説明

抽出及び/又は煎じ出しによる飲料の即席生成にも使用可能な、飲料保存流通缶

【解決手段】 缶は、蓋の直下に、当初は使用可能な飲料を収容していないが、最終的には飲料を収容することになっている第1室(38)を有し、この第1室は、既に飲料(18)を収容している第2室(16)から密閉バッフル(14;214;314)により分離され、この密閉バッフルは、飲料(18)を収容する第2室(16)の内部に浸されるようになっている管体(22;122)を備えたフィルタ装置(24;124)を受け入れるようにされたハウジング(20;120;220;334)を有する。使用者が、フィルタ装置(24;124)を、利用状態に置いて、2個の室同士(38及び16)間に、フィルタ装置(24;124)を介して、連通をもたらした上で、缶に熱源の影響を受けさせると、下方の室(16)に収容されている飲料が、物質(28)を貫流して第1室(38)に移動して、飲料を生成できる手段が、設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、飲料用缶、すなわち、飲料を保存するため、及び最終消費者に多量に流通させるため、食品の使用に適した材料からなる容器であって、内部に収容した食品に対する保存及び大量流通機能を果たすことに加えて、抽出した及び/又は煎じ出した飲料を、使用の瞬間に、缶により生成でき、こうして生成された飲料が、缶の内部の空間内に収集されて、そこから直接消費されるものに関する。
【背景技術】
【0002】
コーヒーは、世界で最も消費される飲料の一つであり、コーヒー飲料は、沸点近くの温度まで加熱された水を、挽いたコーヒー中を通過させる場合には抽出により、ある量の挽かれたコーヒーが、沸点近くの温度を有する水に、数分間放置される場合には煎じ出しにより、挽かれたコーヒーが、その中に含まれている可溶性の芳香物質を温水に受け渡す時に、生成される飲料である。
【0003】
ホテル、カフェテリア、軽食堂(例えば、オフィス又は駅)等の公共の場所では、この飲料は、オペレータの存在を必要とする、「コーヒーマシン」と呼ばれる、嵩張る機器により生成されるのが通常である。
【0004】
家庭では、この飲料は、複数個の部品からなる、「コーヒーポット」と呼ばれる機器を用いて生成されるのが通常で、必要に応じて、消費者は、適切な部品に、水道水とコーヒー粉とを満たし、部品を組み立てて、組み立てたものを熱源に置き、コーヒーの生成を待って、カップに注ぎ、最後は、組み立てたものをばらし、次の飲料の生成に供えて、ばらした部品を洗浄する。家庭での使用用に、たくさんの小型コーヒーマシンも、市販されているが、公共の場所用のコーヒーマシンを小型化したものに過ぎない。
【0005】
たとえ、コーヒーポット又は大小に拘わらずコーヒーマシンを手元に持っていなくても、所望の時にコーヒーを得ることができるようにしたいことは、長年に渡って、消費者が望んでいたことであった。こうした要望は、例えば、旅行をしている時、スポーツをしている時又は住所がある地域から離れている時など、家から離れている時に、しばしば起こる。
【0006】
こうした要請を満たす試みとして、例えば、商標「ネスカフェ」として知られているような、水に瞬時に溶ける粉末が、市販されている。しかしながら、こうして得られるコーヒーは、抽出又は煎じ出しにより生成されるものと同程度に消費者の味覚を満足するものではなかった。いずれにせよ、この一時凌ぎの解決は、水がない場合の問題を解決するものではない。水がない状態は、特に、消費者が、住所がある地域から離れている場合(例えば、小旅行中又は小船に乗船中)に、又は、水が、容易く手に入らない、若しくは、水が飲めるものなのか否か不明である場合に、起こる。
【0007】
こうした問題を解消する試みとして、調整済みのコーヒー飲料を入れた缶も、同じ期間に渡って市販されているが、最終消費者は、所望により、缶を加熱している。しかしながら、コーヒー飲料が製造時に受けた冷却後になって起こる加熱により、コーヒーの味は、かなり変質することがよく知られている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このため、本発明の目的は、上述の要請を満足するとともに上述の問題点も同時に解消することにある。
【0009】
本発明のもう一つの目的は、第1の目的の後に述べるが、極めて重要なもので(際立って有用なもので)、熱源がある限り、どこにいようとも、瞬時に生成された本物のコーヒーの活性化性と爽快性とを享受できると同時に、使用の瞬間までコーヒーを生成するのに必要なものを保存できる、(登録商標CocaColaで現在達成されているような)大量流通品を提供することにある。
【0010】
さらに別の目的は、本物のコーヒーを必要時に生成できるだけでなく、抽出及び/又は煎じ出しにより、種々の物質から得ることができる、他の飲料を生成することにも利用できる缶を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
こうした目的は、飲料缶、すなわち、食品の保存と大量流通に一般に利用でき、使用後には廃棄される容器であって、飲料缶は、側壁と底と蓋とを備え、蓋を外し又は穿孔することによって缶内に収容した食品にアクセスできるものにおいて、
蓋の直下に、当初は使用可能な飲料を収容していないが、最終的には飲料を収容することになっている第1室を有し、この第1室は、缶が使用者に供給される際には、適量な飲用液体を既に収容している第2室から密閉バッフルにより分離され、
この密閉バッフルは、フィルタ装置の非透過性部分を密閉的に受け入れるように構成されたハウジングを有し、フィルタ装置は、抽出及び/又は煎じ出しにより所望の飲料を生成できる、適量な物質を取り囲むとともに、飲用液体を収容する第2室の内部に浸されるようになっている管体を備えた容器を有し、
使用者が、フィルタ装置を利用状態に置いて、2個の室同士間に、フィルタ装置を介して連通をもたらすことによって、使用者により缶に熱源の影響を受けさせられて、第2室に収容されている飲用液体が、沸点近くの温度になると、フィルタ装置に収容されている物質を貫流して第1室に移動して、飲料を生成できる手段が、設けられることを特徴とする、本発明による飲料缶によって達成される。
【0012】
フィルタ装置は、好ましくは、たとえ、利用状態に置かれていなくても、第1室に予め収容されて、使用者により、利用状態に置かれる。
【0013】
抽出又は煎じ出しにより作られる種々の飲料は、挽いたコーヒー及び大麦、茶、ココア等の種々の物質を用いて同様にして得ることができる。こうした物質は、微紛状態から葉が裁断されている状態までの範囲の程度まで、多かれ少なかれ、挽かれ、又は、例えば、粉末ミルク、砂糖等の他の食品と混合されてもよい。以下、用語「飲料」は、最終的な液体生成物、及び、フィルタ装置に収容されて飲料にできる「物質」について、絶えず用いる。同様に、飲用液体は、通常、水であるが、ミルク等の他の液体に置き換え又はこうした他の液体を加えて、カプチーノのようなコーヒー以外の飲料を生成するものであってもよく、最終的な液体生成物は、全て、「飲料」に入る。
【0014】
本発明の一態様では、最終飲料を受け入れることになっている第1室は、飲用液体を収容する中空室を備えた一体構造を構成する。
【0015】
本発明の変形態様によれば、飲料を収集する第1室と、飲用液体を収容する第2室とは、互いに両者を分離する密閉バッフルを備えた一体構造を互いに構成する。
【0016】
本発明のもう一つの変形態様によれば、第1収集室は、開口が上向きの概ねカップ状の容器であって、缶を使用者に提供する際には、所定量の飲用液体が既に入れてある空間を、容器と側壁との間に形成するように、缶の側壁内に挿入できる形状と大きさとを有する容器によりもたらされ、缶の側壁と容器とは、少なくとも1個の周辺領域で接し、少なくとも、この周辺領域では、互いに密閉的に結合される。上述した態様において、この空間に隣接するカップ状容器の壁は、分離バッフルとして機能し、この空間が、第1を構成することに留意する必要がある。
【0017】
本発明の一態様によれば、この目的のため、缶には、分離バッフルに設けたハウジングに挿入されるフィルタ装置を備え、ハウジングは、非透過性膜により当初は閉じられている。このフィルタ装置は、使用者によりハウジングに密閉的に挿入され、この非透過性膜を破断して利用可能状態に置くことができる。
【0018】
フィルタ装置は、物質を保つためのカプセル状に閉じられた又は閉じることができる容器からなり、容器の一端には、飲用液体を収容する第2室の内部に浸すための管体を備え、容器の他端には、飲用液体が、挽いた物質中を貫流して、収集室として機能する第1室に流入するように、少なくとも1個のフィルタ領域、すなわち、飲用液体のみを透過する領域を備え、フィルタ装置の非透過領域の少なくとも一部は、分離バッフルに設けられたハウジング、又はハウジングに設けられた分離バッフルと、入れ子状に組み合う形状をしている。
【0019】
必要ならば、フィルタ装置を挿入したハウジングの周囲部でのフィルタ装置の安定性と密閉とを、適切なガスケットによりもたらしてもよい。
【0020】
好ましくは、缶を使用者に供給するとき、フィルタ装置を、第1収集室に既に収容しておいて、使用者が、蓋を取り除き又は穿孔すると、フィルタ装置に手が届き、フィルタ装置を操作して最終的な利用状態に置くことができるようにする。こうする代わりに、フィルタ装置は、缶内に予め置くことなく、缶に添付しても、例えば、缶とフィルタ装置とを隣同士に入れたパッケージに入れてもよい。
【0021】
好ましくは、缶を使用者に供給するとき、フィルタ装置に、所定量の物質が既に収容されている。こうする代わりに、所定量の物質を、フィルタ装置に収容せず、フィルタ装置に添付して(例えば、収集室内に適切に入れて置いて)、フィルタ装置を、使用者が物質をフィルタ装置に入れると、フィルタ装置を利用可能状態になるようにしてもよい。特に、フィルタ装置に挿入可能な透過性袋体(例えば、ろ紙かなる袋)内に、物質を入れてもよい。
【0022】
本発明の一態様によれば、フィルタ装置に収容した物質を、使用時に、第2室に収容した液体団の内部と接触状態にする手段は、
フィルタ装置の一部をなす管体であって、一端が自由端である管体と、
密閉された分離バッフルの一領域であって、使用者の操作によって、管体の自由端により穿孔可能な領域と、
缶を使用状態に置くと、飲用液体を既に収容した第2室と管体と間に、外側密閉をもたらす手段とからなる。
【0023】
本発明の別の変形態様によれば、フィルタ装置に収容した物質を、使用時に、第2室に収容した液体団の内部と接触状態にする手段は、
密閉された分離バッフルに設けたハウジングであって、飲用液体を既に収容した第2室と、最終飲料を収容するための第1室との間に貫通孔を形成するように、タブの持ち上げ又は穿孔によって、使用者により開けることができる、周囲領域を備え、貫通孔内に、フィルタ装置を入れることができるハウジングと、
使用者により、貫通孔内に置かれたフィルタ装置の部分と、飲用液体を既に収容した第2室との間に、外側密閉をもたらす手段とからなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明は,例示として示す,2個の実施の形態についての後述の説明から,より容易に理解される。この説明では、添付図面を参照する。
【0025】
図1及び図2に示されているように、缶10(具体的には、図1の状態では符号10Aで、図2の状態では符号10Bで示すもの)は、カップ状の外容器12と、ほぼカップ状の内容器14とからなり、内容器14は、外容器12に同心円状に挿入されている。図示の例において、2個のカップ状容器12及び14は、(これらの図に概略的に示すように)従来のように互いの上端を折り返して互いに締め付けすなわち密着することにより、両者間に密閉をもたらすことができるのに適切な材料(例えば、アルミニウム又はプラスチック)からなる。こうして、密閉された中間室16が形成され、液体(例えば、水)が既に収容されている。内容器14は、この場合、その壁が、分離バッフルとしても機能し、側部及び下部が、缶10内で生成される飲料を収容する室として機能する、上部が開いた室38を形作る。図1に示されるように、上部が開いたダクト20が、内容器14の底部から下方に軸線を同じくして突出し、密閉膜(例えば、練り歯みがきチューブの口を閉じるような、アルミニウム製シート)により、下端が閉じされる。図1に示されるように、例えば、プラスチックのような適切な材料からなり、符号24で全体を示すフィルタ装置の一部をなす管体22が、ダクト20内に若干押し込むことにより一部が挿入される。この管体22は、ダクト20に管体22を挿入するためには、ダクト20に管体22を保持するのに役立つ(図1に示す状態)とともに、管体22とダクト20間に必要な密閉をもたらす力が加わるような外径を有する。こうして、図1の管体22をダクト20内で下に押し込むことによって、使用者は、図2に示す状態を作り出し、管体22の下端(好ましくは、これらの図に示すように、フルートのマウスピースのような形状にされる)が、ダクト20の下端を閉じる密閉膜34を穿孔する。管体22の他に、フィルタ装置は、既に所定量の物質28(例えば、挽いたコーヒー)を収容しているカプセル状の中空部(図示の例では、実質的に球形)26も有する。物質28は、粒状でも粉状でもよいが、球形壁26の内部と連通する管体22の上部開口には、図1において符号30で示す液体透過性バッフル(例えば、ろ紙又は適切な網状体から形成される)を設けてあるので、物質は、管体22内には落下しない。図1に示されるように、フィルタ装置24の球形部26は、その上部に、複数個の孔32が形成されることにより、カプセル状の中空部が、最終的な飲料が飛び出す透過領域を備える。
【0026】
缶10を使用者に供給する際には(すなわち、使用者が缶を購入する際には)、フィルタ装置24は、上述したように、図1に示す状態10Aにある。
【0027】
缶10は、密閉バッフル34が、加熱後に溶ける物質からなる場合、使用中でも、図1に示す状態10Aに留まることに留意すべきである。この場合、使用者による操作は、缶10Aに熱源の影響を受けさせる操作に限定される。このことは、密閉バッフルが、缶に熱源の影響を受けさせると、飲用液体を収容する第2室38内に生ずる圧力増加の影響により穿孔される膜からなる場合にも、当てはまる。この膜は、室38の壁16及び分離バッフル14よりも小であるとともに、缶に取り付けた安全弁(後述する)の放出圧力よりも小である耐圧力を有することは明らかである。この場合も、使用者の操作は、缶10Aに熱源の影響を受けさせる操作に限定される。
【0028】
缶10Aには、好ましくは、取り外し自在な蓋40を取り付け、この蓋の縁を折り返して、2個の内外容器12及び14の端部に締め付けすなわち密着することによって接合し、蓋には、例えば、蓋を破るための公知のリング(図示せず)を設ける。こうする代わりに、缶には、缶10の上端に押し付けにより嵌めることができる、共通カバー(例えば、プラスチック製)42を取り付けてもよい。缶には、既に述べたカバーの上に、別のカバー(例えば、衛生上の理由で)を取り付けてもよい。
【0029】
これまでの説明から明らかなように、本発明に係る缶は、著しく簡便で極めて低価格である(特に、アルミニウム及び/又はプラスチックから形成する場合)。このことは、明らかに、缶が、再利用できず、使用後には捨てざるを得ない廃棄型である場合に、重要である。
【0030】
用語「缶」は、ブリキ缶に使用するブリキ板以外の材料、すなわち、食品の保存に適する、例えば、アルミニウム又はプラスチックで形成される、食品容器を指すものとして用いており、本発明では、缶の構成材料は、広範な意味で理解されるべきであることに留意すべきである。同じ理由で、用語「缶」は、非円筒形状(例えば、平行六面体)の容器も包含する。
【0031】
今までの説明から明らかではあるが、ここで、缶10の使用について、明瞭化のため、簡単に説明する。
【0032】
上述したように、使用者は、図1に示す状態10Aで缶10を購入する。使用者が、缶を使用して、ある飲料を得ようとする場合、使用者は、カバーがあればそれを外した後に、ダクト20に未だすっかり挿入されていない管体22が、ダクトに可能な限り入り込むように、フィルタ装置24を指で内側に押し込むだけでよい。こうすると、管体22のフルートのマウスピース状をした先端が、密閉バッフル34を穿孔して、外容器12の底部近くに達し(この時、缶は、図2に示す状態10Bにある)、管体22は、第2室16に収容された飲用液体(例えば、水)中に浸る。好ましくは、フィルタ装置24は、食品と接するのに適し、管体22をダクト20内に押し込むことができる十分な硬さを有するプラスチック材料から形成される。押し込み力は、ダクト20の内壁と管体22の間に必要なシールをもたらすために、必要となる。
【0033】
缶は、状態10Bに置いたまま、第2室16内に収容した飲用液体18が、沸騰するまで、熱源の影響を受けさせる(例えば、缶を炎の上又は電子レンジ内に置く)だけでよい。こうすると、飲用液体は、管体22に沿って上昇し、カプセル26内に収容された物質28中を通過して、複数個の孔32から飲料となって飛び出て、上述したように、飲料用の収集室として機能する内容器14内に最終的に収集される。この時点で、使用者は、缶で通常供給される他の飲料(例えば、ビール)における場合と同様に、缶から直接飲料を飲むこともできる。飲料を飲み終え、すなわち消費すると、缶は、廃棄される。
【0034】
図1に示す状態に、フィルタ装置を置くことなく、内容器14が十分な大きさがあるなら、フィルタ装置を内容器内に入れたまま、缶を販売することもできることに留意される必要がある。この場合、例えば、上述した蓋のような覆いにより、フィルタ装置が、缶の上部開口から誤って飛び出ないようにするとともに、香りを保存できるようにする。同じような蓋機能を持つが、上述した蓋の代用となるものとして、缶を、包装用ラッピング(例えば、熱収縮性プラスチックシート)で、包装してもよい。フィルタ装置は、こうした蓋の外に置いてもよいことに留意される必要がある。フィルタ装置24が、図1の状態にまだ置かれてない場合には、分離バッフル34の破断が、穿孔可能領域34で起こさせてもよい。穿孔可能領域は、管体22の下端の代わりに他の手段により、特に、缶に備えてもよいプラスチック製のスティック又はピンにより、穿孔できる。別の態様を、図5に示してあり、この別の態様では、ダクト220が、分離バッフル214よりも上方に若干(部分220A分)突出し、この部分220Aの上部開口に、密閉膜234を設け、使用時に、使用者がこの密閉膜を破るが、この破断作業は、握りタブ235があるために容易になる。
【0035】
本発明の特に簡易な態様(図6)によれば、管体22用のハウジングと、分離バッフルの穿孔可能領域とは、管体22等の手段により、簡単に穿孔できる、薄い円形部334を、分離バッフル314の中央に形成することによって簡単に得られる。
【0036】
本発明の更に別の態様(図3及び4に一部が示してあり、他の部分は、図1及び2に示す態様と同様)によれば、管体22の大径部の外側にねじ山を形成し、このねじ山を、ダクト120の内壁に形成した雌ねじとかみ合うにする。図3では、フィルタ装置124(この場合、卵形である)は、管体122のねじ山形成部の一部だけが、ダクト120にねじ込まれている(好ましくは、若干押し込まれている)状態(缶が使用者に供給される状態)にある。
【0037】
使用者が、この缶を使用したい場合には、使用者は、管体122をダクト120にすっかりねじ込むだけでよく、こうすると、管体122のフルートのマウスピース状をした下端が、密閉膜134を穿孔して、図4に示す状態になり、管体122の下端が、第2室(図示せず)内に収容された飲用液体に浸る。この実施の形態は、フィルタ装置を、適切なプラスチック材料から構成して、管体122の寸法と材質とを適切に選択することによって、管体122とダクト120との間に密閉が得られるようにする場合、又は、適切な金属(例えば、アルミニウム)、若しくは、密閉を得ることができないプラスチック材料を用いる場合、いずれでも適用可能である。しかしながら、後者の場合、図3及び4に符号140で示すような密閉ガスケットを、使用して密閉をもたらす必要がある。
【0038】
フィルタ装置24又は124に加えて、2個の容器12及び14も、食料と接触するのに適したプラスチック材料で形成してもよいことに留意する必要がある。こうした缶は、炎の上又はホットプレートに置くには適していないが、電子レンジに入れて使用することは可能である。
【0039】
さらに、本発明の缶、特に、飲用液体を収容済みの第2室には、好ましくは、安全弁を取り付けてもよいことに留意される必要がある。安全弁は、収集室として機能する第1室に流出するように設けることが好ましい。こうすると、外部への放出が回避され、缶は、その形状及び外観が、通常の市販の食品缶と外部的に変わらず、そのまま取り扱うことができる。
【0040】
本発明の缶を用いて所望の飲料を得る物質としては、切り刻んだ又は粉末にした物質の他に、ゼリー状の物質(カプセルに入れたものを含む)を用いてもよい。但し、フィルタ装置内に入れても、所望の飲料を生成するのに適している必要がある。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明に係る缶に関する第1実施の形態の軸線方向縦断面図であって、飲料が使用者に提供できる状態にある。
【図2】図1と同様な図であるが、使用者の操作により、缶が使用可能状態にある。
【図3】図1及び図2の缶に関する変形態様の一部断面図であって、図1に示す状態に対応する状態にある。
【図4】図3と同じ変形態様を示すものであるが、図2に示す状態に対応する状態にある。
【図5】図1及び図2の缶に関する別の変形態様の詳細を示すものである。
【図6】さらに別の変形態様の詳細を示すものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料缶、すなわち、側壁と底と蓋とを備え、食品の保存と大量流通品に通常用いられるタイプの容器であって、蓋を外し又は穿孔することによって缶内に収容した食品にアクセスできるものにおいて、
缶(10)の蓋の直下に、当初は使用可能な飲料を収容していないが、最終的には飲料を収容することになっている第1室(38)を有し、この第1室は、缶が使用者に提供される際には、適量な飲用液体(18)を既に収容している第2室(16)から密閉バッフル(14;214;314)により分離され、
この密閉バッフルは、フィルタ装置(24;124)の非透過性部分を密閉的に受け入れるように構成されたハウジング(20;120;220;334)を有し、フィルタ装置は、抽出及び/又は煎じ出しにより所望の飲料を生成できる、適量な物質(28)を取り囲むとともに、飲用液体(18)を収容する第2室(16)の内部に浸されるようになっている管体(22;122)を備えた容器を有し、
使用者が、フィルタ装置(24;124)を利用状態に置いて、2個の室同士(38及び16)間に、フィルタ装置(24;124)を介して、連通をもたらした上で、缶に熱源の影響を受けさせると、下方の室(16)に収容されている飲用液体が、物質(28)を貫流して第1室(38)に移動して、飲料を生成できる手段が、設けられることを特徴とする、飲料用缶。
【請求項2】
第1室(38)は、開口が上向きである容器(14)により形成され、この容器は、缶(10)の側壁(12)内に収まる寸法で側壁内に位置付けられることにより、容器(14)と側壁(12)との間には、空間がもたらされて、第1室(38)に隣接する第2室(16)を構成し、この空間内に、缶が使用者に提供される際に、適量な飲用液体(18)が置かれ、側壁(12)と、側壁内の容器(14)とは、少なくとも1個の周囲領域で接触し、すくなくとも、この周囲領域では互いに密閉的に接合されることを特徴とする、請求項1に記載の飲料用缶(10)。
【請求項3】
飲料を受け入れるようにした上方室(38)の上部穴を閉じる蓋(40)は、缶構造とは、独立していることを特徴とする、請求項1又は2に記載の飲料用缶(10)。
【請求項4】
少なくとも1個の他の取り外し自在なカバー(42)を、蓋(40)の上に設けることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか1に記載の飲料用缶(10)。
【請求項5】
構成部品の少なくとも一部が、プラスチック材料からなることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか1に記載の飲料用缶(10)。
【請求項6】
構成部品の材料は、電子レンジでの使用に適することを特徴とする、請求項1乃5のいずれか1に記載の飲料用缶(10)。
【請求項7】
缶を使用者に提供する際には、フィルタ装置(22;124)は、飲料受け止め器として機能する第1室(38)内に収容されることを特徴とする、請求項1乃至6のいずれか1に記載の飲料用缶(10)。
【請求項8】
フィルタ装置(22;124)の非透過性部分を密閉的に受け入れるようにしたハウジングは、フィルタ装置の非透過性部分を挿入できる密閉バッフル(14;314)の穿孔可能領域(334)からなることを特徴とする、請求項1乃至7のいずれか1に記載の飲料用缶(10)。
【請求項9】
フィルタ装置(22;124)の非透過性部分を密閉的に受け入れるために、ハウジングは、密閉バッフル(14;214;314)の一部を構成する貫通ダクト(20;120;220)からなり、このダクトを介しての、フィルタ装置(22;124)内に収容された物質(28)と飲用液体(18)との間の連通は、缶が使用者に提供される際には、穿孔可能な膜(34;134)又は除去可能な膜(234)により、妨げられることを特徴とする、請求項1乃至7のいずれか1に記載の飲料用缶(10)。
【請求項10】
貫通ダクト(20;120;220)の少なくとも一部には、ねじ山が形成されて、フィルタ装置(24;124)のねじ形成部に嵌るようになっていることを特徴とする、請求項9に記載の飲料用缶(10)。
【請求項11】
フィルタ装置(24;124)の非透過性部分と、最終的な使用状態では、このフィルタ装置が、位置付けられる、ハウジング(20;120;220;334)との間の密閉を、ガスケット(140)により行うことを特徴とする、請求項1乃至10のいずれか1に記載の飲料用缶(10)。
【請求項12】
消費者に提供される際には、フィルタ装置(24;124)は、所望の飲料を抽出及び/又は煎じ出しにより得ることができる、適量物質(28)を既に収容していることを特徴とする、請求項1に記載の飲料用缶(10)。
【請求項13】
飲料を抽出及び/又は煎じ出しにより得ることができる、物質(28)は、挽いたコーヒーであることを特徴とする、請求項1に記載の飲料用缶(10)。
【請求項14】
飲料を抽出及び/又は煎じ出しにより得ることができる、前記物質(28)は、可溶性固体あることを特徴とする、請求項1に記載の飲料用缶(10)。
【請求項15】
飲用液体(18)を収容する室(16)には、安全弁が取り付けられていることを特徴とする、請求項1に記載の飲料用缶(10)。
【請求項16】
室(16)に取り付けた安全弁は、上方室(38)の内部への流通ために設けられることを特徴とする、請求項15に記載の飲料用缶(10)。
【請求項17】
飲用液体(18)を収容する室(16)と、フィルタ装置(24;124)に収容された物質(28)との間の連通は、缶(10)が使用者に提供される際には、食用の熱溶解性膜により妨げられ、フィルタ装置(24;124)を、その利用状態におく必要がある消費者による操作は、前記フィルタ装置(24;124)を収容する缶(10)に熱源の影響を受けさせることであることを特徴とする、請求項1に記載の飲料用缶(10)。
【請求項18】
飲用液体(18)を収容する室(16)と、フィルタ装置(24;124)に収容された物質(28)との間の連通は、缶(10)が使用者に提供される際には、缶を熱源と接触させると、室(16)内に生ずる圧力増加により穿孔可能な膜により妨げられ、この膜の破断圧力は、安全弁(36)の解放圧力よりも小であり、フィルタ装置(24;124)を、その利用状態におく必要がある消費者による操作は、フィルタ装置(24;124)を収容する缶(10)に熱源の影響を受けさせることであることを特徴とする、請求項1又は15に記載の飲料用缶(10)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2006−518314(P2006−518314A)
【公表日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−501797(P2006−501797)
【出願日】平成16年2月11日(2004.2.11)
【国際出願番号】PCT/EP2004/001240
【国際公開番号】WO2004/073468
【国際公開日】平成16年9月2日(2004.9.2)
【出願人】(503124757)
【Fターム(参考)】