折り重ねアレイCT荷物スキャナ
小型化された手荷物検査用CTスキャナであって、広角のX線源および当該X線源から異なる距離にある複数組の検出器を有している。各組の検出器は、すべての検出器について一定のピッチおよび線束レベルが保たれるような寸法および配置とされている。CTスキャナからのデータを処理するために、従来からの再現方法を使用することができる。このスキャナを、スキャナのネットワークとしてチェックイン・デスクに組み込んでもよい。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
従来技術の欠点が、広角のX線管と複数組の検出器とを備える本発明のCTスキャナによって事実上克服される。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0002】
複数の検出器からなる一群が、X線源について中心に配置され、1つ以上の追加の検出器群が、広角X線ビームの外縁をカバーしている。本発明のCTスキャナは、従来からのスキャナとトンネルの寸法が同じでありながら、小型化が図られている。本発明の他の態様によれば、前記検出器群が、一定の検出器間角度を維持すべく、異なるピッチを有している。このようにして、再現アルゴリズムを簡略化することができる。本発明の他の態様によれば、検出器が、検出器リングの半分にのみ配置されている。本発明の他の態様によれば、別のエネルギ・スペクトルに対して感受性を有する第2の検出器群が、検出器リングの残りの半分に配置されている。本発明のCTスキャナは、複数の検出器群を使用して、ただ1回の荷物のスキャンから二重エネルギ分析を提供することができる。
【0003】
本発明の別の態様によれば、X線源が、従来のシステムよりも少ない線束レベルで動作する。本発明のCTスキャナは寸法が小さいため、X線源から検出器までの距離がより短く、したがってより小さい出力のX線でよい。本発明の他の態様によれば、荷物の一部分を複数回スキャンして、結果を平均することができる。複数スキャンからのデータが、雑音を除去すべく平均される。その結果もたらされる雑音の低減により、手強い荷物を少ない線束のX線源で再現することができる。
【0004】
本発明の他の態様によれば、小型化されたCTスキャナが、航空会社のチェックイン・デスクに組み合わされる。チェックされるべき荷物を旅客が挿入することができるよう、CTスキャナが配置される。スキャンおよび分析の結果問題がなければ(あるいはスキャンおよび分析に先立って)、航空会社の係員によって通常のやり方で手荷物にタグがつけられ、既存の手荷物取り扱いシステムへと渡される。本発明の他の態様によれば、複数のCTスキャナがネットワーク接続される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0005】
(詳細な説明)
本発明のCTスキャナは、角度の広いX線源、および複数組の検出器アレイをX線源から異なる距離に備える折り重ね検出器アレイを使用することによって、従来のスキャナよりも小型の寸法を有している。図2は、本発明の一実施の形態によるCTスキャナ100の実施の形態を示している。CTスキャナ100は、ほぼ円形のトンネル120を自身を貫いて備えるハウジング110を有している。トンネル120は、入口端121および出口端122を有している。コンベア123が、トンネル120の入口端121から出口端122まで延びている。荷物を載せやすくするため、コンベアがトンネル120の両端を越えて延びていてもよい。さらに、他のコンベアを配置して、荷物をCTスキャナ100内のコンベア123へと移し、あるいはCTスキャナ100内のコンベア123から移すために使用してもよい。X線の遮蔽をもたらすため、鉛で裏打ちされたゴムや布地などのカバー(図示されていない)を、トンネル120内や、入口端121および出口端122に配置してもよい。CTスキャナ100は、自身の中央辺りにX線領域130を有している。図2に示されているとおり、X線領域130は、トンネル130の両端部121、122よりも大きくてよい。あるいは、ハウジング110を、X線領域130の寸法を収容できる単一の寸法で形成してもよい。
【0006】
図3Aおよび3Bは、ハウジング110のX線領域130内に配置されるガントリ・システムを示している。ガントリ・システムは、支持構造体210(図3A)およびガントリ220(図3B)を含んでいる。支持構造体210は、基部211および環状の垂直支持具212を備えている。垂直支持具212が、基部211に取り付けられている。ガントリ220は、垂直支持具212へと回転可能に取り付けられるリング221を備えており、トンネル120が、リング221の中心を通過する。広い角度のX線ビームをトンネル120の全体領域にわたってもたらすため、X線源230が、リング221に取り付けられている。好ましくは、X線源の上面が、ガントリの外表面の形状に類似した円形形状である。このようにすることで、矩形のX線源の張り出し部分を収容する必要がないため、ガントリの寸法を小さくすることができる。さらに、ガントリは、3組の検出器アレイ240、241、242を、X線源230の投射ビームの範囲内のリング221上に配置して有している。ガントリにコンピュータが存在していない点に注目できる。従来のCTスキャナは、検出器からのデータを処理し、そのデータをガントリからスキャナを操作しているホスト・コンピュータへと伝送すべくフォーマットするため、ガントリ上にコンピュータを備えている。本発明の実施の形態によれば、CTスキャナが、ガントリ上にコンピュータを備えていない。代わりに、検出器からのデータが、直接ホスト・コンピュータへと配信される。ガントリ上からコンピュータを取り去ることによって、小型かつ軽量なガントリが可能になる。従来からのCTスキャナと同様、ガントリは、ガントリを回転させつつガントリへと電力および制御信号を伝達し、かつガントリからデータを伝達するため、端縁コンタクト(図示されていない)を備えている。当然ながら、本発明は、従来からのCTスキャナと同様、何らかのデータ処理を実行するためガントリ上にコンピュータを備えていてもよい。
【0007】
図4は、X線源230および折り重ねられたアレイ検出器240、241、242のリング221上における配置を示している。ガントリ220のリング221は、同程度の寸法のトンネル120を備える従来のCTスキャナとくらべ、かなり小さくなっている。本発明の実施の形態によれば、トンネルの直径が約80cmであるとき、ガントリの直径は約130cmである。直径80cmのトンネルを有する従来のCTスキャナでは、約210センチメートルになったであろう。このように、本発明によれば、CTスキャナの寸法を約40%減らすことができる。広角のX線源230が、X線ビームがトンネル120の領域全体を横切るよう、ガントリ220上に配置されている。X線源230が、従来のCTスキャナのものよりも幅広いビーム250を有しているため、X線源230をトンネルにより近づけて配置することが可能である。本発明のCTスキャナは、2組以上の検出器240、241、242をX線源230から異なる距離に備える折り重ね検出器アレイを備えている。1群の検出器240が、ガントリ・リングの中央部分をカバーしており、距離がX線源から中央の検出器までの距離と等しくなるよう、X線源を中心として配置されている。他の検出器群241、242は、扇形のX線ビーム250の外寄りの範囲と交差するように配置されている。本発明の実施の形態によれば、第2の検出器群241、242は、ビーム250内において内側の検出器群240がリング221の縁に到達した位置から始まっている。あるいは、装置およびガントリの寸法に応じて、第2の検出器群が、ビーム250内において内側の検出器群が終わっている任意の位置から始まってもよい。第2の検出器群241、242は、X線源230に対し内側の検出群240よりも近い距離にある。
【0008】
検出器群がX線源により近いため、それら検出器群は、線束レベルまたは光子カウントを犠牲にすることなく、従来のCTスキャナよりも小さいピッチをとることができる。本発明の実施の形態によれば、検出素子が、各検出器群がほぼ同一のピッチおよび線束レベルを有するような寸法および配置とされている。第2の検出器群241、242は、X線源230との間の距離がより小さいため、第1の検出器群240よりも小さい検出器ピッチが可能である。距離が短いため、第2の検出器群241、242における単位面積あたりの光子カウントは、第1の検出器群240よりも大である。光子カウントがより大であるため、信号対雑音比を犠牲にすることなく、検出器のピッチを小さくすることができる。さらに、ピッチを小さくすることによって、検出器間の角度を扇形ビーム250の全体にわたって一定に保つことができる。図12は、第1の検出器群240と第2の検出器群241、242との間の関係を示している。検出器間のピッチ(δ1、δ2)が異なる一方で、検出器間の角度(α)は一定のままである。同じ角度を維持するため、方程式δ1/R1=δ2/R2が満足されなければならない。さらに、最小限の線束レベルを保つため、以下の方程式(δ2×w2)/R22≧(δ1×w1)/R12が満足されなければならず、ここでw1およびw2は検出器の幅である。距離を短くされているため、不変の角度および最小の雑音妨害で両方の方程式を満足させることができる。これらの特徴により、再現ソフトウェアを簡素化することが可能になる。公知の「等角」扇形ビーム再現アルゴリズムを、最小限の変更で使用することができる。本発明の実施の形態によれば、第1の検出器群240の検出素子は、ほぼ長さ10mm、幅2.2mmである。第2の検出器群241、242の検出素子は、長さ8mm、幅1.8mmである。
【0009】
図5および図6は、本発明のCTスキャナの組み立てを簡単にし、品質管理を向上させるための検出器組立体を示している。図5は、ハウジング310、処理基板320、および検出器アレイ330を有する検出器組立体300を示している。検出器アレイ330は、組立体300の幅に沿って配置された複数の検出器(図示されていない)を備えている。図6に示されているとおり、検出器組立体300、301、302が、ガントリ220のリング221に取り付けられる。検出器組立体300、301、302は、検出器又は検出器アレイ330の各端が、隣の検出器アレイの端部の検出器と隣接するように配置される。理想的には、再現のため、アレイ内のすべての検出器がX線源に直交し、X線源と等距離である。しかしながら、平板検出器組立体300においては、組立体の端から端までのあいだで入射角度および距離にわずかなばらつきがある。本発明の実施の形態によれば、第1の検出器群240の中央に位置する検出器組立体が、中央の検出素子をX線源の位置に直交させて配置される。残りの検出器組立体については、最も外側の検出素子がX線源に直交する。図6に示すように、X線源の方向350、351が、ガントリの左手側においては組立体の左手側と直交する。ガントリの右手側においては、組立体の右手側が、X線源の方向と直交して位置する。このような配置によれば、検出器アレイを、異なる組立体上に位置する隣接素子間の間隔を最小にすべく、図6に示すとおり適切な角度で適切に組み合わせることができる。
【0010】
本発明のCTスキャナは、従来のスキャナよりも小型でありコストが低い。ビーム幅が広いことによって、直径の低減のほかにもさらに利益がもたらされる。X線源と検出器との距離が短いため、より出力の小さいX線源が利用可能であり、より低い部品コストならびに冷却(静音化)および電力要件の簡素化につながる。X線束が少なくなることによって、遮蔽の必要も小さくなり、やはりより安価(かつ軽量)なシステムがもたらされる。
【0011】
本発明の実施の形態によれば、CTスキャナが、二重エネルギ・モードで動作する。図7は、二重エネルギ動作のための検出素子330の断面図である。この検出素子は、低エネルギ・シンチレータ層331、低エネルギ・フォトダイオード層332、銅の層333、高エネルギ・シンチレータ層334、および高エネルギ・フォトダイオード層335を備えている。高エネルギ層334、335は、低エネルギ層331、332よりも幅が広い。本発明の実施の形態によれば、低エネルギ層は、長さが約5mmであり、高エネルギ層は、長さが約10mmである。長さの相違によって、たとえ銅およびその他の層からの遮蔽が大きくても、低エネルギ層と高エネルギ層との間で線束レベルが同様になり、したがってデータ取り込み用電子機器および引き続く信号処理が簡素化される。あるいは、パルスX線源を使用し検出器にただ1つのフォトダイオード層を使用する公知の技法を利用して、二重エネルギ・スキャンを実行することもできる。
【0012】
図8は、本発明の実施の形態によるCTスキャナ100の構成部品を示している。CTスキャナ100は、ガントリ221および2台のコンピュータ400、500を備えている。ホスト・コンピュータ400が、スキャナの動作を制御し、検出器からデータを取り出す。検出アルゴリズム・コンピュータ500が、データを処理し、爆発物または他の関心の対象となる物が存在しないかどうか検出する。当然ながら、ただ1台のコンピュータを使用して、CTスキャナに関するすべての機能を実行することも可能である。しかしながら、2台のコンピュータを使用することによって、検出アルゴリズムについての膨大な処理ゆえにCTスキャナの動作およびデータ収集が遅くなるという問題を防止できる。また、制御およびデータ素子が、ガントリ221とコンピュータ400、500の間に接続されている。通常の240VのAC電源に接続されたAC電源入力224が、CTスキャナに電力を供給する。DC電源225がAC電力を受け取り、ガントリ上の処理素子を動かすためのDC電力に変換する。AC電力あるいはDC電力によって動作する1組のモータ駆動装置222が、コンベアを動作させ、ガントリを回転させる。データ・リンク223が、検出器組立体をホスト・コンピュータ400に接続している。回転の最中にデータをもたらすため、DC電力およびデータ・リンクは、ガントリのリング上に位置している。検出器組立体300の回路基板320が、検出器を毎秒1440回サンプリングする。次いでデータが、データ・リンク223を通してホスト・コンピュータ400に伝送される。さらに、ガントリおよびコンベアの回転位置を割り出すため、エンコーダが使用される。このデータも、ホスト・コンピュータへともたらされる。
【0013】
コンピュータの構成部品が、図9に示されている。ホスト・コンピュータ400は、マザーボード410およびデータ取り込みカード420を備えている。データ取り込みカード420は、撮像アレイ423、コンベア・ベルト・エンコーダ422、およびガントリ・エンコーダ421からの入力を有している。データ取り込みカード420は、さらに、データを取り出してマザーボード410へと伝送するためのフィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ・カード424を備えている。マザーボード410は、Intel社のPentium(登録商標)プロセッサなどのプロセッサ411、大量のRAM412、およびデータ処理のための逆投影アクセラレータ・カード520を備えている。マザーボード410は、さらに、データ取り込みカードおよび他のコンピュータとの情報の送受信のためのホスト/PCIブリッジを備えている。CTスキャナから取り出されたデータが、検出アルゴリズム・コンピュータ500へと伝送される。イーサネット(登録商標)接続によって、大量のデータを迅速に伝送することができる。さらに、検出アルゴリズム・コンピュータは、爆発物や他の物質の存在を検出すべくデータを適切に処理するためのマザーボード510を備えている。
【0014】
折り重ね検出器アレイを有するCTスキャナからのデータは、ヘリカル・スキャンやスタート/ストップ・スキャンなど、通常のCT操作および再現技法を使用して処理することができる。ホスト・コンピュータが、X線源、コンベア・ベルト、および検出器の読出しを、所望のスキャンの仕組みに従って制御すべくプログラムされている。同様に、検出アルゴリズム・コンピュータも、利用するスキャンの仕組みにもとづいてCTデータを再現するようプログラムされている。
【0015】
本発明のCTスキャナは寸法が小さいため、既存のEDSシステムよりも容易に、手荷物取り扱いプロセスに組み込むことができる。図10は、本発明の実施の形態による手荷物スキャナを組み込んでなる航空会社のチェックイン・デスク700を示している。従来からのいくつかのチェックイン・デスクと同様、本発明のデスク700は、2つのチェックイン場所710、720を備え、それらの間に委託手荷物積み込み領域730を有している。複数のデスク700を、空港ロビーに一堂に配置することができる。本発明のCTスキャナ100は、手荷物積み込み領域730に配置されている。旅客は、チェックインに際し、自身の手荷物を手荷物積み込み領域730のコンベア、あるいは独立したシステムとしてのコンベアに載せる。手荷物が、爆発物の存在に関して自動的にスキャンされ、処理される。手荷物が通過したとき、チェックイン係員は、通常のやり方で手荷物にタグを付け、手荷物取り扱いシステムへと送ることができる。本発明のこの実施の形態のチェックイン・デスクにおいては、手荷物のスキャンのために追加で必要になるロビーの空間がきわめて小さく、手荷物取り扱いシステムに変更を加える必要もない。1つの選択肢として、荷物を通常のとおり処理して、スキャンに先立って切符取扱係の手で荷物にタグを取り付けてもよい。ひとたびチェックインがなされると、荷物がスキャンされ、手荷物取り扱いシステムへと流される。作業の流れの改善に必要である場合、疑わしい荷物を、ターミナルの旅客たちから離して、手荷物取り調べ領域へと取り除くことができる。あるいは、本発明のCTスキャナを、ロビーのチェックイン領域の一部または独立したキヨスクとして、セルフ・サービスのチェックイン・デスクに組み込んでもよい。
【0016】
すでに述べたように、本発明のCTスキャナは、画像を検査して考えられる脅威に対処するためのTSAオペレータが存在する自立した単独のユニットであってよい。本発明の他の実施の形態によれば、複数のCTスキャナ700のホスト・コンピュータを相互にネットワーク接続し、ただ1つのEDSを構成することができる。ネットワーク接続されるCTスキャナは、独立したユニット、セルフ・チェックイン・ユニット、およびCTスキャナを一体に組み込んだチェックイン・デスク・ユニットの任意の組み合わせを含むことができる。ほとんどの荷物について、スキャン・データの分析によって自動的に安全を確認できる。しかしながら、いくつかの荷物については、オペレータによるさらなる検査が必要であるかもしれない。機内持ち込み手荷物について使用されているように各スキャナにオペレータを配置するよりはむしろ、複数のオペレータを配置した危機管理室760がネットワークに接続される。或る荷物が、自動では安全が確認できない場合、投影データおよび/または再現データが、危機管理室760内のオペレータへと伝送される。次いでオペレータが、危険が存在するのか、あるいは安全と確認できるのかを、判断することができる。もし、オペレータにより安全であると確認された場合、その荷物は通常のやり方で手荷物取り扱いシステムに送られる。しかしながら、安全であると確認できない場合、その荷物は、手作業による調査のために他のオペレータに渡される。ネットワークには、ネットワーク・サーバ・コンピュータ750、プリンタ771、ネットワーク制御ステーション772、および遠隔解像コンピュータ773などの追加の設備を備えることができる。
【0017】
さらに、手荷物スキャン・システムの寸法が小さいため、委託手荷物の分散処理のため、手荷物スキャン・システムを他の場所にも配置することができる。例えば、処理を簡単にするため、スキャナを街頭でのチェックインのために配置することや、レンタカーの返却領域に配置することができる。さらには、スキャナおよびスキャンした手荷物のための保全領域を設けることによって、ホテルや他の場所にて、手荷物のチェックイン・サービスを提供することができる。宿泊客らは、彼らの手荷物をホテルにて自動的に処理してもらい、空港へと安全に運んでもらうことができ、さらなる処理は不要でありチェックインの際の遅延もない。さらに、スキャナの寸法ゆえ、空港へと運ぶべく種々の場所から手荷物を集めるために使用される車両の中にスキャナを設置することができる。独立したユニットを、旅客自身によるチェックイン、または補佐ありでのチェックインのため、空港内のさまざまな場所に設けることができる。あるいは、本発明のCTスキャナを、機内持ち込み手荷物をスキャンするため、保安検査所において使用してもよい。各スキャナは、空港内または空港外におけるその位置にかかわらず、独立して機能することができ、あるいはTSAオペレータによる一括検査のためネットワークに接続されてもよい。
【0018】
図13は、寸法およびコストのさらなる低減をもたらす本発明の他の実施の形態を示している。この第3の実施の形態においては、CTスキャナ810が、複数の検出器841、842、843、844、845を検出器リング811の半分に配置して有している。最初の2つの実施の形態と同様、検出器は、X線源330から異なる距離にあり、異なる角度にある。完全な360°のデータを有するCT再現を生成するためには、検出器リングの半分を使用すれば充分である。検出器リングの半分は、再現に必要とされる180°プラスの扇形ビームについてのデータ採取と数学的に等価である。図14A〜14Cは、CT再現を示している。図14Aは、完全な検出器リングを使用しての再現を示している。図14Bは、半分の検出器リングからの同じデータの再現を示している。図14Bからのデータを、図14Cに示したような完全な再現を完成すべく使用することができる。この実施の形態のように、検出器リングの半分のみを使用することによって、必要とされる検出器が少なくなるため、画像化コストを大きく低減することが可能である。
【0019】
さらにコストを削減するため、本発明は、従来のスキャナよりも少ない線束レベルで動作することができる。手荷物用のX線システムの設計においては、線束を、最も手強い5%の荷物を貫通するために充分であるように設計することが多い。大部分の荷物は、はるかに少ない線束しか必要としない。90番目までの百分順位の荷物についてのみの線束を提供するようにシステムを設計することで、線束の量を大きく減らすことができる。線束を減らすことによって、雑音レベルおよび必要な遮蔽を低減することができ、装置の寸法およびコストが大きく低減される。より手強い荷物を取り扱うためには、当該荷物について2回以上のスキャンが実行され、サイノグラムが平均される。以下に述べるとおり、生のデータを分析して、どの荷物または荷物のどの領域が追加の線束を必要としそうであるかを判断することができる。荷物の断面を2回以上スキャンし、2組目の生データを最初の回転において得たデータで平均することで、再現画像における雑音が低減され、より強い線束のシステムを模擬することができるであろう。これを、きわめて手強く取り散らかされた1000に1つの荷物の断面について、3回または4回行なうことができる。本発明は、「例外的」または「遮蔽的」な荷物の問題への現実的な解決策を提供することによって、手作業での荷物の検査の必要性を少なくする。通常でない荷物の手強いすなわち「遮蔽的な」物体が、手強く取り散らかされた領域に関して手作業による検査の必要なく有用なデータを得るため、複数回スキャンされる。
【0020】
本発明の他の実施の形態によれば、本発明のCTスキャナを、荷物をただ1回だけスキャナを通過させて二重エネルギCTスキャンを行なうために、使用することができる。図15は、本発明のこの実施の形態によるCTスキャナ910を示している。CTスキャナ910は、広角のX線源930および2組の検出器群940、950を備えている。検出器群の各組940、950は、複数の検出素子941、942、943、944、945、951、952、953、954、955を備えている。各組の検出素子はそれぞれ、第3の実施の形態と同様に検出器リング911の片側に位置している。2組の検出器群940、950は、異なるエネルギ・スペクトルに対して感受性を有している。この実施の形態のCTスキャナを使用し、検出器リングのただ1回の回転から、エネルギの異なる2つのCT切断を得ることができる。これにより、CT画像の二重エネルギ分析が可能になるであろう。二重エネルギCT画像を、重ね合わせの検出器で得ることも可能である。この二重エネルギCTは、装置の誤警報を低減するためにきわめて有用である。これは、空港における状況において、強く望まれている。図15では、各組の検出器群について5つの検出器アレイが示されているが、任意の数の検出器アレイを使用することができる。各組の検出器群940、950が、X線源の1つのエネルギ・レベルに対応し、検出器リング911の片側に配置される。
【0021】
本発明を委託手荷物の検査に関して説明したが、それは、本発明がこの分野において大きな効用を有しているためである。しかしながら、本発明による小型化折り重ねアレイCTスキャナは、CTスキャナが利用されている他の多くの用途において使用可能である。例えば、貨物またはパレットの検査または選別に使用することが可能である。貨物およびパレットの検査には、通常は大きなトンネルが必要であり、従来技術のCTスキャナは、これに相応してきわめて大きくなる。本発明のCTスキャナは、たとえトンネルが大きくても、きわめて小さい寸法を有している。本発明は、医療用CTスキャン用途においても使用可能である。
【0022】
さらに、本発明を、X線源を備えるものとして説明した。通常は、CTスキャナは、放射のためのX線源、および適切なX線検出器を使用している。当然ながら、ガンマ放射などの他の放射源も、本発明に関して使用可能である。放射源が異なる場合、検出器および/またはシンチレータ材料を、適切な放射スペクトルを測定するように適切に変更する必要がある。
【0023】
本発明の少なくとも1つの実施の形態を説明したため、当業者であれば、いくつかの修正、調節および改善を、容易に理解できるであろう。そのような修正、変更および調節は、本発明の一部と考えるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】図1は、従来のCTスキャナの断面図である。
【図2】図2は、本発明の実施の形態によるCTスキャナの斜視図である。
【図3】図3Aおよび3Bは、本発明の実施の形態によるガントリ・システムの斜視図である。
【図4】図4は、本発明の実施の形態によるCTスキャナ・ガントリの断面図である。
【図5】図5は、本発明の実施の形態によるCTスキャナの構成部品である検出器アレイの斜視図である。
【図6】図6は、本発明の実施の形態によるCTスキャナの検出器の一部分の正面図である。
【図7】図7は、本発明の実施の形態による二重エネルギCTスキャナの構成部品である検出器の断面図である。
【図8】図8は、本発明の実施の形態によるCTスキャナの構成部品のブロック図である。
【図9】図9は、本発明の実施の形態によるCTスキャナの構成部品であるコンピュータのブロック図である。
【図10】図10は、本発明の実施の形態による航空会社のチェックイン・デスクの斜視図である。
【図11】図11は、本発明の実施の形態によるネットワーク化CTスキャナ・システムのブロック図である。
【図12】図12は、本発明の実施の形態による検出素子間のピッチを表わしている。
【図13】図13は、本発明の他の実施の形態によるCTスキャナの断面図である。
【図14】図14A〜Cは、図13のCTスキャナからのデータを表わしている。
【図15】図15は、本発明の他の実施の形態によるCTスキャナの断面図である。
【技術分野】
【0001】
従来技術の欠点が、広角のX線管と複数組の検出器とを備える本発明のCTスキャナによって事実上克服される。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0002】
複数の検出器からなる一群が、X線源について中心に配置され、1つ以上の追加の検出器群が、広角X線ビームの外縁をカバーしている。本発明のCTスキャナは、従来からのスキャナとトンネルの寸法が同じでありながら、小型化が図られている。本発明の他の態様によれば、前記検出器群が、一定の検出器間角度を維持すべく、異なるピッチを有している。このようにして、再現アルゴリズムを簡略化することができる。本発明の他の態様によれば、検出器が、検出器リングの半分にのみ配置されている。本発明の他の態様によれば、別のエネルギ・スペクトルに対して感受性を有する第2の検出器群が、検出器リングの残りの半分に配置されている。本発明のCTスキャナは、複数の検出器群を使用して、ただ1回の荷物のスキャンから二重エネルギ分析を提供することができる。
【0003】
本発明の別の態様によれば、X線源が、従来のシステムよりも少ない線束レベルで動作する。本発明のCTスキャナは寸法が小さいため、X線源から検出器までの距離がより短く、したがってより小さい出力のX線でよい。本発明の他の態様によれば、荷物の一部分を複数回スキャンして、結果を平均することができる。複数スキャンからのデータが、雑音を除去すべく平均される。その結果もたらされる雑音の低減により、手強い荷物を少ない線束のX線源で再現することができる。
【0004】
本発明の他の態様によれば、小型化されたCTスキャナが、航空会社のチェックイン・デスクに組み合わされる。チェックされるべき荷物を旅客が挿入することができるよう、CTスキャナが配置される。スキャンおよび分析の結果問題がなければ(あるいはスキャンおよび分析に先立って)、航空会社の係員によって通常のやり方で手荷物にタグがつけられ、既存の手荷物取り扱いシステムへと渡される。本発明の他の態様によれば、複数のCTスキャナがネットワーク接続される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0005】
(詳細な説明)
本発明のCTスキャナは、角度の広いX線源、および複数組の検出器アレイをX線源から異なる距離に備える折り重ね検出器アレイを使用することによって、従来のスキャナよりも小型の寸法を有している。図2は、本発明の一実施の形態によるCTスキャナ100の実施の形態を示している。CTスキャナ100は、ほぼ円形のトンネル120を自身を貫いて備えるハウジング110を有している。トンネル120は、入口端121および出口端122を有している。コンベア123が、トンネル120の入口端121から出口端122まで延びている。荷物を載せやすくするため、コンベアがトンネル120の両端を越えて延びていてもよい。さらに、他のコンベアを配置して、荷物をCTスキャナ100内のコンベア123へと移し、あるいはCTスキャナ100内のコンベア123から移すために使用してもよい。X線の遮蔽をもたらすため、鉛で裏打ちされたゴムや布地などのカバー(図示されていない)を、トンネル120内や、入口端121および出口端122に配置してもよい。CTスキャナ100は、自身の中央辺りにX線領域130を有している。図2に示されているとおり、X線領域130は、トンネル130の両端部121、122よりも大きくてよい。あるいは、ハウジング110を、X線領域130の寸法を収容できる単一の寸法で形成してもよい。
【0006】
図3Aおよび3Bは、ハウジング110のX線領域130内に配置されるガントリ・システムを示している。ガントリ・システムは、支持構造体210(図3A)およびガントリ220(図3B)を含んでいる。支持構造体210は、基部211および環状の垂直支持具212を備えている。垂直支持具212が、基部211に取り付けられている。ガントリ220は、垂直支持具212へと回転可能に取り付けられるリング221を備えており、トンネル120が、リング221の中心を通過する。広い角度のX線ビームをトンネル120の全体領域にわたってもたらすため、X線源230が、リング221に取り付けられている。好ましくは、X線源の上面が、ガントリの外表面の形状に類似した円形形状である。このようにすることで、矩形のX線源の張り出し部分を収容する必要がないため、ガントリの寸法を小さくすることができる。さらに、ガントリは、3組の検出器アレイ240、241、242を、X線源230の投射ビームの範囲内のリング221上に配置して有している。ガントリにコンピュータが存在していない点に注目できる。従来のCTスキャナは、検出器からのデータを処理し、そのデータをガントリからスキャナを操作しているホスト・コンピュータへと伝送すべくフォーマットするため、ガントリ上にコンピュータを備えている。本発明の実施の形態によれば、CTスキャナが、ガントリ上にコンピュータを備えていない。代わりに、検出器からのデータが、直接ホスト・コンピュータへと配信される。ガントリ上からコンピュータを取り去ることによって、小型かつ軽量なガントリが可能になる。従来からのCTスキャナと同様、ガントリは、ガントリを回転させつつガントリへと電力および制御信号を伝達し、かつガントリからデータを伝達するため、端縁コンタクト(図示されていない)を備えている。当然ながら、本発明は、従来からのCTスキャナと同様、何らかのデータ処理を実行するためガントリ上にコンピュータを備えていてもよい。
【0007】
図4は、X線源230および折り重ねられたアレイ検出器240、241、242のリング221上における配置を示している。ガントリ220のリング221は、同程度の寸法のトンネル120を備える従来のCTスキャナとくらべ、かなり小さくなっている。本発明の実施の形態によれば、トンネルの直径が約80cmであるとき、ガントリの直径は約130cmである。直径80cmのトンネルを有する従来のCTスキャナでは、約210センチメートルになったであろう。このように、本発明によれば、CTスキャナの寸法を約40%減らすことができる。広角のX線源230が、X線ビームがトンネル120の領域全体を横切るよう、ガントリ220上に配置されている。X線源230が、従来のCTスキャナのものよりも幅広いビーム250を有しているため、X線源230をトンネルにより近づけて配置することが可能である。本発明のCTスキャナは、2組以上の検出器240、241、242をX線源230から異なる距離に備える折り重ね検出器アレイを備えている。1群の検出器240が、ガントリ・リングの中央部分をカバーしており、距離がX線源から中央の検出器までの距離と等しくなるよう、X線源を中心として配置されている。他の検出器群241、242は、扇形のX線ビーム250の外寄りの範囲と交差するように配置されている。本発明の実施の形態によれば、第2の検出器群241、242は、ビーム250内において内側の検出器群240がリング221の縁に到達した位置から始まっている。あるいは、装置およびガントリの寸法に応じて、第2の検出器群が、ビーム250内において内側の検出器群が終わっている任意の位置から始まってもよい。第2の検出器群241、242は、X線源230に対し内側の検出群240よりも近い距離にある。
【0008】
検出器群がX線源により近いため、それら検出器群は、線束レベルまたは光子カウントを犠牲にすることなく、従来のCTスキャナよりも小さいピッチをとることができる。本発明の実施の形態によれば、検出素子が、各検出器群がほぼ同一のピッチおよび線束レベルを有するような寸法および配置とされている。第2の検出器群241、242は、X線源230との間の距離がより小さいため、第1の検出器群240よりも小さい検出器ピッチが可能である。距離が短いため、第2の検出器群241、242における単位面積あたりの光子カウントは、第1の検出器群240よりも大である。光子カウントがより大であるため、信号対雑音比を犠牲にすることなく、検出器のピッチを小さくすることができる。さらに、ピッチを小さくすることによって、検出器間の角度を扇形ビーム250の全体にわたって一定に保つことができる。図12は、第1の検出器群240と第2の検出器群241、242との間の関係を示している。検出器間のピッチ(δ1、δ2)が異なる一方で、検出器間の角度(α)は一定のままである。同じ角度を維持するため、方程式δ1/R1=δ2/R2が満足されなければならない。さらに、最小限の線束レベルを保つため、以下の方程式(δ2×w2)/R22≧(δ1×w1)/R12が満足されなければならず、ここでw1およびw2は検出器の幅である。距離を短くされているため、不変の角度および最小の雑音妨害で両方の方程式を満足させることができる。これらの特徴により、再現ソフトウェアを簡素化することが可能になる。公知の「等角」扇形ビーム再現アルゴリズムを、最小限の変更で使用することができる。本発明の実施の形態によれば、第1の検出器群240の検出素子は、ほぼ長さ10mm、幅2.2mmである。第2の検出器群241、242の検出素子は、長さ8mm、幅1.8mmである。
【0009】
図5および図6は、本発明のCTスキャナの組み立てを簡単にし、品質管理を向上させるための検出器組立体を示している。図5は、ハウジング310、処理基板320、および検出器アレイ330を有する検出器組立体300を示している。検出器アレイ330は、組立体300の幅に沿って配置された複数の検出器(図示されていない)を備えている。図6に示されているとおり、検出器組立体300、301、302が、ガントリ220のリング221に取り付けられる。検出器組立体300、301、302は、検出器又は検出器アレイ330の各端が、隣の検出器アレイの端部の検出器と隣接するように配置される。理想的には、再現のため、アレイ内のすべての検出器がX線源に直交し、X線源と等距離である。しかしながら、平板検出器組立体300においては、組立体の端から端までのあいだで入射角度および距離にわずかなばらつきがある。本発明の実施の形態によれば、第1の検出器群240の中央に位置する検出器組立体が、中央の検出素子をX線源の位置に直交させて配置される。残りの検出器組立体については、最も外側の検出素子がX線源に直交する。図6に示すように、X線源の方向350、351が、ガントリの左手側においては組立体の左手側と直交する。ガントリの右手側においては、組立体の右手側が、X線源の方向と直交して位置する。このような配置によれば、検出器アレイを、異なる組立体上に位置する隣接素子間の間隔を最小にすべく、図6に示すとおり適切な角度で適切に組み合わせることができる。
【0010】
本発明のCTスキャナは、従来のスキャナよりも小型でありコストが低い。ビーム幅が広いことによって、直径の低減のほかにもさらに利益がもたらされる。X線源と検出器との距離が短いため、より出力の小さいX線源が利用可能であり、より低い部品コストならびに冷却(静音化)および電力要件の簡素化につながる。X線束が少なくなることによって、遮蔽の必要も小さくなり、やはりより安価(かつ軽量)なシステムがもたらされる。
【0011】
本発明の実施の形態によれば、CTスキャナが、二重エネルギ・モードで動作する。図7は、二重エネルギ動作のための検出素子330の断面図である。この検出素子は、低エネルギ・シンチレータ層331、低エネルギ・フォトダイオード層332、銅の層333、高エネルギ・シンチレータ層334、および高エネルギ・フォトダイオード層335を備えている。高エネルギ層334、335は、低エネルギ層331、332よりも幅が広い。本発明の実施の形態によれば、低エネルギ層は、長さが約5mmであり、高エネルギ層は、長さが約10mmである。長さの相違によって、たとえ銅およびその他の層からの遮蔽が大きくても、低エネルギ層と高エネルギ層との間で線束レベルが同様になり、したがってデータ取り込み用電子機器および引き続く信号処理が簡素化される。あるいは、パルスX線源を使用し検出器にただ1つのフォトダイオード層を使用する公知の技法を利用して、二重エネルギ・スキャンを実行することもできる。
【0012】
図8は、本発明の実施の形態によるCTスキャナ100の構成部品を示している。CTスキャナ100は、ガントリ221および2台のコンピュータ400、500を備えている。ホスト・コンピュータ400が、スキャナの動作を制御し、検出器からデータを取り出す。検出アルゴリズム・コンピュータ500が、データを処理し、爆発物または他の関心の対象となる物が存在しないかどうか検出する。当然ながら、ただ1台のコンピュータを使用して、CTスキャナに関するすべての機能を実行することも可能である。しかしながら、2台のコンピュータを使用することによって、検出アルゴリズムについての膨大な処理ゆえにCTスキャナの動作およびデータ収集が遅くなるという問題を防止できる。また、制御およびデータ素子が、ガントリ221とコンピュータ400、500の間に接続されている。通常の240VのAC電源に接続されたAC電源入力224が、CTスキャナに電力を供給する。DC電源225がAC電力を受け取り、ガントリ上の処理素子を動かすためのDC電力に変換する。AC電力あるいはDC電力によって動作する1組のモータ駆動装置222が、コンベアを動作させ、ガントリを回転させる。データ・リンク223が、検出器組立体をホスト・コンピュータ400に接続している。回転の最中にデータをもたらすため、DC電力およびデータ・リンクは、ガントリのリング上に位置している。検出器組立体300の回路基板320が、検出器を毎秒1440回サンプリングする。次いでデータが、データ・リンク223を通してホスト・コンピュータ400に伝送される。さらに、ガントリおよびコンベアの回転位置を割り出すため、エンコーダが使用される。このデータも、ホスト・コンピュータへともたらされる。
【0013】
コンピュータの構成部品が、図9に示されている。ホスト・コンピュータ400は、マザーボード410およびデータ取り込みカード420を備えている。データ取り込みカード420は、撮像アレイ423、コンベア・ベルト・エンコーダ422、およびガントリ・エンコーダ421からの入力を有している。データ取り込みカード420は、さらに、データを取り出してマザーボード410へと伝送するためのフィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ・カード424を備えている。マザーボード410は、Intel社のPentium(登録商標)プロセッサなどのプロセッサ411、大量のRAM412、およびデータ処理のための逆投影アクセラレータ・カード520を備えている。マザーボード410は、さらに、データ取り込みカードおよび他のコンピュータとの情報の送受信のためのホスト/PCIブリッジを備えている。CTスキャナから取り出されたデータが、検出アルゴリズム・コンピュータ500へと伝送される。イーサネット(登録商標)接続によって、大量のデータを迅速に伝送することができる。さらに、検出アルゴリズム・コンピュータは、爆発物や他の物質の存在を検出すべくデータを適切に処理するためのマザーボード510を備えている。
【0014】
折り重ね検出器アレイを有するCTスキャナからのデータは、ヘリカル・スキャンやスタート/ストップ・スキャンなど、通常のCT操作および再現技法を使用して処理することができる。ホスト・コンピュータが、X線源、コンベア・ベルト、および検出器の読出しを、所望のスキャンの仕組みに従って制御すべくプログラムされている。同様に、検出アルゴリズム・コンピュータも、利用するスキャンの仕組みにもとづいてCTデータを再現するようプログラムされている。
【0015】
本発明のCTスキャナは寸法が小さいため、既存のEDSシステムよりも容易に、手荷物取り扱いプロセスに組み込むことができる。図10は、本発明の実施の形態による手荷物スキャナを組み込んでなる航空会社のチェックイン・デスク700を示している。従来からのいくつかのチェックイン・デスクと同様、本発明のデスク700は、2つのチェックイン場所710、720を備え、それらの間に委託手荷物積み込み領域730を有している。複数のデスク700を、空港ロビーに一堂に配置することができる。本発明のCTスキャナ100は、手荷物積み込み領域730に配置されている。旅客は、チェックインに際し、自身の手荷物を手荷物積み込み領域730のコンベア、あるいは独立したシステムとしてのコンベアに載せる。手荷物が、爆発物の存在に関して自動的にスキャンされ、処理される。手荷物が通過したとき、チェックイン係員は、通常のやり方で手荷物にタグを付け、手荷物取り扱いシステムへと送ることができる。本発明のこの実施の形態のチェックイン・デスクにおいては、手荷物のスキャンのために追加で必要になるロビーの空間がきわめて小さく、手荷物取り扱いシステムに変更を加える必要もない。1つの選択肢として、荷物を通常のとおり処理して、スキャンに先立って切符取扱係の手で荷物にタグを取り付けてもよい。ひとたびチェックインがなされると、荷物がスキャンされ、手荷物取り扱いシステムへと流される。作業の流れの改善に必要である場合、疑わしい荷物を、ターミナルの旅客たちから離して、手荷物取り調べ領域へと取り除くことができる。あるいは、本発明のCTスキャナを、ロビーのチェックイン領域の一部または独立したキヨスクとして、セルフ・サービスのチェックイン・デスクに組み込んでもよい。
【0016】
すでに述べたように、本発明のCTスキャナは、画像を検査して考えられる脅威に対処するためのTSAオペレータが存在する自立した単独のユニットであってよい。本発明の他の実施の形態によれば、複数のCTスキャナ700のホスト・コンピュータを相互にネットワーク接続し、ただ1つのEDSを構成することができる。ネットワーク接続されるCTスキャナは、独立したユニット、セルフ・チェックイン・ユニット、およびCTスキャナを一体に組み込んだチェックイン・デスク・ユニットの任意の組み合わせを含むことができる。ほとんどの荷物について、スキャン・データの分析によって自動的に安全を確認できる。しかしながら、いくつかの荷物については、オペレータによるさらなる検査が必要であるかもしれない。機内持ち込み手荷物について使用されているように各スキャナにオペレータを配置するよりはむしろ、複数のオペレータを配置した危機管理室760がネットワークに接続される。或る荷物が、自動では安全が確認できない場合、投影データおよび/または再現データが、危機管理室760内のオペレータへと伝送される。次いでオペレータが、危険が存在するのか、あるいは安全と確認できるのかを、判断することができる。もし、オペレータにより安全であると確認された場合、その荷物は通常のやり方で手荷物取り扱いシステムに送られる。しかしながら、安全であると確認できない場合、その荷物は、手作業による調査のために他のオペレータに渡される。ネットワークには、ネットワーク・サーバ・コンピュータ750、プリンタ771、ネットワーク制御ステーション772、および遠隔解像コンピュータ773などの追加の設備を備えることができる。
【0017】
さらに、手荷物スキャン・システムの寸法が小さいため、委託手荷物の分散処理のため、手荷物スキャン・システムを他の場所にも配置することができる。例えば、処理を簡単にするため、スキャナを街頭でのチェックインのために配置することや、レンタカーの返却領域に配置することができる。さらには、スキャナおよびスキャンした手荷物のための保全領域を設けることによって、ホテルや他の場所にて、手荷物のチェックイン・サービスを提供することができる。宿泊客らは、彼らの手荷物をホテルにて自動的に処理してもらい、空港へと安全に運んでもらうことができ、さらなる処理は不要でありチェックインの際の遅延もない。さらに、スキャナの寸法ゆえ、空港へと運ぶべく種々の場所から手荷物を集めるために使用される車両の中にスキャナを設置することができる。独立したユニットを、旅客自身によるチェックイン、または補佐ありでのチェックインのため、空港内のさまざまな場所に設けることができる。あるいは、本発明のCTスキャナを、機内持ち込み手荷物をスキャンするため、保安検査所において使用してもよい。各スキャナは、空港内または空港外におけるその位置にかかわらず、独立して機能することができ、あるいはTSAオペレータによる一括検査のためネットワークに接続されてもよい。
【0018】
図13は、寸法およびコストのさらなる低減をもたらす本発明の他の実施の形態を示している。この第3の実施の形態においては、CTスキャナ810が、複数の検出器841、842、843、844、845を検出器リング811の半分に配置して有している。最初の2つの実施の形態と同様、検出器は、X線源330から異なる距離にあり、異なる角度にある。完全な360°のデータを有するCT再現を生成するためには、検出器リングの半分を使用すれば充分である。検出器リングの半分は、再現に必要とされる180°プラスの扇形ビームについてのデータ採取と数学的に等価である。図14A〜14Cは、CT再現を示している。図14Aは、完全な検出器リングを使用しての再現を示している。図14Bは、半分の検出器リングからの同じデータの再現を示している。図14Bからのデータを、図14Cに示したような完全な再現を完成すべく使用することができる。この実施の形態のように、検出器リングの半分のみを使用することによって、必要とされる検出器が少なくなるため、画像化コストを大きく低減することが可能である。
【0019】
さらにコストを削減するため、本発明は、従来のスキャナよりも少ない線束レベルで動作することができる。手荷物用のX線システムの設計においては、線束を、最も手強い5%の荷物を貫通するために充分であるように設計することが多い。大部分の荷物は、はるかに少ない線束しか必要としない。90番目までの百分順位の荷物についてのみの線束を提供するようにシステムを設計することで、線束の量を大きく減らすことができる。線束を減らすことによって、雑音レベルおよび必要な遮蔽を低減することができ、装置の寸法およびコストが大きく低減される。より手強い荷物を取り扱うためには、当該荷物について2回以上のスキャンが実行され、サイノグラムが平均される。以下に述べるとおり、生のデータを分析して、どの荷物または荷物のどの領域が追加の線束を必要としそうであるかを判断することができる。荷物の断面を2回以上スキャンし、2組目の生データを最初の回転において得たデータで平均することで、再現画像における雑音が低減され、より強い線束のシステムを模擬することができるであろう。これを、きわめて手強く取り散らかされた1000に1つの荷物の断面について、3回または4回行なうことができる。本発明は、「例外的」または「遮蔽的」な荷物の問題への現実的な解決策を提供することによって、手作業での荷物の検査の必要性を少なくする。通常でない荷物の手強いすなわち「遮蔽的な」物体が、手強く取り散らかされた領域に関して手作業による検査の必要なく有用なデータを得るため、複数回スキャンされる。
【0020】
本発明の他の実施の形態によれば、本発明のCTスキャナを、荷物をただ1回だけスキャナを通過させて二重エネルギCTスキャンを行なうために、使用することができる。図15は、本発明のこの実施の形態によるCTスキャナ910を示している。CTスキャナ910は、広角のX線源930および2組の検出器群940、950を備えている。検出器群の各組940、950は、複数の検出素子941、942、943、944、945、951、952、953、954、955を備えている。各組の検出素子はそれぞれ、第3の実施の形態と同様に検出器リング911の片側に位置している。2組の検出器群940、950は、異なるエネルギ・スペクトルに対して感受性を有している。この実施の形態のCTスキャナを使用し、検出器リングのただ1回の回転から、エネルギの異なる2つのCT切断を得ることができる。これにより、CT画像の二重エネルギ分析が可能になるであろう。二重エネルギCT画像を、重ね合わせの検出器で得ることも可能である。この二重エネルギCTは、装置の誤警報を低減するためにきわめて有用である。これは、空港における状況において、強く望まれている。図15では、各組の検出器群について5つの検出器アレイが示されているが、任意の数の検出器アレイを使用することができる。各組の検出器群940、950が、X線源の1つのエネルギ・レベルに対応し、検出器リング911の片側に配置される。
【0021】
本発明を委託手荷物の検査に関して説明したが、それは、本発明がこの分野において大きな効用を有しているためである。しかしながら、本発明による小型化折り重ねアレイCTスキャナは、CTスキャナが利用されている他の多くの用途において使用可能である。例えば、貨物またはパレットの検査または選別に使用することが可能である。貨物およびパレットの検査には、通常は大きなトンネルが必要であり、従来技術のCTスキャナは、これに相応してきわめて大きくなる。本発明のCTスキャナは、たとえトンネルが大きくても、きわめて小さい寸法を有している。本発明は、医療用CTスキャン用途においても使用可能である。
【0022】
さらに、本発明を、X線源を備えるものとして説明した。通常は、CTスキャナは、放射のためのX線源、および適切なX線検出器を使用している。当然ながら、ガンマ放射などの他の放射源も、本発明に関して使用可能である。放射源が異なる場合、検出器および/またはシンチレータ材料を、適切な放射スペクトルを測定するように適切に変更する必要がある。
【0023】
本発明の少なくとも1つの実施の形態を説明したため、当業者であれば、いくつかの修正、調節および改善を、容易に理解できるであろう。そのような修正、変更および調節は、本発明の一部と考えるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】図1は、従来のCTスキャナの断面図である。
【図2】図2は、本発明の実施の形態によるCTスキャナの斜視図である。
【図3】図3Aおよび3Bは、本発明の実施の形態によるガントリ・システムの斜視図である。
【図4】図4は、本発明の実施の形態によるCTスキャナ・ガントリの断面図である。
【図5】図5は、本発明の実施の形態によるCTスキャナの構成部品である検出器アレイの斜視図である。
【図6】図6は、本発明の実施の形態によるCTスキャナの検出器の一部分の正面図である。
【図7】図7は、本発明の実施の形態による二重エネルギCTスキャナの構成部品である検出器の断面図である。
【図8】図8は、本発明の実施の形態によるCTスキャナの構成部品のブロック図である。
【図9】図9は、本発明の実施の形態によるCTスキャナの構成部品であるコンピュータのブロック図である。
【図10】図10は、本発明の実施の形態による航空会社のチェックイン・デスクの斜視図である。
【図11】図11は、本発明の実施の形態によるネットワーク化CTスキャナ・システムのブロック図である。
【図12】図12は、本発明の実施の形態による検出素子間のピッチを表わしている。
【図13】図13は、本発明の他の実施の形態によるCTスキャナの断面図である。
【図14】図14A〜Cは、図13のCTスキャナからのデータを表わしている。
【図15】図15は、本発明の他の実施の形態によるCTスキャナの断面図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体のスキャンのためのCTスキャナであって、
トンネル、
前記トンネルを通して物体を移動させるためのコンベア、
前記トンネルの周囲を回転可能なガントリ、
前記ガントリ上に位置し、前記トンネルに垂直にX線ビームをもたらすためのX線源、
前記ガントリ上に位置し、前記X線源から第1の距離に位置する第1の複数の検出器、および
前記ガントリ上に位置し、前記X線源から前記第1の距離よりも小さい第2の距離に位置する第2の複数の検出器
を有するCTスキャナ。
【請求項2】
前記第1の複数の検出器中の1つの検出器が、前記X線ビームの範囲内で前記第2の複数の検出器中の1つの検出器に隣接して位置している請求項1に記載のCTスキャナ。
【請求項3】
前記ガントリ上に、前記X線源から前記第2の距離に位置する第3の複数の検出器をさらに有している請求項1に記載のCTスキャナ。
【請求項4】
前記第1の複数の検出器中の1つの検出器が、前記X線ビームの範囲内で前記第2の複数の検出器中の1つの検出器に隣接して位置し、
前記第1の複数の検出器中の別の1つの検出器が、前記X線ビームの範囲内で前記第3の複数の検出器中の1つの検出器に隣接して位置している
請求項3に記載のCTスキャナ。
【請求項5】
前記X線ビームが、前記トンネルの断面全体を横切り、
前記第1、第2、および第3の複数の検出器が、前記X線ビームの全体が少なくも1つの検出器と交わるように前記ガントリ上に位置している
請求項4に記載のCTスキャナ。
【請求項6】
前記第1の複数の検出器中の隣り合う検出器間の間隔が、前記第2の複数の検出器中の隣り合う検出器間の間隔と相違している請求項1に記載のCTスキャナ。
【請求項7】
前記第1の複数の検出器中の隣り合う検出器への前記X線源からのビームの間の角度が、前記第2の複数の検出器中の隣り合う検出器への前記X線源からのビームの間の角度と同じである請求項1に記載のCTスキャナ。
【請求項8】
前記ガントリ上に、前記X線源から第3の距離に位置する第3の複数の検出器をさらに有している請求項1に記載のCTスキャナ。
【請求項9】
前記X線ビームが、前記トンネルの断面全体よりも少ない前記トンネルの断面の一部分を横切り、
前記第1、第2、および第3の複数の検出器が、検出器が前記X線ビームの全体と交わるように前記ガントリ上に位置している
請求項8に記載のCTスキャナ。
【請求項10】
前記X線ビームが、前記トンネルの断面の2分の1を横切る請求項9に記載のCTスキャナ。
【請求項11】
前記検出器からデータを受け取って、物体の少なくとも一部分の画像を再現するための少なくとも1つのコンピュータをさらに有している請求項1に記載のCTスキャナ。
【請求項12】
前記ガントリ上の前記検出器と前記ガントリ上にない前記少なくとも1つのコンピュータとの間のデータ・リンクをさらに有している請求項11に記載のCTスキャナ。
【請求項13】
前記データ・リンクが、前記検出器から前記少なくとも1つのコンピュータへと、検出器データの絶え間のない流れをもたらしている請求項12に記載のCTスキャナ。
【請求項14】
前記第1および第2の複数の検出器中の各検出器が、
第1のエネルギ・レベルにあるX線エネルギに反応する第1のフォトダイオード層であって、第1のX線受容領域を有している第1のフォトダイオード層、および
前記第1のエネルギ・レベルよりも高い第2のエネルギ・レベルにあるX線エネルギに反応する第2のフォトダイオード層であって、前記X線源に対して前記第1のフォトダイオード層の背後に位置し、前記第1のX線受容領域よりも大きい第2のX線受容領域を有している第2のフォトダイオード層
を備えている請求項1に記載のCTスキャナ。
【請求項15】
各検出器が、さらに前記第1および第2のフォトダイオード層の間に遮蔽層を有している請求項14に記載のCTスキャナ。
【請求項16】
第1のX線受容領域および第2のX線受容領域が、該第1のフォトダイオード層および該第2のフォトダイオード層におけるX線束レベルが事実上等しくなるような寸法とされている請求項15に記載のCTスキャナ。
【請求項17】
物体のスキャンのためのCTスキャナであって、
トンネル、
前記トンネルを通して物体を移動させるためのコンベア、
前記トンネルの周囲を回転可能なガントリ、
前記ガントリ上に位置し、少なくとも2つのエネルギ・レベルを含んでいるX線ビームを前記トンネルに垂直にもたらすためのX線源、
前記X線ビームの第1の部分と交わるように前記ガントリ上に位置し、前記少なくとも2つのエネルギ・レベルのうちの第1のものに反応する第1の複数の検出器、および
前記X線ビームの前記第1の部分と異なる第2の部分と交わるように前記ガントリ上に位置し、前記少なくとも2つのエネルギ・レベルのうちの第2のものに反応する第2の複数の検出器
を有するCTスキャナ。
【請求項18】
前記第1の複数の検出器が、
前記X線源から第1の距離に位置する第1の検出器部分集合、および
前記X線源から第2の距離に位置する第2の検出器部分集合
を含んでおり、
前記第2の距離が前記第1の距離よりも小さい請求項17に記載のCTスキャナ。
【請求項19】
前記第2の複数の検出器が、
前記X線源から第3の距離に位置する第3の検出器部分集合、および
前記X線源から第4の距離に位置する第4の検出器部分集合
を含んでおり、
前記第4の距離が前記第3の距離よりも小さい請求項18に記載のCTスキャナ。
【請求項20】
前記第1の複数の検出器が、前記X線源から第3の距離に位置する第3の検出器部分集合をさらに含んでおり、
前記第3の距離が前記第2の距離よりも小さい請求項17に記載のCTスキャナ。
【請求項21】
荷物をスキャンするための複数のCTスキャナであって、それぞれが当該CTスキャナからのデータを処理して荷物の少なくとも一部分の画像を再現するためのコンピュータを備えている複数のCTスキャナ、
再現された画像を表示するための少なくとも1つのオペレータ駐在検査所、および
再現された画像を、表示のため、少なくとも1つのCTスキャナから少なくとも1つのオペレータ駐在検査所へと伝送するためのネットワーク
を有する手荷物処理システム。
【請求項22】
前記各CTスキャナの前記コンピュータが、再現された画像にもとづいて荷物内の潜在的脅威を検知するための手段を備えており、
再現された画像が、潜在的脅威が検知されたときに前記少なくとも1つのオペレータ駐在検査所へと伝送される
請求項21に記載の手荷物処理システム。
【請求項23】
前記複数のCTスキャナの少なくとも1つが、航空会社のチェックイン・デスクに配置されている請求項22に記載の手荷物処理システム。
【請求項24】
前記複数のCTスキャナの少なくとも1つが、空港の保安検査所に配置されている請求項22に記載の手荷物処理システム。
【請求項25】
前記複数のCTスキャナの少なくとも1つが、空港の街頭のチェックイン領域に配置されている請求項22に記載の手荷物処理システム。
【請求項26】
前記複数のCTスキャナの少なくとも1つが、荷物が運ばれる空港以外の場所に配置されている請求項22に記載の手荷物処理システム。
【請求項27】
搭乗のためにチェックインを行なって手荷物をチェックする乗客のための第1のチェックイン場所、
搭乗のためにチェックインを行なって手荷物をチェックする乗客のための第2のチェックイン場所、および
前記第1のチェックイン場所と前記第2のチェックイン場所の間に位置するCTスキャナ
を有する手荷物チェックイン・システム。
【請求項28】
前記CTスキャナが、
前記第1のチェックイン場所と前記第2のチェックイン場所との間に位置するトンネル、および
前記第1および第2のチェックイン場所の第1の側から、前記第1および第2のチェックイン場所の第2の側へと、前記トンネルを通って荷物を移動させるコンベア
を備えており、
当該手荷物チェックイン・システムが、航空機へと運ぶべく前記第1および第2のチェックイン場所の前記第2の側から荷物を取り去るための手荷物取り扱いシステムをさらに有している請求項27に記載の手荷物チェックイン・システム。
【請求項29】
前記CTスキャナが、荷物を前記手荷物取り扱いシステムへと移動させる前に荷物内の潜在的脅威を検知するためのコンピュータを備えている請求項27に記載の手荷物チェックイン・システム。
【請求項30】
空港において委託手荷物を処理するための方法であって、
荷物をスキャンして各荷物の一部分の少なくとも1つの画像を再現するステップと、再現された画像にもとづいて潜在的脅威を検知するステップと、潜在的脅威が検知されない場合に荷物を航空機へと配送するステップと、潜在的脅威が検知された場合に前記少なくとも1つの画像を再検査場所へと伝送するステップとを空港の複数の場所で実行するステップ、および
伝送されてきた前記少なくとも1つの画像をオペレータによる再検査のために表示するステップを前記再検査場所で実行するステップ
を含んでいる方法。
【請求項31】
前記オペレータから前記表示された画像にもとづいて脅威であるか脅威でないかの指示を受け取るステップと、当該指示を前記画像をもたらした場所へと伝送するステップとを前記再検査場所で実行するステップ、および
前記再検査場所から前記指示を受信するステップと、脅威でないとの指示にもとづいて荷物を航空機へと配送するステップと、脅威であるとの指示にもとづいて当該荷物の航空機への配送を防止するステップとを前記複数の場所で実行するステップ
をさらに有している請求項30に記載の委託手荷物を処理するための方法。
【請求項1】
物体のスキャンのためのCTスキャナであって、
トンネル、
前記トンネルを通して物体を移動させるためのコンベア、
前記トンネルの周囲を回転可能なガントリ、
前記ガントリ上に位置し、前記トンネルに垂直にX線ビームをもたらすためのX線源、
前記ガントリ上に位置し、前記X線源から第1の距離に位置する第1の複数の検出器、および
前記ガントリ上に位置し、前記X線源から前記第1の距離よりも小さい第2の距離に位置する第2の複数の検出器
を有するCTスキャナ。
【請求項2】
前記第1の複数の検出器中の1つの検出器が、前記X線ビームの範囲内で前記第2の複数の検出器中の1つの検出器に隣接して位置している請求項1に記載のCTスキャナ。
【請求項3】
前記ガントリ上に、前記X線源から前記第2の距離に位置する第3の複数の検出器をさらに有している請求項1に記載のCTスキャナ。
【請求項4】
前記第1の複数の検出器中の1つの検出器が、前記X線ビームの範囲内で前記第2の複数の検出器中の1つの検出器に隣接して位置し、
前記第1の複数の検出器中の別の1つの検出器が、前記X線ビームの範囲内で前記第3の複数の検出器中の1つの検出器に隣接して位置している
請求項3に記載のCTスキャナ。
【請求項5】
前記X線ビームが、前記トンネルの断面全体を横切り、
前記第1、第2、および第3の複数の検出器が、前記X線ビームの全体が少なくも1つの検出器と交わるように前記ガントリ上に位置している
請求項4に記載のCTスキャナ。
【請求項6】
前記第1の複数の検出器中の隣り合う検出器間の間隔が、前記第2の複数の検出器中の隣り合う検出器間の間隔と相違している請求項1に記載のCTスキャナ。
【請求項7】
前記第1の複数の検出器中の隣り合う検出器への前記X線源からのビームの間の角度が、前記第2の複数の検出器中の隣り合う検出器への前記X線源からのビームの間の角度と同じである請求項1に記載のCTスキャナ。
【請求項8】
前記ガントリ上に、前記X線源から第3の距離に位置する第3の複数の検出器をさらに有している請求項1に記載のCTスキャナ。
【請求項9】
前記X線ビームが、前記トンネルの断面全体よりも少ない前記トンネルの断面の一部分を横切り、
前記第1、第2、および第3の複数の検出器が、検出器が前記X線ビームの全体と交わるように前記ガントリ上に位置している
請求項8に記載のCTスキャナ。
【請求項10】
前記X線ビームが、前記トンネルの断面の2分の1を横切る請求項9に記載のCTスキャナ。
【請求項11】
前記検出器からデータを受け取って、物体の少なくとも一部分の画像を再現するための少なくとも1つのコンピュータをさらに有している請求項1に記載のCTスキャナ。
【請求項12】
前記ガントリ上の前記検出器と前記ガントリ上にない前記少なくとも1つのコンピュータとの間のデータ・リンクをさらに有している請求項11に記載のCTスキャナ。
【請求項13】
前記データ・リンクが、前記検出器から前記少なくとも1つのコンピュータへと、検出器データの絶え間のない流れをもたらしている請求項12に記載のCTスキャナ。
【請求項14】
前記第1および第2の複数の検出器中の各検出器が、
第1のエネルギ・レベルにあるX線エネルギに反応する第1のフォトダイオード層であって、第1のX線受容領域を有している第1のフォトダイオード層、および
前記第1のエネルギ・レベルよりも高い第2のエネルギ・レベルにあるX線エネルギに反応する第2のフォトダイオード層であって、前記X線源に対して前記第1のフォトダイオード層の背後に位置し、前記第1のX線受容領域よりも大きい第2のX線受容領域を有している第2のフォトダイオード層
を備えている請求項1に記載のCTスキャナ。
【請求項15】
各検出器が、さらに前記第1および第2のフォトダイオード層の間に遮蔽層を有している請求項14に記載のCTスキャナ。
【請求項16】
第1のX線受容領域および第2のX線受容領域が、該第1のフォトダイオード層および該第2のフォトダイオード層におけるX線束レベルが事実上等しくなるような寸法とされている請求項15に記載のCTスキャナ。
【請求項17】
物体のスキャンのためのCTスキャナであって、
トンネル、
前記トンネルを通して物体を移動させるためのコンベア、
前記トンネルの周囲を回転可能なガントリ、
前記ガントリ上に位置し、少なくとも2つのエネルギ・レベルを含んでいるX線ビームを前記トンネルに垂直にもたらすためのX線源、
前記X線ビームの第1の部分と交わるように前記ガントリ上に位置し、前記少なくとも2つのエネルギ・レベルのうちの第1のものに反応する第1の複数の検出器、および
前記X線ビームの前記第1の部分と異なる第2の部分と交わるように前記ガントリ上に位置し、前記少なくとも2つのエネルギ・レベルのうちの第2のものに反応する第2の複数の検出器
を有するCTスキャナ。
【請求項18】
前記第1の複数の検出器が、
前記X線源から第1の距離に位置する第1の検出器部分集合、および
前記X線源から第2の距離に位置する第2の検出器部分集合
を含んでおり、
前記第2の距離が前記第1の距離よりも小さい請求項17に記載のCTスキャナ。
【請求項19】
前記第2の複数の検出器が、
前記X線源から第3の距離に位置する第3の検出器部分集合、および
前記X線源から第4の距離に位置する第4の検出器部分集合
を含んでおり、
前記第4の距離が前記第3の距離よりも小さい請求項18に記載のCTスキャナ。
【請求項20】
前記第1の複数の検出器が、前記X線源から第3の距離に位置する第3の検出器部分集合をさらに含んでおり、
前記第3の距離が前記第2の距離よりも小さい請求項17に記載のCTスキャナ。
【請求項21】
荷物をスキャンするための複数のCTスキャナであって、それぞれが当該CTスキャナからのデータを処理して荷物の少なくとも一部分の画像を再現するためのコンピュータを備えている複数のCTスキャナ、
再現された画像を表示するための少なくとも1つのオペレータ駐在検査所、および
再現された画像を、表示のため、少なくとも1つのCTスキャナから少なくとも1つのオペレータ駐在検査所へと伝送するためのネットワーク
を有する手荷物処理システム。
【請求項22】
前記各CTスキャナの前記コンピュータが、再現された画像にもとづいて荷物内の潜在的脅威を検知するための手段を備えており、
再現された画像が、潜在的脅威が検知されたときに前記少なくとも1つのオペレータ駐在検査所へと伝送される
請求項21に記載の手荷物処理システム。
【請求項23】
前記複数のCTスキャナの少なくとも1つが、航空会社のチェックイン・デスクに配置されている請求項22に記載の手荷物処理システム。
【請求項24】
前記複数のCTスキャナの少なくとも1つが、空港の保安検査所に配置されている請求項22に記載の手荷物処理システム。
【請求項25】
前記複数のCTスキャナの少なくとも1つが、空港の街頭のチェックイン領域に配置されている請求項22に記載の手荷物処理システム。
【請求項26】
前記複数のCTスキャナの少なくとも1つが、荷物が運ばれる空港以外の場所に配置されている請求項22に記載の手荷物処理システム。
【請求項27】
搭乗のためにチェックインを行なって手荷物をチェックする乗客のための第1のチェックイン場所、
搭乗のためにチェックインを行なって手荷物をチェックする乗客のための第2のチェックイン場所、および
前記第1のチェックイン場所と前記第2のチェックイン場所の間に位置するCTスキャナ
を有する手荷物チェックイン・システム。
【請求項28】
前記CTスキャナが、
前記第1のチェックイン場所と前記第2のチェックイン場所との間に位置するトンネル、および
前記第1および第2のチェックイン場所の第1の側から、前記第1および第2のチェックイン場所の第2の側へと、前記トンネルを通って荷物を移動させるコンベア
を備えており、
当該手荷物チェックイン・システムが、航空機へと運ぶべく前記第1および第2のチェックイン場所の前記第2の側から荷物を取り去るための手荷物取り扱いシステムをさらに有している請求項27に記載の手荷物チェックイン・システム。
【請求項29】
前記CTスキャナが、荷物を前記手荷物取り扱いシステムへと移動させる前に荷物内の潜在的脅威を検知するためのコンピュータを備えている請求項27に記載の手荷物チェックイン・システム。
【請求項30】
空港において委託手荷物を処理するための方法であって、
荷物をスキャンして各荷物の一部分の少なくとも1つの画像を再現するステップと、再現された画像にもとづいて潜在的脅威を検知するステップと、潜在的脅威が検知されない場合に荷物を航空機へと配送するステップと、潜在的脅威が検知された場合に前記少なくとも1つの画像を再検査場所へと伝送するステップとを空港の複数の場所で実行するステップ、および
伝送されてきた前記少なくとも1つの画像をオペレータによる再検査のために表示するステップを前記再検査場所で実行するステップ
を含んでいる方法。
【請求項31】
前記オペレータから前記表示された画像にもとづいて脅威であるか脅威でないかの指示を受け取るステップと、当該指示を前記画像をもたらした場所へと伝送するステップとを前記再検査場所で実行するステップ、および
前記再検査場所から前記指示を受信するステップと、脅威でないとの指示にもとづいて荷物を航空機へと配送するステップと、脅威であるとの指示にもとづいて当該荷物の航空機への配送を防止するステップとを前記複数の場所で実行するステップ
をさらに有している請求項30に記載の委託手荷物を処理するための方法。
【図1】
【図2】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公表番号】特表2006−502386(P2006−502386A)
【公表日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−541702(P2004−541702)
【出願日】平成15年10月2日(2003.10.2)
【国際出願番号】PCT/US2003/031718
【国際公開番号】WO2004/031755
【国際公開日】平成16年4月15日(2004.4.15)
【出願人】(505116552)リビール イメージング テクノロジーズ, インコーポレイテッド (4)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成15年10月2日(2003.10.2)
【国際出願番号】PCT/US2003/031718
【国際公開番号】WO2004/031755
【国際公開日】平成16年4月15日(2004.4.15)
【出願人】(505116552)リビール イメージング テクノロジーズ, インコーポレイテッド (4)
【Fターム(参考)】
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