説明

拡大カバレッジ範囲を備えた無線通信ネットワーク

【課題】802.11b/gと、802.11b/gの最低データレートより低い少なくとも1つのデータレートによって範囲拡大モードとをサポートする無線通信ネットワークを提供する。
【解決手段】アクセスポイントまたはユーザ端末等の送信局は第1及び第2のプロセッサを含む。第1のプロセッサは、802.11b/gによってサポートされる1及び2Mbps等のデータレートからなる第1のセットで差分変調とスペクトル拡散とを遂行する。第2のプロセッサは、範囲拡大モードによってサポートされる250、500、1000Kbps等のデータレートからなる第2のセットで、順方向誤り訂正符号化と、記号マッピングと、スペクトル拡散とを遂行する。送信局は、送信の所望カバレッジ範囲に応じ、802.11b/gまたは範囲拡大モードによってサポートされるデータレートで送信を送信できる。受信局は、前記送信を復元するため相補的処理を遂行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般的には通信に、より具体的には拡大カバレッジ範囲を備えた無線通信ネットワークに関する。
【背景技術】
【0002】
データ、音声、映像等、様々な通信サービスを提供するため、無線通信ネットワークが広く配備されている。これらのネットワークには、大きな地理的領域(例えば都市)に通信カバレッジを提供する無線ワイドエリアネットワーク(WWANs)と、中規模の地理的領域(例えば建物、キャンパス)に通信カバレッジを提供する無線ローカルエリアネットワーク(WLANs)と、小さな地理的領域(例えば家屋)に通信カバレッジを提供する無線パーソナルエリアネットワーク(WPANs)とが含まれる。無線ネットワークは通常、1つ以上のユーザ端末(または無線デバイス)のため通信をサポートする1つ以上のアクセスポイント(または基地局)を含む。
【0003】
IEEE 802.11は、電気電子技術者協会(IEEE)によって策定されたWLANsのための一連の規格である。これらの規格は、アクセスポイントとユーザ端末との間の、または2つのユーザ端末間の、無線インターフェイスを定める。「Part 11:Wireless LAN Medium Access Control(MAC)and Physical Layer(PHY)Specifications(第11編:無線LAN媒体アクセス制御(MAC)及び物理層(PHY)仕様)」と題されたIEEE規格802.11、1999年版(略して「802.11」)は、周波数ホッピングスペクトル拡散(FHSS)か直接シーケンススペクトル拡散(DSSS)のいずれかを使用し2.4ギガヘルツ(GHz)周波数帯で1及び2メガビット/秒(Mbps)のデータレートをサポートする。802.11の補遺にあたるIEEE規格802.11a−1999(略して「802.11a」)は、FHSSやDSSSの代わりに直交周波数分割多重(OFDM)を使用し、5GHz周波数帯で54Mbpsまでのデータレートをサポートする。IEEE規格802.11b−1999(略して「802.11b」)は802.11のもうひとつの補遺であり、DSSSを用いて11Mbpsまでのデータレートをサポートする。802.11のもうひとつの補遺にあたるIEEE規格802.11g−2003(略して「802.11g」)は、DSSSとOFDMとを使用し、2.4GHz帯域で54Mbpsまでのデータレートをサポートする。これらの各種規格は当技術分野において周知であり、公に入手可能である。
【0004】
802.11、802.11a、802.11b、及び802.11gによってサポートされる最低データレートは1Mbpsである。802.11bと802.11g(略して「802.11b/g」)の場合には、1Mbpsの最低データレートで送信を送信するため特定のDSSS方式と特定の変調方式が使われる。1MbpsのためのDSSS及び変調方式では、信頼性の高い送信受信のため一定の最低信号対雑音干渉比(SNR)が要求される。この場合の送信範囲は、受信局が所要のSNR以上を達成できる地理的領域によって決定される。場合によっては、802.11b/gでサポートされる最低データレートの範囲より大きい範囲で送信を送信することが望まれる。
【0005】
したがって、当技術分野においては拡大カバレッジ範囲を備えた無線通信ネットワークが求められている。
【発明の概要】
【0006】
本明細書では、802.11b及び/または802.11gと範囲拡大モードとをサポートする無線通信ネットワークを説明する。一実施形態において、前記範囲拡大モードは802.11b/gによってサポートされる、前記最低データレートより低い少なくとも1つのデータレートをサポートする。このより低いデータレートはカバレッジ範囲の拡大に役立てることができ、ウォーキートーキー等、特定の用途にとって有益である。
【0007】
一実施形態において、送信局(これはアクセスポイントまたはユーザ端末であってよい)は第1及び第2のプロセッサを含む。前記第1のプロセッサは、802.11b/gによってサポートされる少なくとも1つのデータレート(例えば1及び2Mbps)からなる第1のセットで、差分変調とスペクトル拡散とを遂行する。前記第2のプロセッサは、前記範囲拡大モードによってサポートされる少なくとも1つのデータレート(例えば250、500、及び1000Kbps)からなる第2のセットで、順方向誤り訂正(FEC)符号化と、記号マッピングと、スペクトル拡散とを遂行する。前記送信局は、例えば所望の送信カバレッジ範囲に応じて、802.11b/gかまたは範囲拡大モードによってサポートされるデータレートで送信を送信できる。
【0008】
一実施形態において、受信局(これもまたアクセスポイントまたはユーザ端末であってよい)は第1及び第2のプロセッサを含む。前記第1のプロセッサは、802.11b/gによってサポートされる少なくとも1つのデータレートからなる前記第1のセットで、スペクトル逆拡散と差分復調とを遂行する。前記第2のプロセッサは、前記範囲拡大モードによってサポートされる少なくとも1つのデータレートからなる前記第2のセットで、スペクトル逆拡散と、コヒーレントまたは差分復調と、FEC復号化とを遂行する。
【0009】
これより本発明の様々な観点及び実施形態をさらに詳しく説明する。
【0010】
本発明の特徴と性質は、図面と併せて以下に記す詳細な説明からより明白となり、図面においては全体を通じて同様の参照符号は同様に識別する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】アクセスポイントとユーザ端末とを備える無線ネットワークを示す。
【図2】送信局と受信局のブロック図を示す。
【図3】802.11b/gのDSSS送信プロセッサを示す。
【図4】送信局にある送信プロセッサを示す。
【図5】従来の符号器を示す。
【図6】802.11b/gのPPDU構造を示す。
【図7】範囲拡大モードのPPDU構造を示す。
【図8】受信局にある受信プロセッサを示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
用語「例示的(exemplary)」は本明細書で「例、事例、または例証として役立つ」ことを意味するために使われている。本明細書で「例示的」なものとして説明する任意の実施形態または設計は、必ずしも他の実施形態または設計より好ましいもの、または有利なもの、と解釈されるべきものではない。
【0013】
図1は、アクセスポイント110とユーザ端末120とを含む無線ネットワーク100を示す。アクセスポイントは一般的にはユーザ端末と通信する固定局であり、基地局、ベーストランシーバサブシステム(BTS)、または他の何らかの用語で呼ばれることもある。ユーザ端末は固定または可動であってよく、モバイルステーション、ワイヤレスデバイス、ユーザ機器(UE)、または他の何らかの用語で呼ばれることもある。ユーザ端末はアクセスポイントと通信でき、この場合、アクセスポイントとユーザ端末の役割は定まる。ユーザ端末はまた、別のユーザ端末とピア・ツー・ピアで通信できる。集中ネットワークアーキテクチャの場合は、システムコントローラ130がアクセスポイントへ結合し、これらのアクセスポイントのため調整と制御とを提供する。
【0014】
アクセスポイントは、データの送受のためただ1つのアンテナを、または複数のアンテナを装備できる。ユーザ端末もまた、データの送受のためただ1つのアンテナを、または複数のアンテナを装備できる。図1で、アクセスポイント110は複数の(例えば2つまたは4つの)アンテナを装備し、ユーザ端末120a及び120bは1つのアンテナを各々装備し、ユーザ端末120b及び120cは複数のアンテナを各々装備する。
【0015】
図2は、無線ネットワーク100における送信局210と受信局250のブロック図を示す。送信局210は1つのアンテナを装備し、アクセスポイントまたはユーザ端末になり得る。受信局250は複数(例えばR=2個)のアンテナを装備し、これもまたアクセスポイントまたはユーザ端末になり得る。
【0016】
送信局210で、ソース符号器220はソース符号化方式に基づき原データ(例えば音声または映像データ)を符号化し、トラフィックデータを生成する。このソース符号化方式は最終用途次第であり、例えば音声なら強化可変レート符号化(EVRC)符号器であってよく、映像ならH.324符号器であってよい。送信プロセッサ230はソース符号器220からトラフィックデータを受け取り、選択される送信データレートに従ってトラフィックデータを処理し、出力チップを提供する。送信プロセッサ230による処理は後述する。送信機ユニット(TMTR)232は出力チップを処理し(例えば、アナログへ変換する、増幅する、フィルタする、周波数アップコンバートする)、変調信号を生成し、同変調信号はアンテナ234を通じて送信される。
【0017】
受信局250で、R個のアンテナ252a〜252rは送信された信号を受信し、各々のアンテナ252はそれぞれの受信機ユニット(RCVR)254へ受信信号を提供する。各々の受信機ユニット254は自身の受信信号を処理し、入力サンプルからなるストリームを受信プロセッサ260へ提供する。受信プロセッサ260は全R個の受信機ユニット254a〜254rからの入力サンプルを、送信プロセッサ230によって遂行される処理を補完する形で処理し、送信局210によって送信されたトラフィックデータの推定にあたる出力データを提供する。ソース復号器270は、ソース符号器220によって遂行される処理を補完する形で出力データを処理し、復号化データを提供する。
【0018】
コントローラ240及び280は、それぞれ送信局210と受信局250とで処理ユニットの動作を指導する。メモリユニット242及び282は、コントローラ240及び280によってそれぞれ使用されるデータ及び/またはプログラムコードを格納する。
【0019】
局210及び250は802.11bまたは802.11gをサポートできる。802.11gは802.11bに対し後方互換性であり、802.11bが定める作動モードの全てをサポートする。表1には、802.11bと802.11gとによってサポートされる2つの最低データレートと、各データレートの処理が記載されている。1Mbpsには差分バイナリ位相偏移キーイング(DBPSK)が使われ、2Mbpsには差分直角位相偏移キーイング(DQPSK)が使われる。
【表1】

【0020】
明瞭を図るため、以降の説明で用語「ビット」は送信局における変調(または記号マッピング)より前の量を指し、用語「記号」は記号マッピングの後の量を指し、用語「チップ」はスペクトル拡散の後の量を指す。
【0021】
図3は、802.11b/gにおける2つの最低データレートのためのDSSS送信プロセッサ310を示す。DSSS送信プロセッサ310は、図2の送信局210にある送信プロセッサ230として使用してよい。DSSS送信プロセッサ310は、データビットを変調記号にマップする差分変調器320と、変調記号をスペクトル拡散して出力チップを提供する拡散器330とを含む。
【0022】
差分変調器320の中で、差分符号器322はトラフィックデータのデータビットを受け取り、DBPSKまたはDQPSKのためデータビットに差分符号化を遂行し、差分符号化ビットを提供する。DBPSKの場合、「0」のデータビットは0°の位相変化をもたらし、「1」のデータビットは180°またはπの位相変化をもたらす。DQPSKの場合、「00」のデータビットペアは0°の位相変化をもたらし、「01」のデータビットペアは+90°またはπ/2の位相変化をもたらし、「11」のデータビットペアは+180°またはπの位相変化をもたらし、「10」のデータビットペアは+270°または3π/2の位相変化をもたらす。記号マッパー324は、1Mbpsデータレートの場合はBPSKに、2Mbpsデータレートの場合はQPSKに基づき、差分符号化ビットを変調記号にマップする。記号マッピングは、(1)B個のビットからなるセットをまとめてBビットバイナリ値を形成し、尚ここでBPSKならB=1であり、QPSKならB=2であり、さらに(2)選択された変調方式の信号配列の中の点に各々のBビットバイナリ値をマップすることにより、達成できる。マップされた各々の信号点は複素数値であり、変調記号に相当する。記号マッパー324は、1Mbpsデータレートの場合には1メガ記号/秒(Msps)のレートでBPSK変調記号を提供し、2Mbpsデータレートの場合には1MspsのレートでQPSK変調記号を提供する。
【0023】
拡散器330の中で、擬似乱数(PN)符号生成器334は、バーカー(Barker)シーケンスとも呼ばれるPN符号シーケンスを生成する。バーカーシーケンスは長さが11チップで、11メガチップ/秒(Mcps)のレートを有し、11チップのシーケンス{+1、−1、+1、+1、−1、+1、+1、+1、−1、−1、−1}からなる。乗算器332は、記号マッパー324から1Mspsのレートで変調記号を、そしてPN符号生成器334からバーカーシーケンスを受け取り、各々の変調記号にバーカーシーケンスの全11チップを掛け、その変調記号に対し11個の出力チップを生成し、出力チップのシーケンスを提供する。出力チップのレートは変調記号のレートの11倍、すなわち11Mcpsである。各々の出力チップは1チップ期間に送信される複素数値であり、この1チップ期間は約90.9ナノ秒(ns)である。
【0024】
図3に示すとおり、データビットはFEC符号化されないが、バーカーシーケンスによりスペクトル拡散される。このスペクトル拡散は約10.4デシベル(dB)の処理利得を提供する。
【0025】
無線ネットワーク100は、拡大範囲を備えた作動モードをサポートするべく設計できる。この範囲拡大モードは追加のリンクマージン(例えば、802.11b/gの1Mbpsデータレートより10dB多いリンクマージン)を提供し、様々な用途に役立てることができる。例えば、範囲拡大モードによりユーザ端末はより長い範囲にわたって別のユーザ端末とピア・ツー・ピアで通信でき、現在の450MHzウォーキートーキー(WT)技術に匹敵するよう設計できる。範囲拡大モードは、これのサポートにかかる増加コストをできるだけ低く抑えるため、既存の802.11b/gハードウェア、ファームウェア、及びソフトウェアを可能な限り利用する形に設計できる。加えて、音声信号の符号化と復号化に使われるEVRC音声符号器/復号器(コーデック)等、他の無線ネットワークで一般的に使われている機能を範囲拡大モードに利用できる。
【0026】
図4は、図2の送信局210にある送信プロセッサ230の一実施形態を示す。送信プロセッサ230は、802.11b/gのため1及び2Mbpsデータレートを、そして範囲拡大モードのため新しいデータレートを、サポートする。送信プロセッサ230は、(1)802.11b/gのため差分変調とスペクトル拡散とを遂行するDSSS送信プロセッサ310と、(2)範囲拡大モードのためFEC符号化と、記号マッピングと、スペクトル拡散とを遂行するDSSS送信プロセッサ410と、(3)マルチプレクサ(Mux)430とを含む。DSSS送信プロセッサ310は、図3に示されるように実現される。
【0027】
DSSS送信プロセッサ410の中で、FEC符号器412はトラフィックデータのデータビットをソース符号器220から受け取り、FEC符号化方式に従ってデータビットを符号化し、符号ビットを提供する。FEC符号器412は、畳み込み符号、ターボ符号、低密度パリティ検査(LDPC)符号、ブロック符号、他の何らかの符号、またはこれらの組み合わせを実施してよい。一例として、FEC符号器412は、各データビットにつき2つの符号ビットを生成するレート1/2、拘束長K=7のバイナリ畳み込み符号器であってよい。FEC符号化は送信の信頼性を高め、チャネル符号化とも呼ばれる。リピート/パンクチャユニット414は、所望の符号レートを得るため符号ビットの一部または全部を繰り返すか、またはパンクさせる(すなわち削除する)。例えば、もしもFEC符号器412がレート1/2畳み込み符号器なら、各符号ビットを1回繰り返すことによって1/4の符号レートを得ることができ、1/2より大きい符号レートは、符号ビットの一部を削除することによって得ることができる。インターリーバ416は、リピート/パンクチャユニット414からの符号ビットを、インターリーブ方式に基づきインターリーブする、または並べ替える。インターリーブは、時間、周波数、及び/または空間ダイバーシティを符号ビットに提供する。インターリーブは、特定の送信のため、例えば特定のデータレート及び/または特定のPPDUサイズのため、選択的に遂行できる。インターリーブは省くこともできる。
【0028】
一実施形態においては、範囲拡大モードのため差分変調を使用する。この実施形態の場合、差分符号器418は、例えばDBPSKまたはDQPSKのため、インターリーブ化ビットに対し差分符号化を遂行し、差分符号化ビットを提供する。記号マッパー420は、変調方式に基づき、例えばBPSKまたはQPSKに基づき、差分符号化ビットを変調記号にマップする。差分符号器418と記号マッパー420は、802.11b/gで使われる、上で説明したのと同じDBPSKまたはDQPSK方式を実施してよい。拡散器422は、記号マッパー420からの変調記号をスペクトル拡散する。拡散器422は図3の拡散器330と同様に実装してよく、各々の変調記号を11チップのバーカーシーケンスで拡散することにより、変調記号に対し11個の出力チップを生成してよい。図4に示されていない別の実施形態においては、範囲拡大モードのため通常の変調を使用する。この実施形態の場合には差分符号器418が省かれ、記号マッパー420はインターリーブ化ビットを変調記号にマップする。差分変調のための差分符号化なら、位相復元回路におけるスリップがパケット全体ではなく数ビットの損失ですむため、受信局の性能を向上させることができる。
【0029】
マルチプレクサ430は、DSSS送信プロセッサ310及び410から出力チップを受け取り、そして選択されたデータレートが802.11b/gのものか、それとも範囲拡大モードのものかを指示する制御を受け取る。マルチプレクサ430は、802.11b/gのデータレートが選択される場合にはDSSS送信プロセッサ310からの出力チップを提供し、範囲拡大モードのデータレートが選択される場合にはDSSS送信プロセッサ410からの出力チップを提供する。
【0030】
範囲拡大モードは様々なデータレートをサポートできる。表2には、範囲拡大モードによってサポートされる3つの例示的データレートと、各データレートの符号化と変調とが記載されている。各データレートの効率は、データビット/変調記号(ビット/sym)の単位で記載されている。
【表2】

【0031】
表2は例示的な範囲拡大モード設計を示している。これ以外のデータレート、符号レート、変調方式もまた範囲拡大モードでサポートでき、本発明の範囲内にある。
【0032】
図5は、図4のDSSS送信プロセッサ410の中にあるFEC符号器412の一実施形態にあたる畳み込み符号器412aを示す。この実施形態の符号器412aは、各データビットxにつき2つの符号ビットy及びyを提供するレート1/2バイナリ畳み込み符号器である。畳み込み符号器412aは次の生成行列を実施し、
G(D)=[g(D),g(D)]
ここでg(D)=D+D+D+D+1であり、g(D)=D+D+D+D+1である。他の生成行列も使用できる。
【0033】
畳み込み符号器412aは、6つの直列結合された遅延素子512a〜512fと、生成多項式g(D)のための4つのモジュロ2加算器514a〜514dと、生成多項式g(D)のための4つのモジュロ2加算器516a〜516dとを含む。遅延素子512a〜512fは最初はゼロに設定される。第1の遅延素子512aにはデータビットが提供される。各データビットにつき、加算器514aは入力データビットと遅延ユニット512bからのビットを合計し、加算器514bは加算器514aからのビットと遅延ユニット512cからのビットを合計し、加算器514cは加算器514bからのビットと遅延ユニット512eからのビットを合計し、加算器514dは加算器514cからのビットと遅延ユニット512fからのビットを合計し、第1の符号ビットyを提供する。各データビットにつき、加算器516aは入力データビットと遅延ユニット512aからのビットを合計し、加算器516bは加算器516aからのビットと遅延ユニット512bからのビットを合計し、加算器516cは加算器516bからのビットを遅延ユニット516cからのビットを合計し、加算器516dは加算器516cからのビットと遅延ユニット512fからのビットを合計し、第2の符号ビットyを提供する。加算器514a〜514dと加算器516a〜516dは、モジュロ2和演算を遂行する。
【0034】
IEEE 802.11の場合、データはMACプロトコルデータ単位(MPDUs)として媒体アクセス制御(MAC)層によって処理される。各々のMPDUは物理層収束プロトコル(PLCP)によって処理され、PLCPプロトコルデータ単位(PPDU)に封入される。各々のPPDUは物理層によって処理され、無線チャネルを通じて送信される。
【0035】
図6は802.11b/gが定めるPPDU構造600を示す。PPDU構造600の場合、PPDU 610はPLCPプリアンブル620と、PLCPヘッダー640と、MPDU 660とを含む。MPDU 660はPPDU 610のデータを携行し、長さは可変である。PLCPプリアンブル620は、PLCP同期(SYNC)フィールド622と開始フレームデリミッタ(SFD)フィールド624とを含む。SYNCフィールド622は、信号の検出と同期のため受信局によって使用される固定128ビットシーケンスを携行する。SFDフィールド624は、PLCPヘッダーの開始を指示する固定16ビットシーケンスを携行する。
【0036】
PLCPヘッダー640は、SIGNALフィールド642と、SERVICEフィールド644と、LENGTHフィールド646と、巡回冗長検査(CRC)フィールド648とを含む。SIGNALフィールド642はMPDUのデータレートを指示し、100Kbps単位で与えられる。例えば、10及び20(10進)のSIGNALフィールド値はそれぞれ1及び2Mbpsのデータレートを意味する。SERVICEフィールド644は将来の用途のため保留されおり、ただし0のSERVICEフィールド値はIEEE 802.11準拠を意味する。LENGTHフィールド646はMPDU 660の送信に要する時間量(マイクロ秒単位)を指示する。CRCフィールド648は、SIGNAL、SERVICE、及びLENGTHフィールドに基づき生成されるCRC値を携行する。このCRC値は、PLCPヘッダー640が正常に、または誤って受信されたか否かを受信局が決定するのに役立てることができる。
【0037】
図6に示すとおり、PLCPプリアンブル620とPLCPヘッダー640はDBPSKを用いて1Mbpsで送信される。PLCPプリアンブル620のオーバーヘッドは144ビットであり、PLCPヘッダー640のオーバーヘッドは48であり、PPDU 610の合計オーバーヘッドは192ビットである。192ビットが処理されることにより192のBPSK変調記号が生成され、192の記号期間で送信される。各々の記号期間は1マイクロ秒(μs)続く。MPDU 660は、SIGNALフィールド642が指示するデータレートで送信される。
【0038】
図7は、範囲拡大モードに使用できる例示的PPDU構造700を示す。PPDU構造700の場合、PPDU 710はPLCPプリアンブル720と、チャネル推定(CHANEST)フィールド730と、PLCPヘッダー740と、MPDU 760とを含む。MPDU 760はPPDU 710のデータを携行し、長さは可変である。PLCPプリアンブル720は、固定128ビットシーケンスを携行するSYNCフィールド722を含む。CHANESTフィールド730は、受信局によるチャネル推定に役立てる固定ビットシーケンスを携行する。CHANESTフィールド730の固定ビットシーケンスは、PLCPプリアンブルの固定128ビットシーケンスと同様に生成されるPNシーケンスであってよい。CHANESTフィールド730の長さは固定されてよく(例えば、図7に示す実施形態なら32ビット)、あるいは構成可能な長さであってよい(例えば0〜64ビット)。CHANESTフィールド730の長さは、受信局がMPDUの受信に先駆け周波数取得、チャネル推定、その他を遂行するにあたり十分な時間が提供されるよう選択してよい。
【0039】
一実施形態において、PLCPヘッダー740はRateフィールド742と、Rate Feedbackフィールド744と、Durationフィールド746と、Reservedフィールド748と、CRCフィールド750と、Tailフィールド752とを含む。Rateフィールド742は、順方向のデータ送信に用いるデータレートを指示する。Rate Feedbackフィールド744は、逆方向で送信されるフィードバックに用いるデータレートを指示する。Durationフィールド746はMPDU 760の持続期間を指示する。Reservedフィールド748は将来の用途のため保留されている。CRCフィールド750は、Rate、Rate Feedback、Duration、及びReservedフィールドに基づき生成されるCRC値を携行する。Tailフィールド752は、K−1の後尾ビット(値「0」を伴う)を携行し、これは、PLCPヘッダー740の終わりに拘束長K畳み込み符号器を既知の状態にリセットするために使われる。
【0040】
表3は、PLCPヘッダー740にあるフィールドの例示的実施形態を示している。この実施形態で、Rate及びRate Feedbackフィールドは表3のとおりに設定される。Durationフィールドは250マイクロ秒(μs)の単位で与えられ、例えば「0000」は250μsを表し、「1111」は4msを表す。Durationフィールドにはこれ以外の時間またはビット数単位も使用してよい。
【表3】

【0041】
IEEE 802.11nは802.11の補遺にあたり、より高いデータレートをサポートし、提案過程にある。
【0042】
図7に示す実施形態の場合、PLCPプリアンブル720はDBPSKを用いて1Mbpsで送信され、CHANESTフィールド730はBPSKを用いて1Mbpsで送信され、PLCPヘッダー740はBPSKを用いて250Kbpsで送信される。PLCPヘッダー740の24ビットはレート1/4で符号化され、96の符号ビットが生成される。これらの96の符号ビットは96のBPSK変調記号にマップされ、96のBPSK変調記号は96の記号期間で送信される。MPDU 760はRateフィールド742が指示するデータレートで送信される。
【0043】
図7と表3は、範囲拡大モードのPLCPヘッダー740の特定の実施形態を示している。一般的にPPDU 710は、あらゆるタイプのシグナリング及びデータのためフィールドをいくつでも含んでよく、各々のフィールドはビットをいくつでも含んでよく、各フィールドの値は様々なやり方で設定できる。例えば、PLCPプリアンブル720に16ビットSFDフィールドを含めてよく、こうすることで図6のPLCPプリアンブル620と同じになってよい。もうひとつの例として、CRCフィールド750は4ビットまで減らしてよく、さらにPLCPヘッダー740の合計ビット数を同じに保つためReservedフィールド748を6ビットまで増やしてよい。
【0044】
以降の説明では、図6のPPDU 610を旧PPDUと呼び、PLCPヘッダー640を旧PLCPヘッダーと呼ぶ。図7のPPDU 710は新PPDUと呼び、PLCPヘッダー740は新PLCPヘッダーと呼ぶ。新局は、802.11b/gと範囲拡大モードの両方をサポートする局である。旧局は、802.11b/gをサポートし、ただし範囲拡大モードはサポートしない局である。局はアクセスポイントまたはユーザ端末であってよい。
【0045】
新PPDUは、旧局の動作に支障をきたすことなく新局のため範囲拡大モードをサポートする。新PPDUは、新局と旧局の両方で検出できる同じSYNCフィールドを使用する。旧局は新PPDUの中でSYNCフィールドを検出するが、SFDフィールドは検出せず、CRC検査にも失格する。SFDとCRCの失敗のため旧局は無線チャネルの検出に戻る。よって、旧局が無線チャネルで送信しないことを指示するためネットワーク配分ベクトル(NAV)を設定する必要はない。
【0046】
新局は新PPDUの中でSYNCフィールドを検出し、SFDフィールドを検出しない。このSFDフィールドの不在をもとに、802.11b/gの旧PPDUと範囲拡大モードの新PPDUとを区別できる。新PPDUを検出した新局は、図7のPPDU構造700に従って新PPDUの残りの部分を処理する。新局による新PPDUの処理は後述する。
【0047】
範囲拡大モードは、音声、映像、データ等、様々な用途に利用できる。音声なら、図2のソース符号器220としてEVRC符号器を使用して音声データを符号化し、EVRCパケットを定期的間隔で、例えば20ミリ秒(ms)毎に1 EVRCパケットずつ、生成できる。EVRC符号器は、サポートされた数通りのコーデックレートの内1つでEVRCパケットを提供できる。
【0048】
表4には、CHANESTフィールドを省き、1、2、4、及び8Kbpsの4通りのコーデックレートでEVRCパケットの新PPDUサイズが記載されている。この場合、新PPDUのオーバーヘッドは合計224記号を、すなわちSYNCフィールドの128記号と新PLCPヘッダーの96記号とを含む。EVRCパケットは、1、2、4、及び8Kbpsでそれぞれ24、48、96、及び192のデータビットを収容する。24、48、96、及び192のデータビットはFEC符号化され、表4に記載された数の記号へマップされる。PPDU期間は、オーバーヘッドの記号数にペイロードの記号数を足したものに等しい。各記号は1μsで送信されるから、表4には、4通りのコーデックレートのPPDU期間が時間(μs)と合計記号数の両方の単位で記載されている。
【表4】

【0049】
表5には、64ビットのCHANESTフィールドを含め、1、2、4、及び8Kbpsの4通りのコーデックレートでEVRCパケットの新PPDUサイズが記載されている。この場合、新PPDUのオーバーヘッドは合計288記号を、すなわちSYNCフィールドの128記号と、CHANESTフィールドの64記号と、新PLCPヘッダーの96記号とを、含む。EVRCパケット当たりの記号数は表4と同じである。4つのコーデックレートのPPDU期間は、CHANESTフィールドのため64μsずつ増えている。
【表5】

【0050】
図8は、図2の受信局250にある受信プロセッサ260の一実施形態を示す。受信プロセッサ260は(1)802.11b/gのためスペクトル逆拡散と差分復調とを遂行するDSSS受信プロセッサ820と、(2)範囲拡大モードのためスペクトル逆拡散と、コヒーレント復調と、FEC復号化とを遂行するDSSS受信プロセッサ830と、(3)その他の処理ユニットとを含む。受信プロセッサ260は、各々の受信機ユニット254から入力サンプルのストリームを(例えば、11Mcpsのチップレートで)受け取る。
【0051】
信号検出(det)タイミング取得ユニット810は、PPDUプリアンブルのSYNCフィールドで128ビットシーケンスを検出し、さらに検出した128ビットシーケンスのタイミングを決定する。ユニット810は各々のチップ期間で入力サンプルをバーカーシーケンスで逆拡散し、逆拡散記号をチップレートで生成できる。次にユニット810は、それぞれのチップ期間で逆拡散記号を128ビットシーケンスに相関させ、各チップ期間につき信号エネルギーを計算し、信号エネルギーが所定の閾値を超過する場合には信号検出を宣言できる。信号ピークのタイミングは受信信号のタイミングとして使用できる。
【0052】
周波数取得ユニット812は、入力サンプルにおける周波数誤差を推定する。ユニット812は、SYNCフィールドに用いる固定128ビットシーケンスのビットを逆拡散記号に掛け、これにより得た記号に高速フーリエ変換(FFT)を遂行し、FFTの出力に基づき各サブバンドのエネルギーを計算し、最大エネルギーを備えたサブバンドとして周波数誤差を推定できる。
【0053】
チャネル推定ユニット814は、SYNCフィールドとCHANESTフィールド(送信される場合)の入力サンプルに基づき無線チャネルの応答を推定する。ユニット814は、バーカーシーケンスの各チップインデックスにつきチャネル利得推定を導き出し、無線チャネルの11タップチャネルインパルス応答推定を得ることができる。ユニット814は、各記号期間の各チップ期間につき、当該チップ期間のPN符号値と当該記号期間のSYNCビット値とを入力サンプルに掛けることができる。そしてユニット814は、バーカーシーケンスの11のチップインデックスの各々につきサンプルを累積し、当該チップインデックスのチャネル利得推定を得ることができる。全11チップインデックスにつきチャネル利得推定のエネルギーを計算でき、最終信号検出に使用できる。
【0054】
DSSS受信プロセッサ820は、受信PPDUが旧PPDUであることをユニット810が指摘する場合に、受信PPDUを処理する。DSSS受信プロセッサ820の中で、逆拡散器/結合器822はバーカーシーケンスによる入力サンプルの逆拡散を遂行し、それぞれの受信アンテナの逆拡散記号を結合し、検出記号を提供する。記号逆マッパー824は、送信に使われた変調方式(例えばBPSKまたはQPSK)に基づき検出記号を逆マップする。差分復号器826は記号逆マッパー824からの出力に差分復号化を遂行し、送信局210によって送信されるデータビットの推定にあたる出力ビットを提供する。一般的に、DSSS受信プロセッサ820にる処理は、送信局210にあるDSSS送信プロセッサ310による処理と相補的である。図8はDSSS受信プロセッサ820の例示的設計を示すものであり、これは簡潔を図るため図8に示されていない他の処理ユニットを含んでよい。
【0055】
DSSS受信プロセッサ830は、受信PPDUが新PPDUであることをユニット810が指摘する場合に、受信PPDUを処理する。DSSS受信プロセッサ830の中で、フィルタ832は帯域外ノイズ及び干渉を取り除くため入力サンプルをフィルタする。フィルタ832はまた、受信PPDUのタイミングドリフトを、及び/またはサンプリングレートからチップレートへのサンプルレート変換を、補償するため、入力サンプルを再サンプルする。周波数訂正ユニット834は、フィルタ832からのサンプルにオフセット周波数で回転するフェーザを掛けることによって、周波数オフセットを取り除く。レイク受信機/逆拡散器836は、ユニット834からのサンプルにチャネル利得推定を掛け、バーカーシーケンスによる逆拡散を遂行し、全R個のアンテナで逆拡散結果を累積し、検出記号を提供する。SYNCフィールドと、場合によっては受信PPDUのCHANESTフィールドとに基づきチャネル利得推定を一度導き出し、受信PPDU全体に使用できる。この場合、レイク受信機838は受信PPDUにわたって無線チャネルを追跡しなくてもよい。コヒーレント復調器(Demod)838は検出記号で残留周波数誤差による位相誤差を取り除き、送信局210によって送信される変調記号の推定にあたる復調記号を提供する。コヒーレント復調器838は、各検出記号につき位相基準を決定し、検出記号の位相をこの位相基準に比較し、位相比較に基づいて検出記号についての復調記号を導き出す。差分復号器840は、コヒーレント復調器838からの復調記号に差分復号化を遂行し、出力記号を提供する。逆インターリーバ840は、図4のインターリーバ416によって遂行されるインターリーブを補完する形で出力記号を逆インターリーブする。FEC復号器842は、図4のFEC符号器412によって遂行される符号化を補完する形で逆インターリーブ化記号を復号化し、出力データを提供する。
【0056】
マルチプレクサ850は、DSSS受信プロセッサ820及び830から出力データを受け取り、受信PPDUが旧PPDUならDSSS受信プロセッサ820からの出力データを提供し、受信PPDUが新PPDUならDSSS受信プロセッサ830からの出力データを提供する。
【0057】
図8は、802.11b/gと範囲拡大モードのための受信プロセッサ260の特定の実施形態を示している。受信プロセッサ260は別の設計で実装することもでき、これは本発明の範囲内にある。
【0058】
本明細書で説明したデータ送信・受信手法は様々な手段で実装できる。例えばこれらの手法は、ハードウェア、ソフトウェア、またはこれらの組み合わせで実装できる。ハードウェア実装の場合には、1つ以上の特定用途向け集積回路(ASICs)、デジタル信号プロセッサ(DSPs)、デジタル信号処理デバイス(DSPDs)、プログラム可能論理デバイス(PLDs)、フィールドプログラム可能ゲートアレイ(FPGAs)、プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、電子デバイス、本明細書で説明した機能を遂行するよう設計された他の電子ユニット、またはこれらの組み合わせの中で、送信局にて送信のためデータを処理する処理ユニット(例えば、図4のDSSS送信プロセッサ310及び410)を実装できる。受信局にてデータ受信に用いる処理ユニット(例えば、図8のDSSS受信プロセッサ820及び830)もまた、1つ以上のASICs、DSPs、プロセッサ、電子デバイス、その他諸々の中で実装できる。各局のプロセッサはハードウェアユニットを共用してよい。
【0059】
ソフトウェア実装の場合は、本明細書で説明した機能を遂行するモジュール(例えば、プロシージャ、関数、その他)によりデータ送信及び受信手法を実装できる。ソフトウェアコードはメモリユニット(例えば、図2のメモリユニット242または282)に格納でき、プロセッサ(例えば、コントローラ240または280)によって実行できる。メモリユニットは、プロセッサの中で、またはプロセッサの外で、実装されてよい。
【0060】
開示された実施形態の先の説明は、当業者が本発明を製作すること、または使用することを可能にするため提供されている。これらの実施形態に対する様々な修正は当業者にとって容易く明白となるであろうし、本明細書に定める一般原理は本発明の精神または範囲から逸脱せずに他の実施形態に応用できる。よって本発明は本明細書で紹介した実施形態に限定されることを意図せず、本明細書で開示した原理と新規の特徴とに相応の最も広い範囲が認められるべきものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
IEEE 802.11bの少なくとも1つのデータレートからなる第1のセットで差分変調とスペクトル拡散とを遂行するべく作動できる、第1のプロセッサと、
少なくとも1つのデータレートからなる第2のセットで順方向誤り訂正(FEC)符号化と、記号マッピングと、スペクトル拡散とを遂行するべく作動できる、第2のプロセッサと、
を備える、装置。
【請求項2】
前記第2のセットは、前記第1のセットにある最低データレートより低いデータレートを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第1のプロセッサは、1及び2メガビット/秒(Mbps)のデータレートでIEEE 802.11bに従い差分変調とスペクトル拡散とを遂行するべく作動できる、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記第2のプロセッサは、1メガビット/秒(Mbps)未満のデータレートでFEC符号化と、記号マッピングと、スペクトル拡散とを遂行するべく作動できる、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記第2のプロセッサは、250及び500キロビット/秒(Kbps)のデータレートでFEC符号化と、記号マッピングと、スペクトル拡散とを遂行するべく作動できる、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記第2のプロセッサは、畳み込み符号に従いトラフィックデータにFEC符号化を遂行し、FEC符号化データを変調記号にマップし、且つ前記変調記号をスペクトル拡散するべく作動できる、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記第2のプロセッサはさらに、前記FEC符号化データをインターリーブし、且つインターリーブ化データを変調記号にマップするべく作動できる、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記第2のプロセッサはさらに、記号マッピングに先駆け差分符号化を遂行するべく作動できる、請求項6に記載の装置。
【請求項9】
前記第2のプロセッサは、レート1/2畳み込み符号に従いトラフィックデータにFEC符号化を遂行し、且つレート1/2より低い符号レートのためFEC符号化データを繰り返すべく作動できる、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
送信の範囲に基づき前記第1または第2のプロセッサを選択するべく作動できるコントローラをさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
音声データにソース符号化を遂行し、且つ前記第1及び第2のプロセッサのため入力データを提供するべく作動できる符号器をさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記第2のプロセッサは、プリアンブルと、ヘッダーと、データフィールドとからなるプロトコルデータ単位を処理するべく作動できる、請求項1に記載の装置。
【請求項13】
前記プリアンブルは、固定ビットシーケンスを携行するSYNCフィールドを備える、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記プロトコルデータ単位はさらに、チャネル推定に使われる固定ビットシーケンスを携行するチャネル推定フィールドを備える、請求項12に記載の装置。
【請求項15】
前記ヘッダーは、前記データフィールドに使われるデータレートを指示するレートフィールドと、フィードバックに用いるデータレートを指示するレートフィードバックフィールドとを備える、請求項12に記載の装置。
【請求項16】
前記ヘッダーは、前記データフィールドの持続期間を指示する持続期間フィールドを備える、請求項12に記載の装置。
【請求項17】
無線通信システムでデータを送信する方法であって、
送信のデータレートを選択することと、
前記データレートがIEEE 802.11bの少なくとも1つのデータレートからなる第1のセットの中にある場合に、前記送信のため差分変調とスペクトル拡散とを遂行することと、
前記データレートが少なくとも1つのデータレートからなる第2のセットの中にある場合に、前記送信のため順方向誤り訂正(FEC)符号化と、記号マッピングと、スペクトル拡散とを遂行することと、
を備える、方法。
【請求項18】
FEC符号化と、記号マッピングと、スペクトル拡散とを前記遂行することは、
前記データレートが1メガビット/秒(Mbps)に満たない場合に前記送信のためFEC符号化と、記号マッピングと、スペクトル拡散と遂行することを備える、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記送信のためFEC符号化と、記号マッピングと、スペクトル拡散とを前記遂行することは、
前記送信のため畳み込み符号に従いデータを符号化することと、
符号化データを変調記号にマップすることと、
前記変調記号をスペクトル拡散することと、
を備える、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記送信の前記データレートを前記選択することは、
前記送信の範囲に基づき前記第1のセットまたは前記第2のセットから前記送信の前記データレートを選択することを備える、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
送信のデータレートを選択する手段と、
前記データレートがIEEE 802.11bの少なくとも1つのデータレートからなる第1のセットの中にある場合に、前記送信のため差分変調とスペクトル拡散とを遂行する手段と、
前記データレートが少なくとも1つのデータレートからなる第2のセットの中にある場合に、前記送信のため順方向誤り訂正(FEC)符号化と、記号マッピングと、スペクトル拡散とを遂行する手段と、
を備える、装置。
【請求項22】
FEC符号化と、記号マッピングと、スペクトル拡散とを遂行する前記手段は、
前記データレートが1メガビット/秒(Mbps)に満たない場合に前記送信のためFEC符号化と、記号マッピングと、スペクトル拡散と遂行する手段を備える、請求項21に記載の装置。
【請求項23】
前記送信のためFEC符号化と、記号マッピングと、スペクトル拡散とを遂行する前記手段は、
前記送信のため畳み込み符号に従いデータを符号化する手段と、
符号化データを変調記号にマップする手段と、
前記変調記号をスペクトル拡散する手段と、
を備える、請求項21に記載の装置。
【請求項24】
前記送信の前記データレートを選択する前記手段は、
前記送信の範囲に基づき前記第1のセットまたは前記第2のセットから前記送信の前記データレートを選択する手段を備える、請求項21に記載の装置。
【請求項25】
IEEE 802.11bの少なくとも1つのデータレートからなる第1のセットでスペクトル逆拡散と差分復調を遂行するべく作動できる、第1のプロセッサと、
少なくとも1つのデータレートからなる第2のセットでスペクトル逆拡散と、復調と、順方向誤り訂正(FEC)復号化とを遂行するべく作動できる、第2のプロセッサと、
を備える、装置。
【請求項26】
前記第2のセットは、前記第1のセットにある最低データレートより低いデータレートを含む、請求項25に記載の装置。
【請求項27】
前記第1のプロセッサは、IEEE 802.11bの1及び2メガビット/秒(Mbps)のデータレートでスペクトル逆拡散と差分復調とを遂行するべく作動できる、請求項25に記載の装置。
【請求項28】
前記第2のプロセッサは、250及び500キロビット/秒(Kbps)のデータレートでスペクトル逆拡散と、記号逆マッピングと、FEC復号化とを遂行するべく作動できる、請求項25に記載の装置。
【請求項29】
前記第2のプロセッサは、入力記号を逆拡散し、逆拡散記号に復調を遂行し、且つ畳み込み符号に従い復調記号にFEC復号化を遂行するべく作動できる、請求項25に記載の装置。
【請求項30】
前記第2のプロセッサは、前記逆拡散記号にコヒーレント復調を遂行するべく作動できる、請求項29に記載の装置。
【請求項31】
前記第2のプロセッサは、前記復調記号に差分復号化を遂行し、且つ前記差分復号化の出力にFEC復号化を遂行するべく作動できる、請求項29に記載の装置。
【請求項32】
前記第1または第2のプロセッサからの出力にソース復号化を遂行し、且つ復号化データを提供するべく作動できる復号器をさらに備える、請求項25に記載の装置。
【請求項33】
前記第2のプロセッサは、送信のプロトコルデータ単位を受信し、前記プロトコルデータ単位のプリアンブルを処理し、前記送信が前記第1のセットのデータレートのものか、それとも前記第2のセットのデータレートのものかを前記プリアンブルに基づき決定するべく作動できる、請求項25に記載の装置。
【請求項34】
前記第2のプロセッサは、受信プロトコルデータ単位のプリアンブルで送信される固定ビットシーケンスに基づき信号検出を遂行するべく作動できる、請求項25に記載の装置。
【請求項35】
前記第2のプロセッサは、受信プロトコルデータ単位の中にある、プリアンブルに、またはチャネル推定フィールドに、または両方に基づき、チャネル推定を導き出すべく作動できる、請求項25に記載の装置。
【請求項36】
前記第2のプロセッサは、送信のプロトコルデータ単位を受信し、前記プロトコルデータ単位のヘッダーを処理し、前記プロトコルデータ単位で送信されたデータに使われているデータレートを決定し、且つフィードバックを送信するために使用するデータレートを決定するべく作動できる、請求項25に記載の装置。
【請求項37】
無線通信システムでデータを受信する方法であって、
受信する送信のデータレートを決定することと、
前記データレートがIEEE 802.11bの少なくとも1つのデータレートからなる第1のセットの中にある場合に、前記送信のためスペクトル逆拡散と差分復調とを遂行することと、
前記データレートが少なくとも1つのデータレートからなる第2のセットの中にある場合に、前記送信のためスペクトル逆拡散と、復調と、順方向誤り訂正(FEC)復号化とを遂行することと、
を備える、方法。
【請求項38】
前記送信のためスペクトル逆拡散と、コヒーレント復調と、FEC復号化とを前記遂行することは、
前記データレートが1メガビット/秒(Mbps)に満たない場合に、前記送信のためスペクトル逆拡散と、記号逆マッピングと、FEC復号化とを遂行することを備える、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記送信のプロトコルデータ単位を受信することと、
前記プロトコルデータ単位のプリアンブルを処理することと、
前記送信が前記第1のセットのデータレートのものか、それとも前記第2のセットのデータレートのものかを、前記プリアンブルに基づき決定することと、
をさらに備える、請求項37に記載の方法。
【請求項40】
受信する送信のデータレートを決定する手段と、
前記データレートがIEEE 802.11bの少なくとも1つのデータレートからなる第1のセットの中にある場合に、前記送信のためスペクトル逆拡散と差分復調とを遂行する手段と、
前記データレートが少なくとも1つのデータレートからなる第2のセットの中にある場合に、前記送信のためスペクトル逆拡散と、復調と、順方向誤り訂正(FEC)復号化とを遂行する手段と、
を備える、装置。
【請求項41】
前記送信のためスペクトル逆拡散と、コヒーレント復調と、FEC復号化とを遂行する前記手段は、
前記データレートが1メガビット/秒(Mbps)に満たない場合に、前記送信のためスペクトル逆拡散と、記号逆マッピングと、FEC復号化とを遂行する手段を備える、請求項40に記載の装置。
【請求項42】
前記送信のプロトコルデータ単位を受信する手段と、
前記プロトコルデータ単位のプリアンブルを処理する手段と、
前記送信が前記第1のセットのデータレートのものか、それとも前記第2のセットのデータレートのものかを、前記プリアンブルに基づき決定する手段と、
をさらに備える、請求項40に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−147141(P2011−147141A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−23956(P2011−23956)
【出願日】平成23年2月7日(2011.2.7)
【分割の表示】特願2008−517173(P2008−517173)の分割
【原出願日】平成18年6月16日(2006.6.16)
【出願人】(595020643)クゥアルコム・インコーポレイテッド (7,166)
【氏名又は名称原語表記】QUALCOMM INCORPORATED
【Fターム(参考)】