説明

押しボタンの出力値のプログラミング方法

【課題】押しボタンを有する電子機器に応用し、押しボタンを作動させたときに生成される第1の出力値を第2の出力値に変換することができる押しボタンの出力値のプログラミング方法を提供する。
【解決手段】押しボタンの出力値のプログラミング方法は、押しボタンを有する電子機器に応用し、押しボタンを作動させたときに第1の出力値を生成する。押しボタンの出力値のプログラミング方法は、押しボタンの第2の出力値を設定するステップS1と、第1の出力値と第2の出力値とからなる対照表を構築するステップS2と、押しボタンが作動されて第1の出力値が生成されると、第1の出力値と第2の出力値とからなる対照表から、第1の出力値に対応した第2の出力値を得るステップS3とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は押しボタンのプログラミング方法に関し、特に、押しボタンの出力値のプログラミング方法(method for programming output value of press keys)に関する。
【背景技術】
【0002】
科学技術の進歩に伴い、携帯型電子機器は、従来の携帯電話、ノート型パソコンから現在のスマートフォン、パーソナルデジタルアシスタント(Personal Digital Assistant:PDA)、電子書籍リーダ、ネットブック(Netbook)、タブレット型パソコンなどに発展している。これらの携帯型電子機器は、小型化され、物理的なキーボードの代わりにバーチャルキーボードが採用されているものが多い。
【0003】
バーチャルキーボードは、タッチパネルの一種の応用であり、タッチパネル技術とは、スクリーン上の触覚フィードバックシステムを利用し、予めインストールしておいたプログラムにより各種連結装置を駆動することにより、従来の物理的な押しボタンに代替して使用することができる。しかし、スマートフォン又はタブレット型パソコンは、起動する前にタッチスクリーンを使用することができないため、依然として物理的な押しボタン(例えば、電源ボタン)を完全に無くすことができない。
【0004】
従来のスマートフォン又はタブレット型パソコンは、マルチタッチ型パネルを主に使用するが、便利に操作することができるように、依然として幾つかの物理的な押しボタン(例えば、メニューボタン、トップページボタン、戻るボタン、音量調整ボタンなどの標準的な機能ボタン)を有するのが一般的である。しかし、これらの機能ボタンは、操作習慣に応じて変更したり拡張したりすることはできない。即ち、ユーザの操作習慣に応じて、これら物理的押しボタンの押しボタン機能を自ら変更したり拡張したりすることはできない。
【0005】
また、タッチパネル技術を採用した携帯電話又はコンピュータの一部には、ユーザが特定のアプリケーションプログラムを迅速に呼び出すために用いるショートカットキーが設けられている。このようなショートカットキーは、ショットカットキーにリンクされたアプリケーションプログラムを設定することができるが、例えば、元々撮像機能に設定されていたボタンを戻るボタンに変更するなど、押しボタン値を変えて操作機能を変更することはできない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、押しボタンを有する電子機器に応用し、押しボタンを作動させたときに生成される第1の出力値を第2の出力値に変換することができる押しボタンの出力値のプログラミング方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の第1の形態によれば、押しボタンを有する電子機器に応用し、前記押しボタンを作動させたときに第1の出力値を生成する押しボタンの出力値のプログラミング方法であって、(1)前記押しボタンの第2の出力値を設定するステップと、(2)前記第1の出力値と前記第2の出力値とからなる対照表を構築するステップと、(3)前記押しボタンが作動されて前記第1の出力値が生成されると、前記第1の出力値と前記第2の出力値とからなる前記対照表から、前記第1の出力値に対応した前記第2の出力値を得るステップと、を含むことを特徴とする押しボタンの出力値のプログラミング方法が提供される。
【0008】
また、前記ステップ(2)において、前記第1の出力値と前記第2の出力値とからなる前記対照表をメモリに記憶し、前記ステップ(3)において、前記第1の出力値と前記第2の出力値とからなる前記対照表に基づき、前記第1の出力値に対応した前記第2の出力値を得ることが好ましい。
【0009】
また、前記メモリは不揮発性メモリであり、前記電子機器が再起動されると、前記ステップ(3)において、前記不揮発性メモリの前記第1の出力値と前記第2の出力値とからなる前記対照表に基づき、前記第1の出力値に対応した前記第2の出力値を得ることが好ましい。
【0010】
また、前記電子機器には、出力値と押しボタン値とからなる対照表が予め設定され、前記第1の出力値及び前記第2の出力値は、前記出力値と前記押しボタン値とからなる前記対照表中の出力値を含むことが好ましい。
【0011】
また、前記出力値と前記押しボタン値とからなる前記対照表に基づき、前記第2の出力値を前記押しボタン値に変換するステップ(4)をさらに含むことが好ましい。
【0012】
また、前記電子機器の前記押しボタンは、物理的又はバーチャルな押しボタンであることが好ましい。
【0013】
また、前記電子機器に搭載するオペレーティングシステムはAndroid(登録商標)であることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明の押しボタンの出力値のプログラミング方法は、従来技術と異なり、電子機器の押しボタンに対して出力値を設定することにより、操作速度及び入力速度を向上させたり、押しボタンを組み合わせて押しボタンの機能を拡張したりすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1A】本発明の一実施形態による押しボタンの出力値のプログラミング方法の基本を示す流れ図である。
【図1B】本発明の一実施形態による押しボタンの出力値のプログラミング方法を示す流れ図である。
【図2】本発明の一実施形態による押しボタンの出力値のプログラミング方法を応用した電子機器を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施例について図に基づいて説明する。なお、これによって本発明が限定されるものではない。
【0017】
本発明の一実施形態による押しボタンの出力値のプログラミング方法は、押しボタンを有する電子機器に応用することができる。ここで電子機器とは、例えば、タブレット型パソコン又は携帯電話であり、押しボタンとは物理的な押しボタン又はバーチャル押しボタンであり、押しボタンの数は特に限定されない。
【0018】
電子機器のオペレーティングシステムは、「Android」でもよい。一般に、「Android」は、カーネル空間(kernel space)とユーザ空間(user space)とに分けられる。これらの押しボタンが作動されると(即ち、ユーザが物理的な押しボタンを押したりバーチャル押しボタンに触ると)、カーネル空間中のドライバプログラムからユーザ空間に第1の出力値が出力され、ユーザ空間中のフレームワーク(framework)に、電子機器内の出力値と押しボタン値とからなる対照表に基づき、第1の出力値を押しボタン値に変換し、この押しボタン値に対応した機能をアプリケーションプログラムが実行する。これは、押しボタンに対して未だ設定を行っていないときの電子機器内で行う動作である。
【0019】
図1Aを参照する。図1Aに示すように、本発明の一実施形態による押しボタンの出力値のプログラミング方法は、以下のステップ(S11)〜(S13)を含む。
【0020】
ステップ(S11)において、押しボタンの第2の出力値を設定する。具体的には、電子機器のユーザ空間により、押しボタンの第2の出力値をユーザが設定できるようにインタフェースを提供する。原則上、全ての物理的押しボタンに対して設定を行う。通常、特定数の押しボタンだけユーザ自ら設定することができるようになっているが、押しボタンの第2の出力値を設定する方式により、押しボタンが実行する機能を変更することができる。続いて、ステップ(S12)に進む。
【0021】
ステップ(S12)において、第1の出力値と第2の出力値とからなる対照表を構築する。さらにステップS12では、第1の出力値と第2の出力値とからなる対照表をメモリに記憶させる。詳細には、本発明では、ユーザ空間のフレームワークにライブラリ(library)を構築し、このライブラリにより押しボタンの第2の出力値を設定するとともに、第1の出力値と第2の出力値とからなる対照表を構築し、第1の出力値と第2の出力値とからなる対照表をカーネル空間中のファイルに記憶させ、このファイルをメモリに記憶させる。続いてステップ(S13)に進む。
【0022】
ステップ(S13)において、押しボタンが作動されて生成された第1の出力値に基づき、第1の出力値と第2の出力値とからなる対照表から第2の出力値を得る。詳細には、押しボタンが作動されると、カーネル空間のメモリのファイルの第1の出力値と第2の出力値とからなる対照表に基づき、第1の出力値に対応した第2の出力値を得る。
【0023】
図1Bを参照する。図1Bに示すように、続いてステップ(S14)において、電子機器内の出力値と押しボタン値とからなる対照表に基づき、第2の出力値を押しボタン値に変換し、アプリケーションプログラムにより押しボタンに対応した機能を実行する。前述の第1の出力値又は第2の出力値は、それぞれ出力値と押しボタン値とからなる対照表中の出力値であるため、第1の出力値又は第2の出力値に基づき、対応した押しボタン値を探し出すことができる。
【0024】
さらに、ステップ(S12)において、第1の出力値と第2の出力値とからなる対照表をプロパティ(property)ファイル中に記憶させ、このプロパティファイルを不揮発性メモリに記憶し、電子機器を再起動させると、不揮発性メモリのプロバティファイルの第1の出力値と第2の出力値とからなる対照表に基づき、第1の出力値に対応した第2の出力値を得る。
【0025】
実際には、電子機器に予め「Android」システムが搭載されており、「Android」システムが初期化される前に出力値(スキャンコード(scan code)とも称する)と、押しボタン値(キーコード(key code)とも称する)とからなる対照表をロードする。さらに、カーネル空間において、電子機器の押しボタンと同じ数のシステムファイル(sys file)を構築し、ユーザ空間のフレームワーク中にライブラリ(library)を構築する。
【0026】
ユーザが設定を行うとき、電子機器は、ユーザが少なくとも1つの押しボタンのキーコード(key code)を指定するために用いるインタフェースを提供する。続いて、スキャンコードとキーコードとからなる対照表に基づき、ライブラリから指定したキーコードに対応したスキャンコードを探し出す。続いて、探し出したスキャンコードをカーネル空間中と、少なくとも1つの押しボタンに対応したシステムファイル中に設定し、少なくとも1つの押しボタンが作動されると、ライブラリは、少なくとも1つの押しボタンに対応したシステムファイル中から予め設定したスキャンコードを読取り、カーネル空間中のドライバプログラムにより、スキャンコードをユーザ空間に送る。また、ユーザが指定したキーコードを保存するプロパティファイルが不揮発性メモリに存在するため、電子機器が再起動すると、プロパティファイルは、前回設定した少なくとも1つの押しボタンのキーコードを得てから、キーコードに対応したスキャンコードをシステムファイル中に設定し、カーネル空間中のドライバプログラムにより、スキャンコードをユーザ空間へ送る。
【0027】
図2を参照する。図2に示すように、本発明の一実施形態による押しボタンの出力値のプログラミング方法は、タッチパネル10及び固定数の押しボタン11を有する電子機器1に応用することができる。本発明には、特定数の押しボタン12をさらに設けてもよい。図2に示すように、特定数とは、例えば5であり、3つの押しボタン及びタッチパネル10とが同じ側に位置し、2つの押しボタンがタッチパネル10とが反対側に位置する。ここで、図2に示すように、電子機器1並びにその固定数の押しボタン11及び特定数の押しボタン12は、単なる一例であり、実際の電子機器の型式及び押しボタンの数はこの態様だけに限定されるわけではない。
【0028】
上述の構成により、本発明の押しボタンの出力値のプログラミング方法を応用すると、迅速に文字を削除したりメッセージを入力したりすることができる。例えば、特定数の押しボタン12のうちの2つを戻るボタンと確認ボタンとに設定すると、ユーザがわざわざタッチパネル10上で戻るボタンと確認ボタンを探す必要が無くなり、入力速度を向上させることができる。続いて、操作速度を向上させるために、ユーザは、頻繁にホームページをサーチしたり撮像機能を使用したりする必要から、特定数の押しボタン12のなかの1つをサーチキー又は撮像キーに設定することにより、システムに対応したサーチプログラム又は撮像プログラムを迅速に呼び出すことができる。さらに、「Android」自体が有する一発起動(quick launch)をサポートするショートカットキーによりアプリケーションプログラムの機能を呼び出し、押しボタンをサーチキーに設定したり、その他のキーを組み合わせて文字キーに設定する方式により、ユーザがサーチキーを押しながら文字キーを押すと、一発起動に設定したアプリケーションプログラムを起動させて迅速に呼び出すことができる。また、押しボタンの機能は拡張させることができる。例えば、「Android」オペレーティングシステムが有するゲームのジョイスティックをサポートする押しボタン値により、押しボタンの出力値を設定し、ゲームのジョイスティックをサポートする押しボタン値に応用し、押しボタンの機能を拡張することができる。
【0029】
上述したことから分かるように、本発明の押しボタンの出力値のプログラミング方法は、電子機器に設けた物理的な押しボタン又はバーチャルボタンにより、押しボタンが作動されたときに生成する出力値をユーザ自らが設定し、電子機器のオペレーティングシステムに予め設定された対照表に基づき、出力値を押しボタン値に変換し、アプリケーションプログラムにより押しボタンに対応したイベントを実行させることができる。
【0030】
そのため、本発明の押しボタンの出力値のプログラミング方法は、操作速度及び入力速度を向上させたり、押しボタンを組み合わせて押しボタンの機能を拡張させたりすることができる。
【0031】
当該分野の技術を熟知するものが理解できるように、本発明の好適な実施例を前述の通り開示したが、これらは決して本発明を限定するものではない。本発明の主旨と領域を逸脱しない範囲内で各種の変更や修正を加えることができる。従って、本発明の特許請求の範囲は、このような変更や修正を含めて広く解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0032】
1 電子機器
10 タッチパネル
11 固定数の押しボタン
12 特定数の押しボタン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
押しボタンを有する電子機器に応用し、前記押しボタンが作動されたときに第1の出力値を生成する押しボタンの出力値のプログラミング方法であって、
(1)前記押しボタンの第2の出力値を設定するステップと、
(2)前記第1の出力値と前記第2の出力値とからなる対照表を構築するステップと、
(3)前記押しボタンが作動されて前記第1の出力値が生成されると、前記第1の出力値と前記第2の出力値とからなる前記対照表から、前記第1の出力値に対応した前記第2の出力値を得るステップと、を含むことを特徴とする押しボタンの出力値のプログラミング方法。
【請求項2】
前記ステップ(2)において、前記第1の出力値と前記第2の出力値とからなる前記対照表をメモリに記憶し、
前記ステップ(3)において、前記第1の出力値と前記第2の出力値とからなる前記対照表に基づき、前記第1の出力値に対応した前記第2の出力値を得ることを特徴とする請求項1に記載の押しボタンの出力値のプログラミング方法。
【請求項3】
前記メモリは不揮発性メモリであり、前記電子機器が再起動されると、前記ステップ(3)において、前記不揮発性メモリの前記第1の出力値と前記第2の出力値とからなる前記対照表に基づき、前記第1の出力値に対応した前記第2の出力値を得ることを特徴とする請求項2に記載の押しボタンの出力値のプログラミング方法。
【請求項4】
前記電子機器には、出力値と押しボタン値とからなる対照表が予め設定され、
前記第1の出力値及び前記第2の出力値は、前記出力値と前記押しボタン値とからなる前記対照表中の出力値を含むことを特徴とする請求項1、2又は3に記載の押しボタンの出力値のプログラミング方法。
【請求項5】
前記出力値と前記押しボタン値とからなる前記対照表に基づき、前記第2の出力値を前記押しボタン値に変換するステップ(4)をさらに含むことを特徴とする請求項4に記載の押しボタンの出力値のプログラミング方法。
【請求項6】
前記電子機器の前記押しボタンは、物理的又はバーチャルな押しボタンであることを特徴とする請求項1に記載の押しボタンの出力値のプログラミング方法。
【請求項7】
前記電子機器に搭載するオペレーティングシステムはAndroid(登録商標)であることを特徴とする請求項1に記載の押しボタンの出力値のプログラミング方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−46407(P2013−46407A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−237306(P2011−237306)
【出願日】平成23年10月28日(2011.10.28)
【出願人】(511236659)亞旭電子科技(江蘇)有限公司 (16)
【出願人】(507028952)亞旭電腦股▲ふん▼有限公司 (44)
【Fターム(参考)】