説明

抵抗器ボックスの組付け装置及び組付け方法

【課題】抵抗器ボックスの構造や強度は変更せずに、吊り上げ可能な多段積層の抵抗器ボックス組付けユニットを構成する抵抗器ボックスの組付け装置及び組付け方法を提供する。
【解決手段】建設機械の抵抗器ボックス6を複数個積層するときに用いる抵抗器ボックス6の組付け装置2であって、積層される抵抗器ボックス6の両側面部にそれぞれ対向して上下方向に配置された複数の縦保持梁3と、積層される抵抗器ボックス6の上面部に平行して水平方向に配置された横保持梁4とを備え、複数の縦保持梁3は、各下端部を最下段の抵抗器ボックス6の側面上部に固定すると共に、各中間部を対向する各段の抵抗器ボックス6の側面にそれぞれ固定し、各上端部を最上段の抵抗器ボックス6上面以上に突出させ、複数の縦保持梁3の上端部同士を横保持梁4で締結する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抵抗器ボックスの組付け装置及び組付け方法に係り、更に詳しくは、
電気駆動式ダンプトラックのリターダブレーキを構成する抵抗器を収納した抵抗器ボックスの組付け装置及び組付け方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、大型の電気駆動方式のダンプトラックにおいては、制動時に電動機を発電機として動作させ、その電動機の回生起電力を、電気的に並列接続した複数個の抵抗器により消費することで制動力を得る、いわゆる発電ブレーキ(リターダブレーキ)が用いられている。
【0003】
このリターダブレーキを構成する各抵抗器は、冷却ファンを備えた各抵抗器ボックスにそれぞれ収納されるが、複数の抵抗器ボックスをダンプトラックの車体フレーム側方に積層並置して、発電ブレーキ力として必要とされる抵抗器の容量を確保しつつ運転席の側方の視界性を良好にしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−88289号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した従来技術において、抵抗器ボックスを積層する場合、上下に積載された抵抗器ボックス同士は、下側に配置された抵抗器ボックスのケーシングの側部上方の複数箇所と、この複数箇所に対向する上側に配置されたケーシングの側部下方の複数箇所に、上下に渡ってそれぞれ配置される略矩形の金属製の連結体を介して、各ケーシングをボルト締めすることで一体的に結合している。
【0006】
このようにして、2個の抵抗器ボックスを積層したものは、ダンプトラックの車体フレームに搭載するための吊り上げに対する強度を有すると共に、搭載振動に対する強度も有している。しかし、3個の抵抗器ボックスを積層したものを、吊り上げて車体フレームに搭載する場合、中段及び下段の抵抗器ボックスの荷重が最上段の抵抗器ボックスのケーシングに作用してしまい、最上段のケーシングの強度上、積層された3個の抵抗器ボックスを吊り上げることができないという問題があった。
【0007】
このため、大型のダンプトラックであって、3段積層の抵抗器ボックスを車体フレームに搭載する必要がある場合には、まず、2段積層の抵抗器ボックスを吊り上げて車体フレームに搭載し、その後、この2段積層の抵抗器ボックスの上方に連結体を介して1個の抵抗器ボックスを取り付けるという作業が必要であった。また、車体フレームから3段積層した抵抗器ボックスを分解して吊り下ろす場合にも同様な作業が必要であった。このように、抵抗器ボックスを3段積層したものの吊り上げ強度の不足は、ダンプトラックの製造において作業性と生産性とを悪化させる原因となっていた。
【0008】
一方、積層される抵抗器ボックスの吊り上げ強度を増加させるために、例えば、連結体の強度と抵抗器ボックスのケーシングの強度とを増加させると、積層される抵抗器ボックス自体の重量が増加してしまう。この結果、ダンプトラックの全体重量が増加してしまうという問題があった。
【0009】
本発明は、上述の事柄に基づいてなされたもので、その目的は、抵抗器ボックスの構造や強度は変更せずに、吊り上げ可能な多段積層の抵抗器ボックスの組付け装置及び組付け方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するために、第1の発明は、建設機械の抵抗器ボックスを複数個積層組付けするときに用いる抵抗器ボックスの組付け装置であって、前記積層される抵抗器ボックスの両側面部にそれぞれ対向して上下方向に配置された複数の縦保持梁と、前記積層される抵抗器ボックスの上面部に平行して水平方向に配置された横保持梁とを備え、前記複数の縦保持梁は、各下端部を最下段の前記抵抗器ボックスの側面上部に固定すると共に、各中間部を対向する各段の前記抵抗器ボックスの側面にそれぞれ固定し、各上端部を最上段の前記抵抗器ボックス上面以上に突出させ、前記複数の縦保持梁の上端部同士を前記横保持梁で締結するものとする。
【0011】
また、第2の発明は、第1の発明において、前記複数の縦保持梁は、前記積層される抵抗器ボックスの4隅側部にそれぞれ配置され、前記抵抗器ボックスの短手方向に対向する2個の前記縦保持梁の上端部同士を締結する2個の前記横保持梁を備えたことを特徴とする。
【0012】
更に、第3の発明は、第1又は第2の発明において、前記積層される抵抗器ボックスを前記抵抗器ボックスの短手方向に並置し、前記抵抗器ボックスの短手方向に対向する4個の前記縦保持梁の上端部同士を締結する2個の前記横保持梁を備えたことを特徴とする。
【0013】
また、第4の発明は、第1乃至第3の発明のいずれかにおいて、前記縦保持梁及び前記横保持梁を型鋼で形成したことを特徴とする。
【0014】
更に、第5の発明は、建設機械の抵抗器ボックスを複数個積層組付けする抵抗器ボックスの組付け方法であって、最下段に配置する前記抵抗器ボックスを台板に固定する手順と、前記最下段の抵抗器ボックスの側面部上方に複数の縦保持梁をそれぞれ対向して上下方向に配置する手順と、前記複数の縦保持梁の下端部を最下段の前記抵抗器ボックスの側面部上方に固定する手順と、各段に積層される前記抵抗器ボックスを荷役機械によって、前記最下段の抵抗器ボックスの上方に吊り下げ、前記各段の抵抗器ボックスの側面部に、前記複数の縦保持梁が対向して、前記各段の抵抗器ボックスの側面部の上下に設けた固定孔と前記縦保持梁に設けた取付孔とがそれぞれ連通するように配置し、締結部材をこれらの取付孔に嵌挿して締め付け固定する手順と、前記複数の縦保持梁の各上端部を最上段に積層される前記抵抗器ボックス上面以上に突出させる手順と、前記複数の縦保持梁の各上端部に設けた横保持梁取付用孔と、横保持梁に設けた複数の固定孔とがそれぞれ連通するように横保持梁を配置し、締結部材をこれらの固定孔に嵌挿して締め付け固定する手順とを備えたものとする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、抵抗器ボックスの構造や強度は変更せずに、吊り上げ可能な多段積層の抵抗器ボックスの組付け装置及び組付け方法を提供することができる。この結果、電気駆動式建設機械の製造において作業性と生産性とを向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の抵抗器ボックスの組付け装置及び組付け方法の一実施の形態を適用したダンプトラックを示す側面概略図である。
【図2】本発明の抵抗器ボックスの組付け装置及び組付け方法の一実施の形態を適用した抵抗器ボックス組付けユニットを示す斜視図である。
【図3】本発明の抵抗器ボックスの組付け装置及び組付け方法の一実施の形態の一部を拡大して示す斜視図である。
【図4】本発明の抵抗器ボックスの組付け装置及び組付け方法の一実施の形態を使用した抵抗器ボックスの吊り上げ動作を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の抵抗器ボックスの組付け装置及び組付け方法の実施の形態を図面を用いて説明する。
図1は本発明の抵抗器ボックスの組付け装置及び組付け方法の一実施の形態を適用したダンプトラックを示す側面概略図である。このダンプトラック100は、ダンプトラック100の前後方向に延びる支持構造体を構成する車体フレーム102と、この車体フレーム102上に起伏可能に搭載された荷台としてのベッセルVとにより構成されている。
【0018】
車体フレーム102の前部左右両側には、前輪107、107が、回転可能に設けられている。前輪107、107は、ダンプトラック100の運転者によって操舵される。車体フレーム102の後部左右両側には、後輪108、108が、回転可能に設けられている。後輪108、108は、図示しない駆動電動機により減速機を介して回転駆動される。
【0019】
ベッセルVは、例えば砕石物等の重量物を多量に積載するための大型の容器として形成され、その後側底部が、車体フレーム102の後端側にピン結合部VBを介して起伏可能に連結されている。ベッセルVは作動油により伸縮するホイストシリンダVCによって起伏される。また、ベッセルVの前側上部には、コントロールキャビネット103、運転室104、及び抵抗器ボックス6を上側から覆う庇部VAが設けられている。
【0020】
運転室104は、その内部に、運転席、起動スイッチ、アクセルペダル、ブレーキペダル、ハンドル及び複数の操作レバー(いずれも図示せず)等を備えている。運転室104は、支持ベース102Aの一端側(この例では車体フレーム102の幅方向の左側)に位置するように、支持ベース102A上に固定されている。
【0021】
複数の抵抗器ボックス6が、略方形の台板102Bの上に積載され並置されている。この例では、台板102Bの前側に3段、後側に3段積載している。
【0022】
また、複数の抵抗器ボックス6は、空気流れ方向(長手方向)が車体フレーム102の幅方向になるように並置されている。また、前側の抵抗器ボックス6と後側の抵抗器ボックス6とは、例えば、断面L字状の金具からなる横保持梁4によって、一体的に結合されている。
【0023】
次に、本発明の抵抗器ボックスの組付け装置及び組付け方法の一実施の形態を適用した抵抗器ボックス組付けユニット1について図2及び図3を用いて詳細に説明する。
【0024】
図2は本発明の抵抗器ボックスの組付け装置及び組付け方法の一実施の形態を適用した抵抗器ボックス組付けユニットを示す斜視図、図3は本発明の抵抗器ボックスの組付け装置及び組付け方法の一実施の形態の一部を拡大して示す斜視図である。抵抗器ボックス組付けユニット1は、それぞれの長手方向が平行するように2列並置し、各列3段積層した6個の抵抗器ボックス6と、これら6個の抵抗器ボックス6を組み付ける組付け装置2とを備えている。
【0025】
各抵抗器ボックス6は、略直方体状の筒構造のケーシング62と、このケーシング62内に収納されたいわゆるグリッド状の抵抗器60、及び略円筒状のケーシングを有する冷却ファン61と、ケーシング62の一方端に設けられた略円形の吸気口63と、このケーシング62の他方端に設けられた略方形状の排気口64とを有している。この排気口64の外側には、例えば、クリンプ金網製の異物の混入防止用カバーが設けられている。なお、ケーシング62の側面視略長矩形の2つの側面部の4隅部には、後述する縦保持梁3を介してボルト5が嵌合するボルト孔65が設けられている。
【0026】
組付け装置2は、3段に積層された抵抗器ボックス6を上下方向に拘束して一体化する縦保持梁3と、並置された2組の3段積層の抵抗器ボックスを横方向に拘束して一体化する横保持梁4と、縦保持梁3と横保持梁4と及び縦保持梁3と抵抗器ボックス6のケーシング62とをそれぞれ締め付け固定するボルト5とを備えている。
【0027】
縦保持梁3は、断面コ字状のチャンネル型鋼で、断面コ字の対向する2つの短辺部3a,3aと、これらを連結する長辺部3bとを備え、図2に示すように、最下段の抵抗器ボックス6のケーシング62の側面部上方のボルト孔65近傍に一端側を配置したときに他端側が最上段の抵抗器ボックス6のケーシング62の上面から横保持梁4の高さ以上突出する長さに形成されている。
【0028】
この縦保持梁3は、最上段と中段とに積層された各抵抗器ボックス6のケーシング62の側面部において、それぞれ上下2箇所で固定され、最下段の抵抗器ボックス6のケーシング62の側面部では、上側のみで固定されている。このことにより、最上段と中段とに積層された各抵抗器ボックス6のケーシング62の固定部にかかる上下方向の荷重が軽減され、最下段の抵抗器ボックス6のケーシング62の固定部には、自重分の荷重のみが作用する。この結果、3段に積層された各抵抗器ボックス6のケーシング62及び縦保持梁3は、いずれも変形することなく一体で吊り上げることができる。また、縦保持梁3の長さを、上方から最下段の抵抗器ボックス6の側面部上側までに形成しているので、縦保持梁3自身の軽量化が図れる。
【0029】
縦保持梁3の長辺部3bの上方端部の近傍には、吊り上げ用フック等に玉掛けされるワイヤロープ等が係止される吊り上げ用孔31が設けられ、図2に示す該当箇所には、各ケーシング62の側面部に設けたボルト孔65と連通する10個の取付孔32が設けられている。
【0030】
短辺部3a,3aの上方端部の近傍には、横保持梁取付用孔33a,33aがそれぞれ2個設けられていて、各横保持梁取付用孔33aの中心点とその中心点とを合わせた4個のナット33bが、図3に示すように短辺部3a,3aの内面側にそれぞれプロジェクション溶接されている。
【0031】
3段に積層された抵抗器ボックス6は、図3に示すように、4個の縦保持梁3の長辺部3bの外面を、抵抗器ボックス6のケーシング62の側面に対向させて、各ケーシング62の側面部に設けたボルト孔65と長辺部3bの取付孔32とが連通するように配置し、ボルト5をこれらの取付孔32に嵌挿する。各ボルト5を締め付けることにより、3段に積層された抵抗器ボックス6は、4個の縦保持梁3に締結され、このことにより、一体的に組付けられる。
【0032】
一方、横保持梁4は、断面L字状のチャンネル型鋼で、短辺部4aと長辺部4bとを備え、図2に示すように、並置された2組の3段積層の抵抗器ボックスの各ケーシング62の側面部に配置した4個の縦保持梁3と接合できる長さに形成されている。
【0033】
横保持梁4の長辺部4bの両端近傍部と、この両端近傍部からケーシング62の幅方向(短手方向)の略長さ内側に隔てた2つの箇所とには、4個の縦保持梁3の短辺部3aに設けた横保持梁取付用孔33aとそれぞれ連通する8個のボルト孔41が設けられている。
【0034】
図2及び図3に示すように、縦保持梁3により一体的に組付けられた3段積層の抵抗器ボックス6の2組を、ケーシング62の幅方向(短手方向)に並置させ、最上段の抵抗器ボックス6,6の排気口64側の側面部上方に突出している4個の縦保持梁3の横保持梁取付用孔33a,33aと、横保持梁4のボルト孔41とが連通するように一方の横保持梁4を配置する。8個のボルト5をこれらのボルト孔41に嵌挿し、各ボルト5をナット33bに締め付けることによって、一方の横保持梁4と4個の縦保持梁3とは締結される。
【0035】
同様に、最上段の抵抗器ボックス6,6の吸気口63側の側面部上方に突出している4個の縦保持梁3と他方の横保持梁4とを締結する。このことにより、並置された2組の3段積層の抵抗器ボックス6が、一体的に組付けられる。
【0036】
以上のように構成される抵抗器ボックス6の組付け装置2を使用した、本発明に係る抵抗器ボックス6の組付け方法の一実施の形態を図2乃至図4を用いて説明する。図4は本発明の抵抗器ボックスの組付け装置及び組付け方法の一実施の形態を使用した抵抗器ボックス組付けユニットの吊り上げ動作を示す斜視図である。図4において、図1乃至図3に示す符号と同符号のものは同一部分であるので、その詳細な説明は省略する。
(1)まず、抵抗器ボックス組付けユニット1を載置する台板102Bを地面上に配置し、この台板102Bの上の所定の方向に最下段の抵抗器ボックス6,6を並置する。
(2)並置した抵抗器ボックス6,6を、例えばボルト等を使用して台板102Bに取付け固定する。
(3)4個の縦保持梁3の長辺部3bの下端部外面を一方の抵抗器ボックス6のケーシング62の側面部上方に対向させて、ケーシング62の側面部上方に設けたボルト孔65と長辺部3bの下端部の取付孔32とが連通するように配置し、ボルト5をこれらの取付孔32に嵌挿する。
(4)各ボルト5を締め付けることにより、最下段の抵抗器ボックス6と4個の縦保持梁3とを締結する。
(5)中段に積層される抵抗器ボックス6をクレーン等の荷役機械によって、最下段の抵抗器ボックス6の上方に吊り下げ、中段の抵抗器ボックス6のケーシング62の側面に、4個の縦保持梁3の長辺部3bの外面が対向して、中段のケーシング62の側面部の上下に設けたボルト孔65と長辺部3bの取付孔32とがそれぞれ連通するように配置し、ボルト5をこれらの取付孔32に嵌挿して締め付ける。
(6)最上段に積層される抵抗器ボックス6をクレーン等の荷役機械によって、中段の抵抗器ボックス6の上方に吊り下げ、最上段の抵抗器ボックス6のケーシング62の側面に、4個の縦保持梁3の長辺部3bの外面が対向して、最上段のケーシング62の側面部の上下に設けたボルト孔65と長辺部3bの取付孔32とがそれぞれ連通するように配置し、ボルト5をこれらの取付孔32に嵌挿する。
(7)各ボルト5を締め付けることにより、最上段に積層された抵抗器ボックス6を4個の縦保持梁3に締結する。
(8)同様の手順により、並置された他方の最下段の抵抗器ボックス6と中段及び最上段の抵抗器ボックス6,6とを他の4個の縦保持梁3を介して締結する。
(9)最上段の抵抗器ボックス6,6の排気口64側の側面部上方に突出している4個の縦保持梁3の横保持梁取付用孔33a,33aと、一方の横保持梁4のボルト孔41とが連通するように一方の横保持梁4を配置し、8個のボルト5をこれらのボルト孔41に嵌挿する。
(10)各ボルト5を縦保持梁3のナット33bに締め付けることにより、一方の横保持梁4を4個の縦保持梁3に締結する。
(11)同様に、最上段の抵抗器ボックス6,6の吸気口63側の側面部上方に突出している4個の縦保持梁3を他方の横保持梁4に締結する。
(12)このようにして構成された抵抗器ボックス組付けユニット1において、図4に示すように、外側4隅に配置された縦保持梁3の吊り上げ用孔31のそれぞれにワイヤロープ7a及び7bを玉掛けして、図示しないクレーンのフック8に引掛け、抵抗器ボックス組付けユニット1を吊り上げるようにしている。
【0037】
上述した本発明の抵抗器ボックスの組付け装置及び組付け方法の一実施の形態によれば、抵抗器ボックス6の構造や強度は変更せずに、吊り上げ可能な多段積層の抵抗器ボックス組付けユニット1を構成する抵抗器ボックスの組付け装置2及び組付け方法を提供することができる。この結果、電気駆動式建設機械の製造において作業性と生産性とを向上させることができる。
【0038】
また、上述した本発明の抵抗器ボックスの組付け装置及び組付け方法の一実施の形態によれば、従来使用している多段積層用の連結体に代えて、チャンネル構造の1個の縦保持梁3で上下に組付け、この縦保持部材3同士の横方向をさらに、横保持梁4で締結して組付けているので、抵抗器ボックス6の構造や強度は変更せずに、3段重ねの固定ができると共に、抵抗器ボックス組付けユニット1を吊り上げることが可能となる。この結果、電気駆動式ダンプトラックの製造において作業性と生産性とを向上させることができる。
【0039】
更に、上述した本発明の抵抗器ボックスの組付け装置及び組付け方法の一実施の形態によれば、抵抗器ボックス6自体を簡易構造として軽量化することが可能となり、抵抗器ボックス組付けユニット1を仮組み立て可能となるので、組み立て工数低減が図れる。また、例えばダンプトラック100の車体フレーム102に抵抗器ボックス6を搭載させた後の作業が少なくなることから、製造時の安全性が向上する。
【0040】
なお、本発明の実施の形態において、6個の抵抗器ボックスを2列3段に組付ける例について説明したが、これに限るものではない。1列でより多段に組付けたり、より多くの列でより多段に組付ける場合にも適用できる。
【符号の説明】
【0041】
1 抵抗器ボックス組付けユニット
2 組付け装置
3 縦保持梁
32 取付孔
33a 横保持梁取付用孔
4 横保持梁
41 ボルト孔(固定孔)
5 ボルト(締結部材)
6 抵抗器ボックス
62 ケーシング
65 ボルト孔(固定孔)
7a,b ワイヤロープ
8 クレーンのフック
100 ダンプトラック(建設機械)
102B 台板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建設機械の抵抗器ボックスを複数個積層組付けするときに用いる抵抗器ボックスの組付け装置であって、
前記積層される抵抗器ボックスの両側面部にそれぞれ対向して上下方向に配置された複数の縦保持梁と、
前記積層される抵抗器ボックスの上面部に平行して水平方向に配置された横保持梁とを備え、
前記複数の縦保持梁は、各下端部を最下段の前記抵抗器ボックスの側面上部に固定すると共に、各中間部を対向する各段の前記抵抗器ボックスの側面にそれぞれ固定し、各上端部を最上段の前記抵抗器ボックス上面以上に突出させ、前記複数の縦保持梁の上端部同士を前記横保持梁で締結する
ことを特徴とする抵抗器ボックスの組付け装置。
【請求項2】
請求項1記載の抵抗器ボックスの組付け装置において、
前記複数の縦保持梁は、前記積層される抵抗器ボックスの4隅側部にそれぞれ配置され、
前記抵抗器ボックスの短手方向に対向する2個の前記縦保持梁の上端部同士を締結する2個の前記横保持梁を備えた
ことを特徴とする抵抗器ボックスの組付け装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の抵抗器ボックスの組付け装置において、
前記積層される抵抗器ボックスを前記抵抗器ボックスの短手方向に並置し、
前記抵抗器ボックスの短手方向に対向する4個の前記縦保持梁の上端部同士を締結する2個の前記横保持梁を備えた
ことを特徴とする抵抗器ボックスの組付け装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の抵抗器ボックスの組付け装置において、
前記縦保持梁及び前記横保持梁を型鋼で形成した
ことを特徴とする抵抗器ボックスの組付け装置。
【請求項5】
建設機械の抵抗器ボックスを複数個積層組付けする抵抗器ボックスの組付け方法であって、
最下段に配置する前記抵抗器ボックスを台板に固定する手順と、
前記最下段の抵抗器ボックスの側面部上方に複数の縦保持梁をそれぞれ対向して上下方向に配置する手順と
前記複数の縦保持梁の下端部を最下段の前記抵抗器ボックスの側面部上方に固定する手順と、
各段に積層される前記抵抗器ボックスを荷役機械によって、前記最下段の抵抗器ボックスの上方に吊り下げ、前記各段の抵抗器ボックスの側面部に、前記複数の縦保持梁が対向して、前記各段の抵抗器ボックスの側面部の上下に設けた固定孔と前記縦保持梁に設けた取付孔とがそれぞれ連通するように配置し、締結部材をこれらの取付孔に嵌挿して締め付け固定する手順と、
前記複数の縦保持梁の各上端部を最上段に積層される前記抵抗器ボックス上面以上に突出させる手順と、
前記複数の縦保持梁の各上端部に設けた横保持梁取付用孔と、横保持梁に設けた複数の固定孔とがそれぞれ連通するように横保持梁を配置し、締結部材をこれらの固定孔に嵌挿して締め付け固定する手順とを備えた
ことを特徴とする抵抗器ボックスの組付け方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−35422(P2013−35422A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−173314(P2011−173314)
【出願日】平成23年8月8日(2011.8.8)
【出願人】(000005522)日立建機株式会社 (2,611)
【Fターム(参考)】