説明

抽出装置および抽出方法

【課題】電極対が設けられた管状部材内に抽出対象物を停滞させた状態で液体のみを管状部材内に流し、抽出終了とともに抽出液と抽出対象物とを分離することにより高品質の抽出液を得るようにすることにある。
【解決手段】抽出装置は、液体通路21が形成されるとともに抽出対象物Eを収容する管状部材22と少なくとも1対の電極対とを有する通電モジュール20を有し、液体通路21にはポンプからの液体が供給される。通電モジュール20には、管状部材22内に配置された抽出対象物Eが液体の流れに抗して外部に排出されるのを防止する網状部材26が停滞手段として設けられており、電極に電力を供給すると、抽出対象物Eには液体を介して通電がなされて抽出対象物Eをジュール熱により加熱され、抽出成分を含む液体のみが通電モジュール20を通過して外部に搬出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬草、茶葉およびコーヒー豆などの抽出対象物の抽出成分を液体に抽出する抽出技術に関する。
【背景技術】
【0002】
漢方薬のうち煎じ薬は、薬草を抽出対象物としてこれを容器で熱湯により煎じて熱湯に抽出成分を抽出することにより飲料に供される抽出液であり、容器内の液体をガス等の熱源により加熱して煎じることにより抽出が行われている。同様に、緑茶等のお茶は、茶葉を抽出対象物としてこれに熱湯を注いで茶葉に含まれる抽出成分を熱湯に抽出することにより飲料に供され、コーヒーは、粉粒化されたコーヒー豆を抽出対象物としてこれに熱湯を注いでコーヒー豆に含まれる抽出成分を熱湯に抽出することにより飲料に供される。
【0003】
このように、煎じ薬、茶、コーヒー等のように、抽出対象物に含まれる抽出成分を液体に抽出して飲料に供される飲料物を製造するには、ガスや電気を加熱源として水を加熱して温水に抽出成分を抽出させている。例えば、煎じ薬を製造するには、容器に薬草と水とを投入して水を外部から加熱することにより抽出成分を水に抽出させており、抽出には時間がかかることになる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
抽出操作を短時間で行うべく種々の研究がなされた結果、薬草、茶葉およびコーヒー豆等のようにそれ自体は導電性を有しない抽出対象物であっても、これに水分をしみ込ませた状態つまり水分を滲入させた状態とすると、通電性を有し電流が流れる性質を持つことになるということが判明した。しかも、純水と相違して不純物を含む水道水や地下水などは導電性を有するが、水分が滲入した薬草や茶葉は水道水等よりも電気抵抗が小さく、つまり導電率が高くなることが判明した。
【0005】
そこで、発明者は上述した抽出対象物を細片状や粉粒状に粉砕してこれと水道水に混ぜて混合液としこれに電流を流して混合液にジュール熱を発生させて抽出対象物を加熱する実験を行った結果、温水が加熱される温度よりも抽出対象物が加熱される温度の方が高い温度になるとともに、抽出対象物に流れる電流の作用によって抽出成分が迅速に温水に抽出されることが確認された。
【0006】
しかしながら、混合液に通電して抽出対象物を加熱するようにすると、抽出成分が抽出された後の混合液をフィルターにより抽出液と抽出カスとに分離する必要がある。フィルターによる分離操作は、混合液をフィルターに搬送して行われるので、分離操作は抽出対象物を加熱することによる抽出操作が終了してから所定の時間が経過した後に行われることになる。このため、抽出対象物は分離操作が行われるまで抽出液に混合された状態となり、抽出対象物によっては不要な成分も分離操作までに抽出され、高品質の抽出液が得られない場合がある。
【0007】
本発明の目的は、電極対が設けられた管状部材内に抽出対象物を停滞させた状態で液体のみを管状部材内に流し、抽出終了とともに抽出液と抽出対象物とを分離することにより高品質の抽出液を得るようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の抽出装置は、茶葉等の抽出対象物の抽出成分を前記抽出対象物の加熱により液体に抽出する抽出装置であって、絶縁性材料からなり液体通路が形成されるとともに前記抽出対象物を収容する管状部材と前記管状部材に設けられる少なくとも1対の電極対とを有する通電モジュールと、前記管状部材に前記液体通路を貫通する液体を供給する液体供給手段と、前記通電モジュールに設けられ、前記管状部材内に収容された前記抽出対象物が前記液体通路内の液体の流れに抗して前記通電モジュールの外部に排出されるのを防止して前記抽出対象物を前記液体通路内に停滞させる停滞手段と、前記電極対に電力を供給し、前記管状部材内の前記抽出対象物に前記液体を介して通電し前記抽出対象物をジュール熱により加熱する電源ユニットとを有することを特徴とする。
【0009】
本発明の抽出装置は、茶葉等の抽出対象物の抽出成分を前記抽出対象物の加熱により液体に抽出する抽出装置であって、絶縁性材料からなり液体通路が形成されるとともに前記抽出対象物を収容する管状部材と前記管状部材に設けられる少なくとも1対の電極対とをそれぞれ有する複数の通電モジュールを直列に接続して形成される抽出ユニットと、前記抽出ユニットに前記液体通路を貫通する液体を供給する液体供給手段と、それぞれの前記通電モジュールに設けられ、それぞれの前記管状部材内に収容された前記抽出対象物が前記液体通路内の液体の流れに抗してそれぞれの前記通電モジュールの外部に排出されるのを防止して前記抽出対象物を前記液体通路内に停滞させる停滞手段と、それぞれの前記電極対に電力を供給し、それぞれの前記管状部材内の前記抽出対象物に前記液体を介して通電し前記抽出対象物をジュール熱により加熱する電源ユニットとを有することを特徴とする。
【0010】
本発明の抽出装置においては、複数の前記通電モジュールを相互に着脱自在に連結し、前記液体を前記抽出ユニットに供給する液体供給管と前記抽出ユニットの流入端部とを着脱自在に連結し、抽出液を外部に排出する液体搬出管と前記抽出ユニットの流出端部とを相互に着脱自在に連結することを特徴とする。
【0011】
本発明の抽出装置は、茶葉等の抽出対象物の抽出成分を前記抽出対象物の加熱により液体に抽出する抽出装置であって、絶縁性材料からなり液体通路が形成されるとともに前記抽出対象物を収容する管状部材と前記管状部材に設けられる少なくとも1対の電極対とをそれぞれ有する複数の通電モジュールを相互に着脱自在に直列に接続して形成される少なくとも1つの第1の抽出ユニットと、絶縁性材料からなり液体通路が形成されるとともに前記抽出対象物を収容する管状部材と前記管状部材に設けられる少なくとも1対の電極対とをそれぞれ有する複数の通電モジュールを相互に着脱自在に直列に接続して形成される少なくとも1つの第2の抽出ユニットと、それぞれの前記抽出ユニットの流入端部が着脱自在に接続され、前記液体通路を貫通する液体を供給する液体供給管と、それぞれの前記抽出ユニットの流出端部が着脱自在に接続され、抽出液を外部に排出する液体搬出管と、それぞれの前記通電モジュールに設けられ、それぞれの前記管状部材内に収容された前記抽出対象物が前記液体通路内の液体の流れに抗してそれぞれの前記通電モジュールの外部に排出されるのを防止して前記抽出対象物を前記液体通路内に停滞させる停滞手段と、それぞれの前記電極対に電力を供給し、それぞれの前記管状部材内の前記抽出対象物に前記液体を介して通電し前記抽出対象物をジュール熱により加熱する電源ユニットとを有することを特徴とする。
【0012】
本発明の抽出装置においては、抽出対象物よりもサイズが小さい多数の液体通過孔を有し、前記通電モジュールの端部に設けられる網状部材により前記停滞手段を形成するようにしても良い。また、抽出対象物を収容する通液性の袋体に係合し、液体の流れにより前記通電モジュールの外部に前記袋体が排出されるのを防止するように前記通電モジュールの端部に設けられるストッパにより前記停滞手段を形成するようにしても良い。さらに、前記網状部材または前記ストッパを前記通電モジュールの両端部に設けるとともに少なくとも一方の端部に設けられる前記網状部材または前記ストッパを前記通電モジュールから取り外し自在に設けるようにしても良い。また、本発明の抽出装置においては、通電モジュール内の圧力を圧力調整手段により大気圧以上の圧力に設定するようにしても良い。
【0013】
本発明の抽出方法は、絶縁性材料からなり液体通路が形成されるとともに抽出対象物を収容する管状部材と前記管状部材に設けられる少なくとも1対の電極対とをそれぞれ有する複数の通電モジュールを相互に着脱自在に直列に接続してそれぞれ形成される第1と第2の少なくとも2つの抽出ユニットと、それぞれの前記通電モジュールに設けられ、それぞれの前記管状部材内に配置された前記抽出対象物が前記液体通路内の液体の流れに抗してそれぞれの前記通電モジュールの外部に排出されるのを防止する停滞手段とを有する抽出装置を用いて、茶葉等の抽出対象物の抽出成分を前記抽出対象物の加熱により液体に抽出する抽出方法であって、前記第1の抽出ユニットに対する液体の供給を停止した状態のもとで、前記第2の抽出ユニットに対して液体を供給するとともに前記第2の抽出ユニットにおける前記電極対に電力を供給して前記第2の抽出ユニット内の前記抽出対象物をジュール熱により加熱する抽出工程と、液体の供給が停止された状態の前記第1の抽出ユニットにおける前記通電モジュールを前記第1の抽出ユニットから取り外した後に、前記第1の抽出ユニットに新たな前記通電モジュールを装着する交換工程とを有し、前記第1の抽出ユニットにより抽出を行っている状態のもとで、前記第2の抽出ユニットにおける前記通電モジュールを交換することにより連続的に抽出操作を行うことを特徴とする。
【0014】
本発明の抽出方法においては、第1の抽出ユニットから取り外される通電モジュールを最下流側の通電モジュールとし、新たな通電モジュールを最上流側に装着するようにしても良い。また、通電モジュール内の圧力を大気圧以上の圧力に加圧した状態のもとで抽出操作を行うようにしても良い。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、電極が設けられた通電モジュール内に抽出対象物を捕捉ないし停滞した状態で通電モジュールの液体通路内に液体を流しながら、電極から液体を介して抽出対象物に電流を流し、抽出対象物をジュール熱により加熱するようにしたので、抽出終了とともに抽出液と抽出対象物とを分離し、流れる液体よりも抽出対象物の温度は高くならず、抽出対象物が過加熱されることなく、高品質の抽出液を製造することができる。
【0016】
抽出装置による抽出操作は、抽出対象物の種類に応じて、単一の通電モジュールによって行うことができるとともに、複数の通電モジュールを直列に接続して任意の数の通電モジュールによっても行うことができ、抽出対象物をその種類に応じて最適な状態で抽出操作を行うことができる。
【0017】
通電モジュールを着脱自在とすることにより、抽出操作が完了した後の抽出カスを外部に廃棄することができる。
【0018】
第1と第2の抽出ユニットにより抽出装置を形成することによって、一方の抽出ユニットにより抽出操作が行われているときに、他方の抽出ユニットを構成する通電モジュールの交換操作を行うことにより、連続的に抽出操作を行うことができる。
【0019】
通電モジュール内の圧力を大気圧以上に設定して抽出操作を行うと、液体の温度を100℃以上に設定することができ、抽出効果を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は本発明の一実施の形態である抽出装置を示す正面図であり、図2(A)は図1に示された通電モジュールを示す断面図であり、図2(B)は図2(A)における2B−2B線断面図である。
【0021】
図1に示される抽出装置は、相互に並列となって上下方向を向いて配置される2つの抽出ユニット11,12を有しており、一方は第1の抽出ユニット11を形成し、他方は第2の抽出ユニット12を形成している。それぞれの流入端部は液体供給管13a,13bに着脱自在に接続されるようになっており、それぞれの液体供給管13a,13bには三方弁14を介して液体供給管13が接続され、液体供給管13に設けられた液体供給手段としてのポンプ15により液体容器16内に収容された水つまり液体がそれぞれの抽出ユニット11,12にそれぞれの下端部から供給されるようになっている。それぞれの抽出ユニット11,12の流出端部は液体搬出管17a,17bに着脱自在に接続されるようになっており、抽出液はそれぞれの液体搬出管17a,17bにより回収容器18内に供給される。このように、水がそれぞれの抽出ユニット11,12の下端部から供給され、上端部から排出されるようになっているので、それぞれの抽出ユニット11,12の液体通路21内には気泡が入り込むことが防止される。ただし、それぞれの抽出ユニット11,12を傾斜させて配置するようにしても良い。
【0022】
なお、三方弁14の切換操作によって1つのポンプ15から選択的に両方の抽出ユニット11,12に水が供給されるようになっているが、別々のポンプによりそれぞれの抽出ユニット11,12に水を供給するようにしても良い。また、それぞれの液体搬出管17a,17bの下流側部を1本の管に合流させるようにしても良い。
【0023】
それぞれの抽出ユニット11,12は、同一形状の4つの通電モジュール20を直列に接続することにより形成されており、図1において符号(a)が付された通電モジュール20は最上流側の通電モジュールになり、符号(d)が付された通電モジュール20は最下流側の通電モジュール20になっており、符号(b),(c)が付された他の2つの通電モジュール20は中間の通電モジュール20となっている。
【0024】
図2に示すように、通電モジュール20は合成樹脂等の絶縁性材料からなり、内部に貫通孔からなる液体通路21が形成された横断面円形の管状部材22を有し、両端部にはそれぞれチタンやステンレス等により形成された環状つまりリング状の第1の電極23aと第2の電極23bとが設けられており、両方の電極23a,23bにより電極対が形成されている。通電モジュール20の両端部には絶縁性材料からなるフランジ24,25が着脱自在に装着されるようになっており、それぞれのフランジ24,25によって管状部材22には停滞手段としての網状部材26が挟み付けられて管状部材22に着脱自在に装着されるようになっている。網状部材26はゴム製の細線を格子状に編み上げて形成されており、多数の液体通過孔を有し、外周部には細線と一体となった枠体27が設けられている。網状部材26は枠体27とともにゴムにより形成されているが、網状部材26を金属により形成するようにしても良い。
【0025】
管状部材22の内部には、薬草、粒状のコーヒー豆または茶葉等の抽出対象物Eが収容されるようになっており、抽出対象物Eは網状部材26の液体通過孔よりもサイズが大きく設定されている。抽出対象物Eは上側の網状部材26を管状部材22から取り外した状態のもとで管状部材22の内部に供給され、上側の網状部材26を管状部材22に取り付けることにより抽出対象物Eは管状部材22の内部に収容される。管状部材22の両端部には網状部材26がいずれも着脱自在つまり取り外し自在に装着されているが、一方の網状部材26を管状部材22に固定し、他方の網状部材26のみを管状部材22に対して着脱自在としても良い。
【0026】
図2は、図1に示された抽出ユニット11,12における最上流側の通電モジュール20(a)を示しており、最上流側の通電モジュール20(a)は液体供給管13aのフランジ28とフランジ24とをクランパ31により締結することにより、液体供給管13aに着脱自在つまり取り外し自在ないし分離自在に連結される。同様に、クランパ31によって4つの通電モジュール20は相互に着脱自在に連結されるとともに、最下流側の通電モジュール20は図1に示すように液体搬出管17aのフランジ29に着脱自在に連結されるようになっている。それぞれの通電モジュール20における一方のフランジ24の突き当て面には、対向するフランジの突き当て面との間をシールするシール部材30が設けられている。
【0027】
クランパ31は、ピン32を中心に相互に回動自在に連結されたクランパ片33,34を有し、それぞれのクランパ片33,34はフランジの外周面に対向する周壁部とこれの軸方向両端部に一体となりフランジに対向する円弧状の端壁部とを有し断面コの字形状となっている。一方のクランパ片33の自由端にはピン35を中心に回動自在にボルト36が取り付けられ、クランパ片34の自由端に接触する蝶ナット37がボルト36にねじ止めされるようになっている。したがって、最上流側の通電モジュール20のフランジ24を液体供給管13aのフランジ28に突き当てた状態のもとで、クランパ31によって通電モジュール20を液体供給管13aに分離自在に連結することができる。同様のクランパ31によって、それぞれの抽出ユニット11,12における通電モジュール20を相互に分離自在に連結することができるとともに、最下流側の通電モジュール20を液体搬出管17aのフランジ29に分離自在に連結することができる。
【0028】
図2(A)に示すように、それぞれの電極23a,23bには給電ケーブル41a,41bが電気的に接続され、それぞれの給電ケーブル41a,41bには図示しないコネクターを介して図1に示すように電源ユニット42に接続されるようになっている。電源ユニット42からは対をなす電極が逆極性となるように高周波電流が供給される。なお、それぞれの通電モジュール20には一対の電極が設けられているが、少なくもと1対の電極が設けられていれば、複数の電極を設けるようにしても良い。
【0029】
図1に示す抽出装置の第1の抽出ユニット11によって抽出対象物Eから液体に抽出成分を抽出するには、それぞれの通電モジュール20内に抽出対象物Eを投入した状態のもとで、全ての通電モジュール20を相互に連結して第1の抽出ユニット11を組み立てるとともに、抽出ユニット11を液体供給管13aと液体搬出管17aとの間に連結する。この状態のもとで、ポンプ15により液体容器16内の水を抽出ユニット11内の液体通路21内に流しながら電源ユニット42からそれぞれの電極対に対して電力を供給する。第2の抽出ユニット12によって抽出対象物Eから液体に抽出成分を抽出する場合にも同様の手順により抽出操作が行われる。
【0030】
それぞれの抽出ユニット11,12においては、液体容器16内の水を連続的に供給することにより連続的に抽出操作を行うことができ、その操作時には、液体は上流側から下流側に向かうに従って温度が高くなり、最下流側の通電モジュール20内の液体温度が最も高くなる。通電モジュール20内の抽出対象物Eの抽出成分が殆ど抽出されると、抽出対象物Eは抽出カスとなる。抽出カスが収容された通電モジュール20を抽出ユニットから取り外し、新たな抽出対象物Eが収容された通電モジュール20を抽出ユニットに装填する必要があるので、通電モジュールの交換作業が行われる際には、抽出ユニットの抽出操作は停止される。
【0031】
図1に示すように、2つの抽出ユニット11,12を有する抽出装置においては、一方の抽出ユニットにより抽出操作を行いながら、他方の抽出ユニットにおける通電モジュールの交換操作を行うことにより、液体容器16内の水を連続的に送りながら、抽出液を回収容器18に供給することができる。例えば、第1の抽出ユニット11に対する液体の供給を停止して抽出操作を停止させた状態のもとで、第2の抽出ユニット12に対して液体容器16内の液体を供給するとともに抽出ユニット12におけるそれぞれの電極対に電源ユニット42から電力を供給することにより、回収容器18に連続的に抽出液を供給することができる。抽出操作が停止された状態の抽出ユニット11においては、少なくともいずれか1つの通電モジュール20を交換することができる。
【0032】
この抽出操作時には、抽出ユニットの通電モジュール20内の抽出対象物Eは、水分を含んで導電性となるので抽出対象物Eには水を介して電流が流れ、ジュール熱が発生して抽出対象物Eは加熱される。抽出対象物Eは、通電加熱時には下流側の網状部材26により水の流れに抗して通電モジュール20内に捕捉されて停滞した状態のもとで発熱して加熱されることになるが、水は液体通路21内を連続的に流れることになるので、停滞した抽出対象物Eは水よりも高い温度となっても、抽出対象物Eは水により冷却されて過度に温度が上昇することなく、抽出成分が水の中に抽出される。
【0033】
図3(A)〜図3(C)は通電モジュールの交換手順を示す工程図である。抽出操作が停止された第1の抽出ユニット11における通電モジュール20の交換手順としては、図3(A)に示すように、最下流側の通電モジュール20(d)を抽出ユニット11から取り外し、図3(B)に示すように他の3つの通電モジュール20(a)〜(c)を最下流側の位置に移動する。これにより、図1における通電モジュール20(c)が最下流側に移動し、最上流側の通電モジュール20(a)の部分が空きスペースとなる。この空きスペースには、図3(C)に示すように、新たな抽出対象物が収容された新たな通電モジュール20(e)が装着され、隣り合う通電モジュール20(a)にクランパ31により締結され、新たな通電モジュール20(e)が最上流側の通電モジュールとなる。最上流側に新たな通電モジュール20(e)が装着されたならば、その通電モジュール20(e)を液体供給管13aにクランパ31により締結し、さらに最下流側の通電モジュール20(c)を液体搬出管17aにクランパ31により締結することにより、第1の抽出ユニット11は4つの通電モジュール20が直列に接続されて抽出操作可能状態となる。
【0034】
抽出対象物に含まれる抽出成分は抽出時間の経過、および抽出温度の上昇とともに液体に抽出されることになる。抽出ユニット内を流れる水の温度は、上流側から下流側に向かうに従って高くなり、最下流側の通電モジュール内の温度が最も高くなるので、最下流側の通電モジュール内の抽出対象物Eにおける抽出成分が殆ど全て液体に抽出されるように抽出時間と通電量が設定される。したがって、所定の通電操作が終了した後に、最下流側の通電モジュールを取り外して最上流側に新たな通電モジュールを装填するという通電モジュールの交換操作を行うと、抽出成分が殆ど液体に抽出された抽出対象物つまり抽出カスを順次外部に廃棄することができる。
【0035】
第1の抽出ユニット11が抽出操作可能状態となったならば、第2の抽出ユニット12の抽出操作を停止して第1の抽出ユニット11により抽出操作を行うことができ、この抽出ユニット11により抽出操作が行われているときには、第2の抽出ユニット12における通電モジュール20の交換操作を上述と同様にして行うことができる。したがって、各々の通電モジュール20内に収容された抽出対象物Eは間歇的に4回抽出操作が行われることにより、抽出操作が完了する。
【0036】
図1に示すようにそれぞれの抽出ユニット11,12はそれぞれ4つの通電モジュール20を有しているが、通電モジュール20の数は抽出対象物の種類によって任意の数とすることができ、その種類によってはそれぞれの抽出ユニット11,12を1つの通電モジュールによって構成するようにしても良い。同様に、抽出ユニットの数も任意の数とすることができ、停止状態の抽出ユニットにおける通電モジュールの交換時間を考慮して、抽出ユニットの停止時間が長くならないように、例えば、複数の抽出ユニットを同時に抽出操作させるとともに、複数の抽出ユニットを停止させて通電モジュールの交換を行うようにしても良い。
【0037】
図4(A)は本発明の他の実施の形態である通電モジュールを示す縦断面図であり、図4(B)は図4(A)における4B−4B線断面図である。
【0038】
この通電モジュール20内には抽出対象物がメッシュ状の袋体43に収容された状態で配置されるようになっており、袋体43は多数の液体通過孔を有しているが、その孔の径は内部の抽出対象物よりも小さく設定されている。このように袋体43の中に抽出対象物Eを収容した場合には、液体通路21内を流れる液体によって袋体43が通電モジュール20の中から流出しないようにすれば、抽出対象物Eを通電モジュール20内に停滞させることができるので、図2に示した網状部材26に代えて、複数本の棒状部材26aからなるストッパにより停滞手段を構成することができる。棒状部材26a相互間により形成される通液スペースは、図2に示した網状部材26に形成された多数の液体通過孔よりも大きくすることができるので、抽出ユニット11,12内の液体の流れ抵抗を図2に示す場合よりも小さくすることができる。
【0039】
なお、抽出対象物Eを袋体43内に収容する場合には、袋体43が通電モジュール20内から流出しないようにすれば良いので、袋体43に紐を設けてその紐を通電モジュール20に設けた停滞手段としてのフック部に引っ掛けるようにしても良い。また、袋体43を用いる場合には、ストッパつまり棒状部材26aを管状部材22の下流側のみに設けるようにしても良い。
【0040】
図5(A)は本発明の他の実施の形態である通電モジュールを示す縦断面図であり、図5(B)は図5(A)における5B−5B線断面図である。
【0041】
この通電モジュール20の管状部材22は液体通路21が形成された断面角形の合成樹脂により形成されており、管状部材22の内面にはそれぞれ板状の第1の電極23aと第2の電極23bが対となって相互に対向して取り付けられている。管状部材22の両端部には締結フランジ44,45が取り付けられており、両方の締結フランジ44,45はタイロッド46により連結されている。一方の締結フランジ44には連結フランジ47が一体に設けられるとともに締結フランジ44に網状部材26が固定されている。他方の締結フランジ45には連結フランジ48が着脱自在に装着されるようになっており、連結フランジ48と締結フランジ45により網状部材26が通電モジュール20に対して着脱自在となっている。図5に示す通電モジュール20においては、管状部材22の一端部側の網状部材26は管状部材22から取り外すことができず、他端部側の網状部材26のみが取り外すことができるようになっている。ただし、両方の網状部材26を図2に示す場合と同様に取り外すことができるようにしても良い。
【0042】
図6(A)は本発明の他の実施の形態である通電モジュール20を示す縦断面図であり、図6(B)は図6(A)における6B−6B線断面図である。この通電モジュール20は液体通路21が形成された断面円形の樹脂製の管状部材22を有しており、管状部材22の両端部には相互に対向するように板状の電極23a,23bが対となって取り付けられている。
【0043】
液体通路21に連通して管状部材22の一端部に側面を開口させて筒部51が設けられるとともに、他端部に側面を開口させて筒部52が設けられている。それぞれの筒部51,52には、網状部材26が着脱自在に装着されるようになっている。それぞれの網状部材26は円形の枠体27を有し、枠体27には3つの突起54が径方向外方に突出して円周方向に120度のピッチで設けられており、それぞれの筒部51、52には突起54の円周方向のピッチに対応したピッチとなって案内溝55が軸方向に延びて形成されている。したがって、突起54の位置に案内溝55を一致させると、網状部材26を通電モジュール20に着脱することができ、網状部材26を装着した状態で回転させると、網状部材26は通電モジュール20に取り付けられることになる。このように、図6に示す網状部材26は通電モジュール20に直接取り付けることができるが、上述した他の通電モジュール20においても同様に網状部材26および棒状部材26aを通電モジュール20に対して直接着脱するようにしても良い。
【0044】
図7は本発明の更に他の実施の形態である通電モジュール20を示す縦断面図であり、管状部材22の両端は端板部53により閉塞されており、この管状部材22は端板部53を含めて樹脂等の絶縁性材料により形成されている。管状部材22の内面には円筒形状の電極23aが固定され、管状部材22の中心部に配置される棒状の電極23bはその両端が端板部53により固定されており、円筒形状の電極23aと棒状の電極23bとにより電極対が構成されている。液体通路21に連通して管状部材22の一端部に側面を開口させて形成された筒部51にはフランジ24が着脱自在に装着されるとともに、他端部に側面を開口させて形成された筒部52にはフランジ25が着脱自在に装着されており、それぞれのフランジ24,25によって網状部材26が管状部材22に挟み付けられて着脱自在となっている。ただし、一方の網状部材26を図5に示す場合と同様に取り外しができないようにしても良く、図6に示すように、網状部材26を着脱自在としても良い。
【0045】
なお、図4〜7においては、図2に示した部材と共通の機能を有する部材には同一の符号が付されている。また、図5〜図7に示す通電モジュール20においては、網状部材26が設けられているが、網状部材26に代えて図4に示すストッパつまり棒状部材26aをそれぞれの管状部材22に設けるようにしても良く、その場合には抽出対象物Eは袋体43内に収容された状態で管状部材22の中に配置される。
【0046】
図8は本発明の他の実施の形態である抽出装置を示す平面図であり、この場合にはそれぞれ4つの通電モジュール20により形成される抽出ユニット11,12が接続され、水平方向を向いて配置されている。抽出ユニット11の一端部と抽出ユニット12の他端部とが連通管56により接続され、抽出ユニット11の他端部に連結される連通管57には三方弁14aを介して液体供給管13aが接続されるとともに三方弁14aを介して液体搬出管17bが接続されており、液体供給管13aはポンプ15が設けられた液体供給管13に三方弁14を介して接続されている。抽出ユニット12の一端部には連通管58が接続されるようになっており、この連通管58は三方弁14bを介して液体供給管13と液体搬出管17aとが接続されるようになっている。
【0047】
図8に示す抽出装置においては、三方弁14,14a,14bの切換操作によって、実線の矢印で示すように第1の抽出ユニット11から第2の抽出ユニット12に液体を流してそれぞれの抽出ユニット11,12に他端部側から一端部側に正方向に液体を流す正方向の抽出と、破線の矢印で示すように第2の抽出ユニット12から第1の抽出ユニット11に液体を流してそれぞれの抽出ユニット11,12に一端部側から他端部側に逆方向に液体を流す逆方向の抽出とを行うことができる。これにより、合計8つの通電モジュール20内の抽出対象物を全体的に均一に抽出操作を行うことができる。ただし、1つの抽出ユニットにより抽出装置を構成するようにしても良い。
【0048】
このように、抽出ユニット11,12内に正方向と逆方向とに液体を流す場合には、それぞれの通電モジュール20内の抽出対象物を同時に交換する必要があるので、連続的に抽出操作を行う場合には、図8に示した抽出装置を複数台設ける必要がある。また、抽出ユニット11,12内に正方向と逆方向とに液体を流す場合には、それぞれの通電モジュール20内に気泡が入り込まないように水平に配置されている。
【0049】
図9は本発明の他の実施の形態である抽出装置を示す正面図であり、この抽出装置の基本構造は図1に示した抽出装置と同様である。図9に示す抽出装置においては、液体搬出管17a,17bにそれぞれ圧力調整手段としての背圧調整弁61a,61bが設けられており、それぞれの背圧調整弁61a,61bにより通電モジュール20内の圧力を大気圧以上の圧力に設定するようにしている。このように、それぞれの通電モジュール20内の圧力を大気圧以上の圧力に設定すると、通電モジュール20内を流れる液体の温度を100℃以上の温度に設定することができ、抽出効率を高めることができる。
【0050】
通電モジュール20内の圧力を大気圧以上に設定するための圧力調整手段としては、図9に示す背圧調整弁61a,61bに限られることなく、それぞれの背圧調整弁61a,61bの位置に圧力調整用のポンプを配置するようにしても良い。その場合にはそれぞれの圧力調整用のポンプにより通電モジュール20内の圧力を大気圧以上に設定することができる。さらに、回収容器18を密閉式の容器とし、密閉式の容器に外部から圧縮空気を供給することによって容器を含めて通電モジュール20内の圧力を大気圧以上の圧力に設定することができる。ただし、その場合には、それぞれの液体搬出管17a,17bの搬出端に開閉弁を設けて、一方の抽出ユニットが使用されているときには、他方の抽出ユニットの液体搬出管を閉じるようにすることになる。
【0051】
なお、図8に示す抽出装置においても、通電モジュール20内の圧力を圧力調整手段により大気圧以上に調整するようにしても良い。
【0052】
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、それぞれの通電モジュール20には1対の電極対が設けられているが、各々の通電モジュール20に電極対の電極を設けるようにしても良い。また、抽出対象物Eとしては、上述した茶葉、コーヒーおよび薬草のみならず、魚介エキス、鶏ガラエキスなど水を含むと通電性を有するものであれば、どのようなものでも良い。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の一実施の形態である抽出装置を示す正面図である。
【図2】(A)は図1に示された通電モジュールを示す断面図であり、(B)は(A)における2B−2B線断面図である。
【図3】(A)〜(C)は通電モジュールの交換手順を示す工程図である。
【図4】(A)は本発明の他の実施の形態である通電モジュールを示す縦断面図であり、(B)は(A)における4B−4B線断面図である。
【図5】(A)は本発明の他の実施の形態である通電モジュールを示す縦断面図であり、(B)は(A)における5B−5B線断面図である。
【図6】(A)本発明の他の実施の形態である通電モジュールを示す縦断面図であり、(B)は(A)における6B−6B線断面図である。
【図7】本発明の更に他の実施の形態である通電モジュールを示す縦断面図である。
【図8】本発明の他の実施の形態である抽出装置を示す平面図である。
【図9】本発明の更に他の実施の形態である抽出装置を示す正面図である。
【符号の説明】
【0054】
11 抽出ユニット(第1の抽出ユニット)
12 抽出ユニット(第2の抽出ユニット)
13,13a,13b 液体供給管
15 ポンプ(液体供給手段)
16 液体容器
17,17a,17b 液体搬出管
18 回収容器
20 通電モジュール
21 液体通路
22 管状部材
23a 電極(第1の電極)
23b 電極(第2の電極)
24,25 フランジ
26 網状部材(停滞手段)
26a 棒状部材(ストッパ、停滞手段)
31 クランパ
41a,41b 給電ケーブル
42 電源ユニット
61a,61b 背圧調整弁(圧力調整手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
茶葉等の抽出対象物の抽出成分を前記抽出対象物の加熱により液体に抽出する抽出装置であって、
絶縁性材料からなり液体通路が形成されるとともに前記抽出対象物を収容する管状部材と前記管状部材に設けられる少なくとも1対の電極対とを有する通電モジュールと、
前記管状部材に前記液体通路を貫通する液体を供給する液体供給手段と、
前記通電モジュールに設けられ、前記管状部材内に収容された前記抽出対象物が前記液体通路内の液体の流れに抗して前記通電モジュールの外部に排出されるのを防止して前記抽出対象物を前記液体通路内に停滞させる停滞手段と、
前記電極対に電力を供給し、前記管状部材内の前記抽出対象物に前記液体を介して通電し前記抽出対象物をジュール熱により加熱する電源ユニットとを有することを特徴とする抽出装置。
【請求項2】
茶葉等の抽出対象物の抽出成分を前記抽出対象物の加熱により液体に抽出する抽出装置であって、
絶縁性材料からなり液体通路が形成されるとともに前記抽出対象物を収容する管状部材と前記管状部材に設けられる少なくとも1対の電極対とをそれぞれ有する複数の通電モジュールを直列に接続して形成される抽出ユニットと、
前記抽出ユニットに前記液体通路を貫通する液体を供給する液体供給手段と、
それぞれの前記通電モジュールに設けられ、それぞれの前記管状部材内に収容された前記抽出対象物が前記液体通路内の液体の流れに抗してそれぞれの前記通電モジュールの外部に排出されるのを防止して前記抽出対象物を前記液体通路内に停滞させる停滞手段と、
それぞれの前記電極対に電力を供給し、それぞれの前記管状部材内の前記抽出対象物に前記液体を介して通電し前記抽出対象物をジュール熱により加熱する電源ユニットとを有することを特徴とする抽出装置。
【請求項3】
請求項2記載の抽出装置において、複数の前記通電モジュールを相互に着脱自在に連結し、前記液体を前記抽出ユニットに供給する液体供給管と前記抽出ユニットの流入端部とを着脱自在に連結し、抽出液を外部に排出する液体搬出管と前記抽出ユニットの流出端部とを相互に着脱自在に連結することを特徴とする抽出装置。
【請求項4】
茶葉等の抽出対象物の抽出成分を前記抽出対象物の加熱により液体に抽出する抽出装置であって、
絶縁性材料からなり液体通路が形成されるとともに前記抽出対象物を収容する管状部材と前記管状部材に設けられる少なくとも1対の電極対とをそれぞれ有する複数の通電モジュールを相互に着脱自在に直列に接続して形成される少なくとも1つの第1の抽出ユニットと、
絶縁性材料からなり液体通路が形成されるとともに前記抽出対象物を収容する管状部材と前記管状部材に設けられる少なくとも1対の電極対とをそれぞれ有する複数の通電モジュールを相互に着脱自在に直列に接続して形成される少なくとも1つの第2の抽出ユニットと、
それぞれの前記抽出ユニットの流入端部が着脱自在に接続され、前記液体通路を貫通する液体を供給する液体供給管と、
それぞれの前記抽出ユニットの流出端部が着脱自在に接続され、抽出液を外部に排出する液体搬出管と、
それぞれの前記通電モジュールに設けられ、それぞれの前記管状部材内に収容された前記抽出対象物が前記液体通路内の液体の流れに抗してそれぞれの前記通電モジュールの外部に排出されるのを防止して前記抽出対象物を前記液体通路内に停滞させる停滞手段と、
それぞれの前記電極対に電力を供給し、それぞれの前記管状部材内の前記抽出対象物に前記液体を介して通電し前記抽出対象物をジュール熱により加熱する電源ユニットとを有することを特徴とする抽出装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の抽出装置において、前記抽出対象物よりもサイズが小さい多数の液体通過孔を有し、前記通電モジュールの端部に設けられる網状部材により前記停滞手段を形成することを特徴とする抽出装置。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の抽出装置において、前記抽出対象物を収容する通液性の袋体に係合し、液体の流れにより前記通電モジュールの外部に前記袋体が排出されるのを防止するように前記通電モジュールの端部に設けられるストッパにより前記停滞手段を形成することを特徴とする抽出装置。
【請求項7】
請求項5または6記載の抽出装置において、前記網状部材または前記ストッパを前記通電モジュールの両端部に設けるとともに少なくとも一方の端部に設けられる前記網状部材または前記ストッパを前記通電モジュールから取り外し自在に設けることを特徴とする抽出装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項記載の抽出装置において、前記通電モジュール内の圧力を大気圧以上の圧力に設定する圧力調整手段を有することを特徴とする抽出装置。
【請求項9】
絶縁性材料からなり液体通路が形成されるとともに抽出対象物を収容する管状部材と前記管状部材に設けられる少なくとも1対の電極対とをそれぞれ有する複数の通電モジュールを相互に着脱自在に直列に接続してそれぞれ形成される第1と第2の少なくとも2つの抽出ユニットと、それぞれの前記通電モジュールに設けられ、それぞれの前記管状部材内に配置された前記抽出対象物が前記液体通路内の液体の流れに抗してそれぞれの前記通電モジュールの外部に排出されるのを防止する停滞手段とを有する抽出装置を用いて、茶葉等の抽出対象物の抽出成分を前記抽出対象物の加熱により液体に抽出する抽出方法であって、
前記第1の抽出ユニットに対する液体の供給を停止した状態のもとで、前記第2の抽出ユニットに対して液体を供給するとともに前記第2の抽出ユニットにおける前記電極対に電力を供給して前記第2の抽出ユニット内の前記抽出対象物をジュール熱により加熱する抽出工程と、
液体の供給が停止された状態の前記第1の抽出ユニットにおける前記通電モジュールを前記第1の抽出ユニットから取り外した後に、前記第1の抽出ユニットに新たな前記通電モジュールを装着する交換工程とを有し、
前記第1の抽出ユニットにより抽出を行っている状態のもとで、前記第2の抽出ユニットにおける前記通電モジュールを交換することにより連続的に抽出操作を行うことを特徴とする抽出方法。
【請求項10】
請求項9記載の抽出方法において、前記第1の抽出ユニットから取り外される前記通電モジュールを最下流側の通電モジュールとし、新たな通電モジュールを最上流側に装着することを特徴とする抽出方法。
【請求項11】
請求項9または10記載の抽出方法において、前記通電モジュール内の圧力を大気圧以上の圧力に加圧した状態のもとで前記抽出操作を行うことを特徴とする抽出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−222159(P2007−222159A)
【公開日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−6208(P2007−6208)
【出願日】平成19年1月15日(2007.1.15)
【出願人】(000136642)株式会社フロンティアエンジニアリング (30)
【Fターム(参考)】