説明

抵抗膜式タッチパネル付液晶表示装置

【課題】液晶表示装置の表示面にタッチパネルを重ねて使用でき、タッチパネルを使用しないときは、コンパクトに収納可能でかつ着脱が容易なタッチパネル付液晶表示装置を提供する。
【解決手段】
(a)透明フィルム基板の片面に導電性層が形成された上部基板層および透明フィルム基板の片面に導電性層が形成された下部基板層からなる屈曲性を有する抵抗膜式タッチパネル(A)
(b)前記抵抗膜式タッチパネル(A)を不使用時にはロール状に巻くか或いは折り畳んだ状態で収納可能な収納ケース(B)、および
(c)液晶表示装置(C)
よりなり、前記抵抗膜式タッチパネル(A)はそれを使用する時には、前記収納ケース(B)から取り出し、前記液晶表示装置(C)の表示面に重ねて設置可能であり、前記抵抗膜式タッチパネル(A)と前記液晶表示装置(C)とは電気的に駆動するようにコネクターにより接続されていることを特徴とする抵抗膜式タッチパネル付液晶表示装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抵抗膜式タッチパネル付液晶表示装置に関する。さらに詳しくは、液晶表示装置の表示面に重ねて使用することが可能で、しかもロール状に巻くか或いは折り畳み可能で不使用時にはコンパクトに収納可能であって、屈曲性を有する抵抗膜式タッチパネルを組合せた液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置の表示面に透明なタッチパネルを重ねて装着して、データ入力を可能にした複合装置は種々提案されている。例えば特許文献1には、感圧式タッチパネルを表面に備えた液晶表示装置(具体的には携帯端末装置)が開示されている。この携帯端末装置は、着脱可能なタッチパネルを表示表面に設置した液晶表示装置であるが、使用するタッチパネルは屈曲性がなく、装置しない場合、取り外して安全に保管することは容易ではない。
また特許文献2には、携帯端末本体に設けられたタッチパネルパネルに、入力ペンをその本体に取り付けると共に、タッチパネルを覆う保護カバーを帯状に収納可能にした携帯端末装置が提案されている。この装置においては、タッチパネル自体は携帯端末本体に組み込まれたものであって、着脱して使用うるものではない。
【0003】
さらに特許文献3には携帯端末装置の表示部に重ねてはめ込みすることができる、着脱可能なタッチパネルを備えた装置が開示されている。この装置に使用されるタッチパネルは、携帯端末の表示面に対して重ねた状態でインターフェイス部をはめ込むようにして使用される。この装置におけるタッチパネルは携帯端末に使用されるため比較的小型のものであり、それ自体屈曲性を有するものではない。取り外された後のタッチパネルの収納や保管のための安全性に関して何等の配慮もなされていない。取り外された後のタッチパネルが大型になると、その収納や保管時の安全性について改めて問題が発生することになる。
【0004】
【特許文献1】特開2001-22521号公報
【特許文献2】特開2002-323952号公報
【特許文献3】特開2006-221465号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、液晶表示装置の表示面に、必要とする時にタッチパネルを装着でき、一方必要としない時には取り外しが容易であり、しかもその収納が簡単であって安全である、タッチパネル付液晶表示装置を提供することを目的とする。また本発明は、タッチパネルの着脱が簡単であり、比較的大きい表示面にも対応できるタッチパネル付液晶表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、前記本発明の目的を達成するため、種々研究を進めたところ、抵抗膜式タッチパネルの上部基板および下部基板をいずれも透明フィルムで構成し、全体として屈曲性を有する形態とすることにより、ロール状に巻くか或いは折り畳んだ状態でコンパクトに収納可能であり、さらに収納ケースを備えることにより、収納操作が簡単に実施できること、その上収納ケース中においてタッチパネルが安全に保管できることを見出し本発明に到達した。
本発明によれば、
(a)透明フィルム基板の片面に導電性層が形成された上部基板層および透明フィルム基板の片面に導電性層が形成された下部基板層からなり、前記上部基板層と前記下部基板層とをそれぞれの導電性層が向い合うようにスペーサーを介して貼り合わせた屈曲性を有する抵抗膜式タッチパネル(A)
(b)前記抵抗膜式タッチパネル(A)を不使用時にはロール状に巻くか或いは折り畳んだ状態で収納可能な収納ケース(B)、および
(c)液晶表示装置(C)
よりなり、前記抵抗膜式タッチパネル(A)はそれを使用する時には、前記収納ケース(B)から取り出し、前記液晶表示装置(C)の表示面に
重ねて設置可能であり、前記抵抗膜式タッチパネル(A)と前記液晶表示装置(C)とは電気的に駆動するようにコネクターにより接続されていることを特徴とする。抵抗膜式タッチパネル付液晶表示装置が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明の装置においては、タッチパネルは厚みが薄く屈曲性を有するのでロール状に巻き取ったり或いは折り畳むことが可能である。タッチパネルはロール状に巻き取ったり或いは折り畳んでコンパクトに収納ケースに収納でき、その収納ケースを液晶表示装置の表示面の一辺の端部に平行に設置すれば、タッチパネルを必要とするとき収納ケースのスリットからタッチパネルの端部を引き出して表示面上に重ねてそのまま使用できる。この場合タッチパネルの他の端部は収納ケースのロールに接合していることが望ましい。
一方タッチパネルを必要としなくなったときは、収納ケース中のロールを逆に回転させてタッチパネルを巻き戻せばそのまま簡単に収納できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の屈曲性を有するタッチパネル付液晶表示装置についてさらに具体的に説明する。先ず屈曲性を有するタッチパネルの構成について図面より説明する。
図1は、液晶表示装置に装着される屈曲性を有するタッチパネルの表面からの直角方向の断面構造を示す模式図である。図1のタッチパネルにおいて上部基板1と下部基板3とは、いずれも透明フィルムが使用される。上部基板1と下部基板3とは、同じ種類の透明フィルムであってもよく、また異なる種類の透明フィルムであってもよい。透明フィルムとしては、タッチパネルが屈曲性を有することが必要であり、そのために厚みは50μm〜300μm、好ましくは75μm〜250μm、特に好ましくは100μm〜200μmであることが望ましい。透明フィルムは、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムに代表されるポリエステルフィルム、ポリカーボネートフィルムおよびポリ環状オレフィンフィルムが例示できるが、とりわけPETフィルムまたはポリカーボネートフィルムが好ましくPETフィルムが最も好ましい。
【0009】
前記上部基板1および下部基板3の透明フィルムの片面には、それぞれ導電性層2および4が形成されている。導電性層としては、タッチパネルの導電性層として使用できるものであればよく、例えばITO膜(Indium Tin Oxide膜)、ZnO膜(酸化亜鉛膜)、導電性高分子膜、カーボンナノチューブ層、ITO微粉末層或いはこれらの複合層などが使用される。これらの中でITO膜、導電性高分子膜およびカーボンナノチューブ層が好ましく、特にITO膜が好適である。
図1に示すように透明フィルムの片面に導電性層が形成されて上部基板層6および下部基板層7が構成されている。上部基板層6および下部基板層7は、いずれも導電性層側の表面抵抗値は300Ω/□〜3000Ω/□、好ましくは500Ω/□〜2800Ω/□であるのが望ましく、また光透過度(波長550nm)が85%〜98%、好ましくは90%以上であるのが有利である。
【0010】
図1に示すように、上部基板層6および下部基板層7とは、それぞれの基板層の導電性層2および4が向い合うように配置され、それぞれの基板層6および7は端部において接着剤層あるいは粘着剤層5よって一体化されている。
前述した屈曲性を有するタッチパネルを液晶表示装置に装着して使用する状態を図面により説明する。図2は、液晶表示装置の表示面に、巻き取り型のタッチパネルを重ねて使用する状態を示す斜視図である。図2では液晶表示装置12の表示面13の上に、タッチパネル11を重ねて使用する状態図を示すものである。説明のためにタッチパネル11と表示面13とは離れて図示されているが、実際の使用に際しては、タッチパネル11は矢印の方向に表示面13上に重ねて使用される。タッチパネル11は収納ケース14中のロールに巻いた状態で保管されているが、図2は収納ケース14のスリットからタッチパネル11が取り出された状態を示している。
【0011】
タッチパネル11は液晶表示装置12と電気的にコネクター15により接続している。さらに収納ケース14は液晶表示装置12の側面端部に取り付けられていてもよい。図2において、タッチパネル11はその使用に当っては収納ケース14から取り出して矢印の方向に表示面13上に重ねればよい。またタッチパネル11を使用しない場合には、収納ケース14中のロール(図示されていない)を巻き戻してタッチパネル11を収納ケース14中に収納し、コネクターを取りはずして個別に保管すればよい。
【0012】
図3は、折り畳み型のタッチパネルを使用する場合の状態を示す斜視図である。図3において、タッチパネル11は、2つの折り目(点線にて表示)に従って折り畳まれるが、拡げた状態で表示面13上に矢印の方向に重ねて使用される。タッチパネル11はコネクター15により液晶表示装置12に電気的に接続されている。タッチパネル11を使用しない場合には、折り目(点線)により折り畳んで図4に示した収納ケース16中に収納される。図3のタッチパネル11は、折り目が2個である場合を示しているが、折り目は1個〜4個であってもよい。図4の収納ケース16は、液晶表示装置12の側面端部に取り付けられていてもよい。
図3に示したタッチパネル11は、折り畳んで収納されるため、折り目に歪が生じるので折り目はゆるやかな曲率が得られることが望ましい。タッチパネル11は、折り畳んで収納するよりも、図2に示すようにロールに巻き取って収納することが有利である。
以下実施例を掲げ本発明を具体的に説明する。
【実施例1】
【0013】
厚さ125μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムの片面に、導電性層としてポリチオフェン系高分子膜(厚さ0.5μm)が形成された複合フィルムを、上部基板層および下部基板層に使用した。導電性層が互いに向い合うように上部基板層と下部基板層を貼り合わせて、抵抗膜式タッチパネルを作成した。このタッチパネルを、巻き物状にロールに巻き取ることができるようにした。
非使用時には、前記タッチパネルは、図2に示した筒状の収納ケース14に保管されていて、使用時には筒状の収納ケース14から取り出し、図2に示したようにして、電子ペーパーを搭載した携帯端末(液晶表示装置)12の表示面13に広げて取り付けた。一方前記タッチパネル11は、携帯端末(液晶表示装置)12とコネクター15により電気的に接続した。
次に前記タッチパネルの上から電子ペーパー画像に沿ってメニュー選択入力や筆記文字および絵入力を行った所、問題なく入力することができた。その後、タッチパネルからの入力が終了し、画像のみを見る状況になったため該タッチパネルを取り外し再び筒状の収納ケース中に巻きもどして保管した。
【実施例2】
【0014】
厚さ100μmのポリカーボネートフィルムの片面に、導電性層としてカーボンナノチューブ層が形成された複合フィルムを上部基板層および下部基板層に使用した。導電性層が互いに向い合うように上部基板層と下部基板層を貼り合わせて抵抗膜式タッチパネルを作成した。このタッチパネルは、図3に示すように3つに折り畳んで収納できるものである。
【0015】
このタッチパネルは、非使用時には、図4の収納ケース16中に折り畳んで保管されていて、使用時には収納ケース16から取り出し、図3に示したように、液晶表示装置12の表示面13上に広げて取り付けた。一方前記タッチパネル11は、液晶表示装置12とコネクター15により電気的に接続した。次にタッチパネルの上から実施例1と同様に入力した所、支障なく入力することができた。その後入力が終了し、画像のみを見る状況になったため、タッチパネルを取り外し、折り畳んで収納ケース16中に保管した。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に使用されるタッチパネルの表面からの直角方向の断面構造を示す模式図である。
【図2】液晶表示装置の表示面にタッチパネルを重ねて使用する状態を示した斜視図である。
【図3】液晶表示装置の表示面に、他の形態のタッチパネルを重ねて使用する状態を示す斜視図である。
【図4】図3に示したタッチパネルを収納するための収納ケースを示す斜視図である。
【付号の説明】
【0017】
1
上部基板
2
導電性層
3
下部基板
4
導電性層
5
接着剤層
6
上部基板層
7
下部基板層
11
タッチパネル
12
液晶表示装置
13
表示面
14
収納ケース
15
コネクター
16
収納ケース





【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)透明フィルム基板の片面に導電性層が形成された上部基板層および透明フィルム基板の片面に導電性層が形成された下部基板層からなり、前記上部基板層と前記下部基板層とをそれぞれの導電性層が向い合うようにスペーサーを介して貼り合わせた屈曲性を有する抵抗膜式タッチパネル(A)
(b)前記抵抗膜式タッチパネル(A)を不使用時にはロール状に巻くか或いは折り畳んだ状態で収納可能な収納ケース(B)、および
(c)液晶表示装置(C)
よりなり、前記抵抗膜式タッチパネル(A)はそれを使用する時には、前記収納ケース(B)から取り出し、前記液晶表示装置(C)の表示面に重ねて設置可能であり、前記抵抗膜式タッチパネル(A)と前記液晶表示装置(C)とは電気的に駆動するようにコネクターにより接続されていることを特徴とする抵抗膜式タッチパネル付液晶表示装置。























【図1】
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【図4】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−294871(P2009−294871A)
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−147225(P2008−147225)
【出願日】平成20年6月4日(2008.6.4)
【出願人】(504203354)株式会社タッチパネル研究所 (41)
【Fターム(参考)】