説明

折畳み自立型ペットカート

【課題】折り畳んだ際の自立安定性に優れ、折り畳み操作性のよいペットカートの提供を目的とする。
【解決手段】左右の前脚部と左右の後脚部とを有し、当該左右の後脚部との間にスタンド機構を備えた折畳み自立型ペットカートであって、使用時には左右の前脚部及び後脚部を離間した状態に保持し、折り畳み時には左右の前脚部及び後脚部をそれぞれ相互に近接させ、且つ前脚部の先端部に有する前輪を上方に持ち上げるように折り畳むと、スタンド機構が左右の後脚部の間から下方に向けて下降することで自立可能であり、前記スタンド機構は、左右方向中央部に設けた接地部材と、当該接地部材の左右方向両側にスタンドフレームとをそれぞれ有し、前記左右のスタンドフレームの一端は前記接地部材に枢着し、他端は前記左右の後脚部に軸支してあり、前記接地部材は底部の左右方向両側に接地部を形成したことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は使用しない際に折り畳んで自立できるペットカートに関する。
【背景技術】
【0002】
これまでに折り畳んだ際に自立できるベビーカーは存在した(特許文献1)。
しかし、ペットカートはペットを乗せる収容部(バケット部)がベビーカーのシート部に比較して広く、折り畳んだ際の収容部がかさ高になり、自立が不安定になりやすかった。
特許文献1は自立させた際にベビーカーの重心がスタンド部の支持部に位置するように設定した旨の記載があり、そのままペットカートに適用できるものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4144786号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、折り畳んだ際の自立安定性に優れ、折り畳み操作性のよいペットカートの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る折畳み自立型ペットカートは、左右の前脚部と左右の後脚部とを有し、当該左右の後脚部との間にスタンド機構を備えた折畳み自立型ペットカートであって、使用時には左右の前脚部及び後脚部を離間した状態に保持し、折り畳み時には左右の前脚部及び後脚部をそれぞれ相互に近接させ、且つ前脚部の先端部に有する前輪を上方に持ち上げるように折り畳むと、スタンド機構が左右の後脚部の間から下方に向けて下降することで自立可能であり、前記スタンド機構は、左右方向中央部に設けた接地部材と、当該接地部材の左右方向両側にスタンドフレームとをそれぞれ有し、前記左右のスタンドフレームの一端は前記接地部材に枢着し、他端は前記左右の後脚部に軸支してあり、前記接地部材は底部の左右方向両側に接地部を形成したことを特徴とする。
本明細書では、ペットカートの進行方向を前方と表現し、進行方向と直交する方向を左右方向と表現する。
ペットカートはフレーム車体構造を有し、このフレームに犬等のペットを収容するバケット部を取り付けたものである。
フレーム構造からなる左右の前脚部と左右の後脚部とを離間又は近接方向に移動する構造としては、例えば2本のフレームをクロスさせたXフレーム構造を採用することができ、前脚部の前輪を持ち上げるように折り畳む構造としては、手押しするハンドルフレームと前脚部を構成するフレームとを屈曲自在に連結し、後脚部を構成するフレームの上端をハンドルフレームの途中に回動自在に連結するフレーム構造例等が挙げられる。
なお、本発明は左右後脚部が相互に近接する方向に折り畳むことができるフレーム構造であれば、カートのフレーム車体構造に制限はない。
【0006】
ここで左右のスタンドフレームは、自立した状態で前記後脚部の軸支部から左右方向外側に延在した軸支片部と、当該軸支片部から前方で斜め下方に向けて折り曲げ延在した傾斜部と、当該傾斜部の先に当該傾斜部よりも大きく下方に傾斜した立設部を連設及び接地部材に枢着し、自立した状態でカートの重心が後輪と接地部材の接地部との間に有するようにするのが好ましく、その場合に立設部の垂直線に対する前後方向の立設角度θを1〜30度の範囲に設定するのがさらに好ましい。
【0007】
本発明において、接地部材の接地面は前方下方に向けて傾斜した傾斜底面に形成すると、後輪の接地点と接地部材の接地部との間にカートの重心を位置させやすい。
また、後脚部の軸支部形状は断面矩形形状であり、外周部に重ね合せた矩形形状の連結部材を介してスタンドフレームを軸支すると、後脚部とスタンドフレームとの連結部が強固になり、自立安定性がさらに向上する。
また、接地部材の底面を左右方向略円弧形状に形成すると、左右方向の自立安定性も向上する。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係るペットカートは折り畳む際に左右の後脚部が相互に近接するように水平移動するに伴い、左右のスタンドフレームがV字状に折れ曲がり、この左右のスタンドフレームの中央部に枢着した接地部材が下方に下降するので、カートを折り畳むだけでそのまま自立可能になる。
この場合に、カートの重心が後輪の接地点とスタンド機構の接地部材との間の垂直線上に重心が位置するので、カートが前後方向に倒れにくい。
また、接地部材の底面を左右方向略円弧形状に形成すると、左右方向の2ヶ所の接地部でカートを支えるので左右方向にも倒れにくくなる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】ペットカートを折り畳んで自立させた状態を示し、(a)はカートの前側から見た正面視、(b)は側面視を示す。
【図2】スタンド機構の動作説明図を示す。(a)はカートの使用状態であり、両側のスタンドフレームが略水平方向になるように接地部材が上昇している。(b)は折り畳み状態であり、両側のスタンドフレームがV字状に折れ曲がり、接地部材が下方に向けて下降している。
【図3】スタンド機構の斜視図を示す。
【図4】スタンド機構の側面図を示す。(a)は立設部が前方に傾斜した場合、(b)は立設部が後方に傾斜した場合を示す。
【図5】スタンドフレームと接地部材との枢着構造例を示す。(a)は接地部材が上昇した状態、(b)は接地部材が下降した状態を示す。
【図6】ペットカートの使用状態の側面視を示す。
【図7】(a)はペットカートの前方から見た正面視を示し、(b)はペットカートの後方から見た正面視を示し、(c)はペットカートの折り畳み動作を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面に基づいて本発明に係るペットカートの構造例を具体的に説明するが、本発明の趣旨の範囲にて設計変更が可能である。
【0011】
ペットカート10は図6及び図7に示すようにフレーム状の左右の前脚部11,11の上端部を手押しする左右のハンドルフレーム13,13の下端部に連結具13aを用いて屈曲自在になっている。
なお、屈曲方向は連結具13aが左右の後脚部12の下部に取り付けた後輪12aに近づく方向のみになるように連結具13aの連結部にストッパー機構が設けられている。
フレーム状の左右の後脚部12,12は左右のハンドルフレーム13,13の連結具13aより上方側の途中に回動連結具12bを用いて回動自在に連結し、ハンドルフレーム13の上部は前方に折り曲げたハンドル部13bになっている。
左右の前脚部11,11は下端部に前輪11a,11aを取り付け、左右の後脚部12,12は下端部に後輪12a,12aを取り付けてあり、後輪12aには走行をロックする走行ロック機構12cを有する。
【0012】
左右の前脚部11,11と左右の後脚部12,12とは前後輪よりも上方に位置した下部側にて、フレームをクロスさせたXフレーム14を用いて相互に連結してある。
左右の後脚部12,12は図7(b)に示すようにカート使用状態をロックするフレームロック機構を有する。
フレームロック機構は左右の前後脚部が離間した状態をロックするものであれば、その構造に限定はない。
本実施例では、左右のロックバー16,16の中央部を軸支16eし、下段側の操作バー16c,16cとその中央の軸支したつまみ部16dとを垂直バー16aを用いて両端16d,16eを連結した構造例になっている。
使用時は左右のロックバー16,16が水平よりもやや下側に折り曲がっていて、つまみ部16dを上昇させると、ロックバー16,16が上方側に反転するように折れ曲がり、左右の前後脚部が近接するように移動する。
なお、垂直バー16aは左右のクロスバー16b,16bにて上下方向スライド自在に支持されている。
このフレームロックを解除し、図7(c)に示すように折り畳むと、図6に示すようにカートの底部側に上昇していたスタンド機構20の接地部材22が図2(b)に示すように下降する。
本実施例に係るペットカートは、Xフレーム14の上部に架設されるように変形自在のペットの収容部2を載せ、フレーム15にて外側形状を維持している。
また、ファスナー3等を用いてカバー1を開閉自在に設けた例になっている。
前脚部11とハンドルフレーム13との間につなぎ部材17を取り付け、両端の掛止部17a,17bで折り畳み状態が維持される。
【0013】
次にスタンド機構20について説明する。
スタンド機構20は図1〜4に示し、カートを折り畳んで自立させた図2(b)の図で説明すると、自立した状態で左右のスタンドフレーム21,21は中央部が下降した略V字状に折れ曲がるようになっている。
断面略矩形形状の後脚部12の外周側に断面略矩形形状の連結部材24を重ね合せ、固定部24aで固定し、この連結部材24と後脚部12の前側の側面とを貫通するように左右スタンドフレーム21の軸支片部21cを軸支21dした。
左右のスタンドフレーム21,21はこの軸支片部21cが自立状態で外側に向けて延在するようになっていて、図3,図4に示すようにこの軸支片部21cから前方及び下方斜めに折り曲げた傾斜部21bを形成し、さらにその先にこの傾斜部21bよりも傾斜角の大きい立設部21aを折り曲げ形成してある。
左右の立設部21a,21aの下端は左右中央部に位置する接地部材22と枢着部23にて枢着してある。
接地部材22はその底部(底面)22dが円弧状の凹形状になっていて、左右方向両側に接地部22aが形成されている。
また、図4,図5に示すように接地部材22の側部にはスタンドフレームが上下方向に回動可能にした空間部22bと、立設状態で接地部材が左右方向に大きく回動しないようにストッパー部22cを形成した。
また、接地部材22の接地面は図4に示すように前方下方に傾斜した傾斜底面22a’になっている。
本発明では図4(a),(b)に示す立設部21aの垂直線に対する前後方向の立設角度θが1〜30度、好ましくは1〜15度の範囲がよく、接地部材22の傾斜底面(接地面)の角度θは5〜30度の範囲が好ましい。
なお、図4(a),(b)に示したように立設部21aの傾斜方向は前方でも後方側でもよい。
これにより、折り畳んだ状態でかさ高になりやすいペットカートであってもカート重心が後輪12aの接地点と接地部材22の接地部22aとの間の垂直線上に位置し、倒れにくくなる。
また、スタンドフレームを傾斜部21bと立設部21aとを下方及び中央方向に折り曲げるように形成したので、図6に示すように水平状態では後端部より前方側の奥に入り込み、折り畳むと図3に示すように後輪12aから前方に所定の間隔を隔てて接地部材22が下降する。
【符号の説明】
【0014】
10 ペットカート
11 前脚部
11a 前輪
12 後脚部
12a 後輪
14 Xフレーム
20 スタンド機構
21 スタンドフレーム
21a 立設部
21b 傾斜部
21c 軸支片部
22 接地部材
22a 接地部
22d 底部
24 連結部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右の前脚部と左右の後脚部とを有し、
当該左右の後脚部との間にスタンド機構を備えた折畳み自立型ペットカートであって、
使用時には左右の前脚部及び後脚部を離間した状態に保持し、折り畳み時には左右の前脚部及び後脚部をそれぞれ相互に近接させ、且つ前脚部の先端部に有する前輪を上方に持ち上げるように折り畳むと、スタンド機構が左右の後脚部の間から下方に向けて下降することで自立可能であり、
前記スタンド機構は、左右方向中央部に設けた接地部材と、当該接地部材の左右方向両側にスタンドフレームとをそれぞれ有し、前記左右のスタンドフレームの一端は前記接地部材に枢着し、他端は前記左右の後脚部に軸支してあり、
前記接地部材は底部の左右方向両側に接地部を形成したことを特徴とする折畳み自立型ペットカート。
【請求項2】
前記左右のスタンドフレームは、自立した状態で前記後脚部の軸支部から左右方向外側に延在した軸支片部と、当該軸支片部から前方で斜め下方に向けて折り曲げ延在した傾斜部と、当該傾斜部の先に当該傾斜部よりも大きく下方に傾斜した立設部を連設及び接地部材に枢着し、自立した状態でカートの重心が後輪と接地部材の接地部との間に有することを特徴とする請求項1記載の折畳み自立型ペットカート。
【請求項3】
前記立設部の垂直線に対する前後方向の立設角度θを1〜30度の範囲に設定したことを特徴とする請求項2記載の折畳み自立型ペットカート。
【請求項4】
前記接地部材の接地面は前方下方に向けて傾斜した傾斜底面に形成したことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の折畳み自立型ペットカート。
【請求項5】
前記後脚部の軸支部形状は断面矩形形状であり、外周部に重ね合せた矩形形状の連結部材を介してスタンドフレームを軸支し、接地部材の底面を左右方向略円弧形状に形成したことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の折畳み自立型ペットカート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−197002(P2012−197002A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−61526(P2011−61526)
【出願日】平成23年3月18日(2011.3.18)
【出願人】(000107066)株式会社リッチェル (77)
【Fターム(参考)】