説明

折丁供給装置

【課題】構成手段の数を少なくし、占有空間を小さくすることにより、低価格の折丁供給装置を実現する。
【解決手段】折丁の束を折目を下にして載置できる供給台1と、折丁が供給台1の上で折目を下にして立った状態に支持する支持板2と、支持板2の折丁引き出し方向での前方側に、支持板2から前方へ突出している折丁の、支持板に接している側の紙葉を吸着して、折丁を供給台1から引き出しながら紙葉の上部を折りの開く方へ引っ張って行くエア吸引穴9を有する回転可能のサクションロータ3、16を設けるとともに、サクションロータ3、16で引き出されて、上部が開いた状態の折丁を送り出す搬送ローラ4を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、載置されている折丁の束から折丁を1部ずつ引き出して、その折丁の折の間へ他の用紙を挟み込めるように折りをV字状に開いて送り出す折丁供給装置の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
図5は従来の折丁供給装置の構成略図である。
(a)は正面図であり、(b)は右側側面図である。供給台27には折丁が折目を手前側にして積載されている。(b)に示すように供給台27の底板34の前方(図では左側)には折丁28を取り出すための穴32があいており、この穴32の部分で最下層の折丁に引き出し吸着器29の吸盤を吸着させて矢印方向に回転させることにより折丁を1部引き出し、下方の搬送手段30の上に折目を下にして載置させる。搬送手段30は(a)に示すように折丁28を矢印方向へ搬送する。その前方には開き吸着器31が設けられており、折丁28が到来するとその片面((b)では右面)を吸盤で吸着し、回転することにより折丁を開いて搬送方向へ送り出しその先で開いた折丁の間へ中入れ紙葉を入れることになる(例えば、特許文献1、2参照)。
【特許文献1】特開2006−347046号公報(段落[0013]〜[0017]、図1、図2)
【特許文献2】特開2007−099423号公報は(段落[0018]、[0019]、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記背景技術においては、折丁を開いて送り出すために、引き出し吸着器、搬送手段および開き吸着器があり、構成手段が多いうえ、それに起因して占有空間が広くなるため装置が大型となり、その結果、高価なものになってしまうという問題点がある。
【0004】
本発明は、上記背景技術における問題点に鑑みて、構成手段を少なくして占有空間を小さくするとともに、より低価格の折丁供給装置を実現することを解決課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記の課題を解決するために、以下の各手段構成を有する。
本発明の基本構成である第1の構成は、下記(イ)〜(ニ)の各手段を有し、供給台上に折り目を下にして立てた状態で載置した折丁を折目方向に沿って1部ずつ引き出し折丁の上部を開いて送出することを特徴とする折丁供給装置である。
(イ)折丁を載置する供給台
(ロ)供給台の載置面に対して立設されている支持板
(ハ)支持板の、折丁引き出し方向での前方側に、支持板から前方へ突出している折丁の、支持板に接している側の面を吸着し、折丁を引き出しながら折丁の上方を開く方へ動く吸引移動手段
(ニ)前記吸引移動手段によって引き出された折丁の下方部分を挟んで折丁を送り出す搬送ローラ
【0006】
本発明の第2の構成は、前記第1の構成において、前記吸引移動手段との間に折丁が通過する間隔を置いて、折丁の支持板に接していない側の面をエアで吸引する吸引手段が設けられていることを特徴とする折丁供給装置である。
【0007】
本発明の第3の構成は、前記第1の構成又は第2の構成において、前記吸引移動手段の吸引移動平面と重なる位置から折丁搬送方向へ延び、上縁が、前方へ行く程折丁が開く方向へ傾斜が大きくなっているガイド板を有することを特徴とする折丁供給装置である。
【0008】
本発明の第4の構成は、前記第1ないし第3の構成のいずれか1つの構成において、前記吸引移動手段が、前記支持板から前方へ突出している折丁の支持板に接している側の面に吸着するエア吸引穴を有し、このエア吸引穴が前記供給台の載置面と平行な面内の円弧に沿って移動するサクションロータであることを特徴とする折丁供給装置である。
【0009】
本発明の第5の構成は、前記第1ないし第3の構成のいずれか1つの構成において、前記吸引移動手段が、吸引チャンバとそれを周回するベルトとからなり、吸引チャンバは前記支持板より突出している折丁の支持板に接している側の面に対向する面およびその引き出し方向へ続いて折丁の折りを開く方へ傾斜する面を有し、各面にはエア吸引穴が設けられこの面をベルトが移動して行くことにより折丁がベルトに吸着されて引き出され移動して行くものであることを特徴とする折丁供給装置である。
【発明の効果】
【0010】
本発明の基本構成である第1の構成の折丁供給装置は、前述の手段構成の通り、供給台からの折丁の引き出しと折りを開く手段を1つの吸引移動手段で行っており、更に折丁を引き出してから折を開くまでの間に別途の搬送手段を必要としないので、前記従来装置が折丁載置台から折丁を引き出すための吸着手段と、引き出した後折を開く場所まで搬送する搬送手段と、折を開くための吸引手段とを有するのに較べて構成が非常に簡単となり、それだけ小形にできるうえ製造コストも低価格にすることができるという効果がある。
【0011】
本発明の第2の構成においては、折丁の、吸引移動手段が吸着する面と反対側の面を吸引する手段が設けられているので折丁の開きがより一層確実になるという効果がある。
【0012】
本発明の第3の構成においては、ガイド板が吸引移動手段の吸引移動平面と重なる位置から設けられているので、吸引移動手段によって折を開かれた折丁の先端がガイド板にスムーズに受け継がれ更に、前方へ進むにつれて折丁の開く方へ傾斜が大きくなっているので折丁の開きが充分に得られるという効果がある。
【0013】
本発明の第4の構成の吸引移動手段は、周面にエア吸引穴を有するロータを回転させるようになっており、折丁を吸引して回転することにより供給台からの引き出しと折りを開く動作を1個のロータで同時に行っているので占有空間の小さいものとなっている。
【0014】
本発明の第5の構成は、それ自体は動かない吸引チャンバとそれを周回するベルトとからなっており、エア吸引穴の吸引力によって折丁がベルトに密着した状態で供給台からの引き出しと引き出した後の開きを行っており、吸引チャンバの大きさや吸引穴の大きさ、数により、吸引力を大きくできるので厚い折丁、硬い紙質の折丁などの場合に効果的である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
供給台上へ折丁の束を折目を下にして載置した場合、最前端の折丁が支持板に安定して接するように後方から適切な力で押すようにする手段を設けるのが最良の形態である。
押す力は、吸引移動手段で折丁を引き出すのに支障がなく、且つ、折丁が次々と引き出されるにつれて後続の折丁が順次支持板に一定の力で押し付けられるような力とするのが最良である。
【0016】
第2の構成の吸引手段は、折丁に対し吸引移動手段と反対側にあって折丁の折目の開きを助けるものであるから、吸引はしても吸着はしない程度の吸引力とするのが最良である。
【0017】
第4の構成におけるサクションロータのエア吸引穴は、エア吸引源からのパイプと同径のままではなく、折丁に接する部分で縦方向にパイプ径より大きい凹部を形成するが、折丁を吸着して引き出すには最良である。
【0018】
第5の構成においては、ベルト自体にもエア吸引穴を設けるのがエアチャンバのエア吸引穴の大きさをより活用することになり最良である。
【実施例】
【0019】
以下、本発明の折丁供給装置の実施例を図面を参照して説明する。
図1は、第1の実施例の正面図であり、図2はその上面図である。
折丁は、図1において、折り目を下にして供給台1に置き、その紙面は支持板2に密着させるようにして立てる。先端は、ガイド19に当接するようにする。供給台1に多くの部数が載置できるようになっており、サクションロータ3、同16によって引き出され搬送ローラ4によって搬送されるにつれて、残りの折丁が支持板2の方へ進むように、折丁の折目部分に接しているベルト10、同11を支持板2の方へ向け移動させ、折丁が常に支持板2に接するようにしている。
【0020】
本実施例では、吸引移動手段として、同軸で回転する上下2つのサクションロータ3、同16を用いており、上のサクションロータ3は、供給台1からの折丁の引き出しと折りの開きを行わせ、下のサクションロータ16は折丁引き出しの協働を行わせている。サクションロータ3および同16にはそれぞれエア吸引穴9および同17が設けられており、このエア吸引穴9、同17は吸引パイプ7および同8によりエア吸引ポンプ6に結合されエアの吸引が行われるようになっている。そして、折丁に対する吸引効果を上げるため、エア吸引穴9および同17を中心にして上下方向に長い凹部が形成されている。
【0021】
折丁の、支持板2から飛び出している先端は、図1、図2におけるエア吸引穴9、同17よりも右にあるから、エア吸引穴9、同17は図の位置で折丁の、支持板2に接している側の紙面に接触している。
従って、エア吸引状態にすると折丁の紙面はエア吸引穴9、同17を中心とする縦長凹部に吸着される。
【0022】
その状態で、サクションロータ3、同16が図2の矢印の方向へ回転すると、支持板2に接している折丁が1部引き出されることになる。引き出された折丁は、上のサクションロータ3の回転により折丁上部が開かれる。
一方、ガイド12の左先端がサクションロータ3の回転円に重なるように出ているため、サクションロータ3によって開かれた折丁の支持板2に接していた側の紙葉の先端はガイド12に掛かり、以後ガイド12によってガイドされることになる。
【0023】
それと同時に、折丁の支持板2に接していなかった側の紙葉は、ガイド13に取り付けられた吸引ファン5の動作によりファン吸引穴20からのエア吸引によりガイド13側の方へ吸引され、折丁の開きは確実に行われることになる。そして下のサクションロータ16の近くに設けられている、2個の挟みローラからなる搬送ローラ4の回転駆動によって、折目近くが挟まれて右方へ搬送されて行く。そして、一旦開かれた折丁が再び閉じないようにガイド12は開きが大きくなる方向へ傾斜させるとともに、ガイド12とガイド13の間に中板18が設けられている。捌き15、サクションロータ3、同16が折丁を引き出す毎に1部ずつしか通過できないようにしている。
【0024】
図3は第2の実施例の正面図であり、図4はその上面図である。
第1の実施例と異なる点は、吸引移動手段として、サクションロータに代えて上下のサクションベルトを用いた点である。
上サクションベルト21はプーリ25、25に掛け渡されて上吸引チャンバ23の周囲を周回するようになっている。上吸引チャンバ23が吸引パイプ7で図示されていないエア吸引ポンプ6に結合されている。上吸引チャンバ23の折丁側の面には比較的大きなエア吸引穴が1個又は複数個設けられており、その部分を上サクションベルト21が通過すると、上サクションベルト21の穴26をからエアを吸引するようになる。
このエア吸引によって、支持板2からベルトの所まで出ている折丁が吸着され、ベルトの周回によって引き出されていくことになる。
【0025】
上吸引チャンバ23の形状およびプーリ25の配置は、上サクションベルト21が、ガイド19近くまでは、ほぼ支持板2の延長線上に伸び、ガイド19の直前からは延長線から外側へ傾斜するように配置されている。
引き出された折丁はこの傾斜によって折りが開かれる方向に向かう。そしてこの傾斜部分の途中で、ガイド12の左端部分が上サクションベルト21の上で、上から見ると交差するように出ているので、開かれた折丁の紙面はガイド12に沿って右方へ進むことになる。
【0026】
下サクションベルト22は、支持板2の延長線に沿ってのみ周回するようになっている。これは、下サクションベルト22は折丁の折目に近い方にあるため、折丁の引き出し段階でこの部分を開く必要がないためである。
従って、下吸引チャンバ24の形状も直方体状である。そして吸引パイプ8によってエア吸引ポンプ6に繋がっていることは上吸引チャンバ23と同じである。引き出された後の部分の構成は、第1の実施例の場合と同じである。
また、供給台1、支持板2、ベルト10、11等の機能も全く第1の実施例の場合と同じである。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の折丁供給装置の第1の実施例の正面図である。
【図2】本発明の折丁供給装置の第1の実施例の上面図である。
【図3】本発明の折丁供給装置の第2の実施例の正面図である。
【図4】本発明の折丁供給装置の第2の実施例の上面図である。
【図5】背景技術における折丁供給装置の構成概略図である。
【符号の説明】
【0028】
1 供給台
2 支持板
3 サクションロータ
4 搬送ローラ
5 吸引ファン
6 エア吸引ポンプ
7 吸引パイプ
8 吸引パイプ
9 エア吸引穴
10 ベルト
11 ベルト
12 ガイド
13 ガイド
14 ガイド
15 捌き
16 サクションロータ
17 エア吸引穴
18 中板
19 ガイド
20 ファン吸引穴
21 上サクションベルト
22 下サクションベルト
23 上吸引チャンバ
24 下吸引チャンバ
25 プーリ
26 穴
27 供給台
28 折丁
29 引き出し吸着器
30 搬送手段
31 開き吸着器
32 穴
33 ベルト
34 底板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(イ)〜(ニ)の各手段を有し、供給台上に折り目を下にして立てた状態で載置した折丁を折目方向に沿って1部ずつ引き出し折丁の上部を開いて送出することを特徴とする折丁供給装置。
(イ)折丁を載置する供給台
(ロ)供給台の載置面に対して立設されている支持板
(ハ)支持板の、折丁引き出し方向での前方側に、支持板から前方へ突出している折丁の、支持板に接している側の面を吸着し、折丁を引き出しながら折丁の上方を開く方へ動く吸引移動手段
(ニ)前記吸引移動手段によって引き出された折丁の下方部分を挟んで折丁を送り出す搬送ローラ
【請求項2】
前記吸引移動手段との間に折丁が通過する間隔を置いて、折丁の支持板に接していない側の面をエアで吸引する吸引手段が設けられていることを特徴とする請求項1記載の折丁供給装置。
【請求項3】
前記吸引移動手段の吸引移動平面と重なる位置から折丁搬送方向へ延び、上縁が、前方へ行く程折丁が開く方向へ傾斜が大きくなっているガイド板を有することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の折丁供給装置。
【請求項4】
前記吸引移動手段が、前記支持板から前方へ突出している折丁の支持板に接している側の面に吸着するエア吸引穴を有し、このエア吸引穴が前記供給台の載置面と平行な面内の円弧に沿って移動するサクションロータであることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の折丁供給装置。
【請求項5】
前記吸引移動手段が、吸引チャンバとそれを周回するベルトとからなり、吸引チャンバは前記支持板より突出している折丁の支持板に接している側の面に対向する面およびその引き出し方向へ続いて折丁の折りを開く方へ傾斜する面を有し、各面にはエア吸引穴が設けられこの面をベルトが移動して行くことにより折丁がベルトに吸着されて引き出され移動して行くものであることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の折丁供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−120387(P2009−120387A)
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−299144(P2007−299144)
【出願日】平成19年11月19日(2007.11.19)
【出願人】(000109727)株式会社デュプロ (195)
【Fターム(参考)】