説明

拡張栓用打込み工具

【課題】 拡張栓の打込み作業に要する工具に関するものであり、拡張栓の打込み作業において、変形や破損の発生や、それらに起因した打込み不良を無くすことができる新規な構造からなる拡張栓用打込み工具を提供する。
【解決手段】 ネジ付き装着部21および案内孔部24を形成すると共に、周壁面の適所には確認用窓部23と抜け止めピン用窓部25とを開口した筒状工具本体2に、強化当り部41および強化打撃部42を有する打撃心棒4を挿入して、抜け止めピン用窓部25から臨める範囲の前端寄りに抜け止めピン45を螺合してなる拡張栓用打込み工具である。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の目的】この発明は、既存建築物の壁面等にボルトを植設したり、ナットを埋設することを可能とする拡張栓の取付け技術に関するものであって、特に、拡張栓の打込み作業に際する打撃力を、拡張栓に正確に伝達することを実現、可能にすることにより、拡張栓の変形や破損の発生と、それによる打込み不良とを防止する新規な構造からなる拡張栓用打込み工具を提供しようとするものである。
【0002】
【従来の技術】既存建築物への配管や、エアコン室外機の取り付け等に使用する拡張栓は、取付け作業中に必要となる植込みボルトやナットを所望の壁面や天井面に後付けする際に欠くことができない金具であって、比較的短時間の中に簡単に設けることができという利便性があって一般に広く普及しているものであり、その使用法としては、図11の拡張型のアンカーボルトを取付ける作業状態の正面図に示すように、予め壁面7に拡張栓としての拡張型アンカーボルト6の先割れ部65先端部外径よりも僅かに大きな直径であって、所定の深さに穿孔した下穴71に対し、アンカーボルト6先端側を、同図中に矢印で示すように挿入した後に、下穴71から露出している雄ネジ部61から突出する拡張ピン頭部63をハンマー等で打ち込むことにより、拡張ピン62がアンカーボルト6軸心部の先端側に向けて次第に移動されていき、これによって下穴71内の先割れ部65が強制的に拡張され、壁面から雄ネジ部61が突出した状態に強固に植設、固着されるようにしたものである。
【0003】しかしながら、こうした拡張固定型のアンカーボルト6は、その構造上、拡張ピン62の直径寸法をボルト呼び径よりも細く設定せざるを得ず、忙しく打込み作業を行ったり、打込み箇所周辺に配管やケーブル等の他の設備が密集していたり、あるいは作業に不慣れな初心者が打込み作業を行ったとき等には、拡張ピン頭部63の中心部に正確に打撃を加えることができずに、図12の拡張ピンが変形してしまったアンカーボルトの正面図に示すとおり、アンカーボルト6の先割れ部65が完全な拡開状態とならないまま、拡張ピン62が折曲状態になってしまって十分な支持力の得られないものとなり、そのまま使用することができないにも拘わらず、当該拡張ピン62を打込むことも、アンカーボルト6を引き抜くことも殆どできない状態に陥ってしまうことがある。
【0004】こうなると、作業者は、ハンマーやペンチ等の工具類を使って拡張ピン62に修正を加えようとしたり、アンカーボルト6を無理に引き抜こうとすることとなるが、一般的な石膏ボードやコンクリート製の壁面7は、比較的容易に破損してしまう虞れがある上、抜き取ることができたとしても下穴71が壊れてしまうことから、同じ場所に別のアンカーボルト6を打ち込んでも充分な支持力が得られず、施工後にアンカーボルト6の抜出や脱落等の問題が生じてしまう虞れがあるため、もう一度その近辺に新たな下穴71を穿孔して別のアンカーボルト6を打ち直す必要があり、さらに、打ち損じによって残された下穴71は、壁面7の外観を悪化させてしまうばかりでなく、雨水等の水分を容易に浸透して壁面7を痛める原因となってしまうので、充填剤を注入する等して速やかに適正な補修を施さなければならなず、一度アンカーボルト6の打ち損じが生じると、作業効率を大幅に低下させてしまい、しかも壁面の補修跡が残って杜撰な仕上がりとなってしまうという問題を残した。
【0005】この発明は、以上のように広く市販されている拡張固定型のアンカーボルト6は打込み作業の際に、誤って拡張ピン62を変形させてしまうと、その後の処置が面倒であり、これまで長期に渡って安定した作業効率の確保が困難であったという事情に疑問を抱き、急ぐ作業や、打込み箇所周辺に障害物が密集している場所への打込み、および不慣れな初心者による打込み作業等であっても、拡張栓である拡張固定型のアンカーボルトを正確且つ迅速に打ち込むことを実現、可能とすることはできないものかとの判断から、逸速くその開発、研究に着手し、長期に渡る試行錯誤と幾多の試作、実験とを繰り返してきた結果、今回、遂に新規な構造からなる拡張栓用打込み工具を実現化することに成功したものであり、以下では、図面に示すこの発明を代表する幾つかの実施例と共に、その構成を詳述することとする。
【0006】
【発明の構成】図面に示すこの発明を代表する実施例からも明確に理解されるように、この発明の拡張栓用打込み工具は、基本的に次のような構成から成り立っている。即ち、先端から後端までを貫通孔状とし、先端側を拡張栓のネジ部に螺合可能とするネジ付き装着部、その後端側を打撃心棒挿通用の案内孔部にしてなる筒状工具本体と、該筒状工具本体の案内孔部に遊嵌可能であって、案内孔部全長よりも長くし、先端を強化当り部、後端を強化打撃部にしてなる打撃心棒とからなり、当該筒状工具本体のネジ付き装着部に臨む辺りの外周面、および同案内孔部に臨む辺りの外周面には、夫々筒状工具本体軸心に沿う方向に長い形状に刳り貫き、装着孔部に対応するものを確認用窓部、案内孔部に対応するものを抜け止めピン用窓部にした上、筒状工具本体案内孔部の最奥にまで挿入した状態の打撃心棒で、当該抜け止めピン用窓部から臨める範囲における前端寄りとなる箇所に抜け止めピンを着脱自在に螺合させてなるようにした構成を要旨とする拡張栓用打込み工具である。
【0007】この基本的な構成からなる拡張栓用打込み工具を、他の表現によって示すならば、先端から後端までを貫通孔状とし、先端側を拡張栓のネジ部に螺合可能とするネジ付き装着部、その後端側を打撃心棒挿通用の案内孔部にしてなる筒状工具本体と、該筒状工具本体の案内孔部に遊嵌可能であって、案内孔部全長よりも長くし、先端を強化当り部、後端を強化打撃部にしてなる打撃心棒とからなり、当該筒状工具本体のネジ付き装着部に臨む辺りの外周面、および同案内孔部に臨む辺りの外周面には、夫々筒状工具本体軸心に沿う方向に長い形状に刳り貫き、装着孔部に対応するものを確認用窓部、案内孔部に対応するものを抜け止めピン用窓部にした上、筒状工具本体案内孔部の最奥にまで挿入した状態の打撃心棒で、当該抜け止めピン用窓部から臨める範囲における前端寄りとなる箇所に抜け止めピンを着脱自在に螺合させてなるものとし、装着孔部に螺合させた拡張栓で、案内孔部内にまで突出状となっている拡張ピン頭部に打撃心棒強化当り部を当接させたまま打撃心棒強化打撃部に打撃を加え、拡張ピンを拡張栓先端側へ強制移動させるように構成した拡張栓用打込み工具となる。
【0008】筒状工具本体は、先端側に拡張栓のネジ部を螺着し、内部に突出状となっている拡張ピン頭部を、その軸芯に一致する方向から打撃可能とするよう、後端側から挿入した打撃心棒を摺動自在に案内すると共に、該打撃心棒の打撃作業に際して、先端側の拡張栓と打撃心棒とを同時に保持可能とする機能を果たすものであり、打撃作業中に渡って拡張栓に対して打撃心棒を同心状に摺動、支持可能とするに充分な強度を有するものとしなければならず、ドリルによって穿孔され壁材の切り屑が残っている下穴に拡張栓を打ち込む場合や、拡張ピン頭部が打込み方向の先端側に設けられた拡張栓(雌ネジ型)を打ち込む場合等には、打撃心棒を抜き去った状態の後端部自体をハンマー等の打撃工具によって打込み作業、可能とするのが望ましい。
【0009】また、筒状工具本体は、装着孔部の内周面に拡張栓のボルト部に螺合する雌ネジ部を刻設したものにすると共に、その先端面を軸心に直交する平面状のものに形成し、拡張栓のボルト部に螺合したナット端面に当設可能なナット座面となるようにしたものとするのが望ましく、装着孔部の内周面に拡張栓のボルト部に螺合する雌ネジ部を刻設したものにすると共に、外周壁面の適所には、螺着した拡張栓のボルト部を軸心回りに螺解操作可能とするレンチ用噛合部を形成してなるものとすることが可能であり、その外周面適所に把持用の凹凸面加工部または防振素材製被膜部を形成したものとすることができる。
【0010】ネジ付き装着部は、拡張栓のネジ部を筒状工具本体の先端に螺合、仮固定可能とし、打撃心棒による連続的な打撃力に耐えて所望する姿勢状態を維持可能とする機能を果たすものであって、雄ネジ型の拡張栓に対応するものとして、筒状工具本体先端部の内周壁面に装着対象の拡張栓呼び径に応じた雌ネジを刻設したものとすることが可能である外、雌ネジ型の拡張栓に対応するよう、筒状工具本体先端部の外周面に、拡張栓呼び径に応じた雄ネジを刻設したものとすることが可能である。
【0011】確認用窓部は、ネジ付き装着部に装着された拡張栓の拡張ピン頭部位置を外部から直接、目視可能とすることにより、拡張栓を筒状工具本体に装着したままの状態において、拡張ピンの打込み完了を外部から目視、確認ができるようにする機能を果たすものであり、少なくとも筒状工具本体のネジ付き装着部基端側付近を、肉厚方向に刳り貫いてなる開口状に形成したものとしなければならず、さらに拡張ピンの打込み方向に平行な長孔状に形成したものとし、拡張ピンの打込み作業の開始から完了に至る打込み過程を、つぶさに確認できるようにしたものとするのが望ましく、より素早く正確に拡張ピンの打込み状態を確認することができるように、その窓部開口に連なる外周面であって、軸心に平行する方向に、拡張栓の拡張ピン移動量を確認し得るようにした目盛部を付設してなるものにすると極めて好都合のものとすることができる。
【0012】案内孔部は、打撃心棒の少なくとも強化当り部先端を、筒状工具本体のネジ付き装着部に仮固定された拡張ピンの打込み方向に、摺動移動自在に案内、支持するようにし、打撃心棒後端の強化打撃部に多少誤った角度の打撃力が加えられたときにも、拡張ピンの軸芯に平行な正確な打込み方向の打撃力成分のみを拡張ピンに伝えることができるようにして、不要な打撃力が拡張ピンに加わって変形させてしまうことを防止するようにした機能を果たすものであり、嵌合状となって軸方向にのみ摺動移動自在とするよう、打撃心棒の外周壁断面形状の一部または全部に一致する内周壁断面形状としなければならず、不要な深さまで打撃心棒が打ち込まれてしまうことを防止できるよう、打撃心棒の打込み深さを規制する規制用段差部を内周壁面の適所に形成したものとすることができる。
【0013】抜け止めピン用窓部は、筒状工具本体の案内孔部に装着された打撃心棒が、不用意に脱落してしまうことを阻止すると共に、同筒状工具本体ネジ付き装着部に装着された拡張栓の拡張ピンを打込むのに必要とされる打撃心棒の進退移動量を確保、可能とする機能を果たすものであって、筒状工具本体の案内孔部に対応する拡張ピンの打込み方向に平行状であって、少なくとも拡張ピンの打込み量と略同じか、それよりも長い範囲に渡って刳り貫いた長孔状に形成されたものとして、対応する打撃心棒外周面に直径方向に固定された抜け止めピンを、拡張ピンの打込み方向に摺動移動自在に案内可能な形状としなければならない。
【0014】打撃心棒は、筒状工具本体の後端側から挿入した先端強化当り部を、拡張栓の拡張ピン頭部に当接させ、後端強化打撃部に打撃力を加えることにより、筒状工具本体案内孔部に沿って強制的に移動され、拡張ピン頭部を正確に打ち込むことができる拡張ピンの軸心に平行な打撃力だけを伝達して、該拡張ピンを不用意に変形させることなく、確実に打ち込むことを可能にする機能を果たすものであり、拡張栓の拡張ピン頭部に当接する先端面を、その中心部が凹欠状の摺鉢型のものに形成するのが望ましく、筒状工具本体案内孔部、または筒状工具補助体延長案内孔部および筒状工具本体案内孔部に遊嵌状とする先端側所定範囲の外周壁面に、摩擦抵抗を低減化する環状や螺旋状あるいは軸心に平行な直線状の浅い溝を複数、刻設したものとすることができる。
【0015】強化当り部は、打撃心棒の先端にあって多数本の拡張栓拡張ピン頭部を連続して打撃するに充分な強度と、それに好適な形状とを確保する機能を果たすものであり、充分な耐久性を確保できる硬さと剛性とを有したものとしなければならず、工具用の炭素鋼を適宜熱処理する等して、必要な強度を確保したものとするのが望ましいが、ステンレス等他の合金や、硬質樹脂等の素材を用いて製造することも可能であり、打撃心棒の先端部にだけ、高強度の別部品を一体的に装着、固定したもの、あるいは脱着型の部品を設けて磨耗や破損を生じたときに交換可能としたもの等とすることができ、先端面は、打撃方向に直交する平面状に仕上げたものとすることが可能であるが、中心部を凹欠状の摺鉢型のものに形成し、打撃心棒に打撃力が加えられたときに、拡張ピンの頭部を自動的に打撃心棒の軸心に導くことができるようにするのが望ましい。
【0016】強化打撃部は、打撃心棒の後端にあって度重なるハンマーや外の工具による連続打撃に耐えるに充分な強度と、その打撃を加えるに好適な形状とを確保する機能を果たすものであって、強化当り部と同様に、充分な耐久強度を確保できる硬さと剛性とを有し、炭素鋼を適宜熱処理して、必要な強度を確保したものとすることできる外、ステンレス等の合金や、硬質樹脂等の素材を用いて製造することが可能であり、打撃心棒の後端部に、高強度の別部品を固定したものや、脱着型の部品を設けて交換可能することが可能であり、後端縁部を面取りして、誤った方向からの打撃を受けた場合にも、潰れや捲れを生じないように形成したものとするのが望ましく、後端面を略球面状に仕上げたものとするとよい。
【0017】拡張栓は、予め既存の壁面に穿孔された下穴に装着された後に、打撃力を加えられることによって下穴中で拡張して脱抜不能な状態に固定され、壁面適所に雄ネジを突設状に植設したものとするか、あるいは、雌ネジを埋設してなるものとすることを可能とする機能を果たすものであり、下穴中に挿入される先端側を、複数に割れた先割れ状に形成し、その先端かあるいは後端には、先端部を途中まで打ち込まれた拡張ピンの頭部が突出され、この拡張ピンを拡張栓内に打撃、圧入することにより、先割れ状先端部を拡開状として下穴中に強固に固定してしまうものであり、例えば、拡張固定型のアンカーボルトや拡張固定型のナットが広く一般に供給されている。
【0018】
【関連する発明】この発明の拡張栓用打込み工具には、前述した基本的構成からなるものに加え、以下に示す構造からなるものを包含している。即ち、先端から後端までを貫通孔状とし、先端側を拡張栓のネジ部に螺合可能とするネジ付き装着部、その後端側を打撃心棒挿通用の案内孔部にしてなる筒状工具本体と、該筒状工具本体の案内孔部側に着脱自在に連結可能であって、連結後には筒状工具本体案内孔部に連通する延長案内孔部を全長に渡って穿孔してなる筒状工具補助体と、前記筒状工具本体 案内孔部およびそれに連結して連通状とした筒状工具補助体延長案内孔部に跨がって遊嵌可能であって、案内孔部全長よりも長くし、先端を強化当り部、後端を強化打撃部にしてなる打撃心棒とからなり、当該筒状工具本体のネジ付き装着部に臨む辺りの外周面、および同案内孔部に臨む辺りの外周面には、夫々筒状工具本体軸心に沿う方向に長い形状に刳り貫き、装着孔部に対応するものを確認用窓部、案内孔部に対応するものを抜け止めピン用窓部にした上、筒状工具補助体延長案内孔部から筒状工具本体案内孔部の最奥にまで挿入した状態の打撃心棒で、当該抜け止めピン用窓部から臨める範囲における前端寄りとなる箇所に抜け止めピンを着脱自在に螺合させてなるようにした構成を要旨とする拡張栓用打込み工具がそれである。
【0019】筒状工具補助体は、筒状工具本体の後端部を継ぎ足し、同筒状工具本体先端に取り付けられた拡張栓から、さらに離れた位置で該筒状工具本体を把持することを可能にして、狭い隙間を通じた拡張栓の打込みや、高い位置への拡張栓の取り付けを可能とする機能を果たすものであり、筒状工具本体の後端部に仮固定するように連結可能とすべきであるが、打撃心棒の外周壁面に、打撃心棒の軸心方向に摺動自在に装着する構造によるものとすることも可能であり、その外周面適所に把持用の凹凸面加工部または防振素材製被膜部が形成されてなるものとすることができる。以下では、図面に示すこの発明を代表する実施例と共に、その構造について詳述することとする。
【0020】
【実施例1】図1の拡張栓用打込み工具の斜視図、および図2のアンカーボルトを装着する拡張栓用打込み工具の斜視図に示される事例は、拡張固定型のアンカーボルトを筒状工具本体先端に形成されたネジ付き装着部に螺合、仮装着して打込み作業を行うことができるように形成した基本的構成からなる、この発明の拡張栓用打込み工具の代表的な一実施例を示すものである。
【0021】当該拡張栓用打込み工具1は、全長約100mmの略円筒形状に形成された機械構造用炭素鋼鋼材(S45C)からなる筒状工具本体2と、その後端側から摺動自在に装着された、全長約200mmの炭素工具鋼鋼材(SK−3)製の打撃心棒4とからなり、該筒状工具本体2は、先端部円筒内周壁面に、M10の雌ネジ部が約10mmの幅に渡って刻設されたことによってネジ付き装着部21を形成し、その先端面を該雌ネジ部の軸心に略直交する平面状に仕上げてナット座面22を形成したものとしている。
【0022】該ネジ付き装着部21の後端から続く円筒孔部分は、案内孔部24として、ナット座面22から約35mm後端側の位置に、打撃心棒4の打込み深さを規制可能とする打込み規制用段差部26を形成し、該打込み規制用段差部26よりも先端側の案内孔部24の内径を凡そ10.2mm、それよりも後端側を凡そ14.7mmの内径寸法として段差円筒形状に仕上げたものとしている。
【0023】ネジ付き装着部21後端付近から案内孔部24後端側に向かう約25mmの範囲に渡って、円筒工具本体2の軸心に平行な幅約6mmの長円形の確認用窓部23を肉厚方向に貫通したものに形成し、また、確認用窓部23と周回りの同一位置か、あるいは所定角度ずれた周回り位置には、案内孔部24後端側の凡そ14.7mmの内径に設定された範囲に軸心方向に平行な幅約8mm、長さ約30mm程度の長円形とした抜け止めピン用窓部25を肉厚方向に穿孔し、さらに、円筒工具本体2の後端側外周壁面には、180゜を隔てた壁面の夫々を平行面状に加工してレンチ用噛合部27が形成されている。筒状工具本体2は、その後端周縁面にハンマーによる打撃にも耐え得る程度に充分な面取り加工を施した後に、特に前後端部周辺を重点的にして、全体的な焼入、焼もどしの熱処理を行うことによってHRC40以上の硬度を確保した上、黒染による防錆処理が施されたものとなっている。
【0024】打撃心棒4は、先端側30mmの範囲を外径凡そ10mmとし、それより後端側を外径凡そ14.5mmに仕上げて、段差部分が筒状工具本体2の打込み規制用段差部26に係合し、打込み量を規制可能とする係止用段部43を形成したものとし、外径凡そ10mmの先端部面を、中央部が凹欠状となる150゜の開き角度に設定された摺鉢型に加工し、また、外径凡そ14.5mmの後端面外周縁部を、ハンマーによる強い打撃にも充分に耐えるよう大きな面取りを施したものとし、先端面から後端側へ凡そ50mmの位置となる外周壁面には、抜け止めピン45用、M5のネジ穴44を穿設した上、前後端部付近を重点的に焼入、焼もどしの熱処理を施すことによってHRC58〜60以上の硬度を確保し、摺鉢型の先端部を強化当り部41に、後端部を強化打撃部42に仕上げた後に、黒染めによる防錆処理を施したものとしている。
【0025】こうして製造された筒状工具本体2案内孔部24の後端側から、打撃心棒4の先端側を挿入し、抜け止めピン用窓部25から露出したネジ穴44に、抜け止めピン45を螺着すれば、図2中に示すように、打撃心棒4が筒状工具本体2に対して進退摺動可能であると共に、脱落しないよう連結されたものとなる。
【0026】
【実施例2】図3の拡張栓用打込み工具の斜視図に示してある事例は、拡張固定型のナットを筒状工具本体先端に形成されたネジ付き装着部に螺合、仮装着して打込み作業を行うことができるように形成した、この発明の拡張栓用打込み工具における他の実施例を示すものである。
【0027】即ち、筒状工具本体2先端の幅10mm程度の範囲には、中心部に直径6mm程度の円柱状の孔が貫通された円筒型であって、外周壁面にM8の雄ネジが突設さたネジ付き装着部21を形成し、該ネジ付き装着部21基端部外周には、雄ネジの軸心に直交する平面状に形成されたナット座面22を形成してなるものとした外、前記実施例と同様に確認用窓部23、案内孔部24、抜け止めピン用窓部25、打込み規制用段差部26、レンチ用噛合部27を夫々形成したものとする一方、該筒状工具本体2に装着する打撃心棒4の先端部には、ネジ付き装着部21の中心孔に進退自在に挿入可能であって、先端部を凹欠状の摺鉢型に形成した強化当り部41を形成すると共に、後端に強化打撃部42を形成し、その他の部位を前記実施例と同様に係止用段部43、ネジ穴44を適所に形成してなる拡張栓用打込み工具1である。
【0028】
【実施例3】図4の抜け止め構造の異なる拡張栓用打込み工具の斜視図に示すように、筒状工具本体2の適所にネジ孔28を貫通状に穿孔し、これに対応する打撃心棒4の周壁面に長円状の抜け止めピン用長溝46を形成した上、筒状工具本体2に挿入された打撃心棒4の抜け止めピン用長溝46をネジ孔28に対応させ、抜け止めピン45を螺着し、打撃心棒4を筒状工具本体2に対して進退、摺動自在とすると共に、脱落しないよう装着したものとすることができる外、打撃心棒4の筒状工具本体2案内孔部24内に装着される範囲に、軸方向の1cm程度の等間隔を隔てた複数箇所に摩擦抵抗を軽減する浅い環状溝47,47,……の複数を刻設してある。
【0029】さらに、打撃心棒4には、その後端に、図5R>5の延長構造を有する拡張栓用打込み工具の斜視図、および、図6の他の延長構造を有する拡張栓用打込み工具の斜視図に示すように、心棒補助体5を脱着可能に接続したものとしてあり、図5中の心棒補助体5は、先端部に打撃心棒4の後端に装着可能な円筒接続管部48を一体に形成し、同円筒接続管部48の外周壁面には、打撃心棒4との接続状態を目視確認可能とする接続確認窓49と、接続ピン45を螺着可能なネジ孔44を穿孔して打撃心棒4の後端に装着後、ネジ孔44に螺着した接続ピン45によって締め付け、固定可能となるようにする一方、円筒接続管部48の内周面に環状溝を形成し、その環状溝に弾性を有する環状ゴムを装着するようにして、接続ピン45を使用せずに打撃心棒4の後端を押し込み、弾性的に仮接続可能になるようにしたものとする。
【0030】図6の心棒補助体5は、打撃心棒4後端部と略同径の円柱棒状体であって、接続部の打撃心棒4後端と該心棒補助体5先端との間に、別体に形成された円筒接続管48を跨るように装着した上、同円筒接続管48軸方向中央に穿孔された長孔状の接続確認窓49を通じて接続状態を確認できるようにすると共に、両端側に穿孔されたネジ孔44,44の夫々に接続ピン45,45を螺着して接続、固定し、一体化することができるようにしたものとしたり、打撃心棒4の後端に同心状の雄ネジ部または雌ネジ部を形成し、心棒補助体の先端部には、これに連結可能な雌ネジ部あるいは雄ネジ部を形成して脱着可能となるようにする外、心棒補助体5の後端を電動ハンマーや、圧縮エアによって駆動されるハンマー等に取付け可能な形状に形成し、これらの自動工具を用いて打込みできる構造とすることも可能である。
【0031】
【実施例4】この発明には、図7の筒状工具補助体を設けた拡張栓用打込み工具の斜視図に示される拡張栓用打込み工具を包含しており、その構造を、前記実施例1の変形例として示せば、筒状工具本体2案内孔部24後端部の幅約15mm前後の内周壁面に、M16の延長用雌ネジ28を刻設し、該雌ネジ部28には、全長が約100mm、外径約20mm、内径約14.7mmに設定され、先端部にM16の延長用雄ネジ部31を一体形成した筒状工具補助体3を接続可能とし、当該筒状工具補助体3は、筒状工具本体2と同様の素材および工程によって製造されたものであり、先端から後端に至る全内周壁面が、筒状工具本体2案内孔部24と同様に仕上げて延長案内孔部32に形成され、延長用雄ネジ部31を除いた全外周壁面には、軟質発泡樹脂からなる衝撃吸収性、摩擦性能に秀れた把持用樹脂被膜層33を、3〜4mm程度の肉厚をもって密着状に被覆してなるものに形成してある。
【0032】
【作用】以上のとおりの構成からなるこの発明の拡張栓用打込み工具1は、図1に示すような構造のものによれば、筒状工具本体2のネジ付き装着部21に、図2中に矢印で示すとおり、拡張栓としての拡張型アンカーボルト6の雄ネジ部61を螺合して拡張ピン62の頭部63を確認用窓部23から確認できるよう装着し、該ネジ部61に予め螺着してあるナット64の端面にナット座面22を接合して仮固定したものとする。
【0033】この状態で、図8の拡張栓の挿入作業の正面図に示したように、固着作業の対象となる石膏ボードやコンクリート等からなる壁面7にアンカーボルト6の外径寸法よりも大きな直径の下穴71を所望する深さまで穿孔し、この下穴71の中心線Sにアンカーボルト6の中心線を略合致させた状態にしてアンカーボルト6の先割れ状に形成された先端側を挿入し、ナット64の先端側の座面を壁面7に接合させた状態に位置決めしてから、一方の手で筒状工具本体2の外周面適所を保持して姿勢を維持しながら、他方に持ったハンマーで打撃心棒4後端側の強化打撃部42を複数回に渡って打撃を加えれば、該打撃心棒4先端側の強化当り部41がアンカーボルト6拡張ピン頭部63を同拡張ピン62の軸心方向に衝突して加圧、前進させることとなり、圧入された拡張ピン62先端が、図9の打撃心棒に打撃力を加えた状態を示す正面図に示す如く、同アンカーボルト6の先割れ部65を拡開させて壁面と一体化したものとする。
【0034】また、急いだり、不慣れによる不用意な打込み作業により、打撃心棒4が傾いた方向に打ち込まれた場合であっても、強化当り部41の先端面が凹欠、摺鉢型に形成されているので、打撃の度毎に必ず打撃心棒4の中心がアンカーボルト6の拡張ピン頭部63の中心に必ず一致するため、中心を外した角度からの打撃力が一切拡張ピン頭部63には伝わることがなく、常に拡張ピン62の中心線Sに一致する方向からのみ打撃力が加えられるものとなって拡張ピン62を正しい方向に推進、移動させることができる。
【0035】拡張ピン頭部63がアンカーボルト6の雄ネジ部61端部まで到達する状態にまで打ち込まれたことが確認用窓部23を透して確認された後、筒状工具本体2を素手か、あるいはレンチ用噛合部27に噛合させたレンチを用い、図10の打込み後に取り外される拡張栓用打込み工具を示す正面図に示してある矢印のとおり、螺解操作してアンカーボルト6雄ネジ部61から、拡張栓用打込み工具1を外し去れば、その後には、壁面7の所望する箇所にアンカーボルト6が雄ネジ部61を垂直状に立設した状態で強固に植設されたものとなって残される。
【0036】図1または図4に示したように、筒状工具本体2と打撃心棒4とを、抜け止めピン用窓部25およびネジ穴44に螺着した抜け止めピン45や、あるいは抜け止めピン用長溝46およびネジ孔28に螺着された抜け止めピン45によって摺動自在且つ脱落不能に連結してあることから、壁面7や図示しない天井面等えの打ち込み作業に際しても、打撃心棒4を不用意に落下させてしまうようなことがなくなる。
【0037】また、図3に示した拡張栓用打込み工具1のように、筒状工具本体2先端部に円筒状、雄ネジ型のネジ付き装着部21を形成し、細径に形成された打撃心棒4先端側の強化当り部41を挿通可能な構造としたものでは、雌ネジ型の拡張栓6を同図中に示した矢印方向に螺合、装着し、同雌ネジ型の拡張栓6内部に装着されている拡張ピン62を打撃心棒4を通じて打撃し、先割れ部65を拡開、変形させて図示しない壁面の下穴に埋設状且つ強固に取着することができ、打込み作業終了後には、前述と同様に筒状工具本体2を逆転操作して拡張栓用打込み工具1を取り去ることができる。
【0038】図4中の打撃心棒4のように、外周壁面に複数の浅い環状溝47,47,……を刻設したものでは、傾いた状態に打ち込まれてしまうた場合であっても、筒状工具本体2案内孔部24の内周壁面との摩擦が低減されるので、噛み合って離脱不能となってしまうことを防止し、容易に離脱可能なものとなり、更にまた、図5または図6に示す心棒補助体5を打撃心棒4の後端に接続し、打撃心棒4の全長を実質的に延長させ得るようにしたものでは、周囲にダクトや配管等が密集していたり、狭いボックス内の壁面等といった手が届かないような場所でもアンカーボルト6を打ち込むことを可能とし、また、心棒補助体5の後端部を自動工具の駆動部に接続可能な形状、寸法に設定したものでは、電動モーターや圧縮エアを利用した自動ハンマー等を使用しての効率的なアンカーボルト6の打ち込み作業の実施が可能となる。
【0039】また、図7に示した拡張栓用打込み工具1のように、筒状工具本体2後端部に、筒状工具補助体3を接続可能とする構造のものでは、打込み箇所周囲に障害物が無い壁面の場合には、筒状工具本体2に打撃心棒4を組み合わせて使用し、周辺にダクトや配管等が密集する場合等には、筒状工具補助体3を継ぎ足して使用することが可能となり、遠隔箇所へのアンカーボルト6の打ち込み作業に際しても、筒状工具本体2を確実に保持することが可能となり、さらに、筒状工具本体2や筒状工具補助体3の外周面に、弾性を有する発泡樹脂製の把持用樹脂被膜層32を被着したものとすれば、滑りを防止して打撃作業中における把持を確実なものとするだけではなく、その際の手指への打撃振動の伝達を軽減させ、安全な作業が保証されるものとなる。
【効果】以上のとおり、この発明の拡張栓用打込み工具は、何よりも先ず筒状工具本体に対して正確に進退移動するようにして打撃心棒が取り付けられており、拡張栓のネジ部を、筒状工具本体先端のネジ付き装着部に螺着してしまえば、該拡張栓の拡張ピン軸心に打撃心棒の摺動移動方向が確実に一致させることができるので、急いで作業を行った場合や打込み箇所周辺が密集している場合、および打撃作業に不慣れな初心者による作業によっても、常に軸心に合致した打ち込みとなって拡張ピンを変形させてしまうような事態が回避でき、従前までの作業に比較して正確且つ迅速に拡張栓の打込み作業を進めることが可能となり、打込み不良による作業の杜撰化や、不要な壁面の破損を未然に防止し得るものとなって、拡張栓の打込み作業の効率を格段に向上させることができるという秀れた特徴を発揮し得るものとなる。
【0040】特に、実施例で取り上げたこの発明を代表する拡張栓用打込み工具1では、上記した特徴に加え、筒状工具本体2の確認用窓部23を透して、図8および図9中に示されているように、打ち込まれていく拡張ピン62の様子をつぶさに確認することが可能となるものであり、不完全な打込みや過剰な打込みを防止することができることとなって打込み作業の効率化に繋がるものとなり、また、筒状工具本体2に抜け止めピン用窓部25を形成し、打撃心棒4に抜け止めピン45を設けてなるものでは、筒状工具本体2からの打撃心棒4の分離、脱落をなくして工具としての利便性を高めることできる上、筒状工具本体2ネジ付き装着部21の先端面をナット座面22としたものでは、拡張栓6の雄ネジ部61に加わる負担を軽減し、無用なネジ山の変形、破損等を防ぎ、工具としての耐久性が保証されたものとなり、また、先端に螺着した拡張栓6が、手指による回動操作では取り外すことができない場合でも、予めレンチ用噛合部27を付設したものとしておき、同所にレンチを噛合させて螺解操作できるようにしたものとして、拡張栓6の脱着作業に手間取ることがないようにしたものにすることができる等、拡張栓の打込み作業の効率化が確実に達成可能になるという極めて実用的な効果を得ることができるものになる。
【0041】また、図3の拡張栓用打込み工具1では、雌ネジ型の拡張栓6を雄ネジ型の拡張栓6と略同様の作業によって打込み可能とすることができ、図4に示した打撃心棒4のように、筒状工具本体2内に挿入される部分に、複数の浅い環状溝47,47,……を刻設してなるものでは、摺動移動の摩擦を軽減して打込み作業をより簡単なものとすることができ、さらに、図5および図6R>6に示したもののように、打撃心棒4に心棒補助体5を接続して延長し得るようにしたものでは、拡張栓6の打込み箇所に手やハンマーが届かない場合にも何等の不都合もなく打込み作業の実施を可能とする外、電動ハンマー等に接続可能な心棒補助体5を採用するようにしたものでは、拡張栓6の打込み作業を大幅に効率化することができるという利点が得られるものとなる。
【0042】更にまた、図7に示した筒状工具補助体3によるものでは、筒状工具本体2の全長を簡単に延伸させることができ、手が届かないような場所等への拡張栓6の打込み作業を簡単且つ正確に行えるようにする外、把持用樹脂被膜層33を形成してあることから、この発明の拡張栓用打込み工具を確実に把持した打込み作業が保証されたものになるだけではなく、ハンマーによる打撃振動を減衰、緩衝して作業者の手指に激しい振動が伝わるのを防止し、腱鞘炎等といった職業病への罷病を回避することにも繋がることとなって、作業安全性面で威力を発揮するものとなる。
【0043】叙述の如く、この発明の拡張栓用打込み工具は、その新規な構成によって所期の目的を遍く達成可能とするものであり、しかも製造が容易なことから、比較的廉価にて市場に提供することが可能であり、拡張栓の打込みを迅速且つ正確に実施し得るものとして作業効率を大幅に高め、作業工数の削減と経費の低減とを確実に達成可能とするものになって、工期の短縮化と施工内容の適正化とが要求される各種設備工事業者や家電販売業者等といった各種業界から高い評価がなされ、広範に渡って利用、普及していくものになると予想される。
【図面の簡単な説明】
図面は、この発明の拡張栓用打込み工具の技術的思想を具現化した代表的な幾つかの実施例を示すものである。
【図1】拡張栓用打込み工具を示す斜視図である。
【図2】拡張栓を取り付ける拡張栓用打込み工具を示す斜視図である。
【図3】ナット型の拡張栓を使用する拡張栓用打込み工具を示す斜視図である。
【図4】連結構造を変更した拡張栓用打込み工具を示す斜視図である。
【図5】心棒補助体を設けた拡張栓用打込み工具を示す斜視図である。
【図6】別な構造の心棒補助体使用の拡張栓用打込み工具を示す斜視図である。
【図7】筒状工具補助体を使用する拡張栓用打込み工具を示す斜視図である。
【図8】拡張栓を壁面下穴に装着する状態を示す正面図である。
【図9】拡張栓の打ち込み作業状態を示す正面図である。
【図10】打込み作業後に拡張栓用打込み工具を取り去る状態を示す正面図である。
【図11】従前までの拡張栓の打ち込み作業を示す正面図である。
【図12】拡張ピンが変形してしまった状態を示す正面図である。
【符号の説明】
1 拡張栓用打込み工具
2 筒状工具本体
21 同 ネジ付き装着部
22 同 ナット座面
23 同 確認用窓部
24 同 案内孔部
25 同 抜け止めピン用窓部
26 同 打込み規制用段差部
27 同 レンチ用噛合部
28 同 延長用雌ネジ
3 筒状工具補助体
31 同 延長用雄ネジ部
32 同 延長案内孔部
33 同 把持用樹脂被膜層
4 打撃心棒
41 同 強化当り部
42 同 強化打撃部
43 同 係止用段部
44 同 ネジ孔
45 同 抜け止めピン(接続ピン)
46 同 抜け止めピン用長溝
47 同 浅い環状溝
48 同 円筒接続管部(円筒接続管)
49 同 接続確認窓
5 心棒補助体
6 拡張固定型のアンカーボルト(拡張栓)
61 同 雄ネジ部
62 同 拡張ピン
63 同 拡張ピン頭部
64 同 ナット
65 同 先割れ部
7 壁面7
71 同 下穴
S 中心線

【特許請求の範囲】
【請求項1】 先端から後端までを貫通孔状とし、先端側を拡張栓のネジ部に螺合可能とするネジ付き装着部、その後端側を打撃心棒挿通用の案内孔部にしてなる筒状工具本体と、該筒状工具本体の案内孔部に遊嵌可能であって、案内孔部全長よりも長くし、先端を強化当り部、後端を強化打撃部にしてなる打撃心棒とからなり、当該筒状工具本体のネジ付き装着部に臨む辺りの外周面、および同案内孔部に臨む辺りの外周面には、夫々筒状工具本体軸心に沿う方向に長い形状に刳り貫き、装着孔部に対応するものを確認用窓部、案内孔部に対応するものを抜け止めピン用窓部にした上、筒状工具本体案内孔部の最奥にまで挿入した状態の打撃心棒で、当該抜け止めピン用窓部から臨める範囲における前端寄りとなる箇所に抜け止めピンを着脱自在に螺合させてなるものとしたことを特徴とする拡張栓用打込み工具。
【請求項2】 先端から後端までを貫通孔状とし、先端側を拡張栓のネジ部に螺合可能とするネジ付き装着部、その後端側を打撃心棒挿通用の案内孔部にしてなる筒状工具本体と、該筒状工具本体の案内孔部に遊嵌可能であって、案内孔部全長よりも長くし、先端を強化当り部、後端を強化打撃部にしてなる打撃心棒とからなり、当該筒状工具本体のネジ付き装着部に臨む辺りの外周面、および同案内孔部に臨む辺りの外周面には、夫々筒状工具本体軸心に沿う方向に長い形状に刳り貫き、装着孔部に対応するものを確認用窓部、案内孔部に対応するものを抜け止めピン用窓部にした上、筒状工具本体案内孔部の最奥にまで挿入した状態の打撃心棒で、当該抜け止めピン用窓部から臨める範囲における前端寄りとなる箇所に抜け止めピンを着脱自在に螺合させてなるものとし、装着孔部に螺合させた拡張栓で、案内孔部内にまで突出状となっている拡張ピン頭部に打撃心棒強化当り部を当接させたまま打撃心棒強化打撃部に打撃を加え、拡張ピンを拡張栓先端側へ強制移動させるようにしたことを特徴とする拡張栓用打込み工具。
【請求項3】 先端から後端までを貫通孔状とし、先端側を拡張栓のネジ部に螺合可能とするネジ付き装着部、その後端側を打撃心棒挿通用の案内孔部にしてなる筒状工具本体と、該筒状工具本体の案内孔部側に着脱自在に連結可能であって、連結後には筒状工具本体案内孔部に連通する延長案内孔部を全長に渡って穿孔してなる筒状工具補助体と、前記筒状工具本体 案内孔部およびそれに連結して連通状とした筒状工具補助体延長案内孔部に跨がって遊嵌可能であって、案内孔部全長よりも長くし、先端を強化当り部、後端を強化打撃部にしてなる打撃心棒とからなり、当該筒状工具本体のネジ付き装着部に臨む辺りの外周面、および同案内孔部に臨む辺りの外周面には、夫々筒状工具本体軸心に沿う方向に長い形状に刳り貫き、装着孔部に対応するものを確認用窓部、案内孔部に対応するものを抜け止めピン用窓部にした上、筒状工具補助体延長案内孔部から筒状工具本体案内孔部の最奥にまで挿入した状態の打撃心棒で、当該抜け止めピン用窓部から臨める範囲における前端寄りとなる箇所に抜け止めピンを着脱自在に螺合させてなるものとしたことを特徴とする拡張栓用打込み工具。
【請求項4】 筒状工具本体は、装着孔部の内周面に拡張栓のボルト部に螺合する雌ネジ部を刻設したものにすると共に、その先端面を軸心に直交する平面状のものに形成し、拡張栓のボルト部に螺合したナット端面に当設可能なナット座面となるようにした、請求項1ないし3何れか記載の拡張栓用打込み工具。
【請求項5】 筒状工具本体は、装着孔部の内周面に拡張栓のボルト部に螺合する雌ネジ部を刻設したものにすると共に、外周壁面の適所には、螺着した拡張栓のボルト部を軸心回りに螺解操作可能とするレンチ用噛合部を形成してなるものとした、請求項1ないし4何れか記載の拡張栓用打込み工具。
【請求項6】 筒状工具本体は、その確認用窓部に連なる外周面であって、軸心に平行する方向に、拡張栓の拡張ピン移動量を確認し得るようにする目盛部が付設されてなるものとした、請求項1ないし5何れか記載の拡張栓用打込み工具。
【請求項7】 筒状工具本体および/または筒状工具補助体は、その外周面適所に把持用の凹凸面加工部または防振素材製被膜部が形成されてなるものとした、請求項1ないし6何れか記載の拡張栓用打込み工具。
【請求項8】 打撃心棒は、拡張栓の拡張ピン頭部に当接する先端面が、その中心部を凹欠状とした摺鉢状のものに形成されてなるものとした、請求項1ないし7何れか記載の拡張栓用打込み工具。
【請求項9】 打撃心棒は、筒状工具本体案内孔部、または筒状工具補助体延長案内孔部および筒状工具本体案内孔部に遊嵌状とする先端側所定範囲の外周面が、摩擦抵抗を低減化する複数の浅溝部を付設してなるものに形成された、請求項1ないし8何れか記載の拡張栓用打込み工具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2003−268981(P2003−268981A)
【公開日】平成15年9月25日(2003.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2002−74715(P2002−74715)
【出願日】平成14年3月18日(2002.3.18)
【出願人】(502096554)
【Fターム(参考)】