説明

振り出し容器

【課題】容量の異なる複数種類の振り出し容器を容易且つ低コストで製造することができる振り出し容器を提供することを目的としている。
【解決手段】内容物を収容する胴部5の一端に、複数の振り出し口73が形成された口部7が設けられていると共に、胴部5の他端が閉塞された振り出し容器1であって、胴部5は、加熱溶解された樹脂を筒状に押し出して切断することで形成されたスリーブからなり、口部7は、胴部5の一端に一体に接合されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振り出し容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の振り出し容器として、従来、例えば下記特許文献1に記載されているような、内容物を収容する容器本体と、その容器本体の上端に螺着されたキャップと、が備えられた構成が知られている。容器本体は、例えばインジェクション成形やブロー成形によって形成される有底筒状のボトル容器であり、その概略構成としては、上端部外周面に雄ねじが形成された筒状の胴部と、その胴部の下端を閉塞する底部と、を備えている。一方、上記したキャップは、インジェクション成形等によって形成されるキャップであり、その概略構成としては、複数の振り出し口が形成された天壁部と、その天壁部の外縁から垂下されて内周面に雌ねじが形成された周壁部と、周壁部にヒンジを介して連結されて天壁部を覆う蓋部と、が備えられている。上記した構成からなる振り出し容器では、容器本体とキャップとがそれぞれ別々に形成されており、容器本体内に内容物を収容させた後に容器本体の胴部の上端にキャップを装着させることで、振り出し容器が完成する。そして、使用時には、ヒンジ回りに蓋部を回動させて蓋部を開けた後、容器本体を傾けたり反転させたりすると共に容器本体を揺動させることで、天壁部の振り出し口から内容物を振り出す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−167302号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記した従来の振り出し容器では、容器本体の容量を変更する場合、容器本体を成形する金型を変更する必要がある。したがって、容量の異なる複数種類の振り出し容器を製造する際には、煩雑な金型の交換作業を行わなければならず、手間がかかるという問題があり、また、複数種類の金型を用意しなければならず、コストが嵩むという問題もある。
【0005】
本発明は、上記した従来の問題が考慮されたものであり、容量の異なる複数種類の振り出し容器を容易且つ低コストで製造することができる振り出し容器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る振り出し容器は、内容物を収容する胴部の一端に、複数の振り出し口が形成された口部が設けられていると共に、前記胴部の他端が閉塞された振り出し容器であって、前記胴部が、加熱溶解された樹脂を筒状に押し出して切断することで形成されたスリーブからなり、前記口部が、前記胴部の一端に一体に接合されていることを特徴としている。
【0007】
上記した構成の振り出し容器の製造工程としては、まず、加熱溶解された樹脂を筒状に押し出して切断することでスリーブを形成する。次に、そのスリーブの一端に口部を設けて胴部(スリーブ)と口部とを一体に接合させる。そして、胴部(スリーブ)の他端から胴部内に内容物を充填し、その後、その胴部の他端を閉塞する。
また、上記した振り出し容器では、押し出された筒状の樹脂の切断位置を変更してスリーブの長さ寸法を変更することで、胴部の長さ寸法(高さ寸法)が変化し、振り出し容器の容量が変更される。つまり、スリーブの長さ寸法を長くすることで胴部が長くなり、振り出し容器の容量が増加し、反対に、スリーブの長さ寸法を短くすることで胴部が短くなり、振り出し容器の容量が低減される。
【0008】
また、本発明に係る振り出し容器は、前記胴部の他端に取り付けられて該胴部の他端を閉塞する底蓋が備えられていることが好ましい。
これにより、口部を上向きにした正立姿勢で底蓋を接地させて振り出し容器を配置させることが可能となる。
【0009】
また、本発明に係る振り出し容器は、前記口部の表面に、複数の前記振り出し口を閉塞する剥離可能な封止シールが貼着されていることが好ましい。
これにより、複数の振り出し口が封止シールによって封止されるので、振り出し容器が横置きにされたり反転姿勢で配置されたりしても、振り出し口から内容物が流出しない。また、内容物を振り出す際には、口部の表面から封止シールを剥離させて振り出し口を開放させる。これにより、振り出し口から内容物が流出可能となる。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る振り出し容器によれば、金型等を変更することなく、胴部の長さ寸法を変更させて振り出し容器の容量を変更することができるので、容量の異なる複数種類の振り出し容器を容易且つ低コストで製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施の形態を説明するための振り出し容器の分解斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態を説明するための振り出し容器の縦断面図である。
【図3】本発明の実施の形態を説明するための口部の上面図である。
【図4】本発明の実施の形態を説明するための振り出し容器の製造工程を表した模式図である。
【図5】本発明の実施の形態を説明するための振り出し容器の製造工程を表した模式図である。
【図6】本発明の他の実施の形態を説明するための口部の上面図である。
【図7】本発明の他の実施の形態を説明するための振り出し容器の縦断面図である。
【図8】本発明の他の実施の形態を説明するための振り出し容器の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る振り出し容器の実施の形態について、図面に基いて説明する。
図2に示す鎖線Oは振り出し容器1の中心軸線を示しており、以下「軸線O」と記す。また、本発明では、この軸線Oに沿った方向を「軸方向」とし、軸線Oに直交する方向を「径方向」とし、軸線O回りの方向を「周方向」とする。また、本実施の形態では、軸方向の口部7側(図2における上側)を「上方」とし、その反対側、つまり軸方向の底蓋3側(図2における下側)を「下方」とする。
【0013】
図1、図2に示すように、振り出し容器1は、例えば粉体や粒体等の内容物が収容されると共に、この内容物を後述する振り出し口73から振り出すことができる容器である。この振り出し容器1の概略構成としては、内側に内容物が収容される容器本体2と、容器本体2の下端に取り付けられた底蓋3と、容器本体2の上端に装着されたキャップ4と、を備えている。
【0014】
容器本体2は、有頂筒状の筒体であり、例えばポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)等の合成樹脂からなる。この容器本体2には、筒状の胴部5と、胴部5の上端に設けられた肩部6と、肩部6を介して胴部5の上端に一体に接合された口部7と、が備えられている。
【0015】
胴部5は、軸線Oを中心軸線にして軸方向に延設された円筒形状の直筒部であり、加熱溶解された樹脂X(図4に示す。)を筒状に押し出して切断することで形成されたスリーブZ(図4に示す。)からなる。また、胴部5には、軸方向に延在する帯状の窓部51が形成されている。この窓部51は、透明性を有する透明樹脂からなり、この窓部51を通して胴部5内の内容物の残量が目測可能となっている。なお、胴部5は、単層型の周壁部であってもよく、或いは、バリア性を有する積層型の周壁部であってもよい。
【0016】
肩部6は、胴部5の上端から上方に向かうに従い漸次縮径されたテーパー状の壁部であり、胴部5の上端に沿って円環状に形成されている。
【0017】
口部7は、軸線Oを中心軸線にして軸方向に延設された有頂筒状の筒部であり、その概略構成としては、肩部6の上端(内縁)から立設された円筒形状の周壁部70と、周壁部70の上端に設けられた天壁部71と、を備えている。周壁部70の外周面には、キャップ4を螺着させるための雄ねじ72が形成されている。天壁部71は、軸線Oに対して垂直に配設された円盤状の板部であり、図1〜図3に示すように、天壁部71には、容器本体2内の内容物を流出させるための複数の振り出し口73が形成されている。振り出し口73は、平面視円形の貫通孔であり、複数の振り出し口73は、互いに間隔をあけて平面視二重丸状に配列されている。
【0018】
また、図1、図2に示すように、上記した口部7の天壁部71の上面には、複数の振り出し口73を閉塞する封止シール8が貼着されている。この封止シール8は、例えばアルミシートの裏面に粘着層が形成されたアルミシールからなり、口部7の天壁部71と略同径の円形に形成されている。また、この封止シール8には、径方向外側に突出した摘み部80が形成されている。
【0019】
底蓋3は、容器本体2の下端部に嵌合されて容器本体2の下端を閉塞する底部であり、例えばポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)等の合成樹脂からなる。この底蓋3には、軸線Oに対して垂直に配設された円環板状の接地部30と、接地部30の外縁に立設された外筒部31と、接地部30の内縁に立設されて外筒部31の内側に配設された内筒部32と、内筒部32の内側に配設された底面部33と、が備えられている。
【0020】
接地部30は、口部7を上向きにした正立姿勢で振り出し容器1を載置する際に接地される部分であり、容器本体2の胴部5の下端の下方に配設されている。外筒部31は、内径が胴部5の外径と略同径の円筒形状の筒部であり、胴部5の下端部の外側に嵌合されている。内筒部32は、軸線Oを共通軸にして外筒部31と同軸上に配設された筒部であり、内筒部32の上端は、外筒部31の上端よりも上方に形成されている。また、内筒部32は、外径が胴部5の内径と略同径の円筒形状の筒部であり、胴部5の下端部の内側に嵌合されている。底面部33は、内筒部32の内周を閉塞する板部であり、内筒部32の軸方向中間部に配設されている。
【0021】
キャップ4は、容器本体2の上部(口部7)に被着されたキャップ体であり、その概略構成としては、平面視略円形の天壁部40と、天壁部40の外縁から垂下された外筒部41と、天壁部40の下面から垂下されて外筒部41の内側に配設された内筒部42と、天壁部40に形成された開口44を開閉する蓋部43と、が備えられている。
【0022】
天壁部40は、平面視における半分の領域が段差状に下がった形状を成している。すなわち、天壁部40の概略構成としては、略半円状の上壁部45と、上壁部45よりも下方に配設された略半円状の下壁部46と、上壁部45と下壁部46との間に設けられた段差部47と、を備えている。上壁部45と下壁部46とは平面視において線対称に配置されており、上壁部45及び下壁部46の各々の直線状の縁部が段差部47を介して連結されている。また、下壁部46には、上記した開口44が形成されている。この開口44は下壁部46の外縁に沿って半円状に形成されており、平面視において開口44の内側に複数の振り出し口73が配設されている。
【0023】
外筒部41は、軸線Oを共通軸にして口部7と同軸上に配設された円筒形状の筒部であり、肩部6の上方に配設されている。また、外筒部41の外径は、胴部5の外径と略同径であり、外筒部41の外周面は、胴部5の外周面と略面一に形成されている。
内筒部42は、軸線Oを共通軸にして外筒部41と同軸上に配設された円筒形状の筒部であり、口部7の外側に配設されている。この内筒部42の内周面には、口部7の雄ねじ72に螺着される雌ねじ48が形成されており、内筒部42は、口部7の周壁部70に螺合されている。
【0024】
蓋部43は、上記した下壁部46の上方に配設された平面視半円状の蓋体であり、蓋部43の外縁面は、外筒部41の外周面と略面一に形成されている。すなわち、閉状態の蓋部43と上記した上壁部45とは平面視において略円形を成している。また、この蓋部43は、径方向に延在するヒンジ49を介して上壁部45に連結されており、ヒンジ49を軸に開閉可能となっている。ヒンジ49は、蓋部43及び上壁部45の各々の直線状の縁部の間に介装されている。また、蓋部43の半円弧状の縁部の周方向中央部分には、径方向外側に突出したフランジ状の摘み部43aが突設されている。
【0025】
次に、上記した構成からなる振り出し容器1の製造方法について説明する。
【0026】
まず、図4に示すように、押し出し機10によって加熱溶解された樹脂Xを筒状に押し出した後、その押し出された筒状物Yを所定位置で切断し、円筒形状のスリーブZを形成する工程を行う。詳しく説明すると、まず、押し出し機10の材料ホッパー11内に原材料となる樹脂Xを投入し、この材料ホッパー11内から押し出し機10の加熱シリンダー12内に樹脂Xを供給し、その加熱シリンダー12内において樹脂Xを加熱、混練、溶融する。そして、加熱溶解された樹脂Xを、加熱シリンダー12内に配設された押し出しスクリュー13(押し出し機構)で加熱シリンダー12の開口端から押し出すと共に、加熱シリンダー12の開口端に配設されたダイス14によって筒状に成形する。これにより、加熱シリンダー12の開口端から円筒形状の筒状物Yが連続的に送出される。続いて、その筒状物Yをウォータークーリング機15(冷却機)で冷却して硬化させ、硬化した筒状物Yを引き取り機16によって送り出す。次に、引き取り機16によって送り出された筒状物Yを定尺カッター17(切断機)によって所定の位置で切断し、所定の長さ寸法のスリーブZを形成する。このとき、スリーブZは、容器本体2の胴部5の軸方向の長さ寸法に相当する長さで形成する。
【0027】
次に、上記したスリーブZの一端に図1に示す口部7及び肩部6を形成する工程を行う。詳しく説明すると、図5(a)に示すように、スリーブZの内側に、スリーブZを保持する保持冶具60を嵌入する。この保持冶具60の先端面には、図1に示す口部7及び肩部6の内周面を成形する先端金型61が着脱可能に取り付けられている。この先端金型61の先端面には、図1に示す複数の振り出し口73を成形するための複数のピン62が突設されている。そして、保持冶具60で保持されたスリーブZの先端を、加熱軟化した板材63に押し当ててパンチングすることで、板材63の一部(蓋板64)が抜き取られて、図5(b)に示すように、スリーブZの先端部の内側に蓋板64が設けられる。次に、図5(c)に示すように、蓋板64が接合されたスリーブZの先端部を、図1に示す口部7及び肩部6の外周面を成形する金型65の内側に配置した後、上記した保持冶具60を先端側に押し込む。これにより、蓋板64とスリーブZの下端とが圧着されると共に、保持冶具60の先端の先端金型61及び上記した金型65によって蓋板64が口部7及び肩部6に成形される。また、このとき、上記したピン62によって口部7の天壁部71に複数の貫通孔(振り出し口73)が穿孔される。
以上により、図1、図2に示すように、胴部5と口部7と肩部6とが一体に形成された容器本体2が完成する。
【0028】
次に、上記した容器本体2の内側に内容物を充填する工程を行う。詳しく説明すると、まず、図1に示すように、口部7の上端面に封止シール8を貼着させ、複数の振り出し口73を閉塞する。続いて、容器本体2を反転姿勢(口部7を下向きにした姿勢)に配置し、胴部5の開口部(図1における下端部)から内容物を充填する。その後、胴部5の開口部に底蓋3を嵌合させて胴部5の開口部を閉塞し、容器本体2を密閉する。
また、上記した容器本体2の口部7にキャップ4を装着する工程を行う。詳しく説明すると、キャップ4を口部7に被せた後、容器本体2とキャップ4とを軸線O回りに相対的に軸回転させ、キャップ4の内筒部42の雌ねじ48を口部7の周壁部70の雄ねじ72に螺合させ、キャップ4を口部7に螺着させる。
以上により、内容物を収容した振り出し容器1が完成する。
【0029】
次に、上記した振り出し容器1の使用方法について説明する。
【0030】
まず、容器本体2とキャップ4とを軸線O回りに相対的に軸回転させて口部7からキャップ4を取り外す。
続いて、口部7の上面から封止シール8を剥がす。このとき、封止シール8の摘み部80を摘んで捲ることで、封止シール8が口部7の上面から容易に剥がされる。
次に、キャップ4を口部7に被せ、その後、容器本体2とキャップ4とを軸線O回りに相対的に軸回転させてキャップ4を口部7に螺着させ、キャップ4を口部7に再装着させる。
【0031】
次に、キャップ4の蓋部43の摘み部43aに指先等で引き上げて、蓋部43をヒンジ49回りに回動させて開ける。これにより、キャップ4の開口44が開放される。
続いて、容器本体2を傾けたり容器本体2を反転させたりすると共に容器本体2を揺動させる。これにより、容器本体2内の内容物が、口部7の振り出し口73を通ってキャップ4の開口44から振り出される。
【0032】
上記した振り出し容器1によれば、押し出された筒状物Yの切断位置を変更してスリーブZの長さ寸法を変更することで、胴部5の長さ寸法(高さ寸法)が変化し、振り出し容器1の容量が変更される。つまり、スリーブZの長さ寸法を長くすることで胴部5が長くなり、振り出し容器1の容量が増加し、反対に、スリーブZの長さ寸法を短くすることで胴部5が短くなり、振り出し容器1の容量が低減される。このように、金型等を変更することなく、胴部5の長さ寸法を変更させて振り出し容器1の容量を変更することができるので、容量の異なる複数種類の振り出し容器1を容易且つ低コストで製造することができる。
【0033】
また、仮に、封止シール8を剥離させた後、キャップ4を口部7に装着させ、口部7(キャップ4)を下向きにした姿勢で保管すると、容器本体2内の内容物が振り出し口73から流出し、口部7の天壁部71とキャップ4の天壁部40との間に内容物が溜まる。この場合、使用する際に蓋部43を開けたときに、口部7の天壁部71とキャップ4の天壁部40との間に溜まった内容物がこぼれるという問題がある。これに対し、上記した振り出し容器1によれば、胴部5の下端に底蓋3が取り付けられているので、口部7を上向きにした正立姿勢で底蓋3を接地させ、振り出し口73を上にした状態で振り出し容器1を保管することができる。これにより、振り出し容器1の保管時に、容器本体2内の内容物が振り出し口73から流出せず、蓋部43を開けたときの内容物のこぼれ出しを防止することができる。
【0034】
また、口部7の上面に封止シール8が貼着され、複数の振り出し口73が封止シール8によって封止されているので、振り出し容器1の流通時や陳列時に振り出し容器1が横置きされたり反転姿勢で配置されたりしても、振り出し口73から内容物が流出しない。これにより、蓋部43を開けたときの内容物のこぼれ出しを防止することができる。
【0035】
また、上記した振り出し口73の数や形状、位置等は、保持冶具60の先端に取り付けられた先端金型61を、ピン62の数や形状、位置等が異なる他の先端金型に交換することで、適宜変更可能である。これにより、振り出し口の数や形状、位置等が異なるバリエーション毎に金型を変更する必要がなく、様々なバリエーションの振り出し容器を低コストで製造することができる。
【0036】
以上、本発明に係る振り出し容器の実施の形態について説明したが、本発明は上記した実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、上記した実施の形態では、加熱軟化させた板材にスリーブZの一端を当接させてパンチングすることで板材63の一部を抜き取ってスリーブZの一端に蓋板64を設け、その後、スリーブZの一端部及び上記蓋板64を金型65で成形することによって口部7や肩部6を形成しているが、本発明は、他の方法で胴部5に口部7や肩部6を形成することも可能である。例えば、インジェクション成形などによって口部7及び肩部6を構成する部品を形成しておき、その部品をスリーブZからなる胴部5の一端に溶着や接着などによって接合させることも可能である。さらに、スリーブZを金型内にセットし、口部7及び肩部6をインジェクション成形することで、スリーブZからなる胴部5に口部7及び肩部6を一体に形成することも可能である。
【0037】
また、上記した実施の形態では、口部7の天壁部71に、平面視円形の振り出し口73が、互いに間隔をあけて平面視二重丸状に配列されているが、本発明は、振り出し口の数や形状、位置を適宜変更することが可能である。例えば、図6(a)に示すように、径の異なる複数の振り出し口173A,173Bを配設することも可能であり、また、図6(b)に示すように、平面視扇形状(略三角形状)の振り出し口273を軸線O回りに配設することも可能であり、また、図6(c)に示すように、周方向に延在する長孔状の振り出し口373を形成することも可能である。
【0038】
また、上記した実施の形態では、キャップ4の天壁部40が、平面視における半分の領域が段差状に下がった形状を成しており、その下がった部分(下壁部46)に略半円形状の蓋部43が配設されているが、本発明は、他の形状のキャップであってもよい。例えば、図7に示すように、キャップ104の上端部の全部が蓋部143となっている構成であってもよい。詳しく説明すると、キャップ104の天壁部140が円環状の板部からなり、この天壁部140の内縁から内筒部42が垂下され、天壁部140の外縁から外筒部41が垂下されている。そして、この天壁部140の上方には、平面視円形状の蓋部143が配設されており、この蓋部143は、キャップ4の外周面に配設されたヒンジ149を介して外筒部41に連結されている。これにより、蓋部143を開けたときに、口部7の上面の略全体が開放され、複数の振り出し口73の全てから内容物を振り出すことが可能となる。
また、本発明は、キャップに蓋部が形成されていない構成であってもよく、振り出し容器1を使用する際に、口部7に螺着されたキャップを口部7から取り外して使用する構成であってもよい。さらに、本発明は、キャップを省略することも可能である。
【0039】
また、上記した実施の形態では、胴部5の下端に底蓋3が嵌合されているが、本発明は、底蓋が胴部5の下端にカシメ固定されていてもよい。
また、上記した実施の形態では、胴部5の下端に底蓋3が嵌合されて閉塞されているが、本発明は、他の構成で胴部5の下端を閉塞することも可能である。例えば、図8に示すように、胴部105の下端部105aを径方向内側に潰すように変形させ、胴部105の下端部105a同士を重ね合わせて接着や溶着などによって接合した構成であってもよい。これにより、底蓋3を省略することができ、部品数を低減させることができる。
【0040】
また、上記した実施の形態では、胴部5の上端に肩部6が設けられ、その肩部6の上端に口部7が設けられているが、本発明は、肩部6を省略することも可能であり、胴部5の上端に口部が直接接合された構成であってもよい。
また、上記した実施の形態では、口部7の上面に封止シール8が貼着されているが、本発明は、封止シール8を省略することも可能である。
また、上記した実施の形態では、胴部5の一部を透明樹脂で形成して窓部51を形成しているが、本発明は、胴部5の全体若しくは大部分を透明樹脂で形成することで窓部51を省略することも可能であり、また、透明樹脂を使用せずに内部が見えない胴部にすることも可能である。
さらに、本発明は、複数の容器本体を横並びに一体に形成した構成からなる振り出し容器であってもよく、例えば、スリーブZを径方向に変形させて対向する壁部同士を軸方向全長に亘って接合させて二連の振り出し容器を形成することも可能である。
【0041】
また、上記した実施の形態では、胴部5が、単層又は積層の合成樹脂からなるが、本発明は、他の構成の胴部であってもよい。例えば、アルミ箔の表裏両面に合成樹脂層をそれぞれ積層されたアルミ積層構造からなる胴部であってもよい。
なお、上記した不透明な胴部の場合には、上記した窓部51は形成しない。
【0042】
その他、本発明の主旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0043】
1 振り出し容器
3 底蓋
5 胴部
7 口部
8 封止シール
73 振り出し口
105 胴部
173A,173B 振り出し口
273 振り出し口
373 振り出し口
X 樹脂
Z スリーブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物を収容する胴部の一端に、複数の振り出し口が形成された口部が設けられていると共に、前記胴部の他端が閉塞された振り出し容器であって、
前記胴部は、加熱溶解された樹脂を筒状に押し出して切断することで形成されたスリーブからなり、
前記口部は、前記胴部の一端に一体に接合されていることを特徴とする振り出し容器。
【請求項2】
請求項1に記載の振り出し容器において、
前記胴部の他端に取り付けられて該胴部の他端を閉塞する底蓋が備えられていることを特徴とする振り出し容器。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の振り出し容器において、
前記口部の表面には、複数の前記振り出し口を閉塞する剥離可能な封止シールが貼着されていることを特徴とする振り出し容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−31955(P2011−31955A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−180099(P2009−180099)
【出願日】平成21年7月31日(2009.7.31)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】