説明

抵抗測定装置

【課題】小型化が可能であって測定対象の抵抗値を精度良く測定できる抵抗測定装置を実現する。
【解決手段】本発明の抵抗測定装置1は、試料Rtの抵抗値を測定するための抵抗測定装置であって、電圧源Vsと可変電圧源Vbと抵抗R1〜R3とを備え、抵抗R1と抵抗R2との間の電圧V1が、抵抗R3と試料Rtとの間の電圧V2と等しいとき、電圧源Vsの出力電圧V3と可変電圧源Vbの出力電圧V4は平衡状態になる。電圧V1(電圧V2)、電圧V3および電圧V4のいずれか2つの電圧を測定することにより、試料Rtの抵抗値を精度良く算出できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抵抗測定装置に関し、特に、エレクトロマイグレーション評価試験に代表されるような、試料に定電流を印加しつつ試料の抵抗値変動を観測することのできる抵抗測定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
試料の抵抗値を精密に測定する方法として、従来からホイートストン・ブリッジ法が知られている。まず、ホイートストン・ブリッジの原理について説明する。
【0003】
図13は、ホイートストン・ブリッジ回路101を示す回路図である。ホイートストン・ブリッジ回路101は、定電圧源Vs101および4つの抵抗R101・R102・R103・R104から構成されており、2つの抵抗R101・R102からなる直列回路と2つの抵抗R103・R104からなる直列回路とが並列接続されている。ここで、抵抗値R104に対する抵抗値R103の比率と、抵抗値R102に対する抵抗値R101の比率とが同一である場合、抵抗R103と抵抗R104との間の電圧V102が、抵抗R101と抵抗R102との間の電圧V101と等しくなる。すなわち、V102=V101のとき、
R101:R102=R103:R104 ・・・式(1)
が成立する。
【0004】
式(1)を変形すると、
R101×R104=R103×R102
となり、
R103=R104×R101÷R102 ・・・式(2)
となる。
【0005】
続いて、ホイートストン・ブリッジ法での抵抗測定例について説明する。
【0006】
図14は、ホイートストン・ブリッジの抵抗測定装置201を示す回路図である。抵抗測定装置201は、試料Rtの抵抗値を測定する回路であり、定電圧源Vs201および3つの抵抗R201・R202・R203から構成されている。抵抗R201・R202は抵抗値が既知の固定抵抗であり、抵抗R203はダイヤル・ディケード抵抗器のような可変抵抗である。抵抗R201・R202からなる直列回路は、試料Rtと抵抗R203とからなる直列回路と並列接続されている。
【0007】
ここで、抵抗R201〜R203および試料Rtの接続関係は、図13に示す抵抗R101〜R104と同様である。したがって、試料Rtと抵抗R203との間の電圧V202が、抵抗R201と抵抗R202との間の電圧V201と等しい場合、式(2)から、
Rt=R203×R201÷R202 ・・・式(3)
が成り立つ。
【0008】
ここで、V202=V201となるように可変抵抗R203を調整する。上記のように、抵抗R201・R202の抵抗値は既知であるため、式(3)から試料Rtの抵抗値が算出される。V202=V201であることを検知する手段として、抵抗R201・R202間の接続点と試料Rt・抵抗R203間の接続点との間に電流計を設ける。V202=V201である場合、当該電流計を流れる電流I201の電流値がゼロとなるので、I201=0となるように抵抗R203を調整する。
【0009】
ここで、電流I201がゼロであるか否かの検出は、簡単なコイル式の電流計であっても非常に精度良く実現できる。したがって、抵抗測定装置201によって、ケルビン法等のような抵抗測定方法よりも簡単に抵抗値を測定することができる。この抵抗測定方法は例えば下記の非特許文献1に開示されている。
【非特許文献1】平山 博、大附 辰夫 著 「電気回路論(電気学会大学講座)」電気学会出版 2008年
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
抵抗測定装置201の可変抵抗R203の内部に抵抗値を切り替える切替え手段が必要となるため、可変抵抗R203としては、一般に抵抗値を直読できるスイッチ切替え式の抵抗装置が用いられる。しかしながら、スイッチ切替え式の抵抗装置は、装置自体が大きいため、抵抗測定装置201を小型化することが難しい。また、スイッチ切替え式の抵抗装置は、リレーなどの機械部品を使用しているため、性能を長期間維持することができない。
【0011】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、小型化が可能であって測定対象の抵抗値を精度良く測定できる抵抗測定装置を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る抵抗測定装置は、上記課題を解決するために、測定対象の抵抗値を測定するための抵抗測定装置であって、第1の電圧源と第2の電圧源と第1〜第3の抵抗とを備え、上記第2の電圧源は可変電圧源であり、第1〜第3の抵抗は固定抵抗であり、上記第1の抵抗と上記第2の抵抗とは、互いに直列接続されて第1の直列回路を構成し、上記第3の抵抗と上記測定対象と上記第2の電圧源とは、互いに直列接続されて第2の直列回路を構成し、上記第1の直列回路の一端と上記第2の直列回路の一端とは上記第1の電圧源に接続され、上記第1の直列回路の他端と上記第2の直列回路の他端とは接地され、上記第1の電圧源側から、上記第3の抵抗、上記測定対象および上記第2の電圧源の順、または、上記測定対象、上記第3の抵抗および上記第2の電圧源の順に接続されており、上記第1の抵抗と上記第2の抵抗との間の第1の電圧が、上記第3の抵抗と上記測定対象との間の第2の電圧と等しいとき、上記第1の電圧源の電圧と上記第2の電圧源の電圧とが平衡状態になることを特徴としている。
【0013】
本発明に係る抵抗測定装置は、測定対象の抵抗値を測定するための抵抗測定装置であって、第1の電圧源と第2の電圧源と第1〜第3の抵抗とを備え、上記第2の電圧源は可変電圧源であり、第1〜第3の抵抗は固定抵抗であり、上記第1の抵抗と上記第2の抵抗とは、互いに直列接続されて第1の直列回路を構成し、上記第3の抵抗と上記測定対象と上記第2の電圧源とは、互いに直列接続されて第2の直列回路を構成し、上記第1の直列回路の一端と上記第2の直列回路の一端とは上記第1の電圧源に接続され、上記第1の直列回路の他端と上記第2の直列回路の他端とは接地され、上記第1の電圧源側から、上記第2の電圧源、上記測定対象および上記第3の抵抗の順、または、上記第2の電圧源、上記第3の抵抗および上記測定対象の順に接続されており、上記第1の抵抗と上記第2の抵抗との間の第1の電圧が、上記第3の抵抗と上記測定対象との間の第2の電圧と等しいとき、上記第1の電圧源の電圧と上記第2の電圧源の電圧とが平衡状態になることを特徴としている。
【0014】
本発明に係る抵抗測定装置は、測定対象の抵抗値を測定するための抵抗測定装置であって、第1の電圧源と第2の電圧源と第1〜第3の抵抗とを備え、上記第2の電圧源は可変電圧源であり、第1〜第3の抵抗は固定抵抗であり、上記第1の抵抗と上記第2の抵抗と上記第2の電圧源とは、互いに直列接続されて第1の直列回路を構成し、上記第3の抵抗と上記測定対象とは、互いに直列接続されて第2の直列回路を構成し、上記第1の直列回路の一端と上記第2の直列回路の一端とは上記第1の電圧源に接続され、上記第1の直列回路の他端と上記第2の直列回路の他端とは接地され、上記第1の電圧源側から、上記第1の抵抗、上記第2の抵抗および上記第2の電圧源の順に接続されており、上記第3の抵抗と上記測定対象との間の第1の電圧が、上記第1の抵抗と上記第2の抵抗との間の第2の電圧と等しいとき、上記第1の電圧源の電圧と上記第2の電圧源の電圧とが平衡状態になることを特徴としている。
【0015】
本発明に係る抵抗測定装置は、測定対象の抵抗値を測定するための抵抗測定装置であって、第1の電圧源と第2の電圧源と第1〜第3の抵抗とを備え、上記第2の電圧源は可変電圧源であり、第1〜第3の抵抗は固定抵抗であり、上記第1の抵抗と上記第2の抵抗と上記第2の電圧源とは、互いに直列接続されて第1の直列回路を構成し、上記第3の抵抗と上記測定対象とは、互いに直列接続されて第2の直列回路を構成し、上記第1の直列回路の一端と上記第2の直列回路の一端とは上記第1の電圧源に接続され、上記第1の直列回路の他端と上記第2の直列回路の他端とは接地され、上記第1の電圧源側から、上記第2の電圧源、上記第1の抵抗および上記第2の抵抗の順に接続されており、上記第3の抵抗と上記測定対象との間の第1の電圧が、上記第1の抵抗と上記第2の抵抗との間の第2の電圧と等しいとき、上記第1の電圧源の電圧と上記第2の電圧源の電圧とが平衡状態になることを特徴としている。
【0016】
本発明に係る抵抗測定装置では、上記第2の電圧源は、第1の差分出力手段と第1の電圧出力手段とを備え、上記第1の差分出力手段は、上記第1の電圧と上記第2の電圧との差分を所定のゲインで出力し、上記第1の電圧出力手段は、上記第1の差分出力手段の出力電圧に基づいて、上記第1の電圧が上記第2の電圧より高い場合、当該第1の電圧出力手段の出力電圧を上昇させ、上記第1の電圧が上記第2の電圧より低い場合、当該第1の電圧出力手段の出力電圧を低下させ、上記第1の電圧出力手段の出力電圧が、上記第2の電圧源の電圧となることが好ましい。
【0017】
本発明に係る抵抗測定装置では、上記第2の電圧源は、第1の差分出力手段と第1の電圧出力手段とを備え、上記第1の差分出力手段は、上記第1の電圧と上記第2の電圧との差分を所定のゲインで出力し、上記第1の電圧出力手段は、上記第1の差分出力手段の出力電圧に基づいて、上記第1の電圧が上記第2の電圧より高い場合、当該第1の電圧出力手段の出力電圧を上昇させ、上記第1の電圧が上記第2の電圧より低い場合、当該第1の電圧出力手段の出力電圧を低下させ、上記第1の電圧源の電圧から上記第1の電圧出力手段の出力電圧を差し引いた電圧が、上記第2の電圧源の電圧となることが好ましい。
【0018】
上記の構成によれば、第2の電圧源を構成する第1の差分出力手段および第1の電圧出力手段は、いずれも電子化可能な回路であるので、高集積化が可能である。また、メカリレーを必要としないため、抵抗測定装置の寿命、安定性を向上させることができる。
【0019】
本発明に係る抵抗測定装置では、上記第1の電圧源は、可変電圧源であり、上記第3の抵抗の両端の電位差が所定値であるとき、上記第1の電圧源の電圧は平衡状態になることが好ましい。
【0020】
上記の構成によれば、第3の抵抗の両端の電位差が所定値であるとき、第1の電圧源の電圧が平衡状態になるので、平衡状態であるとき、第3の抵抗には定電流が流れる。また、第3の抵抗と測定対象とは互いに直列接続されているので、測定対象の抵抗値にかかわらず、測定対象に定電流を流すことができる。したがって、抵抗測定装置をエレクトロマイグレーション(EM)試験器に応用することができる。
【0021】
本発明に係る抵抗測定装置では、上記第1の電圧源は、第3の電圧源と第2の差分出力手段と第2の電圧出力手段とを備え、上記第2の差分出力手段は、上記第3の抵抗の両端の電位差を所定のゲインで出力し、上記第2の電圧出力手段は、上記第3の電圧源の電圧と上記第2の差分出力手段の出力電圧とを入力とし、上記第3の電圧源の電圧が上記第2の差分出力手段の出力電圧より高い場合、当該第2の電圧出力手段の出力電圧を上昇させ、上記第3の電圧源の電圧が上記第2の差分出力手段の出力電圧より低い場合、当該第2の電圧出力手段の出力電圧を低下させ、上記第2の電圧出力手段の出力電圧が、上記第1の電圧源の電圧となることが好ましい。
【0022】
上記の構成によれば、第1の電圧源を構成する第3の電圧源、第2の差分出力手段および第2の電圧出力手段は、いずれも電子化可能な回路であるので、小型化および高集積化が可能である。
【0023】
本発明に係る抵抗測定装置では、上記第2の直列回路は、固定抵抗である第4の抵抗をさらに備え、上記第1の電源側から、上記第4の抵抗、上記測定対象および上記第3の抵抗の順、上記第4の抵抗、上記第3の抵抗および上記測定対象の順、上記測定対象、上記第3の抵抗および上記第4の抵抗の順、または、上記第3の抵抗、上記測定対象および上記第4の抵抗の順に接続されており、上記第1の電圧源は、可変電圧源であり、上記第4の抵抗の両端の電位差が所定値であるとき、上記第1の電圧源の電圧は平衡状態になり、上記第4の抵抗は、上記第1〜第3の抵抗よりも抵抗値が低いことが好ましい。
【0024】
本発明に係る抵抗測定装置は、測定対象の抵抗値を測定するための抵抗測定装置であって、第1の電圧源と第2の電圧源と第1〜第4の抵抗とを備え、上記第1の電圧源と上記第2の電圧源は可変電圧源であり、第1〜第4の抵抗は固定抵抗であり、上記第1の抵抗と上記第2の抵抗と上記第2の電圧源とは、互いに直列接続されて第1の直列回路を構成し、上記第3の抵抗と上記第4の抵抗と上記測定対象とは、互いに直列接続されて第2の直列回路を構成し、上記第1の直列回路の一端と上記第2の直列回路の一端とは上記第1の電圧源に接続され、上記第1の直列回路の他端と上記第2の直列回路の他端とは接地され、上記第1の直列回路では、上記第1の電圧源側から、上記第1の抵抗、上記第2の抵抗および上記第2の電圧源の順、または、上記第2の電圧源、上記第1の抵抗および上記第2の抵抗の順に接続されており、上記第2の直列回路では、上記第1の電源側から、上記測定対象、上記第4の抵抗および上記第3の抵抗の順、または、上記第3の抵抗、上記第4の抵抗および上記測定対象の順に接続されており、上記第1の抵抗と上記第2の抵抗との間の第1の電圧が、上記第3の抵抗と上記第4の抵抗との間の第2の電圧と等しく、上記第4の抵抗の両端の電位差が所定値であるとき、または、上記第1の抵抗と上記第2の抵抗との間の第1の電圧が、上記測定対象と上記第4の抵抗との間の第3の電圧と等しく、上記第4の抵抗の両端の電位差が所定値であるとき、上記第1の電圧源の電圧と上記第2の電圧源の電圧とが平衡状態になり、上記第4の抵抗は、上記第1〜第3の抵抗よりも抵抗値が低いことを特徴としている。
【0025】
本発明に係る抵抗測定装置は、測定対象の抵抗値を測定するための抵抗測定装置であって、第1の電圧源と第2の電圧源と第1〜第4の抵抗とを備え、上記第1の電圧源と上記第2の電圧源は可変電圧源であり、第1〜第4の抵抗は固定抵抗であり、上記第1の抵抗と上記第2の抵抗と上記第2の電圧源とは、互いに直列接続されて第1の直列回路を構成し、上記第3の抵抗と上記第4の抵抗と上記測定対象とは、互いに直列接続されて第2の直列回路を構成し、上記第1の直列回路の一端と上記第2の直列回路の一端とは上記第1の電圧源に接続され、上記第1の直列回路の他端と上記第2の直列回路の他端とは接地され、上記第1の直列回路では、上記第1の電圧源側から、上記第2の電圧源、上記第1の抵抗および上記第2の抵抗の順に接続されており、上記第2の直列回路では、上記第1の電源側から、上記第4の抵抗、上記測定対象および上記第3の抵抗の順、または、上記第3の抵抗、上記測定対象および上記第4の抵抗の順に接続されており、上記第1の抵抗と上記第2の抵抗との間の第1の電圧が、上記第3の抵抗と上記測定対象との間の第2の電圧と等しく、上記第4の抵抗の両端の電位差が所定値であるとき、または、上記第1の抵抗と上記第2の抵抗との間の第1の電圧が、上記測定対象と上記第4の抵抗との間の第3の電圧と等しく、上記第4の抵抗の両端の電位差が所定値であるとき、上記第1の電圧源の電圧と上記第2の電圧源の電圧とが平衡状態になり、上記第4の抵抗は、上記第1〜第3の抵抗よりも抵抗値が低いことを特徴としている。
【0026】
本発明に係る抵抗測定装置では、上記第1の電圧源は、第3の電圧源と第1の差分出力手段と第1の電圧出力手段とを備え、上記第1の差分出力手段は、上記第4の抵抗の両端の電位差を所定のゲインで出力し、上記第1の電圧出力手段は、上記第3の電圧源の電圧と上記第1の差分出力手段の出力電圧とを入力とし、上記第3の電圧源の電圧が上記第1の差分出力手段の出力電圧より高い場合、当該第1の電圧出力手段の出力電圧を上昇させ、上記第3の電圧源の電圧が上記第1の差分出力手段の出力電圧より低い場合、当該第1の電圧出力手段の出力電圧を低下させ、上記第1の電圧出力手段の出力電圧が、上記第1の電圧源の電圧となることが好ましい。
【0027】
上記の構成によれば、第1の電圧源を構成する第3の電圧源、第2の差分出力手段および第2の電圧出力手段は、いずれも電子化可能な回路であるので、小型化および高集積化が可能である。
【発明の効果】
【0028】
本発明に係る抵抗測定装置は、以上のように、測定対象の抵抗値を測定するための抵抗測定装置であって、第1の電圧源と第2の電圧源と第1〜第3の抵抗とを備え、上記第2の電圧源は可変電圧源であり、第1〜第3の抵抗は固定抵抗であり、上記第1の抵抗と上記第2の抵抗とは、互いに直列接続されて第1の直列回路を構成し、上記第3の抵抗と上記測定対象と上記第2の電圧源とは、互いに直列接続されて第2の直列回路を構成し、上記第1の直列回路の一端と上記第2の直列回路の一端とは上記第1の電圧源に接続され、上記第1の直列回路の他端と上記第2の直列回路の他端とは接地され、上記第1の電圧源側から、上記第3の抵抗、上記測定対象および上記第2の電圧源の順、または、上記測定対象、上記第3の抵抗および上記第2の電圧源の順に接続されており、上記第1の抵抗と上記第2の抵抗との間の第1の電圧が、上記第3の抵抗と上記測定対象との間の第2の電圧と等しいとき、上記第1の電圧源の電圧と上記第2の電圧源の電圧とが平衡状態になるので、小型化が可能であって測定対象の抵抗値を精度良く測定できる抵抗測定装置を実現できるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
〔実施形態1〕
本発明の第1の実施形態について図1〜図4に基づいて説明すると以下の通りである。まず、本実施形態に係る抵抗測定装置の原理について図1に基づいて説明する。
【0030】
図1は、本実施形態に係る抵抗測定装置1の概略構成を示す回路図である。抵抗測定装置1は、試料Rtの抵抗値を測定する回路であり、電圧源Vs、可変電圧源Vbおよび3つの抵抗R1・R2・R3を備えている。
【0031】
電圧源Vsは、例えばDA変換器などで構成され、定電圧V3を出力する。各抵抗R1・R2・R3は、抵抗値が既知である固定抵抗である。抵抗R1と抵抗R2とが直列に接続され、試料Rtと抵抗R3と可変電圧源Vbとが直列に接続されている。より具体的には、抵抗R1の一端および試料Rtの一端は、ともに電圧源Vsに接続されている。抵抗R1の他端は、抵抗R2の一端に接続され、抵抗R2の他端は接地されている。また、試料Rtの他端は抵抗R3の一端に接続され、抵抗R3の他端は可変電圧源Vbの一端に接続され、可変電圧源Vbの他端は接地されている。
【0032】
可変電圧源Vbは、正電圧だけでなく負電圧も出力可能な電圧源であり、後述するように数個の演算増幅器で構成される。また、可変電圧源Vbの電圧は、抵抗R1と抵抗R2との間の電圧V1が、試料Rtと抵抗R3との間の電圧V2と等しいときに、電圧V4で平衡状態となる。
【0033】
このとき、電圧V1は、電圧V3を抵抗R1と抵抗R2とで分圧したものであるので、
(V3−V1):V1=R1:R2
V1=V3×R2/(R1+R2) ・・・式(4)
となる。一方、電圧V2は、電圧V3と電圧V4との電位差を試料Rtと抵抗R3とで分圧したものであるので、
(V3−V2):(V2−V4)=Rt:R3
V2=(R3×V3+Rt×V4)/(R3+Rt) ・・・式(5)
となる。ここで、V1=V2であるので、式(4)および式(5)から、
V3×R2/(R1+R2)=(R3×V3+Rt×V4)/(R3+Rt)
Rt=R1×R3×V3/(V3×R2−(R1+R2)×V4) ・・・式(6)
が成り立つ。抵抗R1〜R3および電圧V3は既知であるので、電圧V4を計測することにより、試料Rtの抵抗値を算出できる。
【0034】
電圧V4の計測は、後述のようにAD変換器で簡単に実現することができる。また、可変電圧源Vbは、数個の演算増幅器で簡単に構成することができる。続いて、可変電圧源Vbについて図2に基づいて説明する。
【0035】
図2は、抵抗測定装置1の具体的な構成を示す回路図である。同図では、図1に示す可変電圧源Vbの具体的な構成として、計装アンプAmp1、サンプルアンドホールド回路2、AD変換回路3、CPU4、DA変換回路5および演算増幅器MOD1が図示されている。また、同図では、電圧V4を計測するための具体的な構成として、AD変換回路6も図示されている。
【0036】
計装アンプAmp1は、2つの入力端子+IN・−INを有しており、入力端子+INには電圧V1が入力され、入力端子−INには電圧V2が入力される。計装アンプAmp1は、入力端子+INの電位から入力端子−INの電位を減じた差分、すなわち(V1−V2)の電圧を出力する。
【0037】
計装アンプAmp1の出力電圧は、サンプルアンドホールド回路2によって一旦ホールドされてAD変換回路3に入力される。これにより、計装アンプAmp1の出力電圧はAD変換回路3によってデジタル信号に変換され、CPU4においてモニタされる。また、AD変換回路3からのデジタル信号は、CPU4を経てDA変換回路5において再びアナログ電圧に変換される。
【0038】
演算増幅器MOD1は、2つの入力端子+IN・−INを有しており、入力端子+INにはDA変換回路5の出力電圧が入力され、入力端子−INは接地されている。演算増幅器MOD1は、(入力端子+INの電位)>(入力端子−INの電位)である場合は出力電圧を上昇させ、(入力端子+INの電位)<(入力端子−INの電位)である場合は出力電圧を低下させる。すなわち、演算増幅器MOD1は、(入力端子+INの電位)=(入力端子−INの電位)となった時に出力電圧が安定する。
【0039】
DA変換回路5の出力電圧は、計装アンプAmp1の出力電圧(V1−V2)と等しいので、演算増幅器MOD1は、V1−V2=0となるまで出力電圧を変化させ、V1=V2となったとき、出力電圧V4で平衡状態となる。具体的には、電圧源Vsが電圧V3の印加を開始したときV1>V2であった場合、V1−V2>0となるので、演算増幅器MOD1は出力電圧を上昇させる。この場合、平衡状態における出力電圧V4は正電圧となる。一方、電圧源Vsが電圧V3の印加を開始したときV1<V2であった場合、V1−V2<0となるので、演算増幅器MOD1は出力電圧を低下させる。この場合、平衡状態における出力電圧V4は負電圧となる。
【0040】
電圧V4は、AD変換回路6によってデジタル値に変換され、CPU4によってモニタされる。これにより、電圧V4が計測され、上記式(6)により、試料Rtの抵抗値が算出される。なお、計装アンプAmp1の出力電圧を演算増幅器MOD1の入力端子+INに直接入力してもよい。また、試料Rtの算出式は異なるが、抵抗測定装置1において、試料Rtおよび抵抗R3の位置を互いに入れ替えてもよい。
【0041】
このように、抵抗測定装置1では、従来の抵抗測定装置のようにメカリレーやスイッチを必要とする可変抵抗器を使用していないので、回路の寿命、安定性、信頼性を向上させることができる。また、抵抗測定装置1を構成する回路は、完全に電子化することができるので、抵抗測定装置1の小型化、高集積化が可能となる。
【0042】
続いて、本実施形態の変形例について説明する。
【0043】
図3は、本実施形態の変形例に係る抵抗測定装置11の概略構成を示す回路図である。抵抗測定装置11は、図1に示す抵抗測定装置1と同様、試料Rtの抵抗値を測定する回路であり、電圧源Vs、可変電圧源Vbおよび3つの抵抗R1・R2・R3を備えている。抵抗測定装置11を構成する各素子は、抵抗測定装置1におけるものと略同一である。
【0044】
一方、抵抗測定装置11では、抵抗R1と抵抗R2と可変電圧源Vbとが直列に接続され、試料Rtと抵抗R3とが直列に接続されている。すなわち、抵抗測定装置1では、可変電圧源Vbは、試料Rt・抵抗R3と共に直列接続されていたのに対し、抵抗測定装置11では、可変電圧源Vbは、抵抗R1・R2と共に直列接続されている。より具体的には、抵抗R1の一端および試料Rtの一端は、ともに電圧源Vsに接続されている。抵抗R1の他端は抵抗R2の一端に接続され、抵抗R2の他端は可変電圧源Vbの一端に接続され、可変電圧源Vbの他端は接地されている。また、試料Rtの他端は抵抗R3の一端に接続され、抵抗R3の他端は接地されている。
【0045】
可変電圧源Vbの電圧は、試料Rtと抵抗R3との間の電圧V1が、抵抗R1と抵抗R2との間の電圧V2と等しいときに、電圧V4で平衡状態となる。このとき、電圧V1は、電圧V3を試料Rtと抵抗R3とで分圧したものであるので、
(V3−V1):V1=Rt:R3
V1=V3×R3/(Rt+R3) ・・・式(7)
となる。一方、電圧V2は、電圧V3と電圧V4との電位差を抵抗R1と抵抗R2とで分圧したものであるので、
(V3−V2):(V2−V4)=R1:R2
V2=(R2×V3+R1×V4)/(R1+R2) ・・・式(8)
となる。上記のように、V1=V2であり、抵抗R1〜R3および電圧V3は既知であるので、電圧V4を計測することにより、式(7)および式(8)から試料Rtの抵抗値を算出できる。なお、可変電圧源Vbの具体的な構成は、図2に示すものと略同様である。
【0046】
なお、試料Rtの算出式は異なるが、抵抗測定装置11において、試料Rtおよび抵抗R3の位置を互いに入れ替えてもよい。また、抵抗測定装置1および11では、可変電圧源Vbを接地側に設ける構成であったが、これに限定されない。例えば、可変電圧源Vbは、ブリッジを構成する抵抗間や抵抗と試料との間に設けてもよい。
【0047】
続いて、本実施形態の他の変形例について、図4に基づいて説明する。
【0048】
図4(a)〜(b)はそれぞれ、本実施形態のさらに他の変形例に係る抵抗測定装置21および31の概略構成を示す回路図である。
【0049】
図4(a)に示す抵抗測定装置21は、可変電圧源Vbを試料Rtの電圧源Vs側の一端に接続した構成であり、抵抗R1と抵抗R2との間の電圧V1が、可変電圧源Vbと抵抗R3との間の電圧V2と等しくなるとき、可変電圧源Vbの電圧は平衡状態となる。
【0050】
このとき、可変電圧源Vbの出力電圧をV4とすると、
V1=V3×R2/(R1+R2) ・・・式(9)
V2=(V3−V4)×R3/(Rt+R3) ・・・式(10)
となる。ここで、V1=V2であり、抵抗R1〜R3および電圧V3は既知であるので、電圧V4を計測することにより、式(9)および式(10)から試料Rtの抵抗値を算出できる。
【0051】
なお、抵抗測定装置21において、試料Rtおよび抵抗R3の位置を互いに入れ替えてもよい。
【0052】
図4(b)に示す抵抗測定装置31は、可変電圧源Vbを抵抗R1の電圧源Vs側の一端に接続した構成であり、抵抗R1と抵抗R2との間の電圧V1が、試料Rtと抵抗R3との間の電圧V2と等しくなるとき、可変電圧源Vbの電圧は平衡状態となる。このとき、電圧V2は、電圧V3を試料Rtと抵抗R3とで分圧したものであるので、
(V3−V2):V2=Rt:R3
V2=V3×R3/(Rt+R3) ・・・式(11)
となる。一方、電圧V1は、可変電圧源Vbの出力電圧をV4とすると、
V1=(V3−V4)×R2/(R1+R2) ・・・式(12)
となる。V1=V2であり、抵抗R1〜R3および電圧V3は既知であるので、電圧V4を計測することにより、式(11)および式(12)から試料Rtの抵抗値を算出できる。
【0053】
なお、抵抗測定装置31において、試料Rtおよび抵抗R3の位置を互いに入れ替えてもよい。
【0054】
続いて、可変電圧源Vbを電圧源Vs側に接続した構成の具体例について、図5に基づいて説明する。
【0055】
図5は、図4(a)に示す抵抗測定装置21の具体的な構成を示す回路図である。同図において、可変電圧源Vbは、計装アンプAmp1、サンプルアンドホールド回路2、AD変換回路3、CPU14、DA変換回路5、演算増幅器MOD1およびAD変換回路7から構成されている。すなわち、抵抗測定装置21の可変電圧源Vbを構成する素子は、CPU14およびAD変換回路7を除き、図2に示す抵抗測定装置1の可変電圧源Vbを構成する素子と同一である。
【0056】
計装アンプAmp1は、2つの入力端子+IN・−INを有しており、入力端子+INには電圧V1が入力され、入力端子−INには電圧V2が入力される。計装アンプAmp1は、入力端子+INの電位から入力端子−INの電位を減じた差分、すなわち(V1−V2)の電圧を出力する。
【0057】
計装アンプAmp1の出力電圧は、サンプルアンドホールド回路2によって一旦ホールドされてAD変換回路3に入力される。これにより、計装アンプAmp1の出力電圧はAD変換回路3によってデジタル信号に変換され、CPU14においてモニタされる。また、電圧源Vsからの電圧V3も、AD変換回路7によってデジタル信号に変換され、CPU14においてモニタされる。
【0058】
CPU14は、AD変換回路3からのデジタル信号にAD変換回路7からのデジタル信号を加算し、加算した信号をDA変換回路5に出力する。これにより、DA変換回路5は、(V1−V2+V3)のアナログ電圧を出力する。
【0059】
演算増幅器MOD1は、2つの入力端子+IN・−INを有しており、入力端子+INにはDA変換回路5の出力電圧が入力され、入力端子−INには電圧V3が入力される。演算増幅器MOD1は、(入力端子+INの電位)>(入力端子−INの電位)である場合は出力電圧を上昇させ、(入力端子+INの電位)<(入力端子−INの電位)である場合は出力電圧を低下させる。すなわち、演算増幅器MOD1は、(入力端子+INの電位)=(入力端子−INの電位)となった時に出力電圧が安定する。
【0060】
ここで、(入力端子+INの電位)=V1−V2+V3であり、(入力端子−INの電位)=V3であるので、演算増幅器MOD1は、V1−V2=0となるまで出力電圧を変化させ、V1=V2となったとき、出力電圧V4aで平衡状態となる。具体的には、電圧源Vsが電圧V3の印加を開始したときV1>V2であった場合、V1−V2+V3>V3となるので、演算増幅器MOD1は出力電圧を上昇させる。一方、電圧源Vsが電圧V3の印加を開始したときV1<V2であった場合、V1−V2+V3<V3となるので、演算増幅器MOD1は出力電圧を低下させる。
【0061】
なお、抵抗測定装置21では、演算増幅器MOD1の出力電圧V4aと、図4(a)に示す可変電圧源Vbの電圧V4とは、異なる電圧であり、可変電圧源Vbの電圧V4は、電圧V3から出力電圧V4aを差し引いた電圧となる。すなわち、V1>V2である場合、可変電圧源Vbの電圧V4は低下し、V1<V2である場合、可変電圧源Vbの電圧V4は上昇する。
【0062】
電圧V4aは、AD変換回路6によってデジタル値に変換され、CPU4によってモニタされる。ここで上記のように、可変電圧源Vbの電圧V4はV3−V4aであるので、CPU4は、AD変換回路6からのデジタル値およびAD変換回路7からのデジタル値に基づいて、電圧V4の電圧値を算出する。これにより、上記式(9)および(10)から、試料Rtの抵抗値が算出される。なお、試料Rtの算出式は異なるが、抵抗測定装置21において、試料Rtおよび抵抗R3の位置を互いに入れ替えてもよい。
【0063】
〔実施形態2〕
本発明の第2の実施形態について図6〜図9に基づいて説明すると以下の通りである。本実施形態では、試料に所定の定電流を流すことが要求されるエレクトロマイグレーション(EM)試験に応用可能な抵抗測定装置について説明する。
【0064】
図6は、本実施形態に係る抵抗測定装置41の概略構成を示す回路図である。抵抗測定装置41は、図1に示す抵抗測定装置1において、電圧源Vsの代わりに、電圧V5を出力する可変電圧源Vvを設けた構成である。可変電圧源Vvは、試料Rtと直列接続された抵抗R3の両端の電位差が所定値であるときに、電圧V5で平衡状態となる。
【0065】
すなわち、可変電圧源Vvが平衡状態であるときは、試料Rtの抵抗値に関わらず抵抗R3の両端の電位差が等しいため、抵抗R3に定電流Ir3が流れる。試料Rtに流れる電流も定電流Ir3であるため、試料Rtの抵抗値が異なっても、試料Rtに流れる電流は一定である。
【0066】
このように、抵抗測定装置41では、V1=V2であり、かつ抵抗R3の両端の電位差が所定値であるときに、可変電圧源Vbと可変電圧源Vvとは、それぞれ電圧V4および電圧V5で平衡状態となる。このとき、抵抗R3と可変電圧源Vbとの直列回路は、(V2÷Ir3)Ωの抵抗とみなすことができる。したがって、ホイートストンブリッジの原理により、
Rt=(V2÷Ir3)×R1÷R2 ・・・式(13)
となる。ここで、平衡状態における抵抗R3の両端の電位差は、既知の電圧であるので、定電流Ir3も既知である。したがって、電圧V2(または電圧V1)を計測することにより、試料Rtの抵抗値を算出できる。
【0067】
後述のように、可変電圧源Vvを構成する回路素子も、可変電圧源Vbと同様に、高集積化が可能であるため、抵抗測定装置41の小型化が可能となる。続いて、可変電圧源Vvについて図7に基づいて説明する。
【0068】
図7は、抵抗測定装置41の具体的な構成を示す回路図である。可変電圧源Vvは、電圧源Vss、計装アンプAmp2および演算増幅器MOD2を備えている。電圧源Vssは、所定の定電圧を出力する電圧源であり、例えば、DA変換回路で構成される。
【0069】
計装アンプAmp2は、2つの入力端子+IN・−INを有しており、入力端子+INと入力端子−INとの電位差を所定のゲインで増幅して出力する。計装アンプAmp2の入力端子+INには、抵抗R3の試料Rt側の一端の電圧(電圧V2)が入力され、計装アンプAmp2の入力端子−INには、抵抗R3の他端の電圧(電圧V4)が入力される。
【0070】
演算増幅器MOD2は、2つの入力端子+IN・−INを有しており、入力端子+INには、電圧源Vssからの出力電圧V6が入力され、入力端子−INには、計装アンプAmp2からの出力電圧が入力される。演算増幅器MOD2は、(入力端子+INの電位)>(入力端子−INの電位)である場合は出力電圧を上昇させ、(入力端子+INの電位)<(入力端子−INの電位)である場合は出力電圧を低下させ、(入力端子+INの電位)=(入力端子−INの電位)となった時に出力電圧が安定する。
【0071】
Amp2のゲインをgとすると、抵抗R3の両端の電位差はV2−V4であるので、
(V2−V4)×g=V6
のとき、演算増幅器MOD2の出力電圧が平衡状態となる。このとき、抵抗R3を流れる電流Ir3は、
Ir3=(V2−V4)/R3=V6×R3/g ・・・式(14)
で一定となる。式(14)においてR3は既知であるので、電圧V6および計装アンプAmp2のゲインgを所望の値に設定することにより、試料Rtに流したい定電流値を制御することができる。
【0072】
演算増幅器MOD2の出力電圧の平衡状態への移行と並行して、演算増幅器MOD1の出力電圧もV1=V2となるように、電圧V4で平衡状態となる。前述のように、抵抗測定装置41では、式(13)に基づいて試料Rtの抵抗値を算出するため、AD変換回路6は、電圧V2を測定するように構成されている。なお、計装アンプAmp1、サンプルアンドホールド回路2、AD変換回路3、CPU4、DA変換回路5および演算増幅器MOD1で構成される可変電圧源Vbの具体的な動作は、図2に示す抵抗測定装置1におけるものと略同様であるので、説明を省略する。
【0073】
続いて、本実施形態の変形例について説明する。
【0074】
図8は、本実施形態の変形例に係る抵抗測定装置51の概略構成を示す回路図である。抵抗測定装置51は、図3に示す抵抗測定装置11において、電圧源Vsの変わりに可変電圧源Vvを設けた構成である。可変電圧源Vvは、図6に示す抵抗測定装置41の可変電圧源Vvと同様、試料Rtと直列接続された抵抗R3の両端の電位差が所定値であるときに、電圧V5で平衡状態となる。
【0075】
図9は、本実施形態の変形例に係る抵抗測定装置51の具体的な構成を示す回路図である。抵抗測定装置51では、抵抗測定装置41と同様に、可変電圧源Vvは、電圧源Vss、計装アンプAmp2および演算増幅器MOD2を備えており、計装アンプAmp2の2つの入力端子+IN・−INには、抵抗R3の両端の電圧が入力される。これにより、演算増幅器MOD2の出力電圧は、抵抗R3の両端の電位差が所定値であるときに、電圧V5で平衡状態となる。また、演算増幅器MOD1の出力電圧は、V1=V2となるときに電圧V4で平衡状態となる。このとき、
V1=V5×R3/(Rt+R3) ・・・式(15)
V2=(R2×V5+R1×V4)/(R1+R2) ・・・式(16)
となるので、電圧V4および電圧V5を計測することにより、式(15)および式(16)から試料Rtの抵抗値を算出できる。
【0076】
また、電圧V4およびV5が平衡状態であるとき、試料Rtの抵抗値に関わらず、抵抗R3の両端の電位差は所定値で一定であるので、抵抗R3に流れる電流は一定となる。したがって、試料Rtが異なっても、試料Rtに流れる電流は一定となる。
【0077】
なお、本実施形態に係る抵抗測定装置41および51は、一例であり、第1の実施形態と同様、ホイートストンブリッジを構成する抵抗R1〜R3および可変電圧源Vbは、図4に示す構成と同様に配置することができる。
【0078】
〔実施形態3〕
本発明の第3の実施形態について図10〜図12に基づいて説明すると以下の通りである。試料Rtが、光MOSFETリレーの接点やLSI内部の電気配線といった、本来0Ωであるべきだが現実的には僅かながらの抵抗値(1〜10Ω程度)を有している導体部品である場合、試料Rtの抵抗値を測定するためには、試料Rtに比較的大きな電流を流す必要がある。本実施形態では、試料Rtに大電流を流すことが可能な抵抗測定装置について説明する。
【0079】
図10は、本実施形態に係る抵抗測定装置61の概略構成を示す回路図である。抵抗測定装置61は、図8に示す抵抗測定装置51において、さらに抵抗R4を備え、可変電圧源Vvの出力電圧が、抵抗R4の両端の電位差が所定値になるときに電圧V7で平衡状態となるように構成されている。具体的には、抵抗R1・抵抗R2・可変電圧源Vbの直列回路と、抵抗R4・試料Rt・抵抗R3の直列回路とが、互いに並列に接続されている。また、試料Rtと抵抗R3との間の電圧V1が、抵抗R1と抵抗R2との間の電圧V2に等しくなるとき、可変電圧源Vbの出力電圧は電圧V4で平衡状態となる。抵抗R4は固定抵抗であり、可変電圧源Vvの出力電圧が平衡状態であるときは、試料Rtの抵抗値に関わらず抵抗R4には定電流Ir4が流れる。
【0080】
図11は、抵抗測定装置61の具体的な構成を示す回路図である。抵抗測定装置61では、可変電圧源Vvは、電圧源Vss、計装アンプAmp2および演算増幅器MOD2を備えており、計装アンプAmp2の2つの入力端子+IN・−INには、抵抗R4の両端の電圧が入力される。これにより、演算増幅器MOD2の出力電圧は、抵抗R4の両端の電位差が所定値であるときに、電圧V7で平衡状態となる。また、演算増幅器MOD1の出力電圧は、V1=V2となるときに電圧V4で平衡状態となる。
【0081】
このとき、抵抗R2を流れる電流をIr2とすると、抵抗R2と可変電圧源Vbとの直列回路は、(V2÷Ir2)Ωの抵抗とみなすことができる。ホイートストンブリッジの原理から、
Rt+R4=R3×R1÷(V2÷Ir2)
Rt=R3×R1÷(V2÷Ir2)−R4
ここで、R1〜R4の抵抗値は既知であり、Ir2=(V2−V4)÷R2であるため、図示しないAD変換器などで電圧V2および電圧V4を測定することにより、試料Rtの抵抗値を算出できる。
【0082】
しかしながら、実施形態2に係る抵抗測定装置に比べ、抵抗測定装置61は、抵抗R4をさらに有する構成であるので、抵抗R4は、余分なロスとなる。また、抵抗R4での電圧降下が大きい場合、出力電圧V7も大きくできるように、演算増幅器MOD2の回路規模も大きくする必要があり、それに伴い、演算増幅器MOD2に供給する電圧も高くする必要がある。
【0083】
そこで、抵抗測定装置61では、抵抗R4の抵抗値が、抵抗R1〜R3の抵抗値よりも低く設定されている。例えば抵抗R1〜R3の抵抗値は、100〜1kΩに設定されているのに対し、抵抗R4の抵抗値は、100mΩ程度に設定されている。このため、定電流Ir4が大きい場合であっても、抵抗R4の両端の電位差は比較的小さいため、計装アンプAmp2や演算増幅器MOD2の回路規模を大きくしなくてもよい。したがって、試料に大電流を流すことができ、かつ、回路規模の小型化を図ることができる。
【0084】
なお、抵抗測定装置61において、抵抗R4および抵抗R3の位置を互いに入れ替えてもよい。さらに、抵抗測定装置のブリッジを構成する抵抗、可変電圧源および試料の配置は、抵抗測定装置61における配置に限定されない。ただし、抵抗値を小さく設定された抵抗R4は、大きな定電流を試料Rtに流すために設けられるため、試料Rt・抵抗R3とともに直列に接続される。また、抵抗R4を可変電圧源Vbとともに直列接続した場合、可変電圧源Vbに大電流に対する耐性をもたせる必要がある。この場合、可変電圧源Vbの回路規模が大きくなるため、抵抗測定装置の小型化が難しくなる。以下、図12に基づいて、本実施形態に係る抵抗測定装置の変形例について説明する。
【0085】
図12(a)〜(b)はそれぞれ、本実施形態の変形例に係る抵抗測定装置71および81の概略構成を示す回路図である。各抵抗測定装置71・81では、抵抗R4の両端の電位差が所定値になったとき、可変電圧源Vvの出力電圧が電圧V7で平衡状態となり、抵抗R4および試料Rtに定電流Ir4が流される。
【0086】
図12(a)に示す抵抗測定装置71は、図10に示す抵抗測定装置61において、可変電圧源Vbを抵抗R1の可変電圧源Vv側の一端に接続した構成である。可変電圧源Vbの電圧は、試料Rtと抵抗R3との間の電圧V1が、抵抗R1と抵抗R2との間の電圧V2と等しくなるとき、平衡状態となる。なお、抵抗測定装置71において、抵抗R4および抵抗R3の位置を互いに入れ替えてもよい。
【0087】
図12(b)に示す抵抗測定装置81は、図10に示す抵抗測定装置61において、試料Rtおよび抵抗R4の位置を入れ替えた構成である。抵抗測定装置81では、試料Rtと抵抗R4との間の電圧V1a、または、抵抗R4と抵抗R3との間の電圧V1bが、抵抗R1と抵抗R2との間の電圧V2と等しくなるとき、可変電圧源Vbの電圧が平衡状態となる。なお、抵抗測定装置81において、試料Rtおよび抵抗R3の位置を互いに入れ替えてもよい。
【0088】
〔実施形態の総括〕
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0089】
本発明は、ホイートストンブリッジによって試料の抵抗値を測定する技術に好適に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る抵抗測定装置の概略構成を示す回路図である。
【図2】図1に示す抵抗測定装置の具体的な構成を示す回路図である。
【図3】本発明の第1の実施形態の変形例に係る抵抗測定装置の概略構成を示す回路図である。
【図4】本発明の第1の実施形態のさらに他の変形例に係る抵抗測定装置の概略構成を示す回路図である。
【図5】図4(a)に示す抵抗測定装置の具体的な構成を示す回路図である。
【図6】本発明の第2の実施形態に係る抵抗測定装置の概略構成を示す回路図である。
【図7】図6に示す抵抗測定装置の具体的な構成を示す回路図である。
【図8】本発明の第2の実施形態の変形例に係る抵抗測定装置の概略構成を示す回路図である。
【図9】図8に示す抵抗測定装置の具体的な構成を示す回路図である。
【図10】本発明の第3の実施形態に係る抵抗測定装置の概略構成を示す回路図である。
【図11】図10に示す抵抗測定装置の具体的な構成を示す回路図である。
【図12】本発明の第3の実施形態の変形例に係る抵抗測定装置の概略構成を示す回路図である。
【図13】ホイートストン・ブリッジ回路を示す回路図である。
【図14】従来のホイートストン・ブリッジの抵抗測定装置を示す回路図である。
【符号の説明】
【0091】
1・11・21・31・41・51・61・71・81 抵抗測定装置
R1 抵抗(第1の抵抗)
R2 抵抗(第2の抵抗)
R3 抵抗(第3の抵抗)
R4 抵抗(第4の抵抗)
Rt 試料(測定対象)
Vs 電圧源(第1の電圧源)
Vv 可変電圧源(第1の電圧源)
Vb 可変電圧源(第2の電圧源)
Amp1 計装アンプ(第1の差分出力手段)
Amp2 計装アンプ(第2の差分出力手段)
MOD1 演算増幅器(第1の電圧出力手段)
MOD2 演算増幅器(第2の電圧出力手段)
V1・V1a・V1b 電圧(第1の電圧)
V2・V2a・V2b 電圧(第2の電圧)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象の抵抗値を測定するための抵抗測定装置であって、
第1の電圧源と第2の電圧源と第1〜第3の抵抗とを備え、
上記第2の電圧源は可変電圧源であり、第1〜第3の抵抗は固定抵抗であり、
上記第1の抵抗と上記第2の抵抗とは、互いに直列接続されて第1の直列回路を構成し、
上記第3の抵抗と上記測定対象と上記第2の電圧源とは、互いに直列接続されて第2の直列回路を構成し、
上記第1の直列回路の一端と上記第2の直列回路の一端とは上記第1の電圧源に接続され、上記第1の直列回路の他端と上記第2の直列回路の他端とは接地され、
上記第1の電圧源側から、上記第3の抵抗、上記測定対象および上記第2の電圧源の順、または、上記測定対象、上記第3の抵抗および上記第2の電圧源の順に接続されており、
上記第1の抵抗と上記第2の抵抗との間の第1の電圧が、上記第3の抵抗と上記測定対象との間の第2の電圧と等しいとき、上記第1の電圧源の電圧と上記第2の電圧源の電圧とが平衡状態になることを特徴とする抵抗測定装置。
【請求項2】
測定対象の抵抗値を測定するための抵抗測定装置であって、
第1の電圧源と第2の電圧源と第1〜第3の抵抗とを備え、
上記第2の電圧源は可変電圧源であり、第1〜第3の抵抗は固定抵抗であり、
上記第1の抵抗と上記第2の抵抗とは、互いに直列接続されて第1の直列回路を構成し、
上記第3の抵抗と上記測定対象と上記第2の電圧源とは、互いに直列接続されて第2の直列回路を構成し、
上記第1の直列回路の一端と上記第2の直列回路の一端とは上記第1の電圧源に接続され、上記第1の直列回路の他端と上記第2の直列回路の他端とは接地され、
上記第1の電圧源側から、上記第2の電圧源、上記測定対象および上記第3の抵抗の順、または、上記第2の電圧源、上記第3の抵抗および上記測定対象の順に接続されており、
上記第1の抵抗と上記第2の抵抗との間の第1の電圧が、上記第3の抵抗と上記測定対象との間の第2の電圧と等しいとき、上記第1の電圧源の電圧と上記第2の電圧源の電圧とが平衡状態になることを特徴とする抵抗測定装置。
【請求項3】
測定対象の抵抗値を測定するための抵抗測定装置であって、
第1の電圧源と第2の電圧源と第1〜第3の抵抗とを備え、
上記第2の電圧源は可変電圧源であり、第1〜第3の抵抗は固定抵抗であり、
上記第1の抵抗と上記第2の抵抗と上記第2の電圧源とは、互いに直列接続されて第1の直列回路を構成し、
上記第3の抵抗と上記測定対象とは、互いに直列接続されて第2の直列回路を構成し、
上記第1の直列回路の一端と上記第2の直列回路の一端とは上記第1の電圧源に接続され、上記第1の直列回路の他端と上記第2の直列回路の他端とは接地され、
上記第1の電圧源側から、上記第1の抵抗、上記第2の抵抗および上記第2の電圧源の順に接続されており、
上記第3の抵抗と上記測定対象との間の第1の電圧が、上記第1の抵抗と上記第2の抵抗との間の第2の電圧と等しいとき、上記第1の電圧源の電圧と上記第2の電圧源の電圧とが平衡状態になることを特徴とする抵抗測定装置。
【請求項4】
測定対象の抵抗値を測定するための抵抗測定装置であって、
第1の電圧源と第2の電圧源と第1〜第3の抵抗とを備え、
上記第2の電圧源は可変電圧源であり、第1〜第3の抵抗は固定抵抗であり、
上記第1の抵抗と上記第2の抵抗と上記第2の電圧源とは、互いに直列接続されて第1の直列回路を構成し、
上記第3の抵抗と上記測定対象とは、互いに直列接続されて第2の直列回路を構成し、
上記第1の直列回路の一端と上記第2の直列回路の一端とは上記第1の電圧源に接続され、上記第1の直列回路の他端と上記第2の直列回路の他端とは接地され、
上記第1の電圧源側から、上記第2の電圧源、上記第1の抵抗および上記第2の抵抗の順に接続されており、
上記第3の抵抗と上記測定対象との間の第1の電圧が、上記第1の抵抗と上記第2の抵抗との間の第2の電圧と等しいとき、上記第1の電圧源の電圧と上記第2の電圧源の電圧とが平衡状態になることを特徴とする抵抗測定装置。
【請求項5】
上記第2の電圧源は、第1の差分出力手段と第1の電圧出力手段とを備え、
上記第1の差分出力手段は、上記第1の電圧と上記第2の電圧との差分を所定のゲインで出力し、
上記第1の電圧出力手段は、上記第1の差分出力手段の出力電圧に基づいて、上記第1の電圧が上記第2の電圧より高い場合、当該第1の電圧出力手段の出力電圧を上昇させ、上記第1の電圧が上記第2の電圧より低い場合、当該第1の電圧出力手段の出力電圧を低下させ、
上記第1の電圧出力手段の出力電圧が、上記第2の電圧源の電圧となることを特徴とする請求項1または3に記載の抵抗測定装置。
【請求項6】
上記第2の電圧源は、第1の差分出力手段と第1の電圧出力手段とを備え、
上記第1の差分出力手段は、上記第1の電圧と上記第2の電圧との差分を所定のゲインで出力し、
上記第1の電圧出力手段は、上記第1の差分出力手段の出力電圧に基づいて、上記第1の電圧が上記第2の電圧より高い場合、当該第1の電圧出力手段の出力電圧を上昇させ、上記第1の電圧が上記第2の電圧より低い場合、当該第1の電圧出力手段の出力電圧を低下させ、
上記第1の電圧源の電圧から上記第1の電圧出力手段の出力電圧を差し引いた電圧が、上記第2の電圧源の電圧となることを特徴とする請求項2または4に記載の抵抗測定装置。
【請求項7】
上記第1の電圧源は、可変電圧源であり、
上記第3の抵抗の両端の電位差が所定値であるとき、上記第1の電圧源の電圧は平衡状態になることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の抵抗測定装置。
【請求項8】
上記第1の電圧源は、第3の電圧源と第2の差分出力手段と第2の電圧出力手段とを備え、
上記第2の差分出力手段は、上記第3の抵抗の両端の電位差を所定のゲインで出力し、
上記第2の電圧出力手段は、上記第3の電圧源の電圧と上記第2の差分出力手段の出力電圧とを入力とし、上記第3の電圧源の電圧が上記第2の差分出力手段の出力電圧より高い場合、当該第2の電圧出力手段の出力電圧を上昇させ、上記第3の電圧源の電圧が上記第2の差分出力手段の出力電圧より低い場合、当該第2の電圧出力手段の出力電圧を低下させ、
上記第2の電圧出力手段の出力電圧が、上記第1の電圧源の電圧となることを特徴とする請求項7に記載の抵抗測定装置。
【請求項9】
上記第2の直列回路は、固定抵抗である第4の抵抗をさらに備え、
上記第1の電源側から、上記第4の抵抗、上記測定対象および上記第3の抵抗の順、上記第4の抵抗、上記第3の抵抗および上記測定対象の順、上記測定対象、上記第3の抵抗および上記第4の抵抗の順、または、上記第3の抵抗、上記測定対象および上記第4の抵抗の順に接続されており、
上記第1の電圧源は、可変電圧源であり、
上記第4の抵抗の両端の電位差が所定値であるとき、上記第1の電圧源の電圧は平衡状態になり、
上記第4の抵抗は、上記第1〜第3の抵抗よりも抵抗値が低いことを特徴とする請求項7に記載の抵抗測定装置。
【請求項10】
測定対象の抵抗値を測定するための抵抗測定装置であって、
第1の電圧源と第2の電圧源と第1〜第4の抵抗とを備え、
上記第1の電圧源と上記第2の電圧源は可変電圧源であり、第1〜第4の抵抗は固定抵抗であり、
上記第1の抵抗と上記第2の抵抗と上記第2の電圧源とは、互いに直列接続されて第1の直列回路を構成し、
上記第3の抵抗と上記第4の抵抗と上記測定対象とは、互いに直列接続されて第2の直列回路を構成し、
上記第1の直列回路の一端と上記第2の直列回路の一端とは上記第1の電圧源に接続され、上記第1の直列回路の他端と上記第2の直列回路の他端とは接地され、
上記第1の直列回路では、上記第1の電圧源側から、上記第1の抵抗、上記第2の抵抗および上記第2の電圧源の順、または、上記第2の電圧源、上記第1の抵抗および上記第2の抵抗の順に接続されており、
上記第2の直列回路では、上記第1の電源側から、上記測定対象、上記第4の抵抗および上記第3の抵抗の順、または、上記第3の抵抗、上記第4の抵抗および上記測定対象の順に接続されており、
上記第1の抵抗と上記第2の抵抗との間の第1の電圧が、上記第3の抵抗と上記第4の抵抗との間の第2の電圧と等しく、上記第4の抵抗の両端の電位差が所定値であるとき、または、上記第1の抵抗と上記第2の抵抗との間の第1の電圧が、上記測定対象と上記第4の抵抗との間の第3の電圧と等しく、上記第4の抵抗の両端の電位差が所定値であるとき、上記第1の電圧源の電圧と上記第2の電圧源の電圧とが平衡状態になり、
上記第4の抵抗は、上記第1〜第3の抵抗よりも抵抗値が低いことを特徴とする抵抗測定装置。
【請求項11】
測定対象の抵抗値を測定するための抵抗測定装置であって、
第1の電圧源と第2の電圧源と第1〜第4の抵抗とを備え、
上記第1の電圧源と上記第2の電圧源は可変電圧源であり、第1〜第4の抵抗は固定抵抗であり、
上記第1の抵抗と上記第2の抵抗と上記第2の電圧源とは、互いに直列接続されて第1の直列回路を構成し、
上記第3の抵抗と上記第4の抵抗と上記測定対象とは、互いに直列接続されて第2の直列回路を構成し、
上記第1の直列回路の一端と上記第2の直列回路の一端とは上記第1の電圧源に接続され、上記第1の直列回路の他端と上記第2の直列回路の他端とは接地され、
上記第1の直列回路では、上記第1の電圧源側から、上記第2の電圧源、上記第1の抵抗および上記第2の抵抗の順に接続されており、
上記第2の直列回路では、上記第1の電源側から、上記第4の抵抗、上記測定対象および上記第3の抵抗の順、または、上記第3の抵抗、上記測定対象および上記第4の抵抗の順に接続されており、
上記第1の抵抗と上記第2の抵抗との間の第1の電圧が、上記第3の抵抗と上記測定対象との間の第2の電圧と等しく、上記第4の抵抗の両端の電位差が所定値であるとき、または、上記第1の抵抗と上記第2の抵抗との間の第1の電圧が、上記測定対象と上記第4の抵抗との間の第3の電圧と等しく、上記第4の抵抗の両端の電位差が所定値であるとき、上記第1の電圧源の電圧と上記第2の電圧源の電圧とが平衡状態になり、
上記第4の抵抗は、上記第1〜第3の抵抗よりも抵抗値が低いことを特徴とする抵抗測定装置。
【請求項12】
上記第1の電圧源は、第3の電圧源と第1の差分出力手段と第1の電圧出力手段とを備え、
上記第1の差分出力手段は、上記第4の抵抗の両端の電位差を所定のゲインで出力し、
上記第1の電圧出力手段は、上記第3の電圧源の電圧と上記第1の差分出力手段の出力電圧とを入力とし、上記第3の電圧源の電圧が上記第1の差分出力手段の出力電圧より高い場合、当該第1の電圧出力手段の出力電圧を上昇させ、上記第3の電圧源の電圧が上記第1の差分出力手段の出力電圧より低い場合、当該第1の電圧出力手段の出力電圧を低下させ、
上記第1の電圧出力手段の出力電圧が、上記第1の電圧源の電圧となることを特徴とする請求項10または11に記載の抵抗測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2010−145373(P2010−145373A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−326315(P2008−326315)
【出願日】平成20年12月22日(2008.12.22)
【出願人】(000108797)エスペック株式会社 (282)
【Fターム(参考)】