説明

抵抗低減多層フィルムおよび使用方法

表面上を流れる流体によって生じる抵抗を低減するための物品は、抵抗を低減する外部露出パターン表面を有するバッキング層と、バッキング層を基材表面に結合させるための接着結合層とを含み、この物品は強化層を含まない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面を流れる流体(たとえば、空気、ガス、水など)によって生じる抵抗を低減するためにそのような表面に適用することができる物品に関する。
【背景技術】
【0002】
空気中を移動する飛行機、水を通過して移動するボート、または空気中を移動する自動車など、流体媒体を通過する物体によって生じる抵抗を低減することが望まれている。比較的わずかに抵抗が低減されるだけで、その物体を推進するために必要な燃料を大きく削減することができる。改善された燃料経済性を得ることができる。
【0003】
有用性を高めるために、抵抗低減物品はある種の性質を有するべきである。たとえば、これらは耐候性であるべきである。すなわち、抵抗低減物品は、紫外線、風、砂、雨、雪、氷、繰り返される大きな温度変化などに曝露しても、性能の低下または損失が起こるべきではない。さらに、抵抗低減物品は、航空機などの適用される乗り物の外部に良く接着すべきであり、有機溶剤などの曝露の可能性のある流体に対して抵抗性を有するべきである。平坦な表面、または滑らかな輪郭を有する表面、すなわち盛り上がったリベットなどの表面の突出部が実質的に存在しない表面に適用しやすくするために、ある程度の適合性も望ましい。一部の用途では、抵抗低減物品は、適用された表面からきれいかつ容易に除去できるべきである。最後に、その構造中の層の数を最小限にすることなどによって、抵抗低減物品が容易に製造されることが望ましい。抵抗低減物品に必要な層の数を最小限にすることによって、製造コストも削減することができる。
【0004】
種々の抵抗低減物品が公知であり、抵抗を低減するパターン化表面を有する熱可塑性または熱硬化性ポリマーフィルムを含んでいる。これらの物品の例は、それぞれマレンティック(Marentic)らに付与された米国特許第4,986,496号明細書、第5,069,403号明細書、および第5,133,516号明細書に見ることができる。マレンティック(Marentic)らの物品は抵抗の低減に有効である。抵抗低減物品の別の例は、フロネック(Fronek)らに付与された米国特許第5,848,769号明細書に見ることができる。フロネック(Fronek)らの物品は、抵抗を有効に低減しながら、改善された取り扱い性、再剥離性、および耐候性を与えることによって、マレンティック(Marentic)らの物品を改良している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般に、本発明は、表面を流れる流体(たとえば、空気、ガス、水など)によって生じる抵抗を低減するためにそのような表面に適用することができる物品に関する。より詳細には、一実施態様において、本発明は、表面上を流れる流体によって生じる抵抗を低減する露出したパターン化表面を有する外層と、そのような表面に物品を取り付けるための接着結合層と、外層と接着結合層との間の任意選択の中間層とを含む抵抗低減物品に関する。このような物品は強化層を有さない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様においては、外層は、良好な結合特性を有するポリマーと、抵抗低減物品が航空宇宙用途での使用に好適となるための良好な耐薬品性および耐候性を有するポリマーとのブレンドを含む。良好な結合特性を有するポリマーは典型的にはアクリルポリマーである、好適なアクリルポリマーは、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、およびそれらの組み合わせからなる群より選択されるモノマーの重合生成物を含む。良好な耐薬品性および耐候性を有するポリマーは典型的にはフルオロポリマーであり、(1)フッ化ビニリデンの重合単位;(2)フッ化ビニリデンと、エチレン、ヘキサフルオロプロピレン、テトラフルオロエチレン、およびそれらの組み合わせからなる群より選択されるモノマーとの重合単位から誘導されるコポリマー;および(3)(1)と(2)の組み合わせを含むフルオロポリマーが好適である。一実施態様では、中間層も、フルオロポリマーとアクリルポリマーとのブレンドを含み、有用となるブレンドは、外部パターン層を形成するために使用されるものの中から選択することができる。典型的には、接着結合層と外部パターン化層との間の良好な接着性を促進するために、中間層にはアクリルポリマーが高い比率で使用される。
【0007】
さらに、抵抗低減物品は、表面または基材に抵抗低減物品を結合させるための接着結合層(たとえば、感圧接着剤、硬化性接着剤、または未硬化の複合材料物品)も含む。
【0008】
外層中の露出したパターン化表面は一般に、一連の実質的に平行の谷によって分離された一連の実質的に平行の山を含むが、抵抗低減物品が取り付けられている表面上を流れる流体によって生じる抵抗を低減するのであれば、この記述の範囲中で種々の波の形態が可能となる。
【0009】
別の実施態様においては、本発明は、表面上を流れる流体によって生じる抵抗を低減する方法に関する。この方法は、
(a)流体が流れることができる表面を提供するステップと、
(b)ステップ(a)で提供された表面の上を流れる流体によって生じる抵抗を低減することが可能な物品を提供するステップと、
(c)その表面上を流れる流体によって生じる抵抗を低減するために、ステップ(b)からの物品を、ステップ(a)で提供された表面に取り付けるステップとを含む。前述のいずれの抵抗低減物品もステップ(b)で使用することができる。
【0010】
以下の図面を参照することによって本発明をより十分に理解でき、これらの図面において類似の参照番号は同様または類似の成分を表している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図面を参照すると、図1および2は、本発明による抵抗低減物品10を示しており、これは不透明、半透明、または透明であってよい。抵抗低減物品10は、山20および谷22を有する外部パターン化表面を有する外部のパターン形成されたバッキング層11と、任意選択の中間層12と、接着結合層14と、任意選択の一時的で剥離可能な保護ライナー16とを有する。用語「外部パターン形成された」および「外部の露出したパターン」は本明細書では同義的に使用される。
【0012】
このような物品は、飛行機、列車、自動車、ボート、および船などの乗り物上、ならびに風車の回転翼または流体輸送導管の内面などの流体が流れうる他の表面上で有用となる。これらは、印刷された表面、プライマー処理された(たとえば、エポキシプライマー、クロメート処理プライマー)表面、または裸の表面の上に使用することができる。これらは、金属表面、特に、陽極酸化表面であってもよいアルミニウム表面、クロメート処理された表面(ペンシルバニア州アブモーラーのアムケム・プロダクツ・インコーポレイテッド(Amchem Products,Inc.,Abmoler,PA)より入手可能なアロディン1200(Alodine 1200)を使用した処理によって得られる)、またはその他の処理が行われた表面の上に使用することができる。これらは、炭素繊維強化プラスチックなどの複合材料の表面上に使用することができる。
【0013】
一実施態様においては、抵抗低減物品10は、外部の露出したパターン化表面を有するバッキング層11と、接着結合層14と、任意選択の一時的で剥離可能な保護ライナー16とを含み、米国特許第5,848,769号明細書に記載されるような強化層は含まない。このような材料は、熱可塑性ポリウレタンおよびポリ塩化ビニルを含むと記載されている。このような層を使用しなくても、十分に適合性の抵抗低減物品を提供できることが分かっている。この結果、本発明によって製造が簡便になり、製造コストが削減されると推測される。本発明によって、改善された化学流体抵抗性が示されることも期待される。
【0014】
別の実施態様においては、抵抗低減物品は、外部パターン形成されたバッキング11と、接着結合層14と、任意選択の一時的で剥離可能な保護ライナーとから実質的になる。
【0015】
別の実施態様では、抵抗低減物品は、外部パターン形成されたバッキング層11と、接着結合層14と、バッキング層と結合層との間の中間層12とを含み、米国特許第5,848,769号明細書に記載されるような強化層は含まない。このような層を使用しなくても、十分に適合性の抵抗低減物品を提供できることが分かっている。この結果、本発明によって製造が簡便になり、製造コストが削減されると推測される。本発明によって、改善された化学流体抵抗性が示されることも期待される。
【0016】
別の実施態様では、抵抗低減物品は、外部の露出したパターン化表面を有する外部パターン形成されたバッキング層11と、接着結合層14と、バッキング層と結合層との間の中間層12と、任意選択の一時的で剥離可能な保護ライナー16とから実質的になる。
【0017】
さらに別の実施態様、表面上を流れる流体によって生じる抵抗を低減する方法が提供される。この方法は、
(a)流体が流れることができる表面を提供するステップと、
(b)ステップ(a)で提供された表面の上を流れる流体によって生じる抵抗を低減することが可能な物品を提供するステップと、
(c)表面上を流れる流体によって生じる抵抗を低減するために、ステップ(b)からの物品を、ステップ(a)で提供された表面に取り付けるステップとを含む。
【0018】
前述のあらゆる抵抗低減物品をステップ(b)で使用することができる。
【0019】
本発明の抵抗低減物品(結合層14を除く)は、典型的および好都合には、抵抗低減物品の製造を容易にするために熱可塑性材料を含む。熱可塑性材料は、繰り返し再加熱および再成形することができ、このことは、本明細書で十分に説明される押出方法によって抵抗低減物品の製造のために有用である。
【0020】
外部パターン形成されたバッキング層11は、抵抗低減特性を物品10に付与するパターン(本明細書でより詳細に説明する)に成形することができる。さらに、外部パターン形成されたバッキング層11は、化学物質および天候に対する曝露に対して十分抵抗性であると、航空宇宙用途で抵抗低減物品10を使用できるようになる。
【0021】
中間層12は、良好な取り扱い特性を抵抗低減物品に付与し、外部パターン形成されたバッキング層11と接着結合層14との間の接着を促進する。層12を組み込むことによって、外部パターン形成されたバッキング層11との適合性の問題のために他の場合には使用できない場合がある顔料、染料、酸化防止剤、UV安定剤などの、物品10中の改質材料の使用の選択を広げることもできる。
【0022】
接着結合層14は、感圧接着剤であってもよいし、あるいは、いずれの場合も基材に適用した後で硬化させることができる硬化性接着剤層または未硬化の複合物品層であってもよい。接着結合層14は、飛行機表面、ボートまたはその他の船舶の船体、自動車の表面、風車の回転翼の表面、あるいは流体輸送導管の内面などの基材に抵抗低減物品を接着させる。
【0023】
バッキング層および中間層
これらの望ましい性質を実現するために、露出したパターンを有する外面を有する外部パターン形成されたバッキング層11、および中間層12は、種々のポリマーのブレンドとして提供されると好適であり、その少なくとも1種類は、良好な耐薬品性および耐候性を有し、少なくとも1種類は良好な結合特性を有する(この場合「ポリマー」は、ホモポリマーと、2種類以上のモノマーから誘導されるポリマーコポリマーの両方を含むように広い意味で使用される)。フルオロポリマー、特にフッ化ビニリデンの重合単位を含有するフルオロポリマーは、良好な耐薬品性および耐候性を有することが分かっている。アクリルポリマー、特に短鎖アルキルメタクリレートの重合単位を含有するアクリルポリマーは、良好な結合特性および取り扱い特性を有することが分かっている。
【0024】
一実施態様では、外部パターン形成されたバッキング層11と中間層12とは、フルオロポリマーとアクリルポリマーとの異なるブレンドとして形成され、それらの実際の量は、フルオロポリマーによって得られる流体抵抗性、紫外(UV)線抵抗性、耐候性、および剛性、ならびにアクリルポリマーによって付与される接着性、可撓性、および取り扱い性の間の所望のバランスに依存する。外部パターン形成されたバッキング層11には、UV放射線、耐候性、および耐薬品性が必要とされる場合にフルオロポリマーが高い重量%値で使用され、中間層12には、外部パターン形成されたバッキング層11と接着結合層14との間に良好な結合特性が必要とされる場合にアクリルポリマーが高い%値で使用される。一実施態様では、外部パターン形成されたバッキング層11は、少なくとも約70重量%のフルオロポリマーのブレンドを含む。別の実施態様では、外部パターン形成されたバッキング層11は約30重量%ものアクリルポリマーを含む。さらに別の実施態様では、外部パターン形成されたバッキング層11は100重量%ものフルオロポリマーを含む。一実施態様では、外部パターン形成されたバッキング層は約90重量%ものフルオロポリマーのブレンドを含む。別の実施態様では、外部パターン形成されたバッキング層11は少なくとも約10重量%のアクリルポリマーを含む。さらに別の実施態様では、外部パターン形成されたバッキング層11は、約90重量%のフルオロポリマーと、10重量%のアクリルポリマーとを含む。このようなブレンドによって、外部パターン形成されたバッキング層11が、物理的性質、性能、または外観を顕著に損なうことなく、水、油、燃料、溶媒、作動液などに対する長時間の曝露に耐えることができる。さらに、通常の使用中に抵抗低減物品10が曝露しうる酸性雨、鳥の糞、およびその他の過酷な環境要因による明確な影響がない。一実施態様では、中間層12は少なくとも約70重量%のアクリルポリマーのブレンドを含む。別の実施態様では、中間層12は約30重量%ものフルオロポリマーを含む。さらに別の実施態様では、中間層12は100重量%ものアクリルポリマーを含む。一実施態様では、中間層12は約90重量%ものアクリルポリマーのブレンドを含む。別の実施態様では、中間層12は少なくとも約10重量%のフルオロポリマーを含む。さらに別の実施態様では、中間層12は、約90重量%のアクリルポリマーと10重量%のフルオロポリマーとを含む。このようなブレンドによって、中間層12が、良好な取り扱い性を抵抗低減物品に付与し、外部パターン形成されたバッキング層11と接着結合層14との間の接着を促進することができる。中間層12を組み込むことによって、外部パターン形成されたバッキング層11との適合性の問題のために他の場合には使用できない場合がある顔料、染料、酸化防止剤、UV安定剤などの、物品10中の改質材料の使用の選択を広げることもできる。
【0025】
好適なフッ化ビニリデン含有フルオロポリマーとしてはポリ(フッ化ビニリデン)(PVDF)が挙げられる。フッ化ビニリデンと、エチレン、ヘキサフルオロプロピレン、テトラフルオロエチレン、およびそれらの組み合わせからなる群より選択されるモノマーとの重合単位から誘導されるコポリマー、ならびにPVDFとPVDFコポリマーとの組み合わせも有用である。このような材料は、ASTM D−1238に従って230℃および5kgで測定した場合のメルトフローインデックス(MFI)が約6〜120となり、キャピラリーレオメーターを使用した従来手段によって240℃および50sec-1で測定した場合の見かけの粘度が400〜30,000パスカル・秒となる傾向にある。抵抗低減形状を有する外部パターン形成されたバッキング層11が得られる精密なパターンに成形することができ、さらに剛性も得られるため、PVDFが好適である。PVDFは、抵抗低減物品に従来使用されてきた熱可塑性材料よりも容易に精密な抵抗低減パターンを維持することができる。
【0026】
種々のアクリルポリマーを使用することができ、たとえば、重量平均分子量が750,000未満である中から低分子量のアクリル樹脂、たとえばメタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、およびメタクリレートコポリマーからなる群より選択される少なくとも2種類の材料を含むブレンドまたはコポリマーなどを使用することができる。ポリ(メタクリル酸メチル)(PMMA)が好適である。
【0027】
層11および12は、UV安定剤(たとえば、ニューヨーク州ホーソーンのチバ−ガイギー・コーポレーション(Ciba−Geigy Corp.,Hawthorne,NY)より入手可能なチヌビン(TINUVIN)の一群の安定剤);酸化防止剤;ガラス、セラミック、またはポリマーのバブルなどの充填剤;顔料;ポリオレフィンポリマーなどの加工助剤;および難燃剤などの添加剤を含むこともできる。
【0028】
一実施態様では、外部パターン形成されたバッキング層11は少なくとも約5μm(0.0002インチ)の厚さにすることができる。別の実施態様では、外部パターン形成されたバッキング層11は約410μm(0.016インチ)もの厚さにすることができる。一実施態様では、外部パターン形成されたバッキング層11は少なくとも約13μm(0.0005インチ)の厚さにすることができる。では別の実施態様、外部パターン形成されたバッキング層11は約40μm(0.0015インチ)もの厚さにすることができる。中間層12なしで使用される場合、外部パターン形成されたバッキング層11は少なくとも約13μm(0.0005インチ)の厚さにすることができる。別の実施態様では、中間層12なしで使用される場合、外部パターン形成されたバッキング層11は約410μm(0.016インチ)もの厚さにすることができる。
【0029】
中間層12が併用される場合、外部パターン形成されたバッキング層11は少なくとも約5μm(0.0002インチ)の厚さとなりうる。別の実施態様では、中間層12が併用される場合、外部パターン形成されたバッキング層11は約410μm(0.016インチ)もの厚さとなりうる。中間層12は少なくとも約3μm(0.0001インチ)の厚さとなりうる。別の実施態様では、中間層12は約410μm(0.016インチ)もの厚さとなりうる。さらに別の実施態様では、中間層12は約12μm(0.0005ミル)もの厚さとなりうる。全体で、層11および12を合わせた厚さは少なくとも約8μm(0.0003インチ)となりうる。別の実施態様では、層11および12を合わせた全体の厚さは約415μm(0.016インチ)にもなりうる。さらに別の実施態様では、層11および12を合わせた全体の厚さは少なくとも約50μm(0.002インチ)となる。別の実施態様では、層11および12を合わせた全体の厚さは約150μm(0.006インチ)にもなる。この合わせた厚さが約410μm(0.016インチ)を超える場合、抵抗低減物品の適合性が低下することがあり、抵抗低減物品の重量およびコストが増加し、これは望ましくない。
【0030】
層11および12は、典型的には、それぞれが2つの主面を有するシート材料の形態である。場合によっては、これらの層の少なくとも1つの表面は、どの層が結合層と隣接するかに依存して、接着結合層14を結合させるために処理することができる。このような処理方法としては、コロナ処理、特に、米国特許第5,972,176号明細書(カーク(Kirk)ら)に開示されるような窒素と、水素、アンモニア、およびそれらの混合物からなる群より選択される約0.1〜約10体積%の添加ガスとを含有する雰囲気中のコロナ放電が挙げられる。別の有用な処理方法としては、ナトリウムナフタレニドを使用する化学エッチングが挙げられる。このような処理方法は、ポリマー界面および接着(Polymer Interface and Adhesion),スーヘン・ウー(Souheng Wu)編著,マーセル・デッカー・インコーポレイテッド(Marcel Dekker,Inc.),NYおよびバーゼル(Basel),pp.279−336(1982);および高分子科学工学百科事典第2版補巻(Encyclopedia of Polymer Science and Engineering,Second Edition,Supplemental Volume)、ジョン・ワイリー・アンド・サンズ(John Wiley & Sons),pp.674−689(1989)に開示されている。別の有用な処理方法は、ペンシルバニア州ピッツトンのアクトン・インダストリーズ・インコーポレイテッド(Acton Industries,Inc.,Pittston,PA)で利用可能なフルオロエッチ(FLUOROETCH)法である。その他の処理方法としては、プライマーなどの材料の使用が挙げられる。これらは、前述の表面処理の代わりに使用したり、または前述の表面処理と併用したりすることができる。有用なプライマーの例は、接着促進剤(ADHESION PROMOTER)#86A(液体プライマー、ミネソタ州セントポールの3Mカンパニー(3M Company,St.Paul,MN)より入手可能)である。
【0031】
グラフィック層18を、外部パターン形成されたバッキング層11または中間層12に適用したり、または図3に示されるように接着結合層14に適用したりすることができる。
【0032】
接着結合層
接着結合層14は、飛行機表面、ボートまたはその他の船舶の船体、自動車の表面、風車の回転翼の表面、あるいは流体輸送導管の内面などの基材に抵抗低減物品を接着させる。
【0033】
一実施態様では、接着結合層14は、外部パターン形成されたバッキング層11のパターン表面を有する側とは反対側の上に適用される。接着結合層14は、接着剤、たとえば室温感圧接着剤(PSA)、ホットメルトPSA、または硬化性接着剤、たとえば熱可塑性樹脂、湿気硬化性接着剤、熱硬化性接着剤、またはプリプレグ材料(たとえば、硬化性有機樹脂マトリックスと、無機繊維などの強化材料とを含有する材料)から選択することができる。中間層12が使用される場合の別の実施態様では、このような結合層は、外部パターン形成されたバッキング層11と隣接する表面とは反対側の中間層の表面に適用することができる。
【0034】
一実施態様では、この接着剤が室温PSAである。室温PSAの一例はアクリレート感圧接着剤である。このような材料は、接着性、凝集性、伸縮性、および弾性の四つのバランスがとれており、ガラス転移温度(Tg)は約20℃未満である。たとえば、指タック試験または従来の測定装置によって測定することができるように、これらは室温(たとえば、約20℃〜約25℃)で接触すると粘着性であり、軽い圧力を加えることで有用な接着結合を容易に形成することができる。感圧接着剤の受け入れられている定量的な説明は、ダルキスト(Dahlquist)の基準ライン(粘着技術ハンドブック第2版(Handbook of Pressure Sensitive Adhesive Technology, Second Edition),D.サタス編著(D.Satas,ed.),ファン・ノストランド・レインホールド(Van Nostrand Reinhold),ニューヨーク州ニューヨーク(New York,NY),171〜176ページ(1989年)に記載されている)によって与えられ、これは典型的には、貯蔵弾性率(G’)が約3×105パスカル未満(約20℃〜約22℃の温度において10ラジアン/秒で測定)の材料は一般に感圧接着性を有するが、G’がこの値を超える材料は一般に感圧接着性を有さないことを示している。
【0035】
有用なアクリル感圧接着剤としては、アクリル酸と第3級でないアルコールとのアクリレートエステルのポリマーを含む感圧接着剤が挙げられる。多官能性アクリレート、共重合性光開始剤、またはこれら2つの組み合わせを使用することで、ある程度架橋させることもでき、これは、抵抗低減物品の容易な剥離性、優れた流体抵抗性、および改善された高温性能に寄与することができる。最終的には、剥離性は、結合層の剥離接着力、架橋度、および厚さのバランスである。結合層に適した感圧接着剤およびその製造方法は、米国特許第6,475,616号明細書(ディーツ(Dietz)ら)に開示されており、後に説明する。
【0036】
有用な熱硬化性または湿気硬化性接着剤としては、エポキシ樹脂(エポキシド樹脂+硬化剤)、アクリレート、シアノ−アクリレート、およびウレタン(イソシアネート末端化合物+活性水素含有化合物)が挙げられる。本発明の抵抗低減物品中に使用される硬化性接着剤は硬化後に触れても非粘着性であり、すなわち、硬化後には再加熱して再流動させることができない。さらに、本発明の抵抗低減物品は、本明細書では未硬化複合物品とも記載されるプリプレグ材料(硬化性有機樹脂マトリックスと、無機繊維などの強化材料とを含む材料)に適用することもできる。この方法で使用される場合、プリプレグ材料の硬化性有機樹脂は、接着結合層14として機能することができるので、抵抗低減物品上に設けられる独立した結合層14は不要となる。
【0037】
アクリル接着剤
本発明で使用されるアクリレート感圧接着性コポリマーは、広い温度範囲、特に低温において、多種多様の基材に対して望ましい接着特性を示すので好都合である。さらに、これらは、種々の流体に曝露した後でさえも望ましい接着特性を示す。
【0038】
好適なポリ(アクリレート)は、(A)少なくとも1種類の一官能性アルキル(メタ)アクリレートモノマー(すなわち、アルキルアクリレートおよびアルキルメタクリレートモノマー);および(B)少なくとも1種類の一官能性フリーラジカル共重合性酸含有強化モノマーから誘導される。強化モノマーは、アルキル(メタ)アクリレートホモポリマーよりも高いホモポリマーガラス転移温度(Tg)を有し、結果として得られるコポリマーのガラス転移温度および弾性率を上昇させるモノマーである。本明細書において、「コポリマー」とは、2種類以上の異なるモノマーを含有するポリマーを意味し、ターポリマー、テトラポリマーなどが含まれる。
【0039】
一実施態様では、本発明の感圧接着性コポリマーの調製に使用されるモノマーは、モノマーA−単独重合した場合に一般にガラス転移温度が約0℃以下となる一官能性アルキル(メタ)アクリレートモノマー;およびモノマーB−単独重合した場合に一般にガラス転移温度が少なくとも約10℃となる一官能性フリーラジカル共重合性酸含有強化モノマーを含む。モノマーAおよびBのホモポリマーのガラス転移温度は、典型的には±5℃の範囲内の精度であり、示差走査熱量測定によって測定される。
【0040】
一官能性アルキルアクリレートまたはメタクリレート(すなわち、(メタ)アクリル酸エステル)であるモノマーAは、コポリマーの可塑性および粘着性に寄与する。モノマーAに使用される代表的な材料は、ホモポリマーTgが約0℃以下である。一実施態様では、(メタ)アクリレートのアルキル基は平均4〜20個の炭素原子を有し、別の実施態様では、平均4〜14個の炭素原子を有する。このアルキル基は、場合により鎖中に酸素原子を含有することができ、それによってエーテルまたはアルコキシエーテルなどを形成することができる。モノマーAの例としては、アクリル酸2−メチルブチル、アクリル酸イソオクチル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸4−メチル−2−ペンチル、アクリル酸イソアミル、アクリル酸sec−ブチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸n−ヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸イソオクチル、アクリル酸n−デシル、アクリル酸イソデシル、メタクリル酸イソデシル、およびアクリル酸イソノニルが挙げられるが、これらに限定されるものではない。他の例としては、ポリ−エトキシル化または−プロポキシル化メトキシ(メタ)アクリレート(すなわち、ポリ(エチレン/プロピレンオキシド)モノ−(メタ)アクリレート)マクロマー(すなわち高分子モノマー)、ポリメチルビニルエーテルモノ(メタ)アクリレートマクロマー、およびエトキシル化またはプロポキシル化ノニル−フェノールアクリレートマクロマーが挙げられるが、これらに限定されるものではない。このようなマクロマーの分子量は典型的には約100g/モル〜約600g/モルであり、別の実施態様では約300g/モル〜約600g/モルである。モノマーAとして使用することができる好適な一官能性(メタ)アクリレートとしては、アクリル酸2−メチルブチル、アクリル酸イソオクチル、アクリル酸ラウリルアクリル酸、およびポリ(エトキシル化)メトキシアクリレート(すなわち、メトキシ末端ポリ(エチレングリコール)モノ−アクリレートまたはポリ(エチレンオキシド)モノ−メタクリレート)が挙げられる。Aモノマーとして分類される種々の一官能性モノマーの組み合わせを使用して、本発明のアップリケの製造に使用される感圧性コポリマーを調製することができる。
【0041】
一官能性フリーラジカル共重合性酸含有強化モノマーであるモノマーBは、コポリマーガラス転移温度を上昇させる。本明細書で使用される場合、「強化」モノマーとは、接着剤の弾性率を増加させそれによって強度を増加させるモノマーである。モノマーBに使用される代表的な材料はホモポリマーTgが少なくとも約10℃である。本明細書で使用される場合、「酸含有」モノマーは、アクリル酸またはメタクリル酸官能性などの酸官能性を有するモノマーである。モノマーBの例としては、アクリル酸およびメタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、ならびにフマル酸が挙げられるが、これらに限定されるものではない。モノマーBとして使用することができる好適な強化一官能性アクリルモノマーとしてはアクリル酸およびメタクリル酸が挙げられる。Bモノマーとして分類される種々の強化一官能性モノマーの組み合わせを使用して、本発明の抵抗低減物品の製造に使用されるコポリマーを調製することができる。
【0042】
場合により、希望するなら、このコポリマーは、酸含有モノマー以外に、一官能性フリーラジカル共重合性の中性または非極性強化モノマーを含むこともできる。このようなモノマーの例としては、アクリル酸2,2−(ジエトキシ)エチル、アクリル酸ヒドロキシエチルまたはメタクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピルまたはメタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸メチル、アクリル酸イソブチル、n−メタクリル酸ブチル、アクリル酸ノルボルニル、アクリル酸イソボルニル、アクリル酸2−(フェノキシ)エチルまたはメタクリル酸2−(フェノキシ)エチル、アクリル酸ビフェニリル、アクリル酸t−ブチルフェニル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸ジメチルアダマンチル、アクリル酸2−ナフチル、アクリル酸フェニル、およびN−ビニルピロリドンが挙げられるが、これらに限定されるものではない。このような中性強化一官能性モノマーの組み合わせを使用して、本発明のアップリケの製造に使用されるコポリマーを調製することができる。
【0043】
一実施態様では、アクリレートコポリマーは、結果として得られるTgが約25℃未満となるように配合され、別の実施態様では約0℃未満となるように配合される。このようなアクリレートコポリマーは、好適には80重量%〜96重量%の少なくとも1種類のアルキル(メタ)アクリレート繰り返し単位と、4重量%〜20重量%の少なくとも1種類の共重合性酸含有強化繰り返し単位とを含む。別の好適な実施態様では、アクリレートコポリマーは、85重量%〜95重量%の少なくとも1種類のアルキル(メタ)アクリレート繰り返し単位と、5重量%〜15重量%の少なくとも1種類の共重合性酸含有強化繰り返し単位とを含む。これらの重量%値は、モノマーの全重量を基準にしている。
【0044】
希望するなら、モノマーAおよびBと共重合可能であってもなくてもよい1種類以上の非イオン性架橋剤を、本発明のアップリケの感圧接着剤中に使用することができる。本命書では架橋剤を成分Cと呼ぶ。典型的には、成分Cは、感圧接着剤の接着性を調整し、その凝集強度を改善する。架橋剤は典型的には、化学的架橋(たとえば、共有結合)を形成する。抵抗低減物品を基材に適用する前に、架橋性官能基が消費され、すなわち、モノマーAおよびBまたはそれらのコポリマーと実質的に完全に反応している。架橋は、抵抗低減物品の容易な剥離性、優れた流体抵抗性、および改善された高温性能に寄与することができる。
【0045】
成分Cがエチレン系不飽和を含有する場合、エチレン系不飽和を介してモノマーAおよびBと共重合することによってコポリマーの主鎖に組み込まれる。このような架橋剤は、米国特許第4,379,201号明細書(ハイルマン(Heilmann)ら)、第4,737,559号明細書(ケレン(Kellen)ら)、第5,073,611号明細書(レーマー(Rehmer)ら)、および第5,506,279号明細書(バーブ(Babu)ら)に開示されている。あるいは、成分Cはポリマー主鎖と実質的に独立であってもよい。この種の材料は、たとえば、米国特許第5,604,034号明細書(マツダ(Matsuda))に開示されるようなモノマーBのペンダントカルボン酸基との反応によって、または米国特許第4,330,590号明細書(ベスレイ(Vesley))および第4,329,384号明細書(ベスレイ(Vesley))に開示されるような光活性化水素引き抜きによって架橋を引き起こすことができる。マツダ(Matsuda)は、カルボン酸基と反応性である官能性を有する多官能性架橋剤の使用を開示しており、一方、ベスレイ(Vesley)は、紫外線(たとえば、約250nm〜約400nmの波長を有する放射線)に曝露すると架橋が起こる添加剤を記載している。
【0046】
一実施態様では、成分Cは、(1)励起状態において水素を引き抜くことができる共重合可能なオレフィン系不飽和化合物、(2)カルボン酸基と反応性の少なくとも2つの反応性官能基を有する化合物、または(3)励起状態において水素を引き抜くことができる非共重合性化合物である。成分C1は、モノマーAおよび/またはBと重合可能なフリーラジカル重合性モノマーである。成分C2およびC3は、オレフィン系不飽和を実質的に含有せず、したがって典型的にはモノマーAおよび/またはBとは共重合できない。種々の架橋剤の組み合わせを使用して、本発明の感圧接着剤を製造することができる。
【0047】
非イオン性架橋剤の一種(すなわち成分C1)は、モノマーAおよびBと共重合可能であり、ポリマーに放射線照射することによってポリマー上にフリーラジカルを生成するオレフィン系不飽和化合物である。このような化合物の例としては、米国特許第4,737,559号明細書(ケレン(Kellen)ら)に記載されるようなアクリル化ベンゾフェノン;ペンシルバニア州エクストンのサートマー・カンパニー(Sartomer Company,Exton,PA)より入手可能なp−アクリロキシ−ベンゾフェノン;ならびに米国特許第5,073,611号明細書(Rehmerら)に記載されるモノマー、たとえばp−N−(メタクリロイル−4−オキサペンタメチレン)−カルバモイルオキシベンゾフェノン、N−(ベンゾイル−p−フェニレン)−N’−(メタクリロキシメチレン)−カルボジイミド、およびp−アクリロキシ−ベンゾフェノンが挙げられる。米国特許第5,506,279号明細書(バーブ(Babu)ら)の5〜6欄には、その明細書中では式2と記載されている別の好適なオレフィン系不飽和架橋剤が記載されており、これは{2−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロパン−1−オン)フェノキシ]}エチル(2−メチル−2−(2−メチル−2−プロペン−1−オン)アミノ)プロパノエートである。このオレフィン系不飽和化合物は、励起状態で水素を引き抜くことができ、好適にはアクリル官能性を有する。このような架橋剤の組み合わせを使用して、本発明に使用される感圧接着剤を製造することができる。
【0048】
第2の種類の非イオン性架橋剤(すなわち成分C2)は、オレフィン系不飽和を実質的に含有せず、モノマーBのカルボン酸基と反応可能である架橋性化合物である。これは、カルボン酸基と反応性である少なくとも2つの官能基を含む。これは、重合前のモノマーAおよびBの混合物に加えることができるし、または部分的に重合したシロップが形成された後に加えることができるし、またはモノマーAおよびBのコポリマーに加えることもできる。このような成分の例としては、米国特許第5,604,034号明細書(マツダ(Matsuda))に記載されるような1,4−ビス(エチレンイミノカルボニルアミノ)ベンゼン;4,4−ビス(エチレンイミノカルボニルアミノ)ジフェニルメタン;1,8−ビス(エチレンイミノカルボニルアミノ)オクタン;1,4−トリレンジイソシアネート;および1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートが挙げられるが、これらに限定されるものではない。別の例は、N,N’−ビス−1,2−プロピレンイソフタルアミドであり、米国特許第4,418,120号明細書(キーリー(Kealy)ら)に記載されている。他のこのような架橋剤は、ニューハンプシャー州シーブルックのK.J.クイン・アンド・カンパニー(K.J.Quin and Co.,Seabrook,NH)、およびサウスカロライナ州レイクワイリーのEITインコーポレイテッド(EIT Inc.,Lake Wyllie,SC)より入手可能である。C2架橋剤の他の例としては、ジエポキシド、二無水物、ビス(アミド)、およびビス(イミド)が挙げられる。このような架橋剤の組み合わせを使用して、本発明に使用される感圧接着剤を製造することができる。
【0049】
第3の種類の非イオン性架橋剤(すなわち成分C3)は、オレフィン系不飽和を実質的に含有せず、モノマーAおよびBと共重合できず、励起状態で水素を引き抜くことができる化合物である。これは、モノマーAおよびBのコポリマー、またはモノマーAおよびBの部分的に重合したシロップに加えられる。この混合物に放射線を照射すると、成分C3がポリマー上、または部分的に重合した材料上にフリーラジカルを発生させる。このような成分の例としては、米国特許第4,330,590号明細書(ベスレイ(Vesley))に記載される2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4−メトキシ)フェニル)−s−トリアジン;2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(3,4−ジメトキシ)フェニル)−s−トリアジン;2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(3,4,5−トリメトキシ)フェニル)−s−トリアジン;2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(2,4−ジメトキシ)フェニル)−s−トリアジン;2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(3−メトキシ)フェニル)−s−トリアジン、ならびに米国特許第4,329,384号明細書(ベスレイ(Vesley))に記載される2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−ナフテニル−s−トリアジンおよび2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4−メトキシ)ナフテニル−s−トリアジンが挙げられるが、これらに限定されるものではない。このような架橋剤の組み合わせを使用して、本発明に使用される感圧接着剤を製造することができる。
【0050】
成分C1〜C3の1種類以上に加えて使用することができる別の種類の架橋剤は、少なくとも2つのアクリル部分を含有するアクリル架橋性モノマー(成分C4)である。好適となるこのような材料は、アクリル基の間の鎖中に平均で約12個未満の原子を有する。この種類の架橋剤の例としては、トリメチロールプロパントリアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、1,2−エチレングリコールジアクリレート、ドデシルジアクリレート、およびエチレンオキシド改質ビスフェノールAのジアクリレートが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0051】
使用される場合、架橋剤は有効量で使用され、これは、対象となる基材に対して所望の最終接着特性を得るのに十分な凝集強度を得るために感圧接着剤を架橋させるのに十分な量を意味する。一実施態様では、架橋剤は、100部のコポリマーに対して、約0.01重量部〜約2重量部の量で使用される。
【0052】
光架橋剤が使用されている場合、その接着剤を、約250nm〜約400nmの波長を有する紫外線に曝露することができる。接着剤を架橋させるために必要なこの好適な波長範囲の放射エネルギーは約100ミリジュール/平方センチメートル(mJ/cm2)〜約1,500mJ/cm2であり、別の実施態様では約200mJ/cm2〜約800mJ/cm2である。
【0053】
アクリレートコポリマーの調製
本発明のアクリレート感圧接着剤は、溶液重合法、放射線重合法、バルク重合法、分散重合法、乳化重合法、および懸濁重合法などの種々のフリーラジカル重合法によって合成することができる。本発明の感圧接着剤組成物中に有用なコポリマーを生成するためのモノマーの重合は、典型的には、熱エネルギー、電子ビーム放射線、紫外線などを使用して実施される。このような重合は、重合開始剤によって促進することができ、これは熱開始剤または光開始剤であってよい。好適な光開始剤の例としては、ベンゾインエーテル、たとえばベンゾインメチルエーテルおよびベンゾインイソプロピルエーテル、置換ベンゾインエーテル、たとえばアニソインメチルエーテル、置換アセトフェノン、たとえば2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、および置換α−ケトール、たとえば2−メチル−2−ヒドロキシプロピオフェノンが挙げられるが、これらに限定されるものではない。市販の光開始剤の例としては、チバ−ガイギー・コーポレーション(Ciba−Geigy Corp.)より入手可能なイルガキュア(IRGACURE)651およびダロキュア(DAROCUR)1173、ならびにニュージャージー州パーシッパニー(Parsippany,NJ)のBASFのルセリンTPO(LUCERIN TPO)が挙げられる。好適な熱開始剤の例としては、過酸化物、たとえば過酸化ジベンゾイル、過酸化ジラウリル、メチルエチルケトンペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、ジシクロヘキシルペルオキシジカーボネート、ならびに2,2−アゾ−ビス(イソブチロニトリル)、および過安息香酸t−ブチルが挙げられるが、これらに限定されるものではない。市販の熱開始剤の例としては、ペンシルバニア州ピッツバーグのアクロス・オーガニクス(ACROS Organics,Pittsburgh,PA)より入手可能なVAZO64、およびペンシルバニア州フィラデルフィアのエルフ・アトケム・ノース・アメリカ(Elf Atochem North America,Philadelphia,PA)より入手可能なルシドール(LUCIDOL)70が挙げられる。重合開始剤は、モノマーの重合を促進するのに有効な量で使用される。重合開始剤は、100部のコポリマーに対して、好適には0.1重量部〜5.0重量部の量で使用され、別の実施態様では0.2重量部〜1.0重量部の量で使用される。
【0054】
光架橋剤が使用される場合、コーティングされた接着剤を、約250nm〜約400nmの波長を有する紫外線に曝露することができる。接着剤を架橋させるために必要なこの好適な波長範囲の放射エネルギーは約100ミリジュール/cm2〜約1,500ミリジュール/cm2であり、別の実施態様では約200ミリジュール/cm2〜約800ミリジュール/cm2である。
【0055】
本発明のコポリマーは、分子量を制御するための溶媒または連鎖移動剤(たとえば、CBr4)を含んでも含まなくてもよい種々の技術によって調製することができる。これらの技術は、適切な重合開始剤の使用を伴ってもよい。モノマーA、B、および架橋剤を使用する好適な無溶媒重合方法が、米国特許第4,379,201号明細書(ハイルマン(Heilmann)ら)に開示されている。最初に、不活性環境中でコーティング可能なベースシロップを生成するのに十分な時間のあいだ混合物をUV放射線に曝露することによって、モノマーAおよびBの混合物を光開始剤の一部で重合させ、続いて架橋剤と残りの光開始剤とを加える。この架橋剤を含有する最終シロップ(たとえば23℃においてNo.4 LTVスピンドルを使用し、60回転/分で測定したブルックフィールド(Brookfield)粘度が約100センチポアズ〜約6000センチポアズである)を、次にバッキングなどの基材上にコーティングする。このシロップをバッキング上にコーティングした後、典型的にはさらなる重合および架橋が不活性環境(すなわち、モノマー混合物と非反応性である環境)中で行われる。好適な不活性環境としては、酸素を含まない、窒素、二酸化炭素、ヘリウム、およびアルゴンが挙げられる。UV線またはe−ビームに対して透明であるシリコーン処理されたポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムなどのポリマーフィルムで光活性シロップ層を覆い、さらに空気中でフィルムを通して放射線を照射することによって、十分な不活性雰囲気を実現することができる。
【0056】
モノマーA、B、および場合により架橋剤を使用してコポリマーを調製するのに好適な溶液重合法が、米国特許第5,073,611号明細書(レーマー(Rehmer)ら)に開示されている。このような調製方法に好適な溶媒としては、たとえば、炭化水素、たとえばベンゼン、トルエン、キシレン、ノルマルヘキサン、シクロヘキサン、ならびにエステル、アルコール、エーテル、およびそれらの混合物が挙げられる。溶液中で重合を実施するために、一部またはすべての溶媒を、一部のモノマー混合物、および一部またはすべての熱開始剤とともに加熱する。重合を開始するときに、残りのモノマー混合物、さらに該当する場合には残りの熱開始剤および溶媒を加える。重合後、その組成物をバッキング上にコーティングすることができ、熱を使用するまたは使用しない蒸発によって溶媒を除去することができる。
【0057】
モノマーA、B、および架橋剤を使用してコポリマーを調製するためのラテックス重合法が、米国特許第5,424,122号明細書(Crandallら)に開示されている。たとえば、ラテックス乳化重合は、モノマーA、B、および架橋剤、オレフィン系非イオン性フリーラジカル開始剤、水、および非イオン界面活性剤を混合することによって行われる。この混合物をホモジナイズしてエマルジョンを形成した後、不活性雰囲気下でエマルジョンを撹拌しながら、典型的には熱を使用してフリーラジカル重合が開始される。重合後、そのラテックスをバッキング上にコーティングして、典型的には少なくとも約65℃の温度で乾燥させることができる。必要であれば、適切なコーティング粘度にするために水を加えたり除去したりすることができる。
【0058】
感圧接着剤組成物は、ナイフコーティング、スロットナイフコーティング、リバースロールコーティング、同時押出、または積層(たとえば、最初に接着剤が剥離ライナー上に積層されている場合)などの種々のコーティング方法によって、外部のパターン形成されたバッキング層11、または中間層12(使用される場合)に適用することができる。組成物が溶媒を含む場合、これを次に、ある温度(たとえば65℃〜120℃)においてある時間(たとえば、数分から約1時間)乾燥して、抵抗低減物品が得られる。接着剤層の層厚さは、約10μmから数百μmの広い範囲で変動させることができる。
【0059】
接着剤組成物が実質的に完全に硬化し、場合により架橋させて抵抗低減物品が得られた後、場合により、物品の接着剤表面を紙製ライナー、またはプラスチックフィルム、たとえばポリオレフィン(たとえば、ポリエチレンまたはポリプロピレン)またはポリエステル(たとえば、ポリエチレンテレフタレート)フィルムなどの一時的で剥離可能な剥離ライナー(すなわち保護ライナー)で保護することができる。このような紙またはフィルムは、シリコーン、ワックス、フルオロカーボンなどの剥離材料で処理することができる。着剤組成物が実質的に完全に硬化し、場合により架橋させて、実質的に不飽和が存在しなくなった後にのみ、本発明の抵抗低減物品が基材に適用される。
【0060】
硬化性接着剤
本発明の外部パターン形成されたバッキング層11は、熱硬化性または湿気硬化性接着剤などの硬化性接着結合層14を使用して基材に接着することができる。あるいは、このような結合層は、中間層12が使用される場合にはこれに適用することができる。このような硬化性接着剤の例としては、エポキシ樹脂(エポキシド樹脂+硬化剤)、アクリレート、シアノ−アクリレート、およびウレタンが挙げられる。本発明の抵抗低減物品中に使用される硬化性接着剤は、硬化後に触れても非粘着性であり、熱硬化性である。
【0061】
エポキシド樹脂
本発明の抵抗低減物品に有用なエポキシド樹脂は、開環反応によって重合可能な少なくとも1つのオキシラン環、すなわち
【化1】

を有するあらゆる有機化合物である。このような材料は一般にエポキシドと呼ばれ、モノマーおよびポリマーの両方のエポキシドが含まれ、脂肪族、複素環式、脂環式、または芳香族であってよく、それらの組み合わせであってもよい。これらは、液体または固体、またはそれらのブレンドであってよく、硬化前に粘着性接着フィルムを得るためにはブレンドが有用である。一実施態様では、これらの材料は一般に、1分子当たりに平均で少なくとも2個のエポキシ基を有し、「ポリエポキシド」とも呼ばれる。ポリマーのエポキシドとしては、末端エポキシ基を有する線状ポリマー(たとえば、ポリオキシアルキレングリコールのジグリシジルエーテル)、骨格オキシラン単位を有するポリマー(たとえば、ポリブタジエンポリエポキシド)、およびペンダントエポキシ基を有するポリマー(たとえば、メタクリル酸グリシジルポリマーまたはコポリマー)が挙げられる。エポキシ樹脂の分子量は、約74〜約100,000またはそれを超える値まで変動しうる。
【0062】
有用なエポキシド樹脂としては、エポキシシクロヘキサンカルボキシレートなどのシクロヘキセンオキシド基を含有する樹脂が挙げられ、たとえば、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−2−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−2−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、およびビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペートが挙げられる。この種類の有用なエポキシドのより詳細な一覧としては、米国特許第3,117,099号明細書を参照することができる。
【0063】
本発明の実施に特に有用であるさらに別のエポキシド樹脂としては、式:
【化2】

のグリシジルエーテルモノマーが挙げられ、上式中、R’は、脂肪族、たとえばアルキル;芳香族、たとえばアリール;またはそれらの組み合わせであり;nは1〜6の整数である。この例は、多価フェノールのグリシジルエーテル、たとえば2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェノール)プロパン(ビスフェノールA)のジグリシジルエーテル、ならびに(クロロメチル)オキシランと4,4’−(1−メチルエチリデン)ビスフェノールとのコポリマーである。本発明の実施に使用可能なこの種類のエポキシドのさらなる例は米国特許第3,018,262号明細書に記載されている。
【0064】
本発明で使用可能な市販のエポキシド樹脂は多数存在する。特に、容易に入手可能なエポキシドとしては、スチレンオキシド、ビニルシクロヘキセンオキシド、グリシドール、メタクリル酸グリシジル、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル(たとえば、テキサス州ヒューストンのシェル・ケミカル・カンパニー(Shell Chemical Company,Houston,TX)より入手可能な商品名「エポン828」(EPON 828)、「エポン1004」(EPON 1004)、および「エポン1001F」(EPON 1001F)、ミシガン州ミッドランドのダウ・ケミカル・カンパニー(Dow Chemical Company,Midland,MI)より入手可能な「DER−332」および「DER−334」)、ビスフェノールFのジグリシジルエーテル(たとえば、チバ−ガイギー・コーポレーション(Ciba−Geigy Corp.)より入手可能な商品名「アラルダイトGY281」(ARALDITE GY281)、およびシェル・ケミカル・カンパニー(Shell Chemical Company)より入手可能な「エポン862」(EPON 862))、ビニルシクロヘキセンジオキシド(たとえば、ミシガン州ミッドランドのユニオン・カーバイド・コーポレーション(Union Carbide Corporation,Midland,MI)の商品名「ERL−4206」)、3,4−エポキシシクロヘキシル−メチル−3,4−エポキシシクロヘキセンカルボキシレート(たとえば、ユニオン・カーバイド・コーポレーション(Union Carbide Corporation)の商品名「ERL−4221」)、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル−5,5−スピロ−3,4−エポキシ)シクロヘキサン−メタジオキサン(たとえば、ユニオン・カーバイド・コーポレーション(Union Carbide Corporation)の商品名「ERL−4234」)、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)アジペート(たとえば、ユニオン・カーバイド・コーポレーション(Union Carbide Corporation)の商品名「ERL−4299」)、ジペンテンジオキシド(たとえば、ユニオン・カーバイド・コーポレーション(Union Carbide Corporation)の商品名「ERL−4269」)、エポキシド化ポリブタジエン(たとえば、FMCコーポレーション(FMC Corporation)の商品名「オキシロン2001」(OXIRON 2001))、難燃性エポキシド樹脂(たとえば、ダウ・ケミカル・カンパニー(Dow Chemical Company)より入手可能な臭素化ビスフェノール型エポキシ樹脂の商品名「DER−542」)、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル(たとえば、チバ−ガイギー・コーポレーション(Ciba−Geigy Corp.)の商品名「アラルダイトRD−2」(ARALDITE RD−2))、水素化ビスフェノールA系エポキシド樹脂のジグリシジルエーテル(たとえば、シェル・ケミカル・カンパニー(Shell Chemical Company)の商品名「エポネックス1510」(EPONEX 1510))、およびフェノール−ホルムアルデヒドノボラックのポリグリシジルエーテル(たとえば、ダウ・ケミカル・カンパニー(Dow Chemical Company)の商品名「DEN−431」および「DEN−438」)が挙げられる。
【0065】
エポキシド樹脂硬化剤
用語「硬化剤」は広い範囲で使用され、従来硬化剤と見なされている材料だけではなく、硬化性材料の反応を触媒または加速する材料、ならびに硬化剤と触媒または促進剤との両方として作用することができる材料も含んでいる。エポキシド樹脂の好適な硬化剤としては、たとえば、室温硬化剤、熱活性化硬化剤、およびそれらの組み合わせ、ならびに光分解活性化硬化剤が挙げられる。室温硬化剤および熱活性化硬化剤としては、たとえば、エポキシ単独重合型硬化剤および付加型硬化剤のブレンドを挙げることができる。硬化剤は、ほぼ室温から約200℃の間、ほぼ室温から150℃の間、またはほぼ室温から約115℃の間の温度で反応する。複合物品を製造するためのプリプレグの製造に使用されるエポキシ樹脂中に硬化剤が使用される場合、好適な硬化剤は200°F(93℃)〜350°F(177℃)の範囲内の温度で反応し、別の実施態様では200°F(93℃)〜250°F(121℃)の範囲内の温度で反応する。
【0066】
好適な硬化剤の例としては、多塩基酸およびそれらの無水物、たとえば、ジ−、トリ−、およびより高次のカルボン酸、たとえばシュウ酸、フタル酸、テレフタル酸、コハク酸、マレイン酸、アルキルおよびアルケニル置換コハク酸、酒石酸、および無水物、たとえば、無水フタル酸、無水コハク酸、無水マレイン酸、無水ナジック酸、および無水ピロメリット酸;重合性不飽和酸、たとえば少なくとも10個の炭素原子を含有する重合性不飽和酸、たとえばドデセン二酸、10,12−エイコサジエン二酸;ならびにメルカプタンが挙げられる。
【0067】
他の好適な硬化剤の例としては、窒素含有化合物、たとえば、ベンジルジメチルアミン、ベンジルアミン、N,N−ジエチルアニリン、メラミン、ピリジン、ヒドラジド、および芳香族ポリアミン、たとえばo−、m−、およびp−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、および4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルケトン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、1,3−プロパンジオール−ビス(4−アミノベンゾエート)、フルオレン含有アミン(たとえば、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、9,9−ビス(3−メチル−4−アミノフェニル)フルオレン、9,9−ビス(3,5−ジメチル−4−メチルアミノフェニル)フルオレン、9,9−ビス(3,5−ジメチル−4−アミノフェニル)フルオレン、9,9−ビス(3,5−ジイソプロピル−4−アミノフェニル)フルオレン、および9,9−ビス(3−クロロ−4−アミノフェニル)フルオレン);1,4−ビス[α−(4−アミノフェニル)−α−メチルエチル]ベンゼン、1,4−ビス[α−(4−アミノ−3,5−ジメチルフェニル)−α−メチルエチル]ベンゼン、ビス(4−アミノ−3−メチルフェニル)スルホン、1,1’−ビフェニル−3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミン、1,1’−ビフェニル−3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミン、4,7,10−トリオキサトリデカン−1,13−ジアミン、およびジアミノナフタレンが挙げられる。
【0068】
好適な硬化剤としては、たとえば、脂肪族の窒素含有化合物、たとえばポリ(エーテル)アミン、グアニジン類(たとえば、ジシアンジアミドおよびテトラメチルグアニジン)、イミダゾール類(たとえば、2−エチル−4−メチルイミダゾール)、シクロヘキシルアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラアミン、シクロヘキシルジアミン、テトラメチルピペアミン、N,N−ジブチル−1,3−プロパンジアミン、N,N−ジエチル−1,3−プロパンジアミン、1,2−ジアミノ−2−メチル−プロパン、2,3−ジアミノ−2−メチルブタン、2,3−ジアミノ−2−メチルペンタン、および2,4−ジアミノ−2,6−ジメチルオクタンが挙げられる。
【0069】
好適なフェノール系硬化剤の例としては、多価フェノール、たとえば、ピロカテコール、レソルシノール、ヒドロキノン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルジメチルメタン、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルメタン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルメチルメタン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルシクロヘキサン、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルジメチルメタン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、およびトリス−(4−ヒドロキシフェニル)メタン;ならびに9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、およびそれらのオルト置換類似体が挙げられる。
【0070】
他の有用な硬化剤としては、アルミニウム、ホウ素、アンチモン、およびチタンのクロロ−、ブロモ−、およびフルオロ−含有ルイス酸、たとえば、三塩化アルミニウム、三臭化アルミニウム、三フッ化ホウ素、五フッ化アンチモン、四フッ化チタンなどが挙げられる。それらを含有する接着剤組成物の潜在性が増加するようにこれらのルイス酸がブロックされることが好ましい場合もある。ブロックされたルイス酸の代表例はBF3−モノエチルアミン、およびSbF5Xの付加体であり、式中のXはハロゲン、−OH、または−OR1であり、R1は脂肪族または芳香族アルコール、アニリン、またはそれらの誘導体の残基であり、これらは米国特許第4,503,211号明細書に記載されている。
【0071】
好適な光分解活性化硬化剤としては、たとえば、アンチモンおよびコバルトのヨードニウム塩およびスルホニウム塩、ならびにビス(アレーン)鉄化合物が挙げられる。
【0072】
エポキシド中に使用すると好適な市販の硬化剤の例としては、エピ−キュア8535−W−50(EPI−CURE 8535−W−50)およびエピ−キュア8537−WY−60(EPI−CURE 8537−WY−60)(シェル・ケミカル・カンパニー(Shell Chemical Company)より入手可能)、HY 955(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ・コーポレーション(Ciba Specialty Chemicals Corporation)より入手可能)、アミキュアCG−1400(AMICURE CG−1400)、アンカミン2337S(ANCAMINE 2337S)、キュレゾール2E4MZ(CUREZOL 2E4MZ)、およびキュレゾールPHZ−S(CUREZOL PHZ−S)(ペンシルバニア州アレンタウンのエア・プロダクツ、パシフィック・アンカー・ケミカル(Air Products,Pacific Anchor Chemical,Allentown,PA)より入手可能)、ならびにDCA−221(テキサス州パサディナのディキシー・ケミカル・カンパニー(Dixie Chemical Company,Pasadena,TX)より入手可能)が挙げられる。
【0073】
硬化剤は、100重量部のエポキシド樹脂当たり2〜110重量部の量で存在することができる。硬化剤が、カルボン酸、グアニジン類、フェノール類、無水物、あるいは第1級または第2級アミンである場合、硬化剤は好適には、エポキシド基1当量当たり、酸、無水物、またはアミンが約0.5〜約1.7当量で存在する。硬化剤が無水物またはフェノール類である場合、エポキシド樹脂の重量を基準にして約0.1%〜約5.0%の量で促進剤を加えることができる。促進剤は、単独で記載の量を使用することもできる。好適な促進剤の例としては、芳香族第3級アミン、たとえばベンジルジメチルアミン、およびイミダゾール類、たとえば2−エチル−4−メチルイミダゾールが挙げられる。エポキシド樹脂の全重量を基準にして約0.1〜約5重量%の間の量でルイス酸が使用される。
【0074】
エポキシ、アクリレート、シアノ−アクリレート、およびウレタンの接着剤
有用なエポキシ樹脂接着剤としては、3Mカンパニー(3M Company)より入手可能な3M(登録商標)スコッチ−ウェルド(登録商標)(3M(登録商標)Scotch−Weld(登録商標))エポキシ樹脂接着剤、たとえば、DP−100;DP−105;DP−110;DP−125;DP−190;DP−270;DP−420;DP−460;1751;1833;1838;2158;2210;2216;および3601の製品名を有するものが挙げられる。
【0075】
他の有用なエポキシ樹脂組成物は、ヒドロキシ−フェニルフルオレンおよび/またはアミノフェニルフルオレン硬化剤のグリシジルエーテルを含有する組成物である。硬化性接着剤として使用することができるこれらおよびその他の有用なエポキシ樹脂組成物は、一般に米国特許第4,684,678号明細書、第4,707,534号明細書、第4,777,084号明細書、第5,276,106号明細書、第5,369,192号明細書、第5,728,755号明細書、および第6,054,221号明細書に記載されている。
【0076】
硬化性架橋性アクリレート接着剤の市販例としては、シアノ−アクリレート接着剤の3M(登録商標)スコッチ−ウェルド(登録商標)(3M(登録商標)Scotch−Weld(登録商標))DP−8005およびプロント(登録商標)インスタント・アドヒーシブ(Pronto(登録商標) Instant Adhesive)系統(3Mカンパニー(3M Company)より入手可能)が挙げられる。
【0077】
有用なウレタン接着剤としては、湿気に曝露すると硬化し架橋するウレタン接着剤が挙げられる。市販の硬化性ウレタン接着剤としては、製品名3M(登録商標)スコッチ−ウェルド(登録商標)(3M(登録商標)Scotch−Weld(登録商標))DP−605NS;3592;3535;および3549(3Mカンパニー(3M Company)より入手可能)のものが挙げられる。
【0078】
接着結合層14の厚さは重要ではなく、少なくとも約2.5μm(0.0001インチ)の厚さであってよい。別の実施態様では、接着結合層14は約125μm(0.005インチ)もの厚さであってよい。一実施態様では、接着剤層14は少なくとも約13μm(0.0005インチ)の厚さである。別の実施態様では、接着結合層14は50μm(0.002インチ)もの厚さであってよい。接着結合層の厚さが約125μmを超えると、流体によって膨潤する可能性が高まる場合があり、物品重量が不必要に増加する場合がある。しかし、結合層の厚さが約2.5μm未満であると、使用中に抵抗低減物品をその場に維持するために十分な接着力が得られない場合がある。
【0079】
抵抗低減物品10は、接着結合層14を保護する一時的なライナー16をさらに場合により含むことができ、これは抵抗低減物品を表面に適用する直前に除去される。ライナー16は、たとえば未処理ポリオレフィンシート、あるいはシリコーンやフルオロシリコーンで処理した紙またはプラスチックシートとして提供することができる。
【0080】
外部のパターン形成されたバッキング層11は、層11上を流れる流体(たとえば、空気、ガス、水など)に対する抵抗(抗力)を低減するように適合したパターンが形成された外面を含む。一般に、図1〜3に記載されるように、パターン表面は、一連の実質的に平行な谷22によって分離された一連の実質的に平行な山20を含む。断面において、このパターン表面は種々の波形の形態を取ることができる。たとえば、図1〜3は、対称のこ歯パターンを示しており、各山は各谷と同一である。図4は、一連の谷22によって分離された異なる高さの一連の平行な山28および30を示している。図5は、一連の平行で非対称の谷42で分離された交互に平行で非対称の山40ののこ歯パターンを示している。
【0081】
連続な山および谷のみが示されているが、山および谷の不連続なパターンも考慮される。したがってたとえば、山および谷が、物品の一部で終了してもよい。物品の一端から他端に山または谷が進行するにつれて、谷が狭くなったり広くなったりしてもよい。さらに、所与の山または谷の高さおよび/または幅は、物品の一端から他端に山または谷が進行するにつれて変化してもよい。
【0082】
いかなるパターン化表面が使用されようと、抵抗が希望通りに低減されるのであれば、山および谷の寸法は本発明では重要ではない。最適寸法は、覆われる基材が流体を通過する速度(または流体が基材上を通過する速度)にある程度依存する。このことに関するさらなる議論は、AIAA−88−0138、「リブレットおよびポリマーを使用する外部境界層の抵抗低減」(Drag Reduction for External Boundary Layers Using Riblets and Polymers),L.W.ライディ(Reidy)およびG.W.アンダーソン(Anderson)、AIAA第26回航空宇宙科学会議(AIAA 26th Aerospace Sciences Meeting)で発表、ネバダ州リーノー(Reno,NV)において1988年1月11〜14日開催、を参照されたい。しかし、少なくとも約10μm(0.0004インチ)の高さを有する山が有用であることが分かっている。別の実施態様では、約250μm(0.010インチ)もの高さを有する山が有用である。一実施態様では、高速用途(たとえば、航空機)の場合、山は少なくとも約20μm(0.0008インチ)の高さである。別の実施態様では、高速用途(たとえば、航空機)の場合、山は約150μm(0.006インチ)もの高さである)。隣接する山の間の山間間隔は本発明では重要ではない。少なくとも約10μm(0.0004インチ)の間隔が有用である。別の実施態様では、約250μm(0.010インチ)もの間隔が有用である。航空機用途の場合、少なくとも約20μm(0.0008インチ)の間隔が有用である。別の実施態様では、約150μm(0.006インチ)もの間隔が有用である。隣接する山の間の開先角度も変動させることができる。谷は、平坦、円形、またはV字型であってよい。山はほぼV字型であり、少なくとも約15°の開先角度を有する。別の実施態様、開先角度は約140°にもすることができる。一実施態様では、開先角度は少なくとも約50°とすることができる。別の実施態様では、開先角度は約60°にもすることができる。
【0083】
本発明による抵抗低減物品は、種々の技術によって容易に製造することができる。たとえば、抵抗低減パターンは、層11および/または層12の製造中に形成することができるし、あるいは、層11、12、14、および16の1つ以上の含むあらかじめ成形されたウェブを提供して、層11中に抵抗低減パターンを形成することもできる。製造後、抵抗低減物品は、保管、輸送、および使用を容易にするためにコア周囲にロール形態で巻き取ることができる。
【0084】
ある方法では、外部のパターン形成されたバッキング層11および中間層12のポリマーが同時押出される(すなわち同時に互いに押し出される)。あるいは、各層を別々の押し出した後、積層や接着結合などによって互いに結合させることができる。ほとんどすべての層の組み合わせを同時押出した後、残りの層と結合させることができる。異なる層を、種々の逐次またはタンデムコーティング法で組み立てることもできる。コーティングおよび押出成形の組み合わせも考慮される。パターン表面は、熱および/または圧力を使用するエンボス加工技術によって形成することができる。当然ながら、他の技術も可能であり、当業者によって容易に判断される。
【0085】
一般に、隣接する層中の材料は適合性であり、互いに接着するか、または互いに接着させることができるものであり、それによって通常の使用中に抵抗低減物品が剥離しない十分な層間接着性が得られる。中間層12中のアクリルポリマーの比率が高いために、外部パターン形成されたバッキング層11と接着結合層14との間に良好な接着を形成することができる。中間層12は、前述したようなエッチングまたはコロナ処理などのエッチング処理を行って、中間層12と、外部パターン形成されたバッキング層11との間、または接着結合層14との間、またはその間の良好な接着性を改善することができる。あるいは、このような表面処理、外部パターン形成されたバッキング層11と接着結合層14との間の直接の良好な接着性を改善するために使用することもできる。
【0086】
接着結合層14は、外部パターン形成されたバッキング層11のパターン表面とは反対側の表面に適用される。たとえば、結合層14は、あらかじめ押出成形された外部パターン形成されたバッキング層11を含むウェブ上にコーティングすることができる。次に、一時的で剥離可能な保護ライナー16を結合層14に積層することができる。あるいは、結合層14を保護ライナー16上にコーティングし、あらかじめ成形されたウェブと結合層がコーティングされた保護ライナーを必要に応じて加熱することができるゴムロールの間に通すことによって、外部パターン形成されたバッキング層11を、含むあらかじめ成形されたウェブに転写積層することができる。この結果得られる抵抗低減物品を図6に示している。中間層12が使用される場合、これらと同じ技術を使用して、外部パターン形成されたバッキング層11と隣接する表面とは反対側の中間層12の表面に接着結合層が適用される。
【0087】
別の有用な技術は、放射線硬化性組成物を可撓性キャリアに適用するステップと、放射線硬化性組成物を所望のパターンの正の構造を有するマスターと接触させるステップと、組成物を放射線硬化させるステップとを含む。これによって得られた成形型シートをマスターから取り外した後、成形型シート上に層11および12の材料をコーティング、押出、または同時押出することによって外部バッキング層11にパターンを形成するために使用することができる。このような製造技術に関するさらなる情報は、米国特許第4,576,850号明細書(マートンズ(Martens))、米国特許第5,183,597号明細書(ルー(Lu))、および米国特許第5,468,540号明細書(ルー(Lu))に見ることができる。
【0088】
さらに別の方法は、外部バッキング層11で構成されるウェブを入手するステップと、熱および/または圧力を使用して成形型シートを層11および12に積層して、外部バッキング層11表面に成形型シートのパターンを付与するステップとを含む。
【0089】
成形型シートの使用は、コロナ処理、接着結合層の取り付け、切断、または孔開けなどのあらゆる追加の工程から外部パターン形成されたバッキング層11を保護するキャリアウェブとしても機能するので、好都合となりうる。これは、抵抗低減物品を使用する前、または抵抗低減物品10を基材に適用した後に除去することができるし、あるいは抵抗低減物品の製造中のあらゆる時点で除去することができる。
【0090】
基材が流体媒体を通過するとき、または流体が基材を通過するときに生じる抵抗を低減するために、本発明の抵抗低減物品を種々の基材に容易に適用することができる。本発明の物品は、パターン化表面によって抵抗の低減が最大となるように基材上に配置される。パターン化表面が平行の山および谷を含む場合、最大の抵抗低減は、山および谷が流体の流れとほぼ平行になる場合に実現される。本明細書に記載の結合層を使用する本発明の抵抗低減物品は、米国特許第6,475,616号明細書および国際公開第02/070623号パンフレットに開示されるように、優れた耐候性および流体抵抗性を有すると推測され、平坦または滑らかな輪郭を有する表面、すなわち、民間航空機の外面に通常見られるような表面突出部、たとえば盛り上がったリベットが実質的に存在しない表面に容易に適用することができる。抵抗低減物品中に穿孔またはその他の不連続性(たとえばスリット)を設けることによって、抵抗低減物品の基材への適用を促進することができ、物品を湿気および蒸気が通過する通路が形成される。本発明のさらに別の利点は、構造体に必要な層の数が減少したことによる製造の容易さおよび製造コストの削減である。本発明の抵抗低減物品は、米国特許第5,848,769号明細書に記載されるような強化層を含まない。このような材料は、熱可塑性ポリウレタンおよびポリ塩化ビニルを含むと記載されている。このような層を使用しなくても、十分に適合性の抵抗低減物品を提供できることが分かっている。さらに、強化層を使用しないことが、本発明における流体抵抗性の改善に寄与すると推測される。
【0091】
マトリックスバインダー樹脂(典型的には熱硬化性マトリックスバインダー樹脂であるが、これに限定されるものではない)および繊維を含む未硬化複合物品の場合、外部パターン形成されたバッキング層11と、場合により中間層12とを含む抵抗低減物品を、未硬化複合物品と同時に硬化させて、抵抗低減物品の表面を有する最終複合物品を形成することができる。この実施態様では、未硬化複合物品が結合層14として機能する。あるいは、接着接合材料の薄層14を外部パターン形成されたバッキング層11、または中間層12(存在する場合)に適用することができ、その抵抗低減物品を未硬化複合物品上に配置して、次に未硬化複合物品とともに同時に硬化させて、抵抗低減表面を有する最終複合物品が得られる。たとえば、1つの表面上に感圧接着結合層を有する抵抗低減物品を、未硬化複合物品上に配置して、次に未硬化複合物品とともに同時に硬化させて、抵抗低減表面を有する最終複合物品を形成することができる。別の例では、硬化性接着剤層を有する本発明の抵抗低減物品を硬化した複合物品上に配置することができ、抵抗低減物品の硬化性接着剤の硬化が行われる。未硬化複合物品と前述の抵抗低減物品との同時硬化では、抵抗低減物品を未硬化複合物品と接触させるために手の圧力が使用され、続いてデバルキングが行われて(工業用材料ハンドブック第1巻:複合材料(Engineered Materials Handbook,Volume 1:Composites)に記載される)、取り込まれた空気が除去される。これらの方法では、複合物品上に抵抗低減表面を形成するために本発明の抵抗低減物品を使用することができる。
【0092】
本発明の実施において、本発明の抵抗低減物品は、複合物品などの抵抗低減表面を有する基材の初期製造中に使用することができるし、あるいは、硬化性である場合の接着結合層が周囲温度で硬化することができる、または高温が必要となりうる場合の基材を提供する分野で使用することができる。必要な高温は、IRランプ、ヒートガン、携帯型ヒーターなどの公知の手段によって得ることができる。
【0093】
一般に、本発明の抵抗低減物品は、接着結合層が結合するあらゆる基材上に使用することができる。このような基材の例としては、塗装面、プライマー処理された表面、金属表面、セラミックス、硬化および未硬化の複合材料表面、フッ素化ポリマー表面、めっき面、亜鉛めっき面などが挙げられる。
【0094】
以下の非限定的な実施例を参照すれば、本発明をより十分に理解できるであろう。実施例で使用される種々の略語および商品名は以下の表にしたがって定義されている。
【0095】
【表1】

【0096】
キャリアウェブ/成形型シートの作製
パターン形成された成形型シートを以下の材料から作製した:
125μm(0.005インチ)の厚さのポリエステルフィルムに、約34g/m2(3.2g/ft2)のコーティング重量が得られるよう、以下の成分のUV硬化性アクリルプレポリマー溶液をコーティングした:
a.59.5重量%のビスフェノール−Aエポキシジアクリレート(ペンシルバニア州アンブラーのヘンケル・コーポレーション(Henkel Corp.,Ambler,PA)のフォトマー(登録商標)3016(Photomer(登録商標)3016));
b.39.5重量%のアクリル酸フェノキシエチル(ヘンケル・コーポレーション(Henkel Corp.)のフォトマー(登録商標)4035(Photomer(登録商標)4035));および
c.1.0重量%の2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン(チバ−ガイギー・コーポレーション(Ciba−Geigy Corp.)のダロキュア(登録商標)1173(Darocur(登録商標)1173))。
【0097】
溝付きパターンが刻まれた円筒と溶液が接触するように、溶液をコーティングしたフィルムを絞りロールニップに通した。溝が刻まれた円筒と接触させながら、溶液をUV光源(中圧水銀ランプ、400ワット、イリノイ州プレーンズビルのアクテック・インターナショナル(Actek International,Plainsville,IL)製)に約0.1〜1.0秒曝露して、溶液を硬化させた。硬化した材料を円筒から取り外し、キャリアウェブ/成形型シートとして使用して、抵抗低減物品の表面に溝付きパターンを形成するために使用した。
【0098】
硬化した材料表面上のパターンは、図2のパターンと類似した断面を有し、62.5μm(2.5ミル)の山の高さ、62.5μm(2.5ミル)の山の間の間隔、および隣接する山の間で53°の開先角度を有した。
【0099】
次に試料を100倍の顕微鏡で検査して、形成された輪郭の鮮明さを調べた。この試料は鮮明な山および谷を有した。
【実施例】
【0100】
一方の側に抵抗低減パターンを有するバッキングを有し、他方の側に接着結合層を有する抵抗低減物品を以下のようにして作製した:
PVDF:PMMA/90:10(重量比)のブレンドを、長さ:直径比が24:1である一軸スクリュー押出機によって、5層フィードブロックに供給し、さらに914mm×1.02mm(36×0.04インチ)の開口部を有する1層押出ダイに供給した。この押出機は、複数の加熱ゾーンを有し、最後のゾーンは204.5℃〜215.5℃(400〜420°F)の間に設定した。同時押出ダイ温度は215.5℃(420°F)に設定した。
【0101】
押出機をダイに対して垂直に配置することによって、ブレンドがダイから出て前述のキャリアウェブ/成形型シートと直接接触するようにした。
【0102】
キャリアウェブを、研磨したクロムロールとおよびつや消し仕上に研磨されたシリコーンゴムロールからなるニップに供給した。両方のニップロールの温度は88℃(190°F)に維持した。
【0103】
熱い押出物をキャリアウェブ/成形型シート上にキャストして、すぐにロール圧21kg/cm(118ポンド/線インチ)でニップロールに挟んだ。ロールの表面速度は8.5m(28フィート)/分であった。結果として得られたフィルムの全体の厚さは、山の頂点からバッキング層の反対側まで測定して114.3μm(0.0045インチ)であり、キャリアウェブ/成形型シートのパターンが正確に複製されていた。
【0104】
次に、このバッキングフィルムのパターンが形成されていない側をコロナ処理し、その後、室温において3M(登録商標)468積層接着テープ(3M(登録商標)468 Laminating Adhesive Tape)(シリコーン剥離ライナー上のアクリル接着剤、3Mカンパニー(3M Company)より入手可能)に積層した。この接着剤の厚さは約125μm(0.005インチ)であった。キャリアウェブ/成形型シートおよび保護ライナーを除去した後、抵抗低減物品の試料を、1)平坦な基材、および2)滑らかな輪郭を有する基材に適用した。この適用工程は容易に実施でき、試料は基材表面に容易に適合した。
【0105】
次に、この抵抗低減物品を100倍の顕微鏡で検査して、形成されたパターンの輪郭の鮮明さを調べた。このバッキングのパターン表面は鮮明な山および谷を有した。
【0106】
添付の請求項によって定義される本発明から逸脱することなく、以上の明細書および図面の範囲内で種々の変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】本発明による抵抗低減物品の一実施態様の部分斜視図である。
【図2】図1の線2−2に沿った断面図である。
【図3】図2と同様の断面図であるが、抵抗低減物品がグラフィック表示を有する本発明の別の実施態様を示している。
【図4】図2と類似の断面図であるが、本発明による抵抗低減物品に有用な異なるパターン表面を示している。
【図5】図4と同様の断面図であり、本発明による抵抗低減物品に有用な別のパターン表面を示している。
【図6】図2と同様の断面図であるが、本発明の別の実施態様を示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)表面上を流れる流体によって生じる抵抗を低減する露出したパターン化表面を有するバッキング層と、
(b)接着結合層と、
(c)前記バッキング層と前記結合層との間の中間層と、
を含み、強化材を含まないことを特徴とする抵抗低減物品。
【請求項2】
(a)表面上を流れる流体によって生じる抵抗を低減する露出したパターン化表面を有するフルオロポリマーバッキング層と、
(b)感圧接着結合層と、
から実質的になる抵抗低減物品。
【請求項3】
(a)表面上を流れる流体によって生じる抵抗を低減する露出したパターン化表面を有するバッキング層と、
(b)接着結合層と、
(c)前記バッキング層と前記結合層との間の中間層と、
から実質的になる抵抗低減物品。
【請求項4】
(a)表面上を流れる流体によって生じる抵抗を低減する外部の露出したパターン化表面を有するフルオロポリマーバッキング層と、
(b)前記バッキング層と隣接する感圧接着結合層と、
を含み、強化材を含まないことを特徴とする抵抗低減物品。
【請求項5】
前記バッキング層と前記接着結合層との間に中間層をさらに含む、請求項4に記載の抵抗低減物品。
【請求項6】
前記接着結合層が、感圧接着剤、硬化性接着剤、および硬化性複合材料物品からなる群より選択される、請求項1に記載の抵抗低減物品。
【請求項7】
前記接着結合層が、感圧接着剤、硬化性接着剤、および硬化性複合材料物品からなる群より選択される、請求項3に記載の抵抗低減物品。
【請求項8】
前記バッキング層が、2種類以上のポリマーのブレンドを含む、請求項1に記載の抵抗低減物品。
【請求項9】
前記ポリマーの中の1種類がフルオロポリマーである、請求項8に記載の抵抗低減物品。
【請求項10】
前記フルオロポリマーが、フッ化ビニリデンの重合単位を含む、請求項9に記載の抵抗低減物品。
【請求項11】
前記フルオロポリマーが、フッ化ビニリデンの重合単位、それらのコポリマー、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項9に記載の抵抗低減物品。
【請求項12】
前記バッキング層が、少なくとも70重量%のフルオロポリマーを含む第1のポリマーと30重量%ものアクリルポリマーを含む第2のポリマーとのブレンドを含む、請求項1に記載の抵抗低減物品。
【請求項13】
前記バッキング層が、少なくとも70重量%のフルオロポリマーを含む第1のポリマーと30重量%ものアクリルポリマーを含む第2のポリマーとのブレンドを含み、前記中間層が、30重量%ものフルオロポリマーを含む第1のポリマーと少なくとも70重量%のアクリルポリマーを含む第2のポリマーとのブレンドを含む、請求項5に記載の抵抗低減物品。
【請求項14】
前記外部の露出したパターン化表面が、一連の実質的に平行な谷によって分離された一連の実質的に平行な山を含む、請求項1に記載の抵抗低減物品。
【請求項15】
表面上を流れる流体によって生じる抵抗を低減するために前記表面に接着接合されている、請求項14に記載の抵抗低減物品を含む組立体。
【請求項16】
(a)表面上を流れる流体によって生じる抵抗を低減する露出したパターン化表面を有する外層であって、
(1)前記外層が、フッ化ビニリデンの重合単位を含む第1のポリマーと、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチルおよびそれらの組み合わせからなる群より選択されるモノマーの重合生成物を含む第2のポリマーとのブレンドを含み、
(2)前記露出したパターン化表面が、一連の実質的に平行な谷によって分離された一連の実質的に平行な山である外層と、
(b)前記抵抗低減物品を表面に結合させるための接着結合層と、
(c)前記外層と前記接着結合層との間の中間層であって、フッ化ビニリデンの重合単位を含む第1のポリマーと、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチルおよびそれらの組み合わせからなる群より選択されるモノマーの重合生成物を含む第2のポリマーとのブレンドを含む中間層、
とを含み、強化材を含まない抵抗低減物品。
【請求項17】
フッ化ビニリデンの重合単位を含む前記ポリマーが、前記外層および前記中間層の両方の場合で独立に、(1)フッ化ビニリデンの重合単位と、(2)フッ化ビニリデンと、エチレン、ヘキサフルオロプロピレン、テトラフルオロエチレン、およびそれらの組み合わせからなる群より選択されるモノマーとの重合単位から誘導されるコポリマーと、(3)(1)および(2)の組み合わせとからなる群より選択される、請求項16に記載の抵抗低減物品。
【請求項18】
前記第2のポリマーがポリ(メタクリル酸メチル)である、請求項17に記載の抵抗低減物品。
【請求項19】
物品であって、前記物品が取り付けられている基材の上を流れる流体によって生じる抵抗を低減することが可能な物品において、前記抵抗低減物品が、
(a)表面上を流れる流体によって生じる抵抗を低減する露出したパターン化表面を有する外層であって、
(1)前記外層が、(A)ポリ(フッ化ビニリデン)、(B)フッ化ビニリデンと、エチレン、ヘキサフルオロプロピレン、テトラフルオロエチレン、およびそれらの組み合わせからなる群より選択されるモノマーとの重合単位から誘導されるコポリマー、ならびに(C)(A)および(B)の組み合わせ、からなる群より選択されるポリマーを少なくとも70重量%含む第1のポリマーと、30重量%ものポリ(メタクリル酸メチル)を含む第2のポリマーとのブレンドを含み、
(2)前記露出したパターン化表面が、一連の実質的に平行な谷によって分離された一連の実質的に平行な山である外層と、
(b)前記抵抗低減物品を前記基材に結合させるための接着結合層と、
(c)前記外層と前記接着結合層との間の中間層であって、(1)ポリ(フッ化ビニリデン)、(2)フッ化ビニリデンと、エチレン、ヘキサフルオロプロピレン、テトラフルオロエチレン、およびそれらの組み合わせからなる群より選択されるモノマーとの重合単位から誘導されるコポリマー、ならびに(3)(1)および(2)の組み合わせ、からなる群より選択されるポリマーを30重量%も含む第1のポリマーと、少なくとも70重量%のポリ(メタクリル酸メチル)を含む第2のポリマーとのブレンドを含む中間層、
とを含み、強化材を含まない物品。
【請求項20】
表面上を流れる流体によって生じる抵抗を低減するために飛行機の表面に接着接合された請求項19に記載の抵抗低減物品を含む組立体。
【請求項21】
表面上を流れる流体によって生じる抵抗を低減する方法であって、
(a)流体が流れることができる表面を提供するステップと、
(b)ステップ(a)で提供された前記表面の上を流れる流体によって生じる抵抗を低減することが可能な物品を提供するステップであって、前記物品が、
(1)前記表面上を流れる前記流体によって生じる前記抵抗を低減する露出したパターン化表面を有する外層と、
(2)前記物品を前記表面に取り付けるための接着結合層と、
(3)前記外層と前記接着結合層との間の中間層と、
を含むステップと、
(c)表面上を流れる前記流体によって生じる前記抵抗を低減するために、ステップ(b)からの前記物品を、ステップ(a)で提供された前記表面に取り付けるステップと、
を含み、前記物品が強化材を含まないことを特徴とする方法。
【請求項22】
抵抗を低減可能な前記物品が、
(a)前記表面上を流れる前記流体によって生じる前記抵抗を低減する露出したパターン化表面を有する外層であって、
(1)前記外層が、フッ化ビニリデンの重合単位を含む第1のポリマーと、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチルおよびそれらの組み合わせからなる群より選択されるモノマーの重合生成物を含む第2のポリマーとのブレンドを含み、
(2)前記露出したパターン化表面が、一連の実質的に平行な谷によって分離された一連の実質的に平行な山である外層と、
(b)前記抵抗低減物品を表面に結合させるための接着結合層と、
(c)前記外層と前記接着結合層との間の中間層であって、フッ化ビニリデンの重合単位を含む第1のポリマーと、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチルおよびそれらの組み合わせからなる群より選択されるモノマーの重合生成物を含む第2のポリマーとのブレンドを含む中間層と、
を含み、前記物品が強化材を含まないことを特徴とする、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
抵抗を低減可能な前記物品が、
(a)前記表面上を流れる前記流体によって生じる前記抵抗を低減する露出したパターン化表面を有する外層であって、
(1)前記外層が、(A)ポリ(フッ化ビニリデン)、(B)フッ化ビニリデンと、エチレン、ヘキサフルオロプロピレン、テトラフルオロエチレン、およびそれらの組み合わせからなる群より選択されるモノマーとの重合単位から誘導されるコポリマー、ならびに(C)(A)および(B)の組み合わせ、からなる群より選択されるポリマーを少なくとも70重量%含む第1のポリマーと30重量%ものポリ(メタクリル酸メチル)を含む第2のポリマーとのブレンドを含み、
(2)前記露出したパターン化表面が、一連の実質的に平行な谷によって分離された一連の実質的に平行な山である外層と、
(b)前記抵抗低減物品を前記基材に結合させるための接着結合層と、
(c)前記外層と前記接着結合層との間の中間層であって、(1)フッ化ビニリデン、(2)フッ化ビニリデンと、エチレン、ヘキサフルオロプロピレン、テトラフルオロエチレン、およびそれらの組み合わせからなる群より選択されるモノマーとの重合単位から誘導されるコポリマー、ならびに(3)(1)および(2)の組み合わせ、からなる群より選択されるポリマーを30重量%も含む第1のポリマーと、少なくとも70重量%のポリ(メタクリル酸メチル)を含む第2のポリマーとのブレンドを含む中間層と、
を含み、前記物品が強化材を含まないことを特徴とする、請求項22に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2006−512230(P2006−512230A)
【公表日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−564897(P2004−564897)
【出願日】平成15年11月11日(2003.11.11)
【国際出願番号】PCT/US2003/035745
【国際公開番号】WO2004/060662
【国際公開日】平成16年7月22日(2004.7.22)
【出願人】(599056437)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (1,802)
【Fターム(参考)】