説明

拡張可能連続的生産システム

複数のリアクタ(124a〜124d)を並列動作させることにより所望の生成物を生産する並列化学製品生産システム(110)を提供すること。生産の拡大を促進するため、それぞれのリアクタ(124a〜124d)の流体特性は、生成物を生産する際の条件を決定するために使用される試験リアクタの特性と同じである。一実施形態では、生産システム(110)は、少なくとも1つのリアクタ(124a〜124d)が整備および使用のためバックアップとして常にオフラインであるように構成される。センサ(548a、548b)が任意のリアクタ(124a〜124d)内の最適よりも低い状態を検出した場合、リアクタ(124a〜124d)は、オフラインにされ、連続的生産の維持のため以前に指定されていたバックアップリアクタ(124a〜124d)がオンラインにされている間に整備を受ける。他の態様は、等しい流体分配を促進するためにリアクタ(234)を同心円状構成に配列することを伴う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、化学製品を生産するためのマイクロリアクタに関するものであり、より具体的には、並列に動作し、少なくとも1つのマイクロリアクタが予備としてオフラインで確保され、したがって化学製品生産システムは長期間にわたって連続運転できるように構成されている、複数の独立したマイクロリアクタを含む化学製品生産システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
化合物を生産するためのプロセスを制御し、最適化する方法はよく知られている。温度、圧力、混合状態、反応物質の相対的体積、および触媒の利用などのパラメータの制御は、一般的にはよく理解されている。従来、新しく発見された化合物およびそのような化合物の生産を伴うプロセス、またはそのような化合物の利用を伴うプロセスは、当初は、小規模(”bench scale”)環境で研究者らによって実行された。特に有望な化学物質またはプロセスは、最終的に、工業規模のプロセスへの応用により大量生産することができる。多くの場合、実験室から工業規模の生産にプロセスを拡大する際に問題が生じる。
【0003】
小規模生産から工業規模の生産に移行することに関連する問題は、小規模環境と工業環境との間のプロセス条件の変化を伴うことが多い。例えば、実験室での小さなビーカーまたはフラスコ内の反応物質の温度は、化学処理プラントではあたりまえである数百リットルの容量を持つ生産タンク内の温度よりも、一定に保つことがかなり容易である。大きなタンク内の他のプロセス条件の変動も、さらに制御しにくく、所望の製品の品質および収量に影響を及ぼすことが頻繁である。
【0004】
大規模な化学リアクタを構築する代わりに、複数の比較的小さなリアクタを並列に運転する。これにより、特に並列動作している複数の化学リアクタが小規模開発で採用されるリアクタに類似している場合に、小規模環境から工業環境への拡大に内在する問題を最小にすることができる。
【0005】
近年、化学プロセスおよび化学物質の両方の開発に対する微小規模のリアクタの利用が大きく注目されている。これらのタイプのリアクタは、いくつかの利点を有する。上述のように、非常に小さなリアクタ内の化学プロセスの制御は、大規模生産タンクでの制御に比べてかなり単純である。一旦、反応プロセスが開発され、微小規模のリアクタ内で最適化されれば、微小規模のリアクタをプロセスの必要な生産量を達成するのに必要な量だけ複製することにより工業生産レベルまで拡大することができる。このようなリアクタを大量に、適度なコストで生産できれば、工業的な数量の所望の製品を、従来の化学製品生産施設の場合と同等の、さらにはそれ以下の設備投資で製造することができる。さらに、それぞれの個別リアクタ内の材料の体積が小さいため、爆発または火災が生じた場合の影響が最小限に抑えられ、適切な設計であれば、1つのリアクタ内での事故が他のリアクタに広がるのを防ぐことができるという利点もある。
【0006】
連続運転される化学製品生産システムと不連続運転される化学製品生産システムとは、区別することができる。不連続処理は、バッチ処理と呼ばれることが多い。本明細書および後の特許請求の範囲で使用されているように、「連続処理」という用語は、例えば数日または数週間の単位で測定される一般に比較的長い期間にわたって材料の連続的な流れが間断なく処理される処理環境を指す。連続プロセスは、一般に、処理機器のメンテナンス時のみ中断され、処理または消費されている材料の供給が尽きたからといって中断されることはない。対照的に、本明細書で使用されているような「バッチ処理」という用語は、有限体積の材料が間断なく処理される処理環境であって、ただし、比較的短時間、一般に数分または数時間の単位の周期で、材料の供給がちょうど尽きるまで処理される処理環境を指す。限られた体積の材料が処理される場合には、連続的流れ処理よりはむしろ、バッチ処理が有利である。マイクロリアクタは、上記の理由から有利であるが、マイクロリアクタは、汚れやすい。マイクロリアクタ内の流路は、極めて小さく(サイズが微小なのでマイクロリアクタと呼ばれる)、そのサイズの小ささゆえに、反応物質、生成物、副産物、不純物などによる詰まりを起こしやすい。そのため、ほとんどのマイクロリアクタベースの化学製品生産システムは、バッチ処理システムである。というのは、マイクロリアクタは頻繁なメンテナンスを必要とするので、連続処理アプリケーションにはあまり適さないからである。マイクロリアクタの利点を備えるが、メンテナンス作業のため頻繁に運転を停止する必要のない連続処理化学製品生産システムを提供することが望ましいであろう。
【0007】
さまざまな種類の化学製品生産システムが知られている。多くの場合、大規模化学製品または医薬品生産では、できる限り大量の製品を作り出せるように可能な限り大きなリアクタが製作される。これとは対極の位置にあるものとして、特に新しい化合物の開発または臨床診断において、比較的少ない量の異なる化合物の生成を伴う、大きな組み合わせライブラリ(combinatorial library)を形成することが必要な場合が多い。このような要件に合わせて最適化された化学製品生産システムは、一般に、それぞれのリアクタのサイズを最小化し、それぞれの反応室内で異なる反応条件を使用し、多くの異なる化合物を並行して生産する。このようなシステムの典型例が、Symyx Technologies社に譲渡された特許および特許出願である(集合的にSymyx参考文献と呼ぶ)(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5、および特許文献6参照)。Symyxの関連文書では、異なるリアクタで異なる流量を達成できるように構成された、または可変流動抵抗を持つ流路を使用する、並列リアクタおよび流体制御システムを一般的に開示しており、これらにより、異なる製品を並行して容易に生産することができる。
【0008】
Symyxの関連文書で説明されている可変流動抵抗に加えて、他の流体制御構成が知られている。特許文献7は、同心流(concentric flow)および分岐流(bifurcated flow)の両方を含む温度管理用流体制御デバイスを開示している。特許文献8は、分岐流体流路を組み込んだ並列マイクロリアクタベースの化学製品生産システムを開示している。
【0009】
複数の化学リアクタを並列運転する場合、リアクタが微小規模のリアクタであるか大型のリアクタであるかに関係なく、原材料および伝熱媒体は個別の流体ラインを通じてそれぞれのリアクタに供給できることは明白であろう。効果的であるが、そのような構成は複数のポンプを必要とし、また必要な流体ラインも多すぎるため、そのような並列生産システムの流体制御は、大規模な単一のリアクタシステムに比べて必要以上にかなり複雑になる。したがって、並列に結合されたリアクタ用に、より効率が高く、よりコストが低い流体制御システムを提供することが望ましいであろう。特に、マイクロリアクタを備えるシステムに関しては、それぞれのリアクタ内のプロセス条件を同じにすることによって、並列生産システム内のそれぞれのリアクタにより生成される製品を均一にすることを確保するように、それぞれのリアクタを出入りする反応物質および伝熱媒体の体積および流量を
等価にすることを確保する流体制御システムを提供することが望ましいであろう。
【0010】
並列リアクタ化学製品生産システムは、販売数量分の所望の製品を生産するのに好適であるため、そのようなシステムは、長期間に渡り連続運転される可能性が高い。メンテナンスのため運転が停止された化学製品生産システムは、収益を生み出さないため、システムがオフラインになる期間を最低限に抑え、比較的長期間にわたって連続生産を行うように構成された並列リアクタ化学製品生産システムを提供することが望ましいであろう。
【0011】
複数の異なるマイクロリアクタ設計が、並列化学製品生産システムで使用することを目的として開発されている。Symyxの関連文書で説明されているマイクロリアクタ設計のほかにも、そのような用途に好適なマイクロリアクタが説明されている(例えば、特許文献9、特許文献10、特許文献11、特許文献12参照)。
【0012】
これら2つのAshmead特許では、複数の相互接続された層から組み立てられるリアクタについて説明している。一般に、それぞれの層では、少なくとも1つの流路(channel)または溝(groove)がその中に形成され、ほとんどがオリフィスを備え、該オリフィスによって、ある層を他の層と流体伝達の形で接続される。これらの層は、シリコンウェハから作られるのが好ましいが、それは、シリコンはリアクタ内で処理される可能性のある化学物質に対し比較的不活性であるとともに、必要な流路およびその他の特徴を表面にエッチングすることによりシリコンウェハを大量生産するために必要な手法がよく知られているからである。
【0013】
Ashmeadにより説明されているリアクタの欠点は、デバイスを製造するために必要なプロセスがかなり高価であり、複雑であることから生じる。シリコンウェハ技術は、所望の表面特徴を有するウェハを容易に大量生産できる状態にまで進歩しているが、必要な機器は大きな資本を必要とし、単位生産が極端に高くない限り、大きなコストを相殺することは困難である。Ashmeadにより教示される特定の表面特徴は、加工するのにかなりの製造工程数を必要とする。例えば、材料に開口を形成することは比較的容易であるが、製造プロセスでは表面特徴のサイズだけでなく深さも制御しなければならないため、層を含む材料内を一部のみ貫通する溝または流路を形成することは、より難しい。
【0014】
Bardも、同様に、シリコンウェハ技術を使用して、流路および/またはその他の特徴をマイクロリアクタとして使用されるシリコンウェハの表面にエッチングすることを開示している。他の開示されている加工手法として、金属および半導体基板の射出成形、鋳造、および微小機械加工がある。ここでもまた、個別のモジュールを加工するために必要な処理は、複数の開口部をそれぞれのコンポーネントの中に単に形成することを超える技術である。
【0015】
Ghosh特許では、乱流を介した混合ではなく、拡散を介した層流および混合のために、マイクロリアクタ内の流体流路のサイズを適宜決定することが望ましいことであることを説明している。Ghoshは、所望の形態に成形後、焼結しなければならない「未加工(green)」つまり未硬化セラミックからリアクタ層を加工することを説明している。著しく、焼結プロセスは、セラミック層のサイズを変化させるので、生産初期段階でセラミックス層内に形成された形状のサイズは最終製品では異なる。
【0016】
個々のコンポーネントの寸法が加工時に厳密に制御でき、最終リアクタの寸法に悪影響を及ぼす可能性のある収縮の影響を受けないリアクタ設計を提供することが望ましいであろう。この目的は、一貫した層流、正確に制御された圧力低下、および正確に制御された流動抵抗を達成するために、リアクタ内の流体経路の正確な寸法制御が維持されなければならないため、リアクタ設計の重点が層流を達成することに置かれている場合に特に重要である。
【0017】
これらすべての従来技術のリアクタにおいて、比較的複雑な製造手法が要求される。シリコン材料の層の製造は、大規模な設備投資を必要とする。セラミック材料の焼結は、収縮プロセスの正確な制御を必要とするが、さもなければ所望のサイズの個々のコンポーネントを達成することができない。すべての場合において、従来技術では、複雑な構造(例えば、流体流路および反応流路)をエッチングするか、または他の方法でそれぞれの層内に加工しなければならないことを教示している。さらに、流体がリアクタの隣接層間で移動できるように、それぞれの層内に複数のオリフィスまたは通路が形成される必要がある。そのため、通常、層毎に一連の異なる製造工程が実行されなければならない。実験室レベルでの生産を工業生産レベルにまで拡大する際の設備投資を最小限に抑えるために、上述の利点を備えるが、製造が比較的単純な、リアクタ設計を提供することが望ましいであろう。
【0018】
上記のように、単一のマイクロリアクタでは限られた体積の製品しか生産できないが、マイクロリアクタを並列にさらに追加することにより生産容量を増大することができる。追加モジュール式マイクロリアクタユニットが追加されると、反応物供給、伝熱媒体供給、および生成物回収用の追加システムが通常必要であるが、これにより、システムの複雑さが増大するだけでなく、重複する並列流体システム用にさらにスペースを必要とする。さらに、並列リアクタモジュールのいくつかに対する供給流量にわずかな違いがあっても、製品品質に悪影響を及ぼす可能性がある。最後に、追加反応モジュールおよび供給システムを管理するためにより高度な制御および監視機能が必要である。したがって、追加流体および制御システムを用意しなくても、n重の並列化が可能なマイクロリアクタを提供することが望ましいであろう。
【0019】
反応物質入口および生成物出口が互いに反対側末端に配置される、単一の共通反応物質分配流路および単一の共通生成物回収流路を備える同一の流体流路の配列(array)を考える。共通反応物質分配および共通生成物回収流路が同じ断面積を持ち、反応物質に関する生成物の粘度が実質的に同じである場合、この配列を通る圧力低下は同じであると考えられる。さらに、その結果得られる流れの分布はかなり均一であり、中央の流体流路の流量がごく僅かにより低い。
【0020】
しかし、この配列を通る流れ分布は、生成物の粘度が反応物質の粘度と著しく異なる場合でも均一にならない。このような配列が、生成物が未反応の反応物質混合物の粘度と比較して著しく異なる粘度を持つ反応を処理するために使用された場合、共通反応物質分布流路の圧力低下が共通生成物回収流路内の圧力低下ともはや釣り合わないという事実があるため、広範な滞留時間分布がこの配列内で生じる。配列内のそれぞれの個別の流体流路内の流量は、もはや同じではない。生成物の粘度が、混合されたが未反応の反応物質の粘度よりも著しく大きい場合には、この配列内の個別流体流路内の流量は、配列全域において共通生成物出口に最も近い流路の方向に増大する傾向がある。そのため、共通生成物出口に最も近い配列内の流体流路で最高の流量が発生するが、共通生成物出口から最も遠いところに配置されている配列内の流体流路内で最低の流量が発生する。この現象は、生成物の粘度が、混合されたが未反応の反応物質の粘度よりも小さい場合には異なる。粘度のより低い生成物の場合、共通反応物質入口に最も近い配列内の流体流路で最高の流量が発生するが、共通反応物質入口から最も遠いところに配置されている配列内の流体流路内で最低の流量が発生する。粘度の相対的変化が大きいほど、配列間の流量の変化は大きい。
【0021】
このような不均衡のため、異なる滞留時間が異なる流体流路に関連付けられ、その結果、反応ユニット内全体に望ましくない不均衡滞留時間分布が生じる。いくつかの場合に、追加の滞留時間により望ましくない交差反応が生じ、「最も遅い」流体流路の詰まりさえ生じることがある。上述の不均衡な滞留時間分布および関連する問題を生じることなく著しい粘度変化を受ける反応物質混合物を処理することができる複数の流体流路を備えるマイクロリアクタを提供することが望ましく、そのようなマイクロリアクタは、並列化学製品生産システムに組み込むことができる。
【0022】
さらに、上述の不均衡な滞留時間分布につき、複数の異なる反応物質が混合される流体流路内で生成される反応物質混合物に対して、望ましくない滞留時間分布のうちの1類型のみが説明されていることに留意されたい。類似の分布問題は、回収対象の生成物ばかりでなく、混合前の反応物質を導入するために使用される流体流路でも生じうる。マイクロリアクタ内の流体の流れに対する実質的に等しい滞留時間分布を与えるように構成された複数の流体流路を備え、並列化学製品生産システム内に組み込むことができるマイクロリアクタを提供することが望ましいであろう。
【0023】
並列化学製品生産システムの望ましい他の特徴としては、製造の容易さ、比較的省スペースであること、正確に制御された層流を使用して効率的な拡散混合を使用できること、追加流体供給・除去および制御システムがなくてもn重の並列化を容易に行えること、著しく異なる粘度を有する生成物を形成するために反応混合物を処理することができる個別リアクタ、およびそれぞれの異なるリアクタ内で流体の流れに対し実質的に等しい滞留時間分布をもたらすことができるシステムなどがある。現在、従来技術には、これらの目的を達成することができるリアクタがない。
【0024】
【特許文献1】米国特許出願公開第2002/0045265号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2002/0042140号明細書
【特許文献3】国際公開第01/93998号パンフレット
【特許文献4】国際公開第01/66245号パンフレット
【特許文献5】国際公開第00/51720号パンフレット
【特許文献6】米国特許第6,149,882号明細書
【特許文献7】米国特許出願公開第2002/0080563号明細書(Pence他)
【特許文献8】国際公開第01/68257号パンフレット(Jury他)
【特許文献9】米国特許第5,534,328号明細書(Ashmead他)
【特許文献10】米国特許第5,690,763号明細書(Ashmead他)
【特許文献11】米国特許第5,580,523号明細書(Bard)
【特許文献12】米国特許第5,961,932号明細書(Ghosh他)
【特許文献13】米国特許第6,436,720号明細書
【特許文献14】米国特許第6,537,506号明細書
【特許文献15】米国特許出願第09/991,377号明細書
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0025】
本発明の一態様は、少なくとも2つの反応物質を組み合わせることにより所望の化学製品を自動的に生産するための連続的処理並列化学製品生産システムを対象とする。このような実施形態は、自動化連続的処理並列化学製品生産システムと呼ばれる。この自動化連続的処理並列化学製品生産システムは、複数の化学リアクタを備え、それぞれのリアクタは、一定量の所望の化学製品を生産するように構成されている。それぞれの化学リアクタは、第1の反応物質入口、第2の反応物質入口、および生成物出口を備える。前記システムは、さらに反応物質供給装置も備え、該供給装置それ自体第1および第2の反応物供給アセンブリを備える。それぞれの反応物質供給アセンブリは、それぞれ、第1の反応物質および第2の反応物質の供給と流体連通の状態で配置されるように構成される。それぞれの第1の反応物質供給アセンブリは、並列に流体連通の状態でそれぞれの化学リアクタの第1の反応物質入口を、第1の反応物質の供給装置と選択的に結び付けるように構成される。同様に、それぞれの第2の反応物質供給アセンブリは、並列に流体連通の状態でそれぞれの化学リアクタの第2の反応物質入口を、第2の反応物質の供給容器と選択的に結び付けるように構成される。前記システムは、生成物受取装置と流体連通の状態で配置されるように、また生成物受取装置と流体連通の状態でそれぞれの化学リアクタの生成物出口を選択的に結び付けるように構成された生成物回収アセンブリを備える。
【0026】
さらに、前記システムは、第1の反応物質供給アセンブリ、第2の反応物質供給アセンブリ、および生成物回収アセンブリと制御可能な形で結合されたシステムコントローラを備える。システムコントローラは、複数の化学リアクタによる所望の化学製品の生産を監視し制御するようにプログラムされる。システムコントローラは、複数の化学リアクタのうちの1つまたは複数をバックアップリアクタ(1つまたは複数)として指定することができ、これにより、それぞれの反応物質供給アセンブリはバックアップリアクタの対応する反応物質入口を、第1および第2の反応物質の供給から隔離し、その一方で、第1の反応物質および第2の反応物質の供給と流体連通の状態でそれぞれ他のリアクタの対応する反応物質入口を結合する。システムコントローラにより、さらに、生成物回収アセンブリは、バックアップリアクタ(1つまたは複数)の生成物出口を生成物受取装置から隔離し、その一方で、生成物受取装置と流体連通の状態でそれぞれの他のリアクタの生成物出口を結合する。
【0027】
並列システムのそれぞれの化学リアクタは、マイクロリアクタであり、それぞれの化学リアクタ(マイクロリアクタであってもなくても)は、実質的に同一の処理条件をもたらすように構成されることが好ましい。特に、それぞれの化学リアクタがマイクロリアクタである場合、それぞれの化学リアクタは、自動化連続的処理並列化学製品生産システムがさらに大量の所望の化学製品を生産するために使用される前に、所望の化学製品を生産するために使用すべき好ましい処理条件を判定するために使用される試験リアクタと実質的に同一である。
【0028】
さらに、システムコントローラは、あらかじめ定められた期間の経過後、複数の化学リアクタのうちの異なる1つをバックアップリアクタとして指定するようにプログラムされることが好ましい。すでに指定されているバックアップリアクタは、その後、第1の反応物質供給容器、第2の反応物質供給容器、および生成物受取装置と流体連通の状態で結合され、その一方で、新しく指定されたバックアップリアクタは、第1の反応物質供給容器、第2の反応物質供給容器、および生成物受取装置から隔離される。この工程では、新しく指定されたバックアップリアクタはメンテナンス作業に利用可能になるため、長期間にわたる所望の生成物の連続生産を容易にする。
【0029】
自動化連続的処理並列化学製品生産システムのいくつかの実施形態では、生成物回収アセンブリは、それぞれの化学リアクタ用のセンサを備える。それぞれのセンサは、化学リアクタの生成物出口と生成物受取装置との間に配置されるため、化学リアクタにより生産される化学製品の品質の指標がシステムコントローラに与えられる。このような実施形態では、システムコントローラは、対応する化学リアクタにより生産される化学製品の品質が所定の標準から逸脱していることをセンサの1つが示した場合に、複数の化学リアクタのうちの異なる1つをバックアップリアクタとして指定するようにプログラムされる。ここでもまた、すでに指定されているバックアップリアクタは、その後、第1の反応物質供給容器、第2の反応物質供給容器、および生成物受取装置と結合され、その一方で、新しく指定されたバックアップリアクタは、第1の反応物質供給容器、第2の反応物質供給容器、および生成物受取装置から隔離され、それによって、新しく指定されたバックアップリアクタがメンテナンス作業に利用できるようになる。
【0030】
さらに、好ましい実施形態として、第1の反応物質供給アセンブリおよび第2の反応物質供給アセンブリが、それぞれ第1の溶媒供給および第2の溶媒供給と流体的に連絡する形で選択的に結合されるように構成されてもよい。このような実施形態では、第1の反応物質供給アセンブリは、第1の反応物質入口を第1の反応物質供給容器および第1の溶媒供給容器の一方と流体連通の状態で選択的に結合することができ、第2の反応物質供給アセンブリは、第2の反応物質入口を第2の反応物質供給容器および第2の溶媒供給容器の一方と流体連通の状態で結合するように選択的に構成することができる。同様に、製品回収アセンブリは、廃液受取装置と流体連通の状態で選択的に結合されるように構成され、そのため、化学リアクタ毎に、生成物回収アセンブリは、生成物出口を生成物受取装置および廃液受取装置のうちの一方と流体連通の状態で結合するように選択的に構成することができ、それによって、バックアップリアクタを溶媒で洗い流すことができる。
【0031】
熱交換機をこのような自動化連続的処理並列化学製品生産システムに組み込むことが望ましい。いくつかの実施形態では、共通熱交換アセンブリが、それぞれの化学リアクタおよび伝熱媒体供給と流体連通の状態で結合される。共通熱交換アセンブリは、それぞれの化学リアクタ内を実質的に等しい熱条件に置く。
【0032】
このタイプの自動化連続的処理並列化学製品生産システムのいくつかの実施形態では、化学リアクタは、一般的に同心配向で配置される。このような実施形態について、共通熱交換アセンブリは、複数の化学リアクタの外向きに配置された第1の流体ライン(fluid lines)および複数の化学リアクタの内向きに配置された第2の流体ラインを備えることが好ましい。それぞれの化学リアクタは、第1および第2の流体ラインと流体連通の状態で結合される。関連する実施形態において、共通熱交換アセンブリの第1および第2の流体ラインは、同心リングとして構成され、化学リアクタは、これらの同心リングの間に配置される。
【0033】
このような自動化連続的処理並列化学製品生産システムのいくつかの実施形態では、第1の反応物質供給アセンブリが、第1の反応物質分配装置を備えるように構成される。第1の反応物質分配装置は、第1の反応物質供給容器と流体連通の状態で結合するように構成される。複数の第1の反応物質流体ラインは、第1の反応物質分配装置を複数の化学リアクタのそれぞれの第1の反応物質入口に選択的に結合するように構成される。それぞれの第1の反応物質流体ラインは、実質的に等しい流量を供給するように構成される。第2の反応物質分配装置および複数の第2の反応物質流体ラインも同様に構成される。
【0034】
それぞれの第1の反応物質流体ラインは、それぞれのリアクタの第1の反応物質入口を第1の反応物質供給容器または第1の溶媒供給容器と流体連通の状態で選択的に結合するように構成された弁を備えるのが好ましい。それぞれの第2の反応物質流体ラインは、それぞれのリアクタの第2の反応物質入口を、第2の反応物質供給容器または第2の溶媒供給容器と流体連通の状態で選択的に結合するための類似の弁を備える。それぞれの弁は、システムコントローラと制御可能なように結合されている。この実施形態では、生成物回収アセンブリは、生成物受取装置と流体連通の状態で結合するように構成された生成物回収装置を備えるのが好ましい。
【0035】
このような実施形態では、生成物回収アセンブリは、生成物回収装置を複数の化学リアクタのそれぞれの生成物出口に選択的に結合する複数の生成物流体ラインを備え、それぞれの生成物流体ラインは実質的に等しい流量を供給するように構成されている。それぞれの生成物流体ラインは、それぞれのリアクタの生成物出口を生成物受取装置または廃液受取装置と流体連通の状態で選択的に結合するように構成された弁を備えるのが好ましい。ここでもまた、それぞれのそのような弁は、システムコントローラと制御可能なように結合されている。
【0036】
少なくとも一実施形態では、それぞれの化学リアクタは、層として積み重ねてまとめられた複数の単純なプレートを備える。それぞれのそのようなリアクタは、第1の反応物質入口に結合された第1の入口経路および第2の反応物質入口に結合された第2の入口経路を備える。第1および第2の入口経路のそれぞれは、リアクタ内で合体し、少なくとも2つの化学反応物質が反応して化学製品を生成できる少なくとも1つの反応室を形成する。少なくとも1つの出口経路は、少なくとも1つの反応室を、生成物出口と流体連通の状態で結合する。それぞれの第1の反応物質入口、第1の反応物質経路、第2の反応物質入口、第2の反応物質経路、反応室、および生成物出口は、少なくとも1つの単一プレートを貫通する開口部を備え、該開口部は、隣接する単一プレートを貫通する開口部の少なくとも一部と揃えられている。
【0037】
関係する一実施形態では、それぞれの化学リアクタは、層として積み重ねられた複数の単一プレートを備える。それぞれの単一プレートは、それを貫通して延びる少なくとも1つの開口部を備え、それぞれの単一プレート内の開口部は隣接する単一プレート内の少なくとも1つの他の開口部とオーバーラップする。単一プレートは、層として積み重ねられた場合に、第1および第2の反応物質用の流体経路、所望の化学製品用の流体経路、伝熱媒体用の流体経路、伝熱媒体用の流体経路と流体連通の状態で結合されている熱交換機、および所望の結果を得るために積み重ねたプレートリアクタ内の流体の流れを操作するための手段を定める。
【0038】
自動化連続的処理並列化学製品生産システムで使用可能なさらに他のタイプの化学リアクタが層として積み重ねられた複数の単一プレートから形成される。それぞれの単一プレートは、それを貫通して延びる少なくとも1つの開口部と(それぞれの単一プレート内の開口部は他の少なくとも1つの開口部とオーバーラップし、それによって、第1および第2の反応物質用の流体経路を形成する)と、第1および第2の反応物質用のそれぞれの流体経路と流体連通する処理体積と、該処理体積と流体連通する所望の化学製品用の流体経路と、単位時間当たりに積層プレートリアクタにより生産される所望の化学製品の量および積層プレートリアクタにより生産される所望の化学製品の品質のうちの少なくとも一方を高めるための手段と、を備える。
【0039】
本発明のさらに他の態様は、それぞれ一定量の所望の化学製品を生産するように構成され、一般的に同心円状配向で配置された、複数の化学リアクタを備える並列化学製品生産システムを対象とする。このような実施形態は、同心円状並列化学製品生産システムと呼ばれる。それぞれの化学リアクタは、第1の反応物質入口、第2の反応物質入口、および生成物出口を備える。
【0040】
同心円状並列化学製品生産システムは、さらに、第1の反応物質供給装置と流体連通の状態で配置され、それぞれの化学リアクタの第1の反応物質入口を第1の反応物質供給装置と並列に流体連通の状態で結合するように構成された第1の反応物質供給アセンブリを含む反応物供給装置も備える。第2の反応物質供給アセンブリも含まれ、第2の反応物質供給容器と並列に流体連通の状態で配置されるように構成される。並列化学製品生産システムは、さらに、生成物受取装置と流体連通の状態で配置されるように、また生成物受取装置と流体連通の状態でそれぞれの化学リアクタの生成物出口を結合するように構成された生成物回収アセンブリも備える。
【0041】
いくつかの実施形態では、それぞれの反応物質供給アセンブリは、それぞれ、第1の反応物質供給容器および第2の反応物質供給容器と流体連通の状態で結合するように構成された反応物質分配装置を備える。第1の反応物質供給アセンブリは、第1の反応物質分配装置を複数の化学リアクタのそれぞれの第1の反応物質入口に選択的に結合するように構成される複数の第1の反応物質流体ラインも備える。それぞれの第1の反応物質流体ラインは、実質的に等しい流量を供給するように構成され、それぞれの第1の反応物質流体ラインは、それぞれのリアクタの第1の反応物質入口を第1の反応物質供給容器または第1の溶媒供給容器と流体連通の状態で選択的に結合するように構成された第1の反応物質流体ライン弁を備える。第2の反応物質供給アセンブリは、同様に、第2の反応物質分配装置を複数の化学リアクタのそれぞれの第2の反応物質入口に選択的に結合するように構成される複数の第2の反応物質流体ラインを備える。それぞれの第2の反応物質流体ラインは、さらに、実質的に等しい流量を供給するように構成され、それぞれのリアクタの第2の反応物質入口を第2の反応物質供給容器または第2の溶媒供給容器と流体連通の状態で選択的に結合するように構成された第2の反応物質流体ライン弁を備える。このような実施形態は、さらに、生成物受取装置と流体連通の状態で結合するように構成された生成物回収装置を組み込んだ生成物回収アセンブリも備える。生成物回収アセンブリは、さらに、生成物回収装置を複数の化学リアクタのそれぞれの生成物出口に選択的に結合するように構成された複数の生成物流体ラインも備える。それぞれの生成物流体ラインは、実質的に等しい流量を供給するように構成され、それぞれのリアクタの生成物出口を生成物受取装置および廃液受取装置のうちの1つと流体連通の状態で選択的に結合するように構成された生成物流体ラインを備え、これにより、それぞれの化学リアクタを他の化学リアクタから隔離し、溶媒で洗い流すことができる。
【0042】
一般に、上述のように、同心円状並列化学製品生産システムは、それぞれの化学リアクタおよび伝熱媒体供給と流体的に連絡する形で結合された共通熱交換機アセンブリを備え、それにより、実質的に等しい熱条件がそれぞれの化学リアクタ内で確定される。共通熱交換機アセンブリは、同心リングとして構成された第1の流体ラインおよび第2の流体ラインを備え、複数の化学リアクタは、同心リングの間に配置されるのが好ましい。
【0043】
同心円状並列化学製品生産システムは、第1の反応物質供給アセンブリ、第2の反応物質供給アセンブリ、および生成物回収アセンブリと制御可能な形で結合されたシステムコントローラを備えると有益である。システムコントローラは、複数の化学リアクタによる所望の化学製品の生産を監視し制御するように、また複数の化学リアクタのうちの少なくとも1つをバックアップリアクタとして指定し、それによって、自動化連続的処理同心円状並列化学製品生産システムを提供するようにプログラムされる。
【0044】
システムコントローラにより、第1の反応物質供給アセンブリはバックアップリアクタの第1の反応物質入口を第1の反応物質の供給から隔離し、その一方で、それぞれの他のリアクタの第1の反応物質入口を第1の反応物質供給容器と流体連通の状態で結合する。同様に、システムコントローラにより、第2の反応物質供給アセンブリはバックアップリアクタの第2の反応物質入口を第2の反応物質供給容器から隔離し、その一方で、それぞれの他のリアクタの第2の反応物質入口を第2の反応物質供給容器と流体連通の状態で結合する。さらに、システムコントローラにより、生成物回収アセンブリは、バックアップリアクタの生成物出口を生成物受取装置から隔離し、その一方で、生成物受取装置と流体連通の状態でそれぞれの他のリアクタの生成物出口を結合する。
【0045】
このような実施形態では、システムコントローラは、あらかじめ定められた期間の経過後、複数の化学リアクタのうちの異なる1つをバックアップリアクタとして指定するようにプログラムされる。すでに指定されているバックアップリアクタは、その後、第1の反応物質供給容器、第2の反応物質供給容器、および生成物受取装置と流体連通の状態で結合され、その一方で、新しく指定されたバックアップリアクタは、第1の反応物質供給容器、第2の反応物質供給容器、および生成物受取装置から隔離される。
【0046】
センサは、それぞれの化学リアクタからの生成物が個別に監視されるように備えることができる。その後、システムコントローラは、対応する化学リアクタにより生産される化学製品の品質が所定の標準から逸脱していることをセンサの1つが示した場合に、複数の化学リアクタのうちの異なる1つをバックアップリアクタとして指定するようにプログラムすることができる。
【0047】
本発明のさらに他の態様は、少なくとも2つの反応物質を組み合わせることにより所望の化学製品を生産するための方法を対象とする。この方法は、それぞれの化学リアクタが一定量の所望の化学製品を生産するように構成された複数の化学リアクタを提供する工程であって、それぞれの化学リアクタが一定量の所望の化学製品を生産するように構成された工程と、複数の化学リアクタを使用して同心円状並列化学製品生産システムを形成する工程であって、複数の化学リアクタが一般に同心円状配向で配置される工程とを含む。この方法は、さらに、一定量の第1の反応物質をそれぞれの化学リアクタ内に導き、それぞれの化学リアクタ内に導かれるそれぞれの量の第1の反応物質に関する流量が実質的に等しくなるようにする工程と、一定量の第2の反応物質をそれぞれの化学リアクタ内に導き、それぞれの化学リアクタ内に導かれるそれぞれの量の第2の反応物質に関する流量が実質的に等しくなるようにする工程とを含む。反応物はそれぞれのリアクタ内で組み合わされ、所望の生成物を生産する。それぞれの化学リアクタから一定量の所望の化学製品が回収される。
【0048】
それぞれの化学リアクタに対しマイクロリアクタを使用することができる。化学リアクタは、実質的に同一の処理条件を設定するように構成することができる。
【0049】
この方法のいくつかの実施形態は、複数の化学リアクタのそれぞれを、第1の流体ラインおよび第2の流体ラインを含む共通熱交換アセンブリに結合する工程を含む。第1および第2の流体ラインは、同心リングとして構成され、複数の化学リアクタは、これらの同心リングの間に配置される。
【0050】
この方法の他の態様では、一般的に上述のように複数の化学リアクタのうちの1つをバックアップリアクタとして指定し、同心円状並列連続的処理を容易に行えるようにしている。ここでもまた、複数の化学リアクタのうちの別のものをバックアップリアクタとして選択することのきっかけとなる所定の条件としては、所定の時間間隔の経過、あるいはは特定の化学リアクタからの生成物の品質の変化を検出することでありうる。バックアップリアクタは、クリーニング溶媒で洗い流すことができる。
【0051】
本発明の他の態様は、自動化連続的処理並列化学製品生産システムを使用して、所望の化学製品を生産するための方法であって、オプションの工程とするのとは対照的に、バックアップリアクタが常に指定される方法を対象とする。この方法は、複数の実質的に同一の化学リアクタを備える自動化連続的処理並列化学製品生産システムを提供する工程であって、それぞれの化学リアクタが所望の化学製品を生産するように構成されている工程を含む。提供される化学リアクタの個数は、単位時間当たりの所望の数量の所望の化学製品を生産するために必要な化学リアクタの個数を超えるものであり、化学リアクタのうちの1つは、バックアップリアクタとして指定される。一定量の第1および第2の反応物質が、バックアップリアクタとして指定されていないそれぞれの化学リアクタに導入され、所望の生成物は、バックアップリアクタとして指定されていないそれぞれの化学リアクタから回収される。所定の条件に応じて、複数の化学リアクタのうちの別の1つの化学リアクタが、バックアップリアクタとして指定され、新しく指定されたバックアップリアクタは、第1の反応物質および第2の反応物質がもはや新しく指定されたバックアップリアクタ内に導入されないように隔離される。第1および第2の反応物質は、すでに指定されたバックアップリアクタ内に導入され、所望の製品は、すでに指定されているバックアップリアクタから回収される。
【0052】
好ましくは、第1および第2の反応物質を化学リアクタ内に導入し、所望の化学製品を回収し、化学リアクタのうちの1つをバックアップリアクタとして指定することに関係するそれぞれの工程は、自動的に実行される。いくつかの実施形態では、それぞれの化学リアクタはマイクロリアクタである。上述のように、所定の条件は、所定の時間間隔の経過時間に対応することができるか、または化学リアクタのうちの1つから所望の生成物の品質の変化を検出することに関連付けることができる。
【0053】
本発明の前述の態様およびその結果の利点の多くは、添付の図面を参照すれば、以下の詳細な説明を参照することにより、より良く理解できるのと同様に、より容易に理解できるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0054】
本発明は、並列に相互に結合されている複数の実質的に同じ化学リアクタを使用して所望の生成物を同時に生産するように構成された拡張可能並列化学製品生産システムに関する。いくつかの好ましい実施形態では、リアクタは、微小規模のリアクタであるが、他のサイズのリアクタも使用可能である。本発明による化学製品生産システムは拡張可能であって、所望の製品のより多くの需要を満たすために既存のシステムにさらにリアクタを追加でき、共通供給アセンブリで同時に供給できるリアクタの個数の制限を受けるのみである。
【0055】
本発明の一特徴は、化学製品生産システムが長期間に渡り自動的に運転できるようにシステムコントローラを組み込むことである。このような実施形態は、自動化連続的処理化学製品生産システムと呼ばれる。化学リアクタは長時間運転した後では汚れやすいため、好ましい一実施形態では、システムコントローラは、1つの化学リアクタをバックアップリアクタとして指定するようにプログラムされる。指定されたバックアップリアクタは、反応物質供給容器および共通生成物受取装置から隔離される。所定の条件に基づき、システムコントローラが、別のリアクタをバックアップリアクタとして選択し、以前に指定されていたバックアップリアクタは、オンラインにする[つまり、反応物質供給容器および共通生成物受取装置と流体連通の状態で(in fluid communication)結合される]。その後、新しく指定されたバックアップリアクタは稼動可能となり、その後、稼動状態に戻すことができる。このアプローチにより、長期間に渡り化学製品生産システムを連続運転することが容易にできる。
【0056】
所定の条件は、定められた期間の経過とするか、または特定のリアクタからの生成物の品質の低下の判別によるものとすることができる。好ましい一実施形態では、それぞれの新しく指定されたバックアップリアクタは溶媒で洗い流され、汚れが落とされる。さらに好ましい実施形態では、それぞれの洗い流されたリアクタは、稼動状態に戻される前にもまた試験される。他のメンテナンス作業としては、バックアップリアクタとして指定されている故障リアクタの取り外しおよび交換がある。
【0057】
本発明の他の態様は、並列化学製品生産システムの個々のリアクタを同心円状構成で配列することを対象とする。以下でさらに詳しく説明するが、同心円状構成では、必要な供給システムが簡素化されるとともに、複数のリアクタ間の流れの均等分配が容易になる。このような構成では、単一の流体ポンプを使用して、それぞれの必要な流体をリアクタに送出することができる。好ましい一実施形態では、第1の反応物質、第2の反応物質、第1の溶媒、および第2の溶媒に別々の流体ポンプが使用される。それぞれの反応物質および生成物が共通溶媒中で可溶性である場合に好適な関連する一実施形態では、別々の流体ポンプがそれぞれの反応物質に使用され、共通溶媒供給には単一の溶媒供給ポンプのみが使用される。
【0058】
本発明のこれら2つの基本的態様、つまり、バックアップリアクタの指定を含む化学製品生産システムの自動化、および複数のリアクタの同心円状構成は、相互排他的ではないことは理解されるであろう。実際、少なくとも好ましい一実施形態では、両方の態様が組み合わされる。
【0059】
図1A〜1Eは、システムコントローラを使用して化学製品生産システムを自動化することを例示している。図1A〜1Dは、2つの異なる溶媒供給容器を含む自動化化学製品生産システム110の流れプロセスブロック図であるが、図1Eは、溶媒供給容器を1つだけ含む自動化化学製品生産システム110aの流れプロセスブロック図である。
【0060】
図1A〜1Dのシステム110を参照すると、第1の反応物質供給容器112および第2の反応物質供給容器116は、システムコントローラ132に制御可能な形で結合される。システムコントローラ132は、プログラム可能プロセッサまたは配線論理回路(hard wired logic circuit)として導入することができる。これらは容易に入手可能であるため、システムコントローラ132にパーソナルコンピュータを利用するのが特に好ましい。通常、生産およびパイロットプラント環境で使用されるようなプロセス制御システムも、コントローラ132を実装するために都合よく使用できる。
【0061】
別々には示されていないが、それぞれの反応物質供給容器は、一定体積の適切な反応物質だけでなく、ポンプをも備えることが理解されるであろう。選択された特定のタイプのポンプは、ポンプが使用される反応物質と親和性がなければならない。例えば、反応物質が可燃性である場合、防爆ポンプが適切である。システムコントローラ132は、ポンプによって供給される反応物質の流量を制御するためそれぞれの反応物質供給装置に結合される。それぞれの反応物質供給容器は弁を備え、これを開くことにより、該反応物質供給容器はポンプと流体連通の状態に置かれる。この弁は、システムコントローラに制御可能なように結合されている。反応物質が圧縮流体を含む場合など、いくつかの場合にはポンプは必要ないことがあるが、それは、圧縮流体により発生する圧力が十分に反応物質の流れを供給することができ、ポンプが不要だからである。
【0062】
システム110は、第1の溶媒供給容器114および第2の溶媒供給容器118を備えるのが好ましい。自動化連続的処理並列化学製品生産システムは、溶媒供給なしで実現することができるが、このようなシステムは、メンテナンス目的で指定されたバックアップリアクタを溶媒により洗浄する機能を持たない。ここでもまた、それぞれの溶媒供給は、適切なポンプを備えるのが好ましく、システムコントローラに制御可能なように結合される。反応物質供給容器と連結した上述のような弁も、溶媒供給容器から溶媒の流れを制御する際に使用することができる。
【0063】
システム110は、さらに、第1の反応物質供給アセンブリ120および第2の反応物質供給アセンブリ122を備え、それぞれ、さらに、システムコントローラ132に制御可能なように結合される。第1の反応物質供給アセンブリ120は、第1の反応物質供給容器112および第1の溶媒供給容器114の両方と流体連通の状態で結合される。同様に、第2の反応物質供給アセンブリ122は、第2の反応物質供給容器116および第2の溶媒供給容器118の両方と流体連通の状態で結合される。
【0064】
この典型的実施例に示されているように、システム110は、第1および第2の反応物質を組み合わせ反応させることにより所望の生成物を生成するように構成された、実質的に同一の4つのリアクタ124a〜124dを備える。図1A〜1Dに示されている4つのリアクタは、単に例にすぎず、好ましい数のリアクタを示唆する意図はない。リアクタの個数は、必要に応じて増やす(または減らす)ことができる。もちろん、反応物質および流体供給容器のポンプは、所望の流量を維持しながら、リアクタの個数の有限な増大に対応できるだろう。特定のポンプにより対応できるリアクタの最大個数に達した後、生成される所望の生成物の量を拡大するには、さらに大型のポンプ、または化学製品生産システムの追加を必要とする。
【0065】
それぞれのリアクタは、所望の生成物を生成するために使用される反応に対する好ましい処理条件を判別するために使用される試験リアクタと同じである。リアクタ124a〜124dのそれぞれが試験リアクタと同じプロセス条件に曝された場合、並列に結合された複数のリアクタを使用することにより生産を拡大する際に遭遇する問題は最低限となるだろう。第1および第2の供給アセンブリは、リアクタのそれぞれを、それぞれの溶媒供給容器または反応物質供給容器と、選択的に流体連通の状態に置くことができる。図4に関してさらに詳しく説明されるが、それぞれの供給アセンブリは、システムコントローラに制御可能なように結合された弁を備え、これにより、特定のリアクタが溶媒供給容器または反応物質供給容器と流体をやりとりできるようにする。このような弁は、当業者で知られているように、空気圧式または電子式とすることができる。
【0066】
それぞれのリアクタ124a〜124dは、回収アセンブリ126と流体連通の状態で結合され、該回収アセンブリ自体は、生成物受取装置128および廃液受取装置130と流体連通の状態で結合される。回収装置アセンブリは、さらに、システムコントローラに制御可能なように結合された弁を備え、これにより、特定のリアクタを生成物受取装置128または廃液受取装置130と流体連通の状態に置くことができる。
【0067】
図1Bでは、システムコントローラ132は、第1のリアクタ(つまり、リアクタ124a)をバックアップリアクタとして指定している。システムコントローラは、第1の供給アセンブリ120、第2の供給アセンブリ122、および回収アセンブリ126に関連付けられた弁を操作し、リアクタ124aをそれぞれの反応物質供給容器および生成物受取装置から隔離する。バックアップリアクタとして指定されていないリアクタはそれぞれ、供給アセンブリおよび回収アセンブリ内の適切な弁を開くことにより、反応物質供給容器および生成物受取装置と流体連通の状態で結合されることは理解されるであろう。したがって、リアクタ124b〜124dで所望の生成物が生成されるが、リアクタ124aはオフラインに保たれる。必要に応じて、システムコントローラは、溶媒供給容器を活性化して、リアクタ124aが溶媒により洗い流されるようにできる。システムコントローラは、第1および第2の溶媒供給容器と関連するポンプ(および任意の弁)を稼動させ、溶媒の流れが第1および第2の供給アセンブリに入るようにできる。上述のように、供給システム内の弁は、反応物質というよりはむしろ、溶媒がリアクタ124aに確実に送られるようにシステムコントローラにより操作されてきた。リアクタから出る溶媒は、回収アセンブリ126内の適切な弁により、生成物受取装置128というよりはむしろ、廃液受取装置130に送られる。図1Bのブロックを結合する太い線は、溶媒でリアクタ124aを洗浄することに関連する溶媒流体流路を示す。
【0068】
図1Cでは、システムコントローラ132は、第2のリアクタ(つまり、リアクタ124b)をバックアップリアクタとして指定している。ここでもまた、システムコントローラは、第1の供給アセンブリ120、第2の供給アセンブリ122、および回収アセンブリ126に関連付けられた適切な弁を操作し、指定されたバックアップリアクタをそれぞれの反応物質供給容器および生成物受取装置から隔離する。さらに、上でも説明したように、システムコントローラは、状況に応じて、溶媒供給容器からの溶媒の流れを制御するよう関連付けられた弁を開いて、リアクタ124bが溶媒で洗浄されるようにできる。図1Cのブロックを結合する太い線は、上述のように、溶媒でリアクタ124bを洗浄することに関連する流体流路を示す。リアクタ124bは、バックアップリアクタとして指定されているが、システムコントローラ132は、ここでもまた供給アセンブリおよび回収アセンブリ内の適切な弁を開くことにより、他のリアクタを反応物質供給容器および生成物受取装置と流体連通の状態に置く。そのため、リアクタ124bがオフラインの場合、所望の生成物が生成されるが、リアクタ124a、124c、および124d内に生成物が生成される。
【0069】
図1Dでは、システムコントローラ132は、第1および第2のリアクタ(つまり、リアクタ124aおよび124b)をバックアップリアクタとして指定している。単一リアクタをバックアップリアクタとして指定しておくことは、多くの状況下で十分である可能性が高いが、一度に複数のリアクタをバックアップリアクタとして指定できない理由はない。バックアップリアクタとして指定されるリアクタが多いほど、生成物を生産するリアクタは少なくなり、そのため、実用上差し支えない数のリアクタをオンラインにしておくことが奨励されることに注意されたい。ここでもまた、システムコントローラは、第1の供給アセンブリ120、第2の供給アセンブリ122、および回収アセンブリ126に関連付けられた適切な弁を操作し、指定されたバックアップリアクタをそれぞれの反応物質供給容器および生成物受取装置から隔離する。図1Dのブロックを結合する太い線は、上述のように、溶媒でリアクタ124aおよび124bを洗浄することに関連する流体流路を同様に示す。リアクタ124aおよび124bがオフラインの場合、リアクタ124cおよび124d内に生成物が生成される。
【0070】
上述のように、図1Eの自動化連続的処理並列化学製品生産システム110aは、システム110aがただ1つの溶媒供給容器114aを備え、異なる数のリアクタ(つまり、リアクタ124)を備えるという点を除き、図1A〜1Dのシステム110に類似している。システム110aは、システムコントローラ132は単一の溶媒供給容器のみを制御することを除き、一般的に上述のように機能する。システム110aは、供給アセンブリ、回収アセンブリ、およびリアクタを収めた筐体134を含むことができる。反応物質供給容器、システムコントローラ、廃液受取装置、および生成物受取装置は、筐体の外部に配置される。そのような自動化連続的処理並列化学製品生産システムの潜在的購入者は、筐体134に収めたそれらの要素を購入し、もって、どこかほかで購入またはすでに在庫にある、反応物質供給容器、溶媒供給容器、システムコントローラ(パーソナルコンピュータなど)、廃液受取装置、および生成物受取装置とともに使用することを望むと考えられる。
【0071】
上記のように、本発明の他の態様として、図2Aに一般的に示されているように、並列化学反応システム内の複数のリアクタを同心円状構成で配列することを提供する。並列化学反応システム210は、同心円状構成で配置された11個のリアクタ212を備える。それぞれのリアクタ212は、流体ライン214により共通アセンブリ216に結合される。以下で詳しく説明するが、共通アセンブリ216は、並列化学反応システム210内で複数回実装(implemented)されるのが好ましい。一実装(implementation)では、共通アセンブリおよび関連する流体ラインは、第1の反応物質をそれぞれのリアクタに分配するために使用される。他の実装では、共通アセンブリおよび関連する流体ラインは、第2の反応物質をそれぞれのリアクタに分配するために使用される。さらに他の実装では、共通アセンブリおよび関連する流体ラインは、それぞれのリアクタから所望の生成物を回収するために使用される。
【0072】
リアクタの向き、および共通アセンブリの位置決めにより、それぞれの流体ラインは実質的に同じ長さである。共通アセンブリが供給アセンブリを表す場合、それぞれのリアクタに入る流量は等しく、また共通アセンブリが回収アセンブリである場合、リアクタから出る流量は同じである。このため、それぞれのリアクタ内で同じ処理条件を確定することが容易になる。
【0073】
図2Aは、並列化学処理システムで使用されるリアクタの具体的個数を有利に変えられる他の実施例を示している。状況に応じて使用するリアクタの数を異なる数にすることもできるが、11個のリアクタは特に有利な数であり、自動化され、かつシステムコントローラがリアクタの1つをバックアップリアクタとして指定する並列化学処理システムの場合には特にそうである。11個のリアクタを使用する場合、10個のリアクタをオンラインにし、11番目のリアクタをバックアップリアクタとして指定する。オンラインのリアクタの個数10とバックアップリアクタの個数1との比は、妥当なバックアップ容量も存在することも確保しながら、妥当な生産能力をもたらすように見える。自動化連続的処理並列化学製品生産システムが、数百のオンラインリアクタとただ1つのバックアップリアクタを使用する場合、多数のオンラインリアクタが同時に(または矢継ぎ早に)故障する確率が高まり、以前に指定されているバックアップユニットをオンラインにし、また故障ユニットを新しく指定されたバックアップユニットとして指定することにより、連続的な安定生産を維持するシステムの能力を凌ぐおそれがある。
【0074】
図2Bおよび図2Cは、4つのリアクタ234を共通流体供給容器232に結合するように構成された分岐ネットワーク230を示している。それぞれのリアクタと流体供給容器との間の経路長はネットワーク230内で同じであると仮定する。これらの図は、図2Aの同心円状流体ネットワークが分岐流体ネットワークよりも有利である理由を示している。リアクタを同心円状流体ネットワークから隔離しても、分岐流体ネットワーク内に生じる可能性のあるような異なる流れ条件が残りのリアクタ内に生じることはないことは注目に値する。図2Bおよび2Cのそれぞれにおいて、ネットワークに入る反応物質の速度は4m/sである。図2Bでは、それぞれのリアクタは、ネットワークと流体連通の状態で結合され、それぞれのリアクタは1m/sの速度で反応物質を受け取る。図2Bでは、点236から点238に移動する流体は、流体が点236から点240に移動するときと同じ速度で移動している。
【0075】
図2Cに戻ると、リアクタ1は、ネットワークから隔離された。ネットワーク230の分岐的性質のため、リアクタ2〜4で受け取った流体の速度は等しいが(つまり、約1.3m/s)、著しい変化がある。図2Cでは、点236から点238まで移動する流体は、約1.3m/sで移動しており、点236から点240まで移動する流体は、約2.7m/sで移動している。点236と点238との間の経路長は、点236と点240との間の経路長と同じである。そのため、供給容器232からの流体は、流体が点238に到達する前に点240に到達するだろう。この不均一な流れの分布の結果、リアクタ3および4と比較してリアクタ2内で生産される化学製品に対する滞留時間が異なる。滞留時間は、製品の品質に非常に著しい影響を及ぼす可能性があり、並列生産システムでは、複数のリアクタ内の滞留時間を等しく、一定に保つことが非常に望ましいことである。図2Cに関して、異なるリアクタ内で等しい滞留時間を確保する唯一の方法は、点236と点238との間にポンプを追加することであるが、これは、あまり実用的な解決策ではない。
【0076】
図2Aに例示されているスター型または同心円状分布に関して、1つまたは複数のリアクタ212を隔離しても、残りのリアクタの滞留時間に影響しないが、それは、共通アセンブリ216内で加えられた圧力が一定に保たれているからである。図3B〜3Dの説明に関して明確になるだろうが、それぞれの反応物質および生成物の回収について、そのような同心円状分配(または、場合によっては回収)を使用するのが好ましい。冷却/加熱媒体の分配は、同心円状分配システムを使用しても実現することができる。しかし、リアクタを通る伝熱媒体の等しい流れ分配は、反応物質の等しい分配ほど製品品質に関して重大なものではないため、入口から遠い分岐接続と比べて代替え構成に対する入口供給の近くの分岐接続にわずかな違いがある場合でも、伝熱媒体の分配および回収に対する異なる構成を有利に使用することができる。
【0077】
本発明のさらに他の態様は、同心円状構成で配置されたリアクタを含む並列化学反応システムへの、共通同心リング伝熱アセンブリの組み込みである。図3Aは、8個のリアクタ312を備える同心円状並列化学製品生産システム310を例示する。それぞれのリアクタは、供給ライン321を介して内側流体ライン318に結合される。リング形状流体ライン318は、流体ライン323を介して伝熱媒体供給容器(図には示されていない)と流体連通の状態で結合される。そのため、伝熱媒体供給流体は、供給容器が一定体積の伝熱媒体およびポンプの両方を含むという点で、図1A〜1Eの溶媒および反応物質供給容器と類似している。システムコントローラを採用する実施形態では、伝熱媒体供給容器がシステムコントローラに制御可能なように結合され、システムコントローラは、伝熱媒体の流量を変化させて、それぞれのリアクタ内の好ましいプロセス条件を設定し、維持することができる。
【0078】
それぞれのリアクタは、さらに、出口ライン319を介してリング形状流体ライン317にも結合される。リング形状流体ライン317は、流体ライン325を介して伝熱媒体回収容器(図には示されていない)と流体連通の状態で結合される。当業者であれば、伝熱システムは閉鎖方式またはループ方式として導入されることが多いことを理解するであろう。そのため、伝熱媒体回収容器は、伝熱媒体供給容器と流体連通の状態で結合することができる。また、伝熱媒体の流れの方向は、ライン325を伝熱媒体供給容器に結合することにより、逆転させることができるが、ライン323は、伝熱媒体回収容器に結合されていることも理解されるであろう。使用される実際の方向は、リアクタ内の流体経路の向きによって変わる。
【0079】
上述のように、本発明の特に好ましい実施形態では、自動化並列化学製品生産システムを、1つのリアクタをオフラインバックアップリアクタとして指定するシステムコントローラと組み合わせ、(図3Aの同心リング伝熱アセンブリはもとより)リアクタの同心円状構成を使用する。図3B〜3Cは、図1A〜1Eの反応物質供給アセンブリおよび回収アセンブリがどのように図3Aの同心円状構成に組み込まれるかを詳細に示している。
【0080】
図3Bは、システム310に組み込まれた第1の反応物質供給アセンブリを示している。第1の反応物質供給アセンブリは、全体として、共通アセンブリ316a、弁320a、および流体ライン330aを備える。この図には別に示されていないが、共通アセンブリ316aは第1の反応物質流体供給容器と流体連通の状態で結合されていることは理解されるであろう(図1A〜1E参照)。
【0081】
共通アセンブリ316a(および図3Cに関して以下で説明されている共通アセンブリ316b)は分配装置として機能する。反応物質供給容器からの流体は、リアクタに相対的に中心位置に配置されている、分配装置内に流れ込む。分配装置から個々のリアクタへのそれぞれの流体ラインは、実質的に同一であり、リアクタ内の等しい流量を容易に確立できる。このタイプの同心円状流れ分布は、分岐流れ分布よりも好ましいが、それは、同心円状分布では、図2Bおよび2Cに関して上で説明されているように、1つのリアクタを、他のリアクタ内の流量に影響を及ぼさずに、反応物質の流れから切り離すことができるからである。
【0082】
第1の反応物質は、共通アセンブリ316aおよび流体ライン320a内に流れ込む。それぞれの弁320aは、システムコントローラに制御可能なように結合される(図1A〜1E参照)。リアクタがオンラインの場合(つまり、システムコントローラがそのリアクタをバックアップリアクタとして指定していない場合)、リアクタに関連付けられている弁320aは、システムコントローラにより制御され、それにより、第1の反応物質は弁を通って流体ライン328aおよびリアクタに流れ込む。それと対照的に、リアクタがシステムコントローラによりバックアップリアクタとして指定される場合(つまり、リアクタがオフラインの場合)、オフラインのリアクタに関連付けられている弁320aは、第1の反応物質が弁を通って流れないようにシステムコントローラにより制御される。その代わりに、弁入口324aにより示されているように、バックアップリアクタに関連付けられた弁は、対応する流体ライン328a(およびバックアップリアクタ)を、溶媒(図1A〜1Dのような第1の溶媒、または図1Eのような共通溶媒)の供給容器と流体をやりとりできるようにする。そのため、それぞれの弁口324aは、個別の流体ラインを通じて、または追加共通アセンブリ(アセンブリ316aなど)を介して、溶媒の供給容器と流体をやりとりできるように結合されることが理解されるであろう。
【0083】
その後、システムコントローラは、(複数の)溶媒供給容器と関連付けられた(複数の)ポンプを稼働させて、溶媒が指定されたバックアップリアクタ内に流れ込むようにすることができる。しかし、溶媒は、第2の反応物質を受け入れるように構成されたバックアップリアクタの一部には導入されない。好ましい実施形態は、2つの反応物質入口および生成物出口を備えるリアクタに関して説明されている。流体ライン328aは、第1のリアクタ入口に結合される。
【0084】
図3Cは、同様に、システム310に組み込まれた第2の反応物質供給アセンブリを示している。図3Cは、流体ライン328bが弁320bを、それぞれのリアクタ上の第2の反応物質入口と流体連通の状態で結合する点を除き、形および機能の点で図3Bと類似している。共通アセンブリ316bは、第2の反応物質供給容器と流体連通の状態で連結されている(図1A〜1Eを参照)。弁口324bは、共通溶媒供給容器(図1E)または第2の溶媒供給容器(図1A〜1D)のいずれかと流体連通の状態で連結される。ここでもまた、それぞれの弁は、システムコントローラに制御可能なように結合されている。リアクタがオンラインの場合、システムコントローラは、第2の反応物質が共通アセンブリ316bからリアクタ内に流れ込むようにそのリアクタに関連付けられた弁を制御する。リアクタがバックアップリアクタとして指定された場合、システムコントローラは、第2の反応物質がブロックされるようにバックアップリアクタに対応する弁を操作し、リアクタの入口は、第2の溶媒供給容器(図1A〜1D)または共通溶媒供給容器(図1E)と流体連通の状態で連結されている。このようにして、それぞれの反応物質に関連付けられたリアクタ内の流体ラインは、溶媒により洗浄することができる。
【0085】
次に図3Dを参照すると、生成物回収アセンブリ(図1A〜1Eを参照)はシステム310に組み込まれる。生成物回収アセンブリは、共通アセンブリ316c、弁320c、および流体ライン330cをまとめて備える。図3Dに別に示されてはいないが、共通アセンブリ316cは、生成物受取装置と流体をやりとりできるように結合される(図1A〜1E参照)。共通アセンブリ316cは、回収装置として機能するが、共通アセンブリ316aおよび316bは分配装置として機能する。それぞれのオンラインのリアクタについて、システムコントローラは、リアクタに関連付けられた弁を制御し、生成物が出口ライン328cを通り、弁320cを通り、流体ライン330c内に流れ込み、共通アセンブリ316cに入り、次いで生成物受取装置に流れ込むようにする。バックアップリアクタについては、システムコントローラが、バックアップリアクタとして指定されているリアクタに関連付けられている弁を制御して、バックアップリアクタから出て出口ライン328cを通る溶媒が、弁320c(口324cを経由して)により、弁を廃液受取装置に結合する流体ライン内に送られるようにする(図1A〜1E参照)。
【0086】
それぞれの出口ライン328cはそれぞれのリアクタ312の側面に結合されるように示されているが、当業者であれば、本発明により多くのさまざまなスタイルおよび設計のリアクタを同心円状並列化学製品生産システム内で使用することができ、したがって、それぞれの出口ライン328はそれぞれのリアクタの異なる部分に結合することも可能であることを理解するであろう。一般に、そのような並列システム内のそれぞれのリアクタは、実質的に同じである。そのため、出口ライン328は、一般に、それぞれのリアクタ上の同じ位置に結合される。
【0087】
いくつかの反応では、それぞれのリアクタを出る生成物を熱的に調整することが重要な場合がある。生成物の温度を制御することで、生成物の結晶化(出口ライン328を塞ぐおそれがある)を回避し、望ましくない副産物の量を減らすことができる。図3Eおよび3Fは、そのような熱的調整を達成するために採用することができる構造の概略を例示している。図3Eおよび3Fでは、弁320cおよび同心リング熱交換機アセンブリは、図を簡単にするため示されていない。
【0088】
図3Eでは、コイル状構造336がそれぞれの出口ライン328cに巻かれており、これにより、出口ライン内を流れる生成物の温度を制御する。一実施形態では、コイル状構造336は、抵抗線またはテープ型ヒーターなどの加熱素子を使用して導入される(給水管内での水の凍結を防止するために使用されるパイプヒーターに概念上類似している)。このような実施形態は、出口ラインの温度を高めるために使用することができるが、このようなヒーターは、熱を生成物に加えるだけである。他の実施形態では、それぞれのコイル状構造336は、伝熱媒体を流すことができる管である。このような実施形態は、採用される伝熱媒体の温度に応じて、出口ライン内の生成物を加熱または冷却するために使用することができる。異なる出口ラインに対応するそれぞれのコイル状構造は、独立に制御することができるが、高品質の均一な生成物を得るために、それぞれのリアクタ内の(およびそれぞれの出口ラインを通る)動作条件は同じであることが一般的には望ましい。それぞれのコイル状構造が独立して制御可能である場合には、バックアップリアクタに対応する出口ラインは、異なるパラメータに従って熱的に調整することが可能であることに注意されたい。例えば、溶媒によりバックアップリアクタを洗浄する間、出口ライン内の閉塞を取り除くのを助けるため、バックアップリアクタの出口ラインの温度をかなり高めることが望ましいかもしれない。
【0089】
次に図3Fを参照すると、それぞれの出口ライン328c内の生成物は、管内管熱交換機(tube−in−tube heat exchanger)を使用して熱的に調整される。それぞれの出口ライン328cは、伝熱流体ライン338内にある。生成物の結晶化を防ぐために生成物の温度を高める必要がある場合、生成物よりも高い温度を有する伝熱流体が流体ライン338内に導入される。望ましくない副産物が形成されるのを防ぐために、出口ライン内の生成物の温度を下げる必要がある場合、生成物よりも低い温度を有する伝熱流体が流体ライン338内に導入される。当業者であれば、伝熱流体用に選択された温度は、採用される特定の反応によって異なることを理解するであろう。
【0090】
リアクタ312の外へ向かって配置されているリング形状流体ライン340は、それぞれの流体ライン338に結合される。伝熱媒体は、流体口342からのリング形状流体ライン340から回収(またはそこに導入)することができる。同心円状に配置されているリアクタの中心近くに配置されているハブ346も、それぞれの流体ライン338に結合される。ハブ346は、回収装置316cを覆い、流体口344を備える。流体口342が入口であれば、流体口344は出口として機能し、またその逆も機能する。
【0091】
図3B〜3Dは、本発明による同心円状並列化学製品生産システム内の異なる層を表すことを意図されている。2つの反応物質アセンブリおよび回収アセンブリは、リアクタに関して同じ位置に配置されるように見えるが、組み立てられたシステムでは、それぞれのアセンブリは別々の層として構成される。層の特定の配列は重要でないが、好ましい向きでは、第1の反応物質アセンブリを上層に配置し、第2の反応物アセンブリを中間層に配置し、回収アセンブリを底層に配置し、しかも、必要なすべての流体およびプロセス制御接続について十分な間隔が確保されることが考えられる。
【0092】
図4は、それぞれのリアクタが第1および第2の反応物質供給容器に、またそれぞれの溶媒供給容器に、どのように結合されるかに関する詳細をさらに示している。図4は、システム310(図3A〜3D)からの8個のリアクタのうちの1つのみを示している。リアクタ412は、伝熱媒体供給ライン418(一番内側のリング形状伝熱流体ラインの一部)に結合された伝熱媒体入口421、および伝熱媒体回収ライン420(一番外側のリング形状伝熱流体ラインの一部)に結合された伝熱媒体出口419を備える。リアクタ412は、さらに、流体ライン428aを介して弁420aと結合されている第1の反応物質入口および流体ライン428bを介して弁420bと結合されている第2の反応物入口も備える。上述のように、弁420aおよび420bは、システムコントローラに制御可能なように結合される(図1A〜1E)。リアクタ412がバックアップリアクタとして指定されている場合、システムコントローラは、弁420aおよび420bを操作して、リアクタの第1および第2の反応物質入口を、記載のように、溶媒供給容器に結合される流体ライン422aおよび422bと流体連通の状態で連結する。上述のように、共通溶媒供給容器を使用するか、またはそれぞれの反応物質に対する専用の溶媒供給容器を使用することができる。
【0093】
リアクタ412がオンラインリアクタとして指定されている場合、システムコントローラは、弁420aおよび420bを操作して、リアクタの第1および第2の反応物質入口を流体ライン430aおよび430bと流体連通の状態で連結する。図3Bに関して説明されているように、第1の反応物質供給アセンブリは、弁420a、流体ライン430a、および共通アセンブリ416aをまとめて備える。共通アセンブリ416aは、流体ライン426aを介して第1の反応物質供給容器に結合される。同様に、第2の反応物質供給アセンブリは、弁420b、流体ライン430b、および共通アセンブリ416bをまとめて備える。共通アセンブリ416bは、流体ライン426bを介して第2の反応物質供給容器に結合される。図3Bおよび3Cでは、共通アセンブリ316aおよび316bは、システム310の中心に配置されるように示されている。上述のように、図3B〜3Dのそれぞれの供給アセンブリおよび回収アセンブリは、層として積み重ねられ、それぞれの共通アセンブリはリアクタに関して中心に配置される。図4において第1および第2の反応物質アセンブリを同時に含むようにするために(通常は異なる層内に配置される)、共通アセンブリ416aおよび416bの位置がその好ましい中央位置からシフトされている。
【0094】
図5Aは、上述の生成物受取装置および廃液受取装置にそれぞれのリアクタがどのように結合されるかに関する詳細を示している。図5Aは、システム310(図3A〜3D)からの8個のリアクタのうちの1つだけを示しており、簡単のため、伝熱流体ラインおよび反応物入口は示されていない。リアクタ512は、出口ライン528a介して、弁520cと流体連通の状態で結合されている出口を備える。以下で詳細に説明されるセンサ546は、出口ライン528cに含まれるのが好ましい。上述のように、弁520cは、図1A〜1Eのシステムコントローラに制御可能なように結合される。リアクタ512がバックアップリアクタとして指定されている場合、システムコントローラは、弁520cを操作して反応物出口を、流体ライン540と流体連通の状態で連結し、該流体ライン540は廃液受取装置と流体連通の状態で最終的に結合される。そのため、リアクタ512を洗浄するために使用される溶媒は、生成物受取装置のところにあるオンラインリアクタから回収される生成物から(弁520cを使用)取り出すことができる。図5Aに示されているように、流体ライン540は、共通アセンブリ516dに結合されている。図3B〜3Dに示されていないが、共通アセンブリ516dは、すべてのリアクタから回収される材料が、共通回収装置に流し込み、その後、適切な受取装置に送られるという点で、図3Dの共通アセンブリ316cと同様に機能する。共通アセンブリ516dの場合、それぞれの独立したリアクタからの溶媒は、リアクタの出口ライン528c、弁520c、および流体ライン540のそれぞれを介して送るようにすることができる。その後、単一の流体ライン542は、共通アセンブリ516dを廃液受取装置に結合する。それとは別に、それぞれのリアクタに関連付けられているそれぞれの流体ライン540は、個別に廃液受取装置に結合することができる。
【0095】
流体ライン542は、後述の、センサ548bを備える。共通アセンブリ516dを使用することにより、どのリアクタが流体ライン540を介して材料を放出するかに関係なく、弁520cの位置に基いて、材料がセンサ548bを通る。対照的に、それぞれのリアクタに関連付けられているそれぞれの流体ライン540が、個別に廃液受取装置に結合されている場合、リアクタを廃液受取装置に結合するそれぞれの流体ラインに、重複センサ(duplicate sensor)を用意する必要があるであろう。ここでもまた、図3B〜3Dのそれぞれの供給アセンブリおよび回収アセンブリは、好ましくは層として積み重ねられ、それぞれの共通アセンブリ316a〜316cはリアクタに関して中心に配置される。図5で廃液と関連付けられている共通アセンブリ(アセンブリ516d)および生成物と関連付けられている共通アセンブリ(アセンブリ516c)を同時に備えるようにするために、共通アセンブリ516cおよび516bの位置は、好ましい中心位置からシフトされている。廃液に関連付けられている共通アセンブリ516dは、図3B〜3Dに関して上で説明されているように、別々の層に積み重ねられることが好ましい
リアクタ512がオンラインであり、システムコントローラによりバックアップリアクタとして指定されていない場合、システムコントローラは、弁520cを操作して、反応物出口を、流体ライン530cと流体連通の状態で連結し、該流体ライン530cは、最終的に生成物受取装置と流体連通の状態で結合される。そのため、リアクタ512内で生産された生成物は、共通アセンブリ516c内で、他のオンラインリアクタからの生成物と組み合わされてから、流体ライン544を介して生成物受取装置に送られる(図3Dを参照)。図1A〜1Eの回収装置アセンブリは、それぞれのリアクタからだけでなく、共通アセンブリ516cのみならず、出口ライン528c、弁520c、流体ラインを530をまとめて備える。
【0096】
流体ライン544は、センサ548aを備える。状況に応じて、自動化連続的処理並列化学製品生産システムは、分析ユニット550を備えることができる。このような実施形態では、センサ548aおよび548bは、比較的安価なデータ収集装置であり、これらは収集されたデータを分析するための分析ユニット550に結合されている。そのため、単一の比較的高価な分析ユニットのみが必要である。
【0097】
リアクタの出口に結合されたそれぞれの流体ラインは、センサ546を備える。すべての単一ライン内にインライン分析センサ(inline−analytic sensor)を取り付けることにより、リアクタ毎に製品標準値からの逸脱を継続的に監視することができる。特には示されていないが、それぞれのセンサ546はシステムコントローラに結合されており、それにより、システムコントローラは即座にリアクタをオフラインにし(上述のように供給アセンブリおよび回収アセンブリ内の弁を操作することによる)、生成物受取装置に送られる生成物の品質の低下を防止することができる。そのため、センサ546からのデータを使用して、システムコントローラが特定のリアクタをバックアップリアクタとして指定するきっかけとなる所定の条件を検出することができる。
【0098】
センサ546では、UV分光法、IR分光法、ラマン分光法、屈折率判定、伝導度判定などを導入することができる。センサ546(同一であるのが好ましい)の目的は、絶対的な定性的結果を示すことではなく、リアクタによって生成された生成物の品質を最低許容可能標準を定めるあらかじめ定義されている標準と単に比較することである。
【0099】
上述のように、比較的安価な検出器セルを流体ライン内で使用し、信号解析を単一の比較的高価なデバイスで実行することが好ましい。そのため、センサ546は、さらに、分析ユニット550にも結合することができる。センサから分析ユニットへの信号の伝達は、収集されたデータの型および使用される分析方法に応じて、電気的接続または光学的接続を介して行うことができる。
【0100】
システムは1本の流体ライン542と1本の流体ライン544のみを含むので、これらの流体ラインを監視するために2つの検出器のみがあればよい。いくつかの実施形態では、流体ライン542内の検出器は、除去することが可能であるが、それは、一般的に、廃棄溶媒の品質を分析する必要はないからである。指定されたバックアップリアクタが溶媒により洗浄された後、出口を廃液受取装置と流体連通の状態にとどめたまま、リアクタの入口を反応物供給容器と流体連通の状態に置くことができるため、センサ548bを備えることには実用性がある。指定されたバックアップリアクタにより生産された生成物は、センサ548bによりサンプリングされ、その後、そのリアクタからの生成物は他のリアクタからの生成物と組み合わされる。溶媒洗浄が製品品質の向上に役立たない場合、他のリアクタからの生成物は質を落とさない。
【0101】
センサ548aおよび548bに関して、定性的な値ではなく測定されるパラメータの絶対値が好ましい。この目的のために、さらに高度な分析方法が望ましく、このような分析の結果はリアルタイムで供給される必要はない。HPLC、GC、およびNMRなどの方法は、分析を実行する際に適切であると思われる。センサは1つ(または2つしか)必要ないため、より効果的な検出器セルを採用することができる。
【0102】
オフラインまたはバックアップリアクタとして指定されているリアクタでは、多くの異なる種類の試験を実施し、リアクタが適切に整備されているか(溶媒で洗浄することなど)、またはさらに整備/交換が必要かどうかを判定することができる。例えば、バックアップリアクタにそっての圧力低下は、加えられる流量の関数として測定することができ、および/または指定された液圧が流体に加えられた場合に流量を測定することができる。オフラインリアクタは、その機能の実証後、または溶媒ですすいできれいにした後、生産の流れに戻すことができる。溶媒すすぎは、予防メンテナンス手順として定期的間隔値で使用することができる。
【0103】
すべてのリアクタを定期的間隔で連続的に清掃することにより(関与する化学反応に応じて、例えば、1日1回または1月に1回)、詰まりによるリアクタの汚染/閉塞を回避することができる。この定期的な溶媒すすぎを完全に自動化し、生産システムが長期間無故障で運転できるようにすることが好ましい。必要ならば、欠陥のあるリアクタをオフラインにし、バックアップリアクタと交換して、生産速度を一定に保つことができる。このような並列化学製品生産システムは、容易に、停止することなく年間8000時間運転するようにできることが予想される。
【0104】
必要ならば、上述のように、それぞれのリアクタを定期的に連続してすすぐことに加えて、それぞれのリアクタからの生成物品質の品質検査を定期的に実行し、そのリアクタに反応物質を供給しながら特定のリアクタからの生産を隔離することにより、この予防メンテナンス作業を拡張することができる。図2Aに関する上述の同心円状分布は、バックアップリアクタを備えるシステムでは特に有用であるが、それは、同心円状分布では、どのリアクタがバックアップリアクタとして指定されているかに関係なく、一定の滞留時間を達成することができるからである。
【0105】
所望の生産レベルを達成するように化学製品生産システムを拡大する場合、システムは、バックアップまたはメンテナンスモードにおいて複数のリアクタをオフラインにできるように構成することができる。N個のリアクタを必要とするシステムでは、所望の生成物を生産する際に稼動中であるために、Nよりも少ない数のリアクタを同時に運転することにより、所望の生成物の減らされた目標体積を達成することができる。
【0106】
追加プロセスモジュール(滞留時間モジュールなど)をそれぞれのリアクタと回収アセンブリとの間に直列に配置し(図1A〜1Eを参照)、時間および温度処理などの追加処理および制御を実現することができる。
【0107】
図5Bは、図5Aからのそれぞれの要素を含み、図3Eおよび3Fに関して一般的に説明されているように、それぞれのリアクタから出る生成物を熱的に調整するため任意選択の熱的調整構造を追加している。このような熱的調整構造は、図3Eのコイル状構造、または図3Fの管内管構造として導入することができる。当業者であれば、熱的調整のこれらの導入は、単に例にすぎず、他の導入も、代替えとして実現可能であることを理解するであろう。
【0108】
図5Bを参照すると、熱的調整構造550は、出口ライン528cを介してリアクタから出て、弁520cを通って流体ライン530c内に流れ込む生成物を熱的に調整するために使用される。熱的調整構造550が弁520cを熱的に調整しない場合、弁520cを断熱して、弁520cが弁内を流れる生成物に著しい熱的な変化を引き起こさないようにすることが有益であろう。
【0109】
熱的調整構造556は、生成物回収装置516cを生成物受取装置に結合する、流体ライン544内を流れる生成物を熱的に調整するために使用される。熱的調整構造552は、弁520cを廃液回収装置516dに結合する、流体ライン540内を流れる生成物(または場合によっては溶媒)を熱的に調整するために同様に使用される。最後に、熱的調整構造554は、廃液回収装置516dを回収装置容器(receptacle)と結合する、流体ライン544内を流れる生成物を熱的に調整するために使用される。
【0110】
流体の入口および出口は熱的調整構造550、552、554、および556と関連付けられているものとしては示されていないが、そのような要素は、熱的調整構造が生成物または廃液が流れる流体ラインと熱交換関係にあるように、伝熱媒体を導くように構成されている場合に(図3Fに示されているように)、存在することは理解されるであろう。
【0111】
上述のように、図3A〜3Dのアセンブリ(つまり、図3Aの同心円状熱交換アセンブリ、図3Bの第1の反応物質供給アセンブリ、図3Cの第2の反応物質供給アセンブリ、および図3Dの回収アセンブリ)は、少なくとも1つの実施形態において層内に配置される。図5Cは、連続的並列化学製品生産システム560内に組み込まれているそのような層の概略を示す。図に示されているように、システム560は、筐体562に収められている。そのような筐体は便利ではあるが、例にすぎず、本発明を限定することを意図していないことは理解されるであろう。筐体562は、それぞれ第1および第2の反応物質用の入口564および566、さらに、溶媒用の入口568、および伝熱媒体用の入口570を備える。2つよりも多い反応物質が必要な場合には、さらに入口を追加することができる。また、溶媒用の追加入口は、システムが図1Eのシステム(単一の溶媒供給容器を含む)というよりはむしろ、図1A〜1D(それぞれ2つの溶媒供給容器を使用する)で示されているように構成される場合に追加することができる。筐体562は、一般的に上述のように、生成物用の出口582、廃液用の出口584、および伝熱媒体用の出口586を備える。
【0112】
筐体562内には、層574、576、および578が入っている。層574は、一般に、図3Bの第1の反応物質供給アセンブリに対応する。第1の反応物質用の共通分配装置は、複数の同心円状配向リアクタのそれぞれと結合され、上述のように、弁は、それぞれのリアクタを隔離し、バックアップリアクタとして使用されるようにできる。層576は、一般に、図3Cの第2の反応物質供給アセンブリに対応する。ここでもまた、共通分配装置は、リアクタのそれぞれと結合され、これにより、第2の反応物質をそれぞれのリアクタ内に導入することができる。弁は、それぞれのリアクタを隔離することができる。層578は、一般に、図3Dの回収アセンブリに対応する。共通回収装置は、それぞれのリアクタと結合され、弁は、それぞれのリアクタを隔離できるようにするために必要に応じて用意される。
【0113】
図3Aの熱交換器アセンブリは、外側リング576により示されているように、層576内に組み込まれる。熱交換機アセンブリは、他の層のうちの1つに、または完全に別の層として、導入することが可能であることは理解されるであろう。図3B〜3Dは、それぞれの図に組み込まれている同心円状熱交換器アセンブリを示しているが、図3Aの同心円状熱交換機アセンブリを図3B〜3Dのそれぞれに含めることは、同心円状熱交換機アセンブリが第1の反応物質供給アセンブリ、第2の反応物質供給アセンブリ、または回収アセンブリのどれかに組み込まれることが可能であることを例示することが意図されている。さらに、図3B〜3Dのそれぞれに同心円状熱交換機アセンブリを組み込むことにより、組み立てられたシステムの向きを参照することができて、有益である。
【0114】
また、層574、576、および578のそれぞれが、同心円状に配置されたリアクタの独自の集まりを含むことに留意されたい(図3A〜3Dのリアクタ312を参照)。さらに、システム560は、一組の同心円状に配置されたリアクタを備え、層547、576、および578は、その1組のリアクタの別の層を表すことは理解されるであろう。
【0115】
同心円状に配置されたリアクタ、およびバックアップリアクタを含む並列システムの概念は、多段合成を実行するように構成された連続的処理並列化学製品生産システムに拡張できる。上述の連続的処理並列システムは、1つのリアクタで実行される反応に基づき所望の生成物を生成するように構成される(複数のリアクタで同じ生成物を並行して生産する)。また、所望の生成物を得るために、異なるリアクタにおいて、複数のプロセス工程を実行する必要がある化学製品もある。
【0116】
そのため、本発明による化学製品生産システムは、多工程合成を行うことが可能であることを意図されている。流体工学的特性(fluidics)が多工程合成の試験リアクタ中のそれと同じであるようにするために、また大量の不安定な中間物質の蓄積を防止するために、第1の工程の生成物は、必ずしも、それぞれのリアクタからスター型/同心円状回収アセンブリで回収されるわけではないが、その代わりに、別々にその後のリアクタの入口に送ることができる。
【0117】
図5Dは、本発明による多段同心円状並列化学製品生産システム588の概略を例示しており、該システムにおいては、さらに処理するために、第1の段階590のそれぞれのリアクタ512aからの生成物598が第2の段階592のリアクタ512b内に送られる。第1の反応物質596および第2の反応物質594は、上述のように、反応物質供給アセンブリを介して第1の段階590に入る。図3Dに示されているように共通の回収アセンブリを使用してそれぞれのリアクタから生成物を回収するよりはむしろ、第1の段階590のそれぞれのリアクタ512aからの出口が、第2の段階592の対応するリアクタ512bの入口と結合されている。
【0118】
第2の段階のリアクタ内で生じる反応は、反応物の追加が不要となるように触媒作用を伴うか、または1つまたは複数の追加反応物質597を第2の段階592のそれぞれのリアクタ512b内に導入することができる。第2の段階592は、図3Dに一般的に示されているように回収アセンブリを含み、それぞれのリアクタからの生成物599が組み合わされ、生成物受取装置に送られる(図5Dには示されていない、図1A〜1Eを参照のこと)。図には示されていないが、第1の段階590に類似した複数の段階を直列に結合することで、2つよりも多い工程を必要とする(つまり、2段階よりも多い)マルチパート合成(multipart synthesis)を実行できる。それぞれの段階で、1つのリアクタから得られる生成物は、後の段階の対応するリアクタに送られ、第2の段階592に関して例で示されているように、この工程は、最終生成物が得られ、それぞれの生成物の流れが組み合わされるまで、必要に応じて繰り返される。
【0119】
このような多段階同心円状並列化学製品生産システムは、上述の理由からバックアップリアクタの組み込みの利点を活かすことができ、それにより、自動化連続的処理同心円状並列化学製品生産システムを提供することができる。多段階システムのバックアップリアクタは、さまざまな方法で導入することができる。一実施形態では、第1段階のそれぞれのリアクタは、それぞれの後の段階の特定のリアクタに対応する。第1段階のリアクタがバックアップリアクタとして指定されている場合、それぞれの後の段階の特定の対応するリアクタも、バックアップリアクタとして指定される。
【0120】
別の実施形態では、それぞれの段階のリアクタは、個別にバックアップリアクタとして選択することができる。それぞれの段階は5つのリアクタR1〜R5を含むと仮定する。第1段階(S1)は、したがって、リアクタS1R1、S1R2、S1R3、およびS1R5を含む。第2段階(S2)は、リアクタS2R1、S2R2、S2R3、S2R4、およびS2R5を含む。段階「X」(SX)は、リアクタSXR1、SXR2、SXR3、SXR4、およびSXR5を含む。上述の実施形態では、S1R1がバックアップリアクタの場合、S2R1およびSXR1も、バックアップリアクタでなければならない。特に、それぞれのリアクタのそれぞれの出口がセンサを備える場合(図5Aおよび5Bに示されているように)、他の段階の対応するリアクタがメンテナンスを必要としないとしても、異なる段階にある実行効率の悪いリアクタ(メンテナンスを必要としている)をバックアップリアクタとして指定できると都合がよいであろう。リアクタS1R4およびS2R3が標準から逸脱している生成物を生産していると識別され、段階Xのすべてのリアクタが公称的に実行されている場合、S1R4、S2R3、および段階Xからの1つのリアクタをバックアップリアクタとして指定すると都合がよいであろう。そのような機能を実現できるためには、弁アセンブリを、先行する段階のそれぞれのリアクタの出口と後続の段階のそれぞれのリアクタの入口との間に必要である。このような弁アセンブリは、弁595により示されている。弁595に関係するそれぞれの流体接続は図に示されていないが、弁595により、先行する段階のそれぞれのリアクタの出口を、次の段階の任意のリアクタの入口に結合することができる、つまり、弁595を操作することにより、第1の段階590の任意のリアクタを第2の段階592の任意のリアクタに結合することができる。
【0121】
関連する実施形態では、それぞれの弁595を廃液受取装置(図5Dに示されていない、図1A〜1Eを参照のこと)に結合し、それにより、使用される段階に関係なく、それぞれのリアクタはバックアップリアクタとして指定され、廃液受取装置に結合されるようにすることができる。このような実施形態では、溶媒をさらに後の段階の指定されたバックアップリアクタにも通さなくても、任意の溶媒がリアクタから流れ出て、廃液受取装置に送られるようにすることができる。この実施形態は、ある段階と親和性のある溶媒が後の段階とは親和性がない場合に、特に有用である。このような実施形態では、それぞれの段階は、溶媒源との独自の流体接続を必要とする。先行する段階のそれぞれのリアクタが後続の段階の特定のリアクタに対応するいくつかの実施形態では、溶媒流体ラインは、第1の段階に結合するだけでよい。溶媒の流れは、やがてはそれぞれの段階を通るからである。
【0122】
もちろん、第1段階で生成された生成物は、生成物回収装置に集めることができ、その後第2段階に単一生成物の流れとして送ることができることは理解されるであろう。第2段階は、第1段階で使用されているのよりも少ないリアクタを使用して実現できる比較的単純な反応とすることも可能である。第1段階から回収された生成物は、第2段階の単一のリアクタにのみ送ることが可能である。第1の段階から回収された生成物は、さらに、第1および第2の反応物質供給アセンブリに関して上で説明されているような構造および手法を使用して、複数の異なる流体の流れに分けて、第2の段階の複数の異なるリアクタに供給することも可能である(図3Bおよび3Cを参照)。第2の段階のリアクタが第1の段階のリアクタと個数および向きの点で等しいことが好ましいが、必要であるわけではない。
【0123】
図6および以下の関連する説明は、本発明のシステム制御を実施するのに適当なコンピューティング環境(computing environment)についての簡潔な概要説明となることを意図したものである。本発明の好ましい実施形態では、システムコントローラは、パーソナルコンピュータ(PC)上で実行されるソフトウェアアプリケーションとして導入される。当業者であれば、本発明は、ラップトップおよびその他の携帯型コンピュータ、マイクロプロセッサシステム、ネットワーク接続コンピュータ、メインフレームコンピュータ、ハンドヘルドコンピュータ、パーソナルデータアシスタント(PDA)をはじめとする他のコンピューティングデバイスとともに、またプロセッサ、メモリ、およびディスプレイを備えるデバイス上で実行することができることを理解するであろう。本発明を実施するのに好適なコンピューティングシステム630の実例は、入力デバイス620、および出力デバイス622、例えばディスプレイに機能的に結合された処理ユニット632を備える。処理ユニット632は、連続的処理システム制御アプリケーションを含む機械語命令および本明細書で説明されている追加機能を実施するための機械語命令を実行する中央演算処理装置(CPU)634を備える。当業者であれば、この目的に好適なCPUは、Intel Corporation、AMD Corporation、Motorola Corporation、およびその他のメーカーから入手可能であることを理解するであろう。
【0124】
さらに、処理ユニット632には、ランダムアクセスメモリ(RAM)636、および、通常は読み取り専用メモリ(ROM)および/またはハードドライブ、光ドライブなどの何らかの形態の永続的メモリ記憶装置を含む不揮発性メモリ638を備える。これらのメモリデバイスは、CPU 634と双方向に結合される。このような記憶デバイスは、当業ではよく知られている。機械語命令およびデータは、不揮発性メモリ638からRAM 646に一時的に読み込まれる。また、メモリには、オペレーティングシステムソフトウェアおよび補助ソフトウェアが格納される。別々には示されていないが、コンピューティングシステム630を加圧するために必要な電力を供給する電源が含まれることを理解するであろう。
【0125】
コンピューティングシステム630は、スピーカー637および、本発明を実施するために必要ではないが、PCに含まれることが多い、他のコンポーネントを備えることができる。システムコントローラは、上述のセンサのうちの1つがオペレータの介入を必要とする状態を検出した場合にスピーカー637を使用して警告音を発生するようにプログラムすることが可能と考えられる。例えば、システムコントローラが、所定の品質標準を下回る製品を生産する特定のリアクタを検出した場合に、警告を発生し、その一方でシステムコントローラが処理能力が標準以下のリアクタを新しいバックアップリアクタとして指定するようにできる。警告音に加えて、または警告音の代わりに、警告表示を使用することもできる。
【0126】
モデム635は、コンピューティングシステムに含まれることが多く、電話回線によるネットワーク接続を介してデータのインポートまたはエクスポートを行うために使用される。図に示されているように、モデム635およびスピーカー637は、処理ユニット632の内部にあるコンポーネントであるが、そのようなユニットは、外部周辺デバイスとすることができ、また外部周辺デバイスとして用意されることが多い。
【0127】
入力デバイス620は、CPUにより実行されるオペレーティング環境に入力を行えるデバイスまたはメカニズムであればどのようなものでもよい。このような(複数の)入力デバイスは、限定はしないが、マウス、キーボード、マイク、ポインティングデバイス、またはタッチパッドを含む。出力デバイス622は、一般に、ユーザが知覚できる出力情報を発生するデバイスを含むが、出力を視覚的に表示するように設計されたモニタまたはコンピュータディスプレイを備えるのが最も一般的である。しかし、本発明は、システムの出力が電子的信号であるか、または外部システムと相互作用する構成をとるように修正することができることが考えられる。したがって、好ましい実施形態の従来のコンピュータキーボードおよびコンピュータディスプレイは、オプションと考えるべきである。
【0128】
図6は、コンピューティングシステムの実例の機能要素を例示しているが、図7は、上述のように、通常のPCの概略を例示している。コンピューティングシステム730は、デスクトップPC730である。PC730は、処理ユニット732(一般的に上述のとおりである)およびディスプレイ728を含む。本発明による並列化学製品生産システムを制御する命令は、ハードドライブ731に格納するのが好ましい。PC30がシステムコントローラとして使用される場合、PCは、シリアルポート、パラレルポート、ユニバーサルシリアルバスポート、Ethernet(登録商標)ポート、Profibusポート、または他のよく知られているデータポート(いずれも、図には示されていないが、当業者にはよく知られている)などの、PC上のデータポートに接続されたケーブルを通じて、図1A〜1Eに示されているようにそれぞれの制御される要素への適切なコネクタに結合される。
【0129】
システムコントローラは、さらに、格納されている機械語命令を実行する汎用プロセッサとは反対に、特定用途向け集積回路(ASIC)、または他の何らかの種類の配線論理回路を使って導入できることに留意されたい。
【0130】
本発明を実施する際に実行される工程は、上で一般的に説明されているが、図8および9は、並列化学製品生産システムを使用する2つの実施形態に使用される論理工程のシーケンスを示す論理流れ図である。図8の流れ図810に対応する第1の実施形態は、並列化学製品生産システム内のバックアップリアクタを使用することに関係する。ブロック812で、試験リアクタは、所望の生成物を生産するための好ましい処理条件を決定するために使用される。このような条件は、最低でも、必要な反応物質に対する流量を含むのがふつうであり、多くの場合、最適なリアクタ温度、個別反応物の最適な温度、および十分な滞留時間を確保する手段などの追加パラメータを含むことが多い。与えられた化学処理システムにより定められる処理時間の長さは、システム内のリアクタまたは反応室の体積およびリアクタ(または反応室)に入る反応物の流量の関数として表される。特定の化学処理システム内の反応室の体積は一般に固定されているが、流量は、少なくとも限られた範囲全体にわたって変化する可能性があるのがふつうである。したがって、反応室の体積および反応物質の流量は、反応物質の完全反応に十分な時間があるように選択すべきである。さらに、追加体積を提供し、追加体積が反応室の下流で「滞留時間室」またはモジュールとして機能するようにできる。基本的に、滞留時間室は、すでに混合されている(反応室またはリアクタから出る)反応物質が振り向けられた体積である。混合された反応物質は、生じた生成物および任意の副産物が回収容器に送られる前に、所望の反応が完了するのを確実にするに十分に長い間、滞留時間室内に保持される。そのため、化学処理システム内の反応室の体積および利用可能な反応物質流量が、他の方法では十分な処理時間を与えように容易に修正できない場合には、滞留時間室を化学処理システム内に組み込むと有益となりうる。いくつかの滞留時間室は、混合された反応物質が送られる先の、単なる遮られていない室または流体経路であり、この室または流体経路の物理的寸法は、混合された反応物質が室または流体経路を横断するのに必要な時間が、要求される滞留時間を与えるような寸法である。他の滞留時間室は、混合された反応物質が室を横断するのに必要な時間を延ばすように設計された調節板(baffle)またはその他の種類の流れ制約要素を含む。十分な滞留時間を確保するために本発明で使用すると都合がよいと思われる特に柔軟性の高い滞留時間モジュールが特許文献13(「RESIDENCE TIME PROVIDING MODULE/APPARATUS」という表題の同一出願人による特許文献)に説明されている。
【0131】
図8を再び参照すると、ブロック814で、試験リアクタと実質的に同じリアクタを使用して拡張可能な連続的生産システムが製作される。それぞれのリアクタのサイズは、試験リアクタと比較して拡張可能であるが、それぞれの実働リアクタ内の生産条件が試験リアクタ内の条件にできる限り近くなるように、試験リアクタと実質的に等しい生産リアクタを採用することが好ましい。複数の生産リアクタは、図1A〜1Eに示されているように、並列方式で1つに結合される。図8のシステムでは、リアクタが図2および3A〜3Dの同心円状構成で配列されることを要求していないが、そのような構成は、反応物質がそれぞれのリアクタ内に入る等しい流量を定めるのに好ましい。
【0132】
生産リアクタの個数に関して、11個のリアクタ生産システムは特に有利であると考えられる(10個のオンラインリアクタと1個のバックアップリアクタ)。もちろん、リアクタの数を加減した並列化学製品生産システムも、考えられる。ある時点において、多数のリアクタを備えるシステムは、かなり込み入った流体接続およびかなり強力なポンプを必要とするため、少数のリアクタを含む多数の並列化学製品生産システムがより効率のよい解決策となる可能性があることに留意されたい。例えば、それぞれ10個のオンライン生産リアクタおよび1つのバックアップリアクタを含む10システムは、100個のオンラインリアクタを含む1つのシステムよりも生産および運転の効率が高い場合がある。
【0133】
並列化学製品生産システムに含めるべき生産リアクタの個数を選択する際に念頭に置く本発明の重要な一態様は、いくつかの実施形態では、すべてのリアクタが常にオンラインであるわけではないということである。このような実施形態では、少なくとも1つのリアクタがバックアップリアクタとして指定される。そのため、N個のリアクタから単位時間当たりの所望の数量の生成物が産出されると判定された場合、N+1個のリアクタが含まれる。上述の好ましい実施形態では、単一のバックアップリアクタのみが含まれるが、理論上、並列化学製品生産システムが追加のバックアップリアクタを含むことができないという理由はない。(複数の)バックアップリアクタの目的は、比較的長い期間にわたって連続的生産を可能にすることである。特定のリアクタおよび特定の生成物で生じたことは、複数のバックアップリアクタが望ましいことを示す場合がある。
【0134】
ブロック816で、生産リアクタのうちの1つは、バックアップリアクタとして指定される。ブロック818で、バックアップリアクタは、反応物質流体供給容器および生成物受取装置から隔離される。ブロック820で、反応物質は、他のリアクタに供給され、その生成物は回収される。
【0135】
ブロック822で、システムコントローラは、所定の条件が満たされているかどうかを判定する。満たされていない場合、ロジック(logic)がブロック820にループ・バックし、反応物質は、オンラインリアクタに連続的に供給される。所定の条件が満たされた場合、システムコントローラは、異なるリアクタをブロック824内のバックアップリアクタとして指定する。ブロック824で、ロジックは2方向に分岐する。オンラインリアクタに関して、ブロック820で示されているように、反応物質は、オンラインリアクタに供給され、生成物が回収される。ブロック824を介してブロック820に到達した場合、オンラインリアクタのうちの1つが、バックアップリアクタとしてすでに指定されている。ブロック824からの他の分岐は、新しく指定されたリアクタでメンテナンスを実行することに対応している。このようなメンテナンスは、バックアップリアクタを他の同等のリアクタと交換することであるか、またはバックアップリアクタを溶媒を通すことであってよいであろう。溶媒を通した後、バックアップリアクタを試験して、そのリアクタにより生産される生成物が受け入れ標準を満たしていることを確認することができる。溶媒を通しても生成物の品質が許容可能なレベルにまで向上せず、そのリアクタの交換がオプションでない場合、そのバックアップリアクタをいつまでもオフラインにし、他のオンラインリアクタをバックアップリアクタとして選択するようにシステムコントローラをプログラムすることができる。
【0136】
もう一度ブロック822を参照すると、所定の条件が、多数の異なるパラメータに対応している可能性がある。単純な一実施形態では、システムコントローラは、並列化学製品生産システムを一定時間作動させるようにプログラムされ、その時間が経過した後、新しいバックアップリアクタが選択される。このサイクルは繰り返され、システムコントローラは、それぞれのリアクタがバックアップリアクタになるまでバックアップリアクタの選択をローテーションする。このプロセスは、所望の量の生成物が生産されるまで、または重大なメンテナンス問題がシステムのオフライン化を必要とするまで、繰り返すことができる。
【0137】
所定の条件が、さらに、それぞれのリアクタにより生産される生成物の品質に基づくこともできる。図5に示されているように、好ましい一実施形態では、センサがそれぞれのリアクタからの生成物を監視する。いずれかのリアクタが所定の標準から逸脱した生成物を生産するのを開始した場合、システムコントローラは、そのリアクタをバックアップリアクタとして指定する。品質条件は、リアクタがバックアップリアクタになる時期を決定するため、経過時間条件と組み合わせることができる。
【0138】
いくつかの場合に、リアクタをバックアップリアクタとしてすぐに指定するのではなく、最初の期間中にリアクタすべてを運転することが望ましいことがある。特に示されてはいないが、このような方法はブロック816を排除し、システムは、所定の条件が満たされるまですべてのリアクタをオンラインにしたまま動作し、前記条件が満たされたときに、リアクタのうちの1つがバックアップリアクタとして指定される。いくぶん関係がある一実施形態では、ブロック826で示されているメンテナンスが一旦実行されると、バックアップリアクタはオンラインに戻され、すべてのリアクタがオンラインになる。この実施形態は、ブロック826をブロック820に接続する波線により示される。
【0139】
図9は、本発明による別の方法の論理流れ図910である。この実施形態では、バックアップリアクタの使用は好ましいが、オプションの工程であり、リアクタの同心円状構成は、好ましいだけでなく必要である。ブロック912で、試験リアクタは、ここでもまた、所望の生成物を生産するための好ましい処理条件を決定するために使用される。ブロック914で、複数の生産リアクタ(好ましくは、試験リアクタに実質的に等しいリアクタ)が図2の同心円状構成で配列される。それぞれのリアクタを同じ平面内に置くことは有益な場合があるが、リアクタは、異なる平面内に置くことができる。追加平面の使用は、比較的多数のリアクタがシステムに含まれる場合に、特に有利であると予想される。リアクタを異なる平面内に配置しても、リアクタ内に入る反応物質の流量が生成物品質に悪影響を及ぼす程度になることはないことに注意されたい。追加平面の使用は、複数工程合成を実行するのに好ましい。そのような平面を実質的に平行な向きで配列すると都合がよい。
【0140】
ブロック916で、複数のリアクタは、反応物質供給システムと平行に結合される(好ましい一実施形態では、少なくとも1つの溶媒供給システムも使用されることはもとより、第1および第2の反応物質供給システムが採用される)。2つの反応物質の使用は、単に例にすぎず、本発明は、単一の反応物質、または2つよりも多い反応物質から所望の生成物を生産するように容易に修正することができる。ブロック918で、反応物質は、それぞれのリアクタに供給され、ブロック920で、その生成物は回収される。
【0141】
もちろん、図8および9のロジックを組み合わせて、リアクタを同心円状構成で構成する工程とバックアップリアクタを指定する工程の両方を含む方法を実現することができる。
【0142】
上述のように、センサを使用して、それぞれのリアクタ内で生産された生成物の品質を決定することができる。定性的結果ではなく、定量的結果を出力するセンサを使用できることは理解されるであろう。そのようなセンサが使用される場合、リアクタが定義済みの定量的標準を満たすことができない生成物を生産した場合に必ず、そのリアクタ(および対応する第2またはそれ以降の段階のリアクタ)がバックアップリアクタとして指定され、オフラインにされるように、定量的標準を定義することができる。
【0143】
典型的リアクタ
本発明による並列化学製品生産システムをつくるために多数の異なるリアクタ設計を使用できるが、マイクロリアクタの使用は、特に有利であると考えられる。本発明ではマイクロリアクタのさまざまな異なる構成を使用することができ都合がよい。それぞれのマイクロリアクタは、特定の化学反応のみについて設計することができるが、反応プロセスが本質的に類似しているさまざまな化学製品を生産するために1つの設計構成が通常は使用可能であるため、特定のクラスまたは種類の化学製品の生産をサポートするように設計される可能性が高い。同一出願人による特許文献14(2000年2月3日に出願、「MINIATURIZED REACTION APPARATUS」という表題)には特に有用なマイクロリアクタが説明されている。好ましい一実施形態では、並列化学製品生産システム内のリアクタは、マイクロリアクタであるが、微小規模でないリアクタは、代替えとして、本発明に関して使用することができる。マイクロリアクタは、一般に、特に反応物質流体経路に関してサイズが1mm未満の流体構造を組み込むものとして特徴付けられる。したがって、リアクタは一般にマイクロリアクタに関連付けられる微小規模流体構造よりもサイズが大きい流体構造を含むことが可能であるため、本発明は、リアクタがマイクロリアクタである並列化学製品生産システムにのみに限られないことは理解されるであろう。
【0144】
上記の小型化された化学反応装置は、図10、11A〜11C、および12A〜12Cに関して以下で詳しく説明するように、複数の単純プレートから組み立てられる。それぞれの層を含むプレートを貫通しない溝または流路などの比較的込み入った表面特徴を必要とする従来技術の積層化学リアクタとは異なり、本発明で使用される単純プレートは、それぞれのプレートを貫通して形成される開口部を必要とする。平板に開口部を機械加工または型押しで開けることは、従来技術で使用される流体の流れを通すための表面特徴を形成することための、シリコンエッチング、射出成形、およびセラミック成形/焼結プロセスよりも複雑さが著しく低い。それでも、プレートの開口部が協働して、装置を通して流体を運ぶようにするために、開口部が適切に配置され、プレートが適切に構成され積み重ねられている場合に、平板内に開口部を形成する比較的単純な手法を使用して、非常に有用な化学リアクタを提供することができる。
【0145】
以下の説明および請求項では、「単純プレート(simple plate)」という用語は実質的に平面の対向する表面を持つプレート、例えば、平坦な材料のシートを意味する。本明細書で開示されている本発明のいくつかの実施形態で使用される単純プレートは、すべて一般的に長方形であり、単純プレートを完全に貫通する1つまたは複数の開口部を有することにより特徴付けられる。したがって、本明細書および請求項で使用されている「単純プレート」という用語は、プレートを完全には貫通しないエッチング、溝、または流路を含まないプレートを意味するものと理解すべきである。
【0146】
本明細書で使用されている「溝」という用語は、対象を完全には貫通しない、従来技術のリアクタのコンポーネントに適用される、対象表面の中へ形成された表面特徴を意味するものと理解すべきである。本明細書および請求項で使用されている「結晶ウェハ」という用語は、結晶構造を持ち、ウェハに似たコンポーネントにスライスされている材料を意味する。シリコンおよびゲルマニウムは、このような結晶ウェハを生産するために使用される材料の例であるが、この材料は結晶ウェハを含む半導体である必要はない。さらに、この材料は、シリコンまたはゲルマニウムなどの単一元素である必要はないが、むしろ、このような材料は、結晶ウェハに加工でき、一緒に1つの材料を形成する複数の元素の混合とすることができる。基板ウェハを形成するために半導体産業で一般的に使用する加工技術を、結晶ウェハの生産に使用することができる。
【0147】
好ましい一実施形態では、単純プレートは、高品質のステンレス鋼で形成され、型押しおよび/またはフライス削りなどの標準金属加工技術を使用して、単純プレートを加工する。さまざまな他の材料を単純プレートの加工に使用することができることは理解されるであろう。代替えとして、ステンレス鋼以外の金属が、ガラス、プラスチック、またはそれらの材料の組み合わせなどのその他の材料と同様に使用することができる。結晶ウェハは、単純プレートを形成するための他の代替え材料である。他の材料の使用には、プラスチック材料の射出成形など、特定の種類の材料に適した加工技術を伴う。プレートを加工するために使用される材料は、特定の反応で使用される反応物質の化学特性に照らして考慮されなければならない。ステンレス鋼は、比較的化学的に不活性の材料であり、多くの化学反応物質に適した材料である。タンタル合金および銀合金も、有用であると予想される。フッ化水素酸は、金属およびガラスに対し極めて腐食性の強い化学物質である。特殊プラスチック材料は、所望の反応がフッ化水素酸を伴う場合に適している。化学処理の当業者であれば、反応物質を選択する際に、リアクタの単純プレートを加工するために適切な材料を選択する必要のあることを容易に理解するであろう。
【0148】
このような単純プレートリアクタの好ましい実施形態は、2つの反応物質を伴う液体/液相反応に対し最適化されている設計を表す。本発明の基本概念、つまり、開口部のみを組み込んだプレートの積み重ねで形成されるリアクタは、液体/気体、気体/気体、液体/固体、または気体/固体などの他の多くの種類の反応に適用することができることは理解されるであろう。以下で詳しく説明するが、好ましい実施形態は、4つの熱交換機、3つの伝熱媒体経路、および2つの反応物質流体経路を備える。しかし、類似の積み重ねプレートリアクタは、熱交換機の数を増やしたり減らしたり、伝熱媒体経路を増やしたり減らしたり、反応物質経路を増やしたり減らしたりするように容易に設計できることも同様に理解されるであろう。
【0149】
積み重ねされた複数の単純プレートを使用することで、反応物質調整、反応物質供給の制御、熱的前処理、制御された熱的条件の下での反応物質の組み合わせおよび混合、中間熱処理、処置後等温封じ込め、反応生成物の処置後熱処理、および生成物分離の機能のうちの1つからすべてまでを実行するリアクタを構成することができる。特に、単純プレートの相互接続された開口部により形成される反応物質流体通路の寸法特性により、反応物質の積層流が規定される単純プレートは、設計および加工が容易である。このような積層流により、拡散混合と呼ばれる特に効率のよい種類の混合が発生しうることが確保される。
【0150】
相互接続は気体の漏れおよび液体の漏れがあってはならないため、単純プレート間の相互接続の品質は、非常に重要である。この要求条件は、特別に作成された表面の組合せ及び精密許容差に合わせて加工された単一プレートの使用により満たされる。個々の単純プレートは、圧力フィッティング(pressure fitting,単純プレートを収納し圧縮力を外板に加えるクランプまたは筐体を使用する)により組み立てるか、または拡散溶接技術、真空ハンダ付け、または単純プレートをつなぎ合わせるその他の好適な手法を使用して個々の単純プレートを恒久的に組み立てることができる。
【0151】
圧力フィッティング手法は、単純プレートを追加または取り外すことによりリアクタ設計を変更できるように、容易に分解できる特定の単純プレートを使用してリアクタを組み立てられるという利点を有する。このようにして、同じ単純プレートを複数のリアクタ内で使用し、異なる化学プロセスを引き起こすことができる。しかし、圧力フィッティングを使用して単純プレートを組み立てる場合、単純プレートの表面にひっかき傷がほとんどないように、また平均表面粗さが1μm未満となるように、表面仕上げを非常に精密に制御する必要がある。気体または液体の漏れを防ぐため、金属からリアクタに加工されている単純プレートの積み重ねを維持するために加えなければならない圧力は、約50Newton/cmであるのが好ましい。
【0152】
任意の積み重ね単純プレートリアクタは、反応力学が精密に制御されるように、リアクタ内の所望の狭い温度範囲を維持することができることが好ましい。好ましい実施形態では、反応物質および伝熱媒体が、垂直の向きの流体流路を介して積み重ね単純プレートリアクタに入る。反応した生成物および用いられた伝熱媒体は、同様に配置された垂直の向きの流体流路を介してリアクタから出る。化学処理作業は、リアクタ内の水平配置流路内で実行される。積み重ね単純プレートリアクタとともに使用する場合の流路(channel)という用語の使用は、そのような流路が個々のプレートの表面の中へ形成された溝に対応することを意味すると解釈すべきではない。それぞれの個々の単純プレートは、開口部のみを持ち、溝を持たないが、流路またはその他の流体経路は、積み重ね単純プレートリアクタ内で容易に得られる。流路を形成するために、細長い開口部が1つの単純プレート内に形成され、その単純プレートは、対応する細長い開口部を持たない2つの単純プレートの間にサンドイッチ状に挟まれる。流路の上部は、上側単純プレートにより定められ、流路の側面は、真ん中の単純プレートで形成される開口部の側面により定められ、流路の底部は、底部プレートにより定められる。そのため、流路の深さは、真ん中の単一純プレートの厚さと同じである。積み重ね単純プレートリアクタ内の隣接する単純プレートの間の流体経路は、積み重ね単純プレートを貫通する開口部が揃えられるときに作成される。
【0153】
積み重ね単純プレートリアクタの流体システムは、システム全体に生じる圧力低下が小さいことで特徴付けられるのが好ましい。さらに、潜在的な詰まりの問題は、リアクタ内のくびれを少なくし、入り込む鋭い指向性流の変化(directional flow changes)をできるだけ少なくし、小さな内側体積(約1ml)を維持し、リアクタの混合部分で高速な拡散混合を可能にすることにより最小限に抑えられる。流体チャネルの幾何学形状は、特に反応物質流体経路(任意の伝熱媒体経路の寸法はあまり重要でない)に関して100〜500μmの範囲であり、伝熱媒体を反応物質または生成物から隔てる壁は、熱が高速に伝わるように類似の規模とするのが好ましい。上述のように、複数の材料を使用して、積み重ね単純プレートリアクタを組み立てることができるが、熱交換機を含むこれらの単純プレート内の開口部に隣接する単純プレートは、熱伝導のよい材料で加工するのが好ましい。しかし、熱交換機に隣接するそれぞれのプレートの寸法厚さが0.3mmのオーダーで小さい場合、異なる材料の熱伝導の効果は無視できるくらい小さい。
【0154】
一般に、積み重ね単純プレートリアクタのそれぞれの単純プレート内の開口部は、複数の単純プレートを積み重ねて定められた流体経路に対応し、上下の単純プレート内の開口部がオーバーラップし、それによって流体がリアクタ内を隅から隅まで移動できる。開口部は、さらに、センサ、特に温度センサ用の通路に対応することができる。伝熱を最大にするために、熱交換機を定める開口部内の伝熱媒体の流体流れ方向は、反応物質流れの方向の反対であるのが好ましい。
【0155】
図10は、16の層を含む好ましいリアクタ1170の分解等角投影図である。単純プレート1010〜1160は、それぞれの単純プレート同士の相対位置を調べられるように積み重ねられているのが示されている。それぞれの単純プレートの好ましい寸法厚さは以下のとおりである。
【0156】
上部単純プレート1010: 3.0 mm
第2の単純プレート1020: 0.3mm
第3の単純プレート1030: 0.3mm
第4の単純プレート1040: 0.3mm
第5の単純プレート1050: 0.3mm
第6の単純プレート1060: 0.3mm
第7の単純プレート1070: 0.2mm
第8の単純プレート1080: 0.3mm
第9の単純プレート1090: 0.6mm
第10の単純プレート1100: 0.3mm
第11の単純プレート1110: 0.2mm
第12の単純プレート1120: 0.3mm
第13の単純プレート1130: 0.6mm
第14の単純プレート1140: 0.3mm
第15の単純プレート1150: 0.3mm
第16の単純プレート1160: 3.0mm
【0157】
構造安定性を増すために、単純プレート1010および1160(上部および底部の単純プレート)は、他のプレートよりも厚くなっている。単純プレート1020〜1060、1100、1120、1140、および1150は、伝熱を高めるため、かなり薄い。後述のように、厚さ0.3mmで、広範に渡る材料に関して妥当な伝熱能力が得られる。単純プレート1070は、混合室内に適切な層流を確保するために1/3だけ薄い。単純プレート1110は、リアクタ内の流体平衡状態を維持するために、単純プレート1070と同じ厚さである。単純プレート1090および1130は、他のプレートよりも厚く、プレート1090および1130により定められた熱交換機内に大量の流体を入れられる。好ましいプレートの厚さは、市販されている金属板の厚さを表し、そのような材料が容易に入手できることで生産コストが下がることに注目すべきである。
【0158】
熱エネルギーを熱交換機との間でやり取りするために使用される固体部分を含む単純プレートについては、好ましい厚さは約0.3mmである。プレートの厚さが増えると、機械的安定度は増すが、熱伝達能力は低下する。0.3mmの厚さだと、機械的安定性を犠牲にすることなく、良好な熱伝達特性が得られる。機械的安定度をプレートの厚さ(50μm〜1mm)の関数として表し、熱伝達能力をプレートの厚さ(50μm〜1mm)の関数として表すグラフが組み合わされると、それぞれの機能関係を表す曲線は、約0.3mmのところで交差する。0.3mmのこの最適な値は、選択された実際の材料(ガラス、金属、プラスチックなど)とは無関係であることに注目すべきである。機能関係を定義する曲線の形状は異なる材料が選択された場合には変化するが、0.3mmの曲線の交差は比較的一定している。そのため、0.3mmは、構造完全性を犠牲にすることなく妥当な熱伝達能力が得られる単純プレートの厚さを表す。
【0159】
図11Aは、反応物質Aが上部単純プレート1010に入り、リアクタ1170の6番目の単純プレート1060を通るときの反応物質Aの流体流路を例示している。反応物質Aは、上部単純プレート1010内の入口1015内に入り、第2の層の第2の単純プレート1020に進み、反応物質A分配装置1025に入る。その後、反応物質Aは、第3の層の第3の単純プレート1030に渡り、4つの反応物質A開口部1035を通過する。第4の層の第4の単純プレート1040では、反応物質Aがインターデジタルミキサーの一部である4つの反応物質A開口部1045を通過する。インターデジタルミキサーの目的は、反応物質AおよびBの流体の流れを正確に揃え、リアクタの後の層内の混合を最適化することである。反応物質A開口部1045の目的は、複数の反応物質A流体経路を複数の反応物質B流体経路と正確に揃えて、圧力低下が平衡状態にある積層流が得られるようにすることである。第1の熱交換機1024を使用して、反応物質AおよびBの両方を第4の層のインターデジタルミキサー内の適切な温度にする。
【0160】
第5の層では、第5の単純プレート1050は、複数の反応物質B開口部と揃えられた複数の反応物質A開口部を組み込んでいる。これらの開口部は、それぞれ6つの開口部からなる4つの列の1055の開口部の交互パターンを形成する(全部で12の反応物質A開口部および1057の反応物質B開口部に対して)。第6の層では、第6の単純プレート1060は、4つの流体流路1065を組み込んでいる。これは、反応物質AおよびBが最初に混じり合う4つの流路1065である。反応物質AおよびBに対する流体経路のパターンがインターデジタルミキサーにより有効化されるため、反応物質AおよびBは積層流パターンで流路1065内に入る。
【0161】
図11Bは、リアクタ1170の第1の6つの層に入る際に反応物質Bが取る流体経路を例示している。反応物質Bは開口部1017を通って上部単純プレート1010内に入り、第2の層を通り、第2の単純プレート1020内の同一の反応物質B開口部1017に入る。第3の層では、反応物質Bは第3の単純プレート1030内の反応物質B分配装置1037に入る。第4の層では、反応物質Bは第4の単純プレート1040内の反応物質B開口部1047に入る。開口部1047(および1045)は、インターデジタルミキサーと総称される。第4の層を通過した後、反応物質Bは第5の層の第5の単純プレート1050内の12個の開口部1057に流れ込む。その後、反応物質Bは、第6の単純プレート1060上の4つの流体流路1065に進み、そこで、反応物質AおよびBが最初に混じり合う。
【0162】
図11Cは、リアクタ1170の第6の層を通過し、層7〜16内を進んだ後の反応物質AおよびBの組み合わせた流れを例示する。組み合わされた(積層流パターン内の)反応物質AおよびBは、第7の単純プレート1070上の4つの流体流路1075を通って流れる。流路1075は、4つの混合室1077につながっている。混合室1077では、積層流は圧縮され、さらに、高速な拡散混合を高める。第2の熱交換機1046を使用し、混合室1077内で混合するときの反応物質の温度を制御する。反応物質AおよびBが混合室1077内で完全に混合された後、現在混合されている反応物質AおよびBは、第8の単純プレート1080上の複数の混合反応物質開口部1085を通って流れる。混合された反応物質は、その後、それぞれ、単純プレート1090および1100内の同一の混合された反応物質開口部1085を介して第9および第10の層を通って流れる。混合された反応物質は、その後、第11の単純プレート1110上の反応流路1115内に流れ込む。反応流路1115については、反応の大半(すべてではないとしても)が完了するように十分な滞留時間をみておくのが好ましい。反応流路1115が十分な滞留時間を確保できなければ、追加滞留時間室をリアクタ1170の下流に加えることができる。上述のように、所望の反応の品質および収量は、反応プロセスにおける温度を制御する能力に大きく左右される。好ましいリアクタは、反応流路1115内の温度を正確に制御する熱交換機1093、1133a、および1133b(それぞれ、単純プレート1090および1130上)を備える。追加滞留時間室が必要な場合、追加滞留時間室内の温度の制御も非常に望ましい。第11の層内の反応流路1115を通過した後、その結果得られる生成物は、それぞれ層12、13、および14の単純プレート1120、1130、および1140内の複数の生成物開口部1125を通過する。その後、これらの生成物開口部により表される8つの個々の生成物の流れは、層15の第15の単純プレート1150上の単一の生成物流路1155に組み合わされる。この単一の生成物は、リアクタの底部(第16の)層内の第16の単純プレート1160上の生成物出口1165を介してリアクタから出る。
【0163】
図12A〜12Cは、好ましいリアクタ全体に渡る伝熱媒体A、B、およびCの流体経路を例示している。図12Aは、第2の層内の第1の熱交換機1024に供給される伝熱媒体Bの流体経路を例示する。伝熱媒体Bは、上部単純プレート1010内の伝熱媒体入口1014a内に流れ込み、第2の単純プレート1020上の熱交換機1024に進む。伝熱媒体Bは、熱交換機1024を通過し、上部単純プレート1010内の出口1014bを介して熱交換機1024から出る。熱交換機1024の目的は、第4の単純プレート1040内のインターデジタルミキサー(開口部1045および1047)の真上にある第3の層の一部の固体部分の温度を調整することである。このようにして、熱交換機1024は、反応物質が混ぜ合わされるのに先立って反応物質AおよびBの温度を加減する。反応の大半について、反応物質AおよびBは類似の温度であることが望ましいと考えられる。ただし、当業者であれば、反応物質Aおよび反応物質Bが別々の温度に保持されるのが好ましいいくつかの反応がありうることは容易に理解するであろう。本発明の同じ原理を使用する異なる積み重ねプレート設計については、反応物質AおよびBの温度を個別に修正する独立した熱交換機を用意するように設計し、加工することができると考えられる。
【0164】
図12Bは、好ましいリアクタの層1〜5を通じて伝熱媒体Cが取る流体経路を例示している。伝熱媒体Cは、上部単純プレート1010内の入口1016aを通じてリアクタに入り、その後、それぞれ層2および3内の単純プレート1020および1030上の伝熱媒体Cの取り込み用多岐管(intake manifold)1026aを通る。伝熱媒体Cは、次に、層4の第4の単純プレート1040上の熱交換機1046に入り、それぞれ層3および2内の単純プレート1030および1020の伝熱媒体Cの排出多岐管(exhaust manifold)1026bを利用して熱交換機1046から出る。その後、伝熱媒体Cは、上部単純プレート1010の出口1016bを使用してリアクタから出る。第2の熱交換機1046の目的は、第7の単純プレート1070の混合室1077に対応する第6の単純プレート1060の固体部分の温度を修正することである(図12Cを参照のこと)。多くの場合、化学物質を混合すると自然に熱を発生するため、反応物質AおよびBが完全に混合されると大量の熱が発生する場合がある。そのため、第2の熱交換機1046は、混合室1077内にある間に反応物質AおよびBを冷却することができ(図12Cを参照)、したがって、反応物質の温度は、所望の反応に対する理想温度を超えることはない。第2の熱交換機1046は、第4および第5の層の両方を占有し(単純プレート1040および1050)、熱交換機の容量を増大する。
【0165】
図12Cは、伝熱媒体Aが好ましいリアクタ1170の第1の13の層を通過するときの伝熱媒体Aの流体経路を例示する。伝熱媒体Aは、取り込みポート(intake port)1012aを介して上部単純プレート1010のところでリアクタ内に入る。その後、伝熱媒体Aは、それぞれ層2および3の単純プレート1020および1030上の同じ伝熱媒体A取り込み多岐管1022aを通過する。伝熱媒体Aは、取り込み多岐管1042aを介して、層4、5、6、および7内の伝熱媒体A取り込み多岐管を通過し続ける。取り込み多岐管1042aは、層2および3の取り込み多岐管1022aに関してサイズおよび形状が異なることに留意されたい。サイズ変更の機能上の目的は、単純プレート1040〜1070の表面積を減らして、結合を高めることはもとより、リアクタの流体経路内の潜在的圧力低下を減らすことである。
【0166】
層8では、伝熱媒体A取り込み多岐管1082aの形状は、もう一度変化する。層7および8内の伝熱媒体A取り込み多岐管間のサイズ変更の目的は、伝熱媒体Aが層9の2つの別々の部分に供給されるようにすることである。層9内の第1の伝熱媒体A流体経路では、伝熱媒体Aは、伝熱媒体A取り込み多岐管1042aに流れ込み、そこから、層10内の第10の単一純プレート1100の拡大された伝熱媒体A取り込み多岐管1082aに入る。そこから、伝熱媒体Aは、層11(単純プレート1110)内の伝熱媒体A取り込み多岐管1042aに、層12(単純プレート1120)内の拡大された伝熱媒体A取り込み多岐管に、そして層13(単純プレート1130)内の伝熱媒体A取り込み多岐管1042aに流れる。
【0167】
層9内の第2の伝熱媒体A流体経路内では、流体は、第8の単純プレート1080の伝熱媒体A取り込み多岐管1082aから流れ出し、層9の第9の単純プレート1090上の第3の熱交換機1093内に流れ込む。上述のように、第3の熱交換機1093の目的は、層11内の反応流路1115のすぐ隣にある層10の固体部分の温度を加減することである。拡大され第3の熱交換機1093の右端とオーバーラップする伝熱媒体A排出多岐管1082aを介して、層8に戻る形で、伝熱媒体Aは熱交換機1093から出る。
【0168】
層10の単純プレート1100は、拡大された伝熱媒体A取り込み多岐管1082a(さらに、排出多岐管1082b)を含む。層11の反応流路1115は、それほど長くはなく、拡大された伝熱媒体取り込みおよび排出多岐管1082aおよび1082bと十分にオーバーラップし、したがって、反応流路1115に伝熱媒体が入ることはない。ここで、取り込みおよび排出多岐管のサイズ変更の機能上の目的は、第10の単一プレート1100の表面積を減らし、結合を高めることであって、(層8および第8の単純プレート1080のように)熱交換機への供給ではない。
【0169】
次に層11を参照すると、ここでもまた、伝熱媒体A取り込み多岐管1042aのサイズおよび形状は、層8および10の取り込み多岐管に関して変化していることに注意されたい。このサイズ変更は、マイクロリアクタ全体にわたって計算された流体平衡状態を維持することに関係する。しかし、サイズ変更の全体的な効果は、比較的わずかであり、効果的なマイクロリアクタは、層11上の取り込み多岐管のサイズを変更することなく実現可能である。
【0170】
層12内で、伝熱媒体A取り込み多岐管1082aのサイズおよび形状は、ここでもまた、拡大され、層13の第4の熱交換機1133aおよび1133bを使用可能にする第2の流体経路に、ある程度の伝熱流体Aをもう一度振り向ける。伝熱媒体Aは、さらに、層13内の伝熱媒体A取り込み多岐管1042a内に流れ込む。層13の伝熱媒体A取り込み多岐管1042aの機能上の目的は、第4の熱交換機1133aと1133b内の流体圧力が第3の熱交換機1093内の流体圧力と必ず一致するようにすることである。第3および第4の両方の熱交換機は、反応流路1115の温度を加減し、そのため、両方の熱交換機が類似の流れ特性を持つことが好ましいことに注意されたい。
【0171】
第4の熱交換機1133aおよび1133bに入った伝熱流体Aは、層12内の伝熱媒体A排出多岐管1042bを介して層13から出る。そこから、伝熱媒体Aは、層11内の伝熱媒体排出多岐管1042b、層10内の伝熱媒体排出多岐管1082b、層9内の伝熱媒体排出多岐管1042b、層8内の伝熱媒体排出多岐管1082b、層7〜4内の伝熱媒体排出多岐管1042b、および層3〜2内の伝熱媒体排出多岐管1022b内を連続して通る。伝熱媒体Aは、最後に、上部単一プレート1010内の出口1012bを介してリアクタから出る。
【0172】
一般に、好ましいリアクタ内で使用される伝熱媒体は、液体であるが、選択された気体も都合よく使用できると考えられる。流動化された固体伝熱媒体(砂またはシリカなど)は、当業に知られ、使用されているだろうが、好ましいリアクタの流体流路に関係する寸法により、固体伝熱媒体が熱伝達経路を詰まらせる可能性があるという懸念が高まる。
【0173】
特に有用である可能性が高い他の種類のマイクロリアクタについても特許文献15に説明されている(同一出願人により2001年11月15日に出願、「ENHANCING FLUID FLOW IN A STACKED PLATE MICROREACTOR」という表題、参照により明細書および図面が組み込まれる)。このようなマイクロリアクタは、図13Aおよび13Bに関して以下でさらに詳しく説明されるように、複数の単一プレートから同様に加工される。
【0174】
このような増強された流れのマイクロリアクタの一態様は内部並列化(internal parallelization)に関係する。「内部並列化」という用語は、この開示と請求項の両方で使用されるが、それぞれの流体の種類(つまり、反応物質、生成物、および伝熱媒体)に対し単一の流体入口および単一の流体出口のみを使用して複数の実質的に同一の微小規模処理要素を同時に扱うことを意味すると理解されるであろう。これらの処理要素は、マイクロリアクタユニット、流体処理流路(つまり、熱処理および反応物質混合に使用される流路であるが、ただし反応物質分配および生成物回収に使用される流体流路ではない)、熱交換機、およびワークアップユニット(workup units)を含むことができる。ワークアップユニット(つまり、後処理ユニット)を使用することで、反応の急冷(quenching)、生成物の精製(抽出、蒸留、濾過、相分離、結晶化、または吸着などによる)、および/または生成物回収前の反応混合に対する追加滞留時間を設定することができる。そのため、本発明の一態様は、外部および内部並列化を示す並列化学製品生産システムである。
【0175】
好ましい内部並列化化学反応プラントは、複数の可逆的に連結されたリアクタ・スタック(reactor stacks)を組み込んでいる。このリアクタ・スタックは、次に、複数の可逆的に連結された反応ユニットを組み込み、それぞれの反応ユニットは複数の可逆的に連結された単純プレートで構成される。個々の単純プレートは、揃えられた場合に流体流路を形成する開口部を含み、該流体流路によって、反応物質が第1の反応プレートを迂回し(bypass)、反応物質をその後の反応プレートに供給することを可能にし、反応ユニット内の反応物質の並列処理を可能にする。これらの反応ユニットは、第1の種類の内部並列化を表す。反応ユニット内の単純プレートのいくつかは、隣接する単純プレートと揃えられたときに、複数の並列流体チャネルを形成する一連の開口部を含み、第2の種類の内部並列化を表す。化学プラントを作るためにリアクタユニットを可逆的にシールする際にグラファイトシールを使用すると都合がよいことは予想される。
【0176】
内部並列化化学リアクタの鍵となる特徴は、複数の単純プレートである。例えば、単純プレート内の開口部の構成、他の開口部に関する向き、および寸法の設定の仕方、および単純プレートを互いに結合する仕方は、本発明の重要な態様である。本発明による単純プレート内の開口部は、リアクタ内の流体の流れを操作して望む結果が得られるように構成され、向きを付けられる。この操作の結果、そのようなリアクタ内で生成される化学製品の量または品質が向上する。追加生成物は、単一の単純プレートを使用し、単一の単純プレート上に内部並列化反応チャネルを定める複数の開口部を含めることにより生成することができる。より高いレベルの生成物は、さらに多くのそのような単一単純プレート(それぞれ複数の反応チャネルを定める)を1つの反応ユニットを含む単純プレートの積み重ねの中に含めることにより生成することができる。複数の反応ユニットをつなぎ合わせて、より高いレベルの生成物を生産することができる、一つのリアクタ・スタックを実現することができる。なおいっそう高いレベルの生産は、さらにリアクタ・スタックを加え合わせて化学製品生産プラントを形成することにより達成することができる。化学プラント(またはリアクタ・スタック、または反応ユニット)を作るために連結されたリアクタ・スタック(または、リアクタ・ユニット、または複数の反応流路を定める単一のプレート)の数に関係なく、それぞれの反応物質およびそれぞれの伝熱媒体に対して単一の別々の流体入口のみが必要であり、生成物および用いられた伝熱媒体に対しては単一の別々の流体出口のみが必要である。
【0177】
化学プラントがリアクタ・スタックを追加または除去することにより生産を拡大または縮小できるようにするために、それぞれの反応ユニット構成する単純プレート内の開口部により定められた流体経路の寸法に十分に注意する必要があることに留意されたい。それぞれの単純プレート内の開口部、特に反応物質および生成物が個々の反応物質ユニットの反応および混合流路を迂回できるようにする開口部のサイズは、最大予想化学プラントで要求される流量に対応するために十分大きくなければならない。開口部のサイズは、有用な最少および最大処理量に対応できるように選択されるのが好ましい。流量「X」に対し最適化された開口部は、10Xの流量についてはもとより、0.1Xの流量についても使用できることが予想される。そのため、予想される最小および最大の生産速度に対応するために「X」を選択すべきである。
【0178】
他の実施形態では、反応ユニット内の個別の流体流路の寸法を操作して、実質的に異なる粘度を有する生成物を実質的に等しい滞留時間分布を持つ並列流体チャネル内で処理できるようにする。これは、一実施形態では、リアクタを有する分岐流体流路を使用して実現され、また他の実施形態では、同じ単純プレート上の平行開口部の寸法を操作して、流れが均等に分配されるようにすることにより実現される。
【0179】
マイクロリアクタを使用して生産される化学物質の量を増やすために、(図1A〜1Eおよび図2に例示されているように)外部並列化を使用することができる。外部並列化リアクタでは、外部流体ラインを使用して、複数の個別リアクタを接続する。外部並列化システム内での流れの均等分配を実現するために、それぞれのリアクタ用に多岐管、弁、制御デバイスを使用することができる(能動的ネットワーク)。受動的ネットワークで共通の供給を採用する場合、分岐アプローチを使用して機能するシステムを構成するが、このような分岐には大きな欠点がある−拡大縮小(scaling)を2のべき乗(2=>2、4、8、16、32など)で実行しなければならない。図3Bおよび3Cの同心円状供給アセンブリには、このような欠点はない(つまり、2のべき乗で拡大縮小を行わなくてよい)。
【0180】
内部並列化化学生産プラントの鍵となる概念は、単一リアクタ(または単一のリアクタ・スタックまたはリアクタ・プラント)が生産できる生成物の量を増大することである。明らかに、図1A〜1Eおよび図2の個々のリアクタが図13のAに示されているように並列化学プラントで置き換えられた場合、単位時間当りに生産される生成物の量を増やすことができるであろう。図13のAの化学プラント1301は、複数の可逆的に接続されたリアクタ・スタック1303を含む。このような3つのリアクタ・スタックが図13のAに例示されているが、化学プラント1301内で使用可能なスタック(stack)を増減することで生産速度制御することができることは理解されるであろう。約100個までのこのようなスタックを単一の化学プラントに含めることが可能であることが予想される。最小ユニットである単一の単純プレートは一般に1平方フィート(929cm)のサイズ未満であるため、100個のリアクタ・スタックであってもあまり大きな体積を占有しないことに注意されたい。図1A〜1Eおよび図2に示されているように並列に結合された多数のこのような化学プラントを含む並列化学製品生産システムが考えられる。それぞれの化学プラントに関して、単一の流体システム1302aを使用して、反応物質(および必要ならば伝熱媒体)を供給し、化学プラント1301から生成物を回収する。化学プラント1301は、上部プレート1302b(流体システム1302aに適した開口部を持つ)はもとより、化学プラントを密閉するための少なくとも1つの固体底部プレート1302cを必要とする。
【0181】
図13のBは、化学プラント1301を含む複数の同じリアクタ・スタック1303のうちの1つの拡大図である。それぞれのリアクタ・スタック1303自体は、複数の内部並列化された不可逆的に結合された反応ユニット1305を備える。図13Bは、4つの反応ユニット1305しか示していないが、かなり多くの反応ユニットまたは少ない反応ユニットを連結して1つのリアクタ・スタックを形成することが可能であることは理解されるであろう。最大約10個までの反応ユニットを都合よく連結し、1つのリアクタ・スタックを実現できることが予想される。1つのリアクタ・スタックに対する10個の反応ユニットが、必ずしも技術制約条件により要求される最大とならないことに留意されたい。その数は、1つのリアクタ・スタック当たりの妥当なコストであると考えられるものに関係する。最大100個までのリアクタ・スタックを可逆的に連結して1つの化学プラントを形成することができることが期待される。1つのリアクタ・スタックを含む個々の反応ユニットは不可逆的に連結されているため、複数の反応ユニットおよびリアクタ・スタックを含む単純プレート内に漏れまたは閉塞が発生した場合に、リアクタ・スタックを丸ごと交換する必要がある。それぞれのリアクタ・スタックに100個の反応ユニットが含まれ、1つの反応ユニットのみに漏れが生じていた場合、対応する欠陥のあるリアクタ・スタックを交換するために、残り99個の反応ユニットを破棄する必要があるであろう。1つのリアクタ・スタック当たり最大約10個の反応ユニットが利便性と経済性との間で十分にバランスがとれていると予想される。それぞれのリアクタ・スタックは、内部的に並列化されている、つまり、それぞれのリアクタ・スタックは、それぞれに流体の種類に対し(つまり、異なる反応物質および伝熱媒体毎に)単一の別々の流体入口および単一の別々の流体出口のみを使用する複数の実質的に同じ微小規模処理要素(つまり、反応ユニット)を同時に取り扱う。特定の時点で、多くの反応ユニットを不可逆的に連結して1つのリアクタ・スタックにすることは、技術的に難しい。
【0182】
図13のCは、それぞれのリアクタ・スタック1303を含む複数の反応ユニット1305のうちの1つの分解図である。それぞれの反応ユニット1305は、不可逆的に結合された複数の単純プレート1307a〜1307jを含む。図13のCは、それぞれの反応ユニットに対して10個の異なる単純プレートを例示しているが、それぞれの反応ユニットを組み立てるために使用する単純プレートを増やす(または減らす)ことが可能であることは理解されるであろう。2つの反応ユニットを含むリアクタ・スタックの一実施形態について以下でさらに詳しく説明する。
【0183】
それぞれの反応ユニットは、複数の個別単純プレートを備え、それぞれの単純プレートは同じではない。一般的に、それぞれの反応ユニットは、所望の生成物を生産するために使用される化学反応を促進するのに複数のプロセスを実行する必要がある。個々の反応物質を反応ユニット内に適切に分配する必要があり、ほとんどの場合、伝熱媒体を反応ユニット内に送り込んで、反応物質をおよび/または生成物を熱的に調整する必要がある。これらのプロセスは、異なる構成を有する単純プレートを使用することにより使用できる。反応ユニット毎に、単一の単純プレート上の定められた開口部内で所望の化学反応が実質的に発生する。それぞれの反応ユニットは、内部的に並列化されている、つまり、それぞれの反応ユニットは、それぞれに流体の種類に対し(つまり、それぞれの反応物質、生成物、および伝熱媒体)単一の別々の流体入口および単一の別々の流体出口のみを使用する複数の実質的に同じ微小規模処理要素を同時に取り扱う手段を含む。これらの複数の実質的に同じ微小規模処理要素は、リアクタ・スタックの単純プレートのうちの1つの開口部により定められた一組の反応流体流路である。図13のDは、単純プレート1307hの拡大図を示しており、これは、所望の化学製品を生成するために反応物質が混合される反応流路を定める並列の一連の開口部1309を含む、複数の開口部を備える。
【0184】
複数の反応ユニットが連結されているので、反応物質、生成物、および伝熱媒体は、一方の反応ユニットから他方の反応ユニットへ流れることができなければならない。したがって、それぞれの反応ユニットは、反応物質を一方の反応ユニットから後続の反応ユニットへ混合されないまま通すことができるハイパスを備えなければならない。生成物および伝熱媒体は、一方の反応ユニットから次の反応ユニットへ移動するときに混合することができるが、反応物質は、所望の化学反応を促進するように設計された反応流路内に入るまで混ぜ合わせることはできない。したがって、反応ユニット内のそれぞれの単純プレートは、それぞれの反応物質に対するハイパスを定める開口部を含まなければならない。これらのバイパス開口部について、以下で詳述する。
【0185】
化学プラント内のさまざまな要素間の結合は極めて重要である。漏れがあると、汚染物質が入り込んだり、生成物が失われたり、化学プラント内の流体の流れの理想的な均等分配が妨げられたりする可能性がある。理想的な環境においては、漏れ防止の観点からすれば、すべてのコンポーネントは不可逆的に結合されるが、そのような構成は実用的でない。例えば、それぞれの反応ユニットが10枚の単純プレートから組み立てられる場合、1つのリアクタ・スタックを作るために10個の反応ユニットが連結され、1つの化学プラントを作るために100個のリアクタ・スタックが連結され、その化学プラントは10,000枚の単純プレートを含むことになる。隣接する単純プレートの間の約10,000の連結部の1つで漏れが発生した場合、化学プラントの性能は損なわれることになる。1つまたは複数の連結部に漏れがあるからといって10,000枚のプレートの化学プラントを交換することは非経済的であるばかりでなく、一度にそれだけの数のプレートを不可逆的に連結してまとめることは非常に困難でもある。本発明による化学プラントのコンポーネントの構造(component architecture、反応ユニットおよびリアクタ・スタック)を使用すれば、不可逆的結合をより小さなロットで作ることができる。第1に、複数の同じ反応ユニットを用意し、それぞれ、不可逆的に連結される比較的少ない数(例えば、2〜20)の単純プレートを含むようにする。その後、比較的少ない数(例えば、2〜10)の反応ユニットが不可逆的に連結され、1つのリアクタ・スタックが作られる。最後に、必要な数だけリアクタ・スタックが可逆的に連結され、1つの化学プラントが作り出される。それぞれのリアクタ・スタックは、不可逆的に連結された要素を含む。化学プラント内に漏れが発生した場合、その化学プラントを分解し、不具合のあるリアクタスタックを交換することが容易であり、化学プラント全体を交換する必要はない。
【0186】
このような内部並列化化学プラント(およびそれぞれの内部並列化リアクタ・スタックおよびそれぞれの内部並列化反応ユニット)の主な利点は、以下のようにまとめられる。
【0187】
・ 並列化は、外部流体周辺装置(external fluidic periphery)が追加されることなく実現される。それぞれの反応物質、生成物、および任意の伝熱媒体に対し流体ラインは1つだけあればよく、そのため、かなりのスペースが節約される。
【0188】
・ 弁、測定デバイス、および/または工学的制御なしで、流れの望ましい均等分配が実現できる。このような流れの均等分配は、それぞれの反応ユニットを含む単純プレート内の開口部の設計により実現される。反応物質供給流路および生成物回収流路の寸法は、所望の生成物が生産される分配、混合、反応、および回収流路の寸法に比較してかなり大きいことが好ましい。したがって、混合および反応流路内の流れ抵抗は、無視できるくらい小さい。
【0189】
・ 個別の反応ユニットで閉塞が発生した場合でも、他のすべての反応ユニットが同様に影響を受けるため、リアクタ・スタック(および化学プラント)内の流れの均等分配は、実質的に維持される。
【0190】
・ 外部並列化リアクタと比べて、上部プレートまたは底部プレートのいずれかを必要とする反応ユニット(またはリアクタ・スタック)はなく、必要な上部および底部のプレートのみが化学プラントの上部および底部プレートに使用されるものであるため、反応ユニットを形成するために必要なプレートの数は減らされるのに対して、それぞれの外部並列化リアクタは、別々の上部および底部プレートを必要とする。
【0191】
・ 可逆的に固定されたリアクタ・スタックは柔軟性を備え、化学プラントを容易に拡大または縮小することができ、また漏れのあるまたは損傷しているリアクタ・スタックを簡単に交換することができる。
【0192】
化学プラントの実例は、n重内部並列化を実現できるように特に適合した積み重ねられた単純プレート・リアクタ(stacked simple plate reactor)を含み、n重内部並列化は追加的な複数の単純プレートの組を積み重ねられたプレート・リアクタに単に追加するだけで実現できる。以下で詳しく説明されている化学プラントは、本発明により構成された化学プラントが取りうる最大サイズよりもかなり小さい。さらに、この化学プラントは、単一のリアクタ・スタックのみを備え、それ自体2つの反応ユニットのみを含む。上述のように、同じリアクタ・スタックを追加することはもとより、追加的反応ユニットをリアクタ・スタックに追加することにより、生産を著しく高めることができる。
【0193】
次に図14Aを参照すると、2つの反応ユニットを含む単一のリアクタ・スタックを組み込んだ2重内部並列化化学プラントが示されている。図14Aは、単純プレート1410〜1640に対応する、層1〜24を分解図で例示している。例示されている化学プラントは、一つの単純プレートを別の単純プレートの上に積み上げて24の層をとした、24枚の単純プレートを含む。単純プレートの枚数は、必要な並列反応ユニットの個数に応じて変わることに注意されたい。さらに生成物が必要であれば、化学プラントに、重複反応ユニットおよび/または重複リアクタ・スタックとして配列した複数の単純プレートを追加する。以下でさらに詳しく説明するが、この実施例のそれぞれの反応ユニットは、10枚の単純プレートを備え、追加の単純プレートは最後の反応ユニットのすぐ隣の化学プラントに追加され、最後の反応ユニット内の混合および反応流路が熱交換機の間にサンドイッチ状に挟まれるように追加の熱交換機が形成される。さらに、後述の反応ユニット設計では、反応物質流体が最初に化学プラントに入る上部または底部プレートのすぐ隣に分配装置プレートが含まれることが必要であるが、これは、流体がそれぞれのリアクタ・スタック内に適切に分配することを確実にするためである。したがって、4重内部並列化を有する化学プラントでは、(必要な構成を持つ)44枚の単純プレート(4重並列化用の40枚のプレート、上部プレート、分配装置プレート、最終熱交換機プレート、および底部プレートを含む)が必要であろう。化学プラント内に含まれるリアクタ・スタックは、上部プレート、分配装置プレート、最終熱交換機プレート、または底部プレートを必要とせず、したがって、10重内部並列化を有するリアクタ・スタックだと、100枚の単純プレート(反応ユニット10個単位で配列)を必要とするだろう。図14Aは、さらに、2重内部並列化化学プラント内のそれぞれの熱交換機に送られる伝熱媒体の流体経路を示している。
【0194】
この実施形態では、2−n重リアクタが得られる2つの反応ユニットが含まれる。さらに反応ユニットを追加することも可能である。例えば、追加反応ユニットの第1のプレートを単純プレート1620の直後に追加することができ、また任意の最終反応ユニットの最後のプレートを単純プレート1630の直前に配置することができる。上述のように、任意の後続の反応ユニットは、単純プレート1430〜1520(または単純プレート1530〜1620)と同じ構成および同じ順序の10枚の単純プレートを含む。もちろん、さらに反応ユニットが追加される場合、反応物質が第2の反応ユニットを迂回し、後続の反応ユニットに送り込まれるためには開口部1412および1414が必要である。最終熱交換機プレート(単純プレート1630を参照)および底部プレート1640の直前に配置されている任意の最終反応ユニットは、必要な要素というよりはむしろ、オプションの特徴として開口部を備えることができる。また上述のように、開口部1412および1414が取り除かれた場合、単純プレートの構成がさらに必要になる。加工コストを考慮すると、単純プレートの構成を減らすことが好ましい。特定の反応について、デッドボリュームまたはプラグ(plugs)が望ましくないという懸念がある場合には、追加プレート構成を形成するために必要な余分な加工工程および付帯コストは許容可能である。すべての反応ユニットを同一にする(つまり、すべての反応ユニット内に開口部1412および1414を用意する)ことは、図13A〜13Cに関して説明されているように、特に化学プラントが、リアクタ・スタック内に配列された多数の反応ユニットを含む場合に好ましい。
【0195】
図14Aの分解等角投影図では、それぞれの単純プレート同士の相対的位置がわかりやすいように順に積み重ねられた単純プレート1410〜1640が示されていることに注意されたい。単純プレート1430〜1520は、第1の反応ユニットを定め、単純プレート1530〜1620は、第2の反応ユニットを定めることに注意されたい。生成物生産速度を上げるために追加反応ユニットが望ましい場合、追加の10層反応ユニットを含めることができる(それぞれの追加反応ユニットは、同じ順序および対応する構成で単純プレート1530〜1620の複製を含む)。上で説明されているように、反応ユニットは、最大10個までの反応ユニットのグループ単位で不可逆的に結合されるのが好ましく、それによって、リアクタ・スタックが形成される。したがって、プレート1430〜1620を不可逆的に連結して、2つの反応ユニットを含む1つのリアクタ・スタックを形成することが好ましい。上述の2重内部並列化化学プラントに対応する化学プラントはどれも、分配装置プレート(単純プレート1420を参照)および最終熱交換機プレート(単純プレート1630を参照)を含む。不可逆的結合が一般に好ましいが、分配装置プレートまたは最終熱交換機プレートが上部または底部の単純プレートに不可逆的に結合されることは重要でない。単純プレートの好ましい寸法厚さは以下のとおりである。
【0196】
上部単純プレート1410: 3.0 mm
単純プレート1420〜1630: 0.3mm
底部単純プレート1640: 3.0mm
【0197】
構造安定性を増すために、単純プレート1410および1640(上部および底部の単純プレート)は、他の単純プレートよりも厚くなっている。単純プレート1420〜1630は、上部および底部の単純プレートよりも薄く、これにより、混合および熱伝達が強化される。厚さ0.3mmでは、広範に渡る材料に関して妥当な伝熱能力が得られる。必要ならば、単純プレート1420〜1630のうちのいくつかを厚くして、その単純プレート内の開口部により定められる流体流路の体積を増やすことができることに留意されたい。例えば、単純プレート1430、1490、1530、1590、および1630は、縦方向に平行な配列で配置された複数の細長い開口部を備える。これらの開口部は、熱交換機を定める。これらの熱交換機のどれかの中の流体の体積を増やすために、それぞれの単純プレートを厚くすることができる。好ましいプレートの厚さは、市販されている金属板の厚さに対応し、そのような材料が容易に入手できることでリアクタの生産コストが下がることに留意されたい。
【0198】
熱エネルギーを熱交換機との間でやり取りするために使用される固体部分を含む単純プレートについては、好ましい厚さは約0.3mmである。プレートの厚さが増えると、機械的剛性度および安定度は増すが、混合および熱伝達効率は低下する。0.3mmの厚さだと、熱伝達特性と圧力低下要求条件との間の良好な妥協点が得られる。しかし、隣接する単純プレート内の流体の流れに関して直交方向に流体を導くのみの開口部を定める単純プレートは、薄くでき、好ましくは0.1mmにできると経験的に決定されていることに留意されたい。
【0199】
図14Aに特に示されていないが、反応物質Aの流体流路は、以下のようにまとめることができる。反応物質Aは、上部単純プレート1410内に入り、第10の単純プレート1500を通る。反応物質Aは、開口部1414を通って上部単純プレート1410に入り、開口部1414を介して第2および第3の層の単純プレート1420および1430を通り、第4の層の単純プレート1440上の開口部1444によって定められる反応物質A多岐管に入る。反応物質Aは、その後、第5の層の単純プレート1450に流れ、複数の平行な開口部1454により定められた反応物質A分配装置に入る。層6から10(単純プレート1460〜1500)では、反応物質Aが複数の開口部1464を介してそれぞれのプレートを通過する。この時点で、反応物質Aは、反応物質Bと積層されるように適切に配置される。上述のように、反応物質AおよびBに対する分配装置の目的は、反応物質AおよびBに対する流体の流れを正確に揃えて、後のリアクタの層内の混合を最適化することである。反応物質A開口部1464の目的は、複数の反応物質A流体経路を複数の反応物質B流体経路と正確に揃えて、圧力低下が平衡状態にある積層流が得られるようにすることである。単純プレート1430および1490内に用意される熱交換機は、反応物質AおよびBの両方を混合前に適切な温度にするために使用されることに留意されたい。
【0200】
ここでもまた、図14Aに特に示されていないが、反応物質Bの流体流路は、以下のようにまとめることができる。反応物質Bは開口部1412を通って上部単純プレート1410内に入り、次に単純プレート1420〜1450内の同一の反応物質B開口部1012を介して第2〜第5の層を通過する。第6の層では、反応物質Bが単純プレート1460内の開口部1462により定められた反応物質B多岐管に入る。反応物質Bは、その後、第7の層の単純プレート1470に流れ、複数の平行な開口部1472により定められた反応物質B熱的事前調整流路に入る。層8から10(単純プレート1480〜1500)では、反応物質Bが複数の開口部1482を介してそれぞれのプレートを通過する。この時点で、反応物質Bは、反応物質Aと組み合わされたときに積層流を確立できるように適切に配置される。
【0201】
第10の層を通過し、2重内部並列化化学プラントの層1510〜1520を通る反応物質AおよびBの組み合わせた流れは、以下のようにまとめることができる。反応物質AおよびBは、複数の開口部1512により単純プレート1510上に定められた複数の平行な流体流路内で[積層流パターン(stacked laminar flow pattern)で]組み合わされる。反応物質AおよびBの積層が得られ、その結果、反応物質AとBの間で高速拡散混合および所望の化学反応が生じるのは、これらの(開口部1512により定められる)混合および反応流路においてである。単純プレート1490および1530内の開口部により定められる熱交換機は、(開口部1512により定められる)混合および反応流路内で混合し反応するときに、反応物質の温度を制御するために使用される。反応物質AおよびBが単純プレート1510内で完全に混合された後、現在混合されている反応物質AおよびBは、単純プレート1520内の開口部1518により定められた回収流路内に流れ込む。開口部1518は、単純プレート1510上の生成物開口部1418と揃えられた拡大部分を含む。その後、混合された反応物質/生成物は、単純プレート1420〜1500内の揃えられた生成物開口部1418を通って、リアクタに戻り、生成物は、上部単純プレート1410内の開口部1418を介してリアクタから出る。単純プレート1510上の開口部1412により定められた混合および反応流路と単純プレート1410〜1510内の揃えられている開口部1418により定められた流体流路の組み合わせで、反応が完了できるに十分な滞留時間を確保できない場合に、さらに滞留時間流路を化学プラントの生成物出口の下流に追加することができる。
【0202】
上述の流体の流れは2重内部並列化化学プラントの第1のリアクタ部分(一般にプレート1430〜1520)についてのものであることに注意されたい。流体の流れは2重内部並列化化学プラントの第2のリアクタ部分(一般にプレート1530〜1620)内で複製される。第2のリアクタ部分内の反応物質A単独の流体の流れは、プレート1540〜1600内で複製され、第2のリアクタ部分内の反応物質B単独の流体の流れは、プレート1560〜1600で複製される。組み合わせた反応物質に対する流体の流れは、プレート1610〜1620で複製される。この第2のリアクタ部分は、オーバーラップする開口部1412および1414を介して反応物質AおよびBを供給される。
【0203】
図14Aは、2重内部並列化化学プラントの実施例全体に渡る伝熱媒体の流体経路を特に例示している。好ましいリアクタ内の熱交換機は、単純プレート1430、1490、1530、1590、および1630内の開口部により定められることに注意されたい。これらの熱交換機は、それぞれの反応ユニットの混合および反応流路内の混合された反応物質を熱的に調整するのはもとより、それぞれの反応物質が反応ユニットに入るときにそれぞれの反応物質を熱的に調整する。熱交換機を通る伝熱流体の流れは、常に、反応物質または混合された反応物質/生成物の流れに直交することに留意されたい。
【0204】
新しく調整された伝熱媒体が上部単純プレート1410内の開口部1415を介して2重内部並列化化学プラント内に入り、使用済みの伝熱媒体が、上部単純プレート1410内の開口部1416を介して2重内部並列化化学プラントから出る。2重内部並列化化学プラントに入った後、伝熱媒体は、単純プレート1420内の開口部1425により定められる多岐管内を流れる。次に、伝熱媒体は、単純プレート1430内の開口部1435により定められる第1の熱交換機に入る。第1の熱交換機は、第1の反応ユニット内に入る反応物質Aの部分を熱的に調整することに注意されたい(単純プレート1450内の開口部1454を参照)。反応物質Aの第2の部分は、引き続き揃えられた開口部1412を通り、まだ熱的に調整されていない。反応物質Aの流れのその部分は第2の反応ユニットに送られ、流れが第2(または後続)の反応ユニットに入るときに熱的に調整される。
【0205】
伝熱媒体の流れは、実際には、単純プレート1430で分割される。一部の伝熱媒体は、開口部1435により定められる熱交換機内に入る。次に、その部分は、リアクタから出て上に流れ、単純プレート1420内の開口部1426により定められた伝熱媒体多岐管を通過し、その後、上部単純プレート1410内の開口部1416を介してリアクタを出る。
【0206】
伝熱媒体の第2の部分は、単純プレート1430内の開口部1435と単純プレート1440内の開口部1425のオーバーラップを介して2重内部並列化化学プラント内に下に流れ込み続ける。上述のように、開口部1425は、伝熱媒体多岐管を定め、単純プレート1440〜1480内の揃えられた開口部1425は、伝熱媒体の流れを導いてリアクタ内に通し、単純プレート1490内の開口部1495により定められた第2の熱交換機に送る。第2の熱交換機は、単純プレート1510上の開口部1512により定められた混合および反応流路内を流れる混合された反応物質/生成物はもとより、第1の反応ユニットに入る反応物質Bの部分(単純プレート1470内の開口部1472を参照)を熱的に調整する。第2の熱交換機内を流れる伝熱媒体は、単純プレート1480、1470、1460、1450、および1440内の揃えられた開口部1426を通じてリアクタを出る。単純プレート1430は、第1の熱交換機を含み、第1の熱交換機の一部は、単純プレート1440内の開口部1426とオーバーラップし、これにより、第2の熱交換機から来る伝熱媒体はこのオーバーラップする部分を通過して、その後、上述のようにリアクタから出る。
【0207】
伝熱媒体の流れは、再び、単純プレート1490で分割される。一部の伝熱媒体は、開口部1495により定められる熱交換機内に入る。次に、その部分は、上述のように、2重内部並列化化学プラントから流れ出る。伝熱媒体の第2の部分は、単純プレート1490内の開口部1495と単純プレート1500内の開口部1425のオーバーラップを介して2重内部並列化化学プラント内に流れ落ち続ける。単純プレート1500〜1520内の揃えられた開口部1425は、伝熱媒体を導いてリアクタに通し、単純プレート1530内の開口部1535により定められた第3の熱交換機に送る。第3の熱交換機は、単純プレート1510上の開口部1512により定められた混合および反応流路内を流れる混合された反応物質/生成物を熱的に調整する。高品質の反応生成物を得るためには温度制御が重要であるため、単純プレート1510上の開口部1512により定められた混合および反応流路は、第2と第3の熱交換機の間にサンドイッチ状に挟まれ、これにより熱制御を最大化する。第3の熱交換機は、第2の反応ユニット内に入る反応物質Aのその部分を(単純プレート1550内の開口部1554を通って)熱的に調整する。
【0208】
第3の熱交換機内を流れる伝熱媒体は、単純プレート1520,1510、および1500内の揃えられた開口部1426を通じて上方に流れることにより2重内部並列化化学プラントから出る。第3の熱交換機からの伝熱媒体は、単純プレート1490内の第2の熱交換機からの伝熱媒体と合わさって、上述のように2重内部並列化化学プラントから出る。
【0209】
また上述のように、伝熱媒体の流れは、もう一度、単純プレート1530で分割される。一部の伝熱媒体は、開口部1535により定められる熱交換機内に入る。次に、伝熱媒体のその部分は、上述のように、2重内部並列化化学プラントから上へ流れ出る。伝熱媒体の別の部分は、単純プレート1530内の開口部1535と単純プレート1540内の開口部1425のオーバーラップを介して2重内部並列化化学プラント内に流れ落ち続ける。単純プレート1540〜1580内の揃えられた開口部1425は、伝熱媒体を導いてリアクタに通し、単純プレート1590内の開口部1595により定められた第4の熱交換機に送る。第4の熱交換機は、第2の反応ユニットに入る(単純プレート1570内の開口部1572を通じて)反応物質Bの部分はもとより、単純プレート1610上の開口部1612により定められた混合および反応流路を流れる混合された反応物質/生成物を熱的に調整する。
【0210】
第4の熱交換機内を流れる伝熱媒体は、単純プレート1580、1570、1560、1550、および1540内の揃えられた開口部1426を通じて上方に流れることにより、2重内部並列化化学プラントから出る。第4の熱交換機からの伝熱媒体は、単純プレート1530内の第3の熱交換機からの伝熱媒体と合わさって、上述のように2重内部並列化化学プラントから出る。
【0211】
もう一度、伝熱媒体の流れは単純プレート1590のところで分割され、一部の伝熱媒体は、開口部1595により定められた第4の熱交換機に入り、伝熱媒体のさらに他の部分は、単純プレート1590内の開口部1595および単純プレート1600内の開口部1425のオーバーラップを介して、2重内部並列化化学プラントに流れ落ち続ける。単純プレート1600〜1620内の揃えられた開口部1425は、伝熱媒体を導いて2重内部並列化化学プラントに通し、単純プレート1630内の開口部1635により定められた第5の熱交換機に送る。第5の熱交換機は、上記の最終熱交換機であることに注意されたい。第5の熱交換機は、単純プレート1610上の開口部1612により定められた混合および反応流路内を流れ、それにより、単純プレート1590内の上側熱交換機と単純プレート1630内の下側熱交換機との間で第2の反応ユニットの反応流路をサンドイッチ状に挟んでいる、混合された反応物質/生成物を熱的に調整する。第5の熱交換機内を流れる伝熱媒体は、単純プレート1620、1610、および1600内の揃えられた開口部1426を通じて上方に流れることによりリアクタを出る。第5の熱交換機からの伝熱媒体は、単純プレート1590、1530、1490、および1430内の熱交換機からの伝熱媒体と合わさり、上述のようにリアクタから出る。
【0212】
追加の反応ユニットが存在しないため、伝熱媒体は、下方に流れ続けない(底部プレート1640は、第5の熱交換機の真下にある)。しかし、さらに反応ユニットがリアクタに追加された場合(3重内部並列化を有効にする)、その反応ユニットは、最終熱交換機の前に組み込まれ、最終熱交換機は追加された最後の反応ユニットの混合および反応流路を熱的に調整する。
【0213】
リアクタ内の熱交換機が「流体を熱的に調整する」場合、熱交換機は、熱交換機を定める開口部を含む単純プレートと、熱的に調整されるべき流体が流れる流体流路を定める開口部を含む単純プレートと、の間に配置された単純プレートの固体部分を通して実際に熱を伝達できるということは理解されるであろう。例えば、単純プレート1430内の開口部1435により定められた第1の熱交換機内を流れる伝熱媒体と単純プレート1450内の開口部1454により定められた流体流路内に流れ込む反応物質Aとの間で熱伝達が発生する。熱伝達は、単純プレート1430内の開口部1435上に横たわる単純プレート1440の固体部分を通して行われている。選択された気体はもとより、液体/気体混合物、流体/固体混合物も都合よく使用できることが考えられるが、一般に、リアクタ内で使用される伝熱媒体は液体である。
【0214】
図14Bは、反応物質AおよびBの流れを任意の後続の反応ユニットに振り向けるのに、開口部1412および1414が必要ない場合に、プラグ1641および1642を底部単純プレート1640に差し込んで開口部1412および1414をいかに塞ぐかを例示している。これらの開口部にプラグを差し込むと、デッドボリュームがなくなり、第1の反応ユニットと第2の反応ユニットの両方に同じ単純プレートを使用することができる。上述のように、第2の反応ユニットから不要な開口部1412および1414をなくすと、単純プレートの追加構成が必要になり、加工プロセスが複雑化する。プラグ1641は、単純プレート1550〜1640内の不要な開口部1414を塞ぐが、プラグ1642は、単純プレート1570〜1640内の不要な開口部1412を塞ぐ。図14Bは分解等角投影図であるため、プラグ1641および1642は、長さが大きく誇張されて示されている。実際には、それぞれのプラグの長さは、開口部を塞ぐためにプラグが使用される単純プレートの全厚さに等しい。そのため、プラグ1641は、単純プレート1550〜1640の全厚さと同じくらいの長さでしかないが、プラグ1642は、それよりわずかに短く、単純プレート1570〜1640の全厚さ程度の厚さである。プラグ1641および1642が使用される場合、n重内部並列化化学プラントリアクタは、以下のように、12の異なる構成の単純プレートから組み立てることができる。
【0215】
構成#1 単純プレート1410
構成#2 単純プレート1420
構成#3 単純プレート1430、1530、および1630
構成#4 単純プレート1440および1540
構成#5 単純プレート1450および1550
構成#6 単純プレート1460および1560
構成#7 単純プレート1470および1470
構成#8 単純プレート1480、1500、1580、および1600
構成#9 単純プレート1490および1590
構成#10 単純プレート1510および1610
構成#11 単純プレート1520および1620
構成#12 単純プレート1640
【0216】
単純プレート1430〜1520の複製を組み込むことにより、さらに反応ユニットを追加することができる。また、上部単純プレート1410内の開口部1415、1416、および1418に対応するサイズおよび形状を持つ追加プラグを使用する場合、上部単純プレート1410の複製を底部プレート1640に使用し、n重内部並列化化学プラントを組み立てるために必要な単純プレートの異なる構成の数を1つだけ減らすことができることに留意されたい。したがって、以下のように、単純プレートの11の異なる構成のみが必要である。
【0217】
構成#1 単純プレート1410および底部プレート1640
構成#2 単純プレート1420
構成#3 単純プレート1430、1530、および1630
構成#4 単純プレート1440および1540
構成#5 単純プレート1450および1550
構成#6 単純プレート1460および1560
構成#7 単純プレート1470および1570
構成#8 単純プレート1480、1500、1580、および1600
構成#9 単純プレート1490および1590
構成#10 単純プレート1510および1610
構成#11 単純プレート1520および1620
【0218】
単純プレート1520は、単純プレート1520および1620にきわめて類似している。単純プレート1520または1620のいずれかを単純プレート1420の代わりに使用する場合、ある程度のデッドボリュームが積み重ねられたプレート・リアクタの第2の単純プレート内に含まれるだろう。デッドボリュームは、リアクタを出る生成物に関連しているため、連続運転するリアクタ内では、リアクタ内の何らかの追加生成物滞留時間が許容可能である反応について、そのような置換は許容可能である可能性が高い。この場合、以下のように、10個の異なる構成のみを持つ単純プレートが必要である。
【0219】
構成#1 単純プレート1410および底部プレート1640
構成#2 単純プレート1420、1520、および1620
構成#3 単純プレート1430、1530、および1630
構成#4 単純プレート1440および1540
構成#5 単純プレート1450および1550
構成#6 単純プレート1460および1560
構成#7 単純プレート1470および1570
構成#8 単純プレート1480、1500、1580、および1600
構成#9 単純プレート1490および1590
構成#10 単純プレート1510および1610
【0220】
最後に、単純プレート1450および1550の構成(構成#5)は、単純プレート1510および1610の構成(構成#11)と非常によく似ている。単純プレート1510および1610内の混合および反応流路(開口部1512により定められる)は、単純プレート1450および1550内の反応物質A分配装置流体流路(開口部1554により定められる)と同じ向き、位置に設定されるが、混合および反応流路は約5%長い。この差は、単純プレート1440および1540の反応物質A多岐管(開口部1444によって定められる)と単純プレート1520および1620の生成物回収流路(開口部1518により定められる)との間の相殺によるものである。必要な単純プレートの異なる構成の数をさらに減らすために、単純プレート1510および1610の構成を単純プレート1450および1550に使用することが可能である。これにより、反応物質A熱的事前調整流路内に追加体積が発生し、これは、反応物質A分配装置流体流路と反応物質B分配装置流体流路(単純プレート1470および1570上の開口部1472により定められる)の体積が同じでないことを意味する。このような体積の差は、それぞれの反応ユニット内の反応物質AおよびBの滞留時間分布に影響を及ぼし、また反応物質間に異なる圧力低下をもたらす。この差の結果、理想よりも混合動力学的に劣るため、この実施形態は、(プレートの異なる構成の数を減らすことが生成物の品質よりも重要でない限り)一般的にはあまり好ましくない。このような差は生成物の品質に測定にかかるほどの効果をもたらす可能性があるためである。注目している反応に応じて、この効果は許容可能な場合もあればそうでない場合もある。使用した場合、(上で提案されている他の置換と組み合わせての)この置換だと、以下のように9つの異なる構成のみの単純プレートを必要とする。
【0221】
構成#1 単純プレート1410および底部プレート1640
構成#2 単純プレート1420、1520、および1620
構成#3 単純プレート1430、1530および1630
構成#4 単純プレート1440および1540
構成#5 単純プレート1450、1510、1550、および1610
構成#6 単純プレート1460および1560
構成#7 単純プレート1470および1570
構成#8 単純プレート1480、1500、1580、および1600
構成#9 単純プレート1490および1590
【0222】
追加代替手段では、単純プレート1510および1610の混合および反応流路に対し単純プレート1450および1550の構成を使用することで、反応物A熱的事前調整流路および反応物質B熱的事前調整流路は、実質的に同じ長さとなるが、混合および反応流路は、わずかに少ない体積となる。このような代替手段は、生成物の品質にほとんど影響を及ぼさない可能性が高い。このような変更が行われた場合、単純プレート1520および1620の生成物回収流路(開口部1518により定められる)の形状および位置を修正して、開口部1454/1554とオーバーラップするように、それぞれの単純プレートの中心に向けて拡張する必要があることに注意されたい(単純プレート1450および1550を参照)。この場合、開口部1518は、単純プレート1440および1540の開口部1444/1544と同様に配置されるが、開口部1518が隣接する単純プレートの開口部1418とオーバーラップできるよう拡張する。
【0223】
上述のように、それぞれの反応ユニットの単純プレートは、気密状態にして得られる積み重ねプレート・リアクタに漏れが生じないようにするため、不可逆的に結合するのが好ましい。理論的には、n重内部並列化は任意の妥当な数の反応ユニットを使用して実現することができるが、非常に多くの単純プレートを結合してまとめる試みは困難だがやりがいのあるものとなる可能性がある。稼働している2重内部並列化化学プラント(上述のように24枚のプレートを備える)が加工され、正常に運転されている。1000重内部並列化化学プラントも容易に実現可能であると予想される。そのような拡張化学プラントの生産を促進するために、最大10個までの不可逆的に結合されたリアクタ・ユニットを不可逆的に連結して、リアクタ・スタックを形成し、それを最大100個まで可逆的に連結して、所望の1000重内部並列化化学プラントを形成することができる。リアクタ・スタック間の密閉することは、従来のフラットシールまたはOリングを使用して高めることができる。リアクタ・スタックは、可逆的に連結されるのが好ましく、それにより、不具合(結合の不具合、または特定の反応ユニット内の流体流路の詰まり)が生じたリアクタ・スタックを化学プラントから取り除き、新しいリアクタ・スタックと交換することができる。このようにして可逆結合と不可逆結合との組み合わせを使用することにより、上述の1000重内部並列化化学プラントを実現できると考えられる。滞留時間もポンプ容量も、達成可能な内部並列化の程度にについての実用上の制限とならないと考えられるが、並列化された反応ユニットとリアクタ・スタックとの間の内部の流れの均等分配は確保しなければならない。低n重内部並列化化学プラントが望まれている場合(つまり、n=10未満)、個々の反応ユニットを可逆的に連結することで、反応ユニットの不具合が生じた場合に個々の反応ユニットを交換するようにできる。
【0224】
上述のように単純プレート1430、1450、1470、1490、1510、1530、1550、1570、1590、1610、および1630内に示されている開口部により定められる流体流路などの積み重ねプレート・リアクタ内に並列流体流路を含めることは、そのような流路全体に渡る流れの均等分配が達成されるような方法で行うのが好ましい。流れの均等分配を行うために、2つの重要な概念を使用する。これらの概念はそれぞれ、以下の節で取り扱われる。第1の概念は、流れの分岐であり、第2の概念は、個々の流体流路の寸法を操作することを伴う。
【0225】
特定の化学反応専用設計のリアクタ、または特定のクラスまたは種類の化学反応用に設計されたリアクタに加えて、有用なリアクタでは、複数の試薬からの所望の生成物の生産に関係する複数の異なるプロセスを促進する能力を組み込むことが考えられる。一般に、リアクタは、複数の試薬の混合を促進する。しかし、すべての反応が試薬の混合を必要とするわけではなく、例えば、触媒含浸表面に1つまたは複数の試薬を通すことを伴う反応、適切な波長の光が当てられることで開始する光化学反応などがそうであることに留意されたい。好ましいリアクタでは、収量および生成物品質を高められるように、試薬および生成物の正確な温度制御を行うことができる。本発明で使用するリアクタに組み込むと有益と考えられる他のプロセス制御パラメータとしては、磁気パラメータ、圧電抵抗パラメータ、圧電パラメータ、形状記憶パラメータ、放射性パラメータ、触媒作用パラメータ、光学パラメータ、電磁気パラメータ、および静電気制御パラメータがある。そのような任意のパラメータは、システムコントローラにより制御できることが好ましい。
【0226】
本発明は、本発明を実施する好ましい形態およびその修正形態に関して説明されているが、当業者であれば、請求項の範囲内で本発明に他の多くの修正を加えることができることを理解するであろう。したがって、本発明の範囲は、いかなる点でも上の説明により限定されることを意図していないが、その代わりに請求項を参照することで全体が定められる。
【図面の簡単な説明】
【0227】
【図1A】リアクタのうちの1つをバックアップリアクタとして指定するように構成されたシステムコントローラを含む自動化連続的処理並列化学製品生産システムの簡略化されたプロセス流れブロック図である。本発明の第1の態様にしたがう。
【図1B】システムコントローラが第1のリアクタをバックアップリアクタとして指定している図1Aの流れブロック図である。太線で第1のリアクタ上で実行されるメンテナンス作業を示す。
【図1C】システムコントローラが第2のリアクタをバックアップリアクタとして指定している図1Aの流れブロック図である。太線で第2のリアクタ上で実行されるメンテナンス作業を示す。
【図1D】システムコントローラが第1および第2のリアクタをバックアップリアクタとして指定している図1Aの流れブロック図である。太線を使用して第1および第2のリアクタ上で実行されるメンテナンス作業を示す。
【図1E】リアクタのうちの1つをバックアップリアクタとして指定するように構成されたシステムコントローラを含む自動化並列連続的処理化学製品生産システムの他の実施形態の簡略化されたプロセス流れブロック図である。ここでは、単一の溶媒供給機のみが使用される、
【図2A】並列化学製品生産システム内の並列リアクタのそれぞれが同心円状配向で構成される、本発明の他の態様を例示する概略図である。それぞれのリアクタ内への実質的に等しい流量を確立するのを容易にする。
【図2B】図2Aのリアクタ構成により与えられる同心円状分布の結果、分岐流体ネットワーク上の流体分布がいかに有利かを示す概略図である。
【図2C】図2Aのリアクタ構成により与えられる同心円状分布の結果、分岐流体ネットワーク上の流体分布がいかに有利かを示す概略図である。
【図3A】図2の並列化学製品生産システム内への同心リング伝熱アセンブリの組み込みを例示する概略図である。
【図3B】図3Aの並列化学製品生産システム内への第1の反応物質供給アセンブリの組み込みを例示する概略図である。
【図3C】図3Aの並列化学製品生産システム内への第2の反応物質供給アセンブリの組み込みを例示する概略図である。
【図3D】図3Aの並列化学製品生産システム内への回収アセンブリの組み込みを例示する概略図である。
【図3E】図3Dの回収アセンブリ内に組み込まれている温度制御アセンブリを例示する概略図である。
【図3F】図3Dの回収アセンブリ内に組み込まれている伝熱アセンブリを例示する概略図である。
【図4】図2の並列化学製品生産システムからのそれぞれのリアクタが第1および第2の反応物質供給アセンブリ、および伝熱アセンブリにいかに結合されているかを例示する概略図である。
【図5A】図2の並列化学製品生産システムからのそれぞれのリアクタが回収アセンブリにいかに結合されているかを例示する概略図である。
【図5B】図5Aの概略図に組み込まれている、熱的に調整された製品用の伝熱アセンブリを例示している。
【図5C】図3Aの同心リング伝熱アセンブリ、図3Bの第1の反応物質供給アセンブリ、図3Cの第2の反応物質供給アセンブリ、および流体入口および出口を備える筐体内に配置された図3Dの回収アセンブリの概略を例示する図である。
【図5D】本発明による多段並列化学製品生産システムの概略を例示する図である。第1段階のそれぞれのリアクタからの生成物が、さらに処理するために第2段階のリアクタ内に送られる。
【図6】図1A〜1Eおよび図2の連続的処理化学製品生産システムで使用する好ましいシステムコントローラの機能要素を例示する簡略化されたブロック図である。
【図7】図1A〜1Eのシステムコントローラとして使用されるパーソナルコンピュータを示す簡略化された概略図である。
【図8】図1A〜1Eの自動化連続的処理化学製品生産システムの動作を制御するためシステムコントローラにより論理的工程のシーケンスの流れ図である。本発明の一態様による。
【図9】図2の化学製品生産システムを製造し、使用するために用いられる論理的工程のシーケンスを示す流れ図である。
【図10】図1A〜1Eの自動化連続的処理並列化学製品生産システムおよび図2の同心円状並列化学製品生産システムで使用するのに好適なマイクロリアクタの一実施形態の分解等角投影図である。複数の単純プレートを積み重ねてマイクロリアクタを形成する方法を例示する。
【図11A】図10のマイクロリアクタの第1の6枚の単純プレートの分解等角投影図である。第1の反応物質の流体経路を例示する。
【図11B】図10のマイクロリアクタの第1の6枚の単純プレートの分解等角投影図である。第2の反応物質の流体経路を例示する。
【図11C】、図10のマイクロリアクタの単純プレート7から16までの分解等角投影図である。混合された後であって混合反応物質が図10のマイクロリアクタの残部装置(the balance)内を流れるときの、第1および第2の反応物質の組み合わせ流体経路を例示する。
【図12A】図10のマイクロリアクタの第1の2枚の単純プレートの分解等角投影図である。第1の熱交換機に供給される伝熱媒体の流体経路を例示する。
【図12B】図10のマイクロリアクタの第1の4枚の単純プレートの分解等角投影図である。第2の熱交換機に供給される伝熱媒体の流体経路を例示する、
【図12C】図10のマイクロリアクタの第1の13枚の単純プレートの分解等角投影図である。熱交換機3および4に供給される伝熱媒体の流体経路を例示する。
【図13】Aは、複数の可逆連結リアクタ・スタックを含む化学プラントの概略図である。本発明の化学製品生産システム内で使用することができるさらに他のタイプのマイクロリアクタを例示する。Bは、複数の可逆連結反応ユニットを含むリアクタ・スタック(reactor stacks)の概略図である。Cは、複数の可逆連結単純プレートを含む反応ユニットの概略図である。Dは、反応流路の並列配列を含む単純プレートの平面図である。
【図14A】図13Bのリアクタ・スタックで使用する典型的内部並列リアクタの24枚の単純プレートの分解等角投影図である。5つの熱交換機に供給される伝熱媒体の流体経路を例示する。
【図14B】図14Aの内部並列リアクタの24枚の単純プレートの一部の分解等角投影図である。必要でない開口部を塞ぐための栓の使い方を例示する、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つの反応物質を組み合わせることにより所望の化学製品を自動的に生産するための自動化連続的処理並列化学製品生産システムであって、以下の(a)、(b)、(c)および(d)を備えることを特徴とする自動化連続的処理並列化学製品生産システム。
(a)それぞれ一定量の前記所望の化学製品を生産するように構成された複数の化学リアクタであって、それぞれの化学リアクタは少なくとも第1の反応物質入口、第2の反応物質入口、および生成物出口を備える、複数の化学リアクタ、
(b)反応物供給装置であって、以下の(i)及び(ii)、すなわち、
(i)第1の反応物質供給容器と流体連通の状態に置かれ、それぞれの化学リアクタの前記第1の反応物質入口を前記第1の反応物質供給容器と流体連通の状態で選択的に結合し、前記複数の化学リアクタのそれぞれの第1の反応物質入口が前記第1の反応物質供給容器と並列に結合されるように構成された第1の反応物質供給アセンブリと、
(ii)第2の反応物供給容器と流体連通の状態に置かれ、それぞれの化学リアクタの前記第2の反応物質入口を前記第2の反応物質供給容器と流体連通の状態で選択的に結合し、前記複数の化学リアクタのそれぞれの第2の反応物質入口が前記第2の反応物質供給容器と並列に結合されるように構成された第2の反応物質供給アセンブリとを備える反応物供給装置と、
(c)生成物受取装置と流体連通の状態に置かれ、また前記生成物受取装置と流体連通の状態でそれぞれの化学リアクタの前記生成物出口を選択的に結合するように構成された生成物回収アセンブリと、
(d)前記第1の反応物質供給アセンブリ、前記第2の反応物質供給アセンブリおよび前記生成物回収アセンブリとを制御を可能なように結合したシステムコントローラであって、該システムコントローラは前記複数の化学リアクタによる前記所望の化学製品の生産を監視、制御し、前記複数の化学リアクタのうちの少なくとも1つをバックアップリアクタとして指定することにより、該システムコントローラが、以下の(i)(ii)および(iii)、すなわち、
(i)前記第1の反応物質供給アセンブリが、前記バックアップリアクタの前記第1の反応物質入口を前記第1の反応物質供給容器から隔離し、その一方で、それぞれの他の化学リアクタの前記第1の反応物質入口を前記第1の反応物質供給容器と並列に、流体連通の状態で結合し、
(ii)前記第2の反応物質供給アセンブリが、前記バックアップリアクタの前記第2の反応物質入口を前記第2の反応物質供給容器から隔離し、その一方で、それぞれの他の化学リアクタの前記第2の反応物質入口を前記第2の反応物質供給容器と並列に、流体連通の状態で結合し、
(iii)前記生成物回収アセンブリが、前記バックアップリアクタの前記生成物出口を前記生成物受取装置から隔離し、その一方で、前記生成物受取装置と流体連通の状態で、それぞれの他の化学リアクタの前記生成物出口を結合するようにするシステムコントローラ。
【請求項2】
請求項1に記載の自動化連続的処理並列化学製品生産システムであって、それぞれの化学リアクタは、マイクロリアクタを備えることを特徴とする自動化連続的処理並列化学製品生産システム。
【請求項3】
請求項1に記載の自動化連続的処理並列化学製品生産システムであって、それぞれの化学リアクタは、実質的に同じ処理状態をもたらすように構成されることを特徴とする自動化連続的処理並列化学製品生産システム。
【請求項4】
請求項1に記載の自動化連続的処理並列化学製品生産システムであって、それぞれの化学リアクタは、前記所望の化学製品を生産するために自動化並列化学製品生産システムが使用される前に、前記所望の化学製品を生産するための好ましい処理条件を決定するために使用される試験リアクタと実質的に同じであることを特徴とする自動化連続的処理並列化学製品生産システム。
【請求項5】
請求項1に記載の自動化連続的処理並列化学製品生産システムであって、前記システムコントローラは、所定の期間の経過後、前記複数の化学リアクタのうちの異なる1つを前記バックアップリアクタとして指定し、前記バックアップリアクタとしてすでに指定されている前記化学リアクタは、その後、前記第1の反応物質供給容器、前記第2の反応物質供給容器、および前記生成物受取装置と流体連通の状態で結合され、その一方で、新しくバックアップリアクタとして指定された前記化学リアクタは、前記第1の反応物質供給容器、前記第2の反応物質供給容器、および前記生成物受取装置から隔離され、それによって、前記新しく指定されたバックアップリアクタはメンテナンス作業に使用できるようになり、長期間にわたって前記所望の生成物の連続的生産が促進されることを特徴とする自動化連続的処理並列化学製品生産システム。
【請求項6】
請求項1に記載の自動化連続的処理並列化学製品生産システムであって、前記生成物回収アセンブリは、それぞれの化学リアクタ用のセンサを備え、それぞれのセンサは前記化学リアクタの前記生成物出口と前記生成物受取装置との間に配置され、それにより、前記化学リアクタからの前記化学製品の品質の指標が前記システムコントローラに供給されることを特徴とする自動化連続的処理並列化学製品生産システム。
【請求項7】
請求項6に記載の自動化連続的処理並列化学製品生産システムであって、前記システムコントローラは、前記センサのうちの1つが、それに対応する化学リアクタにより生産される前記化学製品の品質が所定の標準から逸脱していることを示した場合に、前記複数の化学リアクタのうちの異なる1つを前記バックアップリアクタとして指定するようにプログラムされ、前記バックアップリアクタとしてすでに指定されていた前記化学リアクタは、その後、前記第1の反応物質供給容器、前記第2の反応物質供給容器、および前記生成物受取装置と結合され、その一方で、前記新しく指定されたバックアップリアクタは、前記第1の反応物質供給容器、前記第2の反応物質供給容器、および前記生成物受取装置から隔離され、それによって、前記新しく指定されたバックアップリアクタはメンテナンス作業に使用できるようになり、長期間にわたって前記所望の生成物の連続的生産が促進されることを特徴とする自動化連続的処理並列化学製品生産システム。
【請求項8】
請求項1に記載の自動化連続的処理並列化学製品生産システムであって、
(a)前記第1の反応物質供給アセンブリおよび前記第2の反応物質供給アセンブリは、それぞれ、第1の溶媒供給容器および第2の溶媒供給容器と流体連通の状態で選択的に結合されるように構成され、これにより、それぞれの化学リアクタ毎に、
(i)前記第1の反応物質供給アセンブリは、前記第1の反応物質入口を前記第1の反応物質供給容器および前記第1の溶媒供給容器のうちの一方と流体連通の状態で選択的に結合することができ、
(ii)前記第2の反応物質供給アセンブリは、前記第2の反応物質入口を前記第2の反応物質供給容器および前記第2の溶媒供給容器のうちの一方と流体連通の状態で選択的に結合することができ、
(b)前記生成物回収アセンブリは、前記廃液受取装置と流体連通の状態で選択的に結合されるように構成され、これにより、それぞれの化学リアクタ毎に、前記生成物回収アセンブリは、前記生成物出口を前記生成物受取装置および前記廃液受取装置のうちの一方と流体連通の状態で選択的に結合することができ、それによって、前記バックアップリアクタを溶媒で洗浄することができることを特徴とする自動化連続的処理並列化学製品生産システム。
【請求項9】
請求項1に記載の自動化連続的処理並列化学製品生産システムであって、さらに、それぞれの化学リアクタおよび伝熱媒体供給容器と流体連通の状態で結合された共通熱交換アセンブリを備え、前記共通熱交換アセンブリは実質的に等しい熱条件をそれぞれの化学リアクタ内にもたらすことを特徴とする自動化連続的処理並列化学製品生産システム。
【請求項10】
請求項9に記載の自動化連続的処理並列化学製品生産システムであって、前記複数の化学リアクタは、一般に同心円状構成で配列され、前記共通熱交換アセンブリは、前記複数の化学リアクタから外向きに配された第1の流体ラインおよび前記複数の化学リアクタから内向きに配置された第2の流体ラインを備え、それぞれの化学リアクタは、前記第1および第2の流体ラインと流体連通の状態で結合されることを特徴とする自動化連続的処理並列化学製品生産システム。
【請求項11】
請求項10に記載の自動化連続的処理並列化学製品生産システムであって、前記第1の流体ラインは、それぞれの化学リアクタに新鮮な伝熱媒体を供給し、前記第2の流体ラインは、それぞれの化学リアクタから使用済み伝熱媒体を回収することを特徴とする自動化連続的処理並列化学製品生産システム。
【請求項12】
請求項9に記載の自動化連続的処理並列化学製品生産システムであって、前記共通熱交換アセンブリは、第1の流体ラインおよび第2の流体ラインを備え、前記第1および第2の流体ラインは同心リングとして構成され、前記複数の化学リアクタは、前記同心リングの間に配置されることを特徴とする自動化連続的処理並列化学製品生産システム。
【請求項13】
請求項1に記載の自動化連続的処理並列化学製品生産システムであって、前記複数の化学リアクタは、一般的同心円状構成で配列されることを特徴とする自動化連続的処理並列化学製品生産システム。
【請求項14】
請求項13に記載の自動化連続的処理並列化学製品生産システムであって、
(a)前記第1の反応物質供給アセンブリは、
(i)前記第1の反応物質供給容器と流体連通の状態で結合するように構成された第1の反応物質分配装置と、
(ii)前記第1の反応物質分配装置を前記複数の化学リアクタのうちのそれぞれの第1の反応物質入口に選択的に結合するように構成され、それぞれの第1の反応物質流体ラインが、実質的に等しい第1の反応流体の流量を供給するように構成されている複数の第1の反応物質流体ラインとを備え、
(b)前記第2の反応物質供給アセンブリは、
(i)前記第2の反応物質供給容器と流体連通の状態で結合するように構成された第2の反応物質分配装置と、
(ii)前記第2の反応物質分配装置を前記複数の化学リアクタのうちのそれぞれの第2の反応物質入口に選択的に結合するように構成され、それぞれの第2の反応物質流体ラインが実質的に等しい第2の反応物質流体の流量を供給するように構成されている複数の第2の反応物質流体ラインとを備えることを特徴とする自動化連続的処理並列化学製品生産システム。
【請求項15】
請求項14に記載の自動化連続的処理並列化学製品生産システムであって、
(a)それぞれの第1の反応物質流体ラインが弁を備え、該弁はそれぞれのリアクタの前記第1の反応物質入口を、前記第1の反応物質供給容器および前記溶媒供給容器のうちの一方と流体連通の状態で選択的に結合するように構成され、それぞれの弁が前記システムコントローラと制御可能なように結合されており、
(b)それぞれの第2の反応物質流体ラインが弁を備え、該弁はそれぞれのリアクタの前記第2の反応物質入口を前記第2の反応物質供給容器および前記溶媒供給容器のうちの一方と流体連通の状態で選択的に結合するように構成され、それぞれの弁が前記システムコントローラと制御可能なように結合されていることを特徴とする自動化連続的処理並列化学製品生産システム。
【請求項16】
請求項13に記載の自動化連続的処理並列化学製品生産システムであって、前記生成物回収アセンブリは、
(a)前記生成物受取装置と流体連通の状態で結合するように構成された生成物回収装置と、
(b)前記生成物回収装置を前記複数の化学リアクタのそれぞれの生成物出口に選択的に結合するように構成され、それぞれの生成物流体ラインが実質的に等しい流量を供給するように構成されている複数の生成物流体ラインとを備えることを特徴とする自動化連続的処理並列化学製品生産システム。
【請求項17】
請求項16に記載の自動化連続的処理並列化学製品生産システムであって、それぞれの生成物流体ラインは弁を備え、該弁はそれぞれのリアクタの前記生成物出口を前記生成物受取装置および前記廃液受取装置のうちの一方と流体連通の状態で選択的に結合するように構成され、それぞれの弁は前記システムコントローラと制御可能なように結合されていることを特徴とする自動化連続的処理並列化学製品生産システム。
【請求項18】
請求項1に記載の自動化連続的処理並列化学製品生産システムであって、さらに、それぞれのリアクタ出口から放出される生成物を熱的に調整するように構成された生成物熱交換アセンブリを備えることを特徴とする自動化連続的処理並列化学製品生産システム。
【請求項19】
請求項1に記載の自動化連続的処理並列化学製品生産システムであって、前記生成物回収アセンブリは、それぞれのリアクタ出口から放出される生成物を熱的に調整するように構成された熱的調整構造物を備えることを特徴とする自動化連続的処理並列化学製品生産システム。
【請求項20】
請求項1に記載の自動化連続的処理並列化学製品生産システムであって、それぞれの化学リアクタは、層状に積み重ねた複数の単純プレートを備え、それぞれのリアクタは、前記第1の反応物質入口に結合された第1の入口経路、前記第2の反応物質入口に結合された第2の入口経路を備え、それぞれの入口経路は前記リアクタ内で合体して、少なくとも2つの化学反応物質が反応して化学製品を生成する少なくとも1つの反応室を形成し、少なくとも1つの出口経路は前記少なくとも1つの反応室を前記生成物出口と流体連通の状態で結合し、それぞれの第1の反応物質入口、第1の反応物質経路、第2の反応物質入口、第2の反応物質経路、反応室、および生成物出口は、少なくとも1つの単一プレートを貫通する開口部を備え、該開口部は隣接する単一プレートを貫通する開口部の少なくとも一部と揃えられていることを特徴とする自動化連続的処理並列化学製品生産システム。
【請求項21】
請求項1に記載の自動化連続的処理並列化学製品生産システムであって、それぞれの化学リアクタは、層状に積み重ねられた複数の単純プレートを備え、それぞれの単純プレートはそこを貫通して延びる少なくとも1つの開口部を持ち、それぞれの単純プレート内の開口部は隣接する単純プレート内の少なくとも1つの他の開口部とオーバーラップし、前記単純プレートは、そのように層状に積み重ねられたときに、
(a)前記第1および第2の反応物質用の流体経路と、
(b)前記所望の化学製品用の流体経路と、
(c)伝熱媒体用の流体経路と、
(d)前記伝熱媒体用の前記流体経路と流体連通の状態で結合される熱交換機と、
(e)前記積み重ねられたプレート・リアクタ内の流体の流れを操作し、所望の結果を得るための手段とを構成することを特徴とする自動化連続的処理並列化学製品生産システム。
【請求項22】
請求項1に記載の自動化連続的処理並列化学製品生産システムであって、それぞれの化学リアクタは、層状に積み重ねられた複数の単純プレートを備え、それぞれの単純プレートはそこを貫通して延びる少なくとも1つの開口部を持ち、それぞれの単純プレート内の開口部は隣接する単純プレート内の少なくとも1つの他の開口部とオーバーラップし、それによって、
(a)前記第1および第2の反応物質用の流体経路と、
(b)前記第1および第2の反応物質用のそれぞれの流体経路と流体連通の状態にある処理体積と、
(c)前記処理体積と流体連通の状態にある前記所望の化学製品用の流体経路と、
(d)伝熱媒体用の流体経路と、
(e)前記伝熱媒体用の前記流体経路と流体連通の状態にあり、前記第1の反応物質、前記第2の反応物質、前記処理体積、および前記所望の化学製品用の流体経路のうちの少なくとも1つの温度を加減できるように配置された熱交換機と、
(f)以下の(i)及び(ii)、すなわち、
(i)単位時間当たりの前記積み重ねプレート・リアクタにより生産される前記所望の化学製品の量と、
(ii)前記積み重ねプレート・リアクタにより生産される前記所望の化学製品の品質のうちの少なくとも1つを高める手段、
とを形成することを特徴とする自動化連続的処理並列化学製品生産システム。
【請求項23】
請求項1に記載の自動化連続的処理並列化学製品生産システムであって、前記複数のリアクタおよび前記反応物質供給装置は、第1段階として構成され、さらに、複数の追加化学リアクタを備え、前記複数の追加化学リアクタおよび前記生成物回収アセンブリは第2段階として構成され、それにより、
(a)前記第2段階の前記追加化学リアクタの個数は、前記第1段階の前記複数のリアクタの個数に等しく、
(b)前記第2段階のそれぞれの追加化学リアクタは、少なくとも1つの入口および第2段階生成物出口を備え、
(c)前記第1段階のそれぞれの化学リアクタのそれぞれの生成物出口は、前記第2段階の前記追加化学リアクタの1つの入口に結合され、それによって前記第2段階のそれぞれの追加化学リアクタは、前記第1段階のただ1つの化学リアクタと結合され、
(d)前記第2段階のそれぞれの追加化学リアクタのそれぞれの第2段階生成物出口は、前記生成物回収アセンブリに結合され、前記第2段階のそれぞれの追加化学リアクタの前記生成物出口を、前記生成物受取装置と流体連通の状態で選択的に結合し、前記第1段階の前記バックアップリアクタの前記生成物出口を前記生成物受取装置から隔離する代わりに、前記第1段階のそれぞれの他の化学リアクタの前記生成物出口を、前記生成物受取装置と流体連通の状態で結合しながら、前記システムコントローラにより、前記生成物回収アセンブリは、前記第2段階の前記追加化学リアクタであって、その入口が前記第1段階の前記バックアップリアクタの前記出口に結合されている第2段階の追加化学リアクタの前記第2段階生成物出口を、前記生成物受取装置から隔離し、その一方で、前記第2段階のそれぞれの他の追加化学リアクタの前記第2段階生成物出口を前記生成物受取装置と流体連通の状態で結合することを特徴とする自動化連続的処理並列化学製品生産システム。
【請求項24】
請求項1に記載の自動化連続的処理並列化学製品生産システムであって、前記複数のリアクタおよび前記反応物質供給装置は、第1段階として構成され、さらに、
(a)複数の追加化学リアクタであって、
(i)前記複数の追加化学リアクタおよび前記生成物回収アセンブリは、第2段階として構成され、
(ii)前記第2段階の前記追加化学リアクタの個数は、前記第1段階の前記複数のリアクタの個数に等しく、
(iii)前記第2段階のそれぞれの追加化学リアクタは、少なくとも1つの入口および第2段階生成物出口を備え、それぞれの第2段階生成物出口は前記生成物回収アセンブリに結合され、前記第2段階のそれぞれの追加化学リアクタの前記生成物出口を、前記生成物受取装置と流体連通の状態で選択的に結合するような、複数の追加化学リアクタと、
(b)前記第1段階の前記複数の化学リアクタのそれぞれの出口および前記第2段階の前記複数の追加化学リアクタのそれぞれの入口と流体連通の状態で配置される弁システムであって、前記システムコントローラに制御可能なように接続され、前記システムコントローラの制御の下で前記第1段階の選択された化学リアクタの前記生成物出口を前記第2段階の選択された追加化学リアクタの前記入口に選択的に結合する弁システムとを備え、
(c)前記第1段階の前記バックアップリアクタの前記生成物出口を、前記生成物受取装置から隔離する代わりに、前記第1段階のそれぞれの他の化学リアクタの前記生成物出口を前記生成物受取装置と流体連通の状態で結合する一方で、前記システムコントローラにより、前記生成物回収アセンブリは、前記第2段階の前記追加化学リアクタであって、その入口が前記第1段階の前記バックアップリアクタの前記出口に結合されている第2段階の追加化学リアクタの前記第2段階生成物出口を、前記生成物受取装置から隔離することを特徴とする自動化連続的処理並列化学製品生産システム。
【請求項25】
請求項1に記載の自動化連続的処理並列化学製品生産システムであって、前記複数のリアクタ、前記反応物質供給装置、および前記生成物回収アセンブリは、第1段階として構成され、さらに、第2段階を含み、前記第2段階は、
(a)それぞれの追加化学リアクタが前記第2段階にある、少なくとも、入口、および第2段階生成物出口を備える複数の追加化学リアクタと、
(b)前記生成物受取装置と流体連通の状態で配置され、それぞれの追加化学リアクタの前記入口を前記生成物受取装置と流体連通の状態で選択的に結合し、それにより、それぞれの追加化学リアクタは前記生成物受取装置と並列に結合されるように構成され、前記システムコントローラに制御可能なように接続されている第2段階供給アセンブリであって、前記システムコントローラは、前記第2段階の前記追加リアクタの少なくとも1つをバックアップリアクタとして指定するとともに、前記第2段階供給アセンブリに、前記バックアップリアクタとして指定されている前記第2段階のそれぞれの追加化学リアクタの前記入口を前記生成物受取装置から隔離させることを特徴とする自動化連続的処理並列化学製品生産システム。
【請求項26】
請求項1に記載の自動化連続的処理並列化学製品生産システムであって、
(a)前記複数のリアクタおよび前記反応物質供給装置は、第1段階として構成され、さらに、複数の追加化学リアクタを備え、前記複数の追加化学リアクタは少なくとも1つの追加段階として構成され、それにより、
(i)それぞれの追加段階の前記追加化学リアクタの個数は、前記第1段階の前記複数のリアクタの個数に等しく、それぞれの追加化学リアクタは、少なくとも1つの入口および生成物出口を備え、
(ii)それぞれの追加段階のそれぞれの追加化学リアクタの前記入口は、前記第1段階の対応する化学リアクタの前記生成物出口および先行する追加段階の対応する化学リアクタの前記生成物出口のうちの一方と流体連通の状態で結合され、
(iii)それぞれの追加段階のそれぞれの追加化学リアクタの前記出口は、後続の段階の対応する化学リアクタの前記入口および前記生成物回収アセンブリのうちの一方と流体連通の状態で結合され、
(b)前記システムコントローラは、それぞれの追加段階の対応する個数の追加化学リアクタをバックアップリアクタとして指定し、バックアップリアクタとして指定されたそれぞれの追加化学リアクタの前記生成物出口が前記生成物受取装置から隔離されるように確保し、バックアップリアクタとして指定されていないそれぞれの追加化学リアクタの前記生成物出口が前記生成物受取装置と流体連通の状態で結合されるようにすることを特徴とする自動化連続的処理並列化学製品生産システム。
【請求項27】
少なくとも2つの反応物質を組み合わせることにより所望の化学製品を生産するための同心円状並列化学製品生産システムであって、
(a)複数の化学リアクタであって、それぞれ一定量の前記所望の化学製品を生産するように構成され、それぞれ少なくとも第1の反応物質入口、第2の反応物質入口、および生成物出口を備え、一般的に同心円状構成で配列されている複数の化学リアクタと、
(b)反応物供給装置であって、
(i)第1の反応物質供給容器と流体連通の状態で配置され、それぞれの化学リアクタの前記第1の反応物質入口を前記第1の反応物質供給容器と並列に流体連通の状態で結合するように構成された第1の反応物質供給アセンブリと、
(ii)第2の反応物質供給容器と流体連通の状態で配置され、それぞれの化学リアクタの前記第2の反応物質入口を前記第2の反応物質供給容器と並列に流体連通の状態で結合するように構成された第2の反応物質供給アセンブリとを含む、
反応物質供給装置と、
(c)生成物受取装置と流体連通の状態で配置されるように、また、それぞれの化学リアクタの前記生成物出口を、前記生成物受取装置と流体連通の状態で結合するように構成された生成物回収アセンブリと、
を備えることを特徴とする同心円状並列化学製品生産システム。
【請求項28】
請求項27に記載の同心円状並列化学製品生産システムであって、
(a)前記第1の反応物質供給アセンブリは、
(i)前記第1の反応物質供給容器と流体連通の状態で結合するように構成された第1の反応物質分配装置と、
(ii)前記第1の反応物質分配装置を前記複数の化学リアクタのそれぞれの第1の反応物質入口に選択的に結合するように構成された複数の第1の反応物質流体ラインであって、それぞれの第1の反応物質流体ラインが実質的に等しい流量を供給するように構成され、それぞれの第1の反応物質流体ラインが第1の反応物質流体ライン弁を含み、該弁が前記第1の反応物質供給容器および第1の溶媒供給容器のうちの一方と流体連通の状態で、それぞれのリアクタの前記第1の反応物質入口を選択的に結合するように構成された複数の第1の反応物質流体ラインとを備え、
(b)前記第2の反応物質供給アセンブリは、
(i)第2の反応物質供給容器と流体連通の状態で結合するように構成された第2の反応物質分配装置と、
(ii)前記第2の反応物質分配装置を前記複数の化学リアクタのそれぞれの第2の反応物質入口に選択的に結合するように構成され、それぞれ実質的に等しい流量を供給するように構成され、それぞれ前記第2の反応物質の前記供給および第2の溶媒供給のうちの一方と流体的に連絡する形でそれぞれのリアクタの前記第2の反応物質入口を選択的に結合するように構成された第2の反応物質流体ライン弁を含む複数の第2の反応物質流体ラインとを備え、
(c)前記生成物回収アセンブリは、
(i)前記生成物受取装置と流体連通の状態で結合するように構成された生成物回収装置と、
(ii)前記生成物回収装置を前記複数の化学リアクタのそれぞれの生成物出口に選択的に結合するように構成された複数の生成物流体ラインであって、それぞれの生成物流体ラインは実質的に等しい流量を供給するように構成され、それぞれの生成物流体ラインはそれぞれ前記生成物受取装置および廃液受取装置のうちの一方と流体連通の状態でそれぞれのリアクタの前記生成物出口を選択的に結合するように構成された生成物流体ライン弁を含み、それによって、それぞれの化学リアクタを他の化学リアクタから選択的に隔離し、溶媒で洗浄することができる複数の生成物流体ラインとを備えることを特徴とする同心円状並列化学製品生産システム。
【請求項29】
請求項27に記載の同心円状並列化学製品生産システムであって、さらに、それぞれの化学リアクタおよび伝熱媒体供給容器と流体連通の状態で結合された共通熱交換機アセンブリを備え、前記共通熱交換アセンブリは実質的に等しい熱条件をそれぞれの化学リアクタ内にもたらすことを特徴とする同心円状並列化学製品生産システム。
【請求項30】
請求項27に記載の同心円状並列化学製品生産システムであって、前記共通熱交換アセンブリは、第1の流体ラインおよび第2の流体ラインを備え、前記第1および第2の流体ラインは同心リングとして構成され、前記複数の化学リアクタは、前記同心リングの間に配置されることを特徴とする同心円状並列化学製品生産システム。
【請求項31】
請求項27に記載の同心円状並列化学製品生産システムであって、それぞれの化学リアクタは、マイクロリアクタを備えることを特徴とする同心円状並列化学製品生産システム。
【請求項32】
請求項27に記載の同心円状並列化学製品生産システムであって、それぞれの化学リアクタは、実質的に同じ処理状態をもたらすように構成されることを特徴とする同心円状並列化学製品生産システム。
【請求項33】
さらに、前記第1の反応物質供給アセンブリ、前記第2の反応物質供給アセンブリ、および前記生成物回収アセンブリと制御可能なように結合されたシステムコントローラを備える請求項27に記載の同心円状並列化学製品生産システムであって、該システムコントローラは、前記複数の化学リアクタのうちの少なくとも1つをバックアップリアクタとして指定することを含め前記複数の化学リアクタによる前記所望の化学製品の生産を監視し、制御するようプログラムされており、これにより、
(a)前記第1の反応物質供給アセンブリが前記バックアップリアクタの前記第1の反応物質入口を前記第1の反応物質供給容器から隔離し、その一方で、それぞれの他の化学リアクタの前記第1の反応物質入口を前記第1の反応物質供給容器と並列に流体連通の状態で結合し、
(b)前記第2の反応物質供給アセンブリが、前記バックアップリアクタの前記第2の反応物質入口を前記第2の反応物質供給容器から隔離し、その一方で、それぞれの他の化学リアクタの前記第2の反応物質入口を前記第2の反応物質供給容器と並列に流体連通の状態で結合し、
(c)前記生成物回収アセンブリは、前記バックアップリアクタの前記生成物出口を前記生成物受取装置から隔離し、その一方で、それぞれの他の化学リアクタの前記生成物出口を、前記生成物受取装置と流体連通の状態で結合することを特徴とする同心円状並列化学製品生産システム。
【請求項34】
請求項33に記載の同心円状並列化学製品生産システムであって、前記システムコントローラは、所定の期間の経過後、前記複数の化学リアクタのうちの異なる1つを前記バックアップリアクタとして指定するようにプログラムされ、すでに指定されているバックアップリアクタは前記第1の反応物質供給容器、前記第2の反応物質供給容器、および前記生成物受取装置と流体連通の状態で結合され、その一方で、新しく指定されたバックアップリアクタは、前記第1の反応物質供給容器、前記第2の反応物質供給容器、および前記生成物受取装置から隔離され、それによって、前記新しく指定されたバックアップリアクタはメンテナンス作業に使用できるようになり、長期間にわたって前記所望の生成物の連続的生産が促進されることを特徴とする同心円状並列化学製品生産システム。
【請求項35】
請求項33に記載の同心円状並列化学製品生産システムであって、
(a)前記生成物回収アセンブリは、それぞれの化学リアクタ用のセンサを備え、それぞれのセンサは前記化学リアクタの前記生成物出口と前記生成物受取装置との間に配置され、それぞれのセンサは前記システムコントローラに結合され、それにより、前記化学リアクタからの前記化学製品の品質の指標が前記システムコントローラに供給され、
(b)前記システムコントローラは、対応する化学リアクタにより生産される前記化学製品の品質が所定の標準から実質的に逸脱していることを前記センサのうちの1つが示した場合に、前記複数の化学リアクタのうちの異なる1つを前記バックアップリアクタとして指定するようにプログラムされ、すでに指定されているバックアップリアクタは前記第1の反応物質供給容器、前記第2の反応物質供給容器、および前記生成物受取装置と結合され、その一方で、新しく指定されたバックアップリアクタは、前記第1の反応物質供給容器、前記第2の反応物質供給容器、および前記生成物受取装置から隔離され、それによって、前記新しく指定されたバックアップリアクタはメンテナンス作業に使用できるようになり、長期間にわたって前記所望の生成物の連続的生産が促進されることを特徴とする同心円状並列化学製品生産システム。
【請求項36】
請求項27に記載の同心円状並列化学製品生産システムであって、さらに、それぞれのリアクタ出口から放出される生成物を熱的に調整するように構成された生成物熱交換アセンブリを備えることを特徴とする同心円状並列化学製品生産システム。
【請求項37】
請求項27に記載の同心円状並列化学製品生産システムであって、前記生成物回収アセンブリは、それぞれのリアクタ出口から放出される生成物を熱的に調整するように構成された熱的調整構造物を備えることを特徴とする同心円状並列化学製品生産システム。
【請求項38】
請求項27に記載の同心円状並列化学製品生産システムであって、前記複数のリアクタおよび前記反応物質供給装置は、第1段階として構成され、さらに、複数の追加化学リアクタを備え、前記複数の追加化学リアクタおよび前記生成物回収アセンブリは第2段階として構成され、それにより、
(a)前記第2段階の前記追加化学リアクタの個数は、前記第1段階の前記複数のリアクタの個数に等しく、
(b)前記第2段階のそれぞれの追加化学リアクタは、少なくとも1つの入口および第2段階生成物出口を備え、
(c)前記生成物回収アセンブリが、前記第1段階のそれぞれの化学リアクタの前記生成物出口を、前記生成物受取装置と流体連通の状態で結合するように構成されるのではなく、前記生成物回収アセンブリは、それぞれの化学リアクタの前記第2段階生成物出口を前記生成物受取装置と流体連通の状態で結合するように構成され、
(d)前記第1段階のそれぞれの化学リアクタのそれぞれの生成物出口は、前記第2段階の前記追加化学リアクタの異なる1つの入口に結合され、それにより、前記第2段階のそれぞれの追加化学リアクタは、前記第1段階のただ1つの化学リアクタと結合されることを特徴とする同心円状並列化学製品生産システム。
【請求項39】
請求項27に記載の同心円状並列化学製品生産システムであって、前記複数のリアクタおよび前記反応物質供給装置は、第1段階として構成され、さらに、
(a)複数の追加化学リアクタであって、
(i)前記複数の追加化学リアクタおよび前記生成物回収アセンブリは、第2段階として構成され、
(ii)前記第2段階の前記追加化学リアクタの個数は、前記第1段階の前記複数のリアクタの個数に等しく、
(iii)前記第2段階のそれぞれの追加化学リアクタは、少なくとも1つの入口および第2段階生成物出口を備え、
(iv)前記生成物回収アセンブリが、前記第1段階のそれぞれの化学リアクタの前記生成物出口を、前記生成物受取装置と流体連通の状態で結合するように構成されるのではなく、前記生成物回収アセンブリは、前記第2段階のそれぞれの化学リアクタの前記第2段階生成物出口を、前記生成物受取装置と流体連通の状態で結合するように構成され、それぞれの第2段階生成物出口は前記生成物回収アセンブリに結合され、前記第2段階のそれぞれの追加化学リアクタの前記生成物出口を、前記生成物受取装置と流体連通の状態で選択的に結合するような、
複数の追加化学リアクタと、
(b)前記第1段階の前記複数の化学リアクタのそれぞれの前記出口および前記第2段階の前記複数の追加化学リアクタのそれぞれの前記入口と流体連通の状態で配置された弁システムであって、前記第1段階のそれぞれの化学リアクタの前記生成物出口を前記第2段階の選択された追加化学リアクタの前記入口に選択的に結合できるようにする弁システム、
とを備えることを特徴とする同心円状並列化学製品生産システム。
【請求項40】
請求項27に記載の同心円状並列化学製品生産システムであって、前記複数のリアクタ、前記反応物質供給装置、および前記生成物回収アセンブリは、第1段階として構成され、さらに、第2段階を含み、前記第2の段階は、
(a)それぞれ少なくとも1つの入口および第2段階生成物出口を備える前記第2の段階にある複数の追加化学リアクタと、
(b)前記生成物受取装置と流体連通の状態で配置された第2段階供給アセンブリであって、それぞれの追加化学リアクタの前記入口を前記生成物受取装置と流体連通の状態で選択的に結合するように構成され、それにより、それぞれの追加化学リアクタが前記生成物受取装置と並列に結合され、前記第1段階から回収された前記生成物を前記第2段階の反応物質として導入できるようにする第2段階供給アセンブリと、
を備えることを特徴とする同心円状並列化学製品生産システム。
【請求項41】
少なくとも2つの反応物質を組み合わせることにより所望の化学製品を生産するための同心円状並列化学製品生産システムであって、
(a)以下の(i)、(ii)及び(iii)を含む第1段階、すなわち、
(i)複数の化学リアクタであって、それぞれの化学リアクタが一定量の前記所望の化学製品を生産するように構成され、前記複数の化学リアクタのそれぞれの化学リアクタが少なくとも第1の反応物質入口、第2の反応物質入口、および生成物出口を備え、一般的に同心円状構成で配列される複数の化学リアクタと、
(ii)第1の反応物質供給アセンブリであって、第1の反応物質供給容器と流体連通の状態で配置され、それぞれの化学リアクタの前記第1の反応物質入口を、前記第1の反応物質供給容器と並列に流体連通の状態で結合するように構成された第1の反応物質供給アセンブリと、
(iii)第2の反応物質供給容器と流体連通の状態で配置され、それぞれの化学リアクタの前記第2の反応物質入口を、前記第2の反応物質供給容器と並列に流体連通の状態で結合するように構成された第2の反応物質供給アセンブリと、
を含む第1段階と、
(b)生成物受取装置と流体連通の状態で結合するように構成された最終生成物回収アセンブリと、
(c)少なくとも1つの追加段階であって、それぞれの追加段階が一般的に同心円状構成で配列された複数の化学リアクタを含み、これにより、
(i)それぞれの追加段階の前記複数の化学リアクタの個数は、前記第1段階の前記複数のリアクタの個数に等しく、それぞれの追加段階のそれぞれの化学リアクタは、少なくとも1つの入口および生成物出口を備え、
(ii)それぞれの追加段階のそれぞれの化学リアクタの前記入口は、前記第1段階の対応する化学リアクタの前記生成物出口または先行する追加段階の対応する化学リアクタの前記生成物出口のうちの一方と流体連通の状態で結合され、
(iii)それぞれの追加段階のそれぞれの化学リアクタの前記出口は、後続の追加段階の対応する化学リアクタの前記入口および前記最終生成物回収アセンブリのうちの一方と流体連通の状態で結合される少なくとも1つの追加段階と、
を備えることを特徴とする同心円状並列化学製品生産システム。
【請求項42】
請求項41に記載の同心円状並列化学製品生産システムであって、前記第1段階および前記少なくとも1つの追加段階のうちの少なくとも一方は、生成物回収アセンブリを含み、該生成物回収アセンブリは、その段階のそれぞれの化学リアクタの前記生成物出口を結合するように構成され、それにより、その段階で生産される前記生成物は、単一の生成物の流れとして後続の段階に供給されることを特徴とする同心円状並列化学製品生産システム。
【請求項43】
請求項41に記載の同心円状並列化学製品生産システムであって、前記第1段階のそれぞれの化学リアクタの前記生成物出口は、前記少なくとも1つの追加段階の1つの異なる化学リアクタの前記入口に結合されることを特徴とする同心円状並列化学製品生産システム。
【請求項44】
請求項41に記載の同心円状並列化学製品生産システムであって、さらに、前記第1段階の前記複数の化学リアクタのそれぞれの出口および後続の追加段階の前記複数の化学リアクタのそれぞれの入口と流体連通の状態で配置された弁システムを備え、該弁システムは前記第1段階のそれぞれの化学リアクタの前記生成物出口を、前記後続の追加段階の、異なる選択をされた化学リアクタの前記入口に選択的に結合できるようにすることを特徴とする同心円状並列化学製品生産システム。
【請求項45】
請求項41に記載の同心円状並列化学製品生産システムであって、さらに、前記第1の反応物質供給アセンブリ、前記第2の反応物質供給アセンブリ、および前記生成物回収アセンブリに制御可能なように接続されたシステムコントローラを備え、該システムコントローラは、前記同心円状並列化学製品生産システムの動作を自動化するように構成されたことを特徴とする同心円状並列化学製品生産システム。
【請求項46】
請求項45に記載の同心円状並列化学製品生産システムであって、さらに、複数のセンサを備え、それぞれのセンサは前記システムコントローラと論理的に結合され、それぞれセンサは前記第1段階のそれぞれの化学リアクタおよびそれぞれの追加段階のそれぞれの化学リアクタのうちの少なくとも一方で生産される生成物の品質の指標を提供するように構成され、前記システムコントローラは所定の品質よりも低い品質を有する生成物を生産するそれぞれの化学リアクタをバックアップリアクタとして指定するように構成されることを特徴とする同心円状並列化学製品生産システム。
【請求項47】
少なくとも2つの反応物質を組み合わせることにより所望の化学製品を自動的に生産するための自動化連続的処理並列化学製品生産システムであって、該化学製品生産システムは以下の(a)、(b)、(c)及び(c)、すなわち
(a)以下の(i)、(ii)及び(iii)を備える第1段階、すなわち、
(i)複数の化学リアクタであって、それぞれの化学リアクタが一定量の前記所望の化学製品を生産するように構成され、前記複数の化学リアクタのそれぞれの化学リアクタは少なくとも第1の反応物質入口、第2の反応物質入口、および生成物出口を備える、複数の化学リアクタと、
(ii)第1の反応物質供給容器と流体連通の状態で配置された第1の反応物質供給アセンブリであって、それぞれの化学リアクタの前記第1の反応物質入口を前記第1の反応物質供給容器と並列に流体連通の状態で結合するように構成された第1の反応物質供給アセンブリと、
(iii)第2の反応物質供給容器と流体連通の状態で配置された第2の反応物質供給アセンブリであって、それぞれの化学リアクタの前記第2の反応物質入口を前記第2の反応物質供給容器と並列に流体連通する状態で結合するように構成された第2の反応物質供給アセンブリと、
を備える第1段階と、
(b)生成物受取装置と流体連通の状態で結合するように構成された生成物回収アセンブリと、
(c)少なくとも1つの追加段階であって、それぞれの追加段階が複数の追加化学リアクタを備え、それによって、
(i)それぞれの追加段階の前記追加化学リアクタの個数は、前記第1段階の前記複数のリアクタの個数に等しく、それぞれの追加化学リアクタは、少なくとも1つの入口および生成物出口を備え、
(ii)それぞれの追加段階のそれぞれの追加化学リアクタの前記入口は、前記第1段階の対応する化学リアクタの前記生成物出口または先行する追加段階の対応する化学リアクタの前記生成物出口のうちの一方と流体連通の状態で結合され、
(iii)それぞれの追加段階のそれぞれの追加化学リアクタの前記出口は、後続の追加段階の対応する化学リアクタの前記入口、または前記生成物回収アセンブリのうちの一方と流体連通の状態で結合され、前記生成物回収アセンブリはさらに最終追加段階のそれぞれの追加化学リアクタのそれぞれの生成物出口を生成物受取装置と流体連通の状態で選択的に結合するように構成されるような、
少なくとも1つの追加段階と、
(c)前記第1の反応物質供給アセンブリ、前記第2の反応物質供給アセンブリ、および前記生成物回収アセンブリと制御可能なように結合されたシステムコントローラであって、該システムコントローラは、前記複数の化学リアクタによる前記所望の化学製品の生産を監視、制御し、前記第1段階の前記複数の化学リアクタのうちの少なくとも1つをバックアップリアクタとして指定し、及びそれぞれの追加段階の前記複数の追加化学リアクタのうちの少なくとも1つをバックアップリアクタとして指定し、前記システムコントローラにより、
(i)前記第1の反応物質供給アセンブリが、前記バックアップリアクタの前記第1の反応物質入口を前記第1の反応物質供給容器から隔離し、その一方で、それぞれの他の化学リアクタの前記第1の反応物質入口を前記第1の反応物質供給容器と並列に流体連通の状態で結合し続け、
(ii)前記第2の反応物質供給アセンブリが、前記バックアップリアクタの前記第2の反応物質入口を前記第2の反応物質供給容器から隔離し、その一方で、それぞれの他の化学リアクタの前記第2の反応物質入口を前記第2の反応物質供給容器と並列に流体連通の状態で結合し続け、
(iii)前記生成物回収アセンブリがバックアップリアクタとして指定されている前記最終追加段階のそれぞれの追加化学リアクタの前記生成物出口を生成物受取装置から隔離し、その一方で、前記最終追加段階のそれぞれの他の追加化学リアクタの前記生成物出口を生成物受取装置と流体連通の状態で結合し続けるようなシステムコントローラと、
を備えることを特徴とする化学製品生産システム。
【請求項48】
少なくとも2つの反応物質を組み合わせることにより所望の化学製品を自動的に生産するための自動化連続的処理並列化学製品生産システムであって、該化学製品生産システムは、以下の(a)、(b)、(c)及び(c)、すなわち
(a)以下の(i)、(ii)及び(iii)を含む備える第1段階、すなわち、
(i)複数の化学リアクタであって、それぞれの化学リアクタが一定量の前記所望の化学製品を生産するように構成され、前記複数の化学リアクタのそれぞれの化学リアクタは少なくとも第1の反応物質入口、第2の反応物質入口、および生成物出口を備える、複数の化学リアクタと、
(ii)第1の反応物質供給容器と流体連通の状態で配置された第1の反応物質供給アセンブリであって、それぞれの化学リアクタの前記第1の反応物質入口を前記第1の反応物質供給容器と並列に流体連通の状態で結合するように構成された第1の反応物質供給アセンブリと、
(iii)第2の反応物質供給容器と流体連通の状態で配置された第2の反応物質供給アセンブリであって、それぞれの化学リアクタの前記第2の反応物質入口を前記第2の反応物質供給容器と並列に流体連通の状態で結合するように構成された第2の反応物質供給アセンブリと、
を備える第1段階と、
(b)複数の追加化学リアクタを備える第2段階であって、
(i)前記第1段階にある化学リアクタと少なくとも同じ数だけ前記第2段階に追加化学リアクタがあり、
(ii)前記第2段階のそれぞれの追加化学リアクタは、少なくとも、入口および第2段階生成物出口を備え、それぞれの追加化学リアクタの入口は前記第1段階で生産される生成物を受け取り、前記生成物を反応物質として使用して第2段階生成物を生産するように構成されるような第2段階と、
(c)前記第2段階のそれぞれの化学リアクタの前記第2段階生成物出口を生成物受取装置と流体連通の状態で結合するように構成された生成物回収アセンブリと、
(d)前記第1の反応物質供給アセンブリ、前記第2の反応物質供給アセンブリ、および前記生成物回収アセンブリと制御可能なように結合されたシステムコントローラであって、前記複数の化学リアクタによる前記所望の化学製品の生産を監視、制御し、前記第1段階の前記複数の化学リアクタのうちの少なくとも1つをバックアップリアクタとして指定し、及び前記第2の段階の前記複数の追加化学リアクタのうちの少なくとも1つをバックアップリアクタとして指定し、前記システムコントローラにより、
(i)前記第1の反応物質供給アセンブリが前記バックアップリアクタの前記第1の反応物質入口を前記第1の反応物質供給容器から隔離し、その一方で、それぞれの他の化学リアクタの前記第1の反応物質入口を前記第1の反応物質供給容器と並列に流体連通の状態で結合し続け、
(ii)前記第2の反応物質供給アセンブリが前記バックアップリアクタの前記第2の反応物質入口を前記第2の反応物質供給容器から隔離し、その一方で、それぞれの他の化学リアクタの前記第2の反応物質入口を前記第2の反応物質供給容器と並列に流体連通の状態で結合し続け、
(iii)前記生成物回収アセンブリが前記第2段階バックアップリアクタの前記第2段階生成物出口を前記生成物受取装置から隔離し、その一方で、前記第2段階のそれぞれ他の追加化学リアクタの前記第2段階生成物出口を、前記生成物受取装置と流体連通の状態で結合し続けるようなシステムコントローラと、
を備えることを特徴とする化学製品生産システム。
【請求項49】
請求項48に記載の自動化連続的処理並列化学製品生産システムであって、
(a)前記第1段階は、さらに、前記第1段階のそれぞれの化学リアクタの前記生成物出口を前記第2段階と流体連通の状態で結合するよう構成された第1段階生成物回収アセンブリを備え、前記第1段階生成物回収アセンブリは生成物流体流路および廃液流体流路を備え、前記第1段階生成物回収アセンブリは前記システムコントローラに制御可能なように結合され、それによって、前記システムコントローラにより前記第1段階生成物回収アセンブリが前記第1段階バックアップリアクタの前記生成物出口を前記廃液流体流路に結合し、その一方で、前記第1段階のそれぞれの他の化学リアクタの前記生成物出口を前記生成物流体流路と流体連通の状態で結合し、それによって、前記第1段階で生産された前記生成物は、前記第2段階に単一の生成物の流れとして供給され、
(b)前記第2段階は、さらに、前記第1段階生成物回収アセンブリと流体連通の状態で配置され、前記第2段階のそれぞれの追加化学リアクタの前記入口を前記第1段階生成物回収アセンブリと並列に流体連通の状態で結合するように構成された第2段階反応物質供給アセンブリを含み、前記第2段階反応物質供給アセンブリは前記システムコントローラに制御可能なように結合され、それによって、前記システムコントローラにより前記第2段階反応物質供給アセンブリが、前記第2段階バックアップリアクタの前記入口を前記第1段階生成物回収アセンブリの前記生成物流体流路から隔離し、その一方で、前記第2段階のそれぞれの他の追加化学リアクタの前記入口を前記第1段階生成物回収アセンブリの前記生成物流体流路と流体連通の状態で結合することを特徴とする自動化連続的処理並列化学製品生産システム。
【請求項50】
請求項48に記載の自動化連続的処理並列化学製品生産システムであって、前記第1段階のそれぞれの化学リアクタの前記生成物出口は、前記第2段階の異なる追加化学リアクタの前記入口に結合されることを特徴とする自動化連続的処理並列化学製品生産システム。
【請求項51】
請求項48に記載の自動化連続的処理並列化学製品生産システムであって、さらに、前記第1段階の前記複数の化学リアクタのそれぞれの出口、および前記第2段階の前記複数の追加化学リアクタのそれぞれの入口と流体連通の状態で配置されている弁システムを備え、前記弁システムは前記システムコントローラに制御可能なように結合され、それによって、前記システムコントローラにより、
(a)前記第1段階の前記指定されたバックアップリアクタの前記生成物出口が、前記第2段階の前記指定されたバックアップリアクタの前記入口と流体連通の状態で結合され、
(b)前記第1段階の前記バックアップリアクタとして指定されていない前記第1段階のそれぞれの化学リアクタの前記生成物出口が、前記第2段階の前記追加化学リアクタのうちの選択された異なる1つの前記入口と流体連通の状態で結合され、前記追加化学リアクタの前記異なる1つの化学リアクタは、前記第2段階の前記バックアップリアクタとして指定されないことを特徴とする自動化連続的処理並列化学製品生産システム。
【請求項52】
請求項48に記載の自動化連続的処理並列化学製品生産システムであって、前記第1の段階の前記複数のリアクタは、実質的に同心円状配向で配列され、前記複数の化学リアクタへの反応物の分配を強化することを特徴とする自動化連続的処理並列化学製品生産システム。
【請求項53】
請求項48に記載の自動化連続的処理並列化学製品生産システムであって、さらに、複数のセンサを備え、それぞれのセンサは前記システムコントローラと論理的に結合され、それぞれセンサは前記第1段階のそれぞれの化学リアクタおよび前記第2段階のそれぞれの追加化学リアクタのうちの少なくとも1つで生産される生成物の品質の指標を供給するように構成され、前記システムコントローラは所定の品質よりも低い品質を有する生成物を生産するそれぞれのリアクタをバックアップリアクタとして指定するように構成されることを特徴とする自動化連続的処理並列化学製品生産システム。
【請求項54】
少なくとも2つの反応物質を組み合わせることにより所望の化学製品を生産する方法であって、
(a)複数の化学リアクタを提供する工程であって、それぞれの化学リアクタが一定量の前記所望の化学製品を生産するように構成されている工程と、
(b)前記複数の化学リアクタを使用して、前記複数の化学リアクタが同心円状に配列され実質的に等しい反応物質供給速度が実現される並列化学製品生産システムを形成する工程と、
(c)一定量の第1の反応物質をそれぞれの化学リアクタに導入する工程と、
(d)一定量の第2の反応物質をそれぞれの化学リアクタに導入する工程と、
(e)それぞれの化学リアクタから一定量の前記所望の化学製品を回収する工程とを含むことを特徴とする方法。
【請求項55】
請求項54に記載の方法であって、それぞれの化学リアクタは、マイクロリアクタを備えることを特徴とする方法。
【請求項56】
請求項54に記載の方法であって、それぞれの化学リアクタは、実質的に同じ処理状態をもたらすように構成されることを特徴とする方法。
【請求項57】
請求項54に記載の方法であって、前記複数の化学リアクタを使用して並列化学製品生産システムを形成する工程は、前記複数の化学リアクタのそれぞれを、同心リングとして構成される第1および第2の流体ラインを備える共通熱交換機に結合し、前記複数の化学リアクタが前記同心リングの間に配置される工程を含むことを特徴とする方法。
【請求項58】
請求項54に記載の方法であって、さらに、前記複数の化学リアクタの1つをバックアップリアクタとして指定する工程を含み、
(a)一定量の第1の反応物質をそれぞれの化学リアクタ内に導入する工程は、前記バックアップリアクタとして指定されていない化学リアクタ内にのみ前記第1の反応物質を導入する工程を含み、
(b)一定量の第2の反応物質をそれぞれの化学リアクタ内に導入する工程は、前記バックアップリアクタとして指定されていない化学リアクタ内にのみ前記第2の反応物質を導入する工程を含み、それによって、前記バックアップリアクタにより生成物が生成されないことを特徴とする方法。
【請求項59】
請求項58に記載の方法であって、さらに、
(a)所定の状態の発生に応じて、前記複数の化学リアクタのうちの異なる1つを新しく指定されたバックアップリアクタとして指定する工程と、
(b)前記新しく指定されたバックアップリアクタを隔離し、第1の反応物質および第2の反応物質が前記新しく指定されたバックアップリアクタ内に追加導入されることのないようにする工程と、
(c)一定量の前記第1の反応物質および前記第2の反応物質を以前に指定されていたバックアップリアクタ内に導入する工程と、
(d)以前に指定されていたバックアップリアクタから一定量の前記所望の化学製品を回収する工程とを含むことを特徴とする方法。
【請求項60】
請求項59に記載の方法であって、前記所定の状態は、所定の時間間隔の経過に対応することを特徴とする方法。
【請求項61】
請求項58に記載の方法であって、第1および第2の反応物質を前記化学リアクタ内に導入し、前記所望の化学製品を回収し、前記化学リアクタのうちの1つをバックアップリアクタとして指定することに関係するそれぞれの工程は、自動的に実行されることを特徴とする方法。
【請求項62】
請求項59に記載の方法であって、さらに、それぞれの化学リアクタから回収された一定量の前記所望の化学製品を判別する工程を含み、前記所定の状態は、所定の品質標準と比較して前記化学リアクタのうちの1つから回収された前記化学製品の前記品質の実質的逸脱に対応し、それによって、前記所定の品質標準から実質的に逸脱している前記所望の化学製品を生産する前記化学リアクタが前記新しく指定されたバックアップリアクタとして指定されることを特徴とする方法。
【請求項63】
請求項58に記載の方法であって、さらに、前記新しく指定されたバックアップリアクタ上でメンテナンスを実行する工程を含むことを特徴とする方法。
【請求項64】
請求項63に記載の方法であって、前記新しく指定されたバックアップリアクタ上でメンテナンスを実行する工程は、前記新しく指定されたバックアップリアクタを洗浄用溶媒で洗浄する工程を含むことを特徴とする方法。
【請求項65】
請求項54に記載の方法であって、一定量の前記所望の化学製品をそれぞれの化学リアクタから回収する工程は、回収される前記所望の化学製品を熱的に調整する工程を含むことを特徴とする方法。
【請求項66】
請求項54に記載の方法であって、さらに、
(a)所望の数の後続段階を形成するのに十分な追加化学リアクタを提供する工程と、
(b)前記追加化学リアクタを使用して前記所望の数の後続段階を形成する工程と、
(c)第1の後続段階の前記追加化学リアクタ内の反応物質として最初に供給される前記化学リアクタ内で生産される前記所望の生成物を使用して、第2段階の化学製品を生産する工程と、
(d)それぞれの追加後続段階毎に、前記先行する段階で生産される前記製品をその段階の前記追加化学リアクタ内の反応物質として使用し、異なる生成物を生産する工程と、
(e)前記最終の後続段階で生産された一定量の前記最終生成物を回収する工程とを含むことを特徴とする方法。
【請求項67】
請求項66に記載の方法であって、一方の段階からの前記生成物は、前記後続段階の反応物質として単一の生成物の流れで供給されることを特徴とする方法。
【請求項68】
請求項66に記載の方法であって、一方の段階からの前記生成物は、前記後続段階の反応物質として多数の異なる生成物の流れで供給されることを特徴とする方法。
【請求項69】
並列化学製品生産システムを使用して所望の化学製品を生産する方法であって、
(a)複数の実質的に同じ化学リアクタを備える並列化学製品生産システムを提供し、前記複数の実質的に同じ化学リアクタのそれぞれの化学リアクタは前記所望の化学製品を生産するように構成され、提供される前記実質的に同じ化学リアクタの個数は、単位時間当たりの所望の数量の前記所望の化学製品を生産するのに要する個数を超える工程と、
(b)前記化学リアクタのうちの1つをバックアップリアクタとして指定する工程と、
(c)一定量の第1の反応物質を前記バックアップリアクタとして指定されていないそれぞれの化学リアクタ内に導入し、それによって、それぞれの化学リアクタ内に導入されるそれぞれの量の第1の反応物質に関連する流量が実質的に等しい工程と、
(d)一定量の第2の反応物質をそれぞれの化学リアクタ内に導入し、それによって、それぞれの化学リアクタ内に導入されるそれぞれの量の第2の反応物質に関連する流量が実質的に等しい工程と、
(e)前記バックアップリアクタとして指定されていないそれぞれの化学リアクタから一定量の前記所望の生成物を回収する工程と、
(f)所定の状態の発生に応じて、前記複数の化学リアクタのうちの異なる1つを新しく指定されたバックアップリアクタとして指定する工程と、
(g)前記新しく指定されたバックアップリアクタを隔離し、第1の反応物質および第2の反応物質が前記新しく指定されたバックアップリアクタ内に追加導入されることのないようにする工程と、
(h)一定量の前記第1の反応物質および前記第2の反応物質を以前に指定されていたバックアップリアクタ内に導入する工程と、
(i)以前に指定されていたバックアップリアクタから一定量の前記所望の化学製品を回収する工程とを含むことを特徴とする方法。
【請求項70】
請求項69に記載の方法であって、さらに、回収される前記所望の化学製品を熱的に調整する工程を含むことを特徴とする方法。
【請求項71】
請求項69に記載の方法であって、前記第1および前記第2の反応物質を前記化学リアクタ内に導入し、前記所望の化学製品を回収し、前記化学リアクタのうちの1つをバックアップリアクタとして指定することに関係するそれぞれの工程は、自動的に実行されることを特徴とする方法。
【請求項72】
請求項69に記載の方法であって、それぞれの化学リアクタは、マイクロリアクタを備えることを特徴とする方法。
【請求項73】
請求項69に記載の方法であって、前記所定の状態は、所定の時間間隔の経過に対応することを特徴とする方法。
【請求項74】
請求項69に記載の方法であって、さらに、それぞれの化学リアクタから回収された一定量の前記所望の化学製品を判別する工程を含み、前記所定の状態は、所定の品質標準と比較して前記化学リアクタのうちの1つから回収された前記化学製品の前記品質の実質的逸脱に対応し、それによって、前記所定の品質標準から実質的に逸脱している前記所望の化学製品を生産する前記化学リアクタが前記新しく指定されたバックアップリアクタとして指定されることを特徴とする方法。
【請求項75】
請求項69に記載の方法であって、さらに、前記バックアップリアクタ上でメンテナンスを実行する工程を含むことを特徴とする方法。
【請求項76】
請求項75に記載の方法であって、前記バックアップリアクタ上でメンテナンスを実行する工程は、前記新しく指定されたバックアップリアクタを洗浄用溶媒で洗浄する工程を含むことを特徴とする方法。
【請求項77】
請求項69に記載の方法であって、並列化学製品生産システムを提供する工程は、前記複数の化学リアクタが実質的に同心円状の構成で配列される並列化学製品生産システムを提供する工程を含むことを特徴とする方法。
【請求項78】
請求項77に記載の方法であって、並列化学製品生産システムを提供する工程は、さらに、第1および第2の流体ラインが同心リングとして構成され、前記複数の化学リアクタが前記同心リングの間に配置される共通熱交換機を実現する工程を含むことを特徴とする方法。
【請求項79】
請求項69に記載の方法であって、さらに、
(a)所望の数の後続段階を形成するのに十分な追加化学リアクタを提供する工程と、
(b)前記追加化学リアクタを使用して前記所望の数の後続段階を形成する工程と、
(c)それぞれの後続段階毎に
(i)少なくとも1つの化学リアクタをバックアップリアクタとして指定し、
(ii)前記先行する段階で生産された前記生成物をバックアップリアクタとして指定されていないそれぞれの追加化学リアクタ内で反応物質として使用する工程と、
(e)前記最終の後続段階で生産された一定量の前記最終生成物を回収する工程とを含むことを特徴とする方法。
【請求項80】
請求項69に記載の方法であって、最初に用意された前記複数の実質的に同じリアクタから回収された前記所望の化学製品は、単一の生成物の流れにまとめられ、さらに、
(a)追加化学リアクタを含む、前記並列化学製品生産システムの第2段階を実現する工程と、
(b)最初に用意された前記複数の実質的に同じリアクタから回収された前記所望の化学製品からまとめられた前記単一の製品の流れを複数の異なる生成物の流れに分ける工程と、
(c)前記異なる生成物の流れを前記追加化学リアクタの前記入口ポートに送り、第2段階化学製品を生産するために前記所望の化学製品が前記第2段階の反応物質として使用されるようにする工程と、
(d)必要ならば、任意の追加反応物質を、前記所望の化学製品を反応物質として受け取るそれぞれの追加化学リアクタ内に導入する工程と、
(f)前記所望の化学製品を受け取るそれぞれの追加化学リアクタから一定量の前記第2段階化学製品を回収する工程とを含むことを特徴とする方法。
【請求項81】
少なくとも2つの反応物質を組み合わせることにより単位時間当りに生産できる所望の化学製品の量を高める方法であって、
(a)単位時間当たりの試験量の前記所望の化学製品を生産するように構成された試験リアクタを提供し、単位時間当りに生産される前記試験量が単位時間当たりの所望の量よりも小さくなる工程と、
(b)前記試験リアクタを使用し、前記試験リアクタで前記所望の化学製品を生産するための好ましい処理条件を決定する工程と、
(c)それぞれの化学リアクタが前記所望の化学製品を生産するように構成された、前記試験リアクタと実質的に同じ複数の化学リアクタを提供し、提供される前記化学リアクタの個数は単位時間当たりに前記所望の量を生産するのに要する個数よりも多い工程と、
(d)前記複数の化学リアクタをつなぎ合わせて並列化学製品生産システムを形成し、それによって、前記複数の化学リアクタが一般的に同心円状に配列されるようにする工程と、
(e)前記複数の化学リアクタのうちの1つをバックアップリアクタとして指定する工程と、
(f)一定量の第1の反応物質を前記バックアップリアクタとして指定されていないそれぞれの化学リアクタ内に導入し、それによって、それぞれの化学リアクタ内に導入される前記量の第1の反応物質に関連する流量が実質的に等しい工程と、
(g)一定量の第2の反応物質を前記バックアップリアクタとして指定されていないそれぞれの化学リアクタ内に導入し、それによって、それぞれの化学リアクタ内に導入される前記量の第2の反応物質に関連する流量が実質的に等しい工程と、
(h)前記バックアップリアクタとして指定されていないそれぞれの化学リアクタから一定量の前記所望の生成物を回収し、前記複数の化学リアクタから回収される前記生成物の単位時間当たりの総量が単位時間当たりの所望の量に実質的に等しい工程と、
(i)所定の状態の発生に応じて、前記複数の化学リアクタのうちの異なる1つを新しく指定されたバックアップリアクタとして指定する工程と、
(j)前記新しく指定されたバックアップリアクタを隔離し、第1の反応物質および第2の反応物質が前記新しく指定されたバックアップリアクタ内に追加導入されることのないようにする工程と、
(k)一定量の前記第1の反応物質および前記第2の反応物質を以前に指定されていたバックアップリアクタ内に導入する工程と、
(l)以前に指定されていたバックアップリアクタから一定量の前記所望の化学製品を回収する工程とを含むことを特徴とする方法。
【請求項82】
請求項81に記載の方法であって、さらに、回収される前記所望の化学製品を熱的に調整する工程を含むことを特徴とする方法。
【請求項83】
請求項81に記載の方法であって、第1および第2の反応物質を前記化学リアクタ内に導入し、前記所望の化学製品を回収し、前記化学リアクタのうちの1つをバックアップリアクタとして指定することに関係するそれぞれの工程は、自動的に実行されることを特徴とする方法。
【請求項84】
請求項81に記載の方法であって、さらに、それぞれの化学リアクタから回収された一定量の前記所望の化学製品を判別する工程を含み、前記所定の状態は、所定の品質標準と比較したときに前記化学リアクタのうちの1つから回収された前記化学製品の前記品質の実質的逸脱に対応し、それによって、前記所定の品質標準から実質的に逸脱している前記所望の化学製品を生産する前記化学リアクタが前記新しく指定されたバックアップリアクタとして指定されることを特徴とする方法。
【請求項85】
請求項81に記載の方法であって、さらに、
(a)所望の数の後続段階を形成するのに十分な追加化学リアクタを提供する工程と、
(b)前記追加化学リアクタを使用して前記所望の数の後続段階を形成する工程と、
(c)それぞれの後続段階毎に
(i)少なくとも1つの化学リアクタをバックアップリアクタとして指定し、
(ii)前記先行する段階で生産された前記生成物を、バックアップリアクタとして指定されていないそれぞれの追加化学リアクタ内で反応物質として使用する工程と、
(e)前記最終の後続段階で生産された一定量の前記最終生成物を回収する工程とを含むことを特徴とする方法。
【請求項86】
請求項81に記載の方法であって、さらに、
(a)所望の数の後続段階を形成するための追加化学リアクタを提供する工程と、
(b)それぞれの後続段階毎に、前記先行する段階で生産された前記生成物を反応物質として使用して後続の生成物を生産する工程とを含むことを特徴とする方法。
【請求項87】
請求項86に記載の方法であって、前記先行する段階で生産された前記生成物は、単一の生成物の流れにまとめられ、その後、多数の異なる生成物の流れに分けられてから、反応物質として使用されることを特徴とする方法。
【請求項88】
請求項86に記載の方法であって、前記先行する段階で生産された前記生成物は、前記後続の段階に導入され、それによって、前記先行する段階のそれぞれのリアクタからの前記生成物は、前記後続の段階の異なるリアクタの前記入口に送り込まれることを特徴とする方法。
【請求項89】
並列化学製品生産システムを使用して所定の品質標準に適合する所望の化学製品を生産する方法であって、
(a)複数の実質的に同じ化学リアクタを備える並列化学製品生産システムを提供し、前記複数の実質的に同じ化学リアクタのそれぞれの化学リアクタは前記所望の化学製品を生産するように構成され、提供される前記実質的に同じ化学リアクタの個数は、単位時間当たりの所望の数量の前記所望の化学製品を生産するのに要する個数を超える工程と、
(b)前記実質的に同じ化学リアクタのうちの1つをバックアップリアクタとして指定する工程と、
(c)一定量の第1の反応物質を前記バックアップリアクタとして指定されていないそれぞれの実質的に同じ化学リアクタ内に導入し、それによって、それぞれの実質的に同じ化学リアクタ内に導入されるそれぞれの量の前記第1の反応物質に関連する流量が実質的に等しい工程と、
(d)一定量の第2の反応物質をそれぞれの実質的に同じ化学リアクタ内に導入し、それによって、それぞれの実質的に同じ化学リアクタ内に導入されるそれぞれの量の第2の反応物質に関連する流量が実質的に等しい工程と、
(e)生成物を生産する実質的に同じそれぞれの化学リアクタ毎に、前記生成物が所定の品質標準を満たしているかどうかを判定するため前記生成物の前記品質を検定し、それによって、前記所定の品質標準を満たさない生成物を生産する任意の実質的に同じ化学リアクタは新しく指定されたバックアップリアクタとして指定される工程と、
(f)前記新しく指定されたバックアップリアクタを隔離し、第1の反応物質および第2の反応物質が前記新しく指定されたバックアップリアクタ内に追加導入されることのないようにする工程と、
(g)前記バックアップリアクタとして指定されていないそれぞれの実質的に同じ化学リアクタから一定量の前記所望の生成物を回収する工程とを含むことを特徴とする方法。
【請求項90】
請求項89に記載の方法であって、さらに、回収される前記所望の化学製品を熱的に調整する工程を含むことを特徴とする方法。
【請求項91】
請求項89に記載の方法であって、第1および第2の反応物質を前記実質的に同じ化学リアクタ内に導入し、前記生成物の前記品質を検定し、前記実質的に同じ化学リアクタのうちの1つをバックアップリアクタとして指定し、前記所望の化学製品を回収する工程に関係するそれぞれの工程は、自動的に実行されることを特徴とする方法。
【請求項92】
請求項89に記載の方法であって、それぞれの実質的に同じ化学リアクタは、マイクロリアクタを備えることを特徴とする方法。
【請求項93】
請求項89に記載の方法であって、さらに、
(a)それぞれのバックアップリアクタ上でメンテナンスを実行する工程と、
(b)バックアップリアクタとして指定されていない前記実質的に同じ化学リアクタ内に存在する条件と実質的に同じ条件の下で、前記第1および第2の反応物質をそれぞれの指定されたバックアップリアクタ内に導入する工程と、
(c)それぞれのバックアップリアクタ内で生産された前記生成物を、前記実質的に同じ任意の他の化学リアクタで生産された前記生成物から分離する工程と、
(d)それぞれのバックアップリアクタ内で生産された前記生成物を検定し、そのバックアップリアクタからの前記生成物が前記所定の品質標準を満たしているかどうかを判定する工程と、
(e)前記所定の品質の生成物を生産するそれぞれのバックアップリアクタ毎に、その実質的に同じ化学リアクタのバックアップリアクタとしての指定を取り消す工程とを含むことを特徴とする方法。
【請求項94】
請求項89に記載の方法であって、並列化学製品生産システムを提供する工程は、前記複数の実質的に同じ化学リアクタが実質的に同心円状の構成で配列される並列化学製品生産システムを提供する工程を含むことを特徴とする方法。
【請求項95】
請求項89に記載の方法であって、さらに、バックアップリアクタとして指定されていない前記実質的に同じ化学リアクタで生産されたそれぞれの生成物を単一の生成物の流れにまとめる工程を含むことを特徴とする方法。
【請求項96】
請求項95に記載の方法であって、さらに、
(a)所望の数の後続段階を形成するための追加化学リアクタを提供する工程と、
(b)それぞれの後続段階毎に、前記先行する段階で生産された前記生成物を、反応物質として使用して後続の生成物を生産する工程とを含むことを特徴とする方法。
【請求項97】
請求項96に記載の方法であって、さらに、
(a)それぞれの追加化学リアクタ内で生産されたそれぞれの後続の生成物の品質を検定して、前記後続の生成物が所定の品質標準を満たしているかどうかを判定し、それによって、前記所定の品質標準を満たさない後続の生成物を生産する任意の追加化学リアクタは、新しく指定されたバックアップリアクタとして指定される工程と、
(b)前記新しく指定されたバックアップリアクタを隔離する工程とを含むことを特徴とする方法。
【請求項98】
請求項91に記載の方法であって、さらに、
(a)追加化学リアクタを含む、前記並列化学製品生産システムの少なくとも1つの第2段階を提供する工程と、
(b)バックアップリアクタとして指定されていない前記複数の実質的に同じそれぞれの化学リアクタ毎に、そのリアクタから回収された前記所望の化学製品を前記追加リアクタのうちの1つの入口に送り、それによって、前記所望の化学製品が前記第2段階の反応物質として使用され、第2段階化学製品を生産する工程と、
(c)前記実質的に同じ化学リアクタの1つから前記所望の化学製品を受け取るそれぞれの追加化学リアクタ毎に、前記第2段階化学製品を生産するために必要な適切な量の任意に追加要求される反応物質を導入する工程と、
(d)前記実質的に同じ化学リアクタのうちの1つから前記所望の化学製品を受け取るそれぞれの追加化学リアクタ毎に、前記第2段階化学製品が前記所定の品質表示を満たすかどうかを判定するために生産された前記第2段階化学製品の前記品質を検定し、それによって、前記所定の品質標準を満たさない第2段階化学製品を生産する任意の追加化学リアクタおよび出口がその入口に結合されている前記実質的に同じ化学リアクタがそれぞれバックアップリアクタとして指定される工程とを含むことを特徴とする方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図1E】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図3E】
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【図3F】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11A】
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【図11B】
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【図11C】
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【図12A】
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【図12B】
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【図12C】
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【図13】
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【図14A】
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【図14B】
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【公表番号】特表2006−527073(P2006−527073A)
【公表日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−515170(P2006−515170)
【出願日】平成16年6月3日(2004.6.3)
【国際出願番号】PCT/US2004/017629
【国際公開番号】WO2004/110608
【国際公開日】平成16年12月23日(2004.12.23)
【出願人】(502425891)セルラー プロセス ケミストリー インコーポレイテッド (2)
【Fターム(参考)】