抜き装置
【課題】抜時の振動および発生音が一般的な家屋や事務所などであっても問題とならない低振動で発生音の小さな抜き装置を提供する。
【解決手段】下方セットベース81と、この下方ベース81の上方に位置された上方ベース82と、上方ベース82に昇降可動自在に設けられた、螺旋溝が形成されたボールネジからなる螺旋シャフト83と、螺旋シャフト83に螺合された、回転動作によって該螺旋シャフト83を昇降可動させるボールネジナットからなる回転螺合体84と、回転螺合体84を回転駆動させるためのサーボモータからなる駆動手段85と、螺旋シャフト83の回転を止め昇降可動を支持案内するシャフト支持案内部86と、下方セットベース81側にセットされた抜型1を、材料から形成材を抜く抜き動作させる螺旋シャフト83の押し動作を伝える型押し部87と、下方セットベース81と上方ベース82を連結する4本の支柱88とからなっている。
【解決手段】下方セットベース81と、この下方ベース81の上方に位置された上方ベース82と、上方ベース82に昇降可動自在に設けられた、螺旋溝が形成されたボールネジからなる螺旋シャフト83と、螺旋シャフト83に螺合された、回転動作によって該螺旋シャフト83を昇降可動させるボールネジナットからなる回転螺合体84と、回転螺合体84を回転駆動させるためのサーボモータからなる駆動手段85と、螺旋シャフト83の回転を止め昇降可動を支持案内するシャフト支持案内部86と、下方セットベース81側にセットされた抜型1を、材料から形成材を抜く抜き動作させる螺旋シャフト83の押し動作を伝える型押し部87と、下方セットベース81と上方ベース82を連結する4本の支柱88とからなっている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート状ないし板状の材料から四角形(ICカード、クレジットカード、ゲームカード、名刺など)、多角形、円形(紙カップ形態のアイスクリーム容器の円形の嵌蓋、牛乳瓶の紙製嵌蓋、紙製あるいは合成樹脂製のカップラーメン容器の開口縁に溶着、融着、接着などにより付着されたシート状ないし板状の蓋など)、複雑な形(動物などの絵柄プレートないしシート、ロゴプレートないしシート、)あるいは半導体チップなどの形成材を抜形成する抜き装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カードなどの形成材を抜形成する抜き装置として、弾み車(ハンマー駆動部2)の回転によってハンマーの上下移動によって抜型の上型(可動型)を上下可動させてカードを抜く抜き装置が知られている。(例えば:特許文献1)
また、カードをシートや板材などの材料から打ち抜き動作するパンチを有する可動型と、前記パンチによって前記カードを該パンチとともに挟持しながら沈み動作するパンチアウトを有する固定型と、前記可動型を前記固定型から常に離間させるように反発付勢機能する離間弾性体と、前記可動型の上方に位置して該可動型の上昇位置を止め規制する可動型離間規制部とからなるとともに、前記材料の非打抜時においては前記離間弾性体によって前記可動型は前記固定型から強制的に離され且つ該可動型は前記可動離間規制部で止められて、前記可動型と前記固定型の間に形成される非打抜時の材料通し隙間の隙間距離が、前記材料1枚の厚みよりも広い隙間距離であり且つ該材料2枚の厚みよりも狭い隙間距離であるカードの抜き装置が知られている。(例えば特許文献2)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-44851号公報(図1)
【特許文献2】特許第4637255号公報(図10〜図13)
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献2】特になし
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
1.上述した従来技術の内の特許文献1のものは次に述べるような欠点を有するものであった。
1−(1)ハンマーは可動型から離れて、打ち降ろされ可動型に打ち当てられものであるため、打ち込時に大きな振動および打抜音が発生するという欠点を有するものであった。
1−(2)前記(1)によって、設置場所が振動に耐えられる基礎を設置する箇所でなくてはならず、建物の2階などには設置できないものであったし、振動対策を施した基礎に経費が掛かる、設置屋内ないし部屋に防音対策をしなくてはならないために、設置場所が周囲環境に影響を与えない工場などに限定されるという欠点を有するものであった。
1−(3)前記(1)によって、装置が背丈の高い(2mを超える)大型で重量のあるものとなり、装置が高価、運搬や設置に多大な経費がかかるものであった。
また、グリスを与えるなどメンテナンスが高コストになるとうい欠点を有するものであった。
1−(4)前記(1)によって、弾み車を回転途中で停止させることが出来ないために、可動型の上昇停止位置をハンマーでは制御出来ないものであるため、可動型の上昇をハンマーで止めることはできず、可動型の上昇は他の上昇止めストッパーによって止めるので、可動型の上昇止めストッパーに打ち当るときに大きな打ち当り音および振動が発生するという欠点を有するものであった。
(5)弾み車を回転させるために駆動モータも大型となり消費電力が大きいという欠点を有するものであった。
2.上述した従来技術の内の特許文献2のものは、前記特許文献1のものと同様な欠点を有するとともに、次に述べるような欠点を有するものであった。
2−(1)打ち抜く材料の厚みに合わせて材料通し隙間を設定しなければならないために、可動型離間規制部の精密な位置を材料の厚みが異なる毎にその都度調節しなければならないものであった。
2−(2)離間弾性体の反発付勢力によって押し上げられる可動型が可動型離間規制部に衝突形態で当るので、可動型離間規制部の規制位置に狂いが生じるという危険があり、該狂いが生じた場合は、装置を停止させて可動型離間規制部の調節をしなければならないものであった。
【0006】
本発明は以上のような従来技術に鑑みてなされたものであって、その目的は、抜時の振動および発生音が一般的な家屋や事務所などであっても問題とならない低振動で小音量を実現し、厚みの異なる材料に対応して容易且つ素早く材料の1枚の厚みよりも隙間距離が広くかつ該材料の2枚の厚みよりも狭い隙間距離の材料通し隙間が得られる抜き装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は次のような構成としている。
【0008】
<請求項1記載の発明>
可動型、この可動型に対向してその位置が固定されて設けられた固定型、前記可動型と前記固定型の間に通された材料を、前記可動型の抜動作によって抜いて形成材を形成する抜き装置であって、
前記可動型を前記抜き動作させる螺旋シャフトと、
この螺旋シャフトに螺合された、回転動作によって該螺旋シャフトを直線往復動作させる回転螺合体と、
この回転螺合体を回転駆動させるための駆動手段と、
この駆動手段を制御する制御部と、
この制御部に設けられた、前記可動型と前記固定型の間に形成される前記材料を移動自在に通すための材料通し隙間の、設定最大隙間距離を記憶する最大隙間距離記憶部とからなるとともに、
前記設定最大隙間距離が、前記材料の1枚の厚みよりも広い隙間距離でありかつ該材料の2枚の厚みよりも狭い隙間距離であるように、前記螺旋シャフトの最大離間停止位置によって決められるように制御してなることを特徴とする抜き装置である。
<定義>
(1)「材料から形成材を抜く抜き動作」には、打ち抜く、押し抜くあるいは切り抜くなどである。
(2)「螺旋シャフトの最大離間停止位置」とは、形成材の抜き動作時における螺旋シャフトが固定型から最大に離間した停止位置であり、螺旋シャフトの直線往復動作(スライド移動)の設定範囲におけるストロークの最上点(「上部点」という意味ではなく、最も延びた点、最も出た点を意味し、横向き、下向きという場合もある。)る。この最大離間停止位置によって可動型と固定型の間に形成される材料通し隙間の設定最大隙間距離が規程・決定されるものである。
(3)螺旋シャフト、回転螺合体、駆動手段からなる駆動部と、可動型、固定型からなる抜型の配置は、駆動部が上で抜型が下、駆動部が下で抜型が上、駆動部と抜型が横配列など多様な配置形態がある。
(4)「螺旋シャフト」には、棒体の外周に螺旋溝が螺刻されてなるもの、中空棒体の内周面に螺旋溝が螺刻されてなるもの、棒体の外周面ないし内周面に螺旋溝の一部が螺刻されてなるものなどがある。
(5)「回転螺合体」には、ナット体であるもの、棒体の外周に螺旋溝が螺刻されてなるもの、螺旋シャフトの螺旋溝に交差形態で螺合(ウオームギア―形態など)するものなどがある。
【0009】
<請求項2記載の発明>
螺旋シャフトがボールネジであり、回転螺合体がボールネジナットであることを特徴とする請求項1記載の抜き装置である。
【0010】
<請求項3記載の発明>
可動型と固定型が同一案内シャフト上に一体化された抜型とされ、
前記可動型と前記固定型を常に反発付勢力によって離間させるように機能する離間弾性体が設けられ、
前記離間弾性体により離間可能とされる前記可動型の離間可能距離は設定最大隙間距離を超えた離間距離であり、
前記離間弾性体の可動型を離間させる離間速度が螺旋シャフトの離間速度よりも早いことを特徴とする請求項1、2のいずれか1項に記載の抜き装置である。
【0011】
<請求項4記載の発明>
下方セットベースが設けられ、
前記下方ベースに離間対向された上方セットベースが設けられ、
前記上方セットベース側に駆動手段、回転螺合体、螺旋シャフトが設けられ、
固定型が前記下方セットベースに固定され、
前記固定型あるいは可動型に材料から形成材を抜くパンチが設けられ、
前記固定型に固定型側シャフト取付け部が設けられ、
前記可動型にシャフト通し孔である可動型側シャフト取付け部が設けられ、
連結シャフト本体、この連結シャフト本体の一方の側に設けられた、前記固定型側シャフト取付け部に固定される固定型取付け部、前記連結シャフト本体の他方の側に設けた前記可動型側シャフト取付け部に通されて前記可動型を移動自在に支持する可動型取付け部とからなる連結シャフトが設けられ、
離間弾性体が、弾性体本体、該弾性体本体を貫く中空部とからなっていて、かつ、前記連結シャフトを前記中空部に通して該連結シャフトに取り付けられ、前記固定型と前記可動型の間に位置されて該可動型をその圧縮された反発付勢力により持ち上げ弾性支持するものあることを特徴とする請求項3に記載の抜き装置である。
【0012】
<請求項5記載の発明>
材料がプラスチック製部材であり、
固定型あるいは可動型に材料から形成材を抜く該固定型あるいは該可動型から出入りするパンチが設けられ、
前記固定型あるいは前記可動型に前記パンチによって前記材料から押し出された前記形成材によって沈み動作して該形成材が入る凹み部位を形成するパンチアウトが設けられ、
前記形成材の一方の抜き刃となる前記パンチのパンチ縁刃の抜き完了停止位置が螺旋シャフトの下死点位置によって決定され、
前記材料に食い込みかつ前記形成材の他方の抜き刃となる前記パンチアウトのアウト縁刃位置に到達しない、かつ、前記材料に食い込んだ前記パンチ縁刃と前記アウト縁刃の間に該材料の残肉部位が残った形態となって、前記パンチ縁刃と前記アウト縁刃が前記食い込んだ状態で前記残肉部位が破断して前記形成材の抜きが、前記下死点位置到達時ないしそれより前に完了するものであることを特徴とする請求項3記載の抜き装置である。
<定義>
「螺旋シャフトの下死点位置」とは、螺旋シャフトの直線往復動作(スライド移動)の設定範囲におけるストロークの最下点(「下部点」という意味ではなく、最も縮んだ点、最も引っ込んだ点を意味し、螺旋シャフトが横向き、下向きという場合もある。)
【0013】
<請求項6記載の発明>
可動型が螺旋シャフトに一体的に動作するように、直接的あるいは他の部材を介して固定された形態であることを特徴とする請求項1、2のいずれか1項に記載の抜き装置である。
【0014】
<請求項7記載の発明>
実際の最大隙間距離ないし可動型の位置を検出する検出部を設け、
前記検出部の検出した前記実際の最大隙間距離ないし前記可動型の位置が、設定最大隙間距離から外れた場合には、螺旋シャフトの最大離間停止位置を前記設定最大隙間距離となる停止位置に自動的に調節するように制御されるようにしてなることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の抜き装置である。
「設定最大隙間距離から外れた場合」とは、設定最大隙間距離から外れたら即変更・修正する、設定最大隙間距離より所定距離外れたら変更・修正するなどである。
【発明の効果】
【0015】
以上の説明から明らかなように、本発明にあっては次に列挙する効果が得られる。
【0016】
<請求項1記載の発明の効果>
可動型、この可動型に対向してその位置が固定されて設けられた固定型、前記可動型と前記固定型の間に通された材料を、前記可動型の抜動作によって抜いて形成材を形成する抜き装置であって、
前記可動型を前記抜き動作させる螺旋シャフトと、
この螺旋シャフトに螺合された、回転動作によって該螺旋シャフトを直線往復動作させる回転螺合体と、
この回転螺合体を回転駆動させるための駆動手段と、
この駆動手段を制御する制御部と、
この制御部に設けられた、前記可動型と前記固定型の間に形成される前記材料を移動自在に通すための材料通し隙間の、設定最大隙間距離を記憶する最大隙間距離記憶部とからなるとともに、
前記設定最大隙間距離が、前記材料の1枚の厚みよりも広い隙間距離でありかつ該材料の2枚の厚みよりも狭い隙間距離であるように、前記螺旋シャフトの最大離間停止位置によって決められるように制御してなることを特徴とする抜き装置であるので、次に述べるような効果を奏する。
すなわち、
(1)回転螺合体による螺旋シャフトの直線往復動作によって可動型を往復動作させ、その固定型へ向けての螺旋シャフトの可動型の押し動作が抜き動作であるものであり、かつ、「前記設定最大隙間距離が、前記材料の1枚の厚みよりも広い隙間距離でありかつ該材料の2枚の厚みよりも狭い隙間距離であるように、前記螺旋シャフトの最大離間停止位置によって決められる」という、すなわち、可動型を押し動作する螺旋シャフトが材料隙間距離を決め規制するものとしたので、可動型が材料通し隙間形成動作(非抜時)時に衝突当るものが無いことになるものである。
よって、その抜き動作時の振動と雑音は、駆動手段(一般的にはサーボモータが好適)の駆動音、回転螺合体の回転音および螺旋シャフトとの摩擦音、材料を抜く時の抜き音だけであり、その総振動および総騒音は一般的な事務所においてのレーザーコピー機の動作音、振動と同等ないしそれよりも小さいものであるという効果を奏する。
これによって、プレート形態ないしシート形態の材料にカードの絵柄等を印刷する印刷機に連動したカード抜き装置からなるカード形成装置を、事務所などの静けさを必要とする箇所にも設置しカード等を作成発行することを可能とするものである。
また、振動が極めて小さい、小型、軽量であることから、それを設置する箇所の基礎となる部位の強化が殆ど必要無い、従来の技術では無理であった事務所の2階などへの設置も床の補強無しに容易に実現可能とするものである。
また、低振動であるので、固定型、可動型および装置への振動による悪影響が大幅に軽減されるので、装置全体の耐久性と安定性を大幅に向上させるものである。
(2)材料通し隙間の、設定最大隙間距離を記憶する最大隙間距離記憶部が設けられ、材料通し隙間の隙間距離が材料の1枚の厚みよりも広い隙間距離でありかつ該材料の2枚の厚みよりも狭い隙間距離であるように、前記螺旋シャフトの最大離間停止位置によって決められように制御されるものであるので、厚みの異なる材料に変わる場合には、最大隙間距離記憶部で記憶された最大隙間距離を設定するだけの簡単・容易な操作だけで異なる厚さの材料に対応した最大隙間距離が素早く実現されるという効果を奏する。
(3)可動型の動作は螺旋シャフトの回転直線往復動作によって規制され、かつ、その規制された動作は材料の1枚の厚みより距離よりも長く材料の2枚の厚み距離よりも短い設定最大隙間距離内に常に規制された動作になり、かつ、螺旋シャフトの回転(正転・逆転)は人が手で触れても何ら危害を与えない僅かな回転動作であるという効果を奏する。
これによって、例えば、銀行カード(厚み規格は0.76mm)であれば、材料通し隙間の設定最大隙間は例えば0.76mm+0.38mm=1.14mm(0.9mm〜1.4mmの間の適当な距離でより)となり、この場合、直線往復動作する箇所とその可動距離は螺旋シャフトと可動型の1.14mmだけであることになる。
すなわち、1.14mmの機器の可動動作であり、動作時はそこに0.76mmの材料が入っての動作であることから、1.14mm−0.76m=0.38mmの隙間に指を挟む危険が全くないものであり、よって、指を挟むなどの危険が全く無い安全な抜き装置(特に銀行カード、クレジットカートなどのカードの1mm以下の材料の抜きに適している)を実現する。
よって、1mm以下の材料の抜きにあっては、可動型部および螺旋シャフトを囲う安全囲いの必要の無い、安全囲いが無くても十分に安全である抜き装置を実現する。
(4)前記(1)によって、オペレータが作業し易い背丈1.5mないしそれ以下のものにでき、かつ、小型・軽量・低コスト化を実現するという効果を奏する。
これによって、梱包、輸送、設置場所、組立・設置易さなどで低コスト化を実現する。
また、電気を消費するものがサーボモータなどの駆動手段と、設定ディスプレイを含む制御系だけであるので、高い省エネ性を実現している。
(5)前記(1)によって、動作部が駆動手段(一般的にはサーボモータが好適)、減速歯車、回転螺合体、螺旋シャフトというシンプルでメンテナンスの余り必要の無い構成であるので、グリスをやるなどの汚れのメンテナンスの必要がなく、高信頼性と高いメンテナンス性を実現するという効果を奏する。
(6)螺旋シャフトとその型押し部の最少移動距離で抜き動作と材料通し隙間成形動作を実現するものであるので、タイミング車が一周するまで次の打抜動作までの時間を要する従来技術と比べて、そのような待ち時間の無いものであるので、生産性の高い抜き装置を実現するものである。
(7)例えば、ギア―比によって、1/100mm、1/1000mmというような高精度の往復移動停止制御を行うことも容易に実現するものであり、ギア―もウォームギヤなどでより高精度化が容易にできる。
【0017】
<請求項2記載の発明の効果>
螺旋シャフトがボールネジであり、回転螺合体がボールネジナットであることを特徴とする請求項1記載の抜き装置であるので、請求項1に記載の発明と同様な効果を奏するとともに、次に述べるような効果を奏する。
すなわち、
より低振動化、低雑音化、滑らかな動作化、停止位置の高精度化と高耐久性化を実現する。
【0018】
<請求項3記載の発明の効果>
可動型と固定型が同一案内シャフト上に一体化された抜型とされ、
前記可動型と前記固定型を常に反発付勢力によって離間させるように機能する離間弾性体が設けられ、
前記離間弾性体により離間可能とされる前記可動型の離間可能距離は設定最大隙間距離を超えた離間距離であり、
前記離間弾性体の可動型を離間させる離間速度が螺旋シャフトの離間速度よりも早いことを特徴とする請求項1、2のいずれか1項に記載の抜き装置であるので、請求項1、2のいずれか1項に記載の発明と同様な効果を奏するとともに、次に述べるような効果を奏する。
すなわち、
離間弾性体により離間可能とされる可動型の離間可能距離は設定最大隙間距離を超えた離間距離であり、離間弾性体の可動型を離間させる離間速度が螺旋シャフトの離間速度よりも早いとうことは、可動型は常に螺旋シャフトに離間弾性体の反発付勢力によって押し付けられた状態で動作しているとういことであり、よって、可動型の移動動作による当り音は無く、可動型と螺旋シャフトは固定された同士のような一体化した動作であるという効果を奏する。
これによって、例えば、図7に示すような抜型において、締付手段6(ナットなど)による前もっての材料通し隙間の調節設定を行わなくてもよく、さらには、締付手段6(ナットなど)を設けないことを可能とし、よって、抜型の分解組立作業が早くすることも可能とするものである。
【0019】
<請求項4記載の発明の効果>
このような構成としても請求項3に記載の発明と同様な効果を奏する。
【0020】
<請求項5記載の発明の効果>
材料がプラスチック製部材であり、
固定型あるいは可動型に材料から形成材を抜く該固定型あるいは該可動型から出入りするパンチが設けられ、
前記固定型あるいは前記可動型に前記パンチによって前記材料から押し出された前記形成材によって沈み動作して該形成材が入る凹み部位を形成するパンチアウトが設けられ、
前記形成材の一方の抜き刃となる前記パンチのパンチ縁刃の抜き完了停止位置が螺旋シャフトの下死点位置によって決定され、
前記材料に食い込みかつ前記形成材の他方の抜き刃となる前記パンチアウトのアウト縁刃位置に到達しない、かつ、前記材料に食い込んだ前記パンチ縁刃と前記アウト縁刃の間に該材料の残肉部位が残った形態となって、前記パンチ縁刃と前記アウト縁刃が前記食い込んだ状態で前記残肉部位が破断して前記形成材の抜きが、前記下死点位置到達時ないしそれより前に完了するものであることを特徴とする請求項3記載の抜き装置であるので、請求項3記載の発明の効果と同様な効果を奏するとともに、次に述べるような効果を奏する。
すなわち、
パンチの下死点が螺旋シャフトの下死点によって決定され、パンチ縁刃が材料に食い込みかつ形成材の他方の抜き刃となるアウト縁刃位置に到達しない、かつ、材料に食い込んだパンチ縁刃とアウト縁刃の間に該材料の残肉部位が残った形態となって、パンチ縁刃とアウト縁刃が材料に前記食い込んだ状態で残肉部位が破断して形成材の抜きが完了するようにしたので、形成材の周縁の破断した部位が抜き時の発熱温度によって滑らかな状態となり、よって、周縁がバリの無い滑らかな指触感の形成材にでき、パンチ縁刃とアウト縁刃が非接触での抜きであるのでパンチおよいパンチアウトの使用耐久性が向上し、パンチ縁刃とアウト縁刃が非接触であるので、縁刃同士を同一線上とすることができる。
【0021】
<請求項6記載の発明の効果>
このような構成としても請求項1、2のいずれか1項に記載の発明と同様な効果を奏する。
【0022】
<請求項7記載の発明の効果>
実際の最大隙間距離ないし可動型の位置を検出する検出部を設け、
前記検出部の検出した前記実際の最大隙間距離ないし前記可動型の位置が、設定最大隙間距離から外れた場合には、螺旋シャフトの最大離間停止位置を前記設定最大隙間距離となる停止位置に自動的に調節するように制御されるようにしてなることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の抜き装置であるので、請求項1〜6のいずれか1項に記載の発明と同様な効果を奏するとともに、次に述べるような効果を奏する。
すなわち、
検出部によって実際の最大隙間距離ないし可動型の位置を常に検出することを可能としており、かつ、その検出結果によって、設定最大隙間距離への変更・修正が必要と判断されると、打抜動作を停止することなく続けた状態で速やかに螺旋シャフトの最大離間停止位置を変更・修正することを可能にするという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施例1のハンマーが抜型から離れた状態の側面図。
【図2】本発明の実施例1のハンマーが抜型に当っている状態の側面図。
【図3】本発明の実施例1のハンマーが抜型から離れた状態の正面図。
【図4】本発明の実施例1のハンマー支持部の斜視図。
【図5】本発明の実施例1の抜型の組立分解斜視図。
【図6】本発明の実施例1の抜型の組立図。
【図7】本発明の実施例1の抜型の材料セット時の断面図。
【図8】本発明の実施例1の抜型の形成材抜き時の断面図。
【図9】本発明の実施例1の抜型の形成材の抜き跡戻し時の断面図。
【図10】本発明の実施例2の抜型の側面図。
【図11】本発明の実施例3の制御を示すブロック図。
【図12】本発明の実施例3の隙間距離設定部の設定画面図。
【図13】本発明の実施例3の形成材の形成プロセスを示す部分断面図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、図面に示す本発明を実施するための最良の形態である実施例を説明する。但し、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。また、後述する実施例の説明にあたって前述した実施例と同じ構成には同じ符号を付しその説明を省略する。
【実施例1】
【0025】
図1〜図9において80は抜き装置であって、この抜き装置80は、下方セットベース81と、この下方ベース81の上方に位置された上方ベース82と、この上方ベース82に1/100mmの精度で昇降可動自在に設けられた、螺旋溝が形成されたボールネジからなる螺旋シャフト83と、この螺旋シャフト83に螺合された、回転動作によって該螺旋シャフト83を昇降可動させるボールネジナットからなる回転螺合体84と、この回転螺合体84を回転駆動させるためのサーボモータからなる駆動手段85と、前記螺旋シャフト83の回転を止め昇降可動を支持案内するシャフト支持案内部86と、前記下方セットベース81側にセットされた抜型1を、材料Aから形成材Bを抜く抜き動作させる前記螺旋シャフト83の押し動作を伝える型押し部87と、下方セットベース81と上方ベース82を連結する4本の支柱88、88、88、88とからなっている。
【0026】
サーボモータ、ステッピングモータなどからなる駆動手段85の主軸70には小歯車71が設けられ、該小歯車71は大歯車72に噛みあわされ、大歯車72の軸心には回転螺合体84が固定されている。
駆動手段85による制御された駆動により、打抜時動作時の昇降速度を好みのもの、適切なものあるいは変化させることも可能である。
【0027】
シャフト支持案内部86は、支柱88、88、88、88上を移動自在とされたリニアベアリング89、89、89、89と、このリニアベアリング89、89、89、89が一体的に移動するようにするための、一方の列のリニアベアリング89、89同士を連結する連結部材90、その対向側の他方の列のリニアベアリング89、89同士を連結する連結部材90、ベアリング連結部材90、90をその中央で連結する連結部材91とからなるベアリング連結体92とからなっている。
連結部材91の上部には螺旋シャフト83の下端を回転しないように且つ外れないように固定している螺旋シャフト固定部93が設けられている。
【0028】
下方ベース81には調整ベース94が固定され、その上に抜型1をセットしている。
上方ベース82の上部正面には、設定、制御用のディスプレイ95(目線高さ1.5m)が設けられている。下方ベース81の下方には電源、制御系を収納する電源・制御系ケース96が設けられている。
抜型1の右側には、材料送り部97を設け、抜型1の左側には形成材搬送部98と形成材収納部99を設ける。
【0029】
図5〜図9において1は抜型であって、
この抜型1は、
下方セットベース81側に固定される固定型3と、
この固定型3の上方に上下可動可能に位置された可動型4と、この可動型4と固定型3を連結一体化するための連結シャフト5、5と、
この連結手段5、5に螺合されて可動型4を閉め付ける締付手段6、6と、
連結シャフト5、5に取り付けられ可動型4と固定型3の間に位置されるとともに、締付手段6、6によって絞め付け圧縮すること可能とされ、可動型4と固定型3をその弾性反発力によって離し、可動型4と固定型3の間に最大通し隙間距離を型押し部87によって規制された材料通し隙間7を形成する離間弾性体8とからなっている。
【0030】
固定型3は次のような構成となっている。
抜き装置のベース2に固定するボルト10を通すネジ通し穴11を四つの角部位に設けた固定型ベース12と、
固定型ベース12の4箇所に設けられた案内シャフト取付けネジ孔13(ネジ穴)と、
案内シャフト取付けネジ孔13、13の間に設けられた、ネジ孔からなる2箇所の固定型側シャフト取付け部14、14と、
固定型ベース12の上部にボルトによって固定されたパンチアウト支持体15と、
このパンチアウト支持体15に上方が開放されて形成されたパンチアウト可動支持凹部16と、
パンチアウト支持体15の上部にボルトで固定され、パンチアウト可動支持凹部16の開放部を塞いで顎部17を形成するとともに、中央にパンチアウト通し案内孔18を設けてなるパンチアウト案内体19と、
パンチアウト可動支持凹部16に納められたウレタンゴム製部材、ニトロゴム製部材などのゴム製弾性体、あるいは圧縮コイルバネなどのパンチアウト側圧縮弾性体20と、
このパンチアウト側圧縮弾性体20の上部に設けられパンチアウト可動支持凹部16に移動可能に収納されるとともに、パンチアウト案内体19によってパンチアウト側圧縮弾性体20を圧縮する形態で、パンチアウト案内体19とパンチアウト側圧縮弾性体20の間に挟持形態とされたパンチアウトフランジ部21と、
このパンチアウトフランジ部21にボルトによって固定され、パンチアウト通し案内孔18に通され、その上面をパンチアウト案内体19の上面と同一面としてなる固定側パンチアウト22とからなるとともに、
固定側パンチアウト22に上部から圧力をかけると、その圧力でパンチアウト側圧縮弾性体20が圧縮され縮み固定側パンチアウト22およびパンチアウトフランジ部21が沈み動作し、圧力から開放されるとパンチアウト側圧縮弾性体20は膨張してパンチアウトフランジ部21および固定側パンチアウト22を浮き動作させて、パンチアウトフランジ部21が顎部17に当り浮き上がりが停止され、固定側パンチアウト22の上面がパンチアウト案内体19の上面と同一面となる。
【0031】
可動型4は次に述べるような構成となっている。
可動型ベース25と、
この可動型ベース25の上部にボルトで固定された受け板26と、
可動型ベース25の下部にボルトによって固定されたパンチベース27と、
このパンチベース27の下部にボルトによって固定されたパンチ首部28と、
このパンチ首部28の下部にボルトによって固定されたパンチフランジ部29と、
このパンチフランジ部29の下部にボルトによって固定された可動側パンチ30と、
パンチ首部28を通す首部通し孔31を有するとともに、下面をパンチフランジ部29の上部面が当る顎部32としてなる首部通し体33と、
この首部通し体33の下部にボルトによって固定された、下部にパンチ通し孔34を有し、上部が開放されて凹形成されたフランジ収納部35を有するとともに、その下面を可動側パンチ30の下面と同一面としてなるフランジ収納体36と、
パンチフランジ部29の下部に位置され且つフランジ収納部35に収納されて、パンチフランジ部29を上方に弾性反発付勢力で押し上げ顎部32に付勢押し付け状態にしている、ボルトで締め固定されている首部通し体33によって圧縮されているパンチ側圧縮弾性体37と、
可動型ベース25の4箇所の通し孔に取付けた案内管38による4箇所の案内シャフト通し案内孔39と、
この案内シャフト通し案内孔39、39の間に設けられたシャフト通し孔である2箇所の可動型側シャフト取付け部40、40とからなっている。
【0032】
連結シャフト5、5は、可動型側シャフト取付け部40に通されるストレートシャフトからなる連結シャフト本体45と、この連結シャフト45の一方の側に設けられた固定型3の固定型側シャフト取付け部14に螺合する雄ネジからなる固定型取付け部46と、連結シャフト本体45の他方の側に設けた、可動型ベース25の上部に突出される雄ネジ部位からなる可動型取付け部47と、固定型取付け部46に螺合され該固定型取付け部46の上部に位置されてなるナット48とからなっている。
【0033】
連結シャフト本体45に取り付けられる離間弾性体8は、圧縮コイルバネ、ウレタンゴム製弾性体、ニトロゴム製弾性体などの弾性体本体50と、この弾性体本体50を貫く中空部51とからなり、連結シャフト本体45を中空部51に通して移動可能に連結シャフト5に取り付けられ、固定型3と可動型4の間に位置されて該可動型4を該固定型3からその弾性反発付勢力により離した状態に弾性支持する。
【0034】
4箇所の案内シャフト取付けネジ孔13のそれぞれには、リニアベアリング55を備え下部には雄ネジ58有する案内シャフト56が、雄ネジ58を案内シャフト取付けネジ孔13に螺合し固定立上られ、リニアベアリング55は可動型4の案内シャフト通し案内孔39に通され、可動型4の上下可動を支持案内する。
【0035】
離間弾性体8を取り付けた連結シャフト5の固定型取付け部46を固定型側シャフト取付け部14に固定し、かつ、連結シャフト5を可動型側シャフト取付け部40に通して可動型4を離間弾性体8の上に支持した状態で、可動型4から上部に突き出した可動型取付け部47にワッシャ57を取り付け締付手段6を螺合し、締付手段6で可動型4を締め付け移動させて離間弾性体8を圧縮し、離間弾性体8の反発付弾性力で固定型3から離れ移動しようとする可動型4の移動をナットからなる締付手段6によって2mm〜10mm程度の間に規制する。
本実施例では、型押し部87で規制する材料Aの厚み0.8mm、材料通し隙間7の設定最大隙間距離を、材料Aの0.8mmよりも広くかつ二枚分の1.6mmよりも狭い設定最大隙間距離に設定している。具体的には1.4mmとしている。(カードでは、薄いもので0.25mm程度、クレジットカードなどは0.8mm程度が一般的。)
可動型4と固定型3が連結一体化されてなる連結一体化型状態である。
0.8mm厚の塩化ビニール製の一般的なクレジットカード(85.6mm×54mm)の一枚の抜き圧力は1.32t程度であり、ボールネジとボールネジナットの組み合わせによるもので4枚の同時打抜は可能である。
【0036】
設定最大隙間距離は設定最大隙間距離記憶部(図示せず省略)に記憶される。
設定最大隙間距離の設定最大隙間距離記憶部への記憶(設定)の仕方には、以下のような仕方ないし方法がある。
(1)固定型3と可動型4の材料よりも広い隙間に材料を通し、可動型4を下降させて、材料と両型に挟持状態として材料の厚みをディスプレイ(図示せず省略)に表示させ、その位置から材料の略半分の距離だけ可動型を上昇させて、その位置を設定最大隙間距離として設定最大隙間距離記憶部へ記憶する。
(2)数字入力による設定。例えば、厚み0.8mmの材料であるなら1.3mm(0.9mm〜1.5mmの間の数字で選択)の数字を入力ないし多数の表記されている数字(0〜9の数字が表記されたキーパネルなど)から選択して、その値を設定最大隙間距離として設定最大隙間距離記憶部へ記憶する。
(3)材料1枚を固定型と可動型の間にセットして可動型を動作させて、固定型と可動型の間に材料1枚を挟持した状態にして、この挟持位置を材料1枚の厚みとして「材料1枚厚み記憶部」に記憶させ、次に、材料2枚を固定型と可動型の間にセットして可動型を動作させて、固定型と可動型の間に材料2枚を挟持した状態にして、この挟持位置を材料2枚の厚みとして「材料2枚厚み記憶部」に記憶させ、記憶された材料1枚厚みと材料2枚厚みの間の適切な位置を設定最大隙間距離として設定最大隙間距離記憶部へ記憶する。
(4)材料1枚を固定型と可動型の間にセットして可動型を動作させて、固定型と可動型の間に材料1枚を挟持した状態にして、この挟持位置を材料1枚の厚みとして「材料1枚厚み記憶部」に記憶させ、材料1枚の厚みに材料1枚の厚みよりも小さい距離(例えば、材料の1/2の厚み距離)を加えた距離を設定最大隙間距離として設定最大隙間距離記憶部へ記憶する。
【0037】
離間弾性体8により離間可能とされる可動型4の固定型3からの離間可能距離は材料通し隙間7の設定最大隙間距離を超えた離間距離であり、離間弾性体8の可動型4を離間させる離間速度より螺旋シャフト83の離間速度が遅くなるように制御されている。
【0038】
材料Aが材料通し隙間7に通されセットされる。(図7参照)
受け板26を当接し押し下げている型押し部87が、可動型4全体が離間弾性体8の弾性反発力に抗して圧縮しながら下降して行き、フランジ収納体36とパンチアウト案内体19とで、および、可動側パンチ30と固定側パンチアウト22とで材料Aを挟持する状態となって、フランジ収納体36によってパンチアウト案内体19の下降が停止される。
さらに型押し部87は下降してパンチ側圧縮弾性体37を収縮させることで、フランジ収納体36が下降できないで可動側パンチ30が下降して、可動側パンチ30がフランジ収納体36の下面から下方に突き出される。
突き出された可動側パンチ30は固定側パンチアウト22と材料Aを挟持しながら、該固定側パンチアウト22を押し圧する。
押し圧された固定側パンチアウト22によってパンチアウト側圧縮弾性体20が圧縮され縮小して、固定側パンチアウト22はパンチアウト案内体19内に沈み動作(移動)する。
沈み動作によって可動側パンチ30と固定側パンチアウト22によって圧迫挟持されている材料A部分が材料Aから打ち抜かれて形成材Bが形成され、形成材Bが抜かれた抜き跡を有する抜き済み材Cが形成される。(図8参照)
型押し部87が上昇すると、離間弾性体8の弾性反発力によって可動型4全体が型押し部87に付勢当接した状態で上昇し(型押し部87の上昇速度より離間弾性体8の弾性反発押し上げ力による可動型4の上昇速度の方が早いことによる)、可動型4は型押し部87の所定位置(材料通し隙間7が1.4mmの設定最大隙間距離)での停止によりその上昇が止められる。
可動型4の上昇に伴って、パンチ側圧縮弾性体37への圧縮抑え力が開放され、パンチ側圧縮弾性体37は膨張してその弾性反発力でパンチフランジ部29を押し上げ、該パンチフランジ部29と一体の可動側パンチ30も上がり、パンチフランジ部29は顎部32に押し付けられ停止し、可動側パンチ30もパンチ通し孔34内に全部が収まり、その下面がフランジ収納体36の下面と同一面を形成する。
固定型3側では、可動型4および可動側パンチ30の上昇に伴い、パンチアウト側圧縮弾性体20への圧縮圧力が開放されるので、パンチアウト側圧縮弾性体20が膨張してパンチアウトフランジ部21を押し上げ、該パンチアウトフランジ部21の上面が顎部17に当り停止され、パンチアウトフランジ部21の上昇にともない固定側パンチアウト22も形成材Bを載せたままで上昇し、固定側パンチアフト22の上面とパンチアウト案内体19の上面が同一面となり、よって形成材Bは抜き済み材Cの抜け跡に戻る以外に戻り場所がないので確実に抜け跡に戻され、設定最大隙間距離が材料Aの一枚よりも広くかつ2枚よりも狭い1.4mmの材料通し隙間7により、反りなどがあっても抜け跡から外れられないで収まったまま形成材搬送部98に移送可能とされる。(図9参照)
【0039】
固定型3と可動型4をその弾性力によって離している離間弾性体8は、型押し部87によって圧縮されてその弾性反発力を強められた状態とされている。
よって、打抜動作完了直後でも離間弾性体8によって、押し離される可動型4は型押し部87の停止位置で止められるとともに、圧縮された離間弾性体8の弾性反発力によって型押し部87に押し付けられるので、可動型4の振動が離間弾性体8の弾性押し付け力によってキャンセルされて、可動型4は設定最大隙間距離位置に微動することなく、また音を発することなく停止されることを実現している。
型押し部87で可動型4を押さえ材料通し隙間7を所定の設定最大隙間距離に規制するものであるので、締付手段6、6を設けない構成の抜型とすることも、締付手段6、6の締め付け位置を適当な位置とすることも可能である。
【実施例2】
【0040】
図10に示す本発明の実施例2において前記実施例1と主に異なる点は、抜型を、型押し部87に取り付けて該型押し部87と一体的に昇降動作するパッケージシートを抜くのに適したトムソン刃からなる抜型100した点にある。
抜き動作時には調整ベース94の上部面には刃受けシートがセットされる。
また、トムソン刃に代えて、積層したシートを押し抜く中空刃を取り付けるのもよい。この場合、積層シートを押さえる押さえ機構を設ける。
【実施例3】
【0041】
図11、図12、図13に示す本発明の実施例3において、前記実施例1と主に異なる点は、制御部110のタッチパネルであるディスプレイ95に可動型4と固定型3の間に形成される、材料Aを移動自在に通すための材料通し隙間111の、設定最大隙間距離115をタッチ操作によって設定する隙間距離設定部112を設け、ディスプレイ95に可動パンチ30の下死点113をタッチ操作によって設定する下死点設定部114を設け、下方セットベース81に抜型1の材料通し隙間111の実際の最大隙間距離ないし可動型4の位置を常時監視し検出する検出部116を設けてなる抜き装置117を形成した点にある。
【0042】
隙間距離設定部112で設定された設定最大隙間距離115は最大隙間距離記憶部118に記憶され、検知部116の検知信号119は検知データ128にされて検知データ記憶部120に記憶され、下死点設定部114で設定された下死点113は下死点記憶部121に記憶される。
最大隙間距離記憶部118に記憶された設定最大隙間距離115は最大隙間距離決定部122に送られ、駆動手段制御部123に送られて、駆動手段制御部123は螺旋シャフト83が設定最大隙間距離115を得る最大離間停止位置で停止するように駆動手段85を制御し、かつ、下死点設定部114の下死点113も駆動手段制御部123に送られて、駆動手段制御部123は螺旋シャフト83が下死点113となる下死点位置で停止するように駆動手段85を制御する。
最大隙間距離決定部122には抜き動作の毎回の検知データ128が送られ、その検知データ128の検知隙間距離が設定最大隙間距離115から外れている場合は、打抜動作を止めることなく最大離間停止位置を設定最大隙間距離115となるように一往復動作内ないし何回かの往復動作ないで自動的に変更する。
設定最大隙間距離115が、材料の1枚の厚みよりも広い隙間距離でありかつ該材料の2枚の厚みよりも狭い隙間距離であるように、前記螺旋シャフトの最大離間停止位置によって決められようになっている。
【0043】
隙間距離設定部112の設定画面およびそれによる設定最大隙間距離の設定について図12によって説明する。
(1)検出部116によって、該検出部16の検出範囲で固定型3の上部縁位置と可動型4の下部縁位置が常に監視され、固定型3の上部縁位置が0点とされている。
(2)材料厚ボタン135を指でタッチして、数字入力キーボード136を表示させ、数字入力キーボード136の数字キーを指でタッチして材料の厚みを入力する。入力された材料厚みは材料厚み表示部137に表示(ここでは、0.8mm)される。
(3)材料厚みが特定されると、自動的に2枚の材料の厚み(ここでは、0.8×2=1.6mm)より0.1mm少ない1.5mmに最大隙間距離が自動的に決定され、最大隙間距離記憶部118に記憶され、最大隙間距離表示部140に自動的に表示される。
最大隙間距離を変更したい場合は、最大隙間距離ボタン138を指でタッチすると、数字入力キーボード(図示せず省略)が表示されるので、適切と思われる数字を入力することにより、変更することができる。
(4)可動型4と固定型3の間に材料を入れ、材料厚測定ボタン139を指でタッチすると、可動型3が下降して、可動型4と固定型3の間に材料を挟持した状態で停止される。この停止位置を材料厚みとして、材料厚み表示部137に表示(ここでは、0.8mm)が自動的に表示され、自動的に2枚の材料の厚み(ここでは、0.8×2=1.6mm)より0.1mm少ない1.5mmに最大隙間距離が自動的に決定され、最大隙間距離記憶部118に記憶される。
(5)前記(1)〜(4)の操作において、最大隙間距離の設定は設定ボタン142をタッチすることによって、設定・変更が可能とされ、設定完了ボタン141をタッチすることによって、その最大隙間距離は確定するようになっている。
【0044】
材料Aがプラスチック製部材である場合においては、図13に示す以下のような動作としている。
可動型4に材料Aから形成材Bを抜く該可動型4から出入りする可動側パンチ30が設けられ、固定型3に可動側パンチ30によって材料Aから押し出された形成材Bによって沈み動作して該形成材Bが入る凹み部位133を形成する固定側パンチアウト22が設けられ、形成材Bの一方の抜き刃となる可動側パンチ30のパンチ縁刃130の抜き完了停止位置が螺旋シャフト83の下死点113位置によって決定され、
材料Aに食い込みかつ形成材Bの他方の抜き刃となる固定側パンチアウト22のアウト縁刃131位置に到達しない、かつ、材料Aに食い込んだパンチ縁刃130とアウト縁刃131の間に該材料Aの残肉部位132が残った形態となって、パンチ縁刃130とアウト縁刃131が前記食い込んだ状態で残肉部位132が自然に破断しての形成材Bの抜き完了が、下死点113位置到達時ないしそれより前に完了するものである。
パンチ縁刃130とアウト縁刃131は同一垂直線上に位置させており、そのまま、可動型4を下降させるとパンチ縁刃130とアウト縁刃131は当る位置関係となっているが、可動型4が残肉部位132を残す位置で停止されるので、当ることは無い。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明は材料から形成材を打抜形成する産業で利用される。
【符号の説明】
【0046】
A:材料、
B:形成材、
C:抜き済み材、
1:抜型、
3:固定型、
4:可動型、
5、5:連結シャフト、
6、6:締付手段、
7:材料通し隙間、
8:離間弾性体、
10:ボルト、
11:ネジ通し穴、
12:固定型ベース、
13:案内シャフト取付けネジ孔、
14、14:固定型側シャフト取付け部、
15:パンチアウト支持体、
16:パンチアウト可動支持凹部、
17:顎部、
18:パンチアウト通し案内孔、
19:パンチアウト案内体、
20:パンチアウト側圧縮弾性体、
21:パンチアウトフランジ部、
22:固定側パンチアウト、
25:可動型ベース、
26:受け板、
27:パンチベース、
28:パンチ首部、
29:パンチフランジ部、
30:可動側パンチ、
31:首部通し孔、
32:顎部、
33:首部通し体、
34:パンチ通し孔、
35:フランジ収納部、
36:フランジ収納体、
37:パンチ側圧縮弾性体、
38:案内管、
39:案内シャフト通し案内孔、
40:可動型側シャフト取付け部、
45:連結シャフト本体、
46:固定型取付け部、
47:可動型取付け部、
48:ナット、
50:弾性体本体、
51:中空部、
55:リニアベアリング、
56:案内シャフト、
57:ワッシャ、
58:雄ネジ、
70:主軸、
71:小歯車、
72:大歯車、
80:抜き装置、
81:下方セットベース、
82:上方ベース、
83:螺旋シャフト、
84:回転螺合体、
85:駆動手段、
86:シャフト支持案内部、
87:型押し部、
88:支柱、
89:リニアベアリング、
90:連結部材、
91:連結部材、
92:ベアリング連結体、
93:螺旋シャフト固定部、
94:調整ベース、
95:ディスプレイ、
96:電源・制御系ケース、
97:材料送り部、
98:形成材搬送部、
99:形成材収納部、
100:抜型、
110:制御部、
111:材料通し隙間、
112:隙間距離設定部、
113:下死点、
114:下死点設定部、
115:設定最大隙間距離、
116:検出部、
117:抜き装置、
118:最大隙間距離記憶部、
119:検知信号、
120:検知データ記憶部、
121:下死点記憶部、
122:最大隙間距離決定部、
123:駆動手段制御部、
128:検知データ、
130:パンチ縁刃、
131:アウト縁刃、
132:残肉部位、
133:凹み部位。
135:材料厚ボタン、
136:数字入力キーボード、
137:材料厚み表示部、
138:最大隙間距離ボタン、
139:材料厚測定ボタン、
140:最大隙間距離表示部、
141:設定完了ボタン、
142:設定ボタン。
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート状ないし板状の材料から四角形(ICカード、クレジットカード、ゲームカード、名刺など)、多角形、円形(紙カップ形態のアイスクリーム容器の円形の嵌蓋、牛乳瓶の紙製嵌蓋、紙製あるいは合成樹脂製のカップラーメン容器の開口縁に溶着、融着、接着などにより付着されたシート状ないし板状の蓋など)、複雑な形(動物などの絵柄プレートないしシート、ロゴプレートないしシート、)あるいは半導体チップなどの形成材を抜形成する抜き装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カードなどの形成材を抜形成する抜き装置として、弾み車(ハンマー駆動部2)の回転によってハンマーの上下移動によって抜型の上型(可動型)を上下可動させてカードを抜く抜き装置が知られている。(例えば:特許文献1)
また、カードをシートや板材などの材料から打ち抜き動作するパンチを有する可動型と、前記パンチによって前記カードを該パンチとともに挟持しながら沈み動作するパンチアウトを有する固定型と、前記可動型を前記固定型から常に離間させるように反発付勢機能する離間弾性体と、前記可動型の上方に位置して該可動型の上昇位置を止め規制する可動型離間規制部とからなるとともに、前記材料の非打抜時においては前記離間弾性体によって前記可動型は前記固定型から強制的に離され且つ該可動型は前記可動離間規制部で止められて、前記可動型と前記固定型の間に形成される非打抜時の材料通し隙間の隙間距離が、前記材料1枚の厚みよりも広い隙間距離であり且つ該材料2枚の厚みよりも狭い隙間距離であるカードの抜き装置が知られている。(例えば特許文献2)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-44851号公報(図1)
【特許文献2】特許第4637255号公報(図10〜図13)
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献2】特になし
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
1.上述した従来技術の内の特許文献1のものは次に述べるような欠点を有するものであった。
1−(1)ハンマーは可動型から離れて、打ち降ろされ可動型に打ち当てられものであるため、打ち込時に大きな振動および打抜音が発生するという欠点を有するものであった。
1−(2)前記(1)によって、設置場所が振動に耐えられる基礎を設置する箇所でなくてはならず、建物の2階などには設置できないものであったし、振動対策を施した基礎に経費が掛かる、設置屋内ないし部屋に防音対策をしなくてはならないために、設置場所が周囲環境に影響を与えない工場などに限定されるという欠点を有するものであった。
1−(3)前記(1)によって、装置が背丈の高い(2mを超える)大型で重量のあるものとなり、装置が高価、運搬や設置に多大な経費がかかるものであった。
また、グリスを与えるなどメンテナンスが高コストになるとうい欠点を有するものであった。
1−(4)前記(1)によって、弾み車を回転途中で停止させることが出来ないために、可動型の上昇停止位置をハンマーでは制御出来ないものであるため、可動型の上昇をハンマーで止めることはできず、可動型の上昇は他の上昇止めストッパーによって止めるので、可動型の上昇止めストッパーに打ち当るときに大きな打ち当り音および振動が発生するという欠点を有するものであった。
(5)弾み車を回転させるために駆動モータも大型となり消費電力が大きいという欠点を有するものであった。
2.上述した従来技術の内の特許文献2のものは、前記特許文献1のものと同様な欠点を有するとともに、次に述べるような欠点を有するものであった。
2−(1)打ち抜く材料の厚みに合わせて材料通し隙間を設定しなければならないために、可動型離間規制部の精密な位置を材料の厚みが異なる毎にその都度調節しなければならないものであった。
2−(2)離間弾性体の反発付勢力によって押し上げられる可動型が可動型離間規制部に衝突形態で当るので、可動型離間規制部の規制位置に狂いが生じるという危険があり、該狂いが生じた場合は、装置を停止させて可動型離間規制部の調節をしなければならないものであった。
【0006】
本発明は以上のような従来技術に鑑みてなされたものであって、その目的は、抜時の振動および発生音が一般的な家屋や事務所などであっても問題とならない低振動で小音量を実現し、厚みの異なる材料に対応して容易且つ素早く材料の1枚の厚みよりも隙間距離が広くかつ該材料の2枚の厚みよりも狭い隙間距離の材料通し隙間が得られる抜き装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は次のような構成としている。
【0008】
<請求項1記載の発明>
可動型、この可動型に対向してその位置が固定されて設けられた固定型、前記可動型と前記固定型の間に通された材料を、前記可動型の抜動作によって抜いて形成材を形成する抜き装置であって、
前記可動型を前記抜き動作させる螺旋シャフトと、
この螺旋シャフトに螺合された、回転動作によって該螺旋シャフトを直線往復動作させる回転螺合体と、
この回転螺合体を回転駆動させるための駆動手段と、
この駆動手段を制御する制御部と、
この制御部に設けられた、前記可動型と前記固定型の間に形成される前記材料を移動自在に通すための材料通し隙間の、設定最大隙間距離を記憶する最大隙間距離記憶部とからなるとともに、
前記設定最大隙間距離が、前記材料の1枚の厚みよりも広い隙間距離でありかつ該材料の2枚の厚みよりも狭い隙間距離であるように、前記螺旋シャフトの最大離間停止位置によって決められるように制御してなることを特徴とする抜き装置である。
<定義>
(1)「材料から形成材を抜く抜き動作」には、打ち抜く、押し抜くあるいは切り抜くなどである。
(2)「螺旋シャフトの最大離間停止位置」とは、形成材の抜き動作時における螺旋シャフトが固定型から最大に離間した停止位置であり、螺旋シャフトの直線往復動作(スライド移動)の設定範囲におけるストロークの最上点(「上部点」という意味ではなく、最も延びた点、最も出た点を意味し、横向き、下向きという場合もある。)る。この最大離間停止位置によって可動型と固定型の間に形成される材料通し隙間の設定最大隙間距離が規程・決定されるものである。
(3)螺旋シャフト、回転螺合体、駆動手段からなる駆動部と、可動型、固定型からなる抜型の配置は、駆動部が上で抜型が下、駆動部が下で抜型が上、駆動部と抜型が横配列など多様な配置形態がある。
(4)「螺旋シャフト」には、棒体の外周に螺旋溝が螺刻されてなるもの、中空棒体の内周面に螺旋溝が螺刻されてなるもの、棒体の外周面ないし内周面に螺旋溝の一部が螺刻されてなるものなどがある。
(5)「回転螺合体」には、ナット体であるもの、棒体の外周に螺旋溝が螺刻されてなるもの、螺旋シャフトの螺旋溝に交差形態で螺合(ウオームギア―形態など)するものなどがある。
【0009】
<請求項2記載の発明>
螺旋シャフトがボールネジであり、回転螺合体がボールネジナットであることを特徴とする請求項1記載の抜き装置である。
【0010】
<請求項3記載の発明>
可動型と固定型が同一案内シャフト上に一体化された抜型とされ、
前記可動型と前記固定型を常に反発付勢力によって離間させるように機能する離間弾性体が設けられ、
前記離間弾性体により離間可能とされる前記可動型の離間可能距離は設定最大隙間距離を超えた離間距離であり、
前記離間弾性体の可動型を離間させる離間速度が螺旋シャフトの離間速度よりも早いことを特徴とする請求項1、2のいずれか1項に記載の抜き装置である。
【0011】
<請求項4記載の発明>
下方セットベースが設けられ、
前記下方ベースに離間対向された上方セットベースが設けられ、
前記上方セットベース側に駆動手段、回転螺合体、螺旋シャフトが設けられ、
固定型が前記下方セットベースに固定され、
前記固定型あるいは可動型に材料から形成材を抜くパンチが設けられ、
前記固定型に固定型側シャフト取付け部が設けられ、
前記可動型にシャフト通し孔である可動型側シャフト取付け部が設けられ、
連結シャフト本体、この連結シャフト本体の一方の側に設けられた、前記固定型側シャフト取付け部に固定される固定型取付け部、前記連結シャフト本体の他方の側に設けた前記可動型側シャフト取付け部に通されて前記可動型を移動自在に支持する可動型取付け部とからなる連結シャフトが設けられ、
離間弾性体が、弾性体本体、該弾性体本体を貫く中空部とからなっていて、かつ、前記連結シャフトを前記中空部に通して該連結シャフトに取り付けられ、前記固定型と前記可動型の間に位置されて該可動型をその圧縮された反発付勢力により持ち上げ弾性支持するものあることを特徴とする請求項3に記載の抜き装置である。
【0012】
<請求項5記載の発明>
材料がプラスチック製部材であり、
固定型あるいは可動型に材料から形成材を抜く該固定型あるいは該可動型から出入りするパンチが設けられ、
前記固定型あるいは前記可動型に前記パンチによって前記材料から押し出された前記形成材によって沈み動作して該形成材が入る凹み部位を形成するパンチアウトが設けられ、
前記形成材の一方の抜き刃となる前記パンチのパンチ縁刃の抜き完了停止位置が螺旋シャフトの下死点位置によって決定され、
前記材料に食い込みかつ前記形成材の他方の抜き刃となる前記パンチアウトのアウト縁刃位置に到達しない、かつ、前記材料に食い込んだ前記パンチ縁刃と前記アウト縁刃の間に該材料の残肉部位が残った形態となって、前記パンチ縁刃と前記アウト縁刃が前記食い込んだ状態で前記残肉部位が破断して前記形成材の抜きが、前記下死点位置到達時ないしそれより前に完了するものであることを特徴とする請求項3記載の抜き装置である。
<定義>
「螺旋シャフトの下死点位置」とは、螺旋シャフトの直線往復動作(スライド移動)の設定範囲におけるストロークの最下点(「下部点」という意味ではなく、最も縮んだ点、最も引っ込んだ点を意味し、螺旋シャフトが横向き、下向きという場合もある。)
【0013】
<請求項6記載の発明>
可動型が螺旋シャフトに一体的に動作するように、直接的あるいは他の部材を介して固定された形態であることを特徴とする請求項1、2のいずれか1項に記載の抜き装置である。
【0014】
<請求項7記載の発明>
実際の最大隙間距離ないし可動型の位置を検出する検出部を設け、
前記検出部の検出した前記実際の最大隙間距離ないし前記可動型の位置が、設定最大隙間距離から外れた場合には、螺旋シャフトの最大離間停止位置を前記設定最大隙間距離となる停止位置に自動的に調節するように制御されるようにしてなることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の抜き装置である。
「設定最大隙間距離から外れた場合」とは、設定最大隙間距離から外れたら即変更・修正する、設定最大隙間距離より所定距離外れたら変更・修正するなどである。
【発明の効果】
【0015】
以上の説明から明らかなように、本発明にあっては次に列挙する効果が得られる。
【0016】
<請求項1記載の発明の効果>
可動型、この可動型に対向してその位置が固定されて設けられた固定型、前記可動型と前記固定型の間に通された材料を、前記可動型の抜動作によって抜いて形成材を形成する抜き装置であって、
前記可動型を前記抜き動作させる螺旋シャフトと、
この螺旋シャフトに螺合された、回転動作によって該螺旋シャフトを直線往復動作させる回転螺合体と、
この回転螺合体を回転駆動させるための駆動手段と、
この駆動手段を制御する制御部と、
この制御部に設けられた、前記可動型と前記固定型の間に形成される前記材料を移動自在に通すための材料通し隙間の、設定最大隙間距離を記憶する最大隙間距離記憶部とからなるとともに、
前記設定最大隙間距離が、前記材料の1枚の厚みよりも広い隙間距離でありかつ該材料の2枚の厚みよりも狭い隙間距離であるように、前記螺旋シャフトの最大離間停止位置によって決められるように制御してなることを特徴とする抜き装置であるので、次に述べるような効果を奏する。
すなわち、
(1)回転螺合体による螺旋シャフトの直線往復動作によって可動型を往復動作させ、その固定型へ向けての螺旋シャフトの可動型の押し動作が抜き動作であるものであり、かつ、「前記設定最大隙間距離が、前記材料の1枚の厚みよりも広い隙間距離でありかつ該材料の2枚の厚みよりも狭い隙間距離であるように、前記螺旋シャフトの最大離間停止位置によって決められる」という、すなわち、可動型を押し動作する螺旋シャフトが材料隙間距離を決め規制するものとしたので、可動型が材料通し隙間形成動作(非抜時)時に衝突当るものが無いことになるものである。
よって、その抜き動作時の振動と雑音は、駆動手段(一般的にはサーボモータが好適)の駆動音、回転螺合体の回転音および螺旋シャフトとの摩擦音、材料を抜く時の抜き音だけであり、その総振動および総騒音は一般的な事務所においてのレーザーコピー機の動作音、振動と同等ないしそれよりも小さいものであるという効果を奏する。
これによって、プレート形態ないしシート形態の材料にカードの絵柄等を印刷する印刷機に連動したカード抜き装置からなるカード形成装置を、事務所などの静けさを必要とする箇所にも設置しカード等を作成発行することを可能とするものである。
また、振動が極めて小さい、小型、軽量であることから、それを設置する箇所の基礎となる部位の強化が殆ど必要無い、従来の技術では無理であった事務所の2階などへの設置も床の補強無しに容易に実現可能とするものである。
また、低振動であるので、固定型、可動型および装置への振動による悪影響が大幅に軽減されるので、装置全体の耐久性と安定性を大幅に向上させるものである。
(2)材料通し隙間の、設定最大隙間距離を記憶する最大隙間距離記憶部が設けられ、材料通し隙間の隙間距離が材料の1枚の厚みよりも広い隙間距離でありかつ該材料の2枚の厚みよりも狭い隙間距離であるように、前記螺旋シャフトの最大離間停止位置によって決められように制御されるものであるので、厚みの異なる材料に変わる場合には、最大隙間距離記憶部で記憶された最大隙間距離を設定するだけの簡単・容易な操作だけで異なる厚さの材料に対応した最大隙間距離が素早く実現されるという効果を奏する。
(3)可動型の動作は螺旋シャフトの回転直線往復動作によって規制され、かつ、その規制された動作は材料の1枚の厚みより距離よりも長く材料の2枚の厚み距離よりも短い設定最大隙間距離内に常に規制された動作になり、かつ、螺旋シャフトの回転(正転・逆転)は人が手で触れても何ら危害を与えない僅かな回転動作であるという効果を奏する。
これによって、例えば、銀行カード(厚み規格は0.76mm)であれば、材料通し隙間の設定最大隙間は例えば0.76mm+0.38mm=1.14mm(0.9mm〜1.4mmの間の適当な距離でより)となり、この場合、直線往復動作する箇所とその可動距離は螺旋シャフトと可動型の1.14mmだけであることになる。
すなわち、1.14mmの機器の可動動作であり、動作時はそこに0.76mmの材料が入っての動作であることから、1.14mm−0.76m=0.38mmの隙間に指を挟む危険が全くないものであり、よって、指を挟むなどの危険が全く無い安全な抜き装置(特に銀行カード、クレジットカートなどのカードの1mm以下の材料の抜きに適している)を実現する。
よって、1mm以下の材料の抜きにあっては、可動型部および螺旋シャフトを囲う安全囲いの必要の無い、安全囲いが無くても十分に安全である抜き装置を実現する。
(4)前記(1)によって、オペレータが作業し易い背丈1.5mないしそれ以下のものにでき、かつ、小型・軽量・低コスト化を実現するという効果を奏する。
これによって、梱包、輸送、設置場所、組立・設置易さなどで低コスト化を実現する。
また、電気を消費するものがサーボモータなどの駆動手段と、設定ディスプレイを含む制御系だけであるので、高い省エネ性を実現している。
(5)前記(1)によって、動作部が駆動手段(一般的にはサーボモータが好適)、減速歯車、回転螺合体、螺旋シャフトというシンプルでメンテナンスの余り必要の無い構成であるので、グリスをやるなどの汚れのメンテナンスの必要がなく、高信頼性と高いメンテナンス性を実現するという効果を奏する。
(6)螺旋シャフトとその型押し部の最少移動距離で抜き動作と材料通し隙間成形動作を実現するものであるので、タイミング車が一周するまで次の打抜動作までの時間を要する従来技術と比べて、そのような待ち時間の無いものであるので、生産性の高い抜き装置を実現するものである。
(7)例えば、ギア―比によって、1/100mm、1/1000mmというような高精度の往復移動停止制御を行うことも容易に実現するものであり、ギア―もウォームギヤなどでより高精度化が容易にできる。
【0017】
<請求項2記載の発明の効果>
螺旋シャフトがボールネジであり、回転螺合体がボールネジナットであることを特徴とする請求項1記載の抜き装置であるので、請求項1に記載の発明と同様な効果を奏するとともに、次に述べるような効果を奏する。
すなわち、
より低振動化、低雑音化、滑らかな動作化、停止位置の高精度化と高耐久性化を実現する。
【0018】
<請求項3記載の発明の効果>
可動型と固定型が同一案内シャフト上に一体化された抜型とされ、
前記可動型と前記固定型を常に反発付勢力によって離間させるように機能する離間弾性体が設けられ、
前記離間弾性体により離間可能とされる前記可動型の離間可能距離は設定最大隙間距離を超えた離間距離であり、
前記離間弾性体の可動型を離間させる離間速度が螺旋シャフトの離間速度よりも早いことを特徴とする請求項1、2のいずれか1項に記載の抜き装置であるので、請求項1、2のいずれか1項に記載の発明と同様な効果を奏するとともに、次に述べるような効果を奏する。
すなわち、
離間弾性体により離間可能とされる可動型の離間可能距離は設定最大隙間距離を超えた離間距離であり、離間弾性体の可動型を離間させる離間速度が螺旋シャフトの離間速度よりも早いとうことは、可動型は常に螺旋シャフトに離間弾性体の反発付勢力によって押し付けられた状態で動作しているとういことであり、よって、可動型の移動動作による当り音は無く、可動型と螺旋シャフトは固定された同士のような一体化した動作であるという効果を奏する。
これによって、例えば、図7に示すような抜型において、締付手段6(ナットなど)による前もっての材料通し隙間の調節設定を行わなくてもよく、さらには、締付手段6(ナットなど)を設けないことを可能とし、よって、抜型の分解組立作業が早くすることも可能とするものである。
【0019】
<請求項4記載の発明の効果>
このような構成としても請求項3に記載の発明と同様な効果を奏する。
【0020】
<請求項5記載の発明の効果>
材料がプラスチック製部材であり、
固定型あるいは可動型に材料から形成材を抜く該固定型あるいは該可動型から出入りするパンチが設けられ、
前記固定型あるいは前記可動型に前記パンチによって前記材料から押し出された前記形成材によって沈み動作して該形成材が入る凹み部位を形成するパンチアウトが設けられ、
前記形成材の一方の抜き刃となる前記パンチのパンチ縁刃の抜き完了停止位置が螺旋シャフトの下死点位置によって決定され、
前記材料に食い込みかつ前記形成材の他方の抜き刃となる前記パンチアウトのアウト縁刃位置に到達しない、かつ、前記材料に食い込んだ前記パンチ縁刃と前記アウト縁刃の間に該材料の残肉部位が残った形態となって、前記パンチ縁刃と前記アウト縁刃が前記食い込んだ状態で前記残肉部位が破断して前記形成材の抜きが、前記下死点位置到達時ないしそれより前に完了するものであることを特徴とする請求項3記載の抜き装置であるので、請求項3記載の発明の効果と同様な効果を奏するとともに、次に述べるような効果を奏する。
すなわち、
パンチの下死点が螺旋シャフトの下死点によって決定され、パンチ縁刃が材料に食い込みかつ形成材の他方の抜き刃となるアウト縁刃位置に到達しない、かつ、材料に食い込んだパンチ縁刃とアウト縁刃の間に該材料の残肉部位が残った形態となって、パンチ縁刃とアウト縁刃が材料に前記食い込んだ状態で残肉部位が破断して形成材の抜きが完了するようにしたので、形成材の周縁の破断した部位が抜き時の発熱温度によって滑らかな状態となり、よって、周縁がバリの無い滑らかな指触感の形成材にでき、パンチ縁刃とアウト縁刃が非接触での抜きであるのでパンチおよいパンチアウトの使用耐久性が向上し、パンチ縁刃とアウト縁刃が非接触であるので、縁刃同士を同一線上とすることができる。
【0021】
<請求項6記載の発明の効果>
このような構成としても請求項1、2のいずれか1項に記載の発明と同様な効果を奏する。
【0022】
<請求項7記載の発明の効果>
実際の最大隙間距離ないし可動型の位置を検出する検出部を設け、
前記検出部の検出した前記実際の最大隙間距離ないし前記可動型の位置が、設定最大隙間距離から外れた場合には、螺旋シャフトの最大離間停止位置を前記設定最大隙間距離となる停止位置に自動的に調節するように制御されるようにしてなることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の抜き装置であるので、請求項1〜6のいずれか1項に記載の発明と同様な効果を奏するとともに、次に述べるような効果を奏する。
すなわち、
検出部によって実際の最大隙間距離ないし可動型の位置を常に検出することを可能としており、かつ、その検出結果によって、設定最大隙間距離への変更・修正が必要と判断されると、打抜動作を停止することなく続けた状態で速やかに螺旋シャフトの最大離間停止位置を変更・修正することを可能にするという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施例1のハンマーが抜型から離れた状態の側面図。
【図2】本発明の実施例1のハンマーが抜型に当っている状態の側面図。
【図3】本発明の実施例1のハンマーが抜型から離れた状態の正面図。
【図4】本発明の実施例1のハンマー支持部の斜視図。
【図5】本発明の実施例1の抜型の組立分解斜視図。
【図6】本発明の実施例1の抜型の組立図。
【図7】本発明の実施例1の抜型の材料セット時の断面図。
【図8】本発明の実施例1の抜型の形成材抜き時の断面図。
【図9】本発明の実施例1の抜型の形成材の抜き跡戻し時の断面図。
【図10】本発明の実施例2の抜型の側面図。
【図11】本発明の実施例3の制御を示すブロック図。
【図12】本発明の実施例3の隙間距離設定部の設定画面図。
【図13】本発明の実施例3の形成材の形成プロセスを示す部分断面図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、図面に示す本発明を実施するための最良の形態である実施例を説明する。但し、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。また、後述する実施例の説明にあたって前述した実施例と同じ構成には同じ符号を付しその説明を省略する。
【実施例1】
【0025】
図1〜図9において80は抜き装置であって、この抜き装置80は、下方セットベース81と、この下方ベース81の上方に位置された上方ベース82と、この上方ベース82に1/100mmの精度で昇降可動自在に設けられた、螺旋溝が形成されたボールネジからなる螺旋シャフト83と、この螺旋シャフト83に螺合された、回転動作によって該螺旋シャフト83を昇降可動させるボールネジナットからなる回転螺合体84と、この回転螺合体84を回転駆動させるためのサーボモータからなる駆動手段85と、前記螺旋シャフト83の回転を止め昇降可動を支持案内するシャフト支持案内部86と、前記下方セットベース81側にセットされた抜型1を、材料Aから形成材Bを抜く抜き動作させる前記螺旋シャフト83の押し動作を伝える型押し部87と、下方セットベース81と上方ベース82を連結する4本の支柱88、88、88、88とからなっている。
【0026】
サーボモータ、ステッピングモータなどからなる駆動手段85の主軸70には小歯車71が設けられ、該小歯車71は大歯車72に噛みあわされ、大歯車72の軸心には回転螺合体84が固定されている。
駆動手段85による制御された駆動により、打抜時動作時の昇降速度を好みのもの、適切なものあるいは変化させることも可能である。
【0027】
シャフト支持案内部86は、支柱88、88、88、88上を移動自在とされたリニアベアリング89、89、89、89と、このリニアベアリング89、89、89、89が一体的に移動するようにするための、一方の列のリニアベアリング89、89同士を連結する連結部材90、その対向側の他方の列のリニアベアリング89、89同士を連結する連結部材90、ベアリング連結部材90、90をその中央で連結する連結部材91とからなるベアリング連結体92とからなっている。
連結部材91の上部には螺旋シャフト83の下端を回転しないように且つ外れないように固定している螺旋シャフト固定部93が設けられている。
【0028】
下方ベース81には調整ベース94が固定され、その上に抜型1をセットしている。
上方ベース82の上部正面には、設定、制御用のディスプレイ95(目線高さ1.5m)が設けられている。下方ベース81の下方には電源、制御系を収納する電源・制御系ケース96が設けられている。
抜型1の右側には、材料送り部97を設け、抜型1の左側には形成材搬送部98と形成材収納部99を設ける。
【0029】
図5〜図9において1は抜型であって、
この抜型1は、
下方セットベース81側に固定される固定型3と、
この固定型3の上方に上下可動可能に位置された可動型4と、この可動型4と固定型3を連結一体化するための連結シャフト5、5と、
この連結手段5、5に螺合されて可動型4を閉め付ける締付手段6、6と、
連結シャフト5、5に取り付けられ可動型4と固定型3の間に位置されるとともに、締付手段6、6によって絞め付け圧縮すること可能とされ、可動型4と固定型3をその弾性反発力によって離し、可動型4と固定型3の間に最大通し隙間距離を型押し部87によって規制された材料通し隙間7を形成する離間弾性体8とからなっている。
【0030】
固定型3は次のような構成となっている。
抜き装置のベース2に固定するボルト10を通すネジ通し穴11を四つの角部位に設けた固定型ベース12と、
固定型ベース12の4箇所に設けられた案内シャフト取付けネジ孔13(ネジ穴)と、
案内シャフト取付けネジ孔13、13の間に設けられた、ネジ孔からなる2箇所の固定型側シャフト取付け部14、14と、
固定型ベース12の上部にボルトによって固定されたパンチアウト支持体15と、
このパンチアウト支持体15に上方が開放されて形成されたパンチアウト可動支持凹部16と、
パンチアウト支持体15の上部にボルトで固定され、パンチアウト可動支持凹部16の開放部を塞いで顎部17を形成するとともに、中央にパンチアウト通し案内孔18を設けてなるパンチアウト案内体19と、
パンチアウト可動支持凹部16に納められたウレタンゴム製部材、ニトロゴム製部材などのゴム製弾性体、あるいは圧縮コイルバネなどのパンチアウト側圧縮弾性体20と、
このパンチアウト側圧縮弾性体20の上部に設けられパンチアウト可動支持凹部16に移動可能に収納されるとともに、パンチアウト案内体19によってパンチアウト側圧縮弾性体20を圧縮する形態で、パンチアウト案内体19とパンチアウト側圧縮弾性体20の間に挟持形態とされたパンチアウトフランジ部21と、
このパンチアウトフランジ部21にボルトによって固定され、パンチアウト通し案内孔18に通され、その上面をパンチアウト案内体19の上面と同一面としてなる固定側パンチアウト22とからなるとともに、
固定側パンチアウト22に上部から圧力をかけると、その圧力でパンチアウト側圧縮弾性体20が圧縮され縮み固定側パンチアウト22およびパンチアウトフランジ部21が沈み動作し、圧力から開放されるとパンチアウト側圧縮弾性体20は膨張してパンチアウトフランジ部21および固定側パンチアウト22を浮き動作させて、パンチアウトフランジ部21が顎部17に当り浮き上がりが停止され、固定側パンチアウト22の上面がパンチアウト案内体19の上面と同一面となる。
【0031】
可動型4は次に述べるような構成となっている。
可動型ベース25と、
この可動型ベース25の上部にボルトで固定された受け板26と、
可動型ベース25の下部にボルトによって固定されたパンチベース27と、
このパンチベース27の下部にボルトによって固定されたパンチ首部28と、
このパンチ首部28の下部にボルトによって固定されたパンチフランジ部29と、
このパンチフランジ部29の下部にボルトによって固定された可動側パンチ30と、
パンチ首部28を通す首部通し孔31を有するとともに、下面をパンチフランジ部29の上部面が当る顎部32としてなる首部通し体33と、
この首部通し体33の下部にボルトによって固定された、下部にパンチ通し孔34を有し、上部が開放されて凹形成されたフランジ収納部35を有するとともに、その下面を可動側パンチ30の下面と同一面としてなるフランジ収納体36と、
パンチフランジ部29の下部に位置され且つフランジ収納部35に収納されて、パンチフランジ部29を上方に弾性反発付勢力で押し上げ顎部32に付勢押し付け状態にしている、ボルトで締め固定されている首部通し体33によって圧縮されているパンチ側圧縮弾性体37と、
可動型ベース25の4箇所の通し孔に取付けた案内管38による4箇所の案内シャフト通し案内孔39と、
この案内シャフト通し案内孔39、39の間に設けられたシャフト通し孔である2箇所の可動型側シャフト取付け部40、40とからなっている。
【0032】
連結シャフト5、5は、可動型側シャフト取付け部40に通されるストレートシャフトからなる連結シャフト本体45と、この連結シャフト45の一方の側に設けられた固定型3の固定型側シャフト取付け部14に螺合する雄ネジからなる固定型取付け部46と、連結シャフト本体45の他方の側に設けた、可動型ベース25の上部に突出される雄ネジ部位からなる可動型取付け部47と、固定型取付け部46に螺合され該固定型取付け部46の上部に位置されてなるナット48とからなっている。
【0033】
連結シャフト本体45に取り付けられる離間弾性体8は、圧縮コイルバネ、ウレタンゴム製弾性体、ニトロゴム製弾性体などの弾性体本体50と、この弾性体本体50を貫く中空部51とからなり、連結シャフト本体45を中空部51に通して移動可能に連結シャフト5に取り付けられ、固定型3と可動型4の間に位置されて該可動型4を該固定型3からその弾性反発付勢力により離した状態に弾性支持する。
【0034】
4箇所の案内シャフト取付けネジ孔13のそれぞれには、リニアベアリング55を備え下部には雄ネジ58有する案内シャフト56が、雄ネジ58を案内シャフト取付けネジ孔13に螺合し固定立上られ、リニアベアリング55は可動型4の案内シャフト通し案内孔39に通され、可動型4の上下可動を支持案内する。
【0035】
離間弾性体8を取り付けた連結シャフト5の固定型取付け部46を固定型側シャフト取付け部14に固定し、かつ、連結シャフト5を可動型側シャフト取付け部40に通して可動型4を離間弾性体8の上に支持した状態で、可動型4から上部に突き出した可動型取付け部47にワッシャ57を取り付け締付手段6を螺合し、締付手段6で可動型4を締め付け移動させて離間弾性体8を圧縮し、離間弾性体8の反発付弾性力で固定型3から離れ移動しようとする可動型4の移動をナットからなる締付手段6によって2mm〜10mm程度の間に規制する。
本実施例では、型押し部87で規制する材料Aの厚み0.8mm、材料通し隙間7の設定最大隙間距離を、材料Aの0.8mmよりも広くかつ二枚分の1.6mmよりも狭い設定最大隙間距離に設定している。具体的には1.4mmとしている。(カードでは、薄いもので0.25mm程度、クレジットカードなどは0.8mm程度が一般的。)
可動型4と固定型3が連結一体化されてなる連結一体化型状態である。
0.8mm厚の塩化ビニール製の一般的なクレジットカード(85.6mm×54mm)の一枚の抜き圧力は1.32t程度であり、ボールネジとボールネジナットの組み合わせによるもので4枚の同時打抜は可能である。
【0036】
設定最大隙間距離は設定最大隙間距離記憶部(図示せず省略)に記憶される。
設定最大隙間距離の設定最大隙間距離記憶部への記憶(設定)の仕方には、以下のような仕方ないし方法がある。
(1)固定型3と可動型4の材料よりも広い隙間に材料を通し、可動型4を下降させて、材料と両型に挟持状態として材料の厚みをディスプレイ(図示せず省略)に表示させ、その位置から材料の略半分の距離だけ可動型を上昇させて、その位置を設定最大隙間距離として設定最大隙間距離記憶部へ記憶する。
(2)数字入力による設定。例えば、厚み0.8mmの材料であるなら1.3mm(0.9mm〜1.5mmの間の数字で選択)の数字を入力ないし多数の表記されている数字(0〜9の数字が表記されたキーパネルなど)から選択して、その値を設定最大隙間距離として設定最大隙間距離記憶部へ記憶する。
(3)材料1枚を固定型と可動型の間にセットして可動型を動作させて、固定型と可動型の間に材料1枚を挟持した状態にして、この挟持位置を材料1枚の厚みとして「材料1枚厚み記憶部」に記憶させ、次に、材料2枚を固定型と可動型の間にセットして可動型を動作させて、固定型と可動型の間に材料2枚を挟持した状態にして、この挟持位置を材料2枚の厚みとして「材料2枚厚み記憶部」に記憶させ、記憶された材料1枚厚みと材料2枚厚みの間の適切な位置を設定最大隙間距離として設定最大隙間距離記憶部へ記憶する。
(4)材料1枚を固定型と可動型の間にセットして可動型を動作させて、固定型と可動型の間に材料1枚を挟持した状態にして、この挟持位置を材料1枚の厚みとして「材料1枚厚み記憶部」に記憶させ、材料1枚の厚みに材料1枚の厚みよりも小さい距離(例えば、材料の1/2の厚み距離)を加えた距離を設定最大隙間距離として設定最大隙間距離記憶部へ記憶する。
【0037】
離間弾性体8により離間可能とされる可動型4の固定型3からの離間可能距離は材料通し隙間7の設定最大隙間距離を超えた離間距離であり、離間弾性体8の可動型4を離間させる離間速度より螺旋シャフト83の離間速度が遅くなるように制御されている。
【0038】
材料Aが材料通し隙間7に通されセットされる。(図7参照)
受け板26を当接し押し下げている型押し部87が、可動型4全体が離間弾性体8の弾性反発力に抗して圧縮しながら下降して行き、フランジ収納体36とパンチアウト案内体19とで、および、可動側パンチ30と固定側パンチアウト22とで材料Aを挟持する状態となって、フランジ収納体36によってパンチアウト案内体19の下降が停止される。
さらに型押し部87は下降してパンチ側圧縮弾性体37を収縮させることで、フランジ収納体36が下降できないで可動側パンチ30が下降して、可動側パンチ30がフランジ収納体36の下面から下方に突き出される。
突き出された可動側パンチ30は固定側パンチアウト22と材料Aを挟持しながら、該固定側パンチアウト22を押し圧する。
押し圧された固定側パンチアウト22によってパンチアウト側圧縮弾性体20が圧縮され縮小して、固定側パンチアウト22はパンチアウト案内体19内に沈み動作(移動)する。
沈み動作によって可動側パンチ30と固定側パンチアウト22によって圧迫挟持されている材料A部分が材料Aから打ち抜かれて形成材Bが形成され、形成材Bが抜かれた抜き跡を有する抜き済み材Cが形成される。(図8参照)
型押し部87が上昇すると、離間弾性体8の弾性反発力によって可動型4全体が型押し部87に付勢当接した状態で上昇し(型押し部87の上昇速度より離間弾性体8の弾性反発押し上げ力による可動型4の上昇速度の方が早いことによる)、可動型4は型押し部87の所定位置(材料通し隙間7が1.4mmの設定最大隙間距離)での停止によりその上昇が止められる。
可動型4の上昇に伴って、パンチ側圧縮弾性体37への圧縮抑え力が開放され、パンチ側圧縮弾性体37は膨張してその弾性反発力でパンチフランジ部29を押し上げ、該パンチフランジ部29と一体の可動側パンチ30も上がり、パンチフランジ部29は顎部32に押し付けられ停止し、可動側パンチ30もパンチ通し孔34内に全部が収まり、その下面がフランジ収納体36の下面と同一面を形成する。
固定型3側では、可動型4および可動側パンチ30の上昇に伴い、パンチアウト側圧縮弾性体20への圧縮圧力が開放されるので、パンチアウト側圧縮弾性体20が膨張してパンチアウトフランジ部21を押し上げ、該パンチアウトフランジ部21の上面が顎部17に当り停止され、パンチアウトフランジ部21の上昇にともない固定側パンチアウト22も形成材Bを載せたままで上昇し、固定側パンチアフト22の上面とパンチアウト案内体19の上面が同一面となり、よって形成材Bは抜き済み材Cの抜け跡に戻る以外に戻り場所がないので確実に抜け跡に戻され、設定最大隙間距離が材料Aの一枚よりも広くかつ2枚よりも狭い1.4mmの材料通し隙間7により、反りなどがあっても抜け跡から外れられないで収まったまま形成材搬送部98に移送可能とされる。(図9参照)
【0039】
固定型3と可動型4をその弾性力によって離している離間弾性体8は、型押し部87によって圧縮されてその弾性反発力を強められた状態とされている。
よって、打抜動作完了直後でも離間弾性体8によって、押し離される可動型4は型押し部87の停止位置で止められるとともに、圧縮された離間弾性体8の弾性反発力によって型押し部87に押し付けられるので、可動型4の振動が離間弾性体8の弾性押し付け力によってキャンセルされて、可動型4は設定最大隙間距離位置に微動することなく、また音を発することなく停止されることを実現している。
型押し部87で可動型4を押さえ材料通し隙間7を所定の設定最大隙間距離に規制するものであるので、締付手段6、6を設けない構成の抜型とすることも、締付手段6、6の締め付け位置を適当な位置とすることも可能である。
【実施例2】
【0040】
図10に示す本発明の実施例2において前記実施例1と主に異なる点は、抜型を、型押し部87に取り付けて該型押し部87と一体的に昇降動作するパッケージシートを抜くのに適したトムソン刃からなる抜型100した点にある。
抜き動作時には調整ベース94の上部面には刃受けシートがセットされる。
また、トムソン刃に代えて、積層したシートを押し抜く中空刃を取り付けるのもよい。この場合、積層シートを押さえる押さえ機構を設ける。
【実施例3】
【0041】
図11、図12、図13に示す本発明の実施例3において、前記実施例1と主に異なる点は、制御部110のタッチパネルであるディスプレイ95に可動型4と固定型3の間に形成される、材料Aを移動自在に通すための材料通し隙間111の、設定最大隙間距離115をタッチ操作によって設定する隙間距離設定部112を設け、ディスプレイ95に可動パンチ30の下死点113をタッチ操作によって設定する下死点設定部114を設け、下方セットベース81に抜型1の材料通し隙間111の実際の最大隙間距離ないし可動型4の位置を常時監視し検出する検出部116を設けてなる抜き装置117を形成した点にある。
【0042】
隙間距離設定部112で設定された設定最大隙間距離115は最大隙間距離記憶部118に記憶され、検知部116の検知信号119は検知データ128にされて検知データ記憶部120に記憶され、下死点設定部114で設定された下死点113は下死点記憶部121に記憶される。
最大隙間距離記憶部118に記憶された設定最大隙間距離115は最大隙間距離決定部122に送られ、駆動手段制御部123に送られて、駆動手段制御部123は螺旋シャフト83が設定最大隙間距離115を得る最大離間停止位置で停止するように駆動手段85を制御し、かつ、下死点設定部114の下死点113も駆動手段制御部123に送られて、駆動手段制御部123は螺旋シャフト83が下死点113となる下死点位置で停止するように駆動手段85を制御する。
最大隙間距離決定部122には抜き動作の毎回の検知データ128が送られ、その検知データ128の検知隙間距離が設定最大隙間距離115から外れている場合は、打抜動作を止めることなく最大離間停止位置を設定最大隙間距離115となるように一往復動作内ないし何回かの往復動作ないで自動的に変更する。
設定最大隙間距離115が、材料の1枚の厚みよりも広い隙間距離でありかつ該材料の2枚の厚みよりも狭い隙間距離であるように、前記螺旋シャフトの最大離間停止位置によって決められようになっている。
【0043】
隙間距離設定部112の設定画面およびそれによる設定最大隙間距離の設定について図12によって説明する。
(1)検出部116によって、該検出部16の検出範囲で固定型3の上部縁位置と可動型4の下部縁位置が常に監視され、固定型3の上部縁位置が0点とされている。
(2)材料厚ボタン135を指でタッチして、数字入力キーボード136を表示させ、数字入力キーボード136の数字キーを指でタッチして材料の厚みを入力する。入力された材料厚みは材料厚み表示部137に表示(ここでは、0.8mm)される。
(3)材料厚みが特定されると、自動的に2枚の材料の厚み(ここでは、0.8×2=1.6mm)より0.1mm少ない1.5mmに最大隙間距離が自動的に決定され、最大隙間距離記憶部118に記憶され、最大隙間距離表示部140に自動的に表示される。
最大隙間距離を変更したい場合は、最大隙間距離ボタン138を指でタッチすると、数字入力キーボード(図示せず省略)が表示されるので、適切と思われる数字を入力することにより、変更することができる。
(4)可動型4と固定型3の間に材料を入れ、材料厚測定ボタン139を指でタッチすると、可動型3が下降して、可動型4と固定型3の間に材料を挟持した状態で停止される。この停止位置を材料厚みとして、材料厚み表示部137に表示(ここでは、0.8mm)が自動的に表示され、自動的に2枚の材料の厚み(ここでは、0.8×2=1.6mm)より0.1mm少ない1.5mmに最大隙間距離が自動的に決定され、最大隙間距離記憶部118に記憶される。
(5)前記(1)〜(4)の操作において、最大隙間距離の設定は設定ボタン142をタッチすることによって、設定・変更が可能とされ、設定完了ボタン141をタッチすることによって、その最大隙間距離は確定するようになっている。
【0044】
材料Aがプラスチック製部材である場合においては、図13に示す以下のような動作としている。
可動型4に材料Aから形成材Bを抜く該可動型4から出入りする可動側パンチ30が設けられ、固定型3に可動側パンチ30によって材料Aから押し出された形成材Bによって沈み動作して該形成材Bが入る凹み部位133を形成する固定側パンチアウト22が設けられ、形成材Bの一方の抜き刃となる可動側パンチ30のパンチ縁刃130の抜き完了停止位置が螺旋シャフト83の下死点113位置によって決定され、
材料Aに食い込みかつ形成材Bの他方の抜き刃となる固定側パンチアウト22のアウト縁刃131位置に到達しない、かつ、材料Aに食い込んだパンチ縁刃130とアウト縁刃131の間に該材料Aの残肉部位132が残った形態となって、パンチ縁刃130とアウト縁刃131が前記食い込んだ状態で残肉部位132が自然に破断しての形成材Bの抜き完了が、下死点113位置到達時ないしそれより前に完了するものである。
パンチ縁刃130とアウト縁刃131は同一垂直線上に位置させており、そのまま、可動型4を下降させるとパンチ縁刃130とアウト縁刃131は当る位置関係となっているが、可動型4が残肉部位132を残す位置で停止されるので、当ることは無い。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明は材料から形成材を打抜形成する産業で利用される。
【符号の説明】
【0046】
A:材料、
B:形成材、
C:抜き済み材、
1:抜型、
3:固定型、
4:可動型、
5、5:連結シャフト、
6、6:締付手段、
7:材料通し隙間、
8:離間弾性体、
10:ボルト、
11:ネジ通し穴、
12:固定型ベース、
13:案内シャフト取付けネジ孔、
14、14:固定型側シャフト取付け部、
15:パンチアウト支持体、
16:パンチアウト可動支持凹部、
17:顎部、
18:パンチアウト通し案内孔、
19:パンチアウト案内体、
20:パンチアウト側圧縮弾性体、
21:パンチアウトフランジ部、
22:固定側パンチアウト、
25:可動型ベース、
26:受け板、
27:パンチベース、
28:パンチ首部、
29:パンチフランジ部、
30:可動側パンチ、
31:首部通し孔、
32:顎部、
33:首部通し体、
34:パンチ通し孔、
35:フランジ収納部、
36:フランジ収納体、
37:パンチ側圧縮弾性体、
38:案内管、
39:案内シャフト通し案内孔、
40:可動型側シャフト取付け部、
45:連結シャフト本体、
46:固定型取付け部、
47:可動型取付け部、
48:ナット、
50:弾性体本体、
51:中空部、
55:リニアベアリング、
56:案内シャフト、
57:ワッシャ、
58:雄ネジ、
70:主軸、
71:小歯車、
72:大歯車、
80:抜き装置、
81:下方セットベース、
82:上方ベース、
83:螺旋シャフト、
84:回転螺合体、
85:駆動手段、
86:シャフト支持案内部、
87:型押し部、
88:支柱、
89:リニアベアリング、
90:連結部材、
91:連結部材、
92:ベアリング連結体、
93:螺旋シャフト固定部、
94:調整ベース、
95:ディスプレイ、
96:電源・制御系ケース、
97:材料送り部、
98:形成材搬送部、
99:形成材収納部、
100:抜型、
110:制御部、
111:材料通し隙間、
112:隙間距離設定部、
113:下死点、
114:下死点設定部、
115:設定最大隙間距離、
116:検出部、
117:抜き装置、
118:最大隙間距離記憶部、
119:検知信号、
120:検知データ記憶部、
121:下死点記憶部、
122:最大隙間距離決定部、
123:駆動手段制御部、
128:検知データ、
130:パンチ縁刃、
131:アウト縁刃、
132:残肉部位、
133:凹み部位。
135:材料厚ボタン、
136:数字入力キーボード、
137:材料厚み表示部、
138:最大隙間距離ボタン、
139:材料厚測定ボタン、
140:最大隙間距離表示部、
141:設定完了ボタン、
142:設定ボタン。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可動型、この可動型に対向してその位置が固定されて設けられた固定型、前記可動型と前記固定型の間に通された材料を、前記可動型の抜動作によって抜いて形成材を形成する抜き装置であって、
前記可動型を前記抜き動作させる螺旋シャフトと、
この螺旋シャフトに螺合された、回転動作によって該螺旋シャフトを直線往復動作させる回転螺合体と、
この回転螺合体を回転駆動させるための駆動手段と、
この駆動手段を制御する制御部と、
この制御部に設けられた、前記可動型と前記固定型の間に形成される前記材料を移動自在に通すための材料通し隙間の、設定最大隙間距離を記憶する最大隙間距離記憶部とからなるとともに、
前記設定最大隙間距離が、前記材料の1枚の厚みよりも広い隙間距離でありかつ該材料の2枚の厚みよりも狭い隙間距離であるように、前記螺旋シャフトの最大離間停止位置によって決められるように制御してなることを特徴とする抜き装置。
【請求項2】
螺旋シャフトがボールネジであり、回転螺合体がボールネジナットであることを特徴とする請求項1記載の抜き装置。
【請求項3】
可動型と固定型が同一案内シャフト上に一体化された抜型とされ、
前記可動型と前記固定型を常に反発付勢力によって離間させるように機能する離間弾性体が設けられ、
前記離間弾性体により離間可能とされる前記可動型の離間可能距離は設定最大隙間距離を超えた離間距離であり、
前記離間弾性体の可動型を離間させる離間速度が螺旋シャフトの離間速度よりも早いことを特徴とする請求項1、2のいずれか1項に記載の抜き装置。
【請求項4】
下方セットベースが設けられ、
前記下方ベースに離間対向された上方セットベースが設けられ、
前記上方セットベース側に駆動手段、回転螺合体、螺旋シャフトが設けられ、
固定型が前記下方セットベースに固定され、
前記固定型あるいは可動型に材料から形成材を抜くパンチが設けられ、
前記固定型に固定型側シャフト取付け部が設けられ、
前記可動型にシャフト通し孔である可動型側シャフト取付け部が設けられ、
連結シャフト本体、この連結シャフト本体の一方の側に設けられた、前記固定型側シャフト取付け部に固定される固定型取付け部、前記連結シャフト本体の他方の側に設けた前記可動型側シャフト取付け部に通されて前記可動型を移動自在に支持する可動型取付け部とからなる連結シャフトが設けられ、
離間弾性体が、弾性体本体、該弾性体本体を貫く中空部とからなっていて、かつ、前記連結シャフトを前記中空部に通して該連結シャフトに取り付けられ、前記固定型と前記可動型の間に位置されて該可動型をその圧縮された反発付勢力により持ち上げ弾性支持するものあることを特徴とする請求項3に記載の抜き装置。
【請求項5】
材料がプラスチック製部材であり、
固定型あるいは可動型に材料から形成材を抜く該固定型あるいは該可動型から出入りするパンチが設けられ、
前記固定型あるいは前記可動型に前記パンチによって前記材料から押し出された前記形成材によって沈み動作して該形成材が入る凹み部位を形成するパンチアウトが設けられ、
前記形成材の一方の抜き刃となる前記パンチのパンチ縁刃の抜き完了停止位置が螺旋シャフトの下死点位置によって決定され、
前記材料に食い込みかつ前記形成材の他方の抜き刃となる前記パンチアウトのアウト縁刃位置に到達しない、かつ、前記材料に食い込んだ前記パンチ縁刃と前記アウト縁刃の間に該材料の残肉部位が残った形態となって、前記パンチ縁刃と前記アウト縁刃が前記食い込んだ状態で前記残肉部位が破断して前記形成材の抜きが、前記下死点位置到達時ないしそれより前に完了するものであることを特徴とする請求項3記載の抜き装置特徴とする請求項3記載の抜き装置。
【請求項6】
可動型が螺旋シャフトに一体的に動作するように、直接的あるいは他の部材を介して固定された形態であることを特徴とする請求項1、2のいずれか1項に記載の抜き装置。
【請求項7】
実際の最大隙間距離ないし可動型の位置を検出する検出部を設け、
前記検出部の検出した前記実際の最大隙間距離ないし前記可動型の位置が、設定最大隙間距離から外れた場合には、螺旋シャフトの最大離間停止位置を前記設定最大隙間距離となる停止位置に自動的に調節するように制御されるようにしてなることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の抜き装置。
【請求項1】
可動型、この可動型に対向してその位置が固定されて設けられた固定型、前記可動型と前記固定型の間に通された材料を、前記可動型の抜動作によって抜いて形成材を形成する抜き装置であって、
前記可動型を前記抜き動作させる螺旋シャフトと、
この螺旋シャフトに螺合された、回転動作によって該螺旋シャフトを直線往復動作させる回転螺合体と、
この回転螺合体を回転駆動させるための駆動手段と、
この駆動手段を制御する制御部と、
この制御部に設けられた、前記可動型と前記固定型の間に形成される前記材料を移動自在に通すための材料通し隙間の、設定最大隙間距離を記憶する最大隙間距離記憶部とからなるとともに、
前記設定最大隙間距離が、前記材料の1枚の厚みよりも広い隙間距離でありかつ該材料の2枚の厚みよりも狭い隙間距離であるように、前記螺旋シャフトの最大離間停止位置によって決められるように制御してなることを特徴とする抜き装置。
【請求項2】
螺旋シャフトがボールネジであり、回転螺合体がボールネジナットであることを特徴とする請求項1記載の抜き装置。
【請求項3】
可動型と固定型が同一案内シャフト上に一体化された抜型とされ、
前記可動型と前記固定型を常に反発付勢力によって離間させるように機能する離間弾性体が設けられ、
前記離間弾性体により離間可能とされる前記可動型の離間可能距離は設定最大隙間距離を超えた離間距離であり、
前記離間弾性体の可動型を離間させる離間速度が螺旋シャフトの離間速度よりも早いことを特徴とする請求項1、2のいずれか1項に記載の抜き装置。
【請求項4】
下方セットベースが設けられ、
前記下方ベースに離間対向された上方セットベースが設けられ、
前記上方セットベース側に駆動手段、回転螺合体、螺旋シャフトが設けられ、
固定型が前記下方セットベースに固定され、
前記固定型あるいは可動型に材料から形成材を抜くパンチが設けられ、
前記固定型に固定型側シャフト取付け部が設けられ、
前記可動型にシャフト通し孔である可動型側シャフト取付け部が設けられ、
連結シャフト本体、この連結シャフト本体の一方の側に設けられた、前記固定型側シャフト取付け部に固定される固定型取付け部、前記連結シャフト本体の他方の側に設けた前記可動型側シャフト取付け部に通されて前記可動型を移動自在に支持する可動型取付け部とからなる連結シャフトが設けられ、
離間弾性体が、弾性体本体、該弾性体本体を貫く中空部とからなっていて、かつ、前記連結シャフトを前記中空部に通して該連結シャフトに取り付けられ、前記固定型と前記可動型の間に位置されて該可動型をその圧縮された反発付勢力により持ち上げ弾性支持するものあることを特徴とする請求項3に記載の抜き装置。
【請求項5】
材料がプラスチック製部材であり、
固定型あるいは可動型に材料から形成材を抜く該固定型あるいは該可動型から出入りするパンチが設けられ、
前記固定型あるいは前記可動型に前記パンチによって前記材料から押し出された前記形成材によって沈み動作して該形成材が入る凹み部位を形成するパンチアウトが設けられ、
前記形成材の一方の抜き刃となる前記パンチのパンチ縁刃の抜き完了停止位置が螺旋シャフトの下死点位置によって決定され、
前記材料に食い込みかつ前記形成材の他方の抜き刃となる前記パンチアウトのアウト縁刃位置に到達しない、かつ、前記材料に食い込んだ前記パンチ縁刃と前記アウト縁刃の間に該材料の残肉部位が残った形態となって、前記パンチ縁刃と前記アウト縁刃が前記食い込んだ状態で前記残肉部位が破断して前記形成材の抜きが、前記下死点位置到達時ないしそれより前に完了するものであることを特徴とする請求項3記載の抜き装置特徴とする請求項3記載の抜き装置。
【請求項6】
可動型が螺旋シャフトに一体的に動作するように、直接的あるいは他の部材を介して固定された形態であることを特徴とする請求項1、2のいずれか1項に記載の抜き装置。
【請求項7】
実際の最大隙間距離ないし可動型の位置を検出する検出部を設け、
前記検出部の検出した前記実際の最大隙間距離ないし前記可動型の位置が、設定最大隙間距離から外れた場合には、螺旋シャフトの最大離間停止位置を前記設定最大隙間距離となる停止位置に自動的に調節するように制御されるようにしてなることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の抜き装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2013−10174(P2013−10174A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−272599(P2011−272599)
【出願日】平成23年12月13日(2011.12.13)
【出願人】(597119079)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年12月13日(2011.12.13)
【出願人】(597119079)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]