説明

折り畳みコンテナ

【課題】側壁部の好適な折り畳みを実現しつつ、収容された物品のガタツキをより確実に抑制することのできる折り畳みコンテナを提供する。
【解決手段】折り畳みコンテナ1は、略矩形板状をなす底壁部2と、各側辺部に沿って上方に突出する各土台部6、7に対してそれぞれ回動可能に連結された側壁部3、4とを備えている。また、側壁部3の内面から突出する上側凸部32と、当該側壁部3を支持する土台部6の内面から突出する下側凸部33と、上側凸部32に対してスライド可能に設けられた連結部材34とが設けられ、側壁部3を起立させた場合には、上側凸部32と下側凸部33とが上下に所定距離を隔てて対向配置される。連結部材34は、側壁部3が起立位置にある場合に、上側凸部32から下側凸部33に架け渡されるようにして延在する連結位置と、下側凸部33から離間し、側壁部3の傾倒変位を許容する離間位置との間をスライド変位可能に構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品の運搬等に使用される折り畳みコンテナに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、略矩形板状の底壁部と、底壁部の各側辺部に対応して回動可能に連結された側壁部とを備え、各側壁部を底壁部の上方に重ねるようにして内側に折り畳むことのできる折り畳みコンテナが知られている。さらに、側壁部の内面側から突出する保持部を設け、当該保持部によって折り畳みコンテナに収容された物品を保持し、当該物品のガタツキを抑制するといった技術がある(例えば、特許文献1等参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−14980号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載の保持部は、側壁部(側壁板)の高さ方向のほんの一部に対応して設けられているに過ぎず、例えば、複数の物品を上下に積み重ねた状態で折り畳みコンテナに収容して運搬等する場合には、保持部で物品のガタツキを抑制するといった作用効果が十分に奏されないおそれがある。また、特許文献1に記載の保持部は、側壁部とは別に折り畳み可能に構成された内側部材に設けられているため、折り畳みコンテナを組み立てたり折り畳んだりする際の作業性の低下を招くおそれがある。
【0005】
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、側壁部の好適な折り畳みを実現しつつ、収容された物品のガタツキをより確実に抑制することのできる折り畳みコンテナを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下、上記目的等を解決するのに適した各手段につき項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果等を付記する。
【0007】
手段1.略矩形板状をなすとともに、各側辺部に沿ってそれぞれ上方に突出する土台部を有する底壁部と、前記各土台部に対してそれぞれ回動可能に連結された側壁部とを備え、
前記各側壁部は、前記土台部の上方に立設される起立位置と、前記底壁部の上方に畳まれる寝かせ位置との間を回動変位可能に構成された折り畳みコンテナであって、
少なくとも1つの前記側壁部の内面から突出する上側凸部と、
当該側壁部を支持する前記土台部の内面から突出する下側凸部と、
前記上側凸部及び前記下側凸部の一方に対してスライド可能に設けられた連結部材とを備え、
前記側壁部が前記起立位置にある場合には、前記上側凸部と前記下側凸部とが上下に所定距離を隔てて対向配置され、
前記連結部材は、前記側壁部が前記起立位置にある場合に、前記上側凸部及び前記下側凸部の一方から他方に架け渡されるようにして延在する連結位置と、前記上側凸部及び前記下側凸部の他方から離間し、前記側壁部の前記寝かせ位置側への傾倒変位を許容する離間位置との間をスライド変位可能に構成されていることを特徴とする折り畳みコンテナ。
【0008】
手段1によれば、側壁部を起立位置とし、連結部材を連結位置とすることで、上側凸部、下側凸部、及び、連結部材を上下に連続的に延在させることができる。従って、側壁部の内面から突出した上側凸部、下側凸部、及び、連結部材によって、折り畳みコンテナに収容された物品の外周面を支持して、水平方向における位置ずれを防止することができる。特に、側壁部から土台部にかけて切れ目なく延在させることができるため、例えば、折り畳みコンテナに複数の物品を積み重ねて収容する場合において、側壁部と土台部との境界と同程度の高さ位置に積まれている物品についても、連結部材が該物品に直接接触して保持することができる。従って、折り畳みコンテナに収容された物品のガタツキや傾倒等をより確実に防止することができる。
【0009】
さらに、連結部材を離間位置とすることで、上側凸部と下側凸部との間の隙間が露出することとなり、当該隙間を、寝かせ位置とされる側壁部の一部を位置させるためのスペースとして使用することができるようになる。従って、折り畳みコンテナに収容された物品を、側壁部と土台部との境界と同程度の高さ位置においても保持できる構成としても、側壁部を確実に折り畳むことができる。
【0010】
手段2.前記連結部材は、前記上側凸部に対してスライド可能に取付けられ、前記下側凸部には、前記連結位置にある前記連結部材の下辺部と当接する支持部が設けられていることを特徴とする手段1に記載の折り畳みコンテナ。
【0011】
手段2によれば、連結部材が下側凸部に取付けられる場合に比べ、連結部材を連結位置にて維持しておく構成の簡略化を図ることができる。また、側壁部を起立させる際に、連結部材を直接操作しなくても、連結部材が自重によって連結位置へと変位するように構成することもできる。この場合、折り畳みコンテナを箱型に組み立てる際の作業性の向上を図ることができる。
【0012】
手段3.前記上側凸部は、前記連結部材が前記離間位置とされた場合に前記連結部材に設けられた被係止部と係止状態とされる係止部を備えていることを特徴とする手段2に記載の折り畳みコンテナ。
【0013】
手段3によれば、連結部材を離間位置で保持しておくことができるため、側壁部を折り畳む際に作業者が離間位置に変位させた連結部材を手で直接押さえておくといった必要がなくなる。従って、折り畳みコンテナを折り畳む際の作業性の向上を図ることができる。
【0014】
尚、当該手段3の係止部及び被係止部の構成を備える場合でも、手段2の構成を具備することで、係止状態を解除すれば連結部材が自重にて連結位置へと変位することとなるため、連結部材を下側凸部に設ける場合に比べ、依然として作業性の向上が図られる。また、例えば、連結部材を下側凸部に設ける場合には、連結部材を連結位置で保持しておくための係止部及び被係止部が必要となるが、物品を収容して運搬・保管する使用状態において、折り畳みコンテナが振動したり、物品に押圧されたりしても連結部材が変位しないように係止部と被係止部とを比較的強固に係止させる必要が生じるため、構成の複雑化等を招くおそれがある。これに対し、手段3の係止部及び被係止部は、側壁部を折り畳む作業に際してのみ連結部材を離間位置で保持していればよく、構成の簡略化が図られる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】組み立て状態にある折り畳みコンテナの斜視図である。
【図2】組み立て状態にあり、連結部材が離間位置にある折り畳みコンテナの斜視図である。
【図3】折り畳み状態にある折り畳みコンテナの斜視図である。
【図4】折り畳みコンテナの一部断面を含む斜視図である。
【図5】上側凸部を示す部分拡大斜視図である。
【図6】連結部材の斜視図である。
【図7】折り畳みコンテナの一部断面を含む斜視図である。
【図8】折り畳みコンテナの一部断面を含む斜視図である。
【図9】物品が収容された折り畳みコンテナの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、一実施形態について図面を参照して説明する。図1等に示すように、折り畳みコンテナ1は、略矩形板状の底壁部2と、底壁部2の相対する一対の長辺部に対応してそれぞれ回動可能に設けられた長辺側側壁部3と、底壁部2の相対する一対の短辺部に対応してそれぞれ回動可能に設けられた短辺側側壁部4とを備えている。本実施形態では、底壁部2、長辺側側壁部3、及び短辺側側壁部4はポリプロピレンにより構成されている。
【0017】
図3に示すように、底壁部2には、各長辺部に沿って底壁部2から上方に突出する長辺側土台部6と、各短辺部に沿って底壁部2から上方に突出する短辺側土台部7とが設けられている。本実施形態では、長辺側側壁部3及び短辺側側壁部4は、それぞれ長辺側土台部6及び短辺側土台部7に対して回動可能に連結されており、それぞれ土台部6、7の上方に立設される起立位置と、底壁部2の上方に折り畳まれ、当該底壁部2と平行して延在する寝かせ位置との間を回動変位可能に構成されている。
【0018】
図3、図7等に示すように、各長辺側土台部6は、底壁部2の長辺部から上方に延びる内壁部11と、内壁部11の上縁部から外方に延びる上壁部12と、上壁部12の外縁部から下方に延びる外壁部13とを備え、下方に開口した断面略コ字状をなしている。また、各長辺側土台部6には、長辺側側壁部3を回動可能に支持するための軸受部15が設けられている。軸受部15は、内壁部11と外壁部13との間を連結する連結壁部16を各土台部6、7の延在方向において対向するようにして一対で設け、一対の連結壁部16間の部位において、上壁部12を切欠くとともに、内壁部11を連結壁部16との連接部位を残すようにして切欠き、残された内壁部11の上辺部から外壁部13側に向けて突出するフック部(図示略)を設けることによって構成されている。
【0019】
また、図3に示すように、各短辺側土台部7についても、上壁部12は省略されているものの、底壁部2の短辺部に沿って互いに平行して延びる内壁部11及び外壁部13を備えるとともに、連結壁部16で区画され、フック部17を備える軸受部15が設けられている。
【0020】
本実施形態の短辺側土台部7の底壁部2からの突出長は、長辺側土台部6の底壁部2からの突出長よりも短くなっている。また、短辺側土台部7は、相対する一対の長辺側土台部6の内面同士を連結するようにして設けられている。さらに、各長辺側土台部6の両端部近傍部位の内壁部11から短辺側土台部7の上方に突出するずれ防止凸部18が形成されている。ずれ防止凸部18の内面は、短辺側土台部7の内壁部11の内面と面一となっている。
【0021】
尚、図4等に示すように、本実施形態の底壁部2は、碁盤目状に上下に貫通する開口部が形成された底板2aと、底板2aに形成された各開口部の周縁部から下方に延出する格子状の底リブ2bとを備えている。底リブ2bは、土台部6、7より構成される枠状部の内周側の範囲全域に形成されている。また、土台部6、7の外壁部13の下縁部は、底壁部2の底板2aの下面とほぼ同じ高さ位置となっており、底リブ2bの下縁部よりも上方に位置している。
【0022】
図1、図4、図7等に示すように、長辺側側壁部3及び短辺側側壁部4は、長辺側土台部6又は短辺側土台部7とほぼ同じ横幅を有する略矩形板状の壁本体21と、壁本体21の下辺部(起立位置では下側を向き、寝かせ位置では底壁部2の外周側を向く面)から突出するヒンジ部23とを備えている。また、壁本体21の外面には、少なくとも壁本体21の外周縁に沿って、適宜、補強リブ24が外方に突出形成されており、これによって、長辺側側壁部3及び短辺側側壁部4の厚みが長辺側土台部6又は短辺側土台部7の厚みとほぼ同じに構成されている。
【0023】
図5等に示すように、ヒンジ部23は、壁本体21の外周に沿って形成された補強リブ24のうち起立位置にある側壁部3、4の下辺部を構成する部位から下方に向けて垂直に延出する略棒状の連結部25と、連結部25の先端部の両側面からそれぞれ側壁部3、4の長手方向に沿って突出する一対の軸部26とを備え、全体として略T字状をなしている。そして、長辺側側壁部3及び短辺側側壁部4のヒンジ部23の軸部26が、それぞれ長辺側土台部6又は短辺側土台部7の軸受部15に挿入されることで、軸部26が軸受部15のフック部17の下面側に位置して(引っ掛かって)軸支されるようになる。これによって、各側壁部3、4が土台部6、7に対して回動可能に連結されている。
【0024】
尚、図1等に示すように、本実施形態では、長辺側土台部6の軸受部15(長辺側側壁部3の回転中心)は、短辺側土台部7の軸受部15(短辺側側壁部4の回転中心)よりも上方位置に設けられている。このため、短辺側側壁部4を先に畳まないと、長辺側側壁部3を畳むことができない構成となっている。従って、図3、図7等に示すように、折り畳みコンテナ1を折り畳んだ状態(全ての側壁部3、4を底壁部2と平行な寝かせ位置とした非使用状態)では、長辺側側壁部3が、短辺側側壁部4の上側に重なるようにして畳まれている。加えて、図1に示すように、折り畳みコンテナ1を上方に開口する箱型に組み立てた状態(全ての側壁部3、4を起立位置とした使用状態)とすると、各側壁部3、4の上面がほぼ面一となるように構成されている。
【0025】
また、長辺側側壁部3の壁本体21の上下幅は、一対の長辺側土台部6間の距離の半分よりも若干短くなっている。さらに、短辺側側壁部4の壁本体21の上下幅は、一対の短辺側土台部7間の距離の半分よりも短くなっている。
【0026】
加えて、図3、図7に示すように、長辺側側壁部3の壁本体21の下辺部の両端部近傍部位には、長辺側側壁部3を折り畳んだ際に、ずれ防止凸部18が挿入されるずれ防止凹部28が形成されている。これにより、短辺側側壁部4の上方に折り畳まれた長辺側側壁部3の水平方向におけるずれ移動をより確実に防止することができる。
【0027】
また、長辺側側壁部3は、寝かせ位置とされると、長辺側土台部6の上面よりも下方に位置する。このため、折り畳まれた状態の折り畳みコンテナ1を上下に積み重ねる(段積みする)と、下側の折り畳みコンテナ1の長辺側土台部6の上面によって上側の折り畳みコンテナ1の下面が支持されるとともに、上側の折り畳みコンテナ1の底リブ2bの外周面の4隅が、下側の折り畳みコンテナ1の各ずれ防止凸部18と長辺側土台部6とでなすコーナー部に略当接して位置決めされる。従って、折り畳み状態にある折り畳みコンテナ1を安定して段積みすることができる。
【0028】
さらに、全ての側壁部3、4を起立させて箱型とした使用状態でも、折り畳みコンテナ1を段積みすると、下側の折り畳みコンテナ1の側壁部3、4の上辺部によって、上側の折り畳みコンテナ1の下面外周部が支持されるとともに、上側の折り畳みコンテナ1の底リブが、下側の折り畳みコンテナ1の側壁部3、4の内周側に進入して位置決めが行われる。従って、使用状態にある折り畳みコンテナ1を安定して段積みすることができる。
【0029】
さて、図1、図9等に示すように、本実施形態では、折り畳みコンテナ1に収容された物品(例えば複数段上下に積み重ねられた弁当箱)の外周面を支持する保持手段としての保持機構31が設けられている。保持機構31は、長辺側側壁部3の内面から突出する上側凸部32と、長辺側土台部6の内面から突出する下側凸部33と、上側凸部32の外面に対して、当該上側凸部32(長辺側側壁部3)の高さ方向に沿ってスライド可能に取付けられた連結部材34とを備えている。
【0030】
図4、図5等に示すように、上側凸部32及び下側凸部33は、長辺側側壁部3の内面から底壁部2の内周側に突出する略直方体箱状の基部35と、基部35の横幅方向中央部から底壁部2の内周側に突出する中央突部36とを備え、平面視で略「凸」の字形状をなしている。尚、図4では、連結部材34の図示を省略している。
【0031】
また、図5に示すように、上側凸部32の基部35の両側面には、上下方向に沿って、基部35の上辺部から下辺部にかけて延びるスライドレール37が突出形成されている。さらに、上側凸部32には、各スライドレール37の上部及び下部においてそれぞれ側方に突出する係止突起38が設けられている。
【0032】
また、図7等に示すように、下側凸部33には、その上面よりも若干下方位置において、外面全体から外方に突出する支持部39が設けられている。すなわち、下側凸部33の上面は、上側凸部32の上面や下面と同一の形状で同一の大きさをなしているが、下側凸部33の支持部39よりも下方位置の部位に関しては、上側凸部32の上面や下面の外形状よりも一回り大きくなっている。さらに、下側凸部33は底壁部2の上面から、長辺側土台部6に形成されたヒンジ部23の下縁部にかけて形成されている。
【0033】
また、長辺側側壁部3が起立位置にある場合、各保持機構31の上側凸部32と下側凸部33とが上下に対向配置されるようになっている。さらに、長辺側側壁部3が起立位置にある場合において、上側凸部32と下側凸部33との間の距離は、下側凸部33の長辺側土台部6からの突出長よりも長く構成されている。
【0034】
図6(a)、(b)に示すように、連結部材34は、上側凸部32の外形状に対応した形状となっており、断面略「凸」の字形状をなしている。また、本実施形態では、連結部材34の上下幅が上側凸部32の上下幅と同じに構成されている。さらに、連結部材34のうち、上側凸部32の基部35の両側面にそれぞれ対向する部位には、上下方向に沿って、連結部材34の上辺部から下辺部にかけて延びるガイド溝41が形成されている。各ガイド溝41の内側には、それぞれ前記上側凸部32のスライドレール37が挿入されている。これにより、連結部材34がスライドレール37に沿って上下にスライド変位可能に構成されるとともに、連結部材34が底壁部2の内周側に脱落するといった事態が防止されている。
【0035】
また、連結部材34は、長辺側側壁部3が起立位置にある状態において、上側凸部32から下側凸部33に架け渡されるようにして延在する連結位置と、下側凸部33から離間し、上側凸部32と下側凸部33との間の隙間を露出させて、長辺側側壁部3の寝かせ位置側への傾倒変位を許容する離間位置との間をスライド変位可能に構成されている。
【0036】
本実施形態では、連結部材34が連結位置にある場合、連結部材34の下辺部が、下側凸部33の支持部39に当接して支持されるように構成されている。また、図7、図8に示すように、連結部材34を離間位置として長辺側側壁部3を寝かせ位置へと変位させると、下側凸部33の上面と、長辺側側壁部3の内側面(ヒンジ部23も含む)とが上下に当接するように構成されている。さらに、寝かせ位置にある長辺側側壁部3は、底壁部2と平行するようにして延在している。
【0037】
尚、本実施形態のスライドレール37は、長辺側側壁部3側の面が長辺側側壁部3と平行に延びているのに対し、底壁部2の内周側の面が上側凸部32の側方に向けて長辺側側壁部3側に向けて傾斜して延びている。このため、連結部材34を上側凸部32に対して上側凸部32の突出方向先端面側から押しつけて取付けることも可能となっている。
【0038】
さらに、連結部材34には、各ガイド溝41の上部及び下部においてそれぞれ連結部材34の横幅方向に貫通する係止孔42(図6参照)が形成されている。そして、連結部材34が離間位置とされた場合に、上側凸部32に形成された上下の各係止突起38が、連結部材34に形成された上下の各係止孔42にそれぞれ挿入され、係止孔42の周縁部に係止状態とされる。これにより、連結部材34が離間位置にて保持されることとなる。本実施形態では、係止突起38と係止孔42との係止状態においては、上側凸部32の下辺部と連結部材34の下辺部との位置が揃うようになっている。
【0039】
その一方で、連結部材34が連結位置とされた場合には、上側凸部32に形成された上下の係止突起38のうち下側の係止突起38が、連結部材34に形成された上下の係止孔42のうち上側の係止孔42に挿入され、係止孔42の周縁部に係止状態とされる。これにより、連結位置にある連結部材34の上方への変位(浮き上がり)が防止されることとなる。尚、本実施形態では、係止突起38が係止部を構成し、係止孔42(の周縁部)が被係止部を構成する。
【0040】
また、本実施形態では、保持機構31は、各長辺側側壁部3に対応して2つずつ均等位置に設けられている。さらに、相対する一対の長辺側側壁部3においてそれぞれ設けられた保持機構31は、互いに対向する位置に設けられている。
【0041】
以上詳述したように、本実施形態によれば、長辺側側壁部3を起立位置とし、連結部材34を連結位置とすることで、上側凸部32、下側凸部33、及び、連結部材34からなる保持機構31を上下に連続的に延在させることができる。従って、長辺側側壁部3の内面から突出した保持機構31によって、折り畳みコンテナ1に収容された物品の外周面を支持して、水平方向における位置ずれを防止することができる(図9参照)。特に、長辺側側壁部3から長辺側土台部6にかけて切れ目なく保持機構31を延在させることができるため、例えば、折り畳みコンテナ1に複数の物品を積み重ねて収容する場合において、長辺側側壁部3と長辺側土台部6との境界と同程度の高さ位置に積まれている物品についても、連結部材34が該物品に直接接触して保持することができる。従って、折り畳みコンテナ1に収容された物品のガタツキや傾倒等をより確実に防止することができる。
【0042】
さらに、連結部材34を離間位置とすることで、上側凸部32と下側凸部33との間の隙間が露出することとなり、当該隙間を、寝かせ位置とされる長辺側側壁部3の一部を位置させるためのスペースとして使用することができるようになる。従って、折り畳みコンテナ1に収容された物品を、長辺側側壁部3と長辺側土台部6との境界と同程度の高さ位置においても保持できる構成としても、長辺側側壁部3を確実に折り畳むことができる。
【0043】
また、連結部材34は、上側凸部32に対してスライド可能に取付けられている。このため、連結部材34が下側凸部33に取付けられる場合に比べ、連結部材34を連結位置にて維持しておく構成の簡略化を図ることができる。さらに、上側凸部32には、連結部材34が離間位置とされた場合に、連結部材34の係止孔42と係止状態とされる係止突起38が設けられている。これにより、連結部材34を離間位置で保持しておくことができるため、長辺側側壁部3を折り畳む際に作業者が離間位置に変位させた連結部材34を手で直接押さえておくといった必要がなくなる。従って、折り畳みコンテナ1を折り畳む際の作業性の向上を図ることができる。
【0044】
加えて、連結部材34が上側凸部32に取付けられる構成によって、係止突起38と係止孔42との係止状態を解除すれば連結部材34が自重にて連結位置へと変位することとなる。このため、連結部材34を下側凸部33に設けるような場合に比べ、作業性の向上が図られる。また、例えば、連結部材34を下側凸部33に設ける場合には、連結部材34を連結位置で保持しておくための係止部及び被係止部が必要となるが、物品を収容して運搬・保管する使用状態において、折り畳みコンテナ1が振動したり、物品に押圧されたりしても連結部材34が変位しないように係止部と被係止部とを比較的強固に係止させる必要が生じるため、構成の複雑化等を招くおそれがある。これに対し、本実施形態では、連結部材34の係止孔42と係止突起38とを係止して、側壁部を折り畳む作業に際してのみ連結部材34を離間位置で保持していればよく、構成の簡略化が図られる。
【0045】
また、起立位置とされた長辺側側壁部3は、起立位置とされた短辺側側壁部4の側辺部によって内側への傾倒変位が防止されるようになっている。このため、例えば、連結部材34だけで長辺側側壁部3の内倒れを防止するような構成に比べ、連結部材34の耐久性の向上を図ることができる。加えて、寝かせ位置にある長辺側側壁部3は、底壁部2と平行するようにして延在しているため、折り畳みコンテナ1をよりコンパクトに折り畳むことができる。
【0046】
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
【0047】
(a)上記実施形態では、側壁部3、4を折り畳んだ状態において、長辺側側壁部3が上側で短辺側側壁部4が下側に重なるようになっているが、長辺側側壁部3が下側で短辺側側壁部4が上側に重なるよう構成してもよい。また、上記実施形態では、長辺側側壁部3にだけ保持機構31が設けられているが、長辺側側壁部3の保持機構31に加えて、又は、代えて、短辺側側壁部4に保持機構31を設けることとしてもよい。さらに、上記実施形態では、保持機構31が、相対する一対の長辺側側壁部3において対向位置に設けられ、各長辺側側壁部3においても均等位置に設けられているが、保持機構31の配置や数などは特に限定されるものではなく、収容される物品に応じて適宜設定される。例えば、保持機構31が一方の長辺側側壁部3にのみ設けられてもよいし、一対の長辺側側壁部3においてそれぞれ設けられた保持機構31の位置が、長辺側側壁部3の長手方向においてずれていてもよい。
【0048】
(b)上記実施形態では、上側凸部32において左右一対の係止突起38が上下2か所に設けられているが、どちらか一方のみとしてもよい。例えば、上側の係止突起38のみとした場合、連結位置にある連結部材34の浮き上がり防止の効果はなくなるが、離間位置にある連結部材34を保持することは可能である。一方、下側の係止突起38のみとした場合、保持効果は弱まるものの、連結部材34が連結位置及び離間位置のどちらにあっても位置決め効果が奏される。また、上側凸部32の係止突起38、及び、連結部材34の係止孔42を省略することも可能である。この場合、長辺側側壁部3を起立させる際に、連結部材34を直接操作しなくても、連結部材34が自重によって連結位置へと変位することとなる。
【0049】
(c)上記実施形態では、長辺側側壁部3を寝かせ位置とした場合、上側凸部32が短辺側側壁部4よりも上方に位置するように構成されているが、例えば、長辺側側壁部3が寝かせ位置とされると、上側凸部32が、先に畳まれた短辺側側壁部4と水平方向において隣接する位置に収容されるよう構成してもよい。この場合、折り畳みコンテナ1をよりコンパクトに折り畳むことができる。また、上記実施形態において、上側凸部32、下側凸部33、及び連結部材34の上下幅は特に限定されるものではなく、長辺側側壁部3を起立位置とした場合に、上側凸部32の表面と下側凸部33の表面との間が連結部材34によって連結される(連続して延びる)ように構成されていればよい。
【0050】
(d)上記実施形態では、連結部材34が上側凸部32に取付けられているが、下側凸部33に取付けてもよい。但し、連結部材34を連結位置にて保持しておくための構成の複雑化等を招くおそれがあるため、上記実施形態のように上側凸部32に取付けることが望ましい。また、上記実施形態では、長辺側側壁部3を寝かせ位置とした場合に、下側凸部33の上面と、長辺側側壁部3の内側面(ヒンジ部23も含む)とが上下に当接するように構成されているが、下側凸部33の上面と上側凸部32の突出方向先端面とが上下に当接するように構成してもよい。
【0051】
(e)上記実施形態では、折り畳みコンテナ1はポリプロピレンにより構成されているが、ポリエチレン、PET、ポリアミド等その他の樹脂材料により構成されることとしてもよい。また、例えば、保持機構31の素材についても樹脂に限定されるものではなく、例えば、連結部材34を金属製としてもよいし、下側凸部33の表面に対してゴム製で表面に細かな凹凸が形成されたシートを貼着してもよい。
【符号の説明】
【0052】
1…折り畳みコンテナ、2…底壁部、3…長辺側側壁部、4…短辺側側壁部、6…長辺側土台部、7…短辺側土台部、31…保持機構、32…上側凸部、33…下側突部、34…連結部材、38…係止突起、39…支持部、42…係止孔。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
略矩形板状をなすとともに、各側辺部に沿ってそれぞれ上方に突出する土台部を有する底壁部と、前記各土台部に対してそれぞれ回動可能に連結された側壁部とを備え、
前記各側壁部は、前記土台部の上方に立設される起立位置と、前記底壁部の上方に畳まれる寝かせ位置との間を回動変位可能に構成された折り畳みコンテナであって、
少なくとも1つの前記側壁部の内面から突出する上側凸部と、
当該側壁部を支持する前記土台部の内面から突出する下側凸部と、
前記上側凸部及び前記下側凸部の一方に対してスライド可能に設けられた連結部材とを備え、
前記側壁部が前記起立位置にある場合には、前記上側凸部と前記下側凸部とが上下に所定距離を隔てて対向配置され、
前記連結部材は、前記側壁部が前記起立位置にある場合に、前記上側凸部及び前記下側凸部の一方から他方に架け渡されるようにして延在する連結位置と、前記上側凸部及び前記下側凸部の他方から離間し、前記側壁部の前記寝かせ位置側への傾倒変位を許容する離間位置との間をスライド変位可能に構成されていることを特徴とする折り畳みコンテナ。
【請求項2】
前記連結部材は、前記上側凸部に対してスライド可能に取付けられ、前記下側凸部には、前記連結位置にある前記連結部材の下辺部と当接する支持部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の折り畳みコンテナ。
【請求項3】
前記上側凸部は、前記連結部材が前記離間位置とされた場合に前記連結部材に設けられた被係止部と係止状態とされる係止部を備えていることを特徴とする請求項2に記載の折り畳みコンテナ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−1403(P2013−1403A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−131511(P2011−131511)
【出願日】平成23年6月13日(2011.6.13)
【出願人】(591006944)三甲株式会社 (380)
【Fターム(参考)】