説明

担体輸送スタチンの医薬製剤およびそれらの使用

本発明は、アトルバスタチンおよびロスバスタチンのような、少なくとも一つの酸性安定性担体輸送スタチン、少なくとも一つの水溶性に乏しい担体輸送スタチンまたは少なくとも一つの大分子量担体輸送スタチン、またはその薬学的に許容しうる塩の治療的有効量を含む製剤、およびそれらの使用方法に関する。本発明の製剤および方法は、小腸内で治療的量のスタチンの制御放出を示すように設計することによって、スタチンの全身暴露を制限し且つ薬物の肝特異的吸収を最大限にする。本発明の製剤および方法は、体内の脂質および/またはコレステロールのレベルを減少させることによって利益を得る状態を処置するおよび/または予防するのに特に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[001] 本出願は、本明細書中に援用される、2003年11月4日出願の米国仮出願第60/516,770号の優先権の恩典を主張する。
発明の分野
[002] 本発明は、医薬製剤およびそれらの使用方法に関する。具体的には、本発明は、腸管を介して吸収後、担体輸送機構によって肝内に吸収されるスタチンであって、そして更に、酸性環境に安定である、大分子サイズのために乏しい膜透過性を有する、および/または乏しい水溶性を有するスタチンの製剤およびそれらの使用方法に関する。これらスタチンの輸送性、並びに他の物理的特性は、それらの肝バイオアベイラビリティーを制限する。本発明のスタチン製剤は、これら特性に関連した問題に向けられ、増加した肝バイオアベイラビリティーをもたらす。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
[003] スタチンは、3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリル補酵素A(HMG−CoA)レダクターゼを競合的に阻害する化合物のクラスであるが、そのレダクターゼは、コレステロール生合成の初期律速段階である、HMG−CoAのメバロネートへの変換を触媒する(Igel et al. (2002) J. Clin. Pharmacol. 42:835)。スタチンは、肝内のコレステロール生合成を減少させることによって血中脂質レベルを低下させる。したがって、スタチンは、総コレステロールおよび低密度リポタンパク質コレステロールのレベルを減少させるのに役立つそれらの能力について知られているが、それは、冠状動脈性心疾患を予防する場合に最も重要になる。同上。非肝組織中で起こりうる望ましくない作用のために、スタチンの全身アベイラビリティーは、望ましくないと考えられる。更に、HMG−CoAレダクターゼ阻害レベルを増加させるには、肝バイオアベイラビリティーを最大限にすることが望まれる。
【0003】
[004] ある種のスタチンは、それらの肝バイオアベイラビリティーを制限する性質を有し、したがって、それらの治療的作用を減少させ、そして潜在的に、それらの全身暴露を増加させる。拡散によって生体膜を越えることができないことは、例えば、一つのこのような性質である。摂取後、スタチンは、腸管を介して肝門脈中に吸収され、そして主な作用部位であり且つ主なコレステロール合成部位である肝内に分配される。親水性である、疎油性(lipophobic)である、および/または高分子量を有するスタチン化合物は、しばしば、in vivo で生体膜を越える拡散透過性に乏しいことを示している。したがって、生体膜を越える輸送は、ATPの加水分解によってしばしば供給されるエネルギーを典型的に必要とする担体輸送機構によって可能であるにすぎない。
【0004】
[005] 一つの具体的なスタチン取込み経路は、担体輸送機構による小腸を介する吸収後、更に担体輸送機構による肝細胞中への吸収を伴う。このような担体に媒介される機構に依存している薬物の作用部位への接近は、膜を越える輸送機構の能力に大きく依存する。腸管内に、スタチンが、輸送機構の能力を超える量で存在する場合、過剰の薬物は排泄されるであろう。肝門脈内に、スタチンが、膜を越える移動速度を飽和する量で存在する場合、その過剰量は、全身暴露および非肝組織分布に利用可能であり、血液中で検出することができる。
【0005】
[006] 肝バイオアベイラビリティーに影響することがありうる別の性質は、酸性環境での安定性である。例えば、プラバスタチンのようなある種のスタチン化合物は、酸性環境に不安定である。Triscari et al. (1995) J. Clin. Pharmacol. 35:142。口から投与された場合、これらスタチンは、胃内で、比較的不活性な代謝産物へと非酵素変換されることがありうる。同上。この問題を免れるには、典型的に、保護コーティングを用いて、スタチンが胃の酸性環境から小腸内へと通過するまで、スタチンの放出を遅延する。酸性安定性スタチンについては、保護コーティングは必要とされないが、改変放出製剤において追加の制御機構として用いることができる。したがって、酸性安定性スタチンが用いられる場合、改変放出製剤によって増加した肝バイオアベイラビリティーを達成するのに、融通性が一層大きい。
【0006】
[007] スタチンの肝バイオアベイラビリティーを制限することがありうるもう一つの性質は、水溶性である。若干のスタチン薬は、水溶性に乏しい。水に可溶性でないスタチンは、しばしば、乏しい溶解プロフィールを有して、in vivo 投与された場合に減少したバイオアベイラビリティーを生じる。これら薬物の十分な水溶性の欠如は、それらの有効性を改善するように向けられることを要求する製剤難点を生じる。
【0007】
[008] ある種のスタチンの肝バイオアベイラビリティーを制限することがありうるもう一つの性質は、膜拡散透過性である。生体膜を越えて拡散する場合の薬物の難点は、薬物吸収への有意の影響力である。乏しい膜透過性は、分子サイズおよび分子の電荷、更には、その疎水性/親水性を含めたいくつかの因子のためでありうる。例えば、いくつかのスタチンは、それらの大分子サイズのために乏しいまたは無視しうる膜拡散透過性を示し、したがって、生体膜を越えた吸収を達成するのに、担体輸送機構の部位で放出されることに事実上頼っている。若干の状況において、制限された膜透過性は、変化しうるまたは不完全な肝バイオアベイラビリティーを生じる。更に、許容しうる経口バイオアベイラビリティーを有する、膜拡散透過性に乏しいスタチンについても、吸収速度は遅く、作用開始時間に影響するかもしれない。
【0008】
[009] 更に、若干のスタチンは、上部胃腸管内での許容しうる吸収速度および吸収度を示すが、薬物が胃腸管の最適領域で放出される場合にすぎない。このカテゴリーのスタチンについて、経口投与後の薬物吸収および全身暴露の時間経過を変更することに治療的利点があるかもしれないが、慣用的制御放出技術の適用は、天然の吸収部位を迂回していたことから、必要な吸収度を達成することはないであろう。
【0009】
[010] したがって、一つまたはそれを超えるこれら性質を示し、肝バイオアベイラビリティーを制限し、しかも全身暴露を増加させることもありうるスタチンについては、当該技術分野において、腸管内および肝内での一層最適な吸収を可能にする新しい製剤が要求されている。具体的には、腸管内および肝内での吸収を最大限にする放出速度を与える酸性安定性担体輸送スタチン製剤が要求されている。更に、水溶性に乏しいスタチンの肝バイオアベイラビリティーを、それらの溶解度を改善することによって改善している、そして大分子量スタチンの肝バイオアベイラビリティーを、それらの透過性を改善することによって改善している改変放出製剤が要求されている。このような改変放出製剤は、腸管内および肝内でのスタチン吸収を最大限にするのに役立ち、したがって、全身暴露および関連副作用を制限すると考えられる。
【0010】
[011] 上に論じられた酸性安定性、乏しい水溶性および大分子量の性質を示す具体的な担体輸送スタチンの例には、アトルバスタチンおよびロスバスタチンが含まれる。アトルバスタチンは、スタチン薬クラスのメンバーであり、酸性環境に安定である完全合成五置換ピロールである。その大分子サイズ(二カルシウム塩としてMW1209;遊離酸としてMW557)のゆえに、アトルバスタチンは、その親油性にもかかわらず、乏しい膜透過性を示す。更に、アトルバスタチンは、特に、酸性環境において水溶性に乏しい。例えば、米国薬局方(U.S. Pharmacopeia)(2002年)に定義されたように、アトルバスタチンは、「きわめて僅かに可溶性(very slightly soluble)」と考えられる。
【0011】
[012] アトルバスタチンカルシウム(LIPITOR(登録商標)として販売されている)は、HMG−CoAレダクターゼの競合的阻害によって、他のスタチンと同様の肝内機構を共有していると考えられる。したがって、アトルバスタチンは、概して、冠状動脈性心疾患を予防する場合の主要な標的である総コレステロールおよび低密度リポタンパク質コレステロール(LDL−C)を減少させるために処方されている。アトルバスタチンは、LDL−Cレベルを減少させる場合(40〜60%減少)、他のスタチン(25〜35%減少)と比較して、特に有効である(Malinowski (1998) Am J. Health-Syst Pharm 55:2253)。更に、アトルバスタチンは、トリグリセリドのレベルを、他のスタチンより大きく減少させると考えられるが、その機構は識別されていない。同上。アトルバスタチンは、更に、機能性LDL受容体を生じることができないことを特徴とする希な脂質障害であるホモ接合性家族性高コレステロール血症の患者のLDL−Cを減少させる場合に、他のスタチンよりも有効である。他の作用の中で、アトルバスタチンは、更に、アテローム性動脈硬化症病変数を減少させ、血管平滑筋細胞増殖を減少させる。Malinowski (1998) Am J. Health-Syst Pharm 55:2253。
【0012】
[013] プラバスタチンのような酸性不安定性スタチンとは異なり、アトルバスタチンは、胃内で見出されるような酸性環境に安定である。全ての担体輸送スタチンの場合と同様に、アトルバスタチンは、いったん胃から出て通過すると、腸管内で吸収後、担体輸送機構によって肝内で吸収される。経口投与されたアトルバスタチンの僅か約30%が、腸管から吸収される。大部分の他のスタチンと同様に、アトルバスタチンは、肝内で広範な初回通過代謝を受ける。腸管から吸収された約70%またはそれを超えるアトルバスタチンは、肝で取り込まれて、約12%の、親薬物の全身バイオアベイラビリティーを生じ、そして30%の、(親薬物およびその代謝産物を含めた)活性阻害剤の全身アベイラビリティーを生じる。同上。80mgを超える1日用量は推奨されない。アトルバスタチンのピーク血漿レベルは、摂取後1〜4時間に達せられるが、定常状態血漿レベルは、32〜72時間に到達する。同上。食物と一緒に摂取された場合、アトルバスタチンの吸収速度は減少する(Cmaxは50%に減少し、tmaxは10時間遅延する)が、全体の吸収度は、僅かに減少するにすぎない(濃度曲線下面積(AUC)は、僅か12%減少する)。同上。
【0013】
[014] アトルバスタチンのいくつかの代謝産物は、親薬物の場合と同様であるHMG−CoAレダクターゼ阻害活性を示すと考えられる。これら代謝産物には、o−ヒドロキシル化産物およびp−ヒドロキシル化産物が含まれるが、それらは、アトルバスタチンの阻害活性の約70%の原因である。アトルバスタチンおよびその代謝産物は、他のスタチンの場合と同様に、胆汁によって排出されるので、肝または腸管を介して再循環されることはない。血漿中のアトルバスタチンの半減期(t1/2)は、13〜24時間であり、14時間の平均値を有する。アトルバスタチンの半減期は、24時間未満であるが、HMG−CoAレダクターゼ阻害の持続時間は、代謝産物の阻害活性のために約20〜30時間であることから、通常、アトルバスタチンは1日1回だけ投与される。アトルバスタチンのこの長期持続阻害は、認められる増加した脂質レベル減少を説明することができる(Malinowski (1998) Am J. Health-Syst Pharm 55:2253)。
【0014】
[015] ロスバスタチンは、酸に安定であるスタチンファミリーの別の新しいメンバーであり、その取込みは、担体輸送機構によって支配される。ロスバスタチン(CRESTOR(登録商標)という名称でFDA承認を最近受理した)は、完全合成単一鏡像異性オキシ酸であり、それは、新規な系列のN−メタンスルホンアミドピリミジンおよびN−メタンスルホニルピロール置換3,5−ジヒドロキシ−6−ヘプテノエートに属する(Cheng-Lai (2003) Heart Disease 5:72)。ロスバスタチンは、共通のスタチンファーマコフォア(pharmacophore)を共有するが、それは、その親水性を増加させる追加のメタンスルホンアミド基を有する。その増加した親水性およびその大分子サイズ(二カルシウム塩としてMW1001;遊離酸としてMW480)のゆえに、ロスバスタチンは、生体膜を越える難点を有する。ロスバスタチンは、更に、酸性および塩基性双方の条件下において、水への可溶性が比較的乏しい。例えば、米国薬局方(2002年)に定義されたように、ロスバスタチンは、「やや可溶性(sparingly soluble)」と考えられる。
【0015】
[016] 他のスタチンの場合と同様に、ロスバスタチンは、HMG−CoAレダクターゼを競合的に阻害し、したがって、LDL−C、総コレステロールおよびトリグリセリドのレベルを減少させる場合に、更には、高密度リポタンパク質コレステロール(HDL−C)レベルを増加させる場合に有用である。ロスバスタチンは、最終FDA承認を最近受理したばかりであるが、臨床研究は、それが、LDL−Cレベルおよび総コレステロールレベルを減少させる場合に、プラバスタチンかまたはシンバスタチンよりも有効でありうるということを示唆している(Cheng-Lai (2003) Heart Disease 5:72)。ロスバスタチン中の余分のメタンスルホンアミド基は、HMG−CoAレダクターゼとの追加のイオン結合相互作用を生じ、したがって、HMG−CoAレダクターゼへの一層大きい親和性を生じると考えられる。したがって、ロスバスタチンは、最低のIC50(ラット肝細胞において0.16nM)を有し、全てのスタチンの内で、肝細胞中の最も強力なステロール合成阻害剤である(White (2000) J. Clin. Pharmacol. 42:963)。
【0016】
[017] ロスバスタチンは、投薬量に依存して、LDL−Cレベルを34%〜65%減少させる。ロスバスタチンは、更に、HDL−Cレベルを9%〜14%増加させ、トリグリセリドレベルを10%〜35%減少させる(Igel et al. (2002) J. Clin. Pharmacol. 42:835)。更に、ロスバスタチンは、1〜40mgの範囲の用量でヒトに十分に耐性であるが、黄紋筋融解のような、プラバスタチン、アトルバスタチンおよびシンバスタチンについて認められるのと同様の有害な副作用を伴う。同上。具体的には、高用量のロスバスタチン(例えば、80mgおよびそれを超える)は、第III相臨床試験においてミオパシーに関連していた。同上。
【0017】
[018] ロスバスタチンは、肝内で徐々に代謝されるが、そこでは、シトクロムP450イソ酵素による代謝が制限される。一つの主要なN−デスメチル代謝産物(主に、CYP2C9およびCYP2C19によって形成される)が識別されたが、それは、HMG−CoAレダクターゼを阻害する場合、親化合物より活性が7倍小さい。更に、ロスバスタチンの阻害活性の90%は、親化合物によると考えられる(White (2000) J. Clin. Pharmacol. 42:963)。したがって、ロスバスタチン代謝は遅く且つ制限されるので、臨床的に有意の代謝的に媒介される他の薬物との相互作用は考えられない(Cheng-Lai (2003) Heart Disease 5:72)。
【0018】
[019] ロスバスタチンは、担体に媒介される機構に基づいて肝細胞中に選択的に取り込まれるが、吸収された用量の90%までが肝によって抽出される。(Igel et al. (2002) J. Clin. Pharmacol. 42:835)。食物の存在は、吸収速度を減少させるが、全体の吸収度は一定のままである。ピーク血漿濃度(Cmax)並びにAUCは、5〜80mgの範囲の用量に関して、3〜5時間のtmaxで、比較的直線の関係を示す。(Igel et al. (2002) J. Clin. Pharmacol. 42:835)。更に、ロスバスタチンは、20時間の長い排除半減期(t1/2)を有する。ロスバスタチンのクリアランスは、主に胆汁排泄によって行われるが(90%)、10%は尿中に排泄される(Cheng-Lai (2003) Heart Disease 5:72)。
【0019】
[020] プラバスタチンとは異なるが(アトルバスタチンと同様に)、ロスバスタチンは、胃内で見出されるような酸性環境に安定である。ロスバスタチンは、いったん胃から出て通過すると、小腸内の担体輸送機構によって循環に入ると考えられる。吸収後、ロスバスタチンは、担体輸送機構によって肝細胞に入る。肝細胞中において高レベルで発現される有機陰イオン輸送ポリペプチドCは、肝内のHMG−CoAレダクターゼ標的酵素へとロスバスタチンを選択的に送達する場合に重要な役割を果たしていると考えられる(White (2000) J. Clin. Pharmacol. 42:963)。したがって、肝によって最終的に吸収される且つHMG−CoAレダクターゼへの結合に利用可能であるロスバスタチンの量は、腸管および肝内での取込み速度に依存する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
発明の要旨
[021] 本発明は、酸性安定性担体輸送スタチンの肝バイオアベイラビリティーを増加させる方法であって、対象に、酸性安定性担体輸送スタチンまたはその薬学的に許容しうる塩の治療的有効量を医薬製剤中で投与することを含む方法に関する。ある種の態様において、その製剤は、胃内でスタチンの放出を引き起こし、そしてスタチンを、腸管および肝細胞の吸収機構を飽和させない速度で放出する。他の態様において、その製剤は、組成物が胃から出て通過するまで、実質的な量のスタチンの遅延放出を引き起こした後、腸管および肝細胞の吸収機構を飽和させない速度でスタチンを放出する。
【0021】
[022] この方法の一つの態様において、酸性安定性担体輸送スタチンは、アトルバスタチンである。別の態様において、酸性安定性担体輸送スタチンは、ロスバスタチンである。もう一つの態様において、投与は、同等有効量の慣用的放出製剤と比較したところ、約90%未満の、酸性安定性担体輸送スタチンの相対的全身バイオアベイラビリティーを達成する。別の態様において、投与は、同等有効量の慣用的放出製剤と比較したところ、約80%未満の、酸性安定性担体輸送スタチンの相対的全身バイオアベイラビリティーを達成する。
【0022】
[023] 本発明は、更に、スタチン肝バイオアベイラビリティーを増加させる方法であって、約80%を超えるスタチン含量を約1時間〜約8時間の期間にわたって放出するスタチン製剤を投与することによる方法を包含する。
【0023】
[024] 本発明は、更に、高コレステロール血症を処置する方法であって、このような処置を必要としている対象に、酸性安定性担体輸送スタチン(carrier-mediated statin)またはその薬学的に許容しうる塩の治療的有効量を医薬製剤中で投与することを含み、ここにおいて、その製剤が、酸性安定性担体輸送スタチンを、約2時間を超える期間にわたって放出する方法に関する。
【0024】
[025] この方法の一つの態様において、酸性安定性担体輸送スタチンは、アトルバスタチンである。別の態様において、酸性安定性担体輸送スタチンは、ロスバスタチンである。
【0025】
[026] 本発明は、更に、高コレステロール血症を処置する方法であって、スタチン製剤であって、
2時間:約40%と同等またはそれ未満;
4時間:約20%〜約80%;および
6時間:約70%を超える
というような酸性安定性担体輸送スタチン放出速度を示す製剤を投与することによる方法を包含する。
【0026】
[027] 本発明は、更に、改変放出製剤であって、酸性安定性担体輸送スタチンまたはその薬学的に許容しうる塩の治療的有効量を含み、酸性安定性担体輸送スタチンを、腸管内および肝内での吸収速度とほぼ同等またはそれ未満である速度で放出する製剤を包含する。
【0027】
[028] これら製剤の一つの態様において、酸性安定性担体輸送スタチンは、アトルバスタチンである。別の態様において、酸性安定性担体輸送スタチンは、ロスバスタチンである。もう一つの態様において、製剤は、
2時間:約40%と同等またはそれ未満;
4時間:約20%〜約80%;および
6時間:約70%を超える
というような酸性安定性担体輸送スタチン放出速度を示す。
【0028】
[029] 本発明は、更に、大分子量担体輸送スタチンの肝バイオアベイラビリティーを増加させる方法であって、対象に、大分子量担体輸送スタチンまたはその薬学的に許容しうる塩の治療的有効量を医薬製剤中で投与することを含み、ここにおいて、その製剤が、膜透過性促進剤を含み、しかもその製剤が、大分子量担体輸送スタチンを、腸管および肝細胞の吸収機構を飽和させない速度で放出する方法に関する。
【0029】
[030] この方法の一つの態様において、大分子量担体輸送スタチンは、アトルバスタチンである。別の態様において、大分子量担体輸送スタチンは、ロスバスタチンである。もう一つの態様において、これら方法は、約80%を超えるスタチン含量を約1時間〜約8時間の期間にわたって放出する製剤を使用する。もう一つの態様において、これら方法は、同等有効量の慣用的放出製剤と比較したところ、約90%未満または約80%未満の、大分子量担体輸送スタチンの相対的全身バイオアベイラビリティーを達成する製剤を使用する。
【0030】
[031] 本発明は、更に、高コレステロール血症を処置する方法であって、このような処置を必要としている対象に、大分子量担体輸送スタチンまたはその薬学的に許容しうる塩の治療的有効量を医薬製剤中で投与することを含み、ここにおいて、その製剤が、膜透過性促進剤を含み、しかもその製剤が、大分子量担体輸送スタチンを、約2時間を超える期間にわたって放出する方法を包含する。
【0031】
[032] この方法の一つの態様において、大分子量担体輸送スタチンは、アトルバスタチンである。別の態様において、大分子量担体輸送スタチンは、ロスバスタチンである。もう一つの態様において、製剤は、
2時間:約40%と同等またはそれ未満;
4時間:約20%〜約80%;および
6時間:約70%を超える
というような大分子量担体輸送スタチン放出速度を示す。
【0032】
[033] 本発明は、更に、改変放出製剤であって、大分子量担体輸送スタチンまたはその薬学的に許容しうる塩の治療的有効量および膜透過性促進剤を含み、そして大分子量担体輸送スタチンを、腸管内および肝内での吸収速度とほぼ同等またはそれ未満である速度で放出する製剤に関する。
【0033】
[034] これら製剤の一つの態様において、大分子量担体輸送スタチンは、アトルバスタチンである。別の態様において、大分子量担体輸送スタチンは、ロスバスタチンである。別の態様において、製剤は、
2時間:約40%と同等またはそれ未満;
4時間:約20%〜約80%;および
6時間:約70%を超える
というような大分子量担体輸送スタチン放出速度を示す。
【0034】
[035] 本発明は、更に、水溶性に乏しい担体輸送スタチンの肝バイオアベイラビリティーを増加させる方法であって、対象に、水溶性に乏しい担体輸送スタチンまたはその薬学的に許容しうる塩の治療的有効量を医薬製剤中で投与することを含み、ここにおいて、溶解度改善方法が、水溶性に乏しい担体輸送スタチンに適用されていて、しかもその製剤が、スタチンを、腸管および肝の吸収機構を飽和させない速度で放出する方法を包含する。
【0035】
[036] この方法の一つの態様において、水溶性に乏しい担体輸送スタチンは、アトルバスタチンである。別の態様において、水溶性に乏しい担体輸送スタチンは、ロスバスタチンである。別の態様において、製剤は、約80%を超えるそのスタチン含量を約1時間〜約8時間の期間にわたって放出する。別の態様において、製剤の投与は、同等有効量の慣用的放出製剤と比較したところ、約90%未満または約80%未満の、水溶性に乏しい担体輸送スタチンの相対的全身バイオアベイラビリティーを達成する。
【0036】
[037] 本発明は、更に、高コレステロール血症を処置する方法であって、このような処置を必要としている対象に、水溶性に乏しい担体輸送スタチンまたはその薬学的に許容しうる塩の治療的有効量を医薬製剤中で投与することを含み、ここにおいて、溶解度改善方法が、水溶性に乏しい担体輸送スタチンに適用されていて、しかもその製剤が、水溶性に乏しい担体輸送スタチンを、約2時間を超える期間にわたって放出する方法に関する。
【0037】
[038] この方法の一つの態様において、水溶性に乏しい担体輸送スタチンは、アトルバスタチンである。別の態様において、水溶性に乏しい担体輸送スタチンは、ロスバスタチンである。もう一つの態様において、製剤は、
2時間:約40%と同等またはそれ未満;
4時間:約20%〜約80%;および
6時間:約70%を超える
というような水溶性に乏しい担体輸送スタチン放出速度を示す。
【0038】
[039] 本発明は、更に、改変放出製剤であって、水溶性に乏しい担体輸送スタチンまたはその薬学的に許容しうる塩の治療的有効量を含み、ここにおいて、溶解度改善方法が、水溶性に乏しい担体輸送スタチンに適用されていて、そしてその製剤が、水溶性に乏しい担体輸送スタチンを、腸管内および肝内での吸収速度とほぼ同等またはそれ未満である速度で放出する製剤に関する。
【0039】
[040] これら製剤の一つの態様において、水溶性に乏しい担体輸送スタチンは、アトルバスタチンである。別の態様において、水溶性に乏しい担体輸送スタチンは、ロスバスタチンである。別の態様において、製剤は、
2時間:約40%と同等またはそれ未満;
4時間:約20%〜約80%;および
6時間:約70%を超える
というような水溶性に乏しい担体輸送スタチン放出速度を示す。
【課題を解決するための手段】
【0040】
発明の詳細な説明
[041] ある種のスタチンの腸管内および肝内での取込みは、担体輸送機構によって支配される。本明細書中で用いられる「担体輸送機構」という句は、いずれかの選択的生体膜輸送機構を意味し、したがって、ある与えられた分子を膜を越えて輸送するのに、追加の担体分子を必要とする。このような担体輸送機構には、ATPの加水分解を必要とすることがありうる能動輸送機構が含まれる。本明細書中で用いられる「担体輸送スタチン」という句は、担体輸送機構によって生体膜を越えて in vivo で輸送され、したがって、その吸収速度が、概して、輸送機構の速度によって制限されるスタチンクラスの薬物に属する化合物の群を包含する。「担体輸送スタチン」という句は、更に、スタチンの主要な作用部位への吸収速度が、生体膜を越える場合の少なくとも一つの担体輸送機構の速度に依存しているいずれかのスタチンを包含する。担体輸送スタチンの例には、プラバスタチン、アトルバスタチンおよびロスバスタチンが含まれる。「担体輸送スタチン」という句は、更に、担体輸送スタチンのいずれかの薬学的に許容しうる塩または立体異性体を包含する。
【0041】
[042] 本明細書中で用いられる「アトルバスタチン」および「ロスバスタチン」という用語は、アトルバスタチン、ロスバスタチン、およびそれらのいずれかの薬学的に許容しうる塩または立体異性体を包含する。本明細書中で用いられる「薬学的に許容しうる塩」という用語は、患者が生理学的に耐性である塩を包含する。このような塩は、典型的に、無機酸または塩基および/または有機酸または塩基より製造される。これら酸および塩基の例は、当業者に周知である。
【0042】
[043] 若干のスタチンは、酸性条件下において安定である。本明細書中で用いられる「酸性安定性スタチン」という句は、スタチンクラスの薬物に属する化合物、および酸性条件下において実質的に分解されないまたは代謝産物へと変換されない化合物の群を意味する。例えば、酸性安定性スタチンは、約4未満のpHを有する環境において、約20%未満の化合物が分解されるまたは代謝産物へと変換される場合のスタチンである。例えば、一つの態様において、酸性安定性スタチンは、約4未満のpHを有する環境において、約20%の化合物が分解される場合のスタチンでありうる。もう一つの態様において、酸性安定性スタチンは、約4未満のpHを有する環境において、約15%の化合物が分解される場合のスタチンである。もう一つの態様において、酸性安定性スタチンは、約4未満のpHを有する環境において、約10%の化合物が分解される場合のスタチンである。酸性安定性スタチンは、更に、約4未満のpHを有する環境において、約5%またはそれ未満の化合物が分解される場合のスタチンでありうる。「酸性安定性スタチン」という句は、更に、酸性安定性スタチンのいずれかの薬学的に許容しうる塩または立体異性体を包含する。酸性安定性スタチンの例には、シンバスタチン、ロバスタチン、フルバスタチン(fluvastatin)、アトルバスタチンおよびロスバスタチン、それらの誘導体、およびそれらの薬学的に許容しうる塩およびそれらの立体異性体が含まれる。
【0043】
[044] 他のスタチンは、水への可溶性に乏しい。本明細書中で用いられる「水溶性に乏しいスタチン」という用語は、米国薬局方(2002年)(p.8)によってその用語が定義されているように、「やや可溶性」またはそれより低いと評価される溶解度を典型的に有するスタチンクラスの薬物に属する化合物の群を意味する。米国薬局方は、次のようないくつかの溶解度レベルを定義している。「やや可溶性」は、約1/30〜約1/100(mg/ml)である水性溶解度を意味し:「僅かに可溶性」は、約1/100〜約1/1,000(mg/ml)である水性溶解度を意味し:「きわめて僅かに可溶性」は、約1/1,000〜約1/10,000(mg/ml)である水性溶解度を意味し:そして「ほとんど不溶性(practically insoluble)または不溶性」は、1/10,000(mg/ml)またはそれ未満である水性溶解度を意味する。「水溶性に乏しいスタチン」という句は、更に、水溶性に乏しいスタチンのいずれかの薬学的に許容しうる塩または立体異性体を包含する。水溶性に乏しいスタチンには、例えば、シンバスタチン、ロバスタチン、アトルバスタチンおよびロスバスタチン、それらの誘導体および立体異性体、およびそれらの薬学的に許容しうる塩が含まれる。
【0044】
[045] それらの大分子サイズのために、他のスタチンは、脂質膜を介する拡散透過性に乏しい。本明細書中で用いられる「大分子量スタチン」という用語は、約475ダルトンを超える分子量を有するいずれかのスタチンを意味する。例えば、大分子量スタチンには、約475ダルトンを超える、約500ダルトンを超える、約600ダルトンを超える、約700ダルトンを超える、約800ダルトンを超える、約900ダルトンを超えるまたは約1000ダルトンを超える分子量を有するスタチンが含まれる。「大分子量スタチン」という句は、更に、大分子量スタチンのいずれかの薬学的に許容しうる塩およびいずれかの立体異性体を包含する。大分子量スタチンの例には、アトルバスタチンおよびロスバスタチン、それらの誘導体および立体異性体、およびそれらの薬学的に許容しうる塩が含まれる。
【0045】
[046] 当業者は、上に論じられたスタチンの特性および性質が、相互に排除されないということ、およびある与えられたスタチンが、一つまたはそれを超えるこれら性質を有してよいということを理解するであろう。例えば、本明細書中で用いられる「酸性安定性担体輸送スタチン」という用語は、(上に論じられたような)酸性安定性スタチンの特性を有し且つ(上に論じられたような)担体輸送スタチンでもあるスタチンを意味する。同様に、本明細書中で用いられる「水溶性に乏しい担体輸送スタチン」という用語は、(上に論じられたような)水溶性に乏しいスタチンの特性を有し、更には、担体輸送スタチンであるスタチンを意味する。更に、例えば、本明細書中で用いられる「大分子量担体輸送スタチン」という用語は、(上に論じられたような)大分子量スタチンであり、更には、担体輸送スタチンであるスタチンを意味する。酸性安定性で、水溶性に乏しい、大分子量の担体輸送スタチンの例には、アトルバスタチンおよびロスバスタチン、更には、それらの薬学的に許容しうる塩およびそれらの立体異性体が含まれる。
【0046】
[047] 当該技術分野において、酸性安定性であるか、水溶性に乏しいか、および/または大分子量を有する担体輸送スタチンを、腸管内でのおよびその後の肝内での取込み速度を飽和させない速度で放出する改変放出製剤が要求されている。但し、このような速度での担体輸送スタチンは、それらの肝特異的吸収を最大限にし、したがって、肝内でスタチンを濃縮するという条件付きである。肝内での担体輸送スタチンの濃縮は、その後、それらの全身暴露を制限して、改善された安定性プロフィールおよび耐性能プロフィールを生じる。本明細書中で用いられる「肝バイオアベイラビリティー」という用語は、肝細胞中に吸収される薬物の量を意味する。
【0047】
[048] 本明細書中で用いられる「改変放出」製剤または剤形という句は、製剤からの望ましい薬物放出を達成する医薬製剤を包含する。例えば、改変放出製剤は、治療的有効量の活性化合物の患者への影響または作用を延長することができる。活性化合物の治療的レベルを維持することに加えて、改変放出製剤は、活性化合物の規定期間の放出を遅延するように設計することもできる。
【0048】
[049] 本発明の方法および製剤は、脂質レベルを低下させる場合に治療的に有益である他の薬物と一緒に用いることができる。これら薬物には、プラバスタチン、フルバスタチン、シンバスタチンまたはロバスタチンなどの他のHMG CoAレダクターゼ阻害剤;ゲムフィブロジルなどのフィブラート類;エゼチミベ(ezetimibe)などのコレステロール吸収改変剤;コレスチポールおよびコレスチラミンなどの胆汁酸結合性樹脂;および/または魚油、ニコチン酸およびプロブコールなどの他の物質が含まれる。本発明の方法および製剤は、他の脂質低下作用物質と一緒に共投与された場合、慣用的放出スタチン製剤を他の脂質低下作用物質と一緒に共投与した場合に認められることがありうる制限副作用を減少させるのに用いることができる。
【0049】
担体輸送スタチン
[050] 本発明の一つの側面は、少なくとも一つの担体輸送スタチン(またはその立体異性体)またはその薬学的に許容しうる塩の治療的有効量を含む組成物、およびそれらの使用方法に関する。本明細書中で用いられる「治療的有効量」という句は、担体輸送スタチン(またはその立体異性体)またはその薬学的に許容しうる塩の量であって、単独でおよび/または他の薬物との組合せで、高コレステロールおよび/または高脂質レベルに関連している一つまたはそれを超える状態または疾患の予防、処置および/または管理に利点を与える、またはそれ以外に、血中脂質レベルまたはコレステロールレベルの減少から利益を得ることができる量を包含する。このような状態または疾患には、高コレステロール血症、高脂質血症、心筋梗塞、アテローム性動脈硬化症、卒中、虚血、冠状動脈アテローム性動脈硬化症、冠状動脈死および/または心臓血管死が含まれるが、これに制限されるわけではない。本発明の製剤および/または方法によって処置する、管理するおよび/または予防することができる一つまたはそれを超える疾患には、更に、高コレステロール血症の続発性ではない心臓血管疾患が含まれる。
【0050】
[051] 一つの態様において、担体輸送スタチンの治療的有効量は、肝3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリル補酵素A(HMG−CoA)レダクターゼの活性を阻害するまたは減少させるのに必要な量である。
【0051】
[052] それら組成物は、腸管からの担体輸送スタチンの肝特異的吸収を増加させるおよび/または最適にするように設計されて、それによって、担体輸送スタチンへの全身暴露を制限し、しかも例えば、慣用的放出担体輸送製剤が投与された場合に、このような暴露によって生じる少なくとも一つの望ましくない副作用を減少させることができる。本明細書中で用いられる「慣用的放出製剤」という用語は、USP溶解浴においてpH6.8緩衝液中で試験された場合に、約80%を超えるそのスタチン含量を約1時間未満で放出する製剤を意味する。本明細書中で用いられる「慣用的遅延放出製剤」という用語は、(USP溶解浴においてpH6.8緩衝液中で試験された場合に)酸性環境への2時間の暴露後に、約70%を超えるそのスタチン含量を約1時間未満で放出する製剤を意味する。望ましくない副作用の減少は、少なくとも一つの担体輸送スタチンを、全身性ユビキノン合成を有意に阻害することなく、薬物を受容する対象にコレステロール低下作用を与える方式で肝へと送達することによって達せられる。具体的には、本発明の組成物からの担体輸送スタチンの放出は、上部小腸(主要吸収部位)へと、腸管吸収器を飽和させないように設計された速度で標的指向する。
【0052】
[053] 本発明の組成物は、更に、慣用的放出製剤より遅い吸収速度を達成することができるが、それは、肝への送達を改善して、その送達速度が、肝細胞中への取込み速度と一層一致するようにする。これは、担体輸送スタチンの取込みを最大限にし且つその後の肝による抽出を最大限にして、用量節約作用を与え、そして全身循環へと向けられる担体輸送スタチンの量を有意に減少させることができる。いずれか特定の理論によって拘束されたくはないが、本発明の組成物は、末梢組織における望ましくないユビキノン涸渇に関連したミオパシーの発症を免れることができる。
【0053】
[054] 肝吸収の最適化は、更に、本発明の組成物中に、これら薬物の慣用的な形態に必要とされる量に相対して少ない担体輸送スタチンを用いることを可能にする。本組成物によって達せられる担体輸送スタチンの一層有効な送達のために、これら組成物中に含まれる担体輸送スタチンの量を減少させることが可能である。例えば、アトルバスタチンおよびロスバスタチンの組成物の場合、含まれるアトルバスタチンまたはロスバスタチンの量を、薬物の慣用的放出製剤に相対して、約10%〜約90%、または約10%〜約80%、または約10%〜約70%、または約20%〜約70%、または約20%〜約60%、または約25%〜約50%減少させることが可能である。一つの態様において、本発明の組成物中のアトルバスタチンの量は、LIPITOR(登録商標)の用量に相対して約20%に減少させこるとができる。別の態様において、本発明の組成物中のロスバスタチンの量は、CRESTOR(登録商標)の用量に相対して約25%に減少させこるとができる。
【0054】
[055] 本発明の改変放出製剤は、更に、同等のまたはそれを超える用量の担体輸送スタチンを用いることができるという利点を提供し、より良い効力および/またはより少ない副作用が認められる。例えば、本発明のアトルバスタチン製剤は、例えば、慣用的放出製剤中のアトルバスタチンの量の100%〜200%を包含することができる。また更に、例えば、本発明のロスバスタチン製剤は、例えば、慣用的放出製剤中のロスバスタチンの量の100%〜200%を包含することができる。しかしながら、これら一層多い用量でも、本発明の製剤は、より良い効力およびより少ない副作用を達成する。
【0055】
[056] 本発明の組成物は、体内の脂質および/またはコレステロールのレベルを減少させることによって利益が得られる状態または疾患を処置するおよび/または予防するのに適している。このような状態には、臨床的に明らかな冠状動脈性心疾患のない高コレステロール血症患者の冠状動脈イベント、および臨床的に明らかな冠状動脈疾患を示している高コレステロール血症患者の冠状動脈イベントのような、慣用的な担体輸送スタチン組成物で典型的に処置されるおよび/または予防される状態が含まれる。本組成物は、更に、(食事制限および運動への)補助療法として用いられて、上昇した総コレステロール(総C)、低密度リポタンパク質コレステロール(LDL−C)、アポリポタンパク質B(アポB)およびトリグリセリド(TG)のレベルを減少させることができるし、しかも原発性高コレステロール血症および混合型異常脂肪血症(Fredrickson Type IIaおよびIIb)、上昇した血清トリグリセリドレベル(Fredrickson Type IV)および原発性異常βリポタンパク質血症(Fredrickson Type III)の対象において、すなわち、食事制限に十分に応答しない患者において高密度リポタンパク質コレステロール(HDL−C)レベルを増加させることができる。本組成物および方法は、更に、高コレステロール血症の続発性ではない一つまたはそれを超える心臓血管疾患を処置する、管理するおよび/または予防するのに用いることができる。
【0056】
酸性安定性スタチン
[057] 本発明は、更に、改変放出製剤であって、少なくとも一つの酸性安定性担体輸送スタチンまたはその薬学的に許容しうる塩の治療的有効量を含む製剤、およびそれらの使用方法に関するが、その場合、製剤は、胃から腸管への通過中に遅延放出を引き起こさない。場合により、本発明は、スタチンの放出を、薬物が胃から腸管内へと通過するまで遅延する場合のこのようなスタチンの製剤を包含する。組成物中で用いられるスタチンは、酸性条件下で安定であるので、それら組成物は、腸管内での吸収前に胃内でスタチンを代謝産物へと変換させないための保護コーティングを必要としない。必要ではないが、このような保護コーティングは、それにもかかわらず、遅延放出が望まれる場合に用いることができる。保護コーティングを用いるまたは用いないという選択肢は、スタチンを所望の速度で放出する改変放出製剤を設計する場合、一層大きい柔軟度を可能にするので望まれる。したがって、患者に投与される場合、本発明の組成物は、組成物が胃から出て腸管内へと通過するまで、実質的な量の酸性安定性担体輸送スタチンの放出を遅延することができるし、または遅延しないことができる。
【0057】
[058] それら組成物は、腸管からの酸性安定性担体輸送スタチンの肝特異的吸収を増加させるおよび/または最適にするように設計されて、それによって、それらの全身暴露を制限し、しかも例えば、慣用的放出酸性安定性担体輸送製剤が投与された場合に、このような暴露によって生じる少なくとも一つの望ましくない副作用を減少させることができる。望ましくない副作用の減少は、少なくとも一つの酸性安定性担体輸送スタチンを、全身性ユビキノン合成を有意に阻害することなく、薬物を受容する対象にコレステロール低下作用を与える方式で肝へと送達することによって達せられる。具体的には、本発明の組成物からの酸性安定性担体輸送スタチンの放出は、上部小腸(主要吸収部位)へと、腸管吸収器を飽和させないように設計された速度で標的指向する。
【0058】
[059] 本発明の組成物は、更に、慣用的放出製剤より遅い吸収速度を達成することができるが、それは、肝への送達を改善して、その送達速度が、肝細胞中への取込み速度と一層一致するようにする。これは、酸性安定性担体輸送スタチンの取込みを最大限にし且つその後の肝による抽出を最大限にして、用量節約作用を与え、そして全身循環へと向けられる酸性安定性担体輸送スタチンの量を有意に減少させることができる。いずれか特定の理論によって拘束されたくはないが、本発明の組成物は、末梢組織における望ましくないユビキノン涸渇に関連したミオパシーの発症を免れることができる。
【0059】
[060] 肝内吸収の最適化は、更に、本発明の組成物中に、これら薬物の慣用的な形態に必要とされる量に相対して少ない酸性安定性担体輸送スタチンを用いることを可能にする。本組成物によって達せられる酸性安定性担体輸送スタチンの一層有効な送達のために、これら組成物中に含まれる酸性安定性担体輸送スタチンの量を減少させることが可能である。例えば、アトルバスタチンおよびロスバスタチンの組成物の場合、含まれるアトルバスタチンまたはロスバスタチンの量を、薬物の慣用的放出製剤に相対して、約10%〜約90%、または約10%〜約80%、または約10%〜約70%、または約20%〜約70%、または約20%〜約60%、または約25%〜約50%減少させることが可能である。一つの態様において、本発明の組成物中のアトルバスタチンの量は、LIPITOR(登録商標)の用量に相対して約25%減少させこるとができる。別の態様において、本発明の組成物中のロスバスタチンの量は、CRESTOR(登録商標)の用量に相対して約25%減少させこるとができる。
【0060】
[061] 本発明の改変放出製剤は、更に、同等のまたはそれを超える用量の酸性安定性担体輸送スタチンを用いることができるという利点を提供し、より良い効力および/またはより少ない副作用が認められる。例えば、本発明のアトルバスタチン製剤は、例えば、慣用的放出製剤中のアトルバスタチンの量の100%〜200%を包含することができる。また更に、例えば、本発明のロスバスタチン製剤は、例えば、慣用的放出製剤中のロスバスタチンの量の100%〜200%を包含することができる。しかしながら、これら一層多い用量でも、本発明の製剤は、より良い効力およびより少ない副作用を達成する。
【0061】
[062] 本発明の組成物は、体内の脂質および/またはコレステロールのレベルを減少させることによって利益が得られる状態または疾患を処置するおよび/または予防するのに適している。このような状態には、臨床的に明らかな冠状動脈性心疾患のない高コレステロール血症患者の冠状動脈イベント、および臨床的に明らかな冠状動脈疾患を示している高コレステロール血症患者の冠状動脈イベントのような、慣用的な酸性安定性担体輸送スタチン組成物で典型的に処置されるおよび/または予防される状態が含まれる。本組成物は、更に、(食事制限および運動への)補助療法として用いられて、上昇した総コレステロール(総C)、LDL−C、アポリポタンパク質B(アポB)およびトリグリセリド(TG)のレベルを減少させることができるし、しかも原発性高コレステロール血症および混合型異常脂肪血症(Fredrickson Type IIaおよびIIb)、上昇した血清トリグリセリドレベル(Fredrickson Type IV)および原発性異常βリポタンパク質血症(Fredrickson Type III)の対象において、すなわち、食事制限に十分に応答しない患者においてHDL−Cレベルを増加させることができる。本組成物および方法は、更に、高コレステロール血症の続発性ではない一つまたはそれを超える心臓血管疾患を処置する、管理するおよび/または予防するのに用いることができる。
【0062】
水溶性に乏しいスタチン
[063] 本発明は、更に、改変放出製剤であって、少なくとも一つの水溶性に乏しい担体輸送スタチンまたはその薬学的に許容しうる塩の治療的有効量を含む製剤、およびそれらの使用方法に関するが、その場合、スタチンの溶解度は改善されている。可溶性に乏しいスタチンの溶解度を増加させることは、腸管内腔中の取込み速度を増加させることがありうる。この取込み増加は、しかしながら、吸収されたスタチンの血漿レベルが、その後の肝内での取込み速度を飽和させないように設計されるべきである。
【0063】
[064] 水溶性に乏しいスタチンの溶解度を改善することは、いくつかの方法を用いて達成することができる。本明細書中で用いられる「溶解度改善方法」という用語は、製剤の一部分として用いられた場合に、水溶性に乏しいスタチンの溶解度を、米国薬局方(2002年)に定義の少なくとも一つの溶解度レベルだけ改善するいずれかの方法を意味する。例えば、一つの態様において、溶解度は、「僅かに可溶性」〜「やや可溶性」へと改善される。別の態様において、溶解度は、「きわめて僅かに可溶性」〜「僅かに可溶性」へと改善される。もう一つの態様において、溶解度は、「ほとんど不溶性または不溶性」〜「きわめて僅かに可溶性」へと改善される。
【0064】
[065] 一つの態様において、水溶性に乏しいスタチンの溶解度は、超微粉砕によって改善することができる。これは、当業者に知られている慣用的な超微粉砕技術、例えば、ジェットミリング、エアジェットミリング、衝撃ミリング、媒質ミリング(media milling)(水性または溶媒)、ボールミリング、ピンミリングまたは流動床ミリングによって達せられる。本発明の一つの態様において、薬物粒子の約90%は、約20ミクロン未満のサイズである。別の態様において、薬物粒子の約50%は、約10ミクロン以下のサイズである。若干の態様において、水溶性に乏しいスタチンの粒子は、なお一層小さい、例えば、ミクロンより下のサイズとして製造される。
【0065】
[066] 更に、賦形剤を製剤中に包含させて、水溶性に乏しい薬物の溶解度/溶解を促すことができる。例えば、界面活性剤、洗剤、またはスタチンの溶解を改善するいずれか他の物質を、製剤中に包含させることができる。このような界面活性剤には、ラウリル硫酸ナトリウムが含まれるが、これに制限されるわけではない。本発明の製剤は、更に、活性成分の粒子の保全性を維持するのに適する賦形剤の包含が考えられる。
【0066】
[067] それら組成物は、腸管からの水溶性に乏しい担体輸送スタチンの肝特異的吸収を増加させるおよび/または最適にするように設計されて、それによって、それらの全身暴露を制限し、しかも例えば、慣用的な水溶性に乏しい担体輸送製剤が投与された場合に、このような暴露によって生じる少なくとも一つの望ましくない副作用を減少させることができる。望ましくない副作用の減少は、少なくとも一つの水溶性に乏しい担体輸送スタチンを、全身性ユビキノン合成を有意に阻害することなく、薬物を受容する対象にコレステロール低下作用を与える方式で肝へと送達することによって達せられる。具体的には、本発明の組成物からの水溶性に乏しい担体輸送スタチンの放出は、上部小腸(主要吸収部位)へと、腸管吸収器を飽和させないように設計された速度で標的指向する。
【0067】
[068] 本発明の組成物は、更に、慣用的放出製剤より遅い吸収速度を達成することができるが、それは、肝への送達を改善して、その送達速度が、肝細胞中への取込み速度と一層一致するようにする。これは、水溶性に乏しい担体輸送スタチンの取込みを最大限にし且つその後の肝による抽出を最大限にして、用量節約作用を与え、そして全身循環へと向けられる水溶性に乏しい担体輸送スタチンの量を有意に減少させることができる。いずれか特定の理論によって拘束されたくはないが、本発明の組成物は、末梢組織における望ましくないユビキノン涸渇に関連したミオパシーの発症を免れることができる。
【0068】
[069] 肝内吸収の最適化は、更に、本発明の組成物中に、これら薬物の慣用的な形態に必要とされる量に相対して少ない、水溶性に乏しい担体輸送スタチンを用いることを可能にする。本組成物によって達せられる水溶性に乏しい担体輸送スタチンの一層有効な送達のために、これら組成物中に含まれる水溶性に乏しい担体輸送スタチンの量を減少させることが可能である。例えば、アトルバスタチンおよびロスバスタチンの組成物の場合、含まれるアトルバスタチンまたはロスバスタチンの量を、薬物の慣用的放出製剤に相対して、約10%〜約90%、または約10%〜約80%、または約10%〜約70%、または約20%〜約70%、または約20%〜約60%、または約25%〜約50%減少させることが可能である。一つの態様において、本発明の組成物中のアトルバスタチンの量は、LIPITOR(登録商標)の用量に相対して約25%減少させこるとができる。別の態様において、本発明の組成物中のロスバスタチンの量は、CRESTOR(登録商標)の用量に相対して約25%減少させこるとができる。
【0069】
[070] 本発明の改変放出製剤は、更に、同等のまたはそれを超える用量の水溶性に乏しい担体輸送スタチンを用いることができるという利点を提供し、より良い効力および/またはより少ない副作用が認められる。例えば、本発明のアトルバスタチン製剤は、例えば、慣用的放出製剤中のアトルバスタチンの量の100%〜200%を包含することができる。また更に、例えば、本発明のロスバスタチン製剤は、例えば、慣用的放出製剤中のロスバスタチンの量の100%〜200%を包含することができる。しかしながら、これら一層多い用量でも、本発明の製剤は、より良い効力およびより少ない副作用を達成する。
【0070】
[071] 本発明の組成物は、体内の脂質および/またはコレステロールのレベルを減少させることによって利益が得られる状態または疾患を処置するおよび/または予防するのに適している。このような状態には、臨床的に明らかな冠状動脈性心疾患のない高コレステロール血症患者の冠状動脈イベント、および臨床的に明らかな冠状動脈疾患を示している高コレステロール血症患者の冠状動脈イベントのような、慣用的な水溶性に乏しい担体輸送スタチン組成物で典型的に処置されるおよび/または予防される状態が含まれる。本組成物は、更に、(食事制限および運動への)補助療法として用いられて、上昇した総コレステロール(総C)、LDL−C、アポリポタンパク質B(アポB)およびトリグリセリド(TG)のレベルを減少させることができるし、しかも原発性高コレステロール血症および混合型異常脂肪血症(Fredrickson Type IIaおよびIIb)、上昇した血清トリグリセリドレベル(Fredrickson Type IV)および原発性異常βリポタンパク質血症(Fredrickson Type III)の対象において、すなわち、食事制限に十分に応答しない患者においてHDL−Cレベルを増加させることができる。本組成物および方法は、更に、高コレステロール血症の続発性ではない一つまたはそれを超える心臓血管疾患を処置する、管理するおよび/または予防するのに用いることができる。
【0071】
大分子量スタチン
[072] 本発明は、更に、改変放出製剤であって、少なくとも一つの大分子量担体輸送スタチンまたはその薬学的に許容しうる塩の治療的有効量を含む製剤、およびそれらの使用方法に関するが、その場合、大分子量スタチンの膜透過性は、促進剤の添加によって改善されている。大分子量スタチンの透過性が改善されている場合のこのような製剤は、その全体のバイオアベイラビリティーを増加させることがありうる。本明細書中で用いられる「膜透過性促進剤」という用語は、大分子量スタチンの膜透過性を改善するいずれかの物質を意味する。いろいろなアプローチを用いて、大分子量サイズのために透過性に乏しい特性を有するスタチンへの腸管透過性の促進を達成することができる。例えば、透過促進剤は、胃腸管透過性の一過性および可逆性変化を生じるのに首尾よく用いることができる。このアプローチは、大分子量スタチンの腸管吸収を促進するのに用いることができる。腸管取込みは、この方式で増加させることができるが、その後、肝内での取込み速度を飽和させる腸管取込み速度は、スタチンの全身バイオアベイラビリティーを最小限にするために免れるべきである。
【0072】
[073] 腸管取込みを増加させるのに用いることができる促進剤には、6炭素〜20炭素脂肪酸、具体的には、カプリン酸ナトリウムなどの8炭素型および10炭素型のような中鎖脂肪酸が含まれるが、これに制限されるわけではない。このような物質には、脂肪酸、脂肪酸エステルおよび脂肪アルコールが含まれるが、これに制限されるわけではない。このような化合物は、疎水性であってよいし、または限られた水溶性を有してよく、それら化合物は、約150〜約300ダルトンの分子量を有してよい。脂肪アルコールには、ステアリルアルコールおよびオレイルアルコールが含まれるが、これに制限されるわけではない。脂肪酸には、オレイン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、リノール酸、カプリン酸、モノグリセリド、ジグリセリド、アシルコリン、カプリル酸、アシルカルニチン、カプリン酸ナトリウムおよびパルミトール酸が含まれるが、これに制限されるわけではない。10〜12個を超える炭素を含有する脂肪酸エステルを用いることもできる。脂肪酸エステルの例には、ミリスチン酸イソプロピル、およびオレイン酸およびラウリン酸のメチルエステルおよびエチルエステルが含まれるが、これに制限されるわけではない。
【0073】
[074] イオン性促進剤を用いることもできる。用いることができるイオン性促進剤の例には、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、ポリオキシエチレン20−セチルエーテル、ラウレス−9(laureth-9)、ドデシル硫酸ナトリウムおよびスルホコハク酸ジオクチルナトリウムが含まれるが、これに制限されるわけではない。
【0074】
[075] 胆汁酸塩を用いることもできる。用いることができる胆汁酸塩の例には、グリココール酸ナトリウム、デオキシコール酸ナトリウム、タウロコール酸ナトリウム、タウロジヒドロフシジン酸ナトリウムおよびグリコジヒドロフシジン酸ナトリウムが含まれるが、これに制限されるわけではない。
【0075】
[076] キレート化剤を用いることができる。用いることができるキレート化剤の例には、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、クエン酸およびサリチル酸塩が含まれるが、これに制限されるわけではない。
【0076】
[077] 別の群の促進剤には、低分子量アルコールが含まれる。このようなアルコールは、約200ダルトン未満、または約150ダルトン未満、または約100ダルトン未満の分子量を有することができる。それらは、親水性でもあり、室温において約2wt%、約5wt%または約10wt%の水への溶解度を有することができる。このようなアルコールの例には、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、ベンジルアルコール、グリセリン、ポリエチレングリコール、プロパンジオールおよびプロピレングリコールが含まれるが、これに制限されるわけではない。
【0077】
[078] スルホキシドを用いることもできる。スルホキシドの例には、ジメチルスルホキシドおよびデクメチルスルホキシド(decmethyl sulfoxide)が含まれるが、これに制限されるわけではない。
【0078】
[079] 用いることができる他の促進剤には、尿素およびその誘導体、不飽和環状尿素、1−ドデシルアザシクロヘプタン−2−オン、シクロデキストリン、エナミン誘導体、テルペン、リポソーム、アシルカルニチン、コリン、ペプチド(ポリアルギニン配列またはアルギニンの多い配列を含めた)、ペプチド模擬体、フタル酸ジエチルヘキシル、ミリスチン酸オクチルドデシル、イソステアリン酸イソステアリル、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、グリセリルオレアートおよび種々の油(ウィンターグリーンまたはオイカリプトールなど)が含まれる。
【0079】
[080] 発明で用いるのに適する促進剤の他の例は、Santus et al. (1993) Journal of Controlled Release 25:1 および Remington によって与えられているが、それらは双方とも、促進剤の考察について本明細書中に援用される。
【0080】
[081] それら組成物は、腸管からの大分子量担体輸送スタチンの肝特異的吸収を増加させるおよび/または最適にするように設計されて、それによって、それらの全身暴露を制限し、しかも例えば、慣用的な大分子量担体輸送スタチン製剤が投与された場合に、このような暴露によって生じる少なくとも一つの望ましくない副作用を減少させることができる。望ましくない副作用の減少は、少なくとも一つの大分子量担体輸送スタチンを、全身性ユビキノン合成を有意に阻害することなく、薬物を受容する対象にコレステロール低下作用を与える方式で肝へと送達することによって達せられる。具体的には、本発明の組成物からの大分子量担体輸送スタチンの放出は、上部小腸(主要吸収部位)へと、腸管吸収器を飽和させないように設計された速度で標的指向する。
【0081】
[082] 本発明の組成物は、更に、慣用的放出製剤より遅い吸収速度を達成することができるが、それは、肝への送達を改善して、その送達速度が、肝細胞中への取込み速度と一層一致するようにする。これは、大分子量担体輸送スタチンの取込みを最大限にし且つその後の肝による抽出を最大限にして、用量節約作用を与え、そして全身循環へと向けられる大分子量担体輸送スタチンの量を有意に減少させることができる。いずれか特定の理論によって拘束されたくはないが、本発明の組成物は、末梢組織における望ましくないユビキノン涸渇に関連したミオパシーの発症を免れることができる。
【0082】
[083] 肝内吸収の最適化は、更に、本発明の組成物中に、これら薬物の慣用的な形態に必要とされる量に相対して少ない大分子量担体輸送スタチンを用いることを可能にする。本組成物によって達せられる大分子量担体輸送スタチンの一層有効な送達のために、これら組成物中に含まれる大分子量担体輸送スタチンの量を減少させることが可能である。例えば、アトルバスタチンおよびロスバスタチンの組成物の場合、含まれるアトルバスタチンまたはロスバスタチンの量を、薬物の慣用的放出製剤に相対して、約10%〜約90%、または約10%〜約80%、または約10%〜約70%、または約20%〜約70%、または約20%〜約60%、または約25%〜約50%減少させることが可能である。一つの態様において、本発明の組成物中のアトルバスタチンの量は、LIPITOR(登録商標)の用量に相対して約25%減少させこるとができる。別の態様において、本発明の組成物中のロスバスタチンの量は、CRESTOR(登録商標)の用量に相対して約25%減少させこるとができる。
【0083】
[084] 本発明の改変放出製剤は、更に、同等のまたはそれを超える用量の大分子量担体輸送スタチンを用いることができるという利点を提供し、より良い効力および/またはより少ない副作用が認められる。例えば、本発明のアトルバスタチン製剤は、例えば、慣用的放出製剤中のアトルバスタチンの量の100%〜200%を包含することができる。また更に、例えば、本発明のロスバスタチン製剤は、例えば、慣用的放出製剤中のロスバスタチンの量の100%〜200%を包含することができる。しかしながら、これら一層多い用量でも、本発明の製剤は、より良い効力およびより少ない副作用を達成する。
【0084】
[085] 本発明の組成物は、体内の脂質および/またはコレステロールのレベルを減少させることによって利益が得られる状態または疾患を処置するおよび/または予防するのに適している。このような状態には、臨床的に明らかな冠状動脈性心疾患のない高コレステロール血症患者の冠状動脈イベント、および臨床的に明らかな冠状動脈疾患を示している高コレステロール血症患者の冠状動脈イベントのような、慣用的な大分子量担体輸送スタチン組成物で典型的に処置されるおよび/または予防される状態が含まれる。本組成物は、更に、(食事制限および運動への)補助療法として用いられて、上昇した総コレステロール(総C)、LDL−C、アポリポタンパク質B(アポB)およびトリグリセリド(TG)のレベルを減少させることができるし、しかも原発性高コレステロール血症および混合型異常脂肪血症(Fredrickson Type IIaおよびIIb)、上昇した血清トリグリセリドレベル(Fredrickson Type IV)および原発性異常βリポタンパク質血症(Fredrickson Type III)の対象において、すなわち、食事制限に十分に応答しない患者においてHDL−Cレベルを増加させることができる。本組成物および方法は、更に、高コレステロール血症の続発性ではない一つまたはそれを超える心臓血管疾患を処置する、管理するおよび/または予防するのに用いることができる。
【0085】
[086] 本発明の組成物は、担体輸送スタチンの放出を改変する剤形へと製剤化することができる。本発明によって用いることができる適する改変放出製剤の例には、マトリックスシステム、浸透性ポンプ、および膜制御剤形が含まれるが、これに制限されるわけではない。これら製剤は、一単位または多単位組成物であってよい。本発明の製剤は、酸性安定性であってもよいか、水溶性に乏しくてもよいか、および/または大分子量を有していてもよい、例えば、アトルバスタチンおよびロスバスタチンなどの少なくとも一つの担体輸送スタチン、その誘導体または立体異性体、またはその薬学的に許容しうる塩を含んでいてよい。これらタイプの各々の剤形を、下に簡単に記載する。このような形についての更に詳細な考察は、例えば、The Handbook of Pharmaceutical Controlled Release Technology, D.L. Wise (ed.), Marcel Dekker, Inc., New York (2000) に、そして更には、Treatise on Controlled Drug Delivery: Fundamentals, Optimization, and Applications, A. Kydonieus (ed.), Marcel Dekker, Inc., New York (1992) に見出されうるが、その各々の関係のある内容は、この目的に関して本明細書に援用される。
【0086】
マトリックス基材剤形
[087] 若干の態様において、本発明の改変放出製剤を、マトリックス基材剤形として提供する。本発明によるマトリックス製剤は、親水性の、例えば、水溶性のポリマーおよび/または疎水性の、例えば、水不溶性のポリマーを包含してよい。本発明のマトリックス製剤は、機能性コーティングを伴って製造することもできるが、それは、腸溶性であって、例えば、pH依存性溶解度を示してよいし、または非腸溶性であって、例えば、pH非依存性溶解度を示してよい。
【0087】
[088] 本発明のマトリックス製剤は、例えば、直接圧縮または湿式造粒を用いて製造することができる。次に、上記のような機能性コーティングを、本発明にしたがって適用することができる。更に、機能性コーティングの適用前に、マトリックス錠剤コアの上にバリヤーコートまたはシーラントコートを適用することができる。そのバリヤーコートまたはシーラントコートは、活性成分と相互作用するかもしれない機能性コーティングから活性成分を分離する目的に役立つことができるし、またはそれは、水分が活性成分に接触するのを妨げることができる。バリヤーおよびシーラントの詳細は、下に与えられている。
【0088】
[089] 本発明によるマトリックス基材剤形において、担体輸送スタチンおよび一つまたは複数の任意の薬学的に許容しうる賦形剤は、一つまたはそれを超える水溶性ポリマーおよび/または一つまたはそれを超える水不溶性ポリマーを典型的に含むポリマーマトリックス中に分散している。その薬物は、拡散および/または浸蝕によって剤形から放出することができる。このようなマトリックスシステムは、Wise and Kydonieus, 上記によって詳細に記載されている。
【0089】
[090] 適する水溶性ポリマーには、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースまたはポリエチレングリコール、および/またはそれらの混合物が含まれるが、これに制限されるわけではない。
【0090】
[091] 適する水不溶性ポリマーには、エチルセルロース、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートフタレート、セルローストリアセテート、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(エチルメタクリレート)、ポリ(ブチルメタクリレート)、ポリ(イソブチルメタクリレート)、ポリ(ヘキシルメタクリレート)、ポリ(イソデシルメタクリレート)、ポリ(ラウリルメタクリレート)、ポリ(フェニルメタクリレート)、ポリ(メチルアクリレート)、ポリ(イソプロピルアクリレート)、ポリ(イソブチルアクリレート)、ポリ(オクタデシルアクリレート)、ポリ(エチレン)、低密度ポリ(エチレン)、高密度ポリ(エチレン)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(ビニルイソブチルエーテル)、ポリ(ビニルアセテート)、ポリ(ビニルクロリド)またはポリウレタン、および/またはそれらの混合物が含まれるが、これに制限されるわけではない。
【0091】
[092] 本明細書中で用いられる「薬学的に許容しうる賦形剤」という用語は、医薬製剤中の他の成分、特に、活性成分と相溶性であり、しかも許容しうる量で投与された場合に患者に有害でない成分を包含する。適する薬学的に許容しうる賦形剤には、クエン酸ナトリウムおよびリン酸二カルシウムなどの担体;ステアリン酸塩、ケイ酸塩、石膏、デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、タルクおよび無水ケイ酸などの充填剤または増量剤;ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロースおよびアラビアゴムなどの結合剤;グリセロールなどの保湿剤;寒天、炭酸カルシウム、バレイショおよびタピオカデンプン、アルギン酸、ある種のケイ酸塩、EXPLOTABTM、クロスポビドン(crospovidone)および炭酸ナトリウムなどの崩壊剤;パラフィンなどの溶液遅延剤;第四級アンモニウム化合物などの吸収促進剤;セチルアルコールおよびグリセロールモノステアレートなどの湿潤剤;カオリンおよびベントナイトクレーなどの吸収剤;タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコールおよびラウリル硫酸ナトリウムなどの滑沢剤;フマル酸などの安定化剤;着色剤;緩衝剤;分散助剤;保存剤;有機酸;および有機塩基が含まれるが、これに制限されるわけではない。前述の賦形剤は、単に例として与えられていて、可能性のある選択肢を全て包含するものではない。更に、多数の賦形剤は、二つ以上の役割または機能を有していてよいし、または二つ以上の群に分類されてよい。このような分類は、単に説明するものであり、いずれか特定の賦形剤の使用を制限するためのものではない。
【0092】
[093] 一つの態様において、マトリックス基材剤形は、アトルバスタチン;ラクトースまたは微結晶性セルロース(AVICELTM)などの少なくとも一つの希釈剤;METHOCELTMまたはポリビニルピロリドンなどの少なくとも一つの制御放出ポリマー;カプリン酸ナトリウムなどの透過性促進剤;コロイド二酸化ケイ素などの滑剤;ステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤;およびラウリル硫酸ナトリウムなどの界面活性剤を含む。この組成物を圧縮して、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどの少なくとも一つの水溶性ポリマーを含むポリマーマトリックスとする。
【0093】
[094] 本発明の製剤中のポリマーの量およびタイプ、および水溶性ポリマー対水不溶性ポリマーの比率は、概して、下記のように、少なくとも一つの担体輸送スタチンの所望の放出プロフィールを達成するように選択される。例えば、水溶性ポリマーの量に相対して水不溶性ポリマーの量を増加させることにより、薬物の放出を遅延するまたは遅くすることができる。これは、一部分は、ポリマーマトリックスの増加した不透過性のためであり、ある場合には、GI管を介する輸送中の減少した浸蝕速度のためである。
【0094】
浸透性ポンプ剤形
[095] 別の態様において、本発明の改変放出製剤を、浸透性ポンプ剤形として提供する。浸透性ポンプ剤形において、担体輸送スタチンと、場合により一つまたはそれを超える浸透性賦形剤を含有するコアは、典型的に、少なくとも一つのオリフィスを有する選択的透過性膜によって包まれている。その選択的透過性膜は、概して、水に透過性であるが、薬物に不透過性である。そのシステムが体液に暴露された時、水は、選択的透過性膜を介して、薬物および任意の浸透性賦形剤を含有するコア中に浸透する。剤形中の浸透圧は増加する。結果として、薬物は、選択的透過性膜を越えて浸透圧を等しくする試みにおいて、一つまたは複数のオリフィスを介して放出される。
【0095】
[096] 一層複雑なポンプにおいて、その剤形は、コア中に二つの内部区画を含有してよい。第一区画は薬物を含有し、そして第二区画は、水性体液との接触で膨潤するポリマーを含有してよい。摂取後、このポリマーは、薬物含有区画中に膨潤し、薬物によって占有される体積を減少させ、それによって、薬物をデバイスから制御速度で長期間にわたって送達する。このような剤形は、しばしば、ゼロ次放出プロフィールが望まれる場合に用いられる。
【0096】
[097] 浸透性ポンプは、当該技術分野において周知である。例えば、この目的に関して本明細書に各々援用される米国特許第4,088,864号、同第4,200,098号および同第5,573,776号は、浸透性ポンプおよびそれらの製造方法を記載している。本発明によって有用な浸透性ポンプは、浸透性活性な薬物、または浸透性活性剤と組み合わせた浸透性不活性な薬物の錠剤を圧縮後、外部水性体液に透過性であるが、薬物および/または浸透性物質に不透過性である選択的透過性膜でその錠剤を被覆することによって形成することができる。
【0097】
[098] 一つまたはそれを超えるデリバリーオリフィスは、選択的透過性膜壁を介して穴をあけることができる。或いは、その壁の一つまたはそれを超えるオリフィスは、浸出可能な細孔形成性材料を壁中に包含させることによって形成することができる。作業中、外部水性体液を、選択的透過性膜壁を介して吸い込ませ、薬物に接触させて、薬物の溶液または懸濁液を形成する。次に、その薬物溶液または懸濁液は、新たな体液が選択的透過性膜を介して吸い込まれると同時に、オリフィスを介してポンプで送り出される。
【0098】
[099] 選択的透過性膜に典型的な材料には、当該技術分野において浸透膜および逆浸透膜に有用であることが知られている、セルロースアシレート、セルロースジアシレート、セルローストリアシレート、セルロースアセテート、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、寒天アセテート、アミローストリアセテート、βグルカンアセテート、アセトアルデヒドジメチルアセテート、セルロースアセテートエチルカルバメート、ポリアミド、ポリウレタン、スルホン化ポリスチレン、セルロースアセテートフタレート、セルロースアセテートメチルカルバメート、セルロースアセテートスクシネート、セルロースアセテートジメチルアミノアセテート、セルロースアセテートエチルカルバメート、セルロースアセテートクロルアセテート、セルロースジパルミテート、セルロースジオクタノエート、セルロースジカプリレート、セルロースジペンタンレート、セルロースアセテートバレレート、セルロースアセテートスクシネート、セルロースプロピオネートスクシネート、メチルセルロース、セルロースアセテートp−トルエンスルホネート、セルロースアセテートブチレート、軽架橋ポリスチレン誘導体、架橋ポリ(ナトリウムスチレンスルホネート)、ポリ(ビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロリド)および/またはそれらの混合物などの選択的透過性ポリマーが含まれる。
【0099】
[0100] ポンプに用いることができる浸透性物質は、典型的に、投与後にデバイスに入る体液に可溶性であり、外部体液に対して選択的透過性壁を越える浸透圧勾配を生じる。適する浸透性物質には、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、塩化マグネシウム、塩化ナトリウム、塩化リチウム、硫酸カリウム、炭酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、硫酸リチウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム、d−マンニトール、尿素、ソルビトール、イノシトール、ラフィノース、スクロース、グルコース、セルロースポリマーなどの親水性ポリマー、および/またはそれらの混合物が含まれるが、これに制限されるわけではない。
【0100】
[0101] 上に論じられたように、浸透性ポンプ剤形は、膨潤可能ポリマーを含有する第二区画を含有してよい。適する膨潤可能ポリマーは、典型的に、水および/または水性体液と相互作用するが、それは、それらポリマーを平衡状態へと膨潤させるまたは膨張させる。許容しうるポリマーは、水および/または水性体液中で膨潤する能力を示し、このような吸い込まれた体液の有意の部分をそれらポリマー構造内に保持して、剤形内の静水圧を増加させるようにする。それらポリマーは、きわめて高度に膨潤するまたは膨張することができ、通常は、2〜50倍の体積増加を示す。それらポリマーは、非架橋でありうるしまたは架橋していることがありうる。一つの態様において、膨潤可能ポリマーは、親水性ポリマーである。適するポリマーには、約30,000〜約5,000,000の分子量を有するポリ(ヒドロキシアルキルメタクリレート);κ−カラゲナン;約10,000〜約360,000の分子量を有するポリビニルピロリドン;陰イオンおよび陽イオンヒドロゲル;高分子電解質錯体;低量のアセテートを有し、グリオキサール、ホルムアルデヒドまたはグルタルアルデヒドと架橋し、そして約200〜約30,000の重合度を有するポリ(ビニルアルコール);メチルセルロース、架橋寒天およびカルボキシメチルセルロースを含めた混合物;スチレン、エチレン、プロピレン、ブチレンまたはイソブチレンと一緒に微粉の無水マレイン酸の分散を形成することによって製造される水不溶性の水膨潤可能コポリマー;N−ビニルラクタムの水膨潤可能ポリマー;および/またはいずれか前述の混合物が含まれるが、これに制限されるわけではない。
【0101】
[0102] 本明細書中で用いられる「オリフィス」という用語は、薬物を剤形から放出するのに適する手段および方法を含む。その表現は、選択的透過性膜を介して機械的方法によって穴をあけられた一つまたはそれを超える開口部またはオリフィスを包含する。或いは、オリフィスは、選択的透過性膜中に、ゼラチンプラグのような浸蝕可能要素を包含させることによって形成することができる。このような場合、選択的透過性膜の細孔は、薬物の通過のための「通路」を形成する。このような「通路」製剤は、例えば、この目的に関して関係のある開示が本明細書中に援用される米国特許第3,845,770号および同第3,916,899号に記載されている。
【0102】
[0103] 本発明によって有用な浸透性ポンプは、当該技術分野において知られている技術によって製造することができる。例えば、薬物および他の成分を、一緒に微粉砕し、加圧して、所望の寸法を有する(例えば、第一区画に相当する)固体にする。次に、膨潤可能ポリマーを成形し、薬物と接触した状態にし、そして双方を選択的透過性物質で取り囲む。所望ならば、薬物成分およびポリマー成分を一緒に加圧後、選択的透過性膜を適用してよい。選択的透過性膜は、いずれか適する方法によって、例えば、成形、吹付または浸漬によって適用することができる。
【0103】
膜制御剤形
[0104] 本発明の改変放出製剤は、更に、膜制御製剤として提供することができる。本発明の膜制御製剤は、一体式(例えば、錠剤)または多単位(例えば、ペレット)タイプであってよい急速放出コアを製造し、そのコアを膜で被覆することによって製造することができる。次に、膜制御されたコアを、機能性コーティングで更に被覆することができる。膜制御されたコアと機能性コーティングとの間には、バリヤーまたはシーラントを適用することができる。そのバリヤーまたはシーラントは、代わりに、または更に、急速放出コアと膜コーティングとの間に与えられてよい。膜制御剤形の詳細は、下に与えられている。
【0104】
[0105] 一つの態様において、担体輸送スタチンは、多粒状の膜制御製剤中で与えられる。担体輸送スタチンは、約0.4〜約1.1mmまたは約0.85〜約1.00mmの範囲内の平均直径を有する無類のシードに薬物を適用することによって、活性コア中に成形することができる。担体輸送スタチンは、追加の賦形剤を伴ってまたは伴うことなく、不活性コア上に適用することができるし、流動床コーター(例えば、Wurster コーティング)またはパンコーティングシステムを用いて溶液または懸濁液から吹付することができる。或いは、担体輸送スタチンは、コア上に担体輸送スタチン結合する結合剤を用いて、不活性コア上に粉末として適用することができる。活性コアは、適する可塑剤(下に記載される)および必要とされるいずれか他の加工助剤を含むコアの押出によって成形することもできる。
【0105】
[0106] 本発明の改変放出製剤は、薬物含有コアに膜コーティングとして適用される少なくとも一つのポリマー性材料を含む。適する水溶性ポリマーには、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースまたはポリエチレングリコール、および/またはそれらの混合物が含まれるが、これに制限されるわけではない。
【0106】
[0107] 適する水不溶性ポリマーには、エチルセルロース、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートフタレート、セルローストリアセテート、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(エチルメタクリレート)、ポリ(ブチルメタクリレート)、ポリ(イソブチルメタクリレート)およびポリ(ヘキシルメタクリレート)、ポリ(イソデシルメタクリレート)、ポリ(ラウリルメタクリレート)、ポリ(フェニルメタクリレート)、ポリ(メチルアクリレート)、ポリ(イソプロピルアクリレート)、ポリ(イソブチルアクリレート)、ポリ(オクタデシルアクリレート)、ポリ(エチレン)、低密度ポリ(エチレン)、高密度ポリ(エチレン)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(ビニルイソブチルエーテル)、ポリ(ビニルアセテート)、ポリ(ビニルクロリド)またはポリウレタン、および/またはそれらの混合物が含まれるが、これに制限されるわけではない。
【0107】
[0108] EUDRAGITTMポリマー(Rohm Pharma より入手可能)は、アクリレートおよび/またはメタクリレートに基づくポリマー性ラッカー物質である。活性成分および水に自由に透過性である適するポリマーは、EUDRAGITTMRLである。活性成分および水に僅かに透過性である適するポリマーは、EUDRAGITTMRSである。活性成分および水に僅かに透過性であり且つpH依存性の透過性を示す他の適するポリマーには、EUDRAGITTML、EUDRAGITTMSおよびEUDRAGITTMEが含まれるが、これに制限されるわけではない。
【0108】
[0109] EUDRAGITTMRLおよびRSは、低含量の第四級アンモニウム基を含むアクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステルのコポリマーを含むアクリル酸樹脂である。それらアンモニウム基は、塩として存在し、ラッカー薄膜の透過性を生じる。EUDRAGITTMRLおよびRSは、pHとは無関係に、それぞれ、自由に透過性(RL)および僅かに透過性(RS)である。それらポリマーは、水および消化液中において、pH非依存性方式で膨潤する。膨潤した状態において、それらは、水におよび溶解した活性化合物に透過性である。
【0109】
[0110] EUDRAGITTMLは、メタクリル酸およびメタクリル酸メチルエステルから合成される陰イオンポリマーである。それは、酸および純水に不溶性である。それは、中性〜弱アルカリ性条件下において可溶性になる。EUDRAGITTMLの透過性は、pH依存性である。pH5.0より上で、そのポリマーは、ますます透過性になる。
【0110】
[0111] 膜制御剤形を含む一つの態様において、ポリマー性材料は、メタクリル酸コポリマー、アンモニオメタクリレートコポリマーまたはそれらの混合物を含む。EUDRAGITTMSおよびEUDRAGITTML(Rohm Pharma)などのメタクリル酸コポリマーは、本発明の制御放出製剤中で用いるのに特に適している。これらポリマーは、胃抵抗性および腸溶性のポリマーである。それらポリマー薄膜は、純水および希酸に不溶性である。それらは、それらのカルボン酸含量に依存して、より高いpHで溶解する。EUDRAGITTMSおよびEUDRAGITTMLは、ポリマーコーティング中の単一成分としてまたはいずれかの比率の組合せで用いることができる。それらポリマーの組合せを用いることにより、ポリマー性材料は、EUDRAGITTMLおよびEUDRAGITTMSが別々に可溶性であるpH間のpHにおいて溶解性を示すことができる。
【0111】
[0112] 膜コーティングは、一つまたはそれを超える薬学的に許容しうる水溶性ポリマーの主要部分(すなわち、全ポリマー含量の50%を超える)と、場合により、一つまたはそれを超える薬学的に許容しうる水不溶性ポリマーの少ない部分(すなわち、全ポリマー含量の50%未満)とを含むポリマー性材料を含んでよい。或いは、膜コーティングは、一つまたはそれを超える薬学的に許容しうる水不溶性ポリマーの主要部分(すなわち、全ポリマー含量の50%を超える)と、場合により、一つまたはそれを超える薬学的に許容しうる水溶性ポリマーの少ない部分(すなわち、全ポリマー含量の50%未満)とを含むポリマー性材料を含んでよい。
【0112】
[0113] EUDRAGITTMRSおよびEUDRAGITTMRL(Rohm Pharma)などのアンモニオメタクリレートコポリマーは、本発明の制御放出製剤中で用いるのに適している。これらポリマーは、純水、希酸、緩衝溶液、または生理学的pHの全範囲にわたる消化液に不溶性である。それらポリマーは、pHとは無関係に、消化液および純水中で膨潤する。次に、膨潤した状態で、それらは、水および溶解した治療薬に透過性である。それらポリマーの透過性は、ポリマー中のエチルアクリレート(EA)基、メチルメタクリレート(MMA)基およびトリメチルアンモニオエチルメタクリレートクロリド(TAMCI)基の比率に依存する。1:2:0.2のEA:MMA:TAMCI比を有するポリマー(EUDRAGITTMRL)は、1:2:0.1の比率を有するもの(EUDRAGITTMRS)より透過性である。EUDRAGITTMRLのポリマーは、高透過性の不溶性ポリマーである。EUDRAGITTMRSのポリマーは、低透過性の不溶性薄膜である。
【0113】
[0114] それらアンモニオメタクリレートコポリマーは、いずれか所望の比率で一緒にすることができる。例えば、一定の比率のEUDRAGITTMRS:EUDRAGITTMRL(90:10)を用いることができる。それら比率は、薬物の放出を遅延するように更に調整することができる。例えば、EUDRAGITTMRS:EUDRAGITTMRLの比率は、約100:0〜約80:20、約100:0〜約90:10またはいずれか中間の比率であってよい。このような製剤において、透過性のより少ないポリマーEUDRAGITTMRSは、概して、ポリマー性材料の大部分を構成すると考えられる。
【0114】
[0115] アンモニオメタクリレートコポリマーは、薬物の放出に所望の遅延を達成するために、ポリマー性材料内でメタクリル酸コポリマーと一緒にすることができる。約99:1〜約20:80の範囲内のアンモニオメタクリレートコポリマー(例えば、EUDRAGITTMRS)対メタクリル酸コポリマーの比率を用いることができる。それら二つのタイプのポリマーは、同じポリマー性材料中に一緒にすることもできるし、またはコアに適用される別々のコートとして与えることもできる。
【0115】
[0116] 上記のEUDRAGITTMポリマーに加えて、多数の他のこのようなコポリマーを用いて、薬物放出を制御することができる。これらには、メタクリレートエステルコポリマー(例えば、EUDRAGITTMNE30D)が含まれる。EUDRAGITTMポリマーについての更なる情報は、"Chemistry and Application Properties of Polymethacrylate Coating Systems," in Aqueous Polymeric Coatings for Pharmaceutical Dosage Forms, ed. James McGinity, Marcel Dekker Inc., New York, (pp. 109-114) に見出されるうる。
【0116】
[0117] 上に論じられたEUDRAGITTMポリマーに加えて、他の腸溶性またはpH依存性のポリマーを用いることができる。このようなポリマーは、フタレート基、ブチレート基、スクシネート基および/またはメリテート基を包含することができる。このようなポリマーには、セルロースアセテートフタレート、セルロースアセテートスクシネート、フタル酸水素セルロース、セルロースアセテートトリメリテート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート、デンプンアセテートフタレート、アミロースアセテートフタレート、ポリビニルアセテートフタレートおよびポリビニルブチレートフタレートが含まれるが、これに制限されるわけではない。
【0117】
[0118] コーティング用膜は、更に、ポリマー性材料の透過性を増加させるように、一つまたはそれを超える可溶性賦形剤を含むことができる。好適には、可溶性賦形剤は、可溶性ポリマー、界面活性剤、アルカリ金属塩、有機酸、糖および糖アルコールの中から選択される。このような可溶性賦形剤には、ポリビニルピロリドン;ポリエチレングリコール;塩化ナトリウム;ラウリル硫酸ナトリウムおよびポリソルベートなどの界面活性剤;酢酸、アジピン酸、クエン酸、フマル酸、グルタル酸、リンゴ酸、コハク酸および酒石酸などの有機酸;デキストロース、フルクトース、グルコース、ラクトースおよびスクロースなどの糖;ラクチトール、マルチトール、マンニトール、ソルビトールおよびキシリトールなどの糖アルコール;キサンタンガム;デキストリン;およびマルトデキストリンが含まれるが、これに制限されるわけではない。若干の態様において、ポリビニルピロリドン、マンニトールおよび/またはポリエチレングリコールを、可溶性賦形剤として用いることができる。一つまたは複数の可溶性賦形剤を、ポリマーの全乾燥重量に基づいて約1重量%〜約10重量%の量で用いることができる。
【0118】
[0119] 別の態様において、ポリマー性材料は、胃腸液中でも不溶性である一つまたはそれを超える水不溶性ポリマーと、一つまたはそれを超える水溶性の細孔形成性化合物を含む。例えば、水不溶性ポリマーは、ポリビニルクロリド、ポリビニルアセテートおよび/またはポリビニルアルコールのターポリマーを含むことができる。適する水溶性の細孔形成性化合物には、サッカロース、塩化ナトリウム、塩化カリウム、ポリビニルピロリドンおよび/またはポリエチレングリコールが含まれるが、これに制限されるわけではない。細孔形成性化合物は、水不溶性ポリマー中に一様にまたは無作為に分布していてよい。典型的には、細孔形成性化合物は、約1部〜約10部の水不溶性ポリマー各々について約1部〜約35部を構成する。
【0119】
[0120] このような剤形が、溶解基剤(例えば、腸液)と接触した状態になった時、ポリマー性材料内の細孔形成性化合物は溶解して、多孔性構造を生じ、それを介して薬物が拡散する。このような製剤は、この目的に関して関係のある部分が本明細書中に援用される米国特許第4,557,925号に更に詳細に記載されている。多孔性膜は、本明細書中に記載の腸溶コーティングで更に被覆されて、胃内での放出を阻止することができる。
【0120】
[0121] 一つの態様において、拡散制御放出剤形は、ロスバスタチン;無水ラクトースまたは微結晶性セルロース(AVICELTM)などの少なくとも一つの希釈剤;ステアリン酸マグネシウムなどの少なくとも一つの滑沢剤;ポリビニルアセテートなどの少なくとも一つの水不溶性ポリマーおよびスクロースなどの少なくとも一つの水溶性ポリマーを含んで成る律速性膜を含む。
【0121】
[0122] ポリマー性材料は、更に、充填剤、可塑剤および/または消泡剤などの一つまたはそれを超える助剤を包含することができる。代表的な充填剤には、タルク、ヒュームドシリカ、グリセリルモノステアレート、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、カオリン、コロイドシリカ、石膏、超微粉シリカおよび三ケイ酸マグネシウムが含まれる。用いられる充填剤の量は、典型的には、ポリマーの全乾燥重量に基づいて約2重量%〜約300重量%であるが、約20重量%〜約100重量%でありうる。一つの態様において、タルクが充填剤である。
【0122】
[0123] それらコーティング用膜は、そして機能性コーティングも、ポリマーの加工を改善する材料を更に包含することができる。このような材料は、概して、可塑剤と称され、それには、例えば、アジペート、アゼレート、ベンゾエート、シトレート、イソエブケート(isoebucates)、フタレート、セバケート、ステアレートおよびグリコールが含まれる。代表的な可塑剤には、アセチル化モノグリセリド、ブチルフタリルブチルグリコレート、酒石酸ジブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジメチル、エチルフタリルエチルグリコレート、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、クエン酸トリアセチン、トリアセチン、トリプロピノイン(tripropinoin)、ジアセチン、フタル酸ジブチル、アセチルモノグリセリド、ポリエチレングリコール、ヒマシ油、クエン酸トリエチル、多価アルコール、酢酸エステル、グリセロールトリアセテート、アセチルクエン酸トリエチル、フタル酸ジベンジル、フタル酸ジヘキシル、フタル酸ブチルオクチル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ブチルオクチル、アゼライン酸ジオクチル、エポキシ化タレート(epoxidised tallate)、トリメリット酸トリイソオクチル、フタル酸ジエチルヘキシル、フタル酸ジ−n−オクチル、フタル酸ジ−i−オクチル、フタル酸ジ−i−デシル、フタル酸ジ−n−ウンデシル、フタル酸ジ−n−トリデシル、トリメリット酸トリ−2−エチルヘキシル、アジピン酸ジ−2−エチルヘキシル、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシル、アゼライン酸ジ−2−エチルヘキシル、セバシン酸ジブチル、グリセリルモノカプリレートおよびグリセリルモノカプレートが含まれる。一つの態様において、可塑剤はセバシン酸ジブチルである。ポリマー性材料中で用いられる可塑剤の量は、典型的には、乾燥ポリマーの重量に基づき約10%〜約50%、例えば、約10%、20%、30%、40%または50%である。
【0123】
[0124] 消泡剤を包含することもできる。一つの態様において、消泡剤はシメチコンである。用いられる消泡剤の量は、典型的に、最終製剤の約0%〜約0.5%を構成する。
[0125] 膜制御製剤中に用いられるポリマーの量は、典型的に、送達される薬物の量、薬物デリバリーの速度および場所、薬物放出の時間遅延、および製剤中の多粒状物のサイズを含めた所望の薬物デリバリー性状を達成するように調整される。加えられるポリマーの量は、典型的に、約10%〜約100%の重量増加をコアに与える。一つの態様において、ポリマー性材料による重量増加は、約25%〜約70%である。
【0124】
[0126] ポリマー性膜は、ポリマーに加えて、例えば、充填剤、可塑剤、安定化剤または他の賦形剤および加工助剤などの成分を包含することができる。膜の追加成分の一例は、炭酸水素ナトリウムであり、それは、安定化剤として作用することができる。
【0125】
[0127] コポリマー、充填剤、可塑剤、および任意の賦形剤および加工助剤を含めた、ポリマー性材料の全固体成分の組合せは、典型的に、コアについて約10%〜約450%の重量増加を与える。一つの態様において、その重量増加は、約30%〜約160%である。
【0126】
[0128] ポリマー性材料は、いずれか既知の方法によって、例えば、流動床コーター(例えば、Wurster コーティング)またはパンコーティングシステムを用いた吹付によって適用することができる。ポリマー性材料の適用後、典型的には、被覆コアを乾燥させるまたは硬化させる。硬化とは、多粒状物を、制御温度で、安定な放出速度を与える十分な時間保持することを意味する。硬化は、例えば、オーブン中または流動床乾燥器中で行うことができる。硬化は、製剤中に用いられるポリマー性材料のガラス転移温度より上の温度で、例えば、ポリマーに依存して約30℃、40℃、50℃または60℃で行うことができる。
【0127】
[0129] シーラントまたはバリヤーを、ポリマー性コーティングに適用することもできる。或いは、または更に、シーラント層またはバリヤー層をコアに適用後、ポリマー性材料を適用することができる。シーラント層またはバリヤー層は、概して、担体輸送スタチンの放出を改変するためのものではない。適するシーラントまたはバリヤーは、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルエチルセルロース、ポリビニルピロリドンおよびキサンタンガムなどの透過性または可溶性の物質である。外側シーラント/バリヤーは、例えば、製剤全体の防湿性を改善するのに用いられると考えられる。コアとコーティングとの間のシーラント/バリヤーは、例えば、pH依存性またはpH非依存性の溶解性を示すことがありうる外側ポリマー性コーティングからコア内容物を保護するのに用いられると考えられる。更に、双方の作用、すなわち、防湿性およびコア保護が望まれる状況がありうるが、その場合、シーラント/バリヤーを、コアとポリマー性膜コーティングとの間に適用後、ポリマー性膜コーティングの外側に適用する。
【0128】
[0130] 他の物質を、シーラント層またはバリヤー層の加工性を改善するのに加えることができる。このような物質には、タルク、コロイドシリカ、ポリビニルアルコール、二酸化チタン、超微粉シリカ、ヒュームドシリカ、グリセロールモノステアレート、三ケイ酸マグネシウムおよびステアリン酸マグネシウム、またはそれらの混合物が含まれる。シーラント層またはバリヤー層は、流動床コーター(例えば、Wurster コーティング)またはパンコーティングシステムなどのいずれか既知の手段を用いて溶液(例えば、水性)または懸濁液から適用することができる。適するシーラントまたはバリヤーには、例えば、Colorcon Limited, England より各々入手可能であるOPADRY WHITE Y−1−7000およびOPADRY OY/B28920 WHITEが含まれる。
【0129】
[0131] 本発明は、更に、本明細書中の上に定義の多粒状担体輸送スタチン製剤を含有する経口剤形を、キャプレッツ、カプセル剤、投薬前の懸濁用粒子、サシェ剤または錠剤の形で提供する。その剤形が錠剤の形である場合、それら錠剤は、崩壊性錠剤、急速溶解性錠剤、起泡性錠剤、急速融解錠剤および/またはミニ錠剤であってよい。その剤形は、長球状、立方体形の卵形、または楕円形のような、薬物の経口投与に適するいずれかの形状を有することができる。それら剤形は、当該技術分野において知られている方式で多粒状物から製造することができ、所望のような追加の薬学的に許容しうる賦形剤を包含することができる。
【0130】
ゼラチン軟カプセル剤
[0132] 本発明の製剤は、更に、ゼラチン軟カプセル剤中に充填することができる液体として製造することができる。例えば、その液体には、溶液、懸濁液、エマルジョン、ミクロエマルジョン、沈殿、または一つまたは複数の担体輸送スタチンを有するいずれか他の望ましい液体基剤が含まれうる。その液体は、放出時に担体輸送スタチンの溶解性を改善するように設計することができるし、または放出時に薬物含有エマルジョンまたは薬物分散相を形成するように設計することができる。このような技術の例は、当該技術分野において周知である。ゼラチン軟カプセル剤は、所望のように機能性コーティングで被覆されて、薬物の放出を遅延することができる。
【0131】
機能性コーティング
[0133] マトリックス基材、浸透性ポンプ基材、ゼラチン軟カプセル剤および/または膜制御の形が含まれるがこれに制限されるわけではない上記の具体的な態様はいずれも、一体式および/または多単位の剤形の形をとることもできるが、機能性コーティングを有することができる。このようなコーティングは、概して、所定時間の薬物放出を遅延する目的に役立つ。例えば、このようなコーティングは、その剤形が、胃酸または消化液にさらされることなく胃を介して通過させることができる。本発明の製剤中で用いられる酸性安定性スタチンについて、このような保護コーティングは、必要ではないが、薬物デリバリーの時間および場所を制御する別の方法として用いることができる。したがって、このようなコーティングは、上部腸管などの胃腸管内の所望の地点に到達時に、溶解してよいしまたは浸蝕されてよい。
【0132】
[0134] このような機能性コーティングは、pH依存性(腸溶性)またはpH非依存性(非腸溶性)の溶解性プロフィールを示すことができる。pH非依存性プロフィールを有するものは、概して、所定期間後に浸蝕または溶解除去され、その期間は、概して、コーティングの厚みおよび組成に関係している。もう一方において、pH依存性プロフィールを有するものは、それらの保全性を、胃の酸性pH中にある間維持することができるが、より塩基性の上部腸管に入った時点で速やかに浸蝕されるまたは溶解することができる。
【0133】
[0135] したがって、マトリックス基材、浸透性ポンプ基材または膜制御の製剤は、更に、薬物の放出を遅延する機能性コーティングで被覆することができる。例えば、膜制御製剤は、上部腸管に達するまで膜制御製剤の暴露を遅延する腸溶コーティングで被覆することができる。酸性の胃を出て、より塩基性の腸管に入った時点で、腸溶コーティングは溶解する。次に、膜制御製剤は、胃腸液に暴露された後、本発明にしたがって、少なくとも一つの担体輸送スタチンを長期間にわたって放出する。これらのような機能性コーティングの例は、当業者に周知である。
【0134】
[0136] 一つの態様において、担体輸送スタチン製剤は、薬物の放出を最初に遅延する。遅延後、製剤は、薬物を速やかに放出することができる。このような製剤は、より急速なおよび/または即時の治療的作用を対象に与えると考えられる。
【0135】
[0137] 本発明の製剤は、更に、pH改変性物質、例えば、約1〜約6.5のpKaを示す物質を含むことができる。このような物質には、ジカルボン酸が含まれるが、これに制限されるわけではない。ジカルボン酸には、2−エタン二酸(シュウ酸)、3−プロパン二酸(マロン酸)、4−ブタン二酸(コハク酸)、5−ペンタン二酸(グルタル酸)、6−ヘキサン二酸(アジピン酸)、cis−ブテン二酸(マレイン酸)、trans−ブテン二酸(フマル酸)、2,3−ジヒドロキシブタン二酸(酒石酸)、2−ヒドロキシ−1,2,3−プロパンカルボン酸(2-hydroxy-1,2,3-propanetic carboxylic)(クエン酸)、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸およびセバシン酸が含まれるが、これに制限されるわけではない。若干の態様において、一つまたはそれを超えるジカルボン酸は、製剤中に包含される。
【0136】
[0138] 若干の態様において、製剤は、モノカルボン酸を実質的に含まない。この文脈中で用いられる「実質的に含まない」とは、モノカルボン酸は、製剤に加えられていないが、それ以外に存在するかもしれないということを意味する。モノカルボン酸には、メタン酸(ギ酸)、エタン酸(酢酸)、プロパン酸(プロピオン酸)、ブタン酸(酪酸)、ペンタン酸(吉草酸)、ヘキサン酸(カプロン酸)、ヘプタン酸(エナント酸)、1−ヒドロキシプロパン酸(乳酸)、3−ベンジル−2−プロペン酸(ケイ皮酸)および2−オクソプロパン酸(ピルビン酸)が含まれるが、これに制限されるわけではない。
【0137】
[0139] 本発明の製剤は、水性体液に暴露された場合に、担体輸送スタチンの周囲に微環境を生じるpH改変性物質を包含することができる。例えば、これら物質は、担体輸送スタチンの周囲に、約3〜約6のpH、または例えば、約5のpHを有する微環境を生じることができる。
【0138】
[0140] 簡単にいうと、本発明の製剤および方法は、小腸である使用環境中に治療的用量を送達する。担体輸送スタチン吸収は、小腸内ででほぼ完全に行われるということ、および大腸からの吸収は無視しうるということが考えられるので、本発明の方法および製剤は、小腸内での薬物放出を最大限にするように設計される。したがって、吸収効率は最大限にされ、薬物はほとんど浪費されない。
【0139】
[0141] プラバスタチンなどの酸性不安定性スタチンとは異なり、アトルバスタチンおよびロスバスタチンなどの酸性安定性スタチンは、保護コーティングを含んでまたは含むことなく製剤化することができる。患者への投与時に、酸性安定性スタチンに保護コーティングが適用されていない場合、本発明の方法および製剤は、概して、約1〜約6時間にわたる延長放出を示す。本発明の製剤および方法は、保護コーティングを使用することもできるが、その場合、概して、胃内での放出は最小限にしかまたは全くなく、その後、小腸内へ、制御されるが完全な放出がある。
【0140】
[0142] したがって、本発明の若干の方法および製剤は、少なくとも一つの担体輸送スタチンを使用環境中に約6時間未満で完全に放出する。すなわち、投与後約6時間より前の時点までに、80%を超えて放出される。「完全に放出される」とは、製剤中の80%を超える担体輸送スタチンが放出されることを意味する。
【0141】
[0143] 本発明の組成物を用いると、担体輸送スタチンの全身バイオアベイラビリティーを減少させることができる。例えば、LIPITOR(登録商標)による絶対全身バイオアベイラビリティーは、約12%である(LIPITOR(登録商標)パッケージインサート (1997) Parke-Davis, Morris Plains NJ)。本発明の組成物を用いると、アトルバスタチンの全身バイオアベイラビリティーを、約12%未満に、例えば、約10%、8%、5%または0%、または約12%未満のいずれかの量に減少させることができる。同等有効量のLIPITOR(登録商標)またはいずれか慣用的放出アトルバスタチン製剤と比較したところ、本発明の組成物の投与は、全身バイオアベイラビリティーの減少を、慣用的放出製剤の場合の約90%、80%、70%、60%、50%、40%、30%または25%未満にする。これを、本明細書中において「相対的」全身バイオアベイラビリティーと称する。
【0142】
[0144] 更に、例えば、CRESTOR(登録商標)による絶対全身バイオアベイラビリティーは、約20%である(CRESTOR(登録商標)パッケージインサート (2003) AstraZeneca, Wilmington, DE)。本発明の組成物を用いると、ロスバスタチンの全身バイオアベイラビリティーを、約20%未満に、例えば、約18%、15%、10%、5%または0%、または約20%未満のいずれかの量に減少させることができる。同等有効量のCRESTOR(登録商標)またはいずれか慣用的放出ロスバスタチン製剤と比較したところ、本発明の組成物の投与は、全身バイオアベイラビリティーの減少を、慣用的放出製剤の場合の約90%、80%、70%、60%、50%、40%、30%または25%未満にする。これを、本明細書中において「相対的」全身バイオアベイラビリティーと称する。
【0143】
[0145] 本発明の組成物は、担体輸送スタチンの肝特異的抽出を増加させるのに用いることもできる。例えば、LIPITOR(登録商標)からのアトルバスタチンの肝抽出は、約70%である(Igel et al. (2002) J. Clin. Pharmacol. 42:835)。本発明の組成物を用いることにより、肝のアトルバスタチン抽出は、約70%を超えて、例えば、約75%、80%、85%、90%、95%または100%、または約70%を超えるいずれかの量に増加させることができる。
【0144】
[0146] 更に、例えば、CRESTOR(登録商標)の場合、肝のロスバスタチン抽出は、約90%である(Igel et al. (2002) J. Clin. Pharmacol. 42:835)。本発明の組成物を用いると、肝のロスバスタチン抽出は、約90%を超えて、例えば、約95%または100%、または約90%を超えるいずれかの量に増加させることができる。
【0145】
[0147] 担体輸送スタチンのピーク血漿濃度またはCmaxは、同等有効量の他の担体輸送慣用的放出製剤と比較したところ、本発明の製剤および組成物によって減少させることができる。例えば、そのCmaxは、同等有効量のLIPITOR(登録商標)またはいずれかの慣用的放出アトルバスタチン製剤と比較したところ、本発明の製剤および組成物によって減少させることができる。例えば、同等有効量のLIPITOR(登録商標)またはいずれかの慣用的放出アトルバスタチン製剤の使用によって得られるCmaxと比較したところ、Cmaxを、約80%、70%、60%、50%、40%、30%または25%未満に減少させることができる。
【0146】
[0148] 更に、例えば、Cmaxは、同等有効量のCRESTOR(登録商標)またはいずれか他の慣用的放出ロスバスタチン製剤と比較したところ、本発明の製剤および組成物によって減少させることができる。例えば、同等有効量のCRESTOR(登録商標)またはいずれかの慣用的放出ロスバスタチン製剤の使用によって得られるCmaxと比較したところ、Cmaxを、約80%、70%、60%、50%、40%、30%または25%未満に減少させることができる。
【0147】
[0149] 治療的レベルは、特定の患者に治療的に有効である担体輸送スタチンの最少濃度である。当然ながら、当業者は、治療的レベルが、処置されている個体および状態の重症度に依存して異なることがありうるということを理解するであろう。例えば、個々の患者の年齢、体重および病歴は、療法の治療的効力に影響することがありうる。担当医師は、これら因子を考慮し、そして投薬計画を、過度の実験を伴うことなく、その用量が所望の治療的成果を確実に達成するように調整することができる。臨床医および/または処置している医療の実務家は、個々の患者の応答に関連して、療法を中断する、調整するおよび/または終了する方法および時を承知するであろうということも留意される。
【0148】
[0150] 担体輸送スタチン製剤の全1日用量は、例えば、約1mg〜約200mgでありうる。例えば、概して、本発明の製剤中のアトルバスタチンの全1日用量は、約1mg〜約200mg、約1mg〜約160mg、約1mg〜約80mg、約5mg〜約80mg、約10mg〜約80mg、またはその間のいずれかの全数または分数量である。単回用量は、約1mg、5mg、10mg、15mg、20mg、25mg、30mg、35mg、40mg、60mg、80mg、100mg、120mg、140mg、160mg、180mgまたは200mgのアトルバスタチンを含有するように製剤化することができる。一つの態様において、単回用量は、約5mg、10mg、15mg、20mg、40mg、60mgまたは80mgのアトルバスタチンを含有する。
【0149】
[0151] 更に、例えば、概して、本発明の製剤中のロスバスタチンの全1日用量は、約1mg〜約200mg、約1mg〜約160mg、約1mg〜約80mg、約5mg〜約80mg、約10mg〜約80mg、またはその間のいずれかの全数または分数量である。単回用量は、約1mg、5mg、10mg、15mg、20mg、25mg、30mg、35mg、40mg、60mg、80mg、100mg、120mg、140mg、160mg、180mgまたは200mgのロスバスタチンを含有するように製剤化することができる。一つの態様において、単回用量は、約5mg、10mg、15mg、20mg、40mg、60mgまたは80mgのロスバスタチンを含有する。
【0150】
[0152] 本発明の担体輸送スタチン製剤は、それらの溶解プロフィールによって記載することができる。当業者は、このような溶解プロフィールを決定するのに用いられる技術を熟知している。U.S.Pharmacopoeia に示された標準的な方法であって、関係のある部分に関して本明細書中に援用される方法を用いることができる。例えば、溶解プロフィールは、米国薬局方I型装置(U.S. Pharmacopoeia Type I Apparatus)(バスケット)かまたは米国薬局方II型装置(パドル)中で測定することができる。pH非依存性製剤については、それら製剤を、リン酸緩衝液中において6.8またはそれより高いpH、37℃および50〜100rpmで試験することができる。pH依存性製剤については、それら製剤を、0.01〜0.1N HCl中において37℃および50〜100rpmで最初の2時間試験後、残りの試験のためにpH6.8またはそれより高いリン酸緩衝液へと移すことができる。pH依存性およびpH非依存性の製剤について溶解プロフィールを測定するのに適する他の緩衝系は、当業者に周知である。pH依存性およびpH非依存性双方の製剤について、特に、溶解プロフィールの in vitro 試験のためのFDAガイドライン(http://www.fda.gov/cder/guidance/1306fnl.pdf)によって示唆されるような水溶性に乏しい薬物については、界面活性剤(例えば、1%ラウリル硫酸ナトリウム)を、溶解基剤中に包含させることができる。
【0151】
[0153] 例えば、保護コーティング不含の本発明の担体輸送スタチン製剤の in vitro 溶解プロフィールは、次の、
(1)約1〜2時間後に約30%放出;
(2)約4時間後に約50%放出;
(3)約6時間後に約70%放出;および
(4)約8時間後に約80%を超えて放出
に相当してよい。或いは、そのプロフィールは、
(1)約1〜2時間後に約20%放出;
(2)約4時間後に約20%〜約40%放出;および
(3)約6時間後に約80%を超えて放出
に相当してよい。
【0152】
[0154] 保護コーティングが用いられていない場合の本発明の製剤について、薬物は、胃内で直ちに放出を開始し、その場合、薬物が胃内にある間は初期遅延はない。
[0155] 一つの態様において、保護コーティング不含の本発明の製剤は、II型溶解装置中においてpH6.8緩衝液中で測定したところ、次の放出速度を示すことができる。1〜2時間:約30%未満;4時間:約60%未満;6時間:約80%未満;8〜10時間:約80%を超える。このような製剤は、更に、II型溶解装置中においてpH6.8緩衝液中で測定したところ、次の放出速度を示すことができる。1〜2時間:約25%未満;4時間:約50%未満;8時間:約80%未満。
【0153】
[0156] バイオアベイラビリティーを更に制御しうる本発明の腸溶コーティング担体輸送スタチン組成物の in vitro 溶解プロフィールは、酸中に2時間後、pH6.8またはそれより高い緩衝液中で試験した場合、次の、
(1)約2時間後に最少の放出;および
(2)約8時間後に完全な放出
に相当してよい。或いは、そのプロフィールは、
(1)約2時間後に約50%未満の放出;
(2)約4時間後に約20%〜約80%放出;および
(3)約6〜8時間後に約60%を超えて放出
に相当してよい。腸溶コーティングが用いられる場合、それら製剤からの薬物の放出は、酸中で1〜2時間遅延させることができる。pH6.8またはそれより高い緩衝液中において、薬物の放出は、担体輸送スタチンの吸収部位である小腸中への輸送と一致する方式である。
【0154】
[0157] 本発明の非腸溶コーティング担体輸送スタチン組成物の in vitro 溶解プロフィールは、次の、
(1)約1〜2時間後に最少の放出;および
(2)約8時間後に完全な放出
に相当してよい。或いは、そのプロフィールは、
(1)約1〜2時間後に約50%未満の担体輸送スタチンが放出される;
(2)約4時間後に約20%〜約80%が放出される;および
(3)約6〜8時間後に約60%を超えて放出される
に相当してよい。
【0155】
[0158] 非腸溶保護コーティングを含む製剤について、それら製剤からの薬物の放出は、溶解基剤のpHとは無関係に、1〜2時間遅延する。投薬量が胃から小腸中へと移ることと同時である1〜2時間後、薬物は、担体輸送スタチンの吸収部位である小腸を介する剤形の輸送と一致する方式で放出される。
【0156】
[0159] 上記の医薬組成物はいずれも、上に論じられた担体輸送スタチン以外の一つまたはそれを超える薬学的に活性な化合物を更に含むことができる。このような化合物は、担体輸送スタチンで処置されている同じ状態または異なった状態を処置するのに提供することができる。当業者は、本発明の製剤中に追加の活性成分を包含する技術例を熟知している。或いは、このような追加の医薬化合物は、別個の製剤中で与えられてよいし、または担体輸送スタチン組成物と一緒に患者に共投与されてよい。このような別々の製剤は、担体輸送スタチンの投与の前、後またはそれと同時に投与することができる。
【0157】
[0160] 本発明を、次の実施例に関して更に詳しく説明する。材料および方法双方への多数の改変を、本発明の目的および範囲から逸脱することなく行うことができるということは、当業者に明らかであろう。
【実施例】
【0158】
実施例1:直接圧縮によるMETHOCELTMK100LV稀少CRを用いた改変放出アトルバスタチン10mgマトリックス錠剤の製造
[0161] 表1に示される成分を含むアトルバスタチンの改変放出製剤を、次のように製造する。
【0159】
【表1】

【0160】
[0162] 最初に、各々の成分を秤量する。ラクトース、アトルバスタチン、コロイド二酸化ケイ素、METHOCELTMおよびAVICELLTMを、ブレンダー中に入れ、均一になるまで15分間混合する。次に、ステアリン酸マグネシウムをブレンダーに加え、そして混合物を更に5分間混合する。その混合物を、適する錠剤成形機で圧縮して卵形錠剤にする。各錠剤の目標重量は200mgである。
【0161】
実施例2:直接圧縮によるMETHOCELTMK100M稀少CRおよびラウリル硫酸ナトリウムを用いた改変放出アトルバスタチン10mgマトリックス錠剤の製造
[0163] 表2に示されるようなアトルバスタチンの改変放出製剤を、次のように製造する。
【0162】
【表2】

【0163】
[0164] 最初に、各々の成分を秤量する。ラクトース、アトルバスタチン、ラウリル硫酸ナトリウム、コロイド二酸化ケイ素、METHOCELTMおよびAVICELLTMを、ブレンダー中に入れ、均一になるまで15分間混合する。次に、ステアリン酸マグネシウムをブレンダーに加え、そして混合物を更に5分間混合する。その混合物を、適する錠剤成形機で圧縮して卵形錠剤にする。各錠剤の目標重量は200mgである。
【0164】
実施例3:湿式造粒によるMETHOCELTMK100LV稀少CRを用いた改変放出アトルバスタチン5mgマトリックス錠剤の製造
[0165] 表6に示されるようなアトルバスタチンの改変放出製剤を、次のように製造する。
【0165】
【表3】

【0166】
[0166] 最初に、各々の成分を秤量する。次に、アトルバスタチンを、イソプロピルアルコール(IPA)中に溶解させる。次に、そのIPA/アトルバスタチン溶液中に、ポリビニルピロリドン(PVP)を溶解させる。次に、50%のAVICELおよび50%のラクトースを、遊星形ミキサー(Hobart)または高剪断ミキサー(Diosna/Fielder)などの適するミキサー中に入れ、15分間ブレンドして、均一混合物を生じる。その溶液を混合し続けながら、造粒用液体として役立つアトルバスタチン/PVP溶液を加える。混合を、適する造粒終点に達するまで続け、必要ならば、イソプロピルアルコールを更に加えて、適する顆粒を生じる。次に、それら顆粒を、それらが許容しうる水分レベル(例えば、約1.0%未満)および許容しうるイソプロピルアルコール含量(例えば、約0.5%未満)を含有するまで(オーブンかまたは流動化装置を用いて)乾燥させる。次に、乾燥顆粒を、適するサイズのスクリーン(例えば、100〜500ミクロン)と一緒に装着された適する微粉砕装置(例えば、Co-Mill、Fitzpatrick ミル)を介して通過させる。次に、得られた顆粒をブレンダー中に入れ、それに、コロイド二酸化ケイ素と、残りのAVICELおよびラクトースを加え、15分間混合する。次に、ステアリン酸マグネシウムを加え、更に5分間ブレンドする。次に、その混合物を、適する錠剤成形機を用いて圧縮して卵形錠剤にする。各錠剤の目標重量は100mgである。或いは、PVPは、上記の乾燥・造粒工程の前に加えられるイソプロピルアルコールおよびアトルバスタチン中に溶解させることができる。別の代替法は、アトルバスタチンをイソプロピルアルコール(またはいずれか適する溶媒)中に溶解させることであり、そしてその後、上記の乾燥・造粒工程の前にPVPを加える。
【0167】
実施例4:湿式造粒によるMETHOCELTMK100M稀少CR、カプリン酸ナトリウムおよびラウリル硫酸ナトリウムを用いた改変放出アトルバスタチン5mgマトリックス錠剤の製造
[0167] 表4に示されるようなアトルバスタチンの改変放出製剤を、実施例3の方法にしたがって、ラクトースおよびAVICELLTMの初期混合物へのラウリル硫酸ナトリウムおよびカプリン酸ナトリウムの添加を伴って製造する。或いは、ラウリル硫酸ナトリウムおよびカプリン酸ナトリウムは、造粒混合物が得られた後に加えることができる。
【0168】
【表4】

【0169】
[0168] 実施例1〜4のアトルバスタチン改変放出コア錠剤について、in vitro 溶解試験を、次のパラメーターを用いて実施する。USP(711);パドル@50RPM;基剤:リン酸緩衝液,pH6.8;適する界面活性剤(例えば、1%ラウリル硫酸ナトリウム)および適当な波長でのUV吸光度。
【0170】
実施例5:10mgロスバスタチンの急速放出錠剤コア
[0169] 表5に示される成分を含むロスバスタチンの急速放出錠剤コアを、次のように製造する。これらコアは、膜制御製剤中で用いることができる。
【0171】
【表5】

【0172】
[0170] 各々の成分を、適する天秤を用いて秤量する。AVICELLTM、ロスバスタチンおよびラクトースを、V型ブレンダー中で、均一混合物になるまで30分間混合する。ステアリン酸マグネシウムを加え、それら成分を更に5分間混合する。次に、その混合物を分割し、そして適する錠剤成形機上において平らな卵形成形用具を用いて圧縮して錠剤にする。各錠剤の目標重量は100mgである。
【0173】
実施例6:ロスバスタチンの(膜制御)急速放出錠剤の膜コーティング
[0171] 上の実施例5に示されたロスバスタチン製剤を、表6に記載のコーティングで被覆する。
【0174】
【表6】

【0175】
[0172] 実施例5より得られた錠剤を、適するコーティング機(例えば、Acelacota)中に入れ、必要な温度に加熱する。次に、表6に示された十分量のポリマー溶液を、錠剤上に吹付し、それら錠剤をコーティング機中で乾燥させる。
【0176】
[0173] in vitro 溶解試験を、ロスバスタチン改変放出膜制御製剤について、次のパラメーターを用いて実施する。USP(711);パドル@50RPM;基剤:リン酸緩衝液,pH6.8;および適当な波長でのUV吸光度。
【0177】
実施例7:腸溶コーティング膜錠剤
[0174] 本発明による剤形はいずれも、腸溶コーティング用懸濁液で被覆することができる。改変放出錠剤上に必要な腸溶コーティングの量を決定するために、コーティング実験を行う。コーティング実験は、選択された10mg強度製剤原型(約1〜2kgバッチサイズ)で行う。
【0178】
[0175] 腸溶コーティング用懸濁液の組成詳細:
【0179】
【表7】

【0180】
[0176] コーティングは、EUDRAGITTML30D55を用いて、膜被覆錠剤にコーティングポリマー厚みの5%、10%、15%および20%(すなわち、錠剤コート上の重量増加百分率)で適用する。コーティングは、膜被覆錠剤コア上に、適するコーティング装置を用いて適用する。
【0181】
[0177] in vitro 溶解試験を、腸溶コーティング改変放出錠剤について、次のパラメーターを用いて実施する。USP(711);パドル@50RPM;基剤:0.01〜0.1N HClを2時間の後、pH6.8またはそれより高いリン酸緩衝液を残りの試験時間;適当な波長でのUV吸光度。
【0182】
[0178] 試料を集め、溶解試験に供する。腸溶コーティング錠の目標 in vitro 溶解を、下に示す。
【0183】
【表8】

【0184】
実施例8:pH非依存性の機能性コーティング製剤
[0179] 本発明による剤形はいずれも、例えば、下の表8に与えられるようなpH非依存性コーティングで被覆することができる。
【0185】
【表9】

【0186】
[0180] in vitro 溶解試験を、pH非依存性の機能性コーティング改変放出錠剤について、次のパラメーターを用いて実施する。USP(711);パドル@50RPM;基剤:リン酸緩衝液,pH6.8;および適当な波長でのUV吸光度。
【0187】
[0181] pH非依存性の機能性コーティング錠の目標 in vitro 溶解を、下に示す。
【0188】
【表10】

【0189】
実施例9:患者のコレステロール低下作用における改変放出アトルバスタチン製剤と慣用的放出アトルバスタチン製剤との比較
[0182] 本発明の改変放出製剤の効力を評価するために、それら製剤を、原発性高コレステロール血症および混合型異常脂肪血症の患者におけるコレステロールの減少について試験し、同じ用量でのLIPITOR(登録商標)と比較する。低用量を更に試験して、本製剤が、より低用量においてLIPITOR(登録商標)よりも有効であるということを示す。本製剤を、更に、全身ユビキノン涸渇への、LIPITOR(登録商標)によって引き起こされる涸渇に相対するそれらの作用について試験する。結果は、本製剤が、LIPITOR(登録商標)などのアトルバスタチンの慣用的放出製剤に相対して有意に少ない全身ユビキノン涸渇を引き起こすということを示すであろう。
【0190】
[0183] 研究は、少なくとも4週プラシーボ期間で開始し、そこで、患者は食事アドバイスを受ける。患者を無作為に分けて、次を与えられる群にする。
A.慣用的アトルバスタチン(LIPITOR(登録商標))を1日20mgで6週間、その後、1日40mgに増加して6週間;
B.本発明の製剤を1日5mgで6週間。その期間の最後に、患者を無作為化して、1日5mgかまたは10mgを更に6週間与える;
C.本発明の製剤を1日10mgで6週間。その期間の最後に、患者を無作為化して、1日10mgかまたは20mgを更に6週間与える;または
D.本発明の製剤を1日20mgで6週間、その後、1日40mgに増加して6週間。
【0191】
[0184] A群およびD群は各々、20人の患者を含有し、B群およびC群は各々、40人の患者を含有して、6週目に20人の患者群への無作為化を可能にする。この設計は、プラシーボ期間、および本製剤と慣用的製品との用量反応比較を可能にする。
【0192】
[0185] コレステロールレベルは、研究参加前、無作為化前(ベースライン)、および3週目、6週目、9週目および12週目に測定する。全身ユビキノンレベルは、無作為化前と、6週目および12週目に測定して、全身ユビキノンレベルの相対的涸渇を決定する。ベースライン肝酵素は、3週目、6週目、9週目および12週目に測定する。集団分析用のアトルバスタチン血漿濃度は、6週目および12週目に入手する。
【0193】
[0186] 効力終点には、総コレステロール(C)、LDL−C、トリグリセリド(TG)、HDL−C、VLDL−C、および総C/HDL−C比およびLDL−C/HDL−C比のベースラインからの変化が含まれる。安全性は、特に、全身ユビキノンレベルのベースラインからの変化、および肝トランスアミナーゼ酵素のベースラインからの変化を考察することによって評価されるであろう。
【0194】
実施例10:患者のコレステロール低下作用における改変放出ロスバスタチン製剤と慣用的放出ロスバスタチン製剤との比較
[0187] 本発明の改変放出製剤の効力を評価するために、それら製剤を、原発性高コレステロール血症および混合型異常脂肪血症の患者におけるコレステロールの減少について試験し、同じ用量でのCRESTOR(登録商標)と比較する。低用量を更に試験して、本製剤が、より低用量においてCRESTOR(登録商標)よりも有効であるということを示す。本製剤を、更に、全身ユビキノン涸渇への、CRESTOR(登録商標)によって引き起こされる涸渇に相対するそれらの作用について試験する。結果は、本製剤が、CRESTOR(登録商標)などのロスバスタチンの慣用的放出製剤に相対して有意に少ない全身ユビキノン涸渇を引き起こすということを示すであろう。
【0195】
[0188] 研究は、少なくとも4週プラシーボ期間で開始し、そこで、患者は食事アドバイスを受ける。患者を無作為に分けて、次を与えられる群にする。
A.慣用的ロスバスタチン(CRESTOR(登録商標))を1日10mgで6週間、その後、1日20mgに増加して6週間;
B.本発明の製剤を1日2.5mgで6週間。その期間の最後に、患者を無作為化して、1日2.5mgかまたは5mgを更に6週間与える;
C.本発明の製剤を1日5mgで6週間。その期間の最後に、患者を無作為化して、1日5mgかまたは10mgを更に6週間与える;または
D.本発明の製剤を1日10mgで6週間、その後、1日20mgに増加して6週間。
【0196】
[0189] A群およびD群は各々、20人の患者を含有し、B群およびC群は各々、40人の患者を含有して、6週目に20人の患者群への無作為化を可能にする。この設計は、プラシーボ期間、および本製剤と慣用的製品との用量反応比較を可能にする。
【0197】
[0190] コレステロールレベルは、研究参加前、無作為化前(ベースライン)、および3週目、6週目、9週目および12週目に測定する。全身ユビキノンレベルは、無作為化前と、6週目および12週目に測定して、全身ユビキノンレベルの相対的涸渇を決定する。ベースライン肝酵素は、3週目、6週目、9週目および12週目に測定する。集団分析用のロスバスタチン血漿濃度は、6週目および12週目に入手する。
【0198】
[0191] 効力終点には、総コレステロール(C)、LDL−C、トリグリセリド(TG)、HDL−C、VLDL−C、および総C/HDL−C比およびLDL−C/HDL−C比のベースラインからの変化が含まれる。安全性は、特に、全身ユビキノンレベルのベースラインからの変化、および肝トランスアミナーゼ酵素のベースラインからの変化を考察することによって評価されるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つの酸性安定性担体輸送スタチンの肝バイオアベイラビリティーを増加させる方法であって、対象に、該少なくとも一つの酸性安定性担体輸送スタチンまたはその薬学的に許容しうる塩の治療的有効量を医薬製剤中で投与することを含み、ここにおいて、該製剤が、該スタチンを、腸管および肝細胞の吸収機構を飽和させない速度で放出する方法。
【請求項2】
製剤が、胃内でのスタチン放出を遅延しない、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
製剤が、実質的な量のスタチン放出を、該製剤が胃から出て通過するまで遅延する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
少なくとも一つの酸性安定性担体輸送スタチンが、アトルバスタチンである、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
少なくとも一つの酸性安定性担体輸送スタチンが、ロスバスタチンである、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
製剤が、約80%を超えるそのスタチン含量を約1時間〜約8時間の期間にわたって放出する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
投与が、同等有効量の慣用的放出製剤と比較したところ、約90%未満の、少なくとも一つの酸性安定性担体輸送スタチンの相対的全身バイオアベイラビリティーを達成する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
投与が、同等有効量の慣用的放出製剤と比較したところ、約80%未満の、少なくとも一つの酸性安定性担体輸送スタチンの相対的全身バイオアベイラビリティーを達成する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
高コレステロール血症を処置する方法であって、このような処置を必要としている対象に、少なくとも一つの酸性安定性担体輸送スタチンまたはその薬学的に許容しうる塩の治療的有効量を医薬製剤中で投与することを含み、ここにおいて、該製剤が、該少なくとも一つの酸性安定性担体輸送スタチンを、約2時間を超える期間にわたって放出する方法。
【請求項10】
少なくとも一つの酸性安定性担体輸送スタチンが、アトルバスタチンである、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
少なくとも一つの酸性安定性担体輸送スタチンが、ロスバスタチンである、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
製剤が、
2時間:約40%と同等またはそれ未満;
4時間:約20%〜約80%;および
6時間:約70%を超える
というような酸性安定性担体輸送スタチン放出速度を示す、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
改変放出製剤であって、少なくとも一つの酸性安定性担体輸送スタチンまたはその薬学的に許容しうる塩の治療的有効量を含み、該少なくとも一つの酸性安定性担体輸送スタチンを、腸管内および肝内での吸収速度とほぼ同等またはそれ未満である速度で放出する製剤。
【請求項14】
少なくとも一つの酸性安定性担体輸送スタチンが、アトルバスタチンである、請求項13に記載の製剤。
【請求項15】
少なくとも一つの酸性安定性担体輸送スタチンが、ロスバスタチンである、請求項13に記載の製剤。
【請求項16】
製剤が、
2時間:約40%と同等またはそれ未満;
4時間:約20%〜約80%;および
6時間:約70%を超える
というような酸性安定性担体輸送スタチン放出速度を示す、請求項13に記載の製剤。
【請求項17】
少なくとも一つの大分子量担体輸送スタチンの肝バイオアベイラビリティーを増加させる方法であって、対象に、該少なくとも一つの大分子量担体輸送スタチンまたはその薬学的に許容しうる塩の治療的有効量を医薬製剤中で投与することを含み、ここにおいて、該製剤が、膜透過性促進剤を含み、しかも該製剤が、該少なくとも一つの大分子量担体輸送スタチンを、腸管および肝細胞の吸収機構を飽和させない速度で放出する方法。
【請求項18】
少なくとも一つの大分子量担体輸送スタチンが、アトルバスタチンである、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
少なくとも一つの大分子量担体輸送スタチンが、ロスバスタチンである、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
製剤が、約80%を超えるそのスタチン含量を約1時間〜約8時間の期間にわたって放出する、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
投与が、同等有効量の慣用的放出製剤と比較したところ、約90%未満の、少なくとも一つの大分子量担体輸送スタチンの相対的全身バイオアベイラビリティーを達成する、請求項17に記載の方法。
【請求項22】
投与が、同等有効量の慣用的放出製剤と比較したところ、約80%未満の、少なくとも一つの大分子量担体輸送スタチンの相対的全身バイオアベイラビリティーを達成する、請求項17に記載の方法。
【請求項23】
高コレステロール血症を処置する方法であって、このような処置を必要としている対象に、少なくとも一つの大分子量担体輸送スタチンまたはその薬学的に許容しうる塩の治療的有効量を医薬製剤中で投与することを含み、ここにおいて、該製剤が、少なくとも一つの膜透過性促進剤を含み、しかも該製剤が、該少なくとも一つの大分子量担体輸送スタチンを、約2時間を超える期間にわたって放出する方法。
【請求項24】
少なくとも一つの大分子量担体輸送スタチンが、アトルバスタチンである、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
少なくとも一つの大分子量担体輸送スタチンが、ロスバスタチンである、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
製剤が、
2時間:約40%と同等またはそれ未満;
4時間:約20%〜約80%;および
6時間:約70%を超える
というような大分子量担体輸送スタチン放出速度を示す、請求項23に記載の方法。
【請求項27】
改変放出製剤であって、少なくとも一つの大分子量担体輸送スタチンまたはその薬学的に許容しうる塩の治療的有効量および少なくとも一つの膜透過性促進剤を含み、そして該少なくとも一つの大分子量担体輸送スタチンを、腸管内および肝内での吸収速度とほぼ同等またはそれ未満である速度で放出する製剤。
【請求項28】
少なくとも一つの大分子量担体輸送スタチンが、アトルバスタチンである、請求項27に記載の製剤。
【請求項29】
少なくとも一つの大分子量担体輸送スタチンが、ロスバスタチンである、請求項27に記載の製剤。
【請求項30】
製剤が、
2時間:約40%と同等またはそれ未満;
4時間:約20%〜約80%;および
6時間:約70%を超える
というような大分子量担体輸送スタチン放出速度を示す、請求項27に記載の製剤。
【請求項31】
少なくとも一つの水溶性に乏しい担体輸送スタチンの肝バイオアベイラビリティーを増加させる方法であって、対象に、該少なくとも一つの水溶性に乏しい担体輸送スタチンまたはその薬学的に許容しうる塩の治療的有効量を医薬製剤中で投与することを含み、ここにおいて、溶解度改善方法が、該水溶性に乏しい担体輸送スタチンに適用されていて、しかも該製剤が、該スタチンを、腸管および肝細胞の吸収機構を飽和させない速度で放出する方法。
【請求項32】
少なくとも一つの水溶性に乏しい担体輸送スタチンが、アトルバスタチンである、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
少なくとも一つの水溶性に乏しい担体輸送スタチンが、ロスバスタチンである、請求項31に記載の方法。
【請求項34】
製剤が、約80%を超えるそのスタチン含量を約1時間〜約8時間の期間にわたって放出する、請求項31に記載の方法。
【請求項35】
投与が、同等有効量の慣用的放出製剤と比較したところ、約90%未満の、少なくとも一つの水溶性に乏しい担体輸送スタチンの相対的全身バイオアベイラビリティーを達成する、請求項31に記載の方法。
【請求項36】
投与が、同等有効量の慣用的放出製剤と比較したところ、約80%未満の、少なくとも一つの水溶性に乏しい担体輸送スタチンの相対的全身バイオアベイラビリティーを達成する、請求項31に記載の方法。
【請求項37】
高コレステロール血症を処置する方法であって、このような処置を必要としている対象に、少なくとも一つの水溶性に乏しい担体輸送スタチンまたはその薬学的に許容しうる塩の治療的有効量を医薬製剤中で投与することを含み、ここにおいて、溶解度改善方法が、該水溶性に乏しい担体輸送スタチンに適用されていて、しかも該製剤が、該少なくとも一つの水溶性に乏しい担体輸送スタチンを、約2時間を超える期間にわたって放出する方法。
【請求項38】
少なくとも一つの水溶性に乏しい担体輸送スタチンが、アトルバスタチンである、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
少なくとも一つの水溶性に乏しい担体輸送スタチンが、ロスバスタチンである、請求項37に記載の方法。
【請求項40】
製剤が、
2時間:約40%と同等またはそれ未満;
4時間:約20%〜約80%;および
6時間:約70%を超える
というような水溶性に乏しい担体輸送スタチン放出速度を示す、請求項37に記載の方法。
【請求項41】
改変放出製剤であって、少なくとも一つの水溶性に乏しい担体輸送スタチンまたはその薬学的に許容しうる塩の治療的有効量を含み、ここにおいて、溶解度改善方法が、該水溶性に乏しい担体輸送スタチンに適用されていて、そして該製剤が、該少なくとも一つの水溶性に乏しい担体輸送スタチンを、腸管内および肝内での吸収速度とほぼ同等またはそれ未満である速度で放出する製剤。
【請求項42】
少なくとも一つの水溶性に乏しい担体輸送スタチンが、アトルバスタチンである、請求項41に記載の製剤。
【請求項43】
少なくとも一つの水溶性に乏しい担体輸送スタチンが、ロスバスタチンである、請求項41に記載の製剤。
【請求項44】
製剤が、
2時間:約40%と同等またはそれ未満;
4時間:約20%〜約80%;および
6時間:約70%を超える
というような水溶性に乏しい担体輸送スタチン放出速度を示す、請求項41に記載の製剤。

【公表番号】特表2007−510714(P2007−510714A)
【公表日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−538993(P2006−538993)
【出願日】平成16年10月29日(2004.10.29)
【国際出願番号】PCT/IB2004/003849
【国際公開番号】WO2005/041939
【国際公開日】平成17年5月12日(2005.5.12)
【出願人】(506154166)アスファーマ・リミテッド (2)
【Fターム(参考)】