拡幅式シールド掘進機

【課題】推進抵抗の増大もなく、また地山の崩壊を防止しつつ安定して拡幅断面を掘削する。
【解決手段】前部に標準断面を掘削する第１カッタヘッドを有するシールド本体１と、シールド本体１のスキンプレート１ａに形成された拡幅開口部１２と、拡幅開口部１２に連通して形成されてシールド軸心と平行な軸心を有する略円柱形の圧力保持室１３と、圧力保持室１３に旋回自在に配置されて外周壁１４ａにより拡幅開口部１２を開閉自在な旋回ケーシング１４と、旋回ケーシング１４内に外周壁１４ａに形成された開放開口部１４ｃから拡幅開口部１２を介して外方に出退自在でかつシールド軸心と平行な軸心周りに回転自在な大径のドラム形カッタからなる第２カッタヘッド１１とを具備した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、標準断面トンネルを掘削途中に、掘削幅を外方に拡大した拡幅断面を掘削可能な拡幅式シールド掘進機に関する。
【背景技術】
【０００２】
従来、標準断面トンネルを掘削している途中に、拡幅断面を掘削するシールド掘進機として、たとえば特許文献１に示されるものがある。このシールド掘進機は、本体ブロックの側面に形成された凹陥部に、副カッタヘッドを外側方に出退自在に設けたものである。
【特許文献１】特開平１０−２８０８６５号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００３】
しかしながら、特許文献１では、凹陥部が露出されていることから、１）標準断面の掘進時に推進抵抗となって掘削性能が低下する。２）凹陥部内で副カッタヘッドとの間の空間部に、地山が崩壊陥没する危険性がある。３）標準断面の掘進時に、本体ブロックの周囲に充填される充填材が凹陥部に浸入充填されてカッタヘッドが動作しなくなる恐れがある。また拡幅掘削時には、４）副カッタヘッドが大きくフードを有しないため、副カッタヘッドが突出した空間部に地山が崩壊する危険性がある。５）副カッタヘッドの後退時に凹陥部に残る過大な瓦礫がカッタヘッドに噛み込むと後退できなくなるおそれがある。６）標準断面の掘削と同時に拡幅断面を同時に掘削すると、ラジアル荷重が発生して本体ブロックの掘削姿勢制御が困難になるなどの問題がある。
【０００４】
本発明は、上記問題点を解決して、推進抵抗の増大もなく、また地山の崩壊を防止しつつ安定して拡幅断面を掘削できる拡幅式シールド掘進機およびその掘削方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００５】
請求項１記載の発明は、シールド本体の前部に配置されて標準断面を掘削する第１カッタヘッドと、掘削途中にシールド本体の胴部から外方に出退されて拡幅断面を掘削する第２カッタヘッドとを具備した拡幅式シールド掘進機において、前記シールド本体の胴部に形成された拡幅開口部と、シールド軸心と平行な軸心周りに回転自在な大径のドラム形カッタにより構成されて前記圧力保持室から拡幅開口部を介して出退自在な第２カッタヘッドと、前記拡幅開口部を開閉自在な開口部開閉手段とを具備したものである。
【０００６】
請求項２記載の発明は、開口部開閉手段は、圧力保持室内で圧力保持室の軸心を中心に旋回自在に配置され拡幅開口部を閉鎖可能な外周壁と、該外周壁に形成され拡幅開口部に重なりあって拡幅開口部を開放可能な開放開口部とを有する旋回ケーシングにより構成され、前記旋回ケーシング内に第２カッタヘッドおよび該第２カッタヘッドを出退駆動する第２カッタ出退装置を設けたものである。
【０００７】
請求項３記載の発明は、拡幅開口部の周囲にシールド本体と旋回ケーシングの外周面との間を止水する開口部シール装置を設け、前記開口部シール装置は、旋回ケーシングの停止時に流体圧により拡張されて旋回ケーシングに当接し、旋回ケーシングの旋回動作時に流体圧が減圧されてシール解除されるチューブシール材を具備したものである。
【０００８】
請求項４記載の発明は、第２カッタヘッドの出退方向の前部に流体を供給する流体供給管と、第２カッタヘッドにより掘削された土砂と共に流体を排出する流体排出管を設けたものである。
【発明の効果】
【０００９】
請求項１記載の発明によれば、シールド本体内に略円筒形の圧力保持室を拡幅開口部に連通して形成し、大径のドラム形カッタからなる第２カッタヘッドを圧力保持室から拡幅開口部を介して外方に出退させ拡幅断面を掘削するように構成したので、地山の崩壊を防止しつつ拡幅断面を安定して掘削することができる。また圧力保持室を円筒体形に形成することで、容易に耐圧構造とすることができる。さらに開口部開閉手段により拡幅開口部を閉鎖できるので、標準断面の掘進時に抵抗になることもなく、姿勢制御も良好に実施できる。
【００１０】
請求項２記載の発明によれば、圧力保持室内に該圧力保持室と略同一の軸心周りに旋回自在で第２カッタヘッドと第２カッタ出退装置とを収容する旋回ケーシングを設け、旋回ケーシングの外周壁と開放開口部とにより拡幅開口部を開閉する開口部開閉手段を設けたので、シールド本体内の圧力保持室の占有容積、特にシールド軸心方向の幅を小さくすることができ、限られたシールド本体の内部空間を有効利用することができる。
【００１１】
請求項３記載の発明によれば、開口部開閉手段の拡幅開口部の周囲に、流体圧により拡縮されるチューブシール材を有する開閉シール装置を設けたので、開閉板に土砂などが付着していても開閉動作をスムーズに行え、かつシール材の損傷を防止して開放時または閉鎖時に良好にシールすることができる。
【００１２】
請求項４記載の発明によれば、第２カッタヘッドにより掘削された土砂を、流体供給管からの流体に同伴させて、流体排出管から良好に排出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１３】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
［実施の形態１］
図１に示すように、このシールド掘進機は、第１カッタヘッド５を使用してたとえば円形の標準断面（トンネル）Ｔｓを掘削し、そしてエレクタ装置（図示せず）により覆工体である標準セグメントＳｓを標準断面Ｔｓ内に円形に組み立てて掘進する。拡幅位置に達すると、掘削途中で第２カッタヘッド１１により標準断面Ｔｓから一側方に突出する拡幅断面Ｔｗを掘削し、拡幅断面Ｔｗに充填材を注入する。そしてエレクタ装置により前記標準セグメントＳｓに組み込まれた拡幅セグメントＳｗを、図１０，図１１に示す押出しジャッキ４３を使用して拡幅セグメントＳｗを拡幅断面Ｔｗに向って突出させ、同時に充填材をセグメントＳｓ，Ｓｗ内に流入させて拡幅断面Ｔｗ内に拡幅セグメントＳｗを設置するものである。
【００１４】
図２，図３に示すように、円筒状のシールド本体１の前部に圧力隔壁２が形成され、その前部に切羽崩壊土圧を保持する圧力室３が形成されるとともに、その後部に大気室４が形成されている。前記圧力隔壁２には圧力室３の前面で標準断面を掘削する第１カッタヘッド５がシールド軸心Ｏを中心に回転自在に支持されている。
【００１５】
すなわち前記圧力隔壁２には、シールド軸心Ｏを中心とする環状支持体６が設置され、この環状支持体６に所定角度ごとに垂設された支持脚５ａを介して第１カッタヘッド５が支持されている。前記環状支持体６は旋回台軸受６ａおよび環状座部２ａを介してスキンプレート１ａに支持され、旋回台軸受６ａは環状支持体６の背面の回転環と、環状座部２ａに固着された回転環受台とで構成される。
【００１６】
また前記圧力隔壁２の後部には、第１カッタ駆動装置７が設けられており、この第１カッタ駆動装置７は、旋回台軸受６ａの回転環の外周部に固定されたリングギヤ７ａと、リングギヤ７ａに噛合される複数のピニオン７ｂと、環状壁部２ａに取付けられて前記ピニオン７ｂをそれぞれ回転駆動する第１カッタ駆動モータ（油圧式または電動式）７ｃとで構成されている。９はシールド本体１の後部に設けられた推進ジャッキで、エレクタ装置（図示せず）により組立られたセグメントＳｓ，Ｓｗを反力受けとしてシールド本体１を推進させる。
【００１７】
シールド本体１のスキンプレート（胴部）１ａで掘進方向に向って左側部（一側部）には、第２カッタヘッド１１を有する拡幅掘削部１０が設けられている。すなわち、スキンプレート１ａの左側部に周方向に長い縦長の矩形状の拡幅開口部１２が形成されている。またシールド本体１内には、図４〜図６に示すように、拡幅開口部１２に連通してシールド軸心Ｏと平行な軸心Ｏ１を有する圧力保持室１３が形成されている。圧力保持室１３は、拡幅開口部１２の上端部から出退方向に伸びる上壁板１３ａと、拡幅開口部１２の下端部から出退方向に伸びる下壁板１３ｂとの間に連結された円弧壁板１３ｃと、上下壁板１３ａ，１３ｂおよび円弧壁板１３ｃの前後面を覆う前後側壁板１３ｄとで略円筒体形に形成されている。
【００１８】
圧力保持室１３の前後側壁板１３ｄには、圧力保持室１３の軸心Ｏ１上の左右の旋回軸１４ｏを介して旋回ケーシング１４が旋回自在に配置され、前後側壁板１３ｄの外面にそれぞれ設けられた開閉用旋回装置１５により所定範囲で旋回駆動される。
【００１９】
前記旋回ケーシング１４は、円弧壁板１３ｃの内周側で、開放開口部１４ｃが形成された略２／３円弧の外周壁１４ａと前後側壁１４ｂからなる円筒体形に形成され、開閉用旋回装置１５により旋回されて、前記外周壁１４ａにより拡幅開口部１２を閉鎖し、開放開口部１４ａにより拡幅開口部１２を開放するように構成されている。
【００２０】
前記開閉用旋回装置１５は、旋回軸１４ｏに取付けられた受動ギヤ１５ａと、受動ギヤ１５ａに噛合されて油圧式開閉用モータ１５ｂに駆動される開閉用ピニオン１５ｃとで構成されている。
【００２１】
前記圧力保持室１３には、上壁板１３ａに第２カッタヘッド１１の前部に泥水を供給する送泥管（流体供給管）１６が設けられ、また下壁板１３ｂには、泥水と共に第２カッタヘッド１１による掘削土砂を排出する排泥管（流体排出管）１７が設けられている。さらに図８に示すように、上下壁板１３ａ，１３ｂおよび前後側壁板１３ｄには、旋回ケーシング１４の外周壁１４ａと前後側壁１４ｂにそれぞれ摺接する開口部シール装置１８が設けられている。この開口部シール装置１８は、旋回ケーシング１４の停止時にエアポンプ（流体供給源）１８ａに接続されたエア配管（流体供給配管）１８ｂから供給されるエア圧により拡張されて外周壁１４ａと前後側壁１４ｂにそれぞれ当接して止水し、旋回ケーシング１４の旋回動作時に制御弁１８ｃによりエアが排出されて減圧されシール解除されるチューブシール材１８ｄにより構成されている。これにより、外周壁１４ａと前後側壁１４ｂの外面に付着した土砂などによりチューブシール材１８ｄが破損するのを未然に防止することができ、耐久使用時間を延長することができる。なお、チューブシール材１８ｄを拡縮する流体を圧縮エアとしたが、他の気体や油、水などの液体であってもよい。
【００２２】
前記旋回ケーシング１４には、第２カッタヘッド１１と第２カッタ回転駆動装置１９と第２カッタ出退装置２０とが設けられている。
すなわち、第２カッタヘッド１１は、旋回ケーシング１４内に所定の空間をあけて収納される大径のドラム形カッタで、前後一対の面板１１ａと、面板１１ａの外周部に固着された外周板１１ｂと、外周板１１ｂに設けられた多数のカッタビット１１ｃおよび土砂取込み口を１１ｄと具備し、左右一組の支持フレーム１１ｅにそれぞれ旋回軸受１１ｆを介して第２カッタ軸心Ｏ２周りに回転自在に支持されている。
【００２３】
第２カッタ回転駆動装置１９は、カッタ面板１１ａに取付けられたリング内歯ギヤ１９ａと、支持フレーム１１ｅに設けられた複数の油圧式カッタ駆動モータ１９ｂと、前記リング内歯ギヤ１９ａに噛合されてカッタ駆動モータ１９ｂに回転駆動されるカッタ駆動ピニオン１９ｃとで構成されている。
【００２４】
第２カッタ出退装置２０は、旋回ケーシング１４の前後側壁１４ｂの内面に、開放開口部１４ｃに向う出退方向に上下一対の左右２組のガイドレール２０ａが配設され、前記支持フレーム１１ｅに設けられたスライド受け部２０ｂがガイドレール２０ａにそれぞれスライド自在に支持されている。そしてスライド受け部２０ｂ間で後端部が外周壁１４ａに連結固定された複数の油圧式出退ジャッキ２０ｃのピストンロッドが支持フレーム１１ｅにそれぞれ連結され、出退ジャッキ２０ｃを進展することにより、第２カッタヘッド１１を開放開口部１４ｃおよび拡幅開口部１２を介して地山側に突出させ拡幅開口部Ｔｗを掘削することができる。
【００２５】
さらに図２，図３に示すように、掘削後の拡幅断面Ｔｗに充填材を供給して土砂の崩壊を防止するための複数の充填材注入孔８が、拡幅開口部１２の後部のスキンプレート１ａに形成されている。
【００２６】
前記充填材は、後述する拡幅セグメントＳｗの押出し時に、円滑にセグメントＳｓ，Ｓｗ内に流入させるために一定の流動性が要求されるが、流動性が高すぎると、地山の安定を十分に図ることができないため、一定の塑性も要求される。さらに掘削時に土砂を排出するための泥水と混ざりにくい材質や性状が望ましい。たとえばベンナイト、水ガラス、セメントなどを主成分とする塑性流動化材料がある。また高流動性の材料として、泥水や泥しょうなどもその性質により使用可能である。
【００２７】
シールド掘進機の後部では、掘進に伴って拡幅部分に達すると、エレクタ装置により標準セグメントＳｓおよび拡幅セグメントＳｗがリング状に組立てられている。これら標準セグメントＳｓおよび拡幅セグメントＳｗは、ボルト・ナットにより連結されて一体化されており、拡幅セグメントＳｗは、図１３に示すように、周方向に隣接する標準セグメントＳｓとの接触する当接面Ｓ１が長く形成され、当接面Ｓ１にボルト穴Ｓ２が形成されている。またシールド軸心Ｏ方向に隣接する面に、妻壁Ｓ３が形成されて拡幅突出時の漏水を防止している。また拡幅セグメントＳｗは、拡幅断面Ｔｗに押出す時に充填材が流入される流入口（図示せず）が形成され、これら流入口は開閉機構を具備している。
【００２８】
図１１，図１２に示すように、拡幅セグメントＳｗを拡幅断面Ｔｗに押出すための拡幅押出装置４１は、上下方向の形状保持柱４２と、摺動面Ｓ１に対応して水平方向に設けられた複数の押出しジャッキ４３とがシールド軸心Ｏ方向に移動自在な台車（図示せず）に設置されて構成されている。
【００２９】
上記構成の拡幅式シールド掘進機の掘削方法を図１４を参照して説明する。
発進坑から発進されたシールド掘進機は、第１カッタヘッド５により円形断面の標準断面Ｔｓが掘削され、シールド本体１の後部でエレクタ装置により標準セグメントＳｓが組立てられて覆工され掘進される［図１４（ａ）］。
【００３０】
シールド掘進機が拡幅位置に達すると掘進を停止する。そして開閉用旋回装置１５を起動し、拡幅開口部１２が外周壁１４ａに閉鎖された状態の旋回ケーシング１４を所定方向に回動させ、開放開口部１４ｃを拡開開口部１２に一致させて拡開開口部１２を開放する。この時、開口部シール装置１８では、チューブシール材１８ｄが減圧されることにより、破損が防止される。
【００３１】
次いで第２カッタ回転駆動装置１９により第２カッタヘッド１１を回転駆動するとともに第２カッタ出退装置２０により第２カッタヘッド１１を開放開口部１４ｃおよび拡開開口部１２を介して側方に突出させ、拡幅断面Ｔｗを掘削する。この時、送泥管１６から供給された泥水に、掘削土砂が同伴されて排泥管１７からシールド本体１内に排出される。
【００３２】
掘削が終了すると、第２カッタ出退装置２０により第２カッタヘッド１１を後退させ、拡開開口部１２から開放開口部１４ｃを介して旋回ケーシング１４内にに収容する。この時、充填材注入口８から充填材を拡幅断面Ｔｗに供給しつつ泥水を排泥管１７から排出し、拡幅断面Ｔｗの泥水が充填材に置換される。そして開閉用旋回装置１５を駆動して旋回ケーシング１４を所定方向に回動させ、外周壁１４ａにより拡開開口部１２を閉鎖する。この時、開放時と同様に、開口部シール装置１８では、チューブシール材１８ｄが減圧される。
【００３３】
次いで、第１カッタヘッド５により掘進を再開して標準断面Ｔｓを掘削し、第２カッタヘッド１１により前回掘削された拡幅断面Ｔｗのシールド軸心Ｏ方向の幅に対応する距離だけ掘進して停止され、さらに拡幅掘削が実施される［図１４（ｂ）］。
【００３４】
このように上記の拡幅断面Ｔｗの掘削作業が繰り返されて、拡幅断面Ｔｗがシールド軸心Ｏ方向に延長される。そしてエレクタ装置によるセグメント組立位置が拡幅断面Ｔｗに達すると、拡幅断面Ｔｗの対応部で標準セグメントＳｓに拡幅セグメントＳｗが組み込まれる。そして、拡幅セグメントＳｗが組み込まれたセグメントＳｓ内部に拡幅押出装置４１が設置される。
【００３５】
さらに、図１４（ｃ）に示すように、シールド本体１の後方で拡幅セグメントＳｗが拡幅断面Ｔｗに対向されると、連結用のボルト・ナットが取り外されて複数の押出しジャッキ１７により拡幅セグメントＳｗが拡幅断面Ｔｗに向かって押し出される。この時、拡幅断面Ｔｗ内の充填材が流入口Ｓ４からセグメントＳｓ，Ｓｗ内に流入される。そして押出された拡幅セグメントＳｗがボルト・ナットにより標準セグメントＳｓに固定される。
【００３６】
上記実施の形態によれば、単体の大径のドラム形カッタからなる第２カッタヘッド１１を圧力保持室１３から拡幅開口部１２を介して地山側に出退させ拡幅断面Ｔｗを掘削するので、複数の小径のドラム形カッタを使用するのに比較して地山の崩壊を防止しつつ拡幅断面Ｔｗを安定して掘削することができる。また圧力保持室１３を略円筒体形に形成することで、容易に耐圧構造とすることができ、またシールド軸心方向の幅を削減することができる。
【００３７】
また開口部開閉手段を構成する旋回ケーシング１４の外周壁１４ａと開放開口部１４ｃとにより拡幅開口部１２を開閉できるので、標準断面Ｔｓの掘進時に抵抗になることもなく姿勢制御も良好に実施できる。
【００３８】
さらに圧力保持室１３内に該圧力保持室の軸心と略同一の軸心周りに旋回自在な旋回ケーシング１４を設けて、その外周壁１４ａと開放開口部１４ｃとにより開口部開閉手段を構成したので、拡幅開口部１２を容易に開閉することができる。また開口部開閉手段を含めて、大径のドラム形カッタを収容する圧力保持室１３の占有容積を削減することができる。
【００３９】
なお、上記実施の形態では、土砂を排出する泥水と、掘削後の拡幅断面Ｔｗに充填する充填材とを別々としたが、密度の高い泥水や泥しょう、あるいはその他の流体とすることで、充填材と兼用して使用することができる。この場合には、拡幅断面Ｔｗの掘削後に、排泥管１７を停止するとともに、必要に応じて送泥管１６または充填材注入口８から泥水等を供給し、拡幅断面Ｔｗ内の泥水圧を崩壊土圧まで高めつつ、第２カッタヘッド１１を後退させ、開閉用旋回装置１５により旋回ケーシング１４を旋回して外周壁１４ａにより拡幅開口部１２を閉じればよい。送泥管１６からの泥水供給で十分である場合には、充填材注入口８を削除することもできる。またこれにより、土砂排出用の流体と充填材が混合されるという問題がなくなる。
【図面の簡単な説明】
【００４０】
【図１】本発明に係る拡幅式シールド掘進機の実施の形態を示す全体斜視図である。
【図２】同拡幅式シールド掘進機の全体平面断面図である。
【図３】同拡幅式シールド掘進機の全体側面図である。
【図４】同拡幅式シールド掘進機の圧力保持室を示す側面断面図である。
【図５】同圧力保持室を示す側面図である。
【図６】同圧力保持室を示す平面断面図である。
【図７】同圧力保持室を示す正面断面図である。
【図８】図４に示すＡ部拡大図である。
【図９】第２カッタヘッドの突出状態を示す側面断面図である。
【図１０】第２カッタヘッドの突出状態を示す平面断面図である。
【図１１】拡幅セグメントを押出す拡幅押出し装置を示す正面図である。
【図１２】拡幅押出し装置の拡幅セグメントの押出し状態を示す正面図である。
【図１３】拡幅セグメントを示す斜視図である。
【図１４】（ａ）〜（ｄ）はそれぞれ拡幅掘削の手順を説明する平面図である。
【符号の説明】
【００４１】
Ｏシールド軸心
Ｓｓ標準セグメント
Ｓｗ拡幅セグメント
Ｓ４流入口
Ｔｓ標準断面
Ｔｗ拡幅断面
１シールド本体
１ａスキンプレート
２圧力隔壁
３圧力室
４大気室
５第１カッタヘッド
６旋回台軸受
７第１カッタ駆動装置
８充填材注入口
１０拡幅掘削部
１１第２カッタヘッド
１２拡幅開口部
１３圧力保持室
１４旋回ケーシング
１４ａ外周壁
１４ｃ開放開口部
１５開閉用旋回装置
１６送泥管
１７排泥管
１８開口部シール装置
１８ｄチューブシール材
１９第２カッタ回転駆動装置
２０第２カッタ出退装置
４１拡幅押出装置
４２形状保持柱
４３押出しジャッキ

【特許請求の範囲】
【請求項１】
シールド本体の前部に配置されて標準断面を掘削する第１カッタヘッドと、掘削途中にシールド本体の胴部から外方に出退されて拡幅断面を掘削する第２カッタヘッドとを具備した拡幅式シールド掘進機において、
前記シールド本体の胴部に形成された拡幅開口部と、
前記シールド本体内に前記拡幅開口部に連通して形成されてシールド軸心と平行な軸心を有する略円柱形の圧力保持室と、
シールド軸心と平行な軸心周りに回転自在な大径のドラム形カッタにより構成されて前記圧力保持室から拡幅開口部を介して出退自在な第２カッタヘッドと、
前記拡幅開口部を開閉自在な開口部開閉手段とを具備した
拡幅式シールド掘進機。
【請求項２】
開口部開閉手段は、圧力保持室内で圧力保持室の軸心を中心に旋回自在に配置され拡幅開口部を閉鎖可能な外周壁と、該外周壁に形成され拡幅開口部に重なりあって拡幅開口部を開放可能な開放開口部とを有する旋回ケーシングにより構成され、
前記旋回ケーシング内に第２カッタヘッドおよび該第２カッタヘッドを出退駆動する第２カッタ出退装置を設けた
請求項１記載の拡幅式シールド掘進機。
【請求項３】
拡幅開口部の周囲にシールド本体と旋回ケーシングの外周面との間を止水する開口部シール装置を設け、
前記開口部シール装置は、旋回ケーシングの停止時に流体圧により拡張されて旋回ケーシングに当接し、旋回ケーシングの旋回動作時に流体圧が減圧されてシール解除されるチューブシール材を具備した
請求項２記載の拡幅式シールド掘進機。
【請求項４】
第２カッタヘッドの出退方向の前部に流体を供給する流体供給管と、第２カッタヘッドにより掘削された土砂と共に流体を排出する流体排出管を設けた
請求項１乃至３のいずれかに記載の拡幅式シールド掘進機。

【図１】