説明

押釦装置及び腕時計

【課題】簡易な手法により、加工等の手間をできるだけ少なくしながら、ロック筒を回転させた際に押釦がこれに追従して回転するのを簡易な手法で防止することのできる押釦装置及びこれを備える腕時計を提供する。
【解決手段】操作用の頭部51と軸部52とを有し腕時計ケース1の貫通孔11に摺動可能に挿入される操作釦5と、操作釦5の頭部51の外周に螺着されたロック筒7と、を備えた押釦装置において、位置決めピン8が、腕時計ケース1から操作釦5の軸部52の軸方向に突出し、かつ軸部52の軸心に対して偏心して設けられ、操作釦の頭部51内には、軸部52の軸方向に延びるピン係止部59が、軸部52の軸心に対して偏心して形成され、操作釦5の頭部51のピン係止部59に置決めピン8の先端が挿入されて操作釦5の周方向の位置決めが行なわれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、押釦装置及び腕時計に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、腕時計等の電子機器には、各種の機能を作動させる為の押釦(操作釦)が設けられている。しかし、このような押釦は、誤ってユーザの手が触れたり、何かに接触した際の衝撃等により誤って押されてしまい、機器を誤動作させるおそれがある。特にダイバー用の腕時計等の場合には、水中で外部から水圧がかかるため、押釦が押されたままの状態となるおそれがあり、機器の誤動作が生じうる。
【0003】
そこで、押釦が誤って押されることのないように、押釦の外周にねじ部を設けて、これにねじリング(ロック筒)を螺合させ、このねじリング(ロック筒)を回転させて押釦のプッシュストロークを変化させることにより、押釦をロック状態又はロック解除状態に保持することができるようにした押釦構造が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭54−91150号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このようにロック筒を回転させることによって押釦のプッシュストロークを変化させて、押釦をロック状態又はロック解除状態に保持する構成とした場合には、ロック筒を回転させてねじ込んだり戻したりする際に、ロック筒と螺合している押釦がロック筒に追従して回転してしまう(すなわち、ロック筒と押釦とがとも回りしてしまう)という問題がある。
このようにロック筒を回転させた際に押釦が同時に回転してしまうとロック筒が押釦の軸方向に移動せず、押釦のロック及びロック解除を適切に行うことができない。また、押釦を付勢するためにばねが設けられている場合、このばねに無理な力が加わったり、負荷がかかって変形してしまうおそれもある。
【0006】
そこで、本発明は、以上のような事情に鑑みてなされたものであり、加工等の手間をできるだけ少なくしながら、ロック筒を回転させた際に押釦がこれに追従して回転するのを簡易な手法で防止することのできる押釦装置及びこれを備える腕時計を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような問題を解決するため、請求項1に記載の発明は、
操作用の頭部とこの頭部に連設される軸部とを有し本体ケースに形成された貫通孔に前記軸部が摺動可能に挿入される操作釦と、
前記操作釦の頭部の外周に螺着されたロック筒と、を備えた押釦装置において、
位置決め部材が、前記本体ケースから前記操作釦の軸部の軸方向に突出し、かつ前記軸部の軸心に対して偏心して設けられ、
前記操作釦の頭部内には、前記軸部の軸方向に延びる溝部が、前記軸部の軸心に対して偏心して形成され、
前記操作釦の頭部の溝部に前記位置決め部材の先端が挿入されて前記操作釦の周方向の位置決めが行なわれることを特徴とする押釦装置である。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の押釦装置において、
前記位置決め部材は、円柱状に形成された位置決めピンであることを特徴としている。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の押釦装置において、
前記溝部は、前記位置決め部材の外周の形状に沿った形状に形成されていることを特徴としている。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の押釦装置において、
前記操作釦の頭部と前記本体ケースとの間に、前記操作釦の頭部を前記本体ケースから離間する方向に付勢するばねが設けられていることを特徴としている。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の押釦装置において、
前記操作釦の軸部の周面には、リング状の封止部材が設けられていることを特徴としている。
【0012】
請求項6に記載の発明は、
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の押釦装置と、
前記本体ケースと、を備えていることを特徴とする腕時計である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、誤動作防止用のロック筒を備える押釦装置及びこれを備える腕時計において、操作釦の頭部内に溝部を形成し、この溝部に本体ケース側から突出している位置決め部材を挿入するという簡易な構成によりロック筒を回転させた際に操作釦がこれに追従して回転する(すなわち、とも回りする)ことを防止することができるとの効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本実施形態の押釦装置の概略構成を示す断面図である。
【図2】図1に示す押釦装置の断面斜視図である。
【図3】(a)は、図1に示す押釦装置に備えられる案内筒の側断面図であり、(b)は、(a)に示す案内筒を矢視III方向から見た平面図である。
【図4】(a)は、図1に示す押釦装置に備えられる操作釦の側断面図であり、(b)は、(a)に示す操作釦を矢視IV方向から見た平面図である。
【図5】(a)は、図1に示す押釦装置に備えられるロック筒の側断面図であり、(b)は、(a)に示すロック筒を矢視V方向から見た平面図である。
【図6】(a)は、図1に示す押釦装置に備えられる位置決めピンの側面図であり、(b)は、(a)に示す位置決めピンを矢視VI方向から見た平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。なお、以下では、本発明に係る押釦装置を腕時計に適用した場合について説明するが、本発明を適用可能な実施形態がこれに限定されるものではない。
【0016】
図1は、腕時計ケース及び押釦装置の要部断面図であり、図2は、図1に示す腕時計ケース及び押釦装置の要部断面斜視図である。
図1及び図2に示すように、腕時計100の本体ケースである腕時計ケース1の上部には時計ガラス2がパッキン21を介して装着されており、下部には裏蓋部材3がOリング31を介して取り付けられている。また、腕時計ケース1の内部には、文字板等の表示部材(図示せず)や、図示しない回路基板等の電子部品を備える時計モジュール(図示せず)等が収納されている。回路基板上には、腕時計100の各種機能を実現するためのスイッチングを行う図示しない接点が設けられている。
【0017】
また、腕時計ケース1の内部には、一端側が回路基板に設けられた接点に対して接離可能に配置された板ばね4が設けられている。板ばね4の他端側は、後述する押釦装置50によって押圧可能に構成されており、板ばね4の他端側が押釦装置50により押圧されると板ばね4の一端が回路基板上の接点と接触してスイッチの切り替えを行う構成となっている。
【0018】
腕時計ケース1の側面には、腕時計ケース1の内部に貫通する貫通孔11が形成されている。また、この貫通孔11よりも僅かに腕時計100における視認側に近い位置(図1及び図2において上方)には、後述する位置決めピン8を挿入するピン挿入部12が形成されている。ピン挿入部12は貫通孔11とほぼ平行な穴である。
なお、本実施形態では、ピン挿入部12が腕時計ケース1の厚みのほぼ半分程度の長さの穴となっているが、ピン挿入部12は位置決めピン8を挿入し固定できるものであればよく、貫通孔であってもよい。腕時計ケース1の側部であって、貫通孔11及びピン挿入部12の設けられている側には、押釦装置50が設けられている。
【0019】
本実形態において、押釦装置50は、操作釦5、操作釦5を腕時計ケース1に取り付けるための案内筒6、操作釦5をロックするロック筒7、操作釦5を位置決めする位置決めピン8等を備えて構成されている。以下、押釦装置50の具体的構成について詳説する。
【0020】
図3(a)は、案内筒6の側断面図であり、図3(b)は、案内筒6を図3(a)における矢視III方向から見た平面図である。
案内筒6は、図3(a)及び図3(b)に示すように、両端に開口部61a,61bを有する円筒状の部材であり、外径が貫通孔11の内径とほぼ等しく形成され貫通孔11に挿通される挿通部62と、挿通部62の一端側に設けられ外側の径が挿通部62の外径よりも大きく形成された鍔部63と、を有している。
【0021】
案内筒6の挿通部62は、腕時計ケース1の側面の厚みよりも大きい長さ寸法を有しており、鍔部63が腕時計ケース1の側面に突き当たるまで腕時計ケース1の外側から内側に連通するように貫通孔11に挿通されている。案内筒6は、圧入、ロウ付け、スポット溶接等により腕時計ケース1に固定されている。
【0022】
また、鍔部63の設けられている側の開口部61aの端部には外側に向かってテーパ状に広がるガイド面64が形成されており、このガイド面64により操作釦5の軸部52(図4(b)参照)の案内筒6への挿入が円滑に行われるようになっている。
【0023】
図4(a)は、操作釦5の側断面図であり、図4(b)は、操作釦5を図4(a)における矢視IV方向から見た平面図である。
操作釦5は、図4(a)及び図4(b)に示すように、腕時計ケース1から外方に突出して外部から押圧操作される頭部51と、案内筒6内に挿入される軸部52と、軸部52の先端部分に位置する当接部53とが同軸的に連設されることにより構成されている。
頭部51の腕時計ケース1側の端部外周面には、雄ネジ51aが刻設されている。
【0024】
軸部52の中央部近傍には、軸部52の外周面に沿って2つの周溝54a,54bが形成されている。この周溝54a,54b内には、それぞれOリング等のリング状の封止部材であるシールリング55が嵌め込まれており、操作釦5と案内筒6との間の気密性が確保されるようになっている。シールリング55は、例えば各種の樹脂等で形成されている。なお、シールリング55を形成する材料はこれに限定されない。
【0025】
また、軸部52と当接部53との間には、軸部52の外周面に沿って係止溝56が形成されている。この係止溝56には、操作釦5が案内筒6から抜け落ちるのを防止する抜止め部材57が係止されている。抜止め部材57としては、例えば案内筒6の内径よりも大きい径を有するE形リング等を用いることができる。なお、抜止め部材57は、操作釦5が案内筒6から抜け落ちるのを防止可能なものであればよく、E形リングに限定されない。
【0026】
当接部53は、前記板ばね4の他端側端部(押釦装置50側の端部)に当接しており、操作釦5が腕時計ケース1の内部に向かって押し込まれることにより、板ばね4を押圧して、板ばね4の一端側端部(回路基板側の端部)を回路基板上の接点と接触させるようになっている。
【0027】
本実施形態において、操作釦5の頭部51の内部には、軸部52と同軸に形成された円筒状の溝部58が形成されている。また、溝部58の一端であって、軸部52の軸心に対して偏心して、後述する位置決めピン8が挿入・係止されるピン係止部59が形成されている。ピン係止部59は、軸部52の軸方向に延在する溝部となっており、位置決めピン8の外周の形状に沿って、その壁面側の形状が半円形状に形成されている。押釦装置の組立状態において、位置決めピン8はピン係止部59内に挿入され、係止される。
【0028】
また、頭部51の溝部58の内周面と軸部52の外周面との間には、コイルばね9が軸部52の外周に巻回されて設けられている。コイルばね9は、その一端側が案内筒6の鍔部63の上端面に当接し、他端側が溝部58の奥側内面に当接しており、操作釦5を常態において軸部52の軸方向に沿って腕時計ケース1から離間する方向に付勢するようになっている。
【0029】
図5(a)は、ロック筒7の側断面図であり、図5(b)は、ロック筒7を図5(a)における矢視V方向から見た平面図である。
ロック筒7は、図5(a)及び図5(b)に示すように、中空の短柱形状の部材であり、両端部に開口部74a,74bを有している。このうち、腕時計ケース1側に配置される開口部74aには、側壁から連設される鍔部73が設けられており、開口部74aの径は操作釦5の頭部51の腕時計ケース1側の端面の径よりも小さくなっている。これにより、ロック筒7を回転させてロック解除状態とした際に、ロック筒7の鍔部73の内面が操作釦5の頭部51の端面に突き当たり、ロック筒7の抜け落ちを防止するようになっている。
【0030】
また、ロック筒7の内周面には、操作釦5の頭部51内に形成されている雄ネジ51aに螺合する雌ネジ72が形成されている。
ロック筒7は、操作釦5の頭部51に対して回転させることにより、鍔部73の外側面が腕時計ケース1の外側面に当接する位置(図1におけるw1)から所定のストローク距離Wだけ腕時計ケース1の外側面から離間する位置(図1におけるw2)まで移動可能となっている。
なお、ロック筒7を回転操作しやすいように、ロック筒7の外周面には、図5(b)に示すような凹凸が設けられていることが好ましい。
【0031】
図6(a)は、位置決めピン8の側断面図であり、図6(b)は、位置決めピン8を図6(a)における矢視VI方向から見た平面図である。
位置決めピン8は、図6(a)及び図6(b)に示すように円柱状の位置決め部材であり、図1に示すように、その一端側が腕時計ケース1のピン挿入部12に挿入されている。位置決めピン8は、圧入、ロウ付け、スポット溶接等によりピン挿入部12に固定されていることが好ましい。
【0032】
位置決めピン8は、操作釦5の軸部52の軸方向に沿って腕時計ケース1側から頭部51側に突出している。また、位置決めピン8は、軸部52の軸心に対して偏心している。位置決めピン8の他端側の先端は、操作釦5の頭部51内に形成されたピン係止部59内に挿入され、係止されている。
位置決めピン8は、操作釦5の、軸部52を中心とした周方向の位置決めを行う位置決め部材であり、操作釦5は、軸部52の軸方向に沿って前後に摺動可能であるが、操作釦5の軸部52を中心とした周方向はこの位置決めピン8により位置決めされ、軸部52を中心として回動することが規制されるようになっている。
【0033】
なお、位置決めピン8は、操作釦5のロック状態及びロック解除状態のいずれにおいても、少なくともその一端がピン係止部59内に挿入されるとともに、ロック解除状態において操作釦5を腕時計ケース1側に押し込む際に、押し込み動作を阻害しない(すなわち、操作釦5の押し込み動作の完了まで頭部51内側に突き当たらない)程度の長さに形成されている。
【0034】
次に、本実施形態における押釦装置及びこれを備える腕時計の作用について説明する。
【0035】
操作釦5を操作する際には、ロック筒7を操作釦5の頭部51に対して所定方向に回転させて、鍔部73の外側面の位置が腕時計ケース1の外側面に当接する位置(図1におけるw1)から鍔部73の外側面が所定のストローク距離Wだけ腕時計ケース1の外側面から離間する位置(図1におけるw2)まで移動させ、ロック解除状態とする。このとき、位置決めピン8がピン係止部59内に係止されていることにより操作釦5の軸部52を中心とする回動が規制されて、ロック筒7の回転に追従して操作釦5が軸方向に回動する(すなわち、操作釦5がロック筒7ととも回りする)ことが防止される。
このロック解除状態においては、操作釦5を軸部52の軸方向にストローク距離Wだけ移動させることが可能となる。そして、操作釦5の頭部51を腕時計ケース1の側に押し込むことにより、軸部52がその軸方向に沿って摺動し、軸部52の先端に位置する当接部53が板ばね4を押圧する。これにより、板ばね4の他端側が回路基板側の接点に接触し、腕時計100の各種機能部についてスイッチの切り替えが行われる。
【0036】
操作釦5の操作をロックする際には、ロック筒7を、操作釦5の頭部51に対して、ロック解除時とは反対の方向に回転させて、鍔部73の外側面の位置が図1におけるw2の位置から図1におけるw1の位置となるまで移動させる。このとき、位置決めピン8がピン係止部59内に係止されていることにより操作釦5の軸部52を中心とする回動が規制されて、ロック筒7の回転に追従して操作釦5が軸方向に回動する(すなわち、操作釦5がロック筒7ととも回りする)ことが防止される。
これにより、ロック筒7の鍔部73の外側面が腕時計ケース1の外側面に当接して、操作釦5の押し込み操作ができないロック状態となり、操作釦5が誤操作されないようにロックされる。
【0037】
以上のように、本実施形態によれば、位置決めピン8が操作釦5の頭部51内に形成されたピン係止部59内に係止されているために、操作釦5をロック状態としたり、操作釦5のロックを解除したりするためにロック筒7を回転させた際、操作釦5がこれに追従して回転する(すなわち、操作釦5がロック筒7ととも回りする)ことを防止することができる。
ロック筒7を回転させた際に操作釦5が同時に回転してしまうと軸部52の軸方向にロック筒7が移動せず、操作釦5のロック及びロック解除を適切に行うことができない。また、コイルばね9に無理な力が加わったり、負荷がかかって変形したりするおそれもある。
この点、本実施形態では、位置決めピン8をピン係止部59内に係止するという簡易な構成により、ロック筒7を回転させた際の操作釦5の回転(とも回り)を規制することができ、操作釦5等の部材を複雑な形状に成形・加工する必要がないため、コストの削減を図ることもできる。
【0038】
位置決め部材として円柱状に形成された位置決めピン8を用いているので、位置決め部材の加工が容易であるとともに、周面に角がないため溝部であるピン係止部59内に円滑に挿入・係止することができる。
【0039】
また、位置決め部材である位置決めピン8を係止するピン係止部59(溝部)の壁面側の形状が位置決めピン8の外周の形状に沿って半円形状に形成されているので、位置決めピン8を挿入する際に引っかかりにくく、容易に挿入することができる。
【0040】
また、操作釦5の頭部51と腕時計ケース1との間に、操作釦5の頭部51を腕時計ケース1の中心から離間する方向に付勢するコイルばね9を設けているので、ロック状態を解除したときに操作釦5の頭部51の位置を確実に操作釦5の解除位置まで復帰させることができる。これにより、ロック状態を解除したのに操作釦5が押されたままになってしまう等の誤動作を防止することができる。
【0041】
また、操作釦5の軸部52の周面にリング状の封止部材であるシールリング55が嵌め込まれているため、貫通孔11に挿入された案内筒6と操作釦5の軸部52との間の気密性を確実に確保することができる。
【0042】
なお、本実施形態では、位置決め部材として位置決めピン8を用いることとしたが、位置決め部材は、ピン係止部59等の溝部に嵌合できるものであればよく、位置決めピン8に限定されない。
【0043】
また、本実施形態では、位置決めピン8が腕時計ケース1設けられたピン挿入部12に挿入されている場合を例としたが、位置決めピン8の構成はこれに限定されない。例えば、案内筒6や腕時計ケース1等と一体的に設けられていてもいい。
【0044】
また、本実施形態では、位置決めピン8が円柱状である場合を例示したが、位置決めピンの形状は例示したものに限定されない。例えば、位置決めピンの形状は多角柱状等であってもよい。
なお、この場合、位置決めピンを挿入・係止するピン係止部(溝部)は、位置決めピンの外周の形状に沿った形状に形成する。このように、ピン係止部(溝部)は、位置決めピンの外周の形状に沿った形状に形成することにより、位置決めピンをピン係止部(溝部)に円滑に挿入することができる。
【0045】
また、本実施形態では、ピン挿入部12を貫通孔11よりも僅かに腕時計100における視認側に近い位置に形成し、ピン係止部59を軸部52より上側(腕時計100における視認側に近い側)に設けて、これに位置決めピン8を挿入・係止するようにしたが、位置決めピン8を設ける位置はこれに限定されない。位置決めピン8及びこれを係止するピン挿入部(溝部)は操作釦5の軸部52に対して偏心した位置にあればよく、例えば、軸部52の下方又は側方等でもいい。
【0046】
また、本実施形態では、操作釦5を付勢する手段としてコイルばね9を設けることとしたが、コイルばね9は必須の構成要素ではない。コイルばね9を設けない場合には、例えば、板ばね4によって操作釦5を腕時計ケース1の中心から離間する方向に付勢するようにしてもいい。
【0047】
また、本実施形態では、押釦装置50を腕時計100に適用する場合を例としたが、押釦装置50を適用する機器は腕時計100に限定されない。ロック状態を確実に保持する必要のある操作釦を備える機器であれば、腕時計以外の機器に対しても適用可能である。
【0048】
また、操作釦5等の形状はここに例示したものに限定されない。例えば断面視8角形等の多角形状のものを用いてもよい。
【0049】
なお、その他、本発明が上記実施の形態に限らず適宜変更可能であるのは勿論である。
【符号の説明】
【0050】
1 腕時計ケース
4 板ばね
5 操作釦
6 案内筒
7 ロック筒
8 位置決めピン
9 コイルばね
11 貫通孔
12 ピン挿入部
50 押釦装置
51 頭部
51a 雄ネジ
52 軸部
53 当接部
55 シールリング
59 ピン係止部
62 挿通部
63 鍔部
72 雌ネジ
73 鍔部
100 腕時計

【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作用の頭部とこの頭部に連設される軸部とを有し本体ケースに形成された貫通孔に前記軸部が摺動可能に挿入される操作釦と、
前記操作釦の頭部の外周に螺着されたロック筒と、を備えた押釦装置において、
位置決め部材が、前記本体ケースから前記操作釦の軸部の軸方向に突出し、かつ前記軸部の軸心に対して偏心して設けられ、
前記操作釦の頭部内には、前記軸部の軸方向に延びる溝部が、前記軸部の軸心に対して偏心して形成され、
前記操作釦の頭部の溝部に前記位置決め部材の先端が挿入されて前記操作釦の周方向の位置決めが行なわれることを特徴とする押釦装置。
【請求項2】
前記位置決め部材は、円柱状に形成された位置決めピンであることを特徴とする請求項1に記載の押釦装置。
【請求項3】
前記溝部は、前記位置決め部材の外周の形状に沿った形状に形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の押釦装置。
【請求項4】
前記操作釦の頭部と前記本体ケースとの間に、前記操作釦の頭部を前記本体ケースから離間する方向に付勢するばねが設けられていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の押釦装置。
【請求項5】
前記操作釦の軸部の周面には、リング状の封止部材が設けられていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の押釦装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の押釦装置と、
前記本体ケースと、
を備えていることを特徴とする腕時計。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−197195(P2010−197195A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−42040(P2009−42040)
【出願日】平成21年2月25日(2009.2.25)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】