説明

折り畳みパネル

【構成】 表面に設けられた溝部と、折りたたむためのヒンジ部と、このヒンジ部の端部に前記溝部を横切る切れ込み部を設けた折り畳たみパネルである。前記溝部を周溝とし、この周溝に表皮の端縁を嵌め込むこともできる。
【効果】 ヒンジ部4の屈曲方向の断面二次モーメントを小さくすることによって前記ヒンジ部の屈曲性を高めることができる。この折り畳たみパネルを使用すれば、表面に溝部を有するパネルにおいても、ヒンジ部の屈曲性を損なうことないヒンジ式デッキボードを得ることができる。なお、前記溝部を周溝とし、この周溝に表皮の端縁を嵌め込むようにすれば、見栄えの良い、表皮つきのヒンジ式デッキボードを得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は折り畳みパネルに関し、自動車の内装用パネル、特に、自動車のデッキボード、リヤーパーセルシェルフ、カーゴフロアボックスの蓋体や、建築物の内装壁、パーティション、扉などの構成部材として使用されるものである。
【背景技術】
【0002】
図1〜3に示すように、従来における自動車用デッキボード1をブロー成形によって製造する場合には、表皮2を見栄え良く装着する方法として「木目込み」と言う技法がある。この方法は、前記表皮2の周端縁を前記デッキボード1の表面の周溝部3にはめ込んで隠す手法である。
このようなデッキボードにおいて、図に示すように、その中間部にヒンジ部4を必要とするような場合が存在する。
【0003】
【特許文献1】特開2005−280250号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このヒンジ部4は、機能上、薄く形成しなければならないが、前記溝部3を横切っているため、図2に示すように、この溝部3の段差よりも薄くすることはできず、この結果、前記ヒンジ部4の屈曲性を著しく損なっているという不都合を有した。
【0005】
この発明の課題は係る不都合を解消することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題達成するために、この発明に係る折り畳たみパネルにおいては、表面に設けられた溝部と、折りたたむためのヒンジ部と、このヒンジ部の端部に前記溝部を横切る切れ込み部を設けたものである。
なお、前記溝部を周溝とし、この周溝に表皮の端縁を嵌め込むこともできる。
【発明の効果】
【0007】
この発明に係る折り畳たみパネルは、表面に設けられた溝部と、折りたたむためのヒンジ部と、このヒンジ部の端部に前記溝部を横切る切れ込み部を設けたため、前記ヒンジ部4の屈曲方向の断面二次モーメントを小さくすることによって前記ヒンジ部の屈曲性を高めることができる。
【0008】
よって、この折り畳たみパネルを使用すれば、表面に溝部を有するパネルにおいても、ヒンジ部の屈曲性を損なうことないヒンジ式デッキボードを得ることができる。
【0009】
なお、前記溝部を周溝とし、この周溝に表皮の端縁を嵌め込むようにすれば、見栄えの良い、表皮つきのヒンジ式デッキボードを得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
この発明は、ヒンジ部の端部に溝部を横切る切れ込み部を設けたところに最も主要な特徴を有する。自動車のヒンジ式デッキボート等を製造する際に適用しやすいものである。
【実施例1】
【0011】
以下、この発明の実施例を説明する。
【0012】
この発明の実施例として、自動車のデッキボートを採り上げ、図4〜図7に基づいて説明する。
【0013】
図4はこの発明の部分斜視図、図5は、図4におけるV−V断面図、図6はこの発明の二次加工前の図4に相当する図、図7はこの発明に係る折り畳みパネルを折り畳んだ状態を概念的に示した図である。
【0014】
図4、図5において、1は自動車用デッキボード、3はこの自動車用デッキボード1の表面に形成された周溝(この発明の「溝部」に相当する)である。この周溝3は前記した「木目込み」のために使用される。また、2は表紙であり、前記自動車用デッキボード1の表面に貼られ、その周端縁は前記周溝3にはめ込まれている(木目込み技法)。4はヒンジ部であり、前記自動車用デッキボード1に他の部分よりも肉薄に形成されている。このヒンジ部4は前記周溝3を横切っている。これらの構成は、前記した従来例と同じである。
【0015】
5は切れ込み部であり、前記ヒンジ部4の両端部において、前記周溝3を横切るように形成されている。この切れ込み部5は樹脂成形後に二次加工によって形成される。
【0016】
この切れ込み部5の幅は広くても狭くても良く、美的判断等によって自由に選択でき、必要に応じて目立たないようにごく狭く切っても良い。
次に、前記切れ込み部5を有する自動車用デッキボード1の製造方法を説明する。
【0017】
図6に示すように、先ずヒンジ部4を、周溝3をよけるようにブロー成形用金型(図示せず)上で薄く設定する。次に、表皮(不織布あるいは織布、編み物、皮革等で作製されたもの)2の周端縁を、前記該周溝3の位置に相当する金型の所定の位置にセットし、この金型内にポリプロピレン等の樹脂パリソンを押出して、自動車用デッキボード1をブロー成形する。この樹脂としてはポリプロピレンに限らず、他の汎用樹脂やエンジニアリングプラスチック等、ブロー成形が可能な樹脂であれば何でも良い。なお、この状態(図6の状態、二次加工前)におけるヒンジ部の屈曲方向の断面二次モーメントは、前記周溝3近傍の段差のため大きく、屈曲性は未だ低いままである。
【0018】
その後、図4,5に示すように金型から取り出した成形品(自動車用デッキボード1)のヒンジ部4の両端に切れ込み部5を二次加工する。この切れ込み部5の加工方法としては、メタルソーのような回転刃によって切削しても、パンチによって打ち抜いても、又は切刃等によりスリット状に切断することもできる。
【0019】
この切れ込み部5によって、図5に示すように、周溝3によって段差がついていたヒンジ部4が、この周溝3を横切った状態で切断されている。このため、図7に示すように、ヒンジ部4の屈曲方向の断面二次モーメントはこの切れ込み部5によって段差部分が切り離されたため激減する結果、切断前と比べてその屈曲性は格段に向上する。
【産業上の利用可能性】
【0020】
自動車のデッキボードとして、自動車の製造に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】従来の表皮つきのヒンジ式自動車用デッキボード(折り畳みパネル)の斜視図である。
【図2】図1におけるII−II線断面図である。
【図3】図1におけるIII −III 線断面図である。
【図4】この発明に係る自動車用デッキボード(折り畳みパネル)の部分斜視図である。
【図5】図4におけるV−V断面図である。
【図6】この発明の二次加工前の図4に相当する図である。
【図7】図7はこの発明に係る折り畳みパネルを折り畳んだ状態を概念的に示した図である。
【符号の説明】
【0022】
1 … 自動車用デッキボード(折り畳みパネル)
2 … 表皮、
3 … 周溝(溝部)
4 … ヒンジ部、
5 … 切れ込み部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に設けられた溝部と、折りたたむためのヒンジ部と、このヒンジ部の端部に前記溝部を横切る切れ込み部を設けたことを特徴とする折り畳みパネル。
【請求項2】
前記溝部が周溝であり、この周溝に表皮の端縁を嵌め込んだことを特徴とする請求項1の折り畳みパネル。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−168253(P2007−168253A)
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−368872(P2005−368872)
【出願日】平成17年12月21日(2005.12.21)
【出願人】(503233130)株式会社アイテック (96)
【Fターム(参考)】