折りたたみ焚き火台
【課題】 おりたたんで収納サイズを小さくでき、可搬性に優れ、使用時には安定した火床を形成することができる焚き火台の機能を提供する。
【解決手段】 耐熱性繊維を織った布、すなわち柔軟火床面状体1を、この織布に穴を開けることなく金属で作った中空の保持筒3に巻き付けて縫い込み、この中空の保持筒3に通したステンレススチールなどの懸架線4の四隅を分割折りたたみ可能な支持台2に引っかけて保持することを特徴とする。
【解決手段】 耐熱性繊維を織った布、すなわち柔軟火床面状体1を、この織布に穴を開けることなく金属で作った中空の保持筒3に巻き付けて縫い込み、この中空の保持筒3に通したステンレススチールなどの懸架線4の四隅を分割折りたたみ可能な支持台2に引っかけて保持することを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、折りたたみ、運搬が容易な焚き火台に関するものである。
【背景技術】
【0002】
人間の野外でのレクリエーション活動が盛んになるにつれ、野外での煮炊きを行う行為が一般化しつつある。その際、環境美化の観点から直火を行わないことが一般化し、同時にその多様性が増すにつれ、とくに軽く、収納体積が小さい火床の需要が高まっている。従来も、いわゆるバーベキューの火床には、鉄やステンレススチールを用いた剛性の高い物や、金属線を用いた網などはあったが、重量、運搬時の体積などに問題があった。自動車などで運搬する場合はそれでも容認できるが、小さなバッグに収納して持ち運びできる軽くて、折りたたみ体積の小さなものはなかったと言える。本発明は耐熱性の高い柔軟な火床を用い、その火床を高い強度で安定的に支持する技術を提供するものである。
【発明の概要】
【0003】
解決しようとする問題点は、融点の高い石英を主成分とするシリカ繊維の織布を用いて、この織布の強度を損なうことなく、懸架し、かつ小さく折りたためる構造を提供するものである。ただ、本発明はシリカ繊維に限定するものではなく、直火に耐える耐熱性をもち、かつ折りたたみできる柔軟な性質を持つ物であれば材料の種類を問わない。
【課題を解決するための手段】
【0004】
図1に本発明の主要構造に一つを簡単に示した。シリカなどの耐熱性の高い繊維を織った布、すなわち柔軟火床面状体1を、この織布に穴を開けることなくアルミニウムなどの金属で作った中空の保持筒3に巻き付けて縫い込み、この中空の保持筒3に通したステンレススチールなどの懸架線4の四隅を支持台2に引っかけて保持するものである。
【発明の効果】
【0005】
この柔軟火床面状体1に薪や炭などを載せ火を焚くのであるが、その薪や炭などの重量は支持台2を拡げる方向に働くので、全体が崩れることなく、安定した構造を保つ。また、保持筒3を内蔵した四辺は同じ高さに保持されるので、柔軟火床面状体1上で発生した灰や薪や炭の小片などは、かなりの強さの風にも飛びちることなく留まっている。四辺が同じ高さに保持されている効果である。
【0006】
さらに、柔軟火床面状体1は熱伝導率の低いシリカ繊維でできており、同時に火床と支持台2は懸架線4のみで接しており熱伝導が起こりにくく、支持台2の温度上昇が低く抑えられる。これにより使用後に冷ます時間も短かく、収納する手間も少ない。金属を主体とする一般的な火床を用いたバーベキューなどでは使用後の収納に手間がかかるのでこの点でも有利である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の主要な実施例の説明図である。(実施例1)
【図2】本発明の柔軟火床の支持構造を示した説明図である。
【図3】本発明の柔軟火床の第二の支持構造を示した説明図である。(実施例2)
【図4】本発明の柔軟火床の第三の支持構造を示した説明図である。
【図5】本発明の懸架線の接続法方法の一つを示した説明図である。(実施例3)
【図6】本発明の折りたたみ支持台を示した説明図である。
【図7】本発明の構造を折りたたんだ形状を示した説明図である。
【図8】本発明の一体型の枠の形状を示した説明図である。(実施例4)
【図9】付加するアタッチメントの一種を示した説明図である。
【図10】付加するアタッチメントの固定法の一つを示した説明図である。
【図11】付加するアタッチメントの固定法の別の一つを示した説明図である。
【図12】付加するアタッチメントの他の一種を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0008】
図1は本発明の具体的な全体像の一つを示す構成図であって、柔軟火床面状体1、支持台2、保持筒3および懸架線4の主要部品で構成される。
【0009】
特に純粋な石英を主成分とするシリカの細線を織った布すなわちシリカ繊維の柔軟火床面状体1は、耐熱性は高いが、必ずしも部分的な機械的応力集中に強くはなく、傷つくと破れやすい。したがって、この破れやすい柔軟火床1に機械的応力集中を起こしやすい穴を開けることなく保持する構造が重要で、図2に示すように、本発明は剛性の高いアルミニウムなどの金属の中空円筒を保持筒3とすることによりこの問題を解決した。
【0010】
すなわち、柔軟火床面状体1を保持筒3に巻き付けて折り返し、折り返した部分をこれも耐熱性の高いシリカ繊維か、あるいは耐熱性の高い、たとえばステンレス繊維の縫製糸5で縫い合わせる。保持筒3が柔軟火床面状体1の各辺それぞれ個別に取り付けられ、柔軟な懸架線で連結されていることにより、火床の折り畳み性を損なうことなく以下に述べる効果を発揮することが可能となる。
【0011】
この保持筒3がない場合、ステンレススチールなどの懸架線4が直接柔軟火床面状体1に当たって擦れるだけでなく、四辺が湾曲して、炭や薪などが外部にこぼれやすくなって、危険である。また火床面状体1と支持台2を懸架線4にて連結することにより、互いの熱伝導性を低くすることが可能になり、支持台の変形、変質の防止、さらには使用後の冷却時間の短縮という効果を生む。
【実施例2】
【0012】
また、図3に示すように、柔軟火床面状体1の隅を剛性のある金属のかしめ部品6によってかしめ、かしめ部品6を釣りさげて支持台2に固定する。この構造の場合、縫製作業が省略できるので、製造工程の簡略化は出来るが、図2に示した折り返し構造に比べて引っ張り耐性は多少低下する可能性がある。
【実施例3】
【0013】
シリカ繊維などの柔軟火床面状体1は一般に傷に弱いが、適切な直径、加工工程を選べば、図4に示すように、鳩目を隅に設けて、この鳩目に懸架線4を通して引っ張る事もできる。この場合も図12に示した縫製工程は省略できるので、生産性は上がるが、柔軟火床面状体1への穿孔と鳩目をカシメる強度などを適切に選ぶ必要がある。強度が強すぎれば、鳩目が柔軟火床面状体1を圧縮する部分の機械的強度が低下するし、弱すぎれば柔軟火床面状体1の一部分に大きな引っ張り応力が発生し、機械的強度が低下する。
【0014】
実施例1と2の場合に、懸架線4を用いたが、懸架線4は中空の保持筒3に通すため、輪の一部が切断されている必要がある。保持筒3に通した後、図5に示すように、懸架線4の両端に接続した雄と雌のねじで固定する。または懸架線4の両端を輪状にしておき、取り外し可能な接続リング10にて連結する。柔軟火床面状体1は長時間の使用で強度が劣化するので、このような簡単に取り外すことができる構造は消耗した柔軟火床面状体1を容易に交換するためにで重要である。
【0015】
柔軟火床面状体1を吊る懸架線4を固定する支持台2もまた折りたためる必要があり、図6に示したような折りたたみ、かつ分解できる構造としてその機能を実現した。分解した支持台は折り畳み回転軸11により変形させて折りたたみ、収納サイズを縮小することを可能とする。
【0016】
結果として、図7に示したような折りたたんだ形状が実現できる。懸架線4の使用状態での寸法が40cm×40cmで、支持台の高さが28cm、柔軟火床1の厚さが約5mmのとき、長さ35cm、直径9cmの円筒筒にすっぽり納めることがが出来る。この場合、重量を約1kgに納めることができた。
【実施例4】
【0017】
以上、本発明の他の実施例として、柔軟な懸架線4による吊り下げ構造を示したが、図8に示すような剛体である一体枠9を用いた構造を挙げる。この場合でも、図2に示した折り返して巻き付ける構造、図3に示したかしめを用いる構造、図4に示した鳩目をもちいる方法を用いることができる。
【実施例5】
【0018】
以上、本発明の他の実施例として、柔軟火床1に石英などのシリカ繊維を織った布をもちいたが、金属の細線による網を用いることも可能である。この場合火が直接金属の細線を熱するので、ステンレススチールでも長時間の使用に絶えず、より耐熱性の高い、たとえばニクロム線などを用いる必要がある。
【実施例6】
【0019】
さらに、本発明の他の実施例として、機械的強度の相対的に弱い柔軟火床面状体1を補強するため、金属の網あるいは別の不燃布で裏打ちする構造を提供する。この場合、機械的強度は金属網あるいは不燃布に持たせることができるから、石英などのシリカ繊維を織った布を薄くでき、かつより重い炭や薪を載せることができる。
【0020】
本発明で用いるシリカ繊維は下に熱が激しく伝わらないように十分厚いので、不燃布はシリカ繊維ほどの耐熱性は不必要で、主に機械的強度を増大する目的をもつ。実際には、不燃性カーテン布地などを流用することもできる。
【0021】
この場合も、図1に示した柔軟な懸架線4による吊り下げ構造と図8に示すような剛性体を用いた構造のどちらも用いることができ、かつ図2に示した折り返して巻き付ける構造、図3に示したかしめを用いる構造、図4に示した鳩目をもちいる方法を用いることができる。
【0022】
また、以上の本発明の説明として懸架線4にステンレススチール線の連続体を用いたが、鎖を用いても同じように本発明を実施できる。
【0023】
以上本発明の主要構造を示したが、小さく折りたたみでき、かつ軽いという特徴に加え、図9に示すような五徳を載せて、やかんや鍋、あるいは飯ごうを載せることもできる。この場合、使用中に五徳が外れると、きわめて危険な状態になることが想定されるので、図10、図11に示すように、一時的に支持台2に固定できる構造が不可欠である。
【0024】
すなわち、図10に示すように支持台の先端部分に五徳固定用の固定穴21を設け、この穴に五徳の先端に固定突起22を設け、この固定突起22のくびれ部分が、固定穴21の端に引っかかり抜けないようにする。
【0025】
また、図11に示すように、固定穴21と五徳の足の先端に設けた穴を通して固定ねじ23で固定すれば、着脱の手間は生じるが、一層安全である。
【0026】
また、汎用的な五徳の代わりに図12に示すような串焼き台31を載せれば串焼きもでき、その用途は大変広い。
【0027】
以上、本発明の実施例はほぼ正方形の柔軟火床面状体を用いた例を示したが、使用目的によっては細長い長方形、さらには三角形や五角以上の多辺形の場合が適する場合もあり、同様に本発明を適用できる。たとえばバーベキューで、串焼きなどを沢山横に並べて同時に焼く場合には、長方形が便利である。
【0028】
多辺形の中で三角形は支持台が最も小さくて軽いという特長を持ち、特に重量を軽減したい場合に適する。また、四辺形は支持台を置く面に凹凸がある場合に、中の一本が宙に浮き、不安定になる場合があるが、三角形の頂点は一平面を構成するので、支持台を置く面が必ずしも平面である必要はなく、支持が安定する。
【0029】
五角形以上の多辺形では、支持台全体の剛性が高まるので、重量のある可燃物を載せる場合に有利であるだけでなく、柔軟火床面状体の端の突出部分が少ないので、柔軟火床面状体の面積を有効利用する点で優れている。
【0030】
また、正方形を含む多辺形の場合に、辺の数と支持台の足の数を合致させる必要はなく、六本の支持台の足に三角形の柔軟火床面状体を載せてもよいし、四角形の支持台に八角形の柔軟火床面状体を載せることもできる。用途に応じて柔軟火床面状体の形状と支持台の足の数を適宜選べばよい。
【産業上の利用可能性】
【0031】
以上、本発明をいわゆるキャンピング用品の一つとしての用途を挙げたが、可搬して容易に火をたける特長を生かせば、野外で数100℃程度の熱を必要とする用途に用いることができる。たとえば、家畜に刻印する焼きごてを暖める焚き火台、電気のない野外で半田ごてを焼く焚き火台などである。
【符号の説明】
【0032】
1 柔軟火床面状体
2 支持台
3 保持筒
4 懸架線
5 縫製糸
6 かしめ部品
7 鳩目
8 接続ねじ
9 一体枠
10 接続リング
11 折りたたみ回転軸
20 五徳
21 固定穴
22 固定突起
23 固定ねじ
31 串焼き台
【技術分野】
【0001】
本発明は、折りたたみ、運搬が容易な焚き火台に関するものである。
【背景技術】
【0002】
人間の野外でのレクリエーション活動が盛んになるにつれ、野外での煮炊きを行う行為が一般化しつつある。その際、環境美化の観点から直火を行わないことが一般化し、同時にその多様性が増すにつれ、とくに軽く、収納体積が小さい火床の需要が高まっている。従来も、いわゆるバーベキューの火床には、鉄やステンレススチールを用いた剛性の高い物や、金属線を用いた網などはあったが、重量、運搬時の体積などに問題があった。自動車などで運搬する場合はそれでも容認できるが、小さなバッグに収納して持ち運びできる軽くて、折りたたみ体積の小さなものはなかったと言える。本発明は耐熱性の高い柔軟な火床を用い、その火床を高い強度で安定的に支持する技術を提供するものである。
【発明の概要】
【0003】
解決しようとする問題点は、融点の高い石英を主成分とするシリカ繊維の織布を用いて、この織布の強度を損なうことなく、懸架し、かつ小さく折りたためる構造を提供するものである。ただ、本発明はシリカ繊維に限定するものではなく、直火に耐える耐熱性をもち、かつ折りたたみできる柔軟な性質を持つ物であれば材料の種類を問わない。
【課題を解決するための手段】
【0004】
図1に本発明の主要構造に一つを簡単に示した。シリカなどの耐熱性の高い繊維を織った布、すなわち柔軟火床面状体1を、この織布に穴を開けることなくアルミニウムなどの金属で作った中空の保持筒3に巻き付けて縫い込み、この中空の保持筒3に通したステンレススチールなどの懸架線4の四隅を支持台2に引っかけて保持するものである。
【発明の効果】
【0005】
この柔軟火床面状体1に薪や炭などを載せ火を焚くのであるが、その薪や炭などの重量は支持台2を拡げる方向に働くので、全体が崩れることなく、安定した構造を保つ。また、保持筒3を内蔵した四辺は同じ高さに保持されるので、柔軟火床面状体1上で発生した灰や薪や炭の小片などは、かなりの強さの風にも飛びちることなく留まっている。四辺が同じ高さに保持されている効果である。
【0006】
さらに、柔軟火床面状体1は熱伝導率の低いシリカ繊維でできており、同時に火床と支持台2は懸架線4のみで接しており熱伝導が起こりにくく、支持台2の温度上昇が低く抑えられる。これにより使用後に冷ます時間も短かく、収納する手間も少ない。金属を主体とする一般的な火床を用いたバーベキューなどでは使用後の収納に手間がかかるのでこの点でも有利である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の主要な実施例の説明図である。(実施例1)
【図2】本発明の柔軟火床の支持構造を示した説明図である。
【図3】本発明の柔軟火床の第二の支持構造を示した説明図である。(実施例2)
【図4】本発明の柔軟火床の第三の支持構造を示した説明図である。
【図5】本発明の懸架線の接続法方法の一つを示した説明図である。(実施例3)
【図6】本発明の折りたたみ支持台を示した説明図である。
【図7】本発明の構造を折りたたんだ形状を示した説明図である。
【図8】本発明の一体型の枠の形状を示した説明図である。(実施例4)
【図9】付加するアタッチメントの一種を示した説明図である。
【図10】付加するアタッチメントの固定法の一つを示した説明図である。
【図11】付加するアタッチメントの固定法の別の一つを示した説明図である。
【図12】付加するアタッチメントの他の一種を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0008】
図1は本発明の具体的な全体像の一つを示す構成図であって、柔軟火床面状体1、支持台2、保持筒3および懸架線4の主要部品で構成される。
【0009】
特に純粋な石英を主成分とするシリカの細線を織った布すなわちシリカ繊維の柔軟火床面状体1は、耐熱性は高いが、必ずしも部分的な機械的応力集中に強くはなく、傷つくと破れやすい。したがって、この破れやすい柔軟火床1に機械的応力集中を起こしやすい穴を開けることなく保持する構造が重要で、図2に示すように、本発明は剛性の高いアルミニウムなどの金属の中空円筒を保持筒3とすることによりこの問題を解決した。
【0010】
すなわち、柔軟火床面状体1を保持筒3に巻き付けて折り返し、折り返した部分をこれも耐熱性の高いシリカ繊維か、あるいは耐熱性の高い、たとえばステンレス繊維の縫製糸5で縫い合わせる。保持筒3が柔軟火床面状体1の各辺それぞれ個別に取り付けられ、柔軟な懸架線で連結されていることにより、火床の折り畳み性を損なうことなく以下に述べる効果を発揮することが可能となる。
【0011】
この保持筒3がない場合、ステンレススチールなどの懸架線4が直接柔軟火床面状体1に当たって擦れるだけでなく、四辺が湾曲して、炭や薪などが外部にこぼれやすくなって、危険である。また火床面状体1と支持台2を懸架線4にて連結することにより、互いの熱伝導性を低くすることが可能になり、支持台の変形、変質の防止、さらには使用後の冷却時間の短縮という効果を生む。
【実施例2】
【0012】
また、図3に示すように、柔軟火床面状体1の隅を剛性のある金属のかしめ部品6によってかしめ、かしめ部品6を釣りさげて支持台2に固定する。この構造の場合、縫製作業が省略できるので、製造工程の簡略化は出来るが、図2に示した折り返し構造に比べて引っ張り耐性は多少低下する可能性がある。
【実施例3】
【0013】
シリカ繊維などの柔軟火床面状体1は一般に傷に弱いが、適切な直径、加工工程を選べば、図4に示すように、鳩目を隅に設けて、この鳩目に懸架線4を通して引っ張る事もできる。この場合も図12に示した縫製工程は省略できるので、生産性は上がるが、柔軟火床面状体1への穿孔と鳩目をカシメる強度などを適切に選ぶ必要がある。強度が強すぎれば、鳩目が柔軟火床面状体1を圧縮する部分の機械的強度が低下するし、弱すぎれば柔軟火床面状体1の一部分に大きな引っ張り応力が発生し、機械的強度が低下する。
【0014】
実施例1と2の場合に、懸架線4を用いたが、懸架線4は中空の保持筒3に通すため、輪の一部が切断されている必要がある。保持筒3に通した後、図5に示すように、懸架線4の両端に接続した雄と雌のねじで固定する。または懸架線4の両端を輪状にしておき、取り外し可能な接続リング10にて連結する。柔軟火床面状体1は長時間の使用で強度が劣化するので、このような簡単に取り外すことができる構造は消耗した柔軟火床面状体1を容易に交換するためにで重要である。
【0015】
柔軟火床面状体1を吊る懸架線4を固定する支持台2もまた折りたためる必要があり、図6に示したような折りたたみ、かつ分解できる構造としてその機能を実現した。分解した支持台は折り畳み回転軸11により変形させて折りたたみ、収納サイズを縮小することを可能とする。
【0016】
結果として、図7に示したような折りたたんだ形状が実現できる。懸架線4の使用状態での寸法が40cm×40cmで、支持台の高さが28cm、柔軟火床1の厚さが約5mmのとき、長さ35cm、直径9cmの円筒筒にすっぽり納めることがが出来る。この場合、重量を約1kgに納めることができた。
【実施例4】
【0017】
以上、本発明の他の実施例として、柔軟な懸架線4による吊り下げ構造を示したが、図8に示すような剛体である一体枠9を用いた構造を挙げる。この場合でも、図2に示した折り返して巻き付ける構造、図3に示したかしめを用いる構造、図4に示した鳩目をもちいる方法を用いることができる。
【実施例5】
【0018】
以上、本発明の他の実施例として、柔軟火床1に石英などのシリカ繊維を織った布をもちいたが、金属の細線による網を用いることも可能である。この場合火が直接金属の細線を熱するので、ステンレススチールでも長時間の使用に絶えず、より耐熱性の高い、たとえばニクロム線などを用いる必要がある。
【実施例6】
【0019】
さらに、本発明の他の実施例として、機械的強度の相対的に弱い柔軟火床面状体1を補強するため、金属の網あるいは別の不燃布で裏打ちする構造を提供する。この場合、機械的強度は金属網あるいは不燃布に持たせることができるから、石英などのシリカ繊維を織った布を薄くでき、かつより重い炭や薪を載せることができる。
【0020】
本発明で用いるシリカ繊維は下に熱が激しく伝わらないように十分厚いので、不燃布はシリカ繊維ほどの耐熱性は不必要で、主に機械的強度を増大する目的をもつ。実際には、不燃性カーテン布地などを流用することもできる。
【0021】
この場合も、図1に示した柔軟な懸架線4による吊り下げ構造と図8に示すような剛性体を用いた構造のどちらも用いることができ、かつ図2に示した折り返して巻き付ける構造、図3に示したかしめを用いる構造、図4に示した鳩目をもちいる方法を用いることができる。
【0022】
また、以上の本発明の説明として懸架線4にステンレススチール線の連続体を用いたが、鎖を用いても同じように本発明を実施できる。
【0023】
以上本発明の主要構造を示したが、小さく折りたたみでき、かつ軽いという特徴に加え、図9に示すような五徳を載せて、やかんや鍋、あるいは飯ごうを載せることもできる。この場合、使用中に五徳が外れると、きわめて危険な状態になることが想定されるので、図10、図11に示すように、一時的に支持台2に固定できる構造が不可欠である。
【0024】
すなわち、図10に示すように支持台の先端部分に五徳固定用の固定穴21を設け、この穴に五徳の先端に固定突起22を設け、この固定突起22のくびれ部分が、固定穴21の端に引っかかり抜けないようにする。
【0025】
また、図11に示すように、固定穴21と五徳の足の先端に設けた穴を通して固定ねじ23で固定すれば、着脱の手間は生じるが、一層安全である。
【0026】
また、汎用的な五徳の代わりに図12に示すような串焼き台31を載せれば串焼きもでき、その用途は大変広い。
【0027】
以上、本発明の実施例はほぼ正方形の柔軟火床面状体を用いた例を示したが、使用目的によっては細長い長方形、さらには三角形や五角以上の多辺形の場合が適する場合もあり、同様に本発明を適用できる。たとえばバーベキューで、串焼きなどを沢山横に並べて同時に焼く場合には、長方形が便利である。
【0028】
多辺形の中で三角形は支持台が最も小さくて軽いという特長を持ち、特に重量を軽減したい場合に適する。また、四辺形は支持台を置く面に凹凸がある場合に、中の一本が宙に浮き、不安定になる場合があるが、三角形の頂点は一平面を構成するので、支持台を置く面が必ずしも平面である必要はなく、支持が安定する。
【0029】
五角形以上の多辺形では、支持台全体の剛性が高まるので、重量のある可燃物を載せる場合に有利であるだけでなく、柔軟火床面状体の端の突出部分が少ないので、柔軟火床面状体の面積を有効利用する点で優れている。
【0030】
また、正方形を含む多辺形の場合に、辺の数と支持台の足の数を合致させる必要はなく、六本の支持台の足に三角形の柔軟火床面状体を載せてもよいし、四角形の支持台に八角形の柔軟火床面状体を載せることもできる。用途に応じて柔軟火床面状体の形状と支持台の足の数を適宜選べばよい。
【産業上の利用可能性】
【0031】
以上、本発明をいわゆるキャンピング用品の一つとしての用途を挙げたが、可搬して容易に火をたける特長を生かせば、野外で数100℃程度の熱を必要とする用途に用いることができる。たとえば、家畜に刻印する焼きごてを暖める焚き火台、電気のない野外で半田ごてを焼く焚き火台などである。
【符号の説明】
【0032】
1 柔軟火床面状体
2 支持台
3 保持筒
4 懸架線
5 縫製糸
6 かしめ部品
7 鳩目
8 接続ねじ
9 一体枠
10 接続リング
11 折りたたみ回転軸
20 五徳
21 固定穴
22 固定突起
23 固定ねじ
31 串焼き台
【特許請求の範囲】
【請求項1】
耐熱性のある一層あるいは二層以上の材料からなる柔軟火床面状体の端部を支持台から吊り下げることにより、折りたたんで可搬することを実現した可搬焚き火台。
【請求項2】
請求項1の構造において、当該柔軟火床面状体の端部を分割した剛体で補強し、当該剛体を支持台から吊り下げる事を特徴とする可搬焚き火台。
【請求項3】
請求項2の構造において、当該柔軟火床面状体の端部を分割した円筒に巻き付け、当該円筒を支持台から吊り下げることを特徴とする可搬焚き火台。
【請求項4】
請求項3の構造において、当該分割した剛体は中空の円筒形をなしており、当該中空部に線状の懸架線を通し、当該懸架線を支持台から吊り下げることを特徴とする可搬焚き火台。
【請求項5】
請求項2の構造において、当該柔軟火床面状体の端部をかしめ部品によってかしめ、当該かしめ部品を支持台から吊り下げることを特徴とする可搬焚き火台。
【請求項6】
請求項2の構造において、当該柔軟火床面状体の端部に鳩目を設け、当該鳩目を用いて支持台の端部から吊り下げることを特徴とする可搬焚き火台。
【請求項7】
請求項1の構造において、当該柔軟火床面状体の端部を一体化した剛性枠を用いて支持台で支持することを特徴とする可搬焚き火台。
【請求項8】
請求項7の構造において、当該柔軟火床面状体の端部を一体化した剛性枠に巻き付け、当該剛性枠を支持台で支持することを特徴とする可搬焚き火台。
【請求項9】
請求項7の構造において、当該柔軟火床面状体の端部をかしめ部品によってかしめ、当該かしめ部品を一体化した剛性枠を用いて支持台で支持することを特徴とする可搬焚き火台。
【請求項10】
請求項7の構造において、当該柔軟火床面状体の端部に鳩目を設け、当該鳩目を用いて剛性枠と一体化した当該柔軟火床面状体を支持台で支持することを特徴とする可搬焚き火台。
【請求項11】
請求項3の構造において、当該支持台の上部に煮炊きする容器を支える五徳が当該支持台の端部に機械的に一時固定されることを特徴とする可搬焚き火台。
【請求項1】
耐熱性のある一層あるいは二層以上の材料からなる柔軟火床面状体の端部を支持台から吊り下げることにより、折りたたんで可搬することを実現した可搬焚き火台。
【請求項2】
請求項1の構造において、当該柔軟火床面状体の端部を分割した剛体で補強し、当該剛体を支持台から吊り下げる事を特徴とする可搬焚き火台。
【請求項3】
請求項2の構造において、当該柔軟火床面状体の端部を分割した円筒に巻き付け、当該円筒を支持台から吊り下げることを特徴とする可搬焚き火台。
【請求項4】
請求項3の構造において、当該分割した剛体は中空の円筒形をなしており、当該中空部に線状の懸架線を通し、当該懸架線を支持台から吊り下げることを特徴とする可搬焚き火台。
【請求項5】
請求項2の構造において、当該柔軟火床面状体の端部をかしめ部品によってかしめ、当該かしめ部品を支持台から吊り下げることを特徴とする可搬焚き火台。
【請求項6】
請求項2の構造において、当該柔軟火床面状体の端部に鳩目を設け、当該鳩目を用いて支持台の端部から吊り下げることを特徴とする可搬焚き火台。
【請求項7】
請求項1の構造において、当該柔軟火床面状体の端部を一体化した剛性枠を用いて支持台で支持することを特徴とする可搬焚き火台。
【請求項8】
請求項7の構造において、当該柔軟火床面状体の端部を一体化した剛性枠に巻き付け、当該剛性枠を支持台で支持することを特徴とする可搬焚き火台。
【請求項9】
請求項7の構造において、当該柔軟火床面状体の端部をかしめ部品によってかしめ、当該かしめ部品を一体化した剛性枠を用いて支持台で支持することを特徴とする可搬焚き火台。
【請求項10】
請求項7の構造において、当該柔軟火床面状体の端部に鳩目を設け、当該鳩目を用いて剛性枠と一体化した当該柔軟火床面状体を支持台で支持することを特徴とする可搬焚き火台。
【請求項11】
請求項3の構造において、当該支持台の上部に煮炊きする容器を支える五徳が当該支持台の端部に機械的に一時固定されることを特徴とする可搬焚き火台。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−167920(P2012−167920A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−44461(P2011−44461)
【出願日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【出願人】(509271107)有限会社TSDESIGN (3)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【出願人】(509271107)有限会社TSDESIGN (3)
【Fターム(参考)】
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