヒトIL−13のフラグメント、ヒトIL−13Rα1ポリペプチド、ヒトIL−13Rα1ポリペプチドのフラグメント、ヒトIL−13/mAb13.2Fabフラグメント複合体、またはヒトIL−Rα1ポリペプチド/ヒトIL−13/mAb13.2Fabフラグメント複合体、またはこれらの複合体のフラグメントの表示(例えば、2次元表示または3次元表示)を導き出すことができる。こうした表示は、例えば、ポリペプチドの活性部位の可視化、識別、およびキャラクタリゼーションを含めた多くの用途で有用であり得る。ある実施形態においては、3次元表示は、表10によるmAb13.2フラグメントの構造座標±約1.5Å以下(例えば、約1.0Å以下、または約0.5Å以下)のアミノ酸のα炭素原子からの根平均二乗偏位を含むことができる。別の実施形態においては、3次元表示は、表11によるヒトIL−13/mAb13.2Fabフラグメント複合体の構造座標±約1.5Å以下(例えば、約1.0Å以下、約0.5Å以下)のアミノ酸のα炭素原子からの根平均二乗偏位を含むことができる。さらに別の実施形態においては、3次元表示は、表12によるヒトIL−13Rα1ポリペプチド/ヒトIL−13/mAb13.2Fabフラグメント複合体の構造座標±約1.5Å以下(例えば、約1.0Å以下、約0.5Å以下)のアミノ酸のα炭素原子からの根平均二乗偏位を含むことができる。根平均二乗偏位(rms偏位、またはrmsd)は、平均からの偏位の平方の算術平均の平方根であり、構造座標からの偏位または変異を表現する1つの方法である。アミノ酸を同類置換すると、上記の根平均二乗偏位内の構造座標を有する分子表示が得られる。例えば、同類アミノ酸置換によって相互に異なるポリペプチドの2つの分子モデルは、骨格原子の座標が上記のrms偏位内、例えば約1.5Å未満(例えば、約1.0Å未満、約0.5Å未満)であり得る。ポリペプチドの骨格原子は、α炭素(CαまたはCA)原子、カルボニル炭素(C)原子、およびアミド窒素(N)原子を含む。
【0079】
様々なソフトウェアプログラムでは、mAb13.2Fabフラグメント、またはヒトIL−13/mAb13.2Fabフラグメント複合体、またはヒトIL−13Rα1ポリペプチド/ヒトIL−13/mAb13.2Fabフラグメント複合体などの分子または分子複合体を表示するために、1組の構造座標の図による表示が可能である。一般に、こうした表示は、構造座標またはフィーチャ間の距離もしくは角度など構造座標から得られる情報を(相対的におよび/または絶対的に)正確に反映するはずである。表示は、立体的二次元図、または対話型二次元ディスプレイ(例えば、分子もしくは分子複合体の異なる面を表示できるコンピュータディスプレイ)、または対話型立体的二次元ディスプレイなどの二次元の図とすることができる。対話型二次元ディスプレイは、例えば、これを回転させて、ポリペプチド、ポリペプチドのフラグメント、複合体、および/または複合体のフラグメントの異なる面を表示することができるコンピュータディスプレイとすることができる。ある実施形態においては、表示は3次元表示である。一例として、3次元モデルは分子構造の物理的モデル(例えば、玉棒模型)とすることができる。別の例として、3次元表示は分子構造の図形表示(例えば、コンピュータディスプレイ上のドローイングまたは図形)とすることができる。2次元図形表示(例えば、ドローイング)は、例えば、遠近法や陰影を用いること、または視聴者から遠いフィーチャを視聴者に近いフィーチャで遮る方法などにより、2次元表示が3次元情報を反映している場合は、3次元表示に相当し得る。ある実施形態においては、表示を2レベル以上にモデル化することができる。一例として、3次元表示がmAb13.2Fabフラグメントに結合したヒトIL−13などのポリペプチドを含む場合、このポリペプチドは、一次構造(アミノ酸配列)、二次構造(例えば、α−ヘリックスおよびβ−シート)、三次構造(全体的折りたたみ)、および四次構造(オリゴマー形成状態)などの1つまたは複数の異なるレベルの構造で表示することができる。mAb13.2Fabフラグメントの重鎖および軽鎖ポリペプチドも1つまたは複数の異なるレベルの構造で表示することができる。表示は異なるレベルの詳細を含むことができる。例えば、この表示は、原子の位置を特定することなしに、タンパク質の二次構造フィーチャの相対的位置を含むことができる。より詳細な表示は、例えば、原子の位置を含むことができる。
【0080】
ある実施形態においては、表示は、mAb13.2Fabフラグメント、ヒトIL−13/mAb13.2Fabフラグメント複合体、およびヒトIL−13Rα1ポリペプチド/ヒトIL−13/mAb13.2Fabフラグメント複合体の原子の構造座標以外の情報を含むことができる。例えば、表示は、溶媒が近づける表面の形状、モデルの原子のファンデルワールス半径、および溶媒(例えば、水)のファンデルワールス半径に関する情報を提供することができる。表示から得られる他の特徴としては、例えば、静電ポテンシャル、高分子構造内の空隙またはポケットの位置、および水素結合および塩橋の位置が挙げられる。
【0081】
mAb13.2Fabフラグメント、ヒトIL−13、またはヒトIL−13Rα1ポリペプチドと相互作用する作用薬は、mAb13.2Fabフラグメント、ヒトIL−13、ヒトIL−13Rα1ポリペプチド、ヒトIL−13/mAb13.2Fabフラグメント複合体、またはヒトIL−13Rα1ポリペプチド/ヒトIL−13/mAb13.2Fabフラグメント複合体の表示を用いる工程を含む方法によって確認または設計することができる。代表的な表示のタイプとしては上述の表示が挙げられる。ある実施形態においては、この表示は、ポリペプチド類似体、ポリペプチドフラグメント、複合体、または複合体のフラグメントのものとすることができる。この表示と相互作用することができる候補薬は、この候補薬と表示とのコンピュータによるフィッティング解析を行うことによって、設計または確認することができる。一般に、作用薬は分子である。作用薬の例としては、ポリペプチド、(DNAまたはRNAを含めた)核酸、または小さな分子(例えば、小さな有機分子)が挙げられる。作用薬はリガンドとすることができ、例えば、アゴニストまたはアンタゴニストとして働くことができる。ポリペプチド(例えば、ヒトIL−13、ヒトIL−13Rα1ポリペプチド)と相互作用する作用薬は、これらのポリペプチドと過渡的または安定的に相互作用することができる。この相互作用は、例えば、水素結合、静電力、疎水性相互作用、およびファンデルワールス相互作用を含めた、本明細書に記載のいずれかの力により仲介することができる。
【0082】
上述のように、X線結晶学を用いて、mAb13.2Fabフラグメント、ヒトIL−13/mAb13.2Fabフラグメント複合体、またはヒトIL−13Rα1ポリペプチド/ヒトIL−13/mAb13.2Fabフラグメント複合体の構造座標を得ることができる。しかし、こうした構造座標は、NMR技術を含めた他の技術を用いて得ることができる。さらなる構造情報は、スペクトル技術(例えば、光回転散乱(ORD)、円偏光二色性(CD))、ホモロジーモデリング、および分子力学からのデータまたは動力学アッセイからのデータを含む方法などの計算方法から得ることができる。
【0083】
ある実施形態においては、X線回折データを用いて、mAb13.2Fabフラグメント、ヒトIL−13/mAb13.2Fabフラグメント複合体、またはヒトIL−13Rα1ポリペプチド/ヒトIL−13/mAb13.2Fabフラグメント複合体の電子密度マップを構築することができる。この電子密度マップを用いて、mAb13.2Fabフラグメント、mAb13.2Fabフラグメントのフラグメント、ヒトIL−13またはヒトIL−13のフラグメント、ヒトIL−13Rα1ポリペプチドまたはヒトIL−13Rα1ポリペプチドのフラグメント、ヒトIL−13/mAb13.2Fabフラグメント複合体、ヒトIL−13Rα1ポリペプチド/ヒトIL−13/mAb13.2Fabフラグメント複合体、またはこれらの複合体のフラグメントの表示(例えば、2次元表示または3次元表示)を導き出すことができる。通常、電子密度マップの作成には、X線散乱の位相に関する情報を用いることが必要である。位相情報は、例えば、これらの回折データから、あるいは電子密度マップの構築を完成させるための追加の回折実験から得ることができる。X線回折データから位相を計算する方法としては、それだけに限らないが、多波長異常分散位相法(MAD)、多重同形置換法(MIR)、異常分散効果を利用した多重原子同形置換法(MIRAS)、異常分散効果を利用した単一重原子同形置換法(SIRAS)、逆格子空間溶媒平滑化法、分子置換法、またはこれらの組み合わせが挙げられる。これらの方法では、天然型タンパク質に対して同形の構造修正を行うことによって、例えば、重原子を入れた後または既存の重原子の散乱強度を変化させた後、天然型タンパク質およびそれぞれの修正されたケースの回折振幅を測定することにより位相情報が生成される。追加の重原子の位置または散乱強度の変化が分かると、1組の位相連立方程式を解くことによって各散乱X線の位相を求めることができる。重原子部位の位置は、SHELXS(Sheldrick,Institut Anorg.Chemie,Gottingen,Germany)などのコンピュータプログラムを用いて確認することができ、回折データは、MOSFLM、SCALA、SOLOMON、およびSHARP(“The CCP4 Suite:Programs for Protein Crystallography,”Acta Crystallogr.Sect.D,54:905−921,1997;deLa Fortelle and Brigogne,Meth.Enzym.276:472−494,1997)などのコンピュータプログラムを用いて処理することができる。位相が決定すると、複合体の電子密度マップを構築することができる。
【0084】
この電子密度マップを用いて、ポリペプチドまたは複合体(例えば、抗体に結合したポリペプチドを含む複合体)の3次元モデルを電子密度マップと整合させることにより、ポリペプチド、複合体、またはポリペプチドもしくは複合体のフラグメントの表示を導き出すことができる。この整合プロセスにより、計算された電子密度マップと以前から知られているポリペプチドまたは以前から知られている複合体のモデルとの相違の程度を示す比較モデルが得られる。次いで、この比較モデルを1回または複数回(例えば、2回、3回、4回、5回、6回、7回、8回、9回、10回)にわたって改良することにより、この電子密度マップとのより良い適合度が生じる。CNS(Brunger et al.,Acta Crystallogr.D54:905−921,1998)などのソフトウェアプログラムを用いてモデルを改良することができる。適合度の善し悪しは、例えば、RworkまたはRfree値で測定することができる。一般に、より小さいRworkまたはRfree値はより良い適合度を示す。比較モデルの整合のずれを調整して、修正比較モデルおよびより小さいRworkまたはRfree値を得ることができる。この調整は、ヒトIL−13、ヒトIL−13Rα1、mAb13.2Fabフラグメント、公知のポリペプチド、および/または公知の複合体に関する情報に基づくことができる。こうした情報としては、例えば、ヘリカルまたはβシートの推定含有量、疎水性または親水性領域、およびタンパク質折りたたみパターンが挙げられる。これらは、例えば、アミノ酸配列、ホモロジーモデリング、およびスペクトルデータから導き出すことができる。一例として、あるリガンドに結合したポリペプチドの公知の複合体のモデルを用いた実施形態においては、調整は、この公知の複合体のリガンドをmAb13.2Fabフラグメントと置換する工程を含むことができる。別の例として、ある実施形態においては、調整は、この以前から知られているポリペプチドのアミノ酸をヒトIL−13の対応する部位のアミノ酸と置換する工程を含むことができる。修正比較モデルに対する調整が電子密度マップに対する最良の適合度を満足する場合、得られるモデルは、X線データが得られた抗体またはポリペプチドまたは複合体(例えば、ヒトIL−13/mAb13.2Fabフラグメント複合体)を表していることが判明したモデルである。こうしたプロセスの方法は、例えば、Carter and Sweet,eds.,“Macromolecular Crystallography”in Methods in Enzymology,Vol.277,Part B,New York:Academic Press,1997、およびその中の文献、例えば、Jones and Kjeldgaard,“Electron−Density Map Interpretation,”p.173、ならびにKleywegt and Jones,“Model Building and Refinement Practice,”p.208に開示されている。
【0085】
ある実施形態においては、mAb13.2Fabフラグメントの表示は、異なる(しかし似ている)抗体Fabフラグメント(例えば、2E8FAb抗体フラグメント、Protein Databank識別番号12E8)の以前決定した構造モデルを、X線回折データから得られたmAb13.2Fabフラグメントの電子密度マップと整合することによって導き出すことができる。引き続き、このmAb13.2Fabフラグメントの以前決定した構造モデルをヒトIL13/mAb13.2Fabフラグメント複合体の電子密度マップと整合することによって、この複合体の表示を導き出すことができる。引き続き、このヒトIL−13/mAb13.2Fabフラグメント複合体の以前決定した構造モデルをヒトIL−13Rα1ポリペプチド/ヒトIL−13/mAb13.2Fabフラグメント複合体の電子密度マップと整合することによって、ヒトIL−13Rα1ポリペプチド/ヒトIL−13/mAb13.2Fabフラグメント複合体の表示を導き出すことができる。
【0086】
コンピュータなどの機械のメモリに、mAb13.2Fabフラグメント、ヒトIL−13/mAb13.2Fabフラグメント複合体、またはヒトIL−13Rα1ポリペプチド/ヒトIL−13/mAb13.2Fabフラグメント複合体の構造座標を、これらの構造座標の3次元図形表示をこの機械に接続されたディスプレイ上に生成することができるプログラムと共に、書き込むことができる。別法としてまたは付加的に、ソフトウェアシステムを設計および/または利用してこれらの構造座標を受け入れ、これを格納することができる。このソフトウェアシステムは構造座標の図形表示を生成することができる。このソフトウェアシステムは、外部データベースにアクセスして、類似の構造特徴を有する化合物(例えば、ポリペプチド)をヒトIL−13またはヒトIL−13Rα1と確認することもでき、かつ/あるいは、候補薬をヒトIL−13またはヒトIL−13Rα1と相互作用しやすくしている特徴を有する1種または複数種の候補薬を確認することもできる。このソフトウェアシステムは、外部データベースにアクセスして、ヒトIL−13またはヒトIL−13Rα1と相互作用する化合物を、mAb13.2FabフラグメントまたはヒトIL−13Rα1ポリペプチド構造の知識、およびヒトIL−13とのその相互作用の知識によって確認することもできる。
【0087】
構造データを含むメモリを有する機械またはこうしたデータを含むソフトウェアシステムは、アゴニストまたはアンタゴニストなどのIL−13リガンドの合理的な設計または選択を支援することができる。例えば、こうした機械またはソフトウェアシステムは、ヒトIL−13と結合する作用薬の能力の評価を支援することができ、構造または配列相同性でヒトIL−13と関連した化合物またはタンパク質のモデリングを支援することができ、あるいはヒトIL−13の生物活性を妨害する作用薬の能力の評価を支援することができる。ヒトIL−13の生物活性は、in vivoまたはin vitroの細胞もしくは組織の上またはこれらの内部にあって、このポリペプチドが引き出す効果なら、どんな効果であってもよい。ヒトIL−13の代表的な生物活性は、本明細書の例えば実施例1および2に記載されている。
【0088】
構造データを含むメモリを有する機械またはこうしたデータを含むソフトウェアシステムは、アゴニストまたはアンタゴニストなどのIL−13Rα1リガンドの合理的な設計または選択を支援することができる。例えば、こうした機械またはソフトウェアシステムは、ヒトIL−13Rα1ポリペプチドと結合する作用薬の能力の評価を支援することができ、構造または配列相同性でヒトIL−13Rα1ポリペプチドと関連した化合物またはタンパク質のモデリングを支援することができ、あるいはヒトIL−13Rα1ポリペプチドの生物活性を妨害する作用薬の能力の評価を支援することができる。ヒトIL−13Rα1ポリペプチドの生物活性は、in vivoまたはin vitroの細胞もしくは組織の上またはこれらの内部にあって、このポリペプチドが引き出す効果なら、どんな効果であってもよい。ヒトIL−13Rα1の代表的な生物活性は、本明細書の例えば実施例3に記載されている。
【0089】
この機械は、mAb13.2FabフラグメントまたはmAb13.2Fabフラグメントのフラグメント、ヒトIL−13またはヒトIL−13のフラグメント、ヒトIL−13Rα1ポリペプチドまたはヒトIL−13Rα1ポリペプチドのフラグメント、ヒトIL−13/mAb13.2Fabフラグメント複合体、ヒトIL−13Rα1ポリペプチド/ヒトIL−13/mAb13.2Fabフラグメント複合体、またはこれらの複合体のフラグメントの表示(例えば、2次元表示または3次元表示)を生成することができる。例えば、ソフトウェアシステムは、この機械にこうした情報を生成させることができる。この機械は、機械可読データをコードしたデータ記憶材料を含む機械可読データ記憶媒体を含むことができる。この機械可読データは、mAb13.2Fabフラグメントの原子またはmAb13.2Fabフラグメントのフラグメントの原子、ヒトIL−13の原子またはヒトIL−13のフラグメントの原子、ヒトIL−13/mAb13.2Fabフラグメント複合体の原子、ヒトIL−13Rα1ポリペプチド/ヒトIL−13/mAb13.2Fabフラグメント複合体の原子、またはこれらの複合体の原子の構造座標を含むことができる。データ記憶材料を含む機械可読記憶媒体としては、通常のコンピュータハードディスク、フロッピーディスク、DATテープ、CD−ROM、DVD、およびコンピュータに使用するように適合させることができるその他の磁気、光磁気、光媒体およびその他の媒体などを挙げることができる。この機械は、この機械可読データを処理するための命令を格納するワーキングメモリ、ならびに、この機械可読データを所望の3次元表示に処理する目的で、このワーキングメモリおよび機械可読データ記憶媒体に結合した中央処理装置(CPU)を有することもできる。最後に、ユーザが3次元表示を見ることができるように、このCPUにディスプレイを接続することができる。したがって、このデータを用いるための命令プログラムを書き込んだ機械(例えば、本明細書に記載されたような1つまたは複数のプログラムをロードしたコンピュータ)と共に使用すると、この機械は、本明細書に記載のポリペプチド、ポリペプチドのフラグメント、複合体、または複合体のフラグメントの図形表示(例えば、2次元図形表示、3次元図形表示)を表示することができる。
【0090】
ディスプレイ(例えば、コンピュータディスプレイ)は、mAb13.2FabフラグメントまたはmAb13.2Fabフラグメントのフラグメント、ヒトIL−13またはヒトIL−13のフラグメント、ヒトIL−13Rα1ポリペプチドまたはヒトIL−13Rα1ポリペプチドのフラグメント、ヒトIL−13/mAb13.2Fabフラグメント複合体、ヒトIL−13Rα1ポリペプチド/ヒトIL−13/mAb13.2Fabフラグメント複合体、またはこれらの複合体のフラグメントの表示を見せることができる。これらの表示は、ヒトIL−13またはヒトIL−13Rα1ポリペプチドに結合した作用薬を含めることもできる。あるいは、ユーザが、ヒトIL−13またはヒトIL−13Rα1ポリペプチドの表示上に作用薬の3次元モデルを重ね合わせることもできる。この作用薬は、ヒトIL−13またはヒトIL−13Rα1のアゴニスト(例えば、アゴニスト候補)、あるいはヒトIL−13またはヒトIL−13Rα1のアンタゴニスト(例えば、アンタゴニスト候補)とすることができる。ある実施形態においては、この作用薬は、既知の化合物または化合物のフラグメントとすることができる。ある実施形態においては、この作用薬は、従来未知の化合物、または従来未知の化合物のフラグメントとすることができる。
【0091】
ユーザは得られた表示を詳細に調べることができる。mAb13.2FabフラグメントまたはmAb13.2Fabフラグメントのフラグメント、ヒトIL−13またはヒトIL−13のフラグメント、ヒトIL−13Rα1ポリペプチドまたはヒトIL−13Rα1ポリペプチドのフラグメント、ヒトIL−13/mAb13.2Fabフラグメント複合体、ヒトIL−13Rα1ポリペプチド/ヒトIL−13/mAb13.2Fabフラグメント複合体、またはこれらの複合体のフラグメントの表示を、例えば、こうしたポリペプチドおよびポリペプチド複合体の既存の表示を部分的に変更することによって生成することができる。例えば、複合体または複合体のフラグメントの新しい表示を考える場合、抗体の原子とヒトIL−13の原子の間には、好ましい距離または距離の範囲があり得る。別の例では、複合体または複合体のフラグメントの新しい表示を考える場合、ヒトIL−13の原子とヒトIL−13Rα1ポリペプチドの原子の間には、好ましい距離または距離の範囲があり得る。好ましい距離より長い距離は、作用薬と活性部位(例えば、IL−13ポリペプチド上の(IL−13Rα1受容体ポリペプチドまたはIL−4受容体ポリペプチドなどに)結合するIL−13受容体の部位)との間の弱い相互作用に伴うものである可能性がある。好ましい距離より短い距離は、作用薬とポリペプチドとの相互作用を弱くする恐れのある反発力を伴う可能性がある。原子間距離が短すぎると立体障害が起る恐れがある。2つの原子の位置が著しく接近すると、例えば2つの原子の距離がこれらのファンデルワールス半径の和より小さいと、立体障害が起る。立体障害が存在する場合は、ユーザは、この立体障害が解除されるまで、ヒトIL−13に対する作用薬の位置の調整(例えば、作用薬の剛体並進または回転)を行うことができる。ユーザは、立体障害を解除するために、作用薬のコンフォメーションまたは作用薬の付近のヒトIL−13のコンフォメーションを調整することができる。立体障害は、作用薬の構造を部分的に変更することによっても解除することができる。例えば、芳香環などの「バルキーな基」をメチル基もしくは水酸基などの小さな基に変えること、または剛性な基を、立体障害を生じないコンフォメーションに適応することができる柔軟な基に変えることなどによって解除することができる。静電力が、作用薬とポリペプチド(受容体ポリペプチド、例えばヒトIL−13Rα1ポリペプチドまたはヒトIL−4Rα1ポリペプチドと相互作用するポリペプチドの部分など)の間の相互作用に影響を及ぼす可能性もある。例えば、静電特性は、作用薬とIL−13ポリペプチドとの相互作用を弱める反発力を伴う可能性がある。作用薬の電荷を変えることにより、例えば正に帯電した基を中性基と置換することにより、静電的反発力を軽減することができる。ヒトIL−13Rα1ポリペプチドとヒトIL−13の相互作用の近くなどにおいて同様なプロセスを行って、ヒトIL−13Rα1ポリペプチドと相互作用する作用薬を設計することができる。
【0092】
mAb13.2FabフラグメントとヒトIL−13の間の結合力に影響を及ぼす力は、ポリペプチド/作用薬モデルで評価することができる。同様に、ヒトIL−13とヒトIL−13Rα1ポリペプチドの間の結合力に影響を及ぼす力も、ポリペプチド/作用薬モデルで評価することができる。これらの力には、例えば、水素結合、静電力、疎水性相互作用、ファンデルワールス相互作用、双極子−双極子相互作用、π−スタッキング力、およびアニオン−π相互作用を挙げることができる。ユーザは、これらの力を、目視で、例えば水素結合に適切な距離と角度で配置された水素結合ドナー/アクセプター対に注目することによって評価することができる。ユーザはこの評価に基づいてモデルを部分的に変更し、ヒトIL−13またはヒトIL−13Rα1ポリペプチドと作用薬との間のより有利な相互作用を見出すことができる。モデルを部分的に変更することには、例えばアミノ酸側鎖または主鎖の二面角のコンフォメーションを部分的に変更することによって、その化学構造を変更することなくポリペプチドの3次元構造を変えることが含まれる。モデルを部分的に変更することには、上記のように、作用薬の位置またはコンフォメーションを部分的に変更することが含まれる。モデルを部分的に変更することには、例えば基を置換、付加、または除去することによって作用薬の化学構造を部分的に変更することも含まれる。例えば、ヒトIL−13上の水素結合ドナーが作用薬上の水素結合ドナーの近くに位置する場合、ユーザは、作用薬上の水素結合ドナーを水素結合アクセプターと置き換えることができる。
【0093】
作用薬とヒトIL−13の相対的位置、またはこれらのコンフォメーションを調整して、ヒトIL−13ポリペプチドに対する特定の作用薬の最適化された結合の幾何形状を見出すことができる。同様に、作用薬とヒトIL−13Rα1ポリペプチドの相対的位置を調整して、ヒトIL−13Rα1ポリペプチドに対する特定の作用薬の最適化された結合の幾何形状を見出すことができる。最適化された結合の幾何形状は、例えば、有利な水素結合距離および角度、最大の静電引力、最小の静電反発力、疎水性部分を水性環境から遠ざけること、および立体障害がないことを特徴とする。最適化された幾何形状について計算したエネルギーは、ヒトIL−13/抗体複合体またはヒトIL−13/受容体複合体に可能な一群の幾何形状のうち最も低いものであり得る。最適化された幾何形状は、例えば、分子力学または分子動力学の計算で求めることができる。
【0094】
様々な作用薬に結合したヒトIL−13の一連の表示を作成することができる。同様に、様々な作用薬に結合したヒトIL−13Rα1ポリペプチドの一連の表示を作成することができる。それぞれの表示についてスコアを計算することができる。スコアは、例えば、ヒトIL−13と作用薬との間の推定される相互作用の強度を記述するものである。スコアは、結合強度に影響を及ぼす上記の要因の1つを反映することができる。スコアは、2つ以上の要因を反映した集合スコアとすることができる。様々な作用薬をそのスコアに従って分類することができる。
【0095】
作用薬を設計する工程は、機械(例えば、コンピュータ)によって自動的に行うことができる。例えば、ヒトIL−13またはヒトIL−13Rα1ポリペプチドの表示は、候補薬の表示と共に機械にプログラムを書き込むことができる。機械は、受容体結合部位に対する各々の候補薬について最適化された結合の幾何形状を見出し、スコアを計算して一連の候補薬のうちどれが最も強くヒトIL−13またはヒトIL−13Rα1ポリペプチドと相互作用しやすいか判定することができる。
【0096】
ソフトウェアシステムを設計および/または実装してこれらの工程を容易にすることができる。表示の生成に用いられる、または必要なフィッティング解析を行うソフトウェアシステム(例えば、コンピュータプログラム)としては、それだけに限らないが、以下のものが挙げられる:Accelrys、Inc.(San Diego、CA)のMCSS、Ludi、QUANTA、Insight II、Cerius2、CHARMm、およびModeler;TRIPOS、Inc.(St.Louis、MO)のSYBYL、Unity、FleXX、およびLEAPFROG;AUTODOCK(Scripps Research Institute、La Jolla、CA)、GRID(Oxford University、Oxford、UK);DOCK(University of California、San Francisco、CA);ならびにFlo+およびFlo99(Thistlesoft、Morris Township、NJ)。その他の有用なプログラムとしては、Openeye Scientific Software(Santa Fe、NM)のROCS、ZAP、FRED、Vida、およびSzybki;Schrodinger、LLC(Portland、OR)のMaestro、Macromodel、およびGlide;MOE(Chemical Computing Group、Montreal、Quebec)、Allegrow(Boston De Novo、Boston、MA),CNS(Brunger,et al.,Acta Crystall.Sect.D 54:905−921,1997)ならびにGOLD(Jones et al.,J.Mol.Biol.245:43−53,1995)が挙げられる。MOLSCRIPT、RASTER3D、またはPYMOL(Kraulis,J.Appl.Crystallogr.24:946−950,1991;Bacon and Anderson,J.Mol.Graph.6:219−220,1998;DeLano,The PYMOL Molecular Graphics System(2002)DeLano Scientific,San Carlos,CA)を用いて、構造座標を使用してヒトIL−13の3次元構造を可視化することもできる。
【0097】
例えば、適当なデータベースを選別することによって作用薬を選択することができ、適当なソフトウェアシステムを併用して、結合していないヒトIL−13または結合していないヒトIL−13Rα1ポリペプチドの立体構造および電荷ポテンシャルを解析することによって作用薬を新規に設計することができ、かつ/または既知のサイトカインリガンドの特徴を用いて作用薬を設計することができる。IL−4RαなどのIL−4Rポリペプチド、またはIL−Rα1ポリペプチドに対するIL−13の結合をブロックする作用薬の能力を試験することができる。ヒトIL−13に対して結合するように、またはヒトIL−13Rα1ポリペプチドに対して結合するように作用薬を設計することができる。この方法を用いてヒトIL−13またはヒトIL−Rα1ポリペプチドのアゴニストまたはアンタゴニストを設計または選択することができる。ソフトウェアシステムを設計および/または実装してデータベースの探索、ならびに/または作用薬の選択および設計を容易にすることができる。
【0098】
一旦作用薬が設計または確認されると、これを得てまたは合成して、ヒトIL−13の活性またはヒトIL−13Rα1の活性に対するその影響をさらに評価することができる。作用薬は、これをヒトIL−13と接触させてIL−13の生物活性をアッセイすることにより、あるいはこれをヒトIL−13Rα1ポリペプチドと接触させてIL−13Rα1の生物活性をアッセイすることにより評価することができる。作用薬を評価する方法としてはin vitroまたはin vivoで行われる活性アッセイがある。活性アッセイは、例えば細胞ベースアッセイとすることができる。作用薬の、ヒトIL−13またはヒトIL−13Rα1ポリペプチドに対する作用によっては、作用薬は、ヒトIL−13またはIL−13RαL活性のアゴニストとして作用する可能性もあり、アンタゴニストとして作用する可能性もある。アゴニストはヒトIL−13またはヒトIL−13Rα1ポリペプチドに同一または類似の活性を与え、アンタゴニストはヒトIL−13またはヒトIL−13Rα1ポリペプチドの正常な機能を阻害する。作用薬を、抗IL−13抗体(例えば、mAb13.2もしくはmAb13.2Fab)またはヒトIL−13受容体(例えば、ヒトIL−4RαポリペプチドなどのIL−4Rポリペプチド、もしくはヒトIL−13Rα1ポリペプチドなどのIL−13Rポリペプチド)の存在下でヒトIL−13と接触させて、この作用薬がヒトIL−13ポリペプチドに対する抗体または受容体の結合を阻害するかどうか判定することができる。ある実施形態においては、ある作用薬は、ヒトIL−13に対するある種の受容体の結合を阻害するが、別の種類の受容体の結合は阻害しない。例えば、ある作用薬は、ヒトIL−4Rポリペプチド(例えば、IL−4Rα鎖)に対するヒトIL−13ポリペプチドの結合を阻害する可能性があるが、ヒトIL−13Rα1ポリペプチドは阻害しない。同様に、別の作用薬はIL−13Rα1ポリペプチドに対するヒトIL−13の結合を阻害する可能性があるが、ヒトIL−4Rポリペプチドに対しては阻害しない。別の実施形態においては、この作用薬は、ヒトIL−4Rポリペプチド(例えば、IL−4Rα鎖)およびヒトIL−13Rα1ポリペプチドに対するIL−13ポリペプチドの結合を阻害する。このように確認された作用薬と結合したヒトIL−13を含む結晶を成長させて、その構造をX線結晶学で決定することができる。第1の作用薬とヒトIL−13との相互作用に基づいて、第2の作用薬を設計または確認することができる。種々の分子解析および合理的な薬剤設計手法が、例えば、米国特許第5834228号、第5939528号、および第5856116号、ならびにPCT出願PCT/US98/16879号(WO 99/09148として公開)に開示されている。
【0099】
いくつかの実施形態について説明してきたが、その他の実施形態も考えられる。
【0100】
一例として、ヒトIL−13、mAb13.2Fabフラグメント、およびヒトIL−13Rα1ポリペプチドを含む実施形態について説明してきたが、より一般に、任意のIL−13ポリペプチド、任意のIL−13Rα1ポリペプチド、および/または任意の抗IL−13抗体を用いることができる。
【0101】
一例として、ヒトIL−13およびヒトIL−13Rα1ポリペプチドを含む実施形態について説明してきたが、より一般に、任意のIL−13ポリペプチドおよび任意のIL−13Rα1ポリペプチドを用いることができる。例えば、IL−13ポリペプチドまたはIL−13Rα1ポリペプチドは、非哺乳類からのものも、哺乳類からのものもあり得る。代表的なヒト以外の哺乳動物としては、非ヒト霊長類(サルまたは類人猿など)、マウス、ラット、ヤギ、雌ウシ、雄ウシ、ブタ、ウマ、ヒツジ、イノシシ、ラッコ、ネコ、またはイヌが挙げられる。代表的な非哺乳類としては、ニワトリ、シチメンチョウ、エビ、ワニ、または魚が挙げられる。
【0102】
さらに、IL−13ポリペプチドまたはIL−13Rα1ポリペプチドは、一般に、IL−13ポリペプチドまたはIL−13Rα1ポリペプチドの任意のアイソフォームまたは処理された形の完全長アミノ酸配列を含めて、完全長の成熟ポリペプチドとすることができる。アイソフォームは、その一次構造が異なるタンパク質のいくつかのマルチフォームのいずれかである。完全長IL−13は、タンパク質の前駆体形態と呼ぶことができる。完全長IL−13はシグナルペプチド切断部位を有する。IL−13ポリペプチドは、シグナルペプチドの切断後などの処理されたポリペプチドとすることができる。
【0103】
通常、ヒトIL−13ポリペプチドは、受容体ポリペプチド(例えば、IL−4Rポリペプチド、IL−13α1ポリペプチド)と相互作用するための少なくとも1個の活性部位を有する。IL−13ポリペプチドは、2個の異なる受容体ポリペプチドと相互作用するための3個の活性部位を含むことができる。抗IL−13抗体は、これらの活性部位の少なくとも1個と結合することができる。一般に、活性部位には、受容体ポリペプチド結合の部位、またはリン酸化、グリコシル化、アルキル化、アシル化、またはその他の共有結合性修飾の部位が含まれる。活性部位には、実際の結合部位に隣接または近接して、リガンドとの相互作用に際して活性に影響を及ぼす可能性がある補助的な結合部位が含まれる。ヒトIL−13ポリペプチドの活性部位は、配列番号4のアミノ酸を含むことができる。例えば、ヒトIL−13ポリペプチドの活性部位は、配列番号4のアミノ酸配列(図2B)で定義されるアミノ酸Ser7、Thr8、Ala9、Glu12、Leu48、Glu49、Ile52、Asn53、Arg65、Ser68、Gly69、Phe70、Cys71、Pro72、His73、Lys74、およびArg86の1個または複数を含むことができる。ある実施形態においては、作用薬は、配列番号4のアミノ酸配列で定義されるIL−13の1個または複数のアミノ酸Glu49、Asn53、Gly69、Pro72、His73、Lys74、およびArg86の約2.0Å以内(例えば、約1.5Å以下、約1.0Å以下)まで相互作用することができる。ある代替形態においては、ヒトIL−13ポリペプチドの活性部位は、配列番号4のアミノ酸配列で定義されるアミノ酸Arg11、Glu12、Leu13、Ile14、Glu15、Lys104、Lys105、Leu106、Phe107、およびArg108の1個または複数を含むことができる。別の代替形態においては、ヒトIL−13ポリペプチドの活性部位は、配列番号4のアミノ酸配列で定義されるアミノ酸Thr88、Lys89、Lle90、およびGlu91の1個または複数を含むことができる。ヒトIL−13ポリペプチドは、上記の活性部位の1個、2個、または3個すべてを含むことができる。
【0104】
通常、ヒトIL−13Rα1ポリペプチドは、ポリペプチドリガンド(例えば、ヒトIL−13ポリペプチド)と相互作用するための少なくとも1個の活性部位を有する。抗IL−13Rα1抗体は、これらの活性部位の少なくとも1個と結合することができる。一般に、活性部位には、ポリペプチドリガンド結合の部位、またはリン酸化、グリコシル化、アルキル化、アシル化、またはその他の共有結合性修飾の部位が含まれる。活性部位には、実際の結合部位に隣接または近接して、リガンドとの相互作用に際して活性に影響を及ぼす可能性がある補助的な結合部位が含まれる。ヒトIL−13Rα1ポリペプチドの活性部位は、配列番号12のアミノ酸を含むことができる。例えば、ヒトIL−13Rα1ポリペプチドの活性部位は、配列番号12のアミノ酸配列で定義されるアミノ酸残基Ile254、Ser255、Arg256、Lys318、Cys320、およびTyr321の1個または複数を含むことができる。ある代替形態においては、ヒトIL−13Rα1ポリペプチドの活性部位は、配列番号12のアミノ酸配列で定義されるアミノ酸残基Lys76、Lys77、Ile78、およびAla79の1個または複数を含むことができる。ヒトIL−13Rα1ポリペプチドは、これらの活性部位の一方または両方を含むことができる。
【0105】
ヒトIL−13ポリペプチド、ヒトIL−13Rα1ポリペプチド、ならびにmAb13.2Fabなどの抗IL−13抗体の重鎖および軽鎖のアミノ酸の番号付けは、本明細書に記載のものと異なる可能性があり、表10で定義されたものと同じ3次元構造±1.5Å未満の骨格原子のrmsd、または表11のもの±1.5Å未満の骨格原子のrmsd、または表12のもの±1.5Å未満の骨格原子のrmsdの構造を生じる何らかの同類アミノ酸置換、付加、または欠失を含む可能性がある。例えば、ヒトIL−13処理ポリペプチドの番号付けは、図2Bに記載のものと異なる可能性があり、IL−13の配列は、同類アミノ酸置換を含む可能性があるが、表11の座標で定義され図3に示したものと同じ構造、あるいは表12の座標で定義され図15、16、および17に示したものと同じ構造を生じる可能性がある。その他のアイソフォームまたは類似体の対応するアミノ酸および同類置換は、該当するアミノ酸配列の目視検査によって、または市販のホモロジーソフトウェアプログラム(例えば、MODELLAR、MSI、San Diego、CA)を用いて容易に確認される。
【0106】
類似体は、同類アミノ酸置換を有するポリペプチドである。同類置換は、置換されるアミノ酸と機能的または構造的に等価なアミノ酸置換である。同類置換は、あるアミノ酸を類似の極性または立体配置を有する別のアミノ酸、あるいは置換されるアミノ酸と同じクラス(例えば、疎水性、酸性または塩基性)に属する別のアミノ酸に変えることを含むことができる。同類置換には、ポリペプチド(例えば、IL−13ポリペプチド、IL−13Rα1ポリペプチド)と相互作用する作用薬の確認および設計に関して、ならびに分子置換解析および/またはホモロジーモデリングのために、抗IL−13抗体またはヒトIL−13ポリペプチド/抗IL−13抗体複合体またはヒトIL−13Rα1ポリペプチド/ヒトIL−13Rポリペプチド/抗IL−13抗体複合体の3次元構造には重要でない効果を有する置換が含まれる。
【0107】
抗IL−13抗体がマウスに由来する例を説明してきたが、より一般的には、どんな抗IL−13抗体も用いることができる。例えば、抗IL−13抗体は、ヒト、マウス、ラット、ハムスター、ウサギ、ヤギ、ウマ、またはニワトリ由来のものでもよい。
【0108】
別の例として、抗IL−13抗体を所定の方法で産生する実施形態を説明してきたが、他の方法も使用することができる。例えば、雌BALB/cマウスを組換え型または天然型ヒトIL−13で免疫化することにより、初めにポリクローナル抗血清を調製することによって抗IL−13抗体を産生することができる。ヒトIL−13に対する血清の結合性を、ELISAなどのアッセイによってスクリーニングすることができる。高い血清抗体力価を示したマウスからの脾細胞を、P3X63_AG8.653ミエローマ細胞株(ATCC、Manassas、VA)などのミエローマ細胞株と融合し、選択培地に播種することができる。限界希釈法による複数回のサブクローニングの後、融合体を単離することができる。そして、この融合体を、ヒトIL−13に対する結合親和力を有する抗体の産生についてスクリーニングすることができる。抗IL−13抗体はポリクローナルでもモノクローナルでもよい。IL−13と結合する抗体は、Fabフラグメントなどの抗体のフラグメントでもよい。
【0109】
一般に、免疫グロブリンとしても知られている無処置の抗体は、それぞれ約25kDaの2つの軽(L)鎖およびそれぞれ約50kDaの2つの重(H)鎖からなるグリコシル化タンパク質四量体である。各軽鎖は、N末端可変(V)領域(VL)および定常(C)領域(CL)からなる。各重鎖はN末端V領域(VH)、3つまたは4つのC領域(CH)、およびヒンジ部からなる。VHに最も近いCH領域はCH1と呼ばれる。VHおよびVL領域は、フレームワーク領域と呼ばれる比較的保存された配列の4つの領域からなる。フレームワーク領域は、超可変配列(相補性決定領域、CDR)の3つの領域の骨格を形成している。CDRは、抗原との特定の相互作用を担当する残基の大部分を含んでいる。CDRは、CDR1、CDR2、およびCDR3と呼ばれる。したがって、重鎖上のCDR成分はH1、H2、およびH3と呼ばれ、一方、軽鎖上のCDR成分はL1、L2、およびL3と呼ばれる(例えば、表4参照)。様々なクラスの免疫グロブリンのサブユニット構造および3次元配置は当技術分野において周知である。抗体構造の再調査については、Antibodies:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory,eds.Harlow et al.(1988)を参照されたい。最小の抗原結合フラグメントはFv(可変フラグメント)であり、VHおよびVL領域からなる。Fab(fragment antigen binding、抗原結合フラグメント)フラグメントは、VH−CH1およびVL−CL領域からなり、定常領域の間がジスルフィド結合によって共有結合されている。
【0110】
したがって、一態様においては、本出願は、IL−13に結合する、および/またはこれを中和する、抗体またはその抗原結合フラグメントを特徴とする。抗体またはそのフラグメントは、ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、またはin vitro産生抗体であってもよい。一実施形態においては、抗IL−13抗体またはそのフラグメントはヒト化抗体である。この抗体は、表10に記載のCDRの骨格コンフォメーション±1.5、1.2、1.1、または1.0オングストローム以下の根平均二乗偏位(RMSD)、表11±1.5、1.2、1.1、または1.0オングストローム以下のRMSD、あるいは表12±1.5、1.2、1.1、または1.0オングストローム以下のRMSDを有する1つまたは複数のCDRを含む。例えば、軽鎖可変領域のCDRの1つ、2つ、または3つ(例えば、特にCDR1、または少なくとも2つのCDR、例えばCDR1とCDR3、CDR1とCDR2、または3つのCDRすべて)は、その構造に対して、1.5、1.2、1.1、または1.0オングストローム以下のRMSDを有する。一実施形態においては、抗体またはその抗体結合フラグメントは、全体として、表10に記載のCDRの骨格コンフォメーション±1.5、1.2、1.1、または1.0オングストローム以下の根平均二乗偏位(RMSD)、表11±1.5、1.2、1.1、または1.0オングストローム以下のRMSD、あるいは表12±1.5、1.2、1.1、または1.0オングストローム以下のRMSDを有する可変領域を含む。可変領域は、例えばCDR領域および/またはフレームワーク領域において、本明細書記載の抗体に対して、少なくとも70%、80%、85%、87%、90%、92%、93%、95%、96%、97%、98%、または99%同一であってもよい。この抗体は、例えば本明細書記載の処理方法において使用することができる。
【0111】
抗IL−13抗体は、例えば、2004年6月9日出願の米国仮特許出願第60/578473号、2004年6月22日出願の米国仮特許出願第60/581375号、および本明細書と同一日に出願の米国特許出願第_号[整理番号:AM101493](Kasaian他)において開示されており、これらのそれぞれを参照として本明細書に組み込む。
【0112】
以下の実施例は例示のためのものであり、限定するためのものではない。
実施例
【実施例1】
【0113】
mAb13.2の産生および機能解析
IL−13を認識する抗体を産生するために、雌BALB/cマウスを組換え型ヒトIL−13(R&D Systems、Minneapolis、MN)で免疫化することによりポリクローナル抗血清を調製した。ヒトIL−13に対する血清の結合性をELISAによってスクリーニングした。高い血清抗体力価を示したマウスからの脾細胞を、P3X63_AG8.653ミエローマ細胞株(ATCC、Manassas、VA)と融合し、選択培地に播種した。限界希釈法による3回のサブクローニングで融合体を単離し、これをヒトIL−13に対する結合親和力を有する抗体の産生についてスクリーニングした。3種のモノクローナル抗体がIL−13と結合することができ、その生物活性を中和および/または阻害することができた。モノクローナル抗体mAb13.2(IgG1κ)を更なる解析の対象とした。
【0114】
いくつかのアッセイを行って、マウスのモノクローナル抗体mAb13.2がヒトIL−13に高い親和性と特異性で結合することを確認した。初めに、Biacore分析により、ヒトIL−13への結合に対して、mAb13.2が速いon−rate、遅いoff−rate、および高い親和性を持つことを確認した(図4)。
【0115】
ELISAアッセイにより、mAb13.2は、臍帯血T細胞に由来する天然型IL−13を含めて、試験したすべての形のヒトIL−13と結合することが分かった。このアッセイを組換え型ヒトIL−13で行うために、ELISAプレートに抗FLAG M2抗体を塗布した。組換え型FLAGタグ付きヒトIL−13の結合は、ビオチン化mAb13.2およびストレプトアビジン−ペルオキシダーゼを用いて検出した。この結合は、マイトジェン活性化、TH2ねじれ形、臍帯血単核細胞から単離された天然型ヒトIL−13、および組換え型ヒトIL−13と競合していると思われる(図5)。組換え型マウスIL−13は、mAb13.2との結合について競合することができなかった。非標識mAb13.2およびmAb13.2Fabも、FLAGタグ付きIL−13に対する結合についてビオチン化mAb13.2と競合することができた(図11A)。IL−13特異性非中和性モノクローナル抗体mAb13.8は、ビオチン化mAb13.2の結合性と競合することができなかった。
【0116】
TF1バイオアッセイ、ヒト末梢血単球、およびヒト末梢血B細胞を用いて、in vitroでmAb13.2がIL−13の生物活性を中和できるかどうかを確認した。最適以下の濃度のIL−13の存在下、ヒト赤白血病TF1細胞株の細胞の増殖をIL−13依存性とすることができた。TF1細胞株をサイトカイン不足にし、次いで様々な濃度の精製マウスmAb13.2または可溶性阻害剤rhuIL−13Rα2の存在下、最適以下の濃度(3ng/mL)の組換え型ヒトIL−13に露出した。細胞を3日間インキュベートし、液体シンチレーションの計数によって最後の4時間における3H−チミジンの取り込みを測定した。最適以下のIL−13濃度(3ng/mL)で、mAb13.2はTF1増殖の用量依存性阻害を引き起こした(図6および図12A)。この効果に対するIC50、250pM、はrhuIL−13Rα2のIC50に匹敵する。mAb13.2FabもCD23発現ヒトPBMCを阻害した。
【0117】
ヒトPBMCは、低親和性IgE受容体(CD23)の細胞表面の発現を用量依存で増加させることによってIL−13またはIL−4に反応する(図7A参照)。したがって、単球(CD11b+)を用いてmAb13.2がIL−13の生物活性を中和する能力を確認した。図中に示した濃度の精製マウスmAb13.2の存在下、CD11b+単球を1ng/mLの組換え型ヒトIL−13(図7B)またはIL−4(図7C)で12時間処理した。次いで、細胞を収穫し、これをCyChrome標識抗CD11b抗体およびPE標識抗CD23抗体で染色した。標識はフローサイトメトリーで検出した。mAb13.2は、IL−13誘導CD23発現を阻害した(図7B;図12Bも参照のこと)が、IL−4誘導CD23発現を阻害しなかった(図7C)。
【0118】
mAb13.2の効果を、ヒト末梢血B細胞によるIL−13誘導IgE産生のモデルにおいても試験した。IL−13およびT細胞マイトジェン、フィトヘマグルチニン(PHA)、に反応して、ヒトB細胞は、IgEへのIgアイソタイプスイッチ組換えを起こし、培養物のIgE濃度が上昇する。この効果は、IgE産生B細胞の頻度増加として認められる。mAb13.2がB細胞におけるIL−13依存性IgE産生に及ぼす効果を調べるために、フィーダーとしての照射自己PBMCの存在下、マイクロタイターウェルにおいて健康なドナーからのPBMCを培養し、PHAおよびIL−13で刺激した。3週間後、ELISAにより各ウェルのIgEを測定した。PHA+IL−13により、IgE産生B細胞クローンの頻度が増加した。この効果は、mAb13.2によって阻害されたが、mAb13.8では阻害されず(IL−13に結合するが中和しなかった)、または関係ないマウスIgGでは阻害されなかった。mAb13.2は、IL−13が培養B細胞に及ぼすこの効果を効率的にブロックした(図8)。
【0119】
最後に、シグナルトランスデューサーおよび転写アクチベーター6(STAT)6のリン酸化に及ぼす効果を調べることにより、mAb13.2がIL−13に対する早期細胞応答をブロックする能力を試験した。その細胞表面受容体とIL−13の相互作用により、STAT6は二量体化し、リン酸化され、細胞質から核へ移動し、そこで、サイトカイン応答遺伝子の転写を活性化する(Murata et al.,J.Biol.Chem.270:30829−36,1995)。IL−13露出後30分以内にウェスタンブロットまたはフローサイトメトリーを行うことによって、リン酸化STAT6に対する特定の抗体により、この活性化を検出することができる。IL−13依存性STAT6のリン酸化に及ぼすmAb13.2の効果を試験するために、図中に示した濃度のIL−13を用いて37℃で30分間、HT−29ヒト上皮細胞株の細胞を処理した。ウェスタンブロット(図9A)またはフローサイトメトリー(図9Bおよび9C)により、リン酸化STAT6が細胞ライセート中に検出された。図9Bに示した実験においては、細胞を飽和濃度のIL−13を用いて37℃で30分間処理し、次いでこれを固化し、透過化処理し、リン酸化STAT6に対するAlexa−Fluor488標識mAbで染色した。図9Cに示した実験においては抗体の存在下または不存在下、細胞を最適以下の濃度のIL−13で処理し、固化し、上記のように染色した。フローサイトメトリーの結果によれば、mAb13.2はSTAT6のリン酸化をブロックするが、mAb13.8および対照マウスIgG1は効果がないことが分かった。
【実施例2】
【0120】
マウスのモノクローナル抗体mAb13.2はin vivoでのIL−13生物活性を中和する。
生まれつきブタ回虫にアレルギー性のカニクイザルの抗原誘発気道炎モデルを用いて、マウスmAb13.2がin vivo IL−13活性を中和する能力を試験した。このモデルにおいては、アレルギー性サルにブタ回虫を接種すると、気道への炎症性細胞、特に好酸球の流入が起る。mAb13.2がこの細胞の流入を防止できるかどうかを試験するために、ブタ回虫抗原を接種する24時間前に抗体を投与した。病原体接種の日に、左肺から基線洗浄試料を採取した。次いで、抗原を気管内に滴下して右肺に入れた。24時間後、右肺を洗浄し、8mg/kgの腹水精製mAb13.2を静脈に投与した動物からの気管支肺胞洗浄(BAL)液を、未投与動物からのBAL液と比較した。病原菌接種後、5匹の未投与動物の内4匹で好酸球の数が増加した。一方、mAb13.2を投与した動物6匹の内1匹で好酸球の数が増加した(図10)。未投与群については、BAL好酸球の割合は有意に増加した(p<0.02)が、抗体投与群では増加しなかった。これらの結果により、mAb13.2が、アレルゲンを接種したアレルギー性動物の気道好酸球増加症を効果的に防止することが確認された。
【0121】
マウスmAb13.2の平均血清半減期はサルで1週間未満である。mAb13.2のすべての痕跡が血清から失われたと思われる3カ月の時点で、mAb13.2を投与した動物に再度ブタ回虫を接種し、これらの個体の回虫応答性を確認した。投与された群のサル6匹の内2匹は非応答動物であることが分かった。
【実施例3】
【0122】
マウスのモノクローナル抗体mAb13.2は、正常ならIL−4Rαに対して結合するIL−13の領域に結合する。
IL−13の生物活性は、IL−13Rα1およびIL−4Rα1鎖からなる受容体複合体が仲介する。このサイトカインは、初めに細胞の表面上でIL−13Rα1との比較的低い親和性の相互作用を起こす。この複合体は次にIL−4Rα1を補充して高い親和性の受容体を形成する(Zurawski et al.,EMBO J.12:2663,1993;Zurawski et al.,J.Biol.Chem.270:23869,1995)。IL−4Rα鎖を介したシグナル伝達はSTAT6のリン酸化を伴うが、これをIL−13に対する最も早い細胞応答の1つとしてモニターすることができる(Murata et al.,J.Biol.Chem.270:30829−36,1995)。エピトープマッピング、X線結晶学、さらにはBiacore分析など、いくつかのアプローチを用いて、マウスのmAb13.2抗体とヒトIL−13との相互作用を明らかにし、さらにこの抗体のIL−13中和効果の基本を決定した。
【0123】
エピトープマッピングおよびX線結晶学は、mAb13.2が、IL−13ヘリックスCのC末端領域、即ちIL−4R結合領域(下記参照)に結合することを示した。この分析を確認するために、mAb13.2とIL−13の相互作用を、Biacoreチップを用いて分析した。この分析はいくつかのフォーマットで行われた。第1に、IL−4RをBiacoreチップに結合させ、IL−13Rα1に事前結合させたIL−13の複合体をこのチップの上に流した。mAb13.2の不存在下において、3分子複合体の形成を実証することができた。しかしながら、IL−13Rα1に事前結合させたIL−13の混合物にmAb13.2を添加すると、チップ上のIL−4Rに対する結合が妨げられた。第2に、mAb13.2をチップ上に固定化し、結合したIL−13を溶液相に添加した。IL−13Rα1がこの結合IL−13と相互作用することが分かったが、IL−4Rと結合IL−13との相互作用は認められなかった。第3に、mAb13.2は、チップ上に固定化されたIL−13Rα1−FcまたはIL−13Rα1モノマーに結合したIL−13に結合することができることが実証された。これらの観察により、mAb13.2は、IL−13とIL−13Rα1との相互作用を阻害しないが、IL−13Rα1とIL−4Rαとの相互作用を阻害することが分かる。この阻害は、IL−13シグナル伝達複合体の形成を妨げると思われる。これらの観察は、この抗体の中和活性についてのモデルを提供した。
【0124】
IL−13およびIL−13Rα1とのmAb13.2の複合体のin vitroでの実証は、mAb13.2は、細胞表面で、受容体が関連したIL−13に潜在的に結合することができることを示す。細胞に結合したmAb13.2を、受容体に結合したIL−13を飽和させた条件下で検出することができるかどうかを判定するために、4℃でHT−29ヒト上皮細胞株にIL−13を装入し、抗体結合性を試験した。フローサイトメトリーによって、細胞に結合したmAb13.2を検出することができなかった。この観察、ならびにmAb13.2がIL−13生物活性の有効な中和剤であるという実証により、IL−13受容体の正常な機能がmAb13.2によって阻害されることが分かった。
【実施例4】
【0125】
抗IL−13抗体mAb13.2Fabフラグメントの結晶構造
マウス腹水からのモノクローナル抗体mAb13.2を、プロテインAアフィニティーカラムを用いて精製した。マウス腹水をプロテインA結合緩衝液(50mM Tris−HCl、500mM NaCl、pH8.0)で2倍に希釈し、0.2mmのフィルターユニットを通して濾過した。濾過した溶液を、4℃で、結合緩衝液で平衡にしたPorosプロテインAカラム(Applied Biosystems、Framingham、MA)にかけた。カラムを結合緩衝液で洗浄し、100mMグリシン(pH3.0)を用いてIgGを溶出した。pH8.0の1M Tris−HClを用いて溶出したIgGを直ちに中和した。
【0126】
IL−13モノクローナルIgGを活性化パパイン(Sigma、St.Louis、MO)で分解することによってFabフラグメントを調製した。パパインは、この酵素の原液を消化緩衝液(50mM Tris−HCl、50mM NaCl、20mM EDTAおよび20mMシステイン、pH7.5)を用いて氷上で希釈することによって活性化し、パパインの最終濃度を1mg/mLとした。IgGの切断は、37℃で7〜8時間、パパイン消化緩衝液中で100:1の重量比で活性化パパインを用いたインキュベーションによって行った。反応は、4℃で一晩、50mM Tris−HCl(pH7.5)中での透析によって停止させた。透析した溶液を、4℃で、50mM Tris−HCl(pH7.5)で平衡にしたタンデム型Poros HS/プロテインAカラムに装入し、パパインおよびFcフラグメントを除去した。次いで、Fabフラグメントを含有するタンデムカラムの流液を、1mMリン酸ナトリウムと20mM Tris−HCl、pH7.5で平衡にしたヒドロキシルアパタイトカラム(Bio−Rad、Hercules、CA)に装入し、1mMから125mMのリン酸ナトリウムグラジエントを用いて25℃で溶離した。溶離したFabフラグメント溶液を、4℃で一晩、50mM Tris−HCl(pH8.0)中で透析した。透析の後、この溶液を、50mM Tris−HCl(pH8.0)で平衡にしたPoros HQカラムに装入した。流液を採取し、硫酸アンモニウムで、ポリプロピルアスパルトアミドカラム(Nest Group、Southborough、MA)へ装入する前の最終濃度を1.5Mに調整した。Fabフラグメントを、25℃で1.5〜0Mの硫酸アンモニウムグラジエントを用いてカラムから溶離した。このタンパク質を、4℃で50mM Tris−HCl(pH8.0)中で透析した。
【0127】
単離したmAb13.2抗体およびmAb13.2Fabフラグメントについて、これらがIL−13の生物活性を阻害する能力を試験した。あるアッセイにおいては、精製したmAb13.2およびmAb13.2Fabフラグメントについて、ELISAアッセイにおいて、これらがビオチン化mAb13.2と結合性を競合する能力を試験した。ELISAプレートに抗FLAG M2抗体を塗布した。FLAG−ヒトIL−13の結合は、ビオチン化mAb13.2とストレプトアビジン−ペルオキシダーゼを用いて検出した。この無処置抗体とFabフラグメントは両方とも結合性を競合することができたが、IL−13に特異的な非中和抗体mAb13.8は結合性を競合することができなかった(図11Aおよび11B)。
【0128】
別のアッセイにおいては、精製したmAb13.2およびmAb13.2Fabフラグメントについて、これらがIL−13に依存したTF1細胞の増殖およびPBMC上でのIL−13に依存したCD23の発現を阻害する能力を試験した。実施例1に記載の組換え型ヒトIL−13を3ng/mL用いて、TF1細胞をインキュベートした。精製mAb13.2またはmAb13.2Fabの濃度を上げながらこの細胞を処理し、細胞の増殖を上記のようにモニターした。無処置抗体およびFabフラグメントの両方ともIL−13に依存したTF1細胞の増殖を阻害した(図12A)。単離されたタンパク質がCD23の発現に及ぼす影響を試験するために、実施例1に記載の組換え型ヒトIL−13を1ng/mL用いて、PBMCをインキュベートした。mAb13.2またはmAb13.2Fabの濃度を上げながらこの単球を処理し、CD23の発現を上記のようにフローサイトメトリーでモニターした。精製した無処置抗体および精製したFabフラグメントはそれぞれ、IL−13に依存したCD23の発現を阻害した(図12B)。
【0129】
結晶化のために、50mM Tris(pH8.0)と50mM NaClの溶液中に12.6mg/mLの濃度で精製mAb13.2Fabを調製した。1マイクロリットルのタンパク質溶液を、1μlの結晶化溶液(20%のPEG3350、200mMのK2SO4)(Hampton Research、Aliso Viejo、CA)と混ぜた。結晶は、ハンギングドロップ蒸気拡散法によって約18℃で形成した。
【0130】
mAb13.2Fabフラグメントの結晶からのデータは、ADSC Quantum−4 CCD検出器を用いて、Advanced Light Source(ALS)(Berkley、CA)のbeamline 5.0.2に集めた。それぞれのデータセットには、−180℃でガラス化した単結晶を用いた。これらのデータは、DENSOおよびScalepack(Otwinowski and Minor,Methods Enzymol.276:307−326,1997)を用いて処理した。データ収集およびデータ精密化からの統計量を、それぞれ以下の表1および2に示す。
【0131】
【表1】
aRmerge=Σ|Ih-<Ih>|/ΣIh、但し、<Ih>は対称等価物の平均強度である。括弧内の数字は最終シェルについての統計量を示す。
【0132】
【表2】
aRwork=Σ||Fobs|-|Fcalc||/Σ|Fobs|、RfreeはRworkと同じであるが、精密化プロセスからオミットした任意に選んだ5%の反射についての計算である。
bMoy et al.,J. Mol. Biol. 310:219-230,2001.
【0133】
プログラムAMORE(Navaza,Acta Crystallogr.A50:157−163,1994)を用いて、分子置換によってmAb13.2Fabの構造を解明した。モノクローナル2E8Fab抗体フラグメント(PDBコード12E8)の構造をプローブとして用いた。精密化の前に、精密化の経過をモニターするために、データの5%を任意に選んでRfree試験セットと命名した。次いで、一連のオミットマップを用いて、mAb13.2Fabの構造をQUANTA(Accelrys、San Diego、CA)内に再構築した。CNS(Brunger et al.,Acta Crystallogr.D54:905−921,1998)を用いた6サイクルの精密化およびQUANTAを用いた再構築の後、この精密化は、Rcryst25.9%およびRfree30.7%で、mAb13.2Fabと水分子41個を含んだモデルに収斂した。構造精密化の統計量を表2に示す。結晶の構造座標を表10に示す。
【実施例5】
【0134】
mAb13.2Fab/IL−13複合体の結晶構造
組換え型IL−13(スイスプロットアクセッション番号P35225)およびmAb13.2Fabを、結晶化のために精製した。組換え型IL−13は以下のようにして精製した。ヒトIL−13の発現に大腸菌K12株GI934を用いた。GI934は、2種の大腸菌プロテアーゼompTおよびompPにおいて特定の欠失を含むGI724(LaVallie et al.,Bio/Technology 11:187−193,1993)のilvG誘導体である。具体的には、この株は、染色体のampC座に安定的に組み込まれたバクテリオファージ1リプレッサー(cI)遺伝子を含む。cI遺伝子は、合成ネズミチフス菌trpプロモーターによって制御される。pAL−781(Collins−Racie,et al.,Bio/Technology 13:982−987,1995)の誘導体である、大腸菌発現ベクターpAL−981を、ヒトIL−13発現ベクターを構築するための基剤として用いた。
【0135】
大腸菌コドン使用頻度を最適化し、遺伝子の5’末端におけるAT含量を増やしたヒトIL−13cDNA(アクセッション番号NM_002188)からの沈黙変化を持つように設計された合成オリゴヌクレオチド二本鎖から、ヒトIL−13遺伝子のcDNAを産生した。ヒトIL−13のアミノ酸(配列番号3)(図2A)のアミノ酸Gly21〜Asn132に対応する合成オリゴヌクレオチドの相補的二本鎖3セットを用いて、ヒトIL−13の成熟領域を構築した。これは処理されたIL−13のアミノ酸配列(配列番号4)である。二本鎖1の大腸菌最適化相補的オリゴヌクレオチドは、5’−TATGGGTCCAGTTCCACCATCTACTGCTCTGCGTGAACTGATTGAAGAACTGGTTAACATCACCCAGAACCAGAAAGCTCCGCTGTGTAACGGTTCCATGGTTTGGTCCATCAACCTG−3’(配列番号6)および相補体
5’−CAGCGGTCAGGTTGATGGACCAAACCATGGAACCGTTACACAGCGGAGCTTTCTGGTTCTGGGTGATGTTAACCAGTTCTTCAATCAGTTCACGCAGAGCAGTAGATGGTGGAACTGGACCCA−3’(配列番号7)であった。二本鎖2は、
5’−ACCGCTGGTATGTACTGTGCAGCTCTGGAATCCCTGATCAACGTTTCTGGTTGCTCTGCTATCGAAAAAACCCAGCGTATGCTGTCTGGTTTCTGCCCGCACAAAGTTTCCGCTGGTCAG−3’(配列番号8)および相補体
5’−GAGGAGAACTGACCAGCGGAAACTTTGTGCGGGCAGAAACCAGACAGCATACGCTGGGTTTTTTCGATAGCAGAGCAACCAGAAACGTTGATCAGGGATTCCAGAGCTGCACAGTACATAC−3’(配列番号9)であった。二本鎖3は、
5’−TTCTCCTCTCTGCACGTTCGTGACACCAAAATCGAAGTTGCTCAGTTCGTAAAAGACCTGCTGCTGCACCTGAAAAAACTGTTCCGTGAAGGTCGTTTCAACTAATAAT−3’(配列番号10)および相補体
5’−CTAGATTATTAGTTGAAACGACCTTCACGGAACAGTTTTTTCAGGTGCAGCAGCAGGTCTTTTACGAACTGAGCAACTTCGATTTTGGTGTCACGAACGTGCAGA−3’(配列番号11)であった。
【0136】
第1および第2の二本鎖の相補的(ボトム)ストランド、ならびに第2および第3の二本鎖のトップストランドを独立にリン酸化した。これらの相補的ストランドを結合し、それぞれの二本鎖混合物を90℃に加熱し、次いで徐々に冷却してこれらの二本鎖のアニーリングを可能にした。第1および最後の二本鎖は、それぞれ制限エンドヌクレアーゼNdelおよびXbalをコードしており、Ndel、Xbalで消化されゲル精製された発現ベクターpAL−981へのクローニングを可能にした。すべての制限消化、オリゴヌクレオチドの酵素的リン酸化、DNAフラグメントの分離およびライゲーションは、Sambrook et al.,1989.“Molecular Cloning,a Laboratory Manual,second edition,”Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,New Yorkに記載のように行った。連結混合物を、記載(LaVallie et al.,Methods Mol Biol.205:119−140,2003)のようにして、エレクトロコンピテントGI934に形質転換した。3セットのオリゴヌクレオチド二本鎖のpAL−0981へのライゲーションにより、プラスミドpALHIL13−981を作成した。この発現ベクターへのクローニングの後、すべての合成オリゴヌクレオチドを配列確認した。
【0137】
得られたプラスミドpALHIL13−981をGI934に形質転換した。プラスミドpALHIL13−981からヒトIL−13を産生するための培養に最適な成長温度は経験的に決めた。培養培地は、1%カザミノ酸、1.75%(w/v)グルコース、50mM KH2PO4、15mM(NH4)2SO4、30mM Na3クエン酸2H2O、20mM MgSO4、100μg/ml アンピシリン、DM微量金属(300μM FeCl3、29μM ZnCl3、36μM CoCl2、25μM Na2MoO4、20μM CaCl2、22μM CuCl2、24μM H3BO3)からなり、NH4OHでpH7に調整した。培地10Lに、培養媒体中30℃で成長させたpALHIL13−981を含むGI934の新鮮な培養物をA5500.00005まで接種した。この培養物を30℃でA5501.2まで成長させ、次いで温度を37℃に調整し、培養物をA5507.5まで成長させた。この培養物に500μg/mlまでトリプトファンを添加することにより、pLプロモーターからのタンパク質合成の誘発を開始させた。37℃で4.25時間培養物を成長させた後、遠心分離により細胞を収穫した。発現ベクターの配列を図13に示す(配列番号5)。
【0138】
このタンパク質は事実上完全に不溶性であった。マイクロフルイダイザーを用いて細胞を破壊し、不溶性のIL−13を集め、50mM Ches(pH9)、6M グアニジン−HCl、1mM EDTA、20mM DTT中に約2mg/mLで溶解した。この溶液を、50mM Ches(pH9)、3M グアニジン−HCl、100mM NaCl、1mM 酸化型グルタチオンに20倍希釈し、10倍量の20mM Mes(pH6)に対して2回透析した。遠心分離による清澄化の後、IL−13をSP−セファロースに吸着させ、Mes緩衝液のNaClのグラジエントを用いて溶離した。最終的な精製は、Superdex75上で40mM リン酸ナトリウム、40mM NaCl中でのサイズ排除クロマトグラフィーによって行った。
【0139】
実施例4に記載した方法でmAb13.2Fabを精製した。
【0140】
FabとIL−13をモル比約1:1で結合させることによってFab:IL−13複合体を調製した。IL−13(40mM MESおよび40mM NaCl中50μM、pH6.0)とmAb13.2Fab(50mM Tris.HCl中50μM、pH8.0)を混合して、最終の複合体濃度を50μMとした。50mM Tris−HClおよび300mM NaCl、pH8.0で平衡にしたSuperdex75サイズ排除カラム(Amersham Biosciences、Piscataway、NJ)によって、25℃で、この複合体をさらに精製した。結晶化開始前に、精製した複合体を50mM Tris−HClおよび50mM NaCl、pH8.0で透析した。
【0141】
結晶化のために、50mM Tris(pH8.0)および50mM NaClの溶液中に11.3mg/mLの濃度で精製mAb13.2Fab/IL−13複合体を調製した。1マイクロリットルのタンパク質溶液を、1μlの結晶化溶液(20% PEG3350、50mM ZnOAc)(Hampton Research、Aliso Viejo、CA)と混ぜた。結晶は、ハンギングドロップ法による蒸気拡散によって18℃で形成した。
【0142】
mAb13.2Fab/IL−13複合体の結晶からのデータは、ADSC Quantum−4 CCD検出器を用いて、ALS(Berkley、CA)のbeamline5.0.2に集めた。このデータセットには、−180℃でガラス化した単結晶を用いた。これらのデータは、DENSOおよびScalepack(Otwinowski and Minor,Methods Enzymol.276:307−326,1997)を用いて処理した。データ精密化からの統計量を表2に示す。結晶構造座標は表11に示す。
【0143】
mAb13.2Fab/IL−13二成分複合体の結晶は、シンクロトロン放射を用いて1.8Åまで回折した。プログラムAMOREを用い、mAb13.2Fabの結晶構造(実施例4に記載)をプローブとして用いて、分子置換によって複合体の構造を解明した。精密化の前に、精密化の経過をモニターするために、データの5%を任意に選んでRfree試験セットと命名した。次いで、一連のオミットマップを用いて、mAb13.2Fabの構造をQUANTA内に再構築した。この処理中に、超可変領域の近くに余分な電子密度が観察された。これらの領域はそれぞれの再構築サイクルの後ではっきりした。Fabフラグメントを再構築した後、IL−13のNMR構造(Moy et al.,J.Mol.Biol.310:219−230,2001)を回転させて超可変領域に隣接する電子密度にした。CNS(Accelrys、San Diego、CA)を用いた3サイクルの精密化およびQUANTA内での再構築の後、この精密化は、Rcryst20.3%およびRfree23.5%で、1分子のmAb13.2Fab、1分子のIL−13、1分子のアセテート、3個の亜鉛イオン、および465個の水分子を含んだモデルに収斂した。構造精密化の統計量を表2に示す。
【0144】
mAb13.2/IL−13複合体結晶において、Fab軽鎖の残基1−211は可視であったが、残基212、213、および214は電子密度内に観察されなかった。重鎖については、残基1−127および133〜210は電子密度にモデリングされ、残基128〜132については、電子密度は観察されなかった。IL−13については、残基7〜21、26〜78、および81〜109は可視であり、残基1〜6、22〜25、および80は乱れていた。いくつかの残基は、不適当な電子密度のX線実験のために、より小さな残基としてモデリングされた(表5参照)。
【0145】
結晶化緩衝液からの3個の亜鉛分子がこの構造に結合しているのが分かった。これらはいずれもIL−13とFab分子の相互作用には関与していなかった。亜鉛分子の内2個は、非対称ユニットにおける分子間の接触およびタンパク質の対称関連コピーに関与していた。したがって、これらはこの複合体の結晶化にとって重要であった。亜鉛1は、Fab軽鎖Glu27およびGlu97、ならびに軽鎖の対称関連コピーの残基Glu189およびHis193に配位していた(アミノ酸の番号付けは配列番号1(図1A)による)。亜鉛2は、IL−13残基His84およびAsp87、ならびにIL−13の対称関連コピーの残基Asp98およびHis102に配位していた。亜鉛3は、他のリガンドとして水分子と共にIL−13残基Glu12およびGlu15に配位していた(アミノ酸の番号付けは配列番号4(図2B)による)。
【0146】
mAb13.2Fabフラグメントと相互作用するIL−13の残基は、ヘリックスCのC末端に位置していた(残基68〜74)。図3は、IL−13のCαヘリックスと抗体のCDRループとの相互作用を示す。FabとIL−13残基Glu49、Asn53、Gly69、Pro72、His73、Lys74、およびArg86の間に水素結合相互作用の存在が観察された。ヘリックスAのN末端の先端は、Fabフラグメントのファンデルワールス距離内であった。これらの相互作用を表3および4に要約して示す。
【0147】
【表3】
aアミノ酸残基は、Il-13の処理された形(配列番号4)に従って番号が付けられている。「I」はIL-13のアミノ酸を示す。
bアミノ酸残基は、配列番号1(軽鎖残基についてのもの、「L」)または配列番号2(重鎖残基についてのもの、「H」)に対応し、Chothia番号付け方式に従って番号が付けられている(Al-Lazikani et al.,Jour. Mol. Biol. 273:927-948,1997)。
cアミノ酸残基は、配列番号1(軽鎖残基についてのもの、「L」)または配列番号2(重鎖残基についてのもの、「H」)の番号付けに従って番号が付けられている。
【0148】
【表4−1】
【表4−2】
aアミノ酸残基は、Il-13の処理された形(配列番号4)に従って番号が付けられている。「I」はIL-13のアミノ酸を示す。
bアミノ酸残基は、配列番号1(軽鎖残基についてのもの、「L」)または配列番号2(重鎖残基についてのもの、「H」)に対応し、Chothia番号付け方式に従って番号が付けられている(Al-Lazikani et al.,Jour. Mol. Biol. 273:927-948,1997)。表6および7を参照のこと。
cアミノ酸残基は、配列番号1(軽鎖残基についてのもの、「L」)または配列番号2(重鎖残基についてのもの、「H」)の番号付けに従って番号が付けられている。
【0149】
【表5】
a「HC」は重鎖(配列番号2)であり;「LC」は軽鎖(配列番号1)であり;「I」は処理されたIL-13(配列番号4)である。
bアミノ酸残基は、配列番号1(軽鎖残基についてのもの、「LC」)または配列番号2(重鎖残基についてのもの、「HC」)に対応し、Chothia番号付け方式に従って番号が付けられている(Al-Lazikani et al.,Jour. Mol. Biol. 273:927-948,1997)。表6および7を参照のこと。
cアミノ酸残基は、配列番号1(軽鎖残基についてのもの、「LC」)、配列番号2(重鎖残基についてのもの、「HC」)、または配列番号4(処理されたIL-13ポリペプチドの残基についてのもの、「I」)の番号付けに従って番号が付けられ、識別される。
【0150】
図3は、mAb13.2FabとヒトIL−13の共結晶構造を示すリボンダイアグラムである。mAb13.2Fabの軽鎖は濃い陰影で示され、重鎖は薄い陰影で示されている。IL−13構造は右に示されている。この図は、IL−13のCαヘリックスと抗体のCDRループとの相互作用を示す。IL−13と水素結合接触を行うmAb13.2重鎖の主残基は、SER50(CDR2)、SER53(CDR2)、TYR101(CDR3)、およびTYR102(CDR3)である。IL−13とファンデルワールス接触を行うmAb13.2重鎖の主残基は、ILE30(CDR1)、SER31(CDR1)、ALA33(CDR1)、TRP47、SER50(CDR2)、SER52(CDR2)、SER53(CDR2)、TYR58(CDR2)、LEU98(CDR3)、ASP99(CDR3)、GLY100(CDR3)、TYR101(CDR3)、TYR102(CDR3)、およびPHE103(CDR3)である(表4参照;アミノ酸は配列番号2(図1B)の番号付けに従って番号を付けた)。
【0151】
配列番号1(図1A)のアミノ酸番号付けによれば、IL−13と水素結合接触を行うmAb13.2軽鎖の主残基は、ASN31(CDR1)、TYR32(CDR1)、LYS34(CDR1)、ASN96(CDR3)、およびASP98(CDR3)である。IL−13とファンデルワールス接触を行うmAb13.2軽鎖の主残基は、ASN31(CDR1)、TYR32(CDR1)、LYS34(CDR1)、ARG54(CDR2)、ASN96(CDR3)、ASP98(CDR3)、およびTRP100(CDR3)である(表4参照)。
【0152】
抗体の重鎖および軽鎖ポリペプチドのアミノ酸残基を記述するために、様々な番号付けスキームが発展した。KabatとChothiaのスキームでは、挿入が認められた、ポリペプチドの特定のCDR領域に線形で受け入れられたアミノ酸残基に番号を付ける。Kabat方式(Kabat et al.,NIH Publ.No.91−3242,5th ed.,vols.1−3,Dept.of Health and Human Services,1991)では、配列変異によって重鎖および軽鎖CDRの位置を定義する。一方、Chothia方式(Al−Lazikani et al.,Jour.Mol.Biol.273:927−948,1997)では、ループ領域によってその位置を構造的に定義する。CDR挿入の配置が異なるために、この2つの方式の間で、重鎖および軽鎖のアミノ酸の番号付けが異なる可能性がある。アミノ酸挿入の表示法により、これらの各番号付け方式は線形番号付けから逸脱する。表6および7は、これら3つの異なる番号付けスキーム(Kabat、Chothia、および線形番号付け)によるmAb13.2Fabの、それぞれ、軽鎖および重鎖のアミノ酸配列を一列に並べている。
【0153】
【表6−1】
【0154】
【表6−2】
【0155】
【表6−3】
【0156】
【表6−4】
【0157】
【表6−5】
【0158】
【表6−6】
a太字フォントは、ChothiaまたはKabat番号付け方式による線形配列への挿入を示す。太字と下線で表した残基はX線データによって決定された挿入を示す。
【0159】
【表7−1】
【0160】
【表7−2】
【0161】
【表7−3】
【0162】
【表7−4】
【0163】
【表7−5】
【0164】
【表7−6】
a太字フォントは、ChothiaまたはKabat番号付け方式による線形配列への挿入を示す。太字と下線で表した残基はX線データによって決定された挿入を示す。
【実施例6】
【0165】
インターロイキン−13、IL−13受容体α1、および抑制抗体mAb13.2Fab結合領域の三量複合体の結晶構造
IL−13Rα1の細胞外領域(残基27〜342;図14参照)を、C−末端に6xHisタグを融合して発現させた(Aman et al.,J.Biol.Chem.271:29265−29270,1996)。発現は酵母Pichia pastoris中で行われた。組換え型タンパク質は、NiNTA−アガロース(Qiagen)のアフィニティークロマトグラフィーの後、HiTrap Q Sepharose HP(Pharmacia、Amersham Pharmacia Biotech、UK)の陰イオン交換クロマトフラフィー、およびSuperdex−75(Pharmacia)のゲル濾過クロマトフラフィーにより均一に精製した。
【0166】
ヒトIL−13(アミノ酸残基1〜113)(配列番号4)を実施例5に記載の方法で発現させ、精製した。
【0167】
受容体にIL−13をわずかに過剰に混ぜることにより、IL−13とIL−13Rα1を含む複合体を形成した。サイズ排除クロマトフラフィー分析によって複合体の形成を確認した後、この複合体を、エンドグリコシダーゼHf(endoHf)(25,000ユニット/mL)を用いて37℃で90分間処理した。脱グリコシル化複合体をコンカナバリンA(conA)−Sepharoseカラムに通して非切断オリゴ糖を有するタンパク質を除去し、残った複合体をNiNTAカラムに通してEndoHfを除去した。精製されたこの複合体を、Superdex−200(GE Healthcare、以前はAmersham Biosciences、Piscatway、NJ)のゲル濾過クロマトフラフィーにより均一に精製した。IL−13とIL−13Rα1の1:1複合体の形成は、結晶スクリーニングの前に、未変性ポリアクリルアミドゲル電気泳動およびサイズ排除クロマトフラフィーによって確認された。
【0168】
mAb13.2Fabは、実施例4に記載の方法で精製した。
【0169】
18℃で、10mg/mlタンパク質複合体、13%PEG−MME2000、および100mM HEPES(pH7.0)を含むハンギングドロップの蒸気拡散により、IL−13、IL−13Rα1、およびmAb13.2Fab複合体の結晶を成長させた。結晶は数週間で現れたが、数カ月間は最大のサイズには到達しなかった。この結晶は、空間群I4と、単位格子寸法a=164.9Å、b=164.9Å、およびc=74.8Åの対称を持っていた。データ収集前に、結晶を、10%エチレングリコールを加えた母液にわずかの間移し、液体窒素中で瞬間冷却した。データ収集中、結晶は100Kに保持した。データは、Advanced Light Source、Berkeley、Californiaの5.0.1 beam lineに集めた。強度は、DENZO(Otwinowski and Minor,Methods Enzymol.276:307−326,1997)およびSCALA(「CCP4」、Acta Cryst D50:760−763,1994)を用いて積算し、スケーリングした。
【0170】
mAb13.2Fab/IL−13複合体の座標(表11)を用いた分子置換によって構造を解明した。最初の位相は、CCP4(「CCP4」、Acta Cryst D50:760−763,1994)に実装されたSolomonを用いた溶媒平滑化によって改良した。CCP4内の剛体精密化を用いて最初のモデルを得た。連続的な電子密度を有する実験マップを得、QUANTA(Accelrys,Inc.、San Diego、CA)を用いて最初のモデルを構築し、CNS(Brunger et al.,Acta Cryst.D54:905−921,1998)を用いて30〜2.2Åからのデータに対して精密化した。IL−13Rα1(残基6〜314)、mAb13.2Fab(軽鎖残基1〜213および重鎖残基1〜213)、およびIL−13(残基6〜112)のポリペプチド鎖、ならびに123個の水分子を含む最終精密化モデルは、使用R値が24.4%でありフリーR値が27.2%である。データ収集およびデータ精密化の統計量を、表8および9に示す。ラマチャンドランプロットの許可領域外の骨格ねじれ角はなかった。PYMOL(DeLano,“The PYMOL Molecular Graphics System”(2002)DeLano Scientific,San Carlos,CA)およびRibbons(Carson,J.Appl.Cryst.24:958−961,1991)を用いて構造図を作成した。表12に構造座標を示す。IL−13Rα1の以下の残基は、Cβ原子を超える電子密度を有しておらず、以下のそれぞれの座標は、この不明瞭性を表すべく打ち切られた:81E、93R、104T、105N、111S、112I、122E、124D、150R、151T、157N、165R、168E、169K、174E、195S、196S、197F、305D、306T、339K、110P、200Q、203Q、204I、209N、212K、213I、214K、240N、279E、284N、および293N。
【0171】
【表8】
aRmerge=Σ|Ih-<Ih>|/ΣIh、但し、<Ih>は対称等価物の平均強度である。括弧内の数字は最終分解能シェル(2.8Å〜2.7Å)についての統計量を示す。
【0172】
【表9】
aRwork=Σ||Fobs|-|Fcalc||/Σ|Fobs|、RfreeはRworkと同じであるが、精密化プロセスからオミットした任意に選んだ6.4%の反射についての計算である。
【0173】
IL−13とIL−13Rα1の間には2つの実質的な相互作用がある。1つの相互作用は、Ig領域1と、このサイトカインのヘリックスCおよびDに接続するループの一部の間であり、もう1つの相互作用は、この受容体のIg領域3とIL−13のヘリックスAおよびDの間である(図15参照)。
【0174】
IL−13Rα1のIg領域1とIL−13の間の相互作用により、これら2つの分子に及ぶ拡張βシートが形成される。IL−13の残基Thr88、Lys89、Ile90、およびGlu91(配列番号4)は、受容体の残基Lys76、Lys77、Ile78、およびAla79(配列番号12)と相互作用するβストランドを形成する(図16参照)。さらに、IL−13のMet33の側鎖は、これらの隣接するストランドの側鎖によって形成される疎水性ポケットに延在している。
【0175】
Ig領域3との相互作用の主な特徴は、受容体IL−13Rα1のIg領域3にある疎水性ポケット内へのIL−13の疎水性残基(Phe107)の挿入である。IL−13Rα1の疎水性ポケットは、Leu319、Cys257、Arg256、およびCys320の側鎖によって形成される(図17)。IL−13のPhe107との相互作用により、IL−13Rα1のアミノ酸残基Ile254、Ser255、Arg256、Lys318、Cys320、およびTyr321(配列番号12)と、IL−13のアミノ酸残基Arg11、Glu12、Leu13、Ile14、Glu15、Lys104、Lys105、Leu106、Phe107、およびArg108(配列番号4)の間に、1組の拡張されたファンデルワールス相互作用が得られる(図17参照)。
【0176】
【表10−1】
【0177】
【表10−2】
【0178】
【表10−3】
【0179】
【表10−4】
【0180】
【表10−5】
【0181】
【表10−6】
【0182】
【表10−7】
【0183】
【表10−8】
【0184】
【表10−9】
【0185】
【表10−10】
【0186】
【表10−11】
【0187】
【表10−12】
【0188】
【表10−13】
【0189】
【表10−14】
【0190】
【表10−15】
【0191】
【表10−16】
【0192】
【表10−17】
【0193】
【表10−18】
【0194】
【表10−19】
【0195】
【表10−20】
【0196】
【表10−21】
【0197】
【表10−22】
【0198】
【表10−23】
【0199】
【表10−24】
【0200】
【表10−25】
【0201】
【表10−26】
【0202】
【表10−27】
【0203】
【表10−28】
【0204】
【表10−29】
【0205】
【表10−30】
【0206】
【表10−31】
【0207】
【表10−32】
【0208】
【表10−33】
【0209】
【表10−34】
【0210】
【表10−35】
【0211】
【表10−36】
【0212】
【表10−37】
【0213】
【表10−38】
【0214】
【表10−39】
【0215】
【表10−40】
【0216】
【表10−41】
【0217】
【表10−42】
【0218】
【表10−43】
【0219】
【表10−44】
【0220】
【表10−45】
【0221】
【表10−46】
【0222】
【表10−47】
【0223】
【表10−48】
【0224】
【表10−49】
a:表6および7に示されるChothia番号付けシステムに従って、軽鎖(L)および重鎖(H)のアミノ酸残基を、各々、番号付ける。
b:カラムをプロテインデータバンクフォーマット、バージョン2.2に従って標識化する。
【0225】
【表11−1】
【0226】
【表11−2】
【0227】
【表11−3】
【0228】
【表11−4】
【0229】
【表11−5】
【0230】
【表11−6】
【0231】
【表11−7】
【0232】
【表11−8】
【0233】
【表11−9】
【0234】
【表11−10】
【0235】
【表11−11】
【0236】
【表11−12】
【0237】
【表11−13】
【0238】
【表11−14】
【0239】
【表11−15】
【0240】
【表11−16】
【0241】
【表11−17】
【0242】
【表11−18】
【0243】
【表11−19】
【0244】
【表11−20】
【0245】
【表11−21】
【0246】
【表11−22】
【0247】
【表11−23】
【0248】
【表11−24】
【0249】
【表11−25】
【0250】
【表11−26】
【0251】
【表11−27】
【0252】
【表11−28】
【0253】
【表11−29】
【0254】
【表11−30】
【0255】
【表11−31】
【0256】
【表11−32】
【0257】
【表11−33】
【0258】
【表11−34】
【0259】
【表11−35】
【0260】
【表11−36】
【0261】
【表11−37】
【0262】
【表11−38】
【0263】
【表11−39】
【0264】
【表11−40】
【0265】
【表11−41】
【0266】
【表11−42】
【0267】
【表11−43】
【0268】
【表11−44】
【0269】
【表11−45】
【0270】
【表11−46】
【0271】
【表11−47】
【0272】
【表11−48】
【0273】
【表11−49】
【0274】
【表11−50】
【0275】
【表11−51】
【0276】
【表11−52】
【0277】
【表11−53】
【0278】
【表11−54】
【0279】
【表11−55】
【0280】
【表11−56】
【0281】
【表11−57】
【0282】
【表11−58】
【0283】
【表11−59】
【0284】
【表11−60】
【0285】
【表11−61】
【0286】
【表11−62】
【0287】
【表11−63】
【0288】
【表11−64】
【0289】
【表11−65】
a:表6および7に示されるChothia番号付けシステムに従って、軽鎖(L)および重鎖(H)のアミノ酸残基を、各々、番号付ける(Al-Lazikaniら、Jour. Mol. Biol. 273:927-948,1997)。IL−13(I)のアミノ酸残基を配列番号4(図2B)に示すように番号付ける。
b:カラムをプロテインデータバンクフォーマット、バージョン2.2に従って標識化する。
【0290】
【表12−1】
【0291】
【表12−2】
【0292】
【表12−3】
【0293】
【表12−4】
【0294】
【表12−5】
【0295】
【表12−6】
【0296】
【表12−7】
【0297】
【表12−8】
【0298】
【表12−9】
【0299】
【表12−10】
【0300】
【表12−11】
【0301】
【表12−12】
【0302】
【表12−13】
【0303】
【表12−14】
【0304】
【表12−15】
【0305】
【表12−16】
【0306】
【表12−17】
【0307】
【表12−18】
【0308】
【表12−19】
【0309】
【表12−20】
【0310】
【表12−21】
【0311】
【表12−22】
【0312】
【表12−23】
【0313】
【表12−24】
【0314】
【表12−25】
【0315】
【表12−26】
【0316】
【表12−27】
【0317】
【表12−28】
【0318】
【表12−29】
【0319】
【表12−30】
【0320】
【表12−31】
【0321】
【表12−32】
【0322】
【表12−33】
【0323】
【表12−34】
【0324】
【表12−35】
【0325】
【表12−36】
【0326】
【表12−37】
【0327】
【表12−38】
【0328】
【表12−39】
【0329】
【表12−40】
【0330】
【表12−41】
【0331】
【表12−42】
【0332】
【表12−43】
【0333】
【表12−44】
【0334】
【表12−45】
【0335】
【表12−46】
【0336】
【表12−47】
【0337】
【表12−48】
【0338】
【表12−49】
【0339】
【表12−50】
【0340】
【表12−51】
【0341】
【表12−52】
【0342】
【表12−53】
【0343】
【表12−54】
【0344】
【表12−55】
【0345】
【表12−56】
【0346】
【表12−57】
【0347】
【表12−58】
【0348】
【表12−59】
【0349】
【表12−60】
【0350】
【表12−61】
【0351】
【表12−62】
【0352】
【表12−63】
【0353】
【表12−64】
【0354】
【表12−65】
【0355】
【表12−66】
【0356】
【表12−67】
【0357】
【表12−68】
【0358】
【表12−69】
【0359】
【表12−70】
【0360】
【表12−71】
【0361】
【表12−72】
【0362】
【表12−73】
【0363】
【表12−74】
【0364】
【表12−75】
【0365】
【表12−76】
【0366】
【表12−77】
【0367】
【表12−78】
【0368】
【表12−79】
【0369】
【表12−80】
【0370】
【表12−81】
【0371】
【表12−82】
【0372】
【表12−83】
【0373】
【表12−84】
【0374】
【表12−85】
【0375】
【表12−86】
【0376】
【表12−87】
【0377】
【表12−88】
【0378】
【表12−89】
【0379】
【表12−90】
【0380】
【表12−91】
【0381】
【表12−92】
【0382】
【表12−93】
【0383】
【表12−94】
【0384】
【表12−95】
a:表6および7に示されるChothia番号付けシステムに従って、軽鎖(L)および重鎖(H)のアミノ酸残基を、各々、番号付ける(Al-Lazikaniら、Jour. Mol. Biol. 273:927-948,1997)。IL−13(I)のアミノ酸残基を配列番号4(図2B)に示すように番号付ける。IL−13Rα1のアミノ酸残基を配列番号12(図14)に示すように番号付ける。
b:カラムをプロテインデータバンクフォーマット、バージョン2.2に従って標識化する。
【0385】
他の実施形態は特許請求の範囲において示す。
【図面の簡単な説明】
【0386】
【図1A】mAb13.2Fab(fragment antigen binding、抗原結合フラグメント)フラグメントの軽鎖のアミノ酸配列である(配列番号1)。
【図1B】mAb13.2Fabフラグメントの重鎖のアミノ酸配列である(配列番号2)。
【図2A】完全長ヒトIL−13のアミノ酸配列である(スイスプロットアクセッション番号P35225)(配列番号3)。
【図2B】シグナルペプチド切断後のヒトIL−13のアミノ酸配列である(配列番号4)。
【図3】mAb13.2Fabフラグメント(左)と処理された形のヒトIL−13(右)(図2B参照)の結晶構造を示すリボン図である。
【図4】Biacore分析で求めた、ヒトIL−13に結合した3つの異なる抗IL−13抗体(mAb13.2、mAb13.4、およびmAb13.9)の動力学的パラメータを示すグラフである。
【図5】組換え型および天然型ヒトIL−13に対するビオチン化mAb13.2の結合を示すグラフである。
【図6】ヒトIL−13の生物活性に対するmAb13.2および公知の阻害剤rhuIL−13Rα2の効果を示すグラフである。
【図7A】CD11b+単球上でのCD23の発現に対する組換え型ヒトIL−13およびIL−4の効果を示すグラフである。
【図7B】CD11b+単球上でのIL−13誘導CD23の発現に対するmAb13.2の効果を示すグラフである。
【図7C】CD11b+単球上でのIL−4誘導CD23の発現に対するmAb13.2の効果を示すグラフである。
【図8】ヒトB細胞によるIL−13依存性IgEの産生に対するmAb13.2の効果を示すグラフである。
【図9A】図中に示した濃度のIL−13を用いて37℃で30分間処理したHT−29ヒト上皮細胞からのリン酸化STAT6タンパク質を検出するウェスタンブロットである。
【図9B】IL−13処理後の細胞のリン酸化STAT6タンパク質濃度を測定したフローサイトメトリー実験からのヒストグラムである。
【図9C】最適以下の濃度のヒトIL−13と図に示した抗体で処理した後の、細胞のリン酸化STAT6タンパク質の濃度を測定したフローサイトメトリー実験からのヒストグラムのパネルである。
【図10】回虫抗原を肺の一部に接種した後、ブタ回虫に感作したカニクイザルからのBAL中に検出された好酸球の割合を実証するグラフである。
【図11A】ELISAアッセイにおいて、非標識mAb13.2(菱形)またはmAb13.2Fabフラグメント(円形)が、ビオチン化mAb13.2と結合性を競合することができたことを示すグラフである。
【図11B】非標識mAb13.2(菱形)またはmAb13.2Fabフラグメント(円形)が、ELISAアッセイにおけるビオチン化mAb13.2との結合性を競合することができたことを示すグラフである。
【図12A】mAb13.2(菱形)およびmAb13.2Fabフラグメント(円形)が、IL−13に依存したTF1細胞の分裂を阻害したことを示すグラフである。
【図12B】mAb13.2(菱形)およびmAb13.2Fabフラグメント(円形)が、ヒトPBMC上でのIL−13によるCD23の発現を阻害したことを示すグラフである。
【図13】ヒトIL−13cDNAインサート(hIL13coli)を含む発現ベクターpAL−981のDNA配列(配列番号5)である。
【図14】ヒトIL−13Rα1のアミノ酸配列(スイスプロットアクセッション番号P78552)(配列番号12)である。
【図15】mAb13.2Fab/IL−13/IL−13Rα1三量複合体の構造を示すリボン図である。
【図16】IL−13とIL−13Rα1のIg領域1との相互作用を示すリボン図である。
【図17】IL−13とIL−13Rα1のIg領域3との相互作用を示すリボン図である。
【図1】
【図2】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
抗IL−13抗体または抗IL−13抗体のFabフラグメントを含む結晶性抗体。
【請求項2】
結晶性抗体が空間群P212121を有する、請求項1に記載の結晶性抗体。
【請求項3】
結晶性抗体が単位格子寸法a=54.4、b=98.0、c=108.5、およびα=β=γ=90°を有する、請求項1または2のいずれか一項に記載の結晶性抗体。
【請求項4】
抗体が哺乳動物に由来する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の結晶性抗体。
【請求項5】
抗体がマウス、ラット、ウサギ、またはヤギに由来する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の結晶性抗体。
【請求項6】
抗体に結合したIL−13ポリペプチドをさらに含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の結晶性抗体。
【請求項7】
IL−13ポリペプチドに結合したIL−13Rα1ポリペプチドをさらに含む、請求項6に記載の結晶性抗体。
【請求項8】
抗体が配列番号1のアミノ酸配列を含むポリペプチドを含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の結晶性抗体。
【請求項9】
抗体が配列番号2のアミノ酸配列を含むポリペプチドを含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の結晶性抗体。
【請求項10】
抗体がモノクローナル抗体である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の結晶性抗体。
【請求項11】
抗体がmAb13.2である、請求項1〜10のいずれか一項に記載の結晶性抗体。
【請求項12】
抗体がmAb13.2Fabフラグメントである、請求項1〜11のいずれか一項に記載の結晶性抗体。
【請求項13】
抗体が、in vivoでIL−4Rポリペプチドに結合するIL−13の領域に結合する能力がある、請求項1〜12のいずれか一項に記載の結晶性抗体。
【請求項14】
結晶性抗体が少なくとも約3.5Åの分解能までX線を回折することができる、請求項1〜13のいずれか一項に記載の結晶性抗体。
【請求項15】
結晶性抗体が、表10の構造座標、アルファ炭素原子について最大1.5Åの±根平均二乗偏位を含む、請求項1〜14のいずれか一項に記載の結晶性抗体。
【請求項16】
抗体の軽鎖が配列番号1のアミノ酸配列を含み、
抗体の重鎖が配列番号2のアミノ酸配列を含み、
結晶性抗体が少なくとも約3.5Åの分解能までX線を回折する、
請求項1〜15のいずれか一項に記載の結晶性抗体。
【請求項17】
抗体を含む結晶性組成物であって、抗体が抗IL−13抗体または抗IL−13抗体のFabフラグメントを含む結晶性組成物。
【請求項18】
少なくとも1個の水分子をさらに含む、請求項17に記載の結晶性組成物。
【請求項19】
亜鉛の塩をさらに含む、請求項17または18のいずれか一項に記載の結晶性組成物。
【請求項20】
抗IL−13抗体またはFabフラグメントに結合したIL−13ポリペプチドをさらに含む、請求項17〜19のいずれか一項に記載の結晶性組成物。
【請求項21】
IL−13ポリペプチドに結合したIL−13Rα1ポリペプチドをさらに含む、請求項20に記載の結晶性組成物。
【請求項22】
IL−13ポリペプチドと、
抗体と
を含む結晶性複合体であって、
抗体が抗IL−13抗体または抗IL−13抗体のFabフラグメントを含む結晶性複合体。
【請求項23】
結晶性複合体が空間群P213を有する、請求項22に記載の結晶性複合体。
【請求項24】
結晶性複合体が単位格子寸法a=b=c=125.3Å、およびα=β=γ=90°を有する、請求項22または23のいずれか一項に記載の結晶性複合体。
【請求項25】
抗体が哺乳動物に由来する、請求項22〜24のいずれか一項に記載の結晶性複合体。
【請求項26】
抗体がマウスに由来する、請求項22〜25のいずれか一項に記載の結晶性複合体。
【請求項27】
IL−13ポリペプチドが哺乳動物に由来する、請求項22〜26のいずれか一項に記載の結晶性複合体。
【請求項28】
IL−13ポリペプチドがヒトに由来する、請求項22〜27のいずれか一項に記載の結晶性複合体。
【請求項29】
抗体が配列番号1のアミノ酸配列を含むポリペプチドを含む、請求項22〜28のいずれか一項に記載の結晶性複合体。
【請求項30】
抗体が配列番号2のアミノ酸配列を含むポリペプチドを含む、請求項22〜29のいずれか一項に記載の結晶性複合体。
【請求項31】
抗体がモノクローナル抗体である、請求項22〜30のいずれか一項に記載の結晶性複合体。
【請求項32】
抗体がmAb13.2である、請求項22〜31のいずれか一項に記載の結晶性複合体。
【請求項33】
抗体がmAb13.2Fabフラグメントである、請求項22〜32のいずれか一項に記載の結晶性複合体。
【請求項34】
抗体が、in vivoでIL−4Rポリペプチドに結合するIL−13ポリペプチドの領域に結合している、請求項22〜33のいずれか一項に記載の結晶性複合体。
【請求項35】
IL−13ポリペプチドがIL−4Rポリペプチドに結合する領域を含む、請求項22〜34のいずれか一項に記載の結晶性複合体。
【請求項36】
IL−13ポリペプチドが配列番号4のアミノ酸配列を含む、請求項22〜35のいずれか一項に記載の結晶性複合体。
【請求項37】
抗体が、配列番号4のアミノ酸配列で定義される残基Ser7、Thr8、Ala9、Glu12、Leu48、Glu49、Ile52、Asn53、Arg65、Ser68、Gly69、Phe70、Cys71、Pro72、His73、Lys74、およびArg86の1つまたは複数と相互作用する、請求項22〜36のいずれか一項に記載の結晶性複合体。
【請求項38】
IL−13ポリペプチドが、配列番号1のアミノ酸配列で定義される残基Asn31、Tyr32、Lys34、Arg54、Asn96、Asp98、およびTrp100の1つまたは複数、ならびに配列番号2のアミノ酸配列で定義される残基Ile30、Ser31、Ala33、Trp47、Ser50、Ser52、Ser53、Tyr58、Leu98、Asp99、Gly100、Tyr101、Tyr102、およびPhe103の1つまたは複数と相互作用する、請求項22〜37のいずれか一項に記載の結晶性複合体。
【請求項39】
結晶性複合体が少なくとも約3.5Åの分解能までX線を回折することができる、請求項22〜38のいずれか一項に記載の結晶性複合体。
【請求項40】
結晶性複合体が、表11の構造座標、アルファ炭素原子について最大1.5Åの±根平均二乗偏位を含む、請求項22〜39のいずれか一項に記載の結晶性複合体。
【請求項41】
IL−13Rα1ポリペプチドをさらに含む、請求項22〜40のいずれか一項に記載の結晶性複合体。
【請求項42】
IL−13Rα1ポリペプチドと、
IL−13ポリペプチドと
を含む結晶性複合体。
【請求項43】
結晶性複合体が空間群I4を有する、請求項42に記載の結晶性複合体。
【請求項44】
結晶性複合体が単位格子寸法a=b=164.9Å、c=74.8Å、およびα=β=γ=90°を有する、請求項42または43のいずれか一項に記載の結晶性複合体。
【請求項45】
さらに抗体を含み、抗体が抗IL−13抗体または抗IL−13抗体のFabフラグメントを含む、請求項42、43、または44のいずれか一項に記載の結晶性複合体。
【請求項46】
抗体が哺乳動物に由来する、請求項45に記載の結晶性複合体。
【請求項47】
抗体がマウスに由来する、請求項45または46いずれか一項に記載の結晶性複合体。
【請求項48】
IL−13ポリペプチドが哺乳動物に由来する、請求項42〜47のいずれか一項に記載の結晶性複合体。
【請求項49】
IL−13ポリペプチドがヒトに由来する、請求項42〜48のいずれか一項に記載の結晶性複合体。
【請求項50】
抗体がモノクローナル抗体である、請求項45または46のいずれか一項に記載の結晶性複合体。
【請求項51】
抗体がmAb13.2である、請求項45または46のいずれか一項に記載の結晶性複合体。
【請求項52】
抗体がmAb13.2Fabフラグメントである、請求項45または46のいずれか一項に記載の結晶性複合体。
【請求項53】
抗体が、in vivoでIL−4Rポリペプチドに結合するIL−13ポリペプチドの領域に結合している、請求項45または46のいずれか一項に記載の結晶性複合体。
【請求項54】
IL−13ポリペプチドがIL−4Rポリペプチドに結合する領域を含む、請求項42〜53のいずれか一項に記載の結晶性複合体。
【請求項55】
IL−13Rα1ポリペプチドが哺乳動物に由来する、請求項42〜54のいずれか一項に記載の結晶性複合体。
【請求項56】
IL−13Rα1ポリペプチドがヒトに由来する、請求項42〜55のいずれか一項に記載の結晶性複合体。
【請求項57】
IL−13ポリペプチドが配列番号4のアミノ酸配列を含む、請求項42〜56のいずれか一項に記載の結晶性複合体。
【請求項58】
IL−13Rα1ポリペプチドが配列番号12のアミノ酸配列を含む、請求項42〜57のいずれか一項に記載の結晶性複合体。
【請求項59】
抗体が、配列番号4のアミノ酸配列で定義される残基Ser7、Thr8、Ala9、Glu12、Leu48、Glu49、Ile52、Asn53、Arg65、Ser68、Gly69、Phe70、Cys71、Pro72、His73、Lys74、およびArg86の1つまたは複数と相互作用する、請求項44または46のいずれか一項に記載の結晶性複合体。
【請求項60】
IL−13ポリペプチドが、配列番号1のアミノ酸配列で定義される残基Asn31、Tyr32、Lys34、Arg54、Asn96、Asp98、およびTrp100の1つまたは複数、ならびに配列番号2のアミノ酸配列で定義される残基Ile30、Ser31、Ala33、Trp47、Ser50、Ser52、Ser53、Tyr58、Leu98、Asp99、Gly100、Tyr101、Tyr102、およびPhe103の1つまたは複数と相互作用する、請求項45または46のいずれか一項に記載の結晶性複合体。
【請求項61】
IL−13ポリペプチドが、配列番号12のアミノ酸配列で定義される残基Ile254、Ser255、Arg256、Lys318、Cys320、Tyr321、Lys76、Lys77、Ile78、およびAla79の1つまたは複数と相互作用する、請求項42〜60のいずれか一項に記載の結晶性複合体。
【請求項62】
IL−13Rα1ポリペプチドが、配列番号4のアミノ酸配列で定義される残基Arg11、Glu12、Leu13、Ile14、Glu15、Thr88、Lys89、Ile90、Glu91、Lys104、Lys105、Leu106、Phe107、およびArg108の1つまたは複数と相互作用する、請求項42〜59のいずれか一項に記載の結晶性複合体。
【請求項63】
結晶性複合体が少なくとも約3.5Åの分解能までX線を回折することができる、請求項42〜62のいずれか一項に記載の結晶性複合体。
【請求項64】
結晶性複合体が、表12の構造座標、アルファ炭素原子について最大1.5Åの±根平均二乗偏位を含む、請求項42〜63のいずれか一項に記載の結晶性複合体。
【請求項65】
抗体の3次元モデルを用いて、IL−13ポリペプチドと相互作用する作用薬を設計する工程を含む方法であって、
抗体が抗IL−13抗体または抗IL−13抗体のFabフラグメントを含む方法。
【請求項66】
3次元モデルが抗体のCDRを含む、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
抗体が抗IL−13抗体のFabフラグメントである、請求項65または66のいずれか一項に記載の方法。
【請求項68】
抗体が、配列番号1のアミノ酸配列を含む軽鎖ポリペプチドと、配列番号2のアミノ酸配列を含む重鎖ポリペプチドとを含む、請求項65〜67のいずれか一項に記載の方法。
【請求項69】
抗体がmAb13.2である、請求項65〜68のいずれか一項に記載の方法。
【請求項70】
抗体がmAb13.2Fabフラグメントである、請求項65〜69のいずれか一項に記載の方法。
【請求項71】
3次元モデルが抗体の原子の構造座標を含む、請求項65〜70のいずれか一項に記載の方法。
【請求項72】
構造座標が実験的に決定された座標である、請求項71に記載の方法。
【請求項73】
3次元モデルが、配列番号1のアミノ酸配列で定義されるアミノ酸Asn31、Tyr32、Lys34、Arg54、Asn96、Asp98、およびTrp100、ならびに配列番号2のアミノ酸配列で定義されるアミノ酸Ile30、Ser31、Ala33、Trp47、Ser50、Ser52、Ser53、Tyr58、Leu98、Asp99、Gly100、Tyr101、Tyr102、およびPhe103の原子からなる群から選択される原子の構造座標を含む、請求項65〜72のいずれか一項に記載の方法。
【請求項74】
作用薬が、in vivoでIL−4Rポリペプチドと結合するIL−13ポリペプチドの領域に結合する、請求項65〜73のいずれか一項に記載の方法。
【請求項75】
IL−4RポリペプチドがIL−4Rαポリペプチドである、請求項74に記載の方法。
【請求項76】
3次元モデルが、抗体に結合したIL−13ポリペプチドを含む、請求項65〜75のいずれか一項に記載の方法。
【請求項77】
3次元モデルが、IL−13ポリペプチドに結合したIL−13Rα1ポリペプチドをさらに含む、請求項76に記載の方法。
【請求項78】
IL−13ポリペプチドの3次元モデルを用いて、IL−13ポリペプチドと相互作用する作用薬を設計する工程を含む方法。
【請求項79】
3次元モデルがIL−13ポリペプチドに結合した抗体をさらに含み、抗体が抗IL−13抗体または抗IL−13抗体のFabフラグメントを含む、請求項78に記載の方法。
【請求項80】
3次元モデルが抗体の原子の構造座標を含む、請求項79に記載の方法。
【請求項81】
3次元モデルが、in vivoでIL−4Rポリペプチドに結合するIL−13ポリペプチドの領域を含む、請求項78〜80のいずれか一項に記載の方法。
【請求項82】
作用薬が、IL−4Rポリペプチドに対するIL−13ポリペプチドの結合を阻害する、請求項78〜81のいずれか一項に記載の方法。
【請求項83】
3次元モデルが、IL−13ポリペプチドの原子の構造座標を含む、請求項75〜79のいずれか一項に記載の方法。
【請求項84】
構造座標が実験的に決定された座標である、請求項83に記載の方法。
【請求項85】
構造座標が、表11、α炭素原子について最大1.5Åの根平均二乗偏位による、請求項83または84のいずれか一項に記載の方法。
【請求項86】
3次元モデルが、配列番号4のアミノ酸配列で定義されるIL−13ポリペプチドのアミノ酸Glu49、Asn53、Ser68、Gly69、Phe70、Cys71、Pro72、His73、Lys74、およびArg86の原子からなる群から選択される原子の構造座標を含む、請求項78〜85のいずれか一項に記載の方法。
【請求項87】
3次元モデルが、IL−13ポリペプチドに結合したIL−13Rα1ポリペプチドをさらに含む、請求項78〜86のいずれか一項に記載の方法。
【請求項88】
3次元モデルが、IL−13Rα1ポリペプチドの原子の構造座標を含む、請求項87に記載の方法。
【請求項89】
IL−13Rα1ポリペプチドに結合したIL−13ポリペプチドの3次元モデルを用いて、IL−13ポリペプチドと相互作用する作用薬を設計する工程を含む方法。
【請求項90】
3次元モデルがIL−13ポリペプチドに結合した抗体をさらに含み、抗体が抗IL−13抗体または抗IL−13抗体のFabフラグメントを含む、請求項89に記載の方法。
【請求項91】
作用薬が、IL−4Rポリペプチドに対するIL−13ポリペプチドの結合を阻害する、請求項89または90のいずれか一項に記載の方法。
【請求項92】
3次元モデルが、IL−13ポリペプチドおよびIL−13Rα1ポリペプチドの原子の構造座標を含む、請求項89〜91のいずれか一項に記載の方法。
【請求項93】
構造座標が実験的に決定された座標である、請求項92に記載の方法。
【請求項94】
構造座標が、表12、α炭素原子について最大1.5Åの根平均二乗偏位による、請求項92または93のいずれか一項に記載の方法。
【請求項95】
IL−13ポリペプチドを含む結晶性複合体の3次元構造を用いて合理的な薬剤設計を行うことにより作用薬を選択する工程と、
作用薬をIL−13ポリペプチドと接触させる工程と、
作用薬がIL−13ポリペプチドに結合する能力を検出する工程とを含む方法。
【請求項96】
3次元構造の結晶性複合体がIL−13ポリペプチドに結合した抗体をさらに含み、抗体が抗IL−13抗体または抗IL−13抗体のFabフラグメントを含む、請求項95に記載の方法。
【請求項97】
抗IL−13抗体または抗IL−13抗体のFabフラグメントが、in vivoでIL−4Rポリペプチドが結合するIL−13ポリペプチドの部位に結合する能力がある、請求項96に記載の方法。
【請求項98】
作用薬を、コンピュータモデリングにより選択する、請求項95〜97のいずれか一項に記載の方法。
【請求項99】
3次元構造が、表11の構造座標、アルファ炭素原子について最大1.5Åの±根平均二乗偏位を含む、請求項95〜98のいずれか一項に記載の方法。
【請求項100】
3次元構造の結晶性複合体が、IL−13ポリペプチドに結合したIL−13Rα1ポリペプチドをさらに含む、請求項95〜99のいずれか一項に記載の方法。
【請求項101】
3次元構造が、表12の構造座標、アルファ炭素原子について最大1.5Åの±根平均二乗偏位を含む、請求項95〜100のいずれか一項に記載の方法。
【請求項102】
作用薬を得る工程をさらに含む、請求項95〜101のいずれか一項に記載の方法。
【請求項103】
IL−13ポリペプチドおよび作用薬を含む追加の結晶性複合体を得る工程と、
追加の結晶性複合体の3次元構造を決定する工程と、
追加の結晶性複合体の3次元構造を用いて合理的な薬剤設計を行うことにより第2の作用薬を選択する工程と、
第2の作用薬をIL−13ポリペプチドと接触させる工程と、
第2の作用薬がIL−13ポリペプチドに結合する能力を検出する工程とをさらに含む、請求項95〜102のいずれか一項に記載の方法。
【請求項104】
第2の作用薬を、コンピュータモデリングにより選択する、請求項103に記載の方法。
【請求項105】
第2の作用薬がIL−13活性を阻害する能力を検出する工程をさらに含む、請求項103または104のいずれか一項に記載の方法。
【請求項106】
IL−13ポリペプチドを抗体と接触させて組成物を形成する工程と、
組成物を結晶化させて、抗体がIL−13ポリペプチドに結合した結晶性複合体を形成する工程と
を含む方法であって、
抗体が抗IL−13抗体または抗IL−13抗体のFabフラグメントを含み、結晶性複合体が少なくとも約3.5Åの分解能までX線を回折することができる方法。
【請求項107】
方法が蒸気拡散を用いる工程を含む、請求項106に記載の方法。
【請求項108】
抗体がmAb13.2である、請求項106または107のいずれか一項に記載の方法。
【請求項109】
抗体がmAb13.2Fabフラグメントである、請求項106〜108のいずれか一項に記載の方法。
【請求項110】
IL−13ポリペプチドを抗体およびIL−13Rα1ポリペプチドと接触させて組成物を形成する工程と、
組成物を結晶化させて、抗体およびIL−13Rα1ポリペプチドがそれぞれIL−13ポリペプチドに結合した結晶性複合体を形成する工程と
を含む方法であって、
抗体が抗IL−13抗体または抗IL−13抗体のFabフラグメントを含み、結晶性複合体が少なくとも約3.5Åの分解能までX線を回折することができる方法。
【請求項111】
方法が蒸気拡散を用いる工程を含む、請求項110に記載の方法。
【請求項112】
抗体がmAb13.2である、請求項110〜111のいずれか一項に記載の方法。
【請求項113】
抗体がmAb13.2Fabフラグメントである、請求項110〜112のいずれか一項に記載の方法。
【請求項114】
コンピュータシステムに、
抗IL−13抗体または抗IL−13抗体のFabフラグメントを含む抗体に結合したIL−13ポリペプチドの構造に関する情報を受け入れさせ、
候補薬に関する情報を受け入れさせ、
IL−13ポリペプチドに対する候補薬の結合特性を決定させる命令を含むソフトウェアシステムであって、
決定が、IL−13ポリペプチドの構造に関する情報と候補薬に関する情報に基づいて行われるソフトウェアシステム。
【請求項115】
抗体に結合したIL−13ポリペプチドの構造が結晶構造である、請求項114に記載のソフトウェアシステム。
【請求項116】
結晶構造が、表11の構造座標、アルファ炭素原子について最大1.5Åの±根平均二乗偏位を含む、請求項115に記載のソフトウェアシステム。
【請求項117】
抗体に結合したIL−13ポリペプチドの構造が、IL−13ポリペプチドに結合したIL−13Rα1ポリペプチドをさらに含む、請求項106〜108のいずれか一項に記載のソフトウェアシステム。
【請求項118】
抗体に結合したIL−13ポリペプチドおよびIL−13ポリペプチドに結合したIL−13Rα1ポリペプチドの構造が結晶構造である、請求項117に記載のソフトウェアシステム。
【請求項119】
結晶構造が、表12の構造座標、アルファ炭素原子について最大1.5Åの±根平均二乗偏位を含む、請求項118に記載のソフトウェアシステム。
【請求項120】
コンピュータシステムに、
データベースからの候補薬に関する情報を適用させ、
データベースにおいて、IL−13ポリペプチドに結合できる候補薬を同定させる命令をさらに含むソフトウェアシステムであって、
該同定が、IL−13ポリペプチドの構造に関する情報と候補薬に関する情報に基づいて行われる、請求項114〜119のいずれか一項に記載のソフトウェアシステム。
【請求項121】
コンピュータシステムに、IL−13ポリペプチドに対する候補薬の結合特性をモデリングさせる命令をさらに含む、請求項114〜120のいずれか一項に記載のソフトウェアシステム。
【請求項122】
複数の命令が格納されているコンピュータ可読媒体に存在し、1つまたは複数のプロセッサで実行される場合、該1つまたは複数のプロセッサに、
抗IL−13抗体または抗IL−13抗体のFabフラグメントを含む抗体に結合したIL−13ポリペプチドの構造に関する情報を受け入れさせ、
候補薬に関する情報を受け入れさせ、
IL−13ポリペプチドに対する候補薬の結合特性を決定させるコンピュータプログラムであって、
該決定が、IL−13ポリペプチドの構造に関する情報と候補薬に関する情報に基づいて行われるコンピュータプログラム。
【請求項123】
抗体に結合したIL−13ポリペプチドの構造が、IL−13ポリペプチドに結合したIL−13Rα1ポリペプチドをさらに含む、請求項122に記載のコンピュータプログラム。
【請求項124】
抗IL−13抗体または抗IL−13抗体のFabフラグメントを含む抗体に結合したIL−13ポリペプチドの構造に関する情報を受け入れる工程と、
IL−13ポリペプチドと候補薬との結合特性をモデリングする工程とを含む方法であって、
ソフトウェアシステムによって実行される方法。
【請求項125】
抗体に結合したIL−13ポリペプチドの構造が、IL−13ポリペプチドに結合したIL−13Rα1ポリペプチドをさらに含む、請求項124に記載の方法。
【請求項126】
候補薬のデータベースからの情報を適用して、IL−13ポリペプチドと結合できる候補薬を同定する工程をさらに含む方法であって、
該同定が、IL−13ポリペプチドの構造に関する情報と候補薬に関する情報に基づいて行われる、請求項124または125のいずれか一項に記載の方法。
【請求項127】
複数の命令が格納されているコンピュータ可読媒体に存在するコンピュータプログラムであって、1つまたは複数のプロセッサで実行される場合、1つまたは複数のプロセッサに、
抗IL−13抗体または抗IL−13抗体のFabフラグメントを含む抗体に結合したIL−13ポリペプチドの構造に関する情報を受け入れさせ、
IL−13ポリペプチドと候補薬との結合特性をモデリングさせる、コンピュータプログラム。
【請求項128】
抗体に結合したIL−13ポリペプチドの構造が、IL−13ポリペプチドに結合したIL−13Rα1ポリペプチドをさらに含む、請求項127に記載のコンピュータプログラム。
【請求項129】
1つまたは複数のプロセッサに、
データベースからの候補薬に関する情報を適用させ、
データベースにおいて、IL−13ポリペプチドに結合できる候補薬を同定させる命令をさらに含むコンピュータプログラムであって、
該同定が、IL−13ポリペプチドの構造に関する情報に基づいて行われる、請求項127または128のいずれか一項に記載のコンピュータプログラム。
【請求項130】
1つまたは複数のプロセッサに、IL−13ポリペプチドと候補薬との結合特性をモデリングさせる命令をさらに含む、請求項127〜129のいずれか一項に記載のコンピュータプログラム。
【請求項131】
コンピュータシステムに、
抗IL−13抗体または抗IL−13抗体のFabフラグメントを含む抗体に結合したIL−13ポリペプチドの構造に関する情報を受け入れさせ、
IL−13ポリペプチドと候補薬との結合特性をモデリングする命令を含むソフトウェアシステム。
【請求項132】
抗体に結合したIL−13ポリペプチドの構造が、IL−13ポリペプチドに結合したIL−13Rα1ポリペプチドをさらに含む、請求項131に記載のソフトウェアシステム。
【請求項133】
in vivoでIL−4Rポリペプチドが結合するIL−13ポリペプチドの部位に結合する能力がある結晶性抗体。
【請求項134】
in vivoでIL−4Rポリペプチドが結合するIL−13ポリペプチドの部位に結合する能力がある抗体を含む結晶性組成物。
【請求項135】
IL−13ポリペプチドと、
抗体と
を含む結晶性複合体であって、
該抗体が、in vivoでIL−4Rポリペプチドが結合するIL−13ポリペプチドの部位に結合する能力がある結晶性複合体。
【請求項136】
IL−13ポリペプチドと、
IL−13Rα1ポリペプチドと、
抗体と
を含む結晶性複合体であって、
該抗体が、in vivoでIL−4Rポリペプチドが結合するIL−13ポリペプチドの部位に結合する能力がある結晶性複合体。
【請求項137】
抗体の3次元モデルを使ってIL−13ポリペプチドと相互作用する作用薬を設計する工程を含む方法であって、
該抗体が、in vivoでIL−4Rポリペプチドが結合するIL−13ポリペプチドの部位に結合する能力がある方法。
【請求項138】
3次元モデルが抗体の原子の構造座標を含む、請求項137に記載の方法。
【請求項139】
IL−13ポリペプチドを抗体と接触させて組成物を形成する工程と、
該組成物を結晶化させて、抗体がIL−13ポリペプチドに結合した結晶性複合体を形成する工程と
を含む方法であって、
該抗体が、in vivoでIL−4Rポリペプチドが結合するIL−13ポリペプチドの部位に結合する能力があり、結晶性複合体が少なくとも約3.5Åの分解能までX線を回折することができる方法。
【請求項140】
IL−13ポリペプチドを抗体およびIL−13Rα1ポリペプチドと接触させて組成物を形成する工程と、
組成物を結晶化させて、抗体およびIL−13Rα1ポリペプチドがそれぞれIL−13ポリペプチドに結合した結晶性複合体を形成する工程と
を含む方法であって、
該抗体が、in vivoでIL−4Rポリペプチドが結合するIL−13ポリペプチドの部位に結合する能力があり、該結晶性複合体が少なくとも約3.5Åの分解能までX線を回折することができる方法。
【請求項141】
コンピュータシステムに、
in vivoでIL−4Rポリペプチドが結合するIL−13ポリペプチドの部位に結合する能力がある抗体に結合したIL−13ポリペプチドの構造に関する情報を受け入れさせ、
候補薬に関する情報を受け入れさせ、
IL−13ポリペプチドに対する候補薬の結合特性を決定させる命令を含むソフトウェアシステムであって、
該決定が、IL−13ポリペプチドの構造に関する情報と候補薬に関する情報に基づいて行われるソフトウェアシステム。
【請求項142】
抗体に結合したIL−13ポリペプチドの構造が、IL−13ポリペプチドに結合したIL−13Rα1ポリペプチドをさらに含む、請求項141に記載のソフトウェアシステム。
【請求項143】
複数の命令が格納されているコンピュータ可読媒体に存在し、1つまたは複数のプロセッサで実行される場合、1つまたは複数のプロセッサに、
in vivoでIL−4Rポリペプチドが結合するIL−13ポリペプチドの部位に結合する能力がある抗体に結合したIL−13ポリペプチドの構造に関する情報を受け入れさせ、
候補薬に関する情報を受け入れさせ、
IL−13ポリペプチドに対する候補薬の結合特性を決定させるコンピュータプログラムであって、
該決定が、IL−13ポリペプチドの構造に関する情報と候補薬に関する情報に基づいて行われるコンピュータプログラム。
【請求項144】
抗体に結合したIL−13ポリペプチドの構造が、IL−13ポリペプチドに結合したIL−13Rα1ポリペプチドをさらに含む、請求項143に記載のコンピュータプログラム。
【請求項145】
in vivoでIL−4Rポリペプチドが結合するIL−13ポリペプチドの部位に結合する能力がある抗体に結合したIL−13ポリペプチドの構造に関する情報を受け入れる工程と、
IL−13ポリペプチドと候補薬との結合特性をモデリングする工程とを含む方法であって、
ソフトウェアシステムによって実行される方法。
【請求項146】
抗体に結合したIL−13ポリペプチドの構造が、IL−13ポリペプチドに結合したIL−13Rα1ポリペプチドをさらに含む、請求項145に記載の方法。
【請求項147】
複数の命令が格納されているコンピュータ可読媒体に存在するコンピュータプログラムであって、1つまたは複数のプロセッサで実行される場合、1つまたは複数のプロセッサに、
in vivoでIL−4Rポリペプチドが結合するIL−13ポリペプチドの部位に結合する能力がある抗体に結合したIL−13ポリペプチドの構造に関する情報を受け入れさせ、
IL−13ポリペプチドと候補薬との結合特性をモデリングするコンピュータプログラム。
【請求項148】
抗体に結合したIL−13ポリペプチドの構造が、IL−13ポリペプチドに結合したIL−13Rα1ポリペプチドをさらに含む、請求項147に記載のコンピュータプログラム。
【請求項149】
コンピュータシステムに、
in vivoでIL−4Rポリペプチドが結合するIL−13ポリペプチドの部位に結合する能力がある抗体に結合したIL−13ポリペプチドの構造に関する情報を受け入れさせ、
IL−13ポリペプチドと候補薬との結合特性をモデリングする命令を含むソフトウェアシステム。
【請求項150】
抗体に結合したIL−13ポリペプチドの構造が、IL−13ポリペプチドに結合したIL−13Rα1ポリペプチドをさらに含む、請求項149に記載のソフトウェアシステム。
【請求項151】
被検者のIL−13活性を調節する方法であって、
合理的な薬剤設計を用いてIL−13活性を調節する能力がある作用薬を選択する工程と、
治療有効量の作用薬を被検者に投与する工程と
を含む方法。
【請求項152】
合理的な薬剤設計が、IL−13ポリペプチドを含む結晶性複合体の3次元構造を用いる工程を含む、請求項151に記載の方法。
【請求項153】
結晶性複合体が抗体をさらに含む方法であって、抗体が抗IL−13抗体または抗IL−13抗体のFabフラグメントである、請求項152に記載の方法。
【請求項154】
結晶性複合体が抗体をさらに含む方法であって、抗体が、in vivoでIL−4Rポリペプチドが結合するIL−13ポリペプチドの部位に結合する能力がある、請求項152または153のいずれか一項に記載の方法。
【請求項155】
結晶性複合体がIL−13Rα1ポリペプチドをさらに含む、請求項152〜154のいずれか一項に記載の方法。
【請求項156】
IL−13活性に関連した症状を持つ被検者を治療する方法であって、
合理的な薬剤設計を用いてIL−13活性に影響を及ぼす能力がある作用薬を選択する工程と、
治療有効量の作用薬を、これを必要とする被検者に投与する工程と
を含む方法。
【請求項157】
症状が喘息である、請求項156に記載の方法。
【請求項158】
症状が、アレルギー性喘息または非アレルギー性喘息である、請求項156または157のいずれか一項に記載の方法。
【請求項159】
症状が、癌、気道炎、好酸球増加症、線維症、過剰な粘液産生、皮膚、消化管、血管または結合組織の炎症性症状、および皮膚、消化管、血管または結合組織の自己免疫性症状からなる群から選択される少なくとも1つの症状である、請求項156に記載の方法。
【請求項160】
症状が、慢性閉塞性肺疾患、膵臓繊維症、肺線維症、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、炎症性腸疾患、クローン病、肝硬変、強皮症、およびホジキンリンパ腫からなる群から選択される少なくとも1つの症状である、請求項156に記載の方法。
【請求項161】
IL−13活性に関連した症状になりやすい被検者を予防的に治療する方法であって、
被検者がIL−13活性に関連した症状になりやすいことを判定する工程と、
合理的な薬剤設計を用いてIL−13活性に影響を及ぼす能力がある作用薬を選択する工程と、
治療有効量の作用薬を被検者に投与する工程と
を含む方法。
【請求項162】
症状が喘息である、請求項161に記載の方法。
【請求項163】
症状が、アレルギー性喘息または非アレルギー性喘息である、請求項161または162のいずれか一項に記載の方法。
【請求項164】
症状が、癌、気道炎、好酸球増加症、線維症、過剰な粘液産生、皮膚、消化管、血管または結合組織の炎症性症状、および皮膚、消化管、血管または結合組織の自己免疫性症状からなる群から選択される少なくとも1つの症状である、請求項161に記載の方法。
【請求項165】
症状が、慢性閉塞性肺疾患、膵臓繊維症、肺線維症、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、炎症性腸疾患、クローン病、肝硬変、強皮症、およびホジキンリンパ腫からなる群から選択される少なくとも1つの症状である、請求項161に記載の方法。
【請求項166】
作用薬が、約2.0Å内まで、配列番号4のアミノ酸配列で定義されるアミノ酸Glu49、Asn53、Gly69、Pro72、His73、Lys74、およびArg86の1つまたは複数と相互作用することによって、IL−13ポリペプチドに結合する、請求項161〜165のいずれか一項に記載の方法。
【請求項167】
IL−13活性に伴う症状の予防または治療のための薬物の製造における、請求項64〜97または129または130のいずれか一項に従って設計されまたは選択された作用薬の使用。
【請求項168】
作用薬が、IL−13活性を阻害する能力を持つ、請求項167に記載の使用。
【請求項169】
作用薬が、in vivoでIL−13活性を阻害する能力を持つ、請求項167または168のいずれか一項に記載の使用。
【請求項170】
症状が喘息である、請求項167、168または169のいずれか一項に記載の使用。
【請求項171】
症状が、アレルギー性喘息または非アレルギー性喘息である、請求項167〜170のいずれか一項に記載の使用。
【請求項172】
症状が、癌、気道炎、好酸球増加症、線維症、過剰な粘液産生、皮膚、消化管、血管または結合組織の炎症性症状、および皮膚、消化管、血管または結合組織の自己免疫性症状からなる群から選択される少なくとも1つの症状である、請求項167〜170のいずれか一項に記載の使用。
【請求項173】
症状が、慢性閉塞性肺疾患、膵臓繊維症、肺線維症、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、炎症性腸疾患、クローン病、肝硬変、強皮症、およびホジキンリンパ腫からなる群から選択される少なくとも1つの症状である、請求項167〜170のいずれか一項に記載の使用。
【請求項174】
作用薬が、約2.0Å内まで、配列番号4のアミノ酸配列で定義されるアミノ酸Glu49、Asn53、Gly69、Pro72、His73、Lys74、およびArg86の1つまたは複数と相互作用することによって、IL−13ポリペプチドに結合する、請求項167〜173のいずれか一項に記載の使用。
【請求項175】
IL−13活性に伴う症状の予防または治療に使用するために、請求項65〜105または129または130のいずれか一項に従って設計されまたは選択された作用薬。
【請求項176】
作用薬が、IL−13活性を阻害する能力を持つ、請求項175に記載の作用薬。
【請求項177】
作用薬が、in vivoでIL−13活性を阻害する能力を持つ、請求項175または176のいずれか一項に記載の作用薬。
【請求項178】
症状が喘息である、請求項175、176または177のいずれか一項に記載の作用薬。
【請求項179】
症状が、アレルギー性喘息または非アレルギー性喘息である、請求項175〜178のいずれか一項に記載の作用薬。
【請求項180】
症状が、癌、気道炎、好酸球増加症、線維症、過剰な粘液産生、皮膚、消化管、血管または結合組織の炎症性症状、および皮膚、消化管、血管または結合組織の自己免疫性症状からなる群から選択される少なくとも1つの症状である、請求項175〜177のいずれか一項に記載の作用薬。
【請求項181】
症状が、慢性閉塞性肺疾患、膵臓繊維症、肺線維症、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、炎症性腸疾患、クローン病、肝硬変、強皮症、およびホジキンリンパ腫からなる群から選択される少なくとも1つの症状である、請求項175〜177のいずれか一項に記載の作用薬。
【請求項182】
作用薬が、約2.0Å内まで、配列番号4のアミノ酸配列で定義されるアミノ酸Glu49、Asn53、Gly69、Pro72、His73、Lys74、およびArg86の1つまたは複数と相互作用することによって、IL−13ポリペプチドに結合する、請求項175〜181のいずれか一項に記載の作用薬。
【請求項1】
抗IL−13抗体または抗IL−13抗体のFabフラグメントを含む結晶性抗体。
【請求項2】
結晶性抗体が空間群P212121を有する、請求項1に記載の結晶性抗体。
【請求項3】
結晶性抗体が単位格子寸法a=54.4、b=98.0、c=108.5、およびα=β=γ=90°を有する、請求項1または2のいずれか一項に記載の結晶性抗体。
【請求項4】
抗体が哺乳動物に由来する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の結晶性抗体。
【請求項5】
抗体がマウス、ラット、ウサギ、またはヤギに由来する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の結晶性抗体。
【請求項6】
抗体に結合したIL−13ポリペプチドをさらに含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の結晶性抗体。
【請求項7】
IL−13ポリペプチドに結合したIL−13Rα1ポリペプチドをさらに含む、請求項6に記載の結晶性抗体。
【請求項8】
抗体が配列番号1のアミノ酸配列を含むポリペプチドを含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の結晶性抗体。
【請求項9】
抗体が配列番号2のアミノ酸配列を含むポリペプチドを含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の結晶性抗体。
【請求項10】
抗体がモノクローナル抗体である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の結晶性抗体。
【請求項11】
抗体がmAb13.2である、請求項1〜10のいずれか一項に記載の結晶性抗体。
【請求項12】
抗体がmAb13.2Fabフラグメントである、請求項1〜11のいずれか一項に記載の結晶性抗体。
【請求項13】
抗体が、in vivoでIL−4Rポリペプチドに結合するIL−13の領域に結合する能力がある、請求項1〜12のいずれか一項に記載の結晶性抗体。
【請求項14】
結晶性抗体が少なくとも約3.5Åの分解能までX線を回折することができる、請求項1〜13のいずれか一項に記載の結晶性抗体。
【請求項15】
結晶性抗体が、表10の構造座標、アルファ炭素原子について最大1.5Åの±根平均二乗偏位を含む、請求項1〜14のいずれか一項に記載の結晶性抗体。
【請求項16】
抗体の軽鎖が配列番号1のアミノ酸配列を含み、
抗体の重鎖が配列番号2のアミノ酸配列を含み、
結晶性抗体が少なくとも約3.5Åの分解能までX線を回折する、
請求項1〜15のいずれか一項に記載の結晶性抗体。
【請求項17】
抗体を含む結晶性組成物であって、抗体が抗IL−13抗体または抗IL−13抗体のFabフラグメントを含む結晶性組成物。
【請求項18】
少なくとも1個の水分子をさらに含む、請求項17に記載の結晶性組成物。
【請求項19】
亜鉛の塩をさらに含む、請求項17または18のいずれか一項に記載の結晶性組成物。
【請求項20】
抗IL−13抗体またはFabフラグメントに結合したIL−13ポリペプチドをさらに含む、請求項17〜19のいずれか一項に記載の結晶性組成物。
【請求項21】
IL−13ポリペプチドに結合したIL−13Rα1ポリペプチドをさらに含む、請求項20に記載の結晶性組成物。
【請求項22】
IL−13ポリペプチドと、
抗体と
を含む結晶性複合体であって、
抗体が抗IL−13抗体または抗IL−13抗体のFabフラグメントを含む結晶性複合体。
【請求項23】
結晶性複合体が空間群P213を有する、請求項22に記載の結晶性複合体。
【請求項24】
結晶性複合体が単位格子寸法a=b=c=125.3Å、およびα=β=γ=90°を有する、請求項22または23のいずれか一項に記載の結晶性複合体。
【請求項25】
抗体が哺乳動物に由来する、請求項22〜24のいずれか一項に記載の結晶性複合体。
【請求項26】
抗体がマウスに由来する、請求項22〜25のいずれか一項に記載の結晶性複合体。
【請求項27】
IL−13ポリペプチドが哺乳動物に由来する、請求項22〜26のいずれか一項に記載の結晶性複合体。
【請求項28】
IL−13ポリペプチドがヒトに由来する、請求項22〜27のいずれか一項に記載の結晶性複合体。
【請求項29】
抗体が配列番号1のアミノ酸配列を含むポリペプチドを含む、請求項22〜28のいずれか一項に記載の結晶性複合体。
【請求項30】
抗体が配列番号2のアミノ酸配列を含むポリペプチドを含む、請求項22〜29のいずれか一項に記載の結晶性複合体。
【請求項31】
抗体がモノクローナル抗体である、請求項22〜30のいずれか一項に記載の結晶性複合体。
【請求項32】
抗体がmAb13.2である、請求項22〜31のいずれか一項に記載の結晶性複合体。
【請求項33】
抗体がmAb13.2Fabフラグメントである、請求項22〜32のいずれか一項に記載の結晶性複合体。
【請求項34】
抗体が、in vivoでIL−4Rポリペプチドに結合するIL−13ポリペプチドの領域に結合している、請求項22〜33のいずれか一項に記載の結晶性複合体。
【請求項35】
IL−13ポリペプチドがIL−4Rポリペプチドに結合する領域を含む、請求項22〜34のいずれか一項に記載の結晶性複合体。
【請求項36】
IL−13ポリペプチドが配列番号4のアミノ酸配列を含む、請求項22〜35のいずれか一項に記載の結晶性複合体。
【請求項37】
抗体が、配列番号4のアミノ酸配列で定義される残基Ser7、Thr8、Ala9、Glu12、Leu48、Glu49、Ile52、Asn53、Arg65、Ser68、Gly69、Phe70、Cys71、Pro72、His73、Lys74、およびArg86の1つまたは複数と相互作用する、請求項22〜36のいずれか一項に記載の結晶性複合体。
【請求項38】
IL−13ポリペプチドが、配列番号1のアミノ酸配列で定義される残基Asn31、Tyr32、Lys34、Arg54、Asn96、Asp98、およびTrp100の1つまたは複数、ならびに配列番号2のアミノ酸配列で定義される残基Ile30、Ser31、Ala33、Trp47、Ser50、Ser52、Ser53、Tyr58、Leu98、Asp99、Gly100、Tyr101、Tyr102、およびPhe103の1つまたは複数と相互作用する、請求項22〜37のいずれか一項に記載の結晶性複合体。
【請求項39】
結晶性複合体が少なくとも約3.5Åの分解能までX線を回折することができる、請求項22〜38のいずれか一項に記載の結晶性複合体。
【請求項40】
結晶性複合体が、表11の構造座標、アルファ炭素原子について最大1.5Åの±根平均二乗偏位を含む、請求項22〜39のいずれか一項に記載の結晶性複合体。
【請求項41】
IL−13Rα1ポリペプチドをさらに含む、請求項22〜40のいずれか一項に記載の結晶性複合体。
【請求項42】
IL−13Rα1ポリペプチドと、
IL−13ポリペプチドと
を含む結晶性複合体。
【請求項43】
結晶性複合体が空間群I4を有する、請求項42に記載の結晶性複合体。
【請求項44】
結晶性複合体が単位格子寸法a=b=164.9Å、c=74.8Å、およびα=β=γ=90°を有する、請求項42または43のいずれか一項に記載の結晶性複合体。
【請求項45】
さらに抗体を含み、抗体が抗IL−13抗体または抗IL−13抗体のFabフラグメントを含む、請求項42、43、または44のいずれか一項に記載の結晶性複合体。
【請求項46】
抗体が哺乳動物に由来する、請求項45に記載の結晶性複合体。
【請求項47】
抗体がマウスに由来する、請求項45または46いずれか一項に記載の結晶性複合体。
【請求項48】
IL−13ポリペプチドが哺乳動物に由来する、請求項42〜47のいずれか一項に記載の結晶性複合体。
【請求項49】
IL−13ポリペプチドがヒトに由来する、請求項42〜48のいずれか一項に記載の結晶性複合体。
【請求項50】
抗体がモノクローナル抗体である、請求項45または46のいずれか一項に記載の結晶性複合体。
【請求項51】
抗体がmAb13.2である、請求項45または46のいずれか一項に記載の結晶性複合体。
【請求項52】
抗体がmAb13.2Fabフラグメントである、請求項45または46のいずれか一項に記載の結晶性複合体。
【請求項53】
抗体が、in vivoでIL−4Rポリペプチドに結合するIL−13ポリペプチドの領域に結合している、請求項45または46のいずれか一項に記載の結晶性複合体。
【請求項54】
IL−13ポリペプチドがIL−4Rポリペプチドに結合する領域を含む、請求項42〜53のいずれか一項に記載の結晶性複合体。
【請求項55】
IL−13Rα1ポリペプチドが哺乳動物に由来する、請求項42〜54のいずれか一項に記載の結晶性複合体。
【請求項56】
IL−13Rα1ポリペプチドがヒトに由来する、請求項42〜55のいずれか一項に記載の結晶性複合体。
【請求項57】
IL−13ポリペプチドが配列番号4のアミノ酸配列を含む、請求項42〜56のいずれか一項に記載の結晶性複合体。
【請求項58】
IL−13Rα1ポリペプチドが配列番号12のアミノ酸配列を含む、請求項42〜57のいずれか一項に記載の結晶性複合体。
【請求項59】
抗体が、配列番号4のアミノ酸配列で定義される残基Ser7、Thr8、Ala9、Glu12、Leu48、Glu49、Ile52、Asn53、Arg65、Ser68、Gly69、Phe70、Cys71、Pro72、His73、Lys74、およびArg86の1つまたは複数と相互作用する、請求項44または46のいずれか一項に記載の結晶性複合体。
【請求項60】
IL−13ポリペプチドが、配列番号1のアミノ酸配列で定義される残基Asn31、Tyr32、Lys34、Arg54、Asn96、Asp98、およびTrp100の1つまたは複数、ならびに配列番号2のアミノ酸配列で定義される残基Ile30、Ser31、Ala33、Trp47、Ser50、Ser52、Ser53、Tyr58、Leu98、Asp99、Gly100、Tyr101、Tyr102、およびPhe103の1つまたは複数と相互作用する、請求項45または46のいずれか一項に記載の結晶性複合体。
【請求項61】
IL−13ポリペプチドが、配列番号12のアミノ酸配列で定義される残基Ile254、Ser255、Arg256、Lys318、Cys320、Tyr321、Lys76、Lys77、Ile78、およびAla79の1つまたは複数と相互作用する、請求項42〜60のいずれか一項に記載の結晶性複合体。
【請求項62】
IL−13Rα1ポリペプチドが、配列番号4のアミノ酸配列で定義される残基Arg11、Glu12、Leu13、Ile14、Glu15、Thr88、Lys89、Ile90、Glu91、Lys104、Lys105、Leu106、Phe107、およびArg108の1つまたは複数と相互作用する、請求項42〜59のいずれか一項に記載の結晶性複合体。
【請求項63】
結晶性複合体が少なくとも約3.5Åの分解能までX線を回折することができる、請求項42〜62のいずれか一項に記載の結晶性複合体。
【請求項64】
結晶性複合体が、表12の構造座標、アルファ炭素原子について最大1.5Åの±根平均二乗偏位を含む、請求項42〜63のいずれか一項に記載の結晶性複合体。
【請求項65】
抗体の3次元モデルを用いて、IL−13ポリペプチドと相互作用する作用薬を設計する工程を含む方法であって、
抗体が抗IL−13抗体または抗IL−13抗体のFabフラグメントを含む方法。
【請求項66】
3次元モデルが抗体のCDRを含む、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
抗体が抗IL−13抗体のFabフラグメントである、請求項65または66のいずれか一項に記載の方法。
【請求項68】
抗体が、配列番号1のアミノ酸配列を含む軽鎖ポリペプチドと、配列番号2のアミノ酸配列を含む重鎖ポリペプチドとを含む、請求項65〜67のいずれか一項に記載の方法。
【請求項69】
抗体がmAb13.2である、請求項65〜68のいずれか一項に記載の方法。
【請求項70】
抗体がmAb13.2Fabフラグメントである、請求項65〜69のいずれか一項に記載の方法。
【請求項71】
3次元モデルが抗体の原子の構造座標を含む、請求項65〜70のいずれか一項に記載の方法。
【請求項72】
構造座標が実験的に決定された座標である、請求項71に記載の方法。
【請求項73】
3次元モデルが、配列番号1のアミノ酸配列で定義されるアミノ酸Asn31、Tyr32、Lys34、Arg54、Asn96、Asp98、およびTrp100、ならびに配列番号2のアミノ酸配列で定義されるアミノ酸Ile30、Ser31、Ala33、Trp47、Ser50、Ser52、Ser53、Tyr58、Leu98、Asp99、Gly100、Tyr101、Tyr102、およびPhe103の原子からなる群から選択される原子の構造座標を含む、請求項65〜72のいずれか一項に記載の方法。
【請求項74】
作用薬が、in vivoでIL−4Rポリペプチドと結合するIL−13ポリペプチドの領域に結合する、請求項65〜73のいずれか一項に記載の方法。
【請求項75】
IL−4RポリペプチドがIL−4Rαポリペプチドである、請求項74に記載の方法。
【請求項76】
3次元モデルが、抗体に結合したIL−13ポリペプチドを含む、請求項65〜75のいずれか一項に記載の方法。
【請求項77】
3次元モデルが、IL−13ポリペプチドに結合したIL−13Rα1ポリペプチドをさらに含む、請求項76に記載の方法。
【請求項78】
IL−13ポリペプチドの3次元モデルを用いて、IL−13ポリペプチドと相互作用する作用薬を設計する工程を含む方法。
【請求項79】
3次元モデルがIL−13ポリペプチドに結合した抗体をさらに含み、抗体が抗IL−13抗体または抗IL−13抗体のFabフラグメントを含む、請求項78に記載の方法。
【請求項80】
3次元モデルが抗体の原子の構造座標を含む、請求項79に記載の方法。
【請求項81】
3次元モデルが、in vivoでIL−4Rポリペプチドに結合するIL−13ポリペプチドの領域を含む、請求項78〜80のいずれか一項に記載の方法。
【請求項82】
作用薬が、IL−4Rポリペプチドに対するIL−13ポリペプチドの結合を阻害する、請求項78〜81のいずれか一項に記載の方法。
【請求項83】
3次元モデルが、IL−13ポリペプチドの原子の構造座標を含む、請求項75〜79のいずれか一項に記載の方法。
【請求項84】
構造座標が実験的に決定された座標である、請求項83に記載の方法。
【請求項85】
構造座標が、表11、α炭素原子について最大1.5Åの根平均二乗偏位による、請求項83または84のいずれか一項に記載の方法。
【請求項86】
3次元モデルが、配列番号4のアミノ酸配列で定義されるIL−13ポリペプチドのアミノ酸Glu49、Asn53、Ser68、Gly69、Phe70、Cys71、Pro72、His73、Lys74、およびArg86の原子からなる群から選択される原子の構造座標を含む、請求項78〜85のいずれか一項に記載の方法。
【請求項87】
3次元モデルが、IL−13ポリペプチドに結合したIL−13Rα1ポリペプチドをさらに含む、請求項78〜86のいずれか一項に記載の方法。
【請求項88】
3次元モデルが、IL−13Rα1ポリペプチドの原子の構造座標を含む、請求項87に記載の方法。
【請求項89】
IL−13Rα1ポリペプチドに結合したIL−13ポリペプチドの3次元モデルを用いて、IL−13ポリペプチドと相互作用する作用薬を設計する工程を含む方法。
【請求項90】
3次元モデルがIL−13ポリペプチドに結合した抗体をさらに含み、抗体が抗IL−13抗体または抗IL−13抗体のFabフラグメントを含む、請求項89に記載の方法。
【請求項91】
作用薬が、IL−4Rポリペプチドに対するIL−13ポリペプチドの結合を阻害する、請求項89または90のいずれか一項に記載の方法。
【請求項92】
3次元モデルが、IL−13ポリペプチドおよびIL−13Rα1ポリペプチドの原子の構造座標を含む、請求項89〜91のいずれか一項に記載の方法。
【請求項93】
構造座標が実験的に決定された座標である、請求項92に記載の方法。
【請求項94】
構造座標が、表12、α炭素原子について最大1.5Åの根平均二乗偏位による、請求項92または93のいずれか一項に記載の方法。
【請求項95】
IL−13ポリペプチドを含む結晶性複合体の3次元構造を用いて合理的な薬剤設計を行うことにより作用薬を選択する工程と、
作用薬をIL−13ポリペプチドと接触させる工程と、
作用薬がIL−13ポリペプチドに結合する能力を検出する工程とを含む方法。
【請求項96】
3次元構造の結晶性複合体がIL−13ポリペプチドに結合した抗体をさらに含み、抗体が抗IL−13抗体または抗IL−13抗体のFabフラグメントを含む、請求項95に記載の方法。
【請求項97】
抗IL−13抗体または抗IL−13抗体のFabフラグメントが、in vivoでIL−4Rポリペプチドが結合するIL−13ポリペプチドの部位に結合する能力がある、請求項96に記載の方法。
【請求項98】
作用薬を、コンピュータモデリングにより選択する、請求項95〜97のいずれか一項に記載の方法。
【請求項99】
3次元構造が、表11の構造座標、アルファ炭素原子について最大1.5Åの±根平均二乗偏位を含む、請求項95〜98のいずれか一項に記載の方法。
【請求項100】
3次元構造の結晶性複合体が、IL−13ポリペプチドに結合したIL−13Rα1ポリペプチドをさらに含む、請求項95〜99のいずれか一項に記載の方法。
【請求項101】
3次元構造が、表12の構造座標、アルファ炭素原子について最大1.5Åの±根平均二乗偏位を含む、請求項95〜100のいずれか一項に記載の方法。
【請求項102】
作用薬を得る工程をさらに含む、請求項95〜101のいずれか一項に記載の方法。
【請求項103】
IL−13ポリペプチドおよび作用薬を含む追加の結晶性複合体を得る工程と、
追加の結晶性複合体の3次元構造を決定する工程と、
追加の結晶性複合体の3次元構造を用いて合理的な薬剤設計を行うことにより第2の作用薬を選択する工程と、
第2の作用薬をIL−13ポリペプチドと接触させる工程と、
第2の作用薬がIL−13ポリペプチドに結合する能力を検出する工程とをさらに含む、請求項95〜102のいずれか一項に記載の方法。
【請求項104】
第2の作用薬を、コンピュータモデリングにより選択する、請求項103に記載の方法。
【請求項105】
第2の作用薬がIL−13活性を阻害する能力を検出する工程をさらに含む、請求項103または104のいずれか一項に記載の方法。
【請求項106】
IL−13ポリペプチドを抗体と接触させて組成物を形成する工程と、
組成物を結晶化させて、抗体がIL−13ポリペプチドに結合した結晶性複合体を形成する工程と
を含む方法であって、
抗体が抗IL−13抗体または抗IL−13抗体のFabフラグメントを含み、結晶性複合体が少なくとも約3.5Åの分解能までX線を回折することができる方法。
【請求項107】
方法が蒸気拡散を用いる工程を含む、請求項106に記載の方法。
【請求項108】
抗体がmAb13.2である、請求項106または107のいずれか一項に記載の方法。
【請求項109】
抗体がmAb13.2Fabフラグメントである、請求項106〜108のいずれか一項に記載の方法。
【請求項110】
IL−13ポリペプチドを抗体およびIL−13Rα1ポリペプチドと接触させて組成物を形成する工程と、
組成物を結晶化させて、抗体およびIL−13Rα1ポリペプチドがそれぞれIL−13ポリペプチドに結合した結晶性複合体を形成する工程と
を含む方法であって、
抗体が抗IL−13抗体または抗IL−13抗体のFabフラグメントを含み、結晶性複合体が少なくとも約3.5Åの分解能までX線を回折することができる方法。
【請求項111】
方法が蒸気拡散を用いる工程を含む、請求項110に記載の方法。
【請求項112】
抗体がmAb13.2である、請求項110〜111のいずれか一項に記載の方法。
【請求項113】
抗体がmAb13.2Fabフラグメントである、請求項110〜112のいずれか一項に記載の方法。
【請求項114】
コンピュータシステムに、
抗IL−13抗体または抗IL−13抗体のFabフラグメントを含む抗体に結合したIL−13ポリペプチドの構造に関する情報を受け入れさせ、
候補薬に関する情報を受け入れさせ、
IL−13ポリペプチドに対する候補薬の結合特性を決定させる命令を含むソフトウェアシステムであって、
決定が、IL−13ポリペプチドの構造に関する情報と候補薬に関する情報に基づいて行われるソフトウェアシステム。
【請求項115】
抗体に結合したIL−13ポリペプチドの構造が結晶構造である、請求項114に記載のソフトウェアシステム。
【請求項116】
結晶構造が、表11の構造座標、アルファ炭素原子について最大1.5Åの±根平均二乗偏位を含む、請求項115に記載のソフトウェアシステム。
【請求項117】
抗体に結合したIL−13ポリペプチドの構造が、IL−13ポリペプチドに結合したIL−13Rα1ポリペプチドをさらに含む、請求項106〜108のいずれか一項に記載のソフトウェアシステム。
【請求項118】
抗体に結合したIL−13ポリペプチドおよびIL−13ポリペプチドに結合したIL−13Rα1ポリペプチドの構造が結晶構造である、請求項117に記載のソフトウェアシステム。
【請求項119】
結晶構造が、表12の構造座標、アルファ炭素原子について最大1.5Åの±根平均二乗偏位を含む、請求項118に記載のソフトウェアシステム。
【請求項120】
コンピュータシステムに、
データベースからの候補薬に関する情報を適用させ、
データベースにおいて、IL−13ポリペプチドに結合できる候補薬を同定させる命令をさらに含むソフトウェアシステムであって、
該同定が、IL−13ポリペプチドの構造に関する情報と候補薬に関する情報に基づいて行われる、請求項114〜119のいずれか一項に記載のソフトウェアシステム。
【請求項121】
コンピュータシステムに、IL−13ポリペプチドに対する候補薬の結合特性をモデリングさせる命令をさらに含む、請求項114〜120のいずれか一項に記載のソフトウェアシステム。
【請求項122】
複数の命令が格納されているコンピュータ可読媒体に存在し、1つまたは複数のプロセッサで実行される場合、該1つまたは複数のプロセッサに、
抗IL−13抗体または抗IL−13抗体のFabフラグメントを含む抗体に結合したIL−13ポリペプチドの構造に関する情報を受け入れさせ、
候補薬に関する情報を受け入れさせ、
IL−13ポリペプチドに対する候補薬の結合特性を決定させるコンピュータプログラムであって、
該決定が、IL−13ポリペプチドの構造に関する情報と候補薬に関する情報に基づいて行われるコンピュータプログラム。
【請求項123】
抗体に結合したIL−13ポリペプチドの構造が、IL−13ポリペプチドに結合したIL−13Rα1ポリペプチドをさらに含む、請求項122に記載のコンピュータプログラム。
【請求項124】
抗IL−13抗体または抗IL−13抗体のFabフラグメントを含む抗体に結合したIL−13ポリペプチドの構造に関する情報を受け入れる工程と、
IL−13ポリペプチドと候補薬との結合特性をモデリングする工程とを含む方法であって、
ソフトウェアシステムによって実行される方法。
【請求項125】
抗体に結合したIL−13ポリペプチドの構造が、IL−13ポリペプチドに結合したIL−13Rα1ポリペプチドをさらに含む、請求項124に記載の方法。
【請求項126】
候補薬のデータベースからの情報を適用して、IL−13ポリペプチドと結合できる候補薬を同定する工程をさらに含む方法であって、
該同定が、IL−13ポリペプチドの構造に関する情報と候補薬に関する情報に基づいて行われる、請求項124または125のいずれか一項に記載の方法。
【請求項127】
複数の命令が格納されているコンピュータ可読媒体に存在するコンピュータプログラムであって、1つまたは複数のプロセッサで実行される場合、1つまたは複数のプロセッサに、
抗IL−13抗体または抗IL−13抗体のFabフラグメントを含む抗体に結合したIL−13ポリペプチドの構造に関する情報を受け入れさせ、
IL−13ポリペプチドと候補薬との結合特性をモデリングさせる、コンピュータプログラム。
【請求項128】
抗体に結合したIL−13ポリペプチドの構造が、IL−13ポリペプチドに結合したIL−13Rα1ポリペプチドをさらに含む、請求項127に記載のコンピュータプログラム。
【請求項129】
1つまたは複数のプロセッサに、
データベースからの候補薬に関する情報を適用させ、
データベースにおいて、IL−13ポリペプチドに結合できる候補薬を同定させる命令をさらに含むコンピュータプログラムであって、
該同定が、IL−13ポリペプチドの構造に関する情報に基づいて行われる、請求項127または128のいずれか一項に記載のコンピュータプログラム。
【請求項130】
1つまたは複数のプロセッサに、IL−13ポリペプチドと候補薬との結合特性をモデリングさせる命令をさらに含む、請求項127〜129のいずれか一項に記載のコンピュータプログラム。
【請求項131】
コンピュータシステムに、
抗IL−13抗体または抗IL−13抗体のFabフラグメントを含む抗体に結合したIL−13ポリペプチドの構造に関する情報を受け入れさせ、
IL−13ポリペプチドと候補薬との結合特性をモデリングする命令を含むソフトウェアシステム。
【請求項132】
抗体に結合したIL−13ポリペプチドの構造が、IL−13ポリペプチドに結合したIL−13Rα1ポリペプチドをさらに含む、請求項131に記載のソフトウェアシステム。
【請求項133】
in vivoでIL−4Rポリペプチドが結合するIL−13ポリペプチドの部位に結合する能力がある結晶性抗体。
【請求項134】
in vivoでIL−4Rポリペプチドが結合するIL−13ポリペプチドの部位に結合する能力がある抗体を含む結晶性組成物。
【請求項135】
IL−13ポリペプチドと、
抗体と
を含む結晶性複合体であって、
該抗体が、in vivoでIL−4Rポリペプチドが結合するIL−13ポリペプチドの部位に結合する能力がある結晶性複合体。
【請求項136】
IL−13ポリペプチドと、
IL−13Rα1ポリペプチドと、
抗体と
を含む結晶性複合体であって、
該抗体が、in vivoでIL−4Rポリペプチドが結合するIL−13ポリペプチドの部位に結合する能力がある結晶性複合体。
【請求項137】
抗体の3次元モデルを使ってIL−13ポリペプチドと相互作用する作用薬を設計する工程を含む方法であって、
該抗体が、in vivoでIL−4Rポリペプチドが結合するIL−13ポリペプチドの部位に結合する能力がある方法。
【請求項138】
3次元モデルが抗体の原子の構造座標を含む、請求項137に記載の方法。
【請求項139】
IL−13ポリペプチドを抗体と接触させて組成物を形成する工程と、
該組成物を結晶化させて、抗体がIL−13ポリペプチドに結合した結晶性複合体を形成する工程と
を含む方法であって、
該抗体が、in vivoでIL−4Rポリペプチドが結合するIL−13ポリペプチドの部位に結合する能力があり、結晶性複合体が少なくとも約3.5Åの分解能までX線を回折することができる方法。
【請求項140】
IL−13ポリペプチドを抗体およびIL−13Rα1ポリペプチドと接触させて組成物を形成する工程と、
組成物を結晶化させて、抗体およびIL−13Rα1ポリペプチドがそれぞれIL−13ポリペプチドに結合した結晶性複合体を形成する工程と
を含む方法であって、
該抗体が、in vivoでIL−4Rポリペプチドが結合するIL−13ポリペプチドの部位に結合する能力があり、該結晶性複合体が少なくとも約3.5Åの分解能までX線を回折することができる方法。
【請求項141】
コンピュータシステムに、
in vivoでIL−4Rポリペプチドが結合するIL−13ポリペプチドの部位に結合する能力がある抗体に結合したIL−13ポリペプチドの構造に関する情報を受け入れさせ、
候補薬に関する情報を受け入れさせ、
IL−13ポリペプチドに対する候補薬の結合特性を決定させる命令を含むソフトウェアシステムであって、
該決定が、IL−13ポリペプチドの構造に関する情報と候補薬に関する情報に基づいて行われるソフトウェアシステム。
【請求項142】
抗体に結合したIL−13ポリペプチドの構造が、IL−13ポリペプチドに結合したIL−13Rα1ポリペプチドをさらに含む、請求項141に記載のソフトウェアシステム。
【請求項143】
複数の命令が格納されているコンピュータ可読媒体に存在し、1つまたは複数のプロセッサで実行される場合、1つまたは複数のプロセッサに、
in vivoでIL−4Rポリペプチドが結合するIL−13ポリペプチドの部位に結合する能力がある抗体に結合したIL−13ポリペプチドの構造に関する情報を受け入れさせ、
候補薬に関する情報を受け入れさせ、
IL−13ポリペプチドに対する候補薬の結合特性を決定させるコンピュータプログラムであって、
該決定が、IL−13ポリペプチドの構造に関する情報と候補薬に関する情報に基づいて行われるコンピュータプログラム。
【請求項144】
抗体に結合したIL−13ポリペプチドの構造が、IL−13ポリペプチドに結合したIL−13Rα1ポリペプチドをさらに含む、請求項143に記載のコンピュータプログラム。
【請求項145】
in vivoでIL−4Rポリペプチドが結合するIL−13ポリペプチドの部位に結合する能力がある抗体に結合したIL−13ポリペプチドの構造に関する情報を受け入れる工程と、
IL−13ポリペプチドと候補薬との結合特性をモデリングする工程とを含む方法であって、
ソフトウェアシステムによって実行される方法。
【請求項146】
抗体に結合したIL−13ポリペプチドの構造が、IL−13ポリペプチドに結合したIL−13Rα1ポリペプチドをさらに含む、請求項145に記載の方法。
【請求項147】
複数の命令が格納されているコンピュータ可読媒体に存在するコンピュータプログラムであって、1つまたは複数のプロセッサで実行される場合、1つまたは複数のプロセッサに、
in vivoでIL−4Rポリペプチドが結合するIL−13ポリペプチドの部位に結合する能力がある抗体に結合したIL−13ポリペプチドの構造に関する情報を受け入れさせ、
IL−13ポリペプチドと候補薬との結合特性をモデリングするコンピュータプログラム。
【請求項148】
抗体に結合したIL−13ポリペプチドの構造が、IL−13ポリペプチドに結合したIL−13Rα1ポリペプチドをさらに含む、請求項147に記載のコンピュータプログラム。
【請求項149】
コンピュータシステムに、
in vivoでIL−4Rポリペプチドが結合するIL−13ポリペプチドの部位に結合する能力がある抗体に結合したIL−13ポリペプチドの構造に関する情報を受け入れさせ、
IL−13ポリペプチドと候補薬との結合特性をモデリングする命令を含むソフトウェアシステム。
【請求項150】
抗体に結合したIL−13ポリペプチドの構造が、IL−13ポリペプチドに結合したIL−13Rα1ポリペプチドをさらに含む、請求項149に記載のソフトウェアシステム。
【請求項151】
被検者のIL−13活性を調節する方法であって、
合理的な薬剤設計を用いてIL−13活性を調節する能力がある作用薬を選択する工程と、
治療有効量の作用薬を被検者に投与する工程と
を含む方法。
【請求項152】
合理的な薬剤設計が、IL−13ポリペプチドを含む結晶性複合体の3次元構造を用いる工程を含む、請求項151に記載の方法。
【請求項153】
結晶性複合体が抗体をさらに含む方法であって、抗体が抗IL−13抗体または抗IL−13抗体のFabフラグメントである、請求項152に記載の方法。
【請求項154】
結晶性複合体が抗体をさらに含む方法であって、抗体が、in vivoでIL−4Rポリペプチドが結合するIL−13ポリペプチドの部位に結合する能力がある、請求項152または153のいずれか一項に記載の方法。
【請求項155】
結晶性複合体がIL−13Rα1ポリペプチドをさらに含む、請求項152〜154のいずれか一項に記載の方法。
【請求項156】
IL−13活性に関連した症状を持つ被検者を治療する方法であって、
合理的な薬剤設計を用いてIL−13活性に影響を及ぼす能力がある作用薬を選択する工程と、
治療有効量の作用薬を、これを必要とする被検者に投与する工程と
を含む方法。
【請求項157】
症状が喘息である、請求項156に記載の方法。
【請求項158】
症状が、アレルギー性喘息または非アレルギー性喘息である、請求項156または157のいずれか一項に記載の方法。
【請求項159】
症状が、癌、気道炎、好酸球増加症、線維症、過剰な粘液産生、皮膚、消化管、血管または結合組織の炎症性症状、および皮膚、消化管、血管または結合組織の自己免疫性症状からなる群から選択される少なくとも1つの症状である、請求項156に記載の方法。
【請求項160】
症状が、慢性閉塞性肺疾患、膵臓繊維症、肺線維症、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、炎症性腸疾患、クローン病、肝硬変、強皮症、およびホジキンリンパ腫からなる群から選択される少なくとも1つの症状である、請求項156に記載の方法。
【請求項161】
IL−13活性に関連した症状になりやすい被検者を予防的に治療する方法であって、
被検者がIL−13活性に関連した症状になりやすいことを判定する工程と、
合理的な薬剤設計を用いてIL−13活性に影響を及ぼす能力がある作用薬を選択する工程と、
治療有効量の作用薬を被検者に投与する工程と
を含む方法。
【請求項162】
症状が喘息である、請求項161に記載の方法。
【請求項163】
症状が、アレルギー性喘息または非アレルギー性喘息である、請求項161または162のいずれか一項に記載の方法。
【請求項164】
症状が、癌、気道炎、好酸球増加症、線維症、過剰な粘液産生、皮膚、消化管、血管または結合組織の炎症性症状、および皮膚、消化管、血管または結合組織の自己免疫性症状からなる群から選択される少なくとも1つの症状である、請求項161に記載の方法。
【請求項165】
症状が、慢性閉塞性肺疾患、膵臓繊維症、肺線維症、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、炎症性腸疾患、クローン病、肝硬変、強皮症、およびホジキンリンパ腫からなる群から選択される少なくとも1つの症状である、請求項161に記載の方法。
【請求項166】
作用薬が、約2.0Å内まで、配列番号4のアミノ酸配列で定義されるアミノ酸Glu49、Asn53、Gly69、Pro72、His73、Lys74、およびArg86の1つまたは複数と相互作用することによって、IL−13ポリペプチドに結合する、請求項161〜165のいずれか一項に記載の方法。
【請求項167】
IL−13活性に伴う症状の予防または治療のための薬物の製造における、請求項64〜97または129または130のいずれか一項に従って設計されまたは選択された作用薬の使用。
【請求項168】
作用薬が、IL−13活性を阻害する能力を持つ、請求項167に記載の使用。
【請求項169】
作用薬が、in vivoでIL−13活性を阻害する能力を持つ、請求項167または168のいずれか一項に記載の使用。
【請求項170】
症状が喘息である、請求項167、168または169のいずれか一項に記載の使用。
【請求項171】
症状が、アレルギー性喘息または非アレルギー性喘息である、請求項167〜170のいずれか一項に記載の使用。
【請求項172】
症状が、癌、気道炎、好酸球増加症、線維症、過剰な粘液産生、皮膚、消化管、血管または結合組織の炎症性症状、および皮膚、消化管、血管または結合組織の自己免疫性症状からなる群から選択される少なくとも1つの症状である、請求項167〜170のいずれか一項に記載の使用。
【請求項173】
症状が、慢性閉塞性肺疾患、膵臓繊維症、肺線維症、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、炎症性腸疾患、クローン病、肝硬変、強皮症、およびホジキンリンパ腫からなる群から選択される少なくとも1つの症状である、請求項167〜170のいずれか一項に記載の使用。
【請求項174】
作用薬が、約2.0Å内まで、配列番号4のアミノ酸配列で定義されるアミノ酸Glu49、Asn53、Gly69、Pro72、His73、Lys74、およびArg86の1つまたは複数と相互作用することによって、IL−13ポリペプチドに結合する、請求項167〜173のいずれか一項に記載の使用。
【請求項175】
IL−13活性に伴う症状の予防または治療に使用するために、請求項65〜105または129または130のいずれか一項に従って設計されまたは選択された作用薬。
【請求項176】
作用薬が、IL−13活性を阻害する能力を持つ、請求項175に記載の作用薬。
【請求項177】
作用薬が、in vivoでIL−13活性を阻害する能力を持つ、請求項175または176のいずれか一項に記載の作用薬。
【請求項178】
症状が喘息である、請求項175、176または177のいずれか一項に記載の作用薬。
【請求項179】
症状が、アレルギー性喘息または非アレルギー性喘息である、請求項175〜178のいずれか一項に記載の作用薬。
【請求項180】
症状が、癌、気道炎、好酸球増加症、線維症、過剰な粘液産生、皮膚、消化管、血管または結合組織の炎症性症状、および皮膚、消化管、血管または結合組織の自己免疫性症状からなる群から選択される少なくとも1つの症状である、請求項175〜177のいずれか一項に記載の作用薬。
【請求項181】
症状が、慢性閉塞性肺疾患、膵臓繊維症、肺線維症、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、炎症性腸疾患、クローン病、肝硬変、強皮症、およびホジキンリンパ腫からなる群から選択される少なくとも1つの症状である、請求項175〜177のいずれか一項に記載の作用薬。
【請求項182】
作用薬が、約2.0Å内まで、配列番号4のアミノ酸配列で定義されるアミノ酸Glu49、Asn53、Gly69、Pro72、His73、Lys74、およびArg86の1つまたは複数と相互作用することによって、IL−13ポリペプチドに結合する、請求項175〜181のいずれか一項に記載の作用薬。
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図13−2】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図13−2】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公表番号】特表2008−515776(P2008−515776A)
【公表日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−527730(P2007−527730)
【出願日】平成17年6月9日(2005.6.9)
【国際出願番号】PCT/US2005/020334
【国際公開番号】WO2005/121177
【国際公開日】平成17年12月22日(2005.12.22)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.フロッピー
【出願人】(591011502)ワイス (573)
【氏名又は名称原語表記】Wyeth
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年6月9日(2005.6.9)
【国際出願番号】PCT/US2005/020334
【国際公開番号】WO2005/121177
【国際公開日】平成17年12月22日(2005.12.22)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.フロッピー
【出願人】(591011502)ワイス (573)
【氏名又は名称原語表記】Wyeth
【Fターム(参考)】
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