説明

指針式表示装置

【課題】
意匠表示部を効率よく照明しつつ、意匠表示部を有さない領域の意図しない照明を抑制することができる指針式表示装置を提供する。
【解決手段】
導光文字板10は、指針30の指針軸41を挿通する文字板孔部111を有し、文字板孔部111の内壁入光部111aから光を導入することで意匠表示部122aが光輝し、回路基板60は、導光文字板10の背面に配設され、光源50を実装し、中ケース70は、導光文字板10と回路基板60との間に配設され、光源50の光を反射し、導光体20は、指針軸41の略全周を覆う略環状形状であり、光源50からの光を、導光文字板10方向へ出射する文字板方向出射部24を有し、文字板方向出射部24から内壁入光部111aへ向かう光を遮る第1の遮光壁84を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源から出射された光を導光文字板にて導光して意匠表示部等を照光する、自動車などに搭載される指針式表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の指針式表示装置は、例えば、特許文献1に開示されているようなものがある。このような指針式表示装置は、指針軸近辺に配設される光源と、この光源からの光を指針の指針軸を中心とした環状の光入射端面部から入光し、入光した光を目盛り板(表示板)の背面に導光し、表示板を背面から均一照明する導光部材と、を備えるものであり、光源からの光を指針軸に沿って導光し、さらにその導光した光を表示板に沿って導光させることにより、表示板背面に空間を設けることができ、回路基板などに配設する部品配置の自由度を向上させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−270003号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のような指針式表示装置は、表示板全体を均一に照明するものであって、表示板に設けられる意匠表示部を考慮しておらず、意匠表示部の少ない箇所にも他の箇所と同様に光の導入が行われるため、例えば、図15に示すような意匠表示部以外の光輝させたくない非意匠表示部Zも照明され、意匠表示部と非意匠表示部とのコントラストが低下するという問題があった。また、図15に示すように、指針式表示装置内に液晶ディスプレイなどの表示部Eが具備されている場合、導光文字板内を導光する光により表示部Eが意図しない照明をされてしまうという問題があった。
【0005】
そこで本発明は、前述の問題点に着目し、意匠表示部を効率よく照明しつつ、意匠表示部を有さない領域の意図しない照明を抑制することができる指針式表示装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、前記課題を解決するため、以下の手段を採用した。
すなわち、本発明は、指針と、前記指針の指針軸を挿通する文字板孔部を有し、前記文字板孔部の内壁入光部から光を導入することで意匠表示部が光輝する導光文字板と、前記導光文字板の背面に配設され、光源を実装する回路基板と、前記導光文字板と前記回路基板との間に配設され、前記指針軸の略全周を覆う略環状形状であり、前記光源からの光を、前記導光文字板方向へ出射する文字板方向出射部を有する導光体と、前記文字板方向出射部から前記内壁入光部へ向かう光を遮る遮光壁と、を備えること、をその要旨とする。
【0007】
本発明は、前述した課題を解決するため、第1の発明は、指針と、前記指針の指針軸が挿通する文字板孔部を有し、前記文字板孔部の内壁の内壁入光部から光を導入することで、意匠表示部が光輝する導光文字板と、前記導光文字板の背面に配設され、光源を実装する回路基板と、前記導光文字板と前記回路基板との間に配設され、少なくとも前記導光文字板を保持する中ケースと、前記指針軸の略全周を覆う略環状形状であり、前記光源からの光を、前記導光文字板方向へ出射する文字板方向出射部を有する導光体と、前記指針と前記導光文字板との間に配設され、前記文字板方向出射部から前記内壁入光部へ向かう光を遮る第1の遮光壁を有する遮光部材と、を備えるものであり、このように前記第1の遮光壁により、前記内壁入光部への光を確実に遮断することで、意匠表示部を有さない領域への光の入射を抑制することができる。また、遮光部材の変更により容易に遮光領域を変更することが出来る。
【0008】
また、第2の発明では、前記遮光部材は、前記導光体または前記導光文字板との間に、前記第1の遮光壁の配設される位置を定める遮光部材位置決め部を具備するものであり、斯かる構成により、前記第1の遮光壁の位置を、組付け時に前記導光体または前記導光文字板により規程することができる。
【0009】
また、第3の発明では、前記導光体は、前記遮光部材を係止めする係止部をさらに備えるものであり、このように、遮光部材の上方から係止め固定することにより、遮光部材の下方に係止め部を設ける必要がなくなり、遮光部材の下方に必要最小限の構造でシンプルな遮光壁を設けることができる。
【0010】
また、第4の発明では、前記遮光部材前記導光体は、回路基板との間で位置決めする導光体位置決め部と、前記中ケースを保持する中ケース保持部と、をさらに備え、前記中ケース保持部と前記係止爪部との間に前記遮光部材と前記導光文字板と前記中ケースとを挟持固定してなるものであり、斯かる構成により、組付け部材、組付け工数を削減しつつ、導光文字板の内壁入光部と導光体の文字板方向出射部が位置決めすることができ、光源からの光を効率よく導光文字板へ入射させることができる。
【0011】
また、第5の発明では、指針と、前記指針の指針軸が挿通する文字板孔部を有し、前記文字板孔部の内壁の内壁入光部から光を導入することで、意匠表示部が光輝する導光文字板と、前記導光文字板の背面に配設され、光源を実装する回路基板と、前記導光文字板と前記回路基板との間に配設される中ケースと、前記指針軸の略全周を覆う略環状形状であり、前記光源からの光を、前記導光文字板方向へ出射する文字板方向出射部を有する導光体と、を備え、前記中ケースは、前記文字板方向出射部から前記内壁入光部へ向かう光を遮る第2の遮光壁を、前記導光体の前記文字板方向出射部と前記内壁入光部との間に有するものであり、このように内壁入光部への光を確実に遮断することで、意匠表示部を有さない領域への光の入射を抑制することができる。
【発明の効果】
【0012】
意匠表示部を効率よく照明しつつ、意匠表示部を有さない領域の意図しない照明を抑制することができる指針式表示装置を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態における指針式表示装置の斜視図である。
【図2】上記発明の一実施形態における導光文字板の分解図である。
【図3】上記発明の一実施形態における導光文字板の表示例を表す図であり、(a)は、導光文字板の正面図であり、(b)は、照明された導光文字板の様子を表す図であり、(c)は、指針式表示装置の断面図である。
【図4】上記発明の一実施形態における(a)は、導光体の斜視図であり、(b)(c)は導光体の断面図である。
【図5】上記発明の一実施形態におけるカラー部材の図であり、(a)は斜視図であり、(b)は上面図である。
【図6】上記発明の一実施形態における導光体にカラー部材を取り付ける様子を表す組立図である。
【図7】上記発明の一実施形態における導光体を表す図であり、(a)は、導光体の斜視図であり、(b)は、導光体の断面図であり、(c)乃至(f)は、文字板方向反射部の変形例を表す図である。
【図8】上記発明の一実施形態における指針式表示装置の組立図である。
【図9】上記発明の一実施形態における指針式表示装置の上面図である。
【図10】上記発明の一実施形態における指針式表示装置の断面図であり、図9の断面図である。(a)はA−A’断面図であり、(b)はB−B’断面図であり、(c)はC−C’断面図である。
【図11】上記発明の一実施形態における指針式表示装置の断面図の拡大図であり、図10の拡大図である。(a)は図10(a)の拡大図であり、(b)は図10(b)の拡大図である。
【図12】本発明の第2実施形態におけるカラー部材位置決め部を表す図である。
【図13】本発明の第3実施形態における導光体の斜視図である。
【図14】本発明の第4実施形態における中ケースの断面図である。
【図15】本発明の指針式表示装置における非意匠表示部Zの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明の指針式表示装置1の実施形態を図を用いて説明する。図1は、本実施形態における指針式表示装置1の斜視図である。本発明の指針式表示装置1は、導光文字板10と、導光体20と、指針30と、本体40と、光源50と、回路基板60と、中ケース70と、カラー部材(遮光部材)80と、から構成され、車両側から出力される車速やエンジン回転数等の車両情報を示す車両信号に基づき、指針が回動するものであり、光源の発する光により、導光文字板と指針が光輝するものである。
【0015】
(導光文字板)
まず、本発明の指針式表示装置1における導光文字板10について、説明する。
導光文字板10は、図2に示すように、透光性の導光部11と、この導光部11の表面に意匠を表示する意匠表示部12と、光を拡散する光拡散部13と、導光部11の表面を覆う表面低屈折率部14aと、導光部11の裏面を覆う裏面低屈折率部14bと、を備える。
【0016】
導光部11は、後述する指針軸41を挿通し、指針30の指針キャップ33より径の小さい貫通孔である文字板孔部111を有する透光性材料から形成される平板状の部材であり、ここでは、透明又は半透明の透光性(半透光性を含む)を有する平板状の合成樹脂製の部材(例えばポリカーボネート板等)である。文字板孔部111の内壁は、内壁入光部111aを備え、内壁入光部111aより光を導光部11内に取り込む。導光部11は、内壁入光部111aから光を入光し、広い範囲に光を伝達するものである。
【0017】
意匠表示部12は、導光部11の表面または裏面に、例えば、インク等を用いて、印刷、塗装等によって形成され、意匠(文字、絵、図形、記号等)を表示する表示層であり、非透光性(遮光性)の不透過部121と、光を透過して出射する透過部122と、により構成される。
不透過部121は、図3(a)において目盛り形状以外の塗りつぶされた領域であり、遮光性のインク等を用いて、印刷、塗装等によって形成され、車両用計器の意匠(文字、絵、図形、記号等を表現する意匠)の部分を切り抜いて、意匠を形成するものである。
【0018】
透過部122は、図3(c)に示すように、導光文字板10内の光Laを出射する第1の光透過出射部122aと、導光文字板10の背面に位置する第2の光源52の光Lcを透過し、出射する第2の光透過出射部122bと、に分類される。
第1の光透過出射部122aは、導光文字板10内の光Laを後述する光拡散部13により拡散された光を出射するものであり、第2の光透過出射部122bは、導光文字板10の背面に位置する第2の光源52から出射される光Lcを透過するものであり、第2の光源52から出射された光Lcが拡散や反射等されずに直接出射するので、輝度の高い光を出射し、明るく光るので、ユーザの目を引くことができる。
透過部122は、不透過部121において切り抜かれた車両用計器の意匠の部分である。ここでは、透過部122は、抜き絵印刷等によって形成される。
また、透過部122は、後述の光拡散部13で拡散された光を透過するものであれば良いので、例えば、透光性を有する白色印刷等によって形成されても良い。
【0019】
光拡散部13は、光拡散性を有する材料を用いて、印刷、塗装等によって導光部11の裏面上に形成され、導光部11が導光した光を拡散する。光拡散部13は、第1の光透過出射部122aに対応する位置に設けられ、図3のように第1の光透過出射部122aの全ての部分と重なるように設けられる。
【0020】
表面低屈折率部14a及び裏面低屈折率部14bは、導光部11を挟んで、導光部11の両面全体に亘って、その両面(適宜、光拡散部13を含む)を覆うように設けられる。表面低屈折率部14a及び裏面低屈折率部14bは、透明又は半透明の透光性(半透光性を含む)を有し、導光部11よりも光の屈折率が低い合成樹脂を用いて、印刷、塗装等によって形成される。
また、表面低屈折率部14a及び裏面低屈折率部14bは、透光性を有する平板状の合成樹脂製の部材(例えばアクリル板等)によって設けられても良い。
【0021】
具体的に、表面低屈折率部14a及び裏面低屈折率部14bは、アクリル系樹脂(光の屈折率は約1.49)、シリコン系樹脂(光の屈折率は約15)、テトラフルオロエチレンやポリテトラフルオロエチレン(ポリエチレンの一種、光の屈折率は約135)等によって形成されている。なお、表面低屈折率部14aと裏面低屈折率部14bとは、それぞれ異なる材料により形成されてもよい。
【0022】
表面低屈折率部14aと導光部11との界面、又は裏面低屈折率部14bと導光部11との界面で、導光部11によって導光された光は全反射する。全反射は、屈折率が大きい媒質(導光部11)から小さい媒質(低屈折率部14a,14b)に光が入射しようとするときに、入射しようとする光が界面を透過せず、その全て(略全てを適宜含む。)が反射する現象をいう。全反射は、光の入射角が、隣り合う媒質(ここでは導光部11と、表面低屈折率部14a及び裏面低屈折率部14b)の各屈折率により決まる角度(臨界角)よりも大きい場合に起こる。導光部11の側面から入射される光は、その殆どが、臨界角よりも大きい入射角で表面低屈折率部14a又は裏面低屈折率部14bに到達するので、導光部11と低屈折率部14との界面に到達した光は、全反射する。
【0023】
このように構成された導光文字板10の光の入射から出射までを、図3(c)を用いて具体的に述べると、導光体20の文字板方向出射部24から出射された光Laは、導光文字板10の文字板孔部111の内壁入光部111aに入射する。内壁入光部111aに入射した光Laは、導光部11と表面低屈折率部14aとの界面、又は導光部11と裏面低屈折率部14bとの界面で全反射を繰り返し、導光部11の内部を進む。導光部11の内部を進む光の一部は、光拡散部13に到達する。光拡散部13に到達した光Laは、その光拡散部13で拡散される。光拡散部13によって拡散された光Laのうち、導光部11の表面への入射角が臨界角よりも小さい光は、全反射せず、表面低屈折率部14aを介して意匠表示部12の第1の光透過出射部122aを透過する。これにより、意匠表示部12は、図3(b)に示すように、第1の光透過出射部122a(ここでは、速度計の目盛り部分)から光が出射される。これによって、不透過部121は暗く見え、第1の光透過出射部122aは光って見える。
【0024】
以上が、本実施形態に係る導光文字板10の構成であり、導光文字板10は、意匠表示部12において、第1の光透過出射部122aに対応して、光拡散部13が設けられるので、光拡散部13で拡散された光Laは、第1の光透過出射部122aを透過して出射する。
【0025】
(導光体)
つづいて、図4乃至7を用いて、導光体20を説明する。
図4は、本発明の導光体20の斜視図と断面図である。
導光体20は、後述する光源51を収納する導光体入光部21と、光源51の光Lを、導光文字板10の内壁入光部111aの方向へ反射する文字板方向反射部22、指針30の方向へ光Lbを出射する指針方向出射部23と、導光文字板10の内壁入光部111aに光Laを出射する文字板方向出射部24と、後述する指針軸41が挿通する指針軸挿通部25と、回路基板60との間で位置決めする導光体位置決めピン(導光体位置決め部)26と、前記中ケース70を保持する中ケース保持部27と、カラー部材80を係り止めする係止爪部28と、カラー部材80を挿入する際の取付ガイドを行うガイド部29と、を備えてなるものであり、中ケース保持部27と係止爪部28との間にカラー部材80と導光文字板10と中ケース70とを挟持固定するものである。
【0026】
導光体入光部21は、後述する第1の光源51から光を入光する箇所であり、光源51から発せられる光Lを逃すことなく、より多くの光を導光体20内に取り込む。また、光源の光を逃すことなく入光させるため、図7(b)のように、光源51を導光体20と同じ部材により覆う入光壁21aを設けても良い。
【0027】
文字板方向反射部22は、図7(c)に示すように、導光体20の中心Oを中心とする円錐面状で形成され、導光体入光部21から入射した光Lを指針方向出射部23の方向へ反射する。本実施例においては、文字板方向反射部22は導光体20の中心Oを中心とし、略全方向に設けられているが、光を反射させたい領域によって、適宜文字板方向反射部22を設ける領域を限定してもよい。
また、文字板方向反射部22は、図7(d)に示すように、角錐面状(六角錐面,八角錐面等)や、図7(e)に示すような曲面状や、図7(f)に示すように、突起を設けてもよい。
【0028】
指針方向出射部23は、文字板方向反射部22のうち、導光体20内を導光する光Lの文字板方向反射部22に入射した際の角度が、臨界角以下であり、指針30方向へ光Lbが出射される箇所である。指針方向出射部23から指針30方向へ出射される光Lbの量は、後述する文字板方向出射部24の形状により、適宜調節される。
【0029】
文字板方向出射部24は、導光文字板10の文字板孔部111の内壁に設けられた内壁入光部111aの面に対し、略平行に配設され、文字板方向反射部22の反射した光Laを内壁入光部111aに向け、出射する箇所である。導光体20の高さ方向である文字板方向出射部24の厚さは、内壁入光部111aの厚さと略同一となるように形成される。斯かる構成により、導光体から導光文字板への光の伝達の際の光漏れを抑制し、効率よく意匠を照明することができる。
【0030】
指針軸挿通部25は、後述する指針軸41が挿通する部分であり、導光体10の中心Oに貫通孔として設けられる。斯かる構成により、文字板方向出射部を略全方向へ設けることができ、光源の光を、文字板孔部を中心に導光文字板の略全方向に対し出射することができ、より広範囲の意匠を効率よく照明することができる。
【0031】
導光体位置決めピン(導光体位置決め部)26は、後述する回路基板60の導光体位置決め孔61に挿入される複数のピンであり、導光体位置決めピン26を導光体位置決め孔61に挿入することで、光源50と導光体入光部21との位置を合わせるものである。
【0032】
中ケース保持部27は、導光体20の側面から水平方向に延出し、後述する中ケース70の載置部72を保持するものである。本実施形態においては、中ケース保持部27を2箇所設けているが、中ケース70を保持する強度を強くするために、導光体20の略全周に設けられてもよい。
【0033】
係止爪部28は、文字板方向出射部24の上面に爪形状で設けられ、後述する図5のようなカラー部材80が図6に示すように、係止爪部28の上方から挿入された際に、カラー部材80の係止部82を、係止爪部28と文字板方向出射部24の上面とで挟持することでカラー部材80を係止するものである。カラー部材80を上方から挿入する際、挿入しやすいように係止爪部28に傾斜部281を設けてもよい。
【0034】
指針30は、指示部31と、指針基部32と、指針キャップ33とから構成されている。指示部31は、導光文字板10の指標を指示し、光源50からの光Lbを受けて光輝する。指針基部32は、本体4に設けられた指針軸41に固定される。この指針基部32は指示部21と透明な樹脂で一体に形成されている。指針キャップ33は、遮光性の合成樹脂からなり、指針基部32を覆うように具備されている。
【0035】
本体40は、回路基板6に実装され、指針2が装着される指針軸41を備えている。指針軸41は、導光文字板10の文字板孔部111の略中心に位置して貫通するとともに、その先端部分が導光文字板10の表示面より上方に突出している。
【0036】
光源50は、回路基板60に実装され、回路基板60に対して垂直方向に光を照射するトップビュー型からなる。光源50は、導光体20に光Lを出射する第1の光源51と、導光文字板10の背面から第2の光透過出射部122bを照明する第2の光源52とから構成される。
【0037】
回路基板60は、光源50や本体40を実装し、指針式表示装置1の電気的な制御を行うものである。また、回路基板60は、導光体20の導光体位置決めピン26が挿入される導光体位置決め孔61を有し、導光体位置決めピン26を導光体位置決め孔61に挿入することで、光源50と導光体入光部21との位置を合わせるものである。
【0038】
中ケース70は、導光文字板10と回路基板60の間に配設され、光源51及び導光体20を区画する第1の仕切り部71と、第2の光源52を区画する第2の仕切り部72と、を有する反射部材で形成される。
第1の仕切り部71は、導光体20に入射した光源51の光Lが、導光体20の指針方向出射部23及び文字板方向出射部24以外の表面から出射してしまった場合、その光Lを第1の仕切り部71の外部へ漏らさず、再び導光体20方向へ反射させるリフレクタであり、第2の仕切り部72は、第2の光源52の光Lcを第2の仕切り部72の外部へ漏らさず、第2の光透過出射部122b方向へ反射させるリフレクタである。
【0039】
カラー部材(遮光部材)80は、隔壁部81と、係止部82と、押さえ部83と、第1の遮光壁84と、カラー部材位置決め部85を有し、指針30と導光文字板10との間に配設されるリング状の遮光性の材料または反射性の材料で形成される。
【0040】
隔壁部81は、指針30と導光文字板10との間から漏れる光を遮断することで、指針30まわりが光輝してしまうハレーションを防ぐものである。
【0041】
係止部82は、導光体20の係止爪部28が係合するものであり、係止部82の厚さは、導光体20の係止爪部28と文字板方向出射部24の上面との間の距離と略同一に設定する。これにより、係止部82は、導光体20の係止爪部28と文字板方向出射部24の上面との間で挟持固定される。
【0042】
押さえ部83は、隔壁部81の外径方向を水平に延出し、導光文字板10を押さえるものである。
【0043】
第1の遮光壁84は、押さえ部83の内径側に垂設され、文字板方向出射部24と内壁入光部111aとの間に位置し、文字板方向出射部24から内壁入光部111aへ向かう光を遮るものである。
【0044】
カラー部材位置決め部85は、第1の遮光壁84が光を遮光する位置を規程するものであり、本実施形態においては、係止部82に切り込みをいれることで、カラー部材80を導光体20の上面から挿入する際に位置決めされる。
このような位置決め手段を用いることで、カラー部材位置決め部85を変更により、導光文字板20を変更することなく、光を遮光する箇所を容易に変更することができる。
【0045】
次に、上述した構成部材による指針式表示装置の概略組立構造を図8を用いて説明する。まず回路基板60の導光体位置決め孔61に、導光体20の導光体位置決めピン26を挿入し、導光体20の上方から中ケース70をセットし、その上方から導光文字板10をセットし、さらに導光体20の上方からカラー部材80を圧入する。これにより、カラー部材80の係止部82が導光文字板20の係止爪部28と係り合い、カラー部材80の押さえ部83により導光文字板10と中ケース70が下方に押し込まれ、導光体20の係止爪部28と中ケース保持部27との間に、導光文字板10と中ケース70とカラー部材80とが挟持固定される。その後、指針軸に指針30をセットする。
【0046】
これより、以上に述べた指針式表示装置1の指針30、導光文字板10の照明方法について、図9乃至11を用いて説明する。図9は、指針式表示装置の上面図である。図10は、図9の指針式表示装置の断面図である。図11は、図10の断面図の拡大図である。
(1)指針軸41の周辺に配設された光源51の光Lは、図11に示すように、指針軸41が挿通する指針軸挿通部25を有する導光体20に入光し、導光体20により指針軸41と略平行方向に導光される。
(2)導光された光Lは、文字板方向反射部22により光Laとして指針方向出射部23の方向へ反射される。光Lのうち文字板方向反射部22に臨界角以下で入射した光は、指針方向出射部23により指針30方向へ光Lbを出射される。
(3)指針方向出射部23と導光文字板10の内壁入光部111aとは、略平行に配設され、それぞれの厚さが略同一になるように形成され、文字板方向反射部22により反射された光Laは、指針方向出射部23から出射され、内壁入光部111aに入射される。
(4)内壁入光部111aに入射された光Laは導光部11内を全反射により進行し、第1の光透過出射部122aに対応して設けられた光拡散部13により拡散され、第1の光透過出射部122aから拡散された光Laが出射することにより、第1の光透過出射部122aは光輝して視認される。
(5)また、文字板方向出射部23から出射された光のうち、文字板孔部111からみて、透過部122などの光輝する意匠が存在しない方向への光は、カラー部材80の第1の遮光壁84により光を遮る。
【0047】
以上のように、本実施形態の指針式表示装置1において、導光体20の係止爪部28と中ケース保持部27との間に、導光文字板10と中ケース70とカラー部材80とを挟持固定することで、導光体20の文字板方向出射部24と導光文字板10の内壁入光部111aの高さ位置が合い、導光体20からの光が効率よく導光文字板10内に取り込まれる。また、文字板方向出射部23と内壁入光部111aとの間に適宜第1の遮光壁84を設けることにより、指針軸挿通孔111からみて透過部122が存在しない領域に光は導入されず、非意匠表示部が明るく視認されてしまうのを防ぐことができる。
また、本発明の導光文字板10の導光部11は、平板なので容易に光拡散部13などを印刷形成することができる。
【0048】
(第2実施形態)
また、上述の実施形態においては、カラー部材80の位置決めをカラー部材80と導光体20の間で行っていたが、図12に示すように、カラー部材80に第2カラー部材位置決め部85aを設け、この第2カラー部材位置決め部85aを、導光文字板10の溝部15に挿入することで、カラー部材80を位置決めしてもよい。
【0049】
(第3実施形態)
また、導光体20は、図13に示すように光の出射が不要な箇所にはきりこみをいれてもよい。斯かる構成により、光の出射が不要な箇所(非表示意匠部)から光が出射されるのを防ぐことができ、これにより、指針軸挿通孔111からみて透過部122が存在しない領域に光は導入されず、非意匠表示部が明るく視認されてしまうのを防ぐことができる。
【0050】
(第4実施形態)
また、中ケース70は、図14に示すように、指針30と導光文字板10との間に配設され、文字板方向出射部24から内壁入光部111aへ向かう光Laを遮る第2の遮光壁73を有してもよい。斯かる構成により、中ケースで文字板方向出射部から内壁入光部へ向かう光を遮ることができ、意匠表示部を有さない領域への光の入射を抑制することができる。
【符号の説明】
【0051】
1 指針式表示装置
10 導光文字板
11 導光部
12 意匠表示部
13 光拡散部
14a 表面低屈折率部
14b 裏面低屈折率部
15 溝部
20 導光体
21 導光体入光部
22 文字板方向反射部
23 指針方向出射部
24 文字板方向出射部
25 指針軸挿通部
26 導光体位置決めピン(導光体位置決め部)
27 中ケース保持部
28 係止爪部
29 ガイド部
30 指針
31 指示部
32 指針基部
33 指針キャップ
40 本体
41 指針軸
50 光源
51 第1の光源
52 第2の光源
60 回路基板
61 導光体位置決め孔
70 中ケース
72 載置部
73 第2の遮光壁
80 カラー部材(遮光部材)
81 隔壁部
82 係止部
83 押さえ部
84 第1の遮光壁
85 カラー部材位置決め部
85a 第2カラー部材位置決め部
111 文字板孔部
111a 内壁入光部
121 不透過部
122 透過部
122a 第1の光透過出射部
122b 第2の光透過出射部



【特許請求の範囲】
【請求項1】
指針と、
前記指針の指針軸が挿通する文字板孔部を有し、前記文字板孔部の内壁の内壁入光部から光を導入することで、意匠表示部が光輝する導光文字板と、
前記導光文字板の背面に配設され、光源を実装する回路基板と、
前記導光文字板と前記回路基板との間に配設され、少なくとも前記導光文字板を保持する中ケースと、
前記指針軸の略全周を覆う略環状形状であり、前記光源からの光を、前記導光文字板方向へ出射する文字板方向出射部を有する導光体と、
前記指針と前記導光文字板との間に配設され、前記文字板方向出射部から前記内壁入光部へ向かう光を遮る第1の遮光壁を有するリング状の遮光部材と、を備えること、を特徴とする指針式表示装置。
【請求項2】
前記遮光部材は、前記導光体または前記導光文字板との間に、前記第1の遮光壁の配設される位置を定める遮光部材位置決め部を具備すること、を特徴とする請求項1に記載の指針式表示装置。
【請求項3】
前記導光体は、前記遮光部材を係止めする係止部をさらに備えること、を特徴とする請求項1または請求項2に記載の指針式表示装置。
【請求項4】
前記遮光部材前記導光体は、回路基板との間で位置決めする導光体位置決め部と、前記中ケースを保持する中ケース保持部と、をさらに備え、前記中ケース保持部と前記係止爪部との間に前記カラー部材と前記導光文字板と前記中ケースとを挟持固定してなること、を特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の指針式表示装置。
【請求項5】
指針と、
前記指針の指針軸が挿通する文字板孔部を有し、前記文字板孔部の内壁の内壁入光部から光を導入することで、意匠表示部が光輝する導光文字板と、
前記導光文字板の背面に配設され、光源を実装する回路基板と、
前記導光文字板と前記回路基板との間に配設される中ケースと、
前記指針軸の略全周を覆う略環状形状であり、前記光源からの光を、前記導光文字板方向へ出射する文字板方向出射部を有する導光体と、を備え、
前記中ケースは、前記文字板方向出射部から前記内壁入光部へ向かう光を遮る第2の遮光壁を、前記導光体の前記文字板方向出射部と前記内壁入光部との間に有すること、を特徴とする指針式表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2013−92483(P2013−92483A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−235545(P2011−235545)
【出願日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【出願人】(000231512)日本精機株式会社 (1,561)
【Fターム(参考)】